以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の実施形態を説明する。各実施形態において先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る流路切替装置1の概略構成について、図面を参照して説明する。図1に示すように、第1実施形態に係る流路切替装置1は、流体回路としての熱媒体回路50の一部を構成しており、後述するように、熱媒体回路50における流路構成を切り替える。
第1実施形態に係る熱媒体回路50は、走行用の駆動力をモータジェネレータから得る電気自動車に搭載されている。熱媒体回路50は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行うと共に、温度調整対象である車載機器(例えば、発熱機器54)の温度調整を行う際に利用される。つまり、第1実施形態に係る熱媒体回路50は、電気自動車において、車載機器の温度調整機能付きの車両用空調装置の一部を構成している。
第1実施形態における熱媒体回路50では、作動時に発熱する発熱機器54を温度調整の対象としている。発熱機器54には、複数の構成機器が含まれている。発熱機器54の構成機器としては、具体的に、モータジェネレータ、電力制御ユニット(所謂、PCU)、先進運転支援システム(所謂、ADAS)用の制御装置等を挙げることができる。
モータジェネレータは、電力を供給されることによって走行用の駆動力を出力し、車両の減速時等には回生電力を発生させる。PCUは、各車載機器へ供給される電力を適切に制御するために変圧器、周波数変換器等を一体化させたものである。
図1に示すように、第1実施形態に係る流路切替装置1には、熱媒体回路50の構成機器が接続されている。具体的には、流路切替装置1には、熱媒体配管を介して、ヒータコア51、水−冷媒熱交換器52、加熱装置53、発熱機器54、ラジエータ55、第1水ポンプ56a、第2水ポンプ56bが接続されている。
図2に示すように、流路切替装置1は、第1層側蓋部材20と、本体部材5と、第2層側蓋部材25と、駆動部30を有している。流路切替装置1において、第1層側蓋部材20、本体部材5、第2層側蓋部材25、駆動部30の順番で、積層方向Lに従って積層配置されている。
図1、図2に示すように、第1実施形態に係る流路切替装置1において、本体部材5は、合成樹脂によって直方体を為すブロック状に形成されている。そして、本体部材5の一面(図2中の上面)側には、第1層側流路11が形成されている。
第1層側流路11は、本体部材5の一面側において、熱媒体回路50の熱媒体が流通する管路として構成されている。第1層側流路11は流体流路の一例である。従って、本体部材5における一面側を構成する部分は、第1層側流路形成部10を構成する。
そして、本体部材5の一面の裏側に位置する他面(図2中の下面)側には、第2層側流路16が形成されている。第2層側流路16は、本体部材5の他面側において、熱媒体回路50の熱媒体が流通する熱媒体通路として構成されている。従って、本体部材5における他面側を構成する部分は、第2層側流路形成部15を構成する。
尚、本体部材5には、一面側と他面側を貫通するように形成された連通部が予め定められた複数の箇所に形成されている。この連通部は、第1層側流路11と第2層側流路16の間を熱媒体の流通可能に接続しており、後述する第1連通部40a、第2連通部40bを含んでいる。
図1、図2に示すように、本体部材5の側面には、熱媒体回路50の熱媒体配管が接続される複数の接続口が形成されている。第1実施形態に係る流路切替装置1は、第1接続口35a〜第10接続口35jを有しており、熱媒体配管を介して、熱媒体回路50の構成機器が接続される。
図2に示すように、第1層側蓋部材20は、合成樹脂製の板状部材であり、本体部材5の一面側と同じサイズに形成されている。第1層側蓋部材20は、本体部材5の一面(図2における本体部材5の上面)に対して、振動溶着やレーザー溶着等によって接合される。
そして、第2層側蓋部材25は、第1層側蓋部材20と同様に、合成樹脂製の板状部材である。第2層側蓋部材25は、本体部材5の他面(図2における本体部材5の下面)に対して、振動溶着やレーザー溶着等によって接合される。
第2層側流路16の内部には、後述する第1三方弁57a及び第2三方弁57bの弁体部が配置されている。駆動部30は、第2層側蓋部材25を介して、第2層側流路形成部15の側に取り付けられており、第1三方弁57a及び第2三方弁57bの弁体部に対する駆動制御を行う。
図2等に示すように、駆動部30は、電磁モータ32と、伝達機構33と、駆動制御部34を収容ケース31の内部に収容している。収容ケース31は、電磁モータ32、伝達機構33、駆動制御部34を、塵や水から保護する。
電磁モータ32は、電力供給によって駆動する駆動軸32aを有しており、第1三方弁57a及び第2三方弁57bの弁体部に対する駆動源である。収容ケース31の内部において、電磁モータ32は、予め定められた位置となるように第2層側蓋部材25に対して取り付けられている。
そして、伝達機構33は、ギヤ33aを含むリンク機構であり、電磁モータ32で生じた駆動力を、第1三方弁57a、第2三方弁57bの弁体部に伝達可能に構成されている。又、伝達機構33は、リンク機構によって構成されている為、各弁体部に対する駆動力の伝達態様を適宜切り替えることができる。
例えば、伝達機構33は、第1三方弁57a及び第2三方弁57bを連動させて作動させるように、駆動力を伝達することができる。又、伝達機構33は、第1三方弁57aと第2三方弁57bの何れか一方に駆動力を伝達することも可能である。伝達機構33の各構成部品は、収容ケース31の内部において、それぞれに予め定められた位置となるように第2層側蓋部材25に対して取り付けられている。
駆動制御部34は、流路切替装置1の動作を制御する為の電子制御ユニットである。具体的には、駆動制御部34は、マイクロコントローラを有しており、図示しない制御装置からの制御信号に従って、電磁モータ32及び伝達機構33の作動を制御する。
次に、第1実施形態における第1層側流路11及び第2層側流路16の構成について、図3〜図5を参照しつつ説明する。上述したように、熱媒体回路50は、熱媒体としての冷却水を循環させる流体回路である。第1実施形態では、車室内の空調及び車載機器の冷却を行う為に、後述するように熱媒体回路50の流路構成を切り替えている。熱媒体回路50を循環する熱媒体として、非圧縮性流体であるエチレングリコール水溶液が採用されている。
図1、図3に示すように、第1接続口35aには、熱媒体配管を介して、第1水ポンプ56aの吸入口が接続されている。ここで、第1接続口35aは、図4に示すように、第1層側流路11の一端部を構成している。
