[0001] 本願は、一般にワイヤレス通信に関し、より具体的には、分散型MIMO通信のためにアクセスポイントをクラスタ化および協調させる(coordinating)ためのシステムおよび方法に関する。
[0002] ワイヤレス通信システムは、音声、ビデオ、パケットデータ、メッセージング、ブロードキャストなどのような、様々なタイプの通信コンテンツを提供するために広く展開されている。ワイヤレス通信システムは、いくつかの相互作用する空間的に分離されたデバイス間でメッセージを交換するために、通信ネットワークを利用し得る。ネットワークは、地理的範囲に従って分類され得、これは、例えば、都市エリア、ローカルエリア、またはパーソナルエリアであり得る。このようなネットワークは、ワイドエリアネットワーク(WAN)、都市エリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、またはパーソナルエリアネットワーク(PAN)としてそれぞれ指定されことになる。ネットワークはまた、様々なネットワークノードおよびデバイスを相互接続するために使用される交換/ルーティング技法(例えば、回線交換対パケット交換)、送信に用いられる物理媒体のタイプ(例えば、ワイヤード対ワイヤレス)、および使用される通信プロトコルのセット(例えば、インターネットプロトコルスイート、SONET(同期型光ネットワーキング)、イーサネット(登録商標)など)に従って異なる。
[0003] Wi−FiまたはWi−Fi(例えば、IEEE802.11)は、電子デバイスがWLANに接続することを可能にする技術である。Wi−Fiネットワークは、1つまたは複数の他の電子デバイス(例えば、コンピュータ、セルラフォン、タブレット、ラップトップ、テレビ、ワイヤレスデバイス、モバイルデバイス、「スマート」デバイスなど)と通信し得るアクセスポイント(AP)を含み得、それは、局(STA)と呼ばれ得る。APは、インターネットなどのネットワークに結合され得、1つまたは複数のSTAが、ネットワークを介してまたはAPに結合された他のSTAと通信することを可能にし得る。ワイヤレスネットワークは、しばしば、ネットワーク要素(例えば、APまたはSTA)がモバイルであり、従って、動的な接続性のニーズを有するとき、またはネットワークアーキテクチャが固定ではなく、アドホックのトポロジにおいて形成される場合に好ましい。ワイヤレスネットワークは、無線、マイクロ波、赤外線、光(optical)などの周波数帯域における電磁波を使用する、無誘導伝搬モード(unguided propagation mode)にある無形物理媒体を用いる。ワイヤレスネットワークは、固定されたワイヤードネットワークと比較すると、ユーザモビリティと迅速なフィールド配備とを有利に促進する。
[0004] 多くのワイヤレスネットワークは、ワイヤレス媒体を共有するために、衝突検出機能付きキャリア感知多重アクセス(CSMA/CD:carrier-sense multiple access with collision detection)を利用する。CSMA/CDでは、ワイヤレス媒体上でのデータの送信の前に、デバイスは、別の送信が進行中であるかどうかを決定するために、媒体をリッスンし得る。媒体がアイドル状態にある場合、デバイスは、送信を試み得る。デバイスはまた、データが成功裏に送信されたかどうか、または、ことによると、別のデバイスの送信との衝突が生じたかどうかを検出するために、その送信中に媒体をリッスンし得る。衝突が検出されると、デバイスは、ある時間期間にわたって待機し、その後、送信を再び試み得る。CSMA/CDの使用は、単一のデバイスがワイヤレスネットワークの特定のチャネル(空間または周波数分割多重化チャネルなど)を利用することを可能にする。
[0005] ユーザは、彼らのワイヤレスネットワークからますます多くの容量を要求し続けている。例えば、ワイヤレスネットワーク上でのビデオストリーミングが、より一般的になってきている。ビデオ電話会議もまた、ワイヤレスネットワークに対して追加の容量の要求を突きつけ得る。ユーザが必要とする帯域幅および容量の要件を満たすために、ますます大量のデータを搬送および通信するためのワイヤレス媒体の能力における改善が必要とされる。
[0006] 添付の特許請求の範囲内にあるシステム、方法、およびデバイスの様々な実現形態(implementations)は、いくつかの態様をそれぞれ有し、それらのうちの何れも、本明細書に説明される望ましい属性を単独で担うものではない。添付の特許請求の範囲を限定することなく、いくつかの顕著な特徴が本明細書で説明される。
[0007] 本明細書で説明される主題の1つまたは複数の実現形態の詳細が、添付の図面および以下の説明において示される。他の特徴、態様、および利点が、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。以下の図面の相対的な寸法は原寸通りに描かれていないことがあることに留意されたい。
[0008] 一態様が、ワイヤレス通信の方法を含む。方法は、第1のメッセージを生成することと、第1のメッセージは、第2のデバイスと1つまたは複数の第3のデバイスから同時に、送信機会中に送信されることになる1つまたは複数のストリームを受信するための1つまたは複数の第1のデバイスを識別し、送信のために第1のメッセージを出力することとを備える。
[0009] 別の態様が、ワイヤレス通信のための装置を含む。装置は、第1のメッセージを生成するように構成された処理システムと、第1のメッセージは、第2のデバイスと1つまたは複数の第3のデバイスから同時に、送信機会中に送信されることになる1つまたは複数のストリームを受信するための1つまたは複数の第1のデバイスを識別し、送信のために第1のメッセージを出力するためのインターフェースとを備える。
[0010] 別の態様が、ワイヤレス送信のための装置を含む。装置は、第1のメッセージを生成するための手段と、第1のメッセージは、第2のデバイスと1つまたは複数の第3のデバイスから同時に、送信機会中に送信されることになる1つまたは複数のストリームを受信するための1つまたは複数の第1のデバイスを識別し、送信のために第1のメッセージを出力するための手段とを備える。
[0011] 別の態様が、送信のために第1のメッセージを生成するように構成された処理システムと、第1のメッセージは、第2のデバイスと1つまたは複数の第3のデバイスから同時に、送信機会中に送信されることになる1つまたは複数のストリームを受信するための1つまたは複数の第1のデバイスを識別し、第1のメッセージを送信するように構成された送信機とを備えるアクセスポイントを含む。
[0012] 別の態様が、第1のアクセスポイントを介して、1つまたは複数の局に対する1つまたは複数の第2のアクセスポイントとの分散型MIMOジョイント送信機会を確立する方法を含む。方法は、プロセッサを介して、局および第2のアクセスポイントへの送信のために第1のメッセージを生成することを備える。第1のメッセージは、ヌルデータパケット送信と、ジョイント送信機会中にストリームを受信するように構成された局とを示す。方法はまた、第2のアクセスポイントおよび局に第1のメッセージを送信することを備える。方法は、プロセッサを介して、第2のアクセスポイントへの送信のために基準位相信号を生成することをさらに備える。
[0013] 別の態様が、1つまたは複数の局との分散型MIMOジョイント送信機会を確立するための装置を含む。装置は、プロセッサおよび送信回路を備える。プロセッサは、局および1つまたは複数のアクセスポイントへの送信のために第1のメッセージを生成するように構成される。第1のメッセージは、ヌルデータパケット送信と、ジョイント送信機会中にストリームを受信するように構成された局とを示す。プロセッサはまた、アクセスポイントへの送信のために基準位相信号を生成するように構成される。送信回路は、アクセスポイントおよび局に第1のメッセージを送信するように構成される。
[0014] 追加の態様が、1つまたは複数の局との分散型MIMOジョイント送信機会を確立するための装置を含む。装置は、局および1つまたは複数のアクセスポイントへの送信のために第1のメッセージを生成するための手段を備える。第1のメッセージは、ヌルデータパケット送信と、ジョイント送信機会中にストリームを受信するように構成された局とを示す。装置はまた、アクセスポイントおよび局に第1のメッセージを送信するための手段を備える。装置は、アクセスポイントへの送信のために基準位相信号を生成するための手段をさらに備える。
[0015] 別の態様が、処理システムにワイヤレス通信の方法を処理させる命令を備えるコンピュータ可読媒体を含む。方法は、送信のために第1のメッセージを生成することと、第1のメッセージは、第2のデバイスと1つまたは複数の第3のデバイスから同時に、送信機会中に送信されることになる1つまたは複数のストリームを受信するための1つまたは複数の第1のデバイスを識別し、送信のために第1のメッセージを出力することとを備える。
本開示の態様が用いられ得る、例となるワイヤレス通信システムを概略的に例示する。
図1の例となるワイヤレス通信システム内で用いられ得る、例となるワイヤレスデバイスを概略的に例示する。
本明細書で説明されるある特定の実施形態による、分散型多元接続多入力多出力(MIMO)ワイヤレス通信システムの例となる構成を概略的に例示する。
本明細書で説明されるある特定の実施形態による、分散型MIMOワイヤレス通信システムと互換性がある、例となる通信オプションを概略的に例示する。
例示的な分散型MIMOワイヤレス通信システムの複数の基本サービスセット(BSS)を概略的に例示する。
図4の分散型MIMOワイヤレス通信システムのダウンリンク協調ビームフォーミング(COBF:coordinated beamforming)送信機会における例示的な通信オプションを概略的に例示する。
本明細書で説明されるある特定の実施形態による、COBFが、複数のアクセスポイント(AP)によって、対応する基本サービスセット(BSS)に属する複数の局(STA)と通信するために用いられる、例となるMIMOワイヤレス通信システムを概略的に例示する。
本明細書で説明されるある特定の実施形態による、COBFが、複数のAPによって、それら自体のBSSおよび他のBSSに属する複数のSTAと通信するために使用され得る、例となるジョイント送信多元接続MIMOワイヤレス通信システムを概略的に例示する。
非同時STAフィードバックを伴う、図7Bのジョイント通信システムのジョイント送信機会における例示的な通信オプションを概略的に例示する。
同時STAフィードバックを伴う、図7Bのジョイント通信システムのジョイント送信機会における例示的な通信オプションを概略的に例示する。
非同時暗黙的サウンディング(non-simultaneous implicit sounding)を使用した図7Bのジョイント通信システムのジョイント送信機会における例示的な通信オプションを概略的に例示する。
同時暗黙的サウンディングを使用した図7Bのジョイント通信システムのジョイント送信機会における例示的な通信オプションを概略的に例示する。
例示的な実施形態による、アクセスポイントと1つまたは複数の局との間で分散型MIMOジョイント送信機会を確立するための方法を図示する。
例示的な実施形態による、位相ドリフトの異なるレベルでのPHYレート性能(例えば、PHYレートにおける経路損失)を示すグラフを図示する。
詳細な説明
[0030] 新規のシステム、装置、および方法の様々な態様が、添付の図面を参照して以下により十分に説明される。しかしながら、本開示の教示は、多くの異なる形態で具現化され得、本開示の全体にわたって提示される任意の特定の構造または機能に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が十分かつ完全であり、当業者に本開示の範囲を十分に伝えるように提供される。本明細書での教示に基づき、当業者は、本開示の範囲が、本開示のその他任意の態様と組み合わされて実現されようと、あるいは独立して実現されようと、本明細書で開示される新規のシステム、装置、および方法の任意の態様をカバーするように意図されていることを理解すべきである。加えて、本範囲は、本明細書に示されるような他の構造および機能を使用して実現されるそのような装置または方法をカバーするように意図される。本明細書で開示される任意の態様は、請求項の1つまたは複数の要素によって具現化され得ることが理解されるべきである。
[0031] 特定の態様が本明細書で説明されるが、これらの態様の多くの変形および置換が、本開示の範囲内に含まれる。好ましい態様のいくつかの利益および利点が述べられるが、本開示の範囲は、特定の利益、用途、または目的に限定されるようには意図されない。むしろ、本開示の態様は、異なるワイヤレス技術、システム構成、ネットワーク、および送信プロトコルに広く適用可能であるように意図されており、そのうちのいくつかが、図面においておよび好ましい態様の以下の説明において、例として例示される。詳細な説明および図面は、限定ではなく、本開示の単なる例示であり、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物によって定義されている。
[0032] 「例示的(exemplary)」という用語は、本明細書で「例、事例、または例示を提供する」という意味で使用される。本明細書で「例示的」であると説明される任意の実現形態は、必ずしも他の実現形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきでない。以下の説明は、いかなる当業者であっても、本明細書で説明される実施形態を製造および使用することを可能にするために提示される。詳細は、説明を目的として、以下の説明に示される。当業者であれば、実施形態がこれらの特定の詳細を使用せずに実施され得ることを理解するであろうことが、認識されるべきである。他の事例では、周知の構造およびプロセスは、不要な詳細により、開示される実施形態の説明を曖昧にしないために、詳しくは述べられない。従って、本願は、示される実現形態に限定されるようには意図されず、本明細書で開示される原理および特徴と一致する最も広い範囲を与えられることとなる。
[0033] ワイヤレスアクセスネットワーク技術は、様々なタイプのワイヤレスローカルエリアアクセスネットワーク(WLAN)を含み得る。WLANは、広く使用されているアクセスネットワーキングプロトコルを用いて、近くにあるデバイスを互いに相互接続するために使用され得る。本明細書で説明される様々な態様は、Wi−Fi、またはより一般的には、IEEE802.11ワイヤレスプロトコルファミリの任意のメンバなどの、任意の通信規格に適用され得る。
[0034] いくつかの実現形態では、WLANは、ワイヤレスアクセスネットワークにアクセスする様々なデバイスを含む。例えば、アクセスポイント(「AP」とも呼ばれる)と、クライアント(局、すなわち「STA」とも呼ばれる)とが存在し得る。一般に、APは、WLANにおけるSTAのためのハブまたは基地局として機能する。STAは、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、モバイルフォンなどであり得る。ある例では、STAは、インターネットへのまたは他のワイドエリアアクセスネットワークへの一般的な接続性を得るために、Wi−Fi(例えば、802.11ahなどのIEEE802.11プロトコル)準拠のワイヤレスリンクを介してAPに接続する。いくつかの実現形態では、STAはまた、APとして使用され得る。
