JP2020536835A - 引張ロールの表面を加工するための方法 - Google Patents

引張ロールの表面を加工するための方法 Download PDF

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Abstract

ガラス製造プロセスに使用するための引張ロールを加工する方法が、所定の力で引張ロールをトランピングローラと接触させるステップと、トランピングローラが引張ロールの表面の上で走行するように、所定の力を加えている間に、引張ロールを回転させるステップと、を含む。接触面のエッジが丸くなるように、引張ロールの接触面を加工することができる。

Description

関連出願
本出願は、2017年10月10日に提出された米国仮出願第62/570,119号の優先権の利益を主張するものであり、同出願の内容は、以下に完全に記載されているものとして、その全体が参照により依拠され、本明細書に組み込まれる。
本開示は、概してガラス製造プロセスに関し、特に、溶融ガラスを延伸するために使用される引張ロールを加工するための方法に関する。
ガラス基板、例えば、照明パネル、液晶ディスプレイ、および他の電子デバイスの製造に使用されるガラス基板の製造は典型的に、溶融ガラスからガラスリボンを延伸することを含む。延伸プロセスでは、引張ロールによって引っ張ることにより、ガラスリボンを延伸することができ、引張ロールは典型的に、ガラスリボンのエッジ部分を挟んで、成形体からガラスを延伸する、逆方向に回転する対向するロールである。
ガラスシートの公称厚さをますます薄くする要求が高まるにつれて、そのようなシートの元になり得るガラスリボンの表面にあるガラス欠陥(傷)が、リボンの厚さ全体のうちのより大きな割合となる。加えて、リボンは、薄くなるほど曲がりやすくなり、場合によっては、製造プロセスの一部として意図的に曲げられる可能性があり、それによって、ガラスリボンの表面の張力が増加する。傷が存在するガラスリボンの表面に誘発される応力により、ガラスリボンの亀裂および破砕が生じる可能性がある。リボンの亀裂は、引張ロール、特に薄いガラス、すなわち、公称厚さが約0.4mm未満のガラスの製造に使用される引張ロールの頻繁かつ時期尚早な交換をもたらす主因である。
ガラス製造プロセスにおいて引張ロールの接触面は、高温ガラスと長時間接触する可能性があり、したがって、典型的に耐熱性の高い耐火性材料で構成される。それにもかかわらず、引張ロールが利用される過酷な環境のために、引張ロールの想定寿命は比較的短い。したがって、引張ロールは頻繁に交換される。薄いガラス、すなわち、厚さが約0.4mm以下のガラスの場合、特に0.4mm未満の薄いガラスを製造する引張ロールが、より厚いガラスで使用される同類のロールよりも早く交換されることになる主な理由は、ガラスの亀裂にある。約0.3mm以下の厚さでの引張ロールの平均寿命は、例えば、約0.5mm〜約0.7mmの範囲の厚さでの平均寿命の40%未満である。
厚さが約0.4mm以下のガラスの亀裂破壊のうちの65%もが、新しい引張ロールの設置後1日以内に起きることが分かっている。このような破壊は、引張ロールの少なくとも3つの主要な属性、すなわち、表面粗さ、表面コンプライアンス、および表面プロファイル(ロール形状)に起因している。
したがって、実施形態では、引張ロールを加工するための方法であって、引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、引張ロールが回転するときに、所定の力Fで引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、を含む方法が開示される。所定の力Fは、約13N〜約147Nの範囲、例えば、約49N〜約118Nの範囲とすることができる。接触させるステップの後の接触面の平均表面粗さRaを、接触させるステップの後で2μm以下とすることができる。
接触させるステップの間にトランピングローラが接触面の上で走行する距離を、接触面の周長以上とすることができ、例えば、5,000cm以上、例えば、約5,000cm〜約70,000cmの範囲とすることができる。
いくつかの実施形態では、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する移行面により、引張ロールの面取り面に接触面をつなぐことができる。
トランピングローラは、アルミナを含んでもよいが、他の実施形態では、トランピングローラは、ステンレス鋼、例えば、セラミック(例えば、アルミナ)層が配置されたステンレス鋼ローラを含むことができる。トランピングローラの直径は典型的に、引張ロールの接触面の直径よりも小さい。
さらなる実施形態では、方法は、引張ロールを引張ロールアセンブリのシャフトに取り付けるステップを含んでもよい。次いで、引張ロールアセンブリを使用して、ガラスリボンを延伸することができる。ガラスリボンの中心線でのガラスリボンの厚さを、延伸するステップの後に、約0.7mm以下、例えば、約0.4mm以下とすることができる。
いくつかの実施形態では、複数のトランピングローラを利用することができる。
他の実施形態では、ガラス製造プロセス用の引張ロールを加工する方法であって、引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、引張ロールが回転するときに、約13N〜約147Nの範囲、例えば、約49N〜約118Nの範囲、または約78N〜約118Nの範囲の所定の力Fで引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、を含む方法が記載される。
接触させるステップは、0分より長いが、約60分以下、例えば、約5分以上であるが、約15分以下の範囲の時間にわたって行われてもよい。
いくつかの実施形態では、接触させるステップは、接触面を複数のトランピングローラと接触させることを含むことができる。
いくつかの実施形態では、接触させるステップの後の接触面の平均表面粗さRaを、約2μm以下、例えば、約1μm以下とすることができる。
実施形態では、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する移行面により、引張ロールの面取り面に接触面をつないでもよい。
方法は、接触させるステップの後に、引張ロールを引張ロールアセンブリのシャフトに取り付けるステップをさらに含むことができる。次いで、取り付けるステップの後に、引張ロールアセンブリを使用して、ガラスリボンを延伸することができる。延伸するステップの後のガラスリボンの中心線でのガラスリボンの厚さを、約0.7mm以下、例えば、約0.4mm以下とすることができる。
また他の実施形態では、ガラス製造プロセス用の引張ロールを加工する方法であって、ミルボード材料の複数の焼成ディスクを向かい合った関係で配置するステップと、複数の焼成ディスクを軸方向に圧縮するステップと、軸方向に圧縮された複数の焼成ディスクを、複数の焼成ディスクの少なくとも一部分を融合させるのに十分な温度および時間で焼成して、引張ロールを形成するステップと、引張ロールの外面を、円筒状接触面を含む円筒状部分および面取り部面を含む面取り部分を備える所定のプロファイルに切削加工するステップであって、円筒状接触面と面取り部面との間に配置された移行面が、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する、ステップと、を含む方法が開示される。
方法は、引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、引張ロールが回転するときに、所定の力Fで引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、をさらに含んでもよい。所定の力Fは、約13N〜約147Nの範囲、例えば、約49N〜約118Nの範囲、または約78N〜約118Nの範囲とすることができる。
いくつかの実施形態では、接触させるステップ中にトランピングローラが接触面の上で走行する距離を、接触面の周長以上とすることができ、5,000cm以上など、例えば、約5,000cm〜約70,000cmの範囲とすることができる。
方法は、引張ロールを引張ロールアセンブリのシャフトに取り付けるステップをさらに含んでもよい。次いで、引張ロールアセンブリを使用して、ガラスリボンを延伸することができる。ガラスリボンの中心線でのガラスリボンの厚さを、約0.4mm以下とすることができる。
本明細書に開示される実施形態の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に記載されており、当業者にとっては、その説明から部分的に容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載されるように本発明を実践することによって認識される。
前述の概略の説明と以下の詳細な説明の両方が、本明細書に開示される実施形態の性質および特性を理解するための概観または仕組みをもたらすことを意図した実施形態を提示することを理解されたい。添付図面は、さらなる理解をもたらすために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施形態を示し、説明とともに、その原理および動作を説明するのに役立つ。
本開示の実施形態による例示的なガラス製造装置の概略図である。 成形装置の一部分の側断面図である。 図2の成形装置の一部分の正面図である。 例示的な引張ロールスリーブの側面図である。 例示的な別の引張ロールスリーブの側面図である。 例示的な引張ロールカートリッジの側面図である。 本開示の実施形態による引張ロールアセンブリの少なくとも一部分の側面図である。 本開示の実施形態による引張ロールの接触面を加工するための例示的な装置の正面図である。 図8に示した引張ロールの接触面を加工するための装置の側面図である。 本開示の実施形態による引張ロールの接触面を加工するための例示的な別の装置の正面図である。 本開示の実施形態によって引張ロールの接触面を加工することにより得られる、ガラス強度ならびに引張ロールの接触の平均表面粗さおよび硬度に関する3つのデータ群のプロットである。 (a)トランピング前および(b)トランピング後の引張ロールを表す2枚の写真を示す。 引張ロールの加工および配置の様々な条件に関するガラス強度を示すプロットである。 接触面と面取り部面との間に円弧状移行面を有する隅切りされた引張ロールの上面図である。 図14Aの隅切りされた引張ロールの拡大図である。 接触面と面取り部面との間に円弧状移行面を有していない隅切りされた引張ロールの上面図である。 図15Aの隅切りされた引張ロールの拡大図である。
