JP2020200457A - 粉末状パルプ及びこれを用いたセルロースエーテルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、粉砕による粘度低下が抑えられた粉末状パルプ及びこれを用いたセルロースエーテルの製造方法を提供することにある。【解決手段】上記目的は、水に分散して測定されるpHが7.5〜10.5である原料パルプの粉砕物であり、かつ粉砕による粘度低下率が30%以下である粉末状パルプ;及び該粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とから得られるアルカリセルロースと、エーテル化剤とを反応させることにより、セルロースエーテルを得ることを含むセルロースエーテルの製造方法などにより解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースエーテルの原料又はその他の用途に利用される粉末状パルプ及びこれを用いたセルロースエーテルの製造方法に関する。
原料パルプを粉砕して得られる粉末状パルプは、セルロースエーテルの原料又はその他工業用製品の原料などとして用いられている。
例えば、特許文献1又は2に示すように、粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とから得られるアルカリセルロースをエーテル化剤と反応させることにより、セルロースエーテルを製造することができる。セルロースエーテルの原料として粉末状パルプを用いる場合、粉末状パルプは、流動性が良く、アルカリ金属水酸化物溶液と均一に混合できることから、透明性が高いセルロースエーテルが得られやすい。
特開2001−354701号公報 特開2001−009316号公報
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1又は2のいずれの場合も、粉砕によるパルプの粘度(重合度)低下が著しいため、得られる粉末状パルプの粘度が低くなるという問題がある。そして、このように粘度が低下した粉末状パルプを原料にしてセルロースエーテルを製造した場合、その水溶液粘度が低くなるという問題がある。
そこで、本発明は、粉砕による粘度低下が抑えられた粉末状パルプ及びこれを用いたセルロースエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、粉砕前の原料パルプの特性に着眼するに至った。そして、原料パルプの種々の特性について試行錯誤を重ねた結果、水に分散して測定されるpHが所定の範囲内にある原料パルプを粉砕して得られた粉末状パルプは、粉砕による粘度低下が抑えられること及びこのような粉末状パルプを原料としてセルロースエーテルを製造した場合、高粘度のセルロースエーテルが得られることを見出した。そして、このような知見に基づいて、水中で分散状態にある場合のpHが所定の範囲内にある原料パルプの粉砕物であり、かつ粉砕による粘度低下が抑えられた粉末状パルプ及び該粉末状パルプを用いたセルロースエーテルの製造方法を創作することに成功した。このように、本発明は、本発明者らによって初めて見出された知見及び成功例に基づいて完成されたものである。
従って、本発明によれば、以下の態様の粉末状パルプ及びセルロースエーテルの製造方法が提供される:
[1]水に分散して測定されるpHが7.5〜10.5である原料パルプの粉砕物であり、かつ粉砕による粘度低下率が30%以下である粉末状パルプ。
[2]前記原料パルプが、シート状又はチップ状の原料パルプである[1]に記載の粉末状パルプ。
[3]前記原料パルプの面積当たりの質量が、650g/m〜1,200g/mである[1]又は[2]に記載の粉末状パルプ。
[4] 前記原料パルプの粘度が、500ml/g〜3,000ml/gである[1]〜[3]のいずれか1項に記載の粉末状パルプ。
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とから得られるアルカリセルロースと、エーテル化剤とを反応させることにより、セルロースエーテルを得ることを含むセルロースエーテルの製造方法。
本発明によれば、粉砕による粘度低下が抑えられた粉末状パルプが得られ、この粉末状パルプを原料にしてセルロースエーテルを製造した場合、高粘度のセルロースエーテルが得られる。
以下、本発明の一態様である粉末状パルプ及びセルロースエーテルの製造方法について詳細に説明するが、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常用いられている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。また、本明細書においてなされている推測や推論は、本発明者らのこれまでの知見や経験によってなされたものであることから、本発明はこのような推測や推論のみによって拘泥されるものではない。
整数値の桁数と有効数字の桁数は一致する。例えば、1の有効数字は1桁であり、10の有効数字は2桁である。また、小数値は小数点以降の桁数と有効数字の桁数は一致する。例えば、0.1の有効数字は1桁であり、0.10の有効数字は2桁である。
本発明の一態様の粉末状パルプは、原料パルプの粉砕物である。原料パルプは、水に分散して測定されるpHが7.5〜10.5である。
原料パルプとして、非木材系及び木材系の原料パルプが挙げられ、具体的にはコットンリンターパルプ及びウッドパルプなどが挙げられる。ここで、コットンリンターパルプとは、綿の種子に生ずる繊維を原料にして得られるパルプをいう。ウッドパルプとは、木材を原料にして得られるパルプをいう。
