JP2020536902A - 炎症性疾患を処置するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、35U.S.C.§119(e)の下で、2017年10月10日に出願された米国仮出願第62/570,405号の恩典を主張し、該出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書に記載の技術は、炎症性疾患および癌を処置するための方法および組成物に関する。
長鎖ノンコーディングRNA(lnc-RNA、>200ヌクレオチド)は、胚発生、腫瘍成長および転移、心血管代謝障害、ならびに炎症を含む非常に多くの生物学的プロセスおよびヒト疾患において思いもよらない役割を果たしている。数種類のlnc-RNAが免疫細胞、例えば、赤血球細胞、Tリンパ球、樹状細胞、および単球/マクロファージの分化の間で重要な制御因子とみなされてきた6-9。しかしながら、免疫における、これらの生物学的機能は大部分がまだ明らかにされていない。ヒトおよびマウスのマクロファージは数千種類ものlnc-RNAを発現するが、マクロファージ活性化の調節においては数種類のlnc-RNAしか特徴付けられていない15-24。従って、もっと多くのlnc-RNAを特定し、その機能を試験する必要がある。マクロファージ活性化を調節する特定のlnc-RNAは、炎症性疾患、例えば、自己免疫障害を処置および予防する場合には新規の標的として、またはlnc-RNAを癌免疫療法で使用する場合には、これらに影響を及ぼすことによって機能することができる。
ヒトlnc-FAM164A1を用いることでLPS活性化マクロファージにおいてNF-κBシグナル伝達を介して炎症促進性サイトカインの発現が強化され、lnc-FAM164A1が炎症性疾患および癌の治療標的だと明らかになったことを示すデータが本明細書において説明される。詳細に述べると、マウスにおいてlnc-FAM164A1をsiRNA特異的ノックダウンすると炎症関連サイトカイン発現が低減して(例えば、CCL2/MCP-1、IL-6、およびTNF-αなどの炎症促進性サイトカインのLPS誘導性発現が抑制され)、外毒素血症(exotoxemia)マウスモデルの炎症が低減する。本明細書に記載のさらなる研究から、lnc-FAM164A1に結合する3種類のタンパク質:ATPクエン酸合成酵素(ACLY);フィラグリン-2(Flg2);またはスプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ(SFPQ)が特定された。本明細書に記載の研究からATPクエン酸合成酵素(ACLY)はlnc-FAM164A1結合タンパク質であることが分かる。さらに、インビトロでのACLYサイレンシングによって、lnc-FAM164A1強制発現で誘導されるCCL2およびTNF-αの発現が減少する。
便宜を図って、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用する、いくつかの用語および句の意味が以下で示される。特に定めのない限り、または文脈から暗に示されていない限り、以下の用語および句は、以下で示される意味を含む。定義は特定の態様の説明を助けるために示され、本技術の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されるので、請求された本技術を限定することを目的としない。特に定義のない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は全て、本技術が属する当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。当技術分野における用語の用法と、本明細書において示された用語の定義との間に明らかな矛盾があれば、本明細書において示された定義が優先されるものとする。
本明細書に記載の発明は、lnc-FAM164A1のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAサイレンシングによって炎症促進性サイトカイン、例えば、CCL2/MCP-1、IL-6、およびTNF-αのLPS誘導性発現が抑制されたことに部分的に基づいている。その反対に、ヒトおよびマウスの初代マクロファージにおけるlnc-FAM164A1強化発現によってLPSによる炎症促進性サイトカインの誘導が強化された。ルシフェラーゼレポーターアッセイからlnc-FAM164A1はNF-κBシグナル伝達経路を調整することが明らかになった。lnc-FAM164A1を強化発現させると、LPSで刺激されたヒト初代マクロファージにおいて迅速なIκB-α分解が誘導され、p65の核移行が強化された。さらに、内毒素血症野生型マウスではlnc-FAM164A1発現によってTNF-αタンパク質の血漿レベルが増加した。内毒素血症のヒト化マウスモデルではLPS曝露によって血液白血球および脾臓においてlnc-FAM164A1発現が増加し、lnc-FAM164A1サイレンシングによって血漿および腹膜細胞においてヒトCCL2およびIL-6の発現が減少した。
炎症性疾患または炎症性障害は、免疫細胞、例えばマクロファージ(例えば、活性化マクロファージ)、T細胞、樹状細胞、B細胞、または好中球の活性化によって特徴付けられる。炎症性疾患は急性または慢性でもよい。一態様において、マクロファージ活性化マクロファージは、制御されていない活性化である。
本明細書において提供される一局面は、対象において炎症性疾患を処置または予防する方法であって、マクロファージにおいて発現する長鎖ノンコーディングRNA(lnc-RNA)を阻害する有効量の作用物質を対象に投与する工程を含む方法である。
様々な態様において、炎症性疾患を処置または予防するために対象に投与される作用物質は、マクロファージにおいて発現するlnc-RNA、lnc-FAM164A1、またはlnc-RNAに結合するタンパク質、例えば、ACLYを阻害する。
一局面は、本明細書に記載の任意の作用物質と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。一態様において、前記組成物は、本明細書に記載の少なくとも1種類の作用物質を含む。
一部の態様において、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のように、標的、例えば、マクロファージにおいて発現するlnc-RNA、lnc-FAM164A1、またはlnc-RNAに結合するタンパク質、例えば、ACLYを阻害する作用物質を投与する工程を含む、炎症性疾患を有する対象または炎症性疾患を有すると診断された対象を処置する工程に関する。炎症性疾患を有する対象は、状態を診断する現行の方法を用いて医師によって特定することができる。この疾患を特徴付け、診断を助ける炎症性疾患の症状および/または合併症は当技術分野において周知であり、発熱、疲労、疼痛、発疹、嘔吐、息切れ、胃腸不快感、心血管合併症、または血圧の上昇もしくは低下を含むが、これに限定されない。診断、例えば、炎症性疾患の診断を助けることができる検査には、例として、血液検査、非侵襲的画像化、および/または組織生検が含まれるが、これに限定されない。炎症性疾患の家族歴も、対象が状態を有する可能性が高いかどうかの決定または炎症性疾患の診断も助ける。
「単位剤形」は、この用語が本明細書において用いられる時には、適切な1回の投与のための投与量を指す。例として、単位剤形は、送達装置、例えば、注射器または静脈ドリップバッグ(intravenous drip bag)に配置される治療剤の量の場合がある。一態様において、単位剤形は単回投与で投与される。別の態様において、複数の単位剤形が同時に投与されてもよい。
一態様において、本明細書に記載の作用物質または組成物は単独療法として用いられる。一態様において、本明細書に記載の作用物質は、炎症性疾患のための他の公知の作用物質および療法と組み合わせて使用することができる。本明細書で使用する「組み合わせて」投与されるとは、対象が障害に苦しんでいる間に2つの(またはそれより多い)異なる処置が対象に送達されることを意味する、例えば、対象が障害(炎症性疾患)と診断された後に、および障害が治癒もしくは排除される前に、または他の処置が他の理由で止まる前に2つ以上の処置が送達されることを意味する。一部の態様において、投与期間に重複があるように、第2の送達が開始する時に、ある処置の送達が依然として行われている。これは本明細書において「同時の」または「同時発生的送達」と呼ばれる時がある。他の態様では、一方の処置の送達は、他方の処置の送達が開始する前に終了する。どちらの場合の一部の態様でも、組み合わされた投与のために処置の効果が高まる。例えば、第2の処置の方が効果が高い。例えば、第1の処置の非存在下で第2の処置が投与された場合に見られる効果と等価な効果が第2の処置では見られないか、もしくは第1の処置の非存在下で第2の処置が投与された場合に見られる効果よりも大きな程度で第2の処置が症状を低減するか、または同様の状況が第1の処置で見られる。一部の態様において、送達は、症状、または障害に関連する他のパラメータの低減が、他方の処置の非存在下で送達された一方の処置で観察されたものよりも大きくなるような送達である。2つの処置の効果は部分的に相加的でもよく、全体的に相加的でもよく、相加効果より大きくてもよい。送達は、第2の処置が送達された時に、送達された第1の処置の効果が依然として検出可能になるようなものでもよい。本明細書に記載の作用物質と、少なくとも1つのさらなる療法が同じ組成物に入れて、または別々の組成物に入れて同時に投与されてもよく、連続して投与されてもよい。連続投与の場合、最初に本明細書に記載の作用物質が投与されてもよく、2番目に、さらなる作用物質が投与されてもよく、または投与の順序が反対になってもよい。前記作用物質および/または他の治療剤、手順、もしくはモダリティーは活動性障害の間に投与されてもよく、軽快、もしくは活動性でない疾患の間に投与されてもよい。前記作用物質は別の処置の前に投与されてもよく、処置と同時発生的に投与されてもよく、処置後に投与されてもよく、障害の軽快中に投与されてもよい。
本明細書に記載の作用物質の非経口剤形は、皮下、静脈内(大量瞬時投与を含む)、筋肉内、および動脈内を含むが、これに限定されない様々な経路によって対象に投与することができる。非経口剤形の投与は、典型的には、汚染物質に対する患者の天然防御を迂回するので、非経口剤形は好ましくは無菌であるか、または患者に投与する前に滅菌することができる。非経口剤形の例には、注射する用意が整った溶液、注射のために薬学的に許容されるビヒクルに溶解または懸濁する用意が整った乾燥製品、注射する用意が整った懸濁液、徐放性非経口剤形、およびエマルジョンが含まれるが、これに限定されない。