第1水ポンプ56aは、図示しない制御装置から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。第1水ポンプ56aの吐出口は、熱媒体配管を介して、水−冷媒熱交換器52における熱媒体通路52bの熱媒体入口に接続されている。従って、第1水ポンプ56aは、熱媒体を水−冷媒熱交換器52の熱媒体通路52bへ向けて圧送する。
水−冷媒熱交換器52は、熱媒体回路50の構成機器であると同時に、冷凍サイクル60の構成機器の1つである。水−冷媒熱交換器52は、冷凍サイクル60の冷媒を流通させる冷媒通路52aと、熱媒体回路50の熱媒体を流通させる熱媒体通路52bを有している。
水−冷媒熱交換器52は、伝熱性に優れる同種の金属(第1実施形態では、アルミニウム合金)で形成されており、各構成部材は、ロウ付け接合によって一体化されている。これにより、冷媒通路52aを流通する冷媒と熱媒体通路52bを流通する熱媒体は、互いに熱交換することができる。
尚、水−冷媒熱交換器52は、冷凍サイクル60のサイクル構成を変更することによって、放熱器(所謂、水冷コンデンサ)として機能する場合と、吸熱器(所謂、チラー)として機能する場合とに切り替えられる。
例えば、冷凍サイクル60のサイクル構成を切り替えて、冷凍サイクル60の高圧冷媒が冷媒通路52aを流通する場合には、高圧冷媒の熱を熱媒体通路52bの熱媒体へ放熱させる。この場合、水−冷媒熱交換器52は、高圧冷媒の熱で熱媒体を加熱することができる。
一方、冷凍サイクル60の低圧冷媒が冷媒通路52aを流通するように、サイクル構成を切り替えた場合には、熱媒体通路52bを流通する熱媒体の熱を低圧冷媒に吸熱させる。この場合、水−冷媒熱交換器52は、低圧冷媒を冷熱源として、熱媒体を冷却することができる。
そして、水−冷媒熱交換器52の熱媒体出口側には、熱媒体配管を介して、第2接続口35bが接続されている。第2接続口35bは、図4に示すように、第1層側流路11の一端部を構成している。
第1層側流路11の一端部を構成する第3接続口35cには、加熱装置53が接続されている。加熱装置53は、加熱用通路及び発熱部を有しており、図示しない制御装置から供給される電力によって、ヒータコア51の加熱用通路を通過する熱媒体を加熱する。加熱装置53の発熱量は、制御装置からの電力を制御することで任意に調整することができる。
加熱装置53の加熱用通路は、熱媒体を流通させる通路である。発熱部は、電力を供給されることによって、加熱用通路を流通する熱媒体を加熱する。発熱部としては、具体的に、PTC素子やニクロム線を採用することができる。
加熱装置53における加熱用通路の出口側には、熱媒体配管を介して、ヒータコア51の熱媒体入口側が接続されている。ヒータコア51は、図示しない室内送風機から送風された送風空気と熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。
ヒータコア51は、水−冷媒熱交換器52や加熱装置53等によって加熱された熱媒体の有する熱を熱源として送風空気を加熱することができる。ヒータコア51は、電気自動車に搭載された室内空調ユニットのケーシング内において、冷凍サイクル60を構成する室内蒸発器の下流側に配置されている。ヒータコア51の熱媒体出口側には、熱媒体配管を介して、第4接続口35dが接続されている。図5に示すように、第4接続口35dは、第2層側流路16の一端部を構成する。
そして、図4に示すように、第5接続口35eは、第1層側流路11の一端部を構成している。第5接続口35eには、熱媒体配管を介して、発熱機器54の熱媒体通路54aが接続されている。発熱機器54の熱媒体通路54aは、発熱機器54の外殻を形成するハウジング部或いはケースの内部等に形成されている。
発熱機器54の熱媒体通路54aは、熱媒体を流通させることで発熱機器54の温度を調整する為の熱媒体通路である。換言すると、発熱機器54の熱媒体通路54aは、熱媒体回路50を循環する熱媒体との熱交換によって、発熱機器54の温度調整を行う温度調整部である。
発熱機器54における熱媒体通路54aの他端側には、熱媒体配管を介して、第6接続口35fが接続されている。図4に示すように、第6接続口35fは、第1層側流路11の一端部を構成している。
図4に示すように、第1層側流路11の一端部を構成する第7接続口35gには、熱媒体配管を介して、第2水ポンプ56bの吸入口が接続されている。第2水ポンプ56bは、熱媒体回路50を循環させる為に熱媒体を圧送する電動ポンプである。第2水ポンプ56bの基本的構成は、第1水ポンプ56aと同様である。第2水ポンプ56bの吐出口側には、熱媒体配管を介して、第8接続口35hが接続されている。第8接続口35hは、第1層側流路11の一端部を構成している。
そして、第9接続口35iには、熱媒体配管を介して、ラジエータ55の熱媒体流入出口の一方側が接続されている。図5に示すように、第9接続口35iは、第2層側流路16の一端部である。ラジエータ55は、内部を流通する熱媒体と外気とを熱交換させる熱交換器である。従って、ラジエータ55は、内部を通過する熱媒体の熱を外気に放熱する。
ラジエータ55は、駆動装置室内の前方側に配置されている。この為、ラジエータ55を、室外熱交換器と一体的に構成することも可能である。ラジエータ55の熱媒体流入出口の他方側には、熱媒体配管を介して、第10接続口35jが接続されている。図4に示すように、第10接続口35jは、第1層側流路11の一端部を構成する。
流路切替装置1において、第1層側流路11の内部には、複数の逆止弁ユニット70が配置されている。第1実施形態では、第1逆止弁ユニット70a、第2逆止弁ユニット70b、第3逆止弁ユニット70cが配置されている。以下の説明では、第1逆止弁ユニット70a〜第3逆止弁ユニット70cの総称として、逆止弁ユニット70という。各逆止弁ユニット70の具体的な構成については、後に詳細に説明する。
又、流路切替装置1の熱媒体流路には、第1三方弁57a、第2三方弁57bが配置されている。第1三方弁57a及び第2三方弁57bは、第2層側流路16に形成された流入口と、第1層側流路11に形成された二つの流出口を有している。第1三方弁57a及び第2三方弁57bは、積層方向Lへ熱媒体が流れる過程で、流出口の一方側から流出させる熱媒体流量と、流出口の他方側から流出させる熱媒体流量との流量比を連続的に調整する。
図3、図4に示すように、第2接続口35bから伸びる第1層側流路11は、第3接続口35cから伸びる第1層側流路11及び第1逆止弁ユニット70aの流出口から伸びる第1層側流路11と接続されている。この3つの第1層側流路11の接続部分を、第1接続部58aという。
そして、図3、図5に示すように、第4接続口35dから伸びる第2層側流路16には、第1三方弁57aの流入口側が接続されている。第1三方弁57aは、三方式の流量調整弁である。第1三方弁57aは、図示しない制御装置によって駆動部30を制御することでその作動が制御される。
