JP2020184532A - マイクロ波熟成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品の熟成にかかる時間を短縮することができ、歩留まりの改善を図ることができるマイクロ波熟成装置を提供する。【解決手段】食品を収納する熟成室33と、熟成室を冷却する冷却部10と、熟成室にマイクロ波を照射するマイクロ波発振部20と、制御部と、を備え、前記制御部が、熟成室を冷却しながら熟成室内の食品にマイクロ波を照射する熟成モードに加え、(A)超低温保存モード、(B)過冷却凍結モード、(C)解凍モード、(D)低温調理モード、および(E)抽出モードのうち1つ以上の調理モードを備えるマイクロ波熟成装置。【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ波を照射して食品を熟成させる、マイクロ波熟成装置およびマイクロ波熟成方法に関する。
近年、牛肉を一定期間熟成させることで牛肉のうま味などを増大させた、いわゆる熟成肉が広く知られるようになり、その需要が増大している。牛肉を熟成させる場合には、本来40℃程度で熟成することがうま味などを引き出す点から好ましいが、菌の増殖による腐敗を抑制するために、通常は、1℃などの低温で熟成が行われている(特許文献1参照)。
特開2015−123057号公報
従来技術では、このように低温で熟成を行うため、熟成が完成するまでに長時間(長い場合には90〜180日)を要してしまうという問題があった。また、熟成期間が長くなるほど、低温でも菌による腐敗が表面から進み、その分、表面をそぎ落とすトリミングの量が多くなり、歩留まりが悪くなるという問題があった。
本発明は、食品の熟成にかかる時間を短縮することができ、歩留まりの改善を図ることができる、マイクロ波熟成装置およびマイクロ波熟成方法を提供することを課題とする。
本発明に係るマイクロ波熟成装置は、食品を収納する熟成室と、熟成室を冷却する冷却部と、熟成室にマイクロ波を照射するマイクロ波発振部と、制御部と、を備えるマイクロ波熟成装置であって、前記制御部が、熟成室を冷却しながら熟成室内の食品にマイクロ波を照射する熟成モードに加え、下記(A)〜(E)のうち1つ以上の調理モードを備えるマイクロ波熟成装置である。
(A)凍結温度より低い温度まで熟成室を冷却しながら、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、熟成室内の食品を凍結しない状態とする超低温保存モード
(B)凍結温度よりも低い温度まで熟成室を冷却しながら、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、熟成室内の食品を過冷却状態とし、次いでマイクロ波の照射を停止して急速凍結する過冷却凍結モード
(C)熟成室を冷却しながら、食品の表面温度と内部温度の温度が最小限となるように熟成室内にマイクロ波の照射出力を制御しながら解凍を行う解凍モード
(D)熟成室の冷却を停止した状態で、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、食品を低温調理に適した温度に加熱することで低温調理を行う低温調理モード
(E)熟成室を冷却しながら、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、食品の温度を0〜30℃で維持する抽出モード
上記マイクロ波熟成装置において、上記(A)〜(E)のうち2つ以上のモードを備えているように構成することができる。
上記マイクロ波熟成装置において、上記(C)の解凍モードを備え、さらに上記(C)の解凍モードの実行後に自動で熟成モードを実行する解凍・熟成モードを備えているように構成することができる。
上記マイクロ波熟成装置において、前記制御部が、上記(A)の超低温保存モードおよび(C)の解凍モードを備え、さらに上記(C)の解凍モードの実行後に自動で予め定められた条件の熟成モードを実行し、当該条件の終了後に自動で上記(A)の超低温保存モードを実行する解凍・熟成・超低温保存モードを備えているように構成することができる。
上記マイクロ波熟成装置において、前記マイクロ波発振部が、前記熟成室内の食品に50W未満のマイクロ波を照射する半導体マイクロ波発振器を備えて構成されているように構成することができる。
上記マイクロ波熟成装置において、前記マイクロ波発振部が、半導体マイクロ波発振器を備えてなる第1発振部と、マグネトロンを備えてなる第2発振部と、を備えて構成され、前記制御部が、第1発振部を用いて行う上記(D)の低温調理モードに加え、熟成室の冷却を停止した状態で、第2発振部を用いて熟成室内にマイクロ波を照射することにより、食品を高温調理に適した温度に加熱する高温調理モードを備えるように構成することができる。
本発明によれば、熟成中に、食品の表面温度よりも内部温度を高くすることができるため、熟成期間を短縮することができるとともに、食品表面における菌の増殖を抑制し、トリミングの量を低減することができる。
第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。 第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。 第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。 第3実施形態に係るキャビティの構成図である。 マイクロ波を連続照射した場合における、熟成日数ごとのアミノ酸含量の測定結果を示す表である。 図5の測定結果を示すグラフである。 熟成条件ごとのアミノ酸含量の測定結果を示す表である。 図7の測定結果を示すグラフである。 熟成条件ごとのグルタミン酸含量の測定結果を示すグラフである。 官能試験の試験条件を説明するための図である。 官能試験の結果を示すグラフである。 低温調理モードの試験結果を示す図である。 抽出モードの試験結果を示す図である。 解凍モードの試験結果を示す図である。
