JP2020203556A - 車両の上部車体構造 - Google Patents
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図10に示すように、ルーフサイドレール51とサイドシル52との間を連結するセンタピラー53の上部側約2/3相当の上側部材の曲げ剛性を下部側約1/3相当の下側部材の曲げ剛性よりも大きくすることで、下側部材の曲げ変形角度を上側部材の曲げ変形角度よりも大きくでき、センタピラー53の車幅方向内側への最大変位量を小さくすることができる。
しかし、特許文献1では、ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間が、ルーフレインフォースメントから延びる舌片とガセットによって連結されるに過ぎず、車両の側面衝突時、ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの連結が維持できない虞がある。つまり、ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの連結が維持できない場合、衝突荷重がルーフサイドレールからルーフレインフォースメントに十分に伝達されないため、衝突荷重を車体全体に分散することができず、ルーフサイドレールによる車幅方向内側への変位を十分に抑制することができない。
この構成によれば、簡単な構成で車幅方向に延びる稜線を増加することができ、ガセットの車幅方向剛性とルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間を跨る閉断面の断面積とを同時に増加することができる。
この構成によれば、溶接用開口部を設置したにも拘らずルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの連結を強固にすることができる。
この構成によれば、ガセットとルーフレールインナとの連結を強固にできると共に、車両の側面衝突時、ピラーからの荷重伝達性を確保することができる。
この構成によれば、車両の側面衝突時、ルーフサイドレールによる車幅方向内側下方への変位を抑制することができる。
本実施例1に係る車両Vは、車室前側のエンジンルームに縦置き配置されたエンジン(図示略)を備え、後輪で駆動されるFR(Front engine Rear drive)自動車である。
以下、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印L方向を車幅方向左方とし、矢印U方向を車体上下方向上方として説明する。また、この車両Vは、左右対称の構造であるため、以下、特段の説明がない限り、右側部材及び右側部分について主に説明する。
図1に示すように、車両Vは、前後に延びる左右1対のサイドシル1と、これら1対のサイドシル1の間に掛け渡されると共に車室床面を構成するフロアパネル2と、前後に延びてルーフパネル3(図9参照)を支持する左右1対のルーフサイドレール10と、これら1対のルーフサイドレール10から1対のサイドシル1に亙って夫々下方に延びる左右1対のA〜Dピラー4〜7等を備えている。
サイドシル1の前端部分に、Aピラー4の下半部に相当するヒンジピラーの下端が接続され、中間部分に、Bピラー5の下端が接続されている。
Aピラー4とルーフサイドレール10の前側部分とBピラー5とサイドシル1の前側部分とによって、フロントドア(図示略)のドア用開口縁部を形成している。
サイドシル1の後端部分に、リヤホイールハウス8の前端部分が接続されている。
Bピラー5とルーフサイドレール10の後側部分とCピラー6とリヤホイールハウス8の前側部分とサイドシル1の後側部分とによって、リヤドア(図示略)のドア用開口縁部を形成している。尚、Bピラー5は、上部側約2/3相当の上側部材の曲げ剛性が下部側約1/3相当の下側部材の曲げ剛性よりも大きくなるように構成されている。
フロントヘッダ21は、1対のルーフサイドレール10の前端部を連結し、リヤヘッダ22は、1対のルーフサイドレール10の後端部を連結している。リヤヘッダ22には、リフトゲート(図示略)を開閉するための左右1対のヒンジ(図示略)が設置されている。
ルーフレイン23は、1対のCピラー6の上端部に対応する部位を左右に連結する位置に配置され、ルーフレイン30は、1対のBピラー5の上端部に対応する部位を左右に連結する位置に配置されている。
図2〜図4に示すように、ルーフサイドレール10は、右側壁部(車幅方向外側壁部)を構成するルーフレールアウタ11と、このルーフレールアウタ11と協働して前後に延びる断面略台形状の閉断面を形成するルーフレールインナ12と、台形状閉断面を内外に仕切るルーフレールレイン13と、ルーフレールアウタ11の前後に延びる上側稜線を覆う断面略L字状補強部材14等によって構成されている。
Bピラーのアウタ部材5aは、上端部がルーフレールアウタ11の右側部に接合され、インナ部材5bは、上端側部分がルーフレールアウタ11の下端部とルーフレールレイン13の下端部を挟み込んで三重接合されている。ルーフレールレイン13の上端部は、ルーフレールアウタ11の上壁部に接合されている。
図2,図5に示すように、ルーフレイン30は、例えば、高張力鋼板によって一体形成され、断面略U字状の前後1対の下溝部31と、前側下溝部31の後側上端部と後側下溝部31の前側上端部を連結して断面逆U字状の上溝部32を形成する連結部33と、前側下溝部31の前側上端部から前方に延びると共に後側下溝部31の後側上端部から後方に延びる前後1対のフランジ部34等を備えている。
