JP2020519668A - 老化の阻害および老化関連障害の治療の方法 - Google Patents

老化の阻害および老化関連障害の治療の方法 Download PDF

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Abstract

未改変MSCおよび改変MSCならびにそのエキソソームを含む医薬組成物を投与することによって、対象の老化関連疾患を治療する、および老化を阻害する方法が提供される。【選択図】図1A

Description

本発明は、間葉系幹細胞(MSC)ならびに老化および老化関連障害の治療へのその使用の分野に属するものである。
間葉系幹細胞(MSC)は、中胚葉由来間質細胞の不均一集団であり、自己の骨髄、歯髄もしくは脂肪組織または同種の羊水、胎盤および臍帯から得られる。MSCはMHCII分子のレベルが低いため最小限の免疫原性を呈し、この特徴は羊水、絨毛膜胎盤および臍帯由来のMSCでより顕著であり、これらは非免疫原性であると考えられている。このような非免疫原性細胞は誰にでも投与できるため、既製の細胞として使用することができる。これらの細胞由来のエキソソームも同じく非免疫原性であり、このようなものとして使用することもできる。最近の報告では、これらの細胞は生来的に軟骨細胞、骨細胞および脂肪細胞に分化することが可能であることに加えて、肝細胞、筋細胞、内皮細胞、神経細胞およびインスリン産生細胞を含めた他の細胞型に分化形質転換する可能性も秘めていることが明らかにされている。
MSCは、実験動物モデルで、またごく最近では予備臨床試験で様々な疾患および機能不全に治療効果を発揮することが示されている(Gaoら,2015,International Journal of Cardiology,168:3191−3199;Zhangら,2013,Journal of neuroinflammation,10:106)。これらの細胞には、炎症および損傷部位に移動して生着し、常在組織内で局所効果を発揮する能力がある。これまでに、成体MSCが非免疫原性であることが報告されており、このことは、それを同種宿主に移植するのに免疫抑制は不要であることを示している。
いくつかの研究では、MSCが免疫抑制特性および免疫調節特性を有することが示されている。MSCの有益な効果は、主としてこの免疫調節活性および栄養因子の分泌に起因するものとされている。実際、MSCは成長因子、サイトカインおよびケモカインなどの多種多様な生物活性分子を分泌し、複数の組織に栄養を補給することができる。さらに、最近の研究では、MSCが細胞間コミュニケーションの一環として、様々なタンパク質に加えて、RNAおよびDNA分子を送達する細胞外小胞を分泌することが明らかにされている。
創傷治癒の促進および組織成長の補助に間葉系幹細胞(MSC)を用いることは以前から知られている。ごく最近では、骨髄MSCおよび臍帯MSCの培地を用いて皮膚の老化を抑えることが可能であることが示されている(米国特許第9284528号)。しかし、皮膚に限らず、あらゆる器官および系が老化による影響を受ける。先進諸国では、医学の飛躍的進歩ならびに栄養および生活習慣の改善によって平均寿命が延びるに伴って、老化を遅らせる、または老化関連障害を治療することができる治療法が大いに必要とされている。
本発明は、MSCおよびそのエキソソームを含む医薬組成物を投与することによって、対象の老化関連疾患を治療する、および老化を阻害する方法を提供する。
第一の態様では、対象の老化を阻害する、または老化関連疾患を治療する方法が提供され、この方法は、実質的に羊膜胎盤間葉系幹細胞(MSC)を含まず、薬学的に許容される担体と、
a.絨毛膜胎盤MSC;
b.絨毛膜胎盤MSC由来エキソソーム;
c.脱分化MSC;
d.脱分化MSC由来エキソソーム;
e.分化MSC;
f.分化MSC由来エキソソームおよび
g.上記のものの組合せ
のうち少なくとも1つのものとを含む医薬組成物を対象に投与し、それにより対象の老化を阻害することを含む。
いくつかの実施形態では、MSCにNANOG、SOX2、KLF4、OCT4およびその組合せのうちいずれか1つのものを導入することによって脱分化MSCを作製する。いくつかの実施形態では、5−アザセチジン(azacetidine)(5−AZA)を含有する培地中でMSCをインキュベートすることによって脱分化MSCを作製する。いくつかの実施形態では、MSCを酸性培地中または低酸素下でさらにインキュベートすることによって脱分化MSCを作製する。
いくつかの実施形態では、老化は、筋肉老化、神経老化、膵臓老化および関節老化から選択される。いくつかの実施形態では、神経老化は、認知機能障害、記憶障害またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、筋肉老化は、筋量減少、線維症亢進またはその両方を含む。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、サルコペニア、線維症、2型糖尿病、関節炎、筋萎縮症、アルツハイマー病、認知症、脳卒中による脳損傷およびハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)から選択される。いくつかの実施形態では、線維症は心筋線維症または骨格筋線維症である。いくつかの実施形態では、関節炎は変形性関節症である。
いくつかの実施形態では、老化を阻害することは、線維症の軽減、炎症の軽減、反応性酸化種(ROS)産生の減少、筋量の増加、幹細胞自己再生の増大、グルコース恒常性の改善、認知機能の増進、記憶力の増進、軟骨細胞生存能の増大およびプロジェリン、SRSF1またはその両方のレベルの低下のうち少なくとも1つのものを含む。いくつかの実施形態では、幹細胞は、神経幹細胞(NSC)および衛星細胞のうちいずれか1つのものである。
いくつかの実施形態では、治療することは、
a.癌ではない老化関連疾患を治療すること;および
b.癌の発症リスクを低下させること、癌を治療すること、またはその両方
を含む。
いくつかの実施形態では、分化MSCを星状膠細胞、神経幹細胞、運動神経細胞、オリゴデンドロサイト、衛星細胞および筋芽細胞のうちのいずれか1つに分化させる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、MSC、脱分化MSCまたは分化MSCにマイクロRNA(miR)−10b、miR−10a、miR−138、miR−145、miR−373、miR−1225、miR−375、miR−143、miR−675、長鎖非コードRNA(lncRNA)MEG3およびlncRNA PLUTOから選択される少なくとも1つの調節RNAを導入することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、let−7、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−133b、miR−214、miR−154およびmiR−21のうち少なくとも1つのものに結合してこれを阻害する少なくとも1つのRNA阻害分子をMSC、脱分化MSCまたは分化MSCに導入することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は獣医学的動物である。
別の態様では、遺伝子改変MSCが提供され、MSCは、外来性マイクロRNA let−7と、miR−133bに結合してこれを阻害するRNA阻害分子とを含む。
別の態様では、遺伝子改変MSCが提供され、MSCは、miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miRを含む。
別の態様では、遺伝子改変MSCが提供され、MSCは、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21およびmiR−133bのうち少なくとも1つのものに結合してこれを阻害する少なくとも1つのRNA阻害分子を含む。
別の態様では、遺伝子改変MSCが提供され、MSCは、外来性miR−145、miR−154に結合してこれを阻害するRNA阻害分子およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む。
別の態様では、遺伝子改変MSCが提供され、MSCは、外来性miR−375、外来性lncRNA PLUTO、miR−21に結合してこれを阻害するRNA阻害分子およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む。
別の態様では、遺伝子改変MSCが提供され、MSCは、外来性lncRNA MEG3、外来性miR−143およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む。
別の態様では、遺伝子改変MSCが提供され、MSCは、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む。
別の態様では、
a.本発明の遺伝子改変;および
b.薬学的に許容される担体、補助剤または賦形剤
を含む、医薬組成物が提供される。
老化の阻害および老化関連疾患の治療への本発明の医薬組成物の使用。
筋肉老化の治療への本発明の医薬組成物の使用であって、組成物が遺伝子改変MSCを含み、MSCが、
a.外来性マイクロRNA let−7およびmiR−133bに結合してこれを阻害するRNA阻害分子;
b.miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miR;
c.miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21およびmiR−133bのうち少なくとも1つのものに結合してこれを阻害する少なくとも1つのRNA阻害分子;ならびに
d.外来性miR−145、miR−154に結合してこれを阻害するRNA阻害分子およびその組合せのうち少なくとも1つのもの
のうち少なくとも1つのものを含む、使用。
a.2型糖尿病;
b.癌または癌の発症リスク;および
c.上記のものの組合せ
のうちいずれか1つのものの治療への本発明の医薬組成物の使用であって、組成物が遺伝子改変MSCを含み、MSCが、外来性miR−375、外来性lncRNA PLUTO、miR−21に結合してこれを阻害するRNA阻害分子およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む、使用。
a.関節炎;
b.神経老化;
c.癌または癌の発症リスク;および
d.上記のものの組合せ
のうちいずれか1つのものの治療への本発明の医薬組成物の使用であって、組成物が遺伝子改変MSCを含み、MSCが、外来性lncRNA MEG3、外来性miR−143およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む、使用。
a.筋肉老化;
b.神経老化;
c.HGPS;および
d.上記のものの組合せ
のうちいずれか1つのものの治療への本発明の医薬組成物の使用であって、組成物が遺伝子改変MSCを含み、MSCが、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む、使用。
神経老化の治療への本発明の医薬組成物の使用であって、組成物が遺伝子改変MSCを含み、MSCが、miR−21に結合してこれを阻害するRNA阻害分子を発現する、使用。
本発明のさらなる実施形態および全適用範囲については、のちに記載する詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、当業者にはこの詳細な説明から本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な変更および修正が明らかになることから、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示すとともに単に例示として記載されるものであることを理解するべきである。
図1A−図1C。MSCが抗老化因子を発現することを示す図である。様々な組織に由来するMSCでの抗老化遺伝子(1A)TIMP2、(1B)GDF11および(1C)KLOTHOの相対mRNA発現量を示す棒グラフ。 絨毛膜MSCおよび臍帯MSCがROS産生を減少させることを示す図である。ミオスタチン処理から3日後の相対活性酸素種(ROS)生成量を示す棒グラフ。 図3A−図3C。MSCが筋肉再生を増大させ線維症を軽減することを示す図である。(3A)5×10個のMSCまたはそのエキソソームを注射してから4週間後のMDXマウス四頭筋でのTNFα、ユートロフィン、コラーゲンIおよびNCAMの相対発現レベルを示す棒グラフ。(3B)様々な組織に由来するMSC5×10個を注射してから4週間後のMDXマウス四頭筋でのコラーゲンIの相対発現レベルを示す棒グラフ。(3C)MSC5×10個に由来するエキソソームを注射してから4週間後のmdxマウス四頭筋内のNCAM陽性細胞をカウントすることによって測定したパーセント再生を示す棒グラフ。(3D)MSC5×10個に由来するエキソソームを注射してから4週間後のmdxマウス四頭筋内のNCAM陽性細胞をカウントすることによって測定したパーセント再生を示す棒グラフ。(3E)様々な組織に由来するMSCと共培養したヒト筋細胞の相対ユートロフィン発現レベルを示す棒グラフ。(3F)様々な組織のMSCと共培養した後の健常筋芽細胞のうち少なくとも4個の細胞からなる筋管を形成した筋芽細胞の%を示す棒グラフならびに(3G)同健常筋芽細胞でのMYH2タンパク質発現を示すウエスタンブロット画像。(3H)様々な組織に由来するMSCと共培養した後のDMD患者由来筋芽細胞のうち少なくとも4個の細胞からなる筋管を形成した筋芽細胞の%を示す棒グラフ。(3I)様々な組織のMSCまたはそのエキソソームと共培養した後の衛星細胞でのMyoDタンパク質発現を示すウエスタンブロット画像。(3J)様々な組織のMSCまたはそのエキソソームと共培養した後のマウスC2C12細胞でのMyoDタンパク質発現のウエスタンブロット画像。BM−骨髄、AD−脂肪、AM−羊膜胎盤、CH−絨毛膜胎盤、UC−臍帯。(3K)移植から2週間後の移植ヒト筋芽細胞または衛星細胞の相対蛍光を示す棒グラフ。細胞は単独で移植するか、またはMSCと共移植した。 MSCが老化筋肉モデルでの増殖を衛星細胞の非対称分裂とともに増大させることを示す図である。若年者(15〜20歳)血清および高年者(55〜60歳)血清の存在下で増殖させた衛星細胞培養物の相対MyoD発現量を示す棒グラフ。MyoD発現量は衛星細胞から筋芽細胞への非対称分裂の量の尺度となる。 図5A−図5C。MSCがNSC自己再生を増大させることを示す図である。(5A〜5B)トランスウェルでMSC、その小胞、臍帯血およびそれらの組合せと共培養した後のNSCの自己再生を示す棒グラフであり、(5A)はヒドロキシウレア処理を実施しなかった場合のもの、(5B)はヒドロキシウレア処理を実施した場合のものである。対照には培地のみでヒドロキシウレア処理を実施しない培養物を用い、これを1に設定した。 図6A−図6C。脱分化MSCおよび未処理MSCを用いたサルコペニアの治療を示す図である。(6A)1×10個の未刺激MSCおよび刺激MSCを注射してから4週間後の野生型マウス四頭筋の線維症マーカーであるコラーゲンIおよび再生マーカーであるNCAMのパーセント発現変化を示す棒グラフ。偽注射を実施した対照四頭筋に対して測定した発現レベル。(6B)PBSまたはミオスタチンで処理してから3日後の筋管の直径(mM)を示す棒グラフ。(6C)心臓毒処理から7日後の野生型マウス腓腹筋に新たに生じた筋線維の数を示す棒グラフ。マウスには予めPBS、MSCまたは刺激MSCを注射した。 図7A−図7B。MSCを用いた2型糖尿病の治療を示す図である。(7A)未改変MSCおよびその細胞外小胞または(7B)miR−375とmiR−21に対するアンタゴマーとを発現するMSCを投与してから10日後の糖尿病マウスの血糖レベルを示す棒グラフ。 図8A−図8B。MSCを用いた変形性関節症の治療を示す図である。(8A〜8B)IL−1ベータで処理し、トランスウェルでMSCと共培養した後の(8A)ヒト軟骨細胞および(8B)イヌ軟骨細胞のSAベータgal活性(老化)を示す棒グラフ。 図9A−図9E。治療剤送達システムとしてのMSCの使用を示す図である。(9A)記載のアンタゴマーを充填したMSC由来エキソソームとインキュベートした後の筋芽細胞の相対ユートロフィンmRNA発現量を示す棒グラフ。(9B)let−7およびmiR−133bに対するアンタゴマーを発現するCH−MSCを注射した後の筋細胞のin vivoでのユートロフィン発現を示すウエスタンブロット画像。(9C)let−7に対するアンタゴマーを発現するCH−MSCに由来する筋肉標的化エキソソームおよび未標的化エキソソームを注射した後の筋細胞のin vivoでのユートロフィン発現を示すウエスタンブロット画像。(9D)let−7に対するアンタゴマーを発現するCH−MSCと共培養した後のミオシン重鎖陽性細胞の相対数を示す棒グラフ。(9E)トランスフェクションにより細胞に改変MyoD mRNAを導入し、MSC由来の予め充填したエキソソームとインキュベートするか、またはトランスウェルで改変mRNAを発現するMSCと共培養した後、MyoDタンパク質に対する核染色がみられた筋芽細胞の数を示す棒グラフ。 MSCが筋細胞の線維症を軽減することを示す図である。TGFベータで処理し、トランスウェルでMSCと培養した骨格筋細胞および心筋細胞の相対コラーゲン1A1発現量を示す棒グラフ。 図11A−図11B。MSCがNSCの自己再生を増大させることを示す図である。(11A〜11B)(11A)ヒドロキシウレアを添加せずに、および(11B)ヒドロキシウレアを添加してMSCとのトランスウェル培養で増殖させたNSCの相対自己再生を示す棒グラフ。 図12A−図12B。MSCが多種多様な癌に対して抗腫瘍効果を発揮することを示す図である。(12A)MSCおよびその小胞の癌細胞増殖に対する効果を示す棒グラフ。バーは順に、神経膠腫、髄膜腫、膵臓癌、肺癌、前立腺癌、乳癌、白血病、肺転移および神経芽腫の癌細胞を表す。(12B)MEG−3、miR−143または両者の組合せを発現するMSCとのトランスウェル培養の後、肺癌幹細胞の自己再生が減少したことを示す棒グラフ。
