詳細な説明
光増感剤、例えばフタロシアニン色素、例えばIR700、細胞表面分子に結合するターゲティング分子(例えば、抗体または抗体の抗原結合断片)、および治療用物質を含有する、コンジュゲート、例えば、二重コンジュゲートが本明細書に提供される。また、本明細書に提供されるコンジュゲートを使用するための組成物、製造品、キット、および方法が提供される。
光免疫療法(PIT)は、分子標的療法であり、この分子標的療法は、腫瘍中の細胞などの、疾患、障害、または病態における細胞上の、細胞表面分子などのタンパク質を標的とするターゲティング分子にコンジュゲートされた、近赤外(NIR)フタロシアニン色素(例えば、IR700)などのフタロシアニン色素をベースとした、標的特異的光増感剤を利用する。例えば、いくつかの場合では、光免疫療法において使用されるフタロシアニン色素-コンジュゲートは、疾患病変の環境、例えば腫瘍微小環境(TME)中の細胞(腫瘍細胞に加えて、免疫細胞などの他の細胞を含むことができる)上の細胞表面分子受容体またはその細胞上に発現される受容体をターゲティングするモノクローナル抗体(mAb)へのコンジュゲーションを含むことができる。一部の態様において、NIR光のような吸収光を照射することによる色素-コンジュゲートの活性化は、光増感剤を励起して細胞殺滅をもたらし、それによって病変(例えば、腫瘍)を低減または排除して疾患、障害、または病態を処置する。いくつかの場合では、NIR域の光の使用は、より深い組織透過を導き、結果として、単回線量の外部のNIR光の照射だけで腫瘍の根絶の成功をもたらす。
一般に、ターゲティングされた光毒性は、特異的ターゲティング分子(例えば抗体)を介した細胞膜への色素-コンジュゲートの結合に主に依存する。例えば、例示的な抗体-IR700分子を使用する研究は、活性であるためにコンジュゲートが細胞膜に結合しなければならないこと、および、効果的であるために細胞殺滅が細胞内局在化を必要としないことを示している(例えば、米国特許第8,524,239号および米国公開出願第US20140120119号を参照のこと)。コンジュゲートが結合した細胞の光活性化は、急速な細胞死および壊死をもたらす。
典型的には、PITは、細胞にNIRを照射した後、IR700-抗体コンジュゲートのようなフタロシアニン色素コンジュゲートが結合する細胞で主に細胞死をもたらし、一方で、ターゲティング分子(例えば、抗体)によって認識される細胞表面分子を発現しない細胞はわずかな数しか殺滅されない。したがって、該療法は、腫瘍中の細胞のような疾患細胞へ特異的にターゲティングされるので、その効果は、健常な組織または細胞と比べて疾患組織に高選択的である。例えば、ターゲティングされた光増感剤は体全体に分布することができるが、光増感剤は強い光が適用される場合にのみ活性であり、オフターゲット効果の可能性を低減させる。これは、光増感剤にコンジュゲートされていない、治療用物質として用いられる同様のターゲティング分子(例えば、治療用抗体)の活性が局在化できず、それによってオフターゲット副作用の重大なリスクをもたらす、非PITベースの方法とは対照的である。このように、PITは、健常細胞に実質的に影響を及ぼすことなく、疾患細胞または標的病変を特異的にターゲティングして殺滅する効果的な方法である。
光免疫療法の方法に対して、例えば、処置の有効性ならびに追加の治療用物質の効率的な送達およびターゲティングを高める、改善された戦略が必要とされている。例えば、PITの有効性は、病変、例えば、腫瘍の免疫抑制環境によって低減され得る。腫瘍微小環境(TME)は、一般に、免疫抑制的であり、かつ、免疫細胞の抗腫瘍活性を阻害または妨害し得る。そのような環境を克服する助けとなることができる追加の治療用物質を、特定の部位、例えば、病変の部位または疾患、障害、もしくは病態に関連する病変の部位にターゲティングすることによって、本明細書に提供されるコンジュゲートおよび方法は、PITの有効性を増強することができる。
がん性細胞は、免疫系によって認識されるはずの腫瘍特異的抗原を含有する。典型的には、活性免疫系では、細胞傷害性T細胞などの免疫細胞が、これらのがん性細胞を攻撃、殺滅、および/または根絶することができる。正常な生理学的状態下では、T細胞媒介性免疫応答は、T細胞受容体(TCR)による抗原認識によって開始され、かつ、共刺激性および阻害性シグナル(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)のバランスによって調節される。特に、TCRを発現するCD4+およびCD8+T細胞は、それぞれ、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはクラスII分子上の抗原提示細胞上に提示される抗原性ペプチドの認識によって活性化状態になることができる。いくつかの局面において、活性化されたCD8+細胞、または細胞傷害性T細胞は、抗原を発現する腫瘍細胞を殺滅することができ、これは、CD4+T細胞の存在によって支援することができる。一部の態様において、免疫細胞は、抗原提示細胞である。一部の態様において、免疫細胞は、樹状細胞である。
しかしながら、腫瘍などの病変の場合には、TMEは、免疫系を抑制する機序を有し、それによって、免疫認識を回避し、腫瘍細胞の殺滅を防止または低減させる。例えば、いくつかの場合では、免疫チェックポイントタンパク質が、腫瘍において脱調節され、それによって、免疫系を回避する機序としてTMEにおいて免疫応答の抑制をもたらし得る。いくつかの場合では、他の機序が、免疫細胞の腫瘍抗原への接近を阻害するように作用し、それによって、腫瘍が免疫系を回避する能力にも寄与し得る。いくつかの場合では、腫瘍に対する既存の治療法は、TMEの免疫抑制局面に十分に対処し得ない。
いくつかの場合では、PIT用の作用物質(例えば、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲート)および追加の治療法、例えば、免疫調節物質または抗がん物質との組み合わせ療法を使用して、TMEの免疫抑制効果の一部に対処することができ、かつ、PITの有効性を増加させることができる。しかしながら、いくつかの場合では、追加の治療用物質は、病変の部位または微小環境を標的としない。したがって、組み合わせ療法の有効性は、病変の部位での追加の治療用物質の利用可能性の欠如が原因で低減され得る。例えば、全体的または全身的に投与される抗がん物質は、腫瘍の部位で、TME中の腫瘍細胞による即時取り込みに利用可能となり得ない。
いくつかの局面において、提供される二重コンジュゲートは、PITによって誘導される細胞傷害性殺滅および/または溶解効果を利用することで、腫瘍治療に関する治療転帰を増強し、そして、該二重コンジュゲートは、病変の微小環境中に存在する細胞表面分子、例えば、腫瘍抗原へのターゲティング分子の結合を利用することで、追加の治療用物質の送達を特異的にターゲティングさせることができ、かつ、治療用物質および/またはPITの治療有効性を最大限に高めることができる。特定の局面において、二重コンジュゲートは、病変の部位または微小環境にターゲティングまたは送達できる1種または複数種の治療用物質を含有する。一部の態様において、そのような治療用物質は、TME中の免疫細胞の活性を強化または増大できる免疫調節物質を含む。他の態様において、そのような治療用物質は、抗がん物質を含む。したがって、本明細書に提供される二重コンジュゲートは、疾患細胞の特異的殺滅を効果的かつ効率的に活性化することができ、また、疾患に関連する病変の部位での免疫活性または抗がん活性の強化または増大も提供することができる。
本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、治療用物質は、免疫抑制シグナル伝達を阻害するかまたは免疫刺激シグナル伝達を増強する免疫調節物質である。例えば、共刺激性受容体の阻害性チェックポイントタンパク質アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、抗原特異的T細胞応答を増幅することによって宿主の内因性抗腫瘍免疫応答を刺激することができる。提供される二重コンジュゲートおよび関連方法の局面において、腫瘍細胞の殺滅をもたらし、それによって、腫瘍抗原を放出することができ、かつ、抗腫瘍免疫応答を増大することができる、光免疫療法を実施することもできる。免疫調節物質を含有する二重コンジュゲートを用いた光免疫療法を実施することによって、PITによって誘導される抗原の放出は、応答が免疫調節物質によって増幅または刺激されているT細胞に対して、抗原性刺激源を提供することができる。いくつかの局面において、免疫調節物質を用いた治療によって生成された増強された免疫応答は、プライミングされて、PIT後の細胞の溶解によって露出された腫瘍抗原に応答する状態になる。したがって、いくつかの局面において、本明細書に提供される二重コンジュゲートは、光分解機序によって腫瘍細胞を殺滅しながらも腫瘍に対してよりロバストな免疫応答を提供するために、腫瘍微小環境中に存在し得る自然の回避機序に対処する。
本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび該二重コンジュゲートを使用する方法は、光分解機序によって腫瘍細胞を特異的にターゲティングしながらも腫瘍に対してよりロバストな免疫応答を提供するために、腫瘍の免疫回避機序に対処し、また、効率的に送達されるべき任意の追加の治療用物質の腫瘍の部位への特異的ターゲティングも可能にする。腫瘍細胞の特異的光毒性殺滅と病変の部位または微小環境への免疫調節物質または抗がん物質などの治療用物質の効率的な送達とを組み合わせることによって、本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび関連方法は、腫瘍治療の有効性および安全性を改善することができ、いくつかの場合では、処置された対象の治療転帰または生存を増加させることができる。
例えば、治療用物質が全身に送達されかつ治療用物質の別々の投与を必要とする組み合わせ療法の方法とは対照的に、本方法は、病変の部位または微小環境への追加の治療用物質の迅速かつ効果的な送達を可能にし、かつ、治療効果を達成する際に要するあらゆる遅延時間を低減する。追加の治療用物質、例えば、免疫調節物質または抗がん物質が腫瘍空間への直接かつ即時の取り込みに利用可能であるので、治療用物質に対する治療応答を、特にPITの活性化を用いて、最大限に高めることができる。一部の態様において、二重コンジュゲート治療からの増強された治療転帰は、結果として、PITまたは追加の治療用物質を用いた治療のいずれかを用いた処置を伴う方法と比較して、腫瘍サイズ(例えば、腫瘍体積または重量)の低減を増加させるか、または、対象の生存を増加もしくはより長くすることができる。したがって、一部の態様において、二重コンジュゲートの治療効果は、フタロシアニン色素-コンジュゲート/PITを用いた処置を伴う処置方法、または、免疫調節物質のみもしくは抗がん物質のみを用いた処置などの追加の治療用物質を伴う処置の場合と比較して、相乗的であることができる。
I. 光免疫療法のための二重コンジュゲート
光増感剤、例えばフタロシアニン色素、例えばIR700、細胞表面分子に結合するターゲティング分子(例えば、抗体または抗体の抗原結合断片)、および治療用物質を含有する、コンジュゲート、例えば、二重コンジュゲートが本明細書に提供される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、フタロシアニン色素、ターゲティング分子、および治療用物質を含有する。
一部の態様において、ターゲティング分子は、病変の微小環境中の細胞上の細胞表面分子に結合することができる。一部の態様において、細胞表面分子への二重コンジュゲート中のターゲティング分子の結合は、疾患、障害、または病態、例えば、腫瘍もしくはがん、感染、炎症性疾患もしくは病態、神経系疾患もしくは病態、または他の疾患もしくは病態に関与する細胞への二重コンジュゲートのターゲティングを可能にする。一部の態様において、ターゲティングされる細胞(例えば、ターゲティング分子が結合することができる細胞表面分子を発現する細胞)は、疾患、障害または病態に関連する病変の微小環境中に存在し、例えば、細胞は、腫瘍微小環境中に存在する。一部の態様において、細胞殺滅は、二重コンジュゲートが結合している細胞に選択的であるので、細胞ターゲティングは、フタロシアニン色素によって吸収される波長(例えば、近赤外(NIR)波長)での対象の病変(例えば、腫瘍)の局所照射によって誘導される光免疫療法(PIT)の有効性を増加させる。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、治療用物質、例えば免疫調節物質または抗がん物質を含有する。一部の態様において、治療用物質は、病変の部位に、例えば、細胞表面分子へのターゲティング分子の結合を介して、ターゲティングまたは送達される。一部の態様において、治療用物質は、フタロシアニン色素またはターゲティング分子に、放出可能または開裂可能リンカーを介して連結され、そして、リンカーの放出または開裂は、二重コンジュゲートからの治療用物質の放出を可能にする。したがって、治療用物質を、疾患、障害、または病態に関与する細胞に直接ターゲティングまたは送達することができ、かつ/または、疾患、障害、または病態に関連する病変の微小環境に放出することができる。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、以下の成分:(フタロシアニン色素)n、(ターゲティング分子)q、および(治療用物質)mを含み、式中、n、q、およびmは、独立して選択され、少なくとも1である。一部の態様において、nおよびqは、独立して選択され、1〜10の間、例えば、1〜9の間、1〜8の間、1〜7の間、1〜6の間、1〜5の間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の態様において、nおよびqは、独立して選択され、1〜5である。一部の態様において、nおよびmは、独立して選択され、1〜10の間、例えば、1〜9の間、1〜8の間、1〜7の間、1〜6の間、1〜5の間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の態様において、nおよびmは、独立して選択され、1〜5である。一部の態様において、qは、1であり、nは、1〜100の間であり、そして、mは、1〜5の間である。一部の態様において、qに対するnの比は、(約)1〜(約)1000、(約)1〜(約)10または(約)2〜(約)5である。一部の態様において、ターゲティング分子は、フタロシアニン色素と、色素:ターゲティング分子のモル比1:1〜100:1または1:1〜10:1で接触させる。一部の態様において、色素:ターゲティング分子のモル比は、少なくともまたは少なくとも約4:1であるか、または、少なくともまたは少なくとも約10:1である。一部の態様において、二重コンジュゲートは、1ターゲティング分子当たり(約)1〜(約)1000のフタロシアニン色素分子、1ターゲティング分子当たり(約)1〜(約)10のフタロシアニン色素分子、または1ターゲティング分子当たり(約)2〜(約)5のフタロシアニン色素分子を含む。一部の態様において、qに対するmの比は、(約)1〜(約)10または(約)2〜(約)5である。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、(約)1〜(約)1000、例えば、(約)1〜(約)100、(約)1〜(約)50、(約)1〜(約)25、(約)1〜(約)10、(約)1〜(約)5である、1ターゲティング分子当たりの色素残基数を含有する。一部の態様において、色素分子:ターゲティング分子の比は、(約)2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1であるか、または、そのような値のいずれか(約)2つの間である。一部の態様において、ターゲティング分子は、最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000の色素分子を含有し得る。一部の態様において、ターゲティング分子は、1000超の色素分子または10未満の色素分子を含有し得る。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、(約)1〜(約)100、例えば、(約)1〜(約)50、(約)1〜(約)25、(約)1〜(約)10、(約)1〜(約)5である、1ターゲティング分子当たりの治療用物質数を含有する。一部の態様において、治療用物質:ターゲティング分子の比は、(約)2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1もしくは100:1であるか、または、そのような値のいずれか(約)2つの間である。一部の態様において、ターゲティング分子は、最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、50、75または100の治療用物質を含有し得る。一部の態様において、ターゲティング分子は、100超の治療用物質または10未満の治療用物質を含有し得る。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、(約)1〜(約)1000、例えば、(約)1〜(約)100、(約)1〜(約)50、(約)1〜(約)25、(約)1〜(約)10、(約)1〜(約)5である、1治療用物質当たりの色素残基数を含有する。一部の態様において、色素分子:治療用物質の比は、(約)2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1であるか、または、そのような値のいずれか(約)2つの間である。一部の態様において、治療用物質は、最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000の色素分子を含有し得る。一部の態様において、治療用物質は、1000超の色素分子または10未満の色素分子を含有し得る。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、(約)1〜(約)1000、例えば、(約)1〜(約)100、(約)1〜(約)50、(約)1〜(約)25、(約)1〜(約)10、(約)1〜(約)5である、1色素分子当たりの治療用物質数を含有する。一部の態様において、治療用物質:色素分子の比は、(約)2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1であるか、または、そのような値のいずれか(約)2つの間である。一部の態様において、色素分子は、最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000の色素治療用物質を含有し得る。一部の態様において、色素分子は、1000超の治療用物質または10未満の治療用物質を含有し得る。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートの成分、例えば、フタロシアニン色素、ターゲティング分子、および治療用物質は、任意の順序で連結させることができ、各連結は、直接的または間接的である。一部の態様において、フタロシアニン色素、ターゲティング分子、および治療用物質は、共有連結または非共有連結を介して連結させることができる。いくつかの局面において、連結は、開裂可能な連結である。
本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、フタロシアニン色素および治療用物質は、各々独立して、ターゲティング分子に連結される。例えば、一部の態様において、二重コンジュゲートは、各成分が、フタロシアニン色素-ターゲティング分子-治療用物質の順序のものを含む。本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、ターゲティング分子および治療用物質は、各々独立して、フタロシアニン色素に連結される。例えば、一部の態様において、二重コンジュゲートは、各成分が、ターゲティング分子-フタロシアニン色素-治療用物質の順序のものを含む。本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、フタロシアニン色素およびターゲティング分子は、各々独立して、治療用物質に連結される。例えば、一部の態様において、二重コンジュゲートは、各成分が、ターゲティング分子-治療用物質-フタロシアニン色素の順序のものを含む。
いくつかの局面において、二重コンジュゲートの状況および使用に応じて、1種類の分子、例えば、別の分子に特異的に結合またはターゲティングすることができかつ治療特性も有する分子が、二重コンジュゲート内の治療用物質成分またはターゲティング分子成分のいずれかと見なされ得る。一部の態様において、抗体もしくはその抗原結合断片またはサイトカインなどの分子が、二重コンジュゲート中のターゲティング分子成分であることができ、異なる分子を、二重コンジュゲート中の治療用物質成分とすることができる。一部の態様において、抗体もしくはその抗原結合断片またはサイトカインなどの分子が、二重コンジュゲート中の治療用物質成分であることができ、異なる分子を、二重コンジュゲート中のターゲティング分子成分とすることができる。
二重コンジュゲートの一部の態様において、ターゲティング分子(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、独立して、フタロシアニン色素(例えば、IR700)および治療用物質(例えば、サイトカインまたは抗がん物質)に連結される。一部の態様において、例示的な二重コンジュゲートは、抗HER1-IR700-治療用物質、例えば、セツキシマブ-IR700-IL-2を含む。
A. コンジュゲートの成分
1. フタロシアニン色素
提供される二重コンジュゲートはフタロシアニン色素を含み、このフタロシアニン色素は、ターゲティング分子または治療用物質の片方または両方に、直接または間接的に連結させることができる。フタロシアニンは、フタロシアニン環系を有する光増感剤化合物の一群である。フタロシアニンは、炭素原子と窒素原子が交互に並んだ16員環中に窒素の橋によって接続された4つのベンゾインドール基を含有するアザポルフィリン(すなわち、C32H16N8)であり、これは、金属および非金属カチオンと安定なキレートを形成する。これらの化合物において、環中心は、イオンに依存して1または2つのリガンドを保有し得る金属イオン(反磁性または常磁性イオンのいずれか)によって占有されている。加えて、環周囲は、非置換であっても置換されていてもよい。多種多様なフタロシアニンの合成および光線力学療法における使用が国際公開WO 2005/099689号および米国特許第7,005,518号に記載されている。一部の態様において、フタロシアニン色素は、ターゲティング分子および/または治療用物質に当該色素分子の反応基を介してコンジュゲートされる。
一部の態様において、フタロシアニンは、赤色または近赤外線を強く吸収し、吸収ピークは約600nm〜810nmの間にあり、いくつかの場合では、光による組織の深い透過を可能にする。フタロシアニンは、一般に光安定性である。この光安定性は、典型的には、顔料および色素においてならびにフタロシアニンの他の適用の多くにおいて有利である。
一部の態様において、フタロシアニン色素は、水溶性であり、かつ、少なくとも1つの水系可溶化部分を有する発光性フルオロフォア部分を含有する。一部の態様において、水系可溶化部分は、ケイ素を含有する。一部の態様において、フタロシアニン色素は、Si、Ge、Sn、またはAlのようなコア原子を有する。一部の態様において、フタロシアニン色素は、他の異性体を本質的に含まない単一のコア異性体として存在する。一部の態様において、フタロシアニン色素は、リンカーとターゲティング分子との間に結合を形成することができる反応性基または活性化可能な基を有するリンカーを含有する。一部の態様において、フタロシアニン色素を特定の波長で蛍光を発するよう調整することができる。
一部の態様において、フタロシアニン色素は、リンカーを含有し、すなわち、リンカー-フタロシアニン色素部分(L-D)である。一部の態様において、リンカーは、反応性基を含有する。一部の態様において、フタロシアニン色素は、式Iaで示されるフタロシアニン色素である:
式中、
Lは、直接連結、または共有連結から選択され;
Qは、リンカーLの一部であることができ、かつ、反応することでLとターゲティング分子Aとの間に結合を形成することができる任意の基である、反応性基または活性化可能な基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、存在するならば、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、またはキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノまたは置換されてもよいアルコキシから独立して選択することができる官能基であるか;
または、代わりの態様において、i)R
13およびR
14とこれらが付着している炭素、またはii)R
17およびR
18とこれらが付着している炭素、またはiii)R
21およびR
22とこれらが付着している炭素の少なくとも1つが結びついて、縮合環を形成し;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよいC
1〜C
10アルキレンである。
一部の態様において、Lは、共有連結である。一部の態様において、共有連結は、1〜60の原子、例えば1〜45の原子または1〜25の原子を有する、直鎖または分岐、環式または複素環式、飽和または不飽和である。いくつかの場合では、このような原子は、C、N、P、O、およびSから選択されることができる。一部の態様において、Lは、原子価を満たす追加の水素原子(1〜60の原子に加えて)を有することができる。一般に、連結は、エーテル、チオエーテル、アミン、エステル、カルバマート、尿素、チオ尿素、オキシもしくはアミド結合;または単結合、二重結合、三重結合もしくは芳香族炭素-炭素結合;またはリン-酸素、リン-硫黄、窒素-窒素、窒素-酸素もしくは窒素-白金結合;または芳香族もしくは複素芳香族結合の任意の組み合わせを含む。
一部の態様において、Lは、式-R1-Y-X1-Y1-で示されるLであり、式中、R1は、二価の基または直接連結であり;YおよびY1は、各々独立して、直接連結、酸素、置換されてもよい窒素、または硫黄から選択され;かつ、X1は、直接連結、およびある原子が介在していてもよいC1〜C10アルキレンから選択される。二価の基は、非限定的に、置換されてもよいアルキレン、置換されてもよいアルキレンオキシカルボニル、置換されてもよいアルキレンカルバモイル、置換されてもよいアルキレンスルホニル、および置換されてもよいアリーレンを含む。
例示的なR1置換基は、非限定的に、置換されてもよいアルキレン、置換されてもよいアルキレンオキシカルボニル、置換されてもよいアルキレンカルバモイル、置換されてもよいアルキレンスルホニル、置換されてもよいアルキレンスルホニルカルバモイル、置換されてもよいアリーレン、置換されてもよいアリーレンスルホニル、置換されてもよいアリーレンオキシカルボニル、置換されてもよいアリーレンカルバモイル、置換されてもよいアリーレンスルホニルカルバモイル、置換されてもよいカルボキシアルキル、置換されてもよいカルバモイル、置換されてもよいカルボニル、置換されてもよいヘテロアリーレン、置換されてもよいヘテロアリーレンオキシカルボニル、置換されてもよいヘテロアリーレンカルバモイル、置換されてもよいヘテロアリーレンスルホニルカルバモイル、置換されてもよいスルホニルカルバモイル、置換されてもよいチオカルボニル、置換されてもよいスルホニル、および置換されてもよいスルフィニルを含む。
一部の態様において、Qは、ターゲティング分子のような材料への任意の付着のための反応性基を含む。本明細書において使用される場合、用語「反応性基」は、異なる材料(例えば、ターゲティング分子)上の官能基と化学的に反応して共有連結のような連結を形成することが可能な化合物上の部分を意味する。典型的には、反応性基は、それぞれ求核剤または求電子剤である対応する官能基への曝露を通して共有連結を形成することができる求電子剤または求核剤である。あるいは、反応性基は、光活性化可能な基であり、かつ、適切な波長の光で照射した後に初めて化学的に反応性になる。典型的には、コンジュゲートされる反応性色素とターゲティング分子との間のコンジュゲーション反応によって、色素をコンジュゲートされたターゲティング分子および/または治療用物質に付着させる新たな連結に反応性基Qの1つまたは複数の原子が組み込まれる。
一部の態様において、Qは、ターゲティング分子上のカルボキシル基、アミン、またはチオール基と反応性である反応性基を含む。好適な反応性基は、非限定的に、ターゲティング分子への任意の付着のための、活性化エステル、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アルキル、無水物、カルボン酸、カルボジイミド、カルボナート、カルバマート、ハロアセトアミド(例えば、ヨードアセトアミド)、イソシアナート、イソチオシアナート、マレイミド、NHSエステル、ホスホロアミダイト、白金錯体、スルホン酸エステルおよびチオシアナートを含む。一部の態様において、反応性基は、ターゲティング分子上のカルボキシル基、アミン、またはチオール基と反応性である。一部の態様において、反応性基は、スルフヒドリル反応性化学基、例えばマレイミド、ハロアセチル、およびピリジルジスルフィドである。一部の態様において、反応性基は、アミン反応性である。一部の態様において、反応性基は、NHSエステルである。
一部の態様において、R2、R3、R7、およびR8は、各々、置換されてもよいアルキル、例えば置換されてもよいメチル、エチル、またはイソプロピル基である。
一部の態様において、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11の少なくとも1つは、水溶性基を含む。例えば、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11のアルキル部分は、水溶性置換基で置換されている。本明細書において使用される場合、「水溶性基」は、水性媒体中の分子全体の溶解度を改善する、1つまたは複数の極性および/またはイオン性置換基を含む基を指す。いくつかの場合では、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11の少なくとも2つは、水溶性基を含む。他の態様において、3つ以上が水溶性基を含む。水溶性基は、非限定的に、カルボキシラート(-CO2 -)基、スルホナート(-SO3 -)基、スルホニル(-SO2 -)基、スルファート(-SO4 -2)基、ヒドロキシル(-OH)基、ホスファート(-OPO3 -2)基、ホスホナート(-PO3 -2)基、アミン(-NH2)基および置換されてもよい第四級窒素(各々が任意の対イオンを有する)を含む。
好適な対イオンは、非限定的に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ塩、またはマグネシウム塩、または類似の塩を含む。好ましくは、対イオンは、生物学的に許容される対イオンである。
一部の態様において、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11が付着する窒素原子は、三価または四価であることができる。
一部の態様において、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は各々、水素である。
一部の態様において、X2およびX3は、各々独立して、ある原子が介在していてもよいC1〜C10アルキレンから選択される。一部の態様において、X2および/またはX3に付加された窒素は、場合により四級化されていることができる。
一部の態様において、フタロシアニン色素は、式Ibで示されるフタロシアニン色素である:
式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよいC
1〜C
10アルキレンであり;かつ
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
16、R
17、R
18、R
19、X
2、およびX
3は、本明細書に定義されているとおりである。
一部の態様において、反応性基は、NHSエステルである。一部の態様において、NHSエステルの反応性は、NHSエステルとカルバマート官能基の間のX4のアルキレン基の長さを変更することによって調節することができる。一部の態様において、NHSエステルとカルバマート官能基の間のX4のアルキレン基の長さは、NHSエステルの反応性に反比例する。一部の態様において、X4は、C5-アルキレンである。他の態様において、X4は、C3-アルキレンである。一部の態様において、X1は、C6-アルキレンである。他の態様において、X1は、C3-アルキレンである。
一部の態様において、フタロシアニン色素は、総電荷がゼロである。この中性の電荷は、特定の場合、1つまたは複数の任意の対イオン、または第四級化窒素と共に得ることができる。
一部の態様において、フタロシアニン色素は、可溶性ターゲティング分子に付着すると、ターゲティング分子がその溶解度を保持するので、水溶液中で十分な溶解度を有する。一部の態様において、色素はまた、有機媒体(例えば、DMSOまたはDMF)中で可溶性である。
一部の態様において、フタロシアニン色素は、近赤外(NIR域)において最大の光吸収を有する。一部の態様において、フタロシアニン色素は、400nm〜900nmの間、例えば600nm〜850nmの間、例えば680nm〜850nmの間、例えばおよそ690nm±50nmまたは690±20nmで最大の光吸収波長を有する。一部の態様において、フタロシアニン色素は、これらの波長で光を放出する市販のレーザーダイオードによって効率的に励起されうる。
一部の態様において、反応性基を含有するフタロシアニン色素は、IR700 NHSエステル、例えばIRDye 700DX NHSエステル(LiCor 929-70010、929-70011)である。したがって、一部の態様において、色素は、以下の式を有する化合物である。
本明細書における目的のために、用語「IR700」、「IRDye 700DX」またはそれらの変形型は、色素がその反応性基を介してターゲティング分子にコンジュゲートされたときの上記式を指す。一般に、IR700は、いくつかの好ましい化学特性を有する。アミノ反応性IR700は、比較的親水性の色素であり、IR700のNHSエステルを使用して抗体と共有的にコンジュゲートされうる。典型的には、IR700はまた、ヘマトポルフィリン誘導体Photofrin(登録商標)(630nmで1.2×103 M-1cm-1)、メタ-テトラヒドロキシフェニルクロリン;Foscan(登録商標)(652nmで2.2×104 M-1cm-1)、およびモノ-L-アスパルチルクロリンe6;NPe6/Laserphyrin(登録商標)(654nmで4.0×104 M-1cm-1)のような従来の光増感剤よりも5倍超高い吸光係数(689nmの吸収最大で2.1×105 M-1cm-1)を有する。
本明細書に記載されるフタロシアニン色素は、市販の出発物質を用いて作製することができる。そのコア構造は、2つ以上の異なるジイミノイソインドリンの縮合によって合成される。異なるジニトリルまたはジイミノイソインドリンを使用した合成戦略は、種々の置換度のフタロシアニンおよび/または分布度の位置異性体を導くことができる。色素を生成するための例示的な合成スキームは、米国特許第7,005,518号に記載されている。
一部の態様において、二重コンジュゲートは1つまたは複数のフタロシアニン色素を含むことができ、この1つまたは複数のフタロシアニン色素は同じであることも異なることもできる。
2. ターゲティング分子
提供される二重コンジュゲートはターゲティング分子を含み、このターゲティング分子は、フタロシアニン色素または治療用物質の片方または両方に、直接または間接的に連結させることができる。一部の態様において、ターゲティング分子は、例えば細胞または病原体上の細胞表面分子(例えば、細胞表面受容体)への結合によって、二重コンジュゲートを細胞または病原体へターゲティングさせることができる分子である。一部の態様において、ターゲティング分子は抗体またはその抗原結合断片である。一部の態様において、ターゲティング分子、例えば抗体またはその抗原結合断片は、所望の細胞タイプ、特定の表現型を有する細胞、または1つまたは複数の細胞表面マーカーもしくは抗原を提示する細胞に選択的に結合することができる。いくつかの場合では、ターゲティング分子は、がん細胞、腫瘍細胞、炎症性細胞、免疫細胞、神経細胞、幹細胞、増殖性細胞、または過形成状態の細胞である細胞に結合する。いくつかの場合では、ターゲティング分子は、病原体または病原体感染細胞に結合する。一部の態様において、細胞は、白血球、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、または単球のような炎症性細胞である。一部の態様において、細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、マクロファージまたは好中球のような免疫細胞である。一部の態様において、細胞は、侵害受容器(例えば、熱侵害受容器、機械侵害受容器、化学侵害受容器または多モード侵害受容器)のような末梢神経系神経細胞または中枢神経系神経細胞である神経細胞である。いくつかの場合では、ターゲティング分子は、ウイルス、細菌、真菌、バイオフィルムまたは他の原核細胞系などの病原体または病原性細胞に結合する。一部の態様において、ターゲティング分子は、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌である病原体に結合する。
一部の態様において、二重コンジュゲートのターゲティング分子(例えば、抗体)は、疾患、障害、または病態と関連するかまたは疾患または病態の結果として存在する病変の微小環境中に存在する1つまたは複数の細胞の表面のタンパク質に結合する。例えば、一部の態様において、二重コンジュゲートは、腫瘍と関連するかまたは腫瘍の中に存在する腫瘍微小環境中に存在する1つまたは複数の細胞の表面のタンパク質に結合する。一部の態様において、二重コンジュゲートは、腫瘍の微小環境中の細胞外マトリクス中に存在するタンパク質に結合する。
一部の態様において、ターゲティング分子それ自体も、疾患、障害、または病態の治療または処置において使用される作用物質であることができる。一部の態様において、ターゲティング分子も、治療効果を媒介することができる。一部の態様において、ターゲティング分子はまた、疾患、障害、または病態に関連するかまたはその結果として存在する病変の微小環境中に存在する1または複数の細胞の表面上のタンパク質に結合することによって、疾患、障害、または病態の治療または処置において使用される作用物質である。一部の態様において、ターゲティング分子は、病変の微小環境中に存在する細胞表面タンパク質に結合する、抗体またはその抗原結合断片である。一部の態様において、ターゲティング分子は、免疫学的標的、例えば、免疫細胞上に発現される細胞表面受容体または免疫調節に関与する細胞表面タンパク質に結合する、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの局面において、ターゲティング分子は、免疫調節物質、例えば、免疫チェックポイント阻害剤またはサイトカインである。いくつかの局面において、ターゲティング分子それ自体が、以下のセクションI.A.3に記載されるものから選択される作用物質、例えば、免疫調節物質または抗がん物質であることができる。いくつかの局面において、二重コンジュゲートの状況および使用に応じて、1種類の分子、例えば、別の分子に特異的に結合またはターゲティングすることができかつ治療特性も有する分子が、二重コンジュゲート内の治療用物質成分またはターゲティング分子成分のいずれかと見なされ得る。
本明細書において使用される場合、「病変の微小環境中に存在する細胞」は、病変、疾患、障害、または病態と関連する細胞環境中に存在する任意の細胞、例えば腫瘍中に存在するまたはそれに直接隣接した任意の細胞、例えば腫瘍微小環境(TME)、または腫瘍微小環境中の細胞外マトリクス中に存在する細胞を指す。
本明細書において使用される場合、「腫瘍微小環境中に存在する細胞」または「TME中に存在する細胞」は、増殖腫瘍細胞(例えば、がん細胞)、腫瘍間質、血管、浸潤炎症性細胞(例えば、免疫細胞)および様々な関連する組織細胞(例えば、線維芽細胞)を含む、腫瘍が存在する細胞環境中に存在する任意の細胞、例えば腫瘍中に存在するまたはそれに直接隣接した任意の細胞を指す。したがって、腫瘍への言及は、悪性またはがん細胞を含みうる腫瘍細胞だけでなく、腫瘍の成長を調節する腫瘍微小環境中に存在する他の細胞(免疫細胞を含む)も指すことが理解される。いくつかの場合では、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞は、Tリンパ球(制御性Tリンパ球(Treg)を含む)、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、マクロファージおよび他の免疫細胞を含みうる(Whiteside (2008) Oncogene, 27:5904-5912)。いくつかの局面において、腫瘍中に存在するおよびその周辺の多くの非がん性細胞は、腫瘍細胞の増殖、血管新生、侵入および/または転移を調節し、それによって腫瘍の成長を促進しうることが認識される。したがって、いくつかの場合では、腫瘍中に存在するこのような非がん性細胞、例えば免疫細胞(例えば、制御性T細胞のようなT細胞)をターゲティングすることは、PITによって腫瘍を殺滅するための有効な治療でありうる。
