JP2020500938A - 黄斑変性症の新しい治療法 - Google Patents

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Abstract

加齢黄斑変性症による視力喪失の予防及び/又は治療のための製剤及び治療方法が開示されている。開示されている製剤は、ボツリヌス神経毒素(例えば、純粋な形態の、又は1つ以上のペプチド断片及び/又は神経毒素関連のタンパク質を有するボツリヌス神経毒素又はその断片)を含む。幾つかの実施形態では、開示されている製剤は1つ以上の抗VEGF剤を含む。開示されている製剤は、患者の眼内又は眼球外領域に適用され得る。患者の眼球外領域に適用される場合、ボツリヌスベースの医薬製剤は、軸索内輸送を介して患者の眼内領域に輸送されてもよく、それによって眼に直接注射することなく活性成分を脈絡膜、神経網膜、及び/又は網膜色素上皮に浸透させることができ、眼への直接注射に関連する網膜剥離、網膜裂孔、網膜出血、及び失明のリスク性を排除することによって治療上の安全性が向上する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月8日に出願された米国特許仮出願第62/431,512号、2017年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/449,914号、及び2017年7月18日に出願された米国特許仮出願第62/533,961号からの優先権を主張し、その内容はそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
黄斑変性症は、人間の失明の主な原因であり、一般に50歳以上の人々に発生する。この疾患は遺伝的なものであり、病気のため失明になった親から臨床的に重要な病気をその子孫が受け継ぐ可能性が約50%である。黄斑変性症は、米国における不可逆的失明の最大70%を占め、眼科医が遭遇する最も一般的な問題の1つである。
世界的には、2020年に加齢黄斑変性症を患う人の予測数は1億9,600万人になり、2040年には2億8,800万人に増加すると予測されている。
ボツリヌス毒素ベースの医薬品を投与することによって、黄斑変性症による視力喪失を治療し、場合によっては予防する新規の製剤及び方法が本明細書に開示されている。開示された製剤の投与は、眼内投与又は眼球外投与であり得、そして幾つかの実施形態では、皮下注射、筋肉下注射、神経内注射、局所注射、骨内注射、及び/又は界面注射を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語「眼内」とは、眼球に直接製剤を適用することを意味し、用語「眼球外」とは、眼球以外の領域に(例えば、眼瞼や眼窩に)製剤を適用することを意味する。眼球外注射が採用される場合、眼内注射の合併症を回避することができる。幾つかの実施形態では、生物学的効果を最新且つ実用的に維持するために、反復注射を採用し得る。視力の改善は、開示されている方法による治療後に主観的に報告することができ、場合によっては、SD−OCT、眼底鏡検査、又は他のイメージング技術を用いて眼の物理構造の物理的変化を観察することができる。
幾つかの実施形態では、注射は、外眼筋の衰弱を引き起こさない経路を介して眼窩及び黄斑を貫通することができ、それによって複視、アポトーシス、及び合併症を引き起こし得る他の神経筋作用を回避する。以下に詳細に説明するように、開示された製剤及び方法は、脈絡膜、神経網膜、網膜色素上皮(RPE)、眼に入る末梢神経、及び/又は他の関連組織のうちの1つ以上をターゲットとするように設計され得る。開示された製剤及び方法は、幾つかの実施形態では、滲出性の黄斑変性症(即ち、網膜内液、血液、若しくは網膜下液、又は血液を有する、及び地図状萎縮を招く可能性がある非滲出性)を治療するために使用され得る。
開示された製剤を患者に投与する前に、開示された方法による治療が適切であるかどうかを評価するために資格のある開業医によって臨床的評価が行われてもよい。臨床的評価は、障害のある徴候に対する網膜色素上皮の状態の慎重な検討を伴って、家族歴、写真撮影を用いた眼底検査、及びSD OCTのうちの1つ以上に基づいて行うことができる。障害のある徴候は、眼底鏡検査における色素の存在、神経網膜内前方への色素遊走(網膜内の過剰色素)、ドルーゼンの存在と体積、網膜内局所高反射(focal intra retinal hyper reflection)、サブドレセノイド沈着、サブドレセノイド高反射率、ドルーゼン体積の動的な減少、重症度のセカンドアイステージング(second eye staging for severity)、低反射率(hypo reflectivity)、脈絡膜血管新生、低色素沈着、OCT反射率線(例えば、IS−OS、外核層、RPE層)の不連続性及び消失、網膜及び脈絡膜の厚さ又は関連する構成要素、任意の測定の動的変化、反射率線の肥厚、嚢胞形成、ならびに任意の体液形成の構成を含むが、それらに限定されない。ある場合には、RPEの活性化は黄斑変性症進展のリスク因子であり得、そして解剖学的病理所見、病歴、ならびに疾患進展のテンポ及びセカンドアイの状態のうちの1つ以上に基づいて進展リスクについて評価され得る。
以下に詳細に説明するように、開示された製剤及び治療方法は、RPEの変性を遅らせ、光受容体を保ち、高リスク漏出を治療又は予防し、血管新生を治療及び予防し、細胞アポトーシスを予防し、RPE活性化を治療及び予防し、RPE遊走を治療及び予防し、RPEのシート歪みを治療及び予防し、地図状萎縮を予防し、網膜萎縮を予防し、桿体と錐体の喪失を予防し、湿性期を乾性期へ転換し、視力を維持し、及び/又は視力を回復することができる。
図1A〜1Cは、眼の黄斑の図である。特に、図1Aは健康な黄斑を示す。図1Bは、乾性黄斑変性症を患っている黄斑を示す。図1Cは、湿性黄斑変性症を患っている黄斑を示す。湿性黄斑変性症はしばしば急速な視力喪失に関連し、乾性黄斑変性症は遅い進行の視力喪失に関連する。乾性黄斑変性症の形態はまた、湿性への転換(滲出性状態)のリスクを示す可能性があり、そして臨床医が経時的に従うべきである。 図1Dは、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)を用いて得られた画像であり、早期の加齢黄斑変性症で起こるような網膜色素上皮(RPE)の連続性の破損を示す。 図2は、末期の黄斑変性症の緻密円盤状線維性瘢痕を示すOCT画像である。図2に示される瘢痕の部分は、光受容体の付随的な喪失を伴う地図状萎縮(GA)を示す。 図3は、湿性黄斑変性症の場合の神経網膜下のRPEを通る体液の漏出を示すOCT画像である。 図4A〜図4Cは、RPEの六角形構造を示す。 図5A〜図5Fは、黄斑変性症に関連する膜の破壊、膜下凝縮、構造の六角形状の変化、RPE自己分解、アクチンからのストレスファイバー形成を示す。 図6は、黄斑下の後極への神経及び血管の侵入を伴うヒトの解剖眼窩の上面図を示す。 図7は、眼球外投与後に神経浸透及び眼浸透を伴うトランスサイトーシスを示す。 図8は、糸球体障壁の模式図を示す。 図9A〜図9Fは、開示された方法に従って開示された治療用製剤で治療された患者から得られたOCT画像を示す。抗VEGF剤の増強効果はまた図9A〜9Fに見られる。 図10A〜10Bは、開示された方法に従って開示された治療用製剤で治療された患者から得られたOCT画像を示す。 図11A〜11Dは、開示された方法に従って開示された治療用製剤で治療された患者から得られたOCT画像を示す。 図12A〜12Cは、開示された方法に従って開示された治療用製剤で治療された患者から得られたOCT画像を示す。 図13A及び13Bは、開示された方法に従って開示された治療用製剤で治療された患者から得られたOCT画像を示す。 図14A〜14Dは、RPE細胞中のストレスファイバーを示す。
黄斑変性症は一般に、罹患した個人の中心視力を破壊し、読書、運転、及び独立した生産的な生活の遂行を不可能にする。急速な視力低下は一般に、網膜色素上皮によって確立された生物学的障壁を介して新たに形成された病理学的脈絡膜血管からの体液の漏出がある滲出性「又は湿性」形態の疾患に関連する。網膜色素上皮を通る漏出は、網膜色素上皮の構造の線維性瘢痕又は関連する光受容体破壊を伴う萎縮状態への変化を伴う光受容体の破壊をもたらす。
黄斑変性症に対する現在の治療は、血管内皮増殖因子(VEGF及び関連ターゲット)に対するタンパク質ベースの抗体(モノクローナル抗体)の眼内注射を含み、その結果、神経網膜光受容体と網膜色素上皮との間の重要な界面の回復を伴う血管新生及び新しい血管成長の退行からの漏出の減少をもたらす。これらの現在の治療は、既存の薬剤の短い半減期及び分子サイズのために眼内注射を必要とする。眼科学の分野で行われている眼内注射は、眼内内容物(水晶体、網膜、脈絡膜及び眼内感染症の可能性)の損傷を含む多くのリスクを伴う。
黄斑変性症治療のための以前の治療アプローチとは対照的に、黄斑変性症を治療、予防、軽減、及び/又は逆転させる新規な方法が開示されている。開示された方法では、ボツリヌス毒素(任意の既知の形態、例えば、ボツリヌス神経毒素又はその断片)又は1つ以上のそのペプチド断片又は神経毒素関連タンパク質(アクセサリータンパク質)を、患者の眼内領域(即ち、眼球)及び/又は眼球外領域(即ち、眼球の外側、例えば、眼瞼)に注射する。開示された化合物を患者の1つ以上の眼球外領域に適用することは、黄斑変性症又はその関連症状のいずれかからの視力喪失を治療することができ、又は場合によって、提示することができる。本明細書に詳細に記載されているように、ボツリヌス毒素及びその断片は軸索内輸送を受ける可能性がある。従って、ボツリヌス毒素及び関連化合物を患者の眼球周囲領域又は眼窩外領域に適用することで、眼への直接注射なしに、眼内領域への浸透並びに脈絡膜、神経網膜、及び/又は網膜色素上皮への浸透を可能にすることができる。開示された遠隔投与形式において、ボツリヌス毒素及び関連化合物は、すべて眼内注射に関連する潜在的な合併症なしに、黄斑変性症に関連する障壁増強効果及び病理過程の退行を生じ得る。
本明細書中で使用される場合、用語「ボツリヌス毒素」とは、純粋なボツリヌス神経毒素、その断片、及び/又は神経毒素関連タンパク質を含むが、必ずしもそれらに限定されない、任意の公知の形態のボツリヌス毒素を指す。例えば、ボツリヌス毒素は、細菌ボツリヌス菌(例えば、発酵によって)によって、又は組み換え技術によって産生され得、操作された変異体及び融合タンパク質を含む。幾つかの特定の例示的実施形態において、ボツリヌス毒素は、組み換え又は合成化学技術(例えば、異なるボツリヌス毒素血清型のサブユニットから調製された組み換えペプチド、融合タンパク質、及び/又はハイブリッド神経毒素)を使用して産生される。ボツリヌス毒素は血清型A〜Hであり得、そして幾つかの実施形態では、ボツリヌス毒素は単離されたボツリヌス毒素分子(例えば、C6760104471743201032の分子式及び150kDaの原子質量有するボツリヌス毒素A型神経毒素)として存在する。製剤Xeomin(登録商標)(インコボツリヌストキシンA)は、純粋なボツリヌス神経毒素(関連アクセサリータンパク質を含まない)の一例である。単離されたボツリヌス神経毒素分子を含む実施形態では、1つ以上の外因性安定剤(例えば、アルブミン)も製剤に含まれていてもよい。複合形態のボツリヌス毒素を有する(即ち、赤血球凝集素及び関連タンパク質が存在する)実施形態では、1つ以上の外因性安定剤も存在し得る。幾つかの特定の例示的実施形態では、開示された製剤及び方法で使用されるボツリヌス毒素は、純粋な神経毒を含まない1つ以上の関連タンパク質を含む。純粋な神経毒素を含まない幾つかの例示的な関連タンパク質は、ボツリヌス毒素ベースの医薬品(例えば、A型ボツリヌス毒素のホール株発酵)の原料を作り出す発酵プロセスに由来する赤血球凝集素、及び同じプロセスの発酵に由来する非赤血球凝集素、非神経毒を含むが、これらに限定されない。さらに、細胞間接着タンパク質(例えば、カドヘリン又は他の関連タンパク質)に対して特異的活性を有する赤血球凝集素及びその断片は、その後の精製に適した担体中で分離又は遺伝的に発現させることができる。発酵プロセスの原型が記載されている(例えば、Borodic GE, Pearce LB, Johnson E, Schantz E: Clinical and Scientific Aspects of Therapeutic ボツリヌス Toxin Administrations, Ophthalmology Clinics of N America, September, Vol. 4, No. 3, 1991)。幾つかの実施形態において、発酵の最終生成物の精製は、関連タンパク質のための原材料を作り出し得る。タンパク質は、関連タンパク質に対応する同定された遺伝子の全部又は一部から組換えプロセスで発現され得る。
幾つかの実施形態では、開示された製剤は、ボツリヌス毒素(純粋な神経毒形態又は神経毒関連タンパク質を含む)、赤血球凝集素(任意の既知の適切な形態)、及び/又は1つ以上の抗VEGF剤を含み得る。幾つかの実施形態では、ボツリヌス毒素は、存在する抗VEGF剤に融合されてもよく、他の実施形態では、ボツリヌス毒素は抗VEGF剤から分離し、別個であってもよい(すなわち、融合されていない)。
融合タンパク質は、タンパク質又はタンパク質断片に対応する遺伝物質を使用して産生されろ。ここで、1つのタンパク質からの遺伝子が他のタンパク質に対応する1つ以上の別々の遺伝子に(適切なリガーゼを介して)連結されて、有用な薬剤又は薬物を作製するように各タンパク質の所望の生物学的活性を保持しながらタンパク質ハイブリッドが作製される。融合遺伝物質は、多くの場合、連結物質の添加及び終止コドンの排除を伴って、その過程でPCRによって増幅され得る。幾つかの実施形態では、ボツリヌス毒素のターゲットドメインは、選択的神経取込み(ボツリヌス重鎖のカルボキシ末端付近、ボツリヌス分子の断片、又はアクセサリー分子)を含み得る。それは、細胞を連結するか又は細胞骨格を調節する構造タンパク質の発現を形成又は調節することに関与するタンパク質、あるいはRPE機能又はロッドコン機能を支配するタンパク質に関与するタンパク質を発現する。さらに、抗VEGF活性を有するタンパク質は、ボツリヌス毒素もしくはその断片、又はアクセサリータンパク質もしくは断片と融合することができる。さらに、補体又は他の炎症性オータコイドなどの炎症性メディエータをターゲットとするモノクローナル抗体は、ボツリヌス断片を含む融合タンパク質に添加することができる。幾つかの実施形態では、Rho及び/又はROCK調節剤も融合タンパク質に添加することができる。幾つかの実施形態では、VEGF受容体の1つ以上の断片、全受容体、神経成長タンパク質の断片、血管形成を妨げるVEGFサブタイプ又は断片、及び/又はタンパク質安定性を改善し免疫原性を低下させる免疫グロブリン画分も添加され得る。
融合タンパク質の独特の態様は蛍光タグに関し、蛍光タグは眼球の外側での注射及び末梢神経などの様々な構造を浸透することからの特定の網膜及び脈絡膜組織をターゲットとする軸索流動態をさらに理解するために動物モデル(及び可能であれば臨床的に)で輸送を研究するために使用できる。この開示において、融合タンパク質はボツリヌス毒素ベースの担体と形成され得、これは末梢神経を介した結合及び輸送に影響を及ぼす。幾つかの実施形態では、融合タンパク質は、ボツリヌスサブタイプの担体部分(ボツリヌスタイプの断片)、及び蛍光マーカーの両方を含み得る。生物学的効果を有する他の添加物を融合タンパク質に添加することができる。そのような組成物は、眼科診療で使用される標準的な写真撮影(例えば、蛍光眼底血管造影)を使用してボツリヌス毒素ベースの医薬品の薬力学的効果をインビボで研究するために使用することができる。幾つかのそのような実施形態では、タグはまた、治療の対象となる網膜又は脈絡膜上の病変に適切な薬物が送達されたことを確認することもできる。治療剤によるターゲット病変への差別的な浸透はまた、重要な個別投薬、一般的投薬、担体タンパク質の有効性、製剤、及び臨床使用のための融合タンパク質の認定に必要な前臨床データを提供し得る。開示された方法はまた、網膜及び脈絡膜への浸透及び局在化のためにインビボ又はインビトロでの網膜組織の直接視覚化を含み得る。
これら及び他の実施形態では、開示された製剤はアルブミンなどの安定化賦形剤も含み得る。1つ以上のアクセサリータンパク質(即ち、赤血球凝集素などの複合体形成タンパク質)が存在する実施形態では、アクセサリータンパク質の濃度及び/又は活性は、天然に存在するレベルから増加させることができる。本開示及び本明細書に提供される教示を考慮すると、多数の構成及び変形が当業者には明らかであろう。
(現在の黄斑変性症治療方法)
現在、加齢黄斑変性症(AMD)の有効な治療法は、抗血管内皮増殖因子(「抗VEGF」)剤及び抗体と受容体の両方を伴う関連融合タンパク質で処理された湿性形態に限定されている。「湿性AMD」の主な治療は、VEGF阻害剤を用いた硝子体内注射である。現在、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))はFDAの承認を有しているが、ベバシズマブ(Avastin)は適応外で使用されている。Eylea(登録商標)(アフリベルセプト)は、黄斑変性症に対して最近承認されており、作用期間がわずかに改善されている。これらの薬物はそれぞれ眼内注射によって投与される。最新のFDA承認された薬剤であるEylea(登録商標)は、四半期あたり約10億ドルの商業販売を達成している。
黄斑変性症は段階的に起こり、典型的には、ヒトの瞳孔を通して作られた写真を用いた直接観察による網膜色素上皮の目に見える変化及び光コヒーレンストモグラフィー(OCT)による網膜色素上皮の細胞組織の破壊から始まる。図1A〜1Cは、黄斑変性症の様々な段階の説明図を提供する。図1Aは正常な黄斑を示す。図1Bは乾性黄斑変性症を示す。図1Cは湿性黄斑変性症を示す。
図1Dは、OCTを用いて得られた画像であり、早期のAMD(加齢黄斑変性症)で起こるような網膜色素上皮の連続性の破損を示す。網膜色素上皮細胞の切断及び破壊は、網膜色素上皮シート及び基底膜(ブルッフ膜)内の構造的障壁欠陥、及び後部ヒト眼の脈絡膜層からの新しい血管の成長をもたらし得る。AMDの間、網膜色素上皮細胞は、(図1Dに示されるように)神経網膜への遊走に適応しながら、連続して隣接する細胞から剥離することがしばしば見られる。網膜色素上皮の完全性の不連続化は、疾患の病因における重要な要素である。この疾患の第1段階では、萎縮、遊走、自己分解及び崩壊は細胞及び関連色素に起こり、中心窩周囲の通常の色素密度の乱れ及び不規則な細胞形状を特徴とする色素の不規則化を伴う黄斑の異常な外観をもたらし、病気が進行するにつれてしばしば網膜上皮障壁の破損がある。網膜色素上皮(RPE)の変化は、ドルーゼン(及びドルセノイド)擬似ドルーゼンの形成、色素凝集、斑点形成、卵黄様領域、及び低色素沈着を引き起こす。幾つかの場合では、これらの症状はより壊滅的な変化(例えば、地図状萎縮、脈絡膜血管新生、及び網膜下出血)が起こる前に現れることがある。