本明細書に記載の局面の一部の態様では、作用物質または組成物は管理放出手段または遅延放出手段によって対象に投与される。理想をいえば、医学的処置における最適に設計された徐放製剤の使用は、最低限の原薬が最低限の時間で状態を治癒または管理するのに用いられることを特徴とする。制御放出製剤の利点には、1)長期間のわたる薬物活性;2)投与頻度の低下;3)患者の服薬遵守の向上;4)少ない総薬物量の使用;5)局所副作用または全身副作用の低下;6)薬物蓄積の最小化;7)血中濃度変動の低下;8)処置効力の改善;9)相乗作用の低下または薬物活性の消失;および10)疾患または状態を管理する速度の改善が含まれる(Kim, Cherng-ju, Controlled Release Dosage Form Design, 2 (Technomic Publishing, Lancaster, Pa.: 2000))。制御放出製剤は、式(I)の化合物の作用開始、作用期間、治療可能時間域(therapeutic window)内での血漿レベル、およびピーク血中濃度を制御するのに使用することができる。特に、制御放出または長期放出(extended-release)の剤形または製剤は、薬物を過少量投与すること(すなわち、最小治療レベルを下回ること)と、薬物の毒性レベルを上回ることの両方から生じ得る潜在的な副作用と安全問題を最小限にしながら作用物質の最大有効性が得られることを確かなものにするために使用することができる。
本明細書に記載の作用物質、例えば、炎症性疾患を処置するための本明細書に記載の作用物質の効力は当業者によって確かめることができる。しかしながら、「有効な処置」という用語が本明細書において用いられる時、本明細書に記載の方法に従う処置後に、炎症性疾患の徴候または症状の1つまたは複数が有益なやり方で変えられるか、他の臨床上認められている症状が改善されるか、もしくは寛解されるか、または望ましい応答が、例えば、少なくとも10%誘導されれば、処置は「有効な処置」とみなされる。効力は、例えば、本明細書に記載の方法に従って処置される状態のマーカー、指標、症状、および/もしくは発生率、または他の任意の適切な測定可能なパラメータ、例えば、発熱、疲労、疼痛、息切れなどによって評価することができる。効力はまた、入院、または医療介入の必要性(すなわち、症状の進行)によって評価された時に個体が悪化しないことでも測定することができる。これらの指標を測定する方法は当業者に公知である、および/または本明細書において説明される。
1.対象において炎症状態を処置する方法であって、Inc-FAM164A1の発現を阻害するために調整剤を投与する工程を含む、方法。
2.lnc-FAM164A1の発現の調整剤が核酸分子、小分子、タンパク質、多糖、または抗体である、段落1記載の方法。
3.核酸分子がアンチセンスRNA、RNA干渉(RNAi)分子、RNAデコイ分子、またはRNAアプタマーである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
4.RNAi分子がsiRNA分子、esiRNA分子、shRNA分子、またはmiRNA分子である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
5.タンパク質がペプチド、ポリペプチド、またはグリコシル化タンパク質である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
6.炎症状態が免疫細胞の活性化を特徴とする、前段落のいずれか1つに記載の方法。
7.免疫細胞の活性化が急性または慢性である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
8.免疫細胞がマクロファージ、T細胞、樹状細胞、B細胞、または好中球を含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
9.免疫細胞の活性化がマクロファージ活性化である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
10.マクロファージ活性化が、管理されていないマクロファージ活性化および持続的な炎症によって特徴付けられる、前段落のいずれか1つに記載の方法。
11.炎症状態がアテローム硬化性血管疾患、心臓弁膜症、心不全、自己免疫疾患、骨粗鬆症、異所性石灰化、脳卒中後の脳損傷、肥満、脂肪肝疾患、糖尿病、ゴーシェ病、敗血症、腎機能障害、腎不全、および癌を含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
12.アテローム硬化性血管疾患が冠状動脈疾患、ステント再狭窄、カロチド代謝疾患、脳卒中、急性心筋梗塞、心不全、末梢動脈疾患、四肢虚血、静脈移植不全、動静脈瘻不全である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
13.心臓弁膜症が大動脈弁疾患または僧帽弁疾患である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
14.炎症状態が人工組織または組織工学で作製された組織において生じる、前段落のいずれか1つに記載の方法。
17.組織が臓器である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
18.組織が血管または弁である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
19.細胞において免疫活性化を調整する方法であって、細胞におけるInc-FAM164A1の発現の有効量の調整剤を細胞に投与する工程を含む、方法。
20.有効量の調整剤がlnc-FAM164A1の発現を阻害する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
21.lnc-FAM164A1の発現の調整剤が核酸分子、小分子、タンパク質、多糖、または抗体である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
22.核酸分子がアンチセンスRNA、RNA干渉(RNAi)分子、デコイ分子、またはRNAアプタマーである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
23.RNAi分子がsiRNA分子、esiRNA分子、shRNA分子、またはmiRNA分子である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
24.タンパク質がペプチド、ポリペプチド、またはグリコシル化タンパク質である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
25.タンパク質調整剤がATPクエン酸合成酵素(ACLY)、フィラグリン-2(FLG2)、またはスプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ(SFPQ)である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
26.タンパク質調整剤が、lnc-FAM164A1の活性を増強するための相互作用パートナーとしてlnc-FAM164A1と相互作用する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
27.細胞における免疫活性化が急性または慢性である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
28.細胞がマクロファージ、T細胞、樹状細胞、B細胞、または好中球を含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
29.マクロファージが活性化マクロファージである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
30.細胞における免疫活性化の調整が、炎症状態を有する対象における細胞を含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
31.炎症状態がアテローム硬化性血管疾患、心臓弁膜症、心不全、自己免疫疾患、骨粗鬆症、異所性石灰化、脳卒中後の脳損傷、肥満、脂肪肝疾患、糖尿病、ゴーシェ病、敗血症、腎機能障害、腎不全、および癌を含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
32.アテローム硬化性血管疾患が冠状動脈疾患、ステント再狭窄、カロチド代謝疾患、脳卒中、急性心筋梗塞、心不全、末梢動脈疾患、四肢虚血、静脈移植不全、動静脈瘻不全である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
33.心臓弁膜症が大動脈弁疾患または僧帽弁疾患である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
34.炎症状態が人工組織または組織工学で作製された組織において生じる、前段落のいずれか1つに記載の方法。
35.組織が臓器である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
36.組織が血管または弁である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
37.lnc-FAM164A1の発現を阻害するために調整剤を含む、薬学的組成物。
38.lnc-FAM164A1の発現の調整剤が核酸分子、小分子、タンパク質、多糖、または抗体である、前段落のいずれか1つに記載の組成物。
39.核酸分子がアンチセンスRNA、RNA干渉(RNAi)分子、デコイ分子、またはRNAアプタマーである、前段落のいずれか1つに記載の組成物。
40.RNAi分子がsiRNA分子、esiRNA分子、shRNA分子、またはmiRNA分子である、前段落のいずれか1つに記載の組成物。
41.タンパク質がペプチド、ポリペプチド、またはグリコシル化タンパク質である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
42.タンパク質調整剤がATPクエン酸合成酵素(ACLY)、フィラグリン-2(FLG2)、またはスプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ(SFPQ)である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
43.タンパク質調整剤が、lnc-FAM164A1の活性を増強するための相互作用パートナーとしてlnc-FAM164A1と相互作用する、前段落のいずれか1つに記載の組成物。