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1は、ドライエイジングおよびウェットエイジングが可能な装置であり、図1に示すように、冷却部10、マイクロ波発振部20、マイクロ波熟成部30、制御部40、およびUVランプ50を備える。マイクロ波熟成装置1は、冷却部10の内部にマイクロ波熟成部30、制御部40、およびUVランプ50を内蔵している。本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1において、熟成の対象となる食品は、肉類(ハムなどの加工肉食品を含む)、魚介類、チーズなどの乳製品、コーヒー豆などの豆類、野菜類、果物類、麺類、パン類、ワインなどの酒類、発酵食品(味噌や醤油などの発酵調味料を含む)などである。
冷却部10は、冷却部10の内部空間を冷気により冷却する装置である。冷却部10は、図1に示すように、冷却器11、第1ファン12、冷却室13、および不図示の冷却室扉14を有している。本実施形態では、冷却器11が外部との熱交換を行うことで冷気を発生させ、発生した冷気を第1ファン12により冷却部10の内部の冷却室13内に送風する。これにより、冷却室13内を低温とすることがきできる。なお、後述するように、熟成させる食品の表面温度が内部温度よりも低くなるように、制御部40により、マイクロ波発振部20等の動作や冷却室13内の温度が適宜制御されている。また、ユーザは、冷却室扉14を開くことで、冷却室13内に設置されているマイクロ波熟成部30に、熟成させる食品を出し入れすることができる。
マイクロ波発振部20は、食品Mに照射するためのマイクロ波を発振する。マイクロ波発振部20として、マグネトロンを使用した発振器を用いることもできるが、本実施形態では、マグネトロンと比べて高い周波数および出力安定度が得られる、半導体素子を用いたソリッドステート方式の発振器(半導体マイクロ波発振器)を用いる。マグネトロンでは、400W程度までしか出力を落とすことができないが、半導体マイクロ波発振器は熟成時の照射に好適な50W未満のマイクロ波を安定して出力することができる。マイクロ波発振部20は、周波数を2.4〜2.5GHzの間で連続的に変化させて、マイクロ波を発振する。マイクロ波発振部20で発振されたマイクロ波は、ケーブル21を介して、マイクロ波熟成部30の照射口31から照射される。なお、マイクロ波の周波数を2.4〜2.5GHzの間で連続的に変化させることでマイクロ波熟成部30での電磁界の分布が均一化されるため、食品Mにも均一な分布でマイクロ波が照射され、食品Mの均一加熱(均一熟成)を促進することができる。
マイクロ波熟成部30は、図1に示すように、照射口31、第2ファン32、熟成室33、および不図示の熟成室扉34を備える。ユーザは、熟成室扉34を開けることで、熟成を行う食品Mを熟成室33に出し入れすることができる。
熟成室33は、内面(内壁)の全ての面にマイクロ波を反射するための反射板が設置されたキャビティである。熟成室33の上部内面には、マイクロ波発振部20により発振されたマイクロ波を、熟成室33内に照射する照射口31が設置されている。本実施形態においては、照射口31に、小型で利得が高いパッチアンテナ(平面アンテナ)が取り付けられ、これによりマイクロ波発振部20により発振されたマイクロ波が熟成室33内に照射される。熟成室33には、テフロン(登録商標)やポリプロピレンなどのマイクロ波透過性材により構成された任意の形状の棚を設置してもよい。またステンレスなどの金属材料を使用する場合は、間隔が20mm以上の格子状の棚や、直径20mm以上の開口部を持つパンチングメタル形状の棚を設置しても良い。
第2ファン32は、冷却室13内の冷気を熟成室33に送風する。第2ファン32は、ドライエイジングに適した風量(たとえば0.5〜10.0m/秒)で送風を行うことができるものを採用することができる。なお、ウェットエイジングでは、第2ファン32を停止させることも可能である。本実施形態では、図1に示すように、第2ファン32が熟成室33の外側に取り付けられており、第2ファン32が取り付けられた熟成室33の側壁には、第1微小開口35が設けられている。第1微小開口35は、マイクロ波の波長よりも短い大きさで開口されており、たとえば本実施形態では、第1微小開口35の大きさを直径10mm以下としている。第1微小開口35により、熟成室33内に照射されたマイクロ波は遮断され、第2ファン32により送風された冷気のみが通過される。また、第1微小開口35と対向する熟成室33の側壁には、第1微小開口35と同様の径の、第2微小開口36が設けられている。第2微小開口36により、熟成室33に照射されたマイクロ波は遮断されるが、食品Mとの熱交換により温められた熟成室33内の空気が、第2微小開口36を通過して、冷却室13内へと排出される。第1微小開口35および第2微小開口36を、1または複数の側壁の大部分を占める面積に設け、通気性を高めてもよい。また、熟成室33を第1微小開口35および第2微小開口36が予め形成されたパンチングメタルを用いて構成することもでき、このようなパンチングメタルとして、φ10mmのステンレス板を用いることもできる。
