JP2020184420A - カーボンナノチューブ複合線、カーボンナノチューブ被覆電線、ワイヤハーネス、ロボットの配線及び電車の架線 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合線、カーボンナノチューブ被覆電線、ワイヤハーネス、ロボットの配線及び電車の架線 Download PDF

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山崎 悟志
Satoshi Yamazaki
悟志 山崎
憲志 畑本
Kenji Hatamoto
憲志 畑本
英樹 會澤
Hideki Aizawa
英樹 會澤
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Abstract

【課題】主に銅、アルミニウム等の金属製の芯線から構成される線材と比較して同等以上の導電性を実現すると共に、優れた屈曲性を実現し、加えて更なる軽量化を実現することができるカーボンナノチューブ複合線を提供する。【解決手段】本発明のカーボンナノチューブ複合線(2)は、複数のカーボンナノチューブ(11a)で構成されるカーボンナノチューブ集合体(11)の複数が束ねられてなるカーボンナノチューブ線材(10)の複数が撚り合わされてなる。カーボンナノチューブ線材(10)の撚り数t1が0以上2500T/m未満であり、カーボンナノチューブ複合線(2)の撚り数t2が0を超え2500T/m未満である。カーボンナノチューブ線材(10)及びカーボンナノチューブ複合線(2)の少なくとも一方がめっきされている。【選択図】図1

Description

本発明は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ線材の複数を撚り合わせてなるカーボンナノチューブ複合線、該カーボンナノチューブ複合線を絶縁材料で被覆したカーボンナノチューブ被覆電線、並びに該被覆電線を有するワイヤハーネス、ロボットの配線及び電車の架線に関するものである。
従来、自動車や産業機器などの様々な分野における電力線や信号線として、一又は複数の線材からなる芯線と、該芯線を被覆する絶縁被覆とからなる電線が用いられている。芯線を構成する線材の材料としては、通常、電気特性の観点から銅又は銅合金が使用されるが、近年、軽量化の観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が提案されている。例えば、アルミニウムの比重は銅の比重の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の導電率の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であるため、アルミニウム線材に、銅線材と同じ電流を流すためには、アルミニウム線材の断面積を、銅の線材の断面積の約1.5倍と大きくする必要がある。このように、断面積を大きくしたアルミニウム線材を用いたとしても、アルミニウム線材の質量は、純銅の線材の質量の半分程度であるため、アルミニウム線材を使用することは、軽量化の観点から有利である。
一方、環境対応のために自動車等の燃費を向上させるべく、線材の更なる軽量化が要求されている。こうした更なる軽量化を達成するための新たな手段の一つとして、カーボンナノチューブ(CNT)を線材として活用する技術が新たに提案されている。カーボンナノチューブは、六角形格子の網目構造を有する筒状体の単層、あるいは略同軸で配された多層で構成される3次元網目構造体であり、軽量であると共に、導電性、熱伝導性、機械的強度等の特性に優れるため、電力線や信号線に使用されている金属に代替する材料として注目されている。
CNT線を利用した技術の例として、多層配線構造に形成されるビアホールの埋め込み材料である金属の代わりにCNTを使用することが検討されている。具体的には、多層配線構造の低抵抗化のために、多層CNTの成長基点から遠い側の端部へ同心状に伸延した多層CNTの複数の切り口を導電層にそれぞれ接触させた多層CNTを、2以上の導線層の層間配線として使用した配線構造が提案されている(特許文献1)。
その他の例として、CNT材料の導電性をさらに向上させるために、隣接したCNT線材の電気的接合点に、金属等からなる導電性堆積物を形成したカーボンナノチューブ材料が提案され、このようなカーボンナノチューブ材料は広汎な用途に適用できることが開示されている(特許文献2)。また、CNT線材の有する優れた熱伝導性から、カーボンナノチューブのマトリクスから作られた熱伝導部材を有する加熱器が提案されている(特許文献3)。
ところで、昨今では、自動車、産業機器等の更なる高性能化・高機能化が急速に進められており、これに伴い、各種電気機器、制御機器などの配設数が増加すると共に、電線の導電性をさらに向上させることが要求されている。また、自動車やロボット等に代表される移動体での繰返し運動などに因る断線等の異常の発生を防止するために、線材の屈曲性の向上が求められている。
カーボンナノチューブ単体は、銅(抵抗率1.68×10−6Ω・cm)よりも高導電性を示すことが知られている。したがって、理論的には、複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてカーボンナノチューブ集合体を形成すれば、機械的強度の向上、高導電率の実現が可能となると推測される。
カーボンナノチューブの撚り線が用いられた技術の例としては、例えば、複数のカーボンナノチューブ線を撚り合わせて構成したカーボンナノチューブ線材の表面を金属被覆し、導電性の向上やソレノイド材料として使用した場合に渦電流を低減できるカーボンナノチューブ線材が提案されている(特許文献4)。
しかしながら、撚り線としたカーボンナノチューブ線材をコネクタ、端子等の他の金属部材に接続する場合、カーボンナノチューブ線材と他の金属部材との接触抵抗が増大し、導電性が低下するといった問題がある。また、複数のカーボンナノチューブ線を撚り合わせてカーボンナノチューブ線材を作製する場合、カーボンナノチューブ線間の接触抵抗に起因してカーボンナノチューブ線材全体の抵抗値が増大し、導電性が低下するおそれがある。そのため、カーボンナノチューブ線材と他の金属部材との接触抵抗、複数のカーボンナノチューブ線間の接触抵抗を低減させ、導電性がより向上した撚り線のカーボンナノチューブ線材を開発することが望まれる。
特開2006−120730号公報 特表2015−523944号公報 特開2015−181102号公報 特許第5934643号公報
本発明の目的は、主に銅、アルミニウム等の金属製の芯線から構成される線材と比較して同等以上の導電性を実現すると共に、優れた屈曲性を実現し、加えて更なる軽量化を実現することができるカーボンナノチューブ複合線を提供することにある。また、本発明の他の目的は、当該カーボンナノチューブ複合線を用いたカーボンナノチューブ被覆電線、ワイヤハーネス、ロボットの配線及び電車の架線を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の複数本からなるカーボンナノチューブ線材を作製し、更に該カーボンナノチューブ線材の複数本を撚り合わせたカーボンナノチューブ複合線において、カーボンナノチューブ線材を構成する複数のカーボンナノチューブ集合体の撚りの程度、カーボンナノチューブ複合線を構成する複数のカーボンナノチューブ線材の撚りの程度、或いはこれらの撚り方の組み合わせによって、カーボンナノチューブ複合線の導電性や屈曲性などの諸特性が異なるという知見を得た。また、カーボンナノチューブ線材及びカーボンナノチューブ複合線の少なくとも一方にめっき処理を施すことにより、導電性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
[1]複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の複数が束ねられてなるカーボンナノチューブ線材の複数が撚り合わされてなるカーボンナノチューブ複合線であって、
