JP2020190289A - 軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転がり軸受の軌道輪を軸又はハウジングである相手部材にすきま嵌めした軸受装置において、軌道面をもった軸受部品の薄肉化を避けつつ、当該軌道輪のクリープをより抑制する。【解決手段】軌道輪5が、その嵌め合い面5bを全幅に亘って分断する逃げ面5eを有する。逃げ面5eは、軌道輪5とハウジング2間に径方向隙間gを形成する。径方向隙間gは、転がり軸受3に最大のラジアル荷重を負荷された場合の荷重負荷圏でも残る。径方向隙間gが残る荷重負荷領域では、軌道輪5の波状変形部とハウジング2の嵌め合い面2aの接触がなく、軌道輪5の波状変形が軌道輪5をクリープさせる進行波として作用しない。逃げ面5eは、嵌め合い面5bをもった肉盛り部材5dを軌道輪5の本体5cに固定することで形成し、軌道面5aを有する軸受部品(本体5c)への逃げ面加工をなくす。【選択図】図1

Description

この発明は、軸とハウジング間に転がり軸受が介在する軸受装置に関する。
軸とハウジング間に作用するラジアル荷重を受ける転がり軸受の軌道輪は、軸の外周又はハウジングの内周に嵌合される。軌道輪、軸、ハウジングにそれぞれ形成される嵌め合い面は、通常、円筒面状である。軌道輪の内周又は外周に形成された嵌め合い面と、軸又はハウジングに形成された嵌め合い面との間の嵌め合いは、荷重条件、装置の組立て性等を考慮して、しまり嵌め、普通嵌め、すきま嵌めの中から選択される。すきま嵌めされた軌道輪は、クリープする、すなわち、その嵌合の相手部材である軸又はハウジングに対して円周方向に位置ずれを起こすことがある。
例えば、自動車のトランスミッションの軸を転がり軸受を介してハウジングに支持する軸受装置では、ハウジングへの組み付けを容易にするため、転がり軸受の外方の軌道輪がハウジングにすきま嵌めされている。このため、荷重負荷時や高速回転時の軸のアンバランス荷重などにより、外方の軌道輪がクリープすることがある。
そのクリープの機序として、軌道輪の表面に進行波が発生し、その進行波が軌道輪自体を移送させることが知られている。すなわち、転動体荷重が軌道輪の軌道面に作用すると、その直下で軌道輪の表面が突出し、波打つ。軸受が回転すると転動体も公転するため、その表面の波打ちが進行波となる。軌道輪の表面に発生する進行波は、転がり軸受の負荷圏にわたり円周方向および半径方向へのぜん動運動的な挙動をとる。その進行波が相手部材を転動体の公転方向と逆方向に移送しようとするが、相手部材(軸又はハウジング)の抵抗で逆に押し戻される形となり、結果、軌道輪が転動体の公転方向、すなわち軸受回転と同方向に回転するクリープを起こすことになる。
従来、転がり軸受に備わる内外の軌道輪のうち、相手部材にすきま嵌めされた軌道輪のクリープを抑制するため、軌道輪又は相手部材に円周方向に延びる周溝を形成することが提案されている。この周溝は、軌道輪の軌道面から径方向に直下の位置で、その軌道輪又は相手部材の嵌め合い面から径方向に深さをもって円周方向全周に連続している。このような周溝は、ラジアル荷重を受ける軌道輪の負荷圏において逃げ溝として作用し、クリープの発生を抑制する。
特許第4466473号公報
しかしながら、特許文献1では、軌道輪又は相手部材に形成された周溝の深さが、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重によって軌道輪に生じる最大の弾性変形量以下に設定されている。このような周溝では、軸とハウジング間で転がり軸受に最大のラジアル荷重が負荷され、荷重負荷圏の円周方向中央部において軌道面直下で波打つ軌道輪の嵌め合い面に最大の弾性変形量が生じたとき、軌道輪又は相手部材の溝部の溝底面と、これに対向する嵌め合い面とが、最大の弾性変形部位(波状のピーク)において接触し、また、周溝の両側の溝縁に比較的強く接触することになる。それら接触部で相手部材が前述の進行波をある程度受けるため、軌道輪のクリープを許す懸念がある。
