以下に、本発明の実施の形態にかかる換気装置および換気システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム100の全体構成を示す図である。換気システム100は、換気装置1と、ウェアラブル端末2と、を備えて構成されている。換気システム100は、ウェアラブル端末2と換気装置1とを連携させて、室内の在室状況に対応して換気装置1の動作を制御することが可能である。以下の説明では、一般的な事務所ビルの室内を換気システム100が換気する場合を例に、換気システム100について説明する。図2は、図1に示す換気システム100の機能構成を示す図である。
換気装置1は、換気対象空間である室内の換気を行う換気設備であり、換気部11と、換気通信部12と、換気記憶部13と、換気制御部14と、を備える。換気部11は、室内の換気を行う。換気通信部12は、ウェアラブル端末2およびその他の機器と無線通信を行う。換気記憶部13は、換気装置1の運転に用いられる各種の情報を記憶する。換気制御部14は、換気装置1の運転を制御する。換気制御部14は、換気対象空間において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量に基づいて換気部11の動作を制御する。換気部11と換気通信部12と換気記憶部13と換気制御部14とは、互いに情報の送受信が可能である。
また、換気制御部14は、例えば、図3に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図3は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。換気制御部14が図3に示す処理回路により実現される場合、換気制御部14は、例えば、図3に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、換気制御部14の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、換気通信部12が実現されるように構成してもよい。また、換気通信部12を実現するためのプロセッサおよびメモリは、換気制御部14を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
ウェアラブル端末2は、事務所の利用者である各従業員に1つずつ装着される端末であり、換気制御部14と無線通信可能である。ウェアラブル端末2は、時計型、社員証型、名札型およびペン型など各種の形態のものが使用可能であり、事務所、学校および病院などの利用者が身に付けることが想定されるものが好ましい。また、ウェアラブル端末2は、表示部および操作部といった構成部を有するものであってもよく、また表示部および操作部といった構成部を有さないものであってもよく、使用される環境に合わせて機能と価格とが異なる各種の形態のものを構成可能である。したがって、換気制御部14は、各種の形態のウェアラブル端末2と、通信できることが好ましい。
ウェアラブル端末2は、端末表示部21と、端末通信部22と、端末記憶部23と、端末制御部24と、を備える。端末表示部21は、ウェアラブル端末2内の各種情報を表示する。端末表示部21は、居室の温度、居室の湿度、CO2濃度、省エネルギー量、居室の快適度、居室の不快度などの情報を表示できる。端末通信部22は、換気制御部14と無線通信を行う。端末記憶部23は、ウェアラブル端末2内の各種情報を記憶する。端末記憶部23は、従業員の年齢、性別、好みの室内温度のデータ、好みの室内湿度のデータなどを記憶する。端末制御部24は、ウェアラブル端末2内の各構成部の制御を含む、ウェアラブル端末2全体の制御を行う。端末表示部21と端末通信部22と端末記憶部23と端末制御部24とは、互いに情報の送受信が可能である。
なお、換気装置1とウェアラブル端末2との間の無線通信方式は、Bluetooth(登録商標)、赤外線方式などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
つぎに、換気システム100において、換気装置1が、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量に基づいて換気部11の動作を制御する場合について説明する。図4は、図1に示す換気システム100における換気装置1の動作の手順を示すフローチャートである。以下では、換気装置1が配置された無人の状態の事務所の居室に利用者である従業員が出社してくる場合について説明する。無人の状態においては、換気装置1は、換気運転を停止している。換気装置1は、相対的に風量が少ない第1換気風量と、相対的に風量が多い第2換気風量と、の2つの風量で換気運転が可能である。
ステップS10において、換気装置1の換気制御部14は、事務所の居室に在室者が居るか否かを判定する。ウェアラブル端末2を装着した従業員の出勤時に、換気装置1の換気通信部12が、ウェアラブル端末2の端末通信部22と自動で無線通信を確立する。すなわち、ウェアラブル端末2を装着した従業員が、無人の状態の事務所の居室に出社する。従業員が居室に入室すると、換気装置1の換気通信部12が、ウェアラブル端末2の端末通信部22と無線通信を確立する。ウェアラブル端末2の端末通信部22と換気装置1の換気通信部12との無線通信を確立する方法は特に限定されず、公知の技術により実現される。
