JP2020518668A - xCT抗体に関連する組成物および方法 - Google Patents

xCT抗体に関連する組成物および方法 Download PDF

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Abstract

ある特定の態様は、xCT特異的抗体を有する治療用組成物に指向している。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる2017年5月1日に出願された米国仮特許出願第62/492,912号の優先権の恩典を主張する。
背景
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、およびHER2受容体を欠く侵襲型の乳がんであり、米国において乳がん全体の15〜20%を占めている。TNBCは、他の形態の乳がんよりも再発率が高く転帰が不良であり、標的になり得る表面受容体を欠いているために、TNBCは、ホルモン療法およびHER2標的療法に抵抗性である。TNBCの特に侵襲性の特徴は、腫瘍の維持および拡大に必要な独特の生物学的特性を有し、かつ非対称分裂によって、腫瘍容積を構成するがん細胞に分化することができるがん幹細胞(CSC)の富化に起因する可能性がある(Magee et al., Cancer Cell 2012, 21(3):283-96(非特許文献1))。従来の放射線療法および化学療法に対して抵抗性であるため(Nagano et al., Oncogene 2013, 32(44):5191-8(非特許文献2))、CSCは、治療後の疾患の再発、転移性進展、および進行のための貯蔵所となる。したがって、CSCの根絶に成功することが、有効ながん治療に対する大きな障壁になっている。
CSCが一般的な細胞障害性療法に抵抗する能力は、改良された解毒能力を含む様々なメカニズムに依拠している。シスチン-グルタミン酸アンチポータータンパク質xCT(SLC7A11)は、システインの摂取、システインへの変換、およびその後のグルタチオン合成を調節して、p38MAPK経路を介して酸化的傷害および化学的傷害から細胞を保護する(Chen et al., Oncogene 2009, 28(4):599-609(非特許文献3); Guo et al., Cancer Lett. 2011, 312(1):55-61(非特許文献4))。xCT発現は、少数の正常細胞型(神経細胞および一部のマクロファージ)に著しく限定されているが、TNBCを含む浸潤性の乳管腫瘍において高率で、レベルが上昇したxCTタンパク質が観察されている(Lanzardo et al. Cancer Res. 2016, 76(1):62-72(非特許文献5))。高レベルのxCT mRNAおよびタンパク質は、遠位転移がない生存および全生存の顕著な減少と相関がある(Briggs et al., Cell 2016, 166(1):126-39(非特許文献6); Gyorffy et al., Breast Cancer Res Treat. 2010, 123(3):725-31(非特許文献7))。xCT発現は乳房CSC(BCSC)および他の固形腫瘍幹細胞において上方調節されており、いくつかの研究から、xCTが、公知の幹細胞マーカーであるCD44と物理的に相互作用することが示されている(Nagano et al., Oncogene 2013, 32(44):5191-8(非特許文献2); Hasegawa et al., Oncotarget 2016, 7(11):11756-69(非特許文献8); Ishimoto et al., Cancer Cell 2011, 19(3):387-400(非特許文献9); Ju et al., Mechanisms and Therapeutic Implications. Theranostics 2016, 6(8):1160-75(非特許文献10); Yoshikawa et al., Cancer Res. 2013, 73(6):1855-66(非特許文献11))。様々なCSCにおいてxCT発現が頻繁であることから、xCTを標的とする治療法が、胃腸がんおよび膵がんを含む、幹細胞出現率の高い様々な腫瘍に有効であり得ることが示唆される。
乳がん転移におけるxCTの直接的役割は、低分子スルファサラジン(SASP)を用いてxCT機能を阻害することによって示され、この阻害により、動物モデルにおける転移巣の有意な減少およびCSC出現率の低下がもたらされた(Nagano et al., Oncogene 2013, 32(44):5191-8(非特許文献2); Chen et al., Oncogene 2009, 28(4):599-609(非特許文献3); Guan et al., Cancer Chemother Pharmacol. 2009, 64(3):463-72(非特許文献12); Timmerman et al., Cancer Cell 2013, 24(4):450-65(非特許文献13))。しかし、SASPは、生理的条件下で不安定かつ不溶性であり、多大なオフターゲット作用、低い生物学的利用能を有し、インビボでxCTを阻害するのに高用量を必要とする(Timmerman et al., Cancer Cell 2013, 24(4):450-65(非特許文献13); Shitara et al., Gastric Cancer 2016(非特許文献14); Linares et al., Expert Opin Drug Saf. 2011, 10(2):253-63(非特許文献15); Robe et al., BMC Cancer 2009, 9:372(非特許文献16))。したがって、xCTを特異的に標的とする新規の治療様式が、臨床使用のために開発される必要がある。
Magee et al., Cancer Cell 2012, 21(3):283-96 Nagano et al., Oncogene 2013, 32(44):5191-8 Chen et al., Oncogene 2009, 28(4):599-609 Guo et al., Cancer Lett. 2011, 312(1):55-61 Lanzardo et al. Cancer Res. 2016, 76(1):62-72 Briggs et al., Cell 2016, 166(1):126-39 Gyorffy et al., Breast Cancer Res Treat. 2010, 123(3):725-31 Hasegawa et al., Oncotarget 2016, 7(11):11756-69 Ishimoto et al., Cancer Cell 2011, 19(3):387-400 Ju et al., Mechanisms and Therapeutic Implications. Theranostics 2016, 6(8):1160-75 Yoshikawa et al., Cancer Res. 2013, 73(6):1855-66 Guan et al., Cancer Chemother Pharmacol. 2009, 64(3):463-72 Timmerman et al., Cancer Cell 2013, 24(4):450-65 Shitara et al., Gastric Cancer 2016 Linares et al., Expert Opin Drug Saf. 2011, 10(2):253-63 Robe et al., BMC Cancer 2009, 9:372
概要
ある特定の態様は、xCTエピトープに特異的に結合する治療用の抗体およびモノクローナル抗体に指向している。ある特定の局面は、限定されるわけではないが、細胞外ドメイン(ECD)1、2、3、4、6に存在するペプチドもしくはエピトープ、またはそれらの様々な組合せを含むxCTペプチドおよび/またはエピトープに対する、モノクローナル抗体(MAB)に指向している。いくつかの場合において、MABは、VLPを用いるワクチン接種を用いて作製することができる。様々なxCTペプチドを提示するこのようなVLPを用いて、エピトープに特異的な免疫応答を誘導でき、この免疫応答を用いてMABを作製することができる。
ある特定の局面において、これらのペプチドまたはエピトープは、
Figure 2020518668
として規定される。他の態様は、SEQ ID NO: 2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、またはそれより多い連続したアミノ酸を有するペプチドに特異的に結合する抗体に指向している。
本発明は、xCTにまたはxCTのECDに特異的に結合する高親和性の抗体および抗体断片を提供する。本明細書において使用される場合、抗体という用語は、当技術分野において認識される全長の完全抗体分子を意味する。本出願の文脈においての断片という用語とは、xCT、xCTペプチド、またはxCTエピトープに高い親和性および特異性で結合する能力を保持している、抗体の一部分を意味する。抗体断片は、元の完全なドメイン構造からいくつのドメインが含まれているか、かつ/または除かれているかに基づいて、定義することができる。したがって、断片とは、可変重鎖(VH)もしくは可変軽鎖(VL)もしくは単鎖Fv(VH-VL)もしくはFab(VL-CL-VH-CH1)もしくはFab2(VL-CL-VH-CH1)2、または抗がん性部分(例えば、化学療法もしくは放射線療法)、低分子、PEG、他のタンパク質ドメイン、もしくは標識物質に連結されている前記のいずれかを意味することができる。このような断片の好ましい例は、単鎖抗体可変領域断片(ScFv)である。本出願において使用される場合、通常、抗体という用語とは、反対の記載がない限り、完全抗体分子または断片を意味する。他のxCT結合部分は、抗体上または非抗体のフレームワーク上または骨格上に提示される相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を用いて、操作されることができる。
抗体は、好ましくは、ヒト、ヒト化、キメラ、またはScFvの抗体または断片である。本発明の抗体および断片は、治療的使用のための医薬製剤としてさらに提供される。本発明は、本発明のxCT抗体をコードする組換えDNA分子およびこれらの抗体を組換えによって作製または製造するための発現システムも、さらに提供する。
本発明のxCT結合物質(例えば抗xCT抗体)は、xCTが過剰発現している状態、例えばがんを治療するのに有用である。これらの抗体は、細胞表面での特異的な高親和性相互作用を通して作用して、抗体依存性細胞障害(ADCC)および補体依存性細胞障害(CDC)によってアポトーシスおよび細胞死滅を誘導することができる。
ある特定の態様は、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12のアミノ酸配列、ある特定の局面ではSEQ ID NO: 4のアミノ酸配列によって規定されるエピトープに特異的に結合する、xCT抗体に指向している。ある特定の局面において、xCT抗体は、SEQ ID NO: 15のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 16のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 17のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を有する。別の局面において、xCT抗体は、SEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖を含む。抗体は、SEQ ID NO: 15のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 16のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 17のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖;ならびにSEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖を含むことができる。ある特定の局面において、抗体または抗体断片は、ヒト由来またはヒト化されている。他の局面において、抗体またはその抗体断片は、キメラのものである。抗体は、抗体断片であることができる。ある特定の局面において、抗体断片はScFvである。ScFvは、マウスScFv、ヒトScFv、またはヒト化ScFvであることができる。
本発明は、xCTが過剰発現している疾患、例えばがんに罹患している患者に有効量の抗xCT抗体を投与する、治療方法を提供する。xCTが過剰発現しているがんには、結腸直腸がん、膵臓がん、胃がんなどを含む胃腸がん;肺がん;乳がん;急性骨髄性白血病を含む白血病;子宮頸部がん、子宮がん、および卵巣がんなどの女性生殖器がん;脳がん、前立腺がん、肝臓がん、および腎臓がんなどの他の上皮がんが含まれる。本発明の特定の局面は、がん細胞アポトーシスを促進することができ、治療適応症に対して使用され得る抗xCTモノクローナル抗体に指向している。
本発明は、それを必要とする患者に有効量の抗xCT抗体または抗体断片を投与する段階を含む、がんを治療する方法を提供する。
1つの態様において、抗体または抗体断片は、ヒト化されている。特定の態様において、抗体は、モノクローナルの抗体または抗体断片である。別の態様において、抗体または抗体断片は、キメラである。別の態様において、抗体または抗体断片は、ScFvである。別の態様において、ScFvは、ヒトScFv、マウスScFv、またはヒト化ScFvである。
1つの態様において、がんは、胃腸がん、肺がん、乳がん、白血病、子宮頸がん、子宮がん、卵巣がん、脳がん、前立腺がん、肝臓がん、および腎臓がんからなる群より選択される少なくとも1種類である。別の態様において、患者は、ヒトまたは非ヒト動物である。別の態様において、抗体または抗体断片は、非経口的に、腹腔内に、静脈内もしくは皮下に、経口的に、経鼻的に、吸入によって、または直腸に、投与される。別の態様において、抗体または抗体断片は、5mg/m2〜2000mg/m2の投与量で、静脈内に投与される。
本発明はまた、xCTを発現する細胞を有効量の抗xCT抗体または抗体断片と接触させる段階を含む、xCTを発現する細胞においてアポトーシスを誘導する方法も提供する。ある特定の局面において、標的とされる細胞は、がん細胞である。
本発明はまた、マウス由来のヒト化された抗xCT抗体または抗体断片も提供する。好ましい態様において、抗体または抗体断片は、本明細書において説明するエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体のCDRを含む。別の態様において、抗体または抗体断片は、PEGで修飾されている。本発明はまた、抗xCT ScFvも提供する。好ましい態様において、ScFvは、本明細書において説明するエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体のCDRを含む。別の態様において、ScFvは、PEGで修飾されている。本発明はまた、xCTに対して高い親和性を有する抗xCT抗体の断片も提供する。好ましい態様において、断片は、本明細書において説明するエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体のCDRを含む。別の態様において、断片は、PEGで修飾されている。
本発明はまた、前述の抗体または断片が少なくとも1つの他の部分に結合されている結合体も提供する。ある特定の局面において、該部分は、化学療法物質、放射線療法物質、または検出可能な標識である。
本発明はまた、上記の抗体または断片および少なくとも1種類の薬学的賦形剤を含む薬学的組成物も提供する。本発明の1つの態様において、賦形剤は、水、pH緩衝剤、湿潤剤、塩、還元剤、糖、グリセロール、グリコール、油、保存剤、および抗菌剤のうちの1種類または複数種類である。
ある特定の態様は、xCTペプチドまたはエピトープに結合する治療用抗体に指向している。ある特定の局面において、1つまたは複数のxCTペプチドまたはエピトープを提示またはコードするVLPまたはプラスミドが作製される。全長xCTタンパク質は、アミノ酸配列
Figure 2020518668
