JP2020503517A - スイッチングイベントの検出のための異なる捕捉分子を有するテザー粒子バイオセンサ - Google Patents
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Abstract
標的物質(110)をバイオセンシングするための方法は、表面(100)にテザー粒子(102)によって繋がれた粒子(104)の群を用いる。第1捕捉分子(106)は、粒子(104)又はテザー分子に結合される。第2捕捉分子(108)は、表面又はテザー分子に結合される。第1捕捉分子は、標的物質(110)に結合し、かつ、第1解離速度を有するように選択されており、第2捕捉分子は、標的物質に結合し、かつ、第1標的解離速度とは少なくとも3倍異なる第2標的解離速度を有するように選択されている。粒子の空間座標パラメータの時系列が検出され、捕捉分子との標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時間系列が、検出された時系列において識別される。各イベントは、標的物質に対する第1捕捉分子の結合状態と第2捕捉分子の結合状態との間における変化に対応する。標的物質の濃度が、各イベントの識別された時間系列から決定される。【選択図】図1A
Description
本発明は、概して、標的物質を検出するためのバイオセンサに関する。より詳細には、本発明は、標的物質の存在がテザー粒子運動(TPM:tethered particle motion)の測定から得られるバイオセンサを用いた標的物質の検出のための技術に関する。
テザー粒子バイオセンシングは、標的物質の濃度を検出するための既知の技術である。テザー粒子バイオセンシングは、生化学センシング、連続モニタリング、生化学的な患者のモニタリング、及び身体の生体分子のモニタリングに適用されている。例えば、特許文献1には、テザー粒子に基づくバイオセンサ、及びテザー粒子運動の測定により標的物質の濃度を検出するための方法が記載されている。具体的には、このテザー粒子バイオセンサでは、マイクロスケール又はナノスケールの粒子が、テザー粒子によって基板に繋がれている。サンドイッチアッセイでは、テザー粒子及び基板が、捕捉分子により機能化されており、これらの両方は標的物質に結合することができる。標的物質が存在しない場合には、テザー粒子はそのテザーを自由に移動する。一方、標的物質が存在する場合には、標的物質は、両方の捕捉分子に結合し、テザー粒子の移動を制限する。
テザー粒子の運動は、一般的に、その内面にテザーされた多数の粒子を含む流体セルに光を照らすための光源を用いて光学的に求められる。様々な顕微鏡画像化技術が、明視野照明、暗視野照明、エバネッセント波照明、吸収検出、散乱検出、蛍光検出等に用いられ得る。セル内のテザー粒子の運動の状態を表す空間座標パラメータを経時的に決定するために、画像検出器がテザー粒子の一連の画像を生成し、プロセッサが画像を解析する。
セル内の標的分子の存在は、テザー粒子運動が非結合状態に相当するか、又はより制限された結合状態に相当するかを空間座標パラメータから決定することにより検出される。これらの状態を互いに経験的に区別するためには、結合状態は十分に長い存続期間を有する必要がある。すなわち、両方の捕捉分子が、十分に低い解離速度を有するべきである。さらに、標的物質の存在に対する高感度を有するために、結合状態は、標的物質の存在下において迅速に形成されるべきである。すなわち、両方の捕捉足分子が、十分に高い結合速度を有するべきである。
既知のテザー粒子バイオセンシング技術とは対照的に、本発明の実施形態は、不均一な解離速度を有する2つの捕捉分子の使用に基づく。好ましく、2つの捕捉分子の解離速度が3倍以上異なる。この違いの結果として、従来の知見では、ある捕捉分子の最適な解離速度は、結合状態の存続期間を短縮させ、そのため、結合状態及び非結合状態の粒子運動を区別するような能力に逆効果であることが予測されている。しかし、発明者らは、3倍以上異なる解離速度を有する2つの捕捉分子を使用すると、スイッチング速度を増加させる追加の利点、及び全体にわたって改良されたバイオセンシングシステムを提供しつつ、適切な識別性をさらに提供できることを発見した。例えば、増加されたスイッチング速度は、検出性、ノイズレシオに対するシグナル、キャリブレーション、統計値、識別能力、感度及び又は特異性の向上を提供する。
一態様では、本発明は、標的物質をバイオセンシングするための方法を提供する。本方法は、標的物質を含有するマトリックスを、表面、該表面にテザー分子によって繋がれた粒子群、及び捕捉分子群を備えるセンサデバイスに接触させるステップを含み、捕捉分子群は、粒子又はテザー分子に結合された第1捕捉分子、及び表面又はテザー分子に結合された第2捕捉分子を含み、第1捕捉分子は、標的物質に結合し、かつ、第1標的解離速度を有するように選択され、第2捕捉分子は、標的物質に結合し、かつ、第1標的解離速度とは少なくとも3倍異なる第2標的解離速度を有するように選択される。本方法はまた、粒子の、表面に対して測定された空間座標パラメータの時系列を検出するステップと、検出された時系列において、捕捉分子との標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時間系列を識別するステップとを含み、各イベントは、標的物質Tに対する第1捕捉分子CM1の結合状態と第2捕捉分子CM2の結合状態との間の変化に相当している。本方法はまた、識別された個々の結合イベント/解離イベントの時間系列から、マトリックスの標的物質の濃度を決定するステップを含む。
ある実施形態では、結合状態の間の変化は、標的物質Tが第1捕捉分子CM1及び第2捕捉分子CM2の両方に結合されたサンドイッチ様状態と、標的物質Tが第1捕捉分子CM1に結合されていない、標的物質Tが第2捕捉分子CM2に結合されていない、又は標的物質Tが第1捕捉分子CM1及び第2捕捉分子CM2の両方に結合されていないオープン状態との間の変化である。
