JP2020519876A - pH調整を利用する安定化した2パートヘマトキシリン溶液 - Google Patents

pH調整を利用する安定化した2パートヘマトキシリン溶液 Download PDF

Info

Publication number
JP2020519876A
JP2020519876A JP2019561783A JP2019561783A JP2020519876A JP 2020519876 A JP2020519876 A JP 2020519876A JP 2019561783 A JP2019561783 A JP 2019561783A JP 2019561783 A JP2019561783 A JP 2019561783A JP 2020519876 A JP2020519876 A JP 2020519876A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hematoxylin
formulation
stabilized
acid
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019561783A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020519876A5 (ja
JP6940626B2 (ja
Inventor
エドワード イー. デュラン,
エドワード イー. デュラン,
クリストファー エー. ケルバー,
クリストファー エー. ケルバー,
Original Assignee
ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ヴェンタナ メディカル システムズ, インク., ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. filed Critical ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
Publication of JP2020519876A publication Critical patent/JP2020519876A/ja
Publication of JP2020519876A5 publication Critical patent/JP2020519876A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6940626B2 publication Critical patent/JP6940626B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/28Preparing specimens for investigation including physical details of (bio-)chemical methods covered elsewhere, e.g. G01N33/50, C12Q
    • G01N1/30Staining; Impregnating ; Fixation; Dehydration; Multistep processes for preparing samples of tissue, cell or nucleic acid material and the like for analysis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B65/00Compositions containing mordants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B67/00Influencing the physical, e.g. the dyeing or printing properties of dyestuffs without chemical reactions, e.g. by treating with solvents grinding or grinding assistants, coating of pigments or dyes; Process features in the making of dyestuff preparations; Dyestuff preparations of a special physical nature, e.g. tablets, films
    • C09B67/0001Post-treatment of organic pigments or dyes
    • C09B67/0014Influencing the physical properties by treatment with a liquid, e.g. solvents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B67/00Influencing the physical, e.g. the dyeing or printing properties of dyestuffs without chemical reactions, e.g. by treating with solvents grinding or grinding assistants, coating of pigments or dyes; Process features in the making of dyestuff preparations; Dyestuff preparations of a special physical nature, e.g. tablets, films
    • C09B67/0001Post-treatment of organic pigments or dyes
    • C09B67/0017Influencing the physical properties by treatment with an acid, H2SO4
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01DCOMPOUNDS OF ALKALI METALS, i.e. LITHIUM, SODIUM, POTASSIUM, RUBIDIUM, CAESIUM, OR FRANCIUM
    • C01D1/00Oxides or hydroxides of sodium, potassium or alkali metals in general
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/28Preparing specimens for investigation including physical details of (bio-)chemical methods covered elsewhere, e.g. G01N33/50, C12Q
    • G01N1/30Staining; Impregnating ; Fixation; Dehydration; Multistep processes for preparing samples of tissue, cell or nucleic acid material and the like for analysis
    • G01N2001/302Stain compositions
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S436/00Chemistry: analytical and immunological testing
    • Y10S436/826Additives, e.g. buffers, diluents, preservatives

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Abstract

本開示は、2.4未満のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤を提供する。本開示は、生物学的試料を染色するために、そのような安定化ヘマトキシリン製剤を使用する方法も提供する。【選択図】図4

