[0025]様々な実施形態をこれより詳細に参照する。これらの1又は複数の実施例が、図面に示されている。各実施例は、説明として提示されており、限定を意味するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴を、任意の他の実施形態において、又は、任意の他の実施形態と併せて使用することが可能であり、これにより、さらに別の実施形態が生み出される。本開示は、このような修正例及び変形例を含むことが意図される。
[0026]図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は、同じ又は類似の構成要素を指し得る。概して、個々の実施形態に関する相違点のみが説明される。他に特に規定がない限り、一実施形態の部分又は態様の説明は、別の実施形態の対応する部分又は態様に同様に適用される。
[0027]OLEDフラットパネルディスプレイなどのOLEDデバイスは、複数の層を含み得る。例えば、5つ以上、又は最大10以上の層の組み合わせが設けられ得る。典型的に、有機層及び金属層は、バックプレーン上に堆積される。バックプレーンは、TFT構造を含み得る。具体的には、有機層は、封入される前、気体環境(例えば、大気)に対して敏感であり得る。したがって、真空処理システムの内部で、有機層と金属層の両方を含む層スタック全体を生成することが有益である。
[0028]本開示では、特にモバイル機器向けのOLEDフラットパネルディスプレイの製造に言及がなされる。しかしながら、他の基板処理用途向けに、似たような検討事項、実施例、実施形態、及び態様がさらに与えられる場合がある。例えばOLEDモバイルディスプレイの場合、幾つかの処理チャンバでは、共通金属マスク(CMM)が設けられる。CMMは、各モバイルディスプレイに対して端部除外マスクを設ける。各モバイルディスプレイは、1つの開口を伴ってマスキングされ、ディスプレイ間の領域に対応する基板上の領域は、主にCMMによって覆われる。他の層は、ファインメタルマスク(FFM)で堆積されてもよい。ファインメタルマスクは、例えば、ミクロン単位で寸法形成された複数の開口を有する。複数の精細な開口は、モバイルディスプレイの画素、又は、モバイルディスプレイの画素の色に対応する。したがって、ディスプレイ上にミクロン単位で画素を整列させるためには、FFM及び基板を互いに対して高精度にアライメントしなければならない。大面積基板、垂直基板配向、及び結果として生じる重力、並びに例えば、蒸発処理の熱衝撃に起因する熱膨張が組み合わさると、正確なマスクアライメントが困難となる。
[0029]本開示の幾つかの実施形態によると、基板は、チャッキングデバイスによって(例えば、静電チャック及び/又は磁気チャックによって)、基板キャリアで保持され得る。他の種類のチャッキングデバイスを使用してもよい。典型的に、基板キャリアは、キャリア本体、及び基板受容プレートを含む。基板は、例えば、静電力及び/又は磁力によって、基板受容プレートで保持される。本明細書に記載されている、基板を「搬送する(transporting)」、「移動させる(moving)」、「ルーティングさせる(routing)」、「交換する(replacing)」、又は「回転させる(rotating)」こととは、基板をある配向、具体的には、非水平配向、より具体的には、実質的に垂直な配向に保持するキャリアの対応する運動のことを指し得る。
[0030]図1Aは、例えば、金属蒸発器を用いて金属層を堆積した後の、キャリアによって支持されたガラス基板の温度を示すグラフ10を示す。例えば、金属堆積の後、少なくとも30Kだけ基板温度が上昇しているのがわかる。例えば、10〜20分後、基板温度は時間と共に減少する。しかし、より長い時間尺度(数時間)で見ると、キャリアの温度は、図1Bのグラフ12に示すように、真空処理システムの操作の間に上昇する。システム内の温度を評価すると、輻射に起因する基板の冷却は重要ではないことが見い出され得る。さらに、真空処理システム内の真空雰囲気により、対流に起因する熱交換も重要ではない。基板の冷却は、主に基板から基板キャリアへの伝導、すなわち、熱伝導によってもたらされることが発見された。図1Bに示すように、このプロセスは、基板キャリアの温度が上昇するにつれて、より長い時間尺度(数時間から数十時間)にわたって困難に直面し得る。
[0031]本開示の実施形態によれば、処理される基板を有するキャリアをルーティングするための真空処理システムが提供される。当該システムは、キャリア上の基板を処理するための第1の真空処理チャンバ、基板のための処理時間遅延をもたらす真空バッファチャンバ、基板上の材料層のマスク堆積のための第2の真空処理チャンバ、及びキャリアを第1の真空チャンバから真空バッファチャンバへとルーティングし、キャリアを真空バッファチャンバから第2の真空チャンバへとルーティングするための1又は複数の移送チャンバを含む。
[0032]処理時間遅延を導入するバッファチャンバを設けることにより、基板温度を30K以上(さらに50K以上等)上昇させ得る金属堆積の後の、例えば、ファインメタルマスク(FFM)を用いた、堆積のためのアライメントの精度の問題が減少する。例えば、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、金属堆積には、基板上の熱負荷をさらに増加させ得るCMMが提供され得る。本開示の実施形態に係る真空バッファチャンバは、後続の(下流)FMM堆積処理のために十分に低い基板温度を可能とする。この処理では、例えば、ファインメタルマスクの高精度なアライメントが有益である。
