JP2020189408A - 紫外線吸収吸着フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の吸着フィルムは、樹脂からなる基材の一方の面にアンカー層を設け、その上にシ
リコーン組成物を付加反応で硬化してなるシリコーン樹脂からなる、シリコーン系吸着層
を設けた吸着フィルムであって、前記アンカー層がアクリルポリオール樹脂と紫外線吸収
剤からなる吸着フィルムである。
本発明の吸着フィルムの構成要素のうち、樹脂からなる基材としては、一般的な樹脂フィルムが使用可能だが、アンカー層との密着性、保護フィルムとしての強度や、基材としてのフィルムの価格、入手性や打ち抜き、紫外線レーザー等の加工特性から、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが良好に使用できる。
本発明では、基材と吸着層の間にアンカー層を設ける。前記アンカー層の材料としては、基材およびシリコーン系吸着層とアンカー層との密着性や、紫外線吸収剤との相溶性、加工特性などから、アクリルポリオール樹脂が良好である。アクリルポリオール樹脂をアンカー層の主剤とすることで、基材とシリコーン系吸着層との密着力が確保でき、また、前記アンカー層をアクリルポリオール樹脂と紫外線吸収剤よりなすことで、可視光において透明であって紫外線吸収能を持つ。
本発明の吸着フィルムの吸着層としては、被着体に確実に貼着し、紫外線にさらされたあとでも、糊残りなく剥離可能であることが必要である。このような用途の吸着層としては天然、合成ゴムやシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂や、これらの個々の樹脂を硬化剤で硬化したものが使用可能であるが、耐候性や耐光性がある点から、シリコーン組成物を熱による付加反応で硬化してなる、付加反応型のシリコーン樹脂が特に好適に使用可能である。付加反応型のシリコーン樹脂で吸着層を形成し、本発明の基材、アンカー層と組み合わせることで、被着体の紫外線劣化を防止し、しかも可視光の透過性が良く、さらに打ち抜き加工や紫外線レーザーによる加工に対して良好な加工特性を持つことが可能となり、不要となった場合に被着体から糊残りなく容易に剥離する吸着フィルムとすることができる。
本発明の吸着層に用いるシリコーン樹脂の性状としては、ゴムのような柔軟性を持っていて被着体の表面に対しても、吸着層の面が被着体表面に沿うことが求められる。さらに剥離の際には、小さい剥離力で容易に剥離できることが求められる。また、少なくとも厚み5μm以上で、塗布及び加熱処理だけで吸着層を設けるためには、シリコーン組成物の硬化反応に際して、白金触媒などの付加反応触媒のもとで、150℃以下の低温短時間で深部まで硬化し、透明で耐熱性、圧縮永久歪み特性に優れかつ低粘度で液状タイプである、1分子中に2個以上のビニル基を有するジオルガポリシロキサンとシリコーンレジン、および硬化剤としてSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応により熱硬化する付加反応型液状シリコーン組成物の使用が好ましい。
本発明においては、吸着層の表面の汚れや異物付着を防いだり、吸着フィルムのハンドリングを向上させる目的で、プラスチックフィルムからなるセパレータを吸着層面に貼り合わせて用いることが好適である。前記セパレータは、剥離性の高いプラスチックフィルムよりなり、所望により、前記プラスチックフィルムの表面に剥離剤を形成したものが使用される。
厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材の片面にコロナ放電処理を行い、表2、表3の実施例1〜13、比較例1〜6に記載の処方にて混合した各実施例、比較例の各アンカー層塗工液を、乾燥後の塗工量が表2、表3記載の各々の値になるように調整して、各基材のコロナ放電処理した面に塗工し、100℃で2分間有機溶剤を除去する為に加熱乾燥して各アンカー層を形成した。その上に下記表1の各吸着層塗工液を乾燥後の厚みが表2、表3記載の厚みになるように塗工した後、100℃で2分間有機溶剤を除去する為に加熱乾燥してから150℃で100秒間加熱して塗工液を硬化させて各吸着層を形成し、実施例1〜13、比較例1〜6の吸着フィルムを作製した。作製した各吸着フィルムを幅25mmに切断して、厚み1mmのソーダガラス板に各吸着フィルムの吸着層を貼着して積層物を作製した。
