以下、本発明に係るエアコンプレッサに関して一例を示し、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係るエアコンプレッサを示した外観斜視図であり、図2は、概略構成を示したブロック図である。エアコンプレッサ1は、タンク部2と、圧縮空気生成部3と、モータ部(モータ手段)4と、制御回路部(制御手段)5と、操作回路部6によって概略構成されている。
タンク部2は、圧縮空気を貯留するための貯留タンク8を有している。貯留タンク8には、圧縮空気生成部3により生成された一定圧力の圧縮空気が蓄えられている。本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、貯留タンク8の圧力を、釘打機等の駆動工具(駆動手段・図示省略)の使用状況に応じて、変化させることを特徴としている。一般的なエアコンプレッサの貯留タンクでは、通常3.9MPa〜4.4MPa程度の圧力に維持されるが、本実施の形態に係るエアコンプレッサ1の貯留タンク8では、後述するAI(Artificial Intelligence)モードの設定により、2.5MPa〜4.0MPa程度に圧力状態が変化する。
貯留タンク8には、複数の圧縮空気取出口9が設けられている。本実施の形態においては、高圧の圧縮空気を取り出すための高圧取出口9aと、常圧の圧縮空気を取り出すための常圧取出口9bとが設けられている。各取出口9a、9bには、それぞれの取出口9a、9bより得られる圧縮空気を所望の圧力に減圧させるための減圧弁10a、10bが設けられている。
貯留タンク8内の圧縮空気は、上述したように通常3.9MPa〜4.4MPa程度の圧力に維持されるため、高圧取出口9aから取り出され圧縮空気も常圧取出口9bから取り出される圧縮空気も、所望の圧力を減圧弁10a、10bによって維持することが可能になっている。また、各取出口9a、9bには、減圧弁10a、10bにより減圧された圧縮空気を駆動工具に供給するために、エアホース(図示省略)を着脱することが可能になっている。
さらに、貯留タンク8には、貯留タンク8内の圧力を検出するための圧力センサ(圧力検出手段)12が設けられている。圧力センサ12は、貯留タンク8内の圧力変化を内部の感圧素子によって電気信号に変換する機能を有しており、検出した電気信号は制御回路部5に出力される。
圧縮空気生成部3は、シリンダ内に設けられるピストンを往復運動させ、シリンダの吸気弁からシリンダ内に引き込まれた空気を圧縮することによって圧縮空気を生成する構造を備えている。圧縮された空気は、連結パイプ14を介してタンク部2の貯留タンク8へ供給される。
モータ部4は、圧縮空気生成部3のピストンを往復運動させるための駆動力を発生させる役割を有している。モータ部4には、駆動力を発生させるためのステータ16とロータ17とが設けられている。ステータ16には、U相、V相、W相の巻線16a、16b、16cが形成されており、これらの巻線16a〜16cに対して電流を流すことによって回転磁界が形成される。ロータ17は、永久磁石によって構成されており、ステータ16の巻線16a、16b、16cを流れる電流によって形成される回転磁界により、ロータ17の回転が行われる。
操作回路部6は、ユーザがエアコンプレッサ1の運転モード等を設定するための操作パネル6aを構成する回路部である。操作パネル6aには、運転モード等を設定するための操作スイッチ6bが設けられている。ユーザは、操作スイッチ6bを操作することによって、運転モード等の設定・変更を行うことが可能となっている。
本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、運転モードとして、AIモードと、パワーモードと、静音モードとを選択することが可能になっている。ここで、AIモードとは、駆動工具の使用状況(圧縮空気の使用状況)に応じて、タンク部2内の圧力値を変動させる運転モードである。
より詳細に説明すると、エアコンプレッサ1では、基本的に、タンク部2内の圧力値が、停止圧力値(以下、OFF圧値と称する。本発明におけるモータ停止圧力値に該当する。)以上の場合に、モータ部4の駆動を停止させ、タンク部2内の圧力値が、再起動圧力値(以下、ON圧値と称する。本発明におけるモータ起動圧力値に該当する。)以下の場合に、モータ部4の駆動を開始させる構成となっている。運転モードがAIモードに設定されると、エアコンプレッサ1では、モータ部4の駆動状況に応じて、モータ部4の開始を規定するON圧値の値と、停止を規定するOFF圧値の値とを変化させる制御を行う。
また、操作パネル6aには、パネルLED6cが設けられており、タンク部2内の圧縮空気の圧力状態を表示することが可能となっている。また、パネルLED6cには、エラー発生時にエラー表示がなされ、ユーザにエラー報知が行われる。また、操作回路部6には、ブザー6dが設けられており、エラー発生時には、ブザー6dによる報知音が発生する構造となっている。
操作回路部6により設定された運転モード等の操作情報は、制御回路部5へ出力される。また、操作回路部6では、制御回路部5より、タンク部2内の圧縮空気の情報(タンク部内の圧力値の情報)を受信すると共に、エラー発生時には,エラー情報を受信する。制御回路部5から圧縮空気の情報およびエラー情報を受信した場合、操作回路部6は、パネルLED6cに受信した情報を表示する。また、操作回路部6は、必要に応じてブザー6dによる報知音の発生を行う。
制御回路部5は、図3に示すように、マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit、制御手段)20と、コンバータ回路21と、インバータ回路22と、ノイズ抑制回路23とによって概略構成されている。