ある実施形態では、個々の結合イベント/解離イベントの検出された時間系列から標的物質の濃度を決定するステップは、標的物質との捕捉分子の反応の特性時間を決定するステップを含む。
ある実施形態では、個々の結合イベント/解離イベントの検出された時間系列から標的物質の濃度を決定するステップは、空間座標パラメータ及び空間座標パラメータの二次モーメントの発散を解析するステップを含む。
ある実施形態では、捕捉分子との標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時系列を識別するステップは、粒子の複数の空間座標パラメータと、粒子の複数の空間座標パラメータの二次モーメントの発散とを求めるステップを含む。
ある実施形態では、個々の結合イベント/解離イベントの検出された時間系列から標的物質の濃度を決定するステップは、二次モーメント発散関数の自動外挿を通じて、データチャネルにおいて観測された偏差の有意性を決定するように、かつ、粒子の挙動が変化した発散時間点を決定するように、二次モーメント発散関数によって求められた空間座標パラメータ及び/又はその時間導関数を解析するステップを含む。
ある実施形態では、個々の結合イベント/解離イベントの検出された時間系列から標的物質の濃度を決定するステップは、標的物質が捕捉された状態にある期間、又は標的物質との捕捉分子の平均占有率を決定するステップを含む。
他の態様では、本発明は、標的物質をバイオセンシングするための方法を提供する。本方法は、標的物質を含有するマトリックスを、表面、該表面にテザー分子によって繋がれた粒子群、標的類似体群及び捕捉分子群を備えるセンサデバイスに接触させるステップを含み、捕捉分子群は、粒子又は表面に結合されており、標的類似体群は、粒子又は表面に結合されており、捕捉分子は、標的物質に結合し、かつ、標的解離速度を有するように選択され、標的類似体は、捕捉分子に結合し、かつ、標的解離速度とは少なくとも3倍異なる標的類似体解離速度を有するように選択される。本方法はまた、粒子の、表面に対して測定された空間座標パラメータの時系列を検出するステップと、検出された時系列において、捕捉分子との標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時間系列を識別するステップとを含み、各イベントは、標的物質に対する捕捉分子の結合状態又は標的類似体に対する捕捉分子の結合状態の間の変化に相当する。本方法はまた、識別された個々の結合イベント/解離イベントの時間系列からマトリックスの標的物質の濃度を決定するステップを含む。
他の態様では、本発明は、標的物質を検出するためのバイオセンシングデバイスを提供している。本デバイスは、内面にバイオセンシング面を有するセルと、セルの中へ光を放射する光源と、セルからの光を検出する光検出器と、検出されたセルからの光からセル内の標的物質の濃度を決定するプロセッサとを備える。バイオセンシング面は、表面と、該表面にテザー分子によって繋がれた粒子群と、捕捉分子群とを有する。捕捉分子は、捕捉分子は、粒子又はテザー分子に結合された第1捕捉分子と、表面又はテザー分子に結合された第2捕捉分子とを含む。第1捕捉分子は、標的物質に結合するように、かつ、第1標的解離速度を有するように選択されており、第2捕捉分子は、標的物質に結合するように、かつ、第1標的解離速度とは少なくとも3倍異なる第2標的解離速度を有するように選択されている。プロセッサは、粒子の空間座標パラメータの時系列を検出し、検出された時系列において捕捉分子との標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時間系列を識別し、識別された個々の結合イベント/解離イベントの時間系列から濃度を決定し、結合イベント/解離イベントのそれぞれは、標的物質に対する第1捕捉分子の結合状態と第2捕捉分子の結合状態との間における変化に対応している。
バイオセンシングの分野では、低濃度の標的物質を、2以上の捕捉分子を用いるサンドイッチアッセイにおいて高感度かつ特異的に測定できることが一般的に知られている。測定を所望する標的物質は、分子、又は分子複合体、マルチマー、ウイルス又はウイルスの断片、細菌又は細菌の断片、細胞の断片、小胞、又はリポソーム等の分子、又は1以上の分子からなり得る。標的(標的物質)は、検体とも呼ばれ、定量を所望する物質の代理になり得る。
通常は、捕捉分子には、可能な限り高い親和性を有するもの、すなわち可能な限り低い解離速度(低いkoff)、つまり低速非結合特性(長い存続期間、高いτoff)を有する捕捉分子が使用される。
少なくとも一方が標的類似体又は競合分子である2以上の分子を使用した競合アッセイにおいて高感度かつ特異的に標的を測定できることもまた一般的に知られている。再び、低い標的物質の濃度を検出するために、通常は、捕捉分子には、可能な限り高い親和性を有するもの、すなわち可能な限り低い解離速度(低いkoff)、つまり遅い非結合特性(長い存続期間、大きいτoff)を有する捕捉分子が用いられる。
単一分子分解能を有するバイオセンサでは、標的濃度の測定は、検出された結合イベント及び/又は非結合イベント(解離イベント)の数又は割合に関する。このようなバイオセンサでは、良好な統計値を有すること、すなわち良好なシグナル及びデータ解析、高い感度、精度、特異性、ロバストネス等のために、所定の時間内に多数の結合イベント及び非結合イベントを測定することが有利である。これには個々のシグナルイベントの存続期間が長すぎないことが必要であり、そうでなければ、不適当なイベントが所定の測定期間内に記録される。
TPMバイオセンサ(テザー粒子運動バイオセンサ)の場合では、テザー粒子運動が制限された状態の存続期間が短いと有利である。この状態の存続期間は、検出可能となるために十分に長くあるべきであるが、しかし一方では、統計値を増加させるためにこの状態の存続期間が短いと有利である。
