本発明は光学リモートセンシングの分野であり、サンプルまたは患者のパラメータ、例えば、医用パラメータをモニタするとともに、カメラのフレームレートの制限を克服可能にすることに関連する。
生物組織および一般的に様々な他のサンプルのパラメータの非侵襲的な検出およびモニタを行う様々な技術が知られている。幾つかのそのような技術は、モニタ対象のサンプルから戻るまたは散乱するコヒーレント照明の光成分による干渉パターンの変化の検出を利用する。スペックルパターンによるそのような光成分の干渉は、カメラユニット等のデフォーカス撮像システムにより収集可能である。一般的に、スペックルパターンの時間的な変化は、光が反射/散乱する表面の変化を表す。スペックルに基づくモニタ技術は一般的に、スペックルパターンのそのような変化をモニタし、それに応じて検査対象のサンプルについてのデータを決定する。
US8,638,991号は、対象物を結像する方法を示す。方法は、対象から変位した面に焦点合わせが行われる撮像システムを用いて、対象から伝播するコヒーレントなスペックルパターンを結像するステップを具える。
US9,668,672号、およびUS9,636,041号は、対象の身体の1つ以上の状態のモニタに使用するためのシステムおよび方法を示す。システムは、画像データを受信する入力ポートと、メモリユーティリティと、プロセッサユーティリティとを有する制御ユニットを含む。画像データは、ピクセル検出器アレイにより計測されたデータを示し、一定のサンプリング時間のパターンに従ってコヒーレント光による照明に応答して、対象の身体の一部分により生成されたスペックルパターンのシーケンスの形式である。メモリユーティリティは1つ以上の所定のモデルを格納し、そのモデルは、1つ以上の計測可能なパラメータと、対象の身体の1つ以上の状態との関係を示すデータを有する。プロセッサユーティリティは、1つ以上の対応する身体状態を決定するために画像データを処理するように、および、対応する身体状態を示す出力データを生成するように構成され動作可能である。
スペックルに基づくモニタ技術は、非侵入性および非接触型の光学モニタを提供し、対象または生物組織の様々なパラメータの検出が可能になる。そのようなパラメータは、弾性応答から、生物活性および生体活性に関連した振動の検出まで様々である。スペックルに基づくモニタの主要概念は、上記の刊行物において概してより詳細に記載される。具体的には、技術は、コヒーレントまたは部分的にコヒーレントな照明の検査領域への照射、および、デフォーカスカメラユニットを用いて、検査領域から反射または散乱した光を収集することに基づいてもよい。そのようにして収集された画像データ片は、光成分の干渉に関連した二次スペックルパターンを含む。技術は一般的に、収集された画像の1つ以上のシーケンスのスペックルパターン間の1つ以上の相関関数(例えば、空間相関)を決定することを更に含む。連続的に収集されたスペックルパターン間の相関性の変化は、検査領域における表面の向き、曲がり、および/または位置の変更を示す。そのようなモニタ技術により、例えば、音響信号、心拍数、呼吸速度、パルス速度、血圧等、様々なパラメータの検出が可能になる。弾性応答、グルコース血中濃度、および血中アルコール濃度等の更なるパラメータは、計測対象のパラメータに関連した所望の信号を拡大するために、更なる外部刺激を必要とし得る。
一般的に、例えば、生きている生体組織等のサンプルについて正確で関連のある信号のデータを適切に抽出するために、収集された画像データのフレームレート(スペックルパターンの収集率)は、少なくともナイキスト条件を満たす必要がある。例えば、心臓活動(例えば、通常40〜200bpmの周期性を有する心拍数)および患者の呼吸活動等のパラメータを示すデータを適切に決定するために、スペックルパターンの収集のフレームレートは、多くの場合、約300〜400fps以上であってもよい。しかし、適したカメラユニットは比較的高価である。
一方、従来のカメラユニット、例えば、スマートフォンのカメラ等の手持ちカメラは典型的に、30fpsの相対的に低いフレームレート、時には60fpsのフレームレートでサンプリングが可能である。同時に、従来の手持ちカメラユニット(例えば、スマートフォン)は、1000×1000ピクセル以上に及ぶ相対的に高い空間解像度を提供することができ、時には4メガピクセル、16メガピクセル、更には32メガピクセルという解像度に達する。
