JP2020200545A - 成形品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品の剛性を、その特性を極力維持しつつ向上させることにある。【解決手段】本体部材3の表面3aに一体的に設けられている第一の補強部4と、本体部材3の表面3aとは反対の裏面3bに一体的に設けられている第二の補強部5とを有し、第一の補強部4と第二補強部5は、いずれも本体部材3を曲がりにくくする被覆層であって、補強成分を含む液状の原剤を固化させることで形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、複数のセルロース系繊維が積層状態で一体化されてなる本体部材と、本体部材を補強する補強部とを備えた成形品及びその製造方法に関する。
この種の成形品は、その本体部分が、複数のセルロース系繊維を積層させることで形成されており、ソリッドな樹脂製の部材に比して軽量であるとともに優れた吸音性を有している。このため成形品は、樹脂製の部材の代替えとして各種の構造体に用いられており、とりわけ車両の構成部材に好適に用いられている。そしてこの種の成形品の分野では、成形品の更なる性能向上を図る観点から各種の添加剤や副成分を用いることがある。例えば特許文献1に開示の吸音部材は、パルプモールド成形によって所定形状に成形されており、主成分としてのセルロース系繊維に副成分としての珪藻土を含ませている。この公知技術では、耐火性に優れる珪藻土を含ませることで、吸音部材の難燃性を確保している。
特開2010‐31136号公報
ところで上述の成形品は、樹脂製の部材の代替に用いる必要上、適度な剛性を備えていることが望ましい。例えばパルプモールド成形にて製造された成形品は、一般的に樹脂製の部材に比して曲げ弾性率が低く、相対的に曲げに弱いことが知られている。このため成形品の厚み寸法を大きくするなどして剛性を確保するのであるが、そうすると成形品の特性である軽量性が損なわれるおそれがあり、さらに成形品を設置する際に大きなスペースが必要となる。そして公知技術では、成形品の剛性について何ら考慮しておらず、成形品に所定の剛性が確保できない場合にはその用途が限定されるおそれがあった。なお一般的な成形品の剛性確保の手段として、紙力剤などの添加剤を含ませる手法があるが、この紙力剤による剛性の確保には一定の限界がある。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、成形品の剛性を、その特性を極力維持しつつ確保することにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の成形品は、複数のセルロース系繊維が積層状態で一体化されてなる本体部材と、本体部材を補強する補強部とを備えている。この種の構成では、成形品の剛性を、その特性を極力維持しつつ向上させることが望まれる。そこで本発明の成形品では、本体部材の表面に一体的に設けられている第一の補強部と、本体部材の表面とは反対の裏面に一体的に設けられている第二の補強部とを有している。そして第一の補強部と第二の補強部は、いずれも本体部材を曲がりにくくする被覆層であって、補強成分を含む液状の原剤を固化させることで形成されている。本発明では、第一の補強部と第二の補強部とによって、本体部材を表裏からバランスよく曲がりにくくなるように補強している。そして成形品では、本体部材上の被覆層である各補強部で剛性を確保しているため、本体部材の厚み寸法を過度に大きくする必要がなく、その特性(軽量性等)をより適切に維持することが可能となる。
第2発明の成形品は、第1発明の成形品において、第一の補強部と第二の補強部は、本体部材の対応する面に固着されて一体化されている。本発明では、第一の補強部と第二の補強部を本体部材に直に固着して、これらを比較的強固に一体化しておくことにより、成形品の剛性を更に適切に確保することができる。
第3発明の成形品は、第1発明又は第2発明の成形品において、第一の補強部と第二の補強部の少なくとも一方は、補強成分としてセルロースナノファイバを含んでいる。本発明では、各補強部が高弾性率のセルロースナノファイバを補強成分として含んでいるため、本体部材をより確実に補強することができ、成形品の優れた剛性の確保に資する構成となる。
第4発明の成形品は、第1発明又は第2発明の成形品において、第一の補強部と第二の補強部の少なくとも一方は、補強成分として樹脂を含んでいる。本発明では、各補強部が各種の性能(例えば耐水性、難燃性、接着性及び耐摩耗性の中の少なくとも一つの性能)に優れる樹脂を補強成分として含んでいるため、成形品に各種の性能を付与することができ、成形品の優れた性能の確保に資する構成となる。
第5発明の成形品の製造方法は、第1発明〜第4発明のいずれかの成形品の製造方法において、複数のセルロース系繊維を含む原液を、成形型を覆う網材に付与して、網材上にセルロース繊維を積層させて基材を形成する第一工程と、基材を網材から取外したのち、基材に含まれる液状成分を加熱により除去して本体部材とする第二工程とを備えている。そして第一の補強部と第二の補強部は、基材又は本体部材の対応する面に付与された液状の原剤を第二工程時の加熱又はその後の加熱にて固化させることにより形成される。本発明では、例えば本体部材の製造工程の一つである第二工程を利用して、第一の補強部と第二の補強部を本体部材に一体的に設けることができる。このため本発明によれば、各補強部を本体部材の製造工程とは別の工程で設ける場合に比して、成形品の製造が容易となり、成形品の製造コストの低減に資する構成となる。また本発明では、本体部材を成形したのちに、第一の補強部と第二の補強部を加熱により形成することもできる。こうすることで本体部材中の余分な水分を更に除去しつつ、各補強部をより確実に(例えば適切な温度設定で)形成することが可能となる。
本発明に係る第1発明によれば、成形品の剛性を、その特性を極力維持しつつ確保することができる。また第2発明によれば、成形品の剛性を、その特性を極力維持しつつ更に適切に確保することができる。また第3発明によれば、成形品の剛性を、より確実に確保することができる。また第4発明によれば、成形品の剛性を、性能良く確保することができる。そして第5発明によれば、剛性に優れる成形品を、その特性を極力維持しつつ製造することができる。