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月10日に出願された米国仮特許出願第62/504,066号の出願日の利益を主張し、その開示は、本明細書により参照として本明細書にそのまま援用されている。
ヘマトキシリンおよびヘマテインを含む組成物は、病理学(固定された細胞学標本、すなわち塗抹または細胞ブロック内の個々の顕微鏡検査)、および組織学(特別な機能を有する構造を形成する細胞凝集物の顕微鏡検査)において一般的に使用される。例えば、ヘマトキシリンおよびヘマテインは、顕微鏡検査前に細胞核を染色するのに多くの場合使用される。
染色は、通常透明な細胞を着色し、分析を容易にする。ヘマトキシリン染色は、浸漬(ディップ・アンド・ダンク)技術を使用して手作業により、またはVentana Medical Systems Inc.社より提供されるSymphony(登録商標)自動システム等の自動システムを使用することにより実現可能である。染色プロセスは、:(a)顕微鏡スライドに固定された標本からパラフィンを除去すること、および標本を水中に浸漬することにより水和させること;(b)ヘマトキシリンを適用して細胞核を染色すること;(c)水で水洗することにより過剰のヘマトキシリンを除去すること;(d)スライドを、5.0より高いpHを有する濃縮溶液と接触させて、ヘマトキシリンを青色に変化させること(例えば、青色化溶液);ならびに(e)水で水洗することにより青色化溶液を除去することを一般的に伴う。
本開示の1つの態様は、2.4未満のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤である。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.3未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.2未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約2.1〜約2.2の間のpHを有する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、沈殿物を含まないまま少なくとも30日間存続する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は沈殿物を含まないまま少なくとも60日間存続する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、組織試料を染色するのに適するヘマトキシリン溶液を提供するための再調整溶液で処理され得る。
本開示の別の態様は、溶媒、ヘマトキシリン色素、および酸(例えば、強酸)を含む安定化ヘマトキシリン製剤であり、該酸は安定化ヘマトキシリン製剤中に、安定化ヘマトキシリン製剤の総容積に対して約0.05%〜約10%の範囲の量で存在し、そして安定化ヘマトキシリン製剤は2.4未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のpHは2.3未満である。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のpHは2.2未満である。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約2.1〜約2.2の間のpHを有する。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、硫酸、過塩素酸、および硝酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、媒染剤および酸化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、酸化剤はヨウ素酸ナトリウムであり、および媒染剤はアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、保存期間延長剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、保存期間延長剤はポリオールである。いくつかの実施形態では、製剤は、ヘマトキシリン色素、媒染剤、酸化剤、および酸から実質的に構成される。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、沈殿物を含まないまま少なくとも30日間存続する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、沈殿物を含まないまま少なくとも60日間存続する。
本開示の別の態様は、開始ヘマトキシリン染色組成物(例えば、ヘマトキシリン色素および任意選択的に媒染剤を含む組成物)のpHを2.4未満のpHまで低下させることを含む、安定化ヘマトキシリン製剤を形成する方法であり、該pHはヘマトキシリン染色組成物に酸を添加することにより下げられる。いくつかの実施形態では、pHは1Mの塩酸をヘマトキシリン染色溶液に導入することにより下げられる。いくつかの実施形態では、pHは0.5Mの硫酸を使用して下げられる。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のpHは、2.1〜約2.3の範囲である。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のpHは、2.1〜約2.25の範囲である。
本開示の別の態様は、安定化ヘマトキシリン製剤(例えば、2.4未満のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤等)のpHを再調整してヘマトキシリン染色溶液を提供する方法であり、該pHは、強塩基またはバッファーのうちの1つを安定化ヘマトキシリン製剤に添加することにより、pHが少なくとも2.4に上昇するまで再調整される。いくつかの実施形態では、事前処方化された強塩基または事前処方化されたバッファーが、安定化ヘマトキシリン製剤に、事前に決定されたpHに達するまで漸増添加される。いくつかの実施形態では、事前に決定されたpHは、生物学的試料を染色するのに適するpHである(例えば、2.4を上回るpH;2.4〜2.7の間のpH;2.4〜2.6の間のpH等)。いくつかの実施形態では、事前に決定されたpHは、約2.4〜約2.6の範囲にある。いくつかの実施形態では、事前に決定されたpHは、約2.45〜約2.6の範囲にある。いくつかの実施形態では、事前に決定されたpHは、約2.5〜約2.6の範囲にある。いくつかの実施形態では、事前に決定されたpHは、約2.55〜約2.6の範囲にある。いくつかの実施形態では、再調整方法は、得られたヘマトキシリン染色溶液に追加の媒染剤または酸化剤を添加することをさらに含む。
本開示の別の態様は、(i)安定化ヘマトキシリン製剤のpHを上昇させて、染色に適するpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供することと、(ii)ヘマトキシリン染色溶液を生物学的試料に適用することとを含む生物学的試料を染色する方法である。いくつかの実施形態では、染色に適するpHは、2.4〜約2.6の範囲である。いくつかの実施形態では、染色に適するpHは、2.5〜約2.6の範囲である。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のpHは、製剤に事前決定量の強塩基を漸増添加することにより高められる。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のpHは、製剤に事前決定量のバッファーを漸増添加することにより高められる。
本開示の別の態様は、第1および第2の成分を含むキットであり、第1の成分は2.4未満のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤を含み、第2の成分は再調整溶液を含む。いくつかの実施形態では、再調整溶液は、安定化ヘマトキシリン製剤に対して比較的塩基性である。いくつかの実施形態では、キットは、第1および第2の成分を混合して2.4を上回るpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供するための指示書をさらに含む。いくつかの実施形態では、指示書は、事前に決定されたpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供するために、第1の成分に添加される特定量の第2の成分について記載する。いくつかの実施形態では、第1および第2の成分は、別個のコンテナにそれぞれ収容される。いくつかの実施形態では、第1および第2の成分は、別個の液体ディスペンサー中に提供され、各液体ディスペンサーは、例えば本明細書に開示されるような自動染色機構での使用に適する。
本開示の別の態様は、安定化ヘマトキシリン製剤を含む第1の成分であって、安定化ヘマトキシリン製剤が、ヘマトキシリン色素と、安定化ヘマトキシリン製剤の総容積に対して約0.2%〜約4%の量で酸とを含み、2.4未満のpHを有する、第1の成分と、強塩基またはバッファーを含む第2の成分であって、第1および第2の成分が混合されたとき、得られたヘマトキシリン染色溶液のpHが2.4を上回り上昇するような、第1の成分に対する量で提供される第2の成分とを含むキットである。いくつかの実施形態では、pHが少なくとも2.5まで上昇するような量の第2の成分が提供される。
本開示の別の態様は、安定化ヘマトキシリン製剤を含む第1のコンテナであって、安定化ヘマトキシリン製剤が、ヘマトキシリン色素と、安定化ヘマトキシリン製剤の総容積に対して約0.1%〜約6%の量で酸とを含み、2.4未満のpHを有する、第1のコンテナと、再調整溶液を含む第2のコンテナとを備え、第1および第2のコンテナが、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液を混合して2.4より高いpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供できるように、流体連通している(例えば混合容器を介して)、生物学的試料(基材、例えば顕微鏡スライド上に取り付けられた生物学的試料等)を染色するためのシステムである。いくつかの実施形態では、得られたヘマトキシリン染色溶液のpHは2.45を上回る。いくつかの実施形態では、得られたヘマトキシリン染色溶液のpHは2.5を上回る。
標準的なヘマテイン染色手順は、ヘマトキシリン−ヘマテインおよび媒染剤の両方を含有する事前混合されたストックを利用する。多くの場合この事前混合されたストックの中で沈殿物が生ずる。これは、スライドが、コンテナ、例えばガラスコンテナ等内のヘマトキシリン染色溶液を用いて処理されるマニュアル染色手順では一般的に問題ではない。ただし、沈殿物が、送達ラインを汚染しまたは詰まらせ、そして送達ラインの洗浄またはパージングを困難にするおそれのある自動染色システムでは問題となり得る。染色溶液内で生ずるヘマトキシリンの変化および沈殿物は、染色のばらつきを引き起こすおそれがある。例えば、媒染剤を含有するヘマトキシリン染色ストックは、多くの場合長期にわたり熟成が進み、ヘマテイン−媒染剤複合体の生成を可能にする。このプロセスは良好な染色結果を可能にし得る一方、望ましくない沈殿物の形成も引き起こす。
チューブ、バルブ、ディスペンスマニフォールド等の表面に蓄積したヘマテイン沈殿物は、オンスライド沈殿物からヘマトキシリンディスペンスの障害または閉塞に及ぶ影響を有し得る。沈殿は、金属との接触によっても悪化する。これは、沈殿物により詰まるおそれのある極小径の開口部を有する金属部品、例えばノズルおよびスプレーヘッド等を含有する自動システムにとって特に問題である。スライド上の沈殿物の場合、影響は、病理学者がスライドを読み取る際にわずらわしさを感じる程度の、低いものから、診断上の有用性に影響を及ぼすほどに高いものまであり得る。染色モジュール内に沈殿物がかなり蓄積すると、この問題を緩和するために、部品交換、または最悪の場合には染色モジュール全体の交換が必要となるおそれがある。当業者は、何らかのヘマトキシリン沈殿物が染色剤の診断上の有用性に影響を及ぼす可能性があることも認識する。
出願者らは、沈殿物の実質的な形成を伴わない、安定化ヘマトキシリン製剤の長期保管を可能にする2パートヘマトキシリン染色組成物を開発した。実際、出願者らは、低pH(例えば、約2.4未満のpH)においてヘマトキシリン染色溶液を最初に製剤化することにより、容易に沈殿しない安定なヘマトキシリン製剤を提供することが可能であることを実証した。出願者らは、この低pHにおいて、溶液は、数週間または数カ月さえも安定に保管され、そして存続し得ることを驚くべきことに発見した。出願者らは、提案された安定化ヘマトキシリン製剤が、複雑な化学的変換を伴わずに、任意の診断用途で容易に使用可能であることをさらに提示する。実際には、溶液が組織を染色するのに使用される時に、本明細書に開示される安定化ヘマトキシリン製剤は、染色するのに適するレベル(例えば、約2.45〜約2.6の範囲のpH)まで安定化ヘマトキシリン製剤のpHを復元する、事前処方化された再調整溶液と混合され得る。このようなその他の思いがけない優れた結果が、本明細書にさらに記載されている。
2.16、2.26、2.37、および2.48(pHは塩酸を使用して下げられている)のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤を含む4つのチューブについて例証する図である。60℃で7日間インキュベートしたとき、2.16および2.26のpHを有するチューブでは、最小量の沈殿物が認められた。 2.16、2.26、2.37、および2.48(pHは塩酸を使用して下げられている)のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤を含む4つのチューブについて例証する図である。45℃で30日間インキュベートしたとき、2.16および2.26のpHを有するチューブでは、最小量の沈殿物が認められた。 2.16、2.25、2.33、2.43、および2.53(pHは硫酸を使用して下げられている)のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤を含む5つのチューブについて例証する図である。60℃で7日間インキュベートしたとき、2.16および2.25のpHを有するチューブでは、最小量の沈殿物が認められた。 2.16、2.25、2.33、2.43、および2.53(pHは硫酸を使用して下げられている)のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤を含む5つのチューブについて例証する図である。45℃で29日間インキュベートしたとき、2.16および2.25のpHを有するチューブでは、最小量の沈殿物が認められた。
概要
本開示は、ヘマトキシリン染色溶液中での沈殿物の蓄積を緩和または防止するための方法および組成物を提供する。本明細書に開示される方法および組成物の結果として、自動ヘマトキシリン染色機構のヘマトキシリン保管コンテナ、送達ライン、ノズル、液体ディスペンサー、およびその他の試薬送達コンポーネントは、実質的に沈殿物を含まないまま存続し得る。
いくつかの実施形態では、本開示は、長期間、例えば1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、9カ月、12カ月、またはそれより長い期間、実質的に沈殿物を含まないまま存続する安定化ヘマトキシリン製剤を提供する。保管後、本開示は、自動染色機構における安定化ヘマトキシリン製剤の使用を促進する方法および組成物を提供する。本開示のその他の態様は、生物学的試料を染色する方法、特にヘマトキシリン染色溶液を用いて生物学的試料を染色する自動化された方法と関連する。
定義
反例が明確に示されない限り、2つ以上の工程または行為が含まれる、本明細書において主張される任意の方法において、方法の工程または行為の順序は、該方法の工程または行為が列挙される順序に必ずしも限定されないものとやはり理解されるべきである。
本明細書で使用する場合、単数形の用語「a」、「an」、および「the」には、文脈において別途明示されない限り、複数形の指示物が含まれる。同様に、単語「または」には、文脈において別途明示されない限り、「および」が含まれるように意図されている。用語「を含む(includes)」は包含的に定義され、「AまたはBを含む」は、A、B、またはAおよびBを含むことを意味する。
慣用句「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、そのように結びつけられる複数の要素のうちの「いずれか、または両方」を意味する、すなわち複数の要素は、あるケースでは結合的に存在し、そしてその他のケースでは非結合的に存在することを意味するものと理解すべきである。「および/または」を用いて列挙されている複数の要素は、同様に、すなわちそのように結びつけられている複数の要素のうちの「1つまたは複数」と解釈されるべきである。「および/または」の節により特に識別される要素以外のその他の要素が、特に識別された要素に関連するまたは関連しないに関わらず任意選択的に存在する場合もある。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」という記述は、非制限的言語、例えば「を含むこと(comprising)」等と連携して使用されるとき、1つの実施形態では、Aのみ(B以外の要素を任意選択的に含む);別の実施形態では、Bのみ(A以外の要素を任意選択的に含む);なおも別の実施形態では、AおよびBの両方(その他の要素を任意選択的に含む)等を意味し得る。