[0033]他の実施形態と組み合わせることができる本開示の実施形態によれば、基板温度管理のために、幾つかの態様のうちの1又は複数を、独立的に又は組み合わせて有益に使用することができる。基板温度管理の改善によって、同様に、マスク(具体的には、ディスプレイの画素に対応する開口を有するマスク)の改善されたアライメント精度が可能になる。一態様によれば、蒸発源の基板に対する熱負荷を減少させるか、又は最小限にすることができる。これについては、図8に関連してより詳細に説明される。別の態様によれば、基板の温度上昇を最小限にして、バッファチャンバの改善された熱伝導を可能にするために、キャリアの質量を熱緩衝として使用することができる。したがって、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、キャリアの厚さは、8mm以上(15mm以上など)であり得る。特に、幾つかの実施形態に従って大面積基板を使用することができるという事実に照らし合わせて、基板キャリア及び基板の大体似たような領域を考えると、このキャリアの厚さは、1mm以下(約0.5mmなど)の基板の厚さに比べて大きい。さらに別の態様によると、特に基板キャリア向けに、且つ/又は、基板から基板キャリアへの熱伝導が起きた後に、能動的輻射冷却を実現することができる。
[0034]図2で示すように、真空バッファチャンバ1162を提供し得る。本開示の実施形態によれば、真空バッファチャンバ1162は、処理時間遅延を設けるように構成されている。真空バッファチャンバ1162は、冷却領域200であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、真空バッファチャンバは、それぞれの基板を支持する、受け入れたキャリアのための先入れ先出しスタックを設け得る。追加的に又は代替的に、真空バッファチャンバは、4つ以上の基板キャリアをバッファするように構成され得る。したがって、処理時間遅延は、真空処理システムのタクト時間の少なくとも4倍であり得る。
[0035]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、真空処理システムを操作する方法は、真空処理システムのタクト時間の少なくとも4倍の待機時間の導入を含み得る。
[0036]例えば、図2は、基板を有する基板キャリアを格納し得る7つの基板キャリアスロット210を示す。矢印212によって示されているように、基板キャリアスロット210を隣接する移送チャンバ1164の搬送路214とアライメントするために、基板キャリアスロット210又は基板キャリアスロットのアレイを移動させることができる。真空バッファチャンバ1162の基板キャリアスロット210上の搬送路214に沿って、基板キャリアを、移送チャンバ1164を通して搬送させることができる。例えば、基板は、真空チャンバ20(例えば、真空クラスタチャンバ)に出入りするように搬送され得る。基板キャリアスロット210の移動によって、基板キャリアバッファを先入れ先出しバッファ(FIFOバッファ)として操作することが可能になる。FIFOバッファによって、後続の基板に対して一定の基板処理遅延時間が可能になる。
[0037]図2は、幾つかの実施形態で提供され得る冷却アセンブリ230をさらに図示する。冷却アセンブリ230は、移送チャンバ1164内に設けられる。したがって、キャリアの温度が上昇している間、真空バッファチャンバ1162内で処理遅延時間の対象となった基板を有するキャリアは、冷却アセンブリで冷却され得る。例えば、冷却アセンブリは、基板キャリアの裏側に冷却ユニット220を含み得、任意選択的に、基板キャリアの表側に冷却ユニット222を含み得る。典型的に、基板キャリアの表側は、基板を支持する側である。
[0038]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる本開示の実施形態によれば、冷却ユニットの冷却素子は、低温クーラー、低温発生器(cryo−generator)、低温気体冷却器(cryo−gas−chiller)等であり得る。冷却ユニットは、窒素又は空気のような圧縮乾燥気体を冷却し得る。例えば、気体を周囲温度から−80℃以下(−100℃以下等)の極低温まで冷却することができる。
[0039]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる本開示の実施形態によれば、冷却アセンブリ230は、キャリア位置、特に移送チャンバ1164内のキャリア位置に隣接して設けられ得る。さらなる詳細は、図4及び図5に関連して説明される。さらに、幾つかの代替的又は追加的な修正例によれば、冷却アセンブリ230は、冷却流体(例えば、冷却気体)用の導管を備えた領域を有する1又は複数の冷却表面を含み得る。
[0040]図3は、本開示の実施形態に従って、すなわち、本開示の実施形態に係る真空処理システム、及び本開示の実施形態に係る真空処理システムを操作する方法に関連する、経時的に展開する基板の温度(破線のグラフ32を参照)、及びキャリアの温度(点線のグラフ34を参照)を例示する。
[0041]真空処理システムを操作する実施形態は、第1のタクト時間期間の間、材料層(例えば、金属層)を基板上に堆積することを含み得る。
[0042]基板の往来については、真空処理システム内で同時に処理される複数の基板に関連して説明することができる。同時処理のために、タクト時間は、典型的に、システム内の基板の処理、基板の搬送、及び他の操作条件が同期するように設けられる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、システムのタクト時間、すなわち、時間期間は、180秒以下、例えば、60秒から180秒であり得る。例えば、基板は、この時間期間、すなわち、第1の例示的な時間期間T内に処理される。
[0043]図3に示すグラフは、材料層を堆積した後の時間301で開始する。基板を支持するキャリアは、例えば、タクト時間の間、真空バッファチャンバに移動し得る。基板を支持するキャリアは、本開示の実施形態によれば、例えば時間302で真空バッファチャンバ内にパーキングする。
[0044]キャリアは、おおよそ時間304まで1又は複数のタクト時間期間にわたってパーキングする。例えば、基板を支持するキャリアは、3つ以上のタクト時間にわたってパーキングし得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、真空バッファチャンバは、FIFOバッファとして提供及び/又は操作され得る。その時間の間、基板温度が降下して、キャリア温度が上昇する。キャリアは、基板のための熱緩衝材として使用され得る。
