JP2020190539A - 測定器及び測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度環境によって生じる静電容量の測定値の変動を抑制する技術を提供する。【解決手段】例示的実施形態に係る測定器は、複数の温度のそれぞれにおいて複数の位相調整回路のそれぞれのアドミタンスを調整するためのパラメータを記憶しており、温度センサによって検出された温度に応じたパラメータを用いてアドミタンスを調整する。【選択図】図11
Description
本開示の例示的実施形態は、測定器及び測定方法に関する。
特許文献1には、静電容量測定用の測定器が記載されている。この測定器は、ベース基板、第1センサ、第2センサ、及び、回路基板を備えている。第1センサは、ベース基板のエッジに沿って設けられた第1電極を有する。第2センサは、ベース基板上に固定された第2電極を有する。回路基板は、ベース基板上に搭載されており、第1センサ及び第2センサに接続されている。回路基板は、第1電極及び第2電極に高周波信号を与え、第1電極における電圧振幅から静電容量に応じた第1の測定値を取得し、第2電極における電圧振幅から静電容量に応じた第2の測定値を取得する。測定器は、基準面を有する。基準面は、当該測定器内で固定されており、且つ、第2電極に対面する。
本開示は、温度環境によって生じる静電容量の測定値の変動を抑制する技術を提供する。
一つの例示的実施形態においては、静電容量測定用の測定器が提供される。測定器は、ベース基板と、複数のセンサ電極と、温度センサと、高周波発振器と、複数のC/V変換回路と、A/D変換器と、演算装置と、複数の位相調整回路と、を備える。ベース基板は円盤状をなしている。複数のセンサ電極はベース基板に設けられている。温度センサはベース基板に設けられている。高周波発振器は、複数のセンサ電極に高周波信号を与えるように設けられている。複数のC/V変換回路は、複数のセンサ電極がそれぞれ形成する複数の静電容量にそれぞれ応じた複数の電圧信号を生成する。A/D変換器は、複数のC/V変換回路からそれぞれ出力される複数の電圧信号を複数のデジタル値にそれぞれ変換する。演算装置A/D変換器から出力される複数のデジタル値に基づいて、複数のセンサ電極がそれぞれ形成する複数の静電容量を表す複数の測定値を算出する。複数の位相調整回路は、複数のセンサ電極と高周波発振器との間に接続されている。複数のC/V変換回路の各々は、オペアンプを含む増幅回路を有する。高周波発振器は、高周波信号をオペアンプの非反転入力端子に入力するように非反転入力端子に接続されており、複数の位相調整回路のうち対応の位相調整回路を介してオペアンプの反転入力端子に接続されている。演算装置は、複数の温度のそれぞれにおいて複数のC/V変換回路の出力電圧信号の基準点調整のために、該複数の温度にそれぞれ対応付けて前記複数の位相調整回路のアドミタンスを設定する複数のパラメータを記憶している。演算装置は、複数のパラメータのうち温度センサによって検出された温度に対応付けられたパラメータを用いて、複数の位相調整回路のアドミタンスを調整する。
一つの例示的実施形態に係る測定器によれば、温度環境によって生じる静電容量の測定値の変動を抑制することができる。
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
一つの例示的実施形態においては、静電容量測定用の測定器が提供される。測定器は、ベース基板と、複数のセンサ電極と、温度センサと、高周波発振器と、複数のC/V変換回路と、A/D変換器と、演算装置と、複数の位相調整回路と、を備える。ベース基板は円盤状をなしている。複数のセンサ電極はベース基板に設けられている。温度センサはベース基板に設けられている。高周波発振器は、複数のセンサ電極に高周波信号を与えるように設けられている。複数のC/V変換回路は、複数のセンサ電極がそれぞれ形成する複数の静電容量にそれぞれ応じた複数の電圧信号を生成する。A/D変換器は、複数のC/V変換回路からそれぞれ出力される複数の電圧信号を複数のデジタル値にそれぞれ変換する。演算装置A/D変換器から出力される複数のデジタル値に基づいて、複数のセンサ電極がそれぞれ形成する複数の静電容量を表す複数の測定値を算出する。複数の位相調整回路は、複数のセンサ電極と高周波発振器との間に接続されている。複数のC/V変換回路の各々は、オペアンプを含む増幅回路を有する。高周波発振器は、高周波信号をオペアンプの非反転入力端子に入力するように非反転入力端子に接続されており、複数の位相調整回路のうち対応の位相調整回路を介してオペアンプの反転入力端子に接続されている。演算装置は、複数の温度のそれぞれにおいて複数のC/V変換回路の出力電圧信号の基準点調整のために、該複数の温度にそれぞれ対応付けて前記複数の位相調整回路のアドミタンスを設定する複数のパラメータを記憶している。演算装置は、複数のパラメータのうち温度センサによって検出された温度に対応付けられたパラメータを用いて、複数の位相調整回路のアドミタンスを調整する。
上記実施形態の測定器では、高周波発振器が、高周波信号をオペアンプの非反転入力端子に入力するように非反転入力端子に接続されており、且つ、位相調整回路を介してオペアンプの反転入力端子に接続されている。そのため、位相調整回路のアドミタンスが調整されることによって、複数のC/V変換回路から出力される電圧信号の大きさが調整され得る。複数のC/V変換回路から出力される電圧信号の大きさは、周囲の温度によって変動し得る。演算装置が温度センサによって検出された温度に応じたパラメータを用いてアドミタンスを調整するため、温度による電圧信号の大きさの変動が抑制され得る。また、演算装置は、複数の位相調整回路のそれぞれに対応するパラメータを記憶しているので、複数のセンサ電極間の個体差による複数の電圧信号間のばらつきを抑制することができる。
一つの例示的実施形態において、基準点調整はゼロ点調整であってよい。ゼロ点調整は、測定器による検出対象が存在しない状態で行われる。そのため、基準点調整を実行する際の測定器のセッティングが容易である。
一つの例示的実施形態において、演算装置は、複数のデジタル値から複数の関数をそれぞれ用いて算出する複数の測定値の温度依存性を抑制するために、複数の温度にそれぞれ対応付けられた複数の定数を各々が含む複数の定数群を記憶していてよい。演算装置は、温度センサによって検出された温度に応じて複数の定数群からそれぞれ取得される複数の定数を複数の関数においてそれぞれ用いて、複数の測定値を算出し得る。デジタル値に基づいてセンサ電極の静電容量を表す測定値を算出するための関数の定数は、測定器の回路の温度状態によって変動し得る。温度センサによって検出された温度に応じた定数を演算装置が用いるため、温度による測定値の大きさの変動が抑制され得る。
別の例示的実施形態において、測定器と対象物との間の静電容量を測定する方法が提供される。該方法は、複数のパラメータの中から、温度センサによって検出された温度に対応付けられたパラメータを用いて、複数の位相調整回路のアドミタンスを調整する工程を含む。複数のパラメータは、複数の温度にそれぞれ対応付けて複数の位相調整回路のアドミタンスを設定するために予め記憶されている。該方法は、アドミタンスが調整された状態で、複数のC/V変換回路が複数の電圧信号を生成する工程を含む。該方法は、A/D変換器が複数のC/V変換回路からそれぞれ出力される複数の電圧信号を複数のデジタル値にそれぞれ変換する工程を含む。該方法は、複数のデジタル値に基づいて、複数の測定値を算出する工程を含む。
一つの例示的実施形態において、複数のセンサは、ベース基板のエッジに設けられている。対象物は、ベース基板を囲むフォーカスリングである。この構成では、フォーカスリングと測定器との相対的な位置が導出され得る。
一つの例示的実施形態において、複数のセンサは、ベース基板の底面に設けられている。対象物は、ベース基板が載置される静電チャックである。この構成では、静電チャックと測定器との相対的な位置が導出され得る。
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
一つの例示的実施形態に係る測定器は、搬送システムS1としての機能を有する処理システム1によって搬送され得る。まず、被加工物を処理するための処理装置、及び、当該処理装置に被処理体を搬送するための搬送装置を有する処理システムについて説明する。図1は、処理システムを例示する図である。処理システム1は、台2a〜2d、容器4a〜4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1〜PM6、トランスファーモジュールTF、及び、制御部MCを備えている。なお、台2a〜2dの個数、容器4a〜4dの個数、ロードロックモジュールLL1,LL2の個数、及び、プロセスモジュールPM1〜PM6の個数は限定されるものではなく、一以上の任意の個数であり得る。
台2a〜2dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a〜4dはそれぞれ、台2a〜2d上に搭載されている。容器4a〜4dの各々は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される容器である。容器4a〜4dのそれぞれは、被加工物Wを収容するように構成され得る。被加工物Wは、ウエハのように略円盤形状を有する。