前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上2500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え2500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ線材及び前記カーボンナノチューブ複合線の少なくとも一方がめっきされていることを特徴とするカーボンナノチューブ複合線。
[2]前記カーボンナノチューブ線材及び前記カーボンナノチューブ複合線がめっきされている、上記[1]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[3]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え1000T/m未満である、上記[1]又は[2]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[4]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が1000T/m以上2500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2の撚り数が0を超え500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、上記[1]又は[2]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[5]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が1000T/m以上2500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、上記[1]又は[2]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[6]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え500T/m未満である、上記[3]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[7]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満である、上記[3]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[8]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が500/m以上1000T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、上記[3]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[9]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え500T/m未満である、上記[6]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[10]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が500T/m以上1000T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え1000T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、上記[3]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[11]前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であり、
前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、上記[7]記載のカーボンナノチューブ複合線。
[12]前記カーボンナノチューブ線材の円相当直径が0.01mm以上30mm以下であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の円相当直径が0.1mm以上60mm以下である、上記[1]乃至[11]のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合線。
[13]上記[1]乃至[12]のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合線と、前記カーボンナノチューブ複合線の外周に設けられた絶縁被覆層とを有する、カーボンナノチューブ被覆電線。
[14]上記[13]記載のカーボンナノチューブ被覆電線を有するワイヤハーネス。
[15]上記[13]記載のカーボンナノチューブ被覆電線を有するロボットの配線。
[16]上記[13]記載のカーボンナノチューブ被覆電線を有する電車の架線。
本発明は、芯線としてカーボンナノチューブを使用したカーボンナノチューブ線材は、金属製の芯線とは異なり、電気的特性に異方性があり、径方向と比較して長手方向に優先的に電荷が移動する。すなわち、カーボンナノチューブ線材には、導電性に異方性があるため、金属製の芯線と比較して優れた導電性を備えている。一方、カーボンナノチューブ複合線の撚りの度合い及び/又はカーボンナノチューブ線材の撚りの度合いが大き過ぎると、カーボンナノチューブ複合線の中心軸の方向とカーボンナノチューブの長手方向とのずれが大きくなるため、導電性が低下する。本発明によれば、カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上2500T/m未満であり、カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え2500T/m未満であることで、導電性の低下を抑制することができ、優れた導電性を実現することができる。また、カーボンナノチューブ線材及びカーボンナノチューブ複合線の少なくとも一方にめっきを施すことにより、めっき自体が導電体として機能し、その上、めっき被膜がカーボンナノチューブ複合線と他の金属部材との接触抵抗、カーボンナノチューブ線材間の接触抵抗を低減させるため、導電性を向上させることができる。更に、芯線が主に銅、アルミニウムなどの金属線である被覆電線と比較して更なる軽量化を実現することができる。更に、カーボンナノチューブ線材の撚り数t1及びカーボンナノチューブ複合線の撚り数t2の双方が上記範囲内であることにより、外力が作用した際に生じる応力が撚りによって分散して応力集中の発生が抑制され、曲げ特性を向上しつつ剛性の上昇を抑制することができ、優れた屈曲性を実現できる。
また、カーボンナノチューブ線材及びカーボンナノチューブ複合線がめっきされていることにより、導電性を更に向上することができる。
また、(a)前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え1000T/m未満であるか、(b)前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が1000T/m以上2500T/m未満であり、前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2の撚り数が0を超え500T/m未満であり、前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方であるか、又は、(c)前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が1000T/m以上2500T/m未満であり、前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方であることにより、屈曲性を更に向上することができる。
