JP2020192240A - 吸収性物品 - Google Patents

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Hidenori Ogawa
秀憲 小川
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Abstract

【課題】多量の高吸収性ポリマー粒子を担持しつつ、薄く、ゲルブロックや吸収速度の低下が少なく、柔らかさや肌ざわりが良好で、安価な吸収性物品を提供することを目的とする。【解決手段】液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された上下2層の吸収体とを有する吸収性物品であって、上層吸収体は吸収性物品の幅方向中央を境に左右対称の2つの吸収体片を有し、2つの吸収体片は幅方向に所定の間隔を空けて配置されており、かつ、それぞれの吸収体片の全体は多角形の規則的なパターンでキャリアシートが熱融着されることによって分割された小区画を有している、吸収性物品を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、インナーパッド型の吸収性物品に関する。
テープ型紙おむつなどと併用するインナーパッドは、近年の介護職の人手不足から、交換回数を減らす目的でより吸収量の大きいものが求められているとともに、着用者が不快に感じないようにリウェットが良好なものが求められている。
このような要望に応えるために、使い捨て紙おむつの吸収体として汎用されているフラッフパルプと高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、SAPとも称する)粒子の内、高吸収性ポリマー粒子の使用量を増やす方法が考えられる。しかし、一定体積のフラッフパルプが繊維間の内部に担持できる高吸収性ポリマー粒子の量には上限があるため、ある程度以上の高吸収性ポリマー粒子を吸収体内部に持たせる場合には、フラッフパルプの使用量を増加させることとなる。その結果として、吸収体の厚さは厚くなり、結果として吸収性物品の厚みも増大するという欠点があった。
この問題を避けるため、吸収体を薄く維持した状態で、かつ、多量の高吸収性ポリマー粒子を吸収体内部に担持させる方法として、液透過性の不織布シートなどが用いられている。不織布の片側の表面又は複数枚の不織布の間に接着剤又は熱融着手段により高吸収性ポリマー粒子を担持させ、吸収体の一部又は全部として用いる各種方法が提案されている。
例えば、特許文献1に記載された技術のように、高吸収性ポリマー粒子の配置を工夫する提案が多くなされている。しかしながら、この薄型吸収体は、高吸収性ポリマー粒子が高密度で、肌に接する側の紙おむつ表面に近い部分に配置されると、ゲルブロックを起こし、吸収速度の低下を招くという吸収性能上の欠点があった。また、不織布上に接着剤で高吸収性ポリマー粒子を担持できる量に限界があることと、接着剤の量が多くなることでシートが硬くなり、着用感が悪くなる問題もあった。また、接着剤が親水性でないために吸収性能を低下させる原因となる問題もあった。
また、薄型吸収体として、特許文献2に記載のように、片方の不織布で立体的な小さな区画を形成しつつ高吸収性ポリマー粒子をつめ、もう一方の不織布シートと貼合する方法が提案されており、これにより多くの高吸収性ポリマー粒子を保持でき、薄型でありながら吸収性能を向上できる提案がなされている。しかしながら、この方法では薄型吸収体は、区画内は高吸収性ポリマー粒子単独であるため、高吸収性ポリマー粒子が体液を吸収する前は粒子のざらつきを着用者に感じさせ、吸収性物品の真ん中だけ部分的に体液を吸収した後は、吸収性物品を介護者が交換のため抜き取るようなとき、着用者の肌に粒子がこすれて痛みを感じる恐れもあり、肌触り上の欠点があった。
特開2004−329664号公報 特開2017−189644号公報
従来の不織布と高吸収性ポリマー粒子から構成される薄型吸収体は略矩形であるため、この形状のまま吸収体に用いた場合、脚周りの装着感が悪いという欠点があった。これを解消する方法として、矩形に形成された吸収体を足回り部分の一部をカット除去し、足回りの部分を細くした砂時計型に変形加工する方法が広く知られているが、これらの方法ではカットして取り除く部分を除去及び廃棄する必要があり、このカット部分には高価な高吸収性ポリマー粒子が存在するため、製造コスト的にロスが大きいという経済的問題が残っていた。また、吸収速度の低下を防ぐために薄型吸収体にスリットを設ける場合も、同様にカットして除去し、廃棄しなければならず、吸収体の製造を低コスト化しにくいという問題があった。
