JP2020519638A - 組換えヒト酸性アルファグリコシダーゼ - Google Patents

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Abstract

組換え酸性αグルコシダーゼおよび組換え酸性αグルコシダーゼを含む薬学的組成物であって、組換え酸性αグルコシダーゼが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現され、アルグルコシダーゼアルファの、1個または2個のマンノース−6−リン酸残基を保有するN−グリカン単位の含有量と比較して、1個または2個のマンノース−6−リン酸残基を保有するN−グリカン単位の含有量が増加している、組換え酸性αグルコシダーゼおよび組換え酸性αグルコシダーゼを含む薬学的組成物が提供される。対象に投与するための組換え酸性αグルコシダーゼまたは薬学的組成物を産生、精製および製剤化する方法、および組換え酸性αグルコシダーゼまたは薬学的組成物を使用するポンペ病などの疾患または障害を処置する方法が同様に提供される。【選択図】図1A

Description

関連特許の相互参照
本出願は、それぞれの優先権が主張され、それぞれが参照によりその全体が組み込まれる、米国仮特許出願第62/506,561号、2017年5月15日出願、米国仮特許出願第62/506,569号、2017年5月15日出願、米国仮特許出願第62/506,574号、2017年5月15日出願、米国仮特許出願第62/564,083号、2017年9月27日出願、米国仮特許出願第62/567,334号、2017年10月3日出願、米国仮特許出願第62/618,021号、2018年1月16日、米国仮特許出願第62/624,638号、2018年1月31日出願および米国仮特許出願第62/660,758号、2018年4月20日出願の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、医薬、遺伝学および組換え糖タンパク質生化学の分野に関与し、具体的には、細胞上のCIMPRを効率的に標的化し、次いでrhGAAを、異常に高いレベルに蓄積したグリコーゲンをそれが分解できるリソソームに送達するマンノース−6−リン酸保有N−グリカンの高い総含有量を有する、組換えヒトα−グルコシダーゼ(rhGAA)組成物に関する。本発明のrhGAAは、従来のrhGAA産生物と比較して優れた筋細胞への取り込み、次いでリソソームへの送達を示し、ポンペ病を有する対象の酵素補充療法のためにそれを特に有効にする他の薬物動態学的特性を示す。
本発明は、rhGAAと薬理的シャペロンとの組合せを個体に投与することを含む、ポンペ病を処置するための方法も提供する。例えば一部の実施形態では、本発明は、rhGAAとミグルスタットとの組合せを個体に投与することを含む、ポンペ病を処置するための方法を提供する。本発明のrhGAAは、ポンペ病を罹患している対象において疾患進行を処置することおよび逆転させることに驚くべき有効性を示す。
背景
ポンペ病は、酸性αグルコシダーゼ(GAA)活性の欠乏から生じる遺伝性リソソーム貯蔵疾患である。ポンペ病を有する者は、グリコーゲンをグルコース、筋肉のための主なエネルギー源に分解する酵素、酸性αグルコシダーゼ(GAA)を欠いているまたはレベルが低減している。この酵素の欠乏は、通常グリコーゲンおよび他の細胞性デブリまたは老廃物を分解する酵素を含有する細胞内オルガネラであるリソソームにおける過剰なグリコーゲン蓄積を生じる。ポンペ病を有する対象のある特定の組織、特に筋肉におけるグリコーゲン蓄積は、正常に機能する細胞の能力を損なう。ポンペ病では、グリコーゲンは、適切に代謝されず、リソソーム、特に骨格筋細胞中および疾患の乳児発症形態では心筋細胞に進行性で蓄積される。グリコーゲンの蓄積は、筋肉および神経の細胞ならびに罹患した他の組織のものを損傷する。
伝統的には、発症年齢に応じてポンペ病は、臨床的に早期小児型または遅発型のいずれかとして認識される。発症年齢は、ポンペ病を生じる遺伝子変異の重度と平行する傾向がある。最も重度の遺伝子変異は、GAA活性の完全な喪失を生じ、乳児期の間に早期発症疾患として顕在化する。GAA活性を減らすが、完全には除かない遺伝子変異は、発症および進行が遅いポンペ病の形態と関連している。乳児発症ポンペ病は、出生直後に顕在化し、筋力低下、呼吸不全および心不全によって特徴を明らかにされる。未処置であると通常2年以内に致死的である。小児および成人発症ポンペ病は、後年顕在化し、通常乳児発症疾患よりも遅く進行する。この形態の疾患は、一般的に心臓に影響を与えないが、骨格筋および呼吸に関与するものの衰弱のために死に至る場合もある。
ポンペ病の現在の非対症処置は、Lumizyme(登録商標)、Myozyme(登録商標)またはアルグルコシダーゼアルファとして周知の組換えヒトGAA(rhGAA)を使用する酵素補充療法(ERT)を含む。この従来の酵素補充療法は、rhGAAを投与することによってリソソームにおいて失われているGAAを補充し、それによりリソソームグリコーゲンを分解する細胞の能力を回復させることによってポンペ病を処置しようと努めている。「Lumizyme(登録商標)」および「Myozyme(登録商標)」は、Genzymeによって生物製剤として産生され、市販され、米国食品医薬品局によって承認されているrhGAAの従来の形態であり、(本明細書に参照により組み込まれている)Physician’s Desk Reference(2014)に参照により記載されている。アルグルコシダーゼアルファは、化学名[199−アルギニン、223−ヒスチジン]プレプロ−α−グルコシダーゼ(ヒト);分子式、C475872621274136935;CAS番号420794−05−0として同定されている。これらの産生物は、グリコーゲン貯蔵疾患II型(GSD−II)または酸性マルターゼ欠乏疾患としても周知の、ポンペ病を有する対象に投与される。
rhGAA分子の細胞取り込みは、筋細胞などの標的細胞上に存在するカチオン非依存性マンノース−6−リン酸受容体(CIMPR)に結合する、特定の糖、マンノース−6−リン酸(M6P)によって促進される。結合により、rhGAA分子は、標的細胞によって取り込まれ、続いて細胞内のリソソームに輸送される。しかし従来のrhGAA産生物のほとんどは、モノ−M6P−およびビス−M6P保有N−グリカン(すなわち、それぞれ1つのM6P残基を保有するN−グリカンまたは2つのM6P残基を保有するN−グリカン)の高い総含有量を有さず、このことはそれらのCIMPRを介する細胞取り込みおよびリソソーム送達を制限し、それにより従来の酵素補充療法の有効性を不十分にする。例えば、20mg/kg以上の用量での従来のrhGAA産生物はポンペ病の一部の状況を改善する一方でそれらは、疾患進行を逆行させるように、とりわけ(i)根底にある細胞機能障害を処置する、(ii)筋肉構造を回復させる、または(iii)骨格筋などの多くの標的組織において蓄積したグリコーゲンを低減することは、十分にはできない。さらに、高用量は、rhGAAを静脈内に投与するために必要な点滴時間を延長するなど、対象および対象を処置する医療従事者に追加の負担を強いる場合がある。組織取り込みが改善され、酵素活性が改善され、安定性が改善され、免疫原性が低減されたrhGAAなどの、ポンペ病の処置のための酵素補充療法にさらなる改善の必要がある。
GAAまたはrhGAAのグリコシル化は、Canfieldら、米国特許第6,534,300号に記載されるとおり、M6P基を生成するようにホスホトランスフェラーゼおよびアンカバーリング酵素によってインビトロで酵素的に修飾され得る。酵素的グリコシル化は、十分にコントロールされ得ず、望ましくない免疫学的および薬理的特性を有するrhGAAを産生する場合がある。酵素的に修飾されたrhGAAは、ホスホトランスフェラーゼまたはアンカバーリング酵素でインビトロで潜在的にすべて酵素的にリン酸化される可能性がある高マンノースオリゴ糖だけを含有する場合があり、GAAの1個あたり平均5〜6個のM6P基を含有する可能性がある。GAAのインビトロでの酵素処置によって産生されるグリコシル化パターンは、追加の末端マンノース残基、特に非リン酸化末端マンノース残基が、修飾rhGAAの薬物動態に悪影響を与えることから問題がある。そのような酵素的に修飾された産生物がインビボに投与されると、これらのマンノース基は、GAAの非生産的クリアランスを増加させ、酵素的に修飾されたGAAの免疫細胞による取り込みを増加させ、骨格筋ミオサイトなどの標的組織に到達するGAAの減少によりrhGAA治療有効性を低減する。例えば、末端非リン酸化マンノース残基は、肝臓および脾臓におけるマンノース受容体に対する周知のリガンドであり、酵素的に修飾されたrhGAAの急速なクリアランスをもたらし、標的組織へのrhGAAの標的化を低減する。さらに、末端非リン酸化マンノース残基を有する高マンノースN−グリカンを有する酵素的に修飾されたGAAのグリコシル化パターンは、酵母およびカビにおいて産生される糖タンパク質上のものと類似しており、酵素的に修飾されたrhGAAに対して生命を脅かす重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)または過敏症反応などの免疫およびアレルギー応答を引き起こすリスクを増加させる。
従来のrhGAA産生物およびrhGAAをリン酸化するためのインビトロ法のこれらの欠陥の観点から、本発明者らは、体内分布およびリソソーム取り込みの増強ならびにそれにより投与されたrhGAAの非生産的クリアランスを最少化するために最適化されたN−グリカンプロファイルを有するrhGAAを産生する方法を懸命に探索し、同定した。本発明は、細胞レベルで疾患進行を逆転させる有効な治療を安定または減退ポンペ患者に提供する。本発明者らは、本発明のrhGAAが疾患進行を逆転させる−現在の標準治療よりも効率的にリソソームグリコーゲンをクリアすることを含む−および本発明のrhGAAを用いて処置される患者が、臨床研究から種々の有効性結果(例えば、実施例10および11)において実証されたとおり、筋力、運動機能および/もしくは肺機能における改善を含む、ならびに/または疾患進行における逆転を含む驚くべき顕著な健康改善を示すことも報告する。
本発明は、組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を投与することを含む、対象におけるポンペ病などの疾患または障害を処置する方法に関する。
本明細書に記載のrhGAA分子は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現されてよく、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAA分子の集団のN−グリコシル化プロファイルは、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC−MS/MS)を使用して決定される。一部の実施形態では、rhGAA分子は、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含む。一部の実施形態では、rhGAA分子は、rhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−リン酸化N−グリカン基(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含む。一部の実施形態では、rhGAAは、配列番号1または配列番号5に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、rhGAAは、配列番号1または配列番号5と同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、rhGAA分子の少なくとも30%の分子は、1つまたは2つのM6P残基を保有する1つまたは複数のN−グリカン単位を含む。一部の実施形態では、rhGAA分子は、rhGAA 1molあたり1つまたは2つのM6P残基を保有するN−グリカン単位を平均で約0.5molから約7.0mol含む。一部の実施形態では、rhGAA分子は、1molのrhGAAあたり少なくとも2.5モルのM6P残基および1molのrhGAAあたり少なくとも4molのシアル酸残基を平均で含む。一部の実施形態では、1molあたり平均で3〜4個のM6P残基および1molのrhGAAあたり平均で約少なくとも0.5molのビス−M6Pを第1の潜在的N−グリコシル化部位に含むrhGAA分子は、第2の潜在的N−グリコシル化部位に1molのrhGAAあたり平均で約0.4から約0.6molのモノ−リン酸化N−グリカン(モノ−M6P)、第4の潜在的N−グリコシル化部位に1molのrhGAAあたり約0.4から約0.6molのビス−M6P、および第4の潜在的N−グリコシル化部位に1molのrhGAAあたり約0.3から約0.4molのモノ−M6Pをさらに含む。一部の実施形態では、rhGAA分子は、第3の潜在的N−グリコシル化部位に1molのrhGAAあたり約0.9から約1.2molのシアル酸、第5の潜在的N−グリコシル化部位に1molのrhGAAあたり約0.8から約0.9molのシアル酸、および第6の潜在的N−グリコシル化部位に1molのrhGAAあたり約1.5から約4.2molのシアル酸を含む、rhGAAの1molあたり平均で約4molから約7.3molのシアル酸をさらに含む。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、薬学的組成物に製剤化される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団を含む薬学的組成物は、クエン酸塩、リン酸塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバッファー、ならびにマンニトール、ポリソルベート80およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、薬学的組成物のpHは、約5.0から約7.0、約5.0から約6.0または約6.0である。一部の実施形態では、薬学的組成物は、水、酸性化剤、アルカリ化剤またはこれらの組合せをさらに含む。一部の実施形態では、薬学的組成物は、6.0のpHを有し、約5〜50mg/mL rhGAA分子の集団、約10〜100mMクエン酸ナトリウムバッファー、約10〜50mg/mLマンニトール、約0.1〜1mg/mLポリソルベート80および水を含み、任意選択で酸性化剤および/またはアルカリ化剤を含む。一部の実施形態では、薬学的組成物は、6.0のpHを有し、約15mg/mLのrhGAA分子の集団、約25mMのクエン酸ナトリウムバッファー、約20mg/mLマンニトール、約0.5mg/mLポリソルベート80および水を含み、任意選択で酸性化剤および/またはアルカリ化剤を含む。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、約1mg/kgから約100mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、約20mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、2カ月に1回、1カ月に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回または毎日、例えば2週間に1回与される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、静脈内投与される。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、ミグルスタット(AT2221とも称される)などの薬理的シャペロンまたは薬学的に許容されるその塩と同時にまたは連続的に投与される。一部の実施形態では、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩は、例えば約200mgから約600mg、および任意選択で約260mgの用量で経口投与される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、約5mg/kgから約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩は、約233mgから約500mgの用量で経口投与される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、約5mg/kgから約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩は、約50mgから約200mgの用量で経口投与される。一実施形態では、rhGAA分子の集団は、約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩は、約260mgの用量で経口投与される。一部の実施形態では、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩は、rhGAA分子の集団の投与に先行して(例えば、約一時間先行して投与される。少なくとも1つの実施形態では、対象は、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩の投与前少なくとも2時間および投与後少なくとも2時間絶食する。
本発明の実施形態は、ポンペ病を有する対象において疾患進行を処置するおよび逆転するための本明細書に記載のrhGAAの有効性を実証する。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、対象の疾患進行を逆転できる投薬量で投与される。例えば処置後、対象における筋肉または筋線維は、リソソームのサイズの低減および/またオートファジーのビルドアップの消滅を示す。一部の実施形態では、処置後に、対象において分析された筋線維の65%未満が、オートファジーのビルドアップを有する。一部の実施形態では、処置後に、対象において分析された筋線維の少なくとも36%が、正常または正常に近い所見を有する。一部の実施形態では、処置後に疾患進行における逆転を経験する対象は、ERT−切り替え患者、例えば、少なくとも2年間、アルグルコシダーゼアルファを用いて以前処置されたERT−切り替え患者である。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、アルグルコシダーゼアルファの同じ投薬量よりも速く対象の筋肉中のグリコーゲン含有量を低減できる投薬量で投与される。rhGAAは、アルグルコシダーゼアルファの同じ投薬量よりも少なくとも約1.25、1.5、1.75、2.0または3.0倍速くグリコーゲン含有量を低減できる。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、1、2、3、4、5または6回投与後に評価された場合に、同じ投薬量で投与されたアルグルコシダーゼアルファのよりも有効に対象の筋肉中のグリコーゲン含有量をさらに低減できる投薬量で投与される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、同じ投薬量で投与されたアルグルコシダーゼアルファよりも少なくとも約10%、20%、30%、50%、75%または90%さらに有効にグリコーゲン含有量を低減する。一部の実施形態では、処置後に、対象は、低レベルのグリコーゲン蓄積バイオマーカー、尿中ヘキソース四糖(Hex4)を示す。少なくとも1つの実施形態では、対象におけるHex4レベルは、ベースラインと比較して処置後6カ月に少なくとも30%低減される。例えば、酵素補充療法を用いて以前処置された(ERT−切り替え患者)歩行可能または歩行不能対象は、ベースラインと比較して処置後6カ月にHex4レベルの少なくとも35%の低減を示し得る。別の場合では、酵素補充療法(ERT−未処置患者)を以前受けたことがない歩行可能対象は、ベースラインと比較して処置後6カ月にHex4レベルの少なくとも45%の低減を示し得る。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、対象において運動機能を改善できる投薬量で投与される。運動機能における改善は、6分間歩行検査(6MWT)、タイムドアップアンドゴー検査(timed up and go test)、4段上り検査(four-stair climb test)、10メートル歩行検査、ガワーズ検査(gowers test)、歩行−段−ガワー−椅子(gait-stair-gower-chair:GSGC)検査またはこれらの組合せなどの運動機能検査によって測定され得る。一部の実施形態では、処置後6カ月の対象は(ベースラインと比較した場合に)、少なくとも20メートルの6MWT距離の増加、少なくとも1秒間のタイムドアップアンドゴー検査時間の減少、少なくとも0.6秒間の4段上り検査時間の減少、少なくとも0.7秒間の10メートル歩行検査時間の減少、少なくとも1秒間のガワーズ検査時間の減少および/または少なくとも1のGCSCスコアの減少を示す。例えば、処置後6カ月に歩行可能ERT−切り替え患者は(ベースラインと比較して)、少なくとも20メートルの6MWT増加、少なくとも1.5秒間のタイムドアップアンドゴー検査時間の減少、少なくとも0.6秒間の4段上り検査時間の減少および/または少なくとも1秒間のガワーズ検査時間の減少を示し得る。別の場合では、処置後6カ月に歩行可能ERT−未処置患者は(ベースラインと比較して)、少なくとも40メートルの6MWT距離の増加、少なくとも1秒間のタイムドアップアンドゴー検査時間の減少、少なくとも0.6秒間の4段上り検査時間の減少、少なくとも0.7秒間の10メートル歩行検査時間の減少および/または少なくとも1のGSGCスコアの減少を示す場合がある。一部の実施形態では、ERT−切り替え患者は、アルグルコシダーゼアルファを用いる以前のERT後の患者の運動機能検査結果と比較して、処置後に少なくとも1つの運動機能検査において改善を示す。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、対象において上半身強度を改善できる投薬量で投与される。一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、歩行可能対象に投与され、対象において下半身強度および/または全身強度をさらに改善することができる。
一部の実施形態では、上半身強度における改善は、徒手筋力スコアを使用して測定される。対象の徒手筋力スコアは、ベースラインと比較して処置後6カ月に少なくとも1(歩行可能ERT−切り替え患者について)または少なくとも5.5(歩行不能ERT−切り替え患者について)改善し得る。一部の実施形態では、ERT−切り替え患者は、アルグルコシダーゼアルファを用いる以前のERT後の患者の上半身強度と比較して、処置後に上半身強度において改善を示す。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、肩内転、肩外転(should abduction)、肘屈曲および/または肘伸展の定量的筋力検査または徒手筋力検査によって測定される上肢強度を改善できる投薬量で投与される。例えば、ベースラインと比較して処置後6カ月に、歩行不能ERT−切り替え患者は、少なくとも8ポンド力の肩内転における改善、少なくとも1ポンド力の肩外転における改善、少なくとも2ポンド力の肘屈曲における改善および/または少なくとも5ポンド力の肘伸展における改善を示し得る。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、対象において肺機能を改善できる投薬量で投与される。運動機能における改善は、直立位(座位)努力肺活量検査、最大呼気圧(MEP)検査、最大吸気圧(MIP)検査またはこれらの組合せなどの肺機能検査によって測定され得る。一部の実施形態では、対象は、処置後6カ月に(ベースラインと比較した場合に)、少なくとも4%のFVCにおける改善、少なくとも16cmHOのMEPにおける改善および/または少なくとも0.3cmHOのMIPにおける改善を示す。例えば、歩行可能ERT−切り替え患者は、処置後6カ月に(ベースラインと比較して)、少なくとも16cmHOのMEPにおける改善を示す場合がある。別の場合では、歩行可能ERT−未処置患者は、処置後6カ月に(ベースラインと比較して)、少なくとも4%のFVCにおける改善および/または少なくとも11cmHOのMIPにおける改善を示す場合がある。一部の実施形態では、ERT−切り替え患者は、アルグルコシダーゼアルファを用いる以前のERT後の患者の肺機能検査結果と比較して、処置後に少なくとも1つの肺機能検査における改善を示す。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、疲労重症度スケール(fatigue severity scale:FSS)スコアにより測定される、対象における疲労を低減できる投薬量で投与される。例えば、対象は、歩行不能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して処置後6カ月に少なくとも3.5のFSSスコアの低下を示す。別の例では、対象は、歩行可能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して処置後6カ月に少なくとも8のFSSスコアの低下を示す。さらに別の例では、対象は、歩行可能ERT−未処置患者であり、ベースラインと比較して処置後6カ月に少なくとも5のFSSスコアの低下を示す。一部の実施形態では、ERT−切り替え患者は、アルグルコシダーゼアルファを用いる以前のERT後の患者のFSSスコアと比較して、処置後に低いFSSスコアを示す。
一部の実施形態では、rhGAA分子の集団は、少なくとも1つの筋損傷バイオマーカー、例えばクレアチンキナーゼ(CK)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはこれらの組合せのレベルを低減できる投薬量で投与される。一部の実施形態では、処置後6カ月の対象のCKレベルは、ベースラインと比較して少なくとも15%低減され、処置後6カ月の対象のALTレベルは、ベースラインと比較して少なくとも5%低減される、および/または処置後6カ月の対象のASTレベルは、ベースラインと比較して少なくとも5%低減される。例えば、対象は、歩行可能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して処置後6カ月に、少なくとも15%のCKレベルにおける低減、少なくとも15%のALTレベルにおける低減および/または少なくとも10%のASTレベルにおける低減を示す。別の例では、対象は、歩行不能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して処置後6カ月に、少なくとも20%のCKにおける低減、少なくとも5%のALTレベルにおける低減、および/または少なくとも5%のASTレベルにおける低減を示す。さらに別の例では、対象は、歩行可能ERT−未処置患者であり、ベースラインと比較して処置後6カ月に、少なくとも35%のCKレベルにおける低減、少なくとも35%のALTレベルにおける低減、および/または少なくとも30%のASTレベルにおける低減を示す。
