JP2020507681A - アークワイヤ溶射方法、機器及び製品 - Google Patents

アークワイヤ溶射方法、機器及び製品 Download PDF

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Abstract

アークワイヤ溶射方法は、ワイヤ搬送装置(2)によりワイヤ搬送装置(2)のそれぞれのランスノズル(4)から少なくとも2つのワイヤを搬送するステップと、少なくとも2つのワイヤに電流を印加し、少なくとも2つのワイヤの端部を溶融させるためのアークを形成するステップと、溶融した線材を吹き付け面(5)へ吹き付けるように、気流付与装置(3)によりワイヤ搬送装置(2)の長手方向(z)を略横切る方向にアークに気流(9)を付与するステップと、を含み、気流付与装置(3)は、ワイヤ搬送装置(2)の長手方向(z)の周りに回転しながら気流(9)を付与し、溶射のためのパラメータは、気流付与装置(3)の回転方向に沿って可変に調整される。アークワイヤ溶射機器及びアークワイヤ溶射製品も開示されている。

Description

本開示はアークワイヤ溶射方法に関する。また、本開示はアークワイヤ溶射機器に関する。さらに、本開示はアークワイヤ溶射製品に関する。
アークワイヤ溶射技術は、連続的に送給される2つの金属ワイヤ間に発生したアークを熱源として用いることで金属を溶融させ、溶融した金属を圧縮空気で霧化し、霧化された金属粒子を被加工物に吹き付けてコーティング膜(coating)を形成する技術に関する。最近、この技術は、金属粒子がシリンダ作業面に薄い層を形成するように、自動車の内燃機関のクランクケースに適用される。このように、内燃機関の摩擦及び摩耗が著しく低減すると共に、従来のシリンダスリーブを無くすことによりスペースと重量を減少させる技術的効果が達成され、また、この技術はシリンダスリーブに比べて燃焼室から熱を伝導するのにより有利であるので、効率的な冷却を促進する。
従来のアークワイヤ溶射技術では、特に円筒状のキャビティの内面、例えばクランクケースのシリンダ作業面を溶射する場合は、その内周にコーティング膜を形成するように、アークワイヤ溶射機器全体が円筒状のキャビティ内で回転する必要がある。しかし、ワイヤ搬送装置が共に回転する必要があり、それによって複雑で重い構造となることは不利である。例えば、ドイツ特許出願公開第19841617号明細書に示すように、被覆ワイヤを搬送するための送給装置とアーク溶射のためのバーナーロッド(burner rod)とが回転可能に支持装置に配置され、送給装置内にワイヤウインチ(wire winch)をさらに配置する必要がある。この公開文献では、ワイヤウインチを収容するためのスペースが限られており、製造工程でワイヤウインチを常に交換する必要があるため、長時間連続溶射を実現するのは困難である。
一方、ワイヤ搬送装置が気流付与装置と共に回転しない機器及び方法では、上記のアークワイヤ溶射方法及び機器を用いて円筒状のキャビティの内面を溶射する際にコーティング膜が不均一になり、即ちコーティング膜の内縁が円形ではなく、ある程度楕円形となる現象が生じる可能性があることは研究により発見された。言い換えれば、コーティング膜が円筒状のキャビティの内周上で異なる厚さを有し、2つの薄い位置と2つの厚い位置とが存在し、該薄い位置を結ぶ線は該厚い位置を結ぶ線に対して垂直である。最も薄い位置と最も厚い位置との間の直径差が0.2mm〜0.3mmであることは、アークワイヤ溶射によりシリンダ作業面を製造する実験から分かる。このような公差は、後のホーニング(honing)加工において、そして内燃機関の運転においてさえも無視できない問題を生じ得る。
自動車の内燃機関のクランクケースのシリンダ作業面としてコーティングを使用すると、以下の問題が生じる。
第一に、コーティング膜が厚い位置は、燃焼室から熱を伝導するのに有利ではない。これはクランクケース内の部分的な過熱を招き、内燃機関の運転に不利である。通常、アークワイヤのコーティング膜が厚い位置は過熱のために青色になる。
第二に、薄い位置でのコーティング膜は孔のネスト(pore nest)を生成する可能性があり、厚い位置でのコーティング膜はホーニングの後で脱落する可能性がある。本開示では、孔のネストとは、溶射された金属粒子が円筒状のキャビティの内面に密な構造を形成することではなく、それらの間に複数の孔または多孔質構造が存在することを意味する。このような孔のネストは、内燃機関の運転中に部分的な腐食を悪化させる可能性があり、これは内燃機関の耐用年数を延ばすのに有利ではない。また、孔のネストも部分的な熱伝達を妨げる可能性があり、本明細書では熱伝導及び冷却に有利ではない。脱落とは、ホーニング加工において小面積のコーティング膜が剥離し、元のコーティング膜内の対応する領域が凹んで欠如することを意味する。ホーニング加工における脱落の場合、コーティング膜全体を除去することが難しいため、直接加工物を捨てることになってしまう。これはコストの増加と大量生産による材料の無駄に繋がる。
第三に、不均一な厚さがコーティング膜の不均一な張力をもたらす可能性はある。内燃機関の運転中に不均一な張力が解放されると、コーティング膜の更なる塑性変形をもたらす可能性がある。変形がある程度に達すると、内燃機関の作動性能が低下し、コーティング膜全体さえも損傷を受ける可能性がある。
