実施の形態1.
図1〜図41は、実施の形態1に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すものである。なお、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、単に「加熱調理器」と呼ぶ。
各図中、符号RTは、加熱調理器1の右方向を示し、LEは左方向を示す。またFTは前方を示し、BKは後方を示す。
この実施の形態1において「誘導加熱調理器」とは、誘導加熱原理に基づく加熱部を有したものをいう。加熱部が複数ある場合、その中に誘導加熱方式と異なる方式、例えば輻射式電熱源等の他の方式を利用した加熱源があっても良い。
この実施の形態1において「複合型加熱調理器」とは、マイクロ波加熱源の他に、これと異なる加熱原理である「誘導加熱源」を備え、それら2種類の加熱源によって、1つの加熱室において加熱調理ができるものをいう。なお、更に誘導加熱源とは別の種類の加熱源を加えても良い。例えば、1つの加熱室が、シーズヒータやマイカヒータ等の輻射式電熱源によって加熱され、またその加熱室の内部がマイクロ波によって加熱される形態は、「複合型加熱調理器」の1種である。
この実施の形態1において、加熱室の『加熱手段(以下の説明では「オーブン加熱源」という)』とは、加熱室の壁面を、その外側から加熱する加熱源、加熱室の内部空間に設置した加熱源の、何れでも良い。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置し、この発熱部材で加熱室の壁面を外側から加熱したり、又は加熱室内の空気を加熱したりする何れの形態であっても良い。
例えば、日本特許文献で、特開2017−74305号公報には、加熱室(グリル庫)内に配置されて被調理物を載置する調理皿を、下方から被調理物を加熱する第2の加熱体(誘導加熱コイル)と、側方から被調理物を加熱する第3の加熱体(誘導加熱コイル)と、を備えた加熱調理器が提案されている。
さらに、特開2016−85996号公報には、加熱室の下方に電気絶縁体を設け、その電気絶縁体の下方空間に誘導加熱コイル(以下、「IHコイル」と呼ぶ)を設け、前記IH熱コイルの上に置いた調理プレートを誘導加熱する構成が提案されている。調理プレートは、誘導加熱可能な素材で形成され、例えば、鉄、ステンレス、カーボン含有率90%以上の炭素材、導電材料としてSi(シリコン)またはFeSi(フェロシリコン)を含有するセラミック素材等が用いられている。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置した代表的なものとして、特開2005−071695号公報には、IHコイルに高周波電流を供給して、IHコイルに高周波磁束を発生させ、その高周波磁束を加熱庫内に配設されたヒータと鎖交させて、ヒータに誘導電流が流れるようにし、ヒータ自身の電気抵抗によって発生するジュール熱で加熱庫内の調理物を加熱調理することが開示されている。
さらに、特開2013−247048号公報には、加熱室の内部に、電気的に閉回路のヒータを配置し、このヒータに、加熱室の外部に配設されたIHコイルから生じる高周波磁束を鎖交させ、ヒータを高温にして加熱室内に放熱させることが提案されている。なお、ここでいうヒータとは、電気的に閉回路を形成しており、ステンレスや高ニッケル合金等の丸棒や丸パイプを所定の形状に曲げて、両端を互いに溶接やロウ付け等によって接合して無端状に形成したものである。
この実施の形態1でいう「IHコイル」の代表的なものとして、0.1mm〜0.3mm程度の細い銅線やアルミ線を30本程度束にして、この束を複数本撚りながら渦巻状に巻いて構成したものがある(例えば、日本の特許文献で、特開2012−79580号公報)。
また、別の特許文献である特開2018−32551公報には、平板状の導電材料で、環状に形成した環状導電体を、IHコイルとして使用した誘導加熱調理器が提案されている。
これら何れの形態のものも誘導加熱源の主要部となる「IHコイル」に相当する。
この実施の形態1において、「連携調理」とは、1つの被調理物(食品、肉、野菜等を含む)に対する加熱場所が異なり、かつ独立して加熱動作条件が設定可能な2種類の加熱源を使用して行う調理をいう。
前記「連携調理」は、複数の加熱源を、時間差を置いて使用する場合が該当する。例えば1つの調理を完成させる過程で、マイクロ波加熱を終えて予備加熱したあと、被調理物を別の場所に移し、移動後の場所で、後述するIHコイル17Lで加熱して完成させる調理の場合は、ここでいう「連携調理」の一種である。
連携調理については、日本特許第5833699号公報や、同じく特許第5500944号公報において、ビルトイン式加熱調理器の形態で提案されている。
図1〜図41において、本実施の形態1の加熱調理器1は、例えば流し台付きの厨房家具(システムキッチンという家具も含む)2に組み込まれる加熱調理器である。2Aは、厨房家具2に形成された設置口である。加熱調理器1には、後述するように商用電源99から、電圧200V、周波数50Hz又は60Hzの交流電力が供給される。
図1と図15に示しているように、本実施の形態1の加熱調理器1は、誘導加熱部を左右に2個所有している。
図15において、CL1は、上部ユニット100の左右の中心点を前後方向に通る中心線、ALは、トッププレート15が上部ユニット100の上面で露出している範囲を示している。
17HRは、中心線CL1から右側の範囲に設けた右加熱部であり、この真上で誘導加熱できる。
17HLは、中心線CL1から左側の範囲に設けた左加熱部であり、この真上で誘導加熱できる。このように、この加熱調理器1は、トッププレート15の上面に「加熱口」を2つ(2口)設けた調理器である。
なお、左右中心線CL1を跨ぐように、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、更に別の誘導加熱部を設け、3口の加熱調理器としても良い。または、前記IHコイル17L、17Rの、何れか1つを、ラジエントヒータや赤外線ヒータ等の輻射式電熱源に代えても良い。
以下の説明では、「誘導加熱部」という場合は、参照符号として17Hを用いる。
図1と図15に示すように、金属製の鍋やプレート(焼き板)等の被加熱物Nを載置する望ましい位置を示すための、円形の位置マーク17LS、17RSを、トッププレート15の上面に設けている。
前記円形の位置マーク17LS、17RSを見ることによって、加熱調理器1のユーザー(使用者)は、誘導加熱部17Hが左右に2個所あると認識できる。なお、後述する音声合成装置95の音声ガイドによってもユーザーは、誘導加熱部が左右に2個所あることを認識できる。
前記位置マーク17LS、17RSは、印刷によって形成している。位置マーク17LS、17RSの真下には、後述するIHコイル(誘導加熱コイル)17L、17Rが設置されている。なお、位置マーク17LS、17RSは、円形である必要はなく、例えば被加熱物Nを載置する望ましい位置の中心点だけを、図形や「+」のような記号、あるいは文字で示しても良い。
前記位置マーク17LS、17RSは、IHコイル17L、17Rによって誘導加熱できる目安的な位置を表示した円形マークであるため、当該IHコイル17L、17Rの最大外径よりも少し大きな直径で描かれている。
この実施の形態1では、前記IHコイル17L、17Rを総称して、IHコイルと呼ぶ場合、符号は17を用いる。従って、「IHコイル」17と呼んだ場合には、左側のIHコイル17Lと右側のIHコイル17Rの両方と、何れか一方の場合がある。
この実施の形態1で、「誘導加熱源」9とは、前記IHコイル17と、後述するインバーター回路81R、81Lを含んだ構成をいう。
図4に示すように、加熱調理器1は、設置口2Aの口縁部上面2Pに載せて支持されている。厨房家具2は、この実施の形態1では図2に示すように、水道の給水口2Dから出る水を一時的に貯めることができる水槽2Cを備えている。2Bは、厨房家具2の所定の位置に形成した前方開口である。この前方開口2Bは、加熱調理器1を組み込んだ際に、その前面構成部分(後述するドア114と前カバー112)を前方へ露出させるためのものである。
前記厨房家具2の前方開口2Bと設置口2Aの大きさは、標準的なものである場合、業界によって標準化が推進されているため、標準的な寸法で事前に形成されていることが殆どである。これについては、あとで詳しく説明する。
加熱調理器1を厨房家具2に組み込む通常の方法は、図3に示している通りである。この図3は、厨房家具2へ組み込む作業の、途中段階を示す模式図である。
図3のように、加熱調理器1の前方側(手前側)が下になるように傾けたまま、前記設置口2Aの中に加熱調理器1を入れ、その後、加熱調理器1の後方側を、実線の矢印BDで示すように下げると、加熱調理器1が厨房家具2の設置口2Aの周縁部に載せられた状態になる。
この後、ネジを締めて、後述する下部ユニット100の後部周縁部に設置してある固定金具(図示せず)を移動(回動)させ、当該固定金具を厨房家具2に強く押し当てた状態にして設置が完了する。なお、このような設置方法は既に広く採用されているので、詳しい構造については説明を省略する。
加熱調理器1の本体110は、図3に示しているように、上部ユニット100と下部ユニット200を上下に重ねた状態で、結合されて一体化されており、そのような一体化された形態でメーカから出荷されるため、図3の組込作業では、上記ネジで厨房家具2に(直接)固定されるのは、上部ユニット100のみである。固定金具(図示せず)を外せば、加熱調理器1の全体を厨房家具2から取り出すことができる。これにより、以後、点検や修理が厨房家具2の外側で行える。なお、上部ユニット100だけの範囲で「本体」と呼ぶ場合は、符号10を付して区別する。
この実施の形態1において、「本体ケース」HCとは、上部ユニット100の外殻を構成する上部ケース16と、下部ユニット200の外殻を構成する下部ケース101との総称である。なお、上部ケース16と下部ケース101を一体のケース(筐体)で構成しても良い。
厨房家具2に形成された設置口2Aは、図2に示すように平面形状が長方形である。但し、4つの角部は円弧状になっている。
設置口2Aの横幅寸法W1は、560mm〜564mmである。また前後方向の寸法D1は、460mm〜464mmに形成されている。
図1と図2において、3と4は、厨房家具2の表面を構成する表面材である。5及び6は、厨房家具2に加熱調理器1を組み込んだ場合、その左右両側に隣接する表面材である。
これら表面材3〜6の前面は、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、その加熱調理器1の前面と、ほぼ面一状態となる。言い換えると、加熱調理器1を組み込んだ場合、表面材3〜6と加熱調理器1は、統一された平面になっているような意匠感覚をユーザーに呈することができる。
図3において、8は、厨房家具2の内部を上下に複数の部屋に仕切る壁であり、この壁の下方は、例えば、台所用品や食料等の保存庫として利用する例が多い。なお、図2では壁8の図示を省略している。また、壁8が、着脱可能なように厨房家具2の内部に設置されている形態でも良い。
以上説明した構成により、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、厨房家具2の前面全体は、略一つの平面を呈する。ユーザーが厨房家具2を見た場合、全体に前面(正面)が、すっきりした統一感のあるデザインであると認識できるように設計されている。
厨房家具2と、加熱調理器1は、同じ製造業者が設計したものでなくとも良く、厨房家具は、厨房家具や住宅設備業者が製造販売し、一方、加熱調理器1は家電機器業者が製造販売している場合が多い。
図1と図2において、7は、表面材3〜5の前面に印刷で表示した枠線であり、表面材3〜5の前面に物理的な凹凸を形成するものではない。なお、光沢のある金属製の細い化粧板やテープ等を貼り付けて、枠線7の存在を示して高級感を出したものでも良い。
前記4種類の表面材3〜6は同じものであっても良い。またこれら表面材3〜6は、扉や引き出しのように、前後に移動するものでなくとも良い。例えば厨房家具2の表面に常に固定状態で存在し、全く移動しないものであっても良い。
前記4種類の表面材3〜6は、その前面の色と表面形態(模様や光沢の有無、凹凸状態等)を統一させると、厨房家具2としての統一的意匠感が高まる。例えば、表面材4の正面全体が、単一の色や木目調で統一されている場合、表面材3の前面も、同じ単一の色や木目調デザインで統一すれば良い。
次に図4と図5について説明する。図4は、図1の厨房家具2と加熱調理器1の寸法関係を示す縦断面模式図である。図5は、図4に示す厨房家具2の前方の一部を拡大して示す縦断面模式図である。
厨房家具2等は、日本では「長期使用住宅部材標準化推進協議会」(略称:長住協)によって住宅部品・部材の標準(共通)化が推進されている。
前記「長住協」が制定された「IHクッキングヒーター(ビルトイン)に関する「長期使用対応部材基準書」によれば、当該IHクッキングヒーターを取り付けるカウンタートップ(厨房家具2)が具備すべき条件として、以下の通り規定されている。
(1)設置口2Aの寸法は、横幅寸法W1が、560mm〜564mm。また前後方向の寸法D1は、460mm〜464mmであること。
(2)前下がり部2Fの高さ寸法C1は、40mm以下であること。
(3)前下がり部2Fの奥行(前後方向)寸法D3は、45mm以下であること。
(4)前下がり部2Fの天井部奥行(前後方向)寸法D2は、58mm〜70mmであること。
さらに、前記「長期使用対応部材基準書」によれば、ビルトイン式IHクッキングヒーター(誘導加熱調理器)の外形寸法も、以下の通り規定されている。
(1)トッププレート下端から前面パネル下端までの高さ寸法H2は、215mm〜223mmであること。
以上のような各種の制約条件を満たすように本発明の加熱調理器1は設計されている。
図4において、A1は、後述するトッププレート15の前後方向の寸法であり、510mmである。A2は、本体110の前面を覆う前カバー112前面から、本体110の最後尾までの前後方向の最大寸法であり、498mmである。A3は、本体110の後部に形成した傾斜部111から前記前カバー112の前面までの前後方向の寸法であり、451mmである。
前カバー112は、プラスチック又は金属の一体成形によって形成されている。また、この前カバー112は、左右対称形状に形成され、装着される背面側には突起状の取付脚112Pが数個所形成されている(図14参照)。この取付脚112Pを、下部ケース101の前板102に形成した複数の縦長の嵌合孔(図示せず)に挿入し、下方へ少し摺動させて当該嵌合孔に取付脚112Pが係合するようにしている。この状態で前カバー112は、固定具(図示せず)によって下部ケース101に固定されている。この固定によって前カバー112は、上方には移動しないようになるので、下部ケース101に装着された状態となる。
図4において、113は、後述する加熱室であり、下部ユニット200の内部に形成されている。前記加熱室113の前面には、フライパン等の調理器具、あるいは被調理物等を出し入れできる開口113A(図11参照)が形成されている。その開口113Aは、ドア114によって開閉自在に覆われている。
ドア114の前面と、前記前カバー112の前面は、面一となるように設計されている。そして前記ドア114は、その前面が、取っ手部115を除いて前記前カバー112前面に面一となるように、2個のヒンジ176(図8参照)と、左右に2本配置したアーム116(図示せず)とにより、本体110に対して回動自在に支持されている。このため、ドア114は、その下端部のヒンジ176を支点(回動中心)として前方に開く「前開き」ドアとして機能する。
前記前カバー112は、加熱調理器1を厨房家具2の中に設置した後で、販売店や設置業者等の専門家が、加熱調理器1の前面に装着する。なお、ドア114は、加熱調理器1を工場で出荷する段階で装着しており、専門業者以外の者、すなわち各家庭のユーザーが事後的に取り外せないようにしている。これは加熱室113の内部からのマイクロ波漏洩を確実に防止するためである。
図4において、H1は、加熱調理器1の最大高さ寸法である。つまり、前記トッププレート15の上面から下部ユニット200の底面までの寸法であり、227mmである。
図4において、H2は、トッププレート15下端から前カバー112の下端までの高さ寸法であり、215mm〜223mmである。H3は、前記前カバー112又は前記ドア114の上端から下端までの寸法であり、171mmに設定してある。H4は、前記トッププレート15の高さ方向の寸法であり、11mmである。なお、このような寸法関係にすることで、加熱調理器1を設置した際に、ドア114の下面と前カバー112の下面のそれぞれ下方には、後述する前方空隙302が確保されるようになっている。
次に図6について説明する。図6は、図1と図2に示した厨房家具の斜視図である。この図6において、2Gは、前記前方開口2Bの左右両側角部に形成された段部である。この段部は、後述する下部ユニット200の前カバー112が近接して対面する部分である。W2は、設置口2Aの真下に形成される設置空間の最大横幅寸法である。この最大横幅寸法W2は、560mm程度である。
次に実施の形態1の加熱調理器1の構成について、図7〜図20を参照しながら詳細に説明する。
図7は、加熱調理器1の平面図である。図8は、加熱調理器1を、図7のZ−Z線で切断した場合の縦断面図である。図9は、加熱調理器1を、図7のZ−Z線で切断し、冷却風の流れを示した縦断面図である。図10は、加熱調理器1を、図8のW−W線で切断した場合の縦断面図である。図11は、加熱調理器1を、図7のY−Y線で切断した場合の縦断面図である。図12は、加熱調理器1を、図8のV−V線で切断した場合の縦断面図である。図13は、加熱調理器1を、図8のX−X線で切断した場合の縦断面図である。図14は、図1の加熱調理器を、厨房家具に設置した場合の右側要部横断面図である。図15は、加熱調理器1の入力操作部を説明するための簡略平面図である。図16は、加熱調理器1の入力操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。図17は、加熱調理器の中央操作部と統合表示部を示す拡大平面図である。図18は、加熱調理器の右操作部と右側表示部の拡大平面図である。図19は、加熱調理器の左操作部と左側表示部の拡大平面図である。図20は、加熱調理器の上部ユニット内部の冷却風の流れを示す簡略横断面図である。
(上部ユニット100)
この実施の形態1では、前記上部ユニット100単体でも加熱調理器1として機能する。そのために、商用(交流)電源99は上部ユニット100だけに供給される。但し、商用電源99にプラグ106A(図示せず)を介して直接接続するための電源コード106(図示せず)は、下部ユニット200から加熱調理器1の外部に引き出される。
上部ユニット100は、本体10の外郭を構成する箱形形状の上部ケース(上筐体)16と、この上部ケースの上部に固定された金属製の額縁状の補強板(支持枠)22(図8参照)と、この補強板22の上面の、後部を除く略全体を覆うように、その上面に重ねて取り付けられた耐熱強化ガラス又は結晶化ガラス製のトッププレート15とから構成されている。言い換えると、上部ユニット100の本体10は、外殻となる上部ケース16とトッププレート15と、をそれぞれ備えている。
前記上部ケース16は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成される。または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して箱形形状に形成される。
実施の形態1では、この上部ケース16は、後述するように1枚の金属薄板の周辺部を、垂直に折り曲げて、底壁(底壁面)16S、後方壁16B、前方垂直壁16F、(左右の)側方垂直壁16L、16Rを、それぞれ一体に形成している。この底壁16Sは、後で説明するように、本発明の特徴の1つである「仕切り壁」を兼ねている。
前記上部ケース16は、別の形態で形成しても良い。例えば、1枚の金属製平板をプレス加工して、底壁(底壁面)16S、後方壁16B及び前方垂直壁16Fの3つの面が形成された1つの「胴部」を形成する。一方、これとは別に2つの側方垂直壁16L、16Rを個々に形成する。そしてこれら2枚の側方垂直壁16L、16Rを、ネジやスポット溶接等で、前記した「胴部」の端部に取り付けて、最終的に上面全体が開口した箱形形状にする。
トッププレート15は、全体の厚みが略均等な平板状に形成されており、その下面全体は、可視光線が透過しない塗装面で覆われている。このため、トッププレート15の上方からは、その下方の機能部品、例えばIHコイル17が視認できないようになっている。
右側のIHコイル17Rは、平面形状がドーナッツ状形状を有している。そしてこのIHコイル17Rの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。
また、左側のIHコイル17Lも同様にドーナッツ状形状を有している。このIHコイル17Lの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。なお、大きな鍋やフライパン等の被加熱物にも対応できるように、180mm程度まで直径を拡大しても良い。
図8において、18は、前記上部ケース16の後部に横に長く形成した開口、19は、この開口の上方に設置される排気カバーであり、通気性を持たせるために鎧戸又は多数の貫通孔が形成されている。20は、前記排気カバー19と開口18の間で形成される排気口である。
図8と図10において、22は、前述したように、上部ケース16の後部上端部に固定された金属製の補強板である。この補強板22は、上部ケース16の後縁部横幅と同等の長さを有している。21は、補強板22の上面に固定された金属製の飾り枠である。この飾り枠は、上部ケース16の後方に張り出しており、また上部ケース16の横幅よりも長く形成されている。つまり、上方から見た場合、排気カバー19の後方と左右両側を一連に囲んでいるように見える(図7参照)
図7、図8と図10において、25は、金属製の飾り枠であり、図7に示すようにトッププレート15の左右端面と前方の端面を、外部からの衝撃から保護するように設置されている。
26は、弾力性に富む素材、例えばシリコンゴム等から形成された環状のクッション材であり、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてある。これにより上部ユニット100は、このクッション材26を介して厨房家具2に載置される。なお、トッププレート15の左右端面と前方の端面の3つの部分(辺)又は後方の端面を含む4つの部分(周囲4辺)を、1つの飾り枠25で囲むようなデザインにしても良い。
図7と図15において、31Lは左側表示部、31Rは、右側表示部である。30は、統合表示部であり、トッププレート15の前方部で、かつ左右中心部の下方に設置されている。31Lは、左側表示部であり、31Rは右側表示部である。これら左右表示部31L、31Rも、トッププレート15の前方部左側と、右側の下方に設置されている。
前記統合表示部30と、左右の表示部31L、31Rは、液晶表示画面(図示せず)を主体に構成されており、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rは、左右方向に設置している水平な操作基板41の上に設置されている。なお、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの真上の位置に対応して、前記トッププレート15の下面には、前記したような可視光線を遮断する塗装面を設けていない。このため、統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの表示内容は、トッププレート15の上方から視認できる。
前記統合表示部30は、加熱調理器1の共通的な情報や警報を表示する。例えば、この加熱調理器1の3種類の加熱源の選択結果や、それら加熱源の動作状態を示す注意情報、警告情報を表示する。すなわち、前記統合表示部30は、誘導加熱源17と、後述するオーブン加熱源188と、マイクロ波加熱源189の、3つの加熱源に関係する情報を表示する場合があるため、統合表示部30と称している。
左側表示部31Lは、左側のIHコイル17Lの動作に関する情報を表示する。例えば、後述するように、タイマー調理をセットする場合には、1分単位で設定でき、その設定した時間を表示できる。また加熱動作を開始してからの経過時間や、タイマー設定時間が終了するまでの「残時間」も表示する。更に、予熱調理を選択した場合には、自動的に設定された温度(デフォルト温度)や、現在の温度などを表示する。なお、上記「残時間」は、10分未満になった段階から9分59秒という表示が行われ、1秒単位で残時間が表示される。
同様に、右側表示部31Rは、右側のIHコイル17Rの動作に関する情報を表示する。この右側表示部31Rは、基本的に左側表示部31Lと同様に、右側のIHコイル17Rのタイマー設定時間や、予熱温度、経過時間等の各種情報を表示する。
図15において、40は、入力操作部である。この入力操作部40は、前記飾り枠25の最前部後方においてトッププレート15の前端縁部に沿って、横に長く配置されている。
前記入力操作部40は、横に長く、かつ帯状に設置してある操作基板41の上面に配置されている。
前記操作基板41には、各種の電子部品類を実装している。前記操作基板41は、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。上部ユニット100の操作基板41の後方側には、ホルダー50に支持された中央操作基板32がある。後述する統合制御装置MCは、前記中央操作基板32の裏面側に実装されている。
前記操作基板41の下方には、この操作基板41と空隙を置いて対面するように、平板状の補助支持板(図示)が上下に重なるように設置されている。つまり、間隔を置いて対面する上下2層(2枚)構造になっており、できるだけ多くの電気部品や回路を実装できるようになっている。
F2は、後述する第2冷却ファン61からの冷却風が流れる第2風路であり、後述するカバー70と、前記上部ケース16の前方にある前方垂直壁16Fとの間の空間によって形成される(図8、図20参照)。
図8において、16Bは、前記上部ケース16の後方垂直壁である。後述する下部ケース101と上部ケース16は、複数個所において、それぞれネジ51によって一体化されている。
図8から明らかなように、上部ケース16の後方垂直壁16Bと下部ケース101の上端部とは、20mm〜30mm程度の範囲で、緊密に対面しており、その対面部分を前記ネジ51によって締め付けて固定されている。
