<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機を図1〜図9を参照して以下に説明する。図1に示す本実施形態の紙幣処理機11は、紙幣についての入出金処理等を行うものである。
第1実施形態の紙幣処理機11は、その前面側の上部に入出金部21(入金部,出金部)が設けられている。入出金部21は、開閉可能なシャッタ20を有しており、シャッタ20が開状態とされて機外からバラ紙幣が投入され、その後、シャッタ20が閉じられて紙幣を機内に繰り出す。また、入出金部21は、シャッタ20が閉状態とされて機内から出金用のバラ紙幣が繰り出され、その後、シャッタ20が開かれることでバラ紙幣が機外に取り出される。
入出金部21は、その底部を構成する載置板22が後下がりに傾斜した姿勢で昇降可能に設けられており、その奥側の支承面23が載置板22と直交するように後上がりに傾斜して設けられている。入出金部21には、機体前面側から見て紙幣が左右方向に長さ方向を沿わせた姿勢で載置板22上に後上がりに上下に集積されることになり、紙幣は載置板22の傾斜により後端縁が支承面23に当接する。入出金部21の上部には、入出金部21の載置板22上に集積されたバラ紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて機内へ繰り出すとともに機内からの紙幣を入出金部21に繰り出す入出金繰出部24(繰出部)が設けられている。入出金部21には、載置板22上の紙幣の有無を検知する紙幣検知センサ19と、入出金繰出部24で繰り出す紙幣を検知して計数する繰出検知センサ25(計数部)とが設けられている。紙幣は、紙幣処理機11内で、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送される。
入出金部21から紙幣を繰り出す入出金繰出部24は、載置板22上に集積された紙幣のうちの最も上側の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを機内側に蹴り出す蹴出ローラ24aと、蹴出ローラ24aで蹴り出された紙幣を機内に繰り出す繰出ローラ24bと、繰出ローラ24bで機内に繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ24cとを有している。繰出検知センサ25による紙幣の検知に基づいて入出金繰出部24を停止させると、当該紙幣の次の紙幣は入出金繰出部24で繰り出されることなく入出金部21内の載置板22上に留まる。
入出金部21の下側には、紙幣処理機11の前面位置に、受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト部26が設けられている。入出金部21および入金リジェクト部26の後側には、出金不可と判定された出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト部27が設けられており、出金リジェクト部27の後方の下部には紙幣を識別する識別部28が設けられている。識別部28は、紙幣の金種、表裏、紙幣上下および紙幣左右等を識別する。
また、出金リジェクト部27の後方の上部には紙幣を整列させて所定の結束枚数集積させる整列部30が設けられており、この整列部30の上部には、整列部30で集積された結束枚数の紙幣に結束テープを巻き回して小束紙幣とする結束部31が設けられている。この結束部31の前側には結束部31で作成された小束紙幣を機外に取り出し可能に繰り出す束出金部32が設けられている。
また、紙幣処理機11の下部には、複数具体的には5個の同様の構造の紙幣収納カセット35(繰出収納部)が、上下左右の位置を合わせて水平直線状の紙幣収納カセット配列方向に配列されている。この紙幣収納カセット配列方向は、紙幣処理機11の前後方向となっている。最も奥側に配置された紙幣収納カセット35(A)、奥から2番目に配置された紙幣収納カセット35(B)および奥から3番目に配置された紙幣収納カセット35(C)は、いずれも入金確定後の所定の単一金種のバラ紙幣を上下に集積させた状態で収納するものであり、前から2番目に配置された紙幣収納カセット35(D)は、入金確定後のバラ紙幣を金種混合で上下に集積させた状態で収納するものである。
紙幣収納カセット35(A)は、所定の第1の単一金種の紙幣(例えば万円券)を、紙幣収納カセット35(B)は、所定の第2の単一金種の紙幣(例えば五千円券)を、紙幣収納カセット35(C)は、所定の第3の単一金種の紙幣(例えば千円券)を、紙幣収納カセット35(D)は、所定の第4の単一金種の紙幣(例えば二千円券)および紙幣収納カセット35(A)〜35(C)で収納しきれないオーバーフロー紙幣を、それぞれ収納する。最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)は、入金された入金確定前のバラ紙幣を上下に集積させた状態で一時貯留するプールカセットである。
紙幣収納カセット35(A)〜35(E)のそれぞれの上部には、それぞれの内部に紙幣を繰り出すとともに内部の紙幣を最上面の紙幣から一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す繰出部36と、繰出部36で繰り出す紙幣を検知して計数する繰出検知センサ37とが設けられている。紙幣収納カセット35(A)〜35(E)は、それぞれが、繰出部36によって紙幣を繰り出し可能に収納する。紙幣収納カセット35(A)〜35(E)は、それぞれが、繰出検知センサ37で紙幣を検知した時点で繰出部36を停止させると、当該紙幣の次の紙幣は繰出部36で繰り出されることなく内部に留める。繰出検知センサ37は繰出部36の駆動中に紙幣の停滞を検知することでジャム等の繰り出し異常も検知する。
紙幣収納カセット35(A)〜35(E)のそれぞれの内部には、繰出部36から紙幣収納カセット35内に繰り出された紙幣を上下方向に集積させる昇降可能なエレベータ38が設けられている。繰出部36は、エレベータ38上に集積された紙幣のうちの最も上側の紙幣すなわち最上面の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを蹴り出す蹴出ローラ36aと、蹴出ローラ36aで蹴り出された紙幣を繰り出す繰出ローラ36bと、繰出ローラ36bで繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ36cとを有している。
紙幣処理機11は、装置主体部45と、装置主体部45から紙幣処理機11の前後方向に沿って前面側に引き出し可能な引出体46とを有しており、引出体46に対し、複数具体的には5個の紙幣収納カセット35(A)〜35(E)が、個別に着脱可能となっている。紙幣収納カセット35(A)〜35(E)は、引出体46が装置主体部45から引き出された状態で、引出体46に対し着脱される。
紙幣処理機11の内部には、入出金部21から入出金繰出部24で繰り出された紙幣を含んで紙幣を搬送する搬送部41が各部を適宜繋ぐように設けられている。搬送部41は、紙幣を、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で紙幣処理機11内で移動させる。搬送部41は、入出金繰出部24から後上がりに延出した後、後下がりに延出し、さらに鉛直下方に延出し、その後、前側に一端延出した後、下側にて後向きに折り返して後方に延出し、途中上側に凸状に屈曲した後、識別部28を通り、下側にて前向きに折り返して前方に延出し紙幣処理機11の前端から下方に若干延出する搬送路41Aと、搬送路41Aに連続するように最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)に設けられた搬送路41Cとを有している。識別部28は、搬送部41によって搬送される紙幣を識別することになり、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)は、識別部28によって識別された紙幣を繰り出し可能に収納する。
また、搬送部41は、搬送路41Aの下部の途中から分岐する搬送路41Dと、搬送路41Dに連続するように最も奥側に配置された紙幣収納カセット35(A)に設けられた搬送路41Eと、搬送路41Aの搬送路41Dよりも紙幣収納カセット35(E)側から分岐する搬送路41Fと、搬送路41Fに連続するように奥から2番目に配置された紙幣収納カセット35(B)に設けられた搬送路41Gと、搬送路41Aの搬送路41Fよりも紙幣収納カセット35(E)側から分岐する搬送路41Hと、搬送路41Hに連続するように奥から3番目に配置された紙幣収納カセット35(C)に設けられた搬送路41Iと、搬送路41Aの搬送路41Hよりも紙幣収納カセット35(E)側から分岐する搬送路41Jと、搬送路41Jに連続するように前から2番目に配置された紙幣収納カセット35(D)に設けられた搬送路41Kと、搬送路41Aの搬送路41Jの分岐位置と紙幣収納カセット35(E)との間から分岐して上方に延出した後に後方に延出して搬送路41Aの入出金部21と識別部28との間に繋がる搬送路41Lとを有している。
また、搬送部41は、搬送路41Aの搬送路41Jの分岐位置と搬送路41Lの分岐位置との間位置から分岐して上方に延出し搬送路41Lの途中位置に繋がる搬送路41Nと、搬送路41Lにおける搬送路41Nの接続位置と搬送路41Aへの接続位置との間位置から分岐して入金リジェクト部26に繋がる搬送路41Pと、搬送路41Aにおける搬送路41Lの接続位置と入出金部21との間位置から分岐し前方に延出して搬送路41Pの途中位置に繋がる搬送路41Qと、搬送路41Pにおける搬送路41Qの接続位置と入金リジェクト部26との間位置から上方に分岐し後上がりに延出して出金リジェクト部27に繋がる搬送路41Rとを有している。
また、搬送部41は、搬送路41Aにおける入出金部21と搬送路41Qの分岐位置との間と、搬送路41Aにおける搬送路41Lの接続位置と識別部28との間とを繋ぐ搬送路41Sと、搬送路41Aにおける搬送路41Sの接続位置と入出金部21との間位置から後方に分岐して整列部30に繋がる搬送路41Tとを有している。搬送路41Sには、紙幣の表裏を反転させる表裏反転部43が設けられている。
搬送路41Sは、搬送路41Aにおける並列区間部41Uと並列に配置されており、この並列区間部41Uと搬送路41Sと搬送路41Sに設けられた表裏反転部43とが、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)から識別部28を通って入出金部21に繰り出される紙幣の向きを変更可能な紙幣向き変更部44(出金時向き変更部)を構成している。紙幣向き変更部44は、識別部28と入出金部21との間にある構成に留まらず、特開2015−022709号公報に示されるように、入出金部21に隣接して設けられる構成であっても良い。
紙幣向き変更部44は、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)から識別部28を通って入出金部21に繰り出される紙幣を、並列区間部41Uで搬送すると、向きを変更することなくそのまま搬送することになり、搬送路41Sで搬送すると、表裏反転部43で向きを変更する。具体的には、紙幣の長手方向すなわち紙幣左右の向きはそのままで、表裏を反転し、よって搬送方向に対し、紙幣上下を反転する。
ここで、図2に示すように、紙幣Sの人物像Jが描かれた面が表面H、その裏が裏面R、紙幣Sの短手方向における人物像Jの頭側が紙幣上側、紙幣人物像の胴体側が紙幣下側、紙幣Sの長手方向における人物像J側が紙幣右側、その反対側が紙幣左側である。
表裏反転部43は、その入口側(識別部28側)で、図2(a)に示すように、鉛直方向上側が表面Hで、搬送方向先側が紙幣上側の向きで表裏反転部43に向け矢印Xで示す方向に搬送されていた紙幣Sを、その出口側(識別部28とは反対側)で、図2(b)に示すように、紙幣左右の向きはそのまま、鉛直方向上側が裏面Rで、搬送方向先側が紙幣下側の向きで表裏反転部43から離れる方向に向け矢印Xで示す方向に搬送する。
