JP2020506988A - 食品コーティング - Google Patents

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JP2020506988A JP2019540626A JP2019540626A JP2020506988A JP 2020506988 A JP2020506988 A JP 2020506988A JP 2019540626 A JP2019540626 A JP 2019540626A JP 2019540626 A JP2019540626 A JP 2019540626A JP 2020506988 A JP2020506988 A JP 2020506988A
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ジュン,ジュヨン
シモンセン,ジョン
ザオ,イェンユン
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オレゴン ステイト ユニバーシティー
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Abstract

セルロースナノ材料およびエマルション系を含むコーティング組成物の実施形態を本明細書に開示する。コーティング組成物は、果実表面の水分バリアと湿潤性との改善をもたらし、生理活性を制御することができ、および周囲保管中の果実などの食品製品の貯蔵性を向上させることができる。コーティング組成物で生成した乾燥コーティングおよび実質的に乾燥したコーティング、フィルム、生成物の実施形態、ならびに本明細書に記載のコーティング組成物を生成し、使用する方法も本明細書に開示する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月31日出願の米国仮出願番号第62/452,897号の出願日遡及の特典を主張し、同仮出願は、参照によりその全体を本明細書に組み入れられる。
食料品のためのコーティング組成物とフィルムおよびその製造方法と使用の実施形態を本明細書に開示する。
キャベンディッシュバナナ(ムサ・アクミナタ)は、ビタミンおよび生理活性化合物(例えば食物線維とフェノール化合物)の豊富な供給源であり、世界で最も消費量の多い果実の1つである。しかし、クリマテリック型果実として、バナナは、生理障害、収穫後発生病、および老化に関して、保存期間が比較的短い。バナナは、通常は、食物の賞味期間を維持するために外部改変を必要とするまさに食物の一例である。当技術分野では、生鮮食料品、植物および植物部位などの種々の食料品の保存期間および/または収穫前の完全性を向上させることができる組成物およびコーティングの改善の必要性が依然として存在する。
セルロースナノ材料と、疎水性物質(例えば脂肪酸)および界面活性剤を含むエマルション系とを含むコーティング組成物の実施形態を本明細書に開示する。コーティング組成物は、機能剤、可塑剤、またはその任意の組み合わせをさらに含むことができる。一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、セルロースナノクリスタルまたはセルロースナノフィブリルを含むことができる。
セルロースナノ材料と、疎水性物質および界面活性剤を含み、実質的に水分を含まないエマルション系とを含む乾燥(または実質的に乾燥した)コーティングの実施形態も本明細書に開示する。一部の実施形態において、コーティング組成物または乾燥(もしくは実質的に乾燥した)コーティングを用いて、植物または植物部位などの食料品をコーティングすることができる。
本明細書に記載のコーティング組成物の実施形態により植物または植物部位をコーティングする、または実質的にコーティングすることを含む、方法の実施形態も本明細書に開示する。
本開示の前述および他の目的、特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明白になろう。
本明細書に記載の異なるコーティング組成物実施形態およびバナナの収穫後のエチレン生合成を遅らせることに対するそれらの組成物の効果の進行メカニズムを示す模式図である。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中のバナナのクロロフィル分解に対する異なるコーティング組成物の効果を示すグラフである。図中、「対照」は非被覆試料を表し、「Semp」は、市販のSemperfresh(商標)の1.2%溶液で被覆した試料を表す。「CNC」は、セルロースナノクリスタル(0.2重量%、湿潤重量基準)、キトサン(2重量%、湿潤重量基準)、およびグリセロール(0.4重量%、湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを表し、「CNF」は、セルロースナノフィブリル(0・3重量%、湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを表し、両組成物は次のエマルション系を含んでいる:Tween80のみ(「CNCA」および「CNFA」);Tween80とオレイン酸(「CNCB」および「CNFB」);ならびにショ糖脂肪酸エステルとオレイン酸(「CNCC」および「CNFC」)。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中のバナナの重量減に対する異なるコーティング組成物の効果を示すグラフである。図中、「対照」は非被覆試料を表し、「Semp」は、市販のSemperfresh(商標)の1.2%溶液で被覆した試料を表す。「CNC」は、セルロースナノクリスタル(0.2重量%、湿潤重量基準)、キトサン(2重量%、湿潤重量基準)、およびグリセロール(0.4重量%、湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを表し、「CNF」は、セルロースナノフィブリル(0・3重量%、湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを表し、両組成物は次のエマルション系を含んでいる:Tween80のみ(「CNCA」および「CNFA」);Tween80とオレイン酸(「CNCB」および「CNFB」);ならびにショ糖脂肪酸エステルとオレイン酸(「CNCC」および「CNFC」)。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中のバナナの市場性に対する異なるコーティング組成物の効果を示すグラフである。図中、「対照」は非被覆試料を表し、「Semp」は、市販のSemperfresh(商標)の1.2%溶液で被覆した試料を表す。「CNC」は、セルロースナノクリスタル(0.2重量%、湿潤重量基準)、キトサン(2重量%、湿潤重量基準)、およびグリセロール(0.4重量%、湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを表し、「CNF」は、セルロースナノフィブリル(0・3重量%、湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを表し、両組成物は次のエマルション系を含んでいる:Tween80のみ(「CNCA」および「CNFA」);Tween80とオレイン酸(「CNCB」および「CNFB」);ならびにショ糖脂肪酸エステルとオレイン酸(「CNCC」および「CNFC」)。 非被覆バナナと被覆バナナとの間のエチレン生成の比較を示す棒グラフである。Semperfresh(商標)で生成されたコーティングを含む(「Semperfresh処理」)被覆試料、または0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステルおよび1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物で生成されたセルロースナノファイバーコーティング(「CNFC」)の実施形態の被覆試料を示す。エチレン生成は、1.5L瓶でのバナナの保管から48時間後に測定した。 非被覆バナナと被覆バナナとの間のCOおよびOの生成の比較を示す棒グラフである。Semperfresh(商標)で生成されたコーティングを含む(「Semperfresh処理」)被覆試料、または0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステルおよび1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物で生成されたセルロースナノファイバーコーティング(「CNFC」)の実施形態の被覆試料を示す。OおよびCOの生成値は、1.5L瓶でのバナナの保管から24時間後に評価した。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中、モニターしたACC濃度を示すグラフである。非被覆バナナおよび被覆バナナを評価した。Semperfresh(商標)で生成されたコーティングを含む(「Semperfresh処理」)被覆バナナ、または0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステルおよび1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物で生成されたセルロースナノファイバーコーティング(「CNFC」)の実施形態の被覆バナナを示す。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中、モニターしたACS活性を示すグラフである。非被覆バナナおよび被覆バナナを評価した。Semperfresh(商標)で生成されたコーティングを含む(「Semperfresh処理」)被覆バナナ、または0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖エステルおよび1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物で生成されたセルロースナノファイバーコーティング(「CNFC」)の実施形態の被覆バナナを示す。 非被覆バナナの表面形態特性を2つの異なる分解能(100μm(上段画像)および5μm(下段画像))で示すSEM画像を含む。 1.2%Semperfresh(商標)コーティングで被覆したバナナの表面形態特性を2つの異なる分解能(100μm(上段画像)および5μm(下段画像))で示すSEM画像を含む。 0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステル(湿潤重量基準)および1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含むCNFCコーティング組成物から形成されたコーティングで被覆されたバナナの表面形態特性を2つの異なる分解能(100μm(上段画像)および5μm(下段画像))で示すSEM画像を含む。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中の非被覆バナナ(左側画像)、Semperfresh(商標)被覆バナナ(中央画像)、およびCNFC被覆バナナ(右側画像)の外観の比較を示す写真画像である。CNFC被覆バナナは、0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステル(湿潤重量基準)および1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを含んでいた。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中の非被覆バナナ、Semperfresh(商標)被覆バナナ、およびCNFC被覆バナナの硬度の比較を示す棒グラフである。CNFC被覆バナナは、0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステル(湿潤重量基準)および1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを含んでいた。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中の非被覆バナナ、Semperfresh(商標)被覆バナナ、およびCNFC被覆バナナの可溶性固形分の比較を示す棒グラフである。CNFC被覆バナナは、0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステル(湿潤重量基準)および1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを含んでいた。 25±2℃および相対湿度50±5%での10日間の保管期間中の、非被覆バナナ、Semperfresh(商標)被覆バナナ、およびCNFC被覆バナナの滴定酸度の比較を示す棒グラフである。CNFC被覆バナナは、0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステル(湿潤重量基準)および1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを含んでいた。 コーティングを含まない果実(「対照」)と、0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステル(湿潤重量基準)および1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングを含む(「被覆」)異なる果実とを外観、重量減、硬度について比較した写真画像を示す。 12日間の保管後のマンゴーの外観と内部形態を比較した写真画像を示す。マンゴーは、非被覆(「非被覆試料」)された、または0.3重量%(湿潤重量基準)CNF、1重量%ショ糖脂肪酸エステル(湿潤重量基準)および1重量%オレイン酸(湿潤重量基準)を含む組成物から形成されたコーティングで被覆された(「被覆試料」)のいずれかであった。 セルロースナノ材料組成物を用いて形成されたフィルムで分離させたパティ型果肉の写真画像を示す。一番左の画像は保管前、および5〜7℃で1週間保管した後の画像である。(左から2番目の画像はCNFだけを含むフィルムを用い、左から3番目の画像は低分子量キトサンで改変したCNFを含むフィルムを用い、および一番右の画像はCNFと高分子量CNFとを含むフィルムを用いている。 フィルムの種類の機能としての吸水についてのグラフである。対照フィルム(CNF)を2種の異なるキトサン改変フィルム(「CNF−低分子量CH」および「CNF−高分子量CH」)と比較した。