第1三方弁57aは、ヒータコア51から流出した熱媒体のうち、流出口の一方側から流出させる熱媒体流量と、流出口の他方側から流出させる熱媒体流量との流量比を連続的に調整する。更に、第1三方弁57aは、ヒータコア51から流出した熱媒体の全流量を、二つの流出口の何れか一方へ流出させることができる。これにより、第1三方弁57aは、熱媒体回路50の流路構成を切り替えることができる。
第1三方弁57aの流入口から流入した熱媒体は、第1三方弁57a内部を流出口へ向かう過程で、連通路を通過して、第2層側流路16から第1層側流路11へ流出する。そして、第1三方弁57aの流出口の一方側から伸びる第1層側流路11は、他の3つの第1層側流路11に接続され、第2接続部58bを構成する。
図3に示すように、第2接続部58bには、第1三方弁57aの流出口の一方側の第1層側流路11、第1接続口35a側の第1層側流路11が接続されている。更に、第2接続部58bには、第1逆止弁ユニット70aの流入口側の第1層側流路11、第3逆止弁ユニット70cの流出口側の第1層側流路11が接続されている。
図3、図4に示すように、第1逆止弁ユニット70aは、熱媒体が第2接続部58b側から第1接続部58a側へ流れることを許容し、第1接続部58a側から第2接続部58b側へ流れることを禁止する。
そして、第1三方弁57aの流出口の他方側から伸びる第1層側流路11は、第4接続部58dに接続される。第4接続部58dには、第5接続口35eから伸びる第1層側流路11と、第1連通部40aが形成された第1層側流路11が更に接続される。
ここで、第1連通部40aは、ブロック状の本体部材5を積層方向Lに貫通するように形成されており、第1層側流路11と第2層側流路16とを連通している。従って、第1連通部40aを介して、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、熱媒体が流通する。
図3、図5に示すように、第1連通部40aを通過した熱媒体は、第2層側流路16を介して、第2三方弁57bの流入口に到達する。第2三方弁57bは、第4接続部58dから流入する熱媒体の内、流出口の一方側から流出させる熱媒体流量と、流出口の他方側から流出させる熱媒体流量との流量比を連続的に調整可能な三方式の流量調整弁である。
第2三方弁57bの基本的構成は、第1三方弁57aと同様である。第2三方弁57bの流入口から流入した熱媒体は、第2三方弁57b内部を流出口へ向かう過程で、連通路を通過して、第2層側流路16から第1層側流路11へ流出する。
第2三方弁57bの流出口の一方側から伸びる第1層側流路11の端部には、第2連通部40bが形成されている。従って、第2三方弁57bの流出口の一方から流出した熱媒体は、第2連通部40bを介して、第1層側流路11から第2層側流路16へ流出する。図5に示すように、第2連通部40bから伸びる第2層側流路16には、第9接続口35iが形成されている。
そして、第2三方弁57bの流出口の他方側から伸びる第1層側流路11は、第3接続部58cに接続されている。第3接続部58cには、更に、第7接続口35gから伸びる第1層側流路11と、第10接続口35jから伸びる第1層側流路11が接続されている。
図3、図4に示すように、第8接続口35hから伸びる第1層側流路11には、第2逆止弁ユニット70bの流入口側が接続されている。又、第6接続口35fから伸びる第1層側流路11は、第5接続部58eに接続されている。第5接続部58eには、更に、第2逆止弁ユニット70bの流出口から伸びる第1層側流路11と、第3逆止弁ユニット70cの流入口から伸びる第1層側流路11に接続されている。
そして、第2逆止弁ユニット70bは、熱媒体が第8接続口35h側から第5接続部58eへ流れることを許容し、第5接続部58e側から第8接続口35h側へ流れることを禁止する。又、第3逆止弁ユニット70cは、熱媒体が第5接続部58e側から第2接続部58b側へ流れることを許容し、第2接続部58b側から第5接続部58e側へ流れることを禁止する。
第1実施形態に係る流路切替装置1によれば、第1三方弁57a、第2三方弁57b等の動作を制御することで、熱媒体回路50の流路構成を様々な態様に切り替えることができる。
例えば、流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a、水−冷媒熱交換器52、加熱装置53、ヒータコア51、第1三方弁57a、発熱機器54、第3逆止弁ユニット70c、第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。
この流路構成の熱媒体回路50によれば、発熱機器54の廃熱で加熱された熱媒体をヒータコア51に流入させることができるので、発熱機器54の廃熱を利用した車室内の暖房を実現することができる。
又、流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a、水−冷媒熱交換器52、加熱装置53、ヒータコア51、第1三方弁57a、発熱機器54、第3逆止弁ユニット70c、第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。又、第2水ポンプ56b、第2逆止弁ユニット70b、第3逆止弁ユニット70c、第1水ポンプ56a、水−冷媒熱交換器52、加熱装置53、ヒータコア51、第1三方弁57a、第2三方弁57b、ラジエータ55、第2水ポンプ56bの順で循環させる。
これにより、発熱機器54を経由する熱媒体の流れに対して、ヒータコア51を経由する熱媒体の循環経路と、ラジエータ55を経由する熱媒体の循環経路を並列に構成することができる。従って、この流路構成の熱媒体回路50によれば、発熱機器54の廃熱を利用した車室内暖房を行いつつ、余剰熱を外気に放熱させることができる。
更に、流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a、水−冷媒熱交換器52、加熱装置53、ヒータコア51、第1三方弁57a、第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。同時に、第2水ポンプ56b、第2逆止弁ユニット70b、発熱機器54、第2三方弁57b、ラジエータ55、第2水ポンプ56bの順で熱媒体を循環させる。
この構成の熱媒体回路50によれば、水−冷媒熱交換器52及びヒータコア51を経由する熱媒体の循環経路と、発熱機器54及びラジエータ55を循環する熱媒体の循環経路を独立して形成することができる。この結果、熱媒体回路50は、冷凍サイクル60による車室内暖房を行いつつ、外気放熱によって発熱機器54を冷却することができる。