本発明の発明者らは、サンプルの検査領域から戻る二次スペックルパターンの空間−時間追跡を用いることで、相対的に低いフレームレート検出を利用しながら様々なパラメータの正確なモニタが可能になることを見出した。本技術は、収集されたスペックルパターンの2つまたはそれ以上のコピーをローリングシャッタ型検出器アレイ上に提供するように構成された1つ以上の光分割素子を利用する。この技術は、異なるコピーの読み取り値で時間的変化を提供するために検出器アレイの読み出し方式を利用して、異なる時間に収集された対応する複数のスペックルパターンデータを、1つの画像の露光時間内に形成する。
この目的のため、本発明は、サンプルのモニタにおいて用いるためのシステムおよび方法を提供する。システムは、照明ユニットと、収集ユニットとを具え、照明ユニットは、1つ以上の所定の波長範囲のコヒーレント照明を提供するように、およびコヒーレント照明を対象の1つ以上の検査領域に向けるように構成され、収集ユニットは、少なくとも1つの検出器アレイと、少なくとも1つの対応する撮像レンズ配置とを有し、検査領域から戻る光を収集して、例えば、サンプルから戻る光成分の干渉により生成されたスペックルパターンに関連する1つ以上の画像データ片を、検査領域と検出器アレイとの間の中間平面に生成するように構成される。
一般的に、検出器アレイは従来の検出器アレイとして構成され、従来の検出器アレイは、相対的にフレームレートが低くてもよく、移動/ローリングシャッタ構成を利用してもよい。収集ユニットは、収集された光を分割するように構成された少なくとも1つの光分割素子(例えば、回折素子)を更に具え、収集されたスペックルパターンに対応する複数の画像複製を検出器アレイ上に形成する。そのような光分割素子は一般的に、格子等の回折素子、ビームスプリッタの集合であってよく、または、他の構成を有していてもよいことに留意されたい。簡素化のために、光分割素子は、本明細書において以下では回折素子と記載するが、更なる光分割素子および/または構成を用いてもよいことを理解されたい。典型的には(例えば、連続波レーザユニットにより)波長範囲が明確で狭いコヒーレント照明の使用をすることで、回折素子の選択は、照明ユニットによる特定の波長に対して最適化が可能になることにも留意されたい。しかし、上述のとおり、光分割を行い、光の反射、屈折、および回折機能を用いて複数の画像複製を形成する様々な他の光学素子を用いてもよい。
光分割(例えば、回折)光学素子は典型的に、検査領域から収集された光路における収集ユニットに位置する。光学素子は、収集された光に、例えば、回折ローブに関連した、収集された光の複数の画像複製を形成させるように構成される。この複数の画像複製は、検出器アレイに向けられて複数の画像領域の複製を形成し、それぞれが、検査領域からの光伝搬の経路に沿って光干渉に対応するスペックルパターンを有する。
本技術は、検出器アレイの名目上のサンプリングレートを超える高サンプリングレートを提供する、検出器アレイのローリングシャッタ動作を利用する。収集された画像の異なる複製の配置が選択され、画像データの収集に時間差を提供する。スペックルパターンの異なる複製に関連した画像データの部分間の時間差は一般的に、ローリングシャッタ動作方式に従って決定される。
この目的のため、システムは、制御ユニットを具えてもよく、または制御ユニットに接続可能である。制御ユニットは一般的に、1つ以上のプロセッサを具える処理ユーティリティと、格納ユーティリティとを具える。制御ユニットは、画像データ片の1つ以上のシーケンスを具える入力データを、一般的に(その検出器アレイの)カメラユニットのフレームレートで受信するように構成され動作可能である。画像データ片の各々は典型的に、(ローリングシャッタ読み出し技術に従って)一定時間、検出器アレイにより収集された画像に対応し、収集されたスペックルパターンの異なる画像複製に関連した複数の画像部分を含む。検出器アレイのローリングシャッタ構成に起因して、異なる画像複製が、ローリングシャッタの動作速度に従って、わずかに異なる取得時間に対応することに留意されたい。
従って、この目的のために、制御ユニットは、ローリングシャッタの動作時間についての事前に格納されたデータを具えてもよく、または、受信した画像データ片からそのようなデータを抽出するように構成されてもよい。制御ユニットは、従って、受信した画像データ片から異なる画像複製を抽出するように、および、検査領域から戻る光により生成されて、取得時間のシーケンスで収集された二次スペックルパターンに関連した複数の受信した画像を処理するように構成され動作可能である。