一方で、標的分子がマトリックス中において低標的濃度のときに既に検出可能であると有利となり得る。これには、標的分子に結合するときに長い存続期間を発生させるTPMシステムにおいて(例えば、粒子に、基板に、又はテザーに結合された)少なくとも1の捕捉分子が必要となる。
本発明の実施形態は、少なくとも2つの分子の対が使用されるTPMバイオセンサ向けの解決策を提供し、バイオセンシングシステムに使用される物理的及び科学的な条件において(例えば、予め決定された操作可能な温度において)、上記の2つの分子の対が互いに少なくとも3倍異なる存続期間を有する。本発明の実施形態は、標的濃度を表す動的なスイッチング特性を有するシグナルを記録及び解析しながら、低濃度の標的を測定することができる。これにより、標的濃度を経時的にモニタリングできる。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るテザー粒子運動バイオセンシングのための技術を示す概略図である。セルの内部の表面100(例えば、基板)は、それに結合されたテザー分子102の一端を有する。テザー分子102の他端は、粒子104に結合されており、粒子104と表面100との間において一次結合を設けている。テザー102は屈曲可能であり、粒子104がテザー102の長さに依存した大きさ、かつ、テザー102の表面100に結合された点を中心とした配置の領域内を自由に運動することを可能にしている。
バイオセンシングを可能にするために、粒子104は、捕捉分子106(第1捕捉分子)等の1又は複数の捕捉分子(例えば、リガンド)によって機能化(官能化)されており、表面100は、捕捉分子108(第2捕捉分子)等の捕捉分子(例えば、リガンド)によって機能化されている。捕捉分子106、108の両方は、標的物質110に対する結合親和性を有するように選択されている。さらに、捕捉分子106、108は、それらが標的物質110に対して同時に結合できるように選択されている。この結合状態は図1Bに図示されている。捕捉分子106、108の両方が標的分子110(標的物質110)に結合したとき、粒子104と表面100との間に二次結合を生じる。その結果、この結合状態(サンドイッチ様状態)の粒子104の運動は、図1Aに示された非結合状態(オープン状態)の運動と比較して有意に制限されている。具体例としては、1μmの直径の粒子104が、捕捉分子106としてのオリゴBによって機能化されており、長さ40nmの二本鎖DNAテザー102によって基板100にテザーされている(繋がれている)。基板100は、捕捉分子108としてのオリゴAによって機能化されている。標的分子110は、溶液中、又はバイオセンサデバイスのセルの中に導入された他のマトリックス材料の中にある。標的分子が捕捉されたとき、二次結合によって粒子の運動が制限される。より一般的には、本発明の実施形態において使用され得る捕捉分子の例示には、高分子、タンパク質、抗体、抗体の断片、組み換えタンパク、ペプチド、サッカライド、ポリマー、分子インプリントポリマー、錯体化学を有するポリマー(polymer with coordination chemistry)、核酸、DNA、PNA、変性核酸、アプタマー、多価バインダー、小分子、及びそれらの組み合わせが含まれる。
速度論、結合速度及び解離速度
図1A及び図1B(図1C〜図1Hにも同様に)に示されたTPMバイオセンサの反応速度論(reaction kinetics)は、標的と2つの捕捉分子のそれぞれとの間における結合速度及び解離速度に特徴付けられている。以下の説明では、2つの捕捉分子をA及びB、標的をTとして言及する。TのAとの相互作用の結合速度をkA on、TのAとの相互作用の解離速度(第1標的解離速度)をkA offとして示す。同様に、TのBとの相互作用の結合速度をkB on、TのBとの相互作用の解離速度(第2標的解離速度)をkB offとして示す。図2は、捕捉分子A及びBの標的Tとの4つの結合状態の概略図であり、これらの状態の間に対応する結合速度及び解離速度を共に示している。A及びBがTに対して同時に結合されているとき、テザー粒子は結合状態(サンドイッチ様状態)である。そうでなければ、テザー粒子は非結合状態(オープン状態)である。それぞれの相互作用(すなわち、TとA及びTとB)に対して、結合定数(すなわち、親和性)をKA a=kA on/kA off、及びKB a=kB on/kB offと定義付ける。また、解離定数をKA d=kA off/kA on、及びKB d=kB off/kB onと定義付ける。
全ての相互作用が可逆性を有し、従来では、反応速度定数は、標的物質T及び複合体BTと結合するリガンドAの相互作用について、並びに、標的物質T及び複合体ATと結合するリガンドBの相互作用について略等しいと仮定されている。換言すると、慣習的には、kA on=kB onであり、kA off=kB offであると仮定されている。対照的に、本発明の実施形態では、このことが仮定されていない。
2つの相互作用の間では、より高い親和性(結合定数Ka)を有するものが、センサを(最も)反応させる低濃度領域を制御する。それはまた、低濃度における変化に対するセンサの反応時間を制御する。つまり、検出濃度領域は、より低い解離定数Kdを有する相互作用によって決定される。相互作用のオフレート(解離速度)koff及びオンレート(結合速度)konによって、標的分子濃度における変化に対する反応時間が決定される。解離速度koffによって、特性結合存続時間τoff=1/koffが決定されており、特性結合存続時間は、本システムが標的分子の濃度の減少に反応可能な時間スケールにとって重要である。
2つの相互作用の間において、低い親和性(結合定数Ka)を有する相互作用によって、二次結合の存続期間が制御される。有効な統計値及び測定値を増加させるために、二次結合の結合時間は、短く、しかし検出可能なように十分に長く保たれるべきである。例えば、0.01秒〜100秒のオーダーの二次結合存続時間が、検出にとって適切である。