いずれの図面もエラーバーは標準誤差を表す。
(発明の詳細な説明)
本発明は、MSCとそのエキソソームとを含む医薬組成物を投与することによって対象の老化関連疾患を治療する、および老化を阻害する方法を提供する。
一態様では、本発明は、必要とする対象の老化関連疾患を治療する方法に関するものであり、この方法は、薬学的に許容される担体と、
a.未改変MSC;
b.未改変MSC由来エキソソーム;
c.脱分化MSC;
d.脱分化MSC由来エキソソーム;
e.部分分化MSC;
f.部分分化MSC由来エキソソームおよび
g.その組合せ
のうち少なくとも1つのものとを含む医薬組成物を対象に投与し、それにより対象の老化関連病態を治療することを含む。
別の態様では、担体と、未改変MSC;未改変MSC由来エキソソーム;脱分化MSC;脱分化MSC由来エキソソーム;部分分化MSC;部分分化MSC由来エキソソームおよびその組合せのうち少なくとも1つのものとを含み、老化関連疾患の治療に使用する、医薬組成物が提供される。
別の態様では、本発明は、対象の老化を阻害する方法に関するものであり、この方法は、薬学的に許容される担体と、
a.未改変MSC;
b.未改変MSC由来エキソソーム;
c.脱分化MSC;
d.脱分化MSC由来エキソソーム;
e.部分分化MSC;
f.部分分化MSC由来エキソソームおよび
g.その組合せ
のうち少なくとも1つのものとを含む医薬組成物を対象に投与し、それにより対象の老化関連病態を治療することを含む。
別の態様では、担体と、未改変MSC;未改変MSC由来エキソソーム;脱分化MSC;脱分化MSC由来エキソソーム;部分分化MSC;部分分化MSC由来エキソソームおよびその組合せのうち少なくとも1つのものとを含み、老化の阻害に使用する、医薬組成物が提供される。
本明細書で使用される「老化」という用語は、生物体、具体的には生物体の細胞の自然な経時的劣化を指す。いくつかの実施形態では、老化は、幹細胞が分化細胞を生じさせる能力の低下を含む。いくつかの実施形態では、老化は、幹細胞が自己再生する能力の低下を含む。いくつかの実施形態では、老化は、老化に入っている細胞を含む。いくつかの実施形態では、老化は細胞死の亢進を含む。いくつかの実施形態では、老化は細胞呼吸の低下を含む。いくつかの実施形態では、老化は、細胞内の反応性酸化種(ROS)の増加を含む。いくつかの実施形態では、老化は炎症亢進を含む。いくつかの実施形態では、老化は線維症亢進を含む。いくつかの実施形態では、老化は瘢痕組織の増加を含む。いくつかの実施形態では、老化は心臓従属栄養(cardiac heterotrophy)を含む。いくつかの実施形態では、老化はグルコース恒常性障害を含む。いくつかの実施形態では、老化は認知機能低下を含む。いくつかの実施形態では、老化は記憶力低下または記憶障害を含む。いくつかの実施形態では、老化は軟骨細胞生存能の低下を含む。いくつかの実施形態では、老化は、プロジェリン、セリン/アルギニンリッチスプライシング因子1(SRSF1)またはその両方のレベルの上昇を含む。
いくつかの実施形態では、老化は皮膚老化ではない。いくつかの実施形態では、老化は、皮膚老化以外の任意のタイプの老化である。いくつかの実施形態では、老化は筋肉老化である。いくつかの実施形態では、老化は筋肉老化ではない。いくつかの実施形態では、老化は、皮膚老化および筋肉老化以外の任意の老化である。いくつかの実施形態では、老化は神経老化である。いくつかの実施形態では、老化は膵臓老化である。いくつかの実施形態では、老化は関節老化である。いくつかの実施形態では、老化は脳老化である。いくつかの実施形態では、老化は、筋肉老化、神経老化、膵臓老化および関節老化から選択される。いくつかの実施形態では、老化は、神経老化、膵臓老化および関節老化から選択される。
いくつかの実施形態では、老化は認知機能低下を含む。いくつかの実施形態では、老化は筋量減少を含む。いくつかの実施形態では、老化はホルモン産生減少を含む。いくつかの実施形態では、老化は反射低下を含む。いくつかの実施形態では、老化は、特に限定されないが、循環系、筋骨格系、免疫系、呼吸器系、神経系、消化器系、辺縁系、グルコース恒常性系、神経筋系、関節系および腎臓系を含めた身体の系のうちの1つの機能障害を含む。
本明細書で使用される「老化関連疾患」は老年病を指す。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、年齢とともに有病率が増大する病態または疾患を指す。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、細胞老化が亢進している、または亢進したときに高い頻度で発症する疾患である。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は皮膚疾患ではない。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、皮膚疾患ではない任意の老齢疾患である。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、筋疾患、神経疾患、関節疾患および膵疾患から選択される。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は筋疾患である。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は筋疾患ではない。いくつかの実施形態では、筋疾患は、サルコペニアおよび線維症から選択される。いくつかの実施形態では、筋疾患は、サルコペニア、悪液質および線維症から選択される。いくつかの実施形態では、線維症は、心筋線維症、横隔膜線維症および骨格筋線維症から選択される。いくつかの実施形態では、線維症は心筋線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は骨格筋線維症である。いくつかの実施形態では、筋疾患は、線維症、筋量減少および筋萎縮症のうち少なくとも1つのものを含む。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は神経疾患である。いくつかの実施形態では、神経疾患は、記憶障害、認知機能障害、認知症、脳卒中による脳損傷およびアルツハイマー病から選択される。いくつかの実施形態では、神経疾患は、記憶障害、認知機能障害またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、神経疾患はアルツハイマー病である。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は関節疾患である。いくつかの実施形態では、関節疾患は関節炎である。いくつかの実施形態では、関節疾患は変形性関節症である。いくつかの実施形態では、関節疾患は椎間板変性である。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は膵疾患である。いくつかの実施形態では、老化関連疾患はグルコース恒常性の疾患である。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は2型糖尿病である。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患はハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)である。いくつかの実施形態では、本発明の方法はHGPSを治療する方法である。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、サルコペニア、線維症、2型糖尿病、変形性関節症、筋萎縮症、アルツハイマー病およびHGPSから選択される。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、サルコペニア、線維症、2型糖尿病、関節炎、筋萎縮症、アルツハイマー病、認知症、脳卒中による脳損傷およびHGPSから選択される。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は癌である。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、サルコペニア、線維症、2型糖尿病、変形性関節症、筋萎縮症、アルツハイマー病、癌およびHGPSから選択される。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、サルコペニア、線維症、2型糖尿病、関節炎、筋萎縮症、アルツハイマー病、認知症、脳卒中による脳損傷、癌およびHGPSから選択される。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、サルコペニア、認知症、血管性認知症、アルツハイマー病、糖尿病、心血管疾患、骨粗鬆症、早老症候群、高血圧症、関節炎、白内障、腎疾患、肝疾患、線維症および癌から選択される。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、癌ではない第一の老化関連疾患および癌である第二の老化関連疾患を治療するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、癌ではない老化関連疾患を治療する、および癌の発症リスクを低下させるためのものである。
いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、老化と同様の細胞損傷を示す疾患を含む。いくつかの実施形態では、老化と同様の損傷を示す疾患は、放射線誘発脳損傷、反復性頭部損傷症候群、自閉症、虚血性損傷、脳性麻痺およびHGPSから選択される。いくつかの実施形態では、虚血性損傷は虚血性脳損傷である。いくつかの実施形態では、虚血性損傷は虚血性心損傷である。いくつかの実施形態では、老化関連疾患はハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)である。
いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、老化対象のミクロビオームを変化させること、線維症を軽減すること、炎症を軽減すること、老化対象の炎症性応答を減少させること、および反応性酸化種(ROS)の産生を減少させることのうち少なくとも1つのものを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、線維症を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、筋量を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、幹細胞自己再生を増大させることを含む。いくつかの実施形態では、幹細胞は神経幹細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞は衛星細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞は筋肉幹細胞である。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、グルコース恒常性を改善することを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、認知機能を増進させることを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、記憶力を増進させることを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、プロジェリンレベル、SRSF1レベルまたはその両方を低下させることを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、軟骨細胞生存能を増大させることを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、癌を治療することを含む。いくつかの実施形態では、老化の治療または阻害は、癌の発症リスクを低下させることを含む。
本明細書で使用される「間葉系幹細胞」または「MSC」という用語は、骨芽細胞、脂肪細胞、筋細胞、軟骨芽細胞、骨格筋細胞および内皮細胞に分化する能力を有する多能性間質幹細胞を指す。MSCは、組織のなかでも特に骨髄、脂肪組織、末梢血、絨毛膜胎盤、羊膜胎盤、臍帯血および歯髄に存在する。「多能性」という用語は、多数の細胞型を生じることが可能な幹細胞を指す。いくつかの実施形態では、未改変MSCは、臍帯または絨毛膜胎盤に由来するものである。いくつかの実施形態では、未改変MSCは、歯髄、臍帯または絨毛膜胎盤に由来するものである。いくつかの実施形態では、未改変MSCは絨毛膜胎盤に由来するものである。いくつかの実施形態では、未改変MSCは臍帯に由来するものである。いくつかの実施形態では、未改変MSCは歯髄に由来するものである。いくつかの実施形態では、未改変MSCは、臍帯、歯髄および絨毛膜胎盤のうちいずれか1つのものに由来するものである。いくつかの実施形態では、未改変MSCは羊膜胎盤に由来するものではない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は羊膜胎盤MSCを含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は羊膜胎盤MSCを実質的に含まない。
いくつかの実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、獣医学的動物などの動物細胞である。いくつかの実施形態では、獣医学的動物は、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジおよびヤギから選択される。いくつかの実施形態では、細胞はイヌ科動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、筋関連疾患または筋損傷の治療が必要な対象に対して同種性である。いくつかの実施形態では、細胞は、筋疾患または筋損傷の治療が必要な対象に対して自己性である。いくつかの実施形態では、MSCを投与に適した担体に懸濁させる。
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は獣医学的動物である。いくつかの実施形態では、対象はイヌ/イヌ科動物である。