ウェアラブル端末2の端末通信部22は、換気通信部12との無線通信が確立されると、各ウェアラブル端末2に固有の識別情報を換気通信部12に送信する。換気通信部12は、ウェアラブル端末2から送信された固有の識別情報を受信して換気装置1の換気制御部14に送信する。換気制御部14は、固有の識別情報を受信することにより、換気通信部12と無線通信が確立された各ウェアラブル端末2を認識し、各ウェアラブル端末2に対応した従業員が入室したと判定する。各ウェアラブル端末2の端末通信部22は、居室に入室するたびに、換気装置1の換気通信部12との無線通信を確立して固有の識別情報を換気通信部12に送信する。
換気通信部12は、ウェアラブル端末2の端末通信部22との無線通信が確立されると、端末通信部22との無線通信が確立された旨の通信確立情報を換気制御部14に送信する。換気制御部14は、固有の識別情報を受信したウェアラブル端末2についての通信確立情報を受信すると、ウェアラブル端末2との無線通信が接続されたと判定する。これにより、換気制御部14は、居室におけるウェアラブル端末2の存在を認識し、従業員が在室していると認識できる。換気制御部14は、固有の識別情報を受信したウェアラブル端末2についての通信切断情報を受信した場合は、居室におけるウェアラブル端末2との無線通信が切断されたと判定し、従業員が退室したと認識できる。
換気制御部14は、居室におけるウェアラブル端末2との無線通信が接続されている間はウェアラブル端末2の固有の識別情報を記憶しており、ウェアラブル端末2との無線通信が切断されると、記憶しているウェアラブル端末2の固有の識別情報を消去する。これにより、換気制御部14は、記憶している固有の識別情報の数量によって、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量を判定できる。したがって、換気制御部14に記憶されている固有の識別情報の数量は、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量の情報である端末数量情報といえる。また、換気制御部14に記憶されている固有の識別情報の数量は、居室に在室している従業員の人数と換言できる。
居室に在室者が居ると判定された場合には、ステップS10においてYesとなり、ステップS20に進む。居室に在室者が居ないと判定された場合には、ステップS10においてNoとなり、ステップS10に戻る。
つぎに、ステップS20において、換気制御部14は、相対的に風量が少ない第1換気風量で換気運転を実施する制御を行う。これにより、換気装置1は、無人の状態の居室に一人目の従業員が入室した場合には、第1換気風量での換気運転を自動で開始する。
つぎに、ステップS30において、換気制御部14は、居室の在室人数が第1人数閾値以上であるか否かを判定する。第1人数閾値は、換気制御部14が、換気風量を第1換気風量と第2換気風量との間で切り替えるか否かを判定するための在室人数の閾値である。また、第1人数閾値は、換気制御部14が、換気風量を第1換気風量と第2換気風量との間で切り替えるか否かを判定するための、居室においてウェアラブル端末2との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の端末数量の閾値である端末数量閾値といえる。第1人数閾値は、予め決められて換気制御部14に記憶されている。なお、第1人数閾値は、換気記憶部13に記憶されてもよい。
換気装置1の換気通信部12は、新たなウェアラブル端末2の端末通信部22との無線通信を確立すると、新たなウェアラブル端末2の端末通信部22との無線通信の確立についての通信確立情報を、新たなウェアラブル端末2の固有の識別情報とともに換気制御部14に送信する。換気制御部14は、新たな固有の識別情報および通信確立情報を受信することにより、新たなウェアラブル端末2との無線通信が接続されたと判定する。なお、換気制御部14は、新たな固有の識別情報を受信するたびに、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量、すなわち居室に在室している従業員の人数をカウントアップして記憶してもよい。
居室の在室人数が第1人数閾値以上であると判定された場合には、ステップS30においてYesとなり、ステップS40に進む。居室の在室人数が第1人数閾値未満であると判定された場合には、ステップS30においてNoとなり、ステップS20に戻り、第1換気風量での換気運転が継続される。
ステップS40において、換気制御部14は、相対的に風量が多い第2換気風量で換気運転を行うように制御する。すなわち、換気制御部14は、換気風量を第1換気風量から第2換気風量に増加させる制御を行う。これにより、居室の換気量が増加するため、居室の在室人数が多くなっても室内空気の環境を快適に保つことができる。