ノイズ抑制回路23は、エアコンプレッサ1の駆動源となる交流電源29からの入力電流(交流電流)のノイズを抑制するための回路であり、ノイズフィルタとしての役割を有している。ノイズ抑制回路23は、交流電源29からの入力電流(交流電流)に重畳するノイズを除去してから、入力電流(交流電流)をコンバータ回路21へ出力する。
コンバータ回路21は、整流回路24と昇圧回路25と平滑回路26とにより概略構成されている。コンバータ回路21によっていわゆるPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御が実行される。ここで、PAM制御とは、コンバータ回路21によって出力電圧のパルスの高さを変化させることにより、モータ部4の回転数を制御する方法である。一方で、インバータ回路22では、いわゆるPWM(Pulse Width Modulation)制御が実行される。PWM制御とは、出力電圧のパルス幅を変化させてモータ部4の回転数を制御させる方法である。
PAM制御は、PWM制御に比べて、モータ部4における低回転時の効率低下が少なく、電圧を上げることによって高回転にも対応することが可能であるという特性を有しているため、高出力時および定常運転時に主として用いられる制御方法である。一方で、PWM制御は、起動時や電圧低下時などにおいて主として用いられる制御方法である。マイクロプロセッサ20は、エアコンプレッサ1の運転状態に応じて、コンバータ回路21によるPAM制御とインバータ回路22によるPWM制御とを好適に切り替えて制御を実行する。
コンバータ回路21の整流回路24および平滑回路26は、ノイズ抑制回路23によってノイズの除去(抑制)が行われた交流電流を、整流・平滑することによって、直流電圧に変換する役割を有している。昇圧回路25の内部には、スイッチング素子25aが設けられており、マイクロプロセッサ20の制御命令に応じて直流電圧の振幅制御を行う役割を有している。昇圧回路25は、マイクロプロセッサ20のPAM命令を受けた昇圧コントローラ27を介して制御されている。
さらに、コンバータ回路21の整流回路24と昇圧回路25との間には、電流検出部28が設けられている。電流検出部28において検出された電流値は、マイクロプロセッサ20に出力される。
インバータ回路22は、コンバータ回路21によって変換された直流電圧のパルスを一定周期で正負変換させるとともに、パルス幅を変換させることによって直流電圧を擬似的な正弦波を備える交流電圧に変換する役割を有している。このパルス幅を調整することによって、上述したようにモータ部4の回転数の制御および駆動電流量(制御電流値、制御電流)の制御を行うことが可能となる。マイクロプロセッサ20は、インバータ回路22に対する出力値の調整を行うことによって、モータ部4の駆動量を制御する。
マイクロプロセッサ20は、コンバータ回路21およびインバータ回路22の駆動制御を行うことによって、タンク部2の圧縮空気の圧力を2.5MPa〜4.0MPaに安定させるための制御手段である。マイクロプロセッサ20には、演算処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)、ワークメモリ等の一時記憶領域として利用されるRAM(Random Access Memory)、後述する制御処理プログラム等(例えば、図4〜図7に示す処理に関するプログラム、各運転モード(パワーモード、AIモード、静音モード)のON圧値およびOFF圧値、制御電流値の初期値等)等が記録されるROM(Read Only Memory)等が設けられている。また、マイクロプロセッサ20には、電源が切断される直前の運転モードの情報等を電源切断中に記録するメモリ(不揮発性メモリ)が設けられている。
マイクロプロセッサ20には、圧力センサ12によって検出されたタンク部2内の圧縮空気の圧力情報(タンク部内の圧力値)が入力されると共に、電流検出部28で検出された電流値情報(駆動電流値の情報)が入力される。一方でマイクロプロセッサ20は、制御情報(PAM命令、PWM命令)をコンバータ回路21およびインバータ回路22に対して出力することが可能な構成となっている。コンバータ回路21およびインバータ回路22では、マイクロプロセッサ20によって出力された制御情報に基づいて、モータ部4の駆動制御を実行する。
マイクロプロセッサ20は、昇圧コントローラ27にPAM命令を出力することによって、昇圧コントローラ27を介して昇圧回路25のスイッチング素子25aを制御して、コンバータ回路21の駆動制御を行う。また、同様に、マイクロプロセッサ20は、インバータ回路22に対してPWM命令を出力することによってインバータ回路22の制御を行う。
マイクロプロセッサ20では、PAM制御またはPWM制御を行う場合、電流検出部28により検出される駆動電流値と、圧力センサ12により検出された圧力情報とに基づいて、目標とする駆動電流値およびタンク部2内の圧力値になるように、コンバータ回路21およびインバータ回路22の操作量を決定して、モータ部4の駆動制御を行う。
次に、マイクロプロセッサ20における処理内容について説明する。図4(a)は、操作回路部6における操作スイッチ6bの1つである電源スイッチが、ユーザによって押下された場合に実行される、マイクロプロセッサ20の処理内容を示したフローチャートである。マイクロプロセッサ20では、エアコンプレッサ1のコンセントプラグがコンセントに挿入された直後から、一定間隔毎に、電源スイッチの押下の有無を繰り返し判断する処理を行う。電源スイッチの押下が操作回路部6を介して検出された場合、マイクロプロセッサ20は、図4(a)に示す電源スイッチ押下時割込み処理を実行する。