同様に、表裏反転部43は、その入口側で、図2(b)に示すように、鉛直方向上側が裏面Rで搬送方向先側が紙幣下側の向きで表裏反転部43に向け矢印Xで示す方向に搬送されていた紙幣Sを、その出口側で、図2(a)に示すように、紙幣左右の向きはそのまま、鉛直方向上側が表面Hで搬送方向先側が紙幣上側の向きで表裏反転部43から離れる方向に向け矢印Xで示す方向に搬送する。
同様に、表裏反転部43は、その入口側で、図2(c)に示すように、鉛直方向上側が表面Hで搬送方向先側が紙幣下側の向きで表裏反転部43に向け矢印Xで示す方向に搬送されていた紙幣を、その出口側で、図2(d)に示すように、紙幣左右の向きはそのまま、鉛直方向上側が裏面Rで搬送方向先側が紙幣上側の向きで表裏反転部43から離れる方向に向け矢印Xで示す方向に搬送する。
同様に、表裏反転部43は、その入口側で、図2(d)に示すように、鉛直方向上側が裏面Rで搬送方向先側が紙幣上側の向きで表裏反転部43に向け矢印Xで示す方向に搬送されていた紙幣を、その出口側で、図2(c)に示すように、紙幣左右の向きはそのまま、鉛直方向上側が表面Hで搬送方向先側が紙幣下側の向きで表裏反転部43から離れる方向に向け矢印Xで示す方向に搬送する。
言い換えれば、表裏反転部43は、短手方向に沿って搬送されて入口から進入する紙幣を、その紙幣左右方向に沿う軸を中心に180°回転させることにより表裏を反転させた後、出口から短手方向に沿って繰り出す。
図1に示すように、紙幣処理機11は、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う操作表示部15(報知手段,モード選択設定手段)と、紙幣処理機11の全体を制御する制御部16(制御手段)とを有している。
[通常入金処理]
図3の太線は、機外から入出金部21に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数して一時貯留する通常入金処理のルートを示している。つまり、操作表示部15に通常入金処理の選択操作がなされると、制御部16は、シャッタ20を開き、その後、入出金部21の載置板22上にバラ紙幣が載置されたことを紙幣検知センサ19で検知して、操作表示部15に通常入金処理の実行操作がなされると、シャッタ20を閉じ、載置板22を上昇させて、入出金繰出部24の蹴出ローラ24aに最上面の紙幣を当接させることになる。その後、入出金繰出部24が載置板22上の紙幣を最上面の紙幣から順に、蹴出ローラ24aで蹴り出し繰出ローラ24bおよび分離ローラ24cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41Aで搬送することになる。搬送路41Aでの搬送中に識別部28が紙幣を識別計数することになり、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣(取り扱い可能な金種の紙幣)を、図3に太実線で示すように、搬送路41A,41Cで最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)に搬送する一方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を、図3に太破線で示すように、搬送路41Aから搬送路41N,41L,41Pで入金リジェクト部26に搬送する。これにより、受け入れ可能な紙幣を最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)に一時貯留し、受け入れ不可な紙幣を入金リジェクト部26に放出する。
そして、入出金部21の紙幣がなくなったことが紙幣検知センサ19で検知され、入出金部21から繰り出されたすべての紙幣が、紙幣収納カセット35(E)および入金リジェクト部26のいずれかに搬送されると、制御部16は、識別部28で受け入れ可能と判定して紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣の金種別の枚数および総額等を操作表示部15に表示させて、操作表示部15への承認操作およびキャンセル操作の入力を待機する。
[通常収納処理]
図4の太線は、通常入金処理にて最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣を、操作表示部15への承認操作が入力されたことを条件に、確定して、奥から1番目〜4番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに収納する通常収納処理のルートを示している。つまり、最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)の紙幣を最上面の紙幣からその繰出部36が、蹴出ローラ36aで蹴り出し繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図4に太実線で示すように、搬送路41C,41A,41L,41Aで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、搬送路41A,41D〜41Kの対応するものによって、奥から1番目〜4番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに搬送する。これにより、紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣を、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに収納する。なお、通常収納処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、図4に太破線で示すように、搬送路41A,41N,41L,41P,41Rによって出金リジェクト部27に搬送し、出金リジェクト部27に収納する。ここで、搬送路41Lにおいて、紙幣収納カセット35(E)から識別部28に向かう紙幣と、識別部28から出金リジェクト部27に向かう紙幣とが重なるタイミングのときは、紙幣収納カセット35(E)からの紙幣を繰り出しを一時停止させて、出金リジェクト部27に向かう紙幣を優先して搬送する。
[通常返却処理]
図5の太線は、通常入金処理にて最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣を、操作表示部15へのキャンセル操作が入力されたことを条件に、入出金部21に繰り出す通常返却処理のルートを示している。つまり、最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)の紙幣を最上面の紙幣から繰出部36が、蹴出ローラ36aで蹴り出し繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41C,41Aによって入出金部21に搬送する。これにより、入出金部21に紙幣を返却する。
[バラ紙幣出金処理]
図6の太線は、操作表示部15へ入力されたバラ出金操作に基づいて、最も奥側に配置された紙幣収納カセット35(A)、奥から2番目に配置された紙幣収納カセット35(B)および奥から3番目に配置された紙幣収納カセット35(C)の指定された金種のものから紙幣を出金するバラ紙幣出金処理のルートを示している。つまり、バラ出金処理では、図6に太実線で示すように、奥から1番目〜3番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(C)の指定された金種のものに収納されている紙幣を最上面の紙幣から繰出部36が、蹴出ローラ36aで蹴り出し繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41D〜41Iの対応するものと、搬送路41Aとで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは紙幣向き変更部44の並列区間部41Uを含む搬送路41Aで入出金部21に、表裏反転が必要なものは紙幣向き変更部44の搬送路41Sを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41Aで入出金部21に、それぞれ搬送する。これにより、出金操作に基づくバラ紙幣を入出金部21に表裏を取り揃えながら繰り出す。なお、出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、図6に太破線で示すように、搬送路41Aから、搬送路41Q,41P,41Rによって出金リジェクト部27に搬送し、出金リジェクト部27に収納する。
[束出金処理]
図7の太線は、操作表示部15へ入力された束出金操作に基づいて、奥から1番目〜3番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(C)の指定された金種のものからの紙幣を結束して出金する束出金処理のルートを示している。つまり、束出金処理では、図7に太実線で示すように、奥から1番目〜3番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(C)のうち指定された金種のものに収納されている紙幣を最上面の紙幣から繰出部36が、蹴出ローラ36aで蹴り出し繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41D〜41Iの対応するものと、搬送路41Aとで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは紙幣向き変更部44の並列区間部41Uを含む搬送路41Aと搬送路41Tとで整列部30に、表裏反転が必要なものは紙幣向き変更部44の搬送路41Sを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41A,41Tで整列部30に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の紙幣を結束単位枚数だけ整列部30に繰り出す。そして、結束部31で結束を行い、束出金部32に繰り出す。このような処理を指定された金種毎に指定された束数分行うことになる。なお、束出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、図7に太破線で示すように、搬送路41Aから、搬送路41Q,41P,41Rによって出金リジェクト部27に搬送し、出金リジェクト部27に収納する。
[補充入金処理]
ここで、通常入金処理後の通常収納処理で紙幣を収納し、バラ紙幣出金処理および束出金処理で収納している紙幣を繰り出す、奥から1番目〜3番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(C)においては、紙幣の収納量が所定のニアエンド値よりも少なくなることがある。そのような場合に、紙幣処理機11は、入出金部補充モードが選択設定されることによって補充入金処理を行う。すなわち、紙幣処理機11は、操作表示部15に入出金部補充モードが選択設定されることによって、補充用として入出金部21に投入された対応金種の紙幣を通常入金処理と一部異なる補充入金処理と、通常収納処理と同様の補充収納処理または通常返却処理と一部異なる補充返却処理とを行って、紙幣収納カセット35(E)に一時貯留後、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に補充し、または入出金部21に返却することになる。
