JP2020201115A - エネルギー分散型蛍光x線分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分析対象となる元素に応じて、X線源及び検出器の光学的配置を容易に最適化することができるエネルギー分散型蛍光X線分析装置を提供する。【解決手段】X線源4が、試料に励起X線を照射する。検出器5は、X線源4に対して相対位置が一定に保たれた状態で配置され、励起X線が照射された試料から生じる蛍光X線を検出する。角度調整機構8は、X線源4及び検出器5に対する試料の角度を調整する。X線源4及び検出器5の相対位置が一定に保たれた状態のまま、分析対象となる元素に応じて、X線源4及び検出器5に対する試料の角度を角度調整機構8で調整することにより、X線源4及び検出器5の光学的配置を容易に最適化することができる。【選択図】 図3
Description
本発明は、試料に励起X線を照射し、励起X線が照射された試料から生じる蛍光X線を検出することにより試料の分析を行うエネルギー分散型蛍光X線分析装置に関するものである。
蛍光X線分析装置の一例であるエネルギー分散型蛍光X線分析装置には、試料に励起X線を照射するX線源と、励起X線が照射された試料から生じる蛍光X線を検出する検出器とが備えられている(例えば、下記特許文献1参照)。X線源及び検出器は、それぞれ試料に垂直な方向に対して傾斜した状態で配置される。すなわち、試料には、当該試料に垂直な方向に対して傾斜した方向から、X線源により励起X線が照射される。また、試料から発生する蛍光X線のうち、当該試料に垂直な方向に対して傾斜した方向に向かう蛍光X線が、検出器により検出される。
この種の蛍光X線分析装置において、試料を高感度で分析するためには、試料に対するX線源及び検出器の光学的配置を最適化する必要がある。具体的には、X線源からの励起X線が検出器に直接入射しないように、試料に対するX線源及び検出器の角度をそれぞれ調整した上で、試料に対するX線源の距離、及び、試料に対する検出器の距離を可能な限り近付けることにより、試料から発生する蛍光X線の検出強度を最大化することが可能である。
上記のような蛍光X線分析装置を用いて試料に含まれる元素を分析する場合、分析対象となる元素に応じて、X線源及び検出器の最適な光学的配置が異なる。
例えば軽元素を分析する場合、試料の深い位置で生じた蛍光X線は、検出器に向かうまでに試料自体により減衰され、検出器まで到達しない。そのため、軽元素を分析する場合には、検出器で検出される蛍光X線のほとんどが、試料表面で生じた蛍光X線となる。
この場合、検出器は、試料に垂直な方向に対する傾斜角度が可能な限り小さく、かつ、試料に近付けた状態で配置されることにより、試料からの蛍光X線を高感度で検出することができる。このように検出器を試料に近付けた場合、X線源は、試料に垂直な方向に対して大きな傾斜角度で配置し、試料と検出器との隙間から試料に対して斜めに励起X線を照射する必要がある。その場合であっても、軽元素においては試料の深い位置まで蛍光X線を到達させることが重要視されないため、試料表面の広範囲に励起X線が照射されれば、試料表面で生じた蛍光X線を高感度で検出することが可能である。
一方、中重元素を分析する場合には、試料の深い位置(例えば試料表面に対して数mm〜10数mmの深さ)で生じた蛍光X線も、試料自体により大きく減衰されることなく、検出器まで到達する。そのため、中重元素においては、試料に対する検出器の距離を短く保ちつつ、試料に垂直な方向に対するX線源の傾斜角度を小さくすることにより、試料の深い位置まで励起X線を入射させた方が、検出器に到達する蛍光X線が増加し、感度が高くなる。
一般的なエネルギー分散型蛍光X線分析装置では、試料に対するX線源及び検出器の位置が固定されており、分析対象となる元素が異なる場合であっても、X線源及び検出器の光学的配置は常に一定である。そのため、軽元素又は中重元素のいずれか一方に対してのみ感度が高い光学的配置、あるいは、感度は多少低くても軽元素から中重元素まで幅広く分析できる光学的配置のいずれかが採用されている。
そこで、X線源及び検出器をそれぞれ個別に移動できるような構成を採用することが考えられる。この場合、軽元素に対して感度が高い光学的配置、又は、中重元素に対して感度が高い光学的配置のいずれかに、X線源及び検出器の位置をそれぞれ任意に調整することができる。しかしながら、X線源及び検出器が個別に移動するため、それぞれの位置関係を最適に設定することが容易ではなく、再現性の観点からも好ましくない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、分析対象となる元素に応じて、X線源及び検出器の光学的配置を容易に最適化することができるエネルギー分散型蛍光X線分析装置を提供することを目的とする。
(1)本発明に係るエネルギー分散型蛍光X線分析装置は、X線源と、検出器と、角度調整機構とを備える。前記X線源は、試料に励起X線を照射する。前記検出器は、前記X線源に対して相対位置が一定に保たれた状態で配置され、励起X線が照射された試料から生じる蛍光X線を検出する。前記角度調整機構は、前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を調整する。