マイクロプロセッサ20は、操作回路部6における電源スイッチのLEDが点灯しているか否かを判断する(S.10)。具体的に、操作回路部6において電源スイッチが操作されて電源が投入されると、電源投入に伴って電源スイッチのLEDが点灯される。また、電源スイッチのLEDが点灯されている状態で、電源スイッチが操作されて電源が遮断されると、電源遮断に伴って電源スイッチのLEDが消灯される。このように電源スイッチのLEDが点灯又は消灯されると、電源スイッチのLEDに関する点消灯情報(点灯情報および消灯情報)が操作回路部6からマイクロプロセッサ20へ出力される。
操作回路部6から受信した点消灯情報に基づいて、電源スイッチのLEDが点灯していると判断した場合(S.10でYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMの所定領域に対して電源スイッチのLEDにおける点消灯情報として消灯情報を記録(あるいは変更)して(S.11)、処理を終了する。一方で、操作回路部6から受信した点消灯情報に基づいて、電源スイッチのLEDが点灯していない(消灯している)と判断した場合(S.10でNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、電源スイッチのLEDにおける点消灯情報として、点灯情報をRAMの所定領域に記録(あるいは変更)して(S.12)、処理を終了する。マイクロプロセッサ20では、必要に応じてRAMに記録される点消灯情報を読み出すことによって、電源スイッチのLEDが点灯しているか否かの判断を行うこと(例えば、後述するS.102、S.111、S.131等)が可能になる。
図4(b)は、操作回路部6における操作スイッチ6bの1つである運転モードスイッチが、ユーザによって押下された場合に実行される、マイクロプロセッサ20の処理内容を示したフローチャートである。マイクロプロセッサ20では、電源スイッチが操作されてエアコンプレッサ1が起動した直後から、一定間隔毎に、運転モードスイッチの押下の有無を繰り返し判断する処理を行う。運転モードスイッチの押下が操作回路部6を介して検出された場合、マイクロプロセッサ20は、図4(b)に示す運転モードスイッチ押下時割込み処理を実行する。
マイクロプロセッサ20は、操作回路部6における運転モードスイッチの押下によって、AIモードに設定された否かを判断する(S.20)。具体的に、操作回路部6において運転モードスイッチが押下されると、運転モードスイッチが押下される毎に、パワーモード、AIモード、静音モードの順番で、運転モードの設定を切り替えることが可能になっている。運転モードスイッチの押下によりいずれかの運転モードが決定されると、設定された運転モードの情報が、操作回路部6からマイクロプロセッサ20に伝達され、運転モード情報としてRAMに記録される。マイクロプロセッサ20では、RAMの運転モード情報を読み出すことにより、運転モード情報として、AIモードが設定されているか否かを判断する。
RAMに記録される運転モード情報により、AIモードに設定されたと判断した場合(S.20でYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMの所定領域に記録されるAIモードフラグをONに設定する(S.21)。一方で、AIモードに設定されていないと判断した場合(S.20でNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMの所定領域に記録されるAIモードフラグをOFFに設定する(S.22)。そして、AIモードフラグの設定(S.21またはS.22)を行った後、マイクロプロセッサ20は、RAMの所定領域に記録されるAIモード初回起動フラグをONに設定する(S.23)。
ここで、AIモード初回起動フラグとは、エアコンプレッサ1におけるコンセント差し込み直後(後述するS.104)および運転モードの設定・変更時にONに設定される(S.23)フラグである。AIモード初回起動フラグがONの場合(後述するS.115においてYesの場合)には、後述する処理(S.116)において、AIモードにおけるモータ部4のON圧値およびOFF圧値の初期値設定が行われると共に、制御電流値における初期値設定が行われる。その後、マイクロプロセッサ20は、図4(b)に示す運転モードスイッチ押下時割込み処理を終了する。
図4(c)は、マイクロプロセッサ20が、タンク部2内の圧力値を検出する処理内容を示したフローチャートである。マイクロプロセッサ20では、電源スイッチが操作されてエアコンプレッサ1が起動した直後から、100ms(100ミリ秒)毎に、図4(c)に示す割込み処理を実行する。
マイクロプロセッサ20は、100ms毎に、圧力センサ12よりタンク部2内の圧力値の情報を取得し(S.30)、RAMに記録する。そしてマイクロプロセッサ20は、図4(c)に示す割込み処理を終了する。
図5〜図7は、エアコンプレッサ1における、マイクロプロセッサ20がモータ部4を駆動制御する処理内容を示したフローチャートである。エアコンプレッサ1において、マイクロプロセッサ20がモータ部4を駆動させるためには、1)エラーが発生していないこと、2)電源スイッチのLEDが点灯していること、3)タンク部2の圧力値がON圧力値以下であることの3つの条件を満たす必要がある。
1)エラーが発生していないことに関しては、別途設定される電源電圧チェック割込み処理や、部品温度の温度チェック割込み処理などを一定時間毎に起動させ、検出された電源電圧や部品温度の値に基づいてエラーの有無の判断が行われる。エラーが発生した場合には、RAMにエラー情報が記録され、マイクロプロセッサ20においてエラーチェック処理(後述するS.110、S.130)が行われる。