補充入金処理は、図3に太線で示す通常入金処理ルートと同様の補充入金処理ルートで紙幣を移動させることになる。ここで、入出金部補充モードでの補充入金処理において、補充用紙幣として官封券の帯封が解かれた状態の新券紙幣が使用される場合がある。この場合に、新券紙幣が、同一金種で例えば3束(300枚)、4束(400枚)と言ったように多量に補充されると、紙幣表裏および紙幣上下の向きが一致した状態で、紙幣収納カセット35(E)のエレベータ38上に積み重ねられたり、紙幣収納カセット35(E)から繰り出されて紙幣収納カセット35(A)〜35(D)のエレベータ38上に積み重ねられたりすることがある。すると、各紙幣のインクにより厚さの厚い部分が集積され、厚さの薄い部分が集積されて、積み重ねられた状態の紙幣の最上面の紙幣に傾斜を生じてしまうことがある。
例えば、特定金種の新券紙幣においては、紙幣上側と紙幣下側とにおいて、その積み上げ高さに違いが出て、積み上げられた紙幣のうちの最上面の紙幣の紙幣上側と紙幣下側、すなわち、紙幣の短手方向において、一側が高く逆側が低くなるように傾斜することがある。このような傾斜を生じる特定金種をAタイプ金種とする。Aタイプ金種としては、万円券および千円券があり、万円券の場合、紙幣上側の方が紙幣下側よりも高くなり、千円券の場合、紙幣下側の方が紙幣上側よりも高くなる。
また、例えば、他の特定金種の新券紙幣においては、紙幣左側と紙幣右側において、その積み上げ高さに違いが出て、積み上げられた紙幣のうちの最上面の紙幣の紙幣左側と紙幣右側、すなわち、紙幣の長手方向において、一側が高く逆側が低くなるように傾斜することがある。このような傾斜を生じる特定金種をBタイプ金種とする。Bタイプ金種としては、5千円券があり、5千円券の場合、人物像側の方が反対側よりも高くなる。
これらAタイプ金種およびBタイプ金種のように、積み上げられた状態で最上面の紙幣が傾斜した状態になると、最上面の紙幣から順に紙幣を繰り出す繰出部36において、繰り出し不良を生じる可能性がある。すなわち、繰出部36は、鉛直方向に積み上げられた紙幣を最上面の紙幣から繰り出す機構であり、積み重ねられた状態の紙幣は、最上面の紙幣の短手方向の中央部分が蹴出ローラ36aに当接し、蹴出ローラ36aによって蹴り出された後、蹴り出し方向前方にある繰出ローラ36bと分離ローラ36cとによって構成された分離繰出機構によって一枚ずつに分離して繰り出されることになる。このような構成の繰出部36に対して、最上面の紙幣が傾斜していると、繰出ローラ36bと分離ローラ36cとからなる分離繰出機構に向けた正しい集積状態とならずに、あるいは、蹴出ローラ36aに正しく接触できなかったりして、正常な分離繰り出しができないと言った繰り出し不良を発生する可能性がある。
例えば、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)において、図8(a)の3面図に示すように、Aタイプ金種である万円券の紙幣を鉛直上側に表面Hを向け、紙幣下側を繰出ローラ36bおよび分離ローラ36c側に向けた状態で集積させると、最上面の紙幣S1が、蹴出ローラ36a側が高く繰出ローラ36bおよび分離ローラ36c側が低くなる。このような状態になると、蹴出ローラ36aで蹴り出された紙幣S1は、繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cに先端が向かわず、繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cで繰り出せなかったり、繰り出せても斜行等の搬送不良を生じてしまう可能性がある。
また、図8(b)の3面図に示すように、Bタイプ金種の紙幣である五千円券の紙幣を鉛直上側に表面Hを向け、紙幣下側を繰出ローラ36bおよび分離ローラ36c側に向けた状態で集積させると、最上面の紙幣S1が、紙幣左右方向において人物像J側が反対側よりも高くなる。このような状態になると、蹴出ローラ36aで蹴り出された紙幣S1は、繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cに先端が部分的に向かわず、繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cで繰り出せなかったり、繰り出せても斜行等の搬送不良を生じてしまう可能性がある。
また、図8(c)の3面図に示すように、Aタイプ金種である千円券の紙幣を鉛直上側に表面Hを向け、紙幣下側を繰出ローラ36bおよび分離ローラ36c側に向けた状態で集積させると、最上面の紙幣S1が、蹴出ローラ36a側が低く繰出ローラ36bおよび分離ローラ36c側が高くなる。このような状態になると、蹴出ローラ36aが空回りして紙幣S1を良好に蹴り出すことができず、繰出ローラ36bおよび分離ローラ36cで紙幣S1を繰り出せなかったり、繰り出せても斜行等の搬送不良を生じてしまう可能性がある。
このため、第1実施形態の紙幣処理機11では、制御部16が、入出金部補充モードで行われる補充入金処理中に、入出金部21の入出金繰出部24から、同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたか否かを所定の基準で判定し、該判定の結果に基づいて入出金繰出部24の停止を制御して、紙幣の向きを変えさせることにより、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)において、最上面の紙幣S1の傾斜を抑制する傾斜抑制案内制御を行う。
制御部16は、識別部28が、Aタイプ金種およびBタイプ金種のうちの一方の同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する紙幣群(以下、これを便宜上、判定用紙幣と称す。)を検出すると、入出金部21の入出金繰出部24から、Aタイプ金種およびBタイプ金種のうちの一方の同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定する。すると、制御部16は、入出金部21の入出金繰出部24を停止させるとともに、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。
ここで、制御部16は、入出金部21の直後に設けられた繰出検知センサ25と識別部28で検知された紙幣との対応関係、すなわち識別部28で検知された紙幣が繰出検知センサ25で検知されたどの紙幣であるかを把握している。そして、制御部16は、より具体的には、識別部28が、Aタイプ金種およびBタイプ金種のうちの一方の同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの第1の所定枚数である80枚連続する判定用紙幣を検出すると、入出金部21の入出金繰出部24からAタイプ金種およびBタイプ金種のうちの一方の同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで第1の所定枚数である80枚連続して繰り出されたと判定する。すると、その後、入出金部21の直後に設けられた繰出検知センサ25で、上記判定用紙幣の1枚目から数えて、第2の所定枚数である100枚の紙幣を計数すると、入出金部21の入出金繰出部24を停止させる。勿論、識別部28で、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの第1の所定枚数である80枚連続する判定用紙幣を検出しなければ、入出金部21の入出金繰出部24を停止させることはなく、紙幣の金種や向きが変わる度に、判定用紙幣を1枚目から計数し直しながら、繰り出しを継続させる。なお、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣を第1の所定枚数である80枚連続して検出することで、これらの紙幣群を新券紙幣であると判断するようにしたが、これに限るものではなく、第1の所定枚数は80枚未満であっても、また、80枚超であっても良い。加えて、第2の所定枚数である100枚の紙幣を計数すると、入出金部21の入出金繰出部24を停止させるようにしたが、これに限るものではなく、第2の所定枚数は100枚未満であっても、また、100枚超であっても良く、少なくとも、第1の所定枚数よりも第2の所定枚数の方が多い枚数であれば良い。
上記のように繰出検知センサ25で第2の所定枚数である100枚の紙幣を計数する間、および計数した上での入出金繰出部24の停止後において、それまでに入出金部21から繰り出された紙幣のうち、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を、図3に太実線で示すように紙幣収納カセット35(E)に収納する一方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を、図3に太破線で示すように入金リジェクト部26に放出する。識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣については、第2の所定枚数である100枚の紙幣に含めずに除外し、その分の紙幣だけを入出金部21から入出金繰出部24で追加で繰り出させる。これにより、80枚の判定用紙幣を含むこの判定用紙幣の1枚目から数えて100枚目までの受け入れ可能な紙幣を紙幣収納カセット35(E)に収納し、それ以降の紙幣を入出金部21に残すことになる。
そして、制御部16は、上記80枚の判定用紙幣を含むこの判定用紙幣の1枚目から数えて100枚目までの受け入れ可能な紙幣を識別部28で確認すると、その時点では、入出金繰出部24が停止させられている入出金繰出部24について、シャッタ20を開きつつ載置板22を下げて、入出金部21の最上位置の紙幣を、蹴出ローラ24aから離し、紙幣を再セットしやすい状態とする。それとともに、制御部16は、官封券の帯封を解いた新券の補充と判断したので入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。具体的には、操作表示部15に、上記80枚の判定用紙幣が入出金部21にあったときの状態の表裏および紙幣上下がわかるイラスト表示を表示させ、このイラスト表示に対して、入出金部21にある最上位置の紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きの場合には、紙幣の向きの変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。併せて警報音を発しても良い。
その際に、判定用紙幣がAタイプ金種の紙幣である場合には、操作表示部15に、例えば、紙幣左右の向きはそのままで表裏を反転させるように、変更後の表裏および紙幣上下がわかるイラスト表示を表示させて案内する。紙幣左右の向きはそのままで表裏を反転させると紙幣上下が反転する。あるいは、表裏の向きはそのままで紙幣上下を反転させるように、変更後の表裏および紙幣上下がわかるイラスト表示を表示させて案内する。表裏の向きはそのままで紙幣上下を反転させても紙幣上下が反転する。
具体的に、判定用紙幣が、例えば、操作者から見て、図2(a)に示すように、紙幣Sの表面Hを鉛直方向上側にし、紙幣上を奥側として入出金部21に装填されたものと判断したときは、残りの紙幣が、図2(b)に示すように、操作者から見て、紙幣Sの裏面Rを鉛直方向上側にし、紙幣下を奥側とするように、長手方向に沿う軸を中心に半回転させて、入出金部21に装填するよう、操作表示部15に、その具体例の図を表示させる。あるいは、残りの紙幣が、図2(c)に示すように、操作者から見て、紙幣Sの表面Hを鉛直方向上側にし、紙幣下を奥側とするように、表裏は反転させずに半回転させて、入出金部21に装填するよう、操作表示部15に、その具体例の図を表示させる。