最後に、コーティング膜が不均一な厚さを有するため、各位置のホーニング除去量を決定するために、次のホーニング加工で厚さ分布を事前に検出する必要がある。厚い位置でより多くのコーティング材料を除去する必要があるため、ホーニング工具の消耗が速くなり、その結果、ホーニング工具の耐用年数が短くなり、機械加工のコストが高くなる。また、ホーニング加工ではリアルタイムに監視する必要がある。これは間違いなく時間の無駄につながる。
本開示は、従来技術における欠点を克服し、周部の各位置で比較的に均一なコーティング膜厚を実現することができる、従来技術に対して改良されたアークワイヤ溶射方法及び機器、並びに本開示に係るアークワイヤ溶射方法に従って本開示に係るアークワイヤ溶射機器により製造される対応するアークワイヤ溶射製品を提供することを目的とする。
方法の態様では、本開示のアークワイヤ溶射方法は、ワイヤ搬送装置により前記ワイヤ搬送装置のそれぞれのランスノズルから少なくとも2つのワイヤを搬送するステップと、前記少なくとも2つのワイヤに電流を印加し、前記少なくとも2つのワイヤの端部を溶融させるためのアークを形成するステップと、溶融した線材を吹き付け面へ吹き付けるように、気流付与装置により前記ワイヤ搬送装置の長手方向を略横切る方向に前記アークに気流を付与するステップと、を含み、前記気流付与装置は、前記ワイヤ搬送装置の長手方向の周りに回転しながら前記気流を付与し、溶射のためのパラメータは、前記気流付与装置の回転方向に沿って可変に調整されることにより、該目的を達成する。
機器の態様では、本開示のアークワイヤ溶射機器は、ワイヤ搬送装置と気流付与装置とを含み、前記ワイヤ搬送装置は、電流チャージャと、少なくとも2つのランスノズルとを含み、前記ワイヤ搬送装置は、それぞれのランスノズルから少なくとも2つのワイヤを搬送し、前記少なくとも2つのワイヤの端部を溶融させるように、前記電流チャージャにより前記少なくとも2つのワイヤに電流が印加され、前記ランスノズルの領域にアークが形成され、溶融した線材を吹き付け面へ吹き付けるように、気流付与装置により前記ワイヤ搬送装置の長手方向を略横切る方向に前記アークに気流が付与され、前記気流付与装置は、前記ワイヤ搬送装置の長手方向の周りに回転しながら前記気流を付与することができ、溶射のためのパラメータは、前記気流付与装置の回転方向に沿って可変に調整されることにより、該目的を達成する。
本開示では、気流付与装置がワイヤ搬送装置の長手方向の周りに回転するため、ワイヤ搬送装置が共に回転する必要はない。言い換えれば、ワイヤ搬送装置は、気流付与装置に対して固定された位置に配置されてもよい。この技術的構成により、ワイヤ搬送装置を回転させることを可能にする機構を省くことができるため、柔軟で単純化された全体構造が実現された。また、重いワイヤウインチが共に回転することを可能にするスペースとエネルギーも節約された。さらに、ワイヤウインチを頻繁に交換する必要がないため、人件費や時間的なコストが削減された。
一方、溶射のためのパラメータは、前記気流付与装置の回転方向に沿って可変に調整される。本開示によれば、「溶射のためのパラメータが回転方向に沿って可変に調整される」という表現は、溶射のためのパラメータが回転方向に沿って不定に調整されること、即ち溶射のためのパラメータが回転方向に沿って変化することを意味する。しかし、本明細書における変化は、連続的な変化に限定されず、段階的な変化であってもよい。変化は、関数によって定義されてもよいし、数列またはルックアップテーブルの形で表されてもよい。
従来技術における上記の問題に関して、本開示は、前記気流付与装置の回転方向に沿って溶射のためのパラメータを可変に調整することを提案する。本開示では、溶射のためのパラメータは、気流付与装置の回転速度及び気体流量、並びに電流チャージャの電流を含む。気流付与装置の回転速度は、気流付与装置がワイヤ搬送装置の周りに回転する速度であり、線速度または角速度として表してもよい。気流付与装置の気体流量は単位時間当たりの気流である。電流チャージャの電流は、溶射のためにワイヤに印加される電流強度を意味する。
気流付与装置の回転方向に沿って該パラメータを可変に調整することで、溶射プロセスは各回転角度方向に可変的に実施することができる。その結果、上述したように、コーティング膜全体の周面は均一な厚さを有するように、より多くのワイヤを元の薄い位置に溶射することができ、より少ない線材を元の厚い位置に溶射することができる。よって、本開示の実施形態によれば、コーティング膜の厚さが均一ではないという問題が著しく解決された。最も薄い位置と最も厚い位置との間の直径差が0.08mmに減少することは、アークワイヤ溶射によりシリンダ作業面を製造する実験から分かった。改善された厚さの均一性に基づいて、該実施形態によりシリンダ作業面を製造する場合、上述の問題を解決することができる。第一に、コーティング膜の均一な厚さは、燃焼室から熱を均一に伝導させるのに有利であるため、部分的な過熱を回避する。第二に、コーティング膜に生じる可能性のある孔のネスト及び脱落が減少し、さらに回避される。実験から分かるように、孔のネスト及び脱落の確率を0%に低減させることができる。腐食が回避されることによって、内燃機関の耐用年数が延びる。一方、製造プロセスにおける不良率も大幅に低下するため、製造コストが削減され、材料の無駄がなくなる。さらに、均一な厚さの分布により全周にわたって均一なコーティング膜の張力をもたらすため、内燃機関の運転過程におけるコーティング膜の変形を回避させ、コーティング膜及び内燃機関全体の耐用年数を延ばす。また、コーティング膜の厚さが周部の各位置において比較的均一であるため、厚さの分布をホーニング加工において事前に検出する必要がなく、ホーニング加工のリアルタイム監視も必要とされないので、ホーニング加工が簡略化された。ホーニング工具の耐用年数が長くなり、機械加工のコストが削減された。