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、1つまたは複数の要素のリストと関連する慣用句「少なくとも1つの」は、要素のリスト内の任意の1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、しかし要素のリスト内に特に列挙されている要素それぞれについて少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、また要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを排除しないものと理解すべきである。この定義は、慣用句「少なくとも1つ」が関係する要素のリスト内で特に識別された要素以外の要素が、特に識別された要素と関連するまたは関連しないに関わらず、任意選択的に存在し得ることも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、等価的に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、等価的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態では、Bは存在せず、任意選択的に2つ以上含む、少なくとも1つ、A(およびB以外の要素を任意選択的に含む);別の実施形態では、Aは存在せず、任意選択的に2つ以上を含む、少なくとも1つ、B(およびA以外の要素を任意選択的に含む);なおも別の実施形態では、任意選択的に2つ以上を含む、少なくとも1つ、A、および任意選択的に2つ以上を含む、少なくとも1つ、B(およびその他の要素を任意選択的に含む)等を意味し得る。
用語「含むこと(comprising)」、「含むこと(including)」、「有すること(having)」等は、交換可能に使用され、そして同一の意味を有する。同様に、「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」等は、交換可能に使用され、そして同一の意味を有する。特に、用語のそれぞれは、「含むこと(comprising)」の一般的な米国特許法の定義と整合するように定義され、そしてオープン・タームの意味「少なくとも下記の」として解釈され、また追加の特性、制限、側面等を除外しないものとやはり解釈される。したがって、例えば「成分a、b、およびcを有するデバイス」は、デバイスには少なくとも成分a、b、およびcが含まれることを意味する。同様に、慣用句:「工程a、b、およびcを含む方法」とは、方法には少なくとも工程a、b、およびcが含まれることを意味する。さらに、工程およびプロセスは、本明細書において特定の順序で概説され得るが、当業者は、工程およびプロセスの順序は変化し得ることを認識する。
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、「または」は、上記で定義したような「および/または」と同一の意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト内で項目を分離するとき、「または」または「および/または」は包含的である、すなわち複数の要素の数またはリストのうちの少なくとも1つ、および任意選択的に追加の列挙されない項目が含まれるが、ただし2つ以上もやはり含まれるものと解釈されなければならない。明確に反例が示された用語に限り、例えば「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用されるときの「からなる」等は、複数の要素の数またはリストのうちの正確に1つの要素が含まれることを意味する。一般的に、用語「or」は、本明細書で使用する場合、排他性の用語、例えば「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」等が先行するとき、代替物の排除を示すものとのみ解釈されねばならない(すなわち、「1つまたは他方、しかし両方ではない」)。「から実質的になる」は、特許請求の範囲で使用されるとき、その特許法の分野で使用される通常の意味を有さなければならない。
用語「生物学的試料」とは、生物学的実体、例えば動物等から得られる、さもなければそれに由来する任意の試料、例えば、ヒトまたは獣医学的動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、またはウシ等から得られる試料を指す。生物学的試料の例として、細胞学試料、組織試料および生体液が挙げられる。非限定的で具体的な生物学的試料の例として、血液、尿、カウパー液、乳頭吸引液、精液、ミルク、痰、粘液、胸膜液、骨盤液、滑液(sinovial fluid)、腹水、体腔洗浄液、アイブラッシング、皮膚擦過検体、バッカルスワブ、膣腔スワブ、パップスメア、直腸スワブ、吸引液、針生検、例えば手術または検死により取得される組織の切片、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、汗、涙液、唾液、腫瘍、臓器、およびin vitroでの細胞または組織培養から得られる試料が挙げられる。一般的に、試料は、固定化され、水を取り除くために処理され、およびパラフィンまたは組織切片に切断するのに適する別の蝋状物質に包埋された生検試料である。生物学的試料は、処理および/または検査するために、基材、例えば顕微鏡スライド等上に取り付けられ得る。
用語「媒染剤」とはイオン性の金属種を指し、それと共に、色素(例えばヘマテイン等)は、該色素(例えば、ヘマテイン等)を特定の細胞成分、例えば核のDNA、ミエリン、弾性線維およびコラーゲン線維、筋肉の横紋、およびミトコンドリア等に結合させるように機能する複合体(例えば、カチオン性の複合体等)を形成することができる。
安定化ヘマトキシリン製剤
本開示は、安定化ヘマトキシリン製剤を提供する。一般的に、安定化ヘマトキシリン製剤は、溶媒、ヘマトキシリン色素、および酸を含む。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリンの形成は、媒染剤、酸化剤、保存期間延長剤、抗酸化剤、および安定剤のうちの少なくとも1つを含む。本開示の安定化ヘマトキシリン製剤のいずれかにおいて使用に適する追加の成分は、Avwioroらの「Histochemical Uses Of Haematoxylin−A Review」、JPCS Vol(1)、2011年4月〜6月、およびBryan D Llewellyn、「Hematoxylin Formulae」、http://stainsfile.info、2013年10月により記載されており、その本開示は、本明細書により本明細書における参照としてそのまま援用されている。例えば、安定化ヘマトキシリン製剤には、捕捉剤(例えば、ヨウ素)が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.4未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.375未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.35未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.325未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.3未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.275未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.25未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.225未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.2未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.175未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.15未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.125未満のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.1未満のpHを有する。
いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約1.5〜約2.4の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約1.5〜約2.3の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約1.6〜約2.3の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約1.8〜約2.3の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約2〜約2.3の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約2〜約2.3の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約2〜約2.2の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、約1.5〜約2.2の間のpHを有する。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、1.6〜2.2の間のpHを有する。
任意の酸が、安定化ヘマトキシリンの形成において利用され得る。好適な酸の非限定的な例として、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、亜硝酸、およびギ酸が挙げられる。
いくつかの実施形態では、酸は強酸である。いくつかの実施形態では、強酸は、塩酸、硫酸、過塩素酸、硝酸、またはその混合物から選択される。その他の実施形態では、強酸は塩酸である。いくつかの実施形態では、強酸は1Mの塩酸である。その他の実施形態では、強酸は0.5Mの塩酸である。その他の実施形態では、強酸は0.5Mの硫酸である。なおもその他の実施形態では、強酸は0.25Mの硫酸である。もちろん、当業者は、組成物が事前に決定されたpHを実現するのを可能にする任意の酸を選択することができる。
当業者は、製剤内の酸の量は、もちろん安定化ヘマトキシリン製剤内の選択された具体的な酸、酸のモル濃度、酸の規定濃度、および/またはその他の成分の存在に応じて変化し得ることを認識する。いくつかの実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.05%〜約15%の範囲である。その他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.05%〜約12%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.1%〜約10%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.1%〜約7.5%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.1%〜約6%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.1%〜約5%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.1%〜約4%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.2%〜約4%の範囲である。
その他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.5%〜約12%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.5%〜約10%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.5%〜約7.5%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.5%〜約6%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.5%〜約5%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約0.5%〜約4%の範囲である。なおもその他の実施形態では、任意の安定化ヘマトキシリン形成における酸の量は、製剤の総容積に対して約1%〜約4%の範囲である。
様々な溶媒が、安定化ヘマトキシリン製剤において利用可能である。いくつかの実施形態では、溶媒として、水、低級アルカノール、例えばエタノール等、およびポリオールのうちの1つまたは複数が挙げられる。その他の実施形態では、溶媒として水性溶媒が挙げられるが、該水性溶媒は水およびポリオールを含む。有用なポリオールの好適な例として、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、およびポリ(プロピレングリコール)が挙げられる。水性溶媒組成物は、一般的に、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのうちの1つまたは複数について5〜45体積%を含み、より一般的には、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのうちの1つまたは複数について10〜30体積%を含む。
任意の安定化ヘマトキシリン製剤で使用される好適な媒染剤として、アルミニウム媒染剤、鉄媒染剤、ビスマス媒染剤、銅媒染剤、モリブデン媒染剤、バナジウム媒染剤、およびジルコニウム媒染剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、媒染剤はミョウバンを含む。その他の実施形態では、媒染剤は硫酸アルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、媒染剤は、組成物内のヘマテインの濃度(屈折率測定法、薄層クロマトグラフィー、または分光法により決定可能)を上回る濃度で組成物中に存在することができ、または組成物内のヘマテインの濃度を下回る濃度で組成物中に存在することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、組成物内の媒染剤に対するヘマトキシリンのモル比は、2:1〜1:100の間である。その他の実施形態では、組成物内の媒染剤に対するヘマトキシリンのモル比は、1:5〜1:20の間である。
好適な酸化剤には、ヘマトキシリン中に拡散しそれを酸化させる、大気中の天然に存在する分子状酸素、および少なくともヘマトキシリンの一部分をヘマテインに変換する、ヘマトキシリンと積極的に混合された「化学的酸化剤」(一般的に溶液の状態にある)が含まれる。半分酸化されたヘマトキシリン溶液は、その開示の全内容が本明細書に参照により援用されるGill、Acta Cytologica、18巻(4):300〜11頁(1974年)に記載されるように、利用可能なヘマトキシリンのおよそ半分を酸化させる量で酸化剤が含まれる溶液である。有用な化学的酸化剤の例として、ヨウ素酸塩(例えばヨウ素酸ナトリウムおよびヨウ素酸カリウム等)、酸化第二水銀、過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム等)、過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウム等)、および過酸化物(例えば、過酸化水素等)のうちの1つまたは複数が挙げられる。特別な実施形態では、化学的酸化剤は、ヨウ素酸ナトリウムを含む。
酸化剤は、完全に(例えば実質的定量的に)ヘマトキシリンをヘマテインに酸化するのに十分な量で、またはヘマトキシリンをヘマテインに部分的に酸化するのに十分な量だけ存在し得る。特別な実施形態では、ヘマトキシリンの半分超が、化学的酸化剤によりヘマテインに酸化され、およびその他では、ヘマトキシリンの半分未満が、化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される。例えば、1%〜50%の間のヘマトキシリンが、化学的酸化剤によりヘマテインに酸化され得るが、しかしより一般的には、約10%〜約30%の間のヘマトキシリンが、化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される。特別な実施例では、組成物で使用される酸化剤に対するヘマトキシリンのモル比は、6:1〜1:1の間である。化学的酸化剤は、組成物の一部であると考えられるものの、それはヘマトキシリンと反応した際にその還元生成物に変換され、その還元生成物は組成物中に留まるものと理解すべきである。
任意の安定化ヘマトキシリン製剤で使用するのに適する抗酸化剤の例として、ハイドロキノン;没食子酸;還元性の糖、例えばソルビトールおよびマンニトール等;ベンゾエートおよびヒドロキシベンゾエート;亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸塩;特定の酸、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、エリトルビン酸、アスコルビン酸、尿酸、タンニン酸等、およびそのような酸の塩(例えばMg2+、NH4+、Na+、K+、およびCa2+の塩等)が挙げられる。
