JP2020190690A - 像ぶれ補正装置、像ぶれ補正方法、及び像ぶれ補正プログラム - Google Patents

像ぶれ補正装置、像ぶれ補正方法、及び像ぶれ補正プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】手ぶれ補正性能を向上させる。【解決手段】像ぶれ補正装置は、被写体像を結像面に結像する光学系と、結像面を有する装置の加速度を検出する加速度センサと、加速度を用いて第1の状態量を算出する第1の算出回路と、第1の状態量とモデルとを用いて、第1の状態量の真値を推定した推定値を第2の状態量として算出する第2の算出回路と、第2の状態量を用いて結像面での像ぶれ量を算出する第3の算出回路と、モデルを記録するメモリと、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、撮像装置の平行移動に依り生じる像ぶれを補正する像ぶれ補正装置、像ぶれ補正方法、及び像ぶれ補正プログラムに関する。
近年、デジタルカメラ等の撮像装置が備える手ぶれ補正機能の進歩に依って、撮像装置の回転運動に依り生じる像ぶれ(「角度ぶれ」とも言う)に関しては高い精度で補正することができる。
一方、マクロ撮影時の手ぶれは、撮像装置の並進運動に依り生じる像ぶれ(「並進ぶれ」、「平行ぶれ」、又は「シフトぶれ」とも言う)の影響が大きくなる為、角度ぶれの補正だけでは補正が不十分で、画質劣化を生じるケースがある。
こうしたことから、撮像装置の並進運動の加速度を検出するセンサと、撮像装置の回転運動の角速度を検出するセンサとを備えて、検出した加速度及び角速度、又は、検出した加速度から、並進ぶれのぶれ量を算出して像ぶれを補正する、といった処理を行う補正装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平7−225405号公報
特許文献1の補正装置では、2回の積分に依り並進移動量を求める過程で、センサの温度ドリフト、重力変動、オフセット誤差等の誤差が積算され、時間経過に伴い誤差が増加してしまう。そこで、誤差除去のためのバンドパスフィルタが用いられるが、誤差の周波数帯域(1Hz以下)と手ぶれの周波数帯域(1〜10Hz)が近いために、検出した手ぶれ成分のゲイン低下や位相変動に依る特性損失が避けられず、高精度な手ぶれ補正が行えない原因となっている。
本発明は、上記実状に鑑み、フィルタリング処理に依る手ぶれ成分の特性損失に着目したものであり、人の並進手ぶれ特性そのものをモデル化し、モデルに依る推定値を用いることに依る、従来のフィルタよりも特性損失の少ないフィルタリング処理の実現に依り、手ぶれ補正性能を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、像ぶれ補正装置であって、被写体像を結像面に結像する光学系と、前記結像面を有する装置の加速度を検出する加速度センサと、前記加速度を用いて第1の状態量を算出する第1の算出回路と、前記第1の状態量とモデルとを用いて、前記第1の状態量の真値を推定した推定値を第2の状態量として算出する第2の算出回路と、前記第2の状態量を用いて前記結像面での像ぶれ量を算出する第3の算出回路と、前記モデルを記録するメモリと、を備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記メモリは、前記モデルとして推定パラメータを記録する、ことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記メモリに記録された複数のモ
デルの中から、前記第2の算出回路が使用する前記モデルを選択する選択回路を更に備える、ことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第2の態様において、前記推定パラメータは、複数の前記第1の状態量から算出された複数の自己回帰係数を含む、ことを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1の態様において、前記第2の算出回路は、カルマンフィルタ又は加重平均フィルタである、ことを特徴とする。
本発明の第6の態様は、第1の態様において、前記第1の状態量は、速度であり、前記第2の状態量は、前記速度の真値を推定した推定値である、ことを特徴とする。
本発明の第7の態様は、第1の態様において、前記第1の状態量は、前記加速度に対して所定の信号処理が施された加速度であり、前記第2の状態量は、前記所定の信号処理後の加速度の真値を推定した推定値である、ことを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第1の態様において、前記第1の状態量は、変位であり、前記第2の状態量は、前記変位の真値を推定した推定値である、ことを特徴とする。
本発明の第9の態様は、第4の態様において、前記複数の自己回帰係数は、前記像ぶれ補正装置の製造工程時に算出されて前記メモリに記録される、ことを特徴とする。
本発明の第10の態様は、第4の態様において、前記複数の自己回帰係数は、前記像ぶれ補正装置に所定の動作モードが設定されたときに算出される、ことを特徴とする。
本発明の第11の態様は、第4の態様において、前記結像面を有する装置は、撮像装置であり、前記複数の自己回帰係数は、前記撮像装置の撮影待機中に算出される、ことを特徴とする。
本発明の第12の態様は、第1の態様において、前記結像面は、撮像素子の撮像面であり、前記撮像素子又は前記光学系の一部を光軸に垂直な方向に移動させる駆動機構と、前記像ぶれ量に基づいて前記駆動機構を動作させる制御回路と、を更に備える、ことを特徴とする。
本発明の第13の態様は、像ぶれ補正方法であって、被写体像を結像面に結像することと、前記結像面を有する装置の加速度を検出することと、前記加速度を用いて第1の状態量を算出することと、前記第1の状態量とモデルとを用いて、前記第1の状態量の真値を推定した推定値を第2の状態量として算出することと、前記第2の状態量を用いて前記結像面での像ぶれ量を算出することと、を有することを特徴とする。
本発明の第14の態様は、像ぶれ補正プログラムであって、被写体像を結像面に結像することと、前記結像面を有する装置の加速度を検出することと、前記加速度を用いて第1の状態量を算出することと、前記第1の状態量とモデルとを用いて、前記第1の状態量の真値を推定した推定値を第2の状態量として算出することと、前記第2の状態量を用いて前記結像面での像ぶれ量を算出することと、を有する処理を実行させることを特徴とする。
本発明に依れば、人の並進手ぶれ特性そのものをモデル化し、モデルに依る推定値を用いることに依る、従来のフィルタよりも特性損失の少ないフィルタリング処理の実現に依り、手ぶれ補正性能を向上させることができる、という効果を奏する。
カルマンフィルタを含むシステムの一例を示す図である。 図1に示した観測対象系を観測方程式と状態方程式の関係に依る状態空間モデルで表したブロック図である。 図1に示したカルマンゲイン算出部の機能構成を表したブロック図である。 実施の形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラに対して定義される方向を示す図である。 第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラの構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係るぶれ補正マイコンの構成を示す図である。 第1の実施形態に係るカルマンフィルタの構成を示す図である。 第1の実施形態に係る速度モデル記録部と速度モデル選択部の構成を示す図である。 第1の実施形態に係る時系列データの一例を示す図である。 第2の実施形態に係る並進手ぶれ速度モデル作成専用モードが設定されたときの処理の流れを示すフローチャートである。 第2の実施形態に係るぶれ補正マイコンとシステムコントローラの構成を示す図である。 第2の実施形態に係る時系列データの一例を示す図である。 第3の実施形態に係るぶれ補正マイコンとシステムコントローラの構成を示す図である。 第3の実施形態に係る時系列データの一例を示す図である。 第4の実施形態に係るぶれ補正マイコンの構成を示す図である。 第4の実施形態に係るカルマンフィルタの構成を示す図である。 第5の実施形態に係るぶれ補正マイコンの構成を示す図である。 第5の実施形態に係るカルマンフィルタの構成を示す図である。 第6の実施形態に係るぶれ補正マイコンの構成を示す図である。 第6の実施形態に係る加重平均フィルタの構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
はじめに、実施の形態において対象となるフィルタリング処理(推定フィルタリング処理)の原理について説明する。なお、以下では、対象となるシステムや時系列信号の振る舞いを、単純化した数式に置き換えたものをモデルと言う。
モデルを用いることに依り、過去の状態から現在の状態を推定することが可能となる。
この推定された現在の状態値と現在の観測値とを比較し、それぞれの誤差を計算することで、より精度の高い現在の状態や、直接観測できない値を推定する方法がある。
フィルタ(推定フィルタ)の具体例として、カルマンフィルタについて述べる。
カルマンフィルタは、誤差のある観測値とシステムを模したモデルとを用いて、ある動的システムの状態を推定あるいは制御するための、ベイズフィルタ(Bayesian filter)
の一種である。
図1は、カルマンフィルタを含むシステムの一例を示す図である。
図1に示すシステムは、観測対象系101とカルマンフィルタ102を含む。
観測対象系101において、対象となるシステム104は、システムノイズv103に依り駆動する。加算器106は、システム104の状態の一部と観測ノイズw105とを加算して観測値yを出力する。
カルマンフィルタ102において、システム104を模したモデル107は、システムノイズv103と、遅延演算子Z−1108に依り得られる前回(時刻t−1)の事後
状態推定値

