JP2020193364A - 金属フィルタ及び金属フィルタの製造方法 - Google Patents

金属フィルタ及び金属フィルタの製造方法 Download PDF

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明子 伊藤
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智規 山口
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Abstract

【課題】貫通孔の内壁でのバリの発生が抑制された金属フィルタ及びその製造方法を提供する。【解決手段】金属フィルタ1は、複数の貫通孔2が形成されためっき層、すなわち、金属シート3を備え、当該金属シートの一方面3aの表面粗さRaが100nm〜600nmとなっている。【選択図】図1

Description

本開示は、金属フィルタ及び金属フィルタの製造方法に関する。
金属フィルタの製造方法としては、フォトレジストを用いた電気鋳造めっき(電鋳めっき)が挙げられる。例えば、特許文献1には、導電性を有する基板上に第1の感光性樹脂層を形成し、メッシュパターンが形成された第1のフォトマスクを上記第1の感光性樹脂層上に重ねて露光し、現像処理をおこなって不要部分を除去し、該除去部分に上記基板を一方の電極として電鋳により厚さが上記第1の感光性樹脂層を超えないように第1のめっき層を形成し、該第1のめっき層及び上記第1の感光樹脂層の表面にスパッタリング法によって導電性の薄膜を形成し、該薄膜の表面に第2の感光性樹脂層を形成し、印刷パターンが形成された第2のフォトマスクを上記第2の感光性樹脂層上に重ねて露光し、現像処理をおこなって不要部分を除去し、該除去部分に上記薄膜を一方の電極として電鋳により厚さが上記第2の感光性樹脂層を超えないように第2のめっき層を形成した後に上記基板を剥離し、かつ上記第1の感光性樹脂層、上記第2の感光性樹脂層、及び上記薄膜の露出部分を除去する金属フィルタの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、平板からなるベースの表面上にフォトレジストを剥離可能にラミネート又は塗布する工程と、フォトレジストの上にパターンフィルムを重ね、ベースに対し垂直に直進する光でフォトレジストを露光する工程と、パターンフィルムを剥がしてフォトレジストを電鋳母型側に転写する工程と、現像、乾燥処理してパターンレジスト膜を電鋳母型の上に形成する工程と、電鋳母型のパターンレジスト膜で覆われていない表面に電着金属を形成する工程と、電着金属を電鋳母型から剥離する工程とからなる金属フィルタの製造方法が記載されている。
特許第3786313号公報 特許第3934723号公報 特許第6032207号公報
しかしながら、上述した特許文献1,2の手法では、最終的に得られる金属フィルタとなる電鋳めっき層を基板から剥離する作業を手剥がしにより実施している。このため、金属フィルタにシワ、折れ、キズ、カール等のダメージが生じる場合があった。金属フィルタにダメージが生じると、金属フィルタに設けられている貫通孔が変形し、貫通孔のサイズにばらつきが生じることが考えられる。
これに対し、例えば特許文献3に記載の金属フィルタの製造方法では、レジストパターンが形成された銅基板を金属めっきしてめっき層を形成し、銅基板を化学的溶解によって除去してめっき層及び感光性樹脂組成物の硬化物からなる構造物を得た後、構造物から感光性樹脂組成物の硬化物を除去して金属フィルタを形成している。一方、上述のような金属フィルタでは、貫通孔の形状が精度良く形成されることが好ましい。貫通孔の内壁にバリが生じている場合、貫通孔を物質が通過する際の障害となり得るため、金属フィルタの性能に影響してしまうおそれがある。
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、貫通孔の内壁でのバリの発生が抑制された金属フィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る金属フィルタは、複数の貫通孔が形成された金属シートを備え、金属シートの一方面の表面粗さRaが100nm〜600nmとなっている。
この金属フィルタでは、金属シートの一方面の表面粗さRaが600nm以下となっている。この金属シートの表面粗さRaは、金属めっきによるめっき層として金属基材を形成する際に用いられる基板(例えば銅基板)の表面粗さRaが転写されたものである。これにより、金属シートを形成する際の基板とレジストパターンとの間の密着性を十分に確保でき、金属シートを形成するめっき液が基板とレジストパターンとの間に浸み込むことを抑制できる。また、金属シートの一方面の表面粗さRaが100nm以上となっていることで、基板に対するレジストパターンの形状追従性も確保できる。したがって、基板及びレジストパターンの除去後に得られる金属フィルタにおいて、貫通孔の内壁にバリが生じることを抑制できる。
また、貫通孔は、短辺の長さが5.0μm〜15.0μmの長方形又は角丸長方形となっていてもよい。また、貫通孔の平均開口率は、0.1%〜50%となっていてもよい。これにより、金属フィルタの目詰まりを抑制でき、かつ濃縮性能を十分に確保できる。また、金属フィルタの強度も十分に保たれる。
また、本開示の一側面に係る金属フィルタの製造方法は、感光性樹脂層の形成面を有する銅基板を用意し、銅基板の形成面に感光性樹脂層を積層する積層工程と、感光性樹脂層の所定部位を活性光線で露光し、露光部分を光硬化させて感光性樹脂層の硬化物を形成する露光工程と、感光性樹脂層のうちの硬化物以外の部分を現像により除去し、銅基板に硬化物によるレジストパターンを形成する現像工程と、レジストパターンが形成された銅基板に金属めっきによるめっき層を形成し、硬化物、銅基板、及びめっき層を備えた構造物を得るめっき工程と、構造物から硬化物及び銅基板を除去し、複数の貫通孔が形成されためっき層を金属シートとして備えた金属フィルタを得る除去工程と、を備え、銅基板における感光性樹脂層の形成面の表面粗さRaが100nm〜600nmとなっている。