[0045]キャリアを、冷却アセンブリ、例えば、移送チャンバ内に設けられた冷却アセンブリに移動させることができる。時間304では、さらなるタクト時間の一部の間、キャリアは、冷却アセンブリで冷却され得る。図3にグラフ34で示すように、キャリアの温度が降下する。その後、図3の時間306によって示されているように、堆積、例えば、ファインメタルマスクを用いた有機材料の堆積が基板上にもたらされ得る。例えば、有機材料のマスク堆積については、グラフ32に示すように、基板温度は十分に降下して、基板に対するマスクアライメントの改善が可能になる。
[0046]さらに別の実施形態によれば、第2の冷却アセンブリが、真空処理システム内に設けられ得る。例えば、第2の冷却アセンブリは、図6A及び図7Aに関連して説明されているように、真空処理システムのさらなる移送チャンバ内に設けられ得る。これは、図3では、基板キャリア温度のさらなる降下が開始した後の2つ目の時間304によって示されている。したがって、基板キャリア温度は、約30℃以下に減少し得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、真空処理システムは、移送チャンバ内に設けられた冷却アセンブリなど、1つ、2つ、3つ、4つ以上の冷却アセンブリを有し得る。例えば、2つの冷却アセンブリが設けられ得る。
[0047]図4は、本明細書に記載された実施形態に係る、真空処理システムの1又は複数の移送チャンバの移送チャンバ1164を示す。例えば、移送チャンバ1164は、真空バッファチャンバとシステムのさらなる真空チャンバとの間に設けられ得る。例示的に、さらなる真空チャンバは、真空回転チャンバなどのクラスタチャンバ(例えば、図6Aの真空回転チャンバ1130を参照)であり得る。
[0048]移送チャンバ1164は、真空チャンバであり、磁気浮揚ボックス432及び磁気駆動ボックス434を有する磁気浮揚システムを含み得る。キャリア410は、例えば、浮揚させられている間、真空チャンバ内に配置され得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、キャリア410は、冷却アセンブリ230、例えば、冷却アセンブリの冷却ユニット220に隣接して配置される。幾つかの実施形態によれば、冷却ユニット220は、基板キャリア410の裏側、すなわち、基板412が装着された側の反対側のキャリア側に設けられ得る。
[0049]幾つかの実施形態によれば、任意選択的に、第2の冷却ユニット222は、基板キャリア410の表側、すなわち、基板412に対向する側に設けられ得る。
[0050]図5は、本開示の実施形態に係る、冷却アセンブリ230をより詳細に示す。冷却アセンブリの冷却ユニット220は、プレート501を含み得る。複数の導管502が、プレート501に設けられ得る。例えば、導管502は、プレートに取り付けられてもよく、又は、プレート内に組み込まれてもよい。導管502は、互いに流体連通しており、例えば、冷却流体のために冷却素子510と共に閉ループを設ける。冷却ユニットの冷却素子は、低温クーラー、低温発生器、低温気体冷却器等であり得る。冷却流体は、冷却素子510内で冷却され、導管502を通して循環する。したがって、導管及びプレート501は、−50℃以下(−100℃以下等)の温度まで冷却され得る。例えば、キャリアが冷却アセンブリの隣にパーキングしている間、キャリア410に隣接して設けられた冷却ユニット220はキャリアを冷却し得る。したがって、キャリアの温度は降下し得る。キャリアによって基板から以前吸収された熱エネルギーは、冷却流体への熱放射によって移され得る。
[0051]上述のように、真空処理システムは、1又は複数の移送チャンバを含み得る。例示的な真空処理システム1100は、図6Aに示される。図6Aに示す真空処理システムは、複数の真空クラスタチャンバ、複数の処理チャンバ、及び複数の移送チャンバを含む。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、本明細書で言及されている1又は複数の移送チャンバは、キャリアを真空処理システム内の第1の搬送方向から真空処理システム内の第2の搬送方向へと方向付ける第1の真空クラスタチャンバを含み得る。さらに、真空処理システムは、キャリアを真空処理システム内の第1の搬送方向から真空処理システム内の第2の搬送方向へと方向付ける少なくとも第2の真空クラスタチャンバを含み得る。
[0052]図6Aは、本開示の実施形態に係る真空処理システム1100を示す。真空処理システム1100には、クラスタ配置とインライン配置との組み合わせが設けられる。複数の処理チャンバ1120が設けられる。処理チャンバ1120は、真空回転チャンバ1130に接続され得る。真空回転チャンバ1130は、インライン配置で設けられる。真空回転チャンバ1130は、処理チャンバ1120に出入りするよう移動させられる基板を回転させることができる。クラスタ配置とインライン配置との組み合わせは、ハイブリッド配置と見なされうる。ハイブリッド配置を有する真空処理システム1100は、複数の処理チャンバ1120を許容する。真空処理システムの長さは、特定の限界を依然として越えることはない。
[0053]本開示の実施形態によれば、クラスタチャンバ又は真空クラスタチャンバは、2つ以上の処理チャンバが接続されるように構成されたチャンバ、例えば、移送チャンバである。したがって、真空回転チャンバ1130は、クラスタチャンバの例である。クラスタチャンバは、ハイブリッド配置におけるインライン配置で設けられ得る。
[0054]真空回転チャンバ又は回転モジュール(本明細書で「ルーティングモジュール」又は「ルーティングチャンバ」とも呼ばれる)は、1又は複数のキャリアの搬送方向を変更するように構成された真空チャンバであると理解することができる。この1又は複数のキャリアの搬送方向は、回転モジュール内のトラック上に配置された1又は複数のキャリアを回転させることによって、変更し得る。例えば、真空回転チャンバは、回転軸、例えば、垂直回転軸の周りでキャリアを支持するように構成されたトラックを回転させるように構成された回転デバイスを含み得る。幾つかの実施形態では、回転モジュールは、回転軸の周りで回転し得る少なくとも2つのトラックを含む。第1のトラック、特に第1の基板キャリアトラックは、回転軸の第1の側に配置され得、第2のトラック、特に第2の基板キャリアトラックは、回転軸の第2の側に配置され得る。