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照する。実施形態の例を添付の図面に示す。可能な限り、図面全体を通して同じ参照番号を使用して、同一または同様の部分を指す。しかし、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
本明細書では、「約」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値まで、として範囲を表す場合がある。そのような範囲を表すときに、別の実施形態が、その1つの特定の値から、かつ/またはその他の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」を使用して値を近似値として表すときに、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の端点が、他の端点との関係でも、他の端点との関係でなくとも、重要であることが理解されるであろう。
本明細書で使用され得る方向を示す用語、例えば、上、下、右、左、前、後、頂、底は、描かれた図を基準としているにすぎず、絶対的な向きを意味することを意図していない。
特に明記しない限り、本明細書に記載される任意の方法が、そのステップを具体的な順序で行うことを要求すると解釈されることも、任意の装置によって具体的な向きが要求されることも、決して意図していない。したがって、方法クレームがそのステップによって従うべき順序を実際に記載していない場合、任意の装置クレームが個々の構成要素に対する順序または向きを実際に記載していない場合、ステップが具体的な順序に限定されるべきであることを請求項または明細書に特に明記していない場合、または装置の構成要素に対する具体的な順序または向きを記載していない場合、いかなる点でも、順序または向きが推測されることを決して意図していない。このことは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序、または構成要素の向きに関する論理的な事項、文法体系または句読法から導出される平明な意味、および明細書に記載される実施形態の数または種類を含む解釈の、可能性のある任意の非明示的な根拠について当てはまる。
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数に関する言及を含む。したがって、例えば、「1つの(a)」構成要素に関する言及は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
「例示的」、「例」という用語、またはその様々な形態は、本明細書では、例、事例、または例示として役立つことを意味するために使用される。「例示的」または「例」として本明細書で説明される任意の態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいかまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、例は、明確化および理解のためのみに提供されており、開示される主題または本開示の関連する部分をいかなる方法でも限定または制限することを意味しない。様々な範囲の無数の追加的または代替的な例を提示できたかもしれないが、簡潔性のために省略していることを理解されたい。
本明細書で使用する場合、「備える(comprising)」および「含む(including)」という用語、ならびにそれらの変形は、特に示さない限り、同義的かつ非限定的なものと解釈されたい。備えるまたは含むという移行句に続く要素のリストは、リストに具体的に列挙される要素の他の要素も存在し得るような、非排他的なリストである。
本明細書で使用する場合、「溶融ガラス」は、冷却するとガラス状態になることができる溶融した無機材料を意味するものと解釈されたい。溶融ガラスという用語は、「溶融物」と同義的に使用される。溶融ガラスは、例えば、大部分がケイ酸塩ガラスを形成し得るが、本開示はそのように限定されない。
本明細書で使用する場合、「流体」という用語は、任意の気体、気体の混合物、液体、気体と液体との混合物、蒸気、またはそれらの組み合わせを表すものである。
本明細書で使用する場合、「耐火性」または「耐火性材料」という用語は、非金属材料であって、538℃超、例えば、約700℃以上、約800℃以上などの環境に晒される、構造にまたはシステムの構成要素として、それらを適用可能にする化学的および物理的特性を有する非金属材料を表すために使用される。
本明細書で使用する場合、特に反対の記載がない限り、成分の「質量%(wt. %)」または「質量パーセント(weight percent)」または「質量割合(percent by weight)」は、成分が含まれる組成物の総質量に基づく。
本明細書で使用する場合、「一体」という用語は、特に示さない限り、接続された部品の集まりではなく、構造的に統合された物品または物体(例えば、モノリシック)を指す。
本明細書で使用する場合、引張ロールの接触面は、粘性、粘弾性または弾性材料のリボン(例えば、ガラスリボン)に接触するように意図され構成された引張ロールの表面である。
ダウンドロー法によるガラスシートの製造は、成形体から溶融ガラスを不定長のリボンとして延伸することを含む。リボンは、側方エッジ部分とそれらの間の中央部分とを備える。延伸プロセスは、溶融ガラスを成形体から引き離す下向きの力をリボンに及ぼす逆方向に回転する一対の引張ロールアセンブリの間にリボンの側方エッジ部分を挟むことを含む。ガラスリボンは、冷却されて弾性状態になり、個々のガラスシートに切断され、引張ロールアセンブリが接触したエッジ部分は、取り除かれる。
典型的には、引張ロール自体が、耐火性材料を含み、金属(例えば、鋼)シャフトに取り付けられる。引張ロールは、一体の物体、または重ね合わされた耐火性ディスクからなる物体であってもよい。実施形態では、引張ロールは、シャフトに対する容易な取り付けおよび取り外しを促すスリーブまたはカートリッジの形態であってもよい。
図1には、例示的なガラス製造装置10が示される。いくつかの実施形態では、ガラス製造装置10は、溶融容器14を含むことができるガラス溶融炉12を備えることができる。溶融容器14に加えて、ガラス溶融炉12は任意選択的に、原料を加熱して溶融ガラスに転換するように構成された加熱要素(例えば、燃焼バーナおよび/または電極)などの1つ以上の追加の構成要素を含むことができる。例えば、溶融容器14は、電気ブースト溶融容器であってもよく、電気ブースト溶融容器では、燃焼バーナと直接加熱の両方によってエネルギーが原料に加えられ、原料に流れる電流による原料のジュール加熱によってエネルギーが加えられる。本明細書で使用する場合、電気ブースト溶融容器は、ジュール加熱と表面上燃焼加熱の両方により熱エネルギーを得る溶融容器であり、原料および/または溶融物に与えられるエネルギー量の約20%以上が、ジュール加熱による。本明細書で使用する場合、電気ブースト溶融容器は、水中燃焼プロセスを含まない。いくつかの実施形態では、表面上燃焼バーナとジュール加熱の両方によって溶融材料に加えられる全熱エネルギーと比べた、ジュール加熱によって溶融材料に加えられる熱エネルギーを、約20%〜約80%の範囲、例えば30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、または70%以上とすることができる。
さらなる実施形態では、ガラス溶融炉12は、溶融容器からの熱損失を抑える熱管理デバイス(例えば、断熱構成要素)を含んでもよい。またさらなる実施形態では、ガラス溶融炉12は、ガラス溶融物への原料の溶融を促す電子デバイスおよび/または電気機械デバイスを含んでもよい。またさらに、ガラス溶融炉12は、支持構造(例えば、支持シャーシ、支持部材など)または他の構成要素を含んでもよい。
ガラス溶融容器14は典型的に、耐火性セラミック材料、例えば、アルミナまたはジルコニアを含む耐火性セラミック材料などの耐火性材料から形成されるが、耐火性セラミック材料は、代替的にまたは任意の組み合わせのいずれかで使用される、イットリウム(例えば、イットリア、イットリア安定化ジルコニア、リン酸イットリウム)、ジルコン(ZrSiO)、またはアルミナ−ジルコニア−シリカ、または酸化クロムなどの他の耐火性材料を含んでもよい。いくつかの例では、ガラス溶融容器14を耐火性セラミックれんがから構築してもよい。
いくつかの実施形態では、溶融炉12は、ガラス物品、例えば、不定長のガラスリボンを製造するように構成されたガラス製造装置の構成要素として組み込まれ得るが、さらなる実施形態では、ガラス製造装置は、限定するわけではないが、ガラス棒、ガラス管、ガラス封体(例えば、照明装置用、例えば電球用のガラス封体)およびガラスレンズなどの他のガラス物品(他の多くのガラス物品が考えられる)を形成するように構成されてもよい。いくつかの例では、溶融炉は、スロットドロー装置、フロートバス装置、ダウンドロー装置(例えば、フュージョンダウンドロー装置)、アップドロー装置、プレス装置、圧延装置、管延伸装置、または本開示による利益を得る任意の他のガラス製造装置を含むガラス製造装置の構成要素として組み込まれてもよい。例として、図1は、後続の個々のガラスシートへの加工またはスプールへのガラスリボンの巻き付けのためにガラスリボンをフュージョンドローするためのフュージョンダウンドローガラス製造装置10の構成要素としてのガラス溶融炉12を概略的に示す。
ガラス製造装置10(例えば、フュージョンダウンドロー装置10)は任意選択的に、ガラス溶融容器14の上流に配置された上流ガラス製造装置16を含むことができる。いくつかの例では、上流ガラス製造装置16の一部分または全体を、ガラス溶融炉12の一部として組み込んでもよい。