44.調整剤が薬学的に許容される製剤の中にある、前段落のいずれか1つに記載の組成物。
45.調整剤が、炎症状態を有する対象に投与される、前段落のいずれか1つに記載の組成物。
46.炎症状態がアテローム硬化性血管疾患、心臓弁膜症、心不全、自己免疫疾患、骨粗鬆症、異所性石灰化、脳卒中後の脳損傷、肥満、脂肪肝疾患、糖尿病、ゴーシェ病、敗血症、腎機能障害、腎不全、および癌を含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
47.アテローム硬化性血管疾患が冠状動脈疾患、ステント再狭窄、カロチド代謝疾患、脳卒中、急性心筋梗塞、心不全、末梢動脈疾患、四肢虚血、静脈移植不全、動静脈瘻不全である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
MGH24231ドラフト段落
48.心臓弁膜症が大動脈弁疾患または僧帽弁疾患である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
49.炎症状態が人工組織または組織工学で作製された組織において生じる、前段落のいずれか1つに記載の方法。
50.組織が臓器である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
51.組織が血管または弁である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
1.対象において炎症性疾患を処置または予防する方法であって、マクロファージにおいて発現する長鎖ノンコーディングRNA(lnc-RNA)を阻害する有効量の作用物質を対象に投与する工程を含む、方法。
2.lnc-RNAが、AL078621.3;RP11-536K7.5;RP11-143M1.3;RP11-561O23.5;AC10980.2;P2RX7;LOC440896;D63785;RP11-58A12.2;RP11-79H23.3(lnc-FAM164A1);およびRP13-452N2.1からなる群より選択される、段落1記載の方法。
3.対象において炎症性疾患を処置または予防する方法であって、lnc-FAM164A1を阻害する有効量の作用物質を対象に投与する工程を含む、方法。
4.炎症性疾患が、内毒素血症、アテローム硬化性血管疾患、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、ステント内再狭窄、静脈移植片疾患、動静脈瘻疾患、血管石灰化、心臓弁膜症、心不全、自己免疫疾患、骨粗鬆症、異所性石灰化、脳卒中後の脳損傷、肥満、脂肪肝疾患、糖尿病、ゴーシェ病、敗血症、腎機能障害、腎不全、および癌からなる群より選択される、前段落のいずれか1つに記載の方法。
5.心臓弁膜症が大動脈弁疾患または僧帽弁疾患である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
6.炎症性疾患が組織移植または細胞移植に応答して発生する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
7.炎症性疾患が急性または慢性である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
8.前記作用物質が、小分子、抗体、ペプチド、ゲノム編集系、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉(RNAi)、アンチセンスRNA、RNAデコイ分子、RNAアプタマー、ならびに阻害性ポリペプチドからなる群より選択される、前段落のいずれか1つに記載の方法。
9.RNAiがマイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
10.前記作用物質が、該作用物質をコードするベクターである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
11.ベクターが非組込み型または組込み型である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
12.非組込み型ベクターが、EBNA1ベクター、ミニサークルベクター、非組込み型アデノウイルス、非組込み型RNA、およびセンダイウイルスからなる群より選択される、前段落のいずれか1つに記載の方法。
13.ベクターがエピソームベクターである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
14.ベクターがレンチウイルスベクターである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
15.lnc-RNAが標的細胞において阻害される、前段落のいずれか1つに記載の方法。
16.lnc-FAM164A1が標的細胞において阻害される、前段落のいずれか1つに記載の方法。
17.標的細胞が哺乳動物細胞である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
18.標的細胞が、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、または好中球である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
19.マクロファージが活性化マクロファージである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
20.対象が哺乳動物である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
21.対象がヒトである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
22.阻害が、レベルおよび/または活性の低減である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
23.有効量の前記作用物質が、lnc-RNAのレベルを、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
24.有効量の前記作用物質が、lnc-RNAの活性を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
25.有効量の前記作用物質が、lnc-FAM164A1のレベルを、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
26.有効量の前記作用物質が、lnc-FAM164A1の発現を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
27.対象が、炎症性疾患を有すると以前に診断されたことがある、前段落のいずれか1つに記載の方法。
28.対象が、炎症性疾患を有すると以前に診断されたことがない、前段落のいずれか1つに記載の方法。
29.対象が、炎症性疾患を発症する少なくとも1つの危険因子を示す、前段落のいずれか1つに記載の方法。
30.投与する工程の前に、炎症性疾患を有すると対象を診断する工程をさらに含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
31.投与する工程の前に、炎症性疾患を有すると患者を診断するアッセイの結果を受け取る工程をさらに含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
32.前記作用物質が、プラズマ細胞および/または腹膜細胞におけるCCL2およびIL-6の発現を減少させる、前段落のいずれか1つに記載の方法。
33.前記作用物質がNFkBシグナル伝達を減少させる、前段落のいずれか1つに記載の方法。
34.対象において炎症性疾患を処置または予防する方法であって、lnc-RNAに結合するタンパク質を阻害する有効量の作用物質を対象に投与する工程を含む、方法。
35.lnc-RNAに結合するタンパク質が、ATPクエン酸合成酵素(ACLY);フィラグリン-2(Flg2);およびスプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ(SFPQ)からなる群より選択される、前段落のいずれか1つに記載の方法。
36.lnc-RNAに結合するタンパク質がACLYである、前段落のいずれか1つに記載の方法。
37.前記作用物質が対象においてCCL2およびTNF-αの発現を減少させる、前段落のいずれか1つに記載の方法。
38.阻害によって前記タンパク質のレベルまたは活性が低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
39.阻害によって前記タンパク質とlnc-RNAとの結合が低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
40.lnc-RNAがlnc-FAM164A1である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
41.有効量の前記作用物質が、前記タンパク質のレベルを、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
42.有効量の前記作用物質が、前記タンパク質の活性を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
43.有効量の前記作用物質が、前記タンパク質とlnc-RNAとの結合を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、前段落のいずれか1つに記載の方法。
44.対象において炎症性疾患を処置する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.生物学的試料中のマクロファージにおいて発現しているlnc-RNAのレベルを測定するアッセイの結果を受け取る工程;
b.lnc-RNAのレベルを参照レベルと比較する工程;
c.lnc-RNAのレベルが参照レベルと比較して増加していれば、対象を炎症性疾患を有すると同定する工程;および
d.炎症性疾患を有する対象に、lnc-RNAを阻害する作用物質、またはlnc-RNAを阻害する作用物質を含む組成物を投与する工程。
45.対象において炎症性疾患を処置する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.生物学的試料中のマクロファージにおいて発現しているlnc-RNAのレベルを測定する工程;
b.lnc-RNAのレベルを参照レベルと比較する工程;
