本発明は、MEMSスピーカ、MEMSマイクロフォンまたはMEMSポンプなどの、流体の体積流量と相互作用するMEMSトランスデューサに関し、特に、集積電子回路を備えるMEMSトランスデューサに関する。本発明はさらに、そのようなMEMSトランスデューサを備えるデバイス、およびMEMSトランスデューサを製造する方法に関する。さらに、本発明は、チップ上のMEMS−CMOS(相補型金属酸化物半導体)スピーカシステムに関する。
MEMS(微小電気機械システム)技術は小型化可能であることに加え、その注目点の一つは、特に部品点数が中程度および大量のコンポーネントを低コストで製造することである。電気音響MEMSスピーカは現状、大きく商品展開されていない。いくつかの例外を除き、MEMSスピーカは、選択された物理的作用原理によって準静的または共振的に撓む膜で構成される。この撓みは、線形または非線形に、印加される電気信号(電流または電圧)に依存する。信号は時間的変動を含み、この変化が膜の撓みの時間的変動に反映される。膜の往復運動は、周囲の流体に音として伝達される。この流体は、以下ではわかりやすいように空気とするが、これに限定されるものではない。
膜の作動方向が一方向のみとなる場合もある。その場合、膜の撓みに応じた機械的なばね作用によって、復元力が得られる。あるいは、両方向に作動する場合もある。その場合、膜は極めて低い剛性を示し得る。
膜を作動させるために、静電、圧電、電磁気、電気力学、または磁歪の作用原理の利用することについて説明する。上記の原理に基づくMEMS音響トランスデューサの概要が、例えば文献[1]に記載されている。
静電的に動作するトランスデューサは、2つの平面電極間に異なる電位がかけられた結果生じる力に基づく。最も単純な場合、この構成はプレートコンデンサに相当し、両方のプレートの一方が移動可能に懸垂される。実用的な実装では、この可動電極は、音響短絡を避けるために膜として構成される。電圧を印加すると、膜は対向電極に向かって反る。特定の実施形態では、膜はいわゆるタッチモードで操作される。ここで、例えば、文献[2]に記載のように、短絡を回避するために薄い絶縁層が貼られた下部電極に膜が接触する。接触面積は、印加される電圧の大きさに依存する。そのため、前記電圧の時間進行に依存する時間的変動を示す。このように生成される振動が音を生成する。原則として、従来の静電構成では、膜は電極の方向にのみ引き付けられる。復元力は、膜の剛性に少なくとも部分的に依存し、可聴音域内の各種高周波数も伝達できるように十分に大きくなければならない。
一方、所定の電圧では、膜の剛性レベルが高いほど、撓みは減少する。この問題を回避するために、文献[3]に記載のような手法が開発されている。この手法では、上下電極で制御される極めて柔軟な膜を用い、これにより両方向に撓むものが利用される。このスピーカは、当該膜が合計2枚利用され、マイクロポンプの場合と同様に、入口と出口を含み、それ以外は閉じている空洞内に懸垂されている。
圧電的に動作するトランスデューサは、逆圧電効果を利用する。電圧を印加すると、固体内に機械的応力が発生する。MEMS技術では、PZT(チタン酸ジルコニウム酸鉛)、AlN(窒化アルミニウム)、ZnO(酸化亜鉛)などの材料が一般的に使用される。前記材料は、典型的には、機能層として膜に貼り付けられ、機能層に印加される電圧の関数として、膜が撓むおよび/または振動するようにパターニングされる。圧電機能層は、ヒステリシスを伴わずに動作できないという欠点がある。さらに、セラミック機能層の集積化は複雑であり、PZTおよびZnOの場合は、CMOS(相補型金属酸化物半導体)への搭載が難しいため、厳密な汚染管理下、ひいては独立したクリーンルーム環境でなければ実現できない。
電磁的に動作するトランスデューサは、非定常磁場(勾配)で軟磁性材料が受ける力の作用に基づく。理論実践のため、軟磁性材料に加えて、永久磁石とコイルが必要となる。これによって磁場の位置勾配は電流の流れによって時間制御される。軟磁性材料は、例えば膜に組み込まれる。その他のすべてのコンポーネントは、例えば文献[4]に記載されているように、アセンブリ内で使用可能になる。この構成はかさばり、複雑で、部品が多いために、合理的にスケーラブルではない。
電気力学的に動作するトランスデューサはローレンツ力を使用する。この方法は大型のスピーカでよく利用され、一部のMEMSスピーカでも利用されている。磁場は永久磁石によって生成される。磁場内には電流が流れるコイルが配置される。通常、コイルは金属層の被覆とパターニングによって膜に組み込まれ、永久磁石はアセンブリの外部コンポーネントとして追加される。MEMS技術によって全てのコンポーネントを集積する制限と複雑さは、電磁的に動作するトランスデューサと同じように大きな欠点である。
磁歪的に動作するトランスデューサは、磁場が印加されている機能層の収縮または膨張に基づく。例えば、バナジウムパーメンジュールは正の磁歪性を有する。つまり、磁場が印加されると膨張する。前記収縮は、膜振動を生成するために、適切な構成で使用されてもよい。文献[1]では、磁歪機能層として、クロム接着層を介してSiO2(二酸化ケイ素)上に堆積されたバナジウムパーメンジュール(Fe49Co49V2)が利用されている。外部磁場は、電着銅によって実現されたマイクロパンケーキコイルを介して利用可能となっている。集積化の複雑さと制限に関しては、上述した二つの動作原理と同様の欠点が存在する。
振動を引き起こす膜を利用するという特徴を共有する、前述した古典的で最も普及したトランスデューサに関し、古典的膜原理に対する特定の欠点のために検討された特定の修正が以下に説明される。
柔軟な膜は、可聴音域内に高次モードを含むことがあり、それにより音響品質を損なう(高調波歪み)寄生振動が発生する可能性がある(文献[1]参照)。このような影響を回避または低減するために、確実に剛性の高いプレートが使用される。このようなプレートは、音響短絡防止にも供される非常に柔らかいサスペンションを介してチップに接続される(文献[5]参照)。
さらなる変形として、上述の磁歪トランスデューサで分割された膜を利用することが挙げられる。これは、機能層が2方向に収縮または拡張することに起因した問題に対して、構造的解決手段となる。具体的には、この構成は複数の撓み可能な曲げ梁で構成される。文献[1]によれば、この構成は、3μm以下の梁間の距離に対して音響的に閉じていると見なすことができる。共振周波数と梁間の距離に関して個々の梁の寸法を適宜決定することにより、比較的高い音響帯域幅が実現され、振動周波数に基づく音レベルの変動が適応または最適化される。
Neumannらは文献[6]において、単一の大きな膜に換えて複数の小さな膜片を使用する手法をとっている。各膜片は、可聴音域内での準静的な撓みの発生に十分な高さの共振周波数を有する。したがって、特に、スピーカのデジタル操作が可能になる。
まとめると、集積に関して、駆動電圧が中程度であれば、既知の静電的に動作する膜を利用したスピーカは、撓みが比較的小さいと結論づけることもできよう。例えば、文献[3]に記載のキムらによる静電膜スピーカを参照に考える。2つの膜のそれぞれの面積は、2x2mm2である。上部電極と下部電極は、それぞれ7.5μmの距離でいずれの場合も取り付けられる。膜の形状と、撓みの増加に伴う膜の剛性の増加に応じて、いわゆるプルイン効果により撓みは電極距離の1/3から1/2に制限される。上限である1/2の場合、一方および他方の両方向について、撓みは7.5μm/2となる。この変位による体積は、上記膜の最大撓みに対して撓みが半分となる剛性プレートの体積に対応すると仮定し、推定できる。例えば、以下のようになる:
ΔV≒(2×2mm2)×50%*(2×7.5μm)/2=15×10−3mm3(式1)
および/または
ΔV/アクティブ領域=ΔV/A=ΔV/4mm2=3.75×10−3mm(式2)。
小型化された膜スピーカを製造する際の一般的な課題は、周波数の関数として、音圧の平坦な変化を実現することである。音圧は、膜の放射インピーダンスと速度に比例して実現される。よりマクロに捉えると、膜の直径は音響波長に対応する。ここで考えるべきは、放射インピーダンスが周波数に比例することである(文献[6]参照)。高品質スピーカは、共振周波数f0が可聴音範囲を下回るように設計されることが多い(マルチパススピーカの場合、各共振周波数は対応する電気フィルターの下端周波数を下回る)。したがって、f>>foの場合、膜の速度は1/fに比例する概して、音圧pの周波数依存性はp∝1となる。したがって、上記の(簡略化された)設定を押さえれば、音圧の完全に平坦な進行が実現できる。
文献[7]に記載されたように、音源/膜の直径が生成される音の波長よりもはるかに小さくなると、放射インピーダンスが周波数に対する二次依存性を示すと仮定される。これは、ミリ単位の膜を備えたMEMSスピーカに当てはまる。上述のようにf>>f0と仮定すると、音圧の進行に対して、依存性p∝fとなる。低周波数は、高周波数と比較して極めて低い音圧で再生される。準静的動作の場合、膜速度はfに比例する。したがって、音圧の進行に対して依存性がp∝f3となる。これは低周波数でさらに好ましくない。
人間とコンピュータ、または人間と機械の多機能システムの小型化は様々な集積レベルで可能である。
レベル1:プリント基板のハイブリッド集積
異なる基板上で形成されたセンサ、アクチュエータ、および電子回路が、共通配線支持部(ここではプリント回路基板)で組み合わされる。
レベル2:システムインパッケージ
システムを形成するために、特定のハウジング内で少なくとも2つのチップが組み合わされる。チップオンチップボンディングがこのために使用される場合もある。多くの場合、シリコンベースの配線支持部(いわゆる「インターポーザー技術」)も使用される。
レベル3:ウェハ単位のハイブリッド集積とモノリシック集積
異なるウェハ上で部分的に製造されたセンサ、アクチュエータ、電子回路が、ウェハ単位で相互接続される。結合されたウェハ積層体の個々のチップは、適切なダイシング処理によって積層体から切り出される。モノリシック集積により、センサ、アクチュエータ、電子回路がウェハ上に実装される。いずれの場合も、各要素の電気接続は、一体化された導線またはチップの貫通接続(「シリコン貫通ビア」、略してTSV)によって実現される。
いわゆるヒアラブルは、非常に高度なセンサ/アクチュエータハイブリッド集積システム(レベル1)の一例である。現状で既に、スピーカ(精密機械加工により製造)、充電式バッテリー、メモリチップ、CPU、赤色および赤外線センサ、温度センサ、光学タッチセンサ、マイクロフォン、3軸加速度センサ、3軸磁場センサ、3軸位置センサのようなコンポーネントがインイヤーヘッドフォンに組み込まれている。このような「システムインパッケージ」の手法は現在、例えばBRAGI(「The Dash」)、サムスン、モトローラ、ソニーなどの企業により、ヒアラブルに利用されている。
いわゆる9軸センサは、高度なシステムインパッケージセンサシステム(レベル2)の一例である。この例として、3軸加速度センサと3軸位置センサが第1シリコンチップに実装され、3軸磁場センサが2番目のシリコンチップに実装され、電子回路が3番目のチップに実装されて、上記各チップが共通パッケージ内に収容される。このようなシステムは、例えばInvenSense(MPU−9150)により提供されている。
モノリシック集積センサシステムの例としては、1軸または多軸ジャイロスコープ、または加速度センサ、圧力センサ、磁場センサが挙げられ、それぞれセンサ要素と電子機能が単一のチップに実装されている。
構造的なサイズに関しては、モノリシック集積が大幅に有利である。プリント回路基板のハイブリッド集積の場合、各構造要素に個別のハウジングが必要であり、システムインパッケージでは、特にいくつかの個別のチップを組み合わせる場合、比較的大きなハウジングが必要となるが、このような空間的要件はモノリシック集積においては生じない。また、複雑なハイブリッド構造技術も求められないので、特に多数の部品を使用する場合の製造コストが大幅に削減される。
本願における、小型音響生成(マイクロスピーカ)または音響検出(マイクロフォン)MEMSコンポーネントに関して、回路またはその他のアクチュエータまたはセンサ関連の要素のモノリシック集積は、現状極めて利用が限られている。その理由の1つとして、MEMSマイクロフォンまたはスピーカの動作モードが挙げられる。いずれの場合も、チップ表面に比較的大きな膜を形成する必要がある。膜の動作時に生じる空気流れのために、上側と下側のチップ面を大きくとる必要がある。したがって、追加で機能を集積するために利用できるチップ表面積は限られる。チップ面の拡大も原則的には可能だが、なによりも歩留まりの悪さにつながる。すなわち、チップ表面積を増加するほど、歩留まり大幅に悪化するのである。さらに、多くの場合、製造工程がCMOS回路の製造工程と直接互換性がないので、全体工程の複雑化が生じてしまう。このような上記の2つの理由により、現状、音響コンポーネントを1つ以上の個別のチップに実装し、システム全体をハイブリッド集積/システムインパッケージで集積することで、追加機能が実装されている。
また、ヘッドフォン、特にいわゆるインイヤーヘッドフォンなどのポータブルデバイスで利用できるように、MEMSトランスデューサは設置スペースを最小限に抑える必要がある。
したがって、コンセプトとして、設置スペースが小さく高効率な改良型MEMSトランスデューサが求められている。
したがって、本発明の目的は、流体の体積流量に対する高効率な作用、さらに/あるいは低効率の体積流量による作用が、小さな設置スペースで実現され得るようなMEMSトランスデューサおよびその製造方法を提供することである。
この目的は、独立請求項の内容によって達成される。
本発明の根本的な発想は、可動平面(面内)で変形可能要素が、極めて効率的に流体の体積流量に作用し得、さらに/あるいはその体積流量が極めて効率的に当該要素を撓ませることで上述の目的が達成され得るという認識に基づく。したがって、チップ面の寸法は抑えながらも、変形可能要素は大きな表面積を有し得、その表面積と体積流量の相互作用で、全体として、効率の高い効率的なMEMSトランスデューサデバイスが得られる。さらに、MEMSを動作するための電子回路を積層体の層に統合することで、その半導体表面が電子回路に利用可能となり、デバイスに必要な設置スペースが小さく抑えられる。
一実施形態によれば、流体の体積流量と相互作用するMEMSトランスデューサは、複数の層を有する積層体を含む基板を含む。基板は、積層体内に空洞を有する。複数の層は複数の基板面を形成する。MEMSトランスデューサは、空洞内で基板に接続され、複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能要素を備える電気機械トランスデューサを含む。運動面内の変形可能要素の変形と流体の体積流量との間に相関関係がある。MEMSトランスデューサは、積層体の層内に配置された電子回路をさらに含む。電子回路は、電気機械トランスデューサに接続され、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成される。
さらなる実施形態によれば、デバイスは、MEMSスピーカとして構成された、前記MEMSトランスデューサを備え、モバイル音楽再生デバイスまたはヘッドフォンとして構成される。
さらなる実施形態によれば、健康支援システムが、身体のバイタル機能を感知し、感知されたバイタル機能に基づいてセンサ信号を出力するためのセンサ手段を備える。健康支援システムは、センサ信号を処理し、前記処理に基づいて出力信号を提供する処理手段を備え、前記MEMSトランスデューサを備えるヘッドフォンを含む。MEMSトランスデューサは、スピーカとして構成され、出力信号を受信するための無線通信インタフェースを備え、それに基づいて音響信号を再生するように構成される。
さらなる実施形態によれば、流体の体積流量と相互作用するMEMSトランスデューサを提供する方法は、複数の基板面を形成する複数の層を有する積層体を含み、積層体内に空洞を有する基板を提供することを含む。この方法は、基板内に電気機械トランスデューサを作成することを含み、電気機械トランスデューサは空洞内で基板に接続されて、複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能要素を備え、運動面内での変形可能要素の変形と、流体の体積流量との間に相関関係がある。本方法は、電気機械トランスデューサに接続され、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成されるように電子回路を積層体の層内に配置することをさらに含む。
さらなる有利な実施形態が従属請求項の内容を形成される。
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。
一実施形態に係るMEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、複数の電気機械トランスデューサを含むMEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る図2aのMEMSトランスデューサの概略上面図を示す。
一実施形態に係る、図2aのMEMSトランスデューサの概略斜視図であって、電気機械トランスデューサそれぞれの、変形可能要素の変形状態を示す。
一実施形態に係る、バイモルフとして構成された変形可能要素の概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、3つのバイモルフ構造を含む変形可能要素の概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、図4aに示した変形可能要素の撓み状態における概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、互いに隣接して配置された2つの変形可能要素の配置の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、MEMSトランスデューサの概略上面図を示し、電気機械トランスデューサはそれぞれ、図2aのMEMSトランスデューサの構成と異なる構成を含む。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図であり、直線状に形成されたばね要素がプレート要素と変形可能要素との間に配置されている。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、ばね要素が、変形可能要素の撓み可能な端部に対して90°未満の角度で配置されている。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、ばね要素は90°を超える角度で配置されている。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、基板は、変形可能要素に隣接するばね要素を含む。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、プレート要素は凹部を含む。
一実施形態に係る、プレート要素に接続された変形可能要素の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、変形可能要素が基板の間に固定的に挟まれ形成される構成の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの構成の概略上面図を示し、変形可能要素が、中央領域に凹部を含む。
第1変形可能要素と第2変形可能要素が互いに平行に配置されている、電気機械トランスデューサの構成の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、MEMSトランスデューサの概略斜視図を示し、変形可能要素が、それぞれ基板およびアンカー要素に交互に接続される。
一実施形態に係る、図8aのMEMSトランスデューサの概略上面図を示す。
一実施形態に係る、図8aに示したMEMSトランスデューサの撓み状態における概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、図8bに示したMEMSトランスデューサの撓み状態における概略上面図を示す。
一実施形態に係る、3つのMEMSトランスデューサを含む積層体の概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、基板の側面間に配置された変形可能要素を有するMEMSトランスデューサのセクションの概略上面斜視図である。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサが基板の横方向に対して斜めに配置されたMEMSトランスデューサのセクションの概略上面図を示す。
一実施形態に係る、ポンプとして使用することができるMEMSトランスデューサのセクションの概略上面図を示す。
例えば、第1状態で、MEMSポンプとして使用され得るMEMSトランスデューサのセクションの概略上面図を示す。
第2状態にある図12aのMEMSトランスデューサを示している。
一実施形態に係る、横延在方向に沿って互いに接続された2つの変形可能要素の概略図を示す。
一実施形態に係る、互いに接続され、層を共有する2つのMEMSトランスデューサを含む積層体の概略図を示す。
一実施形態に係る、互いに離間して接続要素を介して接続された2つの層を含む変形可能要素の概略側断面図を示す。
一実施形態に係る、電極に隣接して配置された変形可能要素の概略上面図を示す。
さらなる実施形態に係るMEMSトランスデューサの、第1側面からの概略斜視図を示す。
図17aのMEMSトランスデューサの、第2側からの概略図を示す。
図17aの図によるMEMSトランスデューサの概略斜視図を示し、さらなる実施形態によれば、グリッドウェブ(格子状部材)が配置されるように開口部が設計されている。
機能要素が電子回路に隣接して配置される、一実施形態に係るMEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、蓋層に開口部が配置されている点で、図18aのMEMSトランスデューサが変形された、MEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る距離ラスタを適合させるための層の概略図を示す。
実施形態に係る適応層の使用の概略図を示す。
一実施形態に係るMEMSシステムの概略ブロック図を示す。
一実施形態に係るデバイスを示す図である。
一実施形態に係る、さらなるシステムの概略ブロック図を示し、このシステムは、万能翻訳機および/またはナビゲーション支援システムとして構成され得る。
一実施形態に係る健康支援システムの概略図を示す。
一実施形態に係る、MEMSトランスデューサの概略上面図であり、一方の側で固定された梁要素を備える複数の電気機械トランスデューサを備える。
一実施形態に係るMEMSトランスデューサの概略上面図を示し、2つの側面に固定された梁要素を含む複数の電気機械トランスデューサを含む。
以下に本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明するにあたって、機能または動作が同一または同様の要素、物体および/または構造には、各種図面において同一の参照番号を付し、これにより、異なる複数の実施形態でなされたこれらの要素の説明は、相互に置き換え可能および/または適用可能であることを理解されたい。
以下にMEMS(微小電気機械システム)トランスデューサについて説明する。MEMSトランスデューサは、印加された電気量(電流、電圧、電荷など)に基づいて機械的コンポーネントの変化を引き起こす1つ以上の電気活性コンポーネントを備えてもよい。前記変化は、例えば、機械コンポーネントの変形、温度上昇、または張力の発生に関連していてもよい。さらに/あるいは、変形、温度上昇、張力の発生など、コンポーネントに対する機械的影響により、電気信号または電気情報(電圧、電流、電荷など)が発生し、コンポーネントの端子で検出され得る。一部の材料またはコンポーネントは相互作用する。すなわち、互いに変換可能な効果を持つ。例えば、圧電材料は、逆圧電効果(印加された電気信号に基づく変形)と圧電効果(変形に基づく電荷の供給)を有し得る。
以下に説明する実施形態のいくつかは、人間/コンピュータ、または人間/機械、インタフェース用途、および「パーソナルアシスタント」の分野の用途を含む相互作用のための完全に一体化され、非常に小型化されたシステムに関する。ここでは音響インタフェースを特に取り上げる。実施形態は、MEMSとCMOSの一体化に関する。
以下に説明する実施形態のいくつかは、電気機械トランスデューサの変形可能要素が流体の体積流量(体積流れ)と相互作用するように構成されているという事実に関する。相互作用の例としては、流体の移動、変位、圧縮または減圧をもたらす電気制御信号により、変形可能要素が変形することが挙げられる。さらに/あるいは、流体の体積流量が変形可能要素を変形させ、体積流量と変形可能要素との相互作用に基づいて、流体の存在、特性(圧力、流速など)またはその他の情報(温度など)が取得され得る。したがって、横運動方向に沿った変形可能要素の変形と、流体の体積流量との間に相関関係がある。例えば、MEMSはシリコン技術で製造され得る。電気機械トランスデューサは、例えば、変形可能要素と、電極および/または電気端子などのさらなる要素とを備え得る。変形可能要素は、(マクロ視点では)横運動方向に沿って変形するように構成されてもよい。すなわち、要素または領域は、横運動方向に沿って移動可能であってもよい。前記要素または領域は、例えば、梁構造の梁端部または中央領域であってもよい。ミクロ視点では、横運動方向に沿った変形可能要素の変形は、変形可能要素の、横運動方向に垂直な変形を生じ得る。以下に説明する実施形態は、上記マクロ視点に関する。
実施形態は、シリコンで作られ、それぞれの設計サイズで、可能な限り高い音レベル、可能な限り高い感度レベル、さらに/あるいは可能な限り大きな流体流量率を実現可能な小型スピーカ、マイクロフォン、および/またはポンプを提供し得る。他の実施形態は、MEMSトランスデューサ、MEMSバルブおよび/またはMEMS投薬システムを提供し得る。
本発明の実施形態は、特に可聴音範囲内の空気伝送音を生成するために使用され得る。したがって、実施形態は、例えば補聴器、インイヤーヘッドフォン等のヘッドフォン、ヘッドセット、携帯電話などに利用されるスピーカ、特に小型化されたスピーカに関する。体積流量と変形可能要素の変形との間の相関関係により、スピーカにも適用可能である。したがって、実施形態は、電気音響トランスデューサに関する。
実施形態は、可能な限り小型化され、人間/コンピュータおよび/または人間/機械の相互作用で使用でき、低コストで大量生産できる多機能システムを提供することを可能にする。さらなる機能によって補完される中心的機能は、音生成および/または音検知の分野に関する。
図1は、一実施形態に係るMEMSトランスデューサ10の部品の概略斜視図を示す。MEMSトランスデューサ10は、流体の体積流量(体積流れ、流体流、fluid flow)12と相互作用するように構成される。流体は、気体(例えば、空気)および/または液体であってもよい。例えば、液体は、薬物溶液、薬、技術的処理のための化学薬品などであり得る。
MEMSトランスデューサ10は、基板14を備える。基板14は、任意の材料を含むことができる。例えば、基板14は、木製材料、金属材料、および/またはシリコン材料などの半導体材料を含むことができる。基板14は空洞16を含む。空洞16は、例えば、凹部であるか、または基板14の少なくとも部分的に囲まれた体積であると理解され得る。空洞16の内部(少なくともその一部に)、体積流量12の流体が存在し得る。基板14は、空洞16を有する少なくとも1つの材料層、例えば、一体的な層を含む。空洞16は、材料からフライス削りまたはエッチングすることにより形成され得る。さらに/あるいは基板14の製造時に空洞16を省略し、空洞16の周りに基板14が形成されてもよい。基板14は、いくつかの層15aおよび15bを含むこともでき、これは、例えば、半導体製造において有利であり得る。様々なパターン、例えば空洞16の有無は、基板14の各種層で実現できる。あるいは、基板は、以下で説明するように、より多くの層を有してもよい。
MEMSトランスデューサ10は、電気機械トランスデューサ18を含む。電気機械トランスデューサ18は、基板14に接続されている。電気機械トランスデューサ18は、横運動方向24に沿って変形され得る変形可能要素22を備える。例えば、電気機械トランスデューサ18への電気信号の印加は、横運動方向24に沿った変形可能要素22の変形をもたらし得る。さらに/あるいは、体積流量12が、変形可能要素22にぶつかると、変形可能要素22が変形し得る。その結果、体積流量12に基づく電気信号が電気機械トランスデューサ18によって取得され得る。したがって、変形可能要素22の変形と体積流量12に相関関係がある。例えば、電気機械トランスデューサ18は、少なくとも1つ(例えば2つ)の圧電層を含むか、それによって構成されてもよい。いずれの層も電圧によって変形し得る。電気機械トランスデューサは、さらなる要素(例えば電極)を備えてもよい。
MEMSトランスデューサ10は、積層体の層15aまたは15bの少なくとも1つに配置された図示されていない電子回路を備える。不図示の電子回路は、電気機械トランスデューサ18に接続され、変形可能要素22の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成される。したがって、この不図示の電子回路は、MEMSトランスデューサの構成に応じて、MEMSトランスデューサ10のセンサ関連および/またはアクチュエータ関連制御に利用可能である。電子回路を基板14の蓋層内(例えば層15a内)に配置することで、蓋層の大きな表面積を電子領域に利用することができる。したがって、この利用に応じた省スペース化が、チップ表面積および/または他のコンポーネント(例えばMEMSトランスデューサ10が取り付けられたプリント回路基板)の設置スペースに関して実現される。積層体の蓋表面に電子回路の少なくとも一部を配置することにより、MEMSトランスデューサと他の電子コンポーネントとのシンプルな接触という利点が得られやすくなる。
ここで「変換」という用語は、入力変数から出力変数への変換として理解されたい。電子回路は、電気制御信号を1つ以上の変形可能要素の撓みに変換する、すなわちアクチュエータ関連制御を実行する、さらに/あるいは1つ以上の変形可能要素の変形を電気出力信号に変換する、すなわちセンサ関連の評価または制御を実行するように構成されてもよい。変換のために、電子回路は、デジタルな制御信号をアナログな制御信号に変換するためのデジタルアナログコンバータ、およびアナログな電気出力信号をデジタルな電気出力信号に変換するためのアナログデジタルコンバータの少なくとも1つを含んでもよい。簡単に言うと、電子回路17は、アナログまたはデジタル形式の制御信号を取得し、それをMEMSトランスデューサ10に適したアナログまたはデジタル信号Outに変換してもよい。例えば、電子回路は、電気制御信号Inを少なくとも1つの電気機械トランスデューサの変形可能要素の撓みに変換するように構成されてもよい。この目的のために、電子回路はスイッチング増幅器(いわゆるD級アンプ)を含んでもよい。前記増幅器は、信号Outを、変形可能要素のためのデジタルパルス幅変調制御信号として提供するように構成されてもよい。
ここで、「蓋表面」という用語は、例えば前記積層体の外層の例えば外層についての記述に関するということを留意されたい。ただしこれは、前記積層体の他の層に配置できないという意味ではない。外層を一部または全部覆う追加層も設けることができる。例えば、半導体酸化物またはラッカーなどの絶縁層、またはさらなる電気的機能層が設けられてもよい。
基板14は、体積流量12がMEMSトランスデューサ10の周囲から空洞16に、および/または空洞16からMEMSトランスデューサ10の周囲に流れることができるように、1つ以上の開口部26a〜dを有してもよい。変形中の変形可能要素22による動きは、基板14に関して平面内(面内)で生じることが理解されよう。体積流量12は、例えば体積流量12用の開口部26cまたは26dによって示されるように、運動方向24に対して少なくとも一部に垂直に(直交して)空洞16に出入りすることができる。簡単に言うと、変形可能要素22の面内運動が面外の体積流量12を生じ、またその逆の作用も生じ得る。したがって、横運動方向および/または変形可能要素の変形が、基板に対して面内で生じ得る。
基板14内で、開口部26cおよび26dは、横運動方向24に対して垂直に配置される。横運動方向24に沿った変形可能要素22の変形により、変形可能要素22の少なくとも一部が開口部26aに向かって動く。したがって、この変形により、部分空洞28にサイズの低減が生じる。これに基づいて、当該部分空洞28内に存在する流体の圧力が上昇し得る。簡単に言うと、流体が圧縮され得る。したがって、流体が部分空洞28または空洞16から流出しやすくなり得る。開口部26dおよび26cにより、横運動方向24に垂直な(直交する)体積流量12が得られる。
MEMSトランスデューサ10のベース領域は、例えば、x/y平面内に配置することができる。x方向および/またはy方向に垂直になるように空間に配置されるz方向に沿ったMEMSトランスデューサ10の寸法を大きくすることで、さらに/あるいはz方向に沿った変形可能要素22の寸法を大きくすることで、MEMSトランスデューサ10のベース領域を変えずに、大きな体積流量12が実現され得る。部分空洞28が拡大すると、部分空洞28内の流体の負圧が生じ得る。したがって、変形可能要素22の変形に基づいて、体積流量が、横運動方向24に垂直に、空洞28/16内に流入する。
変形可能要素は、例えばy方向に沿った軸方向延長部を有してもよい。当該延長部は、最小1μmから最大100mm、好ましくは最小100μmから最大10mm、特に好ましくは最小500μmから最大5mmの範囲の値を有する。変形可能要素22は、横運動方向24に沿った延長部を有してもよい。当該延長部は、最小0.1μmから最大1000μm、好ましくは最小1μmから最大100μm、特に好ましくは最小5μmから最大30μmの範囲の値を有する。変形可能要素は、横運動方向に対して垂直な(例えばz方向)、横方向に沿って延長部を有してもよい。この延長部は、最小0.1μmから最大1000μm、最小1μmから最大300μm、特に好ましくは最小10μmから最大100μmの範囲の値を有する。
図2aは、複数の電気機械トランスデューサ18a〜f を含むMEMSトランスデューサ20の概略斜視図を示す。電気機械トランスデューサ18a〜f は、図1を参照して説明したように、基板14に接続されており、横運動方向24に沿って変形可能な要素をそれぞれ含むことができる。
例えば、基板14は、第1層32a、第1スペーシング層34a、中間層36、第2スペーシング層34b、および第2層32bを含み、これらはこの順序で重ねられる。さらなる実施形態によれば、1つ以上のさらなる層が、隣接配置された2つの層の間に配置されてもよい。さらなる実施形態によれば、層32a、32b、34a、34bおよび/または36の少なくとも1つが、多層に設計される。電子回路17、例えば図1を参照して説明した電子回路は、層32b内に一部または全体的に配置することができる。さらに/あるいは、電子回路17は、層32a、34a、36および/または34bのうちの1つ以上の中に少なくとも部分的に配置されてもよい。
電子回路は、電気制御信号In1を変形可能要素の撓みに変換するように構成されてもよく、電気機械トランスデューサに信号In1が入力されて、信号Out1が提供される。さらに/あるいは、変形可能要素の変形に基づいて、信号In2が得られ、これが電子回路により電気出力信号Out2に変換され得る。この変換は、電子回路17がアナログデジタルトランスデューサ(ADC)およびデジタルアナログトランスデューサ(DAC)、またはAC/ACコンバータまたはDC/DCコンバータの少なくとも1つを含むように実行されてもよい。これに基づいて、電子回路17は、アナログの入力信号In1を取得し、これをデジタルの信号Out1に変換するように構成されてもよい。あるいは、信号In1がデジタル信号であってもよく、信号Out1がアナログ信号であってもよく、信号In1およびOut1の両方がデジタルまたはアナログであってもよい。さらに/あるいは、電子回路17は、電気機械トランスデューサから得られる信号In2(例えばアナログ形式)を、Out2信号に変換してもよい。信号Out2はアナログまたはデジタルであってもよい。したがって電子回路17は、デジタルな制御信号In1をアナログな制御信号Out1に変換するよう構成されてもよいし、さらに/あるいはアナログな電気出力信号In1を、デジタルな電気出力信号(Out1)に変換するためのアナログデジタルコンバータを含んでもよい。
電気機械トランスデューサ18a〜f は、体積流量12に基づいてさらに/あるいは制御されることに基づいて、互いに向かって(互いに接近して)部分的に移動し、部分的に互いに離れるように、電子回路17によって構成される、さらに/あるいは制御されることができる。
例えば、電気機械トランスデューサ18aおよび18bは互いから離れるように移動するように構成され、一方、電気機械トランスデューサ18bおよび18cは互いに向かって(接近して)移動する。電気機械トランスデューサ18aおよび18b、18cおよび18d、ならびに18eおよび18fは、それらの間に部分空洞38a〜cが存在する。部分空洞38a〜cは、電気機械トランスデューサ18a〜f の変形に基づいて増大可能である。電気機械トランスデューサ18bおよび18c、ならびに18dおよび18eは、それぞれ、その間に部分空洞42aおよび42bが存在する。当該空洞は、運動または変形に応じて、一斉にサイズが減少し得る。続く期間では、電気機械トランスデューサおよび/または変形可能要素が逆に変形または移動し得る。結果、部分空洞38a、38bおよび38cの体積が減少し、部分空洞42aおよび42bの体積が増加する。
電子回路17は、電気機械トランスデューサが移動する運動面に垂直な方向に沿って配置されてもよい。電子回路の位置は、運動面に投影した場合、変形中に変形可能要素が少なくとも部分的に配置される位置に該当し得る。したがって、変形可能要素が、例えば電子回路17の上または下に配置され得る。
言い換えると、下蓋(第1層32a)は、チップの片側(例えば、限定されないが、底面)を部分的または完全に閉鎖するもので、その上にパターン層のスペーシング層34aが設けられてもよい。スペーシング層は、例えば、下蓋と、パターン層34a上に配置された中間層36との間のスペーサとして使用することができる。一方、パターン層36はその上にパターニングされたスペーシング層34bが設けられる。このスペーシング層は、スペーサ機能として、スペーシング層34aに完全にまたは部分的に対応し、形状も同一または同様であってもよい。MEMSトランスデューサ20またはその空洞は、z方向に沿って、上蓋である第2層32bによって部分的または完全に閉鎖することができる。図2aは、空洞の領域内に配置された要素が見えるように、層32bを部分的に切り欠いて示す。電気機械トランスデューサ18bおよび18cならびに/または18dおよび18eは、それぞれ中間層36のx/y平面内に対で配置してもよい。このような配置が、空間方向(x方向)に沿って複数存在してもよい。電子回路17は、蓋32aおよび32bの少なくとも一方の中に完全にまたは部分的に配置することができる。さらに、電子回路17がいくつかの層にまたがって延在してもよい。例えば、部分的に層32aおよび隣接層34a内、または層32bおよび隣接層34b内に配置され得る。
電子回路を蓋32aおよび/または32bの少なくとも一方に完全にまたは少なくとも部分的に配置することにより、電子回路を省スペースで、すなわち表面積効率よく配置できる。これは、特に、横方向に、すなわち面内で移動可能な要素との組み合わせで有利となる。スピーカ膜の場合のように、当該方向に対して垂直におよび面外に運動可能な要素とは異なり、例えば、対応する層の肉薄化(例えば、膜形成のため)を省略できる。さらに/あるいは移動可能な要素機能が、機能に影響を与えることなく、蓋で覆われるように配置され得る。面外の運動が生じる場合、可動要素の少なくとも一部を形成する薄膜層は電子回路の配置に適さない、さらに/あるいは追加の被覆層がデバイスの性能に影響を与えてしまう。実施形態では、積層体の蓋は、さらなる層で覆われていてもよく、可動要素の一部とはならない。
基板は、複数の部分空洞38a〜cおよび42a〜bにそれぞれ接続された複数の開口部26を備えてもよい。例えば、各場合において、1つの開口部26を部分空洞38a〜cまたは42a〜bに接続することが可能である。各部分空洞38a〜cまたは42a〜bの体積は、横運動方向24に沿って変形可能な少なくとも1つの要素22の撓み状態に左右され得る。隣接する部分体積は、第1または第2期間中に、相補的に増加または減少可能であってもよい。簡単に言うと、部分空洞38a〜cまたは42a〜bの部分体積を小さくし、部分空洞42a〜bおよび/または38a〜cの隣接部分体積を大きくすることができる。
1つ以上の開口部26の領域に、棒構造体44を配置することができる。棒構造体44は、空洞に対する粒子の出入りを低減または抑制しつつ、一方向または二方向への体積流量12の通過が可能になるように配置されてもよい。層32a、32b、34a、34bおよび/または36の形状は、製造時、例えば、層の選択的除去および/または選択的配置もしくは成長により影響され得る。例えば、棒構造体44は、選択的エッチング処理に基づいて、層34a、36および/または34bから形成され得る。さらに、空洞38a〜cおよび42a〜bの形状は、製造処理時に影響を受け得る。例えば、1つ以上の層32a、32b、34a、34bおよび/または36の壁は、電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素の動きに対応し得る。これにより、例えば変形可能要素と基板14との間の距離が少なくとも略一定に、さらに/あるいは小さくできる。
カバー43(図2c)は、棒構造体または棒要素に、またはそれに隣接して、設けられてもよい。カバー43は、空洞16に隣接しておよび/または棒要素44により空洞16から離れて設けられてもよい。カバーは、例えば、メッシュ材料、発泡材料、および/または紙材料を含んでもよい。カバーは、棒構造体間の距離よりも小さな直径の粒子を、空洞16に対して出入り可能とし得る。あるいは、カバー43(図2c)は、棒要素44を含まない開口部26に、またはそれに隣接して設けられてもよい。
可動要素の自由端が、例えば、曲がった経路および/または円形経路で動く場合、基板14は、可動端が動く領域において、平行または同様の形状を有してもよい。
図2bは、図2aのMEMSトランスデューサ20の概略上面図を示す。電気機械トランスデューサ18a〜f は、要素46a〜cで、基板14に非固定的または固定的に接続することができる。例えば、電気機械トランスデューサ18a〜f の1つ以上の変形可能要素は、要素46a〜cと一体的に形成されてもよい。要素46a〜cは、層36の平面内に配置されてもよいし、層36の一部であってもよい。電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素22の例えばz方向に沿った延長距離は、層34a、36、および34bの延長距離未満であり得る。したがって、電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素22は、層32aおよび/または32bと接触せずに、配置され、可動であり得る。あるいは、少なくとも1つの変形可能要素は、接触しながら変形してもよい。例えば、低摩擦層(例えば小さな摩擦係数を有する層)が、少なくとも1つの変形可能要素と隣接する層(例えば、層32aおよび/または32b)との間に配置されてもよい。低摩擦層は、例えば、後述する壁構造49について説明したように、部分空洞間の流体分離を可能にし得る。摩擦係数は、例えば層32aおよび/または32bまたは層34aおよび/または34bの摩擦係数よりも10%、20%または50%小さくてもよい。変形可能要素22と隣接する層との間に作用する摩擦力は、変形可能要素22の変形に必要な力より小さくてもよい。減少した摩擦力に基づいて、例えばアクチュエータによって提供される力をより小さくできる。したがって、アクチュエータの電力をより小さく設計できる。さらに/あるいは、体積流量12に関する変形可能要素22の感度レベルを高めてもよい。
電気機械トランスデューサ18bおよび18cは、例えば、部分空洞42a(チャンバ)の側壁を形成する。電気機械トランスデューサ18a〜f の可動要素22は、要素46a〜cに強く固定することができる。基板14からの距離、または基板14の要素48a〜dからの距離は、変形可能要素22の撓み可能または可動端部52の間としてもよい。したがって、変形可能要素22の端部52は、自由に移動できるように配置することができる。1つ以上の変形可能要素22は、寸法比により、横方向24に沿って特に大幅に撓むことができる。例えばy方向に沿った延長に関連したx方向に沿った延長、単純に言うと、梁幅と梁高さの比と解される。例えば、電気機械トランスデューサ18a〜f がアクチュエータとして構成される場合、前記アクチュエータは、対応する信号が印加されることで、撓み可能、例えば、湾曲し、その結果、例えば、変形可能要素22の端部52は湾曲経路上で動く。前記経路での進行に従って、要素48a〜dのうちの少なくとも1つは、変形可能要素22が撓んでも、要素48a〜dと端部52との間の距離は、ほぼ一定のまま、さらに/あるいは小さくなるように構成されてもよい。
MEMSトランスデューサ20は、少なくとも1つの壁構造49を備えてもよい。アクチュエータ、電気機械トランスデューサ18a〜eまたは変形可能要素の動きは、例えば、チャンバ42a〜bに影響し得る。すなわち、例えば、動きにより生じた、チャンバ38a〜cを満たすような流体の流れにより、隣接するチャンバへの流体機械結合が生じ得る。この流体機械的結合に基づいて、部分空洞42aと38bとの間に流体の流れ57が生じ得る。前記直接結合および/または流体の流れ57を低減または防止するために、動かないように設計され得る1つ以上の隔壁(壁構造49)を配置して、隣接するチャンバ38および42対を分離することができる。壁構造は、層34a、36、および34bと一体的に形成される要素として、例えばそれぞれの場所で簡単な方法で実現されてもよい。例えば、そのような構造は、選択的エッチングプロセス中に存在し続けてもよい。加えて、壁構造49は、MEMSトランスデューサ20の機械的安定性を高め、個々の層間の結合処理を容易にし得る。少なくとも1つの壁構造49は、開口部を備えるか、または一体に設計されてもよい。これにより、チャンバ38a〜cおよび42a〜bに対する流体の出入りによる減衰を、選択的に調整可能となる。具体的には、共振曲線の幅、ひいてはアクチュエータ/チャンバシステムの動的特性が設定される。
図2bが図1と一緒に考慮される場合、空洞16および/または複数の部分空洞38a〜cおよび42a〜bの体積は、基板14の層32aおよび32bならびに側方領域53aおよび53bによって影響または決定され得る。側方領域53aおよび53bは、層32aおよび32bの間に配置されてもよい。電気機械トランスデューサ18a〜cの変形可能要素は、少なくとも横運動方向24の一部55内で、第1層32aおよび/または32bと平行な動きを実行するように構成され得る。したがって、変形可能要素が層32aと32bの間で変形または移動してもよい。
空洞または部分空洞の共振周波数は、体積の形状、電気機械トランスデューサの制御周波数、および/または変形可能要素の機械的共振周波数に影響され得る。例えば壁構造49により、低摩擦層が配置されることにより、または異なるMEMSトランスデューサに配置されることにより少なくとも部分的に互いに流体的に分離された(部分)空洞は、それぞれ異なる共振周波数を有し、さらに/あるいは例えば制御デバイスによって異なる周波数で制御され得る。異なる制御周波数および/または異なる共振周波数に基づいて、マルチパススピーカが得られ得る。空洞の共振周波数は、例えば空洞共振器またはヘルムホルツ共振器の分野で利用される。
