JP2020516896A - タルボx線顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
Description
本特許出願は、2017年4月15日に出願された「タルボX線顕微鏡(TALBOT X-RAY MICROSCOPE)」と題される米国仮特許出願番号第62/485,916号の優先権利益を主張し、2015年5月15日に出願された「周期構造の測定、特徴付けおよび分析のためのX線方法(X-RAY METHOD FOR MEASUREMENT, CHARACTERIZATION, AND ANALYSIS OF PERIODIC STRUCTURES)」と題される米国特許出願番号第14/712,917号の一部継続出願である。米国特許出願番号第14/712,917号は、2015年4月29日に出願された「X線干渉計イメージングシステム(X-RAY INTERFEROMETRIC IMAGING SYSTEM)」と題される米国特許出願番号第14/700,137号の一部継続出願である。米国特許出願番号第14/700,137号は、2014年10月29日に出願された「X線干渉計イメージングシステム(X-RAY INTERFEROMETRIC IMAGING SYSTEM)」と題される米国特許出願番号第14/527,523号(現在は消滅)の一部継続出願である。米国特許出願番号第14/527,523号は、2013年10月31日に出願された「X線位相コントラストイメージングシステム(X-ray Phase Contrast imaging System)」と題される米国仮特許出願番号第61/898,019号、2013年11月7日に出願された「微細な副供給源のアレイからなるX線源(An X-ray Source Consisting of an Array of Fine Sub-Sources)」と題される米国仮特許出願番号第61/901,361号、および2014年4月17日に出願された「二次元位相コントラストイメージング装置(Two Dimensional Phase Contrast Imaging Apparatus)」と題される米国仮特許出願番号第61/981,098号の利益を主張し、これら全ての開示は、引用によって全文が本明細書に援用される。
a.発明の分野
本技術は、X線を使用した干渉計システムに関し、特に周期的マイクロビームのシステムを使用して物体を照射してこの物体のさまざまな構造的および化学的特性を求める干渉計測定、特徴付けおよび分析システムに関する。
先行技術のX線顕微鏡は、一般に、X線光学部品(たとえば、ゾーンプレート)の分解能および/または検出器の画素サイズの分解能によって制限される。市販のX線顕微鏡システムの中には分解能が100nm未満のものもあるが、このようなシステムでは視野が非常に制限され、大きな視野を有する高分解能X線顕微鏡法は、分解能が1ミクロンよりも小さい状態では画像を生成するのが困難である。
ここに概略を記載している本技術は、マイクロスケールまたはナノスケールビーム強度プロファイルを有するマイクロビームのアレイを使用して物体のマイクロスケールまたはナノスケール領域の選択的照射を行うX線顕微鏡法のためのシステムを含む。アレイ検出器は、この検出器の各画素が単一のマイクロビームに対応するX線のみを検出するように位置決めされ、これにより、特定の限定的なマイクロスケールまたはナノスケール領域が照射された状態で、X線検出器から生じた信号を識別することができる。これにより、空間分解能を損なうことなく、高効率かつ大型の画素検出器を使用した顕微鏡法が可能になる。
本技術は、マイクロスケールまたはナノスケールビーム強度プロファイルを有するマイクロビームのアレイを使用して物体のマイクロスケールまたはナノスケール領域の選択的照射を行うX線顕微鏡法のためのシステムを含む。各マイクロビームは、このマイクロビームの強度の0.8倍〜0倍であるより低いX線強度の領域によって他のマイクロビームから分離される。アレイ検出器は、この検出器の各画素が単一のマイクロビームに対応するX線のみを検出するように位置決めされ、これにより、特定の限定的なマイクロスケールまたはナノスケール領域が照射された状態で、X線検出器から生じた信号を識別することができる。いくつかの例では、イメージングされる物体と検出器とは、同一のタルボ回折次数内に位置決めされる。本システムでは、空間分解能は、供給源サイズおよび検出器画素サイズから切り離される。
X線照射器として、タルボ干渉パターンは、ビーム分割格子を好適に選択することにより、対応するミクロンスケールの寸法を有する明るいアンチノードを生成することができる。24.8keVのエネルギを有するX線ならびに50/50デューティサイクルおよび1ミクロンピッチを有する吸収格子では、タルボ距離は、DT=4cmである。図1の図における縞のx方向およびy方向の縮尺はかなり異なっており、これらの縞は、横方向(すなわち、伝搬方向に対して垂直)にミクロンスケールおよびピッチを有してもよいが、数百ミクロンから数センチメートルのスケールの焦点深度を有してもよい。