用語の概要
用語について以下の説明は、本開示を適切に記述し、本開示の実施において当業者をガイドするために提供される。本明細書で用いる場合、「含むこと」とは、「包含すること」を意味し、単数形「a」または「an」または「the」は、文脈上明らかに別の意味を示していると判断されない限り複数の参照しているものを包含する。用語「または」とは、文脈上明らかに別の意味を指示しない限り、述べた代替要素の1つの要素、または2つ以上の要素の組み合わせを指す。
他に説明がない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者にとって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料に類似するまたは同等のものも本開示の実施または試験で用いることができるが、適切な方法および材料は以下に記載する。材料、方法、および実施例は、特に指示しない限り、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本開示の他の特徴は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明白である。
特に指示しない限り、成分の量、分子量、パーセンテージ、温度、時間などを表すすべての数値は、明細書または特許請求の範囲で使用される場合、用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。したがって、黙示的に、または明示的に特に指示しない限り、記載の数値パラメータは、探求される所望の特性、および/または標準試験条件/方法の下での検出限界に依存し得る近似値である。実施形態を論ずる従来技術から直接的かつ明示的に区別する場合、「約」という語が記載されない限り、その実施形態の数値は、近似ではない。さらに、本明細書に記載のすべての代替物が同等物であるというわけではない。
本明細書で用いる場合、用語「セルロースナノクリスタル」とは、主に結晶領域と準結晶領域とを含有し、セルロースナノクリスタル間、またはネットワーク様構造間に分枝またはもつれを示さない、少なくとも1種のエレメンタリーフィブリルで構成されるセルロース由来の物体を指す。
本明細書で用いる場合、用語「セルロースナノフィブリル」とは、結晶領域、準結晶領域、および非晶領域を含有し、セルロースナノフィブリル間、またはネットワーク様構造間に長手方向スプリット、もつれを示し得る、少なくとも1種のエレメンタリーフィブリルで構成されるセルロース由来の物体を指す。
本明細書で用いる場合、用語「架橋」とは、共有結合、イオン結合、および/または静電結合などの化学結合を介して少なくとも2つの分子(同じであるか、または異なっているかにかかわらず)を結合するために物質(分子またはイオン)を使用することを指す。
本明細書で用いる場合、用語「エレメンタリーフィブリル」または「フィブリル」とは、単一末端酵素複合体から生じ、各植物種、動物種、藻類種、および細菌種に特異的なセルロース鎖の構成を有するセルロース由来の構造を指す。
本明細書で用いる場合、用語「カプセル封入」とは、カプセル化粒子もしくは物体への、またはカプセル化粒子もしくは物体からの物質の移動を特異的に制御するために粒子もしくは物体を完全に、もしくは部分的に囲むバリアの形成を指す。
用語「外因性」とは、生物もしくは生細胞もしくは組織もしくは物体の内部に、もしくは上に存在するが、内因性のものとは対照的に、その生物/細胞/組織/物体の外側に由来するいずれの物質を指す。本明細書で用いる場合、外因性の本明細書に開示する合成フィルムは、天然フィルム、または植物もしくは植物部位で生成されたクチクラから区別される。
本明細書で用いる場合、用語「浸出すること」とは、植物または植物部位からの特定の有機材料および無機材料を処理組成物または他の適切な水性もしくは非水性組成物などの液体に抽出することを指す。
本明細書で用いる場合、用語「軽減する(軽減すること)」とは、開示した組成物、またはこの組成物から生成された乾燥(もしくは実質的に乾燥した)コーティングまたはフィルムの能力、または開示した組成物を用いて収穫前もしくは収穫後の損害が起こるのを実質的に減少させる(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%など)方法を指す。一部の実施形態において、収穫前損害もしくは収穫後損害は、生物ストレス、非生物的ストレス、貯蔵、および/または処理(例えば、熱処理)によって起こり得る。
本明細書で用いる場合、用語「ナノファイバー」とは、ナノスケールで2つの外形寸法と、かなり大きい第3の寸法を有するナノ物体を指す。
本明細書で用いる場合、用語「栄養素」とは、天然起源または成長中に吸収されたかにかかわらず、植物または植物部位内に見つかるいずれの成分を指す。栄養素とは、窒素、リン、カリウムなどの多量一次要素;カルシウム、硫黄、およびマグネシウムなどの多量二次要素;ホウ素、マンガン、鉄、亜鉛、銅、ニッケルなどの微量栄養素または微量ミネラルを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で用いる場合、用語「植物」とは、いずれの根構造、維管束、栄養組織、および生殖組織を含む全植物を指す。「植物部位」とは、植物のいずれの部分を包含する。例えば、植物部位は、植物の収穫時に得ることができる。本開示によって包含される植物部位は、花、果実、種子、葉、野菜、茎、根、枝、およびその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは植物部位が由来するその全植物よりも少ない。
本明細書で用いる場合、用語「防止する(防止すること)」とは、開示した組成物、またはこの組成物から生成された乾燥(もしくは実質的に乾燥した)コーティングまたはフィルムの能力、または開示した組成物を用いて収穫前もしくは収穫後の損害が起こるのを完全に、または実質的に妨げる方法を指す。一部の実施形態において、収穫前損害または収穫後損害は、生物ストレス、非生物的ストレス、貯蔵、および/または処理(例えば、熱処理)によって起こり得る。
本明細書で用いる場合、用語「紫外線損傷」とは、紫外線によって引き起こされる、本明細書に記載の物体へのあらゆる種類の損傷を指す。一部の実施形態において、そのような損傷は、しおれること、変色、縮まること、斑点などを挙げることができる。
用語「安定化剤」とは、材料特性、特に耐水性、および乾燥(または実質的に乾燥した)コーティングまたはこのコーティング組成物から生成されたフィルムの機械的性質、ならびにセルロースナノ材料と、無機塩成分との間の親和性も改善することができる化合物を指す。
コーティング組成物に用いることができる組成成分の量は、特に指示しない限り、湿潤重量基準に基づく重量/重量パーセントとして表す。組成成分が水溶液の形である、または水溶液として混合されている場合、成分の量は、重量/容積パーセント(w/v%)または重量/重量パーセント(w/w%)として表すことができ、これらの単位は本質的には同じである。
略語
CH キトサン
OA オレイン酸
SEFA ショ糖脂肪酸エステル
ACC 1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸
CNC セルロースナノクリスタル
CNF セルロースナノファイバー
ACS ACCシンターゼ
CNFC キトサン含有ナノファイバー
CN セルロースナノ材料
CNCC キトサン含有ナノ炭酸カルシウム
NCC ナノ炭酸カルシウム
SEM 走査電子顕微鏡検査法
序論
いくつかのポストハーベスト技術、例えば低温、食用コーティング、および低圧貯蔵と制御雰囲気貯蔵は、収穫後貯蔵間の果物の熟成と品質の劣化を遅延させるために適用されてきた。しかし、低温貯蔵はバナナ果実への冷却損傷および生理的損傷を引き起こす可能性があり、低圧貯蔵および制御雰囲気貯蔵は大きな資本を必要とし、高価である。食用コーティングは、果実および野菜用の費用効率の高い、環境にやさしいポストハーベスト技術として広く適用されてきた。そのようなコーティングは、酸素、二酸化炭素、水分および溶質移動に対する半透性バリアを作製することによって、調整雰囲気を生成することができる。
脂質および/または親水コロイドベースのコーティングは収穫後バナナなどの種々の果実の貯蔵期限を延ばすために利用されてきたが、いくつかの課題、例えば水分不足とガスバリア、および果実表面への付着不足などが存在し、本技術分野で対処する必要がある。本開示は、食料品(例えば、包装された食品、植物および植物部位)が種々の特性(例えば、硬度、重量損失など)を保持することに役立ち、したがって食料品の全体的な完全性および市場性を向上させ、維持する独特のコーティング組成物、コーティング、およびフィルムを記述する。開示する組成物、コーティング、およびフィルムは、この完全性と市場性を維持するのに役立つセルロースナノ材料およびエマルション系の独特の組み合わせを含む。
組成物およびコーティングの実施形態
食料品、例えば包装された生鮮食品、植物、または植物部位の外面にコーティングを形成するために使用することができる組成物の実施形態を本明細書に開示する。
一部の実施形態において、本明細書に記載するコーティング組成物の成分は食用であり、一部の例において、成分は米国食品医薬品局の定めるところにより一般に安全と認められる(GRAS)の規制状況を有する。他の例において、成分は、環境に対して安全であるとして環境保護庁のリスト4Aおよび4Bに収載されている。
本明細書に記載のコーティング組成物の実施形態は、セルロースナノ材料を含む。本明細書で用いる場合、セルロースナノ材料とは、そのC1位およびC4位でグルコシド結合によって結合された100から10,000を超えるβ−D−グルコピラノース単位の直鎖から主としてなり、ナノスケールの外形寸法を有し、または一部の実施形態では、ナノスケールの内部構造もしくは表面構造を有する、セルロース系材料である。一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、セルロースナノフィブリス(本明細書では「CNF」とも称す)またはセルロースナノクリスタル(本明細書では「CNC」とも称す)を含むことができる。一部の独立実施形態において、そのようなナノ材料は、一部のセルロースミクロクリスタルまたはセルロースミクロフィブリルを含むことができる。そのような実施形態において存在するセルロースミクロクリスタルまたはセルロースミクロフィブリルの量は、セルロースナノ材料を生成するために使用される抽出方法によって、および/またはこれらの成分が抽出されるセルロース含有種を変更することによって減少させる、または増加することができる。一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、セルロースナノフィブリルまたはセルロースナノクリスタルからなる。セルロースナノ材料は、通常、透明なコーティング、および本明細書に開示する他の材料/成分を混入するための改善されたマトリックスをもたらすよう選択される。
開示するコーティング組成物のセルロースナノ材料は、通常、特定の組成物実施形態での使用に、および本明細書に開示する組成物を使用する方法に適した構造および適した化学特性を有するよう選択される。例えば、セルロースナノ材料は、通常、許容できる透明な、耐水コーティングをもたらすように選択される。一部の実施形態において、セルロースナノ材料構造および化合物特性は、結晶領域および非晶領域を両方含むセルロースナノ材料の種類をもたらすよう最適化される。一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、幅が3nm〜300nmの寸法を有することができる。一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、15nm〜100,000nm、例えば50nm〜100,000nm、もしくは100nm〜10,000nm、100nm〜5,000nm、100nm〜2,500nm、100nm〜2,000nm、もしくは100nm〜1,000nmの範囲の長さを有することができる。一部の実施形態において、本明細書に開示するセルロースナノ材料は、植物細胞壁においてエレメンタリーフィブリルを連想させるアスペクト比を有することができる。一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、5〜1000、例えば10〜1000、もしくは20〜1000、もしくは30〜1000、もしくは50〜1000の範囲でアスペクト比(最短寸法に対する最長寸法の比)有する。この範囲内でアスペクト比を有する代表的なセルロースナノ材料は、本明細書に開示するセルロースナノフィブリル材料である。他の実施形態において、セルロースナノ材料は、5〜1000、例えば5〜500、もしくは5〜250、もしくは5〜200、もしくは5〜150、もしくは5〜100の範囲でアスペクト比を有することができる。この範囲内でアスペクト比を有する代表的なセルロースナノ材料は、本明細書に開示するセルロースナノクリスタル材料である。特定の開示実施形態において、セルロースナノ材料は、本開示の利点、例えば、木質ファイバーまたは非木質植物ファイバー由来のセルロースの機械的リファイニングにおいて、化学前処理の有無によるフィブリル化により、当業者に既知の通常の方法を用いて、調製することができるセルロースナノフィブリルであってよい。セルロースナノフィブリルを調製するのに用いられる方法は、セルロースナノフィブリル含有残渣ヘミセルロースの組成物をもたらすことができる、またはもたらすことができない。一部の実施形態において、セルロースナノフィブリルは、商業的供給源から購入してもよく、次いで本開示の組成物で用いてもよい。