図2cは、MEMSトランスデューサ20の概略斜視図を示す。ここで、電気機械トランスデューサ18a〜f は、変形可能要素が変形状態にある。例えば、変形可能要素は最大撓みまで撓む。図2aの記載と比較すると、部分空洞42aの体積は、変形可能要素(梁)の変形(曲げ)に基づいて減少する。例えば、層34aおよび34b(スペーサ)の厚さ(z方向または厚さ方向に沿った寸法)が小さい場合、電気機械トランスデューサ18a〜f の移動中に生じる変形可能要素および/または電気機械トランスデューサ18a〜f のバイパス流は無視できる程度であり得る。電気機械トランスデューサ18a〜f と基板(例えば要素48)との間の距離でも同様であり得る。変形可能要素の変形に基づいて、図2aおよび2cの部分空洞42aの体積の差に対応し得る流体の体積(例えば空気体積)は、例えば流体流(体積流量)12の形で、MEMSトランスデューサ20の周囲に排出され得る。
第1および第2スペーシング層34aおよび34bがz方向に沿って中間層36に配置された際のスペーシング層34aまたは34bのz方向の寸法は、最小1nmから最大1mm、好ましくは最小20nmから最大100μm、または特に好ましくは最小50nmから最大1μmの範囲の値をとり得る。例えば、スペーシング層34aおよび34bのz方向の寸法が、z方向に沿った電気機械トランスデューサ18a〜f の寸法と比較して小さい場合、変形可能要素の変形時に、電気機械トランスデューサ18a〜f の周りを、第1側から第2側(例えば、+x方向から−x方向、またはその逆)に迂回する流体流57の量は、空洞内の体積流量12の量よりも小さくなり得る。
バイパス流および/または流体流57は、例えば、電気機械トランスデューサ18a〜f が動いている領域内から、スペーシング層34aおよび/または34bが少なくとも部分的に除去されることに基づいてもよい。簡単に言うと、電気機械トランスデューサと隣接する層との間の距離に基づいて、可動要素の周りに流体が流れ得る(流体損失)。前記流体の流れは、体積流量12と比較して小さくてもよい。例えば、体積流量の10分の1、15分の1、または20分の1未満であり得る。
電気機械トランスデューサは、対として互いに近づいたり離れたりしてもよい。例えば、電気機械トランスデューサ18aおよび18bは、図2bに示される状態から、対として互いから離れるように移動し得、続く期間で対として互いに向かって移動し得る。同時に、例えば、電気機械トランスデューサ18bおよび18cは、対として互いに向かってまたは離れるように移動することができる。電気機械式トランスデューサのこのような動きは、各場合において各対で相補的に生じ、トランスデューサが互いに隣接して配置されていない場合にも可能である。これにより、慣性に対する少なくとも部分的または完全な補償が実現される。その結果、MEMSトランスデューサ内で生じるさらに/あるいはMEMSトランスデューサからその周囲に伝達される振動が少なくなるか、なくなる。
言い換えると、これまでに説明したチャンバ手法の特定の特徴は、アクチュエータが反周期的に、対になって互いに向かって移動する、さらに/あるいは離れるように常に移動することに基づく。したがって、(各チャンバ壁を制限する両方の能動的な曲げアクチュエータがそれに応じて慎重に設計されると)、補聴器またはインイヤーヘッドフォンとしての使用を妨害し得る振動が発生しない。
体積流量(流体流)12は、例えば、開口部26aおよび/または26bを通過し得る。開口部26aおよび26bは、同一に構成されてもよく、または隣接する部分空洞38aおよび/または42aの形状に合わせてもよい。開口部26aは、例えば、軸方向(例えば、y方向)に沿って断面(例えば、x方向に沿った寸法)が可変であり得る。x方向に沿った開口部26bの寸法は、MEMSトランスデューサ20の内部に向かう方向、すなわち空洞または部分空洞42aに向かう方向で減少し得る。さらに/あるいは、開口部26は、さらなる方向、例えば軸方向yに垂直なz方向(厚さ方向)に沿って寸法または断面が可変であり得る。可変断面は、MEMSトランスデューサ20の外側から空洞16に向かって減少し得る。1つ以上の方向xおよび/またはzに沿って、MEMSトランスデューサ20の外側から空洞16に向かって、開口部26のテーパ状となる断面または減少する寸法は、漏斗状開口部とも称される。
漏斗状であり得る開口部26bは、インピーダンス整合のためのデバイスとして利用することができる。例えば、MEMSトランスデューサ20をスピーカとして使用する場合、インピーダンス整合が有利である場合がある。開口部26bの形態または幾何学形状は、数センチメートルの寸法を有する大きめのスピーカと同様に設定され得る。開口部26bの形状は、漏斗の外表面積によって実際の音放射が規定されることを可能にし得る。開口部26bは、例えば、パターン層34a、36および34b内に一体的に形成されてもよい。少なくとも1つの棒要素44を含む棒格子54は、棒要素44間および/または棒要素44と隣接基板との間の開口部および/または間隙を含むことができる。間隙は、その間を流体が流れることができるように形成されてもよい。
棒格子54は、MEMSトランスデューサ20の空洞を、粒子の侵入から保護し得る。棒格子54の開口部の幅、すなわち、棒要素44間の距離は、流体関連の観点で、流体流量12が所望の程度に影響されるかまたは影響されないように構成され得る。例えば、または理想的には、棒要素44間の距離は、MEMSトランスデューサ20内の最小間隙距離よりも小さくてもよい。これにより、棒格子は、関連粒子を多数または場合によってはすべてフィルタリングすることができる。間隙距離は、例えば、層32aまたは32bからの変形可能要素18a〜cの距離を表し得る。棒要素44間の距離は、例えば、5μm未満、1μm未満、0.1μm未満、または0.05μm未満であってもよい。
空間方向に沿った棒要素44の寸法は、棒要素44が可聴音範囲内、すなわち少なくとも16Hzから最大22kHzの周波数範囲内で共振を含まないように実現されてもよい。たとえ棒要素44が、(例えば、開口部26aまたは26bがx方向に沿った最大寸法を含む領域内で)MEMSトランスデューサ20の外側に配置されるように描かれているとしても、1つ以上の棒要素は、開口部26aまたは26bの異なる位置(例えば、開口部26aおよび/または26bのテーパ領域内)に配置してもよい。
変形可能要素の変形により、部分空洞42aの体積が減少し得る。同じ期間内に、チャンバ(部分空洞)38aの体積が増加し得る。部分空洞42aと同じようにまたは同様に、部分空洞38aは、漏斗形状の開口部26bおよび/または1つ以上の棒要素44を含む棒格子54を介して、MEMSトランスデューサ20の周囲に接続されてもよい。電気機械トランスデューサ18a〜f は、異なる周波数oのうちの1つで制御されるように構成され得るか、またはそれを含み得る。各部分空洞の体積は、異なる周波数または少なくとも部分的に同一の周波数で変化し得る。
開口部26aおよび開口部26bは、互いに空間的に対向するように配置されたMEMSトランスデューサ20の各側面にまたは各側面内に配置することができる。例えば、体積流量12は、開口部26aまたは26bを含む片側の部分空洞42aおよび/または38aまたはそのような複数の部分空洞によって、それぞれ排出または吸引され得る。したがって、流体流量12が反対方向に生成され得る。例えば、第1期間中に、体積流量12は、−y方向に開口部26aから排出され、部分空洞38aに吸い込まれ得る。第2期間中に、この方向は逆転し得る。したがって、MEMSトランスデューサ20に沿って発生する流れ短絡を防止または除外することができる。
電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素(梁)は、外部から供給される信号に従って湾曲するように構成されてもよい。湾曲が生じる周波数は、体積流量12が生成および/または振動する周波数に影響するまたはそれを決定する可能性があり、最終的に音響周波数に影響するまたはそれを決定する可能性がある。供給される信号を介して決定される振動の振幅(1つ以上の共振周波数に対する)は、体積流量12の振幅に影響するまたはそれを決定する可能性があり、したがって音レベルに影響し得る。
また、少なくとも1つのチャンバ(空洞または部分空洞)が検知要素として機能し、別のチャンバが作動要素として機能してもよい。したがって、MEMSトランスデューサは少なくとも1つの感知変形可能要素と少なくとも1つの作動変形可能要素を含むことができる。梁の動きは検出され、評価される。例えば、電気機械トランスデューサ18aおよび18bは、アクチュエータとして制御され得、一方、電気機械トランスデューサ18cおよび/または18dは、流体内の検出のためのセンサとして使用され得る。静電(容量)、圧電、またはピエゾ抵抗センサ要素を検出用に一体化してもよい。そのような要素は、マイクロフォンおよび/または圧力センサとして使用されてもよい。そのような一体化されたマイクロフォンおよび/またはそのような圧力センサはまた、スピーカチャンバ(アクチュエータ)および/または超音波送信機チャンバおよび/またはポンプチャンバの特性をチェックおよび制御するために使用され得る。この目的のために、付随する電子回路が制御回路として使用される。
電気機械トランスデューサまたはアクチュエータのさらなる実施形態を以下に説明する。MEMSトランスデューサ20は、撓みなし(または非作動)状態では変形可能要素が撓んでないように説明されたが、状態の内容を置き換えることもできる。すなわち、最初の非作動状態で、変形可能要素が変形または湾曲し、制御信号に基づいて、より湾曲が少ない状態、より大きく湾曲した状態、または直線状態になり得る。
上記の説明においては、制御デバイスにより電気信号がMEMSトランスデューサ20に提供されるが、体積流量12も、変形可能要素を変形させ得る。しかし、変形は、MEMSトランスデューサ20に印加される電気信号によって実現することもできる。すなわち、MEMSトランスデューサ20はセンサとしても構成できる。
変形可能要素の有利なさらなる展開を以下に説明する。1つ以上の電気機械トランスデューサは、以下で説明するさらなる展開に係る変形可能要素を備えてもよい。
図3は、バイモルフとして構成された変形可能要素30の概略斜視図を示す。変形可能要素30は、少なくとも数点で、好ましくはそれらの表面積全体にわたって互いに強固に接続された第1層56および第2層58を備える。第1層56および第2層58は、変形するように構成されている。例えば、機械的、物理的、または化学的作用に基づいて、様々な程度に膨張または収縮する。例えば、層56および58は、互いに異なる熱膨張係数を有し得る。さらに/あるいは、層56または層58は、対応する層に提供される電気信号に基づいて膨張または収縮するように構成されてもよい。例えば、前記層は圧電材料を含んでもよい。
層56および58の異なる収縮または膨張により、作動方向59または59’に沿って変形可能要素30が変形し得る。作動方向は、横運動方向24と平行であってもよい。作動方向は、正の電圧を印加された変形可能要素30が撓む方向であり得る。
さらに/あるいは、例えば変形可能要素30の横方向の収縮または横方向の膨張および/または任意の層の収縮または膨張に基づく、さらなる横運動方向24’に沿った変形も利用可能であり得る。したがって、変形可能要素30が、その梁構造とともに、梁構造の軸方向(例えば、y方向、または面内)に沿って湾曲するように構成され得る。これは、往復運動、すなわち、横運動方向24に沿った運動と反対方向に沿った運動に基づいて実現され得る。
言い換えると、バイモルフは2つの層で構成される梁に対応し得る。層は、例えば互いに一方向(例えば垂直)に配置される。受動層(例えば、層56)は、能動層(例えば、層58)に固定的に接続されてもよい。適切な信号を印加することにより、能動層58内に機械的張力が生成され、その結果、層58の収縮または膨張が生じる。層58の長さ変化の方向は、バイモルフが一方向(収縮)または他の方向(膨張)に横方向に湾曲するように選択されてもよい。
図4aは、図3を参照して説明したバイモルフ構造を3つ(30a〜c)含む変形可能要素40の概略斜視図を示す。x、yおよびz方向に沿った変形可能要素40の空間的概略配置は、例えば変形可能要素40がMEMSトランスデューサ10または20内にどのように配置され得るかに関して、例示的に示されている(すなわち限定的ではない)。変形可能(部分)要素30a〜cは、x、y、またはz方向に沿って、互いに異なる寸法を有してもよい。例えば、変形可能要素30aおよび30cは、y方向に沿って等しく膨張し得る。変形可能要素30a〜cの作動方向59a〜cは、例えば互い違いであってもよく、揃っていてもよい(例えば+/−/+x方向)。簡単に言うと、これは、変形可能要素30aおよび30cの長さが等しいとも理解され得る。変形可能要素30bは、これらとは長さが異なっていてもよい。例えば、変形可能要素30bの長さは、要素30aまたは30cの対応する長さの倍であってもよい。さらなる実施形態によれば、さらなる要素、(例えば、ばね要素)がさらに、変形可能要素30a〜cの間に配置されてもよい。
同一または同等の量(例えば、電圧の符号)の印加時に変形可能要素30a〜cが撓む方向は、変形可能要素40の長さに沿って互い違いであり得る。したがって、湾曲が交互に生じ得る。変形可能要素40が3つの変形可能要素30a〜cを含むように示されているが、2つの変形可能要素または4つ以上の変形可能要素30が配置されることも可能である。
図4bは、撓んだ状態の変形可能要素40の概略斜視図を示す。層58a〜58cは、例えば、複数の湾曲が軸方向(y方向)に沿って進行するように生じるように収縮される。
換言すれば、図3に示された3つの梁は、それらの膨張方向に互いに隣接するように配置され得る。すなわち、対応する信号により、第1梁と第3梁(30aおよび30c)が第1方向に反り、第2梁(30b)が他の方向に反る。このようにして、図4aに示すように信号が印加されていないときに示す直線的な形状から、対応する信号の印加により、図4bに示すようにS字形に変形するアクチュエータが得られる。信号ありと信号なしによる構成は入れ替え可能である。例えば、各場合において、変形可能要素30は、印加される信号に基づいて、変形可能要素(複数可)30および/または40の曲率の減少または直線延長が生じるような、事前撓みまたは付勢が実現されてもよい。例えば、各梁30a〜cの曲率は、正負符号以外は同一であり、第1および第3の梁30aおよび30cの長さは、それぞれ変形可能要素の全長の約4分の1に相当し、中央梁30bの長さは、変形可能要素40の長さのほぼ半分に相当すると仮定できる。
図4cは、両側で固定され、部分空洞38が変形可能要素間に配置されるように互いに隣接して配置された2つの変形可能要素40aおよび40bの配置の概略上面図を示す。実線は、例えば、変形可能要素40aおよび40bの作動状態を示し、一方、破線は、非作動状態を示す。このような変形可能要素の状態は、入れ替え可能である。製造に関する要因で、非作動状態は任意の形態をとり得るためである。
変形可能要素40aおよび40bは、非作動状態でそれぞれ湾曲するように構成されてもよい。さらに、変形可能要素40aおよび40bはそれぞれ、作動中に互いに対して湾曲する3つのセグメント30a−1〜c−1、および30a−2〜c−2から形成されてもよい。各セグメント、例えば中央セグメント30b−aまたは30b−2は、2つ以上のセグメントから形成されてもよい。図4aおよび図4bの記載と比較すると、セグメント30a−1、30b−1および30c−1は、長さが互いに、そしてその他あらゆるセグメントと異なる。長さは、作動時に求められる所望の形状に適応可能であってもよい。S字型アクチュエータは、大きな平面充填率を実現するだけでなく、処理中に両側で固定できるという大きな利点を発揮する。両面固定により、層張力勾配に起因する技術的に回避することのできない、梁の事前撓みを大幅に低減できる。したがって、基板の下蓋と上蓋からの距離を極めて小さく保つことができる、これにより流量/圧力損失が大幅に減少し、その結果、スピーカ、超音波コンバータ、マイクロフォン、ポンプの効率が大幅に向上するだけでなく、状況によってはそれらの機能を実際に正しく発揮することを可能とする。さらなる実施形態によれば、例えばMEMSトランスデューサ10内に、変形可能要素40の1つのみを配置することも可能である。
図5は、MEMSトランスデューサ50の概略上面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜cは、MEMSトランスデューサ20と異なる構成を有する。電気機械トランスデューサ18a〜cは、第1および第2変形可能要素22aおよび22b、22cおよび22d、22eおよび22fをそれぞれ含む。変形可能要素は、互いに対向して配置される。梁要素の撓み可能な端部は、互いに対向して配置される。変形可能要素22a〜fが基板に接続される領域は、互いに反対側を向くように配置される。
電気機械トランスデューサ18a〜cはそれぞれ、変形可能要素22aと22b、22cと22d、22eと22fにそれぞれ接続されたプレート要素62a〜cを含む。各プレート要素62a〜cは、それぞれの変形可能要素22a〜fの撓み可能な端部に接続されてもよい。
変形可能要素22a〜fはそれぞれ、部分的にまたは完全に変形可能要素30または40として構成されてもよく、または異なる構成を有してもよい。変形可能要素22aおよび22b、22cおよび22d、ならびに22eおよび22fのそれぞれ異なる種類の網掛け(ハッチング)がされており、互いに異なるように変形することが示されている。電気機械トランスデューサ18a〜cの変形可能要素は、変形可能要素22a〜fのそれぞれの形態に係らず、同じ空間方向に沿って撓み可能な端部の撓みを実現するように配置されてもよい。
例えば、図5に示される非撓み状態から、制御により、変形可能要素22aおよび22bの撓み可能な端部が+x方向に沿って移動され得る。加えて、変形可能要素22cおよび22dの制御により、それぞれの撓み可能要素を−x方向に沿って撓みさせ得る。これにより、プレート要素62aおよび62bは、前記制御中に互いに向かって移動することができる。そのようなプレート要素の移動により部分空洞42aのサイズが縮小される。さらに/あるいは、空洞42a内の負圧により、プレート要素62aおよび62bが互いに向かって移動し、変形可能要素22a〜dの変形が実現され得る。さらに/あるいは、電気的に受動的な1つ以上の変形可能要素22a〜dを実現することもできる。例えば、電位を、1つ以上のプレート要素62a〜cにかけてもよい。プレート要素62aと62bの電位に基づいて、プレート要素62aと62bとの間の引力または反発力が生じる。これにより、プレート要素62aおよび62bに動きが生じ、したがって、変形可能要素22a〜dの変形が生じる。さらに/あるいは、変形可能要素22c〜fおよび/またはプレート要素62bおよび62cは、変形可能要素22c〜fの変形および部分空洞38a内の体積変化を実現するように、同時に、または時間をずらして制御されてもよい。
言い換えると、図5は、図2a〜図2cに示された構成の変形例を示し、それぞれ4つの曲げ梁22a〜dおよび22c〜fが、各チャンバ(空洞42aおよび38a)を狭めるおよび/または広げるために使用される。図2a〜図2cに関連して、これは各場合において、2つの曲げ梁(変形可能要素)に基づいて説明される。図5は非作動状態を示す。作動状態と非作動状態を入れ替えることができる。例えば、各制御可能な変形可能要素は通常、信号が適用されないときに変形し、その変形は、特殊な場合として直線(非撓み)状態も含まれるように、信号に基づいて変動し得る。
互いに垂直に(例えば、y方向に沿って)対向する曲げ梁、例えば変形可能要素22aおよび22b、ならびに22cおよび22dはそれぞれ、要素64aおよび64bを含む曲げ可能なウェブを介して互いに接続され得る。このようにして得られたウェブの中央領域には、比較的硬い延長部である要素66が配置されていてもよい。一方で、前記要素66は、プレート要素62bが設けられてもよい。プレート要素62bは剛性であるか、可能な限り剛性であるように構成される。対応する信号が印加されると、プレート要素62a〜cは、部分空洞の体積をそれぞれ減少または増加させるように、互いに近づくまたは離れるように同時に移動し得る。プレート要素の同時移動により、極端な場合、部分空洞42aの体積をゼロにすることができる。これはプレート要素62aと62bが互いに接触することを意味する。このような構成によると図2a〜図2cを参照して説明した構成と比較して、MEMSトランスデューサ20の体積流量より確実に大きい流体の体積流量を実現できる。部分空洞42aの体積が減少すると、それに応じてまたは少なくともそれに基づいて部分空洞38bの体積を増加させることができる。流体の供給は、MEMSトランスデューサ20に関連して説明したように、それぞれ開口部26a、26b、および26cを介して行われ得る。要素64aおよび64bは、ばね要素とも称され得る。
変形可能要素(曲げ梁)22aおよび22bは、信号が印加されたときに右(+x方向)に向かって湾曲するように設計されてもよい。変形可能要素22cおよび22dは、信号が印加されたときに左(−x方向)に向かって湾曲するように設計されてもよい。両方の種類の梁(変形可能要素の網掛け)は、例えば図3または4のように、第1信号が印加された場合に湾曲し、第2信号が印加された場合に反対方向に湾曲するように設計され得る。この場合、梁の曲げによる機械的復元力とは関係なく、チャンバ(部分空洞)を元のサイズに狭めることと広げることの両方を実現できる。第1および第2信号は、例えば、それぞれ正および負の電圧であり得る。例えば、図3を参照すると、層56および58はそれぞれ能動層であってもよい。さらに/あるいはさらなる能動層が、層58から離れて面する側の層56に配置され得る。両方の能動層は、一方または他方の方向の撓みを実現するために、互いに個別に配向されてもよい。
2つの対向する変形可能要素(例えば、変形可能要素22cおよび22d)と、それらに接続されたプレート要素62bとの間の体積も、曲げ梁の移動または変形により変化し得る。例えば、プレート要素62は剛性に構成されてもよい。圧力の均一性向上のため、変形可能要素22cおよび/または22d、および/またはプレート要素62bを変形可能要素22cおよび22dに接続する接続要素64および/または66を局所的に薄くして、局所的流路を提供することができる。これは、例えば、追加のパターニングまたはエッチングによって実現され得る。接続要素64a、64b、および66は、T字配置にしてもよい。接続要素66は、要素64aおよび64bと比較して高い剛性を有し得る。したがって、変形可能要素22cおよび22dの変形中、要素64aおよび64bは、それぞれのプレート要素が直線移動できるように変形することが好ましい場合がある。
図6a〜図6eを用いて、プレート要素62aおよび62bがそれぞれ対向配置された変形可能要素22aおよび22b、ならびに22cおよび22dに接続される有利な実施形態を以下に説明する。
以下の説明では、プレート要素の各場合において同一に構成された変形可能要素への接続について述べるが、異なる電気機械トランスデューサおよび/またはプレート要素を形成するための個々の変形可能要素の組み合わせは、互いに異なるように構成されてもよい。以下で説明する詳細は、最終的な有利なさらなる実施形態を説明するものではなく、それ自体で、または互いに組み合わせて、またはさらなる有利な実施形態と組み合わせて実施することができ得る。
図6aは、直線状に構成されたばね要素68が、プレート要素62aおよび62bと、変形可能要素22aおよび22b、ならびに22cおよび22dそれぞれとの間に配置された構成の概略上面図を示す。ばね要素68は、変形可能要素22a〜dの材料またはプレート要素62aまたは62bの材料から形成されてもよく、さらに/あるいはこれら要素の1つ以上と一体的に形成されてもよい。例えば、ばね要素68は、プレート要素62aまたは62bに対して直角に配置されてもよい。
図6bは、ばね要素68’が、変形可能要素の撓み可能端部に対して90°未満の角度α(例えば30°または40°)で配置された代替構成を示している。これにより、図6aの構成よりプレート要素62aにおける接触点の距離を大きくとることが可能になり、その結果、移動中のプレート要素62aのたるみが減少し得る。
図6cは、ばね要素62aが90°を超える角度αで配置されている構成を示す。これにより、例えば、図6aに示された構成と比較して、ばね要素68の復元力が低下し得る。
図6dは、図6aの構成の変形例としての構成を示す。ここでは、ばね要素72aまたは72bが基板14の、電気機械トランスデューサ18aが隣接配置された、さらに/あるいは各変形可能要素が、基板14が接続される領域に設けられている。
ばね要素72aおよび/または72bは、基板14内の凹部(空洞)74aおよび/または74bによって少なくとも部分的に基づくものであってもよい。したがって、例えば、凹部74aまたは74bにより、基板14の剛性が局所的に低減され、その結果、ばね要素72aおよび/または72bが形成される。凹部74aおよび74bは、基板14内です隣接する変形可能要素22aおよび22c、ならびに22bおよび22dにまたがって延在するように描かれているが、凹部74aまたは74bは、単一の、またはいくつかの変形可能要素に隣接するように配置されてもよい。あるいは、基板14は、いくつかの凹部またはばね要素を備えてもよい。
言い換えると、図6dは、変形可能要素(梁)が取り付けられた屈曲ばね(ばね要素72aおよび72b)であるさらなる構造物が、引張応力のさらなる低減をもたらし得る構成を示す。そのような屈曲ばね要素は、例えば、図6eの構成に示されるように、および凹部76a〜dに関連して説明されるように、剛性プレートと一体化されてもよい。梁が撓んだ場合、前記要素はS字状に変形し、剛性プレートに作用する引張ひずみを低減し得る。
図6eは、電気機械トランスデューサ18aおよび18bの構成を示す。プレート要素62aおよび62bは、図6dに関連して説明した構成と比較して、プレート要素62aおよび/または62bがばね要素68を介して変形可能要素に接続されている領域に隣接する凹部76a〜dを含む。プレート要素62aおよび/または62bの、変形可能要素に面する側と、凹部76a〜dとの間の距離は、前記領域内のプレート要素62aおよび/または62bの剛性に影響し得る。凹部76a〜dは、変形可能要素22a〜dに作用する低減された復元力を可能にする。
言い換えると、図6a〜図6eは、可動要素および/または電気機械トランスデューサを実現する変形例を示す。前記変形例は、図5に関連して説明した構成とは、例えば/特に、図5に示す要素64aまたは64bがブレーシング66と組み合わされてばね要素68を形成するという点で異なる。図6aの構成は、図紙面(x/y平面)に垂直な軸に対するプレート要素62aおよび/または62bの寄生的な傾斜に対して剛性を向上し得る。図6bと図6cの構成についても同様である。さらに、3つの構成はすべて、図5の構成と比較して、曲げ梁をより大きく撓むことが可能にする。図5では、要素64aおよび/または64b(曲げ可能なウェブ)は、梁が撓むと引張応力を受ける。撓みが増加すると、引張応力により変形可能要素の梁撓みに対する機械的抵抗が増加し得る。図6a〜図6cの変形例では、それぞれ接続するばね要素68が曲げで応答し、これは、この要素の対応する構成を考慮すると、確実に機械抵抗が低くなることを表すことから、2つの変形可能要素の機械的接続は、確実に柔軟である(剛性が低い)ように構成されてもよい。
図5を参照して説明した接続要素/ばね68および/または要素/ばね64a〜64bは、湾曲した形状または蛇行した形状を有してもよい。これにより、適切な方向への柔軟性が向上する。図6dおよび図6eを参照して説明した構成は、変形可能要素の有効剛性をもたらす引張ひずみの低減を可能にする。図6a〜図6eに記載された構成は、入口および/または出口開口部26を省略する。前記開口部が配置される場合、基板内の凹部および/またはばね要素は、開口部が配置される領域で省かれてもよい。さらに/あるいは、少なくとも1つの凹部によって得られるばね要素72aおよび/または72bの1つ、いくつか、またはそれぞれを、2つ以上の相互に独立した独立したばね要素に基づいてプレート要素62aまたは62b内に設けることができる。
以下で説明する図7a〜図7cは、例として、変形可能要素およびプレート要素の可能な配置を説明するものである。
図7aは、プレート要素62に接続された変形可能要素40を示す。プレート要素62は、例えば、変形可能要素40に直接配置されてもよい。
図7bは、変形可能要素40aが基板14の間に固定的に挟まれ、横方向24に沿って変形するように構成された構成を示す。変形可能要素40およびプレート要素62は、その中に配置された2つのさらなる変形可能要素40bおよび40cを有し、それらの端部は互いに接続されてもよい。この接続に基づいて、変形可能要素40bおよび40cは、変形可能要素40bまたは40cの一方が他方に対して互いに反対に反るように並べられてもよい。例えば、変形可能要素40a〜cは、まとめて制御されてもよく、またはまとめて流体の体積流量に反応してもよい。例えば、変形可能要素40a〜cをまとめて制御することで、調整移動、例えばプレート要素62が撓む移動の増加が実現される。したがって、変形可能要素とプレート要素の間に、変形可能要素とまとめて制御されることで、変形可能要素の調整移動を増加させるように構成された少なくとも1つのさらなる変形可能要素を設けてもよい。
図7cは、電気機械トランスデューサ18の構成を示し、変形可能要素40a〜cは、中央領域に、変形可能要素40bと40cの間に存在する体積82をさらなる部分空洞(例えば部分空洞38a)に流体結合させる凹部70aまたは70bを含む。変形可能要素40a、40bおよび/または40cはそれぞれ、凹部78aおよび78bを提供するように2つの部分で構成されてもよい。さらに/あるいは、凹部78aおよび78bは、それぞれ変形可能要素40a、40bおよび40cのさらなる材料によって厚さ方向(z方向)に沿って囲まれた凹部として構成されてもよい。
言い換えると、図7aは、図4の駆動されたS字状曲げ梁を備えた構成を示しており、曲げ梁への接続部が剛性プレートの中央に配置されている。より撓みを大きくためには、いくつかの曲げアクチュエータを直列に並べて配置してもよい。図7bおよび図7cは、3つの直列に接続されたSアクチュエータの配置を概略的に示す。さらなる実施形態によれば、2つのSアクチュエータ(変形可能要素40)または3つ以上のアクチュエータを直列に接続することができる。図7a〜図7cの変形可能要素の網掛けは、例えば、図4で選択された網掛けに合わせて描かれている。網掛けの違いは、各部分の異なる湾曲方向を示し得る。図7cは、S字形アクチュエータの中心に、その間の空間(空洞82)の換気向上を可能にする開口部(凹部78aおよび78b)を含む構成を示す。
図7dは、電気機械トランスデューサの構成を示し、第1変形可能要素40aおよび第2変形可能要素40bは、y方向に沿って互いに平行に配置される。これにより、プレート要素62を撓ませるように作用する力の増大可能になる。変形可能要素の端部は、互いに接続されてもよく、または基板上に接合して配置されてもよい。あるいは、2つ以上の変形可能要素40aおよび40bを、例えばz方向(厚さ方向)のような異なる方向に沿って平行に配置することも可能である。さらに/あるいは、変形可能要素の直列接続と並列接続を組み合わせることも可能である。
可動要素は、大幅なまたは過度の撓みが発生した場合に、異なる可動要素または固定要素に接触する場合がある。これにより、固着が生じ得る。可動要素または固定要素には、好ましくは、接触面積の大幅な削減を可能とし、固着の低減または回避を可能にする近接要素(ボラード)を設けてもよい。いわゆるボラードの代わりに、ばね要素として構成された小さな構造物を配置することも可能である。固着を回避することに加えて、2つの要素が衝突するときに生じるパルスを回避できる。これにより、エネルギー損失を低減または回避でき、および/またはアクチュエータの動的挙動を改善できる。
図8aは、変形可能要素が基板および/または中間層36、および/または基板に接続されたアンカー要素84に交互に接続されたMEMSトランスデューサ80の概略斜視図を示す。例えば、変形可能要素22aは、中間層36の領域46および48において、端部で基板に固定的に接続され、変形可能要素40に関して例示的に説明したように、S字形の動きを実行するように構成される。隣接して配置された変形可能要素22bは、アンカー要素84に接続される。アンカー要素84は、変形可能要素22bの中央領域に配置され、スペーシング層34aまたは層32aで当該領域に接続されてもよい。したがって、基板がアンカー要素を備え得る。
変形可能要素22aまたは22bの可動端部に隣接して配置される中間層36の側壁は、変形可能要素22aおよび/または22bの移動パターンに基づいた形状を有してもよい。
図8bは、MEMSトランスデューサ80の概略上面図を示しており、スペーシング層34bおよび層32bは例示的に不図示となっている。MEMS80は、開口部26の領域に棒要素44を含む。領域48は、ばね要素72a〜cを含んでもよい。領域48は、例示的に、中間層36の上面図で描かれている。
アンカー要素84は、変形可能要素22bおよび/または基板の層と一体的に形成されてもよい。しかしながら、図8に示されるように、アンカー要素84は、層32aおよび32bを互いに接続するために、z方向に沿って、変形可能要素22bを越えて突出してもよい。これにより、層32aおよび32bを振動しにくくできる。あるいは、アンカー要素84は、機械的に変形可能要素22bとは異なる部品としておよび/または異なる材料で形成されてもよい。それに隣接して配置された変形可能要素22aは、例えば領域48または46において両側で基板に固定的に、例えば固定的または非固定的に接続される。
棒要素44間の距離85は、例えば、1μm未満、あるいは0.1μm未満または0.05μm未満であってもよい。
アンカー要素84は、変形可能要素22bの中央領域内に配置されてもよい。中央領域は、例えば、変形可能要素の幾何学的重心を含み得る。中央領域は、例えば、変形可能要素40の梁セグメント30bであってもよい。
図8cは、撓んだ状態のMEMSトランスデューサ80の概略斜視図を示している。変形可能要素22bの外側領域は、変形可能要素22aに向かう方向に移動し得るが、変形可能要素22aの外端の位置は、基本的に変化しない。変形可能要素22aの中心領域は、変形可能要素22bの方向に移動し得るが、変形可能要素22bの中心領域の位置は、アンカー要素84に基づいて基本的に変化しない。
図8dは、図8cを参照に説明したように撓んだ状態にあるMEMSトランスデューサ80の概略上面図を示す。図8bの図と比較すると、空洞42の体積は減少し、部分空洞38の体積は増加している。ばね要素72aは、変形可能要素22aへ印加される力を減少し得るが、配置されなくてもよい。基板の開口部26に隣接する第1部分空洞42は、第1電気機械トランスデューサと第2電気機械トランスデューサの梁構造の間、および/またはアクチュエータ22aと22bとの間に配置してもよい。
言い換えると、図8aおよび8bは、それぞれ、変形例の概略三次元表示および上面図を示している。この構造では、MEMSトランスデューサのチップ表面積を非常に効率的に活用することができる。図2a〜図2cを参照に説明した基本構成のように、曲げアクチュエータのみを、またはそれを主に使用することができる。すなわち、追加の剛性プレート要素を省略してもよい。図8aに示されるように、チャンバ42は、2つの撓んでいないSアクチュエータ22aおよび22bによって画定される。左側(−x方向)を画定するSアクチュエータ22aは、その両端で、図面の上部および/または下部における残りの構造要素に接続可能である(すなわち、+または−yに沿って)。右側を画定するSアクチュエータ22bは、ポスト(アンカー要素)84に取り付けられてもよい。前記Sアクチュエータの両端は自由に移動可能であってもよい。ポスト84は、上蓋32aおよび下蓋32bにそれぞれ固定的に接続されてもよい。信号が印加されると、両方のアクチュエータがS字型に変形する。図8aでは隠れている、凹部の影響を受けるばね要素72aは、張力緩和に供される。図8bの紙面内で、ばね要素72aは横運動方向24に沿って固定的に挟まれるように、横運動方向24に沿って要素48内に配置される。例えば、図8に示されるように、ばね要素72aは、スペーシング層34aおよび34bに、当該スペーシング層に基づいて固定接続されてもよく、挟まれてもよい。あるいは、層34aおよび34bは、ばね要素72aがスペーシング層34aおよび/または34bと接触しないようにパターン化されてもよい。これにより柔軟性を向上できる。
図8cおよび図8dに示すように、Sアクチュエータ22aの膨張は、Sアクチュエータ22aの中心がSアクチュエータ22bの中心に接触しそうになるほど、ポスト84に向かって移動するものであり得る。同時に、Sアクチュエータ22bの自由端も、Sアクチュエータ22aの固定された挟持部に向かって接触しそうになるほど移動する。両方のSアクチュエータの作動形状は、同一または略同一であってもよい。これにより、チャンバ42は、アクチュエータが十分に撓むと、実質的にまたはほぼ完全に閉じ得る。したがって、チャンバ42の元の体積のすべてが、体積流量を生成するため、または体積流量を検出するために使用され得る。チャンバ42の体積が減少する分だけ、チャンバ38の体積を増し得る。したがって、流れに影響を与える要素の寸法を適切に設定することで、動的効果により、チャンバ38および42の間で生じ得る過剰な圧力差が、アクチュエータ移動に影響することを防止できる。要素46および48は、アクチュエータ22bの自由端からの距離が、端部の撓みにかかわらず、小さく、さらに/あるいはほぼ一定であるように構成されてもよい。アクチュエータ22aのストレインリリーフを実現するために、上述のように、屈曲ばね要素72aが配置されてもよい。
上述の実施形態は、生じる流路内に配置されるさらなるアクチュエータを含んでもよい。さらなるアクチュエータは、例えば、電気機械トランスデューサ18のように、音を生成可能にするのに直接供されるのではなく、流れ特性を可変設定するように利用可能であり得る。したがって、例えば、減衰、すなわち共振曲線の幅は、構造要素(MEMSトランスデューサ)の動作中に各チャンバに必要に応じて柔軟に、かつ個別に適合させられ得る。
当初の推定として、従来技術による膜スピーカのアクティブ領域あたりの体積の変化(ΔV/A)は3.75μmと推定された。以下で説明するように、これは、アクティブ領域の推定値△V/Aを取得するために、マイクロ回路技術で有用な寸法を使用して、図8a〜図8cに示すMEMSトランスデューサに対して再推定され得る。この目的のために、アクチュエータの幅(図8aのx方向)の値は5μmと仮定される。ポスト84の幅も同様に5μmの値を有し得る。チャンバ38の側壁を形成するアクチュエータの距離(例えば、図8aおよび図8bの撓みなし状態)は、10μmであると仮定される。チャンバ42の側壁を形成するアクチュエータの距離(図8aおよび図8bの撓みなし状態)は、100μmであると仮定される。次に、体積流量の生成に使用されるアクティブ領域の割合を示す平面充填係数Fpは以下のようになり得る:
Fp=100/(5+100+5+10)=83%。
ΔV/Aは、次のように表され得る:ΔV/A=AxFph/A=Fph
上記の式では、hはチャンバの高さ(例えば、図8aのz方向)を示し得る。簡単に言うと、この目的のためにアクチュエータの高さのみを仮定してもよい。スペーシング層34aおよび34bの厚さは無視してもよい。膜スピーカの上記3.75μmと比較すると、アクティブ領域ごとに同じ体積流量を提供するために、アクチュエータの高さは3.75μm/Fp(つまり4.5μm)であればよいことは明らかである。追加のオーバーヘッドなしで微細機械技術で製造できるアクチュエータの厚さhが約50μmの場合、MEMS膜スピーカの値の10倍になり得る。
剛性プレートを一切使用せずに構成されたMEMSトランスデューサ80による実施形態では、プレートを含み、さらなる変形可能要素を変形可能要素とプレート要素との間に含み得る変形例と比較して、機械部品と機械的接続の数が確実に減少するため、寄生振動の処理または低減がかなり容易になり得る。例えば、図7bおよび7cに示すように、アクチュエータを直列に接続することは、より大きなストロークおよび/またはより大きな力を実現し得る。
図9は、積層体90の概略斜視上面図を示す。積層体90は、MEMSトランスデューサ80aを含み、MEMSトランスデューサ80aは、さらなるMEMSトランスデューサ80bおよび80cに接続されて積層体90を形成し、積層体90内に配置される。MEMSトランスデューサ80aおよびさらなるMEMSトランスデューサ80bおよび/または80cの電気機械トランスデューサは、まとめて制御可能であってもよい。したがって、チップの表面積を変えることなく、生成または検出され得る体積流量が増加する。積層体90は、MEMSトランスデューサ80a、80b、および80cを含むように説明されているが、他のMEMSトランスデューサ10、20、および/または50がこれらに加えて/替えて配置されてもよい。積層体90は3つのMEMSトランスデューサを含むと説明されたが、異なる数のMEMSトランスデューサ、例えば2、4、5、6個、またはそれ以上のMEMSランスデューサを含むことができる。積層体90内に配置されたMEMSトランスデューサおよび/または隣接するMEMSトランスデューサの空洞または部分空洞は、互いに接続されてもよい。空洞または部分空洞は、例えば、各MEMSトランスデューサ間の層に設けられた開口部を通じて接続されてもよい。電子回路17は、1つ以上のMEMSトランスデューサを制御するように、すなわち、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成され得る。したがって、積層体90は、少なくとも1つまたはいくつかの電子回路17を含むことができる。
言い換えれば、ウェハまたはチップ(MEMSトランスデューサ)は、例えばシリコン技術に基づいた接合方法によって積層できる。そのため、この場合、従来の膜スピーカとは異なり、体積流量がさらに増加し得る。積層する前に、個々のウェハまたはチップを薄くする技術を採用することで、積層体の高さを低くすることができる。そのような技術は、例えば、エッチングプロセスおよび/または研削プロセスを含み得る。
互いに隣接して配置された層32aおよび/または32bの層厚の削減は、前記層の一方または両方が除去される程度まで実行されてもよい。さらに/あるいは、積層体の高さを低減するため、特定の下蓋および/または上蓋(層32aおよび/または32b)が不要になるように製造処理が実行されてもよい。例えば、積層体90は、MEMSトランスデューサ80bおよび/または80cがそれぞれ層32bを含まないように構成され得る。
図10は、MEMSトランスデューサ100の一部の概略斜視上面図を示し、変形可能要素22a〜dは、基板14の側面間に配置されている。変形可能要素22aおよび22bは、アンカー要素84aを介して間接的に接続される。したがって、変形可能要素22aおよび22bの端部が基板(アンカー要素84aでも良い)に固定的に接続され、したがって(強く)固定され得る。したがって、変形可能要素22a〜dまたはさらなる実施形態に係る他の変形可能要素がそれぞれ梁構造を備え得る。梁構造は、第1端部および第2端部で固定的に挟まれてもよい。変形可能要素22a〜dおよび/または梁構造の端部を固定することにより、変形可能要素の事前撓み(例えば、層張力勾配による)の低減または大幅な低減が可能になる。したがって、蓋とアクチュエータの間の間隙がはるかに小さくなる。これは、いくつかの用途において、効率に関して非常に有利となる。
変形可能要素22a〜dは、例えば、各場合において両側で固定的に挟持される。固定された挟持は、基板14および/またはアンカー要素84aおよび/または84bに変形可能要素22aおよび/または22bを配置または生成することにより実現できる。破線88は、撓みなし状態を示す。一方、連続的な梁92は、変形可能要素22a〜dの撓み状態を示す。基板14の要素94aおよび94bにより、変形可能要素22a〜dがy方向に沿って位置決めできる。電気機械トランスデューサ18a〜cの対となる位置は、要素94aおよび94bに基づいて変位させることができる。互いに隣接しておよび/または対で配置される電気機械トランスデューサ18aおよび18bは、互いに反対に変形可能であってもよい。
変形可能要素22aおよび場合によっては反対側に位置する変形可能要素22cは、変形により部分空洞部位96aに影響を与え得(すなわち変形に基づき部分空洞部を増加または減少させ得る)、さらに/あるいは部分空洞部位96a内部の体積流量に基づいて変形するように構成され得る。変形可能要素22bおよび場合によっては反対側に配置された変形可能要素22dは、部分空洞部位96bに影響するように構成されてもよい。部分空洞部位96aおよび96bは、例えば、アンカー要素84aおよび84bの領域で互いに接続されてもよい。変形可能要素22a〜dの変形は、変形可能要素22aおよび22c、ならびに22bおよび22dがそれぞれ異なる周波数で変形するように生じてもよい。すなわち、部分空洞部位96a内の体積の変化が生じる周波数が、部分空洞部位96bの体積が変化する周波数と異なってもよい。例えば、MEMSトランスデューサがスピーカとして使用される場合、周波数が異なる体積の変化に基づいて、部分空洞の各部分内で異なる周波数が得られ得る。例えば、MEMSトランスデューサ100がマイクロフォンとして使用される場合、部分空洞部位96aおよび96bは、例えば、異なる共振周波数を有し得る。あるいは、さらなる部分空洞部位およびさらなる変形可能要素をy方向に沿って配置することができる。これにより、MEMSトランスデューサ100は、例えば、さらなる周波数を生成するか、さらなる共振周波数を含むことができる。
あるいは、変形可能要素22aおよび22bまたは変形可能要素22cおよび22dは、互いに直接接続されてもよい。例えば、アンカー要素は、変形可能要素22a〜dの変形に影響を及ぼすように、1つ以上の変形可能要素22a〜dの中央領域内に配置されてもよい。したがって、変形可能要素22aおよび22bは互いに直接接続され得る。あるいは、ばね要素または異なる要素を変形可能要素22aと22bとの間に配置することも可能である。
MEMSトランスデューサ100は、第1期間中に、開口部26から+y方向に体積流量12が生じ、続く、第2期間中に、開口部26から−y方向に体積流量12が生じるように構成され得る。
言い換えると、図10は、すべてS字形となり得るアクチュエータが配置された構成を示している。原理を説明するために、S字形アクチュエータは、図では作動状態(実線92)および非作動状態(破線88)の両方で提示され得る。作動状態と非作動状態は、設計によって入れ替え可能である。S字形アクチュエータ(変形可能要素22a〜d)は、それらの端部の一方(上端)および端部の他方(下端)の両方で固定されてもよい。この目的のために、アンカー要素84a〜bを使用してもよい。アンカー要素84a〜bは、層34a、36および34bから形成され、層32aおよび/または32bに接続されてもよい。この構成では、S字形アクチュエータの自由端と要素94aまたは94bとの間の距離は省略できる。これにより、バイパス流の損失が低減でき得る。最初の基板は、アクチュエータがそこから製造されるように処理されてもよい。前記最初の基板は、層張力勾配を含んでもよく、またはアクチュエータの製造中に層張力勾配が導入されてもよい。それによって生じる変形可能要素の撓みは、アンカー要素84aおよび/または84bが設けられることで低減または防止され得る。特に、変形可能要素を両側に懸垂することにより、層32aまたは32bの一方の方向への撓みを低減または防止することができ得る。したがって、スペーシング層34aおよび/または34bは肉薄に設計されてもよく、これにより、バイパス流の損失が低減され得る。各チャンバ(部分空洞部位96aまたは96b)は、2つのS字型アクチュエータによって画定されてもよい。図10の例では、2つのチャンバが直列に接続され得る。直列に接続されたチャンバの数は、音響特性、特にS字型アクチュエータおよび/またはアクチュエータチャンバシステムの共振周波数を考慮しながら、チップ上で利用可能になる表面積に基づいて選択可能であってもよく、1から多数の間で可変であり得る(例えば3、5、10個よりも多くてもよい)。