また、軌道面をもった軸受部品に周溝を形成した場合、クリープ抑制に十分な径方向深さの周溝にすると、ラジアル荷重に対する軌道面の変形を抑制するのに重要な軸受部品の軌道面からの最小肉厚が全周で薄くなること等から、転がり軸受の真円度低下、強度低下、転動疲労寿命の低下が懸念される。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、転がり軸受の軌道輪を軸又はハウジングである相手部材にすきま嵌めした軸受装置において、軌道面をもった軸受部品の薄肉化を避けつつ、軌道輪のクリープをより抑制することにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、軸と、前記軸を取り囲むハウジングと、前記軸と前記ハウジングとの間に介在する転がり軸受とを備え、前記転がり軸受が、前記軸と前記ハウジングのうちのいずれか一方である相手部材とすきま嵌めされた軌道輪を有し、前記軌道輪と前記相手部材が、円周方向に延びる嵌め合い面を有する軸受装置において、 前記軌道輪と前記相手部材のうちの少なくとも一つが、当該軌道輪又は当該相手部材の嵌め合い面をもった肉盛り部材と、前記肉盛り部材を径方向に支持する本体とを有し、前記本体に対する前記肉盛り部材の固定によって前記軌道輪又は前記相手部材の嵌め合い面を全幅に亘って分断するように逃げ面が形成されており、前記少なくとも一つの逃げ面が、前記転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重を負荷された場合の荷重負荷圏で前記軌道輪と前記相手部材間に径方向隙間を残せるように形成されている構成を採用した。
上記構成によれば、軌道輪と、これとすきま嵌めされた軸又はハウジングである相手部材のうち、少なくとも一つが、当該軌道輪又は当該相手部材の嵌め合い面を全幅に亘って分断する逃げ面を有するので、その軌道輪と相手部材間には、互いの嵌め合いの全幅に及ぶ径方向隙間を生じさせることが可能である。その径方向隙間は、軸とハウジング間で転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重を負荷された場合の荷重負荷圏においても残る。このため、その径方向隙間の残る領域では、軌道輪の嵌め合い面が波状に変形しても相手部材に接触することがなく、その波状変形が軌道輪をクリープさせる進行波として作用することがない。これにより、特許文献1のように円周方向に延びる周溝でクリープを抑制する場合に比して、軌道輪のクリープをより抑制することができる。また、軌道輪又は相手部材の嵌め合い面をもった肉盛り部材を径方向に支持可能な本体に固定したことで逃げ面が形成されているから、軌道面をもった軸受部品に逃げ面の加工がなく、その軸受部品の薄肉化を避けることができる。
具体的には、前記本体が、前記肉盛り部材を支持する円筒面を有し、前記肉盛り部材が、前記本体の円筒面に円周方向に有限の長さで径方向に重なる有端円環状に形成されているとよい。このようにすると、有端円環状の肉盛り部材を本体の円筒面に固定した簡単な構造で逃げ面を形成することができる。
例えば、前記肉盛り部材が、前記本体の円筒面に圧入又は射出成形されているとよい。このようにすると、圧入又は射出・固化という簡単な手段で本体に肉盛り部材を固定することができる。
前記軌道輪のみが前記逃げ面を有し、前記軌道輪の本体が、軌道面をもった軸受部品からなることが好ましい。相手部材に逃げ面を形成した場合、その逃げ面が荷重負荷域に配置されなかったとき、クリープ抑制効果を発揮できない。一方、軌道輪のみに逃げ面を形成して前述の径方向隙間を確保しておけば、例え、その逃げ面が荷重方向と異なる領域に位置していた場合であっても、軌道輪が一定のクリープを起こせば、逃げ面が荷重負荷域に入って前述の径方向隙間が形成されるため、それ以降は軌道輪のクリープを抑制することができる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、転がり軸受の軌道輪を軸又はハウジングである相手部材にすきま嵌めした軸受装置において、軌道面をもった軸受部品の薄肉化を避けつつ、軌道輪のクリープをより抑制することができる。
この発明の実施形態に係る軸受装置を示す正面図 図1のII−II線の断面図 実施形態に係る外方の軌道輪を示す正面図 図3に示す外方の軌道輪の分解した状態の断面図
この発明の一例としての実施形態に係る軸受装置を添付図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、実施形態に係る軸受装置は、軸1と、軸1を取り囲むハウジング2と、軸1とハウジング2との間に介在する転がり軸受3とを備える。