成形品の断面図である。 第一工程時の成形型と原液を示す概略断面図である。 第一工程時の基材を示す概略断面図である。 第二工程時の基材と原剤を示す概略断面図である。 具体的な形状の成形品の斜視図である。 実施形態2の成形品の概略断面図である。 実施形態3の成形品の概略断面図である。 実施形態3の基材の概略斜視図である。 実施形態3の本体部材の概略斜視図である。 音の移動経路を示す車両の概略透視側面図である。 原剤の付与量と成形品の曲げ弾性率の関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図11を参照して説明する。図1、図4、図6、図7及び図11では、本体部材と各補強部の配置関係を明確にするため、各補強部の厚みを誇張して図示している。また図7〜図10では、成形品及び本体部材が車両に設置された状態を基準として、成形品等の前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。
[実施形態1]
図1に示す成形品2は、所定の板形状に成形された部材であり、セルロース系繊維からなる本体部材3と、一対の補強部4,5とを有している(本体部材と各補強部の詳細は後述)。この成形品2は、本体部材3が相対的に軽量であるため、ソリッドな樹脂製の部材の代替として使用することが可能であり、例えば車両の内装材や外装材への使用が想定される。そして成形品2は、樹脂製の部材の代替に用いる必要上、適度な剛性を備えていることが望ましく、とりわけ曲げに強いことが望まれる(図1では、便宜上、成形品の曲げ変形状態を二点破線で図示している)。このため本実施形態では、成形品2の剛性を確保すべく、本体部材3を補強するのであるが、このとき本体部材3の軽量性などの特性が損なわれるといった事態は極力回避すべきである。そこで本実施形態では、後述する各補強部4,5にて、成形品2の剛性を、その特性を極力維持しつつ向上させることとした。以下、各構成について詳述する。
[本体部材]
図1に示す本体部材3は、複数のセルロース系繊維が積層状態で一体化されてなる部材(積層体)であり、樹脂に比して軽量であるとともに優れた吸遮音性を有している。この本体部材3は、成形品2の外形をなすように板形状に形成されており、後述するパルプモールド成形等によって製造することができる。そして本体部材3では、所定の面積を有する表面3a及びその反対側の裏面3bが、板厚T方向に対向配置されているとともに、これら表面3aと裏面3bに対応する補強部4,5(詳細後述)が設けられている。そして本体部材3の表面3a及び裏面3bは、セルロース系繊維が密に交絡して一体化されることで適度な硬さを有しており、音の遮断に適した特性を有している。
[本体部材の素材]
ここで本体部材3の素材となるセルロース系繊維として、植物繊維(天然繊維)や再生繊維や精製繊維や半合成繊維等の各種のセルロース系繊維を使用することが可能である。そして本体部材3の素材として、原料調達の利便性やリサイクル性を考慮するとパルプ(詳細後述)から得られるセルロース系繊維を好適に使用することができる。なお本体部材3の平均厚み寸法は、本体部材3の適度な剛性を確保できる限り特に限定しないが、典型的にはその用途や収容スペースを考慮して設定することができる。例えば本体部材3を車両用の内装材として用いる場合、本体部材3の平均厚み寸法は、後述の緊度等を調整するなどして典型的に1.5mm〜15mmの範囲に設定でき、剛性と軽量性の確保の観点等から2.0mm〜8.0mmの範囲に設定することが望ましい。
そして本体部材3の見掛け密度(緊度、見掛け比重)は、軽量性と適度な剛性を確保できる限り特に限定しないが、0.2g/cm以上に設定することが望ましく、0.3〜1.5g/cmの範囲に設定することが更に望ましい。ここで本体部材3の緊度が0.2g/cm未満であると、車両の内装材や外装材として使用可能な剛性を確保できないおそれがある。また本体部材3の緊度の上限は、成形品2の軽量性を確保できる限り特に限定しないが、例えば1.4g/cm以下であると、板厚を過度に大きくすることなく、所望の軽量性を確保しやすくなる。そして本実施形態では、後述するパルプモールド成形によって本体部材3を形成しており、この製法によると、本体部材3の緊度は概ね0.3〜0.4g/cmの範囲に収まる傾向にある。
[第一の補強部、第二の補強部]
図1を参照して、第一の補強部4は、本体部材3の表面3aに一体的に設けられた被覆層であり、第二の補強部5は、本体部材3の裏面3bに一体的に設けられた被覆層である(各補強部の形成手法等は後述)。これら第一の補強部4と第二の補強部5は、いずれも本体部材3を曲がりにくくする被覆層であって、補強成分を含む液状の原剤を固化させることで形成されている。これら第一の補強部4と第二の補強部5とは、本体部材3の対応する面3a,3bの概ね全面に設けられ、この本体部材3を表裏からバランスよく曲がりにくくなるように補強している。なお各補強部4,5の平均厚み寸法は、本体部材3よりも小さくなるように設定でき、典型的には1mm未満に設定される。
[補強成分(セルロースナノファイバ)]
また図1に示す各補強部4,5は、本体部材3を曲がりにくくするための補強成分を含んでいる。この種の補強成分として、本体部材3の素材に比して剛性に優れる成分を使用でき、高弾性率のセルロースナノファイバ(CNF)、各種性能に優れる樹脂(詳細後述)、でんぷん系材料を例示できる。そして本実施形態では、第一の補強部4と第二の補強部5とが、補強成分として複数のセルロースナノファイバを含んでおり、本体部材3の対応する面に固着されて一体化されている。ここでセルロースナノファイバとは、植物由来のセルロース原料(木材パルプなど)をナノサイズまで解繊した繊維であり、解繊の手法として機械的な解繊と化学処理による解繊がある。なおセルロースナノファイバの平均繊維長は典型的に0.05μm〜100μmの範囲であり、平均繊維径は1〜100nmの範囲に設定されていることが多い。またセルロースナノファイバは、その水酸基が化学修飾される(変性処理が施される)ことで物性が向上することが知られている。例えばセルロースナノファイバの水酸基の水素原子をカルボキシル基やアシル基に置換することで、セルロースナノファイバの分散性が向上し、各補強部4,5の機械的強度を向上させることができる。
[成形品の製造方法]
図1に示す本体部材3は、パルプモールド成形によって製造することができ、より具体的には、後述の第一工程と第二工程を経て製造することができる。そして本実施形態では、本体部材3の製造工程の一つである第二工程時又はその後に、第一の補強部4と第二の補強部5を本体部材3に設けることができる。
