JP2020505038A - 幹細胞の生存および増殖を高めるための培地および方法 - Google Patents

幹細胞の生存および増殖を高めるための培地および方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための改善された補充物、培養培地および方法に関する。特に、脂質補充物、例えば脂質強化担体(例えば脂質強化アルブミン)を培養培地に加えることによって、脂質補充物を含まない培養培地と比較して、幹細胞の生存および/または増殖を少なくとも5%〜65%高めることができる。

Description

背景
幹細胞研究は、胚発生の研究、疾患モデリング、毒物学的スクリーニングおよび細胞療法と多岐にわたる潜在用途を有する、動きの速い研究分野になってきている。最初のヒト胚性幹細胞株(ESC)の誘導以来、ESCは、再生医療におけるその潜在的な使用のために、幅広い世間の注目を受けている(Thomson et al. 1998)。ESCの一見すると無限の増殖能は、すべての体細胞型に分化するその能力と相まって、ESCを、移植可能なヒト組織の魅力的な再生可能な資源にする。
さらに、分化した体細胞が、幹細胞転写因子を用いて細胞にトランスフェクションを行うことによってESC様状態に再プログラムされ得るという発見以来、個別化医療の可能性が現実化された(Takahashi and Yamanaka 2006)。患者特異的体細胞は、移植後の免疫拒絶反応の危険性を低下させるために、多能性幹細胞(iPSC)株に誘導して、患者に移植して戻すことができる。
任意の動きの速い研究領域と同様に、iPSCを生成するための方法は、より効率的になってきている。さらに、非組み込み技術の出現により、iPSCは臨床的に、より適したものになってきている(Maeder and Gersbach 2016)。そのような進歩は、より利用しやすい遺伝子編集技法(ZFN、TALEN、CRISPRなど)の最近の開発と相まって、患者に細胞を移植して戻す前に疾患特異的変異を直すための道を開き得る。
遺伝子編集も動きの速い研究分野であり、新しい用途および改変が頻繁に公表されている。ほとんどの場合ゲノム中の特定の場所で二本鎖切断を引き起こす、遺伝子編集後の細胞性DNA修復機構の予測不能の性質によって、異なるインデルを含む標的細胞の集団がもたらされ得る。これは、異なる変異が異なる表現型を呈し得る場合、変化ゲノムが細胞に与える影響は何かを評価しようとする際の潜在的な問題である。この問題点を解決するために、単一細胞から新しい細胞株をクローン誘導することによって、同じ変化を含む均一な集団を得ることができる。
個別の細胞から細胞株を誘導する効率は非常に難易度が高いものである可能性があり、ヒト多能性幹細胞は、クローニング効率が非常に低い可能性がある一つの例である。
ヒト多能性幹細胞は、そのマウス対応物と違って、個別の細胞として培養することが困難であり、クローン密度まで低く個別の細胞を播種することは、プレーティングの直後に大量の細胞死をもたらす原因となり得る。これは、最初のプレーティングを生き延びる細胞(多くは細胞周期に再び入らない)および細胞周期に再び入る細胞(娘細胞の多くが生き延びず、長期の増殖性コロニーを形成するのは極わずか)の単一細胞を播種した後の、ある特定のボトルネックに起因していた(Barbaric et al. 2014)。
個別の哺乳動物幹細胞の培養に関連する前述の問題を解決するためのアプローチは、数々の小分子阻害剤を含む複合培地調合物を含んでいた。そのような培地調合物は、製造の費用およびそれらの非効率性の理由で不適当である。したがって、インビトロ培養において哺乳動物幹細胞の生存および/または増殖を高めるための培養培地および方法の必要性が依然として存在する。
概要
本開示は、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための改善された補充物、培養培地および方法に関する。特に、本発明者らは、脂質補充物、例えば脂質強化担体(例えば脂質強化アルブミン)を培養培地に加えることによって、脂質補充物を含まない培養培地と比較して、幹細胞の生存および/または増殖を少なくとも5%〜65%高めることができることを示した。より詳細には、脂質補充物、例えば脂質強化担体(例えば脂質強化アルブミン)を培養培地に加えることによって、幹細胞の生存および/または増殖をおよそ10%〜40%高めることができる。記載される脂質補充物および/または培養培地を使用した場合の平均クローニング効率は、およそ30%である。
本開示の一局面では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための脂質補充物が提供される。一態様では、脂質補充物は1種または複数種の脂質を含むことができる。別の態様では、脂質補充物は、担体の存在下で1種または複数種の脂質を含むことができる。さらなる態様では、脂質補充物は、脂質強化担体、例えば脂質強化アルブミンを含むことができる。
本開示の別の局面では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地が提供される。一態様では、培養培地は脂質補充物を含むことができる。一態様では、脂質補充物は1種または複数種の脂質を含むことができる。別の態様では、脂質補充物は、担体の存在下で1種または複数種の脂質を含むことができる。さらなる態様では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地の脂質補充物は、脂質強化担体、例えば脂質強化アルブミンを含むことができる。
一態様では、培養培地は、脂質補充物、例えば脂質強化アルブミン、および1種または複数種の生存因子、例えば1種または複数種の小分子阻害剤を含む。
別の局面では、培養培地は細胞外マトリックスを含むことができる。培養培地が細胞外マトリックスを含む態様では、細胞外マトリックスの濃度は、そのゲル化閾値より低くてもよい。一態様では、細胞外マトリックスは1種または複数種のモノマトリックス成分を含む。そのような培養培地は、1つまたは複数の幹細胞の生存および/または増殖を約5%〜約65%高める(すなわち、クローニング効率を高める、回収クローンの数を増加させる、および/または生存率を高める)ことができる。
別の態様では、細胞外マトリックスを含む培養培地は、脂質補充物を任意でさらに含むことができる。
1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための、細胞外マトリックスを含む培養培地の別の態様では、培養培地は、1種または複数種の生存因子をさらに含むことができる。
別の態様では、本開示は、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための、脂質補充物フリー培養培地であって、細胞外マトリックスを含む培養培地を提供する。
一態様では、細胞外マトリックスの濃度はそのゲル化閾値より低い。いくつかの態様では、細胞外マトリックスは1種または複数種のモノマトリックス成分を含む。
別の態様では、脂質補充物フリー培養培地は、1種または複数種の生存因子、例えば、1種または複数種の小分子阻害剤を含む。
別の局面では、本開示は、脂質強化アルブミンを含む培養培地中で幹細胞を培養する工程を含む、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める方法を提供する。
一態様では、培養培地は細胞外マトリックスを含むことができる。別の態様では、細胞外マトリックスの濃度は、そのゲル化閾値より低くてもよい。
一態様では、培養する工程は、単層として1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養することを含む。別の態様では、培養する工程は、非接着条件下で1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養することを含む。
さらなる局面では、本開示は、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める方法を提供する。一態様では、方法は、本明細書において記載される脂質補充物の存在下で1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養する工程を含むことができる。別の態様では、方法は、本明細書において記載される培養培地の存在下で1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養する工程を含むことができる。さらなる態様では、方法は、細胞外マトリックスを含む、脂質補充物フリー培養培地中で幹細胞を培養する工程を含むことができる。
一態様では、細胞外マトリックスの濃度は、そのゲル化閾値より低くてもよい。
一態様では、培養する工程は、単層として1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養することを含む。別の態様では、培養する工程は、非接着条件下で1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養することを含む。
一態様では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための方法は、以下の工程を含むことができる:
a)1つまたは哺乳動物幹細胞を提供する工程;
b)脂質補充物を含む培養培地中で1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養する工程;
c)1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める工程;および
d)5%〜65%のクローニング効率を得る工程。
別の態様では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための方法は、以下の工程を含むことができる:
a)1つまたは哺乳動物幹細胞を提供する工程;
b)1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を、そのゲル化閾値より低い細胞外マトリックスおよび任意で脂質補充物を含む培養培地中で培養する工程;
c)1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める工程;および
d)5%〜65%のクローニング効率を得る工程。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなると考えられる。しかし、詳細な説明および特定例は本発明の好ましい態様を示してはいるが、本発明の趣旨および範囲内の様々な変化および改変がこの詳細な説明から当業者に明らかとなると考えられるので、例示という目的でのみ与えられていることを理解されたい。
