JP2020198699A - カバー固定式グロメット及びワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
Description
図1において、カバー固定式グロメット21はワイヤハーネス22に設けられ、このワイヤハーネス22は自動車23に配索される。カバー固定式グロメット21は、床下パネル24(パネル)の取付孔25(図5参照)を貫通する電線26に対し組み付けられる。尚、上記パネルは床下パネル24に限らないものとする。例えば、エンジンルームと車室内との間のパネルなどであってもよいものとする。この他、上記自動車は一般的なガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載する自動車に限らず、モーターを駆動源とする電気自動車などであってもよいものとする。カバー固定式グロメット21は、以下の説明で分かるようになるが、止水が必要な箇所において何らかの要因で電線26が曲げられたとしても(又は衝撃を受けたとしても)、その曲げ(や衝撃)に起因したズレを阻止して止水性能を維持することができるものとして提供される。
図2において、ワイヤハーネス22は、ハーネス本体27と、このハーネス本体27の各端末に設けられるコネクタ28と、ハーネス本体27を配索経路に沿って固定するための固定部材(図示省略)と、本発明の特徴部材であるカバー固定式グロメット21とを備えて構成される。ハーネス本体27は、本実施例において三本の電線26と、この三本の電線26の一部を保護する図示しないコルゲートチューブとを備えて構成される(構成は一例であるものとする)。三本の電線26は、このうち一本が径の小さな細物で構成される(本数や太さは一例であるものとする。また、高圧電線及び低圧電線のいずれであってもよいものとする)。コネクタ28は、三本の電線26の各端末に設けられる金属製の端子金具と、この端子金具を収容する樹脂製のコネクタハウジングとを備えて構成される。コネクタ28は、図示しない車載機器に対し電気的に接続するための部分として設けられる。本実施例のハーネス本体27は、床下パネル24に沿って配索される。このような配索であるため、ハーネス本体27は長尺なものに形成される。
図2及び図3において、カバー固定式グロメット21は、グロメット29と、カバー30とを備えて構成される。カバー固定式グロメット21は、床下パネル24に設けられるスタッドボルト31(図4参照)と、このスタッドボルト31に組み付けられるナット32(図4参照)により固定される。カバー固定式グロメット21は、ワイヤハーネス22と、床下パネル24の取付孔25(図5参照)との挿通部分における水分の浸入を防止する(止水する)ための構造の一つとして採用される。別な言い方をすれば、パネル外(室外33)からパネル内(室内34)への水分の浸入を防止するための防水構造(止水構造35)の一つとして床下パネル24の取付孔25と共に採用される。止水構造35は、カバー固定式グロメット21と、床下パネル24の取付孔25と、一対のスタッドボルト31と、同じく一対のナット32とを備えて構成される。取付孔25は、平面視長円形状に貫通する孔部分に形成される(形状は一例であるものとする)。一対のスタッドボルト31は、取付孔25の周縁且つ室内34側に突出するように配設される。
図2ないし図5において、グロメット29は、筒状のグロメットインナー36と、このグロメットインナー36に装着されるグロメットアウター37とを備えて構成される。グロメットインナー36は樹脂成形品であり、グロメットアウター37は例えばゴム製の弾性体である。グロメットインナー36は、グロメットアウター37よりも剛性を有する。グロメットインナー36は、グロメットアウター37が弾性変形しても潰れ等が生じないものとする。グロメット29は、以上からも分かるように、材質の異なる二部材から構成される。グロメット29は、床下パネル24の取付孔25に対し挿通されるような、且つ、取付孔25に対し係合するような、且つ、取付孔25の周縁内側に対し水密に密着するような二部材で構成される。