[0035] APは、ノードB、無線アクセスネットワークコントローラ(「RNC」)、eノードB(「eNB」)、基地局コントローラ(「BSC」)、トランシーバ基地局(「BTS:Base Transceiver Station」)、基地局(「BS」)、トランシーバ機能(「TF」)、無線ルータ、無線トランシーバ、基本サービスセット(「BSS」)、拡張サービスセット(「ESS」)、無線基地局(「RBS」)、または何らかの他の専門用語を備えるか、これらとして実現されるか、またはこれらとして知られ得る。
[0036] STAはまた、ユーザ端末、アクセス端末(「AT」)、加入者局、加入者ユニット、モバイル局、リモート局、リモート端末、ユーザエージェント、ユーザデバイス、ユーザ機器、または何らかの他の専門用語を備えるか、これらとして実現されるか、またはこれらとして知られ得る。いくつかの実現形態では、アクセス端末は、セルラ電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(「SIP」)電話、ワイヤレスローカルループ(「WLL」)局、携帯情報端末(「PDA」)、ワイヤレス接続能力を有するハンドヘルドデバイス、またはワイヤレスモデムに接続された何らかの他の好適な処理デバイスを備え得る。従って、本明細書で教示される1つまたは複数の態様は、電話(例えば、セルラフォンまたはスマートフォン)、コンピュータ(例えば、ラップトップ)、ポータブル通信デバイス、ヘッドセット、ポータブルコンピューティングデバイス(例えば、携帯情報端末)、エンターテインメントデバイス(例えば、音楽またはビデオデバイス、あるいは衛星ラジオ)、ゲーム用デバイスまたはシステム、全地球測位システムデバイス、ノードB(基地局)、あるいはワイヤレス媒体を介して通信するように構成されたその他任意の好適なデバイスに組み込まれ得る。
[0037] 本明細書で説明される技法は、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、空間分割多元接続(SDMA)、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交FDMA(OFDMA)ネットワーク、シングルキャリアFDMA(SC−FDMA)ネットワークなどのような、様々なワイヤレス通信ネットワークのために使用され得る。「ネットワーク」および「システム」という用語は、しばしば交換可能に用いられる。CDMAネットワークは、ユニバーサル地上無線アクセス(UTRA)、cdma2000などのような無線技術を実現し得る。UTRAは、広帯域CDMA(W−CDMA(登録商標))および低チップレート(LCR)を含む。cdma2000は、IS−2000、IS−95、およびIS−856規格をカバーする。SDMAシステムは、複数のユーザ端末に属するデータを同時に送信するために、十分に異なる方向を利用し得る。TDMAネットワークは、モバイル通信のためのグローバルシステム(GSM(登録商標))などの無線技術を実現し得る。OFDMAネットワークは、発展型UTRA(E−UTRA)、IEEE802.11、IEEE802.16、IEEE802.20、Flash−OFDMなどのような無線技術を実現し得る。UTRA、E−UTRA、およびGSMは、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)の一部である。ロングタームエボリューション(LTE(登録商標))は、E−UTRAを使用するUMTSのリリースである。UTRA、E−UTRA、GSM、UMTS、およびLTEは、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP(登録商標))という名称の団体からの文書に説明されている。cdma2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)という名称の団体からの文書に説明されている。これらの様々な無線技術および規格は、当該技術分野において周知である。
[0038] 図1は、AP104とSTA106a〜dとを有する多元接続多入力多出力(MIMO)システム100を例示する図である。簡潔さのために、1つのAP104のみが図1に示される。しかしながら、多元接続MIMOシステム100は、単一のAP104に限定されず、複数のAP104を含み得る。
[0039] 上記で説明されたように、AP104は、STA106a〜d(本明細書では、総称して「STA106」または個々に「STA106」とも呼ばれる)と通信する。STA106は、基地局としてまたは何らかの他の専門用語を使用して呼ばれることもある。また、上記で説明されたように、STA106は、固定またはモバイルであり得、ユーザ端末、モバイル局、ワイヤレスデバイスとして、または何らかの他の専門用語を使用して呼ばれることもある。
[0040] AP104は、通信リンク110を介して任意の所与の瞬間に1つまたは複数のSTA106と通信し得る。通信リンク110は、双方向であり得る。例えば、通信リンク110は、ダウンリンク(DL)およびアップリンク(UL)を含み得る。ダウンリンクは、AP104からSTA106のうちの1つまたは複数への送信を促進する。アップリンクは、STA106のうちの1つまたは複数からAP104への送信を促進する。
[0041] 代替として、通信リンク110のダウンリンクは、順方向リンクまたは順方向チャネルと呼ばれ得、通信リンク110のアップリンクは、逆方向リンクまたは逆方向チャネルと呼ばれ得る。STA106は、追加または代替として、別のSTA106とピアツーピアで通信し得る。
[0042] AP104は、基地局として機能し、基本サービスエリア(BSA)においてワイヤレス通信カバレッジを提供し得る。AP104は、AP104にアソシエートされおよび通信のためにAP104を使用するSTA106とともに、基本サービスセット(BSS)102と呼ばれ得る。ワイヤレス通信システム100は、中央AP104を有さないことがあり得、むしろSTA106間のピアツーピアネットワーク(例えば、TDLS、WiFi−Direct)として機能し得ることに留意されたい。従って、本明細書で説明されるAP104の機能は、代替としてSTA106のうちの1つまたは複数によって行われ得る。
[0043] 以下の開示の一部は、上記で説明された通信ネットワークのうちの任意のもの(例えば、SDMA)を介して通信することが可能なSTA106を説明する。従って、このような態様では、AP104は、SDMA STAおよび非SDMA STAの両方と通信するように構成され得る。このアプローチは、好都合なことに、SDMAをサポートしないより古いバージョンのSTA(例えば、「レガシー」STA)が事業展開され続けることを可能にし得、それらの耐用寿命を延長するとともに、より新しいSDMA STAが適宜導入されることを可能にする。
[0044] MIMOシステム100は、通信リンク110のダウンリンクおよび/またはアップリンク上でのデータ送信のために、複数の送信アンテナおよび複数の受信アンテナを用い得る。例えば、AP104は、N個のアンテナを装備し得、ダウンリンク送信については多入力(MI)およびアップリンク送信については多出力(MO)を表す。K個の選択されたSTA106のセットは、ダウンリンク送信については多出力およびアップリンク送信については多入力を集合的に表す。純粋なSDMAでは、K個のSTA106のためのデータシンボルストリームが、何らかの手段によってコード、周波数、または時間において多重化されていない場合、N≦K≦1であることが望ましくあり得る。データシンボルストリームが、TDMA技法、CDMAを用いた異なるコードチャネル、OFDMを用いたサブバンドの互いに素なセットなどを使用して多重化され得る場合、Kは、Nより大きくなり得る。各選択されたSTA106は、AP104にユーザ固有のデータを送信し、および/または、AP104からユーザ固有のデータを受信し得る。一般に、各選択されたSTA106は、1つまたは複数のアンテナ(すなわち、M≧1)を装備し得る。K個の選択されたSTA106は、同じ数のアンテナを有し得、あるいは1つまたは複数のSTA106は、他のSTA106またはAP104とは異なる数のアンテナを有し得る。
[0045] MIMOシステム100は、時分割複信(TDD)システムまたは周波数分割複信(FDD)システムであり得る。TDDシステムでは、ダウンリンクおよびアップリンクは、同じ周波数帯域を共有する。FDDシステムでは、ダウンリンクおよびアップリンクは、異なる周波数帯域を使用する。MIMOシステム100はまた、送信のために単一のキャリアまたは複数のキャリアを利用し得る。各STA106は、(例えば、コストを抑えるために)単一のアンテナまたは(例えば、追加のコストがサポートされ得る場合)複数のアンテナを装備し得る。送信/受信を異なるタイムスロットに分割することによってSTA106が同じ周波数チャネルを共有する場合、MIMOシステム100はまた、TDMAシステムであり得、ここで、各タイムスロットは、異なるSTA106に割り当てられ得る。
[0046] 図2は、ワイヤレス通信システム100内で用いられ得るワイヤレスデバイス202において利用され得る様々なコンポーネントを例示する。ワイヤレスデバイス202は、本明細書で説明される様々な方法を実現するように構成され得るデバイスの例である。ワイヤレスデバイス202は、AP104またはSTA106の一方または両方を実現し得る。
[0047] ワイヤレスデバイス202は、ワイヤレスデバイス202の動作を制御する電子ハードウェアプロセッサ(「プロセッサ」とも呼ばれる)204を含み得る。プロセッサ204は、中央処理ユニット(CPU)とも呼ばれ得る。読取専用メモリ(ROM)とランダムアクセスメモリ(RAM)の両方を含み得るメモリ206は、プロセッサ204に命令およびデータを提供する。メモリ206の一部分はまた、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)を含み得る。プロセッサ204は、メモリ206内に記憶されたプログラム命令に基づいて、論理演算および算術演算を行い得る。メモリ206における命令は、本明細書で説明される方法を実現するように実行可能であり得る。
[0048] プロセッサ204は、1つまたは複数の電子ハードウェアプロセッサで実現される処理システムのコンポーネントであり得るか、またはそれを備え得る。本明細書で開示される態様に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、処理システム、集積回路(「IC」)、アクセス端末、ワイヤレスデバイス202、またはアクセスポイント内で実現されるか、あるいはこれらによって実行され得る。処理システムは、1つまたは複数のICを使用して実現さ得るか、あるいは(例えば、システムオンチップの一部として)IC内で実現され得る。ICは、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理回路、ディスクリートハードウェアコンポーネント、電気コンポーネント、光学コンポーネント、機械コンポーネント、または本明細書で説明される機能を実行するように設計された、これらの任意の組合せを備え得、IC内、IC外、またはその両方に存在する命令またはコードを実行し得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、このプロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシン(state machine)であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいはその他任意のこのような構成として実現され得る。
[0049] 処理システムはまた、ソフトウェアを記憶するための機械可読媒体を含み得る。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはその他の名称で呼ばれるかにかかわらず、任意のタイプの命令を意味するように広く解釈されるべきである。命令は、(例えば、ソースコードフォーマット、バイナリコードフォーマット、実行可能コードフォーマット、またはその他任意の好適なコードのフォーマットにおける)コードを含み得る。命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、処理システムに、本明細書で説明される様々な機能を行わせる。
[0050] 1つまたは複数のプロセッサは、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、コントローラ、ステートマシン、ゲートロジック(gated logic)、ディスクリートハードウェアコンポーネント、専用ハードウェア有限ステートマシン、または情報の計算もしくは他の操作を行い得るその他任意の好適なエンティティの任意の組合せで実現され得る。
[0051] ワイヤレスデバイス202はまた、ワイヤレスデバイス202と、リモートロケーションおよび/またはデバイスとの間のデータの送信および受信を可能にするために、送信機210および受信機212を含み得るハウジング208を含み得る。送信機210および受信機212は、トランシーバ214に組み合わされ得る。単一または複数のトランシーバアンテナ216が、ハウジング208に取り付けられ、トランシーバ214に電気的に結合され得る。ワイヤレスデバイス202はまた、当業者によって理解されるように、複数の送信機、複数の受信機、および複数のトランシーバを含み得る。
[0052] ワイヤレスデバイス202はまた、トランシーバ214によって受信された信号のレベルを検出および定量化する試みにおいて使用され得る信号検出器218を含み得る。信号検出器218は、このような信号を、総エネルギー、シンボルごとのサブキャリア当たりのエネルギー(energy per subcarrier per symbol)、電力スペクトル密度、および他の信号として検出し得る。
[0053] ワイヤレスデバイス202はまた、信号を処理する際に使用するためのデジタルシグナルプロセッサ(DSP)220を含み得る。いくつかの態様では、ワイヤレスデバイスはまた、ユーザインターフェースコンポーネント222、セルラモデム234、およびワイヤレスLAN(WLAN)モデム238のうちの1つまたは複数を含み得る。セルラモデム234は、CDMA、GPRS、GSM、UTMS、または他のセルラネットワーキング技術などのセルラ技術を使用して通信を提供し得る。WLANモデム238は、IEEE802.11プロトコル規格のうちの任意のものなどの、1つまたは複数のWiFi技術を使用して通信を提供し得る。