そこで、本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、多量の高吸収性ポリマー粒子を担持しつつ、薄く、ゲルブロックや吸収速度の低下が少なく、柔らかさや肌ざわりが良好で、安価な吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、上下2層の吸収体からなる吸収性物品において、上層吸収体の構成をアセテートトウと高吸収性ポリマー粒子、下層吸収体の構成をパルプと高吸収性ポリマー粒子とし、上層吸収体の全体を多角形の規則的なパターンで熱融着することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された上下2層の吸収体とを有する吸収性物品であって、上層吸収体は、アセテートトウ、高吸収性ポリマー粒子及び熱可塑性不織布のキャリアシートからなり、下層吸収体は、パルプ及び高吸収性ポリマー粒子からなり、前記吸収性物品とほぼ同じ形状であり、前記上層吸収体は、前記吸収性物品の幅方向中央を境に左右対称の2つの吸収体片を有し、2つの吸収体片は幅方向に所定の間隔を空けて配置されており、かつ、それぞれの吸収体片の全体は多角形の規則的なパターンでキャリアシートが熱融着されることによって分割された小区画を有していることを特徴とする、吸収性物品である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、前記上層吸収体が、高吸収性ポリマー粒子をアセテートトウに固定するための接着剤を使用していないことを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の吸収性物品であって、前記パターンに区切った熱融着部分の線幅が、3mm以上10mm以下であることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記パターンに区切った熱融着部分の線が、部分的に開孔されていることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記2つの吸収体片における幅方向の間隔が、10mm以上30mm以下であることを特徴とするものである。
よって、本発明によれば、多量の高吸収性ポリマー粒子を担持しつつ、薄く、ゲルブロックや吸収速度の低下が少なく、柔らかさや肌ざわりが良好で、安価な吸収性物品を提供することができる。
本発明の吸収性物品を身体側表面からみた平面図である。 図1における直線X−X’の断面図である。 本発明の吸収性物品の、上層吸収体の熱融着における多角形のパターンを示す拡大図である。 図3の多角形のパターンの詳細を示す図である。 図3における直線Y−Y’の断面図である。 本発明の吸収性物品の上層吸収体の形成工程を示す図である。 本発明の吸収性物品の上層吸収体の形成工程を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る、吸収性物品1について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
本明細書の説明において、長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中Yで示す方向である。また、幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中Xで示す方向である。また、本明細書において、身体側表面とは、吸収性物品1の着用時に着用者の肌に当接する表面又は吸収性物品1の着用時に着用者の肌に当接する側の表面を指し、衣類側表面とは、身体側表面に対して反対側の面であり、吸収性物品1の着用時に着用者の衣類に接触する表面又は吸収性物品1の着用時に着用者の衣類に接触する側の表面を指す。また、本発明の実施形態に係る吸収性物品1は、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等の吸収性物品1であってもよい。
<吸収性物品>
図1は、本発明の吸収性物品1を身体側表面からみた平面図であり、図2は図1における直線X−X’の断面図である。図1に示すように、吸収性物品1は砂時計型の形状であり、長手方向の寸法L1は350mm以上800mm以下であることが好ましく、前側の凸部の幅方向の寸法W1は160mm以上360mm以下であることが好ましく、中央部の凹部の幅方向の寸法W2は100mm以上250mm以下であることが好ましく、後側の凸部の幅方向の寸法W3は200mm以上400mm以下であることが好ましい。吸収性物品1の寸法を上記の範囲に調整することにより、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等に適した吸収性物品1を得ることができる。
