JP2020518230A - ベルトセパレータを用いてクチクラを昆虫の軟部から分離する昆虫の処理方法 - Google Patents

ベルトセパレータを用いてクチクラを昆虫の軟部から分離する昆虫の処理方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、昆虫の軟部からのクチクラの分離を含み、ここで、前記分離がベルトセパレータを使用して行われ、溶媒中で昆虫の軟部を希釈することなく、昆虫の軟部を成熟させる工程を含む、昆虫を処理する方法に関する。本発明はさらに、粉末、特に本発明による昆虫の処理方法によって得られる粉末、及びこれら粉末の食品における使用に関する。

Description

本発明は、昆虫を処理するための工程(process)(又は方法(method))に関する。本発明はまた、粉末、特に本発明によって昆虫を処理する工程によって得られる粉末、及び栄養摂取、特に動物の栄養摂取におけるこれら粉末の使用に関する。
動物から調製された粉末は、動物の栄養摂取に長い間使用されてきた。
最も一般的に使用されている粉末の1つは、魚粉であり、これは、動物の栄養摂取において主要なタンパク質源の1つである。魚粉は、消化が容易な動物性タンパク質(リジン型及びメチオニン型アミノ酸が豊富)が非常に豊富である。供給が制限されることに伴う需要の増加は、特に、その価格の大幅な上昇をもたらした。従って、動物の栄養摂取に使用することができるであろう高品質の、そして、可能な限り再生可能なタンパク質の代替供給源に対する高い需要がある。
この数年間で、魚粉の代わりに昆虫から作られた粉の使用が提案されてきた。
昆虫粉は、天然の代替タンパク質源及び最小限のエコロジカルフットプリント(ecological footprint)で大量生産される可能性を提供する。特に、Tenebrio molitor等の特定種の甲虫は、大量生産に適しているという利点を有する。
例として、国際出願WO2016/108037号は、特に、動物の栄養摂取において使用することが出来る、少なくとも67重量%のタンパク質及び少なくとも5重量%のキチンを含む、カブトムシ粉末を記載する。
本願の内容において、「キチン(chitin)」とは、何れかの種類のキチン誘導体、すなわち、N-アセチルーグルコサミンユニット及びD−グルコサミンユニットを含む何れかの種類の多糖類誘導体、特にキチン-ポリペプチドコポリマー(「キチン-ポリペプチド複合体」と呼ばれることがある)を意味する。これらのポリマーはまた、多くの場合、メラニン型の顔料と組み合わせられ得る。
キチンは、セルロースに次いで、世界で2番目に合成されているポリマーであると考えられている。実際に、キチンは、生物界の多くの種によって合成される:それは、部分的に甲殻類及び昆虫の外骨格、及び真菌を囲んで保護する側壁を構成する。より具体的には、昆虫において、キチンは、従って、それらの外骨格の3〜60%を構成する。
しかしながら、キチンは、一般に、特定の動物にとって消化が困難な化合物と考えられている。
従って、キチン含有量が低減された昆虫から調製された粉末が必要とされている。
本発明者らの研究は、これらの粉末が調製される昆虫が特定の処理を受ける際に、そのような粉末を得ることが可能であったことを強調することを可能にした。
本発明者らの研究は、これらの粉末が調製される昆虫が特定の処理を受ける際に、そのような粉末を得ることが可能であったことを強調することを可能にした。
従って、本発明は、昆虫の軟部由来のクチクラの分離を含む昆虫の処理方法に関し、前記分離は、ベルトセパレータを使用して行われる。
「昆虫」とは、成虫、幼虫又は若虫期等の何れかの成長段階での昆虫を意味する。
クチクラは、昆虫の表皮で分泌される外層(又は外骨格)である。それは、一般的に3つの層(表角皮、外角皮及び内角皮)から形成される。
「軟部(soft part)」とは、昆虫の肉(特に、筋肉及び内臓を含む)及び液分(特に体液、水分及び血リンパを含む)を意味する。特に軟部は、昆虫の液分から構成されない。
有利には、本発明による方法で利用される昆虫は、幼虫期である。
好ましくは、本発明で利用される昆虫は、食用である。
有利には、本発明による方法の実施に好ましい昆虫は、例えば、鞘翅目(Coleoptera)、双翅目(Diptera)、鱗翅類(Lepidoptera)、等翅目(Isoptera)、直翅目(Orthoptera)、膜翅目(Hymenoptera)、ゴキブリ亜目(Blattoptera)、半翅目(Hemiptera)、カメムシ亜目(Heteroptera)、カゲロウ目(Ephemeroptera)及びシリアゲムシ目(Mecoptera)であり、好ましくは、鞘翅目、双翅目、直翅目、鱗翅類又はそれらの混合(mixture)であり、さらに好ましくは、特に鞘翅目である。
本発明による方法において優先的に利用される甲虫は、コミムシダマシ科(Tenebrionidae)、コフキコガネ亜科(Melolonthidae)、カツオブシムシ科(Dermestidae)、テントウムシ科(Coccinellidae)、カミキリムシ科(Cerambycidae)、オサムシ科(Carabidae)、タマムシ科(Buprestidae)、コガネムシ科(Cetoniidae)、オサゾウムシ科(Dryophthoridae)、に属するか、又はそれらの混合である。
より好ましくは、それらは以下の甲虫である: チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、ガイマイゴミムシダマシ(Alphitobius diaperinus)、ツヤケシオオゴミムシダマシ(Zophobas morio)、コメノゴミムシダマシ(Tenebrio obscurus)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)及びヤシオオオサゾウムシ(Rhynchophorus ferrugineus)、又はそれらの混合である。
「ベルトセパレータ(belt separator)」とは、産物の軟部から固体部を分離することを可能にし、そして、圧搾ベルト(又はベルトプレスフィルター)及び有孔ドラムを含む装置を意味する。
この昆虫の軟部からクチクラの分離は、本発明による昆虫を処理するための詳細な方法の以下の工程2にさらに詳細に記される。
昆虫の軟部からのクチクラの分離は、特に軟部からキチンを分離することを可能にする。実際、この分離工程の終わりに得られたクチクラは、以下に示すように、クチクラの総重量に対して10〜30重量%程度の高いキチン含有量を有する。
特に、軟部からクチクラを分離する工程は、特に、粒子の形態で昆虫を粉砕する何れかの事前工程も実施されることなく、実施される。
本発明による昆虫を処理する方法はまた、昆虫の軟部を成熟させる工程を含み得る。
「昆虫の軟部の成熟工程」とは、より詳細には、昆虫の軟部が、攪拌に供される間の工程を意味する。
この工程は、本発明による昆虫を処理するための詳細な方法の以下の工程3において、より詳細に記される。
従って、本発明による昆虫を処理するための方法は、以下:
- 昆虫の軟部由来のクチクラを分離する工程、ここで、分離は、ベルトセパレータを使用して行われる、及び
- 昆虫の軟部の成熟工程、ここで、前記工程は、溶媒中で昆虫の軟部を少しも希釈することなく行われる、
を含むことが出来る。
好ましくは、本発明による昆虫の処理方法は、昆虫の軟部を脂肪画分、固体画分及び水性画分に分離する工程を含む。
脂肪画分は、脂肪画分の総重量に対して、90重量%以上、優先的に95重量%以上、さらに優先的に99重量%以上の脂質含有量を有する。