[0054] ワイヤレスデバイス202の様々なコンポーネントは、バス226によって共に結合され得、これは、データバスに加えて、電力バス、制御信号バス、およびステータス信号バスを含み得る。
[0055] ある特定の実施形態では、ワイヤレスデバイス202の少なくともプロセッサ204および/またはバス226は、インターフェースを備える。本明細書で使用される場合、インターフェースという用語は、ワイヤレスデバイス202の2つ以上のコンポーネントを共に接続するように構成されたハードウェアまたはソフトウェアを指し得る。例えば、インターフェースは、プロセッサ204またはバス226の一部であり得、ワイヤレスデバイス202の2つ以上のコンポーネント間の情報またはデータの通信を可能にするように構成され得る。インターフェースは、チップまたは他のデバイスに組み込まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、インターフェースは、アンテナ216などのデバイスまたは別のデバイスからの情報または通信を受信するように構成された受信機212の少なくとも一部分を備え得る。(例えば、プロセッサ204またはバス226の)インターフェースは、ワイヤレスデバイス202のフロントエンドまたは別のデバイスによって処理された情報またはデータを受信し得、または受信された情報を処理し得る。いくつかの実施形態では、インターフェースは、アンテナ216または別のデバイスに情報またはデータを送信または通信するように構成された送信機210を備え得る。従って、インターフェースは、(例えば、バス226を介して)送信のために出力するための情報またはデータを準備し得、または情報またはデータを送信し得る。
[0056] 本開示のある特定の態様が、STA106のうちの1つまたは複数とAP104との間でUL信号またはDL信号を送信することをサポートする。いくつかの実施形態では、信号は、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)システムにおいて送信され得る。代替として、信号は、マルチユーザFDMA(MU−FDMA)または同様のFDMAシステムにおいて送信され得る。
[0057] 図3は、通信システム300の4つの基本サービスセット(BSS)302a〜dを示す。各BSSは、それぞれアクセスポイント104a〜dを含む。各アクセスポイント104a〜dは、そのそれぞれのBSS302a〜d内の少なくとも2つの局にアソシエートされる。AP104aは、STA106a〜bにアソシエートされる。AP104bは、STA106c〜dにアソシエートされる。AP104cは、STA106e〜fにアソシエートされる。AP104dは、STA106g〜hにアソシエートされる。STA106にアソシエートされたAP104は、本開示全体にわたってSTAのためのBSS APと呼ばれ得る。同様に、特定のSTA106とのアソシエーションがないAP104は、本開示全体にわたってSTAのためのOBSS APと呼ばれ得る。AP104と1つまたは複数のSTA106との間のアソシエーションは、AP104とそのアソシエートされたSTA106とによって定義される基本サービスセット(BSS)内のデバイス間の通信の協調を部分的に提供する。例えば、各BSS内のデバイスは、互いに信号を交換し得る。これら信号は、APのBSS302a〜d内のそれぞれのAP104a〜dおよび局からの送信を協調させるように機能し得る。
[0058] AP104a〜dおよびSTA106a〜hを含む、図3に示されるデバイスはまた、ワイヤレス媒体を共有する。ワイヤレス媒体の共有は、いくつかの態様では、衝突検出機能付きキャリア感知媒体アクセス(CSMA/CD:carrier sense media access with collision detection)の使用を介して促進される。開示される実施形態は、既知のシステムと比較して、BSS302a〜dが同時に通信するための能力の向上を提供する、CSMA/CDの修正されたバージョンを提供し得る。
[0059] BSS302a〜d内の局106a〜hは、それらのそれぞれのBSSの外部(OBSS)にある他のAP104および/またはSTA106に対するそれらの位置に少なくとも部分的に基づいて、それらのアソシエートされたAPからの送信を受信するための異なる能力を有し得る。例えば、局106a、106d、106e、および106hは、OBSS AP104から相対的に遠く(relatively far)に位置するので、これらの局は、OBSS AP104またはSTA106が送信しているときでさえも、それらのそれぞれのBSS AP104からの送信を受信する能力を有し得る。このような受信特性を有する局は、本開示全体にわたって再使用STA(Reuse STAs)と呼ばれ得る。再使用STAは、OBSS AP104との十分な信号対雑音比(SINR)を有し得るので、それらは、ヌリングされる(nulled)必要なしに、他のSTA106および/またはAP104と通信し得る。
[0060] 対照的に、STA106b、106c、106f、および106gは、OBSS AP104に相対的に近い位置に例示される。従って、これらの局は、干渉により、OBSS AP104および/またはOBSS STA106からの送信中に、それらのBSS AP104からの送信を受信する低下した能力を有する場合がある。このような受信特性を有する局は、本開示全体にわたって非再使用またはエッジSTA106と呼ばれ得る。
[0061] 非再使用STAは、OBSS AP104との不十分な信号対雑音比(SINR)を有し得、OBSS AP104が関与する(involving)通信が行われている間、他のSTA106および/またはAP104と通信するために、それらがヌリングされることを必要とする。いくつかの態様では、開示される方法およびシステムは、非再使用STA106が、他のAPおよびSTAなどの他のOBSSデバイスもワイヤレス媒体上で通信している間に、同時並行に通信するための改善された能力を提供し得る。
[0062] 図4は、図3の通信システム300でワイヤレス媒体を調停する(arbitrating)ための3つの例示的なアプローチ400を示す。アプローチ405は、単一BSSマルチユーザ送信を行うために、キャリア感知媒体アクセス(CSMA)を利用する。例えば、送信420a〜dの各々は、それぞれ図3のBSS302a、302c、302b、302dによって行われ得る。アプローチ405における従来のCSMAの使用は、媒体が任意の時点において1つのBSS302のみによって利用されること引き起こす。
[0063] アプローチ410は、協調ビームフォーミング(COBF)を利用する。協調ビームフォーミングアプローチ410では、AP104a〜dは、それらのそれぞれのBSS302a〜d間での送信を協調させ得る。いくつかの態様では、この協調は、ワイヤレス媒体上で、またはいくつかの態様では、バックホールネットワーク上で行われ得る。これらの態様では、バックホールネットワーク上の協調トラフィックが、ワイヤレス媒体の改善された利用のために提供される。
[0064] このアプローチでは、異なるBSSについての再使用STA106a、106d、106e、および106hが、同時並行にデータを送信または受信するようにスケジュールされ得る。例えば、STA106aとAP104aとの間の通信チャネルの相対強度は、これらの2つのデバイスが、例えば、AP104bおよびSTA106dなどの、OBSSデバイスとの通信と同時に、データを交換することを可能にし得る。
[0065] 加えて、アプローチ410は、非再使用STA106b、106c、106f、および106gが、OBSSデバイスと同時並行に送信のためにスケジュールされることを可能にする。例えば、BSS302a内にあるSTA106bは、BSS302dのAP104dとSTA106hとの間の通信と同時に通信するようにスケジュールされ得る。非再使用STA(STA106bなど)と、例えば、AP104dとの間のこのような同時通信は、AP104dのSTA106hへの送信と同時に、STA106bに信号を送信するようにAP104dをスケジュールすることによって促進され得る。例えば、AP104dは、STA106bへの支配的な干渉信号に対してヌル信号を送信し得る。従って、STA106hに第1の信号を送信している間、AP104dは、STA106bに第1の信号をヌリングする信号を同時に送信し得る。AP104dによるこのような同時送信は、送信の各々について、AP104dによって提供される複数のアンテナのうちの(1つまたは複数の)個々のアンテナを選択することによって提供され得る。このようなヌリングは、さもなければ非再使用のSTAのための再使用機会を作り得る。COBFは、AP104がそれぞれの周波数をヌリングして、DL方向とUL方向の両方で動作し得る。
[0066] アプローチ415は、図3のBSS302a〜d内のAP104a〜dにわたる例示的なジョイントマルチユーザ通信または分散型MIMO通信を示す。このジョイントMIMOアプローチ415では、AP104a〜dのクラスタなどの複数のAPが、同時にN個の1−SS STAをサービスし得、ここで、Nは、クラスタ内の全てのAPにわたるアンテナの総数の約3/4である。
[0067] 分散型MIMO通信は、クラスタ内の局106に送信するように、クラスタ内の複数のAP104にわたるアンテナの集合を協調させ得る。従って、従来のMIMO方法が、単一のBSS内の送信アンテナを、そのBSS内の局に割り振る一方で、分散型MIMOは、BSS内の局との通信を促進するために、BSS外の送信アンテナの割り振りを提供する。
[0068] 分散型MIMO通信では、1つのBSSにおける局は、別の異なるBSSにおける1つまたは複数のアクセスポイントと通信し得る。従って、例えば、図3のBSS302aの局106aは、BSS302d内にあるアクセスポイント104dと通信し得る。この通信は、STA106aと、STA106aのBSS APであるAP104aとの間の通信と同時に行われ得る。アップリンク分散型MIMO通信のいくつかの態様では、STA106aは、AP104dと同時に、AP104aへの1つまたは複数のアップリンク通信を実施し得る。代替として、ダウンリンク分散型MIMO通信は、AP104dからSTA106aへの送信と同時に、AP104aがSTA106aにデータを送信することを含み得る。
[0069] 従って、分散型実施形態のうちの1つまたは複数は、多地点協調(CoMP:Cooperative Multipoint、例えば、ネットワークMIMO(N−MIMO)、分散型MIMO(D−MIMO)、または協調MIMO(Co−MIMO)などとも呼ばれる)送信の形でMIMOを利用し得、ここで、複数の対応する基本サービスセットを維持する複数のアクセスポイントは、1つまたは複数のSTA106とのそれぞれの協調通信またはジョイント通信を実施し得る。STAとAPとの間のCoMP通信は、例えば、ジョイント処理スキームを利用し得、ここで、局にアソシエートされたアクセスポイント(BSS AP)と、局にアソシエートされていないアクセスポイント(OBSS AP)とが、STAにダウンリンクデータを送信することおよび/またはSTAからアップリンクデータをジョイント受信すること(jointly receiving)に従事するように協調する。追加または代替として、1つのSTAと複数のアクセスポイントとの間でのCoMP通信は、協調ビームフォーミングを利用し得、ここで、BSS APおよびOBSS APは、OBSS APが、BSS APおよび、いくつかの態様では、そのアソシエートされた局の少なくとも一部から逸らした送信(transmission away from)のために空間ビームを形成するように協調し得、それによって、BSS APが低減された干渉でそのアソシエートされた局のうちの1つまたは複数と通信することを可能にする。
[0070] 協調ビームフォーミングアプローチ410またはジョイントMIMOアプローチ415を促進するために、アクセスポイントとOBSSデバイスとの間のチャネル状態を理解することは、ワイヤレス通信効率の向上を提供し得る。
[0071] 図5は、例示的な分散型MIMOワイヤレス通信システムの複数の基本サービスセット(BSS)302を概略的に例示する。図5の各六角形は、図3に関連して説明されたように、総称して基本サービスセット(BSS)302と呼ばれる、アクセスポイントおよびアソシエートされた局を表す。個々のBSS302は、本明細書で説明されるある特定の実施形態に従って、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)にグループ化される。
[0072] 図5によって概略的に例示される例では、第1のクラスタ(C1)が、4つのBSS302を備え、第2のクラスタ(C2)が、4つのBSS302を備え、および第3のクラスタ(C3)が、4つのBSS302を備える。ある特定の他の実施形態では、クラスタは、2、3、4、5、または任意の数のBSS302を備え得、ワイヤレス通信システムは、1つまたは複数のクラスタ(例えば、2、3、4、5、またはその他の数のクラスタ)を備え得る。
[0073] 開示される態様のうちの少なくともいくつかでは、図3からのAP104a〜dのうちの2つ以上が、図5に例示されるクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)などの、クラスタまたはクラスタの一部分を形成するためにネゴシエートし得る。ある特定の実施形態では、クラスタ(C1)は、BSS302a〜dを備える。他の態様では、クラスタ構成は、マニュアル構成を介して定義され得る。例えば、各AP104は、AP104が1つまたは複数のクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)の一部であるかどうかを示す構成パラメータと、そうである場合には、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)についてのクラスタ識別子とを維持し得る。いくつかの態様では、構成はまた、AP104がクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)のためのコントローラ510であるかどうかを示し得る。例えば、ある特定の実施形態では、クラスタ(C1)のBSS302aのAP104aは、クラスタ(C1)のコントローラ510として構成される。
[0074] 本明細書で開示される実施形態のうちのいくつかでは、コントローラ510は、クラスタ(C1)の一部ではあるがコントローラ510ではないAP104とは異なる機能を引き受け得る。従って、いくつかの態様では、AP104a〜dのうちの2つ以上が、同じクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)に含まれ得る。それらのAP104にアソシエートされたSTA106もまた、それらがアソシエートされたAP104のクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)に含まれるか、またはその一部であると見なされ得る。従って、いくつかの態様では、上記に例示されたSTA106a〜hは、同じのクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)の一部であり得る。
