JP2020190290A - 軸受装置 - Google Patents

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隼人 川口
Hayato Kawaguchi
隼人 川口
希 磯部
Nozomi Isobe
希 磯部
俊樹 増田
Toshiki Masuda
俊樹 増田
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Abstract

【課題】転がり軸受の軌道輪を軸又はハウジングである相手部材にすきま嵌めした軸受装置において、軌道輪の強度低下を避けつつ、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の方向が変動する場合であっても、優れたクリープ抑制効果を得る。【解決手段】相手部材2は、軌道輪5との嵌め合い面2aから径方向深さをもった溝部2bを有する。溝部2bは、軌道輪5の軌道面5aから径方向に直下の位置で円周方向全周に延び、転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の荷重負荷圏で軌道輪5の嵌め合い面5bと溝部2bの溝底面との間に径方向隙間gを残せるように形成する。【選択図】図1

Description

この発明は、軸とハウジング間に転がり軸受が介在する軸受装置に関する。
軸とハウジング間に作用するラジアル荷重を受ける転がり軸受の軌道輪は、軸の外周又はハウジングの内周に嵌合される。軌道輪、軸、ハウジングにそれぞれ形成される嵌め合い面は、通常、円筒面状である。軌道輪の内周又は外周に形成された嵌め合い面と、軸又はハウジングに形成された嵌め合い面との間の嵌め合いは、荷重条件、装置の組立て性等を考慮して、しまり嵌め、普通嵌め、すきま嵌めの中から選択される。すきま嵌めされた軌道輪は、クリープする、すなわち、その嵌合の相手部材である軸又はハウジングに対して円周方向に位置ずれを起こすことがある。
例えば、自動車のトランスミッションの軸を転がり軸受を介してハウジングに支持する軸受装置では、ハウジングへの組み付けを容易にするため、転がり軸受の外方の軌道輪がハウジングにすきま嵌めされている。このため、荷重負荷時や高速回転時の軸のアンバランス荷重などにより、外方の軌道輪がクリープすることがある。
クリープの機序として、軌道輪の表面に進行波が発生し、その進行波が軌道輪自体を移送させることが知られている。すなわち、転動体荷重が軌道輪の軌道面に作用すると、その直下で軌道輪の表面が突出し、波打つ。軸受が回転すると転動体も公転するため、その表面の波打ちが進行波となる。軌道輪の表面に発生する進行波は、転がり軸受の負荷圏にわたり円周方向および半径方向へのぜん動運動的な挙動をとる。その進行波が相手部材を転動体の公転方向と逆方向に移送しようとするが、相手部材(軸又はハウジング)の抵抗で逆に押し戻される形となり、結果、軌道輪が転動体の公転方向、すなわち軸受回転と同方向に回転するクリープを起こすことになる。
このような機序のクリープを抑制するため、従来、軌道輪又は軌道輪の嵌合相手となる相手部材(軸もしくはハウジング)に溝部を形成することが行われている(特許文献1〜3)。
特許文献1の軸受装置では、軌道輪又は相手部材の嵌め合い面から径方向深さをもって円周方向全周に連続する溝部が形成されている。
特許文献2、3の軸受装置では、軌道輪にクリープ抑制用の溝部を形成せず、ハウジングにだけ溝部が形成されている。その溝部は、ハウジングの嵌め合い面の円周方向長さよりも短い有限の溝底面をもっている。
特許文献1等の溝部は、ラジアル荷重を受ける軌道輪の負荷圏において、軌道輪の進行波が相手部材に伝わることを抑え、クリープの発生を抑制する。
特許第4466473号公報 特開2017−137896号公報 特開2009−174556号公報
しかしながら、特許文献1のように溝部を軌道輪の全周に形成すると、軸のアンバランス荷重等でラジアル荷重の方向が変動する場合でも溝部が必ず荷重負荷圏に位置するため、クリープ抑制効果を得ることが可能だが、その反面、軌道輪の強度低下が懸念される。
また、軌道輪又は相手部材に形成する溝部の径方向深さが溝部形成部位における径方向の最大弾性変形量以下に設定されているため、軸とハウジング間で転がり軸受に最大のラジアル荷重が負荷されて軌道輪の軌道面直下で最大弾性変形(波状のピーク)が生じたとき、その軌道輪の最大の弾性変形部位において溝部の溝底面と、これに対向する嵌め合い面とが接触することになる。この接触部で前述の進行波をある程度受けるため、軌道輪のクリープを許す懸念がある。