要素94aおよび94bが、任意に配置されてもよい。すなわち、MEMSトランスデューサ100は、この要素なしで構成されてもよい。例えば、アクチュエータの対応する部分が、電気機械トランスデューサおよび/または変形可能要素の特定の設計または制御のために撓まない場合、要素94aまたは94bによる基板14からの距離を省略できる。多S形状アクチュエータ(波状アクチュエータ)を構成してもよい。特に、長さが増加するにつれて梁の(変形可能要素の)共振周波数が低下し得るので、この配置に基づいて低共振周波数が実現できる。
図11aは、MEMSトランスデューサ110のセクションの概略上断面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜bは、図10の構成と異なり、基板14の横方向(例えばx方向)に対して斜めに配置されている。MEMSトランスデューサ100の延在と同一のy方向に沿った延在により、電気機械トランスデューサ18a〜bは、より長く軸方向に延在し得る。これにより、より大きな部分空洞部位96aおよび/または96b、および/または、より多数の直列接続された部分空洞部位および/または変形可能要素を実現できる。
変形可能要素の外側梁セグメント30aは、アンカー要素84を介してさらなる変形可能要素の外側梁セグメント30cに間接的に接続されてもよい。あるいは、梁セグメント30aおよび30cは、直に、すなわち直接互いに接続されてもよい。
言い換えれば、図11aは、図10の記載から、アクティブ領域が45°回転したさらなる実施形態を示す。さらに使用可能なチップの表面積が大きくなり得る。漏斗状の開口部26は、好ましくは音がチップ縁部領域に対して垂直に、すなわち+または−y方向に沿って放出されるように設計することができる。
上述の変形可能要素のそれぞれは、相互接続された複数の変形可能要素として形成されてもよい。
図11bは、例えばポンプとして使用され得るMEMSトランスデューサ110’の概略上断面図を示す。図11aのMEMSトランスデューサ110と比較すると、部分空洞部位96aおよび96bが、2つの開口部26aおよび26bを介してMEMSトランスデューサ110’の周囲に接続され得る。部分空洞部位96aおよび96bは、開口部26aを介してMEMSトランスデューサ110’の第1側面97aに接続されてもよく、開口部26bを介してMEMSトランスデューサ110’の第2側面97bに接続されてもよい。第1側面97aと第2側面97bとは、例えば、反対側に位置するように配置されてもよい。あるいは、側面97aおよび97bはまた、互いに傾斜してもよい。例えば、側面97aまたは97bの一方は、MEMSトランスデューサ110’の側面を含んでもよく、他方の側面97bまたは97aは、MEMSトランスデューサ110’の主側面(例えば、上面または底面)を含んでもよい。
変形可能要素22a〜dの変形に基づいて、第1側面97aから第2側面97bへ、またはその逆に流れる流体が、MEMSトランスデューサ110’を介して生成可能であり得る。例えば、第1期間中に、変形可能要素22aおよび22cが変形し、部分空洞部位96aの体積が減少し得る。第2期間中に、部分空洞部位96bの体積が減少し得る。体積の減少または増加の順序に、体積流量12の方向が影響され得る。あるいは、いくつかの部分空洞部位を前後に配置すること、または1の部分空洞部位のみを配置することも可能である。
簡単に言うと、スピーカと同様、体積流量12が往復するのではなく、MEMSトランスデューサを流れる際の原理に従って体積流量12が生成されて、ポンプの機能が実現され得る。MEMSトランスデューサの入口側および出口側は、互いに反対側に配置することができるが、代替的に、互いに傾斜して配置するか、同じ側に配置し、互いに位置的または流体的に離間させることもできる。部分空洞部位96aおよび96bを含む空洞は、基板の開口部26aおよび26bを含むことができる。電気機械トランスデューサ18aまたは18bの少なくとも一方は、流体に基づいて体積流量12を提供するように構成されてもよい。例えば、電気機械トランスデューサ18aまたは18bの少なくとも1つは、電気機械トランスデューサの作動に基づいて、流体を第1開口部26aを通じて空洞に向かう方向に搬送するか、同作動に基づいて、流体を第2開口部26bを通じて空洞から離れる方向に搬送するか、あるいはこれとは逆に搬送するように構成されてもよい。
ポンプ機能はMEMSトランスデューサ110’に関連して説明されているが、ここで説明される他の実施形態も、空洞、部分空洞または少なくとも1つの部分空洞部位の開口部の配置により、例えば、ポンプまたはマイクロポンプとしても使用可能であり得る。
変形可能要素22aおよび22eが同時に撓む場合、負圧(あるいは過圧)が介在体積内に生じ、この圧力が変形または撓みを打ち消す。体積は例えば層32aおよび/または32bに開口部を有してもよい。これにより、前記体積内の圧力均等化が実現できる。これにより、MEMSトランスデューサ110’のより効率的な動作が図られる。
図12aは、例えば第1状態でMEMSポンプとして使用され得るMEMSトランスデューサ120の概略図を示す。MEMSトランスデューサ120は、例えば、2つの変形可能要素22aおよび22bを備え、これらは梁構造を有し、両側で基板14に挟持または固定して挟持される。あるいは、MEMSトランスデューサ120は、1つの変形可能要素または3つ以上の変形可能要素で構成されてもよい。
図12bは、第2状態のMEMSトランスデューサ120を示す。少なくとも1つの変形可能要素22aおよび/または22bの変形に基づいて、図12aに示す第1状態から第2状態に遷移できる。変形可能要素(複数可)の形状復元に基づいて、第2状態から第1状態に遷移できる。第2状態において、例えば、変形可能要素22aと22bとの間の部分空洞38が、第1状態と比較して大きい。第1状態から第2状態への遷移中に、部分空洞38内に負圧が生じ得る。第2状態から第1状態への遷移中に、部分空洞38内に負圧が生じ得る。
変形可能要素22aおよび22b、ならびに基板14は、それぞれの間に部分空洞42aおよび42bが配置され、その体積は、変形可能要素の変形により、部分空洞38の体積と相補的に減少または増加し得、さらに部分空洞38に対して相補的に、過圧または負圧が実現され得る。
各開口部26の領域に、バルブ構造85a〜fが配置されてもよい。1つ以上のバルブ構造85a〜fは、例えば、基板14の材料から形成され得る。バルブ構造は、基板14の1つ以上の層と一体的に形成されてもよく、例えば、エッチングプロセスによって製造されてもよい。
バルブ構造は、少なくとも一方向に沿って開口部26を通る体積流量12の通過を妨げる、すなわち減少または防止するように構成されてもよい。例えば、バルブ構造85b、85d、および85fは、それぞれの部分空洞からの流体の流出を低減または防止するように構成されてもよい。さらに/あるいは、バルブ構造85a、85cおよび85eは、それぞれの部分空洞への流体の進入を低減または防止するように構成されてもよい。1つ以上のバルブ構造85a〜fは、受動的に構成されてもよい。すなわち、片側が固定された曲げ梁構造または舌状構造として構成されてもよい。さらに/あるいは、1つ以上のバルブ構造85a〜fは能動的に構成されてもよい。すなわち、電気機械トランスデューサまたは変形可能要素として構成されてもよい。簡単に言うと、バルブ構造85a〜fとMEMSトランスデューサの他のアクチュエータ(電気機械トランスデューサ)を作動可能であり得る。
バルブ構造85dは、例えば、バルブ構造85cにより部分空洞38への体積流量12の流入が低減または防止された状態で、部分空洞38内の負圧に基づいて体積流量12が部分空洞38に流入できるように構成することができる。図12bに示すように、部分空洞38内に過圧が生じる場合、バルブ構造85dにより部分空洞38からの体積流量12の流出が減少または防止された状態で、バルブ構造85cは、過圧に基づいて体積流量12が部分空洞38から流出することを可能にするように構成される。
バルブ構造85a、85b、および85eおよび85fの機能は、それぞれ、部分空洞42aおよび42bと同一または同等であり得る。バルブ構造85a〜fは、逆止弁とも呼ばれ、それらは、例えば、体積流量12の好ましい方向の設定を可能にする。
MEMSトランスデューサは、例えば、体積流量が、部分空洞38、42aおよび42bから同じ方向(+y方向)に沿って、第1状態と第2状態との間で遷移が生じる異なる期間中に流れるとように説明した。ただしバルブ構造は、体積流量が少なくとも1つの部分空洞38、42aまたは42bから異なる方向(例えば−y方向)に沿って流れるように配置されてもよい。
バルブ構造85a〜fが各開口部26に配置されるようにMEMSトランスデューサを説明した。しかし、バルブ構造を開口部26に配置しないか、または一部の開口部26にのみ配置してもよい。
バルブ構造は、逆止弁として機能するように受動的に構成してもよいが、バルブ構造は能動的に構成してもよい。つまり、制御可能で、その制御に基づいて、アクチュエータに関してバルブの開閉状態を実現してもよい。特に、各場合において1つの部分空洞に関連する2つのバルブ構造85aおよび85b、85cおよび85d、または85eおよび85fは、例えばMEMSトランスデューサに接続された制御手段によって、圧力パルスが体積流量12内で生じるようにして制御することができる。例えば、電気機械トランスデューサ18の作動は、部分空洞42a、42b内部の流体内に過圧または負圧が蓄積され、その後にのみバルブ構造85a〜fの開放が制御されるように行われ得る。
言い換えると、そのような圧力パルスを利用すれば、短い圧力パルスによって低周波音波に近似することができる。前後に直列に配置された複数のチャンバを使用することにより、上述の効果がほぼ連続的に発生する。これは、互いに平行に隣接するチャンバでも可能である。図12aは、非作動状態の例を示しており、各チャンバには、上部および底部に、それぞれアクティブになるように構成され得る1つのバルブが設けられている。各バルブは個別に開閉できる。部分的な開閉も可能である。バルブ梁は、可動側壁、すなわち変形可能要素と完全に同じように設計および/または動作してもよい。したがって、それらは同じまたは同一のアクチュエータ原理に基づいていてもよい。これに関連して、前記バルブ曲げ梁は、両方向に移動可能に、および/または流体の流れに応じて(曲げアクチュエータバルブによって加えられる対応する反力によって)開口部を閉じるように構成されてもよい(すなわち、移動に必要な非常に小さな間隙以外を閉鎖)。この設定により、特に各チャンバごとに個別に、方向および/または負圧/過圧に関して流体の流れを制御するような完全な柔軟性が保証される。流体の流れの方向が決まっている場合、バルブ梁のストップを使用することもできる(「逆止弁」)。
言い換えると、第1の状態では、黒く描かれた2つのアクチュエータ(変形可能要素22aおよび22b)によって、中央チャンバ(部分空洞38)が膨張され得、2つの外側チャンバ(部分空洞42aおよび42b)が圧縮される。第1チャンバは、逆止弁85dを介して下部領域からの流体で満たされる。外側チャンバは、逆止弁85aおよび/または85eによって流体を上部領域に押し込む。第2状態では、中央チャンバが圧縮される。流体が上部に押し込まれる。外側のチャンバが、下部領域からの流体で満たされる。
図13は、変形可能要素22aおよび/または22bの横方向延在方向98に沿って互いに接続された、第1変形可能要素22aおよび第2変形可能要素22bの概略図を示す。ばね要素102が、変形可能要素22aと変形可能要素22bとの間に配置される。ばね要素102は、変形可能要素22aおよび22bにおいて機械的に生じる復元力を低減させ得る。例えば、ばね要素102は、方向98に垂直な方向98’において剛性が低く、方向98および98’に対して、空間的に直行してもよい方向98”において剛性が大きい。変形可能要素22aおよび22bならびにばね要素102は、例えば、変形可能要素22aとしてMEMSトランスデューサ110内に配置されてもよい。
言い換えると、適切なばね要素102は、S字形アクチュエータ22a〜dの張力緩和を実現するために配置されてもよい。当該アクチュエータは、アクチュエータの両側で、固定位置で、または例えば固定位置間の領域(例えば中央)においても固定される。例えば、ばね要素102は、アクチュエータの中心に使用され、所望の方向(98’)で特に柔軟であり、2つの方向(98および98”)で硬い(すなわち、剛性が高いまたは比較的高い)。ばね要素102は、変形可能要素22aおよび22bの撓み可能な端部の間に配置されてもよい。ばね要素102の剛性は、横運動方向24に垂直な方向よりも、横運動方向24で低くてもよい。
図14は、MEMSトランスデューサ80と異なり、互いに接続され、共有層32を含むMEMSトランスデューサ80’aおよびMEMSトランスデューサ80’bを含む積層体140の概略図を示す。すなわち、MEMSトランスデューサ80の層32aまたは32bが省略されている。電子回路17は、MEMSトランスデューサ80’aおよび80’bをまとめて制御するように構成されてもよい。あるいは、MEMSトランスデューサ80’aおよび80’bはそれぞれ、対応する電子回路を備えてもよい。
さらに、MEMSトランスデューサ80’aは、層32b内に開口部26を有してもよい。したがって、MEMSトランスデューサ80に対して、体積流量12の排出方向および/または体積流量12の進入方向が直角に傾いてもよい。したがって、MEMSトランスデューサの蓋表面が積層体の外側を形成し得る。MEMSトランスデューサは、第2MEMSトランスデューサに面する側とは反対側を向くように配置された蓋表面に開口部を有してもよい。MEMSトランスデューサ80’aの体積流量12は、MEMSトランスデューサ80’bの体積流量に対して垂直にまたは反対に空洞を出入りする。
MEMSトランスデューサ80’aは、その上に膜要素104が配置される。膜要素104は、空洞から膜要素104を通る体積流量12の流出、または空洞16への体積流量12の流入が少なくとも部分的に防止されるように配置することができる。空洞は、MEMSトランスデューサ80’aの外側に配置された領域と、MEMSトランスデューサ80’aと膜要素104との間に配置される領域とにまで延在してもよい。体積流量12に基づいて、膜要素104が撓み得る。膜要素104は、例えば、フレーム構造106によってMEMSトランスデューサ80’a上に配置されてもよい。フレーム構造106は、MEMSトランスデューサ80’aの側面、例えば層32bの主側面に配置されてもよい。
または、90°以外の角度で傾けてもよい。MEMSトランスデューサ80’bは、層32bにまたは層32b内に開口部を有してもよく、それにより、体積流量12は、積層体140の2つの側面の空洞に出入りすることができる。前記側面は互いに対向するように配置される。
さらに/あるいは、積層体140は、さらなるまたは別のMEMSトランスデューサ、例えば、MEMSトランスデューサ20または80、を含んでもよい。例えば、MEMSトランスデューサ20は、MEMSトランスデューサ80’aと80’bとの間に配置されてもよい。これにより、MEMSトランスデューサ80’aの対応する方向に垂直な方向に沿った空洞へのまたは空洞からの体積流量12の流入または流出が可能になる。
言い換えると、音出力開口部26は、チップ側面ではなく、下蓋32aおよび/または上蓋32bに設けられてもよい。図14は、これを簡略化して示す。上蓋32bの開口部26は視認可能である。同様の開口部が下蓋32bに配置されてもよいが、斜視図では視認不能である。層32も、開口部を含んでもよい。したがって、MEMSトランスデューサ80’aおよび80’bの空洞、部分空洞および/または部分空洞部位は互いに接続されてもよい。(z方向に沿って)垂直に重ねられた各チャンバは、層32内の開口部を介して互いに接続され得る。
1つ以上の棒要素(グリッドウェブ)44を含み、減衰設定用に構成され、特に粒子からの保護用に構成され得る格子は、図14に記載の変形例においてもシンプルに実現され得る。例えば、上蓋32bおよび/または下蓋32aの開口部26は、湿式または乾式化学エッチングプロセスによって形成されてもよい。エッチングの前に、開口部のエッチングに対して適切に高い選択性を有する追加の薄い層に、所望の格子をパターニングしてもよい。開口部26をエッチングするために、最適で高度な等方性および/または横方向のアンダーカットを有するエッチングプロセスを選択することができる。これにより、グリッドウェブ44のアンダーカットが得られる。例として、格子は酸化シリコンまたは窒化シリコン層で作成され、蓋はシリコンからパターニングされ手もよい。その後、蓋は深反応性イオンエッチング(DRIE)によってパターニングされてもよい。前記プロセスは、マイクロメートル単位のアンダーカットが実現できるように設定されてもよい。あるいは、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または硝酸(HNA)を用いて湿式化学エッチングを行ってもよい。
下蓋32aおよび上蓋32bの開口部が漏斗形状になるように設計されている場合、音出口面はチップ表面積の大きな割合を占める可能性があり、場合によっては、MEMSトランスデューサ80のように側面に出口を有するMEMSトランスデューサと比較して大きくなるように設計される。このような選択肢は、音響特性と減衰に関して、より多くの創造的展開の余地を残す。蓋32aおよび32bの音出力開口部と蓋面32aおよび32bの間の側面との組み合わせが、さらなる実施形態の特徴となる。高度に集積されたシステムの好ましい変形例は、上方向に音を発するように蓋32bに開口部を取り付けること、およびシンプルに構造要素(例えばプリント基板上に)を適用できるように側面に圧力均等化開口部を取り付けることを含む。
概して、音入口開口部および/または音出口開口部26は、音響特性および/または減衰特性が目標通りに設定されるように設計され得る。下層32aおよび上層32bはそれぞれ、原則として振動可能であり得る。前記要素の振動は、介在層34aおよび34bおよび/または36に存在する適切な追加の接続要素によって、例えばアンカー要素84によって、抑制および/または低減することができる。抑制または低減することは、振動を可聴音以外の周波数範囲にシフトすることを含む。さらに/あるいは、層32aおよび/または32bの振動はまた、音響放射を最適化するという目標に合わせて実現してもよい。また、対応するパターニング(連続開口部または止まり穴)によって、層内で選択的接続を行い、層32aおよび32bの剛性レベルおよび/または音響特性をさらに設定することも可能である。
上蓋32bに膜を適用することも可能である。膜は、チャンバの体積流量12によって振動させられる。これを、破線104によって概略的に示す。シンプルな場合、フレームの形態のスペーサ106は、膜104をその上に配置または固定することができ、この目的のために上蓋32bに配置することができる。そのような膜104は、既知のマイクロメカニカルプロセスにより製造することができる。あるいは、膜104は、空洞または部分空洞の内部に配置され、かつ/または1つの開口部のみまたは開口部26の一部のみを覆うこともできる。
MEMSトランスデューサの前述の実施形態のいくつか(例えば、MEMS構造スピーカ要素)に適用できることとして、部分体積流量を、例えばその他チャンバのいくつか、一部、またはすべてとは独立して、部分空洞または部分空洞部位内に生成できるチャンバがある。横方向および/または縦方向に隣接する部分チャンバからなるチャンバを実現してもよい(横方向:例えば図10および図11を参照)(縦方向:例えば図14を参照)。その組み合わせの実施形態もあり得る。そのような連続した部分チャンバ(例えば、部分空洞部位94aおよび94b)は、他のチャンバまたは部分チャンバと関係して、または独立して部分体積流量を生成するために使用されてもよい。独立して体積流量を生成するチャンバ(部分空洞)は、モノチャンバとも称され得る。いくつかの部分チャンバ(部分空洞部位)に基づいて体積流量を生成できるチャンバは、複合チャンバと呼ばれ得る。
上述の実施形態は、両方の種類のチャンバを適宜組み合わせることができるように変形可能である。したがって、モノチャンバのみまたは複合チャンバのみが設けられた実施形態が可能である。あるいは、両方の種類のチャンバが設けられた実施形態も可能である。
言い換えると、モノチャンバのみを使用する場合、すべてのアクチュエータ/チャンバシステムの共振周波数が同一になるように、あるいは異なるように設計されてもよい。例えば、音響放射における特定の周波数範囲は、対応するモノチャンバの数の増加によって強調され得る。特に、格子開口部、または一般的に音出力開口部および/または流路の寸法設計により、減衰を介した共振周波数と共振曲線の幅を広げることで、周波数応答の設定(周波数に基づく音圧レベル)が実現され得る。これに関して、周波数応答の平滑化が極めて重要となる。
部分空洞および/または部分空洞部位は、異なる周波数で体積流量を放出してもよく、さらに/あるいは体積の空間的広がり、電気機械トランスデューサの幾何学的形状、および/または電気機械トランスデューサが動作する周波数に基づいて体積流量の特定の周波数を検出するように最適化されてもよい。
さらなる実施形態では、モノチャンバのみが使用される。音出力開口部は、もっぱら横方向にのみ配置されてもよい。3つのチップ/ウェハ(MEMSトランスデューサ)を上下に積み重ねてもよい。上部チップは、第1(例えば、高)周波数範囲内の音響放射用に最適化されてもよい。第2(例えば中間)MEMSトランスデューサは、第2周波数範囲(例えば、中域周波数)に適合させてもよい。第3MEMSトランスデューサは、第3の周波数範囲(低周波数用)に適合されてもよい。これにより、3ウェイスピーカが得られ得る。3つのチャネル(3つのMEMSトランスデューサ)は、チップ内に次のように配置されてもよい。すなわち、横方向に、第1数N1のチャンバが高周波に使用され、2番目の数N2のチャンバが中域周波数に使用され、3番目の数N3が低周波数に使用されてもよい。この原理は、横方向に、また積層体の場合は垂直方向に、Nウェイシステムに容易に拡張できる。さらなる実施形態において、Nウェイシステムは、対応する高調波のフーリエ合成を介して、最低周波数を構成する周波数N*f1、f1を有する音が生成されるように設計される。
これは、少なくとも1つのさらなるMEMSトランスデューサとともに積層体を形成するようにMEMSトランスデューサを設けるができることを意味する。例えば、横方向(例えばx方向)および/または厚さ方向(例えばz方向)に沿って少なくとも2つのMEMSトランスデューサを設けて積層体を得ることが可能である。さらに、MEMSトランスデューサは、互いに距離を空けて配置することもできる。MEMSトランスデューサの空洞および少なくとも1つのさらなる(第2)MEMSトランスデューサの空洞は、異なる共振周波数を有し得る。
アクチュエータ動作、すなわち変形可能要素が能動的に変形することにより、Nウェイスピーカが得られ得る。ここで、Nは異なる共振周波数を持つMEMSトランスデューサの数を示す。センサ動作の場合、例えば、異なる複数のMEMSトランスデューサを使用することにより、体積流量の異なる周波数範囲が検出され得る。これにより、例えば、体積流量のフーリエ合成を実行できる。例えば、制御デバイス128は、MEMSトランスデューサおよびさらなるMEMSトランスデューサの1つ以上の電気機械トランスデューサの変形可能要素の変形を検出するように構成されてもよい。制御デバイスは、電気信号に基づいてフーリエ合成(フーリエ解析)を計算し、結果を出力するように構成されてもよい。
上述したモノチャンバを使用する例は、複合チャンバを使用して実現されてもよい。その場合、複合チャンバの各部分チャンバは同一の共振周波数を有する。
複合チャンバを使用する場合、隣接する部分チャンバも、共鳴極大の対応する位置により、異なる周波数に対応し得る。例えば、3つの部分チャンバにより3ウェイシステムが得られ得る。例えば後方部分チャンバ(軸方向に沿った最初の部分)において低周波で変調された気流は、さらに中央部分チャンバ(軸方向に沿った2番目の部分)で中周波変調を受け、さらに前方チャンバ(軸方向に沿った3番目の部分)で高周波変調を受ける。
同じ音圧を生成する際、必要なストローク、つまり電気機械トランスデューサの撓みは低周波数よりも高周波数で小さくなる。すなわち、高周波で使用されるチャンバまたは部分チャンバは、チャンバ体積、および/またはアクチュエータとして機能してチャンバを画定する側壁間の距離がより小さく設計され得る。
動作中、同じ周波数のチャンバ間の制御を介して位相オフセットが実現され得る。これにより、波面は傾斜し、表面に垂直に波面は出力されない(フェーズドアレイ)。
上述の、そして以下のすべての変形例では、各チャンバは、空気が当該チャンバに流入する際、圧力均等化を実現するために空気が流入する少なくとも1つの別のチャンバに囲まれている。空気流の方向は逆もあり得る。これは特に、該チャンバ間に仕切り壁が存在しない場合に明らかである。すなわち、アクチュエータの動作中、一方のチャンバの体積が増加すると同時に他方のチャンバの体積が減少するのである(逆も同)。
例えば、補聴器またはインイヤーヘッドフォンなどのスピーカでの用途では、外気(つまり、耳の外側の空気)はスピーカ内を移動しない。耳の経路内に存在する体積の周期的変化は、例えば膜の振動のみによって生じる。上述の、そして以下のすべての変形例では、実施形態に応じてチップ上面、チップ底面またはチップ側面のいずれかに存在する開口部が閉じた状態を維持することで実現される。このために、該当する箇所にて、棒格子のパターニングは省略される。
一般的に、またスピーカのあらゆる用途に関して、特定の箇所で、棒格子は、完全に閉鎖した膜で置き換えられ得る。これにより、粒子の侵入が最小限に抑えられ、特に汚染および/または腐食性のガスおよび液体内でも動作可能となる。
以下では、曲げアクチュエータの設計と動作の観点に関する方策が提示される。目的は、最適に所望の周波数応答を示すことを可能にすることである。
曲げアクチュエータを個々の要素に細分するいくつかの追加のばね要素を含めることにより、アクチュエータの有効剛性、したがって共振周波数が低減し得る。例として図15を参照されたい。ここでは、単一のばね要素を使用して、曲げアクチュエータを2つの要素に分割している。2つ以上の要素への細分化は、可聴音の低周波数範囲内の共振周波数を実現するために重要である。この方策を用いなければ、通常の寸法(例えば、幅5μm、長さ2mm、シリコン製)の曲げアクチュエータは、固有振動数がkHz範囲となる。さらに/あるいは、共振周波数を低減するために、曲げアクチュエータまたは場合によっては既存の剛性プレートに、選択的に追加の質量要素を提供してもよい。そのような要素は、層36をパターニングするときに、シンプルに提供されてもよい。追加質量△mの動作態様は、調和振動子のモデルを例に説明され得る。
剛性kのばねを介して吊るされる質量mの要素の振動振幅A(ω)は、振幅F
0の力による正弦波励起の場合、次のようになる。
(式3)
ωは励起の角周波数で、cは減衰定数である。共振器が準静的範囲内で動作する場合、振幅は質量に依存しない。ω<<ω0として、以下のとおりとなる。
A(ω)≒F0/k (式4)
したがって、質量△mを追加すると、振動の振幅が変化せずに、共振周波数ω0がより低い値ω0ーに変化する。曲げ作用がその固有振動数の範囲内で動作する場合、この限りではない。ω≒ω0の場合、式3のルート内の第1項は、第2項と比較して無視され得る。したがって、以下のとおりとなる。
A(ω)≒F0/(cω0−) (式5)
ω0−はバイブレータ(共振器)の質量のルートに反比例するため、質量が増加すると、それに応じてω0−が減少する。したがって、振幅が増加する。振幅のゲインは、条件cω0−<kで得られる。配向および/または信号に応じて、曲げ梁が一方向または他方向に曲げることができるように構築され得ることは上述のとおりである。したがって、梁が曲がった際に、機械的ばね作用を介した復元力が必ずしも必要ではなくなる。結合されるエネルギーが一定であるとすると、このような曲げ梁に選択された剛性レベルが低いほど、撓みが大きくなる。
上記説明は可聴音範囲に関したものであったが、超音波を生成するために上記構造要素を構成することも可能である。原則として、アクチュエータの代わりに、位置検出要素(ピエゾ抵抗、圧電、容量など)を梁に設けて、構造要素をマイクロフォンとして使用可能にしてもよい。
原則的に、シリコン技術でMEMSスピーカを製造する際、既知のウェハボンディングと深堀り反応性イオンエッチングを利用できる。アクチュエータの生産は、選択された動作原理に依存し、ここでは考慮されない。この部分は、以下の例示的な手順においてモジュール方式で含まれてもよい。以下の記載は、空気流のための開口部を横方向にのみ有する構造要素に関する。
出発材料として、BSOI(接合型SOI)ウェハが使用される。キャリアウェハ(支持基盤)は、MEMS構造スピーカ要素の下蓋32aを形成する。BSOIウェハの埋め込み酸化物層は、後にスペーシング層34aとなり得る。BSOIウェハの活性層は、層36に対応し得る。支持基盤の厚さは500〜700μmで、必要に応じて、プロセスの最後等にさらに薄くしてもよい。埋め込み酸化物層は、50nm〜1μmの厚さを有してもよい。BSOIウェハの活性層は、1〜300μmの厚さを有してもよい。層36は、好ましくは、例えば、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)によりパターニングされる。前記パターニングに続いて、埋め込み酸化物層(34a)が、アクチュエータの移動領域内で少なくとも局所的に除去されるか、少なくとも薄くされてもよい。これは、湿式化学的な方法、例えば、BOE(緩衝酸化物エッチング)を使用するか、ドライケミカル方式(例えばガス状HF(フッ化水素酸)を利用)が使用される。アクチュエータの移動領域でスペーシング層34aが少なくとも部分的に除去されると、層34aとアクチュエータ(変形可能要素)との間のギャップを閉じる、または大幅に低減する低摩擦層は、例えば、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)により堆積される。あるいは、例えば、米国特許第7,803,281号に記載されているように、適切な層を堆積およびパターニングすることにより、各領域が画定されるのが、BSOIウェハ生成用にウェハの結合中であって、結合が完了していない時点でもよい。そのような方法は、上蓋および下蓋に採用され得る。層34bは、例えば反応性イオンエッチング(RIE)によりパターニングされることが好ましい。前記パターニングの2つの事例により、層36および34b内のすべての要素は、該当する図に示されるように生成される。これには、棒状の格子構造も含まれる。
上記の低摩擦層の堆積は、上蓋(層32b)にも行ってよい。その場合、前記層は、例えば、結合の前に蓋に設けられる。そしてスペーシング層34bを省略できる。例えば、低摩擦層は、材料を堆積することにより得られ得る。摩擦係数は、例えば、層32a、34a、34bまたは32bの材料よりも10%、20%または50%小さくてもよい。
適切なドーピングにより、層36は導電体としても使用できる。特に、アクチュエータが異なる周波数で励起される場合、層36の垂直電気絶縁が好ましい。これは、文献[8]に記載のように、例えば、いわゆる埋め込みトレンチ(filled trench)によって実現できる。電気絶縁のために開放トレンチ(open trench)を利用することも可能である。
500〜700μmの典型的または妥当な厚さを有するシリコンウェハとして形成され、例えば上蓋32bを形成する第2ウェハの上に、パターニングされる層が設けられる。前記層はスペーシング層34bに対応する。前記層の厚さは、埋め込み酸化物層の厚さに対応することが好ましい。スペーシング層の材料として、後に第2ウェハをBSOIウェハに接合することを可能にする任意の材料を使用することができる。ここでは一例として、酸化ケイ素、好ましくは酸化ケイ素をケイ素に直接結合するための熱酸化物とする。あるいは、ポリシリコンを直接接合に使用してもよい。さらに、上蓋32bの機能とスペーシング層34bの機能の両方がウェハ上に設けられるように、第2ウェハに適切な凹部をエッチングすることもできる。少なくともアクチュエータの移動領域では、アクチュエータ(可動要素)と蓋(層32aおよび/または32b)との間の距離がなくなるように、ウェハが適切な低摩擦層でコーティングされている場合、窪みを省略してもよい。そして2番目のウェハ上の追加の層(パターニング用の補助層(マスキング)を除く)が省略できる。さらに、シリコン上にシリコンを直接結合してもよい。
直接結合に加えて、接着剤結合法も利用できる。その場合、スペーシング層34bはポリマー材料(例えばPCB)からなる。Au−Si共晶接合法または陽極接合法(Naイオンを含む層)も可能である。しかし、CMOSに対応しないので、好ましくない。
2枚のウェハの接合により、ウェハアレイ(ウェハ積層体)製造工程の大部分が完了する。残りは、必要となり得る電気配線と接点、および電気絶縁構造の作成である。これら要素は、先行技術の標準的処理で実現できる。すなわち、導体ラインの製造(例えばAlSiCuのスパッタリングとパターニング)、酸化物の堆積とパターニングによる垂直絶縁、層36を完全に貫通する開放または充填絶縁トレンチによる横絶縁である。
特に、横方向に配置された開口部を有する構造要素のダイシングには、棒格子の保護が必要となる。これは、例えば、フレーム内の構造要素を、例えば4つの薄いウェブを介して前記フレームに接続することで実現できる。したがって、下蓋32aおよび上蓋32b、ならびに層34a、36および36bを、これに応じてパターニングする。前記パターニングのために、とりわけ、TMAH、KOH、およびDRIEなどの異方性エッチング方法が可能である。具体的には、棒格子に沿ってパターニングする場合、層36のDRIEパターニングを行う変形例が好ましい。ウェハアレイから構造要素を除去するために、ウェブが破壊される。これは、機械的に、または例えばレーザー加工によって実現され得る。
また、ダイシングのために下蓋32a以外、すなわち層34a、36、34bおよび32bのみをパターニングしてもよい。特に、層36は、棒格子の垂直延在を実現するために、DRIEによってパターニングされてもよい。これにより、チップ表面から下蓋32bまでのトレンチが形成される。そしてこのトレンチは、ポリマー材料(例えばフォトレジスト)で充填されてもよい。ポリマーにより、続くソーイング/ダイシングプロセス中の汚染からの保護が実現される。ソーイング後、ソーイングによるスラリーを除去するために、構造要素が水洗される。その後、ポリマーを適切な溶媒または酸素プラズマで除去する。
横方向の開口部ではなく、下側と上側の蓋の開口部の場合、図16を参照に説明したように、製造が展開される。上下の開口部は、ダイシングなどのためにフィルムで保護されているため、ソーイングプロセスまたはレーザー切断が可能である。あるいは、開口部は、ダイシングプロセス用のポリマー材料、(例えば、フォトレジスト)によって閉じられてもよい。そしてこのポリマー材料は、溶媒によって、または酸素プラズマ内で除去することができる。
構造要素は、好ましくは、ウェハアレイ内の結合方法によって積層される。次いで、それぞれの層36の電気接点(ボンディングパッド)によって、またはTSV(シリコン貫通ビア)を使用する場合、チップの底面に存在するいわゆるバンプを介して、電気的接触を実現できる。TSVは、積層された個々のチップを電気的に接続するためにも利用できる。積層されないチップの場合、TSVとバンプも使用できる。
棒格子54の安定性向上のために、スペーシング層34aおよび34bは、棒格子の領域ではパターニングされなくてもよい。
横方向曲げアクチュエータの製造実施に関する好ましい変形例を以下に説明する。
原則として、曲げ梁を作動させるために、公知の静電、圧電、熱機械、および電気力学的作用原理が採用されてもよい。
単純な静電作用原理は、アクティブな曲げ梁がなくても、上に示した構造要素の変形例の一部で実施され得る。MEMSトランスデューサ50は、電位差により、剛性プレート要素62aおよび62bが互いに向かって移動するコンデンサプレートとして構成されるか、またはそれを含むように構成される。その場合、屈曲ばねとして作用する要素64は、相応の機械的反力を有する。
あるいは、追加的に配置された固定対向電極を介して曲げ梁を直接撓ませることもできる。力または撓みを増加させるために櫛形電極を使用することも可能である。
さらなる静電原理は、固定位置で電極からの距離が非常に小さい、片側に固定された梁の使用に基づく。この電極距離は、固定位置からの距離が増加するにつれて増加する。固定位置では当該距離はゼロであり得る。曲げ梁と電極との間に電圧が印加されると、曲げ梁の一部(電圧の量と梁の剛性レベルによって決まる)が電極と接触する。本明細書で説明される原理に関して、梁と電極との間の空間はチャンバ42aを形成し、これは上記のように体積が可変である。
そのようなアクチュエータの基本原理の例は、文献に記載されている。例えば、文献[9]には、垂直撓みアクチュエータが記載されている。電極距離の変化は、曲げ梁の製造中に、選択的に層張力を導入することにより実現される。本出願に記載の構造要素について、アクチュエータは、前記原理に従って、層36をパターニングすることにより、容易に実現され得る。層36のパターニング(必ず必要)に加えて、電極と曲げ梁との間に絶縁層を設ける必要があるが、これはマイクロシステム技術の既知の方法によって容易に可能である。曲げ梁はパターニングにより既に所望の形状となっているため、層張力を導入する必要がない。ここで説明するとおり、アクチュエータは横方向に撓むことができ、したがって、上記で説明した構造要素の原理に利用できる。
多数の部品の集積と拡張性の点で、静電作用の原理は利点が多い。磁石やコイルなどの外部コンポーネントは不要である。また、クリーンルーム、特にCMOS対応のクリーンルームで使用されるような、汚染に関して重要な材料は不要である。。ただし、これまでの膜によるアプローチにはいくつか欠点がある。すなわち、単一の振動膜または振動板を使用すると、可聴音域全体を不十分なレベルでしかカバーできないのである。膜を準静的な方法で動作させる方式は、この問題を解決する。しかし、共振増大や撓みの欠如のため、得られる体積流量、および/または実現できる音レベルが犠牲になる。後者の2つは、インイヤーヘッドフォンなどの固定音量の場合、次のように相関する。文献[11]:
(式6)
式中、SPLは音圧レベルを表し、P
0は通常の圧力、△Vはスピーカで実現可能な音量の変化、P
refは可聴しきい値の尺度を示す基準圧力(20μPa)、V
0は、インイヤーヘッドフォンまたは補聴器の場合の、耳の空洞の体積である(約2cm
3)。
したがって、MEMSスピーカに関して、チップ表面積あたり、またはスピーカ全体の体積あたり可能な限り大きな体積流量を実現することが望ましい。例えば、動電トランスデューサは、非常に大きな膜の撓みが得られ、したがって、大きな体積流量を実現し得る。ただし、永久磁石が必要なため、設計全体の体積が極めて大きくなってしまう。携帯電話内のスピーカの場合、利用可能な一次元的空間が極めて限られているので、客観的に、この手法は概して限定的に思われる。
圧電曲げアクチュエータの場合、基板上に圧電層を堆積する必要がある。前記圧電層は、例えば、図3の層58に対応し、これは、例えば、シリコンを含むか、またはシリコンからなる層56に対して横方向に配置される。前記アクチュエータは、表面微細機械加工により製造可能である。
例えば、文献[10]に記載の、1つのコールドアームと1つのウォームアームの形態をとる、横方向の熱機械アクチュエータは、上記の層36のDRIEパターニングの対応する形状を考慮して、極めて容易に集積できる。
熱機械アクチュエータの変形例として、電流によって加熱されるバイモルフの使用が挙げられる。そのようなバイモルフを製造するために、例えば層36のパターニング後に、酸化物層を、すべての側壁も被覆されるようにコンフォーマルに堆積してもよい。そして、マスキングおよびエッチングプロセスにより、曲げ要素の一方の側壁を除く任意の箇所で前記酸化物層が除去され得る。
電気力学的動作原理は、両側で固定された曲げ梁に容易に実施できる。電流が梁または別個に取り付けられた導体パターンを流れると、梁は磁場内で撓むように力を受ける。電流の流れの方向は、所望の撓み方向に合わせて、個々の梁に対して選択されてもよい。導体ラインの任意の製造は、標準的な表面微細機械加工によって実現される。この場合、スペーシング層34bの厚さを選択する際に、さらなる形状を考慮すべきである。
曲げアクチュエータの好ましい態様として、低電圧で能動的または受動的に動作可能なように、非常に小さな電極間ギャップを使用することに基づく横方向静電アクチュエータが挙げられる。そのような横方向アクチュエータの例が、欧州特許出願公開第2264058号に記載されている。この技術によると、上述の変形例のすべてに係る曲げアクチュエータおよび構造的コンポーネントの製造が可能となる。しかもこの製造処理は、上述した構造要素の製造プロセスの主要部分に、簡潔かつモジュール方式で容易に統合することができる。
以下に、側壁、すなわち変形可能要素の移動中に発生するバイパス流損失について説明する。層流を仮定すると、スペーシング層34aおよび34bが、層36の厚さと比較して小さければ、例えば、有用な体積流量(すなわち、外側に漏れる、および/または外側から内部に入る体積流量)に対する、図2aのチャンバ38aへのチャンバ42aからの体積流量である、バイパス流の損失を極めて少なく保てることが、シンプルなモデルで示すことができる。側方画定構造から、曲げ梁の自由端の距離についても同様である。両側で固定された曲げアクチュエータの場合は、後者は検討する必要がない。上記の構成について、長方形パイプを通る層流のモデルで流れ損失を計算する。以下の寸法だと、バイパス流により、有効体積流量に対して約3%の損失が生じる:
曲げアクチュエータ:長さ1mm、高さ30μm、幅10μm
チャンバ:外部への流れ抵抗を計算するために、50μmの中程度の幅を想定する。曲げアクチュエータが大きく撓む場合に存在する流れ抵抗が低く見積もられている。
スペーサ層34aおよび34bの厚さ:それぞれ0.5μm
仮定された寸法は、あくまで例として理解され、微細機械技術により極めて有効に実現され得る。仮定した層流は、パイプの長さに対応してアクチュエータの幅が狭いため(上記:10μm)、不正確であり得る。ただし、乱流の発生により流れ抵抗が増加するため、これは最悪の場合を仮定したものである。そのような乱流を促すため、層36内の曲げアクチュエータに、適切な横方向に形成された要素を設けることができる。適切な配置は、バイパス流の発生時に渦を形成するものと考えられる。さらに/あるいは、チャンバに面する蓋32aおよび32bの面をあえて粗面にすることでも、乱流の形成が促され得る。
図15は、第1層112および第2層114を含む変形可能要素150の概略側断面図を示す。これらは互いに離間しながら、接続要素116を介して接続される。接続要素116a〜16cは層114および層112に関して90°とは異なる角度で傾斜して配置される。例えば、層112および114は、1つの電極を備えてもよい。あるいは、層112および/または114のそれぞれに電極を配置してもよい。電位をかけることで、反発力または引力が層112と114の間に生成され得る。引力または反発力は、要素116a〜cを変形し得る。これにより、変形可能要素144の、固定端118とは反対側を向く撓み可能端122は、横運動方向24に沿って撓むことが可能となる。
したがって、変形可能要素150が第1層114と第2層116を備え、それらの間にスペーサ116a〜cが配置される。スペーサ116a〜cは、層112および114の延在方向に対して傾斜して、傾斜方向124に配置されてもよい。層112と114との間に作用する引力により、変形可能要素150が曲がり得る。
変形可能要素150は、傾斜方向に沿って、平坦であるか、または1つの湾曲を有するように構成されてもよい。あるいは、変形可能要素および/または層112および/または114は、不連続、例えば鋸歯状で互いに接触するように配置された2つの部位を含んでもよい。
図16は、電極126に隣接して配置された変形可能要素160の概略上面図を示す。変形可能要素160は、さらなる電極127であるか、またはそれを含んでもよい。電極126と、変形可能要素160のさらなる電極127との間にかかる電位に基づいて、静電または電気力学的力Fが生成され得る。静電または電気力Fに基づいて、変形可能要素160の変形が生じ得る。
体積流量または電位(すなわち力F)の影響を変形可能要素160が受けない状態では、変形可能要素の軸方向延在方向98に沿った変形可能要素160と電極126との間の距離は可変であり得る。機械的トランスデューサおよび/または変形可能要素160が基板14に接続する領域で、この距離は最小であり得る。これにより、変形可能要素160の変形が高度に制御できる。あるいは、電極126と変形可能要素160との間の延長方向98に沿った距離は、所望に応じて可変でも一定でもよい。
実施形態によれば、電気機械トランスデューサは、静電トランスデューサ、圧電トランスデューサ、電磁トランスデューサ、動電トランスデューサ、熱機械トランスデューサ、または磁歪トランスデューサとして構成されてもよい。
生成され得る力に基づいて、変形可能要素の変形が発生、確認および/または決定可能であってもよい。
以下の図を用いて、電子回路のいくつかの有利な形態を説明する。
図17aは、実施形態に係るMEMSトランスデューサ170の概略斜視図を示す。簡潔性のため、層36に、例えば図2aを参照して説明した層34aおよび34bも含まれるものとする。MEMSトランスデューサ170の空洞は、開口部26を介してMEMSトランスデューサ170の外部環境に接続される。電子回路17は、電子回路17の第1部分17aが層32bの上または内部に配置されるように、多くの部分を含むように構成されてもよい。電子回路17のさらなる部分17bは、異なる層(例えば層32aおよび/または36)に配置されてもよい。
MEMSトランスデューサ170は、例えば、電子回路17に対して電気信号を入力および/または出力するためのコンタクトピンとして機能する貫通接続部19を、層32bにおいてまたはその内部に有してもよい。
図17bは、MEMSトランスデューサ170のさらなる概略図を示しており、ここで側面32aが前面となっている。電子回路17の第2部分17bは、層32aの上または内部に配置されてもよい。層32aはさらに、貫通接続部19を備えてもよい。貫通接続部の一部は、機能が同一であり得る。貫通接続部は、例えば、積層体全体を通じた貫通接続を実現するために利用できる。ただし、そのうちの1つ、複数、またはすべては、積層体の一部にのみ(例えば変形可能要素まで)使用することとしてもよい。したがって、一例では、貫通接続部19の一部は、トランスデューサの変形可能要素との接触部位を示し得る。一方、他の貫通接続部19は、蓋ウェハの電子回路を、下部ウェハ上の電子回路に接続する、同様の接触場所を示し得る。
図17cは、MEMSトランスデューサ170の、図17aと同様の概略斜視図を示す。開口部は、粒子の進入を少なくとも妨げるようにグリッドウェブ44が配置されるように構成される。
電子回路17をMEMSトランスデューサ(MEMSトランスデューサ170)の層内に配置することで、高集積構造を実現できる。これにより、外部回路構造を減らすか省略できるので、デバイス全体が小さく設計できる。さらに、積層体の層に電子回路を配置すると、信号経路を短くできる。これは、デバイスの電磁適合性、さらに時間および性能のいずれの点でも有利である。
層32aまたは32bの一方のみに電子回路を配置することも可能である。しかし、電子回路を分割して層32aおよび32b内または両方に配置すると、各場合において、隣接する各電子コンポーネントが、可能な限り短い信号経路を介して、電子回路17によって制御されるという利点が得られる。電子回路17を分割することにより、電子回路17aおよび17bが、異なるまたは相補的な機能を持つことができる。さらに/あるいは、MEMSおよびCMOSのように、相補的な技術でそれぞれ実現できる。電子回路17aおよび17bは、実際に互いにおよび/または電気機械トランスデューサに電気的に接続されてもよい。MEMSトランスデューサ17を積層構造とすると、各層を互いに独立して(すなわち異なる半導体製造プロセスで)製造できる。これにより、少なくとも半導体製造プロセスの影響を受ける異なる機能をそれぞれ異なる層、ひいてはそれぞれ異なる電子回路で実現できる。したがって、異なる半導体製造プロセスに基づいて得られた回路構造17aおよび17bをMEMSトランスデューサ170のチップ内に設けることができる。