図1は、異なる培養培地中で培養される様々な細胞株についてのクローニング効率(%)を示す棒グラフである。 図2は、異なる培養培地中で培養される様々な細胞株についてのクローニング効率(%)を示す棒グラフである。 図3は、凝集塊継代対照と比較した場合の、様々なWLS-1Cヒト幹細胞クローンについての日々の拡大倍率を示すグラフである。 図4は、様々な培養培地におけるhPSCのクローニング効率(%)を示す棒グラフである。 図5は、アルカリホスファターゼで染色された、実施例4のウェルの代表的な画像を示す。 図6は、様々な培養培地において非接着条件下で培養したhPSCのクローニング効率(%)を示す棒グラフである。 図7は、様々な培養培地において非接着条件下で培養したhPSCの回収クローンの数を示す棒グラフである。 図8は、低脂質BSA上に異なる脂肪酸を単独でまたは組み合わせて脂質ローディングすることがクローニング効率を増大させることを示す棒グラフである。 図9は、担体の存在下で脂質を加えることがクローニング効率を増大し、特に脂質ローディングされる必要がないことを示す棒グラフである。 図10は、タンパク質が豊富な培地(A)およびタンパク質フリー培地(B)中でhPSCのクローニング効率を増大させるために担体の存在下で加えることができることにより、脂質は脂質ローディングされる必要がないことを示す棒グラフである。 図10Aの説明を参照のこと。 図11は、複数のBSA供給業者由来のBSAを含む培地のクローニング効率が、遊離脂肪酸を加えることによって向上し得ることを示す棒グラフである。供給業者Aのロット1および2、供給業者Bのロット1ならびに供給業者Cのロット1のBSAは、既に3000〜7000ug/gの全体的な脂肪酸を含む。残りの供給業者のBSAは、400ug/g未満の全体的な脂肪酸を含む。 図12は、脂肪酸がクローニング効率に対して異なる効果を有し、有益なものもあるが、有害なものもあることを示す棒グラフである。 図13は、有害な脂肪酸を脂質強化BSAに加えることが、クローニング効率に対して負の効果があることを示す棒グラフである。
詳細な説明
本開示は、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための方法および培地に関する。
本明細書において使用される場合、「生存または増殖を高める」は、脂質補充物もしくは細胞外マトリックスまたは両方の存在下で培養されていないが、その他の点では同じまたは実質的に同じ条件下で培養されている1つまたは複数の細胞と比べて、脂質補充物もしくは細胞外マトリックスまたは両方の存在下で培養された場合の1つまたは複数の細胞の生存または増殖の増加を意味する。
本明細書において使用される場合、「脂質補充物」は、1種または複数種の脂質および/または脂質様物質の調製物を意味する。該調製物は、遊離した1種または複数種の脂質(もしくは遊離した1種もしくは複数種の脂肪酸)および/または脂質様物質として提供され得る。あるいは、調製物は担体の存在下で提供され得る。あるいは、調製物を担体上にローディングして、脂質強化担体を形成することができる。非限定例として、脂質強化担体は脂質強化アルブミンでもよい。1種または複数種の脂質および/または脂質様物質の調製物を、それらに1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の細胞培養物を曝露するより前に、担体上にローディングすることができる。あるいは、1種または複数種の脂質および/または脂質様物質の調製物を、それらに1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の細胞培養物を曝露するより前に、担体と組み合わせることができる。あるいは、1種または複数種の脂質および/または脂質様物質の調製物ならびに担体を、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の細胞培養物に別々に与えることができる。任意の態様において、脂質補充物を、細胞培養培地、例えば幹細胞培養培地中の細胞培養に供給することができる。
本明細書において使用される場合、「担体」は、インビトロまたはインビボを問わず、脂質補充物のいくつかまたはすべてを細胞に輸送することができる、生物学的または非生物学的な作用物質、物質、組成物または複合体を意味する。より具体的には、担体は、インビトロまたはインビボを問わず、1種または複数種の脂質を細胞に輸送することができる。非限定例として、担体は、アルブミン、ミセル、リポソーム、細胞外小胞、エキソソーム、シクロデキストリン、ナノ構造脂質担体またはそれ以外でもよい。
本明細書において使用される場合、「哺乳動物幹細胞」は、細胞分裂の際に、自己再生する能力および少なくとも1つの分化した娘細胞を生じさせる能力を保持する細胞を意味する。哺乳動物幹細胞としては、多能性幹細胞、例えば:胚性幹細胞(ESC);人工多能性幹細胞(iPSC);ならびに分化転換し、それによって、生じた細胞が細胞分裂の際に自己再生する能力および少なくとも1つの分化した娘細胞を生じさせる能力を保持する細胞が挙げられる。特定の態様では、哺乳動物幹細胞は、成体組織幹細胞、およびその上流または下流を問わず任意の前駆細胞も含むことができる。
脂質補充物
本開示の一局面では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための脂質補充物が提供される。脂質補充物は1種または複数種の脂質を含むことができる。
脂質補充物のいくつかの態様では、1種または複数種の脂質は、脂肪酸;グリセロ脂質;グリセロリン脂質;スフィンゴ脂質;ステロール脂質;プレノール脂質;サッカロ脂質;またはポリケチドを含む群より選択することができる。
脂質補充物の他の態様では、1種または複数種の脂質は、脂質様物質、例えばポロキサマーを含むことができる。ポロキサマーは、Kolliphor(商標)、Synperonics(商標)またはPluronics(商標)でもよい。ある特定の態様では、脂質様物質はKolliphor(商標)P188でもよい。
脂質補充物の他の態様では、脂質補充物は非脂質成分、例えば、ビタミンまたはその誘導体もしくは類似体を含むことができる。脂質補充物に含めることができるビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、およびビタミンEを含むことができる。ビタミン誘導体または類似体の例は、d-αトコフェロール、d-αトコフェリルアセテート、d-αトコフェリルスクシネート、D-L-α-トコフェロール、およびLA2Pを含むことができる。
脂質補充物のさらに他の態様では、1種または複数種の脂質は、脂肪酸;グリセロ脂質;グリセロリン脂質;スフィンゴ脂質;ステロール脂質;プレノール脂質;サッカロ脂質;またはポリケチドを含む群より選択することができ、脂質様物質、例えばポロキサマーを含むこともできる。ポロキサマーは、Kolliphor(商標)、Synperonics(商標)またはPluronics(商標)でもよい。ある特定の態様では、脂質様物質はKolliphor(商標)P188でもよい。
さらに、脂質補充物は、非脂質成分、例えば、ビタミンまたはその誘導体もしくは類似体を含むことができる。脂質補充物に含めることができるビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、およびビタミンEが挙げられる。ビタミン誘導体または類似体の例としては、d-αトコフェロール、d-αトコフェリルアセテート、d-αトコフェリルスクシネート、D-L-α-トコフェロール、およびLA2Pを挙げることができる。
脂質補充物の好ましい態様では、1種または複数種の脂質は、少なくとも1種の脂肪酸を含む。具体的な態様では、1種または複数種の脂質は、1種より多い脂肪酸を含む。少なくとも1種の脂肪酸は飽和脂肪酸でもよく、または不飽和脂肪酸でもよい。あるいは、1種より多い脂肪は、複数種の飽和脂肪酸、複数種の不飽和脂肪酸、または少なくとも1種の飽和脂肪酸と少なくとも1種の不飽和脂肪酸の組み合わせを含むことができる。
1種または複数種の脂質が少なくとも1種の脂肪酸を含む脂質補充物の態様では、少なくとも1種の脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸(henatriacontylic acid)、ラセロイン酸(lacceroic acid)、プシリン酸(psyllic acid)、ゲダ酸、セロプラスチン酸、ヘキサトリアコンチル酸(hexatriacontylic acid)、ヘプタトリアコンタン酸、もしくはオクタトリアコンタン酸を含む飽和脂肪酸の群、および/またはα-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、もしくはミード酸を含む不飽和脂肪酸の群より選択することができる。
1種または複数種の脂質が1種より多い脂肪酸を含む脂質補充物の態様では、複数種の飽和脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロイン酸、プシリン酸、ゲダ酸、セロプラスチン酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、もしくはオクタトリアコンタン酸を含む群より選択することができ、または複数種の不飽和脂肪酸は、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、もしくはミード酸を含む群より選択することができ、または少なくとも1種の飽和脂肪酸と少なくとも1種の不飽和脂肪酸の組み合わせは、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロイン酸、プシリン酸、ゲダ酸、セロプラスチン酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、オクタトリアコンタン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、もしくはミード酸を含む群より選択することができる。
脂質補充物の具体的な態様では、1種または複数種の脂質はミード酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ミリストレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、コレステロール、DL-α-トコフェリル、Kolliphor P188を含む群より選択される。
脂質補充物のより具体的な態様では、1種または複数種の脂質は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびα-リノレン酸のうちの3つ以上を含む。
脂質補充物のさらにより具体的な態様では、脂質補充物の1種または複数種の脂質はパルミチン酸およびオレイン酸を含む。
脂質補充物が1種より多い脂肪酸を含むことができる態様では、1種より多い脂肪酸は、飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸または両方を含むことができる。1種より多い脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロイン酸、プシリン酸、ゲダ酸、セロプラスチン酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、オクタトリアコンタン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、またはミード酸を含む群より選択することができる。
脂質補充物の特定の態様では、1種または複数種の脂質はアラキドン酸またはα-リノレン酸でも、その両方でもない。
脂質補充物の異なる態様では、脂質補充物は1種のみの脂質を含む。1種のみの脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、サッカロ脂質、またはポリケチドを含む群より選択することができる。
脂質補充物の他の態様では、1種のみの脂質は、脂質様物質、例えばポロキサマーを含むことができる。ポロキサマーは、Kolliphor(商標)、Synperonics(商標)、またはPluronics(商標)でもよい。ある特定の態様では、脂質様物質はKolliphor(商標)P188でもよい。
脂質補充物の具体的な態様では、1種のみの脂質は脂肪酸でもよい。そのような態様では、脂肪酸は飽和脂肪酸でもよい。飽和脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロイン酸、プシリン酸、ゲダ酸、セロプラスチン酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、またはオクタトリアコンタン酸を含む群より選択することができる。