このように構成された流路切替装置1には、第1層側流路11の内部に、第1逆止弁ユニット70a〜第3逆止弁ユニット70cが配置されている。各逆止弁ユニット70の具体的構成について、図面を参照して説明する。
以下の説明では、本体部材5に形成された熱媒体流路において、複数の逆止弁ユニット70が配置された直線状の熱媒体流路を特定流路11aと呼ぶ。図4に示すように、第1実施形態に係る特定流路11aは、第2接続口35bと第8接続口35hの間を接続するように、直線状に伸びた熱媒体流路であり、流体流路の一例である。
そして、特定流路11aが伸びる方向を伸長方向Eとし、伸長方向Eに沿って伸びる軸を中心とした回転の方向を回転方向と呼ぶ。
又、本体部材5に形成された熱媒体流路の内で、特定流路11aから分岐する熱媒体流路を分岐流路11bと呼ぶ。図4に示すように、第1実施形態に係る分岐流路11bの一つは、第2接続部58bにて特定流路11aから分岐して、第1接続口35aへ向かって伸びる熱媒体流路である。
そして、第1実施形態における他の分岐流路11bは、第5接続部58eにて特定流路11aから分岐して、第6接続口35fへ向かって伸びる熱媒体流路を挙げることができる。
図6、図7に示すように、逆止弁ユニット70は、円筒形状のケーシング71を有しており、その内部に、球状弁体80を収容して構成されている。ケーシング71は、伸長方向Eに沿って伸びる円筒形状を為し、逆止弁ユニット70の外殻を構成している。
ケーシング71の内部には、熱媒体が通過する管路が形成されている。そして、ケーシング71の外径は、特定流路11aの内径よりもやや小さく形成されている。従って、各逆止弁ユニット70は、第1層側流路11の特定流路11aを伸長方向Eに沿って移動させることで、予め定められた位置に取り付けられる。
第1開口72は、伸長方向Eに沿って伸びる円筒形状のケーシング71の一端側に配置された開口である。第1開口72は、ケーシング71の内部に対して熱媒体が流出入する流入出口である。具体的に説明すると、逆止弁ユニット70を通過する熱媒体の流れが許容される場合において、第1開口72は、熱媒体の流入口に相当する。
第2開口73は、ケーシング71の他端側に配置された開口であって、伸長方向Eにおいて、第1開口72に対向している。第2開口73は、ケーシング71の内部に対して熱媒体が流出入する流入出口である。第2開口73は、逆止弁ユニット70を通過する熱媒体の流れが許容される場合に、熱媒体の流出口に相当する。
図6、図7に示すように、分岐開口74は、円筒形状のケーシング71の壁面を貫通するように形成されており、ケーシング71内部の管路と、ケーシング71の外部とを連通している。分岐開口74は、逆止弁ユニット70の伸長方向Eに関して、第1開口72と第2開口73の間に配置されている。
分岐開口74は、逆止弁ユニット70を特定流路11aの所定位置に配置した場合に、分岐流路11bに対向するように配置される。従って、分岐開口74は、ケーシング71の内部の管路と分岐流路11bとを連通している。
図7等に示すように、弁座部75は、ケーシング71の内部において、伸長方向Eに関して第2開口73と分岐開口74との間に配置されている。弁座部75は、ケーシング71の内部において、伸長方向Eへ第1開口72側に向かうにつれて、その内径が小さくなるように形成されている。
ケーシング71の内部にて、弁座部75の内径は、第2開口73側の内径及び球状弁体80の外径よりも小さい。従って、第2開口73から流入した熱媒体の流れによって、球状弁体80が移動すると、球状弁体80は、弁座部75に着座して弁座部75の内側に位置する管路部分を閉塞する。
第1回転規制部76は、ケーシング71における第1開口72側の端部に形成されている。第1回転規制部76は、特定流路11aの内部に複数の逆止弁ユニット70を連続して配置した場合に、伸長方向Eに沿った軸を中心とした逆止弁ユニット70の回転を規制する。
具体的には、第1回転規制部76は、第1開口72側にて隣り合う逆止弁ユニット70と協働することで、隣り合う逆止弁ユニット70における相対的な回転移動を規制する。第1実施形態においては、第1回転規制部76は、第1開口72の開口縁から伸長方向Eへ突出した凸部76bを有している。後述するように、凸部76bは、他の逆止弁ユニット70における第2回転規制部77の凹部77aに嵌合するように形成されている。
そして、第2回転規制部77は、ケーシング71における第2開口73側の端部に形成されている。第2回転規制部77は、第1回転規制部76と同様に作用するが、第2開口73側に隣接する逆止弁ユニット70を対象としている。第1実施形態における第2回転規制部77は、4つの凹部77aと、4つの凸部77bとによって構成されている。
図6、図9に示すように、4つの凹部77a及び4つの凸部77bは、ケーシング71の第2開口73の開口縁において、交互に配置されている。即ち、第2開口73の開口縁にて隣り合う二つの凸部77bの間に、凹部77aが配置されている。
凸部77bは、第2開口73の開口縁から伸長方向Eへ突出するように形成されている。従って、凹部77aは、ケーシング71の第2開口73から弁座部75の手前まで、伸長方向Eへ伸びるように形成されている。尚、凹部77aは、第2開口73の開口縁の端面を、伸長方向Eへ向かって、弁座部75の手前まで窪ませた構成ということもできる。
そして、第2回転規制部77における凹部77aの断面形状は、第1回転規制部76における凸部76bの断面形状に対応している。従って、或る逆止弁ユニット70における第2回転規制部77の凹部77aに対し、他の逆止弁ユニット70における第1回転規制部76の凸部76bを嵌合させることができる。
これにより、或る逆止弁ユニット70と、他の逆止弁ユニット70において、回転方向への移動を規制することができ、各逆止弁ユニット70の分岐開口74等の位置を位置決めすることができる。
上述したように、特定流路11aの内部において、円筒形状のケーシング71を配置している為、第1実施形態では、特定流路11aにおける流路断面積が小さくなりすぎてしまうことが想定される。この点、図9に示すように、第2回転規制部77として複数の凹部77aを形成することで、ケーシング71の配置に伴う流路断面積の低下を抑制することができる。
図6、図7、図9に示すように、複数の凸部77bにおけるケーシング71の内側面には、リブ78がそれぞれ形成されている。リブ78は、凸部77bの内側面からケーシング71の内側に向かって突出したリブであり、複数の凸部76bと同様に、伸長方向Eに沿って伸びている。
各リブ78の先端は、よりケーシング71の内側に位置している為、第2開口73と弁座部75の間を移動する球状弁体80と接触する。従って、各リブ78は、球状弁体80をケーシング71の内部における管路の中央へ導くことができ、弁座部75に正確に着座させることができる。