したがって、第1電子回路17aが積層体の第1蓋層に配置され、第2電子回路17bが基板の積層体の第2蓋層に配置されることもあり得ると理解されたい。両電子回路17aおよび17bのそれぞれは、面内運動面に垂直な方向に沿って配置されている。変形可能要素は変形時、第1電子回路17aと第2電子回路17bとの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。貫通接続部および/または他の回路要素により、電子回路17またはそれが配置される層は、MEMSトランスデューサの外側に少なくとも電気的に接続されるか、外側を表し得る。これにより、MEMSトランスデューサがリードアセンブリ(例えば回路基板上)に接触可能になり得る。
言い換えると、実施形態は、MEMSトランスデューサ内に、異なる機能を有する構造要素を集積可能にする。これらのことは、例えば、MEMSスピーカの一体的電子制御、集積加速度センサの制御/読み取りが含まれる。個々の機能要素の製造は、ウェハの製造中に組み合わせることができないかまたは組み合わせることが困難であり得る、様々な製造プロセスで実行または実現され得る。上記の機能を2つの層(上部および下部ウェハ32aおよび32b)に分割することにより、製造プロセスを極めて柔軟に選択でき、機能レベルで組み合わせることができる(すなわち、MEMSトランスデューサ170内で結合できる)。例えば、上部ウェハ(蓋)には、低電圧範囲の電子回路要素(つまりスペースをほとんど必要とせず、高速化を可能にする小さな電子構造)が含まれてもよい。下側のウェハ(底)には、例えば、スピーカを動作させるための高電圧のD/A変換、つまり、大きなスペースを必要とし、緩やかに動作する大きなトランジスタ構造が含まれてもよい。記憶要素、光源、または追加で統合されたMEMSセンサ/アクチュエータについても、同様の利点が得られる。相補的に集積された機能は、必要に応じて分割可能である。
さらに言い換えると、集積電子回路17(または17aおよび/または17b)は、層32aおよび/または32bに実装されてもよい。前記電子回路は、例えば、音生成のためにアクチュエータを制御し、所望の音圧に従ってそれぞれの電圧を設定し、所望の周波数で電気励起を実施するのに供され得る。デジタル電気入力信号をアナログ制御信号に変換することも必要となり得るが、これも集積回路を使用して可能である(D/Aコンバータの形式またはパルス幅変調(PWM)による)。マイクロフォン機能の場合、例えば電気信号(前)処理(信号経路を短く抑えながら)またはA/D変換を前記回路内で実現できる。集積電子回路17をチップ内部のアクチュエータ/センサと電気的に接触させるために、層32aおよび/または32b内に貫通接続部19が配置され得る。前記貫通接続部は、層34aおよび/または34bを貫通してもよく、それにより集積回路から個々のアクチュエータ(梁)への個々の連続的な電気接続が実現され得る。各梁に対して、例えば、2つの電気接点が提供されてもよい。積層体の一方の側では、貫通接続部19は、不図示の集積導体線を介して電子回路17に接続されてもよい。
製造に関して、シリコンCMOSウェハ(CMOS=相補型金属酸化膜半導体)が層34bに接合される。前記ウェハは、チップに関して、層32bを形成し、チャンバ(空洞)を上部で封止する。シリコンCMOSウェハ内の貫通接続部は、接合完了前に設けてもよい(ケースa)。この場合、結合完了前に層34bの貫通接続部も設ける必要があり得る。あるいは、いずれの貫通接続部も、接合後に設けてもよい(ケースb)。簡単に言うと、マスクにより、接合後の該当する位置で、電気的に接触する梁の位置までエッチングし、その結果生じた止まり穴を導電性材料(例えば金属またはドープされた半導体材料)で埋め直してもよい。止まり穴の側壁は、導電性材料充填前に、例えば酸化シリコンおよび/または窒化シリコンなどの絶縁層でコーティングされてもよい。
図17a〜図17cでは、電子回路が空洞14を取り囲む2層に配置されるように描かれているが、電子回路は、例えば1層(回路基板などに接続されるように構成された層、すなわち最下層)のみに配置することもできる。さらに/あるいは、追加の機能要素を前記層の少なくとも1つに実装してもよく、その層は貫通接続部を含んでもよい。選択的エッチングによって貫通接続部を配置する代わりに、またはそれに加えて、1つの貫通接続部を積層体全体を通して提供することも可能である。例えば、いわゆるTVS(シリコン貫通ビア)により、底層と蓋層の機能構造を電気的に接続可能である。スペーシング層34bは、カバーウェハの裏側、すなわち層32b上に設けられ、その共通層がウェハと結合されてもよい。さらに/あるいは、層32a上にスペーシング層34aを設け、それらを他の層と結合することにより、前記複合層を接合してもよい。互いに接触するように設けられたそれぞれの層は、結合の前に他の構成要素と接触してもよい。なお原則的に、一連の工程の任意の時点で、層32aおよび32bおよび/またはそこに設けられた層34aおよび34bに貫通接続部を設けてもよい。
さらに/あるいは、空洞が比較的厚いウェハから成形されるように、空洞内に上記のようなMEMSトランスデューサを設けてもよい。これにより、ウェハ接合工程の少なくとも一部を省略できる。
図18aは、例えば図17a同様、層32bが手前側にある、MEMSトランスデューサ180の概略斜視図を示す。
電子回路17aに隣接して、層32bは、1つ以上のMEMS機能を有し得る機能要素またはMEMS構造21を含み得る。例えば、MEMS構造21は、慣性センサ、磁力計、温度および/または湿度センサ、ガスセンサ、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに/あるいは、MEMS構造21は、任意のセンサ、任意のアクチュエータ、無線通信インタフェース、光源、メモリコンポーネント、プロセッサおよび/またはナビゲーション受信機であり得る。電子回路17aは、MEMS構造21を制御および/または評価するように構成されてもよい。
したがって、内部に電子回路17aが配置されている層32が機能要素、すなわちMEMS構造21を含み得る。機能要素は電子回路に接続されてもよく、前記電子回路17aは機能要素を制御または評価するように構成されてもよい。
軸23を中心にMEMSトランスデューサ180を回転させることで、図17bとなる。側面32aに配置された回路17bは、例えば、空洞内部のMEMSトランスデューサ180の電気機械トランスデューサを評価および/または制御するように構成され得る。ここでも、電子回路17aおよび17bは相補的な機能を実行してもよい。
言い換えれば、底部ウェハは、好ましくは回路17aのタスクを補完するタスクを担う集積電子回路17bを備えてもよい。したがって、MEMSトランスデューサ180が回路構造または回路基板上に、MEMS構造21が前記構造から離れて面するように、配置され得る。
図18bは、MEMSトランスデューサ180を変形したMEMSトランスデューサ180’の概略斜視図を示す。変形として、開口部26aが層32b内に配置され、例えばMEMSブロック21の内側に配置される。
例えば、この構成は、電子回路17aが空洞内の電気機械トランスデューサの制御および/または読み出しを実行するように構成され、MEMS構造21を制御および/または評価するように構成されるように実現され得る。
MEMSトランスデューサ180’は、基板にさらなる開口部26bを有してもよい。開口部26bは、例えば、MEMSトランスデューサ180を通じた流体流量12の距離が、より長くなるように配置されてもよい。例えば、開口部26bは、MEMS構造体21から最大距離にあるMEMSトランスデューサ180’の側壁上または側壁内に設けてもよい。MEMS構造(機能要素)21は、例えば、蓋層32bに配置されたガス検知機能要素として構成されてもよい。ガス検知機能要素21は、流体流量12が開口部26aを通過するときに流体流量12と相互作用し、流体流量12をセンサのように検出するように構成されてもよい。言い換えると、機能要素21は、流体流量12の特性を検出するように構成され得る。
電子回路の2つの部分の上記で説明した相補的な機能は、例えば、積層体の片側(例えば底面)のガスセンサ要素と、積層体の反対側の電子制御に関するものであってもよい。例えば、ガスセンサ要素の製造プロセス(例えばMEMS技術による)は、前側の電子回路の製造工程(例えば、CMOS技術による)に統合できないか、できたとしても大きな犠牲が伴う可能性がある。したがって、機能を相補的な対に分けることで、標準的な製造工程が利用できるようになる。具体的には、前記標準的な工程の1つにより、ウェハ上にガスセンサの制御機能を実装し、異なるウェハ内に電気機械トランスデューサの制御機能を実装してもよい。そしてこのウェハ同士をウェハボンディングで後に接合することで、MEMSトランスデューサ(例えばMEMSトランスデューサ180)を得るようにしてもよい。
例えば、ガス検知機能要素21は、流体流量12と可能な限り大きく表面接触するように、開口部26aの周囲に設けられてもよい。さらに/あるいは、ガス検知機能要素は少なくとも部分的に開口部内に突出してもよい(例えば、流量などを測定するための要素を設ける場合)。
言い換えると、層32bは開口部を有する。追加の開口部が、例えば、積層体内の右側に設けられる。層36内の流体的に相互作用する要素、すなわち変形可能要素またはプレート要素は、この例では、蓋層および底部層32aおよび32bと組み合わされて、マイクロポンプを生成するように構成される。例えば、外気が吸い込まれ、開口部26aを介して開口部26bに向かって送り込まれ得る。例えば、開口部に近接しているために準連続的に周囲空気が供給されるガスセンサがブロック21に配置される。したがって、ガス交換が溶着にのみ基づいて行われる場合と比較して、センサが外気の変化を確実に早く捉えることができる。
図19aは、実施形態に係るMEMSトランスデューサの積層体の一部であり得る層27の概略図を示す。層27は、第1主面29aおよび第2主面29bを含み、図19の左側は、主面29aが見えるように、また面29bが図19の右側に見えるように描かれている(軸23中心に層27を回転)。側面29aは、第1距離ラスタ33aを含む電子パターン31aを含む。第2側面29bも、それとは異なる距離ラスタ33bを有する電子パターン31bを含む。電子パターン31aおよび31bは、適応層27内で互いに電気的に接続され、その結果、適応層27によって、第1距離ラスタ33aの適応または実装による第2距離ラスタ33b(またはその逆)が可能となる。距離ラスタ33aおよび33bは、例えば、それぞれの側面29aまたは29bの特定のタイプの電子回路との接触を単純化または可能にするように適応され得る。例えば、2つの距離ラスタ33aまたは33bの一方は、使用される周波数または構造要素または回路基板の標準的ラスタ化に対応するように構成してもよい。他方の距離ラスタは、MEMSトランスデューサ内で、回路構造のコンパクトな設計を可能にするためにより小さいパターン距離を含む。あるいは、距離ラスタ33b内の距離は、距離ラスタ33a内の距離よりも大きくてもよい。
層27は、積層体内の任意の層であり得る(例えば他のコンポーネントとの接触を可能にする層、例えば図17aの層32aおよび/または32b)。したがって、層27は積層体の蓋層であってもよい。
あるいは、層27を、距離ラスタを適応させるための適応層としてのみ(すなわち電子回路17を含まない)ように構成してもよい。それとは関係なく、層27は、積層体の蓋層であってもよい(例えば電子回路17が積層体の片側のみに配置される場合)。
層27は、積層体の蓋層として配置することができ、これにより、インターポーザーとしての利用できる。すなわち、当該層がインターポーザーの機能も実行できる。例えば、電気接点を製造するためのはんだ付け方法または他の適切な接続方法により、電子的および/またはセンサ的機能を有し、対応する距離ラスタを含むさらなるチップまたは回路キャリアが、当該層上に設けられる。実施形態において、実装されるトランスデューサを制御/読み出すための電子機能の一部または全部、および/または上記のように(すなわち追加的なチップ接触により)実現され得るあらゆる追加のセンサ的機能が実現できる。
MEMS技術により、開口部26aの近傍だけでなく、開口部の真上にもガス検知要素を配置することが可能である。したがって、ガス検知素子を開口部内に突出させることができる。この目的のために、センサ要素は開口部26a内に懸垂されてもよい。上述の機能を有するポンプは、例えば、利用可能なチップ体積の一部を利用してもよい。したがって、利用可能なチップ体積の別の部分、例えばスピーカおよび/またはマイクロフォンのために提供される領域が、上記の目的のために使用されてもよい。また、チップ体積またはチップ体積の一部は、超音波トランスデューサとして、または本明細書で説明される他の機能のために使用されてもよい。
記載された技術を、一体的なセンサ技術と信号処理を含むミクロ投与ユニットに利用することも可能である。例えば、グルコースセンサは、層36内に実現された集積リザーバに接続されたマイクロポンプを備えたMEMS要素として集積されてもよい。グルコースセンサが重大な血糖値を示すと、ポンプは即、必要な量のインスリンをリザーバから投与する。例えば他の薬物および/または鎮痛剤などの活性物質にも同様に利用可能である(例えばモルヒネまたはハイドロモルフォンポンプ)。
言い換えると、本新規手法は、流体感受性要素がチップ表面ではなくチップの内部に収容されているMEMSチップによって音感知および/または音再生が行われるという事実にも基づく。したがって、チップの上面と下面の表面は、さらなるセンサ、アクチュエータ、および電子回路をモノリシック集積するために、すべて、または少なくとも大部分が利用可能となる。本明細書記載の表現は、本質的に前記原理の利用に関する。しかし、本発明はこれに限定されず、一般に、音の発生および/または音の処理がチップボリューム内で行われるすべてのMEMSスピーカおよびMEMSマイクロフォンに使用することができる。
図19bは、図19aの適応層の好ましい利用を示している。既に述べたように、適応層は半導体層として構成されてもよい(すなわち、例えばシリコンまたはヒ化ガリウムなどの半導体材料を含んでもよい)。第1層の主面29aでは、適応層27は、第1距離ラスタ33aを含む第1電子パターン31aを含んでもよい。反対側の第2の層の主面29bでは、適応層27は、第2距離ラスタ33bを含む第2電子パターン31bを含んでもよい。第1および第2電子パターン31aおよび31bは互いに電気的に接続される。これにより、電子回路、例えば側面29aまたは29bの一方の電子回路17を接触することで、距離ラスタ33aまたは33bを他方の距離ラスタ33bまたは33aに適合させることが可能となる。
適応層27は、MEMS積層体内に配置することができる(本明細書に記載のMEMSトランスデューサ内)。MEMS積層体は、電子回路(例えば、距離ラスタ33aまたは33bの1つを含む電子回路17)を有する回路層45を含んでもよい。層45は、例えば、層32bまたは電子回路を有する別の層であり得る。したがって、電子回路17が他の層の主面29bを介して、したがって異なる距離ラスタに接触できるようにすることができるように、電子回路17は、第1または第2電子パターン31aまたは31bに電気的に接続されてもよい。したがって、層29はインターポーザーとしても使用可能である。適応層27に接続された積層体は、電子回路17がそのように配置されない場合、本明細書に記載の積層体であり得る。積層体は、変形可能要素の評価および/または制御を実行するために、適応層27によって積層体に接続されてもよい。例えば、MEMSトランスデューサ20に関して、電子回路の代わりに、電子回路に接続するための電子構造を設けることも可能である。したがって、層32bが適応層として構成され得る。
本明細書で説明される実施形態に係るMEMS積層体は、流体の体積流量12と相互作用するためのMEMSトランスデューサを形成することができ、以下を含む:
複数の基板面を形成する複数の層32a〜b、34a〜b、36を有する積層体を備え、積層体内に空洞16を備える基板14と、
空洞(16)内で基板14に接続され、要素22;22a〜f;30;40;150;160を含み、当該要素は少なくとも複数の基板面の運動面内で変形可能で、撓み可能要素22;22a〜f;30;40;150;160の運動面内の変形と、流体の体積流量12とに関連性がある電子トランスデューサ18(18a〜f )。
電子回路17は、半導体層を介して、電気機械トランスデューサ18(18a〜f )に接続される。
電子回路17は、変形可能要素22;22a〜f;30;40;150;160の変形と、電気信号との間の変換を実現するように構成される。
半導体層27を提供する方法は、第1電子パターン31aが第1距離ラスタ33aを含むように、半導体層27の第1層主面29aに第1電子パターン31aを設けることを含む。方法はさらに、第2電子パターン31bが第2距離ラスタ33bを含むように、半導体層27の反対側に位置する第2層主面29bに第2電子パターン31bを設けることを含む。方法は、第1および第2電子パターン31a、31bを互いに接続することを含む。
図20は、MEMSトランスデューサ80に提供される信号および/またはMEMSトランスデューサから受信した信号の処理を実行するように構成された制御デバイス128に接続されたMEMSトランスデューサ80を備えるMEMSシステム200の概略ブロック図を示す。例えば、電子回路は、MEMSデバイス80の動電トランスデューサを制御してもよく、さらに/あるいはMEMSデバイス80の動電トランスデューサから電気信号を受信してもよい。制御デバイス128内で、対応する制御、および/または評価がどのように行われ得るかについての情報が処理される。
例えば、MEMSトランスデューサ80が複数の電気機械トランスデューサ18を含む場合、制御デバイス128は、複数の電気機械トランスデューサ(共有電子回路および/または個々の電子回路)に情報を提供するように構成されてもよい。これにより、第1および隣接する第2の電気機械トランスデューサは、第1の期間中に少なくとも局所的に互いに向かって移動する。制御デバイス128は、第1電気機械トランスデューサと、第1電気機械トランスデューサに隣接して配置された第3の電気機械トランスデューサが、第2期間中に互いに向かって移動するように、複数の電気機械トランスデューサのうちの少なくとも1つの電子回路を制御するように構成されてもよい。第1電気機械トランスデューサは、第2電気機械トランスデューサと第3の電気機械トランスデューサとの間に配置されてもよい。例えば、前記電気機械トランスデューサは電気機械トランスデューサ18a〜cであってもよい。電気機械トランスデューサ18bは、第1電気機械トランスデューサであってもよい。
さらに/あるいは、制御デバイス128は、電子回路から変形要素の変形に基づく電気信号を受信し、それを評価するように構成されてもよい。例えば、制御デバイス128は、変形の周波数または振幅を決定するように構成されてもよい。したがって、システム200はセンサおよび/またはアクチュエータとして動作し得る。
システム200は、例えば、MEMSスピーカとして動作してもよい。体積流量12は、音響音波または超音波であり得る。
あるいは、システム200は、MEMSポンプとして構成されてもよい。基板の空洞は、基板14の第1開口部26および第2開口部26を含んでもよい。電気機械トランスデューサ18は、流体に基づいて体積流量12を提供するように構成されてもよい。電気機械トランスデューサは、電気機械トランスデューサ18の作動に基づいて流体を第1開口部26から空洞に向かって運ぶか、または前記作動に基づいて流体を、第2開口部を通して空洞から外部に運ぶように構成されてもよい。
あるいは、システム200は、MEMSマイクロフォンとして動作してもよい。変形可能要素の変形に基づいて、電気信号は、電気機械トランスデューサ80または接続された異なる電気機械トランスデューサのポートで取得可能である。変形可能要素の変形は、体積流量12に基づいて生じ得る。
さらに/あるいは、本明細書に記載のMEMSトランスデューサは、MEMSバルブまたはMEMS投薬システムとして構成されてもよい。MEMS投薬システムは、例えば、インプラント可能な薬物および/またはインスリンポンプ用に利用してもよい。
システム200は、制御デバイス128がMEMSトランスデューサ80に接続されるように説明されたが、異なるMEMSトランスデューサ(例えば、MEMSトランスデューサ10、20、50、100、110、170、180、180’、230および/または240)を配置することも可能である。さらに/あるいは、上述の実施形態に係るいくつかのMEMSトランスデューサを配置することができる。さらに/あるいは、MEMSトランスデューサの積層体(積層体90または140)を配置してもよい。さらに/あるいは、少なくとも2つのMEMSトランスデューサが配置されてもよい。少なくとも第1MEMSトランスデューサおよび第2MEMSトランスデューサは、空洞または部分空洞、および/または異なる共振周波数を有する電気機械的トランスデューサ(例えば500Hzアクチュエータを含むチャンバ、2kHzアクチュエータを含むさらなるチャンバまたはさらなる(部分)空洞等)を含んでもよい。
上述のMEMSトランスデューサは、様々なデバイスで使用することができる。図21aに、一実施形態に係るそのようなデバイス210の例を示す。デバイス210は、例えば、MEMSトランスデューサ10を含む。ただし本明細書に記載される異なるMEMSトランスデューサ20、50、100、110、170、180、180’、230および/または240を追加で/代替的に含むこともできる。MEMSトランスデューサは、例えば、音波である音響流体流量12を生成するためのMEMSスピーカとして構成され、デバイス210は、携帯音楽再生デバイスまたはヘッドフォンとして構成される。
図21bは、例えば、デバイス210を含み得る、一実施形態に係るシステム215の概略ブロック図を示す。MEMSトランスデューサ10および/または配置された異なるMEMSトランスデューサは、スピーカとして構成され、出力信号39に基づいて、流体流量12の形式で、音響信号を再生するように構成され得る。出力信号は、音響情報を含むアナログ信号またはデジタル信号であり得る(例えば音声情報を含む)。信号215は、例えば、屋内(建物内)および屋外(建物外)の両方の用途のための万能翻訳機および/またはナビゲーション支援システムとして構成されてもよい。この目的のために、システム215は、さらなるコンポーネント、(例えばマイクロフォンおよび/または位置決定のためのデバイスならびにCPUのような計算ユニット)を有してもよい。マイクロフォンは、本明細書で説明されるMEMSトランスデューサとして構成されてもよい。計算ユニットは、マイクロフォンによって拾われる第1言語の音声コンテンツを第2言語に変換して、出力信号39とともに第2言語を提供するように構成されてもよい。あるいは、計算ユニットは、決定された位置に基づいて、MEMSトランスデューサ10によって再生され得る、決定された位置に関する音声情報を含むように、出力信号39を提供するように構成され得る。
図22は、一実施形態に係る健康支援システム220の概略図を示す。健康支援システム220は、身体37のバイタル機能を感知し、感知したバイタル機能に基づいてセンサ信号39を出力するためのセンサ手段35を含む。健康支援システム220は、センサ信号39を処理し、前記処理に基づいて出力信号を提供する処理手段41を含む。健康支援システム220は、ヘッドフォン、例えば本明細書に記載の実施形態に係るMEMSトランスデューサを含むデバイス200を含む。MEMSトランスデューサは、スピーカとして構成され、出力信号43を受信するための無線通信インタフェースを含む。スピーカ200は、出力信号43に基づいて音響信号を再生するように構成される。スピーカをヘッドフォン、特にインイヤーヘッドフォンとして構成すると有利である。例えば、観察されるバイタル機能は(例えばスポーツ中の脈拍数)はユーザに通知される。また、バイタル機能に由来する量(閾値を超える、下回る等)を出力することもできる。
図23は、複数の電気機械トランスデューサ18a〜18iを含むMEMSトランスデューサ230の概略上面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜f は、横方向に間隔を開けて第1空洞16a内に互いに隣接して配置され、電気機械トランスデューサ18g〜18iは、第2空洞16b内で横方向に間隔を開けて互いに隣接して配置されている。空洞16aおよび16bは、基板14の底面および/または蓋面(不図示)に開口部を備えていてもよい。MEMSトランスデューサ230は、個々の電気機械トランスデューサ18a〜18iと、それぞれの空洞16aおよび16bの電気機械トランスデューサ18a〜f または18g〜18iのいずれもが対応可能なように、スピーカおよび/またはマイクロフォンとして使用可能であり得る。スピーカおよび/またはマイクロフォンは、振動を介して音波を放出および/または受信するために最適化されるように実現されてもよい。例えば、固体伝播音を介して情報が送信および/または受信されるように、人体に(理想的には骨の近くに)配置してもよい。この場合、好ましい変形例は、すべてのアクチュエータがそれぞれ、すなわち、チャンバが2つの可動壁を含むとした手法であっても、同じ方向に動くものである。電気機械トランスデューサ18a〜18iは、片側が固定された梁要素を含む。MEMSトランスデューサ230は、不図示の電子回路17を含む。
言い換えると、左側のチャンバである空洞16aは、好ましくは同相で振動するように、横方向または垂直方向に移動可能な曲げアクチュエータを含む。これにより、対応する音を伝達するようにチップを振動させる。右側のチャンバである空洞16bには3つの横方向または垂直方向の曲げアクチュエータが含まれている。これらのアクチュエータは同相で振動するが、左側のチャンバとは異なる周波数範囲を網羅するように、寸法(厚さ、長さ、幅)が設計されている。
図24は、複数の電気機械トランスデューサ18a〜iを含むMEMSトランスデューサ240の概略上面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜f は、横方向に間隔をあけて、互いに隣接して配置され、それぞれ、空洞16a〜16kまたは部分的な空洞に隣接する。電気機械トランスデューサ18a〜18iは、両側が固定された梁要素を含む。MEMSトランスデューサ240は、不図示の電子回路17を含む。
図23および24の実施形態では、MEMSトランスデューサ230が片側で固定されるそのような梁要素のみを含むように描かれているが、上述のように、MEMSトランスデューサ240は両側が固定される梁要素のみを含むため、実施形態は、空洞16aまたは16bに応じて、同じタイプの電気機械トランスデューサを互いに独立して配置できるように、または空洞内に異なるタイプの電気機械トランスデューサを配置できるように、必要に応じて互いに組み合わせることができる。
言い換えれば、図24は図23と同じ原理を示すが、両側が固定された曲げアクチュエータが使用されている。
さらなる実施形態は、MEMSトランスデューサを製造する方法に関する。この方法は、複数の基板面を形成する複数の層を含み、積層体内に空洞を含む基板を提供することを含む。この方法は、基板内に電気機械トランスデューサを作成することを含み、電気機械トランスデューサは空洞内で基板に接続されて、複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能要素を備え、運動面内での変形可能要素の変形と、流体の体積流量との間に相関関係がある。本方法は、電気機械トランスデューサに接続され、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成されるように電子回路を積層体の層内に配置することを含む。
上記の実施形態は、2つの電気機械トランスデューサが互いに向かって移動することで体積流量が生成されるという事実に関する。ただし、体積流量は、剛性構造(例えば基板)に関連した電気機械トランスデューサの運動に基づいて、またはそれとの相互作用で実現することもできる。したがって、部分空洞または部分空洞部位の体積が個々の電気機械トランスデューサによって影響を受け得る。
複数箇所湾曲するように、さらに/あるいはプレート要素に接続された変形可能要素を含む上記の実施形態は、図1を参照して説明した構成と比較して、確実により大きい体積流量を生成するまたは、確実に体積流量により敏感に反応するように利用可能である。
実施形態は、音圧の周波数依存曲線を柔軟に設定することを可能にし、特に、多くの場合目標にされる、可能な限り平坦な周波数応答も可能にする。
MEMSトランスデューサのチャンバをできるだけ少なくして、周波数に依存する音圧曲線をできるだけ平坦に設計するには、振動曲げ梁のQ係数が低い、曲げ梁が広い共鳴曲線を持つことが好ましい。この目的のために、減衰材料によって梁振動がさらに減衰されるように、梁を固定してもよい。梁は、非結晶材料により固定されることが好ましい。これには、酸化ケイ素、SU8などのポリマー、または他のレジストなどが含まれる。梁振動の減衰は、電気的にも実現可能である。例えば、静電容量の変化により、電圧が印加されると、静電アクチュエータまたは圧電アクチュエータの自由梁振動中に周期的な交流電流が流れる。適切に設けられた電気抵抗器により、電力消費が発生し、その結果振動が減衰する。完全な電気共振回路(つまり、集積または外部コイルが追加で設けられる)も可能である。減衰は、流体がチャンバに流入したり流出したりする際の大きな流れ抵抗を示すように、追加の構造が曲げ梁に実装されることでも実現可能である。
特に、低共振周波数を示す、つまり低周波数を生成および/または検出するためには、曲げ梁の質量を増やすことが好ましくなり得る。剛性が大幅に増加しないように、このための追加構造は、好ましくは最大の振動振幅の領域に取り付けられる。梁が片側で固定されている場合、理想的な位置(最大の振動振幅の領域)は、曲げ梁の端となる。梁が両側で固定されている場合、理想的な位置は梁の中心となる。
言い換えると、本発明の発見は、チャンバ(すなわちシリコンチップ内に形成され得る部分空洞または部分空洞部位)を圧縮および/または拡張することにより、体積流量が生成されるか、または検出可能になるという事実に基づいている。各チャンバには、流体、(例えば空気)が流入、流出する入口または出口が設けられてもよい。チャンバは、移動の横方向に垂直な方向に沿って(例えば、上部と下部で)固定蓋によって閉じられてもよい。各チャンバの側壁の少なくとも1つは、可動または変形可能に設計されており、アクチュエータによって、前記チャンバの体積が減少または増加するように変位させることができる。
MEMSトランスデューサの上述の実施形態は、明瞭性のために不図示の電気接続、ボンドパッドなどを含んでもよい。
上述の実施形態は、少なくとも2つの空洞または部分空洞の異なる共振周波数に基づいて実現可能なマルチパススピーカまたはNウェイスピーカに関する。電気機械トランスデューサと空洞または部分空洞は、音圧レベル(SPL)が少なくとも部分的に共振周波数に基づくように、互いに対して調整可能である。すなわち、いくつかのアクチュエータチャンバは異なる周波数応答を有してもよい(SPL=f(周波数))。したがって、変形可能要素の変形に基づいて、および部分空洞に基づいて得られる音圧レベルの値と、それぞれの部分空洞から出入りする体積流量の周波数とに相関関係がある。相関は関数として提示可能である。例えば、線形関数であり得る。例えば、SPL=x*frequency+bとなる。式中、xとbは変数である。代わりに、関数は、非線形、すなわち、二乗、指数関数、またはルート関数に基づいてもよい。機能的相関は、異なるMEMSトランスデューサ内に配置された異なる部分空洞または空洞に容易に適用可能である。したがって、体積流量の周波数は、流体内の圧力の周波数依存曲線を示し得る。
MEMSトランスデューサのシリコンチップは、それぞれの用途に適合した形状を有するように設計され、ウェハレベルでの製造中に得られるウェハアレイから取り出されてもよい。例えば、チップは補聴器やインイヤーヘッドフォンのスピーカとして使用するために円形、または六角形に設計され得る。これはウェハ上のシリコン表面積の消費を考慮すると、より好ましい。
音響生成にチップボリュームを使用するMEMSスピーカの表面および裏面でのマイクロエレクトロニクスコンポーネントおよび/またはマイクロシステムのモノリシック集積の技術的実現について、いくつかの側面が補足され得る。例えば、MEMS構造などのマイクロエレクトロニクスコンポーネントは、1つ以上の層に集積されてもよい。電子制御および/または評価回路、すなわち電子回路17は、デジタルアナログコンバータおよび/またはPWM発生器を備えてもよい。信号調整は、例えば、電子回路17の一部であり得るデジタル信号処理によって実現され得る。電子回路17は、クロック発生器および/または発振器、高電圧発生器(すなわち、DC/DCコンバータ)を含んでもよく、チャージポンプまたはブーストチョッパーは、デコーダ(「サウンドワイヤ」規格などのデジタルオーディオ信号用)またはMP3デコーダを含むことができる。さらに、電子回路は、増幅器または蓄電器を含み得る。電子回路17は、例えばテキスト音声変換アルゴリズムまたは音声テキスト変換アルゴリズムに使用される、例えばCPUなどのプロセッサを備えてもよい。また、電子回路17は、例えば、RAMメモリやフラッシュメモリなどの半導体メモリを備えてもよい。MEMSトランスデューサは、加速度センサ、温度センサ、回転速度センサ、位置センサまたは磁場センサなどのMEMSセンサを含むことができ、これらは電子回路17、またはさらなる回路コンポーネントの一部によって制御または読み出される。加えて、温度または湿度センサまたはガスセンサが設けられてもよい。さらに/あるいは、無線インタフェースまたは無線式インタフェースを、例えば近距離無線通信(例えばBluetoothインタフェース)用の無線通信用に設けてもよい。また、例えばLTEおよび/またはeSIM(埋め込みSIM)などのモバイル無線インタフェース、iBeaconや物理Webなどのマシン/マシンインタフェースを設けてもよい。さらに/あるいは、GPSなどの全地球的航法衛星システム用の受信機が集積されてもよい。MEMSトランスデューサは、MEMSマイクロフォンおよび/またはMEMSスピーカなどとして構成されてもよい。
MEMSトランスデューサは、システム機能、つまり、さらなる機能または用途との組み合わせを可能にする。例えば、MP3プレーヤー、エンターテイメント技術、ストリーミング、ヘッドセット、トランシーバーなどが挙げられる。補聴器への適用も可能である。歩数、体温、呼吸数、エネルギー消費などのバイタルデータの記録、比較、最適化、および/または通知を可能にするフィットネストラッカーなどの健康支援システムも実現可能である。システムは、音声/テキストおよび/またはテキスト/音声技術またはアルゴリズムを介して、例えば公共空間および/または建物内での補助を可能とするナビゲーション支援システムに関してもよい。これは、視覚障害者などの特定の人々のグループ、および/または公共の建物、軍の建物、警察の建物、消防隊の建物などの特定の建物に関し得る。制御システムでは、本明細書で説明される実施形態が、例えば、ジェスチャおよびスピーチを介して通信およびデバイスを制御するために使用され得る。これに関連して、例えば、音声/テキストおよび/またはテキスト/音声技術および/またはアルゴリズムを介してヒューマン/マシンインタフェースが提供され得る。また、万能翻訳機の用途も考えられる(例えば言語間での同時翻訳用)。仮想現実における用途も考えられる。例えば視覚障害者用の純粋に音響的な仮想現実である。「拡張現実」とも呼ばれる視覚的仮想現実、可聴インターネット、可聴ソーシャルネットワークなどに対応するものである。さらに/あるいは、音声コマンドの識別を可能にするオーディオ署名を実現してもよい。この例としては、可聴インターネットおよび人間/機械通信用のセキュリティ関連ログインが挙げられる。例えば助けを呼ぶ等、安全性が重視される音響イベントの認識も実現され得る。限定的ではなく、上述した例示は音響信号を受信するためのMEMSマイクロフォンにも適用される。
デバイスの文脈でいくつかの態様を説明したが、前記態様は対応する方法の説明でもあることを理解されたい。したがって、デバイスのブロックまたは構造コンポーネントも対応する方法ステップ、またはその機能としても理解される。同様に、方法ステップに関連して、または方法ステップとして説明された態様は、対応するブロックの説明または対応するデバイスの詳細または特徴にも対応する。
上述の実施形態は、あくまで本発明の原理の例示である。当業者であれば、本明細書に記載の構成および詳細のあらゆる修正および変形が理解可能であることが理解されよう。したがって、本発明は、実施形態の説明および議論によって本明細書に提示された特定の詳細によってではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
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本発明は、MEMSスピーカ、MEMSマイクロフォンまたはMEMSポンプなどの、流体の体積流量と相互作用するMEMSトランスデューサに関し、特に、集積電子回路を備えるMEMSトランスデューサに関する。本発明はさらに、そのようなMEMSトランスデューサを備えるデバイス、およびMEMSトランスデューサを製造する方法に関する。さらに、本発明は、チップ上のMEMS−CMOS(相補型金属酸化物半導体)スピーカシステムに関する。
MEMS(微小電気機械システム)技術は小型化可能であることに加え、その注目点の一つは、特に部品点数が中程度および大量のコンポーネントを低コストで製造することである。電気音響MEMSスピーカは現状、大きく商品展開されていない。いくつかの例外を除き、MEMSスピーカは、選択された物理的作用原理によって準静的または共振的に撓む膜で構成される。この撓みは、線形または非線形に、印加される電気信号(電流または電圧)に依存する。信号は時間的変動を含み、この変化が膜の撓みの時間的変動に反映される。膜の往復運動は、周囲の流体に音として伝達される。この流体は、以下ではわかりやすいように空気とするが、これに限定されるものではない。
膜の作動方向が一方向のみとなる場合もある。その場合、膜の撓みに応じた機械的なばね作用によって、復元力が得られる。あるいは、両方向に作動する場合もある。その場合、膜は極めて低い剛性を示し得る。
膜を作動させるために、静電、圧電、電磁気、電気力学、または磁歪の作用原理の利用することについて説明する。上記の原理に基づくMEMS音響トランスデューサの概要が、例えば文献[1]に記載されている。
静電的に動作するトランスデューサは、2つの平面電極間に異なる電位がかけられた結果生じる力に基づく。最も単純な場合、この構成はプレートコンデンサに相当し、両方のプレートの一方が移動可能に懸垂される。実用的な実装では、この可動電極は、音響短絡を避けるために膜として構成される。電圧を印加すると、膜は対向電極に向かって反る。特定の実施形態では、膜はいわゆるタッチモードで操作される。ここで、例えば、文献[2]に記載のように、短絡を回避するために薄い絶縁層が貼られた下部電極に膜が接触する。接触面積は、印加される電圧の大きさに依存する。そのため、前記電圧の時間進行に依存する時間的変動を示す。このように生成される振動が音を生成する。原則として、従来の静電構成では、膜は電極の方向にのみ引き付けられる。復元力は、膜の剛性に少なくとも部分的に依存し、可聴音域内の各種高周波数も伝達できるように十分に大きくなければならない。
一方、所定の電圧では、膜の剛性レベルが高いほど、撓みは減少する。この問題を回避するために、文献[3]に記載のような手法が開発されている。この手法では、上下電極で制御される極めて柔軟な膜を用い、これにより両方向に撓むものが利用される。このスピーカは、当該膜が合計2枚利用され、マイクロポンプの場合と同様に、入口と出口を含み、それ以外は閉じている空洞内に懸垂されている。
圧電的に動作するトランスデューサは、逆圧電効果を利用する。電圧を印加すると、固体内に機械的応力が発生する。MEMS技術では、PZT(チタン酸ジルコニウム酸鉛)、AlN(窒化アルミニウム)、ZnO(酸化亜鉛)などの材料が一般的に使用される。前記材料は、典型的には、機能層として膜に貼り付けられ、機能層に印加される電圧の関数として、膜が撓むおよび/または振動するようにパターニングされる。圧電機能層は、ヒステリシスを伴わずに動作できないという欠点がある。さらに、セラミック機能層の集積化は複雑であり、PZTおよびZnOの場合は、CMOS(相補型金属酸化物半導体)への搭載が難しいため、厳密な汚染管理下、ひいては独立したクリーンルーム環境でなければ実現できない。
電磁的に動作するトランスデューサは、非定常磁場(勾配)で軟磁性材料が受ける力の作用に基づく。理論実践のため、軟磁性材料に加えて、永久磁石とコイルが必要となる。これによって磁場の位置勾配は電流の流れによって時間制御される。軟磁性材料は、例えば膜に組み込まれる。その他のすべてのコンポーネントは、例えば文献[4]に記載されているように、アセンブリ内で使用可能になる。この構成はかさばり、複雑で、部品が多いために、合理的にスケーラブルではない。
電気力学的に動作するトランスデューサはローレンツ力を使用する。この方法は大型のスピーカでよく利用され、一部のMEMSスピーカでも利用されている。磁場は永久磁石によって生成される。磁場内には電流が流れるコイルが配置される。通常、コイルは金属層の被覆とパターニングによって膜に組み込まれ、永久磁石はアセンブリの外部コンポーネントとして追加される。MEMS技術によって全てのコンポーネントを集積する制限と複雑さは、電磁的に動作するトランスデューサと同じように大きな欠点である。
磁歪的に動作するトランスデューサは、磁場が印加されている機能層の収縮または膨張に基づく。例えば、バナジウムパーメンジュールは正の磁歪性を有する。つまり、磁場が印加されると膨張する。前記収縮は、膜振動を生成するために、適切な構成で使用されてもよい。文献[1]では、磁歪機能層として、クロム接着層を介してSiO2(二酸化ケイ素)上に堆積されたバナジウムパーメンジュール(Fe49Co49V2)が利用されている。外部磁場は、電着銅によって実現されたマイクロパンケーキコイルを介して利用可能となっている。集積化の複雑さと制限に関しては、上述した二つの動作原理と同様の欠点が存在する。
振動を引き起こす膜を利用するという特徴を共有する、前述した古典的で最も普及したトランスデューサに関し、古典的膜原理に対する特定の欠点のために検討された特定の修正が以下に説明される。
柔軟な膜は、可聴音域内に高次モードを含むことがあり、それにより音響品質を損なう(高調波歪み)寄生振動が発生する可能性がある(文献[1]参照)。このような影響を回避または低減するために、確実に剛性の高いプレートが使用される。このようなプレートは、音響短絡防止にも供される非常に柔らかいサスペンションを介してチップに接続される(文献[5]参照)。
さらなる変形として、上述の磁歪トランスデューサで分割された膜を利用することが挙げられる。これは、機能層が2方向に収縮または拡張することに起因した問題に対して、構造的解決手段となる。具体的には、この構成は複数の撓み可能な曲げ梁で構成される。文献[1]によれば、この構成は、3μm以下の梁間の距離に対して音響的に閉じていると見なすことができる。共振周波数と梁間の距離に関して個々の梁の寸法を適宜決定することにより、比較的高い音響帯域幅が実現され、振動周波数に基づく音レベルの変動が適応または最適化される。
Neumannらは文献[6]において、単一の大きな膜に換えて複数の小さな膜片を使用する手法をとっている。各膜片は、可聴音域内での準静的な撓みの発生に十分な高さの共振周波数を有する。したがって、特に、スピーカのデジタル操作が可能になる。
まとめると、集積に関して、駆動電圧が中程度であれば、既知の静電的に動作する膜を利用したスピーカは、撓みが比較的小さいと結論づけることもできよう。例えば、文献[3]に記載のキムらによる静電膜スピーカを参照に考える。2つの膜のそれぞれの面積は、2x2mm2である。上部電極と下部電極は、それぞれ7.5μmの距離でいずれの場合も取り付けられる。膜の形状と、撓みの増加に伴う膜の剛性の増加に応じて、いわゆるプルイン効果により撓みは電極距離の1/3から1/2に制限される。上限である1/2の場合、一方および他方の両方向について、撓みは7.5μm/2となる。この変位による体積は、上記膜の最大撓みに対して撓みが半分となる剛性プレートの体積に対応すると仮定し、推定できる。例えば、以下のようになる:
ΔV≒(2×2mm2)×50%*(2×7.5μm)/2=15×10−3mm3(式1)
および/または
ΔV/アクティブ領域=ΔV/A=ΔV/4mm2=3.75×10−3mm(式2)。
小型化された膜スピーカを製造する際の一般的な課題は、周波数の関数として、音圧の平坦な変化を実現することである。音圧は、膜の放射インピーダンスと速度に比例して実現される。よりマクロに捉えると、膜の直径は音響波長に対応する。ここで考えるべきは、放射インピーダンスが周波数に比例することである(文献[6]参照)。高品質スピーカは、共振周波数f0が可聴音範囲を下回るように設計されることが多い(マルチパススピーカの場合、各共振周波数は対応する電気フィルターの下端周波数を下回る)。したがって、f>>foの場合、膜の速度は1/fに比例する概して、音圧pの周波数依存性はp∝1となる。したがって、上記の(簡略化された)設定を押さえれば、音圧の完全に平坦な進行が実現できる。
文献[7]に記載されたように、音源/膜の直径が生成される音の波長よりもはるかに小さくなると、放射インピーダンスが周波数に対する二次依存性を示すと仮定される。これは、ミリ単位の膜を備えたMEMSスピーカに当てはまる。上述のようにf>>f0と仮定すると、音圧の進行に対して、依存性p∝fとなる。低周波数は、高周波数と比較して極めて低い音圧で再生される。準静的動作の場合、膜速度はfに比例する。したがって、音圧の進行に対して依存性がp∝f3となる。これは低周波数でさらに好ましくない。
人間とコンピュータ、または人間と機械の多機能システムの小型化は様々な集積レベルで可能である。
レベル1:プリント基板のハイブリッド集積
異なる基板上で形成されたセンサ、アクチュエータ、および電子回路が、共通配線支持部(ここではプリント回路基板)で組み合わされる。
レベル2:システムインパッケージ
システムを形成するために、特定のハウジング内で少なくとも2つのチップが組み合わされる。チップオンチップボンディングがこのために使用される場合もある。多くの場合、シリコンベースの配線支持部(いわゆる「インターポーザー技術」)も使用される。
レベル3:ウェハ単位のハイブリッド集積とモノリシック集積
異なるウェハ上で部分的に製造されたセンサ、アクチュエータ、電子回路が、ウェハ単位で相互接続される。結合されたウェハ積層体の個々のチップは、適切なダイシング処理によって積層体から切り出される。モノリシック集積により、センサ、アクチュエータ、電子回路がウェハ上に実装される。いずれの場合も、各要素の電気接続は、一体化された導線またはチップの貫通接続(「シリコン貫通ビア」、略してTSV)によって実現される。
いわゆるヒアラブルは、非常に高度なセンサ/アクチュエータハイブリッド集積システム(レベル1)の一例である。現状で既に、スピーカ(精密機械加工により製造)、充電式バッテリー、メモリチップ、CPU、赤色および赤外線センサ、温度センサ、光学タッチセンサ、マイクロフォン、3軸加速度センサ、3軸磁場センサ、3軸位置センサのようなコンポーネントがインイヤーヘッドフォンに組み込まれている。このような「システムインパッケージ」の手法は現在、例えばBRAGI(「The Dash」)、サムスン、モトローラ、ソニーなどの企業により、ヒアラブルに利用されている。
いわゆる9軸センサは、高度なシステムインパッケージセンサシステム(レベル2)の一例である。この例として、3軸加速度センサと3軸位置センサが第1シリコンチップに実装され、3軸磁場センサが2番目のシリコンチップに実装され、電子回路が3番目のチップに実装されて、上記各チップが共通パッケージ内に収容される。このようなシステムは、例えばInvenSense(MPU−9150)により提供されている。