とから、時刻tにおける事前状態推定値

を出力する。事後推定値算出部109は、時刻tにおける事前状態推定値

に対して、モデルの誤差と観測誤差に基づいてカルマンゲイン算出部110に依り算出されたカルマンゲインgと、現在の観測値yとを用いて補正を行い、事後状態推定値

を出力する。
図2は、図1に示した観測対象系101を、観測方程式と状態方程式の関係に依る状態空間モデルで表したブロック図である。なお、観測対象系101を状態空間モデルで表現できることが、カルマンフィルタを使用できる条件となる。この状態空間モデルは、下記の状態方程式(式(1))と観測方程式(式(2))の2つの式で表される。


状態方程式(式(1))において、左辺は、システム104の時刻tの状態xを示す。右辺は、状態xから遅延演算子Z−1202に依り得られた前回(時刻t−1)の状態xt−1に状態遷移行列A203を乗じたもの(第1項)と、システムノイズv103に駆動源ベクトルb201を乗じたもの(第2項)との和を示す。ここで、状態遷移行列A203は、前回(時刻t−1)の状態から現在(時刻t)の状態への状態の伝播を表す係数である。駆動源ベクトルb201は、システムノイズが状態に与える影響を表す係数である。
また、観測方程式(式(2))において、左辺は、時刻tの観測値yを示す。右辺は、状態xに観測係数c204を乗じたもの(第1項)と、観測ノイズw105(第2項)との和を示す。ここで、観測係数c204は、状態を観測値に変換する係数である。
状態方程式(式(1))及び観測方程式(式(2))において、システムノイズv103と観測ノイズw105が正規性を持つ白色ノイズ(平均値が0になる)であれば、カルマンフィルタ102を用いることで、求める状態xの最適な推定が可能である。
ここで、カルマンフィルタ102で求める状態推定値

の算出過程について、図1及び図2並びに図3を参照しながら詳細に説明する。
なお、下記の式(3)及び式(6)は、図1に対応する。下記の式(4)、式(5)、及び式(7)は、図3に対応する。
図3は、カルマンゲイン算出部110の機能構成を表したブロック図である。
図3において、係数A、b、cは、図2に示した状態遷移行列A203、駆動源ベクトルb201、観測係数c204に対応し、同一の符号が付されている。また、システムノイズv103の分散をq301とし、観測ノイズw105の分散をr302とする。
事前状態推定値

は、図1に示した事前推定値算出部111の出力に対応する。事後状態推定値

を遅延演算子Z−1108に依り前回(時刻t−1)の状態推定値

とし、モデル107を用いて事前状態推定値

を求める。これは、図2に示した、状態遷移行列A203を前回(時刻t−1)の状態推定値

に乗じたものに対応し、下記式(3)で表される。

現在の推定値の予測誤差を表す事前誤差共分散行列

は、図1に示したカルマンゲイン算出部110内で、より詳しくは、図3に示した
算出部304で、次のとおり算出される。
算出部306で算出した誤差共分散行列Pを遅延演算子Z−1303に依り前回(時刻t−1)の予測誤差を表すPt−1とし、これと、システムノイズv103の分散q301、状態遷移行列A203、及び駆動源ベクトルb201とから、下記式(4)に依り算出される。

ここで、AはAの転置行列であり、bはbの転置行列である。
事前状態推定値

を観測値yに依り補正する係数であるカルマンゲインgは、図1に示したカルマンゲイン算出部110内で、より詳しくは、図3に示したg算出部305で、次のとおり算出される。

算出部304で算出された事前誤差共分散行列

と、観測ノイズ分散r302と、観測係数c204とから、下記式(5)に依り算出される。
ここで、cはcの転置行列である。
カルマンフィルタ102の出力となる事後状態推定値

は、図1に示した事後推定値算出部109において、カルマンゲインgと観測値yと観測係数cとに依り事前状態推定値

を補正することに依り求められる。具体的には、下記式(6)に依り求められる。

ここで、Iは、単位行列である。
こうして推定された事後状態推定値

が、最適な状態推定値となる。
なお、次の周期で使用される事後誤差共分散行列Pは、図1に示したカルマンゲイン算出部110内で、より詳しくは、図3に示したP算出部306で、次のとおり算出される。