と98%〜100%同一であるアミノ酸配列を有し得る。xCTペプチドは任意のものであることができ、または核酸は、SEQ ID NO: 1の任意の5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、もしくは30個の連続したアミノ酸のセグメントをコードする。他の態様において、xCTタンパク質はSEQ ID NO: 1で提供されるアミノ酸配列と85%、90%、95%、または98%同一であり得るという点で、xCTタンパク質は、変異アミノ酸を有し得る。他の局面において、xCTタンパク質は、SEQ ID NO: 1の20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、もしくは501個(これらの間のすべての値および範囲を含む)の連続したアミノ酸、またはSEQ ID NO: 1に対して85%、90%、95%、98%、もしくは99%の同一性を有する同じ長さのペプチドを含み得る。
ある特定の局面において、免疫原性ペプチドは、異種ペプチドを提示するRNAバクテリオファージコートタンパク質を用いて、ウイルス様粒子(VLP)によって提示またはコードさせることができる。VLP発現プラスミドは、ヒトxCTの細胞外ドメイン(ECD)または他のペプチドもしくはエピトープを提示するように構築される。ある特定の局面において、ECDまたは他のxCTペプチドは、遺伝子挿入法および/または化学的結合法を用いてVLPの表面に提示することができる。ある特定の局面において、ヒトxCT ECDのアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 1のアミノ酸65〜74に対応するECD 1 ;SEQ ID NO: 1のアミノ酸135〜158に対応するECD 2 ;SEQ ID NO: 1のアミノ酸211〜234に対応するECD 3 ;SEQ ID NO: 1のアミノ酸287〜317に対応するECD 4 ;およびSEQ ID NO: 1のアミノ酸444〜449に対応するECD 6である。
ある特定の局面において、VLPは、MS2 VLP、Qβ(Qベータ) VLP、PP7 VLP、またはAP205 VLPである。様々なxCT ECDを、大腸菌(E. coli)での発現のためにコドン最適化し、RNAバクテリオファージ単鎖単鎖二量体コートタンパク質のアミノ末端(N末端)、カルボキシ末端(C末端)、またはABループに連結することができる。
ある特定の局面において、VLPは、ウッドチャックヘパドナウイルスのコアをベースとするVLPである。ウッドチャックヘパドナウイルスのコアをベースとするウイルス様粒子(WHcAg-VLP)が、xCTペプチドを提示するのに使用される。WHcAG-VLPは、3つの異なる提示箇所のうちの1つにおけるループ構造中に、1個のVLPにつき270コピーのxCTペプチドを提示することができる。一般的に、本明細書において説明する様々なxCTペプチドのコドン最適化された配列が、ウッドチャックヘパドナウイルスのコアタンパク質に挿入される。ある特定の局面において、VLPは大腸菌において作製される。
前記治療用組成物は、投薬製剤に適合した様式で、かつ予防的および/または治療的に有効であるような量で、投与される。投与される量は、治療される対象によって変わる。投与されるのに必要な活性成分の正確な量は、実務者の判断に依拠する。組成物は、単回投与スケジュールで、または好ましくは複数回投与スケジュールで、与えられてよい。複数回投与スケジュールとは、第1の投与コースが、1〜10回の別々の用量を含んでよく、続いて、治療応答を維持および/または強化するために必要とされる後続の時間間隔で他の用量、例えば、1〜4ヶ月の時点で第2の用量、ならびに必要ならば、数ヶ月後に後続の用量が与えられる、スケジュールである。
投与は、例えば、静脈内に、経口的に、経鼻的に、埋め込みによって、経粘膜的に、経皮的に、筋肉内に、直腸に、および皮下に、実施することができる。ごく普通に使用されるいくつかの薬学的担体を使用する以下の送達システムは、本発明の組成物を投与するために構想される多くの態様を代表するものにすぎない。適用様式は、様々であってよい。ポリペプチド療法を施すための従来の方法のいずれも、適用可能である。これらは、注射などによる非経口的なものも含むと考えられている。組成物の投与量は、投与経路によって決まり、対象の大きさおよび健康状態によって変動する。
「がんを治療すること」および「がんの治療」という語句とは、がん細胞の複製を減少、低減、もしくは阻害すること;がんの拡大(転移の形成)を減少、低減、もしくは阻害すること;腫瘍サイズを小さくすること:腫瘍の数を減らすこと(すなわち、腫瘍量を低減すること);体内のがん細胞の数を少なくする、もしくは低減すること;外科的切除もしくは他の抗がん療法後のがんの再発を予防すること;またはがんに起因する疾患症状を改善もしくは緩和することを意味する。
「阻害すること」、「低減すること」、もしくは「予防」という用語またはこれらの用語の任意の変形は、特許請求の範囲または本明細書において使用される場合、所望の結果を実現するための任意の測定可能な減少または全面的な阻害を含む。
本発明の他の態様は、本出願の全体を通して考察される。本発明の1つの局面に関して考察される任意の態様は、本発明の他の局面にも同様に当てはまり、逆もまた同じである。本明細書において説明する各態様は、本発明のすべての局面に適用可能である本発明の態様であると理解される。本明細書において考察される任意の態様は、本発明の任意の方法または組成物について実施できることが企図される。さらに、本発明の組成物およびキットを用いて、本発明の方法を実現することもできる。
「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語の使用は、特許請求の範囲および/または本明細書中で「含む(comprising)」という用語と一緒に使用される場合、「1つの(one)」を意味し得るが、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは1より多い」という意味とも矛盾しない。
本出願の全体を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために使用される装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替案のみを指すと明瞭に指示されない限り、または代替案が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替案のみおよび「および/または」を指すという定義を支持する。
本明細書および特許請求の範囲中で使用される場合、「含む(comprising)」という単語(および任意の形態の含む、例えば「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)、「有する(having)」(および任意の形態の有する、例えば「有する(have)」および「有する(has)」)、「含む(including)」(および任意の形態の含む、例えば「含む(includes)」および「含む(include)」)、または含む(containing)(および任意の形態の含む、例えば「含む(contains)」および「含む(contain)」)は、包括的または非限定であり、付加的な挙げられていない要素も方法段階も除外しない。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになると考えられる。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者には明らかになると考えられるため、詳細な説明および個々の実施例は、本発明の個々の態様を示すものの、例証として与えられるにすぎないことを理解すべきである。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の局面をさらに具体的に説明するために含まれる。本明細書において提示される明細書の態様の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つまたは複数を参照することにより、本発明をより良く理解することができる。
AX09によって誘発された抗体は、BCSCのバイオロジーに影響を及ぼし、ヒト細胞におけるxCT機能を阻害する。1回継代MDA-MB-231に由来する腫瘍スフェアを解離させ、対照VLPまたはAX09で処置したマウスから単離した50μg/mlの精製IgGと共にスフェア培地中に再び播種した(4×105個/ウェル)。IgGを含まない培地を対照として使用した。培養物を5日後に解析し、各アッセイ法は3つ1組で行った。誤差棒は標準偏差を表し、**は、スチューデントのt検定によるp値が0.01未満であることを表す。(A)BCSCの自己複製を解析するために、3D培養物中で形成した二次的腫瘍スフェアの数を数え、播種細胞103個当たりのスフェアの数としてプロットした。(B)取得されたスフェア画像を用いてBCSC増殖を評価し、ImageJソフトウェアを用いて、スフェア平均径の測定値を計算した。(C)AX09免疫血清がxCT機能を阻害する能力を、細胞間ROSレベルを測定することによって評価した。解離させたスフェアを2,7ジヒドロジクロロフルオレセインジアセタートと共にインキュベートし、FACSによってROSレベルを評価した。(D)腫瘍スフェア中のBCSCの出現率を測定するために、スフェアを解離して単細胞懸濁液にし、ALDEFLUORと共に細胞をインキュベートし、FACSによって細胞を解析することにより、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性について解析した。(がん幹/前駆細胞を示唆する)ALDH陽性細胞の比率をプロットした。 トリプルネガティブ乳がんに由来する幹細胞と共にインキュベートした精製IgG。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、マウスTUBOに由来するがん幹細胞。 トリプルネガティブ乳がんに由来する幹細胞と共にインキュベートした精製IgG。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、マウス4T1に由来するがん幹細胞。 トリプルネガティブ乳がんに由来する幹細胞と共にインキュベートした精製IgG。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、ヒトHTC1806に由来するがん幹細胞。 トリプルネガティブ乳がんに由来する幹細胞と共にインキュベートした精製IgG。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、ヒトMB-MDA 231に由来するがん幹細胞。 4T1細胞に由来するxCTの細胞外領域に結合する抗体の誘発のためのワクチン接種プロトコールから得られた血清のFACS解析であり、精製IgGが示される。 4T1に由来する腫瘍スフェアを、培地、SASP(50μM)、またはワクチン接種マウスまたは未処置マウスに由来する血清の1:50希釈物と共に5日間インキュベートして、腫瘍スフェア数/播種細胞103個として報告されるスフェア生成能力を測定した。 mECD3ペプチドに対するELISAにおいて、5種類のクローンが陽性であった。すなわち、ヒト-xCTタンパク質を用いて実施されたELISAアッセイ法において、11D1/C3、11D1/H7、11D1/E7、11D1/E5、11D1/H10。 サブクローンのH10、C3、E7を、ヒト-xCT ECD3ペプチド[1μg/mL]に対するELISAによって試験した。 このELISAから、H10(以下、11D1/H10と呼ぶ)を、抗xCT Igを産生する代表的サブクローンとして選択した。どのIgアイソタイプが11D1/H10由来の上清中に存在するかを区別するために、Pierce迅速アイソタイピングキットを使用した(26178番;Thermo Scientific)。 データから、11D1/H10がクローンではなかったこと、しかし異なるIgアイソタイプを産生する細胞を含むことが示唆される。このため、11D1/H10をサブクローニングして、30種類の新しいクローンを獲得し、次いでELISAによって試験した。 これらのクローンのうちの5種類が、結果として、xCTに対するIgを分泌した(ELISA O.D.450≧0.400)。これらのサブクローンの培養上清(図12 ‐ A1)を、抗xCT IgまたはIgアイソタイプの存在について試験した。 これらのクローンのうちの5種類が、結果として、xCTに対するIgを分泌した(ELISA O.D.450≧0.400)。これらのサブクローンの培養上清(図13 ‐ A5)を、抗xCT IgまたはIgアイソタイプの存在について試験した。 これらのクローンのうちの5種類が、結果として、xCTに対するIgを分泌した(ELISA O.D.450≧0.400)。これらのサブクローンの培養上清(図14 ‐ B9)を、抗xCT IgまたはIgアイソタイプの存在について試験した。 これらのクローンのうちの5種類が、結果として、xCTに対するIgを分泌した(ELISA O.D.450≧0.400)。これらのサブクローンの培養上清(図15 ‐ D5)を、抗xCT IgまたはIgアイソタイプの存在について試験した。 これらのクローンのうちの5種類が、結果として、xCTに対するIgを分泌した(ELISA O.D.450≧0.400)。これらのサブクローンの培養上清(図16 ‐ E1)を、抗xCT IgまたはIgアイソタイプの存在について試験した。 これらのクローンのうちの5種類が、結果として、xCTに対するIgを分泌した(ELISA O.D.450≧0.400)。これらのサブクローンの培養上清を、抗xCT IgまたはIgアイソタイプの存在について試験した。
説明
ある種のがん細胞は、シスチン/グルタミン酸交換に特異的な系xc -のヘテロ二量体型アミノ酸トランスポーターの形質細胞膜構成要素を異常に高レベルで発現する。系xc -は、L-シスチンを細胞の細胞内区画に取り込み、細胞は、腫瘍環境で存在するもののような低酸素条件下での細胞生存にとって重要な抗酸化物質であるグルタチオン(L-γ-グルタミル-L-システイニルグリシン、本明細書において「GSH」と呼ばれる)の合成のために、L-シスチンを必要とする。系xc -取込みの仕組みは、システインに対する特異性をトランスポーターに与える触媒サブユニットであるSLC7A11と、調節サブユニットであるSLC3A2から構成されている。SLC7A11およびSLC3A2は、当分野において、それぞれxCTおよび4F2hc/CD98としても公知である。
腫瘍細胞、および他の異常に急速に分割または分化する細胞は、より高レベルの酸化ストレスに対処するために、より多量のGSHを必要とするため、このような細胞は、シスチンの取込みのための系xc -構成要素を正常条件下の正常細胞よりも高度に発現する。したがって、本発明は、標的細胞(例えばがん幹細胞(CSC))のxCT構成要素を標的とする抗xCT抗体を提供することによって、過剰増殖性細胞による系xc -構成要素の発現増大をうまく利用する。
I 治療用抗体
本発明の特定の態様は、ヒトxCTまたはそれを発現する細胞を認識する抗体、例えばモノクローナル抗体に指向している。本発明はまた、該抗体を産生するハイブリドーマ細胞株、および該抗体を用いてがんを治療する方法にも指向している。この抗体は、細胞膜表面で発現する天然型のヒトxCTを認識し、特異的に結合する。
「抗体」という用語は、本明細書において最も広い意味で使用され、通常、関心対象の特定の抗原標的に免疫特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を含む分子を指す。したがって、「抗体」という用語は、単鎖抗体およびその断片を含む、抗体およびその変異体、抗体の断片およびその変異体、ペプチボディおよびその変異体、ならびに抗体またはその指定された断片もしくは一部分の構造および/または機能を模倣する抗体模倣体を含むが、それらに限定されるわけではない。したがって、「抗体」という用語は、全長抗体またはそれらの変異体ならびにそれらの断片を含む。標的に抗体が結合することにより、様々な効果を引き起こすことができ、例えば、限定されるわけではないが、それにより、インビトロ、インサイチュー、および/またはインビボで、少なくとも1つの標的活性もしくは結合または受容体活性もしくは結合が調整されるか、減少するか、増大するか、拮抗されるか、刺激されるか、弱められるか、緩和されるか、妨害されるか、阻害されるか、抑制されるか、または邪魔をされる。