原料パルプとしては、公知の蒸解工程及び漂白工程を含む方法などにより製造されたものを用いることができる。原料パルプの製造方法としては、例えば、特開2013−227705号公報により例示される方法などを挙げることができる。すなわち、チップ化した木材を原料として、前加水分解及びアルカリ蒸解後のパルプを漂白した後、酸性下で過酸化物を添加して処理し、次いで洗浄することにより得られるパルプを原料パルプとして用いることができる。
この際、水に分散して測定されるpHが7.5〜10.5である原料パルプを得るために、原料パルプの製造工程の最終段階の洗浄工程において、弱アルカリ性の水を用いることが好ましい。具体的には、洗浄工程において用いる水のpHは、好ましくは7.5〜10.5であり、より好ましくは7.7〜8.5である。
また、原料パルプは、通常、数質量%〜10質量%程度の水分を含んでいる。パルプ中の水分は、パルプ片2gを105℃で1時間以上乾燥した時の減量%として測定される値である。
原料パルプは、その形状に基づき、シート状パルプ、チップ状パルプ、綿状パルプなどに分類されるが、入手し易さ又は取り扱いが容易な観点から、シート状パルプ及びチップ状パルプが好ましい。シート状パルプは、厚さ3mm以下の平板状パルプであることが好ましい。チップ状パルプは、シート状パルプをスリッターカッターなどの既存の裁断機を用いるなどして裁断することにより得られるチップ状の形態を有するパルプである。チップ状パルプとしては、一辺が2mm〜100mmであるチップ状パルプが好ましく、一辺が3mm〜50mmであるチップ状パルプがより好ましい。
原料パルプの面積当たりの質量は特に限定されないが、粉砕における粘度低下の割合及び粉砕に供する際の取り扱いやすさという観点から、好ましくは650g/m〜1,200g/mであり、より好ましくは700g/m〜1,200g/mである。原料パルプの面積当たりの質量は、後述する実施例に記載のISO536の面積当たりの質量の測定方法によって測定された値である。
原料パルプの粘度は特に限定されないが、例えば、500ml/g〜3,000ml/gであり、本発明の一態様の粉末状パルプを用いて高粘度のセルロースエーテルを得るという観点から、好ましくは700ml/g〜2,500ml/gであり、より好ましくは1,000ml/g〜2,500ml/gであり、更に好ましくは1,300ml/g〜2,300ml/gである。なお、原料パルプ及び粉末状パルプの粘度は、後述する実施例に記載のISO5351の粘度測定方法によって測定された値である。
原料パルプの厚みは特に限定されないが、例えば、0.1mm〜3.0mmであり、好ましくは0.5mm〜2.5mmである。また、原料パルプの見掛け密度も特に限定されないが、例えば、0.1g/ml〜2.0g/mlであり、好ましくは0.4g/ml〜1.0g/mlである。なお、見かけ密度は、シート状パルプ又はチップ状パルプの面積当たりの質量を厚みで割ることにより計算される値である。
原料パルプを水に分散して測定されるpHは7.5〜10.5の範囲内にあればよいが、その後の原料パルプの粉砕処理やセルロースエーテルの製造操作を容易にするという観点から、好ましくは7.7〜8.5である。pHが7.5〜10.5の範囲から外れた原料パルプを粉砕した場合、粉砕によるパルプの粘度低下が抑えられない。また、pHが7.5〜10.5の範囲から外れた原料パルプを粉砕すると、解重合が生じて、高い分子量を保つことができずに、セルロースエーテルの粘度が低下する可能性がある。
水に分散して測定される原料パルプのpHが7.5〜10.5の範囲内にない場合には、原料パルプにアルカリ性の化合物又はその水溶液を添加して、前記pHの範囲内に収まるように調整することができる。
アルカリ性の化合物は特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの塩類などが挙げられるが、工業的にpH調整に用いられ、比較的安全性が高いという観点から、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
アルカリ性の化合物の添加方法は特に限定されず、噴霧、混合などの方法を用いることができる。例えば、チップ状の原料パルプとアルカリ性の化合物の粉末とを混合する方法や、チップ状の原料パルプにアルカリ性の化合物の水溶液を噴霧する方法などを採用することができる。
原料パルプの「水に分散して測定されるpH」は、後述する実施例に記載の「原料パルプのpHの測定」によって得られる値である。概略としては、シート状パルプ又はチップ状の原料パルプを解砕して得られた解砕物を水に分散した分散液の20℃でのpHを測定し、得られた値を原料パルプの「水に分散して測定されるpH」とする。ここで、解砕とは、後工程における原料パルプの粉砕とは異なり、粉砕よりも弱い力によるものである。
本発明の一態様の粉末状パルプを得るための原料パルプの粉砕には、通常、粉砕機を用いる。原料パルプの粉砕に用いる粉砕機は特に限定されず、例えば、ナイフミル、衝撃粉砕機、竪型ローラーミルなどが挙げられる。
ナイフミルなどの粉砕機を用いる場合において、粉砕機出口の粉砕後の粉末状パルプの温度又は排気温度は、例えば、20℃〜100℃であり、極端に低温又は高温であると粉末状パルプが変質するおそれがあることから、好ましくは30℃〜60℃であり、より好ましくは40℃〜50℃である。
このようにして得られる粉末状パルプのpHは、高粘度のセルロースエーテルを得る観点から、好ましくは7.5〜10.5であり、より好ましくは7.7〜8.5である。
粉末状パルプのpHは、後述する実施例に記載の「粉末状パルプのpHの測定方法」によって得られる値である。概略としては、粉末状パルプを水に分散し、分散液の20℃でのpHを測定し、得られた値とする。
