<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1は、実施の形態1の情報共有装置1001の構成を示すブロック図である。情報共有装置1001は作業者端末1と、管理サーバー2とを備えている。作業者端末1は作業者が保有する端末であり、作業者位置情報、作業者動態情報、およびメッセージルールを管理サーバー2へ送信する機能を有する。また、作業者端末1は、メッセージリクエストを管理サーバー2へ送信し、それに対応するメッセージを管理サーバー2から受け取り、メッセージ表示部109へ表示する機能を有している。
作業者端末1は、位置取得部101、位置送信部102、動態取得部103、動態送信部104、メッセージルール入力部105、メッセージルール送信部106、リクエストルール記憶部107、リクエスト部108、メッセージ表示部109、およびリクエストルール入力部110を備えている。位置取得部101は、作業者位置情報を取得する。位置送信部102は、作業者位置情報を管理サーバー2に送信する。動態取得部103は、作業者動態情報を取得する。動態送信部104は、作業者動態情報を管理サーバー2に送信する。メッセージルール入力部105は、作業者からメッセージルールの入力を受け付ける。メッセージルール送信部106は、メッセージルールを管理サーバー2に送信する。リクエストルール記憶部107は、リクエストルールを記憶する。リクエスト部108は、リクエストルール記憶部107に記憶されたリクエストルールと、位置取得部101で取得された作業者位置情報と、動態取得部103で取得された作業者動態情報とに基づき、メッセージリクエストを管理サーバー2に送信する。メッセージ表示部109は、位置取得部101で取得された作業者位置情報と、動態取得部103で取得された作業者動態情報とに基づき、管理サーバー2から受け取ったメッセージを表示する。リクエストルール入力部110は、作業者からリクエストルールの入力を受け付け、リクエストルールをリクエストルール記憶部107に記憶する。
管理サーバー2は、作業者端末1から送信される作業者端末1から送信される作業者位置情報、作業者動態情報、メッセージルールを受信および記憶する機能と、作業者端末1から受信したメッセージリクエストに応じたメッセージを作成し、作業者端末1へメッセージを送る機能を備えている。
管理サーバー2は、位置取得部201、位置記憶部202、動態取得部203、動態記憶部204、メッセージルール取得部205、メッセージルール記憶部206、メッセージ生成部207、作業者情報表示部208を備えている。
位置取得部201は、作業者端末1から作業者位置情報を取得する。位置記憶部202は、位置取得部201から取得した作業者位置情報を記憶する。動態取得部203は、作業者端末1から作業者動態情報を取得する。作業者動態情報とは、例えば作業者の歩行速度、つぶやき、メモ、写真、または視線等である。動態記憶部204は、動態取得部203から取得した作業者動態情報を記憶する。メッセージルール取得部205は、作業者端末1へメッセージを表示させるルールであるメッセージルールを取得する。メッセージルール記憶部206は、メッセージルール取得部205が取得したメッセージルールを記憶する。メッセージ生成部207は、位置記憶部202から作業者位置情報を、動態記憶部204から作業者動態情報を、メッセージルール記憶部206からメッセージルールをそれぞれ取得し、メッセージリクエストに応じたメッセージを生成し作業者端末1へ送信する。作業者情報表示部208は、作業者位置情報と作業者動態情報をマップ上に表示する。
図2は、作業者端末1を示している。作業者端末1は、例えば、スマートフォンとスマートフォン上で動作するアプリケーションとで実現されるが、これに限ったものではなく、専用の作業者端末でもよい。
位置取得部101について説明する。位置取得部101は、作業者位置情報を取得する。作業者位置情報とは、作業者端末1の位置情報であり、例えばGPSを利用して得られる緯度および経度の情報である。作業者位置情報はGPSから得られる緯度および経度に限ったものではなく、RFID(radio frequency identifier)等の、作業者端末1の傍または一定間隔で空間に配置された、電波を発信する発信機から得られる情報、すなわち発信機のIDまたは電波強度等でも良い。この発信機は、後述する図2の位置センサAに相当する。電波の周波数帯は特定せず、bluetooth(以下、登録商標)、無線LAN、またはuwb(ultra wide band)等を利用してもよい。発信機から発信される情報は、電波に限ったものではなく、超音波、赤外線、可視光または音波等を用いて、点滅間隔またはTime Of Flight方式で計測される位置情報でもよい。また、作業者端末1から電波、光、または音等を発信し位置センサA側で受信してもよく、作業者端末1から発した電波、光、または音等の反射を利用してもよい。また、カメラとカメラ画像から得られる画像特徴量を画像処理して得てもよいし、カメラとARマーカー等を用いて位置情報を特定してもよい。bluetooth、無線LAN、またはカメラ等はスマートフォンに標準搭載されており、新たなハードウェアを追加しなくても利用可能であるという利点がある。
位置取得部101は、作業者位置情報を取得した時刻を作業者位置情報に紐づけておいてもよい。また、位置取得部101は、作業者位置情報を常時取得してもよい。
位置取得部101が作業者位置情報を取得する第1の方法について説明する。図3は、位置センサ21,22,23を用いて作業者端末1の作業者位置情報を取得する方法を示している。位置センサ21,22,23が作業者端末1から受信した電波の強度から、作業者端末1の位置を推定することが可能である。例えば、位置センサ21,22,23は、作業者端末1が受信可能な電波を発する。あるいは、位置センサ21,22,23は、作業者端末1の発した電波などを受信する。あるいは、位置センサ21,22,23は、位置センサ21,22,23が発した赤外線または超音波等が作業者端末1から反射して返って来るまでの時間を計測する。図3に示すように3つ以上の位置センサを用いる場合、各位置センサの位置と各位置センサが受信する電波強度の強さとから、三角測量の原理で作業者端末1の位置を推定することが可能となる。このように推定された作業者位置情報を位置取得部101が取得する。
位置取得部101が作業者位置情報を取得する第2の方法について説明する。図4は、位置センサ23の検知範囲23aと位置センサ24の検知範囲24aを示している。作業者端末1が検知範囲23aまたは検知範囲24a内に位置するか否かを、位置センサ23,24または作業者端末1自身が検知することができる。例えば、位置センサ23がID1の作業者端末1を12:00に検知し、位置センサ24がID1の作業者端末1を12:10に検知したとする。位置センサ23,24の検知有無情報、または位置センサ23,24が受信した電波強度だけでは、作業者端末1の保有者(以下、作業者と称する)がどこで立ち止まったか等を知ることができない。しかし、位置取得部101は作業者端末1の歩数情報も考慮することで、どこで立ち止まったか等を検知することが可能となる。位置取得部101は、作業者端末1の加速度センサを利用して歩数情報を計測してもよいし、腕等にとりつける歩数計から歩数情報を取得してもよいし、これ以外の方法で歩数情報を取得してもよい。歩数情報として、12:00から12:01の間に100歩、12:01から12:09の間に0歩、12:09から12:10の間に100歩という情報が得られたとする。位置センサ23,24の検知有無情報と歩数情報を合わせると、作業者端末1が12:00に位置センサ1の位置にあり、12:01に位置センサ1と2の中間地点にあり、12:09に位置センサ1と2の中間地点にあり、12:10に位置センサ2の位置にある、という位置情報が得られる。この位置情報を用いると、作業者は12:01から12:09に位置センサ1と2の中間地点で立ち止まっていたことが分かる。従って、作業者情報表示部208は図5に示す軌跡の表示が可能となる。図5において、矢印30,31は作業者の移動奇跡を示しており、黒丸32は作業者が立ち止まった場所を示している。
作業者端末1がスマートフォンである場合、位置センサとBluetoothまたは無線LANを利用して通信することが可能である。また、スマートフォンは一般的に加速度センサを内蔵している。従って、上記のような構成であれば、スマートフォン以外に特別なハードウェアを用意することなく、作業者端末1の位置の推定が可能となる。
位置送信部102について説明する。位置送信部102は、位置取得部101で得られた作業者位置情報を、作業者端末1の特定情報と共に管理サーバー2に送信する。特定情報は、例えば、作業者端末1に固有の情報、具体的にはIPアドレスまたは無線LANのMACアドレス等でもよいし、作業者端末1にログインしているユーザ情報でもよい。作業者位置情報の送信は、例えば無線LANを利用してインターネットを介して行われる。位置送信部102は、位置取得部101が作業者位置情報を取得した後、作業者位置情報をすぐに送信しなくても良く、一旦、作業者位置情報を作業者端末1内に記録しておき、複数の作業者位置情報をまとめて送信してもよい。
動態取得部103について説明する。動態取得部103は作業者動態情報を取得する。作業者動態情報は、例えば、テキスト、音声のメッセージ、作業者の作業記録、または作業者端末1に搭載されたカメラで撮影された作業の写真等である。図2の例では、スマートフォンの画面に表示される「メモ入力」というボタン14が動態取得部103を実現している。作業者がこのボタン14が押されると、テキストメッセージの入力を受け付けるウィンドウが開くか、音声入力の機能が起動するか、カメラまたは写真選択ウィンドウが起動する。これにより、作業者は作業者動態情報として送信するテキストメッセージ、音声情報、または写真を指定することができる。このとき、音声情報はスマートフォンに搭載される音声認識機能を利用して自動でテキストに変換されてもよいし、音声のまま動態送信部104から管理サーバー2に送信され、管理サーバー2でテキストに変換されてもよい。作業者動態情報は、作業者動態情報を取得した時刻を含む。作業者が作業者動態情報として入力された情報は、スマートフォンの画面に表示されるテキストボックス15内に表示される。このテキストボックス15がメッセージ表示部109を実現している。作業者動態情報として入力された情報に誤りがある場合、作業者はメッセージ表示部109に表示される情報を訂正することも可能である。
以上の例では、動態取得部103は、作業者が「メモ入力」ボタンを押して入力した作業者動態情報を取得する。しかし、動態取得部103は、常時もしくは定期的に作業者動態情報を取得してもよい。その一例として、動態取得部103は、作業者端末1に取り付けられたマイクまたはヘッドセットを用いて、作業員の発話を常時取得してもよい。この場合、管理サーバー2は、動態取得部103で常時取得した作業者動態情報である作業者の発話を、位置取得部101で取得した作業者位置情報と合わせて管理することにより、作業者がどこで何を話したのかを表す情報を管理することができる。
また、動態取得部103は、作業者が発話をしたとき、または作業者端末1内の加速度センサが動きを検知したときなど、イベント発生時にのみ作業者動態情報を取得してもよい。また、動態取得部103は、位置取得部101で取得される作業者位置情報に応じて作業者動態情報を取得してもよい。例えば、動態取得部103は、作業者端末1と位置センサとの距離が特定の範囲内または範囲外のとき、位置センサの電波強度が特定の範囲内のとき、または作業者端末1が特定の領域にいる間等のみに作業者動態情報を取得してもよい。このように、動態取得部103が作業者位置情報に応じて作業者動態情報を取得することで、プライバシーに配慮することができる。
以上の説明では、作業者動態情報を、テキスト、音声のメッセージ、作業者の作業記録、または作業者端末1に搭載されたカメラで撮影された作業の写真等としたが、これ以外の情報でもよい。例えば、作業者動態情報は、作業者端末1内に搭載された加速度センサから求められる作業者の歩数、または作業者が身に着けているウェアラブルセンサの情報であってもよい。ここでウェアラブルセンサとは、例えば、腕輪型の装置であり、心拍、脈拍、加速度、歩数、活動量、または体温等を計測可能なものである。また、作業者動態情報は、ウェアラブルセンサの測定値から睡眠量、または作業者の活動状況を計算した値であってもよい。ここで活動状況とは、作業者が立っているか、座っているか、歩いているか、倒れているか等の状況である。また、ウェアラブルセンサをメガネ型の装置とし、作業者動態情報は、この装置により計測された瞬きの回数、目の動き、視線、脳波等を表す情報であってもよい。