異なるそのような態様では、脂肪酸は不飽和脂肪酸でもよい。不飽和脂肪酸は、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、またはミード酸を含む群より選択することができる。
脂質補充物の具体的な態様では、1種のみの脂質は、ミード酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ミリストレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、コレステロール、DL-α-トコフェリル、Kolliphor P188を含む群より選択することができる。
脂質補充物のより具体的な態様では、1種のみの脂質は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびα-リノレン酸を含む群より選択することができる。
脂質補充物のさらにより具体的な態様では、1種のみの脂質はパルミチン酸またはオレイン酸のいずれかである。
脂質補充物の特定の態様では、1種のみの脂質はアラキドン酸でもα-リノレン酸でもない。
ある特定の脂質プロファイルは、ある特定の細胞型の培養に、より良好に適している可能性がある。一態様では、ステアリン酸およびα-リノレン酸よりも、オレイン酸、パルミチン酸、およびリノール酸が高い脂質プロファイルは、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めることができる。同じまたは異なる態様では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための脂質プロファイルは、1種または複数種の脂質の任意の他のものよりも高いレベルで、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、および/またはα-リノレン酸のうちの1つまたは複数を含む。
当業者は、1つまたは複数の細胞の生存または増殖を高めるように脂質補充物で使用するために、単独または組み合わせを問わず、有益なまたは有害な1種または複数種の脂質を、日常的な試行錯誤により特定することが可能であろうことを認識すると思われる。
1種または複数種の脂質のそれぞれを同じまたは異なる濃度で担体上にローディングすることがさらに望ましい可能性がある。例えば、1種または複数種の脂質を、1ng/mL〜35ug/mLの範囲の濃度まで担体上にローディングすることができる。別の選択肢では、表1に示す狭い濃度範囲に従って、1種または複数種の脂質を担体上にローディングすることができる。
1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の増殖または生存を高めるために、担体は、インビトロまたはインビボを問わず、脂質補充物のいくつかまたはすべてをそのような細胞に輸送するために必要とされ得る。したがって、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための脂質補充物は、担体の存在下で1種または複数種の脂質を含むことができる。
そのような担体は、脂質補充物のいくつかまたはすべてを細胞に輸送することができる、任意の生物学的もしくは非生物学的作用物質、物質、組成物、または複合体であり得る。より具体的には、担体は脂質補充物の1種または複数種の脂質を細胞に輸送することができる。
非限定例として、担体は、アルブミン、ミセル、リポソーム、細胞外小胞、エキソソーム、シクロデキストリン、ナノ構造脂質担体またはそれ以外でもよい。
担体がアルブミンである態様では、アルブミンはいかなる供給源に由来してもよい。多くの種類のアルブミンが細胞培養の分野で公知である。加えて、特定のアルブミンが、幹細胞を培養するのに、より良好に適している可能性がある。様々な種類のアルブミンは、それらの起源などの因子に依存して変わり得る。例えば、アルブミンは、ウシアルブミン(BSA)、ヒトアルブミン(HSA)またはそれ以外でもよい。または、アルブミンは組換えアルブミンでもよい。例えば、組換えアルブミンは組換えヒトアルブミン(rHA)または組換えウシアルブミン(rBA)でもよい。
担体がリポソームまたは細胞外小胞、例えばエキソソームである態様では、1種または複数種の脂質は、それらの脂質二重層内に存在してもよく、またはそれらの脂質二重層によって囲まれた内部空間内に詰められたカーゴとして存在してもよい。
本開示の担体は商業団体から購入することができ、または市販の製品もしくは試薬を使用して単離/合成することができる。天然に存在する担体、例えば、細胞外小胞(エキソソームを含む)、リポソーム、ミセル、およびアルブミンについては、例えば、そのような天然に存在する担体を、任意の確立された/利用可能なプロトコールを使用して単離することができる。必ずしも天然に存在するとは限らないが容易に合成可能な担体、例えば、リポソーム、ミセル、シクロデキストリン、ナノ構造脂質担体またはそれ以外については、そのような天然に存在しない担体を、任意の確立された/利用可能なプロトコールを使用して合成することができる。
いくつかまたはすべての担体を商業団体から購入することができる。特に、粉末化または可溶化されたアルブミンを任意の供給業者、例えば、ThermoFisher Scientific、Sigma-Aldrichまたはそれ以外から購入することができる。
単離したか、製造したか、購入したかを問わず、本開示の担体は、最初から、1種または複数種の脂質または脂肪酸を含んでいてもよい。そのような1種または複数種の脂質または脂肪酸は、感知できるほどのレベルで、または検出限界に非常に近いか検出限界未満かのいずれかのレベルで、したがって本質的に検出不可能なレベルで、存在し得る。
望ましいアウトカムに影響を及ぼすために特定の脂質プロファイルが必要とされる場合、例えば、脂質プロファイルが望ましいアウトカムに影響を及ぼすのに適用できないならば、最初に担体と会合している1種または複数種の脂質または脂肪酸の存在が問題であ得る。したがって、ある特定の態様では、そのような1種または複数種の脂質または脂肪酸のいくつかまたはすべてを担体から排除するまたは枯渇させることが望ましい場合がある。
別の態様では、脂質フリーの、または脂質が低減した担体、例えばアルブミン上に1種または複数種の脂質をローディングすることができる。担体が、脂質フリーか脂質が低減しているかまたはそれ以外かにかかわらず、望ましい1つまたは複数の種類の脂質を担体にローディングして、定義された脂質シグネチャを有する脂質強化担体を生成することができる。
他の態様では、単離したか、合成したか、購入したかを問わず、担体は、脂質も脂肪酸もなくてもよく、または脂質も脂肪酸も実質的になくてもよい。
1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める一態様では、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質様物質を、担体上に予めローディングすることができる。1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質を、当分野で公知の任意の従来の技法を使用して担体上に予めローディングすることができる。例えば、1種または複数種の脂質および/または脂質物質を担体上に予めローディングすることは、望ましい量のそれぞれの望ましい1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質を望ましい量の担体と組み合わせ、そのような組み合わせを、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質と担体とが平衡状態になる、または実質的に平衡状態になるのを可能にするのに十分な時間にわたってインキュベートすることによって、行うことができる。このようにして調製した、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質を予めローディングした担体に、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を曝露することによって、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めることができる。
別の態様では、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質は、組み合わされてもよいが、必ずしも担体上に予めローディングされなくてもよい。例えば、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質を担体と組み合わせることは、担体と1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質とを平衡状態にさせることなく、望ましい量のそれぞれの望ましい1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質を望ましい量の担体と組み合わせることによって、行うことができる。1種または複数種の脂質(または少なくとも1種の脂肪酸)と担体とのそのような組み合わせは、該組み合わせを平衡状態にさせることなく、インキュベートすることができる。このようにして組み合わされた担体と1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質に1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を曝露することによって、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めることができる。
別の態様では、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質は、担体とは別に、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の細胞培養物に与えることができる。1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質を担体とは別に1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の細胞培養物に与えることは、任意の順番で達成することができる。例えば、担体は細胞培養物中に既に存在していてもよく、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質は後で加えられる。あるいは、1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質は細胞培養物中に既に存在していてもよく、担体は後で加えられる。あるいは、担体も1種または複数種の脂質および/または脂質物質も培養物中にまだ存在しておらず、両方の成分を、細胞培養物へ加える工程間に、任意の時間遅延をともなって、または時間遅延をともなわずに、任意の順序で加えることができる。
ある特定の態様では、遊離した1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質は、担体を既に含む細胞培養物中に添加することができる。遊離した1種または複数種の脂質および/または脂質物質を添加することは、添加される遊離した1種または複数種の脂質および/または脂質物質が細胞培養物中の1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖に有害でないことを条件として、遊離した1種または複数種の脂質の任意の分量および/または組み合わせを使用して達成することができる。好ましくは、添加される遊離した1種または複数種の脂質および/または脂質物質は、細胞培養において、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める。