本出願の内容において、及び別段の定めが無い限り、示される値の範囲は、包括的であると理解されることに留意されたい。
固体画分は、固体画分の総重量に対して、45〜65重量%の乾物含量を有する。
水性画分は、水性画分の総重量に対して、15〜40重量%、好ましくは、20〜30重量%の炭水化物含量を有する。
軟部部分を分離する工程の終わりにおいて、及びそれらの任意の濃度の前に、水性画分は、水性画分の全重量に対して、20重量%以下、好ましくは15重量%以下の乾物含量を有する。
同様に、昆虫の軟部を、脂肪画分、固体画分、水性画分に分離することは、本発明による昆虫を処理するための以下の工程4において詳細な方法において、より詳細に記される。
本発明による昆虫の処理方法は、軟部からクチクラを分離する工程の前に、殺傷工程を含むことが出来る。
有利には、殺傷工程1に続いて、昆虫は、昆虫の軟部からクチクラを分離する工程2を実施するために直接使用される。すなわち、昆虫は、工程1と工程2の間に粉砕、凍結又は脱水等の何れかの処理に供されない。
この殺傷工程は、本発明による昆虫を処理するための以下の工程1の詳細な方法にさらに詳細に記される。
任意で、本発明による昆虫の処理方法は、軟部を脂肪画分、固体画分及び水性画分に分離する最後に、濃縮水性画分を得るために、水性画分を濃縮する工程を含む。
この工程は、本発明による昆虫を処理するための以下の工程5の詳細は方法においてさらに詳細に記される。
任意で、本発明による昆虫の処理方法はまた、混合物を得るために、固体画分を:
- 濃縮水性画分の全部又は一部と; 及び/又は
- クチクラの全部又は一部と、
混合する工程を含む。
この工程は、本発明による昆虫を処理するための以下の工程6の詳細な方法においてさらに詳細に記される。
好ましくは、本発明による昆虫の処理方法は、乾燥固体画分又は乾燥混合物をそれぞれ得るために、固体画分又は混合物を乾燥する工程を含む。
この工程は、本発明による昆虫を処理するための以下の工程7の詳細な方法においてさらに詳細に記される。
優先的に、本発明による昆虫の処理方法はまた、乾燥固体画分又は乾燥混合物を粉砕する工程を含む。
この工程は、本発明による昆虫を処理するための以下の工程8の詳細な方法においてさらに詳細に記される。
より具体的には、本発明による方法は、水等の溶媒を加える必要なく実施される。特に、本発明による方法が行われる間、軟部の希釈は行われない。
本発明による昆虫を処理する方法の好ましい実施形態によると、後半は、粉末、特に昆虫粉末を調製するための方法であり、及び以下:
i)昆虫を殺傷する工程;
ii)昆虫の軟部からクチクラを分離する工程;
iii)任意での、昆虫の軟部を成熟;
iv)昆虫の軟部を固体画分、水性画分及び脂肪画分に分離する工程;
v)任意で、濃縮水性画分を得るために水性画分を濃縮する工程;
vi)任意で、混合物を得るために、濃縮水性画分及び/又はクチクラを固体画分と混合する工程;
vii)乾燥固体画分又は乾燥混合物を得るために、工程iv)において得られた固体画分又は工程vi)で得られた混合物を乾燥する工程; 及び
viii)工程vii)で得られた乾燥混合物を粉砕する工程、
の工程を含む。
図1は、本発明による昆虫を処理するための詳細なプロセスを示す図である; 図2は、一方は、成熟工程後の反応器の出口(図2A)、他方は相分離のための遠心分離後(図2B)での軟部の2つの写真を含む; 図3は、トレハロースアッセイを実施するために使用される検量線である; 図4は、本発明による方法によって得られた脂肪画分及び比較方法によって得られた脂肪画分の含水量を示す図である; 図5は、本発明による方法によって得られた脂肪画分及び比較方法によって得られた脂肪画分の沈殿物含有量を示す図である; 図6は、本発明による方法によって得られた脂肪画分及び比較方法によって得られた脂肪画分の過酸化物価を示す図である; 図7は、本発明による方法によって得られた水性画分及び比較方法によって得られた水性画分の乾物含量を示す図である; 図8は、本発明による方法によって得られた水性画分及び比較方法によって得られた水性画分の沈殿物含有量を示す図である; 図9は、本発明による方法によって得られた水性画分及び比較方法によって得られた水性画分中に存在するエマルジョンの%を示す図である; 図10は、本発明による方法によって得られた水性画分及び比較方法によって得られた水性画分中に存在する脂質の%(乾物の%として)を示す図である; 図11は、本発明による方法によって得られた水性画分のタンパク質及び比較方法によって得られた水性画分のタンパク質のペプシン消化率を示す図である; 図12は、本発明による方法によって得られた水性画分及び比較方法によって得られた水性画分のトレハロース含有量を示す図である; 図13は、本発明による方法によって得られた水性画分の色及び比較方法によって得られた水性画分の色を示す3つの写真を含む; 図14は、本発明による方法によって得られた固体画分及び比較方法によって得られた固体画分のトレハロース含有量を示す図である; 図15は、本発明による方法によって得られた固体画分及び比較方法によって得られた固体画分の水性部分の%を示す図である; 図16は、移動相における可溶な部分、本発明による方法によって得られた固体画分、及び比較方法によって得られた固体画分の%を示す図である;及び 図17は、本発明による方法によって得られた固体画分及び比較方法によって得られた固体画分中のタンパク質のサイズ分布を示す図である。
本発明による昆虫を処理するための詳細な方法
工程1:昆虫の殺傷工程
この殺傷工程1は、熱衝撃、例えば、熱傷又は湯通し(blanching)によって有利に実施され得る。この工程1は、微生物の持ち込みを減少させながら(劣化の危険性及び健康上の危険性を減少させ)、そして自己分解を誘発し得る昆虫の内部酵素を不活性化し、それによってそれらの急速な褐変を引き起こす。
熱傷工程に関して、昆虫、好ましくは、幼虫は、このように2〜20分間、優先的には5〜15分間水と共に熱傷させられる。好ましくは、水は、87〜100℃、好ましくは、92〜95℃の温度である。
熱傷の間に導入された水の量は、以下のように決定される:昆虫のg単位の重量に対するml単位の水の用量の比は、好ましくは、0.3〜10、より優先的には0.5〜5、さらにより優先的には、0.7〜3、さらにより優先的には1のオーダーである。
湯通し工程に関して、昆虫、好ましくは、幼虫は、80〜105℃、好ましくは87〜105℃、より好ましくは95〜100℃、さらにより好ましくは98℃の温度の水又は水蒸気(水蒸気ノズル又はベッド)で、又は90〜100℃の間、優先的には、92〜95℃の間(スプレーノズルによる)又は80〜130℃の間の温度、好ましくは、90〜120℃、より好ましくは95〜105℃、さらに好ましくは98℃の温度で混合モード(水+水蒸気)の水で湯通しされる。昆虫が、蒸気のみで湯通しされる場合、湯通し工程は、強制蒸気湯通し器(forced steaming blanching machines)で有利に実行される。湯通しチャンバ内の滞留時間は、5秒〜15分の間、優先的には、1〜7分の間に含まれる。
有利には、殺傷工程1に続いて、昆虫は、昆虫の軟部からクチクラを分離する工程2を実施するために直接用いられる。すなわち、昆虫は、工程1及び工程2の間の粉砕、凍結又は脱水のような何れかの処理に供されない。
工程2: 昆虫の軟部からのクチクラの分離工程
この工程は、ベルトセパレータを使用して行われ、目的は、クチクラを昆虫の軟部から分離することである。
一例として、ベルトセパレータは、圧搾ベルトと有孔ドラムを備えることができ、圧搾ベルトは有孔ドラムの少なくとも一部を囲む。