[第一工程(基材の形成)]
第一工程では、図2及び図3を参照して、複数のセルロース系繊維を含む原液8(詳細後述)を、成形型7を覆う網材7bに付与して、網材7b上にセルロース繊維を積層させて基材3Xを形成する。ここで成形型7は、概ね平坦な成形面7aと、成形面7aに沿うように配置された網材7bと、成形面7aに開口する液体吸入部7cとを備えている。網材7bは、液体の通過は許容するがセルロース系繊維の通過は実質的に許容しないネット状の部材であり、成形面7aの概ね全面を覆うように設置されている。また液体吸入部7cは、原液8中の液体を成形型7内に吸引するための部位であり、この液体吸入部7cの開口が成形面7aの適宜の位置に設けられている。そして液体吸入部7cは、図示しないポンプと、吸引された液体を所定場所に移送する成形型7内の流路(図示省略)とを有している。
そして第一工程においては、図2に示すように、成形型7を上下逆にして成形面7aを原液8中に浸したのち、液体吸入部7cから原液8中の液体を吸引する。そうすると液体に含まれるセルロース系繊維は、成形面7aを覆う網材7bを通過できないため、網材7b上に徐々に積層していくこととなる。そして所望の積層量のセルロース系繊維が網材7b上に積層されたのちに、成形型7を原液8から引き上げる。そして引き上げられた成形型7の網材7b上には、図3に示すようにセルロース系繊維が積層してなる基材3Xが形成されている。この基材3Xは、本体部材の元となる部材であるが、本体部材よりも多量の水分が含まれることでウェットな状態となっている。
[原液]
ここで図2に示す原液8の形成手法は特に限定しないが、一般的な形成手法として、所定量(例えば固形分含量が0.5重量%以上となる量)のパルプを水に投入したのち、これらがスラリー状となるまで撹拌する手法を例示できる。そしてパルプとして、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ及び非木材パルプを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、特にリサイクル性の観点などから古紙パルプを用いることが望ましい。この種の古紙パルプとして、離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプを例示でき、この古紙パルプの原材料は、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙や無選別古紙から得ることができる。また化学パルプとして、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹亜硫酸パルプを例示できる。また機械パルプとして、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)を例示できる。そして非木材パルプとして、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維を原料とするパルプを例示できる。
また図2に示す原液8には、本体部材の性能向上に寄与する添加剤を添加しておくことができる。この種の添加剤として、サイズ剤、乾燥紙力剤や湿潤紙力剤等の紙力増強剤、PH調整剤、濾水性向上剤、消泡剤、嵩高剤、歩留剤、防菌剤、防カビ剤、填料、染料を例示できる。なかでも水の浸透を防いで耐水性向上に寄与するサイズ剤、乾燥状態時の破断強さ(強度性)向上に寄与する乾燥紙力剤、湿った時の強度性向上に寄与する湿潤紙力剤の少なくとも一種を原液8に添加することが好ましい。そしてサイズ剤として、ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤を例示できる。また乾燥紙力剤として、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂等のポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂を例示できる。また湿潤紙力剤として、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(又はその変性物)を例示できる。なお原液8に対する各添加剤の添加量は、本体部材に所望の性能を付与できる限り特に限定しない。例えばサイズ剤は、0.5重量%〜5重量%の範囲で添加することができ、1.0重量%以上添加することが望ましい。また乾燥紙力剤は、0.5重量%〜5重量%の範囲で添加することができ、3.0重量%以上添加することが望ましい。また湿潤紙力剤は、2重量%〜15重量%の範囲で添加することができ、4.0重量%以上添加することが望ましい。
[第二工程]
つぎに第二工程では、図4を参照して、基材3Xを網材7bから取外したのち、基材3Xに含まれる液状成分(主として水分)を加熱により除去して本体部材3とする(各補強部の形成手法は後述)。例えば適度にウェットな状態にある基材3Xを成形型7の網材7bから取外したのち、この基材3Xに含まれる水分を除去するために図示しない加熱装置内に配置して加熱する。なお加熱装置内の構成は特に限定しないが、典型的には、コンベア上に基材3Xを配置し、この基材3Xを移動させながら加熱して乾燥させていく。この加熱装置の設定温度は、基材3X中の余分な水分を除去可能なように100℃以上に設定でき、典型的には150℃〜200℃の範囲に設定することができる。なお加熱装置の設定温度が過度に高いと、基材3Xに焦げ付き等が生じるなどして、本体部材3が部分的に変色するおそれがある。また乾燥時間は特に限定しないが、上述の設定温度では典型的に5分〜30分の範囲に設定され、生産スピードとの関係から15分以内であることが望ましい。
こうして製造された図1の本体部材3は、複数のセルロース系繊維が積層して一体化されることで適度な強度を有し且つ相対的に軽量となっている。なおパルプモールド成形によると、網材7b側に配置された本体部材3の裏面3bは、網材7bに接した状態で形成されるため比較的平滑な状態となっている。これとは異なり本体部材3の表面3aは、セルロース系繊維の積層量に差が出ることにより、裏面3bに比して大きな凹凸形状が形成される。そして大きな凹凸形状を有する表面3aは、その反対側の裏面3bに比して反射音の拡散性能に優れており、特定方向で反響が繰り返されて音(残響音など)が増幅されるといった事態を極力回避することができる。
