JP2020179544A - ユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物、およびユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物の真贋判定方法 - Google Patents

ユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物、およびユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物の真贋判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物を提供すること、および、その偽造防止用印刷物の真贋判定方法を提供する。【解決手段】偽造防止用印刷物は、支持体の上に、隠蔽層170、ラメインキ層160および絵柄印刷層140がこの順に積層された偽造防止用印刷物であって、隠蔽層170は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されており、ラメインキ層160は、樹脂により被覆されていない金属粒子を含有したインキで形成されており、絵柄印刷層140には、不規則かつユニークな絵柄パターンが形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、クレジットカード、セキュリティラベル、冊子体等の偽造防止用印刷物において、偽造や改ざんを抑制することができる絵柄パターンの形成技術に関する。
カード等の分野では、カード券面の絵柄の中にマイクロ文字や狭ピッチの万線を印刷したり、表面にホログラムラベルを貼る等して、偽造防止を図っているものが多い。しかし、この場合は、同一の券面デザインのカードが多数存在することになるため、例えば期限切れ等で無効となったカードのID番号等のみを改ざんして別の有効なカードに見せかけて使用することが比較的容易にできてしまう問題がある。これに対して、各々のカードがユニークな外観または特性を有することにより、別のカードに見せかけて使用することが困難なカード等が提案されている。
特許文献1は、識別材料となる染顔料、繊維状物質、球状微粒子、金属微粒子からなる少なくとも1種以上の材料をランダムパターンとなるようにカード等の支持体の中に内添または塗工した情報識別シートである。また、特許文献2は、カードのコアシートの一方の面に磁性粒子と、磁性粒子よりも大きい粒径により形成される磁気固有情報とを表す磁気データ部を設けたカードである。
特開平6−8679号公報 特開平8−99485号公報
これらはいずれも、各々のカードにおける特定物質、特定粒子がランダムに配置されることを利用して、その配置パターンのユニーク性により偽造防止を図るものである。しかし、このような条件を満たすためには、インキの配合等の点でカードの券面デザインが制約されたり、識別用の特殊な層を追加で設ける必要がある等、デザインの自由度、製品仕様の複雑化、製造負荷、コストの面で適切とはいえない場合もある。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物を提供すること、および、その偽造防止用印刷物の真贋判定方法を提供することを課題とする。
本実施の形態による偽造防止用印刷物は、支持体の上に、隠蔽層、ラメインキ層および絵柄印刷層がこの順に積層された偽造防止用印刷物であって、前記隠蔽層は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されており、前記ラメインキ層は、樹脂により被覆されていない金属粒子を含有したインキで形成されており、前記絵柄印刷層には、不規則かつユニークな絵柄パターンが形成されている。
また、本実施の別の形態による偽造防止用印刷物は、前記不規則かつユニークな絵柄パターンは、稲妻模様またはジグザグ形状を含んで構成されていてもよく、前記不規則かつユニークな絵柄パターンは、絵柄印刷層を形成するインキが部分的に除去されることにより形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態による偽造防止用印刷物は、前記ラメインキ層の面積は、前記絵柄印刷層の面積よりも小さく形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態による偽造防止用印刷物は、前記ラメインキ層に含有される、金属粒子の粒径は、前記隠蔽層に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径よりも大きくてもよい。
また、本実施の別の形態による偽造防止用印刷物は、前記絵柄印刷層の前記ラメインキ層とは反対の側に、透明な保護層がさらに形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態による偽造防止用印刷物は、記憶手段を有するICチップをさらに備え、前記記憶手段には、前記偽造防止用印刷物を特定する固有データが読み出し可能に保存されており、前記固有データは、前記不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によって読み取ったときのデジタルデータと対応付けられていてもよい。
また、本実施の別の形態による偽造防止用印刷物は、前記偽造防止用印刷物の前記固有データを、前記偽造防止用印刷物の前記不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によって読み取ったデジタルデータと比較照合することにより、前記偽造防止用印刷物の改ざんの有無を判断することが可能であってもよい。
また、本実施の別の形態による偽造防止用印刷物を構成するものは、ICカード、粘着ラベル、または、冊子体でもよい。
本実施の形態による偽造防止用印刷物の真贋判定方法は、支持体の上に、隠蔽層、ラメインキ層および絵柄印刷層がこの順に積層された偽造防止用印刷物であり、前記隠蔽層は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されており、前記ラメインキ層は、樹脂により被覆されていない金属粒子を含有したインキで形成されており、前記絵柄印刷層には、不規則かつユニークな絵柄パターンが形成されており、前記偽造防止用印刷物の固有データが記憶されている記憶手段、を有するICチップを備えている、偽造防止用印刷物の検査方法であって、リーダライターによって、前記ICチップの前記記憶手段に保存されている前記偽造防止用印刷物の固有データを読み出す工程と、前記偽造防止用印刷物の前記不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によってデジタルデータとして読み取る工程と、比較照合手段によって、前記固有データが前記デジタルデータと対応づけられているか否かを比較照合する工程と、結果出力手段によって、前記固有データが、前記デジタルデータと対応づけられているか否かについての比較照合結果を出力する工程と、を備える。
本実施の形態によれば、ユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物を提供すること、および、その偽造防止用印刷物の真贋判定方法を提供することができる。
第1実施形態のカードの構造を説明する断面図および平面図である。 図1におけるユニークパターン形成部の拡大断面図である。 ラメインキ層の拡大断面図である。 ラメインキ層を示す写真である。 隠蔽層の拡大断面図である。 ユニークパターンの一例を示す写真である。 ユニークパターンの一例を示す図である。 ユニークパターンを説明する拡大断面図である。 ユニークパターンの形成工程を説明する図である。 透明な保護層を設けた変形例(1)を示す断面図である。 ラメインキ層の領域を変えた変形例(2)を示す断面図である。 偽造防止用印刷物が粘着ラベルである変形例(3)を示す断面図である。 偽造防止用印刷物が冊子体である変形例(4)を示す斜視図である。 偽造防止用印刷物がICカードである変形例(5)を示す平面図である。 第2実施形態の真贋判定システムの構成を示す概略図である。 第2実施形態の真贋判定システムの認証情報の登録フローである。 第2実施形態の真贋判定システムの認証作業のフローである。
