JP2020504784A - 無段変速機用の駆動ベルトの金属リング部材およびその製造方法 - Google Patents

無段変速機用の駆動ベルトの金属リング部材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020504784A
JP2020504784A JP2019535903A JP2019535903A JP2020504784A JP 2020504784 A JP2020504784 A JP 2020504784A JP 2019535903 A JP2019535903 A JP 2019535903A JP 2019535903 A JP2019535903 A JP 2019535903A JP 2020504784 A JP2020504784 A JP 2020504784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
weight
metal ring
drive belt
molybdenum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019535903A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020504784A5 (ja
Inventor
ペニングス ベルト
ペニングス ベルト
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Robert Bosch GmbH
Original Assignee
Robert Bosch GmbH
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Robert Bosch GmbH filed Critical Robert Bosch GmbH
Publication of JP2020504784A publication Critical patent/JP2020504784A/ja
Publication of JP2020504784A5 publication Critical patent/JP2020504784A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C8/00Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C8/06Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using gases
    • C23C8/08Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using gases only one element being applied
    • C23C8/24Nitriding
    • C23C8/26Nitriding of ferrous surfaces
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D53/00Making other particular articles
    • B21D53/14Making other particular articles belts, e.g. machine-gun belts

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

本発明は、無段変速機用の駆動ベルト(3)に使用するための金属リング(44)に関し、該金属リング(44)は、15〜20質量%のニッケル、4〜18質量%のコバルト、少なくとも4質量%のモリブデンおよび合計で少なくとも7質量%のモリブデン、クロムおよび/またはアルミニウムを含むマルエージング鋼合金から作られており、かつ該リング(44)は、1050 HV0.1を上回る表面硬度を有する窒化物表面層を備えている。