細胞間の接着及び細胞と基底膜の接着の破壊が進行するにつれて、色素上皮欠損を介した脈絡膜毛細管板からの新たな血管の成長は、さらに劇的な血管及び脈絡膜の漏出、神経網膜及び網膜色素上皮並置の破壊をもたらし、最終的に、中心盲点を特徴とする視力喪失及び人の読む能力の喪失を伴う光受容体(桿体及び錐体)の壊滅的な破壊をもたらす。
図2は、末期の黄斑変性症の地図状萎縮(GA)を伴う緻密な円盤状線維性瘢痕を示す。図2に示される眼は、法的に失明する。図2に示される円盤状線維性瘢痕は、コラーゲン及び他の細胞要素からの糸状タンパク質の関連極性によって形成される可能性が高い。図2に示される網膜色素上皮(RPE)は、線維性瘢痕化への化生(上皮から間葉への変換を含むプロセス)並びに扁平細胞萎縮及び変性を経ている。これは、不可逆的(末期)形態の黄斑変性症であり、治療が困難である。
図3は、OCT技術を用いて得られた画像であり、湿性黄斑変性症の場合の神経網膜下のRPEを通る体液の漏出を示す。図3に示される漏出のタイプは、一般に急速な視力低下に関連し、即時の医療介入を必要とする。湿性黄斑変性症(図3に示すように)は、Avastin(登録商標)、Lucentis(登録商標)、EYLEA(登録商標)、及びアビシパル(Allergan)などの薬物を用いて治療することができる。これらの現在の薬物は、血管内皮増殖因子(VEGF)の様々なアイソフォームに対する異なる抗体を含み、前記抗体は、発達中の血管新生及び/又は漏出の退行を引き起こし、網膜下液の減少を伴う網膜内の構造的な乱れの部分的な回復を有する視力の回復又は安定化をもたらす。
これらの薬物(抗VEGF剤)による治療は通常複数回の注射を必要とし、眼内出血、感染症(例、眼を脅かす眼内炎)、PVR(術後増殖性硝子体網膜症)、水晶体脱臼、白内障、緑内障、及び/又は網膜裂孔や網膜剥離のリスクを抱える。これらの注射も痛みを伴うことがある。患者に与えられる注射が多いほど、投与に関与する合併症の可能性が高くなる。眼への注射は、眼を囲む軟組織(例えば、眼瞼、眼窩、眼周囲及び/又は眼窩周囲の筋肉)よりも痛い。モノクローナル抗体及び遺伝子操作されたタンパク質の分野の専門家は、抗VEGF抗体、VEGF受容体1及び2の画分、及び免疫グロブリンのFc部分の間の融合タンパク質を使用して抗VEGF剤作用の持続期間を延ばすことを試みた。
(現在開示されている治療アプローチの概要)
理論に縛られることを望まないが、ボツリヌス毒素のような非常に長い作用持続時間を有する薬剤を用いて、抗VEGF療法の持続期間及び効力を増強することは、安全性ならびに漏出のターゲット緩和の改善、新血管新生、又は網膜色素上皮の連続性の構造不安定性の改善の両方を増し得る。眼球外ボツリヌス毒素は、明確に定義された優れた安全性の結果を伴って、繰り返し使用することができる。眼球外のボツリヌス注射は、場合によっては、既存の治療基準で起こり得る眼内出血、感染症(眼内炎)、水晶体脱臼、白内障、及び/又は網膜裂孔や網膜剥離を排除することができる。
より長い間隔で注射を少なくすることは、既存の治療的アプローチを超える改善であろう。黄斑変性症のための現在知られている治療の多くの合併症は、薬剤の薬の副作用よりもむしろ抗VEGF眼内注射手順に関連している。ボツリヌス毒素は、現在この病状に使用されている既知の薬剤よりも長い期間作用する。さらに、注射頻度の減少は、患者にとってより安全でより便利な治療方法を提供するであろう。
幾つかの実施形態では、ボツリヌス毒素は、注射剤の効力をさらに増強するためにVEGF抗体と共に使用され得る。例えば、幾つかの場合において、黄斑変性症の治療は1つ以上の適用で達成され得る。さらに、開示されたボツリヌス毒素ベースの化合物は、頻繁な眼内注射の必要性を減らすか又はなくすことができる。さらに、ボツリヌス毒素は、神経成長因子などのアクチン重合を促進する他の薬剤と共に使用することができる。ボツリヌス毒素は、幾つかの場合において、カドヘリンタンパク質、カテニンポリマー、ならびに上皮又は内皮の表面に沿った障壁機能の増強を伴って細胞内及び細胞外アクチンに作用するRac1システムに影響を及ぼし、結合することがある。ボツリヌス毒素はまた、外眼筋に対して麻痺性の神経筋効果を引き起こすことなく眼内への輸送を可能にする独特の特性である、軸索流によっても輸送され得る。ボツリヌス毒素ベースの化合物の直接拡散は、外眼筋の麻痺を引き起こす可能性があるので、軸索原形質の進入経路は眼内疾患の新規送達方法を提供し、開示された化合物のいずれにも使用することができる。軸索原形質送達経路が採用される実施形態では、薬品は、眼の前面(硝子体内送達、局所滴下送達、又は前房内送達)ではなく眼の後部(後部送達)に入る神経を介して送達され得る。
幾つかの実施形態では、ボツリヌス毒素の断片を抗VEGF剤と融合させて、軸索流を介した眼内投与を提供することもでき、それによって、現在よりリスクな眼内注射によって使用される必要があるこれらの薬剤についてさえも眼内注射の必要性を回避する。ボツリヌス毒素は肥満細胞と相互作用して、健康な網膜色素上皮を維持するのに重要な維持神経伝達物質、神経ペプチド、栄養剤、神経成長因子の変化を引き起こす可能性がある。他の作用メカニズムも可能であり、想定されている。
(RPEの解剖学的構造及び黄斑変性症に対するその影響)
RPEは子宮内の神経由来構造であり、これはRPE−RPE細胞間接触において規則的な(等辺六角形)の構成を取る細胞構造を有する細胞シートを形成する。頂端面は微絨毛の形態を有し、光受容体(杆体、錐体)との物理的接触を最大化し、RPEの基部がその基底膜(ブルッフ膜)に緊密に付着した状態で光受容体膜の生理的食作用を可能にする。この解剖学的配置は、細胞の密集度を最大にし、細胞表面の接続を最小にすることが幾何学的に証明されている。この評価は、ミツバチの巣箱についても同じ配置であり、ローマの学者Marus Terentius Varroによる2,000年以上前(36 BC)の命題(the Honey bee conjecture)に従う。幾何学的証明は、1999年にThomas Hales(University of Michigan)に続いた。この推測は、正六角形のシートが接続材料を最小にしながらシート面積を最大にすることを提案した。この解剖学的構造は、ミツバチが巣箱を構築する際にミツロウを生産することで経済的になることを可能にする。この配置は、機能的障壁がRPE細胞にとって重要であり、そしてこの障壁効果を維持する生物学が、黄斑疾患を治療するためのボツリヌス毒素の使用のための極めて重要なターゲットであることを示した。
図4A〜4Cは、RPEの六角形構造を示す。特に、図4Aは健康のRPEを示し、図4Bは、連結する六角形構造を示す。RPEにおいて、この構造は、細胞間接着の付着を支配する主要な細胞内タンパク質の1つであるアクチンの産生、及び六角形のための膜下支持体を形成する構造タンパク質のための経済性を可能にする。さらに、RPE表面の微絨毛も、細胞内アクチンの突出及び維持、ならびに基底膜のRPE付着によって構造的に支持されている。アクチンはまた、RPEシートのグラウトグルーとして機能し、その機能している障壁効果を支持するカドヘリンのような他の細胞間タンパク質に付着する。アクチン形成の乱れ、アクチン及び関連タンパク質の変化した形態の形成及び配置、ならびに微絨毛の退行は、第1段階の加齢黄斑変性症及び関連疾患の早期の変化として説明されている。図4Cは、黄斑変性症に罹患しているRPEを示す。図4Cに示すように、罹患細胞のアクチン及び微絨毛は変形し、もはや規則正しい六角形として配置されていない。
理論に拘束されることを望むものではないが、A型ボツリヌス毒素は神経組織に対するアクチンの刺激物質として作用する可能性がある。言い換えれば、ボツリヌス毒素は神経由来のRPEに影響を及ぼし、加齢黄斑変性症などの特定の疾患状態でのRPE細胞を変化させるユニークな機会を提供する可能性がある。幾つかの場合において、細胞間障壁機能、微絨毛表面積の増大、あるいは他の関連構造タンパク質は、RPE構造及び機能を維持するための方法を提供し得る。幾つかの実施形態では、ボツリヌス毒素は、黄斑変性症及び関連する網膜疾患の様々な段階の進行を遅らせ得る。アクチンに対するゲノミクス発現は、RPE細胞を分化状態に保ち、接着を可能にし、そして周囲の細胞からの分離及びその基底膜への付着を妨げるように機能し得る。ゲノム効果はまた、他の接着タンパク質(及び機能的に関連するタンパク質)を産生するRPE細胞を発現させ続けることが考えられる。運動性、細胞死、細胞萎縮、又は線維細胞への化生を支配するRPE細胞のタンパク質の抑制mRNA発現も可能であり、そして様々な段階の黄斑変性症を治療するために使用され得る。この効果は、他のメカニズムで部分的に運用可能であるが、構造的変化は、RPE(神経発生学的中性由来細胞層)にとって重要である。RPEの神経要素は、治療反応を可能にする及び/又は促進するボツリヌス神経毒素とのこの有用な相互作用を可能にし得る。
(治療化合物及び関連方法の概要)
本開示の幾つかの実施形態では、治療製剤が提供される。例えば、幾つかの実施形態では、治療製剤はボツリヌス毒素(例えば、A〜G型のボツリヌス毒素、具体的にはC2、C3及び/又はAの種々のサブタイプ(例えばA1〜A5))を含む。開示された治療製剤に含まれるボツリヌス毒素は、LD50、SNAP−25の酵素切断、死亡までの時間アッセイ、神経細胞ベースのアッセイ、又は他の適切な投薬を得るための生物活性を測定する方法を用いた投薬による生物活性の標準化により調製できる。効力を増強するボツリヌス毒素の断片又は天然構造に付加された任意の融合タンパク質もまた開示された製剤に使用することができる。幾つかの実施形態では、開示された製剤はまた、浸透アジュバントペプチド、又は膜を介した拡散若しくは効力持続期間を増し得る他の分子、例えばポリリジンポリマー又はアルブミンを含み得る。適切なアジュバントは、ポリカチオン性又はポリイオン性ペプチド、ヒアルロニダーゼ、及び/又は局所麻酔剤の誘導体(例えば、リドカイン、マーカイン)を含み得るが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、網膜組織、毛様体又は水晶体を回避するように、毛様体扁平部を通して注射液を投与することができる。幾つかのそのような態様では、注射された製剤は注射部位から硝子体へ流れてもよい。製剤は次に神経網膜に拡散し、続いて網膜色素上皮に拡散する。次いで毒素は網膜色素上皮、新生血管膜に取り込まれるか、又はブルッフ膜、血液網膜関門、及び/又は脈絡膜内の欠陥を通して拡散することがある。そのような方法の中には、任意の適切なレベルの活性を利用することができる。網膜色素上皮は、神経網膜の桿体及び錐体と相互作用する膜小胞細胞取り込みにおいて極めて活性があり、幾つかの場合では、分子ボツリヌス毒素をその細胞質に容易に取り込むことができる。あるいは、ボツリヌス毒素は上流の神経構造(例えば末梢神経系)で投与されてもよく、それは最終的には軸索流を介して眼球内を浸透する。
開示された製剤が注射される場合、以下の結果のうちの1つ以上が達成され得る。(1)神経網膜又は網膜色素上皮下の体液流出を伴う新しい血管形成からの漏出が減少し得る。(2)新たな血管成長の退行が起こり得る。(3)網膜色素上皮変性は退行して、網膜色素上皮活性化の減少を含む細胞内形態変化をもたらす可能性がある。(4)網膜色素上皮の細胞要素極性は、密度、長さ、及び微絨毛の発現の増強を伴うその障壁機能及び代謝活性の増強と共に維持され得る。(5)網膜色素上皮内の密着結合の増強及びその基底膜への色素上皮付着の増強が起こり得る。
幾つかの場合では、注射結果は、以下のうちの1つ以上を使用して測定され得る。(1)視力及び/又は視力測定の検証方法。(2)コントラスト感度。(3)眼底写真撮影。(4)蛍光眼底血管造影(OCT血管造影を含む)。(5)OCT(例えば、任意の物理的タイプの網膜下液、網膜色素上皮の下での血管新生及びそれを通る血管新生を検査する)。(6)RPEの変化(ドルーゼン/ドルーゼノイドの高さ及び体積、密度、基底膜からの距離、遊走、光受容体の喪失、IS−OS及び外側核線の喪失、網膜及び網膜下の体液蓄積、偽ドルーゼン密度、色素凝集及び涙、脈絡膜厚、神経網膜厚、RPE萎縮、脈絡膜血管新生の形成及び漏出パターン、地図状萎縮の程度、出血、ならびにOCTによって定義される網膜の線の形状及び規則性(例えば、ONL、IS−OS、RPEアラインメント))。(7)アムスラー格子。(8)RPEリポフスチンからの自家蛍光。(9)焦点ERG(網膜電図)。(10)OCTを用いた網膜色素上皮における極性、厚さ及び形状の変化。(11)視野。(12)客観測定に対して検証された、患者の満足度を評価する主観的な機器。(13)対照及び反復注射を用いる従来の臨床試験方法の使用。幾つかの場合では、患者を用いて連続的な追跡調査を行うことができ、必要に応じて、反復注射の必要性の評価も利用することができる。これら及び他の実施形態では、治療効果を監視するために眼底撮影法及びOCTを使用することができる。
(細胞内細胞骨格に対するボツリヌス毒素の効果)
ボツリヌス毒素は、変性型及び滲出性のヒト網膜疾患の病因において重要な役割を果たす内皮及びRPEに対して重要な生物学的効果を果たす可能性がある。RPEは、加齢黄斑変性症の初期及び後期に電子顕微鏡を用いて研究されている。研究により、細胞の基底膜(基部)近くの細胞内細胞骨格の凝縮は、細胞形状の不規則性、極性の喪失、細胞間接着の破壊、膜不安定性を伴う漏出タンパク質の蓄積、ならびに桿体及び錐体細胞構造を有するRPE細胞の頂端−頂端配向の乱れを伴う細胞膜の破壊をもたらすことが明らかになる。REPの歪みは、以下のうちの1つ以上をもたらす可能性がある。(1)RPEは、黄斑桿体及び錐体とのその支持的な機能的及び代謝的相互作用を維持し、神経網膜から脈絡膜への反応性高分子の放出を可能にする脈絡膜と神経網膜との間の密接な障壁を維持することができない。そのような曝露は、脈絡膜内皮細胞、神経、肥満細胞からの血管成長亀裂及びにメディエータの放出を刺激して神経網膜下の体液蓄積を引き起こす(RPE及び神経感覚剥離、「湿性」及び「乾性」黄斑変性の両方の特徴)。(2)内皮血管系に関連した細胞骨格の乱れのために起こる新生血管内皮の密着結合からの漏出。(3)脈絡膜を循環する細胞成分を含む血液からの限られた応答で脈絡膜内の免疫細胞の反応性を引き起こす、血液網膜関門を通る神経網膜の抗原構造の露出。免疫応答は補体活性化を含むことができ、それはRPE構造をさらに損傷する。(4)桿体と錐体及びRPEの毒性をもたらす神経網膜への栄養素送達速度の中断。(5)光受容体分解生成物の除去による桿体と錐体機能の維持に重要であるRPE微絨毛の喪失。(6)桿体と錐体の破壊。(7)RPEの地図状萎縮状態の形成。
図5A〜5Fは、顕微鏡技術を用いて得られたRPEの画像である。具体的には、図5A〜5Fは、膜の破壊、膜下凝縮、構造の六角形形状の変化、RPEの自己分解、アクチンからのストレスファイバー形成(図5Aに示す)、障壁機能破壊、及び障壁シートからのRPEの遊走を示す。なお、神経網膜の構造と機能の関係は、ほとんどの曝露が硝子体(一過性灌流のないヒアルロニデートを含むチャンバー)への血液成分からの単離の一つである。網膜血管系の欠陥は網膜の病理を作り出すことにおいて相当に一貫している。網膜及び脈絡膜血管における血液網膜関門は、神経網膜の健康にとって重要である。脈絡膜は、人体内で最も密に灌流された組織の1つであり、RPE及び光受容体は、脈絡膜との密接な構造的関係に大きく代謝的に依存している。網膜血管と脈絡膜血管の両方による血液区画の分離は、神経網膜の健康及び光受容体の機能的完全性を維持するのに重要である。さらに、特定の抗原刺激は障壁破壊によって曝露され、遺伝的に個体を様々なレベルで免疫応答と反応させる。前記様々なレベルは、補体活性化、神経反応性、調節性オータコイドの変化、炎症と無関係の細胞機能の変化、神経網膜内の体液蓄積、脈絡膜及び網膜血管内皮の障壁機能不全、ならびにRPE光受容体機能の機能障害を含むがこれらに限定されない。
内皮及びRPEにおける細胞骨格構造による内皮及びRPEの細胞骨格の破壊は、流体及び膜変化メディエータを含む血液の漏出、ならびに眼の脈絡膜の機能に関して黄斑変性症の病因にとって重要である。一般的に、アクチン、微小管タンパク質の病理学的配置の生成の増加は、RPE及び内皮膜の歪みに関連する黄斑変性症の最初のステップとして蓄積し、それは以下の原因となり得る。(1)網膜下液の有毒な漏出(湿性黄斑変性症)。(2)細胞間接着及び細胞と基底膜の接着の喪失、障壁機能の破壊(ドルーゼン及びドルセノイド形成、RPE遊走)。(3)RPEの極性配向の喪失。これは、桿体と錐体の構造及び機能を支持するその役割にとって重要であり得(進行性乾性変性)、そして最終的にはRPE微絨毛の喪失及び退縮をもたらし得る。(4)光受容体毒性を回避するのに十分な速度で光受容体分解生成物(リポフスチン)を除去するRPE能力の喪失(自家蛍光増加)。(5)最終的に眼底写真上に「円板状瘢痕」(図2参照)として現れる白い「線維嚢胞性」細胞型へのRPEの化生によって反映されるRPE細胞内繊維要素の病的凝縮、ならびにRPEの地図状萎縮及び神経感覚網膜萎縮の形成。(6)円盤状瘢痕及び地図状萎縮は、黄斑変性症で失明した患者によく見られ、変性及び障害過程の性質の証拠を反映する。変性及び障害過程によって、黄斑は、細胞内の病的アクチンの蓄積配向の変化及び関連線維の蓄積によって破壊され、それはRPEを根本的に変化させ、RPE/光受容体の死を引き起こす。次の結果は、網膜色素上皮から間葉系へのタイプの分化により、線維細胞、遊走細胞、及び/又は萎縮細胞に分化することである。次のイベントは、再結合した細胞付着、基底膜付着、色素上皮運動性及び神経網膜への遊走へのRPEによるmRNA発現の実質的な変化を含む。この過程は、血管応答を伴う黄斑変性の早期変化を示し、そしてRPE及び脈絡膜への血管の成長が後期の段階を示す(図1、黄斑変性の段階)。障壁機能の破壊に続いて、免疫過程が確実になり、それが補体活性化、肥満細胞活性化、神経ペプチド放出をもたらし、破壊された障壁及び体液蓄積をさらに悪化させる。及び/又は(7)変化したRPE形態、網膜層組織機能障害及び光受容体の喪失をもたらすゲノム変化。