異なる機能を有する4つの特性時間を、2つのカテゴリに分類することができる。この例では、粒子及び基板のアクセス可能な結合部の数が同じであり、単一結合のみであることが仮定されている(複数結合が無い)。また、粒子の結合部は、基板の結合部より高い親和性を有すると仮定されている。
2つの特性時間は、バイオセンサが標的分子濃度の変化に反応する特性時間に関連する。
・標的分子が粒子側の結合部に結合する反応の特性時間τon targetは、標的分子の増加する濃度に対する反応時間である。τon targetは、標的分子濃度に依存する。
・標的分子が粒子側の結合部から解離する反応の特性時間であるτoff targetは、標的分子の減少する濃度に対する反応時間である。
・標的分子が粒子側の結合部に結合する反応の特性時間τon targetは、標的分子の増加する濃度に対する反応時間である。τon targetは、標的分子濃度に依存する。
・標的分子が粒子側の結合部から解離する反応の特性時間であるτoff targetは、標的分子の減少する濃度に対する反応時間である。
上述した特性時間の両方は、標的分子との最も高い親和性を有する結合部の反応速度定数に依存し、標的分子の数が役割を果たす。
2つの特性時間が、状態スイッチングシグナルの発生に関連する。
・τon secondaryは、二次結合の形成に対する特性時間である。この特性時間は、標的分子による粒子の占有率、及び標的分子の濃度に依存する。粒子の拡散速度、結合部の配置、テザーの長さ、テザーの剛性、及び分子の結合速度等のシステムパラメータが、τon secondaryの定数の役割を果たす。
・τoff secondaryは、二次結合の特性存続期間である。これは、主にA−T−B複合体における最も弱い結合の親和性に依存する。
・τon secondaryは、二次結合の形成に対する特性時間である。この特性時間は、標的分子による粒子の占有率、及び標的分子の濃度に依存する。粒子の拡散速度、結合部の配置、テザーの長さ、テザーの剛性、及び分子の結合速度等のシステムパラメータが、τon secondaryの定数の役割を果たす。
・τoff secondaryは、二次結合の特性存続期間である。これは、主にA−T−B複合体における最も弱い結合の親和性に依存する。
TPMバイオセンサの一実施形態では、特性時間であるτon target及びτoff targetは、標的分子が検出されたマトリックスの内部において変化する標的分子濃度にわたって関連する時間スケールτmatrix未満を維持されている。例えば、τmatrixは、バイオセンサによって観測される生理学的なプロセスの時間スケールであってもよい。これにより、バイオセンサは、標的分子濃度における関連する変化に対して経時的に反応できるようにされている。
特性時間τoff secondaryは、センサのデッドタイムを最小にするように短く、しかし粒子の運動状態の検出(Tdetection)に必要な最小限の時間より長く、好ましく維持されている。二次結合の形成時間τon secondaryは、良好なシグナルの生成を可能にするために低く設定されている。好ましくは、二次結合の形成時間は、下限を有し、結合状態と非結合状態との間における信頼可能な区別を可能にするために、標的分子(Target)の測定可能な最大濃度において、二次結合τon secondaryを形成するために必要な時間がTdetectionより少なくなってはならない。
代替のテザー粒子運動の実施形態
本発明の原理は、様々な代替実施形態において実現され得ることを理解されるだろう。図1A及び図1Bの実施形態では、一方の種類の捕捉分子106が粒子104に結合され、他方の種類の捕捉分子108が表面100に結合される構成が使用されている。本質的に同様な機能として、一方又は両方の捕捉分子が、代わりにテザー102に結合される実施形態の使用が実施され得る。
例えば、図1C及び図1Dの実施形態では、一方の種類の捕捉分子118が粒子116の代わりにテザー114に結合され、他方の種類の捕捉分子120が表面112に結合される構成が使用されている。捕捉分子118、120の両方が標的物質122に結合すると、粒子116の運動が、図1A及び図1Bの実施形態と同じく制限される。
図1E及び図1Fの実施形態では、一方の種類の捕捉分子132が表面124の代わりにテザー126に結合され、他方の種類の捕捉分子130が粒子128に結合される構成が使用されている。再び、捕捉分子130、132の両方が標的物質134に結合すると、粒子128の運動が制限される。
図1G及び図1Hの実施形態では、一方の種類の捕捉分子142が粒子140の代わりにテザー138に結合され、他方の種類の捕捉分子144が表面136の代わりにテザー138に結合される構成が使用されている。再び、捕捉分子142、144の両方が標的物質146に結合すると、粒子140の運動が制限される。
これらの実施形態では、タイプA及びタイプBの捕捉分子は、同等な機能のバイオセンサを獲得するために入れ替え又は反転可能であることも理解されるだろう。
本発明の原理を実施するバイオセンサは、競合アッセイの構成としても実施され得る。例えば、図3A及び図3Bでは、テザー302によって表面300に結合された粒子304が再度示されている。この構成では、捕捉分子306は粒子304に結合されているが、他方の捕捉分子の代わりに標的類似体308が表面300に結合されている。この場合では、標的類似体308及び標的物質310の両方が、捕捉分子306に結合するように競合する。標的物質310が存在し、かつ、捕捉分子306に結合したとき、標的類似体308が捕捉分子306に結合することを妨げる。これにより、粒子304が標的の存在下において制限された運動を有する可能性が低くなる。
標的類似体が粒子に結合し、捕捉分子が表面に結合したとき、略同一な機能が獲得されることを理解されるだろう。そのため、それらの役割を反転させることにより、他の実施形態が獲得される。さらに、標的類似体及び/又は捕捉分子が粒子又は表面の代わりにテザーに結合したとき、略同一な機能が獲得される。
