以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態に係る電子機器の一例としての画像形成装置の正面図である。図1(b)は、画像形成装置の背面図である。画像形成装置100は、例えばプリンタ、複写機、FAX、又は複合機などの電子写真式のデジタル機器である。画像形成装置100は、シートに画像を形成する装置本体101と、装置本体101を制御する制御モジュール200と、筐体105と、を備える。制御モジュール200は、装置本体101の背面に設けられ、装置本体101と共に筐体105の内部に配置されている。装置本体101は、シートに画像を形成する画像形成部300、及び不図示のシート搬送機構を含む。画像形成部300は、不図示の感光ドラム、帯電部、現像部、転写部、及び定着部などを含む。
制御モジュール200は、プリント回路板としての電子モジュールである。制御モジュール200は、LAN(Local Area Network)又はUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介して、画像データを外部機器から受信する。そして、制御モジュール200は、受信した画像データに処理を施して、装置本体101に画像データを送信し、シートに画像を形成するよう装置本体101を制御する。
図2は、第1実施形態に係る制御モジュール200の説明図である。制御モジュール200は、第1素子の一例であるメモリデバイス611と、第2素子の一例であるメモリデバイス612と、第3素子の一例であるメモリコントローラ610と、を有する。また、制御モジュール200は、コネクタ301と、コネクタ302と、コネクタ303と、変換チップ201と、プリント配線板500と、を有する。メモリデバイス611、メモリデバイス612、メモリコントローラ610、コネクタ301、コネクタ302、コネクタ303、及び変換チップ201は、プリント配線板500に実装されている。プリント配線板500は、リジッド基板である。
メモリデバイス611とメモリデバイス612とは、同じ種類のメモリデバイスである。メモリデバイス611,612は、例えばDDR(Double Data Rate)4のメモリである。コネクタ301には、LANケーブル305が装着され、LANケーブル305を介して外部機器から画像データを受信する。変換チップ201は、コネクタ301において受信された画像データを処理し、処理後の画像データをメモリコントローラ610へ出力する。メモリコントローラ610は、メモリデバイス611,612に画像データを格納したり、メモリデバイス611,612に格納された画像データを読み出したりする。メモリコントローラ610は、画像データをコネクタ302,303に出力し、コネクタ302,303に不図示のケーブルで接続された画像形成部300(図1(a))へ画像データを送信する。
メモリコントローラ610及びメモリデバイス611,612は、各々1つの半導体パッケージで構成されている。メモリデバイス611,612の各々とメモリコントローラ610とは、画像データを示すデータ信号の伝送路となる、プリント配線板500のデータ信号線711,712で電気的に接続されている。データ信号線711,712は、それぞれ複数の配線からなるバス配線である。
さらに、メモリコントローラ610とメモリデバイス611,612とは、アドレス信号及びコマンド信号の伝送路となる、プリント配線板500のアドレス/コマンド信号線710で電気的に接続されている。アドレス/コマンド信号線710は、複数の信号線からなるバス配線である。メモリコントローラ610は、アドレス/コマンド信号線710を介して、2つのメモリデバイス611,612に、アドレス信号及びコマンド信号をパラレル伝送方式により送信する。メモリコントローラ610から送信されたパラレル信号であるアドレス信号及びコマンド信号は、アドレス/コマンド信号線710を介して2つのメモリデバイス611,612に共に受信される。メモリコントローラ610は、アドレス信号及びコマンド信号を、アドレス/コマンド信号線710を介してメモリデバイス611,612に送信することで、メモリデバイス611,612を制御する。各メモリデバイス611,612は、アドレス信号及びコマンド信号に従って、データの記憶及び消去などの処理を行う。これらメモリコントローラ610、メモリデバイス611,612、及びプリント配線板500により、メモリシステムが構成されている。
図3は、第1実施形態に係る制御モジュール200の断面図である。プリント配線板500は、絶縁性を有する基材と、配線を構成する導電性を有する導体と、を有する。配線は基材に設けられている。基材の材質は、例えばエポキシ樹脂である。導体の材質は、例えば銅である。
プリント配線板500は、複数、例えば6つの導体層501,502,503,504,505,506を有する積層基板である。導体層501〜506は、プリント配線板500の主面に対して垂直な方向であり、積層方向でもあるZ方向に、互いに間隔をあけて配置されている。なお、導体層501〜506の間には、基材、即ち絶縁層が設けられている。導体層501〜506は、Z方向の一方から他方に向かって、導体層501、導体層502、導体層503、導体層504、導体層505、導体層506の順に配置されている。導体層501,506は、主面、即ち実装面である表層である。導体層501と導体層506との間にある導体層502〜505は、内層である。なお、導体層501,506上には、不図示のソルダーレジストが配置されていてもよい。
各導体層501〜506には、配線を構成する導体膜である導体パターン570が配置されている。導体層501〜506に跨って、配線を構成するヴィア導体560が配置されている。ヴィア導体560とは、基材のヴィアに形成された導体である。第1実施形態ではヴィアは、スルーホール(貫通ヴィア)であり、ヴィア導体560は、スルーホールに設けられている。
なお、図3においては、図2に図示したデータ信号線711,712やアドレス/コマンド信号線710を正確に図示したものではなく、導体層501〜506を説明するためにプリント配線板500の断面を模式的に図示している。
メモリコントローラ610、メモリデバイス611、及びメモリデバイス612は、一対の表層である導体層501,506のうち、導体層501に共に実装されている。なお、2つのメモリデバイス611,612は、共に導体層501に実装されているのが好ましいが、一方が導体層501、他方が導体層506に実装されていてもよい。また、メモリコントローラ610は、2つのメモリデバイス611,612と同じ導体層501に実装されているのが好ましいが、導体層506に実装されていてもよい。