絨毛膜MSC、歯髄MSCおよび臍帯MSCについては当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、以下のうちのいずれかの発現を検討することによって絨毛膜MSCまたはその分泌小胞を同定することができる:a)SCA8、TU00176、LINC−VLDLRおよび任意選択でRORからなる群より選択される1つまたは複数の長鎖非コードRNA(lncRNA);b)mir−3163、mir−128、mir−27a、mir−27b、mir−148a、mir−148b、mir−152、mir−651、mir−9、mir−466、mir−577、mir−380、mir−2909、mir−4803、mir−556−3p、mir−182、mir−4677−5p、mir−4672、mir−3942−5p、mir−4703−5p、mir−4765、mir−4291、mir−144、mir−1206、mir−4435、mir−452、mir−4676−3p、mir−25、mir−32、mir−363、mir−367、mir−92a、mir−92b、mir−340、mir−3620、mir−4324、mir−4789−5p、mir−346、mir−944、mir−3180−5p、mir−202、mir−511、mir−4326、mir−578、mir−4312、mir−4282、mir−597、mir−3689d、mir−2116、mir−4517、mir−199a−3p、mir−199b−3p、mir−3129−5p、mir−520d−5p、mir−524−5p、mir−203、mir−3942−3p、mir−501−5p、mir−143、mir−4770、mir−4422、mir−4495、mir−1271、mir−96、mir−1297、mir−26a、mir−26b、mir−4465、mir−4273、mir−1294、let−7a、let−7b、let−7c、let−7d、let−7e、let−7f、let−7g、let−7i、mir−4458、mir−4500、mir−98、mir−4652−3p、mir−4716−5p、mir−513a−5p、mir−223、mir−4288、mir−455−5p、mir−632、mir−4477b、mir−142−3p、mir−561、mir−4698、mir−3140−3p、mir−3662、mir−410、mir−376a、mir−376b、mir−1270、mir−620、mir−515−5p、mir−875−5p、mir−140−5p、mir−4256、mir−30a、mir−30b、mir−30c、mir−30d、mir−30e、mir−4254、mir−515−3p、mir−519e、mir−2964a−5p、mir−2115、mir−520a−5p、mir−525−5p、mir−1244、mir−3190、mir−548a−5p、mir−548ab、mir−548ak、mir−548b−5p、mir−548c−5p、mir−548d−5p、mir−548h、mir−548i、mir−548j、mir−548w、mir−548y、mir−559、mir−2681、mir−3671、mir−375、mir−4789−3p、mir−3143、mir−125a−5p、mir−125b、mir−4319、mir−5096、mir−338−5p、mir−493、mir−3153、mir−875−3p、mir−516a−3p、mir−323−3p、mir−3065−5p、mir−4762−3p、mir−3617、mir−641、mir−124、mir−506、mir−4531、mir−4512、mir−570、mir−4679、mir−3144−3p、mir−4777−3p、mir−4732−3p、mir−3177−5p、mir−548n、mir−4328、mir−2355−3p、mir−4330、mir−4524、mir−4719、mir−3976、mir−544、mir−3607−3p、mir−581、mir−205、mir−4731−3p、mir−4801、mir−3667−5p、mir−1245b−3p、mir−4760−3p、mir−137、mir−3194−3p、mir−342−3p、mir−2682、mir−449c、mir−532−3p、mir−4305、mir−1、mir−206、mir−613、mir−676、mir−1296、mir−196a、mir−196b、mir−3941、mir−4795−3p、mir−431、mir−607、mir−548k、mir−4464、mir−4748、mir−654−3p、mir−544b、mir−3074−5p、mir−3115、mir−4635、mir−4323、mir−548t、mir−4680−5p、mir−133a、mir−133b、mir−600、mir−1208、mir−4708−5p、mir−3123、mir−4251、mir−4307、mir−3185、mir−582−5p、mir−4436b−3p、mir−378、has、mir−378b、mir−378c、mir−378d、mir−378e、mir−378f、mir−378h、mir−378i、mir−422a、mir−4460、mir−200b、mir−200c、mir−429、mir−4470、mir、1245b−5p、mir−3142、mir−576−3p、mir−548m、mir−4666−3p、mir−325、mir−330−3p、mir−3690、mir−548a−3p、mir−548e、mir−548f、mir−4709−5p、mir−532−5p、mir−539、mir−4303、mir−4302、mir−300、mir−381、mir−4645−3p、mir−3910、mir−1301、mir−5047、mir−188−5p、mir−3974、mir−3923、mir−3686、mir−670、mir−2052、mir−548al、mir−3200−3p、mir−4686、has、mir−3545−5p、mir−194、mir−498、mir−3913−3p、mir−3168、mir−499−3p、mir−499a−3p、mir−656、mir−4762−5p、mir−4496、mir−141、mir−200a、mir−3529、mir−379、mir−3691−3p、mir−520f、mir−503、mir−4477a、mir−513a−3p、mir−3149、mir−3927、mir−1283、mir−4767、mir−487b、mir−4637、mir−19a、mir−19b、mir−4683、mir−548an、mir−1200、mir−4638−3p、mir−1825、mir−522、miR−24、miR−22−3p、miR−92、miR−378、miR−93からなる群より選択される1つまたは複数のmiRNA;c)HGF、wnt2、GDNF、オステオプロテジェリン、MIP3α、NT−3、IL−6、IL−8、FGF7、NT−4、EGFL6ならびに任意選択でLIFおよびBDNFからなる群より選択される1つまたは複数の分泌因子;d)TCRα−β、CD55、LIFRおよびST6GALNACSから選択される1つまたは複数の表面マーカー;e)低YKL40およびKLF4から選択される1つまたは複数の幹細胞性および間葉性マーカー;f)COL4A2、LGALS3、SCUBE1、LGAS3およびS100A10からなる群より選択される1つまたは複数のタンパク質のMSC由来小胞発現;g)BCMS、BICおよび任意選択でHAR1Bからなる群より選択される1つまたは複数のlncRNAのMSC由来小胞発現;ならびにh)その組合せ。
いくつかの実施形態では、CASK、COL3A1、B2M、CDH2、CTNNA1、DLG1、EGFR、F3、FARP1、GPC1、CDH2、CTNNA1、HAPLN1、LAMB1、LAMB2、LAMPC1、LGALS3BP、LOXL2、MCAM、NID1、OLXNB2、S100A6、TNC、WNT5AおよびPLXNB2からなる群より選択される1つまたは複数のタンパク質を含む細胞由来小胞によって絨毛膜MSCを同定してもよい。
他のMSCについては、内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018083700号に記載されているマーカーなどのマーカーによって同定し得る。
本明細書で使用される「脱分化MSC」という用語は、幹細胞の特徴が少なくとも1つ増強されているが、依然としてMSC表現型を保持しているMSCを指す。いくつかの実施形態では、脱分化MSCは、SOX2、NANOG、OCT4およびKLF4のうち少なくとも1つのものを発現する。いくつかの実施形態では、脱分化MSCは、SOX2、NANOG、OCT4およびKLF4のうち少なくとも1つのものを未処理MSCで発現する場合よりも高いレベルで発現する。いくつかの実施形態では、脱分化MSCは、SOX2、NANOG、OCT4およびKLF4のうち複数のものを発現する。いくつかの実施形態では、MSCにNANOG、SOX2、KLF4、OCT4およびその組合せのうちいずれか1つのものを導入することによって脱分化MSCを作製する。いくつかの実施形態では、導入は異所性導入または外来性導入である。いくつかの実施形態では、5−アザセチジン(azacetidine)(5−AZA)を含有する培地中でMSCをインキュベートすることによって脱分化MSCを作製する。いくつかの実施形態では、MSCを5−AZAと接触させることによって脱分化MSCを作製する。いくつかの実施形態では、MSCを酸性培地または低酸素培地中でインキュベートすることによって脱分化MSCを作製する。いくつかの実施形態では、MSCを5−AZA、酸性培地、低酸素培地およびその組合せのうちいずれか1つのものとインキュベートすることによって脱分化MSCを作製する。
いくつかの実施形態では、MSC表現型は、CD73、CD105、CD90、CD44およびCD146からなる群より選択される少なくとも1つの表面マーカーの発現を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、CD73、CD105、CD90、CD44およびCD146からなる群より選択される複数の表面マーカーの発現を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型はIL−10の発現を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、主要組織適合複合体タンパク質II(MHCII)の発現不在を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、CD73発現、CD105発現、CD90発現、CD146発現およびCD44発現からなる群より選択される少なくとも1つの発現マーカーならびにMHCIIの発現不在を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、CD73発現、CD105発現、CD90発現、CD146発現およびCD44発現からなる群より選択される複数の発現マーカーならびにMHCIIの発現不在を含む。
本明細書で使用される「発現」という用語は、遺伝子産物の転写および/または翻訳を含めた前記遺伝子産物の生合成を指す。したがって、核酸分子の発現は、核酸フラグメントの転写(例えば、mRNAもしくはその他の機能性RNAを生じる転写)および/またはRNAから前駆体タンパク質もしくは成熟タンパク質(ポリペプチド)への翻訳を指し得る。いくつかの実施形態では、発現マーカーはRNA発現を指す。いくつかの実施形態では、発現マーカーはタンパク質発現を指す。いくつかの実施形態では、表面発現マーカーは、細胞の細胞表面上または細胞膜内でのタンパク質発現を指す。
いくつかの実施形態では、MSC表現型は抗炎症能を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるMSCは抗炎症性細胞である。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、炎症を軽減する能力を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、抗炎症性サイトカインの分泌を含む。抗炎症性サイトカインは当業者に周知であり、特に限定されないが、IL−10、IL−4、IL−13およびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)がこれに含まれる。
いくつかの実施形態では、MSC表現型は、炎症、損傷または疾患の部位にホーミングする能力を含む。
いくつかの実施形態では、MSC表現型は免疫調節能を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、対象の免疫系を調節する能力を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は免疫抑制能を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、対象の免疫系を抑制する能力を含む。いくつかの実施形態では、MSC表現型は、T細胞の活性化を低下させる能力を含む。
いくつかの実施形態では、MSC表現型は、炎症、損傷または疾患の部位にホーミングする能力を含む。
「分化MSC」という用語は、特定の非MSC表現型を有し、その表現型のマーカーを発現するよう分化しているが、依然としてMSC表現型も保持しているMSCを指す。いくつかの実施形態では、部分分化MSCは、MSC表現型と分化細胞型の表現型の両方の特徴が混ざった細胞である。いくつかの実施形態では、他の細胞型は、筋細胞、星状膠細胞、神経幹細胞(NSC)および分化神経細胞から選択される。いくつかの実施形態では、筋細胞は衛星細胞および筋芽細胞から選択される。いくつかの実施形態では、分化神経細胞は運動神経細胞である。いくつかの実施形態では、分化神経細胞はオリゴデンドロサイトである。
MSCを分化させる方法については当該技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第20150037298号に記載されている通りに星状膠細胞表現型への分化を実施する。いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第20150037299号に記載されている通りにNSC表現型または分化神経細胞表現型への分化を実施する。これらの細胞ならびにその分泌エキソソームおよび小胞は、シナプス形成および認知機能を増大させ、内因性の神経再生を促進する。
MSCから筋表現型を有する細胞への分化は、以下のいずれかのプロトコル単独またはその組み合わせによって達成することができる。
プロトコル1:いくつかの実施形態では、MSCを準備し、MSCを酸性培地、ROCK阻害剤および5−AZAのうち少なくとも1つのものと接触させ、MSCにHGFまたはPDGFβを導入し、MSCにPCAT1およびNEAT1を導入することによって本発明の細胞を作製することができる。
プロトコル2:いくつかの実施形態では、MSCを準備し、MSCを酸性培地、ROCK阻害剤および5−AZAのうち少なくとも1つのものと接触させ、MSCにHGFまたはPDGFβを導入し、MSCにGAS5およびPTENP1発現阻害剤を導入することによって本発明の細胞を作製することができる。
プロトコル3:いくつかの実施形態では、MSCを準備し;MSCを酸性培地、ROCK阻害剤および5−AZAのうち少なくとも1つのものと接触させ、MSCにPDGFAA、PDGFBB、EGF、VEGF、TGFβおよびIGF1を含む群より選択される少なくとも1つの成長因子を導入することによって本発明の細胞を作製する。
プロトコル4:いくつかの実施形態では、MSCにMYF5、PAX3、PAX7、ジストロフィン、マイクロジストロフィン、ユートロフィン、MyoDおよびPAX3、MyoDおよびPAX7ならびにMyoDおよびMYF5からなる群より選択される少なくとも1つの転写因子を導入することによって本発明の細胞を作製する。
プロトコル5:いくつかの実施形態では、MSCを準備し;MSCを酸性培地、ROCK阻害剤および5−AZAのうち少なくとも1つのものと接触させ;MSCにBIL、PAR5、BIC、DISC2、GAS5DLG2AS、7SK、Y1、LINCRNA、PCAT−1、SFMBT2、Y4、SCA8、MALAT1、MEG3、NEAT1、EGO、GAS5、KRASP1、LOC28519、BC200およびH19からなる群より選択される少なくとも1つの長鎖非コードRNA(lncRNA)を導入することによって本発明の細胞を作製する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのlncRNAは、PAR5、DISC2およびPCAT1から選択される。
プロトコル6:いくつかの実施形態では、MSCを準備し;MSCを酸性培地、ROCK阻害剤および5−AZAのうち少なくとも1つのものと接触させ;MSCにmiR−10b、miR−22、miR−122、miR−125a、miR−140−5p、miR−143、miR−145、miR−146a、miR−148b、miR−150、miR−155、miR−181b、miR−215、miR−296、miR−330、miR−370、miR−429、miR−520、miR−524、miR−543、miR−550、miR−561、miR−564、miR−582、miR−583、miR−587、miR−613、miR−614、miR−629、miR−634、miR−645、miR−646、miR−649、miR−661、miR−662、miR−663、miR−665、miR−668、miR−671、miR−887、miR−1183、miR−1224、miR−1225、miR−1228、miR−1234、miR−1246、miR−1247、miR−1257、miR−1258、miR−1268、miR−1269、miR−1289、miR−1287、miR−1909、miR−1911、miR−759、miR−3150、miR−3174、miR−3180、miR−3191、miR−3197、miR−4292、miR−2115、miR−4312、miR−92、93およびmiR−99からなる群より選択される少なくとも1つのmiRNA(miR)を導入することによって本発明の細胞を作製する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのmiRは、miR−10b、miR−138、miR−154、miR−155、miR−181、miR−215、miR−614、miR−375およびmiR−668からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、miRは、miR−143、miR−10a、miR−375、miR−1225およびその組合せから選択される。いくつかの実施形態では、miR−143、miR−10a、miR−375、miR−1225を導入する。