本明細書に開示するコーティング組成物実施形態は、エマルション系、機能性添加物、可塑剤、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含むことができ、通常、水性組成物である。一部の実施形態において、エマルション系は、1種または複数種の疎水性物質(例えば脂肪酸)、1種または複数種の界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。エマルション系実施形態、機能性添加物、および可塑剤は、以下に詳述する。特定の開示実施形態において、コーティング組成物は、セルロースナノ材料、機能性添加物(例えば、キトサン、アロエベラ、ソルビン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、第四級アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせ)、可塑剤(例えば、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール400、またはそれらの任意の組み合わせ)、およびエマルション系を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。代表的な実施形態において、コーティング組成物は、セルロースナノクリスタル、キトサン、グリセロール、およびエマルション系を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。さらにさらなる実施形態において、コーティング組成物は、セルロースナノ材料およびエマルション系を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。代表的な実施形態において、コーティング組成物は、セルロースナノフィブリルおよびエマルション系を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。「本質的にからなる」実施形態において、コーティング組成物は、そのような実施形態において明記されたもの以外の成分を含むことができるが、しかしこれらの追加の成分は、例えば、食品上のコーティングの湿潤性を減少させ、退色を増加させる、重量減を増加させる、市場性を低下させる、エチレン生成を増加させ、O濃度を低下させながら、CO濃度を上昇させることによって、またはそれらの任意の組み合わせによって、コーティング特性に有害な影響を及ぼすことはない(コーティングを含まない食品によるそのような組成物から生成されるコーティングを含む食品を比較することによって決定される)。コーティング組成物の成分の特定量は、後述する;これらの量は、全組成物のパーセンテージとして表され、特に明記しない限り、後述するパーセンテージは、湿潤重量基準で決定される、重量比を指す。
本明細書に開示するエマルション系実施形態は、1種または複数種の疎水性物質、1種または複数種の界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる、本質的にこれらからなることができる、またはこれらからなることができる。特定の開示実施形態において、エマルションは1種の界面活性剤および疎水性物質含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。エマルション系が1種または複数種の疎水性成分、1種または複数種の界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせ「から本質的になる」実施形態において、エマルション系は該エマルション系に有害をもたらす(例えば、エマルション滴および/または他種の擬集を形成するエマルション系の能力を阻害する)いずれの成分を含まない、または成分がない。例えば、1種または複数種の疎水性成分、1種または複数種の界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせ「から本質的になる」エマルション系は、エマルション系のクリーム分離、沈降、凝結、融合、または分離をもたらす成分を含まない。エマルション系が脂肪酸および界面活性剤を含む実施形態において、界面活性剤は、通常、疎水性液滴(または他種の凝集構造)を形成し、疎水性セルロースナノ材料マトリックス中にエマルション系を配置することを促進する、および/またはエマルションコーティングの安定性、均一性、および伸展性を改善するためにコーティング組成物の表面張力を低下させるその能力に基づいて選択される。
一部の実施形態において、エマルション系の1種または複数種の疎水性成分は、油または脂肪酸であり得る。油は、タイム油、チョウジ油、オレガノ油、レモングラス油、マージョラム油、ケイ皮油、コリアンダー油、またはそれらの任意の組み合わせなどの精油;植物油;オリーブ油;アボカド油;ヤシ果油;およびそれらの任意の組み合わせであり得るが、これらに限定されるものではない。特定の開示実施形態において、脂肪酸は、6〜12個の炭素(飽和または不飽和)を含む脂肪族末端を有する中鎖脂肪酸(例えばカプリン酸およびラウリン酸);13〜21個の炭素(飽和または不飽和)を含む脂肪族末端を有する長鎖脂肪酸(例えばオレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸)、またはそれらの任意の組み合わせである。一部の実施形態において、エマルション系の1種または複数種の界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン、「TWEEN20」とも呼ばれる);またはモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(80)、「Tween80」とも呼ばれる)、ソルビタン界面活性剤(例えば、モノラウリン酸ソルビタン、「SPAN20」とも呼ばれる;もしくはモノオレイン酸ソルビタン、「SPAN80」とも呼ばれる)、ショ糖脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸の炭化水素鎖に1〜8個の炭素を有するショ糖脂肪酸エステル(例えば、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプリル酸のショ糖エステル、もしくはその不飽和型))、またはそれらの任意の組み合わせから選択されることができる。特定の開示実施形態において、界面活性剤は、Tween80、SEFAまたはその組み合わせである。代表的な実施形態において、エマルション系は、TWEEN80を含む、本質的にこれからなる、またはこれからなる。さらにさらなる実施形態において、エマルション系はTWEEN80およびオレイン酸を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。さらにさらなる実施形態において、エマルション系はSEFAおよびオレイン酸を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。
さらに一部の実施形態において、コーティング組成物は、1種または複数種の追加の成分、例えば、安定剤(これらに限定されないが、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、セルロース、セルロース誘導体、ペクチン多糖類、カルボキシメチルデキストラン、キサンタンガム、カルボキシメチルデンプン、ヒアルロン酸、硫酸デキストラン、ポリ硫酸ペントサン、カラゲナン、フコイダン、もしくはそれらの任意の組み合わせから選択されるカルボキシ含有多糖または硫酸含有多糖)、無機塩(例えば、ナトリウム含有塩、カリウム含有塩、カルシウム含有塩、マグネシウム含有塩、スズ含有塩、もしくはそれらの任意の組み合わせ)、酸性化合物(例えば、アスコルビン酸もしくは他の有機酸)、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含むことができる。そのような追加の成分を含む実施形態において、安定剤は、0.05重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲、例えば0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.1重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.75重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.25重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し得る。無機塩は、0.05重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲、例えば0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.1重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.75重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.25重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し得る。酸性化合物は、0.5重量%(湿潤重量基準)〜3重量%(湿潤重量基準)の範囲、例えば0.5重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.5重量%(湿潤重量基準)〜1.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.5重量%(湿潤重量基準)〜1.0重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.05重量%(湿潤重量基準)〜0.75重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し得る。そのような成分は、エマルション系またはコーティング組成物の特性に有害な影響を及ぼさない。
栄養分(例えば、肥料)、成長刺激物質、植物成長調節物質、除草剤、殺菌剤、駆除剤、またはそれらの組み合わせから選択される1種または複数種の農業用薬剤をさらに含むコーティング組成物も予想される。そのような組成物は、本明細書に開示する任意の方法を用いて生成されることができ、および作物、樹木、低木、つる植物、野菜の苗、観賞用植物および装飾用植物(例えば、それらの花(例えば、バラ、カーネーション、ユリ等)のために育てられる植物、または観葉植物(例えば、ツタ、シダ等)に適用することができる。そのようなコーティング組成物で用いられる農業用薬剤の量は、EPAガイドラインに記載される限定内で選択されることができる。そのような量は、選択された農業用薬剤に関するEPAガイドラインを検討し、ガイドラインに提示される下限および上限内の量を選択することによって決定されることができることを当業者は認識されよう。一部のそのような実施形態において、農業用薬剤は、通常、1ppm〜5,000ppmの範囲で、例えば1ppm〜4,000ppm、1ppm〜3,000ppm、1ppm〜2,000ppm、または1ppm〜1,000ppmの範囲の量で与えられる。メーカー提案の適用レベル以下の量も用いることができことを、当業者は容易に認識されよう。
一部の実施形態において、コーティング組成物で用いられるセルロースナノ材料およびエマルション系の量は、1:1〜1:20、例えば1:2〜1:8、または1:1〜1:5の範囲のセルロースナノ材料:エマルション系の比率で供給するよう選択される。特定の開示実施形態において、セルロースナノ材料はセルロースナノフィブリルであり、この材料は1:2〜1:20または1:2〜1:8の比率でのエマルション系でコーティング組成物に含まれる。他の特定の開示実施形態において、セルロースナノ材料はセルロースクリスタルであり、この材料は1:1〜1:20または1:1〜1:5の比率でのエマルション系でコーティング組成物に含まれる。