また、判定用紙幣がBタイプ金種の紙幣である場合には、操作表示部15に、例えば、表裏の向きはそのままで紙幣上下を反転させるように、変更後の表裏および紙幣上下がわかるイラスト表示を表示させて案内する。表裏の向きはそのままで紙幣上下を反転させると紙幣左右が反転する。あるいは、紙幣上下方向の向きはそのままで表裏の向きを反転させるように、変更後の表裏および紙幣上下がわかるイラスト表示を表示させて案内する。紙幣上下をそのままで表裏の向きを反転させても紙幣左右が反転する。
具体的に、判定用紙幣が、例えば、操作者から見て、図2(a)に示すように、紙幣Sの表面Hを鉛直方向上側にし、紙幣上を奥側として入出金部21に装填されたものと判断したときは、残りの紙幣が、図2(c)に示すように、操作者から見て、紙幣の表面Hを鉛直方向上側にしたまま、紙幣下を奥側にするように水平面内で半回転させて、入出金部21に装填するよう、操作表示部15に、その具体例の図を表示させる。あるいは、残りの紙幣が、図2(d)に示すように、紙幣の裏面Rを鉛直方向上側にし、紙幣上を奥側にするように短手方向に沿う軸を中心に半回転させて、入出金部21に装填するよう、操作表示部15に、その具体例の図を表示させる。
その後、補充入金処理の再スタート操作が入力されると、制御部16は、シャッタ20を閉じながら載置板22を上昇させて、入出金部補充モードでの補充入金処理を再開する。この再開後に、制御部16は、識別部28の検出結果から、最初の所定の確認枚数(3枚等の複数枚)の紙幣が、判定用紙幣と同じ金種の紙幣である場合、判定用紙幣に対して、紙幣収納カセット35(E)における最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きであるか否かを判定し、判定用紙幣に対して、紙幣収納カセット35(E)における最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きである場合、これらの確認枚数の紙幣を、次の第1の所定枚数である80枚連続する判定用紙幣に含めて、上記と同様の制御を行う。
他方、再開後、所定の確認枚数の紙幣が、判定用紙幣に対して、紙幣収納カセット35(E)における最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きでない場合、制御部16は、入出金部21の入出金繰出部24を停止させる。入出金繰出部24を停止後も、入出金部21から繰り出された紙幣のうち、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を紙幣収納カセット35(E)に収納する一方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を入金リジェクト部26に放出する。そして、制御部16は、入出金部21の入出金繰出部24を停止させた後、入出金部21から既に繰り出されている紙幣の搬送と並行して、シャッタ20を開きつつ載置板22を下げて、入出金部21の最上位置の紙幣を、蹴出ローラ24aから離し、再セットしやすい状態とするとともに、上記と同様に、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。
以上を適宜繰り返すことで、入出金部21の紙幣がなくなったことが紙幣検知センサ19で検知され、入出金部21から繰り出されたすべての紙幣が、紙幣収納カセット35(E)および入金リジェクト部26のいずれかに搬送されると、制御部16は、識別部28で受け入れ可能と判定して紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣の金種別の枚数および総額等を操作表示部15に表示させて、操作表示部15への承認操作およびキャンセル操作の入力を待機する。よって、例えば、同一金種の複数束の官封券の帯封を解いた新券が、表裏および紙幣上下を同じ向きにして纏めて入出金部21に投入されたとしても、これらの紙幣は、100枚毎に繰り出しが停止されて作業者により向きが傾斜を抑制するように変えられて、紙幣収納カセット35(E)に一時貯留されることになる。
なお、官封券の帯封を解いた新券での補充の場合、入金リジェクト部26にリジェクトされる紙幣がなければ、100枚単位での繰り出し後の一時停止時に、そのまま、入出金部21の紙幣がなくなる場合がある。100枚単位での繰り出し後の一時停止時に、入出金部21の紙幣がなくなったことが紙幣検知センサ19で検知されるとそのまま入出金部補充モードでの補充入金処理を終了する。または、官封券の帯封を解いた新券であっても、二重繰り出し現象によるリジェクトが発生することがあり、その場合には、入金リジェクト部26のリジェクト紙幣の入出金部21への追加入金(補充)処理を行わせることによって、入出金部21に投入されたすべての紙幣を紙幣収納カセット35(E)に一時貯留する。
ここで、第1実施形態において、第1の所定枚数である80枚の判定用紙幣を識別部28で検出した後、入出金部21の直後に設けられた繰出検知センサ25で、80枚の判定用紙幣の1枚目から数えて第2の所定枚数である100枚の紙幣を計数するまでの間に、80枚の判定用紙幣に対して、同一金種で、紙幣収納カセット35(E)に収納される際に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように向きが変えられているものを識別部28で検出した場合、制御部16は、入出金繰出部24を停止させることなく、この紙幣を次の80枚の判定用紙幣の1枚目として制御をやり直す。
なお、第1実施形態において、所定枚数である100枚の判定用紙幣を識別部28で検出した後、識別部28で101枚目の紙幣を検出するまで、入出金部21の入出金繰出部24を停止させずに紙幣の繰り出しを継続させ、この101枚目の紙幣が、判定用紙幣に対し、紙幣収納カセット35(E)に収納される際に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように向きが変えられていない場合に、入出金繰出部24を停止させる一方、紙幣収納カセット35(E)に収納される際に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように向きが変えられている場合には、入出金繰出部24を停止させることなく、この101枚目の紙幣を、次の100枚の判定用紙幣の1枚目として制御をやり直すようにしても良い。その際に、入出金繰出部24を停止させる場合、それまでの間に繰り出された紙幣を紙幣収納カセット35(E)に収納するため、101枚以上の枚数の紙幣が紙幣収納カセット35(E)に収納されることになるが、最上面の紙幣S1を傾斜させるほどの枚数にはならない。
[補充収納処理]
補充収納処理は、図4に太線で示す通常収納処理ルートと同様の補充収納処理ルートで紙幣を移動させることになる。入出金部補充モードでの補充入金処理後、操作表示部15への承認操作が入力されると、上記通常収納処理と同様に、紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣を、確定して、奥から1番目〜4番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに収納する。なお、補充収納処理においても、識別部28で重送等と識別した紙幣については、出金リジェクト部27に収納する。一金種の補充のときは、オーバーフロー紙幣が発生しなければ、紙幣収納カセット35(E)から紙幣収納カセット35(A)〜35(C)の一つへの紙幣の転送となり、二金種以上の補充のときは、オーバーフロー紙幣が発生しなければ、紙幣収納カセット35(E)から紙幣収納カセット35(A)〜35(C)の二つ以上への紙幣の分配となる。
紙幣収納カセット35(A)〜35(D)では、紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣を、紙幣左右方向の向きはそのままで、鉛直方向上側が表面Hであった紙幣を鉛直方向上側が裏面Rとなる向きで収納し、鉛直方向上側が裏面Rであった紙幣を鉛直方向上側が表面Hとなる向きで収納することになる。よって、例えば、同一金種の複数束の官封券の帯封を解いた新券が、表裏および紙幣上下を同じ向きにして纏めて入出金部21に投入されたとしても、これらの紙幣は、紙幣収納カセット35(E)と同様、最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように適宜向きが変えられて紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに収納されることになる。
[補充返却処理]
補充返却処理は、図5に太線で示す通常返却処理ルートと一部異なる図9に太線で示す補充返却処理ルートで紙幣を移動させることになる。入出金部補充モードでの補充入金処理後、操作表示部15へのキャンセル操作が入力されると、上記通常返却処理と同様に、紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣を、確定せず、入出金部21に出金する。その際に、通常返却処理とは異なり、紙幣収納カセット35(E)からの紙幣を、識別部28で識別し、その結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは紙幣向き変更部44の並列区間部41Uを含む搬送路41Aで入出金部21に、表裏反転が必要なものは紙幣向き変更部44の搬送路41Sを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41Aで入出金部21に、それぞれ搬送する。その結果、入出金部21に繰り出された紙幣は、表裏が一定の向きに取り揃えられる。すなわち、紙幣収納カセット35(E)からの紙幣を、紙幣向き変更部44が表裏を取りそろえて入出金部21に出金する。
なお、以上では、入出金部補充モードが選択された場合に、通常入金処理および通常収納処理と同じように、入出金部21に投入された補充紙幣をプールカセットである紙幣収納カセット35(E)に一旦収納してから、金種カセットである紙幣収納カセット35(A)〜35(C)およびオーバーフローカセットである紙幣収納カセット35(D)に収納し直す場合を説明した。しかし、これに限るのではなく、入出金部補充モードに限って、入出金部21からの紙幣を、識別部28の識別結果に応じて上記のように傾斜抑制案内制御を行いつつ、プールカセットである紙幣収納カセット35(E)ではなく、直接、金種カセットである紙幣収納カセット35(A)〜35(C)およびオーバーフローカセットである紙幣収納カセット35(D)に収納するようにしても良い。
ここで、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)には、紙幣収納カセット35(E)への収納時に上記した傾斜抑制案内制御が行われることで、官封券の帯封を解いた新券が100枚毎に向きが交互に変えられて収納されることがあるが、バラ紙幣出金処理において、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは紙幣向き変更部44の並列区間部41Uを含む搬送路41Aで入出金部21に、表裏反転が必要なものは紙幣向き変更部44の搬送路41Sを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41Aで入出金部21に、それぞれ搬送するため、入出金部21に繰り出された紙幣は、表裏が一定の向きに取り揃えられる。
以上に述べた第1実施形態の紙幣処理機11によれば、制御部16は、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたか否かを判定し、該判定の結果に基づいて入出金繰出部24の停止を制御するため、入出金繰出部24を停止させることで入出金部21の残りの紙幣の向きの変更が可能となり、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)での繰り出し不良の発生を抑制することが可能となる。