c.lnc-RNAのレベルが参照レベルと比較して増加していれば、対象を炎症性疾患を有すると同定する工程;および
d.炎症性疾患を有する対象に、lnc-RNAを阻害する作用物質、またはlnc-RNAを阻害する作用物質を含む組成物を投与する工程。
46.lnc-RNAがAL078621.3;RP11-536K7.5;RP11-143M1.3;RP11-561O23.5;AC10980.2;P2RX7;LOC440896;D63785;RP11-58A12.2;RP11-79H23.3(lnc-FAM164A1);およびRP13-452N2.1からなる群より選択される、前段落のいずれか1つに記載の方法。
47.lnc-RNAがlnc-FAM164A1である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
48.工程(a)の前に、対象から生物学的試料を入手する工程をさらに含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
49.マクロファージにおいて発現するlnc-RNAを阻害する作用物質と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
50.lnc-FAM164A1を阻害する作用物質と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
51.lnc-RNAに結合するタンパク質を阻害する作用物質と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
52.lnc-RNAに結合するタンパク質が、ATPクエン酸合成酵素(ACLY);フィラグリン-2(Flg2);およびスプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ(SFPQ)からなる群より選択される、前段落のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
53.前記作用物質が、小分子、抗体、ペプチド、ゲノム編集系、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉(RNAi)、アンチセンスRNA、RNAデコイ分子、RNAアプタマー、または阻害性ポリペプチドからなる群より選択される、前段落のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
54.RNAiがマイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、前段落のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
55.敗血症を有する対象を同定する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.生物学的試料中のlnc-FAM164A1のレベルを測定する工程;
b.lnc-FAM164A1のレベルを参照レベルと比較する工程;
c.lnc-RNAのレベルが参照レベルと比較して増加していれば、対象を敗血症を有すると同定する工程;および
d.敗血症を有する対象に、敗血症を処置する治療を施す工程。
56.工程(a)の前に、対象から生物学的試料を入手する工程をさらに含む、前段落のいずれか1つに記載の方法。
57.生物学的試料が血液試料である、前段落のいずれか1つに記載の方法。
序論
ゲノムの「暗黒物質(dark matter)」として知られる非タンパク質コーディング転写物である長鎖ノンコーディングRNA(lnc-RNA、>200nt)は、胚発生、腫瘍成長、転移、心血管代謝障害、および炎症を含む非常に多くの生物学的プロセスおよびヒト疾患において思いもよらない役割を果たしている。隣接するタンパク質コーディング遺伝子と比べた場所に基づいて、lnc-RNAは、アンチセンスlnc-RNA、イントロンlnc-RNA、分岐(divergent)lnc-RNA、および遺伝子間lnc-RNAと分類される1。タンパク質コーティング遺伝子よりも比較的進化していない保存があるが2、遺伝子間lnc-RNAは、組織特異的、細胞タイプ特異的、または疾患段階依存的に遺伝子転写を調節することができる3-5。数種類のlnc-RNAが免疫細胞、例えば、赤血球細胞、Tリンパ球、樹状細胞、および単球/マクロファージの分化の間で重要な制御因子とみなされてきた6-9。ENREF 5。しかしながら、免疫における、これらの生物学的機能は大部分がまだ明らかにされていない。
試薬
リンパ球分離培地(LSM)をMP Biomedicalsから入手した。Ultrapure LPS(S.ミネソタ(S.minnesota)R595に由来するtlrl-smlps)をInvivoGenから入手した。Bay11-7082をSigma-Aldrichから入手した。ウエスタンブロットに使用した抗体は以下の通りであった:β-アクチンに対するマウスモノクローナル抗体(Novus Biologicals, NB600-501)およびラミンA/Cに対するマウスモノクローナル抗体(Active motif, 39288)、p65に対するウサギ抗体(Santa Cruz Biotechnology, sc-372)、IκB-αに対するウサギ抗体(Cell Signaling, 9242)、ACLYに対するウサギ抗体(Abcam, ab40793)、およびhn RNP A1に対するウサギ抗体(ThermoFisher Scientific, PA5-19431)。pGL4.32[luc2P/NF-κB-RE/Hygro]VectorをPromega(E8491)から購入し、Dual-Glo Luciferase Assay SystemをVWR(PAE2920)から購入した。Lipofectamine(登録商標)3000 Reagent(L3000015)をLife Technologiesから購入した。Pierce RIPA Buffer (PI-89900)、Pierce IP Lysis Buffer (87787)、Pierce(商標) RNA 3’ End Desthiobiotinylation Kit, Pierce(商標) Magnetic RNA-Protein Pull-Down Kit、およびHalt Combined Protease、およびPhosphatase Inhibitor Cocktails (PI-78441)をThermoFisher Scientificから購入した。
THP-1細胞
ヒト単球性白血病細胞株(THP-1)をATCC(TIB-202)から購入し、10%FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン加えたRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地を用いて細胞培養インキュベーター内で37℃(5%CO2)で培養した。THP-1細胞を12ウェルプレート中で1.0x106/ウェルでプレートし、100ng/mLのPMA(Sigma-Aldrich P8139)を添加することでマクロファージ様細胞に48時間分化させた。
以前に述べられたように30、リンパ球分離培地(LSM)を用いて、PBMCを血液バフィーコート(Research Blood Components, Brighton, MA)から単離した。PBMC(5×106個の細胞/ウェル)を6ウェル培養プレートにプレートし、使用する前に、5%ヒト血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを加えたRPMI-1640の中で37℃(5%CO2)で7〜10日間維持した。
2.5mlの4%Brewerチオグリコール酸培地(BD Diagnostic Systems, Sparks, MD)をC57BL/6Jマウス(8〜10週齢, 雄, Jackson Laboratory)に腹腔内注射した4日後に腹膜マクロファージを収集した31。1x106個の細胞を、10%FBSおよび抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン、およびアンホテリシンB)を加えたRPMI1640培地を含む12ウェルプレート(Corning)において培養した。1時間培養した後に非付着細胞をPBSで洗浄した。
ヒトPBMC由来マクロファージに対してlnc-FAM164A1 RNAサイレンシングを、SilenceMag(BOCA Scientific, Boca Raton, FL)を用いて50〜100nMの最終濃度で行った32。トランスフェクションの36〜48時間後に、マクロファージを10ng/mL LPSで2〜6時間刺激した後に、マクロファージおよび細胞培養培地を収集した。Antisense LNA(商標)long RNA GepmeRオリゴヌクレオチド標的lnc-FAM164A1
および非特異的な負の対照オリゴヌクレオチド
をExiqon A/S(Vedbaek, Denmark)によって設計した。lnc-FAM164A1を標的とするsi-RNAオリゴヌクレオチドおよびルシフェラーゼ対照siRNAオリゴはAxolabs(Kulmback, Germany)によって設計された。これらの配列および化学修飾は以下の通りである(A、G、U、C:RNAヌクレオチド;a、g、u、c:2’-O-メチル-ヌクレオチド、s:ホスホロチオエート、dT:デスオキシ-T残基):ルシフェラーゼ対照siRNA(XD-00194):
。Lnc-FAM164A1特異的siRNAオリゴ#5(XD-05325):
。Lnc-FAM164A1特異的siRNAオリゴ#8(XD-05328):
。lnc-FAM164A1を阻害するのに使用した、さらなるオリゴを図18に示した。
全RNAを、Illustra RNAspin Miniキット(GE Healthcare, Piscataway, NJ)を用いて抽出し、ゲノムDNAをオンカラムDNアーゼI消化によってRTで15分間除去した。cDNAを、high capacity cDNA reverse transcription kit(Applied Biosystems, Carlsbad, CA)を用いて合成した。リアルタイムPCRを、7900HT fast real-time PCR system(Applied Biosystems)によって行った。lnc-FAM164A1のTaqmanプローブおよびプライマーは、Integrated DNA Technologiesによって設計され、以下に列挙される:
。IL-1β、IL-6、IL-10、CCL2、TNF-α、およびGAPDHの他のTaqmanプローブをLife Technologiesから購入した。各遺伝子の相対的発現をGAPDHによって標準化した。