本発明の一態様の粉末状パルプにおける粉砕による粘度低下率を抑えることにより、高粘度のセルロースエーテルを製造することができる。粉砕による粘度低下率は30%以下であればよく、本発明の一態様の粉末状パルプを用いて高粘度のセルロースエーテルを得るためには、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。粉砕による粘度低下率の下限は特に限定されないが、典型的には0%である。粘度低下率が30%を超えると、粉末状パルプを用いてセルロースエーテルを製造した際に、高粘度のセルロースエーテルが得られない。
なお、原料パルプの粉砕による粘度低下率は、以下の計算式により計算される。
粘度低下率(%)=100−(粉末状パルプの粘度÷原料パルプの粘度)×100
本発明の一態様の粉末状パルプの重量平均粒子径D50は、水に分散して測定されるpH及び粉砕による粘度低下率が上記した値になるのであれば特に限定されないが、粉砕後の粉末状パルプの流動性の低下又は粉体としての取り扱いの困難性という観点から、好ましくは1,000μm以下であり、より好ましくは60μm〜500μmであり、更に好ましくは150μm〜350μmである。なお、本発明の一態様の粉末状パルプの重量平均粒子径D50は、後述する実施例に記載されている「粉末状パルプの重量平均粒子径D50の測定」によって測定される値である。
本発明の別の一態様であるセルロースエーテルの製造方法は、本発明の一態様の粉末状パルプを用いることにより、高粘度のセルロースエーテルが得られることに特徴がある。
本発明の一態様のセルロースエーテルの製造方法によって得られるセルロースエーテルの粘度は、使用する本発明の一態様の粉末状パルプの粘度によって変動し、特に限定されないが、例えば、20℃における1質量%水溶液の粘度として、8,000mPa・sより高い粘度であり、増粘剤などとしての使用用途の観点から、好ましくは10,000mPa・s以上であり、より好ましくは15,000mPa・s以上である。粘度の上限は特に限定されず、例えば、50,000mPa・sである。なお、セルロースエーテルの粘度は、後述する実施例に記載されている「セルロースエーテルの粘度の測定」によって測定される値である。
本発明の一態様のセルロースエーテルの製造方法は、本発明の一態様の粉末状パルプを用いる限り、公知のセルロースエーテルの製造方法を採用することができる。すなわち、本発明の一態様のセルロースエーテルの製造方法は、本発明の一態様の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とから得られるアルカリセルロースと、エーテル化剤とを反応させることにより、セルロースエーテルを得ることを少なくとも含む。
本発明の一態様のセルロースエーテルの製造方法は、本発明の一態様の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とを混合した後に、エーテル化剤を添加してもよいし、本発明の一態様の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とを混合する前に、エーテル化剤を添加してもよい。本発明の一態様の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とを混合する前にエーテル化剤を添加した場合であっても、本発明の一態様の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とからアルカリセルロースが生成し、次いでアルカリセルロースとエーテル化剤とが反応してセルロースエーテルが生成する。
本発明の一態様の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とからのアルカリセルロースの生成反応と、アルカリセルロースとエーテル化剤とからのセルロースエーテルの生成反応は、それぞれ個別の反応条件を採用して実施してもよいし、同一の反応条件を採用して同時的に実施してもよい。
公知のセルロースエーテルの製造方法としては、例えば、粉末状パルプに必要量のアルカリ金属水酸化物溶液を滴下又はスプレー状に噴霧などして、粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とを接触させてアルカリセルロースを得た後に、得られたアルカリセルロースとエーテル化剤とを反応させることを含む方法などを挙げることができる。
アルカリセルロースを得る工程において、用いるアルカリ金属水酸化物は特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、経済的な観点から水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ金属水酸化物溶液中のアルカリ金属水酸化物の濃度は、取扱い及びエーテル化反応の効率の面から、好ましくは10質量%〜60質量%であり、より好ましくは30質量%〜50質量%である。アルカリ金属水酸化物溶液を得るためにアルカリ金属水酸化物を溶解するための溶媒は、水が通常用いられるが、低級アルコール(好ましくは炭素数1〜4のアルコール)やその他の不活性溶媒であっても、これらを組み合わせたものであってもよい。
アルカリセルロースを得る工程は、反応性及び安全性の観点から、内部撹拌構造を有する反応器内で撹拌しながら行うことが好ましい。反応器には、内部の温度を測定できるような測定機具が装着されていることが望ましい。
アルカリ金属水酸化物溶液と粉末状パルプとを接触させる前に、反応器内の空気を真空ポンプなどで除去し、不活性ガス、好ましくは窒素で置換することが、アルカリ金属水酸化物及び酸素の存在下で生じるセルロースの解重合を抑制し得ることから望ましい。
粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とを接触させる時の温度は、アルカリセルロースが得られる温度であれば特に限定されないが、例えば、10℃〜100℃であり、均一なアルカリセルロースを得る観点から、好ましくは10℃〜80℃であり、より好ましくは30℃〜70℃である。
粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液との接触時間はアルカリセルロースが生成し得る時間であれば特に限定されないが、均一なアルカリセルロースを得る観点から、好ましくは5秒間〜30分間であり、より好ましくは10秒間〜20分間である。
アルカリ金属水酸化物溶液の添加終了後に、アルカリセルロースをより均一な状態にするために、更に5分間〜30分間撹拌を続けることも可能である。
得られたアルカリセルロースとエーテル化剤とを反応させて、公知の方法でエーテル化反応を行うことにより、セルロースエーテルを製造することができる。セルロースエーテルは、使用するエーテル化剤の種類によって生成し得るものが異なるが、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
アルキルセルロースとしては、例えば、メトキシ基(DS)が1.0〜2.2であるメチルセルロース;エトキシ基(DS)が2.0〜2.6であるエチルセルロースなどが挙げられる。なお、DSとは、置換度(degree of substitution)を表し、無水グルコース1単位当たりのアルコキシ基の平均個数である。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、例えば、ヒドロキシエトキシ基(MS)が0.05〜3.0であるヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.05〜3.3であるヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。なお、MSとは、置換モル数(molar substitution)を表し、無水グルコース1モル当たりのヒドロキシアルコキシ基の平均モル数である。MS及びDSは、第17改正日本薬局方のヒプロメロースに記載されている定量法を用いて測定された結果から換算できる。
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとしては、例えば、メトキシ基(DS)が1.0〜2.2であり、かつ、ヒドロキシエトキシ基(MS)が0.1〜0.6であるヒドロキシエチルメチルセルロース;メトキシ基(DS)が1.0〜2.2であり、かつ、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.1〜0.6であるヒドロキシプロピルメチルセルロース;エトキシ基(DS)が1.0〜2.2であり、かつ、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.1〜0.6であるヒドロキシプロピルエチルセルロースなどが挙げられる。
また、カルボキシメトキシ基(DS)が0.2〜2.0であるカルボキシメチルセルロースも、セルロースエーテルの例として挙げられる。
エーテル化剤は、製造しようとするセルロースエーテルの種類によって適宜選択され、特に限定されないが、例えば、塩化メチル、ヨウ化エチルなどのハロゲン化アルキル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド、モノクロロ酢酸などが挙げられる。
エーテル化剤を添加する時の反応器内温は、アルカリセルロースとエーテル化剤との反応が促進される温度であれば特に限定されないが、例えば、30℃〜100℃であり、反応制御性の観点から、好ましくは40℃〜90℃であり、より好ましくは50℃〜80℃である。
アルカリセルロースとエーテル化剤との配合方法は、通常知られているとおりの2種以上の化合物を配合する方法を採用すれば特に限定されないが、エーテル化剤をアルカリセルロースに添加する方法が好ましい。エーテル化剤の添加時間は、反応制御性及び生産性の観点から、好ましくは5分間〜120分間であり、より好ましくは10分間〜90分間である。
アルカリセルロースとエーテル化剤とを反応させて反応混合物を得て、エーテル化反応を完了させるために、エーテル化剤の添加後も撹拌混合を続けることが望ましい。エーテル化剤添加後の撹拌時間は、例えば、エーテル化反応が十分に行われる時間であり、生産性の観点から、好ましくは20分間〜120分間であり、より好ましくは30分間〜100分間である。
また、エーテル化剤添加後の撹拌の際の反応器内温は反応が促進される温度であれば特に限定されないが、反応制御性の観点から、好ましくは80℃〜120℃であり、より好ましくは85℃〜100℃である。
得られた反応混合物は、最終生成物のセルロースエーテルとしてもよいが、不純物が多く含まれている場合には粗セルロースエーテルとして扱って、通常の粗セルロースエーテルの精製方法と同様の手法で精製した上で最終生成物のセルロースエーテルとすることができる。
粗セルロースエーテルの精製方法としては、例えば、反応混合物を、熱水、好ましくは90℃以上の熱水、より好ましくは90℃〜98℃の熱水を含む容器に移し、懸濁させることにより副反応物の塩を熱水に溶解させ、次いで、得られた懸濁液に対して分離操作を行うことを含む方法などが挙げられる。分離操作には、例えば、加圧回転式フィルター、フィルタープレス、吸引濾過機などを使用することができる。精製後のセルロースエーテルにおける灰分は、所定量以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。精製後のセルロースエーテルにおける灰分は、第十七改正日本薬局方の強熱残分の測定方法により測定することができる。