ローダモジュールLMは、大気圧状態の搬送空間をその内部に画成するチャンバ壁を有している。この搬送空間内には搬送装置TU1が設けられている。搬送装置TU1は、例えば、多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU1は、容器4a〜4dとアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1〜LL2の間、ロードロックモジュールLL1〜LL2と容器4a〜4dの間で被加工物Wを搬送するように構成されている。
アライナANは、ローダモジュールLMと接続されている。アライナANは、被加工物Wの位置の調整(位置の較正)を行うように構成されている。図2は、アライナを例示する斜視図である。アライナANは、支持台6T、駆動装置6D、及び、センサ6Sを有している。支持台6Tは、鉛直方向に延びる軸線中心に回転可能な台であり、その上に被加工物Wを支持するように構成されている。支持台6Tは、駆動装置6Dによって回転される。駆動装置6Dは、制御部MCによって制御される。駆動装置6Dからの動力により支持台6Tが回転すると、当該支持台6T上に載置された被加工物Wも回転するようになっている。
センサ6Sは、光学センサであり、被加工物Wが回転されている間、被加工物Wのエッジを検出する。センサ6Sは、エッジの検出結果から、基準角度位置に対する被加工物WのノッチWN(或いは、別のマーカー)の角度位置のずれ量、及び、基準位置に対する被加工物Wの中心位置のずれ量を検出する。センサ6Sは、ノッチWNの角度位置のずれ量及び被加工物Wの中心位置のずれ量を制御部MCに出力する。制御部MCは、ノッチWNの角度位置のずれ量に基づき、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正するための支持台6Tの回転量を算出する。制御部MCは、この回転量の分だけ支持台6Tを回転させるよう、駆動装置6Dを制御する。これにより、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正することができる。また、制御部MCは、アライナANから被加工物Wを受け取る際の搬送装置TU1のエンドエフェクタ(end effector)の位置を、被加工物Wの中心位置のずれ量に基づき、制御する。これにより、搬送装置TU1のエンドエフェクタ上の所定位置に被加工物Wの中心位置が一致する。
図1に戻り、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、ローダモジュールLMとトランスファーモジュールTFとの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。
トランスファーモジュールTFは、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2にゲートバルブを介して気密に接続されている。トランスファーモジュールTFは、減圧可能な減圧室を提供している。この減圧室には、搬送装置TU2が設けられている。搬送装置TU2は、例えば、搬送アームTUaを有する多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1〜LL2とプロセスモジュールPM1〜PM6との間、及び、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち任意の二つのプロセスモジュール間において、被加工物Wを搬送するように構成されている。
プロセスモジュールPM1〜PM6は、トランスファーモジュールTFにゲートバルブを介して気密に接続されている。プロセスモジュールPM1〜PM6の各々は、被加工物Wに対してプラズマ処理といった専用の処理を行うよう構成された処理装置である。
この処理システム1において被加工物Wの処理が行われる際の一連の動作は以下の通り例示される。ローダモジュールLMの搬送装置TU1が、容器4a〜4dの何れかから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをアライナANに搬送する。次いで、搬送装置TU1は、その位置が調整された被加工物WをアライナANから取り出して、当該被加工物WをロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、一方のロードロックモジュールが、予備減圧室の圧力を所定の圧力に減圧する。次いで、トランスファーモジュールTFの搬送装置TU2が、一方のロードロックモジュールから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをプロセスモジュールPM1〜PM6のうち何れかに搬送する。そして、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち一以上のプロセスモジュールが被加工物Wを処理する。そして、搬送装置TU2が、処理後の被加工物WをプロセスモジュールからロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、搬送装置TU1が被加工物Wを一方のロードロックモジュールから容器4a〜4dの何れかに搬送する。
この処理システム1は、上述したように制御部MCを備えている。制御部MCは、プロセッサ、メモリといった記憶装置、表示装置、入出力装置、通信装置等を備えるコンピュータであり得る。上述した処理システム1の一連の動作は、記憶装置に記憶されたプログラムに従った制御部MCによる処理システム1の各部の制御により、実現されるようになっている。
図3は、プロセスモジュールPM1〜PM6の何れかとして採用され得るプラズマ処理装置の一例を示す図である。図3に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型プラズマエッチング装置である。プラズマ処理装置10は、略円筒形状のチャンバ本体12を備えている。チャンバ本体12は、例えば、アルミニウムから形成されており、その内壁面には、陽極酸化処理が施され得る。このチャンバ本体12は保安接地されている。
チャンバ本体12の底部上には、略円筒形状の支持部14が設けられている。支持部14は、例えば、絶縁材料から構成されている。支持部14は、チャンバ本体12内に設けられており、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。また、チャンバ本体12によって提供されるチャンバS内には、ステージSTが設けられている。ステージSTは、支持部14によって支持されている。
ステージSTは、下部電極LE及び静電チャックESCを有している。下部電極LEは、第1プレート18a及び第2プレート18bを含んでいる。第1プレート18a及び第2プレート18bは、例えばアルミニウムといった金属から構成されており、略円盤形状をなしている。第2プレート18bは、第1プレート18a上に設けられており、第1プレート18aに電気的に接続されている。
第2プレート18b上には、静電チャックESCが設けられている。静電チャックESCは、導電膜である電極を一対の絶縁層又は絶縁シート間に配置した構造を有しており、略円盤形状を有している。静電チャックESCの電極には、直流電源22がスイッチ23を介して電気的に接続されている。この静電チャックESCは、直流電源22からの直流電圧により生じたクーロン力等の静電力により被加工物Wを吸着する。これにより、静電チャックESCは、被加工物Wを保持することができる。
第2プレート18bの周縁部上には、フォーカスリングFRが設けられている。このフォーカスリングFRは、被加工物Wのエッジ及び静電チャックESCを囲むように設けられている。フォーカスリングFRは、第1部分P1及び第2部分P2を有している(図7参照)。第1部分P1及び第2部分P2は環状板形状を有している。第2部分P2は、第1部分P1よりも外側の部分である。第2部分P2は、第1部分P1よりも高さ方向に大きな厚みを有している。第2部分P2の内縁P2iは第1部分P1の内縁P1iの直径よりも大きい直径を有している。被加工物Wは、そのエッジ領域が、フォーカスリングFRの第1部分P1上に位置するように、静電チャックESC上に載置される。このフォーカスリングFRは、シリコン、炭化ケイ素、酸化シリコンといった種々の材料のうち何れかから形成され得る。
第2プレート18bの内部には、冷媒流路24が設けられている。冷媒流路24は、温調機構を構成している。冷媒流路24には、チャンバ本体12の外部に設けられたチラーユニットから配管26aを介して冷媒が供給される。冷媒流路24に供給された冷媒は、配管26bを介してチラーユニットに戻される。このように、冷媒流路24とチラーユニットとの間では、冷媒が循環される。この冷媒の温度を制御することにより、静電チャックESCによって支持された被加工物Wの温度が制御される。
ステージSTには、当該ステージSTを貫通する複数(例えば、三つ)の貫通孔25が形成されている。複数の貫通孔25は、平面視において静電チャックESCの内側に形成されている。これら、それぞれの貫通孔25には、リフトピン25aが挿入されている。なお、図3においては、一本のリフトピン25aが挿入された一つの貫通孔25が描かれている。リフトピン25aは、貫通孔25内において上下動可能に設けられている。リフトピン25aの上昇によって、静電チャックESC上に支持された被加工物Wが上昇する。