圧搾ベルトは、クチクラを、ドラムの外に残しながら、昆虫を有孔ドラムに運ぶこと及び昆虫の軟部が圧力によってドラムの孔を通過するように、印加することを可能にする。
クチクラは、次いで、スクレーパーブレードを使用して回収され得る。
例として、ベルトセパレータ601〜607(「ソフトセパレータ601〜607」)又はBFDコーポレーションからのSEPAmatic(登録商標)ベルトセパレータ(410〜4000V範囲)等の、Badderよりベルトセパレータが言及され得る。
有利には、ドラムの孔の直径は、0.5〜3mm、好ましくは1〜2mmである。
圧力に関して、当業者は加える圧力を決定することができ、昆虫の軟部からクチクラの分離を可能にする。
この昆虫の分離の工程は、それが昆虫の軟部及びクチクラとの(綺麗な)分離並びに固体画分から搾汁を分離しないという点で、例えば、一軸又は二軸プレスで行われ得る従来のプレスとは異なる。
工程2で得られたクチクラは、クチクラの総乾燥重量に対して10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%のキチンを含む。
キチン含有量は、それらの抽出により決定される。
キチン含有量は、それらの抽出により決定される。例として、使用され得るキチン含有量を決定するための方法は、AOAC991.43方法である。
加えて、クチクラは、クチクラの総乾燥重量に対して、25重量%未満、好ましくは10重量%未満、より優先的には5重量%未満、さらにより優先的には3重量%未満の脂質を含む。
脂肪含有量(脂質)を決定するための方法は、当業者に周知である。例として及び好ましい方法において、この含有量は、EC Regulation 152/2009の方法に従って決定されるであろう。
出願全体を通して、規則、規格又は指示に日付が特定されていない場合、出願日に施行されている規則、規格又は指示となる。
加えて、クチクラは、クチクラの総乾燥重量に対して、55〜90重量%、有利には60〜85重量%、好ましくは65〜80重量%のタンパク質を含む。
本出願の内容において、「タンパク質」とは、粗タンパク質の量を意味する。粗タンパク質の定量化は、当業者に周知である。例として、デュマ法(Dumas method)又はケルダール法(Kjeldahl method)が挙げられ得る。好ましくは、ケルダール法が用いられる。
しかしながら、この方法は、窒素含有量の測定に基づいていることに留意されたい。現在、キチンは、8%程度の含有量の窒素を含有する。その結果、変換を実施する前に測定された窒素含有量からキチンの窒素含有量が推定され、タンパク質の含有量を得た。
クチクラは、クチクラの総乾燥重量に対して0.5〜30重量%、有利には1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の炭水化物を含む。
炭水化物含有量は、炭水化物の差を測定することによって計算した。この方法によれば、炭水化物含有量は、灰分、タンパク質及び脂質含有量から差し引かれた乾物量に等しい。
加えて、クチクラは、クチクラの総乾燥重量に対して、好ましくは少なくとも0.08重量%、より優先的には少なくとも0.1重量%、さらにより優先的には少なくとも0.12重量%のトレハロースを含む。
トレハロースの量は、GC−MS分析によって決定される。そのような分析は、以下の実施例1にさらに詳細に記される。
工程2で得られた軟部は、軟部の総乾燥重量に対して20〜50重量%の脂質、好ましくは30〜40重量%の脂質を含む。
加えて、軟部は、軟部の総乾燥重量に対して少なくとも45重量%、好ましくは48重量%、より優先的には少なくとも50重量%のタンパク質を含む。
工程3:昆虫の軟部の成熟工程
次いで、昆虫の軟部が、任意でタンク内で攪拌に供された。
有利には、成熟は、15分〜3時間に含まれる期間、好ましくは、1時間行われる。
有利には、成熟は、65〜100℃、好ましくは85〜100℃の温度、より好ましくは、約90℃の温度で行われる。
この工程は、以下の工程4における昆虫の軟部の分離を容易にすることを可能にする。
好ましくは、本発明による方法は、そのような工程を含む。
特に、水等の溶媒中で昆虫の軟部を希釈する必要はない。
有利には、この成熟工程の直後に、軟部を固体画分、水性画分及び脂肪画分に分離する工程が続く。
特に、3つの画分への分離を実施するために、水等の溶媒での希釈及び/又は加熱の追加工程は必要ない。
反対に、実施例3に示されるように、そのような希釈工程は以下:
- 3つの画分(固体、水性及び脂肪)の良好な分離を妨げること、
- 3つの画分の特徴を低下させること、及び
- 大幅に高いコストがかかること、
の影響を有する。
工程4:軟部を固体画分、水性画分及び脂肪画分に分離する工程
この工程の目的は、工程2又は3で得られた昆虫の軟部から3つの画分、すなわち、固体画分、水性画分及び脂肪画分を回収することである。
第1の実施形態によれば、軟部の分離工程は、2つのサブステップで実行される。
第1のサブステップにおいて、昆虫の軟部は、固体画分及び液体画分を得るために2相デカンターを用いてデカンテーションに供される。
第2のサブステップにおいて、前記液体画分は、脂肪画分及び水性画分を得るために遠心分離に供される。
有利には、この第2のサブステップにおいて、ディスクスタック遠心分離機が、用いられる。
工程4の第2の実施形態によると、昆虫の軟部は、水性画分、脂肪画分及び固体画分を直接得るために、3相デカンターを用いたデカンテーションに供される。
適切な3相デカンターは、例えば、Flottweg製のTricanter(登録商標)、又はCA225−03−33デカンター等のGEAの3相デカンターである。
有利には、軟部の分離は、第2の実施形態に従って行われる。
実際に、3相デカンターの使用は、層の特に有効な分離を得ることを可能にする。より詳細には、得られた固体画分は、高い乾物含量を有し、水性画分は不溶性沈殿物(固体画分に由来する)及び油をほとんど含まず、並びに油性画分は、不溶性沈殿物(固体画分に由来する)及び水をほとんど含まない。
工程5:水性画分の濃縮工程
次いで、工程4で得られた水性画分は、濃縮水性画分を得るために、任意で濃縮される。
有利には、濃縮は蒸発によって行われる。
有利には、蒸発は、30〜100℃の間、好ましくは60〜80℃の間の温度で行われる。
好ましくは、蒸発は、50〜1013ミリバールの間、好ましくは1013ミリバールの圧力で行われる。
蒸発は、好ましくは、5〜20分間の間の期間にわたって行われる。
濃縮は、流下膜式蒸発器(falling film evaporator)、ライジングフィルムプレート式蒸発器(rising film plate evaporator)、又は薄膜蒸発器(thin film evaporator)を用いて行うことが好ましい。
このタイプの標準的な装置は、特に水性画分中に存在する少量の沈殿物に起因する、汚れの問題に直面することなく使用され得る。
一般に、水性画分は、この濃度を超えるとゲル化(粘着水)する傾向があるため、42%乾物量を超えて濃縮され得ない。
本発明の場合、水性画分は、小さいサイズの可溶性タンパク質を含む(水性画分の可溶性タンパク質の少なくとも45%、優先的には少なくとも60%は、以下に詳細に記載されるように、550g/mol未満のサイズを有する)、これは、ゲル化を回避することを可能にし、従って高濃度の乾物(最大70%)を有し、及び30000cPs(センチポアズ)未満の粘度を有する水性画分を得ることを可能にする。
「可溶性タンパク質」とは、粗タンパク質の中で、pHが6〜8の間、有利には7.2〜7.6の間に含まれる水性溶液中の可溶性であるものを意味する。