導体層501及び導体層506には、不図示のキャパシタや抵抗器等の部品が実装されている。導体層502,505には、主にグラウンドとなる導体パターンが配置されている。導体層501は、第3導体層、導体層503は、第1導体層、導体層504は、第2導体層である。導体層503は、導体層504に対して相対的に導体層501に近い。導体層503,504には、主に、図2のデータ信号線711,712及びアドレス/コマンド信号線710などの配線の一部となる導体パターンが配置されている。
メモリコントローラ610及びメモリデバイス611,612は、はんだによりプリント配線板500に接合される。メモリコントローラ610及びメモリデバイス611,612は、それぞれ、複数の信号端子、複数の電源端子及び複数のグラウンド端子を有する。複数の信号端子のうち16個はデータ端子である。メモリコントローラ610及びメモリデバイス611、612の端子の構造は、BGA(Ball Grid Array)である。
メモリデバイス611,612における端子の配列を、図4に示す。図4は、メモリデバイス611,612の平面図である。図4には、メモリデバイス611,612を、端子が配列された面とは反対側の面から視た図を図示している。図4において、各端子を隠れ線である破線で示す。
メモリデバイス611,612は、DDR4−SDRAMである。図4に示すように、端子は、16行×9列のうち、1列目から3列目と、7列目から9列目とに設けられている。4列目から6列目には端子が無い。端子の総数は96である。図4において、複数の信号端子のうち、斜線で示した端子がアドレス/コマンド端子A0〜A16,BA0,BA1,BG0,ACTである。アドレス/コマンド端子A0〜A16,BA0,BA1,BG0,ACTは、11行目から16行目、及び2列目から8列目に配置されている。
ところで、図2に示すアドレス/コマンド信号線710は、複数の信号線で構成されているが、複数の信号線の各々は、いわゆるT分岐配線構造である。即ち、各信号線は、主配線と、2つの分岐配線とを含んでいる。メモリデバイス611,612に含まれる、分岐配線に接続される不図示のアドレス/コマンド回路の入力インピーダンスは、高抵抗である。そのため、パルス状の波形のアドレス/コマンド信号が、アドレス/コマンド回路の入力部に到達すると、反射波が発生する。T分岐構造の配線において、2つの分岐配線の長さの差分が、信号の波形の品質に影響する。仮に、高速な信号伝送において、2つの分岐配線の配線長に所定値を超える差分があると、信号波形の多重反射によるノイズが大きくなる。信号の波形が所定の閾値を超えて乱れると、メモリデバイスにおいて論理判定に誤りが生じるリスクが高まる。論理判定を誤ると、画像のノイズや電子機器の誤動作を引き起こしうる。
一般的に、ビルドアップヴィア基板の信号線に使用される配線幅は50μmから100μmである。半導体パッケージ基板の配線幅はさらに微細である。ビルドアップヴィア基板や半導体パッケージ基板といった、高密度配線に適した基板では、2つの分岐配線の配線長の差分を小さくして信号波形の乱れを抑制するために、分岐配線の一部を蛇行させても配線面積は大きくなりにくい。
一方、第1実施形態では、図3に示すように、プリント配線板500は、貫通ヴィア基板である。したがって、プリント配線板500の製造が容易であり、プリント配線板500の生産性が高く、生産コストが低い。貫通ヴィア基板において、信号線の配線幅は、75μmから250μmである。仮に、信号線を蛇行させると、ビルドアップヴィア基板や半導体パッケージ基板よりも、配線面積が広くなる。一般的に、ビルドアップ基板や半導体パッケージ基板よりも、貫通ヴィア基板の絶縁層は厚い。一例では、ビルドアップ基板の絶縁層の厚みは60μm程度であり、貫通ヴィア基板では、100μmである。高速な電気信号を伝送する信号線において、蛇行する信号線内での配線ピッチは、その信号線の自己クロストークを抑制するために、その中での電磁結合が小さくなるように設定されている。絶縁層を介して配置されたグラウンド層までの間隔に対して、蛇行する自己の配線間隔を広くする必要があるため、配線面積が広くなる。そのため、貫通ヴィア基板は、ビルドアップ基板や半導体パッケージ基板よりも、配線面積を広くする必要がある。例えば、グラウンド層までの間隔に対して、蛇行する自己の配線間隔を3倍とすると、ビルドアップ基板では、配線間隔が180μmとなり、貫通ヴィア基板では300μmとなる。
第1実施形態では、蛇行配線を少なくする、又は無くすように、2つのメモリデバイス611,612の各端子から等距離に、2つの分岐配線が分岐する貫通ヴィアを配置している。貫通ヴィアに形成されたヴィア導体のランド径は、500μmから600μmであり、配線幅よりも大きい。そこで、第1実施形態では、アドレス/コマンド信号線710の配線構造を工夫することで、Z方向に視た平面視で、図2に示すアドレス/コマンド信号線710が占める配線面積を狭くし、プリント配線板500を小型化している。以下、アドレス/コマンド信号線710の配線構造について具体的に説明する。
図5は、第1実施形態に係る制御モジュール200を平面視したとき、即ちZ方向に視たときのメモリコントローラ610及びメモリデバイス611,612を模式的に示す平面図である。図5に示すように、メモリデバイス611とメモリデバイス612とは、Z方向に対して直交する、所定方向であるX方向に間隔をあけてプリント配線板500上に配置されている。また、メモリコントローラ610は、メモリデバイス611,612に対して、X方向及びZ方向に対して直交するY方向に間隔をあけてプリント配線板500上に配置されている。
図4に示すように、アドレス/コマンド端子A0〜A16,BA0,BA1,BG0、ACTは、2列目と3列目、7列目と8列目に配置されている。このため、アドレス/コマンド端子A0〜A16,BA0,BA1,BG0,ACTは、2つにグループ分けすることができる。以下、説明を簡略にするため、図4に示す4つのアドレス/コマンド端子A1,A5,A7,A9と、4つのアドレス/コマンド端子A0,A2,A6,A8に着目して説明する。
図5に示すように、メモリデバイス611は、図4の2列目と3列目に配置されたアドレス/コマンド端子である複数の端子661のグループと、図4の7列目と8列目に配置されたアドレス/コマンド端子である複数の端子663のグループとを含む。同様に、図5に示すように、メモリデバイス612は、図4の2列目と3列目に配置されたアドレス/コマンド端子である複数の端子662のグループと、図4の7列目と8列目に配置されたアドレス/コマンド端子である複数の端子664のグループとを含む。これら4つのグループの各々において、端子の数は4である。複数の端子661の各々は、第1受信端子である。複数の端子662の各々は、第2受信端子である。複数の端子663の各々は、第3受信端子である。複数の端子664の各々は、第4受信端子である。
メモリコントローラ610は、アドレス/コマンド端子である端子651を複数有する。また、メモリコントローラ610は、アドレス/コマンド端子である端子652を複数有する。メモリコントローラ610においても、複数の端子651からなるグループと、複数の端子652からなるグループとに分けられる。これら2つのグループの各々において、端子の数は4つである。複数の端子651の各々は、第1送信端子である。複数の端子652の各々は、第2送信端子である。