実施例1〜13、比較例1〜6のアンカー層までを形成した吸着フィルムにおいて、アンカー層を指擦りして、基材とアンカー層の密着性を目視観察し、次の基準により評価した。
◎:指擦り50回で、基材からの脱落無し。
○:指擦り10回以上、50回未満で基材から脱落有り。
×:指擦り10回未満で、基材からの脱落有り。
実施例1〜13、比較例1〜6の吸着フィルムの吸着層を指擦りして、アンカー層と吸着層の密着性を目視観察し、次の基準により評価した。
◎:指擦り15回で、基材からの脱落無し。
○:指擦り5回以上、15回未満で基材から脱落有り。
×:指擦り5回未満で、基材からの脱落有り。
前記実施例1〜13、比較例1〜6で作製した吸着フィルムの波長355nmでの紫外線透過率を測定し、以下の基準にて評価を行った。
評価基準
◎:透過率が1.0%以下
○:透過率が1.0%を超えて1.5%以下
×:透過率が1.5%を超える
前記実施例1〜13、比較例1〜6で作製した吸着フィルムのヘーズ値をJIS−K7136に準拠した方法で測定し、以下の基準にて評価を行った。
◎:ヘーズ値が2.0%以下
○:ヘーズ値が2.0%を超えて5.0%以下
×:ヘーズ値が5.0%を超える
測定器:日本電色工業株式会社製NDH−2000
前記実施例1〜13、比較例1〜6で作製したソーダガラス板と各吸着フィルムの積層物を常温で1週間静置後、目視確認する方法にて紫外線吸収剤の析出の有無を確認した。
◎:析出が見られない。
○:わずかに析出が見られるが、問題ない。
×:析出が見られる。
前記実施例1〜13、比較例1〜6で作製したソーダガラス板と各吸着フィルムの積層物において、積層物を180℃で2分間加熱したのちに室温まで冷却し、冷却後吸着フィルムを速度300mm/minで180°剥離を行い、吸着フィルム剥離後のソーダガラス板への吸着層の付着を目視確認する方法にて、糊残りの評価を行った。
評価基準
◎:吸着層のソーダガラス板上への付着がない。
○:吸着層のソーダガラス板上に、0.5mm2以下の微細な点状の付着がある。
×:吸着層のソーダガラス板上に、0.5mm2以上の大きさの付着がある。
前記実施例1〜13、比較例1〜6で作製したソーダガラス板と各吸着フィルムの積層物に、紫外線レーザー加工機にて紫外線レーザーを照射して加工特性を確認し、以下の基準にて評価を行った。
照射レーザー:波長355nm、パルス幅30ns、周波数10kHz、パルスエネルギー10μJ/pulse
○:吸着フィルムが紫外線レーザーで切断できた。
×:吸着フィルムが紫外線レーザーで切断できなかった。
Claims (4)
- 基材の片面にアンカー層、吸着層をこの順に積層した吸着フィルムであって、前記吸着層が少なくとも1種のシリコーン組成物を付加反応で硬化してなり、前記アンカー層にアクリルポリオール樹脂を85〜93重量%、紫外線吸収剤を0.30〜1.80g/m2含有し、前記アンカー層の塗工量が3〜12g/m2であることを特徴とする吸着フィルム。
- 前記アンカー層中の前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤であることを特徴とする、請求項1に記載の吸着フィルム。
- 前記吸着層が前記シリコーン組成物として少なくともビニル基含有ポリジメチルシロキサン組成物、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、シリコーンレジンを含有するシリコーン組成物を付加反応で硬化してなり、前記吸着層の厚みが3〜20μmであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の吸着フィルム。
- 前記吸着フィルムの波長355nmの紫外線透過率が1.5%以下であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の吸着フィルム。
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