[0075] AP104のクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)は、それら自体とそれらのアソシエートされたAP104との間の送信を協調させ得る。いくつかの態様では、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)は、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)を構成している(comprising)AP104のグループを一意に識別するクラスタ識別子値または番号を介して識別され得る。いくつかの態様では、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)におけるAP104のうちの任意のものとのSTA106のアソシエーション中に、クラスタ識別子値は、例えば、アソシエーション応答メッセージ中で、アソシエーション中にSTA106に送信される。その後、STA106は、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)内での通信を協調させるために、クラスタ識別子値を利用し得る。例えば、ワイヤレスネットワーク上で送信される1つたは複数のメッセージは、受信STA106が、メッセージがSTA106にアドレス指定されているか否かを決定するために使用し得るクラスタ識別子値を含み得る。
[0076] いくつかの実施形態では、AP104のクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)はまた、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)内のSTA106を識別するために様々な方法を利用し得る。例えば、アソシエーション識別子(AID:association identifiers)を生成する既知の方法は、AP104にわたって一意性(uniqueness)を提供しない場合があるので、いくつかの態様では、媒体アクセス制御(MAC)アドレスが、必要に応じてSTA106を識別するために利用され得る。例えば、STA106を識別するためにアソシエーション識別子を利用するユーザ情報フィールドを含む既知のメッセージが、開示される実施形態では、局のMACアドレスから導出されたデータを含むように修正され得る。代替として、アソシエーション識別子を生成する方法は、AP104のクラスタ(C1)、(C2)、および(C3)内での一意性を保証するように修正され得る。例えば、アソシエーション識別子の一部分は、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)内のAP104を一意に識別し得る。アクセスポイント104にアソシエートされた局は、一意の識別を含むアソシエーション識別子を割り当てられることになる。これは、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)内のアクセスポイントにわたって一意のアソシエーション識別子を提供する。いくつかの他の態様では、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)内のアソシエーション識別子は、クラスタ識別子を含み得る。これは、通信の将来のクラスタ間協調(future cross-cluster coordination of communication)を促進するために、クラスタにわたって一意性を提供し得る。
[0077] ある特定の実施形態では、分散型MIMO通信を行うために、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)の2つ以上のBSS302内のデバイスは、同時に単一のチャネル上で送信し得る(例えば、単一のチャネルを介して同時にBSSの複数のAP104からデータを送信するか、または異なるBSSにおける複数の局から同時に単一のAPにデータを送信する)。いくつかの態様では、集中型スケジューラが、クラスタ(C1)、(C2)、および(C3)にわたって送信を協調させ得る。例えば、協調は、ジョイントMIMO通信を行うために、複数のBSSからどのデバイスが同時に送信することになるかを選択することを含み得る。
[0078] 欧州電気通信標準化機構(ETSI)規制の下では、ワイヤレス通信システムは、一般に、ワイヤレスネットワークへのアクセスを許可する前に、クリアチャネルアセスメント(CCA)またはリッスンビフォアトーク(LBT)を利用するように義務付けられている。一般に、2つの異なるアクセスモードが、このようなワイヤレス通信システムにおいて許可される:「フレームベースの」アクセスモードおよび「負荷ベースの(load-based)」アクセスモード。アンライセンススペクトルにおいて協調アクセスを利用するためには、ワイヤレスネットワーク上のデバイスが、ワイヤレスネットワーク上の他のデバイスに対してLBTを履行しながら、同一ネットワーク遅延(same-network deferral)を無視するための安全なまたは許可されたメカニズムを使用することが一般的に望ましい。同様の問題が、固定されたフレーム構造に縛られたライセンス支援アクセス(LAA:licensed assisted access)システムでも生じる。しかしながら、(例えば、WiFiなどの)固定されたフレーム構造に縛られないワイヤレス通信システムでは、より柔軟なおよび/または効率的な解決策が使用され得る。本明細書で説明されるある特定の実施形態は、有利には、強制的な衝突(forced collision)と見なされ得る、物理レイヤコンバージェンスプロシージャ(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)開始時間を同期させることによって、再使用を可能にする方法(例えば、ヌリングされる必要なしに同時にサービスすることが可能な局)を提供する。ある特定のこのような実施形態では、エネルギー検出(ED)または電力検出(PD)動作が、(例えば、CCAタイミングおよび同期のための要件を定義する標準を有する)フレームの開始時に同じワイヤレスネットワーク内でトリガしないように、タイミングスキームが構成される。
[0079] 図6は、図4の分散型MIMOワイヤレス通信システム400のダウンリンク協調ビームフォーミング(COBF)送信機会600における例示的な通信オプションを概略的に例示する。送信機会600は、1つまたは複数のAP104が互いにおよびそれらのBSS302a〜dの対応するSTA106と通信し得る、3つの異なるフェーズを備え得る。BSS302a〜dのAP104の各々は、ワイヤレス通信システム400内の送信の制御を申請(apply for)または要求し得る。その後、勝者(winning)AP104が、図6に示されるように、送信機会600を制御し得る。いくつかの実施形態では、勝者APは、AP104aであり得る。AP104aが送信機会600の制御を勝ち取った後、AP104aは、3つのフェーズにわたって、取得された送信機会600においてDL COBF送信を開始し得る。送信機会600がDL COBF送信に関連する一方で、本明細書の説明は、送信機会において生じ得る任意のタイプの通信に関係し得る。
[0080] 第1のフェーズ602は、候補STA識別期間に対応し得る。第1のフェーズ602中、勝者AP(例えば、AP104a)は、OBSS AP104(例えば、AP104a以外の他のBSS302のためのAP)を、バッファリングされたDLデータを有するそれらの候補STA106について、ポーリングし得る。受信された情報および/または識別に基づいて、勝者APであるAP104aは、どのSTA106が送信機会600中に通信のためにスケジュールされるべきかを決定し得る。第2のフェーズ604は、マルチBSS302サウンディング期間に対応し得る。第2のフェーズ604中に、勝者AP104aは、その間に各協働する(collaborating)AP104(例えば、送信機会600中に通信するように意図されるAP104の各々)が、スケジュールされたBSS STA106およびOBSS非再使用STA106を識別する、マルチBSS302サウンディングを調整し得る。例えば、これは、AP104とSTA106との間の通信のための信号強度または他のメトリクス(例えば、AP104のビーコンRSSI)を備え得る。第3のフェーズ606は、DL COBF送信期間に対応し得る。第3のフェーズ606中、協働するAP104の各々は、OBSS非再使用STA106をヌリングしながら、それらのスケジュールされたBSS STA106のためのDL COBF送信を同時に開始し得る。例えば、図3を参照すると、AP104cは、OBSS非再使用STA106b、106f、および106gをヌリングしながら、STA106cおよび106dにDL COBF送信を送信し得る。AP104a、104b、および104dは、同様に動作し得る。いくつかの実施形態では、第1のフェーズ602および第2のフェーズ604は、AP104が、バッファリングされたDLデータを有する候補STA106の知識をすでに有している場合、および/または、AP104とSTA106との間の通信のメトリクスの詳細が知られているとき、必要とされない場合がある。
[0081] 第1のフェーズ602中、AP104aは、OBSS AP104(例えば、AP104b〜104d)に向けられたトリガメッセージまたはフレーム610を送信し得る。いくつかの実施形態では、AP104aは、選択されたAP104のみにトリガフレーム610を送信し得る。トリガフレーム610は、トリガフレーム610を受信するAP104の各々について存在する候補STA106を決定するために、OBSS AP104に送信され得る。候補STA106は、送信機会600中にデータが送信されることになるSTAを備え得る。トリガフレーム610において、AP104aは、どの1つまたは複数のOBSS AP104が送信機会600への参加のために選択されるか(例えば、AP104bおよびAP104c)を示し得る。いくつかの実施形態では、トリガフレーム610はまた、AP104a BSS302aの非再使用STA106(例えば、STA106b)の識別を含む。いくつかの実施形態では、トリガフレーム610はまた、AP104aの非再使用および再使用STAをスケジューリングした後に残ったAP104aの次元(dimensions)の識別を含む。
[0082] また、第1のフェーズ602中に、AP104bおよび104cは、高効率トリガベースのPPDUの形態で、それらのそれぞれの報告611をAP104aの元に送信し得る。いくつかの実施形態では、これらの報告611は、AP104bおよび104cの各々についての候補非再使用STA106を示す。いくつかの実施形態では、AP104bおよび104cの各々の空間ストリームの総数(NSS)は、AP104aの残りの次元を超えない。
[0083] 報告611を受信した後、AP104aは、送信機会600中に送信を受信することになるSTA106のためのスケジュールを決定し得る。いくつかの実施形態では、AP104aは、AP104aとともにBSS302aに属する非再使用および再使用STA106を最初にスケジュールし得る。一旦BSS302aのSTA106がスケジュールされると、AP104aは、スケジュールされたSTA106の総必要次元(total required dimension)がAP104a〜cの総次元未満である場合、OBSS非再使用STA106をシーケンシャルに追加し得る。これは、各非再使用STAが、各AP104a〜cについて1つの(1)次元を要すると仮定し得る。
[0084] 第2のフェーズ604中、AP104aは、選択されたOBSS AP104b〜cへの通信615において、ヌルデータパケットおよびトリガフレームとともに、ヌルデータパケット告知(NDPA:null data packet announcement)およびスケジューリングフレームを送信し得る。通信615のNDPAおよびスケジューリングフレームは、全てのAP104a〜cのスケジュールされた非再使用STA106と、各OBSS AP104b〜cについてのNDPA開始時間とを示し得る。いくつかの実施形態では、通信615は、STA106に送信され得、STA106は、通信615に応答して、AP104aにビームフォーミング報告(BFRP)フレーム616をそれぞれ送信し得る。また、第2のフェーズ604中、AP104bは、通信617において、NDPA、ヌルデータパケット(NDP)、およびトリガフレームを送信し得る。同様に、AP104cは、通信619において、NDPA、NDP、およびトリガフレームを送信し得る。通信617および619は、各AP104bおよび104cが、AP104のBSS302に属する全ての非再使用STA106および再使用STA106からのBFRPフレームをスケジュールおよび請求することを可能にし得る。STA106の各々は、通信617に対してはBFRPフレーム618および通信619に対してはBFRPフレーム620を用いて応答し得る。
[0085] 第3のフェーズ606中、AP104aは、OBSS AP104bおよび104cにトリガフレーム625を送る。トリガフレーム625は、DL COBF送信の開始を示し得る。一旦トリガフレーム625がAP104aによって送信され、一旦OBSS AP104bおよび104cがトリガフレーム625を受信すると、AP104a〜cの各々は、OBSS非再使用STA106を同時にヌリングしながら、それらのそれぞれのスケジュールされた非再使用STA106に、それらのDL COBF送信626を送信し得る。いくつかの実施形態では、各AP104a〜cは、AP104が利用可能な次元を有する場合、その再使用STA106を、DL COBF送信626の中に加えるか、またはそれに追加し得る。いくつかの実施形態では、ULブロック確認応答627のためのリソースユニットは、通信615、617、および/または619のうちの1つまたは複数のNDPAおよびスケジューリングフレーム中で示され得る。
[0086] 図7Aは、本明細書で説明されるある特定の実施形態による、協調ビームフォーミング(COBF)が、アクセスポイント(AP)104a〜bによって、対応する基本サービスセット(BSS)302a〜bに属する局(STA)106a〜dと通信するために使用され得る、例となる多元接続MIMOワイヤレス通信システム700を概略的に例示する。図7Aに例示されるAP104、STA106、およびBSS302は、図3に例示されたAP104、STA106、およびBSS302と同じ機能を有し、それらは、図3に例示されたように互いにアソシエートされていないが、代わりに、図7Aを説明するのを簡単にするために、図7Aに例示されるようにアソシエートされる。