以下、図面等を参照して、本開示のユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物、およびその偽造防止用印刷物の真贋判定方法の一例について説明する。ただし、本開示のユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物、およびその偽造防止用印刷物の真贋判定方法は、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示のユニークな絵柄パターンを有する偽造防止用印刷物の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の偽造防止用印刷物10であるカード10Aの一例を示す断面図および平面図である。図2は、図1のユニークパターン形成部1Aの部分の詳細を示す拡大断面図である。
(a)カードの構成
図1(a)に示すとおり、カード10Aは本開示の偽造防止用印刷物10の一例であり、中央にコア層4およびコア層5が、互いの一方の主面どうしが隣接するように積層されている。また、コア層4およびコア層5の、互いに隣接していない他方の主面側には、それぞれ、オーバーシート層3およびオーバーシート層6が積層されている。さらに、オーバーシート層3の、コア層4と隣接していない方の主面側には、複数の印刷層が積層されて構成されているユニークパターン形成部1Aが積層形成されている。言い換えると、オーバーシート層6、コア層5、コア層4、オーバーシート層3およびユニークパターン形成部1Aが、この順に積層されている。ユニークパターン形成部1Aは、本開示の偽造防止用印刷物10に形成されるユニークパターン形成部1の一例である。また、図1(b)は、カード10Aを、ユニークパターン形成部1Aが配置されている側から見た平面図であるが、ユニークパターン形成部1Aはカード10Aの表面全体に形成され、カード10Aの全体が図1(a)に示すような積層構造を有している。ただし、後述するように、当該ユニークパターン形成部1Aは、カード10Aの一部の領域にのみ形成されていてもよい。
ユニークパターン形成部1Aは、印刷層が複数層重なって形成されているものであるため、これを形成するための母体となる支持体を必要とする。本実施形態ではオーバーシート層3が支持体2の一例であるが、支持体2はこれに限定されるものではなく、例えばオーバーシート層3とコア層4の積層体、あるいは、オーバーシート層3、6、コア層4、5の積層体を支持体2と考えてもよい。以下、カード10Aの各構成について説明する。
(i)コア層
コア層4、5としては、白色または着色した各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。コアシートの厚さは、カードの全体厚さを勘案して適宜に選択することができるが、例えば、0.25mm〜0.38mm程度とすることができる。
また、ユニークパターン形成部1Aが形成されない側のコア層5の、コア層4と隣接しない主面側には、適宜印刷層を設けてもよい。この場合、後述するオーバーシート層6が透明基材であれば、当該印刷層が保護されるため、印刷された絵柄の視認性を良好に確保しつつ、絵柄部分の耐擦過性や耐薬品性等を向上させることができる。
(ii)オーバーシート層
オーバーシート層3、6としては、通常、コア層と同質の材料を使用するが、厚さが0.05〜0.10mm程度の透明材料が使用されることが多い。コア層およびオーバーシート層の積層体を熱プレス等で一体化する際のカールの発生を防止する観点からは、オーバーシート層3および6の厚さが同一であることが好ましいが、必ずしも同一ではなくてもよい。オーバーシート層の材料は、熱により接着性を有するものであればよいが、オーバーシート層自体が熱による接着性を有しない場合でも、熱等により接着力を発生させる公知の接着剤の層をコア層およびオーバーシート層の間に追加形成することで両者を一体化できる。また、カード10Aを磁気カードとして使用する場合には、オーバーシート層3、6のいずれかまたは両方について、コア層4、5とは反対の主面側に磁気テープを熱転写等によりあらかじめ埋め込んでおいてもよい。
(iii)ユニークパターン形成部
図2は、図1に示したカード10Aの最外層に配置されるユニークパターン形成部1Aの詳細構成を示す拡大断面図である。ユニークパターン形成部1Aは、偽造防止用印刷物10に形成されるユニークパターン形成部1の一例である。図2(a)に示すとおり、ユニークパターン形成部1Aは、オーバーシート層3に近い側から隠蔽層170、ラメインキ層160、アンカー層150、絵柄印刷層140、アンカー層130および剥離層120がこの順に積層されて形成されている。したがって、このような層構成を有する隠蔽積層部1Aが、図1(b)に示すようにカード10Aの表面の全域に形成されている。
なお、図2(b)は、図2(a)の層構成に破線で示した転写基材110を加えた図である。転写基材110は、当該ユニークパターン形成部1Aには含まれない。しかし、支持体2であるオーバーシート層3に対してユニークパターン形成部1Aを積層形成する準備段階として、後述するとおり、あらかじめ転写基材110に対して、剥離層120、アンカー層130、絵柄印刷層140、アンカー層150、ラメインキ層160および隠蔽層170をこの順に印刷形成することがあり、図2(b)は、このときの転写基材110の配置を含めた断面図を示している。この場合、あらかじめオーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3をこの順に重ねた積層体の状態に準備しておき、さらに印刷形成された転写基材110をこれに重ねてから、熱プレスを行う。オーバーシート層3、6は熱により接着性を有する。このことによって、転写基材110に形成されたユニークパターン形成部1Aを確実に当該積層体側に転写することができ、かつ、コア層とオーバーシート層とが一体化された積層体を得ることができる。なお、熱プレス後に、ユニークパターン形成部1Aを含まない転写基材110は、当該積層体から剥がされて回収される。
ただし、当該ユニークパターン形成部1Aの形成は上述の方法に限られるものではなく、例えば、直接オーバーシート層3、またはオーバーシート層3、6とコア層4、5との積層体に対して、順次、ユニークパターン形成部1Aの各層の印刷を重ねることにより形成してもよい。以下に、ユニークパターン形成部1Aを構成する各印刷層について説明する。
(iv)ラメインキ層
ラメインキは、独特の金属的な光輝感を有する光輝性カードに用いられるものであり、特にクレジットカード等の分野では、このような高級感や高意匠性をもたらす光輝性カードの需要が高い。この独特の光輝感は、「ラメ」または「ラメ感」とも言われ、「ラメ」は英語の「lame」のことで、元来は、金らん、すなわち、金属糸を絹、毛などと共に織り込んだ織物、を意味する。
このような、光輝性カードの印刷に用いられるラメインキは、粒径が25μm〜50μm程度である金属アルミ等の金属粒子が好適に用いられる。粒径が25μm未満の場合には光輝感が十分得られなくなり、50μmを超える場合には粗粒にすぎて均一な印刷面が得られないからである。ここで、粒径とは、粒度分布の平均であり、粒径の測定方法は粒度分布測定によるものである。例えば、ISO13320(2009)や、これを基礎とするJIS Z8825(2013)に準拠することができる。
また、この粒径は、後述する隠蔽層に用いられるインキのそれと比べて大きい。このような金属粒子である金属アルミ粉末をペースト状にした上でビヒクル、すなわちバインダーに溶いてインキ化して用いる。ラメインキをシルクスクリーン印刷用インキにインキ化するためのバインダーとしては、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体や塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸共重合体、繊維素系樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル・アクリレート共重合体、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、等各種の樹脂を使用することができる。バインダーに金属樹脂を溶かしたインキを用いて、後述する隠蔽層等の印刷時よりも粗目のスクリーンメッシュを用いたシルクスクリーン印刷を行うことにより、当該ラメインキ層を形成することができる。ラメインキ層の厚さは、要求される光輝性の程度に応じて変えることが可能であるが、通常、0.5μm〜50μm程度であり、1μm〜10μm程度とすることが好ましい。