具体的に、制御部16は、識別部28が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する判定用紙幣を検出すると、官封券の帯封を解いた新券の補充であって、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、入出金繰出部24を停止させるとともに、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。しかも、所定枚数毎に、紙幣の入出金部21からの繰り出しを停止させて、入出金部21に残った新券の向きを金種に適した向きとなるように指示する。よって、複雑な制御を要することなく、官封券の帯封を解いた新券を、所定枚数毎に、適切な向きに変更して紙幣収納カセット35(E)に一旦収納することができ、また、官封券の帯封を解いた新券を、所定枚数毎に、適切な向きに変更して紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納することができる。よって、紙幣収納カセット35(E)および紙幣収納カセット35(A)〜35(D)からの繰り出し不良の発生を抑制することが可能となり、正常な繰り出しを行うことができる。
また、制御部16は、識別部28が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの第1の所定枚数である80枚連続する判定用紙幣を検出すると、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数である80枚連続して繰り出されたと判定し、その後、繰出検知センサ25が、これら80枚の判定用紙幣を含んで第2の所定枚数である100枚の紙幣を計数すると、入出金繰出部24を停止させる。これにより、入出金繰出部24の繰り出し停止までの繰り出し枚数を、100枚とすることができ、より正確に制御できる。
また、補充入金処理において、入出金部21で人手により向きが変えられて、紙幣収納カセット35(E)に収納された紙幣を、補充返却処理において、紙幣向き変更部44で表裏の向きを揃えて入出金部21に繰り出すことができる。加えて、入出金部21で人手により向きが変えられて、紙幣収納カセット35(E)に収納後、紙幣収納カセット35(A)〜35(C)に収納された紙幣を、バラ紙幣出金処理において、紙幣向き変更部44で表裏の向きを揃えて入出金部21に繰り出すことができる。
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態の紙幣処理機を、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
第2実施形態では、補充入金処理として、上記した入出金部補充モードでの補充入金処理と、これとは別の、操作者に新券補充を選択設定させる入出金部新券補充モードでの補充入金処理とが選択可能となっている。入出金部新券補充モードでは、上記のように操作者が新券を補充紙幣として補充入金処理を行うことを選択設定することから、紙幣処理機11は、入出金部21に装填された補充用の紙幣がすべて官封券の帯封を解いた新券であるものとみなして動作する。
[補充入金処理]
操作表示部15(モード選択設定手段)で、モードの選択設定が行われ、入出金部新券補充モードが選択された状態となって金種が指定されると、補充用として入出金部21に投入された紙幣に対し、通常入金処理と一部異なる補充入金処理と、通常収納処理と同様の補充収納処理または通常返却処理と一部異なる補充返却処理とを行って、紙幣収納カセット35(E)に一時貯留後、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に補充し、または入出金部21に返却することになる。
入出金部新券補充モードでの補充入金処理においては、制御部16が、補充入金処理中に、繰出検知センサ25の検知結果に基づいて、入出金部21の入出金繰出部24から所定枚数紙幣が繰り出されると、同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、入出金繰出部24の停止を制御して、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)において最上面の紙幣S1の傾斜を抑制する傾斜抑制案内制御を行う点が、通常入金処理と相違する。
制御部16は、操作表示部15で指定された金種がAタイプ金種およびBタイプ金種のうちの一方で、繰出検知センサ25の検知結果から所定枚数連続する判定用紙幣を検出すると、入出金部21の入出金繰出部24から、Aタイプ金種およびBタイプ金種のうちの一方の同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定する。すると、制御部16は、入出金部21の入出金繰出部24を停止させるとともに、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。
制御部16は、より具体的には、入出金部新券補充モードでの補充入金処理開始後、繰出検知センサ25が所定枚数である100枚連続する判定用紙幣を検出すると、入出金部21の入出金繰出部24からAタイプ金種およびBタイプ金種のうちの指定された一方の同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数である100枚連続して繰り出されたと判定し、入出金部21の入出金繰出部24を停止させる。
なお、上記のように繰出検知センサ25で所定枚数である100枚の判定用紙幣を計数する間および入出金繰出部24の停止後において、それまでに入出金部21から繰り出された紙幣のうち、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を、図3に太実線で示すように紙幣収納カセット35(E)に収納する一方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を、図3に太破線で示すように入金リジェクト部26に放出する。識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣については、所定枚数である100枚の判定用紙幣に含めずに除外し、その分の紙幣だけを入出金部21から入出金繰出部24で追加で繰り出させる。これにより、所定枚数である100枚の判定用紙幣を紙幣収納カセット35(E)に収納し、それ以降の紙幣を入出金部21に残すことになる。
Aタイプ金種およびBタイプ金種のうちの指定された一方の同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数である100枚の判定用紙幣を識別部28で識別すると、制御部16は、入出金部21から既に繰り出されている紙幣の搬送と並行して、シャッタ20を開きつつ載置板22を下げて、入出金部21の最上位置の紙幣を、蹴出ローラ24aから離し、再セットしやすい状態とするとともに、官封券の帯封を解いた新券の補充と判断したので入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促す第1実施形態と同様の報知を操作表示部15に行わせる。
その後、入出金部新券補充モードでの補充入金処理の再スタート操作が入力されると、シャッタ20を閉じながら載置板22を上昇させて、入出金部新券補充モードでの補充入金処理を再開する。この再開後に、制御部16は、識別部28の検出結果から、再開後、所定の確認枚数(複数枚)の紙幣が、判定用紙幣と同金種の紙幣である場合、判定用紙幣に対して、最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きであるか否かを判定し、判定用紙幣に対して、最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きである場合、これらの紙幣を、次の所定枚数である100枚連続する判定用紙幣に含めて上記と同様の処理を行う。
他方、再開後、所定の確認枚数の紙幣が、判定用紙幣に対して、最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きでない場合、入出金部21の入出金繰出部24を停止させる。入出金繰出部24を停止後も、入出金部21から繰り出された紙幣のうち、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を紙幣収納カセット35(E)に収納する一方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を入金リジェクト部26に放出する。そして、制御部16は、入出金繰出部24を停止させた後、入出金部21から既に繰り出されている紙幣の搬送と並行して、シャッタ20を開きつつ載置板22を下げて、入出金部21の最上位置の紙幣を、蹴出ローラ24aから離し、再セットしやすい状態とするとともに、上記と同様に、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。
以上を適宜繰り返すことで、入出金部21の紙幣がなくなったことが紙幣検知センサ19で検知され、入出金部21から繰り出されたすべての紙幣が、紙幣収納カセット35(E)および入金リジェクト部26のいずれかに搬送されると、制御部16は、識別部28で受け入れ可能と判定して紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣の金種別の枚数および総額等を操作表示部15に表示させて、操作表示部15への承認操作およびキャンセル操作の入力を待機する。よって、例えば、同一金種の複数束の官封券の帯封を解いた新券が、表裏および紙幣上下を同じ向きにして纏めて入出金部21に投入されたとしても、これらの紙幣は、向きが傾斜を抑制するように変えられて紙幣収納カセット35(E)に一時貯留されることになる。
[補充収納処理]
入出金部新券補充モードでの補充入金処理後、操作表示部15への承認操作が入力されると、第1実施形態と同様の補充収納処理を行う。
[補充返却処理]
入出金部新券補充モードでの補充入金処理後、操作表示部15へのキャンセル操作が入力されると、第1実施形態と同様の補充返却処理を行う。
以上の第2実施形態によれば、操作表示部15によって入出金部新券補充モードが設定された状態で、繰出検知センサ25が所定枚数の判定用紙幣を検出すると、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、入出金繰出部24を停止させるとともに、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。よって、操作者の選択設定に基づいて、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたことを判定することができる。
ここで、第2実施形態において、入出金繰出部24を停止させることなく、所定枚数である100枚の判定用紙幣よりも1枚多い101枚目の紙幣すなわち判定用紙幣の後の紙幣を識別部28で確認後に紙幣収納カセット35(E)に一時貯留するように制御し、この101枚目の紙幣の識別部28による識別結果が、100枚目までの判定用紙幣のうち、1枚目から所定枚数である例えば80枚目を構成する紙幣に対して、同一金種で、紙幣収納カセット35(E)に収納される際に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように向きが変えられている場合、制御部16は、この101目の紙幣を判定用紙幣の1枚目として次の100枚の判定用紙幣を継続して入出金部21から入出金繰出部24によって繰り出させ、このような処理を連続して行わせるようにしても良い。これにより、同一金種の複数束の官封券の帯封を解いた新券が、紙幣収納カセット35(E)に収納される際に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように、束毎に向きが変えられて、入出金部21にセットされている場合、不必要に補充入金処理を停止させてしまうことがなくなる。