一般に、がん性細胞は、免疫系によって認識されるはずである腫瘍関連抗原を含有する。典型的には、活性免疫系では、細胞傷害性T細胞のような免疫細胞がこれらのがん性細胞を攻撃および根絶する。正常な生理学的状態下では、T細胞媒介性免疫応答は、T細胞受容体(TCR)による抗原認識によって開始され、共刺激および阻害シグナル(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)のバランスによって調節される。特に、TCRを発現するCD4+およびCD8+T細胞は、それぞれ、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはクラスII分子上の抗原提示細胞上に提示される抗原性ペプチドの認識によって活性化状態になることができる。いくつかの局面において、活性化CD8+細胞、または細胞傷害性T細胞は、抗原を発現する腫瘍細胞を殺滅することができ、これはCD4+T細胞の存在によって援助されうる。
しかし、腫瘍の場合、腫瘍微小環境(TME)が、免疫系を抑制することによって免疫認識を回避し、腫瘍細胞の殺滅を防止または低減させる機序を有する。例えば、いくつかの場合では、免疫チェックポイントタンパク質が腫瘍において脱調節され、それによって免疫系を回避する機序としての腫瘍微小環境における免疫応答の抑制をもたらしうる。いくつかの場合では、腫瘍浸潤リンパ球は、微小環境における他のT細胞の増殖を抑制することが可能な細胞である、Treg(例えば、CD4+CD25+T細胞)を含みうる(Whiteside, TL (2008) Oncogene, 27:5904-5912)。いくつかの場合では、他の機序が免疫細胞の腫瘍抗原への接近を阻害するように作用し、それによって免疫系を回避する腫瘍の能力にも寄与しうる。
一部の態様において、ターゲティング分子は、腫瘍またはがん細胞上の細胞表面分子に結合するターゲティング分子である。一部の態様において、ターゲティング分子は、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞または他の非がん性細胞の細胞表面分子に結合する。一部の態様において、ターゲティング分子は、腫瘍微小環境中に存在するTリンパ球、例えばTreg、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、マクロファージまたは他の免疫細胞の表面の細胞表面分子に結合する。場合によっては、腫瘍またはがんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置する。
腫瘍またはがんまたはがんに関連する腫瘍を標的とするターゲティング分子などの例示的なターゲティング分子として、非限定的に、公開国際PCT出願WO2014120974号、WO2014176284号、WO2015042325号、米国特許第8,524,239号または米国特許公開第US20140120119号に記載されているとおりのいずれかが挙げられる。
例示的なターゲティング分子は、非限定的に、タンパク質、糖タンパク質、抗体、抗体断片、抗原、抗原結合断片、ペプチド、ポリペプチド、組織ホーミングペプチド、低分子、合成高分子、高分子ナノ粒子、リポソーム、酵素基質、ホルモン、神経伝達物質、細胞代謝物質、ウイルス粒子、ウイルスカプシド、ウイルスナノ粒子、細菌粒子、マーカー、細胞、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、単量体ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物、オリゴ糖、多糖、核酸、デオキシ核酸、DNAの断片、RNAの断片、アプタマー、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、PNA、またはそれらの組み合わせを含む。
一部の態様において、ターゲティング分子は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、チラミン、多糖、低分子、イオン錯体化部分、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プソラレン、薬物、ホルモン、脂質、脂質集合体、高分子、高分子微粒子、生体細胞、もしくはウイルス、またはそれらの任意の組み合わせである。一部の態様において、ターゲティング分子は、抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、代謝物、毒素、環境汚染物質、核酸高分子、炭水化物、脂質、またはガラス、プラスチック、もしくは他の非生体高分子、またはそれらの任意の組み合わせである。一部の態様において、ターゲティング分子は、細胞、細胞系、細胞断片、または細胞より小さい粒子、例えばウイルス粒子、細菌粒子、ウイルス成分、生体細胞(例えば動物細胞、植物細胞、細菌、酵母、または原生生物)、もしくは細胞成分、またはそれらの任意の組み合わせである。一部の態様において、反応性色素は、細胞表面で、細胞膜、細胞小器官、もしくは細胞質、またはそれらの任意の組み合わせ中で官能基を標識し得る。
一部の態様において、ターゲティング分子は、抗原(例えば、ターゲティング分子によって結合されうる標的となる任意の構造物質など)をターゲティングするかまたはそれに結合する。一部の態様において、抗原は、細胞表面上に発現される細胞表面分子、例えばタンパク質(例えば、受容体)であるかまたはその一部として含まれる。一部の態様において、例えば、抗原は、腫瘍中に存在する細胞(腫瘍微小環境中に存在する任意の細胞を含む)の表面に発現される分子であるかまたはその一部として含まれる。細胞表面分子の例は、非限定的に、抗原決定基(免疫細胞によって認識されるものなど)を含む、抗原、ペプチド、脂質、多糖、炭水化物、もしくは核酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの例では、抗原は、腫瘍特異的ペプチド(例えばがん細胞の表面に見いだされるもの)またはその免疫原性断片を含む。一部の態様において、ターゲティング分子は、抗体またはその抗原結合抗体断片である。
一部の態様において、細胞表面分子は、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体((セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1〜5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1〜6、TRPA1、TRPC1〜7、TRPM1〜8、TRPP1〜5、TRPML1〜3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、またはY5でありうる。
一部の態様において、ターゲティング分子は、細胞表面分子(例えば、細胞表面受容体)のような細胞表面分子に結合可能なリガンドのような結合パートナーである。一部の態様において、ターゲティング分子は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アンジオテンシンII、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、ボンベシン、ブラジキニン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質2(BMP-2)、骨形成タンパク質6(BMP-6)、骨形成タンパク質7(BMP-7)、カルシトニン、カルジオトロフィン1(BMP-2)、CD22、CD40、コレシストキニン(CCK)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、CCL1〜CCL28、CXCL1〜CXCL17、XCL1、XCL2、CX3CL1、クリプト1結合ペプチド、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、エンドセリン1、エンドセリン1/3、FAS-リガンド、線維芽細胞成長因子1(FGF-1)、線維芽細胞成長因子2(FGF-2)、線維芽細胞成長因子4(FGF-4)、線維芽細胞成長因子5(FGF-5)、線維芽細胞成長因子6(FGF-6)、線維芽細胞成長因子1(FGF-7)、線維芽細胞成長因子1(FGF-10)、Flt-3、ガストリン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、肝細胞成長因子(HGF)、インターフェロンアルファ(IFN-a)、インターフェロンベータ(IFN-b)、インターフェロンガンマ(IFNg)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、インスリン様成長因子2(IGF-2)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン5(IL-5)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン9(IL-9)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン11(IL-11)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン13(IL-13)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン17(IL-17)、インターロイキン19(IL-19)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成放出ホルモン(LHRH)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、マクロファージ炎症性タンパク質3a(MIP-3a)、マクロファージ炎症性タンパク質3b(MIP-3b)、神経成長因子(NGF)、ニューロメジンB、ニューロトロフィン3(NT-3)、ニューロトロフィン4(NT-4)、ニューロテンシン、神経ペプチドY、オキシトシン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、血小板由来成長因子AA(PDGF-AA)、血小板由来成長因子AB(PDGF-AB)、血小板由来成長因子BB(PDGF-BB)、血小板由来成長因子CC(PDGF-CC)、血小板由来成長因子DD(PDGF-DD)、ネトリン-1(NTN1)、ネトリン-2(NTN2)、ネトリン-4(NTN4)、ネトリン-G1(NTNG1)およびネトリン-G2(NTNG2)、エフリンA1(EFNA1)、エフリンA2(EFNA2)、エフリンA3(EFNA3)、エフリンA4(EFNA4)、エフリンA5(EFNA5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3B(SEMA3B)、セマフォリン3C(SEMA3C)、セマフォリン3D(SEMA3D)、セマフォリン3F(SEMA3F)、セマフォリン3G(SEMA3G)、セマフォリン4A(SEMA4A)、セマフォリン4B(SEMA4B)、セマフォリン4C(SEMA4C)、セマフォリン4D(SEMA4D)、セマフォリン4F(SEMA4F)、セマフォリン4G(SEMA4G)、セマフォリン5A(SEMA5A)、セマフォリン5B(SEMA5B)、セマフォリン6A(SEMA6A)、セマフォリン6B(SEMA6B)、セマフォリン6D(SEMA6D)、セマフォリン7A(SEMA7A)、SLIT1、SLIT2、SLIT3、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー1(SLITRK1)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー2(SLITRK2)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー3(SLITRK3)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー4(SLITRK4)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー5(SLITRK5)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー6(SLITRK6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、RANTES、ソマトスタチン-14、ソマトスタチン-28、幹細胞因子(SCF)、ストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、サブスタンスP、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-b)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、トロンビン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、Wntl、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt7c、Wnt8、Wnt8a、Wnt8b、Wnt8c、Wntl0a、Wntl0b、Wnt11、Wnt14、Wnt15もしくはWnt16、ソニック・ヘッジホッグ、デザート・ヘッジホッグ、ならびにインディアン・ヘッジホッグから選択されるか、または細胞表面分子(例えば、細胞表面受容体)のようなその同族細胞表面分子に結合可能なその結合断片である。
一部の態様において、ターゲティング分子は、免疫細胞上の細胞表面分子またはタンパク質に結合して身体の免疫応答を抑制するかまたは活性化させることができる、免疫調節剤でありうる。一部の態様において、免疫調節剤の細胞表面分子またはタンパク質への結合は、腫瘍および/または病原体に対する免疫応答を、例えば免疫抑制を阻害することによってまたは免疫刺激を増強することによって刺激しうる。一部の態様において、細胞表面分子またはタンパク質は、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFRまたはVEGFでありうる。例として、ターゲティング分子は、免疫調節剤である抗体または抗原結合断片である。一部の態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。
一部の態様において、細胞表面分子は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、 癌抗原125(CA 125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、GM1およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、またはSK-1抗原でありうる。
一部の態様において、ターゲティング分子は、細胞の表面に発現されている細胞表面分子であるかまたはその一部である抗原に特異的に結合する抗体または抗原結合抗体断片である。そのような抗体の中には、本明細書に記載される細胞表面分子(例えば、細胞表面受容体)のような細胞表面分子に結合可能な抗体または抗原結合抗体断片が含まれる。いくつかの場合では、抗体は、腫瘍特異的タンパク質を含む腫瘍中の細胞上に発現されるタンパク質の抗原に結合することができる。一部の態様において、抗体または抗原結合断片は、Fab、単一VHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異性scFv、またはscFv-CH3二量体である。
一部の態様において、ターゲティング分子は、抗原またはタンパク質に直接的または間接的に結合する。例えば、一部の態様において、ターゲティング分子は、抗原またはタンパク質に結合可能な第一の結合分子に結合する第二の結合分子である。例えば、ターゲティング分子は、タンパク質または抗原、例えば細胞表面分子または細胞表面受容体に結合可能な第一の結合分子、例えば一次抗体に結合する二次抗体である。したがって、一部の態様において、色素は、二次抗体にコンジュゲートされる。
「抗体」は、抗原のエピトープを特異的に認識しそれに結合する少なくとも1つの軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、ポリペプチドリガンドである。一般に、抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と称される可変領域を各々有する重鎖および軽鎖から構成される。VH領域およびVL領域は合わせて、抗体によって認識される抗原の結合に関与する。抗体という用語は、無傷の抗体、および抗原結合を示す抗原結合抗体断片、例えばFab断片、Fab’断片、F(ab)’2断片、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、単一ドメイン抗体(「sdAb」)、およびジスルフィドで安定化されたFvタンパク質(「dsFv」)を含む。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域と免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーによって結合された融合タンパク質であり、一方、dsFvでは、鎖は、鎖の会合を安定化させるジスルフィド結合を導入するよう突然変異されている。本用語はまた、遺伝子改変された形態、例えば、修飾型免疫グロブリン、キメラ抗体、例えば、ヒト化ネズミ抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、例えば二重特異性抗体を含む。また、Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.); Kuby, J. Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York, 1997も参照されたい。
典型的には、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続した重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖には、ラムダ(λ)およびカッパ(k)という2つの種類がある。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要な重鎖クラス、またはアイソタイプがある:IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgE。
各重鎖および軽鎖は、「ドメイン」としても知られる定常領域および可変領域を含有する。組み合わせで、重鎖および軽鎖の可変領域は、一般に、抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域が介在する「フレームワーク」領域を含有し得る。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、定義されている(参照によって本明細書に組み入れられる、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照のこと)。Kabatデータベースは、現在オンラインで保守されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、ヒトのような種内で比較的保存されている。構成要素の軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、CDRを3次元空間に位置付けおよび整列させるのに役立つ。
CDRは、典型的には、抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは、典型的には、N末端から開始して連続的に番号付けされたCDR1、CDR2、およびCDR3と称され、また、一般に、特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。したがって、VH CDR3は、それが見いだされる抗体の重鎖の可変ドメインに位置するが、一方で、VL CDR1は、それが見いだされる抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。異なる抗原のための異なる結合部位のような異なる特異性を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体によって変動するのはCDRであるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置だけが抗原結合に直接関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
「VH」または「VH」への言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、免疫グロブリン重鎖の可変領域を指す。「VL」または「VL」への言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。
中でも、提供される抗体は、抗体断片である。「抗体断片」は、無傷の抗体が結合する抗原に結合する無傷の抗体の一部を含む、無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、非限定的に、Fv、Fab、Fab'、Fab’-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。他の抗体断片または抗体断片から形成される多重特異性抗体は、多価scFv、二重特異性scFvまたはscFv-CH3二量体を含む。抗体断片は、無傷の抗体のタンパク質分解ならびに組換え宿主細胞による産生を非限定的に含む種々の技術によって作製することができる。一部の態様において、ターゲティング分子は、Fab、単一VHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異性scFv、またはscFv-CH3二量体である抗体または抗原結合断片である。
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによってまたは単一抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば、骨髄腫細胞と免疫脾臓細胞の融合体由来のハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって産生される。モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を含む。
「キメラ抗体」は、ヒトのような1つの種由来のフレームワーク残基と、メソテリンに特異的に結合するネズミ抗体のような別の種由来のCDR(一般に抗原結合を付与する)とを有する。
「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域とヒト以外の(例えば、マウス、ラット、または合成)免疫グロブリン由来の1つまたは複数のCDRとを含む、免疫グロブリンである。CDRを提供するヒト以外の免疫グロブリンは、「ドナー」と称され、そして、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と称される。一部の態様において、CDRは、ヒト化免疫グロブリンにおいてドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域は存在する必要はないが、定常領域が存在する場合、これらは、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、例えば少なくとも約85〜90%、例えば約95%またはそれより多く同一であり得る。それゆえ、ヒト化免疫グロブリンの一部(おそらくはCDRを除く)は、対応する天然ヒト免疫グロブリン配列の一部と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖の免疫グロブリンを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンまたは抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから得られるアミノ酸による限られた数の置換を有し得る。ヒト化または他のモノクローナル抗体は、抗原結合または他の免疫グロブリン機能に実質的に影響を及ぼさない追加の保存アミノ酸置換を有することができる。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子改変によって構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
「ヒト」抗体(「完全ヒト」抗体とも呼ばれる)は、ヒトフレームワーク領域とヒト免疫グロブリン由来のCDRとを含む抗体である。一部の態様において、フレームワークおよびCDRは、同じ起源のヒト重鎖および/または軽鎖アミノ酸配列に由来する。しかしながら、1つのヒト抗体由来のフレームワークは、異なるヒト抗体由来のCDRを含むように改変することができる。ヒト免疫グロブリンの一部は、対応する天然ヒト免疫グロブリン配列の一部と実質的に同一であり得る。
「特異的に結合する」は、非腫瘍タンパク質(例えば、β-アクチン)のような無関係なタンパク質への結合と比較して、腫瘍特異的抗原のような抗原に特異的に結合する抗体または抗原結合断片のような分子の能力を指す。一部の態様において、抗体または断片のような分子(フタロシアニン色素分子および治療用物質分子に付着した抗体または断片のような分子を含む)は、細胞表面分子のような標的に、試料または対象中の他の分子についての結合定数よりも少なくとも103M-1大きい、104M-1大きいまたは105M-1大きい結合定数で特異的に結合する。一部の態様において、抗体またはその断片のような分子は、約106M-1以上の、約107M-1以上の、約108M-1以上の、または約109M-1、1010M-1、1011M-1もしくは1012M-1以上の平衡会合定数(KA)を有する。抗体はまた、10-6M、10-7M、10-8M、10-10M、10-11Mもしくは10-12Mまたはそれより低い平衡解離定数(KD)によって特徴付けることができる。一部の態様において、平衡解離定数(KD)は、1nM以下でありうる。KDまたはKAのような親和定数は、経験的に推定することができるか、または、例えば特定の抗原に対する1つの抗体と別の抗体の親和性を比較することによって、親和性を比較して決定することができる。例えば、このような親和性は、例えば、競合的ELISA(酵素結合免疫吸着法)によるもしくはBiacore T100(Biacore, Inc., Piscataway, N.Jから入手可能)のような表面プラズモン共鳴装置を使用する、放射標識された標的抗原を使用した放射免疫測定法による、または当業者に公知の別の方法によるような、当技術分野において公知の技術を使用して容易に決定することができる。
本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、フタロシアニン色素(例えば、IR700)および/または治療用物質は、抗体または抗原結合抗体断片にコンジュゲートされる。フタロシアニン色素(例えば、IR700)および/または治療用物質をコンジュゲートすることができる例示的な抗体は、非限定的に、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トラスツズマブ、Ado-トラスツズマブエムタンシン、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アファチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MPDL3280A、ピジリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aまたはその抗体結合断片を含む。
一部の態様において、ターゲティング分子は、組織特異的ホーミングペプチドである。例えば、一部の態様において、ホーミングペリペプチドは、SEQ ID NO:1〜52のいずれかに示されるアミノ酸の配列を含みうる。一部の態様において、ターゲティング分子は、RGDポリペプチド、例えばiRGDポリペプチド、Lyp-1ポリペプチド、クリプト-1結合ポリペプチド、ソマトスタチン受容体結合ポリペプチド、またはプロヒビチン結合ポリペプチド、NGRポリペプチド、またはiNGRポリペプチドである。
一部の態様において、ターゲティング分子は、ウイルス粒子、例えばウイルス様粒子、ウイルス様ナノ粒子、またはウイルスカプシドである。一部の態様において、ターゲティング分子は、ウイルス様ナノ粒子である。一部の態様において、ウイルス様ナノ粒子は、L1カプシドタンパク質からアセンブルされる。一部の態様において、ウイルス様ナノ粒子は、L1カプシドタンパク質とL2カプシドタンパク質との組み合わせからアセンブルされる。一部の態様において、ターゲティング分子は、細胞に結合して、それに感染することができる。一部の態様において、ターゲティング分子は、WO2015042325に記載されているいずれかのターゲティング分子である。
一部の態様において、ウイルス様粒子(VLP)は、L1またはL1およびL2カプソマーの自己集合秩序アレイを含みかつウイルスゲノムを含まない、およそ球形または円筒形状のような組織化されたカプシド様構造を指す。一部の態様において、ウイルス様粒子は、真のビリオンと形態学的にかつ抗原性に関して類似しているが、これらは、ウイルス核酸のようなウイルス遺伝物質を欠いており、その粒子を非感染性にしている。VLPを使用して、レシピエント細胞に、予防薬、治療薬もしくは診断薬などの薬剤、または封入された環状もしくは線状のDNAもしくはRNA分子を送達し得る。
一部の態様において、VLPは、野生型VLPに対して修飾された免疫原性および/または抗原性を有し得る。VLPは、例えば、免疫原性および/または抗原性が修飾された変異体カプシドタンパク質を有するカプソマーからアセンブルされ得る。一部の態様において、免疫原性および/または抗原性が修飾された変異体カプシドタンパク質は、アミノ酸が天然にまたは合成で修飾されて、例えば突然変異、置換、欠失、ペグ化または挿入されて、既存(例えば、内因性)のウイルス血清型特異的抗体によるカプシドタンパク質の認識が低減または防止されたものである。変異体カプシドタンパク質は、ヒトパピローマウイルス(HPV)L1変異体、ヒト以外のパピローマウイルスL1変異体、または異なるHPV血清型由来のアミノ酸の組み合わせに基づくパピローマウイルスL1変異体であり得る。
一部の態様において、VLPは、パピローマウイルスVLPである。VLPは、ヒトに感染することができるウイルスに由来するようなヒトパピローマウイルスVLPであり得るが、一方、他の態様において、VLPは、ヒト以外のパピローマウイルスVLPであり得る。ヒト以外のVLPの例は、非限定的に、ウシパピローマウイルス、ネズミパピローマウイルス、コットンラビットパピローマウイルスおよびマカクまたはアカゲザルパピローマウイルス粒子に由来するものを含む。一部の態様において、VLPは、ウシパピローマウイルスウイルス様ナノ粒子、例えば1型ウイルス様ナノ粒子(例えば、BPV L1カプシドタンパク質またはBPV L1カプシドタンパク質とBPV L2カプシドタンパク質の組み合わせからアセンブルされる)である。
一部の態様において、カプシドタンパク質は、タンパク質単量体を指し、そのいくつかは、カプソマーオリゴマーを形成する。一部の態様において、カプソマーは、ウイルスの遺伝物質を保護するタンパク質の外部被覆であるウイルスカプシドの基本オリゴマー構造単位を指す。カプシドタンパク質は、一部の態様において、パピローマウイルスL1メジャーカプシドタンパク質およびパピローマウイルスL2マイナーカプシドタンパク質を含み得る。一部の態様において、VLPは、L1カプシドタンパク質だけを含有するが、一方、他の態様において、VLPは、L1カプシドタンパク質とL2カプシドタンパク質の混合物、またはそれらの組み合わせを含有する。
一部の態様において、ウイルス様粒子中のL1カプシドタンパク質のパーセンテージは、ウイルス様粒子中のL2カプシドタンパク質のパーセンテージより大きい。例えば、一部の態様において、ウイルス様粒子中のL1カプシドタンパク質のパーセンテージは、ウイルス様粒子中のカプシドタンパク質の総数の80%〜100%である。一部の態様において、ウイルス様粒子中のL1カプシドタンパク質のパーセンテージは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%、または約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%である。一部の態様において、ウイルス様粒子中のL2カプシドタンパク質のパーセンテージは、ウイルス様粒子中のカプシドタンパク質の総数の1%〜25%である。例えば、一部の態様において、ウイルス様粒子中のL2カプシドタンパク質のパーセンテージは、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%もしくは20%、または約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%もしくは20%である。
一部の態様において、ウイルス様粒子は、12〜72個のL2タンパク質を含有する。一部の態様において、ウイルス様粒子は、360個のL1タンパク質および12〜72個のL2タンパク質を含有する。一部の態様において、カプシドタンパク質は、20〜60nmの直径を有するウイルス様ナノ粒子へとアセンブルする。例えば、カプシドタンパク質は、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60nm、または約20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60nmの直径を有するウイルス様ナノ粒子へとアセンブルし得る。
一部の態様において、ターゲティング分子は、ナノ担体ではないか、またはそれを含まない。一部の態様において、ターゲティング分子は、ウイルス様粒子、ナノ粒子、リポソーム、量子ドット、もしくはそれらの組み合わせではないか、またはそれを含まない。
一部の態様において、ターゲティング分子は、DARPin(設計されたアンキリンリピートタンパク質)である。典型的には、DARPinは、天然のアンキリンリピートタンパク質に由来し、かつ、例えば、ヒト受容体、サイトカイン、キナーゼ、ヒトプロテアーゼ、ウイルスおよび膜タンパク質を含むタンパク質に結合する(Molecular Partners AG Zurich Switzerland; Chapter 5参照. “Designed Ankyrin Repeat Proteins (DARPins): From Research to Therapy”, Methods in Enzymology, vol 503: 101-134 (2012); および “Efficient Selection of DARPins with Sub-nanomolar Affinities using SRP Phage Display”, J. Mol. Biol. (2008) 382, 1211-1227、その開示全体は、参照によって本明細書に組み入れられる)。一部の態様において、DARPinは、遺伝子改変を介して調製される、標的タンパク質への高い特異性および高い結合親和性を有する抗体模倣タンパク質である。一部の態様において、DARPinは、少なくとも2つのアンキリンリピートモチーフを含む、例えば、少なくとも3、4または5つのアンキリンリピートモチーフを含む構造を有する。DARPinは、リピートモチーフの数に依存して任意の好適な分子量を有しうる。例えば、3、4または5つのアンキリンリピートモチーフを含むDARPinは、それぞれ、約10kDa、約14kDa、または約18kDaの分子量を有し得る。
一部の態様において、DARPinは、構造を提供するコア部分と、コアの外にありかつ標的に結合する標的結合部分とを含む。一部の態様において、構造コアは、保存されたアミノ酸配列を含み、標的結合部分は、標的に応じて異なるアミノ酸配列を含む。
一部の態様において、例えば、ターゲティング分子が抗体または抗原結合抗体断片のようなポリペプチドであるとき、1ターゲティング分子当たりの色素分子の数は、2〜約5または約2〜約5、例えば2〜約4または約2〜約4、例えば約3または3であることができる。一部の態様において、例えば、ターゲティング分子がウイルス様粒子(VLP)のようなナノ粒子である場合、色素分子とターゲティング分子の数は、10〜約1000、10〜約500、50〜約500もしくは50〜約1000、または約10〜約1000、約10〜約500、約50〜約500もしくは約50〜約1000であることができる。したがって、一部の態様において、ターゲティング分子は、約10〜約1000の色素分子を含有し得る。
一部の態様において、例えば、ターゲティング分子がVLPである場合、1つを超える色素分子が単一のカプシドタンパク質にコンジュゲートされ得る。例えば、LIまたはL2カプシドタンパク質のような単一のカプシドタンパク質が、1〜5、例えば1、2、3、4または5つの色素分子にコンジュゲートされ得る。したがって、カプシドタンパク質の1つを超えるアミノ酸が色素分子にコンジュゲートされ得る。一部の態様において、単一のカプシドタンパク質が、1〜2、1〜3、または2〜3つの色素分子にコンジュゲートされ得る。したがって、色素分子は、単一のカプシドタンパク質の1、2、3、4または5つの異なるアミノ酸、例えばリジン、アルギニンおよび/もしくはヒスチジン、または他のアミノ酸にコンジュゲートされ得る。
3. 治療用物質
提供される二重コンジュゲートは、フタロシアニン色素またはターゲティング分子の一方または両方に直接的または間接的に連結することができる、治療用物質を含有する。一部の態様において、治療用物質は、疾患、障害、または病態、例えば腫瘍の処置に関連して、フタロシアニン-ターゲティング分子を使用したPITとそれに続く照射とを組み合わせて使用されるものである。一部の態様において、治療用物質は、フタロシアニン-ターゲティング分子(例えばIR700-抗体)によるPIT療法の処置の効果を促進または増強することができる。一部の態様において、二重コンジュゲートは、フタロシアニン-ターゲティング分子および治療用物質の両方を病変の部位、例えば、腫瘍にターゲティングさせる。一部の態様において、治療用物質を、放出可能または開裂可能な部分の開裂を介して、病変の微小環境に放出または送達することができる。一部の態様において、治療用物質は、免疫調節物質であるかまたは抗がん物質である。
一部の態様において、治療用物質は、疾患、障害、または病態の治療または処置において使用されるものである。一部の態様において、治療用物質それ自体も、疾患、障害、または病態、例えば腫瘍に関連するかまたはその結果として存在する病変の微小環境中に存在する1または複数の細胞の表面上のタンパク質に結合またはターゲティングすることによって、作用することができる。一部の態様において、治療用物質は、免疫学的標的、例えば、免疫細胞上に発現される細胞表面受容体または免疫調節に関与する細胞表面タンパク質に結合する、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの局面において、治療用物質は、免疫調節物質、例えば、免疫チェックポイント阻害剤またはサイトカインである。いくつかの局面において、治療用物質それ自体は、上のセクションI.A.2に記載されるものから選択される作用物質であることができる。いくつかの局面において、二重コンジュゲートの状況および使用に応じて、1種類の分子、例えば、別の分子に特異的に結合またはターゲティングすることができかつ治療特性も有する分子が、二重コンジュゲート内のターゲティング分子成分または治療用物質成分のいずれかと見なされ得る。
a. 免疫調節物質
一部の態様において、治療用物質は、免疫調節物質(本明細書において、「免疫調節剤」とも称される)である。いくつかの局面において、免疫調節物質は、体内の免疫応答を直接的または間接的に抑制または活性化する物質である。例えば、腫瘍および/または病原体に対する免疫応答を刺激する免疫調節物質が、光免疫療法と組み合わされて使用され得る。本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、治療用物質、例えば、免疫調節物質は、フタロシアニン色素またはターゲティング分子に、放出可能または開裂可能リンカーを介して連結される。一部の態様において、リンカーの開裂は、二重コンジュゲートからの治療用物質の放出を可能にし、それによって、二重コンジュゲートが病変の部位または微小環境に位置またはターゲティングされた後に、治療用物質、例えば、免疫調節物質が、疾患、障害、もしくは病態に関与する細胞に直接ターゲティングされ、かつ/または、疾患、障害、もしくは病態に関連する病変の微小環境に放出される。したがって、二重コンジュゲートは、病変の部位または微小環境での特異的免疫調節、ならびに、治療用物質、例えば、免疫調節物質の局在化された放出および送達を可能にし得る。