一部の実施形態において、コーティング組成物で用いられるセルロースナノ材料の量は0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)、例えば0.1重量%(湿潤重量基準)〜0.75重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜0.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜0.4重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜0.3重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜0.2重量%(湿潤重量基準)の範囲である。特定の代表的な実施形態において、コーティング組成物で用いられるセルロースナノ材料の量は、0.1重量%(湿潤重量基準)、0.2重量%(湿潤重量基準)、0.3重量%(湿潤重量基準)、または0.4重量%(湿潤重量基準)である。一部の実施形態において、コーティング組成物で用いられるエマルション系の量は、0.03重量%(湿潤重量基準)〜4重量%(湿潤重量基準)、例えば0.03重量%(湿潤重量基準)〜3.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.03重量%(湿潤重量基準)〜3重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.03重量%(湿潤重量基準)〜2.5重量%(湿潤重量基準)もしくは0.03重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.03重量%(湿潤重量基準)〜1.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.03重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.03重量%(湿潤重量基準)〜0.5重量%(湿潤重量基準)の範囲である。そのような実施形態において、エマルション系は、そのような量で1種の界面活性剤を含むことができ、またはエマルション系は界面活性剤と疎水性物質の混合物をそのような量で含むことができ、界面活性剤は0.03重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)(例えば、0.03重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.03重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.2重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準))の範囲の量で混合物に存在し、疎水性物質は0.1重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)(例えば、0.1重量%(湿潤重量基準)〜4重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜3重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜1.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準))の範囲の量で混合物に存在する。代表的な実施形態において、エマルション系は、界面活性剤を0.03重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.2重量%(湿潤重量基準)、もしくは1重量%(湿潤重量基準)、および/または疎水性物質を1重量%(湿潤重量基準)含む。機能性添加物および/または可塑剤をさらに含む実施形態において、機能性添加物は0.1重量%(湿潤重量基準)〜3重量%(湿潤重量基準)の範囲で、例えば0.1重量%(湿潤重量基準)〜2.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.1重量%(湿潤重量基準)〜1.5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で用いることができ、可塑剤は0.02重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲で、例えば0.02重量%(湿潤重量基準)〜0.5重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.02重量%(湿潤重量基準)〜0.4重量%(湿潤重量基準)、もしくは0.02重量%(湿潤重量基準)〜0.3重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在することができる。さらなる代表的なコーティング組成物およびそのような組成物で用いられる成分の量も、本開示の実施例の節および図面に記述する。
代表的な一実施形態において、セルロースナノフィブリルと、オレイン酸およびショ糖脂肪酸エステルを含むエマルション系とを含むコーティング組成物は、特に、周囲保管中に生理活性を制御することによってバナナ果実の収穫後貯蔵性を向上させ、果実表面へのコーティング付着性を改善するのに効果的である。一部の実施形態において、エマルション系は果実表面へのコーティングの疎水性、安定性、および湿潤性を向上させた。そのようなコーティング組成物も、より均一なコーティング被覆をもたらすよう、エチレン生合成経路を遅らせ、果実のエチレンおよびCO生成を減少させ、ならびに果実の表面形態を改変した。さらに、そのようなコーティング実施形態は、バナナの皮のクロロフィル分解と、果実の重量減と、硬度とを低下させ、したがって、市場性および周囲保管中の貯蔵性を向上させるのに効果的である。
本明細書に記載のコーティング組成物の実施形態から形成されるコーティングも本明細書に開示する。本明細書で用いる場合、用語「コーティング」とは、植物または植物部位などの食品の外側に作成された組成物の層を指す。この層は、均一の厚さを有する必要がなく、または組成物内が完全に均質である必要がない。これらのコーティング組成物を乾燥させて、乾燥(または実質的に乾燥した)コーティングを形成することができる。これを後述する。開示する組成物実施形態を用いて作成することができるフィルムの実施形態も本明細書に開示する。そのようなフィルム実施形態は、種々の生鮮食品、例えば、食肉、海産食品などのための柔軟な包装材料成分(例えば、生分解性ボード、フィルム、および包装)として用いることができる。フィルムの実施形態は食用であり、したがって食品安全性に対する消費者の懸念を防止する。一部の実施形態において、フィルムは、線維性または結晶性であり得、被覆される物体を覆う耐久性があり、不活性で、耐水性のコーティングを形成することができる。一部の実施形態において、フィルムはセルロースナノ材料と機能剤、例えばキトサンを含む。
コーティング、乾燥(または実質的に乾燥した)コーティング、またはフィルムは、それが適用される物体全体を覆う必要はない。一部の実施形態において、コーティングまたはフィルムは、物体を実質的に被覆することができる。そのような実施形態において、フィルムまたはコーティングは、物体の表面積の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を覆うことができる。他の実施形態において、フィルムまたはコーティングは物体を完全に被覆する、すなわち物体の100%を覆うことができる。一部の実施形態において、フィルムまたはコーティングは、物体に対して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%変える厚さを有することができる。
本開示のコーティング組成物の実施形態から生成されたコーティングおよび/またはフィルムは、非常に耐水性であり、かつ強力である。コーティングおよびフィルムは、耐水性とバリア特性をもたらすことができ、その一方で組成物の非セルロース成分の独特の機能性を保持する。本明細書に記載のコーティングおよびフィルムは、蒸散および/または凍結解凍関連のドリップロスによって引き起こされる水分損失からの保護を提供し、耐水性およびバリア特性を改善させることができ、その一方で組成物の非セルロース成分の独特の機能性を保持する。さらにさらなる実施形態において、コーティングおよびフィルムは、セルローナノ材料と、疎水性表面(例えば、疎水性果実表面)との間の付着性の強化を示す。
植物、植物部位、または他の食料品の標的表面に適用されると、開示する組成物は、乾燥後、強力な外部バリアを形成する。コーティング組成物中の水を蒸発させることによって、組成物を乾燥させて乾燥(または実質的に乾燥した)コーティングを形成することができる。一部の実施形態において、コーティングを熱で乾燥させて、コーティング組成物の乾燥を速め、それによって酸素および光への長期曝露を防止する、または軽減する。組成物を物体に適用した後、30℃〜35℃の範囲の温度を用いて、組成物を乾燥させることができる。一部の実施形態において、コーティング組成物を物体に適用した後、熱風乾燥手法を用いて、組成物を乾燥させる(少なくとも部分的に)ことができる。そのような熱風乾燥手法は、60℃〜90℃の範囲の温度を2分〜10分の範囲の時間で用いることができる。本開示のコーティング組成物の実施形態を用いて生成したコーティングは、アントシアンと他の生物色素(例えば、ベタレイン)、栄養分、および水溶性化合物の浸出に関連した色出現および物理的完全性の損失を軽減する。植物および食料品において、収穫の前後に水分損失を防止することは、製品の市場性にとって重要である。本開示の組成物およびそのような組成物から形成されたコーティングを用いて、影響されやすい植物、および他の食料品におけるそのような水分損失を防止することができる。
特定の開示実施形態において、本明細書に開示される組成物から作成されるコーティングを含む植物または植物部位は、そのようなコーティングを含まない均等の植物または植物部位(すなわち、同様の非改変植物または植物部位)によって示されない特性を示す。例えば、一部の実施形態において、本開示の組成物から形成されるコーティングを含む植物または植物部位は、解凍後、該コーティングで被覆されていない均等の植物または植物部位と比較して、重量損失(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の減少)を示す。一部の実施形態において、本明細書に開示される組成物から形成されるコーティングを含む植物または植物部位は、該コーティングで被覆されていない均等の植物または植物部位と比較して、形態異常の減少(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の減少)を示す。さらに他の実施形態において、開示する組成物から形成されるコーティングを含む植物または植物部位は、該コーティングで被覆されていない均等の植物または植物部位と比較して、少ない硬度損失(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の少ない硬度損失)を示す。
方法の実施形態
本明細書に記載のコーティング組成物の実施形態を作成し、用いるための方法の実施形態を本明細書に開示する。
開示する組成物を作成する方法の実施形態は、本明細書に開示する各組成物の成分の適切な量を水(脱イオン化、精製などを実施された)に分散させることを含み得る。一部の実施形態において、組成物成分は、水に同時に加えられてもよい。他の実施形態において、各成分は、連続して同じ水溶液に加えられてもよい。さらに他の実施形態において、各成分の水溶液を別々に調製し、次いで混合させてもよい。特定の成分は、混合の前に水に分散させる必要はなく、したがって他の成分を含有する1種または複数種の溶液に未希釈で加えてもよい。本明細書で用いる場合、「混合」とは、当技術分野で既知の任意の手段によって達成されることができる。例えば、成分を機械的に撹拌する、かき混ぜる、または同時噴霧することを用いて、本明細書に記載の成分を「混合」することができる。特定の開示実施形態において、エマルション系を、セルロースナノ材料とは別に最初に調製し、次いで、セルロースナノ材料(機能性添加物および/または可塑剤などの、上記の追加の成分とともに配合することができる)と混合する。特定の開示実施形態において、エマルション系は、高温度下(例えば、70℃)で周囲温度の水に界面活性剤を懸濁することによって生成される。疎水性物質(例えば、脂肪酸)をさらに含むエマルション系の実施形態において、疎水性物質を界面活性剤溶液に加え、続いてホモジナイズすることができる。コーティング組成物が機能性添加物および/または可塑剤を含む実施形態において、機能性添加物を前処理(例えば、酸性溶液に溶解させる)し、次いで可塑剤および/またはセルロースナノ材料と混合することができる。
各成分を水に(一緒に、または別々にかかわらず)分散させたら、次いでホモジナイザーを使用して、低または高せん断でこの溶液をホモジナイズする。使用するせん断のレベルは、使用するコーティング組成物の種類によって修正することができる。通常、周囲温度で水中の成分を完全に溶解し、分散し、および/または乳化するために適した時間の間、溶液をホモジナイズする。次いで、最終組成物は、本明細書に開示するように、物体に組成物を適用するために、ソーキング、噴霧コーティング、浸漬、エンロービング、または任意の他の適した手法によって適用するために配合することができる。さらなるコーティング組成物を作成する代表的な方法は、本開示の実施例の節に記述する。
一部の実施形態において、組成物は、例えば組成物が将来の販売のために包装される場合、即時使用を意図しない。組成物の20%、30%、40%または50%未満が5日間、10日間、20日間、30日間または60日間の貯蔵の後、分離されるように、そのような組成物は常温保存可能である。さらに長い期間の貯蔵も予想される。常温保存可能な組成物を作成する方法は、組成物に加えられる適当な安定化剤を選択することを含み得ることを当業者は認識されよう。