生細胞への遺伝子、RNA、核酸またはタンパク質の導入については当業者に周知である。本明細書で使用される「導入」は、細胞内に遺伝子、タンパク質または化合物を外来性に加えることを指す。導入は、内因性の遺伝子発現、タンパク質または化合物を増大させることを指すものではない。このような導入の例としては、特に限定されないが、トランスフェクション、レンチウイルス感染、ヌクレオフェクションまたは形質導入が挙げられる。いくつかの実施形態では、導入はトランスフェクションによるものである。いくつかの実施形態では、導入をex vivoで実施する。いくつかの実施形態では、導入をin vivoで実施する。いくつかの実施形態では、導入をin vivoまたはex vivoで実施する。いくつかの実施形態では、導入は、目的とする遺伝子を含むベクターを導入することを含む。
ベクターは、非ウイルス法により、またはウイルス法により送達するDNAプラスミドであり得る。ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターまたはポックスウイルスベクターであり得る。プロモーターは哺乳動物細胞内で活性を示すものであり得る。プロモーターはウイルスプロモーターであり得る。
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション(例えば、Fromら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,5824(1985)に記載されているもの)、熱ショック、ウイルスベクターによる感染、小さいビーズもしくは粒子のマトリックス内もしくは表面に核酸を有する小粒子による高速弾道貫通(high velocity ballistic penetration)(Kleinら,Nature 327.70−73(1987))および/またはこれに類するものを含めた標準的方法によって細胞にベクターを導入する。いくつかの実施形態では、ベクター、miR、lncRNAまたはRNA阻害分子をMSCにトランスフェクトする。
いくつかの実施形態では、哺乳動物発現ベクターとしては、特に限定されないが、Invitrogen社から入手可能なpcDNA3、pcDNA3.1(±)、pGL3、pZeoSV2(±)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26S、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81、Promega社から入手可能なpCI、Strategene社から入手可能なpMbac、pPbac、pBK−RSVおよびpBK−CMV、Clontech社から入手可能なpTRESならびにその誘導体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、レトロウイルスなどの真核ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターを本発明により使用する。SV40ベクターとしては、pSVT7およびpMT2が挙げられる。いくつかの実施形態では、ウシパピローマウイルスに由来するベクターとしてはpBV−1MTHAが挙げられ、エプスタインバーウイルスに由来するベクターとしてはpHEBOおよびp2O5が挙げられる。その他の例示的ベクターとしては、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVEおよびSV−40初期プロモーター、SV−40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーターまたは真核細胞での発現に有効であることがわかっている他のプロモーターの指令下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターが挙げられる。
いくつかの実施形態では、水平感染および標的化特異性などの利点が得られる組換えウイルスベクターをin vivoの発現に使用する。一実施形態では、水平感染は、例えばレトロウイルスの生活環に本来備わっているものであり、単一の感染細胞から多数の子孫ビリオンが生じ、それが出芽して隣接する細胞に感染する過程である。一実施形態では、その結果は、大きな領域が急速に感染し、そのほとんどが最初、元のウイルス粒子に感染していなかったものであるというものである。一実施形態では、水平に伝播することができないウイルスベクターを作製する。一実施形態では、この特徴は、所望の目的が特定の遺伝子を限局された数の標的細胞のみに導入することである場合に有用であり得る。
本発明の発現ベクターを細胞に導入するのに様々な方法を用いることができる。このような方法は一般に、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992),Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989),Changら,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995),Vegaら,Gene Targeting,CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston Mass.(1988)およびGilboaら[Biotechniques 4(6):504−512,1986]に記載されており、例えば、安定なトランスフェクションまたは一過性トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび組換えウイルスベクターによる感染がこれに含まれる。さらに、ポジティブ−ネガティブ選択法については米国特許第5,464,764号および同第5,487,992号を参照されたい。
一実施形態では、植物発現ベクターを使用する。一実施形態では、ポリペプチドコード配列の発現を多数のプロモーターにより駆動させる。いくつかの実施形態では、CaMVの35S RNAおよび19S RNAプロモーターなどのウイルスプロモーター[Brissonら,Nature 310:511−514(1984)]またはTMVに対するコートタンパク質プロモーター[Takamatsuら,EMBO J.6:307−311(1987)]を使用する。別の実施形態では、植物プロモーター、例えばRUBISCOの小サブユニット[Coruzziら,EMBO J.3:1671−1680(1984);およびBrogliら,Science 224:838−843(1984)]または熱ショックプロモーター、例えばダイズhsp17.5−Eもしくはhsp17.3−B[Gurleyら,Mol.Cell.Biol.6:559−565(1986)]などを使用する。一実施形態では、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接DNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションおよび当業者に周知のその他の技術を用いて構築物を植物細胞に導入する。例えば、WeissbachおよびWeissbach[Methods for Plant Molecular Biology,Academic Press,NY,Section VIII,pp 421−463(1988)]を参照されたい。当該技術分野で周知の昆虫および哺乳動物の宿主細胞系などの他の発現系も本発明により使用することができる。
本発明の発現構築物は、(ポリペプチドをコードする)挿入コード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含む以外に、発現するポリペプチドの安定性、産生、精製、収率または活性を最適化するよう操作した配列も含み得ることが理解されよう。
いくつかの実施形態では、目的とする遺伝子の導入は、細胞への薬物投与により目的とする遺伝子の発現を誘導する誘導ベクターの導入を含む。薬物誘導ベクターについては当該技術分野で周知であり、いくつかの非限定的な例としては、タモキシフェン誘導ベクター、テトラサイクリン誘導ベクターおよびドキシサイクリン誘導ベクターが挙げられる。いくつかの実施形態では、誘導ベクターをMSCにex−vivoで導入し、MSCをin−vivoで誘導薬物と接触させる。このようにして、誘導遺伝子の発現およびその結果としてMSCの刺激または分化がin−vivoでのみ起こる。いくつかの実施形態では、MSCが対象の身体のある位置にホーミングした後に限りMSCの刺激または分化が起こる。
いくつかの実施形態では、導入は改変mRNAの導入を含む。「改変mRNA」という用語は、細胞の細胞質内に導入され、そこでタンパク質に翻訳され得る安定なmRNAを指す。このようなmRNAはタンパク質発現に転写を必要とせず、したがって、タンパク質の産生速度が速く、調節を受けにくい。改変mRNAについては当該技術分野で周知である。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、TIMP2、GDF11およびKLOTHOから選択される少なくとも1つの抗老化因子を発現する。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはmiR−675を発現する。
いくつかの実施形態では、MSC、脱分化MSCまたは分化MSCにTIMP2、GDF11、KLOTHOまたはmiR−675が導入されている。いくつかの実施形態では、MSC、脱分化MSCまたは分化MSCに阻害剤miR−29bおよびmiR−34のうち少なくとも一方が導入されている。いくつかの実施形態では、阻害剤はアンタゴマーである。いくつかの実施形態では、MSCにmiR−375が導入されている。いくつかの実施形態では、MSCは外来性miR−375を発現する。いくつかの実施形態では、MSCは外来性kncRNA PLUTOを発現する。いくつかの実施形態では、MSCのmiR−21が発現抑制されている。いくつかの実施形態では、発現抑制は、細胞にRNA阻害分子を導入することを含む。いくつかの実施形態では、RNA阻害分子は、標的miRに結合してこれを阻害する。いくつかの実施形態では、この分子はアンタゴマーである。いくつかの実施形態では、細胞にmiR−21アンタゴマーが導入されている。いくつかの実施形態では、細胞に外来性miR−375、lncRNA PLUTO、miR−21アンタゴマーまたはその組合せが導入されている。いくつかの実施形態では、MSCは外来性miR−143を発現する。いくつかの実施形態では、MSCは外来性長鎖非コードRNA(lncRNA)MEG3を発現する。いくつかの実施形態では、MSCは外来性miR−143およびMEG3を発現したものである。いくつかの実施形態では、MSCは、let−7、miR−424、195、16、497、135、6793、133b、214および21のうち少なくとも1つのものが発現抑制されている。いくつかの実施形態では、MSCは、miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miRを発現する。いくつかの実施形態では、MSCは外来性miR−145を発現する。いくつかの実施形態では、MSCはmiR−154が発現抑制されている。いくつかの実施形態では、MSCは外来性miR−145を発現したものであり、miR−154が発現抑制されている。いくつかの実施形態では、MSCは、マイクロRNA(miR)−10b、miR−138、miR−145、miR−375、miR−143、miR−675、lncRNA PLUTOおよび長鎖非コードRNA(lncRNA)MEG3から選択される少なくとも1つの調節RNAを発現したものである。いくつかの実施形態では、MSCは、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を発現したものである。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、細胞の組合せおよび任意選択でそのエキソソームの投与を含む。いくつかの実施形態では、未改変MSCと脱分化MSCを一緒に投与する。いくつかの実施形態では、未改変MSCと分化MSCを一緒に投与する。いくつかの実施形態では、分化MSCと脱分化MSCを一緒に投与する。いくつかの実施形態では、上記のいずれかの細胞型由来のエキソソームも一緒に投与する。
当業者には、分化MSCを、治療する老化または老化関連疾患の特定の様相に関連する細胞の表現型を有するよう分化させることが理解されよう。例えば、MSCを、筋力低下の治療のための筋細胞表現型またはアルツハイマー病の治療のための神経細胞表現型を有するよう分化させる。いくつかの実施形態では、2つの異なる細胞型に分化させたMSCを一緒に投与する。いくつかの実施形態では、筋細胞表現型に分化させた単独のMSCまたはそのエキソソームを有するMSCと、神経細胞表現型に分化させた単独のMSCまたはそのエキソソームを有するMSCとを共投与する。
本明細書で使用される「細胞外小胞」という用語は、特に限定されないが、エキソソームおよび微小胞を含めた、MSCから分泌されるあらゆる細胞由来小胞を指す。本明細書で使用される「エキソソーム」は、エンドサイト―シスを起源とし、MSCから分泌される、大きさ50〜100nmの細胞由来小胞を指す。非限定的な実施形態として、エキソソーム細胞の生成には、Opti−MEMおよびエキソソームから枯渇させたヒト血清アルブミンまたは5%FBSで細胞を維持する。いくつかの実施形態では、エキソソームはあらゆる細胞外小胞を含む。
本明細書で使用される「微小胞」は、細胞膜から生じ、MSCから分泌される、大きさ100〜1000nmの細胞由来小胞を指す。
エキソソーム、細胞外小胞または微小胞は、エキソソームから枯渇させた血清を含む培地中、またはOptiMeMなどの無血清培地中でMSCを増殖させ、次いで、超遠心分離によりエキソソームを単離することによって得ることができる。ビーズ、カラム、フィルターおよび抗体によるその他の方法も用いる。いくつかの実施形態では、エキソソームの生成量を増大させるため、細胞を低酸素条件下で増殖させるか、低pH培地でインキュベートする。他の実施形態では、エキソソームの分泌および生成量を増大させるため、細胞を放射線に曝露する。いくつかの実施形態では、エキソソームを投与に適した担体に懸濁させる。
医薬組成物