[補強部の形成例(1)]
そして本実施形態では、例えば第二工程の際に、図4に示す基材3Xの対応する面に原剤6Xを付与することで、本体部材3の形成と同時に第一の補強部4と第二の補強部5を形成することができる。すなわち第二工程に先立って第一の補強部4と第二の補強部5となる液状の原剤6X(詳細後述)を用意しておく。そしてこの液状の原剤6Xを基材3Xの対応する面に付与したのち、この原剤6Xを第二工程時の加熱にて固化させることにより、第一の補強部4と第二の補強部5とを本体部材3の対応する面3a,3bに形成することができる。なお基材3Xに対する原剤6Xの付与方法は特に限定しないが、エアスプレー法やエアレススプレー法などのスプレー法、ロールコーター法、フローコーター法、スピンコート法、刷毛などによる塗装法、ドブ漬けなどによる浸漬法を例示できる。そして液状の原剤6Xは、ウェットな状態の基材3X内に適度に侵入した状態となり、この状態で液状成分(水等)が除去されて固化した状態となる。こうして本体部材3の対応する面3a,3bに各補強部4,5が若干侵入して固着されることで、各補強部4,5と本体部材3とが比較的強固に一体化されることとなる。そして上述の製法によれば、各補強部4,5と本体部材3とを個別の工程で設ける場合に比して、成形品2の製造が容易となり、製造コストを低減させることが可能となる。
[補強部の形成例(2)]
また上述の例とは異なり、第二工程の後に(本体部材の形成後に)、図1に示す本体部材3の対応する面3a,3bに原剤6Xを付与して加熱することで、第一の補強部4と第二の補強部5を形成することもできる。例えば本体部材3に原剤6Xを付与した状態で熱プレスすることにより、各補強部4,5を形成することが可能である。この形成例では、第二工程の温度設定とは無関係に、原剤6Xの固化に適した温度で加熱できるため、各補強部4,5をより確実に形成することができ、また熱プレスによって本体部材3の密度を上げることも可能である。また本体部材3を更に加熱するため、本体部材3中の余分な水分を更に除去することができる。そしてこの形成例においても、液状の原剤6Xが、本体部材3内に適度に侵入した状態となり、この状態で液状成分(水等)が除去されて固化した状態となる。
[補強部の原剤]
ここで図4に示す原剤6Xの形成手法は特に限定しないが、一般的な形成手法として、所定量(例えば固形分含量が5重量%〜10重量%となる量)のセルロースナノファイバを水に投入したのち、これらがゲル状となるまで撹拌する手法を例示できる。そして原剤6Xの付与量は、成形品2に所望の剛性を付与できる限り特に限定しないが、典型的には250g/m以上に設定することができる。なお付与量の上限値は、成形品2の特性(軽量性)や液だれの発生の有無などを考慮して設定でき、より具体的には原剤6Xの粘度や補強成分の含量に応じて設定される。例えば固形分含量が5重量%の原剤6Xの場合、300g/m〜5000g/mの範囲の原剤6Xを基材3X等に付与することが可能であり、この範囲であれば各補強部4,5に所望の剛性を与えることができる。そして原剤6Xは、本体部材の原液よりも高濃度の固形分を含んでいるため、固化することによって本体部材3よりも高緊度で曲がりにくいセルロースナノファイバの被覆層(各補強部4,5)を形成することができる。
[成形品の用途及び剛性]
本実施形態の成形品2の用途として、例えば図5に示すワイヤーハーネス用のプロテクタ(車両の内装材の一例)としての用途を例示できる。この場合の成形品2(WHP)は、上方視で概ね矩形状の板形状に形成され、更に長尺方向に中空の凸部が並列して設けられて構造的に補強されている。そして成形品2(WHP)では、図1及び図5を参照して、第一の補強部4と第二の補強部5とによって、本体部材3を表裏からバランスよく曲がりにくくなるように補強している。さらに成形品2(WHP)では、本体部材3の軽量性(緊度)を維持しつつ、その表裏面の各補強部4,5を高緊度のセルロースナノファイバの被覆層で形成することにより、成形品2(WHP)の剛性を確保している。このため本体部材3の厚み寸法を想定以上に大きくする必要がなく、その本来の特性(軽量性等)をより適切に維持することが可能となる。また成形品2(WHP)では、第一の補強部4と第二の補強部5を本体部材3に直に固着して、これらを比較的強固に一体化しておくことにより、成形品2(WHP)の剛性をさらに適切に向上させることができる。そして各補強部4,5は、高弾性率のセルロースナノファイバを補強成分として含んでいるため、本体部材3をより確実に補強することができ、成形品2(WHP)の優れた剛性の確保に資する構成となる。このため本実施形態によれば、成形品2(WHP)の剛性を、その特性を極力維持しつつ確保することができる。そして成形品2(WHP)を、樹脂製の部材の代替えとして使用することにより、車両等における脱プラスチックの要請と軽量化の要請に答えることが可能となる。
[実施形態2]
実施形態2の成形品2Aでは、実施形態1の成形品とほぼ同一の基本構成を備える構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。図6に示す実施形態2の成形品2Aは、実施形態1と同一構成の本体部材3Aと、第一の補強部4A及び第二の補強部5Aを有しているが、各補強部4A,5Aの補強成分が樹脂である点が実施形態1と異なっている。すなわち第一の補強部4Aと第二の補強部5Aは、いずれも本体部材3Aを曲がりにくくする被覆層であるが、補強成分としての樹脂(詳細後述)を含む液状の原剤を固化させることで形成されている。
[補強成分としての樹脂]
ここで補強成分としての樹脂(エラストマを含む)の種類は成形品2Aの用途に応じて選択することができる。また第一の補強部4Aと第二の補強部5Aとに同種の樹脂を用いてもよく異なる樹脂を用いることもできる。例えば樹脂として、ポリオレフィン系樹脂やポリオレフィン系エラストマ(TPO)、スチレン系エラストマ(TPS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ウレタン樹脂(PUR)、エポキシ樹脂(EP)を例示でき、これらを単独又は二種以上混合して用いることができる。そして補強成分としてポリオレフィン系樹脂やポリオレフィン系エラストマやスチレン系エラストマを用いることで、各補強部4A,5Aの耐水性を向上させることができる。また補強成分としてポリ塩化ビニル樹脂を用いることで、各補強部4A,5Aの耐水性と固着性と難燃性を向上させることができる。また補強成分としてウレタン樹脂を用いることで、各補強部4A,5Aの耐水性と固着性と難燃性と耐摩耗性を向上させることができる。また補強成分としてエポキシ樹脂を用いることで、各補強部4A,5Aの耐水性と機械的強度を向上させることができる。こうして本実施形態では、各補強部4A,5Aが各種の性能に優れる樹脂を補強成分として含んでいるため、成形品2Aに各種の性能を付与することができ、その優れた性能の確保に資する構成となる。