[0055]幾つかの実施形態では、回転モジュールは、4つのトラック、特に、2つのマスクキャリアトラック、及び回転軸の周りを回転し得る2つの基板キャリアトラックを含む。
[0056]回転モジュールがx°(例えば、90°)の角度だけ回転すると、トラック上に配置された1又は複数のキャリアの搬送方向は、x°(例えば、90°)の角度だけ変化し得る。回転モジュールの180°の角度の回転は、トラック切り替えに対応する場合があり、すなわち、回転モジュールの第1の基板キャリアトラックの位置と回転モジュールの第2の基板キャリアトラックの位置とが交換され得、且つ/又は回転モジュールの第1のマスクキャリアトラックの位置と回転モジュールの第2のマスクキャリアトラックの位置とが交換され得る。幾つかの実施形態によれば、回転モジュールは、基板が回転し得るロータを含み得る。
[0057]図6Aは、真空処理システム1100を示し、図6Bは、真空処理システム内の基板の往来を示す。基板は、例えば、真空スイングモジュール1110において、真空処理システム1100に入る。さらなる修正例によると、基板を真空処理システム内にローディングし、真空処理システムからアンローディングするために、ロードロックチャンバが、真空スイングモジュールに接続され得る。真空スイングモジュールは、典型的に、基板を、デバイス製造工場のインターフェースから、直接受け取るか又はロードロックチャンバを介して受け取る。典型的に、インターフェースは、基板、例えば、大面積基板を水平配向で供給する。真空スイングモジュールは、基板を、工場インターフェースで設けられた配向から実質的に垂直な配向に移動させる。基板が、例えば、水平配向に戻るよう移動させられるまで、基板が真空処理システム1100内で処理されている間、基板の実質的に垂直な配向が維持される。基板の揺動、角度移動、又は回転は、図6Bの矢印1191によって示される。
[0058]本開示の実施形態によれば、真空スイングモジュールは、第1の基板配向から第2の基板配向への移動のための真空チャンバであり得る。例えば、第1の基板配向は、水平配向などの非垂直配向であり得、第2の基板配向は、垂直配向又は実質的に垂直な配向などの非水平配向であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、真空スイングモジュールは、水平配向に対する第1の配向と水平配向に対する第2の配向に基板を内部で基板を選択的に位置付けするように構成された基板最位置付けチャンバであり得る。
[0059]基板は、矢印1192に示すように、バッファチャンバ1112(図6Aを参照)を通して移動させられる。基板は、真空回転チャンバ1130などのクラスタチャンバを通して処理チャンバ1120内にさらに移動させられる。図6A及び図6Bに関連して説明される幾つかの実施形態では、基板は、処理チャンバ1120−I内に移動させられる。例えば、処理チャンバ1120−I内で孔検査層(HIL)が基板上に堆積され得る。
[0060]その後、基板は、処理チャンバ1120から出されて、隣接するクラスタチャンバ、例えば、真空回転チャンバ1130に移動させられ、それから、第1の移送チャンバ1182を通して、さらなるクラスタチャンバを通して、処理チャンバ1120−II内に移動させられる。これは、図6Bの矢印1194によって示される。処理チャンバ1120−IIでは、孔移送層(hole transfer layer:HTL)が基板上に堆積される。孔注入層と同様に、孔移送層は、モバイルディスプレイ毎に1つの開口を有する共通金属マスクで製造され得る。さらに、基板は、処理チャンバ1120−IIから出されて、隣接するクラスタチャンバ、例えば、真空回転チャンバ1130に移動させられ、それから、第2の移送チャンバ1184を通して、さらなるクラスタチャンバを通して、処理チャンバ1120−III内に移動させられる。これは、図6Bのさらなる矢印1194によって示される。
[0061]移送チャンバ又は中継モジュールは、少なくとも他の2つの真空モジュール又は真空チャンバの間、例えば、真空回転チャンバ間に挿入され得る真空モジュール又は真空チャンバであると理解することができる。キャリア(例えば、マスクキャリア及び/又は基板キャリア)は、移送チャンバの長さ方向で、移送チャンバを通して搬送され得る。移送チャンバの長さ方向は、真空処理システムの主搬送方向、すなわち、クラスタチャンバのインライン配置に対応し得る。
[0062]処理チャンバ1120−IIIでは、電子遮蔽層(EB)が基板上に堆積される。電子遮蔽層は、ファインメタルマスク(FFM)で堆積され得る。ファインメタルマスクは、例えば、ミクロン単位で寸法形成された複数の開口を有する。複数の精細な開口は、モバイルディスプレイの画素、又は、モバイルディスプレイの画素の色に対応する。したがって、ディスプレイ上にミクロン単位で画素を整列させるためには、FFM及び基板を互いに対して高精度にアライメントしなければならない。
[0063]基板は、処理チャンバ1120−IIIから、処理チャンバ1120−IVへと移動し、その後、処理チャンバ1120−V、それから処理チャンバ1120−VIへと移動する。各搬送路、例えば、2つの基板搬送路に対して、基板は、処理チャンバから移動して、移送チャンバを通して、真空回転チャンバを通して、例えば、真空回転チャンバ内に入り、次の処理チャンバ内に入る。例えば、赤画素のためのOLED層は、チャンバ1120−IV内で堆積され得、緑画素のためのOLED層は、チャンバ1120−V内で堆積され得、青画素のためのOLED層は、チャンバ1120−VI内で堆積され得る。色画素の各層は、ファインメタルマスクで堆積される。種々の色の画素ドットが基板上で互いに隣接するように、それぞれのファインメタルマスクは異なり、これにより、1つの画素の外観を呈する。処理チャンバ1120−VIから処理チャンバ1120−VIIに延びるさらなる矢印1194によって示すように、基板は、処理チャンバから出て、移送チャンバを通して、さらなるクラスタチャンバを通して、クラスタチャンバ内に移動し、それから後続の処理チャンバ内に入る。処理チャンバ1120−VIIでは、電子移送層(ETL)が、共通金属マスク(CMM)で堆積され得る。