ステージSTには、平面視において静電チャックESCよりも外側の位置に、当該ステージST(下部電極LE)を貫通する複数(例えば、三つ)の貫通孔27が形成されている。これら、それぞれの貫通孔27には、リフトピン27aが挿入されている。なお、図3においては、一本のリフトピン27aが挿入された一つの貫通孔27が描かれている。リフトピン27aは、貫通孔27内において上下動可能に設けられている。リフトピン27aの上昇によって、第2プレート18b上に支持されたフォーカスリングFRが上昇する。
また、プラズマ処理装置10には、ガス供給ライン28が設けられている。ガス供給ライン28は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャックESCの上面と被加工物Wの裏面との間に供給する。
また、プラズマ処理装置10は、上部電極30を備えている。上部電極30は、ステージSTの上方において、当該ステージSTと対向配置されている。上部電極30は、絶縁性遮蔽部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34はチャンバSに面しており、当該天板34には複数のガス吐出孔34aが設けられている。この天板34は、シリコン又は石英から形成され得る。或いは、天板34は、アルミニウム製の母材の表面に酸化イットリウムといった耐プラズマ性の膜を形成することによって構成され得る。
支持体36は、天板34を着脱自在に支持するものであり、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され得る。この支持体36は、水冷構造を有し得る。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。このガス拡散室36aからは、ガス吐出孔34aに連通する複数のガス通流孔36bが下方に延びている。また、支持体36には、ガス拡散室36aに処理ガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数種のガス用の複数のガスソースを含んでいる。バルブ群42は複数のバルブを含んでおり、流量制御器群44はマスフローコントローラといった複数の流量制御器を含んでいる。ガスソース群40の複数のガスソースはそれぞれ、バルブ群42の対応のバルブ及び流量制御器群44の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
また、プラズマ処理装置10では、チャンバ本体12の内壁に沿ってデポシールド46が着脱自在に設けられている。デポシールド46は、支持部14の外周にも設けられている。デポシールド46は、チャンバ本体12にエッチング副生物(デポ)が付着することを防止するものであり、アルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。
チャンバ本体12の底部側、且つ、支持部14とチャンバ本体12の側壁との間には排気プレート48が設けられている。排気プレート48は、例えば、アルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。排気プレート48には、その板厚方向に貫通する複数の孔が形成されている。この排気プレート48の下方、且つ、チャンバ本体12には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ本体12内の空間を所望の真空度まで減圧することができる。また、チャンバ本体12の側壁には被加工物Wの搬入出口12gが設けられており、この搬入出口12gはゲートバルブ54により開閉可能となっている。
また、プラズマ処理装置10は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を更に備えている。第1の高周波電源62は、プラズマ生成用の第1の高周波を発生する電源であり、例えば、27〜100MHzの周波数を有する高周波を発生する。第1の高周波電源62は、整合器66を介して上部電極30に接続されている。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(上部電極30側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して下部電極LEに接続されていてもよい。
第2の高周波電源64は、被加工物Wにイオンを引き込むための第2の高周波を発生する電源であり、例えば、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数の高周波を発生する。第2の高周波電源64は、整合器68を介して下部電極LEに接続されている。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(下部電極LE側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
このプラズマ処理装置10では、複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスがチャンバSに供給される。また、チャンバSの圧力が排気装置50によって所定の圧力に設定される。さらに、第1の高周波電源62からの第1の高周波によってチャンバS内のガスが励起される。これにより、プラズマが生成される。そして、発生した活性種によって被加工物Wが処理される。なお、必要に応じて、第2の高周波電源64の第2の高周波に基づくバイアスにより、被加工物Wにイオンが引き込まれてもよい。
以下、測定器について説明する。図4は、測定器を上面側から見て示す平面図である。図5は、測定器を底面側から見て示す平面図である。図4及び図5に示す測定器100は、ベース基板102を備えている。ベース基板102は、例えば、シリコンから形成されており、被加工物Wの形状と同様の形状、即ち略円盤形状を有している。ベース基板102の直径は、被加工物Wの直径と同様の直径であり、例えば、300mmである。測定器100の形状及び寸法は、このベース基板102の形状及び寸法によって規定される。したがって、測定器100は、被加工物Wの形状と同様の形状を有し、且つ、被加工物Wの寸法と同様の寸法を有する。また、ベース基板102のエッジには、ノッチ102N(或いは、別のマーカー)が形成されている。
ベース基板102には、静電容量測定用の複数の第1センサ104A〜104Cが設けられている。複数の第1センサ104A〜104Cは、ベース基板102のエッジに沿って、例えば当該エッジの全周において、等間隔に配列されている。具体的には、複数の第1センサ104A〜104Cの各々は、ベース基板102の上面側のエッジに沿うように設けられている。複数の第1センサ104A〜104Cの各々の前側端面は、ベース基板102の側面に沿っている。
また、ベース基板102には、静電容量測定用の複数の第2センサ105A〜105Cが設けられている。複数の第2センサ105A〜105Cは、ベース基板102のエッジに沿って、例えば当該エッジの全周において、等間隔に配列されている。具体的には、複数の第2センサ105A〜105Cの各々は、ベース基板の底面側のエッジに沿うように設けられている。複数の第2センサ105A〜105Cの各々のセンサ電極161は、ベース基板102の底面に沿っている。また、第2センサ105A〜105Cと第1センサ104A〜104Cとは、周方向において60°間隔で交互に配列されている。
ベース基板102の上面の中央には、回路基板106が設けられている。回路基板106と複数の第1センサ104A〜104Cとの間には、互いを電気的に接続するための配線群108A〜108Cが設けられている。また、回路基板106と複数の第2センサ105A〜105Cとの間には、互いを電気的に接続するための配線群208A〜208Cが設けられている。回路基板106、配線群108A〜108C、及び配線群208A〜208Cは、カバー103によって覆われている。
以下、第1センサについて詳細に説明する。図6は、センサの一例を示す斜視図である。図7は、図6のVII−VII線に沿ってとった断面図である。図6及び図7に示す第1センサ104は、測定器100の複数の第1センサ104A〜104Cとして利用されるセンサであり、一例では、チップ状の部品として構成されている。なお、以下の説明では、XYZ直交座標系を適宜参照する。X方向は、第1センサ104の前方向を示しており、Y方向は、X方向に直交する一方向であって第1センサ104の幅方向を示しており、Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向であって第1センサ104の上方向を示している。図7には、第1センサ104と共にフォーカスリングFRが示されている。
第1センサ104は、電極141、ガード電極142、センサ電極143、基板部144及び絶縁領域147を有している。