Aは、非リン酸化高マンノースN−グリカン、モノ−M6P N−グリカンおよびビス−M6P N−グリカンを示す図である。Bは、M6P基の化学構造を示している。各四角は、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)を表し、各円は、マンノースを表し、各Pは、リン酸を表す。 Aは、M6Pを保有するN−グリカンを介したrhGAAの標的組織(例えば、ポンペ病を有する対象の筋肉組織)への生産的標的化を示す図である。Bは、非標的組織(例えば、肝臓および脾臓)への、または非標的組織への非M6P N−グリカンの結合による、非生産的薬物クリアランスを記載している。 組換えリソソームタンパク質の製造、捕捉および精製のための例示的プロセスの模式図である。 rhGAAをコードするDNAを用いてCHO細胞を形質転換するためのDNAコンストラクトを示す図である。 図5は、陰イオン交換(AEX)カラムでの捕捉を用いる(実施形態2)または用いない(実施形態1)ATB200 rhGAAのCIMPRアフィニティークロマトグラフィーの結果を示すグラフである。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Aは、ATB200に関する7個の潜在的N−グリコシル化部位の部位占有率を示している。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Bは、ATB200に関する第1の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルの2つの分析を示している。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Cは、ATB200に関する第2の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルの2つの分析を示している。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Dは、ATB200に関する第3の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルの2つの分析を示している。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Eは、ATB200に関する第4の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルの2つの分析を示している。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Fは、ATB200に関する第5の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルの2つの分析を示している。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Gは、ATB200に関する第6の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルの2つの分析を示している。 2つの異なるLC−MS/MS分析技術を使用するATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図6Hは、第1の、第2の、第3の、第4の、第5のおよび第6の潜在的N−グリコシル化部位に関するモノリン酸化およびビス−リン酸化分子種の相対パーセントの概要を述べる図である。 Lumizyme(登録商標)(アルグルコシダーゼアルファ、薄い線、左側に溶出されている)およびATB200(濃い線、右側に溶出されている)のPolywax溶出プロファイルを示すグラフである。 BP−rhGAA、ATB200−1およびATB200−2として同定されるATB200 rhGAAの3種の異なる調製物と比較したLumizyme(登録商標)のN−グリカン構造の概要を示す表である。 AおよびBは、Lumizyme(登録商標)およびMyozyme(登録商標)のCIMPRアフィニティークロマトグラフィーの結果を示すグラフである。 Aは、ATB200 rhGAA(左トレース)のCIMPR結合親和性をLumizyme(登録商標)(右トレース)のものと比較するグラフである。Bは、Lumizyme(登録商標)およびATB200 rhGAAのビス−M6P含有量を比較する表である。 Aは、種々のGAA濃度で、正常線維芽細胞内のATB200 rhGAA活性(左トレース)をLumizyme(登録商標)rhGAA活性(右トレース)と比較するグラフである。Bは、種々のGAA濃度でポンペ病を有する対象由来の線維芽細胞内のATB200 rhGAA活性(左トレース)をLumizyme(登録商標)rhGAA活性(右トレース)と比較する表である。Cは、正常対象およびポンペ病を有する対象由来の線維芽細胞のKuptakeを比較する表である。 タンパク質が変性すると増大する蛍光色素としてSYPRO Orangeを使用する熱安定性アッセイにおいて評価された酸性または中性pHバッファー中のATB200の安定性を示すグラフである。 アミログルコシダーゼ消化を使用して決定した、WTマウスまたはビヒクル、アルグルコシダーゼアルファもしくはATB200/AT2221を用いて処置されたGaa KOマウスの組織グリコーゲン含有量を示す図である。バーは、マウス7匹/群の平均±SEMを表す。p<0.05、一元配置ANOVA分析の下でダネット法を使用する多重比較でのアルグルコシダーゼアルファと比較。 ビヒクル、アルグルコシダーゼアルファもしくはATB200/AT2221を用いて処置されたGaa KOマウスまたはWTマウスの筋線維中のLAMP1−陽性ベシクルを示す図である。画像は外側広筋から撮影され、群あたりマウス7匹の代表例である。拡大率=200×(挿入内1,000×)。 ビヒクル、アルグルコシダーゼアルファもしくはATB200/AT2221を用いて処置されたGaa KOマウスまたはWTマウスの筋線維におけるLC3−陽性凝集物を示す図である。画像は外側広筋から撮影され、群あたりマウス7匹の代表例である。拡大率=400×。 LC3IIタンパク質のウェスタンブロット分析を示す図である。合計30mgのタンパク質を各レーンにローディングした。 ビヒクル、アルグルコシダーゼアルファもしくはATB200/AT2221を用いて処置されたGaa KOマウスまたはWTマウスの筋線維におけるジスフェリン発現を示す図である。画像は外側広筋から撮影され、群あたりマウス7匹の代表例である。拡大率=200×。 ビヒクル、アルグルコシダーゼアルファまたはATB200を用いて処置されたGaa KOマウスの白色腓腹筋から単離された単一の線維でのLAMP1(緑)(例えば「B」を参照されたい)およびLC3(赤)(例えば「A」を参照されたい)の同時免疫蛍光性染色を示す図である。「C」は、オートファジーのデブリのクリアランスおよび肥大リソソームの欠如を示す。各動物について最少30本の線維が検討された。 それぞれ17μMおよび170μM AT2221でのAT2221によるATB200の安定化をATB200単独と比較して示す図である。 ATB200−02研究設計を示す図である。低用量=130mg 高用量=260mg 図26Aでは、「6MWT」=6分間歩行検査;「FVC」=努力肺活量;「QOW」=隔週;「a」=コホート1からの2名のセンチネル患者由来の安全性データはコホート2および3における投薬前に各用量レベルで審査された;「b」=ステージ2および3の間に、AT2221はATB200静脈内注入の開始に先行して経口投与された。すべての用量について、ATB200は、4時間の継続時間で静脈内注入された。「c」=コホート2および3での最初の2名の患者は、それらそれぞれのコホートについてのセンチネル患者とされた。 ATB200−02研究設計を示す図である。低用量=130mg 高用量=260mg 図26Aでは、「6MWT」=6分間歩行検査;「FVC」=努力肺活量;「QOW」=隔週;「a」=コホート1からの2名のセンチネル患者由来の安全性データはコホート2および3における投薬前に各用量レベルで審査された;「b」=ステージ2および3の間に、AT2221はATB200静脈内注入の開始に先行して経口投与された。すべての用量について、ATB200は、4時間の継続時間で静脈内注入された。「c」=コホート2および3での最初の2名の患者は、それらそれぞれのコホートについてのセンチネル患者とされた。 コホート1、2および3にわたって登録された患者のベースライン特徴の概要を述べる図である。「NA」=適用不可。「SD」=標準偏差。「a」=コホート1患者は、ベースラインで2〜6年間アルグルコシダーゼアルファを受けるよう要求された。LOPD=遅発型ポンペ病。 AT2221についての薬物動態データを示す表である。「AUC」=曲線下面積;「CL/F」=AT2221経口生物学的利用率について調整された血漿クリアランス;「Cmax」=最大薬物濃度;「CV」=変動係数;「t1/2」=半減期;「tmax」=最大薬物濃度までの時間;「V/F」=AT2221経口生物学的利用率について調整された見かけの最終相分布容積。「a」=幾何平均(CV%);「b」=中央値(最小−最大);「c」=加算平均(CV%)。 コホート1および3についてのシグネチャーペプチドT09による総GAAタンパク質を示す表である。「AUC」=曲線下面積;「CL」=全身クリアランス;「Cmax」=最大薬物濃度;「CV」=変動係数;「MD」=複数用量;「t1/2」=半減期;「tmax」=最大薬物濃度までの時間;「Frel」=20mg/kg ATB 200単独および10mg/kg ATB200単独対5mg/kg ATB200単独、ならびに20mg/kg ATB200+低用量または高用量AT2221対20mg/kg ATB200単独のAUC比。「a」=幾何平均(CV%);「b」=中央値(最小−最大);「c」=加算平均(CV%);「d」=n=11;「e」=n=5 低用量=130mg 高用量=260mg。 コホートごとの総GAAタンパク質を示すグラフである。低用量=130mg 高用量=260mg。Aは、コホート1(単一用量)に関する平均総GAAタンパク質濃度−時間プロファイルを示している。Bは、コホート1(複数用量)に関する平均総GAAタンパク質濃度−時間プロファイルを示している。 コホートごとの総GAAタンパク質を示すグラフである。低用量=130mg 高用量=260mg。Cは、コホート1対コホート3(単一用量)に関する平均総GAAタンパク質濃度−時間プロファイルを示している。Dは、コホート1対コホート3(複数用量)に関する平均総GAAタンパク質濃度−時間プロファイルを示している。 コホートごとの総GAAタンパク質を示すグラフである。低用量=130mg 高用量=260mg。Eは、投薬後12時間で20mg/kg ATB200と比較した総GAAタンパク質を示している;=p<0.05;**=p<0.01;***p<0.001。Fは、投薬後24時間で20mg/kg ATB200と比較した総GAAタンパク質を示している;=p<0.05;**=p<0.01;「ns」=有意でない。 シグネチャーペプチドT09による総GAAタンパク質についての変動の分析(ANOVA)を示す表である。曲線下面積(AUC)は、μg・h/mLで示されている;「CI」=信頼区間。 6分間歩行検査(「6MWT」)の分析の概要および入手できる中間データを示す図であり、コホート1およびコホート3の患者についての6カ月、9カ月および12カ月でのベースラインからの変化(「CFBL」)を示している。 コホート1およびコホート3の個々の患者についての6MWTデータを示す表である。 他の運動機能検査:タイムドアップアンドゴー運動機能検査、4段上り検査、10メートル(10M)歩行検査、ガワーズおよび歩行−段−ガワー−椅子(「GSGC」)運動機能検査からの分析の概要および入手できる中間データを示す図であり、コホート1およびコホート3の患者についての6カ月、9カ月および12カ月でのベースラインからの変化(「CFBL」)を示している。GSGCは、4つの運動機能評価:歩行(10メートル歩行)、4段上り、ガワーズ(床から立ち上がる)および椅子から立ち上がる、の観察者評価複合スコアである。各検査は、1(正常)から7(実施不能;椅子から立ち上がる検査については最大スコア6)でスコア化される。合計スコアは、4から27の範囲である。「a」=n=9、は、患者が検査実施を拒否したために得られなかった欠測値;「b」=ベースラインからの中央値変化は−1.5であった、患者7/9名は減少を有した;「c」=ベースラインからの中央値変化は−0.8であった、患者4/5名は減少を有した。 筋力検査(QMT)の分析の概要および入手できる中間データを示す図であり、コホート2の患者についての6カ月および9カ月でのベースラインからの変化(「CFBL」)を示している。QMT=定量化筋力検査。値は、右側および左側を合わせたポンド力で表して示されている。「a」=肩内転は、対象1名について入手できなかった;「b」=スコア化:(1)目に見える筋肉の動きだが関節での動きではない;(2)関節での動きだが、重力に反していない;(3)重力に反する動きだが、付加抵抗に対してではない;(4)付加抵抗に反する動きだが、正常未満;(5)正常な強度。 コホート1患者における徒手筋力検査(MMT)スコアの分析の概要および入手できる中間データを示す図である。MMTスコアは、上半身(最大スコア:40)、下半身(最大スコア:40)および全身(最大スコア:80)について算出された。徒手筋力強度における増加がコホート1患者において6、9および12カ月で観察された。「SD」=標準偏差。 コホート2患者における徒手筋力検査(MMT)スコアの分析の概要および入手できる中間データを示す図である。MMTスコアは、上半身(最大スコア:40)について算出された。徒手筋力強度における増加がコホート2患者において6および9カ月で観察された。「SD」=標準偏差。MMT結果は、QMT結果(図28に示す)と全般に一致した。 コホート3患者における徒手筋力検査(MMT)スコアの分析の概要および入手できる中間データを示す図である。MMTスコアは、上半身(最大スコア:40)、下半身((最大スコア:40)および全身((最大スコア:80)について算出された。徒手筋力強度における増加がコホート3患者について6、9および12カ月でそれぞれ観察された。「SD」=標準偏差。 座位努力肺活量(FVC)、最大吸気圧(MIP)および最大呼気圧(MEP)からの分析の概要および入手できる中間データを示す図であり、コホート1およびコホート3の患者についての6カ月、9カ月および12カ月でのベースラインからの変化(「CFBL」)を示している。「a」=FVCは対象1名について入手できなかった。MEPおよびMIPは、cmHOで測定された。 疲労重症度スケール(「FSS」)、それぞれ1から7のスケールでスコア化される9個の質問からなる自己評価質問票の分析の概要および入手できる中間データを示す図である。合計スコアは、9から63の範囲であり、高い値は、疾患状態によるより高いレベルの疲労を表す。健康な集団での標準値は、約21である。図28は、コホート1、コホート2およびコホート3の患者についての6カ月、9カ月および12カ月でのベースラインからの変化(「CFBL」)を示している。 すべての患者コホートにおける傷害マーカー(アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびクレアチンキナーゼ)のマーカーにおけるベースラインからの平均百分率変化を示す図である。図29Aは、58週間にわたるコホート1患者からのデータを示している。「BL」=ベースライン。「SE」=標準誤差。「WK」=週。「M」=月。 すべての患者コホートにおける傷害マーカー(アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびクレアチンキナーゼ)のマーカーにおけるベースラインからの平均百分率変化を示す図である。図29Bは、24週間にわたるコホート2患者からのデータを示している。「BL」=ベースライン。「SE」=標準誤差。「WK」=週。「M」=月。 すべての患者コホートにおける傷害マーカー(アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびクレアチンキナーゼ)のマーカーにおけるベースラインからの平均百分率変化を示す図である。図29Cは、36週間にわたるコホート3患者からのデータを示している。「BL」=ベースライン。「SE」=標準誤差。「WK」=週。「M」=月。 コホート1、コホート2およびコホート3の患者について12カ月までの筋損傷(CK=クレアチンキナーゼ)および疾患基質(Hex4=尿中ヘキソース四糖)のマーカーにおけるベースラインからの平均百分率変化を示している。「BL」=ベースライン。「SE」=標準誤差。「WK」=週。「M」=月。 ATB200−02研究からの安全性データの概要を述べる図である。「AE」=有害事象「IAR」=点滴関連反応;「a」=中間データ分析を通じて報告された(最大20+カ月);「b」=上腹部および下腹部痛を含む。 ATB200−02研究から入手できる有効性および安全性データを要約する図である。 プロテアーゼ消化ATB200のLC−MS/MS分析を使用する、第7の潜在的N−グリコシル化部位についてのN−グリコシル化プロファイルを含む、ATB200 rhGAAの部位特異的N−グリコシル化分析の結果を示す図である。図32A〜32Hは、異なる規模で産生されたATB200の10個のロットについての平均データを提供する。 ATB200に関する7個の潜在的N−グリコシル化部位平均部位の占有率を示している。N−グリコシル化部位は、配列番号1により提供される。CV=変動係数。 ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位の部位特異的N−グリコシル化分析を、配列番号5に従って提示される部位番号と共に示す図である。バーは、分析したATB200の10個のロットについて特定のN−グリカン基として同定したN−グリカン分子種の最大および最小百分率を示す図である。図32Bは、ATB200に対する第1の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルを示している。 ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位の部位特異的N−グリコシル化分析を、配列番号5に従って提示される部位番号と共に示す図である。バーは、分析したATB200の10個のロットについて特定のN−グリカン基として同定されたN−グリカン分子種の最大および最小百分率を示す図である。図32Cは、ATB200に対する第2の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルを示している。 ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位の部位特異的N−グリコシル化分析を、配列番号5に従って提示される部位番号と共に示す図である。バーは、分析したATB200の10個のロットについて特定のN−グリカン基として同定されたN−グリカン分子種の最大および最小百分率を示す図である。図32Dは、ATB200に対する第3の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルを示している。 ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位の部位特異的N−グリコシル化分析を、配列番号5に従って提示される部位番号と共に示す図である。バーは、分析したATB200の10個のロットについて特定のN−グリカン基として同定されたN−グリカン分子種の最大および最小百分率を示す図である。図32Eは、ATB200に対する第4の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルを示している。 ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位の部位特異的N−グリコシル化分析を、配列番号5に従って提示される部位番号と共に示す図である。バーは、分析したATB200の10個のロットについて特定のN−グリカン基として同定されたN−グリカン分子種の最大および最小百分率を示す図である。図32Fは、ATB200に対する第5の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルを示している。 ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位の部位特異的N−グリコシル化分析を、配列番号5に従って提示される部位番号と共に示す図である。バーは、分析したATB200の10個のロットについて特定のN−グリカン基として同定されたN−グリカン分子種の最大および最小百分率を示す図である。図32Gは、ATB200に対する第6の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルを示している。 ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位の部位特異的N−グリコシル化分析を、配列番号5に従って提示される部位番号と共に示す図である。バーは、分析したATB200の10個のロットについて特定のN−グリカン基として同定されたN−グリカン分子種の最大および最小百分率を示す図である。図32Hは、ATB200に対する第7の潜在的N−グリコシル化部位のN−グリコシル化プロファイルを示している。 図32A〜32Hにも示されるATB200のN−グリコシル化プロファイルの特徴をさらに明らかにし、概要を述べる図である。図33Aは、ATB200の2−アントラニル酸(2−AA)グリカンマッピングおよびLC/MS−MS分析を示し、総蛍光の百分率としてATB200において同定されたN−グリカン分子種の概要を述べている。2−AAグリカンマッピングおよびLC−MS/MS分析からのデータは、表5にも示されている。 図32A〜32Hにも示されるATB200のN−グリコシル化プロファイルをさらに特徴を明らかにし、概要を述べる図である。図33Bは、ATB200に対する7個すべての潜在的N−グリコシル化部位について、平均部位占有率ならびに、総リン酸化、モノリン酸化、ビス−リン酸化およびシアル化を含む平均N−グリカンプロファイルの概要を述べている。ND=不検出。
本発明のいくつかの例示的実施形態を記載する前に、本発明が、続く記載に記される構築またはプロセスステップの詳細に限定されないことが理解される。本発明は、他の実施形態を可能にし、種々の方法で行ったり実行したりすることができる。
I.定義
本明細書において使用される用語は、本発明の内容におけるおよび各用語が使用される具体的な内容における当該技術分野でのそれらの通常の意味を一般に有する。ある特定の用語は、本発明の組成物および方法ならびにそれらをどのように作製および使用するかを記載して、施術者に追加的な指針を提供するために、下に、または本明細書他所で考察される。冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、冠詞の文法的目的物の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指す。用語「または」は、内容が他を明確に示さない限り、用語「および/または」を意味し、互換的に使用される。本出願において単数形の使用は、別に具体的に明記しない限り複数形を含む。さらに用語「含む(including)」ならびに「含む(includes)」および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定ではない。本明細書に記載される任意の範囲は、エンドポイントおよびエンドポイント間のすべての値を含むと理解される。語または必要な関連事項を表現するために内容が他を必要とする場合を除いて、本明細書において、語「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などの変化形は、包括的意味で使用される、すなわち、本発明の種々の実施形態において述べられる特性の存在を特定するが、さらなる特性の存在または付加を除外しない。
用語「GAA」は、リソソームグリコーゲンのα−1,4−およびα−1,6−グリコシド連結の加水分解を触媒するヒト酸性αグルコシダーゼ(GAA)酵素ならびにGAAアミノ酸配列および酵素活性を発揮する長いGAA配列の断片の挿入、関連または置換変異体を指す。ヒト酸性αグルコシダーゼは、GAA遺伝子(National Centre for Biotechnology Information(NCBI)遺伝子番号2548)によってコードされ、第17番染色体の長腕(位置17q25.2−q25.3)にマッピングされている。GAAをコードする例示的DNA配列は、NP 000143.2であり、参照により組み込まれる。500を超える変異がヒトGAA遺伝に中に現在同定されており、その多くはポンペ病に関連している。酸性αグルコシダーゼ酵素のミスフォールディングまたはミスプロセシングを生じる変異として、T1064C(Leu355Pro)およびC2104T(Arg702Cys)が挙げられる。追加的に、酵素の成熟およびプロセシングに影響を与えるGAA変異として、Leu405ProおよびMet519Thrが挙げられる。アミノ酸残基516〜521の保存されたヘキサペプチドWIDMNEは、酸性αグルコシダーゼタンパク質の活性のために必要とされている。本明細書において使用される場合、略号「GAA」は、ヒト酸性αグルコシダーゼ酵素を指すことが意図され、一方で、斜体の略号「GAA」は、ヒト酸性αグルコシダーゼ酵素をコードするヒト遺伝子を指すことが意図される。斜体の略号「Gaa」は、これだけに限らないがラットまたはマウス遺伝子を含む、非ヒト酸性αグルコシダーゼ酵素をコードする非ヒト遺伝子を指すことが意図され、略号「Gaa」は、非ヒト酸性αグルコシダーゼ酵素を指すことが意図される。
用語「rhGAA」は、組換えヒト酸性αグルコシダーゼ酵素を指すことが意図され、内因性のGAAを合成または組換え産生GAA(例えば、GAAをコードするDNAを用いて形質転換したCHO細胞から産生されるGAA)から識別するために使用される。用語「rhGAA」は、個々のrhGAA分子の集団を包含する。rhGAA分子の集団の特性は、本明細書において提供される。用語「従来のrhGAA産生物」は、Lumizyme(登録商標)またはMyozyme(登録商標)などのアルグルコシダーゼアルファを含有する産生物を指すことが意図される。
用語「遺伝的に修飾された」または「組換え」は、コード配列の発現をコントロールする制御因子要素と共に遺伝子産物をコードするコード配列を含む核酸の導入後に、rhGAAなどの特定の遺伝子産物を発現するCHO細胞などの細胞を指す。核酸の導入は、遺伝子標的化および相同組換えを含む、当該技術分野で周知の任意の方法によって達成され得る。本明細書において使用される場合、用語は、例えば、遺伝子活性化技術によって、そのような細胞によって通常発現されない内因性遺伝子または遺伝子産物を発現または過発現するように操作された細胞も含む。
本明細書において使用される場合、用語「精製された」は、物質が得られた天然物質を含む無関係な物質、すなわち夾雑物の存在を低減または除く条件下で単離された物質を指す。例えば、精製タンパク質は、細胞中で関連している他のタンパク質または核酸を好ましくは実質的に含まず;精製核酸分子は、細胞内において見出され得るタンパク質または他の無関係の核酸分子を実質的に含まない。本明細書において使用される場合、用語「実質的に含まない」は、物質の分析的検査の内容において操作上で使用される。好ましくは、夾雑物を実質的に含まない精製された物質は、少なくとも95%純粋であり;より好ましくは少なくとも97%純粋であり、さらにより好ましくは少なくとも99%純粋である。純度は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、イムノアッセイ、組成分析、生物学的アッセイ、酵素的アッセイおよび当該技術分野で周知の他の方法によって評価され得る。具体的な実施形態では、精製は、夾雑物のレベルがヒトまたは非ヒト動物への安全な投与のために規制当局によって許容されるレベルを下回っていることを意味する。rhGAAなどの組換えタンパク質は、クロマトグラフィーでのサイズ分離、アフィニティークロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーが挙げられる当該技術分野で周知の方法を使用してCHO細胞から単離または精製され得る。一部の実施形態では、rhGAAは、陰イオン交換クロマトグラフィーに続いて固定化金属アフィニティークロマトグラフィー、任意選択で続いて第3のクロマトグラフィーカラムを使用する精製を含む方法によって精製される。
本明細書において使用される場合、用語「アルグルコシダーゼアルファ」は、[199−アルギニン,223−ヒスチジン]プレプロ−α−グルコシダーゼ(ヒト);化学情報検索登録番号420794−05−0として同定される組換えヒト酸性αグルコシダーゼを指すことが意図される。アルグルコシダーゼアルファは、製品Lumizyme(登録商標)およびMyozyme(登録商標)として、Genzymeによる米国における販売について承認されている。
本明細書において使用される場合、用語「ATB200」は、その開示が本明細書に参照により組み込まれる国際出願第PCT/US2015/053252号に記載される、組換えヒト酸性αグルコシダーゼを指すことが意図される。
本明細書において使用される場合、用語「グリカン」は、タンパク質またはポリペプチド上のアミノ酸残基に共有結合的に結合する多糖鎖を指すことが意図される。本明細書において使用される場合、用語「N−グリカン」または「N−結合グリカン」は、アミノ酸残基の窒素原子への共有結合を通じてタンパク質またはポリペプチド上のアミノ酸残基に結合している多糖鎖を指すことが意図される。例えば、N−グリカンは、アスパラギン残基の側鎖窒素原子に共有結合的に結合できる。グリカンは、1個または数個の単糖単位を含有する場合があり、単糖単位は、直鎖または分岐鎖を形成するように共有結合的に連結されてよい。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAに結合するN−グリカン単位は、N−アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトース、フコース、マンノース−6−リン酸またはシアル酸からそれぞれ独立して選択される1つまたは複数の単糖単位を含んでよい。タンパク質上のN−グリカン単位は、質量分析などの、任意の適切な分析技術によって決定され得る。一部の実施形態では、rhGAAに結合したN−グリカン単位は、Thermo Scientific(商標)Orbitrap Velos Pro(商標)Mass Spectrometer、Thermo Scientific(商標)Orbitrap Fusion(商標)Lumos Tribid(商標)Mass SpectrometerまたはWaters Xevo(登録商標)G2−XS QTofMass Spectrometerなどの装置を利用して、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC−MS/MS)によって決定される。
