JP2020179512A - 複層塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で、且つ容易に補修可能である、見る方向によって色調が変化する複層塗膜を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、被塗装物と、該被塗装物の上面に配置されたメタリックベース塗膜と、該メタリックベース塗膜の上面に配置された青クリヤーベース塗膜と、該青クリヤーベース塗膜の上面に配置された第一のクリヤー塗膜と、該第一のクリヤー塗膜の上面に配置された赤クリヤーベース塗膜とを少なくとも含む複層塗膜であって、該メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値が-100〜-80の範囲であり、且つ受光角110°における色のb値が-1〜-30の範囲であり、該赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値及び受光角110°における色のb値がいずれも0超であり、且つ受光角15°における色のb値と、受光角110°における色のb値との差が、0〜10の範囲である、前記複層塗膜に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、複層塗膜に関する。特に、本発明は、見る方向によって色調が変化する複層塗膜に関する。
自動車等の車体は、通常は、車体の表面に、ベース塗膜、メタリック塗膜及びクリヤー塗膜等を順次形成した複層塗膜を有する。メタリック塗膜及びクリヤー塗膜を有する複層塗膜の場合、メタリック塗膜に含まれる鱗片状の金属からなる金属顔料(以下、「光輝材」とも記載する)が、クリヤー塗膜を通過する光を反射するため、光り輝く美しい外観を呈する。
例えば、特許文献1は、ベース塗膜及びその上に形成されるクリヤー塗膜からなる複層塗膜であって、ベース塗膜が干渉縞を発現するエンボス模様付き鱗片状金属顔料、バインダー樹脂及び硬化剤を含有するベース塗料から形成され、ベース塗膜の顔料質量濃度(PWC)が20〜30%であり、該ベース塗膜の乾燥膜厚が0.3〜5 μmであり、鱗片状金属顔料が基材表面に可能な限り平行に配列されていることを特徴とする干渉縞を発現する複層塗膜を記載する。当該文献は、前記複層塗膜がマジョーラ(商標)塗膜とも呼ばれ、玉虫のような色が変わる色調が得られることを記載する。
特許文献2は、細分化された金属薄片であって、各々が少なくとも一つのエンボス模様付き表面を有している細分化された金属薄片を調製する方法を記載する。
特開2015-116792号公報 特表平8-502301号公報
前記のように、見る方向によって色調が変化するカラーシフト塗装の技術が知られている。しかしながら、従来技術のカラーシフト塗装によって得られる複層塗膜には、いくつかの課題が存在した。例えば、特許文献1に記載の複層塗膜の場合、鱗片状金属顔料の配列によって色調が変化する。このような鱗片状金属顔料又は光輝材は、通常は高価であることから、結果として得られる複層塗膜の価格は非常に高価であった。また、複層塗膜が損傷した場合に部分的に再塗装すると、鱗片状金属顔料の配列が乱れるため、色調が不自然になる可能性が存在した。
それ故、本発明は、安価で、且つ容易に補修可能である、見る方向によって色調が変化する複層塗膜を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者は、メタリックベース塗膜、青クリヤーベース塗膜、第一のクリヤー塗膜及び赤クリヤーベース塗膜を有する複層塗膜において、特定の色のb値を有するメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層、並びに赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層を用いることにより、高価な顔料を用いることなく、カラーシフト塗装を実現できることを見出した。前記構成を有する本発明の複層塗膜は、クリヤー塗膜によって各塗膜が分離されているため、損傷時に容易に補修することができる。本発明者は、前記知見に基づき、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(1) 被塗装物と、該被塗装物の上面に配置されたメタリックベース塗膜と、該メタリックベース塗膜の上面に配置された青クリヤーベース塗膜と、該青クリヤーベース塗膜の上面に配置された第一のクリヤー塗膜と、該第一のクリヤー塗膜の上面に配置された赤クリヤーベース塗膜とを少なくとも含む複層塗膜であって、
該メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値が-100〜-80の範囲であり、且つ受光角110°における色のb値が-1〜-30の範囲であり、
該赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値及び受光角110°における色のb値がいずれも0超であり、且つ受光角15°における色のb値と、受光角110°における色のb値との差が、0〜10の範囲である、