さらなる態様では、遊離した1種または複数種の脂質(もしくは少なくとも1種の脂肪酸)および/または脂質物質とともに、さらなる担体を細胞培養物中に添加することが有利であり得る。
培養培地
本開示の一局面では、その中で培養される1つまたは複数の細胞の生存または増殖を高めるための培養培地が提供される。ある特定の態様では、1つまたは複数の細胞は、1つまたは複数の哺乳動物細胞でもよく、より具体的は、1つまたは複数の細胞は、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞でもよい。1つまたは複数の細胞の生存または増殖を高めるための培養培地の様々な態様をさらに以下に記載する。
一態様では、培養培地は本明細書において記載される脂質補充物を含む。例えば、脂質補充物は、1種もしくは複数種の脂質および/もしくは脂質物質、少なくとも1種の脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、1種より多い脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、または1種のみの脂質を含むことができる。
培養培地の同じ態様または異なる態様では、脂質補充物は、担体の存在下で、1種もしくは複数種の脂質および/もしくは脂質物質、少なくとも1種の脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、1種より多い脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、または1種のみの脂質を含むことができる。
培養培地の具体的な態様では、担体の存在下における、1種もしくは複数種の脂質および/もしくは脂質物質、少なくとも1種の脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、1種より多い脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、または1種のみの脂質は、脂質強化担体である。脂質強化担体は脂質強化アルブミンでもよい。
培養培地の脂質補充物の一態様では、1種もしくは複数種の脂質および/もしくは脂質物質、少なくとも1種の脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、1種より多い脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、または1種のみの脂質は、担体上に予めローディングすることができ、細胞を培養培地に曝露するより前または後を問わず、培養培地に加えることができる。脂質強化担体、例えば脂質強化アルブミンは、公知の方法を使用して調製することができ、該方法では、以下の説明に従って、粉末化または可溶化された担体に1種または複数種の脂質をローディングすることができる。
培養培地の脂質補充物の別の態様では、1種もしくは複数種の脂質、少なくとも1種の脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、1種より多い脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、または1種のみの脂質は、細胞を培養培地に曝露するより前に、培養培地中で、または別の溶液中で、担体と組み合わせることができる。あるいは、1種もしくは複数種の脂質、少なくとも1種の脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、1種より多い脂肪酸を含む1種もしくは複数種の脂質、または1種のみの脂質と、担体は、培養培地が細胞に加えられた後に、それぞれ別々に培養培地に加えることができる。
一態様では、培養培地は、本明細書において記載される脂質補充物、および1種または複数種の生存因子を含む。1種または複数種の生存因子は、培養される哺乳動物幹細胞の生存を高める任意の分子、化合物、またはそれ以外でもよい。そして次に、生存が高まった哺乳動物幹細胞は、開示される培養培地において高まった増殖も示し得る。
一態様では、1種または複数種の生存因子は1種または複数種の小分子阻害剤を含むことができる。ある特定の態様では、1種または複数種の小分子阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、CHIR99021、SB202190、MI-7、ネクロスタチン-1、NS3694、Wnt-C59、NSCI、またはBIPV5のうちの1つまたは複数を含むことができる。他の態様では、1種または複数種の小分子阻害剤はRho/Rock経路阻害剤を含むことができる。一般的なRho/Rock阻害剤の一例はY-27632である。
開示される培養培地の1種または複数種の生存因子は、1nM〜1mMの範囲の濃度で存在してもよい。特定の態様では、Y-27632などの1種または複数種の生存因子は10μΜの濃度で存在する。
別の態様では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地は、細胞外マトリックスをさらに含むことができる。細胞外マトリックスは、天然由来のマトリックス生成物、例えば、非限定例として、細胞または組織によって分泌される生成物でもよい。あるいは、細胞外マトリックスは脱細胞化マトリックスでもよい。
いくつかの態様では、細胞外マトリックスは1種または複数種のモノマトリックス成分を含むことができる。モノマトリックス成分の非限定例としては、単独でまたは組み合わせでの、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチン、エンタクチン、ヘパリンサルフェート、またはプロテオグリカンが挙げられる。他の態様では、細胞外マトリックスはMatrigel(商標)でもよい。
培養培地が細胞外マトリックスを含む態様では、細胞外マトリックスの濃度は、そのゲル化閾値より低くてもよい。ゲル化閾値は、培養培地に加えられる細胞外マトリックス(または1種もしくは複数種のモノマトリックス成分のマトリックス)の種類によって変動し得る。それにもかかわらず、細胞外マトリックス(1種のモノマトリックス成分からなるか、1種または複数種のモノマトリックス成分を含むかを問わない)のゲル化閾値は、培養培地が、液体かまたは半固体の溶液ではなく、固体をまたは実質的に固体の溶液を形成するポイントである。細胞外マトリックスがMatrigel(商標)である態様では、ゲル化閾値は約0.5%v/vまたはそれを上回る。
別の局面では、本開示は、細胞外マトリックス成分(複数可)を含み、本明細書において記載される脂質補充物を任意で含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地を提供する。
そのような培養培地の一態様によれば、細胞外マトリックスは天然由来のマトリックス生成物、例えば、非限定例として、細胞または組織によって分泌される生成物でもよい。あるいは、細胞外マトリックスは脱細胞化マトリックスでもよい。
いくつかの態様では、細胞外マトリックスは1種または複数種のモノマトリックス成分を含むことができる。モノマトリックス成分の非限定例としては、単独でまたは組み合わせでの、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチン、エンタクチン、ヘパリンサルフェート、またはプロテオグリカンが挙げられる。他の態様では、細胞外マトリックスはMatrigel(商標)でもよい。
培養培地が細胞外マトリックスを含む態様では、細胞外マトリックスの濃度は、そのゲル化閾値より低くてもよい。ゲル化閾値は、培養培地に加えられる細胞外マトリックス(または1種もしくは複数種のモノマトリックス成分のマトリックス)の種類によって変動し得る。それにもかかわらず、細胞外マトリックス(1種のモノマトリックス成分からなるか、1種または複数種のモノマトリックス成分を含むかを問わない)のゲル化閾値は、培養培地が、液体かまたは半固体の溶液ではなく、固体かまたは実質的に固体の溶液を形成するポイントである。細胞外マトリックスがMatrigel(商標)である態様では、ゲル化閾値は約0.5%v/vまたはそれを上回る。
一態様では、培養培地は、1種または複数種の生存因子をさらに含むことができる。1種または複数種の生存因子は、培養される哺乳動物幹細胞(複数可)の生存を高める、任意の分子、化合物またはそれ以外でもよい。そして次に、生存が高まった哺乳動物幹細胞は、開示される培養培地において高まった増殖も示し得る。
1種または複数種の生存因子のさらなる詳細は、前述のそれらの説明から見出すことができる。
培養培地は幹細胞の成長および生存に必要である他の因子も含む。特定の種類の哺乳動物幹細胞を培養するのに適している培地調合物または基礎培地調合物は市販されている。任意のそのような培地調合物または基礎培地調合物は、本明細書において開示される培地を調合するのに、および本明細書において開示される方法を行うのに使用することができる。
一態様では、培養培地は哺乳動物細胞の培養を支援する成長因子を含むことができる。
hPSCに適用可能な特定の態様では、成長因子としては、限定されないが、SCF、EGF、TGFβ、FGF、LIF、およびBMPを挙げられることができる。
培養培地は、哺乳動物幹細胞の培養を支援する他の添加物を含むこともできる。ヒト幹細胞に適用可能な別の態様では、他の添加物としては、限定されないが、4-アミノ酪酸、BSA、ピペコリン酸、および塩化リチウムを挙げることができる。
方法
幹細胞は一般にインビトロで培養される。そのようなインビトロ用途では、特定の培養条件下で幹細胞を培養するのが好ましい。インビトロの幹細胞が特定の培養条件下で培養されない場合、幹細胞は最適以下で成長し得る。ある場合には、最適以下の成長は成長速度の低下を含み得る。他の場合では、最適以下の成長は幹細胞の意図されない分化を含み得る。さらに他の場合では、最適以下の成長は、例えば、アポトーシス、壊死、オートファジーまたはそれ以外による細胞死を含み得る。本発明者らは、脂質補充物を含む培養培地中で幹細胞を培養することが、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めることができることを示した。
一局面では、本開示は、本明細書において記載される脂質補充物を含む培養培地中で幹細胞を培養する工程を含む、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める方法を提供する。
一態様では、本開示は、本明細書において記載される脂質強化担体を含む培養培地中で幹細胞を培養する工程を含む、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める方法を提供する。
より具体的な態様では、本開示は、脂質強化アルブミンを含む培養培地中で幹細胞を培養する工程を含む、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める方法を提供する。
別の態様では、培養培地は、本明細書において記載される1種または複数種の生存因子などの他の因子を含むこともできる。
別の態様では、本開示は、細胞外マトリックス成分(複数可)をさらに含む培養培地中で幹細胞を培養する工程を含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める方法を提供する。
別の局面では、本開示は、細胞外マトリックス成分(複数可)および任意で本明細書において記載される脂質補充物を含む培養培地中で幹細胞を培養する工程を含む、哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高める方法を提供する。