図8において、104は、深さも平面積も大きな空洞である。この空洞104は、上部ケース16の底壁(底面)16S下面から、後述する下部ユニット200の後部の底板101U上面までの空間である。BHは、その空洞104の深さ(垂直方向)寸法を示している。
この図8に示す構造から明らかなように、この実施の形態1では、前記トッププレート15によって上面の開口部が閉鎖された扁平な(本体10の外殻を構成する)上部ケース16を有している。そして、この上部ケース16を後述する下部ケース101の上に載置した状態では、当該上部ケース16の底壁16Sが前記下部ケース101の天井面を兼ねている構成である。
図8で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと、下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、後述するマイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置されている。
さらに導波管123よりも後方には、マイクロ波加熱制御部130に電力を供給する回路部品を実装した電源回路基板127の収容用ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
マイクロ波加熱制御部130は、マイクロコンピューターを主体に構成されており、前記ケースC154の内部の、前記電源回路基板127に実装している。言い換えると、ケースCの内部に格納された電源回路基板127は、マイクロ波加熱制御部130を実装した制御基板を兼ねている。なお、このような制御基板と電源回路基板127を、別々に設けても良いが、この実施の形態1では、設置スペースを最小にするため、一体化している。
図8において、101Tは、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁である。この前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F(図11参照)上端を後方に折り曲げて形成したものである。
198は、金属製板から形成された連結用の支持金具であり、水平部198Hと垂直部198Vとを備えている。そして、その水平部198Hは、前記下部ケース101の前方水平壁101Tに固定されている。
上部ケース16と下部ケース101の一方又は双方が、薄い金属製板で形成された箱状であり、前記ネジ51、51Fの締結によって、上部ケース16と下部ケース101とは、強固な1つの箱形構造物になっている。
この実施の形態1では、上部ケース16と、前記下部ケース101は、以下の通り、緊密な状態で嵌合している。
すなわち、前記下部ケース101の上面開口の縦横寸法(内側最大縦横寸法)は、上部ケース16の前後方向最大幅寸法D5(図示せず)と、左右方向最大幅寸法W4(図示せず)と、設計上では同じ寸法である。左右の垂直壁101L、101Rや後壁面(後方垂直壁)101Bの上端部に、外側方向へ少し力を加える、下部ケース101の上面開口が少し広がるので、その内側に上部ケース16を緊密に(ぴったりと)嵌めることができる。
この実施の形態1でいう「嵌合」とは、必ずしも上記実施の形態1のように、緊密に嵌り合う状態をいうのではない。外側になる下部ケース101の内側(前後・左右方向の)寸法に対し、内側に挿入される上部ケース16の外側寸法が、最大で1mm程度異なっていても良く、全体で緊密に密着している状態でなくとも良い。また、そのように若干の寸法差がある場合でも、ネジ51等で固定して強固な本体ケースHCにすることができる。
上部ケース16と下部ケース101は、強固な1つの箱形構造物になっているため、後述するドア114の支持構造も強固に実現でき、ドア114部分におけるマイクロ波漏洩防止に有益である。
特に上部ユニット100のトッププレート15は、厨房家具2の上面に支持されて下部ユニット200の全荷重を受けるので、上部ケース16と下部ケース101の全体が歪んだり、変形したりしない構造にすることは重要である。なお、前記クッション26が、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてあるため、実際に厨房下部2の上面に接触するのは、前記クッション材26である。
図8において、80は、インバーター回路基板であり、上部ケース16の中央部に設置されている。前記インバーター回路基板80は、平面形状が左右方向に長い長方形である。
前記インバーター回路基板80の上に実装されているインバーター回路81は、左側のIHコイル17Lに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Lと、前記右側のIHコイル17Rに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Rと、から構成されている。これらについては、図21と図24を参照しながら後で説明する。
前記インバーター回路基板80の上面には、アルミニウム製のヒートシンク(放熱シンク)82が合計4個取り付けられている。前記ヒートシンク82は、図8、図11に示すように2つの放熱フィン82F同士が向かい合うように、2列並べ、かつ数mm〜10mm程度まで接近させて設置されている。
前記ヒートシンク(放熱シンク)82には、図8から分かるように、互いに向かい合っている側と反対側にある傾斜面の上に、前記インバーター回路81L、81Rの一部を構成する電力制御用スイッチング素子83が取り付けてある。そのため、スイッチング素子83の動作時に発生する熱を、放熱フィン82Fの周囲を通過する冷却風RF1によって冷却できる。
前記電力制御用スイッチング素子83は、例えばIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)である。一方の前記インバーター回路81L側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の後方側、また他方のインバーター回路81R側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の前方側に取り付けてある。なお、この逆の側に取り付けるようにしても良い。
図8において、70は、前記インバーター回路基板80の上方全体を覆う金属製薄板又はプラスチック材料から形成されたカバーである。このカバー70の左右両側端部は開放されており、図20に示すようにカバー70の左側端面側が、後述する冷却風RF1の入口FIとなり、カバー70の右側端面側が冷却風RF1の出口FOを構成する。
前記カバー70は、前記IHコイル17L、17Rの最も下面との間に一定の空隙(直線距離で、数mm程度)を確保している位置にあり、また前記ヒートシンク82の最上面とも一定の空隙を確保する大きさである。
前記カバー70が、IHコイル17Lの真下にあって、かつそれと接近している状態になるから、カバー70に防磁効果を期待する場合には、カバーをアルミニウム等の金属製にして、更に上部ケース16に電気的に繋がるようにすると更に良い。例えば、カバー70を取り付けるためのネジ(図示せず)が、直接カバー70のネジ孔まで届いている状態にする。
上部ケース16は、後述する下部ケース101と金属製ネジ等で連結されるので、下部ケース101に設けているアース端子(図示せず)にも電気的に繋がり、アースにノイズが吸収される。このようにすると、カバー70の防磁効果により、インバーター回路基板80の上に実装した各種電気部品に対するノイズ遮蔽効果が期待できる。
また、カバー70をプラスチック材料で射出成形するようにすれば、カバー70の断面形状も比較的自由に決定できる。このため、第1風路F1を流れる冷却風RF1の流れ(方向)を調整することもできる利点がある。例えば、特にヒートシンク82の特定部位へ多くの冷却風RF1が流れるように、リブ状の風向板等をカバー70の下面に、一体に形成しても良い。
2つのIHコイル17L、17は、耐熱性プラスチックで形成されたコイルベース17C(図示せず)という部品で下方から支持されている、コイルベース17Cは、2つのIHコイル17L、17Rの個々に設けても良いし、2つのIHコイル17L、17Rに共通に1つの構造物で形成しても良い。
前記、コイルベース17Cは、カバー70の上面に直接載せられて、カバー70にネジ等の固定具で固定する構造である。あるいは、カバー70の上面との間に圧縮バネ等の弾性体を介在させて、前記トッププレート15側に常に押し上げられた形で支持された構成である。これら支持構造の詳細な説明は省略する。何れにしても、IHコイル17L、17Rは、トッププレート15の裏面(下面)との対向間隔(距離)が、長期間に亘り変化しない。
上記構成のため、誘導加熱調理時においては、トッププレート15の上に載置される被加熱物Nである調理容器とIHコイル17L、17Rとの距離が変化しない。この結果、IHコイル17L、17Rに高周波電流を供給するインバーター回路81L、81Rに発生する高周波電圧および高周波電流の変化を抑制でき、誘導加熱性能を安定化することができる。
前記IHコイル17L、17Rは、1つの水平線(第2の水平線HL2)の上にある。言い換えると、第2の水平線で確定される1つの平面(第2の水平面HL2)上に存在している(図10参照)。
前記カバー70は、IHコイル17L、17Rの下方に配置されている前記コイルベースと、ヒートシンク82の両方に接触していない位置にある。
前記カバー70は、このカバー70の平面形状よりも大きな平板状の支持板71の上面に密着するように固定されている。そしてインバーター回路基板80とカバー70との間には、図8、図19に示しているように左右方向に長い第1風路F1が区画形成される。なお、支持板71は、絶縁性材料、例えば耐熱性プラスチックから形成されている。
図8と図11において、102は、下部ユニット200からの排気流が案内される金属製の排気ダクトである。この排気ダクト102の排出口側末端部102Eは、後述する仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙GP1の中を貫通している(図19参照)。つまり、排気ダクト102は、空隙GP1の中を煙突のように垂直に貫通している。
図10において、16Aは、前記上部ケース16の側方垂直壁16L、16Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
101Aは、後述する下部ケース101の側方垂直壁101L、101Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
上部ケース16と、下部ケース101は、前記したフランジ16Aがフランジ101Aの上に重なっている。この重合状態で、上部ケース16側壁面と下部ケース101の側壁面とは、前述したネジ51(図8参照)で固定されている。そのためネジ51による固定と、このフランジ16Aとフランジ101Aとの密着固定によって、上部ケース16と、下部ケース101は、強固な一体構造物となっている。言い換えると、上部ケース16の総重量は、下部ケース101のフランジ101Aの上面が受けるので、仮に上部ケース16と、下部ケース101が、薄い金属製板で形成された場合でも、一体化された状態では、機械的な強度を備えた箱形構造物にできる。
フランジ16Aとフランジ101Aとが重なった状態で固定する手段は、前記ネジ51ではなく、ボルトとナット等のような、他の締結手段でも良い。なお、前記フランジ16Aとフランジ101Aは、厨房家具2の上面には接触しない。これらフランジ16Aとフランジ101Aは固い材料(金属)で形成されているので、厨房家具2を傷つける懸念がある。またこのフランジ16Aとフランジ101Aが厨房家具2に当たってしまうと、クッション材26を圧縮したまま設置することができないことになる。クッション材26が密着した状態になっていないと、水等の侵入防止効果を損なう懸念がある。
次に、加熱調理器1の外殻(筐体)である本体ケースHCと、厨房家具2との間の空隙について説明する。
図4、図8〜図11において、311は、本体ケースHCの外殻を構成する下部ケース101の底板101Uと厨房家具2との間に形成された下部空隙であり、約10mmの大きさである。
301Rは、同じく下部ケース101の右側の側方垂直壁101Rと厨房家具2との間に形成された右側空隙であり、約5mmの大きさである。
301Lは、同じく下部ケース101の左側の側方垂直壁101Lと厨房家具2との間に形成された左側空隙であり、約5mmの大きさである。
302は、ドア114を閉じた状態で、そのドア114の下面又はヒンジ部176の下面と、厨房家具2との間に形成された前方空隙であり、10mm程度の大きさである。なお、前カバー112の下面の位置も、ドア114の下面の位置とは、水平面上で一致しているので、前カバー112の下方にも前方空隙302と同等に大きさの空隙が確保されている構成である。
前記前方空隙302は、ドア114の開閉によって大きさが変化するが、図8に示すように、ドア114を閉じた状態で外気の吸引が可能なような大きさ(例えば5mm〜10mm程度)が確保されれば良い。なお、以下の説明で「外気」とは、加熱調理器1の外部に存在する空気をいうもので、屋外の空気を指すものではない。
前記下部空隙311、右側空隙301R、左側空隙301L及び前方空隙302は、相互に連通している。このため、加熱調理器1の運転開始によって、前方空隙302から外気が吸い込まれると、下部空隙311、右側空隙301R及び左側空隙301Lに、吸込まれた外気がそれぞれ適宜分配される。なお、図14で説明する空隙303も、それら各空隙311、右側空隙301R、左側空隙301L及び前方空隙302に連通する。
次に図14について説明する。
W3は、加熱調理器1の前面部における最大横幅寸法である。この横幅寸法W3は、前記厨房家具2の設置空間の最大横幅寸法W2(560mm)よりも大きく、例えば595mmである。303は、厨房家具2の設置空間の右側に存在する右側壁面材の内面(以後、「右側面」という)と、前記、前カバー112の右端面との間に形成される空隙である。この空隙は、加熱調理器1を設置する際に厨房家具2と衝突しないように確保されるものである。大きさは1〜2mm程度で良い。
左側の前カバー112においても、厨房家具2の設置空間の左側に存在する左側壁面材の内面(以後、「左側面」という)との間に、前記空隙303と同じような空隙が形成される。なお、加熱調理器1の設置によっては、左右の空隙303の大きさは多少異なることがある。また、厨房家具2のタイプによっては、弾力性のあるシール材(クッション材)を段部2G(図6参照)に配置していて、空隙303が殆ど塞がれた状態で設置される場合もあるが、そのような状態でも、この加熱調理器1の内部冷却機能には何ら支障はない。
前記前カバー112が、図14に示しているように右側空隙301Rと左側空隙301Lよりも、厨房家具2の前カバー112が外側まで伸びている。このため、加熱調理器1を設置した状態では、左右2つの前カバー112によって、前記右側空隙301Rと左側空隙301Lの前方側が覆われる。このため、ユーザーが正面側から厨房家具2を見た場合、加熱調理器1と厨房家具2との間に、大きな隙間が存在するような感覚を与えることはない。そして、加熱調理器1の設置状態では、前記右側空隙301Rと左側空隙301Lが確保されるので、後述する上部ユニット100の上部風路AHと下部ユニット200の下部風路UHのための外気の導入が確実に行える。
図14において、WSは、ドア114が前記下部ケース101の前板101Fに対面する横幅寸法である。この横幅寸法は、ドア114と下部ケース101が密着してマイクロ波の漏洩防止をするため、及び開口113Aの前後・左右の位置に、後述するチョーク室チョーク室194を形成するためにも必要である(図11参照)。
図20に示しているように、上部ケース16の左側にある側方垂直壁16Lの近くには、第1冷却ファン60(上部冷却ファン)と第2冷却ファン61が、それぞれ設置されている。これら第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の回転翼(図示せず)の中心部にある回転軸60T(図示せず)は、鉛直(垂直)方向に伸びており、前記回転翼は、1つの水平面(第1の水平面HP1)上を回転する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、遠心ファン(ブロワー)が採用されている。この理由は、静圧が高く、高実装密度の空間で通風抵抗が大きいことを考慮したためである。なお、一般的に遠心ファンには、吸込み口が1個所で、吹き出し(吐き出し)方向が全半径方向となっているタイプも存在する。しかし、この実施の形態1のものは、吹き出し方向が1つだけのタイプである。
図20において、60Aは、第1冷却ファン60のファンケース60Cと一体に形成された吹出口、61Aは、第2冷却ファン61のファンケース61Cと一体に形成された吹出口である。吹出口60Aは、前記インバーター回路基板80に向けられている。また、吹出口61Aは、前記操作基板41の下方にあるホルダー50の方向に向けられている。つまり2つの吹出口60A、61Aは、何れも共通な水平面(HP1)上に存在し、かつ右方向に向けられている。この水平面HP1は後述する第1の水平面である。
前記ホルダー50は、絶縁性のある材料、例えばプラスチック材料で形成されている。このホルダー50は、入力操作部40の全域と前記統合表示部30、右側表示部31R、左側表示部31Lの範囲に対応した大きさを有し、左右方向に長く帯状に設けてある。このホルダー50の下面に少し間隙を保って、中央操作基板32が重なるように取り付けてある。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、全く同じ構造、同じ形状、同じ「定格仕様」であり、平常な誘導加熱動作時は、同じ回転数で運転されることを想定している。しかしながら、本実施の形態1では、IH制御部90によって回転数を異ならせて、送風量を変化させている。例えば、IHコイル17L、17Rに加える駆動電力を大きくして加熱能力を上げる場合や、前記統合表示部30や入力操作部40の温度が平常時よりも上昇していることが検知された場合、冷却効果を上げるために回転数を増加して、送風量を増加させる場合がある。また、後述する「うなり音」対策によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、互いに回転数を異ならせて運転する場合がある。
定格仕様とは、例えば、定格電圧、使用電圧範囲、定格電流、定格回転数、最大風量、最大静圧、音圧レベル等である。使用電圧範囲の中で印加する電圧又は電圧印加時間(オンDUTY時間)を変化させれば、回転数を変化させることができる。
これに対し、本実施の形態1では、PWM制御(Pulse Width Modulation)方式を採用しており、入力信号(DCレベル)の大きさに応じて、パルス幅のデュ−ティ・サイクル(パルス幅のHとLの比)を変え、第1冷却ファン60のモータを制御している。このPWM制御は、第2冷却ファン61でも採用している。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、回転翼(図示せず)の周囲をファンケース60C、61Cで囲った構成であり、そのファンケースの下面には、円形の吸込口(図示せず)を設けている。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の、それぞれの前記吸込口(図示せず)の直下になる位置には、多数の丸孔又は楕円形の孔から構成される通気孔64(図10と図12参照)がある。この通気孔64は、下ケース16の底壁面に形成してある。この通気孔64は、後述する下部ケース101の左側側壁面に形成した通気孔164に連通している。そのため、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、その通気孔164を介して、下部ケース101の外部から直接外気を導入できる。
図10において、165は凹部(吸気ダクト)であり、前記通気孔64を下部ケース101の通気孔164に直接連通させるために設けている。この凹部165は、左側から一定の深さ(寸法)DP1だけ凹ませて形成してある。なお、この寸法DP1は99mmである。
図10に示すように、前記第1冷却ファン60の吹出口60Aの上下方向の中心点と、前記ヒートシンク82の上下方向の中心点、及び後述する電源回路基板55の上面に実装された電気部品85の上下方向の中心点は、1つの水平線HL1の位置にある。言い換えると、第1冷却ファン60の吹出口60Aから吹き出された冷却風RF1が、真っすぐに右側方向に進行すると、ヒートシンク82と電気部品85に到達するような位置関係になっている。この水平線HL1で確定される水平面を、以後、「第1の水平面」HP1と呼ぶ。
図10において、前記電源回路基板55には、商用交流電源99からの交流電力が、後述するフィルター回路基板54を介して供給される。そして、この電源回路基板55において、交流から直流に変換する。そのため、交流から直流に変換するためのダイオード、トランス57(図示せず)等の電気部品85が実装されている。
インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度が異常に上がった場合、誘導加熱調理を制御するIH制御部90は、前記IHコイル17L、17Rの加熱量を低減させる。なお、この動作に加えて第1冷却ファン60の単位時間あたりの送風量を、一時的に増加させるようにしても良い。ヒートシンク82の温度は、ヒートシンク82の表面に密着状態に固定されたサーミスタ等のような接触型の温度センサーTS8、TS9(図20参照)によって検知している。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えた場合、製造時の調達コストを安価にできる。
同一仕様の冷却ファンを並列配置し運転させると、うなり音が発生する可能性が高い。このため、この実施の形態1では、うなり音対策として、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の回転数は、うなり音が発生しやすい範囲では、異なる値になるような制御を行っている。つまり、常に異なる回転数で運転している訳ではない。
図20において、52は、上部ケース16の後部において左右に長く設置している金属製の仕切り板であり、上部ケース16に固定されている。この仕切り板52は、上部ケース16の内部空間を、前後に区画するように垂直に伸びた壁となっている。なお、ここでいう「区画する」とは、空気の流通を完全に遮断するような厳密な遮蔽を意味していない。仕切り板52の上端面を越えて、前記第1冷却ファン60、第2冷却ファン61からの冷却風が後方へ流れることを、ある程度抑制できる程度であれば良い。
後述する上部風路AHは、前記上部ユニット100の内部において、前記通気孔64から仕切り板52までの範囲の風路をいう。この仕切り板52の背後側に形成された前記空隙GP1の中には、前記した下部ユニット200からの排気ダクト102が存在している。このため、後述する下部風路UHは、前記上部通路AHの中を通過せず、実質的に加熱調理器1の外部に連通する構造となっている。
図20において、52Aは、前記仕切り板52の左半分に形成した排気窓、53は、その排気窓52Aの前方側を覆うように設置した排気口板であり、多数の貫通孔53Aが形成され、仕切り板52の排気窓52Aに向かう冷却風が通過するようになっている。なお、この排気窓52Aを通過した冷却風は、前記排気カバー19を介して加熱調理器1の外部空間へ放出される。
図20において、LFは、IHコイル17L、17Rの設置空間CKから排気される排気の範囲(横幅寸法)を示した排気口寸法である。この排気口寸法は、前記貫通孔53Aの形成範囲と、排気窓52の横幅寸法によって定まる。排気窓52の横幅寸法の方が貫通孔53Aの形成範囲よりも狭い場合(図20に示した形態)では、その排気窓52の横幅寸法によって排気範囲LFが定まる。
図20において、54は、上部ケース16の後部の右隅部に配置したフィルター回路基板である。このフィルター回路基板では、商用電源99からの電源の中のノイズを除去して出力端子側へ供給し、また逆にノイズを、入力端子側にある商用電源側へ流出(逆流)させないようにしており、抵抗とインダクタ(チョークコイル)、ライン間コンデンサー、リレー、電流ヒューズ等の電気部品(図示せず)を実装している。なお、商用電源99にプラグを介して接続された電源ケーブル(図示せず)の末端部は、後述する下部ユニット200の内部を経由して、このフィルター回路基板54に接続されている。
前記電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80を挟んで前記第1冷却ファン60と反対側(右側)にある。言い換えると、この電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80とカバー70との間に形成された第1風路F1の出口FOの右側にあるため、第1風路F1から出た直後の冷却風によって冷却される。
図20において、CL3は、左側のIHコイル17Lの中心点を前後方向に通る中心線、CL4は、右側のIHコイル17Rの中心点を前後方向に通る中心線である。
CL5は、2つのIHコイル17L、17Rの各中心点を左右方向に横切る中心線である。CL2は、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61における、各回転翼(図示せず)の回転中心を前後方向に貫通する中心線である。この図20から明らかなように、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、前後方向の一直線上に並んでいる。
図20において、RF1は、第1冷却ファン60から吹出された冷却風を示す。RF2は、第2冷却ファン61から吹出された冷却風を示す。
RF3は、第1風路F1の出口FOから出たあとの冷却風を示す。また、RF4は、第2風路F2を通過したあとの冷却風を示す。なお、出口FOから出たあとの冷却風RF3と第2風路F2を通過したあとの冷却風RF4は、その一部が途中で合流する。つまり、排気口板53の貫通孔53Aに至る前に、冷却風RF3と冷却風RF4は合流する。
図20において、GP1は、仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙である。この空隙GP1の前後方向の幅は、30mm〜50mm程度である。
(入力表示部)
