JP2020193657A - パイプの連結構造及びそのための部材のセット - Google Patents
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Abstract
【課題】貫通孔の口径よりも外径が小さなパイプ又はロッドであっても連結可能なパイプの連結構造及びそのための部材のセットを提供する。【解決手段】連結構造は、棒状支持部材1を貫通する挿入部(貫通孔など)2a,2bと、前記支持部材1の全長に亘って形成された中空部と、前記挿入部に挿入又は配置可能なパイプ又はロッド5a,5bと、前記支持部材1の挿入部(貫通孔など)2a,2bに挿入又は配置されたパイプ又はロッド5a,5bを前記中空部内で挟持可能な挟持部材6a,6b(受け部材7a,7b及び押え部材8a,8b)と、前記支持部材1に螺合して、この挟持部材6a,6bを介してパイプ又はロッド5a,5bを挟圧可能な締結部材12とを備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、パイプ又はロッドを異なる方向に向けて連結するのに有用な連結構造及びそのための部材のセットに関する。
機械装置や実験・研究装置などにおいて、フレームは、縦横方向に複数のパイプを配置して、パイプの交差部を締結して構築されている。しかし、パイプの配置作業及び交差部の締結作業を伴うため、フレームの組み立て作業は煩雑である。そのため、パイプとの連結作業を改善するための結合部材が提案されている。
特開2015−131111号公報(特許文献1)には、ロッドをアンカー要素に結合するための結合アセンブリが、前記ロッドを所定の方向に向けて収容可能な圧力要素と、この圧力要素を支持し、軸方向に圧縮可能な少なくとも1つのばね部を有する保持要素と、この保持要素を軸方向に収容可能な受け部品と、この受け部品の下部が開口し、アンカー要素の頭部を収容するための収容空間と、前記ロッドを前記圧力要素に押圧可能なロック要素とを備えていることが記載されている。
しかし、この結合アセンブリは、圧力要素と、ばね部を有する保持要素と、受け部品と、ロック要素とを必要とするとともに、結合アセンブリの構造が複雑である。また、前記結合アセンブリでは、前記受け部品に、ばね部を有する保持要素と圧力要素とを収容し、この圧力要素の半径方向に延びる収容凹部に前記ロッドを収容した状態で、ロック要素を前記受け部品の上部内周壁に形成された溝部に螺合する必要があり、ロッドの取り付け作業が煩雑である。さらに、アンカー要素が固定された状態で、受け部品には単一のロッドしか取り付けることができず、構築できるフレームの形態が大きく制限される。
支持棒体の長手方向の異なる部位に、向きを異にして貫通孔を形成し、これらの貫通孔にパイプを挿入し、このパイプを締結して、フレームを構築することも知られている。例えば、http://www.miyoshikikai.co.jp/img/product/index/product_pijon01.jpg(非特許文献1)には、断面円形状の中実の金属製支持棒体と、この支持棒体の軸方向の位置を異にし、かつ互いに異なる半径方向に前記棒体を貫通して形成された第1の貫通孔及び第2の貫通孔と、これらの貫通孔からそれぞれ支持棒体の端面に延びて形成され、前記棒体の端部を軸方向に伸縮又は変位可能とするための切り込み溝(割溝)と、この切り込み溝(割溝)の対向壁をネジ部材により締結可能なネジ孔部とを備えた支持部材が記載されている。この支持部材では、前記第1及び第2の貫通孔にパイプを挿入した状態で、前記ネジ孔部にネジ部材を螺合して、貫通孔の対向壁でパイプを挟持した状態で締結することにより、パイプが交差した形態のフレームを構築できる。
しかし、前記支持部材では、パイプの配向方向が前記第1及び第2の貫通孔の軸線に沿った方向となるため、パイプの配向方向が制約され、パイプの配置形態の自由度が小さくなる。さらに、切り込み溝(割溝)を形成する部材が中実の支持棒体であるため、切り込み溝(割溝)による貫通孔の対向壁の軸方向での伸縮又は変位量が小さい。そのため、貫通孔の口径に対応したパイプしか利用できず、貫通孔の口径よりも小さなパイプを利用してフレームを形成することができない。なお、切り込み溝(割溝)の幅を大きくすると、ネジ部材による締結が困難となる。
http://www.miyoshikikai.co.jp/img/product/index/product_pijon01.jpg
従って、本発明の目的は、外径が貫通孔の口径よりも小さなパイプ又はロッドであっても連結可能(例えば、所定の方向に向けて連結可能)なパイプの連結構造及びそのための部材のセットを提供することにある。