この金属フィルタの製造方法では、銅基板の形成面の表面粗さRaが100nm〜600nmとなっている。形成面の表面粗さRaが600nm以下となっていることで、めっき層を形成する際の銅基板とレジストパターンとの間の密着性を十分に確保でき、めっき層を形成するめっき液が銅基板とレジストパターンとの間に浸み込むことを抑制できる。また、形成面の表面粗さRaが100nm以上となっていることで、銅基板に対するレジストパターンの形状追従性も確保できる。したがって、銅基板及びレジストパターンの除去後に得られる金属フィルタにおいて、貫通孔の内壁にバリが生じることを抑制できる。
また、形成面に光沢化処理が施されたピーラブル銅箔を銅基板として用い、除去工程は、めっき層が形成されたピーラブル銅箔の銅箔層からキャリア層を剥離する剥離工程を備えていてもよい。これにより、金属フィルタの製造における銅の使用量を削減でき、銅基板の除去に要する化学的溶解剤の量及び処理時間を削減することができる。したがって、金属フィルタの生産性の向上が図られる。
また、支持基板と、支持基板よりも小さい寸法で支持基板の一面側に設けられた第1の銅箔と、第1の銅箔よりも大きい寸法で支持基板及び第1の銅箔を挟み込むように設けられた一対の第2の銅箔とを備え、第1の銅箔の外側で第2の銅箔が支持基板に対して接合され、かつ第1の銅箔と第2の銅箔とが非接合となっている積層体を銅基板として用い、除去工程は、第1の銅箔と第2の銅箔との非接合部分で積層体を切断し、めっき層が形成された第2の銅箔の一方を積層体から剥離する剥離工程を備えていてもよい。この手法によれば、剥離工程において、めっき層及びめっき層が形成された第2の銅箔へのダメージを抑制することができる。また、用いる銅箔の選択肢を広げることができる。
本開示によれば、貫通孔の内壁でのバリの発生が抑制された金属フィルタが得られる。
金属フィルタの一実施形態を示す斜視図である。 金属フィルタの製造工程の一例を示す概略的な断面図である。 図2の後続の構成を示す概略的な断面図である。 銅基板上のめっき層の形成状態を示す概略的な断面図である。 銅基板の変形例を示す概略的な断面図である。 図5に示した銅基板を用いた金属フィルタの製造工程の要部を示す概略的な断面図である。 実施例で用いためっき液の組成を示す図である。 実施例及び比較例における銅基板の条件を示す図である。 実施例及び比較例における貫通孔の形成状態を示す写真である。 実施例及び比較例における貫通孔の形成状態の拡大写真である。 金属フィルタの表面粗さと銅基板の表面粗さとの相関の測定結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る金属フィルタ及び金属フィルタの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
[金属フィルタの構成]
図1は、金属フィルタの一実施形態を示す斜視図である。この金属フィルタ1は、例えば懸濁液から特定の物質を分離するためのフィルタである。図1に示すように、金属フィルタ1は、複数の貫通孔2が形成されためっき層3を備えて構成されている。金属フィルタ1による分離の対象となる物質は、貫通孔2を通過可能か否かによって分別が可能な物質であればよい。このような物質としては、例えば細胞、組織、フレーク状の物質、粉体、粒子などの微細な物質が挙げられる。分離の対象となる物質は、貫通孔2を通過する際、単一体の形態、集合体、若しくは複合体といった各種の形態を採り得る。金属フィルタ1の平面形状には特に制限はなく、矩形状、多角形状、円形状、楕円形状といった種々の形状を採り得る。図1の例では、金属フィルタ1は、平板形状となっているが、分離の対象となる物質が貫通孔2を通過可能であればよく、平板形状に限定されるものではない。
めっき層3は、金属フィルタ1の基板部分、すなわち金属シートを構成する部分である。めっき層3の材質は、金属である。金属としては、例えば金、銀等の貴金属、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル、クロム等の卑金属、及びこれらの金属の合金が挙げられる。
金属は、単体で用いてもよく、異なる2種以上の材料を併用してもよい。金属は、他の金属との合金又は金属の酸化物であってもよい。価格や入手の容易さの観点から、ニッケル、銅、及びこれらを主成分とする金属を用いることが好ましい。ここで、主成分とは、上記めっき層3を形成する材料のうち50重量%以上を占める成分をいう。
めっき層3の一方面3aの表面粗さRaは、100nm〜600nmとなっている。めっき層3の一方面3aの表面粗さRaは、100nm〜450μmとなっていることがより好ましく、100nm〜300μmとなっていることが更に好ましい。表面粗さRaは、算術平均粗さであり、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を抽出し、抽出した区間における凹凸形状の高さを平均値で示したものである。めっき層3の一方面3aの表面粗さRzは、1μm〜6μmとしてもよい。めっき層3の一方面3aの表面粗さRzは、1μm〜4.5μmとしてもよく、1μm〜3μmとしてもよい。表面粗さRzは、最大高さであり、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を抽出し、抽出した区間で最も高い部分と最も低い部分との和によって算出される。
めっき層3の一方面3aは、後述する金属フィルタ1の製造工程で用いられる銅基板11でのめっき層3の形成面S(図2及び図3参照)と対向する面である。めっき層3の一方面3aは、銅基板11上でのめっき層3の成長の基端側となる面である。めっき層3の一方面3aの凹凸形状は、銅基板11の形成面Sの凹凸形状が転写されたものである。このため、一方面3aの表面粗さRa,Rzと形成面Sの表面粗さRa,Rzとは、実質的に同等と見做すことができる。