動態送信部104について説明する。動態送信部104は、動態取得部103で得られた作業者動態情報を管理サーバー2に送信する。送信は、例えば無線LANを利用してインターネットを介して行われる。動態送信部104は、作業者動態情報と共に作業者端末1の特定情報を送信してもよい。作業者端末1の特定情報は、例えば、作業者端末1に固有の情報、具体的にはIPアドレスまたは無線LANのMACアドレス等でもよいし、作業者端末1にログインしているユーザ情報でもよい。また、動態送信部104は、どの作業者動態情報とどのメッセージルールが紐づいているのか、どの作業者動態情報とどの作業者位置情報が紐づいているのかを示す情報を、作業者動態情報と共に送信してもよい。
メッセージルール入力部105について説明する。メッセージルール入力部105は作業者からメッセージルールの入力を受け付ける。メッセージルールとは、例えば、作業者動態情報を通知する時刻、場所、人、または方法を定めるルールである。図2の例では、メッセージルール入力部105は「入力先」ボタン16と「通知先設定」ボタン17により実現されている。作業者は「入力先」ボタン16を押して、どの「位置センサ」に近づいたときに通知するかという通知場所の指定と、その位置センサに「どれくらい近づいたら」通知するかという範囲の指定を行う。通知場所は、「位置センサA」等の名称、「位置センサ」となる発信機のID、緯度および経度、部屋の名称、またはランドマークとなるような装置Aの名称等で指定されてもよい。ここで、通知場所の名称と、発信機のIDまたは絶対位置との紐づけは、作業者端末1が行ってもよいし、管理サーバー2が行ってもよい。通知場所が指定されない場合、メッセージルール入力部105は、最も電波強度の強い位置センサ、または最も近くにある位置センサを自動で指定してもよいし、電波強度または位置センサの近さに基づいて複数の位置センサを候補として表示し、複数の候補の中から作業者が選択できるようにしてもよい。また、通知場所として複数の位置センサが指定されてもよいし、いくつかの位置センサまたは領域をまとめたグループ等が指定されてもよい。また、通知対象となる装置の種類または機種が指定されてもよい。この場合、作業途中に装置の種類または機種に固有の問題が発覚したときに、同様の装置または機種全てに注意喚起の情報を通知することが可能となる。通知範囲は、電波強度の強さ、0以上1以下の信頼値、またはセンサ位置からの距離等で指定される。
また、作業者は「通知先設定」ボタン17を押して、通知する人、通知方法、または通知時刻の設定を行う。通知する人の設定は、例えば、次回の点検員または作業員を指定する、班長にのみ通知する、全員に通知する、若しくは熟練度レベル等で作業員がランク分けされている場合にランクを指定する等により行われる。通知時刻は、例えば、今すぐ、X日からY日まで、雨の日だけ、Z曜日のみ、または時刻t1時からt2時の間、等のように設定される。メッセージルールには、メッセージルール入力部105で入力された時刻情報が含まれる。
このように、情報共有装置1001によれば、上記の通りメッセージルールを設定することによって、通知範囲を広くすることが可能になると共に、通知期限を設定することが可能になる。また、情報共有装置1001によれば、物理的な紙を用いた付箋等の情報共有方法と比較して、装置の反対側に付箋が貼ってあって気づかなかったり期限を過ぎた通知を剥がし忘れたりすることによる情報共有の失敗を防ぐことができる。また、情報共有装置1001は通知先を指定できるため、ある装置を保有しているオーナーには知らせたくないが、当該装置の作業員、保守員、点検員同士の情報共有を行いたい場合に有効となる。
メッセージルール送信部106について説明する。メッセージルール送信部106は、メッセージルール入力部105に入力されたメッセージルールを管理サーバー2に送信する。メッセージルールの送信は、例えば無線LANを利用してインターネットを介して行われる。メッセージルール送信部106は、メッセージルールと共に、作業者端末1の特定情報を送信してもよいし、どのメッセージルールがどの作業者動態情報と紐づいているか、またはどの作業者位置情報とどの作業者動態情報が紐づいているかという情報を送信してもよい。ここで、作業者端末1の特定情報は、例えば、作業者端末1に固有の情報、具体的にはIPアドレスまたは無線LANのMACアドレス等でもよいし、作業者端末1にログインしているユーザ情報でもよい。
リクエストルール記憶部107について説明する。図6に示すように、例えばリクエストルール記憶部107は、有効時刻とリクエストルールを紐づけて記憶している。リクエストルールは、作業者端末1のリクエスト部108が管理サーバー2にメッセージをリクエストする、すなわちメッセージの有無を確認するタイミングを定めている。例えば、リクエストルールは、「5分に1回」等のように、一定間隔でメッセージのリクエストが行われるように定められてもよいし、作業者端末1と位置センサとの距離が閾値以内であること、と定められてもよい。作業者端末1と位置センサとの距離は、例えば位置センサの電波強度によって測定される。また、リクエストルールは、作業者端末1が前回のリクエストを送信した位置から一定距離以上移動したとき、と定められてもよい。
リクエストルールは、言語情報を含んでもよい。作業者端末1がスマートフォンであり、スマートフォンが利用言語の情報を有する場合、リクエストルール記憶部107は利用言語の情報をリクエストルールに含めて記憶し、リクエスト部108は利用言語の情報をリクエストルールに含めて送信してもよい。このことは、スマートフォンに限らず利用言語の情報を有する全ての端末に適用される。このようにリクエストルールが言語情報を含む場合、管理サーバー2のメッセージ生成部207がリクエスト部108から受信したメッセージリクエストに応じてメッセージを作成する際に、自動翻訳等を用いて作業者端末1の利用言語に言語変換することが可能となり、多言語対応が実現する。管理サーバー2は、自動翻訳を自身のサーバー内で行ってもよいし、インターネット上の翻訳サイト等を利用して行ってもよい。
リクエストルールは、作業者端末1に固有の情報を含んでも良い。作業者端末1に固有の情報とは、IPアドレス、無線LANのMACアドレス、または作業者端末1にログインしているユーザ情報等である。この場合、作業者端末1は、自身に固有の情報を利用して、作業者端末1に関するメッセージのみを管理サーバー2にリクエストすることができる。例えば、メッセージリクエストが作業者端末1のログインユーザの名称を含む場合、このメッセージリクエストは当該ログインユーザに向けたメッセージのみを取得するリクエストとなる。この場合、管理サーバー2のメッセージ生成部207は、当該ログインユーザに向けたメッセージのみを生成し、作業者端末1へ送信する。リクエスト部108またはメッセージ生成部207は、ログインユーザ名またはログインユーザIDそのものを利用してもよいし、作業者端末1のIPアドレスまたは無線LANのMACアドレス等からログインユーザID等を特定してもよいし、ログインユーザをグループ化したグループを利用してもよい。ここで、グループには、例えば、班長のグループ、特定の曜日に作業する作業員のグループ、初心者等特定ランクの作業員のグループ、技能レベルまたは作業内容により区別されるグループなどがある。
リクエストルール入力部110について説明する。リクエストルール入力部110は、作業者からリクエストルールの入力を受け付ける。リクエストルール入力部110が受け付けたリクエストルールは、リクエストルール記憶部107に記憶される。図2の例では、作業者端末1に表示されたボタン13に「装置B」と記載されている。これは、「作業者端末1が装置Bの近くにあるとき」がリクエストルールであることを示している。この例で、メッセージリクエストは作業者端末1の位置、すなわち作業者位置情報を条件に含んでいるが、これに限らず、時間、人、または作業者動態情報を条件に含んでもよい。
リクエスト部108について説明する。リクエスト部108は、リクエストルール記憶部107に記憶されたリクエストルールに基づき、メッセージリクエストを管理サーバー2に送信する。図2の例を用いて説明する。作業者端末1のリクエストルール記憶部107に記憶されるリクエストルールが、「作業者端末1が位置センサの10m以内に近接する」であるとする。作業者端末1のリクエスト部108は、リクエストルール「作業者端末1が位置センサの10m以内に近接する」と、位置取得部101から得られる作業者位置情報、すなわち「作業者端末1と位置センサとの距離」に基づき、管理サーバー2にメッセージリクエストを送信する。具体的には、位置取得部101が位置センサAからの電波を受信し、作業者端末1と位置センサAの距離が10m以内であると判定した場合に、リクエスト部108が管理サーバー2にメッセージリクエストを送信する。このように、「作業者端末1が位置センサに近接すること」がリクエストルールであることによって、常時または定期的にメッセージリクエストが行われる場合に比べて、リクエスト部108の通信回数を少なくし、作業者端末1における電池の消耗を抑えることができる。
リクエストルールが「5分に1度」であるとすると、リクエスト部108は、5分に1度、管理サーバー2にメッセージリクエストを送信する。管理サーバー2のメッセージ生成部207は、メッセージリクエストに応じてメッセージを生成し、作業者端末1に送信する。メッセージ生成部207が送信するメッセージは、メッセージ内容とこれに紐づけられたメッセージルールを含んでいる。メッセージルールは、いつ、どこで、誰にメッセージを表示または通知するかを定めている。メッセージ表示部109は、メッセージルールに基づきメッセージを表示または通知する。例えば、メッセージルールが「作業者端末1が位置センサAから1m以内に近接する」である場合、メッセージ表示部109はメッセージ生成部207から受信したメッセージをすぐに表示または通知するのではなく、位置取得部101から受け取る作業者位置情報に基づき、「作業者端末1が位置センサAから1m以内に近接する」が成立したときに、表示または通知を行う。
メッセージ表示部109は、メッセージを受信した後、メッセージルールに定める条件が成立した場合にメッセージを表示する。メッセージ表示部109は、作業者位置情報または作業者動態情報に基づき、メッセージルールに定める条件が成立したか否かを判断する。このように、予めメッセージを受信しておく方法は、通信環境が悪い場合に効果的である。例えば、位置センサA付近で作業者端末1と管理サーバー2の通信状況が悪ければ、作業者端末1が位置センサAに近接したときにメッセージリクエストを送信しても、管理サーバー2と通信することができず、位置センサAの付近でタイミングよくメッセージを通知することができない。これに対して、作業者端末1は通信環境の良いところで予めメッセージを取得しておき、メッセージルールに定める条件が成立した場合にメッセージを表示すれば、通信環境が悪くてもメッセージルールに定められたタイミングでメッセージを通知することができる。
図2の例では、作業者端末1に表示された「メモ確認」ボタン12がリクエスト部108を実現している。作業者が「メモ確認」ボタン12を押すと、リクエスト部108は管理サーバー2へメッセージリクエストを送信する。このメッセージリクエストは、リクエストルールで定められた「作業者端末1が装置Bの近くにある」という条件が成立するときに表示するべきメッセージを送信するように依頼するものである。管理サーバー2のメッセージ生成部207は、メッセージリクエストに基づき、該当するメッセージを作成して、メッセージ表示部109へ送信する。これにより、リクエストルールに該当していない状況でも、メッセージリクエストを用いてメッセージの確認を行うことが可能となる。
メッセージ表示部109について説明する。メッセージ表示部109は、管理サーバー2からメッセージを受信し、表示する。メッセージ表示部109が受信するメッセージには、メッセージの内容に加えて、メッセージを表示するタイミングを規定するメッセージルールが含まれている。メッセージ表示部109は、メッセージルールに定める条件が成立した場合にのみメッセージを表示する。図2の例で、メッセージ表示部109は、作業者端末1に表示されるテキストボックス15によって実現されている。リクエストルールは、「作業者端末1が装置Bの近くにある」である。作業者が「メモ確認」ボタン12を押したとき、テキストボックス15にはメッセージの送信者、送信時刻、および内容等が表示される。但し、メッセージ表示部に表示する内容は図2の例に限ったものではない。
図2の例では、最も新しいメッセージのみがテキストボックス15に表示される。しかし、リクエスト部108は、メッセージリクエストによって過去のメッセージの履歴をリクエストし、メッセージ表示部109は過去のメッセージの履歴を表示してもよい。
メッセージ表示部109は、表示したメッセージを作業者が確認したことを示す確認情報を当該メッセージに付与し、管理サーバー2のメッセージルール取得部205に送信してもよい。例えば、メッセージ表示部109は「確認済み」または「次から表示しない」等の選択肢を表示し、作業者が選択肢をタップすることによって、確認情報が作業者端末1に入力される。確認情報は、いつ、誰が、どのメッセージを確認したかを示す情報を含んでいてもよい。確認情報はメッセージ表示部109から管理サーバー2のメッセージルール取得部205に送信され、メッセージルール記憶部206に記憶される。