また、ラメインキの種類として、当該ラメインキを構成する金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いるものと、金属粒子の外周部が樹脂で被覆されない粒子を用いるものとがある。ラメインキを構成する金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いた場合、後述する隠蔽層170も同様に金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いているため、通電性が非常に悪くなり、本開示のユニークパターンを形成することが困難となる。よって、本実施形態のラメインキ層160に用いるラメインキは、金属粒子をそのままバインダーに溶かしてインキしたものを用いる。図3はラメインキ層160の構成を模式的に示した断面図であり、図4がラメインキ層160の写真画像である。ここで、ラメインキ層160は、金属アルミ粉末である金属粒子162と、その周囲を被覆する樹脂コート部163から構成されており、金属粒子162は、溶媒であるバインダー164中で互いに隙間を保って分散している。なお、図3では、金属粒子162の断面を円または楕円として記載しているが、図4の写真画像を見ても明らかなとおおり、実際の金属粒子162の断面は、多角形や多様な直線と曲線の結合によって形成されているものである。
(v)隠蔽層
隠蔽層170は、上述のラメインキ層160と類似しているが、ラメインキ層160に用いられる金属粒子よりも粒径が小さい、2μm〜12μm程度の金属粒子が用いられ、本実施形態では約7μm程度の金属アルミの金属粒子が用いられている。隠蔽層170は、もともと黒色または茶褐色の磁気テープが配置されているクレジットカード等において、カードの券面デザインが磁気テープの色によって制約されないよう、磁気テープが有する黒色または茶褐色の色彩を隠蔽すること、および、ラメインキほどの光輝性は必要ないがカードに光沢感を付与すること、を目的として、当該磁気テープが貼り込まれたオーバーシート層3の上層に印刷されるものである。また、磁気テープがないカードであっても、例えば非接触ICカードなどのようにカード内部にアンテナやチップが内蔵されるカードでは、カードの色によってはこれらが透けて見えてしまうことがあり、このような場合にも絵柄印刷層の下地として隠蔽層を設けておくことが有利である。
隠蔽層170は、金属粒子である金属アルミ粉末をペースト状にした上でラメインキと同様のバインダーに溶いてインキ化したものを使用して形成する。ラメインキ層160の印刷時よりも細かい目のスクリーンメッシュを用いたシルクスクリーン印刷を行うことにより、当該隠蔽層170を印刷形成させることができる。隠蔽層170の厚さは、要求される隠蔽性や光沢感の程度に応じて変えることが可能であるが、通常、1μm〜5μm程度である。
この隠蔽層170は、上述のラメインキ層160とは異なり、金属粒子をそのままバインダーに溶かしてインキとしたものではなく、金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いている。図5は隠蔽層170の構成を模式的に示した断面図である。樹脂コート粒子171は、内部の金属アルミ粉末である金属粒子172と、その周囲を被覆する樹脂コート部173から構成されており、樹脂コート粒子171は、溶媒であるバインダー174に溶かされて分散している。金属粒子は絶縁物である樹脂で外周全域がコーティングされるため、ラメインキ層と同様に隠蔽層としての絶縁性が高まる。コーティングする樹脂の限定は特にないが、例えば、アクリル樹脂等があげられる。
(vi)アンカー層
アンカー層は、図2に示すとおり、ラメインキ層160と後述する絵柄印刷層140との間に積層されるアンカー層150と、絵柄印刷層140と後述する剥離層120との間に積層されるアンカー層130との2箇所に設けられている。これらはいずれも透明色である紫外線硬化型タイプのオフセットインキにより、全面にわたり印刷されている。これは、一般的にシルクスクリーン印刷された印刷層の上に直接オフセット印刷による絵柄を印刷すると、絵柄印刷部分の密着性が低いため、これを向上させるために設けるものである。後述する剥離層120はコーティングされたものであるが、シルクスクリーン印刷と同様の溶剤系インキを用いているため、絵柄印刷層140との密着を考慮してアンカー層を設けている。ただし、このようなアンカー層は、絵柄印刷層140とラメインキ層160、または、絵柄印刷層140と剥離層120との密着性に問題がない場合には設けなくてもよい。
(vii)絵柄印刷層
絵柄印刷層140は、図2に示すとおり、2層のアンカー層150および130に挟まれた部分に形成されている。図1のカード10Aを紙面の上方から、すなわちユニークパターン形成部1Aの側から見たとき、透明材料で形成されている剥離層120およびアンカー層130を透過して、絵柄印刷層140が直接視認されることになる。当該絵柄印刷層140は主にオフセット印刷により、必要な色数分の印刷がされることで任意のデザインを形成することができる。当該絵柄印刷層140のデザインは、その下地の隠蔽層170およびラメインキ層160の存在により、適度の光沢性および光輝性を伴って視認されるという効果を有している。なお、絵柄印刷層140を形成するオフセットインキの顔料として、またはこれとは別の部材として、荷電粒子を添加したり、磁性粒子を添加する等した場合には、ユニークな絵柄パターンを必ずしも目視や光学的な検出手段によってのみ検出することに限定されず、これを電気的または磁気的な検出手段である電界センサや磁気センサ等を使用して検出することも可能となる。
(viii)剥離層
剥離層120は、上述したように、あらかじめ転写基材110に対して、剥離層120から隠蔽層170に至る各印刷層を形成したものを、オーバーシート層およびコア層を重ねた積層体に重ねてから熱プレスを行う製法において、転写基材110からユニークパターン形成部1Aを確実に当該積層体側に熱転写するために設けられるものである。剥離層120はアンカー層130の上に全面にわたりコーティングにより設けられる。剥離層120は、主としてポリメタクリル酸メチルから構成されるインキである。転写基材110にあらかじめユニークパターン形成部1Aを形成する製法を用いない場合には、当該剥離層120およびその下層のアンカー層130は不要である。また、当該剥離層120は、転写基材110からの剥離性を目的とするものであるが、同時にこれに、ユニークパターン形成部1Aを保護するための成分を付与して、保護層を兼ねるように形成されてもよく、あるいは、剥離層としてではなく保護層として形成されていてもよい。例えば保護成分を含有したオーバープリント印刷等により形成してもよい。これにより、例えばユニークパターン形成部1Aの耐擦過性、耐薬品性、耐候性の向上が図れる。
(b)不規則かつユニークな絵柄パターンの形成
次に、図6〜図9により、ユニークパターン形成部1Aがカード10Aの券面に不規則かつユニークに形成される点について説明する。図6は、実際に本実施形態により作成されたカードに形成されたユニークなパターンを例示する写真画像である。図7はユニークなパターンを模式的に例示した図であり、図7(a)は、図6の四角で囲ったA部に対応するユニークなパターンの例示であり、図7(b)は、その他の態様の例示である。また、図8は、ユニークなパターンが形成される状態を説明する図であり、図9は、ユニークなパターンの形成方法を説明する図である。
(i)ユニークなパターンの構成