制御部40には、熟成させる食品Mの表面温度および内部温度がそれぞれ所定の温度となるように温度制御を行う熟成モード、超低温保存モード、過冷却凍結モード、解凍モード、低温調理モードおよび抽出モードを備えたプログラムが組み込まれている。具体的には、制御部40は、マイクロ波発振部20、冷却器11、第1ファン12、第2ファン32の動作を制御することで、マイクロ波発振部20によるマイクロ波の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32の風量を制御して温度制御を行う。たとえば、熟成モードが実行された制御部40は、マイクロ波発振部20のマイクロ波の出力を高くすることで食品Mの内部温度を高くすることができ、また、冷却器11による冷気の温度を低くし、あるいは、第1ファン12および第2ファン32の風量を高くすることで食品Mの表面温度を低くした状態で食品Mを熟成することができる。
また、制御部40は、マイクロ波発振部20によるマイクロ波の発振を制御することができる。たとえば、制御部40は、マイクロ波発振部20を一定の出力値および一定の周波数に固定して発振させる固定照射に加えて、短い周期(たとえば数ミリ秒周期)でマイクロ波発振部20に発振と停止とを繰り返させる間欠照射や、マイクロ波発振部20の周波数を経時的に変化させる掃引照射や、マイクロ波発振部20の出力値を経時的に変化させる連続照射を行わせることができる。また、制御部40は、熟成モードにおいて、マイクロ波の照射のON−OFFを一定時間(たとえば数時間)ごとに切り替えるように(間欠照射の場合は、間欠照射を行う期間と間欠照射を行わない期間とを一定時間ごとに切り替えるように)、マイクロ波発振部20を制御する構成とすることもできる。たとえば、制御部40は、熟成モードにおいて、マイクロ波を3時間照射した後、マイクロ波の照射を3時間停止し、同様に、マイクロ波の照射と停止とを3時間ごとに、たとえば熟成期間である7日間ずっと繰り返すように、マイクロ波発振部20を制御することができる。
超低温保存モードにおいて、制御部40は、食品Mの凍結温度よりも低い温度(たとえば−2〜−10℃)まで熟成室33を冷却しながら、熟成室33内にマイクロ波を照射することにより、熟成室33内の食品Mを凍結しない状態として保存する。たとえば、牛肉は通常は−2℃で凍結するが、冷却部10による冷却能力を超えない範囲の加熱が生じるようにマイクロ波発振部20の出力を制御することで、食品Mの温度が凍結温度(たとえば牛肉では−2℃)となっても凍らない過冷却状態とすることができ、このような状態で保存することにより食品Mの表面を微生物が成育しない温度に保ちながら凍らせずに美味しく保存することが可能となる。また、超低温保存モードでは、食品Mの内部温度は、表面温度とほぼ同程度の、微生物が生育しない凍結温度よりも低い温度となっているが、微弱な(たとえば数W程度の)マイクロ波を継続的に照射することで、微生物が生育しない温度で肉全体を保持したまま、食品を美味しく熟成する効果も期待することができる。
過冷却凍結モードにおいて、制御部40は、凍結温度よりも低い温度(たとえば−5〜−10℃)まで熟成室33を冷却しながら、熟成室33内にマイクロ波を照射することにより、熟成室33内の食品Mを過冷却状態とし、次いでマイクロ波の照射を停止して急速凍結することにより食品Mの鮮度保持性を高める。この際、マイクロ波の照射停止と共に冷却器11の出力を高め、熟成室33内をより低温(たとえば−15℃以下)とすることで凍結速度を短縮するようにしてもよい。
解凍モードにおいて、制御部40は、熟成室33に冷気を送風して冷却しながら、食品Mの表面温度と内部温度の温度が最小限となるように熟成室33内にマイクロ波の照射出力を制御しながら解凍を行うことでドリップレス解凍を行う。解凍モード時にも熟成室33に冷気を送風して冷却するのは、食品Mの表面や端部が先行して解凍され、解凍した部分にマイクロ波が集中的に吸収され、温度ムラが生じることを防ぐためである。解凍モードによる解凍後に、自動で熟成モードに移行する解凍・熟成プログラム、さらには解凍モードによる解凍後に、自動で熟成モードに移行し、熟成後に自動で超低温保存モードに移行する解凍・熟成・超低温保存プログラムを制御部40に設けてもよい。
低温調理モードにおいて、制御部40は、熟成室33の冷却を停止した状態で、熟成室33内にマイクロ波を照射することにより、食品Mの表面温度を低温調理に適した温度(たとえば57〜80℃)とすることで低温調理を行う。なお、低温調理モードにおいて、食品Mの内部温度は表面温度よりも低くすることができ、たとえば40〜80℃として低温調理することができる。また、凍結状態にある食品Mに対し、解凍モードを経ずに低温調理モードを実行してもよい。
抽出モードにおいて、制御部40は、熟成室33に冷気を送風して冷却しながら、熟成室33内にマイクロ波を照射することにより、被抽出物(食品M)の温度を0〜30℃として抽出を行う。たとえば、コーヒーの抽出では、コーヒー豆を10℃の冷却水で抽出することで、香り成分が多く溶け出す一方、苦みや渋みのもととなる成分が溶け出しにくいため、全体として雑味の少ないまろやかな味わいとなることが知られている。しかしながら、10℃という低温で抽出する場合、抽出に時間がかかってしまうという問題があった。これに対して、本実施形態に係る抽出モードでは、食品Mであるコーヒー豆および水にマイクロ波照射することで、コーヒー豆の内部まで均等に加熱することができ、10℃という低温下においても、コーヒーの抽出速度を速めることができる。