基板部144は、例えばホウケイ酸ガラスまたは石英から形成されている。基板部144は、上面144a、下面144b、及び前側端面144cを有している。ガード電極142は、基板部144の下面144bの下方に設けられており、X方向及びY方向に延在している。また、電極141は、絶縁領域147を介してガード電極142の下方に設けられており、X方向及びY方向に延在している。絶縁領域147は、例えば、SiO2、SiN、Al2O3、又は、ポリイミドから形成されている。
基板部144の前側端面144cは、段状に形成されている。前側端面144cの下側部分144dは、当該前側端面144cの上側部分144uよりもフォーカスリングFRの側に向けて突出している。センサ電極143は、前側端面144cの上側部分144uに沿って延在している。一つの例示的実施形態では、前側端面144cの上側部分144u及び下側部分144dは、それぞれに所定の曲率をもった曲面となっている。即ち、前側端面144cの上側部分144uは、当該上側部分144uの任意の位置で一定の曲率をしており、当該上側部分144uの曲率は、測定器100の中心軸線AX100と前側端面144cの上側部分144uとの間の距離の逆数である。また、前側端面144cの下側部分144dは、当該下側部分144dの任意の位置で一定の曲率をしており、当該下側部分144dの曲率は、測定器100の中心軸線AX100と前側端面144cの下側部分144dとの間の距離の逆数である。
センサ電極143は、前側端面144cの上側部分144uに沿って設けられている。一つの例示的実施形態では、このセンサ電極143の前面143fも曲面になっている。即ち、センサ電極143の前面143fは、当該前面143fの任意の位置で一定の曲率を有しており、当該曲率は、測定器100の中心軸線AX100と前面143fとの間の距離の逆数である。
この第1センサ104を測定器100のセンサとして用いる場合には、後述のように電極141が配線181に接続され、ガード電極142が配線182に接続され、センサ電極143が配線183に接続される。
第1センサ104においては、センサ電極143が、電極141及びガード電極142によって、第1センサ104の下方に対して遮蔽されている。したがって、この第1センサ104によれば、特定方向、即ち、センサ電極143の前面143fが向いている方向(X方向)に高い指向性をもって静電容量を測定することが可能となる。
以下、第2センサについて詳細に説明する。図8は、図5の部分拡大図であり、一つの第2センサを示す。第2センサ105は、センサ電極161を有している。センサ電極161のエッジは部分的に円弧形状をなしている。即ち、センサ電極161は、中心軸線AX100を中心とした異なる半径を有する二つの円弧である内縁161a及び外縁161bによって規定される平面形状を有している。複数の第2センサ105A〜105Cそれぞれのセンサ電極161における径方向外側の外縁161bは、共通する円上で延在する。また、複数の第2センサ105A〜105Cそれぞれのセンサ電極161における径方向内側の内縁161aは、他の共通する円上で延在する。センサ電極161のエッジの一部の曲率は、静電チャックESCのエッジの曲率に一致している。一つの例示的実施形態では、センサ電極161における径方向外側のエッジを形成する外縁161bの曲率が、静電チャックESCのエッジの曲率に一致している。なお、外縁161bの曲率中心、即ち、外縁161bがその上で延在する円の中心は、中心軸線AX100を共有している。
一つの例示的実施形態では、第2センサ105は、センサ電極161を囲むガード電極162を更に含んでいる。ガード電極162は、枠状をなしており、センサ電極161をその全周にわたって囲んでいる。ガード電極162とセンサ電極161は、それらの間に絶縁領域164が介在するよう、互いに離間している。また、一つの例示的実施形態では、第2センサ105は、ガード電極162の外側で当該ガード電極162を囲む電極163を更に含んでいる。電極163は、枠状をなしており、ガード電極162をその全周にわたって囲んでいる。ガード電極162と電極163は、それらの間に絶縁領域165が介在するよう互いに離間している。
以下、回路基板106の構成について説明する。図9は、測定器の回路基板の構成を例示する図である。回路基板106は、高周波発振器171、複数のC/V変換回路172A〜172C、複数のC/V変換回路272A〜272C、A/D変換器173、プロセッサ174、記憶装置175、通信装置176、及び、電源177を有している。一例においては、プロセッサ174、記憶装置175等によって演算装置が構成されている。また、回路基板106は、温度センサ179を有している。温度センサ179は、検出した温度に応じた信号をプロセッサ174に出力する。例えば、温度センサ179は、測定器100の周囲の環境の温度を取得することができる。
複数の第1センサ104A〜104Cの各々は、複数の配線群108A〜108Cのうち対応の配線群を介して回路基板106に接続されている。また、複数の第1センサ104A〜104Cの各々は、対応の配線群に含まれる幾つかの配線を介して、複数のC/V変換回路172A〜172Cのうち対応のC/V変換回路に接続されている。複数の第2センサ105A〜105Cの各々は、複数の配線群208A〜208Cのうち対応の配線群を介して回路基板106に接続されている。また、複数の第2センサ105A〜105Cの各々は、対応の配線群に含まれる幾つかの配線を介して、複数のC/V変換回路272A〜272Cのうち対応のC/V変換回路に接続されている。以下、第1センサ104A〜104Cの各々と同構成の一つの第1センサ104、配線群108A〜108Cの各々と同構成の一つの配線群108、C/V変換回路172A〜172Cの各々と同構成の一つのC/V変換回路172、について説明する。また、第2センサ105A〜105Cの各々と同構成の一つの第2センサ105、配線群208A〜208Cの各々と同構成の一つの配線群208、及び、C/V変換回路272A〜272Cの各々と同構成のC/V変換回路272について説明する。
配線群108は、配線181〜183を含んでいる。配線181の一端は、電極141に接続されたパッド151に接続されている。この配線181は、回路基板106のグランドGCに接続されたグランド電位線GLに接続されている。なお、配線181は、グランド電位線GLにスイッチSWGを介して接続されていてもよい。また、配線182の一端は、ガード電極142に接続されたパッド152に接続されており、配線182の他端はC/V変換回路172に接続されている。また、配線183の一端は、センサ電極143に接続されたパッド153に接続されており、配線183の他端はC/V変換回路172に接続されている。
配線群208は、配線281〜283を含んでいる。配線281の一端は、電極163に接続されている。この配線281は、回路基板106のグランドGCに接続されたグランド電位線GLに接続されている。なお、配線281は、グランド電位線GLにスイッチSWGを介して接続されていてもよい。また、配線282の一端は、ガード電極162に接続されており、配線282の他端はC/V変換回路272に接続されている。また、配線283の一端は、センサ電極161に接続されており、配線283の他端はC/V変換回路272に接続されている。
高周波発振器171は、バッテリーといった電源177に接続されており、当該電源177からの電力を受けて高周波信号を発生するよう構成されている。なお、電源177は、プロセッサ174、記憶装置175、及び、通信装置176にも接続されている。高周波発振器171は、複数の出力線を有している。高周波発振器171は、発生した高周波信号を複数の出力線を介して、配線182及び配線183、並びに、配線282及び配線283に与えるようになっている。したがって、高周波発振器171は、第1センサ104のガード電極142及びセンサ電極143に電気的に接続されており、当該高周波発振器171からの高周波信号は、ガード電極142及びセンサ電極143に与えられるようになっている。また、高周波発振器171は、第2センサ105のセンサ電極161及びガード電極162に電気的に接続されており、当該高周波発振器171からの高周波信号は、センサ電極161及びガード電極162に与えられるようになっている。
C/V変換回路172の入力には、パッド152に接続された配線182、及び、パッド153に接続された配線183が接続されている。即ち、C/V変換回路172の入力には、第1センサ104のガード電極142及びセンサ電極143が接続されている。また、C/V変換回路272の入力には、センサ電極161及びガード電極162がそれぞれ接続されている。C/V変換回路172及びC/V変換回路272は、その入力における電位差に応じた振幅を有する電圧信号を生成し、当該電圧信号を出力するよう構成されている。C/V変換回路172は、対応する第1センサ104が形成する静電容量に応じた電圧信号を生成する。すなわち、C/V変換回路172に接続されたセンサ電極の静電容量が大きいほど、当該C/V変換回路172が出力する電圧信号の電圧の大きさは大きくなる。同様に、C/V変換回路272に接続されたセンサ電極の静電容量が大きいほど、当該C/V変換回路272が出力する電圧信号の電圧の大きさは大きくなる。