なお、ボツリヌス毒素は、神経細胞上に存在するような特殊な受容体を介して、又はインビボでもしくは薬物製剤中でアジュバントタンパク質を用いて促進することによって、細胞内に侵入することができる。幾つかの場合では、細胞質生理学又はゲノム応答に大きな変化をもたらすというこの分子の能力及び非常に低い分子濃度により、バイタル濃度は本質的に低くなり得る。
(ボツリヌスと細胞骨格の相互作用)
幾つかの実施形態において、開示された製剤及び方法は、黄斑変性症及び他の関係性変性症の治療のためのボツリヌス毒素製剤の注射又は局所適用を含む。ボツリヌス毒素Aは、細胞骨格構造に重大な影響を及ぼす可能性がある。C3バージョンは、細胞生物学の実験的観察においてRhoアクチン重合システムと相互作用することが留意されている。C2及びC3毒素は神経筋脱力を引き起こさないかもしれないが、これらの薬剤はA型の亜型、B、C1、D、E、F、及びGとは異なるメカニズムによって細胞死を引き起こすことができる細胞毒素である。さらに、以下に詳細に記載されるように、筋肉細胞へのA型ボツリヌスの動物注射は、神経切断(神経原性萎縮)によって生じる効果と比例していない形態計測学的直径に関連する細胞の収縮を引き起こし得る。この急速な速度の観察(これまで報告されていなかった)は、A毒素が神経筋接合部での遮断されたアセチルコリン放出に関連する神経筋遮断とは無関係で筋細胞の細胞骨格に基本的な直接作用を有することを示す。この作用は、細胞死及び重大な機能障害をもたらす変性過程を妨害し、そして細胞機能を維持するように重大な疾患変性過程を阻止する程度まで、細胞骨格アクチン及び関連する細胞内微小管の溶解及び再構成を妨害し得る。幾つかの場合では、カスパーゼとアポトーシスの細胞質内酵素を抑制することができる。その作用は、細胞構造の極性、及びターゲット細胞群と機能的に相互作用する関連細胞を維持しながら、RPEなどの生活細胞構造の極性を維持し、病的細胞骨格タンパク質の蓄積を遅延又は停止させることであろう。
幾つかの実施形態では、内皮細胞の健康、ならびに変形過程を経ている任意の細胞の完全性は、重要な接合部及び関連する障壁、代謝産物の移動、神経網膜抗原曝露、又は細胞間の関係を破壊する形状又は重要な細胞構成を損なう細胞骨格タンパク質の細胞内産生の増加によって維持することができる。そのような変化は、細胞接着タンパク質の発現の変更、細胞化生を支配する生体表面及び内部受容体との相互作用、アポトーシス、上皮間葉転換、上皮シートの弛みと基底膜への接着、接着タンパク質の様々なアイソフォーム(カドヘリンアイソフォーム及び関連するタンパク質など)の量の変化によって引き起こされて、上皮及び内皮の障壁機能を炎症性サイトカイン(VEGFなど)及び関連タンパク質に変更することができる。黄斑変性症における重要な障壁機能には、内皮支配性漏出、上皮細胞間接着支配性RPE障壁、新生血管内皮に沿った脈絡膜新生血管障壁機能が含まれる。また、ボツリヌス毒素は肥満細胞機能のような炎症性オータコイドを抑制することができる。
RPEの場合、RPEのレベルでのタイトジャンクションは、異常な細胞骨格タンパク質蓄積により無能になり得る。それにより、タイトジャンクションに沿った障壁破損及びその後の神経網膜の脈絡膜への抗原曝露が引き起こされる。免疫反応性に基づく様々な免疫学的及び炎症性タンパク質の放出、脈絡膜液、及びその後の光受容体死の可能性がある。そのような過程は、両方とも脈絡膜に存在する血小板及び肥満細胞に推論的に存在するヒスタミン放出を含む。血管作用性小腸ペプチド及びCGRPもまた役割を果たし得る。肥満細胞は、脈絡膜及びさらに別のボツリヌス調節又は遮断作用のターゲットに存在する自律神経と相互作用することができる。障壁機能は暗黙的であると思われ、網膜及び脈絡膜の組織構成並びにこの機能の破壊は、黄斑変性症において生じる上流側の障害として見られ得る。末梢神経又は静脈を介したボツリヌス毒素の逆行性運動(中枢神経系に向かう)及び順行性運動(中枢神経系から離れる)が、開示された組成物及び方法の使用中に起こることに留意されたい。さらに、開示された製剤の眼への直接浸透は、強膜及び角膜の天然の障壁に遭遇する可能性がある。本出願の出願前には、ボツリヌス毒素は眼内疾患のために提唱されていなかった。これは、少なくとも部分的には、眼の障壁が神経毒の眼への進入を阻止すると以前は考えられていたという事実によるものである。
(RPEと光受容体の相互作用)
桿体と錐体上のRPEの食作用性相互作用は、光受容体の健康にとって重要である。この相互作用の損傷は、光受容体の損傷及び視力喪失を伴う最終的な死をもたらす。亜細胞レベルでこの関係を推進しているのは、急速な細胞速度での食作用性相互作用を可能にする網膜色素上皮内の微小管であり、活性アクチン及び関連する小管重合が光受容体の維持を可能にする。細胞骨格アセンブリの維持及び分解における欠陥は、光受容体の損傷をもたらし得る。そのような欠陥は、RPE細胞の極性の乱れ、ならびに細胞形状アクチン及びタイトジャンクションの完全性及び基底膜(ブルッフ膜)上の細胞関係の変更に反映され得る。初期の黄斑変性症の変化は、RPE形態の変更、及びマイクロファイバー機能障害を示唆している亜細胞繊維の密な蓄積の蓄積(ドルーゼン体蓄積)と関連する。自家蛍光は、RPE機能障害の徴候であり、眼底カメラの青色光フィルターで見られる脂肪褐色素の不良代謝及び蓄積によるロドプシンの蓄積を伴うRPEの低下を示す。リポフスチンは、機能性RPEの機能障害の適応症であり、湿性黄斑変性症及び地図状萎縮を伴う乾性黄斑変性症の両方においてしばしば起こる。
(ボツリヌス毒素と微小管変性及び微小繊維蓄積)
ボツリヌス毒素は、重要な細胞骨格成分の病的蓄積重合を抑制して以下のうちの1つ以上を提供するように、亜細胞アクチン及び微小繊維の蓄積形成を変更する能力を有する。
1.神経網膜の完全性を維持するために不可欠なRPE内の障壁、及びタイトジャンクションによって維持される桿体と錐体を維持する。
2.継続的な機能を保証するために極性化及び細胞骨格を維持する。
3.内皮の完全性を維持し、脈絡膜からの血管新生を抑制する。
4.肥満細胞活性を遮断又は調節し、神経ペプチド又は脈絡膜内の他のメディエータの放出を調節する。それは、光受容体を損傷又は持続させることができる。
5.微絨毛の拡大と強化。
6.RPEの基底膜付着及びRPEの細胞間接着における障壁機能。
7.脈絡膜からの滲出性血管漏出を遮断する。
(網膜色素上皮の微絨毛とのボツリヌス相互作用)
網膜色素上皮は、神経網膜の桿体と錐体の生理的健康を維持する重要な構造である微絨毛を含む。神経網膜構造は、視神経投影を介して画像及び光を脳への伝達可能な信号に変換し、中枢神経系内の視覚的解読を可能にする。年齢の影響は、桿体と錐体との間に機能障害の微小解剖を引き起こし、最終的に黄斑変性症の初期段階に至る微絨毛の範囲、サイズ及び完全性を低下させることである。ボツリヌス毒素の効果は、神経網膜上の脈絡膜及び網膜色素上皮の維持の役割の変性及び悪化の停止をもたらす網膜色素上皮の頂部の生体構造の若返りと反転を伴って、この劣化、増強アクチンの発現及び関連するタンパク質重合のシフトを引き起こす。
この変化をもたらすボツリヌス毒素種は、Rhoキナーゼ及びROCK細胞内系に作用し、mRNAの発現を活発なタンパク質発現に向けてシフトさせ、強固な微絨毛を引き起こし、黄斑変性に関与するRPE細胞の萎縮性シフト及びアポトーシスを逆転又は妨害する。遺伝子チップ上の強固なcDNA断片を用いた評価を伴う神経節を用いたゲノム研究において、ボツリヌス毒素はアクチン発現に重要なタンパク質の産生、細胞間接着分子、及び強化細胞構造を支配する同化タンパク質を調節するmRNA応答を引き出した。光受容体タンパク質は、ボツリヌス毒素を細胞培養物に注入した後に発現をシフトさせることが示されている。
(作用期間)
開示された製剤及び方法は、既存の治療法を超えて作用期間を延長する生物学的効果を提供し得、可能性のある効果は4〜50週間の持続し、そして注射を繰り返すとより長くなる可能性がある。眼内注射が使用されるとき、増加した期間は薬物を投与するために必要とされるより少ない侵襲的処置を可能にし得る。ボツリヌス毒素は、ターゲット組織に応じて臨床診療において様々な期間を有する。自律神経の影響は、重度の有髄運動神経に対する影響よりも長く続くことができる。脈絡膜内の大部分の神経は、最小限の髄鞘形成を有し、そして多くは、眼窩の外側の神経節構造からの自律神経を表し、そして本明細書中に記載されるボツリヌス製剤を使用する注射にアクセス可能である。
抗VEGF剤(FDA承認及び開発中の両方)の作用期間は、眼内注射の必要性が多くの合併症と関連しているので、より長い作用期間を目標としている。より少ない注射又は期間は、患者にとってより快適であり、そして投与リスクを減少させる。ウサギにおけるアフリベルセプトEYLEA(登録商標)の半減期は約7日である。対照的に、.5mgのラニビズマブ(Lucentis(登録商標))は約2.88日であり、1.25mgのベバシズマブ(Avastin(登録商標))は4.3日である。
ボツリヌス毒素ベースの医薬品が本質的に長い作用期間を有すると仮定すると、既知の抗VEGF剤と比較して、より少ない注射が必要とされ得る。神経筋効果のために、作用期間は一般的に10〜14週間である。幾つかの調合剤により、治療と治療の間の期間が20週間に達する可能性がある。さらに、自律神経効果については、最大24週間の期間が記録されている。ボツリヌス技術は、現在使用されている抗VEGF医薬品で予想されているよりも優れた持続期間を提供するので、患者治療の利便性、並びに顕著なリスク低減及び相加効果の可能性は明らかな利点である。さらなる抗VEGF剤は、血管閉塞性疾患(例えば、卒中及び動脈閉塞)と関連している。抗VEGF薬による合併症にもかかわらず、ボツリヌス毒素による評価は、(FDA承認投薬量により定義されるように)従来の投与量レベルで重大な報告された合併症をもたらさなかった。本明細書に記載のボツリヌス毒素ベースの医薬品は、抗VEGF剤と同様に作用することができ、幾つかの実施形態では、抗VEGF剤の効力及び期間を増加させることができる(実施例1参照)。
(投薬)
開示された治療製剤は、幾つかの実施形態において、ボツリヌス毒素又はその断片を含み得る。任意の適切な形態のボツリヌス毒素を開示された製剤に使用することができ、例えば開示された製剤はボツリヌス毒素A1〜A5、B、C1〜3、D、E、F、G及びHを含み得る。また、1ccの流体当たりLD50単位を、複合体形成タンパク質を伴って又は伴わずに、ボツリヌス毒素の供給源として使用することができる。
開示された製剤は、適切な投薬量のボツリヌス毒素を用いて調製することができる。例えば、幾つかの実施形態において、開示された製剤は、以下の投薬のうちの1つ以上に従って患者に投与され得る:
.01〜.5LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、
結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投与されるか、又は局所に投与される。
.5〜5LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投入されるか、又は局所に投与される。
5〜10LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投入されるか、又は局所に投与される。
10〜20LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投入されるか、又は局所に投与される。
20〜40LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投入されるか、又は局所に投与される。
40〜80LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投入されるか、又は局所に投与される。
80〜160LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投入されるか、又は局所に投与される。
160〜320LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、
結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投与されるか、又は局所に投与される。
320〜640LD50単位が、眼内の、眼球外の、眼窩周囲の、
結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投与されるか、又は局所に投与される。
640〜1280LD50単位が、眼内の、眼球外の、結膜下眼球周囲の注射眼窩周囲、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投与されるか、又は局所に投与される。
0.5〜25,000LD50単位が、眼内の、眼球外の、結膜下眼球周囲の注射眼窩周囲、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投与されるか、又は局所に投与される。
0.01〜3,000LD50単位が、眼内の、眼球外の、結膜下眼球周囲の注射眼窩周囲、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投与されるか、又は局所に投与される。
1280〜6,000LD50単位が、眼内の、結膜下眼球周囲の注射眼窩周囲、結膜下眼球周囲の注射、眼球上の注射を介して投与されるか、又は局所に投与される。
幾つかの例示的な方法では、従来のボツリヌス毒素の投薬量を使用してもよい。本明細書で使用される場合、用語「従来の投薬量」は、頭又は首の適応症のためのボツリヌス毒素の任意のFDA承認投薬量を指す。選択された実施形態では、300LD50単位以下のボツリヌス毒素を患者に投与してもよい。より低いLD50効力を有するボツリヌス毒素については、変換評価及び既存の投薬量変換を条件とする表を使用することができる。これらの例示的な投薬量は、商標BOTOX(登録商標)を用いて市販されているボツリヌス毒素の従来の形態について与えられている。
(局所及び結膜下の投与)
本明細書に記載されるように、臨床的有効性はボツリヌス毒素ベースの医薬品の局所適用により導き出すことができる。投与量は、ボツリヌス毒素と複合体を用いて1〜2500単位の範囲であり得る。望ましくない毒性を減少させるために、ボツリヌス毒素タンパク質分子は、神経筋効果を減少又は排除するように修飾することができる。そのように、それがスキー、結膜、又は鼻腔の粘膜表面のような粘膜表面に適用されるとき、口の麻痺や衰弱の副作用は起こらない。ボツリヌス毒素複合体(例えば、BOTOX(登録商標))として表すボツリヌス毒素由来の赤血球凝集素タンパク質を排除することによって、胃腸吸収からの毒性を制限するようにさらなるアジュバントタンパク質を除去することができる。Swiss Websterマウスにおいて投与量がLD50で決定されるので、単位は一般に認められているが、代替アッセイ又は定量的方法から得られる代替形態などに変換することができる。
重要なことに、リドカイン、アルブミン、ポリリジンなどの浸透剤、又はコンタクトレンズ、眼内インプラント、結膜下インプラントなどの機械的装置を使用して、眼内投与に適した送達システムを提供することができる。眼瞼又は眼球結膜を介した経結膜投与を使用することができる。眼球表面の乾燥技術も浸透を高めるために使用することができる。眼球表面の浸透を高めるゴーグルの使用は、陽圧雰囲気又は高圧酸素室で使用されるような高圧状態を提供するために使用することができる。コンタクトレンズの有無にかかわらずボツリヌス毒素ベースのタンパク質が後に続く角膜及び結膜上皮の微小穿刺は、角膜及び眼の浸透を増加させることができる。黄斑変性症の特定の病期及び臨床的に特定の病理学的所見又はSD−OCTに基づいて、内眼のより効果的な取り込みを可能にする様々な濃度を使用することができる。
前房内(房水)注射は硝子体内注射よりも安全であることが知られており、眼内内容物への損傷の可能性を少なくして、眼内ボツリヌス濃度を高める優れた方法を提供することができる。
(黄斑変性症の乾性非滲出性及び湿性滲出性段階に対する試験における薬物)
表1及び2は、試験中の、又は乾性黄斑変性症の治療のための試験のために期待されている様々な薬剤を概説する。


乾性黄斑変性症を抑制又は停止するために一貫して作用する明確な薬剤がないことは注目に値する。また、考慮されている治療薬剤が、乾性又は湿性変性の治療のためのボツリヌス毒素ベースの医薬を考慮していないという事実も注目に値する。作用のメカニズムも表1及び2に記載されている。抗VEFF、脈絡膜流動促進剤、抗アミロイド抗体、視覚サイクル調節剤、酸化防止剤、アポトーシス調節剤、多数の抗補体指向抗体、神経保護剤、神経成長因子、ホスホジエステラーゼ阻害剤、幹細胞、及び抗炎症剤が試されていることに注意される。しかしながら、いかなるレビューも研究も、ボツリヌス毒素ベースの医薬品の理論的根拠又は実践への縮小を考慮又は提供していない。ごく最近では、ランパリズマブ(Genetech、Inc.)は、ニューオーリンズの2017年アメリカ眼科学会で失敗したと報告されている。最近、徐放のためにコルチコステロイドと複合された眼内インプラントを挿入することを含む研究が、湿性黄斑変性症治療のための抗VEGF剤(例えば、EYLEA(登録商標))に追加された。さらに、アンジオポエチンなどのより新しい薬剤が、硝子体内薬の効力及び作用期間を増大させるために抗VEGF剤と共に試みられている。
2017年のRetina会議で、AMDを含む脈絡膜疾患又は網膜疾患の治療のための経神経送達メカニズムを引用できなかった眼送達メカニズムのレビューが行われました。空隙は、本明細書に記載の製剤及び治療方法(例えば、RPE及び神経網膜に対する好ましい効果を伴う、脈絡膜及び脈絡膜神経節へのボツリヌス菌又はその成分の経神経送達)に対してこの新規成分に信頼性を与える。
(ヒト黄斑疾患の治療のための薬力学的送達システム(眼球外注射からの軸索流))
本明細書に記載されているのは、独特の薬剤だけでなく、ヒト黄斑疾患の治療のための独特の送達システムでもある。ボツリヌス毒素は注射部位から拡散する能力を有し、これは直接的にそして容量的に投薬に関連する局所的な生物学的効果に影響を及ぼす。構造に対する生物学的効果は、アクチン、様々なカドヘリンなどの細胞間接着を支配するタンパク質の遺伝的上方制御によって変化を引き起こし、かつ膜障壁機能を支配する構造タンパク質、基底膜への細胞接着、及び上皮障壁の機能に関する上皮細胞質の極性の分化を上方制御する直接的な作用を有する自律神経、感覚神経及び運動神経を通る逆行性及び順行性の軸索流によってさらに達成することができる。幾つかの実施形態では、この独特の特徴は、硝子体内注射が必要でない場合があるという点で非常に有用である。黄斑変性症の治療におけるこの工程の排除は、硝子体出血、眼内炎、網膜剥離、外傷性白内障形成、緑内障、網膜裂孔、及び眼への直接注射による疼痛のリスクを低減又は排除し得る。これらの合併症は壊滅的なものになる可能性があり、失明につながる可能性がある。