このように、図5には、メモリコントローラ610及びメモリデバイス611,612のそれぞれにおいて、8つのアドレス/コマンド端子を図示している。よって、図5の例では、メモリコントローラ610は、8ビットのアドレス信号及びコマンド信号を送信することができる。また、図5の例では、メモリデバイス611,612は、各々8ビットのアドレス信号及びコマンド信号を受信することができる。ここで、図5には、メモリコントローラ610において、端子651,652以外の端子の図示を省略している。メモリデバイス611,612においても端子661,662,663,664以外の端子の図示を省略している。なお、メモリコントローラ610の送信端子の数、メモリデバイス611の受信端子の数、及びメモリデバイス612の受信端子の数は、8つに限定するものではない。
図6(a)は、第1実施形態に係る制御モジュール200をZ方向に視たときのプリント配線板500のアドレス/コマンド信号線710を模式的に示す平面図である。図6(a)には、導体層501、導体層503及び導体層504の配線を模式的に図示している。図6(a)において、導体層501に配置された導体パターンを太い実線で図示し、導体層503に配置された導体パターンを細い実線で図示し、導体層504に配置された導体パターンを細い破線で図示している。また、図6(a)において、図5のメモリコントローラ610が実装可能な領域をR610、図5のメモリデバイス611が実装可能な領域をR611、図5のメモリデバイス612が実装可能な領域をR612とする。領域R611は、第1実装領域、領域R612は、第2実装領域である。領域R610は、メモリコントローラ610をZ方向にプリント配線板500に投影した領域である。領域R611は、メモリデバイス611をZ方向にプリント配線板500に投影した領域である。領域R612は、メモリデバイス612をZ方向にプリント配線板500に投影した領域である。よって、領域R610の外形は、メモリコントローラ610の外形と同じである。領域R611の外形は、メモリデバイス611の外形と同じである。領域R612の外形は、メモリデバイス612の外形と同じである。
プリント配線板500は、図5に示す端子651と端子661,662とを電気的に接続する第1信号線である信号線511を複数、第1実施形態では4つ有する。プリント配線板500は、図5に示す端子652と端子663,664とを電気的に接続する、第2信号線である信号線512を複数、第1実施形態では4つ有する。これら8つの信号線511,512で、パラレル信号であるアドレス信号及びコマンド信号が伝送される伝送路、即ちバス配線であるアドレス/コマンド信号線710が構成されている。なお、アドレス/コマンド信号線710を構成する配線の数は8つに限定するものではない。アドレス/コマンド信号線710を構成する配線の数は、メモリコントローラ610の送信端子の数、即ちメモリデバイス611及びメモリデバイス612のそれぞれの受信端子の数に対応させればよい。
信号線511及び信号線512は、T分岐構造の配線である。1つの信号線511は、メモリコントローラ610からメモリデバイス611,612へ、同じ情報を示す信号を伝送するための配線である。同様に、1つの信号線512は、メモリコントローラ610からメモリデバイス611,612へ、同じ情報を示す信号を伝送するための配線である。信号線511は、第1主配線である主配線521と、主配線521から分岐する第1分岐配線である分岐配線531と、主配線521から分岐する第2分岐配線である分岐配線532と、を含む。信号線512は、第2主配線である主配線522と、主配線522から分岐する第3分岐配線である分岐配線533と、主配線522から分岐する第4分岐配線である分岐配線534と、を含む。
分岐配線531は、Z方向に視て、主配線521から、図5のメモリデバイス611と重なる位置、即ち図6(a)の領域R611と重なる位置までX方向に延びている。分岐配線532は、Z方向に視て、主配線521から、図5のメモリデバイス612と重なる位置、即ち図6(a)の領域R612と重なる位置までX方向に延びている。分岐配線533は、Z方向に視て、主配線522から、図5のメモリデバイス611と重なる位置、即ち図6(a)の領域R611と重なる位置までX方向に延びている。分岐配線534は、Z方向に視て、主配線522から、図5のメモリデバイス612と重なる位置、即ち図6(a)の領域R612と重なる位置までX方向に延びている。
主配線521は、導体層501に配置された、ランド575及び第5導体パターンである導体パターン565を含む。また、主配線521は、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられた、第5ヴィア導体であるヴィア導体555を含む。ヴィア導体555から2つの分岐配線531,532が分岐する。ランド575は、Z方向に視て、図5のメモリコントローラ610、即ち図6(a)の領域R610と重なる位置に配置されている。ランド575には、図5に示す端子651が接合される。ヴィア導体555は、図5に示すメモリデバイス611とメモリデバイス612とのX方向の間、即ち図6(a)に示す領域R611と領域R612とのX方向の間に配置されている。導体パターン565は、Z方向に視て、ヴィア導体555からランド575までY方向に延びて形成されている。ランド575とヴィア導体555とは、導体パターン565で電気的に接続されている。
分岐配線531は、導体層503に配置された第1導体パターンである導体パターン541と、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられた第1ヴィア導体であるヴィア導体551と、を含む。また、分岐配線531は、導体層501に配置された導体パターン561及びランド571を含む。ランド571は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス611、即ち図6(a)の領域R611と重なる位置に配置されている。ランド571には、図5に示す端子661が接合される。ヴィア導体551は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス611、即ち図6(a)の領域R611と重なる位置に配置されている。導体パターン541は、ヴィア導体555から分岐して、ヴィア導体551まで延びて形成されている。ヴィア導体555とヴィア導体551とは、導体パターン541で電気的に接続されている。ヴィア導体551とランド571とは、導体パターン561で電気的に接続されている。