本開示の方法の一の実施形態では、気流は、変化する回転速度で回転しながら付与されてもよい。それに対応して、本開示の機器の一の実施形態では、気流付与装置は、変化する回転速度で回転してもよい。
本開示の方法の一の実施形態では、気流は変化する気体流量で付与されてもよい。それに対応して、本開示の機器の一の実施形態では、気流付与装置は、変化する気体流量で気流を付与してもよい。
本開示の方法の一の実施形態では、ワイヤには変化する電流が印加されてもよい。それに対応して、本開示の機器の一の実施形態では、電流チャージャは、ワイヤに変化する電流を印加してもよい。
従って、上記の変化を実現するように対応する調整器を配置してもよい。例えば、本開示の気流付与装置は、モータによって回転してもよい。よって、モータ調整器は、気流付与装置が変化する回転速度で回転するように、モータが変化する電力で動作するように制御するように構成されてもよい。また、気流付与装置が変化する気体流量で気流を付与できるように、気流付与装置の上流側又は気流付与装置内に気体流量又は単位時間当たりの気体流量を調整するための装置が配置されてもよい。また、電流チャージャがワイヤに変化する電流を印加できるように、電流チャージャの上流側又は電流チャージャ内に電流を調整するための装置が配置されてもよい。
研究により示されるように、円筒面の内面に溶射する時にコーティング膜が不均一になるという上記の現象はランスノズルの位置に関係している。コーティング膜の厚さの分布は常に略楕円形である。楕円は、互いに垂直な長軸と短軸とを有する。短軸はコーティング膜の薄い位置を指し、長軸はコーティング膜の厚い位置を指す。ワイヤ搬送装置が直線に沿って配置された2つ以上のランスノズルを有する場合、厚いコーティング膜は常にランスノズルを結ぶ線の方向に生成される。言い換えれば、該楕円の長軸はランスノズルを結ぶ接続線と略重なっている。気流付与装置の回転軌跡と合わせて考慮すると、厚い位置は、ワイヤ搬送装置の回転軌跡とランスノズルの直線との交差位置に対応する。薄いコーティング膜は、厚い位置に対して90°回転した位置、又は気流付与装置の回転軌跡の接線が直線と平行になる位置に生成される。薄いコーティングが所在する短軸は、ランスノズルの接続線に対して垂直であり、楕円の長軸の中点を通過する。この現象の原因はある程度アークの空間的な位置分布に関係しており、さらにワイヤ搬送装置のランスノズルの配置に関係していると考えられる。気流付与装置の回転軌跡と合わせて考慮すると、薄い位置は、気流付与装置の回転軌跡の接線が直線と平行になる位置に対応する。
上記の発見に基づいて、本開示は、コーティング膜の元の薄い位置により多くのワイヤ材料を溶射し、コーティング膜の元の厚い位置により少ないワイヤ材料を溶射し、全周にわたって均一な厚さを有するコーティング膜を生成するように、気流付与装置の回転方向に沿って、溶射のためのパラメータを可変に調整することをさらに提案している。
本開示の一の実施形態では、ランスノズルが直線上に配置される場合、回転軌跡が該直線と交差する位置における気流付与装置の回転速度は、回転軌跡の接線が該直線と平行になる位置における回転速度よりも速い。
該実施形態によれば、気流付与装置はその回転軌跡が直線と交差する位置を素早く通過することができ、該位置が元のコーティング膜の厚い位置に丁度対応するため、気流付与装置が元の厚い位置を素早く通過し、その表面へ少ないワイヤ材料を溶射する。コーティング膜の厚さは最終的に均一であるため、不均一な厚さによって引き起こされる上記の問題が解決された。
本開示の一の好ましい実施形態では、回転軌跡が直線と交差する位置における気流付与装置の回転速度は、回転軌跡の接線が直線と平行になる位置における気流付与装置の回転速度よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%又はそれ以上速いものであってもよい。なお、本開示はこれらの値に限定されない。整数に限らず、10%以上の任意の値であってもよい。
本開示の一の実施形態では、回転速度は、回転軌跡が直線と交差する位置に接近する時に速くなり、回転軌跡の接線が直線と平行になる位置に接近する時に遅くなる。該実施形態によれば、より均一なコーティング膜を実現することができる。気流付与装置はその回転軌跡が直線と交差する位置、即ちコーティング膜の元の厚い位置を素早く通過することができ、気流付与装置は元の厚い位置を素早く通過し、その表面へ少ないワイヤ材料を溶射する。また、気流付与装置は、その回転軌跡の接線が直線と平行になる位置、即ちコーティング膜の元の薄い位置をゆっくり通過することができ、その表面へより多くのワイヤ材料を溶射する。よって、コーティング膜のより均一な厚さが最終的に実現される。
本開示の一の実施形態では、回転速度は連続的に変化する。元の不均一な厚さが略連続的に変化するため、該実施形態によれば、コーティング膜の厚さの均一性をさらに改善することができる。この場合、気流付与装置の回転方向に沿って回転速度を具体的に調整してもよい。