本明細書で使用される「担体」、「賦形剤」または「補助剤」という用語は、医薬組成物の成分であって、活性薬剤ではない任意の成分を指す。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」は、任意のタイプの無毒性で不活性な固体、半固体、液体の充填剤、希釈剤、封入材料、製剤助剤または単に生理食塩水など無菌水性媒体を指す。薬学的に許容される担体としての役割を果たし得る材料のいくつかの例として、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、コーンスターチおよびバレイショデンプンなどのデンプン、セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど;トラガント末;麦芽、ゼラチン、タルク;カカオ脂および坐剤ワックスなどの賦形剤;油、例えばラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油など;プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;無発熱物質水;等張食塩水、リンガー溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液ならびに医薬製剤に使用されるその他の無毒性で適合性のある物質がある。本明細書で担体としての役割を果たし得る物質のいくつかの非限定的な例としては、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、トラガント末、麦芽、ゼラチン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、植物油、ポリオール、アルギン酸、無発熱物質水、等張食塩水、リン酸緩衝液、カカオ脂(坐剤基剤)、乳化剤ならびに他の医薬製剤に使用されるその他の無毒性で薬学的に適合する物質が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤および滑沢剤ならびに着色剤、香味剤、賦形剤、安定剤、抗酸化剤および保存剤が存在していてもよい。本明細書で企図される組成物の製剤化には、任意の無毒性、不活性で、かつ効果的な担体を使用し得る。この点で適切な薬学的に許容される担体、賦形剤および希釈剤については当業者に周知であり、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み込まれるThe Merck Index,第13版,Budavariら編,Merck & Co.,Inc.,Rahway,N.J.(2001);CTFA(米国化粧品工業会)International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第10版(2004);および「Inactive Ingredient Guide」,米国食品医薬品局(FDA)医薬品評価研究センター(CDER)管理局に記載されているものなどがある。本発明の組成物に有用な薬学的に許容される賦形剤、担体および希釈剤の例としては、蒸留水、生理的食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、ハンクス液およびDMSOが挙げられる。これらの追加の不活性成分ならびに効果的な製剤および投与方法については当該技術分野で周知であり、標準的なテキスト、例えばそれぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれるGoodmanおよびGillman:The Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版,Gilmanら編,Pergamon Press(1990);Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990);ならびにRemington:The Science and Practice of Pharmacy,第21版,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.,(2005)などに記載されている。本明細書に記載される組成物を人工的に作製した構造物、例えばリポソーム、ISCOMS、徐放粒子およびペプチドまたはポリペプチドの血清中での半減期を増大させるその他の媒体などに入れてもよい。リポソームとしては、エマルション、泡、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層などが挙げられる。本明細書に記載されるペプチドとともに使用するリポソームは、一般に中性および負荷電リン脂質ならびにコレステロールなどのステロールを含む標準的な小胞形成脂質から形成される。脂質の選択は一般に、リポソームの大きさおよび血中での安定性などの考慮事項によって決まる。リポソームの調製には、例えばColigan,J.E.ら,Current Protocols in Protein Science,1999,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkに概説されている様々な方法を用いることができ、ほかにも米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号および同第5,019,369号を参照されたい。
担体は全体で、本明細書に記載される医薬組成物の約0.1重量%〜約99.99999重量%を占め得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、羊膜胎盤MSCを含まないか、実質的に含まない。いくつかの実施形態では、MSCは、PBS、生理食塩水またはリンガー溶液中にある。
細胞への添加
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、let7、miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miRを含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性のlet7、miR−10b、miR−138、miR−145またはmiR−675を含む。それぞれの可能性が本発明の個々の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21またはmiR−133bの発現抑制を含む。それぞれの可能性が本発明の個々の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、いずれかの外来性miRをいずれかの発現抑制と組み合わせ得る。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21およびmiR−133bのうち少なくとも1つのものの発現抑制を含む。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性let 7とmiR−133bの発現抑制とを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は筋疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、let7、miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miRを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は筋疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21およびmiR−133bのうち少なくとも1つのものの発現抑制を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は筋疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性let7とmiR−133bの発現抑制とを含む。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはlncRNA PLUTOを含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはmiR−375を含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは発現抑制されたmiR−21を含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−375、lncRNA PLUTO、発現抑制されたmiR−21またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は2型糖尿病であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−375、lncRNA PLUTO、発現抑制されたmiR−21またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は神経疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは発現抑制されたmiR−21を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は癌またはそのリスクであり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−375、発現抑制されたmiR−21またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、2型糖尿病および癌またはそのリスクであり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−375、lncRNA PLUTO、発現抑制されたmiR−21またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、神経疾患および癌またはそのリスクであり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、miR−375、lncRNA PLUTO、発現抑制されたmiR−21またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、神経疾患および癌またはそのリスクであり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは発現抑制されたmiR−21を含む。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはMEG3を含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはmiR−143を含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、MEG3、miR−143またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は変形性関節症であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはMEG3を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は変形性関節症であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはmiR−143を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は神経疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、MEG3、miR−143またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は癌であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、MEG3、miR−143またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、変形性関節症および癌もしくはそのリスク、または神経疾患および癌もしくはそのリスクであり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、MEG3、miR−143またはその組合せを含む。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは外来性miR−145を含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCはmiR−154の発現抑制を含む。いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性miR−145、miR−154の発現抑制またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は筋疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性miR−145、miR−154の発現抑制またはその組合せを含む。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は筋疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は神経疾患であり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患はHGPSであり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む。いくつかの実施形態では、老化関連疾患は、筋疾患、神経疾患、HGPSおよびその組合せのうちいずれか1つのものであり、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは、その細胞表面またはそのエキソソームの表面に標的化部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、疾患は筋疾患であり、標的化部分は筋肉標的化部分である。いくつかの実施形態では、この部分は、衛星細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞および心筋細胞から選択される筋細胞を標的とする。いくつかの実施形態では、疾患は神経疾患であり、標的化部分は神経細胞標的化部分である。いくつかの実施形態では、この部分は、NSC、運動神経細胞、副交感神経細胞、GABA作動性神経細胞、星状膠細胞および有髄神経細胞から選択される神経細胞を標的とする。標的化部分については当該技術分野で周知であり、これらの部分を細胞表面および細胞の細胞外小胞上に発現させる方法についても同様である。
いくつかの実施形態では、未改変MSC、脱分化MSCまたは分化MSCは治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、治療剤は筋肉治療剤である。いくつかの実施形態では、治療剤は神経細胞治療剤である。いくつかの実施形態では、治療剤は、薬物、リードスルー薬、RNA、DNA分子、ベクター、エクソンスキリング(exon skilling)オリゴヌクレオチド、マイクロRNA(miR)、低分子干渉RNA(siRNA)、アンタゴマー、長鎖非コードRNA(lncRNA)およびウイルスからなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、薬物は、オキシトシン、メラトニン、G−CSF、ボルテゾミブおよびメトホルミンから選択される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法を疾患または病態の標準治療とともに実施する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗老化薬を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗老化薬は、オキシトシン、メラトニン、G−CSFおよびメトホルミンからなる群より選択される。
別の態様では、老化対象または罹患対象に正常な酸化ストレスを回復させるためのUC−MSCおよびCH−MSCに由来するミトコンドリアの使用が提供される。いくつかの実施形態では、この使用は、正常な代謝を回復させることを含む。いくつかの実施形態では、この使用は、正常レベルのROSを回復させることを含む。いくつかの実施形態では、この使用は、栄養因子、エキソソームおよび細胞外小胞のうち少なくとも1つのものの正常な発現を回復させることを含む。
別の態様では、必要とする対象の正常な酸化ストレスを回復させる方法が提供され、この方法は、対象に担体と、UCまたはCH−MSCに由来するミトコンドリアとを含む医薬組成物を投与することを含む。
MSC組成物
別の態様では、外来性let−7と、miR−133bを発現抑制するRNA阻害分子とを発現する、MSCが提供される。いくつかの実施形態では、MSCは筋疾患の治療に使用するものである。
別の態様では、let7、miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miRを発現する、MSCが提供される。いくつかの実施形態では、MSCは筋疾患の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21、miR−154およびmiR−133bのうち少なくとも1つのものを発現抑制する少なくとも1つのRNA阻害分子をさらに発現する。
別の態様では、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21、miR−154およびmiR−133bのうち少なくとも1つのものを発現抑制する少なくとも1つのRNA阻害分子を発現する、MSCが提供される。いくつかの実施形態では、MSCは筋疾患の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、let7、miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miRをさらに発現する。