一方、特許文献2、3のように溝部をハウジング等の相手部材に円周方向に部分的に形成すると、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の方向と溝部の位置が一致しない場合、クリープ抑制効果を発揮できない場合ある。例えば、ラジアル荷重が静止荷重であって、その荷重方向と溝部の位置が合っていない場合や、軸のアンバランス荷重等でラジアル荷重の方向が変動する場合には、溝部が荷重負荷圏に位置せず、クリープ抑制効果を発揮できない場合がある。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、転がり軸受の軌道輪を軸又はハウジングである相手部材にすきま嵌めした軸受装置において、軌道輪の強度低下を避けつつ、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の方向が変動する場合であっても、優れたクリープ抑制効果を得ることである。
上記の課題を達成するため、この発明は、軸と、前記軸を取り囲むハウジングと、前記軸と前記ハウジングとの間に介在する転がり軸受とを備え、前記転がり軸受が、複数の転動体と、前記軸と前記ハウジングのうちのいずれか一方である相手部材とすきま嵌めされた軌道輪とを有し、前記軌道輪が、前記転動体の走路となる軌道面を有し、前記軌道輪と前記相手部材が、円周方向に延びる嵌め合い面を有する軸受装置において、前記相手部材が、前記軌道面から径方向に直下の位置で前記嵌め合い面から径方向深さをもって円周方向全周に延びる溝部を有し、前記溝部が、前記転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重を負荷された場合の荷重負荷圏で前記軌道輪の嵌め合い面と当該溝部の溝底面との間に径方向隙間を残せるように形成されている構成を採用した。
上記構成によれば、相手部材が軌道輪の軌道面から径方向に直下の位置で嵌め合い面から径方向深さをもって円周方向全周に延びる溝部を有するので、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の方向が変動する場合であっても、クリープ抑制効果が得られる。ここで、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重を負荷された場合でも、その荷重負荷圏で軌道輪の嵌め合い面と溝部の溝底面との間に径方向隙間を残せるので、軌道面直下で波状変形する軌道輪の嵌め合い面が相手部材の溝部の溝底面と接触して進行波が溝部の溝底面に伝わることがない。このため、優れたクリープ抑制効果が得られる。また、軌道輪にクリープ抑制用の溝部形成が不要なため、軌道輪の強度低下が避けられる。なお、軌道輪の嵌め合い面が相手部材の溝部の溝底面と接触して摩耗する懸念がないという副次的な利点も得られる。
また、前記転動体が、玉からなり、前記溝部の幅中央が、前記軌道面の幅中央から径方向に直下の位置にあり、前記溝部の幅が、前記軌道面の幅以下であって、前記転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重を負荷された場合の前記軌道面と前記転動体の接触楕円の長径以上に設定されているとよい。転がり軸受が玉軸受の場合、転動体としての玉と軌道面の点接触が楕円状になるが、通常、その接触楕円が軌道面から食み出ることはない。このため、相手部材の溝部の幅中央が軌道面の幅中央から径方向に直下の位置にあれば、ラジアル荷重による軌道輪の波状変形を溝部に逃がすことができる。ここで、溝部の幅が、軌道面の幅以下であって、前述の最大のラジアル荷重を負荷された場合の軌道面と転動体の接触楕円の長径以上であれば、溝部の両側にある軌道輪と相手部材の嵌め合い領域でラジアル荷重を受けて軌道輪の過剰な波状変形を避けつつ、溝部でクリープ抑制を図ることができる。
また、前記軌道面と前記軌道輪の嵌め合い面間で径方向に最小の軌道輪肉厚をHとし、前記溝部の径方向深さをδとしたとき、0.005H≦δ≦0.1Hに設定されているとよい。最小の軌道輪肉厚Hを大きくする程、ラジアル荷重による波状変形が小さくなるので、クリープ抑制に有利となるが、軸受サイズが大型化するため、最小の軌道輪肉厚Hを大きくすることに限界がある。その最小の軌道輪肉厚Hに対して溝部の径方向深さδが小さくなる程、クリープ抑制効果が期待できなくなり、大きくなる程、ラジアル荷重による軌道輪の溝部対向部付近のたわみ、応力が大きくなる。そのたわみ、応力を抑えた形状にするため、0.005H≦δ≦0.1Hの関係を満足することが好ましい。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、転がり軸受の軌道輪を軸又はハウジングである相手部材にすきま嵌めした軸受装置において、軌道輪の強度低下を避けつつ、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の方向が変動する場合であっても、優れたクリープ抑制効果を得ることができる。