Description

本開示は、自動車に適用される周知の無段変速機またはCVTの2つの調整可能なプーリ間の動力伝達のために駆動ベルトのリング部材として使用されるエンドレスでかつ可撓性の金属バンドに関する。駆動ベルトでは、このような多数のリングが、少なくとも1つ、しかしながら通常、2つのラミネートされた、すなわち互いに半径方向にネストされたそれらのセットに組み込まれている。公知の駆動ベルトはさらに、多数の横方向のセグメントを含み、これらはかかるリングセットにスライド可能に取り付けられ、通常、同様に金属から作られている。
マルエージング鋼は、析出硬化および窒化、特にいわゆるガス軟窒化を含む、少なくともそれらの適切な熱処理の後に、大きな耐摩耗性ならびに曲げおよび/または引張応力疲労に対する耐性をもたらすので、リングのための基本材料として使用される。マルエージング鋼の基本合金元素は、鉄、ニッケル、コバルトおよびモリブデンであり、広い範囲内で変化し得るが、特に、リングの現在考えられている駆動ベルトの用途の場合、これは典型的には、以下の基本組成を有するマルエージング鋼に依存する:
− 15〜20質量%のニッケル(Ni)
− 4〜18質量%のコバルト(Co)
− 4〜6質量%モリブデン(Mo)
− 残部の鉄(Fe)。
駆動ベルト用途では、リングの降伏強度だけでなく、その表面硬度値および表面圧縮応力レベルも、駆動ベルトの耐荷重性および寿命を決定する重要な製品特性である。前記析出硬化の熱処理、すなわちエージング、および窒化により、これらの製品特性が最終的に決定される。特に、1050 HV0.1までの表面硬度および1400MPaまでの圧縮応力が、標準の熱処理により実現され得る。実際に、表面硬度および表面圧縮応力は、マルエージング鋼の合金組成、特にその中に合金元素を形成する豊富な析出物によって制限されるだけでなく、窒化熱処理に関連する要因によっても制限される。
窒化熱処理に関する第1の既知の制限要因は、望ましくないオーバーエージングの現象である。オーバーエージングとは、微細分散金属間コヒーレント相、すなわち、Ni(Co、Mo)の一次準安定析出物が、それらの溶解および半コヒーレント相、例えば、FeNi/FeMoとの置き換えにより粗大化し、かつ/または数が減少する過程である。オーバーエージングは、リングの降伏強度を不都合に低下させ、ガス軟窒化熱処理の処理時間および処理温度を実質的に制限する。窒化熱処理に関する第2の既知の制限要因は、例えば国際公開第2015/097292号(WO2015/097292)に記載されているように、望ましくない化合物層の形成の現象である。化合物層の形成とは、処理温度および処理ガス中のアンモニア濃度の観点で、処理強度に応じてリング表面上に窒化鉄層が発生し、成長することである。化合物層の形成によって、リングの疲労強度は不都合に低下し、ガス軟窒化熱処理の処理強度は実質的に制限される。
上述の窒化熱処理の2つの制限要因のために、窒化自体、すなわち表面吸収およびそれに続く窒素(N)の内方拡散も同様に制限されており、その中で実現され得る表面硬度および/または表面圧縮応力も同様である。
本開示は、窒化熱処理のこれら2つの制限要因のうちの少なくとも1つを軽減し、したがって1050 HV0.1を上回る、特に1100 HV0.1を上回る表面硬度を有する駆動ベルトリング構成要素(の製造)を提供することを目的とする。
本開示は、少なくとも特定の範囲の合金組成のリングのための基本材料の場合の、窒化熱処理の処理強度に関して、前記化合物層の形成を回避することができるか、または少なくとも遅くすることができるという発見に基づく。特に、本開示は、以下の範囲の組成を有するマルエージング鋼に関する:
− 15〜20質量%のニッケル(Ni)
− 4〜18質量%のコバルト(Co)
− 少なくとも4質量%のモリブデン(Mo)、および
− 合計で少なくとも7質量%のモリブデン、クロムおよび/またはアルミニウム。
窒化処理中に、モリブデン、クロムおよび/またはアルミニウムが窒素と結合して金属窒化物の析出物を形成する。特に、これらの後者の元素は、鉄よりも窒素と反応しやすいため、リングの外側表面に窒化鉄が形成されるのを大幅に抑制し、処理強度に応じて、完全に回避することさえ可能である。その結果、窒化処理強度を高め、高められた(最終製品)リングの表面硬度を実現することができた。
さらに本開示によれば、マルエージング鋼の組成は、好ましくは、モリブデンおよびコバルトの含有量の合計が少なくとも22質量%、好ましくは24〜28質量%であるという要件を満たすべきである。これらの追加の組成要件をマルエージング鋼基本材料に課すことによって、最終的に製造されたリングは、高められた降伏強度を有し、さらに、特に乗用車の変速機用途のための駆動ベルトのリング部材のための基本材料として現在考慮されているそれらの用途に関して、その疲労強度とのバランスが良好である。モリブデンとコバルトとを合わせた含有量が22質量%未満である場合、比較的低いそれらの降伏強度の観点から、リングの疲労強度を駆動ベルトにおいて最適に利用することができないが、モリブデンとコバルトとを合わせた含有量が28質量%を超える場合、析出硬化(エージング)後のリングの硬度および脆性は、それらの疲労強度の低下をもたらす。
なおさらに本開示によれば、マルエージング鋼の組成は、好ましくはモリブデン、クロムおよび/またはアルミニウムの少なくとも2つ、より好ましくは3つすべての元素を含むべきである。窒素と結合する元素を変えることで、窒化物析出物形成の反応性全体を改善できると考えられる。しかしながら、この場合、クロムの量は、個別で3質量%を超えるべきではない。そうでなければ、比較的粗い窒化物析出物が窒化熱処理の間に形成されることがあり、それがリングの疲労強度を低下させるであろう。