本開示の一の実施形態では、回転速度は、気流と回転軌跡の平面との間の角度に応じて選択される。本開示では、気流は、気流付与装置によってワイヤ搬送装置の長手方向を略横切る方向にアークに付与される。ここで、ワイヤ搬送装置の長手方向を略横切る方向に気流を付与することは、付与される気流がワイヤ搬送装置の長手方向に対して垂直になってもよいこと、或いは一定の角度(例えば30°未満)だけ逸れるようにワイヤ搬送装置に対して略垂直になってもよいことを意味する。言い換えれば、気流と回転軌跡の平面とは一定の角度を形成してもよい。よって、回転速度、特に変化する回転角度は、気流と回転軌跡の平面との間の角度に応じて選択される。回転速度の最大値、最小値、中間値などは、気流と回転軌跡の平面とのなす角度に応じて設定されてもよい。回転速度の変化曲線、変化関数、値リストなども角度に応じて設定されてもよい。
本開示の他の実施形態では、ランスノズルが直線上に配置される場合、回転軌跡が直線と交差する位置における気流付与装置の気体流量は、回転軌跡の接線が直線と平行になる位置における気体流量よりも低い。
上述したように、コーティング膜の元の厚い位置は、ワイヤ搬送装置の回転軌跡がランスノズルの直線と交差する位置に対応する。この欠点を克服するために、コーティング膜の元の厚い位置に弱い気流(即ち、低い気体流量を有する)を付与し、その位置において内面へ少ないワイヤ材料を吹き付けるようにしてもよい。同様に、気体流量は回転軌跡が直線と交差する位置に接近する時に低くなり、回転軌跡の接線が直線と平行になる位置に接近する時に高くなるようにしてもよい。好ましくは、気体流量は連続的に変化してもよい。
本開示のさらなる実施形態では、ランスノズルが直線上に配置される場合、気流付与装置が回転軌跡が直線と交差する位置を通過する時に電流チャージャにより印加される電流は、気流付与装置が回転軌跡の接線が直線と平行になる位置を通過する時に印加される電流よりも小さい。
コーティング膜の厚さを均一にするために、気流付与装置が回転軌跡と直線とが交差する位置を通過する時に、電流チャージャが低電流を印加することで、ワイヤを溶融するためのエネルギーが低く、該位置で溶融したワイヤ材料が少なく、気流付与装置により内面へ吹き付けられたワイヤ材料が少なくなる。同様に、電流は回転軌跡が直線と交差する位置に接近する時に小さくなり、回転軌跡の接線が直線と平行になる位置に接近する時に大きくなるようにしてもよい。好ましくは、電流は連続的に変化してもよい。
本開示の一の実施形態では、ワイヤ搬送装置の長手方向に付加的な気流が付与される。本開示の機器では、ワイヤ搬送装置の長手方向に付加的な気流を付与するために、少なくとも2つのランスノズルの間に少なくとも1つの付加的なノズルを配置する。該実施形態によれば、アークにより溶融されたワイヤをよりよく霧化することができる。これはコーティング膜の品質を向上させるのに有利である。
本開示の一の実施形態では、該アークワイヤ溶射方法は円筒状のキャビティの内面を溶射するために用いられてもよい。
本開示の一の実施形態では、円筒状のキャビティの内面はクランクケースのシリンダ作業面である。
製品に関して、本開示はアークワイヤ溶射製品に関し、該製品は本開示に係るアークワイヤ溶射方法に従って本開示に係るアークワイヤ溶射機器により製造される。
なお、本開示の各特徴は各実施形態に限定されず、付加的な特徴及び/又は他の実施形態の各特徴と組み合わせてもよい。添付した図面の詳細は単に説明的なものであり、限定的なものではない。特許請求の範囲に含まれる図面の符号は、本開示の保護範囲を限定するものではなく、図面に示される実施形態を表すに過ぎない。
本開示のアークワイヤ溶射機器の概略側面図である。 本開示のアークワイヤ溶射機器の底面図である。 本開示のアークワイヤ溶射機器の詳細図である。 溶射のためのパラメータを調整しない場合に生成されたコーティング膜厚の分布の極座標図である。 溶射のためのパラメータを調整しない場合に生成されたコーティング膜厚の分布の曲線図である。 変化する回転速度で回転しながら気流を付与する場合に生成されたコーティング膜厚の分布の極座標図である。 変化する回転速度で回転しながら気流を付与する場合に生成されたコーティング膜厚の分布の曲線図である。
以下は、添付の図面を参照しながら様々な実施形態を詳細に説明し、幾つかの実施形態は図面に示されている。説明の便宜上、線及び/又は領域の幅は、図面において拡大して示される場合がある。
添付の図面において、同一又は互いに対応する要素について同一の符号が付されている。同一の符号により記載された要素は、単一、複数、又は全ての特徴(例えばそれらの寸法)が等しく、或いは必要に応じて異なるように実施されてもよい。明細書全体に含まれる開示内容は、その意味に応じて、同一の図面符号又は同一の構成要素を有する部分に転用してもよい。本明細書において選択された位置、例えば、上、下、左、右、側面などは、直接に説明され図示された図面を参照し、位置が変更される時の意味に従って新しい位置に転用される。また、図示され説明された異なる実施形態における単一の特徴又は特徴の組み合わせもそれ自体の創造的な態様を構成してもよい。
各実施形態は複数の態様で変更されてもよいが、各図面における実施形態は一例として示されており、その中で詳細に説明されている。しかし、各実施形態はそれに応じて開示された形態に限定されず、より正確に言えば、各実施形態は本開示の範囲内の全ての機能的及び/又は構造的な変更された態様、均等的な態様及び変形した態様を含む。