次に図15と図16に戻り、前記入力操作部40の主要部について説明する。
図15において、40は、トッププレート15の前方側上面に形成された入力操作部であり、以下述べるように、使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の各種入力キーを、横方向に一直線状に配置している。
入力操作部40は、右操作部40R、中央操作部40M及び左操作部40Lの3つを含んでいる。98は、後述する商用電源99を供給すること、及び遮断することができる主電源スイッチ97の操作ボタン又は操作キー(タッチ入力式)である。この操作ボタン又は操作キー98は、右操作部40Rの右端部に隣接した位置に配置されている。なお、この操作ボタン又は操作キー98は、入力操作部40の範囲内(図15参照)にあるという前提で以下説明する。
前記主電源スイッチ97は、図20と図21に示すように上部ユニット100のフィルター基板54に取り付けてある。商用電源99は、電源回路基板55、インバーター回路81、下部ユニット200の電源回路部(図21では図示せず)に供給されている。
図16と図18に示すように、前記右操作部40Rには、合計5つのタッチ式入力キー43R1〜43R4、44Rを配置してある。これら入力キー43R1〜43R4、44Rは、以下に述べるように、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
43R1は、右加熱部17HRでの加熱を選択する入力キーである。また、加熱動作を開始した右側のIHコイル17Rの動作を、停止することができる。このため、最初に1回押した場合には、右加熱部17HRの選択機能を発揮し、その次に1回押した場合には、瞬時に加熱動作の停止指令を発する機能がある。このように、この入力キー43R1は、1回タッチする毎に、後述するIH制御部90に対して指令することができる内容が自動的に切り替わる。
42R2と42R3は、誘導加熱時の火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。
左側の入力キー42R2にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が下げられる。例えば、3200W(定格最大火力:火力レベル9)である場合、この入力キー42R2に1回タッチすると、2500W(火力レベル:8)になる。
右側の入力キー42R3にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が上げられる。例えば、2500W(火力レベル8)の火力である場合、この入力キー42R3に1回タッチすると、3200W(定格最大火力:火力レベル9)を選択できる。
43R4は、タイマー調理の制御メニューを選択する入力キーである。タイマー調理とは、ユーザーが調理時間を設定すると、その設定時間の間だけ誘導加熱動作が行える制御方法である。例えば、10分間を指定してタイマー調理を開始した場合、10分経過時に所定の表示が右側表示部31Rで行われ、また後述する音声合成装置95からも、音声で調理終了の報知が自動的に行われる。設定時間(例えば、10分間)の経過時には自動的に誘導加熱が停止するが、設定時間経過前に延長操作をして、誘導加熱時間を延長することもできる。
44Rは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択するタッチ式入力キーであり、タッチ操作する毎に複数の制御メニューの中から1つを選択できる。なお、「制御メニュー」とは、図27に示しているような、例えば、湯沸し、煮込み、揚げ物(自動調理)等のように、誘導加熱源9の制御モード、言い換えると制御の種類である。つまり、湯沸しや煮込み、揚げ物等は、IHコイル17Rの駆動時間や、火力、火力を変化させる駆動パターン等が異なるのである。
右加熱部17HRのための「制御メニュー」とは、誘導加熱して得られる最終的な調理物の名称や食材の名称とは異なる。例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」は調理物の名称であり、ここでいう「制御メニュー」ではない。言い換えると、「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、調理方法や条件等を総括的に表現したものとも言える。
次に図16と図19を参照しながら、左操作部40Lについて説明する。左操作部40Lには、合計5つのタッチ式入力キー43L1〜43L4、44Lを備えている。
43L1は、左加熱部17HLによる調理を選択する入力キーである。また、左側のIHコイル17Lの加熱動作が開始された後は、その動作を随時停止させることができる。つまり、最初に1回押した場合には、左加熱部17HLを選択する機能を発揮し、誘導加熱が開始されてから次に1回押した場合には、瞬時にその加熱動作を停止できる。
43L2と43L3は、前記右操作部40Rの入力キー43R2〜43R3と同様に、左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー43R2、43R3と同様に、1回タッチする度に、規定されている火力値のデータテーブルの中で、1段階上げた火力を選択し、又は1段階下げた特定の火力を選択できる。
43L4は、タイマー調理を選択する入力キーである。この入力キー43L4は、右操作部40Rの入力キー43R4と同様に、誘導加熱調理の時間を指定することができる。また、タイマー調理終了時には、入力キー43R4と同様に、左側表示部31Lにおいてタイマー調理の終了が表示され、音声合成装置95によっても報知される。
44Lは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択できるタッチ式入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー44Rと同様に、複数の「制御メニュー」の中から1つの制御メニューを選択できる。なお、左側の入力キー44Lで選択できる制御メニューは、右側の入力キー44Rで選択できる制御メニューと全く同じである。但し、後述する「連携調理メニュー」を中央操作部40Mで選択した場合には、右操作部40Rでは実行できない調理メニューを、左操作部40Lでは選択できる。つまり、特定の調理(例えば、ハンバーグを焼くこと)を、連携調理メニューによって実行することができる。
この左操作部40Lに配置された合計5つのタッチ式入力キー43L1〜43L4、44Lは、図15と図18から明らかなように、左右方向に1直線上に並んでいる。
図16と図17において、前記中央操作部40Mには、合計10個のタッチ式入力キーを配置してある。これら入力キーは、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
以下、10個のタッチ式入力キーについて説明する。
最も左側にある入力キー43KPは、加熱調理器1全体の各種動作や表示等を、ユーザーの希望通りに設定できるようにするためのものである。
入力キー43KPを押すと、後述する統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dに以下のような「機能設定メニュー」を表示する。
(1)チャイルドロック設定(各種入力キーの操作無効化設定)
(2)換気扇連動モード設定
(3)お掃除ガイド設定(加熱室113と排気カバー19の清掃時期自動報知機能設定)
(4)ピークカット設定(最大消費電力を、5700W、4800W及び4000Wの3段階から1つ選択)
(5)音声ガイドの音声設定
(6)音声ガイドの音量設定
(7)加熱室113からの被調理物、調理器具等の出し忘れを防止する設定(音声合成装置95と統合表示部30での警報の要否)
(8)HEMS登録設定(家庭用電力制御装置による電力使用制限機器にする設定)
(9)タイマー調理の時間単位(1分単位設定を、5分や30分単位へ変更)設定
入力キー43KPを押して、統合表示画面を「機能モード」に切り替えた上で、前記中央操作部40Mに配置された後述するタッチ式入力キー43M1〜43M3を操作すれば、加熱調理器1の「機能設定メニュー」に定めてある上記8種類の個別機能を、個々に変更することができる。
統合表示部30において、マイクロ波加熱源189やオーブン加熱源188の制御モードや制御条件(温度や火力、時間など)を選択している段階では、機能モードの切り替えをしないように、入力キー43KPの入力機能は無効にしてある。そのため、入力キー43KPに対応する発光部27M1は、制御モードや制御条件の設定作業中には発光しない(図40参照)。
例えば、加熱調理器1のピークカット値の設定について述べる。メーカからの出荷時点のデフォルト値が、仮に5400Wであったとしても、ユーザーの自宅に設置した際に、4800W又は4000Wの何れにも設定できる。このように、加熱調理器1の機能を、ユーザーの希望や使用環境(設置家庭の電力事情)等に合わせて変更することができる。
43MCは、後述する「連携調理メニュー」の選択用入力キーであり、また、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189によって、加熱室113において加熱調理することを選択する入力キーである。
前記入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30は、特別な表示画面構成に切り替わる。この点については、図37〜図40を参照して後で説明する。
前記統合表示部30の表示画面30Dは、ハードウエア上は1枚の液晶表示画面であるが、図17に示しているように、表示部駆動回路63によって最大で3つの表示エリア30L、30M、30Rに分けて表示される。
3つの表示エリアの内、左側に位置する表示エリア30Lを、以後、「第1エリア」という。また中央に位置する表示エリア30Mを、以後、「第2エリア」という。右側に位置する表示エリア30Rを、以後、「第3エリア」という。なお、このように1つの表示画面の中を、複数に区分して表示させる方法は、例えば日本の特許第5425171号公報や特開2017−172940号公報で提案されているため、詳細な説明は省略する。
43M1は、前記表示画面30Dの第1エリア30Lに表示された画面を切り替えるための、左右で1対の入力キーである。第1エリア30Lに表示される情報は、統合制御装置MCの表示プログラムに従って前記表示部駆動回路63で選択される。
左右に並んだ2つの入力キー43M1の内、左側の入力キー43M1が操作されると、第1エリア30Lの表示画面は前方に移動して、後方側に表示されている情報が前後中央に表示されるイメージで表示画面が切り替わる。つまり、左側の入力キー43M1が1回操作されると、統合制御装置MCに記憶させてある表示情報群の中から、希望する表示情報の1つを選択できる。なお、表示画面自体が、実際に前方に移動する訳ではなく、視覚上で前方に移動したように見えるだけである。
逆に、右側の入力キー43M1が1回操作されると、第1エリア30Lの表示画面は後方に移動し、代わりに別の情報が、今度は第1表示エリアの前後中央に表示されるイメージで、表示画面が切り替わる。つまり、右側の入力キー43M1を操作しても、統合制御装置MCの表示プログラムで規定されている「表示情報群」の中の1つが選択されるが、表示される情報の選択方向(選択順位)が逆となる。ここでいう「表示情報群」とは、第1エリア30Lの場合、「制御メニュー群」である。
このように、ユーザーは、右側の入力キー43M1と左側の入力キー43M1の何れかを操作すれば、表示情報群の中から、希望する情報を第1エリア30Lの中央部に表示させることができる。
43M2は、前記表示画面30Dの第2エリア30Mに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M2の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第2エリア30Mの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43M3は、前記表示画面30Dの第3エリア30Rに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M3の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第3エリア30Rの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43MSは、加熱室113を利用したマイクロ波加熱調理とオーブン加熱調理の動作開始を指令することができるタッチ式入力キーである。
45MTは、逆にマイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キーである。なお、この中央操作部40Mに配置された10個の入力キーは、図17からも明らかなように、左右方向に1直線上に並んでいる。
主電源スイッチの操作キー98を押して、加熱調理を開始する場合、例えば、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1〜43R4、44Rは、常に入力機能が必要ではない。
同様に、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1〜43L4、44Lは、常に入力機能が必要ではない。中央操作部40Mにおいても同じである。ユーザーが認識しないまま触れた場合等、不必要な入力を避けるために、統合制御装置MCでは、加熱調理器1の起動直後から、調理条件の入力過程や、調理の進行度合い等に応じて、入力が必要な入力キーを除いて、その他の入力キーの入力機能は一時的に無効にし、入力を受け付けないようにしている。
そこで、以上のような各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、図16〜図19に示すように、3つの操作部40R、40L、40M毎に、発光表示部27R、27L、27Mを設けている。
図16と図18に示しているように、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1〜43R4、44Rの直ぐ後方に個別発光部27R1〜27R4を配置している。入力キー43R2と43R3は、1対であるので、個別発光部27R2は、1つを共用している。
個別発光部27R1〜27R4は、右操作部40Rの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27R1〜27R4は発光と消灯が制御される。あるいは発光色を変化させるように制御される。
例えば、右操作部40Rの入力キー43R1(図18参照)が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1は、青く発光している。これにより、操作入力を受け付けることができることを表示している。
ユーザーが入力キー43R1を操作し、統合制御装置MCが当該入力を受け付けた場合には、個別発光部27R1は、統一された色(赤色)で発光して、ユーザーに操作を受け付けていることを表示する。この表示のための制御は、統合制御装置MCの指令に基づき、表示部駆動回路63が行う。なお、1つの色で発光させず、例えば青色から赤色に発光色を変えて、ユーザーに操作を受け付けていることを表示するようにしても良い。これは、後で述べる個別発光部27M1〜27M6、27L1〜27L4についても言える。
なお、入力キー43R1が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1を発光させず、操作を受け付けた時点で発光開始し、発光を継続する方式でも良い。また、操作入力が可能であることだけを事前(操作前の段階)に発光で示し、操作入力を受け付けたことは、光で表示させない方式にしても良い。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付けた段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。
同様に、図16と図19に示しているように、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1〜43L4、44Lの直ぐ後方に、個別発光部27L1〜27L4を配置している。入力キー43L2と43L3は、1対であるので、個別発光部27L4は、1つを共用している。
図16と図17に示しているように、中央操作部40Mにおいても、10個のタッチ式入力キー43KP、43MC、43M1〜43M3、43MS、43MTの直ぐ後方に、個別発光部27M1〜27M6を配置している。
個別発光部27M1〜27M6は、中央操作部40Mの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27M1〜27M6は、統一された発光色での発光と消灯が制御される。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付けた段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。図41を参照して後で詳しく説明する。
1対の入力キー43M1は、1つの個別発光部27M3を共用している。2つの入力キー43M2と43M3についても、それぞれ1対であるので、個別発光部27M4と27M5は、1つずつ共用している。以下の説明で、中央操作部40Mにおける個別発光部を総称する場合には、符号は27Mを用いる。
図18に示すように、右操作部40Rの右端部に隣接した位置にある、前記主電源スイッチ97の操作キー(又は操作ボタン)98の真後ろにも個別発光部27R5が配置してある。
以上のような発光表示部27R、27L、27Mの発光形態(連続発光、点滅、発光色等)は、ユーザーの無用な混乱、誤解を避けるため、3つの操作入力部で統一することが望ましい。そこで、この実施の形態1では、右操作部40R、左操作部40L及び中央操作部40Mにおける前記では、発光表示部27R、27L、27Mの発光形態を統一している。
各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、入力キーの操作部自体を発光させる方法もあるが、その場合、入力キーの操作部真下に発光部を配置し、かつ当該操作部を、光透過性の材料で製造する必要もあり、入力キーの操作部の感度を確保する課題もあるので、構造やコスト面で課題が多い。そこで、この実施の形態1では、上記のように発光表示部27R、27L、27Mを、入力キーの操作部を避けて、隣接した位置に設けている。ここでいう「隣接」とは、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの関係のように、ユーザーの視点から見て両者が接近しており、1対1の関係が瞬時に分かる位置関係をいう。そのため、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの間が、入力キー43R1の表面を基準にして、上方に突出した壁等の構造物で仕切られている場合を除く。
図16において、右操作部40Rと左操作部40Lの後方位置には、誘導加熱調理時の火力段階を示すように火力表示部67L、67Rを設けている。
これら火力表示部67L、67Rは、右加熱部17HRと左加熱部17HLにおける火力段階を発光(赤色)によって示すものである。定格最小火力(火力レベル1:150W)〜定格最大火力(火力レベル9:3200W)までの、9段階を光で示す。
火力表示部67L、67Rは、右操作部40Rと左操作部40Lの下方空間に設置した複数の発光ダイオード(LED)によって構成されている。発光色は、火力の大きさによって変化させても良い。この実施の形態1では、例えば火力レベル1と2は、以下のように構成している。
(1)(最小)火力レベル1:赤色点灯1個、残り8個は青色点灯
(2)火力レベル2:赤色点灯2個、残り7個は青色点灯
なお、火力表示部67L、67Rの左端部には、最小火力レベル1よりも小さな火力で被加熱物を加熱する「保温モード」(図36の「表示画面3A」参照)で動作させた場合に、LEDを発光させて表示する保温表示部67Hを設けている。
前記左表示部31Lには、左加熱部17HLの火力レベル値が、数字の1〜9で表示される。最小火力レベル1のときは「1」、最大火力レベル9のときは「9」が表示される。この左表示部31Lでの火力表示は、火力表示部67Lによって表示される火力段階と合致しており、同じタイミングで表示される。
また、右表示部31Rでも、右加熱部17HRの火力レベル値が、数字の1〜9で表示される。表示の条件は、左表示部31Lの場合と全く同じである。
図16から分かるように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、それぞれが左右方向に1直線上に並んでいる。しかも、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、左右方向に並行して並んでいる。
このように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rが、3つの入力操作部40L、40M、40Rに対して、その後方において左右方向に1直線上に並んでいるため、操作性と視認性が良い。更に統合表示部30と、左側表示部31L及び右側表示部31Rも、横方向に一直線上に並んでおり、加熱調理器1の前方側に立って操作するユーザーの立場から見て、全体の操作性と視認性が良いデザインとなっている。
図16において、68は、前記統合表示部30の後方に配置した加熱源表示部である。
この加熱源表示部68は、中央操作部40Mを使用して複数の加熱源を使用するため、実際に動作している加熱源をLEDの光で表示するものである。
加熱源表示部68は、3つの表示部から構成されている。最も左端の表示部68Lは、マイクロ波加熱源189を使用していることを示す表示部であり、手前側近傍には文字で「レンジ」という表示をし、マイクロ波加熱であることが容易に分かるようにしてある。
中央の表示部68Mは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「グリル調理」をしている場合を示す表示部である。手前側に「グリル」と記載し、グリル調理であることが容易に分かるようにしてある。
最も右側の表示部68Rは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「オーブン調理」をしている場合を示す表示部である。
「オーブン調理」は、グリル調理とは異なり、加熱室113の中の温度を把握して上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bの通電制御に反映させる(フィードバックさせる)ものである。これらについては、後で詳しく説明する。最も右側の表示部68R近傍には、文字で「オーブン」という表示をしており、オーブン調理であることが容易に分かるようにしてある。
図16において、69は、前記加熱源表示部68の直ぐ後方位置に設けた高温報知部である。この高温報知部69は、統合制御装置MCからの指令に基づきLED発光部を発光させて、温度監視対象部分が高温であることを表示する。
統合制御装置MCは、後述するように各種温度センサーからの温度検出信号を受ける温度検出回路93や加熱室制御部159からの温度情報に基づき、高温報知を指令する。
高温報知部69は、図15には示していないが、図16には示している。
高温報知部69は、温度監視対象部分として、左加熱部17HLと、加熱室113と、右加熱部17HRの3つを定めてあり、これら温度監視対象部分の状況を個別に表示する。そのため、例えば、左加熱部17HLで誘導加熱調理をした後、左加熱部17HLに対応しているトッププレート15の中央から左側範囲が高温になっていることを報知し、ユーザーに注意喚起できる。
高温報知部69で高温報知している期間を可能な限り短くするため、例えば1つの誘導加熱調理が終わった直後の時点で、まだトッププレート15の温度が高い場合には、前記IH制御部90は、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転を継続し、外気によって上部ユニット100の内部空間、つまり上部空間300Aを冷却するようにしている。
図15に戻って説明する。46L、46Rは、外部に設置された換気装置(図示せず)に対して、運転開始用の指令信号となる赤外線信号を送信する窓である。この窓の下方には、赤外線発信部48(図21参照)が設置されている。なお、実際には、この窓46L、46Rは、トップテーブル15の上方からは視認できないように、目立たないような表面シートで覆っている。そのシートは、当然ながら赤外線信号を透過させる材料から形成されている。
図15において、49は、無線通信部(通信モジュール)であり、外部からの電波を受信し、また外部へ電波を送信するアンテナ(図示せず)と送受信回路(図示せず)を備えている。この無線通信部49は、前記表示基板41の右側端部の下方で、上部ケース16の底壁面16Sと少し間隔を保って設置してある。このように間隔を保っている目的は、上部ケース16の底壁面16Sに接近しすぎると、電波の受信感度が低くなる懸念があるためである。
図15において、CL1は、上部ユニット100の左右の中心点を前後方向に通る中心線、ALは、トッププレート15が上部ユニット100の上面で露出している範囲を示している。なお、厨房家具2に設置された状態では、図15に示す加熱調理器1の上面は、当該厨房家具2の上に露出する。このため、入力操作部40も上方から操作でき、また排気ダクト102の排出口側末端部102Eからの排気も、同様に厨房家具2の上方に放出できる。
次に、上部ユニット100の制御手段について、図21と図22を参照しながら説明する。
この図21と図22では、一部構成については記載を省略しており、前記フィルター回路基板54のフィルター回路は記載していない。
図21は、上部ユニット100の制御手段と下部ユニット200の制御手段を示している。図22では、図21の中の主要な制御手段だけを抽出して、制御指令信号の授受や、電力の供給関係等を、矢印によって示している。
図21において、97は、使用者によって開閉操作される主電源スイッチで、200Vの商用電源99に電源コードと電源プラグ(図示せず)介して接続されている。91は、前記主電源スイッチ97を介して電気エネルギーが供給される電源回路、92は、商用電源からの交流電力を直流に変換する直流電源変換部である。この電源回路91が、前記電源回路基板55(図20参照)の上に実装されている。