算出部304で算出された事前誤差共分散行列

と、カルマンゲインgと、観測係数c204とから、下記式(7)に依り算出される。
ここで、Iは、単位行列である。
次に、実施の形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラに対する方向を定義する。
図4は、実施の形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラに対して定義される方向を示す図である。
図4に示すとおり、実施の形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラ501に対して、X方向、Y方向、Z方向、ピッチ(Pitch)方向、ヨー(Yaw)方向、及びロール(Roll)方向を、次のとおり定義する。
カメラ501に対して左右方向をX方向とし、カメラ501に対して上下方向をY方向とし、カメラ501に対して前後方向をZ方向とする。
また、X方向の軸回り(X軸回り)の回転方向をピッチ方向とし、Y方向の軸回り(Y軸回り)の回転方向をヨー方向とし、Z方向の軸回り(Z軸回り)の回転方向をロール方向とする。
この定義に従えば、角度ぶれは、カメラ501のヨー方向の回転に依り、カメラ501の撮像面のX方向に生じる像移動で生じる像ぶれと、カメラ501のピッチ方向の回転に依り、カメラ501の撮像面のY方向に生じる像移動で生じる像ぶれとなる。
また、並進ぶれは、カメラ501のX方向への平行移動に依り、カメラ501の撮像面のX方向に生じる像移動で生じる像ぶれと、カメラ501のY方向への平行移動に依り、
カメラ501の撮像面のY方向に生じる像移動で生じる像ぶれとなる。
<第1の実施形態>
図5は、第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラの構成を示すブロック図である。
図5に示すカメラ501は、手ぶれ補正機能を有するカメラである。カメラ501は、光学系502、撮像素子503、駆動部504、システムコントローラ505、ぶれ補正マイコン506、角速度センサ507、加速度センサ508、及びEVF(Electronic View Finder)509を含む。
光学系502は、被写体からの光束を撮像素子503に被写体像として結像させる。光学系502は、例えば、フォーカスレンズやズームレンズを含む複数のレンズから構成される。
撮像素子503は、撮像面(結像面でもある)に結像された被写体像を、画素信号となる電気信号に変換する。撮像素子503は、例えば、CCD(charge coupled device)
又はCMOS(complementarymetal oxide semiconductor)等のイメージセンサである。
駆動部504は、撮像素子503を撮像面に平行な方向(光学系502の光軸に対して垂直な方向でもある)へ移動させる駆動機構である。駆動部504は、撮像素子503を平行移動させるための複数のアクチュエータを含んで構成される。複数のアクチュエータは、例えばVCM(Voice Coil Motor)である。
システムコントローラ505は、撮像素子503に依り変換された電気信号を画像データとして読み出し、読み出した画像データに対して様々な画像処理を行う。また、画像処理した画像データをEVF509に表示させたり、図示しないメモリ(例えば、メモリカード等の着脱自在の記録媒体)に記録させたりする。システムコントローラ505は、この他にも、ぶれ補正マイコン506とのデータ通信をはじめとしたカメラ全体の制御を行う。
角速度センサ507は、カメラ501のヨー方向及びピッチ方向の回転運動に伴う角速度を検出し、検出した角速度に対応したアナログ信号を検出信号として出力する。
加速度センサ508は、カメラ501のX方向及びY方向に生じる加速度を検出し、検出した加速度に対応したアナログ信号を検出信号として出力する。
ぶれ補正マイコン506は、角速度センサ507の検出信号から角度ぶれ量を算出し、加速度センサ508の検出信号から並進ぶれ量を算出する。また、ぶれ補正マイコン506は、算出した角度ぶれ量及び並進ぶれ量に依って撮像素子503の撮像面に生じる像移動を打ち消す方向に撮像素子503を移動させるために駆動部504を制御する。
なお、カメラ501は、撮像素子503を撮像面に平行な方向へ移動させることに依り像ぶれ補正を行う方式(所謂イメージセンサシフト方式)を採用するが、像ぶれ補正を行う方式は、この方式に限定されるものではない。例えば、光学系に含まれるレンズを、当該光学系の光軸に対して垂直な方向に移動させることに依り像ぶれ補正を行う方式(所謂レンズシフト方式)や、撮像素子から読み出された画像データに係る画像の切り出し位置を変更するといった画像処理に依り像ぶれの影響を軽減させる方式(電子的な方式)を採用してもよい。また、採用される像ぶれ補正方式は1つに限定されず、例えば、イメージ
センサシフト方式、レンズシフト方式、及び電子的な方式のうちの2つ以上の方式を組み合わせて採用してもよい。
また、カメラ501において、システムコントローラ505及びぶれ補正マイコン506の各々は、例えば、CPU等のプロセッサとメモリを含み、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することに依り、システムコントローラ505及びぶれ補正マイコン506の各機能が実現される。あるいは、システムコントローラ505及びぶれ補正マイコン506の各々は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は
FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用回路から構成されてもよい。
図6は、ぶれ補正マイコン506の構成を示す図である。
ぶれ補正マイコン506は、撮像面のX方向の像ぶれを補正する構成と、撮像面のY方向の像ぶれを補正する構成を有し、両者の構成は基本的に同じである。そこで、図6には、その一方の構成のみを示し、他方の構成については図示を省略する。また、ここでは、その一方の構成のみを説明し、他方の構成については説明を省略する。
図6に示すぶれ補正マイコン506は、角度ぶれ量と並進ぶれ量を算出して両者を合算することに依り、撮像面に生じる像移動量を算出する。
まず、角度ぶれ量の算出に係る構成について説明する。
図6に示すぶれ補正マイコン506において、角速度信号処理部601は、角速度センサ507から出力されたアナログ信号(検出信号)を、角速度のデジタル値に変換し、変換したデジタル値から基準値を減算する。ここで、基準値は、カメラ501が静止状態である時の角速度センサ507の出力に対応する値である。従って、カメラ501が静止状態である場合は、基準値の減算結果が0になる。また、基準値の減算結果の符号は、カメラ501の回転方向を示すことになる。なお、角速度信号処理部601は、必要に応じてフィルタリング処理を行ってもよい。
乗算部602は、角速度信号処理部601に依り符号付きのデジタル値に変換された角速度に対して焦点距離(f)を乗算することに依り、カメラ501の回転運動に依る撮像面での像移動速度を算出する。
積分フィルタ603は、乗算部602に依り算出された像移動速度を時間積分することに依り、カメラ501の回転運動に依る撮像面での像移動量を算出する。
なお、これらの角度ぶれ量の算出に係る構成において、角速度信号処理部601は、所定のサンプリング周期ごとに、角速度センサ507の出力信号の取得、デジタル値への変換、及び基準値の減算を行う。乗算部602は、角速度信号処理部601に依る基準値の減算結果の各々に対し、焦点距離(f)の乗算を行う。積分フィルタ603は、所定の周期ごとに、当該周期において取得された乗算部602に依る乗算結果の各々を積算(累積加算)する、といった時間積分を行う。
続いて、並進ぶれ量の算出に係る構成について説明する。
並進ぶれ量は、カメラ501の移動に伴って発生する加速度(移動加速度)から算出される。なお、並進ぶれ量は、並進移動する像移動量でもある。
加速度信号処理部604は、加速度センサ508から出力されたアナログ信号(検出信号)を、加速度のデジタル値に変換し、変換したデジタル値から基準値を減算する。ここで、基準値は、カメラ501が静止状態である時の加速度センサ508の出力に対応する値である。但し、加速度センサ508が検出する加速度は、重力加速度も含まれる。また、加速度センサ508が検出する重力加速度は、カメラ501の姿勢に依って変化する。
そこで、基準値は、当該基準値の減算に依り、加速度センサ508が検出する重力加速度の成分も取り除かれる値とされることが望ましい。なお、加速度センサの出力から重力加速度の成分を取り除く(減算する)手法は公知であるので、ここでは、その説明を省略する。
加速度信号処理部604において、こういった基準値の減算に依り、カメラ501が静止状態である場合は、基準値の減算結果が0になる。また、基準値の減算結果の符号は、カメラ501の移動による加速度の方向を示すことになる。
積分フィルタ605は、加速度信号処理部604に依り符号付きデジタル値に変換された加速度を時間積分することに依り、カメラ501の並進速度を算出する。
なお、加速度信号処理部604は、所定のサンプリング周期ごとに、加速度センサ508の出力信号の取得、デジタル値への変換、及び基準値の減算を行う。積分フィルタ605は、所定の周期ごとに、当該周期において取得された加速度信号処理部604に依る減算結果の各々を積算(累積加算)する、といった時間積分を行う。
カルマンフィルタ606は、速度モデル記録部607に記録されたモデルの中から速度モデル選択部608に依り選択されたモデルと、観測ノイズR609と、システムノイズQ610と、駆動源ベクトルb611とを用いて、積分フィルタ605に依り算出された並進速度に含まれる誤差(演算ノイズ)を除去する。カルマンフィルタ606を含むこれらの詳細については、図7を用いて後述する。
乗算部612は、カルマンフィルタ606に依り誤差が除去された並進速度に対して光学系502の撮影倍率βを乗算し、撮像面における像移動速度を算出する。
積分フィルタ613は、乗算部612に依り算出された像移動速度を時間積分し、カメラ501の平行移動に伴う、撮像面での像移動量(像の並進移動量)を算出する。なお、積分フィルタ613は、所定の周期ごとに、当該周期において取得された乗算部612に依る乗算結果の各々を積算(累積加算)する、といった時間積分を行う。
加算部614は、積分フィルタ603に依り算出された像移動量(カメラ501の回転に依る撮像面での像移動量(角度ぶれの像移動量))と、積分フィルタ613に依り算出された像移動量(カメラ501の並進移動に依る撮像面での像移動量(並進ぶれの像移動量))とを加算することに依り、カメラ501の回転と並進移動に依る像移動量を算出する。
補正制御部615は、加算部614に依り算出された像移動量を打ち消す方向に撮像素子503を動かすための駆動指示(駆動信号の出力)を駆動部504に対して行う。
図6に示したぶれ補正マイコン506では、加算部614が角度ぶれと並進ぶれとを合わせた手ぶれに依る像移動量を算出する。そして、補正制御部615が、算出された像移動量に基づいて駆動部504を制御することで、例えば、並進ぶれが生じ易いマクロ撮影でもぶれのない撮影が可能になる。
なお、カメラ501において、角速度センサ507と加速度センサ508は、検出信号としてアナログ信号を出力する形態に限らず、デジタル値を出力する形態であってもよい。但し、デジタル値を出力する形態である場合は、ぶれ補正マイコン506にデジタル値を読み出すためのインタフェース(例えばシリアルインタフェース)が必要になる。
図7は、カルマンフィルタ606の構成を示す図である。図8は、速度モデル記録部607と速度モデル選択部608の構成を示す図である。
カルマンフィルタ606は、図1等を用いて説明したとおり、対象となるシステムに対
応するモデル(図1ではシステム104に対応するモデル107)が必要になる。一般的には、対象となるシステムの伝達特性のモデルが既知であることが多いが、本実施形態では、それが既知でない。そこで、本実施形態では、実際に取得した物理量の時系列データからモデルを生成可能なAR(Auto-Regressive:自己回帰)モデルで手ぶれに依る並進速
度をモデル化して使用する。ARモデルの詳細については、後述する。
並進ぶれに関しては、カメラ501を把持するユーザの個人差や、カメラ501の姿勢差があるため、おのおののユーザの特性、およびおのおのの姿勢差の特定に応じて最適なモデルを使用する必要がある。そこで、本実施形態では、予めモデルを複数用意しておき、その時点の並進ぶれに応じてモデルを選択して使用する。
ARモデルを使用する場合、モデルの次数が定まれば状態方程式の形が一意に定まるため、モデルのパラメータは、n次の自己回帰係数φ=[φ,φ,φ,・・・,φ
]及びモデルの推定誤差Qとなる。本実施形態では、ぶれ補正マイコン506における
演算処理回路や演算プログラムに実装する場合の実現性と演算精度を考慮した例を示す。ここでは、n次の自己回帰係数を、3次の自己回帰係数φ=[φ,φ,φ,φ]として説明する(φは定数項となるため0として使用しない)。
図8に示すとおり、速度モデル記録部607には、様々なケースに対応するモデル(ARモデルの自己回帰係数φと推定誤差Q)が記録されている。例えば、並進ぶれが大きい撮影者の不安定な姿勢に対応するモデルや、並進ぶれが小さい撮影者の安定した姿勢に対応するモデルや、平均的な撮影者の姿勢に対応するモデル等が記録されている。
速度モデル選択部608において、手ぶれ速度解析部801は、所定の周期ごとに、当該周期において積分フィルタ605に依り算出された並進速度の各々を時系列データとして蓄積して分析する。例えば、1秒ごとに、当該1秒分の時系列データに対してFFT(Fast Fourier Transform)解析等の分析を行って、主要なぶれ周波数帯域と振幅を求める。なお、主要なぶれ周波数帯域と振幅は、他の簡易的な方法に依って求めてもよい。
使用モデル判定部802は、手ぶれ速度解析部801に依る分析結果を用いて、現在のぶれの状態に最も近い特性のモデルを判定する。
使用モデル取得部803は、使用モデル判定部802の判定結果に基づいて、速度モデル記録部607から、使用するモデル(ARモデルの自己回帰係数φと推定誤差Q)を取得し、取得した自己回帰係数φを並進手ぶれ速度モデル701および駆動源ベクトルb611に指定し、取得した推定誤差QをシステムノイズQ610に指定する。
これに依り、おのおののユーザの手ぶれ特性やカメラ支持状態に応じて最適な並進手ぶれ速度モデルが選択される。
続いて、カルマンフィルタ606に係る状態方程式と観測方程式について説明する。
まず、時刻tにおける並進速度をvとし、求める状態xを、現在からt−2までの時刻での並進速度の要素であるとすると、状態xは、下記のベクトル変数の式(8)で表される。
このとき、観測値yを並進速度とすると、ARモデルを使用する場合のカルマンフィルタ606に係る状態方程式と観測方程式は、下記の式(9)と式(10)で表される。