次に、管理サーバー2について説明する。まず、位置取得部201について説明する。位置取得部201は、作業者端末1の位置送信部102から作業者位置情報を取得し、位置記憶部202に記憶する。作業者位置情報の詳細は、位置取得部101の説明において上記したため、ここでは割愛する。作業者位置情報は、位置送信部102からリアルタイムに送信されてもよいし、ある程度まとめて一度に送信されてもよい。また、管理サーバー2から作業者端末1に、作業者位置情報を送信するように要求してもよい。
上記では、位置取得部201が位置送信部102から作業者位置情報を取得する例について説明した。しかし、位置取得部201は他の方法で作業者位置情報を取得してもよい。例えば、作業者が固有のIDを持つタグ等を保有し、所定の位置に設置されたリーダーにタグのIDを読み取らせる。そして、リーダーが、タグのID、リーダーのID、および読み取り時刻を管理サーバー2に送信し、位置取得部201はリーダーの位置を作業者の位置として取得する。
別の例として、所定の位置に設置されたセンサが作業者を認識することによって作業者位置情報を特定し、管理サーバー2に送信することによって、位置取得部201は作業者位置情報を取得してもよい。例えば、建物内に設置された監視カメラの画像または映像に顔認識処理または人物追跡処理を行うことによって、作業者位置情報を取得することが可能である。それ以外にも、距離計測可能なレーザセンサを複数設置し人物追跡を行ってもよいし、それ以外の方法でもよい。
図3では、位置取得部101が複数の位置センサ21−23を用いて作業者位置情報を特定することについて説明した。しかし、この作業者位置情報の特定を位置取得部201が行ってもよい。
位置記憶部202について説明する。位置記憶部202は、位置取得部201が取得した作業者位置情報を記憶する。図7の例で、位置記憶部202は、作業者位置情報の検知時刻、作業者端末ID、および作業者位置情報を紐づけて記憶している。位置記憶部202は、1分間隔等の一定間隔で誰がどこにいたかを記憶してもよいし、位置センサまたは作業者端末1が作業者位置情報を検知した時刻を記憶してもよいし、位置センサのIDと作業者端末1のIDと電波強度等を記憶してもよい。位置記憶部202は、作業者位置情報を基点からの相対位置または緯度経度等の絶対位置に変換して記憶してもよい。また、位置取得部201が作業者位置情報として位置センサIDと電波強度を取得する場合に、位置記憶部202は作業者位置情報として位置センサIDと電波強度を記憶してもよいし、センサIDと紐付けられた装置名を記憶してもよい。センサIDと装置名の紐付けは作業者端末1が行ってもよいし、管理サーバー2が行ってもよい。
動態取得部203について説明する。動態取得部203は、作業者端末1の動態送信部104から作業者動態情報を取得する。作業者動態情報は、作業者の歩行速度、つぶやき、メモ、写真、または視線等の情報を含む。動態取得部203は、動態送信部104に限らず、所定の位置に設置された他のセンサ等から作業者動態情報を取得してもよい。例えば、動態取得部203は、壁等に取り付けられたマイクから作業者のつぶやきまたはメッセージを取得してもよいし、壁または床に設置されたセンサから歩行速度を取得してもよいし、サーモカメラ等から作業者の体温情報を取得してもよい。また、動態取得部203は、所定の位置に設置されたカメラの映像または画像から作業記録の写真、視線、または瞬き数を取得してもよい。
動態記憶部204について説明する。動態記憶部204は、動態取得部203が取得した作業者動態情報を記憶する。図8の例で、動態記憶部204は、作業者動態情報の検知時刻、作業者端末ID、作業者動態情報、および作業者位置情報を紐づけて記憶している。
メッセージルール取得部205は、作業者端末1のメッセージルール送信部106からメッセージルールを受信する。メッセージルール記憶部206は、メッセージルール取得部205が受信したメッセージルールを記憶する。図9は、メッセージルール記憶部206の記憶情報の一例を示している。図9の例では、メッセージルール記憶部206は、メッセージルールの設定時刻、メッセージルールを設定した作業者端末1のID、メッセージルール、メッセージ内容を紐づけて記憶している。
メッセージ生成部207について説明する。メッセージ生成部207は、リクエスト部108からメッセージリクエストを受け付け、位置記憶部202から作業者位置情報を、動態記憶部204から作業者動態情報を、メッセージルール記憶部206からメッセージルールを取得し、メッセージリクエストに応じたメッセージを生成して作業者端末1へ送信する。
図2の例で、リクエストルールを「作業者端末1が位置センサから一定の距離内に近づいたときに、その位置センサ付近に残された1週間以内のメッセージを取得する」とする。作業者端末1が位置センサAから一定の距離内に近づくと、リクエスト部108は、位置取得部101から取得した作業者位置情報によりそのことを把握し、「位置センサA付近に残された1週間以内のテキストメモ」のメッセージリクエストを管理サーバー2のメッセージ生成部207に送信する。
管理サーバー2のメッセージ生成部207は、リクエスト部108から受信したメッセージリクエストに基づき、位置記憶部202に記憶されている作業者位置情報と、動態記憶部204に記憶されている作業者動態情報を取得する。そして、メッセージ生成部207は、「位置センサAから一定の範囲内」の作業者位置情報に紐づけられ、かつ「1週間以内」の時刻に紐づけられた「テキストメモ」である作業者動態情報を検索する。また、メッセージ生成部207は、検索した各作業者動態情報に紐づけられたメッセージルールをメッセージルール記憶部206から取得する。そして、メッセージ生成部207は、取得したメッセージルールに基づき、作業者端末1に送信して良いメッセージ、すなわちメッセージルールの通知先に作業者端末1が含まれるメッセージのみを作業者端末1に送信する。メッセージルールの通知先に作業者端末1が含まれるか否かの判定には、作業者端末1から受信した作業者端末1の固有情報、すなわち、IPアドレス、無線LANのMACアドレス、または作業者端末1にログインしているユーザ情報等が用いられる。
メッセージ生成部207は、メッセージルール記憶部206から、メッセージリクエストを送信する作業者端末1の作業者位置情報および作業者動態情報に合致するメッセージルールを抽出し、抽出したメッセージルールに基づいてメッセージを生成してもよい。例えば、作業者端末1のリクエストルールが5分に1回の定期的なメッセージリクエストを定めている場合、リクエスト部108は定期的に管理サーバー2のメッセージ生成部207にメッセージリクエストを送信する。メッセージ生成部207はメッセージリクエストに基づき、作業者端末1の作業者位置情報および作業者動態情報を、それぞれ位置記憶部202および動態記憶部204から取得する。作業者端末1の作業者位置情報を「位置センサAから1m以内」とし、作業者動態情報を「停止中」とすると、メッセージ生成部207はそれらの条件に合致するメッセージルールをメッセージルール記憶部206で検索する。メッセージ生成部207は、条件に合致するメッセージルールが抽出すると、このメッセージルールに紐づけられた作業者動態情報を動態記憶部204から抽出してメッセージを生成し、メッセージ表示部109に送信する。図2の例では、メッセージ表示部109を実現するテキストボックス11に、メッセージ生成部207で生成されたテキストメッセージ「○月×日hh時mm分ss秒 発信:XX 「前回点検時に・・・次回は・・・」」が表示されている。
なお、動態記憶部204が記憶する作業者動態情報は、テキストに限らず、音声、写真、またはセンサの数値等であってもよい。メッセージ生成部207は、メッセージを作成する際に、音声、写真、またはセンサの数値をテキストに変換してもよい。
以上の例では、情報共有装置1001が、メッセージリクエスト関連の構成とメッセージルール関連の構成とを備えることについて説明した。メッセージリクエスト関連の構成とは、リクエストルール入力部110、リクエストルール記憶部107およびリクエスト部108であり、メッセージルール関連の構成とは、メッセージルール入力部105、メッセージルール送信部106、メッセージルール取得部205、およびメッセージルール記憶部206である。
リクエストルール入力部110にリクエストルールが入力されることについて説明した。しかし、作業者端末1は予め定められた固定のリクエストルールに従ってメッセージリクエストを送信してもよい。例えば、リクエスト部108はメッセージ生成部207にメッセージリクエストを定期的、または位置センサ近接時に送信する。メッセージ生成部207はメッセージルール関連の構成を用いて、メッセージルールに基づきメッセージを生成する。この場合、作業者端末1はリクエストルール入力部110を備えなくてもよい。
情報共有装置1001は、メッセージルール関連の構成を備えなくてもよい。この場合、メッセージ生成部207は、リクエスト部108から受信したメッセージリクエストに基づいて、位置記憶部202に記憶される作業者位置情報と、動態記憶部204に記憶される作業者動態情報に基づきメッセージを作成する。
メッセージルール記憶部206は、メッセージ生成部207から作業者端末1へのメッセージの送信記録を、メッセージルールに紐づけて記憶してもよい。メッセージ生成部207は、この送信記録を参照することによって、送信済みのメッセージに関するメッセージルールを無効にすることができ、何度も同じメッセージを送信することを防ぐことができる。また、メッセージルール記憶部206は、確認情報をメッセージルールに紐づけて記憶してもよい。この場合、メッセージ生成部207はメッセージルール記憶部206からメッセージルールを取得してメッセージを作成する際、確認情報も取得することができるため、既にメッセージを確認している作業者に同じメッセージを送らないという対応をとることができる。
作業者情報表示部208は、位置記憶部202に記憶される作業者位置情報、動態記憶部204に記憶される作業者動態情報、およびメッセージルール記憶部206に記憶されるメッセージルールをマップ上に表示する。作業者情報表示部208は、マップとして、装置または建物等の位置情報を持っているものとする。作業者情報表示部208は、管理サーバー2に接続された画面に表示を行ってもよいし、管理サーバー2をWebサーバーとし、Web画面に表示を行ってもよい。また、作業者情報表示部208は、作成した表示内容を他の端末に送信し、他の端末から表示を閲覧できるようにしてもよい。作業者位置情報、作業者動態情報およびメッセージルールがサイネージまたはWeb画面に表示されることにより、サイネージまたはWeb画面の閲覧頻度を上げることができ、サイネージまたはWeb画面に広告等を表示する場合の宣伝広告効果が高まる。
図10は、作業者Aの1回の巡回業務についての作業者位置情報、作業者動態情報、およびメッセージルールの表示例を示している。作業者Aの作業者位置情報である点を線でつなぐことにより、作業者Aの通った軌跡50tが表される。作業者情報表示部208は、作業者Aの作業者位置情報として、「位置センサAの近く」等の情報が記憶されている場合、位置センサAは装置Aに設置されているといった紐付け情報、または装置Aと位置センサAの位置座標等からフロア図を作成する。図10のマップには、装置A40、装置B41、装置C42の位置が示されている。軌跡50tの線の太さが作業者Aの歩行速度を表し、黒丸50は作業者Aが立ち止まった場所を表し、黒丸50の大きさは作業者Aが立ち止まった時間を表している。作業者Aが撮影した写真52または動画が撮影場所に吹き出し54で表示され、再生ボタン53によって動画再生が可能である。なお、作業者Aがメガネ型視線センサを装着しており、メガネ型視線センサが検出する作業者Aの視線情報が作業者動態情報に含まれる場合、作業者情報表示部208は、写真52または動画の上に視線の位置を重畳表示してもよい。このように、作業者動態情報が表されている。
また、作業者Aが作業者動態情報として通知を行いたいメッセージが、メッセージを残した場所に吹き出し55,56で表示されている。吹き出し55,56の中には、通知先、通知時刻、通知場所等のメッセージルールが表示されていてもよい。このような表示により、作業者Aの作業記録が可視化され、容易に把握される。
図11は、作業者Aと作業者Bの1回の巡回業務についての作業者位置情報と作業者動態情報の表示例を示している。作業者Aの軌跡50tと作業者Bの軌跡51tがマップ上に重ねて表示される。これにより、作業者Aと作業者Bの歩行の仕方、着目点、または立ち止まりの頻度などを比較することができる。作業者Aが撮影した写真52の他に、作業者Bが撮影した写真57,59が吹き出し58,61で表示される。吹き出し54と吹き出し58は、近い地点に表示されている。このように、近い地点または同じ地点で異なる作業者が撮影した写真52,57が並べて表示されることにより、時間の経過と共に同じ地点がどのように変化したかを確認することができる。図11の例で、作業者情報表示部208は近い地点の写真を並べて表示しているが、近い地点または同じ地点の写真を重ねて表示し、コマ送りボタンまたはコマ戻しボタン等で表示を切り替えられるようにしてもよい。