このような構成によれば、X線源及び検出器の相対位置が一定に保たれた状態のまま、角度調整機構により、X線源及び検出器に対する試料の角度を調整することができる。これにより、分析対象となる元素に応じて、X線源及び検出器に対する試料の角度を調整し、X線源及び検出器の光学的配置を最適化することができる。また、X線源及び検出器の位置を個別に調整するような構成とは異なり、X線源及び検出器の相対位置が一定に保たれているため、X線源及び検出器の光学的配置を容易に最適化することができる。
(2)前記角度調整機構は、前記X線源及び前記検出器の位置が固定された状態で、前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を変化させてもよい。
このような構成によれば、固定されたX線源及び検出器に対して、試料の角度を変化させるだけの簡単な構成で、X線源及び検出器の光学的配置を最適化することができる。
(3)この場合、前記エネルギー分散型蛍光X線分析装置は、前記角度調整機構により試料の角度を変化させるときに試料が滑るのを防止するためのストッパをさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、試料の角度を変化させたときに、試料が滑って位置がずれるのを防止することができるため、より良好に分析を行うことができる。
(4)前記角度調整機構は、試料の位置が固定された状態で、前記X線源及び前記検出器の互いの相対位置を一定に保ったまま、試料に対する前記X線源及び前記検出器の角度を変化させてもよい。
このような構成によれば、固定された試料に対して、X線源及び検出器の角度を一体的に変化させるだけの簡単な構成で、X線源及び検出器の光学的配置を最適化することができる。
(5)前記角度調整機構による角度の調整に伴い、試料中に入射する励起X線の深さが浅くなるほど、試料に垂直な方向に対する前記検出器の角度が小さくなることが好ましい。
このような構成によれば、試料中に入射する励起X線の深さと、試料に垂直な方向に対する検出器の角度との関係を、分析対象となる元素に応じて最適化することができる。例えば、分析対象が軽元素である場合には、試料中に入射する励起X線の深さが浅く、試料に垂直な方向に対する検出器の角度が小さくなるように、角度調整機構により角度の調整を行うことが好ましい。一方、分析対象が中重元素である場合には、試料中に入射する励起X線の深さが深く、試料に垂直な方向に対する検出器の角度が大きくなるように、角度調整機構により角度の調整を行うことが好ましい。
(6)前記エネルギー分散型蛍光X線分析装置は、分析対象となる元素の入力を受け付ける入力受付部をさらに備えていてもよい。この場合、前記角度調整機構は、前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を、前記入力受付部により入力が受け付けられた元素に応じた角度に調整してもよい。
このような構成によれば、分析対象となる元素を入力することにより、X線源及び検出器に対する試料の角度が、その元素に応じた適切な角度に調整される。したがって、X線源及び検出器の光学的配置をさらに容易に最適化することができる。
(7)前記エネルギー分散型蛍光X線分析装置は、予備測定処理部をさらに備えていてもよい。前記予備測定処理部は、前記角度調整機構による角度の調整前に、前記X線源から試料に励起X線を照射し、試料からの蛍光X線を前記検出器で検出することにより、試料に含まれる元素を判別する。この場合、前記角度調整機構は、前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を、前記予備測定により試料に含まれると判別された元素に応じた角度に調整してもよい。
このような構成によれば、予備測定により試料に含まれる元素が判別され、X線源及び検出器に対する試料の角度が、その元素に応じた適切な角度に調整される。したがって、X線源及び検出器の光学的配置をさらに容易に最適化することができる。
本発明によれば、X線源及び検出器の相対位置が一定に保たれた状態のまま、分析対象となる元素に応じて、X線源及び検出器に対する試料の角度を角度調整機構で調整することにより、X線源及び検出器の光学的配置を容易に最適化することができる。
1.蛍光X線分析装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る蛍光X線分析装置1の構成例を示した概略図である。この蛍光X線分析装置1は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置であり、筐体2、蓋部材3、X線源4及び検出器5などを備えている。
図1は、本発明の一実施形態に係る蛍光X線分析装置1の構成例を示した概略図である。この蛍光X線分析装置1は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置であり、筐体2、蓋部材3、X線源4及び検出器5などを備えている。