状態方程式(式(9))と観測方程式(式(10))の2つの式が、本実施形態で使用する状態空間モデルとなる。
状態方程式(式(9))と観測方程式(式(10))に依り、上述の式(3)〜式(7)における係数は、次のとおりとなる。

なお、ここでIは、2行×2列の単位行列である。
また、並進手ぶれ速度モデル701を駆動するシステムノイズvの分散をシステムノイズQ610とし、入力(並進速度)の観測ノイズwの分散を観測ノイズR609とする。なお、Qは、式(4)のqに対応し、Rは、式(5)のrに対応する。
これらA、b、c、r、qの各係数と図6及び図7に示した要素との対応関係は、次のとおりである。
A:並進手ぶれ速度モデル701
b:駆動源ベクトルb611
:カルマンゲイン算出部702の内部、演算部704
Q:システムノイズQ610
R:観測ノイズR609
こうして係数が全て定まると、これらに依りカルマンフィルタ606が定まり、得られる状態xの事後状態推定値

は、下記式(11)で表すことができる。
ここで、

は3次のベクトルであるため、現在の推定速度

を取り出し、乗算部612への入力とする。
カルマンフィルタ606内でのデータの流れを、図7を参照しながら説明する。
事後状態推定値

を、遅延演算子Z−1706に依り前回(時刻t−1)の状態推定値

とする。前回(時刻t−1)の状態推定値

と並進手ぶれ速度モデル701に依って事前状態推定値

を算出する(式(3)参照)。
カルマンゲイン算出部702は、図3に示したカルマンゲイン算出部110と同様の構成を有し、A、b、c、r、qの各係数を用いて、事前誤差共分散行列

の算出(式(4)参照)、カルマンゲインgの算出(式(5)参照)、事後誤差共分散行列Pの算出(式(7)参照)を行う。
乗算部703は、カルマンゲインgを用いて観測値y(積分フィルタ605に依り算出された並進速度)に対する重みづけを行い、演算部704は、カルマンゲインgを用いて事前状態推定値

に対する重みづけを行い、加算部705は、それらを加算する。これに依り、事後状態推定値

が算出される。
続いて、ARモデルについて説明する。
ARモデルは、時刻tにおける時系列データxの値を、時刻tよりも古いデータを用いて推定するモデルであり、n次のARモデルは、その自己回帰係数φ=[φ,φ
,φ,・・・,φ]を用いて、下記式(12)で表される。

自己回帰係数φは、時系列データからユール・ウォーカー法(Yule-Walker - equation)や最小二乗法を用いて求めることができる。
ここではユール・ウォーカー法を用いた例を説明する。
ここで、時系列データを{Y}としてYとYtーsの共分散、つまりs次の自己共分散をcとする。そして、下記のユール・ウォーカー方程式(式(13))を解くことで自己回帰係数φ=[φ,φ,φ,・・・,φ]のそれぞれの値を算出することができる。