めっき層3の厚さは、例えば3μm〜100μmとなっている。めっき層3の厚さは、5μm〜50μmとなっていることがより好ましく、10μm〜30μmとなっていることが特に好ましい。めっき層3の厚さが3μm以上である場合、金属フィルタ1の強度を十分に確保できる。めっき層3の厚さが100μm以下である場合、材料の消費が抑えられ、場合により、加工時間が長期化することを回避できる。めっき層3の厚さが上記範囲内であれば、取り扱い性も良好なものとなる。
貫通孔2は、例えばめっき層3を構成する金属にフォトリソグラフィなどの方法を適用して形成されている。図1の例では、貫通孔2は、めっき層3にマトリクス状に整列配置されている。貫通孔2は、列毎に配置がずれた千鳥配置でもよく、任意に配置されたランダム配置であってもよい。
貫通孔2の開口形状としては、楕円、円、長方形、正方形、角丸長方形、多角形等が挙げられる。角丸長方形は、長方形の短辺側が半円状をなす形状である。開口形状としての「長方形」又は「角丸長方形」には、長辺に沿って1又は複数の折れ曲がり部を有する折れ長方形又は折れ角丸長方形も含まれ得る。金属フィルタ1が有する複数の貫通孔2は、いずれも同じ開口形状であってもよく、異なる2種類以上の開口形状を有するものであってもよい。複数の貫通孔2の大きさが互いに異なっていてもよい。
貫通孔2の大きさ、形状等は、分離対象となる物質の種類、目的、分離済み物質の用途等に基づいて適宜選択可能である。懸濁液中の物質をより効率良く捕獲する観点からは、貫通孔2の開口形状が円、長方形、又は角丸長方形であることが好ましい。金属フィルタ1の目詰まり防止の観点からは、貫通孔2の開口形状が長方形又は角丸長方形であることが好ましい。貫通孔2の開口形状を長方形又は角丸長方形とする場合、短辺の長さは、例えば5.0μm〜15.0μmとすることができる。貫通孔2の開口形状を長方形又は角丸長方形とする場合、長辺の長さは、例えば20μm〜300μm、又は20μm〜100μmとすることができる。図1の例では、貫通孔2の開口形状が角丸長方形となっている。図1の貫通孔2では、一例として、短辺が8μm、長辺が22μm、短辺側の半円の半径が4μmとなっている。
貫通孔2の平均開口率は、例えば0.1%〜50%となっている。貫通孔2の平均開口率は、0.5%〜40%となっていることがより好ましく、1%〜30%となっていることが特に好ましく、1%〜10%となっていることが最も好ましい。貫通孔2の開口率とは、金属フィルタ1の所定の領域において、当該領域の面積に対して貫通孔2が占める面積をいう。また、貫通孔2の平均開口率とは、金属フィルタ1の全体の面積に対して貫通孔2が占める面積をいう。平均開口率は、目詰まり防止の観点からは大きいほど好ましい。平均開口率が50%以下である場合には金属フィルタ1の強度の低下が抑えられ、加工容易性を担保できる。平均開口率が0.1%以上である場合、目詰まりの発生を抑制でき、金属フィルタ1の濃縮性能の低下を抑えることが可能となる。
[金属フィルタの製造方法]
次に、上述した金属フィルタ1の製造方法について説明する。図2は、金属フィルタの製造工程の一例を示す概略的な断面図である。また、図3は、その後続の工程を示す概略的な断面図である。図2及び図3では、フォトリソグラフィ法を利用し、エッチング及び電気めっきを施すことによる金属フィルタ1の製造方法を例示する。
まず、図2(A)に示すように、感光性樹脂層の形成面Sを有する銅基板11を用意する。この銅基板11は、キャリア層12上に銅箔層13が積層されたピーラブル銅箔K1である。ピーラブル銅箔K1において、銅箔層13におけるキャリア層12と反対側の面は、後続の工程で感光性樹脂層14が形成される形成面Sとなっている。形成面Sには、光沢剤を用いた光沢化処理が施されている。光沢化処理により、形成面Sの表面粗さRaは、100nm〜600nmとなっている。形成面Sの表面粗さRaは、100nm〜450nmとなっていることがより好ましく、100nm〜300nmとなっていることが更に好ましい。また、形成面Sの表面粗さRzは、1μm〜6μmとしてもよい。形成面Sの表面粗さRzは、1μm〜4.5μmとしてもよく、1μm〜3μmとしてもよい。
光沢剤としては、例えば過酸化水素水及び硫酸をベースとしたものを用いることができる。添加剤として、エチレングリコール等のグリコールエーテル類、プロパノール等のアルコール類などを含有させてもよい。エチレングリコール等のグリコールエーテル類としては、例えばエチレングリコール(1,2−エタンジオール)が挙げられる。プロパノール等のアルコール類としては、例えば1−プロパノール(1−プロピルアルコール)が挙げられる。光沢剤による処理温度は、特に限定はされないが、例えば18℃〜40℃、好ましくは20℃〜40℃である。また、光沢剤による処理時間は、光沢剤の組成、温度、表面粗さの目標値などによって設定される。処理時間は、特に限定はされないが、例えば1分〜6分、好ましくは3分〜5分である。
次に、図2(B)に示すように、銅基板11の銅箔層13上(すなわち、形成面S上)に感光性樹脂層14を積層する(積層工程)。感光性樹脂層14を形成した後、図2(C)に示すように、フォトマスク15を通して感光性樹脂層14に活性光線(UV光)を照射し、露光部分を光硬化させて感光性樹脂層14の硬化物16を形成する(露光工程)。続いて、図2(D)に示すように、感光性樹脂層14のうちの硬化物16以外の部分を現像により除去し、銅基板11上に硬化物16によるレジストパターンRを形成する(現像工程)。