前記複層塗膜。
本発明により、安価で、且つ容易に補修可能である、見る方向によって色調が変化する複層塗膜を提供することが可能となる。
図1は、本発明の一態様の複層塗膜の一実施形態を示す断面図である。 図2は、本発明の一態様の複層塗膜の表面における色のb値を例示するグラフである。(a)は、本発明の一態様の複層塗膜に含まれる、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜からなる塗膜層の表面における色のb値であり、(b)は、本発明の一態様の複層塗膜に含まれる、赤クリヤーベース塗膜からなる塗膜層の表面における色のb値であり、(c)は、本発明の一態様の複層塗膜の表面における色のb値である。 図3は、試料1〜4の複層塗膜の塗板の表面に対する所定の受光角におけるb値を示すグラフである。 図4は、実施例1及び比較例1〜4の複層塗膜の塗板における、青メタリック塗膜、又はメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を含む複層塗膜の表面に対する所定の受光角におけるb値を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 複層塗膜>
本発明の一態様は、複層塗膜に関する。
自動車等の車体では、所望の意匠に応じて、ベース塗膜の上面に、メタリック塗膜及びクリヤー塗膜等を順次形成した複層塗膜が使用される場合がある。このような塗装は、メタリック塗膜が光を反射するため、見る方向によって色調が変化するカラーシフト塗装として知られている。従来技術のカラーシフト塗装の場合、高価な鱗片状金属顔料を使用するため、結果として得られる複層塗膜の価格は非常に高価であった。また、複層塗膜が損傷した場合に部分的に再塗装すると、鱗片状金属顔料の配列が乱れるため、色調が不自然になる可能性が存在した。このため、複層塗膜が損傷した場合、損傷箇所が一部分であっても、複層塗膜全体を再塗装する必要があった。
これに対し、本発明者は、メタリックベース塗膜、青クリヤーベース塗膜、第一のクリヤー塗膜及び赤クリヤーベース塗膜を有する複層塗膜において、特定の色のb値を有するメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層、並びに赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層を用いることにより、高価な顔料を用いることなく、カラーシフト塗装を実現できることを見出した。それ故、本態様の複層塗膜により、安価で、且つ容易に補修可能である、見る方向によって色調が変化する複層塗膜を提供することができる。
本態様の複層塗膜は、通常は、乗用車、トラック若しくはオートバイ等の自動車等の車体又は部品に適用される。
本態様の複層塗膜の一実施形態を示す断面図を、図1に示す。図1に示すように、本態様の複層塗膜100は、被塗装物10と、該被塗装物10の上面に配置されたメタリックベース塗膜12と、該メタリックベース塗膜12の上面に配置された青クリヤーベース塗膜13と、該青クリヤーベース塗膜13の上面に配置された第一のクリヤー塗膜14と、該第一のクリヤー塗膜14の上面に配置された赤クリヤーベース塗膜15とを少なくとも含む。本態様の複層塗膜100は、所望により、被塗装物10及びメタリックベース塗膜12の間に、中塗り塗膜11をさらに含んでもよい。また、本態様の複層塗膜100は、所望により、赤クリヤーベース塗膜15の上面に、第二のクリヤー塗膜又は透明フィルム16をさらに含んでもよい。
本発明の各態様において、「被塗装物」は、その表面に本態様の複層塗膜の形成が予定される物を意味する。被塗装物は、例えば、鋼板等の、自動車等の車体に使用される部品と同一の材料で構成される。被塗装物は、所望により、その表面に電着塗膜を有してもよい。
本態様の複層塗膜は、所望により、被塗装物とメタリックベース塗膜又は場合により中塗り塗膜との間に、電着塗膜をさらに含んでもよい。この場合、本発明の各態様において、「電着塗膜」は、電着塗料を被塗装物の上面に塗装して形成される塗膜を意味する。電着塗料は、通常は、被塗装物の表面に塗装されることにより塗装物の錆又は腐食を防止するとともに、塗装物表面の耐衝撃性を強化するために使用される。本態様の一実施形態の複層塗膜に含まれる電着塗膜は、自動車等の車体の塗装に通常使用されるカチオン型電着塗料及びアニオン型電着塗料等の水性塗料である電着塗料により形成される塗膜であることが好ましい。本態様の複層塗膜が前記特徴を有する電着塗膜を有する場合、複層塗膜の耐錆性及び耐衝撃性を向上させることができる。
本態様の一実施形態の複層塗膜に含まれる電着塗膜は、乾燥膜厚が10〜40 μmの範囲であることが好ましい。
本態様の一実施形態において、中塗り塗膜は、通常は、被塗装物の表面に塗装されることにより、塗装物の表面形状を平滑にして、電着塗膜の光に対する劣化を防止するとともに、塗装物表面の耐衝撃性を強化するために使用される。
本態様の一実施形態の複層塗膜に含まれる中塗り塗膜は、乾燥膜厚が15〜35 μmの範囲であることが好ましい。