また、(d)カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え500T/m未満であるか、(e)カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であるか、又は、(f)カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が500T/m以上1000T/m未満であり、前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であり、カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方であることにより、屈曲性及び導電性の双方を向上することができる。
更に、(g)CNT線材の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、CNT複合線の撚り数t2が0を超え500T/m未満であるか、(h)CNT線材の撚り数t1が500T/m以上1000T/m未満であり、CNT複合線の撚り数t2が0を超え1000T/m未満であり、CNT線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つCNT複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方であるか、又は、(i)CNT線材の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、CNT複合線の撚り数t2が500/m以上1000T/m未満であり、CNT線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つCNT複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方であることにより、屈曲性及び導電性の双方を更に向上することができる。
本発明の実施形態に係るカーボンナノチューブ被覆電線の説明図である。 図1のカーボンナノチューブ複合線の撚り方向を示す説明図である。 図2のカーボンナノチューブ複合線を構成する一のカーボンナノチューブ線材の説明図である。 図3のカーボンナノチューブ線材の撚り方向を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態に係るカーボンナノチューブ被覆電線を、図面を参照しながら説明する。
[カーボンナノチューブ被覆電線の構成]
図1に示すように、本発明の実施形態に係るカーボンナノチューブ被覆電線(以下、「CNT被覆電線」ということがある。)1は、カーボンナノチューブ複合線(以下、「CNT複合線」ということがある。)2の外周面に絶縁被覆層21が被覆された構成となっている。すなわち、CNT複合線2の長手方向に沿って絶縁被覆層21が被覆されている。CNT被覆電線1では、CNT複合線2の外周面全体が、絶縁被覆層21によって被覆されている。また、CNT被覆電線1では、絶縁被覆層21はCNT複合線2の外周面と直接接した態様となっている。
<CNT複合線>
CNT複合線2は、CNT線材10の複数が撚り合わされて形成されており、CNT線材10は、CNT集合体11の複数が束ねられて形成されている。また、CNT線材10及びCNT複合線2の少なくとも一方がめっきされている。但し、図1においてめっきの図示は省略している。CNT線材10及びCNT複合線2のいずれか、又は両方にめっき処理を施すことにより、めっき自体が導電体として機能し、その上、めっき被膜が他の金属部材との接触抵抗を低減させるため、導電性が向上する。CNT線材10がめっきされる場合、1以上のCNT線材10がめっきされていればよく、複数のCNT線材10がめっきされていてもよい。特に、複数のCNT線材10がめっきされることにより、隣接するCNT線材10間の接触抵抗がより低減し、導電性を向上させることができる。また、CNT複合線2がめっきされることにより、めっき被膜が、コネクタ、端子等の金属部材に対する接触抵抗の増大を抑制し、CNT複合線2と他の金属部材との良好な通電性を確保できる。特に、CNT線材10及びCNT複合線2がめっきされていることが好ましく、これにより、CNT線材10に配されるめっきと、CNT複合線2に配されるめっきの両方が導電体として機能する。さらに、隣接するCNT線材10間の接触抵抗の低減、CNT複合線2と他の金属部材との接触抵抗の低減の両方が作用し、導電性がより向上する。図1では、CNT複合線2は、説明の便宜上、4本のCNT線材10が撚り合わされているが、数本〜数千本のCNT線材10が撚り合わされていてもよい。CNT複合線2の円相当直径は、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上60mm以下である。また、CNT複合線2を構成するCNT線材10(素線)の本数は、例えば3以上10000以下である。
<めっき>
めっきは、CNT線材10及びCNT複合線2の長手方向に沿って設けられていることが好ましく、特に、CNT線材10及びCNT複合線2の長手方向に垂直な方向の断面において、CNT線材10の全体、CNT複合線2の全体又はCNT線材10の全体とCNT複合線2の全体に偏りなく配されていることが好ましい。CNT複合線2がめっきされる場合、めっきは、複数のCNT線材10,10・・・の表面に別個に形成されていてもよく、複数のCNT線材10,10・・・の表面に一体で形成されてもよい。また、めっきは、隣接する複数のCNT線材10間、例えば隣接する2つのCNT線材10,10間に形成されるのが好ましい。更に、めっきは、隣接する複数のCNT線材10,10間に、当該隣接する複数のCNT線材のいずれとも密着した状態で形成されることがより好ましい。
めっきは、銅めっき、銅合金めっき、銀めっき、銀合金めっき、錫めっき、錫合金めっき、アルミニウムめっき及びアルミニウム合金めっきからなる群から選択されることが好ましく、銅めっき、銅合金めっき、銀めっき及び銀合金めっきからなる群から選択されることがより好ましい。このとき、CNT線材10に施されるめっきは、素線であるCNT線材10の変形に追従できると共に、CNT線材10との密着力に優れた金属として、銀めっき又は銀合金めっきであることが好ましく、CNT複合線2に施されるめっきは、電気伝導性に優れた金属として、銅めっき又は銅合金めっきであることが好ましい。
CNT複合線2に形成されるめっきの厚さは、母材であるCNT複合線2の保護、重量及びコスト等を考慮し、0.1μm〜4.0μmであることが好ましい。また、めっきがCNT線材10に形成される場合、CNT線材10に形成されるめっきの厚さは、0.2μm〜10μmであることが好ましい。
<CNT複合線の撚り方向>
CNT複合線2の撚り方向としては、例えば図2(a)に示すようなS方向、或いは図2(b)に示すようなZ方向を挙げることができる。S方向とは、CNT線材10の上下端のうちの上端を固定した状態で、下端をCNT複合線2の中心軸に対して時計回り(右回り)に捻ったときに生じる撚りの方向を指す。また、Z方向とは、CNT複合線2の上下端のうちの上端を固定した状態で、下端をCNT複合線2の中心軸に対して反時計回り(左回り)に捻ったときに生じる撚りの方向を指す。本実施形態では、CNT複合線2の撚り方向をd2とする。CNT複合線2の撚りの度合いについては後述する。但し、図2において、CNT線材10及びCNT複合線2の少なくとも一方はめっきされているが、めっきの図示は省略している。
<CNT線材>
CNT線材10は、図3に示すように、1層以上の層構造を有する複数のCNT11a,11a,・・・で構成されるCNT集合体11の複数が束ねられて形成されている。CNT集合体11が束ねられている状態とは、CNT線材10に撚りが在る場合と、CNT線材10に撚りが無いか或いは実質的に撚りが無い場合の双方を意味する。ここで、CNT線材とは、CNTの割合が90質量%以上のCNT線材、言い換えると不純物が10質量%未満のCNT線材を意味する。なお、CNT線材におけるCNT割合の算定においては、めっきとドーパントの質量は除く。また、図3において、CNT線材10はめっきされていてもよい。
<CNT線材の撚り方向>