つぎに、ステップS50において、換気制御部14は、居室の在室人数が第1人数閾値以上であるか否かを判定する。居室の在室人数が第1人数閾値以上であると判定された場合には、ステップS50においてYesとなり、ステップS40に戻り、第2換気風量での換気運転が継続される。居室の在室人数が第1人数閾値未満であると判定された場合には、ステップS50においてNoとなり、ステップS60に進む。
ステップS60において、換気制御部14は、居室に在室者が居るか否かを判定する。従業員が居室から退室すると、換気装置1の換気通信部12とウェアラブル端末2の端末通信部22との無線通信が切断される。換気装置1の換気通信部12は、ウェアラブル端末2の端末通信部22との無線通信が切断されると、ウェアラブル端末2の端末通信部22との無線通信が切断された旨の通信切断情報を、換気制御部14に送信する。
換気制御部14は、通信切断情報を受信することにより、ウェアラブル端末2との無線通信が切断されたと判定し、従業員が退室したと判定する。換気制御部14は、通信確立情報を受信してから通信切断情報を受信するまでの間、居室においてウェアラブル端末2と換気装置1との無線通信が接続されていると判定する。換気制御部14は、新たな通信切断情報を受信した場合に、通信切断情報を受信したウェアラブル端末2の固有の識別情報を消去する。換気制御部14は、新たな通信切断情報を受信するたびに居室の在室人数をカウントダウンして換気記憶部13に記憶させてもよい。
居室に在室者が居ると判定された場合には、ステップS60においてYesとなり、ステップS20に戻り、換気制御部14は、第1換気風量での換気運転を実施する制御を行う。すなわち、換気制御部14は、換気風量を第2換気風量から第1換気風量に減少させる制御を行う。これにより、居室の換気量が減少するため、居室の在室人数に対して過度の風量での換気が行われることがない。居室に在室者が居ないと判定された場合には、ステップS60においてNoとなり、ステップS70に進む。
ステップS70において、換気制御部14は、換気運転を停止する制御を行う。これにより、換気装置1は、居室に在室者が居なくなると自動で換気運転を停止する。
なお、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量を換気制御部14が取得する方法は上述した方法に限定されない。また、換気通信部12とウェアラブル端末2との無線通信の接続状態の確認は、換気通信部12からウェアラブル端末2に接続確認要求を送信するなどの公知の方法により行うことができる。
また、上記においては、換気装置1の換気風量が2段階に変更可能である場合について説明したが、換気装置1の換気風量は3段階以上に変更可能とされてもよい。この場合には、上記と同様に換気風量の切り替えタイミングを判定するために人数閾値が追加される。
換気装置1の換気風量が、第1換気風量と、第2換気風量と、第2換気風量よりも相対的に風量が多い第3換気風量と、の3段階に変更可能である場合には、換気制御部14は、居室の在室人数が第1人数閾値以上であるか否かによって、換気風量を第1換気風量と第2換気風量との間で切り替えるか否かを判定する。そして、換気制御部14は、居室の在室人数が第1人数閾値以上であると判定された場合に、居室の在室人数が第2人数閾値以上であるか否かによって、換気風量を第2換気風量と第3換気風量との間で切り替えるか否かを判定する。換気制御部14は、居室の在室人数が第2人数閾値以上であると判定された場合に、第2換気風量から第3換気風量に切り替える。第2人数閾値は、換気制御部14が、換気風量を第2換気風量と第3換気風量との間で切り替えるか否かを判定するための在室人数の閾値であり、第1人数閾値よりも大きな値である。第2人数閾値は、予め決められて換気制御部14に記憶される。
上述したように、換気システム100の換気装置1は、居室の在室人数が徐々に増えてくると、在室人数に対応してあらかじめ決められた換気風量になるように換気風量を増加させて換気運転を行う。このような換気装置1の換気運転の例として、例えば居室の在室人数の1人に対して25m3/hずつ換気風量を増やすような運転が例示される。この場合、換気風量は、居室の在室人数が1人である場合には25m3/hとなり、居室の在室人数が2人である場合には50m3/hとなる。これにより、在室人数に対応してあらかじめ決められた、室内を快適にするために必要な適切な換気風量で居室の換気を自動で行うことができる。
そして、換気装置1は、会社の定時を過ぎて徐々に在室人数が減ってくると、換気風量を自動で低減させて換気運転を行い、最後の1人がいなくなると自動で換気運転を停止することができる。これにより、換気装置1は、居室の在室人数に対して過度の換気風量での換気を行うことがなく、在室人数に対して適切な換気風量で居室の換気を自動で行うことができ、居室に人が居ない場合には、換気運転を自動で停止することができる。したがって、換気装置1は、過度の換気風量での換気および不要な換気を行わないことによって、換気装置1の省エネルギーを実現することができる。