本発明の各態様において、「メタリックベース塗膜」は、メタリックベース塗料を被塗装物又は場合により電着塗膜若しくは中塗り塗膜の上面に塗装して形成される塗膜を意味する。メタリックベース塗料は、通常は、下地となる被塗装物又は場合により中塗り塗膜を隠蔽するとともに、複層塗膜に色彩及び光輝性のような意匠性を付与するために使用される。本態様の複層塗膜に含まれるメタリックベース塗膜は、所望の光輝性を付与するための光輝材に加え、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等からなる基剤樹脂、並びに水及び/又は親水性有機溶剤からなる水性媒体を少なくとも含む塗料により形成される塗膜であることが好ましい。本態様の複層塗膜が前記特徴を有するメタリックベース塗膜を有することにより、下地となる被塗装物又は場合により中塗りを隠蔽するとともに、複層塗膜に光輝性のような意匠性を付与することができる。
本態様の複層塗膜に含まれるメタリックベース塗膜は、乾燥膜厚が、2〜6 μmの範囲であることが好ましく、3〜4 μmの範囲であることがより好ましい。
本発明の各態様において、「青クリヤーベース塗膜」は、青クリヤーベース塗料をメタリックベース塗膜の上面に塗装して形成される塗膜を意味する。本態様の複層塗膜に含まれる青クリヤーベース塗膜は、以下において説明する所定の色彩を付与するための青色の着色顔料に加え、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等からなる基剤樹脂、並びに水及び/又は親水性有機溶剤からなる水性媒体を少なくとも含む塗料により形成される塗膜であることが好ましい。
本態様の複層塗膜に含まれる、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の表面における色のb値を例示するグラフを図2(a)に示す。図2(a)に示すように、本態様の複層塗膜に含まれる、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値は、-100〜-80の範囲であり、且つ受光角110°における色のb値は、-1〜-30の範囲である。受光角15°における色のb値は、-100〜-85の範囲であることが好ましい。受光角110°における色のb値は、-1〜-20の範囲であることが好ましい。本発明の各態様において、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の色のb値は、特定の受光角において、該メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の表面を測色したときのb値を意味する。本発明の各態様において、塗膜又は塗膜層の「受光角」は、塗膜又は塗膜層の測色をする際に、該塗膜又は塗膜層の表面に入射する入射光に対する正反射光と受光位置との間の角度を意味する。本発明の各態様において、塗膜又は塗膜層の表面に入射する入射光及びそれによって生じる正反射光は、通常は、該塗膜又は塗膜層の表面に対して45°の角度を有する。受光角15°における色のb値が前記範囲内である場合、該角度におけるメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の色調は青色となる。また、受光角110°における色のb値が前記範囲内である場合、該角度におけるメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の色調は黄色を帯びる。それ故、受光角15°における色のb値及び受光角110°における色のb値がそれぞれ前記範囲内である場合、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層を見る方向を連続的に変化させると、該塗膜の色調が連続的に大きく変化し得る(図2(a))。これにより、本態様の複層塗膜もまた、見る方向によって色調が大きく変化し得る(図2(c))。
本発明の各態様において、塗膜の色のb値は、限定するものではないが、例えば、当該技術分野で通常使用される多角度測定器又は分光測色計を用いて、所定の受光角におけるb値を測定することにより、決定することができる。また、対象となる塗膜の上面に他の塗膜層が存在する場合、上面の他の塗膜層を研磨等により除去した後で、前記手順でb値を測定すればよい。
本態様の複層塗膜に含まれる青クリヤーベース塗膜は、乾燥膜厚が、5〜20 μmの範囲であることが好ましく、10〜14 μmの範囲であることがより好ましい。青クリヤーベース塗膜の乾燥膜厚が前記範囲内である場合、見る方向によって色調が大きく変化し得る塗膜とすることができる。