図6に示すように、本実施形態のユニークなパターンは、不規則な曲線または直線がつながった形状であり、途中に二股あるいはそれ以上に分岐する地点を有する形状である。このような形状はいわゆる「稲妻模様」あるいは「ジグザグ形状」とも呼ばれることがある。この図6の四角で囲ったA部の模式図が図7(a)であるが、この稲妻模様またはジグザグ形状の筋である欠損部190は、絵柄印刷層140のインキが一部、欠損した部位であると考えられる。このような筋は、図6および図7(a)にあるように、連続的に分岐しながら曲線と直線とが繋がった形状であることもあれば、図7(b)のように、欠損部190が、1箇所を中心として放射状に一定範囲の中で複数の筋として広がる形状となることもある。
図7(a)において、この連続した筋状の欠損部190の幅をW1とすると、ユニークなパターンの筋状の欠損部190は、少なくとも0.1mm〜5mm程度の幅W1を部分的に有することにより、肉眼においてもそのパターンを明確に確認することが可能である。絵柄のデザイン性を損なわず、かつ、ユニークなパターンの視認性を確実に確保するためには、少なくとも0.5mm〜2mm程度の幅W1を部分的に有していることが好ましい。0.5mmよりもW1が小さいときは、当該パターンの目視による視認性が低下し、2mmより大きい場合には、当該パターンが目立ちすぎることにより絵柄自体のデザイン性が損なわれるおそれがあるからである。また、絵柄印刷層140のインキが一部、欠損した部位である欠損部190は、下地となるラメインキ層160の地色が見えているため、ユニークなパターンの筋状の欠損部190自体が光輝性を有することから、この点において、当該ユニークなパターンの視認性を向上させる効果がある。
また、ラメインキ層160の色と、絵柄印刷層140のインキによる色とが適度なコントラストを有するように絵柄印刷層140のインキの配色を行うことにより、当該ユニークなパターンの視認性をさらに向上させることができる。例えば両者の色について、JIS Z8730(2009)の7.1.1に規定するL***表色系における色差△E*abが、少なくとも10.0以上であることが好ましく、25.0以上であることがさらに好ましい。より一層、ユニークなパターンの視認性を確保できるからである。また、絵柄印刷層140のインキには、蓄光顔料を含んでいてもよく、または、パールインキに含まれるパール顔料を含んでいてもよい。これも、ユニークなパターンの視認性の向上に寄与するからである。
一方、静電気の放電によって形成することが可能なユニークなパターンの形状が、放電箇所を集中させることによって、図7(b)のように、ある点を中心にして一定の直径Dの範囲に分布するような、放射状に延びる筋状の欠損部190となる場合がある。このとき、Dは2mm〜50mm程度、ユニークなパターンの筋状の欠損部190は、少なくとも0.1mm〜5mm程度の幅W2を部分的に有することにより、肉眼においてもそのパターンを明確に確認することが可能である。絵柄のデザイン性を損なわず、かつ、ユニークなパターンの視認性を確実に確保するためには、少なくともDは5mm〜30mm程度であって、0.5mm〜2mm程度の幅W2を部分的に有していることが好ましい。Dが5mmよりも小さいときは、当該パターンの目視による視認性が低下し、30mmより大きい場合には、当該パターンが目立ちすぎることにより絵柄自体のデザイン性が損なわれるおそれがあるからである。
このような欠損部190による模様であるユニークなパターンが発生する理由は定かではないが、外部からカード10Aに対する静電気の流入、または、カード10Aに帯電した静電気の外部への放電によって生じるものであると推定される。カード10Aはコア層4、5およびオーバーシート層3、6ともに絶縁性を有する樹脂製であり、ユニークパターン形成部1Aの各インキ層も、ラメインキ層160や隠蔽層170に含まれる金属粒子を除いて絶縁性の樹脂により構成されている。ここで、完全に絶縁物の樹脂だけで構成されたカードは、静電気が帯電することはあっても、溜まった電荷が規則的に放電される機会はあまりなく、仮に放電された場合であったとしても、その放電の経路は必ずしも決まった経路ではなく、特に絵柄印刷層140付近を通るものとはならないと考えられる。
一方、本実施形態のカード10Aは、絵柄印刷層140のすぐ間近にアンカー層150を挟んで他のコア層やオーバーシート層等よりも絶縁性が低いラメインキ層160および隠蔽層170が配置されており、カード10Aに静電気が一定の高電圧にまで帯電したときに、もっとも絶縁性の低いラメインキ層160の内部で絶縁破壊が起き、雷と同様の一種の火花放電が生じるものと推定される。すなわち、ラメインキ層160の内部でバインダーや気体の分子が電離して発生した正イオンが負極に衝突して二次電子放出により負極から電子が供給され、ラメインキ層160の内部に大電流が流れるものと考えられる。これによって、その上層である絵柄印刷層140のインキの温度が局部的に上昇し、当該インキおよび、場合によってはその上層部分までが剥がれ飛ぶ、または蒸発することで筋状のユニークなパターンとなる欠損部190が形成されるものと推定される。
図8(a)は、カード10Aの帯電量が少ないときの状態を示す模式図であるが、流入する静電気Eが弱い段階ではカード内部に電荷が蓄積され、特に変化が起きない。その後、図8(b)のように、帯電量が一定レベルを超えて高電圧に達したとき、もっとも絶縁性の低い、すなわち電気抵抗値の低い領域であるラメインキ層160の内部で絶縁破壊が生じ、当該ラメインキ層160を通じて外部に向けて大電流を伴って放電される。その結果、電流の経路に対応する上層の絵柄印刷層140やさらにその上層のアンカー層130および剥離層120は高温のため、剥がれ飛び、または蒸発するため、当該部分が欠損部190として残存し、ユニークなパターンとして視認され得ることとなると考えられる。また、このユニークなパターンは、ラメインキ層160の内部の複雑な電気抵抗の分布に依存して複雑な模様として形成されるため、カード10Aの各々によって異なる形状、すなわちユニークな形状を形成し得る。
一方、例えば隠蔽層170が、内部の金属粒子に樹脂を被覆していないものである場合、すなわち、絶縁性が極めて低い状態に形成されるときには、上記のような現象は起こらない。この場合は、図8(c)に示すように、外部から加えられた静電気Eは内部に蓄積することなく、絶縁性の低い隠蔽層170を通じて外部に放電される。しかし、この場合は高電圧にまでは達していないため、上層の絵柄印刷層140を欠損させるような絵柄印刷層140の昇温にまでは至らず、外観的な変化は生じない。
このように、カード10Aが静電気を帯びたときに絵柄印刷層140にユニークなパターンである欠損部190が発生するか否かは、その下層に配置されるラメインキ層160および隠蔽層170の所定条件により決まるものと考えられる。少なくとも、樹脂コート粒子の粒径が7μm程度である隠蔽層170と、アルミ粉の粒径が25μm〜50μm程度であるラメインキ層160とが、絵柄印刷層140の下層に存在することが、ユニークなパターンが発生し得る必須要件であるものと考えられる。
ラメインキ層160および隠蔽層170に含有される金属粒子および樹脂コート粒子の粒径が上記の範囲内である場合には、粒径の小さい隠蔽層170の表面抵抗率は、ラメインキ層160の表面抵抗率よりも大きく、ラメインキ層160と比べると絶縁破壊が起こりにくい構造であるものと推定される。
しかしながら、ラメインキ層160に樹脂コートがされている場合には、ラメインキ層160の内部での絶縁破壊が起きなくなる。樹脂コートがされていないラメインキ層160は、例えば15kV以下の低い静電気電圧に対しては通電性がないが、20kV以上の高い静電気電圧に対しては絶縁破壊する性質を有する。これに対して、樹脂コートがされた隠蔽層170や樹脂コートがされたラメインキ層は、20kV以上の高い静電気電圧に対しても通電性がほとんどなく、絶縁破壊を起こしにくいことが考えられる。しかしながらこれらの推定にとらわれることなく、所定条件の樹脂コートがされていないラメインキ層160および樹脂コートがされた隠蔽層170を積層した場合に限り、本開示のユニークなパターンが形成され得ることが、後述するように実験的に確認されている。