また、たとえば居室内におけるドア付近にウェアラブル端末2と無線通信できる他の通信機器を設けておき、ドアを通って居室内に入室する際に他の通信機器と通信したウェアラブル端末2を他の通信機器がカウントアップする構成を設けてもよい。他の通信機器は、ドアを通過するウェアラブル端末2とのみ通信できる。すなわち、ウェアラブル端末2は、ドアを通過するときのみ、他の通信機器と通信する。この場合、他の通信機器は、ドアを通過して居室に入室する新たな従業員のウェアラブル端末2と通信するたびに、他の通信機器と無線通信したウェアラブル端末2の数量、すなわち居室に入室した従業員の人数をカウントアップして記憶する。これにより、他の通信機器は、居室に在室している従業員の人数を確実に検知することができる。
他の通信機器は、カウントアップしたウェアラブル端末2の数量の情報、すなわち居室に入室した従業員の人数の情報を、換気制御部14に送信する。換気制御部14は、他の通信機器から受信した、カウントアップしたウェアラブル端末2の数量の情報と、換気制御部14において判定された、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量の情報と、を比較する。
両者が同一である場合には、換気制御部14は、換気制御部14において判定された、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量を、居室に在室している従業員の人数と判定する。両者が異なる場合には、換気制御部14は、他の通信機器から受信したカウントアップしたウェアラブル端末2の数量の情報に示される数量を、居室に在室している従業員の人数と判定する。
これにより、換気制御部14は、居室内にいる従業員と、居室のドアの直ぐ外にいる従業員とを判別することができ、居室に在室している従業員の人数を正確に判定することができる。
また、他の通信機器は、居室から退室する従業員がドアを通過する際に退室する従業員のウェアラブル端末2と通信する。この場合、他の通信機器は、従業員が入室する際に通信したウェアラブル端末2と再び通信すると、他の通信機器と無線通信したウェアラブル端末2の数量、すなわち居室に入室した従業員の人数として記憶している人数をカウントダウンして記憶する。すなわち、他の通信機器は、居室に入室した従業員の人数から、居室から退室した従業員の人数を減らした人数を、居室に在室している人数として記憶する。これにより、他の通信機器は、居室に在室している従業員の人数を確実に検知することができる。
他の通信機器は、カウントダウンしたウェアラブル端末2の数量の情報、すなわち居室に入室した従業員の人数から、居室から退室した従業員の人数を減らした、居室に在室している人数の情報を、換気制御部14に送信する。換気制御部14は、他の通信機器から受信した、カウントダウンしたウェアラブル端末2の数量の情報と、換気制御部14において判定された、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量の情報と、を比較する。
両者が同一である場合には、換気制御部14は、換気制御部14において判定された、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量を、居室に在室している従業員の人数と判定する。両者が異なる場合には、換気制御部14は、他の通信機器から受信したカウントダウンしたウェアラブル端末2の数量の情報に示される数量を、居室に在室している従業員の人数と判定する。
これにより、換気制御部14は、居室内にいる従業員と、居室のドアの直ぐ外にいる従業員とを判別することができ、居室に在室している従業員の人数を正確に判定することができる。
図5は、本発明の実施の形態1にかかる他の換気システム100aの全体構成を示す図である。他の換気システム100aは、換気システム100の変形例であり、換気システム100に空気調和機3と、集中管理用コントローラ6と、が追加されている。換気装置1と空気調和機3と集中管理用コントローラ6とは、通信線7により接続されており、互いに通信可能である。
一般的に室内の空気調和を行うためには、換気装置以外に空気調和機が用いられる。熱交換型の換気装置を換気装置1に用いる場合には、熱交換型ではない換気装置を換気装置1に用いる場合に比べて、空気調和機3の負荷の低減にどのくらい寄与しているかの情報を換気制御部14によって演算できるように構成することも可能である。
例えば、常に第2換気風量で換気運転を行っている場合には、上記のように第1換気風量と第2換気風量とに換気風量が自動で切り替えられる場合に比べて、空気調和機3によって空気調和された調和空気が換気により排気される量が多くなる。調和空気が換気により排気される量が多い場合には、換気によって居室に給気される外気の量も多くなる。このため、居室の室内空気の温度を空気調和機3に設定された温度に維持するための空気調和機3の負荷が大きくなり、空気調和機3に使用されるエネルギーが多くなる。