本明細書に開示されているそれを使用する顕微鏡システムおよび方法は、物体を照射するのに使用されるマイクロスケールまたはナノスケールX線ビームのアレイを作成するさまざまな技術を使用して形成されてもよい。一例として、光学システムを使用して、複数の配列されたX線源または代替的に微細構造のアレイを備えた透過ターゲットを有するX線源をイメージングすることにより、X線光学システムの焦点深度内に供給源箇所の画像に対応する「マイクロビーム」を提供することができる。
いくつかの例では、X線源ターゲットは、微細構造マスクを備えてもよい。図3Bは、埋設された微細構造マスクを有する基板1000を示す。図3Bの基板1000は、薄膜1002と、第1の基板部分1004と、第2の基板部分1006とを含む。基板部分1004および1005は、ダイヤモンド、Be、サファイアなどの低原子元素材料で形成されてもよい。薄膜1002に打ち込まれる電子ビームは、薄膜内にX線を発生させる。発生したX線は、微細構造700によって遮断されて、有効なX線副供給源のアレイを作成する。微細構造700は、基板部分1004上に設置され、基板部分1006によって被覆または封入されてもよい。代替的に、それらは、図3Cのターゲット1000に示されるように、微細構造を単一の基板部分内に埋設することによって形成されてもよい。
マイクロビームがタルボ効果によって生成される実施形態では、調査対象の物体におけるX線ビームの帯域幅は、対象の予め定められたX線エネルギの+/−15%の範囲内でなければならない。これは、一般に、薄い金属箔などのフィルタを使用することによって達成される。
図3Aに戻って、X線888は、配列されたX線源A0から距離Lのところに設置されたビーム分割格子G1 210−2Dのための、個々に空間的にコヒーレントであるが相互にインコヒーレントである照射副供給源のアレイとして、配列された供給源から発生する。マイクロビームのアレイによって照射される物体240−Wの位置は、ビーム分割格子G1 210−2Dからさらなる距離Dのところに設置されている。A0における各X線副供給源が画像形成プロセスに建設的に寄与することを確実にするために、配置の幾何学は、以下の条件を満たすべきである。
ここに開示されているように、各画素が物体と単一のマイクロビームとの相互作用から発生するX線のみを検出するように位置決めされるように検出器ピッチが複数のマイクロビームのピッチにマッチングされて、隣接するマイクロビームに起因する画素間のクロストークが最小化される。そして、データ収集および物体の特性の「マップ」の最終的再構築が引き続き行われてもよく、各画素からの個別の信号をさらに逆畳み込みしなくてもよいことが分かる。(たとえば、散乱または蛍光に起因して)マイクロビームと画素との間にクロストークがある場合には、さらなる画像分析は、適切に較正できるのであればクロストークの一部を除去することができてもよい。透過X線、散乱X線および蛍光X線から信号を分離するためにエネルギ分解アレイ検出器も使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、マイクロビームのピッチの整数分の1である検出器ピッチ(たとえば、2Dアレイにおいて4つの画素が単一のマイクロビームに対応するX線を収集するように位置決めされることを示すであろうピッチの2x削減、または9つの画素が各マイクロビームに対応するX線を検出するように存在することを示すであろうピッチの3x削減)も使用されてもよい。これは、検出されるX線が何らかの空間構造を有する場合、たとえば所望のX線信号が物体からの小角度散乱に関連する場合に、いくつかの利点を提供することができる。そして、検出器の特定の画素は、散乱X線のみを検出するように位置合わせすることができる一方、非散乱ビームは、異なる画素によって収集されてもよく、または単に遮断されてもよい。
他の実施形態では、より大きな検出器画素が使用されてもよい。この場合、検出器の各画素の活性エリア(X線を電子信号に変換する部分)が対応するX線マイクロビームとおよそ同一のサイズである限り、タルボ縞のピッチよりも大きな画素サイズが使用されてもよい。したがって、検出器は、安価になるが、依然として「高分解能」信号を生成することができる(なぜなら、空間分解能は、検出器画素サイズではなく、タルボ縞と物体との相互作用量によって決まるからである)。
図13は、顕微鏡データを収集する方法を示す。データ収集は、2D「マップ」または3Dトモグラフィ画像を形成するのに使用されてもよい。
本願では、本発明者等が意図している最良の形態を含む本発明のいくつかの実施形態が開示されている。具体的な実施形態が示されているが、いくつかの実施形態についてのみ詳細に説明している要素を他の実施形態にも適用してもよいということが認識されるであろう。また、先行技術の中にあるとして記載されている詳細およびさまざまな要素も、本発明のさまざまな実施形態に適用してもよい。本発明および好ましい実施形態を説明するために具体的な材料、設計、構成および製造ステップを説明してきたが、このような説明は、限定的であるように意図されるものではない。変形および変更が当業者にとって明らかであり、本発明が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
Claims (17)
- X線顕微鏡システムであって、
X線照射ビーム生成システムを備え、前記X線照射ビーム生成システムは、
