本発明は、組換ポリペプチド、該組換ポリペプチドを有するホモ二量体蛋白及びヘテロ二量体蛋白、該組換ポリペプチドをコードする核酸分子及びベクター、並びに該組換ポリペプチドを発現するための宿主細胞を提供する。本発明はさらに、該組換ポリペプチドの組成物及び該組換ポリペプチドの製造、使用方法を提供する。
本明細書に引用される全ての刊行物、書籍、マニュアル、特許出願、及び特許は、そのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。程度範囲としては、個々の刊行物が具体的かつ個別に参考として入れる。
特に説明しない限り、本明細書で用いる技術的又は科学的な用語は、本発明が属する分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されることと同じ意味を有する。本発明について、下記の用語は、以下の意味を有するものとする。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる「一」、「一つ」、「一種類」、及び「該」は、単数形で記載されたものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。例えば、「ドメイン」に対する言及は、1つ又は複数の該ドメインに対する言及を含む。また、「該組換ポリペプチド」に対する言及は、1つ以上の組換ポリペプチドに対する言及を含む。「一つ」、「該」、「1つ以上」、「複数」、「少なくとも1つ」という用語は、同じ意味で使われる。
「又は」は、特に明示しない限り、「及び/又は」を意味する。同様に、「含む」、「含有する」、及び「有する」などは、同じ意味で使われ、限定を意図しないこととして理解される。
更に、ここでいう「及び/又は」は、2つの特定された特徴又は成分において、その中の一つ又は全てを特定的に開示するために使われる。そのため、例えば、「A及び/又はB」というように使われる「及び/又は」は、「A及びB」、「A又はB」、「Aのみ」、「Bのみ」を含むことを意図する。同様に、「A、B及び/又はC」というように使われる「及び/又は」は、「A、B及びC」、「A、B又はC」、「A又はC」、「A又はB」、「B又はC」、「A及びC」、「A及びB」、「B及びC」、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」を含むことを意図する。
「アミノ酸」は、水素原子に結合している中心炭素原子(α-炭素原子)、カルボン酸基(本明細書において、該炭素原子は「カルボン酸炭素原子」と称する)、アミノ基(本明細書において、該窒素原子は「アミノ窒素原子」と称する)及び側鎖R基を含む構造を有する分子である。ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に組み込まれた場合には、アミノ酸が脱水反応においてそのアミノ酸カルボン酸基の1個以上の原子を失い、1個のアミノ酸を別のアミノ酸に結合させる。その結果、タンパク質に組み込まれたアミノ酸は「アミノ酸残基」と称される。
「タンパク質」及び「ポリペプチド」とは、ペプチド結合を介して2つ以上のアミノ酸が連結された任意のポリマー(自然に生じるか否か)を意味する。また、その連結は、アミノ酸(又はアミノ酸残基)のα-炭素原子に結合したカルボン酸基のカルボン酸炭素原子が、隣接するアミノ酸の非α-炭素原子に結合したアミノ基のアミノ窒素原子に共有結合するときに起こる。ここで、「タンパク質/蛋白」という用語は、「ポリペプチド」及び「ペプチド」の意味を含む(同じ意味として使われる場合がある)。また、本明細書において、複数のポリペプチドサブユニット(例えば、DNAポリメラーゼIII、RNAポリメラーゼII)又は他の組成物(例えば、テロメラーゼに存在するRNA分子)を含んだタンパク質も「タンパク質」として含めて理解される。同様に、タンパク質及びポリペプチドの断片も本明細書に開示した「タンパク質」の範囲内である。本開示の一態様では、ポリペプチドは、2つ以上の親ペプチドセグメントのキメラを含む。用語「ポリペプチド」は、翻訳後修飾(Post-translation modification、PTM)の産物を指すことや、翻訳後修飾(Post-translation modification、PTM)の産物を含むことも意図する。特にこれらに限定されるものではないが、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、カルバモイル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、非天然に存在するアミノ酸による修飾、標識成分との結合といった他の任意の操作又は修飾、を挙げることができる。ポリペプチドは、特定の核酸配列から翻訳される必要はなく、天然生物源に由来してもよく、又は遺伝子組換え技術によって製造されてもよく、化学合成を含む任意の方法で生成することができる。例えば、「単離された」ポリペプチド、その断片、変異体又はその誘導体は、自然の環境には存在しないポリペプチドを指し、特定程度の精製は必要ではない。例えば、単離されたポリペプチドは、単に原初又は天然の環境から取り外されたものであってもよい。本開示について、宿主細胞で発現された組換えポリペプチドやタンパク質は単離されたものと見なされ、任意の適切な技術によって分離され、分画され、又は部分的に若しくは十分に精製された天然若しくは組換えポリペプチドである。
本明細書で使用される「ドメイン」は、用語「ペプチドセグメント」と交換に使用することができ、より大きなポリペプチド若しくはタンパク質の一部又は断片を指す。ドメインは、自身の機能活性を有することは必要ではないが、場合によっては、ドメインが自身の生物活性を有するものであっでもよい。
所与のタンパク質の特定のアミノ酸配列(すなわち、アミノ末端からカルボン酸末端まで書き込まれたときのポリペプチドの「一次構造」)は、mRNAのコード化部分のヌクレオチド配列により決定される。そしてこのmRNAのコード化部分のヌクレオチド配列は遺伝子情報により決定される。遺伝子情報は、一般的にはゲノムDNA(ミトコンドリアや葉緑体のDNAのようなオルガネラDNAを含む)である。従って、遺伝子の配列を決定することは、対応するポリペプチドの一次配列の予測に役立つ。より具体には、その遺伝子もしくはポリヌクレオチド配列をコードすることによってポリペプチド又はタンパク質の役割や活性を予測する。
本明細書で使用される「N末端」とは、ポリペプチドのアミノ末端に対して、アミノ酸、ドメイン、又はペプチドセグメントの位置や場所を意味する。例えば、「ドメインAは、ドメインB及びドメインCのN末端に位置する」とは、ドメインAがドメインB及びドメインCよりもアミノ末端に近い場所に位置していることを意味する。このように、ドメインB及びドメインCの位置が特定されない場合、アミノ末端側からのポリペプチドのドメインの順序は、A−B−C又はA−C−Bであると理解される。また、他のドメインのN末端に、0を含む任意の数のアミノ酸が存在することができる。同様に、ポリペプチドのN末端と、ポリペプチドの他のドメインのN末端との間に、0を含む任意の数のアミノ酸が存在することができる。
本明細書で使用される「C末端」とは、ポリペプチドのカルボン酸末端に対して、アミノ酸、ドメイン、又はペプチドセグメントの位置や場所を意味する。例えば、「ドメインAは、ドメインB及びドメインCのC末端に位置する」とは、ドメインAがドメインB及びドメインCよりもカルボン酸末端に近い場所に位置していることを意味する。このように、ドメインB及びドメインCの位置が特定されない場合、アミノ末端側からのポリペプチドのドメインの順序は、B−C−A又はC−B−Aであると理解される。また、他のドメインのC末端に、0を含む任意の数のアミノ酸が存在することができる。同様に、ポリペプチドのC末端と、ポリペプチドの他のドメインのC末端との間に、0を含む任意の数のアミノ酸が存在することができる。
ジスルフィド結合について、本明細書で使用される「分子内ジスルフィド結合」及び「分子間ジスルフィド結合」は、それぞれポリペプチド鎖内及びポリペプチド鎖間で発生するジスルフィド結合を指す。
本明細書に開示される組換えポリペプチドの形成における2つ以上のドメインの任意の化学的又は物理的結合について広く指す際は、「融合」、「動作可能に連結され(operably linked)」、及び「動作可能に結合され(operably associated)」を、本明細書で交換的に使用する。一実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドは、2つ以上の異なるポリペプチドに由来する複数のドメインを含むキメラポリペプチドを含む。
本明細書に開示される2つ以上のドメインを含む組換えポリペプチドは、各ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む単一のコーディング配列によってコードされ得る。特に明記しない限り、各ドメインをコードするポリヌクレオチド配列は「インフレーム(in frame)」であり、該ポリヌクレオチド配列を含む単一のmRNAを翻訳することによって、各ドメインを含む単一のポリペプチドとなる。一般に、本明細書に記載の組換えポリペプチド中のドメインは、互いに直接融合されるか、又はペプチドリンカーにより分離される。ペプチドリンカーをコードする種々のポリヌクレオチド配列は、本分野では公知である。
本明細書に開示される「ホモ二量体蛋白(質)」、「ヘテロ二量体蛋白(質)」、及び「ホモ二量体又はヘテロ二量体蛋白(質)」は、2つの同一の組換えポリペプチド又は2つの異なる組換えポリペプチドを有する蛋白を指す。従って、本明細書に開示される該「ホモ二量体蛋白(質)」、「ヘテロ二量体蛋白(質)」、及び「ホモ二量体又はヘテロ二量体蛋白(質)」は、「ホモ二量体組換え蛋白(質)」、「ヘテロ二量体組換え蛋白(質)」、「ホモ二量体又はヘテロ二量体組換え蛋白(質)」を指すこともある。さらに、本明細書に開示される「組換え蛋白(質)」は、「ホモ二量体蛋白(質)」、「ヘテロ二量体蛋白(質)」、又は「ホモ二量体又はヘテロ二量体蛋白(質)」を指す。
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」とは、ポリマー形態のヌクレオチドを意味する。場合によって、ポリヌクレオチドは、その由来生物の自然に生じるゲノムの配列を含む、且つ該配列は、コーディング配列に直接隣接する(5'末端又は3'末端に)又は直接隣接しない。従って、該用語は、例えば、ベクターに組み込まれた組換えDNA、自律複製するプラスミド若しくはウイルスに組み込まれた組換えDNA、原核生物若しくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNA、又は単離された分子として他の配列と関連がない組換えDNA(例えば、cDNA)を含む。本明細書でヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又は該ヌクレオチドの修飾型であってもよい。本明細書で使用されるポリヌクレオチドはとりわけ、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖領域及び二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、一本鎖領域及び二本鎖領域の混合物であるRNA、又はDNA及びRNAを含むハイブリッド分子を指す。前記ハイブリッド分子は、一本鎖、あるいは、より典型的には二本鎖、又は一本鎖領域及び二本鎖領域の混合物であってもよい。「ポリヌクレオチド」という用語は、ゲノムDNAもしくはRNA(生物体によること、例えば、ウイルスのゲノムRNA)、ゲノムDNAによりコードされるmRNA、及びcDNAを含む。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、従来のホスホジエステル結合又は非従来の結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見出されるアミド結合)を含む。「単離された」核酸又はポリヌクレオチドは、天然の環境から取り除かれた核酸分子(例えば、DNAもしくはRNA)を指す。例えば、本開示の目的のために、「単離された」はベクターに含まれる組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子であると考えられる。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例として、異種性宿主細胞で維持される組換えポリヌクレオチド、又は溶液中の他のポリヌクレオチドから(部分的又は十分に)精製された組換えポリヌクレオチドも含む。単離されたRNA分子は、本開示のポリヌクレオチドのin vivo又はin vitroのRNA転写物を含む。さらに、本開示により単離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成的に生産したポリヌクレオチド又は核酸(例えば、核酸分子)も含む。
本明細書で使用される「コーディング領域」又は「コーディング配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの一部である。「終止コドン」(TAG、TGA、又はTAA)は通常、アミノ酸に翻訳されないが、コーディング領域の一部であると考えられる。ただし、任意の隣接の配列は、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、及びイントロンなどは、コーディング領域の一部ではない。コーディング領域の境界は、一般的に、5'末端(コードで得られたポリペプチドのアミノ末端)の開始コドンと、3'末端(コードで得られたポリペプチドのカルボン酸末端)の翻訳終止コドンによって決定されるが、本発明はこれに限定されない。
本明細書で使用される「発現制御領域」とは、コーディング領域と動作可能に結合され、コーディング領域によってコードされた産物の発現を配向する若しくは制御する転写制御因子を指す。例としては、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、リボソーム結合部位、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、ステムループ構造、及び転写終止シグナル等を挙げることができる。例えば、プロモーター機能の誘導が産物をコードするコーディング領域を含むmRNAの転写を起こし、且つプロモーターとコーディング領域との間の結合の性質が、コーディング領域によってコードされた産物の発現を配向するポロモーターの能力に干渉しなければ、又は、DNAテンプレートの転写の能力に干渉しなければ、コーディング領域とプロモーターは「動作可能に結合される」と考えられる。発現制御領域は、コーディング領域の上流(5'非コーディング配列)内部、若しくは下流(3'非コーディング配列)に位置するヌクレオチド配列を含み、関連するコーディング領域の転写、RNAプロセシング、安定性若しくは翻訳に影響を与える。コーディング領域が真核細胞での発現に用いられる場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終止配列は一般にコーディング配列の3'末端に位置する。
「ヌクレオチドセグメント」、「オリゴヌクレオチドセグメント」又は「ポリヌクレオチドセグメント」とは、より大きなポリヌクレオチド分子の一部を意味する。ポリヌクレオチドセグメントはコードされたタンパク質の機能ドメインに対応する必要はないが、場合によって、該セグメントはタンパク質の機能ドメインをコードする。ポリヌクレオチドセグメントの長さは、ヌクレオチド数が約6個以上(例えば、6-20、20-50、50-100、100-200、200-300、300-400又はそれ以上の長さ)とすることができる。
本明細書で使用される「ベクター」とは、ヌクレオチド分子を宿主細胞へのクローニング及び/又は転写のための任意のビヒクルを意味する。「ベクター」という用語は、in vitro、ex vivo又はin vivoで核酸を細胞内に導入するためのウイルス及び非ウイルス性ベクター(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、ウイルス)を含む。
本明細書で使用される「宿主細胞」及び「細胞」という用語は、互いに交換可能であり、核酸分子(例えば、組換え核酸分子)を担持又は担持可能な任意のタイプの細胞又は細胞集団を意味する。例えば、初代細胞、培養中の細胞、または細胞株に由来する細胞等を挙げることができる。宿主細胞は原核細胞であってもよい、また、真核細胞であってもよい。例えば、酵母細胞などの真菌細胞、昆虫細胞や哺乳動物細胞などの種々の動物細胞等を挙げることができる。
本明細書で使用される「培養(Culture、to culture、culturing)」とは、細胞の成長、分裂又は細胞を生きた状態で維持することを可能にするin vitro条件で細胞をインキュベートすることを意味する。本明細書で使用される「培養された細胞」は、in vitroで増殖される細胞を意味する。
本明細書で使用される「骨誘発性/骨誘導性(Osteoinductive)」とは、骨及び/又は軟骨の形成若しくは成長の誘発/誘導を指し、例えば、骨及び/又は軟骨の形成若しくは成長に関連する標識の誘発(例えば、アルカリホスファターゼ活性の誘発)を含む。
本明細書で使用される「酵母ツーハイブリッドアッセイ」又は「酵母ツーハイブリッドシステム」という用語は、互いに交換可能であり、タンパク質ペア間の相互作用の検出のためのアッセイ又はシステムを意味する。典型的なツーハイブリッドスクリーニングアッセイ/システムにおいて、転写因子は、結合ドメイン(BD)と活性化ドメイン(AD)という2つの断片に分割され、それぞれが別個のプラスミドに設けられ、それぞれが所望のタンパク質に融合する。酵母ツーハイブリッドアッセイシステムは、(1)ベイトタンパク質及びシステムに利用される転写因子の結合ドメインを含む「ベイト」ベクター、(ii)プレイタンパク質(又は、ベイトタンパク質との相互作用をスクリーニングするためのプレイタンパク質のライブラリー)及び転写因子の活性化ドメインを含む「プレイ」ベクター、及び、(iii)システムに利用される転写因子の結合ドメインに対する結合配列を含む好適なレポーター酵母株、を有する。ベイト-プレイ相互作用が起こると、該転写因子の該活性化ドメインが1つ以上のレポータータンパク質の発現を駆動する。ベイトベクター及びプレイベクターは、レポーター酵母株に導入され、発現されたベイトタンパク質及び発現されたプレイタンパク質は相互作用することができる。あるいは、ベイトベクター又はプレイベクターを別個に含む一倍体酵母株を交配させることで、両方のタンパク質を発現する二倍体酵母株を得ることが可能である。相互作用するベイト及びプレイタンパク質は、転写因子の再構成及び活性化を起こし、その転写因子は次いでレポーター酵母株が提供された活性化ドメインに結合し、検出可能なレポーター遺伝子の発現を誘発する。
組換えポリペプチド及び組成物
本開示は、SEQ ID NO:33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77及び355からなる群より選ばれる2つ以上のドメインを含む組換えポリペプチドに関し、表3に開示された2つのドメインの組合せのいずれかを含むが、これに限定されない。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは任意の3つのドメインを含み、表3に開示された3つのドメインの組合せのいずれかを含むが、これに限定されない。
本明細書に記載の組換えポリペプチドの任意のドメインは、組換えポリペプチドのアミノ末端又はカルボン酸末端に対して任意の位置に配置することができる。例えば、本明細書に開示される組換えポリペプチドの任意のドメインは、該組換えポリペプチド中の任意の1つ以上の他のドメインのN末端の位置に配置することができる。同様に、本明細書に開示される組換えポリペプチドの任意のドメインは、該組換えポリペプチド中の任意の1つ以上の他のドメインのC末端の位置に配置することもできる。
本開示は、SEQ ID NO:33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77及び355からなる群より選ばれる2つ以上のドメインを含む組換えポリペプチドに関し、その組換えポリペプチドは組換えポリペプチドにおけるいずれかの個々のドメインよりも、アクチビン受容体IIBタンパク質(即ち、ActRIIBecd)の細胞外ドメインに対して高い親和性を有する。ActRIIBの核酸配列、ポリペプチド配列及び天然に存在する変異体は公知である。例えば、ActRIIBecdは、本明細書に開示されるSEQ ID NO:8の残基27-117に対応するSEQ ID NO:9とすることができる。親和性は、例えば、放射免疫測定(RIA)、表面プラズモン共鳴(例えばBIAcoreTM)又は当該技術分野で公知である任意の他の結合アッセイによって測定することができる。幾つかの実施形態において、該組み換えポリペプチドは、SEQ ID NO:39及びSEQ ID NO:49、SEQ ID NO:49及びSEQ ID NO:61、SEQ ID NO:61及びSEQ ID NO:39、SEQ ID NO:35及びSEQ ID NO:47、SEQ ID NO:57及びSEQ ID NO:35、SEQ ID NO:57及びSEQ ID NO:47からなる群より選ばれる2つのドメインの組合せを含み、該2つのドメインの任意の一方はもう一方のドメインのN末端又はC末端に位置する。幾つかの実施形態において、該2つのドメインの組合せは、SEQ ID NO:188、194、200、206、212、218、224、230、236、242、248及び254からなる群より選ばれる配列を含む組み換えポリペプチドを生成する。幾つかの実施形態において、該組み換えポリペプチドは、SEQ ID NO:39、49及び61;SEQ ID NO:35、47及び57;SEQ ID NO:39、47及び61;SEQ ID NO:35、49及び57;SEQ ID NO:39、57及び47;SEQ ID NO:35、61及び49からなる群より選ばれる3つのドメインの組合せを含み、いずれかのドメインは、他のドメイン又は他の2つのドメインのN末端又はC末端に位置する。幾つかの実施形態において、該3つのドメインの組合せは、SEQ ID NO:260、268、276、284、292、300、308、316、324、332、340及び348からなる群より選ばれる配列を含む組み換えポリペプチドを生成する。
本開示は、SEQ ID NO:39の第1のドメイン、SEQ ID NO:49の第2のドメイン及びSEQ ID NO:61の第3のドメインを含む組み換えポリペプチドを開示した。且つ、前記第1のドメインは前記第2のドメインよりも該組み換えポリペプチドのC末端に近い位置にあり、前記第3のドメインは前記第2のドメインよりも該組み換えポリペプチドのN末端に近い位置にあり、又はこれらの組み合わせである。特定の実施形態において、該組み換えポリペプチドは、SEQ ID NO:35及びSEQ ID NO:39からなる群より選ばれる第1のドメイン、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:49からなる群より選ばれる第2のドメイン、SEQ ID NO:57及びSEQ ID NO:61からなる群より選ばれる第3のドメインを含み、前記第1のドメインは前記第2のドメインよりも該組み換えポリペプチドのC末端に近い位置にあり、前記第3のドメインは前記第2のドメインよりも該組み換えポリペプチドのN末端に近い位置にあり、又は第1、2、3のドメインが、それぞれSEQ ID NO:39、49、61である際の組み合わせである。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組み換えポリペプチドは翻訳後修飾(post-translational modification、PTM)を含む、当該翻訳後修飾はジスルフィド結合形成、グリコシル化、カルバモイル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解、非天然に存在するアミノ酸による修飾、又は標識成分への結合などの任意の他の操作や修飾を含むが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、組換えポリペプチドは、生理的条件下又は任意の他の標準条件(例えば、精製条件若しくは保存条件)において1つ以上のジスルフィド結合の形成に関与し得る1つ以上のシステインを含むことができる。特定の実施形態において、ジスルフィド結合は、組換えポリペプチド中の2つのシステイン残基の間に形成された分子内ジスルフィド結合である。特定の実施形態において、ジスルフィド結合は、二量体中の2つの組換えポリペプチドの間に形成された分子間ジスルフィド結合である。特定の実施態様において、分子間ジスルフィド結合は、本明細書に記載の2つの同一の組換えポリペプチドの間に形成され、且つ、その2つの同一の組換えポリペプチドはホモ二量体を形成する。特定の態様において、ホモ二量体は、少なくとも1つ又は3つ以上の分子間ジスルフィド結合を含む。特定の態様において、分子間ジスルフィド結合は、本明細書に記載の2つの異なる組換えポリペプチドの間に形成されし、且つ、その2つの異なる組換えポリペプチドがヘテロ二量体を形成する。特定の態様において、ヘテロ二量体は、少なくとも1つ又は3つ以上の分子間ジスルフィド結合を含む。