本発明の各態様において、「第一のクリヤー塗膜」は、クリヤー塗料を青クリヤーベース塗膜の上面に塗装して形成される塗膜を意味する。本態様の複層塗膜に含まれる第一のクリヤー塗膜は、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の凹凸を平滑にするとともに、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層を保護するために使用される。本態様の複層塗膜に含まれる第一のクリヤー塗膜は、酸性アクリル樹脂、エポキシアクリル樹脂又はポリウレタン樹脂等の組み合わせ等からなる基剤樹脂を少なくとも含む塗料、又は有機溶剤系熱硬化型塗料により形成される塗膜であることが好ましい。クリヤーコート塗料は、1液型塗料であってもよく、又は2液型ウレタン樹脂塗料等の2液型塗料であってもよい。本態様の複層塗膜が前記特徴を有する第一のクリヤー塗膜を有することにより、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の凹凸を平滑にするとともに、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層を保護することができる。
本態様の複層塗膜に含まれる第一のクリヤー塗膜は、乾燥膜厚が、15〜60 μmの範囲であることが好ましく、30〜45 μmの範囲であることがより好ましい。第一のクリヤー塗膜の乾燥膜厚が前記範囲内である場合、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の凹凸を平滑にするとともに、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層を保護することができる。
本発明の各態様において、「赤クリヤーベース塗膜」は、赤クリヤー塗料を第一のクリヤー塗膜の上面に塗装して形成される塗膜を意味する。本態様の複層塗膜に含まれる赤クリヤーベース塗膜は、以下において説明する所定の色彩を付与するための赤色の着色顔料に加え、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等からなる基剤樹脂、並びに水及び/又は親水性有機溶剤からなる水性媒体を少なくとも含む塗料により形成される塗膜であることが好ましい。
本態様の複層塗膜に含まれる赤クリヤーベース塗膜の表面における色のb値を例示するグラフを図2(b)に示す。図2(b)に示すように、本態様の複層塗膜に含まれる赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値及び受光角110°における色のb値がいずれも0超であり、且つ受光角15°における色のb値と、受光角110°における色のb値との差が、0〜10の範囲である。受光角15°における色のb値及び受光角110°における色のb値が、0〜40の範囲であることが好ましく、30〜40の範囲であることがより好ましい。また、受光角15°における色のb値と、受光角110°における色のb値との差が、0〜5の範囲であることが好ましい。本発明の各態様において、赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の色のb値は、特定の受光角において、該赤クリヤー塗膜を少なくとも含む塗膜層の表面を測色したときのb値を意味する。受光角15°における色のb値及び受光角110°における色のb値がいずれも0超であり、且つ受光角15°における色のb値と、受光角110°における色のb値との差が、0〜10の範囲である場合、該角度の範囲内における赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の色調は黄色となる。それ故、赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層の色のb値が前記範囲内である場合、赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層を見る方向を連続的に変化させても、該塗膜の色調は実質的に一定である(図2(b))。これにより、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層と、赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層とを含む本態様の複層塗膜を見る方向を連続的に変化させると、該塗膜の色調は、見る方向によって色調が大きく変化し得る(図2(c))。
本態様の複層塗膜に含まれる赤クリヤーベース塗膜は、乾燥膜厚が、5〜30 μmの範囲であることが好ましく、15〜20 μmの範囲であることがより好ましい。赤クリヤーベース塗膜の乾燥膜厚が前記範囲内である場合、該塗膜を含む本態様の複層塗膜を、見る方向によって色調が大きく変化し得る塗膜とすることができる。
本態様の複層塗膜の一実施形態において、赤クリヤーベース塗膜の上面に、第二のクリヤー塗膜をさらに配置してもよい。本発明の各態様において、「第二のクリヤー塗膜」は、クリヤー塗料を赤クリヤーベース塗膜の上面に塗装して形成される塗膜を意味する。本実施形態の複層塗膜に含まれる第二のクリヤー塗膜は、赤クリヤーベース塗膜の凹凸を平滑にするとともに、赤クリヤーベース塗膜を保護するために使用される。本実施形態の複層塗膜に含まれる第二のクリヤー塗膜は、酸性アクリル樹脂、エポキシアクリル樹脂又はポリウレタン樹脂等の組み合わせ等からなる基剤樹脂を少なくとも含む塗料、又は有機溶剤系熱硬化型塗料により形成される塗膜であることが好ましい。クリヤーコート塗料は、1液型塗料であってもよく、又は2液型ウレタン樹脂塗料等の2液型塗料であってもよい。本実施形態の複層塗膜が前記特徴を有する第二のクリヤー塗膜を有することにより、赤クリヤーベース塗膜の凹凸を平滑にするとともに、赤クリヤーベース塗膜を保護して、赤クリヤーベース塗膜及びその下層の塗膜まで損傷が及ぶことを実質的に抑制することができる。また、本実施形態の複層塗膜において、第二のクリヤー塗膜が損傷した場合、損傷した第二のクリヤー塗膜を研磨等により除去した後、対応するクリヤー塗膜を再塗装することにより、容易に補修することができる。