また、マイクロ波発振部20を、半導体マイクロ波発振器を備えてなる第1発振部およびマグネトロンを備えてなる第2発振部を備えて構成し、第1発振部を用いた低温調理モードおよび第2発振部を用いたとする高温調理モード(たとえば250〜350℃)を制御部40で実行可能にしてもよい。かかる構成によれば、高温調理モードで食品Mの表面を焼き固め、次いで低温調理モードでじっくりと調理することも可能となる。裏面にマイクロ波を吸収して発熱するグリル皿(たとえば、フェライト系素材からなるグリル皿)を配置し、裏面側からは第1発振部からのマイクロ波を照射し、直接食品Mが載置される表面側からは第2発振部からのマイクロ波を照射するように構成してもよい。
また、制御部40は、食品Mの内部温度や表面温度を測定する温度センサ(例えば、マイクロ波環境下においても接触式で温度計測が可能な蛍光式光ファイバー温度計(安立計器株式会社製)や、非接触により赤外線や可視光線の強度を測定する放射型温度センサ)と接続し、温度センサの計測結果に基づいて、適宜温度制御を行う構成とすることもできる。
さらに、制御部40は、予め試験により、食品Mの重量および水分量と、食品Mの表面温度および内部温度を所定の温度とするための、マイクロ波発振部20のマイクロ波の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32の風量との関係を記憶しておき、熟成室33内に設置された重量計や非接触式の水分計から得た食品Mの重量や水分量に応じて、マイクロ波発振部20のマイクロ波の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32の風量を制御する構成とすることもできる。この場合、制御部40は、操作ボタンやタッチパネル等の入力装置を備えており、食品の種類(たとえば、牛肉、豚肉、鶏肉)や大きさなどの熟成対象食品情報を入力することで食品の表面温度が内部温度よりも高くなるような制御を自動で行うことが開示される。
ここで、マイクロ波は誘電加熱により食品内部まで加熱するため、マイクロ波熟成部30でマイクロ波を照射した場合、食品Mの表面に加えて食品Mの内部まで加熱することができる。食品Mの内部を温めることで食品Mの熟成を促進することができるが、食品Mの表面を温めることは食品Mの表面に付着した菌の増殖を促すこととなる。これに対して、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、冷却機構、すなわち、冷却部10および第2ファン32の動作により食品Mの表面を冷却することで、食品Mの表面に付着した菌の増殖を抑制することができる。
特に、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、加熱機構(マイクロ波発振部20およびマイクロ波熟成部30)による食品Mの加熱と、冷却機構(冷却部10および第2ファン32)による食品Mの表面の冷却とを同時に行い、かつ、制御部40の制御により、食品Mの内部温度が表面温度よりも高くなるように、加熱機構および冷却機構の動作が制御されている。より具体的には、制御部40は、食品Mの内部温度が5℃以上、かつ、食品Mの表面温度が5℃未満となるように、温度制御を行い、より好適には、食品Mの内部温度と表面温度との差が3℃以上となるように、マイクロ波発振部20の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32による風量を制御する。これにより、マイクロ波熟成装置1では、食品Mの熟成時に、食品Mの熟成を促進することができるとともに、食品Mの表面の菌の増殖を抑制することができる。食品Mを熟成している間中、マイクロ波を連続して照射する必要はなく、少なくとも1時間以上(好ましくは3時間以上、より好ましくは5時間以上)、マイクロ波の照射が行なわれる構成とすることができる。
UVランプ50は、紫外線を発生させる装置である。本実施形態では、冷却室13や熟成室33を循環する冷気に紫外線を照射することで、冷気中に浮遊する菌を殺菌することができ、食品Mの表面や冷却室13や熟成室33に存在する菌の増殖をより抑制することができる。また、熟成室33の一部(少なくともUVランプ50側の一部)の壁部において紫外線が通過する構成としたり、UVランプを熟成室33に直接設置したりすることもでき、その場合は、食品Mの熟成中に、UVランプ50で発生させた紫外線を、熟成室33内に置かれた食品Mの表面に直接照射することができる。このように、熟成中に、紫外線を食品Mの表面に照射することで、食品Mの表面に存在する菌の増殖をより抑制することができる。なお、制御部40は、UVランプ50の動作も制御することができる。たとえば、制御部40は、熟成を開始したタイミングまたは熟成室扉34を(開けた後に)閉じたタイミングから、一定時間(たとえば数時間)、UVランプ50に紫外線を照射させるように制御を行うことができる。