一部の態様において、治療用物質は、免疫抑制シグナル伝達を阻害することまたは免疫刺激シグナル伝達を増強することなどによって抗腫瘍免疫応答を刺激、増幅および/または他に増強することができる、任意の免疫調節物質であることができる。一部の態様において、免疫調節物質は、ペプチド、タンパク質または低分子である。一部の態様において、タンパク質は、融合タンパク質または組換えタンパク質であることができる。一部の態様において、免疫調節物質は、免疫学的標的、例えば、T細胞、B細胞または抗原提示細胞などの免疫細胞上に発現される細胞表面受容体に結合する。例えば、一部の態様において、免疫調節物質は、抗体もしくは抗原結合抗体断片、融合タンパク質、低分子またはポリペプチドである。
一部の態様において、免疫調節物質は、免疫チェックポイント経路を阻害する。免疫系は、自己寛容の維持および免疫応答の調節に関与する複数の阻害性経路を有する。腫瘍は、ある種の免疫チェックポイント経路を、免疫耐性、とりわけ腫瘍抗原に特異的なT細胞に対する免疫耐性の主要機序として使用できることが知られている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。多くのそのような免疫チェックポイントは、リガンド-受容体相互作用によって開始されるので、リガンドおよび/またはそれらの受容体に対する抗体によってこれらを容易に遮断することできる。
それ故、低分子、核酸阻害剤(例えば、RNAi)または抗体分子などの免疫チェックポイント経路を遮断する拮抗分子を用いた治療は、がんおよび他の疾患の免疫療法の有望な手段となりつつある。大部分の抗がん物質とは対照的に、チェックポイント阻害剤は、免疫系の内因性の抗腫瘍活性を増強するために、腫瘍細胞を直接ターゲティングする必要はなく、むしろリンパ球受容体またはそれらのリガンドをターゲティングする(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。
本明細書において使用される場合、用語「免疫チェックポイント阻害剤」は、1つまたは複数のチェックポイントタンパク質を完全にまたは部分的に低減、阻害、妨害または調節する分子を指す。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を制御する。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激性または阻害性相互作用の原因となる。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容ならびに生理学的免疫応答の期間および大きさを制御および維持する。
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系の阻害性経路を統計学的に有意に遮断または阻害する任意の作用物質を含む。そのような阻害剤は、低分子阻害剤を含み得るか、または免疫チェックポイント受容体リガンドに結合してそれを遮断もしくは阻害する抗体もしくはその抗原結合断片を含み得る。遮断または阻害のためにターゲティングされ得る例証となる免疫チェックポイント分子は、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、GITR(TNFRSF18、AITR)、CD40、CD40L、ICOS、ICOS-L、OX40(CD134、TNFRSF4)、OX40L、CXCR2、腫瘍関連抗原(TAA)、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、B7H3、B7H4、CD28、VISTA、CD27、CD30、STING、A2Aアデノシン受容体、KIR、2B4(CD2ファミリー分子に属し、かつ、全てのNK、γδおよびメモリーCD8+(αβ)T細胞上に発現される)、CD160(BY55とも称される)、CGEN-15049を含むが、それらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM3、4-1BB、4-1BBL、GITR、CD40、CD40L、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、CXCR2、TAA、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、CD28、VISTA、CD27、CD30、STING、A2Aアデノシン受容体、KIR、2B4、CD160およびCGEN-15049の1つまたは複数に結合してその活性を遮断または阻害する、抗体もしくはその抗原結合断片、または他の結合タンパク質を含む。例証となる免疫チェックポイント阻害剤は、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断薬)、ニボルマブ(抗PD-1抗体)、CT-011(抗PD-1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PD-L1抗体)、BMS-936559(抗PD-L1抗体)、MPLDL3280A(抗PD-L1抗体)、MSB0010718C(抗PD-L1体)およびヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)を含む。
プログラム細胞死1(PD1)は、B細胞、NK細胞およびT細胞において発現される免疫チェックポイントタンパク質である(Shinohara et al., 1995, Genomics 23:704-6; Blank et al., 2007, Cancer Immunol Immunother 56:739-45; Finger et al., 1997, Gene 197:177-87; Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1の主な役割は、感染に応答した炎症の間、末梢組織においてT細胞の活性を制限すること、ならびに自己免疫を制限することである(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1発現は、活性化されたT細胞において誘導され、そして、PD1のその内因性リガンドの1つへの結合は、刺激性キナーゼを阻害することによって、T細胞活性化を阻害するように作用する(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1はまた、TCR「停止シグナル」を阻害するように作用する(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1は、Treg細胞上に強く発現され、かつ、リガンドの存在下でそれらの増殖を増加し得る(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗PD1抗体は、黒色腫、非小細胞肺がん、膀胱がん、前立腺がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん、白血病、リンパ腫、および腎細胞がんの処置に使用されている(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Lipson et al., 2013, Clin Cancer Res 19:462-8; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:3044-51; Gildener-Leapman et al., 2013, Oral Oncol 49:1089-96; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85)。例示的な抗PD1抗体は、ニボルマブ(BMSによるOpdivo)、ペンブロリズマブ(MerckによるKeytruda)、ピジリズマブ(Cure TechによるCT-011)、ランブロリズマブ(MerckによるMK-3475)およびAMP-224(Merck)を含む。
PD-L1(CD274およびB7-H1としても知られている)およびPD-L2(CD273およびB7-DCとしても知られている)は、活性化されたT細胞、B細胞、骨髄細胞、マクロファージおよびいくつかのタイプの腫瘍細胞上に見いだされる、PD1のリガンドである。抗腫瘍治療は、抗PD-L1抗体に焦点を合わせている。PD1とPD-L1の複合体は、CD8+T細胞の増殖を阻害し、かつ、免疫応答を低減する(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Brahmer et al., 2012, N Eng J Med 366:2455-65)。抗PD-L1抗体は、非小細胞肺がん、黒色腫、結腸直腸がん、腎細胞がん、膵臓がん、胃がん、卵巣がん、乳がん、および血液悪性腫瘍の処置に使用されている(Brahmer et al., N Eng J Med 366:2455-65; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300-9; Radvanyi et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5541; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:13044-51)。例示的な抗PD-L1抗体は、MDX-1105(Medarex)、MEDI4736(Medimmune)、MPDL3280A(Genentech)、BMS-935559(Bristol-Myers Squibb)およびMSB0010718Cを含む。
CD152としても知られている細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA-4)は、T細胞活性化を制御するように機能する共阻害性分子である。CTLA-4は、T細胞上にだけ発現される免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4は、T細胞活性化を阻害するように作用し、かつ、ヘルパーT細胞の活性を阻害して制御性T細胞の免疫抑制活性を増強すると報告されている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。CTLA-4の正確な作用機序は調査中であるが、CTLA-4は、CD80およびCD86への結合においてCD28と競合して打ち勝つことによって、ならびに阻害剤シグナルをT細胞に活発に送達することによって、T細胞活性化を阻害すると示唆されている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗CTLA-4抗体は、黒色腫、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がんの処置のための臨床試験で使用されている(Robert & Ghiringhelli, 2009, Oncologist 14:848-61; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300; Weber, 2007, Oncologist 12:864-72; Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。抗CTLA-4の顕著な特徴は、初期処置後、生理学的応答に最大で6か月の期間を要する、抗腫瘍効果の動態である(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。いくつかの場合では、腫瘍は、実際に、低減が見られるまで、処置開始後サイズが増加し得る(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(Bristol-Myers Squibb)およびトレメリムマブ(Pfizer)を含む。イピリムマブは、転移性黒色腫の処置について最近になってFDAの承認を受けた(Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。一部の態様において、免疫調節物質は、抗CTLA-4抗体ではない。
CD223としても知られているリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)は、別の免疫チェックポイントタンパク質である。LAG-3は、リンパ球活性の阻害に、およびいくつかの場合では、リンパ球アネルギー(lymphocyte anergyh)の誘導に関連している。LAG-3は、B細胞、NK細胞および樹状細胞を含む、免疫系における様々な細胞上に発現される。LAG-3は、黒色腫浸潤性T細胞(強力な免疫抑制活性を備えているものを含む)上に実質的に発現される、MHCクラスII受容体の天然リガンドである。例示的な抗LAG-3抗体は、BMS-986016である。IMP321は、樹状細胞を活性化して抗原提示を増加させる、免疫チェックポイント分子LAG-3の可溶性バージョンである。
活性化されたTh1細胞上で最初に同定された、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン-3(TIM-3)は、免疫応答の負の調節因子であることが示されている。TIM-3の遮断は、T細胞媒介性抗腫瘍免疫を促進し、かつ、広範なマウス腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を有する。TIM-3遮断と他の免疫治療用物質、例えばTSR-042、抗CD137抗体などとの組み合わせは、抗腫瘍効果の増加において付加的または相乗的であることができる。TIM-3発現は、黒色腫、NSCLCおよび腎臓がんを含む多数の異なる腫瘍タイプに関連しており、そして、追加的に、腫瘍内TIM-3の発現は、NSCLC、子宮頸がんおよび胃がんを含む広範な腫瘍タイプにわたって予後不良と相関していることが示されている。TIM-3の遮断はまた、多数の慢性ウイルス性疾患に対する免疫の増加の促進において興味深い。TIM-3はまた、ガレクチン-9、ホスファチジルセリンおよびHMGB1を含む多数のリガンドと相互作用することが示されているが、あったとしてもこれらのうちどれが抗腫瘍応答の制御に関係しているか現在のところ明らかになっていない。
CD137としても知られている4-1BBは、TNFRスーパーファミリーに属する膜貫通糖タンパク質である。4-1BB受容体は、活性化されたT細胞およびB細胞ならびに単球上に存在する。例示的な抗4-1BB抗体は、ウレルマブ(BMS-663513)であり、これは潜在的な免疫刺激活性および抗悪性腫瘍活性を有する。
糖質コルチコイド誘導性TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)もまた、TNFRスーパーファミリーのメンバーである。GITRは、活性化されたT細胞上でアップレギュレートされ、これは免疫系を増強する。例示的な抗GITR抗体は、TRX518である。
分化抗原群40(CD40)もまた、TNFRスーパーファミリーのメンバーである。CD40は、抗原提示細胞上に見いだされる共刺激性タンパク質であり、幅広い免疫および炎症応答を媒介する。CD40はまた、いくつかの悪性腫瘍上に発現され、そこで増殖を促進する。例示的な抗CD40抗体は、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(Novartis、アンタゴニスト)、SEA-CD40(Seattle Genetics)およびCP-870,893である。
OX40およびCD134としても知られている腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4)は、TNFRスーパーファミリーの別のメンバーである。OX40は、静止ナイーブT細胞上に構成的に発現されず、二次的な共刺激性免疫チェックポイント分子として作用する。例示的な抗OX40抗体は、MEDI6469およびMOXR0916(RG7888、Genentech)である。
CXCR2は、骨髄由来抑制細胞(MDSC)上に発現されるケモカイン受容体である。CXCR2は、腫瘍免疫回避に寄与する。抗CXCR2モノクローナル抗体療法が、抗PD1抗体誘導性の抗腫瘍免疫応答および抗腫瘍有効性を増強したことが示されている。
一部の態様において、免疫調節物質は、サイトカインである。一部の態様において、免疫調節物質は、サイトカインであるかまたは腫瘍微小環境中のサイトカインの発現増加を誘導する作用物質である。「サイトカイン」とは、別の細胞に対して細胞間メディエーターとして作用する、1つの細胞集団によって放出されるタンパク質の総称を意味する。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカインおよび伝統的なポリペプチドホルモンである。中でも、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-アルファおよび-ベータ;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-ベータなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF-アルファおよびTGF-ベータなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン-アルファ、ベータおよびガンマなどのインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);および顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えばTNF-アルファまたはTNF-ベータ;ならびにLIFおよびkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子がサイトカインに含まれる。本明細書において使用される場合、サイトカインという用語は、天然源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質、および天然配列のサイトカインの生物学的に活性な同等物を含む。例えば、免疫調節物質は、サイトカインであり、そして、サイトカインは、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である。一部の態様において、サイトカインは、炎症誘発性サイトカイン、例えば、PDGF、TGF-β、VEGF、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)およびエンドセリン-1であることができる。一部の態様において、サイトカインは、抗炎症性サイトカイン、例えば、IL-10であることができる。一部の態様において、サイトカインは、IL-12またはIL-2である。
一部の態様において、免疫調節物質は、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えLeishmaniaポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)およびCAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)の中から選択される。一部の態様において、免疫調節物質は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインである。一部の態様において、免疫調節物質は、TLRアゴニストであり、そして、TLRアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニストまたはTLR9アゴニストである、TLRアゴニストである。一部の態様において、TLRアゴニストは、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポペプチド、リポタイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリI:C、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのLeishmania相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、ならびにイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される。
一部の態様において、免疫調節物質は、1種または複数種のインターロイキンまたは他のサイトカインを含有することができる。例えば、インターロイキンは、天然サイトカインの組み合わせである、白血球インターロイキン注射(Multikine)を含むことができる。
一部の態様において、免疫調節物質は、Toll様受容体(TLR)アゴニストである。一部の態様において、そのようなアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR8アゴニストまたはTLR9アゴニストを含むことができる。そのようなアゴニストは、ペプチドグリカン、ポリI:C、CpG、3M003、フラジェリン、ならびに真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのLeishmania相同体(LeIF)から選択され得る。
一部の態様において、免疫調節物質は、腫瘍細胞の免疫原性を増強するもの、例えば、パツピロン(エポチロンB)、上皮成長因子受容体(EGFR)ターゲティングモノクローナル抗体7A7.27、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、ベリノスタットおよびエンチノスタット)、n3-多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、シコニン(ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)の根の主成分)および腫瘍溶解性ウイルス、例えばTVec(タリモジーン・ラハーパレプベック)であることができる。一部の態様において、アントラサイクリン(antrhacyclins)(ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ(botrtezomib)+マイトマイシンC+hTert-Ad、強心配糖体+非ICD誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMACおよびオキサリプラチンなどの免疫調節物質は、がんまたは腫瘍の免疫原性細胞死を活性化する。一部の態様において、免疫調節物質は、エピジェネティック療法、例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、デシタビン、5-アザ-2’-デオキシシチジン)であることができる。
例えば、一部の態様において、免疫調節物質は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であることができ、これは腫瘍関連抗原(TAA)の発現を制御することができる。TAAは、免疫応答をトリガーする、腫瘍細胞において産生される抗原物質である。TAAは、しばしば、腫瘍においてDNAメチル化によってダウンレギュレーションされて免疫系を回避する。DNAメチル化の反転は、TAA発現を回復し、腫瘍細胞の免疫原性を増加させる。例えば、デシタビン(5-アザ-2'-デオキシシチジン)などの脱メチル化剤は、腫瘍細胞においてTAAの発現をアップレギュレートすることができ、かつ、がん性細胞の免疫認識を増加させることができる。光免疫療法は、細胞を破壊することによってTAAを免疫系にさらに曝露するだろう。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートは、1種または複数種の免疫調節物質を含有することができる。一部の態様において、1種または複数種の免疫調節物質は、同じかまたは異なる。一部の態様において、二重コンジュゲートは、2種以上の異なる免疫調節物質を含有することができる。
例示的な免疫調節物質は、限定されないが、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan、Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aを含むことができるか、またはその抗体結合断片である。一部の態様において、免疫調節物質は、抗体またはその抗原結合抗体断片である。例示的なそのような抗体は、ダクリズマブ(Zenapax)、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MPDL3280A、ピジリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(HCD122)、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C(アベルマブ)、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、ARGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aまたはその抗体結合断片を含むが、それらに限定されない。
一部の態様において、例えば、二重コンジュゲートを用いた腫瘍の処置とそれに続く光照射が、腫瘍中の免疫抑制細胞の存在を増加させるかまたは腫瘍における免疫抑制マーカーの発現を増加させる場合、二重コンジュゲート中の治療用物質は、腫瘍中の免疫抑制細胞の量もしくは活性を低減させることができる、または免疫抑制マーカーの活性を遮断もしくは腫瘍中の腫瘍促進細胞の活性を低減させることができる、または腫瘍促進マーカーの活性を遮断することができる治療有効量の免疫調節物質を含むことができ、これを投与することができる。
b. 抗がん物質
本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、治療用物質は、抗がん物質である。一部の態様において、抗がん物質は、使用によって対象においてがんを低減、停止または防止できる任意の作用物質を含むことができる。場合により、追加の抗がん物質を、例えば様々ながんを処置するため、本明細書に提供される二重コンジュゲート、例えば、免疫調節物質を含有する二重コンジュゲートとの組み合わせ療法で使用することができる。
本明細書に記載の通り、照射と組み合わせた、腫瘍を有する対象への二重コンジュゲートの1種または複数種の投与によるPITによって誘導される腫瘍細胞の細胞殺滅は、腫瘍透過性の増加、例えば、腫瘍空間周辺の血管透過性の増加を導くことができる。透過性の増加は、全身に利用可能な分子の腫瘍空間への急速な漏出をもたらし、それによって、そのような分子への腫瘍の曝露を最大限に高めることができることが本明細書において考えられる。そのような態様において、照射およびPITによって誘導される腫瘍細胞の殺滅に続いて、ターゲティング分子が腫瘍微小環境(TME)中に存在する細胞表面分子に結合するおかげで抗がん物質は腫瘍の局所微小環境で利用可能になり、抗がん物質が腫瘍空間に直ちに取り込まれることができ、そこで、該作用物質が治療効果を提供することができる。
本明細書に提供される二重コンジュゲートの一部の態様において、治療用物質、例えば、抗がん物質は、フタロシアニン色素またはターゲティング分子に、放出可能または開裂可能リンカーを介して連結される。一部の態様において、リンカーの開裂は、二重コンジュゲートからの治療用物質の放出を可能にし、それによって、治療用物質、例えば、抗がん物質は、二重コンジュゲートが病変の部位または微小環境に位置またはターゲティングされた後、疾患、障害、または病態に関与する細胞に直接ターゲティングされ、かつ/または、疾患、障害、または病態に関連する病変の微小環境に放出される。したがって、二重コンジュゲートは、腫瘍微小環境における抗がん物質のターゲティングされた送達および/または放出を可能にし得る。
治療用物質が全身に投与されかつ治療用物質の別々の投与を必要とする組み合わせ療法の方法とは対照的に、本明細書に提供される二重コンジュゲートは、病変の部位または微小環境への追加の治療用物質、例えば、抗がん物質の迅速かつ効果的な送達を可能にし、かつ、抗がん物質が腫瘍空間への直接かつ即時の取り込みに利用可能であるので治療効果を達成する際に要するあらゆる遅延時間を低減する。これは、抗がん物質に対する治療応答を最大限に高めることができる。
一部の態様において、抗がん物質である本明細書に提供される二重コンジュゲートに含有される治療用物質は、抗がん処置において使用される任意の作用物質または化合物を指すことができる。これらは、単独でまたは他の化合物との組み合わせで使用されるとき、腫瘍およびがんに関連する臨床症状または診断マーカーを緩和、低減、改善、防止するかまたはその小康状態に置くもしくは保つことができ、かつ、本明細書に提供される組み合わせおよび組成物において使用することができる、任意の作用物質を含む。一部の態様において、抗がん物質は、その治療効果が一般に腫瘍微小環境または腫瘍空間への抗がん物質の浸透または送達に関連するものである。
一部の態様において、抗がん物質は、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗新生物剤、または抗体もしくはその抗原結合抗体断片またはそれらの組み合わせである、抗がん物質である。一部の態様において、抗がん物質は、ペプチド、タンパク質または低分子薬である。
一部の態様において、抗がん物質は、5-フルオロウラシル/ロイコボリン、オキサリプラチン、イリノテカン、レゴラフェニブ、ziv-アフリベルセプト、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トポテカン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチンウエハー、テモゾロミド、メトトレキサート、カペシタビン、ラパチニブ、エトポシド、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、リポソーマルシタラビン、シタラビン、インターフェロンアルファ、エルロチニブ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、プロカルバジン、スニチニブ、ソマトスタチン、ドキソルビシン、ペグ化リポソーム封入ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イキサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テムシロリムス、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、エベロリムス、オクトレオチド、ランレオチド、ダカルバジン、メスナ、パゾパニブ、エリブリン、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、シロリムス、クリゾチニブ、セリチニブ、エンザルタミド、アビラテロン酢酸エステル、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、アファチニブ、セリチニブ、ゲフィチニブ、カボザンチニブ、オキサリプラチンまたはオーロラピリミジンである。
一部の態様において、抗がん物質は、抗体または抗原結合抗体断片である。一部の態様において、抗がん物質は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ニボルマブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エルロチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、セレコキシブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、ルキソリチニブ、トラメチニブ、バンデタニブまたはビスモデギブ、またはその抗原結合抗体断片の任意の1つまたは複数であることができる。
一部の態様において、抗がん物質は、アルキル化剤である。アルキル化剤は、核酸と共有結合を形成してDNA合成を阻害することによってDNAを直接損傷する化合物である。例示的なアルキル化剤は、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド(ifosamide)、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびチオテパ、ならびに、カルムスチンおよびロムスチンなどのニトロソウレア(nitrosurea)アルキル化剤を含むが、それらに限定されない。
一部の態様において、抗がん物質は、白金製剤である。白金製剤は、DNAに結合してDNAの架橋を引き起こし、これが最終的にアポトーシスをトリガーする。例示的な白金製剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチンおよびリポプラチンを含むが、それらに限定されない。
一部の態様において、抗がん物質は、代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、RNAおよびDNAの正常な構成要素と置き換わることによって、DNAおよびRNAの成長を妨害する。これらの作用物質は、細胞の染色体がコピーされているS期の間、細胞を損傷する。いくつかの場合では、代謝拮抗剤を使用して、白血病、乳房、卵巣、および腸管のがん、ならびに他のタイプのがんを処置することができる。例示的な代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シタラビン(Ara-C(登録商標))、フロキシウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシウレア、メトトレキサートおよびペメトレキセド(Alimta(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
一部の態様において、抗がん物質は、抗腫瘍抗生物質である。抗腫瘍抗生物質は、がん細胞内のDNAを変化させることによって作用し、それらが成長および増倍しないようにする。アントラサイクリンは、DNA複製に関与する酵素を妨害する抗腫瘍抗生物質である。これらの薬物は、一般に、細胞周期の全ての段階において作用する。これらを、多種多様ながんに対して広く使用することができる。例示的なアントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシンおよびイダルビシンを含むが、それらに限定されない。他の抗腫瘍抗生物質は、アクチノマイシン-D、ブレオマイシン、マイトマイシン-Cおよびミトキサントロンを含む。
一部の態様において、抗がん物質は、トポイソメラーゼ阻害剤である。これらの薬物は、トポイソメラーゼ(DNAの鎖の分離を助けることで、S期の間にこれらをコピーできる)と呼ばれる酵素を妨害する。トポイソメラーゼ阻害剤を使用して、ある種の白血病、ならびに肺がん、卵巣がん、消化管がん、および他のがんを処置することができる。例示的なトポイソメラーゼ(toposiomerase)阻害剤は、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン(CPT-11)、エトポシド(VP-16)、テニポシドおよびミトキサントロンを含むが、それらに限定されない。
一部の態様において、抗がん物質は、有糸分裂阻害剤である。有糸分裂阻害剤は、しばしば、植物アルカロイドおよび天然の植物性産物に由来する他の化合物である。これらは、細胞周期のM期における有糸分裂を停止させることによって作用するが、いくつかの場合では、酵素が細胞再生に必要なタンパク質を製造するのを妨げることによって、全ての段階において細胞を損傷することができる。例示的な有糸分裂阻害剤は、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、イキサベピロン(Ixempra(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))およびエストラムスチン(Emcyt(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
一部の態様において、抗がん物質は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドは、しばしば単にステロイドと呼ばれ、多くのタイプのがんの処置に有用である天然ホルモンおよびホルモン様薬物である。コルチコステロイドはまた、化学療法の前に使用してアレルギー反応を防止するのを助けることができ、また、化学療法の間および後に使用して吐き気および嘔吐を防止するのを助けることもできる。例示的なコルチコステロイドは、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
一部の態様において、抗がん物質は、別のタイプの化学療法薬、例えばプロテオソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤またはヒストンデアセチラーゼ阻害剤である。他の態様において、抗がん物質は、がん治療に使用される抗体などの生物製剤である。
一部の態様において、抗がん物質は、様々ながんに関連する腫瘍を標的とする。がんは、対象の体内に位置する任意のがん、例えば、限定されないが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんであることができる。例えば、抗がん物質を、結腸がん、子宮頸がん、中枢神経系のがん、乳がん、膀胱がん、肛門癌腫、頭頸部がん、卵巣がん、子宮内膜がん、小細胞肺がん、非小細胞肺癌腫、神経内分泌がん、軟組織癌腫、陰茎がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、胆嚢がん、または食道がんの処置に使用することができる。いくつかの場合では、がんは、血液のがんであることができる。
B. 成分の連結
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートの成分、すなわち、フタロシアニン色素(例えば、IR700)、ターゲティング分子(例えば、抗体またはその抗原結合断片)および治療用物質(例えば、免疫調節物質または抗がん物質)は、他の成分に直接的または間接的に連結される。一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートは、各成分の1つまたは複数、例えば、1つまたは複数のフタロシアニン色素、1つまたは複数のターゲティング分子および1つまたは複数の治療用物質を含有し、そして、各連結は、独立して、直接的であっても、例えば、リンカーを介して間接的であってもよい。一部の態様において、フタロシアニン色素とターゲティング分子および/または治療用物質との間の連結は、共有結合または非共有結合である。一部の態様において、連結は、例えば、開裂可能リンカーなどのリンカーを介して間接的である。
一部の態様において、フタロシアニン色素は、ターゲティング分子または治療用物質と直接的または間接的に連結される。一部の態様において、フタロシアニン色素とターゲティング分子および/または治療用物質との間の連結は、共有結合または非共有結合である。一部の態様において、フタロシアニン色素は、ターゲティング分子または治療用物質と直接連結される。
一部の態様において、治療用物質は、フタロシアニン色素またはターゲティング分子と直接的または間接的に連結される。一部の態様において、治療用物質とフタロシアニン色素またはターゲティング分子との間の連結は、共有結合または非共有結合である。一部の態様において、治療用物質は、フタロシアニン色素またはターゲティング分子と直接連結される。
一部の態様において、ターゲティング分子は、フタロシアニン色素または治療用物質と直接的または間接的に連結される。一部の態様において、治療用物質とフタロシアニン色素またはターゲティング分子との間の連結は、共有結合または非共有結合である。一部の態様において、ターゲティング分子は、フタロシアニン色素または治療用物質と直接連結される。例えば、一部の態様において、ターゲティング分子は、フタロシアニン色素および/または治療用物質に直接的または間接的に連結される。一部の態様において、ターゲティング分子は、1つまたは複数のフタロシアニン色素分子および1つまたは複数の治療用物質分子に直接的または間接的に連結される。一部の態様において、連結の各々は独立して、直接的または間接的である。