本明細書に開示する組成物を用いて、植物またはその部位への収穫前後の損傷を防止することができ、したがって新鮮な生産物の貯蔵期限を延ばし、市場性を高める。組成物を食料品で用いて、貯蔵および食品、特に食用品の外観を促進することができる。本明細書に開示するコーティング組成物から形成されるコーティングおよび/またはフィルムは、販売の前に容易に取り除くことができ、消費者が簡単に剥がすことができ、安全に経口摂取されることができる。
一部の実施形態において、本明細書に開示するコーティングおよび処理用組成物を用いて、果実および/または野菜から浸出する色および栄養分を低下させ、防止することができる。開示する組成物も食品コーティングとして有用であり、ドリップロスを防止し、および解凍中に完全性を維持するために冷凍食品の調製において有用である。食料品は、離水(すなわち、解凍後の水分損失)および蒸発によって凍結および解凍プロセス中、かなりの水分損失を経験する。本明細書に記載の組成物から形成されるフィルムは、この水分損失を軽減することができる。例えば、開示する組成物を用いて、パン製品(例えば、クッキー、ペーストリー、およびパン)のおよび/または保管(冷蔵または周囲保管)中の肉の水分の損失/利得を減少させることができる。一部の実施形態を用いて、保管(冷蔵または周囲保管)中のキャンディおよび他の菓子の水分損失/利得および/または粘着を減少させることができる。さらに他の実施形態において、開示する組成物を用いて、保管中および棚に載せられている間、環境中の空気によるガス(例えば、OおよびCO)交換または種々の食品もしくは他の有機材料の有害なガス(例えば、エチレンガス)への曝露を減少させる。
本明細書に開示する組成物も農業に関連して用いて、植物部位(例えば、農作物種子)、植物および/または小植物を、収穫前後の生物ストレスおよび/または非生物ストレスから保護することができる。一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物を単独で用いて、または1種または複数種の農業用薬剤と組み合わせて、昆虫、線虫および/または微生物の侵入などの生物ストレスを阻害し、および環境ストレスなどの非生物ストレスに抵抗することもできる。当業者は、本明細書に記載の組成物の適用に起因する侵入の減少を決定するために用いることができるいくつかの方法があることを認識されよう。例えば、微生物のレベルについて、培養物を採取し、コロニー形成単位(CFU)の数を決定し、該組成物で処理されてない植物部位(例えば農作物種子)、植物および/または小植物と比較することができる。同様に、昆虫または昆虫の幼虫の数を数えることができ、本明細書に記載の組成物で処理されている植物部位(例えば、農作物種子)、植物および/または小植物を、同じ地形内の処理されていない同様の植物部位(例えば、農作物種子)、植物および/または小植物と比較することができる。一般に、処理された植物は、対照植物部位(例えば、農作物種子)、植物および/または小植物と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%少ない微生物、幼虫、および/または昆虫の侵入を示す。
一部の例において、コーティング組成物を用いて、重量減、かび発生、および/または硬度の減少を防止する、または軽減する。単に例として、開示した組成物の実施形態を用いて、熱帯果実などの植物部位(例えば果実)におけるかび発生および/または形態変化を防止することができる。本明細書に開示するコーティング組成物で被覆することができる代表的な植物部位としては、アボカド、カンタロープ、パパイヤ、マンゴー、ハネデューメロンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
組成物は、何らかの著しい香りまたは味覚も食品に与えることはなく、また、UV曝露に起因する果実の変色もしくは他の損傷を防止する安全で、見かけ上は透明なコーティングも提供する。フィルムも熱および/または日光に起因する水分損失を防止することができる。
例えば、劣化に対する抵抗性の増加、バリア特性の改善、および/または強度の改善をもたらすよう、ボード、フィルム、および包装などの生分解性製品の物性を改変することは、本明細書に記載の組成物から作成されるフィルムにとってさらに別の用途である。本明細書に提示するフィルム、乾燥(または実質的に乾燥した)コーティング、およびコーティング組成物は、保護的表面処理、または耐久性材料用のコーティングとして用いて、例えば、運搬および取り扱い中の損傷を減少させる、または防止することができるとも考えられる。食品産業における大多数の柔軟包装材料は、石油由来のポリマーである。それらの持続性の欠如および有毒残留物に対する懸念は、消費者へのアピールの低下となる。代替の天然材料(例えば、セルロースおよびキトサン)は、耐水性が欠如している。本明細書に開示するフィルムを用いて、これらの限界に取り組むコーティングを提供することができる。
特定の開示実施形態において、任意の適切な方法を用いて、コーティング組成物を物体に適用し、物体を部分的または完全に覆い、乾燥後にコーティングを形成することができる。例えば、物体はコーティング組成物に浸漬させてもよい。他の実施形態において、コーティング組成物は、物体の上に滴下するまたはブラシで塗ってもよい。さらに他の実施形態において、物体の上にコーティング組成物を噴霧し、コーティングによって物体を被覆(部分的にまたは完全に)してもよい。また、機械式適用器またはブラシを使用して物体を覆い(部分的にまたは完全に)、コーティング組成物を物体に適用することができる。植物および/または植物部位、例えば果実および/または野菜を被覆するために用いる組成物に関する実施形態において、組成物は収穫される前、または収穫後に物体に添加することができる。好適な噴霧器およびエンローバーは、当業者によって認識されよう。一部の実施形態において、コーティング方法は、コーティング組成物の粘度に基づいて選択されることができる。例えば、コーティング組成物が粘着性であり、被覆される物体が収穫後生産物(例えば、果実または野菜)である場合、通常、浸漬または滴下する適用方法が用いられる。収穫前の適用は、通常、噴霧方法を用いて、植物またはその植物部位にコーティングを適用することを含む。
種々の物体を本明細書に開示する組成物の実施形態によって接触させることができ、それによって改善した生産物を提供する。一部の実施形態において、物体は、植物または植物部位などの食品である。例示的な物体は、果実、特に疎水性表面を有する果実、および野菜、特に疎水性表面を有する野菜である
一般に、組成物で生成されたコーティングを含む物体は、本明細書に記載の生物を含むが、乾燥すると、成分の相対濃度は、例えば、組成物からの水分損失のために、変わる。したがって、コーティング組成物から形成される乾燥(実質的に乾燥した)コーティングは、一般に、含有する水分が少なく、(非蒸発性)組成成分の濃度/比率が高い。実質的に乾燥したコーティングは、依然として、低レベルの水分、例えば0%を超えて10%までの水分、もしくは0%を超えて7%までの水分、もしくは0%を超えて5%までの水分、もしくは0%を超えて4%までの水分、もしくは0%を超えて3%までの水分を含み得る。表1は、実質的に乾燥したコーティング中に存在する成分の量の代表的な範囲を示し、乾燥重量基準での重量%として表している。代表的な例において、実質的に乾燥したコーティングは、4.5重量%(乾燥重量基準)〜9.8重量%(乾燥重量基準)の範囲、例えば5重量%(乾燥重量基準)〜8.0重量%(乾燥重量基準)の範囲の量で存在し得るセルロースナノフィブリルまたはセルロースナノクリスタルを含むことができる。一部の実施形態において、実質的に乾燥コーティングの各成分の乾燥量基準は、式で算出されることができる:(乾燥コーティングの固体のパーセンテージ)×(特定の成分のパーセンテージ)/(湿潤組成物中のすべての成分のパーセンテージの合計)。一部の他の実施形態において、乾燥コーティングの各成分の乾燥重量基準は、以下のように算出することができる:Wdry=成分の一部/すべての成分の総計。単に例として、セルロースナノフィブリルの濃度が4.5重量%(乾燥重量基準)〜9.3重量%(乾燥重量基準)の範囲である代表的な実施形態において、この範囲は、この計算(実質的に乾燥したコーティング中に保持される5%水分を占める)を用いて得た:それぞれ、95×1.0/21、および95×0.1/1.02。一部の実施形態において、物体は、0μmを超えて50μmまで、例えば1μm〜40μm、または1μm〜30μmの範囲で厚みを有する、乾燥コーティングまたは実質的に乾燥したコーティングを含むことができる。
Figure 2020506988
いくつかの実施形態の概要
0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量でセルロースナノ材料と、脂肪酸および界面活性剤を含むエマルション系とを含み、脂肪酸が0.1重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、界面活性剤が0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、コーティング組成物の実施形態を本明細書に開示する。
一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、セルロースナノフィブリルを含む。一部の実施形態において、セルロースナノフィブリルは0.1重量%(湿潤重量基準)〜0.5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する。
一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、セルロースナノクリスタルを含む。一部の実施形態において、セルロースナノクリスタルは0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する。
上記の実施形態の一部または全部において、脂肪酸はオレイン酸、カプリン酸、ラウリン酸、リノール酸、α−リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、およびその任意の組み合わせである。
上記の実施形態の一部または全部において、界面活性剤はショ糖脂肪酸エステルまたはポリソルベート界面活性剤である。
上記の実施形態の一部または全部において、機能剤、可塑剤、またはその組み合わせをさらに含む。一部の実施形態において、機能剤はキトサンである。
上記の実施形態の一部または全部において、可塑剤はグリセロールである。
上記の実施形態の一部または全部において、コーティング組成物は機能剤と可塑剤とを含み、機能剤が0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、および可塑剤が0.02重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する。
一部の実施形態において、コーティング組成物は、0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)範囲の量でセルロースナノ材料と、オレイン酸およびショ糖脂肪酸エステルを含むエマルション系とを含み、オレイン酸が0.1重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、およびショ糖脂肪酸エステルが0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する。
一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、セルロースナノフィブリルを含む。
一部の実施形態において、コーティング組成物は、0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量のセルロースナノ材料と、0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在するポリソルベート界界面活性剤を含むエマルション系と、機能剤、可塑剤またはその組み合わせとを含む。
一部の実施形態において、セルロースナノ材料は、セルロースナノクリスタルを含む。
上記の実施形態の一部または全部において、機能剤はキトサンであり、および可塑剤はグリセロールである。
セルロースナノ材料と、脂肪酸および界面活性剤を含むエマルション系とを含む実質的に乾燥したコーティングの実施形態も本明細書に開示する。
一部の実施形態において、セルロースナノ材料は4.5重量%(乾燥重量基準)〜9.8重量%(乾燥重量基準)の範囲の量で存在する。
上記の実施形態の一部または全部において、脂肪酸は9.5重量%(乾燥重量基準)〜23重量%(乾燥重量基準)の範囲の量で存在する。
上記の実施形態の一部または全部において、界面活性剤は9.5重量%(乾燥重量基準)〜9.8重量%(乾燥重量基準)の範囲の量で存在する。
上記の実施形態の一部または全部において、セルロースナノ材料は、セルロースナノフィブリルを含む。
上記の実施形態の一部または全部において、セルロースナノ材料は、セルロースナノクリスタルを含む。一部の実施形態において、組成物は、9.5重量%(乾燥重量基準)〜9.8重量%(乾燥重量基準)の範囲の量でキトサンをさらに含む。
上記の実施形態の一部または全部において、組成物は2重量%(乾燥重量基準)〜4.7重量%(乾燥重量基準)の範囲の量でグリセロールをさらに含む。
上記のコーティング組成物実施形態の一部または全部によるコーティング組成物から形成されるコーティングを含む植物部位の実施形態も本明細書に開示する。
上記乾燥コーティング実施形態の一部またはすべてによる、実質的に乾燥したコーティングを含む植物部位の実施形態も本明細書に開示する。
上記の実施形態の一部または全部において、植物部位は、熱帯果実である。