一方、換気システム100aでは、在室人数に対して適切な換気風量で居室の換気を自動で行い、過度の換気風量での換気および不要な換気を行わない。これにより、居室の室内空気の温度を空気調和機3に設定された温度に維持するための空気調和機3の負荷が小さくなり、空気調和機3の省エネルギーを実現することができる。
そこで、換気システム100aが空気調和機3の省エネルギーに寄与する省エネルギー量を居室の室内温度ごとに演算する機能を換気制御部14に持たせる。換気制御部14は、居室の室内温度または空気調和機3に設定された温度を、通信線7を介して空気調和機3から取得する。そして、換気制御部14において演算された省エネルギー量の情報は、ウェアラブル端末2へ送信され、端末表示部21に表示される。これにより、ウェアラブル端末2を装着している従業員が環境へ貢献していることを意識することが可能になり、省エネルギーに対する意識の向上を図ることができる。
また、常に第2換気風量で換気運転を行っている場合には、上記のように第1換気風量と第2換気風量とに換気風量が自動で切り替えられる場合に比べて、換気装置1における換気を行うためのモータの消費電力が多くなる。そこで、第1換気風量と第2換気風量とに換気風量が自動で切り替えられる場合のモータの消費電力の低減量を省エネルギー量の情報として演算する機能を換気制御部14に持たせる。そして、換気制御部14において演算された省エネルギー量の情報は、ウェアラブル端末2へ送信され、端末表示部21に表示される。
また、換気システム100aでは、換気装置1を、BEMS(Building Energy Management System)に接続し、換気制御部14における換気運転の制御に関する機能を、BEMSにおいて建物内の複数の宅内設備機器の運転、停止または風量の調整などの動作を遠隔管理により制御する集中管理用コントローラ6が兼ねてもよい。
上述したように、本実施の形態1にかかる換気システム100は、居室において換気通信部12との無線通信が接続されているウェアラブル端末2の数量を判定することにより、居室の在室人数を判定し、在室人数に基づいて換気運転を開始および停止し、また換気風量を変更することができる。これにより、換気システム100は、居室の在室人数に対して適切な換気風量で居室の換気を自動で行って、居住者に対してより快適な環境になるように室内の在室状況に対応した換気運転を自動で行うことができる、という効果を奏する。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム200の全体構成を示す図である。図7は、図6に示す換気システム200の機能構成を示す図である。換気システム200は、空気調和機3と、加湿器4と、除湿器5とを備えることが、上述した実施の形態1にかかる換気システム100と異なる。すなわち、換気システム200は、換気装置1と、ウェアラブル端末2と、空気調和機3と、加湿器4と、除湿器5と、を備えて構成されている。換気システム200は、実施の形態1にかかる換気システム100の有する機能の他に、空気調和機3と加湿器4と除湿器5と換気装置1とを連携させて、室内の在室状況に対応して空気調和機3と加湿器4と除湿器5との動作を制御することが可能である。
空気調和機3は、室内の空気調和を行う空気調和設備であり、空気調和部31と、空気調和通信部32と、空気調和記憶部33と、空気調和制御部34と、を備える。空気調和部31は、室内の空気調和を行う。空気調和通信部32は、換気装置1と通信を行う。空気調和通信部32と換気装置1との通信は、無線通信であってもよく、また有線通信であってもよい。本実施の形態2においては、空気調和通信部32と換気装置1との通信は無線通信であるものとする。空気調和記憶部33は、空気調和機3の運転に用いられる各種の情報を記憶する。空気調和制御部34は、空気調和機3の運転を制御する。空気調和部31と空気調和通信部32と空気調和記憶部33と空気調和制御部34とは、互いに情報の送受信が可能である。
加湿器4は、室内の加湿を行う加湿設備であり、加湿部41と、加湿通信部42と、加湿記憶部43と、加湿制御部44とを備える。加湿部41は、室内の加湿を行う。加湿通信部42は、換気装置1と無線通信を行う。加湿記憶部43は、加湿器4の運転に用いられる各種の情報を記憶する。加湿制御部44は、加湿器4の運転を制御する。加湿部41と加湿通信部42と加湿記憶部43と加湿制御部44とは、互いに情報の送受信が可能である。
除湿器5は、室内の除湿を行う除湿設備であり、除湿部51と、除湿通信部52と、除湿記憶部53と、除湿制御部54と、を備える。除湿部51は、室内の除湿を行う。除湿通信部52は、換気装置1と無線通信を行う。除湿記憶部53は、除湿器5の運転に用いられる各種の情報を記憶する。除湿制御部54は、除湿器5の運転を制御する。除湿部51と除湿通信部52と除湿記憶部53と除湿制御部54とは、互いに情報の送受信が可能である。
図8は、図6に示す換気システム200のウェアラブル端末2の端末記憶部23に記憶される、好み温度データ231と、好み湿度データ232とを示す図である。換気システム200では、従業員の好みの室内温度のデータである好み温度データ231と、従業員の好みの室内湿度のデータである好み湿度データ232とが、あらかじめ各自のウェアラブル端末2の端末記憶部23に記憶されている。