[0064]1つの基板について以上で説明される基板の往来は、真空処理システム1100内で同時に処理される複数の基板に対しても同様である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、システムのタクト時間、すなわち、時間期間は、180秒以下、例えば、60秒から180秒であり得る。したがって、基板は、この時間期間、すなわち、第1の例示的な時間期間T内で処理される。上述の処理チャンバ及び下述の後続の処理チャンバでは、1つの基板が第1の時間期間T内で処理され、処理されたばかりの別の基板が、第1の時間期間T内で処理チャンバから出るように移動させられ、処理されるさらに別の基板が、第1の時間期間T内で処理チャンバ内に移動させられる。1つの基板が、各処理チャンバ内で処理され得るが、2つのさらなる基板が、この処理チャンバに関連して往来する。すなわち、第1の時間期間Tの間、1つのさらなる基板が、対応する処理チャンバからアンロードされ、1つの基板が、対応する処理チャンバ内にロードされる。
[0065]処理チャンバ1120−Iから処理チャンバ1120−VIIへの例示的な基板の上述の経路は、真空処理システム1100の処理チャンバの列、例えば、図6A及び図6Bの下方の列に設けられる。真空処理システムの列又は下方部分は、図6Bの矢印1032で示される。
[0066]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、基板は、真空処理システムのクラスタチャンバのインライン配置の一端からクラスタチャンバのインライン配置の反対端へと、真空処理システムの一列又は一部においてルーティングされ得る。インライン配置の反対端、例えば、図6Aの右側の真空回転チャンバ1130において、基板は、真空処理システムの他の列又は他の部分に移送される。これは、図6Bの矢印1115によって示される。図6Bの矢印1034によって示されているように、真空処理システムの他の列又は他の部分では、基板は、クラスタチャンバのインライン配置の反対端からクラスタチャンバのインライン配置の一端、すなわち、開始端へと移動しながら、後続の処理チャンバ群内で処理される。
[0067]図6Aに示す実施例では、例示的な基板は、処理チャンバ1120−VIIIへと移動し、その後、処理チャンバ1120−IXへと移動する。例えば、OLEDデバイスのカソードを例示的に形成し得る金属化層は、例えば、上述の共通金属マスクを用いて、処理チャンバ1120−VIII内で堆積され得る。例えば、金属(Al、Au、Ag、Cu)のうちの1又は複数は、堆積モジュールのうちの幾つかによって堆積され得る。少なくとも1つの材料は、透明導電酸化物材料、例えば、ITOであってもよい。少なくとも1つの材料は、透明材料であってもよい。特に処理チャンバ1120−VIIIなどの金属化チャンバ(metallization chamber)では、基板にかかる熱負荷や基板の温度上昇が高いことがある。したがって、このような金属堆積の後に、本発明の実施形態による冷却が有益に行われ得る。
[0068]図6Aは、真空バッファチャンバ1162及び移送チャンバ1164を示す。移送チャンバ1164は、クラスタチャンバ1130と真空バッファチャンバ1162との間に設けられ得る。基板を有するキャリアは、図6Aに例示するように、処理チャンバ1120−VIIIからルーティングされて、移送チャンバ1182を通り、クラスタチャンバ1130を通り、移送チャンバ1164を通り、真空バッファチャンバ1162内に入り得る。本明細書に記載された実施形態によれば、基板は、処理チャンバから真空バッファチャンバへと、1又は複数の移送チャンバを通してルーティングされ得る。
[0069]真空バッファチャンバ1162から、基板は、冷却装置が設けられ得る移送チャンバ1164を通してルーティングされ得る。基板キャリアの温度を減少させるために、キャリアを冷却装置に隣にパーキングした後、キャリアは、次の処理チャンバ1120へとさらにルーティングされ得る。例えば、図6Aに示すように、さらなる移送チャンバ1182をハッチングすることにより、さらなる冷却装置の下流にさらなる冷却装置が設けられ得る。
[0070]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、真空処理システムは、基板キャリアを収容するのに十分な長さを有する長い移送チャンバ、及び基板キャリアより短い移送チャンバを有益に含み得る。基板キャリアを冷却装置の前方にパーキングすることは、長い移送チャンバ内で有益に行われ、それにより、冷却装置の前方にパーキングしている間に移動しない基板キャリアは、隣接するチャンバ(例えば、真空回転チャンバ)に影響を与えることがない。
[0071]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、1又は複数の移送チャンバは、第1の真空クラスタチャンバと真空バッファチャンバとの間の第1の移送チャンバ、及び第1の真空クラスタチャンバと少なくとも第2の真空クラスタチャンバとの間の第2の移送チャンバを含み得る。またさらに、真空処理システムの追加的又は代替的な修正例は、第2の真空処理チャンバを有し、例えば、真空バッファチャンバの下流の真空処理チャンバは、シャドウマスクを基板に対してアライメントするためのマスクアライメントアセンブリを有する。またさらに、追加的又は代替的に、第2の移送チャンバは、第1のクラスタチャンバと第2のクラスタチャンバとの間に延びる第1の長さを有し得、第1の移送チャンバは、基板を収容するように寸法形成され、第3の移送チャンバは、第2のクラスタチャンバに接続され、第2の移送チャンバは、第1の長さより短い第2の長さを有する。