そして実施形態2においても、上述した第二工程又はその後に、第一の補強部4Aと第二の補強部5Aとを本体部材3Aに形成することができる。例えば上述の本体部材3Aの製造の際に、第二工程に先立って、第一の補強部4Aと第二の補強部5Aの原料となる液状の原剤を用意する。ここで各補強部4A,5Aの原剤の形成手法は特に限定しないが、一般的な形成手法として、所定量の樹脂を溶媒(水系溶媒又は有機系溶媒)に分散又は溶解させたものを原剤として用いることができる。なお原剤中の樹脂は、繊維状や粒状などの所定形状を有していてもよく、不定形状であってもよい。また原剤中の溶媒は、用いる樹脂の種類によって選定され、第二工程時の加熱温度の範囲で気化可能であることが望ましい。そしてこの液状の原剤を、基材の対応する面に付与して、第二工程時等の加熱にて固化させることにより、第一の補強部4Aと第二の補強部5Aとを本体部材3Aの対応する面(3a,3b)に形成することができる。なお補強成分としてのエポキシ樹脂は、ビスフェノールA(主剤)と、エピクロルヒドリンなどの硬化剤を混合して重合させることで形成できる。そして補強成分としてエポキシ樹脂を用いる場合には、その重合に必要な温度を考慮して第二工程時等の加熱温度を設定することが可能であり、水分除去の目的で設定された上述の加熱温度の範囲を若干外れることも許容される。
[実施形態3]
実施形態3の成形品2Bでは、実施形態1の成形品とほぼ同一の基本構成を備える構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。図7及び図8に示す実施形態3の成形品2Bは、本体部材13と第一の補強部4Bと第二の補強部5Bを有している。そして本実施形態の成形品2Bは、車両用の吸遮音構造の一部を構成しており、本体部材13が、図9及び図10に示すように吸遮音に適した形状を有している点が実施形態1と異なっている(図10では、便宜上、本体部材の外形のみ図示し、後述する溝部は省略している)。そして図7及び図8に示す車両の室内には、その車両床面に吸遮音構造が設けられており、この吸遮音構造は、成形品2Bと、第一区画部材11と、第二区画部材12とで形成されている。
ここで図7及び図8に示す第一区画部材11は、車室内側に配置されている板状又は面状の部材であり、第二区画部材12は、車室外側に配置されている板状又は面状の部材である。これら各区画部材11,12の素材として、音の通過を許容する各種の素材を用いることができる。この種の素材として、布帛や皮革やフェルトなどの面材、各種の樹脂やゴム製の板材、車両ボディと同種又は異種の金属製の板材、成形品2Bと同種の素材を例示できる。なお第一区画部材11には、相対的に柔軟な素材を用いることが望ましく、例えばカーペットとして使用可能な面材や樹脂製の板材を素材とすることが可能である。そして第一区画部材11と第二区画部材12の間には、後述する成形品2Bを配置可能な隙が設けられ、この成形品2Bの配置箇所では、両区画部材11,12が前後方向を向いて概ね並行に配置されている。
[成形品]
図7及び図8に示す成形品2Bの本体部材13は、所定の面積を有する板状の部材であり、第一区画部材11と第二区画部材12に交互に接するように(吸遮音に適するように)曲げ形成されている。そして本実施形態の成形品2Bにおいても、本体部材13(詳細後述)の表面13aに第一の補強部4Bが一体的に設けられ、本体部材13の裏面13bに第二の補強部5Bが一体的に設けられている。これら第一の補強部4Bと第二の補強部5Bは、いずれも本体部材13を曲がりにくくする被覆層であって、上述の補強成分を含む液状の原剤を固化させることで形成されている。
[底壁部、凸部]
図8に示す本体部材13は、底壁部14と、複数の凸部15と、複数の連通部30(詳細後述)とを有し、これら各部は、後述する一般部位P1と肉厚部位P2とで形成されている。そして図9及び図10に示すように本体部材13を上方から見た場合に、この本体部材13には、複数の凸部15が縦横に列をなして配置されており、これら凸部15の間を埋めるように底壁部14が設けられている。底壁部14は、本体部材13の下面をなす板状の部位であり、図8に示すように、第二の補強部5Bを介して第二区画部材12の上面にあてがわれて面接触した状態となっている。
また凸部15は、図8〜図10を参照して、第一区画部材11と第二区画部材12の間の隙を埋めるように底壁部14から上方に突出している部位である。この凸部15は、四角錐台状をなす中空筒状の部位であり、上面をなす天井壁部20と、周面をなす四つの側壁部21〜24と、後述の連通部30を有している。そして天井壁部20は、上方視で四角形状の板状部位であり、第一の補強部4Bを介して第一区画部材11の下面にあてがわれている。また凸部15では、図8に示すように天井壁部20の下方に底壁部14が配置されておらず解放状となっており、第二区画部材12で蓋をされた状態となっている。
また図8及び図9を参照して、四つの側壁部(前側壁部21,後側壁部22,右側壁部23,左側壁部24)は、天井壁部20の対応する辺と底壁部14とをつなぐ部分であり、第一区画部材11と第二区画部材12の間に配置されている。そして凸部15では、対をなす側壁部同士がハット断面形状をなすように配置されており、構造的に強度性が高められている。すなわち凸部15の前面をなす前側壁部21と後面をなす後側壁部22とは、天井壁部20から底壁部14に向かうにつれて次第に互いに離れる方向に傾斜している。また凸部15の右面をなす右側壁部23と左面をなす左側壁部24も、天井壁部20から底壁部14に向かうにつれて次第に互いに離れる方向に傾斜している。こうして凸部15をハット断面形状として強度性を高めることにより、第一区画部材11を通して凸部15に対して上下方向から荷重がかけられた場合においても、この凸部15の形状を適切に維持することが可能となっている。このため成形品2Bは、車両用の補強部材や嵩上げ部材等として兼用することが可能であり、使い勝手の良い構成となっている。