インサイチューでのLnc-FAM164A1 RNAをRNAscope 2.5 Red Chromogenicアッセイ(Advanced Cell Diagnostics, Inc., Catalog 322360)を用いて製造業者のマニュアルに従って検出した。lnc-FAM164A-1:1の412-1623を検出するために、Hs-lnc-FAM164A-1(Catalog 475881)と名付けた20ZZプローブを設計した。簡単に述べると、ヒトPBMC由来マクロファージをMillicell EZスライド(Millipore)の上で培養した。一定時間の間に10ng/mL LPSで刺激した後に、マクロファージ単層を10%中性緩衝ホルマリンでRTで30分間固定し、次いで、過酸化水素およびプロテアーゼIIIで処理した後にRNAscopeアッセイを行った。RNAscope染色後に、マクロファージをマウス抗ヒトCD68(クローンPG-M1, DAKO)で4℃で一晩染色し、FITC標識ヤギ抗マウスIgGでRTで1時間染色した。スライドに、DAPI(VECTASHIELD)(Vector Laboratory, Burlingame, CA, USA)を含む封入剤を添加した後に、カバーガラスを配置した。スライドを、共焦点顕微鏡A1(Nikon)を用いて調べ、画像をElements 3.20ソフトウェア(Nikon)で処理した。
Duoset ELISAキット(R&D systems, Minneapolis, MN)を用いて、マクロファージまたはマウス血漿からの培養培地中のサイトカイン(ヒトおよびマウスCCL2、IL-6、TNF-α)のレベルを検出した。
Lnc-FAM164A1センスおよびアンチセンスRNAを、T7 RNAポリメラーゼ(Invitrogen)を用いてインビトロ転写し、RNA Clean & Concentrator(商標)-5(Zymo Research)によって精製した。RNA(10μg)の3'末端を、Pierce(商標) RNA 3’End Desthiobiotinylation Kitを用いてビオチン標識した。THP-1分化マクロファージ溶解産物を、抗RNaseとプロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤カクテルを加えたPierce IP Lysis Bufferを用いて調製した。RNAプルダウンを、Pierce(商標)Magnetic RNA-Protein Pull-Down Kitを用いることによって行った。最初に、ストレプトアビジン磁気ビーズを製造業者に説明書に従って調製し、次いで、すぐに、撹拌しながら、RNA捕獲緩衝液中でのビオチン標識RNAの捕獲にRTで30分間供した。回転させながら、RNA捕獲ビーズを、タンパク質-RNA結合緩衝液で希釈した細胞溶解産物200μgと4℃で1時間インキュベートした。RNA結合タンパク質複合体を洗浄緩衝液で3回洗浄し、次いで、D-ビオチン溶出緩衝液で37℃で30分間溶出させた。溶出したタンパク質複合体を変成し、還元し、7.5%Mini-PROTEAN TGX(商標)Precast Protein Gels(Bio-Rad)と、ゲル長の25%のランニング(running)を用いて分離した。Bio-Safe Coomassie Stain(Bio-Rad)の後に、ゲルに含まれる染色されたタンパク質を収集し、洗浄し、アルキル化し、MS分析のためにトリプシンで37℃で一晩消化した。溶出タンパク質をSDS-試料緩衝液(Boston Bioproducts)の中で変成および還元し、ウエスタンブロットに使用した。
RNAプルダウン試料を、前面にEASYスプレー源を付け、Easy-nLC1000 HPLCポンプと連結した高分解能/精度Orbitrap Fusion Lumos質量分析計(Thermo Scientific)を用いて分析した。ペプチドを、デュアルカラムセットアップ: Acclaim PepMap RSLC C18トラップカラム、75μmx20mm;およびEASYスプレーLC加熱済(45℃)カラム、75μmx250mmを用いて分離した。300nL/minで5〜21%溶媒B(アセトニトリル/0.1%ギ酸)の勾配を50分間、21〜30%溶媒Bの勾配を10分間、その後に95%溶媒Bを5分間流した。溶媒Aは0.1%ギ酸であった。計器を120K分解能で設定し、ペプチド配列決定(MS/MS)のために3秒サイクル時間で(375〜1500m/zのスキャン範囲内で)上位N個の前駆イオンを衝突誘起解離(衝突エネルギー30%)に供した。
マクロファージホールセル溶解産物を、プロテアーゼインヒビター(Roche)を含有するRIPA緩衝液を用いて調製した。総タンパク質を4〜20%Mini-PROTEAN(登録商標)TGX(商標)Precastゲルによって分離し、iBlotウェスタンブロッティングシステム(Life Technologies)を用いて転写した。IκB-a、p65、ACLY、LaminA/C、およびβ-アクチンに対する一次抗体を使用した。タンパク質発現を、Pierce ECL Western Blotting substrate reagent(ThermoFisher Scientific)およびImageQuant LAS 4000(GE Healthcare)を用いて検出した。
ヒトPBMC由来マクロファージから単離したLnc-FAM164A1 cDNAをPCR増幅し、次いで、pcDNA3.1ベクターにクローニングした。最初に、Lnc-FAM164A1オリゴヌクレオチドをpcDNA3.1-lnc-FAM164A1から増幅し、pENTR11エントリーベクターにサブクローニングし、次いで、Gateway LR Clonase II Enzyme Mixを用いてLR組換えを介してpAd-CMV-V5アデノウイルスベクターに移して、pAd/CMV/lnc-FAM164A1(Ad-lnc-FAM164A1)(Life Technologies, Grand Island, NY, USA)を作製した。pAd/CMV/V5-GW/lacZを対照ベクターとして使用した33。アデノウイルスを、HEK293A細胞におけるPacI消化ベクターのトランスフェクションによって増幅し、その後、Fast Trap Adenovirus Purification and Concentration(EMD Millipore)を用いて精製し、10%(v/v)グリセロールを含む10mM Tris(pH7.4)緩衝液中で透析し、-70℃で保管した。ウイルス力価を、Adeno-XTM rapid titer kit(Clontech, Mountain View, CA, USA)を用いて293細胞上でのプラークアッセイによって確かめ、感染単位(ifu)で表した。インビトロで培養した初代マクロファージおよびTHP-1分化細胞の場合、Ad-lacZおよびAd-lnc-FAM164A1ウイルスを1000ifu/マクロファージで細胞に添加し、48時間インキュベートした。培地交換後に、マクロファージを10ng/mL LPSで0〜3時間刺激した後に、ウエスタンブロットのためにタンパク質を抽出し、RT-PCRのためにmRNAを抽出した。
HEK-293細胞を24ウェルプレート(0.5x105/ウェル)にプレートした。翌日、Lipofectamine 3000を用いて、細胞を、pGL4.32ベクター[luc2p/NF-κB-RE/Hygro](Promega, E8491)とpcDNA3.1空のベクターまたはpcDNA3.1-lnc-FAM164A1でコトランスフェクトした。24時間後に細胞を10ng/mL LPSでもう6時間刺激した。ホタルルシフェラーゼ活性を、Dual-Gloルシフェラーゼアッセイキット(Promega)を用いて測定した。
全てのMS/MSデータを求めて、Proteome Discoverer(PD)Package(version 2.1, Thermo Scientific)を介してHT-SEQUEST検索アルゴリズムを用いてヒトUniProtデータベース(2014年8月1日にダウンロードした)に照会した。メチオニン酸化を可変修飾(variable modification)として設定し、システイン残基のカルバミドメチル化を固定修飾(fixed modification)として設定した。1%FDRに基づいてペプチドをフィルタリングした。ProteomeDiscovererによって、ある特定のタンパク質群(マスタータンパク質(Master Protein))に割り当てられ、他のどのタンパク質群に存在しなかったペプチドがユニークだとみなされ、定量に用いられた。最低2つのユニークなペプチドを含めた。定量は、1種類のタンパク質につき最も豊富にある上位3つまでのペプチドの曲線下面積(AUC)を用いて行った。
lnc-FAM164A1相互作用候補タンパク質であるACLY、FLG2、およびSFPQの疾患関連性を定量するために、これらのモジュールと疾患関連タンパク質との間の平均最短ネットワーク距離(average shortest network distance)を測定した。ここで、ネットワーク距離は、2つのノード間のエッジ数によって測定した非ユークリッド距離と定義される。ACLY、FLG2、およびSFPQモジュールは、インタラクトームにおける、それぞれの候補タンパク質と、その第一隣接(first neighbors)、すなわち、直接相互作用パートナーからなるサブグラフ(subgraph)と定義される。
になるように、それぞれの候補モジュール遺伝子sと、全ての疾患遺伝子tとの間の最短距離を計算し、次いで、全ての候補モジュールモジュール遺伝子sの平均をとることによって、候補モジュールと疾患遺伝子との平均最短距離Dを測定する。式中、dstはsとtとの間の最短距離であり、Sは、ACLY、FLG2、およびSFPQ第一隣接モジュールの中にある遺伝子セットであり、Tは疾患遺伝子である。平均最短距離値をランダム期待値(random expectation)と比較するために、N=250の実現(realization)について同じ数のランダムに選択された遺伝子と疾患遺伝子との平均最短距離を計算した。結合度(degree)(すなわち、遺伝子のつながりの数)を調整するために、これらの結合度に従って全遺伝子がビン分割(bin)され、ランダム遺伝子が、これらの対応する結合度ビンから一様に無作為に選択される、結合度を保った手法でランダム選択を行った。経験的なp値を、Pemp=P(Dr<D)によって計算した。式中、Drは、ランダム化事例の平均最短距離である。ACLY、FLG2、およびSFPQモジュールと疾患遺伝子がマッピングされたインタラクトームは、以前に説明されたように、文献からの二成分相互作用、タンパク質複合体、酵素と連結した反応、シグナル伝達相互作用、キナーゼ-基質対、調節性相互作用、および手作業で精選された相互作用を含む、実験的確証のある精選された物理的なタンパク質間相互作用からなる34。疾患遺伝子を、(ゲノムワイド関連解析(GWAS)およびOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)(例えば、ワールドワイドウェブ上にあるwww.omim.org/で入手可能)およびMalaCards(例えば、ワールドワイドウェブ上にあるwww.malacards.org/で入手可能)36データベースからの証拠があるエントリを用いて)DiseaseConnect(http://disease-connect.org)35から入手した。