分岐配線532は、導体層503に配置された第2導体パターンである導体パターン542と、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられた第2ヴィア導体であるヴィア導体552と、を含む。また、分岐配線532は、導体層501に配置された導体パターン562及びランド572を含む。ランド572は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス612、即ち図6(a)の領域R612と重なる位置に配置されている。ランド572には、図5に示す端子662が接合される。ヴィア導体552は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス612、即ち図6(a)の領域R612と重なる位置に配置されている。導体パターン542は、ヴィア導体555から分岐して、ヴィア導体552まで延びて形成されている。ヴィア導体555とヴィア導体552とは、導体パターン542で電気的に接続されている。ヴィア導体552とランド572とは、導体パターン562で電気的に接続されている。
主配線522は、導体層501に配置された、ランド576及び第6導体パターンである導体パターン566を含む。また、主配線522は、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられた、第6ヴィア導体であるヴィア導体556を含む。ヴィア導体556から2つの分岐配線533,534が分岐する。ランド576は、Z方向に視て、図5のメモリコントローラ610、即ち図6(a)の領域R610と重なる位置に配置されている。ランド576には、図5に示す端子652が接合される。ヴィア導体556は、図5に示すメモリデバイス611とメモリデバイス612とのX方向の間、即ち図6(a)に示す領域R611と領域R612とのX方向の間に配置されている。導体パターン566は、Z方向に視て、ヴィア導体556からランド576までY方向に延びて形成されている。ランド576とヴィア導体556とは、導体パターン566で電気的に接続されている。
分岐配線533は、導体層504に配置された第3導体パターンである導体パターン543と、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられた第3ヴィア導体であるヴィア導体553と、を含む。また、分岐配線533は、導体層501に配置された導体パターン563及びランド573を含む。ランド573は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス611、即ち図6(a)の領域R611と重なる位置に配置されている。ランド573には、図5に示す端子663が接合される。ヴィア導体553は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス611、即ち図6(a)の領域R611と重なる位置に配置されている。導体パターン543は、ヴィア導体556から分岐して、ヴィア導体553まで延びて形成されている。ヴィア導体556とヴィア導体553とは、導体パターン543で電気的に接続されている。ヴィア導体553とランド573とは、導体パターン563で電気的に接続されている。
分岐配線534は、導体層504に配置された第4導体パターンである導体パターン544と、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられた第4ヴィア導体であるヴィア導体554と、を含む。また、分岐配線534は、導体層501に配置された導体パターン564及びランド574を含む。ランド574は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス612、即ち図6(a)の領域R612と重なる位置に配置されている。ランド574には、図5に示す端子664が接合される。ヴィア導体554は、Z方向に視て、図5のメモリデバイス612、即ち図6(a)の領域R612と重なる位置に配置されている。導体パターン544は、ヴィア導体556から分岐して、ヴィア導体554まで延びて形成されている。ヴィア導体556とヴィア導体554とは、導体パターン544で電気的に接続されている。ヴィア導体554とランド574とは、導体パターン564で電気的に接続されている。
以上の構成により、主配線521の始端は、ランド575であり、終端は、ヴィア導体555である。また、主配線522の始端は、ランド576であり、終端は、ヴィア導体556である。分岐配線531の始端は、導体パターン541においてヴィア導体555に接続される端であり、終端は、ランド571である。分岐配線532の始端は、導体パターン542においてヴィア導体555に接続される端であり、終端は、ランド572である。分岐配線533の始端は、導体パターン543においてヴィア導体556に接続される端であり、終端は、ランド573である。分岐配線534の始端は、導体パターン544においてヴィア導体556に接続される端であり、終端は、ランド574である。ヴィア導体555で分岐する分岐配線531,532の導体パターン541,542の配線幅は、主配線521の導体パターン565の配線幅よりも狭い。同様に、ヴィア導体556で分岐する分岐配線533,534の導体パターン543,544の配線幅は、主配線522の導体パターン566の配線幅よりも狭い。
第1実施形態では、アドレス/コマンド信号線710を構成する複数の信号線が、複数の信号線511と、複数の信号線512とに分けられている。そして、信号線511の導体パターン541,542と、信号線512の導体パターン543,544とが異なる導体層に配置されているので、Z方向から視た平面視で、アドレス/コマンド信号線710が占有する面積を狭くすることができる。よって、プリント配線板500を小型化することができ、これにより制御モジュール200を小型化することができる。
図6(b)は、図6(a)に示す分岐配線531,532,533,534の平面図である。Z方向に視て、4つの分岐配線531及び4つの分岐配線532を包含する最小の大きさの矩形の領域、即ち第1矩形領域を、R1とする。Z方向に視て、4つの分岐配線533及び4つの分岐配線534を包含する最小の大きさの矩形の領域、即ち第2矩形領域を、R2とする。第1実施形態では、図6(b)に示すように、Z方向に視て、領域R1と領域R2とが部分的に重なっている。これにより、アドレス/コマンド信号線710が占める面積を更に削減することができる。よって、プリント配線板500を効果的に小型化することができ、これにより制御モジュール200を効果的に小型化することができる。なお、領域R1と領域R2とが部分的に重なっている領域を領域R12とする。