[0087] AP104a〜b(本明細書では、総称して「AP104」または個々に「AP104」とも呼ばれる)は、STA106a〜d(本明細書では、総称して「STA106」または個々に「STA106」とも呼ばれる)と通信する。AP104は、基地局としてまたは何らかの他の専門用語を使用して呼ばれることもある。また、上記で説明されたように、STA106は、固定またはモバイルであり得、ユーザ端末、モバイル局、ワイヤレスデバイスとして、または何らかの他の専門用語を使用して呼ばれることもある。
[0088] AP104a〜bは、基地局として機能し、対応する基本サービスエリア(BSA)においてワイヤレス通信カバレッジを提供し得る。AP104aは、AP104aにアソシエートされおよび通信のためにAP104aを使用するSTA106a〜bとともに、基本サービスセット(BSS)302aと呼ばれ得る。AP104bは、AP104bにアソシエートされおよび通信のためにAP104bを使用するSTA106c〜dとともに、基本サービスセット(BSS)302bと呼ばれ得る。ワイヤレス通信システム700は、中央AP104を有さないことがあり得、むしろSTA106間のピアツーピアネットワーク(例えば、TDLS、WiFi−Direct)として機能し得ることに留意されたい。従って、本明細書で説明されるAP104a〜bの機能は、代替としてSTA106のうちの1つまたは複数によって行われ得る。
[0089] AP104a〜bは、通信リンク110を介して任意の所与の瞬間に1つまたは複数のSTA106と通信し得る。1つの例示的な通信リンク110aは、AP104aと、BSS302aのそのアソシエートされたSTA106aおよび106bのうちの1つまたは複数との間の送信を促進し得る。図7Aに示されるように、BSS STA106へのデータ送信は、AP104aとSTA106a〜bおよびAP104bとSTA106c〜dの間の実線として示され、一方、OBSS STAへのステアリングされたヌル送信705は、AP104aとSTA106c〜dおよびAP104bとSTA106a〜bの間の破線として示される。
[0090] 従って、各AP104a〜bは、OBSS(またはアソシエートされていない)STA106a〜dをヌリングしながら、対応するBSS(またはアソシエートされた)STA106a〜dと同時に通信するために、協調ビームフォーミングを使用し得る。協調ビームフォーミングは、AP104a〜bが、OBSS STA106との干渉を引き起こすことなく、それぞれのBSS STA106にデータを同時に送信することを可能にし得る。従って、システム700では、特定のSTA106のための送信は、単一のAP104からのみ送信されるとともに、STA106は、OBSS AP104からはヌルのみを受信する。
[0091] 図7Bは、本明細書で説明されるある特定の実施形態による、COBFが、AP104によって、それら自体のおよび他のBSS302に属するSTA106と通信するために使用され得る、例となるジョイント送信多元接続MIMOワイヤレス通信システム750を概略的に例示する。図7Aに関連して本明細書で説明されたものと同様のコンポーネントおよび通信は、ここでは再度説明されない。
[0092] 図7Aに関連して説明されたように、AP104a〜bは、通信リンク110を介して任意の所与の瞬間に1つまたは複数のSTA106と通信し得る。しかしながら、図7AのAP104a〜bに反して、AP104a〜bの両方が、単一のSTA106(例えば、STA106a)にデータを送信するように構成され得る。図7Bに示されるように、STA106へのデータ送信は、AP104a〜bと、全てのSTA106a〜dとの間の実線として示される。図7Aに示された通信リンク110に反して、図7Bは、AP104からのOBSS STA106へのステアリングされたヌル送信705を含まない(例えば、AP104a〜dのいずれかと、STA106c〜dのうちの任意のものとの間に破線はない)。代わりに、AP104bからSTA106cおよびSTA106bへの識別された通信リンク110を含む、示される通信リンク110の全てが、AP104a〜bとSTA106a〜dとの間のデータ送信である。
[0093] AP104a〜bの各々が各STA106にデータを送信することが可能であるとき、各STA106に送信されることになるデータは、AP104a〜bのいずれかがSTA106にデータの任意の(1つまたは複数の)部分を送信し得るように、AP104a〜bの各々が利用できるようにされ得る。加えて、AP104a〜bおよびSTA106からのデータ送信を協調させることは、単一のAP104a〜bのみがSTA106にデータを送信するときよりも複雑になり得る。
[0094] 例えば、複数のAP104がSTA106にデータの一部分をそれぞれ送信しているとき、各AP104のデータ送信は、データ送信が重複(duplicated)していないこと、全てのデータが送信されること、データ送信が互いにオーバーラップ(overlap)しないことなどを保証するために、他のAP104と協調させなければならない。いくつかの実施形態では、マスタアクセスポイント(AP)104(例えば、AP104a)または外部コントローラ(例えば、中央コントローラ755)が、AP104a〜bとSTA106との間の通信を制御しおよび/または協調させる。中央コントローラ755(またはマスタAP104a)は、それ自体と、全ての通信しているAP104との間にバックホールネットワークを確立し得る。バックホールネットワークは、中央コントローラ755(またはマスタAP104a)と、通信しているAP104(例えば、AP104aおよび104b)との間のバックホールリンク755aおよび755bを備え得る。マスタAP104aがジョイント送信通信システム750を管理するとき、ジョイント送信通信システム750の残りのAP104は、スレーブアクセスポイント(AP)104であり得る。中央コントローラ755がジョイント送信通信システム750を管理するとき、ジョイント送信通信システム750の全てのAP104は、スレーブAP104であり得る。いくつかの実施形態では、ジョイント送信通信システム750において実現される中央コントローラ755は、アンテナのアレイ(例えば、全てのアソシエートされたAP104、例えば、図7BのAP104a〜bの送信機アンテナ216)上でプリコーダを利用し得る。プリコーダおよび中央コントローラ755は、AP104a〜bと、対応する送信機アンテナ216との間のタイミング同期を調整し得る。プリコーダは、AP104からSTA106への送信が、他のSTA106において強くなりすぎないことを保証し得る。協調タイミング同期は、異なるAP104a〜bが、単一の、共有の、または複数のSTA106にデータ送信をジョイント送信しているときに重要であり得る。
[0095] いくつかの実施形態では、AP104とSTA106との間のタイミング同期を調整する中央コントローラ755はまた、AP104間の同期を制御または管理し得る。STA106にデータを送信することに参加しているAP104は、ジョイント送信に参加し得る。ある特定の実施形態では、AP104とSTA106との間の効率的かつ完全なジョイント送信を可能にし、維持するために、AP104にわたる位相デルタが、トラッキングおよび/または同期される。いくつかの実施形態では、AP104の位相は、局部発振器(「LO」)の位相(度またはラジアンで測定される)に等しいか、またはそれに関連すると考えられ得る。LOの周波数が一定である(例えば、ジッタがない)場合には、LOの位相は時間とともに線形に変化する。これは、AP104ごとに生じ(occur)得る。しかしながら、異なるAP104がそれらのLOにおいてわずかに異なる周波数を有する場合には、AP104の位相は、時間とともにダイバージ(diverge)し得る。加えて、AP104の実効位相は、位相ノイズによりジッタし得、これは、各AP104について異なり得る。さらに、1つのAP104とSTA106との間の任意のタイミングオフセットは、そのAP104からSTA106へのチャネルでの周波数における位相ランプ(phase-ramp)として現れ得る。
[0096] ある特定の実施形態では、同じSTA106において、異なるAP104に対応する異なる位相ランプが存在する。このようなアレンジメント(arrangement)は、位相ランプ間の差が一定のままであるときに許容可能である。対照的に、ある特定の量を超えるAP104の相対位相における変化は、プリコーディングがもはや有効でないことをもたらし得る。AP104の位相は、AP104による送信の電力レベルを指し得る。AP104間の「相対」位相における変化は、サウンディング期間中に相対位相として測定されているものが、実際の送信時の相対位相とは異なるときに、問題を引き起こし得る。送信のためのプリコーディングは、サウンディング期間中に測定されたものに基づいて行われているで、プリコーディングは、送信中の相対位相がある一定の限度またはしきい値を超えてドリフトした場合、有効なままではない場合がある。相対位相ドリフトは、あるユーザ(one user)に向けられた信号および/または送信の強度が、別のユーザ(second user)において干渉を引き起こすほどに、この別のユーザにおいて十分に高いことをもたらし得る。プリコーディングが良好に機能しているとき、各ユーザは、そのユーザに向けられた信号および/または送信のみをとらえること(see)ができ、一方、他のユーザに向けられた信号および/または送信は、そのユーザにとって干渉を引き起こさないほどに十分に弱い。従って、デバイス間の位相(または位相デルタ)を、所与の量またはしきい値内に維持することが望ましくあり得る。
[0097] AP104によるジョイント送信を管理するとき、参加しているAP104(例えば、STA106にデータを送信しているAP104)間の位相デルタ(例えば、差分)は、本明細書で説明されるジョイント送信において問題を引き起こし得る。AP104にわたって位相デルタを維持することによって、様々な利益が実現され得る。位相デルタを維持することによって、送信は、受信デバイス間で干渉を引き起こさなくなり得る。従って、位相ドリフトがしきい値量を超えるとき、デバイス(例えば、AP104aおよび104b)は、しきい値位相ドリフト内に同期され得る。
[0098] いくつかの実施形態では、ジョイント送信に参加しているAP104の位相デルタは、分散型MIMOセッションのサウンディングおよび送信期間(例えば、図6に関連して説明されたサウンディング期間および送信期間)中、一定のレベルに維持され得る。代替または追加として、ジョイント送信に参加しているAP104の位相デルタは、周期的な位相同期を通じて、ほぼ一定のレベルまたは何らかの他のレベルに維持され得る。AP104の位相デルタが初期位相デルタから変化し始めた(例えば、位相デルタが増大または低減し始めた)場合、同期が、初期値にまたは初期値と実質的に同様の値に位相デルタを「補正する」(例えば、位相補正)ために使用され得る。
[0099] ジョイント送信では、AP104の集合アンテナ216は、単一のアンテナアレイを模倣するか、またはそれとして動作し得る。受信STA106の観点から、AP104のアンテナ216は、単一のアンテナアレイとして扱われるか、またはそのように見え得る。しかしながら、位相ドリフトまたは位相デルタドリフト(以下、「位相ドリフト」)は、AP104の集合アンテナのビューまたは「単一のアンテナアレイ」動作を混乱させ得る。具体的には、位相ドリフトがAP104およびそれらのアンテナ216の一般的な動作において生じ得る一方で、これらの位相ドリフトは、AP104の位相差を、サウンディング期間とデータ送信期間との間で変化させ得る。位相ドリフトがサウンディング期間とデータ送信期間との間でAP104の位相差を引き起こすので、AP104によるジョイント送信は、クロスユーザまたはクロスストリーム漏洩(cross user or cross stream leakage)を潜在的に導入し、AP104とSTA106との間の干渉を増大させることによって、悪影響を受ける場合がある。
[00100] 従って、このような位相ドリフトは、望ましくは、位相および/または位相ドリフトを同期させることによって、および/または、AP104にわたる相対位相オフセットを導入することにつながり得るプロトコルを回避することによって、回避または最小化され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の位相ドリフトは、AP104間の位相ドリフトおよび/または位相デルタドリフトを監視および/またはトラッキングするように構成された中央コントローラ755または同様のコンポーネントによって検出され得る。位相ドリフトが検出された場合には、中央コントローラ755は、「ドリフトしている」AP104のうちの1つまたは複数の位相を同期させ得る。このような同期は、サウンディング期間およびデータ配布期間(data distribution period)のうちの1つまたは複数の間に行われ得る。いくつかの実施形態では、同期は、例えば、データ配布期間が、(例えば、典型的なデータ配布期間よりも長い)拡張された持続時間であるときに、データ配布期間中に行われ得る。有利には、STA106にわたる位相ドリフトは、本明細書で説明されるジョイント送信に影響を及ぼさない。
[00101] ジョイント送信通信システム750では、バックホールリンク755a〜bで示されるバックホールまたは同様の通信ネットワークが、ジョイント送信に参加しているAP104間に存在し得る。バックホールリンク755a〜bは、AP104間の時間および/または周波数同期を提供し得る。例えば、バックホールリンク755a〜bは、AP104が、それらのクロックと、AP104が通信することになる周波数とを協調させることを可能にし得る。いくつかの実現形態では、バックホールリンク755a〜bはまた、送信されることになるデータと、受信された任意のデータとを、全てのAP104と共有するために使用され得る。いくつかの事例では、位相同期は、バックホールリンク755a〜bを介しても行われ得る。
[00102] 位相同期信号または送信は、通信ウィンドウまたは送信機会の様々な期間中に、AP104間の位相ドリフトまたは位相差のドリフトを数度以内に維持するために使用され得る。位相同期信号は、マスタAP104または中央コントローラ755によって送信され得る。
[00103] ある特定の実施形態では、AP104が互いの間に10Hzの周波数オフセットを有するとき、1msの時間期間が、AP104間の位相差における3.6度のシフトをもたらし得る。いくつかの実施形態では、3.6度の位相差シフトは、略1msの間隔で位相同期を保証するのに十分に高くあり得る。従って、位相同期は、各ジョイント送信の開始時に実現され得る。いくつかの実施形態では、ジョイント送信の長さに依存して、位相同期は、ジョイント送信自体の間に行われ得る。例えば、マスタAP104は、AP104にわたって位相同期を達成するために、同期フレーム(例えば、syncフレーム)を送信し得る。