[0072]本発明の実施形態によれば、15°以下だけ垂直から偏差する配向で基板をルーティングするように設けられた基板搬送装置が提供され得る。垂直分離配向は、設置面積の縮小に有益である。基板搬送装置は、基板を第1の真空処理チャンバ、第2の真空処理チャンバ、及び1又は複数の移送チャンバを通してルーティングするように設けられ得る。
[0073]一態様によれば、大面積基板をOLEDディスプレイ製造するための真空処理システムが提供される。当該システムは、金属材料の蒸発物が大面積基板上のスタックに堆積される金属堆積チャンバを含む。当該システムは、真空処理システム内で金属堆積チャンバの下流に設けられた真空バッファチャンバであって、大面積基板を支持する2つ以上のキャリアを格納するように構成された真空バッファチャンバ、及び真空バッファチャンバの下流にあり、且つ大面積基板上に材料を堆積するためにさらなる蒸発器を有するさらなる堆積チャンバであって、表示画素に対応する領域上に材料を堆積するために大面積基板をマスキングするシャドウマスクのためのマスク支持体を含む、さらなる堆積チャンバを含む。さらに、当該システムは、キャリア位置に隣接して配置されてキャリアの温度を降下させる冷却アセンブリを含む移送チャンバを含む。本開示のさらなる態様、利点、特徴、及び実施形態は、このような実施形態と組み合わされ得る。
[0074]幾つかの実施形態によれば、真空バッファチャンバ1162の下流、例えば、処理チャンバ1120−IX及び1120−X内にさらなる層が供給され得る。
[0075]最終的な処理の後、基板は、バッファチャンバ1112を介して、真空スイングモジュール1110、すなわち、基板最位置付けチャンバに移動させられ得る。これは、図6Bの矢印1193によって示される。真空スイングモジュールでは、基板は、処理配向、すなわち、実質的に垂直な配向から、工場とのインターフェースに対応する基板配向、例えば、水平配向に動かされる。
[0076]図6A及び図6Bに関して説明される実施形態の特徴が組み込まれ得る別の実施形態が、図7A及び図7Bに関連して説明される。図7A及び図7Bに示す真空処理システム1100は、第2の真空スイングモジュール1210、すなわち、第2の基板最位置付けチャンバを含む。さらに、クラスタチャンバと真空スイングモジュールとの間の第2のバッファチャンバ1212が設けられ得る。したがって、例示的な基板は、クラスタチャンバのインライン配置の一端からクラスタチャンバのインライン配置の反対端へとルーティングされ得る。例えば、基板は、真空スイングモジュール1110内にロードされ得、システム内で、実質的に一端(すなわち、図7Aの左側)から反対端(すなわち、図7Aの右側)へとルーティングされ得る。基板は、真空スイングモジュール1210、すなわち、反対端の真空スイングモジュールを通して、真空処理システムから出るようにアンロードされ得る。幾つかの実施形態によれば、ある処理チャンバから次の処理チャンバへと搬送されるとき、基板の往来は、例えば、図4Bの矢印1294によって示されるように、処理チャンバの一列(図4Bの矢印1032参照)と処理チャンバの他の列(図4Bの矢印1034参照)との間で切り替わり得る。その後、基板は、またさらに後続の処理チャンバに移動させられるときに、図4Bの矢印1296によって示すように、真空処理システムの他の列における後続の処理チャンバから真空処理システムの第1の列に戻る。したがって、幾つかの実施形態によれば、例示的な基板は、真空処理システムの列又は真空処理システムの部分を前後に切り替え得る(図7Bの矢印1032及び1034を参照)。
[0077]図6A及び図6Bは、例えば、真空回転チャンバなどのクラスタチャンバ間に設けられた移送チャンバを示す。図6A及び図6Bは、第1の移送チャンバ1182及び第2の移送チャンバ1184を示す。隣接する又は後続する処理チャンバ同士の距離を縮小し、真空処理システムの設置面積を縮小することは、移送チャンバの長さの縮小を示唆しているかのようである。驚くことに、移送チャンバの長さの部分的な延長により、真空処理システム1100のタクト時間が改善されることが発見された。本明細書に記載された実施形態によれば、真空処理システムは、少なくとも第1の長さの第1の種類の移送チャンバ、すなわち、第1の移送チャンバ1182、及び第1の長さより短い第2の長さを有する第2の種類の移送チャンバ、すなわち、第2の移送チャンバ1184を含む。本開示の実施形態によれば、基板キャリアを冷却するための冷却装置は、第1の長さの第1の移送チャンバ内に有益に配置され得る。
[0078]例えば、基板配向に対する、本明細書で使用される「実質的に垂直な配向」 とは、垂直配向、すなわち、重力ベクトルから15°以下、10°以下、特に特に5°以下の偏差を伴う配向であると理解してよい。例えば、基板(又はマスクデバイス)の主要面と重力ベクトルとの間の角度は、+10°から−10°の間、特に、0°から−5°の間であり得る。幾つかの実施形態では、基板(又はマスクデバイス)の配向は、搬送中及び/又は堆積中、厳密には垂直ではない場合があり、かえって、垂直軸に対して、例えば、0°から−5°、特に−1°から−5°の傾斜角度だけわずかに傾斜する。負の角度は、基板(又はマスクデバイス)の配向を指しており、この場合、基板(又はマスクデバイス)は、下向きに傾斜している。堆積中、重力ベクトルから基板配向が偏差することは、有益であり得、結果的に、より安定した堆積プロセスをもたらすか、又は、下向き配向が、堆積中に基板上の粒子を減らすのに適切であり得る。しかしながら、搬送中及び/又は堆積中の厳密に垂直な配向も可能である。
[0079]大面積基板の基板サイズを拡大するために、基板サイズは、通常世代(GEN)が代わることになるが、垂直配向は、真空処理システムの設置面積が減少するので、水平配向に比べて有益である。重力がファインメタルマスクの表面に沿って垂直配向に作用するという意味で、ファインメタルマスク(FFM)を用いた大面積基板上の堆積プロセスの実質的に垂直な配向は、なおさら予期されていない。ミクロン単位での画素の位置付け及びアライメントは、水平配向よりも垂直配向に対しての方が複雑である。したがって、大領域システム、具体的には、FFMを利用する真空堆積システムでは、水平真空堆積システムについて開発された概念は、垂直真空堆積システムに適用できない場合がある。