連結部33と前後1対のフランジ部34には、各々の端部から右方に延設された3つの突出部35が夫々形成されている。各突出部35は、隣り合う膨出部11aの間においてルーフレールアウタ11の上面(基準面)に溶接にて夫々接合されている。
図5に示すように、ルーフレールアウタ11の左側凹凸状端部とルーフレイン30の右側凹凸状端部は、側面視にて、少なくともルーフレールアウタ11の厚さ分交差している。また、膨出部11aが形成されている部位では、ルーフレイン30の凹凸状端部が膨出部11aの断面に交差しているため、ルーフレールアウタ11の厚さ分よりも大きな交差領域を形成している。
図2,図7に示すように、ルーフレイン30の右側端部は、ルーフサイドレール10の左側端部に対して僅かに隙間を空けて略前後方向に沿っているため、ビード部42bは、平面視にてルーフレイン30の右側端部に対して略直交するように形成されている。
底壁部42と上溝部32は、ルーフサイドレール10とルーフレイン30との下側領域において両者間を跨る略矩形状の閉断面Cを形成している。
底壁部42に形成されたビード部42bは、下方に突出した断面略台形状に形成され、車幅方向に延びる4本の稜線を有している。それ故、ビード部42bによって底壁部42と上溝部32が形成する閉断面Cの断面積を増加している。
実施例1に係る上部車体構造によれば、ルーフレイン30が、断面略U字状の前後1対の下溝部31と、前側下溝部31の後側上端部と後側下溝部31の前側上端部を連結して形成された断面逆U字状の上溝部32とを有するため、ルーフレイン30の車幅方向剛性を高くすることができる。ガセット40が、上溝部32と協働して車幅方向に延びる閉断面Cを形成するように1対の下溝部31の底部に接合されると共に閉断面Cに対して外側に突出して車幅方向に延びるビード部42bを備え、ビード部42bが、ルーフレイン30の車幅方向外側端部と平面視にて交差するように形成されたため、ルーフサイドレール10とルーフレイン30とを連結するガセット40を用いてルーフサイドレール10とルーフレイン30との間を跨る閉断面Cを形成することができ、両者の連結を強固にすることができる。また、ガセット40の車幅方向剛性を高くするビード部42bによってルーフサイドレール10とルーフレイン30との間を跨る閉断面Cの断面積を増加することができる。
1〕前記実施形態においては、ルーフレイン30を一体形成した例を説明したが、複数部材を接合してルーフレイン30を形成しても良い。例えば、前側下溝部31と後側下溝部31を別々に準備し、パネルである連結部33を用いて前側下溝部31と後側下溝部31を接続することも可能である。また、前後1対の下溝部31を有するルーフレイン30の例を説明したが、1の下溝部31を設けても良く、3以上の下溝部31を設けても良い。この場合、突出部35の数を任意に設定しても良い。
5b インナ部材
10 ルーフレール
11 ルーフレールアウタ
12 ルーフレールインナ
30 ルーフレイン
31 下溝部
32 上溝部
40 ガセット
42a 開口部
42b ビード部
42c 環状ビード部
C 閉断面
V 車両
Claims (5)
- ルーフパネルの車幅方向両端部に連結されて車体前後方向に延びる左右1対のルーフサイドレールと、前記1対のルーフサイドレールの車体前後方向途中部を車幅方向に連結するルーフレインフォースメントと、前記1対のルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間を補強する左右1対のガセットとを備えた車両の上部車体構造において、
前記ルーフレインフォースメントが、断面略U字状の、少なくとも前後1対の下溝部と、前側下溝部の後側上端部と後側下溝部の前側上端部を連結して形成された断面逆U字状の上溝部とを有し、
前記ガセットが、前記上溝部と協働して車幅方向に延びる閉断面を形成するように前記1対の下溝部の底部に接合されると共に前記閉断面に対して外側に突出して車幅方向に延びるビード部を備え、
前記ビード部が、前記ルーフレインフォースメントの車幅方向外側端部と平面視にて交差するように形成されたことを特徴とする車両の上部車体構造。 - 前記ビード部が、複数設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車両の上部車体構造。
- 前記ガセットは車幅方向外側部分に溶接用開口部を有し、
前記ビード部が前記溶接用開口部の外周部に沿って延びる環状ビード部に接続されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の上部車体構造。 - 前記ルーフサイドレールが、車幅方向外側壁部を構成するルーフレールアウタと、このルーフレールアウタと協働して車体前後方向に延びる閉断面を形成するルーフレールインナとを有し、
前記ガセットは、車幅方向外側且つ車体前後方向端部が前記ルーフレールインナに接合されると共に、車幅方向外側且つ車体前後方向中間部がピラーインナ部材との間に前記ルーフレールインナを挟んで接合されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の上部車体構造。 - 前記ルーフレールアウタが、前記ルーフレインフォースメント及びガセットに挟み込まれた第1接合部にて前記ルーフレインフォースメント及びガセットに接合されたことを特徴とする請求項4に記載の車両の上部車体構造。
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