MCは、統合制御装置であり、メインコントローラ又はホストコンピュータの機能を有する。マイクロコンピューターを中心に構成されている制御装置である。この統合制御装置MCは、前記電源回路91から所定の定圧電流が供給される。またこの統合制御装置MCは、前述したように、前記中央操作基板32の下面にある(図20に破線の枠で示している)。しかし、これを前記操作基板41の裏(下)面側に配置しても良い。何れにしても、統合制御装置MCは、上部ユニット100に内蔵されており、下部ユニット200には設けていない。
前記統合制御装置MCは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、3つの加熱源の通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、前記マイクロコンピューターの記憶部(ROM、RAM)とは別に、異常監視情報を記録する大容量の記憶装置(メインメモリー)MMを内蔵している。
90は、誘導加熱時の制御を司るIH制御部であり、マイクロコンピューターを中心に構成されている。このIH制御部90には、誘導加熱時の、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、異常監視情報を記録する記憶装置(図示せず)を内蔵している。
なお、このIH制御部90の機能の一部を第2のIH制御部90A(図示せず)に担当させても良い。例えば、前記インバーター回路基板80の上に、マイクロコンピューターを実装して、当該マイクロコンピューターでインバーター回路81L、81Rの入力と出力制御を担当させても良い。
誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理等、全ての加熱調理動作中は、電気的な異常状態の有無の監視が、統合制御装置MCによって集中して実施されている。
96は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、前記主電源スイッチ97に繋がる電源回路91とは別の専用電源(内蔵電池)BT1から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に統合制御装置MCから求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、この加熱調理器1の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、加熱調理器1の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を統合制御装置MCに伝える機能がある。このため、前記統合制御装置MCの記憶装置MMに記録される異常監視情報も、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。
図21において、72は、電力制御部(「デマンド制御部」ともいう)である。この電力制御部72は、統合制御装置MCによる誘導加熱やマイクロ波加熱を行う指令信号を解析し、加熱調理器1の総電力消費量が、規定値又は使用者が個別に設定した上限値を超えないように監視する機能があり、また総電力消費量が、規定値又は任意設定値を超えないよう、誘導加熱やマイクロ波加熱時の火力(消費電力)を自動的に制限する機能がある。
一般に、「デマンド制御装置」又は「デマンドコントロール装置」とは、デマンド(需要電力)の値を制御するものをいい、自動的に電力の使用状況をチェックし、設定した値を超過しそうな場合は、警報等で報知し、停止可能な機器の自動停止を設定しておけば、装置自体が決められたとおりに停止可能な電気機器を自動的に停止し、一定の時間が経過すればその電気機器を自動的に復帰させるものとして知られており、各家庭においても電力会社との契約電力管理に大きな威力を発揮すると言われている。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1自体に上記したような消費電力の抑制機能を持たせるために設けている。なお、電力制御部72は、特別なハードウエアを設けず、前記統合制御装置MCの中の制御機能として設けても良く、デマンド用の制御プログラムを統合制御装置MCの中に最初から組込み、あるいはあとから追加したものでも実現できる。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1全体の最大消費電力を、3段階(5700W、4800W、4000W)の中から1つだけ設定できる。なお、この設定は、入力操作部40の中の特定のキーを複数個同時に押した場合に、統合表示部30に表示される上記3段階の数値を見ながら、その入力操作部40で設定できる。このような簡単な設定方法は、例えば、日本特許第6012780号公報で紹介されている。なお、図16、図17で説明したように、中央操作部40Mの入力キー43KPを押すと、統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dには、「ピークカット設定」や「HEMS登録設定」をできる表示が行われるので、上記したような加熱調理器1の総電力消費量の抑制機能は、簡単に追加設定したり、機能の変更・取消し等を設定したりすることができる。
73は、上部ユニット100と下部ユニット200との間で、各種制御信号を伝達するために設けた信号伝達部である。例えば、有線で信号を伝達できる信号線とコネクターが該当する。また、無線で信号を授受できるように例えば、赤外線通信部であっても良い。なお、信号伝達部73は、前記統合制御装置MCとIH制御部90の間にも設けている。
前記IH制御部90は、温度検出回路93から温度情報を得て、上部ユニット100の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば前記中央操作部40Mには、前記した各種入力キー43M1〜43M3、43MS、43MT等に対応する電子部品や半導体部品を配置してあるが、それら部品類は比較的熱に弱いので、所定温度(例えば60℃)を超えないように温度検出回路93を通じて監視している。
計測された温度が、前記所定温度を超えた時点で「異常予備状態」であるとIH制御部90によって判定される。なお、異常予備状態は、検出温度が60℃〜65℃の範囲にある場合に限る。65℃を超えると危険度高まり、IH制御部90は本当の異常状態と認定する。
この異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、誘導加熱の火力を下げる制御を行う。しかし65℃を超えた時点で異常状態とIH制御部90によって判定され、直ちに誘導加熱動作を停止する。具体的には、例えば、駆動されているIHコイルが、右側のIHコイル17Rである場合、当該IHコイル17Rに高周波電力を供給しているインバーター回路81Rの電源供給を遮断する。そしてIHコイル17Rや共振用コンデンサー等を含む誘導加熱回路94Rの動作を停止させる。なお、94Lは、左側のIHコイル17L用の誘導加熱回路である。
上記した異常予備状態では誘導加熱の火力を維持したまま、上部ユニット100のIHコイル設置空間CKを冷却している第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることで改善しても良い。更に、誘導加熱の火力を下げる対策と併用しても良い。
そして、少なくともこのような異常予備状態から緊急停止までの期間における誘導加熱時の主要な部分の電気的、物理的(一例として前記した統合表示部30の温度)の変化状況を示す(異常監視)情報が、IH制御部90の記憶装置90Rの中に格納される。
前記した異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、また第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることもせず(回転翼の回転数を変化させず)、IHコイウル17L、17Rの火力を、強制的に下げることで改善するようにしても良い。
前記IH制御部90の記憶装置に記憶される異常監視情報は、統合制御装置MCから起動指令を受けた時点から調理を正常に終了するまで期間中に取得される。そのため、前記「制御メニュー」(例えば、左操作部40Lの場合の、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」など)や、誘導加熱の火力の情報も、時系列で記録される。途中で異常状態が原因で緊急停止した場合は、その時点まで異常監視情報と制御メニューを識別する情報が、前記記憶装置90Rに時系列で保存されることになる。
更に、この実施の形態1では、より広範囲にわたって加熱調理器1の動作を監視してデータを取得するため、主電源スイッチ97をONにしてから、上部ユニット100と下部ユニット200側における全ての加熱調理状態に関する監視情報を、統合制御装置MCが取得している。前記加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130から、信号伝達部73を介して、異常有無の監視情報を統合制御装置MCが取得する。
前記インバーター回路基板80の中には、右側のIHコイル17R専用のインバーター回路81Rと、左側のIHコイル17L専用のインバーター回路81Lが、1つずつ実装されている。
そしてこれら2つのインバーター回路81L、81Rは、前記IH制御部90によって互いに独立して駆動されるようになっている。なお、これらインバーター回路を総称する場合、符号は「81」を使用する。
2つのインバーター回路81L、81Rの詳細は、図24を参照しながら後で説明する。
図21において、95は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生時の報知などをスピーカー95Sから音声でその都度報知する。
前記した温度検出回路93は、少なくとも7個の温度センサーTS3〜TS9に接続されている。具体的には、トッププレート15の温度や、IHコイル設置空間CKの雰囲気温度、インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度、統合表示部30等の温度を検知するため、温度センサーTS3〜TS9がある。温度検出回路93は、前記温度センサーTS3〜TS9から、それぞれ温度検知情報を受け取り、それら温度検出結果をIH制御部90に送る。
前記温度センサーTS3〜TS9は、赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
前記温度センサーTS3〜TS9の内、2つの温度センサーTS3、TS5は、赤外線センサーのような非接触型センサーである。これら2つの温度センサーTS5、TS6は、図15に示しているように前記IHコイル17L、17Rの中の、それぞれの空隙部に配置されており、トッププレート15方向からの赤外線信号を受信する。つまり、これによって鍋やフライパン等の加熱物Nの底面の温度を計測できる。
前記温度センサーTS3〜TS9の内、2つの温度センサーTS3、TS4は、接触型センサーとしてサーミスタを使用しており、図15に示しているように前記IHコイル17L、17Rの、それぞれの中心部の空洞の中に配置されている。これら温度センサーTS3、TS4は、トッププレート15の下面に直接接触し、又は熱伝導性のある介在物を介してトッププレート15の下面に接触している。これにより、トッププレート15の温度を計測できる。
前記温度センサーTS3〜TS9の内、1つの温度センサーTS7(図15参照)は、接触型センサーとしてサーミスタを使用しており、ホルダー50の上面に設置されている。そして統合表示部30や入力操作部40の雰囲気温度を検知する。また2つの温度センサーTS8、TS9は、サーミスタを使用したものであり、前述したようにヒートシンク82の上面に取り付けてある。
下部ユニット200側にも、下部ユニット200の内部空間温度を検出するため、少なくとも2つの温度センサーTS1、TS2を備えているが、詳細は後で説明する。
62は、冷却ファン駆動回路であり、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の駆動用モータ60M、61Mの駆動用電力を制御する。つまり、冷却ファン駆動回路62による制御によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61との、送風能力が互いに独立して、それぞれ多段階に変更される。
63は、表示部駆動回路であり、前記統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31Rの動作を制御でき、必要な情報を表示させる機能がある。
表示部駆動回路63は、専用のマイクロコンピューターによって構成しても良い。またこの表示部駆動回路63の機能を発揮する制御プログラム(ソフトウエア)は、統合制御装置MCの中に組み込んでも良い。表示部駆動回路63は、前記操作基板41の上面に実装されている(図20参照)。
84は、地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記統合制御装置MCに送り、統合制御装置MCではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行う。
49は、図15にも示した無線通信部49であり、前記統合制御装置MCからの指令を受けて情報を発信する。また、前記統合制御装置MCからの指令を受けて外部からの情報を取得する。
(下部ユニット200)
次に下部ユニット200について説明する。
図8〜図11において、101は、下部ユニット200の本体110の外殻を構成する下部ケース(下筐体)である。この下部ケース101は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成されるか、または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して形成される。実施の形態1では、以下説明する通り、3枚の金属製薄板から構成されている。
101Hは、下部ケース101の後方と左右部分の3つの面(垂直面)を構成する胴部、101Uは、前記胴部101Uの底面開口部を完全に閉鎖する平板状の底板である。101Cは傾斜部であり、加熱調理器1を厨房家具2に設置する際に、厨房家具2の設置口2Aに当たらないよう、下方に行くに従って前方へ傾斜した壁面である。
101Fは、下部ケース101の前面を構成する前板であり、全体が1枚の平らな板である。この前板101Fの前面には、前記ドア114の閉鎖時に、そのドア114の後面が密着し、前板101Fとドア114の間の隙間からマイクロ波が漏洩しないようにしている。101Bは、下部ケース101の傾斜部101Cの上端に連続して垂直に立ち上がっている後壁面(後方垂直壁)である。
下部ユニット200は、2つの独立した加熱源を備えている。その内の1つはマイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱源189である。もう1つはオーブン加熱装置140のオーブン加熱源188である。オーブン加熱源188は、加熱室(オーブン庫)113を、その壁面の外側から加熱するものであるが、加熱室113の内部に存在して、被調理物を直接加熱するものでも良い。なお、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、「マイクロ波加熱源189」とは、後述する「インバーター回路基板121」を含まないという前提で説明する。
図8、図10、図11は、マイクロ波加熱装置120の主要部分を示している。
前方側から、以下の順番で順次設置している。
最も前方側には、インバーター回路121A(図21参照)を実装したインバーター回路基板121(図10参照)を配置している。
このインバーター回路基板121の後方には、マイクロ波の発生源となるマグネトロン122、当該マグネトロン122の発振部122Aを包囲した導波管123を配置している。
さらに、導波管123の後方には、導波管123に接続されているアンテナケース124、アンテナケースの中にあるアンテナ125を、それぞれ配置している。
アンテナケース124の後方には、マイクロ波加熱時にアンテナ125を回転又は回動させるモータ126を配置している(図11参照)。
127は、マイクロ波加熱の出力や前記マグネトロン122に電力を供給する電源回路基板であり、前記フィルター回路54からの商用電源を受ける電源回路部120P(図示せず)と、後述するマイクロ波加熱制御部130とを、実装している。
図7図、図8において、128は、第3冷却ファン(下部冷却ファンの1つ。「冷却ファンA」と呼ぶ場合がある)であり、前記インバーター回路基板121を収容した箱形形状のケースA150の真下に配置されている。ケースA150は、下面全体が開放されている。つまり、底面が無い箱形形状である。
129は、第4冷却ファン(下部冷却ファンの1つ。「冷却ファンB」と呼ぶ場合がある)であり、前記マグネトロン122の放熱部122Hを載置した箱形形状のケースB151の真下に配置されている。放熱部122Hには、第4冷却ファン129からの冷却風が通過するための、数枚の放熱フィンが並列状に形成されている。ケースB151は、下面全体が開放され、底面が無い箱状である。
前記ケースA150は、下部風路の入口端部の1つを構成する。
ケースA150には、図9と図10に示すように、前記吸気口152Fの真上の位置で前記加熱室113の側壁面から離れて上下方向に伸びている垂直部308がある。
前記マイクロ波加熱源188用のインバーター回路基板121は、前記垂直部308の中に、縦方向に収容されている構成である。
前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、例えば、軸流型ファンである。そして回転翼の中心部にある回転軸が鉛直(垂直)方向になるように、下部ケース101の底板101Uに支持されている。
第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えた場合、製造時の調達コストを安価にできる。なお、同一仕様の冷却ファンを並列配置し運転させるとうなりが発生する可能性が高いため、うなり対策として、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の回転数は、異なる値にする制御を行う場合がある。
前記ケースA150と、ケースB151は、前述したように底面全体が開口しており、その開口の内側に、前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129が、それぞれ横たわるように配置されている。
図8において、ケースA150の内部に2列に設けた風向板199は、前記ケースA150の内側に一体又は別個に形成されたものである。この風向板199は、インバーター回路基板121と、後述する2つの連通口138A、138Bに対して、前記第3冷却ファン128からの冷却風を効率良く流すために設置してある。
152Fは、前方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Fは、前記第3冷却ファン128用である。
152Bは、後方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Bは、前記第4冷却ファン129用である。
前記誘導加熱源9の冷却用の外気を前記上部ユニット100の内部に導入する通気孔(第1の吸気口)164と、前記マイクロ波加熱源189の冷却用の外気を下部ユニット200の内部に導入する第2の吸気口152B、152Fは、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置されている。すなわち、図10から明らかなように、加熱調理器1を前方側から見た場合、加熱室113を挟んで、右側には第2の吸気口152B、152Fがあり、反対に左側には通気孔(第1の吸気口)164と通気孔64がある。
153は、前記放熱部122Hの上部に設置されたダクトであり、放熱部122Hを通過した第4冷却ファン129からの冷却風RF6を、図12に示すように下流側へ案内するものである。
図8と図9において、154は、ケースCであり、電源回路基板127とマイクロ波加熱制御部130とを密封状態に収容している。このケース154は、電気絶縁性に富むプラスチック材料から形成されている。
ケースC154は、後方側の蓋154Aと、前方側にある容器状又は箱形状の本体154Bと、の2者を重ね合わせて構成している。本体154Bの前面側に形成した大きな開口部を、前記蓋154Aが後方から塞いでいる。
ケースC154は、前方側にある本体154Bに、電源回路基板127と、マイクロ波加熱制御部130を取り付けた基板(図示せず)を取り付けてある。保守点検時には、この蓋154Aを開けて内部にある電源回路基板127や、マイクロ波加熱制御部130の各種点検や修理ができるようにしている。
このケースC154は、加熱室113からの熱の影響を受けないように、加熱室113の背面からできるだけ離して設置されている。また前記底板101Uからも離して設置してあり、万一、下部ケース101内部に、上部ユニット100側から水や調理液などの液体が浸入した場合でも、電気絶縁性を損なうことが無いようにしている。
図8で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、後述するマイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置され、前記導波管123よりも後方には、マイクロ波加熱制御部130に電力を供給する回路部品を実装した電源回路基板127の収容用ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
図8で説明したように、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F上端を後方に折り曲げて形成したものである。そして、下部ケース101側の支持金具198は、前記上部ケース16に固定されている。
図8と図9において、131は、マイクロ波加熱時の電波漏洩対策として設けているドア開閉検知機構である。
マイクロ波加熱装置の安全性を担保するため、ドア開閉検知機構131の搭載が法的に要求されている。この種の代表的なドア開閉検知機構131は、日本特許第4372099号公報、特開平11−214147号公報等の特許文献で知られている。
前記特許文献によれば、ドア開閉検知機構131として、ラッチスイッチ、ドアスイッチ、モニタースイッチの3種類のスイッチを内蔵させ、これらのスイッチをドアの開閉に連動して、時間差をつけて開閉検知することが提案されている。
また特開平11−214147公報では、第1インターロックスイッチと、第2インターロックスイッチとにより、インバーター回路の電源を開閉し、また、第1インターロックスイッチが短絡故障した時に、電源回路に挿入されているヒューズをOFF状態するため、モニタースイッチを設けることが提案されている。
図8と図9には、実施の形態1で採用しているドア開閉検知機構131の主要部分を示している。これら図において、132Aは、ラッチスイッチ、132Bは、ドアスイッチである。図示していないが、前記ラッチスイッチ132Aと、ドアスイッチ132Bの何れか一方、又は双方が異常によって開放されない場合、前記インバーター回路基板121に実装されたインバーター回路121Aの電源を遮断するための、モニタースイッチ133(図示せず)も設けてある。
前記ラッチスイッチ132Aは、ドア114側に固定されて突出しているピン134で押されて、内蔵した接点が開閉される。前記ドアスイッチ132Bは、ドア114側に固定されて突出しているピン135に押され、内蔵した接点が開閉される。
136Aは、ドア114の動きをラッチスイッチ132Aに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
136Bは、ドア114の動きをドアスイッチ132Bに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
137は、前記ラッチスイッチ132A、ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133(図示せず)、連動棒136A、136B等を、一括して取り付けてある支持板である。この支持板137は、下部ケース101に対して、複数個のネジによって固定されている。ドア開閉検知機構131は、このように支持板137の上に装着された各種スイッチを中心として構成されている。
前記ラッチスイッチ132Aやドアスイッチ132Bの製造過程における取付け位置にバラツキが発生した場合、各々のスイッチを動作させるタイミングが規定値から外れることが懸念させる。そこで、この実施の形態1では、前記支持板137に、後述するドア114の閉鎖検知部139を取り付け、この支持板137の全体を取外し可能にしている。具体的には、前記したように複数のネジで支持板137に下部ケース101を強固に固定している。製造時やアフターサービス時において、閉鎖検知部139の動作確認や調整、交換等を行える。
図8図と図10において、138Aは、インバーター回路基板121を収容したケースA150の上部に形成した連通口、138Bは、ケースA150の上下中間部に形成した連通口である。
前記連通口138Aは、図10に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間141に案内するものである。
前記連通口138Bは、図10に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間142に案内し、後述する赤外線式温度センサー160の冷却用に利用している。
温度センサー160は、中空状のセンサーケースと、センサーケースの内部に収納されるセンサー基板と、このセンサー基板の表面に搭載される1つ又は複数個の赤外線検出素子と、この赤外線検出素子に臨んで前記センサーケースに取付け固定されるレンズと、を主な構成要素として構成させている。なお、温度センサー160を、加熱室113の複数個所に設けて広い範囲の温度検知ができるようにしても良く、また温度センサー160の方向を固定せず、自動的にある角度範囲で揺動させて、広い角度の温度を検知させる形態でも良い。例えば、日本の特許文献として特開2018−54250公報には、複数の温度センサーを利用することが提案されている。