図1は本開示のアークワイヤ溶射機器の概略側面図である。アークワイヤ溶射機器1は、ワイヤ搬送装置2と気流付与装置3とを含む。ワイヤ搬送装置2は、図示されていない電流チャージャと、少なくとも2つのランスノズル(lance nozzle)4とを含む。ワイヤ搬送装置2は、それぞれのランスノズル4から少なくとも2つのワイヤを搬送する。少なくとも2つのワイヤの端部を溶融させるように、図示されていない電流チャージャにより少なくとも2つのワイヤに電流が印加され、ランスノズル4の領域にアークが形成される。溶融した線材を吹き付け面5へ吹き付けるように、気流付与装置3によりワイヤ搬送装置2の長手方向zを略横切る方向にアークに気流が付与される。本開示によれば、気流付与装置3は、ワイヤ搬送装置2の長手方向zの周りに回転しながら気流を付与することができ、溶射のためのパラメータは、気流付与装置(3)の回転方向に沿って可変に調整される。特に、ここでは、ワイヤ搬送装置2が回転せず、気流付与装置3のみがその周りに回転するため、両者の間に相対的な回転が生じる。
図1は、ワイヤ搬送装置2を概略的に示している。ワイヤ搬送装置は概略的にはシリンダである。同図に示すように、シリンダの軸をワイヤ搬送装置2の長手方向zと定義する。ワイヤ搬送装置2の内部には、ワイヤを搬送するための図示されていない管路が組み込まれている。溶接プロセスにおいてワイヤを連続的に搬送するために、ワイヤが移動することが可能な装置は、ワイヤ搬送装置2の上流側又はワイヤ搬送装置内に配置される。本実施形態では、ワイヤ搬送装置2の底部に2つのランスノズル4が配置され、これらランスノズル4は管路に接続されている。2つのランスノズル4は、その中に溶接用のワイヤを搬送するために、中空の円錐体を形成する。
円錐体の鋭い端部は互いに接近しているため、ランスノズル4から送出されたワイヤは互いに接近する。なお、図面には2つのランスノズルのみが示されているが、本開示は2つのランスノズルに限定されず、ランスノズルの数は2つ、3つ、4つ又はそれ以上の数であってもよい。
ワイヤ搬送装置は、図示されていない電流チャージャを含み、電流チャージャは少なくとも2つのワイヤにそれぞれ電流を印加する。ワイヤ間にアークを形成するためのエネルギーを供給するために、電流チャージャは、図示されていない電流源にも接続されている。少なくとも2つのワイヤはランスノズルの領域内でアーク放電を生じさせるため、ワイヤは連続的に強い電流に基づいて高温を生じ、ワイヤの端部は瞬間的に溶融する。
図1には、気流付与装置3も模式的に示されている。気流付与装置3は直方体として概略的に示されており、その長手延在方向はワイヤ搬送装置2の軸又は長手方向zに平行となる。気流付与装置3には気体流動用の管路が組み込まれており、図中に示すように下端の側面にノズルが配置されている。ノズルはランスノズルの領域を指す。
気流付与装置3はワイヤ搬送装置2の長手方向zを中心に図1の矢印pに示す方向に回転することができるため、気流付与装置3は回転しながらアークへ気流を付与することができ、溶融した線材は霧化され、霧化された粒子は吹き付け面へ吹き付けられる。なお、本開示は図示の回転方向に限定されず、気流付与装置3は時計回りの方向又は反時計回りの方向に回転することができる。
なお、本開示の気流付与装置は、該実施形態に限定されない。スリーブ型気流付与装置も考えられてもよい。スリーブ型気流付与装置もワイヤ搬送装置2の長手方向zを中心に回転し、回転しながらアークに気流を付与する。スリーブは、気体流動のための2層の壁を有してもよいし、さらに2層の壁を省略し、ワイヤ搬送装置の外壁を用いて気体流動の空間を画定してもよい。なお、図1に示すノズル6は単なる模式的なものである。ノズル6は、単孔型又は多孔型であってもよい。様々な溶射要求を満たすために、多孔形態において孔の様々な配置モードを考慮してもよい。特に、ノズルを介して様々な気流方向を実現してもよく、以下の図3の詳細な説明を参照してもよい。
添付図面を用いてアークワイヤ溶射方法を説明する。本開示のアークワイヤ溶射方法は、ワイヤ搬送装置2によりワイヤ搬送装置2のそれぞれのランスノズル4から少なくとも2つのワイヤを搬送するステップと、少なくとも2つのワイヤに電流を印加し、少なくとも2つのワイヤの端部を溶融させるためのアークを形成するステップと、溶融した線材を吹き付け面へ吹き付けるように、気流付与装置3によりワイヤ搬送装置2の長手方向zを略横切る方向にアークに気流を付与するステップと、を含み、気流付与装置3は、ワイヤ搬送装置2の長手方向zの周りに回転しながら気流を付与し、溶射のためのパラメータは、気流付与装置3の回転方向に沿って可変に調整される。
本開示の好ましい用途として、アークワイヤ溶射方法及び機器は円筒状のキャビティの内面を溶射するために用いられる。図1は、円筒状のキャビティ7の断面図を概略的に示しており、円筒状のキャビティ7の内面は、本開示に係る吹き付け面5である。特に好ましくは、円筒状のキャビティの内面はクランクケースのシリンダ作業面である。