次に、図3(A)に示すように、レジストパターンRが形成された銅基板11に金属めっきによるめっき層3を形成する(めっき工程)。これにより、めっき層3、銅箔層13、及び硬化物16からなる構造物17をキャリア層12上に形成する。構造物17の形成の後、構造物17から硬化物16及び銅基板11を除去する(除去工程)。除去工程は、図3(B)に示すように、ピーラブル銅箔K1の銅箔層13からキャリア層12を剥離する工程を含む(剥離工程)。除去工程は、図3(C)に示すように、構造物17から銅箔層13を化学的溶解によって除去する工程を含む(溶解工程)。除去工程では、図3(D)に示すように、銅箔層13を除去後に残っためっき層3及び硬化物16から硬化物16を除去し、図1に示した複数の貫通孔2を有する金属フィルタ1を得る。
除去工程において、構造物17からの硬化物16の除去及び銅基板11の除去は、いずれを先に実施してもよい。いずれの除去を先に実施するかについては、硬化物16の種類、銅基板11の種類、最終的に得られる金属フィルタ1の貫通孔2の大きさ等によって適宜選択できる。
以下、上記製造方法の各工程をより詳細に説明する。積層工程で用いられる銅基板11としては、形成面S側が銅であるものであれば特に制限はなく、例えば銅箔、銅箔テープ、ピーラブル銅箔などが挙げられる。銅基板11において形成面Sを有する銅部分の厚さは、例えば1μm〜100μmとすることができる。当該銅部分の厚さは、支持体を有しない銅箔であれば当該銅箔自体の厚さを指し、支持体に銅箔層を備えた銅箔テープであれば支持体を除いた銅箔層の厚さを指し、ピーラブル銅箔であればキャリア層を除いた銅箔層の厚さを指す。銅部分の厚さは、除去工程での除去時間を短縮させる観点から、例えば5μm〜50μm、好ましくは5μm〜30μmとすることができる。銅基板11としては、作業性及び取扱性の観点からは、上述したピーラブル銅箔K1を用いることが好ましい。
感光性樹脂層14を構成する樹脂組成物としては、ネガ型及びポジ型のいずれも使用可能であるが、ネガ型感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。ネガ型感光性樹脂組成物は、少なくとも、バインダー樹脂、不飽和結合を有する光重合性化合物、光重合開始剤を含むものであることが好ましい。なお、ポジ型の感光性樹脂組成物を使用する場合には、感光性樹脂層14のうち、活性光線の照射により露光された部分の現像液に対する溶解性が増大する。したがって、現像工程において、露光された部分が除去されることになる。
最終的に得られる金属フィルタ1の厚さは、感光性樹脂層14の厚さ以下となる。このため、積層工程では、目的とする金属フィルタ1の厚さに応じた膜厚の感光性樹脂層14を形成する必要がある。例えば15μm以下の厚さの金属フィルタ1を製造する場合には、膜厚15μmの感光性樹脂層14を銅基板11上に積層することが好ましい。15μmを超え、かつ20μm以下の厚さの金属フィルタ1を製造する場合には、膜厚20μmの感光性樹脂層14を銅基板11上に積層することが好ましい。また、15μmを超え、かつ25μm以下の厚さの金属フィルタ1を製造する場合には、膜厚25μmの感光性樹脂層14を銅基板11上に積層することが好ましい。貫通孔2の孔径が小さくなるほど、感光性樹脂層14の膜厚を小さくすることが好ましい。
銅基板11への感光性樹脂層14の積層には、例えば支持フィルム、感光性樹脂層14、及び保護フィルムからなるシート状の感光性エレメントを用いる。この感光性エレメントから保護フィルムを除去した後、感光性樹脂層14を加熱しながら銅基板11に圧着する。これにより、銅基板11、感光性樹脂層14、及び支持フィルムが順に積層された積層体が得られる。
積層工程は、密着性及び追従性の観点から、減圧下で行うことが好ましい。圧着の際の感光性樹脂層14及び銅基板11に対する加熱温度、圧力等の条件に特に制限はないが、例えば70℃〜130℃の温度、及び100kPa〜1000kPa程度の圧力で圧着することが好ましい。なお、感光性樹脂層14の圧着において、積層性の向上のために銅基板11を予熱処理してもよい。
露光工程では、感光性樹脂層14上に存在する支持フィルムが活性光線に対して透過性を有する場合には、支持フィルムを通して活性光線を照射すればよい。一方、感光性樹脂層14上に存在する支持フィルムが活性光線に対して遮光性を有する場合には、支持フィルムを除去した後に感光性樹脂層14に活性光線を照射すればよい。
露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。また、LDI(Laser Direct Imaging)露光法やDLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により活性光線を照射する方法を採用してもよい。
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができる。光源としては、例えばカーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザなど、紫外線或いは可視光等を有効に放射するものが挙げられる。活性光線の波長(露光波長)は、例えば350nm〜410nmであることが好ましく、390nm〜410nmであることがより好ましい。
現像工程では、感光性樹脂層14上に支持フィルムが存在している場合には、支持フィルムを除去してから感光性樹脂層14の硬化物16以外の部分の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像とがあるが、ここではウェット現像を用いればよい。
ウェット現像を用いる場合、感光性樹脂層14に対応した現像液を用いて公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられる。これらの現像方法のうち、解像性向上の観点からは、高圧スプレー方式を用いることが好適である。なお、これらの現像方法の2種以上を組み合わせて現像を行ってもよい。