(ii)ユニークなパターンの形成方法
また、このようなユニークなパターンである欠損部190を意図的に発生させる方法を、図9に基づいて説明する。図9(a)は、カード10Aが縦横複数列に多面付けされた大判シート12を積み重ねた大判シート束13に対して、ユニークなパターンを形成する方法を説明する図であり、図9(b)は、カード10Aに対して、ユニークなパターンを形成する方法を説明する図である。
図9(a)では、カード10Aを打ち抜き型で打ち抜き形成する前の、多面付けの大判シート12を、アースにつながれたパレット220の上に上下に積み重ねた大判シート束13に対して、上方に固定した静電気放電ガン210から一定距離をおいて静電気を放電している。このようにすることによって、大判シート束13の各々の大判シート12にまとめて短時間で静電気を帯電させることができる。所定量の帯電が行われた後、最上部の大判シート12を大判シート束13から剥がすように移動させると、その瞬間に、移動させた大判シート12の各カード10Aのラメインキ層160を通じて、一斉に放電が起き、当該大判シート12の各々のカード10Aに対応した絵柄印刷層140にユニークなパターンである欠損部190が形成される。
なお、本実施形態で使用する静電気放電ガン210は、静電気耐性試験用のコンピュータ制御静電気試験器(株式会社ノイズ研究所、ESS−2000)である。カードに対して静電気を付与することができ、券面及びカードに内蔵されるICチップへの影響を調査することが可能である。
また、図9(b)では、大判シートから打ち抜かれたカード10Aを、アースにつながれたテーブル230上に搭載してから、上方に固定した静電気放電ガン210によって一定距離をおいて静電気を放電している。上述の大判シート束に対してまとめて静電気を与える方法よりも、各々のカードに静電気を印可する点で時間を要する工程となるが、各々のカード10Aの絵柄印刷層140に、確実にユニークなパターンである欠損部190を形成できる点で有利である。ただし、ユニークなパターンを形成する方法はこれらに限定されず、例えば、放電ガン等を用いることなく、ハンドリング工程等で自然に発生する静電気を利用する方法であってもよい。ユニークなパターンである欠損部190を形成するには、例えば、静電気放電ガン210からの印可電圧が20kV〜30kV程度であり、放電ガンの先端部を大判シートまたはカードに接触させた場合に良好に得られることが多いが、必ずしもこれらの条件に限定されるものではない。
以上のように、第1実施形態のカード10Aは、支持体2であるオーバーシート層3の上に、隠蔽層170、ラメインキ層160、アンカー層150、絵柄印刷層140、アンカー層130および剥離層120がこの順に積層された、不規則かつユニークな絵柄パターンである、ユニークパターン形成部1Aが配置された偽造防止用印刷物10である。また、当該偽造防止用印刷物10であるカード10Aの隠蔽層170は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されており、上述の工程を経ることにより、絵柄印刷層140に、不規則かつユニークな絵柄パターンを形成することが可能である。また、その不規則かつユニークな絵柄パターンは、絵柄印刷層140を形成するインキが部分的に放電時の高温によって除去されて形成されていると考えられる。さらに、ラメインキ層160に含有される金属粒子の粒径は、隠蔽層170に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径よりも大きいことが好ましい。
このような偽造防止用印刷物10であるカード10Aは、その各々が異なる不規則かつユニークな絵柄パターンを有することによって、目視状態において確実に特定のカードを識別することができる。したがって、例えば自己のカードをあらかじめ写真画像として保存しておくことにより、第三者のカードがこれとまったく同じパターンを有する場合には、これが自己のカードの偽造によって製造されたものであることを容易に確認することができる。
2.第1実施形態の変形例
上述した第1実施形態は、種々の変形や変更が可能であり、それらも本開示の範囲内である。下記に、幾つかの変形例を挙げる。
(a)変形例(1)
図10は、第1実施形態のカード10Aのユニークパターン形成部1Aに対して、剥離層120のアンカー層130とは反対の主面側にさらに透明保護層180を設けた保護層付きユニークパターン形成部11を示す断面図である。当該透明保護層180は、前述したコア層やオーバーシート層と同様の材料から選択することができるが、下層の絵柄印刷層140が視認できるよう、ある程度の透明性を有する必要がある。また、当該透明保護層180は、シート状の基材を積層する方法だけではなく、例えば紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂である透明樹脂を塗布、または印刷してこれをUV照射または加熱により硬化させる方法で形成してもよい。このように、ユニークパターン形成部1Aの上層を透明基材または透明樹脂で覆うことにより、ユニークなパターンが変質したり、劣化して形状が変化してしまうことを効果的に抑制することができる。
なお、ユニークなパターンが形成される前に透明保護層180を積層形成してしまうと、静電気放電による絵柄印刷層140の除去がうまくされず、欠損部190すなわちユニークなパターンが意図したとおりに形成されないおそれがあるため、ユニークなパターンが形成された後で透明保護層180を形成することが好ましい。
(b)変形例(2)
図11は、カード10Aのユニークパターン形成部について、ラメインキ層160、またはラメインキ層160と隠蔽層170の形成領域を絵柄印刷層140等よりも狭い領域としているユニークパターン形成部1Bおよび1Cを示す断面図である。ユニークパターン形成部1Bおよび1Cも、本開示の偽造防止用印刷物10に形成されるユニークパターン形成部1の一例である。例えば、図11(a)のように、ラメインキ層160の形成領域が絵柄印刷層140等のそれよりも狭い領域とされたユニークパターン形成部1Bを有する場合には、静電気放電等によるユニークなパターンの形成領域は、最大でもこのラメインキ層160の形成領域内に限定される。ラメインキ層160の上層の絵柄印刷層140のみが放電時に高温となり、欠損部190を形成し、それ以外の領域では放電の経路が異なるため、絵柄印刷層140に高温の領域が生じず、欠損部190が形成されないからである。
このように、偽造防止用印刷物10であるカード10Aを隠蔽層170、ラメインキ層160および絵柄印刷層140が積層される方向に沿って透視したときに、ラメインキ層160の面積が絵柄印刷層140の面積よりも小さく形成されていることによって、ユニークなパターンの形成領域を、当該ラメインキ層160の形成領域の内部に限定することができる。これにより、絵柄のデザイン自体に制約を設けることなく、光輝性が付与された領域およびユニークなパターンの形成領域を、絵柄のデザインに支障を与えない領域に意図的に限定して設けることができ、デザインの自由度をさらに向上させることができる。
また、図11(b)のように、隠蔽層170、ラメインキ層160および絵柄印刷層140が積層される方向に沿って透視したときに、ラメインキ層160および隠蔽層170が略重なるように、隠蔽層170の面積をラメインキ層160の面積と同程度に小さく形成することとしてもよい。この場合も、絵柄のデザイン自体に制約を設けることなく、ユニークなパターンの形成領域を、絵柄のデザインに支障を与えない領域に意図的に限定して設けることができるほか、隠蔽層、ラメインキ層のインキ消費量を減らし、コストダウンを図ることができる。
(c)変形例(3)