上記の実施形態の一部または全部において、植物部位はバナナ、パパイヤ、アボカド、メロン、またはマンゴーである。
0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量でセルロースナノ材料と、脂肪酸および界面活性剤を含むエマルション系とを含み、脂肪酸が0.1重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、および界面活性剤が0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、コーティング組成物で植物または植物部位をコーティングする、または実質的にコーティングすることを含む、方法の実施形態も本明細書に開示する。
実施例
以下の材料および方法は、本開示の種々の実施形態を作製し、用いる際に有用になり得る。
材料
軟材クラフトパルプに由来し、2.95%および11.8%の固形分をそれぞれ有するCNFおよびCNCを、University of Maine(ME,USA)のProcess Development Centerで生成した。キトサン(97%脱アセチル化度、149kDa分子量)はPremix(Iceland)から、Tween80はAmresco(OH,USA)から、SEFAはTCI American(OR,USA)から、OAとグリセロールはAlfa Aesar(MA,USA)から、および酢酸はJ.T.Baker(NJ,USA)から購入した。1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸(ACC)とN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(EPPS)は、Chem Impex Internation,Inc.(IL、USA)から、HgCl2はMP biomedicals(CA,USA)から、リン酸ピリドキサールはTCI American(OR,USA)から、ジチオトレイトール(DTT)はSigma(MO、USA)から、およびトリクロロ酢酸(TCA)とNaOClはJ.T.Baker(NJ,USA)から購入した。
目視で欠損がない熟成段階2(わずかに黄色味をおびた緑色)の有機キャベンディッシュバナナ(Piura、Peru)を、地元のスーパーマーケット(OR、USA)に入荷した日に購入し、同購入日にコーティングした。
実施例1
本実施例では、Tween80およびショ糖脂肪酸エステル(SEFA)を含む2種類の非イオン界面活性剤を代表的なコーティング組成物中の界面活性剤として評価した。これらの界面活性剤は、異なる親水性頭部(Tween80の場合は炭水化物、およびSEFAの場合はエトキシレート)を有する。
本実施例において、セルロースナノ材料は、高い柔軟性と吸収能を有するセルロースナノファイバー(CNF)と、高剛性で、負の表面電荷を有する棒状構造である、セルロースナノクリスタル(CNC)とを含んでいた。これらをキトサンなどの機能性添加物と結合させて、マトリックスをもたらすことができる。果実表面へのコーティングの付着性を改善し、コーティングの水分バリアを増強し、生理活性を制御し、および/または果実の表面形態を改変することによって収穫後のバナナの貯蔵性を改善するためにこれらの成分を含むコーティング組成物の能力を評価した。
果実付着性、コーティングの疎水性、および外因的な果実品質パラメータ(例えば、クロロフィル分解、重量減、および果実の市場性)、ならびにコーティングの表面特性(例えば、果実の皮の臨界表面張力および細胞形態)に対する影響および果実の生理活性(例えば、エチレン生合成経路およびエチレンとCOの生成)を評価した。さらに、果実の周囲保管中に内因的な果実品質(例えば、デンプン分解、硬度、可溶性固形分、および滴定酸度)をモニターすることによって、果実の貯蔵性を向上させるコーティング能を評価した。
コーティング組成物は、湿潤重量基準(重量比)に基づいて調製し、各成分の濃度範囲は出願者の予備試験(データ不図示)に基づいて決定した。0.3%のCNFと0.2%のCNC強化キトサン2%とを含む各コーティングマトリックスを界面活性剤(Tween80またはSEFA)および/またはOAと配合し、図1に報告するように6種類の異なるエマルションコーティングに誘導した(図1を参照して、オレイン酸(OA)エマルションを形成するための界面活性剤の種類はTween80およびショ糖脂肪酸エステル(SEFA)を含んだ;θはバナナ表面での基準液体の接触角を表す;γLは、バナナの皮の基準液体の表面張力である;およびγcはバナナの皮の臨界表面張力である)。まず、異なる界面活性剤の種類とともにエマルション系を次のように調製した:1%のTween80を周囲温度で水に懸濁し、次いでSEFAを70℃で分散させて、水溶性を向上させた。次いで、1%のOA(1重量%)を界面活性剤溶液に加えて、1分間ホモジナイズした。Tween80(10重量%、乾燥重量基準)だけを含むコーティング組成物も陽性対照として調製した。CNFベースのエマルションコーティング組成物について、0.3%のCNFを界面活性剤および/またはOAと混合し(CNFA:0.03%のTween80のみ、CNFB:1%のTween80と1%のOA、およびCNFC:1%のSEFAと1%のOA)、次いで1分間ホモジナイズした(Polytron PT10−35、Luzernerstrasse、Switzerland)。CNC強化キトサンエマルションコーティング組成物について、2重量%のキトサンを1重量/容量%酢酸溶液に溶解させ、0.2%のCNCと0.4%のグリセロールとともに1分間ホモジナイズした。調製したコーティング組成物を界面活性剤および/またはOA(CNCA:0.2%のTween80のみ、CNFB:1%のTween80と1%のOA、およびCNFC:1%のSEFAと1%のOA)と混合して、3分間ホモジナイズし、次いで自作水流真空システムを用いて脱気した。
果実表面にコーティングを適用するとき、3通りの異なるコーティング適用方法(浸漬、噴霧、および浸漬)を評価し、果実貯蔵性に有意差は観察されなかった。果実表面にわたるコーティングの伸展性をさらに向上させるためのブラッシング方法を用いた。均一にコーティングを行うために、ペイントブラシ(幅:25mm)を用いて各コーティング組成物をバナナの上に手動で塗った。強制気流下で1時間、果実を乾燥させた。非被覆果実および被覆果実を周囲条件で包装せずに、蛍光灯下で10日間保管した(20±2℃、50±5%RH)。陽性対照としてSemperfresh(商標)(Semp、1.2重量%、Pace International, LLC,WA,USA)で被覆した果実を用いた。Semperfresh(商標)は、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリドとジグリセリド、およびカルボキシメチルセルロースを含有する市販のコーティング製品であり、バナナを含む種々の果実および野菜のコーティングで使用されている。
実施例2
コーティング性能は、果実の表面特性に関連づけるコーティング配合物の水和性によって強く影響される。これまでに、コーティング水和性と果実表面との相関性を理解するためになされてきた努力は限られていた。本実施例では、コーティング配合物の接触角(CA)、およびバナナ表面のコーティング組成物の拡散係数(W)を評価し、ならびにバナナ表面でのコーティングの十分な付着性を確実にするためにバナナ表面の表面張力(ST)を満たすコーティング組成物のSTを評価した。
CAは、表面接触角計を備えたビデオ接触角システム(FTA32,First Ten Ångstroms,Inc.,USA)を使用して決定した。10μLのコーティング組成物を10mmの高さからバナナ表面の水平面に滴下した。30秒後、分散時間の伸展性に対する影響を除外して、すべての試料についてCAを記録した。コーティング組成物のSTをDu Nuoyリング(CSC Scientific Co、Fairfax,VA)を備えたFTÅモデルT10(First Ten Ångstroms、Portsmouth,VA)を使用して決定した。STの定常状態に達するようすべてのデータを5分以内に収集した。コーティング組成物の伸展性を算出し、付着係数(W=γSV+γLV−γSL、拡散に影響を与える)および凝集係数(W=2γLV、収縮に影響を与える)から導き出された拡散係数(W=W−W)(式中γSV、γSL、およびγLVはコーティング組成物の固体−蒸気、固体−液体、および液体−蒸気の界面張力を表す)として表した。
被覆した果実表面にコーティング組成物が確実に十分かつ均一に付着するために、開発したコーティング組成物のSTは、その果実表面の臨界ST(γC)より低い、または近い必要がある。バナナ表面の臨界STを、基準液として水、ホルムアミド、および1−メチルナフタレンを用いて構築されたZismanプロットからの推定によって求めた。一部の実施形態において、果実表面の臨界表面張力は、その果実の触感および組成に依存する。
実施例3
本実施例では、疎水性を測定するためにコーティング組成物の接触角(CA)および由来フィルムのWVPを決定した。シリコンウエハ表面でのコーティング組成物のCAを上述と同じ方法を用いて決定した。コーティングは、開発したコーティング組成物に由来した。手短に言うと、60mLのコーティング組成物を直径150mmのポリスチレンペトリ皿(Falcon,PA,USA)に均一に注ぎ、室温で2日間乾燥させた。いで、測定の前に、由来コーティングを自己組立チャンバー内で25℃、50%RHで条件づけた(Versa,PA,USA)(Jungら,2016)。コーティングのWVPをASTM Standard E96−87(ASTM 2000;Park & Zhao, 2004)に基づくカップ法を用いて測定した。各フィルム試料(75×75mm)は、11mLの蒸留(DI)水で満たしたPlexiglasテストカップ(57×15mm)と蓋との間を真空グリースで封をし、ゴムバンドを使ってシールリングをきつく閉めた。テストカップアセンブリを自己組立チャンバー内に25℃、50%RHで保管し、6時間の間、1時間ごとに重さを量った。データを3再現実験の平均値および標準偏差として記録した。
実施例4
本実施例では、非被覆(対照)および被覆果実試料のバナナの皮のクロロフィル含量、重量減(%)、および市場性(%)を評価し、果実の貯蔵性を向上させるためのコーティング組成物を選択する科学的根拠として使用した。18個のバナナを無作為に3つの群に割り当て(6果実/群)、各群を1再現実験とし、処理ごとに3再現実験とした。バナナの皮のクロロフィル含量はDAメーター(Sinteleia,Bolonga,Italy)を用いて測定し、クロロフィル分解のパーセンテージを異なるサンプリング時(1日目〜10日目)での最初のクロロフィル含量からのクロロフィル含量変化として記録した。果実重量減(%)は、異なるサンプリング時での最初の重量からの重量変化とし、100を掛けて算出した。果実の市場性(%)はバナナの皮上の褐色斑点の目視観察に基づいて決定し、果実の皮の20%が褐色斑点でおおわれていた場合、果実は商品にならないと見なされた。次いで、異なるサンプリング時(1日目〜10日目)での市場向き果実の数を処理ごとに果実の総数(18個)で割って、100を掛けて市場性(%)を算出した。
セルロースナノフィブリルを含むコーティング組成物の実施形態、例えばCNF、オレイン酸、およびSEFAを含むコーティング実施形態(例えば、いくつかの図に記載の「CNFC」コーティング)は、上記の測定パラメータに基づいて良好な性能を示した。そのようなコーティングを、新鮮な一連の果実をコーティングすることによって、さらに検証した。非被覆および被覆(CNFCおよびSemp)果実のデンプン分解、硬度、滴定酸度(TA)、および全可溶性固形物(TSS)を評価し、上記の試験で行ったのと同じ保管条件の間、種々のサンプリング時(0日目、3日目、7日目および10日目)に果実の写真を撮った。果実熟成の結果としてデンプンの糖への変換を推定するためにヨード染色法を用いてパルプデンプン含量を決定した。2.5g/Lのヨウ素および10g/Lのヨウ化カリウムを用いて新たにヨード液を作製した。各サンプリング時にバナナの切断面をヨード液に5秒間浸漬し、各処理について6個の果実から無作為に選択した6個の切断面を目視観察した。果実の硬度は、テクスチャーアナライザー(TA−XT2 Texture Analyzer,Texture Technologies Corp.,NY,USA)を使用して、個々のバナナにP/6ステンレス製のシリンダープローブを10mm/秒の速度で深さ7mmに浸透させて最大浸透力(N)として決定した。処理ごとに1再現実験として、個々の果実について異なる部位での3回の測定を行った。平均値および標準偏差を6再現試験で記録した。TSSおよびTAについて、40gのバナナ果肉を160mLの蒸留水とブレンダー(Proctor Silex,NACCO Industry Inc.,VA,USA)を使用して混合した。2.5μmの孔径を有する定性濾紙(Whatman,GE Healthcare Bio−Sciences,PA,USA)を使用して混合物を濾過した。濾液のTSSを屈折計(RA250−HE,KEM,Tokyo,Japan)を使用して測定した。次いでpHメーター(Orion 410A,Fisher scientific,MA,USA)とデジタル滴定装置(Brinkmann,TX,USA)を用いてpH8.3まで濾液を0.1NNaOHで滴定した。熟したバナナ中の主な酸としてリンゴ酸の当量パーセンテージとしてTAを記録した。処理ごとに再現実験として各果実について1回測定を行い、平均値および標準偏差を6再現実験で記録した。
実施例5
本実施例では、効果的なコーティングのメカニズムを理解するために非被覆および被覆果実の果実生理活性および表面特性を調査した。