安定剤の例として、アミロース、シクロデキストリン、クリプタンド、クリプトファン、キャビタンド、クラウンエーテル、デンドリマー、ナノチューブ、カリックスアレーン、バリノマイシン、およびニゲリシンが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本開示に基づく安定化ヘマトキシリン製剤を含むコンテナ(チューブ等を含む)は、少なくとも1カ月間、実質的に沈殿物を含まない。その他の実施形態では、コンテナは、少なくとも3カ月間、実質的に沈殿物を含まない。なおもその他の実施形態では、コンテナは、少なくとも6カ月間、実質的に沈殿物を含まない。なおもその他の実施形態では、コンテナは、少なくとも12カ月間、実質的に沈殿物を含まない。なおもその他の実施形態では、コンテナは、少なくとも18カ月間、実質的に沈殿物を含まない。なおもその他の実施形態では、コンテナは、少なくとも24カ月間、実質的に沈殿物を含まない。
安定化ヘマトキシリン製剤を作製する方法
本開示のいくつかの態様は、安定化ヘマトキシリン製剤を作製する方法と関連する。いかなる特定の理論にも拘泥するつもりもないが、ヘマトキシリン製剤のpHを下げることにより、沈殿物の発生は、緩和され得るまたは完全に阻止され得ると考えられている。
ヘマトキシリン染色剤中の有効成分は、ヘマラム(アルミニウムイオンおよびヘマテインの複合体)である。いかなる特定の理論にも拘泥するつもりもないが、導入された酸に由来するプロトン(H+)は、ヘマラム形成反応(すなわち、Al3++Hm→HmAl+H)を逆転させる、またヘマラムからアルミニウムを置換することができると考えられている。やはり、いかなる特定の理論にも拘泥するつもりもないが、沈殿物が形成されるためには、ヘマテイン分子およびアルミニウム原子からなる鎖の形成を開始するのに十分高いレベルで、ヘマラムが存在しなければならないと考えられている。低pHレベルでは、このような鎖を形成するにはヘマラムは十分存在しないと考えられている。
一般的に、任意のヘマトキシリン溶液、例えば媒染剤および酸化剤を含むヘマトキシリン溶液等は、本明細書に記載される組成物および方法を使用してヘマトキシリン製剤のpHを下げることにより安定化され得る。例として、Avwioroらの「Histochemical Uses of Haematoxylin−A Review」、JPCS Vol(1)、2011年4月〜6月、およびBryan D Llewellyn、「Hematoxylin Formulae」、http://stainsfile.info、2013年10月において開示されているヘマトキシリン溶液が、本明細書に開示される方法および成分を使用して安定化され得る。いくつかの実施形態では、開始ヘマトキシリン製剤は、エールリッヒのミョウバンヘマトキシリン(Ehrlich’s Alum Haematoxylin)(例えば、ヘマトキシリン、エタノール、カリウムミョウバン、水、グリセロール、氷酢酸を含む製剤)、ハリスのミョウバンヘマトキシリン(Harris Alum Haematoxylin)(例えば、ヘマトキシリン、カリウムミョウバン、水、エタノール、酸化第二水銀、および氷酢酸を含む製剤)、マイヤーのヘマラム(Mayer’s Haemalum)(例えば、ヘマトキシリン、アンモニウムミョウバン、カリウムミョウバン、水、エタノール、グリセロール、ヨウ素酸ナトリウム、および氷酢酸を含む製剤)、コールのヘマトキシリン(Cole’s Haematoxylin)(例えば、ヘマトキシリン、アンモニウムミョウバン、水、エタノール、グリセロール、ヨウ素、および氷酢酸を含む製剤)、ギルのヘマトキシリン(Gill’s Haematoxylin)(例えば、ヘマトキシリン、硫酸アルミニウム、水、エチレングリコール、ヨウ素酸ナトリウム、および氷酢酸を含む製剤)、カラッチのヘマトキシリン(例えば、ヘマトキシリン、カリウムミョウバン、水、グリセロール、およびヨウ素酸ナトリウムを含む製剤)、イイオラ及びアヴィオロのミョウバンヘマトキシリン(Iyiola,and Avwioro’s Alum Haematoxylin)のうちの1つである。
いくつかの実施形態では、開始ヘマトキシリン溶液は、VENTANA HE600ヘマトキシリン溶液である(Ventana Medical Systems社、Tucson、AZから入手可能)。いくつかの実施形態では、開始ヘマトキシリン溶液は、水、ポリオール、ヘマトキシリン色素、ヨウ素酸ナトリウム、および硫酸アルミニウム水和物を含む。その他の実施形態では、開始ヘマトキシリン溶液は、蒸留された脱イオン水、ポリオール、ヘマトキシリン色素、ヨウ素酸ナトリウム、硫酸アルミニウム水和物、ハイドロキノン、およびβ−シクロデキストリンを含む。
一般的に、ヘマトキシリン溶液のpHは、酸をヘマトキシリン製剤に添加することにより低下し得る。いくつかの実施形態では、ヘマトキシリン製剤のpHが約2%〜約20%低下するような量の酸が添加される、すなわちヘマトキシリン溶液の初期pHが、約2%〜約20%低下して第2のより低いpHを有するヘマトキシリン溶液を提供する。その他の実施形態では、ヘマトキシリン製剤のpHが、約2.5%〜約15%低下するような量の酸が添加される。なおもその他の実施形態では、ヘマトキシリン製剤のpHが、約3%〜約12.5%低下するような量の酸が添加される。さらなる実施形態では、ヘマトキシリン製剤のpHが、約4%〜約12%低下するような量の酸が添加される。いっそうさらなる実施形態では、ヘマトキシリン製剤のpHが、約5%〜約10%低下するような量の酸が添加される。当業者は、選択される開始ヘマトキシリン溶液の如何を問わず、ヘマトキシリン溶液のpHを下げるために適切な量の酸を添加することができる。
いくつかの実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化(すなわち、pHの低下)は、約0.25である(すなわち、約0.25のpH単位(unites)の低下)。その他の実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化は、約0.225である。その他の実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化は、約0.2である。いくつかの実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化は、約0.175である。その他の実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化は、約0.15である。その他の実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化は、約0.125である。その他の実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化は、約0.1である。その他の実施形態では、酸を添加した際のヘマトキシリン製剤のpHの変化は、約0.075である。
いくつかの実施形態では、製剤のpHが2.4を下回り低下するような量の酸がヘマトキシリン製剤に添加される。その他の実施形態では、製剤のpHが2.35を下回り低下するような量の酸がヘマトキシリン製剤に添加される。その他の実施形態では、製剤のpHが2.3を下回り低下するような量の酸がヘマトキシリン製剤に添加される。その他の実施形態では、製剤のpHが2.25を下回り低下するような量の酸がヘマトキシリン製剤に添加される。その他の実施形態では、製剤のpHが2.2を下回り低下するような量の酸がヘマトキシリン製剤に添加される。その他の実施形態では、製剤のpHが2.15を下回り低下するような量の酸がヘマトキシリン製剤に添加される。その他の実施形態では、製剤のpHが2.1を下回り低下するような量の酸がヘマトキシリン製剤に添加される。
いくつかの実施形態では、酸性化溶液が、ヘマトキシリン製剤に添加され、該酸性化溶液は強塩基および添加剤を含む。いくつかの実施形態では、酸性化溶液の添加剤は、媒染剤、酸化剤、保存期間延長剤、および抗酸化剤のうちの1つである。酸性化溶液の添加剤は、本明細書に記載される安定化ヘマトキシリン製剤について本明細書に記載される量または比と同一の量または比で存在し得る。
再調整溶液
本開示は、本明細書に開示される安定化ヘマトキシリン製剤と混合され得る再調整溶液も提供する。一般的に、再調整溶液は、溶媒および強塩基またはバッファーのうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、本明細書に記載される安定化ヘマトキシリン製剤について、本明細書において列挙された溶媒から選択される。いくつかの実施形態では、同一の溶媒が、安定化ヘマトキシリン組成物および再調整溶液で使用される。
いくつかの実施形態では、強塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、およびアンモニアからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、強塩基は、1Mの水酸化ナトリウムである。その他の実施形態では、強塩基は、0.5Mの水酸化ナトリウムである。なおもその他の実施形態では、強塩基は、0.1Mの水酸化ナトリウムである。
いくつかの実施形態では、バッファーは、マレイン酸塩、リン酸塩、グリシン、クエン酸塩、グリシルグリシン、リンゴ酸塩、ギ酸塩、シアノ酢酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、アラニン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、ノルロイシン(noleucine)、プロリン、セリン、スレオニン、または任意のこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、バッファーは、約1.5〜約3.5の範囲のpKaを有する。その他の実施形態では、バッファーは、約1.8〜約3.2の範囲のpKaを有する。なおもその他の実施形態では、バッファーは、約2〜約3の範囲のpKaを有する。
いくつかの実施形態では、再調整溶液は、媒染剤、酸化剤、保存期間延長剤、および抗酸化剤からなる群から選択される添加剤をさらに含む。添加剤は、本明細書に記載されるような量または比と同一の量または比で存在し得る。
安定化ヘマトキシリン製剤のpHを再調整する方法
本開示のいくつかの態様は、安定化ヘマトキシリン製剤のpHを再調整してヘマトキシリン染色溶液を提供することと関連する。いくつかの実施形態では、方法は、強塩基またはバッファー溶液を安定化ヘマトキシリン製剤に添加することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載されるような再調整溶液を安定化ヘマトキシリン製剤に添加することを含む。
いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のpHが少なくとも2.4まで上昇するような十分量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液が、ヘマトキシリン製剤に添加される。その他の実施形態では、pHが少なくとも2.45まで上昇するような量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液がヘマトキシリン製剤に添加される。なおもその他の実施形態では、pHが少なくとも2.5まで上昇するような量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液がヘマトキシリン製剤に添加される。さらなる実施形態では、pHが少なくとも2.55まで上昇するような量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液がヘマトキシリン製剤に添加される。
いくつかの実施形態では、方法は、安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量について、その初期pHを測定することと、一定分量のpHが少なくとも約2.4に上昇するまで、ある量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液を添加することとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量について、その初期pHを測定することと、一定分量のpHが少なくとも約2.45に上昇するまで、ある量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液を添加することとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量について、その初期pHを測定することと、一定分量のpHが少なくとも約2.5に上昇するまで、ある量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液を添加することとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量について、その初期pHを測定することと、一定分量のpHが少なくとも約2.55に上昇するまで、ある量の強塩基、バッファー溶液、または再調整溶液を添加することを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、再調整された製剤、例えば溶媒、ヘマトキシリン色素、媒染剤、酸化剤、および形成された塩を含むヘマトキシリン染色溶液等を提供する。いくつかの実施形態では、形成された塩は、酸および強塩基間の反応副生成物、例えばNaClである)。
キット
本開示の別の態様は、安定化ヘマトキシリン製剤を調製するためのキット、および安定化ヘマトキシリン製剤のpHを再調整するためのキットである。
いくつかの実施形態では、キットは、安定化ヘマトキシリン組成物を含む第1の成分であって、安定化ヘマトキシリン製剤がヘマトキシリン色素と酸とを含み、2.4未満のpHを有する、第1の成分と、強塩基またはバッファーを含む第2の成分であって、第1および第2の成分が混合されたとき、得られたヘマトキシリン染色溶液のpHが2.4を上回り上昇するような、第1の成分に対する量で提供される第2の成分とを含む。いくつかの実施形態では、キットは、第1および第2の成分が共に混合されたときのpHの変化を確認するための手段をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1または第2の成分のうちの少なくとも一方は、媒染剤および酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、キットは、第1および第2の成分を混合するための指示書をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、追加の染色剤をさらに含む。
いくつかの実施形態では、キットは、第1の液体ディスペンサーおよび第2の液体ディスペンサーを含み、第1の液体ディスペンサーは安定化ヘマトキシリン製剤を含み、第2の液体ディスペンサーは、再調整溶液、バッファー、または強塩基のうちの1つを含む。
いくつかの実施形態では、キットは、第1および第2の成分を含み、第1の成分は2.4未満のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤を含み、第2の成分は再調整溶液を含む。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤は、溶媒、ヘマトキシリン色素、酸、媒染剤、および酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、キットは、第1および第2の成分を混合して2.4を上回るpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供するための指示書をさらに含む。いくつかの実施形態では、指示書は、第1の成分に添加して事前に決定されたpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供するための第2の成分の所定量について記載する。いくつかの実施形態では、第1および第2の成分は、別個の液体ディスペンサー内に提供され、各液体ディスペンサーは、例えば本明細書に開示されるような自動染色機構内で使用するのに適する。好適な液体ディスペンサーとして、その本開示が本明細書により本明細書における参照としてそのまま援用されるPCT公開番号国際公開第/2012/163992号および米国特許第6,192,945号で開示される用具が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
生物学的試料を染色する方法
本開示のその他の態様は、ヘマトキシリン製剤を用いて生物学的試料を染色する方法と関連する。いくつかの実施形態では、生物学的試料を染色する方法は、(i)安定化ヘマトキシリン製剤からヘマトキシリン染色溶液を調製すること;および(ii)ヘマトキシリン染色溶液を生物学的試料に導入することを含む。いくつかの実施形態では、ヘマトキシリン染色溶液は、安定化ヘマトキシリン製剤のpHが染色に適するpHまで上昇するような量の再調整溶液を安定化ヘマトキシリン製剤に添加することにより調製される。いくつかの実施形態では、pHは2.4を上回るまで上昇する。いくつかの実施形態では、pHが2.5を上回るまで上昇するような十分量の再調整溶液が添加される。いくつかの実施形態では、再調整溶液は、強塩基を含む。いくつかの実施形態では、再調整溶液はバッファーを含む。いくつかの実施形態では、再調整溶液は添加剤を含む。
いくつかの実施形態では、生物学的試料を染色する方法は、(i)安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量のpHを上昇させて、約2.4〜約2.6のpH範囲を有するヘマトキシリン染色溶液を提供すること;および(ii)生物学的試料を、得られたヘマトキシリン染色溶液と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、試料を追加の染色剤または対比染色剤と接触させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量のpHを上昇させる工程は、製剤のpHが事前に決定されたレベルに到達するまで、安定化ヘマトキシリン製剤にある量の再調整溶液を漸増添加することを含む。