本態様の複層塗膜の一実施形態において、第二のクリヤー塗膜は、乾燥膜厚が、15〜60 μmの範囲であることが好ましく、30〜45 μmの範囲であることがより好ましい。第二のクリヤー塗膜の乾燥膜厚が前記範囲内である場合、赤クリヤーベース塗膜の凹凸を平滑にするとともに、赤クリヤーベース塗膜を保護することができる。
本態様の複層塗膜の別の一実施形態において、赤クリヤーベース塗膜の上面に、透明フィルムをさらに配置してもよい。本実施形態の複層塗膜に含まれる透明フィルムは、赤クリヤーベース塗膜の凹凸を平滑にするとともに、赤クリヤーベース塗膜を保護するために使用される。本実施形態の複層塗膜に含まれる透明フィルムは、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂又はフッ素樹脂等により形成される部材であることが好ましい。本実施形態の複層塗膜が前記特徴を有する透明フィルムを有することにより、赤クリヤーベース塗膜の凹凸を平滑にするとともに、赤クリヤーベース塗膜を保護することができる。また、前記特徴を有する透明フィルムは、前記で説明した第二のクリヤー塗膜と比較して容易に配置することができるだけでなく、損傷した場合、該透明フィルムを張り替えることにより容易に補修することができる。それ故、本実施形態の複層塗膜が前記特徴を有する透明フィルムを有することにより、損傷した場合に容易に補修することができる。
本態様の複層塗膜のさらに別の一実施形態において、第一のクリヤー塗膜を、赤クリヤーベース塗膜と同一の色調を有する塗膜としてもよい。本実施形態の場合、赤クリヤーベース塗料を青クリヤーベース塗膜の上面に直接塗装して、実質的に同一の色調を有する第一のクリヤー塗膜及び赤クリヤーベース塗膜を単一の塗膜として形成することができる。それ故、本実施形態の場合、より安価且つ単純な塗膜構成で、見る方向によって色調が変化する複層塗膜を提供することができる。
<2. 複層塗膜の製造方法>
本発明の別の一態様は、複層塗膜の製造方法に関する。本態様の方法は、メタリックベース塗膜形成工程、青クリヤーベース塗膜形成工程、第一のクリヤー塗膜形成工程及び赤クリヤーベース塗膜形成工程を含む。
[2-1. メタリックベース塗膜形成工程]
本工程は、被塗装物又は場合により電着塗膜若しくは中塗り塗膜の上面にメタリックベース塗料を塗装して、該被塗装物又は場合により電着塗膜若しくは中塗り塗膜の上面にメタリックベース塗膜を形成する工程である。
本工程において使用されるメタリックベース塗料は、前記で例示した塗料であることが好ましい。
本工程は、当該技術分野で通常使用されるメタリックベース塗料の塗装方法を適用することにより、実施することができる。
[2-2. 青クリヤーベース塗膜形成工程]
本工程は、メタリックベース塗膜の上面に青クリヤーベース塗料を塗装して、該メタリックベース塗膜の上面に青クリヤーベース塗膜を形成する工程である。
本工程において使用される青クリヤーベース塗料は、前記で例示した塗料であることが好ましい。
本工程は、例えば、特開2004-351389号公報、特開2004-351390号公報及び特表2008-543532号公報に記載のような、当該技術分野で通常使用されるメタリック塗料の塗装方法を適用することにより、実施することができる。
本態様の方法の一実施形態において、本工程は、電着塗膜又は中塗り塗膜の上面に、光輝材を含有し、着色顔料を含有しないメタリックベース塗料を高温空気中で吹き付け塗装して、高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜を形成する工程;高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜の上面に、着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料を吹き付け塗装して、未硬化の青クリヤーベース塗膜を形成する工程;高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜及び未硬化の青クリヤーベース塗膜を予備加熱処理して、未硬化の予備加熱処理された青クリヤーベース塗膜を形成する工程を含む方法により、実施することもできる。
前記実施形態の高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜を形成する工程において、形成されるメタリックベース塗膜の粘度は、30〜250 Pa・secの範囲であることが好ましい。前記範囲内の高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜を形成することにより、続いて実施する工程において、着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料を塗装する際に塗膜界面が乱れ、メタリックベース塗膜に含まれる光輝材の配向が乱れることを実質的に抑制することができる。