ここで図7及び図8に示す本体部材13は、実施形態1と同様に第一工程と第二工程を経て製造することができる。そして本実施形態の本体部材13では、第一工程において、セルロース系繊維が所定の厚みで積層されている一般部位P1と、一般部位P1よりも多量のセルロース系繊維が積層されている肉厚部位P2とが形成される(各図では、便宜上、肉厚部位に細かいハッチをつけて一般部位と区別している)。すなわち本実施形態では、成形型(図示省略)の成形面に段差をつけて、セルロース系繊維の積層量に差を設けることにより、一般部位P1と肉厚部位P2を形成している。
図8に示す一般部位P1は、所定の平均厚み寸法T0でセルロース系繊維が積層されている部位であり、天井壁部20の肉厚部位P2を除く部分とともに、図9に示す各側壁部21〜24及び底壁部14を形成している。そして図8に示す一般部位P1の平均厚み寸法T0は、本体部材13の適度な剛性を確保できる限り特に限定しない。例えば本体部材13を車両用の内装材として用いる場合、一般部位P1の平均厚み寸法T0は、典型的に1.5mm〜15mmの範囲に設定でき、軽量性確保の観点等から2.0mm〜8.0mmの範囲に設定することが望ましい。また肉厚部位P2は、凸部15の天井壁部20の一部に設けられた部位であり、一般部位P1よりも多量のセルロース系繊維が積層されることで形成されている。例えば本実施形態では、凸部15の天井壁部20の概ね中央に筒状の肉厚部位P2が設けられており、この肉厚部位P2は、天井壁部20の下面から下方に突出している。そして肉厚部位P2の平均厚み寸法T1は、後述する連通部30の長さ寸法を規定しており、一般部位P1とは独立に設定することができる。すなわち肉厚部位P2の平均厚み寸法T1は、連通部30の性能に応じて適宜設定することができ、上述の一般部位P1の平均厚み寸法T0の範囲から逸脱していてもよい。
[連通部]
図8に示す連通部30は、対応する凸部15の内外を連通する部位であるとともに、後述する第一空間部41と第二空間部42をつなぐ部位でもある。この連通部30は、凸部15の天井壁部20に設けられているとともに、凸部15の内外を連通する通路部32と、後側壁部22に向けて直線的に延びている溝部33とを有している。そして連通部30の外形は、相対的に肉厚な肉厚部位P2にて形成されており、この肉厚部位P2の長さ寸法T1で連通部30の長さ寸法を規定することができる。なお連通部30は、本体部材13の製造時に形成することができ、第二工程後の本体部材13に別途形成する(後付けする)こともできる。なお本体部材13の製造時に連通部30を形成する場合には、通路部形成用の棒状又は板状の突起部を成形面に突設しておくことが望ましい。
[通路部]
また図8に示す通路部32は、気体の通過を許容する開口面積Sの通路であり、肉厚部位P2を厚み方向(図8の上下方向)に貫通している。この通路部32は、連通部30をなす肉厚部位P2の下端で凸部15内に開口する第一開口OP1と、肉厚部位P2の上側で開口する第二開口OP2とを有している。そして本実施形態では、連通部30の第二開口OP2が、天井壁部20に設けられた溝部33を介して後述の第二空間部42につながっている。この溝部33は、連通部30の上端(第二開口OP2)から後側壁部22に向けて直線的に延びている線状の凹み箇所であり、溝部33の後端が、後側壁部22の上端側に開口した状態となっている。ここで連通部30においては、ヘルムホルツの共鳴原理により、通路部32の開口率を調節することで吸音すべき音の周波数を設定することが可能となっている。そして連通部30(通路部32)は、肉厚部位P2に複数又は単数設けることができ、連通部30を単数形成する場合には、通路部32の開口面積Sと天井壁部20の面積の割合で開口率を規定することができる。また複数の連通部30を設ける場合には、全ての通路部32の合計開口面積と天井壁部20の面積の割合で開口率を規定することができる。
[吸遮音部材の使用例]
図7及び図8に示す車両では、車室内側と車室外側(異なる音源)から発せられた音を吸音及び遮音する目的から、吸遮音構造(2B,11,12)が車室の床面側に設けられている。すなわち車室の床面側において、成形品2Bが、第一区画部材11と第二区画部材12の間に配置されることで、これら部材によって吸遮音構造が形成されている。そして成形品2Bの各凸部15が両区画部材11,12の間を埋めるように配置されることで、後述の第一空間部41と第二空間部42とが形成され、さらに両空間部41,42が対応する連通部30でつながっている。そして本実施形態の吸遮音構造では、各空間部41,42と連通部30とが設けられることで、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して車室内外の音を吸音することが可能となっている。
[第一空間部、第二空間部]
図7に示す第一空間部41と第二空間部42は、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して、連通部30から入射された音を減衰して吸音するための空間である。第一空間部41は、第二区画部材12で閉塞された凸部15内の空間であり、凸部15と同様に成形品2Bの縦横に複数形成されている。また第二空間部42は、隣り合う凸部15同士の間に設けられ且つ第一区画部材11で閉塞された空間である。そして第一空間部41と第二空間部42とは、凸部15に設けられた連通部30によってつながった状態となっている。すなわち本実施形態では、連通部30の通路部32によって凸部15の内外を連通させて、通路部32の第一開口OP1を凸部15内の第一空間部41に開口させている。また通路部32の第二開口OP2は、天井壁部20の溝部33を介して後側壁部22側の第二空間部42につながっている。このように連通部30の通路部32を、溝部33を通じて第二空間部42につなげておくことで、各区画部材11,12の干渉で通路部32が塞がれるといった事態を極力阻止することができる。