いくつかの実施形態では、生物学的試料を染色する方法は、(i)安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液を混合して2.4〜約2.6の間のpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供すること;および(ii)ヘマトキシリン染色溶液を生物学的試料に分注することを含む。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤の再調整溶液に対する比は、約5:1〜約25:1の範囲である。その他の実施形態では、比は、約10:1〜約20:1の範囲である。
いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、得られたヘマトキシリン溶液が生物学的試料に導入される前に、1秒〜約400秒間混合される。その他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、得られたヘマトキシリン溶液が生物学的試料に導入される前に、5秒〜約240秒間混合される。なおもその他の実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、得られたヘマトキシリン溶液が生物学的試料に導入される前に、5秒〜約120秒間混合される。さらなる実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、得られたヘマトキシリン溶液が生物学的試料に導入される前に、5秒〜約60秒間混合される。
いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、同時にまたは連続して生物学的試料に分離して導入され、そして生物学的試料と接触したまま混合状態に置かれる。いくつかの実施形態では、再調整溶液はバッファーを含み、そして該バッファーは、安定化ヘマトキシリン製剤を適用する前に生物学的試料に適用される。いくつかの実施形態では、バッファーが試料に適用され、そして混合物のpHが事前に決定されたレベルに達するまで、安定化ヘマトキシリン製剤が試料上に存在するバッファーに漸増添加される。
ヘマトキシリンおよびエオシン染色のためのシステム
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される溶液および製剤は、手作業により試料に適用または導入される、またはディップ・アンド・ダンク技術を使用して適用される。その他の実施形態では、溶液および製剤は、例えば自動染色機構等により、試料に適用または分注される。当業者は、任意の溶液または製剤を分注することとは、当該溶液または製剤を試料または基材(例えば、スライド)に適用することを指すものと認識する。
本明細書に開示される方法および組成物は、既存の自動処理システムと共に使用されるように考案され得る。例えば、Ventana Medical Systems,Inc.社は、米国特許第5,650,327号、同第5,654,200号、同第6,296,809号、同第6,352,861号、同第6,827,901号、および同第6,943,029号、ならびに米国特許公開出願第20030211630号および同第20040052685号(そのそれぞれは、本明細書において参照として援用されている)を含む、自動化された分析を実施するためのシステムおよび方法について開示するいくつかの米国特許の承継者である。これらのシステムは、本発明に適合するように構成され得る。要するに、上記出願に記載されている自動スライド処理システムは、スライド上で様々なスライド処理作業を実施するワークステーション間において、実質的に水平な位置(相互汚染を最低限に抑えるため)にある複数のスライドを保持するトレイを往復させる高容量スライド処理システムである。新鮮な試薬が、処理期間中に各スライドに適用され得るが、またスライドはトレイ内で間隔が置かれて個別に処理されるので、スライドと試薬との相互汚染は実質的に排除可能である。1つの構成では、システムは、放射放熱器、複合型の脱パラフィン装置/染色装置/溶媒置換ワークステーション、コンベクションオーブン、およびカバースリッパーを備える。パラフィン包埋組織試料を担持するスライドのトレイは、試料中のパラフィンを拡散させて、パラフィンの除去、また試料とスライドとの接着についてもより容易にするために、システムの放射放熱器の下で加熱可能である。トレイは、次に多機能型の脱パラフィン装置/染色装置/溶媒置換ワークステーションに搬送可能であり、そこでスライドは、脱パラフィン、染色、および溶媒置換可能である。いつでもカバースリッピングできる状態になっている染色済みのスライドのトレイは、次にシステムのカバースリッパー(カバースリップがスライドに付加される場所)まで往復することができる。カバースリップがスライドに付加されたら、トレイは、次に染色されたスライド上のカバースリップを乾燥させるためにコンベクションオーブンまで搬送可能である。今ここに記載されている高容量染色装置は、Ventana Medical Systems,Inc社、Tucson、Arizから市販されている。
本明細書に記載される溶液および製剤はその他の市販試料処理システムを通じて適用され得るが、その例として、VENTANA SYMPHONY(個別スライド染色装置)、およびVENTANA HE600(個別スライド染色装置)シリーズ;Agilent Technologies社からのDako CoverStainer(バッチ式染色装置);Leica Biosystems Nussloch GmbH社からのLeica ST4020 Small Linear Stainer(バッチ式染色装置)、Leica ST5020 Multistainer(バッチ式染色装置)、およびLeica ST5010 Autostainer XLシリーズ(バッチ式染色装置)H&E Stainerが挙げられる。
上記染色システムは、あらゆる組織学的染色プロセスを実施するように構成され得るが、例示的なヘマトキシリンおよびエオシン染色プロトコールは、試料をスライドに接着させるベーキング工程、パラフィン包埋試料からパラフィンを取り除く脱パラフィン工程、ヘマトキシリン染色工程(開示されるヘマトキシリン組成物を利用することができる)、pHを上昇させ、そしてヘマトキシリンを青色に変化させて下流において添加されるエオシンとより良好な対比をもたらす青色化工程、エオシン染色工程、過剰のエオシンを取り除き、そしてエオシンを様々な印影の赤色〜ピンク色に変化させるのに使用される区別化工程、100%のエタノールを使用して試料から水を取り除く脱水工程、エタノールを取り除くためにスライドが高温および気流に曝露される工程、リモネンが試料に分注されるカバースリッピング工程、および乾燥工程を含む。
いくつかの実施形態では、自動染色システムは、別個の安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液を含有する別個のリザーバーまたはコンテナを備える。いくつかの実施形態では、システムは、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液を、生物学的試料、例えばスライド上に取り付けられた生物学的試料に送達する分注システムをさらに備える。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、生物学的試料に適用される前に混合される。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤のコンテナおよび再調整溶液のコンテナは、加圧され、そして混合容器と流体連通している。混合容器は、混合された溶液を保持するまたは移動させる能力を有する任意のコンテナ、例えば剛性または可撓性のチューブ等であり得る。いくつかの実施形態では、混合容器は、ディスペンサーと流体連通しているチューブである。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、チューブを介してT字型フィッティングと流体連通している。T字型フィッティングからのアウトプットは、次にディスペンサーと流体連通している。これらの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液はT字型フィッティングに供給され、そして溶液の混合がチューブ内で生じてT字型フィッティングの外部に流出する。いくつかの実施形態では、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液は、生物学的試料上に個別に分注される。これらの実施形態では、溶液は、試料上で拡散させることにより混合状態に置くことができる、または例えばピペットを用いて撹拌することにより機械的に混合することができる。
いくつかの実施形態では、自動試料処理機構は、複数の基材、例えば顕微鏡スライドを保持するためのカルーセルを備え得るが、その場合、各基材には染色される生物学的試料が含まれる。いくつかの実施形態では、自動式染色機器は、事前に決定されたスピードでカルーセルを回転させるデバイス、ならびにカルーセルが回転している期間中に、基材および試料上への試薬(本明細書に記載される溶液および製剤を含む)の適用を指示および制御するための機構も備えることができる。いくつかの実施形態では、スライドが装置内に負荷されたら、テストプロトコールが、どの液体が所定時刻において基材上に分注されるかを規定する。しかるべき時刻において、いくつかの実施形態では、基材上の該当する液体の位置合わせを行うためにディスペンサーラックが回転し、そして装置は事前に決定された量の液体を基材上に分配する。いくつかの実施形態では、装置は、液体が事前に決定された時間、生物学的試料と接触したまま存続するのを可能にする。
いくつかの実施形態では、システムは、実質的に水平な位置で複数のスライドを(例えばスライドが水平から約0.2度〜約1.2度の間の角度に維持される2列等で)保持するスライドトレイ、およびスライドトレイを受け入れる1つまたは複数のワークステーション(例えば、垂直な重なりで配置されている)を備え、ならびにスライドトレイ内のスライドについて1つまたは複数のスライド処理作業を実施する自動スライド処理システムである。いくつかの実施形態では、ワークステーションは、スライドトレイ内の1つまたは複数の個々のスライド、例えばスライドトレイ内の少なくとも2または4つのスライド上でスライド処理作業を実施することができ、またはスライドトレイ内のすべてのスライドについてスライド処理作業を同時に実施することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のワークステーションは、第1のスライドと接触している試薬のかなりの量を第2のスライドと接触させることなくスライドトレイ内のスライドに試薬を分配し、これによりスライド間の相互汚染を最低限に抑える。そのようなワークステーションは、スライド上に試薬を分配する1つまたは複数の指向性のノズルを備え得るが、例えば1つまたは複数の指向性のノズルは、スライドの表面を横断して試薬を反対方向に分配する一対の指向性のノズルを備えることができる。より特別な実施形態では、1つまたは複数の指向性のノズルは、スライドの底部表面に向かって試薬を分配する指向性のノズルをさらに備えることができる。その他の特定の実施形態では、1つもしくは複数のワークステーションは、所定のワークステーション内に配置されたスライドトレイ内に保持された少なくとも2つのスライドに、試薬(例えば、同一の試薬)を同時に分配することができる、または1つもしくは複数のワークステーションは、所定のワークステーション内に配置されたスライドトレイ内に保持されたすべてのスライドに、試薬(例えば同一の試薬等)を同時に分配することができる。追加のシステムコンポーネントおよびトレイコンフィギュレーション(ならびに制御システム)は、米国特許第8,663,991号、同第7,468,161号、および同第9,528,918号(これらの開示は、本明細書により本明細書における参照としてそのまま援用されている)に記載されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、生体試料を自動的に処理するための機構であって、実質的に水平な位置で複数のスライドを保持する少なくとも1つのスライドトレイ(前記生体試料は前記スライド上に位置する);前記スライドトレイを受け入れ、および前記スライドトレイ内に保持された前記複数のスライド上で1つまたは複数のスライド処理作業を実施する1つまたは複数のワークステーション;前記スライドトレイを前記1つまたは複数のワークステーション内および外へ移動させるトランスポーター;試薬を前記1つまたは複数のワークステーションに供給する、前記1つまたは複数のワークステーションと流体連通している流体工学モジュール;前記1つまたは複数のワークステーションおよび前記流体工学モジュールと流体連通しているニューマチックモジュール(前記ニューマチックモジュールは、減圧および/または加圧ガスを前記1つまたは複数のワークステーションおよび前記流体工学モジュールに供給する);ならびに前記トランスポーター、前記1つまたは複数のワークステーション、前記流体工学モジュール、および前記ニューマチックモジュールと電気的に導通している制御モジュール(前記生体試料の処理期間中に、機構のコンポーネントの機能を調和させる)を含む機構を提供する。機構は、本明細書に記載される溶液および/または製剤のうちの1つまたは複数を送達するために考案され得る。
対比染色
いくつかの実施形態では、システムおよび方法は、追加の染色剤、例えば対比染色剤等を用いて生物学的試料を染色することをさらに含む。いくつかの実施形態では、試料を対比染色剤と接触させることは、試料を、エオシンY(CAS番号15086−94−9)、オレンジG(CAS番号1936−15−8)、ライトグリーンSFイエロー(CAS番号5141−20−8)、ビスマルクブラウン(CAS番号:8005−77−4)、ファストグリーンFCF(CAS番号2353−45−9)、OG−6(オレンジGを含む)、EA25(ライトグリーンSF、ビスマルクブラウン、およびエオシンYを含む)、EA36(ライトグリーンSF、ビスマルクブラウン、およびエオシンYを含む)、EA50(ライトグリーンSF、ビスマルクブラウン、およびエオシンYを含む)、ならびにEA65(ライトグリーンSF、ビスマルクブラウン、およびエオシンYを含む)のうちの1つまたは複数と接触させることを含む。そのような対比染色剤を作製する処方箋および方法は、例えば、StainsFile(Bryan Llewellynにより維持される組織技術者のためのインターネット資源);Kiernan、「Histological and Histochemical methods: Theory and Practice」、第3版、Butterworth Heinemann、Oxford、英国において;ならびにHorobinおよびKiernan、「Conn’s biological stains:a handbook of dyes, stains and fluorochromes for us in biology and medicine」、第10版、Oxford:BIOS、ISBN 1859960995、2002において見出され得る。その他の実施形態では、試料をヘマトキシリン組成物と接触させることは、進行性のヘマトキシリン染色プロトコールを含む。その他の実施形態では、試料をヘマトキシリン組成物と接触させることは、退行性のヘマトキシリン染色プロトコールを含む。方法は、自動化され得るが、また基材、例えば顕微鏡スライド等上で支持されている生物学的試料について実施可能である。特別な実施形態では、方法は、顕微鏡スライド上に取り付けられた組織切片または細胞学試料を染色するのに使用される。対比染色工程をさらに含む特別な実施形態では、方法は、ヘマトキシリンおよびエオシン染色法またはPAP染色法、より具体的には自動化されたヘマトキシリンおよびエオシンまたはPAP染色法であり得る。