この場合、101枚目の紙幣が、100枚目までの判定用紙幣のうち、1枚目から所定枚数である例えば80枚目の紙幣に対して、同一金種で、表裏および紙幣上下が同じ向きである等、紙幣収納カセット35(E)に収納される際に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように向きが変えられていない場合、101枚目の紙幣を識別部28の検出結果に基づき判定した時点で、入出金繰出部24を停止させるとともに、入出金部21から既に繰り出されている紙幣の搬送と並行して、シャッタ20を開きつつ載置板22を下げて、入出金部21の最上位置の紙幣を、蹴出ローラ24aから離し、再セットしやすい状態とするとともに、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促す第1実施形態と同様の報知を操作表示部15に行わせる。その際に、101枚を超える枚数の紙幣が紙幣収納カセット35(E)に収納されることになるが、最上面の紙幣S1を傾斜させるほどの枚数にはならない。
このように構成すれば、制御部16は、操作表示部15によって入出金部新券補充モードが設定された状態で、識別部28が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する判定用紙幣を検出すると、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定することになり、識別部28が識別する判定用紙幣の後の紙幣が判定用紙幣と同一金種で向きが異なる紙幣である場合は、入出金繰出部24による紙幣の繰り出しを継続させる。よって、不要に入出金繰出部24を停止させて報知を行ってしまうことを抑制できる。
なお、101枚目を、1枚目からの100枚よりも少ない80枚と比較するのは、入金リジェクト部26へ繰り出されるリジェクト紙幣の影響を排除するためである。すなわち、101枚目を、1枚目から100枚と比較すると、1枚目から100枚目までの間にリジェクト紙幣が生じた場合、100枚目の前で紙幣の向きが変わって判定に影響を及ぼす可能性があるためである。
このように、100枚の判定用紙幣を検出する前に、識別部28で受け入れ不可な紙幣を検出した場合には、識別部28において100枚目の前で紙幣の向きが変わることがある。このような場合に、向きが変わった紙幣が、紙幣収納カセット35(E)に収納される際に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように向きが変わっていれば、入出金繰出部24を停止させることなく、向きが変わった紙幣を、判定用紙幣の1枚目として判定用紙幣の計数をやり直すようにし、その間、継続して入出金部21から入出金繰出部24によって紙幣を繰り出させるようにしても良い。
ここで、第1,第2実施形態において、制御部16は、識別部28が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きで記番号が連続する所定枚数の判定用紙幣を検出すると、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、入出金繰出部24を停止させるとともに、入出金部21の紙幣の向きの確認または変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせるようにしても良い。
すなわち、官封券の帯封を解いた新券を補充する場合、記番号として、一般的には、「・・・01」〜「・・・00(百の位の桁上がり)」のデータが検出されるか、「・・・00」、「(百の位の桁下がり後の)・・・99」〜「・・・01」のデータが検出されるので、これらの検出データの検出過程で、官封券の帯封を解いた新券の補充であると判断する。なお、これに加えて、紙幣の表裏および紙幣上下の識別結果をさらに確認しても良い。
このように構成すれば、官封券の帯封を解いた新券において可能性が高い連続する記番号の検出で、向きが一定の新券であることを判定するため、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたことを、より正確に判定することができる。
<第3実施形態>
本発明に係る第3実施形態の紙幣処理機を、主に図10〜図12を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図10に示すように、第3実施形態においては、搬送路41Aにおける搬送路41Tの分岐位置と搬送路41Sの合流位置との間から分岐して搬送路41Aの識別部28と搬送路41Dの分岐位置との間に合流する搬送路41Vと、搬送路41Sの表裏反転部43よりも識別部28とは反対側から分岐して搬送路41Aの並列区間部41Uに合流する搬送路41Wと、並列区間部41Uの搬送路41Wの合流位置と搬送路41Lの合流位置との間から分岐して搬送路41Aの搬送路41Vの合流位置と搬送路41Dの分岐位置との間に合流する搬送路41Xとを有している。
そして、第3実施形態においては、紙幣向き変更部44が、第1実施形態と同様のバラ紙幣出金処理および補充返却処理に加えて、補充入金処理においても、識別部28で識別された紙幣の表裏の向きを変更可能となっている。なお、第3実施形態において、通常入金処理は、第1実施形態と同様に作動する。
[入出金部補充入金処理]
図11の太線は、機外から装填部としての入出金部21に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数し適宜表裏を反転させる第3実施形態の入出金部補充入金処理のルートを示している。つまり、第3実施形態において、操作表示部15に入出金部補充モードでの補充入金処理の選択操作がなされると、制御部16は、シャッタ20を開き、その後、入出金部21の載置板22上にバラ紙幣が載置されたことを紙幣検知センサ19で検知して、操作表示部15に補充入金処理の実行操作がなされると、シャッタ20を閉じ、載置板22を上昇させて、入出金繰出部24の蹴出ローラ24aに最上位置の紙幣を当接させることになる。この状態で、入出金繰出部24が、入出金部21の載置板22上の紙幣を最上部の紙幣から順に、蹴出ローラ24aで蹴り出し繰出ローラ24bおよび分離ローラ24cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41Aから搬送路41Vで搬送し、搬送路41A,41S,41W,41L,41C等で搬送することになる。
その際に、搬送路41Aでの搬送中に識別部28が紙幣を識別計数することになり、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を、図11に太実線で示すように、搬送路41Aあるいは搬送路41A,41S,41Wで搬送し、搬送路41L,41Cで最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)に搬送する。その一方で、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を、図11に太破線で示すように、搬送路41Aから、搬送路41Q,41Pで入金リジェクト部26に搬送する。これにより、受け入れ可能な紙幣を最も前側に配置された紙幣収納カセット35(E)に一時貯留し、受け入れ不可な紙幣を入金リジェクト部26に放出する。
そして、入出金部21の紙幣がなくなったことが紙幣検知センサ19で検知され、入出金部21から繰り出されたすべての紙幣が、紙幣収納カセット35(E)および入金リジェクト部26のいずれかに搬送されると、制御部16は、識別部28で受け入れ可能と判定して紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣の金種別の枚数および総額等を操作表示部15に表示させて、操作表示部15への承認操作およびキャンセル操作の入力を待機する。
第3実施形態では、制御部16が、上記した入出金部補充モードでの入出金部補充入金処理中に、入出金部21の入出金繰出部24から、同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたか否かを判定し、該判定の結果に基づいて、紙幣向き変更部44を制御して、紙幣向き変更部44を通過後の紙幣が収納される紙幣収納カセット35(E)、および、その後に紙幣収納カセット35(E)から紙幣が搬送される紙幣収納カセット35(A)〜35(D)において、最上面の紙幣S1の傾斜を抑制する、以下の傾斜抑制向き制御を行う。
制御部16は、識別部28が、Aタイプ金種の同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数である100枚連続する判定用紙幣を検出すると、入出金部21の入出金繰出部24から、Aタイプ金種の同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数である100枚連続して繰り出されたと判定する。そして、制御部16は、識別部28が識別する100枚の判定用紙幣の後の101枚目の紙幣が、判定用紙幣と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣であると、紙幣向き変更部44で当該紙幣の表裏の向きを変更し、この紙幣を次の判定用紙幣の1枚目として、次の100枚に向けて同様の制御を行うことになり、その際、この1枚目と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣が続く限り、紙幣向き変更部44で表裏の向きを変更する状態を続ける。
その一方、識別部28で、Aタイプ金種の100枚の判定用紙幣が検出され、その後の101枚目の紙幣が判定用紙幣と同一金種で紙幣収納カセット35(E)における最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きの紙幣である場合と、100枚の判定用紙幣が検出される以前に、それまでの判定用紙幣と同一金種で紙幣収納カセット35(E)における最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きの紙幣が検出された場合とについては、紙幣向き変更部44で当該紙幣の表裏の向きを変更せず、この紙幣を次の判定用紙幣の1枚目として、次の100枚に向けて同様の制御を行うことになり、その際、この1枚目と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣が続く限り、紙幣向き変更部44で表裏の向きを変更しない状態を続ける。
なお、制御部16は、識別部28が、Bタイプ金種の同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数である100枚連続する判定用紙幣を検出すると、入出金部21の入出金繰出部24から、Bタイプ金種の同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数である100枚連続して繰り出されたと判定する。そして、制御部16は、識別部28が識別する100枚の判定用紙幣の後の101枚目の紙幣が、判定用紙幣と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣であると、入出金部21の入出金繰出部24を停止させて、第1実施形態と同様に、紙幣の向きの変更を促すガイダンスを含む報知を操作表示部15に行わせる。