ここで、X方向を行方向、Y方向を列方向とする。領域R1のY方向の距離D1Yに対する、領域R1と領域R2がY方向に重なっている部分の距離D12Yの割合は50%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。分岐配線の本数で考えると、領域R1と領域R2とは、1本分の配線幅と2本の配線間隔との和の分だけ重なっていないことが好ましい。領域R1のX方向の距離D1Xに対する、領域R1と領域R2がX方向に重なっている部分の距離D12Xの割合は、メモリデバイスの端子位置にもよるが50%以上であることが好ましい。より好ましくは75%以上である。領域R1の面積S1(=D1X×D1Y)および領域R2の面積S2の各々に対する領域R12の面積S12(=D12X×D12Y)の割合は25%以上であることが好ましい。より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。
ヴィア導体551,552,553,554,555,556は、図3に図示したヴィア導体560と同様の構成であり、スルーホール、即ち貫通ヴィアに形成されている。ヴィア導体551,552,553,554,555,556は、それぞれ4つある。4つのヴィア導体551、4つのヴィア導体552、4つのヴィア導体553、4つのヴィア導体554、4つのヴィア導体555、及び4つのヴィア導体556は、各々、2行及び2列、即ち複数行及び複数列に配置されている。4つのヴィア導体551の一部は、格子状に配置された4つのランド571の間に配置されている。4つのヴィア導体552の一部は、格子状に配置された4つのランド572の間に配置されている。4つのヴィア導体553の一部は、格子状に配置された4つのランド573の間に配置されている。4つのヴィア導体554の一部は、格子状に配置された4つのランド574の間に配置されている。4つのヴィア導体551、4つのヴィア導体552、4つのヴィア導体553、4つのヴィア導体554、4つのヴィア導体555、4つのヴィア導体556の配置は、互いに相似している。
4つの導体パターン541は、4つのヴィア導体553のいずれにもショートしないように、Z方向に視て、4つのヴィア導体553の間、又は4つのヴィア導体553の外側を通過するように配置されている。
4つの導体パターン542は、4つのヴィア導体556のいずれにもショートしないように、Z方向に視て、4つのヴィア導体556の間、又は4つのヴィア導体556の外側を通過するように配置されている。
4つの導体パターン543は、4つのヴィア導体555のいずれにもショートしないように、Z方向に視て、4つのヴィア導体555の間、又は4つのヴィア導体555の外側を通過するように配置されている。
4つの導体パターン544は、4つのヴィア導体552のいずれにもショートしないように、Z方向に視て、4つのヴィア導体552の間、又は4つのヴィア導体552の外側を通過するように配置されている。
第1実施形態では、1つの信号線511に着目した場合、その信号線511に含まれる分岐配線531と分岐配線532との長さを等しくしている。また、1つの信号線512に着目した場合、その信号線512に含まれる分岐配線533と分岐配線534の長さを等しくしている。ここで、分岐配線531と分岐配線532の長さが等しいとは、分岐配線531の長さと分岐配線532の長さの差分が、所定値以下の場合をいう。同様に、分岐配線533と分岐配線534の長さが等しいとは、分岐配線533の長さと分岐配線534の長さの差分が、所定値以下の場合をいう。所定値は、1.6mmであるのが好ましい。
ここで、図6(a)において一点鎖線で示す直線700は、メモリデバイス611とメモリデバイス612に対して等距離にあるY方向に延びる仮想直線である。分岐配線533,534は、分岐配線531,532を、直線700に対して反転した形状である。
第1実施形態では、複数のヴィア導体551、複数のヴィア導体553、複数のヴィア導体555、複数のヴィア導体556、複数のヴィア導体552、複数のヴィア導体554の順にX方向に配列されている。複数のヴィア導体551の中心を通るY方向に延びる仮想直線を、直線701とする。複数のヴィア導体552の中心を通るY方向に延びる仮想直線を、直線702とする。直線701と直線702との間の中心を通るY方向に延びる仮想直線を、直線705とする。直線705は、直線700に対して領域R611の側に位置している。複数のヴィア導体555の間を直線705が通過するように、複数のヴィア導体555が配置されている。このように、複数のヴィア導体551と複数のヴィア導体552のX方向の中心部分に複数のヴィア導体555が配置されている。これにより、導体パターン541又は導体パターン542を蛇行させなくても、分岐配線531と分岐配線532の長さを等しくすることができる。
分岐配線533,534は、分岐配線531,532を直線700に対して反転して配置した構造である。このため、導体パターン543又は導体パターン544を蛇行させなくても、分岐配線533の長さと分岐配線534の長さとを等しくすることができる。これにより、メモリデバイス611,612にて受信されるアドレス信号及びコマンド信号を高品質に保つことができる。
図7は、比較例のプリント配線板500Xのアドレス/コマンド信号線710Xを模式的に示す平面図である。図7には、プリント配線板500Xの6つの導体層のうち、表層である導体層501Xと、内層である導体層504Xの配線を模式的に図示している。図7において、導体層501Xに配置された導体パターンを太い実線で図示し、導体層504Xに配置された導体パターンを細い破線で図示している。また、図7において、メモリコントローラが実装される領域をR610、2つのメモリデバイスが実装されるそれぞれの領域をR611,R612とする。
アドレス/コマンド信号線710Xは、4つの信号線511Xと、4つの信号線512Xとを含んでいる。信号線511X,512Xは、T分岐構造の配線である。信号線511Xは、主配線521Xと、主配線521Xから分岐する分岐配線531X,532Xと、を含む。信号線512Xは、主配線522Xと、主配線522Xから分岐する分岐配線533X,534Xと、を含む。
主配線521Xは、導体層501Xに配置された、ランド575X及び導体パターン565Xを含む。また、主配線521Xは、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられたヴィア導体555Xを含む。ランド575Xとヴィア導体555Xとは、導体パターン565Xで電気的に接続されている。
分岐配線531Xは、導体層504Xに配置された導体パターン541Xと、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられたヴィア導体551Xと、を含む。また、分岐配線531Xは、導体層501Xに配置された導体パターン561X及びランド571Xを含む。ヴィア導体555Xとヴィア導体551Xとは、導体パターン541Xで電気的に接続されている。ヴィア導体551Xとランド571Xとは、導体パターン561Xで電気的に接続されている。