図1に示される実施形態に示すように、上流ガラス製造装置16は、原料貯蔵ビン18、原料送出デバイス20、および原料送出デバイスに接続されたモータ22を含むことができる。原料貯蔵ビン18は、矢印26で示すように、1つ以上の供給ポートを通してガラス溶融炉12の溶融容器14に供給できる量の原料24を貯蔵するように構成されてもよい。原料24は典型的に、1種以上のガラス形成金属酸化物および1種以上の改質剤を含む。いくつかの例では、原料送出デバイス20には、原料送出デバイス20が所定量の原料24を貯蔵ビン18から溶融容器14に送出するように、モータ22によって動力を供給することができる。さらなる例では、モータ22は、溶融ガラスの流れ方向に関して溶融容器14の下流で検知された溶融ガラスのレベルに基づいて、制御された速度で原料24を導入するように、原料送出デバイス20に動力を供給することができる。その後、溶融容器14内の原料24を加熱して、溶融ガラス28を形成することができる。典型的に、最初の溶融ステップでは、原料は、例えば様々な「砂」を含むような、粒子として溶融容器に加えられる。原料は、従前の溶融および/または成形動作によるガラス屑(すなわち、カレット)を含んでもよい。燃焼バーナは典型的に、溶融プロセスを開始するために使用される。電気ブーストされた溶融プロセスでは、(例えば、原料が液化し始めるときに)原料の電気抵抗が十分に低下すると、原料と接触して配置された電極間に電位を生じさせ、それによって、原料を通る電流を形成することにより、電気ブーストが開始され、原料が典型的に、溶融状態に入るか、または溶融状態となる。
ガラス製造装置10は任意選択的に、溶融ガラス28の流れ方向に関してガラス溶融炉12の下流に配置された下流ガラス製造装置30を含むこともできる。いくつかの例では、下流ガラス製造装置30の一部分を、ガラス溶融炉12の一部として組み込んでもよい。しかし、いくつかの事例では、以下で説明される第1の接続導管32、または下流ガラス製造装置30の他の部分を、ガラス溶融炉12の一部として組み込んでもよい。第1の接続導管32を含む下流ガラス製造装置の要素を、貴金属から形成してもよい。適切な貴金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウムおよびパラジウム、またはそれらの合金からなる群から選択される白金族金属が挙げられる。例えば、ガラス製造装置の下流構成要素を、約70質量%〜約90質量%の白金および約10質量%〜約30質量%のロジウムを含む、白金−ロジウム合金から形成してもよい。しかし、ガラス製造装置の下流構成要素を形成するための他の適切な金属としては、モリブデン、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびそれらの合金を挙げることができる。
下流ガラス製造装置30は、溶融容器14の下流に配置され、かつ上記した第1の接続導管32を介して溶融容器14に接続された清澄容器34などの第1の調整(すなわち加工)容器を含むことができる。いくつかの例では、溶融ガラス28は、第1の接続導管32を介して溶融容器14から清澄容器34に重力で供給されてもよい。例えば、重力は、第1の接続導管32の内部通路を通して溶融容器14から清澄容器34へと溶融ガラス28を推進し得る。しかし、溶融容器14の下流に、例えば、溶融容器14と清澄容器34との間に、他の調整容器を配置してもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶融容器と清澄容器との間で調整容器を利用してもよく、調整容器では、一次溶融容器からの溶融ガラスが、溶融プロセスを継続するために二次容器内でさらに加熱されるか、または清澄容器に入る前に一次溶融容器内の溶融ガラスの温度よりも低い温度まで冷却される。
前述のように、様々な技術によって溶融ガラス28から気泡を除去してもよい。例えば、原料24は、加熱されると化学還元反応を受けて酸素を放出する、酸化スズなどの多価化合物(すなわち清澄剤)を含んでもよい。他の適切な清澄剤としては、限定するわけではないが、ヒ素、アンチモン、鉄、およびセリウムが挙げられるが、ヒ素およびアンチモンの使用は、いくつかの用途では環境上の理由により推奨されない場合がある。清澄容器34は、溶融容器の温度よりも高い温度まで加熱され、それによって清澄剤を加熱する。溶融物に含まれる1種以上の清澄剤の温度によって誘発された化学還元によって生じた酸素気泡が、清澄容器内の溶融ガラスを通って上昇し、溶融炉で生じた溶融ガラス中のガスを、清澄剤によって生じた酸素気泡に併合または拡散することができる。次いで、浮力の増加を伴う拡大した気泡を、清澄容器内の溶融ガラスの自由表面まで上昇させ、その後に清澄容器から排出することができる。酸素気泡は、溶融ガラスを通って上昇するときに、清澄容器内の溶融ガラスの機械的混合をさらに誘発することができる。
下流ガラス製造装置30は、清澄容器34から下流に流れる溶融ガラスを混合するための混合装置36、例えば攪拌容器などの別の調整容器をさらに含むことができる。混合装置36を使用して、均質なガラス溶融組成物を提供し、それにより、清澄容器から出る清澄化された溶融ガラス内に存在し得る化学的または熱的な不均質性を抑えることができる。図示するように、第2の接続導管38を介して清澄容器34を混合装置36に接続してもよい。いくつかの実施形態では、第2の接続導管38を介して清澄容器34から混合装置36に溶融ガラス28を重力で供給してもよい。例えば、重力は、第2の接続導管38の内部通路を通して清澄容器34から混合装置36へと溶融ガラス28を推進し得る。典型的に、混合装置36内の溶融ガラスは、自由表面を有し、空隙が、自由表面と混合装置の頂部との間に広がる。混合装置36が、溶融ガラスの流れ方向に関して清澄容器34の下流に示されているが、他の実施形態では、清澄容器34の上流に混合装置36を配置してもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態では、下流ガラス製造装置30は、複数の混合装置、例えば、清澄容器34の上流の混合装置および清澄容器34の下流の混合装置を含んでもよい。これらの複数の混合装置は、同じ設計であってもよく、または互いに異なる設計であってもよい。いくつかの実施形態では、容器および/または導管の1つ以上が、溶融材料の混合およびその後の均質化を促すために内部に配置された静的混合翼を含んでもよい。
下流ガラス製造装置30は、混合装置36の下流に配置され得る送出容器40などの別の調整容器をさらに含むことができる。送出容器40は、下流の成形デバイスに供給される溶融ガラス28を調整してもよい。例えば、送出容器40は、アキュムレータおよび/または流量コントローラとして機能して、溶融ガラス28の一貫した流れを調節し、出口導管44を介して成形体42に提供することができる。送出容器40内の溶融ガラスは、いくつかの実施形態では、自由表面を含み、空隙が、自由表面から送出容器の頂部まで上方に広がる。図示するように、第3の接続導管46を介して混合装置36を送出容器40に接続してもよい。いくつかの例では、第3の接続導管46を介して混合装置36から送出容器40に溶融ガラス28を重力で供給してもよい。例えば、重力は、第3の接続導管46の内部通路を通して混合装置36から送出容器40へと溶融ガラス28を推進し得る。
下流ガラス製造装置30は、入口導管50を含む、上で参照された成形体42を備える成形装置48をさらに含むことができる。送出容器40から成形装置48の入口導管50に溶融ガラス28を送出するように出口導管44を配置することができる。フュージョンダウンドローガラス製造装置の成形体42は、成形体の上面に配置されたトラフ52と、成形体の底部エッジ(根元部)56に沿って延伸方向に集束する集束成形面54(1つの面のみを図示)と、を備えることができる。送出容器40、出口導管44および入口導管50を介して成形体のトラフ52に送出された溶融ガラスは、トラフ52の壁から溢れ、溶融ガラスの別個の流れとして集束成形面54に沿って下降する。溶融ガラスの別個の流れは、根元部56の下方で根元部に沿って合流して、溶融ガラスの単一のリボン58を作り、リボンは、溶融ガラスが冷え、材料の粘度が増加するときに、ガラスリボンの寸法を制御するように、重力、エッジロール62、および引張ロールアセンブリ64などによって下向きの張力をガラスリボンに加えることにより、延伸平面59(図2を参照)に沿って根元部56から延伸方向60に延伸される。したがって、ガラスリボン58は、粘弾性転移を経て、ガラスリボン58に安定した寸法特性を与える機械的特性を獲得する。ガラスリボン58は、いくつかの実施形態では、ガラスリボンの弾性領域においてガラス分離装置(図示せず)によって個々のガラスシート68に分離されてもよいが、さらなる実施形態では、ガラスリボンは、スプールに巻き付けられ、さらなる加工のために保管されてもよい。
図2および図3はそれぞれ、成形装置48の少なくとも一部分の側面(端面)図および正面図を示しており、成形体42、エッジロール62および引張ロールアセンブリ64を示す。
引張ロールアセンブリ64は、モジュール式構成要素として組み立てることができる。このようなモジュール式構成要素は、様々な実施形態では、使用場所で素早く交換して、引張ロールアセンブリの輸送および修理に関連する休止時間およびコストを最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、モジュール式構成要素は、焼成され圧縮された耐熱性ディスクのスリーブを含むことができ、ディスクは、少なくとも部分的に融合されているので、スリーブを単一ユニットとして引張ロールシャフト上に配置し、また、引張ロールシャフトから取り外すことができる。他の実施形態では、モジュール式構成要素は、引張ロールシャフト上にスライドするように構成されたカートリッジを備えることができる。本明細書で使用する場合、引張ロールアセンブリという用語は、ガラスリボンを延伸するために使用されるアセンブリを指す。引張ロールアセンブリは、シャフトと、ガラスリボンに接触する接触面を提供する引張ロールと、シャフトひいては引張ロールを回転させるためのモータと、例えば、引張ロールをシャフトに固定するため、引張ロールモータを制御するためなどに必要となり得る他の様々なハードウェアおよびソフトウェアと、を備える。引張ロールという用語は、引張ロールアセンブリの、ガラスリボン58に接触する部分を含む。典型的に、引張ロールは、例えば、向かい合わせて組み立てられてスリーブを作るように焼成された耐火性の耐熱性ディスクなどの耐火性材料のスリーブを備える。しかし、他の実施形態では、引張ロールは、シャフトに取り外し可能に取り付けられ得るモジュール式の交換可能なカートリッジを作るように、スプールまたは他のフレームワークに組み付けられたスリーブを備えることができる。
