JP2020529472A - ペプチド化合物の環化放出関連する出願の相互参照 - Google Patents

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Abstract

本開示では、環化されたペプチド化合物を調製するための効率的かつ信頼性のある方法を提供する。好ましいことに、ここに記載する方法により、限定された数の処理工程を利用した樹脂上の環化を実現すると同時に、生成する環化されたペプチド化合物が利用できる化学的多様性を増大させることができる。

Description

本出願は、2017年7月28日に出願されたアメリカ合衆国仮出願第62/538,477号の優先権を主張するものであり、その全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれている。
現在市販されている大半の薬と開発中の薬は、小分子又は生物製剤である。小分子と生物製剤の両方とも健康に顕著な利益をもたらすが、どちらのクラスの薬も、可能な薬標的の一部にしかアクセスしない。例えば小分子は、明確な疎水性ポケットを有するタンパク質のわずか10%しか標的にせず、生物製剤は、膜と一体化しているか細胞の外側にある標的の10%しか標的にしないと考えられている(Kotz, J. SciBX 第5巻(45)(2012年))。そのため現在用いられているクラスの薬は標的の80%にアクセスすることができない。生物学的に重要であることが知られている特に難しい1つの薬標的は、タンパク質-タンパク質相互作用の阻止と改変である。小分子はタンパク質-タンパク質相互作用を阻止するのに必要なサイズを欠いていることがしばしばあり、生物製剤は一般に細胞透過性が悪いため、細胞内タンパク質-タンパク質相互作用を標的とすることができない。環状ペプチドは、小分子や生物製剤とは異なり、薬候補の比較的未開発な領域である。一般に環状ペプチドはサイズが500〜2,000 Daであり、小分子よりは大きいが、それでも生物製剤よりは小さい。環状ペプチドは、このサイズで、標的に結合するのに単一の疎水性ポケットに頼ることがなく、細胞膜を透過する潜在力を持ち、治療における大きくて新規な物的資産となる機会を提供する。
環状ペプチドは臨床において有望であるとはいえ、薬の開発における環状ペプチドの大規模使用の大きな制約は、細胞透過性を大きくすることである。実際、後期段階と臨床段階にあるほぼすべての環状ペプチドは、細胞外ペプチドを標的としている(Current Opinion in Chemical Biology 2017年、第38巻、24〜29ページ)。
環状ペプチドの細胞透過性は多数の因子(立体配座の柔軟性、内部水素結合が含まれる)に依存することが知られている(Rezai他、J. Am. Chem. Soc.、第128巻(43):14073〜14080ページ(2006年))。細胞膜透過性を改善するための特に有用なツールは、極性基を遮蔽するためのペプチド骨格の選択的N-メチル化と、ペプチド-ペプチドハイブリッドの利用である。環状ペプチド骨格にペプトイド(N置換されたグリシン)を組み込むと、極性を持つ骨格窒素の遮蔽と、より大きな化学的多様性の両方が提供される。
細胞膜透過性を改善するための技術が知られているにもかかわらず、現在の合成化学は、潜在的に有用なこれら化合物を製造して試験する能力に限界がある。例えば固相ペプチド合成、切断、容積相環化を必要とするプロトコルには、薬の開発に必要な化合物大規模スクリーニングに必要な処理・取り扱い工程が多すぎる。樹脂上での環化が可能な方法によってより自動化された合成プロトコルが可能になるため、複数の溶液相環化工程が別々になることが回避される。しかし環化放出に基づく樹脂上環化に関する既存の方法(すなわち樹脂上でペプチドの環化と放出を同時に実施する方法)は、直線状ペプチド集合体について、t-ブチルオキシカルボニル保護基を用いるBOC化学を必要とする。BOC化学は各アミノ酸を付加した後に酸脱保護工程を必要とするため、酸感受性残基(N-メチルアミノ酸やペプトイド(N置換されたグリシン))には適合しない。上述のように、N-メチル化と、環状ペプチド骨格へのペプトイドの組み込みは、細胞膜透過性と化学的多様性を改善するための2つの重要な戦略である。したがって環状ペプチドの合成に関して現在利用できる方法は、細胞内治療標的に到達するのに必要な細胞膜透過性を持つ環状ペプチドライブラリを調製するための効果的な手段を提供しないため、特に樹脂上環化及びプロセス自動化との適合性がある化学的方法が必要とされている。
それと比べて固相Fmoc化学(塩基に対して不安定なフルオレニルメチルオキシカルボニル保護基すなわちFmoc保護基を利用する技術)は、BOC化学に必要とされる多数の酸脱保護工程を回避しており、N-メチルアミノ酸又はペプトイドを切り出さない。しかしFmoc化学による直線状ペプチドの合成は、知られているどの樹脂上ペプチド環化技術とも適合しない。環状ペプチドは、Fmoc戦略とKennerの安全捕獲リンカーを利用した環化放出によって合成されてきたが、ハイスループット合成への適用は、アシルスルホンアミド結合の不十分な活性化が原因で環状ペプチドの収率が低いことを理由として制限される(Lihu Yang、Greg Moriello、Tetrahedron Letters、第40巻(1999年)、8197〜8200ページ)。
そのため本分野では、細胞膜透過性が改善されていて化学的多様性がより大きい環状ペプチドを調製するための合成法が必要とされている。本発明はこの必要性に対処するものであり、関連する利点も提供する。
1つの側面では、本明細書において、式(I)の環化されたペプチド化合物:
Figure 2020529472
を調製する方法が提供される。この方法は、
式(I)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、チオ親和性(thiophilic)触媒と、非求核塩基と、式(II)の化合物:
Figure 2020529472
を含む環化反応混合物を形成することを含んでいる。ただしこれらの式において、
Figure 2020529472
は固相支持体であり;
R1aは、H、NH2、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルからなる群から選択され;
L1は、結合、N-H、-O-からなる群から選択されるが、
R1aがNH2であるときにはL1は結合であり;
L1が-O-であるときにはR1aは、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかであり;
R1は、H、NH2、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルからなる群から選択されるが、
R1がNH2であるときにはL1は結合であり;
R2はHであり;
L2は、C2-8アルキレン、C3-8シクロアルキレン、3〜8員のヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレン、 5〜10員のヘテロアリーレンからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-SRa、-C1-4アルキル-SRa、オキソからなる群から選択された1〜4個の置換基で置換されており、各ヘテロシクロアルキレンとヘテロアリーレンは、N、O、Sからそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を持ち;
Raは、HとC1-8アルキルからなる群から選択される。
いくつかの実施態様では、この方法はさらに、
式(IV)の中間体:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(III)の化合物:
Figure 2020529472
と第1の酸を含む転移反応混合物を形成することで、式(IV)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IIb)の化合物:
Figure 2020529472
を形成することと;
式(II)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(IIb)の化合物と第2の酸を含む脱保護反応混合物を形成することを含んでいる。ただしこれらの式において、
PG1はメルカプト保護基であり;
R1cは、NH-PG2、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルからなる群から選択されるが、
R1cがNH2であるときにはL1は結合であり、
L1が-O-であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかであり;
R2cは、PG2とHからなる群から選択されるが;
R2cがHであるときにはR1cはNH-PG2であり、
R2cがPG2であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかであり;
PG2はアミン保護基であり、
L1、L2、R1、R2は、上に定義した通りである。
いくつかの実施態様では、この方法はさらに、
式(III)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、光延反応条件下で、式(V)の化合物:
Figure 2020529472
と式(VI)の化合物:
Figure 2020529472
を含むカップリング反応混合物を形成することを含んでいる。ただしこれらの式において、L1、L2、R1c、R2c、PG1、PG2は、上に定義した通りである。
I.全般
本開示により、多彩な環化されたペプチド化合物を調製する非常に有効な方法が提供される。特に、本開示の方法により、樹脂上環化放出戦略を利用してペプトイドと他のNメチル置換されたアミノ酸誘導体を環化されたペプチド化合物に効果的かつ信頼性よく組み込むことが可能になる。これらの基の信頼性の高い組み込みは、Fmoc固相合成化学に適合したスルホンアミド樹脂を用いることによって達成される。本開示では、ペプチドを合成した後にペプチド単位とスルホンアミド樹脂の間にアミン不安定性チオエステルを導入することにより、ペプチド単位の効率的な樹脂上環化放出を提供する。求核アミンは、ペプチド単位の中に導入されると、チオエステル結合を切断して環化と放出を単一の工程で実現する。したがって本開示により、頭部と尾部が連結された環状ペプチド化合物のほか、側鎖と尾部が連結された環状ペプチド化合物を調製する方法が提供される。要するに、記載してあるこれらの方法により、限定された数の処理工程を利用して、化学的多様性が改善されている環化されたペプチド化合物が、高収率かつ高純度で提供される。
II.定義
「反応混合物を形成する」は、少なくとも2つの異なる種を接触させてそれらが互いに混合して反応できるようにするプロセスを意味する。しかし得られる反応生成物は、添加した試薬同士の反応から直接生成させること、又は添加した試薬の1つ以上から反応混合物の中で生じる可能性のある中間体から直接生成させることが可能であることに注意されたい。
「溶媒」は、溶質を溶かすことのできる物質(液体など)を意味する。溶媒として、極性又は非極性の溶媒、プロトン性又は非プロトン性の溶媒が可能である。極性溶媒は、典型的には約5よりも大きい誘電定数、又は約1よりも大きい双極子モーメントを持ち、非極性溶媒は、約5未満の誘電定数、又は約1未満の双極子モーメントを持つ。プロトン性溶媒は、例えばヒドロキシ基又はカルボキシ基を持つことにより、除去できるプロトンを有することを特徴とする。非プロトン性溶媒はそのような基を欠いている。代表的な極性プロトン性溶媒に含まれるのは、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)と水である。代表的な極性非プロトン性溶媒に含まれるのは、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドである。代表的な非極性溶媒に含まれるのは、アルカン(ペンタン、ヘキサンなど)、シクロアルカン(シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ベンゼン、トルエン、1,4-ジオキサンである。他の溶媒も本発明で有用である。
「アルキル」は、指定された数の炭素原子を持つ直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族基を意味する。アルキルは任意の数の炭素を含むことができ、その例は、C1-2、C1-3、C1-4、C1-5、C1-6、C1-7、C1-8、C1-9、C1-10、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C3-4、C3-5、C3-6、C4-5、C4-6、C5-6である。例えばC1-6アルキルの非限定的な例に含まれるのは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどである。
「アルキレン」は、指定された数の炭素原子を持つ直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族基で、他の基が少なくとも2個結合しているもの、すなわち2価の炭化水素基を意味する。アルキレンに結合している2つの部分は、アルキレン基の同じ原子に結合していても、異なる原子に結合していてもよい。例えば直鎖アルキレンとして、2価の基-(CH2)n-が可能である(ただしnは1、2、3、4、5、6のいずれかである)。代表的なアルキレン基の非限定的な例に含まれるのは、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、s-ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンである。
「アルケニル」は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合を持つ直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。アルケニルは任意の数の炭素を含むことができ、その例は、C2、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C2-7、C2-8、C2-9、C2-10、C3、C3-4、C3-5、C3-6、C4、C4-5、C4-6、C5、C5-6、C6である。アルケニル基は適切な任意の数の二重結合を持つことができ、その数の非限定的な例は、1、2、3、4、5、又はそれよりも多数である。アルケニル基の非限定的な例に含まれるのは、ビニル(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、1,3,5-ヘキサトリエニルである。
「アルキニル」は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を持つ直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。アルキニルは任意の数の炭素を含むことができ、その例は、C2、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C2-7、C2-8、C2-9、C2-10、C3、C3-4、C3-5、C3-6、C4、C4-5、C4-6、C5、C5-6、C6である。アルキニル基の非限定的な例に含まれるのは、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、イソブチニル、s-ブチニル、ブタジエニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジニル、1,4-ペンタジニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジニル、1,4-ヘキサジニル、1,5-ヘキサジニル、2,4-ヘキサジニル、1,3,5-ヘキサトリニルである。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
「ハロアルキル」は、上に定義したアルキルにおいて、数個又はすべての水素原子がハロゲン原子で置換されているものを意味する。アルキル基と同様、ハロアルキル基は適切な任意の数の炭素原子を持つことができる(例えばC1-6)。ハロアルキルには例えばトリフルオロメチル、フルオロメチルなどが含まれる。いくつかの場合には、「ペルフルオロ」という用語を、すべての水素がフッ素で置換された化合物又は基を定義するのに用いることができる。例えばペルフルオロメチルは1,1,1-トリフルオロメチルを意味する。