この発明の実施形態に係る軸受装置を示す正面図 図1のII−II線の断面図 図2の溝部付近の軌道輪の拡大図
この発明の一例としての実施形態に係る軸受装置を添付図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、実施形態に係る軸受装置は、軸1と、軸1を取り囲むハウジング2と、軸1とハウジング2との間に介在する転がり軸受3とを備える。
以下、転がり軸受3の設計上の回転中心線と軸1の回転中心線とが一致する理想的な状態において、その回転中心に沿った方向のことを「軸方向」という。また、その回転中心線回りに一周する円周に沿った方向のことを「円周方向」という。また、その回転中心線に直交する方向のことを「径方向」という。
軸1は、ハウジング2に対して相対的に回転する。軸1は、例えば、自動車のトランスミッションに備わる伝達軸である。
軸1は、円周方向に延びる嵌め合い面1aを有する。この嵌め合い面1aは、軸1の回転中心線と同心の円筒面状に形成されている。
ハウジング2は、軸1に対して静止し、転がり軸受3を径方向に支持する。ハウジング2は、例えば、自動車のトランスミッションケースの一部として形成された隔壁である。
ハウジング2は、円周方向に延びる嵌め合い面2aを有する。この嵌め合い面2aは、軸1の嵌め合い面1aを外方から取り囲む円筒面状に形成されている。嵌め合い面2aの中心線は、軸1の回転中心線と同心に設定されている。
転がり軸受3は、ハウジング2に対して軸1を回転自在に支持する。この軸受装置の運転中、軸1の嵌め合い面1aとハウジング2の嵌め合い面2a間で転がり軸受3にラジアル荷重Fが負荷される。
転がり軸受3は、軸1に取り付けられた内方の軌道輪4と、ハウジング2に取り付けられた外方の軌道輪5と、これら両軌道輪4、5間に介在する複数の転動体6と、これら転動体6間の円周方向の間隔を保つ保持器7とを備える。
転がり軸受3は、転動体6が玉からなる深溝玉軸受になっている。
内方の軌道輪4は、外周側で円周方向に延びる軌道面4aを有し、内周側で円周方向に延びる嵌め合い面4bを有する環状の軸受部品である。軌道面4aは、内方の軌道輪4の表面のうち、転動体6が転がる走路となり、かつ転がり軸受3に負荷されたラジアル荷重Fを支持する部分である。軌道面4aは、円周方向全周において転動体6と呼び接触角0°で接触可能になっている。その嵌め合い面4bは、軸1の嵌め合い面1aと同心の円筒面状に形成されている。その嵌め合い面4bの幅(軸方向長さ)は、円周方向全周で一定である。
内方の軌道輪4の嵌め合い面4bと軸1の嵌め合い面1a間の嵌め合いは、締め代をもったしまり嵌めに設定されている。内方の軌道輪4は、そのしまり嵌めにより、軸1と一体に回転するように固定されている。
外方の軌道輪5は、内周側で円周方向に延びる軌道面5aを有し、外周側で円周方向に延びる嵌め合い面5bを有する環状の軸受部品である。軌道面5aは、外方の軌道輪5の表面のうち、転動体6が転がる走路となり、かつ転がり軸受3に負荷されたラジアル荷重Fを支持する部分である。軌道面5aは、円周方向全周において転動体6と呼び接触角0°で接触可能になっている。
外方の軌道輪5は、軸1とハウジング2のうちのいずれか一方である相手部材としてのハウジング2とすきま嵌めされている。
外方の軌道輪5の嵌め合い面5bは、内方の軌道輪4の嵌め合い面4b及びハウジング2の嵌め合い面2aと同心の円筒面状に形成されている。その嵌め合い面5bは、外方の軌道輪5の外径を規定する。その嵌め合い面5bの径寸は、ハウジング2の嵌め合い面2aの直径よりも小径である。外方の軌道輪5の嵌め合い面5bと、ハウジング2の嵌め合い面2aとは、軸1から転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fによって接触させられる。
相手部材としてのハウジング2は、円周方向全周に延びる溝部2bを有する。溝部2bは、軌道輪5の軌道面5aから径方向に直下の位置に形成されている。
溝部2bは、嵌め合い面2aから径方向深さδをもっている。溝部2bの溝底面は、軸方向及び円周方向に沿った円筒面状になっている。嵌め合い面2aに対する溝部2bの径方向深さδは、実質的に溝部2bの全周で一定になっている。
図1、図3に示すように、溝部2bの幅Wを軸方向に二等分する幅中央の位置は、軌道面5aの幅Wを軸方向に二等分する幅中央の位置から径方向に直下の位置にある。溝部2bの幅Wは、軌道面5aの幅W以下に設定されている。これは、溝部2bの両側において嵌め合い面2aと軌道輪5の嵌め合い面5bの嵌合幅を確保し、ラジアル荷重Fによる軌道輪5の嵌め合い面5bの過剰な変形を抑えるためである。溝部2bの幅Wは、溝部2bの全周で一定になっている。