その一方、識別部28で、Bタイプ金種の100枚の判定用紙幣が検出され、その後の101枚目の紙幣が判定用紙幣と同一金種で紙幣収納カセット35(E)における最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きの紙幣である場合と、100枚の判定用紙幣が検出される以前に、それまでの判定用紙幣と同一金種で紙幣収納カセット35(E)における最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きの紙幣が検出された場合とについては、入出金部21の入出金繰出部24を停止させることなく、この紙幣を次の判定用紙幣の1枚目として、次の100枚に向けて同様の制御を行うことになる。
ここで、上記のように識別部28で所定枚数である100枚の紙幣を計数する間において、それまでに入出金部21から繰り出された紙幣のうち、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を、図11に太実線で示すように紙幣収納カセット35(E)に収納する一方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を、図11に太破線で示すように入金リジェクト部26に放出する。識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣については、所定枚数である100枚の紙幣に含めずに除外し、その分の紙幣だけを入出金部21の入出金繰出部24で追加で繰り出させる。これにより、判定用紙幣の1枚目から100枚目までの受け入れ可能な紙幣を紙幣収納カセット35(E)に収納し、判定用紙幣の101枚目から200枚目までの受け入れ可能な紙幣を、最上面の紙幣S1の傾斜を解消する向きで紙幣収納カセット35(E)に収納し、以後、201枚目以降についても同様に収納することができる。
以上を適宜繰り返すことで、入出金部21の紙幣がなくなったことが紙幣検知センサ19で検知され、入出金部21から繰り出されたすべての紙幣が、紙幣収納カセット35(E)および入金リジェクト部26のいずれかに搬送されると、制御部16は、識別部28で受け入れ可能と判定して紙幣収納カセット35(E)に一時貯留した紙幣の金種別の枚数および総額等を操作表示部15に表示させて、操作表示部15への承認操作およびキャンセル操作の入力を待機する。よって、例えば、同一金種の複数束の官封券の帯封を解いた新券が、表裏および紙幣上下を同じ向きにして纏めて入出金部21に投入されたとしても、これらの紙幣は、100数毎に向きが傾斜を抑制するように変えられて紙幣収納カセット35(E)に一時貯留されることになる。
[補充収納処理]
第3実施形態において、上記した入出金部補充モードでの補充入金処理後、操作表示部15への承認操作が入力されると、第1実施形態と同様の補充収納処理を行う。
[補充返却処理]
第3実施形態において、上記した入出金部補充モードでの補充入金処理後、操作表示部15へのキャンセル操作が入力されると、第1実施形態と同様の補充返却処理を行う。
[カセット補充処理]
図12の太線は、機外で装填部としての紙幣収納カセット35(E)に補充用の紙幣が装填され、この紙幣収納カセット35(E)が紙幣処理機11にセットされて、この紙幣収納カセット35(E)からバラ紙幣を搬送しつつ識別計数し適宜表裏を反転させて紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに収納する第3実施形態のカセット補充処理のルートを示している。
操作表示部15に、カセット補充モードで実行されるカセット補充処理の選択操作が入力されると、紙幣収納カセット35(E)からその繰出部36で繰り出した紙幣を、図12に太実線で示すように、搬送路41C,41A,41L,41A,41V,41Aで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、搬送路41Aあるいは搬送路41A,41S,41Wで搬送し、その後、搬送路41X,搬送路41A,41D〜41Kの対応するものによって、奥から1番目〜4番目に配置された紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに搬送する。これにより、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)の対応するものに紙幣を収納する。なお、識別部28で重送等と識別した紙幣については、図12に太破線で示すように、搬送路41A,41Q,41P,41Rによって出金リジェクト部27に搬送し、出金リジェクト部27に収納する。ここで、搬送路41Aにおいて、紙幣収納カセット35(E)から搬送路41Vに向かう紙幣と、識別部28から出金リジェクト部27に向かう紙幣とが重なるタイミングのときは、紙幣収納カセット35(E)からの紙幣を繰り出しを一時停止させて、識別部28から出金リジェクト部27に向かう紙幣を優先して搬送する。
このカセット補充処理においても、上記入出金部補充入金処理において装填部としての入出金部21から収納繰出部としての紙幣収納カセット35(E)に紙幣を搬送する際に、紙幣向き変更部44で行った、最上部の紙幣S1の傾斜を抑制する上記した傾斜抑制向き制御を、装填部としての紙幣収納カセット35(E)から繰り出した紙幣を、紙幣向き変更部44を通過後に、収納繰出部としての紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納する際に行う。すなわち、紙幣収納カセット35(E)に、補充用紙幣として官封券の帯封が解かれた状態の新券紙幣が複数束分装填されることがあるが、この場合に、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納する際の最上部の紙幣S1の傾斜を抑制する。
以上の第3実施形態によれば、制御部16は、入出金部補充モードで、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたか否かを判定し、該判定の結果に基づいて、紙幣向き変更部44を制御して、紙幣を紙幣収納カセット35(E)に収納し、紙幣収納カセット35(E)から紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納するため、紙幣収納カセット35(E)に収納する紙幣および紙幣収納カセット35(E)から紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納する紙幣の向きの変更が可能となり、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)での繰り出し不良の発生を抑制することが可能となる。
具体的に、制御部16は、識別部28が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する判定用紙幣を検出すると、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定することになり、識別部28が識別する判定用紙幣の後の紙幣が判定用紙幣と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣であると、紙幣向き変更部44で当該紙幣の向きを変更する一方、後の紙幣が判定用紙幣と同一金種で向きが異なる紙幣である場合は、紙幣向き変更部44で当該紙幣の向きを変更しない。よって、自動的かつ適正に、紙幣収納カセット35(E)に収納する紙幣、および紙幣収納カセット35(E)から繰り出して紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納する紙幣の向きを、最上部の紙幣S1の傾斜を抑制するように変更でき、紙幣収納カセット35(A)〜35(E)での繰り出し不良の発生を抑制することができる。
また、制御部16は、カセット補充モードで、紙幣収納カセット35(E)から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたか否かを判定し、該判定の結果に基づいて、紙幣向き変更部44を制御するため、紙幣収納カセット35(E)から繰り出し紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納する紙幣の向きの変更が可能となり、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)での繰り出し不良の発生を抑制することが可能となる。
具体的に、制御部16は、識別部28が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する判定用紙幣を検出すると、紙幣収納カセット35(E)から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定することになり、識別部28が識別する判定用紙幣の後の紙幣が判定用紙幣と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣であると、紙幣向き変更部44で当該紙幣の向きを変更する一方、後の紙幣が判定用紙幣と同一金種で向きが異なる紙幣である場合は、紙幣向き変更部44で当該紙幣の向きを変更しない。よって、自動的かつ適正に、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納する紙幣の向きを、最上部の紙幣S1の傾斜を抑制するように変更でき、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)での繰り出し不良の発生を抑制することができる。
また、入出金部21から、紙幣向き変更部44で向きを変えて紙幣収納カセット35(E)に収納された紙幣を、補充返却処理において、紙幣向き変更部44で表裏の向きを揃えて入出金部21に繰り出すことができる。加えて、紙幣収納カセット35(E)に収納後、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納された紙幣を、バラ紙幣出金処理において、紙幣向き変更部44で表裏の向きを揃えて入出金部21に繰り出すことができる。
また、入出金部21から紙幣向き変更部44で向きを変えて紙幣収納カセット35(E)に収納された紙幣、その後、紙幣収納カセット35(E)から紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納された紙幣、および、紙幣収納カセット35(E)から紙幣向き変更部44で向きを変えて紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納された紙幣に対し、同じ紙幣向き変更部44が、表裏の向きを揃えて入出金部21に繰り出す。すなわち、紙幣向き変更部44が、入金時紙幣向き変更部と出金時向き変更部とを兼用しているため、部品点数およびコストを抑制することができる。
ここで、第3実施形態においても、制御部16は、識別部28が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きで記番号が連続する所定枚数の判定用紙幣を検出すると、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、識別部28が識別する判定用紙幣の後の紙幣が判定用紙幣と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣であると、紙幣向き変更部44で当該紙幣の向きを変更する一方、識別部28が識別する判定用紙幣の後の紙幣が判定用紙幣と同一金種で向きが異なる紙幣である場合は、紙幣向き変更部44で当該紙幣の向きを変更しないように制御しても良い。