別の態様では、外来性miR−375、外来性lncRNA PLUTO、miR−21を発現抑制するRNA阻害分子およびその組合せのうちいずれか1つのものを発現する、MSCが提供される。いくつかの実施形態では、MSCは2型糖尿病の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは癌の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、miR−21に結合してこれを阻害するRNA阻害分子を発現し、神経老化の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは癌の発症リスクの治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、2型糖尿病および癌または癌の発症リスクの治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、神経老化および癌または癌の発症リスクの治療に使用するものである。
別の態様では、外来性lncRNA MEG3、外来性miR−143およびその組合せのうち少なくとも1つのものを発現する、MSCが提供される。いくつかの実施形態では、MSCは関節炎の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、関節炎は変形性関節症である。いくつかの実施形態では、MSCは神経疾患の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは癌の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは癌の発症リスクの治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、関節炎および癌または癌の発症リスクの治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、神経疾患および癌または癌の発症リスクの治療に使用するものである。
別の態様では、外来性miR−145、miR−154を発現抑制するRNA阻害分子およびその組合せのうちいずれか1つのものを発現する、MSCが提供される。いくつかの実施形態では、MSCは筋疾患/老化の治療に使用するものである。
別の態様では、外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を発現するMSCが提供される。いくつかの実施形態では、MSCは筋疾患/老化の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは神経疾患/老化の治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCはHGPSの治療に使用するものである。いくつかの実施形態では、MSCは、筋疾患/老化、神経疾患/老化、HGPSおよびその組合せのうちいずれか1つのものの治療に使用するものである。
いくつかの実施形態では、MSCは遺伝子改変MSCである。いくつかの実施形態では、MSCは単離されている。
別の態様では、薬学的に許容される担体、補助剤または賦形剤と、少なくとも1つの本発明の遺伝子改変MSCとを含む、医薬組成物が提供される。医薬組成物は、組成物中にある細胞と用途が同じであることが理解されよう。
本明細書で使用される「投与すること」、「投与」という用語およびこれに類する用語は、妥当な医療行為において、活性薬剤を含有する組成物を治療効果が得られるように対象に送達する任意の方法を指す。本発明の主題の一態様は、必要とする対象に治療有効量の本発明の主題の組成物を経口投与することを提供する。その他の適切な投与経路としては、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、頭蓋内、鼻腔内または腹腔内が挙げられる。
投与する用量は、被投与者の年齢、健康状態および体重、実施する場合は同時に実施する治療の種類、治療の頻度および望まれる効果の性質によって決まる。
本明細書で使用される特定の用語の定義が本明細書に記載される。別途定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語および科学用語は一般に、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。当業者であれば、本明細書に記載されるものと類似しているか、同等のものであり、本発明の実施に使用することが可能な方法および材料が多数認識されよう。実際、本発明は、決して記載される方法および材料に限定されることはない。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、内容からそうでないことが明らかでない限り、複数形の指示対象を包含する。例えば、「a nucleic acid(核酸)」と言う場合、それは2つ以上の核酸の組合せなどを包含する。
本明細書で使用される「約」は、当業者によって理解されるものであり、それが使用される文脈によってある程度異なる。この用語が、それが使用されている文脈を考慮に入れても当業者に明確でない形で使用されている場合、「約」は、列挙される数値の最大±10%を意味する。
以下の実施例を検討すれば、当業者には本発明のほかの目的、利点および新規な特徴が明らかになるが、これらの実施例は限定することを意図するものではない。さらに、上に詳述され、のちの請求項の節で特許請求される本発明の様々な実施形態および態様はそれぞれ、以下の実施例で実験的に裏付けられる。
(実施例)
材料および方法
胎盤由来MSCおよび臍帯由来MSCの調製
以下のプロトコルに従い、ヒト、イヌから胎盤MSCおよび臍帯MSCを単離した。組織をPBSで洗浄した。羊膜および絨毛膜を機械的に小片に断片化し、次いで、2段階の酵素消化を実施した。(1)上皮細胞を除去するため、0.25%トリプシン/EDTAと37℃で30分間インキュベートした。(2)37℃にて0.1%コラゲナーゼIVで60分間処理した後、ウシ胎児血清で失活させた。次いで、細胞懸濁液を100μMのフィルターでろ過し、遠心分離した細胞を15%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンからなるDMED培地/栄養素混合物F−12(DMEM/F12)の入った75cmのCorningフラスコに播種した。あるいは、細胞を無血清MSC培地で維持した。臍帯由来MSCの調製にも同様の手順を用いた。次いで、細胞をRock阻害剤と1日間インキュベートした後、低酸素条件下でさらに24時間インキュベートした。エキソソームを取り除いた培地で細胞を維持した。
ROS検出
ミオスタチンで処理した後、ROS−Glu H2O2およびGSH/GSSG−Gloアッセイ(Promega社)を用いて細胞の酸化ストレスをアッセイした。JC−1キット(Thermo社)を用いてミトコンドリア膜電位を測定した。
エキソソーム単離
多段階遠心分離により細胞培地からのエキソソーム単離を4℃で実施した。簡潔に述べれば、培地を10,000×gで30分間遠心分離して大きな残屑を除去し、次いで、0.22μmのフィルターでろ過して小さい細胞残屑を除去した。次いで、上清を100,000×gで1〜2時間遠心分離した。電子顕微鏡法およびナノ粒子トラッキング解析(NTA)でCD63、CD9およびALIXの発現によりエキソソームを同定した。総タンパク質濃度の測定およびCD63 ELISA(SBI社)によりエキソソームの定量化を解析した。
qRT PCR
RNeasy midiキットを製造業者の指示(Qiagen社)通りに用いて全RNAを抽出した。全RNA 2μgを用いて逆転写反応を実施した。各プライマーセットについてプライマー最適化段階を検討して最適なプライマー濃度を求めた。プライマー、2×SYBR Green Master Mix(Invitrogen社)25μLおよびcDNA試料30〜100ngを総体積50μLのPCR増幅溶液に再懸濁させた。以下のプライマーを使用した:GDF11F:TCCGCCAGCCACAGAGCAAC;GDF11R:TCCAGTCCCAGCCGAAAGCC;TIMP2F:TGTGACTTCATCGTGCCCTG;TIMP2R:ATGTAGCACGGGATCATGGG;KLOTHOF:ACTCCCCCAGTCAGGTGGCGGTA;KLOTHOR:TGGGCCCGGGAAACCATTGCTGTC。ABI Prism 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)で反応を実施した。ABI 7000ソフトウェアからサイクル閾値(Ct)の値を得た。対照として各RNA試料のS12レベルまたはβアクチンレベルも求めた。
新生筋線維のカウント
PBSに溶かした心臓毒25μlをマウスのTA筋肉に注射し、7日後にマウスを屠殺した。筋肉を切り出し、胚ミオシン重鎖(MYH1)を染色し、MYH1陽性で核が中心部に位置する細胞を新生された筋肉としてスコア化した。あるいは、MyoDとPax7が二重陽性の細胞を非対称に分裂中の衛星細胞とし、NCAMが陽性の細胞を再生中の細胞とした。
実施例1:MSCは抗老化因子を発現する
MSCが様々な臨床モデルに示す細胞に対する効果および治療上の影響は、入手原によって異なることが明らかになった。より特異的で効率的な臨床応用のための特定の特徴および関連性を有する様々な入手源および亜集団の特徴を明らかにするため、これらの細胞の様々なパラメータを比較し、解析した。6種類の入手源、すなわち、骨髄(BM)、脂肪(AD)、羊膜胎盤(AM)、臍帯(UC)、絨毛膜胎盤(CH)および歯髄(DP)に由来するMSCについて、抗老化特性を有することがわかっている因子を検討した。解析では、TIMP2、GDF11およびKLOTHOの3つの特定の因子が際立っていた。
TIMP2は、年齢とともに減少し、認知機能ならびに神経細胞の健康および可塑性の改善に関与すると考えられている既知の長寿遺伝子である。MSCは6種類ともTIMP2をある程度発現したが、発現はBM−MSCが最も低かった(図1A)。AD、DPおよびAMはわずかに高いレベルでTIMP2を発現したが、最も高いレベルはCH−MSCおよびUC−MSCで観察され、絨毛膜に由来するMSCが最も発現レベルが高かった。
GDF11の長寿遺伝子としての役割については多少議論の余地があるが、GDF11は筋肉の成長および再生を増強するほか、骨格、腱および神経の老化に拮抗する役割も果たしている可能性があるとする広範なデータが存在する。ここでも同じく、MSCは6種類ともGDF11を発現し、BM−MSCでの発現が最も低く、AD−MSC、AM−MSCおよびDP−MSCがこれに次ぎ、CH−MSCおよびUC−MSCはここでも発現が最も高かった(図1B)。
KLOTHOはよく知られた長寿遺伝子であり、反応性酸化種(ROS)を減少させること、およびKLOTHOが発現するあらゆる細胞型の年齢に伴う減少に拮抗することに関与すると考えられている。TIMP2およびGDF11とは異なり、KLOTHOは全被験MSCに発現したというわけではなく、むしろ、BM−MSCおよびAD−MSCには全くみられなかった(図1C)。AM−MSC、DP−MSCおよびUC−MSCには中程度の発現が観察されたが、CH−MSCは群を抜いて高い発現を示し、他の3種類のMSCで観察された発現のほぼ2倍であった。
実施例2:絨毛膜MSCおよび臍帯MSCはROS産生を減少させる
ミオスタチンは、筋肉の成長および再生に対する既知の阻害剤であり、ミオスタチン処理は、老化している筋肉および損傷を受けた筋肉で産生される反応性酸化種(ROS)の増加を反映するものであることから、筋肉の消耗および変性のモデルとなっている。KLOTHOはROS産生を減少させることがわかっているため、CH−MSCおよびUC−MSCもミオスタチンによって誘導されるROS産生を減少させることが可能であるかどうかを検討した。ヒト筋芽細胞をUC−MSCまたはCH−MSCとともに3日間、0.4μMのトランスウェルプレートで培養しミオスタチン(40ng/ml)で処理した。CH−MSCまたはUC−MSCとの共培養によりROS産生がそれぞれ43%または58%減少した(図2)。トランスウェルの設定では細胞同士の接触ができないことから、MSCの効果が細胞外小胞または可能性として分泌KLOTHOなどの分泌因子によって媒介されるはずである。
実施例3:MSCは筋肉再生を増強し線維症を軽減する
老化による筋量減少であるサルコペニアは、いくつかの方法で、例えば、筋組織の再生速度を増大させることによって、または失われた筋肉を新生筋細胞に置き換えることによって治療することが可能である。さらに、筋肉が老化するのに伴って、特に心筋の線維症のリスクが大幅に増大する。様々な組織由来のMSCをmdxマウス(筋ジストロフィーモデル)の四頭筋内に注射し(1回当たり5×10個)、4週間後、再生および線維症と関係のある複数の重要な因子の発現を検討した。再生を四頭筋そのものでモニターし、線維症を心臓および横隔膜で測定した。
UC−MSCおよびCH−MSCはともに、2種類の細胞再生マーカー、胚ミオシン重鎖(MYH1、約4倍増加、データ不掲載)およびNCAMの四頭筋でのmRNA発現の有意な増大を引き起こした(図3A)。さらに、UC−MSCおよびCH−MSCは、線維症マーカーであるコラーゲンIの横隔膜および心臓での発現を有意に低下させ、BM−MSC、AD−MSCおよびAM−MSCは何ら効果を示さなかった(図3B)。最後に、UC−MSCおよびHC−MSCはともに、TNFαおよびINFγなどの炎症性マーカーの発現を低下させ(図3A)、BM由来MSC、AM由来MSCおよびAD由来MSCではこれより低い効果が観察された。エキソソームのみを注射したところ、わずかに少ないものの、同じ遺伝子発現の変化が観察された(図3B)が、それでも四頭筋での再生量は有意に増加した(図3C)。さらに、UC−MSCおよびCH−MSCは、機能的にジストロフィンの代替となり得るタンパク質であるユートロフィンの発現を有意に増大させた(図3A、3D)。BM−MSC、AD−MSCおよびAM−MSCは、統計的に有意ではないごくわずかなユートロフィン発現増大を引き起こすにとどまった。
マウス細胞系C2C12およびヒト筋細胞を用いたin vitroの実験で、MSCによって引き起こされる発現の変化を確認した。ヒト筋細胞をMSCとともにトランスウェルプレートで共培養したところ、UC−MSCおよびCH−MSCのみがユートロフィン発現を増大させることがわかった(図3E)。これらの細胞に由来するエキソソームについても同じであった。筋管の形成(図3F)およびミオシン重鎖2の発現(図3G)による測定では、AD−MSC、CH−MSCおよびUC−MSCならびにそのエキソソームによってそれぞれ筋細胞分化も増大した。一方、DMD患者由来の筋細胞をMSCとともに共培養した場合、CH−MSCおよびUC−MSCのみが筋管の形成を増大させた(図3H)。ヒト衛星細胞とUC−MSCおよびCH−MSCならびにそのエキソソームとの共培養では非対称分裂(MyoD発現)の増大がみられたが、BM−MSCではそのような増大はみられなかった(図3I)。また、C2C12マウス筋細胞との共培養でも同様の結果がみられた(図3J)。
実施例4:MSCは筋細胞生着効果を増大させる
MSCはその細胞表面にMHCII分子を発現することはなく、このため、移植細胞としての耐容性に優れている。さらに、MSCは移植を受ける者に免疫調節効果を示し、それにより免疫抑制が生じ、耐容性がさらに改善される。これまで、筋疾患、筋ジストロフィーおよび筋損傷の多くが筋細胞補充療法で治療することが可能であると提唱されてきたが、このような治療法は移植片に対する拒絶反応のため実施するのが困難であることが明らかにされている。このため、MSC(CHおよびUC)を移植片中に含めた場合、それが拒絶反応を減少させ、外来細胞の生着を増大させるかどうかを検討した。全般的には、以下の実験全体を通じて、CH MSCまたはUC MSCが治療効果の可能性および筋原性の可能性が最も高かったため、これらを常に使用した。絨毛膜組織および羊膜組織以外に胎盤絨毛などの他の胎盤領域についても検討したが、絨毛膜が示した治療効果の可能性を示す領域はなかった。
MSCを蛍光赤の細胞追跡子で標識したヒト筋細胞とともに野生型マウスの前脛骨筋(TA)内に共移植した。2週間後、筋肉中の赤色蛍光のレベルを顕微鏡法により測定し、筋芽細胞生着および衛星細胞生着をともに検討した。UC−MSCおよびCH−MSCはともに、いずれのMSCも用いない移植と比較して、筋芽細胞および衛星細胞の生着が有意に増大した(図3K)。UC−MSCの共移植は筋芽細胞の生着に優れ、CH−MSCの共移植は衛星細胞の生着に優れているのが観察されたが、その差は統計的に有意ではなかった。移植の4週間後でも同様の結果が観察された。