また、図2に示すように、吸収性物品1は、身体側表面に配置された液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向し、衣類側表面に配置された液不透過性のバックシート20と、トップシート10及びバックシート20の間に配置された上下2層の吸収体と、を備える。これにより、上下2層の吸収体、すなわち上層吸収体30及び下層吸収体31は、トップシート10とバックシート20との間に挟まれた構造となっている。なお、トップシート10とバックシート20は、接着剤や熱融着等により、それぞれが接着されていてもよい。
[トップシート]
本発明の実施形態に係る吸収性物品1に用いられるトップシート10は、上層吸収体30及び下層吸収体31に向けて体液を速やかに通過させるものであり、上層吸収体30及び下層吸収体31を挟んで、バックシート20に対向して配置される。トップシート10は、肌と当接するシートとなることから、やわらかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する親水性不織布であることが好ましい。親水性不織布としては、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いた、エアスルー不織布等のサーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等を用いることができ、通気性及び着用時の肌触りの観点から、親水性エアスルー不織布等のサーマルボンド不織布又はスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
トップシート10の坪量は、加工性及び強度の点から、18g/m以上40g/m以下であることが好ましい。また、トップシート10には、肌への刺激を低減させるために、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を適用してもよい。
[バックシート]
本発明の実施形態に係る吸収性物品1に用いられるバックシート20は、液不透過性を有するシート材であり、上層吸収体30及び下層吸収体31を挟んで、トップシート10に対向して配置される。バックシート20は、ポリエチレンシートやポリエチレンラミネート不織布等の厚みの薄いプラスチックシートを用いたシート材を用いることができる。なお、ムレ防止のために透湿性を有していてもよい。
また、バックシート20の坪量は、加工性及び強度の点から、15g/m以上40g/m以下であることが好ましい。
[吸収体]
本発明の実施形態に係る吸収性物品1において、吸収性物品1に用いられる吸収体は、幅方向中央を境に、左右対称の2つの吸収体片を有する上層吸収体30と、吸収性物品1とほぼ同じ形状である、砂時計型の下層吸収体31の2種類の吸収体からなる。
上層吸収体30の2つの吸収体片はそれぞれ、長手方向の寸法は300mm以上750mm以下であることが好ましく、前側及び後側の凸部の幅方向の寸法は60mm以上150mm以下であることが好ましく、中央部の凹部の幅方向の寸法は30mm以上100mm以下であることが好ましい。また、下層吸収体31の長手方向の寸法は300mm以上750mm以下であることが好ましく、前側の凸部の幅方向の寸法は110mm以上310mm以下であることが好ましく、中央部の凹部の幅方向の寸法は50mm以上200mm以下であることが好ましく、後側の凸部の幅方向の寸法は150mm以上350mm以下であることが好ましい。
上層吸収体30及び下層吸収体31は、基材としての吸収性繊維と、SAP粒子とを含有するが、上層吸収体30は吸収性繊維としてアセテートトウを含み、下層吸収体31は吸収性繊維としてパルプを含む。アセテートトウはセルロースの水酸基の置換度が約2.5の酢酸セルロースを原料とした、ジアセテート繊維の繊維束であり、本発明で用いるアセテートトウはタバコ用フィルターで用いられるものと同じものが使用できる。また、吸収性物品1の柔らかさや肌ざわりを良好なものとするために、上層吸収体30は、アセテートトウへSAP粒子を固定するための接着剤を使用していないことが好ましい。
下層吸収体31に用いるパルプとしては、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N−BKP)等)、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。上層吸収体30及び下層吸収体31のそれぞれの吸収性能及び肌触りを損なわないよう、上層吸収体30の吸収性繊維は180g/m以上500g/m以下の坪量とすることが好ましく、下層吸収体31の吸収性繊維は180g/m以上375g/m以下の坪量とすることが好ましい。