筐体2は、中空状であって、下方に向かうにつれて先細るテーパー状に形成されている。筐体2は、水平板21、第1傾斜板22及び第2傾斜板23を備えている。水平板21は、水平方向に沿って延びている。水平板21には、その中央部を上下方向に貫通する開口部2aが形成されている。第1傾斜板22は、水平板21の一端部の下面から下方側に延びており、かつ、水平板21に対して傾斜している。第2傾斜板23は、水平板21の他端部の下面から下方側に延びており、かつ、水平板21に対して傾斜している。第1傾斜板22及び第2傾斜板23は、各先端部が連結されることによりV字状に形成されている。
蓋部材3は、筐体2の上方に配置されている。蓋部材3は、下端部が開放された中空状の部材である。蓋部材3は、下端縁が筐体2(水平板21)の上面に当接する閉状態(図1の状態)と、下端縁の一部又は全部が筐体2(水平板21)の上面から離間する開状態との間で移動可能である。蓋部材3を閉状態とすることにより、蓋部材3と筐体2(水平板21)とで区画される試料室7が形成される。蓋部材3を開状態とすれば、試料室7内に試料Sを出し入れすることができる。試料Sは、水平板21に形成された開口部2aの上方を覆うように配置される。
X線源4は、例えばX線管球により構成されている。X線源4は、第1傾斜板22に取り付けられ、筐体2内の空間6に向かって励起X線を出射する。X線源4から出射された励起X線は、水平板21に形成された開口部2aを介して試料Sに照射される。試料Sには、試料Sの中心軸線Cに沿った方向(試料S(の下面)に垂直な方向)に対して傾斜した角度から励起X線が照射される。励起X線が照射された試料Sは、励起X線の作用により励起されて蛍光X線を生じる。
検出器5は、励起X線が照射された試料Sから生じる蛍光X線を検出する。検出器5は、第2傾斜板23に取り付けられ、筐体2内の空間6を介して試料Sから検出器5に蛍光X線が入射する。検出器5は、試料Sの中心軸線Cに対して傾斜した角度から入射する蛍光X線を検出する。
2.試料の設置態様
図2は、試料Sの設置態様を具体的に示した断面図である。試料Sは、試料容器10内に収容される。本実施形態において、試料Sは粉体又は液体である。ただし、試料Sは固体であってもよく、その場合には試料容器10を省略することも可能である。
図2は、試料Sの設置態様を具体的に示した断面図である。試料Sは、試料容器10内に収容される。本実施形態において、試料Sは粉体又は液体である。ただし、試料Sは固体であってもよく、その場合には試料容器10を省略することも可能である。
試料容器10は、例えば樹脂により形成された円筒状の部材である。試料容器10の一端部の開口部分は、薄い樹脂製のフィルム11で覆われている。フィルム11は、例えばリングなどの固定部材を用いて試料容器10に固定される。これにより、試料容器10の一端部が閉塞され、他端部から試料容器10内に試料Sを入れることができる。
試料容器10は、試料皿20上に載置された上で、筐体2(水平板21)の開口部2aの上方に配置される。試料皿20は、その中央部に開口部20aが形成された板状の部材であり、例えば金属により形成されている。開口部20aは、試料S側に向かって徐々に内径が小さくなるようなテーパ面により形成されている。
本実施形態における試料皿20には、試料皿20を保持するための保持部20bが設けられている。保持部20bは、角度調整機構8(図3参照)により上方から保持されており、水平方向に対する試料皿20の角度を角度調整機構8により調整することができるようになっている。すなわち、図2では試料皿20が水平方向に延びるように保持されているが、角度調整機構8により、水平方向に対して試料皿20を傾斜させることも可能である。
本実施形態において、角度調整機構8を用いて試料皿20を傾斜させる際の支軸Aは、試料Sの中心軸線Cからずれた位置に設定されている。具体的には、試料Sの下端部において、中心軸線Cに直交する方向の径Dを3:1に分割する位置に、支軸Aが設定されている。すなわち、本実施形態では、角度調整機構8を用いて試料皿20を傾斜させる際の支軸Aが、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側とは反対側に位置している。この支軸Aを中心にして試料皿20を揺動させることにより、水平方向に対して試料皿20を傾斜させることができる。これにより、角度調整機構8を用いて、X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度を調整することができる。ただし、支軸Aの位置は、上記のような位置に限られるものではなく、試料Sに対する励起X線の照射位置や検出器5の位置などに応じて、最適な位置に設定可能である。
試料皿20の上面における開口部20aの周縁部には、試料容器10の下端部の周囲に対向するストッパ20cが形成されている。ストッパ20cは、水平方向に対して試料皿20を傾斜させ、試料Sの角度を変化させるときに、試料Sが滑るのを防止するためのものである。
3.蛍光X線分析装置の電気的構成
図3は、蛍光X線分析装置1の電気的構成の一例を示したブロック図である。この蛍光X線分析装置1には、上述のX線源4、検出器5及び角度調整機構8などの他に、制御部30、操作部40及び記憶部50などが備えられている。
図3は、蛍光X線分析装置1の電気的構成の一例を示したブロック図である。この蛍光X線分析装置1には、上述のX線源4、検出器5及び角度調整機構8などの他に、制御部30、操作部40及び記憶部50などが備えられている。