本開示は、SEQ ID NO:35及びSEQ ID NO:39からなる群より選ばれる第1のドメイン、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:49からなる群より選ばれる第2のドメイン、SEQ ID NO:57及びSEQ ID NO:61からなる群より選ばれる第3のドメインを含む組換えポリペプチドを開示した。該組換えポリペプチドは1つの分子内ジスルフィド結合を含む。
特定の実施形態において、該第1のドメイン、該第2のドメイン、該第3のドメイン又はこれらの組み合わせは、1つの分子内ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、1つ以上の分子内ジスルフィド結合は、単一ドメイン内、一方のドメインともう一方のドメインとの間、2つ以上のシステインを有するドメインと他の1つ以上のドメインとの間、又はこれらの組合せに位置する。特定の実施形態において、該第1のドメインは1つのジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該第2のドメインは1つのジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該第3のドメインは1つのジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、各ドメインは1つのジスルフィド結合を有する。分子内ジスルフィド結合について言及する際に、本明細書で使用される「ドメインは1つのジスルフィド結合を有する」とは、1つのドメインに1つ以上のシステインが存在する場合、単一ドメインの2つのシステインの間にあるジスルフィド結合、又は2つのドメインのうちの一方のシステインともう一方のドメインのシステインとの間にあるジスルフィド結合を指す。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチドの第2のドメインは、第2のドメインの23番目のアミノ酸と第2のドメインの27番目のアミノ酸との間に1つの分子内ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、第1のドメインと第3のドメインとの間に、第3のドメインの中に、又はこの両方に、更に1つ以上の分子内ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、第3のドメインの9番目のアミノ酸と第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、第3のドメインの8番目のアミノ酸と第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、第3のドメインの8番目のアミノ酸と第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、又は第3のドメインの9番目のアミノ酸と第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、更に1つの分子内ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、第3のドメインの9番目のアミノ酸と第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、更に1つのジスルフィド結合を有し、且つ、第3のドメインの8番目のアミノ酸と第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、1つのジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、第3のドメインの8番目のアミノ酸と第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、更に1つのジスルフィド結合を有し、且つ、第3のドメインの9番目のアミノ酸と第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、1つのジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドの第3のドメインは、第1アミノ酸配列PKACCVPTE (SEQ ID NO:356)と第2アミノ酸配列GCGCR (SEQ ID NO:357)を有し、且つ、該第3のドメインは、該第1アミノ酸配列と該第2アミノ酸配列との間に2つの分子内ジスルフィド結合若しくは2つの分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、該第1アミノ酸配列の4番目のアミノ酸と該第2アミノ酸配列の2番目のアミノ酸との間に、1つの第1分子内ジスルフィド結合又は第1分子間ジスルフィド結合を有し、且つ、該第1アミノ酸配列の5番目のアミノ酸と該第2アミノの酸配列の4番目のアミノ酸との間に1つの第2分子内ジスルフィド結合又は第2分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、該第1アミノ酸配列の5番目のアミノ酸と該第2アミノ酸配列の2番目のアミノ酸との間に、1つの第1分子内ジスルフィド結合若しくは第1分子間ジスルフィド結合を有し、且つ、該第1アミノ酸配列の4番目のアミノ酸と該第2アミノ酸配列の4番目のアミノ酸との間に1つの第2分子内ジスルフィド結合又は第2分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、第2のドメインの23番目のアミノ酸と第2のドメインの27番目のアミノ酸との間に、更に1つの分子内ジスルフィド結合を有する。
本開示は、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:268、SEQ ID NO:276、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:300、SEQ ID NO:308、SEQ ID NO:316、SEQ ID NO:324、SEQ ID NO:332、SEQ ID NO:340及びSEQ ID NO:348からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有し、且つ1つの分子内ジスルフィド結合を有す組換えポリペプチドに関する。特定の実施形態において、該分子内ジスルフィド結合は、組換えポリペプチドのアミノ末端から番号が付されたシステイン15、システイン44、システイン48、システイン79、システイン80、システイン112、システイン114及びこれらの組み合わせを含む1つ以上のジスルフィド結合を有し、且つ、前記組換えポリペプチドは、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:324及びSEQ ID NO:332からなる群より選ばれる。特定の実施形態において、該分子内ジスルフィド結合は、組換えポリペプチドのアミノ末端から番号が付されたシステイン44、システイン48、又はこの両方を含み、且つ、前記組換えポリペプチドは、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:324及びSEQ ID NO:332からなる群より選ばれる。
特定の実施形態において、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:324及びSEQ ID NO:332からなる群より選ばれる組換えポリペプチドは、該組換えポリペプチドのアミノ末端から番号が付されたシステイン44とシステイン48との間に、分子内ジスルフィド結合を含む。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、システイン79とシステイン112との間に、システイン80とシステイン114との間に、システイン80とシステイン112との間に、又はシステイン79とシステイン114との間に、更に分子内ジスルフィド結合若しくは分子間(二量体の中に)ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、システイン79とシステイン112との間に更に分子内ジスルフィド結合又は分子間ジスルフィド結合を有し、且つ、システイン80とシステイン114との間に更に分子内ジスルフィド結合又は分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、システイン80とシステイン112との間に更に分子内ジスルフィド結合若しくは分子間ジスルフィド結合を有し、且つ、システイン79とシステイン114との間に更に分子内ジスルフィド結合若しくは分子間ジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白は、該2つの組換えポリペプチド同士の第1のドメインの間に、該2つの組換えポリペプチド同士の第2のドメインの間に、該2つの組換えポリペプチド同士の第3のドメインの間に、該2つの組換えポリペプチド同士の第1のドメインと第2のドメインとの間に、該2つの組換えポリペプチド同士の第1のドメインと第3のドメインとの間に、該2つの組換えポリペプチド同士の第2のドメインと第3のドメインとの間に、又はこれらの組み合わせに、1つ以上の分子間ジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第1のドメインの15番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第1のドメインの15番目のアミノ酸との間に、1つの分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、又は一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、更に1つの分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくは該ヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、及び一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、更に1つのジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくは該ヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、及び一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、更に1つのジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくは該ヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間に、又は一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間に、1つの分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくは該ヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間にジスルフィド結合を有し、且つ、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間にジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくは該ヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの8番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの43番目のアミノ酸との間にジスルフィド結合を有し、且つ、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの9番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの41番目のアミノ酸との間にジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白における各組換えポリペプチドの第3のドメインは、第1アミノ酸配列PKACCVPTE (SEQ ID NO:356)と第2アミノ酸配列GCGCR (SEQ ID NO:357)を有し、且つ、該ホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの第1アミノ酸配列ともう一方の組換えポリペプチドの第3のドメインの第2アミノ酸配列との間に2つの分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくは該ヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第1アミノ酸配列の4番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第2アミノ酸配列の2番目のアミノ酸との間に第1分子間ジスルフィド結合を有し、且つ、一方の組換えポリペプチドの第1アミノ酸配列の5番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第2アミノ酸配列の4番目のアミノ酸との間に第2分子間ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該ホモ二量体蛋白若しくは該ヘテロ二量体蛋白は、一方の組換えポリペプチドの第1アミノ酸配列の5番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第2アミノ酸配列の2番目のアミノ酸との間に第1分子間ジスルフィド結合を有し、且つ、一方の組換えポリペプチドの第1アミノ酸配列の4番目のアミノ酸ともう一方の組換えポリペプチドの第2アミノ酸配列の4番目のアミノ酸との間に第2分子間ジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白の一方若しくは両方の組換えポリペプチドは、本明細書に記載のいずれかの又は複数の分子内ジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白の一方若しくは両方の組換えポリペプチドの第2のドメインは、1つの分子内ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白の一方若しくは両方の組換えポリペプチドは、第2のドメインの23番目のアミノ酸と第2のドメインの27番目のアミノ酸との間に、1つの分子内ジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白若しくはヘテロ二量体蛋白の一方若しくは両方の組換えポリペプチドは、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:324若しくはSEQ ID NO:332のいずれかのシステイン44とシステイン48との間に、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:308、SEQ ID NO:340若しくはSEQ ID NO:348のいずれかのシステイン88とシステイン92との間に、SEQ ID NO:268若しくはSEQ ID NO:300のいずれかのシステイン23とシステイン27との間に、又はSEQ ID NO:276若しくはSEQ ID NO:316のいずれかのシステイン67とシステイン71との間にある分子内ジスルフィド結合を有する。上記のシステイン番号は、組換えポリペプチドのアミノ末端から番号が付されたものである。
特定の実施形態において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白は、2つの組換えポリペプチドを有し、且つ、各ポリペプチドは同一の配列を有し、該配列はSEQ ID NO:260、SEQ ID NO:268、SEQ ID NO:276、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:300、SEQ ID NO:308、SEQ ID NO:316、SEQ ID NO:324、SEQ ID NO:332、SEQ ID NO:340、及びSEQ ID NO:348からなる群より選ばれる。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、本明細書に記載の同一の分子内ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、本明細書に記載の異なる分子内ジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載のヘテロ二量体蛋白は、2つの異なる組換えポリペプチドを有し、且つ、各ポリペプチドは、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:268、SEQ ID NO:276、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:300、SEQ ID NO:308、SEQ ID NO:316、SEQ ID NO:324、SEQ ID NO:332、SEQ ID NO:340、及びSEQ ID NO:348からなる群より選ばれる異なる配列を有する。特定の実施形態において、該ヘテロ二量体蛋白の一方の組換えポリペプチドはSEQ ID NO:260の配列を有し、且つ、もう一方の組換えポリペプチドはSEQ ID NO:268、SEQ ID NO:276、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:300、SEQ ID NO:308、SEQ ID NO:316、SEQ ID NO:324、SEQ ID NO:332、SEQ ID NO:340、及びSEQ ID NO:348からなる群より選ばれる配列を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、本明細書に記載の同一の分子内ジスルフィド結合を有する。特定の実施形態において、該組換えポリペプチドは、本明細書に記載の異なる分子内ジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチド、ホモ二量体蛋白、若しくはヘテロ二量体蛋白は、表4又は表5に示すシステインペアの間に、1つ又は複数のジスルフィド結合を有する。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチド、ホモ二量体蛋白、若しくはヘテロ二量体蛋白は、骨誘導活性を有する。骨誘導活性は、一般的にこのような活性を測定するための任意の条件(即ち、「骨誘導条件」)下で測定することができる。
例えば、C2C12細胞は筋ジストロフィーマウス筋由来のマウス筋芽細胞株である。骨誘導活性を有するポリペプチドにC2C12細胞を暴露することで、C2C12細胞分化を筋肉から骨へことができる。(例えば、アルカリホスファターゼのような骨関連タンパク質の発現を特徴とする骨芽細胞形成を誘導する)。アルカリホスファターゼは広く受け入れられている骨標識であり、アルカリホスファターゼ活性の検出用アッセイは骨誘導活性を証明するものとして受け入れられている。(Peel et al., J. Craniofacial Surg. 14: 284-291 (2003); Hu et al., Growth Factors 22: 29033 (2004); and Kim et al., J. Biol. Chem. 279: 50773-50780 (2004)等を参照)。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチド、ホモ二量体蛋白、若しくはヘテロ二量体蛋白は、アルカリホスファターゼ活性を誘発する能力を有する。
特定の実施形態において、骨誘導活性は、医用画像技術、骨サンプルの組織学的検査、又は骨の形成若しくは成長を測定するため一般的に実施される任意の方法によって検出される。特定の実施形態において、上記検出はX線画像のような放射線画像を含む。特定の実施形態において、上記検出はコンピュータ断層撮影(CT)走査を含む。特定の実施形態において、上記検出は分子イメージング又は核イメージング(即ち、陽電子放射断層撮像、(PET))を含む。特定の実施形態において、上記検出は組織学的検査を含む。特定の実施形態において、上記検出はヘマトキシリン‐エオジン(HE)染色を含む。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチド、ホモ二量体蛋白、若しくはヘテロ二量体蛋白は、フラグメント、変異体又は誘導体分子を含むことができるが、これらに限定されない。ポリペプチドに言及されると、「フラグメント」、「変異体」、「誘導体」、及び「類似体」という用語は、ポリペプチドの少なくともいくつかの特性又は生物活性を保持する任意のポリペプチドを含む。ポリペプチドフラグメントは、タンパク質分解フラグメント、欠失フラグメント、又は動物に移植した際により容易に作用部位に到達するフラグメントを含むことができる。ポリペプチドフラグメントは変異体領域を有することができ、該変異体領域は上記フラグメント、及びアミノ酸置換、欠失、若しくは挿入によって改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。非天然に存在する変異体は、該技術分野において公知の変異誘発技術で製造することができる。本開示のポリペプチドフラグメントは、保存的若しくは非保存的アミノ酸置換、欠失若しくは付加を含むことができる。本明細書に記載の変異体ポリペプチドは、「ポリペプチド類似体」と呼ばれることもできる。本開示のポリペプチドフラグメントは、誘導体分子を含むこともできる。本明細書に記載のポリペプチド若しくはポリペプチドフラグメントの「誘導体」とは、官能性側基の反応により化学的に誘導体化された1個以上の残基を有する主体ポリペプチドを指す。「誘導体」は、20種類の標準アミノ酸において天然に存在するアミノ酸誘導体を1つ以上含有するペプチドも含む。例えば、プロリンを4-ヒドロキシプロリンに置換されていてもよい;リジンを5-ヒドロキシリジンに置換されていてもよい;ヒスチジンを3-メチルヒスチジンに置換されていてもよい;セリンをホモセリンに置換されていてもよい;リジンをオルニチンに置換されていてもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチド、ホモ二量体蛋白、若しくはヘテロ二量体蛋白は、標識を含む。特定の実施形態において、該標識は、基質化合物若しくは組成物の化学的変化を触媒し得る酵素標識、放射性標識、蛍光団、発色団、画像形成剤、又は金属イオンを含む金属である。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチドは、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸を類似の側鎖を有する異なるアミノ酸残基と置換することである。類似のアミノ酸側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において既に定義されている。これらのファミリーは、リジン、アルギニン、ヒスチジンのような塩基性側鎖;アスパラギン酸、グルタミン酸のような酸性側鎖;グリシン、アスパラギン、セリン、トレオニン、チロシン、システインのような非荷電極性側鎖;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンのような無極性側鎖;トレオニン、バリン、イソロイシンのようなβ分岐鎖側鎖;チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンのような芳香族側鎖等を含む。従って、ポリペプチド中のアミノ酸が、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸によって置換される場合、該置換は保存的であると考えられる。もう一つの実施形態において、アミノ酸の鎖は、順序及び/又は側鎖ファミリーメンバーの組成が異なる構造的に類似した鎖で保存的に置換されることができる。