ウェアラブル端末2は、換気装置1の換気通信部12との無線通信が確立された際に、ウェアラブル端末2の端末記憶部23に記憶されている好み温度データ231と好み湿度データ232とを、端末通信部22を介して換気装置1の換気制御部14に送信する。そして、換気制御部14は、ウェアラブル端末2から受信した好み温度データ231に基づいて、好み温度データ231の平均値の情報を、空気調和機3に設定温度の指示情報として送信する。また、換気制御部14は、ウェアラブル端末2から受信した好み湿度データ232に基づいて、好み湿度データ232の平均値の情報を、加湿器4と除湿器5とに設定湿度の指示情報として送信する。図9は、図6に示す換気システム200における換気装置1の動作の手順を示すフローチャートである。
ステップS110において、換気装置1の換気制御部14は、換気通信部12との無線通信が確立された複数のウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とを取得して記憶する。
つぎに、ステップS120において、換気制御部14は、取得した複数の好み温度データ231の平均値を、予め決められた周期で算出する。
つぎに、ステップS130において、換気制御部14は、取得した複数の好み湿度データ232の平均値を、予め決められた周期で算出する。
つぎに、ステップS140において、換気制御部14は、算出した好み温度データ231の平均値の情報を、空気調和機3の空気調和制御部34に設定温度の指示情報として送信する。
つぎに、ステップS150において、換気制御部14は、算出した好み湿度データ232の平均値の情報を、加湿器4の加湿制御部44と除湿器5の除湿制御部54とに設定湿度の指示情報として送信する。
そして、好み温度データ231の平均値の情報を受信した空気調和制御部34は、好み温度データ231の平均値を設定温度として空気調和運転の制御を行う。換気制御部14は、換気通信部12との無線通信が切断されたウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とは消去する。したがって、換気制御部14は、現在、換気通信部12との無線通信が確立されているウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とのみを記憶して、平均値を算出する。
このため、空気調和機3の設定温度が、居室に居る従業員の室内温度の好みの平均値に自動的に変わる。そして、居室への人の出入りがあると、空気調和機3の設定温度が自動で変化する。これにより、空気調和機3の設定温度が、現在、居室に在室している多くの従業員にとって快適な温度に自動で変化するため、室内温度が多くの従業員にとって快適な温度になり、多くの従業員にとって快適な空気調和が可能となる。
空気調和機3の設定温度を従業員が調整可能である場合には、暑がりの人が設定温度を設定するか、寒がりの人が設定温度を設定するかによって、空気調和機3の設定温度が居室に居る人の好みの平均とは違ったものとなることが多い。換気システム200では、居室に在室している従業員の好み温度データ231の平均値が空気調和機3の設定温度となるため、居室の室内温度が多くの従業員にとって快適な温度になる。
また、換気制御部14から送信された好み湿度データ232の平均値の情報を受信した加湿器4の加湿制御部44は、好み湿度データ232の平均値を設定湿度として加湿運転の制御を行う。また、換気制御部14から送信された好み湿度データ232の平均値の情報を受信した除湿器5の除湿制御部54は、好み湿度データ232の平均値を設定湿度として除湿運転の制御を行う。
このため、加湿器4および除湿器5の設定湿度が、居室に居る従業員の室内湿度の好みの平均値に自動的に変わる。そして、居室への人の出入りがあると、加湿器4および除湿器5の設定湿度が自動で変化する。これにより、加湿器4および除湿器5の設定湿度が、現在、居室に在室している多くの従業員にとって快適な湿度に自動で変化するため、室内湿度が多くの従業員にとって快適な湿度になり、多くの従業員にとって快適な空気調和が可能となる。
好み温度データ231の平均化の方法および好み湿度データ232の平均化の方法は、単純な算術平均でもよいが、人によって好み温度データ231の平均化の方法および好み湿度データ232の重要度を変える加重平均でもよい。例えば、上司の好みの温度および湿度の優先度を上げたり、女性の好みの温度および湿度の優先度を上げたりすることで、より円滑な職場環境を作ることができるようになる。
換気システム200は、上述した換気システム100と同様の効果を有する。また、換気システム200は、居室に在室している従業員の好み温度データ231の平均値が空気調和機3の設定温度となり、居室に在室している従業員の好み湿度データ232の平均値が加湿器4および除湿器5の設定湿度となるため、居室に在室している多くの従業員にとって快適な空気調和が可能となる。
実施の形態3.