本明細書において使用される場合、用語「高マンノースN−グリカン」は、1個から6個以上のマンノース単位を有するN−グリカンを指すことが意図される。一部の実施形態では、高マンノースN−グリカン単位は、アスパラギン残基に結合し、分枝ポリマンノース鎖にさらに結合したビス(N−アセチルグルコサミン)鎖を含有する場合がある。本明細書において互換的に使用される場合、用語「M6P」または「マンノース−6−リン酸」は、6位でリン酸化されたマンノース単位を指すことが意図される、すなわち、6位でヒドロキシル基に結合したリン酸基を有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のN−グリカン単位の1つまたは複数のマンノース単位は、マンノース−6−リン酸単位を形成するように6位でリン酸化される。一部の実施形態では、用語「M6P」または「マンノース−6−リン酸」は、リン酸基での「キャップ」としてN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有するマンノースホスホジエステルならびに、GlcNAcキャップを欠いている露出したリン酸基を有するマンノース単位の両方を指す。少なくとも1つの実施形態では、タンパク質のN−グリカンは、GlcNAcキャップを有する少なくとも1つのM6P基およびGlcNAcキャップを欠いている少なくとも1つの他のM6P基含む複数のM6P基を有する場合がある。
本明細書において使用される場合、用語「複合N−グリカン」は、GlcNacおよびマンノース以外の種類の糖類、例えば1つまたは複数のガラクトースおよび/またはシアル酸単位を含むN−グリカンを指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態では、複合N−グリカンは、1つまたはマンノース単位が、N−アセチルグルコサミン、ガラクトースおよびシアル酸からそれぞれ独立して選択される1つまたは複数の単糖単位にさらに結合する、高マンノースN−グリカンである場合がある。本明細書において使用される場合、「ハイブリッドN−グリカン」は少なくとも1つの高マンノース分枝および少なくとも1つの複合分枝を含むN−グリカンを指すことが意図される。非リン酸化、モノ−M6Pおよびビス−M6P N−グリカンについての代表的構造は、図1Aに示されている。マンノース−6−リン酸基は、図1Bに示されている。
本明細書において使用される場合、筋肉中のリソソームの「正常化」は、その蓄積したグリコーゲンのサイズおよび数を低減させ、それにより罹患した筋肉が正常なリソソーム形態に実質的に類似し、最終的に疾患進行の逆転をもたらす、罹患した筋肉を野生型筋肉のリソソーム形態に回復させるプロセスを指す。
本明細書において使用される場合、「疾患進行の逆転」は、とりわけ、的確には(i)グリコーゲン蓄積を低減または除くこと、(ii)リソソーム腫脹および/または機能不全を低減または除くこと、ならびに(iii)オートファジーのデブリのビルドアップを低減または除くことを意味する。疾患進行の逆転は、次の「臨床的改善」:(a)少なくとも20メートルの6分間歩行検査距離における平均増加、(b)少なくとも16cmHOの最大呼気圧における平均改善、および(c)少なくとも7の疲労重症度スケールスコアにおける平均減少、の2つ以上として歩行可能ERT経験ポンペ病患者において顕在化し得る。疾患進行の逆転は、次の「臨床的改善」:(a)少なくとも8ポンド力の肩内転における平均改善、(b)少なくとも5ポンド力の肘伸展における平均改善、および(c)少なくとも3.5の疲労重症度スケールスコアにおける平均減少、の2つ以上として歩行不能ERT経験ポンペ病患者において顕在化し得る。疾患進行の逆転は、次の「臨床的改善」:(a)少なくとも40メートルの6分間歩行検査距離における平均増加、(b)少なくとも4%の直立位(座位)努力肺活量における平均改善、(c)少なくとも11cmHOの最大吸気圧における平均改善、および(d)少なくとも5の疲労重症度スケールスコアにおける平均減少、の2つ以上としてERT未処置ポンペ病患者において顕在化し得る。
アルグルコシダーゼアルファの投与と比較した本明細書において開示される処置方法の、有利点は、前者を用いて処置されたポンペ患者が臨床的改善の延長を示すことである。例えば改善は、例えば最初の処置の投与から4、5または6年間を含んで、最初の処置の投与から2から3年またはそれを超えて観察される場合がある。対照的に、標準治療(例えば、アルグルコシダーゼアルファ)を用いた酵素補充療法の2年後に、ポンペ病患者は、(i)処置に先行するベースラインからの利益を維持しているが、2もしくは3年基準を超える識別可能な改善を示さない、または(ii)ゆっくりとした減退を経験し、標準治療を用いた処置後2もしくは3年間を通じて達成したすべての利益を喪失する、のいずれかである。Kuperusら、2017.Long−term benefit of enzyme replacement therapy in Pompe disease:A 5−year prospective study.Neurology.89:2365〜2373.対照的に、本明細書に記載のrhGAAは、標準治療によってよりもさらに効率的にリソソームグリコーゲンをクリアし、酵素補充療法を行った後に少なくとも2年間改善が期待されない患者において改善を誘発することが示されている(例えば、研究ATB200−02の「ERT切り替え歩行可能」コホート1)。本明細書に記載されるrhGAAまたは薬学的組成物を使用する今日までの臨床データは、処置2年後でさえも患者の転帰に継続的な改善をもたらすことが期待される。したがって一部の実施形態では、本明細書に記載されるrhGAAまたは薬学的組成物を用いて処置された患者は、処置後2年を超えて1つまたは複数の臨床的改善における進行を示し続けている(例えば、2年基準までにまたは2年基準で達成された利益を超えるさらなる利益を経験する)。
本明細書において使用される場合、「リソソーム病理学の逆転」は、最適なGAA活性の欠如により細胞中に蓄積したグリコーゲンの部分的なまたは完全なクリアランスを意味する。
本明細書において使用される場合、努力肺活量または「FVC」は、対象が可能な限り深く吸気した後に対象の肺から強制的に吐き出され得る空気の量である。
本明細書において使用される場合、「6分間歩行検査」(6MWT)は、硬く、平らな表面上を合計6分間にわたって個体が歩くことができる距離を測定するための検査である。検査は、個体を6分間にできるだけ遠くまで歩かせることによって実施される。
本明細書において使用される場合、「10メートル歩行検査」(10MWT)は、個体がウオーキングシューズで平らな表面上を10メートル歩くためにかかる時間を測定するための検査である。
本明細書において使用される場合、N−ブチル−1−デオキシノジリマイシンまたはNB−DNJまたは(2R,3R,4R,5S)−1−ブチル−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−3,4,5−トリオールとしても周知の化合物ミグルスタットは、次の化学式:
を有する化合物である。
ミグルスタットの1つの製剤は、1型ゴーシェ疾患のための単剤療法として商品名Zavesca(登録商標)の下で市販されている。一部の実施形態では、ミグルスタットは、AT2221と称される。
下に考察のとおり、ミグルスタットの薬学的に許容される塩は、本発明においても使用され得る。ミグルスタットの塩が使用される場合、塩の投薬量は、患者が受けるミグルスタットの用量が、ミグルスタット遊離塩基が使用された場合に受ける量と等量であるように調整される。
本明細書において使用される場合、1−デオキシノジリマイシンまたはDNJまたは(2R,3R,4R,5S)−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−3,4,5−トリオールとしても周知の化合物ドゥボグルスタットは、次の化学式:
を有する化合物である。
本明細書において使用される場合、用語「薬理的シャペロン」または時に簡潔に用語「シャペロン」は、酸性αグルコシダーゼに特異的に結合し、次の効果:
・タンパク質の安定な分子立体構造の形成を増強すること;
・小胞体から別の細胞位置、好ましくは天然での細胞位置へのタンパク質の適切な輸送を増強し、それによりタンパク質の小胞体関連分解を妨げること;
・立体構造的に不安定なまたはミスフォールドしたタンパク質の凝集を妨げること;
・タンパク質の少なくとも部分的な野生型機能、安定性および/もしくは活性を回復および/もしくは増強すること;ならびに/または
・酸性αグルコシダーゼを担持する細胞の表現型もしくは機能を改善すること
の1つまたは複数を有する分子を指すことが意図される。
したがって、酸性αグルコシダーゼについての薬理的シャペロンは、酸性αグルコシダーゼに結合する分子であり、酸性αグルコシダーゼの適切なフォールディング、輸送、非凝集および活性をもたらす。本明細書において使用される場合、この用語は、これだけに限らないが酵素、阻害剤またはアンタゴニストおよびアゴニストの活性部位に結合する活性部位特異的シャペロン(ASSC)を含む。少なくとも1つの実施形態では、薬理的シャペロンは、酸性αグルコシダーゼの阻害剤またはアンタゴニストであり得る。本明細書において使用される場合、用語「アンタゴニスト」は、酸性αグルコシダーゼに結合し、酸性αグルコシダーゼの活性を部分的にまたは完全にブロックする、阻害する、低減するまたは中和する任意の分子を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態では、薬理的シャペロンはミグルスタットである。酸性αグルコシダーゼについての薬理的シャペロンの別の非限定的例は、ドゥボグルスタットである。
本明細書において使用される場合、用語「活性部位」は、タンパク質の特定の生物活性に関連し、そのために必要であるタンパク質の領域を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態では、活性部位は、基質または他の結合パートナーに結合し、化学結合の形成および切断に直接関与するアミノ酸残基に寄与する部位であり得る。本発明における活性部位は、酵素の触媒部位、抗体の抗原結合部位、受容体のリガンド結合ドメイン、制御因子の結合ドメインまたは分泌タンパク質の受容体結合ドメインを包含し得る。活性部位は、トランス活性化、タンパク質タンパク質相互作用または転写因子および制御因子のDNA結合ドメインも包含し得る。
本明細書において使用される場合、用語「AUC」または「曲線下面積」は、所与の薬物への経時的な身体の総曝露を評価するための数学的算定を指すことが意図される。対象に投与された薬物の血中濃度が投薬後に経時的にどのように変化したかをプロットするグラフでは、薬物濃度変数をy軸に、時間をx軸にする。薬物濃度曲線と指定の時間範囲のx軸との間の面積がAUCである。AUCは、投薬スケジュールのための指針としておよびさまざまな薬物の身体における有効性の生物学的利用率を比較するために使用される。
本明細書において使用される場合、用語「Cmax」は、対象への投与後に達成される薬物の最大血漿濃度を指すことが意図される。
本明細書において使用される場合、用語「分布容積」または「V」は、血漿において観察されるのと同じ濃度で、投与された薬物の総量を含有するために必要である理論的容積を指すことが意図され、薬物が血漿よりも身体組織に分布される程度を表している。より高い値のVは、より高い程度の組織分布を示している。「中心性分布容積」または「Vc」は、血液および血液によって高度に灌流される組織内の分布容積を指すことが意図される。「末梢性分布容積」または「V2」は、末梢組織内の分布容積を指すことが意図される。
本明細書において互換的に使用される用語、「クリアランス」、「全身性クリアランス」または「CL」は、投与された薬物が完全にクリアされる単位時間あたりの血漿の体積を指すことが意図される。「末梢クリアランス」は、投与された薬物がクリアされる単位時間あたりの末梢組織の体積を指すことが意図される。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、ヒトに投与された場合に生理的に許容可能であり、典型的には有害反応を生じない分子実体および組成物を指すことが意図される。好ましくは、本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、動物およびさらに具体的にはヒトにおける使用のために、連邦または州政府の規制当局によって承認されているまたは米国薬局方もしくは他の一般に認識されている局方に列挙されていることを意味する。本明細書において使用される場合、用語「担体」は、それと共に化合物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指すことが意図される。好適な薬学的担体は、当該技術分野で周知であり、少なくとも1つの実施形態では、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18版または他の版に記載されている。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触する使用のために好適であり、合理的な利益/リスク比にみあっており、一般に水または油に可溶型または分散性であり、それらの目的の使用のために有効である塩を意味すると意図される。用語は、薬学的に許容される酸付加塩および薬学的に許容される塩基付加塩を含む。好適な塩のリストは、例えば、参照により組み込まれるS.M.Bergeら、J.Pharm.Sci.、1977、66、1〜19頁に見出される。本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持しており、生物学的にまたは他に望ましくなくはなく、無機酸と共に形成される塩を意味すると意図される。本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される塩基付加塩”」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持しており、生物学的にまたは他に望ましくなくはなく、無機酸と共に形成される塩を意味すると意図される。
本明細書において使用される場合、用語「バッファー」は、弱酸および、pHの変化を妨げることに役立つそのコンジュゲート塩基を含有する溶液を指す。
本明細書において使用される場合、用語「治療有効用量」および「有効量」は、対象において治療応答を生じるために十分な酸性αグルコシダーゼおよび/もしくはミグルスタットならびに/またはこれらの組合せの量を指すと意図される。治療応答は、本明細書に記載されるおよび当該技術分野で周知の任意の代替臨床マーカーまたは症候を含んで、使用者(例えば、臨床医)が治療への有効な応答として認識する任意の応答であってよい。したがって少なくとも1つの実施形態では、治療応答は、当該技術分野で周知のものなどのポンペ病の1つまたは複数の症候またはマーカーの改善または抑制であり得る。ポンペ病の症候またはマーカーとしては、これだけに限らないが、酸性αグルコシダーゼ組織活性の減少;心臓ミオパシー;心拡大;進行性筋力低下、特に体幹または下肢において;重度の筋緊張低下;巨舌症(および一部の場合では、舌の突出症);嚥下、吸引および/または摂食困難;呼吸不全;肝腫大(中程度);顔面筋の弛緩症;反射消失;運動不耐性;労作時呼吸困難;起座呼吸;睡眠時無呼吸;起床時の頭痛;傾眠;脊柱前弯および/または脊柱側弯症;深部腱反射の低下;腰痛;ならびに運動の発達診査事項に合致しないこと、が挙げられる。酸性αグルコシダーゼに阻害効果を有するミグルスタットの濃度が、インビボ投与でのミグルスタットの希釈(および結果としての、平衡およびpHにおける変化による結合におけるシフト)、生物学的利用率および代謝により本発明の目的のための「有効量」を構成することは注目されるべきである。
治療応答は、グリコーゲン蓄積、リソソーム増殖およびオートファジーゾーンの形成などの分子応答も含む。治療応答は、本明細書に記載のrhGAAを用いた処置前後で筋生検の生理的および分子応答を比較することによって評価され得る。例えば、生検試料中に存在するグリコーゲンの量は、治療応答を決定するためのマーカーとして使用され得る。別の例としては、リソソーム貯蔵機能不全の指標として使用され得るLAMP−1、LC3およびジスフェリンなどのバイオマーカーが挙げられる。例えば、本明細書に記載のrhGAAを用いた処置前後で回収された筋生検は、バイオマーカーの1つを認識する抗体を用いて染色され得る。
本明細書において使用される場合、用語「酵素補充療法」または「ERT」は、そのような酵素が欠乏している個体への非天然、精製酵素の導入を指すことが意図される。投与されるタンパク質は、天然材料からまたは組換え発現によって得ることができる。用語は、精製酵素の投与を必要とする他のまたはそれから利益を得る個体における精製酵素の導入も指す。少なくとも1つの実施形態では、そのような個体は、酵素不全を罹患している。導入される酵素は、インビトロで産生された精製、組換え酵素または胎盤もしくは畜乳などの単離された組織もしくは体液から、または植物から精製されたタンパク質であり得る。
本明細書において使用される場合、用語「併用療法」は、2つ以上の個々の療法が同時にまたは連続的に投与される任意の療法を指すと意図される。一部の実施形態では、併用療法の結果は、各治療が個々に実施される場合の効果と比較して増強される。増強は、単独で実施される場合に治療によって達成される結果と比較して有利な結果を生じ得る種々の治療の効果の任意の改善を含み得る。増強される効果または結果としては、相乗的増強、増強された効果はそれだけで実施される場合の各治療の相加効果より大きい;相加増強、増強される効果はそれだけで実施される場合の各治療の相加効果と実質的に等しい;または相加効果未満、増強される効果はそれだけで実施される場合の各治療の相加効果より低いが、それだけで実施される場合の各治療の効果よりはまだ良い、が挙げられる。増強される効果は、それにより処置有効性または転帰が測定され得る当該技術分野で周知の任意の手段によって測定されてよい。
本明細書において使用される場合、用語「同時」は、当業者によって理解されるとおり、同じ時または、前後の合理的に短い期間以内を意味することが意図される。例えば、2つの処置が互いに同時に投与される場合、2つの処置の後者を調製するために必要な時間考慮して、一方の処置は他方の処置の前または後に投与され得る。したがって2つの処置の「同時投与」は、これだけに限らないが、一方の処置に続く約30分間以下、約30分間、20分間以下、約20分間、約15分間、約10分間、約9分間、約8分間、約7分間 約6分間 約5分間、約4分間、約3分間、約2分間、約1分間または1分間未満までの他方の処置を含む。
「ポンペ病」は、リソソームグリコーゲン代謝を損なう欠損酸アルファグルコシダーゼ(GAA)活性によって特徴を明らかにされる常染色体潜性LSDを指す。酵素欠乏は、リソソームグリコーゲン蓄積をもたらし、疾患の後期に進行性骨格筋力低下、心機能の低減、呼吸不全および/またはCNS機能障害を生じる。GAA遺伝子中の遺伝子変異は、発現低下を生じるまたは安定性および/もしくは生物活性が変化した酵素の変異形態を産生し、最終的に疾患を生じる(一般に、Hirschhorn R、1995、Glycogen Storage Disease Type II:Acid a−Glucosidase(Acid Maltase)Deficiency,The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、Scriverら編、McGraw−Hill、New York、第7版、2443〜2464頁を参照されたい)。3種の認知されているポンペ病の臨床形態(乳児、小児および成人)は、残存α−グルコシダーゼ活性のレベルと相関関係がある(Reuser A Jら、1995、Glycogenosis Type II(Acid Maltase Deficiency)、Muscle & Nerve Supplement 3、S61〜S69)。乳児性ポンペ病(IまたはA型)は、最も一般的で最も重度であり、成長障害、全身性の低緊張、心肥大および生後2年以内の心肺不全、によって特徴を明らかにされる。小児ポンペ病(IIまたはB型)は、重症度において中間であり、心拡大を伴わない筋肉症候の優勢によって特徴を明らかにされる。小児ポンペ個体は、通常呼吸不全により20歳に至る前に死亡する。成人ポンペ病(IIIまたはC型)は、10代または遅く60代になってからゆっくり進行するミオパシーとしてしばしば現れる(Felicia K Jら、1995、Clinical Variability in Adult−Onset Acid Maltase Deficiency:Report of Affected Sibs and Review of the Literature,Medicine 74、131〜135)。ポンペでは、α−グルコシダーゼがグリコシル化、リン酸化およびタンパク質分解処理によって翻訳後に広範に修飾されていることが示されている。リソソームでのタンパク質分解による110キロダルトン(kDa)前駆体から76および70KDa成熟形態への変換は、最適なグリコーゲン触媒作用のために必要とされる。本明細書において使用される場合、用語「ポンペ病」は、すべての種類のポンペ病を指す。本出願において開示される製剤および投薬レジメンは、例えばI型、II型またはIII型ポンペ病を処置するために使用され得る。
「対象」または「患者」は、好ましくはヒトであるが、グリコーゲンの蓄積に関する障害を有する他の哺乳動物および非ヒト動物も処置され得る。対象は、ポンペ病または他のグリコーゲン貯蔵もしくは蓄積障害を有する胎児、新生児、小児(child)、小児または成人であり得る。処置される個体の一例は、GSD−II(例えば、乳児性GSD−II、小児GSD−IIまたは成人発症GSD−II)を有する個体(胎児、新生児、小児(child)、小児、青年または成人ヒト)である。個体は、残存GAA活性を有するまたは測定可能な活性を有さない場合がある。例えばGSD−IIを有する個体は、正常GAA活性の約1%未満であるGAA活性(乳児性GSD−II)、正常GAA活性の約1〜10%であるGAA活性(小児GSD−II)または正常GAA活性の約10〜40%であるGAA活性(成人GSD−II)を有する場合がある。一部の実施形態では、対象または患者は、酵素補充療法を以前受けたことがあるポンペ病患者を指す「ERT経験」または「ERT切り替え」患者である。一部の実施形態では、対象または患者は、酵素補充療法を以前受けていないポンペ病患者を指す「ERT未処置」患者である。ある特定の実施形態では、対象または患者は歩行可能である(例えば、歩行可能ERT−切り替え患者または歩行可能ERT−未処置患者)。ある特定の実施形態では、対象または患者は、歩行不能である(例えば、歩行不能ERT−切り替え患者)。歩行可能または歩行不能状態は、6分間歩行検査(6MWT)によって決定され得る。一部の実施形態では、歩行可能患者は、6MWTにおいて少なくとも200メートル歩行できるポンペ病患者である。一部の実施形態では、歩行不能患者は、補助を受けずに歩くことができないまたは車椅子から離れられないポンペ病患者である。
本明細書において使用される場合、用語「処置する」および「処置」は、疾患に関連する1つまたは複数の症候の改善、疾患の1つまたは複数の症候の発症の予防もしくは遅延、および/または疾患の1つまたは複数の症候の重症度もしくは頻度の軽減を指す。例えば処置は、心臓の状態の改善(例えば、拡張終期および/または収縮末期体積の増加、またはGSD−IIにおいて典型的に見出される進行性心臓ミオパシーの低減、改善もしくは予防)または肺機能の改善(例えば、ベースライン能力を超える啼泣時肺活量の増加、および/または啼泣時の酸素不飽和の正常化);神経発達および/または運動技能における改善(例えば、AIMSスコアの増加);疾患を罹患した個体の組織におけるグリコーゲンレベルの低減;またはこれらの効果の任意の組合せ、指すことができる。好ましい一実施形態では、処置は、心臓の状態の改善、特にGSD−II関連心臓ミオパシーの低減または予防を含む。
本明細書において使用される場合、用語「改善する」、「増加する」および「低減する」は、本明細書に記載の処置の開始に先行する同じ個体での測定値、または本明細書に記載の処置を欠いているコントロール個体(もしくは複数のコントロール個体)での測定値などの、ベースライン測定値と比較した値を示す。コントロール個体は、処置される個体と同じ形態のGSD−II(乳児、小児または成人発症のいずれか)を患っており、処置される個体とおよそ同じ年齢である(処置個体およびコントロール個体(複数可)での疾患のステージが比較可能であることを確実にするため)個体である。
本明細書において使用される場合、用語「約」および「およそ」は、測定値の性質および精度を考慮して、測定された量についての許容される誤差の程度を指すことが意図される。例えば、誤差の程度は、当該技術分野で理解されるとおり、測定値について提供される有意な数値の数によって示され、これだけに限らないが、測定値について報告される最も正確で有意な数値における±1の変動が挙げられる。誤差の典型的例示的な程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、およびさらに好ましくは5%以内である。本明細書で示される数量は、特に明記しない限りおよそであり、用語「約」または「およそ」は、明確に述べられない場合推測であってよいことを意味する。
II.組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)
一部の実施形態では、組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)は、配列番号1、配列番号3、配列番号4または配列番号5に記載されるアミノ酸配列を有する酵素である。一部の実施形態では、rhGAAは、配列番号2に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。
一部の実施形態では、rhGAAは、米国特許第8,592,362号に記載される配列番号1に記載の野生型GAAアミノ酸配列を有し、GenBank寄託番号AHE24104.1(GI:568760974)を有する。一部の実施形態では、rhGAAは、GenBank寄託番号Y00839.1を有するmRNA配列、配列番号2にコードされる野生型GAAアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、rhGAAは、配列番号3に記載の野生型GAAアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、rhGAAは、配列番号4に記載されるGAAアミノ酸配列を有し、National Center for Biotechnology Information(NCBI)寄託番号NP_000143.2を有する。一部の実施形態では、rhGAAは、アルグルコシダーゼアルファ、GAA遺伝子の9個の観察されたハプロタイプの最も主たるものによってコードされるヒト酸性αグルコシダーゼ酵素である。
一部の実施形態では、rhGAAは、配列番号1に記載の野生型GAAの全長952アミノ酸配列を有して最初に発現され、rhGAAは、アミノ酸の一部、例えば最初の56アミノ酸を除去する細胞内プロセシングを受ける。したがって、宿主細胞によって分泌されるrhGAAは、細胞内で最初に発現されたrhGAAより短いアミノ酸配列を有する場合がある。一実施形態では、短いタンパク質は、シグナルペプチドおよび前駆体ペプチドを含む最初の56アミノ酸が除去され、それにより896アミノ酸を有するタンパク質が生じることにおいてだけ配列番号1と異なる配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する。アミノ酸の数における他の変動も、配列番号1または配列番号5に記載のアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上の欠失、置換および/または挿入を有するなど可能である。一部の実施形態では、rhGAA産生物としては、さまざまなアミノ酸長を有する組換えヒト酸性αグルコシダーゼ分子の混合物が挙げられる。
一部の実施形態では、rhGAAは、配列番号1または配列番号5に少なくとも90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin、Madison、Wis.)の一部として入手可能であり、例えば初期設定で使用され得る、FASTAまたはBLASTを含む種々の配列比較アルゴリズムおよび/またはプログラムが、2つの配列の間の同一性を算出するために使用され得る。例えば、本明細書に記載の特定のポリペプチドに少なくとも90%、95%、98%または99%同一性を有し、好ましくは実質的に同じ機能を提示するポリペプチドおよびそのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、検討される。別途指示がない限り同様のスコアは、BLOSUM62の使用に基づいている。BLASTPが使用される場合、類似性パーセントはBLASTP陽性スコアに基づき、配列同一性パーセントは、BLASTP同一性スコアに基づく。BLASTP「同一性」は、高スコア配列対中で同一である合計残基の数および割合を示しており;BLASTP「陽性」は、配列比較スコアが陽性値を有し、互いに類似している残基の数および割合を示している。本明細書に開示のアミノ酸配列にこれらの程度の同一性もしくは類似性、または任意の中間程度の類似性の同一性を有するアミノ酸配列は、本開示によって検討され、包含される。類似するポリペプチドのポリヌクレオチド配列は、遺伝子コードを使用して推定され、従来の手段によって、具体的には遺伝子コードを使用してそのアミノ酸配列を逆翻訳することによって得ることができる。