図12は、偽造防止用印刷物10の別の例示として、粘着ラベル10Dを示す断面図である。支持体2としては、例えば紙基材7を使用することができるが、その他、樹脂製フィルムや紙と樹脂のブレンド材等を用いることができる。樹脂製フィルムとしては前述のカード10Aのコア層について例示した材料が使用できる。本変形例の紙基材7の上層側にユニークパターン形成部1の一種であるユニークパターン形成部1Dが形成され、紙基材7の下層側に粘着層8が形成されている。また、不使用時、保管時の粘着層8の粘着力を低下させないために、粘着面にセパレータ9が貼り付けられている。ユニークパターン形成部1Dは、第1実施形態のユニークパターン形成部1Aと同様の構成とすることができる。ユニークパターン形成部1Dは、本開示の偽造防止用印刷物10に形成されるユニークパターン形成部1の一例である。紙基材7の厚さには特に制限はないが、用途や耐久性に応じて、例えば0.01mm〜10mm程度で適宜選択することができる。
粘着層8としては公知の一般的な材料を用いることができる。例えば、合成ゴム系粘着剤としては、イソプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等をあげることができる。また、シリコーン樹脂系粘着剤としては、例えばシロキサンポリマーを使用することができ、アクリル樹脂系粘着剤としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル等の重合体、共重合体等を使用することができる。これらの粘着剤は2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
当該粘着層8には、必要に応じて粘着付与剤、填料、軟化剤、老化防止剤、あるいは染料、顔料等の着色剤等を配合することもできる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられる。また、填料としてはシリカ、タルク、炭酸カルシウム、クレイ等が挙げられる。軟化剤としては可塑剤等が挙げられる。また、粘着層8の厚さには特に制限はないが、用途や耐久性に応じて、例えば0.01mm〜5.0mm程度で適宜選択することができる。
このような粘着ラベル10Dの場合であっても、第1実施形態のカード10Aと同様に、ユニークパターン形成部1Dにユニークなパターンを形成することができる。紙基材7自体は静電気を帯びにくいが、粘着層8やユニークパターン形成部1Dに使用される絶縁性の樹脂には静電気が帯電しやすいため、カード10Aと同様の効果が期待できる。また、当該粘着ラベルは、RFIDタグを内蔵した非接触通信によるデータの読み出しや書き込みが可能なものであってもよい。
(d)変形例(4)
図13は、偽造防止用印刷物10の別の例示として、冊子体10Eを示す斜視図である。冊子体とは、例えばパスポートや貯金通帳等であるが、これには限定されない。当該冊子体10Eの支持体2は、パスポートのデータページ330であり材質は例えばポリカーボネートやポリエステル、またはこれらと紙とのブレンド材である。データページ330を挟むようにしてページ310、320が帳合されている。データページ330には、第1実施形態のユニークパターン形成部1Aと同様の構成であるユニークパターン形成部1Eが形成されている。ユニークパターン形成部1Eは、本開示の偽造防止用印刷物10に形成されるユニークパターン形成部1の一例である。
このような冊子体10Eの場合においても、第1実施形態のカード10Aと同様に、ユニークパターン形成部1Eにユニークなパターンを形成することができる。特にパスポートである場合には、データページ330は、ICチップを内蔵しているため、後述の検査方法で説明するとおり、当該ユニークなパターンをコード化したデジタルデータをICチップに記憶させ、ユニークパターン形成部1EのユニークなパターンとICチップの内蔵データとを照合することにより、当該パスポートが改ざんされていないことを検証することができる。
(e)変形例(5)
図14は、偽造防止用印刷物10のさらなる別の例示として、ICカード10Fを示す平面図である。第1実施形態のカード10Aは、このようなICチップを備えていないカードであるが、本変形例はカード基体420に、ICチップを内蔵するICモジュール410を備えている点が、カード10Aとは異なる。ICカード10Fにおいても、第1実施形態のカード10Aと同様に、支持体2であるカード基体420の上層にユニークパターン形成部1Fとしてユニークなパターンを形成することができる。ユニークパターン形成部1Fは、本開示の偽造防止用印刷物10に形成されるユニークパターン形成部1の一例である。また、上述のパスポートと同様に、当該ユニークなパターンをコード化したデジタルデータをICチップに記憶させ、ユニークパターン形成部1FのユニークなパターンとICチップの内蔵データとを照合することにより、当該パスポートが改ざんされていないことを検証することができる。
3.第2実施形態
次に、上述したICカード10Fを用いた偽造防止用印刷物10の真贋判定システムおよび真贋判定方法に関する第2実施形態について説明する。
(a)偽造防止用印刷物の真贋判定システムの構成
図15は第2実施形態に関する偽造防止用印刷物10であるICカード10Fの真贋判定システムの構成を説明する構成図である。図15(a)に示すように、ユニークパターン真贋判定システム500は、ICカード10Fを固定するためのステージ530、カメラ510、光源520、画像処理装置540およびリーダライター550から構成される。光源520はステージ530の上に載置されたICカード10Fを照らし、ユニークパターン形成部1Fの撮影を良好に行うことを可能とするものである。カメラ510は例えばCCDカメラであり、ICカード10Fの全体、または、ユニークパターン形成部1Fの所定領域を撮影し、この情報をデジタルデータとして取り込む。画像処理装置540は、カメラ510が撮影し、取り込んだデジタルデータをそのまま、あるいは所定の変換をした上で、デジタルデータとして内蔵するメモリに保存する。
なお、本実施形態では、光学的手段のひとつであるカメラ510によって、ユニークな絵柄パターンを検出することとしているが、検出手段はこのような光学的なものには限定されない。例えば、絵柄印刷層140を形成するオフセットインキの顔料中に、荷電粒子を添加したり、磁性粒子を添加する等した場合には、ユニークな絵柄パターンを必ずしも目視や光学的な検出手段によってのみ検出することに限定されず、これを電気的または磁気的な検出手段である電界センサや磁気センサ等を使用して検出することも可能である。なお、真贋判定システムの説明は、ICカード10Fに適用した場合について行うが、本開示の真贋判定システムはこれに限定するものではなく、例えばICチップを内蔵するRFIDタグを備えた粘着ラベルやICチップを内蔵した冊子体に適用することもできる。
リーダライター550は、図15(b)、(c)に示すように、ICカード10FのICモジュール410にコンタクトすることにより、ICモジュール410に対して情報の読み出しや書き込みを行うことができる。カメラ510がICカード10Fを撮影している間は、リーダライター550はICカード10Fにはコンタクトしていないが、撮影終了後、図示しない機構によってICカード10Fはリーダライター550とコンタクトすることができる。例えば、撮影終了後のICカード10Fを移動させ、リーダライター550のソケットに差し込んでコンタクトさせてもよい。リーダライター550がICモジュール410とコンタクトしているとき、インターフェース部411を介して、CPU412に対してコマンドやデータを送信したり、CPU412からコマンドやデータを受信することができる。ICカードとリーダライターとの電気的な接続仕様や通信仕様、コマンドの送受信の仕様については、ISO7816規格によって詳細が定められている。また、リーダライター550は、画像処理装置540と通信可能に接続されている。
ICモジュール410は、ICチップとその外装部分とに分かれるが、特にICチップ側は、リーダライター550とのコマンドの送受信のためのインターフェース部411と、CPU412と、各種のメモリ素子であるRAM413、ROM414およびNVM415を備えている。CPU412は、インターフェース部411を介してデータを送受信することの指示や、各種のメモリへのデータの書き込みや読み出し、各種の演算や判定を行い、これらに必要な電力をリーダライター550からインターフェース部411を介して受電し、各部に供給する役目を担っている。しかし、電源部がCPU部とは別に設けられていてもよい。