引張ロールアセンブリは、シャフトに沿って配置された1つ以上の取付具を備えることができる。このような取付具は、(固定式の、可動式の、かつ/または取り外し可能な)カラー、係止リング、スナップリング、スプリット保持リング、または1つ以上の耐熱性ディスクをシャフトの適所に固定できる他のデバイスを備えることができる。シャフトに取り付けられた複数の耐熱性ディスクに軸方向圧縮力を加えることができる任意のデバイスを取付具として使用することができる。
所与の引張ロールアセンブリの所望の構成に応じて、1つ以上の耐熱性ディスク領域をシャフトに沿って配置することができる。様々な実施形態では、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の個々の耐熱性ディスク領域をシャフトに沿って配置することができ、各領域は、少なくとも2つの取付具を備え、取付具は、それらの間に配置された耐熱性ディスクに軸方向圧縮力を加えることができる。
シートガラスの製造に使用するのに適した様々な引張ロールの構成が文献中にあることを理解されたい。例えば、米国特許第6,896,646号明細書は、ミルボード材料から引張ロールを作る方法を記載している。本開示は、引張ロールの特定の構成または配置に限定されず、当業者は、引張ロールの適切な構成を容易に選択することができる。
実施形態では、引張ロールアセンブリは、シャフトの長さまたはその一部分にわたって延びる単一の耐熱性ディスク領域を含む構成を備えることができる。このような引張ロールアセンブリは、ガラスシートに接触するように特に適合された1つ以上の部分を含むことができ、その部分における耐熱性ディスクの外周は、周囲の耐熱性ディスクよりもシャフトから遠くに延びる。このような構成は、引張ロールからの粒子が「付着物(onclusions)」(例えば、表面粒子)としてガラスシートに堆積する可能性を減少させることができる。完全なロールの構成では、単一の耐熱性ディスク領域が、例えば、ガラスリボンの両側エッジなどの異なる位置でガラスリボンに接触するように適合された2つの部分を含む。他の実施形態では、引張ロールアセンブリは、ガラスリボンに、例えば両側エッジ部分で接触するように適合された2つ以上の耐熱性ディスク領域が、ディスクを含まないシャフト領域によって分離される、剥き出しのシャフト構成を備えることができる。個々の領域はそれぞれ、取付具を有し、取付具は、耐熱性ディスクを適所に固定するとともに、それらの間に配置されたそれらの耐熱性ディスクに軸方向圧縮力を提供することができる。
図3に示すスタブ型引張ロールアセンブリ64では、シャフトに取り付けられた単一の耐熱性ディスク領域が、ガラスシートの一方のエッジ部分に接触するように適合され、(別個のシャフトを備える)別個のスタブ型引張ロールアセンブリ64は、ガラスシートの反対側のエッジに接触するように使用することができる。すなわち、スタブ型ロール構成では、1つのシャフトが、ガラスリボンの幅全体には延びていない。
引張ロールの一部分を圧縮して接触面の特定の硬度を達成するために利用される軸方向圧縮力を変化させることができる。様々な実施形態では、力は、約31,376ニュートン〜約134,467ニュートン(N)、約44,822N〜約89,644N、または約35,858N〜約58,269Nの範囲とすることができる。他の実施形態では、力は、約31,376N未満または約134,467N超とすることができる。軸方向圧縮力は、加熱時に、耐熱性の焼成ディスクの少なくとも一部分を融合させるのに十分であるべきである。
例示的な引張ロールは、(任意選択的に焼成された)平面状の複数の耐熱性ディスクを備え、平面状の耐熱性ディスクは、向かい合わせてシャフト上に配置され、複数のディスクの各ディスクの外側エッジが、ガラスリボンに接触できる引張ロールの外面を形成するように圧縮される。複数の耐熱性ディスクのいずれか1つ以上の具体的な形状、大きさ、および組成を、例えば、得られる引張ロールの意図される用途および作動条件に応じて変化させることができる。引張ロールの外面の少なくとも一部分を、ガラスシートに接触するように構成することができる。
耐熱性ディスクのいずれか1つ以上の組成物を、引張ロールの所望の特性に応じて変化させることができる。実施形態では、1つ以上のディスクをミルボード材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のディスクは、ケイ酸塩、粘土、耐火性セラミック繊維、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のディスクは、例えば、ニチアスSD−115(ニチアス株式会社、東京、日本から入手可能)などの市販されているミルボード材料を含むことができる。本明細書では具体的なミルボード材料について特定の成分および濃度範囲が記載されているが、これらは例示であり、特定のミルボード材料、成分、および/または濃度範囲のいずれかに限定することを意図していない。
いくつかの実施形態では、耐熱性ディスクの少なくとも一部分を形成するミルボードは、米国特許第7507194号明細書に記載されるような、アスベストを含まず、ショットを含まない耐火性組成物を含むことができる。様々な例示的な実施形態では、そのようなミルボードは、乾燥質量ベースで、約5質量パーセント〜約30質量パーセントの耐火性セラミック繊維、約1質量パーセント〜約10質量パーセントの有機繊維、例えばセルロースなど、約10質量パーセント〜約40質量パーセントのケイ酸マグネシウム、例えばフォルステライトなど、約5質量パーセント〜約32質量パーセントのマイカ、約10質量パーセント〜約35質量パーセントのカオリン粘土、約0.5質量パーセント未満の結晶性シリカ、および約0.8質量パーセント未満の二酸化チタンを含むことができる。
そのようなミルボード材料に使用するためのセラミック繊維は、天然材料、および/またはカオリナイトおよびシリカから製造された人工セラミック繊維を含むことができる。有用なセラミック繊維は、様々な繊維グレードの繊維を含むことができ、そのようなグレードは、製造方法、ショット(非繊維)含有量、潤滑などによって決定される。上記文献を入手している当業者は、適切なセラミック繊維材料を容易に選択できるであろう。いくつかの実施形態では、そのようなセラミック繊維は、最大で約5マイクロメートルの繊維長、最大で約3マイクロメートルの直径、および約5:1超のアスペクト比を有することができる。これらの値が例示であり、得られる引張ロールの望ましい特性に応じて他の繊維を使用できることに留意されたい。実施形態では、引張ロール用のセラミック繊維材料は、約1,760℃未満の温度で溶融するべきではなく、最大で約1,260℃の連続温度に晒されたときに物理的および化学的な完全性を保持するべきである。
有機繊維は、使用される場合、ミルボード材料または引張ロール用途での使用に適した任意の有機繊維とすることができる。有機繊維は、例えばセルロースを含むことができる。いくつかの実施形態では、セルロースは、未漂白、半漂白、または漂白済みの木材パルプを含むことができる。他の実施形態では、ミルボード組成物は、有機繊維を含まない。
無機バインダは、存在する場合、例えば、粘土、石膏、フライアッシュ、およびナトリウム、カリウム、またはマグネシウムのケイ酸塩などのアルカリ性イオン状ケイ酸塩を含む、1種以上の無機化合物を含むことができる。例えば、無機バインダは、ミルボード組成物の全乾燥質量を基準にして、約10〜約30質量パーセントのカオリン粘土および約10〜約40質量パーセントのケイ酸マグネシウムを含むことができる。
いくつかの実施形態では、ミルボード成分の水性スラリーを調製することができ、凝集剤を任意選択的に加えることができ、例えば、回転スクリーンシリンダ上にスラリーを堆積させることにより、得られたスラリーが板に成形される。
成形中および/または成形後にミルボード板を圧縮して、均一または実質的に均一な厚さをもたらすことができる。成形されたミルボード板中の残留水分を、例えば加熱により、除去することができる。
ロールの作動温度に晒されたときに耐熱性ディスクが組成または寸法の実質的な変化を示さないように、耐熱性ディスクおよび/または1つ以上の耐熱性ディスクが切り出される材料を、引張ロールを形成するために組み立てる前に焼成することができる。例えば、耐熱性ディスクを、焼成ステップで、約650℃〜約1,000℃、約760℃〜約1,000℃、または約900℃〜約1,000℃の温度で加熱し、少なくとも2時間にわたって保持することができる。次いで、耐熱性ディスクを周囲温度まで冷却し、引張ロール、または本明細書に記載するようなモジュール式構成要素を形成するために組み立てることができる。モジュール式構成要素は、例えば、少なくとも部分的に融合された、圧縮された耐熱性の焼成ディスクで形成されたスリーブ、または耐熱材料が配置されたカートリッジ、例えばスリーブであってもよい。
例えば、圧縮され加熱されると、硬くなり、少なくとも部分的に融合できるミルボード材料の、複数の耐熱性ディスクからスリーブを用意することができる。停止時間および引張ロールの修理に必要な労力をさらに最小限に抑えるために、使用場所に送出する前に、スリーブを所望の寸法で用意および/または構成することができる。