本発明の染色手順と関連して有用なその他の組織学的染色剤として、色素、例えばアクリジン色素、アントラキノン色素、アリールメタン色素、アゾ色素、ジアゾニウム色素、ニトロ色素、フタロシアニン色素、キニーネイミン色素、テトラゾリウム色素、チアゾール色素、及びキサンテン色素等が挙げられる。組織学的染色に有用な色素の例として、アセチルイエロー、アシッドブラック1、アシッドブルー22、アシッドブルー93、酸性フクシン、アシッドグリーン、アシッドグリーン1、アシッドグリーン5、アシッドマゼンタ、アシッドオレンジ10、アシッドレッド4、アシッドレッド26、アシッドレッド29、アシッドレッド44、アシッドレッド51、アシッドレッド66、アシッドレッド73、アシッドレッド87、アシッドレッド91、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド101、アシッドレッド103、アシッドロゼイン、アシッドルビン、アシッドバイオレット19、アシッドイエロー1、アシッドイエロー9、アシッドイエロー23、アシッドイエロー24、アシッドイエロー36、アシッドイエロー73、アシッドイエローS、アシッドイエローT、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、アルシアンブルー、アルシアンイエロー、アルコール可溶型エオシン、アリザリン、アリザリンブルー、アリザリンブルー2RC、アリザリンカルミン、アリザリンシアニンBBS、アリザロールシアニンR、アリザリンレッドS、アリザリンプルプリン、アルミノン、アミドブラック10B、アミドナフトールレッド、アミドシュワルツ、アニリンブルーWS、アニリンパープル、アントラセンブルーSWR、アントラセンブルーSWX、オーラミン0、アゾ−エオシン、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アゾエオシンG、アゾイックジアゾ5、アゾイックジアゾ48、アゾフロキシン、アゾバンブルー、アズールA、アズールB、アズールC、ベーシックブルー8、ベーシックブルー9、ベーシックブルー12、ベーシックブルー15、ベーシックブルー17、ベーシックブルー20、ベーシックブルー26、ベーシックブラウン1、塩基性フクシン(basic fuschsin)、ベーシックグリーン4、ベーシックグリーン5、ベーシックオレンジ14、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ベーシックレッド9、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー1、ベーシックイエロー2、ビーブリッヒスカーレット、ビーブリッヒスカーレットR、ビスマルクブラウンY、ブラジレイン、ブラジリン、ブリリアントクロセイン、ブリリアントクリスタルスカーレット6R、カルシウムレッド、カルミン、カルミン酸カルモイシン6R、セレスティンブルーB、チャイナブルー、クロランチンファストレッド5B、コチニール、コエレスチンブルー、シカゴブルー4B、クロムバイオレットCG、クロモトロープ2R、クロモキサンシアニンR、コンゴコリント、コンゴレッド、コットンブルーコットンレッド、クロセインスカーレット、クロセインスカーレット3B、クロセインスカーレットMOO、クロシン、クリスタルポンソー6R、クリスタルスカーレット、クリスタルバイオレット、ダリア、ダイヤモンドグリーンB、ダイレクトブルー14、ダイレクトブルー58、ダイレクトレッド、ダイレクトレッド10、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド80、ダイレクトレッド81、ダイレクトイエロー7、デュラゾールブルー4R、デュラゾールブルー8G、エオシンB、エオシンブルーイッシュ、エオシン、エオシンY、エオシンイエロウィッシュ、エオシノール、エリーガーネットB、エリオクロムシアニンR、エリスロシンB、エチルエオシン、エチルグリーン、エチルバイオレット、エバンスブルー、ファストブルーB、ファストグリーンFCF、ファストレッドB、ファストイエロー、ファストイエローエクストラ、ファストイエローG、ファットブラックHB、フルオレセイン、食用緑色3号、ガレオン、ガラミンブルーガロシアニン、ゲンチアンバイオレット、ヘリオファストルビンBBL、ヘルベチアブルー、ホフマンバイオレット、ヒドラジンイエロー、インペリアルレッド、イングレインブルー1、イングレインイエロー1、INT、ケルメス、ケルメス酸、ケルンエヒトロート(kemechtrot)、ラック、ラッカイン酸、ラウツバイオレット、ライトグリーン、リッサミンファストイエロー、リッサミングリーンSF、ルクソールファストブルー、マゼンタ0、マゼンタI、マゼンタII、マゼンタIII、マラカイトグリーン、マンチェスターブラウン、マルチウスイエロー、モーブ、モーベイン、メルブロミン、マーキュロクロム、メタニルイエロー、メチレンアズールA、メチレンアズールB、メチレンアズールC、メチレンブルー、メチレングリーン、メチルブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット、メチルビオレット(methyl biolet)2B、メチルバイオレット10B、ミーリングイエロー3G、モーダントブルー3、モーダントブルー10、モーダントブルー14、モーダントブルー23、モーダントブルー32、モーダントブルー45、モーダントレッド3、モーダントレッド11、モーダントバイオレット25、モーダントバイオレット39、ナフタレンブルーブラック、ナフトールブルーブラック、ナフトールグリーンB、ナフトールイエローS、ナチュラルブラック1、ナチュラルレッド、ナチュラルレッド3、ナチュラルレッド4、ナチュラルレッド8、ナチュラルレッド16、ナチュラルレッド24、ナチュラルレッド25、ナチュラルレッド28、ナチュラルイエロー6、NBT、ニュートラルレッド、ニューフクシン、ナイアガラブルー3B、ナイトブルー、ナイルブルー、ナイルブルーA、硫酸ナイルブルー、ナイルレッド、ニトロBT、ニトロブルーテトラゾリウム、ヌクレアファストレッド、オイルレッド0、オレンジG、オルセイン、パラロザニリン、パーキンバイオレット、フロキシンB、ピクリン酸、ポンソー2R、ポンソー6R、ポンソーB、ポンソードキシリジン(Ponceau de Xylidine)、ポンソーS、ポンタミンスカイブルー5B、プリムラ、プリムリン、プルプリン、ピロニンB、ピロニンG、ピロニンY、ローダミンB、ロザニリン、ローズベンガル、サフロン、サフラニン0、スカーレットR、スカーレットレッド、シャーラッハR、シェラック、シリウスレッドF3B、シリウスレッド4B、シリウススープラブルーF3R、ソロクロームシアニンR、可溶型ブルー、ソルベントブラック3、ソルベントブルー38、ソルベントレッド23、ソルベントレッド24、ソルベントレッド27、ソルベントレッド45、ソルベントイエロー94、スピリット可溶型エオシン、スダンIII、スダンIV、スダンブラックB、スダンレッドBK、サルファーイエローS、スイスブルー、タートラジン、チオフラビンS、チオフラビンT、チオニン、トルイジンブルー、トルイレンレッド(toluoyline red)、トロペオリンG、トリパフラビン、トリパンブルー、ウラニン、ビクトリアブルー(Vicoria blue)4R、ビクトリアブルーB、ビクトリアブルーR、ビクトリアグリーンB、ウォーターブルーI、水溶性エオシン、ウッドステインスカーレット、キシリジンポンソー、及びイエロウィッシュエオシン、およびその組み合わせが挙げられる。本パラグラフで考察される組織化学的色素溶液を(例えば、特定の組織学的情況で用いられる「特殊染色」手順において、または対比染色剤として)作製および使用する処方箋および方法は、例えば、StainsFile(Bryan Llewellynにより維持される組織技術者のためのインターネット資源);Kiernan、「Histological and Histochemical methods:Theory and Practice」、第3版、Butterworth Heinemann、Oxford、英国において;ならびにHorobinおよびKiernan、「Conn’s biological stains:a handbook of dyes,stains and fluorochromes for us in biology and medicine」、第10版、Oxford:BIOS,ISBN 1859960995、2002において見出され得る。上記で引用された2件の併記された参考資料の内容は、本明細書における参照として援用される。
下記の非限定的な実施例は、本開示の特定の実施形態についてさらに例証するために提供される。
機能的色素を製造するために、ヘマトキシリンは、ヘマテインに酸化され、その後アルミニウム(Al+3)、鉄(Fe+3)、およびクロム(Cr+3)を含むいくつかの金属イオンの1つに結合する。いくつかの異なるアルミニウム塩が、Al+3の供給源として使用され得る。これには、硫酸アルミニウムアンモニウム[AlNH(SO]、硫酸アルミニウム[Al(SO]、および硫酸アルミニウムカリウム[AlK(SO]が含まれる。色素と組織との結合に関与する、色素に結合した金属イオンは媒染剤と呼ばれる。ヘマトキシリンのヘマテインへの変換は、いくつかの薬剤の作用により達成され得る。現在、ほとんどの製剤には、ヘマトキシリンをヘマテインに迅速変換する化学的酸化剤、例えばヨウ素酸ナトリウム等が組み込まれている。ヨウ素酸ナトリウムの濃度は、ヘマトキシリンの量に一般的に基づき、通常ヘマトキシリン1グラム当たりヨウ素酸ナトリウム0.10〜0.20グラムの範囲である。
実施例1
VENTANA HE600ヘマトキシリン溶液の2Lバッチを、各500mLの4つの等しい体積に分割し、そしてそのpHレベルを、1Mの塩酸を各分量に添加することにより、表1に示すように調整した。いくつかの実施形態では、VENTANA HE600ヘマトキシリン溶液は、蒸留された脱イオン水(約700g/L)、エチレングリコール(約280g/L)、ヘマトキシリン色素(約6g/L)、ヨウ素酸ナトリウム(約0.65g/L)、硫酸アルミニウム16〜18水和物(約27g/L)、ハイドロキノン(約9g/L)、およびβ−シクロデキストリン(約11g/L)を含んだ。
各ヘマトキシリン試料を、4mmの密閉されたチューブループ(長さ30cm)内に配置し、そして試料を含有するチューブを、60℃に維持されたオーブン内に14日間配置した。14日後、ループをオーブンから取り出し、内容物を流出させ、そしてDI水でリンスした。チューブのそれぞれは沈殿物のコーティングを示したが、しかしEXP1−D(pH=2.16)を含有するチューブ上では、沈殿物のコーティングはより少量であった。
チューブループ内に保持された試料を用いて、上記チューブループ実験を、60℃で7日間繰り返した。たった7日間のインキュベーションであったがその後、異なるチューブにおいて沈殿物のコーティングの量に顕著な差異が認められた(図1を参照)。溶液のpHが上昇するに従い、沈殿物のコーティングの増加に差異が認められた。
チューブループ内に保持された試料を用いて、上記チューブループ実験を、45℃で30日間繰り返した。やはり、チューブ上の沈殿物のコーティングの量に顕著な差異が認められた(図2を参照)。前回同様、チューブ上の沈殿物のコーティングの量は、ヘマトキシリン溶液のpHが上昇するに従い増加した。
実施例2
約180日後、これまでにpH調整されたヘマトキシリン試料の一部分のpH(表1を参照)を、0.1Mの水酸化ナトリウム溶液を用いて約pH=2.5に再調整した(表2を参照)。
pH再調整された試料を、次に染色実験で使用した(5個1組のマルチ組織ブロック(MTB)からなるスライドの染色)。EXP1−Aをコントロールとして使用し、そして8対比較試験において他の3つの染色剤(EXP2−A、EXP2−B、およびEXP2−C)と比較した。
コントロール(EXP1−A)を用いて染色された各スライドでは、スライド上にかなりの量の沈殿物が認められた。より低いpHレベルに維持された溶液(EXP2−A、EXP2−B、およびEXP2−C)を用いて染色されたスライドでは、スライド上に沈殿物は認められなかった。沈殿物のレベルの顕著な差異以外に、染色されたスライド間でその他の有意差は認められなかった。
実施例3
約500日後、何らかのpH調整を受けなかった試料(EXP1−A)を含有するボトルは、内側表面に多量の沈殿物のコーティングを示したことが認められた。pH調整を受けた試料(EXP1−A、EXP1−B、EXP1−C、およびEXP1−D)を含有するボトルでは、沈殿物のフィルムは認められなかった。
この時点(500日)において、これまでにpH調整されたヘマトキシリン試料の一部分のpHレベル(表1を参照)を1.2Mのシアノ酢酸/シアノ酢酸塩バッファー溶液(pH=2.6)を用いて約pH=2.5に再調整した。表3を参照。この場合、強塩基よりはむしろバッファーを、染色するのにふさわしいレベルに溶液pHを再調整するために使用した。pH再調整期間中、過剰の強塩基が添加された場合には、数pHユニットほど、目標pHレベルを容易に超えてしまうおそれがある。バッファーは、pHを再調整することになったとしても、より許容度が高い。過剰のバッファーが添加されたとしても、使用されるバッファーのpHおよび濃度に応じてわずかしか、またはまったく目標pHを超えない可能性がある。
表3において識別されたpH再調整後の試料を、次に染色実験で使用した(5個1組のマルチ組織ブロック(MTB)からなるスライドの染色)。コントロール(ここでは、Ventana HE600ヘマトキシリン溶液の使用期限前のロット、パート番号07024282001)を、試料EXP3−A、EXP3−B、およびEXP3−Cと比較した。500日間、pH約2.30未満に保持された染色剤(EXP3−BおよびEXP3−C)では、沈殿物はスライド上に最低限度しか、またはまったく認められなかったことが判明した。
実施例4
約550日後、これまでにpH調整されたヘマトキシリン試料(表1を参照)の一部分のpHレベルを、VENTANA HE600青色化溶液(0.1Mのトリスバッファー、pH=8〜9)を用いて約pH=2.5に調整した。表4を参照。
表4に提示されるpH再調整溶液を用いてその他の実験は実施されなかった。容易に入手可能な試薬(VENTANA HE600青色化溶液)が酸性ヘマトキシリン溶液のpH再調整に使用可能であるという概念を証明するために、pH再調整を実施した。
実施例5
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、ヘマトキシリン染色溶液中に塩化物イオンが存在すれば、溶液内で沈殿物が形成される速度は低下する可能性があると考えられている。実施例1〜4は、酸性化剤として塩酸を使用して設計および実施された。これは、ヘマトキシリン染色溶液に塩化物イオンを導入し、このことから、沈殿物阻害効果は、単に溶液のpHレベルが低いだけでなく、塩化物イオンが存在したことに起因した可能性があると主張され得る。塩化物イオンと低pHの効果を分離するために、この実験のヘマトキシリン染色剤について、硫酸添加によりそのpHを下げるpH調節を実施した。ヘマトキシリン染色溶液を、表5に示す下記の処方箋を使用して調製した。
溶液を、各200mLの5つの等しい部分に分割した。表6に示すように、5つの異なる溶液のpHレベルを0.25Mの硫酸を用いて調整した。
各ヘマトキシリン溶液の試料を、4mmの密閉されたチューブループ(長さ30cm)内に配置し、そして試料を含有するチューブを、60℃に維持されたオーブン内に7日間配置した。チューブからそのヘマトキシリン溶液を流出させ、該チューブをDI水でリンスした。チューブのそれぞれには、ヘマトキシリン沈殿物のフィルムが認められたが、しかし沈殿物のコーティングのレベルは、溶液のpHに応じて異なった。pHレベルが高い溶液ほど、チューブループ表面上に多量の沈殿物のコーティングが残留した。これは図3において例証される。
次にチューブループ実験を、ただし45℃で29日間繰り返した。同一の傾向が認められた。pHレベルが高い溶液ほどチューブ表面に多量の沈殿が認められた(図4を参照)。
実施例6
約360日後、これまでにpH調整されたヘマトキシリン試料のpHレベル(表6を参照)を、1.2Mのシアノ酢酸/シアノ酢酸塩バッファー溶液(pH=2.6)を用いて約pH=2.5に調整した。表7を参照。
表7において識別されたpH再調整後の試料を、次に染色実験(5個1組のマルチ組織ブロック(MTB)からなるスライドの染色)で使用した。コントロール(ここでは、Ventanaヘマトキシリン溶液の使用期限前のロット、パート番号07024282001)を試料ANS Rev D002(ここでは、使用期限前のロット)と比較し、コントロールとして使用し、そして他の4つの染色剤(EXP5−A、EXP5−B、EXP5−C、EXP5−D)と比較した。約2.25よりも低いpHに360日間維持された染色剤(EXP5−CおよびEXP5−D)では、沈殿物がスライド上に最低限度しか、またはまったく認められなかった。
実施例7
約400日後、これまでにpH調整されたヘマトキシリン試料のpHレベル(表6を参照)を、VENTANA HE600青色化溶液(0.1Mのトリスバッファー、pH=8〜9)を用いて約pH=2.5に調整した。表8を参照。これらのpH再調整後の溶液を用いて、その他の実験は実施されなかった。容易に入手可能な試薬(VENTANA HE600青色化溶液)が酸性ヘマトキシリン溶液のpH再調整に使用可能であるという概念を証明するために、pH再調整を実施した。
分析
出願者は、ヘマトキシリン染色溶液のpHを低く(例えば、2.4未満のpH)保つことにより、沈殿物形成速度が有意に低下し得ることを発見した。これは、染色溶液のpHを下げるために、酸性化剤として塩酸および硫酸の両方を使用した2つの異なるヘマトキシリン染色溶液の使用により明らかにされた。それまでは酸性化されていたヘマトキシリン染色溶液を、染色にふさわしいpHにまで再度上昇させるのに、強塩基溶液(水酸化ナトリウム溶液)またはpH緩衝化溶液(シアノ酢酸/シアノ酢酸塩溶液、トリス/H−トリス溶液)のいずれも有効であることが判明した。
1年よりもかなり長期間経時したヘマトキシリン溶液は、新規調製溶液と比較して染色上の差異(色調および非特異的染色)を示した。この効果は、ヘマトキシリン染色剤の新旧の製剤を比較したときに一般的に観測されるので、これは驚くべきことではない。なにが顕著かといえば、経時過程においてそのpHレベルが低下したとき、経時した溶液において沈殿物が生じないことが見出されたことである。
pHが低い(pH<約2.4)ヘマトキシリン溶液を最初に製剤化することにより、溶液は、数カ月間安定に保管可能であると同時に存続可能である。染色時にpHを再調整すれば、正常なヘマトキシリン染色が実現する。本製剤を使用すれば、容易に沈殿しない染色溶液からの高品質ヘマトキシリン染色剤の製造が可能となる。
本明細書で参照され、および/または出願データシートに記載されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許公開資料のすべては、本明細書において参照としてそのまま援用されている。実施形態の側面は、様々な特許、用途、および公開資料の概念を採り入れてなおもさらなる実施形態を提供するために、必要な場合には修正可能である。
本開示は、いくつかの例証的実施形態を参照しながら記載されてきたが、本開示の原理の精神および範囲に該当する非常に多くのその他の修正形態および実施形態が、当業者により考案され得るものと理解すべきである。より具体的には、本開示の精神から逸脱せずに、上記開示、図面、および添付の特許請求の範囲内の主題の組み合わせアレンジメントのコンポーネントパートおよび/またはアレンジメントにおいて合理的な変更および修正が可能である。コンポーネントパートおよび/またはアレンジメントにおける変更および修正に付加して、代替的使用もまた、当業者にとって明白である。