A/D変換器173の入力には、C/V変換回路172及びC/V変換回路272の出力が接続している。また、A/D変換器173は、プロセッサ174に接続している。A/D変換器173は、プロセッサ174からの制御信号によって制御され、C/V変換回路172の出力信号(電圧信号)及びC/V変換回路272の出力信号(電圧信号)を、デジタル値に変換し、検出値としてプロセッサ174に出力する。
プロセッサ174には記憶装置175が接続されている。記憶装置175は、揮発性メモリといった記憶装置であり、例えば、測定データを記憶するよう構成されている。また、プロセッサ174には、別の記憶装置178が接続されている。記憶装置178は、不揮発性メモリといった記憶装置であり、例えば、プロセッサ174によって読み込まれて実行されるプログラムが記憶されている。
通信装置176は、任意の無線通信規格に準拠した通信装置である。例えば、通信装置176は、Bluetooth(登録商標)に準拠している。通信装置176は、記憶装置175に記憶されている測定データを無線送信するように構成されている。
プロセッサ174は、上述したプログラムを実行することにより、測定器100の各部を制御するように構成されている。例えば、プロセッサ174は、ガード電極142、センサ電極143、センサ電極161、及び、ガード電極162に対する高周波発振器171からの高周波信号の供給を制御する。また、プロセッサ174は、記憶装置175に対する電源177からの電力供給、通信装置176に対する電源177からの電力供給等を制御する。さらに、プロセッサ174は、上述したプログラムを実行することにより、A/D変換器173から入力された検出値に基づいて、第1センサ104の測定値及び第2センサ105の測定値を取得する。一実施形態では、A/D変換器173から出力された検出値をXとした場合、プロセッサ174では、測定値が(a・X+b)に比例した値となるように、検出値に基づいて測定値を取得している。ここで、a及びbは回路状態等によって変化する定数である。プロセッサ174は、例えば、測定値が(a・X+b)に比例した値となるような所定の演算式(関数)を有していてよい。
以上説明した測定器100では、測定器100がフォーカスリングFRによって囲まれた領域に配置されている状態において、複数のセンサ電極143及びガード電極142はフォーカスリングFRの内縁と対面する。これらセンサ電極143の信号とガード電極142の信号との電位差に基づいて生成される測定値は、複数のセンサ電極143それぞれとフォーカスリングFRとの間の距離を反映する静電容量を表している。なお、静電容量Cは、C=εS/dで表される。εはセンサ電極143の前面143fとフォーカスリングFRの内縁との間の媒質の誘電率であり、Sはセンサ電極143の前面143fの面積であり、dはセンサ電極143の前面143fとフォーカスリングFRの内縁との間の距離と見なすことができる。
したがって、測定器100によれば、被加工物Wを模した当該測定器100とフォーカスリングFRとの相対的な位置関係を反映する測定データが得られる。例えば、測定器100によって取得される複数の測定値は、センサ電極143の前面143fとフォーカスリングFRの内縁との間の距離が大きくなるほど、小さくなる。したがって、第1センサ104A〜104Cの各々のセンサ電極143の静電容量を表す測定値に基づいて、フォーカスリングFRの各径方向における各センサ電極143のずれ量を求めることができる。そして、各径方向における第1センサ104A〜104Cの各々のセンサ電極143のずれ量から、測定器100の搬送位置の誤差を求めることができる。
また、測定器100が静電チャックESCに載置されている状態では、複数のセンサ電極161及びガード電極162は静電チャックESCと対面する。上述の通り、静電容量Cは、C=εS/dで表される。εはセンサ電極161と静電チャックESCとの間の媒質の誘電率であり、dはセンサ電極161と静電チャックESCとの間の距離であり、Sは平面視においてセンサ電極161と静電チャックESCとが互いに重なり合う面積と見なすことができる。面積Sは、測定器100と静電チャックESCとの相対的な位置関係によって変化する。したがって、測定器100によれば、被加工物Wを模した当該測定器100と静電チャックESCとの相対的な位置関係を反映する測定データが得られる。
一例では、所定の搬送位置、すなわち静電チャックESCの中心と測定器100の中心とが一致する静電チャックESC上の位置に測定器100が搬送された場合、センサ電極161における外縁161bと静電チャックESCのエッジとが一致してもよい。この場合、例えば、測定器100の搬送位置が所定の搬送位置からずれることにより、センサ電極161が静電チャックESCに対して径方向の外側にずれたときに、面積Sは小さくなる。すなわち、センサ電極161によって測定される静電容量は、所定の搬送位置に測定器100が搬送された場合の静電容量に比べて小さくなる。したがって、第2センサ105A〜105Cの各々のセンサ電極161の静電容量を表す測定値に基づいて、静電チャックESCの各径方向における各センサ電極161のずれ量を求めることができる。そして、各径方向における第2センサ105A〜105Cの各々のセンサ電極161のずれ量から、測定器100の搬送位置の誤差を求めることができる。
続いて、温度環境の変化によって生じる静電容量の測定値の変動を抑制するための構成について説明する。まず、高周波発振器171と配線182及び配線183とC/V変換回路172との接続について、より詳細に説明する。図10は、高周波発振器171と配線182及び配線183とC/V変換回路172との接続を示す回路図である。図10に示すように、高周波発振器171と配線182との間には、抵抗171aが接続されている。高周波発振器171と配線183との間には、可変抵抗171b及び可変コンデンサ171cを含む位相調整回路171dが接続されている。C/V変換回路172は、その一部にオペアンプ及び抵抗を含む増幅回路172aを有している。増幅回路172aでは、オペアンプの反転入力端子に配線183が接続されており、オペアンプの非反転入力端子に配線182が接続されている。また、オペアンプの反転入力端子と出力端子とは抵抗を介して接続されている。増幅回路172aは、C/V変換回路172に入力されたセンサ電極143からの信号とガード電極142からの信号との電位差を増幅させる。
高周波発振器171と配線282及び配線283とC/V変換回路272とは、高周波発振器171と配線182及び配線183とC/V変換回路172と同様に接続されている。すなわち、高周波発振器171と配線282との間には、抵抗が接続されている。高周波発振器171と配線283との間には、可変抵抗及び可変コンデンサを含む位相調整回路が接続されている。C/V変換回路272は、その一部にオペアンプ及び抵抗を含む増幅回路を有している。増幅回路では、オペアンプの反転入力端子に配線283が接続されており、オペアンプの非反転入力端子に配線282が接続されている。また、オペアンプの反転入力端子と出力端子とは抵抗を介して接続されている。
上記のような回路構成においては、位相調整回路171dの可変抵抗171bの抵抗値が変更されることにより、センサ電極143からの信号の振幅が変更され得る。また、位相調整回路171dの可変コンデンサ171cの静電容量値が変更されることにより、センサ電極143からの信号の位相が変更され得る。一つの例示的実施形態では、可変抵抗171bの抵抗値と可変コンデンサ171cの静電容量値とがプロセッサ174によって調整(制御)されることにより、位相調整回路171dのアドミタンスが調整されている。
図10では、プロセッサ174に接続されたD/Aコンバータ174aの出力が可変抵抗171bに入力されている。プロセッサ174は、可変抵抗171bの抵抗値を調整するためのパラメータをデジタル信号としてD/Aコンバータ174aに出力する。D/Aコンバータ174aは、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して、可変抵抗171bに出力する。これにより、可変抵抗171bの抵抗値は、プロセッサ174から出力されたデジタル信号に対応した抵抗値に制御される。
また、プロセッサ174に接続されたD/Aコンバータ174bの出力は、可変コンデンサ171cに入力されている。プロセッサ174は、可変コンデンサ171cの静電容量値を調整するためのパラメータをデジタル信号としてD/Aコンバータ174bに出力する。D/Aコンバータ174bは、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して、可変コンデンサ171cに出力する。これにより、可変コンデンサ171cの静電容量値は、プロセッサ174から出力されたデジタル信号に対応した静電容量値に制御される。
可変抵抗171bの抵抗値を調整するためのパラメータ、及び、可変コンデンサ171cの静電容量値を調整するためのパラメータは、例えば、記憶装置178にテーブルとして格納されていてよい。テーブルは、複数の温度のそれぞれに応じた値をパラメータとして有している。パラメータは、複数の温度のそれぞれにおいて複数のC/V変換回路172,272の出力電圧信号の基準点調整のために用いられる。一例として、基準点調整は、ゼロ点調整であってよい。すなわち、パラメータは、測定器100による検出対象が存在しない状態において、C/V変換回路172,272から出力される電圧信号がゼロになるように、可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値を調整する値であってよい。ゼロ点調整では、基準点調整を実行する際の測定器100のセッティングを比較的容易に行うことができる。