得られたセルロースエーテルは、乾燥処理に供することが好ましい。乾燥処理は、セルロースエーテルを変質させずに、水分を蒸発させるような処理であれば特に限定されないが、例えば、加熱乾燥処理、減圧乾燥処理、凍結乾燥処理、風乾などが挙げられる。これらの中でも、工業的に実施するという観点から、好ましくは加熱乾燥処理であり、より好ましくは60℃〜90℃での加熱乾燥処理である。加熱乾燥処理の態様は特に限定されず、例えば、送風乾燥機を用いた加熱乾燥処理などを挙げることができる。乾燥処理後のセルロースエーテル中の水分は、十分に少ない量であれば特に限定されないが、例えば、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。セルロースエーテル中の水分は、原料パルプの水分と同様に測定される。
乾燥後のセルロースエーテルは、必要に応じて、例えば、ボールミル、ローラーミル、衝撃粉砕機などの通常の粉砕機を用いて粉砕することができる。次いで、粉砕後のセルロースエーテルは、篩により分級することにより、所望の粒度に調整してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[評価方法]
(1)原料パルプのpHの測定
原料パルプの解砕機として、吉田製作所社製ウィリー型粉砕機1029AS型(スクリーン径2mm)を用いた。pHの測定器として、東亜ディーケーケー社製HM−30R型を用いた。水は、十分に煮沸した後、空気に触れないようにして冷ましたものを用いた。また、使用する直前の20℃における水のpHは6.9〜7.1であった。
チップ状の原料パルプを、解砕機を用いて解砕した。次いで200ml共栓付き三角フラスコに、固形分濃度が1.0質量%となるように解砕された原料パルプを入れて水に分散し、200mlの分散液とした。次いで分散液を密栓し、時々振り混ぜながら20℃にて10分間放置した後、20℃における分散液のpHを測定した。ここで、解砕された原料パルプ中の固形分は、解砕された原料パルプ2gを105℃で1時間以上乾燥した時の減量%から求めた。
(2)粉末状パルプのpHの測定
解砕を行わないこと、及び粉末状パルプ中の固形分を粉末パルプ2gを105℃で1時間以上乾燥した時の減量%から求めた以外は、原料パルプのpHの測定方法と同じ方法により測定した。
(3)原料パルプ及び粉末状パルプの粘度の測定、並びに原料パルプの面積当たりの質量の測定
原料パルプ及び粉末状パルプの粘度は、ISO5351の粘度測定方法に従って測定した。原料パルプの面積当たりの質量は、ISO536の面積当たりの質量の測定方法に従って測定した。
(4)セルロースエーテルの粘度の測定
セルロースエーテルの1質量%水溶液について、20℃、12rpmにおいてブルックフィールド型粘度計にて測定した。
(5)粉末状パルプの重量平均粒子径D50の測定
粉末状パルプの重量平均粒子径D50は、ロータップ式篩しんとう機に、JIS Z8801に準拠する目開きの異なる複数の試験用篩を設置し、トップの篩の上に粉末状パルプを入れ、振動もしくはタッピングさせることにより篩分けを行った各篩上及び篩下の質量を測定して得られた質量基準分布におけるD50(累積50%径)の値によって求めた。
(6)セルロースエーテルのDS及びMSの測定
第十七改正日本薬局方ヒプロメロースの定量法に従って測定した結果から換算した。
[実施例及び比較例の調製及び評価]
実施例1
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが7.5であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを用いた。
粉砕前のシート状のコットンリンターパルプを10mm角のチップ状とした。その後、チップ状のコットンリンターパルプをナイフミル(HA−2542:株式会社朋来鉄工所製、スクリーン径0.5mm)により粉砕して、粉末状パルプを得た。粉砕中の粉砕機出口の排気温度は30℃だった。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径D50は250μmであり、粘度は1,400ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは7.5であった。
前記粉末状パルプ100質量部を内部撹拌機付きの反応器に入れ、−95kPaまで真空引きした後、窒素で大気圧まで復圧する操作を2回行った後、−95kPaまで真空引きした。次に、49質量%の水酸化ナトリウム水溶液123質量部を加えてアルカリセルロースを得た後、塩化メチル80質量部及び酸化プロピレン21質量部を加え、40℃〜100℃で反応させた。そして、95℃の熱水により、生成物のヒドロキシプロピルメチルセルロースに対して灰分が1質量%程度になるまで精製し、その後、得られた精製物を送風乾燥機により80℃にて乾燥して、含有水分が1.2質量%であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度は、17,000mPa・sであった。
実施例2
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが8.0であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを用いて、粉砕中の粉砕機出口の排気温度を40℃にした以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径D50は250μmであり、粘度は1,800ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは8.0であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が20,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
実施例3