本実施の形態3では、夏季などの冷房期間に好適な換気システム200の夏季モードの動作について説明する。図10は、本発明の実施の形態3における換気システム200の換気装置1の動作の手順を示すフローチャートである。
ステップS210において、換気装置1の換気制御部14は、換気通信部12との無線通信が確立された複数のウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とを取得して記憶する。
つぎに、ステップS220において、換気制御部14は、取得した複数の好み温度データ231から、好み温度データ231の最小値を、予め決められた周期で抽出する。
つぎに、ステップS230において、換気制御部14は、取得した複数の好み湿度データ232から、好み湿度データ232の最小値を、予め決められた周期で抽出する。
つぎに、ステップS240において、換気制御部14は、抽出した好み温度データ231の最小値の情報を、空気調和機3の空気調和制御部34に設定温度の指示情報として送信する。
つぎに、ステップS250において、換気制御部14は、抽出した好み湿度データ232の最小値の情報を、加湿器4の加湿制御部44と除湿器5の除湿制御部54とに設定湿度の指示情報として送信する。
そして、好み温度データ231の最小値の情報を受信した空気調和制御部34は、好み温度データ231の最小値を設定温度として空気調和運転の制御を行う。換気制御部14は、換気通信部12との無線通信が切断されたウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とは消去する。したがって、換気制御部14は、現在、換気通信部12との無線通信が確立されているウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とのみを記憶する。このため、空気調和機3の設定温度が、居室に居る従業員の室内温度の好みの最小値に自動的に変わる。そして、居室への人の出入りがあると、空気調和機3の設定温度が自動で変化する。
たとえば夏季であれば、空気調和機3が停止している夜間に居室内の建材およびデスク等の什器に蓄熱することが考えられる。居室内の建材および什器の温度が空気調和機3の設定温度に達していない状態の始業時に居室に在室している従業員は、居室内の建材および什器からの熱輻射および熱伝導により、居室の実際の室内温度よりも暑く感じる可能性がある。このため、空気調和機3の設定温度を換気制御部14が取得した複数の好み温度データ231のうち最も低い温度である好み温度データ231の最小値に設定して空気調和機3による空気調和を行うことにより、居室内の快適性が増す。
また、加湿器4および除湿器5の設定湿度を、換気制御部14が取得した複数の好み湿度データ232のうち最も低い湿度である好み湿度データ232の最小値に設定することで、人間の露出した肌部からの水分の蒸発をより促すことができる。これにより、居室内に在室している従業員が冷涼感を得やすくなる。
また、換気装置1の換気風量の設定が複数ある場合には、夏季においては換気装置1の設定風量を必要換気量よりも多く設定し、給気空気により居室内の空間により多くの気流を生み出すことも、冷涼感を増す効果がある。このように、夏季における換気装置1の設定風量を大きくすることで居室内の快適性を向上させることができる。
上述した温度設定、湿度設定および風量設定を制御する場合には、換気装置1に設置された温湿度計によって外気の温度をモニターすることが好ましい。換気制御部14は、モニターした外気温度と、夏季を判定するために予め決められた温度閾値とを比較することにより、現在の季節が夏季であるか否かを判定できる。そして、換気制御部14は、判定結果を、換気制御部14が上述した温度設定、湿度設定および換気風量設定を制御するか否かを判定する指標とすることができる。すなわち、換気制御部14は、短期間の外気温度のデータ収集により、上述した温度設定、湿度設定および換気風量設定を制御する夏季モードでの制御を実施するか否かの判定を容易に且つ迅速に行うことができる。これにより、換気システム200は、居室内の快適性の向上と省エネルギーとの効果を有する夏季モードでの運転に短時間で移行することができる。
上述したように、実施の形態3によれば、特に夏季において居室内の快適性をより向上させることができる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、冬季などの暖房期間に好適な換気システム200の冬季モードの動作について説明する。図11は、本発明の実施の形態4における換気システム200の換気装置1の動作の手順を示すフローチャートである。
ステップS310において、換気装置1の換気制御部14は、換気通信部12との無線通信が確立された複数のウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とを取得して記憶する。
つぎに、ステップS320において、換気制御部14は、取得した複数の好み温度データ231から、好み温度データ231の最大値を、予め決められた周期で抽出する。
つぎに、ステップS330において、換気制御部14は、取得した複数の好み湿度データ232から、好み湿度データ232の最大値を、予め決められた周期で抽出する。
つぎに、ステップS340において、換気制御部14は、抽出した好み温度データ231の最大値の情報を、空気調和機3の空気調和制御部34に設定温度の指示情報として送信する。
つぎに、ステップS350において、換気制御部14は、抽出した好み湿度データ232の最大値の情報を、加湿器4の加湿制御部44と除湿器5の除湿制御部54とに設定湿度の指示情報として送信する。
そして、好み温度データ231の最大値の情報を受信した空気調和制御部34は、好み温度データ231の最大値を設定温度として空気調和運転の制御を行う。換気制御部14は、換気通信部12との無線通信が切断されたウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とは消去する。したがって、換気制御部14は、現在、換気通信部12との無線通信が確立されているウェアラブル端末2から送信された好み温度データ231と好み湿度データ232とのみを記憶する。このため、空気調和機3の設定温度が、居室に居る従業員の室内温度の好みの最大値に自動的に変わる。そして、居室への人の出入りがあると、空気調和機3の設定温度が自動で変化する。