具体的な態様では、そのゲル化閾値より低い細胞外マトリックス成分(複数可)が提供される。
一態様では、培養培地は、本明細書において記載される1種または複数種の生存因子などの他の因子を含むこともできる。
したがって、本開示は、前述の培地による培養培地中で1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための方法を提供する。高められた生存または増殖は、限定されないが、生じたコロニー/クローンの数を投入細胞またはそれらの凝集塊/クラスターの数で割ることによってクローニング効率(%)の決定することを含む、当技術分野において公知である任意の技法によって、計算することができる。ある特定の態様では、高められた生存または増殖は、5%〜65%のクローニング効率を得ることを含む。あるいは、高められた生存または増殖は、投入された細胞またはそれらの凝集塊/クラスターからの回収クローン/コロニーの数を示すことによって、参照され得る。
幹細胞は、細胞の生存および増殖を高めるために培養することが望まれる任意の哺乳動物幹細胞であり得る。
本開示では、幹細胞は任意の哺乳動物幹細胞であり得る。一態様では、幹細胞は非げっ歯類のものである。例えば、非げっ歯類の哺乳動物幹細胞はブタ幹細胞でもよい。別の選択肢では、非げっ歯類の哺乳動物幹細胞は霊長類幹細胞でもよい。さらに別の選択肢では、霊長類幹細胞はヒト幹細胞でもよい。
当業者は、哺乳動物幹細胞は哺乳動物の任意の発達段階に対応し得ることも承知しているであろう。例えば、哺乳動物幹細胞は、胚起源、例えば胚性幹細胞(ESC)でもよい。別の選択肢では、哺乳動物幹細胞は成体哺乳動物の組織または器官が起源であってもよい。あるいは、哺乳動物幹細胞は人工多能性幹細胞(iPSC)でもよく、iPSCは、当技術分野において公知である任意の技法を使用して作製することができる。まとめて、ESCおよびiPSCは多能性幹細胞(PSC)と呼ばれる。
インビトロ培養される哺乳動物幹細胞の、特に、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を個別の細胞として播種することによって培養されるものの潜在的下流用途の点から見て、哺乳動物幹細胞が正常な核型を有することがおそらく望ましいであろう。正常な核型が安定的であることがおそらくさらに望ましいであろう。正常な核型は、種に特有の適切な染色体数を特徴とし得る。加えて、または別の選択肢では、正常な核型は、染色体の分染(banding)解析について当技術分野において公知である任意の染色剤、例えばギムザを使用した場合の、適切な染色プロファイルを特徴とし得る。さらに加えて、またはさらに別の選択肢では、正常な核型は適切なサイズの染色体を特徴とし得る。
別の態様では、哺乳動物幹細胞は遺伝子操作されている。当技術分野において公知である任意の技術を使用して、哺乳動物幹細胞を遺伝子操作することができる。例えば、遺伝子編集技術を使用して、哺乳動物幹細胞を遺伝子操作することができる。遺伝子編集技術としては、限定はされないが、CRISPR技術、ジンクフィンガーヌクレアーゼ技術、TALEN技術またはARCUS技術を挙げることができる。
哺乳動物幹細胞を遺伝子操作することが望ましい場合に、哺乳動物幹細胞の拡大および/または生存と関連する問題が増す。例えば、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞が遺伝子編集技術に供される場合、2つの哺乳動物幹細胞が等しく遺伝子操作されない可能性がある。しかし、そのような遺伝子操作された哺乳動物幹細胞が下流用途で使用される場合、該用途がインビボであるかインビトロであるかにかかわらず、例えば、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を個別の細胞として播種することによって得られた、それらのクローン集団を使用することが好ましい。
開示される方法は、哺乳動物幹細胞の集団または培養物を提供する工程を含むことができる。あるいは、開示される方法は、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を提供する工程を含むことができる。提供される哺乳動物幹細胞は、当技術分野において公知である任意の培養培地中で維持されていてもよい。哺乳動物幹細胞を維持するための培養培地の種類は、哺乳動物幹細胞の性質に依存する。前述のように、哺乳動物幹細胞は起源が胚性でもよい。別の選択肢では、哺乳動物幹細胞は成体組織または器官が起源であってもよい。さらに別の選択肢では、哺乳動物幹細胞は、適切な親細胞から誘導または分化転換されていてもよい。哺乳動物幹細胞を維持するのに使用される培地の種類は、哺乳動物幹細胞が生じる種にも依存する。例えば、ヒトPSC(hPSC)は、mTeSR(商標)培地調合物中で維持することができる。
一態様では、幹細胞を継代後6〜8日間培養し、次いで、個別の細胞に分離し、脂質補充物および任意で1種または複数種の生存因子を含む培養培地中に播種する。具体的な態様では、細胞を、1細胞/ウェルから最大1000細胞/ウェルまでの密度で播種する。次いで、細胞に、脂質補充物および任意で1種または複数種の生存因子を含む培地を2日目に再び供給し、次いで、4日目に通常の増殖培地を供給する(クローニング補充物(すなわち、脂質補充物)中に合計で4日間)。次いで、コロニーが収集されるまで、例えば、約7〜12日間、毎日細胞に供給することができる。
別の態様では、幹細胞を継代後に6〜8日間培養し、次いで、個別の細胞に分離し、脂質補充物または細胞外マトリックス成分(複数可)の一方または両方、および任意で1種または複数種の生存因子を含む培養培地中に播種することができる。具体的な態様では、1細胞/ウェルから最大1000細胞/ウェルまでの密度で細胞を播種することができる。次いで、細胞に、脂質補充物または細胞外マトリックス成分(複数可)の一方または両方、および任意で1種または複数種の生存因子を含む培地を2日目に再び供給し、次いで、4日目に、通常の増殖培地を供給する(クローニング補充物(すなわち、脂質補充物)中に合計で4日間)。次いで、コロニーが収集されるまで、例えば、約6〜12日間、毎日細胞に供給することができる。
当業者は、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を脂質補充物および/または細胞外マトリックス成分(複数可)に曝露するための日数は単に指針であり、容易に変更することができることを承知しているであろう。そのような曝露は、上記で示唆した2日間よりも持続期間が長くても、短くてもよい。例えば、そのような曝露は、2日未満、例えば、およそ36時間、24時間、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間、またはそれ未満でもよい。あるいは、そのような曝露は2日間よりも長くてもよい。例えば、2日間より長い曝露は、培地の交換を受けることなく1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を同じ培地中で培養することができる合計の時間まででもよい。
さらに、脂質補充物および/または細胞外マトリックス成分(複数可)への1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の曝露は、何回でも起こり得る。例えば、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞は、脂質補充物および/または細胞外マトリックス成分(複数可)への単回曝露のみを必要とし得る。そのような単回曝露は、上で明記したように、任意の適切な時間にわたってもよい。あるいは、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞は、脂質補充物および/または細胞外マトリックス成分(複数可)への2回以上の曝露を必要とし得る。
別の具体的な態様では、細胞には、2日目のフェドバッチ供給を経て、通常の増殖培地、または脂質補充物もしくは細胞外マトリックス成分(複数可)の一方もしくは両方および任意で1種もしくは複数種の生存因子を含む培地が毎日供給され得る。次いで、コロニーが収集されるまで、例えば、約4〜10日間、毎日細胞に供給することができる。
提供される哺乳動物幹細胞は、哺乳動物幹細胞が閾値培養密度に一旦達すると、継代培養され得る。あるいは、提供される哺乳動物幹細胞は、例えばコロニーの外観、サイズまたは形態によって決定され得るコロニーの健康状態に従って、継代培養され得る。
提供される哺乳動物幹細胞の継代培養は、幹細胞培養の分野において公知である、哺乳動物幹細胞の特定の培養に適した任意の技法を使用して、実施することができる。例えば、hPSCがおよそ70%の培養密度に一旦達すると、異なる培養容器中に細胞を継代培養することが望ましい場合がある。
典型的には、適切な培養密度レベルの、および/または特定のコロニーサイズを有するhPSC培養物は、適切な作用物質を用いることによって培養容器から剥離することができる。作用物質は、コロニーを剥離するために、当分野で公知である消化酵素または化学物質を含むことができる。消化酵素が使用される場合は、第2の不活性化溶液を加えることによって消化酵素を不活性化させることが望ましい場合がある。剥離した哺乳動物幹細胞をさらに脱凝集させるために、これらを、例えば反復性の上下のピペット操作によって、または技術者が培養容器を機械的にたたくことによって、撹拌力に曝露することが必要な場合がある。
十分な撹拌の際に、剥離された脱凝集化哺乳動物幹細胞は、単一細胞懸濁液として、または望ましい細胞数範囲を含むことができる望ましい寸法を有するクラスターとして、存在し得る。十分に脱凝集された細胞は、適切な培養容器中に哺乳動物幹細胞の1つまたは複数をプレーティングすることによって、望ましい細胞密度で継代培養することができる。
望ましい細胞密度の1つまたは複数の哺乳動物幹細胞のプレーティングは、任意の公知の方法を使用して実施することができる。哺乳動物細胞の単一細胞懸濁液または細胞クラスターの懸濁液は、従来の技法を使用してプレーティングすることができる。例えば、懸濁液の細胞密度を決定した後、適切な量の懸濁液を使用して、培養容器またはそのウェルもしくはマイクロウェルに播種することができる。あるいは、細胞懸濁液を蛍光標識細胞分取にかけることができ、分取した哺乳動物細胞を培養容器またはそのウェルもしくはマイクロウェル中に適切な細胞数で適切に分配することができる。
ある特定の用途では、培養容器またはそのウェルもしくはマイクロウェル中に単一の哺乳動物細胞のみをプレーティングすることによって哺乳動物幹細胞を播種することが望ましい場合がある。あるいは、培養容器またはそのウェルもしくはマイクロウェル中に十分に低密度で個別の哺乳動物細胞をプレーティングすることによって哺乳動物幹細胞を播種することが望ましい場合がある。そのような状況では、細胞密度は、プレーティングされた哺乳動物細胞が凝集する傾向を最小限にするのに十分なほど低いことが望ましく、これは、例えば、培養容器またはそのウェルもしくはマイクロウェルにおいて細胞間に十分な間隔を確保することによる。さらに、そのような十分な間隔は、培養容器またはそのウェルもしくはマイクロウェルにおいて、哺乳動物幹細胞間のパラクリンシグナル伝達を最小限にすることができる。
一態様では、単一のhPSCは、培養容器の単一のウェルまたはマイクロウェル中にプレーティングすることができる。剥離され、脱凝集されたhPSC集団の細胞密度を決定した後に、単一のhPSCをプレーティングしてもよく、適切な量をプレーティングする。または、単一のhPSCは、蛍光標識細胞分取などの細胞分取技術を使用してプレーティングしてもよい。別の態様では、1つまたは複数のhPSCは、比較的大きな培養容器またはそのウェル中に、あるクローン密度でプレーティングすることができる。例えば、クローン密度は、1細胞/ウェル〜1000細胞/cm2の密度を含むことができる。