一部の態様において、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質は、他の成分に、直接的または間接的に、共有結合または非共有相互作用を介して連結される。一部の態様において、共有または非共有の相互作用または連結は、直接的または間接的である。一部の態様において、付着は、間接的連結、例えば、リンカー、結合部分またはドメインまたは反応性基を通じた間接的連結を含む。一部の態様において、連結は、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質の間の直接的相互作用を含む。他の態様において、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質の一方または両方または全てが1つまたは複数のリンカーに連結され、そして、その相互作用は、間接的、例えば、分子の一方に付着されたリンカーと別の分子との間、または、ターゲティング分子および/もしくはフタロシアニン色素に各々付着された2つのリンカー間で間接的である。
一部の態様において、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質は、他の成分に非共有連結されるかまたは会合される。例えば、フタロシアニン色素は、非共有的相互作用を介して、ターゲティング分子および/または治療用物質と複合体を形成する。一部の態様において、フタロシアニン色素は、ターゲティング分子の付着基と非共有的相互作用することができる部分またはドメインを含有する。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートの生成において、成分、例えば、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質をインキュベーションするかまたは他の成分に結合させて、色素と他の成分との間で非共有的相互作用を形成することができる。いくつかの例では、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質の間の非共有的相互作用は、例えば、静電相互作用、ファンデルワールス力、疎水的相互作用、π効果、イオン性相互作用、水素結合、ハロゲン結合および/もしくはそれらの組み合わせ、またはそれらの力の1つまたは複数に依存する任意の相互作用を含む。一部の態様において、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質は、例えば、リガンド-受容体相互作用、抗体-抗原相互作用、アビジン-ビオチン相互作用、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用、ヒスチジン−二価金属イオン(例えば、Ni、Co、Cu、Fe)相互作用、多量体化(例えば、二量体化)ドメイン間の相互作用、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)-グルタチオン相互作用および/またはそれらの任意の組み合わせなどの、非共有的分子相互作用を模倣する相互作用を使用して連結される。
一部の態様において、非共有的相互作用部分またはドメインは、ターゲティング分子、フタロシアニン色素および/または治療用物質に付着されるかまたはその一部であり、かつ、二重コンジュゲートの他の成分と非共有的相互作用、例えば、複合体を形成する。例えば、一部の態様において、非共有的相互作用分子またはドメインは、フタロシアニン色素分子に付着されるかまたはその一部であり、かつ、ターゲティング分子および/または治療用物質と非共有的相互作用、例えば、複合体を形成する。他の態様において、非共有的相互作用分子またはドメインは、ターゲティング物質に付着されるかまたはその一部であり、かつ、フタロシアニン色素分子および/または治療用物質と非共有的相互作用、例えば、複合体を形成する。他の態様において、非共有的相互作用分子またはドメインは、治療用物質に付着されるかまたはその一部であり、かつ、ターゲティング分子および/またはフタロシアニン色素分子と非共有的相互作用、例えば、複合体を形成する。一部の態様において、ビオチンもしくはその類似体にコンジュゲートされたターゲティング分子(例えば、抗体-ビオチン、例えばセツキシマブ-ビオチン)と、アビジンもしくはその類似体またはストレプトアビジンもしくはその類似体にコンジュゲートされたフタロシアニン色素および/または治療用物質(その単量体形態(例えば、単量体アビジン-IR700もしくは単量体ストレプトアビジン-IR700;または単量体アビジン-治療用物質もしくは単量体ストレプトアビジン-治療用物質、例えば、単量体アビジン-IL-12もしくは単量体ストレプトアビジン-IL-12)を含む)とを、二重コンジュゲートを生産するためにインキュベーションまたは接触させる。アビジン、ストレプトアビジンまたはその類似体とビオチンまたはその類似体との間の非共有的相互作用のおかげで、一部の態様において、フタロシアニン色素および/または治療用物質は、ターゲティング分子と非共有複合体を形成する。
一部の態様において、治療用物質は、リンカーを介して、フタロシアニン色素またはターゲティング分子に間接的に連結される。例えば、リンカーは、ペプチド、ポリペプチドまたは化学リンカーであることができる。当技術分野において公知の任意のペプチドリンカー、ポリペプチドリンカーおよび化学リンカーを、本明細書に提供される二重コンジュゲートにおいて使用することができる。例えば、リンカーは、ペプチドリンカーであるか、または開裂可能ペプチドリンカーである。一部の態様において、リンカーは、共有リンカーであり、ここで、共有連結は、C、N、P、OおよびSなどの中から選択される1〜60の原子を有する、直鎖または分岐、環式または複素環式、飽和または不飽和である。一部の態様において、連結、例えば、化学連結は、エーテル、チオエーテル、アミン、エステル、カルバマート、尿素、チオ尿素、オキシまたはアミド結合の任意の組み合わせを含有し得る。一部の態様において、連結、例えば、化学連結は、単結合、二重結合、三重結合もしくは芳香族炭素-炭素結合、リン-酸素、リン-硫黄、窒素-窒素、窒素-酸素、窒素-白金結合、または芳香族もしくは複素芳香族結合を含み得る。
例えば、一部の態様において、リンカーは、リンカーとそれが連結される成分との間で結合を形成することができる反応性基または活性化可能基を有するリンカーであることができる。一部の態様において、フタロシアニン色素は、リンカーを含有し、すなわち、リンカー-フタロシアニン色素部分である。一部の態様において、リンカーは、反応性基を含有する。
一部の態様において、治療用物質は、フタロシアニン色素および/またはターゲティング分子に、放出可能または開裂可能リンカーを介して連結される。一部の態様において、リンカーは、開裂可能ではない。一部の態様において、リンカーの放出または開裂は、二重コンジュゲートからの治療用物質の放出を可能にする。したがって、ターゲティング分子が病変の微小環境中の細胞上の細胞表面分子に結合するおかげで、治療用物質を、疾患、障害、または病態に関与する細胞に直接ターゲティングまたは送達することができ、かつ/または、疾患、障害、または病態に関連する病変の微小環境に放出することができる。
用語「放出可能リンカー」または「開裂可能リンカー」は、本明細書において使用される場合、生理学的条件下で破断され得る少なくとも1つの結合(例えば、pHに不安定な結合、酸に不安定な結合、酸化的に不安定な結合、または酵素に不安定な結合)を含むリンカーを指す。化学結合の破断をもたらす生理学的条件は、例えば、生理学的pHで生じるか、または、特定の微小環境、例えば病変の微小環境、例えば腫瘍微小環境(TME)中に存在する特定の条件の結果として生じる、標準的な化学加水分解反応を含むことができる。
一部の態様において、放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーは、病変の微小環境中で放出または開裂される。一部の態様において、病変は、特定の微小環境または生理学的条件に関連する。例えば、一部の態様において、病変は、腫瘍であり、そして、放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーは、腫瘍微小環境(TME)中、例えば、酸性条件または低酸素条件下で放出または開裂される。
本明細書に提供される二重コンジュゲート、組成物および方法において使用することができる多種多様な例示的なリンカーは、WO2004-010957、米国公開第20060074008号、第20050238649号、および第20060024317号に記載されているものを含む。
一部の態様において、リンカーは、病変の微小環境中に存在する開裂物質によって開裂可能である。リンカーは、例えば、ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって開裂されるペプチジルリンカーであることができる。例えば、放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーは、TME中に存在するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)によって放出または開裂される。一部の態様において、開裂可能リンカーは、アミノ酸の配列Pro-Leu-Gly-Leu-Trp-Ala(SEQ ID NO: 53に示される)を含む。一部の態様において、リンカーは、病変の微小環境において過剰発現される開裂物質によって開裂可能である。一部の態様において、例示的なリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長であるペプチジルリンカーを含む。例示的なリンカーは、Phe-Leuリンカー、Gly-Phe-Leu-Glyリンカー(SEQ ID NO:54)、Val-CitリンカーまたはPhe-Lysリンカー(例えば、米国特許6,214,345を参照のこと)を含む。そのようなリンカーの他の例は、例えば、米国特許第6,214,345号およびLu et al., (2016) Int. J. Mol. Sci. 17(4):561に記載されている。一部の態様において、リンカーは、β-グルクロニダーゼなどの腫瘍間質において過剰発現される酵素によって開裂可能なリンカーである。一部の態様において、リンカーは、β-グルクロニドリンカーである。
一部の態様において、放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーは、低酸素条件または酸性条件において放出または開裂される。一部の態様において、TMEにおける条件は、酸性または低酸素条件である。一部の態様において、リンカーは、酸に不安定であるかまたは低酸素条件で開裂可能である。一部の態様において、開裂可能リンカーは、酸性条件下で開裂可能であり、そして、開裂可能リンカーは、1つまたは複数のヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニチン酸アミド、オルトエステル、アセタール、ケタール、4-(4'-アセチルフェノキシ)ブタン酸またはチオエーテル連結を含む。一部の態様において、開裂可能リンカーは、低酸素条件下で開裂可能であり、そして、リンカーは、1つまたは複数のジスルフィド連結を含む。
他の態様において、開裂可能リンカーは、pH感受性である、すなわち、ある特定のpH値で加水分解に感受性である。典型的には、pH感受性リンカーは、例えば、病変の微小環境などの酸性条件下で加水分解性である。例えば、酸性環境で加水分解性である酸に不安定なリンカー、例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニチン酸アミド、オルトエステル、アセタールまたはケタール連結を使用することができる。一部の態様において、例示的なリンカーは、例えば、米国特許第5,122,368号;第5,824,805号;第5,622,929号;Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123; Neville, et al., 1989, Biol. Chem. 264:14653-14661に記載されているものを含む。そのようなリンカーは、血液中などの中性pH条件下で比較的安定であるが、酸性条件で不安定である。
ある特定の態様において、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、チオエーテルが治療用物質にアシルヒドラゾン結合を介して付着されている)である(例えば、米国特許第5,622,929号を参照のこと)。
さらに他の態様において、リンカーは、還元条件下で開裂可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。多種多様なジスルフィドリンカーが当技術分野において公知であり、例えば、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセタート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチラート)およびSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDBおよびSMPT(例えば、Thorpe, et al., 1987, Cancer Res. 47:5924-5931; Wawrzynczak, et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987を参照のこと。また米国特許第4,880,935号も参照のこと)を使用して形成することができるものを含む。
さらに他の具体的な態様において、リンカーは、マロン酸リンカー(Johnson, et al., 1995, Anticancer Res. 15:1387-93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau, et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1299-1304)、または3'-N-アミド類似体(Lau, et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1305-12)である。
一部の態様において、開裂可能リンカーは、光照射によって開裂可能である。一部の態様において、リンカーは、光に不安定である。一部の態様において、リンカーは、1つまたは複数の光解離性フェナシルエステル、光解離性ヒドラジン、もしくは光解離性o-ニトロベンジル連結、またはチオエーテルを伴う光解離性キノキサリンを含む。
II. 処置の方法
一部の態様において、フタロシアニン色素(例えば、IR-700)、ターゲティング分子(例えば、抗体またはその抗原結合断片)および治療用物質(例えば、免疫調節物質または抗がん物質)を含有する二重コンジュゲートを含有する組成物を使用するための方法およびその使用が提供される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、細胞上に発現される細胞表面分子または細胞表面受容体への結合を介するなどして、疾患、障害、または病態に関連する細胞または病原体にターゲティングされるかまたはそれを標的とする。そのような方法および使用は、例えば、疾患、病態、または障害を有する対象への二重コンジュゲートの投与とそれに続く光免疫療法(PIT)を達成するための照射によって、そのような細胞または病原体の光分解をもたらして、疾患、障害、または病態の処置を達成する工程を伴う、治療法および使用を含む。
また、処置の方法、例えば、本明細書に記載の二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含有する組成物のいずれかを投与する工程、およびPITを達成するための照射工程を含む処置の方法が本明細書に提供される。いくつかの局面において、また、本明細書に記載の二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含有する組成物のいずれかを対象、例えば疾患、障害、または病態を有する対象に投与する方法が提供される。いくつかの局面において、また、疾患、障害、または病態の処置のための、本明細書に記載の二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含有する組成物のいずれかの使用が提供される。いくつかの局面において、また、疾患、障害、または病態の処置のための医薬の製造のための、本明細書に記載の二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含有する組成物のいずれかの使用が提供される。いくつかの局面において、また、疾患、障害、もしくは病態の処置において使用するための、または、疾患、障害、もしくは病態を有する対象への投与のための、本明細書に記載の二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含有する組成物のいずれかが提供される。いくつかの局面において、本明細書に提供される二重コンジュゲートまたは組成物の方法または使用においては、二重コンジュゲートまたは組成物の投与に続く、PITを達成するための照射を含む。
一部の態様において、対象における病変を処置するための方法であって、a)治療有効量の本明細書に提供される二重コンジュゲートのいずれかまたは本明細書に提供される二重コンジュゲートのいずれかを含む任意の組成物もしくはキットを対象に投与する工程、および、b)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの光毒性活性を誘導する波長で病変を照射する工程を伴う方法が提供される。
一部の態様において、該方法を腫瘍またはがんなどの病変を処置するために使用することができ、投与された二重コンジュゲートが腫瘍に関連する細胞にターゲティングされ、それによって、そのような細胞の光分解をもたらし、いくつかの場合では、腫瘍の処置、および腫瘍の部位への治療用物質の送達または放出をもたらす。一部の態様において、放出可能または開裂可能リンカーの開裂のおかげで、治療用物質を病変の部位において放出させることができる。使用は、該組成物のそのような方法および処置における使用、ならびにそのような組成物のそのような治療法を行うための医薬の調製における使用を含む。一部の態様において、該方法および使用は、それによって、対象における腫瘍またはがんなどの疾患または病態または障害を処置する。
一部の態様において、該方法は、二重コンジュゲートを対象に、一般に、殺滅のためにターゲティングされた細胞を二重コンジュゲートと接触させる条件下で投与する工程を含む。一部の態様において、該方法は、腫瘍またはがんに関連する細胞表面分子への二重コンジュゲートのターゲティング分子(例えば、抗体)部分の結合をもたらす。二重コンジュゲートとの接触またはその投与後に、ターゲティングされた細胞、例えば、腫瘍に関連する1つまたは複数の細胞を含有する対象の局所領域が、色素によって吸収される光、一般にNIR光に曝露または照射され、それによって、二重コンジュゲートを活性化して、特異的細胞殺滅を達成する。一部の態様において、照射は、600nm〜850nmの波長で、少なくとも1J cm-2または少なくとも1J/cmファイバ長の線量で実施される。一部の態様において、フタロシアニン色素を含有する二重コンジュゲートを投与する方法は、抗体-IR700コンジュゲートを投与するための米国特許第8,524,239号または米国公開第US2014/0120119号に記載されている方法と類似の方法を含む。
A. 処置される疾患および対象
一部の態様において、二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含む組成物は、疾患、病態、または障害を有する対象に投与される。いくつかの局面において、疾患、病態、または障害は、病変に関連する。一部の態様において、病変は、腫瘍である。一部の態様において、腫瘍は、がんまたはがんに関連する腫瘍である。一部の態様において、がんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、肺、または血液のがんである。一部の態様において、がんは、異常なまたは無制御な細胞成長によって特徴付けられる悪性腫瘍を含み得る。がんと関連し得る他の特徴は、転移、隣接細胞の正常な機能の妨害、サイトカインまたは他の分泌生成物の異常なレベルでの放出および炎症性または免疫学的応答の抑制または悪化、リンパ節のような周囲または遠隔の組織または臓器の侵入などを含む。転移性疾患は、元々の腫瘍部位から離れ、例えば血流またはリンパ系を介して、身体の他の部位へ移動したがん細胞のことを指し得る。一部の態様において、開示の方法によって標的とされる細胞は、がん細胞または免疫細胞である。一部の態様において、がん細胞は、がん幹細胞である。一部の態様において、開示の方法によって標的とされる細胞は、がん細胞、腫瘍細胞、炎症性細胞、免疫細胞、神経細胞、幹細胞、増殖性細胞、または過形成状態の細胞である細胞である。一部の態様において、病変は、前がん性異形成、上皮内がん、新生物、過形成腫瘍、またはがんに関連する腫瘍である。
いくつかの局面において、標的細胞は、腫瘍またはがん細胞のような望ましくない細胞またはその成長が望ましくない細胞でありうる。一部の態様において、細胞は、培養下で成長できるか、または処置される哺乳動物、例えばがんを有する対象中に存在することができる。任意の標的細胞は、特許請求される方法で処置することができる。一部の態様において、標的細胞は、他の正常細胞の表面に実質的に見いだされない細胞表面分子を発現する。一部の態様において、このようなタンパク質に特異的に結合する抗体を選択することができ、本明細書に提供される任意のものなどの二重コンジュゲートがそのタンパク質に対して生成され得る。一部の態様において、細胞表面分子は、腫瘍特異的タンパク質である。一部の態様において、細胞表面分子は、望ましくない移植拒絶と関連する細胞をターゲティングするために使用することができる、CD25である。
一部の態様において、腫瘍細胞は、がん細胞、例えばがんを有する対象中の細胞である。開示の方法で標的とされうる例示的な細胞は、以下の腫瘍の細胞を含む:液性腫瘍、例えば、白血病であって、急性白血病(例えば急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病)、慢性白血病(例えば慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病)を含む白血病、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重鎖病)。一部の態様において、細胞は、固形腫瘍細胞、例えば、肉腫または癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞がん、肺がん、結腸直腸がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、例えば膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、または食道の腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝細胞がん、胆管がん、絨毛がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、膀胱がん、CNS腫瘍、例えば神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫ならびに網膜芽細胞腫である。一部の態様において、がんは、頭頸部の扁平上皮がんである。
特許請求される方法で処置することができる例示的な腫瘍、例えばがんは、固形腫瘍、例えば、乳房癌腫、例えば小葉および腺管がん、肉腫、肺の癌腫、例えば非小細胞がん、大細胞がん、扁平上皮がん、および腺がん、肺の中皮腫、結腸直腸腺がん、胃がん、前立腺腺がん、卵巣がん、例えば漿液性嚢胞腺がんおよび粘液性嚢胞腺がん、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がんおよび胚細胞腫瘍、膵臓腺がん、胆管腺がん、肝細胞がん、膀胱がん(例えば、移行上皮がん、腺がん、および扁平上皮がんを含む)、腎細胞腺がん、子宮内膜がん(例えば、腺がんおよび混合ミュラー管腫瘍(癌肉腫)を含む)、子宮頸内膜、子宮頸膣部、および膣の癌腫、例えばその各々の腺がんおよび扁平上皮がん、皮膚の腫瘍、例えば扁平上皮がん、基底細胞がん、悪性黒色腫、皮膚付属器(appendage)腫瘍、カポジ肉腫、皮膚リンパ腫、皮膚付属器(adnexal)腫瘍ならびに種々のタイプの肉腫およびメルケル細胞がん、食道がん、鼻咽頭および中咽頭の癌腫(その扁平上皮がんおよび腺がんを含む)、唾液腺がん、脳および中枢神経系の腫瘍(例えば、膠細胞、神経細胞、および髄膜起源の腫瘍を含む)、末梢神経の腫瘍、軟組織肉腫ならびに骨および軟骨の肉腫、ならびにリンパ系腫瘍(B細胞およびT細胞悪性リンパ腫を含む)を含む。一部の態様において、腫瘍は、腺がんである。
また、本方法を使用して、液性腫瘍、例えばリンパ系の白血球、または他のタイプの白血病を処置することができる。一部の態様において、処置される腫瘍は、血液の腫瘍、例えば白血病、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、大顆粒リンパ球性白血病、および成人T細胞白血病、リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、ならびに骨髄腫である。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、病変の表面にまたは病変の微小環境中に存在する細胞の表面に発現されるタンパク質へターゲティングされる。例えば、一部の態様において、二重コンジュゲートは、腫瘍中の細胞の表面にまたは腫瘍の微小環境中の細胞の表面に発現されるタンパク質へターゲティングされる。例示的なこのような細胞表面分子は、上記のものを含む本明細書に記載のとおりのいずれかである。
一部の態様において、標的とされる標的細胞の細胞表面上のタンパク質は、他の細胞上に有意な量で存在しない。例えば、細胞表面分子は、標的細胞タイプ上にのみ見いだされる受容体でありうる。一部の態様において、腫瘍中に発現されるタンパク質、例えば、腫瘍特異的タンパク質は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、癌抗原125(CA 125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、GM1およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、SK-1抗原またはPD-L1でありうる。一部の態様において、腫瘍特異性タンパク質は、PD-L1、HER1/EGFR、HER2、CD20、CD25、CD33、CD52、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、EpCAM、EphA2、CD206、CD44、CD133、メソテリン、グリピカン-3、または癌胎児性抗原(CEA)である。他の細胞表面分子は、上記したとおりのいずれかを含む。
一部の態様において、細胞表面分子は腫瘍に関連する、例えば、腫瘍特異的タンパク質または腫瘍特異的抗原、例えばEGF受容体ファミリーのメンバー(例えば、HER1、2、3、および4)およびサイトカイン受容体のメンバー(例えば、CD20、CD25、IL-13R、CD5、CD52など)である。一部の態様において、腫瘍特異的タンパク質は、正常細胞のような他の細胞と比較して、がん細胞に固有であるかまたはがん細胞上で非常に豊富なタンパク質である。例えば、HER2は、一般に乳がんにおいて見いだされるが、一方、HER1は、典型的には腺がんにおいて見いだされ、これは、膵臓、乳房、前立腺および結腸のような多くの臓器に見いだすことができる。
標的細胞上に見いだすことができる例示的な腫瘍関連タンパク質であって、ターゲティング分子、例えばそのタンパク質に特異的な抗体または抗体断片を使用してフタロシアニン色素含有二重コンジュゲートを製剤化することができる例示的な腫瘍関連タンパク質は、非限定的に、以下を含む:MAGE1、MAGE2、MAGE3、およびMAGE4を含む種々のMAGE(黒色腫関連抗原E)のいずれか、種々のチロシナーゼのいずれか、突然変異体Ras、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、乳房腫瘍と関連し得るヒト乳脂肪球(HMFG)、BAGE1およびBAGE2を含む種々のBAGE(ヒトB黒色腫関連抗原E)のいずれか、GAGE1、GAGE2-6を含む種々の GAGE(G抗原)のいずれか、種々のガングリオシド、ならびにCD25。
他の腫瘍関連タンパク質は、子宮頸がんと関連するHPV16/18およびE6/E7抗原、乳房癌腫と関連し得るムチン(MUC 1)-KLH抗原、結腸直腸がんと関連し得るCEA(癌胎児性抗原)、例えば黒色腫と関連し得るgp100、黒色腫と関連し得るMARTI抗原、卵巣および他のがんと関連し得る癌抗原125(CA125、ムチン16またはMUC16としても知られている)、肝臓がんと関連し得るアルファ-フェトプロテイン(AFP)、結腸直腸がん、胆管がん、乳がん、肺小細胞がん、および他のがんと関連し得るルイスY抗原、腺がんと関連し得る腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、ならびに前立腺がんと関連し得るPSA抗原を含む。
他の例示的な腫瘍関連タンパク質は、非限定的に、前立腺がんと同様に固形腫瘍血管新生と関連し得るPMSA(前立腺膜特異性抗原)、乳がん、卵巣がん、胃がん、および子宮がんと関連し得るHER-2(ヒト上皮細胞成長因子受容体2)、肺がん、肛門がん、および膠芽腫ならびに腺がんと関連し得るHER-1、黒色腫、肉腫、精巣がん、および他のがんと関連し得るNY-ESO-1、hTERT(テロメラーゼとしても知られる)、プロテイナーゼ3、ならびにウィルムス腫瘍1(WT-1)をさらに含む。
一部の態様において、腫瘍関連タンパク質は、CD52でありかつ慢性リンパ性白血病と関連し得るか、CD33でありかつ急性骨髄性白血病と関連し得るか、またはCD20でありかつ非ホジキンリンパ腫と関連し得る。
一部の態様において、病変はニューロンを含み、疾患、障害、または病態は、場合により疼痛である神経障害である。一部の態様において、病変は脂肪細胞またはアディポサイトを含み、疾患、障害、または病態は過剰脂肪を伴う。一部の態様において、病変は病原体感染細胞を含み、疾患、障害、または病態は感染である。一部の態様において、病変は炎症細胞を含み、疾患、障害、または病態は炎症である。
したがって、開示の方法を使用して、腫瘍特異的タンパク質を発現する任意のがんを処置することができる。一部の態様において、腫瘍治療薬は、抗体、抗原結合断片、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド ポリペプチド、ウイルス、ウイルスカプシド、またはウイルス粒子である。一部の態様において、腫瘍治療薬は、抗体または抗原結合断片である。
一部の態様において、対象は、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である。一部の態様において、対象は、ヒトまたは動物対象、例えばマウスである。一部の態様において、対象は、がんを有するかまたはがんが処置されている哺乳動物、例えばヒトである。一部の態様において 開示の方法を使用して、腫瘍、例えば本明細書に記載される腫瘍を有する対象を処置する。一部の態様において、腫瘍は、以前に処置され、例えば外科的にまたは化学的に除去されており、開示の方法をその後に使用して、対象内に残留し得る任意の残留している望ましくない腫瘍細胞を殺滅する。
開示の二重コンジュゲートおよび方法を使用して、腫瘍、例えばがんを有するか、またはがんが以前に除去もしくは処置された、任意の哺乳動物対象、例えばヒトを処置することができる。本開示の治療を必要とする対象は、がんを有するヒト対象であって、がん細胞が二重コンジュゲートに特異的に結合することができる細胞表面上に腫瘍特異的タンパク質を発現する、ヒト対象を含みうる。例えば、開示の二重コンジュゲートおよび方法を、単独、または放射線もしくは他の化学療法との組み合わせのいずれかで、がんの初期処置として使用することができる。また、開示の方法を、以前の放射線または化学療法が失敗した患者に使用することができる。したがって、一部の態様において、対象は、他の治療を受けている対象であるが、その他の治療が所望の治療応答を提供していない対象である。また、開示の二重コンジュゲートおよび方法を、限局性および/または転移性のがんを有する患者に使用することができる。
一部の態様において、方法は、本開示の治療から恩恵を受ける対象を選択する工程、例えば、本明細書に提供される二重コンジュゲートに特異的に結合することができる細胞表面分子、例えば腫瘍特異的タンパク質を発現する腫瘍を有する対象を選択する工程を含む。例えば、対象がHER1を発現する乳がんを有すると決定された場合、セツキシマブ-IR700-IL-2のような抗HER1-IR700-治療用物質を含む二重コンジュゲートで処置される対象が選択され得る。
B. 投与量および投与
いくつかの局面において、提供される二重コンジュゲート、またはフタロシアニン色素、ターゲティング分子、おおび治療用物質を含む二重コンジュゲートを含有する本明細書に提供される組成物は、治療上有用な効果を発揮するのに十分な量で投与される。典型的には、活性剤は、処置されている患者に望ましくない副作用をもたらさない量で、または、上記薬剤の1つでの単剤処置に必要な投与量および量と比較して、観察される副作用を最小限に抑えるまたは低減する量で投与される。
二重コンジュゲートのそれを必要とする患者への最適な投与量(単独または1つまたは複数の他の薬剤との組み合わせのいずれかでの)を決定する方法は、当技術分野において周知である標準的な用量応答および毒性研究によって決定され得る。
ヒトまたは獣医科対象へ投与される治療薬、例えば二重コンジュゲートの量は、対象と関連する多数の要因、例えば対象の総合的な健康に依存して変化するだろう。一部の態様において、生成物の投与量を変化させ、かつ腫瘍の退行などの生じた治療応答を測定することによって、薬剤の有効量を決定することができる。一部の態様において、種々のインビトロ、インビボまたはインサイチュー免疫測定法を通して有効量を決定することができる。一部の態様において、所望の応答を得るために必要に応じて、開示される薬剤を単回用量でまたは複数回用量で投与することができる。一部の態様において、有効量は、適用される供給源、処置されている対象、処置されている病態の重症度およびタイプ、ならびに投与の様式に依存する。
一部の態様において、治療有効量は、単独でまたは追加の治療薬と合わせて、組成物で処置されている対象においてまたは細胞において所望の効果を達成するのに十分な、二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含む組成物の量である。治療薬、例えば二重コンジュゲートの有効量は、処置されている対象または細胞、特定の治療薬、および治療用組成物の投与の様式を非限定的に含む、いくつかの要因に依存しうる。一部の態様において、治療有効量または濃度は、疾患の転移のような進展を防止するか、疾患の進行を遅延させるか、もしくは疾患の退行を引き起こすのに十分なもの、またはがんのような疾患によって引き起こされる症状を低減することが可能なものである。一部の態様において、治療有効量または濃度は、腫瘍を有する患者の生存時間を増加させるのに十分なものである。
一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、10mg/m2〜5000mg/m2の間もしくは約10mg/m2〜5000mg/m2の間、例えば10mg/m2〜3000mg/m2、10mg/m2〜1500mg/m2、10mg/m2〜750mg/m2、10mg/m2〜500mg/m2、10mg/m2〜250mg/m2、10mg/m2〜200mg/m2、10mg/m2〜100mg/m2、10mg/m2〜75mg/m2、10mg/m2〜50mg/m2、10mg/m2〜25mg/m2、25mg/m2〜5000mg/m2、25mg/m2〜3000mg/m2、25mg/m2〜1500mg/m2、25mg/m2〜750mg/m2、25mg/m2〜500mg/m2、25mg/m2〜250mg/m2、25mg/m2〜200mg/m2、25mg/m2〜100mg/m2、25mg/m2〜75mg/m2、25mg/m2〜50mg/m2、50mg/m2〜5000mg/m2、50mg/m2〜3000mg/m2、50mg/m2〜1500mg/m2、50mg/m2〜750mg/m2、50mg/m2〜500mg/m2、50mg/m2〜250mg/m2、50mg/m2〜200mg/m2、50mg/m2〜100mg/m2、50mg/m2〜75mg/m2、75mg/m2〜5000mg/m2、75mg/m2〜3000mg/m2、75mg/m2〜1500mg/m2、75mg/m2〜1000mg/m2、75mg/m2〜750mg/m2、75mg/m2〜500mg/m2、75mg/m2〜250mg/m2、75mg/m2〜225mg/m2、75mg/m2〜200mg/m2、75mg/m2〜100mg/m2、100mg/m2〜5000mg/m2、100mg/m2〜3000mg/m2、100mg/m2〜1500mg/m2、100mg/m2〜750mg/m2、100mg/m2〜500mg/m2、100mg/m2〜250mg/m2、100mg/m2〜200mg/m2、100mg/m2〜150mg/m2、150mg/m2〜5000mg/m2、150mg/m2〜3000mg/m2、150mg/m2〜1500mg/m2、150mg/m2〜750mg/m2、150mg/m2〜500mg/m2、150mg/m2〜250mg/m2、150mg/m2〜200mg/m2、200mg/m2〜5000mg/m2、200mg/m2〜3000mg/m2、200mg/m2〜1500mg/m2、200mg/m2〜750mg/m2、200mg/m2〜500mg/m2、200mg/m2〜250mg/m2、250mg/m2〜5000mg/m2、250mg/m2〜3000mg/m2、250mg/m2〜1500mg/m2、250mg/m2〜750mg/m2、250mg/m2〜500mg/m2、500mg/m2〜5000mg/m2、500mg/m2〜3000mg/m2、500mg/m2〜1500mg/m2、500mg/m2〜750mg/m2、750mg/m2〜5000mg/m2、750mg/m2〜3000mg/m2、750mg/m2〜1500mg/m2、1500mg/m2〜5000mg/m2、1500mg/m2〜3000mg/m2、および3000mg/m2〜5000mg/m2の間、または約10mg/m2〜3000mg/m2、10mg/m2〜1500mg/m2、10mg/m2〜750mg/m2、10mg/m2〜500mg/m2、10mg/m2〜250mg/m2、10mg/m2〜200mg/m2、10mg/m2〜100mg/m2、10mg/m2〜75mg/m2、10mg/m2〜50mg/m2、10mg/m2〜25mg/m2、25mg/m2〜5000mg/m2、25mg/m2〜3000mg/m2、25mg/m2〜1500mg/m2、25mg/m2〜750mg/m2、25mg/m2〜500mg/m2、25mg/m2〜250mg/m2、25mg/m2〜200mg/m2、25mg/m2〜100mg/m2、25mg/m2〜75mg/m2、25mg/m2〜50mg/m2、50mg/m2〜5000mg/m2、50mg/m2〜3000mg/m2、50mg/m2〜1500mg/m2、50mg/m2〜750mg/m2、50mg/m2〜500mg/m2、50mg/m2〜250mg/m2、50mg/m2〜200mg/m2、50mg/m2〜100mg/m2、50mg/m2〜75mg/m2、75mg/m2〜5000mg/m2、75mg/m2〜3000mg/m2、75mg/m2〜1500mg/m2、75mg/m2〜1000mg/m2、75mg/m2〜750mg/m2、75mg/m2〜500mg/m2、75mg/m2〜250mg/m2、75mg/m2〜225mg/m2、75mg/m2〜200mg/m2、75mg/m2〜100mg/m2、100mg/m2〜5000mg/m2、100mg/m2〜3000mg/m2、100mg/m2〜1500mg/m2、100mg/m2〜750mg/m2、100mg/m2〜500mg/m2、100mg/m2〜250mg/m2、100mg/m2〜200mg/m2、100mg/m2〜150mg/m2、150mg/m2〜5000mg/m2、150mg/m2〜3000mg/m2、150mg/m2〜1500mg/m2、150mg/m2〜750mg/m2、150mg/m2〜500mg/m2、150mg/m2〜250mg/m2、150mg/m2〜200mg/m2、200mg/m2〜5000mg/m2、200mg/m2〜3000mg/m2、200mg/m2〜1500mg/m2、200mg/m2〜750mg/m2、200mg/m2〜500mg/m2、200mg/m2〜250mg/m2、250mg/m2〜5000mg/m2、250mg/m2〜3000mg/m2、250mg/m2〜1500mg/m2、250mg/m2〜750mg/m2、250mg/m2〜500mg/m2、500mg/m2〜5000mg/m2、500mg/m2〜3000mg/m2、500mg/m2〜1500mg/m2、500mg/m2〜750mg/m2、750mg/m2〜5000mg/m2、750mg/m2〜3000mg/m2、750mg/m2〜1500mg/m2、1500mg/m2〜5000mg/m2、1500mg/m2〜3000mg/m2、および3000mg/m2〜5000mg/m2の間である。一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、10mg/m2、50mg/m2、75mg/m2、100mg/m2、150mg/m2、200mg/m2、225mg/m2、250mg/m2、300mg/m2、400mg/m2、500mg/m2、600mg/m2、700mg/m2、800mg/m2、900mg/m2、1000mg/m2、1250mg/m2、1500mg/m2、2000mg/m2、2500mg/m2、3000mg/m2、3500mg/m2、4000mg/m2、4500mg/m2、または5000mg/m2以下である。一部の態様において、該用量は、50mg/m2〜約5000mg/m2もしくは約50mg/m2〜約5000mg/m2、約250mg/m2〜約2500mg/m2、約750mg/m2〜約1250mg/m2、または約100mg/m2〜約1000mg/m2である。一部の態様において、該用量は、160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2であるか、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2である。