高い測定統計値を有するために、標的類似体と捕捉分子との間の結合は、存続期間が短く(高い解離速度(標的類似体解離速度)に)なるように好ましく選択されており、このことは、標的類似体、その結合方法等の設計及び選択により調節することができる。低濃度の標的を検出させるために、標的と捕捉分子との間の結合は、存続期間が長く(低い解離速度に)なるように選択されており、このことは、捕捉分子、その結合方法等の設計及び選択により調節することができる。
運動解析方法
TPMバイオセンサでは、テザー粒子の運動のパターンは、粒子が結合状態であるか、又は非結合状態であるかに依存する。そのため、粒子の状態は、粒子の運動、例えば、表面に平行なx−y平面における座標配置等の座標パラメータを測定することにより推定することができる。例えば、図4Aには、非結合状態のテザー粒子が示されており、図4Cには、運動が制限された結合状態のテザー粒子が示されている。経時的に測定された非結合の粒子のx−y座標の配置は、図4Bの画像における個々の点として示されており、経時的に測定された結合した粒子のx−y座標の配置は、図4Dの画像における個々の点として示されている。TPMバイオセンサの重要な部分は、これらの配置(又は他の座標パラメータ)を経時的に測定すること、及び粒子の結合状態及び標的物質の濃度を識別するためのこれらの測定を解析することである。例えば、ある既知の技術では、運動の回転対称パラメータは、x−y座標の配置データにおける共分散行列の固有分解から算出される。図4Bにおける点の分布は対称的であるが、図4Dの分布は対称的でないため、この対称パラメータは、粒子の結合状態と非結合状態とを区別するために使用できる。平均2乗変位、振幅運動及びステップサイズ等の他のパラメータもまたTPMにおいて有益である。異なる状態の間を区別するために、運動パラメータ(例えば、時間の関数としての座標及びステップサイズ)のヒストグラムが、慣習的に使用されている。異なる状態は、データを分類するための運動パラメータに対して閥値を適用することによって識別可能である。閥値は、本システムからの予測されるシグナルに基づいて選ばれる。なお、多くの既知のデータ解析方法が、異種システム(heterogeneous system)における粒子の運動の解析において有効ではない。これらの異種システムにおいては、結合状態の数、並びに結合状態の位置及び寸法が、粒子ごとに異なる。異種システムは、しばしば、生化学的アッセイにおいて反応の確率的性質に起因する。
粒子/分子/基板システムは、結合の数、配置及び方向が確率的な/ランダムな結合反応による影響を受けるため、様々な状態になることができる。異なる状態の数は、異なる反応速度を有する標的物質と相互反応する捕捉分子の複数の種類が存在するときに増加する。異種システムは、粒子運動におけるモーメント(二次モーメント)及び変化の種類が事前に知られていないため、データの解析における課題となる。さらに、粒子は、非特異的な相互作用等の他の様々な相互作用によっても基板と相互作用し得る。したがって、不均一な結合状態を検出可能な高感度かつロバストな解析方法が、バイオセンシング技術の良好な感度及び特異性を実現するために用いられるべきである。
本発明の実施形態は、不均一な可動状態を有するシステムにおける変化を検出するためのデータ解析方法及びアルゴリズムを提供し、本テザー粒子バイオセンサシステムにおいて観測された可動性の変化を解析するために使用され得る。データ解析方法は、データの連続した流れにおけるデータ分布において有意に変化するモーメントを検出するための強力な技術を包含する。この方法は、次いで、粒子運動における変化を検出するための技術を実施する。
本発明の実施形態は、テザー粒子システムの状態の統計的に有意な変化を検出することを目的として、テザー粒子の運動データを解析する。これらの変化には、特異的な二次結合及び非特異的な二次結合の発生が含まれる。
それに応じて、本発明の実施形態には、好ましく、2つ以上のデータチャネルの複合解析が含まれる。このことは、状態変化の決定のロバストネスを増加させる。実施形態にはまた、好ましく、発散関数の解析が含まれる。このことは、状態変化及び状態変化の時間の正確な決定を可能にする。
具体的には、複数の空間座標パラメータは、経時的に測定され、複数の対応するデータチャネルが作成される。これらのチャネルは、個々に解析され、次に、粒子の状態変化について信頼できるロバストな表示を可能にするために、異なるチャネルの解析からの情報が複合される。一実施例では、例えば、8つの空間座標パラメータを表す8つのチャネル、2つのデカルト座標、それらの2つの時間導関数、2つの極座標、及びそれらの2つの時間導関数が使用されている。本明細書における空間座標パラメータは、位置座標を指し、パラメータは、それらの運動の範囲、可動性、位置の範囲、速度、角度の範囲、ステップサイズ、又は他の送信されるパラメータ等から導き出されることに留意されたい。座標パラメータはまた、距離及び/又は相対的な方向の変化に関連し得る。座標パラメータはまた、時間導関数又は二次モーメント等を導き出すパラメータであり得る。
一実施形態では、座標チャネルの解析には、二次モーメント発散関数(second moment divergence function)の使用が含まれている。このことは、二次モーメント発散関数の自動外挿を介して、2つの重要な測定、(1)データチャネルにおける観測された偏差の有意性の定量化、及び、(2)粒子の挙動が変化した発散点(すなわち、時間点(発散時間点))の測定を可能にしている。
単一のデータチャネルにおいて観測された変化は、他のデータチャネルと関連付けられる。観測された変化が予め決められた有意な閥値に相当すると、粒子状態の変化が検出される。