制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む構成である。制御部30は、CPUがプログラムを実行することにより、測定処理部31、入力受付部32及び角度調整処理部33などとして機能する。操作部40は、例えば操作キー、マウス又はタッチパネルなどにより構成されている。記憶部50は、例えばRAM(Random Access Memory)又はハードディスクなどにより構成されている。
測定処理部31は、X線源4から励起X線を照射させ、検出器5からの検出信号に基づいて試料Sの測定を行う。測定処理部31は、検出器5からの検出信号に基づいて、スペクトルデータを生成する。このスペクトルのデータに基づいて、試料Sに含まれる元素を分析することができる。
入力受付部32は、操作部40による入力を受け付ける。本実施形態では、作業者が操作部40を操作することにより、分析対象となる元素を入力することができる。作業者により分析対象となる元素が入力された場合には、その元素の入力が入力受付部32により受け付けられる。
角度調整処理部33は、角度調整機構8を制御することにより、水平方向に対する試料Sの角度を調整するための処理を行う。本実施形態では、分析対象となり得る各元素に対応付けて、それらの元素に適した試料Sの傾斜角度が記憶部50に予め記憶されている。入力受付部32により元素の入力が受け付けられた場合には、その元素に応じた角度が記憶部50から読み出され、当該角度に基づいて角度調整機構8が制御される。これにより、X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度が、作業者により入力された元素に応じた角度に調整される。
4.角度調整機構による角度調整
図4及び図5は、角度調整機構8による角度調整の一例について説明するための概略図である。本実施形態では、X線源4及び検出器5の位置がそれぞれ固定されている。そのため、X線源4及び検出器5の相対位置は一定に保たれた状態となっている。また、本実施形態では、X線源4が励起X線の照射スポット径を調整可能に構成されている。X線源4から照射される励起X線の径(照射スポット径)は、励起X線が試料皿20の開口部20aに収まる範囲内で最も大きい径となるように(励起X線が試料皿20で反射しないように)調整される。当該調整は、手動で行われてもよいし、制御部30の制御により行われてもよい。図5における励起X線の照射スポット径は、図4における励起X線の照射スポット径よりも大きい。図4及び図5において、試料S中にハッチングで示した領域(有効蛍光X線発生領域)からの蛍光X線が検出器5に入射することとなる。
図4及び図5は、角度調整機構8による角度調整の一例について説明するための概略図である。本実施形態では、X線源4及び検出器5の位置がそれぞれ固定されている。そのため、X線源4及び検出器5の相対位置は一定に保たれた状態となっている。また、本実施形態では、X線源4が励起X線の照射スポット径を調整可能に構成されている。X線源4から照射される励起X線の径(照射スポット径)は、励起X線が試料皿20の開口部20aに収まる範囲内で最も大きい径となるように(励起X線が試料皿20で反射しないように)調整される。当該調整は、手動で行われてもよいし、制御部30の制御により行われてもよい。図5における励起X線の照射スポット径は、図4における励起X線の照射スポット径よりも大きい。図4及び図5において、試料S中にハッチングで示した領域(有効蛍光X線発生領域)からの蛍光X線が検出器5に入射することとなる。
本実施形態では、X線源4及び検出器5の位置が固定された状態で、角度調整機構8により、X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度を変化させる。すなわち、図4のように試料皿20が水平方向に延びる状態から、図5のように試料皿20を水平方向に対して傾斜させることができる。このような角度の変化に伴って、励起X線の照射スポット径も調整される。
図4において、試料Sの中心軸線Cに対する励起X線の光軸の角度は、65〜75°であり、より具体的には約70°である。また、図4において、試料Sの中心軸線Cに対する検出器5(検出面に垂直な方向)の角度は、10〜20°であり、より具体的には約15°である。図5において、水平方向に対する試料皿20の傾斜角度は、例えば10〜15°であり、より具体的には約12.5°である。
このように、X線源4及び検出器5の相対位置が一定に保たれた状態のまま、角度調整機構8を用いて角度調整を行うことにより、分析対象となる元素に応じて、X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度を調整し、X線源4及び検出器5の光学的配置を最適化することができる。また、X線源4及び検出器5の位置を個別に調整するような構成とは異なり、X線源4及び検出器5の相対位置が一定に保たれているため、X線源4及び検出器5の光学的配置を容易に最適化することができる。特に、本実施形態では、固定されたX線源4及び検出器5に対して、試料Sの角度を変化させるだけの簡単な構成で、X線源4及び検出器5の光学的配置を最適化することができる。