現像液としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液などが挙げられる。これらの現像液の中でも、アルカリ性水溶液は、現像液として用いられる場合に安全且つ安定であり、取り扱い性が良好である。アルカリ性水溶液の塩基としては、例えばリチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等のアルカリ金属水酸化物;リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
アルカリ性水溶液としては、例えば0.1質量%〜5質量%の炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1質量%〜5質量%の炭酸カリウムの希薄溶液、0.1質量%〜5質量%の水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1質量%〜5質量%の四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液のpHは、9〜11の範囲とすることが好ましい。アルカリ性水溶液の温度は、感光性樹脂層14のアルカリ現像性に合わせて調節される。アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、及び現像を促進するための有機溶剤等を添加してもよい。
また、現像工程では、感光性樹脂層14の硬化物16からなるレジストパターンRを形成した後、必要に応じて60℃〜250℃程度の加熱、又は0.2J/cm〜10J/cm程度の追加の露光を行うことにより、レジストパターンRを更に硬化させてもよい。
めっき工程では、例えば電解めっきなどを用いて銅基板11の形成面S上にめっき層3を形成させる。ここで形成されためっき層3が最終的に得られる金属フィルタ1を構成する。また、現像工程で形成したレジストパターンRの形状により、金属フィルタ1に形成される貫通孔2の形状が定まる。
除去工程では、例えば現像に用いたアルカリ性水溶液より更に強アルカリ性の水溶液をレジスト剥離液として用いることにより、構造物17から感光性樹脂層14の硬化物16を除去する。強アルカリ性の水溶液としては、例えば1質量%〜10質量%の水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることができる。また、強アルカリ性の水溶液としては、1質量%〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることがより好ましい。硬化物16の除去方式としては、浸漬方式、スプレー方式、超音波を用いる方式等が挙げられる。これらの方式は、単独で用いてもよく、併用してもよい。
本実施形態では、キャリア層12上の構造物17又は銅基板11を除去した後の構造物17に対してレジスト剥離液によるスプレー処理を行い、構造物17から硬化物16を除去する。スプレー処理の条件は、硬化物16の種類、銅基板11の厚み等によって適宜設定できる。硬化物16を除去した構造物17に対し、レジスト剥離液を用いた超音波処理を更に行い、硬化物16の残渣を除去してもよい。この場合、スプレー処理と超音波処理とで異なる種類のレジスト剥離液を用いてもよい。
剥離工程では、めっき層3が形成された銅箔層13からキャリア層12を剥離する。銅箔層13からのキャリア層12の剥離は、例えば手作業(手剥がし)によって行われる。
溶解工程では、銅基板11(キャリア層12を剥離した後の銅箔層13)を化学的溶解により除去する。化学的溶解を用いることで、人手作業(手剥がし)によらずに、金属フィルタ1となるめっき層3を回収できる。このため、シワ、折れ、キズ、カール等のダメージ、微細な貫通孔2の変形などを生じさせることなく、金属フィルタ1を製造することができる。銅基板11を溶解する化学的溶解剤としては、例えばメックブライトSF−5420B(メック株式会社製)、銅選択エッチング液−CSS(日本化学産業株式会社製)等を用いることができる。
[本開示の作用効果]
以上説明したように、この金属フィルタの製造方法では、感光性樹脂層14の形成面Sの表面粗さRaが100nm〜600nmである銅基板11が使用されている。形成面Sの表面粗さRaが600nmを超える場合、銅基板11とレジストパターンRとの間の密着性が不足し、図4(A)に示すように、めっき層3を形成するめっき液18が銅基板11とレジストパターンRとの間に浸み込むおそれがある。このめっき液18の浸出部分18aは、レジストパターンR及び銅基板11を除去した後、金属フィルタ1の貫通孔2の内壁にバリとして残存することとなる。
これに対し、この金属フィルタの製造方法では、使用される銅基板11において感光性樹脂層14の形成面Sの表面粗さRaが600nm以下となっているため、めっき層3を形成する際の銅基板11とレジストパターンRとの間の密着性を十分に確保できる。このため、図4(B)に示すように、めっき層3を形成するめっき液18が銅基板11とレジストパターンRとの間に浸み込むことを抑制できる。また、この金属フィルタの製造方法では、銅基板11における形成面Sの表面粗さが100nm以上となっていることで、銅基板11とレジストパターンRとの間のアンカー効果が十分に奏され、銅基板11に対するレジストパターンRの形状追従性も確保できる。
金属フィルタ1では、めっき層(金属シート)3の一方面3aの表面粗さRaが600nm以下となっている。このめっき層3の表面粗さRaは、銅基板11における形成面Sの表面粗さRaが転写されたものである。これにより、めっき層3を形成する際の銅基板11とレジストパターンRとの間の密着性を十分に確保でき、めっき層3を形成するめっき液が銅基板11とレジストパターンRとの間に浸み込むことを抑制できる。また、金属フィルタ1では、めっき層3の一方面3aの表面粗さRaが100nm以上となっていることで、銅基板11に対するレジストパターンRの形状追従性も確保できる。したがって、銅基板11及びレジストパターンRの除去後に得られる金属フィルタ1において、貫通孔2の内壁にバリが生じることを抑制できる。