さらに、転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fの範囲内で最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の軌道面5aと転動体6の接触楕円の長径Laを考えたとき、溝部2bの幅Wは、接触楕円の長径La以上に設定されている。これは、軌道輪5の嵌め合い面5bのうちの前述のラジアル荷重Fが作用する波状変形領域と、溝部2bの溝底面とを十分に対向させるためである。
ここで、最大のラジアル荷重Fは、この軸受装置の運転中に転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fの変動範囲内で最も大きなラジアル荷重Fである。また、接触楕円の長径Laは、荷重負荷圏において最大の荷重を受ける転動体6での値であり、解析的にはHertzの弾性接触理論に基づいて求められ、実測的には、転動体6からのラジアル荷重Fによって軌道面5aに僅かな塑性変形として生じる接触痕の存在する軸方向領域の幅として求められる。なお、図3においては、接触楕円の長径Laを示すため、軌道面5a上の接触楕円を紙面に投影して模式的に描いた。
図2に示すように、外方の軌道輪5の軌道面5aと嵌め合い面5b間で径方向に最小の肉厚を外輪肉厚Hとしたとき、溝部2bの最大の径方向深さδは、0.01H≦δ≦0.05Hに設定することが好ましい。これは、ラジアル荷重Fによる外方の軌道輪5のたわみ、応力を抑えた形状にするためである。
転がり軸受3を軸1とハウジング2間に組み込むと、図1、図2に示すように、外方の軌道輪5の嵌め合い面5bとハウジング2との間には、溝部2bによる径方向隙間gが生じる。
転がり軸受3のうち、ラジアル荷重Fを受ける荷重負荷圏は、転がり軸受3の略半周に及ぶ。その荷重負荷圏の円周方向中央部は、そのラジアル荷重Fの荷重方向に対応の位置となる(図1においてラジアル荷重Fの矢線方向延長上の位置に相当)。外方の軌道輪5は、その荷重負荷圏において転動体6を介してラジアル荷重Fを軌道面5aで受けるため、弾性変形を生じる。このとき、転がり軸受3の荷重負荷圏においては、外方の軌道輪5の嵌め合い面5b(特に軌道面5aの直下の部位)が波状に変形することになる。その波状の径方向高さは、その荷重負荷圏の円周方向中央部で最大となり、その円周方向中央部から遠くなる程に小さくなる。
溝部2bの径方向深さδは、最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の転がり軸受3の荷重負荷圏において、前述の波状の最大の径方向高さよりも大きく設定されている。なお、径方向隙間g、径方向深さδは、その大きさを誇張して描いている。実際に生じる軌道輪5の波状変形では、嵌め合い面5bに対する波状の比高が最大でも数μmのオーダーになることが一般的である。
溝部2bは、前述の径方向深さδ及び幅Wの設定により、転がり軸受3に最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の荷重負荷圏で溝部2bの溝底面とハウジング2の嵌め合い面2aとの間に径方向隙間gを残せるように形成されている。
この軸受装置の運転中、軸1とハウジング2間で転がり軸受3に最大のラジアル荷重Fが負荷された場合の転がり軸受3の荷重負荷圏において、外方の軌道輪5は、嵌め合い面5bと、ハウジング2の嵌め合い面2aとの接触部において径方向に支持される。このとき、その荷重負荷圏に位置する外方の軌道輪5の外周部分が波状に変形しても、ハウジング2の溝部2bの溝底面と接触できず、嵌め合い面5bが僅かな波状変形による進行波を嵌め合い面2aに伝えるかもしれないが、僅かな波状変形を受ける嵌め合い面2aからの反力は軌道輪5をクリープさせる程の力にならない。
図1〜図3に示すこの軸受装置は、上述のようなものであり、相手部材が軌道輪の軌道面から径方向に直下の位置で嵌め合い面から径方向深さをもって円周方向全周に延びる溝部を有するので、転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fの方向が静止又は変動するいずれの場合であっても、その荷重方向の直線上に溝部2bが存在する。このため、ラジアル荷重Fによる軌道輪5の波状変形を相手部材(ハウジング2)の溝部2bに逃がし、その波状変形が進行波としてハウジング2の嵌め合い面2a側に伝わることを溝部2bで抑えて、軌道輪5のクリープを抑制することができる。