つまり、φを算出するためには、精度の高い並進ぶれの時系列データが必要となる。本実施形態では、並進ぶれ速度の時系列データを用いて、上記方式に依りモデル(速度モデル記録部607に記録されるモデル)が作成される。
ここで、モデルの作成に用いられる並進ぶれ速度の時系列データの取得方法の一例を説明する。
カメラ501は、手ぶれが生じる撮影条件で、マクロ撮影を行う状態且つ角度ぶれの高精度補正を行う状態で動画撮影を行う。このときの動画撮影では、フレーム間の移動量(
オプティカルフロー)の取得に適した被写体チャートを撮影する。そして、カメラ501
は角度ぶれを高精度に補正を行って角度ぶれを完全に補正する。
つまり、図6に示したぶれ補正マイコン506では、加速度信号処理部604から積分フィルタ613に至る構成に依る、カメラ501の並進移動に依る像移動量の算出が停止し、カメラ501の回転に依る像移動量の算出結果のみを用いて、補正制御部615が駆
動部504を制御する。
こういった処理に依り得られた動画データは、角度ぶれが完全に除去され、並進ぶれの影響のみが残った動画データとなる。そのため、動画データに表された被写体チャートのフレーム間の移動量を解析することで、並進速度の時間変化を算出することができる。
具体的には、カメラ501の並進速度Yは、フレーム間の移動量

と、フレーム間時間Δtと、画素ピッチdと、撮影倍率βとから、下記式(14)に依り求めることができる。

これに依り、動画データから、並進ぶれ速度の時系列データ{Y}が得られる。
なお、並進速度は、個人差やカメラ501の姿勢差に依り特性が異なる。
このため、例えばカメラ501の工場出荷前の製造工程において、ユーザや撮影姿勢が異なる場合の複数の時系列データを予め用意してARモデルを作成する。そして、作成したモデルの中から、周波数及び振幅特性が近いもので分類し、平均化することで、ある条件における一般化モデルを作成することができる。これを幾つかの条件ごとに行って、条件ごとのモデルを作成しパラメータを準備しておく(即ち、速度モデル記録部607に記録しておく)。この場合、モデルのパラメータは、ARモデルの自己回帰係数φ=[φ
,φ,φ,・・・,φ]と推定誤差分散Qとなる。
図9は、本実施形態に係る時系列データの一例を示す図である。
図9において、(A)は、像ぶれ補正を行わない場合の撮像面に生じる像移動速度を示しており、角度ぶれと並進ぶれ双方の影響を受けている。
(B)は、ぶれ補正マイコン506で算出された角度ぶれに依る像移動速度を示している。
(C)は、(B)に示した角度ぶれに依る像移動速度に基づいて駆動部504を駆動して像ぶれを補正したときの動画データから得られたフレーム間の像移動速度である((A)−(B)に対応)。角度ぶれの補正が完全であるならば、(C)に示した像移動速度が、撮像面における並進ぶれと等しくなる。
(D)は、(C)に示した像移動速度を撮影倍率βで除算すること((C)/β)に依り得られたカメラ501の移動速度を示している。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態に対して異なる点を中心に説明する。また、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2の実施形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラ501は、ユーザが設定可能な動作モードの一つとして、並進手ぶれ速度モデル作成専用モードを有する。並進手ぶれ速度モデル作成専用モードが設定されると、カメラ501は、ユーザの使用環境における並進速度の時系列データを取得し、その時系列データを用いて並進手ぶれ速度モデルを作成し、その並進手ぶれ速度モデルを撮影時の手ぶれ補正に使用する。
つまり、ユーザが動作モードとして並進手ぶれ速度モデル作成専用モードを設定することで、ユーザに最適な並進手ぶれ速度モデルが生成される。これに依り、各ユーザの特性に対応した、より高精度なぶれ補正が実現可能になる。
図10は、並進手ぶれ速度モデル作成専用モードが設定されたときの処理の流れを示すフローチャートである。
カメラ501は、並進手ぶれ速度モデル作成専用モードが設定されると、図10に示す処理を開始する。
まず、カメラ501は、角度ぶれの補正を開始し(S1001)、動画撮影を開始する(S1002)。なお、このときの撮影対象物は、オプティカルフローの取得に適したチャートであるとする。
次に、カメラ501は、角度ぶれ補正速度不足分算出処理を行う(S1003)。この処理の詳細は、後述する。
次に、カメラ501は、動画データを取得し記録する(S1004)。
次に、カメラ501は、動画撮影を開始してから規定時間が経過したか否かを判定する(S1005)。なお、規定時間は、オプティカルフローの周波数解析に依る周波数分解能を上げるために必要な動画撮影時間に対応し、例えば数秒〜10秒程度である。
S1005の判定結果がNOの場合は、処理がS1003に戻る。これに依り、S1005がYESになるまでは、角度ぶれ補正速度不足分算出処理(S1003)と動画データの取得及び記録(S1004)が繰り返し行われる。
一方、S1005の判定結果がYESの場合、カメラ501は、動画撮影を終了し(S1006)、角度ぶれ補正を終了する(S1007)。
次に、カメラ501は、記録された動画データからオプティカルフローを算出する(S1008)。
次に、カメラ501は、算出されたオプティカルフローと、動画撮影中に算出された角度ぶれ補正速度不足分とから、並進速度(並進ぶれ速度)の時系列データを作成する(S1009)。なお、この作成の際に用いる計算式については後述する。
次に、カメラ501は、第1の実施形態と同様に、ユール・ウォーカー法を用いて、並進速度の時系列データから並進手ぶれ速度モデルを作成する(S1010)。
次に、カメラ501は、作成した並進手ぶれ速度モデルを速度モデル記録部607に記録し(S1011)、図10に示した処理が終了する。
ここで、上述の角度ぶれ補正速度不足分算出処理(S1003)について、詳細に説明する。
図11は、第2の実施形態に係るぶれ補正マイコン506とシステムコントローラ505の構成を示す図である。但し、図11には、図10に示した処理に関係する構成のみを示す。
図11において、補正速度制限部1101は、角度ぶれ補正量を制限するために、乗算部602に依り算出された像移動速度を制限する。これに依り、ぶれ補正マイコン506は、制限された角度ぶれ量に依り駆動部504を動作させて角度ぶれの補正を行う。
なお、補正速度制限部1101が設けられる理由は、図10に示した処理では数秒から10秒程度の動画撮影時間(上述の規定時間)が必要であることから、動画撮影中に駆動部504の状態が補正可能範囲を超過してしまうことを防止するためである。
減算部1102は、乗算部602に依り算出された像移動速度から、補正速度制限部1101に依り制限された像移動速度を減算することに依り、角度ぶれ補正速度不足分

を算出する。
なお、角度ぶれ補正量の制限方法は、上記の他、1周期での補正量に上限を設け、上限を超えた分の補正量の補正を行わない方法や、毎周期に一定量を補正量から減算する方法など様々な方法があり、いずれの方法を用いてもよい。
また、図11において、画像処理部1103、オプティカルフロー演算部1104、並進ぶれ速度時系列データ作成部1105、及びモデル作成部1106は、図10に示したS1002、S1004、S1006、及びS1008〜S1011の処理に対応する構成である。
続いて、上述の、並進速度(並進ぶれ速度)の時系列データを作成する処理(S1009)において、その作成の際に用いられる計算式について説明する。
記録された動画データには、並進ぶれと角度ぶれに依る補正残りの影響が像移動として現れるので、角度ぶれ補正速度不足分