一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、0.25mg/kg〜150mg/kg、0.25mg/kg〜100mg/kg、0.25mg/kg〜75mg/kg、0.25mg/kg〜60mg/kg、0.25mg/kg〜50mg/kg、0.25mg/kg〜25mg/kg、0.25mg/kg〜10mg/kg、0.25mg/kg〜7.5mg/kg、0.25mg/kg〜5.0mg/kg、0.25mg/kg〜2.5mg/kg、0.25mg/kg〜1.0mg/kg、0.25mg/kg〜0.5mg/kg、0.50mg/kg〜150mg/kg、0.50mg/kg〜100mg/kg、0.50mg/kg〜75mg/kg、0.50mg/kg〜60mg/kg、0.50mg/kg〜50mg/kg、0.50mg/kg〜25mg/kg、0.50mg/kg〜10mg/kg、0.50mg/kg〜7.5mg/kg、0.50mg/kg〜5.0mg/kg、0.50mg/kg〜2.5mg/kg、0.50mg/kg〜1.0mg/kg、1.0mg/kg〜150mg/kg、1.0mg/kg〜100mg/kg、1.0mg/kg〜75mg/kg、1.0mg/kg〜60mg/kg、1.0mg/kg〜50mg/kg、1.0mg/kg〜25mg/kg、1.0mg/kg〜10mg/kg、1.0mg/kg〜7.5mg/kg、1.0mg/kg〜5.0mg/kg、1.0mg/kg〜2.5mg/kg、2.5mg/kg〜150mg/kg、2.5mg/kg〜100mg/kg、2.5mg/kg〜75mg/kg、2.5mg/kg〜60mg/kg、2.5mg/kg〜50mg/kg、2.5mg/kg〜25mg/kg、2.5mg/kg〜10mg/kg、2.5mg/kg〜7.5mg/kg、2.5mg/kg〜5.0mg/kg、5.0mg/kg〜150mg/kg、5.0mg/kg〜100mg/kg、5.0mg/kg〜75mg/kg、5.0mg/kg〜60mg/kg、5.0mg/kg〜50mg/kg、5.0mg/kg〜25mg/kg、5.0mg/kg〜10mg/kg、5.0mg/kg〜7.5mg/kg、7.5mg/kg〜150mg/kg、7.5mg/kg〜100mg/kg、7.5mg/kg〜75mg/kg、7.5mg/kg〜60mg/kg、7.5mg/kg〜50mg/kg、7.5mg/kg〜25mg/kg、7.5mg/kg〜10mg/kg、10mg/kg〜150mg/kg、10mg/kg〜100mg/kg、10mg/kg〜75mg/kg、10mg/kg〜60mg/kg、10mg/kg〜50mg/kg、10mg/kg〜25mg/kg、25mg/kg〜150mg/kg、25mg/kg〜100mg/kg、25mg/kg〜75mg/kg、25mg/kg〜60mg/kg、25mg/kg〜50mg/kg、50mg/kg〜150mg/kg、50mg/kg〜100mg/kg、50mg/kg〜75mg/kg、50mg/kg〜60mg/kg、60mg/kg〜150mg/kg、60mg/kg〜100mg/kg、60mg/kg〜75mg/kg、75mg/kg〜150mg/kg、75mg/kg〜100mg/kg、および100mg/kg〜150mg/kgの間、または約0.25mg/kg〜150mg/kg、0.25mg/kg〜100mg/kg、0.25mg/kg〜75mg/kg、0.25mg/kg〜60mg/kg、0.25mg/kg〜50mg/kg、0.25mg/kg〜25mg/kg、0.25mg/kg〜10mg/kg、0.25mg/kg〜7.5mg/kg、0.25mg/kg〜5.0mg/kg、0.25mg/kg〜2.5mg/kg、0.25mg/kg〜1.0mg/kg、0.25mg/kg〜0.5mg/kg、0.50mg/kg〜150mg/kg、0.50mg/kg〜100mg/kg、0.50mg/kg〜75mg/kg、0.50mg/kg〜60mg/kg、0.50mg/kg〜50mg/kg、0.50mg/kg〜25mg/kg、0.50mg/kg〜10mg/kg、0.50mg/kg〜7.5mg/kg、0.50mg/kg〜5.0mg/kg、0.50mg/kg〜2.5mg/kg、0.50mg/kg〜1.0mg/kg、1.0mg/kg〜150mg/kg、1.0mg/kg〜100mg/kg、1.0mg/kg〜75mg/kg、1.0mg/kg〜60mg/kg、1.0mg/kg〜50mg/kg、1.0mg/kg〜25mg/kg、1.0mg/kg〜10mg/kg、1.0mg/kg〜7.5mg/kg、1.0mg/kg〜5.0mg/kg、1.0mg/kg〜2.5mg/kg、2.5mg/kg〜150mg/kg、2.5mg/kg〜100mg/kg、2.5mg/kg〜75mg/kg、2.5mg/kg〜60mg/kg、2.5mg/kg〜50mg/kg、2.5mg/kg〜25mg/kg、2.5mg/kg〜10mg/kg、2.5mg/kg〜7.5mg/kg、2.5mg/kg〜5.0mg/kg、5.0mg/kg〜150mg/kg、5.0mg/kg〜100mg/kg、5.0mg/kg〜75mg/kg、5.0mg/kg〜60mg/kg、5.0mg/kg〜50mg/kg、5.0mg/kg〜25mg/kg、5.0mg/kg〜10mg/kg、5.0mg/kg〜7.5mg/kg、7.5mg/kg〜150mg/kg、7.5mg/kg〜100mg/kg、7.5mg/kg〜75mg/kg、7.5mg/kg〜60mg/kg、7.5mg/kg〜50mg/kg、7.5mg/kg〜25mg/kg、7.5mg/kg〜10mg/kg、10mg/kg〜150mg/kg、10mg/kg〜100mg/kg、10mg/kg〜75mg/kg、10mg/kg〜60mg/kg、10mg/kg〜50mg/kg、10mg/kg〜25mg/kg、25mg/kg〜150mg/kg、25mg/kg〜100mg/kg、25mg/kg〜75mg/kg、25mg/kg〜60mg/kg、25mg/kg〜50mg/kg、50mg/kg〜150mg/kg、50mg/kg〜100mg/kg、50mg/kg〜75mg/kg、50mg/kg〜60mg/kg、60mg/kg〜150mg/kg、60mg/kg〜100mg/kg、60mg/kg〜75mg/kg、75mg/kg〜150mg/kg、75mg/kg〜100mg/kg、および100mg/kg〜150mg/kgの間である。一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10.0mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kgまたは150mg/kg以下である。
一部の態様において、治療有効量は、少なくとも0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、200mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上、または少なくとも約0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、200mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上である。
一部の態様において、方法は、疾患、障害、または病態を有する対象に、治療有効量の二重コンジュゲートを投与する工程を含む。一部の態様において、二重コンジュゲートは、腫瘍、病変、または過形成の微小環境中に存在する細胞へターゲティングされる。一部の態様において、治療有効用量の二重コンジュゲートが静脈内投与される。一部の態様において、治療有効用量の二重コンジュゲートが腫瘍内に投与される。
一部の態様において、二重コンジュゲートの用量は、例えば腫瘍内にまたは腹腔内(IP)に投与されるとき、少なくとも10μg/kg、例えば少なくとも100μg/kg、少なくとも500μg/kg、または少なくとも500μg/kg、例えば10μg/kg〜1000μg/kg、例えば約100μg/kg、約250μg/kg、約500μg/kg、約750μg/kg、または約1000μg/kgの用量である。一部の態様において、該用量は、少なくとも1μg/ml、例えば少なくとも500μg/ml、例えば20μg/ml〜100μg/mlの間、例えば約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/mlまたは約100μg/mlである(例えば、局部液剤で投与される)。
一部の態様において、治療有効用量は、ヒトに投与される用量である。一部の態様において、平均的なヒトの体重は、60〜85kg、例えば約75kgまたはおよそ75kgである。
一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、400mg/m2未満、300mg/m2未満、250mg/m2未満、225mg/m2未満、200mg/m2未満、180mg/m2未満、100mg/m2未満または50mg/m2未満である。一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、50mg/m2〜400mg/m2もしくは約50mg/m2〜400mg/m2、100mg/m2〜300mg/m2もしくは約100mg/m2〜300mg/m2、100mg/m2〜250mg/m2もしくは約100mg/m2〜250mg/m2、または100mg/m2〜160mg/m2もしくは約100mg/m2〜160mg/m2の間である。一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、80mg/m2〜240mg/m2、80mg/m2〜220mg/m2、80mg/m2〜200mg/m2、80mg/m2〜180mg/m2、80mg/m2〜160mg/m2、80mg/m2〜140mg/m2、80mg/m2〜120mg/m2、80mg/m2〜100mg/m2、100mg/m2〜240mg/m2、100mg/m2〜220mg/m2、100mg/m2〜200mg/m2、100mg/m2〜180mg/m2、100mg/m2〜160mg/m2、100mg/m2〜140mg/m2、100mg/m2〜120mg/m2、120mg/m2〜240mg/m2、120mg/m2〜220mg/m2、120mg/m2〜200mg/m2、120mg/m2〜180mg/m2、120mg/m2〜160mg/m2,120mg/m2〜140mg/m2、140mg/m2〜240mg/m2、140mg/m2〜220mg/m2、140mg/m2〜200mg/m2、140mg/m2〜180mg/m2、140mg/m2〜160mg/m2、160mg/m2〜240mg/m2、160mg/m2〜220mg/m2、160mg/m2〜200mg/m2、160mg/m2〜180mg/m2、180mg/m2〜240mg/m2、180mg/m2〜220mg/m2、180mg/m2〜200mg/m2、200mg/m2〜220mg/m2もしくは200mg/m2〜240mg/m2の間、または約80mg/m2〜240mg/m2、80mg/m2〜220mg/m2、80mg/m2〜200mg/m2、80mg/m2〜180mg/m2、80mg/m2〜160mg/m2、80mg/m2〜140mg/m2、80mg/m2〜120mg/m2、80mg/m2〜100mg/m2、100mg/m2〜240mg/m2、100mg/m2〜220mg/m2、100mg/m2〜200mg/m2、100mg/m2〜180mg/m2、100mg/m2〜160mg/m2、100mg/m2〜140mg/m2、100mg/m2〜120mg/m2、120mg/m2〜240mg/m2、120mg/m2〜220mg/m2、120mg/m2〜200mg/m2、120mg/m2〜180mg/m2、120mg/m2〜160mg/m2,120mg/m2〜140mg/m2、140mg/m2〜240mg/m2、140mg/m2〜220mg/m2、140mg/m2〜200mg/m2、140mg/m2〜180mg/m2、140mg/m2〜160mg/m2、160mg/m2〜240mg/m2、160mg/m2〜220mg/m2、160mg/m2〜200mg/m2、160mg/m2〜180mg/m2、180mg/m2〜240mg/m2、180mg/m2〜220mg/m2、180mg/m2〜200mg/m2、200mg/m2〜220mg/m2もしくは200mg/m2〜240mg/m2の間である。
一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、12mg/kg未満、10mg/kg未満、8mg/kg未満、6mg/kg未満、4mg/kg未満、2mg/kg未満または1mg/kg未満である。一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、1mg/kg〜12mg/kg、2mg/kg〜10mg/kg、2mg/kg〜6mg/kgもしくは2mg/kg〜4mg/kgの間、または約1mg/kg〜12mg/kg、2mg/kg〜10mg/kg、2mg/kg〜6mg/kgもしくは2mg/kg〜4mg/kgの間である。一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、2.0mg/kg〜6.5mg/kg、2.0mg/kg〜6.0mg/kg、2.0mg/kg〜5.0mg/kg、2.0mg/kg〜4.0mg/kg、2.0mg/kg〜3.0mg/kg、3.0mg/kg〜6.5mg/kg、3.0mg/kg〜6.0mg/kg、3.0mg/kg〜5.0mg.kg、3.0mg/kg〜4.0mg/kg、4.0mg/kg〜6.5mg/kg、4.0mg/kg〜6.0mg/kg、4.0mg/kg〜5.0mg/kg、5.0mg/kg〜6.5mg/kg、5.0mg/kg〜6.0mg/kgおよび6.0mg/kg〜6.5mg/kgの間、または約2.0mg/kg〜6.5mg/kg、2.0mg/kg〜6.0mg/kg、2.0mg/kg〜5.0mg/kg、2.0mg/kg〜4.0mg/kg、2.0mg/kg〜3.0mg/kg、3.0mg/kg〜6.5mg/kg、3.0mg/kg〜6.0mg/kg、3.0mg/kg〜5.0mg.kg、3.0mg/kg〜4.0mg/kg、4.0mg/kg〜6.5mg/kg、4.0mg/kg〜6.0mg/kg、4.0mg/kg〜5.0mg/kg、5.0mg/kg〜6.5mg/kg、5.0mg/kg〜6.0mg/kgおよび6.0mg/kg〜6.5mg/kgの間である。
一部の態様において、治療有効量は、約75mg〜500mg、75mg〜400mg、75mg〜400mg、75mg〜300mg、75mg〜200mg、75mg〜150mg、150mg〜500mg、150mg〜400mg、150mg〜300mg、150mg〜200mg、200mg〜500mg、200mg〜400mg、200mg〜300mg、300mg〜500mg、300mg〜400mgまたは400mg〜500mgの間である。
一部の態様において、二重コンジュゲートの治療有効用量は、単回投与量投与のためである。一部の態様において、治療有効用量は、一回のみの注射または一回のみの注入として、投与量スケジュールまたはサイクルで投与され、例えば、投与量スケジュールまたはサイクル中に1回だけ投与される。例えば、投薬スケジュールまたはサイクルにおいて、二重コンジュゲートの後続用量が投与されることはない。一部の態様において、投薬スケジュールを繰り返すことができる。一部の態様において、繰り返しの用量、例えば繰り返しの単回用量は、第一の用量が対象からクリアランスされた時点(いくつかの場合では、二重コンジュゲートの全身曝露が検出不可能である時点である)に投与される。したがって、一部の態様において、二重コンジュゲートの投薬は、二重コンジュゲートの連続全身曝露を達成するために投与されることはなく、これは、連続全身曝露を維持するために投薬スケジュールまたはサイクルでの繰り返し投薬が必要である多くの現行の治療法(抗体治療を含む)とは異なる。一部の態様において、投薬スケジュールまたはサイクルは、1週間に1回、2週間毎に、1か月に1回、1年に2回、1年に1回、または必要に応じてより少ない頻度で繰り返される。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートまたは組成物を用いるための方法のいずれかにおいて、投薬スケジュールは、二重コンジュゲートでの先行処置の後に残留病変が残っている場合、繰り返される。一部の態様において、本方法は、対象を残留病変の存在について評価する工程、および、残留病変が残っている場合、投薬スケジュールを繰り返す工程を追加的に含む。一部の態様において、投薬スケジュールは、二重コンジュゲートの事前投与開始の、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年超後、または約1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後、または1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後である時点に残留病変が残っている場合、繰り返される。一部の態様において、投薬スケジュールは、二重コンジュゲートの事前投与開始の4週間後または約4週間後に残留病変が残っている場合、繰り返される。
当業者であれば、例えば特定の薬剤に依存して、より高いまたはより低い投与量の二重コンジュゲートも使用することができると認識されよう。一部の態様において、投与量、例えば一日投与量は、1または複数の分割用量、例えば2、3、もしくは4用量で、または単一製剤で投与される。二重コンジュゲートを、単独で、薬学的に許容される担体の存在下で、または免疫調節剤、抗がん剤もしくは他の抗悪性腫瘍剤のような他の治療薬の存在下で投与することができる。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、処置される臓器または組織に全身または局所のいずれかで投与され得る。例示的な投与経路は、限定されることなく、局部、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、および静脈内)、経口、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、膣内および吸入経路を含む。一部の態様において、二重コンジュゲートは、静脈内投与される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、非経口投与される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、腸内投与される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、局所注射によって投与される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、局部適用として投与される。
いくつかの局面において、提供される二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含む組成物を、当技術分野において公知の任意の方法を使用して、例えば、腫瘍、例えばがんを有する対象、または腫瘍が例えば外科手術を介して以前に除去された対象に、局所または全身に投与することができる。具体例が提供されているが、当業者であれば、開示される薬剤の代替的な投与法を使用することができると理解されよう。このような方法は、例えば、処置を必要とする対象への数時間〜数日間にわたる連続注入を提供するカテーテルまたは埋め込みポンプの使用を含み得る。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、腫瘍への直接注射または注入、例えば腫瘍内を含む、非経口手段によって投与される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、薬剤を腫瘍に適用することによって、例えば、薬剤、例えば二重コンジュゲートを含有する溶液に腫瘍を浸すことによって、または薬剤を腫瘍に注ぐことによって、腫瘍に投与される。
追加的に、または代替的に、開示される組成物を、腫瘍、例えばがんを有する対象に、全身に、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、皮下、または経口的に投与することができる。
対象に投与される二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含む組成物の投与量は、絶対限界まで供されることはないが、組成物およびその活性成分の性質ならびにその不要な副作用、例えば薬剤に対する免疫応答、処置されている対象、ならびに処置されている病態のタイプおよび投与の様式に依存するだろう。一般に、用量は、治療有効量、例えば所望の生物学的効果を達成するのに十分な量、例えば、腫瘍のサイズ、例えば体積および/もしくは重量を減少させるのに、または腫瘍のさらなる成長を減弱させるのに、または腫瘍の望ましくない症状を減少させるのに有効な量であろう。
一部の態様において、薬剤、例えば二重コンジュゲートの投与に使用される組成物は、有効量の薬剤を、企図される投与のタイプに適する従来の薬学的担体および賦形剤と合わせて含有する。例えば、一部の態様において、非経口製剤は、二重コンジュゲートの滅菌水溶液または懸濁液を含みうる。一部の態様において、腸内投与用の組成物は、有効量の二重コンジュゲートを、緩衝剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、および香味剤を任意で含み得る水溶液または懸濁液中に含有し得る。
治療用物質の十分な全身利用可能性を確保するための、照射を実施する前の特定の治療用物質、例えば、免疫調節物質または抗がん物質を含む二重コンジュゲートの投与の適切な用量を決定することは、当業者が備えている技能の範囲内である。例えば、一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートにおける成分の適切な比および対応する用量を決定することができる。多くの場合、特定の治療用物質、例えば、免疫調節物質または抗がん物質の薬物動態は、当技術分野において公知であり、投与のための二重コンジュゲートの適切な用量を決定する際に考慮され得る。いくつかの場合では、投与に続いて、このようなパラメーターを最大(ピーク)血漿濃度(Cmax)、ピーク時間(すなわち、最大血漿濃度が生じるとき;Tmax)、最小血漿濃度(すなわち、作用物質の用量間の最小血漿濃度;Cmin)、消失半減期(T1/2)および曲線下面積(すなわち、時間対作用物質の血漿濃度をプロットすることによって作成される曲線下面積;AUC)として測定することによって、薬物動態を評価することができる。血液の試料中の作用物質の濃度を評価するのに適した当技術分野において公知の任意の方法を使用して、投与、例えば、皮下投与に続く血漿中の特定の作用物質、例えば、二重コンジュゲートおよび/または治療用物質の濃度を測定することができる。例えば、免疫測定法、例えばELISA、またはクロマトグラフィー/質量分光分析法に基づくアッセイを使用することができる。
C. 光免疫療法
一部の態様において、病変を処置する方法であって、治療有効量の本明細書に提供される二重コンジュゲートのいずれか、または本明細書に提供される二重コンジュゲートを含有する組成物もしくはキットを投与する工程、および光免疫療法(PIT)を達成するための病変への照射工程を含む方法が提供される。また、二重コンジュゲートまたは組成物の投与に続くPITを達成するための照射を含む、二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含有する組成物もしくはキットの、処置の方法、投与の方法、および使用、例えば、処置または治療または医薬の製造における使用が提供される。PITは、二重コンジュゲートを含有する組成物の投与とそれに続く照射を含む。一部の態様において、本明細書に提供される方法は、腫瘍を照射する工程を含む。
一部の態様において、細胞を二重コンジュゲートと接触させた後、細胞が照射される。照射する方法は、当技術分野において公知である。典型的には細胞表面分子を発現する細胞だけがターゲティング分子によって認識されるので、一般にそのような細胞だけが、該タンパク質に結合する十分な量の二重コンジュゲートを有するだろう。照射は、二重コンジュゲートが結合している細胞のみを殺滅し、一般に他の細胞は殺滅し得ないので、望ましくない副作用、例えば正常細胞の殺滅の可能性を減少させ得る。
一部の態様において、細胞は、インビボで照射され、例えば二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含む組成物が以前に投与された対象に照射される。一部の態様において、対象に照射されるが、例えば対象における腫瘍を照射することができる。
一部の態様において、照射は、二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含む組成物の投与後に達成される。一部の態様において、照射または照明は、二重コンジュゲートを投与した後30分〜96時間の間または約30分〜96時間の間、例えば30分〜48時間、30分〜24時間または12時間〜48時間の間、例えば一般に二重コンジュゲートを投与した少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間後もしくはそれ以上後に行われるかまたは達成される。例えば、照射を、二重コンジュゲートを投与した約24時間後以内に実施することができる。一部の態様において、照射は、二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含む組成物の投与と同時またはほぼ同時に達成される。一部の態様において、腫瘍を照射または照明する6時間超前に、ターゲティング分子を含み腫瘍と会合する二重コンジュゲートが対象に投与されている。一部の態様において、二重コンジュゲートは、対象に、腫瘍を照射または照明する12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前、または約12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前に事前投与されている。
一部の態様において、細胞、例えば腫瘍は、400nm〜約900nmもしくは約400nm〜約900nm、例えば500nm〜約900nmもしくは約500nm〜約900nm、例えば600nm〜約850nmもしくは約600nm〜約850nm、例えば600nm〜約740nmもしくは約600nm〜約740nm、例えば約660nm〜約740nm、約660nm〜約710nm、約660nm〜約700nm、約670nm〜約690nm、約680nm〜約740nm、または約690nm〜約710nmの範囲内の波長の治療用量の放射線で照射される。一部の態様において、細胞、例えば腫瘍は、600nm〜850nm、例えば660nm〜740nmの波長の治療用量の放射線で照射される。一部の態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nmもしくは740nm、または約少なくとも600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nmもしくは740nm、例えば690±50nm、例えば約680nmの波長で照射される。
一部の態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも1J cm-2、例えば少なくとも10J cm-2、少なくとも30J cm-2、少なくとも50J cm-2、少なくとも100J cm-2、または少なくとも500J cm-2の線量で照射される。一部の態様において、照射の線量は、1〜約1000もしくは約1〜約1000J cm-2、約1〜約500J cm-2、約5〜約200J cm-2、約10〜約100J cm-2、または約10〜約50J cm-2である。一部の態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2、または少なくとも約2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2の線量で照射される。
一部の態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも1J/ファイバ長cm、例えば少なくとも10J/ファイバ長cm、少なくとも50J/ファイバ長cm、少なくとも100J/ファイバ長cm、少なくとも250J/ファイバ長cm、または少なくとも500J/ファイバ長cmの線量で照射また照明される。一部の態様において、照射の線量は、1〜約1000もしくは約1〜約1000J/ファイバ長cm、約1〜約500J/ファイバ長cm、約2〜約500J/ファイバ長cm、約50〜約300J/ファイバ長cm、約10〜約100J/ファイバ長cm、または約10〜約50J/ファイバ長cmである。一部の態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量で照射される。
一部の態様において、ヒト対象における照射または照明の線量は、1〜約400J cm-2もしくは約1〜約400J cm-2、約2〜約400J cm-2、約1〜約300J cm-2、約10〜約100J cm-2、または約10〜約50J cm-2であり、例えば、少なくとも10J cm-2もしくは少なくとも約10J cm-2であるか、または10J cm-2または10J cm-2以内もしくは約10J cm-2以内であるか、または10J cm-2であるか、または約10J cm-2、少なくとも30J cm-2、少なくとも50J cm-2、少なくとも100J cm-2である。一部の態様において、ヒト対象における照射の線量は、1〜300J/ファイバ長cmもしくは約1〜300J/ファイバ長cm、10〜100J/ファイバ長cmもしくは約10〜100J/ファイバ長cm、または10〜50J/ファイバ長cmもしくは約10〜50J/ファイバ長cmであり、例えば、少なくとも10J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約10J/ファイバ長cmであるか、または10J/ファイバ長cmまたは10J/ファイバ長cm以内もしくは約10J/ファイバ長cm以内であるか、または10J/ファイバ長cmであるか、または約10J/ファイバ長cm、少なくとも30J/ファイバ長cm、少なくとも50J/ファイバ長cm、少なくとも100J/ファイバ長cmである。いくつかの場合では、PITを達成するヒト対象における照射の線量は、マウスにおけるPITに必要である線量未満であることができることが見いだされる。例えば、いくつかの場合では、インビボ腫瘍マウスモデルにおける光線量測定値50J/cm2(50J cm-2)はPITに有効ではなく、これは、本発明者らがヒト患者での臨床において観察できたものとは対照的である。
一部の態様において、二重コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射の線量は、660〜740nmの波長で少なくとも1J cm-2もしくは1J/ファイバ長cm、例えば、660〜740nmの波長で少なくとも10J cm-2もしくは10J/ファイバ長cm、660〜740nmの波長で少なくとも50J cm-2もしくは50J/ファイバ長cm、または660〜740nmの波長で少なくとも100J cm-2もしくは100J/ファイバ長cm、例えば660〜740nmの波長で1.0〜500J cm-2もしくは1.0〜500J/ファイバ長cmである。一部の態様において、波長は、660〜710nmである。一部の態様において、二重コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射の線量は、680nmの波長で少なくとも1.0J cm-2もしくは1J/ファイバ長cm、例えば、680nmの波長で少なくとも10J cm-2もしくは10J/ファイバ長cm、680nmの波長で少なくとも50J cm-2もしくは50J/ファイバ長cm、または680nmの波長で少なくとも100J cm-2もしくは100J/ファイバ長cm、例えば680nmの波長で1.0〜500J cm-2もしくは1.0〜500J/ファイバ長cmである。一部の態様において、複数回の照射、例えば少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4回の照射、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10回の別個の投与が実施される。本明細書に提供される二重コンジュゲートまたは組成物の投与後の例示的な照射は、腫瘍に、660nm〜740nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む。
一部の態様において、光またはレーザーが、色素分子、例えば二重コンジュゲートを含む細胞に、約5秒間〜約5分間適用され得る。例えば、一部の態様において、光またはレーザーは、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55秒間、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55秒間、または2つのこのような値の間の範囲内で適用されて、色素分子を活性化する。一部の態様において、光またはレーザーは、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5もしくは5分間、または約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5もしくは5分間、またはより長く、またはこのような値のいずれか2つの間の範囲内で適用される。一部の態様において、光またはレーザーが適用される時間の長さは、例えば、光またはレーザーのエネルギー、例えばワット数に依存して変化することができる。例えば、色素分子を活性化させるために、より低いワット数の光またはレーザーがより長時間適用され得る。
一部の態様において、二重コンジュゲートを投与した約30分〜約48時間後に光またはレーザーが適用され得る。例えば、一部の態様において、光またはレーザーは、二重コンジュゲートを投与した30、35、40、45、50もしくは55分後または約30、35、40、45、50もしくは55分後、またはこのような値のいずれか2つの間の範囲内で適用される。一部の態様において、光またはレーザーは、二重コンジュゲートを投与した1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24時間後、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24時間後に適用されるか、または、このような値のいずれか2つの間もしくはこのような値の約いずれか2つの間の範囲内で投与される。一部の態様において、光またはレーザーは、1〜24時間の間もしくは約1〜24時間の間、例えば1〜12時間もしくは約1〜12時間、12〜24時間もしくは約12〜24時間、6〜12時間もしくは約6〜12時間の間に適用されるか、または、二重コンジュゲートの投与の24時間超後に投与され得る。一部の態様において、光またはレーザーは、二重コンジュゲートを投与した36または48時間後に投与される。
一部の態様において、細胞、または対象に、1回または複数回数、照射することができる。したがって、照射は、1日で完了しても、同じまたは異なる投与量で数日間繰り返し、例えば、少なくとも2回の別の、3回の別の、4回の別の、5回の別のまたは10回の別の、照射を行ってもよい。一部の態様において、繰り返し照射は、同日、連日、または1〜3日毎、3〜7日毎、1〜2週間毎、2〜4週間毎、1〜2か月毎、またはさらに長い間隔で行いうる。
一部の態様において、照射の線量または方法は、腫瘍のタイプまたは形態学に依存して異なる。
一部の態様において、病変は、表在性腫瘍である腫瘍である。一部の態様において、腫瘍は、10mm未満の厚さである。一部の態様において、照射は、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる。一部の態様において、光照射線量は、5J/cm2〜約200J/cm2または約5J/cm2〜約200J/cm2である。
一部の態様において、提供される方法は、対象における表在性腫瘍に、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを用いて5J/cm2〜約200J/cm2または約5J/cm2〜約200J/cm2の光線量で照射する工程であって、腫瘍の細胞表面分子に結合されたターゲティング分子を含む光毒性剤と腫瘍が会合する、工程を含む。一部の態様において、光照射線量は、50J/cm2または約50J/cm2である。
一部の態様において、病変は、間質性腫瘍である腫瘍である。一部の態様において、腫瘍は、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である。一部の態様において、照射は、ディフューザー長0.5cm〜10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して行われる。一部の態様において、光照射線量は、20J/ファイバ長cm〜約500J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cm〜約500J/ファイバ長cmである。
一部の態様において、提供される方法は、対象における間質性腫瘍に、ディフューザー長0.5cm〜10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを用いて100J/cmもしくは約100J/ファイバ長cmの光線量でまたは400mW/cmもしくは約400mW/cmのフルエンス率で照射する工程であって、腫瘍の細胞表面分子に結合されたターゲティング分子を含む光毒性剤と腫瘍が会合する、工程を含む。一部の態様において、腫瘍は、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である。一部の態様において、円筒形拡散ファイバは、腫瘍中に1.8±0.2cm離れて位置付けられたカテーテル内に置かれる。一部の態様において、カテーテルは、光学的に透明である。
D. 追加の治療
一部の態様において、追加の治療を対象に投与することができる。一部の態様において、追加の治療は、追加の治療用物質または抗がん処置である。一部の態様において、抗がん処置は、放射線療法を含む。一部の態様において、追加の治療は、本明細書に提供される二重コンジュゲート中にターゲティング分子がコンジュゲートされないバージョン、および/または本明細書に提供される二重コンジュゲート中に治療用物質がコンジュゲートされないバージョンである。一部の態様において、追加の治療は、異なる治療、例えば、放射線療法もしくは外科手術、または二重コンジュゲートの成分と異なる治療薬の投与である。
一部の態様において、照射の前に、対象は、本明細書に記載の通りの1つまたは複数の他の治療を受けることができる。いくつかの場合では、1つまたは複数の他の治療を、二重コンジュゲートの投与の前、その間またはその後に投与することができる。一部の態様において、追加の治療用物質を、二重コンジュゲートの投与の間またはそれと同時に投与することができる。一部の態様において、追加の治療用物質を、二重コンジュゲートの投与後またはそれに続いて投与することができる。例えば、一部の態様において、二重コンジュゲートが、1つまたは複数の他の治療の前に投与され、そして、二重コンジュゲートおよび1つまたは複数の他の治療が各々、腫瘍を照射する前に投与される。一部の態様において、二重コンジュゲートが、1つまたは複数の他の治療に続いて投与され、そして、二重コンジュゲートおよび1つまたは複数の他の治療が各々、腫瘍を照射する前に投与される。一部の態様において、照射は、追加の治療薬および二重コンジュゲートの投与後に行われる。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、追加の治療の投与の前、それと同時にまたはそれに続いて投与される。一部の態様において、二重コンジュゲートは、追加の治療を投与した後であるが光免疫療法(PIT)を達成するための腫瘍への照射前に投与される。一部の態様において、追加の治療は、腫瘍を照射する(約)30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間または1ヶ月以上前に投与される。一部の態様において、照射時またはその後、対象は、1つまたは複数の追加の治療を受けることができる。いくつかの場合では、したがって、1つまたは複数の追加の治療はまた、二重コンジュゲートの投与後に投与される。一部の態様において、追加の治療は、照射の(約)0〜24時間以内、例えば、照射の(約)5分、10分、30分、1時間、2時間、6時間、12時間または24時間以内に投与される。