アークワイヤが円筒状のキャビティの内面に溶射される際に、内面の異なる深さ位置を溶射するために、ワイヤ搬送装置2及び気流付与装置3は、共に長手方向zに沿って下方へ移動し、円筒状のキャビティの下部に入り込むことができる。溶射プロセスでは、気流付与装置3はワイヤ搬送装置2の周りに回転し続け、ワイヤ搬送装置2と気流付与装置3とは同時に上昇し、下から上へ円筒状のキャビティの内面全体を溶射する。なお、上から下へ溶射してもよい。同様に、ワイヤ搬送装置2及び気流付与装置3の高さ位置を変えずに、気流付与装置をワイヤ搬送装置2の周りに回転させるだけでもよい。この場合、円筒状のキャビティがワイヤ搬送装置2及び気流付与装置3に対して下から上へ、或いは上から下へ移動するように、円筒状のキャビティの高さ位置を変えてもよい。
円筒状のキャビティの内面を溶射する際にコーティング膜が比較的に均一であるという効果を達成するために、本開示では、溶射のためのパラメータが気流付与装置3の回転方向に沿って可変に調整されることが規定されている。具体的には、気流は、変化する回転速度で回転しながら付与されてもよい。これに対応して、気流付与装置3は、変化する回転速度で回転してもよい。また、気流は、変化する気体流量で付与されてもよい。これに対応して、気流付与装置3は、変化する気体流量で気流を付与してもよい。さらに、ワイヤには、変化する電流が印加されてもよい。これに対応して、電流チャージャは、ワイヤに変化する電流を印加してもよい。
以下は、図2に示す位置関係により、溶射のためのパラメータを可変に調整する方法を詳細に説明する。
図2は図1におけるアークワイヤ溶射機器1の底面図である。図2はアークワイヤ溶射機器の底面図の状況を示している。各部の位置関係をより明確に表すように、図1に示す座標系に基づいて、図2においてx軸とy軸が追加され、軸上に角度が付されている。
ワイヤ搬送装置2の底部には、2つのランスノズル4が配置されている。図2において、2つのランスノズル4は、直線に沿って配置されており、即ちx軸に沿って水平に配置されている。2つのランスノズル4の底部では、溶射用の2つのワイヤがそれぞれランスノズル4の孔8から送給され、互いに接近する。
気流付与装置3は、ワイヤ搬送装置2の横に配置されている。気流付与装置3は原点Oを中心に図中矢印p方向に回転する。図1に示すz軸は原点Oを通過する。
図2では、実線枠で気流付与装置3の1つの位置を示しており、以下はこの位置を0°位置と称する。図2では、破線枠で気流付与装置3の1つの位置を示しており、以下はこの位置を90°の位置と称する。
気流付与装置3は、破線枠の位置から実線枠の位置まで矢印pで示す方向に90°だけ回転してもよく、連続的に回転してもよく、180°及び270°の位置を通過して最後に0°の位置に戻る。気流付与装置3が回転する際に回転軌跡が形成され、その回転軌跡は原点Oを中心とする円であり、この円もワイヤ搬送装置2と同心である。
図2から分かるように、気流付与装置3の回転軌跡は、90°及び270°の位置においてランスノズルの直線又はx軸と交差する。気流付与装置3の回転軌跡の接線は、0°及び180°の位置においてランスノズルの直線又はx軸と平行になる。
上述したように、円筒状のキャビティの内面を溶射する際にコーティング膜が均一になるという現象は、ランスノズルの位置に関係している。コーティング膜の厚い位置は、気流付与装置の回転軌跡がランスノズルの直線と交差する位置、即ち図2における90°及び270°の位置に対応する。気流付与装置の回転軌跡の接線がランスノズルの直線と平行になる位置、即ち図2に示す0°及び180°の位置では、薄いコーティング膜が生成されている。この研究の結論に基づいて、本開示は、コーティング膜の元の薄い(0°及び180°)位置により多くのワイヤ材料を溶射し、コーティング膜の元の厚い(90°及び270°)位置により少ないワイヤ材料を溶射し、全周にわたって均一な厚さを有するコーティング膜を製造するように、気流付与装置の回転方向に沿って溶射のためのパラメータを可変に調整することを提案している。具体的には、ランスノズル4により直線(図2におけるx軸で示されている)が規定されてもよく、気流付与装置3の回転軌跡が該直線と交差する位置(90°及び270°の位置)における気流付与装置3の回転速度は、回転軌跡の接線が該直線と平行になる位置(0°及び180°の位置)における気流付与装置3の回転速度よりも速いものであってもよい。また、回転軌跡が直線と交差する位置(90°及び270°の位置)における気流付与装置3の気体流量は、回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置(0°及び180°の位置)における気体流量よりも低いものであってもよい。また、気流付与装置3が回転軌跡が該直線と交差する位置(90°及び270°の位置)を通過する時に電流チャージャにより印加される電流は、気流付与装置3が回転軌跡の接線が該直線と平行になる位置(0°及び180°の位置)を通過する時に印加される電流よりも小さいものであってもよい。以上の3つの態様により、コーティング膜の元の薄い細い位置に多くのワイヤを溶射することができ、コーティング膜の元の厚い位置により少ないワイヤ材料を溶射することができ、全周にわたって均一な厚さを有するコーティング膜を製造することができる。