特定の実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、本明細書に記載の核酸分子又はベクターによってコードされ、又は本明細書に記載の宿主細胞によって発現される。
核酸分子、ベクター及び宿主細胞
特定の実施形態において、該単離された核酸分子は、本明細書に記載のドメインをコードする任意の2つ以上のポリヌクレオチド配列を有する。特定の実施形態において、該単離された核酸分子は、SEQ ID NO:32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78からなる群より選ばれる2つ以上のポリヌクレオチド配列を有する。上記ポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、355にそれぞれ対応するドメインをコードする。特定の実施形態において、該単離された核酸分子は、2つ若しくは3つのポリヌクレオチド配列のいずれかの組み合わせを有し、これらのポリヌクレオチド配列は本明細書の表3に示す2つ若しくは3つのドメインに対応する組み合わせをコードする。
特定の実施形態において、該単離された核酸分子は、SEQ ID NO:115、157、187、193、199、205、211、217、223、229、235、241、247、253、259、267、275、283、291、299、307、315、323、331、339、347からなる群より選ばれるポリヌクレオチド配列を有する。上記ポリヌクレオチド配列は、それぞれSEQ ID NO:116、158、188、194、200、206、212、218、224、230、236、242、248、254、260、268、276、284、292、300、308、316、324、332、340、348に対応する本明細書に記載の組換えポリペプチドをコードする。
本開示は、本明細書に記載の単離された核酸分子に作動可能に連結された発現制御領域を有する組換え核酸分子に関する。特定の実施形態において、該発現制御領域は、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、リボソーム結合部位、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、ステムループ構造、転写終結シグナル、又はこれらの組合せである。特定の実施形態において、該発現制御領域はプロモーターである。発現制御領域は、転写制御領域及び/又は翻訳制御領域とすることができる。
様々な転写制御領域が当該技術分野において知られている。これらの転写制御領域には、例えば、サイトメガロウィルス由来のプロモーター若しくはエンハンサー(イントロン-A(intron-A)と結合した前初期プロモーター)の断片、シミアンウイルス40(初期プロモーター)、レトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス)などの脊椎動物細胞に機能する転写制御領域が含まれるが、これらに限定されない。他の転写制御領域には、アクチン、ヒートショック蛋白、ウシ成長ホルモン、ウサギβ-グロビンなどの脊椎動物遺伝子由来のもの、及び真核細胞における遺伝子発現を制御し得る他の配列が含まれる。それに加えて好適な転写制御領域には、組織特異的プロモーター若しくはエンハンサー、及びリンホカイン誘導性(lymphokine-inducible)プロモーター(例えば、インターフェロン又はインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が含まれる。
同様に、様々な翻訳制御因子が当該技術分野において知られている。これらの翻訳制御因子には、例えば、リボソーム結合部位、翻訳開始若しくは終止コドン、及びピコルナウイルス由来の因子(特に内部リボソームエントリー部位(IRES)、CITE配列とも呼ばれる)が含まれるが、これらに限定されない。
ベクターは、核酸の宿主細胞へのクローニング及び/又は転写のための任意のビヒクルとすることができる。例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス、改変真核ウイルス、改変細菌ウイルス等を含む多数のベクターが当該技術分野では知られ使用されている。好適なベクターにポリヌクレオチドの挿入は、相補的な付着端を有する所定ベクターに適切なポリヌクレオチド断片を連結することによって達成することができる。
ベクターは、ベクターを組み込んだ細胞の選択若しくは識別のための選択標識又はレポーターをコードするように設計することができる。選択標識又はレポーターの発現は、ベクターに含まれた他のコード領域を組み込んで発現する宿主細胞の選択及び/又は識別することを可能になる。当該技術分野において知られており使用されている選択標識遺伝子として、例えば、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ネオマイシン、ピューロマイシン、ビアラフォス除草剤(bialaphos herbicide)、スルホンアミド及びそれらの類似体に対して耐性を提供する遺伝子が挙げられる;表現型標識用遺伝子として、アントシアニン調節遺伝子、イソペンテニル転移酵素遺伝子及びそれらの類似体を挙げることができる。当該技術分野において知られており使用されているレポーターとして、例えば、ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ベタ-ガラクトシダーゼ(LacZ)、ベタ-グルクロニダーゼ(Gus)及びそれらの類似体を挙げることができる。選択標識をレポーターとしてもよい。
「プラスミド」という用語は、細胞の中央代謝の一部ではなく、一般的に環状二本鎖DNA分子の形態である遺伝子を一般的に担持する染色体外要素を意味する。このような要素は、任意源に由来する自律複製配列(ARS)、ゲノム統合配列、ファージ又はヌクレオチド配列、線形、円形若しくはスーパーコイル状である一本鎖若しくは二本鎖のDNA又はRNAであることができる。また、多数のヌクレオチド配列は、適切な3'末端非翻訳配列と共に選択された遺伝子産物のプロモーター断片及びDNA配列を細胞に導入することができる独特な構造に連結され又は組み換えられる。
使用可能な真核生物ウイルスベクターには、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、及びワクシニアウイルスベクター、バキュロウイルスベクターやヘルペスウイルスベクター等のポックスウイルスが含まれるが、これらに限定されない。非ウイルス性ベクターには、プラスミド、リポソーム、帯電脂質(サイトフェクチン)、DNA-タンパク質複合体及び生体高分子等が含まれる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、発現される遺伝子に連結する適切なプロモーター及びエンハンサー、他の5'末端若しくは3'末端隣接非転写性配列、5'末端若しくは3'末端非翻訳配列等の非転写要素を含むことができる。例えば、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー若しくはアクセプター部位、及び転写終結配列等を挙げることができる。
組換えベクターは、挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳のために必要な要素を有する任意の核酸構築を指す「組換え発現ベクター」とすることができる。RNAウイルスベクターの場合、該必要な要素は、適切な宿主細胞に導入する際の複製及び翻訳のための必要な要素である。
本開示は、本明細書に記載の単離された核酸分子又は組換え核酸分子を含む単離された宿主細胞に関する。特定の実施形態において、該単離された宿主細胞は、本明細書に記載の組換えベクターを含む。
核酸分子は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、又はDNAベクタートランスポーターなどの当該技術分野に公知の方法によって宿主細胞に導入することができる。
本開示は、本明細書に記載の単離された核酸分子又は組換え核酸分子を宿主細胞に導入することを含む組換え宿主細胞の製造方法に関する。特定の実施形態において、該方法は、本明細書に記載の組換えベクターを宿主細胞に導入することを含む。
本明細書に記載の宿主細胞は、本明細書に記載の単離された核酸分子又は組換え核酸分子のいずれかを発現することができる。宿主細胞における核酸分子の発現について用いられる「体現/発現」という用語は、RNA又はポリペプチドなどの遺伝子によって引き起こす生化学過程を指す。該過程は、細胞内の遺伝子の機能を呈示する任意の具体的な発現を含み、例えば、一過性の発現又は安定した発現等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、メッセンジャーRNAへの遺伝子の転写(mRNA)及びそのmRNAのポリペプチドへの翻訳も含まれるが、これらに限定されない。
宿主細胞には、原核生物又は真核生物が含まれるが、これらに限定されない。好適な宿主細胞の代表例は、細菌細胞、酵母などの真菌細胞、昆虫細胞及び単離された動物細胞等を含む。細菌細胞は、例えば、大腸菌などのグラム陰性若しくはグラム陽性細菌を含む。また、宿主細胞として乳酸菌種若しくはバチルス種を用いることもできる。真核細胞は、哺乳動物由来の確立された細胞株を含むが、これらに限定されない。好適な哺乳動物細胞株には、COS-7、L、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、及びBHK細胞株等が含まれる。
宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択又は本開示の核酸分子の増幅のため、適切に改良された従来の栄養培地に培養することができる。温度、phなどの培養条件は、当業者に対して明らかであり、発現のために選択された宿主細胞を使用する際に、既知の任意の使用条件又は改良された条件とすることができる。
本開示は、本明細書に記載の単離された宿主細胞を培養し、該宿主細胞から該組換えポリペプチドを単離することを含む、組換えポリペプチドの製造方法に関する。培養された宿主細胞からポリペプチドを単離する技術は、当業者に対して明らかであり、発現のために選択された宿主細胞からポリペプチドを単離する際に、既知の任意の使用条件又は改良された条件とすることができる。
組成物と装置
特定の実施形態において、組成物は、生理的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤をさらに含む(文献Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) Mack Publishing Co., Easton, PAを参照)。許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、対象に対して非毒性であるものを含むことができる。特定の実施形態において、組成物又は組成物の1つ以上の成分は無菌である。無菌成分は、例えば、濾過(例えば、無菌濾過膜)又は放射線照射(例えば、ガンマ線照射)により調製することができる。
特定の実施形態において、該骨移植代用品はバイオセラミック(bioceramic)材料である。本明細書において、「バイオセラミック材料」及び「バイオセラミック」という用語は、交換可能に使用される。特定の実施形態において、該バイオセラミックは体内に対して生体適合性であり、再吸収可能である。特定の実施形態において、該バイオセラミックはリン酸カルシウム塩系に基づく任意のバイオセラミックである。特定の実施形態において、該バイオセラミックは、リン酸三カルシウム(TCP)、アルファ-リン酸三カルシウム(α-TCP)、ベータ-リン酸三カルシウム(β-TCP)、二相リン酸三カルシウム(BCP)、水酸アパタイト、硫酸カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる。特定の実施形態において、該バイオセラミックは、ベータ-リン酸三カルシウム(β-TCP)である。
特定の実施形態において、該骨移植代用品は生体活性ガラス(bioactive glass)である。特定の実施形態において、該生体活性ガラスは、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カルシウム(CaO)又は酸化白金(Pt2O5)を含む。
本開示は、本明細書に記載のホモ二量体蛋白と生分解性リン酸カルシウム担体(例えば、β-TCP)を含む生分解性組成物を関する。前記ホモ二量体蛋白は、ある部位に骨量を形成するように骨形成を誘導する能力を有する。前記生分解性リン酸カルシウム担体は担体の全体に孔を有する。且つ、前記ホモ二量体蛋白の有効量は、生分解性リン酸カルシウム担体に対して約0.03mg/g〜3.2mg/gである。また、前記生分解性リン酸カルシウム担体は、空孔率が70%以上程度で、孔径が300μm〜600μm程度である。
特定の実施形態において、該生分解性組成物は、鼻唇溝、眉間、中顔面組織、下顎の輪郭、オトガイ、頬、及びこれらの組合せからなる群より選ばれる組織の増大に適する。
特定の実施形態において、前記部位は、長骨骨折欠損、隣接する2つの椎骨体の間、非癒合性骨欠損、上顎骨骨切り術切開、下顎骨骨切り術切開、枝矢状骨切り術切開、オトガイ形成術切開、急速口蓋拡大術切開、隣接する2つの椎骨の隣接する2つの横突起の縦方向に延びる間、及びこれらの組合せからなる群より選ばれる。
特定の実施形態において、該生分解性リン酸カルシウム担体は、該ホモ二量体蛋白を該対象の体内で漏らさないように該生分解性リン酸カルシウム担体に流入させることに供し、形成した骨量を該生分解性リン酸カルシウム担体の体積に限る。
特定の実施形態において、該リン酸カルシウム担体は、リン酸三カルシウム(TCP)、アルファ-リン酸三カルシウム(α-TCP)、ベータ-リン酸三カルシウム(β-TCP)、二相リン酸三カルシウム(BCP)及びこれらの組合せからなる群より選ばれる。
特定の実施形態において、該生分解性マトリックスは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びこれらの組合せからなる群より選ばれる。
特定の実施形態において、該徐放性組成物は、(a)リン酸カルシウム担体約2〜11% (w/w);(b)生分解性マトリックス約88〜97% (w/w);(c)ホモ二量体蛋白約0.017〜0.039% (w/w)を含む。
本開示は、骨空胴を充填する成型性組成物であって、該成型性組成物に対して90 wt%〜99.5 wt%程度の成型性マトリックス、及び本明細書に記載のホモ二量体蛋白を含有する成型性組成物に関する。該成型性組成物において、25%程度未満の該ホモ二量体蛋白は、移植後1時間、24時間、48時間、72時間、168時間、240時間、もしくは336時間ほど該成型性組成物から放出される。
本開示は、本明細書に記載の生分解性組成物、及び生分解性リン酸カルシウム担体を保つように構成される脊椎融合ケージ(例えば、PEEKケージ(peek cage))を含有する脊椎融合装置に関する。
方法
本開示は、治療を必要とする対象における長骨骨折の癒合を促進する方法において、本明細書に記載のホモ二量体蛋白を含む組成物を調製する、及び該長骨骨折が発生した部位に該組成物を移植するという工程を含み、該ホモ二量体蛋白が、緩効性生分解性リン酸カルシウム担体(例えば、β-TCP)に均一に含まれ、該生分解性リン酸カルシウム担体が、該ホモ二量体蛋白を該対象の体内で漏らさないように該生分解性リン酸カルシウム担体に流入させることに供し、長骨骨折の癒合を該リン酸カルシウム担体の体積に限って、且つ、該ホモ二量体蛋白の量が、該リン酸カルシウム担体に対して約0.03mg/g〜約3.2mg/gである、ことを特徴とする長骨骨折の癒合を促進する方法を開示した。
特定の実施形態において、該長骨骨折の癒合を促進する方法は、リン酸カルシウム担体の分解につれて、含まれたホモ二量体蛋白を該リン酸カルシウム担体部位に次第に放出することをさらに含み、且つ、該リン酸カルシウム担体のカルシウム/リン酸塩比は約0.4〜約1.8である。
本開示は、上側椎骨と下側椎骨を露出させる、該上側椎骨と該下側椎骨との間に融合する位置を特定する、該上側椎骨と該下側椎骨の各前記融合する位置に骨面を露出させる、並びに、該位置に、本明細書に記載のホモ二量体蛋白及び生分解性リン酸カルシウム担体(例えば、β-TCP)を投与する、という工程を含むことを特徴とする脊椎融合促進方法に関する。
特定の実施形態において、該生分解性リン酸カルシウム担体は、非圧縮性送達ビヒクルであり、且つ、該非圧縮性送達ビヒクルは、2つの骨面の間に骨形成が望まれるが自然には発生しない位置に適用される。
特定の実施形態において、該生分解性リン酸カルシウム担体は、該位置に適用する少なくとも1つの移植棒を含有し、且つ、該移植棒は上側椎骨と下側椎骨との間に縦方向に延びる。
本開示は、奇形又は退化した関節に、前記のホモ二量体蛋白及び生分解性リン酸カルシウム担体を投与することを特徴とする関節固定(arthrodesis)促進方法に関する。
本開示は、必要とする対象の脊椎において隣接する2つの椎骨体を融合させるように骨量を形成する方法であって、骨量を形成するための組成物を調製する、及び該隣接する2つの椎骨体の間に該組成物を導入するという工程を含む、該組成物は本明細書に記載のホモ二量体蛋白を含有し、該ホモ二量体蛋白は、緩効性生分解性担体に均一に含まれ、該生分解性担体は、該ホモ二量体蛋白を該対象の体内で漏らさないように該生分解性担体に流入させることに供し、骨量の形成を該緩効性生分解性担体の体積大きさに限り、該緩効性生分解性担体の分解につれて、含まれたホモ二量体蛋白は該緩効性生分解性担体の部位に次第に放出され、且つ、該ホモ二量体蛋白の量が、該部位に対して約0.2 mg/site(各部位ごとに約0.2 mg)〜約10.5 mg/site(各部位ごとに約10.5 mg)であることを特徴とする方法に関する。
特定の実施形態において、該緩効性生分解性担体は初期体積を有し、且つ、該緩効性生分解性担体が再吸収されるにつれて、骨量が該緩効性生分解性担体の該初期体積を置換する。
本開示は、隣接する椎骨の間の椎間スペースに、椎間板インプラントを受容するための板空間を準備する、該椎間板インプラントに、本明細書に記載のホモ二量体蛋白を含む緩効性担体を導入する、該板空間に骨量を形成するように、該隣接する椎骨の間の板空間に該椎間板インプラントを導入する、という工程を含み、且つ、該ホモ二量体蛋白の量が、該緩効性担体に対して約0.2 mg/site〜約10.5 mg/siteであることを特徴とする、後方融合法(posterior fusion)もしくは経椎間孔融合法(transforaminal fusion)によって必要とする対象において隣接する椎骨体を融合する方法に関する。
[実施例1] プラスミドの構築
pQE-80L-Kanaプラスミドの構築のために、BspHI(BioLab社製)によって、pET-24a(+) (Novagen社製)からカナマイシン耐性遺伝子を切断し、875-bpのカナマイシン耐性遺伝子(+3886から+4760まで)フラグメント(SEQ ID NO:1)を生成した。pQE-80Lベクター(Qiagen社製)は、BspHIで切断し、アンピシリン耐性遺伝子(+3587から+4699まで)フラグメント(SEQ ID NO:2)を除去した。そして、該pQE-80Lベクターに前記カナマイシン耐性遺伝子フラグメントを結合させ、4513-bpのプラスミド(pQE-80L-Kana、SEQ ID NO:3)を生成した。
[実施例2] 酵母ツーハイブリッドスクリーニング
A. ベイトプラスミドの構築
市販のシステム(Matchmaker Two-Hybrid System 2; 米国カリフォルニア州パロアルト市CLONTECH社製)を用いて、酵母ツーハイブリッドスクリーニングを行った。ベイトプラスミドの構築のために、pCRII/ActRIIB(Hilden., et al. (1994) Blood 83(8):2163-70)を鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)によって、アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)蛋白の細胞外ドメインのコード領域(+103 bpから+375bpまで、SEQ ID NO:4)を生成した。ActRIIBの細胞外ドメイン(ActRIIBecd)を増幅するために使用されるプライマー(XmaI: 5'- CCCGGGACGGGAGTGCATCTACAACG-3'(SEQ ID NO:5); SalI: 5'-GTCGACTTATGGCAAATGAGTGAAGCGTTC-3'(SEQ ID NO:6))は、XmaI及びSalI制限部位をそれぞれ5'末端に含むように設計された。総量50μLに10 ngの鋳型DNA、0.2 μmの各プライマー、0.2 mMの各dNTP、1X PCRバッファ(10 mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris-HCl)、pH 8.3、50 mM塩化カリウム(KCl)及び1.5 mM塩化マグネシウム(MgCl2))、及び1.25 UのDNAポリメラーゼ(Promega社製)を用いて、PCRを行った。PCRは、95℃で30秒の変性、45℃で1分のアニーリング、そして68℃で5分の伸長反応を、30サイクルのプログラムで行った。PCR産物を、XmaI及びSalIで切断し、pAS2-1ベクター(CLONTECH社製、GenBank登録号U30497)におけるGAL4のDNA結合ドメインの同じ制限部位にインフレームでサブクローニングして、pAS-ActRIIBecdプラスミドを生成した。
ActRIIBの核酸配列、ポリペプチド配列及び天然に存在する変異体は知られている。例えば、野生型ActRIIBの核酸配列はSEQ ID NO:7であって、対応するポリペプチドの配列はSEQ ID NO:8である。ActRIIBの細胞外ドメイン(ActRIIBecd)はSEQ ID NO:9であって、SEQ ID NO:8における21から117までの残基に対応し、SEQ ID NO:4の核酸配列によりコードされる。
B. pACT2/MC3T3 cDNA ライブラリーの構築