本出願において「タンパク質」という用語のみが用いられる場合、それは粗タンパク質を意味する。
好ましくは、水性溶液は、緩衝溶液であり、そのpHは、6〜8の間、有利には7.2〜7.6の間である。優先的には、緩衝液は、pHが7.4±0.2に等しいNaClリン酸緩衝液である。
加えて、水性画分を濃縮する工程は、以下:
- 蒸気を節約する:濃縮工程5がない場合、水は後述の乾燥工程7の間に、その特定の水蒸気消費量が、上記の濃縮機の水蒸気消費量よりも大きい乾燥機を用いて蒸発させなければならないだろう; 及び
- 濃縮水性画分の高濃度の乾物による容積及び浸透圧減少により、微生物のコンタミネーションを避けること、
を可能にするので、二重で利益がある。
工程6:濃縮水性画分及び/又はクチクラを固体画分と混合する工程
工程2で得られたクチクラの全部又は一部、及び/又は工程5で得られた濃縮水性画分の全部又は一部は、混合物を得るために、任意で工程4で得られた固体画分と部分的又は全体的に混合され得る。
有利には、混合物は、その後のその処理を容易にするために均質化される。
用いられ得るミキサーは、例えば、Vrieco-Nauta(登録商標)製のもの等の円錐スクリューミキサー、又はPMS製のもの等の振り子撹拌機(pendulum agitator)である。
平均して、得られた1キログラムの固体画分に対して、500〜650gのクチクラ、例えば約550g、及び250〜350gの水性画分、例えば約300gが得られることに留意されたい。
工程7:工程4で得られた固体画分又は工程6で得られた混合物を乾燥する工程
工程4で得られた固体画分又は工程6で得られた混合物は、乾燥固体画分又は乾燥混合物を得るために、乾燥され得る。
有利には、乾燥は、ディスク乾燥機、管状乾燥機、プロペラ乾燥機、フラッシュ型乾燥機、薄層乾燥機又は噴霧乾燥機を用いて行われる。
好ましくは、乾燥は、ディスク乾燥機又は管状乾燥機を用いて行われる。
適切な管状乾燥機は、例えば、Tummers(Simon Dryers Technology)製のものである。
適切なディスク乾燥機は、例えば、Haarslev製のものである。
乾燥は、1〜10時間の間、好ましくは3〜5時間の間で実施され得る。
有利には、乾燥は、60〜225℃の間、好ましくは80〜100℃の間で行われる。
好ましくは、蒸発は、大気圧で行われる。
工程8:乾燥固体画分又は工程7で得られた乾燥混合物の粉砕工程
乾燥後、粉砕され得、粉末が得られる。
「粉末(powder)」とは、粒子の形態の組成物を意味する。
好ましくは、本発明による粉末は、昆虫粉末、すなわち、昆虫及び場合により水のみから調製された粉末である。
例えば、ハンマーミル又はコーンミル(Kemutec製のKekコーンミル等)等の粉砕機が用いられ得る。
有利には、この粉砕の終わりの時点で、粒子のサイズは、0.5cm(顕微鏡を用いて観察可能な最大粒子サイズ)未満、好ましくは1mm程度である。より具体的には、粒子のサイズは、300μm〜1mm、さらにより優先的には500〜800μmの間に含まれる。
粉末が、ヒト又は動物の栄養摂取に許容される粒子サイズに粉砕されている場合、それは「ミール(meal)」、特に「昆虫ミール(insect meal)」と呼ぶことが出来る。「ヒト又は動物の栄養摂取に許容される粒子のサイズ」は、100μm〜1.5mmの間、好ましくは300μm〜1mm、より好ましくは500〜800μmの間の粒子サイズを意味する。
任意の工程5及び/又は6が実施されるか否かに応じて、異なる粉末が得られ得る、具体的に:
- 固体画分からのみ得られる粉末(工程6は実施されない);
- 固体画分とクチクラの全部又は一部を混合して得られる粉末;
- 固体画分と濃縮水性画分の全部又は一部を混合して得られる粉末;
- 固体画分、クチクラの全部又は一部及び濃縮水性画分の全部又は一部を混合して得られる粉末。
本発明はまた、本発明による方法から生じる産物に関する。
本発明はまた、本発明による昆虫の処理方法によって得られる固体画分に関する。
本発明は、少なくとも71重量%のタンパク質及び0.1〜2重量%のキチンを含む固体画分にも関し、前記重量%は、固体画分の総乾燥重量に対して示される。
好ましくは、固体画分は、少なくとも73重量%、より優先的には74重量%、さらにより優先的には、75重量%のタンパク質を含み、前記重量%は、固体画分の総乾燥重量に対して示される。
有利には、固体画分は、固体画分の総乾燥重量に対して0.5〜1.7重量%のキチンを含む。
有利には、固体画分は、固体画分の総乾燥重量に対して5〜17重量%の間の脂質、好ましくは10〜15重量%の間の脂質を含む。
好ましくは、固体画分は、固体画分の総乾燥重量に対して1〜10重量%の間、好ましくは2〜6重量%の間の灰分を含む。
灰分含有量を決定するための方法は、当業者に周知である。好ましくは、灰分含有量は、27-01-2009のECレギュレーション152/2009により規定された方法に従って決定された。
加えて、固体画分は、固体画分の総乾燥重量に対して、好ましくは5〜15重量%の間、より優先的には、7〜13重量%の間の炭水化物を含む。
より具体的には、固体画分は、固体画分の総乾燥重量に対して、好ましくは、0.2重量%、より優先的には少なくとも0.3重量%、さらにより優先的には少なくとも0.35重量%、さらにより優先的には少なくとも0.5重量%及びさらにより優先的には少なくとも0.7重量%のトレハロースを含む。
さらに、ヒト及び動物におけるタンパク質の消化率は、タンパク質のサイズによって大きく左右される。動物の栄養摂取において、動物による消化を容易にするためにタンパク質のサイズを小さくするのが一般的である。タンパク質のサイズの減少は、一般的に加水分解方法(例えば酵素的)によって行われ、その実施は、特にコストがかかる。
固体画分は、動物による消化を容易にするためにそのサイズが十分に小さくなっている可溶性タンパク質を含む。
有利には、少なくとも75%、優先的には少なくとも80%、より優先的には少なくとも85%の固体画分の水溶性画分は、12400g/mol以下のサイズを有する。
より具体的には、少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、より優先的には少なくとも65%の固体画分の水溶性タンパク質が、550g/mol未満のサイズを有する。
本発明はまた、本発明による昆虫の処理方法によって得られる水性画分に関する。
本発明はまた、水性画分の総乾燥重量に少なくとも48重量%のタンパク質、少なくとも2重量%のトレハロースを含み、及び7重量%未満の脂質含有量を有する水性画分に関し、ここで、前記重量%は、水性画分の総乾燥重量に対するものである。
好ましくは、水性画分は、水性画分の総乾燥重量に対して少なくとも55重量%、より優先的には少なくとも60重量%、さらに優先的には少なくとも65重量%のタンパク質を含む。
有利には、水性画分は、水性画分の総乾燥重量に対して少なくとも2.5重量%、より優先的には少なくとも3重量%のトレハロースを含む。
好ましくは、水性画分は、水性画分の総乾燥重量に対して、6重量%未満、より優先的には、4重量%未満、さらにより優先的には、2重量%未満の脂質含有量を有する。
有利には、水性画分は、水性画分の総乾燥重量に対して、5〜20重量%の間、好ましくは7〜15重量%の間の灰分を含む。
加えて、水性画分は、水性画分の総重量に対して、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、優先的には0.5重量%未満の不溶性沈殿物を含む。
水溶性画分は、キチンを含まない。
固体画分と同様に、水性画分は、動物による消化を容易にするために、そのサイズが、十分に小さくなっている可溶性タンパク質を含む。