<A−2.メモへの利用例>
情報共有装置1001を、特定の人に対するメモとして利用する例について説明する。作業者Aが保有する作業者端末1を作業者端末1aと表記し、作業者Bが保有する作業者端末1を作業者端末1bと表記する。以下は、作業者Aが作業者Bと会ったときに、作業者端末1aにメッセージを通知する例である。
作業者端末1aのメッセージルール入力部105は、「作業者端末1aと作業者端末1bの位置が1m以内のとき」というメッセージルールを設定することにより、「作業者Aが作業者Bと会ったとき」という条件を設定する。このメッセージルールは、作業者端末1aのメッセージルール送信部106から管理サーバー2のメッセージルール取得部205に送信され、メッセージルール記憶部206に記憶される。
メッセージ生成部207は、位置記憶部202から作業者端末1aと作業者端末1bの位置を取得し、「作業者端末1aと作業者端末1bの位置が1m以内のとき」というメッセージルールの条件が成立するかを判定する。メッセージルールの条件が成立すると、メッセージ生成部207は、メッセージルールに対応する作業者動態情報を動態記憶部204から抽出し、メッセージを生成して作業者端末1aのメッセージ表示部109に送信する。メッセージ表示部109は、メッセージを受信すると直ちに表示する。
上記の利用例によれば、作業者端末1aは、作業者Aが作業者Bに話したい内容を作業者動態情報としてメッセージルールに紐づけ、「作業者端末1aの作業者位置情報が示す位置と作業者端末1bの作業者位置情報が示す位置との距離が閾値以内になること」をメッセージルールにおける通知タイミングとして設定することにより、作業者Aが作業者Bに会ったタイミングで、作業者Bに伝えたいメッセージを作業者端末1aに通知することが可能となる。これにより、作業者Aは、作業者Bに会ったら話そうと思っていたこと等を忘れてしまうという事態を防ぐことができる。
以上の例では作業者A,Bという2人が会う、すなわち近接した場合にメッセージを通知するというメッセージルールについて説明したが、3人以上が近接した場合にメッセージを通知するというメッセージルールであってもよい。
<A−3.ライン立ち上げへの利用例>
情報共有装置1001をライン立ち上げに利用する例について説明する。図12は、情報共有装置1001をライン立ち上げに利用した場合の、作業者情報表示部208による表示例を示している。ラインに沿って装置A40,B41,C42が並んでおり、作業者A71、B72,C73,D74,E75がラインで作業を行っているものとする。作業者情報表示部208は、位置記憶部202から作業者A71、B72,C73,D74,E75の作業者位置情報を取得し、それらの現在位置を表示する。これにより、ラインのどこで誰が作業しているかが可視化される。また、作業者情報表示部208は、動態記憶部204から作業者動態情報、すなわちメモを取得するため、各作業者がどの装置の周辺またはどの位置で、どのような動態情報を入力したかを図示することが可能となる。作業者が、作業している装置の状況をメモとして各自の作業者端末1に入力することにより、作業者情報表示部208は各装置の状況をマップ上に図示することが可能となる。図12の例では、吹き出し80−85により、失敗または成功といった装置の状況と時刻がマップ上に図示されている。これにより、ライン管理者がライン全体を一元的に管理することが可能となる。他にも、各作業者が、「もっと人手がほしい」、「部品または器具が不足している」、「前の装置から仕掛品が流れてこないためテストができない」等の情報をメモとして各自の作業者端末1に入力することにより、作業者間または管理者との間でこれらの情報を共有することができる。これにより、例えばライン全体を一元的に管理する管理者が状況に応じて人員の配置を変更したり、部品または器具を必要なところに届ける等の指示を行ったりすることができ、効率よくラインの立ち上げを行うことが可能となる。なお、作業者情報表示部208は、表示するメモの設定を変更することが可能なUIを備えており、この設定に応じて、「最新」のもの、「5分以内」のもの、「新規から5件分」等のメモを表示することが可能である。
図12の例では、装置または作業者の位置を示すアイコンの色の濃淡が3段階あり、この濃淡によってメモの量の多さが表されている。作業者情報表示部208は、メモに紐づけられた作業者位置情報を用いて、メモに関連する装置または位置センサのアイコンの色の濃淡を、メモの量に応じて変えてもよい。また、作業者情報表示部208は、メッセージルール記憶部206に記憶されるメッセージルールに基づき、メモがメッセージとして通知される場所の色の濃淡を、メモの量に応じて変えてもよい。また、作業者情報表示部208は、作業者のアイコンの色の濃淡を、当該作業者のメモの量の多さに応じて変えてもよい。例えば、装置A40,B41,C42の中では装置A40のアイコンの色が最も濃く、装置A40に対するメモ量が多いことが表されている。また、作業者A71、B72,C73,D74,E75の中では作業者A71,D74のアイコンの色が最も濃く、作業者A71、D74によるメモ量が多いことが表されている。
作業者情報表示部208は、動態記憶部204から得られるメモを集計し、各装置のメモ量を時間軸上に表したグラフを表示してもよい。図13はそのようなグラフを表しており、実線90が装置Aに対するメモ量、点線91が装置Bに対するメモ量、破線C92が装置Cに対するメモ量を示している。作業者情報表示部208は、メモ量の平均値、合計値または累計値のいずれを集計してもよいし、いずれを集計するかは自由に変更可能である。また、作業者情報表示部208は、メモの量だけでなく、内容などをグラフ上に表示してもよい。メモの量が時間軸上に表示されることにより、各装置の立ち上がりの早さの違い、またはいったん収束したものの再度不具合の起きた装置等を把握することができる。図13の例では、装置Aが装置Bよりも立ち上がりが早く、装置Cに3回問題が発生したことが分かる。
<A−4.トラッキングへの利用例>
情報共有装置1001を視線または指のトラッキングに利用する例を説明する。図14は、作業者端末1がメガネ型視線センサ93を用いて作業者動態情報を取得する例を示している。作業者30はメガネ型視線センサ93を装着する。メガネ型視線センサ93はカメラ94を備えている。メガネ型視線センサ93は、カメラ94によって作業者30の見ている範囲の画像を撮影すると共に、当該画像中の、作業者30の注視点の座標を作業者動態情報として取得し、作業者端末1に送信する。作業者端末1は、カメラ94の撮影画像に画像認識処理を行い、画像中の作業者30の指または手の位置を取得してもよい。例えば、作業者30の手または指にマーカーまたは特殊な色の手袋をつけておき、作業者端末1はLEDまたは赤外光LED等を利用して手または指の位置を取得してもよい。作業者端末1は、メガネ型視線センサ93から取得した画像の特徴量を用いて位置合わせした結果から作業者位置情報を求めてもよいし、別の位置センサを用いて求めてもよい。作業者位置情報は、QRコード(以下、登録商標)またはARマーカー等から求められても良い。なお、単眼カメラの画像列から得られる画像特徴量から自己位置推定を行う技術は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)として知られている。こうして得られた作業者30の指または手の位置情報は、作業者動態情報である。
図14において、画像A97は、時刻12:00:00におけるカメラ94の撮影画像であり、その範囲の位置情報は(x、y)=(0,0)である。画像B98は、時刻12:00:10におけるカメラ94の撮影画像であり、その範囲の位置情報は(x、y)=(0,0)である。但し、画像B98は画像A97を45度水平方向に回転したものである。画像C99は、時刻12:00:20におけるカメラ94の撮影画像であり、その範囲の位置情報は(x、y)=(100,0)である。画像D100は、時刻12:00:30におけるカメラ94の撮影画像であり、その範囲の位置情報は(x、y)=(100,0)である。画像A97、画像B98、画像C99、画像D100には、メガネ型視線センサ93が検出した作業者30の注視点95と、作業者端末1が求めた指の位置96が重畳表示されている。
図14に示した作業者動態情報と作業者動態情報が位置記憶部202と動態記憶部204にそれぞれ記憶されているとき、作業者情報表示部208は図15のような表示が可能となる。作業者情報表示部208は、画像A97,B98,C99,D100における注視点95と指の位置96とから、時刻12:00:00から時刻12:00:30における注視点の軌跡301と指の軌跡302を求めることができる。注視点の軌跡301と指の軌跡302が装置A40との位置関係で表示されることにより、作業者30が装置A40に対してどのような操作を行ったか、あるいはどこを見たかを把握することが容易になる。なお、作業者情報表示部208は、視線の軌跡301と指の軌跡302において、図10に示した作業者の移動軌跡のように、線の太さで視線または指の速度を表してもよいし、視線または指が静止した地点を丸で表してもよい。また、作業者情報表示部208は装置A40の表示エリアまたは画像A97,B98,C99,D100を複数のエリアに区切り、各エリアの色の濃淡で注視点の滞在時間を表してもよい。また、作業者情報表示部208は注視点の滞在時間を色で表したヒートマップを表示してもよい。
図15では、時刻12:00:00から時刻12:00:30までの時間の作業者動態情報を統合して一つの静止画像としたが、動画でも良い。動画の場合、統合後の位置に画像Aから画像Dが順次表示されても良い。あるいは、統合後の画像Aから画像Dが静止画として表示され、その静止画上に動画として視線または指の位置が重畳表示されても良い。動画は再生ボタン303を押すことにより、再生されても良いしコマ送りなどが行われても良い。また、このような統合を行わず、管理者が再生ボタン303を押すことにより、異なる時刻における作業者動態情報が連続的にビデオのように再生されてもよいし、コマ送り等が行われてもよい。また、統合表示する時間間隔は管理者が指定できてもよい。例えば、作業者情報表示部208は、作業者が装置Aを見ている間に作業者端末1が位置センサAの近くで取得した作業者動態情報を指定して、表示してもよい。この例で、作業者情報表示部208は、「作業者が装置Aを見ている間」を、カメラ94の撮影画像における画像特徴量等から自動認識してもよい。
作業者情報表示部208は、統合された静止画像に、作業者が後から注釈を書き込む等の方法によって、作業者動態情報の追加を受け付ける機能を有しても良い。図16は、そのような変形例に係る情報共有装置1001Aの構成を示すブロック図である。情報共有装置1001Aは、作業者情報表示部208が作業者動態情報の追加を受け付ける機能を有し、作業者情報表示部208が動態記憶部204に、追加された作業者動態情報を格納する点で、図1に示した情報共有装置1001と異なっている。
ここで、注釈は作業者動態情報の一例である。作業者は、作業者情報表示部208に表示される視線または指の動きといった作業者動態情報を見返すことで、なぜこの順に作業をしているのか、あるいはこのとき何が起こったのか、等を思い出すことがある。そして、作業時には残さなかった作業者動態情報を後から追加したくなる場合がある。このようなときに、作業者は作業者情報表示部208から新たに作業者動態情報を書き込むことが可能である。
このように、作業者情報表示部208が作業者動態情報を表示することにより、作業者は作業のノウハウを思い出しやすくなるという効果がある。さらに、作業者情報表示部208が作業者動態情報を後から追加する機能を有することによって、作業者が後から思い出した作業者動態を動態記憶部204に蓄積することが可能になる。
具体的には、図15において、作業者が例えば画像B98の範囲をクリックし、「このとき異音がしたためじっくり〇〇を見た(X月Y日Z時追記)」等の作業者動態情報をテキスト等の形式で追加する。テキスト以外に赤丸等の図形が用いられても良い。動態記憶部204には、作業者位置情報として画像B98の位置が、作業者動態情報としてテキストまたは赤丸等が記憶される。また、後から追加された作業者動態情報であることが分かるように、動態記憶部204において作業者動態情報に紐づけられる作業者端末IDには、特別なIDが割り当てられても良いし、別途、作業者が自身の作業者端末IDを手入力しても良い。また、動態記憶部204において作業者動態情報に紐づけられる時刻は、画像B98の撮影時刻でも良いし、作業者動態情報が追加された時刻でも良いし、いずれの時刻が紐づけられるかは作業者が選択可能であっても良い。