図10において、161は、前記温度センサー160を臨ませた検知窓であり、前記温度センサー160の外周面との間に、冷却風が通過するような間隙を形成しても良い。実施の形態1では、数mm程度の間隙が形成されている。
162は、磁器や耐熱性プラスチックで形成された調理皿である。この調理皿162は、加熱室113の前面開口113Aから出したり、入れたりできるような外形寸法に形成されている。
図10において、HVは、前記調理皿162の上面から加熱室113の天井面までの有効高さ寸法である。HXは、調理皿162の上面から加熱室113の中央に形成した凹部113Tの天井面までの最大高さ寸法である。この実施の形態1では、前記有効高さ寸法HVは、94mm、最大高さ寸法HXは100mmである。これは1例であって、本発明はこの寸法の構成に何ら限定されたものではない。
図10において、WHは、加熱室113の内側横幅寸法である。加熱室113は、この内側横幅寸法で前方の開口113Aまで形成してあるので、被調理物やフライパン等の調理器具が挿入できるかどうかを決定する間口寸法とも言える。この内側横幅寸法WHは、310mmである。
図11において、WBは、加熱室113の奥行寸法である。前記横幅寸法WH(図10参照)と同様に、被調理物Nや調理皿162、フライパン等の調理器具が挿入できるかどうかを決定する寸法と言える。この奥行寸法WBは、約310mmである。
163は、加熱室113を外部から加熱する電気輻射式のヒータであり、例えばシーズヒータ、または薄いマイカ製の支持板全体にヒータ線を巻き付けた形態の、マイカヒータである。
ヒータ163は、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの、2つから構成されている。これら2つのヒータ163A、163Bは、互いに独立して通電が制御される。
163Aは、加熱室113の天井面の上に密着又は近接して固定されている上部ヒータであり、163Bは、加熱室113の底面の下に密着又は近接して固定されている下部ヒータである。
上部ヒータ163Aは、最大火力1000W〜最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。また下部ヒータも、最大火力1000W〜最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。
図10において、166Rは、前記加熱室113の右側壁面との間に、空隙GP5Rを形成するように垂直に設置された右側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
166Lは、前記加熱室113の左側壁面との間に、空隙GP5Lを形成するように垂直に設置された左側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
加熱室113の左側と右側にある前記空隙GP5L、GP5Rには、断熱材(図示せず)が挿入されており、加熱室113からの熱伝導(放熱)を抑制している。
167は、前記上部ヒータ163Aの上方全体を覆う上部遮熱板であり、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP6は、前記上部遮熱板167と上部ヒータ163Aとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm〜10mm程度である。この空隙GP6は外部と空気の流通がないように、密閉空間になっている。上部遮熱板167の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lとの上端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の天井面に密着状態に固定されている。
168は、前記上部遮熱板167と上下対称形の縦断面形状を有する下部遮熱板である。この下部遮熱板は、下部ヒータ163Bの下方全体を覆っており、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP7は、前記下部遮熱板168と下部ヒータ163Bとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm〜10mm程度である。この空隙は外部との空気の流通をしないように、密閉空間になっている。下部遮熱板168の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lの下端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の底壁面に密着状態に固定されている。
169は、前記上部遮熱板167の上方全体を覆うように、その上部遮熱板167の周辺部に重ねてある上部ケースである。170は、前記下部遮熱板168の下方全体を覆うように、その下部遮熱板168の周辺部に重ねてある下部ケースである。
上部ケース169と下部ケース170は、図10に示すように、縦断面形状が上下対称形状であり、金属製薄板又は耐熱性プラスチックで形成されている。GP8は、前記上部ケース169と上部遮熱板167との間に形成した空隙であり、大きさは数mm〜10mm程度である。この空隙GP8は外部との間で空気の流通がないように、密閉空間になっている。
GP9は、前記下部ケース170と下部遮熱板168との間に形成した空隙であり、大きさは数mm〜10mm程度である。この空隙GP9も空気の流通がないように、密閉空間になっている。
前記空隙GP6の中には、シート又は板状の断熱材175A(図示せず)を配置している。同じく空隙GP8の中には、シート又は板状の断熱材175B(図示せず)を配置している。
前記空隙GP7の中には、シート又は板状の断熱材175C(図示せず)を配置している。同じくGP9の中には、シート又は板状の断熱材175D(図示せず)を配置している。これらの各断熱材175A〜175Dは、1層構造ではなく、複数層を重ねた形態にすると、更に断熱性能が向上する。なお、各断熱材175A〜17Dの平面的な大きさ(縦・横寸法)は、少なくとも上部ヒータ163と下部ヒータ163Bの、それぞれの設置範囲よりも大きい。
図10において、171は、前記上部ケース169の上方に、冷却風RF5が流れる通路172を区画形成した仕切板である。前記仕切板171後方壁面上部には、連通口173が開口しており、この連通口173に前記排気ダクト102の入口端部が接続されている。
174は、加熱室113の天井面の後部に形成した連通口であり、この連通口174に前記排気ダクト102の入口部が接続されている。102Eは、冷却風の最終出口となる終端部である。
図11に示しているように、前記排気ダクト102は、上下に2つの独立した内部通路102A、102Bを備えており、その内、上側にある内部通路102Aには、前記インバーター回路基板121を冷却したあとの冷却風RF5が流れる。
また、もう一方の内部通路102Bには、前記加熱室113内部に導入されて温度の上がった冷却風RF6が流れる。
図23で詳しく説明するが、前記排気ダクト102は、加熱室113の外部を経由している内部通路(内部経路)102Aと、加熱室113内部を経由している内部通路(内部経路)102Bが合流する部分である。
風路の開口面積を絞った冷却風RF5の排出口により、冷却風RF5の風速は大きくなる。このため、排出口付近において冷却風RF6が、前記冷却風RF5によって誘引される。このような作用により、加熱室113内部の気体が、内部通路102Bに吸引される。
これにより、2つの冷却風RF5、RF6が、ともに前記排気口20から加熱調理器1の外部へ効率良く排出される。なお、このような誘引構造を採用せず、排気ダクト102に入る前の上流段階で合流させる方式を採用しても良い。
図11において、180は、前記加熱室113の背面壁(後壁面)113Bに形成した大きな給電口、181は、この給電口180を外側から閉鎖するカバーであり、マイクロ波を透過させる耐熱性プラスチックや耐熱性ガラスから板状に形成されている。カバー181は、背面壁(後壁面)113Bの外側に固定されている。
カバー181は、背面壁(後壁面)113Bに密着している。このカバー181の背面側全体を覆うように、前記アンテナケース124が前記加熱室113の背面壁113Bに固定されている。カバー181は、図11に示しているようにアンテナケース124の前面開口部の内側に挿入されている。
図11において、123は、前記カバー181の更に背面側に接続された導波管である。前記アンテナ駆動用のモータ126は、このように導波管123の背面側に、耐熱性シール材184を介して固定されている。
126Aは、アンテナ駆動用モータ126の回動軸であり、前後方向に向けて水平に設置されている。回動軸126Aの自由端側(前方端部)には、前記アンテナ125が固定されている。なお、回動軸126Aは、プラスチックやセラミック材から形成されているが、アンテナ125側から一定の範囲だけを金属製にし、そこからアンテナ駆動用モータ126まではプラスチック、セラミック等の耐熱性と絶縁性に富む材料で形成しても良い。
図11において、185は、前記回動軸126Aを中心として、その周囲に所定の寸法で形成されている電波封印室である。この電波封印室は、いわゆるチョーク室構造になっている。また更に効果的なマイクロ波漏洩防止のために、チョーク構造物よりもアンテナ駆動用モータ126に近い側に、電波吸収体(図示せず)を配置し、前記回転軸126Aの周囲からのマイクロ波漏洩防止を図っても良い。なお、マイクロ波加熱装置におけるチョーク構造は、日本の特許文献として、例えば特開2011−174669号公報、特開2010−255978号公報、特開昭63−172828号公報(4分の1波長のチョーク室と電波吸収体の併用)等があるので、詳しい説明は省略する。
図11において、LAは、加熱室113の背面壁(後壁面)113Bを起点にして、前記アンテナ駆動用モータ126の最後尾までの寸法を示している。以後、この寸法を「突出寸法」と呼ぶ。この突出寸法LAを小さくすることが望ましいが、現実には上述したように、アンテナケース124、電波封印室185の寸法も必要であり、アンテナ駆動用モータ126の外形寸法を小さくしても、限界がある。この突出寸法LAは70mmである。
図11において、GP10は、前記アンテナ駆動モータ126の背面から下部ケース101の傾斜部101Cまでの間の空隙であり、モータ126の上端では69mm、逆に下端と下部ケース101Cとの空隙は、53mm程度である。この空隙GP10の中に、前記ケースC154を配置することは寸法上無理である。そのため、この実施の形態1では、前記ケースC154を、前記アンテナ駆動モータ126の真後ろ(背後)から右方向にずらして配置している。
これにより、マイクロ波加熱装置120を加熱室113の背後の狭い空間に内蔵させることが可能となった。
次に、ドア114の内部構造について説明する。
図11において、190は、ドア114の外殻を構成する金属製又はプラスチック製のフレームであり、前方側から見ると額縁状に形成されている。192は、内枠であり、金属製板から形成されている。この内枠192の中央部には、覗き窓192Wとなる開口が形成されている。
191は、前記内枠192の前方側全体を覆うように、当該内枠192と前記フレーム190との間に外周縁部を固定されたカバーであり、加熱室113を覗けるように透明な耐熱性プラスチックやガラス等で形成してある。
193は、前記覗き窓192Wに対応する部分に、マイクロ波が透過しない寸法の、無数の小孔を形成した内側シール枠である。この内側シール枠は、全体が金属製薄板をプレス成形して形成され、外周縁部には、加熱室113側に入口(スリット)を形成したチョーク室194を形成している。
195は、金属製の薄板からなるシール板である。このシール板195の外周縁部は、図11に示すように内側シール枠193側に一連に曲がっている。前記チョーク室194は、このシール板195の外周縁部と前記内側シール枠193で囲まれた空間である。
ドア114を完全に閉じた状態では、前記シール板195の外周縁部と前記内側シール枠193の両者が、前記下部ケース101の前板101F表面に接触した状態となる。そのため、加熱室113内部に供給されたマイクロ波が、このドア114と加熱室113の前面の開口113Aから漏洩しない。
196は、前記内枠192の覗き窓192Wに対応する部分の内側に設けた透明なシール板であり、耐熱性ガラスで製造されている。197は、前記ドア114の上面に沿って、少なくともドア114の横幅と同等な横幅寸法を有する金属製の上部遮蔽板である。この上部遮蔽板197は、ドア114の上面に近接して庇状に設けてあり、かつ下部ケース101に電気的に繋がるよう金属製ネジ等の固定具で下部ケース101に固定されている。
前記ドア114は、その下部が下部ケース101にヒンジ176(図8参照)によって支持されているため、取っ手部115を持って手前に引けばドア114を、水平位置まで開けることができる。
このような開放の初期においてドア114と下部ケース101との重合部が、瞬間的に空隙が生じてマイクロ波の一部分が漏洩する懸念があるが、この実施の形態1では、前記上部遮蔽板197によって、そのような不要なマイクロ波の漏洩をドア114の上方で抑制できる。
図13において、201は、前記加熱室113の右側壁面の前方部に形成した導入口であり、マイクロ波が漏洩しないような口径の小さい多数の孔から形成されている。この導入口201を加熱室113の右側壁面の前方部に設けた理由は、ドア114の内側付近へ前記冷却風RF6の一部を供給し、ドア114の覗き窓192Wの曇りを抑制するためである。
前記導入口201には、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した後の冷却風RF6が、空隙GP5Rによって案内される。
導入口201よりも冷却風RF6の流れで上流側には、前記温度センサー160があり、その温度センサー160の部分で、一部の冷却風RF6は、加熱室113の内部へ吹き出されるので、導入口201に至る冷却風RF6の量は、少ない。しかし、この導入口201から空気を入れている目的は、前記ドア114の内側にあるシール板196の「曇り抑制」であり、少ない風量で何ら問題はない。なお、この温度センサー160の周囲にある狭い間隙から空気を供給することを採用しなくとも良い。
次に、再び図21に示すブロック図を参照しながら、下部ユニット200における各種制御手段の詳細について説明する。
マイクロ波加熱制御部130は、前記インバーター回路基板121のインバーター回路121Aや前記マグネトロン122、アンテナ駆動用モータ126、及び2つの冷却ファン128、129に供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件等を制御するものである。
このマイクロ波加熱制御部130の電源回路は、前記電源回路基板55に実装されている電源回路91と別に用意されており、マイクロ波加熱装置120の専用回路である。なお、電源回路91から電源を供給しても良い。
マイクロ波加熱制御部130の電源回路は、電源回路基板127(図8参照)の上に実装されている。この電源回路基板127の上には、交流電源を直流に変換する各種電気部品(ダイオード等)が実装され、ケースC154の中に密封状態に収容されている。
マイクロ波加熱制御部130は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、マイクロ波加熱装置120の総電力消費量を減らすように動作し、マグネトロン122の出力を下げるような指令信号を、インバーター回路121Aへ送信する機能がある。
前記マイクロ波加熱制御部130には、マグネトロン122の放熱部122Hの温度を検出する温度センサーTS1を備えている。マイクロ波加熱調理が終わっても、マグネトロン122の放熱部122Hの温度が規定値よりも高い場合には、温度が下がるまで第4冷却ファン129の運転を継続させるための指令信号を当該第4冷却ファン129に対して発信する。
139は、ドア114の閉鎖検知部である。この閉鎖検知部139は、ラッチスイッチ132A、第2ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133のいずれかまたは2つ以上の開閉状況を各回路に流れる電流または開閉信号によって検知するものである。
この閉鎖検知部139を構成する回路基板は、前記支持板137に取り付けてあるので、支持板137を取り外して検査したり、設置したまま計測したりして、正常に動作するものであるかどうかの検査ができる(図8参照)。
158は、加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)であり、前記温度センサー160と、この温度センサーからの計測信号を解析して温度情報に変換する回路(図示せず)等から構成されている。
加熱室制御部159は、前記上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件(火力、すなわち発熱量)等を制御するものである。この加熱室制御部159の制御回路は、電源回路基板127(図9参照)に実装されている。
加熱室制御部159は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの総電力消費量を減らすように動作し、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるような指令信号を送信する機能がある。なお、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるために単位時間あたりの通電率を変化させて実質的な火力を変化させることも行う。
次に加熱調理器1のIHコイル17L、17Rの駆動回路の構成例について説明する。説明を簡潔にするため、図24では、1つのIHコイル17Rだけを示した回路の例で説明する。
加熱調理器1では、駆動回路74により高周波電力が各IHコイル17L、17Rに供給されることで、誘導加熱動作が行われる。
前記駆動回路74は、IHコイル毎に備える。図24では、IHコイル17Rの駆動回路74の構成例を示す図である。左側のIHコイル17Lでも駆動回路は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
駆動回路74は、図24に示すように、直流電源回路75、インバーター回路81R、共振コンデンサー76、入力電流検出部77aおよび出力電流検出部77bを備える。
入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流検出データは、IH制御部90へ送られる。
入力電流検出部77aは、交流電源99から直流電源回路22へ入力される電流、すなわち駆動回路74へ入力される電流を検出し、検出した値すなわち入力電流値を示す電圧信号をIH制御部90へ出力する。99は、商用交流電源である。
直流電源回路75は、ダイオードブリッジ78a、リアクタ78b、平滑コンデンサー78cと、を備え、交流電源99から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバーター回路81Rへ出力する。
インバーター回路81Rは、前記スイッチング素子83としてのIGBT79a、79bが直流電源回路75の出力に直列に接続された、いわゆるハーフブリッジ型のインバーターである。インバーター回路81Rでは、フライホイールダイオードとしてダイオード79c、79dがそれぞれIGBT79a、79bと並列に接続されている。
インバーター81Rは、直流電源回路75から出力される直流電力を、20kHz〜80kHz程度の高周波の交流電力、いわゆる高周波電力に変換して、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に供給する。
共振コンデンサー76を含む共振回路は、IHコイル17Rのインダクタンスおよび共振コンデンサー76の容量等に応じた共振周波数を有する。
このように構成することで、IHコイル17Rには数十A程度の高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によってIHコイル17Rの直上のトッププレート15上にある被加熱物Nが誘導加熱される。
IGBT79a、79bは、例えばシリコン系からなる半導体で構成されているが、炭化珪素、あるいは窒化ガリウム系材料などのワイドバンドギャップ半導体を用いた構成でも良い。
図8で説明した電力制御用スイッチング素子83は、この図23でいうIGBT79a、79bである。
このIGBTに、ワイドバンドギャップ半導体を用いることで、スイッチング素子としての通電損失を減らすことができる。またスイッチング周波数すなわち駆動周波数を高周波にしても、すなわち高速にスイッチングしても放熱が良好となる。このため、スイッチング素子(IGBT)79a、79bを取り付けたヒートシンク82の放熱フィンを小型にすることができ、駆動部の小型化および低コスト化を実現することができる。
出力電流検出部77bは、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に接続されている。出力電流検出部77bは、例えば、IHコイル17Rに流れる電流、すなわち駆動回路74から出力される電流を検出し、検出した値に相当する電圧信号をIH制御部90に出力する。本構成ではハーフブリッジ型のインバーターで説明したが、IHコイル17Rを駆動する回路は、フルブリッジ型のインバーターでも良い。また、図24で説明した回路は、電流共振型であったが、電圧共振型を採用しても良い。
無線通信部49は、図15でも説明したが、家庭内の家電機器類の電力使用量や運転情報等を統合的に管理している家庭内制御機器(図示せず)と無線通信を行うための無線通信手段であり、無線信号を送受信することができる。
前記家庭内制御機器は、インターネット等の公衆無線通信網を介して、スマートホンと呼ばれるような高性能な携帯用情報端末やタブレット型端末機器等にも接続できる。なお、家庭内制御機器の1例として、HEMSコントローラと呼ばれる電力管理装置がある。この実施の形態1では、図15、図16で説明したように、中央操作部40Mの入力キー43KPを押して、統合制御装置MCを「機能モード」に切り替え、「HEMS登録設定」が統合表示画面30を見ながら実行できる。
前記無線通信部49は、統合制御装置MCと通信用配線により接続されているが、配線が長いほどノイズの影響を受けやすいため、無線通信部49と統合制御装置MCは近くに配置し、無線通信部49と統合制御装置MCを接続する配線を短くすることが望ましい。
前記したノイズの影響を考えて、この実施の形態1では、無線通信部49は、入力操作部40の右端部に設置してある。具体的には、無線通信部49は操作基板41の右端部に設置してある。また、統合制御装置MCは、入力操作部40の左右中央部に設置してある(図15参照)
無線通信部49は、内部に無線信号を送信または受信、または送受信するアンテナ部を有しており、より無線信号を送受信しやすくするため、無線通信部49のアンテナ部がトッププレート15の直下となるように配置することが望ましい。
次にこの発明の特徴の1つである冷却風路の構成について説明する。
実施の形態1の加熱調理器1は、厨房家具2の中に設置された本体ケースHCの内部が、金属製の上部ケース16の底面16Sによって上部空間300Aと、前記仕切り壁の下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画されている。つまり前記底面が「仕切り壁」16Sとして機能し、本体ケースHCの中を上下2つの空間に区画している(図8参照)。
前記上部空間300Aに収容されたIHコイル17L、17Rと、当該IHコイル用のインバーター回路基板80に冷却用空気を導く上部風路AHは、前記仕切り壁16Sを貫通している前記通気孔64を介して、前記下部ケース101の外側から外気が導入される。
一方、マイクロ波加熱装置120用の冷却用空気を導く下部風路UHは、前記下部空間300Bに形成されている。そして、前記マイクロ波加熱装置120の放熱部122Hは、前記下部風路UHに配置されている。この放熱部122Hは、下部ケース101の底面の右端部に形成した第2の吸気口152Bから導入された空気によって冷却される。また、マイクロ波加熱装置120のインバーター回路基板121は、下部ケース101の底面の右端部に形成した第2の吸気口152Fから導入された空気によって冷却される。
そして、上部風路AHの中を流れた冷却用空気と、下部風路UHを流れた冷却用空気は、途中で合流することはない。上部ユニット100内部の冷却風は、仕切り板52よりも背後側にある空隙GP1の中に排出され、排気口20から加熱調理器1の外部に放出される。
一方、下部ユニット200からの冷却風は、同じ空隙GP1の中に上下に伸びた排気ダクト102の中を経由し、最終的に前記排気口20から加熱調理器1の外部に放出される。
次に冷却風路の全体の経路を、図23を参照して説明する。
図23から明らかな通り、加熱調理器1の外部空間の空気(外気)は、2つの経路で加熱調理器1の本体ケースHC内部を通過する。
第1の経路:下部ケース101の左側面に形成した通気孔164から、上部ケース16の底面の通気孔64を経由し、第1冷却ファン60からインバーター回路基板80と、IHコイル17L、17Rを冷却し、排気口20に至る経路。図23では、これを「上部風路」と記載している。
第2の経路:下部ケース101の底板101Uの右端部に形成した2つの吸気口152F、152Bから外気が吸引される。そして、その外気の一方は、第3冷却ファン128を経由してインバーター回路基板121を冷却する。他方の外気は、第4冷却ファン129を経由し、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却するものである。このように第2の経路は、2つあるが、最終的には共通の排気ダクト102に入り、排気口20に至る。図23では、これを「下部風路」と記載している。
以上のように、この実施の形態1では、本体ケースHCの内部が、金属製の上部ケース16の底面16Sによって上部空間300Aと、前記仕切り壁の下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画され、それぞれに、お互いに独立した風路(上部風路と下部風路)を備え、かつそれら各風路毎に専用の冷却ファン60、128、129を備えている構成である。
なお、上部ユニット100では、第2冷却ファン61もあり、前記第1冷却ファン60と協同して上部ユニット100内部の冷却を行っている。
(中央操作部の制御メニュー)
次に、中央操作部40Mによって統合表示部30に表示され、選択できる制御メニューについて、図25を参照しながら説明する。