図4の状態では、図5の状態と比べて、試料Sの中心軸線Cに対するX線源4からの励起X線の光軸の角度が大きいため、試料S中に入射する励起X線の深さが浅い。また、図4の状態では、図5の状態と比べて、試料Sの中心軸線Cに対する検出器5に入射する蛍光X線の角度(検出器5の角度)が小さい。すなわち、角度調整機構8による角度の調整に伴い、試料S中に入射する励起X線の深さが浅くなるほど、試料Sの中心軸線Cに対する検出器5の角度が小さくなる。
これにより、試料S中に入射する励起X線の深さと、試料Sの中心軸線Cに対する検出器5の角度との関係を、分析対象となる元素に応じて最適化することができる。例えば、分析対象が軽元素である場合には、試料S中に入射する励起X線の深さが浅く、試料Sに垂直な方向に対する検出器5の角度が小さくなるように、図4に例示されるような態様で角度調整機構8により角度の調整を行うことが好ましい。ここで、軽元素としては、例えばアルミニウム、マグネシウム、ナトリウムなどを挙げることができるが、これらの元素に限られるものではない。
一方、分析対象が中重元素である場合には、試料S中に入射する励起X線の深さが深く、試料Sに垂直な方向に対する検出器5の角度が大きくなるように、図5に例示されるような態様で角度調整機構8により角度の調整を行うことが好ましい。ここで、中重元素としては、例えばRoHS(Restriction of Hazardous Substances)に基づく有害元素である鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)などを挙げることができるが、これらの元素に限られるものではない。
本実施形態では、操作部40を用いて分析対象となる元素を入力することにより、X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度が、その元素に応じた適切な角度に調整される。したがって、X線源4及び検出器5の光学的配置をさらに容易に最適化することができる。
X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度を変化させると、上述した有効蛍光X線発生領域が変化する。有効蛍光X線発生領域は、試料S内の領域のうち、X線源4から照射される励起X線の照射範囲と、検出器5による蛍光X線の検出範囲とが重なる領域である。したがって、励起X線が照射される試料Sの表面(下面)において、有効蛍光X線発生領域内でX線源4から最も遠い点はB1となる。一方、励起X線が照射される試料Sの表面(下面)において、有効蛍光X線発生領域内でX線源4に最も近い点はB2となる。
図4の状態から図5の状態に変化したときには、点B2が検出器5から遠ざかることとなるが、励起X線の照射スポット径が拡大されることにより、点B2が試料Sの表面(下面)においてX線源4側に移動する。その結果、有効蛍光X線発生領域が大きくなり、中重元素の分析において有利となる。
このように、X線源4が励起X線の照射スポット径を調整可能な構成においては、支軸Aが、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側とは反対側に位置していることが好ましい。ただし、支軸Aの位置は、中心軸線Cに直交する方向の径Dを3:1 に分割する位置に限らず、例えば点B1を通る位置などのように、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側とは反対側の任意の位置に設定可能である。
5.角度調整の変形例
図6は、角度調整機構8による角度調整の第1変形例について説明するための概略図である。この例では、X線源4が、励起X線の照射スポット径を調整可能ではなく、一定の照射スポット径で励起X線を照射する構成となっている。
図6は、角度調整機構8による角度調整の第1変形例について説明するための概略図である。この例では、X線源4が、励起X線の照射スポット径を調整可能ではなく、一定の照射スポット径で励起X線を照射する構成となっている。
X線源4及び検出器5の位置が固定された状態で、角度調整機構8により、X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度を変化させるという点は、上記実施形態と同様である。ただし、この例では、角度調整機構6を用いてX線源4及び検出器5に対する試料Sの角度を調整する際の支軸が、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側に位置している。当該支軸の位置は、例えば点B2を通る位置に設定できるが、これに限らず、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側の任意の位置、好ましくは中心軸線Cと点B2の間に設定されてもよい。
X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度は、図4に示すような角度と、図6に示すような角度との間で変化させることができる。この変形例においても、角度調整機構8による角度の調整に伴い、試料S中に入射する励起X線の深さが浅くなるほど、試料Sの中心軸線Cに対する検出器5の角度が小さくなる。