本発明で考慮されているマルエージング鋼の組成は、いくらかの量のチタンなどの他の合金元素を含み得るが、これは本発明の文脈内では要求されていない。したがって、好ましくは、鉄が唯一の他の、すなわち、少量の、例えば、合計で1質量%未満の酸素、窒素、リン、ケイ素等などの不可避的混入物を除く、合金組成中の残部元素である。
窒化熱処理自体に関しておよび現在用いられている処理強度に対して、このような処理強度は、本開示によれば有利に増加され得る。特に本開示によれば、500℃を上回る処理温度がそれらに適用され、好ましくはこのような処理温度は、505℃〜550℃の間の範囲内の値、より好ましくは510℃〜525℃の間の範囲内の値に設定される。また、処理ガス中のアンモニア濃度は、比較的高く、特に8体積%〜18体積%の範囲で選択され得る。
上記駆動ベルト、そのリング部材およびその製造方法を、ここで図面を参照してさらに説明する。
図1は、公知の駆動ベルトおよびかかる公知のベルトを組み込んだ変速機の概略図である。 図2は、2組の多数のマルエージング鋼リング、ならびにかかるリングセットに取り付けられた複数の横方向部材を含む公知の駆動ベルトの円周方向に配向された概略断面図である。 図3は、析出硬化およびガス軟窒化およびそこでの熱処理を含む駆動ベルトリング部材の公知の製造方法の図を示す。 図4は、本開示による析出硬化およびガス軟窒化の熱処理の新規な処理設定を示す。
図1は、エンジンとその駆動輪との間の自動車のドライブラインに一般的に適用されている、公知の無段変速機またはCVTの中心部分を示す。変速機は、プーリシャフト6または7に取り付けられた一対の円錐形プーリディスク4、5をそれぞれ備えた2つのプーリ1、2を含み、それらのプーリディスク4、5の間に、主にV字形の円周方向プーリ溝が画定される。各対のプーリディスク4、5、すなわち各プーリ1、2の少なくとも1つのプーリディスク4は、それぞれのプーリ1、2のプーリシャフト6、7に沿って軸方向に移動可能である。駆動ベルト3は、そのプーリ溝内に配置されたプーリ1、2に巻かれており、プーリシャフト6、7間の回転運動とそれに伴うトルクを伝達する。
変速機は、概して作動手段も含み、該作動手段は、作動中にプーリ1,2のそれぞれの他のプーリディスク5に向けられる軸方向に向いた締付け力を、各プーリ1,2の前記軸方向に移動可能なプーリディスク4に加え、駆動ベルト3は、プーリ1、2のこれらのディスク4、5の間に締め付けられる。これらの締付け力は、駆動ベルト3とそれぞれのプーリ1、2との間に作用され得る摩擦力を決定するだけでなく、それぞれのそれらのプーリディスク4、5間のプーリ1、2における駆動ベルト3の半径方向位置Rも決定する。これらの半径方向位置Rが変速機の変速比を決定する。このCVTは、それ自体よく知られている。
公知の駆動ベルト3の例は、その周方向に面するその断面において、図2にやや詳細に示されている。この例では、駆動ベルト3は、2つのリングセット31を組み込んでおり、各リングセット31は、いくつかの互いにネストされた平らで薄い、すなわちリボン状の可撓性金属リング44の形である。駆動ベルト3は、横方向セグメント32の列をさらに含み、そのうちの1つが図2の正面図に示されている。リングセット31は、横方向セグメント32によって画定された2つの軸方向に伸びる凹部のそれぞれ1つに収容されている。その両側で、横方向セグメント32には、プーリディスク4、5と摩擦接触する接触面34が備えられている。各横方向セグメント32の接触面34は、V字型プーリ溝の角度と実質的に一致する角度θで相互に向きを定められている。
CVTでの作動中、駆動ベルト3のリング44が、前記締付け力に対して半径方向の反力a/oによって引っ張られることはよく知られている。しかしながら、結果として生じるリング張力は一定ではなく、変速機によって伝達されるトルクに応じて変化するだけでなく変速機内の駆動ベルト3の回転にも応じて変化する。したがって、リング44の降伏強度および耐摩耗性に加えて、疲労強度もその重要な特性および設計パラメータである。したがって、マルエージング鋼をリング44のための基本材料として使用しているが、その鋼は、析出形成(エージング)により硬化してその全体の強度を向上させ、さらに窒化により表面硬化させて特に耐摩耗性および疲労強度を向上させることができる。リング44のための基本材料として一般的に適用されているマルエージング鋼は、残部の鉄を含む、15〜20質量%のニッケル、4〜18質量%のコバルトおよび4〜6質量%のモリブデンの基本組成を有する。
図3は、自動車用の金属駆動ベルト3の製造のために当該技術分野において典型的に適用されているように、駆動ベルトリングの構成要素44の公知の製造方法の関連部分を示す。公知の製造方法の別々の工程段階は、ローマ数字で示されている。