CNT線材10の撚り方向としては、CNT複合線2と同様、図4(a)に示すようなS方向、或いは図4(b)に示すようなZ方向を挙げることができる。すなわち、CNT線材10のS方向及びZ方向は、それぞれCNT複合線2の撚り方向であるS方向及びZ方向と同じである。本実施形態では、CNT線材10の撚り方向をd1とする。但し、CNT線材10では、図4(c)に示すように、CNT集合体11の長手方向とCNT線材10の長手方向が同一或いは実質的に同一である状態を含んでいる。すなわち、CNT線材10は、CNT集合体11の複数が撚り合わされていない状態で束ねられているものを含む。CNT線材10の円相当直径は、好ましくは0.01mm以上30mm以下であり、より好ましくは0.01mm以上25.0mm以下、更に好ましくは0.01mm以上15mm以下である。CNT線材10の撚りの度合いについては後述する。また、図4において、CNT線材10はめっきされていてもよい。
<CNT集合体>
CNT集合体11は、1層以上の層構造を有するCNT11aの束である。CNT11aの長手方向が、CNT集合体11の長手方向を形成している。CNT集合体11における複数のCNT11a,11a,・・・は、その長軸方向がほぼ揃って配されている。従って、CNT集合体11における複数のCNT11a,11a,・・・は、配向している。CNT集合体11の円相当直径は、例えば、20nm以上1000nm以下であり、より典型的には、20nm以上80nm以下である。CNT11aの最外層の幅寸法は、例えば、1.0nm以上5.0nm以下である。
CNT集合体11を構成するCNT11aは、単層構造又は複層構造を有する筒状体であり、それぞれ、SWNT(Single-walled nanotube)、MWNT(Multi-walled nanotube)と呼ばれる。図3では、便宜上、2層構造を有するCNT11aのみを記載しているが、CNT集合体11には、3層構造以上の層構造を有するCNTや単層構造の層構造を有するCNTも含まれていてもよく、3層構造以上の層構造を有するCNTまたは単層構造の層構造を有するCNTから形成されていてもよい。
<CNT>
2層構造を有するCNT11aでは、六角形格子の網目構造を有する2つの筒状体T1、T2が略同軸で配された3次元網目構造体となっており、DWNT(Double-walled nanotube)と呼ばれる。構成単位である六角形格子は、その頂点に炭素原子が配された六員環であり、他の六員環と隣接してこれらが連続的に結合している。
CNT11aの性質は、上記筒状体のカイラリティ(chirality)に依存する。カイラリティは、アームチェア型、ジグザグ型、及びカイラル型に大別され、アームチェア型は金属性、ジグザグ型は半導体性および半金属性、カイラル型は半導体性および半金属性の挙動を示す。従って、CNT11aの導電性は、筒状体がいずれのカイラリティを有するかによって大きく異なる。CNT被覆電線1のCNT線材10を構成するCNT集合体11では、導電性をさらに向上させる点から、金属性の挙動を示すアームチェア型のCNT11aの割合を増大させることが好ましい。
一方で、半導体性の挙動を示すカイラル型のCNT11aに電子供与性もしくは電子受容性を持つ物質(異種元素)をドープすることにより、カイラル型のCNT11aが金属的挙動を示すことが分かっている。また、一般的な金属では、異種元素をドープすることによって金属内部での伝導電子の散乱が起こって導電性が低下するが、これと同様に、金属性の挙動を示すCNT11aに異種元素をドープした場合には、導電性の低下を引き起こす。
このように、金属性の挙動を示すCNT11a及び半導体性の挙動を示すCNT11aへのドーピング効果は、導電性の観点からはトレードオフの関係にあることから、理論的には金属性の挙動を示すCNT11aと半導体性の挙動を示すCNT11aとを別個に作製し、半導体性の挙動を示すCNT11aにのみドーピング処理を施した後、これらを組み合わせることが望ましい。しかし、現状の製法技術では、金属性の挙動を示すCNT11aと半導体性の挙動を示すCNT11aとを選択的に作り分けることは困難であり、金属性の挙動を示すCNT11aと半導体性の挙動を示すCNT11aが混在した状態で作製される。このため、金属性の挙動を示すCNT11aと半導体性の挙動を示すCNT11aの混合物からなるCNT線材10の導電性をさらに向上させるために、異種元素・分子によるドーピング処理が効果的となるCNT11aの層構造を選択することが好ましい。
例えば、2層構造又は3層構造のような層数が少ないCNTは、それより層数の多いCNTよりも比較的導電性が高く、ドーピング処理を施した際には、2層構造又は3層構造を有するCNTでのドーピング効果が最も高い。従って、CNT線材10の導電性をさらに向上させる点から、2層構造又は3層構造を有するCNTの割合を増大させることが好ましい。具体的には、CNT全体に対する2層構造又は3層構造をもつCNTの割合が50個数%以上であることが好ましく、75個数%以上であることがより好ましい。2層構造又は3層構造をもつCNTの割合は、CNT集合体11の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察及び解析し、50個〜200個の範囲内の所定数の任意のCNTを選択し、それぞれのCNTの層数を測定することで算出することができる。
高密度を得ることで、導電性や放熱特性をより向上させる観点から、複数のCNT11a,11a,・・・の密度を示すX線散乱による強度の(10)ピークにおけるピークトップのq値が2.0nm−1以上5.0nm−1以下であり、且つ半値幅Δq(FWHM)が0.1nm−1以上2.0nm−1以下であることが好ましい。この(10)ピークから見積られる格子定数の測定値と、ラマン分光法やTEMなどで観測されるCNT直径とに基づいて、CNT集合体11内で複数のCNT11aの直径分布が狭く、複数のCNT11a,11a,・・・が、規則正しく配列、すなわち、良好な配向性を有することで、六方最密充填構造を形成しているといえる。よって、CNT集合体11中の電荷は、CNT11aの長手方向に沿って流れ易くなり、導電性がより向上する。また、CNT集合体11の熱は、CNT11aの長手方向に沿って円滑に伝達して行きながら放熱され易くなる。CNT集合体11及びCNT11の配向性、並びにCNT11aの配列構造及び密度は、後述する、乾式紡糸、湿式紡糸等の紡糸方法と該紡糸方法の紡糸条件とを適宜選択することで調節することができる。
<撚りの度合>
CNT複合線2及びCNT線材10の撚りの度合いは、甘撚り、中撚り、強撚り及び極強撚りのうちのいずれかに分類することができる。甘撚りとは、撚り数0を超え500T/m未満の範囲内の値を指し、中撚りとは、撚り数500T/m以上1000T/m未満の範囲内の値を指す。また、強撚りとは、撚り数1000以上2500T/m未満の範囲内の値を指し、極強撚りとは、撚り数2500T/m以上の範囲内の値を指す。
<撚り数>
CNT複合線2の撚り数とは、1本のCNT複合線を構成する複数のCNT線材10,10,・・・を撚り合わせた際の単位長さ当たりの巻き数(T/m)である。本実施形態では、CNT複合線2の撚り数をt2とする。また、CNT線材10の撚り数とは、1本のCNT線材10を構成する複数のCNT集合体11,11,・・・を撚り合わせた際の単位長さ当たりの巻き数(T/m)である。本実施形態では、CNT線材10の撚り数をt1とする。
CNT複合線2では、CNT線材10の撚り数t1が0以上2500T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が0を超え2500T/m未満である。CNT線材10及びCNT複合線2の双方が、甘撚り、中撚り及び強撚りのうちのいずれかであることで、外力が作用した際に応力が撚りによって分散して応力集中の発生が抑制され、曲げ特性を向上しつつ剛性の上昇を抑制することができ、優れた屈曲性を実現することができる。また、CNT線材10の撚り数t1及びCNT複合線2の撚り数t2の双方を上記範囲内の値とすることで、CNT複合線2の中心軸に対する撚り角度が小さくなり、CNT複合線2の長手方向における電気的抵抗の増大を抑制することができ、主に銅、アルミニウム等の金属製の芯線から構成される線材と比較して同等或いはそれ以上の導電性を実現することができる。