有利には、少なくとも90%、優先的には95%、より優先的には97%の水性画分の可溶性タンパク質は、12400g/mol以下のサイズを有する。
より具体的には、少なくとも45%、好ましくは、少なくとも50%、より優先的には少なくとも53%、優先的には少なくとも60%の水性画分の可溶性タンパク質は、550g/mol未満のサイズを有する。
より具体的には、水性画分は、水性画分の総重量に対して、5〜15重量%の間の乾物含量を有する。
濃縮時、濃縮水性画分は、濃縮水性画分の総重量に対して55〜75重量%の間の乾物重量を有する。
本発明はまた、本発明の昆虫を処理するための方法によって得られる濃縮水性画分にも関し、前記処理方法は、次いで任意の濃縮工程を含む。
本発明はまた、本発明による昆虫を処理するための方法によって得られる脂肪画分に関する。
本発明はまた、以下:
- 昆虫の軟部からクチクラを分離する工程、
- 昆虫の軟部を脂肪画分、固体画分及び水性画分に分離する工程、
- 任意で、水性画分を濃縮する工程、
- 混合物を得るために任意で固体画分を以下と混合する工程
- 濃縮水性画分の全部又は一部; 及び/又は
- クチクラの全部又は一部、
- 乾燥固体画分又は乾燥混合物のそれぞれを得るために、固体画分又は混合物を乾燥する工程、
- 乾燥固体画分又は乾燥混合物を粉砕する工程、
の工程を含む昆虫を処理するための方法によって得られる粉末に関する。
昆虫を処理するためのこの方法は、上記の特徴のうち1つ以上を含み得る。
本発明は、より具体的には、上述のように、本発明による粉末、特に昆虫粉末の調製方法によって得られる粉末に関する。
上記のように、本発明による昆虫の処理のための方法の任意の工程5及び/又は6の何れかによる、具体的に、水性画分を濃縮する工程及びクチクラの全部もしくは一部及び/又は濃縮水性画分の全部もしくは一部を固体画分と混合する工程は、実施されてもされなくてもよく、そして必要に応じてそれらの条件に従って、異なる粉末が得られ得る。
本発明はまた、少なくとも71重量%のタンパク質及び0.1〜4重量%の間のキチンを含む粉末、特に昆虫粉末に関し、前記重量パーセントは、粉末の総重量に対して示される。
好ましくは、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して72重量%以上、より優先的には74重量%以上、さらに優先的には75重量%以上のタンパク質含有量を有する。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、0.5〜3重量%の間、より優先的には、0.8〜2重量%の間、さらにより優先的には、0.8〜1.7重量%の間を含むキチン含有量を有する。
好ましくは、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、5〜20重量%の間、好ましくは7〜17重量%の間の脂質を含む。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、1〜10重量%の間、好ましくは2〜6重量%の間の灰分を含む。
さらに、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、好ましくは3〜20重量%の間の炭水化物を含む。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、好ましくは少なくとも0.1重量%、より優先的には少なくとも0.2重量%のトレハロースを含む。
任意の工程5及び/又は6が実施されない場合、粉末、特に昆虫粉末は、固体画分からのみ得られる。
この粉末は、少なくとも71重量%のタンパク質及び0.1〜2重量%のキチンを含み、前記重量%は、粉末の総乾燥重量に対して示される。
好ましくは、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、72重量%以上、より優先的には74重量%以上、さらにより優先的には、75重量%以上のタンパク質含有量を有する。
より優先的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して0.5〜1.7重量%の間のキチンを含むキチン含有量を有する。
好ましくは、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、5〜17重量%の間、好ましくは、10〜15重量%の間の脂質を含む。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、1〜10重量%の間、好ましくは、2〜6重量%の間の灰分を含む。
さらに、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、好ましくは5〜15重量%の間、より好ましくは7〜13重量%の間の炭水化物を含む。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、好ましくは、少なくとも0.2重量%、より優先的には、少なくとも0.3重量%、さらにより優先的には、少なくとも0.35重量%のトレハロースを含む。
本発明による工程5及び6が実施される場合、固体画分、クチクラの全部又は一部、及び濃縮水性画分の全部又は一部を混合することで得られる粉末もまた、得られ得る。
従って、本発明は、少なくとも65重量%のタンパク質、少なくとも10重量%の炭水化物及び0.1〜2重量%の間のキチンを含む粉末、特に昆虫粉末に関し、前記重量%は、粉末の総乾燥重量に対して示される。
好ましくは、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して70重量%以上、より優先的には、74重量%以上のタンパク質含有量を有する。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して0.2〜1.5重量%の間、より好ましくは0.5〜1.3重量%の間のキチン含有量を有する。
好ましくは、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して12重量%以上、より優先的には14重量%以上の炭水化物含有量を有する。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して、好ましくは少なくとも0.7重量%、より優先的には少なくとも0.9重量%、さらにより優先的には少なくとも1重量%、さらにより優先的には少なくとも1.2重量%のトレハロースを含む。
好ましくは、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して5〜15重量%の間、好ましくは7〜13重量%の間の脂質を含む。
より具体的には、この粉末は、粉末の総乾燥重量に対して3〜10重量%の間、好ましくは4〜8重量%の間の灰分を含む。
本発明による粉末の残留水分レベルは、2〜15%の間、好ましくは5〜10%の間、さらに好ましくは4〜8%の間である。この水分レベルは、例えば、27-01-2009のECレギュレーション152/2009に由来する方法(103℃/4h)によって決定され得る。
有利には、本発明による粉末のタンパク質は、粗タンパク質の総重量に対して85重量%以上の消化率を有する。
消化率は、指令72/199/ECに記載されている方法によって測定されるペプシン消化率である。
好ましくは、消化率は、88%以上、より優先的には92%以上である。