一部の実施形態では、rhGAAは、タンパク質中の1つまたは複数のアミノ酸残基に翻訳後および/または化学修飾を受ける。例えば、メチオニンおよびトリプトファン残基は酸化を受ける場合がある。別の例として、N末端グルタミンはピログルタメートを形成する場合がある。別の例として、アスパラギン残基は、アスパラギン酸への脱アミドを受ける場合がある。さらに別の例として、アスパラギン酸残基は、イソアスパラギン酸への異性化を受ける場合がある。さらに別の例として、タンパク質中の不対システイン残基は、遊離グルタチオンおよび/またはシステインとジスルフィド結合を形成する場合がある。したがって一部の実施形態では、酵素は、配列番号1、配列番号3、配列番号4もしくは配列番号5に記載されるアミノ酸配列、または配列番号2によってコードされるアミノ酸配列を有して最初に発現され、酵素は、これらの翻訳後および/または化学修飾の1つまたは複数を受ける。そのような修飾も本開示の範囲内である。
III.rhGAAのN−結合型グリコシル化
単一のrhGAA分子上に7個の潜在的N結合グリコシル化部位がある。これらの潜在的グリコシル化部位は、配列番号5の次の位置:N84、N177、N334、N414、N596、N826およびN869にある。同様に、配列番号1の全長アミノ酸配列について、これらの潜在的グリコシル化部位は、次の位置:N140、N233、N390、N470、N652、N882およびN925にある。rhGAAの他の変異体は、アスパラギン残基の位置に応じて同様のグリコシル化部位を有し得る。一般に、タンパク質中のアミノ酸配列のAsn−X−SerまたはAsn−X−Thrの配列は、XがHisまたはProになりえない例外を有して、潜在的グリコシル化部位を示す。
本明細書に記載のrhGAA分子は、平均1、2、3または4個のマンノース−6−リン酸(M6P)基をそれらのN−グリカン上に有する場合がある。例えば、rhGAA分子上の1つだけのN−グリカンがM6Pを保有する場合があり(モノリン酸化もしくはモノ−M6P)、単一のN−グリカンが2つのM6P基を保有する場合があり(ビス−リン酸化もしくはビス−M6P)、または同じrhGAA分子上の2つの異なるN−グリカンが、それぞれ単一のM6P基を保有する場合がある。一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAA分子は、それらのN−グリカン上に平均3〜4個のM6P基を有する。組換えヒト酸性αグルコシダーゼ分子は、M6P基を保有しないN−グリカンも有する。別の実施形態では、平均でrhGAAは、rhGAA 1molあたり2.5molを超えるM6PおよびrhGAA 1molあたり4molを超えるシアル酸を含む。一部の実施形態では、平均でrhGAAは、rhGAA 1molあたり約3〜3.5mol M6Pを含む。一部の実施形態では、平均でrhGAAは、rhGAA 1molあたり約4〜5.4molシアル酸を含む。平均で、rhGAA上の総N−グリカンの少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10%または20%は、モノ−M6P N−グリカンの形態であってよい、例えば総N−グリカンの約6.25%は、単一のM6P基を保有する場合があり、平均でrhGAA上の総N−グリカンの少なくとも約0.5、1、1.5、2.0、2.5、3.0%は、ビス−M6P N−グリカンの形態であり、平均で総rhGAAの25%未満は、CIMPRに結合するリン酸化N−グリカンを含有しない。一部の実施形態では、rhGAA上の総N−グリカンの平均で約10%から約14%は、モノリン酸化されている。一部の実施形態では、rhGAA上の総N−グリカンの平均で約7%から約25%は、ビスリン酸化されている。一部の実施形態では、平均でrhGAAは、rhGAA 1molあたり、約1.3mol ビス−M6Pを含む。
本明細書に記載のrhGAAは、rhGAA 1molあたり0.5から7.0molの範囲のM6Pまたは、rhGAA 1molあたり0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5もしくは7.0mol M6Pを含む任意の中間値もしくはその部分的な範囲でM6Pを保有するN−グリカンの平均含有量を有する場合がある。rhGAAは、異なる平均数のモノ−M6P−保有またはビス−M6P−保有N−グリカンを含むrhGAA調製物を提供するように分画され得、それにより具体的な画分を選択することによって、または異なる画分を選択的に組み合わせることによって、標的組織中のリソソームに標的化するrhGAAのさらなるカスタマイズを可能にする。
一部の実施形態では、rhGAA上のN−グリカンの60%までは、完全にシアル化されている場合があり、例えば10%、20%、30%、40%、50%または60%までのN−グリカンは、完全にシアル化されている場合がある。一部の実施形態では、rhGAA上のN−グリカンの50%以下は完全にシアル化されている。一部の実施形態では、総N−グリカンの4%から20%までは完全にシアル化されている。他の実施形態では、rhGAA上のN−グリカンの5%、10%、20%または30%以下は、シアル酸および末端ガラクトース残基(Gal)を保有している。この範囲は、すべての中間値および部分的な範囲を含む、例えばrhGAA上の総N−グリカンの7%から30%は、シアル酸および末端ガラクトースを保有している場合がある。さらに他の実施形態では、rhGAA上のN−グリカンの5%、10%、15%、16%、17%、18%、19%または20%以下は、末端ガラクトースだけを有し、シアル酸を含有しない。この範囲は、すべての中間値および部分的な範囲を含み、例えば組成物中のrhGAA上の総N−グリカンの8%から19%は、末端ガラクトースだけを有し、シアル酸を含有しない。
一部の実施形態では、rhGAA上の総N−グリカンの40%、45%、50%もしくは55%から60%は、複合型N−グリカンである;またはrhGAA上の総N−グリカンの1%、2%、3%、4%、5%、6%もしくは7%以下は、ハイブリッド型N−グリカンであり;rhGAA上の高マンノース型N−グリカンの5%、10%、15%、20%もしくは25%以下は非リン酸化されている;rhGAA上の高マンノース型N−グリカンの少なくとも5%もしくは10%はモノリン酸化されている;および/またはrhGAA上の高マンノース型N−グリカンの少なくとも1%もしくは2%はビス−リン酸化されている。これらの値は、すべての中間値および部分的な範囲を含む。rhGAAは、上に記載の1つまたは複数の含有量範囲に合致し得る。
一部の実施形態では、rhGAAは、rhGAA 1molあたり平均2.0から8.0moleのシアル酸残基を保有する場合がある。この範囲は、rhGAA 1molあたり2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5および8.0molシアル酸残基を含むすべての中間値およびその部分的な範囲を含む。理論に束縛されることなく、シアル酸残基を保有するN−グリカン単位の存在は、アシアロ糖タンパク質受容体によるrhGAAの非生産的クリアランスを妨げることができると考えられている。
1つまたは複数の実施形態では、rhGAAは、ある特定のN−グリコシル化プロファイルをある特定の潜在的N−グリコシル化部位に有する。一部の実施形態では、rhGAAは、7個の潜在的N−グリコシル化部位を有する。一部の実施形態では、少なくとも20%のrhGAAは第1の潜在的N−グリコシル化部位(例えば、配列番号5についてのN84および配列番号1についてのN140)でリン酸化されている。例えば、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位でリン酸化され得る。このリン酸化は、モノ−M6P および/またはビス−M6P単位の結果であってよい。一部の実施形態では、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位にモノ−M6P単位を保有している。一部の実施形態では、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位にビス−M6P単位を保有している。一部の実施形態では、rhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約1.4molのM6P(モノ−M6Pおよびビス−M6P)を含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−M6Pを含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.25molのモノ−M6Pを含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.2molから約0.3molのシアル酸を含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図6Aに示される第1の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図6Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図32Aに示される第1の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図32Bまたは図33Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。
一部の実施形態では、少なくとも20%のrhGAAは第2の潜在的N−グリコシル化部位(例えば、配列番号5についてのN177および配列番号1についてのN223)でリン酸化されている。例えば、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第2のN−グリコシル化部位でリン酸化され得る。このリン酸化は、モノ−M6Pおよび/またはビス−M6P単位の結果であってよい。一部の実施形態では、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第2のN−グリコシル化部位にモノ−M6P単位を保有している。一部の実施形態では、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第2のN−グリコシル化部位にビス−M6P単位を保有している。一部の実施形態では、rhGAAは、第2の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.5molのM6P(モノ−M6Pおよびビス−M6P)を含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第2の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.4から約0.6molのモノ−M6Pを含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図6Aに示される第2の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図6Cに示されるN−グリコシル化プロファイルを含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図32Aに示される第2の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図32Cまたは図33Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを含む。
1つまたは複数の実施形態では、少なくとも5%のrhGAAは、第3の潜在的N−グリコシル化部位(例えば、配列番号5についてN334および配列番号1についてN390)でリン酸化されている。他の実施形態では、5%、10%、15%、20%または25%未満のrhGAAは、第3の潜在的N−グリコシル化部位でリン酸化されている。例えば、第3の潜在的N−グリコシル化部位は、非リン酸化高マンノースN−グリカン、二、三および四分岐複合N−グリカンの混合物ならびに主な分子種としてハイブリッドN−グリカンを有する。一部の実施形態では、少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%のrhGAAは、第3の潜在的N−グリコシル化部位でシアル化されている。一部の実施形態では、rhGAAは、第3の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.9から約1.2molのシアル酸を含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図6Aに示される第3の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図6Dに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図32Aに示される第3の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図32Dまたは図33Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを含む。
一部の実施形態では、少なくとも20%のrhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位(例えば、配列番号5についてN414および配列番号1についてN470)でリン酸化されている。例えば、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位でリン酸化され得る。このリン酸化は、モノ−M6Pおよび/またはビス−M6P単位の結果であってよい。一部の実施形態では、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位にモノ−M6P単位を保有している。一部の実施形態では、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位にビス−M6P単位を保有している。一部の実施形態では、少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%または25%のrhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位でシアル化されている。一部の実施形態では、rhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約1.4molのM6P(モノ−M6Pおよびビス−M6P)を含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.4から約0.6molのビス−M6Pを含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第4の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.3から約0.4molのモノ−M6Pを含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図6Aに示される第4の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図6Eに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図32Aに示される第4の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図32Eまたは図33Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを含む。
一部の実施形態では、少なくとも5%のrhGAAは、第5の潜在的N−グリコシル化部位(例えば、配列番号5についてN596および配列番号1についてN692)でリン酸化されている。他の実施形態では、5%、10%、15%、20%または25%未満のrhGAAは、第5の潜在的N−グリコシル化部位でリン酸化されている。例えば、第5の潜在的N−グリコシル化部位は、フコシル化二分岐複合N−グリカンを主な分子種として有し得る。一部の実施形態では、少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第5の潜在的N−グリコシル化部位でシアル化されている。一部の実施形態では、rhGAAは、第5の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.8から約0.9molのシアル酸を含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図6Aに示される第5の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図6Fに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図32Aに示される第5の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図32Fまたは図33Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。
一部の実施形態では、少なくとも5%のrhGAAは、第6のN−グリコシル化部位(例えば、配列番号5についてN826および配列番号1についてN882)でリン酸化されている。他の実施形態では、5%、10%、15%、20%または25%未満のrhGAAは、第6のN−グリコシル化部位でリン酸化されている。例えば、第6のN−グリコシル化部位は、二、三および四分岐複合N−グリカンの混合物を主な分子種として有し得る。一部の実施形態では、少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のrhGAAは、第6のN−グリコシル化部位でシアル化されている。一部の実施形態では、rhGAAは、第6の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約1.5から約4.2molのシアル酸を含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第6の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.9molのアセチル化シアル酸を含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図6Aに示される第6の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図6Gに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図32Aに示される第6の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図32Gまたは図33Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。
一部の実施形態では、少なくとも5%のrhGAAは、第7の潜在的N−グリコシル化部位(例えば、配列番号5についてN869および配列番号1についてN925)でリン酸化されている。他の実施形態では、5%、10%、15%、20%または25%未満のrhGAAは、第7の潜在的N−グリコシル化部位でリン酸化されている。一部の実施形態では、40%、45%、50%、55%、60%または65%未満のrhGAAは、第7の潜在的N−グリコシル化部位に任意のN−グリカンを有する。一部の実施形態では、少なくとも30%、35%または40%のrhGAAは、第7の潜在的N−グリコシル化部位にN−グリカンを有する。一部の実施形態では、rhGAAは、第7の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.86molのシアル酸を含む。少なくとも実施形態では、第7の潜在的N−グリコシル化部位に同定されるすべてのN−グリカンは、複合N−グリカンである。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、図6Aに示されるまたは図32Aに示される第7の潜在的N−グリコシル化部位占有率、および図32Hまたは図33Bに示されるN−グリコシル化プロファイルを有する。
一部の実施形態では、rhGAAは、rhGAA分子1つあたり平均3〜4個のM6P残基を含み、rhGAA分子 1molあたり約4から約7.3molのシアル酸を含む。一部の実施形態では、rhGAAは、第1の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり少なくとも平均で約0.5molのビス−M6P、第2の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり約0.4から約0.6molのモノ−M6P、第3の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり約0.9から約1.2molのシアル酸、第4の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり約0.4から約0.6molのビス−M6P、第4の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり約0.3から約0.4molのモノ−M6P、第5の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり約0.8から約0.9molのシアル酸、および第6の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり約1.5から約4.2molのシアル酸をさらに含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、第7の潜在的N−グリコシル化部位にrhGAA 1molあたり平均で約0.86molのシアル酸をさらに含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、7個の潜在的N−グリコシル化部位を図6A〜6Hに示される占有率およびN−グリコシル化プロファイルで含む。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAは、7個の潜在的N−グリコシル化部位を図32A〜32Hおよび図33A〜33Bに示される占有率およびN−グリコシル化プロファイルで含む。
rhGAAを作製する方法は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/057,842号、2014年9月30日出願に開示されている。
リソソームの内側になると、rhGAAは、蓄積グリコーゲンを酵素的に分解できる。しかし、従来のrhGAA産生物は、モノ−M6P−およびビス−M6P保有N−グリカンの合計レベルが低く、それにより筋細胞を標的化しにくく、リソソームへのrhGAAの送達が劣る。これらの従来の産生物中のrhGAA分子の多くは、リン酸化N−グリカンを有さず、それによりCIMPRへの親和性を欠いている。非リン酸化高マンノースN−グリカンは、ERTの非生産的クリアランスを生じるマンノース受容体によってもクリアされ得る(図2B)。対照的に、図2Aに示すとおり本明細書に記載のrhGAAは、モノ−M6P−およびビス−M6P保有N−グリカンを多量に含有でき、筋肉などの特定の組織へのrhGAAの産生的取り込みをもたらす。
IV.N−結合型グリコシル化rhGAAの産生および精製
その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2015/053252号に記載のとおり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの細胞は、本明細書に記載のrhGAAを産生するために使用され得る。CHO細胞において高M6P rhGAAを発現することは、前者だけがグリカンデグレーション(degration)によって最適なグリコーゲン加水分解を有するrhGAAの形態に転換され得、それにより治療有効性が増強されることから少なくとも部分的に、rhGAAのグリカンプロファイルを翻訳後に修飾することに有利である。
一部の実施形態では、rhGAAは、本明細書に記載のrhGAAをコードするDNAコンストラクトを用いて形質転換される1つまたは複数のCHO細胞株から好ましくは産生される。そのようなCHO細胞株は、GAAをコードするポリヌクレオチドの5、10、15または20個以上のコピーなどの遺伝子の複数のコピーを含有してよい。酸性αグルコシダーゼの対立遺伝子変異体または、配列番号1もしくは配列番号5に少なくとも90%、95%、98%または99%同一であるものなどの、他の変異体酸性αグルコシダーゼアミノ酸配列を発現するDNAコンストラクトは、コンストラクトされ、CHO細胞において発現され得る。当業者は、そのようなDNAコンストラクトの産生のためにCHO細胞を形質転換するために好適な代替的ベクターを選択できる。
そのようなCHO細胞株を作製するための方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2015/053252号に記載されている。簡潔には、これらの方法は、GAAまたはGAA変異体をコードするDNAを用いてCHO細胞を形質転換すること、GAAをコードするDNAをその染色体(複数可)に安定に組み込んでおり、GAAを安定に発現するCHO細胞を選択すること、およびモノ−M6Pまたはビス−M6Pを保有している高含有量のN−グリカンを有するGAAを発現するCHO細胞を選択すること、ならびに任意選択で、高シアル酸含有量のN−グリカンを有するおよび/または非リン酸化高マンノースを低含有量で含むN−グリカンを有するCHO細胞を選択することを含む。選択されたCHO細胞株は、CHO細胞株を培養し、CHO細胞の培養物から前記組成物を回収することによってrhGAAおよびrhGAA組成物を産生するために使用され得る。一部の実施形態では、選択されたCHO細胞株から産生されるrhGAAは、CIMPRを標的化するモノ−M6Pまたはビス−M6Pを保有するN−グリカンを高含有量で含有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されるrhGAAは、末端ガラクトースを有する複合N−グリカンを低レベルで有する。一部の実施形態では、選択されたCHO細胞株は、GA−ATB200またはATB200−X5−14と称される。一部の実施形態では、選択されたCHO細胞株は、そのようなCHO細胞培養物の継代培養物または派生物を包含する。一部の実施形態では、選択されたCHO細胞株から産生されるrhGAAは、ATB200と称される。
本明細書に記載のとおり産生されるrhGAAは、次の、両方がその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際出願第PCT/US2017/024981号および米国仮特許出願第62/506,569号に記載の方法に従って精製され得る。CHO細胞株から産生されるrhGAAを産生、捕捉および精製するための例示的プロセスは、図3に示されている。
簡潔には、バイオリアクター601は、rhGAAを周囲の液体培養培地に発現および分泌するCHO細胞などの細胞の培養物を含有する。バイオリアクター601は、灌流、バッチまたは流加培養バイオリアクターなどの、細胞を培養するための任意の適切なバイオリアクターであってよい。培養培地は、rhGAAを産生する細胞のための十分な期間後にバイオリアクターから除去される。そのような培地除去は灌流バイオリアクターについては継続的であってよく、バッチまたは流加培養バイオリアクターについてはバッチごとあってよい。培地は、細胞を除去するために濾過系603によって濾過され得る。濾過系603は、交互タンジェント流濾過(ATF)系、タンジェント流濾過(TFF)系、および/または遠心濾過系を含む、任意の適切な濾過系であってよい。種々の実施形態では、濾過系は、約10ナノメートルから約2マイクロメートルの間のポアサイズを有するフィルターを利用する。
濾過後、濾液を、タンパク質捕捉系605にローディングする。タンパク質捕捉系605は、1つまたは複数のクロマトグラフィーカラムを含み得る。1つより多いクロマトグラフィーカラムが使用される場合、次にカラムは連続的に配置してもよく、それにより第1のカラムがローディングされると次のカラムがローディングされ始める。代替的に、媒体除去プロセスは、カラムが切り替えられる時間の間は停止されてよい。
種々の実施形態では、タンパク質捕捉系605は、rhGAA、特に高M6P含有量を有するrhGAAの直接産生物捕捉のための1つまたは複数の陰イオン交換(AEX)カラムを含む。タンパク質捕捉系605によって捕捉されるrhGAAは、カラム中のpHおよび/または塩含有量を変化させることによってカラム(複数可)から溶出される。AEXカラムのための例示的条件は、表2に提供されている。