分岐配線532Xは、導体層504Xに配置された導体パターン542Xと、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられたヴィア導体552Xと、を含む。また、分岐配線532Xは、導体層501Xに配置された導体パターン562X及びランド572Xを含む。ヴィア導体555Xとヴィア導体552Xとは、導体パターン542Xで電気的に接続されている。ヴィア導体552Xとランド572Xとは、導体パターン562Xで電気的に接続されている。
主配線522Xは、導体層501Xに配置された、ランド576X及び導体パターン566Xを含む。また、主配線522Xは、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられたヴィア導体556Xを含む。ランド576Xとヴィア導体556Xとは、導体パターン566Xで電気的に接続されている。
分岐配線533Xは、導体層504Xに配置された導体パターン543Xと、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられたヴィア導体553Xと、を含む。また、分岐配線533Xは、導体層501Xに配置された導体パターン563X及びランド573Xを含む。ヴィア導体556Xとヴィア導体553Xとは、導体パターン543Xで電気的に接続されている。ヴィア導体553Xとランド573Xとは、導体パターン563Xで電気的に接続されている。
分岐配線534Xは、導体層504Xに配置された導体パターン544Xと、貫通ヴィアであるスルーホールに設けられたヴィア導体554Xと、を含む。また、分岐配線534Xは、導体層501Xに配置された導体パターン564X及びランド574Xを含む。ヴィア導体556Xとヴィア導体554Xとは、導体パターン544Xで電気的に接続されている。ヴィア導体554Xとランド574Xとは、導体パターン564Xで電気的に接続されている。
このように、図7の比較例では、導体パターン541X、542X,543X,544Xが全て同じ導体層504Xに配置されている。よって、4つの導体パターン541Xと4つの導体パターン543Xとが、互いに干渉しないようにY方向に互いに間隔をあけて配置されている必要がある。同様に、4つの導体パターン542Xと4つの導体パターン544Xとが、互いに干渉しないようにY方向に互いに間隔をあけて配置されている必要がある。そして、4つのヴィア導体551X、4つのヴィア導体552X、4つのヴィア導体553X、4つのヴィア導体554X、4つのヴィア導体555X、4つのヴィア導体556Xは、それぞれY方向に1列、即ち4行1列に配置されている。このため、Z方向に視て、アドレス/コマンド信号線710Xの分岐配線531X,532X,533X,534Xの占有面積が広い。
占有面積を狭くするために、配線同士の間隔を狭くすることも考えられる。しかし、配線同士を、所定間隔よりも狭くすると配線間の電磁結合によってクロストークノイズが発生する。クロストークノイズは、波形の乱れの原因となり、メモリインタフェースの誤動作の要因となる。
これに対して、第1実施形態では、図6(a)に示すように、分岐配線531,532の導体パターン541,542と、分岐配線533,534の導体パターン543,544とが、互いに異なる導体層に配置されている。第1実施形態によれば、配線間のクロストークノイズが抑制されるように配線同士の間隔を所定間隔以上に広げても、Z方向に視て、分岐配線531,532,533,534の占有面積を狭くすることができる。
(実施例1)
図8(a)は、実施例1のアドレス/コマンド信号線の平面図である。図8(a)は、CADの配線図である。図8(a)に示す実施例1のアドレス/コマンド信号線710は、図6(a)に示す第1実施形態のアドレス/コマンド信号線710に対応するが、配線数は16とし、16ビットの信号を伝送可能とした。
メモリコントローラ及び2つのメモリデバイスは、BGAである。メモリコントローラ、及び2つのメモリデバイスにおいて、端子のピッチは、0.8mmである。
実施例1のプリント配線板は、上記第1実施形態と同様、図3に示すように6層基板とした。プリント配線板の層構成を表1に示す。
導体層501に設けられた配線である導体パターン565,566の配線幅は250μmである。導体層501に設けられた配線同士の最小間隔は、550μmである。導体層503と導体層504に設けられた配線である導体パターン541〜544の配線幅は125μmである。導体層503と導体層504に設けられた配線同士の最小間隔は175μmである。
ヴィア導体のランド径は、図3に示す表層である導体層501と導体層506において、500μmであり、図3に示す内層である導体層502〜505において、550μmである。ヴィア導体同士の最小間隔は0.8mmである。導体層503と導体層504では、2つのヴィア導体の間に1つの配線を通すことができる。
図8(a)に示すアドレス/コマンド信号線710の占有面積を算出した。ここで、簡略化のため、Z方向から視た平面視で、アドレス/コマンド信号線710を2つの矩形状のブロックB1,B2で近似した。ブロックB1,B2を一点鎖線で示す。
ブロックB2は、8つの分岐配線531,532及び8つの分岐配線533,534を含む最小の矩形の領域とした。ブロックB1は、8つの主配線521及び8つの主配線522のうちブロックB1と重ならない部分を含む最小の矩形領域とした。
ブロックB1,B2のそれぞれの面積を算出し、2つのブロックB1,B2の面積を合計して、アドレス/コマンド信号線710の占有面積とした。なお、各ブロックB1,B2における縦と横の長さを、配線の中心、端子の中心、ヴィアの中心を端点として測定した。ブロックB1は、X方向の最外側に位置する配線と重なるが、図8(a)では、説明のため、X方向の最外側に位置する配線と重らないようにずらして図示している。
ブロックB1は、縦17.5mm、横12.0mmであった。ブロックB1の面積は210.00mm2であった。ブロックB2は、縦5.2mm、横25.6mmであった。ブロックB2の面積は133.13mm2であった。これより、実施例1のアドレス/コマンド信号線710の占有面積は、343.12mm2であった。
また、図8(a)において、8つの分岐配線531及び8つの分岐配線532を包含する第1矩形領域である領域R1を二点鎖線で示す。領域R1は縦4.9mm、横21.2mmであった。領域R1の面積は103.88mm2であった。また、8つの分岐配線533及び8つの分岐配線534を包含する第2矩形領域である領域R2を二点鎖線で示す。領域R2は、縦4.9mm、横21.2mmであった。領域R2の面積は103.88mm2であった。すなわち領域R1と領域R2の面積は同じである。
領域R1と領域R2は、図8(a)の紙面縦方向であるY方向において、1本の配線の配線幅125μmと2本の配線間隔175μmの和である0.3mmずれて配置されており、4.6mmが重なっている。領域R1のY方向の距離に対する、領域R1と領域R2がY方向に重なっている部分の距離の割合は94.3%であった。