一例として、記憶装置178は、可変抵抗171bを制御するためのテーブルを第1センサ104A〜104Cごとに有している。記憶装置178は、可変抵抗171bを制御するためのテーブルを第2センサ105A〜105Cごとに有している。各テーブルは、複数の温度ごとに各センサに対応する可変抵抗171bを制御するためのパラメータを有している。記憶装置178は、可変コンデンサ171cを制御するためのテーブルを第1センサ104A〜104Cごとに有している。記憶装置178は、可変コンデンサ171cを制御するためのテーブルを第2センサ105A〜105Cごとに有している。各テーブルは、複数の温度ごとに各センサに対応する可変コンデンサ171cを制御するためのパラメータを有している。
このようなテーブルを取得する方法の一例について説明する。なお、測定器100の使用環境は、例えば、10〜80℃であり、到達真空度が10mTorr程度の除湿された真空環境下であってよい。
パラメータは、測定器100が実際に使用される際の環境下で取得される。すなわち、一例では、10〜80℃の温度環境下であり、且つ、到達真空度が10mTorr程度の除湿された真空環境下であってよい。パラメータの取得にあたっては、上記環境下において、測定器100による検出対象が存在しない状態で、C/V変換回路172,272から出力される電圧信号がゼロになるように可変抵抗171b及び可変コンデンサ171cを調整する。測定器100による検出対象が存在しない状態とは、例えば測定器100から検出対象までの間に検出値がゼロとなるべき空間が形成された状態であってよい。そして、このように調整されたときの、可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値を目的とするパラメータとして取得する。パラメータは、プロセッサ174から出力されたデジタル信号の値であってよい。測定器100を10〜80℃に調温した状態で、それぞれの温度においてパラメータを取得することにより、テーブルを作成することができる。なお、10℃から80℃までの範囲において10℃毎にパラメータを取得してもよい。例えば、10,20,30,40,50,60,70,80℃のそれぞれにおいてのみ、実際に可変抵抗171b及び可変コンデンサ171cが調整されてもよい。この場合、パラメータが取得されていない温度帯については、取得されたパラメータに基づいて推定されてもよい。一例として、取得されたパラメータ間を線形補間することにより、パラメータが取得されていない温度帯のパラメータを決定してもよい。
また、上述のとおり、プロセッサ174では、A/D変換器173から出力された検出値をXとした場合、測定値が(a・X+b)に比例した値となるように、測定値を取得している。a及びbは回路状態等によって変化する定数であり、環境温度に依存し得る。一実施形態では、A/D変換器173から出力される検出値Xのそれぞれが、計算値による静電容量を示す測定値に変換されるように、C/V変換回路172A〜172C及びC/V変換回路272A〜272Cのそれぞれに対応して定数a,bが調整される。計算値による静電容量は、上述の静電容量Cを求める式によって算出され得る。
一つの例示的実施形態では、プロセッサ174によって、定数a,bが調整される。定数a,bは、例えば、記憶装置178にテーブルとして格納されていてよい。テーブルは、複数の温度のそれぞれに対応づけられた定数a,bを要素として有している。一例として、記憶装置178は、C/V変換回路172A〜172C及びC/V変換回路272A〜272Cのそれぞれに対応するテーブルを有している。すなわち、記憶装置178は、A/D変換器173から出力される複数の測定値の温度依存性を抑制するために、複数の温度にそれぞれ対応付けられた複数の定数群を記憶している。それぞれの定数群は、C/V変換回路172A〜172C及びC/V変換回路272A〜272Cのそれぞれに対応する複数の定数a,bを有する。プロセッサ174は、環境温度に対応した定数群を選択し、選択された定数群を構成する複数の定数a,bをそれぞれ対応する関数の定数として用いる。
このようなテーブルを取得する方法の一例について説明する。なお、測定器100の使用環境は、例えば、10〜80℃であり、到達真空度が10mTorr程度の除湿された真空環境下であってよい。
定数a,bは、測定器100が実際に使用される際の環境下で取得される。すなわち、一例では、10〜80℃の温度環境下であり、且つ、到達真空度が10mTorr程度の除湿された真空環境下で定数a,bが取得される。定数a,bの取得にあたっては、まず、フォーカスリングFRの内側、且つ、静電チャックESC上に測定器100が配置される。そして、この状態で、測定器100の位置を水平に変化させながら、測定器100の相対的な位置と当該位置における検出値Xとを取得する。測定器100の相対的な位置とは、フォーカスリングFRに対する第1センサ104A〜104Cそれぞれの距離であってよい。この場合、計算値による第1センサ104A〜104Cそれぞれの静電容量が算出され得る。また、測定器100の相対的な位置とは、静電チャックESCに対する第2センサ105A〜105Cの位置であってよい。この場合、平面視におけるセンサ電極161と静電チャックESCとが互いに重なり合う面積が算出され得る。すなわち、計算値による第2センサ105A〜105Cそれぞれの静電容量が算出され得る。そして、取得された検出値Xが計算値による静電容量に近似されるように定数a,bが算出される。算出された定数a,bがテーブルを構成する要素として取得される。測定器100を10〜80℃に調温した状態で、それぞれの温度において定数a,bを取得することにより、テーブルを作成することができる。
続いて、測定器100の動作について説明する。図11は、静電容量が測定される際の測定器100の動作を示すフロー図である。該フロー図における動作は、測定器100のプロセッサ174によって制御されている。一つの例示的実施形態では、事前に、搬送位置データによって特定される載置領域上の位置に、搬送装置TU2によって測定器100が搬送される。具体的には、搬送装置TU1が、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに測定器100を搬送する。そして、搬送装置TU2が、搬送位置データに基づいて、一方のロードロックモジュールから、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち何れかに測定器100を搬送し、当該測定器100を静電チャックESCの載置領域上に載置する。搬送位置データは、フォーカスリングFRの中心位置に測定器100の中心軸線AX100の位置が一致するように予め定められた座標データである。なお、測定器100が搬送されたプロセスモジュール内は、到達真空度が10mTorr程度の真空除湿環境に調整されてよい。また、作業者は、事前に、静電容量を測定する回数等の条件を設定しておくことができる。
静電容量の測定では、まず、温度センサ179によって周囲の温度が検出される(ステップST1)。検出された温度データは、例えば、記憶装置175に記憶される。次に、今回の測定が初回の測定か否かが判定される(ステップST2)。今回の測定が初回の測定であると判定された場合、ステップST1において検出された温度データに応じて、位相調整回路171dにおける可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値が設定される(ステップST3)。すなわち、プロセッサ174は、記憶装置175から温度センサ179によって検出された温度データを取得する。そして、プロセッサ174は、記憶装置178に記憶された可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値を調整するための複数のパラメータの中から、該温度データに対応するパラメータを取得する。取得したパラメータをプロセッサ174がデジタル信号としてD/Aコンバータ174aに出力することにより、可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値が制御される。
ステップST2において、今回の測定が初回の測定ではないと判定された場合、一回前の測定において検出された温度と今回の測定において検出された温度とが比較される。すなわち、前回の検出温度から温度条件に変化があるかが判定される(ステップST4)。例えば、プロセッサ174は、記憶装置175から取得された前回の温度データと今回の温度データとの差分の絶対値を算出する。そして、プロセッサ174は、差分の絶対値を基準値と比較する。基準値は、温度変化が測定結果に影響を及ぼし得ると考えられる温度であり、例えば、1℃であってよい。差分の絶対値が、基準値以上と判定された場合、今回測定された温度データに応じて、位相調整回路171dにおける可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値が再び設定される(ステップST3)。一方、差分の絶対値が、基準値未満と判定された場合、前回設定された位相調整回路171dにおける可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値が引き継がれる。