また、2)電源スイッチのLEDが点灯していることに関しては、図4(a)に示した電源スイッチ押下時割込み処理によってRAMに記録された点消灯情報を読み出すことによって判断することが可能である。3)タンク部2の圧力値がON圧値以下であることに関しては、図4(c)に示したように、100ms毎にタンク部2内の圧力値が検出されるため、マイクロプロセッサ20によって、検出された圧力値がON圧値以下であるか否かを判断することができる。
なお、マイクロプロセッサ20のROMには、AIモードにおけるON圧値の初期値として3.0MPaが記録され、OFF圧値の初期値として3.4MPaが記録されている。このON圧値およびOFF圧値の初期値は、後述するメモリ読み出し処理(後述するS.100)によりROMから読み出されて、RAMに記録され、その後の処理に応じて、ON圧値およびOFF圧値の変更(後述する処理S.109、S.129)が行われる。
また、ROMにはモータ部4を駆動制御させる際に用いられる制御電流値の初期値として13.0Aが記録されている。制御電流値は、コンバータ回路21およびインバータ回路22の駆動制御に伴って変動するエアコンプレッサ1の駆動電流の値の上限値を示したものである。電流検出部28によってエアコンプレッサ1の駆動電流を検出することが可能であるため、マイクロプロセッサ20では、電流検出部28によって検出される駆動電流の上限が制御電流値以下となるように、コンバータ回路21およびインバータ回路22の駆動制御を行う。制御電流値に関しても、後述するメモリ読み出し処理(後述するS.100)によりROMから読み出されて、RAMに記録され、その後の処理に応じて制御電流値の値が変更(後述する処理S.109、S.125)される。
図5に示すように、マイクロプロセッサ20は、エアコンプレッサ1におけるモータ部4の駆動制御として、まず、メモリ(不揮発性メモリ)の読み出し処理を行う(S.100)。読み出しが行われるメモリ(不揮発性メモリ)には、停電等によってエアコンプレッサ1への電源供給が突然停止された場合にセットされる停電コンセントフラグの情報や、電源スイッチによる停止処理が行われ時の運転モードに関する情報や、タンク部2の容量(タンク容量の増設の有無)に関する情報が記録されている。また、マイクロプロセッサ20は同時に、上述したようにROMに記録される、AIモードのOFF圧値、ON圧値および制御電流値の初期値等をROMから読み出す処理を行う。マイクロプロセッサ20によって読み出された情報は、RAMに記録される。
次に、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録したタンク部2の容量に関する情報に基づいて、運転モードがAIモードの場合に上下させる制御電流値の増幅の設定を行う(S.101)。一般的に、タンク部2の容量が多い場合には、増幅値が大きくなる。本実施の形態では、一般のタンク容量の場合には、0.1Aずつ電流値を増減させる(例えば、後述するS.109、S.125)が、タンク部2に補助タンクが設けられている場合には増幅値が1.5倍となり、さらに補助タンクが設けられて27リットルのタンク容量の場合には、増幅値が2.5倍となる。本実施の形態では、補助タンクが設けられておらず、27リットルのタンク容量となっていない場合、つまり、制御電流値を0.1Aずつ増減させる場合について説明を行う。
そして、マイクロプロセッサ20は、電源スイッチのLEDが点灯しているか否かを判断し(S.102)、電源スイッチのLEDが点灯している場合(S.102でYesの場合)には、RAMに記録されるAIモード初回起動フラグをOFFに設定し(S.103)、電源スイッチのLEDが点灯していない場合(S.102でNoの場合)には、RAMに記録されるAIモード初回起動フラグをONに設定する(S.104)。
AIモード初回起動フラグの設定(S.103またはS.104)を行った後、マイクロプロセッサ20は、AIモード用のタイマカウンタをクリアにする処理を行う(S.105)。AIモード用のタイマカウンタとは、AIモードによる制御が開始されてからの時間経過を検出するために用いられるカウンタである。
そして、マイクロプロセッサ20は、運転モードがAIモードに設定されているか否かを判断する(S.106)。具体的に、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されているAIモードフラグのON/OFF情報に基づいて、運転モードがAIモードに設定されているか否かを判断する。
運転モードがAIモードに設定されていない場合(S.106においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、運転モード毎のON圧値およびOFF圧値を固定値としてRAMに記録する(S.107)。設定された運転モードに応じて、モータ部4におけるON圧値およびOFF圧値が異なっており、タンク部2内で維持される圧力状態が異なることになる。マイクロプロセッサ20は、決定されたON圧値およびOFF圧値を固定値として用いて、モータ部4の駆動制御を行う。
運転モードがAIモードに設定されている場合(S.106においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、タイマカウンタに基づいて30秒経過したか否かの判断を行う(S.108)。詳細には、マイクロプロセッサ20がタイマカウンタに基づいて、30秒の倍数秒だけ時間が経過したか否かを判断する。従って、タイマカウンタのクリア処理(S.105)から30秒、60秒、90秒・・・だけ時間が経過した場合に(より厳密には、30秒毎の時間経過直後の1回目の検出タイミングで)、タイマカウンタに基づいて30秒経過したと判断する。