眼の周囲の軟組織の注射による薬理学的効果は、眼への直接注射で起こり得る、より深刻な、潜在的に失明性の合併症と関連していない。これらの注射位置は同様に痛みが少なくなる可能性がある。開示された製剤の投与量は、1〜3000単位、好ましくは1〜300単位であり、より好ましくは1〜200単位(BOTOX(登録商標))で変わり得る。より弱い製剤(Dysport、Xeomen、Myobloc又は他の製剤)は、より高い投与量で使用することができる。注射は、一般に、眼に入る運動神経及び知覚神経、特に三叉神経、動眼神経、及び最も具体的には側頭筋下の翼口蓋神経節などの自律神経を含む領域にわたって行われる。額、眼瞼及びそのすぐ周囲の解剖学的領域の眼周囲組織が眼の中への側枝流を伴って眼窩内に直接排出されるので、静脈系を介する輸送も可能である。自律神経はまたヒトの眼(瞳孔繊維)にも供給し、側枝自律神経を介した輸送は、黄斑の上にあるポスターの眼極を貫通する神経からの生物学的眼内効果送達の導管として作用し得る(眼窩解剖図参照)。この導管は、多分濃縮形態で、脈絡膜及び網膜色素上皮にボツリヌス又はその断片を低濃度で送達するための通路を提供する。感覚神経は、さらにこの導管をターゲット網膜色素上皮に導くことができる。経細胞輸送は、血管内皮増殖因子、血管透過性、及び網膜色素上皮の障壁の完全性に対する血管応答性、ならびにRPEの障壁の完全性の喪失により放出される免疫サイトカインからの漏出及び新たな血管の成長の可能性の両方に影響を及ぼす網膜色素上皮及び神経網膜構造によるボツリヌス材料の浸透によって可能である。この過程により、ボツリヌス毒素は、Rhoキナーゼ、ROCK、ならびにRPEアクチン細胞骨格、細胞間接着分子、細胞と基底膜の接着分子、及び生物学的RPE障壁機能をより堅牢かつ不活性にする内皮接着分子を維持するのに重要な他のタンパク質に対する可能な調節作用を介して細胞間接着を増強しており、並びにロドプシンタンパク質の加工、異化及び除去などの生理学的機能を改善することができる。さらに、ボツリヌス毒素の作用は血管漏出を予防し、及び/又は血管内皮増殖を減少させそして安定化させる。そのような効果はまた、炎症及び糖尿病からの黄斑浮腫において生じるような網膜血管血液網膜関門を含み得る。さらに、自律神経は黄斑下の脈絡膜自律神経節細胞と統合することが示されている。
本出願の出願前は、ボツリヌス毒素のRPE網膜に対する眼内作用は知られていなかった。さらに、瞼の皮膚、顔、額、顔面骨、顔面と顎の筋肉、頭皮副鼻腔粘膜、鼻粘膜、首、口又は口蓋、並びに眼に軸索を突出させる自律神経副交感神経及び交感神経節へのボツリヌスの注射は、RPE/脈絡膜に何らかの影響を与えることは知られていなかった。この情報は、単独では新規であり、開示された製剤及び方法と組み合わせると、眼内注射よりも安全な投与パラダイムを提供することができる。
(眼窩周囲及び眼周囲の注射による眼内の浸透)
開示された治療用製剤及び方法の他の独特の態様は、黄斑領域における内眼に対する効果が眼周囲注射又は眼窩周囲注射によって達成され得ることである。足底部(pars plantar)注射(他の実施形態に関して論じた)によって得られる高投薬量効果に限定されず、眼窩周囲眼瞼注射、又は軸索輸送を用いた眼周囲注射及び首注射によって眼の中に入り込む機会は、他の方法の深刻な合併症を回避する手術上の改善である。毛様体扁平部を介した眼球外注射は、容易に可能であり、患者にとってはるかに容易であろう。最終的に眼に入る眼から離れた上流の神経をターゲットとする眼球外注射は、筋肉組織を毒素の作用にさらすことなく眼内の内容物に対する選択的な作用を可能にする。前記毒素は複視及び眼瞼下垂を伴う外眼筋力低下を引き起こす。得られた外眼筋のボツリヌス毒素誘発性麻痺を伴う注射針を眼窩の奥深くに配置することは望ましくない場合がある。繰り返した眼内注射は、眼内出血、眼球破壊性眼内炎、網膜剥離又は網膜裂孔、水晶体脱臼、又は眼圧上昇を引き起こし得るリスクを有する。毒素は、軸索流、静脈の逆行性拡散、及び/又は眼周囲注射及び眼窩外注射からの直接拡散などの独特のメカニズムによってターゲットの脈絡膜、網膜に到達することができる。AMD及び関連症状の治療のためのこれらの間接的メカニズムは、筋力低下による望ましくない副作用を回避するために、神経輸送を介して、それ自体新規な、眼への選択的進入を提供する。
特に、脈絡膜神経線維構造は、多数の神経ペプチド及び関連する神経伝達物質に対して陽性であることが証明されている。年齢とともに、網膜色素上皮に非常に近いところで脈絡膜内の神経の後退があることが注目されてきた。そのような除神経は、RPE機能障害、細胞間接着の喪失、及びバイタルRPE障壁機能の喪失、ならびに他の構造的及び機能的変性変化を引き起こすように、網膜色素上皮の構造及び機能に対して栄養作用を提供し得る。脈絡膜中に存在する特定の神経伝達物質、神経ペプチドは、上皮の健康及び機能にとって極めて重要であり得る。そのような化学物質の後退及び枯渇は、RPEの萎縮、間葉性及び遊走性の変化、RPE−光受容体相互作用の喪失、ならびに最終的には網膜機能及び視力の喪失を伴う光受容体損傷をもたらし得る。
実施例に示される眼球表面の場合(糸状角膜炎)では、細胞間接着及び角膜上皮の基底膜ストランドへの上皮細胞の接着の破断を伴う障壁機能の喪失により、フィラメントを形成し、角膜感覚神経を露出し、疼痛及び病理学的反応性変化(血管新生)に至る。糸状角膜炎は、角膜の除神経に共通の問題であり、神経栄養性角膜炎と呼ばれる状態である。神経栄養性角膜炎は、外傷による感覚神経への損傷、神経栄養性ウイルス(例えば、単純ヘルペス、帯状疱疹)の反復感染、慢性感染症、ドライアイから生じ、粘液及び涙の欠乏がある。黄斑変性症と同様に、角膜上皮の喪失及び血管新生の前に上皮は変性することが多い。本明細書に記載の場合、局所ボツリヌス毒素は、既知のボツリヌス薬物動態と繰り返しの有効性と一致する時間経過でフィラメントの修復及び軽減をもたらした。本明細書でのボツリヌスは、角膜上皮機能と連続的な角膜上皮シートを破壊するフィラメントの排除とに有利な様式で、周囲の細胞及び基底膜への細胞接着を増加させ、神経構造を刺激している。ボツリヌスは、神経/上皮構造を刺激してアクチン及びそれに関連する接着分子を産生し、それにより上皮障壁機能及び構造が促進され、感覚神経機能が少なくとも部分的に病的状態にわたって回復する。
そのような角膜の場合における上皮の不連続性は新しい血管の成長に進む。黄斑変性症の場合、第1段階の乾形態の黄斑変性症は、RPEと光受容体との界面を破壊して失明に至る新しい血管の成長に進む。脈絡膜軸索及び神経節細胞からの神経線維効果を増強することによって不連続性を回避することは、黄斑変性症の治療に有用である、本明細書に記載のメカニズムである。RPEに対するボツリヌス増強脈絡膜神経線維効果は、RPEに機能安定性を提供し、障壁機能の増強、経時的な網膜色素上皮の変性の維持及び予防を可能にする。脈絡膜神経支配の欠陥は、RPEの健康に不可欠な末梢神経由来の重要な化学物質の損失をもたらす。血管作動性腸管ペプチド(VIP)などの特定の神経ペプチドの喪失は、黄斑変性症の場合に枯渇することが知られている。RPE又は眼に入る動脈を取り囲む神経を介した毒素の浸出もまた、網膜細動脈からの漏出を封鎖する効果を有し得、網膜血管漏出の治療に至る。
形成性アクチン分子、及び関連タンパク質、接着分子、ならびに神経伝達物質及びRPEなどの重要な細胞質内構造を維持及び刺激するための末梢感覚神経の刺激によるボツリヌス毒素は、RPEを維持し、黄斑変性の影響を遅らせるのに極めて重要であり得る。ボツリヌス毒素は、末梢運動神経におけるアクチン−アクチン関連タンパク質形成を刺激するための強力な効果を有し、そしてそのような効果はヒトの眼を貫通する末梢神経に持ち越すことができる。
(安全性)
眼周囲のボツリヌス毒素の利用も安全である。化粧品、顔面動作の疾患(片側顔面痙攣、眼瞼痙攣、メージュ症候群、ジストニア、ブラキシズム、 偏頭痛、緊張性頭痛)、小皺、額の線、眉間の線、誘発性眼瞼下垂、顔の炎症状態のために、十分に確立された投薬量パラメータは、非常に高い安全記録を提供するように設計されている。この材料は反復注射後に非常に安全であることが知られているので、網膜及び黄斑疾患の患者に既存のFDA承認薬(Eylea(登録商標)、Lucentis(登録商標)、及びAvastin(登録商標))に対するリスク及び利点を理解する絶好の機会を提供するユニークな機会がある。過去30年間に行われた研究の大部分は安全性眼科試験を受けており、深刻な不可逆的な眼の合併症は確認されていない。この機会は臨床研究に本当に独特であり、視力などの様々な評価項目(ETDRS−早期治療糖尿病性網膜症研究で定義されたものなど)及び本明細書に記載の他の評価項目を使用して進める推進力として役立つであろう。
(黄斑への経神経伝達)
本明細書に開示される幾つかの実施形態では、末梢神経は、直接眼内注射(本質的に合併症のリスクを高める)を使用することなくボツリヌス毒素ベースの医薬品を眼、網膜及び/又は黄斑に送達するための導管として利用される。骨格筋及び心筋の血管の血管壁のように、脈絡膜の血管壁の平滑筋は、自律神経系の両方の分裂によって神経支配され、それは血管の周りに繊維の密な神経叢(「血管周囲神経叢」)を形成する。軸索終末はまた、間質の至るところに見られ、非血管平滑筋、内在性脈絡膜ニューロン(ICN)、及び可能性のある他の細胞型で終結する。眼神経を介して三叉神経節に突出する一次求心性感覚線維もある。これらのうちの幾つかは、血管及び内在性脈絡膜ニューロンの上及び周囲で終結するペプチド陽性側枝を引き起こす。
図6は、以上のヒトの解剖眼窩を示す。図6では、細くて暗い矢印は眼窩の隣の針の配置を表す。この領域における血管及び神経の近接及び存在は、黄斑及び脈絡膜色素上皮への神経血管の貫通を伴うボツリヌス毒素製剤の強膜の後面へのアクセスを可能にすることに注目されたい。注射は、翼口蓋窩内の自律神経及び/又は感覚神経をターゲットとする。
図7は、眼球外投与後に神経浸透及び眼浸透を伴うトランスサイトーシスを示す。各方向における軸索に沿った輸送及びトランスサイトーシスは、眼球(脈絡膜、網膜色素上皮及び神経網膜)への浸透を達成する。樹状突起−軸索貫通、新しい軸索及び樹状突起への細胞トランスサイトーシス(逆行性貫通及び輸送)もまた、幾つかの実施形態において利用され得る。
脈絡膜への主な副交感神経入力は、翼口蓋窩内に位置する翼口蓋神経節に由来する(図6)。これらの繊維は主にコリン作動性であり、そして血管拡張因子、血管作用性腸管ポリペプチド(VIP)及び一酸化窒素(NO)が豊富である。これらの神経は、翼口蓋窩(眼と眼窩の外側)の領域に注射が与えられる際に、眼へのボツリヌス毒素の浸透と輸送のターゲットである。脈絡膜の交感神経支配は上頸神経節に由来する。これらのノルアドレナリン作動性ニューロンは血管で終結して血管収縮を媒介する。この解剖学的配置は、頸部注射が軸索流によって眼を貫通することを可能にする。
脈絡膜は、中心前部反射弓又は軸索反射(局所刺激(化学的又は機械的)が最も近い側副(枝)に移動する感覚終末を脱分極させる非シナプス反応である)において、P物質及びカルシトニン遺伝子関連ペプチドなどのペプチドを使用して、ペプチドを効果組織上に放出するが示されている。この反射の証拠は、ブドウ膜と脈絡膜の三叉神経節からの一次感覚求心路に見つかっている。反射は、血流や他の様々な機能の変化を媒介することがある。例えば、哺乳類と鳥類の両方において、三叉神経の眼枝を介して脈絡膜から三叉神経節に突き出ている感覚線維が血管拡張を誘発する。これらの終末はP物質及びカルシトニン遺伝子関連ペプチドに対して陽性である。
ボツリヌス毒素は、側副軸索流が可能な任意の末梢神経経路を介して輸送され得、そして場合によっては、トランスサイトーシスを介して脈絡膜及び網膜色素上皮構造に浸透し、黄斑におけるターゲット組織に対する生物学的効果を達成し得る(図7参照)。
静脈内送達は、眼への軸索原形質送達と相互に排他的ではない。海綿静脈洞(中心部を通る頸動脈を有する静脈洞)への拡散は、その表面全体に交感神経を含む頸動脈サイホン(交感神経叢)の近くに毒素分子を持ち運ぶ。海綿静脈洞の頸動脈表面を囲っている自律神経へのボツリヌスの結合は、眼動脈に沿って眼窩に、そして最終的には後眼部及び黄斑に軸索流をもたらし、神経筋接合部に影響を及ぼす。
静脈は、眼周囲領域及び鼻部から、そして眼の内部を流れる渦静脈の近くの眼窩静脈の近くの下眼窩裂を介して流れる。静脈吻合は、脈絡膜及び網膜への送達のための別の導管を可能にする。
(軸索流(脈絡膜及び網膜への進入のためのユニークな導管))
放射標識された全長BoNT/Aを用いた初期の実験では、ネコ腓腹筋に筋肉内注射すると毒素が前根及び隣接する脊髄セグメントに転移することが示された。同様に、放射標識されたBoNT/Aは、マウスへの末梢注射後に有髄軸索の軸索原形質内に示されている。脳幹運動ニューロンにおけるBoNT/Aの投薬量依存的逆行性輸送は、ネコにおける電気生理学実験及び超微細構造実験によっても示された。さらに、ボツリヌス毒素のセグメントはまた、軸索流を受けることが注目されている(HcAセグメント)。完全長ボツリヌス毒素及び結合セグメント形態の両方は、軸索を介した長距離輸送を受けることができる。この現象は、本発明及び事例で実証されている1つの送達メカニズムで活用されている。ラット交感神経ニューロンの区画培養において、BoNT/Aは、遠位区画に高濃度で適用されると、細胞体内に逆行性に移動する。しかしながら、BoNTの逆行性輸送は、主に間接的に、即ち投与部位から離れた放射能又はBoNTで切断された基質の出現を観察することによって推測されてきた。したがって、BoNTの長距離輸送に使用される動態及び細胞内経路は不明のままであるが、ごく最近になって、ニューロンの軸索及び細胞体に沿ったSNAP 25溶解活性に対する経時的な追跡は初期観察に役立っている。経細胞輸送は実証されており、そして本発明の種々の実施形態において操作可能である。
軸索原形質輸送ならびに脈絡膜及び網膜構造への効果に加えて、ボツリヌス毒素A及びそのセグメントならびに関連タンパク質を同時に又は抗VEGFタンパク質を含む融合タンパク質複合体の一部として使用して、より高くより持続的な生物学的効果を高め、障壁機能を増強し、漏出を停止し、血管新生とその病理学的効果を抑制し、及び/又は細胞内RPE構造タンパク質発現を変化させる。組み合わせた分子手法は、眼内注射なしで、そして網膜色素上皮完全性を含む細胞メカニズムをさらにターゲットとする担体タンパク質を使用して、抗VEGF薬を脈絡膜に持ち運びための代替方法を提供する。そのような製剤は、ボツリヌス毒素(例えば、A型の亜型)又は断片(例えば、HcA、結合ドメイン)、抗VEGF剤の融合付加(例えば、抗VEGF剤、Avastin(登録商標)又は抗VGF特性を有する別の融合タンパク質の非融合添加)、ならびに安定性及び神経細胞軸索取り込みを容易にすることが知られている安定化賦形剤のうちの1つ以上の使用を含み得る。
抗VEGF剤は、軸索流によって関与し、抗VEGF剤との経細胞輸送を受けるボツリヌス又はその断片によって送達することができる。抗VEGF剤は、新しい血管の成長からの漏出の逆転、新しい血管の退行、基底膜及び隣接する細胞への強固な網膜色素上皮細胞間付着の増強及び促進、並びRPE変性を助長する細胞内構造タンパク質の逆転を引き起こす。この製剤はまた、網膜血管循環と反応して、網膜血管毛細血管及び後毛細管小静脈からの漏出を制限し得る。
開示された製剤は、従来のパラプラナ注射、眼内注射、又は他の種類の眼外注射と共に使用することができる。さらに、幾つかの実施形態では、1つ以上の融合タンパク質及び軸索原形質輸送を使用してユニークな製剤を製造することができる。幾つかの実施形態では、開示された製剤は、抗VEGF剤の従来のパラプラナ注射(眼内)と共に使用して、単一の抗VEGF単独の使用に関して効力増強を生じさせることができる(実施例参照)。さらに、1つ以上の抗VEGF剤を本明細書に記載のボツリヌス毒素製剤と共に含め、(本明細書に記載の)眼球外送達方法により適用して効力を増強することができる。
(AMDに対するボツリヌス毒素の眼窩周囲注射)
前述のように、ボツリヌス毒素の眼窩外注射は、軸索流を介して黄斑へのボツリヌス毒素の送達をもたらし得る。黄斑送達を助長する解剖学的配置は、翼口蓋窩に向かってかつ下眼窩裂の外側部分の近くに斜面を向けて頬骨弓の上に針を配置することを含む。下眼窩裂は、(上眼窩裂とは異なり)非常に前方に延びており、2cmの針が非常に裂溝に近づくことを可能にする。この裂溝を通して突き出る翼口蓋神経節の突起は、眼球にボツリヌス毒素を供給し、且つボツリヌス毒素を自律神経シナプス及び海綿静脈洞に向かって流れる静脈に近接させる。この注射箇所からのボツリヌス毒素の眼球への浸透は、この解剖学的配置によって促進され得る。海綿静脈洞内の毒素は、眼部、網膜動脈及び毛様体動脈を介して網膜上の交感神経自律神経に浸潤する(ボツリヌス毒素神経対静脈の対向流運動)ことができる。ヒトの脈絡膜に記録されている神経節は、おそらく翼口蓋神経節による神経支配をピックアップする可能性が最も高い。これらの神経節は、しばしば眼球の後極に近接して見られる。このユニークな注射位置には、主要な血管や重要な構造がないため、非常に低リスクの手順をもたらす。感覚神経(V2)と自律神経は裂溝に密接に当接し、裂溝はいくらかの眼窩と眼球への浸透を可能にし得る。これら及び他の実施形態では、他の眼窩外領域も注入ポイントとして使用され得る。
(Rhoキナーゼ)
本明細書中に記載される本発明のユニークな態様は、A型ボツリヌス毒素がRhoキナーゼ調節作用を有し、そして細胞構造のアポトーシス的変化を予防するのに重要なアクチン及びカドヘリンの発現に影響を及ぼし得る(プログラムされた細胞死サイクル)。ボツリヌスC3型は非常に有意なRhoキナーゼ活性を有することが長い間知られている。本明細書では、ボツリヌス毒素の免疫型Aによる効果は、複視眼瞼位置異常や眼瞼虚弱などの付随する機能障害を有する筋力低下を引き起こすのに必要な下の局所投薬レベルで類似又は同一の効果を達成することであり、本発明の操作可能な構成要素である。Rhoキナーゼは、アクチン細胞骨格と効果的に相互作用して同化遺伝子発現を引き起こし、細胞、組織及び臓器機能を変化及び増強するような様式でアクチンの急速な代謝回転及び発現を増強することができる。網膜色素上皮相互作用(糸状角膜炎)に関連する他の眼組織に対する効果は、実施例3に関して考察される。