前記実施形態の高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜を形成する工程において、例えば、回転霧化型のベル型塗装機「ABBカートリッジベル塗装機」を用いて、メタリックベース塗料を、ベル直径77 mm、ベル回転数30000 rpm、シェーピングエア流量700 NL/minの条件下で塗装する場合、シェーピングエアの空気の温度は、30〜60℃の範囲であることが好ましく、40〜50℃の範囲であることがより好ましい。前記範囲内の温度の高温空気中で本工程を実施することにより、光輝材を含有し、着色顔料を含有しないメタリックベース塗料に含まれる水性媒体を蒸発除去させて、所定の粘度を有する未硬化のメタリックベース塗膜を形成することができる。
前記実施形態の高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜及び未硬化の青クリヤーベース塗膜を予備加熱処理する工程において、予備加熱の温度は、60〜80℃の範囲であることが好ましい。前記範囲内の予備加熱処理の温度で本工程を実施することにより、メタリックベース塗膜を膜厚方向に顕著に収縮させて、光輝材の表面を、塗膜の表面方向に配向させることができる。
[2-3. 第一のクリヤー塗膜形成工程]
本工程は、青クリヤーベース塗膜の上面にクリヤー塗料を塗装して、該青クリヤーベースの上面に第一のクリヤー塗膜を形成する工程である。
本工程において使用されるクリヤー塗料は、前記で例示した塗料であることが好ましい。
本工程は、当該技術分野で通常使用されるクリヤー塗料の塗装方法を適用することにより、実施することができる。
[2-4. 赤クリヤーベース塗膜形成工程]
本工程は、第一のクリヤー塗膜の上面に赤クリヤーベース塗料を塗装して、該第一のクリヤー塗膜の上面に赤クリヤーベース塗膜を形成する工程である。
本工程において使用される赤クリヤーベース塗料は、前記で例示した塗料であることが好ましい。
本工程は、当該技術分野で通常使用されるクリヤーベース塗料の塗装方法を適用することにより、実施することができる。
以上、詳細に説明したように、本発明の一態様の複層塗膜は、見る方向によって色調が変化する高い意匠性を有する。本発明の一態様の複層塗膜は、最上面に配置される赤クリヤーベース塗膜及び場合により第二のクリヤー塗膜に光輝材が含まれないことから、損傷した場合に、これらの塗膜を研磨等により除去した後、対応する塗膜を再塗装することにより、容易に補修することができる。また、本発明の一態様の複層塗膜の製造方法を実施することにより、高価な顔料を用いることなく、本発明の一態様の複層塗膜を安価に製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I:複層塗膜の製造>
あらかじめ電着塗装及び中塗り塗装を施した鋼板の塗板に、硬化した乾燥状態の膜厚が3 μmとなるように、メタリックベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、メタリック顔料を含む塗料)を、50℃の高温空気中で吹き付け塗装して、高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜を形成した。高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜の上面に、硬化した乾燥状態の膜厚が12 μmとなるように、青着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、青着色顔料を含む塗料)を、23℃で吹き付け塗装して、未硬化の青クリヤーベース塗膜を形成した。高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜及び未硬化の青クリヤーベース塗膜を、80℃で予備加熱処理して、未硬化の予備加熱処理されたメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を形成した。未硬化の予備加熱処理された青クリヤーベース塗膜の上面に、硬化した乾燥状態の膜厚が35 μmとなるように、クリヤー塗料(酸性アクリル樹脂及びエポキシアクリル樹脂からなるクリヤー塗料)を塗装して、未硬化の第一のクリヤー塗膜を形成した。その後、140℃で30分間、焼付処理を行うことにより、塗膜を乾燥させた。乾燥された第一のクリヤー塗膜の上面に、硬化した乾燥状態の膜厚が15、20、25又は30 μmとなるように、赤クリヤーベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、赤着色顔料を含む塗料)を塗装して、未硬化の赤クリヤーベース塗膜を形成した。未硬化の赤クリヤーベース塗膜を80℃で予備加熱処理して、未硬化の予備加熱処理された赤クリヤーベース塗膜を形成した。未硬化の赤クリヤーベース塗膜の上面に、硬化した乾燥状態の膜厚が35 μmとなるように、クリヤー塗料(酸性アクリル樹脂及びエポキシアクリル樹脂からなるクリヤー塗料)を塗装して、未硬化の第二のクリヤー塗膜を形成した。その後、140℃で30分間、焼付処理を行うことにより、複層塗膜が形成された塗板を作製した。作製した複層塗膜の塗板において、赤クリヤーベース塗膜の膜厚が15、20、25又は30 μmの塗板を、それぞれ試料1、2、3又は4とした。