Claims (53)

  1. ヘマトキシリン色素と、ヘマトキシリン溶液の総容積に対して約0.2%〜約4%の量の酸とを含み、ヘマトキシリン溶液が2.4未満のpHを有する安定化ヘマトキシリン製剤。
  2. pHが、2.3未満である、請求項1に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  3. pHが、2.2未満である、請求項1に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  4. pHが、2.1未満である、請求項1に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  5. pHが、約2.1〜約2.2の範囲である、請求項1に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  6. 酸が、塩酸、硫酸、過塩素酸、および硝酸からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  7. 媒染剤および酸化剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  8. 保存期間延長剤をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  9. 保存期間延長剤が、ポリオールである、請求項8に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  10. ポリオールが、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびその混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  11. 製剤が、ヘマトキシリン色素、媒染剤、酸化剤、および酸から実質的になる、請求項1に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  12. 酸化剤がヨウ素酸ナトリウムであり、且つ媒染剤がアルミニウムを含む、請求項11に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量のpHを上昇させて、約2.4〜約2.6の範囲のpHを有するヘマトキシリン染色溶液を提供することと、生物学的試料を、約2.4〜約2.6の範囲のpHを有するヘマトキシリン染色溶液と接触させることとを含む、生物学的試料を染色する方法。
  14. 安定化ヘマトキシリン製剤の一定分量のpHが、強塩基またはバッファーを含む再調整溶液を添加することにより高められる、請求項13に記載の方法。
  15. 強塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、およびアンモニアからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. バッファーが、約1.5〜約3.5の範囲のpKaを有する、請求項14に記載の方法。
  17. 再調整溶液が、保存期間延長剤、酸化剤、および媒染剤からなる群から選択される添加剤を含む、請求項14に記載の方法。
  18. 生物学的試料を、ヘマトキシリン染色溶液と接触させる前に、安定化ヘマトキシリン製剤のpHが高められる、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 生物学的試料が、組織切片または細胞学試料を含む、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 第1の成分と第2の成分を含むキットであって、
    第1の成分は、ヘマトキシリン色素と、安定化ヘマトキシリン製剤の総容積に対して約0.1%〜約10%の量で酸とを含む、安定化ヘマトキシリン製剤を含み、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.4未満のpHを有し、
    第2の成分は、強塩基またはバッファーを含み、第2の成分は、第1および第2の成分が混合されたとき、ヘマトキシリン溶液のpHが2.4を上回り上昇するような、第1の成分に対する量で提供される、
    キット。
  21. 第1および第2の成分が混合されたとき、ヘマトキシリン溶液のpHが2.5を上回り上昇するような、第1の成分に対する量で第2の成分が提供される、請求項20に記載のキット。
  22. 第1および第2の成分が混合されたとき、ヘマトキシリン溶液のpHが、約2.45〜約2.54の範囲となるような、第1の成分に対する量で第2の成分が提供される、請求項20に記載のキット。
  23. 第1および第2の成分が混合されたとき、ヘマトキシリン溶液のpHが、約2.5〜約2.6の範囲となるような、第1の成分に対する量で第2の成分が提供される、請求項20に記載のキット。
  24. 第1の成分が、媒染剤および酸化剤をさらに含む、請求項20から23のいずれか一項に記載のキット。
  25. 第1の成分が、保存期間延長剤をさらに含む、請求項20から24のいずれか一項に記載のキット。
  26. 保存期間延長剤が、ポリオールである、請求項25に記載のキット。
  27. ポリオールが、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびその混合物からなる群から選択される、請求項26に記載のキット。
  28. 安定化ヘマトキシリン製剤が、ヘマトキシリン色素、媒染剤、酸化剤、および酸から実質的になる、請求項20に記載のキット。
  29. 第2の成分が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムからなる群から選択される強塩基を含む、請求項20から25のいずれか一項に記載のキット。
  30. 第2の成分が、シアノ酢酸塩、フマル酸塩、および硫酸塩からなる群から選択されるバッファーを含む、請求項20から25のいずれか一項に記載のキット。
  31. 第3の成分をさらに含み、第3の成分が対比染色剤を含む、請求項20から25のいずれか一項に記載のキット。
  32. 対比染色剤が、エオシンY、オレンジG、ライトグリーンSFイエロー、ビスマルクブラウン、およびファストグリーンFCFからなる群から選択される、請求項31に記載のキット。
  33. 請求項20から30のいずれか一項に記載の第1の成分と請求項20から30のいずれか一項に記載の第2の成分とを混合してヘマトキシリン染色溶液を形成することと、形成されたヘマトキシリン染色溶液と生物学的試料を接触させることとを含む、生物学的試料を染色する方法。
  34. ヘマトキシリン染色溶液内の第1の成分の第2の成分に対する比が、5:1〜約25:1の範囲である、請求項33に記載の方法。
  35. 比が、約10:1〜約20:1の範囲である、請求項34に記載の方法。
  36. 第1および第2の成分を、生物学的試料と接触させる前に少なくとも10秒間混合する、請求項33から35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 第1および第2の成分が、別個の成分として生物学的試料に適用され、ヘマトキシリン製剤を形成するために生物学的試料の存在下で混合される、請求項33から35のいずれか一項に記載の方法。
  38. 第1および第2の成分が、同時に適用される、請求項37に記載の方法。
  39. 第1および第2の成分が、連続して適用される、請求項37に記載の方法。
  40. 第2の成分が、第1の成分が適用される前に適用される、請求項39に記載の方法。
  41. 請求項1に記載の安定化ヘマトキシリン製剤を含むディスペンサー。
  42. 請求項41に記載のディスペンサーと、強塩基またはバッファーのうちの1つを含む第2のディスペンサーを含むキット。
  43. 対比染色剤を有する第3のディスペンサーをさらに含む、請求項42に記載のキット。
  44. ヘマトキシリン色素と、安定化ヘマトキシリン製剤の総容積に対して約0.1%〜約10%の量で酸とを含む、安定化ヘマトキシリン製剤を含む、第1のコンテナであって、安定化ヘマトキシリン製剤は、2.4未満のpHを有する、第1のコンテナと、
    再調整溶液を含む第2のコンテナと
    を含み、
    第1および第2のコンテナが、安定化ヘマトキシリン製剤および再調整溶液を混合してヘマトキシリン染色溶液を提供できるように、混合容器と流体連通している、
    基材上に取り付けられた生物学的試料を染色するためのシステム。
  45. 基材上に取り付けられた生物学的試料を保持するための基材ホルダーであって、ヘマトキシリン染色溶液が生物学的試料に適用可能なように混合容器と流体連通している基材ホルダーをさらに含む、請求項44に記載のシステム。
  46. ヘマトキシリン色素、塩基と酸との反応から形成された塩を含み、pHが約2.4〜約2.6の範囲である安定化ヘマトキシリン製剤。
  47. 強塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムからなる群から選択され、且つ酸が、塩酸および硫酸からなる群から選択される、請求項46に記載の安定化ヘマトキシリン製剤。
  48. 媒染剤および酸化剤をさらに含む、請求項46または47に記載のヘマトキシリン製剤。
  49. 保存期間延長剤をさらに含む、請求項46から48のいずれか一項に記載のヘマトキシリン製剤。
  50. 安定化ヘマトキシリン製剤が、ヘマトキシリン色素、媒染剤、酸化剤、および酸と塩基との反応生成物に由来する塩から実質的になる、請求項46に記載のヘマトキシリン製剤。
  51. 酸化剤が、ヨウ素酸ナトリウムであり、および媒染剤が、アルミニウムを含む、請求項50に記載のヘマトキシリン製剤。
  52. 生物学的試料を、請求項46から51のいずれか一項に記載の安定化ヘマトキシリン製剤と接触させることを含む、生物学的試料を染色する方法。
  53. 試料を、エオシンY、オレンジG、ライトグリーンSFイエロー、ビスマルクブラウン、およびファストグリーンFCFからなる群から選択される対比染色剤と接触させることをさらに含む、請求項52に記載の方法。
JP2019561783A 2017-05-10 2018-05-08 pH調整を利用する安定化した2パートヘマトキシリン溶液 Active JP6940626B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201762504066P 2017-05-10 2017-05-10
US62/504,066 2017-05-10
PCT/EP2018/061757 WO2018206521A1 (en) 2017-05-10 2018-05-08 STABILIZED TWO-PART HEMATOXYLIN SOLUTION UTILIZING pH ADJUSTMENT