第1の工程段階Iでは、厚さ約0.4mmのマルエージング鋼基本材料の薄板またはプレート11が円筒形に曲げられ、かつ第2の工程段階IIでは、会合プレートの端部12が互いに溶接されて中空の円筒またはチューブ13を形成する。第3の工程段階IIIでは、チューブ13は、オーブンチャンバ50でアニールされている。その後、第4の工程段階IVでは、チューブ13は、多数の環状リング44に切断され、続いて、第5の工程段階Vで、圧延されて、伸ばされながら、その厚みは典型的には約0.2mmまで減少する。このようにして伸ばされたリング44は、さらに、オーブンチャンバ50内で、600℃よりかなり高い温度、例えば約800℃でリング材料を回収および再結晶化することによって前の圧延工程段階の加工硬化効果を除くための工程段階、すなわち、リングアニーリング工程段階VIに供される。このような高温では、リング材料の微細構造は、完全にオーステナイト型結晶で構成されている。しかしながら、リング44の温度が再び室温まで下がると、このような微細構造は、望み通りに、マルテンサイトに戻る。
アニーリングVIの後、リング44は、第7の工程段階VIIで2つの回転ローラの周りに装着されることによって較正され、前記ローラを引き離すことによって所定の円周長さまで引き伸ばされる。この第7の工程段階VIIのリング較正では、内部応力もリング44にかかる。その後、リング44は、第8の工程段階VIIIの複合エージング、すなわちバルク析出硬化、および窒化、すなわち表面硬化で熱処理される。より具体的には、このような複合熱処理は、例えば、475℃の温度で8体積%のアンモニアガスを含む、アンモニア、窒素および水素から構成される処理雰囲気を含むオーブンチャンバ50内にリング44を保持することを含む。オーブンチャンバでは、アンモニア分子が、リング44の表面で水素ガスおよび窒素原子に分解され、これはリング44の結晶構造内に入り込むことができる。これらの格子間窒素原子により、耐摩耗性および耐疲労破壊性が著しく向上することが知られている。典型的には、第8の工程段階VIIIの複合リングエージングおよび窒化は、リング44の外面で形成された窒化層または窒素拡散領域が25〜35マイクロメートルの間の厚さになるまで行われ、そのリング44自体は、150〜200マイクロメートルの間の厚さである。
とりわけ、このような複合熱処理が、代替的に、エージング処理(同時の窒化なし)に続いてまたは先行して、すなわち、アンモニアを含まない処理ガス中で行われ得ることに留意されたい。窒化処理時間が短すぎて、析出硬化工程が同時に完了しない場合に、このような別個のエージング処理が施される。
このように処理された多数のリング44は、第9の工程段階IXで組み立てられて、半径方向の積み重ね、すなわち選択されたリング44の同心円状のネスティングによってリングセット31を形成し、隣接するリング44の各ペアの間に最小限の半径方向の遊びまたは隙間を実現する。とりわけ、代わりに第7の工程段階VIIのリング較正の直後に、すなわち、第8の工程段階VIIIのリングエージングおよびリング窒化の前に、リングセット31を組み立てることも当該技術分野において知られていることに留意されたい。
前記第8の工程段階VIIIにおいて、リング44の外面の一部、一部または全体に化合物層を形成することは望ましくなく、このことは、実際には、処理雰囲気中の処理温度Tおよびアンモニア濃度[NH]によって定量的にガス軟窒化工程の強度を制限することによって回避される。このようなプロセス設定に関して、様々な値が、マルエージング鋼の駆動ベルトリング部材の窒化に特に適しているとして当該技術分野で言及されている。このような既知の情報源に基づいて、化合物層の形成を回避するための上限の窒化強度は、以下のように導出され得る:
T=575−12.5[NH] (1)
(式中、Tは、℃で表され、[NH]は、体積%で表される)。
したがって、例えば、12%という比較的高いアンモニア濃度が、リング窒化に適用されることが望ましい場合、先行技術をまとめる式(1)は、425℃以下の処理温度を規定する。一方、500℃という比較的高い処理温度が望ましい場合、式(1)は、6体積%以下のアンモニア濃度を規定する。
しかしながら、本開示によれば、合計で少なくとも7質量%の、モリブデン、クロムおよび/またはアルミニウムの合金元素のうちの1種以上を、前述の一般的に適用されている基本リング材料に添加することによって、より多くの窒化物が、その表面層ではなく、リングの表面層に形成される。換言すれば、これらの合金元素によって、リングの外面での窒化鉄の形成はかなり減少し、窒化処理の処理強度に関して完全に回避することさえ可能であり得る。したがって、図4に示すように、このような新規の基本リング材料の窒化は、例えば12%の比較的高いアンモニア濃度と組み合わせて、例えば520℃の比較的高い処理温度で行うことができ、それにより、リング44は、1050 HV0.1を上回る前例のない表面硬度値および/または1400MPaを上回る圧縮応力レベルを有利に備えることができ、これらは、その駆動ベルト用途におけるそれらの耐摩耗性および疲労強度に寄与する。特に、本開示の文脈内では、1100 HV0.1を上回る表面硬度値および/または1500MPaを上回る圧縮応力レベルが達成され得る。
本開示は、前述の説明の全体および添付の図面のすべての詳細に加えて、添付の特許請求の範囲のセットの特徴のすべてに関わり、かつそれらを含む。特許請求の範囲における括弧内の参照は、その範囲を限定するものではなく、単にそれぞれの特徴の非拘束的な例として提供されるものである。特許請求された特徴は、場合によっては、特定の製品または特定のプロセスに別々に適用することができるが、その中のかかる特徴のうち2つ以上を組み合わせてその中に同時に適用することもできる。
本開示によって表される発明は、本明細書に明示的に記載された実施形態および/または実施例に限定されず、それらの修正、改変および実用化、特に関連技術の当業者の範囲内にあるものも包含する。