を減算することで、並進ぶれの影響を抽出することができる。但し、このときの減算結果は、撮像面での像ぶれであるため、撮影時の像倍率(撮影倍率)で除算することに依り、カメラ501の並進速度を算出する。
カメラ501の並進速度の時系列データYは、下記式(15)に依り求められる。

ここで、

は、動画フレーム間像移動量である。

は、角度ぶれ補正速度不足分である。Δtは、フレーム間時間である。dは、動画データに係る動画の画素ピッチである。βは、撮影時の像倍率(撮影倍率)である。
式(15)に依り求められた並進速度の時系列データYを用いて、並進手ぶれ速度モデルが作成される。
第2の実施形態では、実際にカメラ501を使用するユーザの手ぶれから並進手ぶれ速度モデルが作成されるので、個人差に依る特性の違いを考慮する必要がなく、使用するユーザに最適な手ぶれ補正を提供することができる。
なお、第2の実施形態は、第1の実施形態を組み合わせて構成してもよい。この場合は、並進手ぶれ速度モデル作成専用モードが設定された場合は、上述のとおり、その設定に依って作成された並進手ぶれ速度モデルを使用し、並進手ぶれ速度モデル作成専用モードが設定されなかった場合は、第1の実施形態で説明したとおり、予め準備されたモデルの中から最適なモデルを選択して使用してもよい。
また、第2の実施形態では、モデル作成部1106が、システムコントローラ505内に設けられたが、カメラ501の外部に設けられてもよい。この場合は、カメラ501内で作成された並進速度の時系列データをPC(Personal Computer)やスマートフォンな
どの外部装置に転送し、その外部装置内でのプログラムの実行に依りモデルを作成し、作成したモデルをカメラ501の速度モデル記録部607に戻してもよい。
図12は、第2の実施形態に係る時系列データの一例を示す図である。
図12において、(A)は、像ぶれ補正を行わない場合の撮像面に生じる像移動速度を示している。
(B)は、乗算部602の出力である角度ぶれに依る像移動速度を示している。
(C)は、補正速度制限部1101の出力であって、所定の速度を閾値として、その閾値までに制限された像移動速度を示している。
(D)は、(B)に示した角度ぶれに依る像移動速度から、(C)に示した制限された像移動速度を減算すること((B)−(C))に依り得られた、角度ぶれ補正速度不足分(減算部1102の出力)を示している。
(E)は、記録された動画データに係る動画の像移動量から算出された像移動速度を示している。
(F)は、(E)に示した像移動速度から、(D)に示した角度ぶれ補正速度不足分を減算すること((E)−(D))に依り得られた、並進ぶれに依る像移動速度を示している。
(G)は、(F)に示した像移動速度を撮影倍率βで除算すること((F)/β)に依り得られたカメラ501の移動速度を示している。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態に対して異なる点を中心に説明する。また、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第3の実施形態に係る像ぶれ補正装置を含む撮像装置であるカメラ501は、撮影待機中に手ぶれ補正を行っている場合に、ライブビューに使用するフレーム画像から、並進速度の時系列データを取得し、その時系列データを用いて並進手ぶれ速度モデルをリアルタイムに作成して並進ぶれの補正に使用する。
なお、並進手ぶれ補正モデルの作成に必要な計算量は多く、カメラ501が備えるプロセッサでは、その作成に要する計算時間が長くなる場合がある。この場合は、手ぶれ補正の補正周期よりも長い周期(例えば1秒周期)でモデルの更新を行えばよい。
図13は、第3の実施形態に係るぶれ補正マイコン506とシステムコントローラ505の構成を示す図である。但し、図13には、手ぶれ補正及び並進手ぶれ速度モデルの作成に関係する構成のみを示す。また、図13に示した角度ぶれ補正速度制限部1101、減算部1102、画像処理部1103、オプティカルフロー演算部1104、及びモデル作成部1106は、第2の実施形態で説明した図11の補正速度制限部1101、減算部1102、画像処理部1103、オプティカルフロー演算部1104、及びモデル作成部1106と同様の機能を有するため、同一の符号を付している。
図13を参照しながら、まず、ライブビュー時の手ぶれ補正動作について説明する。
なお、ライブビューとは、システムコントローラ505が撮像素子503から読みだした画像データに係る映像を画像処理部1103に依りEVF509に表示可能なデータ形式に変換してEVF509に出力することに依り、撮影する画像をEVF509にリアルタイムに表示させる動作のことである。
ライブビュー時の手ぶれ補正では、連続的に手ぶれ補正を行う必要がある。そのため、ぶれ補正マイコン506は、手ぶれ補正中に駆動部504の状態が補正可能範囲を超過してしまうことを防止するための制御が必要になる。
そこで、角度ぶれ補正速度制限部1101を備えて、角度ぶれ補正量を制限する。同様に、並進ぶれ補正速度制限部1301を備えて、並進ぶれ補正量も制限する。
減算部1102は、乗算部602に依り算出された像移動速度から、角度ぶれ補正速度制限部1101に依り制限された像移動速度を減算することに依り、角度ぶれ補正速度不足分

を算出する。
加算部614は、角度ぶれ補正量制限部1101に依る制限等に依って得られた角度ぶれ量(像移動量)と、並進ぶれ補正速度制限部1301に依る制限等に依って得られた並進ぶれ量(像移動量)とを合算し、合算ぶれ量(像移動量)を算出する。
補正制御部615は、その合算ぶれ量を打ち消す方向に撮像素子503を移動させるための駆動指示を駆動部504に与えて、撮像面での角度ぶれ及び並進ぶれの両方を補正する。
次に、並進手ぶれ速度モデルの作成について説明する。
システムコントローラ505において、オプティカルフロー演算部1104は、撮像素子503から読み出されて画像処理部1103に依り画像処理された映像データ(画像データ)のフレーム間の像移動量を算出する。
並進ぶれ速度時系列データ算出部1302は、ある時点における、フレーム間の像移動量