[00104] いくつかの実施形態では、自動利得制御(AGC)を利用するAP104は、増大された位相差ドリフトを経験し得る。例えば、AGCから生じる異なる利得状態は、異なる利得状態に対応する異なる振幅および位相をもたらし得る。従って、AP104についての利得状態が変化するにつれて、対応する振幅および位相が変化し得る。従って、1つの状況では、AGCを使用するスレーブAP104がマスタAP104(または中央コントローラ755)と同期しようと試みるとき、スレーブAP104の利得状態が、前の基準または基準信号の間の利得状態と比較して、位相同期信号が受信されるときに異なっている場合には、位相同期は、所望のタイトな(tight)位相ドリフト同期を達成しない場合がある。別の状況では、STA106によるチャネル測定値(channel measurements)は、異なるAP104についての異なる利得状態を有し得る。
[00105] ジョイント送信通信システム750は、システム700について図6に示されたサウンディングおよび送信期間と比較して、異なるサウンディングおよび送信期間要件並びに通信を利用し得る。例えば、システム700のAP104のためのアンテナ216は、別個のNDP/NDPA送信においてサウンディングされる(例えば、図6の通信615、617、および619を参照)。各NDP送信は、それ自体の位相および受信AGC設定を有し得、AP104の各々について異なる時間に通信され得る。従って、中央コントローラ755が、異なるNDPから生じるサウンディング測定値を共に利用することは困難であり得る。加えて、AP104アンテナ間での相対タイミングは、サウンディング期間および送信期間にわたって一定ではない場合がある。
[00106] ジョイント送信通信システム750の場合、参加しているAP104は、共に(例えば、同時に)サウンディングされ得る。例えば、参加しているAP104の各々についてのNDP送信は、同時に送信され得る。明示的サウンディングが使用されるとき(例えば、サウンディング情報が、AP104によって送信されたNDPに応答して、STA106によって決定されるとき)、ジョイントNDPがAP104によって送信され得る。ジョイントNDPは、本明細書でより詳細に説明されるように、AP104によって全てのSTA106に送信され得る。ジョイント送信システム750と通信システム700との間の別の相違点が、ジョイント送信システム750では、NDP送信に応答してSTA106から受信されるフィードバックが、受信されたフィードバックをシステム750の他のAP104に広め得るAP104のうちの任意のものによって、STA106から受信され得ることである。通信システム700では、各AP104は、AP104間でフィードバック情報を共有することなく、個々にSTA106からフィードバック信号を受信する。いくつかの実施形態では、フィードバック(および潜在的には他の情報)を共有することは、バックホールリンク755a〜bを介して達成され得る。
[00107] 図8A〜図8Bは、非同時STAフィードバック808(図8A)および同時STAフィードバック808(図8B)を伴う、図7Bのジョイント通信システム750のジョイント送信機会800、805における例示的な通信オプションを概略的に例示する。AP104aは、STA106a〜bにアソシエートされ得る。AP104bは、STA106c〜dにアソシエートされ得る。ジョイント送信機会800は、サウンディング期間および送信期間に対応する2つのフェーズを図示し得る。グループ形成は、バックホールリンク755a〜bを介して達成され得る。グループ形成は、どのAP104およびSTA106がジョイント送信機会800に参加することになるかを識別することに対応し得る。ジョイント送信システム750は、マスタおよびスレーブAP104、または中央コントローラ755および制御された(またはスレーブ)AP104を利用し得る。さらに、ジョイント送信システム750は、明示的サウンディングまたは暗黙的サウンディングのいずれかを利用し得る。上記で説明されたように、明示的サウンディングは、AP104が、STA106がそれに対してフィードバック測定値で応答する、NDPを送信するときに行われる。暗黙的サウンディングは、STA106がAP104に通信を送り、AP104が受信された通信に基づいて測定値を生成するときに行われる。
[00108] ジョイント送信機会800は、マスタAP104aがNDPAメッセージ802を送信することで開始し得る。これは、ジョイント送信機会800のサウンディング期間の開始と一致し得る。本明細書で利用される場合、コントローラ(例えば、図7Bの中央コントローラ755)およびマスタAP104aは、交換可能に、機能を行い得、参照され得る。NDPA802を送信するAP104aは、マスタAP104aとして指定され得、残りのAP104bは、スレーブAP104bとして指定され得る。スレーブAP104bは、マスタAP104aとの同期を担い得、ここで、同期は、時間(例えば、クロック)、周波数、および位相ドリフトのうちの1つまたは複数を同期させることを含む。本明細書で説明されるように、NDPA802は、後続のNDP送信を告知するように機能し得、同期メッセージとしても機能し得る。
[00109] NDPA802は、ジョイント送信を介して情報を受信することになる全てのSTA106と、各STA106に割り振られているストリームの数とを識別し得る。いくつかの実施形態では、同期メッセージとして機能するとき、NDPA802は、スレーブAP104b間の位相ドリフトを同期させるために必要な情報を含み得る。例えば、NDPA802は、スレーブAP104(例えば、AP104b)に、それらの周波数をマスタAP104(例えば、AP104a)の周波数に同期させ得る。加えて、NDPA802は、スレーブAP104(例えば、AP104b)に基準または基準位相を提供し得る。
[00110] サウンディング期間は、マスタAP104および参加しているスレーブAP104が、それぞれ、NDP送信804aおよび804bをそれぞれ送信することで継続し得、ここで、NDP送信804aおよび804bは、AP104によって同時に送信される。NDP送信804aおよび804bに続いて、マスタAP104aは、STA106がいつそれらのフィードバックを送信すべきかをSTA106に示すために、オプションのトリガフレーム806aを送信し得る。
[00111] トリガフレーム806aに続いて、STA106aおよび106bは、それらのフィードバックをAP104に同時に送信し得る。いくつかの実施形態では、STA106は、アップリンクMU−MIMO送信808を使用してフィードバックを送信し得る。例えば、STA106aは、送信808a〜808bを介してフィードバックを送信し得、一方、STA106bは、送信808c〜808dを介してフィードバックを送信し得る。いくつかの実施形態では、送信808a〜808bは、たとえ送信808a〜808bが、マスタAP104aおよびスレーブAP104bからの2つの別個のNDPからのフィードバックを含むとしても、マスタAP104aに送られる単一のPPDUに組み合わされ得る。
[00112] 同様に、送信808c〜dは、マスタAP104aに送られる単一のPPDUに組み合わされ得る。加えて、STA106cは、送信808e〜808fを介してフィードバックを送信し得、一方、STA106dは、第2のオプションのトリガフレーム806bに続いて、送信808g〜808hを介してフィードバックを送信し得る。STA106から送信されたフィードバックは、トリガを送ったAP104に送られ得、これは、応答STA106がトリガを介してそのAP104に同期し、場合によっては、そのフィードバック送信についての電力およびレート制御情報をトリガフレーム806において取得し得るからである。
[00113] いくつかの実施形態では、送信808e〜808fおよび送信808g〜hは、スレーブAP104bに送られる単一のPPDUに組み合わされる。いくつかの実施形態では、送信808a〜808hの受信AP104は、任意であり得る。いくつかの実施形態では、受信AP104は、STA106が属するBSS302に基づいて(例えば、STA106がアソシエートされているAP104に基づいて)決定され得る。一旦AP104が、それらの対応するSTA106からフィードバック送信808a〜hを受信すると、AP104は、他のAP104にバックホールリンク755a、755b上で、受信されたフィードバックを共有または広め得る。従って、フィードバック情報は、全てのAP104がフィードバック情報を取得および利用するために、単一のAP104によって受信されるだけでよい。
[00114] 図8Aに示されるように、それぞれ、STA106a〜bおよびSTA106c〜dからのフィードバック送信808a〜808dおよび808e〜hは、同時に受信されない場合がある。これらのフィードバック送信は、別個に受信され得、これは、アップリンクにおけるジョイントMIMO受信の欠如により、AP104が、全てのSTA106から同時にフィードバックを受信することができない場合がある。これは、データ送信中にAP104によってサポートされているユーザおよび/またはストリームの数量(quantity)によってもたらされ得る。例えば、ジョイント送信のために使用されているAP104のアンテナの数量が、フィードバックの受信のために利用可能なアンテナの数量を制限し得る。しかしながら、AP104がジョイント受信をサポートし(例えば、全てのAP104の受信アンテナが受信アンテナアレイとして動作する場合に)、STA106からの受信された測定値(例えば、フィードバック送信808)が共に処理され得る場合には、STA106は、図8Bに示されるように、それらのフィードバック送信を同時に送信し得る。
[00115] 図8Aと図8Bを比較することからわかるように、全てのSTA106からの同時フィードバックを可能にすることによって、ジョイント送信機会全体の持続時間が低減され得るか、または追加の時間がデータ送信専用にされ(dedicated)得る。しかしながら、自然な分配(natural division)は、フィードバックがBSS302のアソシエーションに従って通信され、その後、フィードバックをバックホールリンク755a、755bを介して共有させることであり得る。フィードバックメッセージがAP104によって受信されることは、サウンディング期間を終了させ得る。
[00116] 送信期間は、位相同期のためのオプションのトリガフレーム810a〜bを含み得る。例えば、トリガフレーム810a〜bは、上記で説明されたNDPA802と同様の位相情報を含み得る。例えば、トリガフレーム810a〜bは、マスタAP104の位相に基づいて、スレーブAP104に対する基準または基準位相を含み得る。
[00117] いくつかの実施形態では、NDPAは、ある特定の数のストリームと、STA106のある特定のグループまたはグループ分けとを計画し得る。しかしながら、一旦AP104がSTA106からチャネル状態情報(「CSI」)を受信すると、マスタAP104は、計画に変更を加え得る。例えば、マスタAP104は、STA106のチャネル間の高い相関または劣悪なチャネル状態に基づいて、ジョイント送信機会から1つまたは複数のSTA106を除外することを選択し得るか、またはSTA106がいくつのストリームを受信するかを変更する。
[00118] トリガフレーム810a〜bに応答して、ジョイント送信に参加しているAP104は、基準または基準位相に基づいて、それらの位相を同期させ得、その後、例えば、分散型MIMO送信812a〜bを介して、それらのデータを送信し得る。示されるように、AP104a〜bは、MIMO送信812a〜b中に同時にデータを送信する。オプションのトリガフレーム810およびMIMO送信812の複数の事例が存在し得、2つの事例が図8Aおよび図8Bに示される。送信期間は、確認応答メッセージ816a〜dが各STA106から送信されることで終了され得る。いくつかの実施形態では、確認応答メッセージ816a〜dは、アソシエートされたBSS302に従って同時にまたはグループで送信され得る。いくつかの実施形態では、確認応答メッセージ816a〜dは、アップリンクMIMO送信を使用してSTA106によって送信され得る。
[00119] 従って、図8Aおよび図8Bに示されるジョイント送信機会800、805は、NDPAおよびNDPメッセージに基づき得、ここで、1つのAP104は、マスタAP104として機能し、NDPA802を通じてサウンディングプロセスを開始する。NDPA802はまた、スレーブAP104をマスタAP104に同期させる目的を果たし得る。一旦スレーブAP104がマスタAP104に同期されると、スレーブおよびマスタAP104は、その後、NDP804を共に(例えば、同時に)送信し得る。
[00120] STA106は、NDP804にフィードバック808としてチャネル状態情報(CSI)を提供し得る。フィードバック808は、一度に1つのBSS302によって受信され得る。このようなフィードバックは、UL MU−MIMO、UL OFDMA、およびシーケンシャル送信のうちの1つまたは複数であり得る。フィードバック808が一度に1つのBSS302によって受信されるとき、オプションのトリガ806は、対応するSTA106とAP104との間の全てのBSSのフィードバック送信の前に必要とされ得る。
[00121] 一旦STA106がそれらのBSS AP104にそれらのフィードバックを送ると、AP104は、他のAP104とCSIを共有する。いくつかの実施形態では、BSS302は、ULにおいてフィードバック808を同時に送信するSTA106を有する。代替として、ジョイントMIMO受信が、全てのSTA106について同時に情報を受信するために使用され得る。従って、各AP104アンテナにおいて受信されたサンプルは、潜在的に大きい同時MIMOフィードバック受信を復号するために、1つの場所(例えば、中央コントローラ755またはAP104)において交換および処理される必要がある。一旦フィードバックがAP104において受信されると、AP104は、所望の位相ドリフト制約を維持するために同期フレームを使用して、それらのデータをSTA106に送信し得る。
[00122] いくつかの実施形態では、2つのプロトコルは、(例えば、図6に示されたサウンディングと同様に)各AP104が別個にサウンディングする場合、それらのフィードバックが共にスティッチングされるように修正される。
[00123] 図9A〜図9Bは、非同時暗黙的サウンディング(図9A)および同時暗黙的サウンディング(図9B)を伴う、暗黙的サウンディングを使用する図7Bのジョイント通信システム750のジョイント送信機会900、905における例示的な通信オプションを概略的に例示する。AP104aは、STA106a〜106bにアソシエートされ得る。AP104bは、STA106c〜106dにアソシエートされ得る。ジョイント送信機会800は、サウンディング期間および送信期間に対応する2つのフェーズを図示し得る。グループ形成は、バックホールリンク755a、755bを介して達成され得る。しかしながら、図9Aおよび図9Bに示されるサウンディング期間は、図8Aおよび図8Bの明示的サウンディングと比較して、暗黙的サウンディングを含む。
[00124] ジョイント送信機会900、905は、マスタAP104がNDPAメッセージ902を送信することで開始し得る。これは、ジョイント送信機会900、905のサウンディング期間の開始と一致し得る。本明細書で説明されるように、NDPA902は、後続のNDP送信を告知するように機能し得、同期メッセージとしても機能し得る。