[0080]本明細書に記載された実施形態は、例えば、製造されたディスプレイ向けに、大面積のコーティングされた基板を検査するために利用され得る。本明細書に記載された装置及び方法の構成の対象である基板又は基板受容領域は、例えば、1m2以上のサイズを有する大面積基板であり得る。例えば、大面積基板又はキャリアは、約0.67m2の基板(0.73×0.92m)に相当するGEN4.5、約1.4m2の基板(1.1m×1.3m)に相当するGEN5、約4.29m2の基板(1.95m×2.2m)に相当するGEN7.5、約5.7m2の基板(2.2m×2.5m)に相当するGEN8.5、又はさらに約8.7m2の基板(2.85m×3.05m)に相当するGEN10であり得る。GEN11及びGEN12などのさらに次の世代、及びそれに相当する基板領域を同様に設置することができる。例えば、OLEDディスプレイ製造については、GEN6を含む上述の基板世代の半分サイズが、蒸発材料用装置の蒸発によってコーティングされ得る。基板世代の半分サイズは、完全な基板サイズで行われる幾つかの処理、及び以前処理された基板の半分で行われる後続の処理から結果的に生じ得る。
[0081]本明細書で使用される「基板(substrate)」という用語は、例えば、ウエハ、サファイアなどの透明結晶体の薄片、又はガラスプレートといった、実質的に非フレキシブルな基板を包含し得る。しかし、本開示は、これらに限定されるわけではなく、「基板」という用語は、ウェブや箔などのフレキシブル基板を包含し得る。「実質的に非フレキシブルな(substantially inflexible)」という表現は、「フレキシブル」と区別されると理解される。具体的には、例えば、0.5mm以下の厚さを有するガラスプレートのように、実質的に非フレキシブルな基板はある程度の可撓性を有し得るが、実質的に非フレキシブルな基板の可撓性は、フレキシブル基板と比べて低い。
[0082]基板は、材料堆積に適切な任意の材料で作製されてよい。例えば、基板は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス等)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、金属、又は堆積処理によってコーティングされ得る他の任意の材料若しくは材料の組み合わせからなる群から選択された材料から作製され得る。
[0083]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる修正例のまたさらなる実施形態によれば、本明細書に記載された垂直な又は実質的に垂直な配向の大面積基板用の真空処理システムは、真空システム内で搬送中の基板を支持するキャリアをさらに含み得る。特に、大面積基板については、キャリアを利用することにより、真空処理システムの内部のガラス破損を減らすことができる。したがって、基板は、後続の処理のためにキャリア上に留まり得る。例えば、基板を、真空処理システムに入った直後、又は当該システムに入っている間、キャリア上にロードすることができ、且つ、真空処理システムから出る直前、又は当該システムから出ている間、同じキャリア上からアンロードすることができる。
[0084]本明細書に記載された実施形態に係る真空処理システムは、キャリア上の基板を搬送するように構成された基板搬送装置をさらに含み得る。基板搬送装置は、キャリア搬送システムを含み得る。図6Aに示すように、キャリアは、搬送路1171、1172、1174、1173に沿って搬送され得、搬送位置1175などの搬送位置にさらに設けられ得る。キャリア搬送システムは、キャリアを上昇させ且つ保持するための保持システム(例えば、磁気浮揚システム)、及びキャリア搬送路に沿ったトラックに沿ってキャリアを移動させるための駆動システムを含み得る。例えば、基板搬送装置は、真空回転チャンバ内に2つの基板回転位置を含み得る。
[0085]幾つかの実施形態では、基板キャリアは、磁気浮揚システムを含み得る搬送システムによって搬送される。例えば、磁気浮揚システムは、基板キャリアの重量の少なくとも一部が磁気浮揚システムによって運ばれ得るように設けられ得る。基板キャリアは、真空処理システムを通して、基板キャリアトラックに沿って、実質的に無接触で誘導され得る。基板キャリアトラックに沿ってキャリアを移動させるための駆動部が設けられてもよい。無接触浮揚により、真空処理システム内の粒子生成が減少する。これは、OLEDデバイスの製造に特に有利であり得る。
[0086]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態によれば、実質的に垂直に配向された大面積基板上の層堆積は、有益には、堆積源(例えば、蒸発源1180)(例えば、図6Aを参照)によって行われ得る。ここでは、蒸発源は、ライン源として設けられ得る。ライン源は、材料を堆積する基板(例えば、長方形大面積基板)の表面に沿って移動し得る。さらに別の実施形態によれば、2つ以上の、例えば、3つのライン源が、堆積源のために設けられ得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、有機材料は同時堆積されてもよく、2つ以上の有機材料が1つの材料層を形成する。
[0087]蒸発した材料を1又は複数の基板に向けて方向付けるように構成された堆積源、例えば、蒸気源は、通常、処理チャンバ又は堆積モジュール内に配置される。例えば、堆積源は、処理チャンバ内に設けられ得る源搬送トラックに沿って移動可能であり得る。堆積源は、蒸発した材料を1又は複数の基板に向けて方向付けながら、源搬送トラックに沿って直線状に移動し得る。
[0088]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、処理チャンバ又は堆積モジュールは、2つの堆積領域、すなわち、第1の基板を配置するための第1の堆積領域、及び第2の基板を配置するための第2の堆積領域を含み得る。第1の堆積領域は、堆積モジュール内で第2の堆積領域の反対側に配置され得る。堆積源は、蒸発した材料を、第1の堆積領域内に配置された第1の基板に向けて、それから、第2の堆積領域内に配置された第2の基板に向けて連続的に方向付けるように構成され得る。例えば、堆積源の蒸発方向は、堆積源の少なくとも一部を回転させることにより、例えば、180°の角度反転可能であり得る。