上記では、作業者端末1がメガネ型視線センサ93を用いて作業者動態情報を取得する例を説明した。しかし、作業者端末1は、全方位カメラを利用して作業者位置情報および作業者動態情報を取得してもよいし、全方位カメラとメガネ型視線センサ93を組み合わせてもよい。
<A−5.スマートフォンに代えて固定的に設置された表示器を使う例>
以上の例においては、作業者端末1の例としてスマートフォンを挙げ、作業者が作業者端末1を保有し持ち歩くことを想定した。しかし、作業者端末1は、台車またはトレーなどに固定的に設置されたサイネージまたはGOT(Graphic Operation Terminal)等の表示器でも良い。つまり、作業者が作業者端末1を保有し持ち歩くのではなく、作業者端末1が所定の場所、例えば装置の傍などに設置される。図17に、作業者端末1が固定的に設置された表示器である場合の例を示す。
作業者端末1は装置Aの傍に設置され、作業者30は作業者タグ31を保有している。作業者30が作業者端末1に近づくと、作業者端末1の位置取得部101が作業者タグ31と通信し、作業者タグ31との通信電波強度等から作業者タグ31と作業者端末1との距離を計測する。これにより、位置取得部101は作業者3aが作業者端末1に近づいたことを把握する。
作業者タグ31は、例えばビーコンのようなものであるが、これに限らない。また、作業者端末1の位置取得部101が、直接、作業者タグ31と通信を行う例について説明したが、これに限らない。作業者端末1の近くに、作業者3aを検出する別途の位置検知センサを設け、位置検知センサの検出結果を作業者端末1の位置取得部101が受け取ってもよい。
作業者3aは作業者端末1に近づき、作業者端末1の動態取得部103を構成するマイク等から、作業者動態情報を入力する。但し、動態取得部103が取得する作業者動態情報はマイクの入力音声に限らず、作業者タグ31に付属するマイクまたはセンサから無線送信されるデータであってもよい。作業者30が作業者タグ31を保有している場合、作業者タグ31にメッセージ表示部109を設けられない場合がある。このような場合は、近くの位置センサまたは作業者端末1から作業者タグ31に通知を行い、作業者端末1の振動等で作業者に通知を行う。その後、振動等の通知に気づいた作業者30が、所定の位置に設置された作業者端末1に近づいたときに、作業者端末1の位置取得部101が作業者位置情報を取得し、作業者端末1に設けられたメッセージ表示部109に適切な通知を行う。その後、メッセージ表示部109にメッセージが表示される一連の流れは、作業者が作業者端末1を保有し持ち歩く例と同じである。なお、作業者タグ31は作業者39ではなく、作業者30が扱う台車、トレー、工具、または部品などに取り付けられていてもよい。
<A−6.商業施設での利用例>
以上の例では、工場の作業員、もしくは点検または巡回業務の作業員が作業者端末1を用いて作業の情報共有を行ったが、実施の形態1の情報共有装置1001の適用範囲はこれに限らない。例えば、商業施設で警備員と利用客がそれぞれ作業者端末1を持ち、同じ管理サーバー2を利用することが考えられる。以下、警備員の持つスマートフォンを作業者端末1c、利用客の持つスマートフォンを作業者端末1dと表記する。
作業者端末1c,1dから作業者位置情報が管理サーバー2に送信され、管理サーバー2の作業者情報表示部208は、作業者端末1c、1dがどこに存在するかをリアルタイムに把握することができる。図12では、装置と作業者との位置関係が作業者情報表示部208によってマップ上に表示されたが、同様に、作業者情報表示部208は、警備員の商業施設内の位置をマップ上に表示することが可能である。これにより、管理サーバー2の管理者は、警備員の位置を管理することができる。
通常、警備員への連絡は館内放送等で行われるため、警備員への連絡内容が利用客にも伝わってしまう。しかし、情報共有装置1001は、メッセージルールによりメッセージの通知先を指定することができる。そのため、管理サーバー2は警備員の持つ作業者端末1cにのみ通知を行うことで、利用客に伝える必要のない内容を警備員にのみ通知することが可能となる。また、特定エリア内で落とし物を探すという業務連絡等、全警備員に通達する必要のないメッセージについても、メッセージルールにおいて特定エリアの担当警備員がメッセージの通知先に指定されることで、管理サーバー2は特定エリアの担当警備員にのみ業務連絡を行うことができる。
また、メッセージルールにおいてメッセージの通知先が「近くの利用客」に指定されることにより、管理サーバー2はイベントの開始案内等を、当該イベントの開催場所の近くにいる利用客にだけ通知することが可能となる。また、メッセージルールにおいてメッセージの通知先が「イベントと類似の施設または売り場を訪ねている利用客」に指定されることにより、管理サーバー2は、イベントに関心を持ちそうな利用客にだけ案内を行うことが可能になる。また、メッセージルールにおいてメッセージの通知先が「エスカレータまたは階段の近くにいる利用客」に指定されることにより、「雨のため、エスカレータまたは階段が滑りやすくなっています。注意してください。」というメッセージを、管理サーバー2はエスカレータまたは階段の近くにいる利用客にだけ通知することが可能となる。
また、作業者情報表示部208は、作業員位置情報として利用客の位置情報を取得することができるため、商業施設内のどの売り場に滞在している時間が長いか、またどの順番に売り場を回ったか等を表示することも可能である。
また、テーマパーク等の観光地の利用客が、作業員端末1である自身のスマートフォンに、作業員動態情報として各アトラクションの評価を入力することによって、作業者情報表示部208は、各アトラクションの評価を集計し、表示することが可能となる。
<A−7.住宅での利用例>
情報共有装置1001は住宅でも利用可能である。この場合、管理サーバー2として、HEMS(Home Energy Management System)を利用してもよい。
例えば、TV番組の天気予報で次の日が雨であることを知った人、すなわち作業者は、次の日の朝家を出る前に「傘を忘れないように」という通知を受け取りたい場合がある。この場合、作業者は作業者端末1の動態取得部103に対して、「傘を忘れないように」というテキストまたは音声を入力し、メッセージルール入力部105に対してメッセージルールとして「通知タイミング:次の日の午前中、通知場所:玄関で、通知先:家族全員」を入力する。次の日の朝、作業者端末1の位置取得部101が、玄関に設置されたビーコン等を用いて、作業者端末1が玄関にあることを認識する。すると、管理サーバー2のメッセージルール記憶部206に記憶されているメッセージルール「通知時刻:次の日の午前中、通知場所:玄関で、通知先:家族全員」に基づき、メッセージ生成部207がメッセージを生成し作業者端末1に送信する。そして、作業者端末1のメッセージ表示部109に「傘を忘れないように」というテキストが表示される。
なお、玄関先での通知時に、動態取得部203が、作業者が傘を持っているか否かの情報を取得し、傘を持っていない場合にのみ、メッセージ生成部207が作業者端末1にメッセージを送信してもよい。例えば、傘に取り付けられた位置検知タグの位置情報を作業者端末1または位置取得部201が取得し、位置検知タグの位置情が作業者端末1の位置と一定距離内に有る場合に、動態取得部203は作業者が傘を持っていると判別することができる。あるいは、動態取得部203は、玄関に設置されたカメラの撮影画像等から作業者が傘を持っているか否かを判別してもよい。
上記のような忘れ物防止の目的以外に、買い忘れ防止の目的にも情報共有装置1001は利用可能である。例えば、作業者は冷蔵庫の扉を開けて卵が少なくなっていることに気づくと、メッセージルールを「通知場所:いつも卵を買うスーパー」と設定し、「卵を買う」というメッセージを作業者動態情報として作業者端末1に入力する。スーパーの位置は、地図アプリ等を利用し、GPSの緯度経度情報を用いて指定することができる。なお、メッセージルールにおいて、通知場所を、特定のスーパーに指定せず、「スーパー」、「卵を売っている場所」等のように、業種もしくは建物または場所の種類を指定してもよい。このように、作業者は、次回の買い物で買いたい物をリストアップして作業者端末1に入力し、スーパー等で通知させることにより、買い忘れを防止することができる。
上記の例の他、親の作業者端末1から、メッセージを「おやつは冷蔵庫の中」、メッセージルールを「通知タイミング:子供が帰宅したら、通知先:子供」と設定することも想定される。この場合、子供が帰宅したら子供の作業者端末1に「おやつは冷蔵庫の中」というメッセージが通知される。また、親の作業者端末1から、メッセージを「漫画はキャビネットの中」、メッセージルールを「通知タイミング:宿題を終えたら、通知先:子供」と設定することも想定される。この場合、子供が宿題を終えたら、子供の作業者端末1に「漫画はキャビネットの中」というメッセージが通知される。
<A−8.オフィスでの利用例>
情報共有装置1001は、オフィスにおいて単に人と人との情報共有に利用するだけでなく、設備と人との情報共有にも利用できる。
オフィスに在室している複数の作業者が、それぞれ作業者端末1を保有している。例えば、作業者は、「暑い」または「寒い」といった自身の温度評価を作業者動態情報として動態取得部103に入力する。動態取得部103は、具体的には、作業者端末1に表示された「暑い」、「やや暑い」、「ちょうどよい」、「涼しい」、「寒い」等のボタンで実現されてもよいし、自由記述テキストまたは人のつぶやきを音声認識により変換したテキストから、「暑い」「寒い」等の特定のキーワードを自動抽出することにより、温度評価に関する情報を取得してもよい。メッセージルールにおける通知タイミングは、例えば「温度評価に関する作業者動態情報が動態記憶部204に含まれる場合」である。
管理サーバー2は、動態取得部203が作業者端末1から温度評価に関する作業者動態情報を取得し、これを動態記憶部204に記憶すると、メッセージ生成部207が温度評価に関する作業者動態情報をメッセージとして送信する。但し、メッセージの送信先は作業者端末1ではなく、エアコンの制御システム等である。
また、作業者情報表示部208は、図18に示すように、温度評価に関する作業者動態情報と、作業者動態情報を発した作業者の位置と、エアコンの位置をマップ上に表示してもよい。管理サーバー2は、位置取得部201で、温度評価に関する作業者動態情報を発した作業者の作業者位置情報を取得し、動態取得部203で、温度評価に関する作業者動態情報を取得する。従って、作業者情報表示部208は、オフィス内のどの位置で温度評価に関する作業者動態情報が入力されたかを表示することができる。これにより、管理者はオフィス内のどこにいる作業者が空調を不快に感じているかを把握することができ、エアコンの設定温度の変更などを適切に行うことができる。図18の例では、オフィス内の座席位置ごとにエリア308が設定されており、エリア308の色の濃淡が各座席位置における「暑い」または「寒い」の票数の累計を表している。そして、点線枠304の枠内の座席位置で「暑い」の票数が多く、点線枠307の枠内の座席位置で「寒い」の票数が多い。従って、管理者は空調機Aの設定温度を下げ、空調機Dの設定温度を上げることにより、適切な空調設定を行うことができる。
別の例では、作業者がエレベータに乗っている際に異音を感じると、「エレベータで異音がする」というメモを作業者動態情報として作業者端末1の動態取得部103に入力する。管理サーバー2の動態取得部203は、作業者端末1の動態送信部104から「エレベータで異音がする」というメモを作業者動態情報として取得する。メッセージルール記憶部206に記憶されたメッセージルールでは、作業者動態情報に「エレベータ」という設備名が含まれる場合、さらには位置取得部201が取得した作業者位置情報がエレベータから一定距離内の場所を示している場合に、設備保守員、設備保守センター、または建物管理会社等の作業者端末1へメッセージを送る、というルールが定められている。この例では、作業者は管理人に電話等で不調を連絡する必要がなく、気軽に自身の作業者端末1にエレベータのメモを入力すればよいため、管理者は早めにエレベータの保守を行うことが可能になる。この例は、エレベータ以外の建物の設備にも適用可能である。例えば、蛍光灯が切れている等の連絡にも用いることが可能である。
<A−9.効果>
実施の形態1の情報共有装置1001において、管理サーバー2は、作業者の有する作業者端末1から、作業者端末1の位置情報である作業者位置情報を取得する位置取得部201と、作業者位置情報に紐づけられた作業者の動態情報である作業者動態情報を取得する動態取得部203と、作業者動態情報を含むメッセージの通知タイミングと通知先とを定めたメッセージルールを取得する、メッセージルール取得部205と、メッセージルールに基づきメッセージを生成し、メッセージルールに定められた通知先へ送信するメッセージ生成部207と、を備える。