一部の態様において、投与されるその他のもしくは追加の薬剤(1つまたは複数)は、コンジュゲートされていないターゲティング分子またはコンジュゲートされていない治療用物質である。一部の態様において、コンジュゲートされていないターゲティング分子は、二重コンジュゲートのターゲティング分子または治療用物質と同じまたは実質的に同じターゲティング分子である。例えば、一部の態様において、二重コンジュゲートの投与の前、タンパク質または抗原を標的とするターゲティング分子、例えば、コンジュゲートされていない抗体が対象に投与される。一部の態様において、ターゲティング分子は、二重コンジュゲートの投与の96時間前までに投与される。一部の態様において、ターゲティング分子は、10mg/m2〜約500mg/m2または約10mg/m2〜約500mg/m2の範囲内の用量で投与される。例えば、ターゲティング分子は、セツキシマブであり、セツキシマブは、二重コンジュゲートの投与の96時間前までに対象に投与される。
E. 例示的な特徴
一部の態様において、提供される二重コンジュゲートを用いた処置方法による所望の処置応答は、腫瘍またはがんなどの病変と関連する1つまたは複数の症状を低減または阻害することである。一部の態様において、組成物が有効であるために、1つまたは複数の症状が完全に排除されなければならないということはない。
例えば、二重コンジュゲートを含有する組成物の投与とそれに続く照射は、腫瘍のサイズ、例えば腫瘍の体積もしくは重量、または腫瘍の転移を、二重コンジュゲートの非存在下での腫瘍のサイズ、体積、重量、または転移と比較して、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%減少させることができる。一部の態様において、腫瘍サイズ、体積、重量または転移の差は、処置の少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、または少なくとも120日後に明らかとなる。一部の態様において、腫瘍サイズおよび体積を、ラジオグラフィー、超音波イメージング、ネクロプシーによって、キャリパーの使用によって、マイクロCTによってまたは18F-FDG-PETによってモニタリングできる。腫瘍サイズはまた、目視によって評価することもできる。特定の例では、キャリパーを使用して腫瘍サイズ(直径)を直接測定することができる。
一部の態様において、本明細書の方法に従う、提供される二重コンジュゲートおよびPIT(例えば、抗体-IR700-治療用物質/PIT)を用いた治療は、ターゲティング分子単独、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート/PIT単独、または治療用物質単独のいずれかで処置された場合にあるであろう腫瘍サイズ、体積、重量または転移よりも小さい、腫瘍サイズ、体積、重量または転移をもたらすことができ、すなわち、相乗効果がある。例えば、本明細書に提供される二重コンジュゲートでの治療は、腫瘍のサイズ、例えば腫瘍の体積もしくは重量、または腫瘍の転移を、ターゲティング分子による単剤療法を包含する治療法、対応するフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物とそれに続く照射を用いたPITによる単剤療法を包含する治療法、または免疫調節剤もしくは抗がん剤などの治療用物質を用いた単剤療法を包含する治療法において達成される腫瘍サイズ、体積、重量、または転移と比較して、例えば少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上減少させることができる。
一部の態様において、提供される方法による所望の処置応答は、二重コンジュゲートおよび照射の非存在下での細胞殺滅と比較して、細胞の集団を所望の量だけ殺滅すること、例えば、細胞の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%を殺滅することである。一部の態様において、腫瘍細胞殺滅の差は、処置の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日または少なくとも30日後に明らかとなる。一部の態様において、処置に続いて細胞の壊死および/またはアポトーシス(例えば、生検試料由来)を測定するために採用できる細胞傷害性/細胞生存性アッセイ、例えばMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイおよび他の関連テトラゾリウム塩系のアッセイ(例えば、XTT、MTSまたはWST)、ATPアッセイ、アポトーシスアッセイ(例えば、標識アネキシンVを使用する)、例えば感染細胞のTUNEL染色、DNA断片化アッセイ、DNAラダリングアッセイ、ならびにシトクロムC放出アッセイを非限定的に含む、当技術分野において公知の様々な技術によって、細胞殺滅活性を評価することができる。いくつかの場合では、ポジトロン断層法(PET)(FDG-PETを含む)、単一光子放射CT(SPECT)、拡散強調イメージング(DWI)、動的磁化率加重コントラスト強調(dynamic susceptibility-weighted contrast-enhanced)(DSC)MRイメージングまたは動的コントラスト強調(DCE)MRイメージング、CT灌流法、磁気共鳴分光法(MRS)のようなイメージング法を使用することができる。このようなアッセイおよび方法は、当業者に周知である。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび使用方法は、腫瘍細胞の殺滅を、ターゲティング分子による単剤療法を包含する治療法、対応するフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物とそれに続く照射を用いたPITによる単剤療法を包含する治療法、または免疫調節剤もしくは抗がん剤などの治療用物質を用いた単剤療法を包含する治療法における細胞殺滅と比較して、例えば少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上増加させることができる。
一部の態様において、所望の応答は、腫瘍を有する患者、または最近腫瘍が除去された患者の生存時間を所望の量だけ増加させること、例えば、二重コンジュゲートおよび照射の非存在下での生存時間と比較して、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%生存を増加させることである。一部の態様において、増加した生存は、中央無増悪生存期間、応答期間、全生存中央値または他の生存関連臨床エンドポイントの中の1つまたは複数の生存指標の増加によって明らかとなる。一部の態様において、生存の差は、処置の少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも6か月、少なくとも12か月、少なくとも24か月、もしくは少なくとも5年またはそれ以上後に明らかとなる。一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび使用の方法は、中央無増悪生存期間、応答期間、全生存中央値または他の生存関連臨床エンドポイントを、ターゲティング分子による単剤療法を包含する治療法、対応するフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物とそれに続く照射を用いたPITによる単剤療法を包含する治療法、または免疫調節剤もしくは抗がん剤などの治療用物質を用いた単剤療法を包含する治療法で対象が処置された場合と比較して、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、もしくは少なくとも5年またはそれ以上増加させる。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび使用方法は、処置される対象の生存期間を、ターゲティング分子を用いた単剤療法、対応するフタロシアニン色素−ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物とそれに続く照射によるPITを用いた単剤療法、または治療用物質、例えば、免疫調節物質もしくは抗がん物質を用いた単剤療法を受けた対象における生存期間と比較して、例えば、少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはより長く増加させることができる。一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび使用方法は、ターゲティング分子を用いた単剤療法、対応するフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物とそれに続く照射によるPITを用いた単剤療法、または治療用物質、例えば、免疫調節物質もしくは抗がん物質を用いた単剤療法のいずれかで処置された場合と比較して、中央無増悪生存期間、応答期間、全生存中央値または他の生存関連臨床エンドポイントを、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月もしくは少なくとも5年またはより長く増加させる。
一局面において、処置に対する応答は、国立癌研究所による腫瘍応答の評価に対して推奨されるガイドラインである、固形腫瘍効果判定基準(RECIST)を利用して特徴付けられる(Therasse et al., (2000) J. Natl. Cancer Inst. 92:205-216を参照のこと)。一部の態様において、改訂版1.1ガイドラインに概説される通りのRECIST判定基準を使用して治療に対する応答について患者を評価することができる(RECIST 1.1、Eisenhauer et al.(2009) European Journal of Cancer, 45:228-247を参照のこと)。他覚状態の判定基準が固形腫瘍応答を評価するプロトコルに必要である。代表的な判定基準は、以下を含む:(1)全ての測定可能な疾患の完全な消失;新規病変なし;疾患関連症状なし;測定不可能な疾患の証拠なしとして定義される、完全奏効(CR);(2)標的病変(例えば、腫瘍)の最長直径の合計の30%減少として定義される、部分奏効(PR);(3)標的病変の最長直径の合計の20%増加または任意の新規病変の出現として定義される、進行性疾患(PD);(4)CR、PRまたはPDを満たさないとして定義される、安定または応答なし(上記Therasse等を参照のこと)。
一局面において、処置に対する応答は、Choi et al., (2007) J Clin Oncol. 25:1753-1759に記載されているような、コンピュータ断層撮影(CT)に基づくChoi応答判定基準を利用して特徴付けられる。Choi判定基準は、CTによってハンスフィールド単位(HU)で測定されるような腫瘍密度を使用する一方で、RECIST判定基準は、一次元腫瘍サイズ(例えば、標的病変の最長直径の合計)を使用する。CTにおける減少した腫瘍密度は、腫瘍壊死の発生と相関している。一次元腫瘍サイズの実質的な減少なく腫瘍壊死を引き起こすある特定の治療について、RECIST判定基準は、応答を過小評価する可能性がある。したがって、腫瘍壊死を主にもたらす治療について、応答を測定するのにChoi判定基準が使用され得る(van der Veldt et al., (2010) Brit J Cancer 102:803-809; Weng et al., (2013) Oncol Letters 6:1707-1712も参照のこと)。他覚状態の判定基準が固形腫瘍応答を評価するプロトコルに必要である。代表的な判定基準は、以下を含む:(1)全ての標的病変の消失および新規病変なしとして定義される、完全奏効(CR);(2)CTでの腫瘍サイズの≧10%の減少または腫瘍密度(ハンスフィールド単位(HU))の≧15%の減少、新規病変なしおよび測定不可能な疾患の明らかな進行なしとして定義される、部分奏効(PR);(3)腫瘍サイズの≧10%の増加、および腫瘍密度(HU)によるPR判定基準を満たさない、または新規病変もしくは新規腫瘍内小結節または既存の腫瘍内小結節のサイズの増加として定義される、進行性疾患(PD);ならびに(4)CR、PRまたはPDを満たさないおよび腫瘍進行に起因する病態悪化なしとして定義される、安定または応答なし。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートの投与および該方法に従う使用は、投与および照射前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の2週間または1ヶ月以内に少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはより多くの腫瘍のサイズまたは体積の低減を達成する。
一部の態様において、CRまたはPR奏効が観察される対象の割合である、客観的奏効率(ORR)を決定することができる。ORRは、腫瘍学臨床試験における処置に対する腫瘍の応答を測定するために一般的に使用されている。
一部の態様において、処置される対象の集団において、本明細書に提供される二重コンジュゲートの投与および該方法に従う使用は、コンジュゲートされてないターゲティング分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)、コンジュゲートされてない治療用物質、または対応するフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物によるPITを用いた単剤療法で処置された同状況の対象の集団と比較して、障害またはがんに関連するパラメーターの改善をもたらし、パラメーターは、以下の1つまたは複数から選択される:a)客観的奏効率(ORR);b)無進行生存率(PFS);c)全生存率(OS);d)毒性の低減;e)腫瘍応答;またはf)クオリティ・オブ・ライフ。一部の態様において、パラメーターは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはより多く改善される。
一部の態様において、処置された対象の集団では、本明細書に提供される方法に従う二重コンジュゲートの投与および使用は、処置された対象の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%のPRをもたらす。一部の態様では、処置された対象の集団において、提供される方法に従う二重コンジュゲートの投与は、処置された対象の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%のCRをもたらす。
一部の態様において、処置された対象の集団では、本明細書に提供される方法に従う二重コンジュゲートの投与および使用は、約13%超、例えば約15%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約95%超、または約99%超であるORRをもたらす。
一部の態様において、本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび使用の方法、例えば免疫調節剤を含む二重コンジュゲートを使用して、がん患者において免疫応答を刺激することができる。典型的には、免疫応答は、以下のインビボまたはインビトロ決定を非限定的に含む様々な周知のパラメーターのいずれかによって検出され得る:可溶性免疫グロブリンもしくは抗体;可溶性メディエーター、例えばサイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、ホルモン、成長因子など、ならびに他の可溶性低分子ペプチド、炭水化物、ヌクレオチドおよび/または脂質メディエーター;免疫系の細胞の機能性もしくは構造特性の変化によって決定された場合の細胞の活性化状態の変化、例えば細胞増殖、運動性の変化、特別な活性(例えば特定の遺伝子発現もしくは細胞溶解性挙動)の誘導;表面抗原発現プロファイルの変化もしくはアポトーシス(プログラム細胞死)の発生を含む、免疫系の細胞による細胞分化;細胞傷害性T細胞、活性化マクロファージもしくはナチュラルキラー細胞の増加;または免疫応答の存在が検出され得る任意の他の基準。
これらのおよび同様のアッセイを実施するための手順は、広く知られており、かつ、例えば、Lefkovits(Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, 1998;また、Current Protocols in Immunologyも参照のこと;また、例えば、Weir, Handbook of Experimental Immunology, 1986 Blackwell Scientific, Boston, Mass.; Mishell and Shigii (eds.) Selected Methods in Cellular Immunology, 1979 Freeman Publishing, San Francisco, Calif.; Green and Reed, 1998 Science 281:1309およびそこに引用される参考文献も参照のこと)に見いだされ得る。
腫瘍反応性T細胞の増殖の検出は、様々な公知の技術によって成し遂げられ得る。例えば、DNA合成の速度を測定することによってT細胞増殖を検出することができ、腫瘍反応性T細胞候補が曝露される刺激(例えば、特異的な所望の腫瘍-または制御抗原-パルス抗原提示細胞)を制御することによって腫瘍特異性を決定することができる。増幅するよう刺激されたT細胞は、DNA合成速度の増加を示す。DNA合成速度を測定する典型的な方法は、例えば、T細胞の培養物を三重水素チミジン(新規に合成されたDNAに組み込まれるヌクレオシド前駆体)でパルス標識することによる方法である。液体シンチレーション分光光度計を使用して組み込まれた三重水素チミジンの量を決定することができる。T細胞増殖を検出する他の方法は、インターロイキン-2(IL-2)産生、Ca2+フラックス、または3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムのような色素の取り込みの増加を測定することを含む。あるいは、リンホカイン(例えばインターフェロン-ガンマ)の合成を測定することもでき、特定の抗原に応答できるT細胞の相対数を定量化してもよい。
抗体産生(例えば、腫瘍特異的抗体産生)の検出を、例えば、本発明に係る組成物で処置された宿主由来の試料(例えば、血清、血漿または血液などの免疫グロブリン含有試料)を放射線免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、平衡透析または固相免疫ブロット法(ウェスタンブロット法を含む)のようなインビトロ法を使用してアッセイすることによって達成してよい。好ましい態様において、ELISAアッセイは、例えばアッセイの感度を増強させるため、抗原に特異的な固相モノクローナル抗体での標的腫瘍抗原の腫瘍抗原捕捉固定化をさらに含み得る。また、可溶性メディエーター(例えば、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、プロスタグランジンなど)の生成を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、例えば、商業的供給源から容易に入手可能な方法、装置および試薬を使用して容易に決定しうる(例えば、Sigma, St. Louis, Mo.; R & D Systems 2006 Catalog, R & D Systems, Minneapolis, Minnも参照のこと)。
当技術分野において周知のルーチンアッセイを使用して任意の数の他の免疫学的パラメーターをモニタリングしてよい。これらは、例えば、抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)アッセイ、二次インビトロ抗体応答、十分に確立されたマーカー抗原系を使用する種々の末梢血液またはリンパ系単核細胞の亜集団のフロー免疫細胞蛍光分析、免疫組織化学または他の関連アッセイを含み得る。これらのおよび他のアッセイは、例えば、Rose et al. (Eds.), Manual of Clinical Laboratory Immunology, 5th Ed., 1997 American Society of Microbiology, Washington, D.Cに見いだされ得る。
III. 薬学的組成物、キットおよび製造品
フタロシアニン色素、ターゲティング分子および治療用物質を含有する二重コンジュゲートを含有する薬学的組成物が本明細書に提供される。一部の態様において、該組成物を、本明細書に記載の通りPITの方法において使用することができる。一部の態様において、二重コンジュゲートまたは二重コンジュゲートを含有する組成物を、製造品またはキットとしてパッケージングすることができる。
A. 組成物、製剤および投与剤形
一部の態様において、二重コンジュゲート、例えば二重コンジュゲートを、薬学的に許容される緩衝液、例えば、薬学的に許容される担体またはビヒクルを含有する緩衝液中に製剤化することができる。一般に、薬学的に許容される担体またはビヒクル、例えば薬学的に許容される緩衝液中に存在する薬学的に許容される担体またはビヒクルは、当技術分野においていずれも公知であり得る。Remington's Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 19th Edition (1995)は、1種または複数種の治療用化合物の薬学的送達に好適な組成物および製剤を記載している。薬学的に許容される組成物は、一般に、動物およびヒトにおける使用に一般に認められている薬局方に準拠して作成された規制機関または他の機関の承認に照らして調製される。
薬学的組成物は、該化合物と一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルなどの担体を含むことができる。好適な薬学的担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、治療有効量の化合物(一般に、精製形態)を、患者への適切な投与のための形態を提供するように好適な量の担体と一緒に含有するだろう。そのような薬学的担体は、滅菌液、例えば水および油(落花生油、大豆油、鉱油およびゴマ油などの、石油、動物、植物または合成起源のものを含む)であることができる。水は、薬学的組成物が静脈内投与されるときの典型的な担体である。食塩水ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体担体(特定すると注射液剤用の)として利用することができる。組成物は、活性成分と一緒に:希釈剤、例えばラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムまたはカルボキシメチルセルロース;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルク;ならびに結合剤、例えばデンプン、天然ゴム、例えばアカシアゴム、ゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリジン、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドンならびに当業者に公知の他のそのような結合剤を含有することができる。好適な薬学的賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、およびエタノールを含む。組成物はまた、所望であれば、少量の湿潤もしくは乳化剤またはpH緩衝化剤、例えば、酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、および他のそのような薬剤を含有することができる。
一部の態様において、薬学的調製物は、液体形態、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液であることができる。そのような液体調製物を、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または食用硬化脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステルまたは分別植物油);および保存料(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾアートまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加剤を用いて、従来の手段によって調製することができる。いくつかの場合では、薬学的調製物を、水または他の好適なビヒクルで使用前に再構成するための凍結乾燥形態で提示することができる。
一部の態様において、薬学的に許容される緩衝液、または担体の性質は、利用される特定の投与様式に依存する。例えば、一部の態様において、非経口製剤は、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロースまたはグリセロールなどの薬学的にかつ生理学的に許容される流体をビヒクルとして含む注射液を含み得る。一部の態様において、固体組成物、例えば粉剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤形態について、無毒の固体担体は、例えば、薬学等級のマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与されるべき薬学的組成物は、一部の態様において、少量の無毒の補助物質、例えば、湿潤または乳化剤、保存料およびpH緩衝化剤、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有することができる。
該化合物を、好適な薬学的調製物、例えば、経口投与用の液剤、懸濁剤、錠剤、速崩性錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、持続放出製剤またはエリキシル剤、ならびに経皮パッチ調製物および乾燥粉末吸入剤へと製剤化することができる。典型的には、該化合物は、当技術分野において周知の技法および手順を使用して薬学的組成物へと製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, Fourth Edition, 1985, 126を参照のこと)。一般に、製剤化の様式は、投与の経路に依拠する。
組成物を、筋肉内、静脈内、皮内、病巣内、腹腔内注射、皮下、腫瘍内、硬膜外、鼻腔、経口、膣内、直腸、局部、局所、耳、吸入、口腔(例えば、舌下)、および経皮投与または任意の経路を含む、当業者に公知の任意の経路による投与用に製剤化することができる。他の投与様式もまた想定される。投与は、処置の場所に応じて、局所、局部または全身であることができる。処置を必要とする領域への局所投与を、例えば、限定されないが、外科手術中の局所注入、局部適用(例えば、外科手術後の創傷包帯と共に)、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、またはインプラントによって達成することができる。
皮下、筋肉内、腫瘍内、静脈内または皮内のいずれかの注射によって一般に特徴付けられる非経口投与が本明細書において想定される。注射剤を、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体に溶解もしくは懸濁するのに好適な固体形態、またはエマルションのいずれかとして、従来の形態で調製することができる。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールである。加えて、所望であれば、投与されるべき薬学的組成物はまた、pH緩衝化剤、金属イオン塩または他のそのような緩衝剤などの溶媒の形態の活性化剤を含有し得る。薬学的組成物はまた、他の少量の無毒の補助物質、例えば湿潤または乳化剤、pH緩衝化剤、安定剤、溶解性向上剤、ならびに他のそのような薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンなどを含有し得る。一定レベルの投与量が維持されるような遅延放出または持続放出系のインプランテーション(例えば、米国特許第3,710,795号を参照のこと)もまた本明細書において想定される。そのような非経口組成物中に含有される活性化合物のパーセンテージは、その具体的な性質だけでなく、該化合物の活性および対象の必要性にも強く依存する。
注射剤は、局所および全身投与用に設計される。非経口投与用の調製物は、注射用に準備された滅菌液剤、使用直前に溶媒と組み合わせられるべく準備された滅菌乾燥可溶性製品、例えば凍結乾燥粉剤(皮下用錠剤を含む)、注射用に準備された滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わせられるべく準備された滅菌乾燥不溶性製品および滅菌エマルションを含む。液剤は、水性であっても非水性であってもよい。静脈内投与される場合、好適な担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに、増粘および可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物を含有する溶液を含む。
非経口調製物に使用される薬学的に許容される担体は、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁化および分散剤、乳化剤、封鎖またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容される物質を含む。水性ビヒクルの例は、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、等張デキストロース注射、滅菌水注射、デキストロースおよび乳酸リンゲル注射を含む。非水性非経口ビヒクルは、植物起源の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油および落花生油を含む。静細菌または静真菌濃度の抗菌剤を、複数回用量容器内にパッケージングされた非経口調製物に加えることができ、これらは、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤は、塩化ナトリウムおよびデキストロースを含む。緩衝剤は、リン酸塩およびクエン酸塩を含む。
静脈内投与される場合、好適な担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに、増粘および可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物を含有する溶液を含む。
組成物を、単回投与量投与用にまたは複数回投与量投与用に製剤化することができる。作用物質を、直接投与用に製剤化することができる。組成物を、液体または凍結乾燥製剤として提供することができる。組成物が凍結乾燥形態で提供される場合、使用直前に、適切な緩衝液、例えば滅菌食塩水によって、組成物を再構成することができる。
また、組成物を、他の生物学的に活性な作用物質と共に、逐次的に、断続的にまたは同じ組成物中のいずれかで投与することができる。投与はまた、制御放出製剤および制御放出デバイス(ポンプによるなどの)を含む制御放出系を含むことができる。
任意の所与の事例における最も好適な経路は、疾患の性質、疾患の進行、疾患の重症度および使用される特定の組成物などの多種多様な要因に依存する。例えば、組成物は、例えば静脈内投与を介して、全身投与される。また、皮下的方法も利用できるが、静脈内法と比較して同等のバイオアベイラビリティを確保するために吸収時間の延長が必要となり得る。
薬学的組成物を、各投与経路に適した投与剤形で製剤化することができる。薬学的にかつ治療的に活性な化合物およびその誘導体は、典型的には、単位投与剤形または複数投与剤形で製剤化および投与される。各単位用量は、所望の治療効果を生じるのに十分な所定の量の治療的に活性な化合物を、必要な薬学的担体、ビヒクルまたは希釈剤と組み合わせて含有する。単位投与剤形は、好適な量の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を含有する、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤または懸濁剤、および経口液剤または懸濁剤、および油水エマルションを含むが、それらに限定されない。単位用量形態は、含有されたアンプルおよびシリンジ、または個々にパッケージングされた錠剤もしくはカプセル剤であることができる。単位用量形態を、分割してまたはその倍数で投与することができる。複数用量形態は、分離された単位用量形態で投与されるべき単一容器内にパッケージングされた複数の同一の単位投与剤形である。複数用量形態の例は、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトルまたはパイントもしくはガロンのボトルを含む。よって、複数用量形態は、パッケージングにおいて分離されていない複数の単位用量である。一般に、活性成分を0.005%〜100%の範囲で含有しかつ無毒の担体によってバランスが整えられた投与剤形または組成物を調製することができる。薬学的組成物を各投与経路に適した投与剤形で製剤化することができる。
薬学的に活性な化合物の濃度は、注射が所望の薬理効果を生じる有効量を提供するように、調整される。正確な用量は、当技術分野において公知である通り、患者または動物の年齢、体重および状態に依存する。単位用量の非経口調製物は、アンプル、バイアルまたは針付きのシリンジにパッケージングされる。薬学的に活性な化合物を含有する液体溶液または再構成された粉末調製物の容量は、処置されるべき疾患およびパッケージング用に選択された特定の製造品に依拠する。非経口投与用の全ての調製物は、当技術分野において公知でありかつ実践される通り、無菌でなければならない。一部の態様において、組成物を凍結乾燥粉末として提供することができ、これを、溶液、エマルションおよび他の混合物として投与用に再構成することができる。また、これらを固体またはゲルとして再構成および製剤化してもよい。凍結乾燥粉末を上記の溶液のいずれかから調製することができる。
二重コンジュゲートを緩衝溶液に溶解することによって滅菌凍結乾燥粉末を調製することができる。緩衝溶液は、粉末またはその粉末から調製される再構成溶液の他の薬理学的成分の安定性を改善する、賦形剤を含有し得る。
一部の態様において、当業者に公知の標準条件下でのその後の溶液の無菌濾過とそれに続く凍結乾燥は、所望の製剤を提供する。簡潔に述べると、凍結乾燥粉末は、賦形剤、例えばデキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の好適な薬剤を、好適な緩衝液、例えばクエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはカリウムまたは当業者に公知の他のそのような緩衝液に溶解することによって調製される。次いで、選択された酵素を、得られた混合物に加え、それが溶解するまで撹拌する。得られた混合物を、無菌的に濾過または処理して、微粒子を除去および無菌性を確保し、凍結乾燥用のバイアルに分注する。各バイアルは、単回投与量(1mg〜1g、一般に1〜100mg、例えば1〜5mg)または複数回投与量の化合物を含有することができる。凍結乾燥粉末を、約4℃〜室温などの適切な条件下で保存することができる。この凍結乾燥粉末の緩衝溶液での再構成は、非経口投与において使用するための製剤を提供する。その正確な量は、処置される適応症および選択される化合物に依存する。そのような量を実験的に決定することができる。
一部の態様において、組成物のpHは、(約)6〜10の間、例えば(約)6〜8の間、(約)6.9〜7.3の間、例えば約pH7.1である。一部の態様において、薬学的に許容される緩衝液のpHは、少なくとも5もしくは約5、少なくとも6もしくは約6、少なくとも7もしくは約7、少なくとも8もしくは約8、少なくとも9もしくは約9または少なくとも10もしくは約10であるか、または7.1である。
組成物を、単回投与量投与用にまたは複数回投与量投与用に製剤化することができる。作用物質を、直接投与用に製剤化することができる。
一部の態様において、本明細書に提供される組成物は、活性化合物、例えば二重コンジュゲートの直接投与用の量で、(約)0.01mg〜(約)3000mg、(約)0.01mg〜(約)1000mg、(約)0.01mg〜(約)500mg、(約)0.01mg〜(約)100mg、(約)0.01mg〜(約)50mg、(約)0.01mg〜(約)10mg、(約)0.01mg〜(約)1mg、(約)0.01mg〜(約)0.1mg、(約)0.1mg〜(約)2000mg、(約)0.1mg〜(約)1000mg、(約)0.1mg〜(約)500mg、(約)0.1mg〜(約)100mg、(約)0.1mg〜(約)50mg、(約)0.1mg〜(約)10mg、(約)0.1mg〜(約)1mg、(約)1mg〜(約)2000mg、(約)1mg〜(約)1000mg、(約)1mg〜(約)500mg、(約)1mg〜(約)100mg、(約)1mg〜(約)10mg、(約)10mg〜(約)2000mg、(約)10mg〜(約)1000mg、(約)10mg〜(約)500mg、(約)10mg〜(約)100mg、(約)100mg〜(約)2000mg、(約)100mg〜(約)1000mg、(約)100mg〜(約)500mg、(約)500mg〜(約)2000mg、(約)500mg〜(約)1000mg、および(約)1000mg〜(約)3000mgの範囲で製剤化される。一部の態様において、組成物の容量は、0.5mL〜1000mL、例えば、0.5mL〜100mL、0.5mL〜10mL、1mL〜500mL、1mL〜10mL、例えば、少なくともまたは約少なくともまたは約0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mLまたは0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mLまたはそれ以上であることができる。例えば、組成物は、(約)100mg〜500mgの間、または(約)200mg〜400mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化される。一部の態様において、組成物は、(約)500mg〜1500mg、800mg〜1200mgまたは1000mg〜1500mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化される。一部の態様において、組成物の容量は、(約)10mL〜1000mLもしくは50mL〜500mLであるか;または組成物の容量は、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mLもしくは1000mLである。
一部の態様において、製剤のバイアル内容物全体を、投与用に吸引(withdrawn)することも、複数回投与用に複数の投与量に分割することもできる。投与用に薬物の量を吸引した後、製剤を所望であればさらに希釈することができ、例えば、水、食塩水(例えば、0.9%)または他の生理学的溶液中で希釈することができる。
一部の態様において、また、上記のような公知のまたは標準的な製剤化ガイドラインに従って調製することができる、追加または組み合わせ療法のための追加の治療用物質を含有する組成物および組み合わせが提供される。一部の態様において、二重コンジュゲートおよび追加の治療用物質は、別個の組成物として製剤化される。一部の態様において、追加の治療用物質は、二重コンジュゲートとは別個の組成物として提供され、そして、2つの組成物が別個に投与される。組成物を非経口送達用(すなわち、全身送達用)に製剤化することができる。例えば、組成物または組成物の組み合わせは、皮下送達用にまたは静脈内送達用に製剤化される。作用物質、例えば二重コンジュゲートおよび/または追加の治療用物質を異なる投与経路によって投与することができる。
B. パッケージングおよび製造品
また、パッケージング材料と、本明細書に提供されるいずれかの薬学的組成物または組み合わせと、該組成物および組み合わせががんの処置に使用されるべきであることを示すラベルとを含有する製造品が提供される。例示的な製造品は、単一チャンバー容器および二重チャンバー容器を含む容器である。容器は、チューブ、ボトルおよびシリンジを含むが、それらに限定されない。容器は、皮下投与用の針をさらに含むことができる。