上皮障壁に対する効果は、糸状角膜炎として知られる別の眼症状において実証され、それはRPEに対する理解効果のための表面モデルとして役立ち得る。これは、ドライアイ症候群、ならびに上皮シート及びその下にある基底膜への付着から分離する上皮株を特徴とする炎症性症候群を伴うことが多い症状である。病気に罹らせる患者におけるプロセスは慢性的であり得、そして視力喪失、疼痛、羞明、及び不随意の閉眼に関連し得る。ボツリヌス毒素は、眼瞼の間の空間(眼瞼裂)を閉じ眼球表面を保護するための手術である外科手術瞼板縫合を模擬するために、過去に様々な形態の角膜潰瘍を治療するように眼瞼を閉じるのに使用されてきました。これらの記載において、接着分子に対するボツリヌスの直接の効果、あるいはアクチン−カドヘリンタンパク質又は角膜上皮の結合の増加を引き起こす細胞内又は細胞外のタンパク質に対する効果から、上皮及び上皮の細胞構造に対するボツリヌス毒素の固有の効果、細胞間の接着及び細胞と基底膜との接着に対するボツリヌスの固有の効果についての言及はない。
本明細書では、角膜上皮に対する固有の効果について記載しており、ここで、糸状の減少及び消失を伴う糸状角膜炎の症状を改善する角膜上皮細胞の結合完全性を増加させる。この症状は、局所ボツリヌス滴剤を用いて本明細書に記載の概念によって治療されている。ボツリヌス滴剤は、疾患によって引き起こされる欠陥に対する局所適用を介して眼表面上の上皮細胞へのアクセスを獲得する。ボツリヌス毒素はアクチンの発現を引き起こし、アクチン、カドヘリン及び関連タンパク質の発現及び細胞内組織化を高め、それが上皮の結合及び完全性を高め、糸状物形成の減少及び疾患の改善をもたらす。網膜色素上皮が細胞間の促進、細胞と基底膜の促進から完全性の増加を達成し、ボツリヌス毒素ベースの薬剤によって作り出される細胞内−細胞外機能の特殊化を高めるという類似な効果は黄斑変性症において達成される。ボツリヌス毒素の局所(点眼)使用により、上皮構造に対する有益な効果を達成することができる。
糸状角膜炎の場合、ボツリヌス毒素は以下のように直接観察される。
1.ヒトの眼に細隙灯顕微鏡を使用して、眼球表面への上皮シート接着を強化する。
2.根底にある神経の曝露の減少。
3.慢性疾患における角膜血管新生の減少。
4.露出した神経終末を覆って痛みを軽減する。
5.上皮表面のミクロ解剖学的構造上の増強かつ回復された微絨毛は、(酸素輸送に必要な)涙膜との角膜統合の重要な増強を引き起こす。このような微絨毛の改善は、ドライアイ症候群及び眼球表面の炎症状態、例えば再発性びらんなどに対してボツリヌス毒素を投与するのに有用であり得る。
6.再発率の減少
同様の効果は、基底膜を含む他の形態の角膜炎、例えば再発性角膜びらん、基底膜ジストロフィー(地図‐点‐指紋状ジィストロフィ)、栄養障害性角膜潰瘍、単純ヘルペス角膜炎、甲状腺関連眼表面障害、角膜融解症候群、化学熱傷、眼部瘢痕性類天疱瘡、慢性ドライアイ症候群、酒さ性角膜炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、及び露出性角膜炎を治療するために使用することができる。前述の症状の多くが眼球表面上又はその近くに起こるので、局所製剤を考案することができる。
より高い濃度のボツリヌス毒素を含有する局所製剤は眼に入ることができ、そして毛様体扁平部眼内注射よりも優れた投与方法を提供することができる。
(ボツリヌス毒素製剤)
ボツリヌス毒素製剤の例は、Al〜5型、B型、C1〜C3型、D型、E型、F型、及び/又はG型ボツリヌス毒素を含む。ボツリヌス毒素の断片は、障壁効果の増強に関与する細胞成分の単離されたゲノム発現、VEGF関連経路に対する作用、ならびに現在利用可能な抗VEGF薬、構造タンパク質、構造タンパク質の調節因子、及び炎症調節タンパク質との相互作用を含む特殊な細胞効果を引き出すために使用され得る。開示された製剤は、幾つかの実施形態では、安定化タンパク質、ポリカチオンタンパク質又は浸透物質(アルブミン又はポリカチオン性タンパク質)、リドカインの製剤内での使用又は注射前の投与、SNAP−25相互作用部分を化学的に除去したボツリヌス由来タンパク質誘導体、ボツリヌス複合体に典型的に見られる強化された赤血球凝集素タンパク質を含む製剤、カドヘリン結合タンパク質又はRhoキナーゼに作用することが知られている薬剤による増強、上流及び下流代謝産物及び(ROCK)を含み得る。本明細書に記載のボツリヌス毒素組成物(例えば、A型毒素)によるROCKの調節は、本明細書に記載の多くの病状に対する治療効果に寄与する。
ROCK1は、rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ1としても知られるプロテインセリン/トレオニンキナーゼである。その他の一般名は、ROKβ及びP160ROCKである。ROCK1は、低分子量GTPアーゼRhoAの主要な下流エフェクターであり、収縮力の発生を促進するアクトミオシン細胞骨格の調節因子である。ROCK1は癌、特に細胞の運動性、転移、細胞接着、及び血管新生において役割を果たす。ROCK1は、体内で多様な機能を有する。それはアクチン−ミオシン収縮、安定性、及び細胞極性の重要な調節因子である。これらは、形態、遺伝子転写、増殖、分化、アポトーシス及び発癌性形質転換の調節などの多くの進歩に寄与している。他の機能は、平滑筋収縮、アクチン細胞骨格組織化、ストレスファイバー及び接着斑形成、神経突起退縮、細胞接着及び運動性を含む。ROCK1の調節及び/又は阻害は、RPE細胞におけるストレスファイバー形成の減少に影響を与える。RPE細胞質中のアクチン凝縮によって形成されるストレスファイバーは、加齢黄斑変性症においてしばしば起こり、RPE障壁機能の破壊、及び新血管新生、障害のあるRPE液ポンプ活性、神経網膜の免疫曝露、ニューロペプチドの流入、サイトカイン、及び補体を引き起こす。RPE細胞中のストレスファイバーは、図14A〜14D、並びに図4C、5A、及び5Cに描写されている。さらに、本明細書に記載のボツリヌス毒素製剤は、Rho活性を変化させることによって網膜神経細胞の再生を促進すると考えることができる。幾つかの場合では、これらの製剤は、典型的にBOTOX(登録商標)(A型ボツリヌス毒素複合体)として知られるボツリヌス複合体を含むことができる。
製剤は注射により投与するのが好ましいが、点眼剤で送達してもよい。点眼剤デリバリーは、10〜10,000単位の間で変動し得るが、3,000単位未満が好ましい。異なる製剤による投薬の変更は、文献から導き出すことができる。
好ましくは、剤形の安全性は既存の製剤に対して十分に確立されているが、他の亜型及び非神経筋亜型又は化学的に変更されたタイプのA型ボツリヌスが有用であると予想されるので、A型(又は亜型)又はB型が使用される。
神経毒素のない赤血球凝集素タンパク質のみを含むボツリヌス毒素製剤はまた、神経毒素の弱化及び麻痺効果によって制限されないより大きな生物学的作用を可能にするために、カドヘリンアイソフォーム及び関連細胞内タンパク質などの接着タンパク質に対する赤血球凝集素の効果を単離及び増強するために使用することができる。さらに、ユニークな実施形態では、切断部分がSNAP−25及び神経筋弱化効果を除去するがアクチン及び細胞接着機能に対する効果を保存した神経毒素を含む製剤を治療に使用することができる。そのような製剤は過去に引用されそして研究されてきたが、黄斑変性症のような医療適用における使用又は本明細書に記載された疾患の治療に有益な膜障壁機能への使用は示唆されていない。
切断されたSNAP25活性を有する毒素誘導体からなる製剤はまた、抗VEGF剤のための担体分子として、ならびにアクセサリータンパク質と共に使用することができる。
強化量のボツリヌス関連赤血球凝集素タンパク質を神経毒と共に含むボツリヌス毒素製剤は、神経毒素の弱化及び麻痺効果によって制限されないより大きな生物学的作用を可能にするために、カドヘリン及び関連接着タンパク質及び関連細胞内タンパク質に対する効果を単離し、そして強化するために使用することができる。
(上皮細胞から間葉細胞への変換及びボツリヌス毒素の影響)
一般に、黄斑変性症のほとんどの形態は網膜色素上皮の化生を伴う。この過程は、眼の神経網膜又は硝子体に遊走することができる線維嚢胞細胞へのRPE細胞の変換として記載されている。この過程は重要なことに、細胞間接着の減少を伴う形質転換RPE細胞がその連続シートから剥離して、膜破壊(図1B及び図5D〜5Fを参照)及び脈絡膜内の炎症細胞の可能な抗原認識を可能にし、新しい血管の漏出及び増殖を開始させることを含む。脈絡膜からの新たな血管のさらなる成長は、ほとんどの場合漏出し、サイトカインの蓄積及び神経網膜への有毒な放出を引き起こす。
本明細書に記載のボツリヌス毒素製剤は、アクチンの発現及び/又は調節を引き起こし、障壁機能を維持するために細胞分化及び細胞構造を維持し、網膜色素上皮の上皮間葉転換を停止し、そして黄斑変性症の主要な形態(湿性及び乾性)の両方を効果的に阻止することによって、本質的にこの過程を遅らせるかさらには逆転させる効果を有する。
ボツリヌス毒素製剤による網膜色素上皮からの間葉型への変換障害のために、矯正網膜剥離手術の先導的で盲目的な合併症である網膜剥離の様々な形態に続く増殖性硝子体網膜症を治療又は予防することが可能である。
(臨床の場における治療の目標)
開示された製剤及び方法は、幾つかの場合では、黄斑変性症に罹患している患者の視力を改善及び/又は維持することができる。さらに、ボツリヌス毒素は、黄斑変性症のリスク性がある集団の解剖学的変化を減少させるために使用することができる。
機能的測定は、様々な形態の視力検査、コントラスト感度検査、視野、コヒーレンス網膜断層撮影法又は蛍光眼底血管造影図を用いた解剖学的結果の測定、色覚、OCT、明暗順応測定、又は他の任意の視覚機能測定を含み得る。
開示された製剤は、以下のうちの1つ以上に使用され得る。
1.遺伝子検査又は強い家族歴によって決定される高リスク集団における予防。
2.随伴性漏出を伴う新血管病期への乾性変性の進行を停止する。
3.湿性の段階で乾燥を促進し、脈絡膜血管新生の後退から脈絡膜漏出を減少させる。
乾性黄斑変性症を治療するためのアプローチは、神経感覚網膜と脈絡膜(血管新生の源)との間の障壁を維持することを含む。そのような適用は、網膜色素上皮のレベルで障壁増強剤を用いた注射を行うことを含むので、そのような注射は、第1段階又はより早い段階の漏出を有する黄斑変性症の患者において反復投与に適したリスク度受益度比を達成するために眼外である必要がある。安全因子は、本明細書に記載の投薬レベルでの眼窩周囲注射及び顔面注射に有利であることがよく知られているので、眼球外注射によるボツリヌス毒素は理想的であろう。そのような反復は、視力及び読書能力の急速な悪化に関連する第2段階(湿性変化)に進行する早期黄斑変性症症例に対して予防を提供することができる。
(筋肉弱化神経毒を含まない複合体中のボツリヌス毒素赤血球凝集素、及び黄斑適用における役割(VEGF作用)
ヒトにおけるボツリヌス薬の使用の最初の数十年間、毒素は非共有結合したタンパク質と関連した神経毒素の複合体として投与されてきた。A型分子は、神経毒素、赤血球凝集素タンパク質及び非赤血球凝集素、非神経毒素タンパク質からなる。今日までのほとんどの刊行物は、後者の2つのタンパク質が様々な病状及び化粧品用途のための注射可能なボツリヌス毒素の臨床用途において役割を果たしていないことを示している。
非赤血球凝集素は、形成を貯蔵寿命まで安定化させることができ、赤血球凝集素は、経上皮浸透及び経口摂取されたボツリヌス毒素に対する毒性に重要であり、経口摂取された毒性に影響を与えることが示されている。赤血球凝集素は胃吸収を促進することによって複合体をより毒性にする。まとめると、これらのタンパク質は、部分的に又は組み合わせて使用すると、ヒト網膜に対する効果を増強し、黄斑変性症に利益をもたらし得る。
上記とは反対に、ボツリヌス毒素の斑及び他の上皮への適用は、製剤中のアジュバントタンパク質によって影響を受ける。実際、そのようなタンパク質はエンハンサー、眼への適用を含む上皮構造に対するボツリヌス効力を増強するための独立した医薬品として使用することができ、そして神経毒素の非存在下で使用した場合でも実質的な指向性生物学的作用を有し得る。
本明細書に示された実施例は、赤血球凝集素アジュバントタンパク質との複合体であるBOTOX(登録商標)を使用した。ボツリヌス毒素由来の赤血球凝集素は、胃上皮細胞間の緊密な接合を維持する重要なタンパク質であるカドヘリンEを切断することに直接作用し、ボツリヌス神経毒素の取り込みを増加させてその毒性を増加させる。網膜及び眼への適用と比較してさらにそしてなお一層注目すべきことに、この効果(出版物とは反対に)は、内皮細胞増殖(新血管新生)に関与する重要な受容体との重大な相互作用を引き起こす様々なカドヘリンタイプに影響を及ぼすことができる。実施例1は、黄斑変性症進行の予後の改善に関連する上皮下新生血管膜の漏出及び後退の改善の証拠を示した。さらに、BOTOX(登録商標)の効果は、神経網膜光受容体の死を伴う間葉系線維細胞へのRPE細胞の分化を妨げる。
カドヘリン細胞連結タンパク質は、若年性黄斑ジストロフィー、蝶型ジストロフィー、アッシャー症候群、常染色体劣性杆体錐体ジストロフィーを含む多くの網膜疾患に関与している。カドヘリン遺伝子に対する多くの型付けされた多型がこれらの黄斑及び網膜状態に関連しており、それはRPEの出現及び変性をもたらす。予想外の結果は、カドヘリン溶解に作用することが知られているボツリヌス複合体又は赤血球凝集素を介したカドヘリン活性が、実際には、障壁活性を増強するカドヘリン細胞連結タンパク質の再発現を引き起こし得ることである。
カドヘリンVEは、血管の完全性及び新しい血管の成長にとって重要な血管内皮内に含まれる重要なタンパク質であることが知られている。カドヘリンVEは内皮細胞間の接着を媒介するだけでなく、内皮細胞の生存及び維持にも必要とされる。血管内皮増殖因子(VEGF)は、内皮増殖を維持及び作動させるようにその受容体チロシンキナーゼに結合するためにカドヘリンの形態を必要とする。この程度まで、神経毒素を有するか又は有さない複合体を有する赤血球凝集素は、Avastin(登録商標)、EYLEA(登録商標)の効果を増強することができる抗VEGF、又は他の形態の抗VEGF薬として作用することができる。赤血球凝集素と共にボツリヌス毒素を使用することは、血管の活性及び成長を阻害するようにVEGF機能に作用を及ぼすことができる。この効果は、網膜色素上皮障壁機能、基底膜への付着、細胞極性、微絨毛突出、デスモソームの完全性、及びボツリヌス毒素ベースの製剤によっても生成される網膜色素上皮の機能の適用を増強する。
これらの観察及び適用の偶然の発見は、ある量の赤血球凝集素が何年もBotox−Occulinum(登録商標)中に存在しており、そしてこれらの量の安全因子が非常に高い安全性を示している数多くの臨床試験において試験されていることである。この複合体は、被験体に注射されると神経毒素成分から迅速に解離することが実証されており、遊離の複合体形成タンパク質は忍容性が良好であり、合併症及び実質的な有害事象を引き起こさないことが示される。イオン交換又は他の形態のタンパク質分離を介した赤血球凝集素タンパク質のさらなる単離は、黄斑変性症の治療のための特異的抗VEGFとなるように処方された、おそらくより指向性の高い医薬品の開発を可能にする。メカニズムに限定されないが、本明細書に提示された症例報告は、観察、予想外の薬力学(眼浸透)及び本明細書に記載された新規な用途と一致する重要な薬効から理論及び実践を定式化する基盤を証明した。
ボツリヌス毒素由来の赤血球凝集素は、形成物から神経毒素を除去することによって組換え産生及び精製することができる。A型ボツリヌス及びその様々な亜型については、局所及びマウスLD50アッセイを用いて弱化能力について最終的に生成されたものを試験して、製剤中に残留神経毒素が残っていないことを確かめることができる。製剤は、赤血球凝集に影響を及ぼさないが投薬形態で新血管新生ならびに網膜色素上皮の下での網膜色素上皮細胞漏出及び血管増殖を抑制することができる投薬量で、眼周囲眼窩周囲又は硝子体内形態で投与することができる。
(ボツリヌス毒素複合体形成タンパク質)
ボツリヌス毒素(A型〜G型)の全ての天然に存在する血清型は、非共有結合した複合体形成タンパク質を有し、そして毒素複合体を形成する。複合体形成タンパク質は、ボツリヌス染色体上で互いに近接して位置する2つの遺伝子クラスターにコードされている。第1のクラスターはボツリヌス毒素自体と無毒性の非赤血球凝集素(NTNHA)タンパク質をコードし、第2のクラスターは3つの赤血球凝集素(HA)タンパク質(HA1、HA2、及びHA3)をコードし、ここで、HA3は翻訳後に血清型Aで2つのより小さい成分(HA3a及び3b)に切断される。ボツリヌス毒素血清型A〜D及びGにおいて、これらの成分は2つの異なる毒素複合体(即ち、ボツリヌス毒素及びNTNHA(300kDa)を含む中型毒素複合体及び3つのHA分子(500〜600kDa)も含む大型毒素複合体)を形成する。対照的に、血清型E及びFは中型毒素複合体のみを産生する。血清型Aはまた、より高い分子量(900kDa)を有する第3の複合体を形成する。ボツリヌス毒素D型大型毒素複合体の詳細な分子構造は視覚化されており、神経毒素の14−サブユニット複合体、NTNHA、3つのHA3分子(70kDa分子、HA−70としても知られる)、3つのHA2(HA−17としても知られる)、及び6つのHA1(HA−33)を含む。変性キャピラリー電気泳動方法は、ボツリヌス毒素A型の非常に大きい又はより高分子量の毒素複合体を形成するサブユニットを決定することができ、それが150kDa神経毒素及びNTNHAサブユニットの単一コピー、並びに5−6 HA−17、4−5 HA−23、3−4 HA−48、及び8−9 HA−34サブユニットを含み、880〜1000kDaの合計質量を有する。
ボツリヌス毒素赤血球凝集素の任意の成分は、抗VEGF剤、細胞間、細胞と基底膜又は細胞骨格安定化剤、又は本明細書に記載の眼疾患に対する適用に有用な薬剤としての生物学的活性の評価の候補となる。製剤は、複合タンパク質を有する神経毒素、任意の1つ以上の複合タンパク質、又は複合タンパク質の成分を含み得る。
既存の製剤中の赤血球凝集素の量を増加させることが予想され、痙縮状態(脳卒中後及び脳性麻痺)、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、斜頚、前立腺肥大、足底筋膜炎、ブラキシズム、関節炎状態、筋膜痛、片頭痛、緊張性頭痛、大うつ病(MDD)、苦悶、及び創傷治癒の治療に有用であり得る。本発明者は、前述の状態の多くを悪化させるための増感剤として炎症を観察した。これは、より強力な効果を達成するために、既存の製剤に対してより高い量又は増量のボツリヌス毒素由来の赤血球凝集素によって対処することができる。