本発明の他の目的は、パイプ又はロッドの周方向の向きを調整してパイプ又はロッドを連結可能なパイプの連結構造及びそのための部材のセットを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、簡単な構造でパイプ又はロッドを簡便に連結可能なパイプの連結構造及びそのための部材のセットを提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ロッド状支持部材の軸方向の異なる位置に異なる向きに貫通孔を形成し、これらの貫通孔に、遊びをもって外径の小さなパイプ又はロッドを挿入し、前記パイプ又はロッドに対する挟着機構を利用すると、パイプ又はロッドの向きを調整しつつ、支持部材の貫通孔で前記パイプ又はロッドを所定の方向に向けて固定できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の連結構造は、棒状支持部材に、少なくとも貫通して形成された少なくとも1つの挿入部(貫通孔など)と、前記支持部材の少なくとも一方の端面から軸方向に延びて、少なくとも前記挿入部に至る中空部と、この挿入部に挿入又は配置可能なパイプ又はロッドと、前記挿入部に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを固定するための固定手段(固定具)とを備えている。このようなパイプ又はロッドの連結構造において、前記固定手段は、前記支持部材の挿入部(貫通孔など)に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを前記中空部内で挟持可能な挟持部材と、この挟持部材を介してパイプ又はロッドを挟圧して前記支持部材に締結可能な締結部材(又は挟圧部材)とを備えている。
本発明の連結構造は、棒状支持部材の長手方向(軸方向)の複数の部位(異なる部位)に、周方向の向きを異にして形成された複数の挿入部(貫通孔など)と、これらの挿入部にそれぞれ挿入又は配置可能なパイプ又はロッドと、前記挿入部に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを固定するための固定手段(固定具)とを備えていてもよい。
このような連結構造では、挿入部(貫通孔など)内で、パイプ又はロッドを挟持部材で挟持した状態で、前記締結部材又は挟圧部材により、パイプ又はロッドを挟圧して締結できる。
支持部材に形成された挿入部は、貫通孔の形態、又は支持部材の少なくとも一方の端部に形成された貫通孔から前記一方の端部の端面に至る切り欠き状の挿通孔の形態を有していてもよく、少なくとも1つの挿入部は、パイプ又はロッドが周方向に変位可能に形成されていてもよい。なお、前記支持部材は全長に亘り中空部が形成された中空部材であってもよい。
挿入部(貫通孔など)に挿入又は装着した状態で、パイプ又はロッドを周方向に変位可能とするため、少なくとも1つの挿入部(貫通孔など)は、支持部材の中心軸を中心に、少なくとも周方向に拡がった形態を有していてもよい。すなわち、挿入部(貫通孔など)は、パイプ又はロッドが周方向に変位可能に形成してもよい。
さらに、前記固定手段の挟持部材は、中空部内に配設可能であり、かつパイプ又はロッドを支持可能な受け部材と、この受け部材に対向して中空部内に配設可能であり、かつ前記パイプを押圧可能な押え部材とを備えていてもよく、前記締結部材は、前記支持部材に対して螺合可能であり、この螺合に伴って(前進動に伴って)前記押え部材を押圧して前記パイプを固定可能であってもよい。
前記挟持部材は、弾性体又はプラスチック若しくはエラストマーで形成してもよく、中空部内で周方向に変位可能であってもよい。さらに、締結部材(螺合部材又はキャップ部材)は、支持部材の少なくとも一方の端部に螺合可能であってもよい。
より具体的には、本発明の連結構造は、前記支持部材が全長に亘り中空部が形成された中空部材であり;前記支持部材の少なくとも1つの挿入部(貫通孔など)に、パイプ又はロッドが、少なくとも周方向に遊びをもって挿入可能であり;前記パイプ又はロッドを挟持可能な受け部材と押え部材とが、中空部内で周方向に変位可能であり;前記受け部材と前記押え部材との間に前記パイプ又はロッドが介在した状態で、前記支持部材の一方の端部側に位置する受け部材と、前記支持部材の他方の端部側に位置する押え部材とを、前記支持部材の内壁又は外壁に形成された螺合部に対して螺合可能な締結部材により挟圧又は締め付け可能であってもよい。