また、CNT複合線2の剛性の上昇を更に抑制して屈曲性を向上させる観点から、CNT線材10の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が0を超え1000T/m未満であるのが好ましい。CNT線材10が甘撚り、中撚りのいずれかであり且つCNT複合線2が甘撚及び中撚りのうちのいずれかであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇が更に抑制される。
また、CNT複合線2の剛性の上昇を更に抑制して屈曲性を向上させる観点から、CNT線材10の撚り数t1が1000T/m以上2500T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2の撚り数が0を超え500T/m未満であってもよい。このとき、CNT線材10の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つCNT複合線2の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である。CNT線材10が強撚りであり且つCNT複合線2が甘撚りであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇が更に抑制される。また、CNT線材10の撚りとCNT複合線2の撚りを逆方向とすることで、CNT複合線2全体での撚り方向の偏りが抑制される。
また、CNT線材10の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が1000T/m以上2500T/m未満であってもよい。このとき、CNT線材10の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つCNT複合線2の撚り方向d2が、S方向及びZ方向のうちの他方である。CNT線材10が甘撚りであり且つCNT複合線2が強撚りであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇が更に抑制される。また、CNT線材10の撚りとCNT複合線2の撚りを逆方向とすることで、CNT複合線2全体での撚り方向の偏りが抑制される。
また、CNT複合線2の屈曲性及び導電性の双方を向上させる観点から、CNT線材10の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が0を超え500T/m未満であるのが好ましい。CNT線材10が甘撚り、中撚りのいずれかであり且つCNT複合線2が甘撚りであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇がより一層抑制され、また、CNT複合線2全体での撚り方向の偏りが抑制され、CNT複合線2の長手方向における導電性が良好となる。
また、CNT複合線2の屈曲性及び導電性の双方を向上させる観点から、CNT線材10の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であってもよい。CNT線材10が甘撚りであり且つCNT複合線2が中撚りであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇がより一層抑制され、また、CNT複合線2全体での撚り方向の偏りが抑制され、CNT複合線2の長手方向における導電性が良好となる。
更に、CNT線材10の撚り数t1が500T/m以上1000T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であるのが好ましい。このとき、CNT線材10の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つCNT複合線2の撚り方向d2が、S方向及びZ方向のうちの他方である。CNT線材10が中撚りであり且つCNT複合線2が中撚りであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇がより一層抑制される。また、CNT線材10の撚りとCNT複合線2の撚りを逆方向にすることで、CNT線材10及びCNT複合線2の双方が中撚りであることに因る電気的抵抗の増大を抑制することができ、CNT複合線2の長手方向における導電性が良好となる。
また、CNT複合線2の屈曲性及び導電性の双方を更に向上させる観点から、CNT線材10の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が0を超え500T/m未満であるのがより好ましい。CNT線材10が甘撚りであり且つCNT複合線2が甘撚りであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇が最も抑制され、また、CNT複合線2全体で撚り方向の偏りが更に抑制され、CNT複合線2の長手方向における導電性が更に良好となる。
また、CNT複合線2の屈曲性及び導電性の双方を更に向上させる観点から、CNT線材10の撚り数t1が500T/m以上1000T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が0を超え1000T/m未満であってもよい。このとき、CNT線材10の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つCNT複合線2の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である。CNT線材10が中撚りであり且つCNT複合線2が甘撚り、中撚りのいずれかであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇がより一層抑制される。また、CNT線材10の撚りとCNT複合線2の撚りを逆方向とすることで、CNT線材10が中撚りであることに因る電気的抵抗の増大を抑制することができ、CNT複合線2の長手方向における導電性が更に良好となる。
また、CNT複合線2の屈曲性及び導電性の双方を更に向上させる観点から、CNT線材10の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、CNT複合線2の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であってもよい。このとき、CNT線材10の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つCNT複合線2の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である。CNT線材10が甘撚りであり且つCNT複合線2が中撚りであることで、CNT複合線2全体での剛性の上昇がより一層抑制される。また、CNT線材10の撚りとCNT複合線2の撚りを逆方向とすることで、CNT複合線2が中撚りであることに因る電気的抵抗の増大を抑制することができ、CNT複合線2の長手方向における導電性が更に良好となる。
<絶縁被覆層>
CNT線材10の外周に形成される絶縁被覆層21(図1参照)の材料としては、芯線として金属を用いた被覆電線の絶縁被覆層に用いる材料を使用することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド、フェノール樹脂等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。
絶縁被覆層21は、図1に示すように、一層としてもよく、これに代えて、二層以上としてもよい。例えば、絶縁被覆層が、CNT線材10の外周に形成された第1絶縁被覆層と、該第1絶縁被覆層の外周に形成された第2絶縁被覆層とを有していてもよい。この場合、第2絶縁被覆層に含有された他のCNTの含有量が、前記第1絶縁被覆層に含有された他のCNTの含有量よりも小さくなるように構成されていてもよい。また、必要に応じて、絶縁被覆層21上に、さらに、熱硬化性樹脂の一又は二以上の層が設けられていてもよい。また、上記熱硬化性樹脂が、繊維形状或いは粒子形状を有する充填材を含有していてもよい。