したがって、本発明は、xCTまたはその一部分に結合できる抗体を包含し、これには、Fab断片、Fab’断片およびF(ab’)2断片、facb断片、pFc’断片、Fd断片、Fv断片、またはscFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
したがって、抗体は、最も広い意味で使用され、具体的には、例えば、単一の抗xCTモノクローナル抗体(アゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、および中和抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗xCT抗体組成物、単鎖抗xCT抗体、および抗xCT抗体の断片を包含する。
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られた抗体を意味する。すなわち、この集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する可能性がある変異を除いて、同一である。ある特定の局面において、xCTペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体が説明される。
本発明の具体的な抗体断片には、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iii)単一の抗体のVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片;(iv)単一の可変部からなるdAb断片(Ward et al., 1989, Nature 341:544-46)、(v)単離されたCDR領域、(vi)F(ab’)2断片、すなわち連結された2つのFab断片を含む二価の断片、(vii)2つのドメインが結合して抗原結合部位を形成するのを可能にするペプチドリンカーによってVHドメインおよびVLドメインが連結されている、単鎖Fv分子(scFv)(Bird et al., 1988, Science 242:423-26、Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879-83)、(viii)二重特異性単鎖Fv(WO 03/11161)、ならびに(ix) 「ダイアボディ」 または「トリアボディ」、すなわち遺伝子融合によって構築された多価または多重特異性の断片(Tomlinson et. al., 2000, Methods Enzymol. 326:461-79; WO94/13804; Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6444-48)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。抗体断片は、修飾されてもよい。例えば、これらの分子は、VHドメインおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋を組み込むことによって安定化されてよい(Reiter et al., 1996, Nature Biotech. 14:1239-1245)。
「Fv」は、1つの完全な抗原認識および結合部位を含む、最小抗体断片である。この断片は、しっかりと非共有結合的に結合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。この配置において、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面の抗原結合部位を規定する。これら6つのCDRが共同して、抗体に抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含む、Fvの半分)でさえ、結合部位全体より親和性は低いものの、抗原を認識し結合する能力を有している。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステインを含む数残基が重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に付加されているかどうかの点で、Fab'断片とは異なる。Fab'-SHは、本明細書において、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有しているFab'の呼称である。F(ab')2抗体断片は、最初は、間にヒンジシステインを有しているFab'断片のペアとして作製された。抗体断片の他の化学結合もまた、公知である。
任意の脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κおよびλと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2にさらに分類され得る。
「単鎖Fv」抗体断片または「sFv」抗体断片は、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、その際、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にする、VHドメインとVLドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概要については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小型の抗体断片を意味し、これらの断片は、同じポリペプチド鎖中に、軽鎖可変ドメイン(VL)に結合された重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH-VL)。同じ鎖上の2つのドメイン間でのペア形成を起こさせないくらい短いリンカーを用いることによって、これらのドメインは、別の鎖の相補的ドメインとペアになり、かつ2つの抗原結合部位を作製することを余儀なくされる。ダイアボディは、例えば、EP404,097、WO 93/11161、およびHollinger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444において、より十分に説明されている。
「単離された」抗体とは、その天然環境の構成要素から同定および分離され、かつ/または回収された抗体である。その天然環境の混入物構成要素は、抗体の診断的使用または治療的使用を妨げると思われる材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク性溶質または非タンパク性溶質が含まれ得る。好ましい態様において、抗体は、ローリー法によって決定した場合に、抗体の95重量%を上回るまで、および最も好ましくは99重量%を上回るまで;スピニングカップ配列決定装置の使用によってN末端もしくは内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで;またはクーマシーブルー染色、もしくは好ましくは銀染色を用いる、還元条件もしくは非還元条件下でのSDS-PAGEによって均質になるまで、精製される。単離された抗体には、組換え細胞内のインサイチューの抗体が含まれ、これは、抗体の天然環境の少なくとも1種類の構成要素が存在しないと考えられるためである。しかし、普通は、単離された抗体は、少なくとも1つの精製段階によって調製される。
「ネイティブ配列xCTポリペプチド」は、自然界に由来する対応するxCTポリペプチドと同じアミノ酸配列、例えばSEQ ID NO: 1を有するポリペプチドを含む。このようなネイティブ配列xCTポリペプチドは、自然界から単離することができるか、または組換え手段もしくは合成手段を用いて作製することができる。具体的には、「ネイティブ配列xCTポリペプチド」という用語は、個々のxCTポリペプチドの天然に存在する短縮型または分泌型(例えば、ループ配列または部分的ループ配列)、天然に存在する変異型(例えば、選択的にスプライシングされた型)、および該ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体を包含する。
「個体」、「対象」、および「患者」という用語は、本明細書において同義的に使用され、動物、好ましくは哺乳動物(非霊長類および霊長類を含む)を意味し、限定されるわけではないが、マウス、サル、ヒト、哺乳動物の家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ)、哺乳動物の競技動物(例えばウマ)、および哺乳動物のペット(例えば、イヌおよびネコ)を含む。好ましくは、この用語は、ヒトを意味する。
本明細書において使用される場合、「治療」および「治療すること」という用語などは、所望の薬理学的効果または生理的効果を得ることを意味する。この効果は、疾患、症状、および/または疾患に帰すことができる有害作用の部分的または完全な治癒の見地から、治療的であってよい。本明細書において使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトの疾患または病態を治療するための、本発明の化合物の投与を含み、かつ(a)疾患を抑制すること、すなわちその発達を停止すること;(b)緩和ケアを提供すること、すなわち患者の苦痛を減らすことおよび予防すること:ならびに(c)疾患を軽減すること、すなわち疾患もしくは障害の軽減を引き起こすことまたはその症状もしくは合併症を緩和することを含む。最適な所望の応答を実現するように、投与計画を調整してもよい。
「フレームワーク」残基または「FR」残基とは、本明細書において定義する超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基である。「ヒトコンセンサスフレームワーク」または「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンのVLフレームワーク配列またはVHフレームワーク配列の選抜物において最も高頻度に存在するアミノ酸残基に相当するフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL配列またはVH配列の選抜物は、可変ドメイン配列のサブグループに由来する。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)に記載されているようなサブグループである。VLの場合に含まれる例として、サブグループは、前記Kabat et al.に記載されているようなサブグループκI、κII、κIII、またはκIVであってよい。さらに、VHの場合、サブグループは、前記Kabat et al.に記載されているようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであってよい。あるいは、ドナーフレームワーク配列を様々なヒトフレームワーク配列のコレクションとアラインすることにより、ドナーフレームワークに対する相同性に基づいてヒトフレームワーク残基を選択する場合のように、ヒトコンセンサスフレームワークを上記の個々の残基から導き出すこともできる。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、または既存のアミノ酸配列変更を含んでもよい。いくつかの態様において、既存のアミノ酸変更の数は、10個もしくはそれ未満、9個もしくはそれ未満、8個もしくはそれ未満、7個もしくはそれ未満、6個もしくはそれ未満、5個もしくはそれ未満、4個もしくはそれ未満、3個もしくはそれ未満、または2個もしくはそれ未満である。
本明細書において使用される場合、「に特異的に結合する」または「に特異的である」という用語は、生物学的分子を含む分子の異種集団の存在下で標的の存在を決定することができる、標的と抗体の結合のような測定可能かつ再現可能な相互作用を意味する。例えば、(エピトープであることができる)標的に特異的に結合する抗体は、他の標的にそれが結合する場合よりも、より大きい親和性、結合力で、より容易に、かつ/またはより長い期間、この標的に結合する抗体である。1つの態様において、無関係な標的への抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ法(RIA)によって測定された場合、その標的への抗体の結合の約10%未満である。特定の態様において、標的に特異的に結合する抗体の解離定数(KD)は、1×10-6M未満、1×10-7M未満、1×10-8M未満、1×10-9M未満、または1×10-10M未満である。
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害」またはADCCは、ある種の細胞障害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に分泌Igが結合することによって、これらの細胞障害エフェクター細胞が、抗原を有する標的細胞に特異的に結合し、続いてその標的細胞をサイトトキシンによって死滅させることができるようになる、細胞障害の形態を意味する。抗体は細胞障害性細胞を「作動状態にし」、このメカニズムによって標的細胞を死滅させるのに必要とされる。ADCCを媒介する主な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFc発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9: 457-92 (1991)の464頁の表3に要約されている。本明細書において別段の定めが無い限り、免疫グロブリン重鎖中の残基の番号付与は、前記のKabat et al, において記載されているようなEU指標のものである。「KabatによるEU指標」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基の番号付与を意味する。
通常、「結合親和性」とは、ある分子の(例えば抗体の)1つの結合部位とその結合相手(例えば抗原)の間の非共有結合性相互作用の総合計の強さを意味する。別段の定めが無い限り、本明細書において使用される場合、「結合親和性」、「に結合する(bind to)」、「に結合する(binds to)」、または「に結合すること(binding to)」は、結合対のメンバー(例えば、抗体Fab断片および抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を意味する。通常、分子Xの相手Yに対する親和性は、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書において説明するものを含む、当技術分野において公知の一般的な方法によって測定することができる。一般に、低親和性抗体は抗原にゆっくりと結合し、すぐに解離する傾向があるのに対し、一般に、高親和性抗体は、より速く抗原に結合し、より長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が、当技術分野において公知であり、それらのうちのいずれかを、本発明の目的のために使用することができる。結合親和性を測定するための具体的な説明的かつ例示的な態様。
本発明による「KD」または「KD値」は、1つの態様において、抗体のFab型および抗原分子を用いて実施される放射性標識抗原結合アッセイ法(RIA)によって測定され、これは、非標識抗原の濃度変化系列の存在下で最小濃度の(125I)標識抗原を用いてFabを平衡化し、次いで、抗Fab抗体でコーティングしたプレートを用いて結合抗原を捕捉することにより、抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する、以下のアッセイ法によって説明される(Chen, et al, (1999) J. Mol. Biol 293:865-881)。アッセイ法の条件を確立するために、マイクロタイタープレート(Dynex)を、50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)に溶かした5μg/ml捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、続いて、室温(約23℃)で2〜5時間、PBSに溶かした2%(w/v)ウシ血清アルブミンでブロックする。非吸着性プレート(Nunc 269620番)中で、100pMまたは26pMの[125I]抗原を、関心対象のFabの段階希釈物と混合する。次いで、関心対象のFabを一晩インキュベートするが;しかし、インキュベートをより長い期間(例えば65時間)続けて、確実に平衡状態に到達するようにしてもよい。その後、室温で1時間インキュベーションするために、混合物を捕捉プレートに移す。次いで、溶液を除去し、0.1% Tween-20含有PBSでプレートを8回洗浄する。プレートが乾いたら、150μl/ウェルのシンチラント(Micro Scint-20;Packard)を添加し、プレートをTopcountγ線計数器(Packard)にて10分間計測する。最大結合の20%以下を与える各Fab濃度を、競合的結合アッセイ法で使用するために選択する。