測色計(BYK-mac (BYK社))を用いて、前記手順で作製した試料1〜4の複層塗膜の塗板の表面に対する所定の受光角におけるb値を測定した。測定において、複層塗膜の塗板の表面に対する「受光角」は、該複層塗膜の塗板の表面に入射する入射光に対する正反射光と受光位置との間の角度を意味する。また、複層塗膜の塗板の表面に入射する入射光及びそれによって生じる正反射光は、該複層塗膜の塗板の表面に対して45°の角度とした。試料1〜4の複層塗膜の塗板の表面に対する所定の受光角におけるb値を図3に示す。図3に示すように、赤クリヤーベース塗膜の膜厚が薄いほど、入射角及び受光角の変化に対応したb値の変化が大きくなった。
<II:メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を含む複層塗膜の形成>
[II-1:実施例1]
あらかじめ電着塗装及び中塗り塗装を施した鋼板の塗板に、硬化した乾燥状態の膜厚が3 μmとなるように、光輝材を含有し、着色顔料を含有しないメタリックベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、メタリック顔料を含む塗料)を、50℃の高温空気中で吹き付け塗装して、高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜を形成した。高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜の上面に、硬化した乾燥状態の膜厚が12 μmとなるように、着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、青着色顔料を含む塗料)を吹き付け塗装して、未硬化の青クリヤーベース塗膜を形成した。高粘度且つ未硬化のメタリックベース塗膜及び未硬化の青クリヤーベース塗膜を、80℃で予備加熱処理して、未硬化の予備加熱処理されたメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を形成した。その後、140℃で30分間、焼付処理を行うことにより、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を含む複層塗膜が形成された実施例1の塗板を作製した。
[II-2:比較例1]
あらかじめ電着塗装及び中塗り塗装を施した鋼板の塗板に、硬化した乾燥状態の膜厚が15 μmとなるように、光輝材及び着色顔料を含有する青メタリック塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、青着色顔料を含む塗料)を塗装して、未硬化の青メタリック塗膜を形成した。その後、140℃で30分間、焼付処理を行うことにより、青メタリック塗膜を含む複層塗膜が形成された比較例1の塗板を作製した。
[II-3:比較例2]
特表2008-543532号公報に記載の方法を適用した。あらかじめ電着塗装及び中塗り塗装を施した鋼板の塗板に、硬化した乾燥状態の膜厚が15 μmとなるように、光輝材を含有し、着色顔料を含有しないメタリックベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、メタリック顔料を含む塗料)を塗装した。未硬化のメタリックベース塗膜が形成された塗板に、硬化した乾燥状態の膜厚が15 μmとなるように、着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、青着色顔料を含む塗料)を塗装して、未硬化の青クリヤーベース塗膜を形成した。未硬化のメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を80℃で予備加熱処理して、未硬化の予備加熱処理されたメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を形成した。その後、140℃で30分間、焼付処理を行うことにより、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を含む複層塗膜が形成された比較例2の塗板を作製した。
[II-4:比較例3]