前述したように、左操作部40Lと右操作部40Rで選択できる「制御メニュー」は、図27に示しているような、例えば、湯沸し、煮込み、揚げ物(自動調理)等である。
しかしながら、中央操作部40Mによって選択できる制御メニューは、図25に示しているように11種類ある。これら11種類の制御メニューを総称して、中央操作部40Mの「制御メニュー群」という場合がある。
中央操作部40Mによって選択できる制御メニューは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の一方又は双方を使用する。このため、鍋等の被加熱物Nを介して間接的に食材が加熱される誘導加熱の制御メニューとは基本的に異なる。
中央操作部40Mによって選択できる「制御メニュー」とは、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188で加熱して得られる最終的な調理の名称や食材の名称とは異なる。例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」は加熱調理された食品の名称であり、ここでいう「制御メニュー」ではない。
「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、方法や条件等を考えて、大きく分類したものとも言えるため、制御メニューの名称は、例えば「あたため」や「オーブン(調理)」などのように概念的、総括的である。
図25を参照しながら中央操作部40Mによって選択できる制御メニューについて、以下詳しく説明する。
図25の「左表示エリア」とは、統合表示部30の第1エリア(表示エリア)30Lを意味している。「中央表示エリア」とは、同じく第2エリア30Mのことであり、「右表示エリア」とは、同じく第3エリア30Rを意味している。
中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30の第1エリア30Lには、図25の左表示エリアの「あたため」という制御メニューが必ず最初に表示される。この「あたため」という制御メニューがデフォルト設定してあるからである。
図25の「左表示エリア」から明らかなように、「あたため」以外には、「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」、「RG調理」「グリル」、「オーブン」など合計11個の制御メニューがある。但し、図25の「左表示エリア」の最下段に記載の「中央ヒータ」は、上記上部ユニット100では対応していないので、実際には表示されない。この「中央ヒータ」とは、上部ユニット100において、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、更に別の誘導加熱部(中央の誘導加熱部)を増設した場合に対応するものである。また「RG」とは、レンジグリルの略称である。
図25の「中央表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第2エリア(表示エリア)30Mに表示される内容を示している。「中央表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「中央表示エリア」の右の列に列挙している。
図25の「右表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第3エリア(表示エリア)30Rに表示される内容を示している。「右表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「右表示エリア」の右の列に列挙している。空白の部分は、何も表示されないことを意味している。
以上のようなルールで、制御メニューのデータベースが作成されている。
このため、中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30の第1エリア30Lには、「あたため」、第2エリア30Mには、温度条件を示す「80℃」、第3エリア30Rには、制御条件は何も表示がされないことになっている。そこで、この実施例では、第3エリア30Rに、加熱調理に参考となる情報(以下、「案内情報30P」という)が表示される。これについては、後で図37等を参照しながら説明する。
中央操作部40Mの「制御メニュー群」の中から、ユーザーが1つの「制御メニュー」を第1エリアの中央部に表示すると、この制御メニューに対応する制御条件(温度や火力、時間など)が、第2エリア30Mと第3エリア30Rに同時に表示される。その後に加熱動作開始を指令する入力キー43MSがユーザーによって操作されると、マイクロ波加熱源189やオーブン加熱源188による加熱動作が開始される。
図25に示した制御メニューの具体的な内容、制御条件、付加情報等の詳細なデータと表示プログラム等は、統合制御装置MCの記憶部に格納されている。
以下、主な制御メニューについて説明する。
(1)あたため:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱することをいう。食品の再加熱の場合も、この「あたため」が適する。デフォルト設定で「80℃」となっているので、食品が加熱されて80℃になった時点で自動的にマイクロ波の照射が停止する。なお、「80℃」は、目標温度であり、この温度は加熱開始前にユーザーが調節できる。図25に示すように、0℃〜90℃の範囲では5℃刻みで設定できる。冷凍品の加熱では−10〜0℃の範囲において、2℃刻みで設定可能である。なお、マイクロ波加熱出力は、500Wで固定されている。
(2)レンジ手動:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱することをいうが、加熱時間を設定して行うものである。また、マイクロ波加熱出力も、500W、200W、100Wの3段階から選べる。加熱時間もデフォルト値は1分間であるが、500W出力では、10秒から15分間までの間で設定できる。
(3)葉菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、葉を食用とする野菜、例えば、ほうれん草、白菜などの葉菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158が温度上昇を計測し、自動的に加熱を停止する。
(4)根菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、根や地下茎等を食べるじゃが芋などの根菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。なお、火力値は、加熱調理器1側で事前に決めているので、火力を調整する場合には、第2エリアのデフォルト表示の「標準」を、「弱め」や「強め」等に変える(選択する)必要がある。
(5)肉解凍:冷凍した各種の肉類を解凍する場合に適する制御メニューである。
(6)RG調理:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。なお、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。マイクロ波加熱時の火力値(ワット)は、表示されず、ユーザーは第2エリア30Mの表示を見て、「弱め」、「強め」等の何れか1つを選択して加熱強度を選択できる。
(7)RG再調理:加熱室113を使用して、調理済の食品を再度加熱する場合に適するものである。
(8)RG手動:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。なお、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
(9)グリル:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。前述したように加熱室113の温度管理は行わず、また食品の温度上昇を検知して加熱動作を停止するという制御も行わない。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの火力は、加熱調理器1側の加熱室制御部159で事前に決めている。代表的な適用調理としては、焼き魚がある。因みに、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。
(10)オーブン:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。加熱室113の温度は、温度計測部158によって計測され、設定した目標温度になるように加熱室制御部159により通電制御が行われる。図25に示すように、デフォルト温度は180℃であるので、ユーザーは必要であれば、この目標温度を変更できる。なお、「グリル」のところで説明したように、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。そして、これら上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに対する通電率を加熱室制御部159で制御し、それら2つのヒータ163A、163Bの発熱量を制御している。
(加熱調理器の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理器1の動作の概要を、図26〜図33を中心に説明する。
図26は、加熱調理器1の調理開始前の制御動作の全体を説明するためのフローチャートである。図27は、加熱調理器1における誘導加熱調理時の制御動作を説明するためのフローチャートである。図28は、加熱調理器1で、誘導加熱調理中にマイクロ波加熱を行う場合の制御動作を説明するためのフローチャートである。図29は、図1の加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図30は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図31は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図32は、加熱調理器1の冷却ファンと、加熱調理の種類との対応関係を示す一覧表である。
図26について説明する。
電源投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、統合制御装置MCの内部にある記憶装置MMに格納されている。
ビルトイン型の加熱調理器1では、電源プラグ106A(図示せず)は厨房家具2の設置時から常に商用(交流)電源99に接続されているので、使用者は、主電源スイッチ97の操作ボタン98(図16、図21参照)を押して電源を投入する(図26のステップST1)。
すると電源回路基板55の中の直流電源変換部92を介して所定の低い電源電圧が統合制御装置MCに供給され、統合制御装置MCは起動される。統合制御装置MC自身の制御プログラムにより自己の異常有無の診断を開始する。
そして誘導加熱源9を集中制御するIH制御部90、加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130の異常有無をチェックする。
上部ユニット100の温度検出回路93には、トッププレート15の温度、インバーター回路81L、81Rの温度、統合表示部30の近傍等の温度を検知するために、合計7個の温度センサーTS3〜TS9を接続しているので、それら温度センサーの検出温度は、前記温度検出回路93に伝達される。これによって、IH制御部90は、異常の有無を判定できる(ST2)。
また、加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130においても、温度センサーTS1、TS2からの検出温度を取得して異常有無を判定できる。
ステップST2で「外部に起動情報送信」とあるが、これは無線通信部49から、キッチン等の居住空間にある「統合情報管理装置」又は「統合電力制御装置」(HEMSコントローラ)等と呼ばれる「家庭内制御機器」(図示せず)に、加熱調理器1の運転開始の予告を行うことをいう。これについては、あとで説明する。
IH制御部90には、上部ユニット100に内蔵した主要な構成部分の温度情報が集まるので、IH制御部90は、調理開始前の異常監視制御として、異常加熱判定処理を行う。例えば、温度センサーTS7が検出した温度が、統合表示部30における液晶表示画面30D等の電子素子の耐熱温度(例えば70℃)よりも高い場合、IH制御部90は異常高温と判定する。そして、統合制御装置MCに異常を報知し、運転開始できないことを表示したり、報知したりする等の処理を実行する。
異常が発見されない場合、IH制御部90は、統合制御装置MCに信号送信する。すると、統合表示部30が起動され、「異常がないので、調理を開始できること」旨を表示する(ST3)。なお、この初期時点での表示画面は、図34を参照して後で説明する。
これと同時に、音声合成装置95によって、統合表示部30で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(ST3)。
ステップST3では、無線通信部49は、前記「家庭内制御機器」にアクセスし、健康管理に有益な調理メニュー、レシピ情報等の情報を、事前に使用者が設定していた範囲で取得する。例えば、事前にこの加熱調理器1の使用者が、携帯情報端末機器等を使ってインターネット回線経由で「家庭内制御機器」に送信していた情報も、この統合表示部30の起動時に取得できる。なお、何らかの情報を取得した場合には、上部ユニット100の入力操作部40の近くに設けた専用の注意情報ランプ(図示せず)を点灯させて使用者へ報知する。
次に上記のように異常判定が完了したあと、統合制御装置MCは、統合表示部30と音声合成装置95によって、加熱手段の選択を促すための報知と、音声ガイドを行う(ST4)。
そして、下部ユニット200の加熱源の選択が行われたかどうかを、入力操作部40にある中央操作部40Mの操作情報からIH制御部90が判定する(ST5)。
一定の猶予時間(例えば30秒間)内に選択が行われなかった場合、あるいは、ステップST4の直ぐ後で、使用者が左操作部40L又は右操作部40Rの、少なくとも何れか1つを操作した場合、上部ユニットST6の加熱源、すなわちIHコイル17L、17Rだけが選択されたものと判断する(ステップST6で、「Yes」)。
以上のようにステップST6が「Yes」であった場合には、次のステップST10に進む。以後の誘導加熱の制御ステップについては、あとで図27を参照しながら説明する。
一方、ステップST5において、下部ユニット200の加熱源の選択が行われた場合、統合制御装置MCは、下部ユニット200が備えている2つの加熱源のメニュー選択ステップST8に進む。なお、このステップST5は、中央操作部40Mを操作した場合である。
ステップST8では、図26に示しているように、4つのメニュー(ST9A〜ST9D)が前記統合表示部30に一覧状態で表示される。又は一定の順番で順次表示される。
図26のステップST8の段階で表示されるメニューは、下部ユニット200の加熱源を使用することを前提にして、以下の4つのメニュー選択部が表示される。
(1)上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの少なくとも何れか一方を使用する調理のメニュー(ST9A)。図25で示した制御メニューの「グリル」や「オーブン」が該当する。
(2)上記(1)に加え、マイクロ波加熱装置120を併用する調理メニュー(ST9B)。これは、図25で示した制御メニューの「RG調理」が該当する。
(3)マイクロ波加熱装置120を使用する調理メニュー(ST9C)。これは、図25で示した制御メニューの「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」等が該当する。
(4)上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの少なくとも何れか一方と、マイクロ波加熱装置120の少なくとも何れか一方と、上部ユニット100の誘導加熱源(IHコイル17L、17R)を組わせて使用する調理メニュー(以下、これを「連携調理メニュー」という)(ST9D)。これは、図25の第1エリア30Lで示した制御メニューの中には含まれていない。
なお、ステップST10の段階から破線にてステップST9Dに進むルートが示されているが、このように上部ユニット100の加熱源を選択しようと操作を進めたあとで、途中から連携調理メニューの方が良いと分かった場合には、前記ステップST5に戻ることなく、連携調理メニューを選択できるようにしても良い。また、これと同様に、途中から連携調理メニューに進めることができるよう別の機会で連携調理メニューを選択できるようにしている。これについては、次の図27で説明する。
図27は、誘導加熱のメニューを選択したステップ(ST11)以後の、統合制御装置MCの動作ステップを示したものである。
次に、誘導加熱時の制御動作について図27を参照しながら説明する。
なお、以下は右加熱部17HRを使用する例で説明する。
右側にある入力キー43R1に触れると、IH制御部90は加熱準備動作を使用者が指令したと判定する。
IHコイル17Rの上方に被加熱物(金属製の鍋やフライパン等)Nが載置されているか否か、または被加熱物の底部面積が所定値より大きいか否かが推定され、この推定結果がIH制御部90に伝達され、標準の径の鍋に適する加熱処理にするか大径鍋に適する加熱処理にするか等が決定される(ステップMS1)。
適合鍋であるが大径鍋である場合、あるいは加熱不適合等の場合は、標準鍋とは別の処理になる。
IH制御部90からの指令を受けて、統合制御装置MCは、統合表示部30の表示画面30Dに対し、希望する調理の「制御メニュー」を選択するように促す表示をする(MS2)。
使用者が調理の「制御メニュー」や火力、調理時間などを右操作部40Rで選択、入力した場合(MS3)、本格的に右加熱部17HRにおいて誘導加熱動作が開始される(MS4)。
統合表示部30に表示される「制御メニュー」としては、「高速加熱」、「揚げ物」、「湯沸し」、「予熱」、「炊飯」、「茹で」、「湯沸し+保温」、「連携加熱」という8つである。但し、操作性を簡略化するため、前述した「機能設定」で上記8つの制御メニューの一部又は全部の選択をできないように設定しても良い。
使用者がこれら8つの制御メニューの中の何れか一つを選択した場合、それら制御メニューに対応した制御条件がIH制御部90の内蔵プログラムによって自動的に選択され、IHコイル17Rの通電量(火力)、通電時間などが設定される。調理メニューによっては使用者に任意の火力や通電時間等を設定するように促す表示を表示部に行う(MS5)。
以上のような表示を行ってから一定の時間(例えば、15秒又は30秒)内に、使用者がキー43R1を操作して使用中止しない限り、その時間経過後、IH制御部90は誘導加熱回路94Rのインバーター回路81Rを駆動し、誘導加熱を開始する(MS6)。
「大径鍋」の場合も基本的には上記ステップMS1〜MS7と同様であるが、制御メニューとしては、図27のステップMS3で示した8つの制御メニューの一部は選択できない。「高速加熱メニュー」は、左側にある大径のIHコイル17Lを使って、「通常鍋」又は「大径鍋」だけの場合しか加熱できない。なお小型鍋とはこの実施の形態1では鍋底面の直径が10cm未満のものをいい、誘導加熱に適さないものとして検知され、誘導加熱できない。
次に、誘導加熱とマイクロ波加熱などのように、異なる種類の加熱源を2つ以上同時に使用した場合の、統合電力制御動作について図27〜図29を参照しながら説明する。なお、これら図27〜図29で説明する例は、前記した「連携調理メニュー」の場合ではない。
図28に示した例は、最初に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。なお、誘導加熱調理を行っている期間中に、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して、オーブン調理やグリル調理等を行う場合でも、この図28で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとすると、最初に入力操作部40の中央操作部40Mで、下部ユニット200の加熱源を選択する方法がある。
しかしながら、簡単に行う方法はそのままドア114を開けることである。つまり、この実施の形態1では、上部ユニット100が運転されている場合(主電源スイッチ97がON状態である場合)は、そのまま下部ユニット200による調理を開始できる。従って。上部ユニット100のような主電源スイッチ97を入れる操作は必要ではない。
ドア114を開けると、ドア開閉検知機構131の主要部分で説明したように、ドア114の開閉に応じて開閉されるラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bがあるので、前記主電源スイッチ97を投入した段階で、前記ラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方の開放を、統合制御装置MCが適当な手段(センサーやスイッチ等で)監視していれば良い。
図28において、上記したように加熱室113のドア114が開放されたことを示す信号を受信した場合、統合制御装置MCは、使用者に対して音声ガイドを行う(ステップS2)。音声ガイドの内容は、例えば、「加熱を開始するためには、スタートボタンを押して下さい」等である。
マイクロ波加熱のデフォルト設定では、目標温度80℃であるので、ドア114を閉めて、そのまま加熱開始しても被調理物温度が80℃になったと検知された段階で自動的に停止する。なお、80℃を変更(例えば75℃)する場合には、温度条件を変更してから入力キー43MS(図17参照)を押せば良い。
使用者が、「加熱開始」という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行った場合、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用し、統合制御装置MCはステップS3において総電力規制値を超過するかどうかの判定を行う。
例えば、先に開始している誘導加熱調理の火力値や第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の消費電力量もデータとして統合制御装置MCは保有しているので、上部ユニット100の消費電力とマイクロ波加熱装置120の消費電力の合計値が算定できる。なお、統合制御装置MCが、中央操作部40Mの操作があった段階で、インバーター回路81の消費電力データを取得しても良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。ステップS3では、誘導加熱の制御メニューと調理の工程から、その時点の誘導加熱の調理の優先度を判定する。例えば、上部ユニット100で炊飯(特に、「沸騰工程」)を行っている場合には、その炊飯(沸騰工程)を優先し、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
また、上部ユニット100で「揚げ物」を行っている場合には、その揚げ物は、食材の投入等に合わせて食用油の温度が過度に低下しないように自動的に火力を増加させる制御を行っているので、このような場合も、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
ステップS5で、誘導加熱が優先すると判定された場合、マイクロ波加熱の電力消費量を減らすため、マイクロ波定格出力が仮に500W(消費電力が900W)であった場合、消費電力を一時的に下げて、例えば出力300Wにする。そして、このような制限を行うことを使用者に報知する。報知は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う(S6)。
そして、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に指令信号を出し、マイクロ波加熱を低火力で開始する(S7)。
加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158を有しているので、食品が加熱されて、目標温度に至ったかどうかを、マイクロ波加熱制御部130は監視している(S8)。
目標温度に到達しない場合には、上部ユニット100の誘導加熱動作が終了したかどうかの判定をする(S9)。目標温度に至るまでは上記ステップS8、S9が繰り返し行われる。
目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCに信号を出る。すると次のステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
誘導加熱が終了した場合、ステップS10に進み、マイクロ波加熱制御部130に対して指令を出し、初期に使用者が意図した設定火力に復帰させてマイクロ波加熱を継続させる(S10)。そして、被加熱物の温度の監視を継続させる(S11)。
そして、目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCは信号受け、ステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
図28に示した例は、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度は、誘導加熱調理で実行している制御メニュー(例えば、「揚げ物」)と調理の工程(例えば、炊飯の「沸騰工程」)から、その時点で誘導加熱との優先度を判定するという前提であった。
従って、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度を、常にマイクロ波加熱側に設定しておいた場合には、「加熱開始」という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行う前に、例えば、統合表示部30において警告メッセージが表示され、さらに、音声合成装置95からも警報メッセージが出る。また、その後マイクロ波加熱を開始しても、上記した例のように火力値が強制的に下げられるということはない。
加熱調理器1全体の中での、誘導加熱源9と、オーブン加熱源188及びマイクロ波加熱源189の電力優先度は、前述した「機能設定」の中で設定しておくことができ、一度設定すれば、主電源スイッチ97を切っても、統合制御装置MCに設定条件が記憶され、次の加熱調理以降にも引き継がれる。