一部の態様において、作用物質、例えば、二重コンジュゲートを、製造品としてパッケージングするために別個に提供することができる。一部の態様において、製造品は、本明細書に提供される二重コンジュゲートを含有する薬学的組成物を含有する。
本明細書に提供される製造品は、パッケージング材料を含有する。医薬品のパッケージングにおいて使用するためのパッケージング材料は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号および第5,033,252号(その各々は、その全体が本明細書に組み入れられる)を参照されたい。薬学的パッケージング材料の例は、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、ならびに、選択された製剤ならびに意図する投与および処置の様式に好適な任意のパッケージング材料を含むが、それらに限定されない。パッケージの選択は、作用物質に依存する。一般に、パッケージングは、その中に含有される組成物と非反応性である。
成分を同じまたは異なる容器内にパッケージングすることができる。例えば、一部の態様において、成分は、同じ容器内に別個にパッケージングされる。一般に、このような容器の例は、二重コンジュゲートを含有する画定された閉鎖空間と他の成分(1種以上)を含有する別個の画定された閉鎖空間とを有する容器であって、該成分が別個に投与されることが可能となるようその続く領域が分離されている、容器を含む。投与前に作用物質が他の成分から分離されるものであれば、どのような容器または他の製造品も想定される。好適な態様について、例えば、米国特許第3,539,794号および第5,171,081号に記載されている容器を参照されたい。一部の態様において、二重コンジュゲートおよび追加の治療用物質を各々別個に含有する複数の容器が提供される。このような例では、その複数の容器を、キットとして一緒にパッケージングすることができる。
一部の態様において、二重コンジュゲートを含有する容器は、光保護容器内に含有される。一部の態様において、容器は、バイアル、例えばパイロジェン除去されたガラスバイアルである。一部の態様において、容器、例えばバイアルは、特定の波長の光、例えば本明細書に提供される二重コンジュゲート中の色素によって吸収される波長の光を遮断する。一部の態様において、二重コンジュゲートは、光、または光のある波長もしくは強度から内容物を保護する容器を使用して、光から保護される。例えば、一部の態様において、容器は、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下の光透過率を有する。一部の態様において、容器は、(約)500nm〜725nmの間、例えば、(約)650nm〜725nmの間の波長を有する光の透過を防止するか、または700lux、600lux、500lux、400lux、300lux、200luxもしくは100lux超の強度の光を透過しない。一部の態様において、容器は、緑色、琥珀色、半透明、不透明であるか、または不透明材料、例えば箔、例えばアルミニウム箔で包装される。一部の態様において、容器は、滅菌されるかまたはパイロジェン除去される。
一部の態様において、製造品は、本明細書に提供される二重コンジュゲートおよび追加の治療用物質を含有する薬学的組成物を含有する。例えば、一部の態様において、組成物は、追加の治療用物質との組み合わせで提供することができる。一部の態様において、二重コンジュゲートおよび/または追加の治療用物質を、一緒に、逐次的にまたは断続的に投与するための別個の組成物としての製造品としてパッケージングすることができる。組み合わせは、キットとしてパッケージングすることができる。
一部の態様において、二重コンジュゲートは、複数の密閉容器内に提供される。例えば、容器は、本明細書に提供される二重コンジュゲートを含有する組成物の単回投与用量の一画分を各々個々に含むことができる。一部の態様において、複数の密閉容器内の二重コンジュゲートの組み合わせ量は、(約)100mg〜1500mgの間、または100mg〜1200mgの間である。一部の態様において、複数の密閉容器内の二重コンジュゲートの組み合わせ量は、(約)100mg〜500mgの間、(約)200mg〜400mgの間、(約)500mg〜1500mgの間、(約)800mg〜1200mgの間または(約)1000mg〜1500mgの間である。
一部の態様において、製造品は、パッケージング材料と、複数のバイアルの内容物を組み合わせて組成物の単回投与量製剤を調製するための説明書を含有するラベルまたは添付文書とを含有する。
選択された組成物はまた、その製造品も含め、キットとして提供することもできる。キットは、製造品として提供される本明細書に記載の薬学的組成物および投与用アイテムを含むことができる。キットは、場合により、投与量、投薬レジメンを含む適用のための説明書および投与様式についての説明書および/または照射のための説明書、例えば、光免疫療法(PIT)のための本明細書に記載の方法のいずれかに従う照射のための説明書を含むことができる。キットはまた、本明細書に記載される薬学的組成物および診断用アイテムを含むことができる。
一部の態様において、作用物質、例えば二重コンジュゲートの投与に使用される組成物は、有効量の各作用物質を、想定される投与のタイプに適した従来の薬学的担体および賦形剤と一緒に含有する。
一部の態様において、単回投与量の作用物質、例えば二重コンジュゲートが、単一の容器、例えば作用物質が保存される容器内に含まれる。一部の態様において、単回投与量の作用物質が複数の容器内に含まれる。したがって、一部の態様において、複数の容器、例えばバイアルが、作用物質の投与に使用されるべき容器、例えば静注(IV)バッグ内で組み合わせられる。一部の態様において、IVバッグなどの投与に使用される容器は、作用物質を含む1つまたは複数の容器を開放し、内容物をそのバッグ内に、例えば投与(例えば、注入)のための所望の作用物質用量が達成されるまで入れることによって、準備される。IVバッグなどの投与容器の準備の間、作用物質の光への曝露を回避するための光予防措置、例えば本明細書に記載の様々な光予防措置がなされる。
IV. 定義
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、注記、ならびに他の技術および科学用語または関連用語は、請求される主題が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有することを意図する。いくつかの場合では、通常理解されている意味を有する用語は、明確化のためおよび/またはすぐに参照できるように本明細書において定義され、本明細書におけるこのような定義の包含は、必ずしも当技術分野において一般に理解されているものと大きな差異をなすと解釈されるべきではない。
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その文脈が他のことを明確に指示しない限り、複数形の指示対象を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、局面および変形「からなる」および/または「から本質的になる」ことを含むと理解される。
本開示を通して、請求される主題の種々の局面は、範囲形式で提示される。範囲形式の記載は、単に簡便さおよび簡潔さのためのものであり、請求される主題の範囲に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、ある範囲について記載は、その範囲内の可能な部分範囲ならびに個々の数値の具体的に開示された全てを有すると見なされるべきである。例えば、ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限の間にある各中間値、ならびにその規定の範囲の任意の他の規定値または中間値が請求される主題の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてよく、これもまた請求される主題の範囲内に包含され、規定の範囲内の任意の具体的に除外された限界に従う。規定の範囲がその限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲もまた請求される主題に含まれる。これは、範囲の幅を問わず適用される。
用語「約」は、本明細書において使用される場合、当技術分野の当業者に容易に公知のそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の付いた値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする態様を含む(かつ記載する)。例えば、「約X」に関する記載は、「X」の記載を含む。
本明細書において使用される場合、「コンジュゲート」は、1つまたは複数の他のポリペプチドまたは化学部分に直接的または間接的に連結されたポリペプチドを指す。このようなコンジュゲートは、融合タンパク質、化学コンジュゲートによって生産されたもの、および任意の他の方法によって生産されたものを含む。例えば、コンジュゲートは、1つまたは複数の他のポリペプチドまたは化学部分に、例えば細胞表面分子に結合するかまたはそれを標的とするターゲティング分子に直接的または間接的に連結されたフタロシアニン色素、例えばIR700分子を指しうる。
本明細書において使用される場合、組成物は、2つ以上の生成物、物質、または化合物(細胞を含む)の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
本明細書において使用される場合、「薬学的組成物」または「薬学的製剤」は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効となる形態の調製物であって、製剤が投与されるであろう対象に対して許容し難い毒性を示す追加の成分を含有しない調製物を指す。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、対象に無毒の、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存料を含む。
本明細書において使用される場合、組み合わせは、2つ以上のアイテムの間またはその中の任意の会合を指す。組み合わせは、2つ以上の別個のアイテム、例えば2つの組成物または2つの収集物であることができ、その混合物、例えば2つ以上のアイテムの単一の混合物、またはその任意の変形であることができる。組み合わせの要素は、一般に、機能的に会合または関連している。
本明細書において使用される場合、誘導体は、基準の薬物または薬剤からの変化または修飾を受けているが基準の薬物または薬剤と比較して活性を依然として保持している(例えば、増加または減少した活性を示す)、薬物の一形態を指す。典型的には、化合物の誘導体形態は、化合物の側鎖が修飾または変化されていることを意味する。
本明細書において使用される場合、薬物または薬剤の類似体またはアナログは、基準の薬物に関連しているがその化学的および生物学的活性が異なることができる、薬物または薬剤である。典型的には、類似体は、基準の薬物または薬剤と同様の活性を示すが、その活性は、増加もしくは減少できるか、そうでなければ改善されることができる。典型的には、化合物または薬物の類似体形態は、その構造の骨格コアが基準薬物と比較して修飾または変化されていることを意味する。
本明細書において使用される場合、キットは、他の要素、例えば追加の試薬とその組み合わせまたは要素の使用説明書とを任意で含む、パッケージングされた組み合わせ物である。
用語「添付文書」は、治療製品の使用に関する適応症、使用、投与量、投与、組み合わせ療法、禁忌および/または注意についての情報を含む、治療製品の市販のパッケージ内に慣例として含まれる説明書を指すために使用される。
本明細書において使用される場合、「製造品」は、作製され、いくつかの場合では、販売することができる製品である。一部の態様において、この用語は、パッケージング品、例えば容器内に含まれる組成物を指しうる。
本明細書において使用される場合、「組み合わせ療法」は、単一の疾患を処置するために対象が2種以上の治療薬、例えば少なくとも2種または少なくとも3種の治療薬を受ける、処置を指す。一部の態様において、各治療は、独立した薬学的効果をもたらすことができ、かつ、合わせて付加的または相乗的な薬学的効果をもたらすことができる。
本明細書において使用される場合、「疾患」、「障害」、または「病態」は、感染症、後天性の病態、遺伝性の病態を非限定的に含む原因または病態から生じ、かつ特定可能な症状によって特徴付けられる、生物の病理学的状態を指す。
本明細書において使用される場合、疾患、障害、または病態を有する対象を「処置する」とは、対象の症状が部分的にもしくは全体的に緩和されるか、または処置後静止したままであることを意味する。それゆえ、処置することは、予防、治療および/または治癒を包含する。予防は、潜在的な疾患の防止および/または症状の悪化もしくは疾患の進行の防止を指す。
本明細書において使用される場合、「処置」は、病態、障害、もしくは疾患の症状または他の兆候が寛解するか、またはそうでなければ有益に変更される任意の手法を意味する。
本明細書において使用される場合、「治療効果」は、疾患、障害、もしくは病態の症状を変更、典型的には改善もしくは寛解するか、または疾患、障害、もしくは病態を治癒する、対象の処置から生じる効果を意味する。
本明細書において使用される場合、「治療有効量」または「治療有効用量」は、治療効果をもたらすのに少なくとも十分である化合物を含有する、薬剤、化合物、材料、または組成物の量を指す。それゆえ、それは、疾患、障害、または障害の症状を防止、治癒、寛解、停止、または部分的に停止するのに必要な量である。
本明細書において使用される場合、処置による、例えば薬学的組成物または他の治療薬の投与による、特定の疾患、障害、または障害の症状の寛解は、組成物または治療薬の投与に起因するまたは関連しうる症状の任意の減少(永久にもしくは一時的に続くかまたは一過性であるかに関わらず)を指す。
本明細書において使用される場合、用語「対象」は、ヒトのような哺乳動物を含む動物を指す。
本明細書において使用される場合、「任意の」または「任意で」は、その後に記載される事象または状況が起こることまたは起こらないこと、ならびに、その記載が前記の事象または状況が起こる場合と起こらない場合を含むことを意味する。例えば、置換されてもよい基は、その基が置換されていないことまたは置換されていることを意味する。
本出願において言及される特許文書、科学論文およびデータベースを含む全ての刊行物は、それぞれ個々の刊行物が参照によって個々に組み入れられたかのように同程度に、参照によってその全体が全ての目的のために組み入れられる。本明細書に示される定義が参照によって本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願および他の刊行物に示される定義に反しているかまたは他に矛盾している場合、本明細書に示される定義が参照によって本明細書に組み入れられる定義より優先される。
本明細書において使用される項目の見出しは、単に構成を目的としたものであって、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
V. 例示的な態様
提供される態様の中には以下が含まれる:
1. フタロシアニン色素、ターゲティング分子、および治療用物質を含む、二重コンジュゲート。
2. フタロシアニン色素および治療用物質が、各々独立して、ターゲティング分子に連結されている、態様1の二重コンジュゲート。
3. ターゲティング分子および治療用物質が、各々独立して、フタロシアニン色素に連結されている、態様1の二重コンジュゲート。
4. フタロシアニン色素およびターゲティング分子が、各々独立して、治療用物質に連結されている、態様1の二重コンジュゲート。
5. 以下の成分:
(フタロシアニン色素)n、(ターゲティング分子)q、および(治療用物質)m
を含み、
式中、n、q、およびmが、独立して選択され、少なくとも1である、
態様1の二重コンジュゲート。
6. 独立して選択されるnおよびqが、1〜5である、態様5の二重コンジュゲート。
7. 独立して選択されるnおよびmが、1〜5である、態様5の二重コンジュゲート。
8. qが1であり、nが1〜100の間であり、かつ、mが1〜5の間である、態様5の二重コンジュゲート。
9. qに対するnの比が、1〜約1000もしくは約1〜約1000、1〜約10もしくは約1〜約10、または2〜約5もしくは約2〜約5である、態様5の二重コンジュゲート。
10. ターゲティング分子が、病変の微小環境中の細胞上の細胞表面分子に結合することができる、態様1〜9のいずれかの二重コンジュゲート。
11. ターゲティング分子が、フタロシアニン色素または治療用物質と直接連結されている、態様1〜10のいずれかの二重コンジュゲート。
12. ターゲティング分子とフタロシアニン色素および/または治療用物質との間の連結が、共有結合または非共有結合である、態様1〜11のいずれかの二重コンジュゲート。
13. フタロシアニン色素が、ターゲティング分子または治療用物質と直接連結されている、態様1〜10のいずれかの二重コンジュゲート。
14. フタロシアニン色素とターゲティング分子および/または治療用物質との間の連結が、共有結合または非共有結合である、態様1〜10および13のいずれかの二重コンジュゲート。
15. 治療用物質が、フタロシアニン色素またはターゲティング分子と直接連結されている、態様1〜10のいずれかの二重コンジュゲート。
16. 治療用物質とフタロシアニン色素またはターゲティング分子との間の連結が、共有結合または非共有結合である、態様1〜10および15のいずれかの二重コンジュゲート。
17. 治療用物質が、フタロシアニン色素またはターゲティング分子に、リンカーを介して間接的に連結されている、態様1〜10のいずれかの二重コンジュゲート。
18. ターゲティング分子が、フタロシアニン色素または治療用物質に、リンカーを介して間接的に連結されている、態様1〜10のいずれかの二重コンジュゲート。
19. フタロシアニン色素が、ターゲティング分子または治療用物質に、リンカーを介して間接的に連結されている、態様1〜10のいずれかの二重コンジュゲート。
20. リンカーが、ペプチドもしくはポリペプチドである、または化学リンカーである、態様17〜19のいずれかの二重コンジュゲート。
21. リンカーが、放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーである、態様17〜20のいずれかの二重コンジュゲート。
22. 放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーが、病変の微小環境中で放出または開裂される、態様21の二重コンジュゲート。
23. 病変が腫瘍であり、放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーが腫瘍微小環境(TME)中で放出または開裂される、態様22の二重コンジュゲート。
24. 放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーが、TME中に存在するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)によって放出または開裂される、態様21〜23のいずれかの二重コンジュゲート。
25. 開裂可能リンカーが、アミノ酸の配列PLGLWAを含む、態様21〜24のいずれかの二重コンジュゲート。
26. 放出可能リンカーまたは開裂可能リンカーが、低酸素条件または酸性条件において放出または開裂される、態様21〜23のいずれかの二重コンジュゲート。
27. 開裂可能リンカーが、酸性条件下で開裂可能であり、開裂可能リンカーが、1つまたは複数のヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニチン酸アミド(aconitic amide)、オルトエステル、アセタール、ケタール、またはチオエーテル連結を含む、態様21〜23および26のいずれかの二重コンジュゲート。
28. 開裂可能リンカーが低酸素条件下で開裂可能であり、該リンカーが1つまたは複数のジスルフィド連結を含む、態様21〜23および26のいずれかの二重コンジュゲート。
29. 開裂可能リンカーが、光照射によって開裂可能であり、該リンカーが、1つまたは複数の光解離性フェナシルエステル、光解離性ヒドラジン、もしくは光解離性o-ニトロベンジル連結、またはチオエーテルを伴う光解離性キノキサリンを含む、態様21〜23のいずれかの二重コンジュゲート。
30. 治療用物質が免疫調節物質および/または抗がん物質である、態様1〜29のいずれかの二重コンジュゲート。
31. 免疫調節物質が、サイトカインである、または病変の微小環境中でサイトカインの発現増加を誘導する作用物質である、態様30の二重コンジュゲート。
32. サイトカインが、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、インターフェロン(IFN)-α、IFN-β、IFN-γ、腫瘍壊死因子(TNF)-α、TNF-β、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、リラキシン、プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子(FGF)、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、腫瘍壊死因子-αおよび-β、ミュラー管抑制因子、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮増殖因子(VEGF)、インテグリン、トロンボポエチン(TPO)、神経成長因子(NGF)-β、血小板成長因子、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-α、TGF-β、インスリン様成長因子(IGF)-1、IGF-2、エリスロポエチン(EPO)、骨誘導因子、マクロファージ-CSF(M-CSF)、顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF)、顆粒球-CSF(G-CSF)、白血病抑制因子(LIF)、kitリガンド(KL)、ならびに/またはそれらの一部および/もしくは組み合わせの中から選択される、態様記31載の二重コンジュゲート。
33. 免疫調節物質が、サイトカインであり、サイトカインが、IL-2、IL-4、IL-12、IFN-γ、TNF-α、またはGM-CSFである、態様30〜32のいずれかの二重コンジュゲート。
34. 免疫調節物質が免疫チェックポイント阻害剤またはアゴニストである、態様30の二重コンジュゲート。
35. 免疫調節物質が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28、VISTA、ICOS、ICOS-L、CD27、CD30、STING、およびA2Aアデノシン受容体の中から選択される分子に特異的に結合する、態様30または態様34の二重コンジュゲート。
36. 免疫調節物質が、抗体もしくはその抗原結合断片、低分子、またはポリペプチドである、態様30、34、および35のいずれかの二重コンジュゲート。
37. 免疫調節物質が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択される、またはその抗原結合断片である、態様30および34〜36のいずれかの二重コンジュゲート。
38. 抗がん物質が、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗新生物剤、またはそれらの組み合わせである、態様30の二重コンジュゲート。
39. 抗がん物質が、抗体もしくはその抗原結合断片、低分子、またはポリペプチドである、態様30または態様38の二重コンジュゲート。
40. 抗がん物質が、5-フルオロウラシル/ロイコボリン(5-Fluorouracil/leukovorin)、オキサリプラチン、イリノテカン、レゴラフェニブ、ziv-アフリベルセプト(afibercept)、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トポテカン(toptecan)、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチンウエハー(carmustine wager)、テモゾロミド、メトトレキサート、カペシタビン(capacitabine)、ラパチニブ、エトポシド、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、リポソーマルシタラビン、シタラビン、インターフェロンアルファ、エルロチニブ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムスチン(lomusine)、プロカルバジン、スニチニブ、ソマトスタチン(somastostatin)、ドキソルビシン、ペグ化リポソーム封入ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イキサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テムシロリムス、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、エベロリムス、オクトレオチド、ランレオチド(lanredtide)、ダカルバジン、メスナ、パゾパニブ、エリブリン、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサチニブ(dasantinib)、セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、シロリムス、クリゾチニブ、セリチニブ(certinib)、エンザルタミド、アビラテロン酢酸エステル、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、アファチニブ、セリチニブ、ゲフィチニブ、カボザンチニブ、オキサリプラチン(oxoliplatin)、およびオーロラピリミジン(auroropyrimidine)の中から選択される、態様30、38、および39のいずれかの二重コンジュゲート。
41. 抗がん物質が、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ニボルマブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エルロチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、セレコキシブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、ルキソリチニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、もしくはビスモデギブ、またはその抗原結合断片の中から選択される、態様30、38、および39のいずれかの二重コンジュゲート。
42. フタロシアニン色素が600nm〜約850nmまたは約600nm〜約850nmの最大吸収波長を有する、態様1〜41のいずれかの二重コンジュゲート。
43. フタロシアニン色素が以下の式を含み:
式中:
Lは、リンカーであり;
Qは、該色素がターゲティング分子へ付着するための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルカノイル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアルキルアミノ、および置換されていてもよいアルコキシから選択され;かつ、
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子によって介在されていてもよいC
1〜C
10アルキレンである、
態様1〜42のいずれかの二重コンジュゲート。
44. フタロシアニン色素が以下の式を含み:
式中:
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子によって介在されていてもよいC
1〜C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルカノイル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ、
R
16、R
17、R
18、およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアルキルアミノ、および置換されていてもよいアルコキシから選択される、
態様1〜42のいずれかの二重コンジュゲート。
45. フタロシアニン色素がIRDye 700DX(IR700)を含む、態様1〜44のいずれかの二重コンジュゲート。
46. ターゲティング分子が抗体またはその抗原結合断片である、態様1〜45のいずれかの二重コンジュゲート。
47. 抗体が、Fab、単一V
Hドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異性scFv、またはscFv-CH
3二量体である抗原結合断片である、態様46の二重コンジュゲート。
48. 病変が、前がん性異形成、上皮内がん、新生物、過形成腫瘍、またはがんに関連する腫瘍である、態様10〜47のいずれかの二重コンジュゲート。
49. 態様1〜48のいずれかの二重コンジュゲートを含む、組成物。
50. 薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様49の組成物。
51. 態様1〜48のいずれかの二重コンジュゲートまたは態様49もしくは態様50の組成物;および
任意で使用説明書
を含む、キット。
52. (a)治療有効量の態様1〜48のいずれかの二重コンジュゲートまたは態様49もしくは態様50の組成物または態様51のキットを対象に投与する工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの光毒性活性を誘導する波長で病変を照射する工程
を含む、対象における病変を処置する方法。
53. 病変の照射が、500nm以上900nm以下の波長で、少なくとも1J cm
-2または1J/cmファイバ長の線量で行われる、態様52の方法。
54. 病変の照射が600nm〜850nmの波長で行われる、態様52または態様53の方法。
55. 病変の照射が、690±50nmの波長で、または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で行われる、態様52〜54のいずれかの方法。
56. 病変の照射が、2J cm
-2〜約400J cm
-2もしくは約2J cm
-2〜約400J cm
-2または2J/cmファイバ長〜約500J/cmファイバ長もしくは約2J/cmファイバ長〜約500J/cmファイバ長の線量で行われる、態様52〜55のいずれかの方法。
57. 病変の照射が、少なくともまたは少なくとも約2J cm
-2、5J cm
-2、10J cm
-2、25J cm
-2、50J cm
-2、75J cm
-2、100J cm
-2、150J cm
-2、200J cm
-2、300J cm
-2、400J cm
-2、または500J cm
-2の線量で行われる;または
病変の照射が、少なくともまたは少なくとも約2J/cmファイバ長、5J/cmファイバ長、10J/cmファイバ長、25J/cmファイバ長、50J/cmファイバ長、75J/cmファイバ長、100J/cmファイバ長、150J/cmファイバ長、200J/cmファイバ長、250J/cmファイバ長、300J/cmファイバ長、400J/cmファイバ長、または500J/cmファイバ長の線量で行われる、
態様52〜56のいずれかの方法。
58. 病変が、腫瘍またはがんに関連する腫瘍である、態様52〜57のいずれかの方法。
59. 腫瘍が、肉腫または癌腫である、態様58の方法。
60. 腫瘍が、扁平上皮癌、基底細胞癌、または腺癌である癌腫である、態様58または態様59の方法。
61. 腫瘍が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道、または頭頸部の癌腫である癌腫である、態様58〜60のいずれかの方法。
62. がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置しているがんである、態様58〜61のいずれかの方法。
63. 病変の照射が、前記方法を実施した後の30分間〜約96時間または約30分間〜約96時間の間に行われる、態様52〜62のいずれかの方法。
64. 二重コンジュゲートが、50mg/m
2〜約5000mg/m
2もしくは約50mg/m
2〜約5000mg/m
2、約250mg/m
2〜約2500mg/m
2、約750mg/m
2〜約1250mg/m
2、または約100mg/m
2〜約1000mg/m
2の用量で投与される、態様52〜63のいずれかの方法。
65. 追加の治療用物質または抗がん処置を施す工程をさらに含む、態様52〜64のいずれかの方法。
66. 追加の抗がん処置が放射線療法を含む、態様65の方法。
67. 二重コンジュゲートが、病変、疾患、または病態の処置用の別の治療薬と組み合わされる、態様52〜66のいずれかの方法。
68. ターゲティングされる病変が、ニューロンを含み、疾患または病態が、疼痛を含みうる神経障害であり;
ターゲティングされる病変が脂肪細胞またはアディポサイトを含み、疾患または病態が過剰脂肪を含み;
ターゲティングされる病変が病原体感染細胞を含み、疾患または病態が感染を含み;
ターゲティングされる病変が炎症細胞を含み、疾患または病態が炎症を含む、
態様52〜67のいずれかの方法。
VI. 実施例
以下の実施例は、単に例示を目的として含まれるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1:セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの生成
この実施例は、抗体-IRDye 700DX(抗体-IR700)を生産するための、抗体などの例示的なターゲティング分子に連結されたIRDye 700DX(IR700)を含有する例示的なコンジュゲートを調製するための方法を記載する。提供される方法は、例示的であり、同様の方法を採用して、他の抗体または非抗体ターゲティング分子などの他のターゲティング分子をIRDye 700Dxにコンジュゲートさせてよい。本方法は、色素が光感受性であるために、色素およびコンジュゲートの光への曝露を制限するように実施され、これには、製造施設における、425〜575nmの波長および200ルクス未満の強度を有する低レベルの緑色光の使用を含んだ。以下の緩衝液をコンジュゲーションに使用した:コンジュゲーション緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、pH8.65)、クエンチング緩衝液(1.0Mグリシン、pH9)および最終リン酸緩衝生理食塩水(PBS)製剤緩衝液:(5.60mM Na2HPO4、1.058 KH2PO4、154mM NaCl、pH7.1)。
A. 色素およびセツキシマブの調製
1. セツキシマブ調製
コンジュゲーションの前に、セツキシマブ(Myoderm USA, Norristown, PA)にを0.22μmのフィルターに通して濾過し、貯留し、2〜8℃で保存した。
次いで、濃縮および緩衝液交換工程を限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって実施した。UF/DFデバイスを洗浄し、100mMリン酸ナトリウム(pH8.65)緩衝液で平衡化した。UF/DF操作の前に、インキュベーター内に25℃で120〜150分間入れることによって、貯留した濾過セツキシマブを温めた。最初に、この材料を5mg/mLの目標まで濃縮し、次いで、100mMリン酸ナトリウム(pH8.65)緩衝液に透析濾過した。透析濾過されたセツキシマブ生成物の濃度を決定し、次いで、100mMリン酸ナトリウム(pH8.65)緩衝液を使用して2mg/mL(1.8〜2.4mg/mL)の目標濃度に希釈した。
2. 色素調製
コンジュゲーションの前に、無水DMSO中に10mg/mLの濃度で溶解することによってIRDye 700DX NHSエステル(色素;カタログNo. 929-70011; Li-COR, Lincoln, NE)を調製した。その工程を緑色光(例えば、425〜575nmの波長および200ルクス未満の強度)下で実施して、色素によって強く吸収される波長の光から色素を保護した。
B. コンジュゲーション
コンジュゲーションおよびクエンチング工程を、透析濾過されたセツキシマブを含み、光保護のためにアルミ箔で覆ったカーボイ内で実施した。その工程を室温で緑色光(例えば、425〜575nmの波長および200ルクス未満の強度)下で実施して、コンジュゲートを光分解から保護した。
コンジュゲーション反応を、DMSO中のIRDye 700DX NHSエステルを用いて、最終モル比4:1(IRDye 700DX NHSエステル:セツキシマブ)で実施し、セツキシマブ1分子当たりおよそ2〜3個の色素残基の組み入れを達成した。IRDye 700DX NHSエステルを、セツキシマブを含むカーボイに加え、撹拌プレート上で10〜15分間混合した。次いで、カーボイを25℃のインキュベーター内に入れることによって、コンジュゲーション反応を120分間進めた。
1Mグリシンを終濃度4.2mMまで添加して、10〜12分間混合することによって、コンジュゲーション反応をクエンチした。カーボイを、25℃のインキュベーター内で、追加で20〜25分間インキュベートした。
最終UF/DF工程を実施して、コンジュゲート生成物を最終PBS製剤緩衝液に交換した。生成物を最終製剤緩衝液に交換するために、クエンチしたコンジュゲートをUF/DFシステムに移し、まず8〜10Lまで濃縮し、続いて、8〜12透析容量のPBSで透析濾過した。タンパク質濃度を決定し、必要であれば、PBSによるさらなる希釈を実施して、目標の最終生成物濃度2.0mg/mL(1.8〜2.1mg/mL)に到達した。
0.22μmのフィルターに通す濾過を実施し、そして、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを、アルミ箔で被覆した50LのHyQtainer内、暗所にて2〜8℃で保存し、内容物を光から保護した。この工程を緑色光下にて室温で実施して、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを保護した。結果として得られたコンジュゲートをSEC-HPLC分析にかけて、濃度、抗体に対する色素の比(DAR)、同一性、および純度を決定し、さらに外観、pH、バイオバーデン、およびエンドトキシンレベルを決定した。
実施例2:セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの薬物動態および治療有効性
この実施例は、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの単回または複数回投与とそれに続く照射で処置して光免疫療法(PIT)を誘導する、頭頸部がん患者における安全性および有効性を評価する臨床研究(第1相)の中間結果を記載する。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの単回用量投与後のヒト患者における薬物動態パラメーターおよび腫瘍応答を決定して、治療の安全性および有効性を評価した。
A. 方法
頭頸部の扁平癌腫を有する9人の患者が用量漸増臨床試験に参加した。以下の表1に列挙されるとおり、患者を3つの用量コホートに分けた。各コホートに3人の患者を含めた。試験に登録された全ての患者は、商業的に利用可能な処置の複数のラウンドに失敗した再発性の進行がんを有しており、その幾人かは、抗体セツキシマブを用いた過去の処置に失敗していた。本研究は、HPV陽性および陰性の腫瘍を有する患者とP16陽性および陰性の腫瘍を有する患者の両方を含めた。
(表1)セツキシマブ-IRDye 700DXの第I相臨床研究についての用量コホート
コンジュゲートを含む静注(IV)バッグを、実施例1に記載されるとおり生産されたセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの2mg/mL溶液50mLを含むバイアルから作製した。実施例1に記載されるとおり、使用前に、バイアルを単一カートンに、次いで不透明なパウチにパッケージングした。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの取り扱いおよび注入によるその投与を、暗い部屋にて400ルクス未満の蛍光灯で実施した。注入バッグの作製の間にタングステン照明を決して使用しなかった。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートが太陽光に直接的にも間接的にも決して暴露されないように、部屋のあらゆる窓をシェードで覆った。