[00125] NDPA902は、ジョイント送信を介して情報を受信することになる全てのSTA106と、各STA106に割り振られているストリームの数とを識別し得る。いくつかの実施形態では、同期メッセージとして機能するとき、NDPA902は、スレーブAP104間の位相ドリフトを同期させるために必要な情報を含み得る。例えば、NDPA902は、スレーブAP104に、それらの周波数をマスタAP104の周波数に同期させ得る。加えて、NDPA902は、スレーブAP104に基準または基準位相を提供し得る。
[00126] サウンディング期間は、STA106a〜dが、それぞれAP104にアップリンクNDPメッセージ904a〜dを送信することで継続し得る。全てのAP104がNDPメッセージ904を受信し得、これは、全てのAP104が、参加しているSTA106と通信するために、各アンテナについてそれがどのチャネルを使用することになるかを知る必要があり得るからである。
[00127] いくつかの実施形態では、STA106がそれらのNDPメッセージ904a〜dを送信している間に、マスタAP104は、AP104および/またはSTA106の間の位相同期を可能にし得る、基準または基準信号あるいは同期フレーム906を送信し得る。同期フレーム906は、位相同期を可能にするために、他のAP104およびSTA106によって使用され得る基準または基準信号を含んで、マスタAP104によって周期的に送信され得る。いくつかの実施形態では、基準または基準信号は、他のフレーム、例えば、NDPAフレームまたはトリガフレームに埋め込まれ得る。1つまたは複数の同期フレーム906が、位相ドリフトを所望の制約内に保つために、必要に応じて使用され得る。
[00128] 代替または追加として、位相ドリフト値は、0度から16度の間の範囲にあり得るとともに、異なる位相値は、異なる経路損失値での異なる送信レートをもたらす。いくつかの実施形態では、12度未満の位相ドリフト値は、単一セルMU−MIMO送信に比べて(over)、改善された送信利得を提供し得る。
[00129] AP104のうちの1つまたは複数は、AP104のための送信電力設定を提供し得るアップリンクチャネル情報を推定するために、STA1 106a〜dからのUL NDP904a〜dを使用し得る。一旦STA106a〜dがAP104(例えば、AP104a)にNDP904a〜dを送信すると、サウンディング期間は終了し得、送信期間が開始し得る。
[00130] 送信期間は、位相同期のためのオプションのトリガフレーム910a〜bを含み得る。例えば、トリガフレーム910a〜bは、上記で説明されたNDPA902と同様の位相情報を含み得る。例えば、トリガフレーム910a〜bは、マスタAP104の位相に基づいて、スレーブAP104に対する基準または基準位相を含み得る。トリガフレーム910a〜bに応答して、ジョイント送信に参加しているAP104は、基準または基準位相に基づいて、それらの位相を同期させ得、その後、例えば、分散型MIMO送信912a〜bを介して、それらのデータを送信し得る。示されるように、AP104a〜bは、MIMO送信912a〜b中に同時にデータを送信する。オプションのトリガフレーム910並びにMIMO送信912および914の複数の事例が存在し得、2つの事例が図9Aおよび図9Bに示される。送信期間は、確認応答メッセージ916a〜dが各STA106から送信されることで終了し得る。いくつかの実施形態では、確認応答メッセージ916a〜dは、アソシエートされたBSS302に従って同時にまたはグループで送信され得る。いくつかの実施形態では、確認応答メッセージ916a〜dは、アップリンクMIMO送信を使用してSTA106によって送信され得る。
[00131] 図9Bの送信機会905は、UL NDP904a〜dが、STA106によってAP104に同時に送信されることを除いて、図9Aの送信機会900と同様である。
[00132] いくつかの実施形態では、周期的な位相同期フレームが、分散型MU−MIMO送信中に使用され得る。いくつかの実施形態では、位相同期フレームのための期間は、AP104にわたる位相ドリフトが所望の制約または制限内にとどまっている時間に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。例えば、本明細書で説明されるように、最大で3.6度までの位相ドリフトが、ジョイント送信システムに対して許容され得る。他の位相ドリフト値は、性能損失要件/許容値および/または最大化されたジョイント送信利得についての他の所望の性能メトリクスに基づいて許容され得る。いくつかの実施形態では、位相同期フレームのうちの1つまたは複数が、他のフレーム(例えば、NDPAフレーム802/902)に組み合わされるか、またはそれに統合され得、あるいはスタンドアロンフレーム(例えば、同期フレーム906)であり得る。
[00133] いくつかの実施形態では、NDP多重化が利用され得る。例えば、ジョイントNDPにおける明示的サウンディングは、ロングトレーニングフィールド(LTF)を多重化するために異なる方法を適用し得る。暗黙的サウンディングでは、STA106は、UL NDPを時分割多重化(TDM)し得るか、または、STA106は、UL NDPを同時に送り、LTFを多重化し得る。
[00134] 複数のAP104またはSTA106が同時にNDPを送信しているとき、LTF中のストリームは、いくつかの方法で多重化され得る。最初の方法では、LTFは、周波数分割多重化(FDM)を使用して多重化され、ここで、全てのストリームは、各LTFシンボル中の異なるトーンにステップオンする。代替または追加として、FDMがP行列との組み合わせにおいて、LTFを多重化するために使用され得る。従って、AP104のうちの1つのためのストリームは、P行列を使用して多重化されるが、異なるAP104は、オーバーラップしないトーンを使用する。代替または追加として、P行列が単独で使用され得、ここで、全てのAP104のための総ストリームは、概して大きい単一のP行列を形成する。代替または追加として、TDMのみが使用され得、ここで、1つのストリームは、1つのLTFを割り振られる。最後に、代替または追加として、TDMが、P行列との組み合わせにおいて使用され得、これにより、1つのAP104のストリームがP行列を使用して多重化されるが、異なるAP104は、異なるLTFシンボル上でアクティブになる。
[00135] 本明細書で説明されるように、ジョイント送信は、位相および/または利得オフセットに影響されやすく(sensitive)あり得る。潜在的な位相および/または利得オフセットの影響を最小限に抑えるために、AP104の送信電力は、NDP送信とデータ送信との間で一定の(または実質的に一定の)レベルに維持され得る。追加または代替として、位相同期メッセージを受信するスレーブAP104についてのAGC状態は、サウンディング期間から送信期間を通じて一定の状態に維持される必要があり得る。
[00136] 加えて、NDP送信は、バックホールリンク755a、755bのいずれかを通じて周波数および時間同期されるか、または受信されたNDPAフレーム802/902に基づいて、(例えば、送信より前に)事前補正され得る。後続の送信期間において、AP104は、バックホールまたは事前補正に基づいて、NDP送信のために適用されるものと同じまたは同様の周波数および時間補正を適用し得る。いくつかの実施形態では、NDP送信は、全てのAP104が同じコンテンツを送信するプリアンブルを含み得る。
[00137] 代替または追加として、ジョイントNDPのLTF中のトラッキングが行われ得る。このようなトラッキングは、1つまたは複数の方法で、および1つまたは複数の条件に基づいて行われ得る。例えば、AP104の全てが同期されているわけではないとき、複数の線形発振器(LO)がトラッキングされる必要があり得、ここで、1つのLOがAP104ごとにトラッキングされる。これは、1つのAP104のみが各STA106に送信しているので、1つのLOのみがトラッキングされる必要がある802.11ax/11ac DL MU−MIMO送信におけるトラッキングとは異なり得る。いくつかの実施形態では、802.11axにおけるUL MU−MIMO送信の態様が、LOトラッキングにおいて実現され得る。いくつかの実施形態では、異なるAP104のNDPが周波数においてFDMを使用して多重化される場合には、AP104の各々の位相をトラッキングすることは、簡略化され得る。従って、トラッキングは、オーバーラップしないトーン上で異なるAP104のためのパイロットを使用して行われ得る。代替または追加として、異なるAP104のNDPが時間においてTDMを使用して多重化される場合には、AP104の各々の位相をトラッキングすることは、単一のAP104からの連続するシンボルを有することとは対照的に、1つのAP104のシンボルをインターリーブすることを伴い得る。P行列が単独で使用され、大きいP行列が存在する場合、マルチストリームパイロットがトラッキングするために使用され得、ここで、AP104ごとに1つのストリームが、パイロットトーンのために存在するか、あるいはパイロットトーンのためのAP104ごとのストリームの数が、LTFセクションにおいてそのAPに与えられるストリームの数に等しい。代替または追加として、オーバーラップしないパイロットトーンが、異なるAPに割り当てられ得る。
[00138] 上述されたように、AGCは、位相ドリフト識別および補正において困難をもたらし得る。例えば、AP104のための異なる利得状態は、様々な問題をもたらし得る振幅および位相シフトにつながり得る。最初の問題が、スレーブAP104がマスタAP104との同期を試みるときに存在し得る。スレーブAP104の利得状態が変化し得る場合には、それらの利得状態は、異なる基準または基準信号にわたって変化し得る。例えば、スレーブAP104は、第1の基準または基準信号が受信されたとき、第1の利得状態を有し得るが、第2の基準または基準信号が受信されたときは、第2の利得状態を有し得る。異なる利得状態および異なる基準または基準信号により、位相における変化は、2つの受信時間の間の利得状態の変化によってか、あるいは基準または基準信号自体における位相の変化によってのいずれかで引き起こされた可能性があるので、容易に原因とし得るものでない可能性がある。従って、位相ドリフトの原因に依存して、補正がうまくいかない場合がある。このような問題に対処するために、AGC自己較正が実現され得る。例えば、AP104は、異なる利得状態においてループバックチャネルを測定し、基準利得状態レベルに対する位相の変化を観測し得る。従って、AP104は、どの変化が異なる利得状態に従うかをトラッキングし得、残りの位相差は、位相ドリフトから生じると決定され得る。
[00139] 代替または追加として、この問題は、スレーブAP104に、マスタAP104の位相同期信号の各々について固定利得状態を維持させることによって対処され得る。例えば、マスタAP104からの同期信号が後続することを示す信号が、バックホールリンク755a、755bまたはOTAを介して通信され得る。一旦このような信号が受信されると、スレーブAP104は、特定の利得状態(例えば、元の基準または基準信号が受信されたときに使用されていた利得状態)を使用することを知ることができる。代替または追加として、同期信号自体が、信号を同期信号として識別し、それによって、特定のAGC状態を使用するようにスレーブAP104にシグナリングする、チャネル推定のためのAGC設定のインジケータを含み得る。
[00140] 別の問題として、暗黙的サウンディングにおけるSTA106のNDPに基づく、AP104によるチャネル測定値が、測定AP104の利得状態に基づいて異なり得る。この問題は、異なるAP104におけるチャネル測定値が共に使用され得る前に、サブキャリアごとのAGC振幅および位相シフトの影響を逆にすること(reversing)によって対処され得る。1つの方法は、自己較正を含み得、ここで、各スレーブAP104は、利得状態に関連する位相/振幅変化を補正し、マスタAP104に未処理のチャネル(raw channels)のみをフィードバックする。
[00141] いくつかの実施形態では、AP104は、暗黙的サウンディングが実現されるとき、AP104における不整合を補正するために、数時間または数日の期間にわたって較正され得る。例えば、受信機の無線周波数(RF)チェーンは、送信機のRFチェーンとは異なる振幅および/または位相を有し得る。
[00142] 本明細書で説明されるように、バックホールリンク755a、755bは、AP104に周波数およびタイミング並びにクロックドリフトの同期を提供し得る。いくつかの実施形態では、GPSが、バックホールの代わりに、またはそれに加えて使用され得る。周波数、タイミング、またはクロックドリフトにおける任意の残りのドリフトが、位相オフセットをもたらし得る。このような位相オフセットは、分散型MU−MIMO送信より前におよび/またはその間に位相同期を使用して補正され得る。位相同期は、AP104の位相を調整するために、全てのサウンディングおよび送信期間より前に、および/または全てのサウンディングおよび送信期間中に使用され得る。AGCがAP104とともに使用されるとき、AGC自己較正は、AGCによって引き起こされる位相シフトとは対照的に、位相ドリフトによって引き起こされる位相シフトを識別するために使用され得る。代替または追加として、AP104に、位相同期信号に関するそのAGC状態を維持または戻させる(revert)ことは、位相ドラフトの決定を可能にし得る。
[00143] 図10は、例示的な実施形態による、AP104と1つまたは複数のSTA106との間で分散型MIMOジョイント送信機会を確立するための方法1000を図示する。いくつかの態様では、図10に関連して以下で説明される方法1000は、ワイヤレスデバイス202によって行われ得る。例えば、いくつかの態様では、メモリ206は、図10に関連して以下で説明される機能のうちの1つまたは複数を行うようにプロセッサ204を構成する命令を記憶し得る。
[00144] 方法1000のいくつかの態様は、第1のAP104を介して、1つまたは複数のSTA106に対する1つまたは複数の第2のAP104との分散型MIMOジョイント送信機会を確立する方法を提供する。
[00145] ブロック1010において、第1のAP104が、1つまたは複数のSTA106または第1のデバイスへの、あるいは1つまたは複数の第2のAP104または第3のデバイスへの送信のために第1のメッセージを生成する。第1のメッセージは、第1のAP104と1つまたは複数の第2のAP104から同時に、送信機会中に送信されることになる1つまたは複数のストリームを受信するための1つまたは複数のSTA106のうちの少なくとも1つを識別する。第1のメッセージは、第1のAP104または第2のAP104のうちの1つによるヌルデータパケット送信をさらに示し得る。1つまたは複数のストリームを受信するように構成されたSTA106のインジケーションは、ストリームを受信することになるSTA106のBSS302または識別子のリストを備え得る。