以上の構成により、管理サーバー2は、動態取得部203において、作業者動態情報として、例えば翌日の作業員へのメッセージを受け付けることが可能となり、メッセージルール取得部205において、作業者端末1から「いつ、どこで、誰に」通知を行うかというメッセージルールを取得することが可能となる。また、メッセージ生成部207が、作業者位置情報、作業者動態情報、およびメッセージルールに基づき、メッセージを生成し作業者端末1へ送信することにより、作業者に必要なタイミングで情報共有を行うことが可能となる。
また、管理サーバー2は、作業者位置情報、作業者動態情報、およびメッセージルールの少なくともいずれかを表示する作業者情報表示部208を備える。その一例として、作業者情報表示部208は、作業者位置情報、作業者動態情報、およびメッセージルールをマップ上に表示することができる。従って、管理者は作業者の作業状況を管理または把握することができ、作業者同士の作業履歴を比較したり、人員配置の変更を検討したり、作業の振り返りを行ったりすることができる。
また、管理サーバー2において、メッセージルール取得部205は、メッセージ生成部207が送信したメッセージが通知先の作業者端末1で確認されたことを示す確認情報を取得する。そして、メッセージルール記憶部206は、メッセージルール取得部205が取得したメッセージルールと、メッセージルールに対応するメッセージに関する確認情報とを記憶する。従って、メッセージ生成部207は、確認情報を参照してメッセージを生成することによって、同じメッセージを繰り返し送信することを防ぐことができる。
あるいは、メッセージルール記憶部206は、メッセージルール取得部205が取得したメッセージルールと、メッセージルールに対応するメッセージのメッセージ生成部207による送信履歴とを記憶する。従って、メッセージ生成部207は、送信履歴を参照してメッセージを生成することによって、同じメッセージを繰り返し送信することを防ぐことができる。
メッセージ生成部207は、作業者端末1からメッセージの送信を要求するメッセージリクエストを受信すると、メッセージルールではなくメッセージリクエストに基づきメッセージを生成し、作業者端末1へ送信する。これにより、メッセージルールに該当しない場合でも、作業者は作業者端末1からメッセージリクエストを送信することでメッセージの内容を確認することができる。
実施の形態1の情報共有装置1001において、管理サーバー2と通信を行う作業者端末1は、作業者端末1の作業者位置情報を取得する位置取得部101と、作業者位置情報を管理サーバー2に送信する位置送信部102と、作業者動態情報を取得する動態取得部103と、作業者動態情報を管理サーバー2に送信する動態送信部104と、作業者によるメッセージルールの入力を受け付けるメッセージルール入力部105と、メッセージルールを管理サーバー2に送信するメッセージルール送信部106と、管理サーバー2から受信したメッセージを表示するメッセージ表示部109と、を備える。従って、作業者に必要なタイミングで情報共有を行うことが可能となる。
作業者端末1は、作業者によるリクエストルールの入力を受け付けるリクエストルール入力部110と、リクエストルールと、作業者位置情報と、作業者動態情報とに基づき、メッセージリクエストを管理サーバー2に送信するリクエスト部108と、を備える。管理サーバー2が、メッセージリクエストに基づきメッセージを作業者端末1へ送信することで、メッセージルールに該当しない場合でも、作業者はメッセージの内容を確認することができる。
<B.実施の形態2>
<B−1.構成>
図19は、実施の形態2の情報共有装置1002の構成を示すブロック図である。情報共有装置1002は、管理サーバー2が外部情報取得部210を備える点で情報共有装置1001と異なっている。
外部情報取得部210は外部システム3aから外部情報を取得する。外部情報とは、情報共有装置1002の外部にある装置または機器の状態を示す情報である。外部情報は、例えば、装置のオンまたはオフを表す稼動状況、装置の動作モード、装置の異常の有無、装置または設備内にあるセンサの情報、などを含む。具体的には、外部情報は、天気予報、交通機関の運行情報または遅延情報、空調の設定温度等の情報、エレベータの停止階または混雑度等の情報、トイレの扉の開閉情報、会議室の空き状況、などである。
実施の形態2におけるメッセージ生成部207は、リクエスト部108からメッセージリクエストを受信し、位置記憶部202から作業者位置情報を、動態記憶部204から作業者動態情報を、メッセージルール記憶部206からメッセージルールを取得し、外部情報取得部210から外部情報を取得する。そして、メッセージ生成部207は、メッセージリクエストに応じたメッセージを生成して作業者端末1へ送信する。
<B−2.天気予報>
例えば、外部情報取得部210が外部情報として天気予報を取得した場合について説明する。実施の形態1では、天気予報を見た作業者が、作業者端末1に「傘を忘れないように」という通知設定を行った。この例で、メッセージルールは、「通知タイミング:次の日の午前中、通知場所:玄関で、通知先:家族全員」であった。実施の形態2では、外部情報を用いてこの忘れ物防止通知機能を拡張することができる。
まず、作業者が作業者端末1のメッセージルール入力部105に、「通知タイミング:午前中(月から金)、外部情報取得部210から取得した天気予報の降水確率が30%以上のとき、通知場所:玄関」というメッセージルールを入力し、動態取得部103に、「傘を忘れない」というメッセージを作業者動態情報として入力する。これらのメッセージルールと作業者動態情報は、管理サーバー2のメッセージルール記憶部206と動態記憶部204にそれぞれ記憶される。
メッセージ生成部207は、月曜日から金曜日の各曜日の午前中に、外部情報取得部210から天気予報の情報を外部情報として取得し、位置記憶部202から作業者位置情報を取得する。そして、天気予報の降水確率が30%以上で、作業者位置情報が玄関を示す場合に、「傘を忘れない」というメッセージを作成して作業者端末1に送信する。作業者端末1のメッセージ表示部109は、「傘を忘れない」というメッセージを受信すると直ちに表示する。このように、作業者は、天気予報を通知タイミングの条件に含むメッセージルールを作業者端末1に設定することにより、天気予報の降水確率に応じた通知を毎日受けることができる。
また、作業者端末1のメッセージ表示部109は、表示と共に音声出力によってメッセージの通知を行ってもよい。音声によってメッセージが通知される場合、情報共有装置1002を目覚ましに用いることができる。「通知場所:寝室、通知タイミング:天気予報が雨のとき6時」と「通知場所:寝室、通知タイミング:天気予報が雨以外のとき6時半」という2つのメッセージルールが設定されてもよい。これにより、天気予報に応じて起床時間を変更することが可能となる。また、情報共有装置1002を目覚ましとして用いる例で、外部情報は交通機関の運行情報または遅延情報であってもよい。この場合、メッセージルール記憶部206は、「通知場所:寝室、通知タイミング:X路線の運行情報で遅延が発生しているとき6時」と「通知場所:寝室、通知タイミング:X路線の運行情報で遅延が発生していないとき6時半」という2つのメッセージルールを記憶する。これにより、遅延の有無に応じて起床時間を変更することが可能となる。
商業施設で情報共有装置1002を用いる場合、メッセージルール記憶部206が「通知場所:エスカレータから1m以内、通知タイミング:天気予報が雨のとき」というメッセージルールを記憶し、このメッセージルールに紐づけられた作業者動態情報として、動態記憶部204がテキスト「足元が滑りやすくなっています」を記憶していてもよい。この場合、メッセージ生成部207は、外部情報取得部210から取得した天気予報が雨のときにのみ、テキスト「足元が滑りやすくなっています」をメッセージとして生成し、利用客の作業者端末1に送信する。
実施の形態2の作業者情報表示部208は、位置記憶部202に記憶される作業者位置情報、動態記憶部204に記憶される作業者動態情報、メッセージルール記憶部206に記憶されるメッセージルール、および外部情報取得部210から取得した外部情報をマップ上に表示する。
<B−3.空調機の設定温度>
図20は、動態取得部203が「暑い」または「寒い」といった作業者の温度評価に関する作業者動態情報を取得し、外部情報取得部210が外部情報として空調機の設定温度を取得したときの、作業者情報表示部208の表示例を示している。作業者情報表示部208は、動態記憶部204から「暑い」と「寒い」の票数を、位置記憶部202から「暑い」と「寒い」の作業者動態情報を取得したときの作業者位置情報を取得し、作業者位置情報が示す位置における空調機の設定温度を外部情報取得部210から取得する。そして、作業者情報表示部208は、空調機の設定温度と「暑い」または「寒い」の作業者動態情報とを紐付ける。その結果、作業者情報表示部208は、図20に示すように、設定温度と「暑い」または「寒い」の票数または投票頻度との関係を図示することができる。図20において、実線314は作業者Aと作業者Bの票数の平均を示し、点線315は作業者Bの票数を示し、点線316は作業者Aの票数を示している。
管理者は、図20に示す表示を見て、設定温度と「暑い」または「寒い」の票数の関連を把握することができる。例えば、実線314によれば「暑い」と「寒い」の票数が0になる、「暑い」と「寒い」の境界線が27℃であるため、平均的には27℃設定が最も適切な設定温度であるということが分かる。また、作業者ごとに設定温度と「暑い」または「寒い」の票数の関係がグラフ化されることによって、管理者は各作業者が寒がりであるのか暑がりであるのかを知ることができる。これにより、管理者は寒がりの人を集めた座席配置、または暑がりの人を集めた座席配置等を考案することができる。図20の例では、作業者Aは寒がりで28℃程度の設定が快適であり、作業者Bは暑がりで26℃程度の設定が快適であることがわかる。
動態記憶部204は、このような作業者毎の快適な温度、すなわち快適気温を作業者動態情報として記憶してもよい。作業者情報表示部208は、会議室、住宅の部屋、空調機の範囲内等、特定のエリアにいる作業者の快適気温を動態記憶部204から取得し、特定のエリアにいる作業者の快適気温の平均値を、表示することが可能である。また、メッセージ生成部207は、特定のエリアにいる作業者の快適気温の平均値をメッセージ内容とするメッセージを作成し、作業者端末1に送信してもよい。このメッセージの送信先は、例えば、快適気温の平均値が算出された特定のエリアにいる作業者、または空調を管理している作業者である。
<B−4.トイレの利用状況>
図21は、外部情報がトイレの扉の開閉状況および会議室の空き状況である場合の、作業者情報表示部208の表示例を示している。外部情報取得部210がトイレの扉の開閉状況を取得することで、作業者情報表示部208は、トイレの空席率などの空き状況を表示することができる。外部情報取得部210は、扉の開閉情報を、マグネットセンサ等を利用して取得してもよいし、他の会議システム等から取得してもよい。図21のような表示が、作業者端末1に表示されるWeb画面上で表示されることで、各作業者は作業者端末1でトイレの空き状況を把握して行動を決定することができる。これにより、トイレの待ち時間の低減、または設備の利用率の平準化が実現する。
外部情報取得部210が取得する外部情報は、トイレの各個室の前回掃除時刻からの扉開閉回数の累計、またはトイレットペーパーの前回交換時からの回転数を含んでいても良い。トイレットペーパーの回転数は、例えば、トイレットペーパーの芯に設置された加速度センサにより計測することが可能である。作業者情報表示部208は、上記の回転数から計算されるトイレットペーパーの残量を表示してもよい。トイレットペーパーの残量は、数値、円グラフ、棒グラフなどにより表示される。このような表示がWeb画面310上に行われると、これを見た作業者は、扉開閉回数の累計が多いトイレはトイレの使用頻度または使用量が多く、汚れているのではないかと推定する。一般的に、人は汚れの少ないトイレを利用したいため、扉開閉回数の累計が少ないトイレが自然と利用されやすくなり、結果として設備利用率が平準化される効果がある。設備利用率が平準化されると、掃除が必要な時期、または設備故障の対応等の時期も平準化されるため、掃除巡回効率または設備管理効率が改善される効果がある。
また、トイレの管理者は、各トイレの扉開閉回数等の表示から、全く利用されていない個室または利用頻度の高い個室を把握することができるため、トイレットペーパーを補充する時期、または設備の異常を把握することができる。例えば、管理者は、全く利用されていない設備に、故障または激しい汚れがあることを推測できるし、扉がずっと閉まっている個室の中で人が倒れている可能性があると推測できる。
上記では、作業者情報表示部208による表示の例を説明した。しかし、作業者情報表示部208が表示した内容は、メッセージ生成部207が作成したメッセージとして、メッセージ生成部207から作業者端末1に送信され、作業者端末1で通知されても良い。メッセージの通知という方法によっても、作業者情報表示部208による表示と同様の効果が得られる。また、上記では、トイレの扉の開閉回数を外部情報とする例を説明したが、外部情報の表示または通知は、トイレ以外の設備の利用回数に関しても適用可能であり、同様の効果が得られる。