<CNT被覆電線>
CNT被覆電線1では、CNT複合線2の径方向の断面積(但し、めっきされている部分を除く。以下同じ。)に対する絶縁被覆層21の径方向の断面積の比率は、0.001以上1.5以下の範囲である。前記断面積の比率が0.001以上1.5以下の範囲であることにより、芯線が銅やアルミニウム等と比較して軽量であるCNT線材10である上、絶縁被覆層21の厚さを薄肉化できることから、絶縁信頼性を十分に確保すると共に、CNT複合線2の熱に対して優れた放熱特性を得ることができる。また、絶縁被覆層が形成されていても、銅やアルミニウムなどの金属被覆電線と比較して軽量化を実現することができる。
また、上記断面積の比率にて絶縁被覆層21がCNT線材10の外面に被覆されていることにより、CNT被覆電線1の長手方向における形状を維持し易くなる。従って、CNT被覆電線1の配索時のハンドリング性を高めることができる。
さらに、CNT線材10は、外面に微細な凹凸が形成されていることから、アルミニウムや銅の芯線を用いた被覆電線と比較して、CNT線材10と絶縁被覆層21との間の接着性が向上し、CNT線材10と絶縁被覆層21との間の剥離を抑制することができる。
前記断面積の比率は0.001以上1.5以下の範囲であれば、特に限定されないが、前記断面積の比率の上限値は、CNT被覆電線1のさらなる軽量化とCNT線材10の熱に対する放熱特性をさらに向上させる点から1.0が好ましく、0.27が特に好ましい。
前記断面積の比率が0.001以上1.5以下の範囲である場合、CNT複合線2の径方向の断面積は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上2300mm以下が好ましく、0.1mm以上2000mm以下が更に好ましく、0.1mm以上1800mm以下が特に好ましい。また、絶縁被覆層21の径方向の断面積は、特に限定されないが、絶縁信頼性と放熱性とのバランスの観点から、例えば、0.1mm以上3650mm以下が好ましく、0.1mm以上3500mm以下が特に好ましい。
断面積は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察の画像から測定することができる。具体的には、CNT被覆電線1の径方向断面のSEM像(100倍〜10,000倍)を得た後に、CNT複合線2の外周で囲われた部分の面積からCNT複合線2内部に入り込んだ絶縁被覆層21の材料の面積を差し引いた面積、CNT複合線2の外周を被覆する絶縁被覆層21の部分の面積とCNT複合線2内部に入り込んだ絶縁被覆層21の材料の面積との合計を、それぞれ、CNT複合線2の径方向の断面積、絶縁被覆層21の径方向の断面積とする。絶縁被覆層21の径方向の断面積には、CNT複合線2間に入り込んだ樹脂も含む。
絶縁被覆層21の長手方向に対し直交方向(すなわち、径方向)の肉厚は、CNT被覆電線1の絶縁性及び耐摩耗性を向上させる点から均一化されていることが好ましい。具体的には、絶縁被覆層21の偏肉率は、絶縁性及び耐摩耗性を向上させる点から50%以上であり、また、これらに加えてハンドリング性を向上させる点から80%以上が好ましい。なお、「偏肉率」とは、CNT被覆電線1の長手方向の任意の1.0mにおいて10cmごとに、径方向断面について、それぞれ、α=(絶縁被覆層21の肉厚の最小値/絶縁被覆層21の肉厚の最大値)×100の値を算出し、各断面にて算出したα値を平均した値を意味する。また、絶縁被覆層21の肉厚は、例えば、CNT複合線2を円近似してSEM観察の画像から測定することができる。ここで、長手方向中心側とは、線の長手方向からみて中心に位置する領域をさす。
絶縁被覆層21の偏肉率は、例えば、押出被覆にてCNT線材10の外周面に絶縁被覆層21を形成する場合、押出工程時にダイスへ通す際にCNT線材10の長手方向に付与する張力を調整することで向上させることができる。
[カーボンナノチューブ被覆電線の製造方法]
次に、本発明の実施形態に係るCNT被覆電線1の製造方法例について説明する。CNT被覆電線1は、まず、CNT11aを製造し、得られた複数のCNT11aで構成されるCNT集合体11の複数を、撚り合わされていない状態で束ねるか、或いはS方向又はZ方向に撚り合わせてCNT線材10を作製する。得られたCNT線材10は、必要に応じて、所望のめっき浴に所定時間浸漬して、CNT線材10にめっきを施してもよい。その後、作製したCNT線材10の複数本をS方向或いはZ方向に撚り合わせて、CNT複合線2を形成する。CNT線材10にめっきを施している場合、撚り合わせた状態にある複数のCNT線材10を不活性雰囲気又は還元雰囲気下で加熱し、複数のCNT線材10同士をめっきで融着してもよい。更に、得られたCNT複合線2を所望のめっき浴に所定時間浸漬して、CNT複合線2にめっきを施してもよい。最後に、CNT複合線2の外周面に絶縁被覆層21を被覆することで、CNT被覆電線1を製造することができる。
CNT線材10及びCNT複合線2へのめっき処理は、無電解めっき又は電解めっきのいずれあってもよいが、電解めっきであることが好ましい。また、めっき処理に使用されるめっき浴は、例えば、銅、銅合金、銀、銀合金、錫、錫合金、アルミニウム及びアルミニウム合金からなる群から選択される金属又は合金を含むことが好ましく、特に、銅、銅合金、銀及び銀合金からなる群から選択される金属又は合金を含むめっき浴を用いることが好ましい。
CNT11aは、浮遊触媒法(特許第5819888号公報)、基板法(特許第5590603号公報)などの手法で作製することができる。CNT線材10の素線は、例えば、乾式紡糸(特許第5819888号公報、特許第5990202号公報、特許第5350635号公報)、湿式紡糸(特許第5135620号公報、特許第5131571号公報、特許第5288359号公報)、液晶紡糸(特表2014−530964号公報)等で作製することができる。また、CNT複合線2は、例えば、作製したCNT線材10の両端を基板に固定し、対向する基板の一方を回転させることで作製することができる。
このとき、CNT集合体を構成するCNTの配向性は、例えば乾式紡糸、湿式紡糸、液晶紡糸等の紡糸方法と該紡糸方法の紡糸条件とを適宜選択することで調節することができる。
上記のようにして得られたCNT複合線2の外周面に絶縁被覆層21を被覆する方法は、アルミニウムや銅の芯線に絶縁被覆層を被覆する方法を使用でき、例えば、絶縁被覆層21の原料である熱可塑性樹脂を溶融させ、CNT複合線2の周りに押し出して被覆する方法や、或いはCNT複合線2の周りに塗布する方法を挙げることができる。
上記方法で作製されたCNT被覆電線1或いはCNT複合線2は、CNTが耐腐食性に優れていることから、天気、温度等の変動がある環境下に曝されている電車の架線、極限環境下で使用されるロボットの配線等の使用に好適である。極限環境としては、例えば原子炉内、高温・多湿環境、深海などの水中、宇宙空間などが挙げられる。特に、原子炉内では多くの中性子が発生しており、仮に銅或いは銅合金で構成される導体を移動体などの配線として使用している場合、中性子を吸収して放射性亜鉛に変化する。この放射線亜鉛は半減期が245日と長く、放射線を放出し続ける。すなわち、銅或いは銅合金は、中性子に因って放射性物質に変化し、外部に様々な悪影響を及ぼす原因となる。一方、CNTで構成されるCNT複合線を配線として使用することで、上記のような反応が起こり難くなり、放射性物質の生成を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るCNT被覆電線1は、ワイヤハーネス等の一般電線として使用することができ、また、CNT被覆電線1を使用した一般電線からケーブルを作製してもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明の趣旨を超えない限り、下記実施例に限定されるものではない。