本発明は、前記パイプ又はロッドの連結構造を形成するための部材のセットも包含する。このセットは、少なくとも貫通して形成された少なくとも1つの挿入部(貫通孔など)と、少なくとも一方の端面から軸方向に延びて、少なくとも前記挿入部に至る中空部とを有する棒状支持部材と;前記挿入部(貫通孔など)に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを固定するための固定手段とを備えている。このようなセットにおいて、前記少なくとも1つの挿入部(貫通孔など)は、パイプ又はロッドが周方向に変位可能に形成されている。また、前記固定手段は、前記支持部材の挿入部(貫通孔など)に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを挟持可能な挟持部材と、この挟持部材を介してパイプ又はロッドを挟圧して前記支持部材に固定可能な締結部材とを備えている。
本発明では、外径が挿入部(貫通孔など)の口径よりも小さなパイプ又はロッドであっても、前記パイプ又はロッドに対する挟着機構を利用するため、パイプ又はロッドを所定の方向に向けて連結可能である。また、挿入部(貫通孔など)に対するパイプ又はロッドの遊びを利用して、パイプ又はロッドの周方向の向きを調整でき、パイプ又はロッドを連結可能である。さらに、挿入部(貫通孔など)が形成された棒状支持部材と、パイプ又はロッドを挟持可能な挟持部材と、締結部材とを利用して、簡単な構造でパイプ又はロッドを簡便に連結可能である。
以下に、添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
図1〜図3に示されるように、パイプ又はロッドの連結構造は、一方の端部(図示する例では、下端部)が閉じ、他方の端部(図示する例では、上端部)の内周壁にネジ溝3が形成された断面円形状の中空支持部材(中空円柱状支持体)1と、この支持部材の長手方向の複数の部位又は位置に形成された複数の断面円形状の貫通孔2a,2bとを備えており、これらの貫通孔は、支持部材1の長手方向に対して直交する方向に、支持部材1の軸心を通過し、かつ周方向の向きを異にして形成されている。この例では、図2に示すように、平面形状において、互いに直交する方向に2つの貫通孔2a,2bが、支持部材1の長手方向(軸方向)の異なる2つの部位又は位置に形成されている。
前記貫通孔2a,2bには、それぞれ、貫通孔2a,2bの内径よりも小さな外径を有する円筒状のパイプ5a,5bが遊びをもって挿入可能であり、これらのパイプは、それぞれ、前記中空支持部材1の中空部(軸方向に延びる中空部)に周方向に変位(又は回転)可能に配置された挟持部材6a,6bで挟持可能である。この例では、挟持部材6a,6bは、前記パイプ5a,5bを受けて支持するための受け部材7a,7bと前記パイプ5a,5bを押圧するための押え部材8a,8bとを備えており、第1の挟持部材6a(一対の受け部材7a及び押え部材8a)及び第2の挟持部材6b(一対の受け部材7b及び押え部材8b)で各パイプ5a,5bを挟持可能である。前記受け部材7a,7b及び押え部材8a,8bは、円盤状に形成され、前記受け部材7a,7bのうち前記パイプ5a,5bを支持するための受け面には半径方向に延びる湾曲凹部9a,9bが形成され、前記押え部材8a,8bのうち前記パイプ5a,5bを押圧するための押え面には半径方向に延びる湾曲凹部10a,10bが形成されている。なお、この例では、受け部材7a,7bと押え部材8a,8bとは、中空支持部材1の中空部において、順次に積層形態で配置され、最下位の受け部材7aは、中空支持部材1の底部壁と平坦面で面接触して支持され(下方への軸方向の移動が規制され)ており、隣接する押え部材8aと受け部材7bとは互いに背中合わせ状態で平坦面により面接触可能である。
さらに、前記受け部材7a,7b及び前記押え部材8a,8bは、前記パイプ5a,5bに対する挟持力を高めるため、厚み方向に弾性的に圧縮変形可能なプラスチック又はエラストマー(ゴムを含む)で形成されている。さらに、前記パイプ5a,5bに対する密着力を高めるため、前記受け部材7a,7b及び前記押え部材8a,8bの湾曲凹部(受け部材の湾曲凹部9a,9bの谷部又は押え部材の湾曲凹部10a,10bの頂部)には、半径方向に延びる凹溝11a,11bが形成されている。なお、図示する例では、押え部材8a,8bの凹溝は、図面上、表れていない。
そして、最上位の押え部材8bを押圧するため、断面円形状の中空支持部材1の上端部の内周壁に形成されたネジ溝3に対して螺合部材(締結部材)12が螺合可能である。