本明細書において使用される「立体構造的エピトープ」という用語とは、ポリペプチド鎖が折り畳まって天然タンパク質を形成する際に表面で集合する、抗原のアミノ酸残基を意味する。
A モノクローナル抗体
抗xCT抗体は、モノクローナル抗体であってよい。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein (1975) Nature 256:495によって説明されているもののようなハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法では、典型的には、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物を免疫化物質で免疫化して、その免疫化物質に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、インビトロでリンパ球を免疫化してもよい。
典型的には、免疫化物質には、xCTポリペプチド、ペプチド、またはその融合タンパク質が含まれる。通常、ヒト由来の細胞が望ましい場合に末梢血リンパ球(「PBL」)が使用されるか、または非ヒト哺乳動物供給源が望ましい場合に脾臓細胞もしくはリンパ節細胞が使用されるかのいずれかである。次いで、ポリエチレングリコールのような適切な融合剤を用いて、リンパ球を不死化細胞株と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding (1986) Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, pp. 59-103)。不死化細胞株は、形質転換された哺乳動物細胞、特に、げっ歯動物由来、ウシ由来、およびヒト由来の骨髄腫細胞であってよい。ラット骨髄腫細胞株またはマウス骨髄腫細胞株が使用され得る。ハイブリドーマ細胞を、融合していない不死化細胞の増殖または生存を阻害する1種類または複数種類の物質を好ましくは含む適切な培地で培養してよい。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(「HAT培地」)、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を防ぐ。
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定な高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に感受性であるものである。より好ましい不死化細胞株はマウス骨髄腫株であり、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Calif.および American Type Culture Collection, Manassas, Vaから入手することができる。ヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の作製のために説明されている(Kozbor, J. (1984) Immunol. 133:3001; Brodeur et al. (1987) Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, pp. 51-631)。
次いで、ハイブリドーマ細胞が培養される培地を、本明細書において説明するxCTまたはxCTペプチドに対するモノクローナル抗体の存在について分析することができる。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法またはインビトロ結合アッセイ法、例えばラジオイムノアッセイ法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)によって測定することができる。このような技術およびアッセイ法は、当技術分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson and Pollard (1980) Anal. Biochem. 107:220のスキャッチャード解析によって測定することができる。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、プロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなど従来の免疫グロブリン精製手順によって、培地または腹水から単離または精製することができる。
前記モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載されているもののような組換えDNA法によって作製することもできる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて、例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって、容易に単離および配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として役立つ。単離した後、組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を実現するために、DNAを発現ベクター中に入れてよく、その後、この発現ベクターを、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞中にトランスフェクトする。また、例えば、相同なマウス配列をヒトの重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列で置換することによって(米国特許第4,816,567号; Morrison et al.、前記)、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全体もしくは一部分を免疫グロブリンコード配列に共有結合的に連結することによって、DNAを改変することもできる。このような非免疫グロブリンポリペプチドで本発明の抗体の定常ドメインを置換することができ、またはこのような非免疫グロブリンポリペプチドで本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインを置換して、同一ではない抗原結合特異性を有するキメラの二機能性または多機能性の抗体を作製することができ、これらの抗体はそれぞれ、一価、二価、または多価であってよい。
本発明の抗体は、一価抗体であってよい。一価抗体を調製するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリンの軽鎖および改変された重鎖の組換え発現を含む。通常、重鎖は、重鎖の架橋を防ぐためにFc領域の任意の箇所で切断される。あるいは、架橋を防ぐために、関連するシステイン残基が別のアミノ酸残基で置換されるか、または除去される。
本発明の抗xCTモノクローナル抗体は、xCTポリペプチドまたはペプチド、好ましくは天然配列xCTポリペプチドに結合する抗体の全体または抗原結合断片であってよい。さらに、好ましい態様において、モノクローナル抗体は、少なくとも1種類のがん細胞株に由来するxCTタンパク質を認識するものと確認される。
1つの非限定的な態様において、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株によって産生され、該抗体またはその機能的断片はXCTタンパク質に結合し、該抗体またはその機能的断片は、CSC、新生細胞、またはその抗原に該抗体またはその機能的断片として結合する。
B ヒト抗体およびヒト化抗体
本発明のモノクローナル抗体は、ヒトに由来するか、またはヒトにおいて使用するために免疫原性を低くするためにヒト化されてよい。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含む、キメラの免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらの断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2、もしくは抗体の他の抗原結合部分配列)である。ヒト化抗体には、レシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRに由来する残基で置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が含まれる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基で置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体中にも、移入されるCDR配列またはフレームワーク配列中にも見出されない残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、すべてまたは実質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、すべてまたは実質的にすべてのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むと考えられる。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)についての少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含む(Jones et al. (1986) Nature 321:522; Riechmann et al. (1988) Nature 332:323;およびPresta (1992) Curr. Op. Struct. Biol. 2:593)。
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当技術分野において周知である。例示的なアプローチは、マウスモノクローナル抗体の本来の可変領域がヒト免疫グロブリンの定常領域に連結されている、マウス-ヒトキメラ抗体を作製することである。キメラ抗体およびそれらを作製するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Cabilly et al.、欧州特許EP0125023(2002年3月3日に公開)); Taniguchi et al.、欧州特許EP0171496(1993年5月26日に公開); Morrison et al.、欧州特許出願EP0173494(1986年1月18日に公開); Neuberger et al.、国際公開WO/1986/01533(1986年3月13日に公開); Kudo et al.、欧州特許出願EP0184187(1986年6月11日に公開); Robinson et al.、国際公開番号WO/1987/002671(1987年5月7日に公開); Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439; Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214; Better et al. (1988) Science 240:1041を参照されたい。これらの参照文献は、参照により本明細書に組み入れられる。通常、マウスmAbのH鎖およびL鎖の抗原結合領域をコードするDNAセグメントは、mAbを産生するハイブリドーマ細胞からクローニングすることができ、次いでそれを、ヒト免疫グロブリンのCH領域およびCL領域をそれぞれコードするDNAセグメントに連結して、マウス-ヒトキメラ免疫グロブリンをコードする遺伝子を作製することができる。
キメラ抗体は、抗原結合に直接的に関与していないFv可変領域の配列をヒトFv可変領域に由来する等価な配列で置換することによって、さらにヒト化することができる。ヒト化抗体を作製するための一般的方法は、Morrison, S. L., 1985, Science 229:1202-1207、Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214、ならびにQueen et al. 米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、および同第5,693,762号によって提供されており、これらすべての内容は、参照により本明細書に組み入れられる。これらの方法は、重鎖または軽鎖の少なくとも1つに由来する免疫グロブリンFv可変領域のすべてまたは一部分をコードする核酸配列を単離、操作、および発現させることを含む。このような核酸の供給源は当業者に周知であり、例えば、7E3、すなわち抗GPIIbIIIa抗体を産生するハイブリドーマから得ることができる。次に、キメラ抗体をコードする組換えDNAを適切な発現ベクター中にクローニングすることができる。
通常、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源に由来する、それに導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有している。しばしば、これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入」残基と呼ばれ、典型的には「移入」可変ドメインから取ってこられる。ヒト化は、本質的には、Winterおよび同僚の方法(Jones et al. (1986) Nature 321:522; Riechmann et al. (1988) Nature 332:323; Verhoeyen et al. (1988) Science 239:1534)に従って、げっ歯動物のCDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応配列を置換することによって、実施することができる。米国特許第5,225,539号およびBeidler et al. 1988 J. Immunol. 141:4053も参照されたい。したがって、このような「ヒト化」抗体は、実質的に完全ではないヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応配列によって置換されている、キメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。実際には、ヒト化抗体は、いくつかのCDR残基および場合によってはいくつかのFR残基がげっ歯動物抗体中の類似部位に由来する残基で置換されているヒト抗体であることが、典型的である。