次に、測定器100による測定が実施される(ステップST5)。ステップST5では、C/V変換回路172の出力信号(電圧信号)及びC/V変換回路272の出力信号(電圧信号)が、A/D変換器によってデジタル値に変換され、検出値としてプロセッサ174に出力される。この検出値は、温度データと紐付けられて、例えば記憶装置175に記憶されてもよい。
次に、設定された条件での測定が完了したか否かが判定される(ステップST6)。例えば、静電容量を測定する回数が条件として事前に設定されている場合には、設定された回数の測定が完了したか否かが判定される。測定が完了していない場合、再びステップST1に戻り、測定が繰り返される。測定が完了している場合、ステップST7に進む。
ステップST7では、A/D変換器173から出力された検出値Xから静電容量を表す測定値を算出するための関数の定数が設定される。一つの例示的実施形態では、測定値が(a・X+b)に比例した値となるように関数が設定されている。プロセッサ174は、記憶装置178に記憶された複数の定数a,bを含むテーブルから、検出値に紐付けられた温度データに対応する定数a,bを取得する。これにより、定数a,bが設定される。
次に、静電容量が取得される(ステップST8)。すなわち、取得された定数a,bが反映された関数によって、検出値が静電容量を表す測定値に変換される。取得された静電容量(測定値)のデータは、各センサごとに、温度データ、検出値(デジタル値)等と紐付けられた状態で、記憶装置175に記憶され得る。一つの例示的実施形態においては、第1センサ104A〜104Cによって取得されたそれぞれの静電容量に基づいて、フォーカスリングFRの中心位置に対する測定器100の中心のずれ量が導出され得る。また、第2センサ105A〜105Cによって取得されたそれぞれの静電容量に基づいて、静電チャックESCの中心位置に対する測定器100の中心のずれ量が導出され得る。このようなずれ量は、例えば、搬送装置TU2による搬送に利用される搬送位置データの較正に利用され得る。
半導体製造装置においてプラズマ処理を行う場合、被加工物W、静電チャックESC、及びフォーカスリングFRの互いの位置関係が重要である。そのため、被加工物Wが搬送される位置を示す信頼性の高いデータを取得することが求められている。一例として、被加工物Wと同型状を有する測定器100を搬送することにより、搬送された測定器100と、静電チャックESC及びフォーカスリングFRとの互いの位置関係を示すデータが取得され得る。
測定器100では、複数のセンサ電極と高周波発振器171との間に複数の位相調整回路171dが接続されている。そのため、位相調整回路171dのアドミタンスが調整されることによって、複数のC/V変換回路172から出力される電圧信号の大きさが調整され得る。しかしながら、C/V変換回路172から出力される電圧信号の大きさは、周囲の温度の影響によって変動する場合がある。例えば、ある温度でゼロ点調整を行ったとしても、温度が変化した場合には、C/V変換回路172から出力される電圧信号が大きくなる場合がある。
上記の測定器100では、温度センサ179によって検出された温度に応じたパラメータを用いて、複数のC/V変換回路ごとに対応する位相調整回路171dのアドミタンスが調整される。そのため、温度変化による生じる電圧信号の大きさの変動が、抑制され得る。また、プロセッサ174は、複数の位相調整回路171dのそれぞれに対応するパラメータを参照するので、複数のセンサ電極間の個体差による複数の電圧信号間のばらつきを抑制することができる。
プロセッサ174は、検出値X(デジタル値)から静電容量(測定値)を算出するための関数を参照する。また、プロセッサ174は、関数の定数として、測定器100の温度に対応する定数を参照する。すなわち、プロセッサ174は、温度センサ179によって検出された温度に応じた定数を用いて、複数の関数に基づいて複数の静電容量を算出する。関数の定数は、測定器100の回路の温度状態によって変動し得る。例示的実施形態においては、プロセッサ174が、温度センサ179によって検出された温度に応じた定数を用いるため、温度による静電容量の大きさの変動が抑制され得る。
複数の第1センサ104は、ベース基板102のエッジに設けられている。第1センサ104は、ベース基板102を囲むフォーカスリングFRに対面する。この構成では、フォーカスリングFRと測定器100との相対的な位置が導出され得る。
複数の第2センサ105は、ベース基板102の底面に設けられている。第2センサ105は、ベース基板102が載置される静電チャックESCに対面する。この構成では、静電チャックESCと測定器100との相対的な位置が導出され得る。
以下、別の例示的実施形態について説明する。図12は、処理システム501を例示する図である。一例の処理システム501は、台2a〜2d、容器4a〜4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1〜PM6、トランスファーモジュールTF、制御部MC及び保管装置5を備えている。
保管装置5は、除湿された環境下で測定器100を保管し得る。図12に示すように、保管装置5は、密閉可能な内部空間を提供するチャンバ5aと、チャンバ5aにバルブを介して接続されたガス供給装置5bと、チャンバ5aに接続された排気装置5cとを含む。一例の保管装置5は、ローダモジュールLMに隣接して設置されていてもよい。この場合、チャンバ5aは、測定器100が通過可能なゲートを介して、ローダモジュールLMの搬送空間に接続されていてよい。ゲートが開いた状態では、チャンバ5a内の空間とローダモジュールLM内の搬送空間とが接続される。ゲートが閉じた状態ではチャンバ5a内の空間が密閉され得る。測定器100は、チャンバ5aのゲートが開いた状態において、搬送装置TU1によって搬送され得る。例えば、搬送装置TU1は、ローダモジュールLMを介して、ロードロックモジュールLL1〜LL2とチャンバ5aとの間で測定器100を搬送し得る。
ガス供給装置5bは、水分を含まないパージガスをチャンバ5a内に供給し得る。パージガスは、例えば窒素ガス等の不活性ガスであってよい。排気装置5cは、チャンバ5a内のガスを外部に排気するための装置である。一例として、排気装置5cは、チャンバ5a内を所望の真空度まで減圧できる真空ポンプであってもよい。
例えば、ガス供給装置5bからパージガスがチャンバ5a内に供給されることによって、チャンバ5aの内部空間が除湿環境となり得る。また、排気装置5cによってチャンバ5aの内部空間が真空引きされることによって、チャンバ5aの内部空間が除湿環境となり得る。一例として、チャンバ5aの内部空間は、到達真空度が10mTorr程度の真空除湿環境に調整されてよい。除湿環境とは、空間における湿度(相対湿度)が20%以下であることをいう。なお、シリカゲル等の除湿剤をチャンバ5a内に配置することによって、チャンバ5a内の除湿環境を実現してもよい。
図13は、図12の処理システム501において、測定器100によって静電容量が測定される際の手順を示すフロー図である。図13の例では、載置領域上の位置に測定器100が搬送されるよりも前に、測定器100が除湿環境下で保管される(ステップST21)。一例では、保管装置5のチャンバ5a内に測定器100が載置された状態で、チャンバ5a内が除湿環境とされる。このとき、チャンバ5a内は、除湿されたパージガス雰囲気下、真空環境下等の除湿環境下にあってよい。
続いて、測定器100は、搬送位置データによって特定される載置領域上の位置に、搬送装置TU2によって搬送される(ステップST22)。一例においては、搬送の直前まで、測定器100は保管装置5によって生成される除湿環境下で保管されていてよい。ステップST22では、搬送装置TU1が、保管装置5からロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに測定器100を搬送する。そして、搬送装置TU2が、搬送位置データに基づいて、一方のロードロックモジュールから、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち何れかに測定器100を搬送し、当該測定器100を静電チャックESCの載置領域上に載置する。搬送位置データは、フォーカスリングFRの中心位置に測定器100の中心軸線AX100の位置が一致するように予め定められた座標データである。測定器100が搬送されたプロセスモジュール内は、到達真空度が10mTorr程度の真空除湿環境に調整されてよい。
測定器100が保管装置5からプロセスモジュールに搬送される間、測定器100は一時的に大気に晒され得る。測定器100が大気に晒されている時間は、大気中の湿度が測定器100に対して実質的に影響を与えない程度の長さとなっている。例えば、測定器100が大気に晒されている時間は、1時間以下であってよい。
続いて、測定器100による静電容量の測定が実施される(ステップST23)。ステップST23は、例えば、図11に示すステップST1〜ステップST8と同様であってよい。