全体として、ここに開示された方法は、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を、単層(すなわち、接着培養)として、または非接着培養(すなわち、懸濁液状態)として、本開示の培養培地中で培養することを包含することができる。1つまたは複数の哺乳動物幹細胞が単層として播種されるか、非接着培養として播種されるかにかかわらず、開示される方法は、1細胞/ウェルから最大約1000細胞/cm2までの播種密度で1つまたは複数の細胞を播種することをさらに含むことができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を、単一細胞として播種することができる。
1つまたは複数の哺乳動物幹細胞が単層として培養される態様では、単層としての培養は、細胞外マトリックス中に1つまたは複数の細胞を播種することを含むことができる。
別の態様では、哺乳動物幹細胞は、1つまたは複数のプレーティングされた哺乳動物細胞を懸濁液または接着培養のいずれかとして培養する目的で、個別の細胞としてか、クラスターとしてかを問わず、プレーティングすることができる。
懸濁培養として哺乳動物幹細胞を培養するのが望ましい可能性がある場合、個別の細胞としてか、クラスターとしてかを問わず、哺乳動物細胞を、細胞の凝集塊または単一細胞懸濁液として、懸濁液中で幹細胞の成長を促進する、バイオリアクター、スピナーフラスコ、懸濁培養プレート、または他のそのような容器中に直接播種することが望ましい場合がある。前述の容器中に幹細胞をプレーティングする前に、マイクロウェルプレートまたは任意の他のそのような方法を使用して幹細胞を予め凝集させて、等しいサイズの凝集魂を作ることが望ましい場合もある。懸濁液中の幹細胞の成長を支援するために、微小担体の存在下で細胞を培養することが望ましい場合もある。
接着培養として哺乳動物幹細胞を培養することが望ましい可能性がある場合、個別の細胞としてか、クラスターとしてかを問わず、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を適切なマトリックス上にプレーティングすることが望ましい場合がある。マトリックスは、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の培養を支援する任意のマトリックスでもよい。マトリックスは、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の付着を促進することもできる。例えば、マトリックスは、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の培養を支援する細胞外マトリックスタンパク質を含むことができる。Matrigelのような、細胞外マトリックスタンパク質を含む様々なマトリックスが市販されている。本開示で企図されるいくつかの細胞外マトリックスタンパク質の例としては、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、またはエンタクチンが挙げられる。本開示で企図されるマトリックスは、例えば、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、エンタクチンまたはそれ以外の細胞外マトリックスタンパク質の組み合わせの公知の分量をさらに含むことができる。
プレーティングした1つまたは複数の哺乳動物幹細胞は、懸濁液で培養されるか、接着培養として培養されるかを問わず、それらの培養を支援する培養培地、例えば本開示の培養培地が補充されるべきである。前述のように、培養条件は、哺乳動物幹細胞の性質および特性によって変動し得る。当業者は、哺乳動物幹細胞の培養を支援するための培養培地は、哺乳動物幹細胞の性質および特性に適した基礎培地調合物を含むべきであることを理解するであろう。
一態様では、hPSCを、mTeSR(商標)調合物、例えば、mTeSR(商標)1、mTeSR(商標)2、TeSR(商標)-E8、またはmTeSR(商標)3D中で維持および継代培養することができる。mTeSR(商標)調合物は、hPSCの標準的な培養に十分に適している。他の態様では、hPSCを、幹細胞の成長を支援するための、ノックアウト血清代替物(KOSR)を基にした培地、StemMACS(商標)iPS-Brew(Miltenyi Biotec)iPS-Brew、Essential 8(商標)培地(Thermo Fisher Scientific)、Essential-8、StemFlex(商標)培地(Thermo Fisher Scientific)、Cellartis(登録商標)DEF-CS(商標)(Takara)または他の培地中で維持および継代培養することができる。
別の態様では、成体ヒト幹細胞、例えば間葉系幹細胞を、例えば、MesenCult(商標)-XF、MesenCult(商標)-ACF、またはMesenCult(商標)-PL中で維持および継代培養することができる。
別の態様では、成体ヒト幹細胞、例えば神経幹細胞を、例えば、NeuroCult(商標)、BrainPhys(商標)、またはXcell Neural Medium中で維持および継代培養することができる。
脂質強化アルブミンおよび任意で1種または複数種の生存因子を含む培地で1つまたは複数の非げっ歯類哺乳動物細胞を培養することによって、該培地で培養された1つまたは複数の細胞について5%〜65%の生存率を得ることが可能であり得る。
(表1)脂質強化アルブミン上の脂肪酸の濃度
Figure 2020505038
以下の非限定的実施例は本開示の例示である。
実施例1
12ウェル培養プレートを0.5mLのクローニングマトリックスまたは細胞外マトリックス(CellAdhere(商標)希釈緩衝液中で1:25希釈)でコーティングし、1時間室温に置いた。次いで、マトリックスを吸引し、1mLの培地(10μΜのY27632、または脂質強化アルブミン、GABA、ピペコリン酸、塩化リチウム、FGF、TGFβ、およびY-27632(今後はクローニング補充物と呼ぶ)を含む培地のいずれかが補充された、mTeSR(商標)1またはTeSR(商標)-E8(商標))を各ウェルに加え、プレートを1時間37℃に置いた。hPSC株を個別の細胞に分離し、予熱したプレート中に25細胞/cm2で播種し、2日間37℃に置いた。次いで、新鮮な培地(10μΜのY-27632またはクローニング補充物のいずれかが補充された、mTeSR(商標)1またはTeSR(商標)-E8(商標))を細胞に供給し、これを2日間37℃に置いた。次いで4日目に、1mLのmTeSR(商標)1またはTeSR(商標)-E8(商標)を添加物なしで細胞に供給し、7日目まで毎日供給した。次いで、4%パラホルムアルデヒドを使用して細胞を固定し、これを、アルカリホスファターゼについて染色した。次いで、未分化コロニーを数え、以下の計算を使用して、クローニング効率を決定した:(7日目の未分化コロニーの数(ウェルあたり)/0日目に播種した細胞の数(ウェルあたり))×100。(エラーバーは3回の生物学的反復の標準偏差を表す)。
本実施例の結果を図1に示し、mTeSR(商標)1およびTeSR(商標)-E8(商標)にクローニング補充物が補充された場合にmTeSR(商標)1またはTeSR(商標)-E8(商標)中で成長すると、クローン密度(25細胞/cm2)でプレーティングした各hPSC株(H1、H7、WLS-1C、STiPS-MOO1)はクローニング効率の高まりを示すが、Rock阻害剤だけが補充されたmTeSR(商標)1またはTeSR(商標)-E8(商標)中で成長した場合はそれを示さないことを示す。
実施例2
96ウェル培養プレートを50μLのクローニングマトリックスまたは細胞外マトリックス(CellAdhere(商標)希釈緩衝液中で1:25希釈)でコーティングし、1時間室温に置いた。次いで、マトリックスを吸引し、100μLの培地(10μΜのY-27632またはクローニング補充物のいずれかが補充されたmTeSR(商標)1)を各ウェルに加え、プレートを1時間37℃に置いた。hPSC株を個別の細胞に分離し、これを、1細胞/ウェルでBD FACSAria(商標)Fusionを使用して分取し、2日間37℃に置いた。次いで、細胞に新鮮な培地(10μΜのY-27632またはクローニング補充物のいずれかが補充されたmTeSR(商標)1)を供給し、これを、2日間37℃に置いた。次いで4日目に、100μLのmTeSR(商標)1を添加物なしで細胞に供給し、7日目まで毎日供給した。次いで、4%パラホルムアルデヒドを使用して細胞を固定し、これを、アルカリホスファターゼについて染色した。次いで、未分化コロニーを数え、以下の計算を使用して、クローニング効率を決定した:(未分化コロニーの数(プレートあたり)/(ウェルあたり1細胞で)播種したウェルの数)×100。(エラーバーは2回の技術的反復のSEMを表す)。
本実施例の結果を図2に示し、mTeSR(商標)1およびTeSR(商標)-E8(商標)にクローニング補充物が補充された場合にmTeSR(商標)1またはTeSR(商標)-E8(商標)中で成長すると、ウェルあたり1細胞の密度でプレーティングした各hPSC株(H1、H7、WLS-1C、STiPS-M001)はクローニング効率の高まりを示すが、Rock阻害剤だけが補充された、mTeSR(商標)1またはTeSR(商標)-E8(商標)中で成長した場合はそれを示さないことを示す。
実施例3
8つの非依存的なWLS-1Cクローンを、(実施例2からの)単一細胞が沈着してから10日後に手動で選び取り、mTeSR(商標)1を使用して5回の継代にわたって拡大させ、Gentle Cell Dissociation Reagentを使用して継代した(完全なプロトコールはstemcell.comで入手可能である)。ウェルあたりの凝集塊の総数を各継代の終わりに数えて、凝集塊継代対照と比較して、クローン化した株の日々の拡大倍率を算出した。日々の拡大倍率は、以下の計算を使用して決定した:(継代の終わりの凝集塊の総数/継代の開始時に播種したコロニー数)/培養日数。(エラーバーは少なくとも2回の生物学的反復からのデータを表す)。
本実施例の結果を図3に示し、これは、実施例2に記載されている条件下で形成された8つの非依存的なWLS-1Cクローンが、凝集塊として慣習的に培養されるhPSCと同等の日々の拡大倍率を示すことを示す。
実施例4
12ウェル培養プレートを0.5mLのクローニングマトリックスまたは細胞外マトリックス(CellAdhere(商標)希釈緩衝液中で1:25希釈)でコーティングし、1時間室温に置いた。次いで、マトリックスを吸引し、1mLの試験培地を各ウェルに加えた。異なる試験培地は、対照培地(10μΜのY-27632が補充されたmTeSR(商標)1)、または脂質増強BSAを用いて作られたクローニング補充物を含む培地が補充されたmTeSR(商標)1、またはエタノールのみ、3種の脂肪酸もしくは5種の脂肪酸のいずれかが脂質ローディングされた脂質除去BSAを有するクローニング補充物が補充されたmTeSR(商標)1からなっていた。次いで、プレートを1時間37℃に置いた。hPSC株を個別の細胞に分離し、予熱したプレート中に25細胞/cm2で播種し、2日間37℃に置いた。次いで、対応する試験培地を細胞に供給し、これを、2日間37℃に置いた。次いで4日目に、1mLのmTeSR(商標)1を添加物なしで細胞に供給し、8日目まで毎日供給した。次いで、4%パラホルムアルデヒドを使用して細胞を固定し、これを、アルカリホスファターゼについて染色した。次いで、未分化コロニーを数え、以下の計算を使用して、クローニング効率を決定した:(7日目の未分化コロニーの数(ウェルあたり)/0日目に播種した細胞の数(ウェルあたり))×100。(エラーバーは3回の技術的反復のSEMを表す)。