この図28に示した例では、被加熱物の温度を監視し、目標温度になった場合に、マイクロ波加熱を終了させていた。しかし、マイクロ波の照射時間を計測し、設定した時間が経過したときに調理を終了させる制御方法もあるので、次に図29を説明する。
図29は、マイクロ波の照射時間で調理を終了させる制御方法を採用している場合の例である。
ステップS6までは図28と同じなので説明は省略する。
マイクロ波加熱制御部130は、ステップ7でマイクロ波加熱を開始する場合、マグネトロン122の出力を、ある値まで下げた場合の加熱時間の補正(延長)を算出する。そして、ステップS8では、その延長後の時間を「設定時間1」と決めて(S8)、ステップ9、ステップ8を繰り返す。
その過程で、上部ユニット100の誘導加熱が終了した場合、加熱開始(ステップS7)からの経過時間も考慮し、再度運転所要時間(設定時間2)を計算し直す。
そして、設定時間2を経過した場合、マイクロ波加熱を終了し、これを報知する(S12)。なお、この設定時間2が経過するまでの間、非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158による温度監視を併用しても良い。
次に図29と図30について説明する。
図29と図30は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。この図29と図30に示した例は、最初に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。この場合でも、図28で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
図30と図31では、図28、図29とは異なり、統合制御装置MCとマイクロ波加熱装置120、IHコイル17L、17Rやインバーター回路81等からなる誘導加熱装置と、の3者の間の信号の授受も示している。
図30と図31において、L1〜L10は、各動作信号や指令信号等の発生タイミングを示している。上部ユニット100で、主電源スイッチ97を入れると、起動信号が統合制御装置MCに送信される(L1)。
その後、入力操作部40においてIHコイル17L、17Rの火力や制御メニュー等(図26のステップMS2、MS3参照)を決定すると、その内容を示す情報が統合制御装置MC経由に送信される(L2)。つまり、誘導加熱時の最大火力や運転時間等の条件を示す情報を、統合制御装置MCからIH制御部90が受ける。そして入力操作部40から誘導加熱開始指令があれば、IH制御部90は、誘導加熱回路94L、94Rによって加熱動作を開始させる。
このようにして誘導加熱調理が開始された場合で、マイクロ波加熱も開始されるケースについて説明する。なお、誘導加熱は、左側のIHコイル17Lの最大火力3200Wで開始されたものと仮定する。
使用者がドア114を開けると、図28で説明したようにラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方が開放するので、これを監視しているセンサー(図示せず)から、ドア114の開放を示す信号が統合制御装置MCに送信される(L3)。
使用者が、中央操作部40Mで火力を入力した場合には、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。そして次のステップS3に進む。
又は、使用者が単に「加熱開始」という指示を中央操作部40Mで行った場合、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。
マイクロ波加熱制御部130側で何の異常もなければ、統合制御装置MCに対して、マイクロ波加熱制御部130から調理開始の「予告信号」が発信される(L4)。例えば、マイクロ波出力500Wの場合では、マイクロ波加熱装置全体の定格消費電力が1000Wである場合には、この図30のように、1000Wを使用する情報を含んだ「予告信号」になる。
次に統合制御装置MCからの情報を受けて電力制御部72は、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用して、マイクロ波加熱と誘導加熱を同時に行った場合の、消費電力の合計値を求め、この合計値が総電力規制値を超過するかどうかの判定を行う(図28、図29のステップS3と同じ)。そして結果を、統合制御装置MCへ送信する。
なお、別の方法として、下部ユニット200(の誘導加熱源189とオーブン加熱源188)の総電力量の上限値を決め(例えば、2000W)、下部ユニット200と上部ユニット100(誘導加熱源9)を同時に使用した場合に、総電力規制値を超過するかどうかの判定を行うことでも良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。次のステップS4では、統合制御装置MCは、誘導加熱の制御メニューと加熱工程から、その時の誘導加熱の調理の優先度を判定する。
この図30の例では、マイクロ波加熱が優先すると設定されている場合であるから、マイクロ波加熱の火力を削減しない。
ステップS5で、マイクロ波加熱が優先すると判定された場合、誘導加熱の電力消費量を減らすため、マイクロ波加熱制御部130に対して、IHコイル17Rの目標火力を下げる制御を指令し、消費電力を一時的に下げる。このような制限を行うことを使用者に報知する。報知動作は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う。
そして、マイクロ波加熱制御部130は、マイクロ波加熱を低い火力に変更するようにインバーター回路81Rに指令する(L5)。
インバーター回路81R側での電力削減処理が終わると、マイクロ波加熱制御部130は、入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流値から、電力削減されたことを判別する。そして電力削減完了した旨を統合制御装置MCへ送信する(L6)。この送信を受けて、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱装置120に対して加熱動作開始の許可信号を送信する(L7)。
インバーター回路121Aには、上部ユニット100のインバーター回路81Rで使用している入力電流検出部77aや出力電流検出部77bのような、電流検出部(図示せず)がある。
そのため、マイクロ波加熱が終了した場合、インバーター回路121Aの電流検出値から、マイクロ波加熱制御部130は加熱動作終了したことを判別し、加熱動作を統合制御装置MCに特定の信号で通知する(L8)。また、マイクロ波加熱は、タイマー設定によってある時間だけ行われる場合もあり、その場合は、その時間経過をマイクロ波加熱制御部130が検知して、加熱動作終了したことを通知する(L8)。
統合制御装置MCはマイクロ波加熱が終了したあと、使用者が最初に希望した設定火力に復帰させるようにマイクロ波加熱制御部130に対し、指令信号を出す(L9)。そして火力を最初の目標レベルまで上げて誘導加熱を継続させる(S10)
そして、設定した調理時間や目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130は、誘導加熱を終了させる。そして運転終了した旨を統合制御装置MCに報知する(L10)。
(誘導加熱調理の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、誘導加熱を行う場合の、各部分の基本動作について説明する。
入力操作部40において、誘導加熱調理の開始が指令されると、IH制御部90は、指定された加熱部に対応する誘導加熱回路94L、94Rに対して駆動指令を出し、IHコイル17L、17Rのインバーター回路81L、81Rを駆動する。
冷却ファン駆動回路62に対してIH制御部90から運転指令信号が出される。
インバーター回路81L、81Rの駆動開始と同時、又は少し遅れたタイミングで、前記第1冷却ファン60と、第2冷却ファン61の運転を開始する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の送風能力は固定したものでなくとも良い。例えば、ヒートシンク82の温度センサーTS8と、統合表示部30の近傍の温度を検知する温度センサーTSの温度に応じて、弱運転から強運転の間で自動的に送風能力を変更しても良い。
一般的に冷却ファンを、弱運転から強運転に変更すると、ファンの風切り音が大きくなるため、ノイズとなる懸念がある。そこで、2つの温度センサーTS7、TS8による検出温度と、冷却ファン60、61の運転強度を、事前の送風試験等のデータから、対応表(データテーブル)にして決定しておき、この対応表をIH制御部90の記憶装置90Rに記憶させておく。そしてそのデータテーブルに従ってIH制御部90が、随時第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転条件を、変更するようにしても良い。
第1冷却ファン60が運転されると、第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口60Aから図20に矢印で示すように冷却風RF1が第1風路F1に押し込まれる。
第2冷却ファン61が運転されると、第2冷却ファン61の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口61Aから図20に矢印で示すように冷却風RF2が第2風路F2に押し込まれる。
第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64と、第2冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64とは、上部ケース16の底面において隣接して個々に設けているが、多数の小孔群を設けて、その小孔群を共用しても良い。
インバーター回路基板80の上面には、ダイオード79c(図24参照)や、その他電気部品が実装されているが、それらは前記冷却風RF1により冷却される。
1つのIHコイル17Lには、2つのIGBT79a、79b(電力制御用スイッチング素子83)を使用している。また、もう1つのIHコイル17Lにも、同様に電力制御用スイッチング素子83を使用している。
それら2つの電力制御用スイッチング素子83は、誘導加熱動作時に発熱するが、前記冷却風RF1によって連続的に冷却される。
前記冷却風RF3は、入力操作部40に配置された入力操作を受ける各種スイッチ、液晶表示画面、表示部駆動回路63等の部品を冷却しながら、右側方向に進む。
図20に矢印で示すように、冷却風RF1は、カバー70の出口FOを出た段階で、上方に方向を変えるものがあるが、前方側から合流する冷却風RF2の勢いもあるため、冷却風RF3のようにカバー70の上を左側に反転して進行するものと、冷却風RF4に示すようにフィルター回路基板54の方向に進行するものに大きく分かれる。
冷却風RF3は、右側のIHコイル17Rの下方を流れて、その後左側のIHコイル17Lの真下まで流れる。この過程においてそれら2つのIHコイル17R、17Lを冷却する。一般にこの種のIHコイルは、誘導加熱動作時に250℃〜300℃付近まで温度が上昇する。そこで、上記のように2つの冷却風RF1、RF2を合わせた冷却風RF3、RF4で冷却する。
図15、図20で説明したように、排気窓52Aは、左右の中心線CL1から左側の範囲に、符号LFで示す長さだけに存在している。そのため、冷却風RF4は前記フィルター回路基板54を通過した後は左側方向に進行し、貫通孔53Aを通過し、排気窓52Aから排出される。
IHコイル17L、17Rを冷却した冷却風RF3も、最終的な排気口となる排気窓52Aの方向に向きを変えて進み、貫通孔53Aを通過し、排気窓52Aから排出される。
これによって上部ケース16内部を流れる冷却風RF3、RF4は、排気口20に到達する。そして排気カバー19から室内へ放出される。
前述したように、IHコイル17L、17Rやインバーター回路基板80等の部品群は、上部ユニット100の内部において冷却すべき部品群である。これら部品群を冷却するための空間は、前記排気窓52Aよりも手前の位置である。言い換えると、この排気窓52Aよりも下流では、排気口20まで連通する空隙GP1が存在するが、この空隙GP1内部には、上記したような冷却すべき部品群は存在しないので、上部ユニット100の冷却空間とはなっていない。
排気窓52Aを、前記フィルター回路基板54から離れた位置だけに設置しているため、運転中に排気カバー19の上に、鍋等から溢れた調理液や水(以下、これらを「異物」という)が流れた場合でも、当該異物が前記排気口20を通過して前記フィルター回路基板54まで至ることを防止できる。このため、漏電や故障の原因になることを防げる。なお、前述したように前記フィルター回路基板54と空隙GP1との間は、前記排気窓52Aの部分を除き、仕切板52によって分離されている。なお、ここでいう「分離」とは、空気の流通を完全に遮断できるような分離ではなく、上方から滴下又は流下した異物の侵入が阻止できる程度の分離をいう。
(マイクロ波加熱調理の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、マイクロ波加熱を行った場合の、各部分の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理を実行していなくても、そのままマイクロ波調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、マイクロ波加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
安全上、前記主電源スイッチ97は、マイクロ波加熱、オーブン(加熱室113)加熱及び誘導加熱の何れかを使用が終了した最後のタイミングから、一定時間(例えば、30分)後に自動的にリセットされて開放される。または、トッププレート15や加熱室113等の温度が全て規定値以下に下がった場合に、主電源スイッチ97は、自動的に開放される。このような安全対策を採用している。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、ドア114を占めた後で、入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、入力キー43MS(図16参照)によってマイクロ波加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の運転を開始させる。
マイクロ波加熱制御部130は、マグネトロン122のインバーター回路121Aを駆動して、発振部122Aからマイクロ波を放射させる。なお、ここでいうマイクロ波とは、2450MH±50MHzの電波のことである。
発生したマイクロ波は、導波管123からアンテナケース124の中に導かれる。アンテナ125の駆動用モータ126は、マイクロ波が発振されたタイミングで運転開始しているので、アンテナケース124の中に導入されたマイクロ波は、回転するアンテナ125と、回転軸126Aの作用により、加熱室113の内部に均等に伝搬させることができる。なお、この種のアンテナと回転軸126Aの作用は、例えば日本特許第4836965号及び特許第5674914号によって詳細に説明されているので、詳しい説明は省略する。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引され、冷却風RF5となる。そして冷却風RF5は、最初にインバーター回路基板121を冷却し、当該回路基板に実装している各種電気部品を冷却する。
冷却風RF5は、次にケースA150の上下2個所に設けた連通口B138Bと連通口A138Aの中を通過し、連通口B138Bを通過した冷却風RF5は、温度センサー160の背面に当る。
温度センサー160は、右側仕切板166Aの取付孔の中に設置してある。温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間には、数mm以下の微小な間隙が存在する。この間隙を、前記冷却風RF5が通過して、温度センサー160の検知窓161から加熱室113内部へ吹き出される。
一方、インバーター回路基板121を冷却した冷却風RF5の大部分は、連通口A138Aの方から通路172へ案内される。つまり、加熱室113の上方を覆っている上部ケース169と、仕切板171との間に形成された通路172へ案内される。この通路は、加熱室113の上方にある上部ヒータ163Aが300℃を超えるような高温になっても、その高熱を上部ユニット100側へ伝わらないようにする効果がある。
連通口A138Aから連通口173の位置を平面的に見ると、通路172を斜め後方に横切った位置に連通口173がある。つまり、最も遠い位置に連通口がある。
このため、通路172の全体の空気は連通口173に案内され、連通口173を通過して後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される(図11参照)。
冷却風RF5は、排気ダクト102を出た段階で、下側から上昇してくる冷却風RF6と合流して、排気口20から室内へ放出される。
次に、第4冷却ファン129による冷却風RF6の流れについて説明する。
第4冷却ファン129が運転されると、図8と図9に示したように下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口B152Bから空気がケースA151の内部に吸引され、冷却風RF6となる。そして冷却風RF6は、最初にマグネトロン122の放熱部122Hを冷却し、当該放熱部122Hを通過してダクト153の中に至る。
冷却風RF6は、次にダクト153から加熱室113の右側に隣接している空隙GP5Rに入り、前方側へ進む。そして図13に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。
前記導入口201は、加熱室113の開口113Aに近い位置にあるため、冷却風RF6の一部は、ドア114の内側にも到達し、シール板196の加熱室113側に生ずる曇りを解消させる。
加熱室113の中に導入された冷却風RF6は、加熱室113の内部で食品等の被加熱物から発生する水蒸気や煙等を排出する目的がある。具体的には、冷却風RF6は、図11に示しているように加熱室113の前部から後方に移動し、最終的には後部の天井部に形成された連通口174に至る。
冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして冷却風RF6は、排気ダクト102を出た段階で、冷却風RF5の上昇気流に誘引されるように合流して、排気口20から室内へ放出される。
冷却風RF5と冷却風RF6の最初の風量が同等であった場合でも、この実施の形態1のような経路の違いによって、冷却風RF5の方がダクト102から放出される際、風速が早かった。そのため、下方から放出された冷却風RF5を誘引する作用がある。
冷却風RF5、RF6を排気ダクト102から強制的に放出するため、排気ダクト102の途中に排気ファンを設けても良い。この実施の形態1では、そのような排気ファンを省略しているので、コスト的に安価で実現でき、また上部ユニット100内部への部品配置を考える上で有利である。
(オーブン加熱調理の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、オーブン加熱装置140の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、統合制御装置MCは、何らかの調理が開始されるものと推定して予備起動する。このため、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理を実行していなくても、そのままオーブン加熱調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、オーブン加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、その後入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、加熱室113を使用した調理の制御メニューを選択する。例えば、魚や肉を焼き上げる調理の場合には、加熱時間や火力を設定する。但し、自動的に焼き上げる制御メニューを選択した場合には、火力は加熱室制御部159によって自動で設定される。なお、この制御メニューを選択することについては、この後の図34〜図40で説明する。
加熱室制御部159は、統合制御装置MCからの指令信号を受けて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電の有無、通電の時間帯、通電パターン(間欠加熱)、火力等を制御する。
温度センサーTS2は、加熱室113の中の温度を赤外線信号で検知し、検知温度データを前記加熱室制御部159に送信する。加熱室制御部159は、目標温度と検出された温度との差を見て、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電を制御する。
また、タイマー調理の制御方法が中央操作部40Mで入力された場合、設定時間だけ上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電が行われる。つまり、加熱室制御部159は、温度センサーTS2の検知温度データに従って、通電時間を制限しない。
ドア114を閉めた後で、入力操作部40の中央操作部40M(入力キー43MS)において、オーブン(加熱室113)加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の運転を開始する。なお、加熱室制御部159から直接第3冷却ファン128と第4冷却ファン129に駆動指令信号を出すようにしても良い。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引される。しかし、マイクロ波加熱調理の場合と異なり、インバーター回路基板121の発熱はない。そのため冷却風RF5は、インバーター回路121基板を冷却することなく、連通口B138Bと連通口A138Aの中に、それぞれ入る。
そして、連通口A138Aの中を通過した冷却風RF5は、温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間の間隙から検知窓161を経て、加熱室113内部へ吹き出される。
連通口A138Aを通過した冷却風RF5は、通路172へ案内される。そして、上部ケース169を冷却しながら連通口173に至り、その後は排気ダクト102の中に導入される(図11参照)。
一方、第4冷却ファン129による冷却風RF6は、マグネトロン122の放熱部122Hを通過し、ダクト153の中に至る。しかし、マグネトロン122は駆動されていないので、発熱していない。そのため、冷却風RF6は殆ど温度上昇せずに空隙GP5Rに入る。
そして冷却風RF6は、図13に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。そのため、ドア114の内側部分に冷却風RF6が到達する。
加熱室113の中においた食品等の被調理物は、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの輻射熱により水蒸気や油煙等を発生する場合がある。そのような水蒸気、油煙等は、図11に示しているように加熱室113の前部から後方に移動する冷却風RF6によって連通口174まで運ばれる。
その後、冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして、冷却風RF6は排気ダクト102を出た段階で、上方へ上昇していく冷却風RF5に誘引されながら、排気口20を通過して室内へ放出される。
以上説明した実施の形態1では、主電源スイッチ97をONにしたあと、統合制御装置MCが、ある段階まで加熱調理器1の全体の状況を制御し、その後、仮に左操作部40L又は右操作部40Rが操作された場合には、以後の誘導加熱制御を制御装置90に委ねていた。しかしながら、統合制御装置MCが制御する範囲を、IH制御部90との間で変更しても良い。
また、同様に統合制御装置MCが制御する範囲を、加熱室制御部159やマイクロ波加熱制御部130との間で変更しても良い。
例えば、誘導加熱、マイクロ波加熱又はオーブン(加熱室)加熱の何れかの調理メニューの選択がされた以後は、IH制御部90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで基本的に加熱に関する制御動作をすることでも良い。
その場合、入力操作部40にて新たな入力が行われた場合(加熱停止を含む)には、一旦は統合制御装置MCにて制御するが、入力が行われない場合には、そのままIH制御部90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで調理を実行させることで良い。
具体的な例について、図33を参照して以下説明する。
図33は、加熱調理器1において、誘導加熱調理の1種である揚げ物調理(自動)を行った場合の、IH制御部90の動作を説明したフローチャートである。
誘導加熱調理の調理メニューにおいて、「揚げ物(自動調理)」が選択された場合、鍋の中に入れた食用油の温度は、温度検出回路93によって監視され、自動的にIHコイル17L、17Rの火力は制御される。
揚げ物調理(自動)の制御メニューを使用者が選択すると、IH制御部90は、図33に示すように、予熱工程、揚げ物調理工程、火力アップ工程を順次実行する。また前記統合表示部30の表示画面30Dには、必要な情報、参考情報(例えば、予熱に要する予想時間など)を示す情報が文字や図形等で現れる。また電力制御部72によって電力が制限(抑制)されない優先調理である旨も、表示される。
このため、この揚げ物調理中には、マイクロ波加熱やオーブン加熱の使用があっても、電力が優先的に確保されることを、ユーザーは認識できる。
予熱工程では、ユーザーが設定した目標の油温度が180℃である場合、予熱工程では所定の火力値(最大1500W)で、インバーター回路81R(又は81L)が駆動開始され、急速に油の温度は室温(例えば20℃)から目標温度T1の180℃まで上昇する。