メモリ素子のうち、RAM413は、CPUへのデータの入出力や演算のための一時的なデータの格納用に用いられる揮発性メモリである。ROM414は、電源投入時にCPUを起動させ、オペレーティングシステムやアプリケーションを立ち上げるための固定プログラム等が格納された書き換え不可能な不揮発性メモリである。また、NVM415は、フラッシュメモリーやEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリであり、更新される可能性のあるアプリケーションプログラムやパラメータ、リーダライターから受信したデータやCPUが演算した結果のデータ等を格納するために用いられる。
(b)検査方法
次に、図16および図17の真贋判定方法のフロー図と図15の構成図を用いて、ユニークパターン真贋判定システム500による検査の流れを説明する。図16は、ICカード10Fの認証情報を登録する作業を示すフロー図である。まず、図15(a)に示すように、ICカード10Fをステージ530に固定し、光源520による照明がICカード10Fの券面に当たるように調整する。そして、カメラ510により、ICカード10Fのユニークパターン形成部1Fを含む所定領域の画像を撮像する(ステップS601)。
次に、撮像した画像データを画像処理装置540に取り込み、当該画像データを所定のルールにしたがってデジタルデータのコードに変換する。これを仮に固有コードC0とする(ステップS602)。所定のルールとは、任意に定めたもので構わないが例えば、取り込んだ画像の各画素を一定の閾値によって2値化し、各画素ごとの2値化データ(0または1)を順番に羅列したものを固有コードとしてもよく、これらのデータに所定の演算をして短縮されたハッシュデータを得て、これを固有コードとしてもよい。ただし、撮像した画像データの情報と、対応付けができるコードであることを要する。対応付けは、必ずしも画像データと固有コードとが1対1の関係となる必要性はないが、少なくとも一つの画像データが複数の固有コードと紐付けられてはならない。
上記固有コードC0を画像処理装置540からリーダライター550に転送し、画像データの撮像が終了したICカード10Fをステージ530から外してリーダライター550にコンタクトさせ、ICモジュール410の不揮発性メモリであるNVM415への書き込みを行う(ステップS603)。以上により、ICカード10Fへの認証情報の登録作業が終了する。
次に、ICカード10Fの真贋判定作業の流れを説明する。図17は、当該真贋判定作業のフロー図である。まず、判定対象のICカード10Fをステージ530に載置し、ユニークパターン形成部1Fを含む所定領域の画像を撮像する(ステップS611)。次に、撮像した画像データを画像処理装置540に取り込み、当該画像データを所定のルールにしたがってデジタルデータのコードに変換する。これを仮にコードC1とする(ステップS612)。所定のルールとは、前述した認証情報の登録作業に用いたものと同じアルゴリズムに従って行うことを意味する。次に、ICカード10FのICモジュール410の不揮発性メモリであるNVM415に記憶している当該ICカード10Fの固有コードC0を、リーダライター550をICモジュール410にコンタクトさせた状態で読み出し、これを画像処理装置540に転送する(ステップ613)。
画像処理装置540は、直近に撮像したICカード10Fの画像データから取得したコードC1と、リーダライター550がICカード10Fのメモリから読み出したICカード10Fの固有コードC0とを比較照合する(ステップS614)。当該画像処理装置は、本開示の比較照合手段の一例である。もしも、ICカード10Fの認証情報登録時と同じ券面のカードを比較した場合には、C1はC0と一致するはずであり、これが不一致である場合は、ICカード10Fのユニークパターン形成部1Fが、後から改ざんされた可能性がある。
したがって、C1がC0と同じ場合には、認証が成功したと判断し(ステップS615)、C1とC0との比較照合結果をリーダライター550または画像処理装置540の画面上に表示の上、引き続き、必要な処理を継続した後、真贋判定作業を終了する(ステップS616)。また、C1がC0と異なる値であった場合には、認証が失敗したと判断し(ステップS617)、C1とC0との比較照合結果をリーダライター550または画像処理装置540の画面上に表示の上、処理を中止し、エラー結果を通知する等した後、真贋判定作業を終了する(ステップS618)。C1とC0との比較照合結果または真贋判定結果を表示するリーダライター550または画像処理装置540の表示画面は、本開示の結果出力手段の一例である。なお、本実施形態では、画像処理装置540が、ICカード10Fの画像データから取得したコードC1と固有コードC0との比較照合および真贋判定作業を実施するものとして記載しているが、これらの作業は、画像処理装置540とは別の情報処理装置やこれらとネットワークで接続されているサーバー等が行うこととしてもよい。
以上の説明のとおり、本開示の偽造防止用印刷物10であるICカード10Fは、記憶手段を有するICチップをさらに備え、記憶手段には、ICカード10Fを特定する固有データC0が読み出し可能に保存されており、固有データC0は、不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によって読み取ったときのデジタルデータと対応付けられている。また、偽造防止用印刷物10であるICカード10Fの固有データC0を、ICカード10Fの不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によって読み取ったデジタルデータと比較照合することにより、ICカード10Fの改ざんの有無を判断することが可能である。
次に、実施例を挙げて本開示をさらに詳細に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(a)実験サンプルの作成
まず、コア層4、5として白色のPET−Gシート(厚さ:0.31mm)の2枚を使用し、オーバーシート層3、6として、透明のPET−Gシート(厚さ:0.10mm)の2枚を使用した。
次に、転写基材110として厚さ150μmの2軸延伸PETフィルムを使用し、これに、剥離層120としてポリメタクリル酸メチルをコーティング機により厚さ約1μmとなるように均一に全面コーティングした。さらに、これに透明色の紫外線硬化型オフセットインキを用いて厚さ約1μmのアンカー層130を形成し、UV照射により硬化させ、さらにこれに紫外線硬化型オフセットインキとして黄、赤、藍、墨の4色を重ねて絵柄印刷層140を形成し、UV照射により硬化させた。絵柄印刷層140の厚さは約1μmであった。その後、さらに透明色の紫外線硬化型オフセットインキを用いて厚さ約1μmのアンカー層150を形成した。
次に、アンカー層150の上にラメインキ層160を、シルクスクリーン印刷により印刷形成した。印刷には、200メッシュ版を用い、ラメインキ層160の乾燥後の膜厚が約5μm〜7μmとなるようにした。ラメインキ層160の具体的な内容は、バインダーが、株式会社セイコーアドバンス製ACT800メジウム(塩酢ビ系)、顔料が株式会社セイコーアドバンス製銀ペースト606Hであり、金属粒子がアルミ粉(粒径30〜34μm)である。なお、ラメインキ中の銀ペースト、メジウムおよび溶剤の各配合率を表1に従って変えた実施例1、2、3の各サンプルを作成した。
さらに、当該ラメインキ層160の上に隠蔽層170を、シルクスクリーン印刷により印刷形成した。印刷には、350メッシュ版を用い、隠蔽層170の乾燥後の膜厚(金属粒子部分を除く)が約2μm〜4μmとなる条件で印刷した。隠蔽層170の具体的な内容は、塩酢ビ系のバインダーである昭和インク株式会社製VAHSメジウムに、金属粒子がアルミ粉(粒径約7μm)、アルミ粉添加量がバインダーに対して、10〜12質量%となるようにした。アルミ粉はアクリル樹脂でコーティングされている。