[00146] ブロック1020において、第1のAP104は、1つまたは複数の第2のAP104と、1つまたは複数のSTA106とに第1のメッセージを出力または送信する。この送信は、ワイヤレスネットワーク上で、またはバックホールリンク755a、755bを介して行われ得る。
[00147] オプションとして、ブロック1030において、第1のAP104は、1つまたは複数の第2のAP104のうちの少なくとも1つへの送信のために基準または基準位相信号を出力する。いくつかの実施形態では、基準または基準位相信号の送信は、バックホールリンク755a、755bまたはワイヤレスネットワークのうちの1つの上で行われ得る。いくつかの実施形態では、第1のAP104は、第1のメッセージを送信する前に基準または基準位相信号を生成する。
[00148] いくつかの態様では、第1のメッセージは、基準または基準位相信号を含むように生成される。いくつかの態様では、ワイヤレスデバイス202はさらに、生成された基準または基準位相信号を含む位相同期メッセージを生成し、第2のAP104に位相同期メッセージを送信する。いくつかの実施形態では、位相同期メッセージは、ワイヤレスネットワークを介して、またはバックホールリンク755a、755bを介して送信され得る。いくつかの態様では、位相同期メッセージは、周期的に第2のAP104に送信される。
[00149] いくつかの態様では、ワイヤレスデバイス202は、第1のAP104と1つまたは複数の第2のAP104との位相間の位相ドリフトをさらに決定し、ここにおいて、位相同期メッセージは、位相ドリフトがしきい値を超えるときに生成および送信される。
[00150] いくつかの態様では、ワイヤレスデバイス202は、第1のAP104と1つまたは複数の第2のAP104との間で時間を同期させるために、時間同期信号をさらに生成する。デバイスはまた、第1のAP104と1つまたは複数の第2のAP104との間で周波数を同期させるために、周波数同期信号を生成し、第2のAP104に時間同期信号および周波数同期信号を送信する。この送信は、ワイヤレスネットワークまたはバックホールリンク755a、755b上で行われ得る。いくつかの態様では、基準または基準位相信号は、第1のAP104の位相に基づく。
[00151] いくつかの態様では、ヌルデータパケット送信は、STA106に第2のAP104によって送信される1つまたは複数の他のヌルデータパケットと同期して、第1のメッセージ中でSTA106に送信される。いくつかの態様では、ヌルデータパケットは、第2のAP104が基準または基準位相信号に基づいて、それぞれの位相を第1のAP104の位相と同期させることに基づいて、1つまたは複数の他のヌルデータパケットと同期して送信される。
[00152] 図11は、例示的な実施形態による、位相ドリフトの異なるレベルでのPHYレート性能(例えば、PHYレートにおける経路損失)を示すグラフ1100を図示する。グラフ1100は、y軸に沿って、ジョイント送信についての全ての参加しているAP104におけるMbps単位でのPHYレートの合計、およびx軸に沿って、dB単位での経路損失を図示する。グラフ1100はまた、異なる位相誤差(例えば、位相差)をそれぞれ有する、5つのジョイント送信を図示する。位相誤差は、4きざみで0〜16の範囲にある。グラフ1100はまた、単一セルMU−MIMO送信を図示する。
[00153] グラフ1100に示されるように、全ての通信についてのPHYレートは、経路損失が増大するにつれて低減する。グラフ1100はまた、位相誤差が増大するにつれて、PHYレートが低減することを示す。従って、位相誤差が「0」であるジョイント送信は、経路損失にかかわらず、全てのジョイント送信の中で最大のPHYレートを有する。位相誤差が「4」であるジョイント送信は、経路損失にかかわらず、より高い位相誤差値を有する全てのジョイント送信よりも大きいPHYレートを有する。位相誤差が「8」であるジョイント送信は、経路損失にかかわらず、より高い位相誤差値を有する全てのジョイント送信よりも大きいPHYレートを有する。位相誤差が「12」であるジョイント送信は、経路損失にかかわらず、より高い位相誤差値を有する全てのジョイント送信よりも大きいPHYレートを有する。位相誤差が「16」であるジョイント送信は、示される最も低いPHYレートを有する。単一セルMU−MIMO送信は、パスレスが略87dBを超え、その時点で、単一セルMU−MIMO送信のPHYレートが、全ての示されるジョイント送信のそれを下回るまで、位相誤差が「12」および「16」である両方のジョイント送信よりも高いPHYレートを有することが示される。
[00154] 従って、ジョイント送信の利得を最大化するためには、AP104間の位相誤差は、好ましくは4度未満であり得る。従って、AP104間の相対位相オフセットがドリフトするにつれて、性能が劣化し得る。いくつかの実施形態では、85dBより大きい経路損失は、複数のAP104を有するネットワークレイアウトに基づいて、ほとんどのネットワークレイアウトでは一般的な懸念事項ではなくなり得る。
[00155] 上記の説明では、参照番号が、様々な用語に関連して使用され得る。用語が参照番号に関連して使用されている場合、これは、図面のうちの1つまたは複数において示される特定の要素を参照することを意味し得る。用語が参照番号なしに使用されている場合、これは、いずれの特定の図面にも限定することなく、全般的にその用語を参照することを意味し得る。
[00156] 本明細書で使用される場合、アイテムのリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す表現は、単一のメンバ(members)を含む、それらのアイテムの任意の組合せを指す。第1の例として、「aおよびbのうちの少なくとも1つ」(また、「aまたはb」)は、a、b、およびa−b、並びに複数の同じ要素を有する任意の組合せ(例えば、a−a、a−a−a、a−a−b、a−b−b、b−b、b−b−b、あるいはその他任意の順序のaおよびb)をカバーするように意図される。第2の例として、「a、b、およびcのうちの少なくとも1つ」(また、「a、b、またはc」)は、a、b、c、a−b、a−c、b−c、およびa−b−c、並びに複数の同じ要素を有する任意の組合せ(例えば、a−a、a−a−a、a−a−b、a−a−c、a−b−b、a−c−c、b−b、b−b−b、b−b−c、c−c、およびc−c−c、あるいはその他任意の順序のa、b、およびc)をカバーするように意図される。
[00157] 上記で説明された方法の様々な動作は、様々なハードウェアおよび/またはソフトウェアの(1つまたは複数の)コンポーネント、回路、および/または(1つまたは複数の)モジュールなどの、動作を行うことが可能な任意の好適な手段によって行われ得る。一般に、図面において例示された任意の動作は、これら動作を行うことが可能な対応する機能的な手段によって行われ得る。
[00158] 本開示に関連して説明された、様々な例示的な論理ブロック、モジュールおよび回路は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイシグナル(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理回路、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいは本明細書で説明された機能を行うように設計されたこれらの任意の組合せを用いて実現または行われ得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサまたは任意の市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいはステートマシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ(例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいはその他任意のこのような構成)として実現され得る。
[00159] 1つまたは複数の態様では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せで実現され得る。ソフトウェアで実現される場合、これら機能は、コンピュータ可読媒体上で、1つまたは複数の命令またはコードとして記憶または送信され得る。
[00160] 本明細書で説明された機能は、プロセッサ可読またはコンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令として記憶され得る。「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体を指す。限定ではなく例として、このような媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、フラッシュメモリ、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを記憶するために使用され得、かつコンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得るその他任意の媒体を備え得る。本明細書で使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイ(登録商標)ディスクを含み、ここでディスク(disks)は、通常磁気的にデータを再生し、一方ディスク(discs)は、レーザーを用いて光学的にデータを再生する。コンピュータ可読媒体は、有形および非一時的であり得ることに留意されたい。「コンピュータプログラム製品」という用語は、コンピューティングデバイスまたはプロセッサによって実行、処理、または計算され得るコードまたは命令(例えば、「プログラム」)と組み合わせにおけるコンピューティングデバイスまたはプロセッサを指す。本明細書で使用される場合、「コード」という用語は、コンピューティングデバイスまたはプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、またはデータを指し得る。
[00161] ソフトウェアまたは命令はまた、送信媒体上で送信され得る。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波のようなワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合には、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波のようなワイヤレス技術は、送信媒体の定義に含まれる。
[00162] 本明細書で開示された方法は、説明された方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを備える。方法のステップおよび/またはアクションは、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに置き換えられ得る。換言すれば、ステップまたはアクションの特定の順序が説明されている方法の適正な動作のために必要とされない限り、特定のステップおよび/またはアクションの順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく修正され得る。
[00163] 従って、ある特定の態様は、本明細書で提示された動作を行うためのコンピュータプログラム製品を備え得る。例えば、このようなコンピュータプログラム製品は、その上に命令が記憶された(および/または符号化された)コンピュータ可読媒体を備え得、命令は、本明細書で説明された動作を行うために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である。ある特定の態様では、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料を含み得る。
[00164] さらに、本明細書で説明された方法および技法を行うためのモジュールおよび/または他の適切な手段は、適宜、ユーザ端末および/または基地局によって、ダウンロードおよび/または別の方法で取得され得ることを理解されたい。例えば、このようなデバイスは、本明細書で説明された方法を行うための手段の転送を促進するためにサーバに結合され得る。いくつかの態様では、出力するための手段は、受信機212、トランシーバ214、DSP220、プロセッサ204、メモリ206、信号検出器218、セルラモデム234、WLANモデム238、またはこれらの同等物のうちの1つまたは複数を備え得る。いくつかの態様では、出力するための手段は、送信機210、トランシーバ214、DSP220、プロセッサ204、メモリ206、セルラモデム234、WLANモデム238、またはこれらの同等物のうちの1つまたは複数を備え得る。いくつかの態様では、生成するための手段は、DSP220、プロセッサ204、メモリ206、ユーザインターフェース222、セルラモデム234、WLANモデム238、またはこれらの同等物のうちの1つまたは複数を備え得る。
[00165] 代替として、本明細書で説明された様々な方法は、ユーザ端末および/または基地局が、デバイスに記憶手段を結合または提供する際に、様々な方法を取得し得るように、記憶手段(例えば、RAM、ROM、コンパクトディスク(CD)またはフロッピーディスクなどの物理記憶媒体、等)を介して提供され得る。さらに、本明細書で説明された方法および技法をデバイスに提供するためのその他任意の好適な技法が利用され得る。
[00166] 「決定すること」という用語は、幅広い種類のアクションを包含し、従って、「決定すること」は、算出すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、ルックアップすること(例えば、表、データベース、または別のデータ構造をルックアップすること)、確定することなどを含み得る。また、「決定すること」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリにおけるデータにアクセスすること)などを含み得る。また、「決定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含み得る。
[00167] 「〜に基づいて(based on)」という表現は、別段の明示的な規定がない限り、「〜だけに基づいて(based only on)」を意味しない。換言すれば、「〜に基づいて」という表現は、「〜だけに基づいて」および「少なくとも〜に基づいて(based at least on)」の両方を説明する。
[00168] 特許請求の範囲は、上記に例示された厳密な構成およびコンポーネントに限定されないことを理解されたい。様々な修正、変更、および変形が、特許請求の範囲から逸脱することなく、上記で説明されたシステム、方法、および装置の配置、動作および詳細において行われ得る。