本発明はまた、有利には、動物の栄養摂取において、本発明による水性画分、本発明による濃縮水性画分、又は上記の本発明による少なくとも65重量%のタンパク質、少なくとも10重量%の炭水化物及び0.1〜2重量%の間のキチンを含む粉末の香味料としての使用に関する。
最終的に、本発明は、栄養摂取、好ましくは動物の栄養摂取における本発明の粉末の使用に関する。
本発明の他の特徴及び利点は、図面を参照すると共に、例示として与えられている以下の実施例から明らかになるであろう。
実施例1: 本発明による昆虫の処理方法
Tenebrio molitorの幼虫を使用した。幼虫を受領した後、それらは、殺傷される前大きな劣化なしにそれらの飼育タンクで0〜15日間4℃で貯蔵され得る。使用される幼虫の体重(齢)は様々であり、その結果、それらの組成は以下の表1に示されるように変化し得る。
工程1:昆虫の殺傷工程
生きている幼虫(+4℃〜+25℃)を、有孔コンベアベルト(1mm)上で、2〜10cmの間に含まれる厚さの層で湯通しチャンバへ運ばれる。昆虫は、このように、強制換気下で98℃の蒸気(蒸気ノズル又はベッド)又は92〜95℃の水(スプレーノズル)又は混合モード(水+蒸気)で湯通しされる。湯通しチャンバ内の滞留時間は、5秒〜15分の間、理想的には5分間である。
湯通しの後、幼虫の温度は、75℃〜98℃の間である。
工程2:昆虫のクチクラからの軟部の分離工程
幼虫は、湯通しされると、クチクラを幼虫の軟部から分離するために、ベルトセパレータの供給ホッパーに運ばれる。
有利には、殺傷の直後に分離が行われ、その結果、幼虫は周囲温度まで冷却する時間を有しない。
使用されるベルトセパレータは、Baader製のベルトセパレータ601である。
ドラムの孔の直径は、1.3mmである。
昆虫の軟部は、タンクに回収される。
クチクラは、スクレーバーブレードを使用して回収される。
クチクラのトレハロース量の決定
工程2で回収したクチクラ中のトレハロース量は、以下のように測定された。
トレハロースは、GC-MSによって分析される。
温度プログラム:150℃、続いて260℃まで10℃/分の増加、この温度で5分後、310℃まで25℃/分の増加及びこの温度を2時間維持する。インジェクタの温度:280℃、インターフェースの温度:250℃、スプリット比は10、注入量は1μLである。例えば、30m×0.25mm×0.25μmのsH-RXI-5mSカラムが使用される。
分析用サンプルの調製は以下の方法で行われる: 正確なサンプルの量(10〜300mgの間)をファルコンチューブに量り取り、9.75mlのメタノールを加え、そこへ250μLの内部標準溶液(ミオイノシトール、25μg/mL)のDMSOを加える。混合物は、80℃で10分間攪拌され、次いで100μLのBSTFAが加えられ、反応混合物は、周囲温度でさらに30分間攪拌され、次いで1mLのアセトニトリルが加えられ、こうして調製されたサンプルが、GC−MS装置に注入される。
測定された量は、乾物1g当たり1.2mgのトレハロースである。
工程3:昆虫の軟部の成熟
昆虫の軟部は、1時間攪拌しながら約90℃の温度で工程2の回収タンクに静置される。
工程4:軟部を固体画分、水性画分及び脂肪画分に分離する工程
次いで、軟部は、3相デカンターを用いて3つの画分に分離される。使用されるデカンターは、Flottweg製のTricanter(登録商標)である。
分離条件:
- 流量:最大500Kg/h;
- ボールスピード:4806rpm(3000G);
- 最小Y:5%(1.4rpm)
この分離相の終わりに3つの画分、すなわち脂肪画分、固体画分及び水性画分が、得られる。
これらの画分は、以下の表2に示される特徴を有する。
固体画分及び水性画分の可溶性タンパク質のサイズの決定
固体サンプル(固体画分)の調製:30mgのサンプルを1Lの移動相に可溶化し、Chromafil Xtra PES-45/25フィルターを用いて濾過する。
液体サンプル(水性画分)の調製:400μLは、1600μLの移動相に溶解され、注入直前にChromafil Xtra PES-45/25フィルターを用いて濾過される。このようにして調製した1.5mLのサンプルは、12000rpm(10625g)で15分間遠心分離される。
クロマトグラフィー(Shimadzu製HPLC Nexera XR)を実施するための条件は以下の通りである。使用したカラムは、Superdex Peptide GL 10/300 (GE Healthcare)であり、検出は、DAD検出器により215nmで行われ、移動相の速度は、0.3mL/分であり、それはACN(アセトニトリル)/H2O/TFA(トリフルオロ酢酸)(30/70/0.1)を含み、分析は25℃で行われる。
固体画分の可溶性タンパク質のサイズ分布は、以下の表3に示される。
水溶性画分の可溶性タンパク質のサイズ分布は、以下の表4に示される。
固体画分及び水性画分中のトレハロースの量の決定
これらの画分中のトレハロースの量は、以下の方法によって測定された。
トレハロースは、GC−MSによって分析される。
温度プログラム:150℃、続いて260℃まで10℃/分の増加、この温度で5分後、310℃まで25℃/分の増加、及びこの温度を2分間維持する。インジェクタの温度:280℃、インターフェースの温度:250℃、スプリット比は、10、注入量は、1μLである。
分析用サンプルの調製は、以下の方法で行われる:正確な量のサンプル(10〜300mg)は、ファルコンチューブに量り取られ、9.75mLのメタノールがそれに加えられ、さらにDMSO中の250μLの内部標準溶液(ミオイノシトール、25μg/mL)が加えられる。混合物は、80℃で10分間攪拌され、次いで100μLのBSTFAが加えられ、及び反応混合物は、周囲温度でさらに30分間攪拌され、次いで1mLのアセトニトリルが加えられ、このようにして調製されたサンプルが、GC−MSに注入される。
固体画分中の測定された量は、乾物1g当たり3.82mgのトレハロースである。
水性画分中の測定された量は、乾物1g当たり33.2mgのトレハロースである。
加えて、水性画分は、水性画分の総重量に対して1重量%未満の不溶性沈殿物を含む。
工程5:水性画分の濃縮工程
次いで、工程4で得られた水性画分は、流下膜式蒸発器を用いて蒸発により濃縮された。
得られた濃縮水性画分は、約65%の乾物の濃度を有する。
工程6(任意):濃縮水性画分及び/又はクチクラを固体画分と混合する工程
この実施例において、工程6は実施されなかった。
工程7:固体画分の乾燥
乾燥固体画分又は乾燥混合物を得るために、工程4で得られた固体画分は、Haarslev製のディスクドライヤーを用い5時間乾燥させられる。
微生物学的観点から、固体画分は、10UFC/g未満の腸内細菌を含む。
工程8:破砕工程
乾燥固体画分は、最終的に、連続ハンマーミル(6つの可逆可動部−厚さ8mm)を用いて粉砕される。粉砕機は、流量制御フラップ(180kg/h)を備えたホッパーによって供給される。出力粒度分布を制御するために用いられる穿孔グリルは、0.8mmである。モーターの回転速度は、3000rpm(電動、吸収電力4kw(5.5HP))である。
得られた昆虫粉末の特徴は、以下の表5に示される。
実施例2:本発明による昆虫の処理方法
実施例1に記載したように、工程1〜5が実施された。
工程6(任意):濃縮水性画分及びクチクラを固体画分と混合する工程
工程5で得られた全て(100%)の濃縮水性画分並びに工程2で回収された0.05重量%のクチクラは、混合物を得るために、工程4で得られた全ての固体画分と混合された。
Vrieco-Nauta(登録商標)製の円錐スクリューミキサーが用いられた。
工程7:混合物の乾燥工程
乾燥混合物を得るために、工程6で得られた混合物は、Haarslev製のディスクドライヤーを用いて5時間乾燥される。