モノリシック集積センサシステムの例としては、1軸または多軸ジャイロスコープ、または加速度センサ、圧力センサ、磁場センサが挙げられ、それぞれセンサ要素と電子機能が単一のチップに実装されている。
構造的なサイズに関しては、モノリシック集積が大幅に有利である。プリント回路基板のハイブリッド集積の場合、各構造要素に個別のハウジングが必要であり、システムインパッケージでは、特にいくつかの個別のチップを組み合わせる場合、比較的大きなハウジングが必要となるが、このような空間的要件はモノリシック集積においては生じない。また、複雑なハイブリッド構造技術も求められないので、特に多数の部品を使用する場合の製造コストが大幅に削減される。
本願における、小型音響生成(マイクロスピーカ)または音響検出(マイクロフォン)MEMSコンポーネントに関して、回路またはその他のアクチュエータまたはセンサ関連の要素のモノリシック集積は、現状極めて利用が限られている。その理由の1つとして、MEMSマイクロフォンまたはスピーカの動作モードが挙げられる。いずれの場合も、チップ表面に比較的大きな膜を形成する必要がある。膜の動作時に生じる空気流れのために、上側と下側のチップ面を大きくとる必要がある。したがって、追加で機能を集積するために利用できるチップ表面積は限られる。チップ面の拡大も原則的には可能だが、なによりも歩留まりの悪さにつながる。すなわち、チップ表面積を増加するほど、歩留まり大幅に悪化するのである。さらに、多くの場合、製造工程がCMOS回路の製造工程と直接互換性がないので、全体工程の複雑化が生じてしまう。このような上記の2つの理由により、現状、音響コンポーネントを1つ以上の個別のチップに実装し、システム全体をハイブリッド集積/システムインパッケージで集積することで、追加機能が実装されている。
また、ヘッドフォン、特にいわゆるインイヤーヘッドフォンなどのポータブルデバイスで利用できるように、MEMSトランスデューサは設置スペースを最小限に抑える必要がある。
したがって、コンセプトとして、設置スペースが小さく高効率な改良型MEMSトランスデューサが求められている。
したがって、本発明の目的は、流体の体積流量に対する高効率な作用、さらに/あるいは低効率の体積流量による作用が、小さな設置スペースで実現され得るようなMEMSトランスデューサおよびその製造方法を提供することである。
この目的は、独立請求項の内容によって達成される。
本発明の根本的な発想は、可動平面(面内)で変形可能要素が、極めて効率的に流体の体積流量に作用し得、さらに/あるいはその体積流量が極めて効率的に当該要素を撓ませることで上述の目的が達成され得るという認識に基づく。したがって、チップ面の寸法は抑えながらも、変形可能要素は大きな表面積を有し得、その表面積と体積流量の相互作用で、全体として、効率の高い効率的なMEMSトランスデューサデバイスが得られる。さらに、MEMSを動作するための電子回路を積層体の層に統合することで、その半導体表面が電子回路に利用可能となり、デバイスに必要な設置スペースが小さく抑えられる。
一実施形態によれば、流体の体積流量と相互作用するMEMSトランスデューサは、複数の層を有する積層体を含む基板を含む。基板は、積層体内に空洞を有する。複数の層は複数の基板面を形成する。MEMSトランスデューサは、空洞内で基板に接続され、複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能要素を備える電気機械トランスデューサを含む。運動面内の変形可能要素の変形と流体の体積流量との間に相関関係がある。MEMSトランスデューサは、積層体の層内に配置された電子回路をさらに含む。電子回路は、電気機械トランスデューサに接続され、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成される。
さらなる実施形態によれば、デバイスは、MEMSスピーカとして構成された、前記MEMSトランスデューサを備え、モバイル音楽再生デバイスまたはヘッドフォンとして構成される。
さらなる実施形態によれば、健康支援システムが、身体のバイタル機能を感知し、感知されたバイタル機能に基づいてセンサ信号を出力するためのセンサ手段を備える。健康支援システムは、センサ信号を処理し、前記処理に基づいて出力信号を提供する処理手段を備え、前記MEMSトランスデューサを備えるヘッドフォンを含む。MEMSトランスデューサは、スピーカとして構成され、出力信号を受信するための無線通信インタフェースを備え、それに基づいて音響信号を再生するように構成される。
さらなる実施形態によれば、流体の体積流量と相互作用するMEMSトランスデューサを提供する方法は、複数の基板面を形成する複数の層を有する積層体を含み、積層体内に空洞を有する基板を提供することを含む。この方法は、基板内に電気機械トランスデューサを作成することを含み、電気機械トランスデューサは空洞内で基板に接続されて、複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能要素を備え、運動面内での変形可能要素の変形と、流体の体積流量との間に相関関係がある。本方法は、電気機械トランスデューサに接続され、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成されるように電子回路を積層体の層内に配置することをさらに含む。
さらなる有利な実施形態が従属請求項の内容を形成される。
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。
一実施形態に係るMEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、複数の電気機械トランスデューサを含むMEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る図2aのMEMSトランスデューサの概略上面図を示す。
一実施形態に係る、図2aのMEMSトランスデューサの概略斜視図であって、電気機械トランスデューサそれぞれの、変形可能要素の変形状態を示す。
一実施形態に係る、バイモルフとして構成された変形可能要素の概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、3つのバイモルフ構造を含む変形可能要素の概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、図4aに示した変形可能要素の撓み状態における概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、互いに隣接して配置された2つの変形可能要素の配置の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、MEMSトランスデューサの概略上面図を示し、電気機械トランスデューサはそれぞれ、図2aのMEMSトランスデューサの構成と異なる構成を含む。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図であり、直線状に形成されたばね要素がプレート要素と変形可能要素との間に配置されている。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、ばね要素が、変形可能要素の撓み可能な端部に対して90°未満の角度で配置されている。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、ばね要素は90°を超える角度で配置されている。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、基板は、変形可能要素に隣接するばね要素を含む。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの概略上面図を示し、プレート要素は凹部を含む。
一実施形態に係る、プレート要素に接続された変形可能要素の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、変形可能要素が基板の間に固定的に挟まれ形成される構成の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサの構成の概略上面図を示し、変形可能要素が、中央領域に凹部を含む。
第1変形可能要素と第2変形可能要素が互いに平行に配置されている、電気機械トランスデューサの構成の概略上面図を示す。
一実施形態に係る、MEMSトランスデューサの概略斜視図を示し、変形可能要素が、それぞれ基板およびアンカー要素に交互に接続される。
一実施形態に係る、図8aのMEMSトランスデューサの概略上面図を示す。
一実施形態に係る、図8aに示したMEMSトランスデューサの撓み状態における概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、図8bに示したMEMSトランスデューサの撓み状態における概略上面図を示す。
一実施形態に係る、3つのMEMSトランスデューサを含む積層体の概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、基板の側面間に配置された変形可能要素を有するMEMSトランスデューサのセクションの概略上面斜視図である。
一実施形態に係る、電気機械トランスデューサが基板の横方向に対して斜めに配置されたMEMSトランスデューサのセクションの概略上面図を示す。
一実施形態に係る、ポンプとして使用することができるMEMSトランスデューサのセクションの概略上面図を示す。
例えば、第1状態で、MEMSポンプとして使用され得るMEMSトランスデューサのセクションの概略上面図を示す。
第2状態にある図12aのMEMSトランスデューサを示している。
一実施形態に係る、横延在方向に沿って互いに接続された2つの変形可能要素の概略図を示す。
一実施形態に係る、互いに接続され、層を共有する2つのMEMSトランスデューサを含む積層体の概略図を示す。
一実施形態に係る、互いに離間して接続要素を介して接続された2つの層を含む変形可能要素の概略側断面図を示す。
一実施形態に係る、電極に隣接して配置された変形可能要素の概略上面図を示す。
さらなる実施形態に係るMEMSトランスデューサの、第1側面からの概略斜視図を示す。
図17aのMEMSトランスデューサの、第2側からの概略図を示す。
図17aの図によるMEMSトランスデューサの概略斜視図を示し、さらなる実施形態によれば、グリッドウェブ(格子状部材)が配置されるように開口部が設計されている。
機能要素が電子回路に隣接して配置される、一実施形態に係るMEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る、蓋層に開口部が配置されている点で、図18aのMEMSトランスデューサが変形された、MEMSトランスデューサの概略斜視図を示す。
一実施形態に係る距離ラスタを適合させるための層の概略図を示す。
実施形態に係る適応層の使用の概略図を示す。
一実施形態に係るMEMSシステムの概略ブロック図を示す。
一実施形態に係るデバイスを示す図である。
一実施形態に係る、さらなるシステムの概略ブロック図を示し、このシステムは、万能翻訳機および/またはナビゲーション支援システムとして構成され得る。
一実施形態に係る健康支援システムの概略図を示す。
一実施形態に係る、MEMSトランスデューサの概略上面図であり、一方の側で固定された梁要素を備える複数の電気機械トランスデューサを備える。
一実施形態に係るMEMSトランスデューサの概略上面図を示し、2つの側面に固定された梁要素を含む複数の電気機械トランスデューサを含む。
以下に本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明するにあたって、機能または動作が同一または同様の要素、物体および/または構造には、各種図面において同一の参照番号を付し、これにより、異なる複数の実施形態でなされたこれらの要素の説明は、相互に置き換え可能および/または適用可能であることを理解されたい。
以下にMEMS(微小電気機械システム)トランスデューサについて説明する。MEMSトランスデューサは、印加された電気量(電流、電圧、電荷など)に基づいて機械的コンポーネントの変化を引き起こす1つ以上の電気活性コンポーネントを備えてもよい。前記変化は、例えば、機械コンポーネントの変形、温度上昇、または張力の発生に関連していてもよい。さらに/あるいは、変形、温度上昇、張力の発生など、コンポーネントに対する機械的影響により、電気信号または電気情報(電圧、電流、電荷など)が発生し、コンポーネントの端子で検出され得る。一部の材料またはコンポーネントは相互作用する。すなわち、互いに変換可能な効果を持つ。例えば、圧電材料は、逆圧電効果(印加された電気信号に基づく変形)と圧電効果(変形に基づく電荷の供給)を有し得る。
以下に説明する実施形態のいくつかは、人間/コンピュータ、または人間/機械、インタフェース用途、および「パーソナルアシスタント」の分野の用途を含む相互作用のための完全に一体化され、非常に小型化されたシステムに関する。ここでは音響インタフェースを特に取り上げる。実施形態は、MEMSとCMOSの一体化に関する。
以下に説明する実施形態のいくつかは、電気機械トランスデューサの変形可能要素が流体の体積流量(体積流れ)と相互作用するように構成されているという事実に関する。相互作用の例としては、流体の移動、変位、圧縮または減圧をもたらす電気制御信号により、変形可能要素が変形することが挙げられる。さらに/あるいは、流体の体積流量が変形可能要素を変形させ、体積流量と変形可能要素との相互作用に基づいて、流体の存在、特性(圧力、流速など)またはその他の情報(温度など)が取得され得る。したがって、横運動方向に沿った変形可能要素の変形と、流体の体積流量との間に相関関係がある。例えば、MEMSはシリコン技術で製造され得る。電気機械トランスデューサは、例えば、変形可能要素と、電極および/または電気端子などのさらなる要素とを備え得る。変形可能要素は、(マクロ視点では)横運動方向に沿って変形するように構成されてもよい。すなわち、要素または領域は、横運動方向に沿って移動可能であってもよい。前記要素または領域は、例えば、梁構造の梁端部または中央領域であってもよい。ミクロ視点では、横運動方向に沿った変形可能要素の変形は、変形可能要素の、横運動方向に垂直な変形を生じ得る。以下に説明する実施形態は、上記マクロ視点に関する。
実施形態は、シリコンで作られ、それぞれの設計サイズで、可能な限り高い音レベル、可能な限り高い感度レベル、さらに/あるいは可能な限り大きな流体流量率を実現可能な小型スピーカ、マイクロフォン、および/またはポンプを提供し得る。他の実施形態は、MEMSトランスデューサ、MEMSバルブおよび/またはMEMS投薬システムを提供し得る。
本発明の実施形態は、特に可聴音範囲内の空気伝送音を生成するために使用され得る。したがって、実施形態は、例えば補聴器、インイヤーヘッドフォン等のヘッドフォン、ヘッドセット、携帯電話などに利用されるスピーカ、特に小型化されたスピーカに関する。体積流量と変形可能要素の変形との間の相関関係により、スピーカにも適用可能である。したがって、実施形態は、電気音響トランスデューサに関する。
実施形態は、可能な限り小型化され、人間/コンピュータおよび/または人間/機械の相互作用で使用でき、低コストで大量生産できる多機能システムを提供することを可能にする。さらなる機能によって補完される中心的機能は、音生成および/または音検知の分野に関する。
図1は、一実施形態に係るMEMSトランスデューサ10の部品の概略斜視図を示す。MEMSトランスデューサ10は、流体の体積流量(体積流れ、流体流、fluid flow)12と相互作用するように構成される。流体は、気体(例えば、空気)および/または液体であってもよい。例えば、液体は、薬物溶液、薬、技術的処理のための化学薬品などであり得る。
MEMSトランスデューサ10は、基板14を備える。基板14は、任意の材料を含むことができる。例えば、基板14は、木製材料、金属材料、および/またはシリコン材料などの半導体材料を含むことができる。基板14は空洞16を含む。空洞16は、例えば、凹部であるか、または基板14の少なくとも部分的に囲まれた体積であると理解され得る。空洞16の内部(少なくともその一部に)、体積流量12の流体が存在し得る。基板14は、空洞16を有する少なくとも1つの材料層、例えば、一体的な層を含む。空洞16は、材料からフライス削りまたはエッチングすることにより形成され得る。さらに/あるいは基板14の製造時に空洞16を省略し、空洞16の周りに基板14が形成されてもよい。基板14は、いくつかの層15aおよび15bを含むこともでき、これは、例えば、半導体製造において有利であり得る。様々なパターン、例えば空洞16の有無は、基板14の各種層で実現できる。あるいは、基板は、以下で説明するように、より多くの層を有してもよい。
MEMSトランスデューサ10は、電気機械トランスデューサ18を含む。電気機械トランスデューサ18は、基板14に接続されている。電気機械トランスデューサ18は、横運動方向24に沿って変形され得る変形可能要素22を備える。例えば、電気機械トランスデューサ18への電気信号の印加は、横運動方向24に沿った変形可能要素22の変形をもたらし得る。さらに/あるいは、体積流量12が、変形可能要素22にぶつかると、変形可能要素22が変形し得る。その結果、体積流量12に基づく電気信号が電気機械トランスデューサ18によって取得され得る。したがって、変形可能要素22の変形と体積流量12に相関関係がある。例えば、電気機械トランスデューサ18は、少なくとも1つ(例えば2つ)の圧電層を含むか、それによって構成されてもよい。いずれの層も電圧によって変形し得る。電気機械トランスデューサは、さらなる要素(例えば電極)を備えてもよい。
MEMSトランスデューサ10は、積層体の層15aまたは15bの少なくとも1つに配置された図示されていない電子回路を備える。不図示の電子回路は、電気機械トランスデューサ18に接続され、変形可能要素22の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成される。したがって、この不図示の電子回路は、MEMSトランスデューサの構成に応じて、MEMSトランスデューサ10のセンサ関連および/またはアクチュエータ関連制御に利用可能である。電子回路を基板14の蓋層内(例えば層15a内)に配置することで、蓋層の大きな表面積を電子領域に利用することができる。したがって、この利用に応じた省スペース化が、チップ表面積および/または他のコンポーネント(例えばMEMSトランスデューサ10が取り付けられたプリント回路基板)の設置スペースに関して実現される。積層体の蓋表面に電子回路の少なくとも一部を配置することにより、MEMSトランスデューサと他の電子コンポーネントとのシンプルな接触という利点が得られやすくなる。
ここで「変換」という用語は、入力変数から出力変数への変換として理解されたい。電子回路は、電気制御信号を1つ以上の変形可能要素の撓みに変換する、すなわちアクチュエータ関連制御を実行する、さらに/あるいは1つ以上の変形可能要素の変形を電気出力信号に変換する、すなわちセンサ関連の評価または制御を実行するように構成されてもよい。変換のために、電子回路は、デジタルな制御信号をアナログな制御信号に変換するためのデジタルアナログコンバータ、およびアナログな電気出力信号をデジタルな電気出力信号に変換するためのアナログデジタルコンバータの少なくとも1つを含んでもよい。簡単に言うと、電子回路17は、アナログまたはデジタル形式の制御信号を取得し、それをMEMSトランスデューサ10に適したアナログまたはデジタル信号Outに変換してもよい。例えば、電子回路は、電気制御信号Inを少なくとも1つの電気機械トランスデューサの変形可能要素の撓みに変換するように構成されてもよい。この目的のために、電子回路はスイッチング増幅器(いわゆるD級アンプ)を含んでもよい。前記増幅器は、信号Outを、変形可能要素のためのデジタルパルス幅変調制御信号として提供するように構成されてもよい。
ここで、「蓋表面」という用語は、例えば前記積層体の外層の例えば外層についての記述に関するということを留意されたい。ただしこれは、前記積層体の他の層に配置できないという意味ではない。外層を一部または全部覆う追加層も設けることができる。例えば、半導体酸化物またはラッカーなどの絶縁層、またはさらなる電気的機能層が設けられてもよい。
基板14は、体積流量12がMEMSトランスデューサ10の周囲から空洞16に、および/または空洞16からMEMSトランスデューサ10の周囲に流れることができるように、1つ以上の開口部26a〜dを有してもよい。変形中の変形可能要素22による動きは、基板14に関して平面内(面内)で生じることが理解されよう。体積流量12は、例えば体積流量12用の開口部26cまたは26dによって示されるように、運動方向24に対して少なくとも一部に垂直に(直交して)空洞16に出入りすることができる。簡単に言うと、変形可能要素22の面内運動が面外の体積流量12を生じ、またその逆の作用も生じ得る。したがって、横運動方向および/または変形可能要素の変形が、基板に対して面内で生じ得る。
基板14内で、開口部26cおよび26dは、横運動方向24に対して垂直に配置される。横運動方向24に沿った変形可能要素22の変形により、変形可能要素22の少なくとも一部が開口部26aに向かって動く。したがって、この変形により、部分空洞28にサイズの低減が生じる。これに基づいて、当該部分空洞28内に存在する流体の圧力が上昇し得る。簡単に言うと、流体が圧縮され得る。したがって、流体が部分空洞28または空洞16から流出しやすくなり得る。開口部26dおよび26cにより、横運動方向24に垂直な(直交する)体積流量12が得られる。
MEMSトランスデューサ10のベース領域は、例えば、x/y平面内に配置することができる。x方向および/またはy方向に垂直になるように空間に配置されるz方向に沿ったMEMSトランスデューサ10の寸法を大きくすることで、さらに/あるいはz方向に沿った変形可能要素22の寸法を大きくすることで、MEMSトランスデューサ10のベース領域を変えずに、大きな体積流量12が実現され得る。部分空洞28が拡大すると、部分空洞28内の流体の負圧が生じ得る。したがって、変形可能要素22の変形に基づいて、体積流量が、横運動方向24に垂直に、空洞28/16内に流入する。
変形可能要素は、例えばy方向に沿った軸方向延長部を有してもよい。当該延長部は、最小1μmから最大100mm、好ましくは最小100μmから最大10mm、特に好ましくは最小500μmから最大5mmの範囲の値を有する。変形可能要素22は、横運動方向24に沿った延長部を有してもよい。当該延長部は、最小0.1μmから最大1000μm、好ましくは最小1μmから最大100μm、特に好ましくは最小5μmから最大30μmの範囲の値を有する。変形可能要素は、横運動方向に対して垂直な(例えばz方向)、横方向に沿って延長部を有してもよい。この延長部は、最小0.1μmから最大1000μm、最小1μmから最大300μm、特に好ましくは最小10μmから最大100μmの範囲の値を有する。
図2aは、複数の電気機械トランスデューサ18a〜f を含むMEMSトランスデューサ20の概略斜視図を示す。電気機械トランスデューサ18a〜f は、図1を参照して説明したように、基板14に接続されており、横運動方向24に沿って変形可能な要素をそれぞれ含むことができる。
例えば、基板14は、第1層32a、第1スペーシング層34a、中間層36、第2スペーシング層34b、および第2層32bを含み、これらはこの順序で重ねられる。さらなる実施形態によれば、1つ以上のさらなる層が、隣接配置された2つの層の間に配置されてもよい。さらなる実施形態によれば、層32a、32b、34a、34bおよび/または36の少なくとも1つが、多層に設計される。電子回路17、例えば図1を参照して説明した電子回路は、層32b内に一部または全体的に配置することができる。さらに/あるいは、電子回路17は、層32a、34a、36および/または34bのうちの1つ以上の中に少なくとも部分的に配置されてもよい。
電子回路は、電気制御信号In1を変形可能要素の撓みに変換するように構成されてもよく、電気機械トランスデューサに信号In1が入力されて、信号Out1が提供される。さらに/あるいは、変形可能要素の変形に基づいて、信号In2が得られ、これが電子回路により電気出力信号Out2に変換され得る。この変換は、電子回路17がアナログデジタルトランスデューサ(ADC)およびデジタルアナログトランスデューサ(DAC)、またはAC/ACコンバータまたはDC/DCコンバータの少なくとも1つを含むように実行されてもよい。これに基づいて、電子回路17は、アナログの入力信号In1を取得し、これをデジタルの信号Out1に変換するように構成されてもよい。あるいは、信号In1がデジタル信号であってもよく、信号Out1がアナログ信号であってもよく、信号In1およびOut1の両方がデジタルまたはアナログであってもよい。さらに/あるいは、電子回路17は、電気機械トランスデューサから得られる信号In2(例えばアナログ形式)を、Out2信号に変換してもよい。信号Out2はアナログまたはデジタルであってもよい。したがって電子回路17は、デジタルな制御信号In1をアナログな制御信号Out1に変換するよう構成されてもよいし、さらに/あるいはアナログな電気出力信号In1を、デジタルな電気出力信号(Out1)に変換するためのアナログデジタルコンバータを含んでもよい。
電気機械トランスデューサ18a〜f は、体積流量12に基づいてさらに/あるいは制御されることに基づいて、互いに向かって(互いに接近して)部分的に移動し、部分的に互いに離れるように、電子回路17によって構成される、さらに/あるいは制御されることができる。
例えば、電気機械トランスデューサ18aおよび18bは互いから離れるように移動するように構成され、一方、電気機械トランスデューサ18bおよび18cは互いに向かって(接近して)移動する。電気機械トランスデューサ18aおよび18b、18cおよび18d、ならびに18eおよび18fは、それらの間に部分空洞38a〜cが存在する。部分空洞38a〜cは、電気機械トランスデューサ18a〜f の変形に基づいて増大可能である。電気機械トランスデューサ18bおよび18c、ならびに18dおよび18eは、それぞれ、その間に部分空洞42aおよび42bが存在する。当該空洞は、運動または変形に応じて、一斉にサイズが減少し得る。続く期間では、電気機械トランスデューサおよび/または変形可能要素が逆に変形または移動し得る。結果、部分空洞38a、38bおよび38cの体積が減少し、部分空洞42aおよび42bの体積が増加する。
電子回路17は、電気機械トランスデューサが移動する運動面に垂直な方向に沿って配置されてもよい。電子回路の位置は、運動面に投影した場合、変形中に変形可能要素が少なくとも部分的に配置される位置に該当し得る。したがって、変形可能要素が、例えば電子回路17の上または下に配置され得る。
言い換えると、下蓋(第1層32a)は、チップの片側(例えば、限定されないが、底面)を部分的または完全に閉鎖するもので、その上にパターン層のスペーシング層34aが設けられてもよい。スペーシング層は、例えば、下蓋と、パターン層34a上に配置された中間層36との間のスペーサとして使用することができる。一方、パターン層36はその上にパターニングされたスペーシング層34bが設けられる。このスペーシング層は、スペーサ機能として、スペーシング層34aに完全にまたは部分的に対応し、形状も同一または同様であってもよい。MEMSトランスデューサ20またはその空洞は、z方向に沿って、上蓋である第2層32bによって部分的または完全に閉鎖することができる。図2aは、空洞の領域内に配置された要素が見えるように、層32bを部分的に切り欠いて示す。電気機械トランスデューサ18bおよび18cならびに/または18dおよび18eは、それぞれ中間層36のx/y平面内に対で配置してもよい。このような配置が、空間方向(x方向)に沿って複数存在してもよい。電子回路17は、蓋32aおよび32bの少なくとも一方の中に完全にまたは部分的に配置することができる。さらに、電子回路17がいくつかの層にまたがって延在してもよい。例えば、部分的に層32aおよび隣接層34a内、または層32bおよび隣接層34b内に配置され得る。
電子回路を蓋32aおよび/または32bの少なくとも一方に完全にまたは少なくとも部分的に配置することにより、電子回路を省スペースで、すなわち表面積効率よく配置できる。これは、特に、横方向に、すなわち面内で移動可能な要素との組み合わせで有利となる。スピーカ膜の場合のように、当該方向に対して垂直におよび面外に運動可能な要素とは異なり、例えば、対応する層の肉薄化(例えば、膜形成のため)を省略できる。さらに/あるいは移動可能な要素機能が、機能に影響を与えることなく、蓋で覆われるように配置され得る。面外の運動が生じる場合、可動要素の少なくとも一部を形成する薄膜層は電子回路の配置に適さない、さらに/あるいは追加の被覆層がデバイスの性能に影響を与えてしまう。実施形態では、積層体の蓋は、さらなる層で覆われていてもよく、可動要素の一部とはならない。
基板は、複数の部分空洞38a〜cおよび42a〜bにそれぞれ接続された複数の開口部26を備えてもよい。例えば、各場合において、1つの開口部26を部分空洞38a〜cまたは42a〜bに接続することが可能である。各部分空洞38a〜cまたは42a〜bの体積は、横運動方向24に沿って変形可能な少なくとも1つの要素22の撓み状態に左右され得る。隣接する部分体積は、第1または第2期間中に、相補的に増加または減少可能であってもよい。簡単に言うと、部分空洞38a〜cまたは42a〜bの部分体積を小さくし、部分空洞42a〜bおよび/または38a〜cの隣接部分体積を大きくすることができる。
1つ以上の開口部26の領域に、棒構造体44を配置することができる。棒構造体44は、空洞に対する粒子の出入りを低減または抑制しつつ、一方向または二方向への体積流量12の通過が可能になるように配置されてもよい。層32a、32b、34a、34bおよび/または36の形状は、製造時、例えば、層の選択的除去および/または選択的配置もしくは成長により影響され得る。例えば、棒構造体44は、選択的エッチング処理に基づいて、層34a、36および/または34bから形成され得る。さらに、空洞38a〜cおよび42a〜bの形状は、製造処理時に影響を受け得る。例えば、1つ以上の層32a、32b、34a、34bおよび/または36の壁は、電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素の動きに対応し得る。これにより、例えば変形可能要素と基板14との間の距離が少なくとも略一定に、さらに/あるいは小さくできる。
カバー43(図2c)は、棒構造体または棒要素に、またはそれに隣接して、設けられてもよい。カバー43は、空洞16に隣接しておよび/または棒要素44により空洞16から離れて設けられてもよい。カバーは、例えば、メッシュ材料、発泡材料、および/または紙材料を含んでもよい。カバーは、棒構造体間の距離よりも小さな直径の粒子を、空洞16に対して出入り可能とし得る。あるいは、カバー43(図2c)は、棒要素44を含まない開口部26に、またはそれに隣接して設けられてもよい。
可動要素の自由端が、例えば、曲がった経路および/または円形経路で動く場合、基板14は、可動端が動く領域において、平行または同様の形状を有してもよい。
図2bは、図2aのMEMSトランスデューサ20の概略上面図を示す。電気機械トランスデューサ18a〜f は、要素46a〜cで、基板14に非固定的または固定的に接続することができる。例えば、電気機械トランスデューサ18a〜f の1つ以上の変形可能要素は、要素46a〜cと一体的に形成されてもよい。要素46a〜cは、層36の平面内に配置されてもよいし、層36の一部であってもよい。電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素22の例えばz方向に沿った延長距離は、層34a、36、および34bの延長距離未満であり得る。したがって、電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素22は、層32aおよび/または32bと接触せずに、配置され、可動であり得る。あるいは、少なくとも1つの変形可能要素は、接触しながら変形してもよい。例えば、低摩擦層(例えば小さな摩擦係数を有する層)が、少なくとも1つの変形可能要素と隣接する層(例えば、層32aおよび/または32b)との間に配置されてもよい。低摩擦層は、例えば、後述する壁構造49について説明したように、部分空洞間の流体分離を可能にし得る。摩擦係数は、例えば層32aおよび/または32bまたは層34aおよび/または34bの摩擦係数よりも10%、20%または50%小さくてもよい。変形可能要素22と隣接する層との間に作用する摩擦力は、変形可能要素22の変形に必要な力より小さくてもよい。減少した摩擦力に基づいて、例えばアクチュエータによって提供される力をより小さくできる。したがって、アクチュエータの電力をより小さく設計できる。さらに/あるいは、体積流量12に関する変形可能要素22の感度レベルを高めてもよい。
電気機械トランスデューサ18bおよび18cは、例えば、部分空洞42a(チャンバ)の側壁を形成する。電気機械トランスデューサ18a〜f の可動要素22は、要素46a〜cに強く固定することができる。基板14からの距離、または基板14の要素48a〜dからの距離は、変形可能要素22の撓み可能または可動端部52の間としてもよい。したがって、変形可能要素22の端部52は、自由に移動できるように配置することができる。1つ以上の変形可能要素22は、寸法比により、横方向24に沿って特に大幅に撓むことができる。例えばy方向に沿った延長に関連したx方向に沿った延長、単純に言うと、梁幅と梁高さの比と解される。例えば、電気機械トランスデューサ18a〜f がアクチュエータとして構成される場合、前記アクチュエータは、対応する信号が印加されることで、撓み可能、例えば、湾曲し、その結果、例えば、変形可能要素22の端部52は湾曲経路上で動く。前記経路での進行に従って、要素48a〜dのうちの少なくとも1つは、変形可能要素22が撓んでも、要素48a〜dと端部52との間の距離は、ほぼ一定のまま、さらに/あるいは小さくなるように構成されてもよい。
MEMSトランスデューサ20は、少なくとも1つの壁構造49を備えてもよい。アクチュエータ、電気機械トランスデューサ18a〜eまたは変形可能要素の動きは、例えば、チャンバ42a〜bに影響し得る。すなわち、例えば、動きにより生じた、チャンバ38a〜cを満たすような流体の流れにより、隣接するチャンバへの流体機械結合が生じ得る。この流体機械的結合に基づいて、部分空洞42aと38bとの間に流体の流れ57が生じ得る。前記直接結合および/または流体の流れ57を低減または防止するために、動かないように設計され得る1つ以上の隔壁(壁構造49)を配置して、隣接するチャンバ38および42対を分離することができる。壁構造は、層34a、36、および34bと一体的に形成される要素として、例えばそれぞれの場所で簡単な方法で実現されてもよい。例えば、そのような構造は、選択的エッチングプロセス中に存在し続けてもよい。加えて、壁構造49は、MEMSトランスデューサ20の機械的安定性を高め、個々の層間の結合処理を容易にし得る。少なくとも1つの壁構造49は、開口部を備えるか、または一体に設計されてもよい。これにより、チャンバ38a〜cおよび42a〜bに対する流体の出入りによる減衰を、選択的に調整可能となる。具体的には、共振曲線の幅、ひいてはアクチュエータ/チャンバシステムの動的特性が設定される。
図2bが図1と一緒に考慮される場合、空洞16および/または複数の部分空洞38a〜cおよび42a〜bの体積は、基板14の層32aおよび32bならびに側方領域53aおよび53bによって影響または決定され得る。側方領域53aおよび53bは、層32aおよび32bの間に配置されてもよい。電気機械トランスデューサ18a〜cの変形可能要素は、少なくとも横運動方向24の一部55内で、第1層32aおよび/または32bと平行な動きを実行するように構成され得る。したがって、変形可能要素が層32aと32bの間で変形または移動してもよい。
空洞または部分空洞の共振周波数は、体積の形状、電気機械トランスデューサの制御周波数、および/または変形可能要素の機械的共振周波数に影響され得る。例えば壁構造49により、低摩擦層が配置されることにより、または異なるMEMSトランスデューサに配置されることにより少なくとも部分的に互いに流体的に分離された(部分)空洞は、それぞれ異なる共振周波数を有し、さらに/あるいは例えば制御デバイスによって異なる周波数で制御され得る。異なる制御周波数および/または異なる共振周波数に基づいて、マルチパススピーカが得られ得る。空洞の共振周波数は、例えば空洞共振器またはヘルムホルツ共振器の分野で利用される。
図2cは、MEMSトランスデューサ20の概略斜視図を示す。ここで、電気機械トランスデューサ18a〜f は、変形可能要素が変形状態にある。例えば、変形可能要素は最大撓みまで撓む。図2aの記載と比較すると、部分空洞42aの体積は、変形可能要素(梁)の変形(曲げ)に基づいて減少する。例えば、層34aおよび34b(スペーサ)の厚さ(z方向または厚さ方向に沿った寸法)が小さい場合、電気機械トランスデューサ18a〜f の移動中に生じる変形可能要素および/または電気機械トランスデューサ18a〜f のバイパス流は無視できる程度であり得る。電気機械トランスデューサ18a〜f と基板(例えば要素48)との間の距離でも同様であり得る。変形可能要素の変形に基づいて、図2aおよび2cの部分空洞42aの体積の差に対応し得る流体の体積(例えば空気体積)は、例えば流体流(体積流量)12の形で、MEMSトランスデューサ20の周囲に排出され得る。
第1および第2スペーシング層34aおよび34bがz方向に沿って中間層36に配置された際のスペーシング層34aまたは34bのz方向の寸法は、最小1nmから最大1mm、好ましくは最小20nmから最大100μm、または特に好ましくは最小50nmから最大1μmの範囲の値をとり得る。例えば、スペーシング層34aおよび34bのz方向の寸法が、z方向に沿った電気機械トランスデューサ18a〜f の寸法と比較して小さい場合、変形可能要素の変形時に、電気機械トランスデューサ18a〜f の周りを、第1側から第2側(例えば、+x方向から−x方向、またはその逆)に迂回する流体流57の量は、空洞内の体積流量12の量よりも小さくなり得る。
バイパス流および/または流体流57は、例えば、電気機械トランスデューサ18a〜f が動いている領域内から、スペーシング層34aおよび/または34bが少なくとも部分的に除去されることに基づいてもよい。簡単に言うと、電気機械トランスデューサと隣接する層との間の距離に基づいて、可動要素の周りに流体が流れ得る(流体損失)。前記流体の流れは、体積流量12と比較して小さくてもよい。例えば、体積流量の10分の1、15分の1、または20分の1未満であり得る。
電気機械トランスデューサは、対として互いに近づいたり離れたりしてもよい。例えば、電気機械トランスデューサ18aおよび18bは、図2bに示される状態から、対として互いから離れるように移動し得、続く期間で対として互いに向かって移動し得る。同時に、例えば、電気機械トランスデューサ18bおよび18cは、対として互いに向かってまたは離れるように移動することができる。電気機械式トランスデューサのこのような動きは、各場合において各対で相補的に生じ、トランスデューサが互いに隣接して配置されていない場合にも可能である。これにより、慣性に対する少なくとも部分的または完全な補償が実現される。その結果、MEMSトランスデューサ内で生じるさらに/あるいはMEMSトランスデューサからその周囲に伝達される振動が少なくなるか、なくなる。
言い換えると、これまでに説明したチャンバ手法の特定の特徴は、アクチュエータが反周期的に、対になって互いに向かって移動する、さらに/あるいは離れるように常に移動することに基づく。したがって、(各チャンバ壁を制限する両方の能動的な曲げアクチュエータがそれに応じて慎重に設計されると)、補聴器またはインイヤーヘッドフォンとしての使用を妨害し得る振動が発生しない。
体積流量(流体流)12は、例えば、開口部26aおよび/または26bを通過し得る。開口部26aおよび26bは、同一に構成されてもよく、または隣接する部分空洞38aおよび/または42aの形状に合わせてもよい。開口部26aは、例えば、軸方向(例えば、y方向)に沿って断面(例えば、x方向に沿った寸法)が可変であり得る。x方向に沿った開口部26bの寸法は、MEMSトランスデューサ20の内部に向かう方向、すなわち空洞または部分空洞42aに向かう方向で減少し得る。さらに/あるいは、開口部26は、さらなる方向、例えば軸方向yに垂直なz方向(厚さ方向)に沿って寸法または断面が可変であり得る。可変断面は、MEMSトランスデューサ20の外側から空洞16に向かって減少し得る。1つ以上の方向xおよび/またはzに沿って、MEMSトランスデューサ20の外側から空洞16に向かって、開口部26のテーパ状となる断面または減少する寸法は、漏斗状開口部とも称される。
漏斗状であり得る開口部26bは、インピーダンス整合のためのデバイスとして利用することができる。例えば、MEMSトランスデューサ20をスピーカとして使用する場合、インピーダンス整合が有利である場合がある。開口部26bの形態または幾何学形状は、数センチメートルの寸法を有する大きめのスピーカと同様に設定され得る。開口部26bの形状は、漏斗の外表面積によって実際の音放射が規定されることを可能にし得る。開口部26bは、例えば、パターン層34a、36および34b内に一体的に形成されてもよい。少なくとも1つの棒要素44を含む棒格子54は、棒要素44間および/または棒要素44と隣接基板との間の開口部および/または間隙を含むことができる。間隙は、その間を流体が流れることができるように形成されてもよい。
棒格子54は、MEMSトランスデューサ20の空洞を、粒子の侵入から保護し得る。棒格子54の開口部の幅、すなわち、棒要素44間の距離は、流体関連の観点で、流体流量12が所望の程度に影響されるかまたは影響されないように構成され得る。例えば、または理想的には、棒要素44間の距離は、MEMSトランスデューサ20内の最小間隙距離よりも小さくてもよい。これにより、棒格子は、関連粒子を多数または場合によってはすべてフィルタリングすることができる。間隙距離は、例えば、層32aまたは32bからの変形可能要素18a〜cの距離を表し得る。棒要素44間の距離は、例えば、5μm未満、1μm未満、0.1μm未満、または0.05μm未満であってもよい。
空間方向に沿った棒要素44の寸法は、棒要素44が可聴音範囲内、すなわち少なくとも16Hzから最大22kHzの周波数範囲内で共振を含まないように実現されてもよい。たとえ棒要素44が、(例えば、開口部26aまたは26bがx方向に沿った最大寸法を含む領域内で)MEMSトランスデューサ20の外側に配置されるように描かれているとしても、1つ以上の棒要素は、開口部26aまたは26bの異なる位置(例えば、開口部26aおよび/または26bのテーパ領域内)に配置してもよい。
変形可能要素の変形により、部分空洞42aの体積が減少し得る。同じ期間内に、チャンバ(部分空洞)38aの体積が増加し得る。部分空洞42aと同じようにまたは同様に、部分空洞38aは、漏斗形状の開口部26bおよび/または1つ以上の棒要素44を含む棒格子54を介して、MEMSトランスデューサ20の周囲に接続されてもよい。電気機械トランスデューサ18a〜f は、異なる周波数oのうちの1つで制御されるように構成され得るか、またはそれを含み得る。各部分空洞の体積は、異なる周波数または少なくとも部分的に同一の周波数で変化し得る。
開口部26aおよび開口部26bは、互いに空間的に対向するように配置されたMEMSトランスデューサ20の各側面にまたは各側面内に配置することができる。例えば、体積流量12は、開口部26aまたは26bを含む片側の部分空洞42aおよび/または38aまたはそのような複数の部分空洞によって、それぞれ排出または吸引され得る。したがって、流体流量12が反対方向に生成され得る。例えば、第1期間中に、体積流量12は、−y方向に開口部26aから排出され、部分空洞38aに吸い込まれ得る。第2期間中に、この方向は逆転し得る。したがって、MEMSトランスデューサ20に沿って発生する流れ短絡を防止または除外することができる。
電気機械トランスデューサ18a〜f の変形可能要素(梁)は、外部から供給される信号に従って湾曲するように構成されてもよい。湾曲が生じる周波数は、体積流量12が生成および/または振動する周波数に影響するまたはそれを決定する可能性があり、最終的に音響周波数に影響するまたはそれを決定する可能性がある。供給される信号を介して決定される振動の振幅(1つ以上の共振周波数に対する)は、体積流量12の振幅に影響するまたはそれを決定する可能性があり、したがって音レベルに影響し得る。
また、少なくとも1つのチャンバ(空洞または部分空洞)が検知要素として機能し、別のチャンバが作動要素として機能してもよい。したがって、MEMSトランスデューサは少なくとも1つの感知変形可能要素と少なくとも1つの作動変形可能要素を含むことができる。梁の動きは検出され、評価される。例えば、電気機械トランスデューサ18aおよび18bは、アクチュエータとして制御され得、一方、電気機械トランスデューサ18cおよび/または18dは、流体内の検出のためのセンサとして使用され得る。静電(容量)、圧電、またはピエゾ抵抗センサ要素を検出用に一体化してもよい。そのような要素は、マイクロフォンおよび/または圧力センサとして使用されてもよい。そのような一体化されたマイクロフォンおよび/またはそのような圧力センサはまた、スピーカチャンバ(アクチュエータ)および/または超音波送信機チャンバおよび/またはポンプチャンバの特性をチェックおよび制御するために使用され得る。この目的のために、付随する電子回路が制御回路として使用される。
電気機械トランスデューサまたはアクチュエータのさらなる実施形態を以下に説明する。MEMSトランスデューサ20は、撓みなし(または非作動)状態では変形可能要素が撓んでないように説明されたが、状態の内容を置き換えることもできる。すなわち、最初の非作動状態で、変形可能要素が変形または湾曲し、制御信号に基づいて、より湾曲が少ない状態、より大きく湾曲した状態、または直線状態になり得る。
上記の説明においては、制御デバイスにより電気信号がMEMSトランスデューサ20に提供されるが、体積流量12も、変形可能要素を変形させ得る。しかし、変形は、MEMSトランスデューサ20に印加される電気信号によって実現することもできる。すなわち、MEMSトランスデューサ20はセンサとしても構成できる。
変形可能要素の有利なさらなる展開を以下に説明する。1つ以上の電気機械トランスデューサは、以下で説明するさらなる展開に係る変形可能要素を備えてもよい。
図3は、バイモルフとして構成された変形可能要素30の概略斜視図を示す。変形可能要素30は、少なくとも数点で、好ましくはそれらの表面積全体にわたって互いに強固に接続された第1層56および第2層58を備える。第1層56および第2層58は、変形するように構成されている。例えば、機械的、物理的、または化学的作用に基づいて、様々な程度に膨張または収縮する。例えば、層56および58は、互いに異なる熱膨張係数を有し得る。さらに/あるいは、層56または層58は、対応する層に提供される電気信号に基づいて膨張または収縮するように構成されてもよい。例えば、前記層は圧電材料を含んでもよい。
層56および58の異なる収縮または膨張により、作動方向59または59’に沿って変形可能要素30が変形し得る。作動方向は、横運動方向24と平行であってもよい。作動方向は、正の電圧を印加された変形可能要素30が撓む方向であり得る。
さらに/あるいは、例えば変形可能要素30の横方向の収縮または横方向の膨張および/または任意の層の収縮または膨張に基づく、さらなる横運動方向24’に沿った変形も利用可能であり得る。したがって、変形可能要素30が、その梁構造とともに、梁構造の軸方向(例えば、y方向、または面内)に沿って湾曲するように構成され得る。これは、往復運動、すなわち、横運動方向24に沿った運動と反対方向に沿った運動に基づいて実現され得る。