制御ユニットは一般的には、複数のそのように収集された画像を示すデータを処理するように構成され動作可能であり、連続画像で収集されたスペックルパターン間の相関関数を決定することができる。そのような相関性は、検査領域の表面の変化(例えば、振動)を示し、そこでは同様に、モニタ対象のサンプル/組織の様々なパラメータを示すデータを提供することができる。そのようなパラメータは、患者の外部刺激、心拍数、及び心臓活動、呼吸動作、(グルコースまたはアルコール量等の)血液に関するパラメータに対する弾性/塑性応答を含んでもよい。
従って、本発明の広範な側面によると、本発明は、対象のパラメータのモニタにおける使用のためのシステムを提供し、システムは、所定の波長範囲のコヒーレント照明を提供するように、および、コヒーレント照明を対象の検査領域に向けるように構成された照明ユニットと、レンズ配置と検出器アレイとを含み、検査領域から戻る光を収集するように、および検査領域と検出器アレイとの間の中間平面に生成されたスペックルパターンに関連した1つ以上の画像データ片を生成するように構成された収集ユニットとを具え、検出器アレイは、ローリングシャッタ型検出器ユニットとして構成され、収集ユニットは、収集された光を分割するように構成された少なくとも1つの光分割素子を含み、これによって、スペックルパターンに対応する複数の画像複製を検出器アレイ上に形成する。
幾つかの実施形態によると、複数の画像複製が検出器アレイの異なる領域上に形成される。一般的に、複数の画像複製の読出しが、異なる複製間で収集の時間推移を提供し、これによって、システムの収集フレームレートを増加させる。
幾つかの実施形態によると、システムは、収集ユニットに接続可能で、対象の1つ以上のパラメータを決定するために1つ以上の画像データ片を受信および処理するように構成され動作可能な制御ユニットを更に具えてもよく、制御ユニットは、ローリングシャッタ型検出器アレイの動作についてのデータを利用するように、および、収集されたスペックルパターンに対応する複数の画像複製をそれぞれの画像データ片から抽出するように、および、1つ以上のパラメータを示す連続的なスペックルパターン間の相関性を決定するために、そのようにして抽出された画像を処理するように構成される。一般的に、制御ユニットは、1つ以上のプロセッサと格納ユーティリティとを含むコンピュータユニットとして構成されてもよい。制御ユニットは更に、コンピュータ読み取り可能命令で予め組み込まれていてもよく、プロセッサにより実行されるときに、プロセッサに、照明および収集ユニットを含むシステムを操作させ、収集ユニットから受信した画像データ片に応答させ、これによって、検出器ユニットのローリングシャッタ動作に予め格納されたデータに従って画像データの処理が可能になる。典型的に、制御ユニットは、選択されたモニタ時間に沿って、スペックルパターン間の決定された相関性に基づいて、サンプルの1つ以上のパラメータを決定するように構成される。
一般的に、光分割素子は、回折光学素子であってもよい。代替的には、光分割素子は、屈折または反射特性を用いて、収集された光を分割するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態によると、検出器アレイにより生成されたそれぞれの画像データ片は、異なるタイミングで収集された多くの画像領域に対応し、これによって、4乃至20の範囲の因子によりシステムのサンプリングレートを増加させる。
収集ユニットのレンズ配置は、検査領域のデフォーカス画像を検出器アレイ上に提供するように構成されてもよく、これによって、収集されたスペックルパターン間のコントラストを増加させる。
一般的に、少なくとも1つの光分割素子は、レンズ配置と検出器アレイとの間の光路に沿って位置する。
ローリングシャッタ型検出器ユニットは、行によるデジタル読出し動作用に構成されたデジタル検出器アレイを具えてもよいことに留意されたい。しかし、いくつかの他の構成において、ローリングシャッタ型検出器ユニットは、同時読出しのために構成されたデジタル検出器アレイと、ローリングシャッタ露光動作を提供する移動スリットとを具えてもよい。