微生物学的観点から、乾燥混合物は、10UFC/g未満の腸内細菌を含む。
工程8:破砕工程
乾燥固体画分は、最終的に、連続ハンマーミル(6つの可逆可動部−厚さ8mm)を用いて粉砕される。粉砕機は、流量制御フラップ(180kg/h)を備えたホッパーによって供給される。出力粒度分布を制御するために用いられる穿孔グリルは、0.8mmである。モーターの回転速度は、3000rpm(電動、吸収電力4kw(5.5HP))である。
得られた昆虫粉末の特徴は、以下の表6に示される。
実施例3:本発明による方法及び比較方法
I.サンプルの調製
Tenebrio molitor幼虫のパルプを油(Tenebrio molitor油の場合、脂肪画分又は「TMO」)、水相(スティックウォーターの場合水画分又は「SW」)及び固体タンパク質(固体画分又は「SPC」)に変換するための本発明による方法及び比較方法が再現された。
目的は、2つのプロセスで得られた製品の品質を比較することである。
1. 本発明による方法
幼虫は最初に湯通し(蒸し)によって殺傷され、それから幼虫のクチクラは、Baader製のベルトセパレータによって軟部から分離される(decuticled)。
次いで、分離工程から得られた軟部8kgは、軟部との均質化を確実にするために容量10リットルのパイロット反応器中で熟成のために送られる。当該反応器は、350rpmでの機械的攪拌下で50℃に予熱されている。軟部の温度が徐々に上昇した後、その塊の温度は、直接90℃に制御される。90℃で1時間加熱した後、反応器は、空にされる。加熱された軟部は、それから分離される。トリカンターの使用は、実験室レベルでは不可能であるため、得られた異なる相を分離するために、軟部は、10000gで15分間遠心分離される(図2参照)。各相(TMO、SW及びSPC)は、手動で回収され、そして物理化学的分析を待つ間−20℃で貯蔵される。
2.比較方法
分離工程から生じる8kgの軟部が用いられる。この軟部は、本発明による方法に用いられたものと同じバッチの軟部から生じた。
比較方法は、本発明による方法とは以下の2段階異なる:
- 分離の終わりに、軟部を凝固させる追加の工程が、反応器壁温度を100℃に20分間固定しながらパイロット反応器中で4kgの軟部から開始し、攪拌下(350rpm)で行われる;次いで
- 軟部が、水を加えることによって希釈され、そして加熱される。これらのアッセイについて1:0.5(w/w、重量/重量)及び1:0.75(w/w)のソフト部分の2つの希釈が行われた。具体的には、50℃の容量の水(希釈の関数としては2リットル又は3リットル)がパイロット反応器に加えられた。パルプ塊の温度は、1時間90℃に調節され、次いで反応器が空にされる。次いで、希釈した軟部は、上記と同じ条件下で遠心分離され、そして3相が回収され、そして物理化学的分析を待つ間−20℃で貯蔵される。
II.サンプルの分析
・サンプルの乾物量の決定
TMO、SW及びSPCの乾物量は、標準ISO6496に従って105℃で一定の質量に乾燥することによって測定される。乾燥前後の生成物の重量差が、乾物含量の尺度として役立つ。これらの含有量は、重量%として表される。水分含有量は、値100から乾物を差し引くことによって得られる。
・TMOの過酸化物価の決定
過酸化物価は、フランス規格NF EN ISO 3960(2010年6月)に従って測定され、そして活性酸素のmeq/kg油で表される。
・TMO及びSWの堆積物含有量
使用されるフィルターは、予め較正された、50μmの孔を有するステンレス鋼篩である。沈殿物の定量化は、300mLのTMO又は750mLのSW(750mL)を篩内に量り入れることによって通過させた後に行われる。
SWの場合、堆積物の乾物は、上述のように決定される。
・SWのエマルジョンの評価
SW中のエマルジョンの評価は、50mLの回収されたSWを遠心分離した後に行われる。エマルジョン(上清)の回収は、分離を容易にするためにチューブを−20℃に置いた後に行われる。次いでエマルジョンは秤量され、そして結果はスティックウォーター中のエマルジョンの%として表される。
・SWにおける脂肪の決定
SWサンプル中の脂肪又は脂質の測定は、ECレギュレーション152/2009に従って加水分解後に石油エーテルで抽出することによって行われる。脂質の量は、考慮されるサンプルの乾物(SW又はSPC)に関連する。
・SWのペプシン消化率の決定
ペプシン消化率は、脱脂することなく、指令72/199/ECに従ってSWで決定される。
・SW及びSPCにおけるトレハロースのアッセイ
トレハロースは、それらの凍結乾燥後にSW及びSPCにおいて測定される。乾燥サンプル40mgは、80℃で攪拌しながら、2mLのDMSOを用いて1時間抽出される。次に、250μLの抽出液は、50μLのミオイノシトールと混合され、これは内部標準として用いられる。ホモジナイズの後、100μLのこの混合液を、100μLのBSTFA-TMCS(99:1)でGC-MSバイアル中で60℃30分間誘導体化する。注入前に、600μLのアセトニトリルが、GC-MSバイアルに加えられる。結果は、同じ条件下で実施された標準範囲を用いて、mgトレハロース/g乾燥で表される(図3)。
誘導体化された抽出物及び標準範囲の異なる点は、Shimadzu製GC-MS-QP2010で分析される。使用したカラムは、長さ30m、直径0.25mm、厚さ0.25μのSH-Rxi 5msカラム(Shimadzu)である。GC-MSの温度プログラムは、以下の通りである: 100℃、続いて300℃まで10℃/分の上昇、2分間の維持。
インジェクタの温度は、280℃、インターフェースの温度は、250℃、分割比は、10、注入量は、1μLである。検出は、ミオイノシトールについては、305、トレハロースについては361の特定のm/z値を用いてSIM(選択イオンモニタリング)モードで行われる。
・凍結乾燥SWの色の測定
色は、カラーチャート(RAL クラッシックK7カラーチャート)と比較され、このカラーチャートのカラーコードによって特徴付けられた。
・SPCの可溶性画分の決定
実験は、凍結乾燥SPCから開始し、実施された。1gのサンプルは、予め較正された50mLの試験管中で秤量(mi)された。周囲温度で30mLの水を加え、チューブが、数分間振とう(ボルテックス)された。遠心分離の後、上清が除去され、1回目と同じ条件で2回目の洗浄が行われる。上清が除去された後、洗浄したSPCペレットは、60℃のオーブンに48時間入れられ、その後秤量される。実際の乾物の割合を測定し、洗浄前のサンプルの初期重量を補正するために(%DM)、コントロール(未洗浄SPC)もまた、オーブンに入れられる。
溶解度の割合は次のように決定される。
・SPCの可溶性タンパク質の大きさの決定
SPCの可溶性タンパク質のサイズは、立体排除クロマトグラフィーにより測定される。
凍結乾燥サンプル40mgは、30mg/mLの濃度に達するようにアセトニトリル/H2O/TFA(トリフルオロ酢酸)(30/70/0.1)を含む移動相に溶解され、Chromafil Xtra PES-45/25フィルターを用いて遠心分離した後に、45μmに濾過される。同時に、移動相中の乾燥SW及び乾燥SPCの溶解度は、遠心分離残差をオーブン中で乾燥した後に決定される。
Shimadzu製Nexera XR HPLCチェーンで実施したクロマトグラフィーを実施するための条件は以下の通りである:使用したカラムは、Superdex Peptide GL 10/300(GEヘルスケア)であり、検出は、215nmでDAD検出器によって行われ、移動相の速度(アイソクラティックモード)は、0.3mL/分である。それは、アセトニトリル/H2O/TFA(トリフルオロ酢酸)混合物(30/70/0.1)を含み、分析は、25℃で行われる。