上層吸収体30及び下層吸収体31に用いるSAP粒子としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、質量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系共重合体が好ましい。上層吸収体30及び下層吸収体31のそれぞれの吸収性能及び肌触りを損なわないよう、上層吸収体30のSAP量は100g/m以上400g/m以下の坪量とすることが好ましく、150質量%以上300質量%以下の含有量とすることが好ましい。また、下層吸収体31のSAP量は70g/m以上125g/m以下の坪量とすることが好ましく、80質量%以上100質量%以下の含有量とすることが好ましい。
上層吸収体30及び下層吸収体31において、吸収性繊維及びSAP粒子の形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したマットの形態であることが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や形状の安定化の目的から、上層吸収体30はキャリアシート50に包まれている。下層吸収体31についても、製造工程での搬送とSAP粒子の漏洩防止を目的にキャリアシート51を用い、好ましくは図2に示すようにバックシート20との間に配置される。
キャリアシート50の基材は、熱可塑性不織布であれば特に制限はないが、目付は25g/m以上であることが好ましい。キャリアシート50の目付が25g/mより少ないと、樹脂量が少なくなり、融着したときの強度が十分得られない。キャリアシート51の基材としては、液透過性を持つものであれば特に制限はなく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の液透過性不織布を挙げることができる。キャリアシート50及びキャリアシート51において、それぞれの基材は同一のものであっても異なるものであってもよく、キャリアシート50で上層吸収体30を包む際の包み方は特に限定されるものではない。
なお、上層吸収体30の坪量は、180g/m以上500g/m以下であることが好ましく、下層吸収体31の坪量は、180g/m以上375g/m以下であることが好ましい。上層吸収体30及び下層吸収体31の坪量をそれぞれ上記の範囲内にすることにより、吸収性に優れ、体液の漏れを効果的に防止することができる吸収性物品1となる。
また、上層吸収体30の2つの吸収体片は幅方向に所定の間隔Lを空けて配置される。このとき、間隔Lは10mm以上30mm以下であることが好ましく、15mm以上25mm以下であることがより好ましい。間隔Lを空けて2つの吸収体片を配置することにより、下層吸収体31へ直接、体液を送り込むことができるスリット部を持つ吸収性物品1が得られる。
上層吸収体30の各吸収体片の全体は、多角形の規則的なパターンでキャリアシート50が熱融着されることによって分割された小区画を有している。図3は、上層吸収体30の全体に施す熱融着部60の多角形の規則的なパターンの拡大図である。また、図7は上層吸収体30の形成工程を示す断面図である。
吸収性物品においては、長繊維であるアセテートトウを立体的に開繊することで、接着剤なしでもSAP粒子を担持できる。しかし、詳しい原因は分かっていないが、加工直後はSAP粒子の移動や脱落は少ないが、経時でSAP粒子が動きやすくなる。この傾向はSAP粒子の添加量を多くするほどみられる。図7(a)及び図7(b)に示すように、本発明の吸収性物品1では、まずアセテートトウ、SAP粒子をキャリアシート50で包んで吸収体コア301を形成し、それを図3に示す熱融着部60の多角形の規則的なパターンで区切られた区画に分割する。そのため、SAP粒子の移動は図3に示すパターンの区画内でのみおこる。
図5は、図3の直線Y−Y’の断面図を示している。図5(a)に示すように、上層吸収体30を形成した直後はアセテートトウ302とSAP粒子303が均一に分散しているが、経時で図5(b)のようにSAP粒子303の分布が下方に偏っていく。しかし、上層吸収体30の全体を熱融着部60の多角形の規則的なパターンで分割することにより、水平方向への移動は制限される。また、SAP粒子303が下方に偏ることで、上方のSAP粒子303の分布が少ない領域はポーラスな繊維層となり、上層吸収体30への体液の取り込みや、水平方向への体液の広がりを助ける。さらに、図2及び図7(c)に示すように、熱融着部60が上層吸収体30の全体に施されているため、トップシート10の下での体液が水平方向に拡散するための通液路となり、吸収速度を改善する助けとなる。
図3に示すパターンの各区画は、嵩高い繊維であるアセテートトウを熱融着によりキャリアシート50と接着しているので、図5(a)や図7(b)で示した断面のように、クッション性のある凹凸になっている。もともと上層吸収体30は、SAP粒子が高配合であるためドライ感があるが、この凹凸により吸収性物品1の着用者の身体への接触面積が少なくなるとともに、体液を吸収したあとの通液路は蒸気の通路となり蒸れを低減させる。そのため、吸収性物品1のドライ感が更に高まり、肌ざわりを良好なものとすることができる。