本発明の更に別の広範の側面によると、本発明は、光学配置と、一定のフレームレートを有するローリングシャッタ検出器として動作可能な検出器アレイを具える検出ユニットを提供し、光学配置は、1つ以上の光分割素子を含み、シーンから届く光を収集するように、および、シーンから収集された光パターンに関連した複数の画像複製を生成するように、および、複数の画像複製を検出器アレイ上に投影するように構成され、これによって、検出器ユニットが、検出器アレイの一定のフレームレートを、複製の数の因子の分だけ超えるサンプリングレートで画像データを収集することが可能になる。検出器ユニットの構成および動作技術、ならびに、対応する制御ユニットとの関連が以下に説明される。
本明細書に記載の主題をよりよく理解するために、かつ実際にどのように行われ得るかを例示するために、以下の添付図面を参照して、非限定的な例のみにより実施形態を以下に説明する。
図1は、本発明の幾つかの実施形態に係る、サンプルをモニタするためのシステムを図式的に示す。
図2は、本発明の幾つかの実施形態に係る、回折光学素子を用いた集光路を示す。
図3は、本発明の幾つかの実施形態に係る、検出器アレイに形成された画像複製、およびローリングシャッタ検出器を用いた複製の収集における時間遅延を例示する。
対象のリモートセンシングおよびモニタのためのシステム100を図式的に説明する図1を参照する。システム100は一般的に、対象/サンプルの1つ以上の選択された検査領域Rをモニタするように構成される。サンプルは一般的に、例えば、岩、人工的構造物、木材、プラスチック、生体組織、患者の身体等、任意の種類であってよい。好ましくは、本技術は、ヒトの医用パラメータをモニタするために使用されてもよく、それに応じて、サンプルおよび検査領域Rが、ヒトの1つ以上の身体部分、すなわち直接皮膚にまたは衣服に関連していてもよい。
システム100は一般的に、スペックルに基づく技術を用いた検査領域Rの光学モニタのために構成され、フレームレートが相対的に低い検出器アレイを用いた精度の高い検出が可能になる。システムは、照明ユニット120と収集ユニット130とを含み、典型的には、照明ユニットおよび収集ユニットを操作するように、および、検査領域Rをモニタのため、収集された画像データ片を収集ユニットから受信して処理するように構成された制御ユニット500を含んでもよく、またはその制御ユニット500に接続可能である。
示したように、システム100は、照明ユニット120と収集ユニット130とを含み、照明ユニット120は、コヒーレント照明CIを提供するように、および、コヒーレント照明CIをサンプル(例えば、患者の身体領域)の1つ以上の検査領域Rに向けるように構成され、収集ユニット130は、検査領域Rから戻る光RIを収集するように、および、光干渉により形成された二次スペックルパターンに関連した画像データ片のシーケンスを、検査領域Rと収集ユニット130との間または検査領域Rよりも遠くに位置する中間平面IPに生成するように構成される。
照明ユニット120は典型的に、少なくとも1つの光源ユニット122を含んでよく、少なくとも1つの対応する光学ユニット124を含んでよい。光源ユニット120は、レーザユニット、または選択された波長範囲でコヒーレント光照明を提供可能な任意の他のタイプの光源であってもよい。光学ユニット124は、コヒーレント照明を検査領域R上に向けるために使用されてもよい。光学ユニット124は一般的に、1つ以上のレンズ、ミラー、または照明を向けるための任意の他の光学素子を含んでもよく、所望の寸法の1つ以上の照明スポットを検査用に選択された位置に形成してもよい。
収集ユニット130は、ローリングシャッタ検出器アレイとして構成された検出器アレイ136、撮像レンズユニット132、および光分割光学素子134とを含む。光分割光学素子134は一般的に、格子等の回折光学素子であってもよく、以下でそのようなものとして言及されるが、幾つかの実施形態において、光分割光学素子は、屈折、反射機能、および/またはそれらの組み合わせを利用してもよいことに留意されたい。レンズユニット132は、検出器アレイ134に対する位置およびレンズユニットの光強度により、検査領域Rのデフォーカス画像を提供するように構成される。この構成により、(検査領域Rから散乱した/戻った光成分の干渉により形成された)二次スペックルパターンに関連した画像データの収集が可能になり、検査領域のフォーカスされた画像に関連した信号を低減する。レンズユニットは、検出器アレイ136の平面上に形成された画像が、検査領域Rとレンズユニット132との間に位置した或いは検査領域Rに対して離れている平面に関連した、中間平面IPに対応するように、収集した光を向けるように構成されてもよい。