例えば、ミルボード材料の1つ以上の板から複数のディスクを打ち抜くかまたは切り出すことにより、スリーブを用意することができる。次いで、ディスクを乾燥させ、揮発性および/または可燃性成分をディスクから除去するのに十分な時間および温度で、ディスクを焼成することができる。焼成後に、使用中の引張ロールに関連する温度に晒された場合に質量損失を実質的に示さず(例えば、<1.5質量パーセント)、したがって、作動条件の下で寸法的に安定するように、ディスクを焼成することができる。例えば、約650℃〜約1,000℃、約760℃〜約1,000℃、または約900℃〜約1,000℃の温度でディスクを加熱することによってディスクを焼成し、その温度で少なくとも2時間にわたって保持し、次いで、スリーブを形成するためにシャフトに組み付ける前に室温まで冷却することができる。
次いで、焼成ディスクを、向かい合わせてシャフト上に配置することができる。本開示の全体を通して、説明を容易にするために、ディスクを単に「ディスク」と呼ぶ場合には、引張ロールアセンブリのモジュール式構成要素を形成するためにシャフトに組み付ける前に焼成されているか、または焼成されていないかのいずれかであり得るという事情が認識される。一方、「焼成ディスク」は、上述したように、ディスクを乾燥させ、ディスク内の揮発性および/または可燃性成分を除去するために加熱されたディスクを特に指す。様々な実施形態では、スリーブを用意するために使用されるシャフトは、引張ロールシャフト、またはそのようなスリーブを用意する際にのみ使用するモデルシャフトとすることができる。シャフトが引張ロールシャフトである場合、シャフトは、シートガラスを製造するために後で使用される引張ロールアセンブリの引張ロールシャフトとして後で使用されてもよく、または使用されなくてもよい。
実施形態では、シャフトは、配置されたディスクを軸方向に圧縮できるように構成されてもよい。例えば、様々な実施形態では、シャフトの少なくとも一端に、シャフトの長さに沿ったディスクの移動を防止するために固定式カラーまたは裏当板を備えることができる。いくつかの実施形態では、シャフトの少なくとも一端には、複数のディスクを固定する、圧縮する、かつ/またはシャフトの長さに沿った複数のディスクの移動を防止するための取付具を備えることができる。
いくつかの実施形態では、複数のディスクを固定および圧縮するための取り外し可能なカラー、係止リング、または他の取付具を、シャフトの反対端および/またはシャフトの長さに沿った1つ以上の位置のいずれかに配置することができる。例えば、シャフトは、シャフトの一端に配置された固定式カラーを備えることができる。このような実施形態では、複数の焼成ディスクを、シャフトに沿って向かい合わせて、固定式カラーに当接させて配置することができる。複数の焼成ディスクをシャフト上に配置した後に、取り外し可能なカラーをシャフトの反対端に配置し、複数の焼成ディスクに軸方向圧縮力を提供するように調節することができる。
複数の焼成ディスクを配置および圧縮した後に、任意選択的に、ディスクの全体または一部分を所望の寸法に切削加工(例えば、切断、研削、研磨など)することができる。例えば、引張ロールの一部分がガラスシートに接触するように、引張ロールアセンブリを構成することができる。したがって、圧縮された焼成ディスクのアセンブリの外面を、所望のプロファイルをもたらすように切削加工または別途寸法決定することができる。例えば、ロールの様々な形状および/または構成のいずれかに適合できるスリーブを提供するように、焼成ディスクを切削加工することができる。
次いで、焼成ディスクの圧縮されたアセンブリを、複数のディスクを融合するのに十分な温度および時間で焼成することができる。例えば、焼成ディスクの圧縮されたアセンブリを、少なくとも約925℃の温度で少なくとも約24時間、例えば、少なくとも約950℃で少なくとも約48時間にわたって加熱することができる。このような加熱ステップを、例えば窯内で行うことができる。
特定の圧縮ならびに焼成ディスクの圧縮されたアセンブリを焼成するための時間および温度の条件を変化させることができ、本開示は、焼成ディスクの圧縮されたアセンブリを融合してスリーブを形成するのに十分な条件である限り、具体的な条件のセットに限定することを意図していない。いくつかの実施形態では、焼成の時間および温度は、引張ロールの接触面(引張ロールのガラスと接触する面)の少なくとも一部分にムライト層を形成するのに十分であってもよい。ムライト層は、発塵を抑制する、かつ/または無くすことができ、引張ロールの接触面の硬度(例えば、ショアD硬度)を増加させることができ、したがって、得られる引張ロールをプロセス損傷に対してより耐性のあるものにする。いくつかの実施形態では、焼成の時間および温度を、引張ロールの面の少なくとも一部分にクリストバライト層を形成するのに十分にすることができる。
圧縮された焼成ディスクのアセンブリを焼成した後に、アセンブリをシャフトからスリーブとして取り外すことができる。シャフトからの取り外し時にスリーブを損傷させないように、シャフトおよび取付具、例えばカラーを設計することが望ましい。例えば、スリーブが設置される特定の引張ロールシャフトの耐熱材料の所望の長さに一致するように、スリーブの長さを制御できるように、スリーブを用意するためのシャフトを設計することができる。シャフトの表面は、スリーブを容易に取り外せるように、十分に滑らかで、バリ、溶着部、または粗い領域がないようにするべきである。
いくつかの実施形態では、スリーブを形成するために焼成する前に、例えば、切断、研磨、やすり仕上げ、切り抜き、研削、もしくは他の任意の適切な方法または方法の組み合わせによって、圧縮された焼成ディスクのアセンブリを所定のプロファイルに成形することができる。他の実施形態では、焼成ディスクの圧縮されたアセンブリを焼成した後に、スリーブを成形することができる。焼成ディスクの圧縮されたアセンブリを焼成する前および後の両方で、他の様々な寸法決定ステップを行うことができる。例えば、図4は、焼成後の圧縮された複数の焼成ディスクを示しており、この例では、焼成後に切断を行っており、破線70が、成形されたスリーブ72を作るために除去された材料の輪郭を示している。
図4に示すように、スリーブの外面が、接触面76を含む円筒部分74および面取り部面80を含む面取り部分78を含むように、焼成ディスクのスリーブ72を成形(例えば、切削加工)することができる。実施形態では、円筒部分74は、2つの面取り部分78の間に配置される。したがって、接触面76は、一対の面取り部面80の間に配置される。接触面でのスリーブの外周は、長手方向軸線82から面取り部面よりも遠くに延びる。接触面76に対する面取り部面80の角度αを、約16〜20度の範囲内とすることができる。スリーブ72は、スリーブの中心であり、かつ回転軸線を含む長手方向軸線82に沿って延びるボア84をさらに備える。
さらなる実施形態では、図5に示すように、円筒状接触面76と面取り部面80との間に円弧状移行面86を形成することができる。各円弧状移行面は、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有することができるが、さらなる実施形態では、移行面の曲率半径を必要に応じて、1.5cm未満または7.6cm超とすることができる。
顧客およびプロセスラインの具体的なニーズに合わせた様々な形状、大きさ、および構成でスリーブを用意し流通させることができる。引張ロールアセンブリの迅速な修理を可能にし、ひいては、プロセスの休止時間を最小限に抑えるために、このようなスリーブの在庫を維持することができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、モジュール式引張ロールを提供することができ、モジュール式構成要素は、スプールと、その上に配置された耐熱材料と、を備えるカートリッジである。耐熱材料は、耐熱性ディスクの圧縮されたアセンブリから形成されたスリーブ72であってもよい。耐熱材料は、ディスクの圧縮されたアセンブリとして形成されてもよい。圧縮されたディスクを備えるそのようなカートリッジは、所望のプロファイルに成形することができる。様々な実施形態では、組み立て前に、組み立て後に、かつ/または使用場所でカートリッジの耐熱材料を成形することができる。例えば、カートリッジを所望の事前プロファイルに製造し、使用場所に輸送して最終的な成形および引張ロールシャフトへの設置を行うことができる。
実施形態では、ミルボード材料の1つ以上の板からディスクを切り出す、かつ/または打ち抜くことにより、カートリッジを用意することができる。次いで、ディスクを乾燥させ、ディスク内の揮発性および/または可燃性成分を除去するのに十分な時間および温度で、ディスクを焼成することができる。例えば、使用中の引張ロールに関連する温度に晒された場合に質量損失を実質的に示さず(例えば、<1.5質量パーセント)、したがって、作動条件の下で寸法的に安定するように、ディスクを焼成することができる。例えば、約650℃〜約1,000℃、約760℃〜約1,000℃、または好ましくは約900℃〜約1,000℃の温度でディスクを加熱し、その温度で少なくとも2時間にわたって保持し、次いで、スプールにディスク(例えば、スリーブ)を配置することによってカートリッジに組み立てる前に室温まで冷却することができる。
本開示のスプールを、引張ロールと共に使用するのに適した任意の材料および/または設計とすることができる。いくつかの実施形態では、スプールは、セラミック材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スプールは、金属を含むことができる。また他の実施形態では、スプールは、ガラスの製造中および引張ロールの使用中に典型的に生じる温度に耐えることができる材料を含む。また他の実施形態では、スプールは、酸化または化学的腐食に対して耐性または実質的に耐性のある材料を含んでもよい。他の実施形態では、スプールの熱膨張係数を引張ロールシャフトまたは耐熱性ディスクの少なくとも一方に一致または実質的に一致させる(等しくまたは実質的に等しくなるように選択する)ことができる。適切なスプールは、前述の属性のいずれか1つまたは組み合わせを満たしてもよい。