冬季は、夏季とは逆に、居室内の建材およびデスク等の什器が冷やされている影響で、居室内の建材および什器の温度が空気調和機3の設定温度に達していない状態の始業時に居室に在室している従業員は、室内温度よりも寒く感じる可能性がある。このため、空気調和機3の設定温度を換気制御部14が取得した複数の好み温度データ231のうち最も高い温度である好み温度データ231の最大値に設定して空気調和機3による空気調和を行うことにより、居室内の快適性が増す。
また、加湿器4および除湿器5の設定湿度を、換気制御部14が取得した複数の好み湿度データ232のうち最も高い湿度である好み湿度データ232の最大値に設定することで、人間の露出した肌部からの蒸発潜熱が奪われることを防ぐことができ、冬季の居室内における余計な冷感を避けることができる。
また、換気装置1の換気風量の設定が複数ある場合には、冬季においては換気装置1の設定風量を必要換気量よりも少なく設定することで冷風感を低減することが可能となる。ただし、換気装置1の換気風量を少なくしすぎることで居室内の空気質の悪化を招く可能性があるので、換気風量を少なくしすぎないように注意することが必要である。
換気装置1の換気風量を適切に設定するために、例えば個人の血圧、脈拍、心拍数および血中酸素濃度をモニターする機能をウェアラブル端末2に持たせることが好ましい。ウェアラブル端末2により、個人の血圧、脈拍、心拍数および血中酸素濃度を合わせてモニターすることで、居室内に在室している従業員に悪い影響を与えない必要換気量を確保しつつ、冷風感が極力小さい換気風量で換気を行い、冬季の居室内においてもより快適な換気を行うことができる。この場合、換気制御部14は、実施の形態3の場合と同様にモニターした外気温度と予め決められた温度閾値とを比較することにより、現在の季節が冬季であるか否かを容易に且つ迅速に判定して冬季モードの制御に移行できる。これにより、換気システム200は、居室内の快適性の向上と省エネルギーとの効果を有する冬季モードでの運転に短時間で移行することが可能となる。
また、上述した実施の形態3,4において説明した季節の判定については、ウェアラブル端末2にカレンダー機能を持たせて、ウェアラブル端末2から現在の日時情報を換気装置1の換気制御部14に送信するように構成してもよい。この場合、換気制御部14は、ウェアラブル端末2から取得した現在の日時情報と、各季節に対応する日時が規定されて換気制御部14に記憶された季節日時情報とに基づいて季節を判定する。季節日時情報の日時情報を任意に変更することで、中間期に近い時期においてもいち早く夏季モードまたは冬季モードでの制御が可能となり、快適な空間を実現することが可能となる。
図12は、本発明の実施の形態4にかかる他の換気システム200aの全体構成を示す図である。他の換気システム200aは、換気システム200の変形例であり、換気システム200に集中管理用コントローラ6が追加されている。換気装置1と空気調和機3と集中管理用コントローラ6とは、通信線7により接続されており、互いに通信可能である。
換気システム200aでは、換気装置1を、BEMSに接続し、換気制御部14における換気運転の制御に関する機能を、BEMSにおいて建物内の複数の宅内設備機器の運転、停止または風量の調整などの動作を遠隔管理により制御する集中管理用コントローラ6が兼ねてもよい。
上述したように、実施の形態4によれば、特に冬季において居室内の快適性をより向上させることができる。
実施の形態5.
ウェアラブル端末2では、装着している個人の血圧、脈拍、心拍数、血中酸素濃度、集中度といった生体データを測定することができるタイプのものがある。図13は、本発明の実施の形態5にかかるウェアラブル端末2aの機能構成を示す図である。ウェアラブル端末2aは、ウェアラブル端末2aを装着している従業員の生体データを予め決められた周期で取得する生体データ取得部25を備えること以外は、ウェアラブル端末2と同じ構成および機能を有する。ウェアラブル端末2aは、生体データ取得部25で取得した生体データを換気装置1の換気制御部14に送信する。
換気装置1による室内の換気量が不足している場合には、これらの生体データが変化することが一般的に知られている。そこで、これらの生体データは、換気装置1による居室の換気量が不足しているか否かを判定するための指標として使用可能である。
換気装置1の換気制御部14は、居室内の各ウェアラブル端末2aから各生体データを取得して、各生体データの変化を監視する。そして、換気制御部14は、生体データの変化に基づいて、居室の換気量が適切な換気量に足りているか否かを判定し、換気量が不足している場合には換気部11の換気風量を増やす運転に切り替えることが可能である。換気制御部14は、生体データごとに、居室の換気量が適切な換気量に足りているか否かを判定するための閾値範囲を記憶しており、各ウェアラブル端末2aから取得した生体データが閾値範囲外になった場合に、換気部11の換気風量を増やす運転に切り替える。これにより、換気制御部14は、ウェアラブル端末2aから取得した従業員の生体データを用いて換気部11の換気風量が不足しているか否かを判定した結果に基づいて、換気部11の換気風量を制御することが可能である。
ウェアラブル端末2aは、上述した実施の形態1から実施の形態4において採用することができる。また、換気装置1の換気制御部14は、実施の形態1から実施の形態4において示した機能の他に、換気装置1においてセンシングした居室のCO2濃度に対応して換気風量を自動で切り替える機能を有していてもよい。
上述したように、実施の形態5によれば、ウェアラブル端末2aにより測定される従業員の個人の生体データに基づいて、居室の換気量を適切な換気量に制御することが可能である。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。