このような連結構造及び部材のセットでは、受け部材7a,7bと押え部材8a,8bとの間に前記パイプ5a,5bが介在した形態で、前記中空支持部材1の貫通孔2a,2bに遊びをもって前記パイプ5a,5bを挿入し、各パイプ5a,5bの周方向の向きを調整して螺合部材(締結部材)12を前記中空支持部材1に螺合することにより、各パイプ5a,5bを位置決めして、各パイプ5a,5bに対して受け部材7a,7b及び押え部材8a,8bを緊密に圧着して固定でき、所定の連結構造を簡単な構造で構築できる。特に、パイプ5a,5bの外径が小さくても、各パイプ5a,5bの周方向の向きを調整して所定の連結構造を構築できる。そのため、前記貫通孔2a,2bの断面形状及び内径に適合した専用のパイプを用いなくても、簡便にパイプ5a,5bを連結又は結合できる。
なお、パイプ又はロッドは、貫通孔に限らず、棒状の支持部材を少なくとも貫通して形成された挿入部に対して挿入又は配置可能であってもよい。図4は本発明の連結構造の他の例を示す概略分解斜視図である。
この例では、円柱状支持部材(又は支持体)21は、両端が開口した中空状に形成され、一方の端部(図示する例では、下端部)の外周壁にはネジ溝(ネジ部)23aが形成されているとともに、他方の端部(図示する例では、上端部)の内周壁にもネジ部23bが形成されている。なお、この例では、支持部材(又は支持体)21の中空部は、支持部材(又は支持体)21の一方の側(下部側)の中空部の内径が、他方の側(上部側)の中空部の内径よりも大きく形成されている。
前記支持部材(又は支持体)21の一方の端部(下端部)には、支持部材(又は支持体)21の長手方向に対して直交する方向に、支持部材21の軸心を通過して、他方の端部側(図示する例では、上部)が湾曲した断面四角形状の切り欠き状挿通部22aが形成され、この挿通部から所定の間隔をおいて、挿通部22aの上部には、前記挿通部22aの軸線に対して直交する方向に、支持部材21の軸心を通過して断面円形状の貫通孔22bが形成されている。なお、切り欠き状挿通部22aは、断面円形状の貫通孔から支持部材21の一方の端部の端面に至って切り欠かれて開口した形態を有している。前記貫通孔22bは、支持部材21の中心軸を中心として、周方向に拡がった形態(すなわち、扇状に拡がった形態)を有している。また、この例では、異なる径のパイプを連結するため、挿通部22aの幅は、貫通孔22bの内径よりも大きく形成されている。
前記挿通部22aには、円筒状のパイプ25aが下方及び側方から挿入して配置可能であり、貫通孔22bには、円筒状のパイプ25bが遊びをもって(例えば、少なくとも周方向に遊びをもって)挿入可能である。そのため、一方のパイプ25bは、周方向に拡がった形態(すなわち、扇状に拡がった形態)の貫通孔22bを利用して、支持部材21(又は貫通孔22b)の中心軸を中心として、周方向に所定の範囲で変位可能であり、周方向の向きを調整可能である。また、この例では、挿通部22aに挿入又は配置可能なパイプ25aの外径は、貫通孔22bに挿入可能なパイプ25bの外径よりも大きく形成されている。
これらのパイプ25a,25bは、それぞれ、前記と同様に積層状態の挟持部材26a,26b(受け部材27a,27b及び前記押え部材28a,28b)で挟持可能である。この例でも、挟持部材は、第1のパイプ25aを挟持するための第1の挟持部材26a(一対の受け部材27a及び押え部材28a)と、第2のパイプ25bを挟持するための第2の挟持部材26b(一対の受け部材27b及び押え部材28b)とを備えており、第1及び第2の挟持部材26a,26bは、プラスチック又はエラストマーで円盤状に形成され、支持部材21の中空部内で周方向に回転又は変位可能である。なお、中空支持部材21の中空部の内径に対応して、第2の挟持部材26bよりも第1の挟持部材26a(一対の受け部材27a及び押え部材28a)の外径が大きく形成されている。さらに、前記受け部材27a,27b及び前記押え部材28a,28bには、前記と同様に、半径方向に延びる湾曲凹部29a,29b,30a,30bが形成され、受け部材27a,27bの湾曲凹部29a,29bの谷部又は押え部材28a,28bの湾曲凹部30a,30bの頂部には、半径方向に延びる凹溝31a,31bが形成されている。
この例では、積層状態で最下位の受け部材27aを支持可能な支持部(円形リング状の支持部)34を有する螺合部材(又は締結部材)33を、支持部材(又は支持体)21の一方の端部(下端部)の外周壁に形成されたネジ部23aに螺合し、最上位の押え部材28bを押圧可能な螺合部材(締結部材)32を、支持部材21の他方の端部(上端部)の内周壁に形成されたネジ溝23bに対して螺合することにより、螺合部材(締結部材)32,33の前進動によりパイプ25a,25bを締結可能である。