スプールは、引張ロールとの使用に適した任意の幾何形状を備えることができる。実施形態では、図6に示すように、スプール88は、中空管90と、フランジ92と、係止カラー、または管90の一端に取り付けられ、管90に沿った耐熱性ディスクの移動を制限する他の取付具と、を備えることができる。カートリッジを組み立てるために、かつ/またはカートリッジを引張ロールシャフト上に配置するために使用される取付具は、スリーブに関して上述したものと同様であってもよい。いくつかの実施形態では、管90上に配置された係止カラー、フランジ、または他の取付具は、管が少なくとも部分的に引張ロールシャフトの上をスライドできるように、管の中空部分と位置合わせされた開口を含んでもよい。
次いで、ディスクを、向かい合わせて管90上に配置することができる。例えば、スナップリングまたは取り外し可能なカラーなど、本明細書に記載されるような任意の適切な取付具を用いて、配置されたディスクを圧縮し、適所に保持することができる。いくつかの実施形態では、スナップリングと、そのようなスナップリングを受け入れて配置するための溝とを用いて、ディスクを適所に保持することができる。例えば、管90の周縁に溝を切り込むことができる。ディスクを組み立てて配置した後に、任意選択的に、アセンブリを焼成して、残っている水分、揮発性および/または可燃性の成分を耐熱材料から除去することができる。
ディスクをスプール88上に配置した後に、ディスクを管に沿って軸方向に圧縮することができる。そのような圧縮ステップは、例えば、液圧プレスなどの任意の適切な技術を含むことができる。圧縮後、ディスクを固定し、その圧縮を維持するのに適した任意のデバイスまたは手段をスプール上に配置することができる。例えば、第2のフランジ92を管90上に配置することができ、管に事前に切り込まれた溝にスナップリングを配置して、第2のフランジ92を管90に固定し、スプール上のディスクの圧縮を維持することができる。
スプール88に配置されて圧縮されると、任意選択的に、ディスクを所望のプロファイルに成形(例えば、切削加工)することができる。スプールの係止カラーまたは取り外し可能なカラーの少なくとも一方は任意選択的に、管を中心とした耐熱性ディスクの個々の回転を防止するために、隆起した領域、テクスチャ処理された領域、コーン、または他の手段を備えることができる。スプールとディスク(例えば、スリーブ)とは共に、シャフト上に容易に配置できるカートリッジ94を形成する。あるいは、スプール88に個々のディスクを配置して圧縮する代わりに、スリーブ72をスプール88に配置してもよい。したがって、さらなるカートリッジの説明は、スプール88と、その上に取り付けられたスリーブ72と、を備える引張ロールに基づく。
いくつかの実施形態では、前述のスリーブに関して説明したように、スリーブ72を備えるカートリッジを使用の直前に焼成し、所望の寸法に成形することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジが使用中に晒される作動温度によって接触面の所望の硬度がもたらされるように、カートリッジを稼働状態にすることができる。例えば、スリーブは、カートリッジの外面(例えば、接触面)の少なくとも一部分にムライト層を有してもよく、または形成させることができる。他の実施形態では、スリーブは、カートリッジスリーブの外面の少なくとも一部分にクリストバライト層を有してもよく、または形成させることができる。
ここで図7を参照すると、引張ロールシャフト98への引張ロール96(例えば、カートリッジ94または個々のスリーブ72)の設置は、引張ロールシャフト98に引張ロール96をスライドさせることを含むことができる。シャフト98または管90の内面のいずれか一方に、シャフト上でのカートリッジまたはスリーブの個々の回転を防止するために、対応するキーおよびキー溝を備えることができる。次いで、保持リング、係止カラー、または他の取付具もしくはデバイス(図示せず)を使用して、カートリッジをシャフト上に保持し、移動および/またはスリップを最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、取付具を引張ロールの両端で使用して、引張ロールシャフト上の所望の軸方向位置でそれを保持してもよい。他の実施形態では、引張ロールシャフト上にねじ山を配置することができ、それにより、ねじ付きナットを、ねじ山によってシャフトに固定することができる。ねじ山は、保持リングによるかじりを防止するのに十分小さなねじ山ピッチ(例えば、インチ(25.4mm)当りのねじ山)を有するべきである。
引張ロールアセンブリの寿命、特に、薄いガラスリボン、例えば、約0.4ミリメートル以下、例えば、約0.3ミリメートル以下、約0.2ミリメートル以下など、約1ミリメートル以下などの厚さのガラスリボンの延伸に利用される引張ロールの寿命が、より厚いガラスリボンとともに使用される引張ロールアセンブリと比べてかなり短いことが分かっている。場合によっては、この寿命の短縮は、60%を超える可能性がある。この寿命の短縮により、引張ロールの交換がより頻繁になる可能性がある。しかし、薄いガラスリボンの破損の多くが、新しい引張ロールを設置してから1日以内に起きることがさらに分かっている。引張ロールによるガラスリボンへの傷の導入を招く要因としては、ガラス上の接触圧および引張ロールの接触面の粗さを挙げることができる。
図8および図9には、引張ロール96(例えば、引張ロールカートリッジ94)の円筒状接触面76を加工するための装置100が示される。装置100は、例えば、減速ギアアセンブリ108によってスピンドル106に接続された駆動モータ104を含む駆動アセンブリ102を備え、スピンドル106は、引張ロール96を受けるように構成される。例えば、スピンドル106は、中空管90内に適合するようなサイズであってもよい。引張ロール96をスピンドル106に取り付けることができ、駆動モータ104は、スピンドル106および引張ロール96を所定の回転速度で回転させる。いくつかの実施形態では、装置100は、スピンドル106に取り付けられ、かつ引張ロール96を係合させることができる裏当板110を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スピンドル106が回転するときに裏当板110がスピンドル106と共に回転するように、裏当板110をスピンドル106に固定してもよいが、他の実施形態では、裏当板は、スピンドル106上で自由に回転してもよい。次いで、圧縮板112をスピンドル106の上にスライドさせ、ねじ付きナット114または他の適切な締結具によって引張ロール96へと推し進め、それによって、引張ロール96をスピンドル106に固定し、裏当板110に対して固定することができる。例えば、毎分約5回転〜毎分約50回転(RPM)の範囲、例えば、約10RPM〜約40RPMの範囲、約15RPM〜約35RPM、例えば、約20RPM〜約30RPMの範囲の回転速度などの任意の適切な回転速度で、駆動モータ104によって引張ロール96を回転軸線を中心として回転させることができる。
装置100は、接触面76と垂直な線119に沿って所定の力Fで接触面76に押圧されるように構成された少なくとも1つのトランピングローラ118を含むトランピングデバイス116をさらに備える。本明細書で使用する場合、「トランピング(tramping)」は、概して表面を繰り返し押圧すること、より具体的には、トランピングローラが引張ロールの接触面の上で転動するときに、ローラによって所定の力で引張ロールの表面を押圧することを指す。引張ロール96を駆動アセンブリ102によって回転させるときに、トランピングローラ118を所定の力で接触面76へと推し進める(に係合させる)ことができるように配置されたフレーム120に、トランピングローラ118を回転可能に取り付けてもよい。トランピングローラ118をセラミック材料、例えばアルミナから形成することができる。しかし、他の実施形態では、トランピングローラ118を、金属ローラ、例えば、ステンレス鋼ローラとすることができる。また他の実施形態では、トランピングローラ118は、セラミック(例えば、アルミナ)のコーティングまたは層が被着されたステンレス鋼ローラを備えることができる。装置100の作動中、引張ローラ96を回転させるときに、トランピングローラ118を所定の力Fで接触面76に押し付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、引張ロール96に向かう方向に、フレーム120およびトランピングローラ118を推し進めるばね122にフレーム120を接続してもよい。代替的にはまたは加えて、空気圧または液圧シリンダ(図示せず)を使用して所定の力Fを供給してもよい。いくつかの実施形態では、所定の力Fは、約10N〜約100Nの範囲、例えば約15N〜約100Nの範囲、約20N〜100Nの範囲など、約30N〜約100Nの範囲、約40N〜約100Nの範囲、約50N〜約100Nの範囲、約60N〜約100Nの範囲、約70N〜約100Nの範囲、約80N〜約100Nの範囲、または約90N〜約100Nの範囲(範囲全体およびそれらの間の部分範囲を含む)とすることができる。
図10は、駆動アセンブリ102と併せて使用され得るトランピングデバイス216の別の実施形態を示しており、トランピングデバイス216は、複数のトランピングローラ218を引張ロール96の接触面76に押圧するように構成されたフレーム220を備える。
例えば、トランピングローラ218は、フレーム220に回転可能に取り付けられ、駆動アセンブリ102によって引張ロール96を回転軸線を中心として回転させるときに、トランピングローラ218を引張ロール96の接触面76へと推し進める(に係合させる)ことができるように配置されてもよい。前の実施形態と同様に、トランピングローラ218を、セラミック材料、例えば、アルミナから形成することができる。しかし、他の実施形態では、トランピングローラ218を、金属ローラ、例えば、ステンレス鋼ローラとすることができる。また他の実施形態では、トランピングローラ218を、セラミック(例えば、アルミナ)の層またはコーティングを有するステンレス鋼ローラとすることができる。いくつかの実施形態では、引張ローラ96を回転させるときに、トランピングローラ218を所定の力Fで接触面76に押し付けるように、所定の力F1でフレーム220を前方に推し進めるばね222にフレーム220を接続してもよく、所定の力Fは、接触面76と垂直な線に沿ってトランピングローラ218によって接触面76に加えられる力である。代替的にはまたは加えて、空気圧または液圧シリンダ(図示せず)を使用して、力F1を加えてもよい。いくつかの実施形態では、所定の力Fは、約10N〜約100Nの範囲、例えば約15N〜約100Nの範囲、約20N〜100Nの範囲など、約30N〜約100Nの範囲、約40N〜約100Nの範囲、約50N〜約100Nの範囲、約60N〜約100Nの範囲、約70N〜約100Nの範囲、約80N〜約100Nの範囲、または約90N〜約100Nの範囲(範囲全体およびそれらの間の部分範囲を含む)とすることができる。