このように、X線源4が励起X線の照射スポット径を調整できない構成においては、支軸Aが、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側に位置していることが好ましい。この場合、図4の状態から図6の状態に変化したときに、点B1が検出器5に近付くこととなり、点B1及び点B2がいずれも検出器5から遠ざかることがない。したがって、励起X線が照射される試料Sの表面(下面)における照射面積が多少減少したとしても、軽元素の分析において有効となる可能性がある。
図7は、角度調整機構8による角度調整の第2変形例について説明するための概略図である。この変形例では、X線源4及び検出器5の位置がそれぞれ固定されているのではなく、試料Sの位置が固定されている。すなわち、試料Sの位置が固定された状態で、角度調整機構8により、X線源4及び検出器5の互いの相対位置を一定に保ったまま、試料Sに対するX線源4及び検出器5の角度を変化させるような構成となっている。この場合、試料Sは、図2に例示されるような保持部20b及びストッパ20cを備えた試料皿20上に載置される必要はない。
X線源4及び検出器5は、図4に示すような位置と、図7に示すような位置との間で一体的に移動させることができる。このように、固定された試料Sに対して、X線源4及び検出器5の角度を一体的に変化させるだけの簡単な構成で、X線源4及び検出器5の光学的配置を最適化することができる。この変形例においても、角度調整機構8による角度の調整に伴い、試料S中に入射する励起X線の深さが浅くなるほど、試料Sの中心軸線Cに対する検出器5の角度が小さくなる。
X線源4及び検出器5を一体的に移動させる際の回転中心は、中心軸線Cに直交する方向の径Dを3:1 に分割する位置(支軸A)に設定されている。X線源4が励起X線の照射スポット径を調整可能な構成においては、このように、支軸Aが試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側とは反対側に位置していることが好ましい。ただし、X線源4及び検出器5を一体的に移動させる際の回転中心の位置は、支軸Aの位置に限らず、例えば点B1を通る位置などのように、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側とは反対側の任意の位置に設定可能である。
また、X線源4が励起X線の照射スポット径を調整できない構成の場合には、X線源4及び検出器5を一体的に移動させる際の回転中心が、試料Sの中心軸線Cに対してX線源4側に位置していてもよい。この場合、上記回転中心が、例えば点B2を通る位置に設定されていてもよい。
6.蛍光X線分析装置の別実施形態
図8は、本発明の別実施形態に係る蛍光X線分析装置1の電気的構成の一例を示したブロック図である。
図8は、本発明の別実施形態に係る蛍光X線分析装置1の電気的構成の一例を示したブロック図である。
この実施形態では、分析対象となる元素の入力を入力受付部32で受け付けるのではなく、予備測定により試料Sに含まれる元素を判別するような構成となっている。その点以外の構成は上記実施形態と同様であるため、同様の構成については、図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における制御部30は、上述の測定処理部31及び角度調整処理部33の他、予備測定処理部34として機能する。予備測定処理部34は、X線源4から励起X線を照射させ、検出器5からの検出信号に基づいて試料Sの予備測定を行う。予備測定は、測定処理部31により行われる測定(本測定)よりも前に行われ、検出器5からの検出信号に基づいてスペクトルデータを生成する。このスペクトルのデータに基づいて、予備測定処理部34は、試料Sに含まれる元素を判別する。
角度調整処理部33は、角度調整機構8を制御することにより、X線源4及び検出器5に対する試料Sの角度を、予備測定により試料Sに含まれると判別された元素に応じた角度に調整する。すなわち、角度調整処理部33は、予備測定により試料Sに含まれると判断された元素に応じた角度を記憶部50から読み出し、当該角度に基づいて角度調整機構8を制御する。これにより、予備測定により判別された元素に応じた適切な角度に調整することができるため、X線源4及び検出器5の光学的配置を容易に最適化することができる。
7.その他の変形例
以上の実施形態では、筐体2の上方に蓋部材3が設けられた構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、蓋部材3が省略された構成であってもよい。
以上の実施形態では、筐体2の上方に蓋部材3が設けられた構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、蓋部材3が省略された構成であってもよい。
1 蛍光X線分析装置
4 X線源
5 検出器
8 角度調整機構
10 試料容器
20 試料皿
20c ストッパ
30 制御部
31 測定処理部
32 入力受付部
33 角度調整処理部
34 予備測定処理部
40 操作部
50 記憶部
4 X線源
5 検出器
8 角度調整機構
10 試料容器
20 試料皿
20c ストッパ
30 制御部
31 測定処理部
32 入力受付部
33 角度調整処理部
34 予備測定処理部
40 操作部