分子量分布を決定するために、異なる分子量に相当する保持時間間隔を規定するために、既知の分子量の4つの「標準」タンパク質を最初に注入した。サンプルの分子分布を分析するために、クロマトグラフの全面積は、最初に、215nmで積分され、次いで5つの分子量カテゴリーに相当する画分に分離された。結果は、分子サイズカテゴリー当たりの可溶性タンパク質の%として表される。
移動相中の可溶性部分の決定値は、水中において、それと同様の方法で得られるが、25%(分析温度)である。
III.結果
1.脂肪画分
脂肪画分の結果は、図4、5及び6に示される。
水分含有量及び沈殿物含有量に関して、図4及び5は、脂肪画分の分離が本発明による方法において著しく改善されることを実証する。実際、これらの図から、比較方法によれば、脂肪画分中の水分含有量及び沈殿物含有量が、より高いことが分かる。この結果は、相の増大及び/又は加熱が、通常、媒体混合物中での相の分離を改善することを可能にすることが当業者に周知であるため、予想外である。
さらに、図6において、本発明による方法によって得られた脂肪相の過酸化物価が、比較方法によって得られる脂肪相のその結果よりも低いことが記される。従って、本発明による方法によって得られる脂肪相は、向上した保存能力を有する。これは、酸化防止剤等の防腐剤の添加を回避又は減少させることを可能にするため、利点である。
2.水性画分
脂肪画分の結果が、図7〜13に示される。
図7において、本発明による方法によって得られた水性画分に関し、より低い水分含有量であることが記される。希釈に起因して、乾物含有量は、比較方法においてより低くなり、その結果、目的の部分(乾物)を回収するためにより大きな装置を必要とし、及び特により強烈なエネルギー消費及び水分消費を有する。
沈殿物含有量、エマルジョン含有量及び脂肪含有量に関して、図8〜10は、本発明による方法において水性画分の分離が、著しく改善されることを実証する。実際に、これらの図から、比較方法によれば、脂肪画分中の沈殿物、エマルジョン及び脂質の含有量がより高いことが記される。この結果は、相の増大及び/又は加熱が、通常、媒体混合物中での相の分離を改善することを可能にすることが当業者に周知であるため、予想外である。
また、
- 図11において、本発明によって得られる水性画分のタンパク質のペプシン消化率は、比較方法によって得られるものよりも良好であり; 及び
- 図12において、本発明によって得られる水性フラクションのトレハロース含有量は、比較方法によって得られるものよりも良好である、
ことが記載される。
トレハロースは、タンパク質を安定化する能力を有し、このために天然の生物学的保存剤であると考えられているので、トレハロースの存在は興味深い。
最後に、図13は、本発明による方法、又は比較方法の何れかによって得られた、及び凍結乾燥された水性画分の3枚の写真を提示する。本発明による方法によって得られる水性画分は、特により明るい色を有する。これらの図から、本発明による方法によって異なる生成物が得られることが明らかである。この色の違いは、比較方法で行われる水性媒体中での凝固及び加熱工程中に起こり得るメイラード反応によって潜在的に説明され得る。メイラード反応の間、溶媒中に存在する小さいサイズのタンパク質は、より反応しやすく、従って、溶媒の小さいサイズのタンパク質の含有量を減少させる。これは、特に水性画分の消化能力の減少をもたらし得る。
3.固体画分
固体画分についての結果が、図14〜17に示される。
図14において、本発明によって得られた固体画分のトレハロース含有量は、比較方法によって得られたものよりも良好であることが記載され得る。
図15において、本発明によって得られた固体画分の可溶性部分の含有量は、比較方法によって得られたものよりも良好であることが記載され得る。可溶性部分は、特により小さいサイズのタンパク質を放出することによって、可溶性部分が、飼料の製剤化を容易にし、向上したバイオアベイラビリティを付与するため、可溶性部分をかなりの含有量で有することは興味深い。
図16及び17において、小さいタンパク質、すなわち550Daより小さいタンパク質含有量は、本発明による方法によって得られた固体画分において、比較方法によって得られたものよりも高いことが実証される。
従って、小さいサイズのタンパク質が、本発明による方法によってより保存されることが記載され得る。これは、水中又は移動相中でのより高い溶解度へと、及びこの固体画分中のより小さいサイズのタンパク質をより高い割合へと移し、比較方法は、凝固段階及び加熱段階中にこれら産物の破壊に寄与したように思われる。
4.エネルギー消費
最後に、本発明による方法を、2つの比較方法と比較するために、エネルギー消費計算が行われた。
1:0.5の希釈における比較方法は、本発明によるものより19.8倍高いコストが掛かり、及び1:0.75の希釈における比較方法は、本発明によるものより20.2倍高いコストが掛かる。

Claims (16)

  1. 昆虫を処理する方法であって、以下:
    - 前記昆虫の軟部からクチクラを分離する工程、ここで前記分離は、ベルトセパレータを使用して行われる、及び
    - 前記昆虫の前記軟部の成熟工程、ここで前記工程は、溶媒中で前記昆虫の前記軟部を少しも希釈することなく行われる、
    を含む方法。
  2. 前記昆虫の前記軟部を、脂肪画分、固体画分及び水性画分に分離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項2に記載の方法によって得られる固体画分。
  4. 少なくとも71重量%のタンパク質を含み、0.1〜2重量%の間のキチンを含む固体画分、ここで、前記重量%は、固体画分の総乾燥重量に対して示される。
  5. 前記水性画分を濃縮する工程を含む、請求項2に記載の方法。
  6. 請求項2又は5に記載の方法によって得られる水性画分。
  7. 少なくとも48重量%のタンパク質、少なくとも2重量%のトレハロースを含み、7重量%未満の脂質含有量を有する水性画分、ここで、前記重量%は、水性画分の総乾燥重量に対して示される。
  8. 前記固体画分を、混合物を得る目的で、以下:
    - 濃縮水性画分の全部又は一部; 及び/又は
    - クチクラの全部又は一部、
    と混合する工程をさらに含む、請求項2又は5に記載の方法。
  9. 乾燥固体画分又は乾燥混合物をそれぞれ得るために、前記固体画分又は前記混合物を乾燥する工程を含む、請求項2又は8の何れかに1項に記載の方法。
  10. 前記乾燥固体画分又は前記乾燥混合物を粉砕する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項10に記載の方法によって得られる粉末。
  12. 少なくとも71重量%のタンパク質を含む、0.1〜4重量%のキチンを含む粉末、ここで、前記重量%は、粉末の総乾燥重量に対して示される。
  13. 少なくとも65重量%のタンパク質、少なくとも10重量%の炭水化物及び0.1〜2重量%の間のキチンを含む粉末、ここで、前記重量%は、粉末の総乾燥重量に対して示される。
  14. 請求項6又は7の何れか1項に記載の水性画分、又は請求項13に記載の粉末の香味料としての使用。
  15. 栄養摂取における、請求項11〜13の何れか1項に記載の粉末の使用。
  16. 動物の栄養における、請求項14又は15に記載の使用。
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