言い換えると、バイモルフは2つの層で構成される梁に対応し得る。層は、例えば互いに一方向(例えば垂直)に配置される。受動層(例えば、層56)は、能動層(例えば、層58)に固定的に接続されてもよい。適切な信号を印加することにより、能動層58内に機械的張力が生成され、その結果、層58の収縮または膨張が生じる。層58の長さ変化の方向は、バイモルフが一方向(収縮)または他の方向(膨張)に横方向に湾曲するように選択されてもよい。
図4aは、図3を参照して説明したバイモルフ構造を3つ(30a〜c)含む変形可能要素40の概略斜視図を示す。x、yおよびz方向に沿った変形可能要素40の空間的概略配置は、例えば変形可能要素40がMEMSトランスデューサ10または20内にどのように配置され得るかに関して、例示的に示されている(すなわち限定的ではない)。変形可能(部分)要素30a〜cは、x、y、またはz方向に沿って、互いに異なる寸法を有してもよい。例えば、変形可能要素30aおよび30cは、y方向に沿って等しく膨張し得る。変形可能要素30a〜cの作動方向59a〜cは、例えば互い違いであってもよく、揃っていてもよい(例えば+/−/+x方向)。簡単に言うと、これは、変形可能要素30aおよび30cの長さが等しいとも理解され得る。変形可能要素30bは、これらとは長さが異なっていてもよい。例えば、変形可能要素30bの長さは、要素30aまたは30cの対応する長さの倍であってもよい。さらなる実施形態によれば、さらなる要素、(例えば、ばね要素)がさらに、変形可能要素30a〜cの間に配置されてもよい。
同一または同等の量(例えば、電圧の符号)の印加時に変形可能要素30a〜cが撓む方向は、変形可能要素40の長さに沿って互い違いであり得る。したがって、湾曲が交互に生じ得る。変形可能要素40が3つの変形可能要素30a〜cを含むように示されているが、2つの変形可能要素または4つ以上の変形可能要素30が配置されることも可能である。
図4bは、撓んだ状態の変形可能要素40の概略斜視図を示す。層58a〜58cは、例えば、複数の湾曲が軸方向(y方向)に沿って進行するように生じるように収縮される。
換言すれば、図3に示された3つの梁は、それらの膨張方向に互いに隣接するように配置され得る。すなわち、対応する信号により、第1梁と第3梁(30aおよび30c)が第1方向に反り、第2梁(30b)が他の方向に反る。このようにして、図4aに示すように信号が印加されていないときに示す直線的な形状から、対応する信号の印加により、図4bに示すようにS字形に変形するアクチュエータが得られる。信号ありと信号なしによる構成は入れ替え可能である。例えば、各場合において、変形可能要素30は、印加される信号に基づいて、変形可能要素(複数可)30および/または40の曲率の減少または直線延長が生じるような、事前撓みまたは付勢が実現されてもよい。例えば、各梁30a〜cの曲率は、正負符号以外は同一であり、第1および第3の梁30aおよび30cの長さは、それぞれ変形可能要素の全長の約4分の1に相当し、中央梁30bの長さは、変形可能要素40の長さのほぼ半分に相当すると仮定できる。
図4cは、両側で固定され、部分空洞38が変形可能要素間に配置されるように互いに隣接して配置された2つの変形可能要素40aおよび40bの配置の概略上面図を示す。実線は、例えば、変形可能要素40aおよび40bの作動状態を示し、一方、破線は、非作動状態を示す。このような変形可能要素の状態は、入れ替え可能である。製造に関する要因で、非作動状態は任意の形態をとり得るためである。
変形可能要素40aおよび40bは、非作動状態でそれぞれ湾曲するように構成されてもよい。さらに、変形可能要素40aおよび40bはそれぞれ、作動中に互いに対して湾曲する3つのセグメント30a−1〜c−1、および30a−2〜c−2から形成されてもよい。各セグメント、例えば中央セグメント30b−1または30b−2は、2つ以上のセグメントから形成されてもよい。図4aおよび図4bの記載と比較すると、セグメント30a−1、30b−1および30c−1は、長さが互いに、そしてその他あらゆるセグメントと異なる。長さは、作動時に求められる所望の形状に適応可能であってもよい。S字型アクチュエータは、大きな平面充填率を実現するだけでなく、処理中に両側で固定できるという大きな利点を発揮する。両面固定により、層張力勾配に起因する技術的に回避することのできない、梁の事前撓みを大幅に低減できる。したがって、基板の下蓋と上蓋からの距離を極めて小さく保つことができる、これにより流量/圧力損失が大幅に減少し、その結果、スピーカ、超音波コンバータ、マイクロフォン、ポンプの効率が大幅に向上するだけでなく、状況によってはそれらの機能を実際に正しく発揮することを可能とする。さらなる実施形態によれば、例えばMEMSトランスデューサ10内に、変形可能要素40の1つのみを配置することも可能である。
図5は、MEMSトランスデューサ50の概略上面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜cは、MEMSトランスデューサ20と異なる構成を有する。電気機械トランスデューサ18a〜cは、第1および第2変形可能要素22aおよび22b、22cおよび22d、22eおよび22fをそれぞれ含む。変形可能要素は、互いに対向して配置される。梁要素の撓み可能な端部は、互いに対向して配置される。変形可能要素22a〜fが基板に接続される領域は、互いに反対側を向くように配置される。
電気機械トランスデューサ18a〜cはそれぞれ、変形可能要素22aと22b、22cと22d、22eと22fにそれぞれ接続されたプレート要素62a〜cを含む。各プレート要素62a〜cは、それぞれの変形可能要素22a〜fの撓み可能な端部に接続されてもよい。
変形可能要素22a〜fはそれぞれ、部分的にまたは完全に変形可能要素30または40として構成されてもよく、または異なる構成を有してもよい。変形可能要素22aおよび22b、22cおよび22d、ならびに22eおよび22fのそれぞれ異なる種類の網掛け(ハッチング)がされており、互いに異なるように変形することが示されている。電気機械トランスデューサ18a〜cの変形可能要素は、変形可能要素22a〜fのそれぞれの形態に係らず、同じ空間方向に沿って撓み可能な端部の撓みを実現するように配置されてもよい。
例えば、図5に示される非撓み状態から、制御により、変形可能要素22aおよび22bの撓み可能な端部が+x方向に沿って移動され得る。加えて、変形可能要素22cおよび22dの制御により、それぞれの撓み可能要素を−x方向に沿って撓みさせ得る。これにより、プレート要素62aおよび62bは、前記制御中に互いに向かって移動することができる。そのようなプレート要素の移動により部分空洞42aのサイズが縮小される。さらに/あるいは、空洞42a内の負圧により、プレート要素62aおよび62bが互いに向かって移動し、変形可能要素22a〜dの変形が実現され得る。さらに/あるいは、電気的に受動的な1つ以上の変形可能要素22a〜dを実現することもできる。例えば、電位を、1つ以上のプレート要素62a〜cにかけてもよい。プレート要素62aと62bの電位に基づいて、プレート要素62aと62bとの間の引力または反発力が生じる。これにより、プレート要素62aおよび62bに動きが生じ、したがって、変形可能要素22a〜dの変形が生じる。さらに/あるいは、変形可能要素22c〜fおよび/またはプレート要素62bおよび62cは、変形可能要素22c〜fの変形および部分空洞38a内の体積変化を実現するように、同時に、または時間をずらして制御されてもよい。
言い換えると、図5は、図2a〜図2cに示された構成の変形例を示し、それぞれ4つの曲げ梁22a〜dおよび22c〜fが、各チャンバ(空洞42aおよび38a)を狭めるおよび/または広げるために使用される。図2a〜図2cに関連して、これは各場合において、2つの曲げ梁(変形可能要素)に基づいて説明される。図5は非作動状態を示す。作動状態と非作動状態を入れ替えることができる。例えば、各制御可能な変形可能要素は通常、信号が適用されないときに変形し、その変形は、特殊な場合として直線(非撓み)状態も含まれるように、信号に基づいて変動し得る。
互いに垂直に(例えば、y方向に沿って)対向する曲げ梁、例えば変形可能要素22aおよび22b、ならびに22cおよび22dはそれぞれ、要素64aおよび64bを含む曲げ可能なウェブを介して互いに接続され得る。このようにして得られたウェブの中央領域には、比較的硬い延長部である要素66が配置されていてもよい。一方で、前記要素66は、プレート要素62bが設けられてもよい。プレート要素62bは剛性であるか、可能な限り剛性であるように構成される。対応する信号が印加されると、プレート要素62a〜cは、部分空洞の体積をそれぞれ減少または増加させるように、互いに近づくまたは離れるように同時に移動し得る。プレート要素の同時移動により、極端な場合、部分空洞42aの体積をゼロにすることができる。これはプレート要素62aと62bが互いに接触することを意味する。このような構成によると図2a〜図2cを参照して説明した構成と比較して、MEMSトランスデューサ20の体積流量より確実に大きい流体の体積流量を実現できる。部分空洞42aの体積が減少すると、それに応じてまたは少なくともそれに基づいて部分空洞38bの体積を増加させることができる。流体の供給は、MEMSトランスデューサ20に関連して説明したように、それぞれ開口部26a、26b、および26cを介して行われ得る。要素64aおよび64bは、ばね要素とも称され得る。
変形可能要素(曲げ梁)22aおよび22bは、信号が印加されたときに右(+x方向)に向かって湾曲するように設計されてもよい。変形可能要素22cおよび22dは、信号が印加されたときに左(−x方向)に向かって湾曲するように設計されてもよい。両方の種類の梁(変形可能要素の網掛け)は、例えば図3または4のように、第1信号が印加された場合に湾曲し、第2信号が印加された場合に反対方向に湾曲するように設計され得る。この場合、梁の曲げによる機械的復元力とは関係なく、チャンバ(部分空洞)を元のサイズに狭めることと広げることの両方を実現できる。第1および第2信号は、例えば、それぞれ正および負の電圧であり得る。例えば、図3を参照すると、層56および58はそれぞれ能動層であってもよい。さらに/あるいはさらなる能動層が、層58から離れて面する側の層56に配置され得る。両方の能動層は、一方または他方の方向の撓みを実現するために、互いに個別に配向されてもよい。
2つの対向する変形可能要素(例えば、変形可能要素22cおよび22d)と、それらに接続されたプレート要素62bとの間の体積も、曲げ梁の移動または変形により変化し得る。例えば、プレート要素62は剛性に構成されてもよい。圧力の均一性向上のため、変形可能要素22cおよび/または22d、および/またはプレート要素62bを変形可能要素22cおよび22dに接続する接続要素64および/または66を局所的に薄くして、局所的流路を提供することができる。これは、例えば、追加のパターニングまたはエッチングによって実現され得る。接続要素64a、64b、および66は、T字配置にしてもよい。接続要素66は、要素64aおよび64bと比較して高い剛性を有し得る。したがって、変形可能要素22cおよび22dの変形中、要素64aおよび64bは、それぞれのプレート要素が直線移動できるように変形することが好ましい場合がある。
図6a〜図6eを用いて、プレート要素62aおよび62bがそれぞれ対向配置された変形可能要素22aおよび22b、ならびに22cおよび22dに接続される有利な実施形態を以下に説明する。
以下の説明では、プレート要素の各場合において同一に構成された変形可能要素への接続について述べるが、異なる電気機械トランスデューサおよび/またはプレート要素を形成するための個々の変形可能要素の組み合わせは、互いに異なるように構成されてもよい。以下で説明する詳細は、最終的な有利なさらなる実施形態を説明するものではなく、それ自体で、または互いに組み合わせて、またはさらなる有利な実施形態と組み合わせて実施することができ得る。
図6aは、直線状に構成されたばね要素68が、プレート要素62aおよび62bと、変形可能要素22aおよび22b、ならびに22cおよび22dそれぞれとの間に配置された構成の概略上面図を示す。ばね要素68は、変形可能要素22a〜dの材料またはプレート要素62aまたは62bの材料から形成されてもよく、さらに/あるいはこれら要素の1つ以上と一体的に形成されてもよい。例えば、ばね要素68は、プレート要素62aまたは62bに対して直角に配置されてもよい。
図6bは、ばね要素68’が、変形可能要素の撓み可能端部に対して90°未満の角度α(例えば30°または40°)で配置された代替構成を示している。これにより、図6aの構成よりプレート要素62aにおける接触点の距離を大きくとることが可能になり、その結果、移動中のプレート要素62aのたるみが減少し得る。
図6cは、ばね要素62aが90°を超える角度αで配置されている構成を示す。これにより、例えば、図6aに示された構成と比較して、ばね要素68の復元力が低下し得る。
図6dは、図6aの構成の変形例としての構成を示す。ここでは、ばね要素72aまたは72bが基板14の、電気機械トランスデューサ18aが隣接配置された、さらに/あるいは各変形可能要素が、基板14が接続される領域に設けられている。
ばね要素72aおよび/または72bは、基板14内の凹部(空洞)74aおよび/または74bによって少なくとも部分的に基づくものであってもよい。したがって、例えば、凹部74aまたは74bにより、基板14の剛性が局所的に低減され、その結果、ばね要素72aおよび/または72bが形成される。凹部74aおよび74bは、基板14内です隣接する変形可能要素22aおよび22c、ならびに22bおよび22dにまたがって延在するように描かれているが、凹部74aまたは74bは、単一の、またはいくつかの変形可能要素に隣接するように配置されてもよい。あるいは、基板14は、いくつかの凹部またはばね要素を備えてもよい。
言い換えると、図6dは、変形可能要素(梁)が取り付けられた屈曲ばね(ばね要素72aおよび72b)であるさらなる構造物が、引張応力のさらなる低減をもたらし得る構成を示す。そのような屈曲ばね要素は、例えば、図6eの構成に示されるように、および凹部76a〜dに関連して説明されるように、剛性プレートと一体化されてもよい。梁が撓んだ場合、前記要素はS字状に変形し、剛性プレートに作用する引張ひずみを低減し得る。
図6eは、電気機械トランスデューサ18aおよび18bの構成を示す。プレート要素62aおよび62bは、図6dに関連して説明した構成と比較して、プレート要素62aおよび/または62bがばね要素68を介して変形可能要素に接続されている領域に隣接する凹部76a〜dを含む。プレート要素62aおよび/または62bの、変形可能要素に面する側と、凹部76a〜dとの間の距離は、前記領域内のプレート要素62aおよび/または62bの剛性に影響し得る。凹部76a〜dは、変形可能要素22a〜dに作用する低減された復元力を可能にする。
言い換えると、図6a〜図6eは、可動要素および/または電気機械トランスデューサを実現する変形例を示す。前記変形例は、図5に関連して説明した構成とは、例えば/特に、図5に示す要素64aまたは64bがブレーシング66と組み合わされてばね要素68を形成するという点で異なる。図6aの構成は、図紙面(x/y平面)に垂直な軸に対するプレート要素62aおよび/または62bの寄生的な傾斜に対して剛性を向上し得る。図6bと図6cの構成についても同様である。さらに、3つの構成はすべて、図5の構成と比較して、曲げ梁をより大きく撓むことが可能にする。図5では、要素64aおよび/または64b(曲げ可能なウェブ)は、梁が撓むと引張応力を受ける。撓みが増加すると、引張応力により変形可能要素の梁撓みに対する機械的抵抗が増加し得る。図6a〜図6cの変形例では、それぞれ接続するばね要素68が曲げで応答し、これは、この要素の対応する構成を考慮すると、確実に機械抵抗が低くなることを表すことから、2つの変形可能要素の機械的接続は、確実に柔軟である(剛性が低い)ように構成されてもよい。
図5を参照して説明した接続要素/ばね68および/または要素/ばね64a〜64bは、湾曲した形状または蛇行した形状を有してもよい。これにより、適切な方向への柔軟性が向上する。図6dおよび図6eを参照して説明した構成は、変形可能要素の有効剛性をもたらす引張ひずみの低減を可能にする。図6a〜図6eに記載された構成は、入口および/または出口開口部26を省略する。前記開口部が配置される場合、基板内の凹部および/またはばね要素は、開口部が配置される領域で省かれてもよい。さらに/あるいは、少なくとも1つの凹部によって得られるばね要素72aおよび/または72bの1つ、いくつか、またはそれぞれを、2つ以上の相互に独立した独立したばね要素に基づいてプレート要素62aまたは62b内に設けることができる。
以下で説明する図7a〜図7cは、例として、変形可能要素およびプレート要素の可能な配置を説明するものである。
図7aは、プレート要素62に接続された変形可能要素40を示す。プレート要素62は、例えば、変形可能要素40に直接配置されてもよい。
図7bは、変形可能要素40aが基板14の間に固定的に挟まれ、横方向24に沿って変形するように構成された構成を示す。変形可能要素40およびプレート要素62は、その中に配置された2つのさらなる変形可能要素40bおよび40cを有し、それらの端部は互いに接続されてもよい。この接続に基づいて、変形可能要素40bおよび40cは、変形可能要素40bまたは40cの一方が他方に対して互いに反対に反るように並べられてもよい。例えば、変形可能要素40a〜cは、まとめて制御されてもよく、またはまとめて流体の体積流量に反応してもよい。例えば、変形可能要素40a〜cをまとめて制御することで、調整移動、例えばプレート要素62が撓む移動の増加が実現される。したがって、変形可能要素とプレート要素の間に、変形可能要素とまとめて制御されることで、変形可能要素の調整移動を増加させるように構成された少なくとも1つのさらなる変形可能要素を設けてもよい。
図7cは、電気機械トランスデューサ18の構成を示し、変形可能要素40a〜cは、中央領域に、変形可能要素40bと40cの間に存在する体積82をさらなる部分空洞(例えば部分空洞38a)に流体結合させる凹部70aまたは70bを含む。変形可能要素40a、40bおよび/または40cはそれぞれ、凹部78aおよび78bを提供するように2つの部分で構成されてもよい。さらに/あるいは、凹部78aおよび78bは、それぞれ変形可能要素40a、40bおよび40cのさらなる材料によって厚さ方向(z方向)に沿って囲まれた凹部として構成されてもよい。
言い換えると、図7aは、図4の駆動されたS字状曲げ梁を備えた構成を示しており、曲げ梁への接続部が剛性プレートの中央に配置されている。より撓みを大きくためには、いくつかの曲げアクチュエータを直列に並べて配置してもよい。図7bおよび図7cは、3つの直列に接続されたSアクチュエータの配置を概略的に示す。さらなる実施形態によれば、2つのSアクチュエータ(変形可能要素40)または3つ以上のアクチュエータを直列に接続することができる。図7a〜図7cの変形可能要素の網掛けは、例えば、図4で選択された網掛けに合わせて描かれている。網掛けの違いは、各部分の異なる湾曲方向を示し得る。図7cは、S字形アクチュエータの中心に、その間の空間(空洞82)の換気向上を可能にする開口部(凹部78aおよび78b)を含む構成を示す。
図7dは、電気機械トランスデューサの構成を示し、第1変形可能要素40aおよび第2変形可能要素40bは、y方向に沿って互いに平行に配置される。これにより、プレート要素62を撓ませるように作用する力の増大可能になる。変形可能要素の端部は、互いに接続されてもよく、または基板上に接合して配置されてもよい。あるいは、2つ以上の変形可能要素40aおよび40bを、例えばz方向(厚さ方向)のような異なる方向に沿って平行に配置することも可能である。さらに/あるいは、変形可能要素の直列接続と並列接続を組み合わせることも可能である。
可動要素は、大幅なまたは過度の撓みが発生した場合に、異なる可動要素または固定要素に接触する場合がある。これにより、固着が生じ得る。可動要素または固定要素には、好ましくは、接触面積の大幅な削減を可能とし、固着の低減または回避を可能にする近接要素(ボラード)を設けてもよい。いわゆるボラードの代わりに、ばね要素として構成された小さな構造物を配置することも可能である。固着を回避することに加えて、2つの要素が衝突するときに生じるパルスを回避できる。これにより、エネルギー損失を低減または回避でき、および/またはアクチュエータの動的挙動を改善できる。
図8aは、変形可能要素が基板および/または中間層36、および/または基板に接続されたアンカー要素84に交互に接続されたMEMSトランスデューサ80の概略斜視図を示す。例えば、変形可能要素22aは、中間層36の領域46および48において、端部で基板に固定的に接続され、変形可能要素40に関して例示的に説明したように、S字形の動きを実行するように構成される。隣接して配置された変形可能要素22bは、アンカー要素84に接続される。アンカー要素84は、変形可能要素22bの中央領域に配置され、スペーシング層34aまたは層32aで当該領域に接続されてもよい。したがって、基板がアンカー要素を備え得る。
変形可能要素22aまたは22bの可動端部に隣接して配置される中間層36の側壁は、変形可能要素22aおよび/または22bの移動パターンに基づいた形状を有してもよい。
図8bは、MEMSトランスデューサ80の概略上面図を示しており、スペーシング層34bおよび層32bは例示的に不図示となっている。MEMS80は、開口部26の領域に棒要素44を含む。領域48は、ばね要素72a〜cを含んでもよい。領域48は、例示的に、中間層36の上面図で描かれている。
アンカー要素84は、変形可能要素22bおよび/または基板の層と一体的に形成されてもよい。しかしながら、図8に示されるように、アンカー要素84は、層32aおよび32bを互いに接続するために、z方向に沿って、変形可能要素22bを越えて突出してもよい。これにより、層32aおよび32bを振動しにくくできる。あるいは、アンカー要素84は、機械的に変形可能要素22bとは異なる部品としておよび/または異なる材料で形成されてもよい。それに隣接して配置された変形可能要素22aは、例えば領域48または46において両側で基板に固定的に、例えば固定的または非固定的に接続される。
棒要素44間の距離85は、例えば、1μm未満、あるいは0.1μm未満または0.05μm未満であってもよい。
アンカー要素84は、変形可能要素22bの中央領域内に配置されてもよい。中央領域は、例えば、変形可能要素の幾何学的重心を含み得る。中央領域は、例えば、変形可能要素40の梁セグメント30bであってもよい。
図8cは、撓んだ状態のMEMSトランスデューサ80の概略斜視図を示している。変形可能要素22bの外側領域は、変形可能要素22aに向かう方向に移動し得るが、変形可能要素22aの外端の位置は、基本的に変化しない。変形可能要素22aの中心領域は、変形可能要素22bの方向に移動し得るが、変形可能要素22bの中心領域の位置は、アンカー要素84に基づいて基本的に変化しない。
図8dは、図8cを参照に説明したように撓んだ状態にあるMEMSトランスデューサ80の概略上面図を示す。図8bの図と比較すると、空洞42の体積は減少し、部分空洞38の体積は増加している。ばね要素72aは、変形可能要素22aへ印加される力を減少し得るが、配置されなくてもよい。基板の開口部26に隣接する第1部分空洞42は、第1電気機械トランスデューサと第2電気機械トランスデューサの梁構造の間、および/またはアクチュエータ22aと22bとの間に配置してもよい。
言い換えると、図8aおよび8bは、それぞれ、変形例の概略三次元表示および上面図を示している。この構造では、MEMSトランスデューサのチップ表面積を非常に効率的に活用することができる。図2a〜図2cを参照に説明した基本構成のように、曲げアクチュエータのみを、またはそれを主に使用することができる。すなわち、追加の剛性プレート要素を省略してもよい。図8aに示されるように、チャンバ42は、2つの撓んでいないSアクチュエータ22aおよび22bによって画定される。左側(−x方向)を画定するSアクチュエータ22aは、その両端で、図面の上部および/または下部における残りの構造要素に接続可能である(すなわち、+または−yに沿って)。右側を画定するSアクチュエータ22bは、ポスト(アンカー要素)84に取り付けられてもよい。前記Sアクチュエータの両端は自由に移動可能であってもよい。ポスト84は、上蓋32aおよび下蓋32bにそれぞれ固定的に接続されてもよい。信号が印加されると、両方のアクチュエータがS字型に変形する。図8aでは隠れている、凹部の影響を受けるばね要素72aは、張力緩和に供される。図8bの紙面内で、ばね要素72aは横運動方向24に沿って固定的に挟まれるように、横運動方向24に沿って要素48内に配置される。例えば、図8に示されるように、ばね要素72aは、スペーシング層34aおよび34bに、当該スペーシング層に基づいて固定接続されてもよく、挟まれてもよい。あるいは、層34aおよび34bは、ばね要素72aがスペーシング層34aおよび/または34bと接触しないようにパターン化されてもよい。これにより柔軟性を向上できる。
図8cおよび図8dに示すように、Sアクチュエータ22aの膨張は、Sアクチュエータ22aの中心がSアクチュエータ22bの中心に接触しそうになるほど、ポスト84に向かって移動するものであり得る。同時に、Sアクチュエータ22bの自由端も、Sアクチュエータ22aの固定された挟持部に向かって接触しそうになるほど移動する。両方のSアクチュエータの作動形状は、同一または略同一であってもよい。これにより、チャンバ42は、アクチュエータが十分に撓むと、実質的にまたはほぼ完全に閉じ得る。したがって、チャンバ42の元の体積のすべてが、体積流量を生成するため、または体積流量を検出するために使用され得る。チャンバ42の体積が減少する分だけ、チャンバ38の体積を増し得る。したがって、流れに影響を与える要素の寸法を適切に設定することで、動的効果により、チャンバ38および42の間で生じ得る過剰な圧力差が、アクチュエータ移動に影響することを防止できる。要素46および48は、アクチュエータ22bの自由端からの距離が、端部の撓みにかかわらず、小さく、さらに/あるいはほぼ一定であるように構成されてもよい。アクチュエータ22aのストレインリリーフを実現するために、上述のように、屈曲ばね要素72aが配置されてもよい。
上述の実施形態は、生じる流路内に配置されるさらなるアクチュエータを含んでもよい。さらなるアクチュエータは、例えば、電気機械トランスデューサ18のように、音を生成可能にするのに直接供されるのではなく、流れ特性を可変設定するように利用可能であり得る。したがって、例えば、減衰、すなわち共振曲線の幅は、構造要素(MEMSトランスデューサ)の動作中に各チャンバに必要に応じて柔軟に、かつ個別に適合させられ得る。
当初の推定として、従来技術による膜スピーカのアクティブ領域あたりの体積の変化(ΔV/A)は3.75μmと推定された。以下で説明するように、これは、アクティブ領域の推定値△V/Aを取得するために、マイクロ回路技術で有用な寸法を使用して、図8a〜図8cに示すMEMSトランスデューサに対して再推定され得る。この目的のために、アクチュエータの幅(図8aのx方向)の値は5μmと仮定される。ポスト84の幅も同様に5μmの値を有し得る。チャンバ38の側壁を形成するアクチュエータの距離(例えば、図8aおよび図8bの撓みなし状態)は、10μmであると仮定される。チャンバ42の側壁を形成するアクチュエータの距離(図8aおよび図8bの撓みなし状態)は、100μmであると仮定される。次に、体積流量の生成に使用されるアクティブ領域の割合を示す平面充填係数Fpは以下のようになり得る:
Fp=100/(5+100+5+10)=83%。
ΔV/Aは、次のように表され得る:ΔV/A=AxFph/A=Fph
上記の式では、hはチャンバの高さ(例えば、図8aのz方向)を示し得る。簡単に言うと、この目的のためにアクチュエータの高さのみを仮定してもよい。スペーシング層34aおよび34bの厚さは無視してもよい。膜スピーカの上記3.75μmと比較すると、アクティブ領域ごとに同じ体積流量を提供するために、アクチュエータの高さは3.75μm/Fp(つまり4.5μm)であればよいことは明らかである。追加のオーバーヘッドなしで微細機械技術で製造できるアクチュエータの厚さhが約50μmの場合、MEMS膜スピーカの値の10倍になり得る。
剛性プレートを一切使用せずに構成されたMEMSトランスデューサ80による実施形態では、プレートを含み、さらなる変形可能要素を変形可能要素とプレート要素との間に含み得る変形例と比較して、機械部品と機械的接続の数が確実に減少するため、寄生振動の処理または低減がかなり容易になり得る。例えば、図7bおよび7cに示すように、アクチュエータを直列に接続することは、より大きなストロークおよび/またはより大きな力を実現し得る。
図9は、積層体90の概略斜視上面図を示す。積層体90は、MEMSトランスデューサ80aを含み、MEMSトランスデューサ80aは、さらなるMEMSトランスデューサ80bおよび80cに接続されて積層体90を形成し、積層体90内に配置される。MEMSトランスデューサ80aおよびさらなるMEMSトランスデューサ80bおよび/または80cの電気機械トランスデューサは、まとめて制御可能であってもよい。したがって、チップの表面積を変えることなく、生成または検出され得る体積流量が増加する。積層体90は、MEMSトランスデューサ80a、80b、および80cを含むように説明されているが、他のMEMSトランスデューサ10、20、および/または50がこれらに加えて/替えて配置されてもよい。積層体90は3つのMEMSトランスデューサを含むと説明されたが、異なる数のMEMSトランスデューサ、例えば2、4、5、6個、またはそれ以上のMEMSランスデューサを含むことができる。積層体90内に配置されたMEMSトランスデューサおよび/または隣接するMEMSトランスデューサの空洞または部分空洞は、互いに接続されてもよい。空洞または部分空洞は、例えば、各MEMSトランスデューサ間の層に設けられた開口部を通じて接続されてもよい。電子回路17は、1つ以上のMEMSトランスデューサを制御するように、すなわち、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成され得る。したがって、積層体90は、少なくとも1つまたはいくつかの電子回路17を含むことができる。
言い換えれば、ウェハまたはチップ(MEMSトランスデューサ)は、例えばシリコン技術に基づいた接合方法によって積層できる。そのため、この場合、従来の膜スピーカとは異なり、体積流量がさらに増加し得る。積層する前に、個々のウェハまたはチップを薄くする技術を採用することで、積層体の高さを低くすることができる。そのような技術は、例えば、エッチングプロセスおよび/または研削プロセスを含み得る。
互いに隣接して配置された層32aおよび/または32bの層厚の削減は、前記層の一方または両方が除去される程度まで実行されてもよい。さらに/あるいは、積層体の高さを低減するため、特定の下蓋および/または上蓋(層32aおよび/または32b)が不要になるように製造処理が実行されてもよい。例えば、積層体90は、MEMSトランスデューサ80bおよび/または80cがそれぞれ層32bを含まないように構成され得る。
図10は、MEMSトランスデューサ100の一部の概略斜視上面図を示し、変形可能要素22a〜dは、基板14の側面間に配置されている。変形可能要素22aおよび22bは、アンカー要素84aを介して間接的に接続される。したがって、変形可能要素22aおよび22bの端部が基板(アンカー要素84aでも良い)に固定的に接続され、したがって(強く)固定され得る。したがって、変形可能要素22a〜dまたはさらなる実施形態に係る他の変形可能要素がそれぞれ梁構造を備え得る。梁構造は、第1端部および第2端部で固定的に挟まれてもよい。変形可能要素22a〜dおよび/または梁構造の端部を固定することにより、変形可能要素の事前撓み(例えば、層張力勾配による)の低減または大幅な低減が可能になる。したがって、蓋とアクチュエータの間の間隙がはるかに小さくなる。これは、いくつかの用途において、効率に関して非常に有利となる。
変形可能要素22a〜dは、例えば、各場合において両側で固定的に挟持される。固定された挟持は、基板14および/またはアンカー要素84aおよび/または84bに変形可能要素22aおよび/または22bを配置または生成することにより実現できる。破線88は、撓みなし状態を示す。一方、連続的な梁92は、変形可能要素22a〜dの撓み状態を示す。基板14の要素94aおよび94bにより、変形可能要素22a〜dがy方向に沿って位置決めできる。電気機械トランスデューサ18a〜cの対となる位置は、要素94aおよび94bに基づいて変位させることができる。互いに隣接しておよび/または対で配置される電気機械トランスデューサ18aおよび18bは、互いに反対に変形可能であってもよい。
変形可能要素22aおよび場合によっては反対側に位置する変形可能要素22cは、変形により部分空洞部位96aに影響を与え得(すなわち変形に基づき部分空洞部を増加または減少させ得る)、さらに/あるいは部分空洞部位96a内部の体積流量に基づいて変形するように構成され得る。変形可能要素22bおよび場合によっては反対側に配置された変形可能要素22dは、部分空洞部位96bに影響するように構成されてもよい。部分空洞部位96aおよび96bは、例えば、アンカー要素84aおよび84bの領域で互いに接続されてもよい。変形可能要素22a〜dの変形は、変形可能要素22aおよび22c、ならびに22bおよび22dがそれぞれ異なる周波数で変形するように生じてもよい。すなわち、部分空洞部位96a内の体積の変化が生じる周波数が、部分空洞部位96bの体積が変化する周波数と異なってもよい。例えば、MEMSトランスデューサがスピーカとして使用される場合、周波数が異なる体積の変化に基づいて、部分空洞の各部分内で異なる周波数が得られ得る。例えば、MEMSトランスデューサ100がマイクロフォンとして使用される場合、部分空洞部位96aおよび96bは、例えば、異なる共振周波数を有し得る。あるいは、さらなる部分空洞部位およびさらなる変形可能要素をy方向に沿って配置することができる。これにより、MEMSトランスデューサ100は、例えば、さらなる周波数を生成するか、さらなる共振周波数を含むことができる。
あるいは、変形可能要素22aおよび22bまたは変形可能要素22cおよび22dは、互いに直接接続されてもよい。例えば、アンカー要素は、変形可能要素22a〜dの変形に影響を及ぼすように、1つ以上の変形可能要素22a〜dの中央領域内に配置されてもよい。したがって、変形可能要素22aおよび22bは互いに直接接続され得る。あるいは、ばね要素または異なる要素を変形可能要素22aと22bとの間に配置することも可能である。
MEMSトランスデューサ100は、第1期間中に、開口部26から+y方向に体積流量12が生じ、続く、第2期間中に、開口部26から−y方向に体積流量12が生じるように構成され得る。
言い換えると、図10は、すべてS字形となり得るアクチュエータが配置された構成を示している。原理を説明するために、S字形アクチュエータは、図では作動状態(実線92)および非作動状態(破線88)の両方で提示され得る。作動状態と非作動状態は、設計によって入れ替え可能である。S字形アクチュエータ(変形可能要素22a〜d)は、それらの端部の一方(上端)および端部の他方(下端)の両方で固定されてもよい。この目的のために、アンカー要素84a〜bを使用してもよい。アンカー要素84a〜bは、層34a、36および34bから形成され、層32aおよび/または32bに接続されてもよい。この構成では、S字形アクチュエータの自由端と要素94aまたは94bとの間の距離は省略できる。これにより、バイパス流の損失が低減でき得る。最初の基板は、アクチュエータがそこから製造されるように処理されてもよい。前記最初の基板は、層張力勾配を含んでもよく、またはアクチュエータの製造中に層張力勾配が導入されてもよい。それによって生じる変形可能要素の撓みは、アンカー要素84aおよび/または84bが設けられることで低減または防止され得る。特に、変形可能要素を両側に懸垂することにより、層32aまたは32bの一方の方向への撓みを低減または防止することができ得る。したがって、スペーシング層34aおよび/または34bは肉薄に設計されてもよく、これにより、バイパス流の損失が低減され得る。各チャンバ(部分空洞部位96aまたは96b)は、2つのS字型アクチュエータによって画定されてもよい。図10の例では、2つのチャンバが直列に接続され得る。直列に接続されたチャンバの数は、音響特性、特にS字型アクチュエータおよび/またはアクチュエータチャンバシステムの共振周波数を考慮しながら、チップ上で利用可能になる表面積に基づいて選択可能であってもよく、1から多数の間で可変であり得る(例えば3、5、10個よりも多くてもよい)。
要素94aおよび94bが、任意に配置されてもよい。すなわち、MEMSトランスデューサ100は、この要素なしで構成されてもよい。例えば、アクチュエータの対応する部分が、電気機械トランスデューサおよび/または変形可能要素の特定の設計または制御のために撓まない場合、要素94aまたは94bによる基板14からの距離を省略できる。多S形状アクチュエータ(波状アクチュエータ)を構成してもよい。特に、長さが増加するにつれて梁の(変形可能要素の)共振周波数が低下し得るので、この配置に基づいて低共振周波数が実現できる。
図11aは、MEMSトランスデューサ110のセクションの概略上断面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜bは、図10の構成と異なり、基板14の横方向(例えばx方向)に対して斜めに配置されている。MEMSトランスデューサ100の延在と同一のy方向に沿った延在により、電気機械トランスデューサ18a〜bは、より長く軸方向に延在し得る。これにより、より大きな部分空洞部位96aおよび/または96b、および/または、より多数の直列接続された部分空洞部位および/または変形可能要素を実現できる。
変形可能要素の外側梁セグメント30aは、アンカー要素84を介してさらなる変形可能要素の外側梁セグメント30cに間接的に接続されてもよい。あるいは、梁セグメント30aおよび30cは、直に、すなわち直接互いに接続されてもよい。
言い換えれば、図11aは、図10の記載から、アクティブ領域が45°回転したさらなる実施形態を示す。さらに使用可能なチップの表面積が大きくなり得る。漏斗状の開口部26は、好ましくは音がチップ縁部領域に対して垂直に、すなわち+または−y方向に沿って放出されるように設計することができる。
上述の変形可能要素のそれぞれは、相互接続された複数の変形可能要素として形成されてもよい。
図11bは、例えばポンプとして使用され得るMEMSトランスデューサ110’の概略上断面図を示す。図11aのMEMSトランスデューサ110と比較すると、部分空洞部位96aおよび96bが、2つの開口部26aおよび26bを介してMEMSトランスデューサ110’の周囲に接続され得る。部分空洞部位96aおよび96bは、開口部26aを介してMEMSトランスデューサ110’の第1側面97aに接続されてもよく、開口部26bを介してMEMSトランスデューサ110’の第2側面97bに接続されてもよい。第1側面97aと第2側面97bとは、例えば、反対側に位置するように配置されてもよい。あるいは、側面97aおよび97bはまた、互いに傾斜してもよい。例えば、側面97aまたは97bの一方は、MEMSトランスデューサ110’の側面を含んでもよく、他方の側面97bまたは97aは、MEMSトランスデューサ110’の主側面(例えば、上面または底面)を含んでもよい。
変形可能要素22a〜dの変形に基づいて、第1側面97aから第2側面97bへ、またはその逆に流れる流体が、MEMSトランスデューサ110’を介して生成可能であり得る。例えば、第1期間中に、変形可能要素22aおよび22cが変形し、部分空洞部位96aの体積が減少し得る。第2期間中に、部分空洞部位96bの体積が減少し得る。体積の減少または増加の順序に、体積流量12の方向が影響され得る。あるいは、いくつかの部分空洞部位を前後に配置すること、または1の部分空洞部位のみを配置することも可能である。
簡単に言うと、スピーカと同様、体積流量12が往復するのではなく、MEMSトランスデューサを流れる際の原理に従って体積流量12が生成されて、ポンプの機能が実現され得る。MEMSトランスデューサの入口側および出口側は、互いに反対側に配置することができるが、代替的に、互いに傾斜して配置するか、同じ側に配置し、互いに位置的または流体的に離間させることもできる。部分空洞部位96aおよび96bを含む空洞は、基板の開口部26aおよび26bを含むことができる。電気機械トランスデューサ18aまたは18bの少なくとも一方は、流体に基づいて体積流量12を提供するように構成されてもよい。例えば、電気機械トランスデューサ18aまたは18bの少なくとも1つは、電気機械トランスデューサの作動に基づいて、流体を第1開口部26aを通じて空洞に向かう方向に搬送するか、同作動に基づいて、流体を第2開口部26bを通じて空洞から離れる方向に搬送するか、あるいはこれとは逆に搬送するように構成されてもよい。
ポンプ機能はMEMSトランスデューサ110’に関連して説明されているが、ここで説明される他の実施形態も、空洞、部分空洞または少なくとも1つの部分空洞部位の開口部の配置により、例えば、ポンプまたはマイクロポンプとしても使用可能であり得る。
変形可能要素22aおよび22eが同時に撓む場合、負圧(あるいは過圧)が介在体積内に生じ、この圧力が変形または撓みを打ち消す。体積は例えば層32aおよび/または32bに開口部を有してもよい。これにより、前記体積内の圧力均等化が実現できる。これにより、MEMSトランスデューサ110’のより効率的な動作が図られる。
図12aは、例えば第1状態でMEMSポンプとして使用され得るMEMSトランスデューサ120の概略図を示す。MEMSトランスデューサ120は、例えば、2つの変形可能要素22aおよび22bを備え、これらは梁構造を有し、両側で基板14に挟持または固定して挟持される。あるいは、MEMSトランスデューサ120は、1つの変形可能要素または3つ以上の変形可能要素で構成されてもよい。
図12bは、第2状態のMEMSトランスデューサ120を示す。少なくとも1つの変形可能要素22aおよび/または22bの変形に基づいて、図12aに示す第1状態から第2状態に遷移できる。変形可能要素(複数可)の形状復元に基づいて、第2状態から第1状態に遷移できる。第2状態において、例えば、変形可能要素22aと22bとの間の部分空洞38が、第1状態と比較して大きい。第1状態から第2状態への遷移中に、部分空洞38内に負圧が生じ得る。第2状態から第1状態への遷移中に、部分空洞38内に負圧が生じ得る。
変形可能要素22aおよび22b、ならびに基板14は、それぞれの間に部分空洞42aおよび42bが配置され、その体積は、変形可能要素の変形により、部分空洞38の体積と相補的に減少または増加し得、さらに部分空洞38に対して相補的に、過圧または負圧が実現され得る。
各開口部26の領域に、バルブ構造85a〜fが配置されてもよい。1つ以上のバルブ構造85a〜fは、例えば、基板14の材料から形成され得る。バルブ構造は、基板14の1つ以上の層と一体的に形成されてもよく、例えば、エッチングプロセスによって製造されてもよい。
バルブ構造は、少なくとも一方向に沿って開口部26を通る体積流量12の通過を妨げる、すなわち減少または防止するように構成されてもよい。例えば、バルブ構造85b、85d、および85fは、それぞれの部分空洞からの流体の流出を低減または防止するように構成されてもよい。さらに/あるいは、バルブ構造85a、85cおよび85eは、それぞれの部分空洞への流体の進入を低減または防止するように構成されてもよい。1つ以上のバルブ構造85a〜fは、受動的に構成されてもよい。すなわち、片側が固定された曲げ梁構造または舌状構造として構成されてもよい。さらに/あるいは、1つ以上のバルブ構造85a〜fは能動的に構成されてもよい。すなわち、電気機械トランスデューサまたは変形可能要素として構成されてもよい。簡単に言うと、バルブ構造85a〜fとMEMSトランスデューサの他のアクチュエータ(電気機械トランスデューサ)を作動可能であり得る。
バルブ構造85dは、例えば、バルブ構造85cにより部分空洞38への体積流量12の流入が低減または防止された状態で、部分空洞38内の負圧に基づいて体積流量12が部分空洞38に流入できるように構成することができる。図12bに示すように、部分空洞38内に過圧が生じる場合、バルブ構造85dにより部分空洞38からの体積流量12の流出が減少または防止された状態で、バルブ構造85cは、過圧に基づいて体積流量12が部分空洞38から流出することを可能にするように構成される。
バルブ構造85a、85b、および85eおよび85fの機能は、それぞれ、部分空洞42aおよび42bと同一または同等であり得る。バルブ構造85a〜fは、逆止弁とも呼ばれ、それらは、例えば、体積流量12の好ましい方向の設定を可能にする。
MEMSトランスデューサは、例えば、体積流量が、部分空洞38、42aおよび42bから同じ方向(+y方向)に沿って、第1状態と第2状態との間で遷移が生じる異なる期間中に流れるとように説明した。ただしバルブ構造は、体積流量が少なくとも1つの部分空洞38、42aまたは42bから異なる方向(例えば−y方向)に沿って流れるように配置されてもよい。
バルブ構造85a〜fが各開口部26に配置されるようにMEMSトランスデューサを説明した。しかし、バルブ構造を開口部26に配置しないか、または一部の開口部26にのみ配置してもよい。
バルブ構造は、逆止弁として機能するように受動的に構成してもよいが、バルブ構造は能動的に構成してもよい。つまり、制御可能で、その制御に基づいて、アクチュエータに関してバルブの開閉状態を実現してもよい。特に、各場合において1つの部分空洞に関連する2つのバルブ構造85aおよび85b、85cおよび85d、または85eおよび85fは、例えばMEMSトランスデューサに接続された制御手段によって、圧力パルスが体積流量12内で生じるようにして制御することができる。例えば、電気機械トランスデューサ18の作動は、部分空洞42a、42b内部の流体内に過圧または負圧が蓄積され、その後にのみバルブ構造85a〜fの開放が制御されるように行われ得る。
言い換えると、そのような圧力パルスを利用すれば、短い圧力パルスによって低周波音波に近似することができる。前後に直列に配置された複数のチャンバを使用することにより、上述の効果がほぼ連続的に発生する。これは、互いに平行に隣接するチャンバでも可能である。図12aは、非作動状態の例を示しており、各チャンバには、上部および底部に、それぞれアクティブになるように構成され得る1つのバルブが設けられている。各バルブは個別に開閉できる。部分的な開閉も可能である。バルブ梁は、可動側壁、すなわち変形可能要素と完全に同じように設計および/または動作してもよい。したがって、それらは同じまたは同一のアクチュエータ原理に基づいていてもよい。これに関連して、前記バルブ曲げ梁は、両方向に移動可能に、および/または流体の流れに応じて(曲げアクチュエータバルブによって加えられる対応する反力によって)開口部を閉じるように構成されてもよい(すなわち、移動に必要な非常に小さな間隙以外を閉鎖)。この設定により、特に各チャンバごとに個別に、方向および/または負圧/過圧に関して流体の流れを制御するような完全な柔軟性が保証される。流体の流れの方向が決まっている場合、バルブ梁のストップを使用することもできる(「逆止弁」)。
言い換えると、第1の状態では、黒く描かれた2つのアクチュエータ(変形可能要素22aおよび22b)によって、中央チャンバ(部分空洞38)が膨張され得、2つの外側チャンバ(部分空洞42aおよび42b)が圧縮される。第1チャンバは、逆止弁85dを介して下部領域からの流体で満たされる。外側チャンバは、逆止弁85aおよび/または85eによって流体を上部領域に押し込む。第2状態では、中央チャンバが圧縮される。流体が上部に押し込まれる。外側のチャンバが、下部領域からの流体で満たされる。