以下、転がり軸受3の設計上の回転中心線と軸1の回転中心線とが一致する理想的な状態において、その回転中心に沿った方向のことを「軸方向」という。また、その回転中心線回りに一周する円周に沿った方向のことを「円周方向」という。また、その回転中心線に直交する方向のことを「径方向」という。
軸1は、ハウジング2に対して相対的に回転する。軸1は、例えば、自動車のトランスミッションに備わる伝達軸である。
軸1は、円周方向に延びる嵌め合い面1aを有する。この嵌め合い面1aは、軸1の回転中心線と同心の円筒面状に形成されている。
ハウジング2は、軸1に対して静止し、転がり軸受3を径方向に支持する。ハウジング2は、例えば、自動車のトランスミッションケースの一部として形成された隔壁である。
ハウジング2は、円周方向に延びる嵌め合い面2aを有する。この嵌め合い面2aは、軸1の嵌め合い面1aを外方から取り囲む円筒面状に形成されている。嵌め合い面2aの中心線は、軸1の回転中心線と同心に設定されている。
転がり軸受3は、ハウジング2に対して軸1を回転自在に支持し、軸1とハウジング2間で作用するラジアル荷重Fを受ける。この軸受装置では、ラジアル荷重の荷重方向が一方向のものを想定している。この軸受装置の運転中、軸1の嵌め合い面1aとハウジング2の嵌め合い面2a間で転がり軸受3にラジアル荷重Fが負荷される。
転がり軸受3は、軸1に取り付けられた内方の軌道輪4と、ハウジング2に取り付けられた外方の軌道輪5と、これら両軌道輪4、5間に介在する複数の転動体6と、これら転動体6間の円周方向の間隔を保つ保持器7とを備える。転がり軸受3として深溝玉軸受が例示されている。
内方の軌道輪4は、外周側で円周方向に延びる軌道面4aを有し、内周側で円周方向に延びる嵌め合い面4bを有する環状の軸受部品である。軌道面4aは、円周方向全周において転動体6と呼び接触角0°で接触可能になっている。その嵌め合い面4bは、軸1の嵌め合い面1aと同心の円筒面状に形成されている。その嵌め合い面4bの幅(軸方向長さ)は、円周方向全周で一定である。
内方の軌道輪4の嵌め合い面4bと軸1の嵌め合い面1a間の嵌め合いは、締め代をもったしまり嵌めに設定されている。内方の軌道輪4は、そのしまり嵌めにより、軸1と一体に回転するように固定されている。
外方の軌道輪5は、内周側で円周方向に延びる軌道面5aを有し、外周側で円周方向に延びる嵌め合い面5bを有する環状の軸受部品である。軌道面5aは、円周方向全周において転動体6と呼び接触角0°で接触可能になっている。
外方の軌道輪5は、軸1とハウジング2のうちのいずれか一方である相手部材としてのハウジング2とすきま嵌めされている。
図3、図4に、外方の軌道輪5に荷重が負荷されていない自然状態における軌道輪5の形状を示す。外方の軌道輪5は、軌道面5aをもった本体5cと、嵌め合い面5bをもった肉盛り部材5dとで構成されている。
軌道輪5の嵌め合い面5bは、円弧面状に形成されている。その嵌め合い面5bは、外方の軌道輪5の外径を規定する。その嵌め合い面5bの径寸は、嵌め合い面5bに外接する仮想円Cの直径に相当する。その嵌め合い面5bにおける円弧面状は、図1、図2に示す内方の軌道輪4の嵌め合い面4bと同心に設定されている。その嵌め合い面5bの幅(軸方向長さ)は、円周方向全周で一定である。
軌道輪5の嵌め合い面5bの径寸は、ハウジング2の嵌め合い面2aの直径よりも小径である。外方の軌道輪5の嵌め合い面5bと、ハウジング2の嵌め合い面2aとは、軸1から転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fによって接触させられる。
外方の軌道輪5とハウジング2のうち、外方の軌道輪5のみが、当該軌道輪5の嵌め合い面5bを全幅に亘って分断するように形成された逃げ面5eを有する。その逃げ面5eは、その嵌め合い面5bの全幅に亘るので、嵌め合い面5bを円周方向に完全に二分している。
逃げ面5eは、円環状の本体5cと、有端円環状の肉盛り部材5dとによって、軸方向に延びる溝状に形成されている。逃げ面5eの円周方向長さは、肉盛り部材5dの円周方向両端部5f,5f間のスリット間隔に相当し、軸1の回転中心線回りの角度αで規定することができる。ここで、図1に示す転動体6間のピッチ角度をθとしたとき、図3に示す逃げ面5eの円周方向長さに対応の角度αは、例えば、0<α≦2θに設定することができる。ラジアル荷重Fによる軌道輪5のたわみ、応力を抑えた形状にするため、0.5θ≦α≦θに設定することが好ましい。