なお、棒状支持部材の断面形状は特に制限されず、断面円形状、断面楕円形状、断面多角形状などであってもよい。また、棒状支持部材は、少なくとも一方の端面から軸方向に延びて挿入部(貫通孔などの挿通部)に至る(又は開口する)中空部を備えていればよく、棒状支持部材の長手方向で隣接する挿入部(貫通孔など)の間には必ずしも中空部を形成する必要はない。例えば、長手方向の異なる位置に2つの挿入部が形成された棒状支持部材では、両端面から2つの中空部がそれぞれ軸方向に延びて各挿入部(貫通孔などの挿通部)に至って各挿入部で開口していてもよい。挟持部材の配置の容易性に加えて、軽量性、加工性などの観点から、棒状支持部材は、全長に亘り軸方向に延びる中空部(棒状支持部材の両端面で開口した中空部)が形成された中空部材である場合が多い。中空部の断面形状は、特に制限されず、断面円形状、楕円形状、断面多角形状などであってもよいが、通常、断面円形状である場合が多い。なお、中空部は、軸心から離れて形成してもよいが、支持部材の軸心に沿って形成する場合が多い。また、中空部の内径は、全長に亘り同じであってもよく、図4に示されるように、棒状支持部材の長さ方向において異なっていてもよい。
棒状支持部材には少なくとも1つの挿入部(貫通孔、挿通部など)を形成すればよく、棒状支持部材の長手方向(軸方向)の複数の部位(異なる部位)に複数の挿入部(貫通孔、挿通部など)を形成してもよい。複数の挿入部(貫通孔など)は、長手方向(軸方向)に互いに隣接して形成してもよく、間隔をおいて形成してもよい。例えば、複数の挿入部(貫通孔など)は、棒状支持部材の軸方向の両端部などのように、離れて形成してもよい。挿入部(貫通孔など)の数は、特に制限されず、用途に応じて、2〜5、特に2又は3程度であってもよい。
複数の挿入部(貫通孔など)が形成されている場合、少なくとも2つの挿入部(貫通孔など)は、棒状支持部材に周方向の向きを異にして形成してもよく、用途に応じて、3以上の複数の挿入部(貫通孔など)は、それぞれ周方向の向きを異にして形成してもよい。少なくとも2つの挿入部(貫通孔など)の向きは、互いに交差する方向であればよく、例えば、直交する方向(位相が90°ずれた方向)、位相が30〜60°(例えば、45°)ずれた方向に向いていてもよい。
挿入部(挿通部)は、支持部材を少なくとも貫通して形成され、前記パイプ又はロッドが配置又は挿入可能であればよく、前記のように、挿入部は、貫通孔の形態であってもよく、貫通孔から支持部材の一方の端部の端面に至って開口する挿通孔(例えば、支持部材の少なくとも一方の端部に形成された貫通孔から前記一方の端部の端面に至る切り欠き状の挿通孔)の形態であってもよい。支持部材の挿入部は、前記図1〜図3のように貫通孔単独、図4のように貫通孔と切り欠き状の挿通孔とを組み合わせて形成してもよく、前記切り欠き状の挿通孔単独で形成してもよい。前記貫通孔などの挿入部は、支持部材の軸心を通過する場合が多いものの、支持部材の軸心から外れて(例えば、軸心の側部に)形成してもよい。また、挿入部は、支持部材の長手方向(又は軸方向)に対して交差する方向に形成すればよく、直交する方向又は斜め方向に延びて形成してもよく、通常、直交する方向に形成する場合が多い。
少なくとも1つの前記挿入部(貫通孔など)は、パイプ又はロッドの向きを調整不能な形態(例えば、挿入部が、パイプ又はロッドの外径とほぼ同じ内径を有する形態)であってもよいが、パイプ又はロッドの向きを調整するため、パイプ又はロッドに対して、支持部材の軸方向及び周方向のうち少なくとも一方の方向に遊び、特に、少なくとも周方向に遊び(変位可能な空間部、支持部材の中心軸を中心として扇状に拡がった空間部又は遊び)を有していてもよく、パイプ又はロッドが少なくとも挿入部(貫通孔など)内で支持部材の周方向に向きを変位(又は回動)可能であるのが好ましい。このような挿入部の形態は、支持部材の中心軸を中心に、少なくとも周方向に拡がった形態(パイプ又はロッドの外径よりも挿入部の内径が大きく、パイプ又はロッドと挿入部との間に支持部材の周方向に遊びを有する形態;周方向に長軸が向いた長孔状(立設した支持部材では横長孔状)の挿入部の形態;支持部材の中心軸(軸線)を中心として、挿入部(挿通部)が周方向に扇状に拡がった形態など)などであってもよい。このような形態で貫通孔などの挿入部(挿通部)を形成すると、パイプ又はロッドの向き(又は角度)を調整可能であり、パイプ又はロッドを異なる方向(支持部材の周方向)に向けて連結するのに有用である。なお、パイプ又はロッドの向き(特に、支持部材に対して少なくとも周方向の向き)を調整するための前記挿入部の形態は、前記複数の挿入部のうち少なくとも1つの挿入部が有していればよく、2以上の複数の挿入部が有していてもよい。