ここでヘルムホルツの共鳴原理によると、吸音すべき音の周波数は、各空間部41(42)の体積と連通部30の長さの平方根に反比例し、連通部30の開口面積(開口率)の平方根に正比例する。そして図7に示す第一空間部41の体積と第二空間部42の体積とは、消音すべき音の周波数に応じて適宜設定することができる。例えばヘルムホルツの共鳴原理によると、連通部30を共用する場合、体積の大きい空間部では相対的に低周波の音を減衰でき、体積の小さい空間部では相対的に高周波の音を減衰できる。またヘルムホルツの共鳴原理によると、連通部30を長くするに従って、入射する音の周波数が次第に小さくなっていく。このため低周波の音を効率良く吸音する場合には連通部30を長くし、高周波の音を効率良く吸音する場合には連通部30を短くしておくこととなる。
[車室外から発せられた音(車外音)の遮音及び吸音]
図7に示す吸遮音構造(2B,11,12)は、上述の構成を備えることにより、異なる音源から発せられた音をより効率的に吸音及び遮音することが可能となっている。例えば車室外から発せられた車外音SD1を吸遮音構造で吸音及び遮音する。この車外音SD1は、車室内側(図の上側)に向けて移動する際に第二区画部材12と凸部15(各壁部)とで遮音されるとともに、連通部30に入射して第二空間部42にて吸音される。このとき車外音SD1は、第一空間部41内で開口する第一開口OP1から通路部32内に入射されたのち、第二開口OP2から第二空間部42に侵入することとなる。そして本実施形態では、上述のとおり第二開口OP2が各区画部材11,12で塞がれていないため、車外音SD1をより効率的に第二空間部42で吸音することができる。このとき第二空間部42の体積を小さくしておくことで、相対的に高周波の音(高周波領域から中周波領域にかけてのロードノイズ等)を効率的に吸音することが可能となる。
[車室内から発せられた音(車内音)の遮音及び吸音]
また図7を参照して、車室内から発せられた車内音SD2を吸遮音構造(2B,11,12)で吸音及び遮音する。この車内音SD2は、車室外側(図の下側)に向けて移動する際に第一区画部材11と凸部15(各壁部)とで遮音されるとともに、連通部30に入射して第一空間部41にて吸音される。このとき車内音SD2は、第二空間部42内で開口する第二開口OP2から通路部32内に入射されたのち、第一開口OP1から第一空間部41に侵入することとなる。そしてこの場合においても、第二開口OP2が各区画部材11,12で塞がれていないため、車内音SD2をより効率的に第一空間部41で吸音することができる。なお車室内においては、車内音SD2のほかに、車外音SD1が車室内で反射する反射音が含まれる。そこで本実施形態の本体部材13は、凹凸状の表面13aを車両の車室内側に向けた状態で配置されており、この表面13aは、大きな凹凸形状を有して音の拡散性能に優れている。このため吸遮音構造によれば、残響音等の増幅を極力回避しつつ、車内音SD2や反射音を遮音等できるため、車室内の静音性向上に資する構成となっている。
[成形品の剛性]
そして成形品2Bにおいても、本体部材13上の被覆層である各補強部4B,5Bで剛性を確保しているため、本体部材13の厚み寸法を過度に大きくする必要がなく、その特性(軽量性等)をより適切に維持することが可能となる。また第一の補強部4Bと第二の補強部5Bとで本体部材13を表裏からバランスよく補強しているため、剛性の偏りが原因となって成形品2Bが表側又は裏側に反り返るといった事態を極力回避できる。このため本実施形態によれば、本体部材13の反り返りが原因となって凸部15内の体積が変わってしまうといった事態を極力回避でき、成形品2Bの所望の吸遮音性をより確実に確保することが可能となっている。
[試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。下記の[表1]は、各実施例と比較例1の成形品において、原剤の塗布量と、成形品の目付及び板厚を示す表であり、[表2]は、各実施例と比較例1の成形品の物性を示す表である。そして図11は、原剤の塗布量と、成形品の曲げ弾性率の関係を示すグラフである。
[実施例1]
実施例1では、平板状の本体部材を、第一工程及び第二工程(パルプモールド成形)にて製造し、その際の原液として、所定量の古紙パルプを水に投入してスラリー状としたものを使用した。また第二工程の際に、本体部材の表面と裏面にそれぞれ原剤を付与し、この原剤を加熱(150℃)して固化させることで第一の補強部と第二の補強部を形成した。このとき各補強部の原剤として、5wt%のセルロースナノファイバを含む原剤(スギノマシン社製、商品名:BiNFi-s(登録商標)、溶媒:水)を使用した。そして第一の補強部を形成すべき原剤の付与量(塗布量)を312.5g/mに設定し、第二の補強部を形成すべき原剤の付与量も同じく312.5g/mに設定した。そして実施例1の成形品では、乾燥後の目付が1149g/mであり、板厚(平均厚み寸法)が3.7mmであった。
[実施例2〜実施例4]
実施例2〜実施例4の成形品は、各補強部を形成するための原剤の付与量を変更した以外は、実施例1と同様の条件で製造した。すなわち実施例2では、原剤の付与量を625g/mに設定し、実施例3では、原剤の付与量を1250g/mに設定し、実施例4では、原剤の付与量を2500g/mに設定した。
[比較例1〜比較例3]
比較例1の成形品は、各補強部を省略した以外は、実施例1と同様の条件で製造した。また比較例2の成形品として、密度0.9のポリプロピレン製の平板材を用い、比較例3の成形品として、密度1.05のポリプロピレン製の平板材を用いた。
[曲げ弾性率、比重、比剛性の測定]
曲げ弾性率の測定では、三点曲げ試験用の試験機(SHIMADZU社製、商品名AG−X)を用い、支点間距離を64mm、試験速度を2mm/minに設定した。また各実施例及び各比較例の成形品から、80mm×10mmの試験体を切り出し、常温環境の下、試験体の中央に曲げデバイス(ヘッド)を入力して本試験を実施した。そして三点曲げ試験の結果から各成形品の曲げ弾性率E(MPa)を算出した。また各成形品の板厚と乾燥後の目付を実測して比重(見掛け比重)を算出したのち、この比重と曲げ弾性率とから各成形品の比剛性を算出した。
[結果及び考察]