「シクロアルキル」は、飽和しているか一部が不飽和の単環、又は縮合した二環、又は架橋した多環の環集合体であって、3〜12個の環原子、又は指定された数の原子を含有するものを意味する。シクロアルキルは任意の数の炭素を含むことができ、その例は、C3-6、C4-6、C5-6、C3-8、C4-8、C5-8、C6-8、C3-9、C3-10、C3-11、C3-12である。飽和した単環シクロアルキル環に含まれるのは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルである。飽和した二環と多環のシクロアルキル環に含まれるのは、例えば、ノルボルナン、[2.2.2]ビシクロオクタン、デカヒドロナフタレン、アダマンタンである。シクロアルキル基は、一部が不飽和で環の中に1つ以上の二重結合又は三重結合があってもよい。代表的な一部が不飽和なシクロアルキル基の非限定的な例に含まれるのは、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(1,3-異性体と1,4-異性体)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン(1,3-異性体、1,4-異性体、1,5-異性体)、ノルボルネン、ノルボルナジエンである。シクロアルキルが飽和した単環C3-8シクロアルキルであるとき、代表的な基の非限定的な例に含まれるのは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルである。シクロアルキルが飽和した単環C3-6シクロアルキルであるとき、代表的な基の非限定的な例に含まれるのは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
「ヘテロシクロアルキル」は、3〜12個の環員と、1〜4個のヘテロ原子N、O、Sを有する飽和した環系を意味する。追加のヘテロ原子も有用であり、その非限定的な例に含まれるのは、B、Al、Si、Pである。ヘテロ原子は酸化されていてもよく、その非限定的な例は、-S(O)-と-S(O)2-である。ヘテロシクロアルキル基は任意の数の環原子を含むことができ、その例は、3〜6個、4〜6個、5〜6個、3〜8個、4〜8個、5〜8個、6〜8個、3〜9個、3〜10個、3〜11個、3〜12個の環員である。適切な任意の数のヘテロ原子をヘテロシクロアルキル基の中に含めることができ、その例は、1個、2個、3個、4個、1〜2個、1〜3個、1〜4個、2〜3個、2〜4個、3〜4個である。ヘテロシクロアルキル基が含むことのできる基は、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、キヌクリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン(1,2-異性体、1,3-異性体、1,4-異性体)、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキサン(テトラヒドロピラン)、オキセパン、チイラン、チエタン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、チアン(テトラヒドロチオピラン)、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ジオキソラン、ジチオラン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、ジチアンなどである。ヘテロシクロアルキル基を芳香族環系又は非芳香族環系と縮合させてさまざまな員(その非限定的な例はインドリンである)を形成することができる。ヘテロシクロアルキル基は環上の任意の位置に結合させることができる。例えばピロリジンとして1-ピロリジン、2-ピロリジン、3-ピロリジンのいずれかが可能である。
「ヘテロシクロアルキレン」は、上に定義したヘテロシクロアルキル基で、他の基が少なくとも2つ結合したものを意味する。ヘテロシクロアルキレンに結合したその2つの部分は、そのヘテロシクロアルキレンの同じ原子、又は異なる原子に結合させることができる。
「アリール」は、適切な任意の数の環原子と適切な任意の数の環を有する芳香族環系を意味する。アリール基は、適切な任意の数の環原子を含むことができ、その例は、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個の環原子のほか、6〜10個、6〜12個、6〜14個の環員である。アリール基は、単環であってもよいし、縮合して二環基又は三環基を形成してもよいし、結合によって二アリール基を形成してもよい。代表的なアリール基に含まれるのは、フェニル、ナフチル、ビフェニルである。それ以外のアリール基に含まれるのは、メチレン連結基を有するベンジルである。いくつかのアリール基は、6〜12個の環員を有する(フェニル、ナフチル、ビフェニルなど)。他のアリール基は、6〜10個の環員を有する(フェニル、ナフチルなど)。他のいくつかのアリール基は、6個の環員を有する(フェニルなど)。
「アリーレン」は、上に定義したアリール基で、他の基が少なくとも2つ結合したものを意味する。アリールに結合したその2つの部分は、そのアリールの同じ原子、又は異なる原子に結合させることができる。アリーレン基は置換されていても置換されていなくてもよい。
「ヘテロアリール」は、5〜12個の環原子を含有する単環、又は縮合した二環か三環の芳香族環集合体で、1〜5個の環原子がN、O、Sなどのヘテロ原子であるものを意味する。追加のヘテロ原子も有用であり、その非限定的な例に含まれるのは、B、Al、Si、Pである。ヘテロ原子は酸化されていてもよく、その非限定的な例は、-S(O)-と-S(O)2-である。ヘテロアリール基は任意の数の環原子を含むことができ、その例は、5〜6個、5〜8個、6〜8個、5〜9個、5〜10個、5〜11個、5〜12個の環員である。適切な任意の数のヘテロ原子をヘテロアリール基の中に含めることができ、その例は、1個、2個、3個、4個、5個、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、2〜3個、2〜4個、2〜5個、3〜4個、3〜5個である。ヘテロアリール基は、5〜8個の環員と1〜4個のヘテロ原子を有すること、又は5〜8個の環員と1〜3個のヘテロ原子を有すること、又は5〜6個の環員と1〜4個のヘテロ原子を有すること、又は5〜6個の環員と1〜3個のヘテロ原子を有することができる。ヘテロアリール基が含むことのできる基は、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-異性体、1,2,4-異性体、1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾールである。ヘテロアリール基を芳香族環系(フェニル環など)と縮合させてさまざまな員を形成することもできる(その非限定的な例に含まれるのは、ベンゾピロール(インドール、イソインドールなど)、ベンゾピリジン(キノリン、イソキノリンなど)、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、ベンゾピリダジン(フタラジン、シンノリンなど)、ベンゾチオフェン、ベンゾフランである)。ヘテロアリール基は環上の任意の位置に結合させることができる。例えばイミダゾールには、1-イミダゾール、2-イミダゾール、4-イミダゾール、5-イミダゾールが含まれる。
「ヘテロアリーレン」は、上に定義したヘテロアリール基で、他の基が少なくとも2つ結合したものを意味する。ヘテロアリールに結合したその2つの部分は、そのヘテロアリールの異なる原子に結合している。
「チオ親和性触媒」は、イオウに対する親和性を有する化合物又は原子を意味する。適切なチオ親和性触媒に含まれるのは、イオウに対する親和性を有する遷移金属又は他の化合物である。典型的には、本開示のチオ親和性触媒は、イオウ及び/又は環化反応の遷移状態を安定化させることによって環化反応の速度を大きくする。本開示の金属チオ親和性触媒に遷移金属が含まれる。代表的なチオ親和性触媒に含まれるのは、銅、ニッケル、水銀、銀、ルテニウム、オスミウム、ストロンチウムである。
「酸」は、ブレンステッド-ローリーの定義のもとでプロトン(H+)を供与することのできる化合物を意味する。本発明で有用な酸の非限定的な例に含まれるのは、本明細書で明確にされているように、アルカン酸又はカルボン酸(ギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸など)、スルホン酸、鉱酸である。鉱酸は、ハロゲン化水素(フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸など)、ハロゲンオキソ酸(次亜塩素酸、過塩素酸など)のほか、硫酸、シュウ酸、リン酸、クロム酸、ホウ酸などの無機酸である。スルホン酸に含まれるのは、特に、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。
「塩基」は、ブレンステッド-ローリーの定義のもとでプロトン(H+)を受け取ることのできる化合物を意味する。塩基の非限定的な例に含まれるのは、I族とII族の金属の水酸化物、例えばLiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2である。塩基にはアミン塩基も含まれ、その例は、アンモニア、メチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,8-ジアザビシクロウンデス-7-エン(DBU)、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、キヌクリジンなどである。
「非求核塩基」は、上に定義した塩基で、置換型反応又はエステル交換型反応において求核剤として作用しないものを意味する。典型的には、非求核塩基は、塩基中心に共有結合した1つ以上のかさばる基によって立体的に妨害されている。かさばる基は水素の結合を妨げないが、求電子中心との複合体化は阻止する。典型的な非求核塩基の非限定的な例に含まれるのは、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,8-ジアザビシクロウンデス-7-エン(DBU)、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、ホスファゼン塩基(t-ブチルイミノトリス(ジメチルアミノ)フォスフォレン(BEMP)など)である。
「アミン非求核塩基」は、上に定義した非求核塩基で、塩基中心が窒素原子であるものを意味する。典型的なアミン非求核塩基の非限定的な例に含まれるのは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,8-ジアザビシクロウンデス-7-エン(DBU)、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、キヌクリジンである。
「保護基」又は「PG」は、機能的部分を非反応性にするために形成されている部分を意味する。保護基を除去して機能的部分を元の状態に戻すことができる。さまざまな保護基と保護試薬(窒素保護基やメルカプト保護基が含まれる)が当業者によく知られており、その中には、『Protective Groups in Organic Synthesis』、第4版、T. W. GreeneとP. G. M. Wuts、John Wiley & Sons社、ニューヨーク、2006年(その全体が参照によって本明細書に組み込まれている)に開示されている化合物が含まれる。
「メルカプト保護基」は、上に定義した保護基で、イオウ(メルカプト基)を保護するものを意味する。適切なメルカプト保護基の非限定的な例に含まれるのはシリル保護基である。
「アミン保護基」は、上に定義した保護基で、アミン基を保護するものを意味する。適切なアミン保護基の非限定的な例に含まれるのは、t-ブトキシカルボニル(BOC)、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、4-メチルトリチル(MTT)である。
「天然アミノ酸」は、自然に存在する既知の22種類のアミノ酸を意味する。天然アミノ酸の非限定的な例に含まれるのは、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシスチン、ピロリシン、グリシン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸である。
「シリル脱保護剤」は、フッ化物イオン供給源を提供することによってシリル保護基の除去を加速する化合物を意味する。典型的には、シリル脱保護剤は、脱保護反応を駆動する力を提供する。例えばSi-Fによって形成される強力な結合が、シリル基を除去する際の駆動力を提供する。有用なシリル脱保護基の非限定的な例に含まれるのはフルオロ含有化合物であり、その例は、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TASF)、トリヒドロフッ化トリエチルアミン(TEA-3HF)、フッ化水素ピリジンなどである。
「中間体」は、反応混合物の中に形成されて、記載されている工程が完了する前に追加の変換を受ける化合物を意味する。したがって本発明の中間体は、単一の反応混合物の中で一時的に形成されて消費される化合物である。
「N-アシルからS-アシルへの転移反応」は、N-アシル(アミド)結合からS-アシル(チオエステル)結合への化学的変換を意味する。
「光延反応条件」は、固相支持体に結合しているスルホンアミドの窒素原子をアルキル化するのに適した反応条件を意味する。当業者は、適切な光延反応条件を認識しているであろう。光延反応は、典型的にはトリフェニルホスフィンとアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)を含んでいる。(Chem. Rev. 2009年、第109巻(6)、2551〜2651ページ)。
「固相合成条件」は、直線状ペプチド化合物の調製に利用される合成条件を意味する。固相合成条件は本分野で周知であり、その非限定的な例に含まれるのは、アミノ酸又はその誘導体をペプチド単位の中に組み込むのに利用されるBOC化学とFmoc化学である。追加の固相合成条件の非限定的な例に含まれるのは、本明細書に記載されているように、ペプトイド部分のインサイチュ組み込みである。
「ペプチド単位」は、2〜10個のペプチド部分を有する化合物を意味する。ペプチド部分の非限定的な例に含まれるのは、アミノ酸(D-アミノ酸とL-アミノ酸)、非天然アミノ酸(デプシペプチドなど)、ペプトイド(N置換されたグリシン)、他のペプチド系誘導体である。ペプチド部分には連結ペプチド部分も含まれ、その例は、C1-10アルキレン(ただし1〜3個の炭素原子は、場合によってはN、O、Sから選択されたヘテロ原子で置換されている)などである。
III.環状ペプチド化合物を調製する方法
本明細書には、環化されたペプチド化合物を調製する方法が記載されている。このアプローチによって化学的多様性を大きくできるため、例えば改善された細胞膜透過性を持つことのできる環状ペプチド化合物をより注意深く設計することが可能になる。
本開示の環化されたペプチド化合物は、金属チオ親和性触媒と、非求核塩基と、直線状ペプチド化合物を用いて反応混合物を形成することによって調製することができる。直線状ペプチド化合物はリンカーを介して固相支持体に共有結合され、そのリンカーと直線状ペプチド化合物はチオエステル部分を介して共有結合され、そのリンカーと固相支持体はスルホンアミドを介して結合される。直線状ペプチド化合物の環化と固相支持体からの切断は、リンカーと直線状ペプチド化合物の間のチオエステル部分を本明細書に記載されている適切な反応条件下で切断することによって実現されて、アミドが形成される。
本開示の環化されたペプチド化合物を調製する方法は、環化工程に加え、カップリング反応、及び/又は転移反応、及び/又は脱保護反応をさらに含むことができる。したがっていくつかの実施態様では、本開示により、式(Ia)の環化されたペプチド化合物:
Figure 2020529472
を調製する方法が提供される。この方法の工程には、
i)式(IIIa)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、光延反応条件下で、式(Va)の化合物:
Figure 2020529472
と、トリイソプロピルシリル(TIPS)で保護されたメルカプトエタノールを含むカップリング反応混合物を形成し;
ii)式(IVb)の中間体:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、前記式(IIIa)の化合物と、酢酸と、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)を含む転移反応混合物を形成することで、前記式(IVb)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IIc)の化合物:
Figure 2020529472
を形成し;
iii)式(IIa)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、式(IIc)の化合物とトリフルオロ酢酸(TFA)を含む脱保護反応混合物を形成し;
iv)式(Ia)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、銀と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と、式(IIa)の化合物を含む環化反応混合物を形成することが含まれる。
上記の工程において、
Figure 2020529472
は固相支持体を表わす。
各変換の詳細と、ペプチド単位が何であるかを以下に論ずる。
A.環化反応
最初に環化反応に注目すると、いくつかの実施態様では、本開示により、式(I)の環化された化合物:
Figure 2020529472
を調製する方法が提供される。この方法は、式(I)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、チオ親和性触媒と、非求核塩基と、式(II)の化合物:
Figure 2020529472
を含む環化反応混合物を形成することを含んでいる。
式(I)において、R1aとして、H、NH2、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかが可能である。L1として、結合、N-H、-O-のいずれかが可能だが、R1aがNH2であるときにはL1は結合であり;L1が-O-であるときにはR1aは、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかである。
いくつかの実施態様では、R1aはHである。いくつかの実施態様では、L1は結合である。いくつかの実施態様では、R1aはNH2であり、L1は結合である。いくつかの実施態様では、L1は-O-であり、R1aはH又はC1-8アルキルである。
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ia)の構造:
Figure 2020529472
を有する。
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ie)の構造:
Figure 2020529472
を有する。
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、式(If)の構造:
Figure 2020529472
を有する。
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ig)の構造:
Figure 2020529472
を有する。
本開示のチオ親和性触媒は、イオウに対する親和性があって環化反応の速度を大きくする化合物又は原子である。いくつかの実施態様では、チオ親和性触媒は、イオウ及び/又は環化反応の遷移状態を安定化させることによって環化反応の速度を大きくする。チオ親和性触媒として遷移金属が可能である。いくつかの実施態様では、チオ親和性触媒は金属チオ親和性触媒である。いくつかの実施態様では、金属チオ親和性触媒は、銅、ニッケル、水銀、銀、ルテニウム、オスミウム、ストロンチウムのいずれかである。いくつかの実施態様では、金属チオ親和性触媒は銀である。
多数の異なる非求核塩基を環化反応混合物に添加することができる。非求核塩基は周知であり、適切な非求核塩基を決めることは十分に当業者の能力範囲である。いくつかの実施態様では、非求核塩基はアミン非求核塩基である。いくつかの実施態様では、アミン非求核塩基は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA又はヒューニッヒ塩基)、1,8-ジアザビシクロウンデス-7-エン(DBU)、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、キヌクリジンからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アミン非求核塩基はDIPEAである。
式(II)において、R1として、H、NH2、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかが可能である。R2としてHが可能であり;L1として、結合、N-H、-O-のいずれかが可能だが、R1がNH2であるときにはL1は結合であり;L1が-O-であるときにはR1は、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかである。
いくつかの実施態様では、R1はHである。いくつかの実施態様では、L1は結合である。いくつかの実施態様では、R1aはH又はC1-8アルキルであり、L1は結合である。いくつかの実施態様では、R1はH又はC1-8アルキルであり、L1は-O-である。
いくつかの実施態様では、式(II)の-L1-NR1R2は、以下の構造:
Figure 2020529472
のうちの1つによって表わされる。ただし「波線」は、ペプチド単位の結合点を示す。
L2として、C2-8アルキレン、C3-8シクロアルキレン、3〜8員のヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレン、5〜10員のヘテロアリーレンのいずれかが可能であり、そのそれぞれは、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-SRa、-C1-4アルキル-SRa、オキソから選択された1〜4個の置換基で置換することができ;ヘテロシクロアルキレンとヘテロアリーレンは、それぞれ、N、O、Sから独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を持ち;RaはH又はC1-8アルキルである。いくつかの実施態様では、L2として、C2-8アルキレン、C3-8シクロアルキレン、3〜8員のヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレンのいずれかが可能であり、そのそれぞれは、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-SRa、-C1-4アルキル-SRa、オキソから選択された1〜4個の置換基で置換することができる。いくつかの実施態様では、L2として、C2-8アルキレン、C3-8シクロアルキレン、3〜8員のヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレンのいずれかが可能である。いくつかの実施態様では、L2として、C2-8アルキレン又はC3-8シクロアルキレンが可能である。いくつかの実施態様では、L2としてC2-8アルキレンが可能である。
いくつかの実施態様では、L2は、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,2-ブチレン、1,2-ペンチレン、1,2-ヘキシレン、1,3-プロピレン、1,3-ブチレン、1,3-ペンチレン、1,3-ヘキシレン、1,2-シクロへキシレン、1,2-シクロペンチレン、1,3-シクロへキシレン、1,3-シクロペンチレン、2,3-テトラヒドロチオピラニレン、2,4-テトラヒドロチオピラニレン、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、2,3-ピリジニレン、2,3-フラニレンのいずれかである。いくつかの実施態様では、L2はC2-8アルキレンである。いくつかの実施態様では、L2は、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,2-ブチレン、1,2-ペンチレン、1,2-ヘキシレン、1,3-プロピレン、1,3-ブチレン、1,3-ペンチレン、1,3-ヘキシレンのいずれかである。いくつかの実施態様では、L2は1,2-エチレンである。
いくつかの実施態様では、L2は、構造:
Figure 2020529472
を持つ。この構造において、qは1〜3の整数が可能である。R7a、R7bと、各R8aとR8bとして、それぞれ、H、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C1-4アルキル-SRa、-SRa、オキソが可能である。あるいはR7bとR8aは、これらの基が結合している原子と組み合わさって、C3-8シクロアルキル、C6-10アリール、3〜8員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロアリールのいずれかを形成し、その中のヘテロシクロアルキル基とヘテロアリール基は、それぞれ、N、O、Sから独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を持つ。
いくつかの実施態様では、qは1である。
いくつかの実施態様では、R7a、R7bと、各R8aとR8bは、独立に、H、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C1-4アルキル-SRa、-SRa、オキソのいずれかである。いくつかの実施態様では、R7a、R7bと、各R8aとR8bは、独立に、H、C1-4アルキル、-SRaのいずれかである。いくつかの実施態様では、R7a、R7b、R8a、R8bのうちの少なくとも3つはHである。いくつかの実施態様では、R7a、R7bと、各R8aとR8bはHである。
いくつかの実施態様では、式(II)の化合物は、式(IIa)の構造:
Figure 2020529472
を持つ。
本開示の環化反応は、さまざまな溶媒の中で実施することができる。適切な溶媒に含まれるのは、極性非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、アセトンのいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、溶媒はTHFである。
環化反応は、さまざまな温度で実施することができる。環化反応は例えば室温で実施することができる。いくつかの実施態様では、環化反応は、約15〜45℃の温度で実施される。いくつかの実施態様では、環化反応は、約20〜30℃の温度で実施される。
環化反応混合物は、適切な任意の圧力にすることができる。反応混合物は、例えば大気圧にすることができる。反応混合物は、適切な任意の環境に曝露することもでき、その例は、大気圧のガス又は不活性ガス(窒素、アルゴンなど)である。
環化反応は、その環化反応を完了させるのに必要な任意の時間にわたって実施することができる。一般に環化反応物は、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、又はそれ以上の時間にわたってインキュベートされる。いくつかの実施態様では、環化反応物は4〜48時間、又は10〜42時間、又は12〜36時間、又は18〜30時間にわたってインキュベートされる。いくつかの実施態様では、環化反応物は約24時間インキュベートされる。いくつかの実施態様では、環化反応は、光なしで実施される。いくつかの実施態様では、環化反応は、反応混合物をアルミホイルの中に包むことによって光なしで実施される。
B.ペプチド単位
本開示のペプチド単位は、少なくとも1つの求核アミンを含む直線状コンストラクトである。本開示の方法では、直線状ペプチド化合物の求核アミンが、その直線状ペプチド化合物を固相支持体に結合させているチオエステル部分を適切な条件下で切断し、環化されたペプチド化合物を形成する。
一般に、本開示のペプチド単位は、2〜10個のペプチド部分を含んでいる。あるいは本発明のペプチド単位は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個いずれかのペプチド部分を含むことができる。例えば本発明のペプチド単位は、2〜10個、2〜 9個、2〜8個、2〜7個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、又は3〜10個、3〜9個、3〜8個、3〜7個、3〜6個、3〜5個、又は4〜10個、4〜9個、4〜8個、4〜7個、4〜6個、又は5〜10個、5 〜9個、5〜8個、5〜7個、又は6〜10個、6〜9個、6〜8個のペプチド部分を含むことができる。いくつかの実施態様では、ペプチド単位は、4〜6個のペプチド部分を含むことができる。いくつかの実施態様では、ペプチド単位は、6個のペプチド部分を含むことができる。
本発明のペプチド単位は、約150〜約3000ダルトンの分子量を持つことができる。本発明のペプチド単位のための他の分子量に含まれるのは、約250〜約3000ダルトン、又は約250〜約2500ダルトン、又は約250〜約2000ダルトン、又は約250〜約1500ダルトン、又は約250〜約1000ダルトン、又は約500〜約3000ダルトン、又は約750〜約3000ダルトン、又は約1000〜約3000ダルトン、又は約500〜約2000ダルトン、又は約500〜約1500 ダルトン、又は約500〜約1000 ダルトンである。当業者は、本発明のペプチド単位にとって、ペプチド部分の性質に応じて他の分子量も有用であることを認識している。
ペプチド部分の非限定的な例に含まれるのは、アミノ酸(D-アミノ酸、L-アミノ酸)、非天然アミノ酸(デプシペプチドなど)、ペプトイド(N置換されたグリシン)、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、N-メチルアミノ酸と、これらの適切な組み合わせ(例えばホモ-デプシペプチド、N-メチルホモ-アミノ酸)、他のペプチドに基づく誘導体である。本開示の非天然アミノ酸には、22種類の天然アミノ酸を超えた側鎖のバリエーションも含まれる。例えばいくつかの実施態様では、非天然アミノ酸は、有用なファーマコフォアである場合によっては置換された1つ以上のアリール環又はヘテロアリール環を有する側鎖を含んでいる。ペプチド部分は連結基(C1-4アルキレンなど)も含んでいる。
アミン酸部分は、下に示す一般構造:
Figure 2020529472
を持つ。この構造において、R3はアミノ酸部分の側鎖であり、下に定義されている。R5はH又はC1-8アルキルである。R5がメチルであるとき、上に示した構造はN-メチルアミノ酸である。
βアミノ酸部分は、下に示す一般構造:
Figure 2020529472
を持つ。ただしR3はβアミノ酸部分の側鎖であり、下に定義されている。R5はH又はC1-8アルキルである。R5がメチルであるとき、上に示した構造はN-メチルβアミノ酸である。R5は、H、C1-8アルキル、OHのいずれかである。
γアミノ酸部分は、下に示す一般構造:
Figure 2020529472
を持つ。ただしR3はγアミノ酸部分の側鎖であり、下に定義されている。R5はH又はC1-8アルキルである。R5がメチルであるとき、上に示した構造はN-メチルγアミノ酸である。R9とR10は、それぞれ独立に、H、C1-8アルキル、OHのいずれかである。
デプシペプチド部分は、下に示す一般構造:
Figure 2020529472
を持つ。ただしR3はデプシペプチド部分の側鎖であり、下に定義されている。βデプシペプチド部分は、COOH基とC-R3基の間、又はC-R3基とOH基の間に追加のメチレンを含んでいる。
ペプトイド部分は、下に示す一般構造:
Figure 2020529472
を持つ。ただしR3はペプトイド部分の側鎖であり、下に定義されている。
上に規定した構造から、ペプチド単位内のペプチド部分のさまざまな組み合わせと改変が可能であることは明らかである。例えばいくつかの実施態様では、上記のβ誘導体によって付加されるメチレンは、R3基、R5基、R9基、R10基のいずれかでさらに置換することができる。さらに、上記のβ誘導体に加え、メチレンよりも大きいアルキレン基(C1-6アルキレン、C1-4アルキレンなど)を本明細書に記載されているペプチド部分に組み込めることがわかる。
本開示のペプチド部分は連結部分も含んでいる。連結部分はC1-10アルキレンなどであり、その中の1〜3個の炭素原子は、場合によってはN、O、Sから選択されたヘテロ原子で置換されている。いくつかの実施態様では、連結ペプチド部分は、
Figure 2020529472
である。その中の各Yは、独立に、NR5、C(O)、O、Sのいずれかであり;R5はH又は C1-8アルキルであり;各R6aはH又はハロゲンであり;nは0〜8の整数である。
ペプチド単位の求核アミンとして、適切な任意のアミンが可能である。適切なアミンには、末端アミンと非末端アミンが含まれる。末端アミンは、直線状ペプチド単位の主鎖の中の最後の原子となっているアミンである。非末端アミンは、ペプチド単位の主鎖の一部ではないアミンである(すなわち非末端アミンは、骨格となる直線状ペプチド単位に結合した側鎖の一部である)。いくつかの実施態様では、求核アミンは末端アミンである(頭部と尾部を連結させる環化)。いくつかの実施態様では、求核アミンは非末端アミンである(側鎖と尾部を連結させる環化)。いくつかの実施態様では、求核アミンは、アミン官能基(-NHR1)、アミノオキシ官能基(-O-NH2)のアミン、ヒドラジン官能基(-NH-NH2)のアミンのいずれかである。ただしR1は、上のA項で定義した通りである。
適切な求核アミンに関する一般的な制限因子に、環化反応で形成される環のサイズが含まれる。側鎖と尾部を連結させる上述の環化に関しては、適切な求核アミンの1つの代表例にリシン残基のアミンが含まれる。いくつかの実施態様では、リシンはペプチド単位の(固相支持体への結合点から数えて)3番目、又は4番目、又は5番目、又は6番目のアミノ酸であり、適切な条件下で容易に環化する。
いくつかの実施態様では、ペプチド単位は、その中に組み込まれているペプチド部分X:
Figure 2020529472
の組成によって規定される。ただし、mは2〜10の整数であり;
各Xは独立に、C3-8シクロアルキレン、X1-C3-8シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、X1-ヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレン、-X1-C6-10アリーレン、ヘテロアリーレン、-X1-ヘテロアリーレン、