バナナの呼吸(OとCO)およびエチレン生成をフレームイオン化検出器(FID、エチレンとCO)および熱伝導度検出器(TCD、O)と共にガスクロマトグラフ(GC−2014,Greenhouse gas analyzer,Shimadzu,Japan)を使用して測定した。5個のバナナを無作為に選択し、重量を計り、ヘッドスペースガスをサンプリングするために10mmゴムセプタムを保持する蓋付の1.5L気密ガラス瓶の中にそれらのバナナを入れ、周囲温度(20±2℃)で保管した。24時間後、OおよびCOの生成を観察したが、エチレン生成は、生成量が少量のために、48時間後に測定した。瓶ごとに、気密シリンジ(Series A,Valco Instrument Co.,USA)を使用して1mLのヘッドスペースガスを収集し、次いで、3種類の充填カラム(モレキュラーシーブカラム80/100 HAYESEP D、8/100 HAYESEP N、および60/80(Supelco,Bellefonte,PA,USA))が付いたGCに注入した。キャリアガスとしてヘリウムを圧力350kP、流速21.19mL/分で加えた。注射器、カラムおよびFID検出器の温度は、それぞれ、150℃、90℃、250℃であった。O、CO、およびエチレンの標準ガスは、Air Liquide(Scott(商標),PA,USA)から購入し、GC溶液ソフトウェア(Shimadzu,Japan)を使用してO、CO、およびエチレンの量を算出した。
図1に例示するように、調整雰囲気状態を生成することによって、コーティングは果実のエチレン生合成経路に影響を与えることができる。ACCをエチレンの前駆体として測定し、ACS活性をS−アデノシルメチオニン(SAM)からのACCの合成を触媒する酵素として測定した。
ACCおよびACSを測定するために、バナナの果肉試料を異なるサンプリング時(0日目、3日目、7日目、および10日目)に収集し、分析に先立って−80℃で保管した。ACCを抽出するために、解凍したばかりのバナナ果肉2gを、10mLの9%TCA中で60秒間ホモジナイズし、次いで4℃で24時間インキュベートした。抽出物を10,000×gで30分間遠心分離し、次いで上清を、1N NaOHでpH7〜8に調整した。キャップ付き10mLバイアル中で2つの試料の反応混合物を500μLの上清、100μLの10mM HgCl(100μL)、および300μLの蒸留水で調製した。そのうち1つに内部標準ACC(50μLの0.05mM ACC)を使用してスパイクした。ACCのエチレンへの加水分解のために、両混合物に100μLの飽和NaOHおよび5.25% NaOClを加えてから、4℃で3分間、インキュベートした。次いで、エチレン測定のために5mLのガス試料を採取し、GCを用いて定量化した。ACC濃度をpmol/g新鮮な試料として表した。
ACSを測定するために、解凍したばかりのバナナ果肉5gを、100mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(EPPS)、0.5μM リン酸ピリドキサール、および4mM ジチオトレイトール(DTT)を含有する10mLの緩衝液中で60秒間ホモジナイズし、KOHでpH8.5に調整した。抽出物を10,000×gで30分間遠心分離し、次いで上清を、2mM EPPS、0.2μMリン酸ピリドキサール、および0.1mM DTTを含有する透析緩衝液(pH8.5)中、4℃で終夜透析した。同様に、400μLの酵素溶液、50μLの600mM EPPS(pH8.5)、および90μL蒸留水を含有する2つの反応混合物を10mLのキャップ付きバイアルで調製した。そのうち1つを内部標準ACC(50μLの0.05mM ACC)を使用してスパイクした。60μLの0.5mM SMAを加えてから、両反応混合物を30℃で3時間インキュベートし、次いで100μLの10mM HgClと200μLの蒸留水とで混合した。最終的に反応混合物に100μLの飽和NaOHと5.25%のNaOClを加えて加水分解させた。次いで、4℃で3分間インキュベートした後、5mLのヘッドスペースガスを収集し、GCを使用してエチレン生成を測定した。ACS活性は、pmolエチレン/g新鮮な試料として表した。
実施例6
本実施例では、コーティングのバナナの表面形態に対する効果を走査型電子顕微鏡(SEM)(FEI Quanta 600,Cressington Scientific Instruments Ltd.,UK)で評価した。非被覆、Semp被覆、およびCNFC被覆のバナナの皮を5mm片に切り分け、改変Karnovsky固定液に2時間入れておいた。試料を0.1M カコジル酸ナトリウム緩衝液ですすぎ、段階的な一連のアセトン(10%、30%、50%、70%、90%、95%、100〜100%)でそれぞれ10〜15分間脱水した。試料をEMS850臨界点乾燥装置内で乾燥させ、SEMスタブ上に皮側を上にして載せ、金およびパラジウムで被覆した。デジタル画像は、5kVの加速電圧で取得した。
コーティング組成物および由来コーティングの性能を分析するために、2つの処理因子(コーティングマトリックスの種類:CNFおよびCNC強化キトサン;エマルションの種類:Tween80のみ、Tween80とOA、およびSEFAとOA)を考慮して完全無作為化2要因デザインを適用した。PROC GLMを用いて、SASプログラム(SAS第9.2版,The SAS Institute,USA)による各因子間の有意差および相互作用を識別し、およびポストホック最小有意差(LSD)を多重比較で用いた。すべての測定を三つ組で行い、結果をP<0.05で有意に異なると見なした。
次いで、単一処理因子(コーティング組成物の種類:非被覆、Semp被覆、およびCNFC被覆)による完全無作為化デザインを、バナナの果実内部品質、生理活性、および表面特性についてのさらなる徹底的調査に適用した。すべての測定は、二つ組または三つ組のいずれかで行った。一元配置分散分析を行って、処理間の有意差を決定し、統計ソフトウェア(SAS第9.2版、The SAS Institute,USA)を用いてポストホックLSDを行った。結果は、P<0.05で有意に異なると見なした。
Figure 2020506988
実施例7
水分損失を減少させ、収穫後の呼吸を制御するための果実コーティングの有効性は、コーティング組成物の果実表面への十分な湿潤性および付着性、ならびに形成されたコーティングの疎水性に依存する。本実施例では、コーティング組成物の湿潤性および疎水性を、果実表面へのコーティング組成物の湿潤性(接触角と拡散係数)およびコーティング組成物の表面張力(ST)と果実表面の臨界STとの相関性、疎水性シリカウエハへのコーティング組成物の疎水性(接触角)、ならびに由来コーティングのWVPを測定することによって評価した。
コーティング組成物に含有されるエマルションの種類は、バナナの表面のCAに有意な(P<0.05)影響を及ぼし、OA/Tween80だけを含有するコーティング組成物(44.8°)よりもOA/Tween80(36.8°)またはOA/SEFA(31.2°)を含有するコーティング組成物において低いCAを示した(表2)。コーティング組成物の拡散係数(W)は、コーティングマトリックスの種類とエマルションの種類との間の相互作用の影響によって有意に(P<0.05)影響を受け、エマルションを含まないコーティング組成物(CNCAとCNFA)よりも乳化コーティング組成物(CNCB、CNCC、CNFB、およびCNFC)におけるWは高かった。STについて、2つの処理因子(コーティングマトリックスとエマルション)は、コーティング組成物のSTに有意に(P<0.05)相互作用の影響を受け、すべての処理の中でCNCCおよびCNFCコーティング組成物におけるST(それぞれ、26.0mM/mおよび25.4mM/m)が最小であったこと示した(表2)。これらの結果は、乳化コーティング組成物が細胞壁においてクチンとワックスで構成されている疎水性バナナ表面へのコーティングの湿潤性を向上させたことを裏づけた。加えて、開発したコーティング組成物のSTは、果実面の臨界ST(Zismanプロットに由来する)よりも低く、35.2mN/m(図1)であり、バナナ表面の表面エネルギーが低い(<100mN/m)ことを示した。多くの果実表面は、天然の蝋層が存在するために、表面張力が低い。この天然の蝋層は果実を保護するので、水溶性コーティングを果実表面に均一に付着させるには高い湿潤性が必要になることがある。果実表面上のコーティングの湿潤剤を向上させるために、コーティング組成物のSTは、果実表面の臨界STに近い、および/または臨界STよりも低い必要がある。本実施例から開発されるすべてのコーティング組成物は、CNFAを除き、バナナ表面の臨界STよりも低いSTを有し、したがってバナナ表面へのコーティングの十分な付着を確実にすることを上記の結果は裏づけた。
疎水性に関して、OA/SEFAを含めたコーティング組成物は、OA/Tween80を含めたそれよりも、疎水性シリコンウエハへのCAが有意に(P<0/05)低かった(表2)。これはTween80と比較してより疎水性のSEFAに起因している可能性があり、したがって油−水界面張力が低下して、コーティングの疎水性が向上する。一方、コーティングマトリックスおよび含有エマルションの種類は、由来コーティングのWVPに対して有意な(P<0.05)効果を有し、CNFCフィルム(0.03g mL/m2 d Pa)のWVPはすべてのコーティング組成物中で最低値を有し、優れた水分バリアを示した(表2)。単一の理論に限定されることなく、OA/SEFAエマルション系は、CNC強化キトサンコーティングと比較して、わずかな表面電荷と柔軟な構造を有する連続CNF相に十分に分散されることが可能であり、したがって疎水性CNFエマルションマトリックス中の水分拡散を妨げると、現在、考えられる。CNC強化キトサンマトリックスは、正荷電キトサンと、CNCの負の表面電荷との間の静電相互作用および高結晶性連続相に起因する表面荷電の低下が示すように、OA/SEFAエマルション系との親和性が低い可能性がある。したがて、CNFベースのコーティングマトリックス中のOAおよびSEFAで構成されるエマルション系は、水分バリアの機能が向上した疎水性コーティングを得ることが可能である。
実施例8
コーティング組成物の10日間の周囲保管中のバナナのクロロフィル分解、重量減、および市場性に対する効果は、図2A〜2Cに報告する。CNFCコーティングは、すべてのコーティング組成物中でバナナの皮のクロロフィル分解が最も少なくかつ最も遅い結果となった(図2A)。また、10日間の周囲保管の終了時の果実の重量減に関して、非被覆処理(約24%)および他の処理(約19〜23%)と比較して、CNFCコーティングは最も少ない重量減(約17%)をもたらした(図2B)。さらに、CNFCは、他のコーティング組成物と比較して、保管期間にわたり、最も高い果実市場性を保持した(図2C)。5日間の保管後、非被覆(対照)果実は約50%の市場性を消失したのに対して、CNFC被覆果実の市場性は8日間の保管でも依然として約90%であった。単一の理論に限定されることなく、CNFCコーティングの有効性は、果実表面と密に相互作用して、均一なコーティング被覆と良好な水分バリアをもたらす、CNFコーティングマトリックス中に十分に分散されたOA/SEFAのエマルション系に起因する可能性があり、したがって水分損失を防ぎ、クロロフィル分解を減少させ、および保管中の果実の市場性を向上させると現在、考えられる。
実施例9
本実施例では、非被覆、Semp被覆、およびCNFC被覆の果実を、周囲保管中のバナナの生理活性(図3A〜3D)および表面特性(図4A〜4C)に対するそれらの果実の効果をさらに調査した。非被覆果実のエチレン生成(4.41ppm/g)およびSemp被覆果実のエチレン生成(2.38ppm/g)と比較して、CNCFコーティングの果実のエチレン生成は、かなり低下した(0.82ppm/g)(図3A)。また、CNFC被覆果実は、非被覆果実と比較して、COを少なく、Oを多く含有していたが、Semp被覆果実と比較すると同様のCOおよびOを含有していた(図3B)。果実呼吸(OとCO)およびエチレン生成は、保管期間にわたり熟成および老化の変化を追跡する主要な生理学的指標である。これらのデータは、CNFCコーティングが果実内で改変した内部雰囲気を形成することによってバナナの呼吸およびエチレン生成を抑制し、したがって果実の熟成および老化を遅らせることを裏付けた。
収穫後クリマクテリック型果実は、自己触媒的エチレン生合成によってエチレンを生成し、エチレン生合成においてエチレンの前駆体としてACC、およびSAMからACCを合成する触媒酵素としてACSが生成される(図1)。図3Cに示すように、CNFCコーティングは、非被覆果実およびSemp被覆果実と比較して、かなり高い果実のACC濃度をもたらした。この結果は、CNFCコーティングが果実の内部雰囲気を改変し、それによりACCのエチレンへの加水分解が制限され、したがって果実内に蓄積されたACCによるエチレン生成が生じるのが少ないことを示した。この結果は、非被覆果実およびSemp被覆果実と比較して、CNFC被覆果実においてエチレン生成がすくないことと一致していた(図3B)。一方、ACS活性は、保管0日目にピークになり、次いで保管の最初の4〜5日間に徐々に低下したが、CNFC被覆果実とSemp被覆果実の場合、残りの保管期間中、再び上昇した(図3D)。初期の高いACS活性は、入手した果実試料の続いて起こる皮の黄色化の出現に関連する可能性がある。地元市場から入手したバナナ果実が当施設での保管の前に、続いて起こる皮の黄色化の開始にすでに達していた可能性があった。7日間の保管後のSemp被覆果実およびCNFC被覆果実のACS活性の上昇は、果実の熟成段階の延期において熟成の遅れに関連する可能性がある。CNFCコーティングは、果実ACS活性においてSempコーティングのそれよりも低くなり、熟成過程がより遅いことを示した。したがって、エチレンとCOの生成の低下、およびACS活性の減少が示すようにCNFCコーティングは、バナナの生理活性を制御することが可能であり、したがって果実熟成を遅らせる。