[0089]図8は、分配管706の断面を含む上面図を示す。図8は、蒸発器制御ハウジング702上に設けられた3つの分配管706を有する実施形態を示す。図8に示される分配管706は、加熱要素780によって加熱される。冷却シールド782は、分配管706を取り囲むように設けられる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、1つの冷却シールドが、2つ以上の分配管706を取り囲むことができる。蒸発るつぼ内で蒸発する有機材料は、それぞれの分配管706に分配され、排出口712を通して分配管から排出され得る。典型的には、複数の排出口は、分配管706の長さに沿って分散する。本明細書に記載された実施形態によれば、分配管の表面積及びノズルの表面積は、主に冷却シールドによって覆われている。したがって、熱負荷を減らすことができる。さらに、分配管群(例えば、3つの分配管すべて)の表面が、基板表面に対して20°以上の角度を有するように、分配管706は、一定形状、例えば、三角形状を有する。分配管の外表面は、熱放射の熱負荷を減らすために、基板表面に対して平行ではない。各分配管は、蒸発るつぼ(図8に図示せず)と流体連通しており、その分配形状は、分配管の長さに対して直角な断面を有する。この断面は、非円形であり、1又は複数の排出口が設けられる排出口側を含み、この断面の排出口側の幅は、この断面の最大寸法の30%以下である。この形状により、熱放射を減らし、隣接する分配管群の排出口同士を近接させること(例えば、60mm以下)が可能になる。
[0090]図8は、本明細書に記載のさらに別の実施形態を示す。3つの分配管706が設けられる。蒸発器制御ハウジング702は、分配管に隣接するように設けられ、熱絶縁体703を介して分配管に接続される。上述のように、内部で大気圧を維持するように構成された蒸発器制御ハウジングは、スイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット、冷却制御ユニット、加熱制御ユニット、電源、及び測定デバイスから成る群から選択された少なくとも1つの要素を収容するように構成されている。冷却シールド782に加えて、側壁786を有する冷却シールド784が設けられる。冷却シールド784及び側壁786は、U字型の冷却シールドを設けることにより、堆積領域、すなわち、基板及び/又はマスクに向かう熱放射を低減する。図8Aに更に示すように、シェーパシールド790が、例えば、冷却シールドに取り付けられて、又は、冷却シールドの一部として、設けられる。幾つかの実施形態によれば、シェーパシールド790をさらに冷却して、堆積領域に向けて放出される熱負荷をさらに低減することができる。
[0091]複数のシールド783が、蒸発源の排出口側壁に設けられる。例えば、少なくとも5つ、又はさらに少なくとも7つのシールドが、蒸発管の排出口側に設けられる。複数のシールドがシールドのスタックとして設けられてもよく、例えば、シールド群は、互いから0.1mmから3mmほどの距離がある。
[0092]上記の観点から、基板への熱負荷は、積層された熱シールドなどの熱シールド、能動的に冷却されたシールドなどの冷却シールド、基板への熱衝撃を減らすための、1又は複数のシールドによるノズル排出口の覆い部分、及び/又は分配管の形状によって減らすことができる。
[0093]図9は、本開示の実施形態に係る、真空処理システムを操作する方法のフロー図を示す。ボックス902に示すように、金属層などの材料層は、例えば、第1のタクト時間期間の間、基板上に堆積される。基板を支持するキャリアは、第1のタクト時間期間に続く1又は複数の第2の時間期間の間、真空バッファチャンバ内でパーキングされる(ボックス904参照)。さらに、ボックス906に示すように、キャリアは、1又は複数の第2のタクト時間期間に続く第3のタクト時間期間の少なくとも一部の間、冷却アセンブリに隣接する移送チャンバ内で冷却される。
[0094]ボックス908に示すように、真空バッファチャンバ内でのパーキングに起因して、基板温度が減少した後、マスク堆積が行われる。
[0095]以上の記述は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
[0076]図6A及び図6Bに関して説明される実施形態の特徴が組み込まれ得る別の実施形態が、図7A及び図7Bに関連して説明される。図7A及び図7Bに示す真空処理システム1100は、第2の真空スイングモジュール1210、すなわち、第2の基板最位置付けチャンバを含む。さらに、クラスタチャンバと真空スイングモジュールとの間の第2のバッファチャンバ1212が設けられ得る。したがって、例示的な基板は、クラスタチャンバのインライン配置の一端からクラスタチャンバのインライン配置の反対端へとルーティングされ得る。例えば、基板は、真空スイングモジュール1110内にロードされ得、システム内で、実質的に一端(すなわち、図7Aの左側)から反対端(すなわち、図7Aの右側)へとルーティングされ得る。基板は、真空スイングモジュール1210、すなわち、反対端の真空スイングモジュールを通して、真空処理システムから出るようにアンロードされ得る。幾つかの実施形態によれば、ある処理チャンバから次の処理チャンバへと搬送されるとき、基板の往来は、例えば、図7Bの矢印1294によって示されるように、処理チャンバの一列(図7Bの矢印1032参照)と処理チャンバの他の列(図7Bの矢印1034参照)との間で切り替わり得る。その後、基板は、またさらに後続の処理チャンバに移動させられるときに、図7Bの矢印1296によって示すように、真空処理システムの他の列における後続の処理チャンバから真空処理システムの第1の列に戻る。したがって、幾つかの実施形態によれば、例示的な基板は、真空処理システムの列又は真空処理システムの部分を前後に切り替え得る(図7Bの矢印1032及び1034を参照)。