溶出されたrhGAAは、さらなる精製ステップおよび/または品質保証ステップに供されてよい。例えば、溶出されたrhGAAは、ウイルス殺滅ステップ607に供されてよい。そのようなウイルス殺滅607は低pH殺滅、界面活性剤殺滅または当該技術分野で周知の他の技術の1つまたは複数を含んでよい。ウイルス殺滅ステップ607由来のrhGAAは、rhGAA産生物をさらに精製するために第2のクロマトグラフィー系609に導入されてよい。代替的にタンパク質捕捉系605から溶出されたrhGAAは、第2のクロマトグラフィー系609に直接供給されてよい。種々の実施形態では、第2のクロマトグラフィー系609としては、不純物のさらなる除去のための1つまたは複数の固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラムが挙げられる。IMACカラムのための例示的条件は、下の表3に提供されている。
rhGAAが、第2のクロマトグラフィー系609にローディングされた後、組換えタンパク質は、カラム(複数可)から溶出される。溶出されたrhGAAは、ウイルス殺滅ステップ611に供され得る。ウイルス殺滅607と同様に、ウイルス殺滅611は、低pH殺滅、界面活性剤殺滅または当該技術分野で周知の他の技術の1つまたは複数を含んでよい。一部の実施形態では、ウイルス殺滅607または611の1つだけが使用される、またはウイルス殺滅は精製プロセスの同じ段階で実施される。
ウイルス殺滅ステップ611由来のrhGAAは、組換えタンパク質産生物をさらに精製するために第3のクロマトグラフィー系613に導入され得る。代替的に、第2のクロマトグラフィー系609から溶出された組換えタンパク質は、第3のクロマトグラフィー系613に直接供給されてよい。種々の実施形態では、第3のクロマトグラフィー系613は、不純物のさらなる除去のために1つまたは複数の陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)カラムおよび/またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラムを含む。次いでrhGAA産生物は、第3のクロマトグラフィー系613から溶出される。CEXカラムのための例示的条件は、下の表4に提供されている。
rhGAA産生物は、さらなる処理に供されてもよい。例えば、別の濾過系615は、ウイルスを除去するために使用され得る。一部の実施形態では、そのような濾過は、5から50μmの間のポアサイズを有するフィルターを利用し得る。他の産生物処理は、組換えタンパク質産生物が滅菌、濾過、濃縮、保管され得、および/または最終産生物製剤に加えるための追加的成分を有する、産生物調整ステップ617を含み得る。
本明細書において使用される場合、用語「ATB200」は、GA−ATB200細胞株から産生され、本明細書に記載の方法を使用して精製される、モノ−M6Pおよびビス−M6Pを保有する高含有量のN−グリカンを有するrhGAAを指す。
V.薬学的組成物
種々の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAを単独でまたは他の治療剤および/もしくは薬学的に許容される担体との組合せで含む薬学的組成物は提供される。
1つまたは複数の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、本明細書で使用される薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される酸付加塩である。薬学的に許容される酸付加塩としては、これだけに限らないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、リン酸など、およびこれだけに限らないが酢酸、トリフルオロ酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、酪酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、ジグルコン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、ヘミスルフィック酸(hemisulfic acid)、ヘキサン酸、ギ酸、フマル酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2−ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモン酸、ペクチン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸が挙げられる有機酸が挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書で使用される薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される塩基付加塩である。薬学的に許容される塩基付加塩としては、これだけに限らないが、アンモニアあるいは、アンモニウムまたはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどの金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩が挙げられる。薬学的に許容される有機無毒性塩基由来の塩としては、これだけに限らないが、一級、二級および三級アミン、四級アミン化合物、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびに、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミンアミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、Ν,Ν−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、Ν,Ν−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン(ephenamine)、Ν,Ν’−ジベンジルエチレンジアミンなどの塩基性イオン交換レジン、ポリアミンレジンなどの塩が挙げられる。
一部の実施形態では、rhGAAまたは薬学的に許容されるその塩は、静脈内投与用に適合された薬学的組成物として製剤化されてよい。一部の実施形態では、薬学的組成物は、滅菌等張水性バッファー中の溶液である。必要に応じて、組成物は、可溶化剤および注射部位の疼痛を緩和するために局所麻酔も含んでよい。薬学的組成物の成分は、単位投与形態とは別にまたは共に混合してのいずれかで、例えば、活性剤の量を表示したアンプルまたはサシェ剤などの密封封印した容器中に凍結乾燥粉末または水不含有濃縮物として供給されてよい。組成物が点滴によって投与される場合、滅菌医薬品グレード純水、生理食塩水またはデキストロース/水を含有する点滴ボトルに分注されてよい。一部の実施形態では、点滴は、病院または診療所で行われてよい。一部の実施形態では、点滴は、病院または診療所設定の外で、例えば対象の住居で行われてよい。組成物が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルは、成分が投与に先行して混合され得るように提供され得る。
一部の実施形態では、rhGAAまたは薬学的に許容されるその塩は、経口投与のために製剤化されてよい。経口投与可能な組成物は、即時、遅延、修飾、持続性、パルスもしくはコントロール放出適用のために、錠剤、カプセル、オーブレ(ovule)、エリキシル剤、溶液もしくは懸濁物、ゲル、シロップ剤、口腔洗浄薬または使用前に水もしくは他の好適なビヒクルを用いて再構成するための乾燥粉剤の形態に、任意選択で香味および着色剤を含んで製剤化されてよい。錠剤、カプセル、ロゼンジ、香錠、丸剤、ボーラス、粉剤、ペースト剤、顆粒剤、ビュレット、糖衣錠またはプレミックス調製物などの固体組成物も使用され得る。経口使用のための固体および液体組成物は、当該技術分野で周知の方法により調製され得る。そのような組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体および固体または液体形態であり得る賦形剤も含有する場合がある。錠剤またはカプセルは、これだけに限らないが結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤または湿潤剤が挙げられる薬学的に許容される賦形剤を用いて従来の手段によって調製され得る。好適な薬学的に許容される賦形剤は、当該技術分野で周知であり、これだけに限らないか、アルファ化でんぷん、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチン、アカシア、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルベヘネート、タルク、シリカ、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、グリシンクロスカルメロースナトリウムおよび複合ケイ酸塩が挙げられる。錠剤は、当該技術分野で十分周知の方法によってコーティングされてよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2017/024982号および米国仮特許出願第62/506,574号に従って製剤化され得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物のpHは、約5.0から約7.0または約5.0から約6.0である。一部の実施形態では、pHは約5.5から約6.0の範囲である。一部の実施形態では、薬学的組成物のpHは6.0である。一部の実施形態では、pHは、水酸化ナトリウムおよび/または塩酸などのpH調整剤(例えば、アルカリ化剤および酸性化剤)を使用することによって標的pHに調整され得る。
本明細書に記載の薬学的組成物は、クエン酸塩系、リン酸塩系およびこれらの組合せなどのバッファー系を含んでよい。クエン酸塩および/またはリン酸塩は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムであってよい。他の塩として、カリウムおよびアンモニウム塩が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、バッファーは、クエン酸塩を含む。さらなる実施形態では、バッファーは、クエン酸ナトリウム(例えば、無水クエン酸ナトリウムとクエン酸一水和物との混合物)を含む。1つまたは複数の実施形態では、クエン酸塩を含むバッファー溶液は、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸を含んでよい。一部の実施形態では、両方のクエン酸塩およびリン酸バッファーの両方が存在する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、少なくとも1つの賦形剤を含む。賦形剤は、等張化剤、増量剤および/または安定剤として機能できる。等張化剤は、製剤がヒト血液と同様のまたは同じ浸透圧を有することを確実にすることを補助する成分である。増量剤は、製剤(例えば凍結乾燥される)に量を加える成分であり、ケーキに適切な構造を与える。安定剤は、疎水性空気−水界面での凝集物の形成を予防または最少化できる化合物である。ある賦形剤は、同時に等張化剤および増量剤として機能できる。例えば、マンニトールは、等張化剤としても機能でき、増量剤としての利益も提供できる。
等張化剤の例としては、塩化ナトリウム、マンニトール、ショ糖およびトレハロースが挙げられる。一部の実施形態では、等張化剤はマンニトールを含む。一部の実施形態では、等張化剤(複数可)の総量は、約10mg/mLから約50mg/mLの量の範囲にある。さらなる実施形態では、等張化剤(複数可)の総量は、約10、11、12、13、14または15mg/mLから約16、20、25、30、35、40、45または50mg/mLの量の範囲にある。
一部の実施形態では、賦形剤は、安定剤を含む。一部の実施形態では、安定剤は界面活性剤である。一部の実施形態では、安定剤は、ポリソルベート80である。1つまたは複数の実施形態では、安定剤の総量は、約0.1mg/mLから約1.0mg/mLの範囲である。さらなる実施形態では、安定剤の総量は、約0.1、0.2、0.3、0.4または0.5mg/mLから約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0mg/mLの範囲である。さらにさらなる実施形態では、安定剤の総量は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0mg/mLである。
一部の実施形態では、薬学的組成物は、(a)rhGAA(ATB200など)、(b)クエン酸塩、リン酸塩およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバッファー、ならびに(c)マンニトール、ポリソルベート80およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含み、(i)約5.0から約6.0または(ii)約5.0から約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、組成物は、水をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、酸性化剤および/またはアルカリ化剤をさらに含み得る。
一部の実施形態では、薬学的組成物は、(a)約5〜50mg/mL、約5〜30mg/mLまたは約15mg/mLの濃度でのrhGAA(ATB200など)、(b)約10〜100mMまた約25mMの濃度でのクエン酸ナトリウムバッファー、(c)約10〜50mg/mLまたは約20mg/mLの濃度でのマンニトール、(d)約0.1〜1mg/mL、約0.2〜0.5mg/mLまたは約0.5mg/mLの濃度で存在するポリソルベート80、および(e)水を含み、約6.0のpHを有する。少なくとも1つの実施形態では、薬学的組成物は、(a)15mg/mL rhGAA(ATB200など)(b)25mMクエン酸ナトリウムバッファー、(c)20mg/mLマンニトール(d)0.5mg/mLポリソルベート80、および(e)水を含み、約6.0のpHを有する。一部の実施形態では、組成物は、酸性化剤および/またはアルカリ化剤をさらに含み得る。
一部の実施形態では、rhGAAを含む薬学的組成物は、それを必要とする対象への投与に先行して希釈される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、シャペロンを含む。一部の実施形態では、シャペロンは、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩である。別の実施形態では、シャペロンは、ドゥボグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAは、1つの薬学的組成物に製剤化され、一方ミグルスタットなどのシャペロンは、別の薬学的組成物に製剤化される。一部の実施形態では、ミグルスタットを含む薬学的組成物は、Zavesca(登録商標)(Actelion Pharmaceuticals)として市販で入手できる製剤に基づいている。
一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、ケーキまたは粉剤を提供するために凍結乾燥(フリーズドライ)プロセスを受ける場合がある。したがって、本発明の別の態様は、凍結乾燥後の薬学的組成物に関する。凍結乾燥混合物は、本明細書に記載のrhGAA(例えば、ATB200)、クエン酸塩、リン酸塩およびこれらの組合せからなる群から選択されるバッファー、およびトレハロース、マンニトール、ポリソルベート80およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含み得る。一部の実施形態では、他の成分(例えば、他の賦形剤)は、凍結乾燥混合物に加えられてよい。凍結乾燥製剤を含む薬学的組成物は、保存、輸送、再構成および/または患者に投与され得るバイアルで提供され得る。
VI.処置方法
A.疾患の処置
本発明の別の態様は、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物を投与することによるグリコーゲン貯蔵調節不全に関する疾患または障害の処置の方法に関する。一部の実施形態では、疾患はポンペ病(酸性マルターゼ欠損症(AMD)およびグリコーゲン貯蔵疾患II型(GSD II)としても周知)である。一部の実施形態では、rhGAAはATB200である。一部の実施形態では、薬学的組成物はATB200を含む。
本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、適切な経路によって投与される。一実施形態では、rhGAAまたは薬学的組成物は、静脈内投与される。他の実施形態では、rhGAAまたは薬学的組成物は、心臓もしくは骨格筋(例えば、筋肉内)または神経系(例えば、脳;脳室内;髄腔内への直接注射)などの標的組織に直接投与される。一部の実施形態では、rhGAAまたは薬学的組成物は、経口投与される。必要に応じて、1つより多い経路が同時に使用され得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の治療効果は、次の評価基準:(1)心臓の状態(例えば、拡張終期および/または収縮末期体積の増加またはGSD−IIにおいて典型的に見出される進行性心臓ミオパシーの低減、改善もしくは予防)、(2)肺機能(例えば、ベースライン能力を超える啼泣時肺活量における増加、および/または啼泣時の酸素飽和度の正常化)、(3)神経発達および/または運動技能(例えば、AIMSスコアの増加)、ならびに(4)疾患を罹患している個体の組織におけるグリコーゲンレベルの低減、の1つまたは複数に基づいて評価され得る。
一部の実施形態では、対象の心臓の状態は、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)改善される。対象の心臓の状態は、拡張終期および/もしくは収縮末期体積を測定することによって、ならびに/または心臓ミオパシーを臨床的に評価することによって評価され得る。一部の実施形態では、対象の肺機能は、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)改善される。ある特定の実施形態では、改善は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に達成される。ある特定の実施形態では、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に対象の肺機能を改善する。
一部の実施形態では、対象の肺機能は、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)改善される。対象の肺機能は、ベースライン能力を超える啼泣時肺活量、および/または啼泣時の酸素飽和度の正常化によって評価され得る。一部の実施形態では、対象の肺機能は、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)改善される。ある特定の実施形態では、改善は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に達成される。ある特定の実施形態では、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に対象の肺機能を改善する。
一部の実施形態では、対象の神経発達および/または運動技能は、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)改善される。対象の神経発達および/または運動技能はAIMSスコアを決定することによって評価され得る。AIMSは、臨床医が管理し、スコア化する12項目の固定スケールである(Rush JA Jr.、Handbook of Psychiatric Measures,American Psychiatric Association、2000、166〜168を参照されたい)。項目1〜10は、5点の固定スケールで等級付けられる。項目1〜4は、口腔顔面運動を評価する。項目5〜7は、体肢および躯幹ジスキネジアを扱う。項目8〜10は、試験者によって判断される全体的な重症度、ならびに患者の動作の認識およびそれに伴う困難を扱う。項目11〜12は、歯および/または義歯に伴う問題(そのような問題は、ジスキネジアの誤診を生じる場合がある)に関するはい/いいえ質問である。一部の実施形態では、対象の神経発達および/または運動技能は、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)改善される。ある特定の実施形態では、改善は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に達成される。ある特定の実施形態では、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に対象の神経発達および/または運動技能を改善する。
一部の実施形態では、対象のある特定の組織のグリコーゲンレベルは、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)低減される。一部の実施形態では、組織は四頭筋、三頭筋および腓腹筋などの筋肉である。組織のグリコーゲンレベルは、当該技術分野で周知の方法を使用して分析され得る。グリコーゲンレベルの決定は、アミログルコシダーゼ消化に基づいて十分周知であり:Amalfitanoら(1999)、「Systemic correction of the muscle disorder glycogen storage disease type ii after hepatic targeting of a modified adenovirus vector encoding human acid−alphaglucosidase」、Proc Natl Acad Sci USA、96:8861〜8866などの刊行物に記載されている。一部の実施形態では、対象の筋肉中のグリコーゲンレベルは、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)低減される。ある特定の実施形態では、低減は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に達成される。ある特定の実施形態では、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に対象の筋肉中のグリコーゲンレベルを低減する。
B.バイオマーカー
尿中ヘキソース四糖(Hex4)などの対象の筋線維におけるグリコーゲン蓄積のバイオマーカーは、ポンペ病を有する対象における酵素補充療法の治療効果を評価および比較するために使用され得る。一部の実施形態では、rhGAAまたはrhGAAを含む薬学的組成物のグリコーゲン蓄積への治療効果は、対象におけるHex4のレベルを測定することによって評価される。
クレアチンキナーゼ(CK)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)などの筋損傷または損傷のバイオマーカーは、ポンペ病を有する対象における酵素補充療法の治療効果を評価および比較するために使用され得る。一部の実施形態では、rhGAAまたはrhGAAを含む薬学的組成物の筋損傷への治療効果は、対象におけるCK、ALTおよび/またはASTのレベルを測定することによって評価される。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAまたはrhGAAを含む薬学的組成物の筋損傷への治療効果は、対象におけるCKのレベルを測定することによって評価される。
LAMP−1、LC3およびジスフェリンなどのバイオマーカーも、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の治療効果を評価および比較するために使用され得る。ポンペ病では、リソソームグリコーゲンを加水分解するGAAの欠如は一部の組織においてグリコーゲンで満たされた大きなリソソームの異常な蓄積を生じる(Rabenら、JBC 273:19086〜19092、1998)。ポンペ病のマウスモデルでの研究は、骨格筋における肥大リソソームは、器質的能力の低減を十分に説明できず、分解された筋原線維を含有する大きな封入体の存在(すなわち、オートファジーのビルドアップ)が筋肉機能の障害に寄与していることを示している(Rabenら、Humanmol Genet 17:3897〜3908、2008)。報告は、オートファジー流動の障害がポンペ患者における不十分な治療転帰に関連することも示唆している(Nascimbeniら、Neuropathology and Applied Neurobiology doi:10.1111/nan.12214、2015;Fukudaら、Mol Ther 14:831〜839、2006)。加えて、遅発性ポンペ病は、重症度の異なる30を超える遺伝的に定義された亜型を含む遺伝子的に不均一な神経筋疾患の群である、未分類肢帯型筋ジストロフィー(LGMDs)においてよく見られる(Preislerら、Mol Genet Metab 110:287〜289、2013)。IHC検査は、Gaa KOマウスの骨格筋線維中のジスフェリンの筋形質での実質的に上昇した存在を明らかにした。
種々の周知の方法が、そのようなバイオマーカーの遺伝子発現レベルおよび/またはタンパク質レベルを測定するために使用され得る。例えば、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物を用いて処置された対象由来の試料は、組織、具体的には筋肉の生検などで得ることができる。一部の実施形態では、試料は対象の筋肉の生検である。一部の実施形態では、筋肉は、四頭筋、三頭筋および腓腹筋から選択される。対象から得られた試料は、そのようなバイオマーカーを検出する1つもしくは複数の抗体または他の検出剤を用いて染色されてよい、あるいは質量分析によって同定および定量されてよい。試料は、例えばRT−qPCR法を介して、バイオマーカーをコードするmRNAなどの核酸の存在を検出するためにも、または代替的に処理されてよい。
一部の実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーの遺伝子発現レベルおよび/またはタンパク質レベルは、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物を用いる処置に先行しておよび後に個体から得られる筋生検において測定される。一部の実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーの遺伝子発現レベルおよび/またはタンパク質レベルは、ビヒクルを用いて処置された個体から得られる筋生検において測定される。一部の実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーの遺伝子発現レベルおよび/またはタンパク質レベルは、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)低減される。一部の実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーの遺伝子発現レベルおよび/またはタンパク質レベルは、ビヒクルを用いて処置された対象のものまたは処置に先行する対象のものと比較して、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物の1つまたは複数の投薬量の投与後に、10%、20%、30%、40%または50%(またはこの間の任意の百分率)低減される。ある特定の実施形態では、低減は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に達成される。ある特定の実施形態では、ATB200またはATB200を含む薬学的組成物は、投与から1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月またはそれを超えた(またはその間の任意の期間)後に1つまたは複数のバイオマーカーの遺伝子発現レベルおよび/またはタンパク質レベルを低減する。
C.rhGAAの投薬量