より均一な厚さを実現するために、該回転速度は、回転軌跡が該直線と交差する位置に接近する時に速くなり、回転軌跡の接線が該直線と平行になる位置に接近する時に遅くなるようにしてもよい。図2を参照して、回転過程では、0°及び180°の位置に接近すると、気流付与装置3の回転速度が遅くなり、90°及び270°の位置に接近すると、気流付与装置3の回転速度が速くなる。言い換えれば、図2に示す座標系において、気流付与装置3が反時計回りの方向に回転する場合、第1象限と第3象限では気流付与装置3の回転速度が遅くなり、第2象限と第4象限では気流付与装置3の回転速度が速くなる。特に好ましくは、回転速度は連続的に変化する。
図3は本開示のアークワイヤ溶射機器の詳細図である。ここで、気流付与装置3のノズル6から噴出された気流9を特に示している。ここで、ノズル6の流体ディレクタも概略的に示されており、気流9の噴出方向は流体ディレクタにより規定されてもよい。図3は、点線で気流付与装置3の回転平面、即ち気流付与装置3により規定される平面をさらに示している。空気流9は回転平面に対して角度αをなす。本開示では、気流付与装置3の回転速度、特に変化する回転速度は、気流9と回転軌跡の平面との間の角度αに応じて選択されてもよい。よって、回転速度の最大値、最小値、中間値などは、気流9と回転軌跡の平面とのなす角度αに応じて設定されてもよい。回転速度の変化曲線、変化関数、値リストなども角度に応じて設定されてもよい。従って、均一な厚さを有するコーティング膜を特に良好に実現することができる。
図4a及び図4bは、従来技術において溶射のためのパラメータを調整しない場合に生成されたコーティング膜厚の分布の極座標図及び曲線図をそれぞれ示し、3つの異なる線は、溶射された円筒状のキャビティの上部、中部、下部の内面で測定されたコーティング膜厚の概略図を表す。図中、点線は円筒状のキャビティの上部の厚さ結果を表し、破線は円筒状のキャビティの中部の厚さ結果を表し、実線は円筒状のキャビティの下部の厚さ結果を表す。図4aは厚さの分布の極座標図を示し、図4bは各角度方向の厚さの曲線図を示している。溶射のためのパラメータが一定である場合、厚さが円周の角度範囲内で急激に変動することが明らかに分かった。全周に2つの薄い位置と2つの厚い位置がある。図4aの極座標図は、全周上の厚さ分布が楕円形であり、厚い位置が90°及び270°に現れ、薄い位置が0°及び180°に現れることを明確に示している。図4a乃至図5bに示す角度も図2に示す角度に対応する。言い換えれば、図2のアークワイヤ溶射機器1により円筒状のキャビティの内面を溶射する場合、図2に示す各角度方向に図4a乃至図5bに対応する厚さが現れることになる。
図5a及び図5bは、本開示に係る変化する回転速度で回転しながら気流を付与する場合に生成されたコーティング膜厚の分布の極座標図及び曲線図をそれぞれ示している。図5a及び図5bは、図4a及び図4bと同様な符号を用いている。図5a及び図5bは、以下の実施形態を適用した場合の厚みの結果、即ち回転軌跡が直線と交差する位置(90°及び270°の位置)における気流付与装置3の回転速度は回転軌跡の接線が直線と平行になる位置(0°及び180°位置)における回転速度よりも速くてもよいことを特に示している。
図5bの曲線図から明らかに分かるように、コーティング膜の厚さは全周にわたって激しく変動することではなく、400μm程度の特定の許容範囲にある。このような厚さは、図5aの極座標図から大体の円形が明らかに見られる。従って、本開示によって、均一なコーティング膜厚を実現することができ、上述のように不均一な厚さによって引き起こされる問題を解決することができる。

Claims (27)

  1. アークワイヤ溶射方法であって、
    ワイヤ搬送装置(2)により前記ワイヤ搬送装置(2)のそれぞれのランスノズル(4)から少なくとも2つのワイヤを搬送するステップと、
    前記少なくとも2つのワイヤに電流を印加し、前記少なくとも2つのワイヤの端部を溶融させるためのアークを形成するステップと、
    溶融した線材を吹き付け面(5)へ吹き付けるように、気流付与装置(3)により前記ワイヤ搬送装置(2)の長手方向(z)を略横切る方向に前記アークに気流(9)を付与するステップと、を含み、
    前記気流付与装置(3)は、前記ワイヤ搬送装置(2)の長手方向(z)の周りに回転しながら前記気流(9)を付与し、
    溶射のためのパラメータは、前記気流付与装置(3)の回転方向に沿って可変に調整される、アークワイヤ溶射方法。
  2. 前記気流は、変化する回転速度で回転しながら付与される、請求項1に記載のアークワイヤ溶射方法。
  3. 前記ランスノズル(4)が直線上に配置される場合、回転軌跡が前記直線と交差する位置における前記気流付与装置(3)の回転速度は、前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置における回転速度よりも速い、請求項2に記載のアークワイヤ溶射方法。
  4. 前記回転速度は、前記回転軌跡が前記直線と交差する位置に接近する時に速くなり、前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置に接近する時に遅くなる、請求項3に記載のアークワイヤ溶射方法。
  5. 前記回転速度は連続的に変化する、請求項2乃至4の何れかに記載のアークワイヤ溶射方法。
  6. 前記回転速度は、前記気流(9)と前記回転軌跡の平面との間の角度(α)に応じて選択される、請求項2乃至5の何れかに記載のアークワイヤ溶射方法。
  7. 前記気流(9)は変化する気体流量で付与される、請求項1乃至6の何れかに記載のアークワイヤ溶射方法。