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーを含む、当技術分野において公知の様々な技術を用いて作製することもできる(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al. J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。ColeらおよびBoemerらの技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985)およびBoerner et al. J. Immunol., 147(1):86 (1991))。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば内因性の免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されたマウスにヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって作製することもできる。抗原曝露すると、ヒト抗体産生が観察され、これは、遺伝子再配列、アセンブリ、および抗体レパートリーを含むあらゆる点で、ヒトで認められるものに良く似ている。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号において、および以下の科学論文: Marks et al. Bio/Technology 10:779 (1992); Lonberg et al. Nature 368:856 (1994); Morrison, Nature 368:812 (1994); Fishwild et al. Nature Biotechnology 14:845 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996); Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65 (1995)において、説明されている。
C 抗体の薬学的組成物
他の態様において、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に前述の抗体を含む薬学的組成物が、提供される。
当業者には明らかであると考えられるように、本明細書の教示において説明される抗体を含む薬学的組成物の調製にあたって、様々なビヒクルおよび賦形剤ならびに投与経路が使用されてよい。代表的な製剤化技術は、特に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1995)およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Ed, Kibbe, A. H. ed., Washington D.C., American Pharmaceutical Association (2000)において教示されており、これらはその全体が、参照により本明細書に組み入れられる。
通常、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体および薬理学的に有効な量の抗体または抗体の混合物を含む。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、薬学的組成物を製剤化する際に当業者に公知である薬学的に許容された任意の標準的担体を含む。したがって、それらだけで、例えば、薬学的に許容される塩として、または結合体として存在する、抗体またはペプチドは、薬学的に許容される希釈剤、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)、水性エタノール、またはグルコース、マンニトール、デキストラン、プロピレングリコールの溶液、油(例えば、植物油、動物油、合成油など)、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ゼラチン、ポリソルベート80中の製剤として、または適切な賦形剤中の固形製剤として、調製されてよい。
前記薬学的組成物は、1種類または複数種類の緩衝液(例えば、中性の緩衝生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、もしくはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド、またはグリシンのようなアミノ酸、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなど)、静菌剤、EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤、アジュバント(例えば水酸化アルミニウム)、製剤を受取人の血液に対して等張性、低張性、または弱高張性にする溶質、懸濁化剤、増粘剤、および/または保存剤をさらに含んでもよい。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として製剤化されてもよい。
当業者に公知である任意の適切な担体が、本発明の組成物中で使用されてよいが、典型的には、担体の種類は投与様式に応じて変わる。
非経口投与の場合、無菌のパイロジェンフリー水、油、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、またはエタノールなどの無菌液体であってよい、薬学的担体を含む生理学的に許容される希釈剤に物質を溶かした溶液または懸濁液の注射投薬として、組成物を投与することができる。さらに、湿潤剤または乳化剤、界面活性剤、およびpH緩衝物質などの補助物質が、組成物中に存在してもよい。
薬学的組成物の他の成分は、石油、動物、植物、または合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、トウモロコシ油、綿実油、オレイン酸エチル、およびミリスチン酸イソプロピルといった非水性溶液である。抗体は、活性成分の持続放出を可能にするような様式で製剤化されることができる蓄積注射または埋め込み製剤の形態で投与することができる。例示的な組成物は、HClによってpH6.0に調整された、50mM L-ヒスチジン、150mM NaClからなる水性緩衝液に配合された5mg/mlの抗体を含んでよい。
典型的には、組成物は、溶液剤もしくは懸濁剤としての、または限定ではなく例として、無菌のパイロジェンフリー水、生理食塩水、緩衝液、デキストロース溶液などを含む適切なビヒクルを用いて注射前に再構成するのに適した固体形態もしくは粉末形態としての、注射剤として調製される。製剤はまた、乳化することもでき、あるいはリポソームまたは微粒子、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、もしくは共重合体などの中に、または他の公知の封入技術で、封入することもできる。
本明細書において説明される薬学的組成物は、密閉されたアンプルまたはバイアルなどの単位投与または多回投与用の容器に入れて提供され得る。典型的には、このような容器は、使用するまで製剤の無菌性および安定性を維持するような仕方で、密閉される。一般に、製剤は、先に示したように、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤として保存されてよい。あるいは、薬学的組成物は、使用する直前に無菌液状担体の添加のみを必要とする凍結乾燥させた状態で保存されてもよい。
D 抗xCT抗体の使用
本発明の抗xCT抗体には、様々な有用性がある。1つの態様において、抗xCTは、がんのような疾患の治療方法において使用するために提供される。好ましくは、本発明の方法は、該治療を必要とする対象に、前述のような抗体またはそのxCT抗原結合断片を提供する段階を含む。
抗体または抗体断片を用いてがん細胞を免疫ターゲティングする方法は、当技術分野において周知である。例えば、米国特許第6,306,393号では、B細胞悪性腫瘍の免疫療法における抗CD22抗体の使用が説明されており、米国特許第6,329,503号では、蛇行性膜貫通抗原を発現する細胞の免疫ターゲティングが説明されている。本明細書において説明される抗体(任意で細胞障害物質または他の作用物質に結合されている、ヒト化抗体もしくはヒトモノクローナル抗体またはそれらの断片もしくは他の改変物を含む)を、抗体ががん細胞に結合し、それらの細胞および腫瘍の破壊をもたらし、かつ/または細胞もしくは腫瘍の増殖を阻害するように、患者に導入することができる。
本開示を限定することを意図せずに、このような抗体が治療的効果を発揮できるメカニズムには、例えば、補体媒介の細胞溶解、腫瘍抗原の生理的機能を調節する抗体依存性細胞障害(ADCC)、結合経路もしくはシグナル伝達経路の阻害、腫瘍細胞分化の調節、腫瘍血管新生因子の特性の変更、免疫刺激サイトカインもしくは腫瘍抑制サイトカインおよび増殖因子の分泌の調節、細胞接着の調節、ならびに/またはアポトーシスの誘導が含まれ得る。
これらの抗体はまた、毒性物質、化学療法物質、または治療用物質、例えば放射性リガンドまたはサイトゾル毒素と結合させることもでき、毒性物質または治療用物質を腫瘍細胞に直接送達させるために治療的に使用されてもよい。
治療は、疾患、障害、または望ましくない状態に対する治療的、予防的、姑息的、または抑制的処置を含むことを意図している。治療は、疾患重症度を軽くするか、疾患進行を停止するか、または疾患をなくすために、疾患症状の発生前および/または疾患の臨床症状発現もしくは他の症状発現の後に適切な形態の対象抗体を投与することを含む。疾患の予防は、好ましくは、疾患に罹患しやすくなっている対象において、障害または疾患の症状の発生を延ばすか、または遅らせることを含む。
ある特定の局面において、治療用製剤には、抗体の機能性に応じて、無修飾抗体または毒素もしくは細胞障害分子などの治療用化合物と結合させた抗体を使用することができる。通常、無修飾抗体が使用される場合、それらは機能的Fc領域を有することが典型的である。本明細書において、「機能的Fc領域」とは、Fc受容体、特にFcyR(例えば、FcγRI、FcyRII、およびFcγRIII)への結合のようなFcの生物学的機能を生じさせるための最小配列を意味する。
理論に拘束されるわけではないが、Fc領域は、Fc受容体免疫エフェクター細胞に結合し、細胞媒介性の細胞障害、エンドサイトーシス、食作用、炎症性サイトカインの放出、補体媒介細胞障害、および抗原提示を調節することによって、抗腫瘍モノクローナル抗体の有効性に影響を及ぼし得ると考えられている。この点に関して、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体の混合物は、様々なエピトープに結合し、したがって、単一のモノクローナル抗体が使用される場合と比べて細胞表面のFcの密度が高くなるため、有利であると考えられる。当然、標的とされる細胞を激減させる際の有効性を高めるために、または無修飾抗体が治療的に有効ではない場合、毒素または細胞障害性物質に結合させた抗体を使用してもよい。
前記抗体組成物は、単独で、または従来の治療の有効性を高めるため、もしくは抗体が標的としない異常細胞を標的とするための他の治療用物質と組み合わせて使用されてよい。本発明の抗体および抗体組成物には、例えば、PEG化抗体および/または抗体のプレターゲティング構築物が含まれてよい。化学療法的治療を受けていない患者では、抗体療法の方法を化学療法、放射線、または外科的レジメンと組み合わせることが好まれる場合があるのに対し、1回または複数回の化学療法を受けたことのある患者に対しては、抗体療法を用いる治療が必要である場合がある。さらに、抗体療法は、特に、化学療法剤の毒性にあまりうまく耐えられない患者において、付随する化学療法の投与量を減らして使用できるようにすることもできる。さらに、化学療法剤に対して耐性の腫瘍を有するがん患者を抗体で治療することにより、組み合わされたそれらの剤に対する感受性および応答性が誘導される可能性もある。
1つの局面において、抗体は、限定ではなく例として、ブスルファン、チオグアニン、イダルビシン、シトシンアラビノシド、6-メルカプトプリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびヒドロキシ尿素を含む、治療用細胞障害性物質と共に補助的に使用される。抗体療法の補助剤として有用な他の作用物質は、疾患の状態で見出される異常細胞分子に特異的に指向した化合物である。これらの作用物質は、疾患特異的であると考えられる。
治療的効果を実現するのに必要とされる前記組成物の量は、個々の目的に合わせて従来の手順に従って、経験に基づいて決定される。通常、治療目的でエクスビボまたはインビボで組成物を投与する場合、それらの組成物は、薬理学的に有効な用量で与えられる。「薬理学的有効量」または「薬理学的有効用量」とは、障害または疾患の1種類または複数種類の症状または症状発現を軽減することまたはなくすことを含めて、特に障害または疾患状態を治療するためまたは再治療するために、所望の生理学的効果をもたらすのに十分な量または所望の結果を達成することができる量である。
例として、がんに罹患している患者への抗体の投与は、基礎疾患が根絶または改善される場合だけでなく、疾患に付随する症状の重症度または持続期間の低減を患者が報告する場合にも、治療恩恵を与えている。治療恩恵には、改善が実現されるかどうかを問わず、基礎疾患または基礎障害の進行を停止することまたは遅くすることも含まれる。
対象に投与される量は、投与されるもの、予防または療法などの投与目的、対象の状態または病態、投与様式、投与回数、および投与間隔などに応じて変動する。これらは、当業者が経験に基づいて決定することができ、治療応答の程度に合わせて調整してよい。適切な用量を決定する際に考慮すべき因子には、対象の大きさおよび体重、対象の年齢および性別、症状の重症度、疾患の段階、送達方法、抗体の半減期、ならびに抗体の有効性が含まれるが、それらに限定されるわけではない。考慮すべき疾患の段階には、その疾患が急性であるか慢性であるか、再発期であるか寛解期であるか、および疾患の進行性が含まれる。治療的有効量に関して投与量および投与時間を決定することは、十分に当業者の技能の範囲内である。
本開示の任意の組成物について、治療的有効用量は、当技術分野において周知の方法によって容易に決定される。例えば、初回有効用量は、細胞培養アッセイ法または他のインビトロアッセイ法から推定することができる。例えば、Sliwkowsky, M X et al. (1999) Semin. Oncol. 26. suppl. 12:60では、抗体依存性細胞障害のインビトロ測定を説明している。次いで、細胞培養アッセイ法によって決定されるようなIC50の濃度を含む循環濃度または組織濃度を生じるように、動物モデルで用量を決定することができる。
さらに、毒性および治療的有効性も、通常、細胞培養アッセイ法および/または実験動物を用いて、典型的にはLD50(試験集団の50%に対する致死量)およびED50(試験集団の50%における治療的有効性)を測定することによって、明らかにされる。毒性と治療的有効性の用量比が、治療指数である。高い治療指数を個別にまたは組み合わさって示す組成物が、好ましい。有効量の決定は、本明細書において提供される詳細な開示内容を前提とすれば特に、十分に当業者の技能の範囲内である。手引きは、標準的な参照研究、例えばFingl and Woodbury, General Principles In: The Pharmaceutical Basis of Therapeutics pp. 1-46 (1975)およびその中で引用されている参照文献中でも見出される。
初回寛容化用量を実現するために、それらの抗体がヒトおよび非ヒト霊長類において免疫原性であり得る可能性を考慮する。免疫応答は、生物学的に有意であり得、例えば、キメラ抗体またはヒト化抗体の場合に抗体がヒト免疫グロブリン配列から部分的または主に構成されている場合でも、抗体の治療的有効性を弱め得る。特定の態様において、治療用抗体に対するある程度の免疫寛容が確立されるように、高用量の抗体が初回に投与される。寛容化用量は、拘束された前駆細胞特異的抗体の投与を繰り返すために抗体応答の誘導を妨害または低減するのに十分である。
寛容化用量の範囲は、例えば10mg/kg体重〜50mg/kg体重の間であり、両端の数値を含む。いくつかの態様において、寛容化用量の範囲は、20〜40mg/kgの間であり、両端の数値を含む。さらに別の態様において、寛容化用量の範囲は、20〜25mg/kgの間であり、両端の数値を含む。
これらの治療レジメンにおいて、抗体の治療的有効用量は、0.1〜10mg/kg体重(両端の数値を含む)の範囲で投与されてよい。特定の態様において、治療的有効用量は、0.2〜5mg/kg体重(両端の数値を含む)の範囲である。他の態様において、治療的有効用量は、0.5〜2mg/kg(両端の数値を含む)の範囲である。代替の態様において、1回または複数回のその後の治療用量は、寛容化用量と同じもしくは異なる製剤に含まれてもよく、かつ/または寛容化用量と同じもしくは異なる経路によって投与されてもよい。