Figure 2020529472
のいずれかであり、その中の各ヘテロシクロアルキレンは、N、O、Sからそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する3〜8個の環員を含み、各ヘテロアリーレンは、N、O、Sからそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する5〜10個の環員を含んでいる。
各Yは、独立に、結合、CH2、NR5、O、S、S(O)、S(O)2のいずれかである。
各nは1〜8の整数である。
各R3は、H、ハロゲン、シアノ、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、C1-8ハロアルキル、-ORd、-X1-ORd、-SRb、-X1-SRb、-NRbRd、-X1-NRbRd、C(O)Rb、-X1-C(O)Rb、-C(O)ORb、-X1-C(O)ORb、-C(O)NRbRc、-X1-C(O)NRbRc、-OC(O)NRbRc、-X1-OC(O)NRbRc、-NRbC(O)Rc、-X1-NRbC(O)Rc、-NRbC(O)2Rc、-X1-NRbC(O)2Rc、-NRbC(O)NRbRc、-X1-NRbC(O)NRbRc、-S(O)2NRbRc、-X1-S(O)2NRaRb、-NRbC(NH)NRbRc、-X1-NRbC(NH)NRbRc、C3-8シクロアルキル、X1-C3-8シクロアルキル、C6-10アリール、-X1-C6-10アリール、ヘテロシクロアルキル、-X1-ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-X1-ヘテロアリールである。R3のC3-8シクロアルキル部分、C6-10アリール部分、ヘテロシクロアルキル部分、ヘテロアリール部分は、場合によっては1〜4個の置換基で置換されており、その置換基はそれぞれ独立に、C1-4アルキル、ハロゲン、シアノ、-ORb、-X1-ORb、-SRb、-X1-SRb、-NRbRd、-X1-NRbRdからなる群から選択される。各ヘテロシクロアルキルは、N、O、Sからそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する3〜8個の環員を含んでいる。各ヘテロアリールは、N、O、Sからそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する5〜10個の環員を含んでいる。
R4は、H、C1-8アルキル、-ORd、-NRbRd、-[C(H)(R3)]1-6-NRbRd、-X1-C(O)Rb、C(O)Rb、-NH-C(O)Rb、C(O)ORb、-X1-C(O)ORb、-C(O)NRbRc、C3-8シクロアルキルのいずれかである。
各R5は、独立に、H又はC1-8アルキルであるか;あるいは同じX単位内のR3とR5は、これらの基が結合している原子と組み合わさって、N、O、Sからなる群からそれぞれ独立に選択された1〜3個の追加へテロ原子を有する5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施態様では、R3とR5が組み合わさって形成される5〜6員のヘテロシクロアルキル環は、場合によってはさらに1〜3個の置換基で置換されており、その置換基の選択は、ハロゲン、シアノ、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、C1-8ハロアルキル、-ORb、-X1-ORb、-SRb、-X1-SRb、-NRbRd、-X1-NRbRd、C(O)Rb、-X1-C(O)Rb、-C(O)ORb、-X1-C(O)ORb、-C(O)NRbRc、-X1-C(O)NRbRc、-NRbC(O)Rc、-X1-NRbC(O)Rc、-NRbC(O)2Rc、-X1-NRbC(O)2Rc、-S(O)2NRbRc、-X1-S(O)2NRaRbからなされる。
各R6aとR6bは、それぞれ独立に、H、C1-4アルキル、ハロゲンのいずれかである。
各X1は、独立にC1-6アルキレンである。
R9とR10は、それぞれ独立に、H、C1-8アルキル、OHのいずれかである。
各RbとRcは、独立に、H、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルのいずれかである。
各Rdは、独立に、H、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、NH2のいずれかである。
いくつかの実施態様では、各Xは、独立に、C3-8シクロアルキレン、X1-C3-8シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、X1-ヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレン、-X1-C6-10アリーレン、ヘテロアリーレン、-X1-ヘテロアリーレン、
Figure 2020529472
のいずれかが可能であり、その中の各Zは、結合であるか、独立に、C1-6アルキレン、-[C(H)(R3)]1-6-、C3-8シクロアルキレン、X1-C3-8シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、X1-ヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレン、-X1-C6-10アリーレン、ヘテロアリーレン、-X1-ヘテロアリーレンのいずれかが可能であり、その中の各ヘテロシクロアルキレンは、N、O、Sからそれぞれ独立に選択された1〜3個のへテロ原子環員を有する3〜8個の環員を含んでおり、各ヘテロアリーレンは、N、O、Sからなる群からそれぞれ独立に選択された1〜3個のへテロ原子環員を有する5〜10個の環員を含んでおり、各X1は、独立にC1-6アルキレンである。
いくつかの実施態様では、mは2〜6の整数である。いくつかの実施態様では、mは、2〜9、又は2〜8、又は2〜7、又は2〜6、又は2〜5、又は2〜4、又は2〜3の整数である。いくつかの実施態様では、mは、2、3、4、5、6、7、8、9、10のいずれかである。いくつかの実施態様では、mは6である。
いくつかの実施態様では、各R3としてアミノ酸側鎖が可能である。例えばR3として、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシスチン、ピロリシン、グリシン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸いずれかの側鎖が可能である。いくつかの実施態様では、各R3は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキレン-S-C1-6アルキル、フェニル、4-ヒドロキシフェニル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6アルキル-SH、C1-6アルキル-NH2、C1-6アルキル-C(O)NH2、C1-6アルキル-NHC(=NH2 +)NH2、C1-6アルキル-C(O)OH, C1-6アルキル-インドル-3-イル、C1-6 アルキル-イミダゾル-4-イルのいずれかであるか、各R3は、R5と組み合わさるとともに、これらの基が結合している原子と組み合わさってピロリジンを形成することができる。いくつかの実施態様では、各R3は、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、s-ブチル、-CH2CH2-S-CH3、フェニル、4-ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、メルカプトメチル、4-アミノブト-1-イル、-CH2-C(O)NH2、-CH2CH2-C(O)NH2、-(CH2)3-NHC(=NH2 +)NH2、-CH2-C(O)OH、-CH2CH2-C(O)OH、-CH2-インドル-3-イル、-CH2-イミダゾル-4-イルのいずれかであるか、各R3は、R5と組み合わさるとともに、これらの基が結合している原子と組み合わさってピロリジンを形成することができる。
いくつかの実施態様では、R4は、H、C1-8アルキル、-ORd、-NRbRd、-[C(H)(R3)]1-6-NRbRd、C(O)Rb、-NH-C(O)Rb、C3-8シクロアルキルのいずれかである。いくつかの実施態様では、R4は、H、C1-4アルキル、N-C(O)-CH3、-C(O)-CH3、-NH2、-NH-NH2、-ONH2のいずれかである。いくつかの実施態様では、R4は、H、C1-4 アルキル、-C(H)(R3)NHR5、N-C(O)-CH3、-C(O)-CH3、-NH2、-NH-NH2、-ONH2のいずれかである。いくつかの実施態様では、R4は、-NH2、-NH-NH2、-ONH2のいずれかである。いくつかの実施態様では、R4は-NH2である。いくつかの実施態様では、R4は-C(H)(R3)NRbRdである。いくつかの実施態様では、R4は-C(H)(R3)NHR5である。
いくつかの実施態様では、R5として、H又はC1-8アルキルが可能である。いくつかの実施態様では、R5は、同じペプチド部分のR3と組み合わさってピロリジンを形成することができる。いくつかの実施態様では、R5としてH又はメチルが可能である。いくつかの実施態様では、R5としてHが可能である。いくつかの実施態様では、R5としてメチルが可能である。
いくつかの実施態様では、各Xは、独立に、
Figure 2020529472
のいずれかである。ただしR3、R5、R9、R10は、上に定義した通りである。
いくつかの実施態様では、各Xは、独立に、
Figure 2020529472
のいずれかである。ただしR3とR5は、上に定義した通りである。
いくつかの実施態様では、ペプチド単位は少なくとも1個の天然アミノ酸を含んでいる。いくつかの実施態様では、ペプチド単位に含まれるのがすべて天然アミノ酸である。いくつかの実施態様では、ペプチド単位は少なくとも1つのペプトイド部分を含んでいる。いくつかの実施態様では、ペプチド単位は、少なくとも1個のN-メチル化されたアミノ酸を含んでいる。
いくつかの実施態様では、ペプチド単位は、下に示す式:
Figure 2020529472
を持つ。ただしR4とXは、上に定義した通りである。下添字m1とm3は、それぞれ独立に0〜9の整数だが、m1とm3の和は9を超えてはならず、下添字m2は1である。したがってXm1-Xm2-Xm3はXmを表わす式の一部であることがわかる。
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ii)又は式(Ij)の化合物:
Figure 2020529472
によって表わされる。ただしX、M、L1、R4、R1aは、上に定義した通りである。式(Ii)の中のL1は、末端ペプチド部分(X)に結合している(例えばmが2であるとき、配列は-X1-X2-L1-であり;mが4であるとき、配列は-X1-X2-X3-X4-L1-である)。式(Ij)については、下添字m1とm3は、それぞれ独立に0〜9の整数だが、m1とm3の和は9を超えてはならず、下添字m2は1である。
いくつかの実施態様では、ペプチド単位はペプチド部分Xの組成によって規定され、以下の式:
Figure 2020529472
を持つ。
いくつかの実施態様では、ペプチド単位はペプチド部分Xの組成によって規定され、以下の式:
Figure 2020529472

を持つ。
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、以下の構造:
Figure 2020529472
を持つ。
いくつかの実施態様では、式(II)の化合物は、以下の構造:
Figure 2020529472
を持つ。
いくつかの実施態様では、式(II)の化合物は、以下の構造:
Figure 2020529472
を持つ。
いくつかの実施態様では、式(II)の化合物は、以下の構造:
Figure 2020529472
を持つ。
いくつかの実施態様では、式(II)の化合物は、以下の構造:
Figure 2020529472
を持つ。
本明細書に記載したペプチド単位を調製するための固相ペプチド合成法は本分野で知られている。ペプチド単位の合成についてのさらなる考察は、下記のD項でなされている。
この項に記載したペプチド単位に関する上記の一連の式は、必要な場合には、本明細書に記載した合成法の1つ以上の工程において1つ以上の保護基を含むことができるものとする。当業者は、保護基が必要なときには容易に決定することができ、本分野で知られている多数の保護基から選択することができる。そのような保護基は例えば『Protective Groups in Organic Synthesis』、第4版、T. W. GreeneとP. G. M. Wuts、John Wiley & Sons社、ニューヨーク、2006年に開示されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。代表的な保護基に含まれるのは、窒素保護基、メルカプト保護基、ヒドロキシル保護基である。
C.転移反応と脱保護反応
転移反応と脱保護反応は、ペプチドの合成が完了した後に実施される。いくつかの実施態様では、本発明の方法は転移反応と脱保護反応を含んでいる。転移反応によってNアシルからSアシルへの転移反応に適した条件が提供され、下に示す式(III)のメルカプト部分から保護基が除去される。この反応によってアミン不安定性チオエステル結合が導入され、樹脂上環化反応が起こることが可能になる。脱保護反応によって下に示す式(IIb)の化合物からPG2が除去される。
転移反応は、式(IV)の中間体:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(III)の化合物:
Figure 2020529472
と第1の酸を含む転移反応混合物を形成することによって実現できる。この条件は、式(IV)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IIb)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するのにも十分である。
式(III)において、PG1はメルカプト保護基である。いくつかの実施態様では、PG1はシリル保護基である。いくつかの実施態様では、シリル保護基は、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)である。いくつかの実施態様では、シリル保護基はTIPSである。
R1cとして、NH-PG2、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかが可能であり;L1として、結合、N-H、-O-のいずれかが可能だが、R1cがNH-PG2であるときにはL1は結合であり;L1が-O-であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかであり; R2cとしてPG2又はHが可能だが、R2cがHであるときにはR1cはNH-PG2であり、R2cがPG2であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキルのいずれかである。いくつかの実施態様では、R1cは、NH-PG2であり、R2cはHであり、Lは結合である。いくつかの実施態様では、R1cはH又はC1-8アルキルであり、R2cはPG2であり、Lは-O-である。いくつかの実施態様では、R1cはH又はC1-8アルキルであり、R2cはPG2であり、Lは結合である。
PG2はアミン保護基である。いくつかの実施態様では、アミン保護基は、t-ブトキシカルボニル(BOC)、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、4-メチルトリチル(MTT)のいずれかである。いくつかの実施態様では、PG2はBOCである。いくつかの実施態様では、PG2は、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、4-メチルトリチル(MTT)のいずれかである。いくつかの実施態様では、PG2はMMTである。
L2は、A項で式(II)に関して定義したものが可能である。
L1、R1c、R1cは、式(IV)と式(IIb)に関して上に定義した通りである。
いくつかの実施態様では、転移反応はシリル脱保護剤をさらに含んでいる。シリル脱保護剤は、シリル保護基の除去を加速する化合物である。いくつかの実施態様では、シリル脱保護剤により、PG2を除去することなくPG1の選択的な脱保護が可能になる。シリル脱保護剤は本分野で周知であり、一般にはフルオロ含有化合物である。いくつかの実施態様では、シリル脱保護剤は、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TASF)、トリヒドロフッ化トリエチルアミン(TEA-3HF)、フッ化水素ピリジンのいずれかである。いくつかの実施態様では、シリル脱保護剤はフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)である。