また、金属フィルタ1では、貫通孔2は、短辺の長さが5.0μm〜15.0μmの長方形又は角丸長方形となっている。また、貫通孔2の平均開口率は、0.1%〜50%となっている。これにより、金属フィルタ1の目詰まりを抑制でき、かつ濃縮性能を十分に確保できる。また、金属フィルタ1の強度も十分に保たれる。
本明細書において、「バリ」とは、めっき工程において銅基板11とレジストパターンRとの間に浸み込んだめっき液に起因した不定形の過剰めっき部分である。銅基板11とレジストパターンRとの間に浸み込んだめっき液中の金属イオンが電子で還元されて金属となることにより、金属フィルタ1の貫通孔2の内壁においてバリが発生する。バリが発生する場合、貫通孔2の内壁は滑らかにはならず、鋸歯状になる傾向がある。バリの形状等は、銅基板11の表面粗さやレジストパターンRとの密着具合などによって変化する。バリの大きさは、貫通孔2の形状、バリの形状によっても異なるが、一般に、貫通孔2の内部への突出高さとして捉えることができる。本明細書でのバリは、この突出高さが例えば0.5μmを超えるものを指す。バリは、例えば光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、型式:MX61L)を使用し、透過照明を用いて貫通孔2を倍率100倍で観察することよって確認することができる。
本実施形態に係る金属フィルタ1では、上記観察手法を用いて貫通孔2を観察した際に、視認可能なバリは確認できない。すなわち、金属フィルタ1では、貫通孔2の内壁が滑らかな状態となっている。この結果、金属フィルタ1では、分離の対象となる物質が貫通孔2を容易に通過することができる。また、金属フィルタ1では、分離の対象となる物質が貫通孔2を通過する際にバリによって損傷することも回避できる。
また、本実施形態では、形成面Sに光沢化処理が施されたピーラブル銅箔K1を銅基板11として用い、除去工程は、めっき層3が形成されたピーラブル銅箔K1における銅箔層13をキャリア層12から剥離する剥離工程を備えている。ピーラブル銅箔K1を用いることにより、金属フィルタ1の製造における銅の使用量を削減でき、銅基板11の除去に要する化学的溶解剤の量及び処理時間を削減することができる。したがって、金属フィルタ1の生産性の向上が図られる。
なお、本実施形態では、ピーラブル銅箔K1の形成面Sに対する光沢化処理を行っているが、光沢化処理前のピーラブル銅箔K1の形成面Sの表面粗さRaが本明細書記載の範囲を満たすものであれば、光沢化処理の実施を省略してもよい。ピーラブル銅箔K1の形成面Sの表面粗さRaが本明細書記載の範囲内であれば、光沢化処理を行わなくても、金属フィルタ1において貫通孔2の内壁にバリが生じることを抑制できる。
[銅基板の変形例]
金属フィルタの製造方法では、上述したピーラブル銅箔K1を銅基板11として用いる手法に限られず、他の構成の銅基板11を用いることもできる。図5は、銅基板の変形例を示す概略的な断面図である。同図に示す銅基板11は、高周波対応の銅張積層板K2である。図5(A)に示すように、支持基板21と、第1の銅箔22と、一対の第2の銅箔23,23とによって構成された積層体20を備えている。
支持基板21は、例えば複数層(ここでは3層)のプリプレグ24によって構成されている。第1の銅箔22は、支持基板21よりも一回り小さい寸法で支持基板21の一面側に設けられている。第2の銅箔23は、第1の銅箔22よりも大きい寸法(ここでは支持基板21と同寸法)で、支持基板21及び第1の銅箔22を挟み込むように設けられている。
積層体20は、図5(B)に示すように、支持基板21、第1の銅箔22、及び一対の第2の銅箔23を積層方向にプレスすることによって構成されている。この積層体20においては、第1の銅箔22側の面がレジストパターンR及びめっき層3の形成に用いられる面となっている。すなわち、積層体20では、第1の銅箔22側の第2の銅箔23の外側面(第1の銅箔22と反対側の面)が形成面Sとなっている。
上記実施形態と同様、形成面Sの表面粗さRaは、100nm〜600nmとなっている。形成面Sの表面粗さRaは、100nm〜450nmであることがより好ましく、100nm〜300nmであることが更に好ましい。形成面Sの表面粗さRzは、1μm〜6μmとしてもよい。形成面Sの表面粗さRzは、1μm〜4.5μmとしてもよく、1μm〜3μmとしてもよい。また、積層体20では、第2の銅箔23,23と支持基板21とが第1の銅箔22の外側で接着剤によって接合されているが、第1の銅箔22と第2の銅箔23とは非接合となっている。
銅張積層板K2において形成面Sを有する銅部分の厚さ、すなわち、第1の銅箔22側の第2の銅箔23の厚さは、例えば1μm〜100μmとすることができる。この第1の銅箔22側の第2の銅箔23の厚さは、除去工程での除去時間を短縮させる観点から、例えば5μm〜50μm、好ましくは5μm〜30μmとすることができる。なお、積層体20の反り防止の観点から、形成面Sを構成する方の第2の銅箔23の厚さと第1の銅箔22との厚さの合計が、他方の第2の銅箔23の厚さと一致若しくは略一致していることが好ましい。
このような銅基板11を用いる場合、図6(A)に示すように、めっき工程までの工程で第1の銅箔22に対応する領域にレジストパターンR及びめっき層3を形成し、その後の剥離工程において、第1の銅箔22と第2の銅箔23との非接合部分で積層体20を切断すればよい。これにより、図6(B)に示すように、レジストパターンR及びめっき層3が形成された第2の銅箔23の一方を積層体20から剥離することができる。この手法によれば、剥離工程において、めっき層3及び第2の銅箔23へのダメージを抑制することができる。また、用いる銅箔の選択肢を広げることができる。