本体5cは、内周に形成された軌道面5aと、軌道面5aから径方向に直下の部位を含む外周部位に形成された円筒面5gとを一体に有する軸受部品からなる。本体5cとしては、例えば、標準的な深溝玉軸受用の外輪を採用することができる。本体5cの円筒面5gは、全周で円周方向に沿った表面部からなり、本体5cの外径を規定する円筒面部を含んでいる。
肉盛り部材5dは、有端円環状、すなわち円周方向に有限の長さで延びる形状になっている。肉盛り部材5dは、外径側に形成された嵌め合い面5bと、内径側に形成された重ね面5hとを一体に有する成形部品からなる。重ね面5hは、円周方向の全長で本体5cの円筒面5gに径方向に重なる円弧面状に形成されている。肉盛り部材5dの円周方向端部5fは、嵌め合い面5bから径方向及び軸方向に沿った平面状になっている。
肉盛り部材5dは、樹脂、金属等の適宜の材料、製法で形成すればよい。図示例のような有端円環状の肉盛り部材5は、例えば、薄い金属板をプレス加工することによって簡単に成形することができる。
肉盛り部材5dは本体5cに対して径方向の締め代をもっている。図4に示すように、自然状態における重ね面5hの内径dは、本体5cの円筒面5gの外径Dよりも小さく設定されている。肉盛り部材5dは、本体5cの円筒面5g及び外周側面取り部に対して軸方向から圧入することによって本体5cに固定されている。肉盛り部材5cを圧入すると、図3に示すように、本体5cが肉盛り部材5dを径方向に支持する状態となり、軸方向に延びる溝状の逃げ面5eが形成され、軌道輪5に組み立てられる。その逃げ面5eは、円周方向一箇所で分断する嵌め合い面5bから径方向深さδをもっている。径方向深さδは、仮想円Cと逃げ面5e間の径方向距離に相当する。
なお、本体5cに対する肉盛り部材5dの固定は、本体5cと肉盛り部材5d間でクリープが生じないように両部材5c,5dを一体化できるものであればよい。
例えば、予め形成した肉盛り部材5dを本体5cに接着してもよい。
また、肉盛り部材5dを本体5cの円筒面5gに射出成形することにより、肉盛り部材5dの形成と、成形収縮する肉盛り部材5dの本体5cの締め付けによる固定とを同時的に行うようにしてもよい。
軌道輪5を相手部材としてのハウジング2の嵌め合い面2aにすきま嵌めすると、逃げ面5eは、図1、図2に示すように、軌道輪5とハウジング2の嵌め合い面2aとの間に径方向隙間gを生じさせる。その径方向隙間gは、軌道輪5の外径を規定する嵌め合い面5bの全幅を分断する逃げ面5eによって形成されるので、軌道輪5とハウジング2の嵌め合いの全幅(嵌め合い面5bの全幅に相当)に及び、軌道輪5の外周とハウジング2の嵌め合い面2a間を軸方向に貫通する空間となる。
逃げ面5eは、転がり軸受3に最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の荷重負荷圏で、軌道輪5の外周とハウジング2の嵌め合い面2aとの間に径方向隙間gを残せるように形成されている。ここで、最大のラジアル荷重Fは、この軸受装置の運転中に転がり軸受3に負荷されるラジアル荷重Fの変動範囲内で最も大きな荷重である。
転がり軸受3のうち、ラジアル荷重Fを受ける荷重負荷圏は、転がり軸受3の略半周に及ぶ。その荷重負荷圏の円周方向中央部は、そのラジアル荷重Fの荷重方向に対応の位置となる(図1においてラジアル荷重Fの矢線方向延長上の位置に相当)。軌道輪5は、その荷重負荷圏において転動体6を介してラジアル荷重を軌道面5aで受けるため、弾性変形を生じる。このとき、転がり軸受3の荷重負荷圏においては、軌道輪5の嵌め合い面5bや逃げ面5e(特に軌道面5aの直下の部位)が波状に変形することになる。その波状の径方向高さは、その荷重負荷圏の円周方向中央部で最大となり、その円周方向中央部から遠くなる程に小さくなる。
図3に示す逃げ面5eの径方向深さδは、図1に示す最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の転がり軸受3の荷重負荷圏において、前述の波状の最大の径方向高さよりも大きく設定されている。