タイマカウンタに基づいて30秒経過したと判断した場合(S.108においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるAIモードのON圧値、OFF圧値、制御電流値の値を1段階下げる処理を行う(S.109)。具体的に、マイクロプロセッサ20は、ON圧値およびOFF圧値を、0.1MPaだけ下げ、制御電流値を0.1Aだけ下げる。但し、既にRAMに記録されているAIモードのON圧値が2.9MPaである場合には、ON圧値を下げる処理は行わず、OFF圧値が2.5MPaの場合にはOFF圧値を下げる処理は行わない。さらに、RAMに記録されているAIモードの制御電流が12.0Aの場合にも、制御電流値を下げる処理は行わない。
運転モードがAIモードに設定されており(S.106においてYesの場合)、さらに後述するタンク部2内の圧力値がON圧値以下でない状態(S,112でNoの場合)が長時間維持される場合(S.106からS.114までの処理が繰り返し実行される場合)には、モータ部4の駆動が停止された状態が長時間維持されることになるので、圧縮空気があまり使用されていない状況であると判断することができる。例えば、作業の中断・終了であったり、ユーザが休憩中であると判断することができる。
このため、AIモードのタイマカウンタがクリアにされてから30秒経過してもモータ部4が駆動されていない場合には、ON圧値、OFF圧値、電流制御値を1段階下げることによって、モータ部4の駆動量を低減させることができる。さらに、使用状況に応じてモータ部4の駆動に要する電力量を低減させることができ、タンク部2、モータ部4および圧縮空気生成部3等に掛かる負荷を低減させることが可能になる。
そして、S.107の処理またはS.109の処理を行った後、あるいは、S.108の処理がNoであった場合、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるエラー情報の有無に基づいて、エラーが発生しているか否かの判断を行う(S.110)。エラーが発生していない場合(S110においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、電源スイッチのLEDが点灯しているか判断を行う(S.111)。電源スイッチのLEDが点灯している場合(S.111においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるタンク部2内の圧力値の情報に基づいて、タンク部2内の圧力値がON圧値以下であるか否かの判断を行う(S.112)。
エラーが発生している場合(S110においてYesの場合)、電源スイッチのLEDが点灯していない場合(S.111においてNoの場合)、あるいは、タンク部2内の圧力値がON圧値以下でない場合(S.112においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、タイマカウンタに基づいて60秒の倍数秒だけ時間が経過したか否かを判断する(S.113)。そして、60秒の倍数秒だけ時間が経過した場合(S.113においてYesの場合)には、RAMに記録した、AIモードにおけるON圧値、OFF圧値および制御電流値をメモリ(不揮発性メモリ)に記録する(S.114)。そして、60秒の倍数秒だけ時間が経過していない場合(S.113においてNoの場合)、あるいは、ON圧値、OFF圧値および制御電流値をメモリ(不揮発性メモリ)に記録した場合(S.114)、マイクロプロセッサ20は、S.106において説明した、運転モードがAIモードに設定されているか否かの判断処理(S.106)に処理を移行して、上述したS.106以降の処理を再度繰り返し実行する。
一方で、タンク部2内の圧力値がON圧値以下である場合(S.112においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるAIモード初回起動フラグがONであるか否かを判断する(S.115)。AIモード初回起動フラグがONの場合(S.115においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、ROMに記録されるAIモードのON圧値、OFF圧値および制御電流値の初期値を、AIモードにおけるそれぞれの値の初期値に設定して、RAMに記録させる(S.116)。詳細には、ON圧値を3.0MPaに設定し、OFF圧値を3.4MPaに設定し、制御電流値を13.0Aに設定する。
そして、AIモード初回起動フラグがOFFの場合(S.115においてNoの場合)、あるいは、ON圧値、OFF圧値および制御電流値を初期値に設定した場合(S.116)、マイクロプロセッサ20は、モータ部4の駆動を開始する処理を行う(S.117)。その後、マイクロプロセッサ20は、AIモード用のタイマカウンタをクリアにする処理を行い(S.118)、RAMに記録される運転モード情報に基づいて、ON圧値、OFF圧値および制御電流値の設定を行う(S.119)。
ここで、運転モードがAIモードの場合であって、AIモード初回起動フラグがONの場合(S.115においてYesの場合)には、S.116で設定された初期値により、AIモードにおけるON圧値、OFF圧値および制御電流値の設定が行われる。また、運転モードがAIモードの場合であって、AIモード初回起動フラグがOFFの場合(S.115においてNoの場合)には、ステップS.109において30秒毎に引き下げられたON圧値、OFF圧値および制御電流値が用いられる。