以上のように転写基材110に形成されたユニークパターン形成部1Aを、あらかじめ、オーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3をこの順に積み重ねた積層体に、その隠蔽層170がオーバーシート層3と当接するように重ねて、その上下端をステンレス板で挟み込み、これに一定温度の熱圧を一定時間掛けて熱プレした。これにより、オーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3が互いに熱融着して一体化し、かつ、オーバーシート層3の主面にユニークパターン形成部1Aが転写形成された、熱プレス後の積層体を得た。なお、ユニークパターン形成部1Aがない転写基材110は、熱プレスの温度では融着しないため、当該熱プレス後の積層体から、容易に剥がすことができた。
その後、熱プレス後の積層体である大判シートをカードサイズに打ち抜き加工し、長辺方向が約86mm、短辺方向が約54mm、厚さが約0.8mmのISO7810規格に準拠するカードが形成された。このカードは、第1実施形態のカード10Aと同等の仕様である。次に、このカードを、図9(b)のように、アース処理がされたステージに載せ、静電気放電ガンのイオンが放出される先端部とカードのユニークパターン形成部1Aとを接触させ、所定の電圧を印可して静電気放電ガンからカードに向けて放電した。また、所定の電圧は10kVから30kVまで、5kV刻みに設定して行った。放電ガンは、株式会社ノイズ研究所製の静電気試験機(ESS−2000)を使用し、使用しコンデンサが150pF、抵抗が330Ω、放電回数が10回、接触箇所を1回ずつ5mm程度ずつずらしながら当該カードに対して静電気放電を行った。
上述の条件でカードの製造条件および静電気の放電条件を変えたサンプルを3種類作成し(実施例1、2、3)、それぞれについて、10kVから30kVまでの5kV刻みの静電気を印加する放電試験を行い、その結果を表1に記載した。なお、評価指標は下記のとおりである。
〇:絵柄にユニークパターンが発生した
△:わずかに絵柄にユニークパターンが発生したが、視認性が十分ではなかった
×:絵柄にユニークパターンが発生しなかった
(b)静電気放電試験結果
これらの実施例1、2、3の結果より、樹脂コートがされているラメインキを使用した実施例2、3では、銀ペーストの配合比率を15%およびこれよりも多い20%としても静電気試験によるユニークパターンの発生は見られなかった。また、樹脂コートがされていないラメインキを使用した実施例1では、静電気が25kV以上では良好にユニークパターンが発生することが確認できた。
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F ユニークパターン形成部
2 支持体
3、6 オーバーシート層
4、5 コア層
7 紙基材
8 粘着層
9 セパレータ
10 偽造防止用印刷物
10A カード
10D 粘着ラベル
10E 冊子体
10F ICカード
11 保護層付きユニークパターン形成部
12 大判シート
13 大判シート束
110 転写基材
120 剥離層
130 アンカー層
140 絵柄印刷層
150 アンカー層
160 ラメインキ層
162 金属粒子
164 バインダー
170、175 隠蔽層
171 樹脂コート粒子
172 金属粒子
173 樹脂コート部
174 バインダー
180 透明保護層
190 欠損部
210 静電気放電ガン
220 パレット
230 テーブル
310、320 ページ
330 データページ
410 ICモジュール
411 インターフェース部
412 CPU
413 RAM
414 ROM
415 NVM
420 カード基体
500 ユニークパターン真贋判定システム
510 カメラ
520 光源
530 ステージ
540 画像処理装置
550 リーダライター

Claims (12)

  1. 支持体の上に、隠蔽層、ラメインキ層および絵柄印刷層がこの順に積層された偽造防止用印刷物であって、
    前記隠蔽層は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されており、
    前記ラメインキ層は、樹脂により被覆されていない金属粒子を含有したインキで形成されており、 前記絵柄印刷層には、不規則かつユニークな絵柄パターンが形成されている、偽造防止用印刷物。
  2. 前記不規則かつユニークな絵柄パターンは、稲妻模様またはジグザグ形状を含んで構成される、請求項1に記載の偽造防止用印刷物。
  3. 前記不規則かつユニークな絵柄パターンは、絵柄印刷層を形成するインキが部分的に除去されることにより形成されている、請求項1または請求項2に記載の偽造防止用印刷物。
  4. 前記ラメインキ層の面積は、前記絵柄印刷層の面積よりも小さく形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の偽造防止用印刷物。
  5. 前記ラメインキ層に含有される、金属粒子の粒径は、前記隠蔽層に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径よりも大きい、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の偽造防止用印刷物。
  6. 前記絵柄印刷層の前記ラメインキ層とは反対の側に、透明な保護層がさらに形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の偽造防止用印刷物。
  7. 記憶手段を有するICチップをさらに備え、
    前記記憶手段には、前記偽造防止用印刷物を特定する固有データが読み出し可能に保存されており、
    前記固有データは、前記不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によって読み取ったときのデジタルデータと対応付けられている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の偽造防止用印刷物。
  8. 前記偽造防止用印刷物の前記固有データを、前記偽造防止用印刷物の前記不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によって読み取ったデジタルデータと比較照合することにより、前記偽造防止用印刷物の改ざんの有無を判断することが可能である、請求項7に記載の偽造防止用印刷物。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の偽造防止用印刷物を構成するICカード。
  10. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の偽造防止用印刷物を構成する粘着ラベル。
  11. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の偽造防止用印刷物を構成する冊子体。
  12. 支持体の上に、隠蔽層、ラメインキ層および絵柄印刷層がこの順に積層された偽造防止用印刷物であり、
    前記隠蔽層は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されており、
    前記ラメインキ層は、樹脂により被覆されていない金属粒子を含有したインキで形成されており、
    前記絵柄印刷層には、不規則かつユニークな絵柄パターンが形成されており、
    前記偽造防止用印刷物の固有データが記憶されている記憶手段、を有するICチップを備えている、偽造防止用印刷物の真贋判定方法であって、
    リーダライターによって、前記ICチップの前記記憶手段に保存されている前記偽造防止用印刷物の固有データを読み出す工程と、
    前記偽造防止用印刷物の前記不規則かつユニークな絵柄パターンを電気的、光学的または磁気的な検出手段によってデジタルデータとして読み取る工程と、
    比較照合手段によって、前記固有データが前記デジタルデータと対応づけられているか否かを比較照合する工程と、
    結果出力手段によって、前記固有データが、前記デジタルデータと対応づけられているか否かについての比較照合結果を出力する工程と、を備える、偽造防止用印刷物の真贋判定方法。
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