一実施形態において、データ解析方法は、任意の有意水準におけるデータの二次モーメントの変化の連続した検出に基づく。第1ステップでは、解析アルゴリズムには、運動の変化を検出するために、かつ、変化の時間点を決定するために、二次モーメント発散関数が使用される。第2ステップでは、同様な運動データを有する時間間隔が、コルモゴロフ−スミルノフ検定により複合される。最終ステップでは、領域が運動によって覆われ、イベントの誤検出値を除去するためにステップサイズが使用される。
テザー粒子の運動データは、粒子の位置及び時間関数のステップサイズに基づいて表示される。二次モーメント発散関数
は、一定の標準偏差σ及び平均値μを用いて(データの)分布からデータ点xiの一連の偏差を定量化する。二次モーメント発散関数C(n)は、時間tnにおけるデータ点nに至るまで算出される。TPMデータに対して、その時間点に至るまでの運動データが反映される。データは、測定時間によって配列を決定された一連のものであり、データ点が等間隔の時間点において取得されることを想定している。位置値(position value)が不変の平均値μ及び標準偏差σのデータの場合、C(n)は、
の近くを上下するだろう。分布が変化すると、C(n)は0から外れ、粒子の状態が変化したことを示す。
データの分布が参照パラメータμ及びσとは異なるとき、C(n)は、傾き
を有する直線状に増加するだろう。0から発散を開始するC(n)の部分に対するリニアフィットを実行することによって、C(n)における増加を決定することができる。リニアフィットの自動外挿により、発散が始まる点td=−a/bを推定することが可能になる。リニアフィットにおけるC(n)の上向き/下向きのフランク部分であるデータ点のみを含むように、かつ、ランダムな変動を平均するために十分なデータ点を含むように注意を払う必要がある。
検出アルゴリズムは、粒子の運動における有意な変化を検出する。第1ステップでは、参照点として運動パターンの中心が決定され、運動がデカルト座標及び極座標、及び計算されたこれらの座標のそれぞれに対応するステップサイズとして表示される。これらのチャネルのそれぞれにおいてデータは、二次モーメント発散関数に基づいて、運動の挙動における有意な変化についてスキャンされ、8チャネルの全ての結果が、それらにおける検出された偏差を複合する基準を用いて複合される。アルゴリズムの第1ステップの終わりに、すべてのデータが解析され、対象のイベントのリストが構築される。アルゴリズムの次のステップでは、これらの対象のイベントがさらに精査される。
第2ステップでは、検出されたイベント間のデータがいくつかのパスにおいてコルモゴロフ−スミルノフ検定を用いて比較され、必要な試験の有意性が増加される。進展するパス(progressive pass)のために用いられる有意水準のリストは、第1に0.1σであり、次に0.5σから最大3σまで0.25ずつ増加する。有意差が発見されない場合、イベントが取り除かれ、間隔が複合される。
第3ステップでは、粒子の物理的な運動パラメータが求められ、挙動の明確な変化がない間隔が取り除かれる。
本発明の実施形態は、経時的にマトリックスにおける標的分子の濃度を求めるためのTPMバイオセンサの使用を可能にする。標的分子に対する2つの異なる親和性を有する捕捉分子を使用することにより、バイオセンサ及び検出レートの感度の範囲及び反応時間が独立して最適化されている。好ましく、標的物質に対する捕捉分子の解離速度は、バイオセンシングシステムにて用いられる物理的条件及び科学的条件において少なくとも3倍異なる。オリゴ相互作用の解離速度定数koffは、半経験則的関係koff=103−0.5nを用いて推定することが可能であり、nは、PBS溶液内の室温における相補的な連続したヌクレオチドの数である。したがって、選択された適切なnを用いて解離速度を選択することができる。例えば、オリゴBが標的分子に対して11の相補的なヌクレオチドを有するとき、このことは、推定されるkoff=0.003s−1をもたらし、5分の特性結合時間τoff=1/koffに相当する。オリゴAが8の相補的なヌクレオチドを有するとき、予測されるkoff=0.1s−1を有する。このことは、10秒の特性結合時間τoff=1/koffに相当する。
これらの技術は、異なる状態のより良い識別を可能にすること、及び状態間における遷移イベントの識別を可能にすることによって、TPMバイオセンサの感度及び特異性を増加させる。
チャネルのシグナルプロセスは、単一粒子の個々のスイッチングイベントを別々に検出し得る。代替として、粒子の集合のスイッチング、例えば単位時間当たりのスイッチングイベントの平均数を検出し得る。標的物質の検出はまた、結合した粒子の平均数のカウント、又は結合状態となる平均時間(平均占有率)の記録によって実行可能である。
短い存続期間の二次結合を有するサンドイッチ型のバイオセンサの例示として、イベントの検出は、通常は、結合した粒子のカウント、又は結合状態の平均時間の記録と比較して低濃度において高感度となる。より高い標的濃度において、イベントの検出は、飽和状態となり低感度になり得る。一方で、結合した粒子のカウント又は結合状態の平均時間の記録が高感度となり得る。
したがって、バイオセンシングシステムにおける異なる検出方法を組み合わせることは有用であり、そのため、より高い信頼性、より高いダイナミックレンジの検出及びより高い正確さのために、容量反応曲線のスティッチング(stitching)を行うことができる。
デバイス
一実施形態では、本発明は、上記の技術を実施するために、光学バイオセンシングデバイスを提供する。