そして、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されているAIモードフラグのON/OFF情報に基づいて、運転モードがAIモードに設定されているか否かを判断する(S.120)。運転モードがAIモードに設定されていない場合(S.120においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、運転モード毎に予め設定されているON圧値、OFF圧値を固定されたON圧値およびOFF圧値として設定して(S.121)、モータ部4の駆動処理を行う。
一方で、運転モードがAIモードに設定されている場合(S.120においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、タイマカウンタに基づいて1秒経過したか否かの判断を行う(S.122)。詳細には、マイクロプロセッサ20がタイマカウンタに基づいて、1秒の倍数秒だけ時間が経過したか否かを判断する。従って、タイマカウンタのクリア処理(S.118)から1秒、2秒、3秒・・・だけ時間が経過した場合に(より厳密には、1秒毎であって、各秒後の最初の検出タイミングで)、タイマカウンタに基づいて1秒経過したと判断する。
1秒経過している場合(S.122においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるタンク部2内の圧力値の情報に基づいて、タンク部2内の圧力値が駆動工具の駆動圧力(以下、この駆動圧力を駆動圧力値と称する。)以下であるか否かを判断する(S.123)。この駆動圧力値として、一例として2.8MPaを用いることができる。そして、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下である場合(S.123においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、タンク部2内の圧力値が、RAMに記録されるAIモードのON圧値以下であるか否かを判断する(S.124)。
そして、タンク部2内の圧力値がAIモードのON圧値以下である場合(S.124においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるAIモードの制御電流値を1段階上げる処理を行う(S.125)。具体的に、本実施の形態に係るマイクロプロセッサ20は、制御電流値を0.1Aだけ上げる処理を行う。但し、記録される制御電流値が14.0Aである場合、マイクロプロセッサ20は、制御電流値を上げる処理は行わない。
タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下であって、タンク部2内の圧力値がAIモードのON圧値以下である場合には、タンク部2内の圧縮空気が、駆動工具におけるエアの使用状況に追従していないと判断することができる。このため、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下であるか否かの処理(S.123)、およびON圧値以下であるかの判断(S.124)を1秒毎に行うこと(S.122)により、頻繁にタンク部2内の圧力状況を判断し、エアの使用状況に追従できるように、制御電流値を短時間毎(1秒毎)に素早く上昇させる。このように短時間毎(1秒ごと)に制御電流値を上昇させることによって、モータ部4における駆動能力を急激に高めて、圧縮空気の圧力上昇を早める処理を行うことが可能になる。
そして、タイマカウンタに基づいて1秒経過していない場合(S.122においてNoの場合)、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下でない場合(S.123においてNoの場合)、タンク部2内の圧力値が、RAMに記録されるON圧値以下でない場合(S.124においてNoの場合)、あるいは、S.125における処理を行った場合、マイクロプロセッサ20は、タイマカウンタに基づいて10秒経過したか否かの判断を行う(S.126)。詳細には、マイクロプロセッサ20がタイマカウンタに基づいて、10秒の倍数秒だけ時間が経過したか否かを判断する。従って、タイマカウンタのクリア処理(S.118)から10秒、20秒、30秒・・・だけ時間が経過した場合に(より厳密には、10秒経過毎であって、各10秒経過後の最初の検出タイミングで)、タイマカウンタに基づいて10秒経過したと判断する。
タイマカウンタに基づいて10秒経過していると判断される場合(S.126においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるタンク部2内の圧力値の情報に基づいて、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下であるか否かを判断する(S.127)。そして、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下である場合(S.127においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、タンク部2内の圧力値が、RAMに記録されるON圧値以下であるか否かを判断する(S.128)。
そして、タンク部2内の圧力値がRAMに記録されるON圧値以下である場合(S.128においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるAIモードのON圧値を0.1MPaだけ上げると共に、OFF圧値を0.1MPaだけ上げる処理を行う(S.129)。但し、マイクロプロセッサ20は、記録されるON圧値が3.6MPaである場合にはON圧値を上げる処理を行わず、また、記録されるOFF圧値が4.0MPaである場合にはOFF圧値を上げる処理を行わない。
タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下であって(S.127においてYesの場合)、タンク部2内の圧力値がON圧値以下である状況(S.128においてYesの場合)が10秒以上続く場合(S.126においてYesの場合)には、駆動工具におけるエアの使用量が増加していると判断することができる。ここで、タンク部2内の圧力値の判断基準である駆動圧力値は、高圧工具の使用時に必要とされるタンク部2内の圧力値を基準にして決定された値の一例である。この駆動圧力値は、使用される駆動工具によって駆動圧力値も変化するので、使用される工具に応じて駆動圧力値を変更できるようにしても良い。
従って、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下の場合には、エアの使用量増加によって、タンク部2内の圧力値が低くなりすぎてしまい、駆動工具を使用するための十分な圧縮空気が、タンク部2内に貯留されていないと判断することができる。このため、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下であって(S.127においてYesの場合)、タンク部2内の圧力値がON圧値以下である状況(S.128においてYesの場合)が10秒以上続く場合(S.126においてYesの場合)には、ON圧値とOFF圧値とを上げる(S.129)ことによって、タンク部2内より供給可能な圧縮空気量を増加させ、比較的多くの圧縮空気を供給できるようにする。また、このようにON圧値とOFF圧値とを上げることによって、タンク部2がOFF圧値に達して満タン状態となってから、モータ部4が再起動するまで(タンク部2内の圧力値がON圧値に達する)までの圧縮空気の供給量を増加することが可能になる。
そして、タイマカウンタに基づいて10秒経過していない場合(S.126においてNoの場合)、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下でない場合(S.127においてNoの場合)、タンク部2内の圧力値が、RAMに記録されるAIモードのON圧値以下でない場合(S.128においてNoの場合)、S.129における処理を行った場合、あるいは、S.121における処理を行った場合、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるエラー情報の有無に基づいて、エラーが発生しているか否かの判断を行う(S.130)。
エラーが発生していない場合(S130においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、電源スイッチLEDが点灯しているか否かの判断を行う(S.131)。電源スイッチのLEDが点灯している場合(S.131においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、RAMに記録されるタンク部2内の圧力値の情報に基づいて、タンク部2内の圧力値がOFF圧値以上であるか否かの判断を行う(S.132)。タンク部2内の圧力値がOFF圧値以上でない場合(S.132においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、S120において説明した、運転モードがAIモードに設定されているか否かの判断処理(S.120)に処理を移行して、上述したS.120以降の処理を再度繰り返し実行する。
エラーが発生している場合(S.130においてYesの場合)、電源スイッチのLEDが点灯していない場合(S.131においてNoの場合)、あるいは、タンク部2内の圧力値がOFF圧値以上である場合(S.132においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、AIモード初回起動フラグをOFFに設定して(S.133)、モータ部4の駆動を停止させる(S.134)。
そして、マイクロプロセッサ20は、メモリ(不揮発性メモリ)に対して、停電コンセントフラグの情報や、電源スイッチによる停止処理が行われた時の運転モードに関する情報や、AIモードにおけるOFF圧値、ON圧値および制御電流値等の情報を、S.130〜S.132の処理内容に応じて記録させて(S.135)、運転モードがAIモードに設定されているか否かの判断処理(S.105)に処理を移行して、上述したS.105以降の処理を再度繰り返し実行する。
図8(a)(b)は、運転モードがAIモードに設定されていない場合であって、運転モードがパワーモードに設定された場合におけるタンク部2内の圧力値変化を示した図である。運転モードがパワーモードに設定された場合には、ON圧値が3.9MPaに固定され、OFF圧値が4.4MPaに固定されることになる。図8(a)に示すタンク部2内の圧力値変化は、タンク部2内の圧縮空気の消費量が多い場合を示しており、図8(b)に示すタンク部2内の圧力値変化は、タンク部2内の圧縮空気の消費量が少ない場合を示している。
運転モードがAIモードに設定されていない場合には、パワーモードで設定されるON圧値とOFF圧値との間の圧力である、3.9MPaから4.4MPaまでの間にタンク部2内の圧力値が維持されることになる。このため、タンク部2内の圧縮空気の消費量が多い場合だけでなく、タンク部2内の圧縮空気の消費量が少ない場合であっても、タンク部2内の圧力値が3.9MPaから4.4MPaまでの高い圧力値に維持されてしまい、タンク部2、モータ部4および圧縮空気生成部3等に対して過大な高圧負荷が掛かってしまうおそれがある。