[表2]及び[図11]を参照して、比較例1の成形品は、曲げ弾性率が極端に低いため、曲げに弱く剛性に劣ることがわかった。これとは異なり各実施例の成形品は、曲げ弾性率が300MPa以上であったことから、曲げに強く優れた剛性を備えていることがわかった。そして各実施例の成形品を車両に用いる場合、曲げ弾性率が300MPa以上であれば、本体部材の厚み寸法を適度に調整する(軽量性を損なわない範囲で大きくする)ことで、成形品の剛性を適設に確保できることが容易に推察された。また各実施例の成形品の比剛性は、比較例1及び比較例2の成形品と比べて十分に高かったため、適度な軽量性を維持しつつ剛性を確保できたことがわかった。そして上述の試験結果は、本体部材の特性を生かしつつ、第一の補強部と第二の補強部とで本体部材をバランスよく補強したためと考えられる。このことから各実施例によれば、成形品の剛性を、その特性を極力維持しつつ確保できることがわかった。
本実施形態の成形品2等は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、第一の補強部4等と第二の補強部5等の構成(形状,寸法,配設位置,配設数等)を例示したが、これら各補強部の構成を限定する趣旨ではない。なお参考例として、シート状に形成された補強部を、第二工程時の熱を利用して軟化(液化)させて本体部材に融着させることも可能である。また本体部材の表面と裏面とに補強部を設ける場合のほか、本体部材の厚み方向における側面に別の補強部を設けることも可能である。また各補強部は、本体部材の対応する面の全面を覆っていてもよく、対応する面を部分的に覆っていてもよい。すなわち本体部材の表面又は裏面に、特に剛性を確保すべき部分と、相対的に剛性を要求されない部分とがある場合、剛性を確保すべき部分にのみ各補強部を配置することもできる。また第一の補強部と第二の補強部の補強成分は、それぞれ独立に設定することができ、一方の補強部がセルロースナノファイバを含み、他方の補強部が樹脂を含んでいてもよい。また各補強部は、セルロースナノファイバと樹脂の双方を含むことも可能である。
また本実施形態では、本体部材3等の構成を例示したが、本体部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば実施形態1及び2の本体部材は、板状に形成される場合のほか、各種の形状に成形することが可能であり、その形状は、用途に応じて適宜設定される。また実施形態3の本体部材では、凸部の形状として、各種の角柱形状のほか、円柱状や円錐台状や半球状などの各種の立体形状を採用できる。そして複数の凸部は、それぞれ独立に形状や寸法(体積)を設定することが可能であり、各凸部の形状に応じて成形品を屈曲変形や湾曲変形しておくことができる。また本体部材では、ハット断面をなすように各側壁部の少なくとも一つを傾斜状とすることができ、例えば実施形態3では、後側壁部のみを傾斜状とすることが可能である。なお側壁部は、直線的に傾斜していてもよく、階段状などのように屈曲して傾斜していてもよく、曲面をなすように湾曲して傾斜していてもよい。また連通部は、凸部の各壁部(例えば側壁部)に複数又は単数形成することができる。そして成形品では、二つ以上の第一空間部と一つ以上の第二空間部を設けることができ、これら各空間部の体積は、それぞれ独立に設定可能である。
また本実施形態では、成形品2等の製造方法を例示したが、製造方法を限定する趣旨ではない。例えば第一工程では、抄紙のように、網材上に原液を流し込んで付与したのちに、重力やローラからの押圧を利用して原液から液状成分を除去して、網材上にセルロース繊維を積層させる手法を例示できる。また各実施形態の構成は、適宜組み合わせて用いることが可能である。なお実施形態3の成形品では、本体部材の表面側に配置されている音源と裏面側に配置されている音源のいずれかを主に吸遮音できるように車両に設置することも可能である。そして本実施形態の成形品は、各種の用途に用いることができ、車両の内装材や外装材などの車両の構成部材のほか、家屋や防音壁などの各種の構造体に用いることができる。
2 成形品
2(WHP) ワイヤーハーネス用のプロテクタとしての成形品
3 本体部材
3a 本体部材の表面
3b 本体部材の裏面
4 第一の補強部
5 第二の補強部
7 成形型
7a 成形面
7b 網材
7c 液体吸入部
3X 基材
6X 原剤
8 原液
2A 実施形態2の成形品
3A 実施形態2の本体部材
4A 実施形態2の第一の補強部
5A 実施形態2の第二の補強部
2B 実施形態3の成形品
11 第一区画部材
12 第二区画部材
4B 実施形態3の第一の補強部
5B 実施形態3の第二の補強部
13 実施形態3の本体部材
13a 表面
13b 裏面
14 底壁部
15 凸部
20 天井壁部
21 前側壁部
22 後側壁部
23 右側壁部
24 左側壁部
30 連通部
32 通路部
33 溝部
41 第一空間部
42 第二空間部
OP1 第一開口
OP2 第二開口
P1 一般部位
P2 肉厚部位
SD1 車外音
SD2 車内音

Claims (5)

  1. 複数のセルロース系繊維が積層状態で一体化されてなる本体部材と、前記本体部材を補強する補強部とを備えた成形品において、
    前記本体部材の表面に一体的に設けられている第一の補強部と、前記本体部材の表面とは反対の裏面に一体的に設けられている第二の補強部とを有し、
    前記第一の補強部と前記第二の補強部は、いずれも前記本体部材を曲がりにくくする被覆層であって、補強成分を含む液状の原剤を固化させることで形成されている成形品。
  2. 前記第一の補強部と前記第二の補強部は、前記本体部材の対応する面に固着されて一体化されている請求項1に記載の成形品。
  3. 前記第一の補強部と前記第二の補強部の少なくとも一方は、補強成分としてセルロースナノファイバを含んでいる請求項1又は2に記載の成形品。
  4. 前記第一の補強部と前記第二の補強部の少なくとも一方は、補強成分として樹脂を含んでいる請求項1又は2に記載の成形品。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形品の製造方法において、
    複数のセルロース系繊維を含む原液を、成形型を覆う網材に付与して、前記網材上にセルロース繊維を積層させて基材を形成する第一工程と、
    前記基材を前記網材から取外したのち、前記基材に含まれる液状成分を加熱により除去して前記本体部材とする第二工程とを備え、
    前記第一の補強部と前記第二の補強部は、前記基材又は前記本体部材の対応する面に付与された液状の原剤を第二工程時の加熱又はその後の加熱にて固化させることにより形成される成形品の製造方法。
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