図2ないし図6において、グロメットインナー36は、上記の如く樹脂成形品であり且つグロメットアウター37と異なり剛性を有する。グロメットインナー36は、インナー本体部38と、四つの係合アーム39と、アームベース部40と、装着部41とを有して図6に示すような外観形状に形成される。インナー本体部38は、平面視長円形状の筒状に形成される。インナー本体部38は、床下パネル24の取付孔25の開口形状に合わせて形成される。インナー本体部38は、この一端に装着部41が連成されるとともに、他端にアームベース部40が連成される。インナー本体部38は、取付孔25に対し挿通されて上記他端が室外33側に突出するように形成される。アームベース部40は、インナー本体部38の上記他端から折り返すような壁状の部分に形成される。アームベース部40は、インナー本体部38の外周面に対し所定の間隔をあけて配置される。このようなアームベース部40の端部には、係合アーム39が二対で合計四箇所、形成される。係合アーム39は、取付孔25の縁に係合する部分として形成される。係合アーム39は、例えばコネクタで言う所謂ランスのような部分に形成される。係合アーム39は、アームベース部40との連続部分が撓み可能に形成される。
図4ないし図6において、装着部41は、インナー本体部38の上記一端に連成される。装着部41は、グロメットアウター37の装着部分として形成される。装着部41は、環状でフランジ形状に形成される。装着部41は、取付孔25の周縁の面に対し略平行な部分に形成される。このような装着部41において、床下パネル24側に第一面42を有する。また、装着部41は、第一面42の反対側に第二面43を有する。また、装着部41は、周縁部44を有する。尚、引用符号45及び46の孔は、樹脂成形において必要な型抜き孔を示すものとする。第二面43には、第二押圧突条47が形成される(尚、「第二」とあるが、「第一」の方の第一押圧突条63に関しては後述するものとする)。第二押圧突条47は、後述するカバー本体部55に向けて(図の上方に向けて)短く突出する突条の部分に形成される。また、第二押圧突条47は、周縁部44の近傍で平面視長円形状に一周のびる環状の突条部分に形成される。第二押圧突条47は、後述する収容部51の一部を弾性変形状態に押圧する部分に形成される。第二押圧突条47は、グロメットアウター37のズレを阻止するための一つの部分として形成される。第二押圧突条47は、収容部51との装着性に配慮して短く突出するような部分に形成される。この他、装着部41には、一対の舌片部48が形成される。一対の舌片部48は、装着部41と同様、グロメットアウター37の装着部分として形成される。一対の舌片部48は、装着部41の周縁部44から突出するように形成される。一対の舌片部48は、グロメットアウター37に対して、装着位置決め、脱落防止等に有効な部分として形成される。
図2ないし図5において、グロメットアウター37は、上記の如く弾性体であって、例えばエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等により成形される。グロメットアウター37は、アウター本体部49と、三本の電線挿通部50と、収容部51と、リップ部52とを有して図示形状に形成される。アウター本体部49は、グロメットインナー36におけるインナー本体部38の筒開口65(図6参照)を覆う部分として形成される。アウター本体部49は、グロメットアウター37の中で最も厚肉部分に形成される。アウター本体部49の一方の面には、カバー30により面押しされる被押圧面53が形成される。被押圧面53は、上記一方の面の一部として形成される。被押圧面53は、収容部51に近い周縁部に配置される。アウター本体部49の所望の位置には、三本の電線挿通部50が一体に形成される。三本の電線挿通部50は、この端部が上記一方の面に開口するように形成される。上記一方の面の反対側の、アウター本体部49の他方の面からは、三本の電線挿通部50が比較的長く且つ真っ直ぐにのびるように連成される。三本の電線挿通部50は、それぞれ円筒形状に形成される。三本の電線挿通部50は、このうち一本が小径なものに形成される。三本の電線挿通部50には、電線26に対する挿通空間54が形成される。挿通空間54は、アウター本体部49を貫通するように形成される。三本の電線挿通部50は、電線26に対し密着するような状態にするため、電線26の径よりも若干小さな径に形成される。三本の電線挿通部50は、グロメット29を床下パネル24の取付孔25に対し挿通する際に、作業者が手で持って引っ張れるような適宜長さの部分に形成される。