転移反応で使用される第1の酸として、アルカン酸、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸のいずれか、又はそれと似たタイプの酸が可能である。いくつかの実施態様では、第1の酸は、塩酸塩、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸のいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、第1の酸は酢酸である。
上記の環化反応におけるように、転移反応は多彩な溶媒の中で実施することができる。適切な溶媒に含まれるのは極性非プロトン性溶媒であり、その例は、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、アセトンのいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、溶媒はTHFである。いくつかの実施態様では、溶媒はジクロロメタンである。いくつかの実施態様では、溶媒は、THFとジクロロメタンの組み合わせである。
いくつかの実施態様では、転移反応混合物は1〜5のpHを持つ。いくつかの実施態様では、転移反応混合物は2〜4のpHを持つ。いくつかの実施態様では、転移反応混合物は約3のpHを持つ。
転移反応は、さまざまな温度で実施することができる。転移反応は、例えば室温で実施することができる。いくつかの実施態様では、転移反応は、約15〜45℃の温度で実施される。いくつかの実施態様では、転移反応は、約20〜30℃の温度で実施される。
転移反応混合物は、適切な任意の圧力にすることができる。転移反応混合物は、例えば大気圧にすることができる。転移反応混合物は、適切な任意の環境に曝露することもでき、その例は、大気圧のガス又は不活性ガス(窒素、アルゴンなど)である。
転移反応は、その転移反応を完了させるのに必要な任意の時間にわたって実施することができる。一般に転移反応物は、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.25時間、2.5時間、2.75時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、6時間、7時間、又はそれ以上の時間インキュベートされる。いくつかの実施態様では、転移反応物は、0.5〜4時間、又は0.75〜3時間、又は1〜2時間インキュベートされる。いくつかの実施態様では、転移反応物は約1.5時間インキュベートされる。
脱保護反応は、式(II)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(IIB)の化合物:
Figure 2020529472
と第2の酸を含む脱保護反応混合物形成することによって実施することができる。
L2、L1、R1c、R2c、R1、R2として、上に定義したものが可能である。
脱保護反応で使用される第2の酸として、アルカン酸、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸のいずれか、又はそれと似たタイプの酸が可能である。いくつかの実施態様では、第2の酸は、塩酸塩、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸のいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、第2の酸は、塩酸塩、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸のいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、第2の酸はトリフルオロ酢酸である。いくつかの実施態様では、第2の酸はトリクロロ酢酸である。
脱保護反応は、多彩な溶媒の中で実施することができる。適切な溶媒に含まれるのは極性非プロトン性溶媒であり、その例は、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、アセトンのいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、溶媒はジクロロメタンである。いくつかの実施態様では、溶媒はTHFである。いくつかの実施態様では、溶媒は、THFとジクロロメタンの組み合わせである。
いくつかの実施態様では、脱保護反応混合物は、3未満のpHを持つ。いくつかの実施態様では、脱保護反応混合物は、2未満のpHを持つ。いくつかの実施態様では、脱保護反応混合物は、1未満のpHを持つ。
脱保護反応は、さまざまな温度で実施することができる。脱保護反応は、例えば室温で実施することができる。いくつかの実施態様では、脱保護反応は、約15〜45℃の温度で実施される。いくつかの実施態様では、脱保護反応は、約20〜30℃の温度で実施される。
脱保護反応混合物は、適切な任意の圧力にすることができる。脱保護反応混合物は、例えば大気圧にすることができる。脱保護反応混合物は、適切な任意の環境に曝露することもでき、その例は、大気圧のガス又は不活性ガス(窒素、アルゴンなど)である。
脱保護反応は、その脱保護反応を完了させるのに必要な任意の時間にわたって実施することができる。一般に脱保護反応物は、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.25時間、2.5時間、2.75時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、6時間、7時間、又はそれ以上の時間インキュベートされる。いくつかの実施態様では、脱保護反応物は、0.5〜4時間、又は0.5〜2時間、又は0.75〜1.25時間インキュベートされる。いくつかの実施態様では、脱保護反応物は1時間インキュベートされる。いくつかの実施態様では、脱保護反応物は約1.5時間インキュベートされる。
上述のように、転移反応と脱保護反応は、2つの別々の反応混合物の中で実施することができる。いくつかの実施態様では、転移反応と脱保護反応は、単一の反応混合物の中で実施される。転移反応と脱保護反応の組み合わせによって単一の反応混合物の中でPG1とPG2の両方が除去される。転移反応と脱保護反応の組み合わせにより、PG1を除去した後にNアシルからSアシルへの転移反応が起こるのに適した条件も提供される。
したがっていくつかの実施態様では、転移反応と脱保護反応は、式(IVa)の中間体:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(III)の化合物:
Figure 2020529472
と酸を含む転移/脱保護反応混合物を形成することによって実施することができる。この条件は、式(IVa)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(II)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するのにも十分である。
R1c、R1c、R1、R2、L1、L2、PG1、PG2は、上に記載した通りである。
いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応は、上記の転移反応で記載したようにシリル脱保護剤をさらに含んでいる。
転移/脱保護反応の間に追加の中間体が形成されることがわかる。例えばPG1を除去することができ、するとPG2を除去する前にN-アシルからS-アシルへの転移が起こることができる。しかしできるだけ明確にするため、同定された唯一の中間体は、PG1とPG2の両方が除去されたグループ(式(IVa))である。C項で定義されたように、PG2はアミン保護基であり、上記の式(III)のR1c又はR2cの中に見られる。
転移/脱保護反応で用いられる酸として、アルカン酸、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸のいずれか、又はそれと似たタイプの酸が可能である。いくつかの実施態様では、酸は、塩酸塩、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸のいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、酸はトリフルオロ酢酸である。
転移/脱保護反応は、多彩な溶媒の中で実施することができる。適切な溶媒に含まれるのは極性非プロトン性溶媒であり、その例は、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、アセトンのいずれか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、溶媒はジクロロメタンである。いくつかの実施態様では、溶媒はTHFである。いくつかの実施態様では、溶媒は、THFとジクロロメタンの組み合わせである。
いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応混合物は、3未満のpHを持つ。いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応混合物は、2未満のpHを持つ。いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応混合物は、1未満のpHを持つ。
いくつかの実施態様では、反応混合物のpHは、十分に時間が経過した後に非求核塩基を添加することによって上昇する。十分な時間とは、PG1基とPG2基を除去するのに必要な任意の時間だが、非求核塩基を添加する前に両方の基を完全に除去する必要はない。一般に十分な時間に含まれるのは、20分間、30分間、40分間、45分間、1時間、1.25時間、1.5時間、2時間、3時間、又はそれよりも長い時間である。いくつかの実施態様では、十分な時間は30分間である。いくつかの実施態様では、十分な時間は1時間である。いくつかの実施態様では、十分な時間は1.5時間である。
いくつかの実施態様では、非求核塩基を添加した後の転移/脱保護反応溶液のpHは、1〜5である。いくつかの実施態様では、転移反応混合物は2〜4のpHを持つ。いくつかの実施態様では、転移反応混合物は約3のpHを持つ。
転移/脱保護反応混合物のpHを調節するのに多彩な非求核塩基が有用である。非求核塩基は周知であり、適切な非求核塩基を決めることは十分に当業者の能力範囲である。いくつかの実施態様では、非求核塩基はアミン非求核塩基である。いくつかの実施態様では、アミン非求核塩は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA又はHunig塩基)、1,8-ジアザビシクロウンデス-7-エン(DBU)、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、キヌクリジンからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アミン非求核塩はDIPEAである。
転移/脱保護反応は、さまざまな温度で実施することができる。転移/脱保護反応は、例えば室温で実施することができる。いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応は、約15〜45℃の温度で実施される。いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応は、約20〜30℃の温度で実施される。
転移/脱保護反応混合物は、適切な任意の圧力にすることができる。反応混合物は、例えば大気圧にすることができる。反応混合物は、適切な任意の環境に曝露することもでき、その例は、大気圧のガス又は不活性ガス(窒素、アルゴンなど)である。
転移/脱保護反応は、転移反応を完了させるのに必要な任意の時間にわたって実施することができる。一般に転移/脱保護反応物は、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.25時間、2.5時間、2.75時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、6時間、7時間、又はそれ以上の時間インキュベートする。いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応物は、0.5〜4時間、又は0.75〜3時間、又は1〜2時間インキュベートする。いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応物は、約1.5時間インキュベートする。いくつかの実施態様では、転移/脱保護反応物は、約1時間インキュベートする。
D.カップリング反応
カップリング反応により、保護されたメルカプト基が、固相支持体に結合したスルホンアミドの窒素原子に付加される。この工程で導入されるメルカプト基は、プロセスの下流工程における環化反応に必要なチオエステル結合を提供する。したがっていくつかの実施態様では、本発明の方法にカップリング反応も含まれる。カップリング反応には、(式(VI)で規定される)保護されたメルカプト-アルキル-アルコールを式(V)の化合物と光延反応条件下で接触させることが含まれる。
カップリング反応は、式(III)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、光延反応条件下で、式(V)の化合物:
Figure 2020529472
と式(VI)の化合物:
Figure 2020529472
を含むカップリング反応混合物を形成することによって実施することができる。
R1c、R1c、L1、L2、PG1、PG2は、上に記載した通りである。
いくつかの実施態様では、式(VI)の化合物は、メルカプトエタノール、3-メルカプトプロパン-1-オール、2,3-ジメルカプトプロパン-1-オール、4-メルカプトプロパン-1-オール、2-メルカプトプロパン-1-オール、2-メルカプトシクロヘキサン-1-オール、2-メルカプトシクロペンタン-1-オール、2-メルカプトフェノール、3-メルカプトピリジン-2-オール、3-メルカプトフラン-2-オールのいずれかであり、その中の各メルカプト基は保護基PG1で保護されている。いくつかの実施態様では、式(VI)の化合物は、メルカプトエタノール、3-メルカプトプロパン-1-オール、2,3-ジメルカプトプロパン-1-オール、4-メルカプトプロパン-1-オール、2-メルカプトプロパン-1-オールのいずれかであり、その中の各メルカプト基は保護基PG1で保護されている。いくつかの実施態様では、式(VI)の化合物はメルカプトエタノールであり、その中のメルカプト基は保護基PG1で保護されている。
カップリング反応は、トリフェニルホスフィンと、溶媒と、アゾジカルボン酸塩も含むことができる。アゾジカルボン酸塩の非限定的な例に含まれるのは、アゾジカルボン酸ジエチル又はアゾジカルボン酸ジイソプロピルである。いくつかの実施態様では、光延反応条件に、適切な不活性ガス(例えば窒素、アルゴン、ネオンと、これらの組み合わせ)を用いた不活性雰囲気が含まれる。いくつかの実施態様では、不活性ガスは窒素である。溶媒には適切な任意の溶媒が含まれ、その中には、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンと、これらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施態様では、溶媒は、ジクロロメタンと組み合わせたテトラヒドロフランである。
カップリング反応は、さまざまな温度で実施することができる。カップリング反応は、例えば室温で実施することができる。いくつかの実施態様では、カップリング反応は、約15〜45℃の温度で実施される。いくつかの実施態様では、カップリング反応は、約20〜30℃の温度で実施される。
カップリング反応混合物は、適切な任意の圧力にすることができる。反応混合物は、例えば大気圧にすることができる。反応混合物は、適切な任意の環境に曝露することもでき、その例は、大気圧のガス又は不活性ガス(窒素、アルゴンなど)である。
カップリング反応は、このカップリング反応を完了させるのに必要な任意の時間にわたって実施することができる。一般にカップリング反応物は、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、又はそれ以上の時間インキュベートする。いくつかの実施態様では、カップリング反応物は、4〜48時間、又は10〜42時間、又は12〜36時間、又は12〜24時間、又は15〜21時間インキュベートする。いくつかの実施態様では、カップリング反応物は約18時間インキュベートする。
典型的には、カップリング反応は、ペプチド単位の固相合成が完了した後(すなわち最後のペプチド部分がペプチド単位に付加された後)に実施される。上のB項に記載されているように、ペプチド単位のペプチド部分の非限定的な例に含まれるのは、アミノ酸部分とアミノ酸代替物(デプシペプチド、ペプトイドなど)である。ペプチド単位の主鎖が末端アミンを含む実施態様では、そのアミンは酸不安定性保護基を含んでいる。いくつかの実施態様では、末端アミンの酸不安定性保護基はBOCである。
ペプチド単位の中に存在する第一級アミンと第二級アミンはどれも、光延反応の前に保護基を含むものとする。いくつかの実施態様では、保護基は、酸不安定性アミン保護基である。いくつかの実施態様では、酸不安定性保護基は、t-ブトキシカルボニル(BOC)、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、4-メチルトリチル(MTT)からなる群から選択される。