任意の数のトランピングローラを引張ロール96の接触面へと推し進めることができ、本開示が、図示されたトランピングローラの数によって限定されないことは明らかである。
図11は、5つの異なるトランピング時間:トランピングなし(0分)、5分間のトランピング、10分間のトランピング、15分間のトランピング、60分間のトランピングに関して、曲線302(四角形)および300(三角形)で表される2つの線プロットおよび棒グラフを含む、焼結された引張ロールの3つのデータ群を示す。引張ロールは、接触面と面取り部面との間に配置された、曲率半径が約1.5cmの丸みのある移行面を備える。図11のトランピングはすべて、図10に示したトランピングデバイスのような装置によって行った。合計力F1は98Nであり(各トランピングローラによって引張ロールに加えられた個々の垂直力は86.4Nであった)、引張ロール96を24RPMの速度で回転させた。曲線300は、ショア圧子を使用して測定した(左の縦軸に対してプロットした)接触面76の硬度の変化を示す。データは、60分間のトランピング後に引張ロールの接触面の硬度のわずかな増加を示し、ほぼ安定した硬度を示しているが、わずかな増加は、トランピング時間が長いほど大きな硬度の改善がもたらされ得ることを示唆している。一方、曲線302で表される平均表面粗さは、大幅な減少を示しており、平均表面粗さRaは、トランピングなしの約225μmから、60分間のトランピング後の約1μmまで減少した。Raは、評価長さ内の中心線に対する偏差から決定されたフィルタリングされた粗さプロファイルの算術平均値を表す。ミツトヨサーフテストSJ−301表面粗さ計を使用して平均粗さを測定した。データは、約10分を超えるトランピングでは、あまり改善が得られないことをさらに示しており、10分を超えるトランピングでは、平均粗さの追加的な改善(例えば、約2倍)が得られ得るが、時間を考慮すると、より短い時間内で、例えば、約10分未満のトランピング時間で、いくつかの実施形態では、約5分未満のトランピング時間で、許容可能な利益が得られ得ることを示唆している。前述の結果は、テストを実施した条件を前提としており、異なる条件では、結果が変動し得ることに留意されたい。
実施形態では、引張ロールを回転させるときに、接触面の1周長以上の接触面上の周方向距離にわたって、1つ以上のトランピングローラを接触面76へと推し進めてもよい。いくつかの実施形態では、トランピングローラが接触面上で走行する周方向距離は、少なくとも5000cmとすることができる。しかし、トランピングローラを引張ロールの接触面に適用するべき周方向距離が、少なくとも引張ロールの材料、引張ロールの接触面の大きさ(例えば、直径)、およびトランピングローラによって引張ロールの接触面に加えられる所定の力Fに依存することに留意されたい。したがって、いくつかの実施形態では、最小の周方向距離を5000cm未満とすることができる一方、他の実施形態では、最小の周方向距離を5,000cm超、例えば、8,000cm以上、10,000cm以上、または15,000cm以上、20,000cm以上、40,000cm以上、または60,000cm以上、例えば、約5,000cm〜約100,000cmの範囲(範囲全体およびそれらの間の部分範囲を含む)とすることができる。例えば、周長44cm、24RPMの速度で60分間にわたって回転する引張ロールの接触面に適用したトランピングローラは、63,000cm(凡そ、63,360cm)超の周方向距離を走行していることになる。
図11の棒グラフは、リングオンリング試験に基づくガラスサンプルの破壊応力を示す。テストを以下のように行った。2.5cm×2.5cmのCorning(登録商標)Eagle XG(登録商標)ガラスのサンプルを用意し、回転している引張ロールに49ニュートンの力で0.2秒間にわたって押し当てた。次いで、ASTM C1499−09に準じたリングオンリング測定によって、サンプルの破壊強度を試験した。データは、トランピングされていない引張ロールに晒されたサンプルを、5分間にわたってトランピングされた(その後のトランピング時間のわずかな変動のみを伴う)同一の引張ロールと比べると(120.2MPa対約210Mpa)、ほぼ200%の破壊強度の増加を示す。全体として、図11によるデータは、トランピングによって耐火性引張ロールの平均表面粗さが改善し、それにより、ガラスを損傷させ得る鋭い表面突起を発生し難くし、さらに、引張ロールの接触面が接触するガラス表面の強度を高めることを示す。図12は、(a)トランピング前および(b)トランピング後の引張ロールの2枚の写真を示しており、接触面と、隣接する面取り部面との間のより直線的な境界により明らかにされる表面の均一性の増加が強調されている。
図13は、図11の試験の場合と同様に、トランピングなし(未処理、円弧状移行面なし)の引張ロールに適用されたガラスサンプルと、延伸方向60と直交する水平方向のシミュレートされた隅切角αを有し(すなわち、ガラスサンプルの平面に対して引張ロールの回転軸線を5度だけ傾けた)、トランピングなしの引張ロール(および円弧状移行面なし)に適用されたガラスサンプルと、60分間にわたってトランピングされた引張ロール(引張ロールの接触面と面取り部面との間に配置され、曲率半径1.5cmの円弧状移行面を含む)に適用されたガラスサンプルと、ガラスサンプル表面に対して5度の隅切角αを有し、60分間にわたってトランピングされた引張ロール(曲率半径1.5cmの円弧状移行面を含む)に適用されたガラスサンプルと、引張ロールの接触面と面取り部面との間に配置された引張ロール(曲率半径1.5cmの円弧状移行面を含む)に適用されたガラスサンプルと、に関する平均破壊応力によって示された強度試験の結果を示す棒グラフを示す。図14Aは、例として、ガラスリボンを間に挟んだ一対の引張ロールアセンブリ64の上面図を示しており、引張ロールアセンブリは隅切を示す。隅切により、引張ロール96のエッジ(例えば、移行面86)をガラス表面に直接載せることができることは明らかであるはずである。図14Aで領域「A」とラベル付けされた接触領域の拡大図を図14Bに示す。円弧状移行面を使用することで、ガラスリボン58の損傷リスクを高める可能性がある、接触面76と面取り部面80との間の鋭い境界が回避される。円弧状移行面がない場合、すなわち、接触面と面取り面との間の境界が鋭いエッジである場合(例えば、図15Aを参照)、特に平均表面粗さが大きい(例えば、約9μm超である)場合、ガラスが損傷する可能性がある。図15Aで領域「B」とラベル付けされた接触領域の拡大図を図15Bに示す。
図13のデータを生成するために使用された試験設定は、図11のデータを生成するために使用されたものと同じであった。引張ロールは、直径13.2cmの接触面を有し、トランピング中に24RPMの速度で回転させられた。トランピング中に(2つのトランピングローラを備える)フレームに加えられた力F1は、98Nであった。トランピング後に、(24RPMの速度でまだ回転している)引張ロールにガラスサンプルを49Nの力で0.2秒間にわたって押し当てた。その後、リングオンリングテスト手順を用いてガラスサンプルを試験した。
図13によるデータは、円弧状移行面(例えば、丸みのあるエッジ)がない場合に、接触面と面取り部面との間の接続部で丸みのないエッジにガラスサンプルを晒す5度の隅切により、破損応力の低下(ガラス強度の低下)がもたらされたことを示す。
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなしに、本開示の実施形態に対して様々な修正および変更を行えることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、本明細書に記載される方法は、中心線での厚さが0.4mm以下のガラスリボンのコンテキストで説明されているが、本明細書に記載された利益は、例えば、0.4mm超〜0.5mm以下の範囲、0.4mm超〜0.6mm以下の範囲、0.4mm超〜0.7mm以下の範囲、0.4mm超〜0.8mm以下の範囲、または、より大きな、0.4mm超〜少なくとも2mmの範囲など、より大きな厚さのガラスリボンにも適用できることは容易に明らかなはずである。したがって、そのような修正および変形は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲に入る場合、本開示によって網羅されることが意図されている。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
ガラス製造プロセス用の引張ロールを加工する方法であって、
前記引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、
前記回転させるステップの間に、所定の力Fで前記引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、
を含む方法。
実施形態2
前記接触させるステップの間に前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する周方向距離が、前記接触面の周長以上である、実施形態1記載の方法。
実施形態3
前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する前記周方向距離が、約5,000cm以上である、実施形態2記載の方法。
実施形態4
前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する前記周方向距離が、約5,000cm〜約70,000cmの範囲にある、実施形態2または3記載の方法。