このように構成すれば、官封券の帯封を解いた新券において可能性が高い連続する記番号の検出で、向きが一定の新券であることを判定するため、入出金部補充モードでの入出金繰出部24、および、カセット補充モードでの紙幣収納カセット35(E)から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたことを、より正確に判定することができる。
第3実施形態において、第2実施形態と同様に、入出金部新券補充モードを選択可能としても良い。この場合、入出金部新券補充モードでは、官封券の帯封を解いた新券を全て表裏および紙幣上下を揃えた状態で入出金部21に装填するように操作表示部15で案内する。
操作表示部15で、モードの選択設定が行われ、入出金部新券補充モードが選択された状態となって金種が指定されると、制御部16は、指定された金種がAタイプ金種である場合、補充入金処理中に、繰出検知センサ25の検知結果に基づいて、入出金部21の入出金繰出部24から所定枚数である100枚の紙幣が繰り出されるまで、入出金部21から紙幣収納カセット35(E)に紙幣向き変更部44で表裏反転させることなく紙幣を収納する。繰出検知センサ25の検知結果に基づいて、入出金繰出部24から所定枚数である100枚の紙幣が繰り出されたことを検知すると、同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、引き続き、101枚目から200枚目までの紙幣を、すべて紙幣向き変更部44で表裏反転させて、紙幣収納カセット35(E)に収納し、さらに続けて、201枚目から300枚目までの紙幣を、すべて紙幣向き変更部44で表裏反転させずに紙幣収納カセット35(E)に収納するという、最上面の紙幣S1の傾斜を抑制する傾斜抑制制御を適宜行う。
このように構成すれば、制御部16は、操作表示部15によって入出金部新券補充モードが設定された状態で、繰出検知センサ25が所定枚数の判定用紙幣を検出すると、入出金繰出部24から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定し、繰出検知センサ25が計数する判定用紙幣の後の紙幣の向きを紙幣向き変更部44で変更する。よって、操作者の選択設定に基づいて、自動的に、紙幣収納カセット35(E)に収納し、その後、紙幣収納カセット35(E)から紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納する紙幣の向きを、最上部の紙幣S1の傾斜を抑制するように変更でき、繰り出し不良の発生を抑制することができる。
第3実施形態においては、紙幣向き変更部44が、紙幣左右の向きはそのままで、表裏および紙幣上下を反転するものを例にとり説明したが、紙幣向き変更部44として、捻り搬送部を有して紙幣の表裏、紙幣上下および紙幣左右の4方向を揃えるものを用いれば、Aタイプ金種は勿論、Bタイプ金種の紙幣についても、入出金部補充モードにおいて、入出金部21から所定枚数の判定用紙幣を繰り出した後に、入出金繰出部24を一旦停止させることなく、所定枚数の後の紙幣を連続して送り出させ、この所定枚数の後の紙幣の向きを、紙幣収納カセット35(E)への収納時に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように、例えば、その表裏状態を変えることなく、左右を入れ替えて、これらを紙幣収納カセット35(E)に収納し、その後、紙幣収納カセット35(E)から紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納することができる。このように、捻り搬送部を加えた紙幣向き変更部44を用いることよって紙幣の4方向を変更制御することができる。
同様に、カセット補充モードにおいても、紙幣収納カセット35(E)から所定枚数の判定用紙幣を繰り出した後に、繰出部36を一旦停止させることなく、所定枚数の後の紙幣を連続して送り出させ、この所定枚数の後の紙幣の向きを、紙幣収納カセット35(A)〜35(D)への収納時に最上面の紙幣S1の傾斜を抑制するように、例えば、その表裏状態を変えることなく、左右を入れ替えて、これらを紙幣収納カセット35(A)〜35(D)に収納することができる。
第1〜第3実施形態においては、入出金繰出部24が入出金部21から繰り出す紙幣を繰出検知センサ25で計数する場合を例にとり説明したが、識別部28を入出金繰出部24の近くに配置すれば、入出金部21から入出金繰出部24が繰り出す紙幣を識別部28で計数することも可能である。
実施形態の第1の態様は、機外から紙幣が投入される入金部と、該入金部から紙幣を繰り出す繰出部と、該繰出部で繰り出された紙幣を搬送する搬送部と、該搬送部によって搬送される紙幣を識別する識別部と、該識別部によって識別された紙幣を繰り出し可能に収納する繰出収納部と、前記繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたか否かを判定し、該判定の結果に基づいて前記繰出部の停止を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
上記第1の態様によれば、制御手段は、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたか否かを判定し、該判定の結果に基づいて繰出部の停止を制御するため、繰出部を停止させることで入金部の残りの紙幣の向きの変更が可能となり、繰り出し不良の発生を抑制することが可能となる。
実施形態の第2の態様は、上記第1の態様において、報知を行う報知手段を備え、前記制御手段は、前記識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する紙幣群を検出すると、前記繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、前記繰出部を停止させるとともに、前記入金部の紙幣の向きの確認または変更を促す報知を前記報知手段に行わせることを特徴とする。
上記第2の態様によれば、制御手段は、識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する紙幣群を検出すると、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、繰出部を停止させるとともに、入金部の紙幣の向きの確認または変更を促す報知を報知手段に行わせる。よって、複雑な制御を要することなく、繰り出し不良の発生を抑制することが可能となる。
実施形態の第3の態様は、上記第2の態様において、前記繰出部で繰り出す紙幣を計数する計数部を備え、前記制御手段は、前記識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの第1の所定枚数連続する紙幣群を検出すると、前記繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで第1の所定枚数連続して繰り出されたと判定し、前記計数部が第2の所定枚数の紙幣を計数すると、前記繰出部を停止させることを特徴とする。
上記第3の態様によれば、制御手段は、識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの第1の所定枚数連続する紙幣群を検出すると、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定することになり、計数部が第2の所定枚数の紙幣を計数すると、繰出部を停止させる。これにより、繰出部の繰り出し停止までの繰り出し枚数をより正確に制御できる。
実施形態の第4の態様は、上記第1の態様において、報知を行う報知手段を備え、前記制御手段は、前記識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きで記番号が連続する所定枚数の紙幣群を検出すると、前記繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出された判定して、前記繰出部を停止させるとともに、前記入金部の紙幣の向きの確認または変更を促す報知を前記報知手段に行わせることを特徴とする。
上記第4の態様によれば、制御手段は、識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きで記番号が連続する所定枚数の紙幣群を検出すると、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、繰出部を停止させるとともに、入金部の紙幣の向きの確認または変更を促す報知を報知手段に行わせる。よって、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたことを、より正確に判定することができる。
実施形態の第5の態様は、上記第1の態様において、前記繰出部で繰り出す紙幣を計数する計数部と、報知を行う報知手段と、モードの選択設定が行われるモード選択設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記モード選択設定手段によって新券補充モードが設定された状態で、前記計数部が所定枚数の紙幣群を検出すると、前記繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、前記繰出部を停止させるとともに、前記入金部の紙幣の向きの確認または変更を促す報知を前記報知手段に行わせることを特徴とする。
上記第5の態様によれば、制御手段は、モード選択設定手段によって新券補充モードが設定された状態で、計数部が所定枚数の紙幣群を検出すると、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定して、繰出部を停止させるとともに、入金部の紙幣の向きの確認または変更を促す報知を報知手段に行わせる。よって、操作者の選択設定に基づいて、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたことを判定することができる。
実施形態の第6の態様は、上記第1の態様において、報知を行う報知手段と、モードの選択設定が行われるモード選択設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記モード選択設定手段によって新券補充モードが設定された状態で、前記識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する紙幣群を検出すると、前記繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定し、前記識別部が識別する前記紙幣群の後の紙幣が前記紙幣群と同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの紙幣であると、前記繰出部を停止させて、前記入金部の紙幣の向きの確認または変更を促す報知を前記報知手段に行わせる一方、前記後の紙幣が前記紙幣群と同一金種で向きが異なる紙幣である場合は、前記繰出部による紙幣の繰り出しを継続させることを特徴とする。
上記第6の態様によれば、制御手段は、モード選択設定手段によって新券補充モードが設定された状態で、識別部が、同一金種で表裏および紙幣上下が同じ向きの所定枚数連続する紙幣群を検出すると、繰出部から同一金種の新券紙幣が表裏および紙幣上下が同じ向きで所定枚数連続して繰り出されたと判定することになり、識別部が識別する紙幣群の後の紙幣が紙幣群と同一金種で向きが異なる紙幣である場合は、繰出部による紙幣の繰り出しを継続させる。よって、不要に繰出部を停止させて報知を行ってしまうことを抑制できる。
実施形態の第7の態様は、上記第1乃至第6のいずれか一態様において、前記繰出収納部から出金部に繰り出される紙幣の向きを変更可能な出金時向き変更部が設けられていることを特徴とする。
上記第7の態様によれば、向きを変えて繰出収納部に収納された紙幣を、出金時向き変更部で向きを揃えて出金部に繰り出すことができる。