本実施例の結果を図4に示し、Rock阻害剤ならびに600μg/g(脂肪酸あたり)の、オレイン酸、パルミチン酸、およびリノール酸(3FA)、またはオレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびαリノール酸(5FA)のいずれかがローディングされた脂質除去BSAが補充されたmTeSR(商標)1中で成長したH1 hPSCは、購入した脂質増強BSAと同等のクローニング効率の高まりを示すが、エタノールがローディングされた脂質除去BSA(対照)については示さなかったことを示す。
実施例5
アルカリホスファターゼ(近赤外)で染色し、ImageXpress Microを使用して画像化した、実施例4(脂質除去BSA1)のウェルの代表的な画像。
本実施例の結果は、実施例4で生成されたコロニーが、市販の脂質増強BSAにおいて生成されたコロニーと同等のコロニーサイズ/形態を呈することを示す。
実施例6
本実施例の結果を図6に示し、Y-27632と脂質強化アルブミンか0.2%Matrigel(登録商標)かのいずれかとを含む培地において非接着条件下で培養したSTiPS-M001、H7、およびH9 hPSCは、脂質強化アルブミンフリー培地およびY-27632を用いて培養した場合よりも、ウェルあたり多くの数の回収クローンを示すことを示す。これらの結果は、Y-27632、脂質強化アルブミン、および0.2%Matrigel(登録商標)を含む培地が、実質的および相乗的効果を示すことをさらに示し、これらの成分のいずれか1つを含む培地を使用して観察される回収率を合計することによって予想されるであろうよりも、ウェルあたりはるかに多くの数の回収クローンを有していた。
実施例7
本実施例の結果を図7に示し、Y-27632ならびに脂質強化アルブミンか脂質強化アルブミンおよび0.2%Matrigel(登録商標)かのいずれかを含む培地において非接着条件下で培養したSTiPS-M001、WLS-1C、H7、およびH9 hPSCは、脂質強化アルブミンフリー培地およびY-27632で培養した場合よりも、ウェルあたり高いクローニング効率(播種した細胞の数で割った回収クローンの数)を示すことを示す。
実施例8
本実施例の結果を図8に示し、単一脂肪酸、2種の脂肪酸または3種の脂肪酸がローディングされた別の脂質欠乏アルブミン(すなわち、実質的に脂質がない)の存在下で培養したWLS-1C、H1、およびSTiPS-F016細胞が、1種または2種の脂肪酸の性質に応じて変動するクローニング効率レベルを示すことを示す。
特に、1種または複数種の脂肪酸のそれぞれをアルブミン1グラムあたり600μgの各脂肪酸の濃度のアルブミンとともにインキュベートした。続いて、そのようなインキュベーションの生成物を6ng/mLの終濃度で培養培地に加えた。
H1、WLS-1C、およびSTiPS-F016 hPSCは、(図8に示すように)、3種の脂肪酸をローディングしたアルブミンと比べて、オレイン酸もしくはパルミチン酸のいずれかまたは両方で処理した場合に、同等のクローニング効率を呈した。
特に、リノール酸のみのローディングは、対照ならびにオレイン酸および/またはパルミチン酸の両方のレベルより下に、WLS-1CおよびH1 hPSCのクローニング効率を低減する場合がある。
実施例9
本実施例の結果を図9に示し、さらなる低脂質(すなわち、脂質フリー、または脂質が低減した)担体を含む培地に遊離脂肪酸を加えることによって、クローニング効率を高めることができることを示す。
3種の遊離脂肪酸(パルミチン酸、オレイン酸、およびリノール酸)+担体または3種の脂肪酸(パルミチン酸、オレイン酸、およびリノール酸)がローディングされたアルブミンのいずれかの存在下で培養したWLS-1C、H1、およびSTiPS-F016細胞は、同等のクローニング効率レベルを示す。
特に、脂質強化アルブミンを得るために、アルブミン1グラムあたり600μgの各脂肪酸をインキュベートした。または、さらなる低脂質アルブミン1グラムあたり600μgの各遊離脂肪酸を細胞培養物中に添加した。これらの条件下での培養(2日目に培地交換する)の4日後に、続いて、標準的なmTeSR(商標)1中で7日間培養し、各培養条件における各細胞株のクローニング効率を評価した。
さらなる低脂質担体なしで3種の遊離脂肪酸を与えることも、感知できるほどのクローニング効率レベルをもたらすことができることは注目すべきである。
実施例10
本実施例の結果を図10に示し、mTeSR(商標)1(図10a)中であるかTeSR(商標)E8(商標)(図10b)中であるかを問わず、さらなる低脂質担体の存在下で遊離脂肪酸が与えられる場合、遊離脂肪酸を添加することによって、H1、1Cおよび、STiPS-F016 hPSCについてより良好なクローニング効率が達成されることを示す。
特に、TeSR(商標)E8(商標)などのタンパク質低減培地を使用する場合、さらなる担体を含めることは、遊離脂肪酸に曝露された細胞のクローニング効率を高めるために必要である。
実施例11
本実施例の結果を図11に示し、4つの異なる供給業者由来の2つの異なるアルブミンまたはアルブミンロットを使用した場合のWLS-1CおよびH1細胞のクローニング効率は、2種の遊離脂肪酸とともに該アルブミンを細胞の培養物に与える場合に高められることを示す。
特に、ある供給業者由来のアルブミン(A1およびA2)を使用した場合のクローニング効率は、2種の遊離脂肪酸とともに該アルブミンを与えた場合に高められなかった。さらに注目すべきは、アルブミンA1およびA2は、このさらなる2種の遊離脂肪酸が存在しない場合でさえも、最低のクローニング効率をもたらした。この観察は、多くの脂肪酸の全体的なレベルが高いことおよび/またはクローニング効率に有害な1種または複数種の脂肪酸の存在が原因で起こり得る。
実施例12
本実施例の結果を図12に示し、担体の存在下における個々の遊離脂肪酸の、H1およびWLS-1C hPSCのクローニング効率に対する効果を示す。
本実験では、培養培地中に同様に添加された担体1グラムあたり600μgの示される遊離脂肪酸を培養培地(mTeSR(商標)1+10μΜのY-27632)中に添加した。クローニング効率は、例えば、実施例1に記載されているように計算した。
少なくともオレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、およびコレステロールは、H1およびWLS-1C hPSCの生存および増殖を高めるのに役立ち得るが、少なくともアラキドン酸およびα-リノレン酸の存在は有害であり得るように思われる。
実施例13
本実施例の結果を図13に示し、ある特定の脂肪酸を担体にローディングすることが、それらに曝露された細胞のクローニング効率に有害であることを示す。
図13に示す実験では、300μg/gのアラキドン酸またはα-リノレン酸のいずれかを特定のBSA試料上にローディングし、H1、WLS-1C、およびH9 hPSCを含む培養物に加えた。ローディングした脂肪酸のそれぞれは、試験したBSA試料のクローニング効率を低下させた。
好ましい実施例であると現在考えられるものに関して本発明を記載してきたが、本発明が、開示された実施例に限定されないことを理解されたい。それとは反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる様々な修正および同等の構成を包含することが意図される。
すべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが、その全体が参照により組み入れられることが具体的におよび個々に示される場合と同じ程度に、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
[本発明1001]
担体の存在下で1種または複数種の脂質を含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための脂質補充物。
[本発明1002]
前記1種または複数種の脂質が、ミード酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ミリストレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、αリノレン酸、アラキドン酸、コレステロール、DL-α-トコフェリル、およびKolliphor P188からなる群より選択される、本発明1001の脂質補充物。
[本発明1003]
前記1種または複数種の脂質がオレイン酸およびパルミチン酸の一方または両方を含む、本発明1001または1002の脂質補充物。
[本発明1004]
オレイン酸および/またはパルミチン酸の量がαリノレン酸および/またはアラキドン酸の量より多い、本発明1002または1003の脂質補充物。
[本発明1005]
前記生存または増殖を高めることがクローニング効率を高めることを意味する、本発明1001〜1004のいずれかの脂質補充物。
[本発明1006]
前記クローニング効率を高めることが5%〜65%のクローニング効率を得ることを含む、本発明1005の脂質補充物。
[本発明1007]
前記1つまたは複数の哺乳動物幹細胞が多能性幹細胞または成体組織幹細胞である、本発明1001〜1006のいずれかの脂質補充物。
[本発明1008]
前記多能性幹細胞がES細胞またはiPS細胞である、本発明1007の脂質補充物。
[本発明1009]
前記担体が、前記1種または複数種の脂質を前記1つまたは複数の哺乳動物幹細胞に輸送するための作用物質である、本発明1001〜1008のいずれかの脂質補充物。
[本発明1010]
前記担体がアルブミン、リポソーム、細胞外小胞、エキソソーム、ナノ構造脂質担体、またはシクロデキストリンである、本発明1001〜1009のいずれかの脂質補充物。
[本発明1011]
前記アルブミンがヒトのものである、本発明1010の脂質補充物。
[本発明1012]
前記アルブミンが組換え型のものである、本発明1010または1011の脂質補充物。
[本発明1013]
前記1種または複数種の脂質の少なくともいくつかが前記担体に結合している、本発明1001〜1012のいずれかの脂質補充物。
[本発明1014]
前記1種または複数種の脂質の濃度が1ng/mL〜35μg/mLの範囲である、本発明1001〜1013のいずれかの脂質。
[本発明1015]
本発明1001〜1014のいずれかの脂質補充物を含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地。
[本発明1016]
1種または複数種の生存因子をさらに含む、本発明1015の培養培地。
[本発明1017]
前記1種または複数種の生存因子が1種または複数種の小分子阻害剤を含む、本発明1016の培養培地。
[本発明1018]
前記1種または複数種の小分子阻害剤が、チアゾビビン、Y-27632、CHIR99021、SB202190、MI-7、ネクロスタチン-1、NS3694、Wnt-C59、NSCI、またはBIPV5を含む、本発明1017の培養培地。
[本発明1019]
前記1種または複数種の小分子阻害剤がRho/Rock経路阻害剤を含む、本発明1017または1018の培養培地。
[本発明1020]
前記Rho/Rock経路阻害剤がY-27632である、本発明1019の培養培地。
[本発明1021]
Y-27632の濃度が1μΜ〜20μΜの範囲である、本発明1021の培養培地。
[本発明1022]
細胞外マトリックスをさらに含む、本発明1015〜1021のいずれかの培養培地。
[本発明1023]
前記細胞外マトリックスの濃度がそのゲル化閾値より低い、本発明1022の培養培地。
[本発明1024]