図5に示すように、本デバイスは、テザー粒子を電磁励起させるための光を放射する光源500を備える。詳細を前述したように、励起光508は、テザー粒子を有するバイオセンシング面を内側に有する流体セル502に入力される。テザー粒子との励起光508の相互作用の結果として、光510は、セル502(流体セル502)から抜け出し、画像検出器504(光検出器)によって検出される。ノイズレシオが高い場合、望ましい画像化方法は、例えば、粒子から放射された光(例えば、散乱、蛍光、発光、リン光)が暗い背景に接触して測定される暗視野画像化である。テザー粒子座標パラメータは、例えば、放射された光の画像から測定される空間座標を用いて直接的に測定され得る。例えば、一実施例では、粒子運動は、iXon Ultra 897(英国ベルファスト所在のAndor社製)を用いた20倍の総合倍率において、ニコンTi−E倒立顕微鏡(オランダ所在のNikon Instruments Europe BV社製)を用いて測定されている。405×405μm2の視野における粒子運動は、暗視野照明の条件下において30Hzのフレームレートにて5分間記録されている。
画像化シグナルは、プロセッサ/アナライザ506にて処理及び解析され、粒子のスイッチングイベント及び標的物質の濃度が決定される。
代替実施形態において、粒子は、光源の代わりに電源を用いて励起されてもよい。励起経路は、粒子を主に励起するように、かつ、他の方法によって生成された光が画像検出器に到達することを回避するように設計されている。光学励起方法には、例えば、全反射(TIR:total internal reflection)励起、又は高角度(HA:high angle)照明が含まれてもよい。
代替実施形態では、テザー粒子座標パラメータは、例えば、プラズモニック共鳴の変化によるプラズモニックセンシングの場合において、例えば、空間座標に対する分光の変化又は色の変化を介して間接的に決定され得る。
調節を目的として、本システム、例えば、リニアステージに取り付けられた基板、レンズ又は画像化センサにおいて運動する構成要素を統合することができる。光学軸に沿う構成要素の運動は、センサ平面に対する焦点面の調節を可能にしており、観測対象及び放射された光の鮮明な画像を形成するのに役立つ。作動システムは、例えばボイスコイルモータ(VCM)又はシリコンMEMS等に使用されてもよい。
操作中においては、本デバイスは、単一分子分解能を有する連続したモニタリングを実行し、時間に応じてDNA標的の濃度等を決定する。マイクロメートルの大きさの粒子は、短い(40nm)一次二本鎖DNA(dsDNA)テザーによってセンサ表面に近接して繋がれている。粒子及び基板は、DNA標的の異なる部分を共に補完するように、一本鎖DNA(ssDNA)オリゴによってそれぞれ機能化されている。標的の存在下において、一方又は両方のオリゴを、標的分子を同時に結合させることが可能であり、粒子は、次に二次結合によって表面に結合された状態となる。このことは、一次テザーのみを有する繋がれた粒子の運動と比べて、粒子の運動における明確な変化をもたらす。二次結合の結合イベント及び非結合イベントの頻度又はアクティビティは、溶液中の標的の濃度に対して直接測定される。さらに、テザー粒子が自己完結型システムを形成するため、標的の溶液は、本システムを再生する必要なく交換可能である。標的分子を介して形成される二次結合は、可逆的に設計されており、DNA標的と両方のオリゴとの間における相互作用が、形成された結合が可逆的であるように意図的に弱く設計されている。このことは、本システムを標的濃度の増加及び減少の両方に反応可能にさせており、したがって、標的分子の濃度の連続したモニタリングに適している。なお、2つの相互作用の解離速度は、好ましく3倍以上異なる。
粒子運動の追跡は、暗い背景上の明るい粒子の中心の明度を決定することによって実行される。測定中の結合イベント及び非結合イベントの発生数及び継続数を検出及び定量化するために、多数の個々の粒子の軌道に軌道解析が実行される。このことを実現するために、運動データを通じたアルゴリズムスキャンは、運動データにおける粒子の位置の分布における有意な変化を検出する。これらの変化は、二次相互作用の形成又は崩壊に対応する。検出アルゴリズムは、複数の位置における単一の粒子の結合イベントを検出する能力を有し、二次結合は、粒子が基板に対して二次結合を形成するために必要な距離となる任意の場所に形成可能であり、両方の粒子及び基板が結合を形成するために必要なオリゴを有する。機能化反応中に、抗体及びオリゴは、基板及び粒子の表面にランダムに分布している。潜在的な結合点は、これにより、表面に不均一に分布している。全ての測定データは、同じアルゴリズムによって解析され、全ての検出されたイベントに同じ基準検出を満たさせることができる。0.8秒より長い継続時間を有する粒子の運動性の変化の検出に対する感度は、80%より高い。
テザー粒子の運動パターンの形態は、振幅運動及び対称の運動の観点から解明されている。それぞれの粒子の運動パターンから、運動の長軸(Amajor)及び短軸(Aminor)の振幅が、位置データの共分散行列を算出することによって決定されている。振幅運動から、対称パラメータSsym=Aminor/Amajorが算出されている。放射制限パラメータは、
として定義されており、制限されたリング状の運動パターンを有する粒子を除外するために用いられている。
本発明の実施形態に関する更なる詳細が、2016年12月28日に出願された米国仮特許出願第62/439、833号に含まれており、参照により本明細書に組み込まれている。
Claims (9)
- 標的物質をバイオセンシングするための方法であって、
前記標的物質を含有するマトリックスを、表面、該表面にテザー分子によって繋がれた粒子群、及び捕捉分子群を備えるセンサデバイスに接触させるステップであって、前記捕捉分子群は、前記粒子又は前記テザー分子に結合された第1捕捉分子、及び前記表面又は前記テザー分子に結合された第2捕捉分子を含み、前記第1捕捉分子は、前記標的物質に結合し、かつ、第1標的解離速度を有するように選択され、前記第2捕捉分子は、前記標的物質に結合し、かつ、前記第1標的解離速度とは少なくとも3倍異なる第2標的解離速度を有するように選択される、該ステップと、
前記粒子の、前記表面に対して測定された空間座標パラメータの時系列を検出するステップと、