ヒト星状膠細胞および神経幹細胞(NSC)の移植についても検討した。UC−MSCまたはCH−MSCを蛍光赤で標識した細胞とともに髄腔内に共移植し、別個の実験で2週間後および4週間後に脊髄内の赤色蛍光を測定した。星状膠細胞移植後の赤色蛍光のレベルは、UC−MSCが4.55(±0.67)、CH−MSCが3.89(±0.54)であり、NSCの移植でも同様の結果がみられた(対照蛍光を1に設定した)。以上の実験をMDXマウスおよび筋萎縮性側索硬化症(ALS)のラットモデルで繰り返し、いずれの場合もMSCの共移植によって筋細胞生着が改善することがわかった。
実施例5:MSCは老化筋肉モデルの衛星細胞の非対称分裂を増大させる
筋肉再生は衛星細胞として知られる筋肉幹様細胞のグループによって媒介される。これらの細胞は非対称に分裂し、分裂毎に新たな衛星細胞と分化筋芽細胞とを生じる。筋肉の老化に伴い、衛星細胞の増殖能および非対称分裂能が低下する。MSCを注射した筋肉に観察される再生が衛星細胞機能の増強によるものであるかどうかを検討するため、ヒト衛星細胞を若年者(15〜20歳)および高年者(55〜60歳)の血清とインキュベートした。高年者血清とのインキュベーションでは、細胞が筋芽細胞に非対称に分裂する能力(MyoDレベルによって測定される)が50%超低下した(図4)。CH−MSC、DP−MSCおよびUC−MSCとのトランスウェル培養では、筋芽細胞の産生がそれぞれ3倍超、3倍および4倍増大した。MSCの存在下では、高年者血清では依然として非対称分裂のレベルの低下がみられたが、約40%および45%にとどまり、さらに重要なこととして、MSCおよび高年者血清の存在下でのMyoDの発現レベルは依然として、MSCを含まない若年者血清のレベルの2倍を上回った。培養物に加えたこれらのMSCに由来するエキソソームでも、値は低いものの筋芽細胞産生に対して同様の効果がみられた。ヒト細胞の代わりにマウスC2C12細胞を用いた場合にも同様の効果が観察された。高年個体の血清(12〜20か月齢)の方が若年個体の血清(3〜4か月齢)よりもMyoD発現が低下し、MSCによりその効果を逆転させ、MyoDレベルを対照レベルさえ超えさせることができた。したがって、UC−MSC、DP−MSCおよびCH−MSCのパラクリン効果は実際に衛星細胞の機能ならびに増殖能および分化能を改善し、したがって、老化が進行していても、これらのMSCは衛星細胞が新たな筋肉を生じさせる能力増大させるのではないかと思われる。AM−MSCでも、低いながらも同様の効果が観察された。
実施例6:MSCは老化モデルの神経幹細胞自己再生を増大させる
上記の若年者および高年者の血清を用いた実験を、衛星細胞の代わりにヒト神経幹細胞(NSC)を用いても実施した。NSC自己再生のマーカーにはダブルコルチンを使用し、筋肉で観察されたのとまったく同じように、高年者血清との培養ではダブルコルチンの発現レベルが低下した。UC−MSCおよびCH−MSCならびにそのエキソソームとの共培養でも、それらがダブルコルチン発現を増大させるという同じ効果がみられ、高年者血清でも発現レベルが若年者血清のみと培養したNSCのものを上回った。
神経老化をさらにモデル化するため、ヒドロキシウレアを添加して、または添加せずにヒト神経幹細胞(NSC)を培養した。ヒドロキシウレアは、脳老化のモデルとなる損傷剤である。NSCをその通常の増殖条件、すなわち、DMEM+EGFおよびFGF(それぞれ10ng/ml)で維持し、ニューロスフェアとして維持した。次いで、細胞を分離し、段階希釈により個々に播種した。個々のNSCを1つのウェルで増殖させ、コロニー形成により自己再生能を測定した。ウェルを培地のみあるいはCH−MSC、DP−MSCもしくはUC−MSCまたはその小胞の入ったトランスウェルディッシュに入れた。MSCまたはそのエキソソームではNSCの自己再生の増大がみられ、CH−MSCで最も強力な効果がみられた(図5A)。ヒドロキシウレアによりNSC自己再生が65%低下し、このような低いレベルはMSCまたはその小胞の存在下では2倍超であった(図5B)。
これまでに、臍帯血には脳病態を治療するうえでいくつか利点があることが報告されている。このため、臍帯血の効果も検討した。臍帯血単独では両種類のMSCおよびその小胞に劣っていたが、臍帯血とMSCとを組み合わせると相加効果が得られた(図5A〜B)。
実施例7:MSCからさらに幹様性の高い細胞への脱分化
MSCは多能性細胞であるが、細胞をさらに幹様性の高い運命に脱分化させれば、それを老化関連障害および疾患の治療に細胞補充療法として使用できる可能性が高まるものと考えられる。MSCがのちの諸因子に応答して分化する能力を増大させるため、様々な方法を用いてMSCに一過性の幹細胞の特徴を誘導した。共培養の前にMSCに改変Nanog mRNA(このようなmRNAは細胞質内で安定であり、直ちに翻訳され得る)をトランスフェクトしたところ、全体的な幹細胞性が増大し、MSCを5−アザシチジン(5−AZA)と1日間インキュベートした場合も同様であった。トランスフェクトした細胞を5−AZAとインキュベートすることで2つの処理を組み合わせたところ、幹細胞性の増大が増強された。酸性培地中または低酸素状態でさらにインキュベートしたところ、脱分化がさらに増大した。これらの細胞に由来する細胞外小胞でもMSCと同じ効果がみられ、これらの転写因子の一部を「老化した」細胞に送達することも可能であった。
一過性の幹細胞表現型を発現するよう刺激したMSCでは、SOX2、NANOG、OCT4およびKLF4が未処理MSCで観察されたレベルよりも高いレベルで発現したほか、RTVO−1が低レベルで発現した。しかし、これらの細胞では依然としてMSCマーカーのCD73、CD105、CD90、CD146およびCD44が発現し、MHCIIは発現しなかった。このように、同細胞は分化能が増大すると同時に、依然として未処理MSCで観察された有益なパラクリン効果を発揮した。同細胞は依然として非免疫原性であり、抗炎症能および免疫抑制能を有した。これらの細胞に由来する細胞外小胞でも同様の結果が観察された。
実施例8:脱分化MSCは筋肉再生を改善する
脱分化細胞はMSCの特徴の多くを保持しているだけでなく、分化能も増大していることから、脱分化細胞が筋肉再生を増大させ、線維症を軽減する能力の点で未処理MSCにどの程度匹敵するかを検討した。未処理のCH−MSCおよびUC−MSCをmdxマウスの左側の四頭筋内に注射し(5×10個)、脱分化したCH−MSCおよびUC−MSCを右側の四頭筋の筋内に注射した(5−AZAにより分化させた細胞5×10個)。前に観察されたように、両組織に由来するMSCは、横隔膜および心臓の線維症(コラーゲンI発現)を軽減し、注射した筋肉での再生(NCAM発現)を増大させたが、注目すべきことに、脱分化MSCは再生レベルがほぼ2倍になったが、線維症の軽減に変化はみられなかった(図6A)。四頭筋に細胞外小胞を0.5×10個注射した場合にも結果が観察された。
実施例9:サルコペニア治療への脱分化MSCおよび未処理MSCの使用
次に、未処理MSCおよび脱分化MSCがミオスタチンによって引き起こされた筋損傷を改善することができるかどうかを検討した。ヒト筋管をミオスタチン(40ng/ml)で3日間処理し、筋管の直径をモニターした。ミオスタチン処理は筋萎縮症およびサルコペニアの作用を模倣するものであり、筋管の直径が平均42%減少することがわかった(図6B、対照)。UC−MSCおよびCH−MSCと筋小管を共培養することにより、平均直径がそれぞれ29%および22%減少するにとどまった。さらに、ミオスタチンを添加しない場合、共培養により筋小管の直径が事実上増加したことから、ミオスタチンによって引き起こされる減少により、筋管の直径が野生型のレベルと同じまたはそれをわずかに下回る程度にとどまった。筋管にUC−MSCおよびCH−MSC由来のエキソソームを添加した場合も、直径の減少がそれぞれ29%および22%であったことから、MSCそのものとほぼ同じ効果がみられた。しかし、エキソソームは、MSCの場合とまったく同じ大きさまで直径を増大させたわけではないため、ミオスタチン処理後の平均直径はわずかに減少した。最後に、5−AZAまたは筋肉との共培養で刺激しても%減少がほぼ同じであったUC−MSCおよびCH−MSCでは、ミオスタチン処理の後でさえ筋管の直径が未処理対照と比較してわずかに増大したため、最終的な筋管の直径が最も大きいものとなった(図6B)。このことは、刺激されたMSCがまとまって筋管になったことによるものであると思われる。
次に、未処理MSCおよび脱分化MSCがin vivoで新たな筋肉の形成を誘導することができるかどうかを検討した。野生型マウスの前脛骨筋(TA)にPBS、CH−MSC、UC−MSC、脱分化CH−MSCまたは脱分化UC−MSC(いずれも5×10個)を注射し、次いで、心臓毒で処理して筋損傷を誘導した。7日後、マウスを屠殺し、中心部に位置する核のMYH1染色を記録することにより、腓腹筋に新たに生じた筋線維をカウントした。UC−MSCでは新たな筋細胞の数が2倍超になり、CH−MSCでは3倍になった(図6C)。脱分化MSCではさらに強力な効果がみられ、処理UC−MSCまたは処理CH−MSCでは新たな筋細胞の数がそれぞれ344%および387%増大した。これらの細胞に由来する細胞外小胞でも同程度の効果がみられた。UC由来小胞(0.5×10個)では2.38±0.345倍増大し、CH由来小胞では2.92±0.397倍増大した。同様に、脱分化UC細胞から単離した小胞では新たな筋細胞の数が3.24±0.42倍増大し、脱分化CH由来の小胞では3.59±0.419倍増大した。
誘導された筋細胞表現型のマーカーの測定に加えて、栄養因子GDNF、VEGF、CNTFおよびIGF1の発現も検討した。MSCは、神経機能を支える多数の栄養因子を発現することが知られている。このような発現が低下すると、筋細胞表現型への分化に望ましくない副次的影響となり得る。特筆すべきことに、ハイブリッド細胞(および刺激された細胞)では、上記の4種類の栄養因子の発現が保持されているばかりでなく、実際に発現が4種類とも未処理MSCで観察された発現よりも大幅に増大した。この増大は、UC−MSC由来のハイブリッド細胞で最も大きく、VEGF発現が10倍超の増加、IGF1発現が6倍超の増加、GDNF発現が5倍超の増加、CNTF発現が4倍超の増加であった。CH−MSCでも、3種類の因子がいずれも4倍超の増加であった。1つ目の分化プロトコルでも2つ目の分化プロトコルでも同様の結果が観察された。
以上の結果を総合的にみると、MSCは筋細胞および神経細胞をともに改善/補助することによって、筋肉機能の低下を正常に戻し、老化に関連する能力を回復させることが示唆される。このように、MSCおよびMSC細胞外小胞を主体とする治療法は神経筋接合部の両要素を標的とするものである。
実施例10:MSCおよびその分泌エキソソームは2型糖尿病に対して阻害効果を示す。
2型糖尿病の発症率は年齢とともに増加する。その若年型の対応する1型糖尿病とは異なり、2型糖尿病の発症には膵臓の老化が少なくとも一部の原因となっている。2型糖尿病をモデル化するため、マウスの低用量ストレズプトシン(strezptocin)処理に高脂肪食を組み合わせて用いた。この糖尿病マウスを対照(PBS)で処置したところ、血糖レベルの上昇がみられた。このマウスの四頭筋内にCH−MSCもしくはUC−MSCまたはその細胞外小胞を筋肉内注射により投与した。マウスの処置から10日後、いずれの処置でも血清中グルコースレベルの低下が観察された(図7A)。CH−MSCの方がUC−MSCよりもわずかに優れており(45%低下対35%低下)、その小胞についても同様であった(42%低下対38%低下)。
MSCの効果を改善するため、細胞にmiR−375を異所性に発現させるとともに、miR−21を発現抑制した。これらの細胞では、血糖レベルに対するさらに強力な効果が観察され(図7B)、CH−MSCおよびその小胞によりレベルが50%超低下した。MSCにlncRNA PLUTOも発現させた。PLUTOを発現するCH−MSCではグルコースレベルが450から207±26.4に低下し、その小胞では220±28.9に低下した。miR−375およびPLUTOをともに発現するCH−MSCおよびその小胞でも同様の結果が観察され、この場合、グルコースレベルに対する効果がさらに長時間持続した。PLUTO発現MSCはインスリンmRNAを発現することが明らかになり、このことは、このような持続的効果を説明する1つの理由であると考えられる。
実施例11:MSCおよびそのエキソソームは変形性関節症を治療する
変形性関節症は、関節軟骨の変性を原因とする関節痛ならびに関節の形態および機能の喪失を呈する臨床症候群である。軟骨細胞の老化がこの過程の顕著な特徴の1つとなっている。したがって、変形性関節症に対するMSCの効果を検討するためのモデルには、IL−1ベータによってヒト軟骨細胞に誘導される老化を用いた。ヒト軟骨細胞をトランスウェル培養で増殖させ、10ng/mlのIL−1ベータで処理した。5日後、陽性SAベータgal活性を老化の代理として測定した。対照として、他の細胞を加えずにトランスウェルで培養したものを用い、1に設定した。IL−1ベータで処理したころ、老化が5倍増大した。MSCおよびその小胞により老化がほぼ未処理レベルまで再び低下し、CH−MSCおよびその小胞が最も強力な効果を示した(図8A)。MSCに、減少が変形性関節症を引き起こすことが知られているlncRNA MEG3もトランスフェクトした。MSCでMEG3が発現することにより、さらに強力な老化の抑制が得られた。
変形性関節症は、老化したペット集団にみられる消耗性病態でもある。このため、イヌ由来の軟骨細胞についても検討した。上の実験に並行して実験を設定し、イヌ軟骨細胞でもヒトMSCが老化を大幅に抑制した(図8B)。
実施例12:MSCおよびそのエキソソームは認知障害を治療する
未改変のUC−MSCおよびCH−MSCならびに星状膠細胞、NSCおよび神経細胞の表現型を有するよう分化させたUC−MSCおよびCH−MSCが、アルツハイマー病、早老症および認知症などの老化に関連する精神病態に対する保護効果を有することがわかった。CH−MSCおよびこの細胞由来の小胞によりAPP/PS1(アミロイド前駆体タンパク質/プレセニリン1)二重トランスジェニックマウスモデルの認知症発現を遅らせた。未処置マウスには、6〜7か月齢で脳内にアミロイドbの沈着物および斑が認められ、約8か月齢で空間学習/記憶の有意な低下がみられた。2種類のアッセイを用いてMSCの効果を解析した。認識指標の測定では、APP/PS1マウスに23.7%の低下がみられ、CH−MSCにより低下が18.7%抑えられ、CH−MSCの小胞により低下が15.23%抑えられた。プラットフォーム交差の測定では、APP/PS1マウスに交差の減少がみられ、対照マウスの交差回数が平均4.56回、APP/PS1マウスの交差回数が平均でわずか1.58回であった。CH−MSC処置マウスでは交差回数が3.23回に増加し、小胞で処置したマウスでは2.99回に改善した。
脳への放射線誘発損傷は重度で進行性の認知機能障害を引き起こし、神経変性障害、脳老化、脳卒中および反復性頭部損傷症候群との類似点が多数ある。本発明者らは、脳への放射線照射のマウスモデルを用い、PBS(対照)、CH−MSC、CH小胞、CH−MSC+miR−21アンタゴマーおよびCH小胞+miR−21アンタゴマーで処置したマウス(12週齢)の認知機能を解析した。マウスに放射線照射を5Gyで10日間実施した。2週間後、マウスにMSCまたはエキソソームによる頭蓋内処置を実施した。処置の6週間後、マウスを試験環境に慣れさせる訓練を2週間実施し、次いで、マウスが新奇物体を認識する能力を検討した。
認識指数は1〜−1である。数が小さいほど新奇物体を認識する能力が低い。PBSで処置した放射線照射マウスの認識指数は−0.54であることがわかった。これに対し、CH−MSCで処理したマウスは指数が0.49であった。CH小胞では指数が0.41であり、CH−MSC+miR−21アンタゴマーでは指数が0.62であり、CH小胞+miR−21アンタゴマーでは指数が0.67であった。MSCまたはその小胞の鼻腔内投与でも同様の結果が得られた。以上の結果を考え合わせると、CH−MSCおよびその小胞により、放射線誘発損傷を原因とする(および老化および外傷による)認知障害から脳を保護することができることがわかる。
放射線照射により、NSCが増殖する能力も39.7%低下した。しかし、CH−MSCおよびCH小胞により、この増殖がそれぞれ69.4%および62.3%増大した。MSCとmiR−21アンタゴマーおよびその小胞ではさらに高い効果が得られ、CH−MSC+miR−21アンタゴマーでは増殖が84.5%増大し、CH小胞+miR−21アンタゴマーでは増殖が81.5%増大した。このモデルは神経変性疾患、脳老化、脳卒中、反復性脳損傷症候群および血管性認知症に関する情報を与えるものであることから、上記のMSCおよびその小胞はこれらの病態にも有益なものであり得る。
実施例13:分化MSCは細胞機能を改善し細胞補充物としての役割を果たす