(実施例用のCNT複合線1〜48、比較例用のCNT複合線1〜32)
CNT複合線の製造
先ず、浮遊触媒法で作製したCNTを、直接紡糸する乾式紡糸方法(特許第5819888号公報)又は湿式紡糸する方法(特許第5135620号公報、特許第5131571号公報、特許第5288359号公報)によりCNT線材の素線(単線)を得た。その後、得られたCNT線材を束ねるか、或いは撚り方向及び撚り数を調節して撚り合わせて表1〜表5に示すような断面積のCNT線材を得た。
次に、各種紡糸方法で製造されたCNT線材の素線を、所定の直径のCNT複合線になる様に複数の素線を選択した。その後、穴の開いたディスク状の基板に、各素線を基板の中心の穴から法線状に通した後、各素線の一方の端部を基板に巻きつけて固定した。各素線の他方の端部を一箇所に集めて固定し、その後所定の巻き数になる様に基板を回転させた。そして、複数のCNT線材の撚り方向及び撚り数を表1〜表5に示すように調節して撚り合わせて、表1〜表5に示すような断面積のCNT複合線を得た。
(a)CNT複合線及びCNT線材の断面積の測定
CNT複合線の径方向の断面をイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製IM4000)により切り出した後、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製SU8020、倍率:100〜10,000倍)で得られたSEM像から、CNT複合線の径方向の断面積を測定した。CNT被覆電線の長手方向中心側の任意の1.0mにおいて10cmごとに同様の測定を繰り返し、その平均値をCNT複合線の径方向の断面積とした。なお、CNT複合線の断面積として、CNT複合線内部に入り込んだ樹脂は測定に含めなかった。
また、CNT線材についても同様に、CNT線材の径方向の断面をイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製IM4000)により切り出した後、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製SU8020、倍率:100〜10,000倍)で得られたSEM像から、CNT線材の径方向の断面積を測定した。CNT被覆電線の長手方向中心側の任意の1.0mにおいて10cmごとに同様の測定を繰り返し、その平均値をCNT線材の径方向の断面積とした。CNT線材の断面積として、CNT線材内部に入り込んだ樹脂は測定に含めなかった。
(b)CNT複合線及びCNT線材の撚り数の測定
複数の単線を束ね、一端を固定した状態で、もう一端を所定の回数ひねることで、撚り線を作製した。撚り数は、ひねった回数(T)を線の長さ(m)で割った値(単位:T/m)で表した。
CNT複合線の上記各測定の結果を、下記表1〜表5に示す。
次に、上記のようにして作製したCNT複合線について、以下の評価を行った。
(1)導電性
抵抗測定機(ケースレー社製、装置名「DMM2000」)にCNT集合体を接続し、4端子法により抵抗測定を実施した。抵抗率は、r=RA/L(R:抵抗、A:CNT集合体の断面積、L:測定長さ)の計算式に基づいて抵抗率を算出した。試験片は、長さ40mmとした。なお、上記試験は、150℃、1時間の加熱処理の前後において、各CNT集合体3本ずつについて行い(N=3)、その平均値を求め、それぞれのCNT集合体の加熱前後の抵抗率(Ω・cm)とした。抵抗率は、小さいほど好ましく、本実施例では、上記加熱前においては7.5×10−5Ω・cm以下を合格レベルとし、上記熱処理後の抵抗率の上昇率(%)[(熱処理後の抵抗率−熱処理前の抵抗率)×100/熱処理前の抵抗率]は、35%以下を合格レベルとし、加熱処理前の上記抵抗率及び加熱後の抵抗率の上昇率のいずれも合格レベルであるものを極めて良好「◎」、加熱処理前の抵抗率だけ合格レベルにあるものを良好「○」、双方が合格レベルでないものを不良「×」とした。
(2)屈曲性
IEC60227−2に準拠した方法で、100cmのCNT被覆電線に荷重500gfで90度の屈曲を1000回行った。その後、軸方向10cmごとに断面観察を行い、導体と被覆の間に剥離があるかどうかを確認した。剥離がないものを極めて良好「◎」、一部剥離したしたが製品品質として許容できるレベルのものを良好「〇」、導体が断線したものを不良「×」とした。
上記評価の結果を下記表1〜表5に示す。
Figure 2020184420
Figure 2020184420
Figure 2020184420
Figure 2020184420
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上記表1、5に示すように、実施例用のCNT複合線1〜12、37〜38、43〜44では、CNT線材が甘撚りでCNT複合線が甘撚り〜強撚りであり、導電性及び屈曲性の双方が良好以上であった。特に、実施例用のCNT複合線1〜3、5、7、8、10、37〜38、43〜44では、導電性及び屈曲性の双方が極めて良好であった。
一方、比較例用のCNT複合線1、4では、CNT線材が甘撚りでCNT複合線が極強撚りであり、且つCNT線材とCNT複合線が逆方向(一方がS方向、他方がZ方向)の撚りであり、導電性及び屈曲性の双方が不良であった。比較例用のCNT複合線2、3では、CNT線材が甘撚りでCNT複合線が極強撚りであり、且つCNT線材とCNT複合線が同じ方向(双方がS方向、或いは双方がZ方向)の撚りであり、導電性が不良であった。
また、表2、5に示すように、実施例用のCNT複合線13〜24、39〜40、45〜46では、CNT線材が中撚りでCNT複合線が甘撚り〜強撚りであり、導電性が良好であった。特に、実施例用のCNT複合線13〜16、19〜22、39〜40、45〜46では、CNT線材が中撚りでCNT複合線が甘撚り〜中撚りであり、導電性及び屈曲性のいずれも、良好以上であった。実施例用のCNT複合線18、23では、CNT線材が中撚りでCNT複合線が強撚りであり、且つCNT線材とCNT複合線が同じ方向(双方がS方向、或いは双方がZ方向)の撚りであり、導電性及び屈曲性の双方が良好であった。実施例用のCNT複合線17、24では、CNT線材が中撚りでCNT複合線が強撚りであり、且つCNT線材とCNT複合線が逆方向(一方がS方向、他方がZ方向)の撚りであり、屈曲性が劣るものの、導電性が良好であった。
一方、比較例用のCNT複合線5〜8では、CNT線材が中撚りでCNT複合線が極強撚りであり、導電性及び屈曲性の双方が不良であった。
また、表3、5に示すように、実施例用のCNT複合線25〜36、41〜42、47〜48では、CNT線材が強撚りでCNT複合線が甘撚り〜強撚りで、導電性が良好であった。特に、実施例用のCNT複合線25、26、31、32では、CNT線材が強撚りでCNT複合線が甘撚りであり、導電性及び屈曲性のいずれも、良好以上であった。実施例用のCNT複合線28、33では、CNT線材が強撚りでCNT複合線が中撚りであり、且つCNT線材とCNT複合線が同じ方向(双方がS方向、或いは双方がZ方向)の撚りであり、導電性及び屈曲性の双方が良好であった。実施例用のCNT複合線27、34では、CNT線材が強撚りでCNT複合線が中撚りであり、且つCNT線材とCNT複合線が逆方向(一方がS方向、他方がZ方向)の撚りであり、屈曲性が劣るものの、導電性が良好であった。また、実施例用のCNT複合線29〜30、35〜36、41〜42、47〜48では、CNT線材が強撚りでCNT複合線が強撚りであり、屈曲性が劣るものの、導電性が良好であった。
一方、比較例用のCNT複合線9〜12では、CNT線材が強撚りでCNT複合線が極強撚りであり、導電性及び屈曲性の双方が不良であった。
また、表4、5に示すように、比較例用のCNT複合線13〜32では、CNT線材が極強撚りでCNT複合線が甘撚り〜極強撚りであり、導電性が不良であった。
(CNT複合線へのめっき処理)
上記で作製したCNT複合線のうち、実施例用のCNT複合線1〜3、9〜11、17〜19、24〜26については、めっきされたCNT複合線を作製し、導電性を評価した。
(実施例用のCNT複合線1〜3、9〜11)