なお、銅基板11として銅張積層板K2を用いる場合においても、硬化物16の除去及び銅基板11の除去は、いずれを先に実施してもよい。また、図5(A)の例では、積層体20が2枚の第2の銅箔23,23の間に支持基板21(3層のプリプレグ24)と1層の第1の銅箔22とを有して構成されているが、積層体20の構成はこれに限定されない。例えば、積層体20において、支持基板21の積層方向両側にそれぞれ第1の銅箔22を配置してもよい。これにより、支持基板21の表裏の銅箔厚みが均等となり、積層体20における反りの発生を防止することができる。
以下、実施例を示して、本開示を更に具体的に説明する。本開示はこれらの実施例に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
(実施例1)
250mm角の基板(MCL−E679F t0.5×250×250 N3DB、日立化成株式会社製:以下、「ピーラブル銅箔」と称する)の銅箔層上に、感光性エレメント(PHOTEC RY−5125:厚さ25μm、日立化成株式会社製)を圧着し、感光性樹脂組成物層を形成した。当該基板において、感光性樹脂組成物層が形成される銅箔層の厚さは、18μmであった。感光性エレメントの圧着は、ロール温度110℃、圧力0.4MPa、コンベア速度2.0m/分の条件で行った。
ピーラブル銅箔については、使用前に感光性樹脂組成物層の形成面に対して光沢化処理を行った。形成面の光沢化処理では、主要成分とする硫酸過水(HSO/H)にエチレングリコールを混合した保土谷化学工業株式会社製ハイブライトAを5倍に希釈したものを用い、当該希釈液にピーラブル銅箔を室温にて4分間浸漬した。浸漬後、純水洗浄を行い、ドライヤーによる乾燥を行った。形成面の表面粗さRaと表面粗さRzを測定したところ、形成面の表面粗さRaは157nm、表面粗さRzは2.47μmであった。粗さ計としては、ブルガーエイエックス社製WykoNT9100を用い、接眼レンズの倍率は、50倍とした。
次に、ガラス製のフォトマスクを上記の感光性樹脂組成物層の上に静置した。フォトマスクにおける光の透過部の形状は、角丸長方形であった。このフォトマスクでは、角丸長方形の透過部が長軸及び短軸方向にいずれも75μmのピッチで同一の方向を向いて整列した形状であった。また、角丸長方形の透過部のサイズは、短辺が8μm、長辺が92μm、開口部分の短辺側半円の半径が4μmであった。続いて、80kPa以下の真空下において、上記のフォトマスクの上側から紫外線照射装置によって露光量160mJ/cmの紫外線を照射した。
次に、0.5質量%炭酸ナトリウム水溶液で現像を行い、銅基板上に感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成した。このレジストパターンが形成された銅基板を、pHを4.5に調整したニッケルめっき液に浸し、温度55℃で約20分間めっきを行った。ニッケルめっき液の組成を図7に示す。
次に、ニッケルめっき層が形成された銅基板をレジスト剥離液(クリーンエッチR−100S、R−101、三菱ガス化学株式会社製)によって、液温約50℃、スプレー圧力0.1MPaの条件でスプレー処理し、感光性樹脂組成物の硬化物を除去した。次に、ニッケルめっき層が形成された銅箔層をピーラブル銅箔のキャリア層から手剥がしによって剥離した。続いて、ニッケルめっき層が形成された銅箔層を化学的溶解剤(メックブライトSF−5420B、メック株式会社製)に浸して40℃で約120分間攪拌し、銅箔層を溶解除去した。これにより、めっき層からなる金属シートを回収した。
最後に、回収した金属シートをレジスト剥離液(クリンスルー KS−7008B、花王株式会社製)に浸し、室温で約30分間超音波処理後、室温で10分間純粋で超音波処理することにより、感光性樹脂組成物の硬化物の残渣を除去した。これにより、実施例1にかかる金属フィルタを得た。
(実施例2)
実施例2では、ピーラブル銅箔の光沢化処理を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様とし、実施例2にかかる金属フィルタを得た。実施例2で実施した光沢化処理では、主要成分とする硫酸過水(HSO/H)にn−プロパノールを混合した三菱ガス化学株式会社製CPE770を18倍に希釈したものを用い、当該希釈液にピーラブル銅箔を室温にて2分間浸漬した。浸漬後、純水洗浄を行い、ドライヤーによる乾燥を行った。実施例1と同様に表面粗さRa及びRzを測定したところ、表面粗さRaは430nm、表面粗さRzは4.42μmであった。
(実施例3)
実施例3では、銅張積層板を銅基板として用いた。銅張積層板を構成する支持基板には、250mm角の3枚の日立化成製プリプレグGEA−75Gを用いた。第1の銅箔には、230mm角、厚さ18μmの古河電気工業株式会社製高周波用途ロープロファイル銅箔BF−AMPを用いた。形成面を構成する第2の銅箔には、250mm角、厚さ18μmの古河電気工業株式会社製高周波用途ロープロファイル銅箔BF−AMPを用い、反対側の第2の銅箔には、250mm角、厚さ35μmの一般銅箔を用いた。
積層体のプレスでは、プレス装置を20分間で130℃まで昇温し、その後130℃で30分間維持した。その後、プレス装置を175℃に昇温して2.5トールの圧力を22分間維持し、圧力解放後に175℃で40分間維持し、積層体を得た。その後、実施例1と同様に、積層体の形成面の表面粗さRa及びRzを測定したところ、表面粗さRaは203nm、表面粗さRzは2.91μmであった。
積層体の形成後、実施例1と同様、銅張積層板の表面に感光性樹脂層を形成し、フォトマスクを感光性樹脂組成物層の上に静置してパターン露光を行った。露光後、炭酸ナトリウム水溶液で現像を行い、銅張積層板上に感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成した。このレジストパターンが形成された銅張積層板を、実施例1と同様のニッケルめっき液に浸し、ニッケルめっき層を形成した。次に、ニッケルめっき層が形成された銅張積層板をレジスト剥離液(クリーンエッチR−100S、R−101、三菱ガス化学株式会社製)を用いてスプレー処理し、感光性樹脂組成物の硬化物を除去した。