領域R1と領域R2は、図8(a)の紙面横方向であるX方向において、メモリデバイスの端子群の距離である4.4mmずれて配置されており、16.8mmが重なっている。領域R1のX方向の距離に対し、領域R1と領域R2とがX方向に重なっている部分の距離の割合は79.2%であった。領域R1と領域R2とが部分的に重なっている領域R12の面積は、77.28mm2であった。領域R1および領域R2の各々の面積に対する領域R12の面積の割合は、74.3%であった。
図8(b)は、比較例1のアドレス/コマンド信号線の平面図である。図8(b)に示す比較例1のアドレス/コマンド信号線710Xは、図7に示す比較例のアドレス/コマンド信号線710Xに対応するが、配線数は16とした。なお、ブロックB1は、X方向の最外側に位置する配線と重なるが、図8(b)では、説明のため、X方向の最外側の配線と重ならないようにずらして図示している。
実施例1と同様の方法で、アドレス/コマンド信号線710Xの面積を算出した。ブロックB1は、縦18.5mm、横12.0mmであった。ブロックB1の面積は222.00mm2であった。ブロックB2は、縦7.9mm、横24.8mmであった。ブロックB2の面積は、195.92mm2であった。これより、比較例1のアドレス/コマンド信号線710Xの占有面積は、417.92mm2であった。
以上の計算結果より、実施例1では、比較例1に対して、74.80mm2、即ち約18%の面積を削減することができた。また、ブロックB2の面積についても、実施例1では比較例1よりも削減することができた。
(実施例2)
次に、信号の波形のシミュレーションを、波形シミュレータを用いて行った。シミュレータは、メンター・グラフィックス社製のHyperLynxを用いた。アドレス信号を600MHzの擬似ランダム信号とした。アドレス信号の伝送速度を1200Mbpsとした。
図9は、実施例2におけるシミュレーションに用いたモデルを示す模式図である。導体パターン565,566の配線長を22.8mmとした。導体パターン541,543の配線長を11.1mmとした。導体パターン561,563の配線長を0.6mmとした。導体パターン542,544の配線長を11.1mmとした。導体パターン562,564の配線長を0.6mmとした。
メモリデバイスのアドレス/コマンド回路の入力部に受信される信号の波形を観測した結果を示すグラフを図10(a)及び図10(b)に示す。電源電圧は、1200mVとした。図10(a)には、1つの主配線から分岐する2つの分岐配線の長さが等しい場合の波形を図示した。図10(b)には、1つの主配線から分岐する2つの分岐配線の長さの差分を1mmとした場合の波形を図示した。メモリデバイスにおけるアドレス/コマンド回路への入力電圧の上限の閾値は、700mV、下限の閾値は500mVである。図10(a)に示した波形から、信号は、論理0のLowレベルから論理1のHighレベルへ遷移した後、次にHighレベルからLowレベルへ遷移するまでの間に、閾値電圧を跨いでいない。
図10(b)に示した波形は、図10(a)に示した波形に対して乱れていることが確認できる。しかし、信号は、論理0のLowレベルから論理1のHighレベルへ遷移した後、次にHighレベルからLowレベルへ遷移するまでの間に、閾値電圧を跨いでいない。
このように、分岐配線531,533の長さと分岐配線532,534の長さとを等しくすることにより、各メモリデバイスにて受信される信号を高品質に保つことができる。
ここで、上述したように、分岐配線531の長さと分岐配線532との長さとが等しいとは、分岐配線531の長さと分岐配線532の長さとの差分が、所定値以下の場合をいう。同様に、分岐配線533の長さと分岐配線534の長さが等しいとは、分岐配線533の長さと分岐配線534の長さとの差分が、所定値以下の場合をいう。所定値は、1.6mmが好ましい。各分岐配線の配線長は、11.1mm+0.6mmで11.7mmとなる。よって、1つの主配線から分岐する2つの分岐配線の合計の配線長を23.4mmとした場合、2つの分岐配線の配線長に対する差分の割合は、1.6mm/23.4mmから、6.8%となる。したがって、2つの分岐配線の長さが等しいとは、上記の割合が6.8%以下の場合であるともいえる。
[第2実施形態]
図11(a)は、第2実施形態のプリント配線板500Aにおけるアドレス/コマンド信号線710Aの平面図である。図11(a)には、第2実施形態のアドレス/コマンド信号線710Aを模式的に図示している。配線構造を説明するために、8ビットの信号分の配線を図示している。図11(a)において、導体層501に配置された導体パターンを太い実線で図示し、導体層506に配置された導体パターンを太い破線で示している。また、図11(a)において、導体層503に配置された導体パターンを細い実線で図示し、導体層504に配置された導体パターンを細い破線で図示している。第2実施形態では、導体層503が第1導体層、導体層504が第2導体層、導体層501が第3導体層、導体層506が第4導体層である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を用い、説明を省略する。
第2実施形態において、図6(a)と異なる部分について、図11(a)を参照しながら説明する。なお、図6(a)では、主配線521の導体パターン565及び主配線522の導体パターン566は、導体層501に配線されている。
第2実施形態では、図11(a)に示すように、アドレス/コマンド信号線710Aは、複数、例えば4つの信号線511Aと、複数、例えば4つの信号線512Aと、を有する。信号線511A及び信号線512Aは、T分岐構造の配線である。信号線511Aが第1信号線であり、信号線512Aが第2信号線である。
信号線511Aは、主配線521Aと、主配線521Aから分岐する分岐配線531,532と、を有する。信号線512Aは、主配線522Aと、主配線522Aから分岐する分岐配線533,534と、を有する。主配線521Aが第1主配線であり、主配線522Aが第2主配線である。
分岐配線531〜534は、第1実施形態で説明した通りである。分岐配線531は、導体層503に配置された導体パターン541を含む。分岐配線532は、導体層503に配置された導体パターン542を含む。分岐配線533は、導体層504に配置された導体パターン543を含む。分岐配線534は、導体層504に配置された導体パターン544を含む。
主配線521Aは、ランド575A、ヴィア導体577A、導体パターン565A及びヴィア導体555を含む。ランド575A及びヴィア導体577Aは、Z方向に視て、領域R610と重なる位置に配置されている。ランド575Aは、導体層501に配置されている。ランド575Aには、不図示のメモリコントローラの端子が接合される。ランド575Aは、導体パターンでヴィア導体577Aに接続されている。