C57BL/6Jマウス(8〜10週齢、雄)をJackson Laboratoryから購入した。全ての動物実験が、Beth Israel Deaconess Medical CenterにあるInstitutional Animal Care and Use Committeeの認可を受けた。5x109ifuのAd-lacZまたはAd-lnc-FAM164A1ウイルス(0.2mL)を尾静脈を通してマウスに静脈内注射した。3日後に、マウスの腹膜に4mg/kg LPSを投与した37。次いで、全マウスをLPS曝露の3時間後に安楽死させた。全血を下大静脈(IVC)から収集してクエン酸ナトリウム(最終濃度:0.38%)に入れた。マウス血漿を4000xgで15分間回転させることによって調製した。組織を収集するか、またはO.C.T.化合物(Tissue-Tek)に包埋し、次いで液体窒素で凍結し、さらに使用するまで-80℃で保管した。
Hu-CD34 NSGマウスまたはHu-CD34 NSG-SGM3マウス(4〜5ヶ月齢, 雌)をJackson Laboratoryから購入した。NSG(NOD scidγ)マウス系統を宿主とし、ヒトCD34+造血幹細胞(HSC)を移植した。Hu-CD34 NSGマウスから少量の血液を眼窩内出血によって収集した。翌日、これらのHu-CD34 NSGマウスに5mg/kgのLPSを腹腔内投与し、次いで、LPS曝露の6時間後に安楽死させた。機能喪失研究では、NSG-SGM3マウスに、lnc-FAM164A1に対する0.5mg/kg脂質ナノ粒子処方si-RNAを静脈内投与し(5日に2回)、その後に5mg/kg LPSをボーラスi.p.注射した。全血をIVCからクエン酸ナトリウムに収集した。4000xgで15分間回転させることによってマウス血漿を調製した。肝臓、脾臓、および肺組織を収集し、さらに使用するまで-80℃で保管した。総白血球(WBC)を、ACK(Ammonium-Chloride-Potassium)Lysing Bufferを用いることによって調製した。脾細胞を、以前に説明されたように単離した32。Fc受容体をブロックするために抗マウスCD16/CD32 mAb(BioLegend)とインキュベートした後に、次いで、細胞を、ウシ血清アルブミン、EDTA、PBS、および0.09%アジド(Miltenyl Biotec)を含有するautoMACSランニングバッファーに溶解したAlexa Fluor488結合ヒトCD45、APC-Cy7結合抗マウスCD45(BioLegend)で30分間染色した。染色された細胞をFACSAria2(BD Bioscience)およびFlowjoソフトウェアによって分析した。
データを平均±標準偏差(SD)で示した。そして、「n」は、独立した実験の回数または動物/試料の数を示す。群間の差をスチューデントt検定または一方向ANOVAとダン多重比較検定(Dunn’s Multiple Comparison Test)(GraphPad prism 5, Prism Software Inc. La Jolla, CA)を用いて分析した。確率値p<0.05が統計的に有意だとみなされた。
グローバルマイクロアレイスクリーニングおよび不偏バイオインフォマティクス分析によってLPS活性化ヒト初代マクロファージにおいてlnc-FAM164A1が特定された
可能性のある重要なマクロファージ活性化制御因子を特定するために、LPS誘発性ヒト初代マクロファージにおける初期応答性非タンパク質コーディング転写物を探索した。LPS刺激の3時間後に4人の異なるドナーから単離したPBMC由来ヒト初代マクロファージから精製したRNA試料のヒトlnc-RNAマイクロアレイ分析を行った(実験デザインについては図8A)。データには、「limma」R packageによる不偏バイオインフォマティクス分析が行われた38。ボルケーノプロットにも示したように(図8B)、LPS処理によって、11種類のlnc-RNAの発現が統計的に有意に増加した(補正p値FDR<0.05および倍率変化≧2)(図1Aおよび図8C)。これらの11種類のlnc-RNA候補には、7種類の遺伝子間lnc-RNA、2種類のアンチセンスlnc-RNA、1種類のイントロ-センス(intro-sense)重複lnc-RNA、および1種類のエキソン-センス重複lnc-RNAが含まれた。システムアプローチを検証するための一例として、以下の要因に基づいてlnc-RNA RP11-79H23.3を選択した:1)遺伝子間lnc-RNAとして分類される;2)2994塩基対の1種類の転写物しかない;および3)その生物学的機能が未知であること。lnc-RNA RP11-79H23.3はLNCipediaではLnc-FAM164A-1(lnc-ZC2HC1A-1)としてアノテートされ39、タンパク質コーディング遺伝子FAM164A(family with sequence similarity 164, member A)に近い第8番染色体(位置79749764-79752757)に位置する。その別の遺伝子名にはENSG00000261618.1およびOTTHUMG00000173421.1が含まれる。lnc-FAM164A-1のコーディング能力をCoding Potential Assessment Tool(CPAT)を用いて分析した。CPAT粗得点(raw score)0.0059はノンコーディングRNAを示す(<0.364コーディング確率カットオフ)39。
次いで、マクロファージにおけるlnc-FAM164A1の局在を調べた。RNAscope(Advanced Cell Diagnostics)を用いたインサイチューハイブリダイゼーションによって、マクロファージ内にあるlnc-FAM164A1 RNAの発現が視覚化された。低レベルのlnc-FAM164A1が未刺激マクロファージの核内にあり、LPS刺激によって、新規lnc-FAM164A1発現が1時間と早い時間に急速に誘導され(データは示されない)、3時間でピークに達した(図1E)。一般的に、LPSによって誘導されたlnc-FAM164A1は細胞質と核内にあった。
次いで、LPS活性化ヒト初代マクロファージでは、サイトカインおよびケモカインの誘導によって判断されるようにlnc-FAM164A1は炎症促進性のマクロファージ活性化において原因となる役割を果たすことが確かめられた。これを成し遂げるために、アンチセンスオリゴヌクレオチド(LNA(商標)long RNA GepmeR, Exiqon)を用いて機能喪失実験を行った。これは、ヒトマクロファージではlnc-FAM164A1は少なくとも50%のサイレンシング効力があることを示した(図11A)。lnc-FAM164A1サイレンシングによって対照およびLPS処理マクロファージにおいて抗炎症性サイトカインIL-10の発現は変化しなかったが(図11B)、同じ処理によって炎症促進性ケモカインCCL2ならびにサイトカインIL-6およびTNF-αのLPS誘導性mRNA発現およびタンパク質放出が有意に抑制された(図2A〜2F)。lnc-FAM164A1が細胞質に位置したことに触発されて、lnc-FAM164A1を標的とする10の異なるsiRNAオリゴヌクレオチドも設計し、これらのサイレンシング効力をヒトマクロファージにおいて確かめた(Axolabs, Kulmback, Germany)。オリゴヌクレオチド#5および#8は他のオリゴヌクレオチドよりも高いサイレンシング効力を示した。これらのオリゴヌクレオチドを用いたlnc-FAM164A1のsiRNAサイレンシングによって、LPS刺激ヒトマクロファージ上でのCCL2(図2G、2H)およびIL-6(図11D、11F)の発現もmRNAレベルおよびタンパク質レベルで減少した。TNF-α mRNAの有意な変化は検出されなかった(図11E)。
炎症促進性のマクロファージ活性化におけるlnc-FAM164A1の原因となる役割をさらに確かめるために、ヒトマクロファージ様細胞株THP-1およびヒトPBMC由来マクロファージにおいてlnc-FAM164A1発現アデノウイルス(Ad-lnc-FAM164A1)またはlacZ対照発現アデノウイルスを用いて機能獲得実験を行った22。未刺激THP-1細胞と比較して、Ad-lnc-FAM164A1を用いると、LacZ対照と比較して20倍のlnc-FAM164A1誘導が生じた(図12A)。LacZ対照はTNF-α(図12Bおよび12C)ならびにCCL2(図12Fおよび12I)の基底値に重大な影響を及ぼさなかった。Ad-lnc-FAM164A1に感染させたTHP-1細胞ではLPS処理によってlnc-FAM164A1発現が増強した(図12A)。このことは、CCL2およびTNF-α mRNA発現と、培養培地中のTNF-αタンパク質放出の有意な増加と同時に結びついた(図12B〜12E)。IL-1β発現の有意な変化は観察されず、培養培地中のIL-6タンパク質放出の発現は減少した(図13F〜13I)。同様に、ヒトPBMC由来マクロファージでもlnc-FAM164A1を強化発現させると、LPSで誘発されたCCL2発現(図3Fおよび3G)と、LPS処理によって活性化された初代マクロファージからの培地中のTNF-αタンパク質(図3D)放出が増強したが(2時間の時点)、TNF-α mRNA発現の有意な変化は見出されなかった(図3C)。IL-6およびIL-1βの有意な発現変化は観察されなかった(図12J〜12L)。