pACT2/MC3T3 cDNA ライブラリーの構築のために、Tu Q., et al. (2003, J Bone Miner Res. 18(10):1825-33)により記載されたマウスMC3T3-E1骨芽細胞cDNAライブラリーのクローン約7×106個を、cDNAライブラリーインサートが1.5kb未満になるように変化を加え、pACT2ベクター(CLONTECH社製、GenBank登録号U29899)に構築した。s1ヌクレアーゼ(Invitrogen Life Technologies社製、cDNA Synthesis System 、CAT. No. 18267-013)の処理後、pACT2ベクター内に該二本鎖cDNAをクローニングした。且つ、前記pACT2ベクターは、GAL4活性化ドメインを有する融合蛋白を発現するように、SmaIにより切断した。そして、pACT2/MC3T3 cDNAライブラリーは、製造者(米国カリフォルニア州パロアルト市CLONTECH社)からのプロトコルに従って、「HIS3 Jump-Start」プログラムによってスクリーニングした。別の実施形態において、該pACT2 cDNAライブラリーは、市販品から得られた。
C. 酵母株の選抜
まずはSaccharomyces cerevisiae Y190細胞(MATa, ura3-52, his3-D200, lys2-801, ade2-101, trp1-901, leu2-3, 112, gal4D, gal80D, URA3::GAL1
UAS-GAL1
TATA-lacZ, cyh
r2, LYS2::GAL
UAS-HIS3
TATA-HIS3;米国カリフォルニア州パロアルト市CLONTECH社製)をベイトプラスミドで形質転換し、トリプトファン欠如の合成ブドウ糖培地(SD-Trp)でスクリーニングした。続いて、該SD-Trp培地で生長した形質転換体は、pACT2/MC3T3 cDNAライブラリーで形質転換され、トリプトファン及びロイシンが欠如している培地(SD-Trp-Leu)でスクリーニングした。ベイト及びライブラリーで共形質転換されたクローンは回収され、Y190細胞のリーク(Leak)の成長を抑制するように、トリプトファン、ロイシン及びヒスチジンが欠如し且つ30 mM 3-アミノ-1,2,4-トリアゾール(米国ミズーリ州セントルイス市Sigma-Aldrich社製)を有する培地(SD-Trp-Leu-His)で再培養された。さらに、この工程で選択されたクローンのβ-ガラクトシダーゼ活性を測定した。30℃で3日間培養した後、ペトリ皿を撮像した。少なくとも3回の独立した実験を行ったところ、同様の結果が得られた。そして、個別の陽性クローンから、pACT2ライブラリープラスミドを精製し、大腸菌によって増幅した。表1に示されたように、陽性クローンにおけるcDNAインサートの配列決定(プライマー 5'-AATACCACTACAATGGAT-3' (SEQ ID NO:10))は、Perkin-Elmer ABI自動DNA配列決定装置によって行った。
[実施例3] 誤りがちな(Error-prone)PCRランダム変異誘発
A. プラスミドにおける設計されたプライマーによって変異誘発
実施例2の陽性クローンのDNA配列に、突然変異を誘発する。
一つの実施形態において、配列決定された陽性クローンをpQE-80L-Kanaにサブクローニングして、PCRランダム変異誘発を行った。表1に示された陽性クローンDNA配列増幅のためのプライマーは、5'末端にMseI又はBamHI制限部位を含むように設計された。PCR条件は、実施例2に記載した通りであった。PCR産物は、MseI-BamHIにより切断し、インフレームでpQE-80L-Kanaベクターの同一制限部位にサブクローニングされた。そして、Leung et al. (1989, Technique, 1, 11-15)が記載した誤りがちなPCRに基づき、いくつかの修正を伴い、サブクローニングされたpQE-80L-Kanaプラスミドにランダム変異誘発を導入した。線状化pQE-80L-Kana (XhoIにより切断)を鋳型DNAとして使用した。変異誘発PCR増幅に用いられたプライマー(MseI: 5'-GAATTCATTAAAGAGGAGAAATTAA (SEQ ID NO:29); BamHI: 5'-CCGGGGTACCGAGCTCGCATGCGGATCCTTA (SEQ ID NO:30))は、それぞれ5'末端にMseI又はBamHI制限部位を含むように設計された。総量50μLに10 ngの鋳型DNA、40 pMの各プライマー、0.2 mMの各dNTP、1X PCRバッファ(10 mM Tris-HCl、pH 8.3、50 mM KCl 及び 1.5 mM MgCl2)、0.2-0.3 mMの塩化マンガン(MnCl2)、1%ジメチルスルホキシド、及び1.25 U Taq DNAポリメラーゼ(米国カリフォルニア州カールスバッド市Invitrogen社製)を用いて、変異誘発PCRを行った。変異誘発PCRは、94℃で30秒の変性、55℃で2分のアニーリング、そして72℃で3分の伸長反応を、30サイクルのプログラムで行った。PCR産物をMseI及びBamHIにより切断した。該フラグメントは、MseI及びBamHIにより切断されたpQE-80L-Kanaの4.5-kbフラグメントに結合した。生成したpQE-80L-Kanaの誘導体で、大腸菌BL 21 (Novagen社製)を形質転換した。コロニーを、37℃でLTB-アガー培地(1%v/vトリブチリン、0.1%v/v Tween 80、100 mg/Lカナマイシン、0.01μMイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド、及び1.5% アガーを添加したLB)のペトリ皿で生長させた。
B.表1のプライマーを用いた変異誘発
もう一つの実施形態において、前記Leung et al. (1989, Technique, 1, 11-15)によって記載された誤りがちなPCRに基づいて、いくつかの修正を伴い、ランダム変異誘発を陽性クローン由来のpACT2ライブラリープラスミドに導入した。該線状化pACT2 (XbaIにより切断)を鋳型DNAとして使用した。表1に示されたMseI及びBamHI制限部位を有する合成オリゴヌクレオチドを、変異誘発PCR増幅反応のプライマーとして用いた。総量50μLに10 ngの鋳型DNA、40 pMの各プライマー、0.2 mMの各dNTP、1X PCRバッファ(10 mM Tris-HCl、pH 8.3、50 mM KCl及び1.5 mM MgCl2)、0.2-0.3 mMのMnCl2、1%ジメチルスルホキシド、及び1.25 U Taq DNAポリメラーゼ(米国カリフォルニア州カールスバッド市Invitrogen社製)を用いて、変異誘発PCRを行った。変異誘発PCRは、94℃で30秒の変性、55℃で1.5分のアニーリング、そして72℃で4分の伸長反応を、30サイクルのプログラムで行った。PCR産物をMseI及びBamHIにより切断した。該フラグメントは、MseI及びBamHIにより切断されたpQE-80L-Kanaの4.5-kbフラグメントに結合した。生成したpQE-80L-Kanaの誘導体で、大腸菌BL 21(Novagen社製)を形質転換した。コロニーを、37℃でLTB-アガー培地(1%v/vトリブチリン、0.1%v/v Tween 80、100 mg/Lカナマイシン、0.01μMイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド、及び1.5% アガーを添加したLB)のペトリ皿で生長させた。
[実施例4] ActRIIBecd関連ポリペプチドの発現
実施例3に記載した安定的に形質転換された大腸菌細胞を、実施例2の変異誘発したDNA由来のActRIIBecdと相互作用するポリペプチド(即ち、ドメイン)を発現するのために用いた。
A.形質転換体の発酵
一つの実施形態において、pQE-80L-Kanaの誘導体を有する大腸菌BL 21形質転換体を、25-32 μg/mLのカナマイシンを含有する65 mLの培地(10 g/L BBLフィトンペプトン(Phytone Peptone)、5 g/L Bacto酵母エキス及び10 g/L NaClを含む)を500 mL三角フラスコの中で、30℃〜37℃で180±20 rpmで攪拌して一晩(約10時間)培養した。5-50 L発酵槽の中に、37-420 mLの一晩培養した培養物を、23.8-38.5 μg/mLのカナマイシン及び1-3 mmol/Lのイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を含む3.7-42 LのTB培地(1 Lの水に18 gのBBLフィトンペプトン、36 gのBacto酵母エキス、18.81 gのリン酸二水素カリウム(KH2PO4)、6 mLのグリセロールを含む)に加えて、温度を37℃〜42℃の範囲に制御し、該培地を260-450 rpmで10〜24時間攪拌した。そして、GSAローター(Sorvall社製)で8,000rpmで10分間遠心分離を行った後、氷水浴で細胞を回収した。
もう一つの実施形態において、新たに培養したコロニー(pQE-80L-Kanaの誘導体を有する大腸菌 BL21形質転換体)の1つ又は新たに培養した培養物の10mLを、1LのLB液体培地(100 mg/Lのカナマイシンを含む)に種菌し、37℃でOD600値が0.4-0.8.に達するまで培養する。そして、40又は400 μMのIPTGを加え、37℃で3〜5時間の反応によってポリペプチドの発現を誘導する。約8,000 rpmで遠心分離を行った後、4℃で細胞を回収した。
B. 大腸菌由来のポリペプチドの回収及び精製
大腸菌BL21/pQE-80L-Kana誘導体細胞を、実施例4Aに記載したように発酵させた。一つの実施形態において、それらの誘導体由来のポリペプチドを4℃で細胞破砕されて回収された。約18Gの湿潤細胞は、0.1 M TRIS/HCl、10 mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、1 mM PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)を含む総量60 mLの破砕バッファー(pH 8.3)に懸濁させた。メーカーの取扱説明書に従って該細胞を細胞破砕装置(Frenchpress、SLM Instruments Inc社製)に2回通過させた後、破砕バッファーで総量を200 mLに調整した。懸濁液を、15,000 gで20分間遠心分離させた。得られた沈殿物を、1M塩化ナトリウム(NaCl)を含む100 mlの破砕バッファーに懸濁させて、上記のように10分間遠心分離を行った。そして、得られた沈殿物を、1% Triton X- 100(Pierce社製)を含む100 mlの破砕バッファーに懸濁させて、もう一度上記のように10分間遠心分離を行った。洗浄した沈殿物は、Tris/HCl、1 mM EDTA、1 mM PMSF、1% DTT(ジチオスレイトール)を含む総量50 mLの溶液に懸濁させて、テフロン(Teflon)組織グラインダーにより均質化した。得られた懸濁液は、非溶解型粗ポリペプチド(crude polypeptide)を含んだ。
前記の実施形態で得られたポリペプチド懸濁液の10 mLを、10%酢酸によりpHを2.5に酸性調整し、エッペンドルフ型遠心機により室温で遠心分離を10分間行った。上清液を流速1.4 mL/minの10%酢酸で、Sephacryl S-100カラム(Pharmacia社製、2.6×78cm)を用いてクロマトグラフィーを行った。適切な期間に溶出したポリペプチドを含む画分をプールした。該材料を、生物活性を有するポリペプチドを得るリフォールディングのため、又はさらなる精製のために使用した。
前記の実施形態で得られた5 mgのポリペプチドを、50 mM Tris/HCl、pH 8.0、1M NaCl、5 mM EDTA、2 mM還元型グルタチオン、1 mM酸化型グルタチオン及び33 mM Chaps試剤(Calbiochem社製)を含む総量140 mLの溶液に溶解させた。4℃で72時間後、塩酸(HCl)で溶液のpHをpH 2.5に調整し、Amicon限外濾過器(stirred cells)の中でYM 10フィルム(米国マサチューセッツ州ダンバース町Amicon社製)によって、前記混合物を10倍に濃縮するように限外濾過した。前記濃縮された溶液は、10 mM HClで元の体積に希釈され、同じ方法によって最終体積10 mLに濃縮された。形成された沈殿物は、5000 gで30分間遠心分離することにより除去した。非還元状態で、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって、上清液にジスルフィド結合を有するポリペプチドを含有することを判定した。製剤の生物活性は、表面プラズモン共鳴バイオセンサー(BIAcoreTM)により測定された(実施例5)。
上記の実施形態により濃縮された溶液は、1 mL/minの流速でMono S HR 5/5カラム(Pharmacia社製)に注入された。該カラムは、85%バッファーA(20 mM酢酸ナトリウム、30%イソプロパノール、 pH 4.0)及び15%バッファーB(1M塩化ナトリウムを含むバッファーA)の混合物により平衡化された。前記バッファー混合物の組成を一定に保つように、280 nm波長での吸光度読取数値がベースラインレベルに達するまで同じ流速で該カラムを洗浄した。そして、平衡状態で直線勾配になるように、20分間以上注入し続け、50%バッファーA/50%バッファーBの混合物で終了させた。非還元条件下のSDS-PAGEと生物活性測定によると、生物活性ポリペプチドは、勾配の開始から約9分後に溶出され、回収された。
もう一つの実施形態において、該ポリペプチドは、実施例4において回収された細胞の封入体により調製された。室温で一晩に抽出され(50 mMの酢酸ナトリウム、pH 5、8 Mの尿素、14 mMの2-メルカプトエタノール)、水に対して徹底的に透析した後、該ポリペプチドをリフォールディングして濃縮し、流速1.8 mL/minで、1%酢酸又は5 mM塩酸によってSephacryl S-100 HRカラム(Pharmacia社製)により富化させた。最後に、蛋白質クロマトグラフィー(FPLC 、Fractogel EMD SO3 - 650、50 mM酢酸ナトリウム、pH 5、30%の2-プロパノール)によって精製し、0〜1.5 MのNaCl勾配で溶出された。適切な期間に溶出したポリペプチドを含む画分をプールした。水に対して徹底的に透析した後、該ポリペプチドを凍結/乾燥し、-20℃で保存した。該ポリペプチドの純度は、SDS-PAGEにより分析され、クーマシーブリリアントブルーRで染色した。
もう一つの実施形態において、前記実施例4Aからの1 gあたりの細胞ペレットを、10 mM TRIS/HCl、150 mM NaCl、1 mM EDTA、及び5 mM DTTを含む pH 8.0の破砕バッファー10-20 mLで再懸濁させ、1号増幅器(Enhance Booster #1)プローブを備えたMisonix S4000装置を用いて、30 A(装置度盛)で5分間超音波細胞破砕処理を行った。必要に応じ、前記細胞ライセート混合物を遠心分離(18,000 x gで20分間、又は15,000 x gで30分間)により清澄化し、1 v/v % Triton X-100を含む10-20 mLの破砕バッファーで沈殿物を数回洗浄し、上記のように10分間遠心分離した。細胞ライセートは、6 M尿素を含む100-200 mLの破砕バッファーで溶解させて、上記のように10分間遠心分離させた。ポリペプチドを含む上清液は、更に精製するのために保存した。
上記上清液を、リフォールディングバッファー(100 mL Tris/HCl、pH 8.0、500 mM アルギニン-HCl、5 mM EDTA、25 mM Chaps、2 mM酸化型グルタチオン、及び1 mM還元型グルタチオン)に溶解した。室温で4-7日後、ポリペプチドは、FPLC (Fractogel EMD SO3 - 650、 20mM 酢酸ナトリウム、pH 4-5、30% 2-プロパノール及び25 mM Chaps)によって精製し、0〜3 MのNaCl勾配で溶出された。適切な期間に溶出したポリペプチドを含む画分をプールした。ポリペプチドの純度は、SDS-PAGEにより分析され、クーマシーブリリアントブルーRで染色した。
特定の実施形態において、実施例3に記載したように一過性発現システムの共発現(co-expression)によって、本開示のヘテロ二量体を調製することができる。且つ、該ヘテロ二量体を、培地から単離し、実施例5のアッセイでスクリーニングすることができる。
[実施例5] 生体外BIAcoreTM アッセイ
バイオセンサー実験。一つの実施形態において、BIAcore
TM T100/T200装置(Pharmacia Biosensor AB社製)のマルチチャンネルモード(フローセル1+2+3+4を含むシリアル流路)で実験を行った。流速は10μl /分、温度は25℃、データは2.5ポイント/sで記録された。アミンカップリングにより、センサチップCM5の4つ全てのセグメントを密度が2000 pg/mm
2(2000共鳴ユニット)となるようにストレプトアビジン(Sigma社製)で塗布した。ActRIIBecd(10mg)及びamine-PEG3-Biotin(10 mg, 米国イリノイ州ロックフォード市Pierce社製)を200μlのH
2Oに溶解させ、10 mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH
3)を添加して、ビオチン化されたActRIIBecdを調製した。反応混合物を70℃で24時間加熱し、さらに10 mgのNaCNBH
3を添加し、もう一度反応物を70℃で24時間加熱した。混合物を室温まで冷却した後、スピンカラム(分画分子量(MWCO)3000)で脱塩した。ビオチン化ActRIIBecdを収集し、凍結乾燥した後、ストレプトアビジン(SA)チップの調製に使用した。アミノビオチニル化されたActRIIBecdを50-250共鳴ユニット(RU)の密度で、フローセル2-4に、10 mM酢酸ナトリウム(pH 4.0)の中で20μmの濃度、5μL/分の流速で10分間固定化した。保存されたポリペプチドをグリシンバッファー(100 mlの水に 2.5 gのグリシン、0.5 gのスクロース、37 m gのL-グルタミン酸塩、10 mgの塩化ナトリウム、及び10 mgのTween 80を含む、pH 4.5)に溶解して10 mg/mLの溶液を調製し、上記のグリシンバッファーで希釈して各濃度の分析物を調製した。分析物(前記ActRIIBecd関連ポリペプチド(即ち、ドメイン)の流れが最初にフローセル1(コントロール)を通し、次いでフローセル2(ビオチン化ActRIIBecd)を通す間に、センソグラムを記録した。フローセル2により得られたセンソグラムから、フローセル1により得られたセンソグラムを減じた。装置により供給されたプログラム(BIA評価2.1;ソフトウェアハンドブック1995;Pharmacia Biosensor AB社)を用いて、1 nM、11 nM、3.33 nM、10 nM、30 nM及び90 nMの分析物で得られたセンソグラムの平衡結合、結合速度、及び解離速度を評価した。分析物及びウシ血清アルブミン(BSA、陰性コントロール)を表2に列挙した。前記Perkin-Elmer ABI自動DNA配列決定装置を用いて、分析物に関連するクローンにおいてアルブミンより高い親和定数を有するpQE-80L-Kana誘導体の配列決定(プライマー 5'-CTCGAGAAAT CATAAAAAAT TTATTTG-3' (SEQID NO: 31))を行った。
[実施例6] 組換えポリペプチドの製造
親和定数を向上させることができるか否かを判定するため、いくつかの修正を伴い、Atanassov et al. (2009, Plant Methods,5:14)に記載されたPCR融合(PCR-Fusion)の方法を用いて表2の個々のドメインを互いに融合させ、組換えポリペプチドを製造した。Phusion DNAポリメラーゼ(フィンランドFinnzymes社製)及び標準サーマルサイクラーを用いて、PCR融合を行った。BP Clonase II及びLR Clonase II酵素混合物(Invitrogen社製)で通路組換え反応(Gateway recombination reactions)を行った。Nojima et al.(1990, Gene, 96 (1): 23-28)に基づいて、コンピテント大腸菌DH5α細胞を調製した。そして、QIAprep(登録商標) Spin Miniprepキット、QIAquick(登録商標)ゲル抽出、及びPCR精製キット(ドイツQiagen社製)を用いて、プラスミドDNA及びPCR断片を精製した。
得られた組換えポリペプチドのDNA鋳型、PCRプライマー、及びDNA/ポリペプチド配列を表3に示す。PCR融合は、プラスミド鋳型由来の2つ又は3つの並行PCR増幅を含む。これらの並列反応に得られたゲル精製PCRフラグメントで、シングルオーバーラップエクステンションによって、増幅したフラグメントのPCR融合を行った。ここで、Phusion DNAポリメラーゼガイドライン(NewEnglandBiolabs社: Phusio(商標)高忠実度DNAポリメラーゼマニュアル)に従って、反応混合及び条件に使用された全てのPCR増幅は、サイクルパラメータが同一であった。プラスミドテンプレートのアニーリング温度は55℃であった。
16 μlの2つのPCRフラグメント混合物(通常フラグメントが各8 μl、約200-800ng、DNA)、6 μlの5×Phusion HFバッファー、3 μlの2 mM dNTP混合物、0.3μlのPhusion
TM DNAポリメラーゼ (2 U/μl)を含む総量30 μlのオーバーラップエクステンション反応液を用いて、2つのPCRフラグメントの融合を行った。オーバーラップエクステンション混合物にプライマーを添加しなかった。3つのDNAフラグメントを融合した場合には、18 μlの該PCR混合物(通常フラグメントが各6 μl)を使用した。一般には、正確なDNA濃度を確認することなく、等体積の精製されたPCR断片を使用した。増幅されたPCR断片のモル比が明白に異なっていると思われる場合には(例えば、アガロース電気泳動後のDNAバンド強度が5〜7倍以上であると推定される場合)、それに応じて精製されたPCR断片の体積を調整した。前記反応混合物は、98℃で30秒間、60℃で1分間、そして72℃で7分間反応させた。オーバーラップエクステンション反応後に得られたDNAを、PCR精製キットを用いて精製した。前記のように、PCR産物は切断され、タンパク質/ポリペプチド発現のためにpQE-80L-Kanaベクター中に結合された。ActRIIBecdに対する精製されたタンパク質/ポリペプチドの親和性は、上記に開示したBIAcore
TM T100/T200(GE Healthcare社製)によって評価され、実施例5のBIA評価ソフトウェアver. 4.1(GE Healthcare社製)によって分析された。
上記データは、下記の2つのクローンの組み合わせから形成された組換えポリペプチドの親和定数(KD)が各単一クローンからの個々のポリペプチドより低かったことを示した:クローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:188)、クローン番号10に作動可能に連結されたクローン番号15(SEQ ID NO:194)、クローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号15(SEQ ID NO:200)、クローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号21(SEQ ID NO:206)、クローン番号10に作動可能に連結されたクローン番号21(SEQ ID NO:212)、クローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:218)、クローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:224)、クローン番号8に作動可能に連結されたクローン番号14(SEQ ID NO:230)、クローン番号8に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:236)、クローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:242)、クローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:248)、及びクローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号14(SEQ ID NO:254)。言い換えると、上記の組み合わせから形成された組換えポリペプチドはActRIIBecdに対して、クローン番号8(SEQ ID NO:35)、クローン番号10(SEQ ID NO:39)、クローン番号14(SEQ ID NO:47)、クローン番号15(SEQ ID NO:49)、クローン番号19(SEQ ID NO:57)、及びクローン番号21(SEQ ID NO:61)に由来する各クローンの個々のポリペプチドよりも高い親和性を有した。