50 記憶部
Claims (9)
- 試料に励起X線を照射するX線源と、
前記X線源に対して相対位置が一定に保たれた状態で配置され、励起X線が照射された試料から生じる蛍光X線を検出する検出器と、
前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を調整するための角度調整機構とを備えることを特徴とするエネルギー分散型蛍光X線分析装置。 - 前記角度調整機構は、前記X線源及び前記検出器の位置が固定された状態で、前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を変化させることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。
- 前記角度調整機構により試料の角度を変化させるときに試料が滑るのを防止するためのストッパをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。
- 前記角度調整機構は、試料の位置が固定された状態で、前記X線源及び前記検出器の互いの相対位置を一定に保ったまま、試料に対する前記X線源及び前記検出器の角度を変化させることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。
- 前記X線源は、励起X線の照射スポット径を調整可能であり、
前記角度調整機構を用いて前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を調整する際の支軸が、試料の中心軸線に対して前記X線源側とは反対側に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。 - 前記X線源は、一定の照射スポット径で励起X線を照射し、
前記角度調整機構を用いて前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を調整する際の支軸が、試料の中心軸線に対して前記X線源側に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。 - 前記角度調整機構による角度の調整に伴い、試料中に入射する励起X線の深さが浅くなるほど、試料に垂直な方向に対する前記検出器の角度が小さくなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。
- 分析対象となる元素の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記角度調整機構は、前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を、前記入力受付部により入力が受け付けられた元素に応じた角度に調整することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。 - 前記角度調整機構による角度の調整前に、前記X線源から試料に励起X線を照射し、試料からの蛍光X線を前記検出器で検出することにより、試料に含まれる元素を判別するための予備測定を行う予備測定処理部をさらに備え、
前記角度調整機構は、前記X線源及び前記検出器に対する試料の角度を、前記予備測定により試料に含まれると判別された元素に応じた角度に調整することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエネルギー分散型蛍光X線分析装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019107853A JP2020201115A (ja) | 2019-06-10 | 2019-06-10 | エネルギー分散型蛍光x線分析装置 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020201115A true JP2020201115A (ja) | 2020-12-17 |
Family
ID=73742050
Family Applications (1)
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JP2019107853A Pending JP2020201115A (ja) | 2019-06-10 | 2019-06-10 | エネルギー分散型蛍光x線分析装置 |
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---|---|
JP (1) | JP2020201115A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022118664A1 (ja) | 2020-12-03 | 2022-06-09 | パナソニックホールディングス株式会社 | 無線通信システムおよび無線通信方法 |
-
2019
- 2019-06-10 JP JP2019107853A patent/JP2020201115A/ja active Pending
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