Claims (8)

  1. 2つのプーリ(1,2)と駆動ベルト(3)とを有する無段変速機用の駆動ベルト(3)に使用するための金属リング(44)であって、前記リング(44)は、
    − 15〜20質量%のニッケル、
    − 4〜18質量%のコバルト、
    − 少なくとも4質量%のモリブデン、および
    − 合計で少なくとも7質量%のモリブデン、クロムおよび/またはアルミニウム
    を含むマルエージング鋼合金から作られており、
    前記リング(44)は、窒化表面層を備え、かつ前記リング(44)は、1050 HV0.1を上回る、好ましくは1100 HV0.1を上回る表面硬度値を有することを特徴とする、金属リング(44)。
  2. 前記マルエージング鋼合金は、モリブデン、クロムおよびアルミニウムのうち少なくとも2つ、好ましくは3つすべての合金元素がそこに含まれるという要件をさらに満たすことを特徴とする、請求項1記載の金属リング(44)。
  3. 前記マルエージング鋼合金は、8質量%以下のモリブデン、3質量%以下のクロム、および3質量%以下のアルミニウムを含有することを特徴とする、請求項1または2記載の金属リング(44)。
  4. 前記マルエージング鋼合金は、モリブデンとコバルトとを合わせたそれらの含有量が少なくとも22質量%であり、好ましくは24〜28質量%の範囲の値を有するという要件をさらに満たすことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の金属リング(44)。
  5. 前記マルエージング鋼合金が、鉄および1質量%未満の他の合金元素および混入物をさらに含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の金属リング(44)。
  6. マイナス1400MPaを上回る、好ましくはマイナス1500MPaを上回る表面圧縮(残留)応力を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の金属リング(44)。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項記載の金属リング(44)の製造方法であって、前記リング(44)を、アンモニアガスを含む処理雰囲気下で熱処理することで、前記リング(44)を窒化の工程段階に供する前記製造方法において、前記リング(44)を、8体積%を上回るアンモニアを含有する処理雰囲気で500℃を上回る温度で窒化することを特徴とする、金属リング(44)の製造方法。
  8. 前記リング(44)を、505℃〜550℃の間の範囲、より好ましくは510℃〜525℃の間の範囲の温度で、8体積%〜18体積%の間のアンモニアを含有する処理雰囲気で窒化することを特徴とする、請求項7記載のリング(44)の製造方法。
JP2019535903A 2016-12-30 2018-01-02 無段変速機用の駆動ベルトの金属リング部材およびその製造方法 Pending JP2020504784A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
NL1042208A NL1042208B1 (en) 2016-12-30 2016-12-30 Metal ring component of a drive belt for a continuously variable transmission and its manufacutring method
NL1042208 2016-12-30
PCT/EP2018/025000 WO2018122397A1 (en) 2016-12-30 2018-01-02 Metal ring component of a drive belt for a continuously variable transmission and its manufacutring method