更に、本発明の技術によると、収集ユニットは、レンズユニット132と検出器アレイ136との間の光路に位置する光分割素子134を含む。一般的に、光分割(例えば、回折)光学素子134は、レンズユニット132の真上(例えば、射出ひとみ)に位置してもよい。しかし、光分割素子134がレンズユニット132の下流の近くに位置するという構成を用いてもよい。光分割素子134は、例えば、回折格子、または光を幾つかの回折次数に向けるように構成された任意の他の回折素子として構成されてもよい。レンズユニット132、回折素子134、および検出器アレイ136は、レンズユニット132により収集された光が、回折素子134により回折されて、図2に示すように、複数の所定数の画像複製を検出器アレイ136上に形成するように配置される。
一般的に、レンズユニット132は、画像を検出器アレイ136のごく一部に形成するように構成されてもよく、それは、レンズユニット132による光収集、および検出器アレイ136への対応する光送信を制限する1つ以上の視野開口を用いて提供されてもよい。従って、単一の画像複製が、アレイ表面のごく一部を占める検出器アレイ136に投影され、更なる画像複製は、それらの間の重複が制限された、好ましくは重複がない状態で、検出器アレイに投影されてもよい。
図2は、収集ユニット130のレンズユニット132により収集され、複数の画像複製を検出器アレイ136上に形成するために送信された光路を図式的に示す。示すように、検査領域Rから収集された光が、レンズユニット132により送信および屈折されて、1つ以上のスペックルパターンを含むデフォーカス画像を形成する。光は、回折光学素子134により複数の回折次数に更に回折され、これによって、複数の画像複製を検出器アレイ136上に形成する。図2は、2つの周辺光線R1およびR2を示す光収集と、回折光学素子134を通過して、複数の画像複製を検出器アレイ136上に形成する光の回折を示す。5つのそのような複製、Im(2)、Im(1)、Im(0)、Im(−1)、Im(−2)を図2に示す。幾つかの実施形態に従い、回折素子134は、レンズユニット132の出射開口に位置してもよく、代替的には、回折素子134は、レンズユニット132に対して画像平面上に位置してもよい。代替的に、回折素子は、中間平面に位置してもよく、そこでは、検出器アレイ136がそれぞれの画像平面(中間対象平面(図1のIP)に対応する)に位置する。
上述のとおり、本発明の技術は、ローリングシャッタ検出器アレイ136の典型的な動作手法を利用する。ローリングシャッタ動作を本発明の技術と組み合わせて使用することが図3に例示され、そこでは、検出器アレイ136の表面に形成された幾つかの画像複製Im1乃至Im4が示される。本実施例において、理解しやすいよう、Im1乃至Im4と番号をつけた4つの画像複製が例示される。しかし、様々な他の番号の画像複製を使用してもよく、以下に説明するように、有効なサンプリングレートを増加させる因数を提供する。
一般的に、ローリングシャッタ動作は、アナログ検出技術に由来し、そこでは、スリットを有する実際のシャッタがフィルムの前に移動し、光がフィルムの活性物質に達することが可能になる。スリットは、任意の時点でフィルムの領域のみが露光されるように、フィルムの全体の領域が選択された期間に露光されるようにフィルム領域に沿って移動して、領域間に時間差が生じる。検出器アレイ136は、デジタルの行による読み出しを提供するように構成されてもよい。代替的には、検出器アレイ136は、アレイのピクセル/行の同時/並行な読み出しを提供するデジタル検出器アレイとして構成されてもよい。これらの構成において、収集ユニットは、検出器アレイへの入力光の露光に影響することで、ローリングシャッタ動作を提供する機械的移動ウィンドウまたはスリットを更に具えてもよい。幾つかの更なる実施形態において、ローリングシャッタは、検出器アレイの上流に位置する空間光モジュレータにより提供されてもよく、検出器アレイピクセル素子に横または領域別の露光を提供する。この構成により、二次元光分割素子134が、画面複製の二次元アレイを検出器アレイに形成することも可能になる。