図7、図9に示すように、ケーシング71の外周面と特定流路11aの内壁面の間には、シール部79が配置されている。シール部79は、いわゆるOリングによって構成されており、ケーシング71の外側表面にて、回転方向の全周に亘って配置されている。従って、シール部79は、特定流路11aの内側表面と、ケーシング71の外側表面との間における熱媒体の流れを遮断して、熱媒体の漏れを防止することができる。
そして、球状弁体80は、ケーシング71の内部において、弁座部75と第2開口73との間に収容されている。球状弁体80は、ケーシング71の内部を流通する熱媒体の流れに従って、弁座部75と第2開口73の間を移動する。尚、第1実施形態においては、球状の弁体を採用していたが、熱媒体の流れに従って弁座部75を閉塞及び開放することができれば、他の形状の弁体を採用することも可能である。
図6、図7、図10に示すように、ケーシング71の第1開口72側には、弁体規制部81が配置されている。弁体規制部81は、複数の規制片81aを有している。複数の規制片81aは、ケーシング71の中心軸と同軸を為す円周に沿って、一定の間隔をあけて配置されている。弁体規制部81の内径は、球状弁体80の外径及び第2開口73の内径よりも小さく形成されている。
従って、特定流路11a内に複数の逆止弁ユニット70を連続して配置した場合、或る逆止弁ユニット70の第2開口73の内側には、他の逆止弁ユニット70の弁体規制部81が配置される。従って、他の逆止弁ユニット70の球状弁体80が、熱媒体の流れに従って、弁座部75から第2開口73側へ移動する場合には、球状弁体80は、弁体規制部81の規制片81aに接触して、第2開口73側への移動が制限される。
これにより、第1開口72から第2開口73へと熱媒体が流通する場合でも、弁体規制部81によって、球状弁体80を予め定められた範囲の内部に留めておくことができる。従って、ケーシング71の内部における所定の範囲から、球状弁体80が脱落することを防止できる。
尚、逆止弁ユニット70の第2開口73側に他の逆止弁ユニット70が存在しない場合には、別部材として構成された弁体規制部材85が配置される。弁体規制部材85は、弁体規制部81と同様に、複数の規制片85aを有している。
例えば、図7に示すように、特定流路11aに配置された複数の逆止弁ユニット70の内で、最も下流側に配置された逆止弁ユニット70の第2開口73に対し、弁体規制部材85が配置される。これにより、最も下流側の逆止弁ユニット70の内部において、球状弁体80の移動範囲は、弁座部75から弁体規制部材85の範囲に定められ、第2開口73からの球状弁体80の脱落を防止することができる。
次に、第1実施形態における逆止弁ユニット70の動作について、図面を参照して説明する。図7に示す例によれば、第8接続口35h側から第2接続口35b側へ向かって熱媒体が流れる場合、各逆止弁ユニット70におけるケーシング71の内部において、球状弁体80が熱媒体の流れに従って、第2開口73側へ移動する。
これにより、各逆止弁ユニット70の弁座部75が開放され、第8接続口35h側から第2接続口35b側へ向かう熱媒体の流れが許容される。この時、球状弁体80は、弁体規制部81の規制片81a等と当接して第2開口73側への移動が制限される為、ケーシング71から外部へ流出することはない。
一方、第2接続口35b側から第8接続口35h側へ向かって熱媒体が流れる場合、各逆止弁ユニット70におけるケーシング71の内部において、球状弁体80が熱媒体の流れに従って、第1開口72側へ移動して、弁座部75に対して着座する。これにより、逆止弁ユニット70の内部の流路が球状弁体80によって閉塞され、第2接続口35b側から第8接続口35h側へ向かう熱媒体の流れが禁止される。
第1実施形態に係る流路切替装置1によれば、第1逆止弁ユニット70a〜第3逆止弁ユニット70cがそれぞれ動作することによって、熱媒体回路50の流路構成を上述したように切り替えることができる。
続いて、第1実施形態における各逆止弁ユニット70の連結状態について、図面を参照して説明する。図7に示すように、第1実施形態に係る流路切替装置1では、特定流路11aの内部に複数の逆止弁ユニット70を配置する際に、例えば、第1逆止弁ユニット70aと第2逆止弁ユニット70bのように、二つの逆止弁ユニット70を連結させている。
特定流路11aの内部に複数の逆止弁ユニット70を連続して配置する場合、一方の逆止弁ユニット70の第1回転規制部76と、他方の逆止弁ユニット70の第2回転規制部77とを協働させて、連結状態を実現している。
具体的には、図8、図10に示すように、一方の逆止弁ユニット70における第1回転規制部76の凸部76bを、他方の逆止弁ユニット70における第2回転規制部77の凹部77aに対して嵌合させる。
これにより、逆止弁ユニット70の回転方向に関して、一方の逆止弁ユニット70の凸部76bは、他方の逆止弁ユニット70の凹部77aの側面に隣接する。換言すると、一方の逆止弁ユニット70の凸部76bは、他方の逆止弁ユニット70にて隣り合う凸部77bの間に位置する。
従って、一方の逆止弁ユニット70に対して、他方の逆止弁ユニット70を回転方向へ回転させようとした場合、凸部76bの端面と、何れか一方の凸部77bの端面が接触する。これにより、第1回転規制部76と第2回転規制部77の協働によって、複数の逆止弁ユニット70の回転方向への相対的な位置関係を定めることができる。
即ち、流路切替装置1によれば、複数の逆止弁ユニット70にて、それぞれの分岐開口74の位置を定めておくことができる。この結果、流路切替装置1は、特定流路11aに複数の逆止弁ユニット70を配置する場合に、各分岐開口74と分岐流路11bとの位置を精度よく合わせることができ、複数の逆止弁ユニット70の配置に関する作業負担を低減できる。
以上説明したように、第1実施形態に係る流路切替装置1によれば、各逆止弁ユニット70における球状弁体80と弁座部75の位置関係により、第1開口72、第2開口73及び分岐開口74の間における熱媒体の流れを切り替えることができる。即ち、流路切替装置1は、複数の逆止弁ユニット70の動作によって、熱媒体回路50の流路構成を切り替えることができる。
又、流路切替装置1によれば、複数の逆止弁ユニット70を連続して配置した場合、第1回転規制部76、第2回転規制部77によって、逆止弁ユニット70の他方側に対する回転方向の移動が規制される。これにより、複数の逆止弁ユニット70における各分岐開口74の位置を、伸長方向E及び回転方向に位置決めしておくことができる。
従って、流路切替装置1によれば、本体部材5における特定流路11aの内部に、複数の逆止弁ユニット70を精度良く配置することができ、特定流路11a及び分岐流路11bを介した流路構成の切り替えを、作業負担の少ない態様で実現できる。
図7等に示すように、流路切替装置1は、一方の逆止弁ユニット70の第1回転規制部76に対して、他方の逆止弁ユニット70の第2回転規制部77を嵌合させて、複数の逆止弁ユニット70における回転移動を規制している。