特表2008-543532号公報に記載の方法を改変して適用した。あらかじめ電着塗装及び中塗り塗装を施した鋼板の塗板に、硬化した乾燥状態の膜厚が15 μmとなるように、光輝材を含有し、着色顔料を含有しないメタリックベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、メタリック顔料を含む塗料)を塗装した。未硬化のメタリックベース塗膜を80℃で予備加熱処理して、未硬化の予備加熱処理されたメタリックベース塗膜を形成した。未硬化の予備加熱処理されたメタリックベース塗膜の上面に、硬化した乾燥状態の膜厚が15 μmとなるように、着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、青着色顔料を含む塗料)を塗装して、未硬化の青クリヤーベース塗膜を形成した。その後、140℃で30分間、焼付処理を行うことにより、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を含む複層塗膜が形成された比較例3の塗板を作製した。
[II-5:比較例4]
特開2004-351389号公報、特開2004-351390号公報及び特表2008-543532号公報に記載の方法を改変して適用した。あらかじめ電着塗装及び中塗り塗装を施した鋼板の塗板に、硬化した乾燥状態の膜厚が30 μmとなるように、光輝材を含有し、着色顔料を含有しないメタリックベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、メタリック顔料を含む塗料)を50℃で吹き付け塗装して、未硬化のメタリックベース塗膜を形成した。未硬化のメタリックベース塗膜の上面に、硬化した乾燥状態の膜厚が3 μmとなるように、着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料(主にアクリル樹脂及びメラミン樹脂からなり、青着色顔料を含む塗料)を23℃で吹き付け塗装して、未硬化の青クリヤーベース塗膜を形成した。未硬化のメタリックベース塗膜及び未硬化の青メタリックベース塗膜を80℃で予備加熱処理して、未硬化の予備加熱処理されたメタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を形成した。その後、140℃で30分間、焼付処理を行うことにより、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を含む複層塗膜が形成された比較例4の塗板を作製した。
測色計(BYK-mac (BYK社))を用いて、前記手順で作製した実施例1及び比較例1〜4の複層塗膜の塗板の表面に対する所定の受光角におけるb値を測定した。測定において、複層塗膜の塗板の表面に対する「受光角」は、該複層塗膜の塗板の表面に入射する入射光に対する正反射光と受光位置との間の角度を意味する。また、複層塗膜の塗板の表面に入射する入射光及びそれによって生じる正反射光は、該複層塗膜の塗板の表面に対して45°の角度とした。実施例1及び比較例1〜4の複層塗膜の塗板の表面に対する所定の受光角におけるb値を図4に示す。図4に示すように、実施例1の複層塗膜の場合、メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を含む複層塗膜の表面に対する受光角15°における色のb値は、-100〜-80の範囲であり、且つ受光角75°における色のb値は、-1〜-30の範囲であった。前記範囲内のb値を有することにより、実施例1の複層塗膜は、見る方向によって色調が大きく変化し得る。これに対し、比較例1〜4の複層塗膜の場合、実施例1の複層塗膜の場合と比較して、受光角の変化に対応したb値の変化が小さくなった。比較例1の複層塗膜の場合、青メタリック塗料が光輝材だけでなく着色顔料も含有するため、着色顔料が光輝材の配向に干渉したと推測される。また、比較例4の複層塗膜の場合、未硬化のメタリックベース塗膜の上面に、着色顔料を含有する青クリヤーベース塗料を吹き付け塗装する際、塗膜界面が乱れ、未硬化のメタリックベース塗膜に含まれる光輝材の配向が乱れたと推測される。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。
100…本発明の一態様の複層塗膜
10…被塗装物
11…中塗り塗膜
12…メタリックベース塗膜
13…青クリヤーベース塗膜
14…第一のクリヤー塗膜
15…赤クリヤーベース塗膜
16…第二のクリヤー塗膜又は透明フィルム

Claims (1)

  1. 被塗装物と、該被塗装物の上面に配置されたメタリックベース塗膜と、該メタリックベース塗膜の上面に配置された青クリヤーベース塗膜と、該青クリヤーベース塗膜の上面に配置された第一のクリヤー塗膜と、該第一のクリヤー塗膜の上面に配置された赤クリヤーベース塗膜とを少なくとも含む複層塗膜であって、
    該メタリックベース塗膜及び青クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値が-100〜-80の範囲であり、且つ受光角110°における色のb値が-1〜-30の範囲であり、
    該赤クリヤーベース塗膜を少なくとも含む塗膜層において、受光角15°における色のb値及び受光角110°における色のb値がいずれも0超であり、且つ受光角15°における色のb値と、受光角110°における色のb値との差が、0〜10の範囲である、
    前記複層塗膜。
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