と、フレーム間の並進ぶれ補正速度

と、フレーム間の角度ぶれ補正速度不足分

とから、ライブビュー中のカメラ501の並進速度の時系列データYを、下記式(16)に依り算出する。

ここで、Δtは、フレーム間時間である。dは、動画データに係る動画の画素ピッチである。βは、撮影時の像倍率(撮影倍率)である。
このカメラ501の並進速度の時系列データYを、例えば1秒間蓄積し、1秒分のデータがそろったら、モデル作成部1106が並進手ぶれ速度モデル作成する。そして、その並進手ぶれ速度モデルを、カルマンフィルタ606、システムノイズQ610、駆動源ベクトルb611に指定し、次回以降の並進手ぶれ補正を行う。
第3の実施形態では、撮影直前の状態からモデルが作成されることで、個人差やカメラ501の姿勢差などの特性の変化に対応が可能になる。
図14は、第3の実施形態に係る時系列データの一例を示す図である。
図14において、(A)は、手ぶれ補正を行わない場合の撮像面に生じる像移動速度を示している。
(B)は、乗算部602の出力である角度ぶれに依る像移動速度を示している。
(C)は、角度ぶれ補正速度制限部1101の出力であって、所定の速度を閾値として、その閾値までに制限された像移動速度を示している。
(D)は、(B)に示した角度ぶれに依る像移動速度から、(C)に示した制限された像移動速度を減算すること((B)−(C))に依り得られた、角度ぶれ補正速度不足分(減算部1102の出力)を示している。
(E)は、並進ぶれ補正を行わない場合の撮像面に生じる並進ぶれ像移動速度(乗算部612の出力に対応)を示している。
(F)は、並進ぶれ補正速度制限部1301の出力であって、所定の速度を閾値として、その閾値までに制限された像移動速度を示している。
(G)は、(F)に示した制限された像移動速度に基づいて、(E)に示した並進ぶれ像移動速度を補正した場合の補正残り((E)−(F)に対応)を示している。
(H)は、動画データに係る動画において検出されたフレーム間の像移動量から算出した像移動速度を示している。
(I)は、(F)に示した制限された像移動速度と、(H)に示したフレーム間の像移動量から算出された像移動速度とを加算し、(D)に示した角度ぶれ補正速度不足分を減算すること((F)+(H)−(D))に依り得られた、並進ぶれに依る像移動速度を示している。
(J)は、(I)に示した像移動速度を撮影倍率βで除算すること((I)/β)に依り得られたカメラ501の移動速度を示している。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の説明では、第1の実施形態に対して異なる点を中心に説明する。また、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図15は、第4の実施形態に係るぶれ補正マイコン506の構成を示す図である。
図15に示すぶれ補正マイコン506では、加速度信号処理部604の処理結果がカルマンフィルタ1501に入力される。カルマンフィルタ1501は、第1の実施形態に係るカルマンフィルタ606に対して、フィルタリング処理する対象と、使用するモデルが異なる。カルマンフィルタ1501の詳細は、図16を用いて後述する。
積分フィルタ605は、カルマンフィルタ1501の出力である、ノイズ成分が除去された並進加速度を時間積分することに依り、並進速度を算出する。
乗算部612は、積分フィルタ605に依り算出された並進速度に撮影倍率βを乗算することに依り、撮像面における並進ぶれに依る像移動量を算出する。
図16は、第4の実施形態に係るカルマンフィルタ1501の構成を示す図である。
図16に示すとおり、第4の実施形態に係るカルマンフィルタ1501と、第1の実施形態に係るカルマンフィルタ606との異なる点は、入力が加速度であり、使用されるモデルが、並進ぶれに依り生じる並進ぶれ加速度の時系列データから生成された並進手ぶれ加速度モデル1601である点である。
加速度モデル記録部1502には、第1の実施形態に係る速度モデル記録部607と同様に、様々なケースに対応するモデル(ARモデルの自己回帰係数φと推定誤差Q)が記録されている。例えば、並進ぶれの大きい撮影者の不安定な姿勢に対応するモデルや、並進ぶれが小さい撮影者の安定した姿勢に対応するモデルや、平均的な撮影者の姿勢に対応するモデル等が記録されている。但し、これらのモデルは、第1の実施形態とは異なり、並進手ぶれに依る並進加速度の時系列データを用いて作成されたモデルである。
加速度モデル選択部1503は、加速度信号処理部604の処理結果である並進加速度を解析し、周波数帯域が最も近いモデルを、加速度モデル記録部1502に記録されている複数のモデルの中から選択する。また、選択したモデルに対応するパラメータを並進手ぶれ加速度モデル1601、システムノイズQ610、駆動源ベクトルb611に指定することに依り、カルマンフィルタ1501で加速度のノイズが高精度に除去される。
並進加速度の時系列データから、並進手ぶれ加速度モデル(加速度モデル記録部1502に記録されるモデル)を作成する際は、第一実施形態と同様に、ユール・ウォーカー法
を用いる。
並進手ぶれ加速度モデルを作成するためには、通常の手ぶれ補正に使用する加速度センサ508よりも高精度な並進加速度の時系列データが必要である。例えば、その時系列データは、加速度センサ508よりも高精度にX、Y、Zの3軸の加速度が取得できる加速度計をカメラ501に装着して取得した並進加速度の時系列データでもよいし、ノイズを平均化し除去するために長期間にわたり加速度センサ508で取得した撮影者の並進ぶれ加速度の時系列データを用いてもよい。
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態の説明では、第1の実施形態に対して異なる点を中心に説明する。また、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図17は、第5の実施形態に係るぶれ補正マイコン506の構成を示す図である。
図17に示すぶれ補正マイコン506では、積分フィルタ605の出力が積分フィルタ613に入力さる。積分フィルタ613は、積分フィルタ605に依り算出された並進速度を時間積分して並進移動量(並進変位)を算出する。
積分フィルタ613の出力は、カルマンフィルタ1701に入力される。カルマンフィルタ1701は、第1の実施形態に係るカルマンフィルタ606に対して、フィルタリング処理する対象と、使用するモデルが異なる。カルマンフィルタ1701の詳細は、図18を用いて後述する。
カルマンフィルタ1701の出力は、乗算部612に入力される。乗算部612は、カルマンフィルタ1701の出力である、ノイズ成分が除去された並進変位(並進移動量)に撮影倍率βを乗算して、並進ぶれ像移動量を算出する。
乗算部612の出力は、加算部614に入力される。
図18は、第5の実施形態に係るカルマンフィルタ1701の構成を示す図である。
図18に示すとおり、第5の実施形態に係るカルマンフィルタ1701と、第1の実施形態に係るカルマンフィルタ606との異なる点は、入力が並進移動量であり、使用されるモデルが、並進ぶれに依り生じる並進ぶれ移動量の時系列データから生成された並進手ぶれ変位モデル1801である点である。
変位モデル記録部1702には、第1の実施形態に係る速度モデル記録部607と同様に、様々なケースに対応するモデル(ARモデルの自己回帰係数φと推定誤差Q)が記録されている。例えば、並進ぶれの大きい撮影者の不安定な姿勢に対応するモデルや、並進ぶれが小さい撮影者の安定した姿勢に対応するモデルや、平均的な撮影者の姿勢に対応するモデル等が記録されている。但し、これらのモデルは、第1の実施形態とは異なり、並進手ぶれに依る並進変位(並進移動量)の時系列データを用いて作成されたモデルである。
変位モデル選択部1703は、積分フィルタ613の算出結果である並進変位を解析し、周波数帯域が最も近いモデルを、変位モデル記録部1702に記録されている複数のモデルの中から選択する。また、選択したモデルに対応するパラメータを並進手ぶれ変位モデル1801、システムノイズQ610、駆動源ベクトルb611に指定することに依り、カルマンフィルタ1701で変位(移動量)のノイズが高精度に除去される。
変位(移動量)でモデルを作成する利点は、低周波が優位なデータであるため、モデルの次数を低く抑えることができ、計算量を減らすことができる可能性が高いことである。
第5の実施形態では、モデルの次数を2次とすることで十分な精度が確保できる。
並進変位の時系列データから、並進手ぶれ変位モデル(変位モデル記録部1702に記録されるモデル)を作成する際は、第一実施形態と同様に、ユール・ウォーカー法を用いる。
並進手ぶれ変位モデルを作成するためには、通常の手ぶれ補正に使用する加速度センサ508の検出結果の2回積分よりも高精度な並進変位の時系列データが必要である。例えば、その時系列データとして、レーザ変位計に依り手持ち撮影時のカメラ変位を測定した並進ぶれ変位の時系列データなどが考えられる。
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態の説明では、第1の実施形態に対して異なる点を中心に説明する。また、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図19は、第6の実施形態に係るぶれ補正マイコン506の構成を示す図である。
図19に示すとおり、第1の実施形態に対して異なる点は、カルマンフィルタ606の代わりに加重平均フィルタ1901を用いる点である。
図20は、加重平均フィルタ1901の構成を示す図である。
図20に示す加重平均フィルタ1901において、加重決定部2001は、入力された並進速度(積分フィルタ605の算出結果)の特性を解析し、使用中のモデルの特性との乖離が増大した場合は、観測値である並進速度の加重を高くし、使用中のモデルの特性の差が小さいほど、並進手ぶれ速度モデル2002の出力の加重を高くするための加重係数aを加重乗算部2003、2004に設定する。
こうすることで、モデルで精度の高い予測が可能な場合は、予測値を用い、予測精度が低下している場合は、観測値から出力を求めることができ、誤動作を防止できる。
なお、並進手ぶれ速度モデル2002、遅延演算子Z−12005、及び加算部2006は、第1の実施形態で説明した並進手ぶれ速度モデル701、遅延演算子Z−1706、及び加算部705に対応する。
第6の実施形態で使用する加重平均フィルタ1901は、第1の実施形態で用いたカルマンフィルタ606に比べると計算量が少ないために高速処理ができる(第2〜第5の実施形態で用いたカルマンフィルタに対しても同様)。そのため、ぶれ補正マイコン506の演算性能が低い場合でも実現可能性が高いというメリットがある。
以上に述べた各実施形態は、様々な変形や組み合わせが可能である。
例えば、第4又は第5の実施形態に対し、第2の実施形態で説明した並進手ぶれ速度モデル作成専用モードに類するモデル作成専用モードを備えさせたり、第3の実施形態で説明したライブビュー中のモデル作成を可能にさせたりしてもよい。また、例えば、第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて、状況に応じて適したモデルを使用する構成としてもよい。さらに、例えば、第6の実施形態と同様に、第2〜第5の各実施形態において、カルマンフィルタの代わりに加重平均フィルタを用いてもよい。その他にも、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、例えば、実施形態に示される全構成要素のいくつかの構成要素を削除してもよい。
101 観測対象系
102 カルマンフィルタ
103 システムノイズ
104 システム
105 観測ノイズ
106 加算器
107 モデル
108 遅延演算子
109 事後推定値算出部
110 カルマンゲイン算出部
111 事前推定値算出部
201 駆動源ベクトル
202 遅延演算子
203 状態遷移行列
204 観測係数
301 システムノイズの分散
302 観測ノイズの分散
303 遅延演算子
304 事前誤差共分散行列算出部
305 カルマンゲイン算出部
306 誤差共分散行列算出部
501 カメラ
502 光学系
503 撮像素子
504 駆動部
505 システムコントローラ
506 ぶれ補正マイコン
507 角速度センサ
508 加速度センサ
509 EVF
601 角速度信号処理部
602 乗算部
603 積分フィルタ
604 加速度信号処理部
605 積分フィルタ
606 カルマンフィルタ
607 速度モデル記録部
608 速度モデル選択部
609 観測ノイズ
610 システムノイズ
611 駆動源ベクトル
612 乗算部
613 積分フィルタ
614 加算部
615 補正制御部
701 並進手ぶれ速度モデル
702 カルマンゲイン算出部
703 乗算部
704 演算部
705 加算部
706 遅延演算子
801 手ぶれ速度解析部
802 使用モデル判定部
803 使用モデル取得部
1101 補正速度制限部
1102 減算部
1103 画像処理部
1104 オプティカルフロー演算部
1105 並進ぶれ速度時系列データ作成部
1106 モデル作成部
1301 並進ぶれ補正速度制限部
1302 並進ぶれ速度時系列データ算出部
1501 カルマンフィルタ
1502 加速度モデル記録部
1503 加速度モデル選択部
1601 並進手ぶれ加速度モデル
1701 カルマンフィルタ
1702 変位モデル記録部
1703 変位モデル選択部
1801 並進手ぶれ変位モデル
1901 加重平均フィルタ
2001 加重決定部
2002 並進手ぶれ速度モデル
2003、2004 加重乗算部
2005 遅延演算子
2006 加算部