パイプ又はロッドは、前記支持部材の挿入部(挿通部)に挿入又は配置可能であればよく、パイプ又はロッドの断面形状は、前記挿入部(挿通部)の断面形状に対応して相似形であってもよい。また、パイプ又はロッドは、前記のように、複数の挿入部のうち少なくとも1つの挿入部に、所定の方向(特に、少なくとも支持部材の周方向)に向いて遊びをもって挿入又は配置可能であってもよい。前記パイプ又はロッドは、中実又は中空の柱状又は棒状体であってもよく、パイプ又はロッドの断面形状は、円形状、異形状(楕円形状、多角形状など)であってもよい。断面円形状のパイプ又はロッドは挿入部(挿通部)で摺動しやすく連結構造の組み立て効率が高く、異形状のパイプ又はロッドは挿入部(挿通部)での回転を抑制でき、外的応力に対する耐性が高い。なお、パイプ又はロッドには、連結構造を精度よく形成するため、目盛りを付してもよく、位置決め部などを形成してもよい。
前記パイプ又はロッドの適所(例えば、少なくとも一方の端部)には、種々のユニット又は機器が取り付け可能であってもよい。このようなユニット又は機器としては、例えば、センサ(温度センサ、光センサ、湿度センサ、速度又は加速度センサ、流量センサ、撮像又はイメージセンサなど)、これらのセンサを備えたユニット(カメラ、表示ユニット(モニター)など)又はその装置(電子機器、光学機器、測定機器、検査機器など)、発光ダイオードなどの発光ユニット又は装置(照明又は発光機器など)、吹き付けユニット(エアブロー、ドライヤーなどの乾燥ユニット、水、塗料などの噴霧ユニットなど)又はその装置(スプレー装置など)などが例示できる。
前記ユニット又は機器の向きを調整するため、角度が調整可能な角度調整機構、例えば、揺動機構、回動機構、回転機構などを介して、前記ユニット又は機器を、前記パイプ又はロッドに対して取り付けてもよい。例えば、角度調整機構は、前記パイプ又はロッドの一方の端部(例えば、端面)に形成された球状の受け孔部(又は空洞部)に収容可能であり、かつこの受け孔部で回転可能な球体部と、この球体部から延び、前記ユニット又は機器が取り付け可能な取付部とで形成してもよく、前記球体部と取付部との間には、取付部の可動域を広げるため、首部が介在していてもよい。また、前記受け孔部(又は空洞部)に対して前記球体部を挟着して固定するため、パイプ又はロッドの一方の端部の軸方向に形成され、前記受け孔部(又は空洞部)に達する第1の割溝と、この第1の割溝に対して交差又は直交する方向に前記一方の端部に形成された第2の割溝と、前記第1の割溝及び第2の割溝により幅方向に伸縮可能(又は傾倒可能)に形成され、前記第1の割溝を介して対向する一対の可倒壁と、この一対の可倒壁に螺合して締結可能なネジ部材とを備えていてもよい。
前記パイプ又はロッドを固定するための固定手段(固定具)は、パイプ又はロッドを前記支持部材に締結するため、パイプ又はロッドを挟持可能な挟持部材と、この挟持部材を介してパイプ又はロッドを挟圧可能な締結部材とを備えており、挟持部材は、支持部材の中空部の形態などに応じて、前記受け部材と押え部材との一対の部材で形成する必要はない。例えば、中空部が、支持部材の全長に亘り形成されず、支持部材の一方の端面から延びて挿入部(貫通孔などの挿通部)で開口した支持部材では、パイプ又はロッドを挿入部(貫通孔などの挿通部)のうち中空部の開口部壁(例えば、挿入部としてり貫通孔の底部壁)で支持可能であるため、挟圧部材は、受け部材は必ずしも必要ではなく、押え部材で形成してもよい。挟持部材は、円盤状の形態に限らず、中空部内で移動可能なロッド状などの形態であってもよい。好ましい形態では、挟持部材は、中空部内でパイプ又はロッドを挟持可能な受け部材及び押え部材で形成できる。中空部内でパイプ又はロッドを挟持するため、挟持部材は、通常、中空部内に配設可能である。また、挟持部材は、中空部内で不動状に配置又は配設してもよく、パイプ又はロッドの向きの調整に対応して、挟持部材は、中空部内で少なくとも周方向(例えば、周方向及び中空部の軸線方向)に変位(又は回転)可能であってもよい。
挟持部材(受け部材及び/又は押え部材)には、前記湾曲凹部を形成する必要はないが、パイプ又はロッドの形状に対応して、パイプ又はロッドの少なくとも一部の周面を収容可能な凹部を形成すると、パイプ又はロッドを強固に締結できる。また、湾曲凹部に凹溝を形成する必要もないが、パイプ又はロッドの延びる方向に凹溝を形成することにより、挟圧に伴う挟持部材の厚み方向の変形を吸収してパイプ又はロッドとの密着性を向上でき、パイプ又はロッドを強固に締結できる。なお、挟持部材のうち少なくともパイプ又はロッドとの接触面には、凹凸部、格子状凹凸部、線状凹凸部などを形成してもよい。