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020504784A true JP2020504784A (ja) 2020-02-13
JP2020504784A5 JP2020504784A5 (ja) 2021-01-21

Family

ID=58402094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019535903A Pending JP2020504784A (ja) 2016-12-30 2018-01-02 無段変速機用の駆動ベルトの金属リング部材およびその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2020504784A (ja)
NL (1) NL1042208B1 (ja)
WO (1) WO2018122397A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL1043109B1 (en) 2018-12-24 2020-07-21 Bosch Gmbh Robert Method for manufacturing a metal ring for a ring set of a drive belt for a continuously variable transmission
CN111088421A (zh) * 2019-11-08 2020-05-01 万泰机电工业(昆山)有限公司 新能源汽车电机内壳的时效热处理方法
NL1043487B1 (en) * 2019-11-28 2021-08-31 Bosch Gmbh Robert Ring component of a drive belt for a continuously variable transmission
WO2022128043A1 (en) 2020-12-16 2022-06-23 Robert Bosch Gmbh Method for manufacturing a metal ring for a ring-set of a drive belt for a continuously variable transmission

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1621709A (zh) * 2003-11-26 2005-06-01 程乃士 无级变速传动用干式复合型金属带组件
JP2005256870A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Toyota Motor Corp 無端金属ベルトの製造方法
JP2007186780A (ja) * 2005-12-13 2007-07-26 Hitachi Metals Ltd 高疲労強度を有するマルエージング鋼ならびにそれを用いたマルエージング鋼帯
CN102605281A (zh) * 2007-07-11 2012-07-25 日立金属株式会社 马氏体时效钢和金属带用马氏体时效钢
WO2013047078A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 日立金属株式会社 マルエージング鋼
WO2015039933A1 (en) * 2013-09-19 2015-03-26 Robert Bosch Gmbh Flexible steel ring for a drive belt for a continuously variable transmission and method for producing such
WO2016096156A1 (en) * 2014-12-17 2016-06-23 Robert Bosch Gmbh Flexible steel ring for a drive belt for a continuously variable transmission and method for producing such
WO2016170397A1 (fr) * 2015-04-23 2016-10-27 Aperam Acier, produit réalisé en cet acier, et son procédé de fabrication

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL1040567C2 (en) 2013-12-24 2015-06-26 Bosch Gmbh Robert Manufacturing method for a drive belt metal ring component and metal ring manufactured in accordance therewith.