(HAの投薬量及び以前に使用され予想されていたよりも高濃度での投薬)
Botox(登録商標)としてのボツリヌスは何十年も使用されているので、ボツリヌス毒素A型複合体(ボツリヌス毒素によるSchantz療法を参照)に由来するHAの量は、5U〜8000U(1U=白マウスのLD50)の間で関連する量の間で変動する一般的に使用されるレベルであると予想される。5〜4000Uの間で関連する赤血球凝集素の量が最も好ましい。
(単離されたボツリヌス毒素由来赤血球凝集素の局所製剤注射可能な製剤用途)
複合体の致死的成分(神経毒素)が存在しないので、全身的弱化が投薬量によって制限されるものではないため、ボツリヌス毒素関連赤血球凝集素のより高い投薬量(800Uを超えるボツリヌス複合体に関連する投薬量)は可能である。本質的にこの概念は麻痺性毒素のないユニークな投薬形態を可能にする。
ボツリヌス毒素由来の赤血球凝集素の局所製剤は、様々な感染症(ヘルペスウイルス、酒さ、眼部瘢痕性類天疱瘡、外傷性損傷、露出性角膜炎、角膜移植後拒絶反応、アルカリ熱傷、ソケットの炎症)からの新しい血管形成及びヒト角膜の瘢痕化、あるいは他の感染変性症又はヒト角膜のジストロフィーを制限するための本明細書に記載の投薬量で有効組成物である。エーロゾルボツリヌス由来赤血球凝集素は、血管漏出を予防し、肺、上部呼吸器系、食道、咽頭、腸管、鼻粘膜、直腸領域の瘢痕化を治療することが可能である。腹腔を介した注入は、腹膜ならびに大腸及び小腸の表面の瘢痕化を予防するために使用することができる。静脈内注入は、肝臓、脾臓、肺、脳、及び他の臓器への転移性腫瘍などの血管新生を促進する悪性腫瘍への新たな血管増殖を軽減するために使用することができる。グレーブス病や自己免疫性甲状腺疾患などの自己免疫疾患と同様にアレルギーでの使用も予想される。滲出及び漏出を予防するためのブドウ膜炎の様々な形態での使用は、眼球周囲、硝子体内、又は静脈内注射によって予想される。糖尿病性網膜症及び失明性糖尿病性血管新生に関連する漏出血管の治療は、ボツリヌス毒素赤血球凝集素活性の「抗VEGF」成分作用によってターゲットとされ得る。幾つかの実施形態では、血管漏出及び瘢痕化を伴う慢性喘息もターゲットとすることができる。湿疹及び炎症性皮膚疾患をターゲットとすることができる。様々な形態の副鼻腔炎を治療のターゲットとすることができる。IGE媒介性浮腫における使用もまたターゲットとされ得る。他の炎症状態が抗VEGF作用について予想され得る。
黄斑変性症のための単離された赤血球凝集素の新規な使用は、分子の神経毒成分から誘発された麻痺に関連する問題を回避し、赤血球凝集素が筋肉麻痺性神経毒との複合体と共に使用される場合よりも多い赤血球凝集素の投薬を可能にする。
(網膜色素上皮に関与する疾患の他の形態への発明の拡張)
網膜の疾患の他の形態は、眼窩外及び/又は眼窩周囲の方法によって与えられるボツリヌス毒素のターゲットとなり得、以下を含む。
1.網膜色素変性症(RP)、退行性、X連鎖性及び優性型
2.ベスト病
3.シュタルガルト病
4.パターン網膜及び黄斑ジストロフィー
5.クロロキン網膜症
6.格子状ジストロフィー(網膜破断の有無にかかわらず)
7.網膜色素線条症
8.バードショット網膜症
9.中心性漿液性網膜症
10.眼ヒストプラスマ症候群
11.アーヴァイン・ガス症候群
12.白点症候群
13.網膜色素上皮の外傷
14.眼トキソプラスマ症候群
15.偽落屑症候群に関連した眼症状
16.PVR(術後増殖性硝子体網膜症)
17.脈絡膜炎に関連するRPE損傷
18.黄斑円孔(部分的及び完全)
19.網膜剥離の初期及び後期(裂孔原性−裂孔関連及び非裂孔原性、非裂孔関連の両方)
20.糖尿病黄斑浮腫
21.糖尿病性網膜症(任意の段階)(ボツリヌス毒素による網膜血管障壁効果の増強、ならびに障壁及び体液漏出機能におけるRPEの増強の両方)
上記の各疾患において、網膜色素上皮の破壊が起こり得、サイトカイン、白血球、抗体、及び光受容体を破壊する様々な免疫反応剤を含有する脈絡膜液の漏出による光受容体の損傷を引き起こし、視力喪失及び失明を招く。
上皮障壁を増加させる薬剤は、加齢黄斑変性症に関連しない状況であっても、光受容体及び視覚機能の保護を増強する色素上皮障壁の完全性の向上を誘発する。さらに、ボツリヌス毒素は神経ペプチド及び他の神経性炎症の薬剤に影響を及ぼすことができ、それは、脈絡膜に輸送されると、黄斑変性症ならびに他の形態の変性性及び炎症性疾患に関連する障壁損傷及びその後の視力喪失を抑制するように作用する。さらに、たとえ効果が遺伝的原因又は他の過程に対処しないとしても、RPE光受容体システムの増強は、食作用、頂端桿体錐体構造の輸送を支持するRPE機能の増強のメカニズムによって光受容体に対して神経保護的であり得る。
網膜色素変性症などの網膜変性の場合、欠損は主に光受容体に関与し得、網膜色素上皮変化が過剰な変性桿体と錐体材料に続発し、これらの材料が食作用を受け、網膜色素上皮細胞において毒性が蓄積し、その後、RPE変性及び機能障害が続く。毒性蛋白質蓄積に対するRPE耐性を増強し得る薬剤は、RPE喪失に基づく視覚悪化を遅らせるであろう。光受容体のレベルでの他のメカニズムが役割を果たすことができる。内皮細胞による障壁膜の安定化はさらに、光受容体の損傷及び保護の進行に対する予防又は移行に有効であり得る。RPにおける黄斑浮腫の原因は、おそらく炎症性オートコイド及び神経網膜に入る抗体に関連し、そして網膜循環における血液網膜関門の破裂を誘発した。浮腫は、血管新生化された脈絡膜からのRPE漏出がRPの進行に重要であり得ることを示唆する。微絨毛の保存、膜下領域でのアクチン刺激に基づく食作用の効率の向上、光受容体における蓄積された機能障害ロドプシンタンパク質の代謝回転の増加などのRPEのさらなる固有機能は、網膜色素変性症の様々な形態で経時的な視力喪失の軽減に役割を果たす。
遺伝的欠損は網膜色素変性症に関連し、網膜色素変性症は、進行性のしばしば終わらない視力喪失につながる夜盲症及び神経網膜における桿体と錐体の変性に関連する遺伝子疾患である。
(増殖性硝子体網膜症(PVR)及び上皮間葉転換(EMT))
PVRは、網膜剥離手術の後に発生する最も壊滅的な合併症の1つである。ここでのRPEの反応は、EMTを経ることであり、細胞が硝子体内に増殖し線維細胞に転換して牽引膜をもたらし、牽引膜が再発性の網膜剥離を引き起こす。再発性の網膜剥離は既存の手段では不十分に治療されている。眼球外投与又は眼内投与によるボツリヌス毒素の適用は、網膜色素上皮を線維性移行性転換から安定化させ、網膜剥離手術を取り巻く線維性転換の緩和をもたらす。手術前、手術中及び手術後の予防薬としての適用は、この合併症の発生率及び進行を減少させるための有用な手段であることが証明される。
偽落屑症候群は、細胞間接着における異常に関連するさらに別の症状である。ここでは、ブドウ膜からの色素上皮細胞の遊走は、小柱網における細胞蓄積によって緑内障を引き起こすことが多い。眼内又は眼球外注射によるボツリヌス毒素の使用は、色素細胞間の接着を強化して色素分散を少なくし、この疾患を治療するための新規な方法を可能にし得る。さらに、この症状は水晶体及び小帯脱臼からのより高い白内障手術合併症率と関連し得る。この薬剤は、色素上皮と小帯の間のより緊密な連結を刺激するために使用することができる。
幾つかの実施形態では、ボツリヌス毒素を含む製剤は、表面上皮潰瘍の治療及び生物学的組織障壁の安定化のために患者に注射又は局所適用することができる。ボツリヌス毒素は、痙攣性筋収縮の治療、筋肉の緊張に影響を与える筋肉の弛緩、分泌の原因となる自律神経機能の遮断、様々な原因の頭痛などの疼痛の感覚の低下、及び筋肉で生成された皮膚皺の平滑化に従来使用されている。非筋肉部分及び皮膚の領域への適用は、本明細書に記載されているメカニズムによる上皮の引き締めを引き起こし得る。
ボツリヌス毒素の別の新規な適用は、局所的に又は注射によって使用されると、上皮性潰瘍の急速な治癒をもたらすか、又は黄斑変性症以外の様々な疾患過程によって破壊された生物学的組織障壁を安定化する。その効果は新しい生物学的観察を中心にする。前記観察では、アクチン及び関連する細胞構造細胞内要素はボツリヌス毒素によって刺激されて、注射後に細胞構築タンパク質の上方制御を引き起こし、細胞骨格の強化、細胞内部構造の維持、並びに細胞間接着の強化、アクチン産生の強化、及び生物学的障壁を支持及び強化する細胞間の微小管交差連結の強化による細胞構造の保存を引き起こす。
ターゲットとされた潰瘍は、結腸、四肢及び下脚に沿った皮膚に発生し、褥瘡、圧迫性潰瘍、口腔及び舌の潰瘍、食道潰瘍、胃潰瘍、治癒不良の外科的及び皮膚創傷、熱傷誘発創傷、血管炎誘発潰瘍、細菌及び真菌による感染症、外科的に誘発された骨周囲、直腸潰瘍形成、放射線誘発潰瘍形成、口腔及び歯肉潰瘍、歯肉退縮、結膜潰瘍、感染後潰瘍を含む。これらの注射については、注射可能な局所送達方法が有効である。
重要な上皮/内皮障壁には、網膜色素上皮障壁だけでなく、角膜上皮の完全性、尿道及び膀胱における泌尿器系上皮障壁、血液脳関門、血管及び角膜内皮における内皮障壁、GI管による内皮微絨毛の修復、及び齲歯や歯周疾患の発生に重要な歯科歯肉障壁の強化が含まれる。生物学的障壁は、ターゲット臓器及び関連組織の健康維持に必要な障壁の完全性の強化を引き起こす、アクチン及び関連タンパク質の細胞骨格の増強によって強化される。
ボツリヌス毒素は、痙性筋肉を治療し、一時的に腺(エクリン腺及び皮脂腺、唾液腺、前立腺、涙腺、鼻粘膜からの粘液分泌物、胃酸における酸性の分泌物)を除神経するために従来から使用されておる。筋肉ターゲットは、アセチルコリンの血管放出の遮断物によってアセチルコリン放出を遮断することによって神経原性筋萎縮を引き起こす筋神経遮断を誘発することであった。ターゲットは、SNAP−25(エキソサイトーシスに必須のメカノ融合タンパク質)の切断を引き起こす細胞質への軽鎖の貫通を伴う膜受容体へのボツリヌス毒素重鎖のC末端を介したシナプス前膜への重鎖の結合を含む。神経筋接合部の遮断は、作用が関与する領域をターゲットとし、合併症を引き起こす望ましくない拡散が起こらないように、注射周囲の投薬量依存性領域で起こる。これらの用途以外、ボツリヌス毒素は、本明細書では、表面の細胞間の完全性を高め、表面の障壁機能を高め、老化又は疾患の過程で起こる変性変化から表面を維持する機能を果たすように、上皮表面の完全性を高めるために使用される。
細胞効果は、効果的かつ決定的に治療することは困難でありそしてしばしば不可能である新規の適応症へのボツリヌス毒素の適用を増強する。本発明は、神経筋注射遮断に関連する以前に記載された「付帯徴候」に由来する。ボツリヌス毒素の注射は、シナプス前小胞からのアセチルコリンのエキソサイトーシス、弛緩性筋麻痺、及び続いて起こる筋細胞の萎縮の遮断をもたらす付帯徴候は、神経筋接合部から離れた芽の成長を伴う、神経筋遮断周囲の神経発芽を含む。以前の観察者は、この細胞応答が神経筋遮断に継発するものにすぎないと解釈していたが、この説明は以下の所見を無視している。即ち、この効果は、アクチン及び関連細胞構築タンパク質を増強するボツリヌス毒素の直接的効果であり、アクチン及び関連細胞構築タンパク質は毒素及び関連タンパク質によって直接刺激されて、発芽を引き起こすアクチン及び関連細胞構築のタンパク質合成及び発現が増加する。この所見は、本明細書に記載されている発明及び臨床的応用に使用可能であり、毒素がターゲット組織に利益をもたらす細胞内過程を定義する。
アクチン及び関連する接着ならびに関連するタンパク質細胞構造は、多くの細胞及び細胞組織の機能、寿命、及び障壁の完全性にとって重要である。プログラム細胞死は、細胞骨格タンパク質の自発的な細胞破壊によって起こる可能性があり、そのようなタンパク質は細胞の極性、特異性、及び細胞接着にとって重要である。破壊された細胞及び組織におけるアクチン及び関連タンパク質の上方制御は、炎症、変性、感染、代謝異常、外傷、又は熱傷によって引き起こされ、細胞及び組織が死及び破壊に抵抗するのを支援する。ボツリヌス毒素のこの本質的な効果は、治癒過程、創傷治癒の増強、上皮治癒の増強及び治癒速度を補助するためのボツリヌス毒素の使用の実施にとって重要である。細胞骨格増強薬は、様々な原因に基づいて細胞を破壊から保護するために使用するのに非常に役立ち得る。
(C2及びC3と類似の、細胞骨格変化を達成するボツリヌス毒素型(局所適用及び注射))
ボツリヌス毒素は、A(1〜5)型、B型、C型、C2型、C3型、D型、E型、F型、G型として存在する。C2及びC3型毒素は、アクチンの溶解、組織及び細胞の浸透性の増加、ならびに細胞毒性効果を引き起こす完全性に影響を及ぼすことによって、細胞死につながる細胞毒性効果を引き起こす。他の神経毒は、弛緩性麻痺、呼吸麻痺からの窒息による有機体死を引き起こす。本発明の本質的な構成要素は、より低い投薬量での適用によるボツリヌス使用の細胞保護効果として、アクチン及び関連タンパク質産生に対する細胞内及び細胞間増強効果を達成するための様々な形態の非C2型、C3型毒素(例えば、様々な形態のA型毒素)を使用することを含む。実際には、様々な形態及び投薬量(濃度)のボツリヌス毒素は、組織型及び細胞周期に依存する細胞骨格タンパク質に対して相反効果を及ぼすことができる。この所見及び派生的応用は、本発明の実施を理解するために不可欠である。A型ボツリヌス毒素は、細胞骨格の増強及び保存によって、本明細書中に記載される所定の投薬量及び適用方法で保護的であり得、毒性ではない。この概念は、A型などのボツリヌス毒素の特定のアイソフォームの既知の効果に対して直感に反する。
(上皮表面)
上皮表面は、健康及び様々な形態病気や外傷に対する回復力にとって重要な細胞及び組織の完全性要件を有する傾向がある。
皮膚と粘膜は人体の明らかな上皮表面である。皮膚は体内の水分量を維持し、湿度、温度、対流の変化による生命を脅かす脱水症を防ぐように機能する。皮膚は、生物学的障壁の機能にとって重要な、締まり扁平上皮細胞を含む。これらの細胞は胚細胞から生じる。胚細胞は、基底膜に、及び上皮表面に対して垂直な平面上で互いに密着している。アクチン及び関連する微小管構造はこれらの細胞の細胞質において強く発現されており、そして熱傷、ウイルス性疾患、外傷、自己免疫疾患、変性症状、及び遺伝性欠陥のような種々の傷害に反応する。機能的障壁としての皮膚の寄与にとって重要な細胞内要素には、経細胞管状組織化、デスモソーム及びヘミデスモソームを含む多数の接着、ならびに細胞膜の完全性を可能にする皮膚細胞のアクチン及び微小管組織化が含まれる。アクチン及び関連するタンパク質の異常を含む疾患及び遺伝的実験モデルは、構造変化、脱水、タンパク質の喪失及び損傷ならびに構造的な皮膚の外観の悪化をもたらす障壁の破壊を引き起こす。
本明細書では、以下のように皮膚細胞のアクチン及び関連微小管要素を変更させるアプローチが記載されている。
1.蒸発、タンパク質漏出、プロテアーゼ酵素の放出、免疫グロブリン、及び白血球が上皮障壁に有害である可能性があるように、皮膚障壁の完全性は局所又は注射可能なボツリヌス毒素によって維持される。
2.潰瘍形成や他の形態の皮膚の不連続性をより効果的に治癒することができるように、上皮細胞の完全性と増殖を高める。
3.創傷潰瘍が皮膚圧迫性潰瘍、顔面神経麻痺又は 眼球突出による眼球露出潰瘍、逆流による食道粘膜の食道潰瘍、放射線療法や化学療法などの刺激物による膀胱潰瘍、活動性又は過去の十二指腸潰瘍を有する患者における消化性潰瘍、細菌又は遺伝的素因からの歯肉上皮の崩壊による歯肉圧排などを形成しないようにする予防療法としての機能。
粘膜表面も潰瘍形成、及び障壁の完全性の喪失に関連する機能障害にさらされている。そのような完全性の喪失は、粘膜表面の障壁機能及び他の細胞機能をさらに損傷する可能性がある酵素、免疫グロブリン及び関連細胞要素、例えば多形核白血球の漏出を招くことができる。ボツリヌス毒素は、注射により又は局所的に適用されると、粘膜細胞構造に微小管変化を引き起こして上皮細胞の障壁機能の向上を可能にすることによって粘膜上皮障壁の完全性を高めるように機能することができる。
本明細書では、粘膜及び細胞間結合タンパク質(カドヘリン)細胞のアクチン及び関連微小管要素を以下のように変更するアプローチが記載されている:(1)蒸発、タンパク質漏出、プロテアーゼ酵素の放出、免疫グロブリン、及び白血球が上皮障壁に有害である可能性があるように、皮膚障壁の完全性は局所又は注射可能なボツリヌス毒素によって維持される。及び/又は、(2)潰瘍形成や他の形態の皮膚の不連続性をより効果的に治癒することができるように、上皮細胞の完全性と増殖を高める。
適用可能な粘膜表面の例は、結膜、膣、直腸、肺胞、糸球体及び腎尿細管、腸、胃、食道、鼻粘膜、口腔粘膜、歯科−歯肉粘膜(歯周疾患)、細気管支及び気管粘膜、膀胱粘膜、尿道粘膜、尿管粘膜、ならびに/又は胆嚢粘膜及び胆管粘膜を含むが、それらに限定されない。
従来、ボツリヌス毒素は、神経筋脱力効果に基づいて動的なライン及び皺を除去するために使用されている。このアプローチは、数十年にわたって採用され、10億ドルの収益市場の源である。このアプローチはまた、エンドポイントとして強制眉間しわ線を使用するこれらの適応症に対する米国FDAの承認経路のターゲットとなっている。筋肉注射は、好ましい審美的結果を生み出すための注射のターゲットとして記載されている。
開示された処方物及び治療方法は、幾つかの場合において、上皮表面における細胞間接着を強化し、審美的用途に対するより多くの洞察及び有用性を提供し得る。筋肉組織から離れた表面上の複数の穿刺部位の非筋肉領域への注射によるボツリヌス毒素の適用は、皮膚のきめに有益であり、そして非動的皺(静止した筋肉の緊張又は筋肉の収縮によって生じない皺)の除去に有効であり得る。開示された製剤は、筋力低下効果を生じるのに必要な部位よりはるかに低い複数の穿刺部位に沿って送達されてもよい。
(Rhoタンパク質ファミリーに対するボツリヌス毒素作用)
特定の免疫型のボツリヌス毒素は、細胞傷害を引き起こし、非神経筋メカニズムによって中毒を引き起こす細胞毒として作用することが知られている。これらはC2及びC3型ボツリヌスであり、化学効果と細胞効果の両方で特徴がある。これらの毒素は、アクチンによりアクチン溶解を増強し、及び血管漏出、血行動態不安定及び死を伴うタイトジャンクションの破壊を増強することが知られている。この毒素は、アクチン形成及び完全性を妨げるADPリボシル化毒素として作用する。最近、A型ボツリヌス毒素は、どの線維芽細胞の遊走及び機能を妨害し、そして皮膚瘢痕を減少させることが示されている。他のボツリヌス毒素が、アクチン形成及びアクチンに関連する細胞機能(例えば細胞運動性)、ならびに組織の機能的な完全性を損なうようにアクチン細胞骨格要素に影響を及ぼすという所見は、観察者によって示される。毒素が細胞機能の障害を引き起こすために高投薬量で与えられるとき、これらの生物学的効果は負である。