これによれば、複数の逆止弁ユニット70において、許容される熱媒体の流れの向きを合わせると同時に、各逆止弁ユニット70における分岐開口74の位置を分岐流路11bの位置にそれぞれ調整することができる。従って、流路切替装置1は、特定流路11aに複数の逆止弁ユニット70を配置する際の作業負荷を低減することができる。
そして、図7等に示すように、流路切替装置1には、シール部79が配置されており、特定流路11aの内側表面と、各逆止弁ユニット70におけるケーシング71の外表面との間における熱媒体の流れを遮断している。これによれば、各逆止弁ユニット70のケーシング71外部を通過する熱媒体の漏れを防止することができ、逆止弁ユニット70を通過する熱媒体流量を確保することができる。
又、シール部79は、逆止弁ユニット70のケーシング71の外側表面にて、回転方向の全周に亘って配置されている。これにより、ケーシング71外部に対する熱媒体の漏れを確実に防止することができる。ケーシング71の外側表面に配置されている為、特定流路11a内に逆止弁ユニット70を配置する際に、シール部79のシール性を保つことができる。
そして、ケーシング71の内側表面には、複数のリブ78が形成されている。リブ78は、それぞれ、ケーシング71の内側表面から更に内側に向かって突出しており、伸長方向Eに向かって伸びている。
つまり、流路切替装置1によれば、各リブ78によって、球状弁体80の移動範囲を規制することができる。即ち、流路切替装置1によれば、球状弁体80がケーシング71の内部における中央部分を移動するようになる為、球状弁体80を弁座部75に精度よく着座させて、逆止弁ユニット70による流路切替の性能を高めることができる。
ここで、流路切替装置1では、逆止弁ユニット70のケーシング71は特定流路11aの内部に配置される為、逆止弁ユニット70の配設位置では熱媒体の流路断面積が小さくなることが想定される。
この点、図6等に示すように、流路切替装置1において、第2開口73の開口縁には、複数の凹部77aが形成されている。流路切替装置1は、第2開口73の開口縁に複数の凹部77aを形成することで、ケーシング71の配置に伴う流路断面積の低下を抑制して、熱媒体の流量を確保することができる。
又、第2開口73側に配置される第2回転規制部77は、複数の凹部77aを有しており、他方の逆止弁ユニット70における第1回転規制部76と協働することで、複数の逆止弁ユニット70の間における回転方向の位置関係を位置決めしておくことができる。従って、流路切替装置1によれば、特定流路11a及び分岐流路11bを介した流路構成の切り替えを、作業負担の少ない態様で実現できる。
更に、第2開口73の開口縁には、複数の凸部77bが配置されている。凸部77bは、複数の凹部77aの間に配置されている。従って、複数の凹部77a及び凸部77bが、他方の逆止弁ユニット70における第1回転規制部76と協働することで、複数の逆止弁ユニット70の間における回転方向の位置関係を、より確実に位置決めしておくことができる。これにより、流路切替装置1は、特定流路11a及び分岐流路11bを介した流路構成の切り替えを、作業負担の少ない態様で実現できる。
図7、図10に示すように、逆止弁ユニット70の第1開口72の側には、弁体規制部81が配置されている。弁体規制部81は、複数の逆止弁ユニット70を連続して配置した場合、他方の逆止弁ユニット70における第2開口73の内部に位置し、他方の逆止弁ユニット70における球状弁体80の移動を規制する。
従って、複数の逆止弁ユニット70を連続して配置した場合に、第2開口73へ向かう球状弁体80の移動は、弁体規制部81によって規制される。これにより、ケーシング71内部における球状弁体80の移動範囲が伸長方向Eに定められる為、逆止弁ユニット70による流路切替の性能を高めることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る流路切替装置1について、図11、図12を参照して説明する。第2実施形態に係る流路切替装置1は、上述した第1実施形態と同様に、熱媒体回路50の一部を構成している。
第2実施形態に係る流路切替装置1では、特定流路11aの内部に複数の逆止弁ユニット70を配置する際に、複数の逆止弁ユニット70の間に連結部材90を配置している。第2実施形態に係る流路切替装置1及び逆止弁ユニット70の基本的な構成は、上述した第1実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
図11に示すように、第2実施形態においては、連結部材90を介して、二つの逆止弁ユニット70が連結されている。図11に示す連結状態からわかるように、二つの逆止弁ユニット70の間に連結部材90を介在させることで、伸長方向Eに関する分岐開口74の配置を調整することができる。
図11、図12に示すように、連結部材90は、逆止弁ユニット70のケーシング71と同径を為す円筒形状に形成されている。連結部材90の一方側の端縁には、第1連結部91が形成されている。
第1連結部91は、逆止弁ユニット70の第1回転規制部76と協働して、逆止弁ユニット70の第1開口72側に連結部材90を取り付ける。第1連結部91は、連結部材90の一方側の端縁を伸長方向Eへ窪ませた凹部91aを有している。
図6に示すように、逆止弁ユニット70の第1回転規制部76には、凸部76bが形成されている。ここで、凹部91aの内部断面の形状は、凸部76bの断面形状に対応している。従って、第1連結部91の凹部91aは、第1回転規制部76の凸部76bと嵌合して、一方側(図11中、上側)の逆止弁ユニット70と連結部材90に関する回転方向への移動を規制する。
そして、連結部材90の他方側の端縁には、第2連結部92が形成されている。第2連結部92は、逆止弁ユニット70の第2回転規制部77と協働して、逆止弁ユニット70の第2開口73側に連結部材90を取り付ける。第2連結部92は、複数の凹部92aと、複数の凸部92bとを有している。
第2連結部92においては、所定の間隔をあけて4つの凹部92aが配置されている。各凹部92aは、連結部材90の一方側の端縁を伸長方向Eへ窪ませて形成されている。この結果、二つの凹部92aの間は、連結部材90の一方側の端縁を伸長方向Eへ突出する凸部92bを構成する。換言すると、第2連結部92には、凹部92aに相当する間隔をあけて、4つの凸部92bが配置されている。
ここで、図6に示すように、逆止弁ユニット70の第2回転規制部77には、複数の凹部77a及び複数の凸部77bが形成されている。第2連結部92において、各凹部92aの内部断面の形状は、第2回転規制部77における凸部77bの断面形状に対応している。又、各凸部92bの断面形状は、第2回転規制部77における凹部77aの内部断面の形状に対応している。