以上のように、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、マイクロ波発振部20から照射されたマイクロ波による食品内部の加熱と、冷却部10および第2ファン32による食品表面の冷却とを同時に行い、食品Mの表面温度よりも内部温度を高くして、食品Mの熟成を行うことで、食品Mの表面に存在する菌の増殖を抑制しながら、食品Mの熟成を促進することができる。すなわち、従来では、食品Mを低温下(たとえば1℃)において熟成させることで、食品Mの表面に存在する菌の増殖を抑制しながら熟成を行っていたが、マイクロ波を照射していないため、食品Mの内部温度も表面温度と同じ温度となり、熟成に時間がかかってしまう(たとえば30日〜180日程度)という問題があった、また、低温でも菌による腐敗が表面から進むため、熟成に時間がかかるとその分、表面をそぎ落とすトリミングの量が多くなり、歩留まりが悪くなるという問題があった。しかしながら、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、食品Mにマイクロ波を照射しながら熟成することで、食品Mの内部を表面と同じく均一に加熱することができるため、マイクロ波発振部20による食品内部の加熱と、冷却部10および第2ファン32による食品表面の冷却とを同時に行うことで、食品Mの表面温度を低くしたまま、食品Mの内部温度だけを高くすることができる。これにより、従来と比べて、食品Mの表面に存在する菌の増殖を抑制することができるとともに、食品の熟成を促進することができる。
また、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、熟成室33を冷却しながら熟成室33内の食品Mにマイクロ波を照射する熟成モードに加え、(A)凍結温度より低い温度まで熟成室33を冷却しながら、熟成室33内にマイクロ波を照射することにより、熟成室33内の食品Mを凍結しない状態とする超低温保存モード、(B)凍結温度よりも低い温度まで熟成室33を冷却しながら、熟成室33内にマイクロ波を照射することにより、熟成室33内の食品を過冷却状態とし、次いでマイクロ波の照射を停止して急速凍結する過冷却凍結モード、(C)熟成室33を冷却しながら、食品Mの表面温度と内部温度の温度が最小限となるように熟成室33内にマイクロ波の照射出力を制御しながら解凍を行う解凍モード、(D)熟成室33の冷却を停止した状態で、熟成室33内にマイクロ波を照射することにより、食品を低温調理に適した温度に加熱することで低温調理を行う低温調理モードを行うことができる。このように、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、食品Mの熟成に加えて、食品Mを表面から加熱するのではなく、内部も均一に加熱することができるという、マイクロ波の特徴を利用して、従来にはない食品Mの保存、凍結、解凍、および調理を行うことができる。
≪第2実施形態≫
続いて、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aについて説明する。図2は、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aの一例を示す構成図である。第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aでは、図2に示すように、熟成室33の熟成室扉34がチョーク構造を有し、外部から開閉可能となっていること以外は、第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置1と同様である。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を割愛する。
図2に示すように、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aでは、熟成室33の熟成室扉34が直接外部から開閉できるようになっている。また、第2実施形態では、マイクロ波が外部に漏洩することを防止するために、熟成室33の熟成室扉34は、チョーク構造を有している。なお、チョーク構造は公知の構造とすることができる。
このように、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aでは、外部から直接、熟成室33内に食品Mの出し入れを行うことができる。また、第2実施形態では、熟成室扉34にチョーク構造を備えることで、外部へのマイクロ波の漏洩を有効に防止することができる。
≪第3実施形態≫
続いて、第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置1bについて説明する。図3は、第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置1bの一例を示す斜視図であり、図4は、第3実施形態に係るマイクロ波熟成部30aの一例を示す斜視図である。図3に示すように、冷却部10は2つの冷却室13を有し、各冷却室13内にはマイクロ波熟成部30a(熟成室33)がそれぞれ設置されている。
マイクロ波熟成部30aは、図4(A)に示すように、網皿37により熟成室33が上下に分かれた二段構造となっており、食品Mを上下それぞれ載置することができる。また、第3実施形態に係るマイクロ波熟成部30aでは、図4(B)に示すように、各段の背面に第2ファン32が取り付けられており、第2ファン32の動作により冷却室13内の冷気が熟成室33内に送風される。また、マイクロ波熟成部30aの両側面の大部分には微小開口36が開けられており、冷却室13から熟成室33の内部に送風され食品Mと熱交換を行った空気が、微小開口36から冷却室13へと排出されることで、食品Mの表面温度を効率良く低くすることができる。