X線源と、
ビーム分割格子とを備え、
前記X線照射ビーム生成システムは、タルボ効果によって複数のX線マイクロビームを生成し、焦点深度と、伝搬軸と、予め定められたX線エネルギについての前記軸に対して垂直な予め定められた強度プロファイルとを有し、前記X線顕微鏡システムはさらに、
調査対象の物体を前記複数のマイクロビームに対して位置決めするための手段と、
前記複数のX線マイクロビームと前記物体との相互作用から生じるX線を検出するための少なくとも1つのX線画素アレイ検出器とを備え、
前記検出器の任意の所与の画素によって検出された前記X線が、主に1つのマイクロビームからの前記調査対象の物体を透過した前記X線に対応するように、前記検出器は、前記マイクロビームの前記焦点深度内に位置合わせされる、X線顕微鏡システム。 - 前記ビーム分割格子は、前記予め定められたX線エネルギにおけるπまたはπ/2位相シフト格子である、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記X線源は、
電子ビームのためのエミッタと、
透過X線ターゲットとを備え、前記透過X線ターゲットは、複数の個別の微細構造と、前記微細構造よりも低い質量密度を有する材料からなる基板とを少なくとも備える、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。 - 前記電子ビームのエネルギは、前記予め定められたX線エネルギの1.1倍よりも大きい、請求項3に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記電子ビームは、斜角で前記ターゲットに入射する、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記X線源は、吸収格子と組み合わせて使用されるマイクロフォーカスX線源または広域X線源である、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記X線照射ビームの帯域幅の半値全幅が前記予め定められたX線エネルギを中心とする30%となるようにフィルタリング機構をさらに備える、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記調査対象の物体を前記X線マイクロビームに対して位置決めするための手段は、前記物体の2D画像が取得されるように前記物体を平行移動させるための手段をさらに備える、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記調査対象の物体を前記X線マイクロビームに対して位置決めするための手段は、前記物体の3Dトモグラフィが取得されるように前記物体を回転させるための手段をさらに備える、請求項8に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記検出器は、CCDベースの検出器であり、前記検出器画素の中心が前記マイクロビームの中心に位置合わせされるように位置合わせされる、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記検出器からの出力信号を表示および分析するための表示手段および分析システムをさらに備える、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 予め定められた数の前記X線マイクロビームを遮断するように位置決めされたマスクをさらに備える、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記物体を透過した予め定められた数の前記X線マイクロビームを遮断するように前記画素アレイX線検出器の上流に位置決めされたマスクをさらに備える、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記システムは、サブミクロン空間分解能を達成する、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- X線検出画素のアレイをさらに備え、前記検出器画素の能動的検出領域は、各画素の中心にあり、画素面積の50%未満を占める、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 前記画素アレイ検出器の上流に設置され、前記マイクロビーム間のX線を吸収してマイクロビームと前記マイクロビーム間の領域との間の強度比を大きくするように位置決めされた減衰格子をさらに備える、請求項1に記載のX線顕微鏡システム。
- 物体のX線透過を測定するための方法であって、
タルボ干渉パターンを生成するステップと、
X線アレイ検出器を、前記検出器の所与の画素によって検出されたX線が前記タルボ干渉パターンのアンチノードのうちの1つだけに対応するように位置決めするステップと、
調査対象の物体を透過したX線が前記検出器によって検出されるように、前記検出器と同一のアンチノードの焦点深度内に前記調査対象の物体を位置決めするステップとを備える、方法。
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