図4及び図5において、収容部51は、グロメットインナー36の装着部41を収容することができるような形状の部分に形成される。具体的には、第一面42、第二押圧突条47を有する第二面43、及び周縁部44を長円形の全周にわたり覆うような断面U字状の部分に収容部51は形成される。また、収容部51は、第一面42、第二押圧突条47を有する第二面43、及び周縁部44に対し密着するような断面U字状の部分に形成される。収容部51は、装着部41を収容する部分が凹状に形成されるとともに、全体がアウター本体部49に比して十分に薄肉な部分に形成される。収容部51は、図5の断面形状で見た場合、第二押圧突条47を有する第二面43を覆う部分がアウター本体部49に連続し、第一面42を覆う部分はリップ部52に連続するように形成される。
図5において、リップ部52は、収容部51の床下パネル24側の端部に連成される。リップ部52は、取付孔25の周縁内側に対し水密に密着する部分に形成される。もう少し詳しく説明すると、リップ部52は、上記端部に連成される断面アーム形状で且つこの形状が一周となる環状の第一部分(符号省略)と、この第一部分の端部に形成されて取付孔25の周縁内側に対し最初に接触する第二部分(所謂リップ。符号省略)とを有し、カバー30からの押圧を受けて弾性変形し、そしてこの弾性変形にて上記周縁内側に密着するような部分に形成される。尚、リップ部52が水密に密着する部分をシール部分(止水部分)と呼ぶものとする。リップ部52は、後述する第一押圧突条63の位置に合わせて配置される。このような配置により、リップ部52は第一押圧突条63からの押圧を活用してシール(止水)の性能を高めることができる。
図示されていないが、グロメットアウター37には、グロメットインナー36の一対の舌片部48に対応する部分が形成される。この部分は、カバー30の後述する係合部57、58が係合するような突出部分として形成される。
図2、図3、図4、図5、及び図7において、カバー30は、グロメット29を床下パネル24に対し水密に固定するための部材として備えられる。カバー30は、樹脂成形品であって、グロメットインナー36と同様に剛性を有する(後述する第一押圧突条63と同じ機能を有する部分を形成できれば、樹脂成形品でなくてもよいものとする)。カバー30は、電線26に対し挿通されるような状態に組み付けられる。このようなカバー30は、カバー本体部55と、一対の固定部56と、係合部57、58とを有して図示の外観形状に形成される。カバー本体部55は、グロメットアウター37を覆う部分として形成される。カバー本体部55は、カバー開口部59を有する押圧壁60と、この押圧壁60の周縁に連続する側壁61とを有し、断面L字状で且つこの形状が一周となる環状に形成される。押圧壁60の内面には、グロメットアウター37の被押圧面53を面押しするような押圧面62が形成される。また、押圧壁60の内面には、第一押圧突条63も形成される。押圧面62は、カバー開口部59側に配置形成される。第一押圧突条63は、押圧面62と側壁61との間に配置形成される。また、第一押圧突条63は、グロメットインナー36の装着部41における第二押圧突条47よりも内側(電線26側)に配置形成される。第一押圧突条63及び第二押圧突条47は、取付孔25の径方向にずれた位置に配置形成される。第一押圧突条63は、装着部41の第二面43に向けて突出し且つこの突出形状が一周となる環状に形成される。第一押圧突条63は、グロメットアウター37の収容部51を、装着部41の第二面43との間で挟み込んで弾性変形状態に押圧することができる部分に形成される。第一押圧突条63は、第二押圧突条47と共に収容部51を断面S字状の弾性変形状態に押圧することができるような部分に形成される。
図2ないし図5において、三本の電線26の端末にコネクタ28が設けられる前にグロメット29は三本の電線26に組み付けられる。また、この時にカバー30も三本の電線26に挿通される(カバー30は後からの挿通であってもよいものとする)。三本の電線26に対しグロメット29の組み付け及びカバー30の挿通が終わりコネクタ28が端末に設けられた後には、また、ハーネス本体27が所定の形態に組み付けられた後には、ワイヤハーネス22が完成する。ワイヤハーネス22は、所定の経路に沿って配索される。この配索にあたり、グロメット29は床下パネル24の取付孔25に組み付けられる(図4の矢印Rが組み付け方向を示す)。また、カバー30が床下パネル24に固定されると、この時、グロメット29は床下パネル24に対して水密に固定される。グロメット29とカバー30とが一体化することによりカバー固定式グロメット21の組み付けが完了し、取付孔25を含んで止水構造35が形成される。