また、第3実施形態において、マイクロ波熟成部30aの前面は開口となっており、開口の縁部には、チョーク構造38が形成されている。図3に示すように、冷却室13の冷却室扉は、熟成室33の熟成室扉34と兼用されており、チョーク構造38によりマイクロ波が外部に漏洩することを有効に防止することができる。扉面をパンチングメタル板と透明な板の2重構造とする事で、マイクロ波の漏洩防止と断熱機能を有したまま、熟成室33内部の食品Mの熟成進行度等を、扉を開けずに確認できる構造にしても良い。透明な板の材質は特に制限はなく、例えばガラスやポリカーボネイト樹脂等が良い。また、透明な板を空気層ができるように、2枚重ねた構造にすることで断熱機能が向上した構造とすることができる。
第3実施形態においては、マイクロ波熟成部30aの上面に、照射口31と照明部39とが配置されている。照射口31は、第1実施形態と同様に、熟成室33内にマイクロ波を照射する。また、照明部39は、熟成室33内を照明するLED光源を有し、たとえば熟成室扉34が開かれた場合に、熟成室33内を照明する。
以上のように、第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置1bは、冷却室13および熟成室33をそれぞれ2つずつ有するため、一度に熟成できる食品Mの量を多くすることができる。また、熟成室33は上下二段に分かれており、各段について第2ファン32を備えることで、熟成させる食品Mの量が多い場合でも、食品Mの表面温度を適切に低くすることができる。さらに、第3実施形態では、市販の冷蔵庫を冷却部10として利用することができるため、製造コストを低減することもできる。
≪試験例≫
発明者は、本発明に係るマイクロ波熟成装置による食品の熟成効果を確認するために、以下の試験を行った。具体的には、第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置1と同様の構成の試作機を製作し、各試験を行った。なお、以下の試験例1〜3では、牛モモ肉約300g(試験例4では約700g)をマイクロ波熟成部に入れて100W以下のマイクロ波により照射して試験を行った。また、冷却部10の内部の温度は−2℃、牛モモ肉表面の温度は−1〜+2℃、牛モモ肉内部の温度は+8℃となるように、マイクロ波発振器のマイクロ波の出力、冷却器の冷気の温度、第1ファンおよび第2ファンの風量を制御して試験を行った。第2ファンの風量は、0.5〜1.0m/秒の範囲で制御した。
(試験例1)
まず、マイクロ波を熟成9日目まで連続して照射し、熟成日数ごとにアミノ酸含有量を測った。その計測結果を図5および図6に示す。図5は、試験例1における熟成日数ごとのアミノ酸含有量の測定結果であり、図6は、図5に示す測定結果のグラフである。アミノ酸総量に着目すると、当初(0日)のアミノ酸総量は375.4mg/100gであり、熟成6日目のアミノ酸総量は745.9mg/100gであり、熟成9日目のアミノ酸総量は1128.1mg/100gとなった。これらの結果から分かるように、マイクロ波を牛モモ肉に照射することで、アミノ酸総量が、熟成6日間で約2倍、熟成9日間で約3倍まで増加した。
(試験例2)
次いで、試験例2では、(A)熟成前の牛モモ肉、(B)マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた牛モモ肉、(C)7日間の熟成においてマイクロ波を熟成開始から6時間だけ照射した牛モモ肉、(D)7日間の熟成においてマイクロ波を熟成開始から20時間だけ照射した牛モモ肉について、7日間熟成後のアミノ酸含有量((A)については熟成前の牛モモ肉のアミノ酸含有量)を測定した。図7は試験例2における上記(A)〜(D)のアミノ酸含有量の測定結果であり、図8は、図7に示す測定結果のグラフである。
アミノ酸総量に着目した場合、図7および図8に示すように、(A)熟成前の牛モモ肉に対して、(B)マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた牛モモ肉では、アミノ酸総量が44.9mg/100g増加した。一方、(A)熟成前の牛モモ肉に対して、(C)7日間の熟成においてマイクロ波を6時間だけ照射した牛モモ肉では、アミノ酸総量が96.5mg/100g増加し、(D)7日間の熟成においてマイクロ波を20時間だけ照射した牛モモ肉では、アミノ酸総量が232.5mg/100g増加した。このように、(B)マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた場合と比べて、(C)7日間の熟成においてマイクロ波を6時間だけ照射した場合、および(D)7日間の熟成においてマイクロ波を20時間だけ照射した場合では、それぞれ、アミノ酸総量が大幅に増加することが分かった。また、マイクロ波の照射時間が長いほど、アミノ酸総量が大きくなる傾向にあることが分かった。
(試験例3)
次に、マイクロ波を照射しない通常の熟成方法と、マイクロ波を照射した本発明に係る熟成方法とにおける、グルタミン酸の含有量を、7日間熟成させた場合の熟成日数ごとに測定した測定結果を、図9に示す。グルタミン酸は、うま味に関連するアミノ酸であり、牛肉のうま味を示す指標ともなる。なお、通常の熟成方法において熟成させた牛肉と、本実施形態に係るマイクロ波を照射させて熟成させた牛肉とは、肉の種類が異なるため、図9に示すように、熟成当初のグルタミン酸の含有量は異なっている。
図9に示すように、マイクロ波を照射した場合には、マイクロ波を照射しない場合と比べて、グルタミン酸の含有量は大幅に増加した。具体的には、マイクロ波を照射しない従来の熟成方法では7日間熟成でグルタミン酸の含有量が1.52倍となったが、マイクロ波を照射した本実施形態に係る熟成方法では7日間熟成でグルタミン酸の含有量が2.60倍と大幅に増加した。また、マイクロ波を照射した場合には、熟成期間が経つほど、グルタミン酸の増加量(増加幅)が多くなる傾向にあることが分かった。