挟持部材は、弾性変形しない材料(金属、セラミックスなど)で形成してもよいが、パイプ又はロッドとの密着性及び締結強度を向上させるため、弾性材料又は弾性体、例えば、プラスチック、エラストマー又はゴムで形成する場合が多い。挟持部材は、プラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのゴムグラフト重合体、ポリアミド系樹脂(6ナイロンなど)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルホンなどのエンジニアリングプラスチックなどで形成してもよく、エラストマー、例えば、オレフィン系又はウレタン系などの熱可塑性エラストマー、加硫ゴムで形成してもよい。
挟持部材の受け部材及び押え部材は、中空部内で積層形態で配設してもよく、隣接する部材、例えば、第1の押え部材と第2の受け部材との間には第3の部材が介在していてもよく、パイプ又はロッドと、押え部材及び/又は受け部材との間に第3の部材が介在していてもよく、最下位の受け部材の下部、最上位の押え部材の上部に第3の部材を配置してもよい。なお、前記第3の部材を、プラスチックなどの弾性材料又は弾性体で形成する場合、挟持部材(受け部材及び/又は押え部材)は、非弾性又は低弾性材料、例えば、金属、セラミックスなどで形成してもよい。
前記締結部材は、挟持部材を介してパイプ又はロッドを挟圧し、前記支持部材にパイプ又はロッドを締結可能な部材又は手段であれば特に制限されず、例えば、支持部材にバックル式に取り付けられ、前記挟持部材を押圧又は挟圧可能な押圧部を有する押圧部材やキャップ部材などであってもよい。好ましい締結部材は、支持部材に対して螺合可能な螺合部材であり、螺合部材の螺合に伴って前記挟持部材(例えば、押え部材)を押圧してもよい。前記締結部材は、支持部材の少なくとも一方の端部に対して固定可能(特に、螺合可能)な部材(例えば、支持部材の少なくとも一方の端部の内周壁又は外周壁に形成されたネジ部に対して螺合可能な螺合部材など)であってもよい。このような締結部材では、前記支持部材の内壁又は外壁に形成された螺合部に対して螺合することにより、パイプ又はロッドを挟持した状態で、前記支持部材の一方の端部側に位置する受け部材(例えば、最下位の受け部材)と、前記支持部材の他方の端部側に位置する押え部材(例えば、最上位の押え部材)とを挟圧又は締め付け可能であり、前記パイプ又はロッドを強固に連結できる。なお、積層状態において、前記支持部材の一方の端部側に位置する受け部材(例えば、最下位の受け部材)と、前記支持部材の他方の端部側に位置する押え部材(例えば、最上位の押え部材)とは、螺合部材(又は締結部材)と適当に形態で接触(点接触、線接触又は面接触)して押圧又は挟圧可能であってもよく、例えば、前記図4に示す例において、最下位の受け部材27aを支持可能な支持部は、円形台状の平坦な支持部であってもよい。
本発明は、前記部材を含むセット(連結構造を形成又は組み立てるための部材のセット)も包含する。このようなセットを利用すると、前記挿入部の形態に適合した専用のパイプ又はロッドに限らず、外径の小さなパイプ又はロッドであっても緊密に連結できる。そのため、本発明の前記セットでは、前記挿入部に挿入又は配置可能なパイプ又はロッドは必ずしも必要ではない。本発明のセットを用いると、前記挟持部材の中空部への配設、前記支持部材の挿入部へのパイプ又はロッドの挿入又は配置、締結部材による挟持部材の挟圧という簡単な操作で、簡便かつ効率よくパイプ又はロッドの連結構造を形成又は組み立てることができる。さらに、挿入部の形態により、挿入部(貫通孔など)に対するパイプ又はロッドの遊びを利用して、支持部材に対するパイプ又はロッドの周方向の向きを調整してパイプ又はロッドを連結可能である。
本発明は、種々の用途、例えば、機械装置、実験・研究装置などのフレーム、搬送ラインのガイドフレームなどのフレーム;センサ(光センサ、撮像センサなど)、センサを備えたユニット(カメラ、発光ユニットなど)、若しくは装置(電子機器、光学機器など)などが取り付け可能な取り付けアームなどを組み立てるのに利用できる。
1,21…支持部材
2a,2b,22b…貫通孔
5a,5b,25a,25b…パイプ
6a,6b,26a,26b…挟持部材
7a,7b,27a,27b…受け部材
8a,8b,28a,28b…押え部材