図4に示すように、本体5cの軌道面5aと円筒面5g間で径方向に最小の肉厚を本体肉厚Hとしたとき、図3に示す逃げ面5eの最大の径方向深さδは、例えば、0.005H≦δ≦0.1Hに設定することができ、逃げ面5eの最大の径方向深さδは、0.01H≦δ≦0.05Hに設定することが好ましい。これは、ラジアル荷重Fによる軌道輪5のたわみ、応力を抑えた形状にするためである。
なお、図1、図2の径方向隙間g、図3の最大の径方向深さδ、各図の肉盛り部材5dの肉厚は、その大きさを誇張して描いている。実際に生じる軌道輪5の波状変形では、一般に、嵌め合い面5bに対する波状の比高が最大でも数μmのオーダーである。
外方の軌道輪5は、嵌め合い面5bのうち、図1に示す転がり軸受3の荷重負荷圏内に位置する部分と、ハウジング2の嵌め合い面2aとの接触部において径方向に支持されることになる。その接触部においては、嵌め合い面5bの僅かな波状変形部が嵌め合い面2aに接する。最大のラジアル荷重Fを転がり軸受3に負荷された場合でも、その荷重負荷圏に位置する前述の接触部において、僅かな波状変形を受ける嵌め合い面2aからの反力は軌道輪5をクリープさせる程の力にならない。
このような逃げ面5eによって図1、図2に示す径方向隙間gが形成されているため、最大のラジアル荷重Fを負荷された場合の転がり軸受3の荷重負荷圏において、外方の軌道輪5の外周(嵌め合い面5bや逃げ面5e)が波状に変形しても径方向隙間gが残り、その径方向隙間gが残る円周方向領域では、外方の軌道輪5の波状変形部とハウジング2の嵌め合い面2aとが接触できない。すなわち、この軸受装置の運転中、径方向隙間gが残る円周方向領域では、外方の軌道輪5の外周に生じる波状変形部と、ハウジング2の嵌め合い面2aとの接触が発生しない。このため、転がり軸受3の荷重負荷圏において外方の軌道輪5の外周に生じる波状変形が軌道輪5をクリープさせる進行波として作用することがない。したがって、特許文献1のように軌道輪の最大の弾性変形部(波状変形部)がクリープ抑制用周溝の溝底や溝縁に接触し得る場合に比して、この軸受装置は、軌道輪5のクリープをより抑制することができる。
また、この軸受装置は、逃げ面5eが嵌め合い面5bをもった肉盛り部材5dを径方向に支持可能な本体5cに肉盛り部材5dを固定したことで形成されているので、軌道面5aをもった軸受部品である本体5cに逃げ面の加工がなく、本体5cの薄肉化を避けることができ、ひいては、転がり軸受3の真円度低下、強度低下、転動疲労寿命の低下を避けることができる。
また、この軸受装置は、本体5cが肉盛り部材5dを径方向に支持する円筒面5gを有し、肉盛り部材5dが本体5cの円筒面5gに円周方向に有限の長さで径方向に重なる有端円環状に形成されているので、有端円環状の肉盛り部材5dを本体5cの円筒面5gに固定した簡単な構造で逃げ面5eを形成することができる。
また、この軸受装置は、肉盛り部材5dが本体5cの円筒面5gに圧入又は射出成形されているので、圧入又は射出・固化という簡単な手段で本体5cに肉盛り部材5dを固定することができる。
また、この軸受装置は、軌道輪5と、そのすきま嵌めの相手部材であるハウジング2のうち、軌道輪5のみが逃げ面5eを有し、軌道輪5の本体5cが、軌道面5aをもった軸受部品からなるので、その逃げ面5eが変動する荷重方向と異なる領域に位置していた場合であっても、軌道輪5が一定のクリープ(最大でも一周)を起こせば、逃げ面5eが荷重負荷域に入って前述の径方向隙間gが形成されるため、それ以降は軌道輪5のクリープを抑制することができる。
なお、転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の荷重方向が円周方向に変動しない静止荷重である場合、相手部材のみに逃げ面を形成して前述のような径方向隙間を確保したり、相手部材と軌道輪の双方に逃げ面を形成して両逃げ面で同じく径方向隙間を確保したりすることも可能である。静止荷重の場合、対応の転がり軸受の荷重負荷域に適合する位置で前述の径方向隙間を生じさせるように軌道輪と相手部材を嵌合すれば、所定のクリープ抑制効果を得ることが可能である。ただし、相手部材であるハウジング2に逃げ面を形成した場合、誤って相手部材の逃げ面が荷重負荷域に配置されなかったとき、クリープ抑制効果を発揮できない懸念がある。これを避けるため、軌道輪5のみに逃げ面5eを形成することが好ましい。