コンジュゲートが200ルクス以下の強度の光(60ワットの電球または15ワットの蛍光室内灯に相当する)に曝露されるよう消灯されたバイオセーフティーキャビネットまたはフード中で、各バイアルを、不透明なパウチから、次いでカートンから取り出した。コンジュゲートを含む各バイアルのパッケージングを開けて、注入用の所望のコンジュゲート用量に達するまでそのバイアルの内容物を滅菌IVバッグに入れた。
患者に、上記表8Aに示される臨床用量で単回用量のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを静脈内投与した。コンジュゲートを、1日目に2時間かけてIV注入を介して投与した。投与の間、静脈内(IV)注入バッグを不透明なスリーブによって被覆して、コンジュゲートを光曝露から保護した。
光免疫療法(PIT)を誘導するために、コンジュゲート投与の24時間±3時間後に、690nmの波長を有する光の1回の光適用を実施した(2日目)。表層および介在層の照明プローブを介して690nm光を腫瘍に投与した。光処置を、表層照明用に50J/cm2または介在層照明用に100J/ファイバ長cmの低フルエンスで固定した。
マイクロレンズ表面光処置のために、腫瘍の辺縁の微細な浸潤性疾患に達する、腫瘍の外縁の周囲0.5〜1.0cmに位置する正常組織も光処置野内に含めた。
腫瘍への直接的な円筒形ディフューザーインプランテーションのために、インターベンショナル放射線法に基づいた超音波(US)またはコンピュータ断層撮影(CT)指針を含む標準技術を使用して小線源治療カテーテルを留置した。一部の例において、小線源治療グリッドを採用した。カテーテルのポジショニングを側面X線、USまたはCTによって確認した。次いで、円筒形ディフューザーファイバを、製造業者の指示に従って690nmレーザーコンソールに接続した。
B. 応答
セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの単回投与とそれに続く照射で処置して光免疫療法(PIT)を誘導した頭頸部がんの患者を腫瘍応答について評価した。腫瘍応答を、改訂版1.1ガイドラインに概説されるとおりRECIST(固形がん効果判定基準: Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)基準に従って評価した(RECIST 1.1、Eisenhauer et al. (2009) European Journal of Cancer, 45:228-247を参照のこと)。全ての標的病変の消失があり、かつ任意の病的リンパ節(標的か非標的かにかかわらず)が短軸で<10mmまで低下した場合に、応答を「完全奏効」(CR)と判定した。処置の前の標的病変のベースライン合計直径を基準として考慮して、標的病変の直径の合計が少なくとも30%減少した(例えば、腫瘍成長の少なくとも30%の低下)場合に、応答を「部分奏効」(PR)と判定した。「奏効率」(ORR)は、CRまたはPR応答が観察された対象の割合である。
実施例3:抗体-IR700コンジュゲート媒介性PITによる腫瘍密度の低減
上の実施例2に記載の臨床研究からの7人の患者について、腫瘍密度の減少によって測定されるChoi判定基準に従って腫瘍応答をさらに算定して、PITの有効性を評価し、かつ、PITで処置された腫瘍における壊死の存在を判定した。
A. 方法
上の実施例2に記載の臨床研究からの7人の患者を、コンピュータ断層撮影(CT)によって、処置の前およびPITを活性化する照射の1ヶ月後に評価した。処置前の腫瘍CTスキャン〜照射の1ヶ月後の腫瘍CTスキャンのハンスフィールド単位(HU)で測定される腫瘍密度の変化を、CTスキャンに基づいて判定した。
B. 応答
PITに対する応答を、Choi et al., (2007) J Clin Oncol. 25:1753-1759に記載の通りのChoi応答判定基準を使用して特徴付けた。Choi判定基準は、腫瘍密度の変化を使用して応答を判定し、そして、CTにおける減少した腫瘍密度は、腫瘍壊死の発生と相関している。一次元腫瘍サイズの実質的な減少なく腫瘍壊死を引き起こす治療について、Choi判定基準は、一次元腫瘍サイズ(例えば、標的病変の最長直径の合計)を使用するRECIST判定基準よりも処置転帰を予測できる(van der Veldt et al., (2010) Brit J Cancer 102:803-809; Weng et al., (2013) Oncol Letters 6:1707-1712もまた参照のこと)。代表的なChoi判定基準は、以下を含む:(1)全ての標的病変の消失および新規病変なしとして定義される、完全奏効(CR);(2)CTでの腫瘍サイズの≧10%の減少または腫瘍密度(ハンスフィールド単位(HU))の≧15%の減少、新規病変なしおよび測定不可能な疾患の明らかな進行なしとして定義される、部分奏効(PR);(3)腫瘍サイズの≧10%の増加、および腫瘍密度(HU)によるPR判定基準を満たさない、または新規病変もしくは新規腫瘍内小結節または既存の腫瘍内小結節のサイズの増加として定義される、進行性疾患(PD);ならびに(4)CR、PRまたはPDを満たさないおよび腫瘍進行に起因する病態悪化なしとして定義される、安定または応答なし。
応答結果を表2に示す。結果は、6人の患者が、CTでの腫瘍密度(HU)の≧15%の減少によって示される通り、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを用いたPIT処置後にChoi判定基準下で少なくとも部分奏効(PR)を示した腫瘍を有していたことを実証した。これらの結果は、PIT処置が壊死の兆候である標的細胞死をもたらすことを示している上の実施例4に記載の結果と一緒に、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートおよび照射を使用したPIT処置を受けた腫瘍が、Choi判定基準下の応答によって示される通り、壊死および腫瘍密度の大幅な低減を呈したことを示した。したがって、結果は、PIT処置が壊死およびICDを通して腫瘍量を大幅に低減することができることを示した。
(表2)セツキシマブ-IR700を介したPIT後の患者の腫瘍密度低減
実施例4:抗体-IR700コンジュゲート媒介性PITによる免疫原性細胞死および免疫活性化
PITで処置された細胞において免疫刺激性変化が起こるかどうかならびにPITで処置された細胞が免疫細胞を活性化する潜在性を有するかどうかを評価するために以下の研究を実施した。PITで処置された細胞においてどんな免疫刺激性変化が起こるかを評価するために、PITで処置されたがん細胞およびPITで処置されていないがん細胞を、免疫原性細胞死(ICD)マーカーの発現について評価した。免疫原性細胞死は、壊死細胞によって示される特殊なタイプの細胞死であり、免疫刺激性マーカーの増加した提示および放出によって特徴付けられる。ICDを示す細胞は、膜変化、例えば、上昇した熱ショックタンパク質90の表面発現、ならびに損傷関連分子パターン(DAMP)として知られている可溶性の細胞内マーカー、例えばATPおよび高移動度群ボックスタンパク質(HMGB1)の分泌を提示する(Kromer et al. (2013) Annual Review of Immunology, 31:51-72)。以下に示されるとおり、PITで処置されたがん細胞は、PITで処置されていない細胞の場合と比較して、増加したHMGB1分泌を示し、これにより、PITで処置された細胞は壊死およびICDの特徴を示すことが示される。
PITで処置された細胞が上昇したHMGB1の放出を示したので、PITで処置された細胞が免疫細胞を活性化できるかどうかを評価するために追跡研究を実施した。PITで処置された腫瘍細胞が免疫細胞を活性化できるかどうかを決定するために、PITで処置されたがん細胞およびPITで処置されていないがん細胞を単球由来未成熟樹状細胞(iDC)と共培養した。PITを介した免疫原性細胞死などの炎症性刺激によってアップレギュレートを受けるDC成熟/活性化マーカーCD80、CD86、CD40およびMHCIIの表面発現について任意の変化が観察された。共刺激性分子CD80、CD86およびCD40の増強は、T細胞を活性化するDCの能力の増大を示し、そして、増加したMHCIIは、DCが成熟するにつれて増加した抗原提示能を表す。対照(PITで処置されていない腫瘍細胞)と比較して、PITを介して殺滅された腫瘍に曝露されたiDCで共刺激性分子およびMHCIIの両方の増加した発現が見られた。
THP1細胞(インビトロベースのAPC活性化および機能アッセイに広く使用されるヒト単球細胞株)を使用する別のモデル系を使用して抗原提示細胞(APC)共培養を実施した。PITで処置されていない腫瘍細胞と共培養されたTHP1細胞とは対照的に、PITで殺滅された腫瘍細胞に曝露されたTHP1細胞で活性化マーカーCD86のアップレギュレーションが見られ、これはPITの免疫刺激の潜在性をさらに確認した。
まとめると、データは、PITで処置された細胞が壊死およびICDに特徴的なマーカーを示すこと、ならびにPITで処置された細胞が免疫細胞を活性化する潜在性を有することを示した。それゆえ、PITと免疫調節剤との組み合わせ処置は、PITの免疫活性化の潜在性をさらに増強し得る。
A. セツキシマブ-IR700を介したPITに供された腫瘍細胞からのHMGB1レベルの推定
A431およびFaDu腫瘍細胞株を、それぞれ、完全RPMI 1640および完全EMEM培地中で成長させた。細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μL中15,000個の細胞でプレーティングして一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していた。
翌日、細胞を、CO2インキュベーター内で、セツキシマブ-IR700(実施例1に記載されるとおり調製した)で500ng/mLにて37℃で1時間処置し、次いで、690nmレーザーを用いて32J/cm2の光フルエンスで照射した。対照は、光で処置されていない群に対応するウェルを表した。
PITを受けた後、培地を処置細胞から除去し、続いて、細胞をPBSで1回洗浄した。これに続いて、無血清バージョンの培地を添加し、CO2インキュベーター内37℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション後に上清を収集し、使用するまで-20℃で保存した。
種々の処置細胞からの培養上清を、HMGB1 ELISA(IBL International, カタログ# ST51011)に製造業者の説明書のとおりに供した。簡潔に述べると、凍結乾燥HMGB1対照および標準物を、キットの説明書に従って希釈剤緩衝液で溶媒和した。HMGB1標準ストックを希釈剤緩衝液中で1:4に希釈し、次いで合計6点(80ng/mL〜2.5ng/mL)で1:2段階希釈することによって、検量標準曲線を作成した。100μL/ウェルの希釈剤緩衝液を、キット中に提供されるELISAプレートの各使用ウェルに加えた。10μL/ウェルの標準物、対照、または試料を各ウェルに加え、プレートを密閉し、37℃で一晩インキュベートした。20〜24時間後、未結合の試料を提供された洗浄緩衝液(蒸留水で1×に希釈)で洗い流した。凍結乾燥酵素コンジュゲートを、酵素コンジュゲート希釈剤でキットの説明書に従って溶媒和し、洗浄したプレートに100μL/ウェルで加えた。プレートを穏やかにたたいて混合し、次いで、密閉して室温で2時間インキュベートした。次いで、過剰な酵素コンジュゲートを1×洗浄緩衝液で洗い落とし、colrea A溶液とcolrea B溶液の1:1混合物をプレートに100μL/ウェルで加え、室温で30分間インキュベートした。次いで、100μL/ウェルの停止溶液を加え、プレートを穏やかにたたいて混合することによって反応を停止した。黄色の生成物の量を、450nmでのその吸収によって定量化した。HMGB1標準曲線を4パラメーターロジスティクスでグラフ化し、そして、試験試料のデータを標準曲線に挿入して各試料中のHMGB1濃度を決定した。データは、それぞれの光なし対照に対する増加倍率として記述された。
図1Aに示されるとおり、セツキシマブ-IR700を介したPITは、腫瘍細胞からのロバストなHMGB1分泌をもたらした。A431およびFaDuは共に、光なし対照と比較して、HMGB1の大量放出を示した。このように、結果は、セツキシマブ-IR700を用いたPIT処置が、壊死およびICDの特徴を示す細胞死をもたらすことを示した。
B. PITで処置された腫瘍細胞と共培養されたDCにおけるDC成熟マーカーCD80、CD86、CD40、およびMHCIIのアップレギュレーションの決定
FaDu細胞を、完全EMEM培地中で成長させた。細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μLでプレーティングし、一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していた。
翌日、細胞を、CO2インキュベーター内で、セツキシマブ-IRDye 700DXで500ng/mLにて37℃で1時間処置し、次いで、細胞を12J/cm2の光フルエンスの690nmレーザーに供することによって光で処置した。対照は、光で処置されていない群(PITで処置されていない腫瘍細胞)に対応するウェルを表した。
共培養のために、健常ドナー由来のヒトiDC(Astarte Biologics)を、PITで処置された腫瘍細胞ウェルおよび対照ウェル(PITで処置されていない腫瘍細胞)1:1比で、ウェルに直接加えた。次いで、共培養物を、CO2インキュベーター内で、37℃で48時間インキュベートした。次いで、非酵素剥離溶液を使用して細胞を剥離した。次いで、種々の処置条件からの採取された細胞を、生/死判別色素Zombie Green(BioLegend、1:500)と室温で20分間インキュベートし、続いて、染色緩衝液で洗浄した。
細胞を染色緩衝液に再懸濁し、次いで、ヒトFc遮断試薬(BD Biosciences)を加え、そして、細胞を室温で20分間インキュベートした。次いで、抗ヒトCD80(BioLegend, clone 2D10)、抗ヒトCD86(BioLegend, clone IT2.2)、抗ヒトCD40(BioLegend, clone 5C3)、抗ヒトCD11c(BD, clone B-ly6)および抗ヒトMHCII(BioLegend, clone L243)抗体を加え(1:20)、細胞を室温で30分間インキュベートした。また、バックグラウンドシグナルを評価するためにそれぞれのアイソタイプ対照染色も実施した。これに続いて、染色緩衝液で洗浄し、その中に細胞を再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer)を介して高感度モード下でデータを取得した。フローサイトメトリーを、抗ヒトCD14(clone 63D3, BioLegend, San Diego, CA)および抗ヒトCD86(clone IT2.2, BioLegend, San Diego, CA)抗体を使用して細胞に1:40希釈で加えて実施し、次いで、細胞を室温で30分間インキュベートした。これに続いて、染色緩衝液で洗浄し、次いで、その中に細胞を再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を介して高感度モード下でデータを取得した。データを分析しながら適切なゲーティングを行って細胞残屑を除き、データを生存事象(live event)に実施されたゲーティングで分析した。以下に記載される結果は、光なし対照に対する増加倍率としてプロットされた、各群からの平均蛍光強度(MFI)データに基づく。
図1Bは、セツキシマブ-IRDye 700DXを介したPITに供されたFaDu腫瘍と共培養されたiDCにおける樹状細胞(DC)成熟マーカーのアップレギュレーションを示す。FaDuとの共培養は、光なし対照と比較して、iDCにおいて増加した表面CD80、CD86、CD40およびMHCII発現を引き起こした。Y軸は、それぞれの光なし対照に対する増加倍率を表す。
C. PITで処置された腫瘍細胞およびPITで処置されていない腫瘍細胞との共培養によるTHP1細胞におけるCD86発現
A431細胞株を完全RPMI中で成長させ、T98G、FaDuおよびU87腫瘍細胞株を完全EMEM培地中で成長させた。細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μL中15,000個の細胞でプレーティングして一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していた。
翌日、細胞を、CO2インキュベーター内で、セツキシマブ-IR700で500ng/mLにて37℃で1時間処置し、次いで、細胞を12J/cm2の光フルエンスの690nmレーザーに供することによって光で処置した。対照は、光で処置されていない群(PITで処置されていない腫瘍細胞)に対応するウェルを表した。
THP1細胞(ATCC(登録商標)TIB202(商標))を完全RPMI中で成長させた。共培養のために、15,000個のTHP1細胞を、PITで処置された腫瘍細胞を有するウェルおよび対照のPITで処置されていない腫瘍細胞ウェルに直接加えた。次いで、共培養物をCO2インキュベーター内37℃で24時間インキュベートした。翌日、次いで、非酵素剥離溶液を使用して細胞を剥離した。次いで、種々の処置条件からの採取された細胞をPBSのみに再懸濁し、そして、生/死判別色素Zombie Green(BioLegend)を加えた(1:500)。細胞を室温で20分間インキュベートし、続いて、染色緩衝液で洗浄した。
細胞を染色緩衝液に再懸濁し、次いで、ヒトFc遮断試薬(BD Biosciences)を加え、そして、細胞を室温で20分間インキュベートした。フローサイトメトリーを、抗ヒトCD14(clone 63D3, BioLegend, San Diego, CA)および抗ヒトCD86(clone IT2.2, BioLegend, San Diego, CA)抗体を使用して細胞に1:40希釈で加えて実施し、次いで、細胞を室温で30分間インキュベートした。これに続いて、染色緩衝液で洗浄し、次いでその中に細胞を再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を介して高感度モード下でデータを取得した。データを分析しながら適切なゲーティングを行って細胞残屑を除き、データを、生存事象に実施されたゲーティングで分析した。CD14マーカーを使用してTHP1細胞を同定した。その結果は、光なし対照に対する増加倍率としてプロットされた、各群からの平均蛍光強度(MFI)データに基づく。データは、それぞれの光なし対照に対するCD86表面発現の増加倍率として記述された。
図1Cに示されるとおり、CD86は、セツキシマブ-IR700を介したPITに供された腫瘍と共培養されたTHP1細胞においてアップレギュレートされた。PITに供されたA431細胞およびFaDu細胞の両方との共培養は、光なし対照と比較して、THP1細胞において増加した表面CD86発現を引き起こした。
実施例5:免疫調節剤を用いた処置と組み合わせたPITは免疫活性化を増強させる
免疫細胞がPITで殺滅された腫瘍でプライミングされ、かつまた免疫調節剤で処置されたときに、より高い免疫活性化があるかを評価するための研究を実施した。実施例4に示されるとおり、PITは、樹状細胞(DC)および単球などの免疫細胞の活性化を導く炎症環境を生み出す。これらのPITでプライミングされた細胞はまた、免疫調節剤を用いた処置と組み合わせたとき、さらなる活性化のためのより高い潜在的性を示し得る。これを試験するために、PITで処置された腫瘍細胞を単球由来未成熟樹状細胞(iDC)と共培養し、続いて、例示的な免疫調節剤ポリI:C(合成二本鎖RNAアナログ)で処置した。次いで、DC活性化マーカーCD80およびCD86の発現レベルの変化を評価した。iDCとPITで処置されていない腫瘍細胞との共培養を対照として使用した。腫瘍がPITで処置されなかった条件に対して、PITを介して腫瘍が殺滅される環境に事前に曝露されたDCにおいて増加したCD80およびCD86発現が見られた。
完全EMEM培地中で成長させたFaDu細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μLでプレーティングして一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していたことが見いだされた。翌日、細胞を、セツキシマブIRDye 700DXで処置した(500ng/mL、CO2インキュベーター内37℃で1時間)。690nmのレーザー光を用いて12J/cm2のフルエンスで照明することによってPIT細胞殺滅を誘導した。対照は、光で処置されていない群に対応するウェルを表した。
共培養のために、健常ドナー由来のヒトiDC(Astarte Biologics)を、PITで殺滅された腫瘍細胞を有するウェルおよび対照ウェル(PITで処置されていない腫瘍細胞)に直接加えた。次いで、共培養物を、CO2インキュベーター内37℃で48時間インキュベートした。次いで、採取したDCをポリI:C処置(1μg/mL)に一晩供した。次いで、非酵素剥離溶液を使用して細胞を剥離した。
種々の処置条件からの採取された細胞を、生/死判別色素Zombie Green(BioLegend、1:500)と室温で20分間インキュベートし、続いて、染色緩衝液で洗浄した。細胞を染色緩衝液に再懸濁し、次いで、ヒトFc遮断試薬(BD)を加え、細胞を室温で20分間インキュベートした。抗ヒトCD80(BioLegend, clone 2D10)、抗ヒトCD86(BioLegend, clone IT2.2)、抗ヒトCD40(BioLegend, clone 5C3)、抗ヒトCD11c(BD, clone B-ly6)および抗ヒトMHCII(BioLegend, clone L243)抗体を加え(1:20)、そして、細胞を室温で30分間インキュベートした。また、バックグラウンドシグナルを評価するためにそれぞれのアイソタイプ対照染色も実施した。細胞を染色緩衝液で洗浄し、その中に再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer)を介して高感度モード下でデータを取得した。
データを分析しながら適切なゲーティングを実施して細胞残屑を除き、そしてデータを、生存事象に実施されたゲーティングで分析した。以下に記載される結果は、光なし対照に対する増加倍率としてプロットされた、各群からの平均蛍光強度(MFI)データに基づく。
図2の結果は、免疫調節剤(ポリI:C)と組み合わせたPITで処置された樹状細胞(DC)が、免疫調節剤と組み合わせたPIT処置に供されなかったDCと比較して、増強した免疫活性化を示したことを示した。免疫調節剤と組み合わせたPITでのDCの事前処置は、光なし(PITなし)対照と比較して、増加したCD80およびCD86発現レベルを導く。
したがって、データは、PITによって生み出された環境に曝露されたDCが元来、免疫調節剤を介してより活性化されやすい傾向があることを示した。それゆえ、PITと免疫調節剤との組み合わせ処置は、PITの免疫活性化の潜在性をさらに増強し得る。
実施例6:免疫調節剤を用いた処置と組み合わせた抗体-IR700コンジュゲート媒介性PITによる炎症誘発性サイトカインの放出
PITで殺滅された腫瘍によるプライミング後の免疫細胞における増強された免疫活性化がまた、炎症誘発性サイトカイン/ケモカインの放出をもたらすかどうか、そして、その放出が免疫調節剤によってさらに刺激されるかどうかを評価するために研究を実施した。
実施例4および実施例5に示される通り、PITは、樹状細胞(DC)および単球などの免疫細胞の活性化を導く炎症性環境を生じ、そして、免疫調節物質は、PITの免疫活性化潜在性をさらに増強する。PITでプライミングされた細胞から放出された炎症誘発性サイトカインおよびケモカインは、腫瘍近くで炎症誘発性環境をもたらし、かつ、追加の免疫細胞の移動または動員を制御することもできる。TNFα、GM-CSF、IL-1α、IL-1βおよびIL-12などの炎症誘発性サイトカインは、抗原提示細胞(APC)、TH1およびNK細胞などの抗腫瘍免疫応答に関与する免疫細胞の分化および活性化に関与する。IP-10、IL-8、MIP-1αおよびMIP-1βなどの炎症誘発性ケモカインは、腫瘍微小環境中へT細胞およびAPCなどの免疫細胞を動員することができるか、またはその移動を制御することができる。
A. PITで処置された腫瘍細胞と共培養されたDCからのサイトカインおよびケモカイン産生
PITによる増強された免疫活性化が炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの放出をもたらすかどうかを試験するために、PITで処置された腫瘍細胞を、例示的な免疫調節剤ポリI:Cでのさらなる刺激ありまたはなしで、単球由来未熟樹状細胞(iDC)と共培養した。完全EMEM培地中で成長させたFaDu腫瘍細胞を、接着のため96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり合計100μL容量で一晩プレーティングした。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を確認し、>95%の細胞が生存していたことが見いだされた。翌日、細胞を、CO2インキュベーター内37℃で、抗体−フタロシアニン色素コンジュゲート(セツキシマブ-IRDye 700DX;500ng/mL)で1時間処置した。690nmのレーザー光を用いて12J/cm2のフルエンスで照明することによってPIT細胞殺滅を誘導した。
共培養のために、2人の健常ドナー由来のヒトiDC(Astarte Biologics)を、PITで殺滅された腫瘍細胞を有するウェルおよび対照ウェルに直接加えた。陰性対照は、iDCと未処置腫瘍細胞との共培養物、iDCと照射のみを受けた腫瘍細胞との共培養物、iDCと照射なしでセツキシマブ-IRDye 700DXとインキュベーションした腫瘍細胞との共培養物およびiDCのみの培養物を含めた。実験に使用したiDCが炎症性サイトカインを産生できたかどうかを試験するために、リポ多糖(LPS)とインキュベーションしたiDCを陽性対照として使用した。培養の最後の24時間にLPS(5μg/ml)を加え、iDCを刺激した。
共培養物をCO2インキュベーター内37℃で48時間インキュベートした。次いで、様々な培養条件からの培養上清を回収し、エッペンドルフチューブに移し、6000rpmで3分間遠心分離して細胞/屑を除去し、そして、選択されたサイトカイン/ケモカインTNFα、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-12、IP-10、IL-8、MIP-1αおよびMIP-1βに対するサイトカイン/ケモカイン測定まで-80℃で保存した。
培養上清試料をLuminex免疫測定解析(eBiosciences; Thermo Fisher Scientific)に供して、サイトカインおよびケモカインレベルを決定した。試料を、3連で、未希釈としておよび1:5希釈の両方で流し、その値が手順の検出可能範囲内になるようにした。陰性対照およびバックグラウンド値の決定のために、培養培地単独も同じ解析に供し、そして、評価された全てのサイトカインおよびケモカインについてアッセイの検出限界より低い値を示した。
初期サイトカインおよびケモカイン解析の結果を表3および表4に示す。陰性対照環境と比較して、腫瘍がPITを介して殺滅される環境に曝露したiDCにおいて炎症誘発性サイトカインの増加したレベルが観察された。PITで殺滅された腫瘍でプライミングされたドナー由来DCは、評価された炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの一貫した(両ドナー)およびロバストな放出を呈した。PITで殺滅された腫瘍でプライミングされたDCにおいてMHCIIおよびCD86などの活性化マーカーのアップレギュレーションを示している実施例4の結果と一緒に、結果は、腫瘍のPIT処置が免疫活性化および炎症誘発性環境を生じることができることを示した。
(表3)DC共培養上清からのサイトカインおよびケモカイン産生(ドナー1)
(表4)DC共培養上清からのサイトカインおよびケモカイン産生(ドナー2)
丸括弧内の値は標準偏差を表す
*:標準範囲を超えて外挿された値
#:値は1:5希釈で示す
OOR:範囲外(上)
B. 追加の免疫刺激を用いた、PITで処置された腫瘍細胞と共培養されたDCからのサイトカインおよびケモカイン産生
ドナー1由来のDCを例示的な免疫調節性ポリI:Cにさらに曝露して、免疫活性化が免疫調節剤によってさらに増強されたかどうかを試験した。iDC(ドナー1由来)の1セットについて、共培養物をさらにポリI:C処置に24時間供した。培養上清を、実施例5Aに上述した通り、ポリI:C刺激後に回収し、遠心分離し、そして、保存した。サイトカイン/ケモカインを、GM-CSFおよびIL-12のレベルを追加で評価した以外は、上記の通り評価した。
ポリI:Cでさらに刺激した後のドナー1に由来するDCにおけるサイトカインおよびケモカイン産生の結果を表5に示す。上の表1の結果と比較して、大幅により高いレベルのサイトカインおよびケモカイン放出によって明らかなように、PITで殺滅された腫瘍でプライミングされたDCは、ポリI:Cなどの免疫調節剤での処置によってさらに活性化された。また、サイトカイン/ケモカインレベルの程度も、PITでプライミングされポリI;Cで刺激されたDCでは、ポリI:CだけでプライミングされたDCと比較して大幅に高かった。加えて、PITでプライミングされポリI:Cで刺激されたDCでは、ポリI:Cでプライミングされた陰性対照DCと比較して、GM-CSFおよびIL-12がまたより高い量で産生された。したがって、データは、PITによって生じた環境に曝露されたDCが、免疫調節剤を介した活性化に本質的により影響を受けやすいことを示した。それ故、PITと免疫調節物質との組み合わせ処置は、PITの免疫活性化潜在性をさらに増強し得る。
(表5)ポリI:C刺激後のDC共培養上清からのサイトカインおよびケモカイン産生(ドナー1)
丸括弧内の値は標準偏差を表す
*:標準範囲を超えて外挿された値
#:値は1:5希釈で示す
OOR:範囲外(上)
C. PITで処置された腫瘍細胞からのサイトカイン産生
PITで処置された腫瘍細胞がまたPIT処置時にサイトカインを分泌するかどうかを評価するために、PITで処置された腫瘍の培養上清で炎症誘発性サイトカインIL-1αのレベルを試験した。FaDu腫瘍細胞をセツキシマブ-IRDye 700DXとインキュベーションし、上記の通り照射してPITを誘導した。実験を2回実施し、そして、試料を、3連で、未希釈上清で流した。
結果を表6に示す。結果は、PITで殺滅された腫瘍細胞が、未処置腫瘍細胞よりも高い量の炎症誘発性サイトカインIL-1αを産生することを示した。結果は、免疫細胞の活性化によって炎症誘発性微小環境が生じることに加えて、PITが、殺滅された腫瘍細胞からの炎症誘発性サイトカイン分泌を誘導することができることを示している。
(表6)PITで殺滅されたFaDu腫瘍細胞からのIL-1α放出
丸括弧内の値は標準偏差を表す
*:標準範囲を超えて外挿された値
まとめると、結果は、PITで処置された腫瘍の微小環境に曝露されたDCが、炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの分泌に本質的により影響を受けやすいことを示した。この応答は、ポリI:Cなどの免疫調節物質による刺激の存在下でさらに増強される。さらに、PITによって殺滅された腫瘍細胞はまた、炎症誘発性サイトカインの分泌による炎症性環境の生成に寄与することができる。
実施例7:インターフェロンガンマと抗PD-L1-IR700 PITとの組み合わせ処置
PITを免疫調節物質(これもがん細胞に影響を及ぼすことができる)と組み合わせて、PIT殺滅活性を増強することができるかどうかを評価するために、以下の研究を実施した。
A. 細胞死に対するインターフェロンガンマの効果
BxPC3細胞(#CRL-1687, ATCC, Manassas VA)を、96ウェルの黒色透明平底ディッシュ中に1ウェル当たり5000個の細胞で播種し、37℃の5% CO2インキュベーターに入れた。翌日、細胞を、10% FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI 1640(完全培養培地)で1回洗浄した。次いで、細胞を、0ng/mL〜3.75μg/mLの範囲の異なる濃度の組換えヒトインターフェロンガンマ(IFNガンマ)(無担体)(Cat No: 570202, BioLegend, San Diego, CA)を含有する完全培養培地と18時間インキュベートした。
18時間後、異なる濃度のインターフェロンガンマを含有する培地を、1×CellTox Green(Cat No: G8731, Promega, Madison, WI)を含有する完全培養培地と交換した。蛍光シグナル検出の間のバックグラウンド減算ウェルとして役立つように、細胞を全く含まなかったウェルも、完全培養培地中で希釈した1×CellTox Green試薬とインキュベーションした。光処置の24.5時間後に、蛍光プレートリーダーを使用して、CellTox Green蛍光シグナルを測定した。次いで、細胞を洗剤で溶解し、37℃で30分間インキュベートし、そして、CellTox Green蛍光シグナルを再び溶解後に測定した。バックグラウンド(細胞なしの完全培養培地中の1×CellTox Green)が減算された溶解前後の1ウェル当たりのCellTox Greenシグナルの比を取得し、その比に100を掛けることによって、死細胞のパーセントを算出した。
図3Aの結果は、IFNガンマ濃度の増加が、BxPC3細胞の細胞死の用量依存的増加をもたらすことを示す。
B. PD-L1発現に対するインターフェロンガンマの効果
BxPC3細胞を、12ウェルディッシュ中に1ウェル当たり145,000個の細胞で播種し、37℃の5% CO2インキュベーターに入れた。翌日、細胞を、10% FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI 1640(完全培養培地)で1回洗浄した。次いで、細胞を、完全培養培地単独、375pg/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)(Cat No: 570202, BioLegend, San Diego, CA)を含有する完全培養培地、または37.5ng/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)を含有する完全培養培地と18時間インキュベートした。組換えインターフェロンガンマありまたはなしでの18時間のインキュベーション後、BxPC3細胞を完全培養培地で1回洗浄した。
次いで、細胞を、完全培養培地単独、または10μg/mLの抗PD-L1-IRDye 700DXを含有する完全培養培地と37℃で1時間インキュベートした。抗PD-L1-IRDye 700DXを以下の通り調製した:最初に、マウス抗ヒト抗PD-L1(Catalog No: 329728, Biolegend, San Diego, CA)の抗体溶液を、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してリン酸緩衝食塩水(pH7)で交換し、次いで、リン酸緩衝液(pH=9)の添加によって抗体溶液のpHをpH8.5に調整した。IRDye 700DX NHSエステル(Catalog No. 929-70011; Li-COR, Lincoln, NE)の凍結した固体アリコートを室温で融解し、次いで、DMSOで溶解して濃度10mg/mLを達成した。次いで、暗環境にて、可溶化IR700 NHSエステルを抗体溶液に4(IR700 NHSエステル):1(抗体)のモル比で加えた。コンジュゲーション反応は、光から保護して25℃で2時間進行させた。グリシン(pH8.2)を終濃度10mMまで15分間かけて加え、反応をクエンチした。次いで、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用して、抗体コンジュゲート溶液をPBS(pH7)24mLで交換して、遊離色素、グリシンおよびグリシン-IR700を除去し、そして、溶液のpHを調整してpH7に戻した。
1時間のインキュベーション後、細胞をリン酸緩衝食塩水(pH7)で3回洗浄し、細胞が剥離するまで無酵素細胞解離緩衝液(Catalog No: S-014-C, EMD Millipore, Billerica, MA)とインキュベーションした。細胞が剥離した後、0.5%ウシ血清アルブミンフラクションV(Catalog No: 15260-037, ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)を含有するリン酸緩衝食塩水を細胞に加え、そして、試料を、フローサイトメトリーによって、抗PD-L1-IRDye 700DXのIR700色素からの蛍光シグナルに基づいてPD-L1発現について直ちに分析した。まず処置毎の抗PD-L1-IRDye 700DX染色由来の蛍光強度を未染色細胞試料から減算し、次いで、インターフェロンガンマで処置しなかった抗PD-L1-IRDye 700DX染色試料の平均から決定された場合のバックグラウンド蛍光強度を減算することによって処置毎に正規化することによって、発現の増加倍率を算出した。
図3Bに示す通り、結果は、IFNガンマ濃度の増加が、BxPC3細胞におけるPD-L1発現の用量依存的増加をもたらすことを示した。
C. PIT細胞殺滅に対するインターフェロンガンマと抗PD-L1-IR700コンジュゲートの組み合わせ
PD-L1の発現を増加させるインターフェロンガンマでの細胞の処置が、抗PD-L1媒介性PIT殺滅を増強させることができるかどうかを評価するために研究を実施した。BxPC3細胞を、96ウェル白色透明平底ディッシュ中に1ウェル当たり5000個の細胞で播種し、37℃の5% CO2インキュベーターに入れた。翌日、細胞を、10% FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI 1640(完全培養培地)で1回洗浄した。次いで、細胞を、完全培養培地単独、375pg/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)(Cat No: 570202, BioLegend, San Diego, CA)を含有する完全培養培地、または37.5ng/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)を含有する完全培養培地と18時間インキュベートした。
組換えインターフェロンガンマありまたはなしでの18時間のインキュベーション後、BxPC3細胞を完全培養培地で1回洗浄した。次いで、細胞を、完全培養培地単独または10μg/mLの抗PD-L1-IRDye 700DXを含有する完全培養培地または10μg/mLの抗PD-L1-IRDye 700DXと100ug/mLの未コンジュゲート抗PD-L1を含有する完全培養培地と37℃で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、細胞を完全培養培地で1回洗浄した。
次いで、細胞に、690nmレーザーで96J/cm2の光を照明するか、または光から保護した(「光なし」)。細胞死を、上記の通りCellTox Green試薬を使用して評価した。
図3Cに示す通り、抗PD-L1-IR700コンジュゲートでの処置の前のIFNガンマとの組み合わせ処置は、抗PD-L1-IR700 PIT処置単独の場合と比較して、抗PD-L1光活性化殺滅を増強した。抗PD-L1-IR700インキュベーションの前にインターフェロンガンマで処置しなかったBxPC3細胞は、光なし対照の場合と比較して、690nmの光照明によって適度な細胞死の増加を示した。インターフェロンガンマとインキュベーションした後に抗PD-L1-IR700コンジュゲートとインキュベーションしたBxPC3細胞は、光なしで処置した細胞において基礎細胞死のIFNガンマ用量依存的増加を示し、これは、細胞死を媒介するIFNガンマの効果と一致する。IFNガンマとインキュベーションし、抗PD-L1-IR700コンジュゲートとインキュベーションし、そして690nm光を照明したBxPC3細胞は、それぞれの処置群毎に、光なし対照に対して細胞死のIFNガンマ用量依存的増加を示した。結果は、抗PD-L1-IR700の結合が10×モル過剰のコンジュゲートされていない抗PD-L1と競合して打ち勝つことで、光処置および光なし処置で細胞死が同じ割合であることに実証される通り、抗PD-L1-IR700コンジュゲートの光活性化殺滅を無効にしたので、抗PD-L1-IR700 PIT殺滅活性が特異的であったことを示した。
結果は、インターフェロンガンマ、抗がん物質および免疫調節剤と抗PD-L1-IR700 PITとの組み合わせ処置が、抗PD-L1-IR700 PIT処置単独またはインターフェロンガンマ処置単独の場合よりも増強した抗がん活性を示すことを実証した。
本発明は、例えば本発明の様々な局面を例示するために提供される、特定の開示された態様に範囲が限定されることを意図していない。記載の組成物および方法に対する様々な改変が本明細書の説明および教示から明らかとなるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実践してよく、これが本開示の範囲内あると意図される。