実施形態5
前記接触面が、移行面によって前記引張ロールの面取り面につながり、前記移行面が、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態6
前記所定の力Fが、約13N〜約147Nの範囲にある、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態7
前記所定の力Fが、約49N〜約118Nの範囲にある、実施形態6記載の方法。
実施形態8
前記接触させるステップの後に、前記接触面の平均表面粗さRaが、2μm以下である、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態9
前記トランピングローラがアルミナを含む、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態10
前記トランピングローラの直径が、前記接触面の直径よりも小さい、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態11
前記接触させるステップの後に、前記引張ロールを引張ロールアセンブリのシャフトに取り付けるステップをさらに含む、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態12
前記取り付けるステップの後に、前記引張ロールアセンブリでガラスリボンを延伸するステップをさらに含む、実施形態11記載の方法。
実施形態13
前記ガラスリボンの中心線での前記ガラスリボンの厚さが、0.7mm以下である、実施形態12記載の方法。
実施形態14
前記厚さが、0.4mm以下である、実施形態13記載の方法。
実施形態15
前記接触させるステップが、前記引張ロールの前記接触面を複数のトランピングローラと接触させることを含む、実施形態1から14までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態16
ガラス製造プロセス用の引張ロールを加工する方法であって、
前記引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、
前記回転させるステップの間に、約13N〜約147Nの範囲の所定の力Fで前記引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、
を含む方法。
実施形態17
前記所定の力Fが、約49N〜約118Nの範囲にある、実施形態16記載の方法。
実施形態18
前記所定の力Fが、約78N〜約118Nの範囲にある、実施形態16記載の方法。
実施形態19
前記接触させるステップが、0分より長いが、約60分以下にわたって行われる、実施形態16から18までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態20
前記接触させるステップが、5分以上であるが、約15分以下にわたって行われる、実施形態16から19までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態21
前記接触させるステップが、前記接触面を複数のトランピングローラと接触させることを含む、実施形態16から20までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態22
前記接触させるステップの後に、前記接触面の平均表面粗さRaが、2μm以下である、実施形態16記載の方法。
実施形態23
前記接触させるステップの後に、前記接触面の平均表面粗さRaが、1μm以下である、実施形態16記載の方法。
実施形態24
前記接触面が、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する移行面によって前記引張ロールの面取り面につながる、実施形態16から23までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態25
前記接触させるステップの後に、前記引張ロールを引張ロールアセンブリのシャフトに取り付けるステップをさらに含む、実施形態16から24までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態26
前記取り付けるステップの後に、前記引張ロールアセンブリでガラスリボンを延伸するステップをさらに含む、実施形態25記載の方法。
実施形態27
前記ガラスリボンの中心線での前記ガラスリボンの厚さが、約0.7mm以下である、実施形態26記載の方法。
実施形態28
前記厚さが、約0.4mm以下である、実施形態27記載の方法。
実施形態29
ガラス製造プロセス用の引張ロールを加工する方法であって、
ミルボード材料の複数の焼成ディスクを向かい合った関係で配置するステップと、
前記複数の焼成ディスクを軸方向に圧縮するステップと、
軸方向に圧縮された前記複数の焼成ディスクを、前記複数の焼成ディスクの少なくとも一部分を融合させるように焼成して、引張ロールを形成するステップと、
前記引張ロールの外面を、円筒状接触面を含む円筒状部分および面取り部面を含む面取り部分を備える所定のプロファイルに切削加工するステップであって、前記円筒状接触面と前記面取り部面との間に配置された移行面が、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する、ステップと、
を含む方法。
実施形態30
前記引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、
前記回転させるステップの間に、所定の力Fで前記引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、
をさらに含む、実施形態29記載の方法。
実施形態31
前記所定の力Fが、約13N〜約147Nの範囲にある、実施形態30記載の方法。
実施形態32
前記接触させるステップの間に前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する周方向距離が、前記接触面の周長以上である、実施形態30または31記載の方法。
実施形態33
前記接触させるステップの間に、前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する周方向距離が、5,000cm超である、実施形態30または31記載の方法。
実施形態34
前記接触させるステップの後に、前記引張ロールを引張ロールアセンブリのシャフトに取り付けるステップをさらに含む、実施形態29から33までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態35
前記取り付けるステップの後に、前記引張ロールアセンブリでガラスリボンを延伸するステップをさらに含む、実施形態34記載の方法。
実施形態36
前記ガラスリボンの中心線での前記ガラスリボンの厚さが、約0.4mm以下である、実施形態35記載の方法。

Claims (10)

  1. ガラス製造プロセス用の引張ロールを加工する方法であって、
    前記引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、
    前記回転させるステップの間に、所定の力Fで前記引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、
    を含む方法。
  2. 前記接触させるステップの間に前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する周方向距離が、前記接触面の周長以上である、請求項1記載の方法。
  3. 前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する前記周方向距離が、約5,000cm以上である、請求項2記載の方法。
  4. 前記接触面が、移行面によって前記引張ロールの面取り面につながり、前記移行面が、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 前記所定の力Fが、約13N〜約147Nの範囲にある、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 前記接触させるステップの後に、前記接触面の平均表面粗さRaが、2μm以下である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 前記接触させるステップの後に、引張ロールアセンブリでガラスリボンを延伸するステップをさらに含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. ガラス製造プロセス用の引張ロールを加工する方法であって、
    ミルボード材料の複数の焼成ディスクを向かい合った関係で配置するステップと、
    前記複数の焼成ディスクを軸方向に圧縮するステップと、
    軸方向に圧縮された前記複数の焼成ディスクを、前記複数の焼成ディスクの少なくとも一部分を融合させるように焼成して、引張ロールを形成するステップと、
    前記引張ロールの外面を、円筒状接触面を含む円筒状部分および面取り部面を含む面取り部分を備える所定のプロファイルに切削加工するステップであって、前記円筒状接触面と前記面取り部面との間に配置された移行面が、約1.5cm〜約7.6cmの範囲の曲率半径を有する、ステップと、
    前記引張ロールを、回転軸線を中心として回転させるステップと、
    前記回転させるステップの間に、所定の力Fで前記引張ロールの接触面をトランピングローラと接触させるステップと、
    を含む方法。
  9. 前記所定の力Fが、約13N〜約147Nの範囲にある、請求項8記載の方法。
  10. 前記接触させるステップの間に前記トランピングローラが前記接触面の上で走行する周方向距離が、前記接触面の周長以上である、請求項8または9記載の方法。
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