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが8.5であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを用いて、粉砕中の粉砕機出口の排気温度を40℃にした以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径は250μmであり、粘度は1,700ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは8.5であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が19,500mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
実施例4
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが9.0であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを用いて、粉砕中の粉砕機出口の排気温度を40℃にした以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径は250μmであり、粘度は1,600ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは9.0であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が19,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
実施例5
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが10.5であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを用いて、粉砕中の粉砕機出口の排気温度を40℃にした以外は実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径は250μmであり、粘度は1,400ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは10.5であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が17,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
実施例6
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが8.5であり、粘度が1,300ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のウッドパルプを用いた以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径は230μmであり、粘度は1,200ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは8.5であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が14,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
実施例7
水に分散して測定されるpHが7.0であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを10mm角のチップ状とした後、チップ状のコットンリンターパルプ1.00質量部に対し、0.00025質量部の炭酸水素ナトリウム粉末を添加して混合した。得られた混合物を水に分散して測定されるpHは9.0となった。このチップ状のコットンリンターパルプと炭酸水素ナトリウム粉末との混合物を原料パルプとして用いて、粉砕中の粉砕機出口の排気温度を40℃にした以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径は250μmであり、粘度は1,600ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは9.0であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が19,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
実施例8
実施例2の粉末状パルプ100質量部を内部撹拌機付きの反応器に入れ、−95kPaまで真空引きし、さらに窒素で大気圧まで復圧する操作を2回行った後、−95kPaまで真空引きした。次に、49質量%の水酸化ナトリウム水溶液204質量部を加えてアルカリセルロースを得た後、塩化メチル186質量部及び酸化プロピレン26質量部を加えた以外は、実施例2と同様の方法により含有水分が1.2質量%であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシ基の置換度(DS)が1.8であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.15であり、20℃における1質量%水溶液の粘度は、20,000mPa・sであった。
実施例9
実施例2の粉末状パルプ100質量部を内部撹拌機付きの反応器に入れ、−95kPaまで真空引きし、さらに窒素で大気圧まで復圧する操作を2回行った後、−95kPaまで真空引きした。次に、49質量%の水酸化ナトリウム135質量部を加えてアルカリセルロースを得た後、塩化メチル108質量部及び酸化エチレン19質量部を加える以外は、実施例2と同様の方法により含有水分が1.2質量%であるヒドロキシエチルメチルセルロースを得た。