デジタル検出器アレイの場合は幾分異なるが、アナログ技術と同様の効果を有する。検出器アレイは、フォトダイオード等の検出素子の行により形成され、そこでは、それぞれの検出素子が、光収集のために作動し、読み出しを受け、光収集の更なるサイクルに備えることができる。幾つかの実施形態において、それぞれのフォトダイオードがコンデンサに連結され、そこでは、コンデンサが、露光時間に備えて放電されてもよく、光照射に応答してフォトダイオードから電荷により充電されてもよく、それから、コンデンサの充電レベルが、読み出しのために計測および収集される。典型的な検出器アレイにおいて、検出素子の動作サイクルは連続的で、検出素子の行毎に行われる。このことにより、上部の行素子、例えば行T1と、下部の行素子、例えば行T8との読み出し時間において時間的変化が生じる。その結果、画像データの部分を生成するために、画像複製Im1が、画像複製Im2の収集の一定時間前に、画像部分Im3およびIm4の収集の更に前に収集され、全てが単一のフレームの画像データの収集に必要な時間内に収集される。従って、検出器アレイ136の全体のアレイの読み出しに関連した単一のデータ片は、検出器アレイの動作速度に従って異なる時間に形成および収集されたスペックルパターンの幾つかの画像複製を含み、検出器アレイ136上の画像複製の数により収集フレームレートを効率的に増やす。
上述のように、収集ユニット(図1の130)は、画像データ片のシーケンスを生成するように構成される。本技術は、それぞれの画像データ片が実際に、異なる時間に撮られた一定数の画像を含むことを条件として、回折素子134の使用と、検出器アレイ136のローリングシャッタ動作を利用する。収集ユニット130は、処理用の画像データ片の収集されたシーケンスを送信するために更に構成される。一般的に、上記のように、システムは、画像データ片のシーケンスを受信するために、および、時間をかけて収集されたスペックルパターンにおける変化を処理および分析するように構成された制御ユニット500を含んでもよい。
図1に戻り、制御ユニット500は典型的に、例えば1つ以上のプロセッサを含む処理ユーティリティを含んでもよく、また、格納ユーティリティと、入出力通信ポートとを含んでもよい。一般的に、格納ユーティリティは、ローリングシャッタの動作速度等、検出器アレイ136の動作方式を示すデータを示すデータを格納するために用いられてもよく、受信した画像データ片、中間処理データについてのデータを格納するために、および、中間結果および出力を処理するために用いられてもよい。処理ユーティリティは、画像データ片を受信し、ローリングシャッタの動作についてのデータを利用するそれぞれの画像データ片を処理するために、および、(Im1乃至Im4等の)複数の異なる画像複製およびそれらの取得時間を示す対応する時間タグについてのデータを抽出するように構成され動作可能である。処理ユーティリティは一般的に、連続的に収集されたスペックルパターン間の相関関数を決定するため、異なる画像についてのデータを処理するように更に構成される。そのようなスペックルパターン間の相関性は、上記のように、サンプル/組織の様々なパラメータを決定するために更に処理されてもよい。
従って、本発明の技術は、相対的に高い画像解像度(検出器アレイの幾何学的分解能)と組み合わせて、例えば、様々な種類のカメラユニットに提供される、典型的な検出器アレイのローリングシャッタ動作を利用して、典型的なカメラの相対的に低いフレームレートの埋め合わせを行い、データ収集の高い時間分解能およびサンプリングレートが可能になる。一般的に、回折素子134は、より多くの画像複製を検出器アレイ136に投影するため、収集された画像を用いるモニタの時間分解能が高くなる。例えば、1秒につき30フレームのフレームレートで動作する検出器アレイ、及び検出器アレイ上に5つの画像複製を提供する回折素子を用いる。スペックルパターンの合計画像取得率は、1フレームにつき30fps×5の複製となり、1秒につき150パターンを提供する。光分割(回折)素子134は、10の画像複製を検出器アレイ136上に生成する場合、合計画像習得率は、1秒につき30×10=300パターンである。一般的に、光分割素子134は、15の画像複製を生成し、1秒につき30×15=450パターンの合計画像取得率を提供するように構成されてもよい。
従って、本技術は、(回折素子または他の光学スプリッタ素子により)収集された光を、検出器アレイ上の所定の配置を有する複数の画像複製に適切に分割することに基づく。検出器アレイは、フレームの異なる部分(例えば、行)がそれらの間の時間差で読み取られることを条件としてローリングシャッタ動作方式を利用して、異なる画像複製に対する取得時間に変化を提供する。ローリングシャッタの動作についてのデータを利用して、画像複製は時系列に配置されてもよく、モニタ対象のサンプルについて高時間分解能データを決定するために処理および分析されてもよい。