  8. 前記ランスノズル(4)が直線上に配置される場合、回転軌跡が前記直線と交差する位置における前記気流付与装置(3)の気体流量は、前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置における気体流量よりも低い、請求項7に記載のアークワイヤ溶射方法。
  9. 前記ワイヤには変化する電流が印加される、請求項1乃至8の何れかに記載のアークワイヤ溶射方法。
  10. 前記ランスノズル(4)が直線上に配置される場合、前記気流付与装置(3)が回転軌跡が前記直線と交差する位置を通過する時に前記電流チャージャにより印加される電流は、前記気流付与装置(3)が前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置を通過する時に印加される電流よりも小さい、請求項9に記載のアークワイヤ溶射方法。
  11. 前記ワイヤ搬送装置(2)の長手方向(z)に付加的な気流が付与される、請求項1乃至10の何れかに記載のアークワイヤ溶射方法。
  12. 前記アークワイヤ溶射方法は円筒状のキャビティの内面を溶射するために用いられる、請求項1乃至11の何れかに記載のアークワイヤ溶射方法。
  13. 前記円筒状のキャビティの内面はクランクケースのシリンダ作業面である、請求項12に記載のアークワイヤ溶射方法。
  14. アークワイヤ溶射機器であって、ワイヤ搬送装置(2)と気流付与装置(3)とを含み、
    前記ワイヤ搬送装置(2)は、電流チャージャと、少なくとも2つのランスノズル(4)とを含み、
    前記ワイヤ搬送装置(2)は、それぞれのランスノズル(4)から少なくとも2つのワイヤを搬送し、
    前記少なくとも2つのワイヤの端部を溶融させるように、前記電流チャージャにより前記少なくとも2つのワイヤに電流が印加され、前記ランスノズル(4)の領域にアークが形成され、
    溶融した線材を吹き付け面(5)へ吹き付けるように、気流付与装置(3)により前記ワイヤ搬送装置の長手方向を略横切る方向に前記アークに気流が付与され、
    前記気流付与装置(3)は、前記ワイヤ搬送装置(2)の長手方向(z)の周りに回転しながら前記気流を付与することができ、
    溶射のためのパラメータは、前記気流付与装置(3)の回転方向に沿って可変に調整される、アークワイヤ溶射機器。
  15. 前記気流付与装置は、変化する回転速度で回転する、請求項14に記載のアークワイヤ溶射機器。
  16. 前記少なくとも2つのランスノズル(4)は直線上に配置され、
    回転軌跡が前記直線と交差する位置における前記気流付与装置(3)の回転速度は、前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置における回転速度よりも速い、請求項15に記載のアークワイヤ溶射機器。
  17. 前記回転速度は、前記回転軌跡が前記直線と交差する位置に接近する時に速くなり、前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置に接近する時に遅くなる、請求項16に記載のアークワイヤ溶射機器。
  18. 前記回転速度は連続的に変化する、請求項15乃至17の何れかに記載のアークワイヤ溶射機器。
  19. 前記回転速度は、前記気流(9)と前記回転軌跡の平面との間の角度(α)に応じて選択される、請求項15乃至18の何れかに記載のアークワイヤ溶射機器。
  20. 前記気流付与装置(3)は、変化する気体流量で前記気流を付与する、請求項14乃至19の何れかに記載のアークワイヤ溶射機器。
  21. 前記少なくとも2つのランスノズル(4)は直線上に配置され、
    回転軌跡が前記直線と交差する位置における前記気流付与装置(3)の気体流量は、前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置における気体流量よりも低い、請求項20に記載のアークワイヤ溶射機器。
  22. 前記電流チャージャは前記ワイヤに変化する電流を印加する、請求項14乃至21の何れかに記載のアークワイヤ溶射機器。
  23. 前記少なくとも2つのランスノズル(4)は直線上に配置され、
    前記気流付与装置(3)が回転軌跡が前記直線と交差する位置を通過する時に前記電流チャージャにより印加される電流は、前記気流付与装置(3)が前記回転軌跡の接線が前記直線と平行になる位置を通過する時に印加される電流よりも小さい、請求項22に記載のアークワイヤ溶射機器。
  24. 前記少なくとも2つのランスノズル(4)の間には、前記ワイヤ搬送装置(2)の長手方向(z)に付加的な気流を付与する少なくとも1つの付加的なノズルが配置される、請求項14乃至23の何れかに記載のアークワイヤ溶射機器。
  25. 前記アークワイヤ溶射機器は円筒状のキャビティ(7)の内面を溶射するために用いられる、請求項14乃至24の何れかに記載のアークワイヤ溶射機器。
  26. 前記円筒状のキャビティ(7)の内面はクランクケースのシリンダ作業面である、請求項25に記載のアークワイヤ溶射機器。
  27. 請求項1乃至13の何れかに記載のアークワイヤ溶射方法に従って請求項14乃至26の何れかに記載のアークワイヤ溶射機器により製造される、アークワイヤ溶射製品。
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