検出された前記時系列において、前記捕捉分子との前記標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時間系列を識別するステップであって、前記各イベントは、前記標的物質(T)に対する前記第1捕捉分子(CM1)の結合状態と前記第2捕捉分子(CM2)の結合状態との間の変化に相当する、該ステップと、
識別された個々の前記結合イベント/前記解離イベントの前記時間系列から、前記マトリックスの前記標的物質の濃度を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。 - 前記結合状態の間の前記変化は、前記標的物質(T)が前記第1捕捉分子(CM1)及び前記第2捕捉分子(CM2)の両方に結合されたサンドイッチ様状態と、前記標的物質(T)が前記第1捕捉分子(CM1)に結合されていない、前記標的物質(T)が前記第2捕捉分子(CM2)に結合されていない、又は前記標的物質(T)が前記第1捕捉分子(CM1)及び前記第2捕捉分子(CM2)の両方に結合されていないオープン状態との間の変化であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 個々の前記結合イベント/前記解離イベントの検出された前記時間系列から前記標的物質の前記濃度を決定する前記ステップは、
前記標的物質との前記捕捉分子の反応の特性時間を決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 個々の前記結合イベント/前記解離イベントの検出された前記時間系列から前記標的物質の前記濃度を決定する前記ステップは、
前記空間座標パラメータ及び前記空間座標パラメータの二次モーメント発散
を解析するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記捕捉分子との前記標的物質の個々の前記結合イベント/前記解離イベントの前記時系列を識別するステップは、
前記粒子の複数の前記空間座標パラメータと、前記粒子の複数の前記空間座標パラメータの二次モーメントの発散とを求めるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 個々の前記結合イベント/前記解離イベントの検出された前記時間系列から前記標的物質の前記濃度を決定する前記ステップは、
二次モーメント発散関数の自動外挿を通じて、データチャネルにおいて観測された偏差の有意性を決定するように、かつ、前記粒子の挙動が変化した発散時間点を決定するように、前記二次モーメント発散関数によって求められた前記空間座標パラメータ及び/又はその時間導関数を解析するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 個々の前記結合イベント/前記解離イベントの検出された前記時間系列から前記標的物質の前記濃度を決定する前記ステップは、
前記標的物質が捕捉された状態にある期間、又は前記標的物質による前記捕捉分子の平均占有率を決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 標的物質をバイオセンシングするための方法であって、
前記標的物質を含有するマトリックスを、表面、該表面にテザー分子によって繋がれた粒子群、標的類似体群及び捕捉分子群を備えるセンサデバイスに接触させるステップであって、前記捕捉分子群は、前記粒子又は前記表面に結合されており、前記標的類似体群は、前記粒子又は前記表面に結合されており、前記捕捉分子は、前記標的物質に結合し、かつ、標的解離速度を有するように選択され、前記標的類似体は、前記捕捉分子に結合し、かつ、前記標的解離速度とは少なくとも3倍異なる標的類似体解離速度を有するように選択される、該ステップと、
前記粒子の、前記表面に対して測定された空間座標パラメータの時系列を検出するステップと、
検出された前記時系列において、前記捕捉分子との前記標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時間系列を識別するステップであって、前記各イベントは、前記標的物質に対する前記捕捉分子の結合状態又は前記標的類似体に対する前記捕捉分子の結合状態の間の変化に相当する、該ステップと、
識別された個々の前記結合イベント/前記解離イベントの前記時間系列から前記マトリックスの前記標的物質の濃度を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。 - 標的物質を検出するためのバイオセンシングデバイスであって、
内面にバイオセンシング面を有するセルと、
前記セルの中へ光を放射する光源と、
前記セルからの前記光を検出する光検出器と、
検出された前記セルからの前記光から前記セル内の前記標的物質の濃度を決定するプロセッサとを備え、
前記バイオセンシング面は、表面と、該表面にテザー分子によって繋がれた粒子群と、捕捉分子群とを有し、
前記捕捉分子は、前記粒子又は前記テザー分子に結合された第1捕捉分子と、前記表面又は前記テザー分子に結合された第2捕捉分子とを含み、
前記第1捕捉分子は、前記標的物質に結合するように、かつ、第1標的解離速度を有するように選択されており、前記第2捕捉分子は、前記標的物質に結合するように、かつ、前記第1標的解離速度とは少なくとも3倍異なる第2標的解離速度を有するように選択されており、
前記プロセッサは、前記粒子の空間座標パラメータの時系列を検出し、検出された前記時系列において前記捕捉分子との前記標的物質の個々の結合イベント/解離イベントの時間系列を識別し、識別された個々の前記結合イベント/前記解離イベントの前記時間系列から前記濃度を決定し、
前記結合イベント/前記解離イベントのそれぞれは、前記標的物質に対する前記第1捕捉分子の結合状態と前記第2捕捉分子の結合状態との間における変化に対応していることを特徴とするバイオセンシングデバイス。
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