図13は、変形可能要素22aおよび/または22bの横方向延在方向98に沿って互いに接続された、第1変形可能要素22aおよび第2変形可能要素22bの概略図を示す。ばね要素102が、変形可能要素22aと変形可能要素22bとの間に配置される。ばね要素102は、変形可能要素22aおよび22bにおいて機械的に生じる復元力を低減させ得る。例えば、ばね要素102は、方向98に垂直な方向98’において剛性が低く、方向98および98’に対して、空間的に直行してもよい方向98”において剛性が大きい。変形可能要素22aおよび22bならびにばね要素102は、例えば、変形可能要素22aとしてMEMSトランスデューサ110内に配置されてもよい。
言い換えると、適切なばね要素102は、S字形アクチュエータ22a〜dの張力緩和を実現するために配置されてもよい。当該アクチュエータは、アクチュエータの両側で、固定位置で、または例えば固定位置間の領域(例えば中央)においても固定される。例えば、ばね要素102は、アクチュエータの中心に使用され、所望の方向(98’)で特に柔軟であり、2つの方向(98および98”)で硬い(すなわち、剛性が高いまたは比較的高い)。ばね要素102は、変形可能要素22aおよび22bの撓み可能な端部の間に配置されてもよい。ばね要素102の剛性は、横運動方向24に垂直な方向よりも、横運動方向24で低くてもよい。
図14は、MEMSトランスデューサ80と異なり、互いに接続され、共有層32を含むMEMSトランスデューサ80’aおよびMEMSトランスデューサ80’bを含む積層体140の概略図を示す。すなわち、MEMSトランスデューサ80の層32aまたは32bが省略されている。電子回路17は、MEMSトランスデューサ80’aおよび80’bをまとめて制御するように構成されてもよい。あるいは、MEMSトランスデューサ80’aおよび80’bはそれぞれ、対応する電子回路を備えてもよい。
さらに、MEMSトランスデューサ80’aは、層32b内に開口部26を有してもよい。したがって、MEMSトランスデューサ80に対して、体積流量12の排出方向および/または体積流量12の進入方向が直角に傾いてもよい。したがって、MEMSトランスデューサの蓋表面が積層体の外側を形成し得る。MEMSトランスデューサは、第2MEMSトランスデューサに面する側とは反対側を向くように配置された蓋表面に開口部を有してもよい。MEMSトランスデューサ80’aの体積流量12は、MEMSトランスデューサ80’bの体積流量に対して垂直にまたは反対に空洞を出入りする。
MEMSトランスデューサ80’aは、その上に膜要素104が配置される。膜要素104は、空洞から膜要素104を通る体積流量12の流出、または空洞16への体積流量12の流入が少なくとも部分的に防止されるように配置することができる。空洞は、MEMSトランスデューサ80’aの外側に配置された領域と、MEMSトランスデューサ80’aと膜要素104との間に配置される領域とにまで延在してもよい。体積流量12に基づいて、膜要素104が撓み得る。膜要素104は、例えば、フレーム構造106によってMEMSトランスデューサ80’a上に配置されてもよい。フレーム構造106は、MEMSトランスデューサ80’aの側面、例えば層32bの主側面に配置されてもよい。
または、90°以外の角度で傾けてもよい。MEMSトランスデューサ80’bは、層32bにまたは層32b内に開口部を有してもよく、それにより、体積流量12は、積層体140の2つの側面の空洞に出入りすることができる。前記側面は互いに対向するように配置される。
さらに/あるいは、積層体140は、さらなるまたは別のMEMSトランスデューサ、例えば、MEMSトランスデューサ20または80、を含んでもよい。例えば、MEMSトランスデューサ20は、MEMSトランスデューサ80’aと80’bとの間に配置されてもよい。これにより、MEMSトランスデューサ80’aの対応する方向に垂直な方向に沿った空洞へのまたは空洞からの体積流量12の流入または流出が可能になる。
言い換えると、音出力開口部26は、チップ側面ではなく、下蓋32aおよび/または上蓋32bに設けられてもよい。図14は、これを簡略化して示す。上蓋32bの開口部26は視認可能である。同様の開口部が下蓋32bに配置されてもよいが、斜視図では視認不能である。層32も、開口部を含んでもよい。したがって、MEMSトランスデューサ80’aおよび80’bの空洞、部分空洞および/または部分空洞部位は互いに接続されてもよい。(z方向に沿って)垂直に重ねられた各チャンバは、層32内の開口部を介して互いに接続され得る。
1つ以上の棒要素(グリッドウェブ)44を含み、減衰設定用に構成され、特に粒子からの保護用に構成され得る格子は、図14に記載の変形例においてもシンプルに実現され得る。例えば、上蓋32bおよび/または下蓋32aの開口部26は、湿式または乾式化学エッチングプロセスによって形成されてもよい。エッチングの前に、開口部のエッチングに対して適切に高い選択性を有する追加の薄い層に、所望の格子をパターニングしてもよい。開口部26をエッチングするために、最適で高度な等方性および/または横方向のアンダーカットを有するエッチングプロセスを選択することができる。これにより、グリッドウェブ44のアンダーカットが得られる。例として、格子は酸化シリコンまたは窒化シリコン層で作成され、蓋はシリコンからパターニングされ手もよい。その後、蓋は深反応性イオンエッチング(DRIE)によってパターニングされてもよい。前記プロセスは、マイクロメートル単位のアンダーカットが実現できるように設定されてもよい。あるいは、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または硝酸(HNA)を用いて湿式化学エッチングを行ってもよい。
下蓋32aおよび上蓋32bの開口部が漏斗形状になるように設計されている場合、音出口面はチップ表面積の大きな割合を占める可能性があり、場合によっては、MEMSトランスデューサ80のように側面に出口を有するMEMSトランスデューサと比較して大きくなるように設計される。このような選択肢は、音響特性と減衰に関して、より多くの創造的展開の余地を残す。蓋32aおよび32bの音出力開口部と蓋面32aおよび32bの間の側面との組み合わせが、さらなる実施形態の特徴となる。高度に集積されたシステムの好ましい変形例は、上方向に音を発するように蓋32bに開口部を取り付けること、およびシンプルに構造要素(例えばプリント基板上に)を適用できるように側面に圧力均等化開口部を取り付けることを含む。
概して、音入口開口部および/または音出口開口部26は、音響特性および/または減衰特性が目標通りに設定されるように設計され得る。下層32aおよび上層32bはそれぞれ、原則として振動可能であり得る。前記要素の振動は、介在層34aおよび34bおよび/または36に存在する適切な追加の接続要素によって、例えばアンカー要素84によって、抑制および/または低減することができる。抑制または低減することは、振動を可聴音以外の周波数範囲にシフトすることを含む。さらに/あるいは、層32aおよび/または32bの振動はまた、音響放射を最適化するという目標に合わせて実現してもよい。また、対応するパターニング(連続開口部または止まり穴)によって、層内で選択的接続を行い、層32aおよび32bの剛性レベルおよび/または音響特性をさらに設定することも可能である。
上蓋32bに膜を適用することも可能である。膜は、チャンバの体積流量12によって振動させられる。これを、破線104によって概略的に示す。シンプルな場合、フレームの形態のスペーサ106は、膜104をその上に配置または固定することができ、この目的のために上蓋32bに配置することができる。そのような膜104は、既知のマイクロメカニカルプロセスにより製造することができる。あるいは、膜104は、空洞または部分空洞の内部に配置され、かつ/または1つの開口部のみまたは開口部26の一部のみを覆うこともできる。
MEMSトランスデューサの前述の実施形態のいくつか(例えば、MEMS構造スピーカ要素)に適用できることとして、部分体積流量を、例えばその他チャンバのいくつか、一部、またはすべてとは独立して、部分空洞または部分空洞部位内に生成できるチャンバがある。横方向および/または縦方向に隣接する部分チャンバからなるチャンバを実現してもよい(横方向:例えば図10および図11を参照)(縦方向:例えば図14を参照)。その組み合わせの実施形態もあり得る。そのような連続した部分チャンバ(例えば、部分空洞部位96aおよび96b)は、他のチャンバまたは部分チャンバと関係して、または独立して部分体積流量を生成するために使用されてもよい。独立して体積流量を生成するチャンバ(部分空洞)は、モノチャンバとも称され得る。いくつかの部分チャンバ(部分空洞部位)に基づいて体積流量を生成できるチャンバは、複合チャンバと呼ばれ得る。
上述の実施形態は、両方の種類のチャンバを適宜組み合わせることができるように変形可能である。したがって、モノチャンバのみまたは複合チャンバのみが設けられた実施形態が可能である。あるいは、両方の種類のチャンバが設けられた実施形態も可能である。
言い換えると、モノチャンバのみを使用する場合、すべてのアクチュエータ/チャンバシステムの共振周波数が同一になるように、あるいは異なるように設計されてもよい。例えば、音響放射における特定の周波数範囲は、対応するモノチャンバの数の増加によって強調され得る。特に、格子開口部、または一般的に音出力開口部および/または流路の寸法設計により、減衰を介した共振周波数と共振曲線の幅を広げることで、周波数応答の設定(周波数に基づく音圧レベル)が実現され得る。これに関して、周波数応答の平滑化が極めて重要となる。
部分空洞および/または部分空洞部位は、異なる周波数で体積流量を放出してもよく、さらに/あるいは体積の空間的広がり、電気機械トランスデューサの幾何学的形状、および/または電気機械トランスデューサが動作する周波数に基づいて体積流量の特定の周波数を検出するように最適化されてもよい。
さらなる実施形態では、モノチャンバのみが使用される。音出力開口部は、もっぱら横方向にのみ配置されてもよい。3つのチップ/ウェハ(MEMSトランスデューサ)を上下に積み重ねてもよい。上部チップは、第1(例えば、高)周波数範囲内の音響放射用に最適化されてもよい。第2(例えば中間)MEMSトランスデューサは、第2周波数範囲(例えば、中域周波数)に適合させてもよい。第3MEMSトランスデューサは、第3の周波数範囲(低周波数用)に適合されてもよい。これにより、3ウェイスピーカが得られ得る。3つのチャネル(3つのMEMSトランスデューサ)は、チップ内に次のように配置されてもよい。すなわち、横方向に、第1数N1のチャンバが高周波に使用され、2番目の数N2のチャンバが中域周波数に使用され、3番目の数N3が低周波数に使用されてもよい。この原理は、横方向に、また積層体の場合は垂直方向に、Nウェイシステムに容易に拡張できる。さらなる実施形態において、Nウェイシステムは、対応する高調波のフーリエ合成を介して、最低周波数を構成する周波数N*f1、f1を有する音が生成されるように設計される。
これは、少なくとも1つのさらなるMEMSトランスデューサとともに積層体を形成するようにMEMSトランスデューサを設けるができることを意味する。例えば、横方向(例えばx方向)および/または厚さ方向(例えばz方向)に沿って少なくとも2つのMEMSトランスデューサを設けて積層体を得ることが可能である。さらに、MEMSトランスデューサは、互いに距離を空けて配置することもできる。MEMSトランスデューサの空洞および少なくとも1つのさらなる(第2)MEMSトランスデューサの空洞は、異なる共振周波数を有し得る。
アクチュエータ動作、すなわち変形可能要素が能動的に変形することにより、Nウェイスピーカが得られ得る。ここで、Nは異なる共振周波数を持つMEMSトランスデューサの数を示す。センサ動作の場合、例えば、異なる複数のMEMSトランスデューサを使用することにより、体積流量の異なる周波数範囲が検出され得る。これにより、例えば、体積流量のフーリエ合成を実行できる。例えば、制御デバイス128は、MEMSトランスデューサおよびさらなるMEMSトランスデューサの1つ以上の電気機械トランスデューサの変形可能要素の変形を検出するように構成されてもよい。制御デバイスは、電気信号に基づいてフーリエ合成(フーリエ解析)を計算し、結果を出力するように構成されてもよい。
上述したモノチャンバを使用する例は、複合チャンバを使用して実現されてもよい。その場合、複合チャンバの各部分チャンバは同一の共振周波数を有する。
複合チャンバを使用する場合、隣接する部分チャンバも、共鳴極大の対応する位置により、異なる周波数に対応し得る。例えば、3つの部分チャンバにより3ウェイシステムが得られ得る。例えば後方部分チャンバ(軸方向に沿った最初の部分)において低周波で変調された気流は、さらに中央部分チャンバ(軸方向に沿った2番目の部分)で中周波変調を受け、さらに前方チャンバ(軸方向に沿った3番目の部分)で高周波変調を受ける。
同じ音圧を生成する際、必要なストローク、つまり電気機械トランスデューサの撓みは低周波数よりも高周波数で小さくなる。すなわち、高周波で使用されるチャンバまたは部分チャンバは、チャンバ体積、および/またはアクチュエータとして機能してチャンバを画定する側壁間の距離がより小さく設計され得る。
動作中、同じ周波数のチャンバ間の制御を介して位相オフセットが実現され得る。これにより、波面は傾斜し、表面に垂直に波面は出力されない(フェーズドアレイ)。
上述の、そして以下のすべての変形例では、各チャンバは、空気が当該チャンバに流入する際、圧力均等化を実現するために空気が流入する少なくとも1つの別のチャンバに囲まれている。空気流の方向は逆もあり得る。これは特に、該チャンバ間に仕切り壁が存在しない場合に明らかである。すなわち、アクチュエータの動作中、一方のチャンバの体積が増加すると同時に他方のチャンバの体積が減少するのである(逆も同)。
例えば、補聴器またはインイヤーヘッドフォンなどのスピーカでの用途では、外気(つまり、耳の外側の空気)はスピーカ内を移動しない。耳の経路内に存在する体積の周期的変化は、例えば膜の振動のみによって生じる。上述の、そして以下のすべての変形例では、実施形態に応じてチップ上面、チップ底面またはチップ側面のいずれかに存在する開口部が閉じた状態を維持することで実現される。このために、該当する箇所にて、棒格子のパターニングは省略される。
一般的に、またスピーカのあらゆる用途に関して、特定の箇所で、棒格子は、完全に閉鎖した膜で置き換えられ得る。これにより、粒子の侵入が最小限に抑えられ、特に汚染および/または腐食性のガスおよび液体内でも動作可能となる。
以下では、曲げアクチュエータの設計と動作の観点に関する方策が提示される。目的は、最適に所望の周波数応答を示すことを可能にすることである。
曲げアクチュエータを個々の要素に細分するいくつかの追加のばね要素を含めることにより、アクチュエータの有効剛性、したがって共振周波数が低減し得る。例として図15を参照されたい。ここでは、単一のばね要素を使用して、曲げアクチュエータを2つの要素に分割している。2つ以上の要素への細分化は、可聴音の低周波数範囲内の共振周波数を実現するために重要である。この方策を用いなければ、通常の寸法(例えば、幅5μm、長さ2mm、シリコン製)の曲げアクチュエータは、固有振動数がkHz範囲となる。さらに/あるいは、共振周波数を低減するために、曲げアクチュエータまたは場合によっては既存の剛性プレートに、選択的に追加の質量要素を提供してもよい。そのような要素は、層36をパターニングするときに、シンプルに提供されてもよい。追加質量△mの動作態様は、調和振動子のモデルを例に説明され得る。
剛性kのばねを介して吊るされる質量mの要素の振動振幅A(ω)は、振幅F
0の力による正弦波励起の場合、次のようになる。
(式3)
ωは励起の角周波数で、cは減衰定数である。共振器が準静的範囲内で動作する場合、振幅は質量に依存しない。ω<<ω0として、以下のとおりとなる。
A(ω)≒F0/k (式4)
したがって、質量△mを追加すると、振動の振幅が変化せずに、共振周波数ω0がより低い値ω0ーに変化する。曲げ作用がその固有振動数の範囲内で動作する場合、この限りではない。ω≒ω0の場合、式3のルート内の第1項は、第2項と比較して無視され得る。したがって、以下のとおりとなる。
A(ω)≒F0/(cω0−) (式5)
ω0−はバイブレータ(共振器)の質量のルートに反比例するため、質量が増加すると、それに応じてω0−が減少する。したがって、振幅が増加する。振幅のゲインは、条件cω0−<kで得られる。配向および/または信号に応じて、曲げ梁が一方向または他方向に曲げることができるように構築され得ることは上述のとおりである。したがって、梁が曲がった際に、機械的ばね作用を介した復元力が必ずしも必要ではなくなる。結合されるエネルギーが一定であるとすると、このような曲げ梁に選択された剛性レベルが低いほど、撓みが大きくなる。
上記説明は可聴音範囲に関したものであったが、超音波を生成するために上記構造要素を構成することも可能である。原則として、アクチュエータの代わりに、位置検出要素(ピエゾ抵抗、圧電、容量など)を梁に設けて、構造要素をマイクロフォンとして使用可能にしてもよい。
原則的に、シリコン技術でMEMSスピーカを製造する際、既知のウェハボンディングと深堀り反応性イオンエッチングを利用できる。アクチュエータの生産は、選択された動作原理に依存し、ここでは考慮されない。この部分は、以下の例示的な手順においてモジュール方式で含まれてもよい。以下の記載は、空気流のための開口部を横方向にのみ有する構造要素に関する。
出発材料として、BSOI(接合型SOI)ウェハが使用される。キャリアウェハ(支持基盤)は、MEMS構造スピーカ要素の下蓋32aを形成する。BSOIウェハの埋め込み酸化物層は、後にスペーシング層34aとなり得る。BSOIウェハの活性層は、層36に対応し得る。支持基盤の厚さは500〜700μmで、必要に応じて、プロセスの最後等にさらに薄くしてもよい。埋め込み酸化物層は、50nm〜1μmの厚さを有してもよい。BSOIウェハの活性層は、1〜300μmの厚さを有してもよい。層36は、好ましくは、例えば、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)によりパターニングされる。前記パターニングに続いて、埋め込み酸化物層(34a)が、アクチュエータの移動領域内で少なくとも局所的に除去されるか、少なくとも薄くされてもよい。これは、湿式化学的な方法、例えば、BOE(緩衝酸化物エッチング)を使用するか、ドライケミカル方式(例えばガス状HF(フッ化水素酸)を利用)が使用される。アクチュエータの移動領域でスペーシング層34aが少なくとも部分的に除去されると、層34aとアクチュエータ(変形可能要素)との間のギャップを閉じる、または大幅に低減する低摩擦層は、例えば、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)により堆積される。あるいは、例えば、米国特許第7,803,281号に記載されているように、適切な層を堆積およびパターニングすることにより、各領域が画定されるのが、BSOIウェハ生成用にウェハの結合中であって、結合が完了していない時点でもよい。そのような方法は、上蓋および下蓋に採用され得る。層34bは、例えば反応性イオンエッチング(RIE)によりパターニングされることが好ましい。前記パターニングの2つの事例により、層36および34b内のすべての要素は、該当する図に示されるように生成される。これには、棒状の格子構造も含まれる。
上記の低摩擦層の堆積は、上蓋(層32b)にも行ってよい。その場合、前記層は、例えば、結合の前に蓋に設けられる。そしてスペーシング層34bを省略できる。例えば、低摩擦層は、材料を堆積することにより得られ得る。摩擦係数は、例えば、層32a、34a、34bまたは32bの材料よりも10%、20%または50%小さくてもよい。
適切なドーピングにより、層36は導電体としても使用できる。特に、アクチュエータが異なる周波数で励起される場合、層36の垂直電気絶縁が好ましい。これは、文献[8]に記載のように、例えば、いわゆる埋め込みトレンチ(filled trench)によって実現できる。電気絶縁のために開放トレンチ(open trench)を利用することも可能である。
500〜700μmの典型的または妥当な厚さを有するシリコンウェハとして形成され、例えば上蓋32bを形成する第2ウェハの上に、パターニングされる層が設けられる。前記層はスペーシング層34bに対応する。前記層の厚さは、埋め込み酸化物層の厚さに対応することが好ましい。スペーシング層の材料として、後に第2ウェハをBSOIウェハに接合することを可能にする任意の材料を使用することができる。ここでは一例として、酸化ケイ素、好ましくは酸化ケイ素をケイ素に直接結合するための熱酸化物とする。あるいは、ポリシリコンを直接接合に使用してもよい。さらに、上蓋32bの機能とスペーシング層34bの機能の両方がウェハ上に設けられるように、第2ウェハに適切な凹部をエッチングすることもできる。少なくともアクチュエータの移動領域では、アクチュエータ(可動要素)と蓋(層32aおよび/または32b)との間の距離がなくなるように、ウェハが適切な低摩擦層でコーティングされている場合、窪みを省略してもよい。そして2番目のウェハ上の追加の層(パターニング用の補助層(マスキング)を除く)が省略できる。さらに、シリコン上にシリコンを直接結合してもよい。
直接結合に加えて、接着剤結合法も利用できる。その場合、スペーシング層34bはポリマー材料(例えばPCB)からなる。Au−Si共晶接合法または陽極接合法(Naイオンを含む層)も可能である。しかし、CMOSに対応しないので、好ましくない。
2枚のウェハの接合により、ウェハアレイ(ウェハ積層体)製造工程の大部分が完了する。残りは、必要となり得る電気配線と接点、および電気絶縁構造の作成である。これら要素は、先行技術の標準的処理で実現できる。すなわち、導体ラインの製造(例えばAlSiCuのスパッタリングとパターニング)、酸化物の堆積とパターニングによる垂直絶縁、層36を完全に貫通する開放または充填絶縁トレンチによる横絶縁である。
特に、横方向に配置された開口部を有する構造要素のダイシングには、棒格子の保護が必要となる。これは、例えば、フレーム内の構造要素を、例えば4つの薄いウェブを介して前記フレームに接続することで実現できる。したがって、下蓋32aおよび上蓋32b、ならびに層34a、36および36bを、これに応じてパターニングする。前記パターニングのために、とりわけ、TMAH、KOH、およびDRIEなどの異方性エッチング方法が可能である。具体的には、棒格子に沿ってパターニングする場合、層36のDRIEパターニングを行う変形例が好ましい。ウェハアレイから構造要素を除去するために、ウェブが破壊される。これは、機械的に、または例えばレーザー加工によって実現され得る。
また、ダイシングのために下蓋32a以外、すなわち層34a、36、34bおよび32bのみをパターニングしてもよい。特に、層36は、棒格子の垂直延在を実現するために、DRIEによってパターニングされてもよい。これにより、チップ表面から下蓋32bまでのトレンチが形成される。そしてこのトレンチは、ポリマー材料(例えばフォトレジスト)で充填されてもよい。ポリマーにより、続くソーイング/ダイシングプロセス中の汚染からの保護が実現される。ソーイング後、ソーイングによるスラリーを除去するために、構造要素が水洗される。その後、ポリマーを適切な溶媒または酸素プラズマで除去する。
横方向の開口部ではなく、下側と上側の蓋の開口部の場合、図16を参照に説明したように、製造が展開される。上下の開口部は、ダイシングなどのためにフィルムで保護されているため、ソーイングプロセスまたはレーザー切断が可能である。あるいは、開口部は、ダイシングプロセス用のポリマー材料、(例えば、フォトレジスト)によって閉じられてもよい。そしてこのポリマー材料は、溶媒によって、または酸素プラズマ内で除去することができる。
構造要素は、好ましくは、ウェハアレイ内の結合方法によって積層される。次いで、それぞれの層36の電気接点(ボンディングパッド)によって、またはTSV(シリコン貫通ビア)を使用する場合、チップの底面に存在するいわゆるバンプを介して、電気的接触を実現できる。TSVは、積層された個々のチップを電気的に接続するためにも利用できる。積層されないチップの場合、TSVとバンプも使用できる。
棒格子54の安定性向上のために、スペーシング層34aおよび34bは、棒格子の領域ではパターニングされなくてもよい。
横方向曲げアクチュエータの製造実施に関する好ましい変形例を以下に説明する。
原則として、曲げ梁を作動させるために、公知の静電、圧電、熱機械、および電気力学的作用原理が採用されてもよい。
単純な静電作用原理は、アクティブな曲げ梁がなくても、上に示した構造要素の変形例の一部で実施され得る。MEMSトランスデューサ50は、電位差により、剛性プレート要素62aおよび62bが互いに向かって移動するコンデンサプレートとして構成されるか、またはそれを含むように構成される。その場合、屈曲ばねとして作用する要素64は、相応の機械的反力を有する。
あるいは、追加的に配置された固定対向電極を介して曲げ梁を直接撓ませることもできる。力または撓みを増加させるために櫛形電極を使用することも可能である。
さらなる静電原理は、固定位置で電極からの距離が非常に小さい、片側に固定された梁の使用に基づく。この電極距離は、固定位置からの距離が増加するにつれて増加する。固定位置では当該距離はゼロであり得る。曲げ梁と電極との間に電圧が印加されると、曲げ梁の一部(電圧の量と梁の剛性レベルによって決まる)が電極と接触する。本明細書で説明される原理に関して、梁と電極との間の空間はチャンバ42aを形成し、これは上記のように体積が可変である。
そのようなアクチュエータの基本原理の例は、文献に記載されている。例えば、文献[9]には、垂直撓みアクチュエータが記載されている。電極距離の変化は、曲げ梁の製造中に、選択的に層張力を導入することにより実現される。本出願に記載の構造要素について、アクチュエータは、前記原理に従って、層36をパターニングすることにより、容易に実現され得る。層36のパターニング(必ず必要)に加えて、電極と曲げ梁との間に絶縁層を設ける必要があるが、これはマイクロシステム技術の既知の方法によって容易に可能である。曲げ梁はパターニングにより既に所望の形状となっているため、層張力を導入する必要がない。ここで説明するとおり、アクチュエータは横方向に撓むことができ、したがって、上記で説明した構造要素の原理に利用できる。
多数の部品の集積と拡張性の点で、静電作用の原理は利点が多い。磁石やコイルなどの外部コンポーネントは不要である。また、クリーンルーム、特にCMOS対応のクリーンルームで使用されるような、汚染に関して重要な材料は不要である。。ただし、これまでの膜によるアプローチにはいくつか欠点がある。すなわち、単一の振動膜または振動板を使用すると、可聴音域全体を不十分なレベルでしかカバーできないのである。膜を準静的な方法で動作させる方式は、この問題を解決する。しかし、共振増大や撓みの欠如のため、得られる体積流量、および/または実現できる音レベルが犠牲になる。後者の2つは、インイヤーヘッドフォンなどの固定音量の場合、次のように相関する。文献[11]:
(式6)
式中、SPLは音圧レベルを表し、P
0は通常の圧力、△Vはスピーカで実現可能な音量の変化、P
refは可聴しきい値の尺度を示す基準圧力(20μPa)、V
0は、インイヤーヘッドフォンまたは補聴器の場合の、耳の空洞の体積である(約2cm
3)。
したがって、MEMSスピーカに関して、チップ表面積あたり、またはスピーカ全体の体積あたり可能な限り大きな体積流量を実現することが望ましい。例えば、動電トランスデューサは、非常に大きな膜の撓みが得られ、したがって、大きな体積流量を実現し得る。ただし、永久磁石が必要なため、設計全体の体積が極めて大きくなってしまう。携帯電話内のスピーカの場合、利用可能な一次元的空間が極めて限られているので、客観的に、この手法は概して限定的に思われる。
圧電曲げアクチュエータの場合、基板上に圧電層を堆積する必要がある。前記圧電層は、例えば、図3の層58に対応し、これは、例えば、シリコンを含むか、またはシリコンからなる層56に対して横方向に配置される。前記アクチュエータは、表面微細機械加工により製造可能である。
例えば、文献[10]に記載の、1つのコールドアームと1つのウォームアームの形態をとる、横方向の熱機械アクチュエータは、上記の層36のDRIEパターニングの対応する形状を考慮して、極めて容易に集積できる。
熱機械アクチュエータの変形例として、電流によって加熱されるバイモルフの使用が挙げられる。そのようなバイモルフを製造するために、例えば層36のパターニング後に、酸化物層を、すべての側壁も被覆されるようにコンフォーマルに堆積してもよい。そして、マスキングおよびエッチングプロセスにより、曲げ要素の一方の側壁を除く任意の箇所で前記酸化物層が除去され得る。
電気力学的動作原理は、両側で固定された曲げ梁に容易に実施できる。電流が梁または別個に取り付けられた導体パターンを流れると、梁は磁場内で撓むように力を受ける。電流の流れの方向は、所望の撓み方向に合わせて、個々の梁に対して選択されてもよい。導体ラインの任意の製造は、標準的な表面微細機械加工によって実現される。この場合、スペーシング層34bの厚さを選択する際に、さらなる形状を考慮すべきである。
曲げアクチュエータの好ましい態様として、低電圧で能動的または受動的に動作可能なように、非常に小さな電極間ギャップを使用することに基づく横方向静電アクチュエータが挙げられる。そのような横方向アクチュエータの例が、欧州特許出願公開第2264058号に記載されている。この技術によると、上述の変形例のすべてに係る曲げアクチュエータおよび構造的コンポーネントの製造が可能となる。しかもこの製造処理は、上述した構造要素の製造プロセスの主要部分に、簡潔かつモジュール方式で容易に統合することができる。
以下に、側壁、すなわち変形可能要素の移動中に発生するバイパス流損失について説明する。層流を仮定すると、スペーシング層34aおよび34bが、層36の厚さと比較して小さければ、例えば、有用な体積流量(すなわち、外側に漏れる、および/または外側から内部に入る体積流量)に対する、図2aのチャンバ38aへのチャンバ42aからの体積流量である、バイパス流の損失を極めて少なく保てることが、シンプルなモデルで示すことができる。側方画定構造から、曲げ梁の自由端の距離についても同様である。両側で固定された曲げアクチュエータの場合は、後者は検討する必要がない。上記の構成について、長方形パイプを通る層流のモデルで流れ損失を計算する。以下の寸法だと、バイパス流により、有効体積流量に対して約3%の損失が生じる:
曲げアクチュエータ:長さ1mm、高さ30μm、幅10μm
チャンバ:外部への流れ抵抗を計算するために、50μmの中程度の幅を想定する。曲げアクチュエータが大きく撓む場合に存在する流れ抵抗が低く見積もられている。
スペーサ層34aおよび34bの厚さ:それぞれ0.5μm
仮定された寸法は、あくまで例として理解され、微細機械技術により極めて有効に実現され得る。仮定した層流は、パイプの長さに対応してアクチュエータの幅が狭いため(上記:10μm)、不正確であり得る。ただし、乱流の発生により流れ抵抗が増加するため、これは最悪の場合を仮定したものである。そのような乱流を促すため、層36内の曲げアクチュエータに、適切な横方向に形成された要素を設けることができる。適切な配置は、バイパス流の発生時に渦を形成するものと考えられる。さらに/あるいは、チャンバに面する蓋32aおよび32bの面をあえて粗面にすることでも、乱流の形成が促され得る。
図15は、第1層112および第2層114を含む変形可能要素150の概略側断面図を示す。これらは互いに離間しながら、接続要素116を介して接続される。接続要素116a〜16cは層114および層112に関して90°とは異なる角度で傾斜して配置される。例えば、層112および114は、1つの電極を備えてもよい。あるいは、層112および/または114のそれぞれに電極を配置してもよい。電位をかけることで、反発力または引力が層112と114の間に生成され得る。引力または反発力は、要素116a〜cを変形し得る。これにより、変形可能要素144の、固定端118とは反対側を向く撓み可能端122は、横運動方向24に沿って撓むことが可能となる。
したがって、変形可能要素150が第1層112と第2層114を備え、それらの間にスペーサ116a〜cが配置される。スペーサ116a〜cは、層112および114の延在方向に対して傾斜して、傾斜方向124に配置されてもよい。層112と114との間に作用する引力により、変形可能要素150が曲がり得る。
変形可能要素150は、傾斜方向に沿って、平坦であるか、または1つの湾曲を有するように構成されてもよい。あるいは、変形可能要素および/または層112および/または114は、不連続、例えば鋸歯状で互いに接触するように配置された2つの部位を含んでもよい。
図16は、電極126に隣接して配置された変形可能要素160の概略上面図を示す。変形可能要素160は、さらなる電極127であるか、またはそれを含んでもよい。電極126と、変形可能要素160のさらなる電極127との間にかかる電位に基づいて、静電または電気力学的力Fが生成され得る。静電または電気力Fに基づいて、変形可能要素160の変形が生じ得る。
体積流量または電位(すなわち力F)の影響を変形可能要素160が受けない状態では、変形可能要素の軸方向延在方向98に沿った変形可能要素160と電極126との間の距離は可変であり得る。機械的トランスデューサおよび/または変形可能要素160が基板14に接続する領域で、この距離は最小であり得る。これにより、変形可能要素160の変形が高度に制御できる。あるいは、電極126と変形可能要素160との間の延長方向98に沿った距離は、所望に応じて可変でも一定でもよい。
実施形態によれば、電気機械トランスデューサは、静電トランスデューサ、圧電トランスデューサ、電磁トランスデューサ、動電トランスデューサ、熱機械トランスデューサ、または磁歪トランスデューサとして構成されてもよい。
生成され得る力に基づいて、変形可能要素の変形が発生、確認および/または決定可能であってもよい。
以下の図を用いて、電子回路のいくつかの有利な形態を説明する。
図17aは、実施形態に係るMEMSトランスデューサ170の概略斜視図を示す。簡潔性のため、層36に、例えば図2aを参照して説明した層34aおよび34bも含まれるものとする。MEMSトランスデューサ170の空洞は、開口部26を介してMEMSトランスデューサ170の外部環境に接続される。電子回路17は、電子回路17の第1部分17aが層32bの上または内部に配置されるように、多くの部分を含むように構成されてもよい。電子回路17のさらなる部分17bは、異なる層(例えば層32aおよび/または36)に配置されてもよい。
MEMSトランスデューサ170は、例えば、電子回路17に対して電気信号を入力および/または出力するためのコンタクトピンとして機能する貫通接続部19を、層32bにおいてまたはその内部に有してもよい。
図17bは、MEMSトランスデューサ170のさらなる概略図を示しており、ここで側面32aが前面となっている。電子回路17の第2部分17bは、層32aの上または内部に配置されてもよい。層32aはさらに、貫通接続部19を備えてもよい。貫通接続部の一部は、機能が同一であり得る。貫通接続部は、例えば、積層体全体を通じた貫通接続を実現するために利用できる。ただし、そのうちの1つ、複数、またはすべては、積層体の一部にのみ(例えば変形可能要素まで)使用することとしてもよい。したがって、一例では、貫通接続部19の一部は、トランスデューサの変形可能要素との接触部位を示し得る。一方、他の貫通接続部19は、蓋ウェハの電子回路を、下部ウェハ上の電子回路に接続する、同様の接触場所を示し得る。
図17cは、MEMSトランスデューサ170の、図17aと同様の概略斜視図を示す。開口部は、粒子の進入を少なくとも妨げるようにグリッドウェブ44が配置されるように構成される。
電子回路17をMEMSトランスデューサ(MEMSトランスデューサ170)の層内に配置することで、高集積構造を実現できる。これにより、外部回路構造を減らすか省略できるので、デバイス全体が小さく設計できる。さらに、積層体の層に電子回路を配置すると、信号経路を短くできる。これは、デバイスの電磁適合性、さらに時間および性能のいずれの点でも有利である。
層32aまたは32bの一方のみに電子回路を配置することも可能である。しかし、電子回路を分割して層32aおよび32b内または両方に配置すると、各場合において、隣接する各電子コンポーネントが、可能な限り短い信号経路を介して、電子回路17によって制御されるという利点が得られる。電子回路17を分割することにより、電子回路17aおよび17bが、異なるまたは相補的な機能を持つことができる。さらに/あるいは、MEMSおよびCMOSのように、相補的な技術でそれぞれ実現できる。電子回路17aおよび17bは、実際に互いにおよび/または電気機械トランスデューサに電気的に接続されてもよい。MEMSトランスデューサ17を積層構造とすると、各層を互いに独立して(すなわち異なる半導体製造プロセスで)製造できる。これにより、少なくとも半導体製造プロセスの影響を受ける異なる機能をそれぞれ異なる層、ひいてはそれぞれ異なる電子回路で実現できる。したがって、異なる半導体製造プロセスに基づいて得られた回路構造17aおよび17bをMEMSトランスデューサ170のチップ内に設けることができる。
したがって、第1電子回路17aが積層体の第1蓋層に配置され、第2電子回路17bが基板の積層体の第2蓋層に配置されることもあり得ると理解されたい。両電子回路17aおよび17bのそれぞれは、面内運動面に垂直な方向に沿って配置されている。変形可能要素は変形時、第1電子回路17aと第2電子回路17bとの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。貫通接続部および/または他の回路要素により、電子回路17またはそれが配置される層は、MEMSトランスデューサの外側に少なくとも電気的に接続されるか、外側を表し得る。これにより、MEMSトランスデューサがリードアセンブリ(例えば回路基板上)に接触可能になり得る。
言い換えると、実施形態は、MEMSトランスデューサ内に、異なる機能を有する構造要素を集積可能にする。これらのことは、例えば、MEMSスピーカの一体的電子制御、集積加速度センサの制御/読み取りが含まれる。個々の機能要素の製造は、ウェハの製造中に組み合わせることができないかまたは組み合わせることが困難であり得る、様々な製造プロセスで実行または実現され得る。上記の機能を2つの層(上部および下部ウェハ32aおよび32b)に分割することにより、製造プロセスを極めて柔軟に選択でき、機能レベルで組み合わせることができる(すなわち、MEMSトランスデューサ170内で結合できる)。例えば、上部ウェハ(蓋)には、低電圧範囲の電子回路要素(つまりスペースをほとんど必要とせず、高速化を可能にする小さな電子構造)が含まれてもよい。下側のウェハ(底)には、例えば、スピーカを動作させるための高電圧のD/A変換、つまり、大きなスペースを必要とし、緩やかに動作する大きなトランジスタ構造が含まれてもよい。記憶要素、光源、または追加で統合されたMEMSセンサ/アクチュエータについても、同様の利点が得られる。相補的に集積された機能は、必要に応じて分割可能である。
さらに言い換えると、集積電子回路17(または17aおよび/または17b)は、層32aおよび/または32bに実装されてもよい。前記電子回路は、例えば、音生成のためにアクチュエータを制御し、所望の音圧に従ってそれぞれの電圧を設定し、所望の周波数で電気励起を実施するのに供され得る。デジタル電気入力信号をアナログ制御信号に変換することも必要となり得るが、これも集積回路を使用して可能である(D/Aコンバータの形式またはパルス幅変調(PWM)による)。マイクロフォン機能の場合、例えば電気信号(前)処理(信号経路を短く抑えながら)またはA/D変換を前記回路内で実現できる。集積電子回路17をチップ内部のアクチュエータ/センサと電気的に接触させるために、層32aおよび/または32b内に貫通接続部19が配置され得る。前記貫通接続部は、層34aおよび/または34bを貫通してもよく、それにより集積回路から個々のアクチュエータ(梁)への個々の連続的な電気接続が実現され得る。各梁に対して、例えば、2つの電気接点が提供されてもよい。積層体の一方の側では、貫通接続部19は、不図示の集積導体線を介して電子回路17に接続されてもよい。
製造に関して、シリコンCMOSウェハ(CMOS=相補型金属酸化膜半導体)が層34bに接合される。前記ウェハは、チップに関して、層32bを形成し、チャンバ(空洞)を上部で封止する。シリコンCMOSウェハ内の貫通接続部は、接合完了前に設けてもよい(ケースa)。この場合、結合完了前に層34bの貫通接続部も設ける必要があり得る。あるいは、いずれの貫通接続部も、接合後に設けてもよい(ケースb)。簡単に言うと、マスクにより、接合後の該当する位置で、電気的に接触する梁の位置までエッチングし、その結果生じた止まり穴を導電性材料(例えば金属またはドープされた半導体材料)で埋め直してもよい。止まり穴の側壁は、導電性材料充填前に、例えば酸化シリコンおよび/または窒化シリコンなどの絶縁層でコーティングされてもよい。
図17a〜図17cでは、電子回路が空洞16を取り囲む2層に配置されるように描かれているが、電子回路は、例えば1層(回路基板などに接続されるように構成された層、すなわち最下層)のみに配置することもできる。さらに/あるいは、追加の機能要素を前記層の少なくとも1つに実装してもよく、その層は貫通接続部を含んでもよい。選択的エッチングによって貫通接続部を配置する代わりに、またはそれに加えて、1つの貫通接続部を積層体全体を通して提供することも可能である。例えば、いわゆるTVS(シリコン貫通ビア)により、底層と蓋層の機能構造を電気的に接続可能である。スペーシング層34bは、カバーウェハの裏側、すなわち層32b上に設けられ、その共通層がウェハと結合されてもよい。さらに/あるいは、層32a上にスペーシング層34aを設け、それらを他の層と結合することにより、前記複合層を接合してもよい。互いに接触するように設けられたそれぞれの層は、結合の前に他の構成要素と接触してもよい。なお原則的に、一連の工程の任意の時点で、層32aおよび32bおよび/またはそこに設けられた層34aおよび34bに貫通接続部を設けてもよい。
さらに/あるいは、空洞が比較的厚いウェハから成形されるように、空洞内に上記のようなMEMSトランスデューサを設けてもよい。これにより、ウェハ接合工程の少なくとも一部を省略できる。
図18aは、例えば図17a同様、層32bが手前側にある、MEMSトランスデューサ180の概略斜視図を示す。
電子回路17aに隣接して、層32bは、1つ以上のMEMS機能を有し得る機能要素またはMEMS構造21を含み得る。例えば、MEMS構造21は、慣性センサ、磁力計、温度および/または湿度センサ、ガスセンサ、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに/あるいは、MEMS構造21は、任意のセンサ、任意のアクチュエータ、無線通信インタフェース、光源、メモリコンポーネント、プロセッサおよび/またはナビゲーション受信機であり得る。電子回路17aは、MEMS構造21を制御および/または評価するように構成されてもよい。
したがって、内部に電子回路17aが配置されている層32が機能要素、すなわちMEMS構造21を含み得る。機能要素は電子回路に接続されてもよく、前記電子回路17aは機能要素を制御または評価するように構成されてもよい。
軸23を中心にMEMSトランスデューサ180を回転させることで、図17bとなる。側面32aに配置された回路17bは、例えば、空洞内部のMEMSトランスデューサ180の電気機械トランスデューサを評価および/または制御するように構成され得る。ここでも、電子回路17aおよび17bは相補的な機能を実行してもよい。
言い換えれば、底部ウェハは、好ましくは回路17aのタスクを補完するタスクを担う集積電子回路17bを備えてもよい。したがって、MEMSトランスデューサ180が回路構造または回路基板上に、MEMS構造21が前記構造から離れて面するように、配置され得る。
図18bは、MEMSトランスデューサ180を変形したMEMSトランスデューサ180’の概略斜視図を示す。変形として、開口部26aが層32b内に配置され、例えばMEMSブロック21の内側に配置される。
例えば、この構成は、電子回路17aが空洞内の電気機械トランスデューサの制御および/または読み出しを実行するように構成され、MEMS構造21を制御および/または評価するように構成されるように実現され得る。
MEMSトランスデューサ180’は、基板にさらなる開口部26bを有してもよい。開口部26bは、例えば、MEMSトランスデューサ180を通じた流体流量12の距離が、より長くなるように配置されてもよい。例えば、開口部26bは、MEMS構造体21から最大距離にあるMEMSトランスデューサ180’の側壁上または側壁内に設けてもよい。MEMS構造(機能要素)21は、例えば、蓋層32bに配置されたガス検知機能要素として構成されてもよい。ガス検知機能要素21は、流体流量12が開口部26aを通過するときに流体流量12と相互作用し、流体流量12をセンサのように検出するように構成されてもよい。言い換えると、機能要素21は、流体流量12の特性を検出するように構成され得る。
電子回路の2つの部分の上記で説明した相補的な機能は、例えば、積層体の片側(例えば底面)のガスセンサ要素と、積層体の反対側の電子制御に関するものであってもよい。例えば、ガスセンサ要素の製造プロセス(例えばMEMS技術による)は、前側の電子回路の製造工程(例えば、CMOS技術による)に統合できないか、できたとしても大きな犠牲が伴う可能性がある。したがって、機能を相補的な対に分けることで、標準的な製造工程が利用できるようになる。具体的には、前記標準的な工程の1つにより、ウェハ上にガスセンサの制御機能を実装し、異なるウェハ内に電気機械トランスデューサの制御機能を実装してもよい。そしてこのウェハ同士をウェハボンディングで後に接合することで、MEMSトランスデューサ(例えばMEMSトランスデューサ180)を得るようにしてもよい。
例えば、ガス検知機能要素21は、流体流量12と可能な限り大きく表面接触するように、開口部26aの周囲に設けられてもよい。さらに/あるいは、ガス検知機能要素は少なくとも部分的に開口部内に突出してもよい(例えば、流量などを測定するための要素を設ける場合)。
言い換えると、層32bは開口部を有する。追加の開口部が、例えば、積層体内の右側に設けられる。層36内の流体的に相互作用する要素、すなわち変形可能要素またはプレート要素は、この例では、蓋層および底部層32aおよび32bと組み合わされて、マイクロポンプを生成するように構成される。例えば、外気が吸い込まれ、開口部26aを介して開口部26bに向かって送り込まれ得る。例えば、開口部に近接しているために準連続的に周囲空気が供給されるガスセンサがブロック21に配置される。したがって、ガス交換が溶着にのみ基づいて行われる場合と比較して、センサが外気の変化を確実に早く捉えることができる。
図19aは、実施形態に係るMEMSトランスデューサの積層体の一部であり得る層27の概略図を示す。層27は、第1主面29aおよび第2主面29bを含み、図19の左側は、主面29aが見えるように、また面29bが図19の右側に見えるように描かれている(軸23中心に層27を回転)。側面29aは、第1距離ラスタ33aを含む電子パターン31aを含む。第2側面29bも、それとは異なる距離ラスタ33bを有する電子パターン31bを含む。電子パターン31aおよび31bは、適応層27内で互いに電気的に接続され、その結果、適応層27によって、第1距離ラスタ33aの適応または実装による第2距離ラスタ33b(またはその逆)が可能となる。距離ラスタ33aおよび33bは、例えば、それぞれの側面29aまたは29bの特定のタイプの電子回路との接触を単純化または可能にするように適応され得る。例えば、2つの距離ラスタ33aまたは33bの一方は、使用される周波数または構造要素または回路基板の標準的ラスタ化に対応するように構成してもよい。他方の距離ラスタは、MEMSトランスデューサ内で、回路構造のコンパクトな設計を可能にするためにより小さいパターン距離を含む。あるいは、距離ラスタ33b内の距離は、距離ラスタ33a内の距離よりも大きくてもよい。