上記CNT複合線の製造に記載している手順と同様の方法で、CNT線材の素線(単線)を得た。その後、CNT線材の素線に酸などで表面を化学処理して、めっきしやすい状態にし、次いで、電解めっき法によりCNT線材の素線に銀めっきを施した。銀めっきが施されたCNT線材の素線を撚り方向及び撚り数を調節して撚り合わせて、CNT線材の素線を所定の撚り度に調整した。その後、CNT線材の素線の撚り状態を維持したまま、アルゴン雰囲気下で800〜1000℃でアニール処理し、銀めっきを定着させた。
次に、上記方法により得た銀めっきが施されたCNT線材の素線の複数本を、上記CNT複合線の製造に記載している手順と同様の方法により撚り合わせて、CNT複合線とした。更に、得られたCNT複合線に、電気めっき方法により銅めっきを施し、銅めっきが施されたCNT複合線を作製した。尚、CNT複合線を作製するのに使用する複数の素線は、導電性、屈曲性を阻害しない範囲であれば、各素線の直径は異なっていてもよい。
(実施例用のCNT複合線17〜19、24〜26)
上記CNT複合線の製造に記載している手順と同様の方法で、CNT線材の素線(単線)を得た。その後、CNT線材の素線に酸などで表面を化学処理して、表面の不純物を取り除き、更に、CNT線材の素線を撚り方向及び撚り数を調節して撚り合わせて、CNT線材の素線を所定の撚り度に調整した。次いで、撚り度を調整したCNT線材の素線を、溶融アルミニウムめっき法により撚り度を調整したCNT線材の素線にアルミニウムめっきを施した。溶融したアルミニウムめっき液中にCNT線材の素線を浸漬する際、CNTを保護するため、めっき処理はアルゴン雰囲気下で行なった。
次に、上記方法により得たアルミニウムめっきが施されたCNT線材の素線の複数本を、上記CNT複合線の製造に記載している手順と同様の方法により撚り合わせて、CNT複合線とした。更に、得られたCNT複合線に、電気めっき方法により銅めっきを施し、銅めっきが施されたCNT複合線を作製した。尚、CNT複合線を作製するのに使用する複数の素線は、導電性、屈曲性を阻害しない範囲であれば、各素線の直径は異なっていてもよい。
上記のようにめっき処理をした実施例用のCNT複合線1〜3、9〜11、17〜19、24〜26では、CNT線材にめっきが施されているため、CNT線材間の導電性を確保することができ、また、めっき自体が導電体として機能するため優れた導電性を示した。更にCNT複合線にもめっきが施されているため、めっきを施したCNT複合線とコネクタ等の金属部材との接触抵抗が低減し、導電性の低下を抑制することができた。
1 カーボンナノチューブ被覆電線(CNT被覆電線)
2 カーボンナノチューブ複合線(CNT複合線)
10 カーボンナノチューブ線材(CNT線材)
11 カーボンナノチューブ集合体(CNT集合体)
11a カーボンナノチューブ(CNT)
21 絶縁被覆層

Claims (16)

  1. 複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の複数が束ねられてなるカーボンナノチューブ線材の複数が撚り合わされてなるカーボンナノチューブ複合線であって、
    前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上2500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え2500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ線材及び前記カーボンナノチューブ複合線の少なくとも一方がめっきされていることを特徴とするカーボンナノチューブ複合線。
  2. 前記カーボンナノチューブ線材及び前記カーボンナノチューブ複合線がめっきされている、請求項1記載のカーボンナノチューブ複合線。
  3. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え1000T/m未満である、請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ複合線。
  4. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が1000T/m以上2500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2の撚り数が0を超え500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ複合線。
  5. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が1000T/m以上2500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ複合線。
  6. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上1000T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え500T/m未満である、請求項3記載のカーボンナノチューブ複合線。
  7. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満である、請求項3記載のカーボンナノチューブ複合線。
  8. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が500T/m以上1000T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、請求項3記載のカーボンナノチューブ複合線。
  9. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0以上500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え500T/m未満である、請求項6記載のカーボンナノチューブ複合線。
  10. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が500T/m以上1000T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が0を超え1000T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、請求項3記載のカーボンナノチューブ複合線。
  11. 前記カーボンナノチューブ線材の撚り数t1が0を超え500T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ複合線の撚り数t2が500T/m以上1000T/m未満であり、
    前記カーボンナノチューブ線材の撚り方向d1がS方向及びZ方向のうちの一方であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の撚り方向d2がS方向及びZ方向のうちの他方である、請求項7記載のカーボンナノチューブ複合線。
  12. 前記カーボンナノチューブ線材の円相当直径が0.01mm以上30mm以下であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合線の円相当直径が0.1mm以上60mm以下である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ複合線。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ複合線と、前記カーボンナノチューブ複合線の外周に設けられた絶縁被覆層とを有する、カーボンナノチューブ被覆電線。
  14. 請求項13記載のカーボンナノチューブ被覆電線を有するワイヤハーネス。
  15. 請求項13記載のカーボンナノチューブ被覆電線を有するロボットの配線。
  16. 請求項13記載のカーボンナノチューブ被覆電線を有する電車の架線。
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