抗体組成物は、例えば、経口、鼻、粘膜、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、および筋肉内の投与を含む、任意の適切な投与様式向けに製剤化されてよい。
本発明の目的において、投与方法は、治療される病態、対象抗体の形態、および薬学的組成物に応じて選択される。
前記抗体組成物の投与は、限定されるわけではないが、継続的、皮下、静脈内、経口的、局所的、経皮的、腹腔内、筋肉内、および膀胱内を含む、様々な方法で実施することができる。例えば、マイクロパーティクル製剤、マイクロスフェア製剤、およびマイクロカプセル製剤が、経口投与、筋肉内投与、または皮下投与に有用である。さらに、リポソームおよびナノ粒子も、静脈内投与に適している。薬学的組成物の投与は、単一の経路を介して、またはいくつかの経路によって同時に、行われてよい。例えば、腹腔内投与は、静脈内注射を伴ってよい。好ましくは、治療用量は、静脈内、腹腔内、筋肉内、または皮下に投与される。
前記組成物は、1回または数回投与されてよい。いくつかの態様において、組成物は、特に、治療される適応症および処方する医師の判断に応じて、1日に1回、1日に2〜3回もしくは数回、またはさらに1日に複数回、投与されてよい。
前記組成物の投与は、当業者に周知である持続放出法または長期送達法によって実現されてもよい。本明細書において使用される「持続放出」または「長期放出」とは、送達システムが、薬学的治療量の対象化合物を1日より長く、好ましくは1週間より長く、および最も好ましくは少なくとも約30日〜60日、またはそれより長く投与することを意味する。長期放出システムは、抗体を含む埋め込み可能な固体またはゲル、例えば前述の生分解性ポリマー;ぜん動ポンプおよびフルオロカーボン噴射剤ポンプを含むポンプ;ならびに浸透圧ポンプおよびミニ浸透圧ポンプなどを含んでよい。
本発明の方法は、単一のモノクローナル抗体およびこれらの抗体によって認識される特定の抗原を認識する任意の抗体、ならびに様々なモノクローナル抗体の組合せの投与を企図する。2種類またはそれより多いモノクローナル抗体は、単一の抗体と比べて、より良い効果をもたらし得る。あるいは、ある抗体と、異なる抗原に結合する抗体との組合せは、単一の抗体と比べて、より良い効果をもたらし得る。このようなモノクローナル抗体カクテルは、異なるエフェクターメカニズムを用いるモノクローナル抗体を含んでいるか、または細胞障害性モノクローナル抗体を免疫エフェクター機能性に依拠するモノクローナル抗体と直接的に組み合わせているため、いくつかの利点を有し得る。組み合わせられたこのようなモノクローナル抗体は、相乗的な治療的効果を示し得る。
別の態様において、抗xCT抗体は、例えば、特定の細胞、組織、または血清中でのxCTの発現を検出する、xCTについての診断アッセイ法において使用され得る。
「検出すること」とは、試料中の分析物の存在、非存在、または量を明らかにすることを意味し、試料中または試料中の細胞当たりの分析物の量を定量することを含むことができる。
「診断」とは、病理学的状態の存在または性質を特定することを意味する。各診断方法は、特異度および感度が異なる。ある特定の診断方法が、ある状態の決定的診断を提供しない場合があるが、診断を助ける陽性の指標をその方法が提供するならば、十分である。
本発明は、正常レベルおよび異常レベルの決定を含む、細胞、組織、および体液中のxCTポリペプチドのレベルを検出するための、定量的なものおよび定性的なものの両方の、診断アッセイ法に関する。宿主に由来する試料中の、本発明のxCTのようなポリペプチドのレベルを決定するのに使用できるアッセイ法技術は、当業者に周知である。このようなアッセイ方法には、ラジオイムノアッセイ法、免疫組織化学的アッセイ法、インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ法、競合的結合アッセイ法、ウェスタンブロット解析、およびELISAアッセイ法が含まれるがそれらに限定されるわけではない。これらのうちで、ELISAが、生物学的液体中の遺伝子の発現タンパク質を検出するために頻繁に使用される。ELISAアッセイ法は、最初に、xCTに特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を調製する段階を含む。さらに、xCTに特異的に結合するレポーター抗体が、通常は調製される。レポーター抗体は、放射性試薬、蛍光試薬、または酵素試薬、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素もしくはアルカリホスファターゼなどの検出可能な試薬に結合されている。
上記の試験は、対象の体液、ならびに例えば組織生検材料および検死材料から得られる組織採取物(ホモジネートまたは可溶化組織)に由来する試料に対して実施することができる。ポリペプチドを測定することにより、または転写レベルに基づいて、がんの罹患が疑われる患者から得られた細胞および組織中のxCTレベルを明らかにし、正常または対照の細胞または組織中のxCTレベルと比較する。正常な健常個体から得られた同じ細胞、組織、または体液中でのレベルと比較して、対象の測定されたxCTレベルが上昇している場合、がんであることが示唆される。「上昇したレベル」とは、正常な同じ細胞または組織中のxCTレベルと比較して、対象の測定されたxCTレベルが上昇していることを意味する。上昇したxCTレベルの検出は、限定されるわけではないが、乳がん、膵がん、前立腺がん、黒色腫、結腸がん、肺がん、および甲状腺がんを含む様々ながんの診断において有用である。
さらに、がんと診断された対象のxCTレベルをモニターすることは、まだ転移していないがんにおける転移の始まりを判定する際およびがんの病期を判定する際に有用である。例えば、xCTの検出は、対象の転移していないがんを転移の始まりについてモニターする方法において使用することができる。この方法では、転移したことが公知ではないがんに罹患している対象を特定する。次いで、この対象に由来する試料中のxCTレベルを測定する。次いで、測定されたこれらのxCTレベルを、正常な対照試料のxCTレベルと比較する。対象の測定されたxCTレベルが正常な対照と比べて上昇している場合、これは転移したがんに関連している。
対象が罹患しているがんの病期もまた、判定することができる。この方法では、がんに罹患している対象を特定する。患者に由来する組織試料中のxCTレベルを測定して、該患者のベースラインxCTレベルを確かめる。次いで、同じ組織試料中のxCTレベルを、その後の時間周期で、例えば、対象の医師による予定された検査時に、測定する。次いで、測定されたxCTレベルを、その患者のベースラインxCTレベルと比較する。この方法において、対象の測定されたxCTレベルが該対象のベースラインxCTレベルと比べて上昇している場合は、進行中のがんに関連しており、測定されたxCTレベルがベースラインxCTレベルと比べて低下している場合は、退縮中または寛解期にあるがんに関連している。測定されたxCTレベルが対象について確かめられたベースラインxCTレベルと比べて上昇している場合は、転移を示唆する場合もある。
1つの態様において、xCT免疫組織化学は、xCT発現の存在に基づいてリスクを割り当てるための「指標診断」として機能する。したがって、このパラメーターおよび他のパラメーター(例えば、病変の大きさ)に基づいて、異なる治療様式(すなわち、化学療法、放射線療法、外科手術)を使用すべきか否かを判定することができる。関係する局面において、前悪性状態から悪性表現型への進行をモニターするための方法が、開示される。例えば、組織の連続的試料採取(すなわち生検)を用い、かつ病変中のxCT発現の状態を観察することにより、治療的介入が勧められるかまたは成功しているかを示す様式で、前悪性状態が進行しているか否かを判定することができる。
本発明の1つの局面は、ある細胞集団ががん性になる、例えば、細胞または腺が前悪性状態になるか、またはがん性病変に進行する可能性を明らかにするための方法である。本発明は、xCTタンパク質に特異的に結合する作用物質、例えば抗体を用いて、組織および細胞中のxCTのレベルを評価する。細胞および組織におけるxCT発現はまた、核酸解析、例えば選択的増幅法またはハイブリダイゼーション法を用いて評価してもよい。xCTレベルが正常レベルまたは対照レベルを上回っている場合、前悪性疾患が存在する、すなわち、それらの細胞または組織が前悪性である可能性が高まっていることが示される。
E 抗体キット
本発明の治療またはアッセイ法を実施するために必要な試薬を含む抗体キットが提供される。このキットは、それぞれ1つまたは複数の容器を収納するための1つまたは複数の区画を含んでよく、該容器は、例えば、(a)前述の本発明の構成要素のうちの1つを含む、第1の容器、および(b)以下のもの、すなわち洗浄試薬、抗体またはペプチドの存在を検出できる試薬のうちの1つまたは複数を含む1つまたは複数の他の容器である。
これらの容器は、試料および試薬が相互汚染されないように、試薬を1つの区画から別の区画へ効率的に移動することを可能にし、各容器の作用物質または溶液を1つの区画から別の区画へ定量的に添加することができる。
典型的には、前記キットは、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてよく、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれ得る容器を、含む。典型的には、ラベルがキットに付いており、ラベルは、任意の文書資料または記録資料を含み、これらの資料は、取扱い説明書またはキットの内容物を使用するための他の情報を提供する電子的またはコンピューターで読み取り可能な形態(例えば、ディスク、光学ディスク、またはテープ)で存在してよい。ラベルは、製剤が、選択された障害を診断または治療するために使用されることを示す。
当業者は、当技術分野において周知である確立されたキット形態のうちの1つに、開示される本発明の抗体を容易に組み入れられることを容易に認識するであろう。
II 抗がん療法
特定の態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、がんを治療するための他の抗がん療法と併用してまたは組み合わせて、投与することができる。治療的有効用量は、当業者が決定することができ、疾患の重症度および経過、患者の健康状態および治療に対する反応、患者の年齢、体重、身長、性別、以前の病歴、ならびに治療担当医の判断に応じて変わる。
本発明のいくつかの方法において、がん細胞は腫瘍細胞である。がん細胞は、ある患者中に存在してよい。その患者は、固形腫瘍を有していてよい。このような場合、態様は、例えば腫瘍の全体または一部分を切除することによって、患者に外科手術を実施することをさらに含み得る。本明細書において説明するxCT VLPは、抗がん治療の前、間、または後に投与することができる。抗がん治療は、外科手術の前、後、または同時に、患者に施されてよい。追加の態様において、患者は、直接的に、内視鏡的に、気管内に、腫瘍内に、静脈内に、病巣内に、筋肉内に、腹腔内に、局部的に、経皮的に、局所的に、動脈内に、膀胱内に、または皮下に、投与されてもよい。抗がん組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、またはそれより多く、投与されてよく、かつそれらは、1時間毎、2時間毎、3時間毎、4時間毎、5時間毎、6時間毎、7時間毎、8時間毎、9時間毎、10時間毎、11時間毎、12時間毎、13時間毎、14時間毎、15時間毎、16時間毎、17時間毎、18時間毎、19時間毎、20時間毎、21時間毎、22時間毎、23時間毎、24時間毎、または1日毎、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、または1週毎、2週毎、3週毎、4週毎、5週毎、または1ヶ月毎、2ヶ月毎、3ヶ月毎、4ヶ月毎、5ヶ月毎、6ヶ月毎、7ヶ月毎、8ヶ月毎、9ヶ月毎、10ヶ月毎、11ヶ月毎、12ヶ月毎に投与されてもよい。
がんを治療する方法は、化学療法または放射線療法を患者に施す段階をさらに含んでよく、これらは複数回、施されてよい。化学療法には、ドセタキセル、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトセシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロスレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、タキソテール、タキソール、トランスプラチン、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、ゲムシタビン、オキサリプラチン、イリノテカン、トポテカン、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。放射線療法には、X線照射、UV照射、γ照射、電子ビーム照射、またはマイクロ波が含まれるが、それらに限定されるわけではない。さらに、細胞または患者には、本発明の方法の一環として、限定されるわけではないがタキサンを含む微小管安定化剤が投与されてもよい。化合物または誘導体もしくは類似体のいずれかをこれらの併用療法と共に使用できることが、具体的に企図される。
いくつかの態様において、本明細書において説明する組成物が投与されるがんは、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸直腸、食道、胃腸、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮の細胞である。ある特定の局面において、がんは乳がんである。
III 実施例
以下の実施例および図面は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。実施例または図面において開示される技術は、本発明の実施に際してうまく機能する本発明者らによって発見された技術に相当し、したがって、その実践のために好ましい形態を構成するとみなし得ることが当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、開示される個々の態様に多くの変更を加えることができ、かつ本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果をなお得ることができることを、本開示に照らして理解すべきである。
実施例1
xCT VLPによって誘発された抗体がxCT機能およびBCSCバイオロジーに影響を及ぼし得るかどうかを調査するために、対照VLPで処置したマウスまたはxCT VLPで処置したマウスの血清からIgGを精製した。指定のsTNBC細胞株に由来するBCSCが豊富な細胞を、精製抗体と共にインキュベートし、3D培養物を用いてBCSCの自己複製および増殖を解析し、一方、スフェア中のaldefluor陽性細胞(BCSC表現型のマーカー)の出現率および細胞間ROSレベル(xCT機能の指標)をFACSによって測定した。xCT不活性化の他の方法(siRNA、SASP処理、およびDNAワクチン注射)を用いて観察されるように、xCT VLPによって誘発されたIgG抗体は、BCSCの自己複製、増殖を減少させ、ROSレベルを上昇させた(図1)。また、xCT VLPによって誘発された抗体で処置された培養物中で形成した腫瘍スフェア中のBCSCの数も、顕著に減少していた。
図1は、AX09(RNAバクテリオファージVLP上に提示されたxCTエピトープ)によって誘発された抗体がBCSCのバイオロジーに影響を及ぼし、ヒト細胞におけるxCTの機能を阻害することを示している。1回継代MDA-MB-231に由来する腫瘍スフェアを解離させ、対照VLPまたはAX09で処置したマウスから単離した50μg/mlの精製IgGと共にスフェア培地中に再び播種した(4×105個/ウェル)。IgGを含まない培地を対照として使用した。培養物を5日後に解析し、各アッセイ法は3つ1組で行った。誤差棒は標準偏差を表し、**は、スチューデントのt検定によるp値が0.01未満であることを表す。(A)BCSCの自己複製を解析するために、3D培養物中で形成した二次的腫瘍スフェアの数を数え、播種細胞103個当たりのスフェアの数としてプロットした。(B)取得されたスフェア画像を用いてBCSC増殖を評価し、ImageJソフトウェアを用いて、スフェア平均径の測定値を計算した。(C)AX09免疫血清がxCT機能を阻害する能力を、細胞間ROSレベルを測定することによって評価した。解離させたスフェアを2,7ジヒドロジクロロフルオレセインジアセタートと共にインキュベートし、FACSによってROSレベルを評価した。(D)腫瘍スフェア中のBCSCの出現率を測定するために、スフェアを解離して単細胞懸濁液にし、ALDEFLUORと共に細胞をインキュベートし、FACSによって細胞を解析することにより、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性について解析した。(がん幹/前駆細胞を示唆する)ALDH陽性細胞の比率をプロットした。