前記ゲル化閾値が約0.5%以上である、本発明1023の培養培地。
[本発明1025]
前記細胞外マトリックスが天然由来のマトリックス生成物または脱細胞化マトリックスである、本発明1022〜1024のいずれかの培養培地。
[本発明1026]
前記細胞外マトリックスが1種または複数種のモノマトリックス成分を含む、本発明1022〜1025のいずれかの培養培地。
[本発明1027]
前記1種または複数種のモノマトリックス成分が、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチン、エンタクチン、ヘパリンサルフェート、またはプロテオグリカンである、本発明1026の培養培地。
[本発明1028]
前記細胞外マトリックスがMatrigel (商標) である、本発明1022〜1024のいずれかの培養培地。
[本発明1029]
本発明1022〜1028のいずれかの細胞外マトリックスおよび任意で本発明1001〜1014のいずれかの脂質補充物を含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地。
[本発明1030]
1種または複数種の生存因子をさらに含む、本発明1029の培養培地。
[本発明1031]
前記1種または複数種の生存因子が1種または複数種の小分子阻害剤を含む、本発明1030の培養培地。
[本発明1032]
前記1種または複数種の小分子阻害剤がチアゾビビン、Y-27632、CHIR99021、SB202190、MI-7、ネクロスタチン-1、NS3694、Wnt-C59、NSCI、またはBIPV5を含む、本発明1031の培養培地。
[本発明1033]
前記1種または複数種の小分子阻害剤がRho/Rock経路阻害剤を含む、本発明1031または1032の培養培地。
[本発明1034]
前記Rho/Rock経路阻害剤がY-27632である、本発明1033の培養培地。
[本発明1035]
Y-27632の濃度が1μΜ〜20μΜの範囲である、本発明1034の培養培地。
[本発明1036]
1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための、本発明1001〜1014のいずれかの脂質補充物または本発明1015〜1035のいずれかの培養培地の使用。
[本発明1037]
前記哺乳動物幹細胞が多能性である、本発明1036の使用。
[本発明1038]
前記多能性細胞が胚性幹細胞である、本発明1037の使用。
[本発明1039]
前記哺乳動物幹細胞がヒト人工多能性幹細胞である、本発明1036の使用。
[本発明1040]
1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための方法であって、本発明1001〜1014のいずれかの脂質補充物または本発明1015〜1035のいずれかの培養培地の存在下で、該1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養する工程を含む、方法。
[本発明1041]
培養する工程が単層として培養することを含む、本発明1040の方法。
[本発明1042]
単層として培養することが、細胞外マトリックス中に前記1つまたは複数の細胞を播種する工程を含む、本発明1041の方法。
[本発明1043]
培養する工程が、前記1つまたは複数の細胞を非接着条件下で培養することを含む、本発明1040の方法。
[本発明1044]
前記1つまたは複数の細胞を1細胞/ウェルから最大約1000細胞/cm 2 までの播種密度で播種する工程をさらに含む、本発明1040〜1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記1つまたは複数の細胞を単一細胞として播種する工程をさらに含む、本発明1040〜1044のいずれかの方法。
[本発明1046]
前記1つまたは複数の細胞について約5%〜約65%の生存率を得ることをさらに含む、本発明1040〜1045のいずれかの方法。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなると考えられる。しかし、詳細な説明および特定例は本発明の好ましい態様を示してはいるが、本発明の趣旨および範囲内の様々な変化および改変がこの詳細な説明から当業者に明らかとなると考えられるので、例示という目的でのみ与えられていることを理解されたい。

Claims (46)

  1. 担体の存在下で1種または複数種の脂質を含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための脂質補充物。
  2. 前記1種または複数種の脂質が、ミード酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ミリストレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、αリノレン酸、アラキドン酸、コレステロール、DL-α-トコフェリル、およびKolliphor P188からなる群より選択される、請求項1記載の脂質補充物。
  3. 前記1種または複数種の脂質がオレイン酸およびパルミチン酸の一方または両方を含む、請求項1または2記載の脂質補充物。
  4. オレイン酸および/またはパルミチン酸の量がαリノレン酸および/またはアラキドン酸の量より多い、請求項2または3記載の脂質補充物。
  5. 前記生存または増殖を高めることがクローニング効率を高めることを意味する、請求項1〜4のいずれか一項記載の脂質補充物。
  6. 前記クローニング効率を高めることが5%〜65%のクローニング効率を得ることを含む、請求項5記載の脂質補充物。
  7. 前記1つまたは複数の哺乳動物幹細胞が多能性幹細胞または成体組織幹細胞である、請求項1〜6のいずれか一項記載の脂質補充物。
  8. 前記多能性幹細胞がES細胞またはiPS細胞である、請求項7記載の脂質補充物。
  9. 前記担体が、前記1種または複数種の脂質を前記1つまたは複数の哺乳動物幹細胞に輸送するための作用物質である、請求項1〜8のいずれか一項記載の脂質補充物。
  10. 前記担体がアルブミン、リポソーム、細胞外小胞、エキソソーム、ナノ構造脂質担体、またはシクロデキストリンである、請求項1〜9のいずれか一項記載の脂質補充物。
  11. 前記アルブミンがヒトのものである、請求項10記載の脂質補充物。
  12. 前記アルブミンが組換え型のものである、請求項10または11記載の脂質補充物。
  13. 前記1種または複数種の脂質の少なくともいくつかが前記担体に結合している、請求項1〜12のいずれか一項記載の脂質補充物。
  14. 前記1種または複数種の脂質の濃度が1ng/mL〜35μg/mLの範囲である、請求項1〜13のいずれか一項記載の脂質。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項記載の脂質補充物を含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地。
  16. 1種または複数種の生存因子をさらに含む、請求項15記載の培養培地。
  17. 前記1種または複数種の生存因子が1種または複数種の小分子阻害剤を含む、請求項16記載の培養培地。
  18. 前記1種または複数種の小分子阻害剤が、チアゾビビン、Y-27632、CHIR99021、SB202190、MI-7、ネクロスタチン-1、NS3694、Wnt-C59、NSCI、またはBIPV5を含む、請求項17記載の培養培地。
  19. 前記1種または複数種の小分子阻害剤がRho/Rock経路阻害剤を含む、請求項17または18記載の培養培地。
  20. 前記Rho/Rock経路阻害剤がY-27632である、請求項19記載の培養培地。
  21. Y-27632の濃度が1μΜ〜20μΜの範囲である、請求項21記載の培養培地。
  22. 細胞外マトリックスをさらに含む、請求項15〜21のいずれか一項記載の培養培地。
  23. 前記細胞外マトリックスの濃度がそのゲル化閾値より低い、請求項22記載の培養培地。
  24. 前記ゲル化閾値が約0.5%以上である、請求項23記載の培養培地。
  25. 前記細胞外マトリックスが天然由来のマトリックス生成物または脱細胞化マトリックスである、請求項22〜24のいずれか一項記載の培養培地。
  26. 前記細胞外マトリックスが1種または複数種のモノマトリックス成分を含む、請求項22〜25のいずれか一項記載の培養培地。
  27. 前記1種または複数種のモノマトリックス成分が、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチン、エンタクチン、ヘパリンサルフェート、またはプロテオグリカンである、請求項26記載の培養培地。
  28. 前記細胞外マトリックスがMatrigel(商標)である、請求項22〜24のいずれか一項記載の培養培地。
  29. 請求項22〜28のいずれか一項記載の細胞外マトリックスおよび任意で請求項1〜14のいずれか一項記載の脂質補充物を含む、1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための培養培地。
  30. 1種または複数種の生存因子をさらに含む、請求項29記載の培養培地。
  31. 前記1種または複数種の生存因子が1種または複数種の小分子阻害剤を含む、請求項30記載の培養培地。
  32. 前記1種または複数種の小分子阻害剤がチアゾビビン、Y-27632、CHIR99021、SB202190、MI-7、ネクロスタチン-1、NS3694、Wnt-C59、NSCI、またはBIPV5を含む、請求項31記載の培養培地。
  33. 前記1種または複数種の小分子阻害剤がRho/Rock経路阻害剤を含む、請求項31または32記載の培養培地。
  34. 前記Rho/Rock経路阻害剤がY-27632である、請求項33記載の培養培地。
  35. Y-27632の濃度が1μΜ〜20μΜの範囲である、請求項34記載の培養培地。
  36. 1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための、請求項1〜14のいずれか一項記載の脂質補充物または請求項15〜35のいずれか一項記載の培養培地の使用。
  37. 前記哺乳動物幹細胞が多能性である、請求項36に記載の使用。
  38. 前記多能性細胞が胚性幹細胞である、請求項37に記載の使用。
  39. 前記哺乳動物幹細胞がヒト人工多能性幹細胞である、請求項36に記載の使用。
  40. 1つまたは複数の哺乳動物幹細胞の生存または増殖を高めるための方法であって、請求項1〜14のいずれか一項記載の脂質補充物または請求項15〜35のいずれか一項記載の培養培地の存在下で、該1つまたは複数の哺乳動物幹細胞を培養する工程を含む、方法。
  41. 培養する工程が単層として培養することを含む、請求項40記載の方法。
  42. 単層として培養することが、細胞外マトリックス中に前記1つまたは複数の細胞を播種する工程を含む、請求項41記載の方法。
  43. 培養する工程が、前記1つまたは複数の細胞を非接着条件下で培養することを含む、請求項40記載の方法。
  44. 前記1つまたは複数の細胞を1細胞/ウェルから最大約1000細胞/cm2までの播種密度で播種する工程をさらに含む、請求項40〜43のいずれか一項記載の方法。
  45. 前記1つまたは複数の細胞を単一細胞として播種する工程をさらに含む、請求項40〜44のいずれか一項記載の方法。
  46. 前記1つまたは複数の細胞について約5%〜約65%の生存率を得ることをさらに含む、請求項40〜45のいずれか一項記載の方法。
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