図4は、図3の多角形のパターンの詳細を示す図である。多角形のパターンの各区画のそれぞれの寸法は、短辺P1は0mm以上50mm以下であることが好ましく、長辺P2は25mm以上60mm以下であることが好ましく、高さP3は20mm以上60mm以下であることが好ましい。
また、多角形のパターンにおいて、熱融着部60の線幅P4は3mm以上10mm以下であることが好ましい。P4が3mm未満である場合、アセテートトウに担持させているSAP粒子の部分では局所的に熱融着が弱くなっているため、上層吸収体30の全体の融着強度が相対的に弱くなり、熱融着が剥がれやすくなってしまう。融着パターンの形状や大きさ、区画の形状や大きさにもよるが、P4が10mmを超える場合、アセテートトウが膨らみクッションのような状態になる面積が小さくなりすぎて、吸収性物品1の柔らかさや肌ざわりに劣る。
また、図3に示すように、上層吸収体30の熱融着部60は部分的に開孔されている、すなわち熱融着部60の線上に規則的に開孔部70が設けられることが好ましい。本発明の吸収性物品1ではこの熱融着部60の線上に、規則的に開孔部70を設けることにより、上層吸収体30の2つの吸収体片の間隔Lと共に、下層吸収体31への体液の通過を助け、結果として吸収速度を良好なものとすることができる。このとき、開孔部70の幅方向の寸法は1mm以上2mm以下であることが好ましく、長手方向の寸法は2mm以上6mm以下であることが好ましく、開孔部70同士の間隔は4mm以上30mm以下であることが好ましい。開孔部70の寸法及び間隔を上記の範囲内とすることにより、上層吸収体30の熱融着部60の融着強度を維持しつつ、下層吸収体31への体液の通過を助け、結果として吸収速度を良好なものとすることができる。
なお、図3に示すように、熱融着部60の長手方向の線上にのみ開孔部70を設ける場合が、幅方向又は斜め方向の線上に開孔部70を設ける場合よりも、比較的簡単に開孔部70を設ける位置を決めることができることから好ましいが、幅方向や斜め方向の線上に開孔部70を設けても構わない。
[立体ギャザー]
本発明の実施形態に係る吸収性物品1の身体側表面には、使用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、吸収性物品1の長手方向に沿って、立体ギャザー用弾性部材と立体ギャザーシートを有する一対の立体ギャザー40を備えていてもよい。立体ギャザー40は、吸収性物品1の幅方向端部(固定端)において、バックシート20に固定されており、自由端側は、端部にて二つ折りにされていることが好ましい。そして、立体ギャザー用弾性部材は、二つ折りにされた自由端側の立体ギャザーシートに挟持されていることが好ましい。これにより、立体ギャザー40が起立性を有し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとすることができる。
立体ギャザー用弾性部材としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、合成ゴム、糸状又は帯状の天然ゴム等を用いることができ、糸状、紐状、平型形状のものを適宜用いることができる。また、立体ギャザーシートとしては、疎水性繊維にて形成された撥水性又は不透液性の不織布、例えば、スパンボンド不織布やメルトブローン不織布、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布等が使用される。また、立体ギャザーシートの坪量は、10g/m以上25g/m以下であることが好ましい。
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品1の製造方法としては、以下のような工程を含む。
まず、図7(a)に示すように、アセテートトウをエアーによって開繊するとともに、SAP粒子を担持させて吸収体コア301を形成した後、水透過性かつ熱可塑性の不織布であるキャリアシート50で吸収体コア301の全体を包むことで、一本の連続した吸収体32を形成する。
そして、図6(a)及び図7(b)に示すように、一本の連続した吸収体32の全体を、多角形の規則的なパターンで融着する。
次に、図6(b)及び図7(c)に示すように、長手方向に等間隔で交互に、幅方向中心から左右に蛇行するように一本の連続した吸収体32を切断し、切り離された吸収体は幅方向に対峙する一対の連続した吸収体33となる。