得られたヒドロキシエチルメチルセルロースは、メトキシ置換度(DS)が1.5であり、ヒドロキシエトキシ基置換度(MS)が0.24であり、20℃における1質量%水溶液の粘度は、20,000mPa・sであった。
比較例1
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが7.0であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを用いて、粉砕中の粉砕機出口の排気温度を40℃にした以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径D50は250μmであり、粘度は1,200ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは7.0であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が14,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
比較例2
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが11.0であり、粘度が2,000ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のコットンリンターパルプを用いて、粉砕中の粉砕機出口の排気温度を40℃にした以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径D50は250μmであり、粘度は1,200ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは11.0であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が14,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
比較例3
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが7.0であり、粘度が1,300ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のウッドパルプを用いた以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径D50は230μmであり、粘度は780ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは7.0であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が8,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
比較例4
原料パルプとして、水に分散して測定されるpHが11.0であり、粘度が1,300ml/gであり、かつ、面積当たりの質量が700g/mである、シート状のウッドパルプを用いた以外は、実施例1と同様の方法により粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプの重量平均粒子径D50は230μmであり、粘度は780ml/gであった。また、粉末状パルプを水に分散して測定されるpHは11.0であった。
得られた粉末状パルプを用いて、実施例1と同様の方法により、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造することにより、メトキシ基の置換度(DS)が1.4であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)が0.2であり、20℃における1質量%水溶液の粘度が8,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られた粉末状パルプ及びセルロースエーテルの結果を表1にまとめる。表1が示すとおり、水に分散して測定されるpHが7.5〜10.5である原料パルプを粉砕することにより、粉砕による粘度低下が抑えられた粉末状パルプを得ることができることがわかった。また、該粉末状パルプを原料として得られるセルロースエーテルの20℃における1質量%水溶液の粘度は、いずれも10,000mPa・s以上と高い粘度であった。
本発明の一態様の粉末状パルプ及びセルロースエーテルの製造方法によれば、建材分野、パーソナルケア分野、化粧品分野、食品分野などにおいて、増粘剤、ゲル化剤、安定剤などとして用いられる、高粘度のセルロースエーテルを工業的に製造することができる。


Claims (5)

  1. 水に分散して測定されるpHが7.5〜10.5である原料パルプの粉砕物であり、かつ粉砕による粘度低下率が30%以下である粉末状パルプ。
  2. 前記原料パルプが、シート状又はチップ状の原料パルプである請求項1に記載の粉末状パルプ。
  3. 前記原料パルプの面積当たりの質量が、650g/m〜1,200g/mである請求項1又は2に記載の粉末状パルプ。
  4. 前記原料パルプの粘度が、500ml/g〜3,000ml/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末状パルプ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とから得られるアルカリセルロースと、エーテル化剤とを反応させることにより、セルロースエーテルを得ることを含むセルロースエーテルの製造方法。
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