層27は、積層体内の任意の層であり得る(例えば他のコンポーネントとの接触を可能にする層、例えば図17aの層32aおよび/または32b)。したがって、層27は積層体の蓋層であってもよい。
あるいは、層27を、距離ラスタを適応させるための適応層としてのみ(すなわち電子回路17を含まない)ように構成してもよい。それとは関係なく、層27は、積層体の蓋層であってもよい(例えば電子回路17が積層体の片側のみに配置される場合)。
層27は、積層体の蓋層として配置することができ、これにより、インターポーザーとしての利用できる。すなわち、当該層がインターポーザーの機能も実行できる。例えば、電気接点を製造するためのはんだ付け方法または他の適切な接続方法により、電子的および/またはセンサ的機能を有し、対応する距離ラスタを含むさらなるチップまたは回路キャリアが、当該層上に設けられる。実施形態において、実装されるトランスデューサを制御/読み出すための電子機能の一部または全部、および/または上記のように(すなわち追加的なチップ接触により)実現され得るあらゆる追加のセンサ的機能が実現できる。
MEMS技術により、開口部26aの近傍だけでなく、開口部の真上にもガス検知要素を配置することが可能である。したがって、ガス検知素子を開口部内に突出させることができる。この目的のために、センサ要素は開口部26a内に懸垂されてもよい。上述の機能を有するポンプは、例えば、利用可能なチップ体積の一部を利用してもよい。したがって、利用可能なチップ体積の別の部分、例えばスピーカおよび/またはマイクロフォンのために提供される領域が、上記の目的のために使用されてもよい。また、チップ体積またはチップ体積の一部は、超音波トランスデューサとして、または本明細書で説明される他の機能のために使用されてもよい。
記載された技術を、一体的なセンサ技術と信号処理を含むミクロ投与ユニットに利用することも可能である。例えば、グルコースセンサは、層36内に実現された集積リザーバに接続されたマイクロポンプを備えたMEMS要素として集積されてもよい。グルコースセンサが重大な血糖値を示すと、ポンプは即、必要な量のインスリンをリザーバから投与する。例えば他の薬物および/または鎮痛剤などの活性物質にも同様に利用可能である(例えばモルヒネまたはハイドロモルフォンポンプ)。
言い換えると、本新規手法は、流体感受性要素がチップ表面ではなくチップの内部に収容されているMEMSチップによって音感知および/または音再生が行われるという事実にも基づく。したがって、チップの上面と下面の表面は、さらなるセンサ、アクチュエータ、および電子回路をモノリシック集積するために、すべて、または少なくとも大部分が利用可能となる。本明細書記載の表現は、本質的に前記原理の利用に関する。しかし、本発明はこれに限定されず、一般に、音の発生および/または音の処理がチップボリューム内で行われるすべてのMEMSスピーカおよびMEMSマイクロフォンに使用することができる。
図19bは、図19aの適応層の好ましい利用を示している。既に述べたように、適応層は半導体層として構成されてもよい(すなわち、例えばシリコンまたはヒ化ガリウムなどの半導体材料を含んでもよい)。第1層の主面29aでは、適応層27は、第1距離ラスタ33aを含む第1電子パターン31aを含んでもよい。反対側の第2の層の主面29bでは、適応層27は、第2距離ラスタ33bを含む第2電子パターン31bを含んでもよい。第1および第2電子パターン31aおよび31bは互いに電気的に接続される。これにより、電子回路、例えば側面29aまたは29bの一方の電子回路17を接触することで、距離ラスタ33aまたは33bを他方の距離ラスタ33bまたは33aに適合させることが可能となる。
適応層27は、MEMS積層体内に配置することができる(本明細書に記載のMEMSトランスデューサ内)。MEMS積層体は、電子回路(例えば、距離ラスタ33aまたは33bの1つを含む電子回路17)を有する回路層45を含んでもよい。層45は、例えば、層32bまたは電子回路を有する別の層であり得る。したがって、電子回路17が他の層の主面29bを介して、したがって異なる距離ラスタに接触できるようにすることができるように、電子回路17は、第1または第2電子パターン31aまたは31bに電気的に接続されてもよい。したがって、層29はインターポーザーとしても使用可能である。適応層27に接続された積層体は、電子回路17がそのように配置されない場合、本明細書に記載の積層体であり得る。積層体は、変形可能要素の評価および/または制御を実行するために、適応層27によって積層体に接続されてもよい。例えば、MEMSトランスデューサ20に関して、電子回路の代わりに、電子回路に接続するための電子構造を設けることも可能である。したがって、層32bが適応層として構成され得る。
本明細書で説明される実施形態に係るMEMS積層体は、流体の体積流量12と相互作用するためのMEMSトランスデューサを形成することができ、以下を含む:
複数の基板面を形成する複数の層32a〜b、34a〜b、36を有する積層体を備え、積層体内に空洞16を備える基板14と、
空洞(16)内で基板14に接続され、要素22;22a〜f;30;40;150;160を含み、当該要素は少なくとも複数の基板面の運動面内で変形可能で、撓み可能要素22;22a〜f;30;40;150;160の運動面内の変形と、流体の体積流量12とに関連性がある電子トランスデューサ18(18a〜f )。
電子回路17は、半導体層を介して、電気機械トランスデューサ18(18a〜f )に接続される。
電子回路17は、変形可能要素22;22a〜f;30;40;150;160の変形と、電気信号との間の変換を実現するように構成される。
半導体層27を提供する方法は、第1電子パターン31aが第1距離ラスタ33aを含むように、半導体層27の第1層主面29aに第1電子パターン31aを設けることを含む。方法はさらに、第2電子パターン31bが第2距離ラスタ33bを含むように、半導体層27の反対側に位置する第2層主面29bに第2電子パターン31bを設けることを含む。方法は、第1および第2電子パターン31a、31bを互いに接続することを含む。
図20は、MEMSトランスデューサ80に提供される信号および/またはMEMSトランスデューサから受信した信号の処理を実行するように構成された制御デバイス128に接続されたMEMSトランスデューサ80を備えるMEMSシステム200の概略ブロック図を示す。例えば、電子回路は、MEMSデバイス80の動電トランスデューサを制御してもよく、さらに/あるいはMEMSデバイス80の動電トランスデューサから電気信号を受信してもよい。制御デバイス128内で、対応する制御、および/または評価がどのように行われ得るかについての情報が処理される。
例えば、MEMSトランスデューサ80が複数の電気機械トランスデューサ18を含む場合、制御デバイス128は、複数の電気機械トランスデューサ(共有電子回路および/または個々の電子回路)に情報を提供するように構成されてもよい。これにより、第1および隣接する第2の電気機械トランスデューサは、第1の期間中に少なくとも局所的に互いに向かって移動する。制御デバイス128は、第1電気機械トランスデューサと、第1電気機械トランスデューサに隣接して配置された第3の電気機械トランスデューサが、第2期間中に互いに向かって移動するように、複数の電気機械トランスデューサのうちの少なくとも1つの電子回路を制御するように構成されてもよい。第1電気機械トランスデューサは、第2電気機械トランスデューサと第3の電気機械トランスデューサとの間に配置されてもよい。例えば、前記電気機械トランスデューサは電気機械トランスデューサ18a〜cであってもよい。電気機械トランスデューサ18bは、第1電気機械トランスデューサであってもよい。
さらに/あるいは、制御デバイス128は、電子回路から変形可能要素の変形に基づく電気信号を受信し、それを評価するように構成されてもよい。例えば、制御デバイス128は、変形の周波数または振幅を決定するように構成されてもよい。したがって、システム200はセンサおよび/またはアクチュエータとして動作し得る。
システム200は、例えば、MEMSスピーカとして動作してもよい。体積流量12は、音響音波または超音波であり得る。
あるいは、システム200は、MEMSポンプとして構成されてもよい。基板の空洞は、基板14の第1開口部26および第2開口部26を含んでもよい。電気機械トランスデューサ18は、流体に基づいて体積流量12を提供するように構成されてもよい。電気機械トランスデューサは、電気機械トランスデューサ18の作動に基づいて流体を第1開口部26から空洞に向かって運ぶか、または前記作動に基づいて流体を、第2開口部を通して空洞から外部に運ぶように構成されてもよい。
あるいは、システム200は、MEMSマイクロフォンとして動作してもよい。変形可能要素の変形に基づいて、電気信号は、電気機械トランスデューサ80または接続された異なる電気機械トランスデューサのポートで取得可能である。変形可能要素の変形は、体積流量12に基づいて生じ得る。
さらに/あるいは、本明細書に記載のMEMSトランスデューサは、MEMSバルブまたはMEMS投薬システムとして構成されてもよい。MEMS投薬システムは、例えば、インプラント可能な薬物および/またはインスリンポンプ用に利用してもよい。
システム200は、制御デバイス128がMEMSトランスデューサ80に接続されるように説明されたが、異なるMEMSトランスデューサ(例えば、MEMSトランスデューサ10、20、50、100、110、170、180、180’、230および/または240)を配置することも可能である。さらに/あるいは、上述の実施形態に係るいくつかのMEMSトランスデューサを配置することができる。さらに/あるいは、MEMSトランスデューサの積層体(積層体90または140)を配置してもよい。さらに/あるいは、少なくとも2つのMEMSトランスデューサが配置されてもよい。少なくとも第1MEMSトランスデューサおよび第2MEMSトランスデューサは、空洞または部分空洞、および/または異なる共振周波数を有する電気機械的トランスデューサ(例えば500Hzアクチュエータを含むチャンバ、2kHzアクチュエータを含むさらなるチャンバまたはさらなる(部分)空洞等)を含んでもよい。
上述のMEMSトランスデューサは、様々なデバイスで使用することができる。図21aに、一実施形態に係るそのようなデバイス210の例を示す。デバイス210は、例えば、MEMSトランスデューサ10を含む。ただし本明細書に記載される異なるMEMSトランスデューサ20、50、100、110、170、180、180’、230および/または240を追加で/代替的に含むこともできる。MEMSトランスデューサは、例えば、音波である音響流体流量12を生成するためのMEMSスピーカとして構成され、デバイス210は、携帯音楽再生デバイスまたはヘッドフォンとして構成される。
図21bは、例えば、デバイス210を含み得る、一実施形態に係るシステム215の概略ブロック図を示す。MEMSトランスデューサ10および/または配置された異なるMEMSトランスデューサは、スピーカとして構成され、出力信号39に基づいて、流体流量12の形式で、音響信号を再生するように構成され得る。出力信号は、音響情報を含むアナログ信号またはデジタル信号であり得る(例えば音声情報を含む)。システム215は、例えば、屋内(建物内)および屋外(建物外)の両方の用途のための万能翻訳機および/またはナビゲーション支援システムとして構成されてもよい。この目的のために、システム215は、さらなるコンポーネント、(例えばマイクロフォンおよび/または位置決定のためのデバイスならびにCPUのような計算ユニット)を有してもよい。マイクロフォンは、本明細書で説明されるMEMSトランスデューサとして構成されてもよい。計算ユニットは、マイクロフォンによって拾われる第1言語の音声コンテンツを第2言語に変換して、出力信号39とともに第2言語を提供するように構成されてもよい。あるいは、計算ユニットは、決定された位置に基づいて、MEMSトランスデューサ10によって再生され得る、決定された位置に関する音声情報を含むように、出力信号39を提供するように構成され得る。
図22は、一実施形態に係る健康支援システム220の概略図を示す。健康支援システム220は、身体37のバイタル機能を感知し、感知したバイタル機能に基づいてセンサ信号39を出力するためのセンサ手段35を含む。健康支援システム220は、センサ信号39を処理し、前記処理に基づいて出力信号を提供する処理手段41を含む。健康支援システム220は、ヘッドフォン、例えば本明細書に記載の実施形態に係るMEMSトランスデューサを含むデバイス200を含む。MEMSトランスデューサは、スピーカとして構成され、出力信号43を受信するための無線通信インタフェースを含む。スピーカ200は、出力信号43に基づいて音響信号を再生するように構成される。スピーカをヘッドフォン、特にインイヤーヘッドフォンとして構成すると有利である。例えば、観察されるバイタル機能は(例えばスポーツ中の脈拍数)はユーザに通知される。また、バイタル機能に由来する量(閾値を超える、下回る等)を出力することもできる。
図23は、複数の電気機械トランスデューサ18a〜18iを含むMEMSトランスデューサ230の概略上面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜f は、横方向に間隔を開けて第1空洞16a内に互いに隣接して配置され、電気機械トランスデューサ18g〜18iは、第2空洞16b内で横方向に間隔を開けて互いに隣接して配置されている。空洞16aおよび16bは、基板14の底面および/または蓋面(不図示)に開口部を備えていてもよい。MEMSトランスデューサ230は、個々の電気機械トランスデューサ18a〜18iと、それぞれの空洞16aおよび16bの電気機械トランスデューサ18a〜f または18g〜18iのいずれもが対応可能なように、スピーカおよび/またはマイクロフォンとして使用可能であり得る。スピーカおよび/またはマイクロフォンは、振動を介して音波を放出および/または受信するために最適化されるように実現されてもよい。例えば、固体伝播音を介して情報が送信および/または受信されるように、人体に(理想的には骨の近くに)配置してもよい。この場合、好ましい変形例は、すべてのアクチュエータがそれぞれ、すなわち、チャンバが2つの可動壁を含むとした手法であっても、同じ方向に動くものである。電気機械トランスデューサ18a〜18iは、片側が固定された梁要素を含む。MEMSトランスデューサ230は、不図示の電子回路17を含む。
言い換えると、左側のチャンバである空洞16aは、好ましくは同相で振動するように、横方向または垂直方向に移動可能な曲げアクチュエータを含む。これにより、対応する音を伝達するようにチップを振動させる。右側のチャンバである空洞16bには3つの横方向または垂直方向の曲げアクチュエータが含まれている。これらのアクチュエータは同相で振動するが、左側のチャンバとは異なる周波数範囲を網羅するように、寸法(厚さ、長さ、幅)が設計されている。
図24は、複数の電気機械トランスデューサ18a〜iを含むMEMSトランスデューサ240の概略上面図を示し、電気機械トランスデューサ18a〜f は、横方向に間隔をあけて、互いに隣接して配置され、それぞれ、空洞16a〜16kまたは部分的な空洞に隣接する。電気機械トランスデューサ18a〜18iは、両側が固定された梁要素を含む。MEMSトランスデューサ240は、不図示の電子回路17を含む。
図23および24の実施形態では、MEMSトランスデューサ230が片側で固定されるそのような梁要素のみを含むように描かれているが、上述のように、MEMSトランスデューサ240は両側が固定される梁要素のみを含むため、実施形態は、空洞16aまたは16bに応じて、同じタイプの電気機械トランスデューサを互いに独立して配置できるように、または空洞内に異なるタイプの電気機械トランスデューサを配置できるように、必要に応じて互いに組み合わせることができる。
言い換えれば、図24は図23と同じ原理を示すが、両側が固定された曲げアクチュエータが使用されている。
さらなる実施形態は、MEMSトランスデューサを製造する方法に関する。この方法は、複数の基板面を形成する複数の層を含み、積層体内に空洞を含む基板を提供することを含む。この方法は、基板内に電気機械トランスデューサを作成することを含み、電気機械トランスデューサは空洞内で基板に接続されて、複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能要素を備え、運動面内での変形可能要素の変形と、流体の体積流量との間に相関関係がある。本方法は、電気機械トランスデューサに接続され、変形可能要素の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成されるように電子回路を積層体の層内に配置することを含む。
上記の実施形態は、2つの電気機械トランスデューサが互いに向かって移動することで体積流量が生成されるという事実に関する。ただし、体積流量は、剛性構造(例えば基板)に関連した電気機械トランスデューサの運動に基づいて、またはそれとの相互作用で実現することもできる。したがって、部分空洞または部分空洞部位の体積が個々の電気機械トランスデューサによって影響を受け得る。
複数箇所湾曲するように、さらに/あるいはプレート要素に接続された変形可能要素を含む上記の実施形態は、図1を参照して説明した構成と比較して、確実により大きい体積流量を生成するまたは、確実に体積流量により敏感に反応するように利用可能である。
実施形態は、音圧の周波数依存曲線を柔軟に設定することを可能にし、特に、多くの場合目標にされる、可能な限り平坦な周波数応答も可能にする。
MEMSトランスデューサのチャンバをできるだけ少なくして、周波数に依存する音圧曲線をできるだけ平坦に設計するには、振動曲げ梁のQ係数が低い、曲げ梁が広い共鳴曲線を持つことが好ましい。この目的のために、減衰材料によって梁振動がさらに減衰されるように、梁を固定してもよい。梁は、非結晶材料により固定されることが好ましい。これには、酸化ケイ素、SU8などのポリマー、または他のレジストなどが含まれる。梁振動の減衰は、電気的にも実現可能である。例えば、静電容量の変化により、電圧が印加されると、静電アクチュエータまたは圧電アクチュエータの自由梁振動中に周期的な交流電流が流れる。適切に設けられた電気抵抗器により、電力消費が発生し、その結果振動が減衰する。完全な電気共振回路(つまり、集積または外部コイルが追加で設けられる)も可能である。減衰は、流体がチャンバに流入したり流出したりする際の大きな流れ抵抗を示すように、追加の構造が曲げ梁に実装されることでも実現可能である。
特に、低共振周波数を示す、つまり低周波数を生成および/または検出するためには、曲げ梁の質量を増やすことが好ましくなり得る。剛性が大幅に増加しないように、このための追加構造は、好ましくは最大の振動振幅の領域に取り付けられる。梁が片側で固定されている場合、理想的な位置(最大の振動振幅の領域)は、曲げ梁の端となる。梁が両側で固定されている場合、理想的な位置は梁の中心となる。
言い換えると、本発明の発見は、チャンバ(すなわちシリコンチップ内に形成され得る部分空洞または部分空洞部位)を圧縮および/または拡張することにより、体積流量が生成されるか、または検出可能になるという事実に基づいている。各チャンバには、流体、(例えば空気)が流入、流出する入口または出口が設けられてもよい。チャンバは、移動の横方向に垂直な方向に沿って(例えば、上部と下部で)固定蓋によって閉じられてもよい。各チャンバの側壁の少なくとも1つは、可動または変形可能に設計されており、アクチュエータによって、前記チャンバの体積が減少または増加するように変位させることができる。
MEMSトランスデューサの上述の実施形態は、明瞭性のために不図示の電気接続、ボンドパッドなどを含んでもよい。
上述の実施形態は、少なくとも2つの空洞または部分空洞の異なる共振周波数に基づいて実現可能なマルチパススピーカまたはNウェイスピーカに関する。電気機械トランスデューサと空洞または部分空洞は、音圧レベル(SPL)が少なくとも部分的に共振周波数に基づくように、互いに対して調整可能である。すなわち、いくつかのアクチュエータチャンバは異なる周波数応答を有してもよい(SPL=f(周波数))。したがって、変形可能要素の変形に基づいて、および部分空洞に基づいて得られる音圧レベルの値と、それぞれの部分空洞から出入りする体積流量の周波数とに相関関係がある。相関は関数として提示可能である。例えば、線形関数であり得る。例えば、SPL=x*frequency+bとなる。式中、xとbは変数である。代わりに、関数は、非線形、すなわち、二乗、指数関数、またはルート関数に基づいてもよい。機能的相関は、異なるMEMSトランスデューサ内に配置された異なる部分空洞または空洞に容易に適用可能である。したがって、体積流量の周波数は、流体内の圧力の周波数依存曲線を示し得る。
MEMSトランスデューサのシリコンチップは、それぞれの用途に適合した形状を有するように設計され、ウェハレベルでの製造中に得られるウェハアレイから取り出されてもよい。例えば、チップは補聴器やインイヤーヘッドフォンのスピーカとして使用するために円形、または六角形に設計され得る。これはウェハ上のシリコン表面積の消費を考慮すると、より好ましい。
音響生成にチップボリュームを使用するMEMSスピーカの表面および裏面でのマイクロエレクトロニクスコンポーネントおよび/またはマイクロシステムのモノリシック集積の技術的実現について、いくつかの側面が補足され得る。例えば、MEMS構造などのマイクロエレクトロニクスコンポーネントは、1つ以上の層に集積されてもよい。電子制御および/または評価回路、すなわち電子回路17は、デジタルアナログコンバータおよび/またはPWM発生器を備えてもよい。信号調整は、例えば、電子回路17の一部であり得るデジタル信号処理によって実現され得る。電子回路17は、クロック発生器および/または発振器、高電圧発生器(すなわち、DC/DCコンバータ)を含んでもよく、チャージポンプまたはブーストチョッパーは、デコーダ(「サウンドワイヤ」規格などのデジタルオーディオ信号用)またはMP3デコーダを含むことができる。さらに、電子回路は、増幅器または蓄電器を含み得る。電子回路17は、例えばテキスト音声変換アルゴリズムまたは音声テキスト変換アルゴリズムに使用される、例えばCPUなどのプロセッサを備えてもよい。また、電子回路17は、例えば、RAMメモリやフラッシュメモリなどの半導体メモリを備えてもよい。MEMSトランスデューサは、加速度センサ、温度センサ、回転速度センサ、位置センサまたは磁場センサなどのMEMSセンサを含むことができ、これらは電子回路17、またはさらなる回路コンポーネントの一部によって制御または読み出される。加えて、温度または湿度センサまたはガスセンサが設けられてもよい。さらに/あるいは、無線インタフェースまたは無線式インタフェースを、例えば近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)インタフェース)用の無線通信用に設けてもよい。また、例えばLTEおよび/またはeSIM(埋め込みSIM)などのモバイル無線インタフェース、iBeaconや物理Webなどのマシン/マシンインタフェースを設けてもよい。さらに/あるいは、GPSなどの全地球的航法衛星システム用の受信機が集積されてもよい。MEMSトランスデューサは、MEMSマイクロフォンおよび/またはMEMSスピーカなどとして構成されてもよい。
MEMSトランスデューサは、システム機能、つまり、さらなる機能または用途との組み合わせを可能にする。例えば、MP3プレーヤー、エンターテイメント技術、ストリーミング、ヘッドセット、トランシーバーなどが挙げられる。補聴器への適用も可能である。歩数、体温、呼吸数、エネルギー消費などのバイタルデータの記録、比較、最適化、および/または通知を可能にするフィットネストラッカーなどの健康支援システムも実現可能である。システムは、音声/テキストおよび/またはテキスト/音声技術またはアルゴリズムを介して、例えば公共空間および/または建物内での補助を可能とするナビゲーション支援システムに関してもよい。これは、視覚障害者などの特定の人々のグループ、および/または公共の建物、軍の建物、警察の建物、消防隊の建物などの特定の建物に関し得る。制御システムでは、本明細書で説明される実施形態が、例えば、ジェスチャおよびスピーチを介して通信およびデバイスを制御するために使用され得る。これに関連して、例えば、音声/テキストおよび/またはテキスト/音声技術および/またはアルゴリズムを介してヒューマン/マシンインタフェースが提供され得る。また、万能翻訳機の用途も考えられる(例えば言語間での同時翻訳用)。仮想現実における用途も考えられる。例えば視覚障害者用の純粋に音響的な仮想現実である。「拡張現実」とも呼ばれる視覚的仮想現実、可聴インターネット、可聴ソーシャルネットワークなどに対応するものである。さらに/あるいは、音声コマンドの識別を可能にするオーディオ署名を実現してもよい。この例としては、可聴インターネットおよび人間/機械通信用のセキュリティ関連ログインが挙げられる。例えば助けを呼ぶ等、安全性が重視される音響イベントの認識も実現され得る。限定的ではなく、上述した例示は音響信号を受信するためのMEMSマイクロフォンにも適用される。
以下において、個々にまたは本明細書に記載される特徴および機能性および詳細のいずれかと組み合わせて使用できる本発明の追加の実施形態および態様を説明する。
第1の態様によると、流体の体積流量12と相互作用するMEMSトランスデューサは、複数の基板面を形成する複数の層32a〜b、34a〜b、36を有する積層体を含み、前記積層体内に空洞16を有する基板14と、前記空洞16内で前記基板14に接続され、前記複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160を備える電気機械トランスデューサ18、18a〜fであって、運動面内の前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形と流体の体積流量12との間に因果関係がある電気機械トランスデューサ18、18a〜fと、前記積層体の層32a〜b内に配置された電子回路17、17a〜bであって、前記電子回路17、17a〜bは、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fに接続され、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形と電気信号との間の変換を実現する電子回路17、17a〜bと、を含む。
第1の態様に係る第2の態様によると、前記電子回路17、17a〜bは、電気制御信号In
1
を前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の撓みに変換する、または前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形を電気出力信号Out
2
に変換するように構成される。
第2の態様に係る第3の態様によると、前記電子回路17、17a〜bは、デジタルな前記制御信号In
1
をアナログな前記制御信号Out
1
に変換するためのデジタルアナログコンバータ、アナログな前記電気出力信号In
1
をデジタルな前記電気出力信号Out
1
に変換するためのアナログデジタルコンバータ、信号デコーダ、プロセッサ、半導体メモリ、近距離無線通信用の無線通信インタフェース、およびモバイル無線インタフェースの少なくとも1つを含む。
第2または第3の態様に係る第4の態様によると、前記電子回路17、17a〜bは、前記電気制御信号Inを前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の撓みに変換するように構成され、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160のためのデジタルパルス幅変調制御信号を提供するように構成されたスイッチング増幅器を含む。
第2から第4の態様のいずれかに係る第5の態様によると、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は第1変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160であって、前記MEMSトランスデューサは少なくとも第2変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160を含み、前記電子回路17、17a〜bは、前記電気制御信号Inを前記第1および第2変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の撓みに変換するように構成された、または前記第1および第2変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形を前記電気出力信号Out
2
に変換するように構成される。
第1から第5の態様のいずれかに係る第6の態様によると、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は能動的に形成され、前記体積流量12と相互作用するように構成され、または前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160に接続されたプレート要素62、62a〜cが剛性であり、前記体積流量12と相互作用するように構成される。
第1から第6の態様のいずれかに係る第7の態様によると、前記電子回路17、17a〜bが中に配置された前記層32a〜bは、前記運動面に垂直な方向に沿って配置されている。
第1から第7の態様のいずれかに係る第8の態様によると、前記電子回路17、17a〜bが中に配置された前記層32a〜bは、前記MEMSトランスデューサの外側に電気的に接続され、または前記MEMSトランスデューサの前記外側であってリードアセンブリに接触し得る。
第1から第8の態様のいずれかに係る第9の態様によると、前記電子回路17、17a〜bが中に配置された前記層32a〜bは第1蓋層であり、前記電子回路17、17a〜bは第1電子回路17aであり、第2電子回路17bが前記基板14の第2蓋層に配置されている。
第9の態様に係る第10の態様によると、変形中に、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、少なくとも時々、前記第1および第2電子回路17a、17bの間に配置される。
第9または第10の態様に係る第11の態様によると、前記第2電子回路17bは、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fまたは前記第1電子回路17aに接続され、前記第1電子回路17aに対して相補的に、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160に関して機能を提供するように構成される。
第1から第11の態様のいずれかに係る第12の態様によると、前記積層体は、第1層の主面29aに、第1距離ラスタ33aを有する第1電子パターン31aと、反対側に位置する第2層の主面29bに、第2距離ラスタ33bを有する第2電子パターン31bを含む適応層27を含み、前記第1電子構造と前記第2電子構造は前記適応層で互いに接続される。
第12の態様に係る第13の態様によると、前記適応27は、前記積層体の蓋層であり、前記電子回路17、17a〜bが少なくとも部分的に中に配置されるか、または適応層としてのみ電気的に構成される前記積層体の蓋層である。
第1から第13の態様のいずれかに係る第14の態様によると、前記電子回路17、17a〜bが中に配置された前記層32a〜bは、前記電子回路17、17a〜bに接続された機能要素21を含み、前記電子回路17、17a〜bは、前記機能要素21を制御または評価するように構成される。
第1から第14の態様のいずれかに係る第15の態様によると、前記電子回路17、17a〜bが中に配置された前記層32a〜bは第1蓋層であり、前記電子回路17、17a〜bは第1電子回路17aであり、第2電子回路17bと機能要素21が前記基板14の第2蓋層に配置され、前記第2電子回路17bは、前記機能要素21に接続され、前記機能要素21を制御または評価するように構成される。
第14または第15の態様に係る第16の態様によると、前記機能要素21は、センサ、アクチュエータ、無線通信インタフェース、光源、メモリコンポーネント、プロセッサ、およびナビゲーション受信機のうちの少なくとも1つを含む。
第16の態様に係る第17の態様によると、前記機能要素21は、MEMSセンサおよびMEMSアクチュエータのうちの少なくとも1つを含む。
第1から第17の態様のいずれかに係る第18の態様によると、前記電子回路17、17a〜bは前記基板14の蓋層に配置され、さらに、ガス検知機能要素が前記蓋層に配置され、前記蓋層は、前記流体の流れ12を通過させるように構成された開口部26aを備え、前記ガス検知機能要素は、前記流体の流れ12と感覚的に相互作用するように構成される。
第18の態様に係る第19の態様によると、前記開口部は、前記蓋層内の前記ガス検知機能要素21によって取り囲まれる。
第18の態様に係る第20の態様によると、前記ガス検知機能要素21は、前記開口部26aに少なくとも部分的に突出する。
第1から第20の態様のいずれかに係る第21の態様によると、前記電子回路17、17a〜bが中に配置された前記層32a〜bは第1基板層であり、前記電子回路17、17a〜bは隣接する第2基板層に少なくとも部分的に配置される。
第1から第21の態様のいずれかに係る第22の態様によると、前記電子回路17、17a〜bは、前記運動面に垂直な方向に沿って配置され、前記電子回路17、17a〜bの位置は、前記位置を前記運動面に投影した場合、変形中に前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160が少なくとも部分的に配置される位置に該当する。
第1から第22の態様のいずれかに係る第23の態様によると、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fは、前記電子回路17、17a〜bの電気制御Out、Out
1
に応じて前記空洞16内の流体の動きを引き起こすように構成され、および/または前記空洞16内の流体の動きに応じて前記電子回路17、17a〜bに電気信号Out
2
を相関的に提供するように構成される。
第1から第23の態様のいずれかに係る第24の態様によると、前記MEMSトランスデューサは、複数の電気機械トランスデューサ18、18a〜fと、その軸方向に沿って湾曲するように構成された梁構造30を含む第1および第2変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160とを含み、前記基板14の開口部26に隣接する第1部分空洞42a、42bが、第1電気機械トランスデューサ18b、18dと第2電気機械トランスデューサ18c、18eの前記梁構造30の間に配置される。
第1から第24の態様のいずれかに係る第25の態様によると、前記MEMSトランスデューサは、それぞれが横運動方向24に沿って変形可能な要素22、22a〜f、30、40、150、160を含む、前記基板14に接続された複数の電気機械トランスデューサ18、18a〜fを含み、第1電気機械トランスデューサ18b、18dと第2電気機械トランスデューサ18c、18eとの間に第1部分空洞42a、42bが配置され、前記第2電気機械トランスデューサ18b、18dと第3電気機械トランスデューサ18a、18cとの間に第2部分空洞38a、38bが配置される。
第25の態様に係る第26の態様によると、前記第1および第2電気機械トランスデューサ18b、18dは、第1周波数で前記第1部分空洞の体積を変化させるように構成され、第1、18b、18dおよび第3、18a、18c電気機械トランスデューサは、第2周波数で前記第2部分空洞の体積を変化させるように構成される。
第25または第26の態様に係る第27の態様によると、前記基板14は、前記空洞16の複数の部分空洞に接続された複数の開口部を備え、各部分空洞の体積は、前記横運動方向に沿って変形可能な少なくとも1つの要素の撓み状態の影響を受け、部分空洞の2つの隣接する部分体積が第1または第2期間中に相補的な方法で増加または減少できる。
第25から第27の態様のいずれかに係る第28の態様によると、前記第1電気機械トランスデューサ18b、18d、前記第2電気機械トランスデューサ18c、18e、および前記第3電気機械トランスデューサ18a、18cの前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160はそれぞれ、第1および第2端部を含む梁アクチュエータ30を含み、前記第1電気機械トランスデューサ18b、18dの前記梁アクチュエータ30は、前記第1端部および前記第2端部で前記基板14に接続され、前記第2電気機械トランスデューサ18c、18eまたは前記第3電気機械トランスデューサ18a、18cの前記梁アクチュエータは、前記梁アクチュエータの中央領域で前記基板14に接続されている。
第25から第28の態様のいずれかに係る第29の態様によると、前記基板14は、前記空洞16の複数の部分空洞42a〜b、38a〜cに接続された複数の開口部26を含み、各部分空洞42a〜b、38a〜cの体積は横運動方向24に沿って変形可能な少なくとも1つの要素22、22a〜f、30、40、150、160の撓み状態の影響を受け、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形および前記部分空洞42a〜b、38a〜cに基づいて得られる音圧レベルの値が、それぞれの部分空洞42a〜b、38a〜cから出入りする体積流量12の周波数との相関を示し、当該相関は関数として表され得るものであり、前記体積流量12の周波数は流体内の圧力の周波数依存の進行を表す。
第1から第29の態様のいずれかに係る第30の態様によると、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fは、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fの軸方向yに少なくとも間接的に接続された複数の変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160を含み、前記要素は、それぞれ第1および第2部分空洞部位96a、96bの体積に影響を及ぼすように構成される。
第30の態様に係る第31の態様によると、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fは、電気制御129aに応じて前記第1、96aおよび第2、96b部分空洞部位内の流体の動きを引き起こすように構成され、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、異なる周波数で第1、96aおよび第2、96b部分空洞部位の体積を変えるように構成される。
第1から第31の態様のいずれかに係る第32の態様によると、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、前記運動面と平行に前記空洞16を定義する前記基板14の層32a〜bと非接触式に配置され、または、低摩擦層が前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160と前記運動面と平行に前記空洞16を定義する前記層32a〜bとの間に配置される。
第1から第32の態様のいずれかに係る第33の態様によると、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、電圧を印加することで変前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160が変形可能である作動方向59、59’を含むバイモルフとして構成される。
第33の態様に係る第34の態様によると、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、それぞれ反対の作動方向59a〜cを含む、第1、30a、第2、30b、および第3、30c梁セグメントを、軸方向yに沿ってこの順序で配置されて含む。
第34の態様に係る第35の態様によると、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fは、第1および第2変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160を含み、前記第1変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の外側梁セグメント30a、30cと、前記第2変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の外側梁セグメント30a、30cとは、少なくとも間接的に互いに接続されている。
第1から第35の態様のいずれかに係る第36の態様によると、前記基板14はアンカー要素84を含み、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の軸方向延在方向yの中央領域30bで前記アンカー要素84に接続され、または前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、前記アンカー要素84を介して外側梁セグメント30a、30cでさらなる変形可能要素に接続される。
第1から第36の態様のいずれかに係る第37の態様によると、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160は、梁構造を含み、前記梁構造は第1および第2端部で強く固定される。
第1から第37の態様のいずれかに係る第38の態様によると、前記空洞16は、前記横運動方向24に垂直に配置された前記基板14内の開口部26を備え、これにより前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形に基づいて、前記横運動方向24に垂直に、前記体積流量12が前記空洞16から、または前記空洞16に流れ込む。
第1から第38の態様のいずれかに係る第39の態様によると、前記変形可能要素は前記開口部(26)に隣接して配置される。
第1から第39の態様のいずれかに係る第40の態様によると、MEMSトランスデューサは、MEMSポンプ、MEMSスピーカ、MEMSマイクロフォン、MEMSバルブ、およびMEMS投薬システムのうちの1つとして構成される。
第41の態様は、第1から第40の態様のいずれかに係るMEMSトランスデューサを含むデバイスに関し、前記MEMSトランスデューサは、MEMSスピーカとして構成され、前記デバイスはモバイル音楽再生デバイスまたはヘッドフォンとして構成される。
第42の態様は、第1から第41の態様のいずれかに係るMEMSトランスデューサを含むシステムに関し、前記MEMSトランスデューサはスピーカとして構成され、出力信号に基づいて音響信号を再生するように設計される。
第43の態様によると、第42の態様のシステムは、万能翻訳機またはナビゲーション支援システムとして構成される。
第44の態様は、第1層主面29aに、第1距離ラスタ33aを有する第1電子パターン31aを含み、反対側に位置する第2層主面29bに、第2距離ラスタ33bを有する第2電子パターン31bを含む半導体層であって、前記第1および第2電子パターン31a、31bは互いに電気的に接続されている、半導体層に関する。
第45の態様は、第44の態様の半導体層を含み、第1距離ラスタ33aを含む電子回路17を有する回路層を含むMEMS積層体であって、前記電子回路17は第1電子構造体に接続されており、これにより前記電子回路17は前記第2層主面29bを介して接触され得る、MEMS積層体に関する。
第46の態様によると、第45の態様に記載のMEMS積層体流体は、流体の体積流量12と相互作用するMEMSトランスデューサを形成するMEMS積層体であって、複数の基板面を形成する複数の層32a〜b、34a〜b、36を有する積層体を含み、積層体内に空洞16を有する基板14と、前記空洞16内で前記基板14に接続され、前記複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能な要素22、22a〜f、30、40、150、160を備える電気機械トランスデューサ18、18a〜fであって、運動面内の前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形と流体の体積流量12との間に因果関係がある電気機械トランスデューサ18、18a〜fと、を含み、前記電子回路17は、前記半導体層を介して前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fに接続され、前記電子回路17、17a〜bは、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形と電気信号との間の変換を実現するように構成される。
第47の態様は、身体37のバイタル機能を感知し、感知された前記バイタル機能に基づいてセンサ信号39を出力するセンサ手段35と、前記センサ信号39を処理し、当該処理に基づいて出力信号43を提供する処理手段41と、請求項1から38のいずれかに記載のMEMSトランスデューサを含むヘッドフォン200と、を含む健康支援システム220であって、前記MEMSトランスデューサは、スピーカとして構成され、出力信号43を受信する無線通信インタフェースを含み、それに基づいて音響信号を再生するように構成された、健康支援システム220に関する。
第47の態様に関連する第48の態様によれば、ヘッドフォンはインイヤーヘッドフォンとして形成される。
第49の態様によると、流体の体積流量12と相互作用するMEMSトランスデューサを提供する方法であって、複数の基板面を形成する複数の層32a〜b、34a〜b、36を有する積層体を含み、前記積層体内に空洞16を有する基板14を提供するステップと、前記基板14内に電気機械トランスデューサ18、18a〜fを作成するステップであって、これによって前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fは前記空洞16内で前記基板14に接続され、前記複数の基板面の少なくとも1つの運動面内で変形可能な要素22、22a〜f、30、40、150、160を備える、ステップと、ここで運動面内の前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形と流体の体積流量12との間に因果関係があり、電子回路17、17a〜bを前記積層体の層32a〜b内に配置するステップであって、これによって前記電子回路17、17a〜bは、前記電気機械トランスデューサ18、18a〜fに接続され、前記変形可能要素22、22a〜f、30、40、150、160の変形と電気信号との間の変換を実現する、ステップと、を含む。
第50の態様によると、半導体層を提供する方法は、第1層主面29aに第1電子パターン31aを配置するステップであって、これによって前記第1電子構造は第1距離ラスタ33aを有する、ステップと、反対側に位置する第2層主面29bに第2電子パターン31bを配置するステップであって、これによって前記第2電子パターンは第2距離ラスタ33bを有する、ステップと、前記第1および第2電子パターン31a、31bを互いに電気的に接続するステップと、を含む。
デバイスの文脈でいくつかの態様を説明したが、前記態様は対応する方法の説明でもあることを理解されたい。したがって、デバイスのブロックまたは構造コンポーネントも対応する方法ステップ、またはその機能としても理解される。同様に、方法ステップに関連して、または方法ステップとして説明された態様は、対応するブロックの説明または対応するデバイスの詳細または特徴にも対応する。
上述の実施形態は、あくまで本発明の原理の例示である。当業者であれば、本明細書に記載の構成および詳細のあらゆる修正および変形が理解可能であることが理解されよう。したがって、本発明は、実施形態の説明および議論によって本明細書に提示された特定の詳細によってではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
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