そして、図6(b)に示すように、切り離された一対の連続した吸収体33は、凹凸形状の切断部が互いに幅方向内側を向いて形成されているが、次に一対の連続した吸収体33の切断部が図6(c)に示すようにそれぞれ幅方向外側に向くように方向調整する。このとき、方向調整としては、切り離された一対の連続した吸収体33を、それぞれ図6(b)の矢印で示す方向Rに、すなわちそれぞれ幅方向外側に反転させる工程を含むことが好ましい。
次に、方向調整した一対の連続した吸収体33の、凹凸形状の位置を長手方向に位相調整し、図6(d)に示すように、凸同士、凹同士が長手方向で同位相に揃うように位相を合わせる。
そして、位相調整した一対の連続した吸収体33を、それぞれの外向き凸部において、長手方向に略直角方向に一定の間隔で設けた直線で分離することにより、図6(e)で示すような、幅方向中央を境に、左右対称の2つの吸収体片を有する上層吸収体30を得る。
最後に、バックシート20上に積層された下層吸収体31の上に、上述の最終成形工程で得られた左右一対の上層吸収体30を積層し、立体ギャザー40とトップシート10とを積層することにより、吸収性物品1を形成する。
また、このときに上述のように、上層吸収体30の2つの吸収体片を、間隔Lを空けて配置することにより、下層吸収体31へ直接、体液を送り込むことができるスリット部を持つ吸収性物品1が得られる。
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[上層吸収体の作成]
上層吸収体の作成は以下の方法で行った。最初に、SAP粒子を担持したアセテートトウを作成した。作成方法は特開2018−59239号公報で開示された方法で行った。具体的には、開繊前57g/m、幅110mmのアセテートトウを2台の拡幅装置で幅方向にトウを広げたのち、2台のロール対を通した。このとき、下流側のロール対の周速を上流側より早くすることで、捲縮状態にあるアセテートトウが引き伸ばされ予備開繊される。これにSAP粒子を添加すると同時に、アセテートトウ搬送方向に流れる高圧エアー(ジェット)で更に開繊し、幅約120mm、厚み約30mmの棒状のSAP粒子を担持したアセテートトウ成形物の連続体(吸収体コア)を作製した。なお、SAP粒子の添加量はアセテートトウ2.5gに対し10gになるように調整した。これを幅270mmの熱可塑性繊維からなる不織布であるキャリアシートの略中央に載せ、キャリアシートを両端から折りたたみつつプレスすることにより、図7(a)で示すようにキャリアシートで吸収体コアの全体を包んだ。これを図6(a)に示すように、熱融着により多角形の規則的なパターンで小さな区画に分割した。なお、不織布は目付が30g/mのエアスルー不織布を用いた。
[上層吸収体の融着、分割、位置合わせ]
多角形の規則的なパターンとしては、短辺P1が7.5mm、長辺P2が35mm、高さP3が20mmの四角形を図3及び図4のように組み合わせた。また、熱融着部分の線幅P4は6mmとした。
この区画に区切った熱融着の線に沿って、一本の連続した吸収体を分割し、一対の連続した吸収体とした。このとき、長手方向に等間隔で交互に、幅方向中心から左右に蛇行するように分割した。本実施例では一組の短辺と長辺の組み合わせを長手方向に4組と、その両端に短辺を合わせた長さ、185mmごとに傾斜部を介して左右を変更した。一対の連続した吸収体の左右を入れ替え、片側の長手方向の位置調整を行ったのち、2つの吸収体が15mm間隔の幅を空けて配置されるようにした。一対の連続した吸収体を長手方向が前側50mm、中央部185mm、後側135mmで、全長425mmになるようにカットして、上層吸収体を成形した後に、下層吸収体の上に配置した。
(下層吸収体の作成)
開繊したフラッフパルプ26gとSAP粒子10gから通常の方法により、長さ540mm幅、前側の最大幅220mm、股部180mm、後側の最大幅260mmの砂時計型の下層吸収体を作成し、坪量16g/m、幅180mmのティシュに載せて搬送し、上述の上層吸収体を載せる工程に進めた。
(吸収性物品完成品の作成)
バックシートとして、通気性の幅320mmのポリエチレンフィルム(18g/m)を配置した上に、下層、上層それぞれの吸収体を設置し、その上にあらかじめ両サイドに立体ギャザーを設けたトップシートを重ね、長手方向の寸法630mm、幅方向の寸法がそれぞれ前側280mm、中央部238mm、後側320mm、厚さ4mmの砂時計型の吸収性物品を得た。なお、各層の接着はホットメルト接着剤を使用した。
(吸収性能の確認)
得られた吸収性物品をテープ止めタイプのアウター吸収性物品(アクティ パッド併用テープ止めタイプM−Lサイズ、厚さ6mm)を使用して、仰臥位の紙おむつ・サニタリー用品評価用ダミー人形に着用させた。青の食用色素で着色した150mlの生理食塩水を10分間隔で5回繰り返して注いだ。ダミー人形は透明の樹脂でできていることから、吸水性物品の表面側の水の流れが観察できる。