また、この軸受装置は、すきま嵌めされるのが外方の軌道輪5とハウジング2であって、肉盛り部材5dと本体5cによって逃げ面5eが形成されているので、ハウジング形状の複雑化を避け、軌道輪5の外周を非円形にする簡単な表面処理だけで逃げ面5eを形成することができる。例えば、トランスミッションケースの一部としてハウジングが形成される場合、ハウジングが型で成形される。特許文献1のようなクリープ抑制用周溝をハウジングに形成する場合、その周溝がアンダーカットとなり、ハウジングの製造が困難となるが、肉盛り部材5dと本体5cによって逃げ面5eを形成した場合、ハウジング2の嵌め合い面2aにアンダーカット形状が不要になるため、ハウジング2の製造が困難にならない。
この軸受装置では、外方の軌道輪5のみに逃げ面5eを形成したが、逃げ面の形状や配置は、軸受装置の荷重条件、例えば、静止荷重か回転荷重か、最大のラジアル荷重Fの大きさ、荷重負荷圏において軌道輪の嵌め合い面と相手部材の嵌め合い面との接触で軌道輪に与えられる回転力を考慮して適宜に決定すればよい。
例えば、軸と内方の軌道輪とをすきま嵌めする場合、内方の軌道輪と軸の少なくとも一つが逃げ面を有すればよい。この場合には、実施形態と内外の関係を逆にすればよいだけであり、例えば、内方の軌道輪の本体の内周側に円筒面を形成し、その本体の円筒面に対して有端円環状の肉盛り部材を固定すればよい。
また、静止荷重の場合、逃げ面は、相手部材のみに形成してもよいし、軌道輪と相手部材の双方に形成し、双方の対向する逃げ面間で所要の径方向隙間を確保するようにしてもよい。
また、この軸受装置では、逃げ面5eの円周方向長さの略全長で一定の径方向深さδを有する例を示したが、肉盛り部材の円周方向端部に円周方向に近くなる程に肉盛り部材の径方向肉厚を薄くすることで、径方向深さδを変化させることも可能である。図示例の場合、最大の径方向深さδが逃げ面5eの円周方向長さの略全長に亘るので、径方向深さδを変化させる場合に比して、微細な異物が前述の径方向隙間gに溜まりにくい利点がある。一方、肉盛り部材5dの円周方向端部5fと嵌め合い面5bとの境界となる角が相手部材の嵌め合い面2aと接触する面圧が過大になって好ましくない場合は、その面圧を抑えるため、肉盛り部材5dの円周方向端部5fに面取り状の肉厚変化を形成すればよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 軸
2 ハウジング(相手部材)
2a 嵌め合い面
3 転がり軸受
4 内方の軌道輪
5 外方の軌道輪(軌道輪)
5a 軌道面
5b 嵌め合い面
5c 本体
5d 肉盛り部材
5e 逃げ面
5g 円筒面

Claims (4)

  1. 軸と、前記軸を取り囲むハウジングと、前記軸と前記ハウジングとの間に介在する転がり軸受とを備え、前記転がり軸受が、前記軸と前記ハウジングのうちのいずれか一方である相手部材とすきま嵌めされた軌道輪を有し、前記軌道輪と前記相手部材が、円周方向に延びる嵌め合い面を有する軸受装置において、
    前記軌道輪と前記相手部材のうちの少なくとも一つが、当該軌道輪又は当該相手部材の嵌め合い面をもった肉盛り部材と、前記肉盛り部材を径方向に支持する本体とを有し、
    前記本体に対する前記肉盛り部材の固定によって前記軌道輪又は前記相手部材の嵌め合い面を全幅に亘って分断するように逃げ面が形成されており、
    前記少なくとも一つの逃げ面が、前記転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の範囲内で最大のラジアル荷重を負荷された場合の荷重負荷圏で前記軌道輪と前記相手部材間に径方向隙間を残せるように形成されていることを特徴とする軸受装置。
  2. 前記本体が、前記肉盛り部材を支持する円筒面を有し、
    前記肉盛り部材が、前記本体の円筒面に円周方向に有限の長さで径方向に重なる有端円環状に形成されている請求項1に記載の軸受装置。
  3. 前記肉盛り部材が、前記本体の円筒面に圧入又は射出成形されている請求項2に記載の軸受装置。
  4. 前記軌道輪のみが前記逃げ面を有し、前記軌道輪の本体が、軌道面をもった軸受部品からなる請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受装置。
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