当業者は、2つ以上のアミンがペプチド単位の中に存在しているとき、「環化アミン」(すなわち求核剤として作用して環化されたペプチド化合物を形成するアミン)の直交した脱保護が望ましいことを認識しているであろう。したがって2つ以上のアミンがペプチド単位の中に存在している実施態様では、環化アミンは直交して保護されている。直交した保護により、環化アミンの選択的な脱保護が可能になる。直交した保護の非限定的な一例として、環化アミンの保護は、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、4-メチルトリチル(MTT)のいずれかを用いてなされ、他のすべてのアミンの保護はt-ブトキシカルボニル(BOC)を用いてなされる。MMT、MTT、DdZは、2%TFAを用いて除去することができる。それと比べてBOCは30%TFAの中で除去される。環化アミンの選択的な脱保護により、望む環化されたペプチド化合物の形成が保証される。
E.ペプチド単位の固相合成
いくつかの実施態様では、本発明の方法はさらに、ペプチド単位の固相合成を含んでいる。そのような実施態様では、式(V)の化合物:
Figure 2020529472
は、固相合成条件下で式(VII)の化合物:
Figure 2020529472
にペプチド単位を逐次的に付加することによって調製される。
式(VII)の球:
Figure 2020529472
は、スルホンアミド官能基が結合した固相支持体であると理解する。本分野で知られている多彩な固相支持体が本発明において有用である。有用な固相支持体に含まれるのは、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミドや、これらの組み合わせで製造された樹脂である。C1-6アルキルなどの連結基が樹脂とスルホンアミドの間を十分に分離しているため、装填とその後の合成反応が効率的になされることが明確になっている。
スルホンアミド樹脂を調製する多彩な方法が本分野で知られている。非限定的な一例として、本開示のスルホンアミド樹脂は、下に示す条件下で、末端アミンを含む樹脂を4-スルファモイルブタン酸と接触させることによって調製することができる。
Figure 2020529472
DIC:N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、カルボキシル活性剤;HOAt:1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、カルボキシル活性剤;NMP:N-メチル-2-ピロリドン、極性非プロトン性溶媒。
上記のいくつかの段落に記載されているように、前の反応で生成する化合物は式(VII)の化合物である。
スルホンアミド樹脂を調製する方法と同様、アミノ酸が含まれる樹脂(すなわち第1のペプチド部分の付加)を調製する方法が本分野で知られている。非限定的な一例として、Fmocが含まれるスルホンアミド樹脂は、以下のようにして調製することができる:
Figure 2020529472
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボキシル活性剤;DMAP:4-ジメチルアミノピリジン、非求核塩基;DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、非求核塩基;DCM:ジクロロメタン、溶媒。
標準的な固相合成技術を利用して式(VII)の化合物にペプチド部分を逐次的に付加する。上記のB項に記載されているように、本開示のペプチド単位は、2〜10個のペプチド部分Xを含んでいる。ペプチド単位のペプチド部分が形成されて、ペプチド、デプシペプチド、ペプトイドや、他のペプチド誘導体が製造される。好ましいことに、スルホンアミド固相支持体は、ペプチド部分をペプチド単位に組み込む固相合成技術に適合した化学を提供する。非限定的な一例として、以下のインサイチュ変換を利用してペプトイド部分をペプチド単位に付加することができる。ただし「A」、「B」、「C」は、ペプチド単位にすでに組み込まれたペプチド部分を表わす。
Figure 2020529472
ただしR3は、上のB項で定義されたものである。
交差反応する官能基を有するペプチド部分(すなわちアミノ酸(1つのカルボン酸基と1つのアミン基))を組み込むとき、保護基を付加して望ましくない重合反応を阻止する。本開示の固相合成条件下におけるペプチド部分の逐次的付加に役立つ保護基に、t-ブトキシカルボニル(BOC)と塩化フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)の両方が含まれる。そのため本発明で有用な固相合成技術にBOC化学とFmoc化学の両方が含まれる。したがってペプトイド部分をペプチド単位に組み込むさらに別の一例には、以下の化学的変換が含まれる。ここでも「A」、「B」、「C」は、ペプチド単位にすでに組み込まれたペプチド部分を表わす。
Figure 2020529472
ただしR3は、上のB項で定義されたものである。上記の反応スキームの中で、次のペプチド部分がFmocを除去した後に付加される。好ましいことに、ペプチド単位の固相合成の間にFmoc化学を利用することで、N-アルキルとペプトイド部分をペプチド単位に組み込むことが容易になる。N-アルキル又はペプトイド部分がBOC化学を利用してペプチド単位に組み込まれるときには、必要とされる酸脱保護工程によって望ましくない副反応がN-アルキル結合又はN-R3結合を含む酸感受性残基に起こる。直線状ペプチド合成の間にFmoc化学を利用すると、本開示の環化されたペプチドを調製するときに必要な酸脱保護工程の総数を制限されることでこの問題が緩和される。したがって本開示の方法により、環化されたペプチド化合物に関して利用できる化学的多様性が増大する。
ペプチド単位に組み込まれる最後のペプチド部分は、第一級アミン又は第二級アミンを有することができる。組み込まれる最後のペプチド部分がアミンを含む実施態様では、そのアミンは、酸不安定性保護基を有する保護基である。上述のように、ペプチド単位は2〜10個のペプチド部分を含むことができる。そのため最後のペプチド部分は、ペプチド単位に望む長さに応じ、付加される2番目、又は3番目、又は4番目、又は5番目、又は6番目、又は7番目、又は8番目、又は9番目、又は10番目のペプチド部分になる可能性がある。いくつかの実施態様では、最後のペプチド部分の酸不安定性保護基は、t-ブトキシカルボニル(BOC)、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、4-メチルトリチル(MTT)のいずれかである。
本明細書に記載したアミノ酸誘導体を有する直線状ペプチド化合物を製造するさらに別の固相合成法が本分野で知られている。
F.本開示の特別な実施態様
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ib)の化合物:
Figure 2020529472
によって表わされ、その調製は、
i)式(IIIb)の化合物:
Figure 2020529472
を調製するため、光延反応条件下で、式(Vb)の化合物:
Figure 2020529472
と、トリイソプロピルシリル(TIPS)で保護されたメルカプトエタノールを含むカップリング混合物を形成し、
ii)式(IVc)の中間体:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(IIIb)の化合物と、酢酸と、フッ化テトラ-N-ブチルアンモニウム(TBAF)を含む転移反応混合物を形成することで、式(IVc)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IId)の化合物:
Figure 2020529472
を形成し、
iii)式(IIe)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、式(IId)の化合物とトリフルオロ酢酸(TFA)を含む脱保護反応混合物を形成し、
iv)式(Ib)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、銀と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と、式(IIe)の化合物を含む環化反応混合物を形成することによってなされる。
いくつかの実施態様では、式(Ic)の化合物:
Figure 2020529472
の調製は、
i)式(IIIc)の化合物:
Figure 2020529472
を調製するため、光延反応条件下で、式(Vc)の化合物:
Figure 2020529472
と、トリイソプロピルシリル(TIPS)で保護されたメルカプトエタノールを含むカップリング混合物を形成し、
ii)式(IVd)の中間体:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(IIIc)の化合物と、酢酸と、フッ化テトラ-N-ブチルアンモニウム(TBAF)を含む転移反応混合物を形成することで、式(IVd)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IIf)の化合物:
Figure 2020529472
を形成し、
iii)式(IIg)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、式(IIf)の化合物とトリフルオロ酢酸(TFA)を含む脱保護反応混合物を形成し、
iv)式(Ic)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、銀と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と、式(IIg)の化合物を含む環化反応混合物を形成することによってなされる。
いくつかの実施態様では、MTT保護基がMMT保護基で置き換えられる。
いくつかの実施態様では、環化されたペプチドを調製する上記の方法における工程ii)の転移反応と工程iii)の脱保護反応は、単一の酸を用いて単一反応混合物の中で実施される。
いくつかの実施態様では、上記の方法はさらに、
i)式(Id)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、式(Ic)の化合物とトリフルオロ酢酸(TFA)を含む第2の脱保護反応混合物を形成することを含んでいる。
いくつかの実施態様では、式(Ih)の化合物:
Figure 2020529472
の調製が、
i)式(IIId)の化合物:
Figure 2020529472
を調製するため、光延反応条件下で、式(Vd)の化合物:
Figure 2020529472
と、トリイソプロピルシリル(TIPS)で保護されたメルカプトエタノールを含むカップリング混合物を形成し、
ii)式(IVe)の中間体:
Figure 2020529472
を形成するのに適した条件下で、式(IIId)の化合物と、酢酸と、フッ化テトラ-N-ブチルアンモニウム(TBAF)を含む転移反応混合物を形成することで、式(IVe)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IIh)の化合物:
Figure 2020529472
を形成し、
iii)式(IIi)の化合物:
Figure 2020529472
を形成するため、式(IIh)の化合物とトリフルオロ酢酸(TFA)を含む脱保護反応混合物を形成し、
iv)式(Ih)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、銀と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と、式(IIi)の化合物を含む環化反応混合物を形成することによってなされる。
いくつかの実施態様では、MTT保護基がMMT保護基で置き換えられる。
いくつかの実施態様では、環化されたペプチドを調製する上記の方法の中の工程ii)の転移反応と工程iii)の脱保護反応は、単一の酸を用いて単一の反応混合物の中で実施される。
IV.実施例
実施例1:直線状ペプチドの合成
4-スルファミルブチリルが含まれる支持体上で標準的なフロレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)固相ペプチド合成プロトコルを利用してペプチド単位の直線状ペプチドを合成した。この直線状ペプチド合成における最後のアミノ酸(位置1、標準的なN→C命名法を利用)では、Fmoc保護基の代わりに酸不安定性t-ブトキシカルボニル(BOC)保護基を使用した。
実施例2:ペプトイド部分のインサイチュ組み込みを伴う直線状ペプチドの合成
直線状ペプチドの合成を実施例1に記載してあるようにして実施した。ペプトイドが望ましい位置では、上記のFmoc化学、又はインサイチュ組み込みを利用した。インサイチュ組み込みのために用いた反応ダイヤグラムと条件は下記の通りである。
最初に、ペプチド単位の脱保護されたN末端をNMPの中で2-ブロモ酢酸無水物及びDIPEAと反応させた。
Figure 2020529472
次に、ブロモアセトアミドを末端に有するこの樹脂をNMPの中で第一級アミンとDIPEAを用いて処理し、N末端ペプトイドを得た。
Figure 2020529472
上記のダイヤグラムでは、ペプチド単位にすでに組み込まれたペプチド部分は、「A」、「B」、「C」で表わされている。
実施例3:アシルスルホンアミドリンカーのアルキル化(安全捕獲リンカーの活性化)
Figure 2020529472
(一般に式(Vb)で示される)ペプチド単位を合成した後、N末端BOCで保護された直線状ペプチドを有する樹脂(10マイクロモル)をジクロロメタン(DCM)で洗浄し、乾燥テトラヒドロフラン(THF)の中で膨潤させた。トリイソプロピルシリル(TIPS)で保護されたメルカプトエタノール(20当量、0.5〜1.0 M)とトリフェニルホスフィン(20当量)をTHFに溶かした溶液を樹脂に添加し、次いでアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(20当量)を添加した。この反応混合物を18時間振盪すると式(IIIb)の化合物が生成した。その後、この樹脂をDCM(3×)、THF(3×)、DCM(3×)で洗浄した。
実施例4:TIPSで保護されたチオールの脱保護とN→Sアシル転移
Figure 2020529472
アルキル化の後、式(IIIb)の化合物が含まれる樹脂を乾燥THFの中で膨潤させた。フッ化テトラ-N-ブチルアンモニウム(TBAF)(0.1 M)と氷酢酸(0.2 M)を乾燥THFに溶かした溶液(pH=3)を樹脂に添加し、この反応混合物を1.5時間振盪した。反応によって式(IVc)の中間体が生成する。その後この中間体はN→Sアシル転移を起こして式(IId)の化合物になる。その後、樹脂をDCM(3×)、THF(3×)、DCM(3×)で洗浄した。
実施例5:N末端BOCの脱保護
Figure 2020529472
実施例4の転移反応の後、式(IId)の化合物を含む樹脂を乾燥DCMの中で膨潤させた。30%トリフルオロ酢酸(TFA)をDCMの中に含む溶液を樹脂に添加した。この反応混合物を1時間振盪すると式(IIe)の化合物が生成した。その後、樹脂をDCM(3×)、THF(3×)、DCM(3×)で洗浄した。
実施例6:環化放出
Figure 2020529472
樹脂を、不安定にした乾燥THFでリンスした。不安定にした乾燥THFにトリフルオロ酢酸銀(触媒、1当量、5 mM)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(3当量)を溶かした溶液を樹脂に添加した。アルミホイルで包んだガラス製バイアルの中でこの反応混合物を24時間振盪した。チオエステル結合の分裂を通じた環化放出によって固相からペプチド単位が分離される。
実施例7:TIPSで保護されたチオールの脱保護と、N→Sアシル転移と、N末端BOCの脱保護の同時実施
Figure 2020529472
アルキル化の後、式(IIIb)の化合物が含まれる樹脂を乾燥DCMの中で膨潤させた。フッ化テトラ-N-ブチルアンモニウム(TBAF)(0.1 M)と30%TFAを乾燥DCMに溶かした溶液を樹脂に添加し、この反応混合物を1.5時間振盪した。この変換によってTIPS保護基とBOC保護基が同時に除去される。脱保護されたチオール基がN→Sアシル転移を起こして式(IIe)の化合物が得られる。
実施例8:TIPSで保護されたチオールの脱保護と、N→Sアシル転移と、N末端BOCの脱保護の同時実施
Figure 2020529472
アルキル化の後、式(IIIb)の化合物が含まれる樹脂を乾燥DCMの中で膨潤させた。30%TFAを乾燥DCMの中に含む溶液を樹脂に添加し、この反応混合物を1.5時間振盪した。この変換によってTIPS保護基とBOC保護基が同時に除去される。脱保護されたチオール基がN→Sアシル転移を起こして式(IIe)の化合物が得られる。