Claims (14)

  1. 像ぶれ補正装置であって、
    被写体像を結像面に結像する光学系と、
    前記結像面を有する装置の加速度を検出する加速度センサと、
    前記加速度を用いて第1の状態量を算出する第1の算出回路と、
    前記第1の状態量とモデルとを用いて、前記第1の状態量の真値を推定した推定値を第2の状態量として算出する第2の算出回路と、
    前記第2の状態量を用いて前記結像面での像ぶれ量を算出する第3の算出回路と、
    前記モデルを記録するメモリと、
    を備えることを特徴とする。
  2. 請求項1記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記メモリは、前記モデルとして推定パラメータを記録する、
    ことを特徴とする。
  3. 請求項1又は2記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記メモリに記録された複数のモデルの中から、前記第2の算出回路が使用する前記モデルを選択する選択回路を更に備える、
    ことを特徴とする。
  4. 請求項2記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記推定パラメータは、複数の前記第1の状態量から算出された複数の自己回帰係数を含む、
    ことを特徴とする。
  5. 請求項1記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記第2の算出回路は、カルマンフィルタ又は加重平均フィルタである、
    ことを特徴とする。
  6. 請求項1記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記第1の状態量は、速度であり、
    前記第2の状態量は、前記速度の真値を推定した推定値である、
    ことを特徴とする。
  7. 請求項1記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記第1の状態量は、前記加速度に対して所定の信号処理が施された加速度であり、
    前記第2の状態量は、前記所定の信号処理後の加速度の真値を推定した推定値である、
    ことを特徴とする。
  8. 請求項1記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記第1の状態量は、変位であり、
    前記第2の状態量は、前記変位の真値を推定した推定値である、
    ことを特徴とする。
  9. 請求項4記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記複数の自己回帰係数は、前記像ぶれ補正装置の製造工程時に算出されて前記メモリに記録される、
    ことを特徴とする。
  10. 請求項4記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記複数の自己回帰係数は、前記像ぶれ補正装置に所定の動作モードが設定されたときに算出される、
    ことを特徴とする。
  11. 請求項4記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記結像面を有する装置は、撮像装置であり、
    前記複数の自己回帰係数は、前記撮像装置の撮影待機中に算出される、
    ことを特徴とする。
  12. 請求項1記載の像ぶれ補正装置であって、
    前記結像面は、撮像素子の撮像面であり、
    前記撮像素子又は前記光学系の一部を光軸に垂直な方向に移動させる駆動機構と、
    前記像ぶれ量に基づいて前記駆動機構を動作させる制御回路と、
    を更に備える、
    ことを特徴とする。
  13. 像ぶれ補正方法であって、
    被写体像を結像面に結像することと、
    前記結像面を有する装置の加速度を検出することと、
    前記加速度を用いて第1の状態量を算出することと、
    前記第1の状態量とモデルとを用いて、前記第1の状態量の真値を推定した推定値を第2の状態量として算出することと、
    前記第2の状態量を用いて前記結像面での像ぶれ量を算出することと、
    を有することを特徴とする。
  14. 像ぶれ補正プログラムであって、
    被写体像を結像面に結像することと、
    前記結像面を有する装置の加速度を検出することと、
    前記加速度を用いて第1の状態量を算出することと、
    前記第1の状態量とモデルとを用いて、前記第1の状態量の真値を推定した推定値を第2の状態量として算出することと、
    前記第2の状態量を用いて前記結像面での像ぶれ量を算出することと、
    を有する処理を実行させることを特徴とする。
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