従って、第2連結部92の凹部92aは、第2回転規制部77の凸部77bと嵌合し、第2連結部92の凸部92bは、第2回転規制部77の凹部77aと嵌合する。逆止弁ユニットの第2回転規制部77と、連結部材90の第2連結部92が協働することで、他方側(図11中、下側)の逆止弁ユニット70と連結部材90に関する回転方向への移動を規制することができる。
そして、図11に示すように、連結部材90を介して二つの逆止弁ユニット70を連結状態にすることで、連結部材90を基準として、二つの逆止弁ユニット70における回転方向の移動を規制することができる。この結果、二つの逆止弁ユニット70における分岐開口74の位置を、回転方向に関して相対的に位置決めすることができる。
そして、伸長方向Eに関する連結部材90の長さは適宜変更して形成することができる為、連結部材90を介在させることで、伸長方向Eにおける複数の逆止弁ユニット70の位置を調整することができる。
これにより、流路切替装置1によれば、複数の逆止弁ユニット70を特定流路11aの内部に配置する際に、伸長方向E及び回転方向に関する位置調整に関する作業負担を低減することができる。
以上説明したように、第2実施形態に係る流路切替装置1によれば、連結部材90を介して、複数の逆止弁ユニット70を配置する場合でも、上述した第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
図11、図12に示すように、筒状の連結部材90の一方の端部には、第1連結部91が配置されており、逆止弁ユニット70の第1回転規制部76と協働する。これにより、連結部材90と逆止弁ユニット70の間において、回転方向への移動が規制される為、回転方向について、連結部材90と逆止弁ユニット70を位置決めすることができる。
又、連結部材90の他方の端部には、第2連結部92が配置されており、逆止弁ユニット70の第2回転規制部77と協働する。これにより、連結部材90と逆止弁ユニット70の間において、回転方向への移動が規制される為、回転方向について、連結部材90と逆止弁ユニット70を位置決めすることができる。
そして、二つの逆止弁ユニット70の間に連結部材90を配置することで、二つの逆止弁ユニット70における回転方向の位置関係を相対的に位置決めしておくことができる。これにより、二つの逆止弁ユニット70における分岐開口74の配置を、予め定められた状態に固定しておくことができる。
更に、連結部材90を介在させることで、二つの逆止弁ユニット70における伸長方向Eへの位置関係を位置決めしておくことができる。これにより、二つの逆止弁ユニット70における分岐開口74に関して、伸長方向Eへの間隔を適切な位置に定めておくことができる。
即ち、第2実施形態に係る流路切替装置1によれば、連結部材90を介して二つの逆止弁ユニット70を連結することで、逆止弁ユニット70の伸長方向E及び回転方向に関する位置関係を位置決めしておくことができる。これにより、流路切替装置1は、特定流路11a及び分岐流路11bを介した流路構成の切り替えを、作業負担の少ない態様で実現できる。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る流路切替装置1について、図13を参照して説明する。第3実施形態に係る流路切替装置1は、上述した実施形態と同様に、熱媒体回路50の一部を構成している。
第3実施形態に係る流路切替装置1においては、逆止弁ユニット70における第1回転規制部76及び第2回転規制部77の構成が相違している。流路切替装置1及び逆止弁ユニット70のその他の構成については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
図13に示すように、第3実施形態に係る逆止弁ユニット70の第1回転規制部76は、一つの凹部76aを有している。凹部76aは、ケーシング71における第1開口72の開口縁の一部を、伸長方向Eに沿って弁座部75側へ窪ませて構成されている。
そして、第3実施形態に係る第2回転規制部77は、一つの凸部77bを有している。凸部77bは、ケーシング71における第2開口73の開口縁の一部を、伸長方向Eに沿って突出させて構成されている。第3実施形態における凸部77bの断面形状は、凹部76a内部の断面形状に対応している。
従って、第3実施形態においても、第1回転規制部76の凹部76aに対して、第2回転規制部77の凸部77bを嵌合させることによって、複数の逆止弁ユニット70における回転方向への位置を固定することができる。つまり、複数の逆止弁ユニット70における分岐開口74の位置を、回転方向に関して相対的に固定することができる。
これにより、第3実施形態に係る流路切替装置1によれば、複数の逆止弁ユニット70を連続して配置する場合において、複数の逆止弁ユニット70の回転方向の位置調整に関する作業負担を低減することができる。
以上説明したように、第3実施形態に係る流路切替装置1によれば、第1回転規制部76及び第2回転規制部77の構成を変更した場合であっても、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る流路切替装置1について、図14を参照して説明する。第4実施形態に係る流路切替装置1は、上述した実施形態と同様に、熱媒体回路50の一部を構成している。
第4実施形態に係る流路切替装置1においては、逆止弁ユニット70における第1回転規制部76及び第2回転規制部77の構成が上述した実施形態と相違している。流路切替装置1及び逆止弁ユニット70のその他の構成については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
図14に示すように、第4実施形態に係る逆止弁ユニット70の第1回転規制部76は、一つの凸部76bを有している。凸部76bは、ケーシング71における第1開口72の開口縁の一部を、伸長方向Eに沿って突出させて構成されている。
そして、第4実施形態に係る第2回転規制部77は、一つの凹部77aを有している。77aは、ケーシング71における第2開口73の開口縁の一部を、伸長方向Eに沿って弁座部75側に窪ませて構成されている。第4実施形態における凹部77a内部の断面形状は、凸部76bの断面形状に対応している。
従って、第4実施形態においても、第1回転規制部76の凸部76bを、第2回転規制部77の凹部77aに対して嵌合させることによって、複数の逆止弁ユニット70における回転方向への位置を固定することができる。つまり、複数の逆止弁ユニット70における分岐開口74の位置を、回転方向に関して相対的に固定することができる。
これにより、第4実施形態に係る流路切替装置1によれば、複数の逆止弁ユニット70を連続して配置する場合において、複数の逆止弁ユニット70の回転方向の位置調整に関する作業負担を低減することができる。