さらに、クローン番号8(SEQ ID NO:35)、クローン番号10(SEQ ID NO:39)、クローン番号14(SEQ ID NO:47)、クローン番号15(SEQ ID NO:49)、クローン番号19(SEQ ID NO:57)、及びクローン番号21(SEQ ID NO:61)からの3つのクローンの組み合わせを用いて組換えポリペプチドを生成した。驚くべきことに、下記の3つのクローンの組み合わせから形成された組換えポリペプチドの親和定数(KD)は、個々のクローンからのポリペプチド又は2つのクローンの組み合わせからのポリペプチドより低かった:クローン番号15及びクローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:260)、クローン番号10及びクローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号15(SEQ ID NO:268)、クローン番号15及びクローン番号10に作動可能に連結されたクローン番号21(SEQ ID NO:276)、クローン番号10及びクローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号21(SEQ ID NO:284)、クローン番号14及びクローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:292)、クローン番号8及びクローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号14(SEQ ID NO:300)、クローン番号8及びクローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:308)、クローン番号14及びクローン番号8に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:316)、クローン番号14及びクローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:324)、クローン番号15及びクローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:332)、クローン番号19及びクローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:340)、クローン番号21及びクローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:348)。
[実施例7] 翻訳後修飾
組換えポリペプチドのKD値に対する翻訳後修飾(PTM)の効果について検討した。PTMの一例はジスルフィド結合の連結である。ジスルフィド結合の位置と結合親和性との関係についてのデータは、表4に示した。該データは、PTMがActRIIBecdに対する該組換えポリペプチドの結合親和性に影響を与えることを示す。該PTMアッセイは、以下の実験に従って実施した。
A.酵素切断とジメチル標識化
実施例4及び実施例6と同様にポリペプチドを調製した。標準タンパク質はSigma社(米国ミズーリ州市セントルイス市)から購入した。必要に応じ、pH 6の5 mM N-エチルマレイミド(NEM、Sigma社製)を含む100 mM酢酸ナトリウム(米国ニュージャージー州Phillipsburg市J. T. Baker社製)を使用して、室温で30分間に遊離システインをブロックした。酵素切断は、1:50比率でトリプシン(米国ウィスコンシン州マディソン市Promega社製)により直接的に37℃で酢酸ナトリウム中で行った。ジメチル標識化の前に、100 mM酢酸ナトリウム(pH 5)でタンパク質切断物を3倍に希釈した。
特定の実施形態において、実施例4及び実施例6と同様に調製された組換えポリペプチドは、pH 7の50 mM重炭酸トリエチルアンモニウム(Triethylammonium bicarbonate、TEABC、T7408、Sigma-Aldrich社製)バッファーで希釈されて、異なる酵素切断用の2管に分けられた。最初は、最終濃度が5 mMになるようにNEM(N-エチルマレイミド、E3876、Sigma-Aldrich社製)を添加して、遊離システインをブロックした。室温で30分間アルキル化反応を行った。NEMによるアルキル化した後、1管に1:65比率でトリプシン(V5111、Promega社製)を添加し、37℃で18時間反応し、そして37℃でGlu-C(P8100S、New England BioLabs社製、1:50比率)により一晩切断を行った。もう1管には、Glu-C(1:50比率)を添加し、37℃で18時間反応し、そして37℃でキモトリプシン(1:50比率)により一晩切断を行った。
ジメチル標識化を行うために、50μLのタンパク質切断物に2.5 μLの4% (w/v)ホルムアルデヒド-H2(J. T. Baker社製)又は2.5 μLの4% (w/v)ホルムアルデヒド-D2(Sigma-Aldrich社製)を添加して、そして2.5 μLの600 mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sigma社製)を添加し、pH 5-6で30分間反応を行った。
B.質量分析
毛細管カラム(75 μm i.d.、長さ10cm、台湾Csun社製)を用いて、CapLC システム(米国マサチューセッツ州ミルフォード町Waters社製)を備えた四重極飛行時間型質量分析計(ESI Q-TOF)を使用して、測量スキャン(MS, m/z 400-1600; MS/MS, m/z 50-2000)を行った。アルキル化及びジメチル標識化したタンパク質切断物は、45分間0.1%ギ酸に5%-50%のアセトニトリルを含有する直線勾配で、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)を行った。
特定の実施形態において、前記切断及び標識化されたタンパク質切断物は、高速液体クロマトグラフィー(Ultimate 3000 RSLC)システムに結合した高分解能質量分析(Q-Exactive Plus MS)により分析された。液体クロマトグラフィー分離は、下記の勾配に従って、C18カラム(Acclaim PepMap RSLC, 75 μm x 150 mm, 2 μm, 100 オングストローム)により行った。
m/z 300-2000の範囲で全MSスキャンを行った。MSスキャンから強度が最も高い10個のイオンは、タンデム質量分析(MS/MS)スペクトルのフラグメンテーション分析に用いられた。
C.データ解析
MassLynx 4.0を用いて、生データからピークリストを生成した(30%減し、3/2 Savitzky-Golay平滑化、中心3チャネル80% 重心)。比較的高い減算を用いてバックグラウンドノイズを除去することができる。真のa1イオンをピークリストに残すため、真のa1イオンは通常に主要なピークとして表示される。
D.逆相クロマトグラフィー
バイナリポンプを備えたAgilent 1100高速液体クロマトグラフィーシステム(Agilent 1100 HPLC)に、UV検出器及びオートサンプラが装備された。75℃で操作されたZorbax 300SB C8カラム(150 ± 2.1 mm,5 μm,300 オングストローム)に、タンパク質を注入した。流速は0.5 ml/minであった。移動相Aは、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水であった。移動相Bは、70%イソプロパノール、20%アセトニトリル、及び0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液であった。10%Bの負荷条件でサンプルを注入し、そして2分間で19%Bまで増加させた。2分で1.1%B/minの直線溶出勾配を開始して、24分で終了した。そして、95%Bで5分間カラムを洗浄した。負荷条件で該カラムを5分間再平衡化した。この方法は、ジスルフィド結合異性体を部分的に分離し区別することを可能にする。
表4に示すように、異なるシステイン位置間のジスルフィド結合は、親和定数(KD)値に影響を与える。さらに、二量体中の2つの組換えポリペプチドの間のジスルフィド結合がKD値を著しく減少させることも、データに示された。言い換えると、二量体化が組換えポリペプチドの二量体とActRIIBecdとの体外分子結合に役立つ可能性がある。
いくつかの組換えポリペプチドが表4に記載の二量体蛋白を自発的に形成したことが観察された。すべての該二量体蛋白は、実施例4Bに記載のゲル濾過によって組換えポリペプチドから単離し精製することが可能である。この実施形態において、モノマーが同じであるため、二量体蛋白はホモ二量体蛋白であった。他の実施形態において、実施例4に記載の安定的に形質転換された大腸菌細胞が、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:268、SEQ ID NO:276、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:300、SEQ ID NO:308、SEQ ID NO:316、SEQ ID NO:324、SEQ ID NO:332、SEQ ID NO:340、及びSEQ ID NO:348からなる群より選ばれる2つの異なる組換えポリペプチドを共発現する場合、該二量体蛋白はヘテロ二量体蛋白であり得る。
[実施例8] アルカリホスファターゼ生物活性アッセイ
既知のC2C12細胞におけるアルカリホスファターゼ誘導の検出によって、組換えポリペプチドについて細胞受容体に結合する能力及びシグナル伝達経路を誘導する能力を調査した。(文献Peel et al. J Craniofacial Surg. 2003; 14:284-291及びHu et al. Growth Factors 2004; 22:29033を参照)
コンフルエントの前に、C2C12細胞(ATCC 受託番号 CRL-1772、米国バージニア州マナサス市)を継代し、1×105 cells/mLとなるように10%の熱不活性化ウシ胎児血清を添加したDMEMで再懸濁した。96ウェル組織培養プレート(Corning社製、Cat #3595)に、ウェル当たり100μlの細胞懸濁液を播種した。段階希釈した標準液及び測定サンプルのアリコートを添加して、37℃且つCO2濃度5%の条件で培養物を維持した。測定サンプルは、馴化培地、精製された組換えポリペプチド、及び陽性対照としての市販の精製された組換えヒトBMP-2「rhBMP-2」(米国ミネアポリス市、R&D Systems社製)を含む。Mundy GR., et al. (2004, GrowthFactors. 22 (4): 233-41)等の文献によって、rhBMP-2が骨及び軟骨の開発において重要な役割を果たすことが示された。陰性対照培養物(サンプル又はrhBMP-2の無添加の培地)は、2〜7日間培養した。培地交換を二日ごとに行った。
培養物を収集する際に生理食塩水(0.90% NaCl, pH 7.4)でリンスして、その後リンス済の食塩水を破棄した。50 μLの抽出用液(Takara Bio社製, catalogue #MK301)を該培養物に加えて、室温で10分間超音波処理を行った。Peel et al. (J Craniofacial Surg. 2003; 14:284-291)の記載に基づいて、アルカリバッファー(米国ミズーリ州セントルイス市Sigma-Aldrich社製, catalog P5899)中のニトロフェノールリン酸塩の加水分解をモニターすることで、ライセートのアルカリホスファターゼ(ALP)を分析した。また、アルカリホスファターゼ(ALP)の分析について、メーカーの指示に従ってTRACP & ALP試剤キット (Takara Bio社製, catalogue #MK301)を使用することもできる。405 nmにおける吸光度を記録することでアルカリホスファターゼ活性を測定した。多反復サンプルの平均ALP活性により、活性スコアを計算した。各組換えポリペプチドのEC50濃度を計算するために、段階希釈したサンプルとその関連活性スコアを4パラメーター曲線あてはめ(4-parameter curve fit)でプロットした。データは表5に示された。いくつかの実施形態において、各ウェル内の蛋白質含有量に対するALP活性は、クーマシーブリリアントブルー(ブラッドフォード)タンパク質アッセイ(Coomasie (Bradford) Protein Assay、Pierce Biotechnology Inc., catalogue #23200)の使用により標準化された。各ウェルのALP活性を各ウェルの蛋白質含有量で割ることにより、各サンプルの標準化されたALP活性を計算した。
もう一つの実施形態において、Katagiri, T., et al. (1990, Biochem. Biophys. Res. Cornrnun. 172, 295-299)に記載されたアルカリホスファターゼ活性検出を行う。C3H10T1/2細胞株からのマウス繊維芽細胞を10%ウシ胎仔血清を添加したBME-Earle培地で培養し、1 mLの1 x 10
5 cells/mLアリコートを、24ウェル培養プレートに入れて37℃且つCO
2濃度10%の条件で24時間培養した。上清液を除去し、様々な濃度のサンプルを含む新鮮な培地1 mLを添加した。さらに4日間培養した後に、0.2 mLのバッファー(0.1 Mグリセロール、pH 9.6、1% NP-40、1 mM MgCl
2、1 mM ZnCl
2)で細胞を溶解して、基質としてバッファー(pH 9.6)を用いて、150μLの0.3 mM p-ニトロフェニルリン酸で50μLのライセートアリコートでアルカリホスファターゼ活性を測定した。37℃で20分間培養後に、405 nmにおける吸光度を記録した。該活性は、各サンプルにおける蛋白質含有量(BCA 蛋白質アッセイ, Pierce Chemical Co.社製)に関連する。
表5に示すように、特定のジスルフィド結合を有する組換えポリペプチドの大部分は、rhBMP-2よりも低いEC50値を有する。言い換えると、特定のジスルフィド結合を有する組換えポリペプチドの大部分は、骨若しくは軟骨の形成又は骨形成(osteogenesis)に関連するシグナル伝達経路を誘導し得る。
[実施例9] 体内骨誘導活性
ウサギの尺骨軸欠損において、実施例6に従って製造された2つの組換えポリペプチド(すなわち、分子内ジスルフィド結合C44-C48を有するSEQ ID NO:260)及び担体材料として多孔質β-リン酸三カルシウム(β-TCP)を含むホモ二量体蛋白の骨誘導活性を評価した。該リン酸カルシウム担体のカルシウム/リン酸塩比は0.4〜1.65程度である。
40匹のメスウサギ(NZW種、日本SLC株式会社)において、外科的に露出させた右尺骨及び左尺骨の軸に、20 mmの円周の欠損が形成された。併用麻酔は、簡潔に言えば、塩酸ケタミン(Ketalar、第一三共社製)とキシラジン(xylazine、Selactar 2%注射溶液, Bayer Medical社製)を3:1の割合で併用して行った。長時間の手術の追加麻酔でも同一溶液を使用した。術前に、抗生物質としてフルマリン(Flumarin、flomoxef sodium、シオノギ製薬社製)を皮下投与した。前腕の全領域の毛は、電気かみそりで剃毛され、ヒビタンアルコール(Hibitane、グルコン酸クロルヘキシジン-エタノール溶液、大日本住友製薬株式会社)で消毒した。尺骨の各肢の後内側部位に縦方向の切開を形成した。筋肉組織を上げて尺骨を露出させた。メスで露出した尺骨の手関節25 mmの所にマークを作成した。直径15 mmのドリルを用いて、骨を断裂しないように注意しながら、縦方向及び垂直方向に適切な孔をマークに穿孔した。骨鉗子で骨を分割した。近位方向から20 mm離れた所にもマークを作成し、同様の方法でに分割した。分割の際に、尺骨を覆う骨膜を除去して、骨片を塩水で充分に洗浄した。
下記表6に示されたグループA-Gのいずれかに従って、各尺骨にインプラントを受容した(又は受容しなかった)。実験グループA-Dの尺骨は、β-TCPにより特定の投与量のホモ二量体蛋白を担持する単一のインプラントを受容した。実験グループEの尺骨は、ホモ二量体蛋白が無くて、β-TCPのみの単一のインプラントを受容した、。実験グループFの尺骨は、自体移植骨の単一のインプラントを受容した。実験グループGの尺骨は、インプラントを受容しなかった。その後、筋肉及び皮膚組織を迅速に縫合した。
実験グループA−Eで使用されたβ-TCPは、1-3 mmの顆粒の形態であって、空孔率が75%且つ孔径が50μm〜350μmであった(人工骨代用品SuperporeTM、PENTAXセラミックス人工骨シリーズ、HOYA株式会社)。
特定の実施形態において、実験グループA−Eで使用されたβ-TCPは、1-3 mmの顆粒の形態であって、空孔率が70%以上且つ孔径が300μm〜600μmであった(人工骨代用品Osteocera、台湾ウィルトロム)。
グループA−Dの組換えポリペプチド(即ち、SEQ ID NO:260)を含むホモ二量体蛋白は、各動物に移植直前に塩酸0.5 m(注射溶媒(大塚製藥)で希釈した標準溶液)を用いて冷凍バッチから調製された。片側移植に対する流体体積を180μlに設定して、滅菌されたペトリ皿内の200 mgのβ-TCP顆粒に均一に滴下した。流体の滴下が完了した後に、スパチュラでβ-TCP顆粒を穏やかに攪拌し、そして室温で15分間以上静置した後に移植した。
実験グループFについては、骨鉗子を使用して、腸骨の右翼又は左翼から自体移植骨を得た。骨はチップに加工されて、実験グループA−Eと同じ骨の量で移植された。
X線による評価
移植直後、及び移植後8週間後まで2週に一度、側面及び正面のX線画像(即ち、放射線写真)を撮影した。該放射線写真によって、移植位置の状態及び骨形成の程度を評価した。各実験グループの代表例のX線画像は、図1A(実験グループA−D)及び図1B(実験グループE−G)に示された。
全ての実験グループにおいて、2週間後、受容床における移植材料の顆粒及び境界のコントラストが、明確に見られた。4週間後、ホモ二量体蛋白グループ(即ち、実験グループA−D)のTCP顆粒が不鮮明になって、前記顆粒の吸収及び骨形成の進行を示した。ホモ二量体蛋白投与量が高い実験グループCとDのいくつかのサンプルにおいて、移植位置と受容床との境界が不鮮明になった。6週間後、実験グループBにおいて、移植位置と受容床との境界が不鮮明になった。実験グループC及びDのいくつかのサンプルにおいて、受容床の連続性及び骨皮質形成の向上が観察された。8週間後、実験グループAとBにおいて、受容床の境界が更に不鮮明になった。実験グループCにおいて、受容床の連続性及び骨皮質形成が向上された。6週間後の画像に示すように、実験グループDにおいて、尺骨欠損の領域に再構成が観察された。
TCPを単独に用いた実験グループEにおいて、受容床で骨形成が経時的に観察された。しかし、残ったTCP顆粒が8週間の時点でも明確に見られ、移植位置で骨形成が不十分であり、受容床の連続性が劣悪であることを示した。従って、実験グループEにおいて、欠損の修復は8週間の時点でも不十分であった。
自体移植骨を有する実験グループFにおいて、骨形成の進行は経時的に観察され、且つ、受容床との融合は8週間で達成された。しかし、形成は均一ではなかった。
欠損のみを有し、移植片の無い実験グループGにおいて、8週間で橈骨にわずかな骨形成が観察されたが、欠陥の修復はそれ以外には全くなかった。
コンピュータ断層撮影(Computerized Tomography、CT)走査
移植直後、移植後4週間後、及び移植後8週間後に、CT走査を用いて1 mm間隔で軸配向を行った(GE横河医療株式会社)。主に移植位置の画像を撮影した。代表例として、移植位置の中心の横断面画像の経時変化は、図2A(実験グループA−D)及び図2B(実験グループE−G)に示された。
ホモ二量体蛋白を有する実験グループA−Dにおいて、移植直後に明確に見られる顆粒が、4週間後の横断面画像において部分的に分解され、骨形成があることを示した。投与量が60 μgであった実験グループDついて、骨形成の進行がさらに観察され、また、いくつかのサンプルに骨髄腔の形成が観察された。8週間後、投与量が6 μg以上であったグループの画像から骨髄腔及び骨皮質の形成の進行が観察された。TCPのみを有する実験グループEにおいて、顆粒の凝集塊は8週間後でも残っていた。自体移植骨を有する実験グループFにおいて、8週間後に、再構成の進行のような骨髄腔の形成が観察された。欠損のみを有する実験グループGにおいて、わずかな骨形成しか観察されなかった。
捻り強度測定
移植8週間後のウサギを安楽死させ、移植材料を取って、各実験グループの尺骨サンプルから橈骨を分離して、捻り強度測定を行った。測定については858 Mini Bionix II(MTS システム会社)を使用して行った。50 mm長の領域で測定を行った。具体的には該領域は、尺骨軸の中心における20 mm長の再構成領域、及び再構成領域の近位側と遠位側における15 mm長の領域であった。各側の端部を歯科用樹脂で固定した。樹脂部分を測定装置内にチャックした。失敗した時の最大トルク(torque)を決定するため、30°/分の回転速度で、左尺骨を反時計回りに回転させ、右尺骨を時計回りに回転させた。別々に得られた健全なウサギの尺骨に対しても試験を行い比較した。該健全なウサギの尺骨は日本白色種ウサギから得られたものであり、実験グループA−Eで使用されたものとは異なるタイプであった。ただし、該日本白色種ウサギは26週齢(安楽死の際に)のメスウサギであり、実験グループA−Eとは同じ年齢及び性別であった。
捻り強度測定において各実験グループにより得られた最大トルクは、図3に示された。ホモ二量体蛋白を有する実験グループA−Dにおいて、最大トルクと投与量の依存性は高かった。
TCPを単独に用いた実験グループEに比べ、著しく高い測定値が、投与量が2 μg以上のホモ二量体蛋白を有する実験グループA−Dに見出された。
欠損のみを有する実験グループGにに比べ著しく高い測定値が、投与量が6 μg以上のホモ二量体蛋白を有する実験グループB−Dに見出された。
無欠損の尺骨、自体移植又はホモ二量体蛋白を有する実験グループの間では、著しい相違は観察されなかった。
実験グループE及びGにおいて、骨形成が不十分であったため、橈骨を分離する際に、いくつかのサンプルでは確実な支持を確保することが困難であった。そのため、サンプルについて、実験グループEでは2つのみ、実験グループGでは4つのみのサンプルを測定で使用した。一方、実験グループA−D及びFでは、それぞれ6つのサンプルを使用した。
下記の表7は、同じ動物モデルを使用した本発明とKokubo et al., Biomaterials 24:1643-1651 (2003)の記載におけるCHO由来のBMP-2に対する評価ついて、測定条件及び結果の比較を示した。Kokubo et al.による報告と比べ、本発明はより大きな骨欠損、より少ない投与量の活性剤、及び捻り強度測定前により短い移植期間などのより困難な条件で行った。しかしながら、本発明は尺骨の修復が成功したことが示されており、且つ本発明における最大トルクは非常に類似していた。
組織評価
全ての動物について、4週間後と8週間後の標本を作成した。死体を剖検する際に得られた組織を4%パラホルムアルデヒド溶液に保存し、10%EDTAで脱灰した。その後、組織をパラフィンで包埋した。橈骨の長軸に平行する平面に薄切片サンプルを作成し、ヘマトキシリン‐エオジン(HE)で染色し、組織評価した。骨形成及び受容床との融合条件を判定した。