感光性樹脂組成物の硬化物を除去した後、第1の銅箔と第2の銅箔との非接合部分で積層体を切断し、ニッケルめっき層が形成された第2の銅箔を積層体から剥離した。続いて、ニッケルめっき層が形成された第2の銅箔を化学的溶解剤(メックブライトSF−5420B、メック株式会社製)に浸して40℃で約120分間攪拌し、銅箔層を溶解除去した。これにより、めっき層からなる金属シートを回収した。最後に、回収した金属シートをレジスト剥離液(クリンスルー KS−7008B、花王株式会社製)に浸し、室温で約30分間超音波処理後、室温で10分間純粋で超音波処理することにより、感光性樹脂組成物の硬化物の残渣を除去した。これにより、実施例3にかかる金属フィルタを得た。
(比較例)
比較例では、実施例1と同様にピーラブル銅箔を銅基板として用いた。この比較例では、感光性樹脂組成物の形成面の光沢化処理を実施せず、形成面の表面粗さRaが607nm、表面粗さRzが6.07μmのピーラブル銅箔を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして比較例にかかる金属フィルタを得た。
(観察結果)
上記実施例1〜3及び比較例の各銅基板を用いて作製した金属フィルタの貫通孔の形成状態を観察した。実施例1〜3及び比較例における銅基板の条件については、図8に示す。貫通孔の観察は、日本電子製タングステンSEMを使用し、加速電圧を5kV〜15kV、金属フィルタの傾斜角度を0°〜30°とし、蒸着はせずに観察を行った。図9及び図10にその観察結果を示す。図9の上段は、金属フィルタの傾斜角度が0°の場合の観察結果(1200倍)であり、図9の下段は、金属フィルタの傾斜角度が30°の場合の観察結果(1200倍)である。図10は、傾斜角度30°とした場合の観察結果(7000倍)である。比較例では、貫通孔の内壁に無数のバリの発生が確認されたが(図10(A)参照)、実施例1〜3では、いずれも貫通孔の内壁でのバリの発生が抑えられていることが確認できた(実施例1又は2について図10(B)参照)。
(金属フィルタの表面粗さと銅基板の表面粗さとの相関)
実施例1〜3の製造に使用したピーラブル銅箔又は銅張積層板の感光性樹脂組成物層の形成面の表面粗さRa及び表面粗さRz(Cu表面Ra値及びCu表面Rz値)と、実施例1〜3に係る金属フィルタのニッケル表面の表面粗さRa及び表面粗さRz(Ni裏面Ra値及びNi裏面Rz値)を、実施例1と同様にそれぞれ測定した。
図11に測定結果を示す。図11では、Ra値及びRz値のそれぞれについて、Cu表面での値に対するNi裏面の値の比(Ni裏面Ra[nm]/Cu表面Ra[nm]、Ni裏面Rz[μm]/Cu表面Rz[μm])を示した。図11に示す結果から、金属フィルタの表面粗さと、金属フィルタを製造する際に使用するピーラブル銅箔又は銅張積層板の形成面の粗さとの比は、Ra値では±0.15以内、Rz値でも±0.20以内であり、強い相関を有していることが分かる。このことから、金属フィルタの表面粗さRa及び表面粗さRzは、金属フィルタの形成に用いられる銅基板の表面粗さRa及び表面粗さRzが転写されたものであることが分かる。
1…金属フィルタ、2…貫通孔、3…めっき層(金属シート)、3a…一方面、11…銅基板、12…キャリア層、13…銅箔層、14…感光性樹脂層、16…硬化物、17…構造物、20…積層体、21…支持基板、22…第1の銅箔、23…第2の銅箔、K1…ピーラブル銅箔、K2…銅張積層板、R…レジストパターン、S…形成面。

Claims (6)

  1. 複数の貫通孔が形成された金属シートを備え、
    前記金属シートの一方面の表面粗さRaが100nm〜600nmとなっている金属フィルタ。
  2. 前記貫通孔は、短辺の長さが5.0μm〜15.0μmの長方形又は角丸長方形となっている請求項1記載の金属フィルタ。
  3. 前記貫通孔の平均開口率は、0.1%〜50%となっている請求項1又は2記載の金属フィルタ。
  4. 感光性樹脂層の形成面を有する銅基板を用意し、前記銅基板の前記形成面に感光性樹脂層を積層する積層工程と、
    前記感光性樹脂層の所定部位を活性光線で露光し、露光部分を光硬化させて前記感光性樹脂層の硬化物を形成する露光工程と、
    前記感光性樹脂層のうちの前記硬化物以外の部分を現像により除去し、前記銅基板に前記硬化物によるレジストパターンを形成する現像工程と、
    前記レジストパターンが形成された前記銅基板に金属めっきによるめっき層を形成し、前記硬化物、前記銅基板、及び前記めっき層を備えた構造物を得るめっき工程と、
    前記構造物から前記硬化物及び前記銅基板を除去し、複数の貫通孔が形成された前記めっき層を金属シートとして備えた金属フィルタを得る除去工程と、を備え、
    前記銅基板における前記感光性樹脂層の前記形成面の表面粗さRaが100nm〜600nmとなっている金属フィルタの製造方法。
  5. 前記形成面に光沢化処理が施されたピーラブル銅箔を前記銅基板として用い、
    前記除去工程は、前記めっき層が形成された前記ピーラブル銅箔の銅箔層からキャリア層を剥離する剥離工程を備える請求項4記載の金属フィルタの製造方法。
  6. 支持基板と、前記支持基板よりも小さい寸法で前記支持基板の一面側に設けられた第1の銅箔と、前記第1の銅箔よりも大きい寸法で前記支持基板及び前記第1の銅箔を挟み込むように設けられた一対の第2の銅箔とを備え、前記第1の銅箔の外側で前記第2の銅箔が前記支持基板に対して接合され、かつ前記第1の銅箔と前記第2の銅箔とが非接合となっている積層体を前記銅基板として用い、
    前記除去工程は、前記第1の銅箔と前記第2の銅箔との非接合部分で前記積層体を切断し、前記めっき層が形成された前記第2の銅箔の一方を前記積層体から剥離する剥離工程を備える請求項4記載の金属フィルタの製造方法。
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