NF-κB経路はLPS誘発性マクロファージにおけるIL-1β、IL-6、およびTNF-αなどの炎症促進性因子の転写活性化において重要な役割を果たしている。TLR4と細菌LPSが連結することで、IκBタンパク質のリン酸化および分解を誘導するシグナル伝達が誘発され、それに続いてNF-□B二量体が細胞質から核に移動する。本明細書に記載の機能喪失データおよび機能獲得データから、lnc-FAM164A1はNF-κB経路と相互作用することでTNF-α発現を促進する可能性があることが分かる。最初に、これを、HEK-293細胞においてルシフェラーゼレポーターアッセイを用いることで試験した。HEK-293細胞を、空のベクターまたはlnc-FAM164A1発現ベクターと、ルシフェラーゼレポーター遺伝子(luc2P)転写を動かす5コピーのNF-κB応答エレメント(NF-κB-RE)を含有するpGL4.32[luc2P/NF-κB-RE/Hygro]ベクターの組み合わせによってコトランスフェクトした。lnc-FAM164A1を過剰発現させると未刺激細胞またはLPS活性化細胞においてルシフェラーゼ活性が増加した(図4A)。次いで、ホールセル溶解産物中のIκB-αおよび核抽出物中のp65転写因子のタンパク質レベルを検出するためにウエスタンブロット分析を行った。アデノウイルス感染によるlnc-FAM164A1発現によって、THP-1細胞(図4B)およびヒトPBMC由来マクロファージ(図4C)の両方においてLPSによって誘導される急速なIκB-α分解が誘導された。さらに、ヒトPBMC由来マクロファージにおけるLPS刺激の30分後に、lnc-FAM164A1を強化発現させるとp65の移動および核での蓄積が増加した(図4D)。これらの結果から、lnc-FAM164A1はNF-κBシグナル伝達を介して炎症促進分子発現を調節する可能性があることが分かる。
lnc-FAM164A1にはマウスのホモログが無いが、lnc-FAM164A1の相互作用タンパク質がヒトとマウスの間で保存されている可能性が高い。このことは、野生型C57BL6マウスから単離した腹膜マクロファージにおいて機能獲得研究を行う合理的根拠となった。Ad-lnc-FAM164A1によってマウス腹膜マクロファージにおいて高レベルのlnc-FAM164A1発現が誘導された(図5A)。ヒトマクロファージにおいて見出された結果と一致して(図3)、LPS誘発性腹膜マクロファージにおいてヒトlnc-FAM164A1を強化発現させると、IL-1β、IL-6、およびTNF-α mRNA(図5B、5C、および5E)とTNF-αタンパク質(図5D)の発現が増強したが、未刺激細胞では、これらの分子の基底値は影響を受けなかった。CCL2 mRNA(図13A)およびIL-6タンパク質(図5F)の変化は観察されなかった。
ヒト単球/マクロファージにおけるlnc-FAM164A1のインビボ有意性を確かめるために、ヒトCD34+HSCを移植した後に血液、脾臓、および骨髄の中に30〜80%のヒトCD45+WBCと2〜12%の単球を有する最近開発されたヒト化NSG-SGM3マウスにおいて機能喪失研究を探索した(図14A〜14F)。単球/マクロファージ標的化脂質ナノ粒子C12-200の中に包まれたlnc-FAM164A1 siRNAオリゴまたは対照siRNAオリゴをヒト化NSG-SGM3マウスに投与した。lnc-FAM siRNAで処置したマウスに由来する精製ヒト単球ではlnc-FAM164A1発現が対照マウスと比較して30%減少することが見出された(図6A)。Lnc-FAM164A1 siRNAで処置したマウスの血漿中ではヒトCCL2およびIL-6タンパク質レベルは有意に低く(図6Cおよび6E)、腹膜細胞ではヒトCCL2およびIL-6 mRNAの発現は減少した(図6Dおよび6F)。ヒトCD68 mRNAの変化は腹膜細胞において検出されなかった(図6B)。このことから、同様の数のヒトマクロファージがLPS刺激性腹膜炎において蓄積したことが分かる。
LPS活性化THP-1分化マクロファージにおいて、どのタンパク質がlnc-FAM164A1と相互作用するのかを扱うために、lnc-FAM164A1 RNAプルダウンアッセイを実施し、MSによる3回の独立した実験において溶出タンパク質を分析した。3種類のユニークなタンパク質(ATPクエン酸合成酵素:ACLY;フィラグリン-2:FLG2;スプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ:SFPQ)の標準化AUCはlnc-FAM164A1センスRNA対アンチセンスRNA(S/AS)およびセンスRNA対ビーズ対照(S/B)の比較において2倍を超えている(図7Aのベン図に示した)。さらに、lnc-FAM164A1センスRNAから溶出した、これらの3種類のタンパク質の標準化AUCはアンチセンスRNAおよびビーズ対照と比較して有意に高い(図15A、n=3、t検定によりp<0.05、センス対ビーズ;センス対アンチセンス)。
次いで、ヒト疾患におけるlnc-FAM164A1の役割を計算により予測するために、相互作用タンパク質ACLY、FLG2、およびSFPQの疾患関連性を、これらのモジュールと疾患関連タンパク質との間の平均最短ネットワーク距離のネットワーク分析によって調べた。ACLYは、代謝障害および炎症障害、例えば、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、肥満、2型糖尿病、および関節リウマチと重大な関連性があった(図7B)。
RNAプルダウンとウエスタンブロットの組み合わせによって、ヒトPBMC由来マクロファージ(図7C)およびTHP-1分化マクロファージ(図15B)においてACLYとlnc-FAM164A1センスRNAとの相互作用が確かめられた。対照的に、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質A1(hnRNPA1)がlnc-FAM164A1のアンチセンスRNAおよびセンスRNAの両方でプルダウンされた(図7Cおよび15B)。LPS活性化マクロファージ様細胞THP-1においてlnc-FAM164A1を強化発現させるとACLYタンパク質発現が増加し、ACLY mRNAレベルは変化しなかった(データは示されない)。最後に、ACLYサイレンシングによって、ヒト初代マクロファージ上でのlnc-FAM164A1強化発現によって誘導されたCCL2 mRNA発現が有意に減少し(図7D)、THP-1細胞上でのlnc-FAM164A1強化発現によって誘導されたTNF-α発現が有意に減少する(図15D〜15F)。
本研究は、炎症促進性のヒトマクロファージ活性化の可能性のある重要な制御因子として初期応答lnc-RNAを特定することを目標とした。ヒトlnc-RNAマイクロアレイを用いたLPS誘発性ヒト初代マクロファージの不偏スクリーニングによって、lnc-FAM164A1を含む11種類のlnc-RNAが特定された。lnc-FAM164A1については限られた情報しか利用できない。2件の最近の研究から、高齢のヒトドナーのアキレス腱、およびグラム陰性細菌カンピロバクター・コンサイサス(Campylobacter concisus)に感染したTHP-1細胞においてlnc-FAM164A1発現が上昇することが証明された40,41。卵巣癌に対するlnc-RNA-lnc-RNAネットワーク分析はlnc-FAM164A1と細胞増殖との潜在的な関連性を示している42。膀胱癌においてlnc-FAM164A1(RP11-79H23.3)はインビボで細胞増殖、遊走、ならびに腫瘍形成および肺転移を調節する43。しかしながら、ヒトマクロファージにおけるlnc-FAM164A1の生物学的機能はまだ分かっていない。本研究における機能喪失(lnc-FAM164A1発現のサイレンシング)および機能獲得(アデノウイルスによって誘導される強化発現)実験から、lnc-FAM164A1はインビトロではLPS活性化ヒトマクロファージにおいて、インビボでは内毒素血症マウスモデルにおいて炎症応答を促進することが明らかになった。ACLYはlnc-FAM164A1結合タンパク質の1つとして特定され、lnc-FAM164A1/ACLY相互作用はインビトロではlnc-FAM164A1強化発現によって誘導されるCCL2およびTNF-αの発現に寄与する。
細胞外小胞を作製するための方法
培養培地をアデノウイルス感染RAW264.7細胞から24時間にわたって収集したか、またはLPS活性化ヒトPBMC由来マクロファージもしくはTHP-1分化マクロファージ細胞から収集した。細胞および細胞破片を除去するために1500gで15分間、2回遠心分離した後に、細胞外小胞(EV)を100,000gで1時間の超遠心によってペレット化し、10倍の濃縮(enrichment)で通常の増殖培地に再懸濁した。RAW細胞由来EVをRAW264.7細胞に添加し、1時間インキュベートした後に、10ng/mL LPSを2時間添加した。全RNAをEV細胞またはRAW細胞から抽出し、cDNA合成に使用した。マウスサイトカインのlnc-FAM164A1 RNAおよびmRNAの発現をRT-PCRによって確かめ、GAPDHで標準化した。図17は、細胞外小胞中にあるlnc-FAM164A1を示したデータを表す。
LPSによってアップレギュレートされることが見出されたlnc-RNAの配列が本明細書において説明される。lnc-RNAには、AL078621.3;RP11-536K7.5;RP11-143M1.3;RP11-561O23.5;AC10980.2;P2RX7;LOC440896;D63785;RP11-58A12.2;RP11-79H23.3(lnc-FAM164A1);およびRP13-452N2.1が含まれるが、これに限定されない。SEQ ID NO:1はlnc-FAM164A1のヌクレオチド配列である。
ヒトPBMC由来マクロファージに対してlnc-FAM164A1 RNAサイレンシングを、SilenceMag(BOCA Scientific, Boca Raton, FL)を用いて50〜100nMの最終濃度で行った32。トランスフェクションの36〜48時間後に、マクロファージを10ng/mL LPSで2〜6時間刺激した後に、マクロファージおよび細胞培養培地を収集した。Antisense LNA(商標)long RNA GepmeRオリゴヌクレオチド標的lnc-FAM164A1
および非特異的な負の対照オリゴヌクレオチド
をExiqon A/S(Vedbaek, Denmark)によって設計した。lnc-FAM164A1を標的とするsi-RNAオリゴヌクレオチドおよびルシフェラーゼ対照siRNAオリゴはAxolabs(Kulmback, Germany)によって設計された。これらの配列および化学修飾は以下の通りである(A、G、U、C:RNAヌクレオチド;a、g、u、c:2’-O-メチル-ヌクレオチド、s:ホスホロチオエート、dT:デスオキシ-T残基):ルシフェラーゼ対照siRNA(XD-00194):
。Lnc-FAM164A1特異的siRNAオリゴ#5(XD-05325):
。Lnc-FAM164A1特異的siRNAオリゴ#8(XD-05328):
。lnc-FAM164A1を阻害するのに使用した、さらなるオリゴを図18に示した。
Claims (57)
- 対象において炎症性疾患を処置または予防する方法であって、マクロファージにおいて発現する長鎖ノンコーディングRNA(lnc-RNA)を阻害する有効量の作用物質を対象に投与する工程を含む、方法。