上述の測定器100では、例えば可変コンデンサ171c等の電子部品の特性が湿度の影響を受けて変動し、正確な測定値が得られないことが考えられる。例示的実施形態では、除湿真空環境下において測定器100による測定が実施される。そのため、同様の除湿真空環境下において取得されたパラメータによって、位相調整回路171dにおける可変抵抗171bの抵抗値及び可変コンデンサ171cの静電容量値が設定されている。この場合、パラメータの取得環境と同様の湿度環境下に保管された測定器100を用いることで、測定に与える湿度の影響が排除され得る。一例においては、測定器100による測定が行われる前に、除湿環境下に測定器100を保管しておくことにより、測定器100に対する湿度の影響が排除される。湿度の影響が排除された測定器100によって測定が行われることで、静電容量が正確に測定され得る。
なお、図12に示す処理システムでは、保管装置5がローダモジュールLMに隣接して設置されている例を示したが、例えば、プロセスモジュールのうちの一つを保管装置として使用してもよい。また、保管装置は、プロセスモジュールと同様に、トランスファーモジュールTFにゲートバルブを介して気密に接続されてもよい。保管装置がトランスファーモジュールTFに接続されている場合、ステップST21の後に、除湿環境を保持したまま測定器100を除湿真空環境下であるプロセスモジュールへ移行することができる。また、例えば、被加工物Wを収容する容器(FOUP)のうちの一つを保管装置として用いてもよい。さらに、保管装置は、処理システムから離間して配置されていてもよい。
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
例えば、測定器100の動作の説明では、ステップST7及びステップST8において定数a,bを調整する例を示したが、ステップST7,ステップST8は省略されてもよい。
また、可変抵抗171b又は可変コンデンサ171cを制御するためのテーブルを取得する方法として、測定器100による検出対象が存在しない状態で、可変抵抗171b及び可変コンデンサ171cを調整する例を示したが、同方法はこれに限定されない。例えば、特定の条件において各センサによって出力される検出値が既知である場合には、センサによって出力されるデジタル値が、既知の検出値に一致するように可変抵抗171b及び可変コンデンサ171cを調整してもよい。
また、上述の例では、位相調整回路171dのアドミタンスを調整するために、可変抵抗171bの抵抗値と可変コンデンサ171cの静電容量値とが制御されている。別の例では、可変抵抗171b又は可変コンデンサ171cに流れる電流量を調整することによってアドミタンスを調整してもよい。この場合には、可変抵抗171b及び可変コンデンサ171cに代えて、位相調整回路171dは固定抵抗及び固定コンデンサを有していてもよい。
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
100…測定器、102…ベース基板、104…第1センサ(センサ)、105…第2センサ(センサ)、171…高周波発振器、171d…位相調整回路、172,272…C/V変換回路、172a…増幅回路、173…A/D変換器、174…プロセッサ、179…温度センサ、ESC…静電チャック、FR…フォーカスリング。
Claims (10)
- 円盤状のベース基板と、
前記ベース基板に設けられた複数のセンサ電極と、
前記ベース基板に設けられた温度センサと、
前記複数のセンサ電極に高周波信号を与えるように設けられた高周波発振器と、
前記複数のセンサ電極がそれぞれ形成する複数の静電容量にそれぞれ応じた複数の電圧信号を生成する複数のC/V変換回路と、
前記複数のC/V変換回路からそれぞれ出力される前記複数の電圧信号を複数のデジタル値にそれぞれ変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器から出力される前記複数のデジタル値に基づいて、前記複数のセンサ電極がそれぞれ形成する前記複数の静電容量を表す複数の測定値を算出する演算装置と、
前記複数のセンサ電極と前記高周波発振器との間に接続された複数の位相調整回路と、を備え、
前記複数のC/V変換回路の各々は、オペアンプを含む増幅回路を有し、
前記高周波発振器は、前記高周波信号を前記オペアンプの非反転入力端子に入力するように前記非反転入力端子に接続されており、前記複数の位相調整回路のうち対応の位相調整回路を介して前記オペアンプの反転入力端子に接続されており、
前記演算装置は、複数の温度のそれぞれにおいて前記複数のC/V変換回路の出力電圧信号の基準点調整のために、該複数の温度にそれぞれ対応付けて前記複数の位相調整回路のアドミタンスを設定する複数のパラメータを記憶しており、前記複数のパラメータのうち前記温度センサによって検出された温度に対応付けられたパラメータを用いて、前記複数の位相調整回路のアドミタンスを調整する、
測定器。 - 前記基準点調整はゼロ点調整である、請求項1に記載の測定器。
- 前記演算装置は、
前記複数のデジタル値から複数の関数をそれぞれ用いて算出する前記複数の測定値の温度依存性を抑制するために、複数の温度にそれぞれ対応付けられた複数の定数を各々が含む複数の定数群を記憶しており、
前記温度センサによって検出された温度に応じて前記複数の定数群からそれぞれ取得される複数の定数を前記複数の関数においてそれぞれ用いて、前記複数の測定値を算出する、
請求項1又は2に記載の測定器。 - 測定器と対象物との間の静電容量を測定する方法であって、
前記測定器は、
円盤状のベース基板と、
前記ベース基板に設けられた複数のセンサ電極と、
前記ベース基板に設けられた温度センサと、
前記複数のセンサ電極に高周波信号を与えるように設けられた高周波発振器と、
前記複数のセンサ電極がそれぞれ形成する複数の静電容量にそれぞれ応じた複数の電圧信号を生成する複数のC/V変換回路と、
前記複数のC/V変換回路からそれぞれ出力される前記複数の電圧信号を複数のデジタル値にそれぞれ変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器から出力される前記複数のデジタル値に基づいて、前記複数のセンサ電極がそれぞれ形成する前記複数の静電容量を表す複数の測定値を算出する演算装置と、
前記複数のセンサ電極と前記高周波発振器との間に接続された複数の位相調整回路と、を備え、
前記複数のC/V変換回路の各々は、オペアンプを含む増幅回路を有し、
前記高周波発振器は、前記高周波信号を前記オペアンプの非反転入力端子に入力するように前記非反転入力端子に接続されており、前記複数の位相調整回路のうち対応の位相調整回路を介して前記オペアンプの反転入力端子に接続されており、
該方法は、
複数の温度にそれぞれ対応付けて前記複数の位相調整回路のアドミタンスを設定するために予め記憶している複数のパラメータの中から、前記温度センサによって検出された温度に対応付けられたパラメータを用いて、前記複数の位相調整回路のアドミタンスを調整する工程と、
前記アドミタンスが調整された状態で、前記複数のC/V変換回路が前記複数の電圧信号を生成する工程と、
前記A/D変換器が前記複数のC/V変換回路からそれぞれ出力される前記複数の電圧信号を前記複数のデジタル値にそれぞれ変換する工程と、
前記複数のデジタル値に基づいて、前記複数の測定値を算出する工程と、を含む、方法。 - 前記複数のセンサは、前記ベース基板のエッジに設けられており、
前記対象物は、前記ベース基板を囲むフォーカスリングである、請求項4に記載の方法。 - 前記複数のセンサは、前記ベース基板の底面に設けられており、
前記対象物は、前記ベース基板が載置される静電チャックである、請求項4に記載の方法。 - 前記調整する工程、前記生成する工程及び前記変換する工程は、真空除湿環境下で実行される、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記調整する工程の前に、前記測定器を除湿環境下で保管する工程を含む、請求項7に記載の方法。
- 前記保管する工程の後に、前記除湿環境を保持したまま前記測定器を前記真空除湿環境下に移行し、前記調整する工程を実行する、請求項8に記載の方法。
- 前記保管する工程では、前記調整する工程が開始される直前まで、前記測定器が前記除湿環境下で保管されている、請求項8に記載の方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102670980B1 (ko) * | 2021-07-22 | 2024-05-29 | 한국재료연구원 | 유전율 측정용 챔버 시스템 및 이를 이용한 유전율 측정 방법 |
-
2019
- 2019-10-31 JP JP2019198602A patent/JP2020190539A/ja active Pending
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KR102670980B1 (ko) * | 2021-07-22 | 2024-05-29 | 한국재료연구원 | 유전율 측정용 챔버 시스템 및 이를 이용한 유전율 측정 방법 |
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