以上説明したように、第4実施形態に係る流路切替装置1によれば、第1回転規制部76及び第2回転規制部77の構成を変更した場合であっても、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係る流路切替装置1について、図15〜図18を参照して説明する。第5実施形態に係る流路切替装置1は、上述した実施形態と同様に、熱媒体回路50の一部を構成している。
第5実施形態に係る流路切替装置1においては、複数の逆止弁ユニット70に対するシール部79の配置及び配置する為の構成が相違している。流路切替装置1及び逆止弁ユニット70のその他の構成については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
図6〜図14に示すように、上述した各実施形態における逆止弁ユニット70は、一つのケーシング71に対して、Oリングで構成されたシール部79を一つ配置して構成されている。この点、第5実施形態においては、図15に示すように、特定流路11aに沿って連続して配置される複数の逆止弁ユニット70の間に、シール部79が配置される。
先ず、第5実施形態に係る逆止弁ユニット70について説明する。第5実施形態に係る逆止弁ユニット70の第2回転規制部77は、一つの凹部77aを有している。図16に示すように、第5実施形態における凹部77aは、ケーシング71の内壁面において、壁の厚み方向に窪んだ溝を、第2開口73の開口縁から伸長方向Eに沿って伸ばして構成されている。
そして、第5実施形態に係る逆止弁ユニット70の第1回転規制部76は、一つの凸部76bを有している。図17に示すように、第5実施形態に係る凸部76bは、弁体規制部81の規制片81aから径方向外側に向かって突出しており、伸長方向Eに伸びている。第5実施形態において、凸部76bの断面形状は、凹部77a内部の断面形状に対応している。
従って、図18に示すように、複数の逆止弁ユニット70を連続して配置する際に、第1回転規制部76の凸部76bを、第2回転規制部77の凹部77aに嵌合させることができる。これにより、第5実施形態においても、複数の逆止弁ユニット70における回転方向への位置を固定することができる。
そして、逆止弁ユニット70における第1開口72側には、シール保持部79aが形成されている。シール保持部79aは、弁体規制部81よりも径方向外側において、ケーシング71の外表面に対する段差を構成している。段差状のシール保持部79aは、ケーシング71の全周に亘って形成されている。
そして、シール保持部79aには、Oリングで構成されるシール部79が配置される。図18に示すように、シール部79は、一方の逆止弁ユニット70におけるシール保持部79aの内壁面と、他方の逆止弁ユニット70における第2開口73の端面によって挟み込まれて保持される。
これにより、第5実施形態においては、複数の逆止弁ユニット70の間に、シール部79を配置することができ、特定流路11aの内側表面とケーシング71の外側表面との間における熱媒体の流れを遮断することができる。
以上説明したように、第5実施形態に係る流路切替装置1によれば、複数の逆止弁ユニット70の間にシール部79を配置した場合であっても、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
(他の実施形態)
本開示は上述した実施形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述した実施形態では、流路切替装置1の本体部材5に、第1層側流路11と第2層側流路16を積層方向Lに積層するように形成していたが、この態様に限定されるものではない。本体部材5に対して流体が流通する流路として、特定流路11aと分岐流路11bを含む構成が形成されていれば、様々な態様を採用することができる。
(2)又、逆止弁ユニット70における第1回転規制部76及び第2回転規制部77の構成は、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。上述した各実施形態における第1回転規制部76等の具体的構成を、適宜組み合わせることも可能である。例えば、第2回転規制部77における複数の凹部77aを、ケーシング71内面にて、伸長方向Eへ伸びる溝として構成してもよい。
(3)そして、上述した実施形態では、逆止弁ユニット70のケーシング71を、円筒形状に形成していたが、この態様に限定されるものではない。逆止弁ユニットのケーシングは、細長い棒状の部材であって、中心部を貫通するようにくり抜かれているものであればよい。例えば、直方体状のケーシングを採用することも可能である。
(4)又、上述した実施形態においては、連結部材90の一方の端部に第1連結部91を配置し、他方の端部に第2連結部92を配置していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、連結部材90の一方の端部を加工することなく、他方の端部に第1連結部91又は第2連結部92を配置してもよい。又、連結部材90の両端部に第1連結部91を配置することも可能である。同様に、連結部材90の両端部に第2連結部92を配置しても良い。
(5)そして、上述した実施形態においては、逆止弁ユニット70のケーシング71には、一つの分岐開口74を形成していたが、この態様に限定されるものではない。逆止弁ユニット70における分岐開口74としては、第1開口72と弁座部75の間に位置していれば、複数形成することも可能である。
(6)又、上述した実施形態においては、第1層側流路11及び第2層側流路16に代表される流体流路は、本体部材5に形成されていれば良く、その形成方法については、様々な手法を採用することができる。例えば、本体部材5の表面に溝状の流路を形成し、その開放されている側を第1層側蓋部材20のような蓋部材で閉塞することで、流体流路を形成しても良い。
(7)そして、上述した実施形態では、本開示に係る流路切替装置1を、車載機器冷却機能付きの車両用空調装置における熱媒体回路50に適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。
本開示に係る流路切替装置1は、車両用の熱媒体回路に限定されることなく、定置型の空調装置等の熱媒体回路に適用してもよい。例えば、サーバ(コンピュータ)の温度を適切に調整しつつ、サーバが収容される室内の空調を行うサーバ冷却機能付きの空調装置等の熱媒体回路に適用してもよい。
(8)又、上述した実施形態では、熱媒体回路50の熱媒体として、エチレングリコール水溶液を採用した例を説明したが、熱媒体はこれに限定されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、或いはナノ流体等を含む溶液、不凍液等を、流体としての熱媒体に採用することができる。