ホモ二量体蛋白を有する実験グループA−Dにおいて、4週間後、骨形成は横紋パターンで進んだ。高い投与量のホモ二量体蛋白を有するサンプルには活発な骨形成が観察された。投与量が60 μgであった実験グループDにおいて、著しく大量の新しい骨及び血管新生が観察された。投与量が低い実験グループA及びBにおけるいくつかのサンプルで残存材料が観察されたが、実験グループC及びDにおいては残存材料がほとんど観察されなかった。実験グループA及びBにおいて、いくつかのサンプルの受容床の境界付近には、軟骨形成が観察された。全てのサンプルにおいて、受容床は横紋パターンで新たに形成された骨に直接接続した。投与量が2 μgであった実験グループAにおいて、横紋パターン及び残存材料は、8週間後にも観察された。受容床の境界付近にも軟骨が観察された。再構成が不十分であっても、骨形成の進行が観察された。いくつかのサンプルにおいて、橈骨の中には骨皮質の形成が観察された。投与量が6 μg以上であった実験グループB―Dにおいて、骨皮質及び骨髄は再構成により形成された。投与量がより高い実験グループにおいて、進展がより著しく、また、移植位置における連続性も向上した。
TCPを単独に用いた実験グループEにおいて、橈骨で移植材料上に骨形成が観察されたが、残存材料は8週間後にも明確に見られたため、軸に不十分な骨形成及び劣悪な連続性が示された。
自体移植物を有する実験グループFにおいて、移植骨骨片に良好な骨形成が4週間後に観察され、新しい骨は受容床と接触していた。受容床の境界付近には軟骨形成が観察された。8週間後、新しい骨の再構成及び骨皮質の形成ついての進行が観察されたが、残った移植骨骨片も観察された。
欠損のみを有する実験グループGにおいて、骨形成が橈骨のみに観察され、且つ、欠損は修復されていなかった。
一つの実施形態において、治療を必要とする対象における長骨骨折の癒合を促進する方法を提供した。該方法は、ホモ二量体蛋白を含有する組成物を調製する、及び該長骨骨折が発生した部位に該組成物を移植する、という工程を含む。該ホモ二量体蛋白は緩効性生分解性リン酸カルシウム担体(例えば、β-TCP)に均一に含まれる。該生分解性リン酸カルシウム担体は、該ホモ二量体蛋白を該対象の体内で漏らさないように該生分解性リン酸カルシウム担体に流入させることに供し、長骨骨折の癒合を該リン酸カルシウム担体の体積に限る。且つ、該ホモ二量体蛋白の量は、該リン酸カルシウム担体に対して約0.03 mg/g〜約3.2 mg/gである。
[実施例10] ヒツジ脊椎後外側方固定のin vivo研究
ヒツジの脊椎後外側方固定モデルにおいて、実施例6に従って製造された組換えポリペプチド(Rcp)(即ち、分子内ジスルフィド結合C44-C48、C80-C112、及びC79-C114を有するSEQ ID NO:260)、及び担体材料としての多孔質ベータ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を含むホモ二量体蛋白の骨誘導活性について評価を行った。該リン酸カルシウム担体のカルシウム/リン酸塩比は1.2〜1.8程度である。
ヒツジ脊椎後外側方固定モデルについて、ヒツジの鎮静は、Zoletil(8-12 mg/kg, 筋肉内注射)、ガス化イソフルオラン(2%)及び酸素(2リットル/分)を放出することによって達成された。気管内チューブを動物に挿入しガスを通して、イソフルオラン(2-3%)及び酸素(2-4リットル/分)で麻酔を維持した。抗生物質(Keflin(登録商標):1 gm静脈内注射;ベナジリン(Benacillin):5 ml、筋肉内注射)を投与した。手術前にカルプロフェン(Carprofen、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の一種である、4 ml、筋肉内注射)及びブプレノルフィン(Burprenorphine、Temgesic(登録商標)、0.324 mg、皮下内注射)を注射した。必要に応じて手術前及び手術中に、4〜10 ml/kg/hで晶体輸液(ハルトマン液、Hartmann)を静脈内に投与した。
第3の腰椎から第4の腰椎までのレベル(L3-L4)で、腰部の横突起と平行に15 cmの正中切開を形成した。後腹膜鈍解剖により腰椎の前外側部分を露出させた。これは隔膜によって邪魔されない状態にした。軟組織は後退した。気動式ドリル(Midas Rex)を使用して、全ての動物の該レベルの間の横突起(側部15 mm)及び隣接する椎体を剥離した。
下記表8に示された各実験グループの条件に従って、横突起の剥離された表面及び各実験グループの椎体(傍脊柱床、paraspinal bed)との間にインプラント材料を置いた。実験グループ1−3は、β-TCPにより特定量のホモ二量体蛋白を担持する単一のインプラントを受容した。実験グループ4は、ホモ二量体蛋白のないβ-TCPだけの単一のインプラントを受容した。実験グループ6は、陽性対照グループとして、特定量のrhBMP-2という確立骨誘導因子を有する吸収性コラーゲンスポンジ(absorbable collagen sponge,ACS)の単一のインプラントを受容した。実験グループ5は、骨自体移植の単一のインプラントを受容した。自体移植物は、自体移植の実験グループの動物の腸骨稜から収集された。骨鉗子を用いて該骨を粉砕して、5.0 gの自体移植骨を融合の各辺に使用した。吸収性2-0縫合糸で切開を縫合して、3-0縫合糸で付近の皮膚を縫合した。
実験グループ1−4で使用されたβ-TCPは、2-4 mmの顆粒の形態であって、空孔率が70%以上且つ孔径が50-350 μmであった(人工骨代用品SuperporeTM、PENTAXセラミックス人工骨シリーズ、HOYA株式会社)。
特定の実施形態において、実験グループ1−4で使用されたβ-TCPは、2-8 mmの顆粒の形態であって、空孔率が65%以上且つ孔径が250-730 μmであった(人口骨代用品Osteocera、台湾ウィルトロム)。
実験グループ1では、10 mgのホモ二量体蛋白を有する各バイアルに2 mlの注射用水を添加することによって、Rcp(すなわち、SEQ ID NO:260)を含むホモ二量体蛋白保存液Hを調製した。3:1の容積比率で保存液Hと注射用水を混合して、ホモ二量体蛋白高投与量溶液(Homodimeric Protein High Dose Solution、10.5 mgホモ二量体蛋白を含有する2.8 ml溶液)を作った。2.8 mlのホモ二量体蛋白高投与量溶液は、3.5 gのβ-TCP顆粒に均一に滴下することにより送達された。
実験グループ2では、10 mgのホモ二量体蛋白を有する各バイアルに4 mlの注射用水を添加することによって、ホモ二量体蛋白保存液ML(2.5 mg/ml)を調製した。1:1の容積比率で保存液MLと注射用水を混合して、ホモ二量体蛋白中投与量溶液(homodimeric protein Middle Dose Solution、3.5 mgホモ二量体蛋白を含有する2.8 ml溶液)を作った。2.8 mlのホモ二量体蛋白中投与量溶液は、3.5 gのβ-TCP顆粒に均一に滴下することにより送達された。
実験グループ3では、10 mgのホモ二量体蛋白を有する各バイアルに4 mlの注射用水を添加することによって、ホモ二量体蛋白保存液ML(2.5 mg/ml)を調製した。17:3の容積比率で保存液MLと注射用水を混合して、ホモ二量体蛋白低投与量溶液(homodimeric protein Low Dose Solution、1.05 mgホモ二量体蛋白を含有する2.8 ml溶液)を作った。2.8 mlのホモ二量体蛋白低投与量溶液は、3.5 gのβ-TCP顆粒に均一に滴下することにより送達された。
実験グループ6は、市販品Infuse(登録商標)及びMastergraft(登録商標)(二方ともメドトロニック社製)を移植材料として比較するために行った。Infuse(登録商標)は、CHO発現システムにより調製されたrh-BMP-2及び吸収性コラーゲンスポンジ(ACS)からなる。Mastergraft(登録商標)は、85%β-TCP及び15%ヒドロキシアパタイトからなる粒状リン酸カルシウム骨代用品である。Infuse(登録商標)とMastergraft(登録商標)を組み合わせて使用することが腰椎後外側方固定に対して治療効果を示すことは、E. Dawson et. al.のエビデンスレベル2を有する臨床研究に報告されている(J Bone Joint Surg Am. 2009; 91: 1604-13)。実験グループ6に使用された移植材料は、各部位に3.15 mgのrh-BMP-2、4 ccのACS、及び5 ccのMastergraft(登録商標)からなり、移植材料の調製工程についてはE. Dawsonの報告に従った。Infuse(登録商標)及びMastergraft(登録商標)のロット番号は、手術記録に記録された。
手術後最初の7日間、動物を毎日モニターし、観察結果を各動物の手術後のモニタリングシートに記録した。
4週間後、全ての動物の前後方向の放射線写真を撮影した。Zoletil(登録商標)(8-12 mg/kg, 筋肉内注射)、及びガス化イソフルオラン(2%)と酸素(2リットル/分)を放出し動物を鎮静させた。新しい骨の存在及びTCP材料の吸収について、放射線写真と術後のX線写真とを比較した。手術後12週後、全ての動物を、致死量のLethabarbの心臓注射で犠牲にした。
骨形成の時点をモニターするために、下記表9に示すように、3つの異なる時点で3つの異なる蛍光染料を静脈内に注射した。
X線評価
腰椎(L1-L6)を採取し、デジタルカメラを用いて撮影した。採取された脊椎を、Faxitron(登録商標)装置(24 kVで45秒間に設定した)で造影した。後前方向(posterior-anterior、PA)を撮ったデジタル放射線写真を、3名盲検観測者が右側及び左側で新しい骨形成及び融合について等級付けした。定性的等級付けシステムを用いて、放射線写真を評価した(表10)。融合は、1つの横突起から次のレベルの骨までの連続性に基づいて評価した(0=非連続、1=連続)。融合塊の各側の横突起の間にある骨の量は、表10に概説した百分率に基づいて等級付けされた。TCP再吸収量は、同じ量の材料を有する0時点の放射線写真との比較に基づいて記録された。
手術後、4週間後及び12週間後に、全ての動物の前後方向の放射線写真を撮影した。各実験グループの代表的なX線イメージは、図4〜図9に示された。実験グループ1、2、3、4、5、6の手術後X線イメージにおいて、顆粒は明らかであった。4週間後の時点において、実験グループ1、2において見える顆粒はいくつかあり、その存在が発見された。実験グループ3及び4において顆粒がより多く、実験グループ6には残りの細粒又は顆粒が明確に示された。12週間後、実験グループ1、2、3において、骨から細粒又は顆粒を区別することができなかった。実験グループ4において、少量の骨形成を示し、明らかに見える顆粒がなかった。実験グループ6において、12週間後もまだ顆粒が明らかであった。
放射線写真を3名盲検観測者が評価した。等級付けは、融合の二項評価と、融合塊にある骨の量により5級評価を含んだ。結果は表11に示された。各動物の個体等級の平均値を先に計算して、そして各実験グループの平均値及び標準偏差を計算した。
[実施例11]イヌ分節性尺骨欠損のin vivo研究
イヌ分節性尺骨欠損モデルにおいて、実施例6に従って製造された組換えポリペプチド(即ち、分子内ジスルフィド結合C44-C48、分子間ジスルフィド結合C80-C112、及び分子間ジスルフィド結合C79-C114を有するSEQ ID NO:260)、及び担体材料としての多孔質ベータ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を含むホモ二量体蛋白(Hp)の骨誘導活性についての評価を行った。該リン酸カルシウム担体(例えば、β-TCP)のカルシウム/リン酸塩比は約0.7〜約1.5であり、β-TCP空孔率が70%以上であって、孔径が300μm〜600μm程度であった。
実験計画
この研究のプロトコルは、日本獣医生命科学大学の動物実験委員会によって認可された。動物実験は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)の実験動物の管理と使用のためのガイドラインに従って行った。8匹のイヌの15本の前肢に、2.5-cmの限界寸法の分節性尺骨欠損を形成させた。全てのケースにおいて、手術で切除された尺骨の直径は7-8 mmであり、骨切断された尺骨の体積は、約0.96-1.26 cm3であった。各欠損部位に、ホモ二量体蛋白を担持する700 mgの人工骨(β-TCP)を移植した。ホモ二量体蛋白の量(0、35、140、560、又は2240 μg)は、5つの実験グループにおいてそれぞれ異なった(それぞれが対照グループ、Hp 35グループ、Hp 140グループ、Hp 560グループ及びHp 2240グループであった)。各実験グループは3つの前肢から成った。手術後、1週間ごとに一回の放射線検査を行い、また、4週間ごとに一回のコンピュータ断層撮影(CT)を行った。
もう一つの実施形態において、各欠損部位に、ホモ二量体蛋白を担持する800 mgの人工骨(β-TCP)を移植した。ホモ二量体蛋白の量(160、480、640、又は1600 μg)は、4つの実験グループにおいてそれぞれ異なった(それぞれがHp 160グループ、Hp 480グループ、Hp 640グループ及びHp 1600グループであった)。各実験グループは3つの前肢から成った。手術後、1週間ごとに一回の放射線検査を行い、また、4週間ごとに一回のコンピュータ断層撮影(CT)を行った。
インプラント材料の調製
インプラント材料は、ホモ二量体蛋白及びβ-TCP(日本東京都、HOYA株式会社)から構成された。凍結乾燥したホモ二量体蛋白粉末を、使用前に滅菌蒸留水(日本東京都、大塚製薬)で還元した。移植前に、前記4つの投与量のホモ二量体蛋白のうちの1つを含有する0.63 mlの蒸留水に、室温で700 mgのβ-TCP(約1.89 ml)を15分間浸漬した。対照グループとしては、ホモ二量体蛋白のない0.63 mlの蒸留水に700 mgのβ-TCPを浸漬した。個々のβ-TCP顆粒の直径が2-4 mmであって、互いに連通する多孔質構造(孔径50-300 μm、空孔率75%)を有する。このような顆粒のサイズは、操作及び緊密な移植のために最も便利である。
インプラントの体積、β-TCP顆粒のサイズ、及びホモ二量体蛋白溶液の体積は、実験前に実施されたパイロット研究の結果に基づいて選択された。β-TCP顆粒の最大インプラント体積は800 mgに決めたとしても、個体間の相違のため、この研究では700 mgのβ-TCPを使用した。さらに、パイロット研究のデータは、1.0 gのβ-TCP顆粒が1.0 mlの蒸留水を吸収することができることを示した。残留液体の蓄積を回避するために、1.0 gのβ-TCP顆粒当たりに0.9 mlのホモ二量体蛋白溶液を使用した。よって、700 mgのβ-TCP顆粒は0.63 mlのホモ二量体蛋白を含有する蒸留水で処理した。
動物モデル
この研究で使用された全ての8匹のイヌは、体重が9.5〜11.3 kgの1歳の健康なメスビーグルであった。イヌをプロポフォール(7 mg/kg)の静脈内注射により麻酔して、挿管後、イソフルオラン(1.5-2.0%)を含有する酸素で麻酔を維持した。犬が全身麻酔された場合には、前肢を用意し、無菌環境下でドレープ(drape)を使用した。外側面の皮膚を縦方向に切開し、外側趾伸筋(lateral digital extensor muscle)と外側尺骨筋(ulnaris lateralis muscle)との間の軟組織を分けて、尺骨及び骨間靭帯を露出させた。振動鋸(oscillating saw)を使用して、骨間靭帯の遠位側に2.5-cmの分節性骨及び骨膜欠損を形成させた。骨欠損周辺の骨膜を完全に除去して、β-TCP顆粒を緊密に移植した。欠損の縦方向の長さは、垂直方向の長さの約3倍であって、自発的に治癒できない限界寸法の欠損が表現された。β-TCP顆粒を移植した後、3-0吸収性モノフィラメント縫合糸を用いて筋肉を縫合した。3-0ナイロンモノフィラメント縫合糸を用いて、皮膚を閉鎖した。手術前及び手術後のブプレノルフィン(0.02 mg/kg)皮下投与により、手術期の鎮痛を維持し、且つ、手術後3日間は、1日に2回投与した。手術後から7日後、25 mg/kgのアンピシリンを1日に2回経口投与した。
X線及びCT検査
手術前、手術直後、及び手術後12週間に1週に1回で犬の前肢の側面視X線を撮影した。前肢と共にアルミニウム板(25 mm×74 mm)を露光することにより、各X線画像における倍率及びコントラスト差を標準化した。再生された骨の幅は、中央領域で測定された。
再生骨の横断面面積及びミネラル密度を測定するために、手術の直後、及び手術後4、8、12週間後、イヌを全身麻酔下でCTイメージング(Asteion、日本栃木東芝医療システム社)を行った。検査には多断面再構成(MPR)モードを使用した。25個の厚さ1-mmのスライスを、正確に位置を合わせて欠陥において再構成し、且つ、第13のスライスを、測定用の対象センタースライスとして定義した。ウィンドウ幅及びウィンドウレベルは、1500及び300 HU(ハウンズフィールド単位)に設定された。横断面面積は、再生骨の輪郭を手動で囲むことによって測定された。定量CT (QCT)を用いて、横断面における骨ミネラル密度を測定した。QCTは、骨組織の立方センチメートル当たりのヒドロキシアパタイトのミリグラムを推定する体積法を使用した。スライスの厚さを1 mmに維持して、前肢と共に校正ファントムを走査した。再生骨及び校正ファントム(B-MAS200、日本京都科学社)の中心に、特定された関心領域(ROI、直径=5.5 mm)における平均CT数値(HU)を決定して、続いて平均骨ミネラル密度を算出した。
結果を平均値(標準偏差)として示した。二元配置反復測定分散分析を用いて、異なるホモ二量体蛋白投与量処理の効果を調査した。テューキー=クレーマー(Tukey-Kramer)の事後検定(post hoc test)により、平均間の差異を分析した。有意性の閾値は、P<0.05として定義された。
結果
図10a-yは、各実験グループにおける術後の変化を示す放射線写真である。手術後1週間後、2ケース(Hp 2240及びHp 560処理の実験グループからそれぞれ1ケース)のみにおいて、わずかな放射線不透過カルス線(radiopaque callus lines)がドナー部位の周りに示された。手術後2週間後、Hp 2240及びHp 560処理の実験グループにおけるすべてのケースにおいて、顕著なカルス形成が観察された。前者において、塊状カルスは不規則な輪郭を有し、尺骨の遠位部分及び近位部分を亘った(図10b)。後者において、放射線不透過カルス線は、ドナー部位の周りに観察された(図10g)。実験グループHp 140の1つのケースにおいて、わずかな放射線不透過カルス線がドナー部位の周りに示された。実験グループHp 35及び対照グループにおいて、カルス形成は観察されなかった(図10q、10v)。
手術後4週間後、Hp 2240及びHp 560処理の実験グループの全てのケースは、放射線不透過性のよく区別し得るカルス形成を有し、且つ、インプラント材料と宿主骨との間の境界線がほとんど不鮮明となった。また、両方の処理の実験グループの全てのケースにおいて、インプラントの粒度が消えていた(図10c、10h)。Hp 2240のケースにおけるカルス拡張領域は、Hp 560のケースよりも大きかった。実験グループHp 140において、1つのケースのみにおいて、わずかなカルス形成がインプラント材料の周りにみられた。しかし、全てのケースにおいて、インプラント材料の粒度は消えていた(図10m)。実験グループHp 35において、カルス形成は観察されず、且つ、2つのケースのみにおいて、インプラント材料の粒度が消えていた(図10r)。対照グループの全てのケースにおいて、中央領域には可視的な変化は観察されなかったが、ミネラル密度のわずかな減少がインプラント材料の近位部分及び遠位部分に見えた。これらのケースにおいて、近位尺骨とインプラント材料との間の隙間が大きくなったことも観察された(図10w)。
手術後8週間後、実験グループHp 2240及びHp 560において、骨の再構成が進行し、カルスの輪郭が宿主骨の形状に合わせるように変化した(図10d、10i)。実験グループHp 2240において、2つのケースにおける近位側及び全てのケースにおける遠位側で、再生骨と宿主骨との間の境界線が消えていた(図10d)。実験グループHp 560において、全てのケースの遠位側だけで、境界線が消えていた(図10j)。実験グループHp 140において、1つのケースの遠位側で境界線の消失を示したが、他の全てのケースでは、骨の両側によく区別し得る境界線を有した(図10n)。実験グループHp 35において、いずれかの側にも、再生骨と宿主骨との間の接続がなかった(図10s)。対照グループにおいて、β-TCP顆粒が吸収され、放射線透過領域が顕著に増加した(図10x)。
手術後12週間後、実験グループHp 2240の全てのケースはより大きくより広い骨再生(図10e)を示した。2つのケースにおいて、再生骨と宿主骨との間の放射線透過境界線が消えたが、1つのケースにおいて、わずかな境界線が近位側に残っていた。実験グループHp 560の全てのケースにおいて、境界線は遠位側で消えていた(図10j)。近位側には狭い境界線があったが、カルスで覆われていた。再生骨の幅は、尺骨の近位端の幅よりも大きかった(図10j)。実験グループHp 140の1つのケースにおいて、遠位側の境界線は消えたが、近位側の境界線は残っていた。また、他の2つのケースにおいて、遠位側及び近位側に境界線があった(図10o)。再生骨の幅は、尺骨の近位端の幅とほぼ等しい又はそれよりも小さかった(図10o)。Hp 35において、再生骨が宿主骨に接続したケースはなく、且つ、全てのケースにおいて、骨の両側に沿って可視的な放射線透過隙間線があった(図10t)。再生骨の幅は、尺骨の近位端の幅よりずっと小さかった(図10t)。対照グループのドナー部位において、骨組織は再生しておらず、且つ、β-TCP顆粒は前回の検査以来さらに再吸収された(図10y)。
[実施例12] ヒツジ椎体間融合モデルにおける体内骨誘導活性
ヒツジの椎体間融合モデルにおいて、実施例6に従って製造された組換えポリペプチド(即ち、分子内ジスルフィド結合C44-C48、分子間ジスルフィド結合C79-C112及びC80-C114を有するSEQ ID NO:260)、担体材料としての多孔質ベータ-リン酸三カルシウム(β-TCP)、及び収容体(accommodator)としてのPEEKケージを含むホモ二量体蛋白の骨誘導活性について評価した。該リン酸カルシウム担体のカルシウム/リン酸塩比は約0.7〜約1.7であり、β-TCPの空孔率が70%以上、孔径が約300-600 μmであった。
術前準備
標準的な操作手順に従って、手術のために動物を用意した(種:ヒツジ、Ovis Aries;品種:Border Leicester Merino Cross;供給者:ニューサウスウェールズ大学(UNSW)によって認可された供給者、Hay Field Station;干し草;購入はニューサウスウェールズ大学の動物管理及び倫理委員会(UNSW Animal Care and Ethics Committee)によって認可された;年齢:4歳齢;性別:メス、即ち雌羊)。手術の24時間前に、各動物の右前脚(左前脚は静脈内輸送に使用した)にフェンタニル(fentanyl、100mg - 2mcg/kg/hr)経皮パッチを用いて、先制の鎮痛を与えた。用いる前に、十分な吸収を確保するためにウールをクリップし、皮膚をアルコールスワブ(alcohol swabs)で清潔した。動物は手術前に最低12時間以内絶食・断水させた。
手術
この研究に割り当てられたヒツジは、手術の日にランダムに選択された。ヒツジが選択されたら、番号を割り当て、標準的な操作手順に従って耳にタグを付けた。該識別番号を、研究記録に記録した。
手術の日及び開始前に、研究獣医は各動物を検査し、病気にかかっていないこと又はこの研究の目的若しくは実施を妨げる可能性がある状態がないことを確認した。各動物の状態及び研究に対しての適合性を、動物番号に対応して研究記録に記録した。