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2020519876A true JP2020519876A (ja) 2020-07-02
JP2020519876A5 JP2020519876A5 (ja) 2020-08-27
JP6940626B2 JP6940626B2 (ja) 2021-09-29

Family

ID=62116889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019561783A Active JP6940626B2 (ja) 2017-05-10 2018-05-08 pH調整を利用する安定化した2パートヘマトキシリン溶液

Country Status (7)

Country Link
US (2) US20200041390A1 (ja)
EP (1) EP3622266B1 (ja)
JP (1) JP6940626B2 (ja)
CN (1) CN110621974A (ja)
AU (1) AU2018267059B2 (ja)
CA (1) CA3062732C (ja)
WO (1) WO2018206521A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102332433B1 (ko) 2020-01-13 2021-11-30 사회복지법인 삼성생명공익재단 조직 염색용 조성물 및 이를 이용한 조직 염색 방법
CN111413289B (zh) * 2020-04-10 2021-06-29 河南赛诺特生物技术有限公司 苏木素染色液氧化程度的监控方法、苏木素染色液的质量控制方法
JP2023524840A (ja) * 2020-05-08 2023-06-13 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. ラセミヘマトキシリンの半合成及び使用
CN113740137A (zh) * 2021-09-30 2021-12-03 山东骏腾医疗科技有限公司 一种病理组织切片染色试剂盒
CN113790946A (zh) * 2021-11-14 2021-12-14 梅傲科技(广州)有限公司 用于数字病理扫描分析系统的细胞间质染色试剂盒
CN114624084A (zh) * 2022-03-18 2022-06-14 深圳市贝安特医疗技术有限公司 一种病理组织切片染色试剂盒的制备、染色方法
CN117054202A (zh) * 2023-08-15 2023-11-14 福州迈新生物技术开发有限公司 一种适用于全自动免疫组化染色仪的苏木素染液及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005526064A (ja) * 2002-03-11 2005-09-02 シエーリング アクチエンゲゼルシャフト 受精能制御およびホルモン置換療法における使用のためのプロゲステロン受容体調整活性を有する5−{2−ヒドロキシ−3−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−シクロプロピル−プロピオニルアミノ}−フタリドおよび関連化合物
JP2010521678A (ja) * 2007-03-15 2010-06-24 ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド 安定化されたヘマトキシリン
JP2015505062A (ja) * 2012-01-26 2015-02-16 ライカ バイオシステムズ リッチモンド インコーポレイテッドLeica Biosystems Richmond, Inc. ヘマトキシリン及びエオシン染色のための方法及び組成物

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5595707A (en) 1990-03-02 1997-01-21 Ventana Medical Systems, Inc. Automated biological reaction apparatus
US6192945B1 (en) 1997-08-11 2001-02-27 Ventana Medical Systems, Inc. Fluid dispenser
ATE489613T1 (de) 1998-02-27 2010-12-15 Ventana Med Syst Inc Automatisierter molekularer pathologieapparat mit unabhängigen objektträgerwärmern
US20030211630A1 (en) 1998-02-27 2003-11-13 Ventana Medical Systems, Inc. Automated molecular pathology apparatus having independent slide heaters
US6582962B1 (en) 1998-02-27 2003-06-24 Ventana Medical Systems, Inc. Automated molecular pathology apparatus having independent slide heaters
US7468161B2 (en) 2002-04-15 2008-12-23 Ventana Medical Systems, Inc. Automated high volume slide processing system
CN100551921C (zh) * 2007-09-21 2009-10-21 清华大学 巴西苏木红素的用途
WO2009148885A2 (en) * 2008-05-30 2009-12-10 Ventana Medical Systems, Inc. Hematoxylin staining method to address gradient staining
EP2663852A1 (en) * 2011-01-10 2013-11-20 Ventana Medical Systems, Inc. Hematoxylin staining method
EP2715370B1 (en) 2011-06-01 2018-02-28 Ventana Medical Systems, Inc. Dispenser with filter device
CN103694732A (zh) * 2013-12-31 2014-04-02 江苏省原子医学研究所 一种苏木素染色液及其含苏木素染色液的he染色液
WO2015165850A1 (en) * 2014-04-30 2015-11-05 Ventana Medical Systems, Inc. Hematoxylin precipitate cleaning method and system
EA034938B1 (ru) * 2014-10-21 2020-04-08 Мехмет Будак Состав красителя для тканей и клеток с новой молекулой, полученной из papaver rhoeas
CA2968460C (en) * 2014-12-18 2021-06-15 Ventana Medical Systems, Inc. Hematoxylin solution comprising chloride and sulphate, and methods of preparation and use
EP4215898A1 (en) * 2015-04-20 2023-07-26 Ventana Medical Systems, Inc. Inkjet deposition of reagents for histological samples
WO2016188771A1 (en) * 2015-05-22 2016-12-01 Ventana Medical Systems, Inc. Method and apparatus for removing or reducing formation of precipitates generated in hematoxylin solutions

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005526064A (ja) * 2002-03-11 2005-09-02 シエーリング アクチエンゲゼルシャフト 受精能制御およびホルモン置換療法における使用のためのプロゲステロン受容体調整活性を有する5−{2−ヒドロキシ−3−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−シクロプロピル−プロピオニルアミノ}−フタリドおよび関連化合物
JP2010521678A (ja) * 2007-03-15 2010-06-24 ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド 安定化されたヘマトキシリン
JP2015505062A (ja) * 2012-01-26 2015-02-16 ライカ バイオシステムズ リッチモンド インコーポレイテッドLeica Biosystems Richmond, Inc. ヘマトキシリン及びエオシン染色のための方法及び組成物

Also Published As

Publication number Publication date
EP3622266B1 (en) 2022-08-17
US20200041390A1 (en) 2020-02-06
WO2018206521A1 (en) 2018-11-15
AU2018267059A1 (en) 2019-10-31
US20220090993A1 (en) 2022-03-24
BR112019021717A2 (pt) 2020-05-12
CA3062732C (en) 2023-08-01
AU2018267059B2 (en) 2021-08-12
EP3622266A1 (en) 2020-03-18
JP6940626B2 (ja) 2021-09-29
CN110621974A (zh) 2019-12-27
CA3062732A1 (en) 2018-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020519876A (ja) pH調整を利用する安定化した2パートヘマトキシリン溶液
US20130302852A1 (en) Hematoxylin Staining Method
JP5424904B2 (ja) 安定化されたヘマトキシリン
US6544798B1 (en) Removal of embedding media from biological samples and cell conditioning on automated staining instruments
Babic et al. The impact of pre-analytical processing on staining quality for H&E, dual hapten, dual color in situ hybridization and fluorescent in situ hybridization assays
US6855552B2 (en) Automated immunohistochemical and in situ hybridization assay formulations
US7067325B2 (en) Removal of embedding media from biological samples and cell conditioning on automated staining instruments
CN110753869B (zh) 用于特异染色的过程记录玻片
US7410753B2 (en) Removal of embedding media from biological samples and cell conditioning on automated staining instruments
JP7449862B2 (ja) エオシン染色技術
BR112019021717B1 (pt) Formulação de hematoxilina estabilizada, método para corar uma amostra biológica e kit
AU2006202931A1 (en) Automated immunohistochemical and in situ hybridization assay formulations
US20230097824A1 (en) Semi-synthesis and use of racemic hematoxylin

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200720

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200720

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210730

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210810

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6940626

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250