薬学的製剤または再構成組成物は、治療的有効量(例えば、一定間隔で投与される場合、疾患に関連する症候を改善する、疾患の発症を予防するもしくは遅らせる、および/または疾患の症候の重症度もしくは頻度を軽減する、などの疾患を処置するために十分である投薬量)で投与される。疾患の処置において治療有効である量は、疾患の影響の性質および程度に応じる場合があり、標準的臨床技術によって決定され得る。加えて、インビトロまたはインビボアッセイは、最適投薬範囲を同定することを補助するために任意選択で使用され得る。少なくとも1つの実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたはrhGAAを含む薬学的組成物は、約5mg/kgから約30mg/kg、典型的には約5mg/kgから約20mg/kgなどの約1mg/kgから約100mg/kgの用量で投与される。少なくとも1つの実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kgまたは約100mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、rhGAAは、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、50mg/kg、75mg/kgまたは100mg/kgの用量で投与される。少なくとも1つの実施形態では、rhGAAまたは薬学的組成物は、約20mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、rhGAAまたは薬学的組成物は、薬理的シャペロンと同時にまたは連続的に投与される。一部の実施形態では、薬理的シャペロンはミグルスタットである。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、約260mgの経口用量として投与される。具体的な個体のための有効用量は、経時的に、個体の必要性に応じて変動(例えば、増加または減少)する場合がある。例えば、身体的疾患もしくはストレスの時期、または抗酸性αグルコシダーゼ抗体が存在するようになるもしくは増加する場合、または病徴が悪化した場合、量は増加されてよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の治療有効用量は、従来のrhGAA産生物のものより低い。例えば従来のrhGAA産生物の治療有効用量が20mg/kgである場合、従来のrhGAA産生物と同じまたはより良好な治療効果を生じるために必要な本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の用量は、20mg/kgより低い。治療効果は、上で考察した1つまたは複数の評価基準(例えば、心臓の状態、グリコーゲンレベルまたはバイオマーカー発現)に基づいて評価され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の治療有効用量は、従来のrhGAA産生物のものより少なくとも約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはこれを超えて低い。
一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の治療効果は、運動機能における改善、筋力(上半身、下半身または全身)における改善、肺機能における改善、疲労低下、筋損傷の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルの低減、グリコーゲン蓄積の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルの低減またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の治療効果は、筋線維におけるリソソーム病理学の逆転、筋線維でのグリコーゲン含有量のより速いおよび/またはより効果的な低減、6分間歩行検査距離の増加、タイムドアップアンドゴー検査時間の減少、4段上り検査時間の減少、10メートル歩行検査時間の減少、歩行−段−ガワー−椅子スコアの減少、上肢強度の増加、肩内転の改善、肩外転の改善、肘屈曲の改善、肘伸展の改善、上半身強度の改善、下半身強度の改善、全身強度の改善、直立位(座位)努力肺活量の改善、最大呼気圧の改善、最大吸気圧における改善、疲労重症度スケールスコアの減少、尿中ヘキソース四糖レベルの低減、クレアチンキナーゼレベルの低減、アラニンアミノトランスフェラーゼレベルの低減、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベルの低減、またはこれらの組合せを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、同じ用量で投与された場合に、従来のrhGAA産生物よりも速く所望の治療効果を達成する。治療効果は、上で考察した1つまたは複数の評価基準(例えば、心臓の状態、グリコーゲンレベルまたはバイオマーカー発現)に基づいて評価され得る。例えば、従来のrhGAA産生物の単一用量が処置された個体の組織におけるグリコーゲンレベルを1週間で10%減少させる場合、同じ用量の本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物が投与されると、同じ程度の低減は1週間未満で達成され得る。一部の実施形態では、同じ用量で投与する場合、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、従来のrhGAA産生物より少なくとも約1.25、1.5、1.75、2.0、3.0またはこれを超えて速く所望の治療効果を達成できる。
一部の実施形態では、rhGAA(またはrhGAAを含む組成物もしくは医薬)の治療的有効量は、1回より多く投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、疾患の影響の性質および程度に応じて一定の間隔で、および継続的に投与される。本明細書において使用される場合「一定間隔での」投与は、治療的有効量が定期的に投与される(1回だけの用量とは区別される)ことを示す。間隔は、標準的臨床技術によって決定され得る。ある特定の実施形態では、rhGAAは、2カ月に1回、1カ月に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回または毎日投与される。一部の実施形態では、rhGAAは、1週間に2回、毎週または1週間おきに静脈内投与される。単一の個体ための投与間隔は、固定された間隔でなくてもよく、個体の必要に応じて経時的に変動する場合がある。例えば、身体的疾患もしくはストレスの時期、または抗rhGAA抗体が存在するようになるもしくは増加する場合、または病徴が悪化した場合、投与間の間隔は減少されてよい。
一部の実施形態では、同じ用量で使用される場合、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、従来のrhGAA産生物よりも低い頻度で投与されてよく、従来のrhGAA産生物と同じまたはより良好な治療効果をさらに産生できる。例えば、従来のrhGAA産生物が20mg/kgで毎週投与される場合、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、rhGAAまたは薬学的組成物がより低い頻度、例えば2週間に1回または毎月で投与されても、20mg/kgで投与される場合の従来のrhGAA産生物と同じまたはより良好な治療効果を産生できる。治療効果は、上で考察した1つまたは複数の評価基準(例えば、心臓の状態、グリコーゲンレベルまたはバイオマーカー発現)に基づいて評価され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物の2用量の間の間隔は、従来のrhGAA産生物のものより長い。一部の実施形態では、rhGAAまたは薬学的組成物の2つの用量間の間隔は、従来のrhGAA産生物のものより少なくとも約1.25、1.5、1.75、2.0、3.0倍またはこれを超えて長い。
一部の実施形態では、同じ処置条件下(例えば、同じ間隔で投与される同じ用量)で、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、従来のrhGAA産生物によって提供されるよりも優れた程度で治療効果を提供する。治療効果は、上で考察した1つまたは複数の評価基準(例えば、心臓の状態、グリコーゲンレベルまたはバイオマーカー発現)に基づいて評価され得る。例えば、毎週20mg/kgで投与される従来のrhGAA産生物と比較して、毎週20mg/kgで投与されるrhGAAまたは薬学的組成物は、処置される個体の組織におけるグリコーゲンレベルをさらに高い程度に低減できる。一部の実施形態では、同じ処置条件下で投与される場合、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物は、従来のrhGAA産生物のものより少なくとも約1.25、1.5、1.75、2.0、3.0倍またはこれを超えて大きい治療効果を提供する。
D.併用療法
1つまたは複数の実施形態では、本明細書に記載のrhGAAまたはrhGAAを含む薬学的組成物は、薬理的シャペロンと同時にまたは連続的に投与される。一部の実施形態では、rhGAAまたは薬学的組成物は、薬理的シャペロンとは異なる経路を介して投与される。例えば薬理的シャペロンは、経口投与される一方でrhGAAまたは薬学的組成物は、静脈内投与される。
種々の実施形態では、薬理的シャペロンはミグルスタットである。一部の実施形態では、ミグルスタットは、約50mgから約600mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、約200mgから約600mgの経口用量で、または約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mgもしくは約600mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、約233mgから約500mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、約250から約270mgの経口用量で、または約250mg、約255mg、約260mg、約265mgもしくは約270mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、約260mgの経口用量で投与される。
約200mgから600mgの範囲またはその任意のより少ない範囲内のミグルスタットの経口用量が、彼/彼女の体重に応じて成人患者に好適であり得ることは当業者によって理解される。例えば、これだけに限らないが乳児、小児(children)または低体重成人を含む約70kgより顕著に低い体重を有する患者のために、医師によって少ない用量が適切であるとして検討され得る。したがって、少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、約50mgから約200mgの経口用量で、または約50mg、約75mg、約100mg、125mg、約150mg、約175mgもしくは約200mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは約65mgから約195mgの経口用量で、または約65mg、約130mgもしくは約195mgの経口用量で投与される。
一部の実施形態では、rhGAAは約5mg/kgから約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットは約50mgから約600mgの用量で経口投与される。一部の実施形態では、rhGAAは約5mg/kgから約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットは約50mgから約200mgの用量で経口投与される。一部の実施形態では、rhGAAは約5mg/kgから約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットは約200mgから約600mgの用量で経口投与される。一部の実施形態では、一部の実施形態では、rhGAAは約5mg/kgから約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットは約233mgから約500mgの用量で経口投与される。一実施形態では、rhGAAは約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットは約260mgの用量で経口投与される。
一部の実施形態では、ミグルスタットおよびrhGAAは、同時に投与される。例えば、ミグルスタットは、rhGAAの投与の前または後の10、9、8、7、6、5、4、3、2または1分間以内に投与され得る。一部の実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与の前または後の5、4、3、2または1分間以内に投与される。
一部の実施形態では、ミグルスタットおよびrhGAAは、連続的に投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与に先行して投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与に3時間未満先行して投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与に約2時間先行して投与される。例えば、ミグルスタットは、rhGAAの投与に約1.5時間、約1時間、約50分間、約30分間または約20分間先行して投与され得る。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与に約1時間先行して投与される。
一部の実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与後に投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与後3時間以内に投与される。少なくとも1つの実施形態では、ミグルスタットは、rhGAAの投与後2時間以内に投与される。例えば、ミグルスタットは、rhGAAの投与後約1.5時間、約1時間、約50分間、約30分間または約20分間以内に投与される。
一部の実施形態では、対象は、ミグルスタットの投与前少なくとも2時間および後少なくとも2時間絶食する。
E.キット
本発明の別の態様は、本明細書に記載のrhGAAまたは薬学的組成物を含むキットに関する。1つまたは複数の実施形態では、キットは、rhGAAまたは薬学的組成物(凍結乾燥前または後のいずれか)および再構成、希釈および投与のための説明書を含む容器(例えば、バイアル、チューブ、袋など)を含む。
実施例1:モノまたはビス−M6P保有N−グリカンを高含有量で有するrhGAAを産生するCHO細胞の調製
DG44 CHO(DHFR−)細胞をrhGAAを発現するDNAコンストラクトを用いてトランスフェクトした。DNAコンストラクトを図4に示す。トランスフェクション後、安定に組み込まれたGAA遺伝子を含有するCHO細胞をヒポキサンチン/チミジン欠乏性(−HT)培地)を用いて選択した。これらの細胞でのGAA発現をメトトレキサート処置(MTX、500nM)によって誘導した。
多量のGAAを発現する細胞プールをGAA酵素活性アッセイによって同定し、rhGAAを産生する個々のクローンを確立するために使用した。個々のクローンを半流動性培地プレート上で生成し、ClonePix系によって採取し、24ディープウエルプレートに移した。個々のクローンを高レベルのGAAを発現しているクローンを同定するためにGAA酵素活性についてアッセイした。GAA活性を決定するための条件培地は、4−MU−α−グルコシダーゼ基質を使用した。GAA酵素アッセイによって測定した高レベルのGAAを産生するクローンを、生存率、増殖力、GAA産生力、N−グリカン構造および安定タンパク質発現についてさらに評価した。モノ−M6Pまたはビス−M6P N−グリカンが増強されたrhGAAを発現しているCHO細胞株GA−ATB200を含むCHO細胞株を、この手順を使用して単離した。
実施例2:rhGAAの精製
本発明によるrhGAAの複数のバッチをCHO細胞株GA−ATB200を使用して振盪フラスコにおいておよび灌流バイオリアクターにおいて産生し、その産生物を「ATB200」と称する。弱陰イオン交換(「WAX」)液体クロマトグラフィーを末端リン酸塩およびシアル酸によりATB200 rhGAAを分画するために使用した。溶出プロファイルを塩の量を増加させてERTを溶出することによって生成した。プロファイルをUV(A280nm)によってモニターした。同様のCIMPR受容体結合(少なくとも約70%)プロファイルをさまざまな産生バッチ由来の精製ATB200 rhGAAについて観察し(図5)、ATB200 rhGAAが持続的に産生され得ることを示している。
実施例3:ATB200 rhGAAのオリゴ糖特徴づけ
ATB200 rhGAAをさまざまなLC−MS/MS分析技術を使用して部位特異的N−グリカンプロファイルについて分析した。最初の2種のLC−MS/MS法の結果を図6A〜6Hに示す。第3のLC−MS/MS法の結果を2−AAグリカンマッピングと共に図32A〜32H、図33A〜33Bおよび表5に示す。
第1のLC−MS/MS分析では、タンパク質をLC−MS/MS分析に先行して変性、還元、アルキル化および消化した。タンパク質変性および還元の間に、200μgのタンパク質試料、5μLの1mol/Lトリス−HCl(最終濃度50mM)、75μLの8mol/LグアニジンHCl(最終濃度6M)、1μLの0.5mol/L EDTA(最終濃度5mM)、2μLの1mol/L DTT(最終濃度20mM)およびMilli−Q(登録商標)水を1.5mLチューブに合計体積100μLになるように加えた。試料を混合し、56℃、30分間ドライバスでインキュベートした。アルキル化の間に、変性および還元したタンパク質試料を5μLの1mol/Lヨードアセトアミド(IAM、最終濃度50mM)と混合し、次いで10〜30℃、暗所で、30分間インキュベートした。アルキル化後、400μLの予め冷却したアセトンを試料に加え、混合物を−80℃冷却で4時間凍結した。次いで試料を5分間、13000rpm、4℃で遠心分離し、上清を除去した。400μLの予め冷却したアセトンをペレットに加え、次いで5分間、13000rpm、4℃で遠心分離し、上清を除去した。次いで試料を氷上、暗所で空気乾燥し、アセトン残留物を除去した。40マイクロリットルの8M尿素および160μLの100mM NHHCOを試料に加えてタンパク質を溶解させた。トリプシン消化の間に、次いで50μgのタンパク質に最終体積100μLまでトリプシン消化バッファーを加え、5μLの0.5mg/mLトリプシン(タンパク質対酵素の比20/1 w/w)を加えた。溶液を十分混合し、一晩(16±2時間)、37℃でインキュベートした。2.5マイクロリットルの20%TFA(最終濃度0.5%)を加えて反応をクエンチした。次いで試料をThermo Scientific(商標)Orbitrap Velos Pro(商標)Mass Spectrometerを使用して分析した。
第2のLC−MS/MS分析では、ATB200試料は、ヨード酢酸(IAA)をIAMの代わりにアルキル化剤として使用したことを除いて、同様の変性、還元、アルキル化および消化手順により調製し、次いでThermo Scientific(商標)Orbitrap Fusion(商標)Lumos Tribid(商標)Mass Spectrometerを使用して分析した。
第1のおよび第2の分析の結果を図6A〜6Hに示す。図6A〜6Hでは、第1の分析の結果が左のバー(暗灰色)によって表され、第2の分析からの結果が右のバー(明灰色)によって表されている。グリカン提示についての記号の命名は、Varki,A.、Cummings,R.D.、Esko J.D.ら、Essentials of Glycobiology、第2版(2009)に従う。
図6A〜6Hから見られるとおり、2つの分析は、結果の間にいくらかの変動はあるが同様の結果を提供した。この変動は、使用した装置およびN−グリカン分析の完全性を含む多数の要因による可能性がある。例えば、リン酸化N−グリカンの一部の分子種が同定されなかった、および/または定量されなかった場合、それによりリン酸化N−グリカンの総数は過小評価され、その部位にリン酸化N−グリカンを保有するrhGAAの百分率は、過少評価される可能性がある。別の例として、非リン酸化N−グリカンの一部の分子種が同定されなかった、および/または定量されなかった場合、それにより非リン酸化N−グリカンの総数は過小評価され、その部位にリン酸化N−グリカンを保有するrhGAAの百分率は、過大評価される可能性がある。
図6Aは、ATB200のN−グリコシル化部位占有率を示している。図6Aに見られるとおり、両方の分析が、90%付近または超えるおよび約100%までのATB200酵素が各潜在的N−グリコシル化部位に検出されるN−グリカンを有することを検出して、第1の、第2の、第3の、第4の、第5のおよび第6のN−グリコシル化部位は、大部分が占有されている。しかし、第7の潜在的N−グリコシル化部位は、約半分の時間でN−グリコシル化されている。
図6Bは、第1の潜在的N−グリコシル化部位N84のN−グリコシル化プロファイルを示している。図6Bに見られるとおり、主なN−グリカン分子種は、ビス−M6P N−グリカンである。第1のおよび第2の両方の分析は、75%を超えるATB200がビス−M6Pを第1の部位に有することを検出し、第1の部位でのATB200 1molあたり約0.8molビス−M6Pの平均に対応する。
図6Cは、第2の潜在的N−グリコシル化部位N177のN−グリコシル化プロファイルを示している。図6Cに見られるとおり、主なN−グリカン分子種は、モノ−M6P N−グリカンおよび非リン酸化高マンノースN−グリカンである。第1のおよび第2の両方の分析は、40%を超えるATB200がモノ−M6Pを第2の部位に有することを検出し、第2の部位でのATB200 1molあたり約0.4から約0.6molモノ−M6Pの平均に対応する。
図6Dは、第3の潜在的N−グリコシル化部位N334のN−グリコシル化プロファイルを示している。図6Dに見られるとおり、主なN−グリカン分子種は、非リン酸化高マンノースN−グリカン、二、三および四分岐複合N−グリカンならびにハイブリッドN−グリカンである。第1のおよび第2の両方の分析は、20%を超えるATB200がシアル酸残基を第3の部位に有することを検出し、第3の部位でのATB200 1molあたり約0.9から約1.2molシアル酸の平均に対応する。
図6Eは、第4の潜在的N−グリコシル化部位N414のN−グリコシル化プロファイルを示している。図6Eに見られるとおり、主なN−グリカン分子種は、ビス−M6Pおよびモノ−M6P N−グリカンである。第1のおよび第2の両方の分析は、40%を超えるATB200がビス−M6Pを第4の部位に有することを検出し、第4の部位でのATB200 1molあたり約0.4から約0.6molビス−M6Pの平均に対応する。第1のおよび第2の両方の分析は、25%を超えるATB200がモノ−M6Pを第4の部位に有することも検出し、第4の部位でのATB200 1molあたり約0.3から約0.4molモノ−M6Pの平均に対応する。
図6Fは、第5の潜在的N−グリコシル化部位N596のN−グリコシル化プロファイルを示している。図6Fに見られるとおり、主なN−グリカン分子種は、フコシル化二分岐複合N−グリカンである。第1のおよび第2の両方の分析は、70%を超えるATB200がシアル酸残基を第5の部位に有することを検出し、第5の部位でのATB200 1molあたり約0.8から約0.9molシアル酸の平均に対応する。
図6Gは、第6の潜在的N−グリコシル化部位N826のN−グリコシル化プロファイルを示している。図6Gに見られるとおり、主なN−グリカン分子種は、二、三および四分岐複合N−グリカンである。第1のおよび第2の両方の分析は、80%を超えるATB200がシアル酸残基を第6の部位に有することを検出し、第6の部位でのATB200 1molあたり約1.5から約1.8molシアル酸の平均に対応する。
第7の部位N869でのN−グリコシル化の分析は、最も一般的なN−グリカンがA4S3S3GF(12%)、A5S3G2F(10%)、A4S2G2F(8%)およびA6S3G3F(8%)である、およそ40% N−グリコシル化を示した。
図6Hは、7個の潜在的N−グリコシル化部位それぞれでのリン酸化の概要を示している。図6Hにおいて見られるとおり、第1のおよび第2の両方の分析は、第1の、第2のおよび第4の潜在的N−グリコシル化部位で高いリン酸化レベルを検出した。両分析は、80%を超えるATB200が第1の部位でモノまたはビス−リン酸化されており、40%を超えるATB200が第2の部位でモノ−リン酸化されており、80%を超えるATB200が第4の部位でモノ−またはビス−リン酸化されていることを検出した。
ATB200の別のN−グリコシル化分析を下に記載のLC−MS/MS法により実施した。この分析は、10ロットのATB200にわたる平均N−グリコシル化プロファイルをもたらした(図32A〜32H、図33A〜33B)。
ATB200由来のN−結合グリカンをPNGase−Fを用いて酵素的に遊離し、2−アントラニル酸(2−AA)を用いて標識した。2−AA標識N−グリカンを固体相抽出(SPE)によってさらに処理して、過剰な塩および他の夾雑物を除去した。精製した2−AA N−グリカンをアセトニトリル/水(20/80;v/v)に溶解し、10マイクログラムを、蛍光検出(HPLC−FLD)および高分解能質量分析(HRMS)分析を備えた高速液体クロマトグラフィー用のアミノポリマー分析用カラム(apHera(商標)、Supelco)にローディングした。
液体クロマトグラフィー(LC)分離を移動相A(アセトニトリル中2%酢酸)および移動相B(水中、5%酢酸;20ミリモル酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウムを用いてpH4.3に調整)を用いる勾配溶出様式の順相条件下で実施した。開始移動相組成は、70%A/30%Bであった。蛍光検出のために、検出機(RF−20Axs、Shimadzu)に関するパラメーターは、励起(Ex):320nm;発光(Em):420nmであった。HRMS分析をQuadrupole Time of Flight mass spectrometer(Sciex X500B QTOF)を使用してIndependent Data Acquisition(IDA)モードで運用して実行した。取得したデータファイルを、ProteoWizardからのMSConvertを使用してmzMLファイルに変換し、次にGRITS Toolbox 1.2 Morning Blend software(UGA)をグリカンデータベース検索および次の同定したN−グリカンのアノテーションのために利用した。N−グリカンを前駆体モノアイソトピック質量(m/z)および産生物イオンm/zの両方を使用して同定した。実験的産生物イオンおよび断片化パターンをGlycoWorkbench 2アプリケーションを使用してコンピューター内で確認した。
ATB200由来のN−結合グリカンの相対量を決定するために、HPLC−FLD−QTOF MS/MS実験から取得されたデータを次のとおり処理した。FLDクロマトグラム中のすべてのN−グリカンピークを積分し、各ピークにFLDクロマトグラム中のすべてのピークの合計面積の百分率を割り当てた。ピーク面積として表される蛍光性シグナルは試料中の各N−グリカンの量の定量測定値である(図33A)。しかし、ほとんどの場合では複数のN−グリカン分子種は、同じFLDピークに含有された。したがって、質量分析計データも各N−グリカン分子種の相対定量を得るために必要であった(表5)。各N−グリカンについてのイオン強度シグナルを抽出物イオンクロマトグラム(XIC)と呼ばれるクロマトグラフィーピークを作成するためにデータから「抽出した」。XICを、FLDクロマトグラフィーピークと位置を合わせ、1つだけのN−グリカン分子種に特異的であった。イオン強度シグナルから作成したXICピークを次いで積分し、このピーク面積が、存在するグリカンの量の相対的定量測定である。FLDピーク面積および質量分析計XICピーク面積の両方を本明細書に報告するATB200のすべてのN−結合グリカン分子種の相対的定量を可能にするために使用した。
このLC−MS/MS分析の結果を、下の表5に提供する。グリカン提示のための記号の命名は、次に従う。Wopereis Wら、2006.Abnormal glycosylation with hypersialylated O−glycans in patients with Sialuria.Biochimica et Biophysica Acta.1762:598〜607;Gornik Oら、2007.Changes of serum glycans during sepsis and acute pancreatitis.Glycobiology.17:1321〜1332 https://doi.org/10.1093/glycob/cwm106;Kattla JJら、2011.Biologic protein glycosylation.In: Murray Moo−Young(編)、Comprehensive Biotechnology、第2版、3:467〜486;Tharmalingam−Jaikaran Tら、N−glycan profiling of bovine follicular fluid at key dominant follicle developmental stages.2014.Reproduction.148:569〜580;Clerc Fら、Human plasma protein N−glycosylation.2015.Glycoconj J.DOI 10.1007/s10719−015−9626−2;およびBlackler RJら、2016.Single−chain antibody−fragment M6P−1 possesses a mannose 6−phosphate monosaccharide−specific binding pocket that distinguishes N−glycan phosphorylation in a branch−specific manner.Glycobiology.26〜2:181〜192.