一方で、図9(a)(b)は、運転モードがAIモードに設定されている場合における、タンク部2内の圧力値変化を示した図である。図9(a)に示すタンク部2内の圧力値変化は、タンク部2内の圧縮空気の消費量が多い場合を示しており、図9(b)に示すタンク部2内の圧力値変化は、タンク部2内の圧縮空気の消費量が少ない場合を示している。
運転モードがAIモードに設定されている場合であって、タンク部2内の圧縮空気の消費量が多い場合には、図9(a)に示すように、制御電流値が上げられて、モータ部4の駆動力も増大するため、圧縮空気の生成時間を短くする(タンク部2内の圧力値を急激に上昇させる)ことができると共に、ON圧値およびOFF圧値が高められる(ON圧値およびOFF圧値が初期値として設定されるON圧値およびOFF圧値より高い値に変更される)ため、圧縮空気の量をより多く、かつ、より迅速に確保することが可能となる。
また、運転モードがAIモードに設定されている場合であって、タンク部2内の圧縮空気の消費量が少ない場合には、図9(b)に示すように、制御電流値が下げられると共に、ON圧値およびOFF圧値の値も下げられる(ON圧値およびOFF圧値が初期値として設定されるON圧値およびOFF圧値より低い値に変更される)ので、モータ部4の停止時間を長く維持することが可能になると共に、タンク部2内が過剰に高い圧力値に維持されてしまうことを防止することができる。
このように、モータ部4の停止時間を長くすることができるだけでなく、低い圧力帯における運転が行われることになるので、圧縮空気生成部3、モータ部4およびタンク部2に対して過大な高圧負荷が掛かってしまうことを防止することが可能になる。また、モータ部4の停止時間を長くすることや、再起動後の圧縮運転を低い圧力帯で行うことができるので、エアコンプレッサ1における静音性能を向上させることが可能になる。さらに、制御電流値が低減されると共に、モータ部4の停止時間を長く維持することや、低い圧力帯での運転を行うことができるので、モータ部4における消費電力量の低減を図ることが可能になる。
以上、本発明に係るエアコンプレッサに関し、実施の形態に係るエアコンプレッサ1を一例として示して説明を行ったが、本発明に係るエアコンプレッサは、上述した実施の形態の例には限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても本実施の形態に示したものと同様の効果を奏することが可能である。
例えば、実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、ON圧値、OFF圧値および制御電流値を1段階下げる処理(S.109)を30秒毎に判断して実行し(S.108)、ON圧値およびOFF圧値を1段階上げる処理(S.129)を10秒毎に判断して実行し(S.126)、制御電流値を1段階上げる処理(S.125)を1秒毎に判断して実行し(S.122)している。しかしながら、それぞれの判断時間は、必ずしも実施の形態に示した時間には限定されない。これらの時間は、タンク部2のタンク容量や、主に使用される駆動工具の種類等によって適宜変更することが可能である。
また、実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、AIモードにおいてON圧値およびOFF圧値を上げる処理または下げる処理を0.1MPaずつ行っているが、ON圧値およびOFF圧値の増減量は、必ずしも0.1MPaには限定されない。0.1MPaよりも大きい値であってもよく、小さい値であってもよい。
さらに、ON圧値の増減量とOFF圧値の増減量とは、必ずしも同じ値だけ増減される構成には限定されない。例えば、ON圧値の増減量とOFF圧値の増減量とが異なる値だけ増減する構成にしてもよい。また、ON圧値およびOFF圧値の増減量は、値を上げる場合と下げる場合とで異なる圧力値の増減を行う構成にしてもよい。
例えば、上げる場合の圧力値を、下げる場合の圧力値に比べて4倍大きい値に設定することによって、タンク部2内の圧力値が、増加されたON圧値の上限に張り付いたままタンク部2内の圧力制御処理が行われたり、低減されたOFF圧値の下限に張り付いまタンク部2内の圧力制御処理が行われたりすることを防止することができる。この場合には、必要最小限のモータ部4等の機械駆動が実現できる。さらに、ON圧値およびOFF圧値の増減量を一定の値にするのではなく、タンク部2内の圧力状態や、モータ部4の停止時間や稼働時間等に応じて、増加あるいは減少させる圧力値を変動させる構成にすることも可能である。
また、実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、ON圧値、OFF圧値および制御電流値を1段階上げる処理の判断として、タンク部2内の圧力値が駆動圧力値以下であるか否か(S.123,S.127)を基準としている。この圧力値として、例えば2.8MPaを一例として用いることが出来るが、この値は必ずしも2.8MPaには限定されない。実施の形態では、エアコンプレッサ1に接続される駆動工具として高圧工具が使用された場合を想定して、十分な圧縮空気を提供できるように2.8MPaを一例として用いたが、使用される駆動工具の種類や使用状況に応じて、一例として用いる2.8MPaの値を変更することが可能である。例えば、低圧工具しか使用しない場合には、2.8MPaよりも低い圧力値であっても、駆動手段を駆動させるために必要とされる圧力値(駆動圧力値)を満たすことになるので、この圧力値を基準として、ON圧値、OFF圧値および制御電流値を1段階上げる処理の判断を行う構成にすることも可能である。