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1621709A (zh) * 2003-11-26 2005-06-01 程乃士 无级变速传动用干式复合型金属带组件
JP2005256870A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Toyota Motor Corp 無端金属ベルトの製造方法
JP2007186780A (ja) * 2005-12-13 2007-07-26 Hitachi Metals Ltd 高疲労強度を有するマルエージング鋼ならびにそれを用いたマルエージング鋼帯
CN102605281A (zh) * 2007-07-11 2012-07-25 日立金属株式会社 马氏体时效钢和金属带用马氏体时效钢
WO2013047078A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 日立金属株式会社 マルエージング鋼
WO2015039933A1 (en) * 2013-09-19 2015-03-26 Robert Bosch Gmbh Flexible steel ring for a drive belt for a continuously variable transmission and method for producing such
WO2016096156A1 (en) * 2014-12-17 2016-06-23 Robert Bosch Gmbh Flexible steel ring for a drive belt for a continuously variable transmission and method for producing such
WO2016170397A1 (fr) * 2015-04-23 2016-10-27 Aperam Acier, produit réalisé en cet acier, et son procédé de fabrication

Also Published As

Publication number Publication date
NL1042208B1 (en) 2018-07-23
WO2018122397A1 (en) 2018-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020504784A (ja) 無段変速機用の駆動ベルトの金属リング部材およびその製造方法
MX2013015262A (es) Metodo de fabricacion para un componente de anillo de banda de transmision.
EP2739877B1 (en) Flexible ring for a drive belt for a continuously variable transmission and method for producing such
KR20110000568A (ko) 구동 벨트 링 부품 및 제조 방법과 그를 위한 마레이징강 기재
JP6726187B2 (ja) 無段変速機用の駆動ベルト用のフレキシブルな鋼リングおよびこのような鋼リングを製造する方法
EP3374662B1 (en) Metal ring component of a drive belt for a continuously variable transmission
JP5805085B2 (ja) 駆動ベルトのための横方向エレメント及び駆動ベルト
JP6605474B2 (ja) ドライブベルト金属リング構成部品の製造方法および当該製造方法に従って製造された金属リング
EP3394475A1 (en) Transverse element for a drive belt, drive belt and method for manufacturing such a transverse element
JP2015145724A (ja) 連続可変トランスミッション用の駆動ベルトのための金属リング構成要素
US20190331197A1 (en) Endless metal ring and method of producing the same
JP2021085529A (ja) 無段変速機用の駆動ベルトのリングコンポーネント
JP6934934B2 (ja) マルエージング鋼から形成されかつ窒化された表面層が設けられたフレキシブルな鋼リング
NL1042940B1 (en) Basic material composition, method for manufacturing a transverse member for a drive belt from such basic material and a drive belt comprising a thus manufactured transverse member
EP3047044A1 (en) Flexible steel ring for a drive belt for a continuously variable transmission and method for producing such
CN110468325B (zh) 环形金属带及其制造方法
WO2019120627A1 (en) Metal ring component of a drive belt for a continuously variable transmission and its manufacturing method
WO2020020491A1 (en) Basic material composition, method for manufacturing a transverse member for a drive belt from such basic material and a drive belt comprising a thus manufactured transverse member
JP2016505092A (ja) 駆動ベルト用リングセットの製造方法における熱処理プロセス
EP3397877A1 (en) Method for manufacturing steel transverse elements for a drive belt for a continuously variable transmission

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220415

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220914