細胞運動性は、Rhoタンパク質ファミリーのメンバー(Cdc2、Rac、Rho)からこの機能を達成するために迅速に起こるアクチン細胞重合及び溶解を必要とする。これらのタンパク質はまた、多くの組織障壁機能にとって重要な細胞極性、運動性の維持にも関与している。
上記とは反対に、本明細書に記載の発明は、障壁細胞に対する正の効果を有し、それにより非運動性上皮細胞のための細胞間の接触及び細胞と基底膜の接触を向上及び強化する。非運動性上皮細胞は、生物学的障壁を構成し、欠損が存在するときに細胞遊走を増強する(抑制しない)か、又は上皮の接着及び形質転換に欠損が存在するときに疾患過程に重要な生物学的障壁を増強する。バリア機能障害の改善は、毒素による細胞構築効果に起因する。A型ボツリヌス毒素は、神経由来細胞培養におけるアクチン繊維の再構成と関連しており、関連するC2型、C3型及びD型毒素とは反対の効果を示している。細胞間接触を破壊するのではなく、A型毒素は、細胞間接触を強化し、生物学的障壁の完全性を高め、上皮障壁の機能を向上し、そして内皮及び上皮細胞障壁における欠損をシールするように上皮及び内皮増殖を促進する構成でアクチン及び関連タンパク質に細胞骨格を再構成することができる。そのメカニズムは、Rhoファミリーの類似酵素と相互作用してアクチン及び関連タンパク質の再構成の相対速度を調整し、それによりタイトジャンクションが向上し、アクチンとその付着タンパク質カドヘリン及び特殊な細胞中間径フィラメントとの生物学的相互作用が細胞機能及び障壁機能を向上させることに関連し得る。
上記は開示された報告に反しているように思われるが、それは単に神経筋効果が投薬量によって制御されるからである。これらの細胞学的効果はまた、本明細書に記載されている医学的状態を治療するために従来使用されている投薬量の影響を受ける。そのような投薬量は、アクチン、カドヘリン相互作用からの接着の向上を伴う細胞骨格へのサブリミナル効果に基づいて疾患過程を軽減するために、障壁及び細胞接着性を向上させて上皮障壁内の機能を高めるようにアクチン骨格を調節することができる。
(複合体対純粋な神経毒素)
製薬設計における現在の努力は、ボツリヌス毒素調製物からアクセサリータンパク質を除去することを探求してきた。これらのタンパク質は、赤血球凝集素及び非赤血球凝集素非神経毒素タンパク質を含む。最近、ボツリヌス関連タンパク質赤血球凝集素は、組織型におけるカドヘリンタンパク質の相互作用及び弱化と関連している。カドヘリン相互作用は神経シナプスの完全性を維持するのに重要であり得る。この破壊は、シナプス前ニューロンのアクチン細胞要素をさらに破壊し、シナプス前構造でのボツリヌス毒素の取り込みを増強して、ボツリヌス毒素の取り込みのより効果的な浸透を引き起こし、注射用又は局所適用のボツリヌス製剤の効力及び有効性を高めるのにきつい。カドヘリンタンパク質との相互作用は、細胞及び組織の修復のためのカドヘリン及び関連タンパク質の増強を引き起こすゲノム応答を誘発し得る。
ボツリヌス毒素の幾つかの製剤の有効性は、ボツリヌス複合体と同等ではないことが臨床医によって観察されている(BOTOX(登録商標) vs XEOMEN)。ニューロンへのボツリヌス毒素の浸透性を増強することができる任意の膜相互作用物質は、効力を増強するために有用であり得る。最近、運動ニューロンの軸索先端への浸透を増加させるように設計されたアジュバントポリリジン(ポリカチオン)に基づいて効力が増加したことを報告した、ライチス及び成人発症痙性斜頸に関する2つの研究がある。軸索先端へのニューロンの浸透を増大させそして効力を向上させるように、赤血球凝集素の濃度を増加させて筋肉から軸索神経先端細胞間付着タンパク質への製剤の効果を高めるための代替方法が本明細書に記載されている。
(第1段階の黄斑変性症の予防療法)
本明細書に開示される療法は、幾つかの実施形態において、Eylea(登録商標)、Lucentis(登録商標)、及びAvastin(登録商標)などの抗VEGF医薬品を使用する際の現在の配置方法を代表する硝子体内注射に対する良性配置代替物を含む。幾つかの実施形態では、開示された方法は、ハイリスク患者、第1段階のAMDと診断された患者、及び/又は地図状萎縮もしくは第2段階(滲出性)のAMDに進行するハイリスクの特徴を有する患者に対して、予防的治療を提供する新規治療アプローチの機会を提供する。
現在の実施では、黄斑変性症は、疾患が新たな血管の増殖及び網膜色素上皮の下又は上での新たな血管の増殖による網膜内及び網膜下の漏出を含む急速な視力破壊の第2段階の変性まで進行する前に、第1段階と診断されることが多い。幾つかの実施形態では、黄斑変性症に関連すると指摘された高リスク多型遺伝子構造についてのゲノム試験に基づいてAMDの高リスク患者を特定することを含む黄斑変性症の任意の段階を予防する方法が提供される。これら及び他の実施形態では、方法は、後眼、黄斑又は眼内構造へのボツリヌス効果を可能にするように、眼窩、眼窩外、眼窩周囲領域(副鼻腔又は側頭)、及び/又は翼口蓋窩外側眼窩領域に眼球外注射を提供することを続ける。この方法は、黄斑変性評価について本明細書に記載されている方法を使用して、患者を監視し、最終的にターゲットとなる眼又は両眼上の黄斑変性の発生率を減少させ続けることができる。
開示された方法に関連して使用され得るAMDの発症及び進行に対するリスク因子がある。たとえば、考えられる可能性があるリスク因子は、ドルーゼン及びドルセノイド病変の数と体積、ターゲット又は反対側の眼における地図状萎縮の程度及び位置、神経網膜への高反射焦点の数及び位置(どちらの位置がドルーゼン−ドルセノイドの上にある)、IS−OSラインや外核層の連続性の喪失及び崩壊、色素沈着過剰又は色素沈着低下、ドルーゼン内の高反射率及び堆積物、ドルセンの数及びサイズの動的な変化、高反射焦点、IS−OSラインONL、ならびに偽ドルーゼンの存在及び数を含むが、これらに限定されない。さらに、遺伝子検査を開示された方法と関連して採用して、重度の黄斑変性症に関連する多型ならびに重症疾患に関連する補体因子及び他の遺伝子を評価することができる。
(黄斑浮腫)
黄斑浮腫の原因は数多く知られている。例えば、黄斑浮腫は、糖尿病に関連していることが多く、網膜内の損傷した血管が、少量の血液を含む体液を網膜内に漏出し始める。これは、糖尿病に関連した視力喪失の最も一般的な原因である。脂肪の沈着物が網膜の内側に漏出することおもある。この漏出は黄斑を腫脹させる。この状況では、生物学的障壁は、網膜血管内皮によって制限され、且つ網膜循環における周皮細胞を支持している。
白内障手術を含む眼科手術は、血管が刺激を受けて体液を漏出させるため、黄斑浮腫を発症するリスクを高めることができる。白内障手術後に発症する黄斑浮腫は、嚢胞状黄斑浮腫(CME)と呼ばれる。黄斑浮腫の他の幾つかの原因は、1型及び2型糖尿病、加齢黄斑変性症(AMD)、ブドウ膜炎、網膜静脈閉塞症(分枝及び中心網膜静脈閉塞症−実施例8)、放射線による網膜の小静脈の閉塞、黄斑毛細血管拡張症、特定の薬物療法の副作用、及び網膜分離症又は網膜色素変性症、色素失調症などの特定の遺伝的障害を含む。開示された製剤は、これらの症状のうちの1つ又は複数によって引き起こされる黄斑浮腫を治療、予防、又は治癒するために使用することができる方法である。
本明細書に記載のメカニズムにより、網膜血管の周囲に生じる障壁
(内皮細胞及び周皮細胞)は、より少ない漏出、より少ない黄斑浮腫、及び/又は視力の維持をもたらすように増加することができる。これらの適応症のために、黄斑変性症について記載されたのと同様な方式で、注射は、毛様体扁平部(眼内注射)を介して、又は眼の周囲の軟組織注射を介して行うことができる。より大きな浸透を達成するために使用されるより高投薬量の局所適用を使用することもできる。そのようなより高い投薬量は、1〜5,000単位の範囲内である。
(腎機能(障壁機能)及びネフローゼ症候群)
ネフローゼ域のタンパク尿は、1日当たり3グラム以上のタンパク質の尿中への損失である、又は単回尿中もしくは単回尿採取に、尿クレアチニン1グラムあたり2gのタンパク質の存在である。ネフローゼ症候群は、低い血清アルブミンレベルを有するネフローゼ域のタンパク尿と浮腫の組み合わせである。ネフローゼ症候群は、微小変化型ネフローゼ、巣状糸球体硬化症、及び膜性腎症などの原発性腎臓病を含む多くの原因を有する。ネフローゼ症候群はまた、腎臓に加えて他の臓器にも影響を及ぼす全身性疾患、例えば糖尿病、アミロイドーシス、及び紅斑性狼瘡などから生じることが可能である。ネフローゼ症候群は、男女両方、あらゆる人種の成人及び小児に影響を及ぼし得る。それは典型的な形で、又はネフローゼ症候群と関連して起こることがある。後者は、血尿及び腎機能不良を伴う糸球体炎症を含む。
ネフローゼ症候群は、原発性で腎臓に特有の疾患であり得るか、又は続発性で系統的全身性疾患の腎臓症状発現であり得る。多くの場合では、糸球体の損傷は重要な特徴である。間質性腎炎のような尿細管や間質に影響を及ぼす腎臓病は、ネフローゼ症候群を引き起こさない。
ネフローゼ症候群の主な原因には、概略な頻度の順序で、微小変化型ネフローゼ、巣状糸球体硬化症、膜性腎症、及び遺伝性腎症を含む。二次的原因は、概略的な頻度の順序で、糖尿病、紅斑性狼瘡、ウイルス感染症(例えば、B型肝炎、C型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス[HIV])、アミロイドーシス及びパラプロテイン血症、子癇前症、ならびに酵素補充療法からの同種抗体を含む。
ネフローゼ域のタンパク尿は、IgA腎症などの他の腎臓病で発生することがある。Iその一般的な糸球体疾患では、患者の3分の1がネフローゼ域のタンパク尿を有する可能性がある。ネフローゼ症候群は、鎌状赤血球症を有する人に発生し、腎不全に発展することがある。膜性腎症は、移植片対宿主病に関連して、骨髄移植を複雑にする可能性がある。治療的観点から、ネフローゼ症候群は、ステロイド感受性、ステロイド抵抗性、ステロイド依存性、又は頻繁再発性として分類され得る。
健康な個体では、0.1%未満の血漿アルブミンが糸球体濾過障壁を通過し得る。糸球体透過性障壁を越えたアルブミンのふるい分けに関しては論争がある。実験動物での研究に基づいて、次のことが提案されている。進行中のアルブミンの尿中への通過は1日当たり何グラムもの量で起こり、アルブミンの同等の実質的な尿細管取込みがあり、その結果、尿は1日当たり80mg以下のアルブミンを含有する。
しかしながら、尿細管輸送障害を有するヒトの研究は、糸球体尿腔アルブミン濃度が約3.5mg/Lであることを示唆している。この濃度、及び150リットルの通常の1日の糸球体濾過率(GFR)では、最終尿中の1日あたり最大525mgのアルブミンが予想される。濾過されたアルブミンの大部分は尿細管に再吸収されるため、健康状態では、尿中アルブミンは50mg/日未満である。500mg/日を超える量は通常糸球体疾患を示す。
糸球体毛細血管は、糸球体基底膜上に位置する有窓内皮によって裏打ちされており、それは次に糸球体上皮、又は足突起と呼ばれる細胞伸長で毛細血管を包む有足細胞によって覆われている。足の間には、濾過スリットがある。これら3つの構造(有窓内皮、糸球体基底膜、及び糸球体上皮)は、糸球体濾過障壁である。糸球体障壁の模式図は、図8に提供される。
図8は、糸球体障壁の模式図を示す。図8では、略語「GBM」は糸球体基底膜を指し、「ESL」は内皮細胞表面層(しばしばグリコカリックスと呼ばれる)を指す。原尿は、糸球体障壁(矢印)をわたった血漿液の濾過によって形成される。ヒトでは、糸球体濾過速度(GFR)は125mL/minである。血漿流速(Qp)は700mL/minに近く、濾過率は20%である。血清中のアルブミンの濃度は一般に40g/Lであるが、原尿中のアルブミンの推定濃度は4mg/Lであり、又は血漿中のその濃度は0.1%である。
血漿水及び溶質のろ過は細胞外であり、内皮窓及び濾過スリットを通して起こる。有足細胞及び濾過スリットの重要性は遺伝性疾患によって示される。フィンランド型先天性ネフローゼ症候群は、濾過スリットのタンパク質であるネフリンの遺伝子が変異し、乳児期にネフローゼ症候群に至る。同様に、有足細胞のタンパク質であるポドシンは、ステロイド抵抗性の巣状糸球体硬化症を患う多数の児童において異常であり得る。
タンパク尿症を引き起こす可能性がある糸球体の構造変化は、内皮表面、糸球体基底膜、又は有足細胞の損傷である。これらのメカニズムのうちの1つ以上は、いずれか1つのタイプのネフローゼ症候群において見られ得る。アルブミン尿症のみが発生するか、又はより大きな損傷を伴うと、すべての血漿タンパク質(即ち、タンパク尿症)の漏出が起こり得る。
85%以上のアルブミンであるタンパク尿症は選択的タンパク尿症である。アルブミンは正味の負電荷を有し、糸球体膜の負電荷の喪失がアルブミン尿症を引き起こすのに重要であり得ることが提案されている。すべての血漿タンパク質の糸球体漏出である非選択的タンパク尿症は、糸球体の正味電荷の変化ではなく、むしろ浸透性の一般化された欠陥を含む。この構成は、タンパク尿症が選択的である微小変化型ネフローゼを除いて、タンパク尿症の原因の明確な分離を可能にしない。
腎尿細管はまた、細胞間接着及び基底膜への付着における障壁機能によっても支配されている。腎臓又は腎臓に入る神経をターゲットとすることは、障壁機能が不可欠である腎疾患を治療するのに有用であり得る。
ボツリヌス毒素は、細胞間接着及び基底膜への付着に必須のタンパク質を刺激することができるので、糸球体障壁及び尿細管での接着複合体の増強は腎臓病の治療に有用であり得る。腎臓は中部から腰背部近くの後腹膜内にあるので、この臓器は、背筋および軸索原形質輸送がある神経支配を介した臓器を介した注射によりアクセスすることができる。針は投薬量ノモグラムを介して背部注射と拡散から腎臓にアクセスすることができる。幾つかの場合では、治療の目的は、糖尿病による透析の必要性の進行を遅らせること、又は高リスク患者(例えば、進行期糖尿病患者、全身性エリテマトーデス患者、全身性アミロイドーシス患者、パラプロテイン血症、全身性アミロイドーシス患者、又は原発性ネフローゼ症候群)の糸球体疾患を治療又は予防的に治療することであってもよい。
(歯周疾患による歯の喪失)
歯は、歯周靭帯(PDL)繊維によって、周囲の支持する歯槽骨に付着している。PDL繊維は骨から、自然に歯の根元表面全体に存在セメント質の中に入る。それらはまた、取り付け装置によって歯槽骨を覆う歯肉(歯ぐき)組織に取り付けられる。この付着は歯槽骨の頂上又は高さに対して表面的に存在するので、それは骨縁上付着装置と呼ばれる。この装置は歯周疾患に劣化の対象となる。
骨縁上付着装置は、2つの層、即ち冠状接合上皮及びより頂端側の歯肉結合組織繊維からなる。2つの層は一緒に歯肉組織の厚さを形成し、そしてこの寸法は生物学的幅と呼ばれる。プラーク誘発性歯周疾患は一般に、破壊的又は非破壊的に分類される。臨床の付着喪失は、破壊的な(生理学的に不可逆的な)歯周疾患の兆候である。上皮層の質は、歯周疾患の程度と進行を限定する。
上皮層の障壁機能は歯周疾患の予防及び遅延に役立つ。局所適用、局所注射によるボツリヌス毒素の反復使用は、骨減少の質及びPDLの完全性を保護する細胞間接着の増大によって、より緊密なシールをもたらし得る。歯肉炎では、歯周組織の骨縁上領域に局在する炎症が、接合上皮の潰瘍形成をもたらす。これは技術的に臨床的付着の喪失であるが、臨床的付着の喪失という用語は、結合組織付着の喪失を指すためにほぼ排他的に使用されている。反復ボツリヌス注射の使用は、潰瘍形成、上皮びらん、それに続くPDLの完全性の喪失、結合組織の付着、骨の喪失の予防及び治療を可能にする。
(実施例1−従来の治療に反応しない滲出性(湿性)黄斑変性症)
71歳の男性は、実質的な網膜下及び中心窩下液による進行性黄斑変性症と診断され、これは反復のAvastin(登録商標)硝子体内注射及びEylea硝子体内注射(10回注射)に対して無反応であった(図9A〜9E)。患者は、額、輪筋及び深部側頭窩において、100単位の眼周囲ボツリヌス毒素A型(BOTOX(登録商標))で治療され、これにより、その後の注射で抗VEGF剤に対する実質的に増強された応答が中心窩下液の実質的な分解と共にもたらされた(図9A〜9Eを参照)。
患者は、以前の失敗した抗VEGF療法よりも、抗VEGF及びボツリヌス製剤の組み合わせの後に彼の視力が増強されたことを認めた。解釈は、次の抗VEGFの前に与えられたボツリヌス毒素が応答を増強し、そして(先行するボツリヌス毒素注射により)この患者の湿性黄斑変性症を乾燥状態に変換したことであった。
この患者における解剖学的改善は、眼コヒーレンストモグラフィーで記録されたように網膜の平坦化、網膜下及び網膜内液の減少、脈絡膜血管新生膜の減少、及びRPEの肥厚を含んでいた(図9F)。これらの解剖学的所見は、滲出性(WET)加齢黄斑変性症に対する陽性反応に典型的である。
(実施例2−非滲出性黄斑変性症(乾性黄斑変性症))
この実施例の結果は、図10A及び10Bに示される。各眼によく記録している滲出性黄斑変性症を有し、左右の各眼に約20/40の視力を有する高齢女性はボツリヌス注射を受ける。ボツリヌス注射は、頭、眼窩周囲領域、ならびにこの領域内の自律及び感覚神経節構造をターゲットとする翼口蓋窩内の領域への合計約100単位を含む。患者は、約3ヶ月間続いたコントラスト感度と明視度のゆっくりとした改善に気づく。彼女は、視力を維持するために、A型ボツリヌス毒素(BOTOX−A(登録商標)、Allergan)をもう一度注射することを望んだ。眼科検査では、注射前及び注射後の検査で、視力の主観的改善の他の理由を確立することはできなかった。
光コヒーレンストモグラフィーは、ドルーゼン体の平坦化及び後退ならびに網膜色素上皮の表面規則性の向上を示す(図10)。所見は主観的な視覚の改善と同時に起こった。
理論に束縛されることを望むものではないが、眼窩周囲神経構造への注射は、眼内への軸索原形質輸送を可能にし、それにより、網膜色素上皮機能の機能性が向上し、おそらく構造が視力の改善を可能にする。
(実施例3−糸状角膜炎(上皮シートの直接表面検査に基づく角膜上皮の完全性と接着の改善))
71歳の男性が眼瞼痙攣の治療を10年間受けました。彼は40〜80単位の注射後に改善を認めた。同時に、彼は糸状角膜炎を罹患していると診断された。眼瞼への滴剤形態(20単位)及び注射によるボツリヌス投与後、フィラメントは消失したか、又は光感受性の低下、疼痛の減少、視力の改善、及び上皮の規則性の増大(コンピュータ化された反射角膜トポグラフィーによって示される)に関して著しく改善された。上皮の接着性の増加は彼の角膜表面を改善し、視力の改善、表面の歪みの減少、及び付随的な分離したフィラメントの分解を伴う疼痛の減少をもたらした。
(実施例4)