メッセージルール記憶部206は、「近い順に2つのトイレの空き状況を通知する」、「距離20m以内のトイレの空き状況を通知する」、または「現在いる建物のトイレの空き状況を通知する」というメッセージルールを記憶しても良い。メッセージ生成部207はこれらのメッセージルールに従いメッセージを作成し、作業者端末1に送信する。作業者端末1のメッセージ表示部109は、メッセージを受信すると直ちに表示する。この例では、メッセージの内容がトイレの空き状況であるが、例えばファミリートイレ、障碍者対応トイレ、または授乳室といった設備の種類がメッセージの内容に含まれても良い。
作業者端末1の動態送信部104は、作業者が次にどのトイレに行くつもりかという予告(以下、「トイレ予告」とも称する)を作業者動態情報として、管理サーバー2の動態取得部203に送信しても良い。図22は、トイレ予告を行う際の作業者端末1を示している。作業者端末1には、作業者情報表示部208の表示画面となるWeb画面310が表示されている。Web画面310には外部情報として、各トイレの混雑度と、トイレ予告の通りにトイレに行くともらえるポイントの情報が表示されている。また、Web画面310には作業者動態情報として、各トイレのトイレ予告を行った人数が表示されている。
作業者は、作業者端末1に表示された入力先選択ボタン311により、どのトイレに行く予告を行うかを選択し、予告ボタン312により予告を行う。ここで、入力先選択ボタン311と予告ボタン312は動態取得部103を構成している。作業者による上記の操作によって、動態取得部103は「トイレ2の男性トイレに行くという予告」を作業者動態情報として取得する。同時に、動態取得部103は、作業者が予告操作を行った時点での作業者端末1の位置情報(以下、「予告時の位置情報」と称する)を位置取得部101から取得し、作業者動態情報とする。動態送信部104は、「トイレ2の男性トイレに行くという予告」と、予告時の位置情報を、作業者動態情報として管理サーバー2の動態取得部203に送信する。
また、メッセージルール送信部106は、2つのメッセージルールをメッセージルール取得部205に送信する。第1メッセージルールは、「通知タイミング:作業者動態情報がトイレ予告の場合、通知内容:トイレ予告、予告されたトイレ、予告を行った時刻、予告時の位置情報、通知先:外部システム3b(トイレ予告システム)」である。第2メッセージルールは、「通知タイミング:予告されたトイレ(トイレ2)と作業者位置情報が近づいたとき、通知内容:予告時の位置情報および作業者動態情報、予告を行った時刻、予告を行った作業者端末1の固有情報、予告したトイレに到達した時刻、通知先:外部システム3b(トイレ予告システム)」である。
メッセージルール記憶部206は、メッセージルール取得部205が受信したメッセージルールを記憶する。メッセージ生成部207は、第1メッセージルールに基づき、「トイレ予告、予告されたトイレ、予告を行った時刻、予告時の位置情報」を通知内容とするメッセージを作成し、外部システム3bに送信する。管理サーバー2は、位置取得部201で作業者端末1の位置を取得し、位置記憶部202に記憶している。従って、トイレ予告をした作業者端末1が予告位置、すなわちトイレ2に到達したとき、位置記憶部202には作業者端末1がトイレ2に到達したこととその時刻が記憶される。
メッセージ生成部207は、第2メッセージルールに基づき、位置記憶部202から作業者位置情報を取得し、作業者端末1とトイレ2の位置が近ければ、「予告時の位置情報および作業者動態情報、予告を行った時刻、予告を行った作業者端末1の固有情報、予告したトイレに到達した時刻」を通知内容とするメッセージを作成し、外部システム3bに送信する。このとき、メッセージ生成部207は、予告の場所に到達したことを通知するメッセージを作業者端末1のメッセージ表示部109に送信しても良い。このメッセージの内容に、QRコードまたはパスコードを含めることにより、予告者への特典、例えばポイントまたは優先権等を与えることが可能となる。
なお、上記の例では、管理サーバー2が作業者位置情報を取得し、予告場所に到達したことを作業者端末1に通知したが、作業者端末1が管理サーバー2に、予告場所に到達したことを通知しても良い。具体的には、作業者端末1が予告場所に到達した際に、作業者位置情報が位置取得部101に取得され、位置送信部102から管理サーバー2の位置取得部201に送信される。
上記の例では、トイレ予告が作業者動態情報として管理サーバー2に送信される。これにより、作業者情報表示部208は、現在の混雑状況だけでなく、将来的な混雑状況を予測可能な情報を表示することも可能である。また、メッセージ生成部207は、作業者端末1が予告トイレに到達したときに、予告時の作業者位置情報および作業者動態情報、予告を行った時刻、予告を行った作業者端末1の固有情報、予告された場所に到達した時刻を通知内容とするメッセージを送信する。従って、管理サーバー2は、作業者端末1が例えば遠くの空いているトイレに到達した場合に、移動距離または混雑度に応じたポイントを発行することが可能である。例えば商業施設では、利用客を遠くのトイレへ誘導することにより、利用客がトイレまでの移動過程で多くの店舗のディスプレイを見たり、知らない店舗を知ったり、購買数が向上したりするという効果がある。
<B−5.スタンプラリー>
位置記憶部202に記憶される作業者位置情報を用いて、トイレ、設備、または店舗等のスタンプラリーを実施することが可能である。
まず、スタンプラリー開始時に、作業者端末1の動態送信部104は、スタンプラリーを開始するという作業者動態情報を管理サーバー2の動態取得部203へ送信する。それと同時に、メッセージルール送信部106は、「通知タイミング:作業者端末1が特定位置A,B,Cのいずれかに到達したとき、通知先:作業者端末1と外部システム3b、通知内容:作業者位置情報、作業者動態情報、作業者端末1の固有情報、到達時刻」という第3メッセージルールを管理サーバー2のメッセージルール取得部205に送信する。ここで、特定位置A,B,Cは、スタンプラリーを実施する場所の位置である。
作業者端末1が特定位置A,B,Cのいずれかに到達すると、位置送信部102は作業者位置情報を管理サーバー2の位置取得部201に送信し、動態送信部104は「到達した」という内容または到達した特定位置にある店舗等の写真を作業者動態情報として、管理サーバー2の動態取得部203に送信する。あるいは、作業者端末1は定期的に作業者位置情報を位置取得部201に送信してもよい。管理サーバー2のメッセージ生成部207は、第3メッセージルールに基づき「作業者位置情報、作業者動態情報、作業者端末1の固有情報、到達時刻」を通知内容とするメッセージを作成し、作業者端末1と外部システム3bに送信する。
以上の例により、管理サーバー2と作業者端末1を用いて電子的なスタンプラリーを実現することが可能となる。スタンプラリーの結果に応じて、作業者端末1のユーザである作業者はポイント等の特典を受けることが可能となる。
<B−6.効果>
実施の形態2の情報共有装置1002において、管理サーバー2は、外部情報取得部210によって、外部の装置の状態または値等の外部情報を取得することができる。従って、メッセージ生成部207は、外部情報を用いてメッセージを作成することができる。例えば、メッセージ生成部207は、通知内容に外部情報を含むメッセージを作成することができる。この構成により、作業員が作業者端末1をもって移動すると、例えば、最寄りの装置の前回の作業者の作業者動態情報と作業対象の装置のそのときの状態を、作業者端末1に同時に表示することが可能となる。また、作業者端末1の最寄りの装置の現在値を自動的にリアルタイムに作業者端末1に表示することが可能であるため、効率よく現在の設備または装置の状況を確認できると共に、前回の作業情報の確認も効率的に行える。
また、作業者情報表示部208は、作業者動態情報と外部情報である装置または設備の状態情報とを同時にフロアマップ上に表示することができる。そのため、作業者の動態情報と作業対象の装置または設備の状態を一元的に可視化することが可能となる。
<C.実施の形態3>
<C−1.構成>
図23は、実施の形態3の情報共有装置1003の構成を示すブロック図である。情報共有装置1003は、管理サーバー2が動態整理部209を備える点で実施の形態1の情報共有装置1001と異なっている。以下、実施の形態1との相違点について説明する。
図24に示す事例では、作業者30が作業者端末1を用いて、常時、動態取得部103に作業者動態情報を入力する。しかし、これに限ったものではない。作業者が作業者端末1を持ち、進行方向に進みながら作業者端末1のマイクに対して音声によるテキスト入力を行う。動態取得部103は、常時、マイクで音声認識されたテキストを作業者動態情報として取得する。位置取得部101は、定期的に最寄りの位置センサのIDを取得する。なお、どの位置センサが最寄りかは、位置センサからの電波強度等で判断することができる。図24の事例では、動態取得部103が動態情報(1)、(2)を取得したときの作業者位置情報が、位置センサA21であり、動態情報(3)、(4)を取得したときの作業者位置情報が、位置センサB41であるものとする。動態送信部104から動態取得部203に送信され、動態記憶部204に記憶される作業者動態情報と作業者位置情報の組み合わせは、[動態情報(1)、位置センサA]、[動態情報(2)、位置センサA]、[動態情報(3)、位置センサB]、[動態情報(4)、位置センサB]となる。以下、作業者動態情報と、これに紐づけられた作業者位置情報とをまとめて動態位置情報と称する。
位置取得部101が取得する作業者位置情報は、最寄りの位置センサのIDだけでなく、位置センサの電波強度を含んでいても良い。この場合、動態記憶部204に記憶される動態位置情報は、[動態情報(1)、位置センサA:強度80]、[動態情報(2)、位置センサA:強度70、位置センサB:強度40]、[動態情報(3)、位置センサA:強度40、位置センサB:強度60]、[動態情報(4)、位置センサB:強度75]等となる。あるいは、位置センサAと装置Aが近く、位置センサBと装置Bが近いという情報を用いて、動態記憶部204に記憶される作業者動態情報と作業者位置情報の組み合わせは、[動態情報(1)、装置A]、[動態情報(2)、装置A]、[動態情報(3)、装置B]、[動態情報(4)、装置B]であってもよい。
動態整理部209は、動態記憶部204から動態位置情報を取得し、動態位置情報の内容に応じて、動態位置情報に含まれる作業者動態情報と作業者位置情報の紐付けを変更する。例えば、動態整理部209は、作業者動態情報に含まれるテキストを形態素解析の技術を用いて単語に分解し、特定の単語の組み合わせから内容を判断し、作業者動態情報と作業者位置情報の紐付けを変更する。
まず、動態整理部209は、作業者動態情報の内容を判断する。図24の例では、位置センサA21が装置A40の近くに設置され、位置センサB22が装置B41の近くに設置されている。従って、動態整理部209は装置A40に関連する単語を位置センサA21に紐づけ、装置B41に関連する単語を位置センサB22に紐づける。装置A40に関連する単語には、「装置A」という単語、または装置A40の部品等の単語がある。また、装置B41に関連する単語には、「装置B」という単語、または装置B41の部品等の単語がある。
動態整理部209は、取得した各作業者動態情報に含まれる単語および単語の組み合わせから、作業者動態情報の内容を判断する。例えば、動態情報(1)に含まれる単語が「装置A」に関するもの45%、「装置B」に関するもの20%、その他35%等であるとする。この場合、「装置A」に関する単語が最も多いため、動態整理部209は動態情報(1)の内容を「装置A」に関するものと判断する。ここで、動態整理部209は、その他を除いた割合の中で最も多い単語の種類から作業者動態情報の内容を判断しても良いし、ニューラルネット等の機械学習手法を用いてあらかじめデータを大量に学習させ、その学習データを用いて動態情報の内容を判断してもよい。その結果、動態整理部209は、動態情報(1)−(3)は装置Aに関する内容であり、動態情報(4)は装置Bに関する内容であると判断する。
次に、動態整理部209は、作業者動態情報の内容に合わせて、作業者動態情報と作業者位置情報の紐付けを変更する。具体的には、動態整理部209は、動態位置情報を[動態情報(1)、装置A]、[動態情報(2)、装置A]、[動態情報(3)、装置A]、[動態情報(4)、装置B]とする。あるいは、位置センサA21は装置A40の近くに設置され、位置センサB22は装置B41の近くに設置されているという情報に基づき、動態整理部209は、[動態情報(1)、位置センサA]、[動態情報(2)、位置センサA]、[動態情報(3)、位置センサA]、[動態情報(4)、位置センサB]とする。
以上の例で用いた、位置センサのID、最寄りの設備名称、最寄りの設備名に関連する単語、その単語を用いた内容判断式等の紐付けと設定、および学習データ等は、動態整理部209にあらかじめ設定されており、後から変更可能である。