9a,9b,10a,10b,29a,29b,30a,30b…湾曲凹部
11a,11b,31a,31b…凹溝
12,32,33…螺合部材(締結部材)
22a…挿通部
2a,2b,22b…貫通孔
5a,5b,25a,25b…パイプ
6a,6b,26a,26b…挟持部材
7a,7b,27a,27b…受け部材
8a,8b,28a,28b…押え部材
9a,9b,10a,10b,29a,29b,30a,30b…湾曲凹部
11a,11b,31a,31b…凹溝
12,32,33…螺合部材(締結部材)
22a…挿通部
Claims (7)
- 棒状支持部材と、この棒状支持部材を少なくとも貫通して形成された少なくとも1つの挿入部と、前記支持部材の端面から軸方向に延びて、少なくとも前記挿入部に至る中空部と、この挿入部に挿入又は配置可能なパイプ又はロッドと、前記挿入部に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを固定するための固定手段とを備えた連結構造であって、前記固定手段が、前記支持部材の挿入部に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを前記中空部内で挟持可能な挟持部材と、この挟持部材を介してパイプ又はロッドを挟圧して前記支持部材に締結可能な締結部材と備えているパイプ又はロッドの連結構造。
- 棒状支持部材の長手方向の複数の部位に、周方向の向きを異にして形成された複数の挿入部と、これらの挿入部にそれぞれ挿入又は配置可能なパイプ又はロッドと、前記挿入部に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを固定するための固定手段とを備えている請求項1記載の連結構造。
- 挿入部が、貫通孔の形態、又は支持部材の少なくとも一方の端部に形成された貫通孔から前記一方の端部の端面に至る切り欠き状の挿通孔の形態を有し、少なくとも1つの挿入部が、支持部材の中心軸を中心に、少なくとも周方向に拡がった形態を有している請求項1又は2記載の連結構造。
- 固定手段が、中空部内に配設可能であり、かつパイプ又はロッドを支持可能な受け部材と、この受け部材に対向して中空部内に配設可能であり、かつ前記パイプを押圧可能な押え部材と、支持部材に対して螺合可能であり、この螺合に伴って前記押え部材を押圧して前記パイプを固定可能な締結部材とを備えている、請求項1〜3のいずれかに記載の連結構造。
- 挟持部材が、プラスチック又はエラストマーで形成され、中空部内で周方向に変位可能であり;締結部材としての螺合部材が支持部材の少なくとも一方の端部に螺合可能である請求項1〜4のいずれかに記載の連結構造。
- 支持部材が全長に亘り中空部が形成された中空部材であり;前記支持部材の少なくとも1つの挿入部に、パイプ又はロッドが、所定の方向に向いて遊びをもって挿入可能であり;前記パイプ又はロッドを挟持可能な受け部材と押え部材とが、前記中空部内で周方向に変位可能であり;前記受け部材と前記押え部材との間に前記パイプ又はロッドが介在した状態で、前記支持部材の一方の端部側に位置する受け部材と、前記支持部材の他方の端部側に位置する押え部材とを、前記支持部材の内壁又は外壁に形成された螺合部に対して螺合可能な締結部材により挟圧又は締め付け可能である請求項1〜5のいずれかに記載の連結構造。
- 少なくとも貫通して形成された少なくとも1つの挿入部と、少なくとも一方の端面から軸方向に延びて、少なくとも前記挿入部に至る中空部とを有する棒状支持部材と;前記挿入部に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを固定するための固定手段とを備え、前記パイプ又はロッドを連結するための部材のセットであって、
前記少なくとも1つの挿入部が、パイプ又はロッドが周方向に変位可能に形成され、
前記固定手段が、前記支持部材の挿入部に挿入又は配置されたパイプ又はロッドを挟持可能な挟持部材と、この挟持部材を介してパイプ又はロッドを挟圧して前記支持部材に固定可能な締結部材とを備えている、セット。
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JP2019099216A JP2020193657A (ja) | 2019-05-28 | 2019-05-28 | パイプの連結構造及びそのための部材のセット |
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2019
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