この2−AAおよびLC−MS/MS分析に基づいて、および図33Cにさらに要約するとおり、検査したATB200は、1molのATB200あたり3〜5molの平均M6P含有量(モノ−M6Pおよびビス−M6Pの両方に対して)および1molのATB200あたり4〜7molのシアル酸含有量を有する。
図32A〜32Hに示し、図33Bに要約するとおり、ATB200の第1の潜在的N−グリコシル化部位は約1.4mol M6P/mol ATB200の平均M6P含有量を有し、約0.25molモノ−M6P/mol ATB200の平均モノ−M6P含有量および約0.56molビス−M6P/mol ATB200の平均ビス−M6P含有量の主要因である;ATB200の第2の潜在的N−グリコシル化部位は、主なリン酸化N−グリカン分子種がモノ−M6P N−グリカンであって約0.5mol M6P/mol ATB200の平均M6P含有量を有する;ATB200の第3の潜在的N−グリコシル化部位は、約1molシアル酸/mol ATB200の平均シアル酸含有量を有する;ATB200の第4の潜在的N−グリコシル化部位は、約1.4mol M6P/mol ATB200の平均M6P含有量を有し、約0.35molモノ−M6P/mol ATB200の平均モノ−M6P含有量および約0.52molビス−M6P/mol ATB200の平均ビス−M6P含有量の主要因である;ATB200の第5の潜在的N−グリコシル化部位は、約0.86molシアル酸/mol ATB200の平均シアル酸含有量を有する;ATB200の第6の潜在的N−グリコシル化部位は、約4.2molシアル酸/mol ATB200の平均シアル酸含有量を有する;ならびにATB200の第7の潜在的N−グリコシル化部位は、約0.86molシアル酸/pol ATB200の平均シアル酸含有量を有する。
同様にこの2−AAおよびLC−MS/MS分析技術により、ATB200の第1の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの平均で約65%は高マンノースN−グリカンであり、ATB200の第2の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの約89%は高マンノースN−グリカンであり、ATB200の第3の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの過半数はシアル化(およそ20%が完全シアル化)されており、ATB200の第3の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの約85%は複合N−グリカンであり、ATB200の第4の潜在的N−グリコシル化部位での約84%のN−グリカンは、高マンノースN−グリカンであり、ATB200の第5の潜在的N−グリコシル化部位での約70%のN−グリカンはシアル化(約26%は完全シアル化)されており、ATB200の第5の潜在的N−グリコシル化部位での約100%のN−グリカンは複合N−グリカンであり、ATB200の第6の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの約85%はシアル化(27%近くは完全シアル化)されており、ATB200の第6の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの約98%は複合N−グリカンであり、ATB200の第7の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの約87%はシアル化(8%近くは完全シアル化)されており、ATB200の第7の潜在的N−グリコシル化部位でのN−グリカンの約100%は複合N−グリカンである。
実施例4:ATB200とMyozyme(登録商標)/Lumizyme(登録商標)との分析的比較
精製したATB200およびLumizyme(登録商標)N−グリカンを各ERTで見出される個々のN−グリカン構造を決定するためにMALDI−TOFによって評価した。Lumizyme(登録商標)は市販の供給源から得た。図7に示すとおり、ATB200は、Lumizyme(登録商標)の右に溶出される4つの突出したピークを示した。これは、この評価がCIMPR親和性よりも末端電荷によることから、ATB200がLumizyme(登録商標)よりも高い程度でリン酸化されたことを確認している。図8に要約する、Lumizyme(登録商標)よりもATB200試料は、少ない量の非リン酸化高マンノース型N−グリカンを含有することが見出された。
Myozyme(登録商標)およびLumizyme(登録商標)中の従来のrhGAAのCIMPRと相互作用する能力を評価するために、2つの従来のrhGAA調製物をCIMPR親和性カラム(M6P基を有するrhGAAに結合する)に注入し、素通り画分を回収した。結合した物質を遊離M6勾配を用いて溶出させた。画分を96ウエルプレートに回収し、4MU−α−グルコシダーゼ基質によってGAA活性をアッセイした。未結合(素通り画分)および結合(M6P溶出)rhGAAの相対量をGAA活性に基づいて決定し、総酵素の割合として報告した。図9Aおよび9Bは、Myozyme(登録商標)およびLumizyme(登録商標)中のrhGAAの結合プロファイルを示している:Myozyme(登録商標)中の73%のrhGAA(図9B)およびLumizyme(登録商標)中の78%のrhGAA(図9A)は、CIMPRに結合しなかった。実際に、Myozyme(登録商標)中の27%だけのrhGAAおよびLumizyme(登録商標)中の22%のrhGAAが、筋細胞上のCIMPRにそれを標的化するために生産的である可能性があるM6Pを含有した。対照的に図5に示すとおり、同じ条件下でATB200中の70%を超えるrhGAAがCIMPRに結合することが見出された。
CIMPRに結合できるrhGAAのより高い百分率を有することに加えて、その相互作用の質を理解することは重要である。Lumizyme(登録商標)およびATB200受容体結合をCIMPRプレート結合アッセイを使用して決定した。簡潔にはCIMPRコートプレートをGAAを捕捉するために使用した。種々の濃度のrhGAAを固定した受容体に適用し、未結合rhGAAを洗い落とした。残ったrhGAAの量をGAA活性によって決定した。図10Aに示すとおり、ATB200は、Lumizyme(登録商標)よりも顕著に良好にCIMPRに結合した。図10Bは、Lumizyme(登録商標)(従来のrhGAA産生物)および本発明によるATB200中のビス−M6P N−グリカンの相対含有量を示している。Lumizyme(登録商標)について、平均で10%の分子だけがビス−リン酸化N−グリカンを有する。対照的に、平均でATB200中のすべてのrhGAA分子が少なくとも1つのビス−リン酸化N−グリカンを有する。
全体的に、Lumizyme(登録商標)においてよりもATB200におけるM6P N−グリカンの高い含有量は、ATB200中のrhGAA分子のより多い部分が筋細胞を標的化できることを示している、上に示すとおり、MALDIによって決定されたモノ−リン酸化およびビス−リン酸化構造の高い百分率は、ATB200のCIMPR受容体への顕著に高い結合を例示しているCIMPRプロファイルと一致する。MALDI−TOF質量分析を介するN−グリカン分析は、平均で各ATB200分子が少なくとも1つの天然ビス−M6P N−グリカン構造を含有することを確認した。ATB200でのこの高いビス−M6P N−グリカン含有量は、M6P受容体プレート結合アッセイでのCIMPRへの高い親和性結合と直接関連する(K約2〜4nM)。
ATB200およびLumizyme(登録商標)rhGAAの相対的細胞取り込みを正常およびポンペ線維芽細胞細胞株を使用して比較した。比較は、本発明による5〜100nMのATB200と10〜500nMの従来のrhGAA産生物Lumizyme(登録商標)とに関した。16時間インキュベーション後、外部のrhGAAをTRIS塩基を用いて不活性化し、細胞を回収の前にPBSを用いて3回洗浄した。内部移行したGAAを4MU−α−グルコシド加水分解によって測定し総細胞内タンパク質と比較してグラフ化し、結果を図11A〜11Cに示す。
ATB200は、細胞に効率的に内部移行されることも示されている。図11A〜11Bに示すとおり、ATB200は、正常およびポンペ線維芽細胞の両方に内部移行され、従来のrhGAA産生物Lumizyme(登録商標)よりも高い程度で内部移行される。ATB200は、約20nMで細胞受容体を飽和状態にする一方で、約250nMのLumizyme(登録商標)が細胞受容体を飽和状態にするために必要である。これらの結果から推定される取り込み効率定数(Kuptake)は、図11Cによって示されるとおりATB200について2〜3nm、およびLumizyme(登録商標)について56nMである。これらの結果は、ATB200がポンペ病のための十分に標的化された処置であることを示唆している。
実施例5:ATB200および薬理的シャペロン
酸性または中性pHバッファー中でのATB200の安定性を、タンパク質が変性すると色素の蛍光が増加するSYPRO Orangeを使用する熱安定性アッセイにおいて評価した。図12に示すとおり、リソソームの酸性環境を模倣する条件pH5.2でのATB200の安定性と比較して、AT2221の添加は、ATB200をpH7.4で濃度依存的様式で安定化した。表6に要約するとおり、AT2221の添加は、ATB200の融解温度(T)を10C近く上昇させた。
実施例6:Gaa KOマウスでのATB200およびAT2221の同時投与
ATB200およびAT2221の治療効果をGaa KOマウスにおいて評価および、アルグルコシダーゼアルファに対して比較した。研究のためにオスGaa KO(3から4月齢)および同齢野生型(WT)マウスを使用した。アルグルコシダーゼアルファをボーラス尾静脈静脈内(IV)注射を介して投与した。同時投与レジメンでAT2221を経口経管栄養(PO)を介して、ATB200のIV注射に30分間先行して投与した。処置は、2週間に1回で与えた。処置マウスを最終投与14日後に屠殺し、種々の組織をさらなる分析のために回収した。表7は研究設計を要約している:
組織試料中の組織グリコーゲン含有量を上に考察のとおりアミログルコシダーゼ消化を使用して決定した。図13に示すとおり、20mg/kg ATB200と10mg/kg AT2221との併用は、4つの異なる組織(四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓)において同投薬量のアルグルコシダーゼアルファと比較してグリコーゲン含有量を顕著に低減させた。
次の:Khanna Rら(2012)、「The pharmacological chaperone AT2220 increases recombinant human acid α−glucosidase uptake and glycogen reduction in a mouse model of Pompe disease」、Plos One 7(7):e40776;およびKhanna,Rら(2014)、「The Pharmacological Chaperone AT2220 Increases the Specific Activity and Lysosomal Delivery of Mutant Acid α−Glucosidase,and Promotes Glycogen Reduction in a Transgenic Mouse Model of Pompe Disease」、PLoS ONE 9(7):e102092において考察されている方法に従って組織試料をバイオマーカー変化についても分析した。図14に示すとおり、リソソーム増殖の指標であるLAMP1−陽性ベシクルの顕著な増加および拡張がWTと比較してGaa KO動物の筋線維において見られた。ATB200/AT2221の同時投与は、標準化LAMP1レベルを有してさらなる線維をもたらし、一方残りのLAMP1−陽性ベシクルもサイズが低減していた(挿入図)。
同様に、未処置Gaa KOマウスの筋線維における著しいLC3−陽性凝集物は、オートファジーゾーンおよびオートファジービルドアップの存在を示している。LC3−陽性凝集物(赤)は、アルグルコシダーゼアルファを用いて処置したマウスと比較して、ATB200/AT2221同時投与を用いて処置したマウスにおいて選択的に低減していた(図15A)。同様の観察がLC3の発現をウェスタンブロットを使用して評価した場合にも見られた。図15Bに示すとおり、ATB200/AT2221を用いて処置した動物の大部分は、オートファジー流動の改善を示唆するオートファゴソームと関連する脂質付加形態、LC3 IIのレベルにおける顕著な減少を示した。対照的に、オートファジーへのアルグルコシダーゼアルファの効果は中程度であった。
膜修復に関与し、その欠乏/誤輸送が多数の筋ジストロフィーと関連するタンパク質、ジスフェリンも評価した。図16に示すとおり、ジスフェリン(茶)は、Gaa KOマウスの筋形質に重度に蓄積していた。アルグルコシダーゼアルファと比較して、ATB200/AT2221は、より多くの筋線維の筋細胞膜にジスフェリンを戻すことができた。
これらのデータは、ATB200およびミグルスタットを用いて処置したヒトポンペ病患者において実証された細胞レベルでの改善と一致し(例えば、患者はグリコーゲン蓄積および筋損傷のバイオマーカーのレベルの低減を示す)、ポンペ病の有効な処置だけでなく、疾患進行の逆転ももたらす。ヒトポンペ病患者での臨床データは、下の実施例8〜13に要約されている。
実施例7:単一線維分析
図17に示すとおり、ビヒクル処置マウスの大部分が大幅に肥大したリソソーム(緑)(、例えば「B」を参照されたい)、広範なオートファジーのビルドアップ(赤)(例えば「A」を参照されたい)の存在を示した。Myozyme(登録商標)処置マウスは、ビヒクル処置マウスと比較していかなる顕著な差異も示さなかった。対照的に、ATB200を用いて処置したマウスから単離したほとんどの線維は、劇的に減少したリソソームのサイズを示した(例えば「C」を参照されたい)。さらに、オートファジーのビルドアップを有する面積も種々の程度で低減した(例えば「C」を参照されたい)。結果として、ATB200処置マウス由来の分析した筋線維のかなりの部分(36〜60%)が、正常または正常に近いと考えられた。下の表8は、図17に示す単一線維分析を要約している。
全体としてデータは、高いM6P含有量を有するATB200は、単独および血液の中性pHでの薬理的シャペロンAT2221によるさらなる安定化の両方で、Gaa KOマウスに投与した場合にアルグルコシダーゼアルファと比較して、組織標的化およびリソソーム輸送においてさらに効率的であり、図18に示すAT2221によるATB200の安定化と一致することを示している。結果として、ATB200の投与およびATB200/AT2221の同時投与は、グリコーゲン蓄積、リソソーム増殖およびオートファジーゾーンの形成などの疾患関連病態の一部の矯正においてアルグルコシダーゼアルファよりも有効であった。これらの陽性治療効果により、ATB200およびATB200/AT2221同時投与の投与は、損傷からの筋線維の回復する機会を改善し、および最適なGAA活性の欠如により細胞中に蓄積したグリコーゲンをクリアすることにより損傷をさらに逆転させることが示されている。実施例6のとおり、これらのデータは、ATB200およびミグルスタットの投与後のポンペ病の有効な治療および疾患進行の逆転の両方ももたらす、ヒトポンペ病患者において実証された細胞レベルでの改善とも一致している。ヒトポンペ病患者における臨床データを下の実施例8〜13に要約する。
実施例8:ATB200−02治験:ポンペ病を有する患者におけるATB200/AT2221の非ヒト研究
前臨床研究を、薬物動態(PK)およびグリコーゲン低減の効率を評価するためにATB200酵素補充療法(ERT)およびAT2221シャペロン用量を変動させてGaaノックアウトマウスにおいて実施した。これらのデータをヒトでの相当するAT2221シャペロン用量を推定するために使用した。次に研究ATB200−02(NCT02675465)を非盲検固定連続、漸増投与、ファースト・イン・ヒューマン、第1/2相研究として、ポンペ病を有する患者にAT2221と共投与するATB200の安全性、忍容性、PK、薬力学的(PD)および有効性を評価するために設計した。図19A〜19Bは、ATB200−02研究設計を示している。アルグルコシダーゼアルファを用いる酵素補充療法を以前受けた歩行可能患者は、歩行可能ERT−切り替え(もしくはERT−切り替え歩行可能)患者またはコホート1患者と称される。アルグルコシダーゼアルファを用いる酵素補充療法を以前受けた歩行不能患者は、歩行不能ERT−切り替え(もしくはERT−切り替え歩行不能)患者またはコホート2患者と称される。アルグルコシダーゼアルファを用いる酵素補充療法を以前受けていない歩行可能患者は、ERT−未処置(もしくはERT−未処置歩行可能)患者またはコホート3患者と称される。
5カ国、16箇所の臨床現場がATB200−02研究に参加した。研究は、次の重要な組み入れ基準を使用した:GAA酵素活性の実証された欠乏に基づいてまたはGAA表現型によってポンペ病を有すると診断され、治験開始前にアルグルコシダーゼアルファを用いる酵素補充療法を2〜6年間(コホート1)(またはコホート2について≧2年間)受けた、年齢18〜65歳の男性および女性。適格対象は、2週間ごとの頻度でアルグルコシダーゼアルファを現在受けており、最近2回の点滴を投与中断を生じる薬物関連有害事象(AE)を伴わずに完了した(コホート1および2)者であった。対象は、6分間歩行検査(6MWT)で200から500メートルを歩行することができた(コホート1および3)、予測正常値の30〜80%の直立位努力肺活量(FVC)を有する(コホート1および3)または車椅子から離れられないもしくは支援を受けずに歩行できない(コホート2)。6MWTおよびFVC検査のためのプロトコールは、例えば、LachmanおよびSchoser、Journal of Rare Diseases、2013、8:160およびBittnerおよびSingh、The 6 Minute Walk Test、Cardiology Advisor、2013に見出すことができる。図19Cは、対象20名についてのベースライン特性を提供する。安全性、忍容性およびバイオマーカーをコホート1、2および3について評価した。次の機能性評価をコホート1および3について評価した:6MWT、他の運動機能検査(時間検査および歩行−段−ガワー−椅子(GSGC))、徒手筋力検査および肺機能(FVC、最大吸気圧(MIP)/最大呼気圧(MEP))。時間検査およびGSGC検査のためのプロトコールは、例えば、LachmanおよびSchoser、Journal of Rare Diseases、2013、8:160に見出すことができる。コホート2について、機能評価は筋力検査を含んだ。
実施例9:ATB200−02治験からの中間PK結果
AT2221についての薬物動態データの概要を図20に示す。ATB200について5mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kgでの血漿中の総GAAタンパク質濃度をrhGAA−特異的「シグネチャー」ペプチド(複数可)T09(一次)およびT50(確認)の検証されたLC−MS/MS定量によってステージ1および2を完了した11名のコホート1患者について、ならびにステージ3でPK研究を完了した5名のコホート2患者について決定した。ステージ1について、血漿総GAAタンパク質濃度のための血液試料をATB200点滴の開始に先行してならびに点滴の開始1、2、3、3.5、4、4.5、5、6、8、10、12および24時間後に回収した。ステージ2およびステージ3について、血漿総GAAタンパク質濃度のための血液試料を点滴の開始に先行してならびに点滴開始の1、2、3、3.5、4、4.5、5、6、8、10、12および24時間後に回収した。
AT2221 PK分析をステージ1および2を完了した11名のコホート1患者およびPK研究をステージ3で完了した5名のコホート2患者について実施した。血漿AT2221濃度のための血液試料をAT2221経口投与の直前(時間0)ならびに、AT2221経口投与1.5、2、2.5、3、4、5、6、9、11および25時間後に採取した。血漿AT2221を検証されたLC−MS/MSアッセイによって決定した。
図21に示すとおり、ATB200のレベルは、単独で投与される場合に用量比例的様式よりもわずかに大きく増加した。20mg/kgでのATB200のAT2221の単回高用量(260mg)との同時投与は、単独で投与される20mg/kgでのATB200と比較して、総GAAタンパク質曝露曲線下面積(AUC)をおよそ17%増加させた(図21、図22C)。20mg/kgでのATB200と複数の高用量(260mg)のAT2221との同時投与は、総GAAタンパク質曝露曲線下面積(AUC)を、20mg/kgで単独で投与されたATB200と比較しておよそ29%増加させた(図21、図22D)。分布半減期および部分AUC−24時間における増加が、終末除去相の間は対数スケールで観察された(図21、図22A、図22B)。図21に示すとおり、分布半減期(α相)は、40%増加し、血漿中のATB200について高用量AT2221の安定化効果と一致した。分布半減期における増加は、最大血漿濃度時から投薬24時間後までの部分AUCの42.2%の増加を伴った(図21、図22B)。AT2221によるATB200の安定化のさらなる証拠が低および高用量AT2221対ATB200単独の比較で投薬12および24時間後に観察された(図22Eおよび22F)。ERT−未処置(コホート3)とERT−切り替え患者(コホート1)との間で血漿総GAAタンパク質曝露において統計的有意差はなかった(図23)。シグネチャーペプチドT50のPK動態は、シグネチャーペプチドT09(AUC比:1.00)のものと異ならなかった。
実施例10:ATB200−02治験からの中間有効性結果
図24Aおよび24Bに示すとおり、6MWTは、歩行可能ERT−切り替え患者およびERT−未処置患者を6カ月時点で改善し、観察された利益は12カ月まで継続した。6MWTは、6、9および12カ月でそれぞれ7/10名、8/10名および8/8名のERT−切り替え患者において増加した。6MWTは、6、9および12カ月でそれぞれ5/5名、5/5名および2/2名のERT−未処置患者において増加した。
図24C、図26Aおよび図26Cに示すとおり、6MWTと共に運動機能検査および徒手筋力における改善は、ERT−切り替えおよびERT−未処置患者の両方についての筋肉機能における全般的改善と12カ月にわたって一致する。
図25および図26Bに示すとおり、一貫した実質的な増加が、6カ月および9カ月ですべての歩行不能ERT−切り替え患者において上肢強度において観察された。
図27に示すとおり、FVCは、6、9および12カ月でそれぞれ5/9名、6/9名および3/7名のERT−切り替え患者において安定または増加し、FVCは、6、9および12カ月でそれぞれ5/5名、5/5名および2/2名のERT−未処置患者において安定または増加した。同様に図27に示すとおり、ERT−切り替え歩行可能患者において最大吸気圧(MIP)は安定であり、最大呼気圧(MEP)は増加した一方で、ERT−未処置患者ではMIPは増加し、MEPは安定であった。
疲労重症度スケール(「FSS」)は、それぞれ1から7のスケールでスコア化される9個の質問からなる自己評価質問票である。合計スコアは9から63の範囲であり、高い値は疾患状態による高レベルの疲労を表している。健康な集団での標準値はおよそ21である(Grace Jら、Parkinsonism Relat Disord.2007;13:443〜445)。図28に示すとおり、すべてのコホートは、ベースラインでの疲労によって顕著に影響を与えられ、すべてのコホートは、ATB200/AT2221を受けた後にそれらのFSSでの改善を実証した。
実施例11:ATB200−02治験からの中間結果:筋損傷のマーカー
次の筋肉損傷マーカーを評価した:クレアチンキナーゼ(CK)酵素、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)。9カ月間の臨床治験後に入手できる結果を図29A〜29Cに報告する(コホート1、2および3についてそれぞれ最大58週間、24週間および36週間から得たデータ;低いn値は、一部のデータが分析できなかったか、またはまだ分析されていないかのいずれかを示している)。これらそれぞれの時点で観察されたベースラインからの平均低減は、およそ、歩行可能ERT−切り替え患者(n=9)について30〜35%、歩行不能ERT−切り替え患者(n=4)について5〜20%、およびERT−未処置患者(n=5)について40〜55%であった。12カ月の臨床治験後に得られたCK酵素についての結果は、図29Dに報告されている(コホート1、2および3について最大12カ月から得たデータ;低いn値は、一部のデータが分析できなかったか、またはまだ分析されていないかのいずれかを示す)。
尿中ヘキソース四糖(Hex4)をグリコーゲン蓄積のマーカーとして評価した。12カ月の臨床治験後に得られたHex4についての結果を図29Dに報告した(コホート1、2および3について最大12カ月から得たデータ;低いn値は、一部のデータが分析できなかったか、またはまだ分析されていないかのいずれかを示す)。
実施例12:ATB200−02治験からの中間安全性結果
処置の最も長い継続期間は、20カ月を超えた。有害事象(AE)は、3つすべてのコホートにわたる合計400を超える点滴後に非常に低い率の点滴関連反応(1%未満)を伴って、一般に軽度で一過性であった。これらの発生は、標準的な前投薬によってコントロールされた。
72週間までに処置関連として報告された最も一般的なAEは、悪心(3/20名)、振戦(3/20名)、頭痛(3/20名)、疲労(3/20名)、下痢(2/20名)、筋けいれん(2/20名)および関節腫脹(2/20名)であった。
20+カ月までに処置関連として報告された最も一般的なAEは、腹痛(上部および下部腹痛を含む)(8/20名)、下痢(8/20名)、上咽頭炎(6/20名)、悪心(5/20名)、頭痛(5/20名)および上気道感染(5/20名)(図30)であった。研究薬物とは無関係であった1例の重度のAEが報告された(下気道感染のための入院)。AEのために研究が中断された患者はいなかった。
標準的な前投薬によってコントロールされた、点滴関連反応(IAR)の3例のインシデントが550+回の点滴においてあった。1例のIAR事象(皮膚変色)は、歩行不能ERT−切り替え患者(コホート2)において生じた。2例のIAR事象(局所そう痒、紅斑および灼熱感)は、ERT−未処置患者(コホート3)において生じた(図30)。
実施例13:ATB200−02治験からの中間結果の概要および結論
図31に要約のとおり、さまざまなコホートにわたって筋損傷および基質蓄積のマーカー、筋肉機能検査(時限検査および持続時間)、徒手筋力強度の顕著で予想外の平行する改善、ならびに呼吸機能検査での安定化および/または改善を示すATB200−02治験からの中間データに一致がある。筋肉機能は6および9カ月でそれぞれ16/18名および10/10名の患者において改善した。6MWT距離における増加は、ERT−切り替え歩行可能およびERT−未処置患者において12カ月まで一貫し、恒久的であり、ERT−切り替え歩行可能およびERT−未処置患者における他の運動機能検査における改善と同様であった。定性的および定量的測定は、歩行不能ERT−切り替え患者における上肢強度に6および9カ月で増加を示した。FVC、MIPおよびMEPは、ERT−切り替え患者において一般に安定であり、ERT−未処置患者において増加した。疲労スコアにおける改善は、すべてのコホートにおいた観察された。バイオマーカーレベル(例えば、CKおよびHex4のレベル)は、すべてのコホートにおいて減少し、ATB200/AT2221は全般に良好な耐容性を示した。