ここで、この軸受装置は、転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fの範囲内で最大のラジアル荷重Fを負荷された場合でも、その荷重負荷圏で軌道輪5の嵌め合い面5bと溝部2bの溝底面との間に径方向隙間gを残せるので、軌道面5aの直下で波状変形する軌道輪5の嵌め合い面5bが相手部材(ハウジング2)の溝部2bの溝底面と接触して進行波が溝部2bの溝底面に伝わることがない。このため、この軸受装置は、優れたクリープ抑制効果を得ることができる。
また、この軸受装置は、軌道輪5にクリープ抑制用の溝部形成が不要なため、軌道輪5の強度低下を避けることができる。また、軌道輪5の嵌め合い面5bが相手部材(ハウジング2)の溝部2bの溝底面と接触して摩耗する懸念もない。
このように、この軸受装置は、転がり軸受3の軌道輪5を相手部材(ハウジング2)にすきま嵌めした状態において、転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fの方向と溝部2bの位置が一致しない場合であっても軌道輪5の溝部2bでクリープ抑制を図れるようにしつつ、軌道輪5の強度低下を抑えることができる。
また、この軸受装置は、転動体6が玉からなり、溝部2bの幅Wの中央が軌道面5aの幅Wの中央から径方向に直下の位置にあり、溝部2bの幅Wが軌道面5aの幅W以下であって、転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fの範囲内で最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の軌道面5aと転動体6の接触楕円の長径La以上に設定されているので、ラジアル荷重Fによる軌道輪5の嵌め合い面5bの波状変形を溝部2bに逃がし、溝部2bの両側にある嵌め合い面2a,5bの嵌め合い領域でラジアル荷重Fを受けて軌道輪5の過剰な波状変形を避けつつ、溝部2bでクリープ抑制を図ることができる。
また、この軸受装置は、軌道輪5の軌道面5aと嵌め合い面5b間で径方向に最小の軌道輪肉厚をHとし、溝部2bの最大の径方向深さをδとしたとき、0.005H≦δ≦0.1Hに設定されているので、ラジアル荷重Fによる軌道輪5の溝部2bとの対向部付近のたわみ、応力を抑えた形状にすることができる。
この軸受装置では、相手部材(ハウジング2)のみに溝部2bを形成したが、溝部の形状や配置は、軸受装置の荷重条件、ラジアル荷重の方向性、最大のラジアル荷重Fの大きさ、荷重負荷圏において軌道輪の嵌め合い面と相手部材の嵌め合い面との接触で軌道輪に与えられる回転力等を考慮して適宜に決定すればよい。例えば、軸と内方の軌道輪とをすきま嵌めする場合、軸に溝部を形成すればよい。
また、この軸受装置では、溝部2bの径方向深さδ、幅Wを溝部2bの全周で実質的に一定にしているが、これらを一定にする必要はなく、どのような方向の最大のラジアル荷重Fであっても、その荷重負荷圏において溝部の溝底面と軌道輪の嵌め合い面を接触不可であればよい。
また、この軸受装置では、玉軸受を例示したが、この発明はころ軸受に適用することも可能である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 軸
2 ハウジング(相手部材)
2a 嵌め合い面
2b 溝部
3 転がり軸受
5 外方の軌道輪(軌道輪)
5a 軌道面
5b 嵌め合い面
6 転動体

Claims (3)

  1. 軸と、前記軸を取り囲むハウジングと、前記軸と前記ハウジングとの間に介在する転がり軸受とを備え、前記転がり軸受が、複数の転動体と、前記軸と前記ハウジングのうちのいずれか一方である相手部材とすきま嵌めされた軌道輪とを有し、前記軌道輪が、前記転動体の走路となる軌道面を有し、前記軌道輪と前記相手部材が、円周方向に延びる嵌め合い面を有する軸受装置において、
    前記相手部材が、前記軌道面から径方向に直下の位置で前記嵌め合い面から径方向深さをもって円周方向全周に延びる溝部を有し、前記溝部が、前記転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重を負荷された場合の荷重負荷圏で前記軌道輪の嵌め合い面と当該溝部の溝底面との間に径方向隙間を残せるように形成されていることを特徴とする軸受装置。
  2. 前記転動体が、玉からなり、
    前記溝部の幅中央が、前記軌道面の幅中央から径方向に直下の位置にあり、前記溝部の幅が、前記軌道面の幅以下であって、前記最大のラジアル荷重を負荷された場合の前記軌道面と前記転動体の接触楕円の長径以上に設定されている請求項1に記載の軸受装置。
  3. 前記軌道面と前記軌道輪の嵌め合い面間で径方向に最小の軌道輪肉厚をHとし、前記溝部の径方向深さをδとしたとき、0.005H≦δ≦0.1Hに設定されている請求項1又は2に記載の軸受装置。
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