(試験例4)
次に、(E)マイクロ波を連続照射して7日間熟成させた牛モモ肉と、(F),(G)マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた牛モモ肉とについて、官能試験を行った。図10は、試験例4における各サンプルの熟成条件を説明するための図である。図10に示すように、(E)マイクロ波を連続照射して7日間熟成させた牛モモ肉では、冷却室の温度が−2℃、牛モモ肉の表面温度が2℃、牛モモ肉の内部温度が8℃となるように温度制御して熟成を行った。また、マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた牛モモ肉のうち、(F)は、冷却室の温度が−2℃、牛モモ肉の表面温度が−2℃、牛モモ肉の内部温度が−2℃となるように温度制御して熟成を行い、(G)は、冷却室の温度が8℃、牛モモ肉の表面温度が8℃、牛モモ肉の内部温度が8℃となるように温度制御して熟成を行った。
図11に、試験例4の官能試験の結果を示す。なお、当該官能試験は、一般社団法人 食肉科学技術研究所において専門家3名により実施した。また、当該官能試験においては、熟成させていない牛モモ肉を基準(ゼロ点)とし、不快臭、異味、熟成風味、コク、うま味、ジューシーさ、やわらかさ、総合の各項目について、−3点から+3点の7段階評価を行った。
その結果、熟成をしていない牛モモ肉(基準)に比べて、(E)マイクロ波を連続照射して7日間熟成させた牛モモ肉、および、(F),(G)マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた牛モモ肉において、熟成風味、コク、うま味、ジューシーさが高くなり、総合評価も高くなった。また、(E)マイクロ波を連続照射して7日間熟成させた牛モモ肉と、(F),(G)マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた牛モモ肉とを比べると、(E)マイクロ波を連続照射して7日間熟成させた牛モモ肉では、コク、うま味、ジューシーさ、軟らかさがより高く評価され、総合評価もより高くなった。特に、(E)マイクロ波を連続照射して7日間熟成させた牛モモ肉では、熟成をしていない牛モモ肉(基準)に比べて、コクやうま味が、大幅に高い評価となった。
このように、(E)マイクロ波を連続照射して7日間熟成させた牛モモ肉では、(F),(G)マイクロ波を照射せずに7日間熟成させた牛モモ肉と比べて、官能的にも、コク、うま味、ジューシーさ、軟らかさが増し、牛モモ肉が美味しくなることが分かった。
なお、試験例4で熟成させた(E)〜(G)の牛モモ肉については、細菌検査が行われ、E.Coli数が30未満(100g当り)、腸内細菌科菌群数が10未満(cfu/g)であることが確認された。
(試験例5)
試験例5では、低温調理モードによるサーモンの低温調理を行った。図12(A)は、試験例5における低温調理モードでの温度制御方法を説明するための図であり、(B)は、試験例5において低温調理したサーモンの写真を示す図である。試験例5では、図12(A)に示すように、サーモンの内部温度を測定するための内部温度センサを設置した。なお、内部温度センサは、マイクロ波の影響を抑制するために、シース部(熱電対)のシース長さは48mm未満とし、シース径はφ2.5mm未満とした。そして、サーモンの内部温度が40℃となるように、熟成室33の冷却を停止した状態で、熟成室33内にマイクロ波を照射した。その結果、図12(B)に示すように、サーモンを低温で調理することができた。
(試験例6)
試験例6では、抽出モードによるコーヒーの抽出を行った。具体的に、試験例6では、コーヒー豆16gを25%エタノール水溶液50mlに浸漬させ、25%エタノール水溶液を溶媒として、72時間、コーヒーの抽出を行った。ここで、図13(A)は、本実施形態における抽出モードにより、熟成室33を冷却しながら、熟成室33内にマイクロ波を連続照射することで、熟成室33の温度(外部温度)を0℃とし、コーヒー豆を含む25%エタノール水溶液の温度を10℃で維持して抽出を行った例を示す。また、図13(B)は、マイクロ波を照射せずに、熟成室33の温度を10℃として(コーヒー豆を含む25%エタノール水溶液の温度も10℃として)抽出を行った例を示す。図13(A),(B)に示すように、本実施形態における抽出モードにより抽出した(A)の例では、マイクロ波を照射せずに抽出を行った(B)の例と比べて、コーヒーの抽出速度が速いことがわかる。また、実施例6では、コーヒー豆を用いて抽出モードの試験を行ったが、抽出モードはコーヒーの抽出に限定されず、たとえば茶葉や果実酒の抽出にも使用することができる。
(試験例7)
試験例7では、解凍モードにより、冷凍した魚肉(スズキ)の解凍を行った。具体的には、生魚のスズキの刺身約150gを2分割し、−20℃で凍結した後、それぞれ解凍を行った。ここで、図14(A)は、本実施形態における解凍モードにより、熟成室33の温度(外部温度)を−5℃に冷却しながら、熟成室33内に1Wのマイクロ波を連続照射して解凍を行った場合の解凍後の写真を示し、図14(B)は、マイクロ波を照射せずに、チャック付きのビニール袋に入れ、熟成室33の温度を0℃として1日かけて解凍を行った場合の解凍後の写真を示す。また、表1には、解凍前後のスズキの重量および流れ出たドリップの量を示す。