トリプルネガティブ乳がんに由来する幹細胞と共にインキュベートした精製IgGを用いた、追加のデータ。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、マウスTUBOに由来するがん幹細胞。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、マウス4T1に由来するがん幹細胞。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、ヒトHTC1806に由来するがん幹細胞。ECD6 VLPおよびECD3 VLPから精製した両方のIgGと一緒にされた、ヒトMB-MDA 231に由来するがん幹細胞。
モノクローナル抗体の製造
ECD3 Mab - 標準的な工業プロトコールを用いて、ECD3およびECD6に対する抗体を製造する。免疫化スケジュールを下記に示す。
Figure 2020518668
第II相の最後に、ECD6について陽性のハイブリドーマクローンは見出されなかった。このセクションの残りで、ECD3作製について説明する。
最終の追加免疫後のELISA - (1)抗原コーティング: 段階1:1×PBSに溶かしたストレプトアビジン、10.0μg/ml;コーティング量: 50μL/ウェル、37℃で2時間;次いで、1×PBSでウェルを3回洗浄;段階2:1×PBSに溶かしたスクリーニング用ビオチン標識ECD3ペプチド、10.0μg/ml;コーティング量: 50μL/ウェル、4℃で一晩;次いで、1×PBSでウェルを3回洗浄。(2)ブロッキング: 5%BSA/PBS、100μL/ウェル、室温で2時間;(3)1次抗体: 6回目の免疫化から得たマウス血清。50μL/ウェル、室温で2時間。(4)二次抗体: HRP標識抗IgG:SIGMA、カタログ番号: A0168、ロット番号: 097K4831;希釈度:1:9,000、50μL/ウェル、室温で2時間。(5)基質溶液: TMB、100μL/ウェル、37℃で10分、450nmでのOD読取り;および(6)下記のOD読み取りの結果(二重ウェル)。
Figure 2020518668
Agilvax社は、xCT抗体応答を評価する際に使用するためにペプチドELISAを最適化した。したがって、最適化されたペプチドELISAプロトコールを用いて、最終血液を試験し、その後に進める動物を選択した。
Figure 2020518668
ペプチドELISA: ELISAプレートを、PBS(pH7.5)に溶かした1μgアビジンと共に37℃で2時間インキュベートした。洗浄後、SMPHを2μg/ウェルの量でウェルに添加し、37℃で2時間、インキュベートした。(C末端に反応性システイン残基を含む)ECD3ペプチドを2μg/ウェルの量でウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。室温で1時間、PBS中0.5%ミルクを用いてプレートをブロッキングし、血清の3倍希釈物(1:500から始めて1:13500で終わる)を各ウェルに添加し、2時間インキュベートした。ウェルを、HRP標識ヤギ抗マウスIgG(1:5000)で1時間プローブした。反応は、TMBを用いて1時間発色させ、1%HClを用いて停止させた。450nmでの光学濃度を測定することによって、ECD3に対する血清の反応性を測定した。対照は、外来性アジュバントの非存在下で5μgのECD3 VLPによって(筋肉内)免疫化され、14日後に同じ製剤で追加免疫を与えられたBALB/c雌マウス(4/6週齢)に由来する。14日後に、血清を採取した。これは、ECD3による典型的な免疫化プロトコールを用いた典型的な抗体応答の範囲を表す。
このデータから、5番の動物を、ハイブリドーマ融合およびECD3 ELISAを用いるその後のIgGクローンの試験のために選択した。
ECD3ハイブリドーマ上清の試験。ECD3 (94653):ECD3 VLPSおよびMST WTを標的とするすべてのクローン。1種類のクローンが、ECD3 VLPSについて陽性であり、MST WTについて陰性であった。また、クローンはみな、ビオチン標識ECD3ペプチドについて弱い陽性であった。50種類より少ないクローンがあった。
VLPモノクローナル抗体製造の免疫化プロトコール。この研究では、がん幹細胞研究においてxCT機能を阻害するIgG抗体をもたらした免疫化スケジュールおよび投与経路を使用する。5匹の雌BALB/cマウス(4〜8週齢)のグループを、右の尾側大腿筋にアジュバントなしのVLPを10μg注射し(IM)、続いて、4週間後に追加免疫することにより、様々なxCT VLPで免疫化する。
追加免疫の1日前に、顎下静脈から血液を採取し、無希釈の血清の分取物を、各動物の免疫前血清の分取物と共にELISAに使用する。追加免疫後2週目に、2回目の採血を行い、無希釈の血清を採取する。最適化ペプチドELISAによって、力価が許容範囲の約105である場合、力価が最も良いマウスに由来する脾細胞を用いてハイブリドーマ融合を行う。
力価が許容レベルを下回る場合、(7〜8)週時点で1回の付加的な追加免疫を行い、続いて、2週間後に1回の追加採血を行う。力価が最も良いマウスに由来する脾細胞を用いて、ハイブリドーマ融合を行う。
xCT DNA免疫化とそれに続くVLP追加免疫によるMab製造。xCT ECDを標的とする治療用Mabの開発のために、異なるアプローチを使用することができる。
10日後に行われる2回目のDNAプラスミド追加免疫への全体的なxCT抗体応答を引き起こすために、マウスDNAプラスミドをベースとするワクチンを用いるインビボエレクトロポレーションを8匹のBALB/cマウスにおいて実施する。xCT ECDに対する抗体応答を増強し標的とするために、特異的なxCT ECDを提示するVLPを、右の尾側大腿筋にアジュバントなしのVLPを10μg注射(IM)し、続いて、4週間後に追加免疫することによる免疫化のために使用する。1種類のxCT VLP当たり2匹のマウスを、指定のVLPによる追加免疫のために使用する。
0日目および10日目に、8匹のBALB/c雌にワクチン接種する。ワクチンは、(a)50μg/20μL/マウスのDNAエレクトロポレーション(エレクトロポレーター設定: 低電圧;各300ミリ秒を2回パルス印加;25秒間隔、150V)および(b)マウスへの10μgのVLP-ECD6(総体積50μL)のI.M.注射を含む。各VLP追加免疫の前に血清を採取した。VLP追加免疫=2。VLPには、AX09(MS2 ECD6)、QベータAX09(ECD6)、AX10(MS2 NECD3)、およびMS2 NECD1が含まれる。
最終の追加免疫から2週間後、顎下静脈から血液を追加免疫後2週目に採取し、血清をxCTスクリーニングに使用する。血清のFACS解析を用いて、4T1細胞に由来するxCTの細胞外領域に結合する抗体をワクチン接種プロトコールが誘発したかどうかを検証する。xCT結合特徴を有するマウスに由来する脾細胞を用いて、ハイブリドーマ融合を行う。
xCTモノクローナル抗体データ
VLPを用いた、モノクローナル抗体の製造。xCT ECD3を標的とする治療用mAbを開発するために、10匹のBALB/cマウスをAX09-0M3 VLP(NECD3)で初回抗原刺激して抗体応答を引き起こした。投与経路によって、動物に2回または3回のAX09-0M3 VLP追加免疫を施し、各試験血液に対してペプチドELISAを実施して抗体力価をモニターした。
標準的な工業プロトコールおよびAgilvax社の標準プロトコールを用いて、NECD3に対する抗体を製造した。追加免疫3回目(S.C./I.P.)および追加免疫2回目(I.M.)は、施設内試験であることが理由で、標準的な2週または4週の間隔から外れた。免疫化スケジュールを下記に示す。
Figure 2020518668
動物5879および5880: アルミニウムアジュバント
動物5881および5882: CFA/IFAアジュバント
Figure 2020518668
動物5873〜5878: アジュバントなし
追加免疫2回目または3回目後のペプチドELISA。ELISA抗原: (A)N末端ビオチン標識ECD3ペプチド(0.5μg/mL、100μl/ウェル);コーティング濃度(ストレプトアビジン):2μg/mL;コーティング緩衝液: リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4;二次抗体: ペルオキシダーゼ-AffiniPureヤギ抗マウスIgG、Fcγ断片特異的(min X Hu, Bov, Hrs Sr Prot)。
S.C./I.P.(試験採血3回目)
Figure 2020518668
I.M(試験採血2回目)
Figure 2020518668
力価は、2.1以上のS/B(シグナル/ブランク)を有する最大希釈度である。
Agilvax社は、xCT抗体応答を評価する際に使用するためにペプチドELISAを最適化した。
Figure 2020518668
*色を変えて強調した動物は、IF実験において陽性の結果をもたらした(下記を参照されたい)。
このデータから、5875番の動物を、脾細胞を用いるハイブリドーマ融合およびECD3 ELISAを用いるその後のIgGクローンの試験のために選択した。
ペプチドELISA: 合計200μLのN末端ビオチン標識hNECD3ペプチド500ngを、予めブロッキングしたNeutrAvidinコーティング96ウェルELISAプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。翌朝、プレートを、0.05% Tween-20を含むPBSに溶かしたBlocker BSAで洗浄し、個々の動物に由来する希釈血清(1:500(9-1-17)または1:1500(10-24-17)から始まる3倍希釈)と共に、室温で揺り動かしながら2時間インキュベートした。ウェルをBlocker BSAで洗浄した。HRP標識ヤギ抗マウスIgG(1:5000)をウェルに添加し、揺り動かしながら室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、TMB溶液(Calbiochem)200μLを添加し、揺り動かしながら室温で1時間インキュベートした。100μLの2%HClを添加することによって反応を停止させ、プレートを450nmで読み取った。終点力価を、バックグラウンド(免疫前血清のプール)の2倍であるOD450値と定めた。
AX09-0M3をワクチン接種されたBALB/cマウスの血清と共にインキュベートされた4T1上皮細胞の免疫蛍光画像を取得した。ガラス製カバーガラス上で一晩平板培養した4T1上皮細胞を4%ホルマリン中で固定し、希釈度1:10の血清と共に室温で1時間、インキュベートした。Alexa Fluor488を結合させた抗マウスIgG1二次抗体と共に室温で1時間インキュベートした後に、特定のシグナル(緑色蛍光)を検出した。核をDAPIで対比染色した(青色)。上記の抗血清試料に対応する動物に由来する免疫前血清は、いかなる特定シグナルも示さなかった。
AX09-0M3ハイブリドーマ上清の試験
一次ペプチドELISAスクリーニングおよび確認ペプチドELISAスクリーニング。ELISA抗原: N末端ビオチン標識ECD3ペプチド(0.5μg/mL、100μl/ウェル);コーティング濃度(ストレプトアビジン): 5μg/mL;コーティング緩衝液: リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4;二次抗体:ペルオキシダーゼ-AffiniPureヤギ抗マウスIgG、Fcγ断片特異的(min X Hu, Bov, Hrs Sr Prot)。
一次ELISA: 4800個のクローン上清を、hNECD3ペプチドへの結合についてスクリーニングした。このスクリーニングによる合計388個の陽性クローン(OD450>1.0)を、二次の確認ELISAのために選択した。
確認ELISA: OD450>2.5である場合、クローンを陽性とみなした。陽性クローンを、増殖および上清採取のために選択した。146個の親クローンから得た上清を、さらなる試験のため、およびどのクローンがサブクローニングに進むかを決定するために、Agilvax社に送った。
VLP競合ELISA。VLP競合ELISA。合計100μLのAX09-0M3 VLPまたはMS2 VLPを、Immulon II 2HB 96ウェルELISAプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。翌朝、プレートを1×PBSで洗浄し、1×PBS中0.5%ミルクを用いてブロッキングした。ブロッキング後、希釈したクローン上清(1:10)または対照血清を、過剰なMS2 VLPと共にインキュベートした。プレートを洗浄し、希釈したクローン上清または対照血清と共に、揺り動かしながら室温で1.5時間インキュベートした。洗浄後、HRP標識ヤギ抗マウスIgGをウェルに添加し、揺り動かしながら室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、100μLのTMB溶液を添加し、揺り動かしながら室温で1時間インキュベートした。50μLの2%HClを添加することによって反応を停止させ、プレートを450nmで読み取った。
Figure 2020518668
競合ELISAによる一次スクリーニングにより、AX09-0M3 VLPに結合し2.0より大きいOD450値を示す71個のクローン上清を同定した。これらの71個のクローン上清のうちで、55個の上清は、4.0より大きいOD450測定値を示し、11個の上清は、3.0より大きく4.0より小さいOD450測定値を示し、5個の上清は、2.0より大きく3.0より小さいOD450測定値を示した。サブクローニングに進めるためのクローン上清をさらに選択することを目的として、OD450測定値が0.100より大きい全クローンをIgG ELISAで使用した。このELISAによって測定されたIgG総量を用いて、VLP ELISA OD450測定値を標準化した。
IgG ELISA
Figure 2020518668
希釈した120個のクローン上清(1:10または1:50)およびマウスIgG標準物質を、マウスIgG特異的抗体でコーティングしたウェルに添加し、揺り動かしながら室温(RT)で2時間インキュベートした。1×洗浄緩衝液でウェルを2回洗浄した。HRP標識ヤギ抗マウス検出抗体を製造業者の取扱い説明書に従って希釈し、ウェルに添加し、揺り動かしながら室温で1時間インキュベートした。1×洗浄緩衝液で3回洗浄した後、HRP発色溶液であるTMBを添加し、室温でインキュベートした。発色をモニターし、3回の異なる時点にプレートを読み取って(630nmで約3分、7分、および11分)、測定値が検量線の範囲にあることを保証した。15分の時点で、停止液によって反応を終わらせ、プレートを450nmで読み取った。直線的傾向線を有するIgG検量線をExcelで作成し(許容されるR2>0.98)、これを用いて、IgG量(ng)/クローン上清を決定した。マウスIgG標準物質は2つ1組で遂行したのに対し、クローン上清のためには1つのウェルのみを使用した。上位32位の結果のみを上記に示している。
クローン上清中のIgGの量は、0.549ng〜12.510ngの範囲であった(データ不掲載)。標準化(OD/ng IgG)後、0.430のカットオフ値を用いて32個のクローンを特定し、サブクローニングに進めるために選択した。サブクローニングの開始前に、親クローンを復活させ、hNECD3ペプチドへの結合についてELISAによって試験した。
ペプチドELISA - 親クローン上清。ペプチドELISAによるスクリーニングにより、すべての親クローン上清が細胞復活後にhNECD3ペプチドに結合すること、およびこれらのクローンのうちの28個が2.0より大きいOD450値を示すことが、示された。1回のサブクローニングのために、28個のクローンを選択した。標的抗原への結合にアクセスするために、得られたサブクローニング上清を、ペプチドELISAを用いて評価した(一次スクリーニング)後、FACSまたはIFによって評価する(二次スクリーニング)。