実施例4、5、7、8は、式(IIe)の化合物を得るための脱保護とN→Sアシル転移に関する異なる戦略及び/又は条件を提供しており、実施例6に記載されている環化放出反応で用いることができる。脱保護とN→Sアシル転移に関するさまざまな戦略の効率を定量するため、実施例6の環化放出反応を実施する。環化放出の後、20当量のプロピルアミンを用いて残っているペプチド単位(「直線状生成物」)を樹脂から切り出す。プロピルアミンによる切断の間に回収される生成物を直線状生成物と呼ぶ。というのもそれが、環化放出反応で環化しなかった生成物の回収量だからである。LCMS UV(214 nm)によって予想されるm/z環化放出生成物のピーク面積と予想されるm/z直線状生成物のピーク面積を積分することにより、各反応で回収された生成物の量を求めた。環化放出の効率は、環化放出生成物ピーク面積を、環化放出生成物ピーク面積と直線状生成物ピーク面積の和で割ることによって計算した(すなわち、環化放出生成物ピーク面積/(環化放出生成物ピーク面積+直線状生成物ピーク面積))。
ペプチド単位の配列が樹脂-Leu-Tyr-Pro-(D-Ala)-Leu-Ala-Bocであるとき、各戦略での環化放出の効率を下の表1に示す。
Figure 2020529472
実施例9:銀を用いた環化放出
6個のアミノ酸を有するペプチド単位を実施例1に記載されているようにして合成した。ペプチド単位を合成した後、配列1、2、5、6に対してアルキル化工程と脱保護工程を実施例3〜5に記載されているようにして実施した。配列3、4、7、8に対してもアルキル化と脱保護を実施例3〜5に記載されているようにして実施したが、ベンジルアルコール(BnOH)をメルカプトエタノールの代わりに使用した点が異なっている。銀の存在下(+)と銀の不在下(-)で、すべての配列に対して環化放出を実施例6に記載されているようにして実施した。環化放出の後、20当量のプロピルアミンを用いて残っているペプチド単位(「直線状生成物」)を樹脂から切断した。プロピルアミンによる切断の間に回収した生成物を直線状生成物と呼ぶ。というのもそれが、環化放出反応で環化しなかった生成物の回収量だからである。LCMS UV(214 nm)によって予想されるm/z環化放出生成物のピーク面積と予想されるm/z直線状生成物のピーク面積を積分することにより、各反応で回収された生成物の量を求めた。環化放出の効率は、環化放出生成物ピーク面積を、環化放出生成物ピーク面積と直線状生成物ピーク面積の和で割ることによって計算した(すなわち、環化放出生成物ピーク面積/(環化放出生成物ピーク面積+直線状生成物ピーク面積))。
結果を下の表2に示す。データは、効率的な環化放出のためには、チオエステルを形成するN→Sアシル転移反応と、チオ親和性触媒が必要であることを示している。
Figure 2020529472
実施例10:環化放出と、ペプチド単位の長さ
さまざまな長さ(5〜9個のアミノ酸)のペプチド単位を実施例1に記載されているようにして合成した。ペプチド単位を合成した後、実施例3〜6に記載されているようにしてアルキル化工程、脱保護工程、環化放出工程を実施したが、環化反応物は24時間ではなくて40時間インキュベートした。環化放出反応の後、20当量のプロピルアミンを用いて残っているペプチド単位(「直線状生成物」)を樹脂から切断した。環化放出の効率の計算は、配列10(54%)と配列11(54%)についてだけ、実施例9に記載されているようにして実施した。表3に報告されている「環化放出」の量は、予想されるm/z環化放出生成物に対応するLCMSトレースにおける214 nmのUV信号のピーク面積の積分値である。利用した環化放出反応の条件は、実施例6に記載されている条件である。
結果を下の表3に示す。データは、本開示の方法で異なるサイズの環を形成できることと、本開示の方法が、あらかじめ決めた数のアミノ酸又はペプチド部分で形成される環化放出生成物に限定されないことを示している。
Figure 2020529472
実施例11:非天然立体化学とN-メチルバリアントを利用した環化放出
6個の部分を有するペプチド単位を実施例1に記載されているようにして合成した。N-メチル基及び/又はD-立体化学を有するアミノ酸を合成の間にペプチド単位に組み込んだ。ペプチド単位を合成した後、アルキル化工程、脱保護工程、環化放出工程を実施例3〜6に記載されているようにして実施した。環化放出反応の後、20当量のプロピルアミンを用いて残っているペプチド単位(「直線状生成物」)を樹脂から切断した。環化放出の効率の計算は、実施例9に記載されているようにして実施した。
結果を下の表4に示す。データは、環化放出の効率を損なうことなく、非天然アミノ酸をペプチド単位に組み込めることを示している。
Figure 2020529472
実施例12:ペプトイド部分、非天然立体化学バリアント、N-メチルバリアントを用いた場合の環化放出
6個の部分を有するペプチド単位を実施例2に記載されているようにして合成した。ペプトイド部分(下記の表5では「O-」と表記)と、N-メチル基及び/又はD-立体化学を有するアミノ酸を、合成の間にペプチド単位に組み込んだ。ペプチド単位を合成した後、アルキル化工程、脱保護工程、環化放出工程を実施例3〜6に記載されているようにして実施した。環化放出反応の後、20当量のプロピルアミンを用いて残っているペプチド単位(「直線状生成物」)を樹脂から切断した。環化放出の効率の計算は、実施例9に記載されているようにして実施した。
結果を下の表5に示す。データは、環化放出の効率を損なうことなく、非天然アミノ酸と代替アミノ酸(ペプトイドなど)をペプチド単位の中に組み込めることを示している。
Figure 2020529472
1 Fmoc-AAとして組み込まれている
2 インサイチュ組み込み
3 「hh」は「ホモホモ」を意味する;アミノ酸のα炭素とそのアミノ酸の天然側鎖の間に2つの追加メチレン単位を有するアミノ酸。
直線状生成物の純度は、以下の手続きによって求まる:活性化工程の直後、THFの中で20当量のプロピルアミンを3時間用い、活性化された樹脂の一部を切り出す。この溶液を回収し、蒸発させ、300μlのDMSOの中に再懸濁させた後、この溶液2μlをLCMSに注入する。直線状生成物の純度は、LCMSトレースから、[(生成物に対応するUV(214 nm)ピーク)/(サンプル中の種の全UV(214 nm)ピーク面積から溶媒前面のピーク面積を除外した値)]×100という式を用いて計算される。
実施例13:選択的な脱保護と、側鎖と尾部が連結した環化放出
直線状ペプチドの合成を実施例1に記載されているようにして合成した。環化アミン(すなわち環化反応で求核剤として作用するアミン)は4-メチルトリチル(MTT)で保護し、他のすべてのアミン(N末端アミンが含まれる)はBOCで保護する(一般に式(Vc)で表わされる)。
Figure 2020529472
この実施例で合成されたペプチド単位は、配列が、NからCに向かって [Boc]-A- K(MTT)-A-P-Lと[Boc]-A-K(MTT)-A-P-Y-Lであった。ただし[Boc]は、N末端に共有結合したBOC保護基を表わす。直線状ペプチドを合成した後の固相支持体上のペプチド単位の構造を下に示す。ただしMTTで保護されたリシンは(-NH-MTT)として示されており、BOCで保護されたN末端は(-NH-BOC)として示されており、「L」、「P」、「A」、「K」、「Y」は、アミノ酸の一文字表記である。
Figure 2020529472
アルキル化と脱保護の反応を実施例3と4に記載されているようにして各サンプルで実施すると、式(IIf)の化合物が得られる。
Figure 2020529472
次に、選択的な脱保護反応を実施してMMT基を除去するが、BOC基は除去しない。式(IIf)の化合物を含有する樹脂を乾燥DCMの中で膨潤させた。3%TFAを乾燥DCMの中に含む溶液を樹脂に添加し、この反応混合物を1時間振盪した。1時間後、樹脂をDCM(3×)、THF(3×)、DCM(3×)で洗浄した。
選択的な脱保護の後、環化放出反応を実施例6に記載されているようにして実施すると、式(Ic)の化合物が得られる。
Figure 2020529472
環化放出反応の後、20当量のプロピルアミンを用いて残っているペプチド単位(「直線状生成物」)を樹脂から切断した。環化放出の効率の計算は、実施例9に記載されているようにして実施した。[Boc]-A-K(Mtt)-A-P-L化合物と[Boc]-A-K(Mtt)-A-P-Y-L化合物の環化放出の効率は、20〜30%であった。
式(Ic)のBOC基を実施例5に記載されている条件を利用して除去すると、式(Id)の化合物が得られる。
Figure 2020529472
実施例14:側鎖と尾部が連結した環化放出
直線状ペプチドの合成を実施例1に記載されているようにして実施したが、付加する最後のアミノ酸には、BOC保護基の代わりにアシル化されたN末端が含まれていた。調製されたペプチド単位は、配列が、NからCに向かって[Ac]-A-K(MTT)-A-P-Lであった。ただし[Ac]は、N末端に共有結合したアシル基を表わす。直線状ペプチドを合成した後の固相支持体上のペプチド単位の構造を下に示す。ただしMTTで保護されたリシンは(-NH-MTT)として示されており、アシル化されたN末端は(-NH-C(O)-CH3)として示されており、「L」、「P」、「A」、「K」は、アミノ酸の一文字表記である。
Figure 2020529472
アルキル化と脱保護の反応を実施例3と4に記載されているようにして各サンプルで実施すると、下に示す化合物が得られる。
Figure 2020529472
次に、脱保護反応を実施してMTT基を除去する。上に示したペプチド単位を含有する樹脂を乾燥DCMの中で膨潤させた。3%TFAを乾燥DCMの中に含む溶液を樹脂に添加し、この反応混合物を1時間振盪した。1時間後、樹脂をDCM(3×)、THF(3×)、DCM(3×)で洗浄した。
脱保護の後、環化放出反応を実施例6に記載されているようにして実施すると、下に示す化合物が得られる。
Figure 2020529472
環化放出反応の後、20当量のプロピルアミンを用いて残っているペプチド単位(「直線状生成物」)を樹脂から切断した。環化放出の効率の計算は、実施例9に記載されているようにして実施した。上に示した化合物の環化放出の効率は、約50%であった。
明確な理解を目的としてこれまで本発明を図と実施例によっていくらか詳細に記載してきたが、当業者は、添付の請求項の範囲内である程度の変更や改変を実施できることを認識しているであろう。それに加え、本明細書に提示されている各参考文献は、その全体が、各参考文献が個別に参照によって組み込まれているかのようにして、参照によって組み込まれている。本出願と本明細書に提示されている参考文献の間に齟齬が存在する場合には、本出願が優先する。

Claims (56)

  1. 式(I)の環化されたペプチド化合物:
    Figure 2020529472
    を調製する方法であって、
    前記式(I)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、チオ親和性触媒と、非求核塩基と、式(II)の化合物:
    Figure 2020529472
    を含む環化反応混合物を形成することを含み、
    式中、
    Figure 2020529472
    は固相支持体であり;
    R1aは、H、NH2、C1-8アルキル、及びC3-8シクロアルキルからなる群から選択され;
    L1は、結合、N-H、及び-O-からなる群から選択されるが、
    R1aがNH2であるときにはL1は結合であり;
    L1が-O-であるときにはR1aは、H、C1-8アルキル、又はC3-8シクロアルキルのいずれかであり;
    R1は、H、NH2、C1-8アルキル、及びC3-8シクロアルキルからなる群から選択されるが、
    R1がNH2であるときにはL1は結合であり;
    R2はHであり;
    L2は、C2-8アルキレン、C3-8シクロアルキレン、3〜8員のヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレン、及び5〜10員のヘテロアリーレンからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-SRa、-C1-4アルキル-SRa、及びオキソからなる群から選択された1〜4個の置換基で置換されており、各ヘテロシクロアルキレンとヘテロアリーレンは、N、O、及びSからなる群からそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有し;そして
    Raは、HとC1-8アルキルからなる群から選択される、方法。
  2. 前記チオ親和性触媒が金属チオ親和性触媒である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属チオ親和性触媒が、銅、ニッケル、水銀、銀、ルテニウム、オスミウム、及びストロンチウムからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記金属チオ親和性触媒が銀である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記非求核塩基がアミン非求核塩基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記アミン非求核塩基が、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,8-ジアザビシクロウンデス-7-エン(DBU)、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、及びキヌクリジンからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アミン非求核塩基がDIPEAである、請求項6に記載の方法。
  8. R1がHである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. R1がNH2である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. L1が結合である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. R1aがHである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記ペプチド単位が、構造:
    Figure 2020529472
    有し、
    式中、
    mは2〜10の整数であり;
    各Xは、独立に、C3-8シクロアルキレン、X1-C3-8シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、X1-ヘテロシクロアルキレン、C6-10アリーレン、-X1-C6-10アリーレン、ヘテロアリーレン、-X1-ヘテロアリーレン、
    Figure 2020529472
    からなる群から選択され、その中の各ヘテロシクロアルキレンは、N、O、及びSからそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する3〜8個の環員を含み、各ヘテロアリーレンは、N、O、S及びからなる群からそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する5〜10個の環員を含み、
    各Yは、独立に、CH2、NR5、O、S、S(O)、及びS(O)2からなる群から選択され;
    各nは1〜8の整数であり;
    各R3は、独立に、H、ハロゲン、シアノ、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、C1-8ハロアルキル、-ORd、-X1-ORd、-SRb、-X1-SRb、-NRbRd、-X1-NRbRd、C(O)Rb、-X1-C(O)Rb、-C(O)ORb、-X1-C(O)ORb、-C(O)NRbRc、-X1-C(O)NRbRc、-OC(O)NRbRc、-X1-OC(O)NRbRc、-NRbC(O)Rc、-X1-NRbC(O)Rc、-NRbC(O)2Rc、-X1-NRbC(O)2Rc、-NRbC(O)NRbRc、-X1-NRbC(O)NRbRc、-S(O)2NRbRc、-X1-S(O)2NRaRb、-NRbC(NH)NRbRc、-X1-NRbC(NH)NRbRc、C3-8シクロアルキル、X1-C3-8シクロアルキル、C6-10アリール、-X1-C6-10アリール、ヘテロシクロアルキル、-X1-ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、及び-X1-ヘテロアリールからなる群から選択され、
    前記C3-8シクロアルキル部分、C6-10アリール部分、ヘテロシクロアルキル部分、及びヘテロアリール部分は、場合によっては1〜4個の置換基で置換され、その置換基は、独立に、C1-4アルキル、ハロゲン、シアノ、-ORb、-X1-ORb、-SRb、-X1-SRb、-NRbRd、及び-X1-NRbRdからなる群から選択され、
    各ヘテロシクロアルキルは、N、O、及びSからなる群からそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する3〜8個の環員を含み、
    各ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群からそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する5〜10個の環員を含み;