表1に示すように、本実施形態における解凍モードにより解凍した実施例では、マイクロ波を照射せずに解凍を行った比較例と比べて、解凍速度が速く、また、ドリップの量が少ないことがわかった。具体的には、熟成室33の温度を0℃として解凍した場合には解凍に1日程度かかったのに対して、本実施形態に係る解凍モードにより解凍した場合には6.5時間程度でスズキを解凍できた。また、表1に示すように、熟成室33の温度を0℃として解凍した場合のドリップ量は0.7gとなり、全体重量の約1%がドリップとして流出した。一方、本実施形態に係る解凍モードにより解凍した場合のドリップ量は0.1gとなり、全体の約0.1%の流出に抑えられた。なお、本実施形態における解凍モードでは、凍結したスズキをチャック付きのビニール袋に入れずに実施しており、スズキに含まれる余分な水分を蒸発させる効果も併せ持っている。
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
たとえば、上述した実施形態に加えて、活性炭フィルターを熟成室33または冷却室13内にさらに備える構成とすることができる。活性炭フィルターにより熟成室33または冷却室13の臭いを除去することができる。
また、上述した実施形態に加えて、熟成室33に載置された食品Mの重量を測定する測定器を、熟成室33の下部に備える構成としてもよい。この場合、食品の重量変化に基づいて、食品の熟成度合を判断し、ユーザに提示する構成としてもよい。また、非接触式の水分計をさらに備え、食品の重量変化および食品の水分量変化に応じて、食品の熟成度合を判断する構成とすることもできる。
さらに、上述した実施形態では、マイクロ波の周波数を2.4〜2.5GHz(ISM周波数帯)とする構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば300MHz〜300GHzの範囲の周波数を用いることも可能である。
1,1a,1b…マイクロ波熟成装置
10…冷却部
11…冷却器
12…第1ファン
13…冷却室
20…マイクロ波発振部
21…ケーブル
30,30a…マイクロ波熟成部
31…照射口
32…第2ファン
33…熟成室
34…熟成室扉
35…第1微小開口
36…第2微小開口
37…網皿
38…チョーク構造
39…照明部
40…制御部
50…UVランプ

Claims (6)

  1. 食品を収納する熟成室と、
    熟成室を冷却する冷却部と、
    熟成室にマイクロ波を照射するマイクロ波発振部と、
    制御部と、を備えるマイクロ波熟成装置であって、
    前記制御部が、
    熟成室を冷却しながら熟成室内の食品にマイクロ波を照射する熟成モードに加え、下記(A)〜(E)のうち1つ以上の調理モードを備えるマイクロ波熟成装置。
    (A)凍結温度より低い温度まで熟成室を冷却しながら、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、熟成室内の食品を凍結しない状態とする超低温保存モード
    (B)凍結温度よりも低い温度まで熟成室を冷却しながら、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、熟成室内の食品を過冷却状態とし、次いでマイクロ波の照射を停止して急速凍結する過冷却凍結モード
    (C)熟成室を冷却しながら、食品の表面温度と内部温度の温度が最小限となるように熟成室内にマイクロ波の照射出力を制御しながら解凍を行う解凍モード
    (D)熟成室の冷却を停止した状態で、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、食品を低温調理に適した温度に加熱することで低温調理を行う低温調理モード
    (E)熟成室を冷却しながら、熟成室内にマイクロ波を照射することにより、食品の温度を0〜30℃で維持する抽出モード
  2. 前記制御部が、上記(A)〜(E)のうち2つ以上のモードを備えている請求項1に記載のマイクロ波熟成装置。
  3. 前記制御部が、上記(C)の解凍モードを備え、さらに上記(C)の解凍モードの実行後に自動で熟成モードを実行する解凍・熟成モードを備えている請求項1または2に記載のマイクロ波熟成装置。
  4. 前記制御部が、上記(A)の超低温保存モードおよび(C)の解凍モードを備え、さらに上記(C)の解凍モードの実行後に自動で予め定められた条件の熟成モードを実行し、当該条件の終了後に自動で上記(A)の超低温保存モードを実行する解凍・熟成・超低温保存モードを備えている請求項1または2に記載のマイクロ波熟成装置。
  5. 前記マイクロ波発振部が、前記熟成室内の食品に50W未満のマイクロ波を照射する半導体マイクロ波発振器を備えて構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロ波熟成装置。
  6. 前記マイクロ波発振部が、半導体マイクロ波発振器を備えてなる第1発振部と、マグネトロンを備えてなる第2発振部と、を備えて構成され、
    前記制御部が、第1発振部を用いて行う上記(D)の低温調理モードに加え、熟成室の冷却を停止した状態で、第2発振部を用いて熟成室内にマイクロ波を照射することにより、食品を高温調理に適した温度に加熱する高温調理モードを備える請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロ波熟成装置。
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