標準的な操作手順に従って、手順において動物を誘導し、麻酔し、維持し、モニターした。左前脚は頭部静脈接続のために使用された。標準的な操作手順に従ってハルトマン溶液を静脈投与する前に、手術前分析のために血液を採取した。血液サンプルに対して、「手術前(PRE-OP)」、研究ID、動物番号及び日付を付し、ルーチン生化学(4 ml)及び血液学(4 ml)のためにオーストラリアバイオテクノロジー産業研究センター(IDEXX)へ送った。
手術は、標準的な操作手順の変更されたバージョンに従って実施された。
手術手順-L45低侵襲椎前方融合術(XLIF)及び椎弓根スクリュー(pedicle screw)
手術の前に、全ての動物を48時間の食物制限(NPO)し、隔離用ペン管理施設内に収容した。麻酔薬の投与及び全身麻酔の導入後、腰椎後部位領域、腸骨稜及び脛骨近位を無菌的に処置した。
移植片混合手順
0.3 mlの蒸留水にホモ二量体蛋白(10 mg/vial)を溶解して、33.3 mg/mLのホモ二量体蛋白(HP)保存液Aを調製した。椎間ケージ内に一塊のβ-TCP(約150 mg)を配置した。各グループにおいて、無菌ペトリ皿に置いたβ-TCP(約150 mg)の塊に、HP保存液Aから希釈又は取った「ホモ二量体蛋白溶液(HP溶液)」を均一に滴下した。液体が完全に滴下した後、移植前に該β-TCPの塊を室温で15分以上放置した。
実験グループA-Fは、上記のβ-TCP担体と結合したホモ二量体蛋白(Hp)を移植材料として使用した。各部位のホモ二量体蛋白投与量は、表12に示された。混合手順の調製は以下の通りである。
Hp 4 mg/siteの実験グループAでは、10 mgのホモ二量体蛋白を有する各ガラスバイアルに0.3 mlの注射用水を添加することによって、ホモ二量体蛋白(Hp)保存液A(33.3 mg/mL)を調製した。Peekケージ内にβ-TCPの塊(約150 mg)を置いた。120 μlのHp保存液Aを150 mgのβ-TCPの塊に均一に滴下した。
ホモ二量体蛋白2 mg/siteの実験グループBでは、水とHp保存液Aを1:1体積比で混合してHp溶液B(16.7 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150 mg)をPeekケージ内に置いた。120 μlのHp溶液Bを150 mgのβ-TCPの塊に均一に滴下した。
ホモ二量体蛋白1 mg/siteの実験グループCでは、水とHp溶液Bを1:1体積比で混合してHp溶液C(8.3 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150mg)をPeekケージ内に置いた。150 mgのβ-TCPの塊に均一に滴下することにより120 μlのHp溶液Cを送達した。
ホモ二量体蛋白0.5 mg/siteの実験グループDでは、水とHp溶液Cを1:1体積比で混合してHp溶液D(4.2 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150 mg)をPeekケージ内に置いた。120 μlのHp溶液Dを150 mgのβ-TCPの塊に均一に滴下した。
ホモ二量体蛋白0.1 mg/siteの実験グループEでは、水とHp溶液Dを1:4体積比で混合してHp溶液C(0.8 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150 mg) をPeekケージ内に置いた。120 μlのHp溶液Eを150 mgのβ-TCPの塊に均一に滴下した。
ホモ二量体蛋白0 mg/siteの実験グループFでは、β-TCPの塊(約150 mg)をPeekケージ内に置いた。120 μlの水を150 mgのβ-TCPの塊に均一に滴下した。
椎体間Peekケージ
適切な脊椎レベルを同定するために横突起を触診した。該レベルを、蛍光透視法によって検証した。L4及びL5腰椎体にCasparピンを置き、Casparレトラクター(retractor)を使用して椎間板空間を伸延した。速やかに切開及びキュレットして、椎間板を除去した。軟骨板を用意した。椎間板空間に、移植材料で充填された椎体間装置を慎重に配置し、リトラクターを解放した。軟組織を再結合し、層で皮膚を閉鎖した。
椎体間ケージの外観は、図11に示された。
椎弓根スクリュー
XLIF手術完了後、動物を腹臥位に配置し、無菌技術を用いてドレープして、腰椎第3レベル(L3)-仙椎第1レベル(S1)の背下中心の背下部中央線に初期皮膚切開を形成した。必要に応じてCobbエレベータ(elevator)及び電気焼灼を使用して、L45ファセット及び横突起を露出させるように、椎弓に沿って矢状面で鈍解剖を行った。そして、該レベルに椎弓根スクリュー及びロッドを挿入した。
移動式X線機械(POSKOM)及びデジタルカセット(AGFA)を使用して、手術直後に前後方向で放射線写真を撮影した。DICOMフォーマットでデータを保存し、ezDICOM医療ビューアソフトウェアを使用してJPG画像を出力した。これは標準的な操作手順に従って行った。
手術後のモニター
手術後最初の7日間に毎日動物をモニターし、記録した。研究の間、獣医技術者が毎日少なくとも1回動物を検査し、毎週記録した。技術員によって確認した健康上のいずれかの懸念を、獣医スタッフに報告し、主任研究員によって更に評価して管理した。
研究現場の標準的な操作手順に従って、ヒツジをモニターした。手術後初週の毎日及びその後毎週、手術切開、食欲、皮膚及び毛の変化、目及び粘膜、呼吸器系、循環器系、姿勢/歩容、行動パターン(トレモスの発生、痙攣、過剰な唾液分泌、及び嗜眠)をモニターした。その後モニターされた兆候は警戒心/注意力、食欲、手術部位、目の外観、歩行、及び頭部を上げさせる能力であった。介在の基準は感染の兆候であった。
動物は、術後の最初の3日間に、経口投与抗生物質(Kelfex)及び鎮痛薬(ブプレノルフィン,0.005-0.01 mg/kg,筋肉内注射)を投与された。術後の最初の7日間に、毎日神経学的評価を行った。その後、臨床モニターに基づいて、術後疼痛軽減を提供した。
外植体(EXPLANT)
指定された時点で、標準的な操作手順に従って誘導して麻酔する前に、各動物の識別番号を確認した。
麻酔誘導後、標準的な操作手順に従って、頸静脈又は頭静脈から血液を採取した。血液サンプルに研究ID、動物番号、及び日付を付した。血液サンプルをバイオハザードバッグに密封し、30℃未満に維持してSORLに輸送し、ルーチン生化学(4 ml)及び血液学(4 ml)のためにオーストラリアバイオテクノロジー産業研究センター(IDEXX)へ送った。輸送時間を研究記録に記載した。
麻酔誘導されている間に、標準的な操作手順に従って、Lethobarbの致死量の注射により動物を安楽死させた。死体を30℃未満の温度に維持して、直ちにSORLへ輸送した。
標準的な操作手順に従って各動物を検査し、解剖した。腰椎を採取し、デジタルカメラを用いて撮影した。手術部位で副作用又は感染の兆候について検査し、結果を記録して撮影した。
収穫直後に、すべての動物(12週間)において、手動触診によって融合塊の安定性を評価した。訓練を受けた経験豊富な2人の盲検観測者が協力して、椎弓根ロッドを無傷に除去することと共に、融合塊の横曲げ及び屈曲−伸展性を評価した。
処理されたレベルの左右側の横曲げ及び屈曲−伸展性について手動触診により評価する場合、融合は融合(剛体、動きなし)又は未融合(非剛体、動きが検測された)として等級付けした。左右側の横曲げ及び屈曲−伸展について手動触診により評価する場合、未処理レベルの可動性を相対的な比較として用いた。
運動範囲(ROM)の測定
脊椎から慎重にL45レベルを採取した。4 mm×15 mmのスクリューを椎体に挿入し、サンプルのポッティングを補助するために使用された。
ROM評価のために樹脂中にこれらのレベルを慎重に充填した。Denso ロボットで屈曲−伸展性(flexion - extension,FE)、横曲げ(lateral bending,LB)、軸回転(axial rotation,AR)等の運動範囲を測定した。椎弓根ロッドは、測定前に除去された。FE、LB、ARの測定では、脊椎に7.5 Nmのピュアモーメントをかけ、角変形が測定装置で記録された。各負荷プロフィールを3回繰り返し、図12に示すように、各処理されたレベルのFE、LB、ARの平均値を求めた。機械測定した後、下記に概説するように、融合の一方の側をパラフィンヒストロジー、もう一方の側をポリメチルメタクリレート(PMMA)ヒストロジーして、サンプルをリン酸バッファーホルマリンで固定した。ROMデータは、SPSSを用いてANOVA分析した。
表13に示されるように、手動触診によって、0.5 mg未満の投与量について、レベルは非剛体運動を示したが、0.5 mg以上の投与量及び自体移植について、レベルは剛体運動を示した。
図12に示すように、いずれの処理グループにおいても軸回転の運動範囲はほとんど変化しなかった。しかしながら、全ての処理グループの屈曲−伸展性は減少したが、ホモ二量体蛋白投与量が増えるに伴い、安定性の向上傾向が示された。自体移植及び1.0 mgホモ二量体蛋白が最も類似していた。全ての処理グループの横曲げも減少し、<50%までの完全性値に減少した。横曲げについても、ホモ二量体蛋白投与量が増えるに伴い、運動範囲が減少することが示された。投与量の影響は0.1 mg-0.5 mg段階で最も顕著であった。
マイクロコンピュータ断層撮影(Micro Computed tomography)−脊椎
Inveon走査機(米国Siemens社製)を用いて脊椎にマイクロコンピュータ断層撮影(μCT)を行った。すべてのスキャンについて、スライス厚さを約50ミクロンに設定した。CTスキャンをDICOMフォーマットで保存した。アキシャル、コロナル及びサジタル面に基づいて3次元モデルを再構成し、検査した。追加分析のために、DICOMライブラリーを研究スポンサーに送った。
各動物のアキシャル、コロナル及びサジタル画像並びに前後側の3Dモデルを提供した。処理されたレベル間の融合を検査するために、コロナル及びサジタル面を検査することによって、μCTの再構成を評価した。μCTは、処理されたグループについて知らされていない訓練を受けた、経験豊富な2人の盲検観測者が、全体μCTライブラリーについて同一の放射線写真採点スコア(表14)を用いて等級付けされた。質における骨の量を表す1〜4のスケールに従って、各融合を等級付けした:1:0-25%、2:26-50%、3:51-75%、4:76-100%。
3つの直交する平面及び前後視図の3Dモデルにおいて、各動物の代表的なμCT画像を用意した。放射線撮影した後、3つの平面における脊椎融合の高解像度放射線画像を得るために、Siemens Inveon体内マイクロコンピュータ断層撮影装置を用いてすべての動物にマイクロコンピュータ断層撮影(μCT)を行った。これは標準的な操作手順に従って実施された。また、500ミクロン加算画像技術を使用して、各動物により厚い再構成を行った。なお、3D再構築を検討して全体的な融合状態を評価し、レポート及び付録に全ての動物の代表的な画像を提供した。これは標準的な操作手順に従って実施された。サジタル及びコロナルのCT画像を再検討して、表14に基づいて、全体的な融合を等級付けした(図13-図15参照)。
融合の等級付け
0 Hp mg/siteの投与量において、主に終板に残留TCP及びいくつかの骨形成が示された。0.1 Hp mg/siteの投与量において、新生骨が生成され、最小限の残留TCPは示されたが、固体骨ブリッジングは見られなかった。0.5 Hp mg/siteの投与量において、良好な骨質が生成されたが、移植片内には多少の透き線が存在した。1.0 Hp mg/site及び2.0 Hp mg/siteの投与量において、良質な骨がケージの空間に充填されて最小限の透き領域を有した。4.0 Hp mg/siteの投与量において、体積に基づいて高等級な骨が生成されたが、骨の中にはいくつかの大の空洞及び小の空洞を含む透きがあった。自体移植(腸骨稜)において、良好な骨形成や非結合領域を有し、不定の結果が示された。下表において、各部位の等級をサマライズした。
Micro CT分析に基づた融合等級付けは、表15に示された。全体の骨等級及び融合等級について、1.0 mg及び2.0 mgのHp投与量でピークに達した。骨は、骨質の量(1:0-25%、2:26-50%、3:51-75%、4:76-100%)を表す1〜4のスケールで等級付けされた。融合等級は、0-3(0-新生骨なし;1-新生骨が見られるが、不連続;2-透きを伴う可能(possible)な融合;3-ブリッジング骨に可能な(probable)融合)で付けされた。
[実施例13] コントロールドリリース系の調製(ダブルエマルション法/塩基性物質/親水性薬物)
一つの実施形態において、2.5 mLのジクロロメタン(Merck)に溶解した0.25 gのPLGA(poly lactic-co-glycolic acid、乳酸/グリコール酸比65/35、MW 40000-75000、Sigma-Aldrich社製)をシェーカーで5分間振盪(1000 rpm)して、10%のPLGA溶液(10%油相溶液)を形成した。2.5 mLの二重蒸留水(double-distilled water、DDW)を10%のPLGA溶液とゆっくり混合し、1000 rpmで15分間攪拌して、第1エマルジョン(w/o)を形成した。第1エマルジョンを10 mLの0.1%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA、MW~130000、Fluka社製)第2水溶液に添加し、500 rpmで攪拌し、5分間排気して第2エマルジョン(w/o/w)を形成した。第2エマルジョンを4時間連続的に攪拌した後、1分間放置した。4000 rpmで5分間遠心分離することにより、沈殿物中の粒子を収集した。5 mlのDDWで数分間粒子を洗浄した。3回遠心分離して洗浄した後、遠心分離した粒子を収集し、3日間凍結乾燥してPLGA微粒子を形成した。2 mg及び/又は4 mgのβ-TCP粉末(Sigma-Aldrich社製)を50 μLのDDW及び実施例6に従って製造された組換えポリペプチド(即ち、SEQ ID NO:260)を有する10 μgのホモ二量体蛋白(Hp)と混合して、スラリーを形成した。スラリーを50 mgのPLGA微粒子と混合し(又は表面に塗布し)、3日間凍結乾燥してPLGA微粒子を形成し、コントロールドリリース系を形成した。特定の実施形態において、凍結乾燥したコントロールドリリース系を押圧して、平坦な錠剤(flat piece)を形成することができる。
もう一つの実施形態において、2.5 mLのジクロロメタンを0.25 gのPLGA(Sigma社製)と混合し、5分間攪拌(1000 rpm)して、10%の油相溶液(P1)を形成した。P1に0.25 mlの二重蒸留水(double-distilled water、DDW)を添加し、15分間攪拌(1000 rpm)して、第1エマルジョン相(w/o、P2)を形成した。10 mLの0.1%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA、MW~130000、Fluka社製)にP2を入れ、4時間攪拌(500 rpm)した(P3)。P3を4000 rpmで5分間遠心分離した後、上清液を除去し、残った溶液を収集した。P3に5 mlのPBSを添加し、3回繰り返し、残った溶液を収集後、凍結乾燥した。PLGA微粒子の凍結乾燥粉末を秤量し、収率(%)を計算した。0.06 mlのDDWを2 mgのβ-TCP粉末(Sigma-Aldrich社製)と混合し、20 μgのホモ二量体蛋白をβ-TCPに添加して5分間攪拌した。その後、50 mgのPLGA微粒子をβ-TCPとホモ二量体蛋白の混合物中に添加し、均一に攪拌した。PLGA、β-TCP及びホモ二量体蛋白を含む微粒子(PLGA/Hp-β-TCP)を凍結乾燥し、Φ10 mmサイズの錠剤に押圧した(適当な圧力は5〜10 kg)。
特定な実施形態において、2 mg及び/又は4 mgのβ-TCP粉末を4 mgのリン酸三カルシウム(TCP)又は1 mgのα-リン酸三カルシウム(α-TCP)に置換することができる。特定の実施形態において、PLGA 65/35をPLGA 50/50、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)又はポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)に置換することができる。
PLGA/Hp-β-TCPから放出したホモ二量体蛋白(Hp)の評価
1 mLのヒト血清に100 mgのPLGA/Hp-β-TCPを浸漬し、37℃で60 rpmで振盪した。放出されたホモ二量体蛋白を含むヒト血清溶液を15分、1時間、1日目、2日目、3日目、7日目、10日目、14日目に収集し、各時点で800 μlの新鮮なヒト血清に置換した。収集したヒト血清を-80℃で保存し、直接ELISAアッセイですべてのサンプルを同時に分析した。
β-TCP及びホモ二量体蛋白で被覆されたPLGA微粒子の放出プロフィールは、図16a及び16bに示された。ELISA分析結果により、PLGA微粒子/β-TCPの表面に物理的に吸着した(若しくは非共有結合にした)ホモ二量体蛋白が、拡散及びPLGA水解によって経時的にヒト血清溶液に連続的に放出されることが示された。15分及び1時間において、17%及び31.5%の相対量のホモ二量体蛋白がそれぞれ放出された。ホモ二量体蛋白の相対放出百分率は、14.5%(60分から1日目まで)、14.3%(1日目から2日目まで)、7.6%(2日目から3日目まで)、9.3%(3日目から7日目まで)、5.4%(7日目から10日目まで)、0.4%(10日目から14日目まで)であって、この放出プロフィールがPLGA/Hp-β-TCP錠剤におけるホモ二量体蛋白の徐放性パターンを示していた。該PLGA/Hp-β-TCP製剤は、一般急激放出の共通課題を軽減した[Giteau et al., Int J Pharm 350:14 (2008)];大部分の送達システムは、最初の数時間で急激に放出し、封入された/表面結合された産物の60%以上を放出することが多かった [Woodruff et al., J Mol Histol 38:425 (2007)及び Sawyer et al., Biomaterials 30:2479 (2009)]。
図17は、電子顕微鏡によるPLGA微粒子の形態及び直径分布を示す。PLGA微粒子は球状であり、直径分布が100 μm〜150 μmであった。
もう一つの実施形態において、20 mLのジクロロメタン(DCM)に2 gのPLGAを溶解して、10% PLGA/DCM溶液を形成した。水中に二相リン酸カルシウム(BCP)粉末を分散させて、水溶液を形成した。水溶液をPLGA/DCM溶液と混合し、マグネチックスターラーで30分間攪拌してエマルジョンを形成した。そして、造粒機(granular machine)にエマルジョンを供給し、スプレー造粒法を行ってPLGA微粒子を形成した。
Balb/Cマウス骨壊死モデルにおけるPLGA/Hp-β-TCPの新生骨形成の評価
手術手順
動物骨壊死モデルにおいて、現実の骨壊死状況を模擬するために、全脛骨骨膜を剥離した。長さ2 mmのマウスの右側の脛骨の中軸を鋸で切断し、液体窒素を用いて切断した骨の表面を5分間凍結し、壊死性骨を模擬した。そして、該骨フラグメントを逆にして脛骨の元の部位に戻し、髄内固定として注射針(26号)を用いて、その両端を脛骨の他の部分に固定した。骨折の周りに試験品を配置した後、絹縫合糸で創傷を縫合した。マウスを、壊死骨対照グループ(C)、PLGA/β-TCP (PT)グループ、PLGA/0.2 μg Hp-β-TCP (POT-0.2)グループ、PLGA/0.8 μg Hp-β-TCP (POT-0.8)グループ、PLGA/1.6 μg Hp-β-TCP (POT-1.6)グループ、及びPLGA/3.2 μg Hp-β-TCP (POT-3.2)グループを含む6つのグループに分けられた。各実験グループにおける3〜6匹のマウスを手術後4週間に観察した。
X線観察
術後の4週間、X線(日本SOFTEX社製, M-100型)によって、43 KVP、2 mAに1.5 sの条件で、脛骨骨折を放射線撮影して検査した。観察期に適切な倍率を使用し、得られた顕微鏡写真を対照と比較した。
対照グループ(C)又はPLGA/β-TCP (PT)グループと比較して、異なるホモ二量体蛋白投与量を含有するPLGA/Hp-β-TCPの移植後4週間のマウス脛骨骨壊死断片カルスの形成のX線写真を図18に示した。対照グループの骨修復の効能において、不完全な融合が認められた。PTグループの骨壊死領域において、小さな隙間が存在していた。POT-0.2、POT-0.8、POT-1.6、及びPOT-3.2グループにおいて、明瞭な融合塊は観察された。結果は、PLGA/Hp-β-TCPグループにおける骨修復の効能が対照グループ及びPTグループよりも優れていることを示した。
骨組織の組織学的分析
同時に組織化学分析を用いて、骨組織における微視的な変化を評価した。ヘマトキシリン‐エオジン(H&E)染色の前に、0.5% EDTAを用いて骨組織の全てのサンプルを脱灰した。得られたサンプルをパラフィンに包埋し、5 μmの切片を用意した。一般的にH&Eで切片を染色し、顕微鏡で観察した。400Xの倍率で、カルスの面積を対照グループと比較した。
図19に示すように、PLGA/Hp-β-TCP(POT)の移植後4週間後、新生骨の形成を評価した。対照グループと比較すると、PLGA/β-TCP(PT)グループの骨形成速度はほぼ同様の結果を示した。PTグループ及び対照グループと比較すると、POTグループにおける骨形成速度は増強され、POT-3.2グループを除いて、他の投与量グループは投与量依存(dose-dependent)的に増加した。このような結果は、Balb/Cマウス骨壊死モデルにおいて骨再生を誘導し得るという、ホモ二量体蛋白コントロールドリリース担体の潜在的な利点を確認した。
[実施例14] 持続放出系
パテ(putty)の調製
表16の式に従って、粉末を混合して調製した。4℃で粉末を一晩保存した。パテを調製した日に、すべての材料(即ち、粉末、β-TCP、グリセロール及び脱イオン水)をUV光で20分間照射した。2x0.5x0.5 cmの動物実験骨欠損範囲に応じて、表16に示す式に従って、重さ約0.9 gのパテを調製した。
式A:無菌条件で約50 mgのβ-TCPに160マイクロリットルの0.125 mg/mL Hp溶液を滴下し、15分間吸着させた。
式B:無菌条件で約50 mgのβ-TCPに40マイクロリットルの0.5 mg/mL Hp溶液を滴下し、15分間吸着させた。粉末及び液体(表16の式B)を予め調製したβ-TCP顆粒と一緒に混合して成形した。
式C:粉末及び液体(表16の式C)を均一に混合した。
式D:無菌条件で約50 mgのβ-TCPに40マイクロリットルの0. 25 mg/mL Hp溶液を滴下し、15分間吸着させてHp/β-TCP顆粒を形成させた。粉末及び液体(表16の式D)を一緒に混合してマトリックスを形成し、マトリックスを特定の形状に成形した。Hp/β-TCP顆粒は、マトリックスの外層に均一に分散された。
式E:無菌条件で約50 mgのβ-TCPに40マイクロリットルの0.5 mg/mL Hp溶液を滴下し、15分間吸着させてHp/β-TCP顆粒を形成させた。粉末及び液体(表16の式E)を一緒に混合してマトリックスを形成し、マトリックスを特定の形状に成形した。Hp/β-TCP顆粒は、マトリックスの外層に均一に分散された。
式F:無菌条件で約50 mgのβ-TCPに40マイクロリットルの0. 25 mg/mL Hp溶液を滴下し、15分間吸着させてHp/β-TCP顆粒を形成させた。粉末及び液体(表16の式F)を一緒に混合してマトリックスを形成し、マトリックスを特定の形状に成形した。Hp/β-TCP顆粒は、マトリックスの外層に均一に分散された。
式G:粉末及び液体(表16の式G)を均一に混合した。
サンプルの調製
表16に示す式のパテを15 mlの管に入れた。Hpで浸漬したβ-TCPを含む又は含まないパテを3 mLのヒト血清中に置いて、37℃で5% CO2下で静置した。放出されたHpを含むヒト血清溶液を最初、1時間、1日目、2日目、3日目、7日目、10日目、14日目、21日目に収集し、各時点で2.5 mLの新鮮なヒト血清に置換した。収集されたヒト血清を-80℃で保存し、ELISAアッセイですべてのサンプルを分析した。