導体パターン565Aは、第5導体パターンである。ヴィア導体555は、第5ヴィア導体である。導体パターン565Aは、導体層506に配置され、ヴィア導体555から領域R610と重なる位置まで延びて形成されている。ヴィア導体577Aとヴィア導体555とは、導体パターン565Aで接続されている。
主配線522Aは、ランド576A、導体パターン566A、及びヴィア導体556を含む。ランド576Aは、Z方向に視て、領域R610と重なる位置に配置されている。ランド576Aは、導体層501に配置されている。ランド576Aには、不図示のメモリコントローラの端子が接合される。
導体パターン566Aは、第6導体パターンである。ヴィア導体556は、第6ヴィア導体である。導体パターン566Aは、導体層501に配置され、ヴィア導体556から領域R610と重なる位置まで延びて形成されている。ランド576Aとヴィア導体556とは、導体パターン566Aで接続されている。
導体パターン566Aの一部は、Z方向に視て、導体パターン565Aの一部と重なるように配置されている。この配線構造により、アドレス/コマンド信号線710Aの占有面積を削減することができる。なお、図11(a)では、説明のため、導体パターン565Aと導体パターン566Aとをわずかにずらして図示している。
Z方向に見て、導体パターン565Aにおいて領域R610から延出する直線部分と、導体パターン566Aにおいて領域R610から延出する直線部分とが重なり合うように、導体パターン565A,566Aが配線されるのが好ましい。これにより、アドレス/コマンド信号線710Aの占有面積を効果的に削減することができる。
(実施例3)
図11(b)は、実施例3のアドレス/コマンド信号線の平面図である。図11(b)は、CADの配線図である。実施例3では、16ビットの信号分の配線の接続をCAD設計によって確認した。占有面積の算出には、図11(b)のCADの配線図を使用した。
メモリコントローラ及び2つのメモリデバイスは、BGAである。メモリコントローラ、及び2つのメモリデバイスの端子のピッチは0.8mmである。
実施例3のプリント配線板500Aは、図3及び表1に示すような6層基板とした。導体層501に設けられた配線である導体パターン566Aの配線幅は250μmである。導体層501に設けられた配線同士の最小間隔は、550μmである。導体層502には、グラウンドプレーンもしくは電源配線が配置されている。導体層503と導体層504に設けられた配線である導体パターン541〜544の配線幅は125μmである。導体層503と導体層504に設けられた配線同士の最小間隔は175μmである。導体層505には、電源配線もしくはグラウンドプレーンが配置されている。導体層506に設けられた導体パターン565Aの配線幅は250μmである。導体層506に設けられた配線同士の最小間隔は、550μmである。
ヴィア導体のランド径は、表層である導体層501と導体層506において、500μmであり、内層である導体層502〜505において、550μmである。ヴィア導体同士の最小間隔は0.8mmである。導体層503と導体層504では、2つのヴィア導体の間に1本の配線を設けることができる。
図11(b)に示すアドレス/コマンド信号線710Aの占有面積を算出した。面積算出を単純化するために、Z方向からの平面視で、アドレス/コマンド信号線710Aを2つの矩形状のブロックB1、B2で近似した。図11(b)中に、ブロックB1、B2を1点鎖線で示す。
ブロックB2は、8つの分岐配線531、8つの分岐配線532、8つの分岐配線533及び8つの分岐配線534を含む最小の矩形の領域とした。ブロックB1は、8つの主配線521A及び8つの主配線522AのうちブロックB2と重ならない部分を含む最小の矩形領域とした。
ブロックB1、B2のそれぞれの面積を算出し、2つのブロックB1とB2の面積を合計して、アドレス/コマンド信号線710Aの占有面積とした。なお、各ブロックB1、B2における縦と横の長さを、配線の中心、端子の中心、ヴィア導体の中心を、端点として測定した。
ブロックB1は、縦18.3mm、横9.4mmであった。ブロックB1の面積は172.02mm2であった。ブロックB2は、縦5.2mm、横22.4mmであった。ブロックB2の面積は、116.48mm2であった。これより、実施例3のアドレス/コマンド信号線710Aの占有面積は、288.50mm2であった。
以上の計算結果より、実施例3では、比較例1に対して、129.42mm2、即ち約31%の面積を削減することができた。
実施例3は、実施例1に対して、ブロックB2の占有面積を削減できる。この理由は、ブロックB1の幅を、実施例1の12.0mmから実施例3の9.4mmへと削減ことにより、2つのメモリデバイスの間隔を狭くできたためである。実施例1と実施例3とでブロックB2の幅を比較すると、実施例1の25.6mmから実施例3の22.4mmへと狭くすることができる。
このように、実施例3では、ブロックB1の面積を削減するために、主配線521Aと主配線522Aが2つの導体層に分けて配置され、Z方向に視て互いの一部が重ね合わせて配置されている。主配線のバス幅が削減されるため、2つのメモリデバイスの間隔を狭めることができる。その結果、2つのメモリデバイスを接続する分岐配線を短くできることができ、ブロックB2の占有面積を削減することができる。よって、プリント配線板500Aを効果的に小型化することができる。これにより、プリント配線板500Aを有する制御モジュールを効果的に小型化することができる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、図6(a)又は図11(a)の領域R610に、図5のメモリコントローラ610が実装される場合について説明したが、これに限定するものではない。メモリコントローラ610が、プリント配線板500又は500Aとは別のプリント配線板に実装される場合であってもよい。この場合、領域R610には、メモリコントローラ610にケーブル等で接続されるコネクタが実装される場合であってもよい。
また、上述の実施形態のプリント配線板500,500Aでは、導体層が6層ある場合について説明したが、これに限定するものではない。第1実施形態のプリント配線板500では、導体層が3層以上あればよい。また、第2実施形態のプリント配線板500Aでは、導体層が4層以上あればよい。
また、第1実施形態では、導体層501が第3導体層、導体層503が第1導体層、導体層504が第2導体層である場合について説明したが、これに限定するものではない。プリント配線板において、第1〜第3導体層は、互いに異なる導体層であればよい。また、第2実施形態では、導体層501が第3導体層、導体層503が第1導体層、導体層504が第2導体層、導体層506が第4導体層である場合について説明したが、これに限定するものではない。プリント配線板において、第1〜第4導体層は、互いに異なる導体層であればよい。