このように、動態整理部209は作業者動態情報の内容を判断し、作業者動態情報と作業者位置情報の紐付けを変更する。これにより、2つの位置センサの間で入力された同じ設備についての作業者動態情報、または異なる位置で入力された同じ設備についての発話である作業者動態情報等が、それらの内容によって同じ作業者位置情報に紐づけられる。従って、管理サーバー2は、同じ設備についての話等、同じ話題を途切れることなく表示したり、検索したりすることが可能となる。
<C−2.変形例>
動態整理部209は、動態記憶部204に記憶された作業者動態情報の内容を訂正しても良い。作業者動態情報が発話を音声認識したテキストである場合、作業者が言い間違え等のミスをしてしまい、入力した作業者動態情報を取り消したいことがある。そこで、動態整理部209では、作業者動態情報に含まれる特定単語に基づいて作業者動態情報を編集する。特定単語とは、例えば、「やり直し」、「取り消し」、「登録」、「記録」等である。例えば、動態記憶部204に記憶される作業者動態情報の中に、「X基板を点検、やり直し、X基板を交換、登録」というテキストが存在したとする。動態整理部209は形態素解析を用いてテキストの単語を分解し、特定単語の「やり直し」と「登録」を抽出する。動態整理部209は、特定単語「やり直し」の前までの文章「X基板を点検、」を削除し、「登録」の前までの文章「X基板を交換」を残すことにより、作業者動態情報を「X基板を交換」というテキストに編集し、動態記憶部204に記憶する。
どの単語を特定単語と扱うか、または特定単語に対してどのようにテキストを変更するかというルールは、動態整理部209に予め設定されていてもよいし、後から編集可能であってもよい。
<C−3.効果>
実施の形態3の情報共有装置1003によれば、管理サーバー2が動態整理部209を備える。動態記憶部204に記憶された作業者動態情報と、位置記憶部202に記憶された作業者位置情報は、紐づけられている。動態整理部209は、動態取得部203が取得した作業者動態情報を編集する。例えば、動態整理部209は、作業者動態情報の内容に応じて、作業者動態情報と作業者位置情報の紐づけを変更する。従って、作業者動態情報は、単に入力地点の最寄りの作業者位置情報に紐づけられるのではなく、その内容に応じた適切な作業者位置情報に紐づけられる。
<D.実施の形態4>
<D−1.構成>
図25は、実施の形態4の情報共有装置1004の構成を示すブロック図である。情報共有装置1004は、作業者端末1が動態整理部111を備えるという点で、実施の形態1の情報共有装置1001と異なる。それ以外の点で、情報共有装置1004は情報共有装置1001と同様である。以下では、実施の形態1との相違点について説明する。
<D−2.動態整理部>
動態整理部111は動態取得部103が取得した作業者動態情報を編集して動態送信部104に渡す。動態整理部111による作業者動態情報の編集は、実施の形態3の変形例で説明した動態整理部209による編集と同様である。
また、動態整理部111は、作業者動態情報中の特定単語「の場所に登録」に基づき、作業者動態情報と作業者位置情報の紐付けを行ってもよい。例えば、動態取得部103が「X基板交換、装置Aの場所に登録」という作業者動態情報を取得したとする。動態整理部111は「の場所に登録」という特定単語を抽出し、特定単語の前の「装置A」という単語を基に、作業者動態情報を「X基板交換」に編集すると共に、当該作業者動態情報を作業者位置情報「装置A」に紐づける。これにより、作業者は、作業者動態情報の中に特定の単語「の場所に登録」を含めることにより、作業者動態情報の入力時の位置と無関係に、特定の装置または位置センサに作業者動態情報を紐づけさせることができる。
動態整理部111が作業者動態情報の編集に用いる特定単語、および特定単語に対するテキストの変更ルールは、動態整理部111に予め設定されていてもよいし、後から編集できてもよい。
<D−3.効果>
実施の形態4の情報共有装置1004は、作業者端末1が動態整理部111を備える。動態整理部111は、動態取得部103が取得した作業者動態情報を編集し、動態送信部104に渡す。従って、作業者端末1は、作業者が作業者動態情報を音声で入力する際の言い間違いを修正することができる。また、作業者端末1は、作業者動態情報の入力時の作業者位置情報とは無関係に、作業者が希望する特定の作業者位置情報に作業者動態情報を紐づけることが可能となる。
<E.実施の形態5>
<E−1.構成>
図26は、実施の形態5の情報共有装置1005の構成を示すブロック図である。情報共有装置1005は、実施の形態1の情報共有装置1001と比較すると、作業者端末1がメッセージ表示部109に代えてメッセージ表示部1092を備える点で異なる。それ以外の点で、情報共有装置1004は情報共有装置1001と同様である。以下では、実施の形態1との相違点について説明する。
<E−2.動作>
実施の形態5の情報共有装置1005は、まず、作業者端末1においてメッセージ表示部1092にメッセージの概要を通知した後、さらに詳細な通知を行う。
図27に示すように、作業者A71は作業者端末1aを保有し、装置A40を点検するものとする。装置A40の近くには位置センサ21が設置されている。作業者A71による点検の前に、作業者Bが装置A40を点検しており、次回の点検者に作業者動態情報を通知したいと考えたとする。作業者Bは、作業者端末1bのメッセージルール入力部105に、メッセージルール5−1「通知タイミング:次回点検日以降に作業者端末1aが装置Aに近づいたとき、通知内容:作業者動態情報、通知先:作業者端末1a」を入力する。このメッセージルール5−1は、メッセージルール送信部106から管理サーバー2のメッセージルール取得部205に送信され、メッセージルール記憶部206で記憶される。
同時に、作業者端末1bの動態送信部104は、「部品Xの変色が見られる。詳細はマーカーにカメラをかざして確認」という作業者動態情報を管理サーバー2の動態取得部203に送信する。この作業者動態情報は、動態記憶部204に記憶される。このとき、作業者端末1bから管理サーバー2へは、作業者動態情報とメッセージルールの紐付け情報も送信される。
さらに、作業者Bは、部品Xの写真を撮影し、部品Xの写真と「○月×日hh時mm分、発信a、部品Xの△部に錆のような色が見られる、次回点検時にさらに変色が進んでいるか確認すること」等のテキストを、詳細な作業者動態情報として動態取得部103に入力する。この詳細な作業者動態情報は、動態送信部104から管理サーバー2の動態取得部203に送信され、動態記憶部204に記憶される。
このとき、動態記憶部204は、詳細な作業者動態情報を、作業者位置情報、すなわちマーカー318をカメラ撮影したときに得られる位置情報に紐付けておく。
同時に、作業者端末1bのメッセージルール送信部106は、メッセージルール5−2「通知タイミング:作業者端末1aが位置センサAの近くで、かつ、マーカーを撮影したら取得される位置情報の位置にあるとき、通知内容:詳細な作業者動態情報」を管理サーバー2のメッセージルール取得部205に送信する。マーカー318は、特定色のシールまたはQRコード等のシールでもよい。QRコードは、装置Aまたは部品Xの撮影画像を画像処理して得られるエッジ等の自然特徴量から作成されてもよい。マーカーをシールにすることで、必要なときに必要な場所に貼ることが可能となる。
図27に示すように、作業者A71が作業者端末1aを保有して装置A40に近づいたとき、作業者端末1aの位置取得部101は、位置センサA21と通信して作業者位置情報を取得する。この作業者位置情報は、位置送信部102から管理サーバー2の位置取得部201を経由して、位置記憶部202に記憶される。メッセージ生成部207は、メッセージルール記憶部206からメッセージルール5−1を抽出する。そして、メッセージ生成部207は、メッセージルール5−1に基づき、位置記憶部202に記憶される作業者端末1aの作業者位置情報を取得する。作業者端末1aの作業者位置情報がメッセージルール5−1の通知タイミングに合致するため、メッセージ生成部207は、動態記憶部204から該当する作業者動態情報を抽出してメッセージを生成し、作業者端末1aのメッセージ表示部1092に送信する。
作業者端末1aのメッセージ表示部1092は、「部品Xの変色が見られる。詳細はマーカーにカメラをかざして確認」というメッセージが表示される。作業者A71はこのメッセージに基づき、メッセージ表示部1092から作業者端末1aに付属するカメラを起動してマーカーにかざす。図28は、作業者A71が作業者端末1aに付属するカメラを起動して装置Aのマーカー318にかざした様子を示している。マーカー318にカメラがかざされると、位置取得部101がカメラ画像からマーカー318を読み取り、作業者位置情報を、マーカー318を撮影したら取得される位置情報であると認識する。この作業者位置情報は、作業者端末1aの位置送信部102から管理サーバー2の位置取得部201に送信され、位置記憶部202に記憶される。
メッセージ生成部207は、メッセージルール記憶部206からメッセージ5−2を抽出する。そして、メッセージ生成部207は、メッセージルール5−2に基づき、位置記憶部202に記憶される作業者端末1aの作業者位置情報を取得する。作業者端末1aの作業者位置情報がメッセージルール5−2の通知タイミングに合致するため、メッセージ生成部207は、動態記憶部204から該当する詳細な作業者動態情報を抽出してメッセージを生成し、作業者端末1aのメッセージ表示部1092に送信する。作業者端末1aのメッセージ表示部1092は、送信されたメッセージに基づき、装置A40のマーカー318が撮影されたカメラ画像の上に、詳細な作業者動態情報、すなわち部品Xの点検時の写真とテキストメッセージを重畳表示する。
以上の例では、メッセージルール入力部がメッセージルール5−2「通知タイミング:作業者端末1aが位置センサAの近くで、かつ、マーカーを撮影したら取得される位置情報の位置にあるとき、通知内容:詳細な作業者動態情報」を設定した。しかし、作業者端末1bはメッセージルール5−2に代えてメッセージリクエストルールを利用しても良い。この場合、作業者A71がマーカー318にカメラをかざすと、リクエストルール入力部110がカメラ画像からマーカー318を読み取ってリクエストルール記憶部107に記憶する。そして、リクエスト部108は、管理サーバー2のメッセージ生成部207にメッセージ生成をリクエストする。すなわち、リクエストルールは、「カメラがマーカー318を撮影すること」である。メッセージ生成部207は、メッセージリクエストに基づき、動態記憶部204に記憶されている詳細な動態情報を、マーカー318の位置情報をキーとして取得し、メッセージ表示部1092に送信する。
メッセージルール5−1に基づく1段階目の通知は、位置センサA21の近くで行われるため、装置A40の近くに重要な情報があることを通知するのに適しているが、さらに詳細な位置の情報を伝えることには適していない。そこで、管理サーバー2は、装置A40に付されたマーカー318をカメラで撮影したときの作業者端末1aの位置、すなわちマーカー位置を用いたメッセージルール5−2またはリクエストルールによって、2段階目の作業者動態情報を通知する。これにより、作業者a71に装置A40の周辺でメッセージの存在に気付かせると共に、マーカー318でより詳細な位置を示してメッセージの詳細を伝えることが可能となる。
また、図28に示すように、メッセージ表示部1092は、現在の画像の隣に前回点検時の写真を表示することで、現在と前回の差を容易に比較することが可能となる。
<E−3.効果>
実施の形態5の情報共有装置1005によれば、作業者端末1はカメラを備えており、リクエストルールは、カメラが特定の位置に設けられたマーカー38を撮影することである。これにより、作業者端末1は、必要なときに詳細なメッセージを管理サーバー2から取得することが可能となる。
上述した情報共有装置1001−1005における、作業者端末1と管理サーバー2は、処理回路により実現される。すなわち、処理回路は、作業者端末1と管理サーバー2の構成要素を備える。処理回路には、専用のハードウェアが適用されても良いし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されても良い。プロセッサは、例えば中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。処理回路がプロセッサである場合、作業者端末1と管理サーバー2の各構成要素は、ソフトウェア等(ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェア)との組み合わせにより実現される。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路に適用されるプロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。