OIF定量
ホモ二量体蛋白の総濃度を定量するために、ELISA法(米国inVentive Health臨床システム(inVentive Health clinical systems)によって開発されたアッセイ)を用いてヒト血清中のホモ二量体蛋白の濃度を定量した。簡潔に言えば、I07捕捉抗体(株式会社ファーマフーズ製)が96ウェルプレートにサンプル、QCサンプル、標準サンプルを添加した。反応させ且つ未結合物質を除去する後、HRP-I07検出抗体を添加した。この工程に続いて、さらなる洗浄工程及び呈色基材との反応を行った。呈色反応を停止させ、適切な波長で吸光度を測定した。ホモ二量体蛋白の濃度を、標準偏差の非線形回帰から算出した。
ホモ二量体蛋白に対するβ-TCP又はパテなどの生体吸収性骨伝導性複合材料の放出プロフィールを評価し、骨再生に対する適合性を分析する。式Aから放出されたホモ二量体蛋白について、図21に示すように、開始時には急激放出プロフィールが観察されたが、急激放出(0-1時間程度)後には徐放性パターンが観察された。式Aと比較すると、式B及びCにおけるホモ二量体蛋白はパテ又はマトリックスで巻かれたため、開始時の数時間以内には放出できなかった。これに対して、β-TCP顆粒に含まれるホモ二量体蛋白がパテ又はマトリックスの表面に分散した場合(例えば、式D)、持続放出効果が達成された。パテは、骨再生を促進する能力を有する骨移植代用品であったことがわかった。パテの組成は、可塑性、硬化性、固化性の能力を決定する。そのため、調製式の異なる割合、例えば、パテを調製するための硫酸カルシウム二水和物又は硫酸カルシウムの選択は、剤形の持続放出を達成することができる。
骨代替材料の開発は、生体吸収性、骨伝導性、骨誘導(誘発)性、及び生体適合性である材料の傾向がある。換言すれば、複合性骨欠損充填材料の開発の方向は、多機能性の材料を開発することである。設計されたパテに含まれる骨代替材料は、骨細胞の内部成長に適する細孔を有し、且つ、材料分解の過程において、ホモ二量体蛋白の放出は遅くて長期間に亘ることができ、間葉幹細胞の前骨芽細胞(preosteoblasts) への分化、及び更に骨芽細胞(osteocytes) への分化をさせることができる。そのため、骨欠損部位の治癒を効果的に促進する。
[実施例15] 臨床試験デザイン
試験デザイン1
骨移植を必要とする開放脛骨骨折の治療において、実施例6に従って製造された組換えポリペプチド(即ち、SEQ ID NO:260)を有するホモ二量体蛋白/β-TCPの3つの投与量レベルの有効性及び安全性について、ランダム化盲検評価比較試験を行って調査した。合計約35人の初期開放脛骨骨折(Gustilo IIIA型又はIIIB型)患者が該試験に参加し、4つのグループと1つの対照グループ(約5人の患者)にランダムに分けられた。他のグループは、約10人の患者からなった(下記参照)。1つのバイアルには、5.5 mgのホモ二量体蛋白の凍結乾燥粉末を含んだ。水戻し(所望の濃度を得るために使用した水の確かな量は、表17に記載された)後、水戻したホモ二量体蛋白をβ-TCPと混合して、最終濃度が1.5 mg/gのHp/β-TCP (グループ2)、2 mg/gのHp/β-TCP (グループ3)、又は3 mg/gのHp/β-TCP (グループ4)である混合物を作成し、骨折が発生した後3ヶ月以内の骨折部位に、所定量のこれらの混合物を投与した。対照グループ(グループ1)の患者は、ホモ二量体蛋白及び/又はβ-TCPを欠いた自体骨移植片の移植を受容する。被験者に対して30週間の主要試験期間に有効性及び安全性を経過観察し、決定的治療後52週間まで延長して安全性を経過観察した。特定の実施形態において、使用されるβ-TCPの総量は、医師の判定及び調整に基づいて決定する。
患者の算入/除外基準
被験者が以下の算入基準の「全て」が当てる場合には、被験者を算入する。
被験者は20歳以上である;
術前72時間以内に非出産可能、若しくは妊娠テストで陰性結果を有する女性、又は男性;
初期開放脛骨骨折(Gustilo IIIA型又はIIIB型)、且つ、骨折から3ヶ月以内の骨移植;
両側開放脛骨骨折では、ランダム治療を右脛骨に指定する;
初期傷害後3ヶ月以内に決定的治療を行う;及び
出産可能な女性被験者(外科的に不妊化されていない、又は閉経となってから少なくとも1年経っていない女性)及び男性被験者の出産可能な伴侶は、試験期間中に医学的に許容される避妊方法を使用することに同意しなければならない。医学的に許容される避妊方法は、ホルモンパッチ、移植若しくは注射型子宮内避妊具、又は二重バリア法(泡状又は膣殺精剤を有するコンドーム、殺精剤を有するダイアフラム)を含む。完全な禁欲は、許容可能な避妊方法と考えることができる。経口避妊薬は、研究の前に対して許容可能な避妊方法であるが、研究中には代替的な方法が必要とされる。
被験者が以下の除外基準の「いずれか」が当てる場合には、被験者を除外する。
初期の意識損失を有する頭部損傷;
骨折からの膿排出、又は活動性骨髄炎の徴候;
コンパートメント症候群(Compartment syndrome);
病理性骨折、ページェット病(Paget's disease)若しくは他の骨異栄養症(osteodystrophy)の病歴、又は異所性骨化の病歴;
骨形成に影響を及ぼす内分泌又は代謝疾患(例えば、甲状腺若しくは副甲状腺機能の低下症若しくは亢進症、腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy)、エーラス・ダンロス症候群(Ehlers-Danlos syndrome)、又は骨形成不全症);
異常な腎機能及び/又は肝機能を有し、通常値の上限の5倍を超えるクレアチニン又はALT値を有する;
最近5年以内に悪性腫瘍、任意の悪性腫瘍に対する放射線治療又は化学治療の病歴;
自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus)又は皮膚筋炎(dermatomyositis));
以前のrhBMP-2への暴露;
モノクローナル抗体、ガンマグロブリンなどのタンパク質医薬品及びリン酸三カルシウムに対する過敏性;
移植手術の28日以内に、任意の試験中治療法を用いた治療;
7日間以上又はより長い時間(6ヶ月以内の累積投与量>150 mg、又は等量の他のステロイド)のプレドニゾン(prednisone)、カルシトニン(calcitonin、6ヶ月以内)を用いた治療。ビスホスホネート(12ヶ月以内に30日間以上)を用いた治療、治療投与量のフッ化物(12ヶ月以内に30日間);
授乳期の女性被験者;及び
医師の判断に基づいて、該試験への参加に適さない任意の疾患。
有効性の評価
プライマリーエンドポイント:
プライマリー試験有効性エンドポイントは、決定的な創傷閉鎖後30週間以内に二次介入を受けた被験者の割合である。
セカンダリーエンドポイント:
決定的な創傷閉鎖後の術後6週目、12週目、18週目、24週目、42週目、52週目に二次介入を受けた被験者の割合;
決定的な創傷閉鎖から二次介入までの時間;
決定的な創傷閉鎖後の術後6週目、12週目、18週目、24週目、30週目、42週目、52週目に臨床骨折癒合の比率;
決定的な創傷閉鎖から臨床骨折癒合までの時間;
決定的な創傷閉鎖後の術後6週目、12週目、18週目、24週目、30週目、42週目、52週目に放射線的な癒合の比率;
決定的な創傷閉鎖から放射線的な癒合までの時間;
「二次介入」という用語は、骨折癒合を刺激する可能性がある事件のあらゆる手続きに関連することを指し、骨移植、釘交換、プレート固定、ネイルダイナマイゼーション、超音波、電気刺激、磁場刺激、又は癒合を促進する他のものを含むがこれらに限定されない。
「臨床骨折癒合」という用語は、骨折部位に手動の触診による痛みの欠如を意味する。特定の実施形態において、「臨床骨折癒合」という用語は、完全負荷下で、骨折部位における疼痛の欠如又は軽度であること(疼痛スコア0-3)を意味する。疼痛スコアは、視覚的アナログスケールを用いて記録した。
「放射線写真骨折癒合」という用語は、前後方向及び横方向の放射線写真を考えて、試験者及び/又は個別放射線科医師が、皮質ブリッジ及び/又は骨折部位における4つの皮質のうちの3つの皮質で骨折線の消失を確認したことを指す。
評価方法
安全性評価方法
副作用(Adverse effect、AE):タイプ、重症度、管理とアウトカム。
系統的副作用(Systematic AE):因果関係を問わず、治療後に発生した若しくは悪化した任意の系統的な徴候、症状、疾患、実験試験結果、放射線撮影所見、又は生理学的観察。
局部副作用(Local AE):炎症、感染(軟組織若しくは骨において、疑似若しくは確認された表在性若しくは深部の感染、細菌学的確認を有する又は有しない)、ハードウエア障害、疼痛(新規又は増加)、末梢浮腫、異所性骨化/軟組織石灰化、及び創傷癒合に関連する合併症。
有効性評価方法
プライマリー及びセカンダリー有効性のアウトカムを、最大の解析対象(Full Analysis Set、FAS)及び計画書に適合した対象(Per Protocol、PP)に基づいて分析した。FAS集団でプライマリー分析を行った。
プライマリー有効性エンドポイントは、決定的な創傷閉鎖後30週間以内に二次介入を受けた被験者の割合であった。FAS集団において、Cochran-Armitage傾向検定によってプライマリー分析を行って、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。PP集団において、プライマリー有効性エンドポイントで支持分析を行った。
また、以下のようにセカンダリー有効性のエンドポイントを分析又はサマライズする。
Cochran-Armitage傾向検定によって、決定的な創傷閉鎖後30週間以内に臨床骨折癒合を有する被験者の割合及び放射線的な癒合を有する被験者の割合を別々に比較し、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。
決定的な創傷閉鎖から二次介入までの時間、決定的な創傷閉鎖から臨床骨折癒合までの時間、決定的な創傷閉鎖から放射線的な癒合までの時間の評価を、記述統計(平均(mean)、標準偏差(SD))で、グループごとに別々にサマライズした。
決定的な創傷閉鎖後の術後6週目、12週目、18週目、24週目、42週目、52週目以内に二次介入を受けた被験者の割合、臨床骨折癒合を有する被験者の割合、放射線的な癒合を有する被験者の割合を記述統計(n、%)で、グループごとに別々にサマライズした。適用可能の場合は、各グループの95%信頼区間(CI)をClopper-Pearson信頼区間評価法に基づいて、単一二項比率を計算した。
試験デザイン2
腰部椎体間融合のための後方開放法を使用する単一レベル(L1-S1の間)変性椎間板疾患(degenerative disk disease、DDD)患者において、実施例6に従って製造された組換えポリペプチド(即ち、SEQ ID NO:260)を有するホモ二量体蛋白/β-TCPケージ(cage)、及び後方追加固定と組み合わせて、ホモ二量体蛋白(Hp)の3つの投与量レベルの有効性及び安全性について、ランダム化盲検評価比較試験を行って調査した。24人の被験者を4つのグループ(1つの対照グループと3つの異なる投与量のグループ)にランダムに分けられた(1:1:1:1)。各グループの治療のための臨床試験調査装置は以下の通りである。
対照グループ(6人の被験者):標準治療(後方開放法でケージを有する腰部椎体間融合術)及び自体骨移植片の移植(β-TCP有し又はない);
1 mg Hp/site(6人の被験者):部位(site)当たり標準治療及び1 mgのホモ二量体蛋白;
2 mg Hp/site(6人の被験者):部位当たり標準治療及び2 mgのホモ二量体蛋白;
3 mg Hp/site(6人の被験者):部位当たり標準治療及び3 mgのホモ二量体蛋白;
ホモ二量体蛋白として、水と共に5.5 mgのHp/バイアル凍結乾燥粉末を注射に供給する。水戻し後、最終濃度が1 mg Hp/site、2 mg Hp/site、又は3 mg Hp/siteになるようにホモ二量体蛋白をβ-TCPと混合した。ケージの中に、使用したケージの大きさに応じて決定された所定量の混合物を与えた。
ホモ二量体蛋白を、3つの異なる濃度の保存溶液となるように水戻した(所望濃度を得るために使用した確かな量は、表18に記載された)。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ケージ(Wiltrom社製、xxxシリーズ)において、各保存溶液の0.24 mlあたりβ-TCPの塊(0.3 g)と混合する必要があった。
DDD部位に与えたホモ二量体蛋白の最終濃度は1.0 mg Hp/site、2.0 mg Hp/site、3.0 mg Hp/siteであった。
ホモ二量体蛋白の保存溶液:5.5(mg)/1.32(ml) = 4.2(mg/ml);
ホモ二量体蛋白の最終濃度(mg)/site:4.2(mg/ml)×0.24(ml) = 1.0 mg。
自体移植片の供給源は、後上腸骨棘(posterior superior iliac spine、PSIS)又は後椎弓切除から得った骨破片とすることができる。自体移植片の量が不十分な場合は、自体移植片をβ-TCPと混合することができる。試験者の判断に基づいて、片側又は両側の後外側融合(片側又は両側とすることができる)局所移植及び後方追加固定は、全てのグループで使用することができる。術前に3日間連続で静脈内バンコマイシン(毎6時間に500 mg)を注射した。
被験者に対して、24週間の主要試験期間に有効性及び安全性を経過観察し、指標手術後24月間まで期間を延長して安全性を経過観察した。特定の実施形態において、臨床試験者及び独立評価者は、試験期間の放射線撮影結果を評価することにより、有効性を評価する。
算入基準
被験者が以下の算入基準の「全て」が当てる場合には、被験者を算入する。
被験者は20歳以上である;
足若しくは臀部に広まる痛み、感覚異常、麻痺、虚弱、又は神経性跛行の病歴として現れ、L1-S1との間の単一レベルDDDに椎間板由来源の背中の痛み、神経根圧迫続発神経障害、又は神経根圧迫を伴わない神経障害;
椎間板高さの減少、髄鞘核突起、黄色靱帯、繊維輪繊維化、面関節嚢の肥大化又は肥厚化、面関節の肥大化、面関節間隔狭窄、関節周囲骨増殖体形成、トレフォイル管形状(trefoil canal shape)、外側面(subarticular、上関節)狭窄、又は椎体終板骨増殖体形成などの変性腰椎部疾患の放射線像証拠を有し、且つ
下側(尾骨)椎体の前又は後のサジタル面に対して、上側(頭骨)椎体の並進(ずれ)が4 mmよりも大きく、若しくは角度が10よりも大きいこと、下側(尾骨)椎体の横側のコロナル面に対して、上側(頭骨)椎体の並進(ずれ)が4 mmよりも大きいこと、又は、腰椎管及び/又は椎間孔の狭窄(狭窄症)を、少なくとも1つを有する。
少なくとも6ヶ月以上、非手術的な治療に反応がない;
術前72時間以内に非出産可能、若しくは妊娠テストで陰性結果を有する女性、又は男性;
出産可能な女性被験者(外科的に不妊化されていない、又は閉経となってから少なくとも1年経っていない女性)及び男性被験者の出産可能な伴侶は、試験期間中に医学的に許容される避妊方法を使用することに同意しなければならない。医学的に許容される避妊方法は、ホルモンパッチ、移植若しくは注射型子宮内避妊具、又は二重バリア法(泡状又は膣殺精剤を有するコンドーム、殺精剤を有するダイアフラム)を含む。完全な禁欲は、許容可能な避妊方法と考えることができる。経口避妊薬は、研究の前に対して許容可能な避妊方法であるが、研究中には代替的な方法が必要とされる。
女性であれば、授乳していない被験者;
研究関連の任意の手順に参加する前に、署名した同意説明文書(ICF)を提供し、且つ試験の期間の研究要件を遵守する。
除外基準
被験者が以下の除外基準の「いずれか」が当てる場合には、被験者を除外する。
グレード1を超えた脊髓すべり症(Meyerdingの分類);
関連するレベルにおける脊椎器具の移植若しくは椎体間融合術の病歴、又は椎弓根スクリューが挿入予定のレベルにおける椎体骨折;
確立された骨軟化症(osteomalacia);
過去5年間における活性悪性腫瘍又は以前の悪性腫瘍病歴(原発性皮膚基底細胞癌及び子宮頸上皮内癌を除く);
活性局所又は全身感染;
全般的な肥満;BMI≧30として定義する;
>38℃の発熱;
精神的に機能不全。疑わしい場合は、精神医学的な調査を得る;
Waddell Signs≧3の非器質性徴候;
アルコール及び/又は薬物の乱用に対する現行治療中、ということで定義したアルコール及び/又は薬物の乱用。アルコール乱用は、健康、人間関係、又は作業能力に危害する飲用パターンである。
自体免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)又は皮膚筋炎);
モノクローナル抗体、ガンマグロブリンなどのタンパク質医薬品に対する過敏性;
以前のrhBMP-2への暴露;
骨形成に影響を及ぼす内分泌又は代謝疾患(例えば、甲状腺若しくは副甲状腺機能の低下症若しくは亢進症、腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy)、エーラス・ダンロス症候群、又は骨形成不全症);
7日間以上又はより長い時間(6ヶ月以内の累積投与量>150 mg、又は等量の他のステロイド)のプレドニゾン(prednisone)、カルシトニン(calcitonin、6ヶ月以内)を用いた治療。ビスホスホネート(12ヶ月以内に30日間以上)を用いた治療、治療投与量のフッ化物(12ヶ月以内に30日間)、及び所定治療の移植前の30日以内に抗腫瘍、免疫刺激性、免疫抑制薬剤の使用;
移植手術の28日以内にの任意の試験中治療法を用いた治療;
30度を超えた脊柱側弯症
有意な中枢神経系(CNS)、心血管、肺臓、肝臓、腎臓、代謝、胃腸、泌尿器科、内分泌、若しくは血液学的疾患の病歴又は臨床症状を有する被験者;
この試験における治療の安全性及び有効性の正確な臨床評価を妨げる医学疾患又は症状、例えば、脱力、感覚脱失、又は通常の歩行若しくは他の日常生活における活動を妨げる痛み状態など有する;
異常な腎機能及び/又は肝機能を有し、通常値の上限の5倍を超えるクレアチニン、ALT、AST値を有する;
PEEKに対するアレルギー又は不耐性の記録を有する;
バンコマイシンに対するアレルギー(allergy)又は過敏症(hypersensitivity)の病歴;
医師の判断に基づいて、該試験への参加に適さない任意の被験者の状態。
予定試験継続期間
スクリーニング期間:14日間。被験者がICFに署名したことを確認し、試験条件に適格であるかどうかを評価する。該評価は、身体検査、生命徴候、心電図、血液若しくは尿の妊娠検査、実験検査、術前臨床、及び放射線学評価を含む。人口統計学、病歴、併用医薬、副作用のデータを収集することが必要である。
治療期間:1日。被験者が試験条件に適格であるかどうかを確認し、ベースラインサンプル/データを取得し、試験結果を管理する。該評価は、身体検査、生命徴候、及び放射線学評価を含む。手術情報、併用医薬、副作用のデータを収集することが必要である。
経過観察期間:被験者を、24週間の主要試験期間、及び移植後にが24月間まで延長して安全性経過観察した。治療後の6週目、12週目、18週目、24週目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目に評価を行う。該評価は、併用治療、身体検査、実験評価、生命徴候、放射線検査(前/後及び側面視、屈曲/伸展フィルム)を含む。24週目及び24ヶ月目に高解像度薄切りCTスキャン(アキシャル、コロナル及びサジタル再構成における1 mmの指数を有する1 mmスライス)を行う。
有効性の評価
プライマリーエンドポイント:
プライマリー試験有効性エンドポイントは、術後24週目に融合成功を有する被験者の割合である。
セカンダリーエンドポイント:
術後12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目に融合成功を有する被験者の割合。
ベースラインから放射線撮影的な融合までの時間。
術後24週目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目に追加的な外科手術/介入を受ける被験者の割合;手術時間(皮膚切開から創傷閉鎖まで)、失血(手術中)、病院滞在時間を記録する。
術後24週目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目のOswestry障害指数(Oswestry Disability Index、ODI)における成功率;患者の背部の機能を評価するためにODI質問事項を使用した。ODIスコアの範囲は0-100であった。最良のスコアは0(障害無し)であり、最悪のスコアは100(最大障害)である。ODIの成功率は、ODIスコアが「術前スコア-術後スコア≧15」に満たされた被験者の百分率として報告される。
術後24週目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目の視覚的アナログスケール(Visual Analogous Scale、VAS)における成功率が改善した。背部の痛みの成功率は、背部の痛みおける改善が「術前スコア-術後スコア>0」に満たされた被験者の百分率として報告される。足の痛みの成功率は、足の痛みにおける改善が「術前スコア-術後スコア>0」に満たされた被験者の百分率として報告される。
有効性評価方法
プライマリー及びセカンダリー有効性のアウトカムを、最大の解析対象(Full Analysis Set、FAS)集団及び計画書に適合した対象(Per Protocol、PP)集団に基づいて分析した。FAS集団でプライマリー分析を行った。
プライマリー試験の有効性エンドポイントは、術後24週目に融合成功を有する被験者の割合であった。FAS集団において、Cochran-Armitage傾向検定によってプライマリー分析を行って、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。プライマリー有効性エンドポイントに対して、PP集団で支持分析を行った。
また、以下のようにセカンダリー有効性のエンドポイントを分析又はサマライズする。
Cochran-Armitage傾向検定によって、術後12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目に融合成功を有する被験者の割合を術後24週目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目に追加的な外科手術/介入を受ける被験者の割合と別々に比較し、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。
ベースラインから放射線撮影的な融合までの時間を評価し、記述統計(平均(mean)、標準偏差(SD))を使用して、グループごとに別々にサマライズした。
手術時間(皮膚切開から創傷閉鎖まで)、失血(手術中)、病院滞在時間を評価し、記述統計(平均(mean)、標準偏差(SD))を使用して、グループごとに別々にサマライズした。
術後24週目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目のODI成功率及び術後24週目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目のVAS成功率を、記述統計(n、%)を使用して、グループごとに別々にサマライズした。適用可能の場合は、各グループの95%信頼区間(CI)をClopper-Pearson信頼区間評価法に基づいて、単一二項比率を計算した。
本開示は、本明細書に記載された特定の実施例によって範囲が限定されるべきものではない。実際、当業者にとって、以上の説明及び添付図面により記載されたものに加えて開示に対する様々な修飾は明らかである。そのような修飾は、添付の特許請求の範囲内にも該当する。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内であること。
この出願で電子的に提出された配列表(名:3902)の内容全体は、参照することによって本願に組み込まれるものである。