長期にわたる第1段階の黄斑変性症を持っている82歳の女性は、第1段階の黄斑変性症のために約4年間追跡されていた。彼女は、1年間で左眼の視力がいくらか低下することを指摘した。OCT(Zeiss)は、前のスキャンからの変化として、変性した網膜色素上皮上への網膜内液の蓄積を示した(図11A〜11D参照)。以前のスキャンは、RPEのシート構成に不規則性がある乾性変性を示し、その証拠は、神経網膜RPEの遊走によるRPEの不連続性及び分裂(神経網膜に移動する局所高反射性病変)であった(図11A)。
患者に対する副作用のアドバイスの後、ボツリヌス毒素の注射は、幾つかの部位及び眼窩周囲領域で側頭筋下に70単位を使用して行われた(複数の投薬注射)。翼口蓋窩の領域も拡散効果のターゲットとされた。図11Bは、黄斑変性症の湿性種類への転換を伴う中心窩周囲の漏出を示す。
Avastin(登録商標)又はEylea(登録商標)を使用する治療計画は2週間以内に行われた。翼口蓋窩への筋肉下注射は、70IUのA型ボツリヌス毒素を用いて行われた。10日後にOCTサンを繰り返したところ、体液の分解は示されなかった(図11C)。14日後、体液は完全に分解された(図11Dを参照)。
この症例は、軸索流で予想される遅延と一致する約14日を要する効果のテンポを示した。この症例は、第2段階の黄斑変性症(湿性種類)を第1段階に変換することを示しました。Eylea(登録商標)又はAvastin(登録商標)の眼内注射は必要でなく、そして眼内注射は中止された。患者は、継続的なモニタリングを受けた。
(実施例5)
片側顔面痙攣を有する87歳の女性。彼女は4年前に乾性黄斑変性症を発症した。彼女が網膜下腔及び神経網膜への漏出を伴う湿性変性に転化した約2年後、Avastin(登録商標)の数回の注射は視力の改善を伴う神経網膜の乾燥をもたらした。彼女は約2年間安定した状態を保ち、日常のOCT検査では中心窩周囲領域に体液が再蓄積していることが判明した。ボツリヌス毒素注射は、この症状に対して日常的な投薬量で彼女の片側顔面痙攣に対して行われた。さらに、20〜30単位の深部注射を神経節に向けられた翼口蓋窩に向けた。彼女の注射前の写真が図12Aに示される。
A2週間後、中心窩周囲液の改善が起こることが認められた(図12B)。左眼の視力は20/40から20/25に向上しました。中心窩の両側への体液の蓄積が2週間後に大幅に軽減されることに注意されたい。さらに、構造的規則性を高める(RPEの表面平滑性が高められ、白及び黒、並びに外部制限膜及びIS−OS界面がより明確にされる)。10週で、ボツリヌス毒素の持続期間の終了を知り、体液蓄積が再発し始める。10週間で体液が再蓄積した後に注射を繰り返すと、網膜内浮腫が完全に消散した第2サイクルの応答が得られた。投薬注射は100単位に増やした。
(実施例6−黄斑浮腫)
35年の2型糖尿病の病歴を有する90歳の男性が、白内障手術の5年後に黄斑浮腫を発症した。微小動脈瘤/漏出は、検査及び血管造影によって黄斑に記録される。黄斑浮腫はOCTによって記録される。40UのA型ボツリヌス毒素は、眼及び眼窩の外側の翼口蓋窩の領域に注射される。3週間後、黄斑浮腫は完全に消散する。この実施例の実験結果は、図13A及び13Bに提供される。特に、図13Aは注射前の黄斑浮腫を示している。 図13Bは、翼口蓋窩への側頭注射の3週間後に可視的な黄斑浮腫症状の減少を示す(空間的コンピュータ登録による)。繰り返し注射が計画される。
(実施例7−遡及的検討)
初期観察(実施例1)の後、高齢層の疾患である眼瞼痙攣及び痙性斜頸(ボツリヌス毒素で治療)の治療を受けた数百件の一般眼科患者の遡及的検討が進行性加齢黄斑変性について行われた。ボツリヌス注射を繰り返している間、黄斑変性症の進行を有する患者がない。60歳以上の患者にこの共通の問題がないことは珍しいことであり、ボツリヌス治療の併用による因果を示唆している。これらの患者に対する投薬量範囲は、典型的には10〜600単位であった。
(実施例8−中心静脈閉塞症)
他の医学的理由から、5ヵ月間抗VEGF療法を受けることができなかった中心静脈閉塞ODを有する84歳の女性は、極度の黄斑浮腫及び手の動きの視力を呈した。関与する側に50単位のボツリヌス毒素が注射された。2週間後、黄斑浮腫はSD OCTで60〜70%減少し、関与する眼の視覚的改善がいくらか(CF 3 ft)あった。100単位の反復投薬量が患者に与えられた。
(選択された例示的な実施形態)
幾つかの実施形態では、黄斑変性症の発症を予防及び遅延させる方法が提供される。幾つかのそのような実施形態では、本方法は、黄斑変性症に罹患しているか又は失明するリスクがあるヒト又は哺乳動物の患者に、ボツリヌス神経毒、その断片、及び/又は神経毒素関連タンパク質を含む製剤を投与することを含む。これら及び他の実施形態では、ボツリヌス神経毒素、その断片、及び/又は神経毒素関連タンパク質は、ボツリヌス毒素A1〜A5、B、C1〜3、D、E、F、G及びHからなる群から選択される。
別の例示的実施形態では、抗VEGF注射剤の活性を増強する方法が提供される。幾つかのそのような実施形態では、方法は、ボツリヌス神経毒素、その断片、及び/又は神経毒素関連タンパク質を含む製剤を、滲出性形態の黄斑変性症に罹患している患者に投与することを含む。この製剤は、眼内の注射又は眼球外注射を介して患者に投与され、抗VEGF剤を患者に投与する。選択された実施形態では、製剤は、ボツリヌス神経毒素又はその断片を含有する融合タンパク質と抗VEGF剤とを含む。これら及び他の実施形態では、製剤は抗VEGF剤とは別に患者に投与される。特定の場合において、抗VEGF剤は、ラニビズマブ、ベバシズマブ、及びアフリベルセプトからなる群から選択される。
他の実施形態では、網膜色素変性症による進行性視力喪失を軽減させる方法が提供される。方法は、幾つかの場合において、網膜色素変性症に罹患している患者にボツリヌス毒素又はその断片を含む製剤を投与することを含んでもよい。ここで製剤は眼内注射又は眼球外注射によって患者に投与される。
他の実施形態では、糖尿病による糖尿病性黄斑浮腫、中心静脈閉塞又は分枝静脈閉塞、変性網膜疾患、網膜色素変性症(RP)網膜疾患、又はブドウ膜炎に起因する視力喪失を軽減する方法が開示される。この方法は、幾つかの場合において、ボツリヌス毒素又はその断片を含む製剤を、糖尿病、分枝静脈閉塞症又はブドウ膜炎による黄斑浮腫を患っている患者に投与することを含み得る。ここで、製剤は、眼内注射又は眼球外注射を介して患者に投与される。
選択された実施形態では、患者の加齢黄斑変性症を予防する方法が記載される。方法は、ボツリヌス毒素又はその断片を含む製剤を患者に投与することを含み得る。ここで、製剤は、眼内注射又は眼球外注射を介して患者に投与される。これら及び他の実施形態では、患者は、病歴又は遺伝評価によって決定されるように、黄斑変性症のリスクにさらされる可能性がある。
患者の歯周疾患及び歯の喪失を治療する方法もまた本明細書に記載される。開示された方法は、ボツリヌス毒素又はその断片を含む製剤を、患者に投与することを含む。ここで製剤は、歯肉、末梢神経、口腔粘膜、又は顔面若しくは口周囲の領域の皮膚に注射又は局所的に適用される。
別の例示的実施形態では、患者の慢性ネフローゼ症候群を治療する方法が記載されている。開示された方法は、ボツリヌス毒素又はその断片を含む製剤を、患者に投与することを含む。ここで製剤は、腎臓又は腎臓に入る1つ以上の神経を含む周囲の領域に注射又は局所的に適用される。本開示を考慮すれば、他の多数の例示的実施形態が当業者には明らかであろう。
(定義と略語)
本明細書中で他に定義されない限り、以下の用語は述べられた定義を有する。
AMD−加齢黄斑変性症
VEGF−血管内皮増殖因子VEGFは、受容体型チロシンキナーゼファミリーの2つのメンバー(VEGF受容体(VEGFR)−1及びVEGFR−2)に結合する。VEGFR−2は、主要なVEGF受容体と考えられ、血管内皮細胞に対するVEGFの増殖作用を媒介する。VEGFR−2に結合しているVEGFは、細胞内キナーゼドメインによって受容体の二量体化及びその後の自己リン酸化を誘導し、分裂促進及び増殖シグナルをもたらす。VEGF−C及びVEGF−Dは、このファミリーの受容体チロシンキナーゼの他のメンバーであるVEGFR−3に結合する。
ボツリヌス毒素−発酵又は組換え系での遺伝子発現によってCボツリヌス種から誘導される任意の免疫型、ボツリヌスの断片、亜型。
HA−発酵又は他の天然プロセスでのクロストリジウムボツリヌス菌の産生、あるいは組み換え体、又は任意の他の発現系(アクセサリータンパク質)に由来する赤血球凝集素
RPE−哺乳動物における網膜色素上皮HAもボツリヌスアクセサリータンパク質である。
OCT−スペクトルドメイン、又は眼コヒーレンストモグラフィーの他の任意のバージョン又は改善。
NHNT−非神経毒素、ボツリヌスの発酵又は組み換え産生によって産生された非赤血球凝集素タンパク質。NHNTもアクセサリータンパク質である。
抗VEGF−任意の既知のVEGFモノクローナル又は融合タンパク質、あるいは血管新生及び/又は漏出を抑制するVEGF剤。本明細書で使用される抗VEGF用語は、VEGFの複数のアイソフォームを認識する薬剤を指す。薬剤は、VEGF受容体の断片又は受容体構造全体を含み得る。
補体タンパク質−補体活性化カスケードに関与する任意の補体因子。
注射−ボツリヌス毒素(及び該当する場合は他の化合物)の、任意の必要な形態又はマイクロニードルでの投与。
眼瞼痙攣−ボツリヌス毒素の眼周囲投与(通常10〜300単位の投与範囲)で治療される症状。
神経ペプチド−サブスタンスP、CGRP、VIPを含むがこれらに限定されない任意の既知のニューロペプチド。
ELM−網膜外境界膜
IS/OS−光受容体の内側と外側のセグメントを定義する線。
ストレスファイバー−細胞膜を歪め、与えられた組織又は上皮層の障壁効果を破壊する収縮性アクチン及び関連タンパク質の凝縮。
CRVO−網膜中心静脈閉塞症
BRVO−網膜分枝静脈閉塞症
nAMD−血管新生を伴う第2、3段階のAMD(漏出を伴う活動的血管新生段階)。生物学的障壁−組織機能を維持するための細胞間接着及び細胞と基底膜の接着に依存する任意の生物学的障壁。
mRNA−伝令RNA
従来の投薬量−頭又は首の適応症のためのボツリヌス毒素の任意のFDA承認投薬量。
製剤−本明細書中で使用される場合、用語「製剤」とは、賦形剤が存在するか又は存在しない状態で、1つ以上の生物学的薬剤の組成物を意味する。
融合タンパク質−組成物の有用性を高めるために各タンパク質の生物学的活性を保存する目的で工業的に製造された1つ以上のタンパク質の添加。一般に、融合タンパク質は、連結された遺伝子又は遺伝子断片の融合を表し、発現系に存在する遺伝子の量を増強するためにしばしばPCRを用いる適切な細胞系において発現される。
マクロ分子−核酸、タンパク質、炭水化物、又は脂質などの、比較的大きな分子量を有する大きな分子。
活性−「活性」という用語は、従来の業界で認められている方法を使用して測定された、所与の化合物の比活性又は生物学的活性を指す。化合物の活性は、純度又は濃度を定量するために使用され、質量当たりの単位として計算される。
Rho−RhoファミリーGTPアーゼ。
Ras−上皮分化、細胞骨格再構成、細胞増殖を維持する関連C3ボツリヌス毒素基質。
Ras 2−細胞骨格再構成に関与するタンパク質。
Ras 3−細胞内シグナル伝達経路に関与するタンパク質。
ROCK1−アクトマイシン細胞骨格のタンパク質キナーゼ調節因子は、血管新生、細胞運動性において重要な収縮力の発生を促進する。RhoAの主要な下流エフェクター。
IU−20〜30gmSwiss Websterマウス用ボツリヌスLD50、「マウスユニット」。
HcA−神経細胞への結合ドメインとして機能するA型ボツリヌス重鎖の断片。
SNAP−25−シナプトソーム関連タンパク質25はtrans−SNARE複合体の構成要素であり、これは膜形成の特異性の原因となり、かつシナプス小胞と原形質膜を一緒にする緊密な複合体を形成することによって融合を直接実行することが提出される。L鎖ボツリヌス活性のための基質。
正六角形−等しい辺を持つ6面の閉じた図形。
眼科医−眼の内科的及び外科的疾患を治療するために訓練を受けた医師。職務は、眼球及び眼周囲領域への注射を含む。
EMT−上皮間葉系細胞の形質転換。
GA−地図状萎縮(乾性AMDの末期形態)。
RPE萎縮−網膜色素上皮の収縮、扁平化及び重要な生理機能の喪失。
CNV−脈絡膜血管新生(体液及び出血を漏出する血管新生タンパク質)。RPE下、網膜下及び神経網膜内に発生する。
漏出−生物学的障壁を通過して眼内構造への体液の異常で病的な移動。用語「漏出」は、本明細書において、神経網膜、網膜下腔、又は脈絡膜(RPE下)における体液蓄積を指すために使用される。このような漏れは一般に視力の歪み及び光受容体の閉塞と関連する。

Claims (25)

  1. 加齢黄斑変性症の治療方法であって、
    黄斑変性症を患っているか又は黄斑変性症のリスク性があるヒト又は哺乳動物患者にボツリヌス神経毒素又はその断片を投入することを含む、ことを特徴とする方法。
  2. 前記ボツリヌス神経毒素の投与は、網膜下漏出、網膜内漏出、脈絡膜漏出を減少させることによって、湿性及び滲出性黄斑変性症を軽減し、視力喪失を回復及び予防する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ボツリヌス神経毒素は、前記患者の額、前記患者の眼周囲領域、前記患者の鼻領域、前記患者の頸部、前記患者の鼻粘膜、前記患者の副鼻腔、前記患者の眼窩外領域、及び前記患者の翼口蓋窩のうちの1つ以上又はその近傍に注射され、前記ボツリヌス神経毒素は、患者の眼内領域に注射されない、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記ボツリヌス神経毒素の投与は、眼内出血、眼内炎、網膜剥離、網膜裂孔、水晶体脱臼、白内障発症、及び眼圧上昇を含むがこれらに限定されない眼内注射による合併症を回避する、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記ボツリヌス神経毒素は、0.5〜25,000LD50単位の投薬量として投与される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記ボツリヌス神経毒素は、従来の投与に適合する投薬量として投与される、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. 前記ボツリヌス神経毒素は、前記患者の眼の硝子体液又は房水に注射される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ボツリヌス神経毒素は、0.01〜3,000LD50単位の投薬量として投与される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記ボツリヌス神経毒素は、従来の投薬に適合する投薬量として投与される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 前記ボツリヌス神経毒素は、前記患者への眼球上注射又は局所投与によって投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記ボツリヌス神経毒素の投与は、前記患者の視力を改善及び/又は維持する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記ボツリヌス神経毒素又はその断片は、ボツリヌス毒素 A1〜A5、B、C1〜3、D、E、F、G及びHからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 前記ボツリヌス神経毒素は、ポリカチオン性たんぱく質又はマクロ分子とともに投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 前記黄斑変性症は、OCT又は蛍光眼底血管造影によって決定される場合、乾性であり、滲出性ではない、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 前記黄斑変性症は、OCT 及び/又は眼底撮影法による脈絡膜、網膜色素上皮及び神経網膜の分析によって評価される、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記ボツリヌス神経毒素は、1つ以上のアクセサリータンパク質とともに投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 前記ボツリヌス神経毒素は、純神経毒素として投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 加齢黄斑変性症の治療方法であって、
    患者に製剤を投与することを含み、前記製剤は、神経毒を含まず且つ1つ以上の単離された赤血球凝集素タンパク質又はその断片を含有するボツリヌス毒素由来の複合体形成タンパク質を含み、前記赤血球凝集素は、特定のボツリヌス神経毒素投与活性に対応する量で存在する、ことを特徴とする方法。
  19. 前記製剤は、注射又は局所投与によって投与される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 注射可能な製剤であって、
    ボツリヌス神経毒素又はその断片と、
    抗VEGF剤の融合タンパク質添加と、
    安定化賦形剤とを含む、ことを特徴とする注射可能な製剤。
  21. 前記ボツリヌス毒素又はその断片は、ボツリヌス毒素A1〜A5、B、Cl〜3、D、E、F、G、及びH.からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項20に記載の注射可能な製剤。
  22. 前記融合タンパク質添加は、ラニビズマブ、アビシパル、ベバシズマブ、又はアフリベルセプトである、ことを特徴とする請求項20に記載の注射可能な製剤。
  23. 注射可能な製剤であって、
    ボツリヌス毒素又はその断片と、
    抗VEGF剤の非共有結合的な添加と、
    安定化剤とを含む、ことを特徴とする注射可能な製剤。
  24. 前記ボツリヌス毒素又はその断片は、ボツリヌス毒素A1〜A5、B、Cl〜3、D、E、F、G、及びH.からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項23に記載の注射可能な製剤。
  25. 前記抗VEGF剤は、ラニビズマブ、アビシパル、ベバシズマブ、又はアフリベルセプトである、ことを特徴とする請求項23に記載の注射可能な製剤。
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