したがって、治療の多次元的影響は、ATB200/AT2221の併用レジメンがポンペ病を有する患者のための重要な処置選択肢である可能性があることを示唆している。これらの臨床結果は、実施例7に記載される単一線維分析研究からの結果を支持しており、処置が筋線維から病態をクリアすることに有効であることを実証している。臨床治験のさらなる研究は進行中である。

Claims (77)

  1. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるポンペ病を処置する方法であって、
    rhGAA分子が、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含み;
    rhGAA分子が、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含み;
    rhGAA分子が、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC−MS/MS)を使用して決定されたrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−マンノース−6−リン酸(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含み;
    rhGAAの集団が、対象において疾患進行を逆転させることができる投薬量で投与される、方法。
  2. 疾患進行を逆転させることが、対象の筋肉中のリソソームのサイズを低減することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 疾患進行を逆転させることが、対象の筋肉中のオートファジーのビルドアップを消滅させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 対象において分析された筋線維の65%未満が、処置後にオートファジーのビルドアップを有する、請求項3に記載の方法。
  5. 対象がERT−切り替え患者である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ERT−切り替え患者が、少なくとも2年間、アルグルコシダーゼアルファを用いて以前処置されたことがある、請求項5に記載の方法。
  7. 対象において分析された筋線維の少なくとも36%が、処置後に正常または正常に近い所見を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるポンペ病を処置する方法であって、
    rhGAA分子が、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含み;
    rhGAA分子が、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含み;
    rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定されたrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−マンノース−6−リン酸(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含み;
    処置後の対象の筋肉中のグリコーゲン含有量が、アルグルコシダーゼアルファが同じ投薬量で投与された場合よりも速く低減される、方法。
  9. 処置後の対象の筋肉中のグリコーゲン含有量が、アルグルコシダーゼアルファが同じ投薬量で投与された場合の速度より少なくとも約1.25、1.5、1.75、2.0または3.0倍速い速度で低減される、請求項8に記載の方法。
  10. 1、2、3、4、5または6回投与後に評価した場合に、処置後の対象の筋肉中のグリコーゲン含有量が、アルグルコシダーゼアルファが同じ投薬量で投与された場合よりもさらに有効に低減される、請求項8または9に記載の方法。
  11. 処置後の対象の筋肉中のグリコーゲン含有量が、アルグルコシダーゼアルファが同じ投薬量で投与された場合よりも、少なくとも約10%、20%、30%、50%、75%または90%さらに有効に低減される、請求項10に記載の方法。
  12. グリコーゲン含有量が6回投与後に評価される、請求項10または11に記載の方法。
  13. 対象が処置後に尿中ヘキソース四糖のレベルの低減を示す、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 処置後6カ月の尿中ヘキソース四糖のレベルが、ベースラインと比較して少なくとも30%低減される、請求項13に記載の方法。
  15. 対象が歩行可能ERT−切り替え患者または歩行不能ERT−切り替え患者であり、処置後6カ月の対象の尿中ヘキソース四糖のレベルが、ベースラインと比較して少なくとも35%低減される、請求項13に記載の方法。
  16. 対象が、歩行可能ERT−未処置患者であり、処置後6カ月の対象の尿中ヘキソース四糖のレベルが、ベースラインと比較して少なくとも45%低減される、請求項13に記載の方法。
  17. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるポンペ病を処置する方法であって、
    rhGAA分子が、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含み;
    rhGAA分子が、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含み;
    rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定されたrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−マンノース−6−リン酸(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含み;
    rhGAAの集団が、対象において運動機能を改善できる投薬量で投与される、方法。
  18. 対象における運動機能の改善が、6分間歩行検査(6MWT)、タイムドアップアンドゴー検査、4段上り検査、10メートル歩行検査、ガワーズ検査、歩行−段−ガワー−椅子(GSGC)検査およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの運動機能検査によって測定される、請求項17に記載の方法。
  19. ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象の6MWT距離が、少なくとも20メートル増加する、処置後6カ月の対象のタイムドアップアンドゴー検査時間が少なくとも1秒間減少する、処置後6カ月の対象の4段上り検査時間が少なくとも0.6秒間減少する、処置後6カ月の対象の10メートル歩行検査時間が少なくとも0.7秒間減少する、処置後6カ月の対象のガワーズ検査時間が少なくとも1秒間減少する、または処置後6カ月の対象のGSGCスコアが少なくとも1減少する、請求項18に記載の方法。
  20. 対象が、歩行可能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象の6MWT距離が、少なくとも20メートル増加する、処置後6カ月の対象のタイムドアップアンドゴー検査時間が少なくとも1.5秒間減少する、処置後6カ月の対象の4段上り検査時間が少なくとも0.6秒間減少する、または処置後6カ月の対象のガワーズ検査時間が少なくとも1秒間減少する、請求項18に記載の方法。
  21. 対象が、歩行可能ERT未処置患者であり、ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象の6MWT距離が、少なくとも40メートル増加する、処置後6カ月の対象のタイムドアップアンドゴー検査時間が少なくとも1秒間減少する、処置後6カ月の対象の4段上り検査時間が少なくとも0.6秒間減少する、処置後6カ月の対象の10メートル歩行検査時間が少なくとも0.7秒間減少する、または処置後6カ月の対象のGSGCスコアが少なくとも1減少する、請求項18に記載の方法。
  22. 対象が、以前アルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法を受けており、以前のアルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法後の対象の運動機能検査結果と比較して、rhGAAの集団を用いた処置後に、対象が、少なくとも1つの運動機能検査において改善を示す、請求項18に記載の方法。
  23. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるポンペ病を処置する方法であって、
    rhGAA分子が、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含み;
    rhGAA分子が、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含み;
    rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定されたrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−マンノース−6−リン酸(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含み;
    rhGAAの集団が、対象において上半身強度を改善できる投薬量で投与される、方法。
  24. 対象における上半身強度の改善が、徒手筋力スコアによって測定される、請求項23に記載の方法。
  25. 対象が、歩行可能ERT−切り替え患者であり、処置後6カ月にベースラインと比較して上半身徒手筋力スコアにおいて少なくとも1の改善を示す、請求項24に記載の方法。
  26. 対象が、歩行不能ERT−切り替え患者であり、処置後6カ月にベースラインと比較して上半身徒手筋力スコアにおいて少なくとも5.5の改善を示す、請求項24に記載の方法。
  27. 対象における上半身強度の改善が、上肢強度の改善であり、上肢強度が、肩内転、肩外転、肘屈曲および肘伸展からなる群から選択される少なくとも1つの上肢筋群の定量的筋力検査または徒手筋力検査によって測定される、請求項23に記載の方法。
  28. 対象が、歩行不能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して処置後6カ月の対象の肩内転が少なくとも8ポンド力改善される、処置後6カ月の対象の肩外転が少なくとも1ポンド力改善される、処置後6カ月の対象の肘屈曲が少なくとも2ポンド力改善される、または処置後6カ月の対象の肘伸展が少なくとも5ポンド力改善される、請求項27に記載の方法。
  29. 対象が、歩行可能であり、処置後に下半身強度および/または全身強度の改善をさらに示す、請求項23に記載の方法。
  30. 対象が、以前アルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法を受けており、以前のアルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法後の対象の上半身強度と比較して、rhGAAの集団を用いた処置後に、対象が、上半身強度において改善を示す、請求項23に記載の方法。
  31. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるポンペ病を処置する方法であって、
    rhGAA分子が、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含み;
    rhGAA分子が、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含み;
    rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定されたrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−マンノース−6−リン酸(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含み;
    rhGAAの集団が、対象において肺機能を改善できる投薬量で投与される、方法。
  32. 対象における肺機能の改善が、直立位努力肺活量(FVC)検査、最大呼気圧(MEP)検査、最大吸気圧(MIP)検査およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの肺機能検査によって測定される、請求項31に記載の方法。
  33. ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象のFVCが少なくとも4%改善する、処置後6カ月の対象のMEPが少なくとも16cmHO改善する、または処置後6カ月の対象のMIPが少なくとも0.3cmHO改善する、請求項32に記載の方法。
  34. 対象が、歩行可能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象のMEPが少なくとも16cmHO改善する、請求項32に記載の方法。
  35. 対象が、歩行可能ERT−未処置患者であり、ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象のFVCが少なくとも4%改善する、または処置後6カ月の対象のMIPが少なくとも11cmHO改善する、請求項32に記載の方法。
  36. 対象が、以前アルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法を受けており、以前のアルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法後の対象の肺機能検査結果と比較して、rhGAAの集団を用いた処置後に、対象が、少なくとも1つの肺機能検査において改善を示す、請求項32に記載の方法。
  37. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるポンペ病を処置する方法であって、
    rhGAA分子が、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含み;
    rhGAA分子が、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含み;
    rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定されたrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−マンノース−6−リン酸(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含み;
    rhGAAの集団が、疲労重症度スケール(FSS)スコアによって測定される対象における疲労を低減できる投薬量で投与される、方法。
  38. 処置後6カ月の対象のFSSスコアが、ベースラインと比較して少なくとも3.5減少する、請求項37に記載の方法。
  39. 対象が歩行不能ERT−切り替え患者である、請求項38に記載の方法。
  40. 対象が、歩行可能ERT−切り替え患者であり、処置後6カ月の対象のFSSスコアが、ベースラインと比較して少なくとも8減少する、請求項37または38に記載の方法。
  41. 対象が、歩行可能ERT−未処置患者であり、処置後6カ月の対象のFSSスコアが、ベースラインと比較して少なくとも5減少する、請求項37または38に記載の方法。
  42. 対象が、以前アルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法を受けており、以前のアルグルコシダーゼアルファ酵素補充療法後の対象のFSSスコアと比較して、rhGAAの集団を用いた処置後に、対象のFSSスコアが低下する、請求項37に記載の方法。
  43. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の組換えヒト酸性αグルコシダーゼ(rhGAA)分子の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるポンペ病を処置する方法であって、
    rhGAA分子が、7個の潜在的N−グリコシル化部位を含み;
    rhGAA分子が、平均で3〜4個のマンノース−6−リン酸(M6P)残基を含み;
    rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定されたrhGAA 1molあたり平均で少なくとも約0.5molのビス−マンノース−6−リン酸(ビス−M6P)を第1の潜在的N−グリコシル化部位に含み;
    rhGAAの集団が、クレアチンキナーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの筋損傷バイオマーカーのレベルを低減できる投薬量で投与される、方法。
  44. 少なくとも1つの筋損傷バイオマーカーがクレアチンキナーゼである、請求項43に記載の方法。
  45. ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象のクレアチンキナーゼレベルが少なくとも15%低減する、処置後6カ月の対象のALTレベルが少なくとも5%低減するまたは処置後6カ月の対象のASTレベルが少なくとも5%低減する、請求項43に記載の方法。
  46. 対象が、歩行可能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象のクレアチンキナーゼレベルが少なくとも15%低減する、処置後6カ月の対象のALTレベルが少なくとも15%低減する、または処置後6カ月の対象のASTレベルが少なくとも10%低減する、請求項43に記載の方法。
  47. 対象が、歩行不能ERT−切り替え患者であり、ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象のクレアチンキナーゼレベルが少なくとも20%低減する、処置後6カ月の対象のALTレベルが少なくとも5%低減する、または処置後6カ月の対象のASTレベルが少なくとも5%低減する、請求項43に記載の方法。
  48. 対象が、歩行可能ERT−未処置患者であり、ベースラインと比較して、処置後6カ月の対象のクレアチンキナーゼレベルが少なくとも35%低減する、処置後6カ月の対象のALTレベルが少なくとも35%低減する、または処置後6カ月の対象のASTレベルが少なくとも30%低減する、請求項43に記載の方法。
  49. rhGAA分子の集団が、約1mg/kgから約100mg/kgの用量で投与される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. rhGAA分子の集団が、約20mg/kgの用量で投与される、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. rhGAA分子の集団が、2カ月に1回、1カ月に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回または毎日投与される、請求項1から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. rhGAA分子の集団が、2週間に1回投与される、請求項51に記載の方法。
  53. rhGAA分子の集団が、静脈内投与される、請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
  54. rhGAA分子の集団が、薬理的シャペロンと同時にまたは連続的に投与される、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 薬理的シャペロンが、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項54に記載の方法。
  56. ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、経口投与される、請求項55に記載の方法。
  57. ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、約200mgから約600mgの用量で投与される、請求項55または56に記載の方法。
  58. ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、約260mgの用量で投与される、請求項57に記載の方法。
  59. rhGAA分子の集団が、約5mg/kgから約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、約233mgから約500mgの用量で経口投与される、請求項57に記載の方法。
  60. ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、約50mgから約200mgの用量で経口投与される、請求項56に記載の方法。
  61. rhGAA分子の集団が、約20mg/kgの用量で静脈内投与され、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、約260mgの用量で経口投与される、請求項56に記載の方法。
  62. ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、rhGAAの投与に先行して投与される、請求項55から61のいずれか一項に記載の方法。
  63. ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩が、rhGAAの投与に約1時間先行して投与される、請求項62に記載の方法。
  64. 対象が、ミグルスタットまたは薬学的に許容されるその塩の投与前少なくとも2時間および投与後少なくとも2時間絶食する、請求項62または63に記載の方法。
  65. rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜64のいずれか一項に記載の方法。
  66. rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5に同一のアミノ酸配列を含む、請求項1から65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 少なくとも30%のrhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定される、1つのマンノース−6−リン酸残基(モノ−M6P)またはビス−M6Pを保有する1つまたは複数のN−グリカン単位を含む、請求項1から66のいずれか一項に記載の方法。
  68. rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定される、1molのrhGAAあたり平均で約0.5molから約7.0molのモノ−M6Pまたはビス−M6Pを含む、請求項1から67のいずれか一項に記載の方法。
  69. rhGAA分子が、LC−MS/MSを使用して決定される、1molのrhGAAあたり平均で少なくとも2.5molのM6Pおよび1molのrhGAAあたり少なくとも4molのシアル酸を含む、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
  70. rhGAA分子が、1molのrhGAAあたり平均で:
    (a)第2の潜在的N−グリコシル化部位に約0.4から約0.6molのモノ−M6P;
    (b)第4の潜在的N−グリコシル化部位に約0.4から約0.6molのビス−M6P;および
    (c)第4の潜在的N−グリコシル化部位に約0.3から約0.4molのモノ−M6P;
    を含み、
    (a)〜(c)がLC−MS/MSを使用して決定される、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
  71. rhGAA分子が、1molのrhGAAあたり約4molから約7.3molのシアル酸をさらに含み;
    rhGAA分子が、1molのrhGAAあたり平均で:
    (a)第3の潜在的N−グリコシル化部位に約0.9から約1.2molのシアル酸;
    (b)第5の潜在的N−グリコシル化部位に約0.8から約0.9molのシアル酸;および
    (c)第6の潜在的N−グリコシル化部位に約1.5から約4.2molのシアル酸
    を含み、
    (a)〜(c)がLC−MS/MSを使用して決定される、請求項70に記載の方法。
  72. rhGAA分子の集団が、薬学的組成物に製剤化される、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
  73. 薬学的組成物が、クエン酸塩、リン酸塩およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバッファー、ならびにマンニトール、ポリソルベート80およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含み、薬学的組成物が約5.0から約7.0のpHを有する、請求項72に記載の方法。
  74. 薬学的組成物が約5.0から約6.0のpHを有する、請求項73に記載の方法。
  75. 薬学的組成物が、水、酸性化剤、アルカリ化剤またはこれらの組合せをさらに含む、請求項73または74に記載の方法。
  76. 薬学的組成物中の、rhGAA分子の集団が、約5〜50mg/mLの濃度で存在し、少なくとも1つのバッファーが、約10〜100mMの濃度で存在するクエン酸ナトリウムバッファーであり、少なくとも1つの賦形剤が、約10〜50mg/mLの濃度で存在するマンニトールおよび約0.1〜1mg/mLの濃度で存在するポリソルベート80であり、薬学的組成物が、水をさらに含み、任意選択で酸性化剤および/またはアルカリ化剤を含み;薬学的組成物が、約6.0のpHを有する、請求項73に記載の方法。
  77. 薬学的組成物中の、rhGAA分子の集団が、約15mg/mLの濃度で存在し、クエン酸ナトリウムバッファーが、約25mMの濃度で存在し、マンニトールが、約20mg/mLの濃度で存在し、ポリソルベート80が、約0.5mg/mLの濃度で存在する、請求項76に記載の方法。
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