SAP粒子の含有量が同程度の市販の吸収性物品(アクティ ワイドパッド1000、日本製紙クレシア株式会社製)についても同様のテストを行った。実施例1の吸収性物品は2回目までの注水では、生理食塩水はトップシート上にほとんど滞留することがなく、着色の具合から、排尿部から尻側まで広い範囲で吸水されていた。トップシートから内部に入り熱融着でできた溝を伝わって拡散したものと考えられる。また、主に上層吸収体とその周りが着色していたことから、おもに上層吸収体を中心に吸水したと考えられる。3回目以降は若干、液が表面にある状態が見えるものの、ポンプによる送液が終わると共に5秒ほどで表面から液は消えた。5回目の注水後10分経過した後におむつを取り外し、本発明品の表面を手で触りドライ感を確かめたところ、ウェット感は感じられず、トップシート下に凹凸があることが感じられた。また手で軽く押しても液が戻ることがなかった。
一方、市販品は2回目あたりから股間に液だまりができ、ゆっくりと液が吸収されていった。また、5回目の注水後におむつを取り外し、市販品の表面を手で触りドライ感を確かめたところ、少し手が湿るようなウェット感があった。また、手で押したところ、排尿口近くにあたっていた部分では、少し液の戻りがあった。
上述のテストを行った後の実施例1の吸収性物品を、何カ所か幅方向にはさみでカットし縦方向の吸水状態を確認したところ、排尿口より前側10cmから後側にかけて着色されていたが、股間のあたりはほとんどが上層吸収体のみ着色されており、下層吸収体はほとんど着色されていなかった。これは上層吸収体を、間隔をあけて配置したものの、股間では脚の間隔に収まるように吸収体が折り曲げつつ寄せられてこの間隔が詰まり、下層吸収体への液の流れ道が塞がれているからである。さらに、上層吸収体が寄せられて発生した縦しわと上層吸収体がもつ熱融着でできた溝が液の流れ道となることと、上層吸収体内部の身体側でSAPが少なく、ポーラスなことによって面方向への液の流れの方が強く、上層吸収体の中央の隙間から下層への液の移動が起こりにくいためと考えられる。股間より後ろ側では、下層吸収体も十分吸水されていた。
<実施例2>
区画に区切るための熱融着を行ったあとに、長手方向の融着ラインに、長手方向に長細い、幅方向の寸法1.5mm、長手方向の寸法5mmの開孔部を、15mm間隔で設けた以外は、実施例1と同様の工程で吸収性物品を作成した。
実施例1と同様にして、仰臥位の紙おむつ・サニタリー用品評価用ダミー人形に着用させて、5回注水した。トップシート側からの吸水の様子及び5回吸水後のドライ感は実施例1と同様であったが、股間での下層吸収体の吸水量が増加していたことから、実施例1よりも吸収体を有効に利用できていたことが分かった。
以上より、本発明によれば、多量のSAP粒子を担持しつつ、薄く、ゲルブロックや吸収速度の低下が少なく、柔らかさや肌ざわりが良好で、安価な吸収性物品を提供することができる。
1 吸収性物品
10 トップシート
20 バックシート
30、31、32、33 吸収体
40 立体ギャザー
50、51 キャリアシート
60 熱融着部
70 開孔部
301 吸収体コア
302 アセテートトウ
303 SAP粒子

Claims (5)

  1. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された上下2層の吸収体とを有する吸収性物品であって、
    上層吸収体は、アセテートトウ、高吸収性ポリマー粒子及び熱可塑性不織布のキャリアシートからなり、
    下層吸収体は、パルプ及び高吸収性ポリマー粒子からなり、前記吸収性物品とほぼ同じ形状であり、
    前記上層吸収体は、前記吸収性物品の幅方向中央を境に左右対称の2つの吸収体片を有し、2つの吸収体片は幅方向に所定の間隔を空けて配置されており、かつ、それぞれの吸収体片の全体は多角形の規則的なパターンでキャリアシートが熱融着されることによって分割された小区画を有していることを特徴とする、吸収性物品。
  2. 前記上層吸収体が、高吸収性ポリマー粒子をアセテートトウに固定するための接着剤を使用していないことを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記パターンに区切った熱融着部分の線幅が、3mm以上10mm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記パターンに区切った熱融着部分の線が、部分的に開孔されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記2つの吸収体片における幅方向の間隔が、10mm以上30mm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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