- lnc-RNAが、AL078621.3;RP11-536K7.5;RP11-143M1.3;RP11-561O23.5;AC10980.2;P2RX7;LOC440896;D63785;RP11-58A12.2;RP11-79H23.3(lnc-FAM164A1);およびRP13-452N2.1からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 対象において炎症性疾患を処置または予防する方法であって、lnc-FAM164A1を阻害する有効量の作用物質を対象に投与する工程を含む、方法。
- 炎症性疾患が、内毒素血症、アテローム硬化性血管疾患、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、ステント内再狭窄、静脈移植片疾患、動静脈瘻疾患、血管石灰化、心臓弁膜症、心不全、自己免疫疾患、骨粗鬆症、異所性石灰化、脳卒中後の脳損傷、肥満、脂肪肝疾患、糖尿病、ゴーシェ病、敗血症、腎機能障害、腎不全、および癌からなる群より選択される、請求項1または3記載の方法。
- 心臓弁膜症が大動脈弁疾患または僧帽弁疾患である、請求項4記載の方法。
- 炎症性疾患が組織移植または細胞移植に応答して発生する、請求項1または3記載の方法。
- 炎症性疾患が急性または慢性である、請求項1または3記載の方法。
- 前記作用物質が、小分子、抗体、ペプチド、ゲノム編集系、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉(RNAi)、アンチセンスRNA、RNAデコイ分子、RNAアプタマー、ならびに阻害性ポリペプチドからなる群より選択される、請求項1または3記載の方法。
- RNAiがマイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、請求項8記載の方法。
- 前記作用物質が、該作用物質をコードするベクターである、請求項8記載の方法。
- ベクターが非組込み型または組込み型である、請求項10記載の方法。
- 非組込み型ベクターが、EBNA1ベクター、ミニサークルベクター、非組込み型アデノウイルス、非組込み型RNA、およびセンダイウイルスからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
- ベクターがエピソームベクターである、請求項10記載の方法。
- ベクターがレンチウイルスベクターである、請求項11記載の方法。
- lnc-RNAが標的細胞において阻害される、請求項1記載の方法。
- lnc-FAM164A1が標的細胞において阻害される、請求項3記載の方法。
- 標的細胞が哺乳動物細胞である、請求項15または16記載の方法。
- 標的細胞が、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、または好中球である、請求項15または16記載の方法。
- マクロファージが活性化マクロファージである、請求項15または16記載の方法。
- 対象が哺乳動物である、請求項1または3記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項20記載の方法。
- 阻害が、レベルおよび/または活性の低減である、請求項1または3記載の方法。
- 有効量の前記作用物質が、lnc-RNAのレベルを、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、請求項1記載の方法。
- 有効量の前記作用物質が、lnc-RNAの活性を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、請求項1記載の方法。
- 有効量の前記作用物質が、lnc-FAM164A1のレベルを、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、請求項3記載の方法。
- 有効量の前記作用物質が、lnc-FAM164A1の発現を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、請求項3記載の方法。
- 対象が、炎症性疾患を有すると以前に診断されたことがある、請求項1または3記載の方法。
- 対象が、炎症性疾患を有すると以前に診断されたことがない、請求項1または3記載の方法。
- 対象が、炎症性疾患を発症する少なくとも1つの危険因子を示す、請求項1または3記載の方法。
- 投与する工程の前に、炎症性疾患を有すると対象を診断する工程をさらに含む、請求項1または3記載の方法。
- 投与する工程の前に、炎症性疾患を有すると患者を診断するアッセイの結果を受け取る工程をさらに含む、請求項1または3記載の方法。
- 前記作用物質が、プラズマ細胞および/または腹膜細胞におけるCCL2およびIL-6の発現を減少させる、請求項1または3記載の方法。
- 前記作用物質がNFkBシグナル伝達を減少させる、請求項1または3記載の方法。
- 対象において炎症性疾患を処置または予防する方法であって、lnc-RNAに結合するタンパク質を阻害する有効量の作用物質を対象に投与する工程を含む、方法。
- lnc-RNAに結合するタンパク質が、ATPクエン酸合成酵素(ACLY);フィラグリン-2(Flg2);およびスプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ(SFPQ)からなる群より選択される、請求項34記載の方法。
- lnc-RNAに結合するタンパク質がACLYである、請求項34〜35のいずれか一項記載の方法。
- 前記作用物質が対象においてCCL2およびTNF-αの発現を減少させる、請求項34〜36のいずれか一項記載の方法。
- 阻害によって前記タンパク質のレベルまたは活性が低減する、請求項34〜36のいずれか一項記載の方法。
- 阻害によって前記タンパク質とlnc-RNAとの結合が低減する、請求項34〜36のいずれか一項記載の方法。
- lnc-RNAがlnc-FAM164A1である、請求項39記載の方法。
- 有効量の前記作用物質が、前記タンパク質のレベルを、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、請求項34記載の方法。
- 有効量の前記作用物質が、前記タンパク質の活性を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、請求項34記載の方法。
- 有効量の前記作用物質が、前記タンパク質とlnc-RNAとの結合を、適切な対照と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれを超えて低減する、請求項34記載の方法。
- 対象において炎症性疾患を処置する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.生物学的試料中のマクロファージにおいて発現しているlnc-RNAのレベルを測定するアッセイの結果を受け取る工程;
b.lnc-RNAのレベルを参照レベルと比較する工程;
c.lnc-RNAのレベルが参照レベルと比較して増加していれば、対象を炎症性疾患を有すると同定する工程;および
d.炎症性疾患を有する対象に、lnc-RNAを阻害する作用物質、またはlnc-RNAを阻害する作用物質を含む組成物を投与する工程。 - 対象において炎症性疾患を処置する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.生物学的試料中のマクロファージにおいて発現しているlnc-RNAのレベルを測定する工程;
b.lnc-RNAのレベルを参照レベルと比較する工程;
c.lnc-RNAのレベルが参照レベルと比較して増加していれば、対象を炎症性疾患を有すると同定する工程;および
d.炎症性疾患を有する対象に、lnc-RNAを阻害する作用物質、またはlnc-RNAを阻害する作用物質を含む組成物を投与する工程。 - lnc-RNAがAL078621.3;RP11-536K7.5;RP11-143M1.3;RP11-561O23.5;AC10980.2;P2RX7;LOC440896;D63785;RP11-58A12.2;RP11-79H23.3(lnc-FAM164A1);およびRP13-452N2.1からなる群より選択される、請求項44または45記載の方法。
- lnc-RNAがlnc-FAM164A1である、請求項46記載の方法。
- 工程(a)の前に、対象から生物学的試料を入手する工程をさらに含む、請求項45記載の方法。
- マクロファージにおいて発現するlnc-RNAを阻害する作用物質と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
- lnc-FAM164A1を阻害する作用物質と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
- lnc-RNAに結合するタンパク質を阻害する作用物質と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
- lnc-RNAに結合するタンパク質が、ATPクエン酸合成酵素(ACLY);フィラグリン-2(Flg2);およびスプライシング因子プロリン-アンド-グルタミン-リッチ(SFPQ)からなる群より選択される、請求項51記載の薬学的組成物。
- 前記作用物質が、小分子、抗体、ペプチド、ゲノム編集系、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉(RNAi)、アンチセンスRNA、RNAデコイ分子、RNAアプタマー、または阻害性ポリペプチドからなる群より選択される、請求項49〜52のいずれか一項記載の薬学的組成物。
- RNAiがマイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、請求項53記載の薬学的組成物。
- 敗血症を有する対象を同定する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.生物学的試料中のlnc-FAM164A1のレベルを測定する工程;
b.lnc-FAM164A1のレベルを参照レベルと比較する工程;
c.lnc-RNAのレベルが参照レベルと比較して増加していれば、対象を敗血症を有すると同定する工程;および
d.敗血症を有する対象に、敗血症を処置する治療を施す工程。 - 工程(a)の前に、対象から生物学的試料を入手する工程をさらに含む、請求項55記載の方法。
- 生物学的試料が血液試料である、請求項55記載の方法。
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