以上、図1ないし図7を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるカバー固定式グロメット21によれば、グロメットインナー36の装着部41を覆うようにしてグロメットアウター37の収容部51が装着され、そしてこの収容部51の一部がカバー30の第一押圧突条63にて押圧されると、上記一部が装着部41と第一押圧突条63とにより押し潰されて挟み込まれた状態、すなわち弾性変形状態になることから、従来ではズレが生じるような引っ張り力(矢印Q方向の力。例えば矢印P1、P2方向の力に起因して生じるものとする)が働いたとしても、その力がリップ部52まで作用することはなく、結果、シール部分(止水部分)にズレを生じさせず止水性能を維持することができるという効果を奏する。また、カバー固定式グロメット21によれば、収容部51の一部が装着部41における第二面43から突出する第二押圧突条47によっても押圧され、そして弾性変形状態になることから、上記引っ張り力が働いたとしても、その力がリップ部52まで作用することはなく、結果、止水性能を維持することができるという効果を奏する。また、カバー固定式グロメット21によれば、第一押圧突条63及び第二押圧突条47にて収容部51の一部を断面S字状の弾性変形状態に押圧することから、上記引っ張り力が働いたとしても、その力に抗し易い断面形状に弾性変形させることができるという効果を奏する。
Claims (6)
- パネルの取付孔を貫通する電線に対し組み付けられるグロメットと、該グロメットを前記パネルに対し水密に固定するためのカバーとを備え、
前記グロメットは、前記取付孔に係合する筒状のグロメットインナーと、弾性体にて形成されて前記グロメットインナーに装着されるグロメットアウターとを備え、
前記グロメットインナーは、前記取付孔に挿通される筒状のインナー本体部と、前記取付孔に係合する可撓性の係合アームと、前記グロメットアウターの装着部分になる環状でフランジ形状の装着部とを有し、
前記グロメットアウターは、前記インナー本体部の筒開口を覆うアウター本体部と、該アウター本体部を貫通するように前記電線に対する挿通空間が形成される電線挿通部と、前記装着部における前記パネル側の第一面、該第一面の反対側の第二面、及び周縁部を覆うようにして前記装着部を収容する断面U字状の収容部と、該収容部に連成されて前記パネルに密着するリップ部とを有し、
前記カバーは、前記グロメットアウターを覆うカバー本体部と、前記パネルに固定される固定部とを有し、
前記カバー本体部は、前記装着部における前記第二面の側に向けて突出し且つ前記収容部の一部を弾性変形状態に押圧する第一押圧突条を有する
ことを特徴とするカバー固定式グロメット。 - 請求項1に記載のカバー固定式グロメットにおいて、
前記装着部における前記第二面は、該第二面から前記カバー本体部に向けて突出し且つ前記収容部の前記一部を弾性変形状態に押圧する第二押圧突条を有する
ことを特徴とするカバー固定式グロメット。 - 請求項2に記載のカバー固定式グロメットにおいて、
前記第一押圧突条及び前記第二押圧突条は、前記取付孔の径方向にずれた位置に且つ前記収容部の前記一部を断面S字状の弾性変形状態に押圧する位置に配置される
ことを特徴とするカバー固定式グロメット。 - 請求項3に記載のカバー固定式グロメットにおいて、
前記第一押圧突条及び前記第二押圧突条は、前記取付孔を一周囲むような環状の突条に形成される
ことを特徴とするカバー固定式グロメット。 - 請求項1、2、3又は4に記載のカバー固定式グロメットにおいて、
前記リップ部は、前記第一押圧突条の突出位置に合わせて配置される
ことを特徴とするカバー固定式グロメット。 - パネルの取付孔を貫通する電線と、該電線に対し組み付けられる請求項1、2、3、4又は5に記載のカバー固定式グロメットとを備えて自動車に配索される
ことを特徴とするワイヤハーネス。
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