SEM分析によるコーティングの果実表面特性に対する影響を図4A〜5Cに図示する。CNFCコーティング(図4C)は表皮細胞の間を切断せずに、果皮表面を均一に覆ったが、一方細胞間のひびおよび/または切断は非被覆果実(図4A)およびSemp被覆果実で出現した(図4B)。この不十分な被覆は、水分損失、呼吸、および真菌の侵入を加速させることがあり得る。加えて、CNFC被覆果実の表皮細胞の大きさおよび形状を図4Cに印したように変化させた。これは、線維性CNFマトリックスとバナナの皮の表皮細胞との間の相互作用に起因する可能性がある。したがって、果実の表面形態は、線維性、疎水性のCNFCコーティングがバナナ表面と十分に結合して、効果的なコーティング性能をもたらし得ることをさらに確実にした。
実施例10
本実施例では、非被覆、Semp被覆、およびCNFC被覆の果実について確認試験を行った。果実の外観を、周囲保管の3日目、7日目、および10日目に観察した(図5A)。バナナの緑黄色期間(保管から0日目〜3日目)中、Sempコーティング(図5Aの中央の画像)およびCNFCコーティング(図5Aの右側の画像)ではクロロフィル分解の速度が低下した。黄褐色の期間(保管から7日目〜10日目)中、CNFCコーティングは、非被覆果実およびSemp被覆果実と比較して、果実表面の褐変斑点の発生がさらに低下した。黄色の段階では、バナナ果実は熟成し続け、ポリフェノルオキシダーゼ(PPO)の存在により、さらにフェノールのキニーネへの変化が促進され、重合による高分子が増加し、したがって褐色の色素が蓄積されることになる。CNFCコーティングは、果実の黄色段階においてバナナの熟成および老化を遅らせることによって、酵素的褐変を低下させた。
デンプン試験は、非被覆果実およびSemp被覆果実と比較して、果実の横断面の色がヨード反応から暗青色/黒色に反映し、CNFC被覆バナナのデンプン含量が高いことを示した(図5A)。類似の傾向は、保管から3日目および7日目にTSSから観察され、非被覆果実およびSemp被覆果実と比較して、CNFCコーティングが果実の最も少ないTSSをもたらしたことを示した(図5A)。これらの結果は、CNFCコーティングがデンプンの加水分解および可溶性糖への変換を妨げることによってバナナ熟成を遅らせることを証明した。一方、CNFC被覆バナナのTSSは、保管から10日目に、非被覆果実のTSSと有意差がなく、保管中、バナナにおいて熟成過程が適切に継続していたことを示した。この結果は、保管から7日目以降、ACS活性が上昇したことによっても裏付けられ、CNFC被覆バナナにおいて熟成過程が適切に継続していたことを示した。
Semp被覆およびCNFC被覆の両バナナは、保管から3日目と7日目に、非被覆試料よりも高い硬度を保持していた(図5B)。硬度は、バナナ果実の熟成段階および品質を決定するための重要なパラメータである。熟成中、ペクチンエステラーゼおよびポリガラクツロナーゼはペクチンとデンプンを加水分解し、細胞壁構造の破壊および劣化をもたらし、次に果実を軟化させる。記録し、上述した結果に基づいて、果実表面への均一表面被覆によるCNFCコーティングは、CNFとバナナの皮の表皮細胞との間の相互作用によって被覆果実の生理活性および熟成を遅らせることができ、したがって保管中、果実の硬度を保持した。
CNFCコーティングは、保管から3日目と7日目の非被覆果実およびSemp被覆果実と比較して、最も少ない果実の可溶性固形分をもたらした(図5C)。熟成中デンプンが可溶性糖に加水分解されるので、可溶性固形分は、果実熟成の良い指標である。可溶性固形分データは、CNFCコーティングが、Sempコーティングと比較して、果実熟成をさらに遅らせることを証明した。一方、CNFC被覆バナナの可溶性固形分は、保管から10日目に非被覆果実のそれと有意差がなく、保管中のバナナでは熟成過程が適切に継続していたことを示した。この結果は、保管から7日目以降、ACS活性が上昇したことによっても裏付けられ、CNFC被覆バナナでは熟成過程が適切に継続していたことを示した。
CNFC被覆果実のTAは、保管の全10日間にわたり非被覆果実およびSemp被覆果実よりも有意(P<0.05)に高かった(図5D)。CNFCコーティングは、果実の生理活性が制御されたために、保管中の呼吸過程で一次基質として有機酸の消費を減少させることが想定された。確認試験によって、CNFCコーティングが周囲保管中、熟成を遅らせ、品質劣化を遅延させ、収穫後バナナの貯蔵性を延ばすために効果的であることを確認した。
実施例11
本実施例では、周囲保管での外観および選択された種々の果実の品質パラメータに対するCNFエマルションコーティングの効果を調べた。結果を図6に示す。図において対照と被覆果実との間で異なる上付き文字は有意差(P<0.05)であり、およびWL=重量減を意味する。
実施例12
本実施例では、マンゴーを、セルロースナノフィブリルと、オレイン酸およびショ糖エステル脂肪酸を含むエマルション系とを含むコーティング組成物を用いて被覆した。マンゴーを周囲条件下で12日間保管した。コーティング適用により緑色の状態が伸びて、果実の貯蔵性を向上させたことが分かった(図7を参照されたい)。
実施例13
保管12日目に非被覆果実および被覆果実を、重量減、硬度、総可溶性固形分(TSS)、および滴定酸度(TA)について測定した。唯一の有意(P<0.05)差は、TAで観察され、非被覆果実よりも、本明細書に開示したコーティング実施形態による果実においてより高かった。より高いTAは、果実熟成が遅れていることを示す可能性がある。結果を以下の表3に示す。
Figure 2020506988
実施例14
本実施例では、CH含有CNFで生成されたフィルムを、果肉を分離するためのフィルムとして使用するために評価した。一貫して、CH含有CNFフィルム(68kDaおよび287kDaで20重量%(乾燥重量基準)のCHを含む)は、CHを含まないCNFフィルムのそれよりも、有意に低い液体吸収(低WA値)を有し、CH含有CNFフィルムの耐水性の向上を示した。これらの結果(図8Aおよび8Bを参照されたい)は、CH含有CNFフィルムが高含水状態に対して耐久性があり、そのため、層状生成物間の湿分移動を防止するための分離シートとして高湿表面食品に適用することができる可能性を有する。対照(CNFだけを含んでいる)以外のすべてのフィルムは、0.5重量%CNF(湿潤重量基準で水に対する重量比)と、10重量%グリセロール(乾燥重量基準でキトサンに対する重量比)とを含有することによって調製した。
本開示の原則を適用することができる多くの可能な実施形態を考慮して、例示した実施形態が単に好ましい例であり、本開示の範囲を限定すると見なしてはならないことを認識すべきである。むしろ、本開示の範囲は以下の請求項によって定められる。したがって、本出願人は、これらの請求項の範囲および趣旨内に入るすべてを本発明として主張する。

Claims (29)

  1. コーティング組成物であって、
    0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量のセルロースナノ材料と、
    脂肪酸および界面活性剤を含むエマルション系と
    を含み、前記脂肪酸が0.1重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、前記界面活性剤が0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、コーティング組成物。
  2. 前記セルロースナノ材料がセルロースナノフィブリルを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 前記セルロースナノフィブリルが0.1重量%(湿潤重量基準)〜0.5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、請求項2に記載のコーティング組成物。
  4. 前記セルロースナノ材料がセルロースナノクリスタルを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
  5. 前記セルロースナノクリスタルが0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、請求項4に記載のコーティング組成物。
  6. 前記脂肪酸がオレイン酸、カプリン酸、ラウリン酸、リノール酸、α−リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、およびその任意の組み合わせである、請求項1に記載のコーティング組成物。
  7. 前記界面活性剤がショ糖脂肪酸エステルまたはポリソルベート界面活性剤である、請求項1に記載のコーティング組成物。
  8. 機能剤、可塑剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
  9. 前記機能剤がキトサンである、請求項8に記載のコーティング組成物。
  10. 前記可塑剤がグリセロールである、請求項8に記載のコーティング組成物。
  11. 前記組成物が機能剤と可塑剤とを含み、前記機能剤が0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、および前記可塑剤が0.02重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、請求項8に記載のコーティング組成物。
  12. コーティング組成物であって、
    0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量のセルロースナノ材料と、
    オレイン酸およびショ糖脂肪酸エステルを含むエマルション系と
    を含み、前記オレイン酸が0.1重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、および前記ショ糖脂肪酸エステルが0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、コーティング組成物。
  13. 前記セルロースナノ材料がセルロースナノフィブリルを含む、請求項12に記載のコーティング組成物。
  14. コーティング組成物であって、
    0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量のセルロースナノ材料と、
    0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在するポリソルベート界界面活性剤を含むエマルション系と、
    機能剤、可塑剤またはその組み合わせと
    を含む、コーティング組成物。
  15. 前記セルロースナノ材料がセルロースナノクリスタルを含む、請求項14に記載のコーティング組成物。
  16. 前記機能剤がキトサンであり、および前記可塑剤がグリセロールである、請求項14に記載のコーティング組成物。
  17. 実質的に乾燥したコーティングであって、セルロースナノ材料と、脂肪酸および界面活性剤を含むエマルション系とを含む、実質的に乾燥したコーティング。
  18. 前記セルロースナノ材料が4.5重量%(乾燥重量基準)〜9.8重量%(乾燥重量基準)の範囲の量で存在する、請求項17に記載の実質的に乾燥したコーティング。
  19. 前記脂肪酸が9.5重量%(乾燥重量基準)〜23重量%(乾燥重量基準)の範囲の量で存在する、請求項17に記載の実質的に乾燥したコーティング。
  20. 前記界面活性剤が9.5重量%(乾燥重量基準)〜9.8重量%(乾燥重量基準)の範囲の量で存在する、請求項17に記載の実質的に乾燥したコーティング。
  21. 前記セルロースナノ材料がセルロースナノフィブリルを含む、請求項17に記載の実質的に乾燥したコーティング。
  22. 前記セルロースナノ材料がセルロースナノクリスタルを含む、請求項17に記載の実質的に乾燥したコーティング。
  23. 9.5重量%(乾燥重量基準)〜9.8重量%(乾燥重量基準)の範囲の量でキトサンをさらに含む、請求項22に記載の実質的に乾燥したコーティング。
  24. 2重量%(乾燥重量基準)〜4.7重量%(乾燥重量基準)の範囲の量でグリセロールをさらに含む、請求項22に記載の実質的に乾燥したコーティング。
  25. 請求項1に記載の前記コーティング組成物から形成されるコーティングを含む、植物部位。
  26. 請求項17に記載のいずれか1つの実質的に乾燥したコーティングを含む、植物部位。
  27. 前記植物部位が熱帯果実である、請求項26に記載の植物部位。
  28. 前記植物部位がバナナ、パパイヤ、アボカド、メロン、またはマンゴーである、請求項26に記載の植物部位。
  29. 方法であって、0.1重量%(湿潤重量基準)〜1重量%(湿潤重量基準)の範囲の量のセルロースナノ材料と、脂肪酸および界面活性剤を含むエマルション系とを含むコ−ティング組成物で植物または植物部位をコーティングする、または実質的にコーティングすることを含み、前記脂肪酸が0.1重量%(湿潤重量基準)〜5重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在し、前記界面活性剤が0.1重量%(湿潤重量基準)〜2重量%(湿潤重量基準)の範囲の量で存在する、方法。
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