    R4は、H、C1-8アルキル、-ORd、-NRbRd、-[C(H)(R3)]1-6-NRbRd、-X1-C(O)Rb、C(O)Rb、-NH-C(O)Rb、C(O)ORb、-X1-C(O)ORb、-C(O)NRbRc、及びC3-8シクロアルキルからなる群から選択され;
    各R5は、独立に、HとC1-8アルキルからなる群から選択され;
    あるいは同じX単位内のR3とR5は、これらの基が結合している原子と組み合わさって、N、O、及びSからなる群からそれぞれ独立に選択された1〜3個の追加ヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、前記5〜6員のヘテロシクロアルキル環は、場合によってはさらに1〜3個の置換基で置換され、その置換基は、独立に、ハロゲン、シアノ、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、C1-8ハロアルキル、-ORb、-X1-ORb、-SRb、-X1-SRb、-NRbRd、-X1-NRbRd、C(O)Rb、-X1-C(O)Rb、-C(O)ORb、-X1-C(O)ORb、-C(O)NRbRc、-X1-C(O)NRbRc、-NRbC(O)Rc、-X1-NRbC(O)Rc、-NRbC(O)2Rc、-X1-NRbC(O)2Rc、-S(O)2NRbRc、及び-X1-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;
    R6aとR6bは、それぞれ独立に、Hとハロゲンからなる群から選択され;
    R9とR10は、それぞれ独立に、H、C1-8アルキル、及びOHからなる群から選択され;
    各X1は、独立にC1-6アルキレンであり;
    各RbとRcは、独立に、H、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルからなる群から選択され;
    各Rdは、独立に、H、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、及びNH2からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 各Xが、
    Figure 2020529472
    からなる群から選択された構造を有する、請求項12に記載の方法。
  14. 各Xが、
    Figure 2020529472
    からなる群から選択された構造を有する、請求項12に記載の方法。
  15. 前記ペプチド単位が、少なくとも1個の天然アミノ酸を含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. L2が構造:
    Figure 2020529472
    を有し、
    式中、
    qは1〜3の整数であり;
    R7a、R7bと、各R8aとR8bは、独立に、H、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C1-4アルキル-SRa、-SRa、及びオキソからなる群から選択され;
    あるいはR7bとR8aは、これらが結合している原子と組み合わさって、C3-8シクロアルキル、C6-10アリール、3〜8員のヘテロシクロアルキル、及び5〜10員のヘテロアリールからなる群から選択された1つの員を形成し、
    各ヘテロシクロアルキル基とヘテロアリール基は、N、O、及びSからそれぞれ独立に選択された1〜3個のヘテロ原子環員を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. qが1である、請求項16に記載の方法。
  18. R7a、R7bと、各R8aとR8bが、独立に、H、C1-4アルキル、シアノ、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C1-4アルキル-SRa、-SRa、及びオキソからなる群から選択される、請求項16又は17に記載の方法。
  19. R7a、R7bと、各R8aとR8bが、独立に、H、C1-4アルキル、及び-SRaからなる群から選択される、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. R7a、R7b、R8a、及びR8bのうちの少なくとも3つがHである、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. R7a、R7bと各R8aとR8bがHである、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記式(II)の化合物が、式(IIa)の構造:
    Figure 2020529472
    を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記式(I)の化合物が、式(Ia)の構造:
    Figure 2020529472
    を有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 式(IV)の中間体:
    Figure 2020529472
    を形成するのに適した条件下で、式(III)の化合物:
    Figure 2020529472
    と第1の酸を含む転移反応混合物を形成することで、前記式(IV)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IIb)の化合物:
    Figure 2020529472
    を形成することと;
    前記式(II)の化合物を形成するのに適した条件下で、前記式(IIb)の化合物と第2の酸を含む脱保護反応混合物を形成することをさらに含み、
    式中、
    PG1はメルカプト保護基であり;
    R1cは、NH-PG2、H、C1-8アルキル、及びC3-8シクロアルキルからなる群から選択されるが、
    R1cがNH2であるときにはL1は結合であり、
    L1が-O-であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、又はC3-8シクロアルキルのいずれかであり;
    R2cは、PG2とHからなる群から選択されるが;
    R2cがHであるときにはR1cはNH-PG2であり、
    R2cがPG2であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、又はC3-8シクロアルキルのいずれかであり;
    PG2はアミン保護基である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記転移反応混合物が2〜4のpHを持つ、請求項24に記載の方法。
  26. 前記転移反応混合物が約3のpHを持つ、請求項24に記載の方法。
  27. 前記第1の酸が、塩酸塩、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、酢酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群から選択される、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記第1の酸が酢酸である、請求項27に記載の方法。
  29. 前記メルカプト保護基がシリル保護基である、請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記シリル保護基が、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、及びトリイソプロピルシリル(TIPS)からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  31. 前記シリル保護基がTIPSである、請求項30に記載の方法。
  32. 前記転移反応がシリル脱保護剤をさらに含む、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記シリル脱保護剤が、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TASF)、トリヒドロフッ化トリエチルアミン(TEA-3HF)、及びフッ化水素ピリジンからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記シリル脱保護剤がフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)である、請求項33に記載の方法。
  35. 前記アミン保護基が、t-ブトキシカルボニル(BOC)、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、及び4-メチルトリチル(MTT)からなる群から選択される、請求項24〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記アミン保護基がt-ブトキシカルボニル(BOC)である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記脱保護反応混合物が1未満のpHを有する、請求項24〜36のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記第2の酸が、塩酸塩、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリクロロ酢酸からなる群から選択される、請求項24〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記第2の酸がTFAである、請求項24〜38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 式(IVa)の中間体:
    Figure 2020529472
    を形成するのに適した条件下で、式(III)の化合物:
    Figure 2020529472
    と酸を含む転移/脱保護反応混合物を形成することをさらに含み、前記式(IVa)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして前記式(II)の化合物:
    Figure 2020529472
    を形成し、
    式中、
    PG1はメルカプト保護基であり;
    R1cは、NH-PG2、H、C1-8アルキル、及びC3-8シクロアルキルからなる群から選択されるが、
    R1cがNH2であるときにはL1は結合であり、
    L1が-O-であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、又はC3-8シクロアルキルのいずれかであり;
    R2cは、PG2とHからなる群から選択されるが;
    R2cがHであるときにはR1cはNH-PG2であり、
    R2cがPG2であるときにはR1cは、H、C1-8アルキル、又はC3-8シクロアルキルのいずれかであり;
    PG2はアミン保護基である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記酸が、塩酸塩、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、酢酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記メルカプト保護基がシリル保護基である、請求項40又は41に記載の方法。
  43. 前記シリル保護基が、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、及びトリイソプロピルシリル(TIPS)からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
  44. 前記シリル保護基がTIPSである、請求項43に記載の方法。
  45. シリル脱保護剤をさらに含む、請求項42〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記シリル脱保護剤が、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TASF)、トリヒドロフッ化トリエチルアミン(TEA-3HF)、及びフッ化水素ピリジンからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
  47. 前記シリル脱保護剤がフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)である、請求項46に記載の方法。
  48. 前記アミン保護基が、t-ブトキシカルボニル(BOC)、-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)、モノメトキシトリチル(MMT)、及び4-メチルトリチル(MTT)からなる群から選択される、請求項40〜47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 前記転移/脱保護反応混合物が1〜4のpHを有する、請求項40〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記式(III)の化合物を形成するため、光延反応条件下で、式(V)の化合物:
    Figure 2020529472
    と式(VI)の化合物:
    Figure 2020529472
    を含むカップリング反応混合物を形成することをさらに含む、請求項24〜49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記カップリング反応混合物が、トリフェニルホスフィンとアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)を含む、請求項50に記載の方法。
  52. 前記式(VI)の化合物が、メルカプトエタノール、3-メルカプトプロパン-1-オール、2,3-ジメルカプトプロパン-1-オール、4-メルカプトプロパン-1-オール、2-メルカプトプロパン-1-オールからなる群から選択され、
    各メルカプト基は保護基PG1で保護されている、請求項50又は51に記載の方法。
  53. 前記式(VI)の化合物がメルカプトエタノールであり、前記メルカプト基は保護基PG1で保護されている、請求項52に記載の方法。
  54. 固相合成条件下で、式(VII)の化合物:
    Figure 2020529472
    にペプチド部分を逐次的に付加することによって前記式(V)の化合物を調製する、請求項50〜53のいずれか1項に記載の方法。
  55. 請求項1に記載の方法において、前記式(I)の化合物が、式(Ia)の構造:
    Figure 2020529472
    を有し、前記方法が、
    i)式(IIIa)の化合物:
    Figure 2020529472
    を形成するため、光延反応条件下で、式(Va)の化合物:
    Figure 2020529472
    と、トリイソプロピルシリル(TIPS)で保護されたメルカプトエタノールを含むカップリング反応混合物を形成し;
    ii)式(IVb)の中間体:
    Figure 2020529472
    を形成するのに適した条件下で、前記式(IIIa)の化合物と、酢酸と、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)を含む転移反応混合物を形成することで、前記式(IVb)の中間体がN-アシルからS-アシルへの転移反応を起こして式(IIc)の化合物:
    Figure 2020529472
    を形成し;
    iii)式(IIa)の化合物:
    Figure 2020529472
    を形成するため、式(IIc)の化合物とトリフルオロ酢酸(TFA)を含む脱保護反応混合物を形成し;
    iv)前記式(Ia)の環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、銀と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と、前記式(IIa)の化合物を含む環化反応混合物を形成することを含む方法。
  56. 環化されたペプチド化合物を調製する方法であって、
    前記環化されたペプチド化合物を形成するのに適した条件下で、金属チオ親和性触媒と、非求核塩基と、リンカーを介して固相支持体に結合した直線状ペプチド化合物を含む反応混合物を形成し、
    前記固相支持体から前記環化されたペプチド化合物を切り出すことを含み、
    ここで、前記直線状ペプチド化合物は、チオエステル部分を介して前記リンカーに共有結合し、前記リンカーはスルホンアミド部分を介して前記固相支持体に共有結合し、これにより、前記直線状ペプチド化合物の環化と切断によって前記チオエステル部分が切断されてアミドを形成する、方法。
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