MSCは、星状膠細胞様細胞、神経幹細胞(NSC)様細胞、運動神経細胞様細胞および筋細胞様細胞に分化し得る。しかし、この部分的分化の後でも、細胞は依然としてMSC様の特徴を保持している。これにより、細胞は損傷および疾患の部位にホーミングすることが依然として可能であり、抗炎症効果および免疫調節効果を発揮することが依然として可能である。しかし、これらの細胞には、損傷した、または老化した細胞および組織を治療するための補充物としての作用できるというさらなる有益性がある。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)は、小児に全身性の早期老化を引き起こすまれな遺伝障害である。これは、短縮され毒性のあるプロジェリンとも呼ばれるタンパク質ラミンAをコードする、LMNAと呼ばれる遺伝子の変異に起因するものである。この毒性タンパク質の産生はSRSF1と呼ばれるRNA結合タンパク質にも影響を受ける。CH−MSCおよびそれに由来する小胞により、HGPS患者由来の線維芽細胞でのプロジェリン発現がそれぞれ34.1%および36.9%低下した。さらに、Ch−MSCおよびその小胞により、SRSF1の発現もそれぞれ49.6%および52.4%低下した。
MSC、特にUCおよびCHに由来するMSCは、衛星細胞表現型および筋芽細胞表現型を有するよう分化させると、筋肉老化、サルコペニアおよび筋線維症の治療にさらなる治療的有益性をもたらすことがわかった。このさらなる有益性は、既存の筋合胞体と盛んに融合し、MSCのパラクリン効果に加えて細胞補充療法としての役割を果たす細胞によるものであると思われる。
実施例14:MSCでのRNA治療剤の過剰発現
筋肉、運動神経細胞および末梢神経細胞の疾患および損傷に有望であると考えられる治療剤がいくつか存在する。しかし、多くの場合、治療剤を受傷領域または罹患領域に直接かつ特異的に送達するのは困難である。MSCにはホーミング能があると同時に、その分泌小胞のレパートリーにも幅があることから、MSCが筋肉および神経細胞に理想的な送達薬剤としての役割を果たす可能性があるとする仮説を立てた。
この仮説を検証するため、未改変のCH−MSCおよびUC−MSCに由来するエキソソームにユートロフィン発現を低下させることが知られている数種類のマイクロRNA(miR)(抗miR−424、195、16、497、135、6793および21)に対するアンタゴマーを搭載し、ヒト筋芽細胞とインキュベートした。これらのエキソソームとのインキュベーションにより筋芽細胞でのユートロフィンmRNA発現が大幅に増大し、これらのエキソソームにより筋芽細胞へのアンタゴマー導入が成功したことが示された(図9A)。
同様に、let−7アンタゴマーまたはmiR−133bアンタゴマーをトランスフェクトしたCH−MSCでもin vitroで筋細胞にアンタゴマーが導入され、それによりユートロフィンタンパク質発現が増大した(図9B)。これらの細胞に由来するエキソソームでもin vitroでユートロフィンタンパク質発現の増大に成功した(図9C)。次に、エキソソーム表面のMカドヘリンエピトープによって筋細胞に標的化したエキソソームを筋細胞/星状膠細胞混合培養物に投与した。抗let−7を含有する標的化エキソソームでは、培養物中の星状膠細胞の55〜68%の細胞だけでなく、培養物中の筋細胞の85〜92%の細胞にもユートロフィン発現の増大がみられた(図9C、筋細胞溶解物について掲載)。このことから、エキソソームがアンタゴマーを導入することだけでなく、エキソソーム(またはMSC)上の筋肉標的化部分が導入の効果を増大させることも示された。let−7はミオシン重鎖の発現を低下させ、それにより筋肉再生を阻害することも知られている。let−7アンタゴマーによりミオシン重鎖の発現も有意に増大し(図9D)、これにより二重の治療的有益性が得られた。
ジストロフィンタンパク質の送達も盛んに検討された治療手段であるが、組換えジストロフィンは強い免疫原性応答を誘導し、効果的な送達システムは未だ発見されていない。MSCには免疫抑制能があることから、免疫応答を引き起こさずにジストロフィンを発現させることができるのではないかと考え、未改変CH−MSCにジストロフィンおよびマイクロジストロフィンを発現するウイルスベクターを感染させた。これらのプラスミドの効果をさらに増強するため、ジストロフィンを標的とするmiRであるmiR−214に対するアンタゴマーを発現するMSCも用いた。ジストロフィンプラスミドと抗miR−214の複合効果は顕著なものであり、ジストロフィン発現が約4.5倍増大した。重要なことに、この処置によりユートロフィン発現も増大した。このように、抗miR−214送達によりジストロフィンおよびユートロフィンの発現がともに増大することから、抗miR−214送達にも二重の治療的有益性がある。
MSCおよびエキソソームに改変myoD mRNAを搭載することにより、エキソソームおよびMSCが治療剤を送達する能力をさらに検討した。このようなmRNAは、細胞の細胞質内に入ると、直ちにタンパク質に翻訳され得る。myoD搭載エキソソームをトランスウェルプレートの筋芽細胞および搭載MSCと筋芽細胞の共培養物に直接添加したところ、myoD陽性核の数による測定で盛んなmyoD発現がみられた(図9E)。陽性対照として、細胞への改変myoD mRNAの直接トランスフェクションを用い、実際、エキソソームまたは共培養物によるmRNAの伝達は、トランスフェクションによる直接投与とほぼ同程度に効果的なものであった。このように、MSCおよびそのエキソソームにより、改変mRNAを他のRNA分子と同じように効果的に送達することができる。
また、CH−MSCにmiR−145とmiR−154に対するアンタゴマーとをトランスフェクトし、細胞が線維症を治療する能力をモニターした。身体の様々な筋肉の線維症は老化進行の顕著な特徴の1つである。TGFベータ誘発線維症をモデルとして用いた。骨格筋細胞および心筋細胞をトランスウェル培養で増殖させ、30ng/mlのTGFベータで処理した。3日後、コラーゲン1A1の発現をRT−PCRによりモニターした。非改変MSCの存在下では、TGFベータ−によりコラーゲン発現が約5倍増大したが、miR−145、アンタゴマー−154および両者の組合せを発現するMSCにより線維症が大幅に軽減された(図10)。miR−145および抗miR−154を発現するCH−MSCに由来する細胞外小胞でも同様の結果が観察された。UC−MScおよびその分泌エキソソームでもmiR−145およびmiR−154アンタゴマーを搭載した場合に組織線維症が減少したが、その効果は低いものであった。
既に記載した通り、MEG3発現は変形性関節症に有用であるだけでなく、神経細胞の自己再生にも何らかの役割を果たしている。NSC再生に関する前の実験と同様に、NSCとMEG3、miR−143または両者の組合せを発現するCH−MSCとをトランスウェルで増殖させた。それぞれのMSCでNSC自己再生が増大し、両者の組合せでは自己再生が2倍超であった(図11A)。同様に、上記のMSCおよびその小胞でも神経老化のモデルであるヒドロキシウレアで処理するNSCの自己再生が増大した(図11B)。
最後に、CH−MSCにmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225をトランスフェクトした。これらの細胞をトランスウェルディッシュで衛星細胞と共培養したところ、衛星細胞の増殖および分化がそれぞれ5.2倍および3.78倍増大することがわかった。これらの同じ細胞によりヒドロキシウレア処理後のNSC自己再生も4.12倍増大した。さらに、同細胞によりHGPS患者由来の線維芽細胞でのプロジェリン発現が42.1%低下した。最後に、これらの遺伝子改変MSCは、癌細胞系、原発性癌細胞および癌幹細胞でも抗腫瘍効果を発揮した。
実施例15:MSCおよびそのエキソソームは複数の腫瘍に対する効果を発揮する
老化は腫瘍発生率の増大を特徴とするものである。このため、いかなる抗老化治療についても、腫瘍促進性ではないか、さらに好ましくは抗腫瘍効果を有することを確認するべきである。CH−MSCおよびその細胞外小胞について、9種類の異なる癌(神経膠腫、髄膜腫、膵臓癌、肺癌、前立腺癌、乳癌、白血病、肺転移および神経芽腫)に対する効果を検討した(図12A)。検討したいずれの癌でも、MSCおよびその小胞が癌細胞増殖に対して強力な阻害効果を有する。さらに、miR−375を過剰発現し、miR−21が発現抑制されたMSCおよび細胞由来の小胞の方が強い抗腫瘍効果を発揮した。UC−MSCおよびその小胞の両方でもに同様の結果が得られた。外来性MEG3およびmiR−143を発現するCH−MSCについても、それが肺腫瘍幹細胞の自己再生を阻害する能力を検討した。この実験はNSCで実施したものとほぼ同じであり、この場合のみ、MSCが腫瘍幹細胞の自己再生を阻害し、MEG3とmiR−143の組合せでも80%の減少が得られた(図12B)。
ここまで、本発明をその特定の実施形態とともに説明してきたが、当業者には多数の代替形態、修正形態および変形形態が明らかになることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲に含まれるこのような代替形態、修正形態および変形形態はいずれも包含されるものとする。

Claims (31)

  1. 対照の老化を阻害する、または老化関連疾患を治療する方法であって、実質的に羊膜胎盤間葉系幹細胞(MSC)を含まず、薬学的に許容される担体と、
    a.絨毛膜胎盤MSC、
    b.絨毛膜胎盤MSC由来エキソソーム、
    c.脱分化MSC、
    d.脱分化MSC由来エキソソーム、
    e.分化MSC、
    f.分化MSC由来エキソソームおよび
    g.上記のものの組合せ
    のうち少なくとも1つのものとを含む医薬組成物を前記対象に投与し、それにより対象の老化を阻害することを含む、方法。
  2. MSCにNANOG、SOX2、KLF4、OCT4およびその組合せのうちいずれか1つのものを導入することによって前記脱分化MSCを作製する、請求項1に記載の方法。
  3. 5−アザセチジン(azacetidine)(5−AZA)を含有する培地中でMSCをインキュベートし、任意選択で、前記MSCを酸性培地または低酸素培地中でさらにインキュベートすることによって前記脱分化MSCを作製する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記老化が、筋肉老化、神経老化、膵臓老化および関節老化から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 神経老化が、認知機能障害、記憶障害またはその両方を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 筋肉老化が、筋量減少、線維症亢進またはその両方を含む、請求項4に記載の方法。
  7. 前記老化関連疾患が、サルコペニア、線維症、2型糖尿病、関節炎、筋萎縮症、アルツハイマー病、認知症、脳卒中による脳損傷およびハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記線維症が心筋線維症または骨格筋線維症である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記関節炎が変形性関節症である、請求項7に記載の方法。
  10. 老化を阻害することが、線維症の軽減、炎症の軽減、反応性酸化種(ROS)産生の減少、筋量の増加、幹細胞自己再生の増大、グルコース恒常性の改善、認知機能の増進、記憶力の増進、軟骨細胞生存能の増大およびプロジェリン、SRSF1またはその両方のレベル低下のうち少なくとも1つのものを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記幹細胞が、神経幹細胞(NSC)および衛星細胞のうちいずれか1つのものである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記治療することが、
    a.癌ではない老化関連疾患を治療すること、および
    b.癌の発症リスクを低下させること、癌を治療すること、またはその両方
    を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記分化MSCを星状膠細胞、神経幹細胞、運動神経細胞、オリゴデンドロサイト、衛星細胞および筋芽細胞のうちいずれか1つのものに分化させる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記MSC、脱分化MSCまたは分化MSCにマイクロRNA(miR)−10b、miR−10a、miR−138、miR−145、miR−373、miR−1225、miR−375、miR−143、miR−675、長鎖非コードRNA(lncRNA)MEG3およびlncRNA PLUTOから選択される少なくとも1つの調節RNAを導入することをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. let−7、miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−133b、miR−214、miR−154およびmiR−21のうち少なくとも1つのものに結合してこれを阻害する少なくとも1つのRNA阻害分子を前記MSC、脱分化MSCまたは分化MSCに導入することをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記対象がヒトである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記対象が獣医学的動物である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 外来性マイクロRNA let−7と、miR−133bに結合してこれを阻害するRNA阻害分子とを含む、遺伝子改変MSC。
  19. miR−10b、miR−138、miR−145およびmiR−675から選択される少なくとも1つの外来性miRを含む、遺伝子改変MSC。
  20. miR−424、miR−195、miR−16、miR−497、miR−135、miR−6793、miR−21およびmiR−133bのうち少なくとも1つのものに結合してこれを阻害する少なくとも1つのRNA阻害分子を含む、遺伝子改変MSC。
  21. 外来性miR−145、miR−154に結合してこれを阻害するRNA阻害分子およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む、遺伝子改変MSC。
  22. 外来性miR−375、外来性lncRNA PLUTO、miR−21に結合してこれを阻害するRNA阻害分子およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む、遺伝子改変MSC。
  23. 外来性lncRNA MEG3、外来性miR−143およびその組合せのうち少なくとも1つのものを含む、遺伝子改変MSC。
  24. 外来性のmiR−143、miR−10a、miR−373およびmiR−1225を含む、遺伝子改変MSC。
  25. a.請求項18〜24のいずれか1項に記載の遺伝子改変MSCと、
    b.薬学的に許容される担体、補助剤または賦形剤と
    を含む、医薬組成物。
  26. 老化の阻害または老化関連疾患の治療への請求項25に記載の医薬組成物の使用。
  27. 筋肉老化の治療への請求項25に記載の医薬組成物の使用であって、前記組成物が、請求項18〜21のいずれか1項に記載の遺伝子改変MSCを含む、使用。
  28. a.2型糖尿病、
    b.癌または癌の発症リスクおよび
    c.上記のものの組合せ
    のうちいずれか1つのものの治療への請求項25に記載の医薬組成物の使用であって、 前記組成物が、請求項22に記載の遺伝子改変MSCを含む、使用。
  29. a.関節炎、
    b.神経老化、
    c.癌または癌の発症リスクおよび
    d.上記のものの組合せ
    のうちいずれか1つのものの治療への請求項25に記載の医薬組成物の使用であって、 前記組成物が、請求項23に記載の遺伝子改変MSCを含む、使用。
  30. a.筋肉老化、
    b.神経老化、
    c.HGPSおよび
    d.上記のものの組合せ
    のうちいずれか1つのものの治療への請求項25に記載の医薬組成物の使用であって、 前記組成物が、請求項24に記載の遺伝子改変MSCを含む、使用。
  31. 神経老化の治療への請求項25に記載の医薬組成物の使用であって、前記組成物が、請求項22に記載の遺伝子改変MSCを含み、前記MSCが、miR−21に結合してこれを阻害するRNA阻害分子を発現する、使用。
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