ペプチドELISA - サブクローン上清。各親クローンから1〜3個のサブクローンを得た。ペプチドELISAによるスクリーニングにより、73個のサブクローン上清すべてがサブクローニング後にhNECD3ペプチドに結合し、2.0より大きいOD450値を示すことが、示された。サブクローン名=親クローン-サブクローン(すなわち、14B3-C3)。サブクローンをさらに特徴付けるために、IgGおよび抗体アイソタイプの濃度を測定した。
IgG濃度 - サブクローン上清。クローン上清はすべて、検出可能なIgGを含む。クローン上清中のIgG濃度は、0.057μg/mL〜1.398μg/mLの範囲であった。サブクローン名=親クローン-サブクローン(すなわち、14B3-C3)。
アイソタイプ解析 - サブクローン上清。この解析により、IgM(κ)アイソタイプのものであった1個のサブクローン、すなわち10G6-B9を除いて、試験した各サブクローンにおいてIgG(κ)アイソタイプに属する抗体の存在が確認された。IgG(κ)サブクローンのうちで、12個はIgG1と同定され、38個はIgG2aと同定され、22個はIgG2bと同定された。
実施例2
xCTに対するモノクローナル抗体の作製。雌BALB/cマウス(Charles River Laboratories)をMolecular Biotechnology Center, University of Torinoで飼育し、大学倫理委員会(University Ethical Committee )および指令2010/63のもとのヨーロッパ指針に従って処置した。ワクチン接種は、以前に説明されている(Lanzardo et al., 2016)(全長マウスxCTタンパク質をコードしている)pVAX1-xCT DNAプラスミドの1回の筋肉内エレクトロポレーションからなった。DNAワクチン接種後10日目から始めて、月に1回の頻度で6回、AX09-0M3 VLPを用いて(ヒトxCTタンパク質の第3の細胞外ドメインECD3に対して)マウスを追加免疫した。1回目のVLPワクチン接種の前、次いで、各ワクチン接種後2週目に、マウスから採血し、血清を採取し、その後の解析まで-20℃で保存した。
ワクチン接種によって誘発された抗体の機能的効果を試験するために、xCT+がん幹細胞(CSC)が豊富な4T1由来腫瘍スフェアを、培地のみ、xCT薬理学的阻害剤スルファサラジン(SASP、50μM)、またはワクチン接種マウスもしくは未処置マウスから集めた血清の1:50希釈物と共に、5日間インキュベートした。スフェア生成能力を、腫瘍スフェア数/播種細胞103個として報告した(図7)。AX09-0M3をワクチン接種されたマウスに由来する血清は、4T1細胞のスフェア生成能力を有意に低下させることができたことから、xCT機能を妨害できる抗体の存在が示唆された。
抗xCT抗体の存在を確認するために、次いで、3回目のワクチン接種の後に採取した血清試料をELISAによって試験した。簡単に説明すると、合計200μLのN末端ビオチン標識hNECD3ペプチド500ngを、予めブロッキングしたNeutrAvidinコーティング96ウェルELISAプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。翌朝、プレートを、0.05% Tween-20を含むPBSに溶かしたBlocker BSAで洗浄し、個々の動物に由来する希釈血清(1:500から始めて1:8.86×107で終わる3倍希釈)と共に、室温で揺り動かしながら2時間インキュベートした。ウェルをBlocker BSAで洗浄した。HRP標識ヤギ抗マウスIgG(1:5000)をウェルに添加し、揺り動かしながら室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、TMB溶液(Calbiochem)200μLを添加し、揺り動かしながら室温で1時間インキュベートした。100μLの2%HClを添加することによって反応を停止させ、プレートを450nmで読み取った。終点力価を、バックグラウンド(未処置血清またはMS2血清)の2倍であるOD450値と定めた。これは、ECD3によるAgilvax社の典型的な免疫化プロトコールを用いた典型的な抗体応答の範囲を表す。マウスB5に由来する血清が、より高い終点力価を(9.84E+06)示した。
ペプチドELISA - 終点力価(3回目のVLP投与後に採取された血清)
Figure 2020518668
これらの結果に基づき、モノクローナル抗体を作製するためにマウス番号B5を選択した。
モノクローナル抗体を作製するために、10%FCS血清およびHAT溶液(イポキサンチン100μM、チミジン16μM、およびアミノプテリン0.04μM)を添加したDMEM培地中で脾細胞をNS-1骨髄腫細胞と3:1の比率で混合した。合計150,000個の細胞を含む100μlを、15枚の96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに播種した。10日後、細胞増殖が明らかであるウェルから得た上清に対してELISA試験を実施した。抗原(1μg/mLのxCTマウス (m)ECD3ペプチド溶液100μl)で96ウェルプレートをコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで3回洗浄し、PBS中BSA 3% 200μLに室温で1時間浸した。ウェルをPBSで3回洗浄し、70μLの上清を各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。PBSで5回洗浄した後、ヤギで産生させた抗マウスIgG(完全な分子)-ペルオキシダーゼ抗体(SIGMA)の1:4000希釈物50μLを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。PBSでウェルを5回洗浄した後、TMB(テトラメチルベンジジン、Sigma T0440)顕色溶液70μLを各ウェルに添加した。混合物は黄色に発色し、Gliomax Multi Plus検出システム(Promega)を用いてOD450nmで96ウェルプレートを読み取ることによって、その強度を評価した。陽性クローンを選択し、増殖させ、ELISAで再びスクリーニングした。3回のELISAスクリーニング後、21個の陽性クローンを同定し、凍結した。
Bn.5ワクチン接種マウスに由来するハイブリドーマクローン上清のFACS解析
Figure 2020518668
21個のハイブリドーマクローンを、4T1(4T1-P1)およびHCC1806(HCC1806-P1)に由来する腫瘍スフェアに対する免疫蛍光法(IF)によって試験した。IFアッセイ法のために、2×105個の腫瘍スフェア/試料をスライドガラスにサイトスピンし、4%ホルムアルデヒド中で固定し、次いで、100μlの無希釈ハイブリドーマクローン培養上清と共に室温で1時間インキュベートした。次いで、ヤギ抗マウスIg(H+L) AlexaFluor-488を二次抗体(Life Technologies)として使用した。0.2%Triton X-100を用いて前もって透過処理したサイトスピンし固定した腫瘍スフェアを用いて、ウサギ抗xCT抗体(PA1-16775; Thermo Fisher)を陽性対照として使用した。次いで、ヤギ抗ウサギAlexaFluor-538を二次抗体(Life Technologies)として使用した。ApoTomeシステムおよびAxioVision Release 4.8ソフトウェア(Zeiss)を用いて画像を取得した。4T1-P1およびHCC1806-P1の両方に対するIFで陽性の結果を示した試料、すなわちクローン5E2、8F2、7H6、11D1、11C6、および14C2を解凍し、ELISAによって再び試験した。
ELISAおよびIF解析に基づき、11D1クローンを選択し、3枚の96ウェルマイクロタイタープレートにウェル当たり1個の細胞を播種することによってサブクローニングした。61個のクローンが得られ、mECD3ペプチドに対するELISAにおいて、5個のクローンが陽性であった。すなわち、11D1/C3、11D1/H7、11D1/E7、11D1/E5、11D1/H10。ヒトxCTタンパク質を用いることによって実施される別のELISAアッセイ法(図8)およびHCC1806-P1を用いることによる新たなIF解析の後に、3個のサブクローン、すなわちH10、C3、およびE7を選択し、ヒトxCT ECD3ペプチド[1μg/mL]に対するELISAによって試験した(図9)。このELISAから、H10(以下、11D1/H10と呼ぶ)を、抗xCT Igを産生する能力がより優れたサブクローンとして選択した。どのIgアイソタイプが11D1/H10由来の上清中に存在するかを区別するために、Pierce迅速アイソタイピングキットを使用した(26178番;Thermo Scientific)(図10)。
11D1/H10クローンハイブリドーマ細胞をバイオリアクター(CELLINE 1000 WHEATON)中で増殖させて、高いAb力価を得た。4週間の間、毎週、濃縮された上清10mLを採取し、4T1 P2腫瘍スフェアを染色する能力についてFACSによって試験した。次いで、プロテインA-セファロースを用いて、11D1/H10上清3mLからIgを精製した。濃度0.7mg/mLの1.5mLの精製モノクローナルAbを取得し、Igアイソタイプを特定するために、Pierce迅速ELISAマウスmAbアイソタイピングキット(37503番;Invitrogen)およびPierce迅速アイソタイピングキット(26178番; Thermo Scientific)を用いて試験した(図11)。これらのデータから、11D1/H10はクローンではないが、異なるIgアイソタイプを産生する細胞を含むことが示唆される。このため、11D1/H10をサブクローニングして、30個の新しいクローンを獲得し、次いでELISAによって試験した。これらのクローンのうちの5個が、結果として、xCTに対するIgを分泌した(ELISA O.D.450≧0.400)。これらのサブクローンの培養上清(A1、A5、B9、D5、およびE1)を、抗xCT IgまたはIgアイソタイプの存在について試験した(図12〜16)。この段階で、3つの異なる方法、すなわち(以前に説明した、ヒト-xCT ECD3を用いる)ELISA、Pierce迅速ELISAマウスmAbアイソタイピングキット(37503番;Invitrogen)、Pierce迅速アイソタイピングキット(26178番; Thermo Scientific)を用いて、Igアイソタイプを試験した。この解析により、試験した各クローンについてIgM(-κ)アイソタイプに属する特異的抗xCT抗体の存在が確認された。これらのサブクローンを抗体全長シーケンシングにまわした。5個のクローンすべての配列は同一であった。代表的な配列は以下を含む。
抗体H1E1の重鎖DNA配列は、SEQ ID NO: 13に示される。SEQ ID NO: 13は重鎖をコードする。SEQ ID NO: 14のアミノ酸配列(595 aa)は、SEQ ID NO: 15のアミノ酸を有するCDR1、SEQ ID NO: 16のアミノ酸を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 17のアミノ酸を有するCDR3を有する。
抗体H1E1の軽鎖DNA配列(708 bp)は、軽鎖をコードするSEQ ID NO: 18に示される。SEQ ID NO: 19のアミノ酸配列(235 aa)は、SEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を有するCDR3を有する。
材料 - H1E1ハイブリドーマ細胞: TRIzol(登録商標)試薬(Ambion、カタログ番号15596-026);PrimeScript(商標)第1鎖cDNA合成キット(Takara、カタログ番号6110A)。
方法 - TRIzol(登録商標)試薬の技術マニュアルに従って、全RNAをハイブリドーマ細胞から単離した。次いで、PrimeScript(商標)第1鎖cDNA合成キットの技術マニュアルに従ってアイソタイプ特異的抗センスプライマーまたはユニバーサールプライマーのいずれかを用いて、全RNAをcDNAに逆転写した。GenScriptのcDNA末端の迅速増幅(RACE)の標準業務手順書(SOP)に従って、抗体断片VH、VL、CH、およびCLを増幅させた。増幅させた抗体断片を、標準的なクローニングベクター中に別々にクローニングした。コロニーPCRを実施して、正確な大きさの挿入物を有するクローンをスクリーニングした。正確な大きさの挿入物を有する少なくとも5個のコロニーを各断片について配列決定した。異なるクローンの配列をアラインし、コンセンサス配列を提供した。

Claims (17)

  1. SEQ ID NO: 4のアミノ酸配列によって規定されるエピトープに特異的に結合するxCT抗体。
  2. xCT抗体重鎖が、SEQ ID NO: 15のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 16のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 17のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、請求項1に記載の抗体。
  3. xCT抗体軽鎖が、SEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、請求項1に記載の抗体。
  4. SEQ ID NO: 15のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 16のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 17のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖;ならびにSEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を有するCDR1、SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を有するCDR2、およびSEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
  5. 前記抗体または抗体断片がヒト化されている、請求項1に記載の抗体。
  6. 前記抗体またはその抗体断片がキメラである、請求項1に記載の抗体。
  7. 抗体断片である、請求項1に記載の抗体。
  8. 前記抗体断片がScFvである、請求項7に記載の抗体。
  9. 前記ScFvがマウスScFvまたはヒト化ScFvである、請求項8に記載の抗体。
  10. 請求項1に記載の抗xCT抗体またはxCTに結合するその抗体断片の有効量を投与する段階を含む、膵がん、胃腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、子宮がん、卵巣がん、結腸直腸がん、または胃がんを治療する方法。
  11. 前記抗体または抗体断片がヒト化されている、請求項10に記載の方法。
  12. 前記抗体またはその抗体断片がキメラである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記抗体またはその抗体断片が抗体断片であり、かつ該抗体断片がScFvである、請求項10に記載の方法。
  14. 前記ScFvがマウスScFvまたはヒト化ScFvである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記患者がヒトまたは非ヒト動物である、請求項10に記載の方法。
  16. 前記抗体またはその抗体断片が、非経口的に、腹腔内に、静脈内に、皮下に、経口的に、経鼻的に、吸入によって、または直腸に投与される、請求項10に記載の方法。
  17. 前記抗体またはその抗体断片が、5mg/m2〜2000mg/m2の投与量で静脈内に投与される、請求項10に記載の方法。
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