この温度上昇は、前記した温度検出回路93によってリアルタイムで監視されているので、目標温度T1(第1の温度)の180℃になったことが温度検出回路93によって検出されると、IH制御部90は、誘導加熱量、つまりインバーター出力を調節して、目標温度をそのまま維持しようとする(このような温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する制御動作を以下、「温度フィードバック制御」という)。
その後、統合制御装置MCへ表示要請指令を出し、音声合成装置95を介してユーザーに「油の温度が適温になりました。具材を投入してください」というような音声ガイドを行う。
ユーザーが具材、例えば冷凍されていたコロッケを油の中に入れると、その油は冷たい具材によってその投入時点から急速に冷やされるので、図33に示すように温度が急降下する。しかし、温度検出回路93はこのような温度降下の動きを監視しているので、直ちにインバーター回路81R(81L)の火力を所定の火力1500W又は1800Wに上げて駆動するので、油の温度は再び上昇する(温度フィードバック制御)。このようにしてして再び目標温度T1に至った段階で直ちに(または所定時間経過したら)揚げ物工程から火力アップ工程に移行する。
火力アップ工程では、前記目標温度T1よりも高い第2の温度T2の225℃と、これより更に高い上限温度(第3の温度)T3の230℃間に油の温度が維持されるように制御装置90はインバーター回路81R(81L)を制御する。
図33に示すように火力値は900W程度で間欠駆動される。
第1の温度T1になった以降の工程を「揚げ物仕上げ工程」と呼び、揚げ物をカラッと仕上げるために重要な工程である。このような火力アップ工程で十分な火力を投入して調理しないと、揚げ物がうまくできないことになる。なお、揚げ物工程は所定の時間内に制限されていないので、使用者が入力キー44R(又は入力キー45L)を押下すれば、揚げ物調理は全て終了する。
図33に示すように(自動)揚げ物調理の制御メニューにおいて、前記揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には、他の加熱源の開始や運転条件変更によって、電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱のIH制御部90は、実行中の調理メニューが、前記「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を外部に報知する機能を有している。
以上の説明で明らかなように、特定の加熱工程に入った場合には、その都度統合制御装置MCがIH制御部90に対して制御信号を発することなく、加熱工程の進捗は、全てそのIH制御部90の制御に委ねている。
次に、統合表示部30と、中央操作部40M、右操作部40R及び左操作部40Lの各種入力キーとの関係について図34〜図40を参照して説明する。
図34は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図である。図35は、誘導加熱調理の開始の前後における左操作部40Lと左側表示部31Lの平面図である。図36は、統合表示部30と左側表示部31Lの表示内容の変化を示す説明図である。図37は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図1である。図38は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図2である。図39は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図3である。図40は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図4である。
図34について説明する。主電源スイッチ97をOFFにしている状態では、統合表示部30は起動されていないので、何も情報を表示していない。
主電源スイッチ97をONにした状態では、統合制御装置MCは、前述したように異常有無等の自己診断を行ったあとで、図34の表示画面1を統合表示部30で表示する。
図34の表示画面1において、30Aは、電源が入っていることを報知した表示文である。30Bは、インターネット経由で専用のレシピ掲載サイトに誘導するための二次元情報(二次元コード)である。30Cは、その二次元コードの意味を説明した文章である。この二次元情報30Cと、前記表示文30Aは、「待機時共通情報」30Nの1種である。
図34の表示画面1が表示されたあと、自動的に表示画面2A又は2Bが表示される場合がある。表示画面2Aにおいて、「突沸注意」は、注意表示の1つである。この「突沸」とは、例えばカレーやシチューのような粘性のある被調理物(液体)を加熱している場合、その被調理物の内部が沸点以上の過熱状態になっていて、突発的に激しい沸騰を起こす現象をいう。熱せられた液体から蒸気が噴き出すことに伴い、熱い液滴が飛散して危険な場合がある。突沸が発生するタイミング、原因は、外部からの異物の混入又は衝撃であると言われている。そのため、この表示画面2に表示しているように、被調理物を入れた金属鍋等をトッププレート15の上に置いて誘導加熱する際に、その被調理物をかき混ぜる際の注意喚起をしている。この注意喚起で表示している情報は、「待機時共通情報」30Nの1種である
表示画面2Bにおいて、30Eは、加熱室113の内部が高温度になっていて、不用意に接触しないように警告した注意表示である。加熱室113でオーブン調理を実施したあとで、まだ加熱室113が十分冷え切っていないことを統合制御装置MCが検知した場合、この表示画面2の状態に自動的に切り替わる。なお、表示画面2Aと2Bは、同時に表示できないが、数秒間隔で交互に表示することにより、突沸と高温報知の両方について注意喚起するようにしても良い。なお、音声合成装置95によって、表示画面2Aと2Bの注意喚起を音声でも並行して行っても良い。
図34の表示画面1〜表示画面2A、2Bによって明らかなように、これら表示は、表示画面30Dの全体を利用して行っている。つまり、前述した第1エリア30L〜第3エリア30Rの何れかで部分的に表示するのではなく、できるだけ広い表示面積を確保するため、第1エリア30L〜第3エリア30Rの3つを識別できないように一体化表示をして、ユーザーには統合表示部30の全体で表示しているように見せている。
前記表示画面1〜表示画面2A、2Bは、図26の動作ステップでいうと、ST3の段階である。
この表示画面1〜表示画面2A、2Bの表示時点から一定時間、例えば10秒経過すると、加熱源(加熱手段)の選択を促す表示内容に変化する(図26の動作ステップST4の段階に相当)。
そこで、次に上部ユニット100において、誘導加熱する場合について説明する。
図35は、左加熱源17HLのための左側表示部31Lと左操作部40Lを平面的に見た図である。左加熱部17HLによる調理を選択するための入力キー43L1を押さない前は、図35(A)に示した状態である。
入力キー43L1を押すと、統合制御装置MCは、左加熱源17HLをユーザーが選択したことを検知し、図35(B)に示しているように、個別発光部27L3を発光させ、操作入力を受け付けたことを表示する。
タイマー調理を選択する入力キー43L4も入力待ちの状況であるため、個別発光部27L1を点滅させる。また、制御メニューの選択も入力待ちの状況であるため、入力キー44Lの真後ろにある個別発光部27L2を点滅させる。図35(B)で、星印の図形は、発光表示部27によって点灯したこと又は点滅していることを示すものである。
誘導加熱調理時の火力段階を示す火力表示部67Lは、デフォルト火力が「3」に設定してあれば、火力3を示すまで火力表示部67Lの発光部を左側から連続して発光させ(又は青色を赤色に変更させ)、ユーザーに火力の大きさを表示する。
ユーザーがデフォルト設定の火力ではない火力に変更する場合、入力キー43L2又は43L3を押せば、1回押す毎に1段階火力が小さくなり、または大きくなり、それに応じて火力表示部67Lの発光部(又は赤色発光部)の範囲が左側から右に拡大し、又は左側へ縮小して、火力の調節状態をユーザーに表示する。
次に図36について説明する。
図36は、加熱調理器1の左操作部40Lと左側表示部31Lの動作説明図である。
図36において、左側に描いた(A)〜(C)の図は、左操作部40Lと左側表示部31Lの模式図であり、操作開始前の状態を示したものは、図36(A)である。
図35で説明したように、入力キー43L1を操作すると、図36(B)に示しているように、発光表示部27L3が発光する。
図36(B)の状態では、発光表示部27L4も点灯しており、入力キー43L2と43L3の双方とも入力機能は有効であることが分かる。そこで、この左側の入力キー43L2を2回押すと火力が下がる。なお、火力の増減は、直ぐ後方にある火力表示部67Lの発光状態で分かる。
更に火力レベル1の段階で、入力キー43L2を1回押すと火力レベル1の下まで指定されたことになるが、統合制御装置MCでは、「保温」の制御モードを指定したと判断し、図36の表示画面3Aを、表示画面30Dで表示する。
表示画面30Dは、表示画面3Aから分かるように、第1エリア30Lに「鍋等の容器の図」を表示し、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっており、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、「保温(左IH)」という文字を表示し、保温の温度は約80℃であることを表示している。そして、スープなどにお薦めの制御メニューであることを説明文30Fで示している。なお、この表示画面3Aの段階では、左側表示部31Lには何も表示されない。
次に、図36(B)の状態で、入力キー44Lを押すと、押す度に、制御メニュー群の中から1つの制御メニューが選択されて、表示画面3Bのように表示される。表示画面3Bの例では「揚げ物」が選択されたことを示している。この図36(B)の状態で、一定時間経過すると、左加熱部17HLの制御メニューは「揚げ物」で確定し、IHコイル17Lの駆動が開始される。
表示画面3Bのケースでは、デフォルト温度は180℃に設定されているので、左側表示部31Lには、図36に示すように「揚げ物 180℃」という文字が表示される。
この「180℃」という温度は、食用油をIHコイル17Lで加熱して、180℃近傍に維持するということであり、その180℃に到達した際には、音声合成装置95によって音声で報知され、それに加えて、この統合表示部30によって「予熱温度に到達」したことが表示され、食材の投入等が促される。
仮に、この揚げ物の予熱(目標)温度を、変更したい場合には、入力キー43L2によって温度を下げたり、入力キー43L3によって温度を上げたりすることができる。
表示画面30Dは、表示画面3Bから分かるように、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっており、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、予熱の開始と、予熱動作中は、加熱調理器1の傍から離れないことの注意文30Gを表示している。
次に、図36(B)の状態で、入力キー44Lを押して、別の制御メニューとして「適温」を選択すると、表示画面3Cのように表示される。この表示画面3Cに示しているように、「適温」という制御メニューは、鍋等を設定温度(デフォルト温度は、180℃)に温めることと、玉子焼きなどにお薦めの制御モードである。このような意味が理解できるように推奨文30Hで示される。なお、この表示画面3Cの段階では、左側表示部31Lには「予熱 180℃」という文字情報が表示される。
次に図37について説明する。
図37は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した模式図である。
表示画面4STは、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面である。
図17で説明したように、入力キー43MCを操作すると、図37の表示画面4STが統合表示部30に表示される。
表示画面4STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には、「あたため」という制御メニューの名称を示す特定文30Jが大きく表示される。
第1エリア30Lの中央に表示された「あたため」の特定文30Jの後方には、「オーブン」という文字が、また逆に前方側には「レンジ手動」という文字が、少し小さく表示される。
そして、ユーザーが制御メニューを選択する場合、次の候補は「オーブン」と「レンジ手動」であることが分かる。仮にこの段階で、第1エリア31Lに対応した位置にある(左側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字(特定文30J)は「レンジ手動」に変わる。
また、第1エリア31Lに対応した位置にある(右側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字は「オーブン」に変わる。
図37において、デフォルト表示の画面である表示画面4STは、第2エリア30Mに「80℃」という目標温度情報30Tが表示される。この目標温度でマイクロ波加熱した場合には、食品の温度が80℃であると、温度センサーTS1が80℃を検知した際に、マイクロ波加熱は自動的に停止される。
この第2エリア30Mの目標温度(80℃)を上げて85℃にするためには、第2エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M2を1回操作する。逆に温度を下げて75℃にしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
第2エリア30Mの目標温度(80℃)の数字の上には、山型の記号30UPが表示されている。また、同じく80℃の数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
この記号30UPと、統合表示部30の(右側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を上げる場合には、右側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。
逆に、30DNと統合表示部30の(左側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を下げる場合には、左側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。この対応ルールは、第3エリア30Rの表示と左右1対の入力キー43M3との関係でも適用される。このように、ユーザーの入力操作時における操作ミス(入力キーの間違い)を避ける工夫を採用している。
図37において、30Kは、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部である。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御メニューであることを示した参考情報である。なお、この参考情報の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図38について説明する。
図38は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した別の模式図である。
制御メニューを「レンジ手動」にした場合は、表示画面5STが、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面である。
図17と図37で説明したように、入力キー43MCを操作すると、図37の表示画面4STが統合表示部30に表示される。その次に、中央操作部40Mの左側の入力キー43M1を何回か操作した場合、特定文30Jは、「レンジ手動」に変化し、この図38の表示画面5STが統合表示部30に表示される。
表示画面5STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には「レンジ手動」という制御メニューの特定文30Jが大きく表示される。
表示画面5STにおいて、第2エリア30Mには「500W」というマイクロ波出力値(ワット値)情報30Xが表示される。また、隣接した第3エリア30Rには、「1分00秒」というマイクロ波加熱時間情報30MYが表示される。この表示画面5STから分かるように、この「レンジ手動」の制御メニューでは、最初からマイクロ波加熱源189を使用することが分かっているので、図37に示したような(マイクロ波加熱源189であることを文字で表示した)加熱源表示部30Kは、表示しないで良い。
この表示画面5STの第2エリア30Mのマイクロ波出力値(ワット値)500Wを、1段階下げて200Wにしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
同様に、第2エリア30Rの加熱時間を長くして1分10秒にするためには、第3エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M3を1回操作する。逆に加熱時間を1段階短くして50秒にしたい場合には、左側の入力キー43M3を1回操作すれば良い。
図38の表示画面5STにおいて、第2エリア30Mの出力(500W)の数字の上には、前記山型の記号30UPが表示されていない。また、同じく500Wの数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
図38における表示画面5DNNは、最小火力(100W)と最短時間(10秒間)を示したものであり、第1エリア30Lの表示内容は省略している。
この表示画面5DNNの最小火力(100W)の上側だけに、前記記号30UPが表示されており、この火力より大きな火力しか選択できないことを示している。また、同じく、最短時間(10秒)の数字の上側だけに記号30UPが表示されており、記号30DNは表示されていない。つまり、ここでも記号30UPによって、これより短い時間の選択は出来ないことを示している。
次に図39について説明する。
図39は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。
図38で示した表示画面の状態で、第1エリア30Lに対応した左側の入力キー43M1を1回操作すると、図39に示したように、制御メニューは「レンジ手動」から「葉菜下ゆで」に変更できる。
図39の、表示画面6STがデフォルト表示画面である。第1エリア30Lには制御メニューの特定文(名称)30Jである「葉菜下ゆで」が大きく表示される。
第2エリア30Mには、マイクロ波出力レベルを示す情報30Vが「標準」と表示され、このまま調理スタートすると500Wで加熱されることになる。なお、この「標準」という場合のマイクロ波出力値は、500Wの場合もあるが、これ以外であっても良い。つまり、マイクロ波加熱源9を使用する場合の、火力レベルの「標準」とは、個々の制御メニューで異なり、常に同じ出力(例えば、500W)ではない。
図39の第1エリア30Lには、図37で説明したように、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部30Kを表示する。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御モードであることを示した推奨文である。なお、この推奨文の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図40について説明する。
図40は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。
図40は、「RG調理」という制御メニューを選択する場面を示したものである。
前記「RG調理」とは、前述したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する「レンジグリル調理」のことである。マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。なお、ここでいう「同時」とは、加熱開始と終了の両方のタイミングが全く同じであるという意味ではなく、加熱動作が重なる時間帯のある場合も含む。
図40に示した表示画面7ST1では、最初にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両方を同時に駆動して1分間加熱し、その後、オーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンであることが分かる。
なお、「レンジ&グリル」の用語を使用せず、短縮形の「RG」を使用しているのは、第1の表示エリア30Lに表示できる文字数を最小限にするためものである。より多くの文字数を表示させようとすると、第1エリア30Lの専有面積が増えてしまうからである。
この図40に示す表示の例では、第2エリア30Mには加熱時間の情報30Sが分単位で表示され、またその後のグリル調理の加熱時間情報30GYも、分単位で表示される。
これら第1エリア30Lに示された加熱時間情報30Sと、第3エリア30Rの加熱時間情報30GYは、中央操作部40Mの入力キー43M2、43M3によって、適宜変更できる。
図40において、表示画面7ST2は、最初にマイクロ波加熱源189単独で、1分間加熱(マイクロ波出力500W)し、その後、オーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンの場合である。この表示画面7ST2は、デフォルト表示画面である。
次に図41について説明する。
図41は、図39に示した表示画面6STの表示内容と、中央操作部40Mとの動作を説明した平面模式図である。
図41に示しているように、中央操作部40Mにおいて、個別発光部27M1〜27M6を配置しており、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27M1〜27M4は、統一された発光色で発光する。
その後、さらには、制御メニューの選択用入力キー43MCを操作すると、第1エリア30Lには、図39に示した表示画面6STがデフォルトで表示される。
この表示段階では、第1エリア30Lと第2エリア30Mに対応している合計4つの入力キー43M1〜43M2は、何れも入力を受け付けることができる。そのため、それら4つの入力キー43M1〜43M2に対応する2つの個別発光部27M3、27M4は、発光を継続する。
一方、図41に示しているように表示画面6STや表示画面6UP1、6DN1等が表示された後は、スタート用の入力キー43MSと対応している個別発光部27M6は、連続発光から点滅に変化する。そして、入力キー43MSの存在を光で強調する。ユーザーがこの入力キー43MSにタッチすれば、加熱調理動作が開始される。
このように、この実施の形態1では、メニュー選択部となる入力キー43M1と、スタート選択部となる入力キー43MSの、それぞれの入力機能が有効である場合に第1の発光形態(連続発光)で個々の発光部27M1〜27M6を発光させる発光手段(表示部駆動回路63)を備えている。
前記統合制御部MCは、前記参考情報30Pを表示させた場合、前記スタート選択部(入力キー43MS)に対応している発光部27M6だけを、第2の発光形態(点滅)で発光させる構成である。
上記構成であるため、加熱調理の開始指令を待っている状態が、前記発光部27M6の点滅によってユーザーは容易に識別できる。なお、発光部27M6は、マイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キー43MTにも対応しているので、発光部27M6が発光している場合には、入力キー43MTも入力機能は有効であり、タッチ操作すれば、加熱停止の指令を発信できる。
なお、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって、スタート選択部となる入力キー43MSに対応した発光部27M6だけを、最初から点滅させるようにしても良い。また、その他の発光部27M1〜27M4は、連続発光をさせ、スタート選択部の入力キー43MSとは異なる形態で発光させても良い。
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第1の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記トッププレート15の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記誘導加熱源9の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第1の吸気口164と、前記マイクロ波加熱源189の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第2の吸気口152(153F、152B)とを、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置していた。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9を加熱する外気を導入する位置は、互いに離れた個所であるので、お互いの外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。また送風ファンの回転数が仮に同じとなった場合でも唸り音の発生も回避でき、運転音が静かな加熱調理器を提供できる。
誘導加熱源9を収容した上部ユニット100と、マイクロ波加熱装置120を収容した下部ユニット200の間は、仕切り壁(上部ケース16の底面16S)によって上下に区画されていると更に良い。このように上下を構造物によって区画すれば、上部ユニット100と下部ユニット200の間で、冷却風の一部が意図いない方向に流れ込むことが回避でき、目的とする部位の冷却効果を損なうことがない。
更に、実施の形態1のように、上部ユニット100に、中央操作部40や統合制御装置MCを配置している場合、前記仕切り壁16Sを金属製材料で形成すると更に良い。すなわち、金属製仕切り壁16Sの存在によって、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9の間では、その一方から他方に対して不要なノイズや電波で悪影響を及ぼす懸念がなくなる。このため、例えば、マイクロ波発振部122の周辺から、マイクロ波が漏洩しても、そのマイクロ波の悪影響を上部ユニット100側の電子部品が受けることを防止できる。このため、例えば、上部ユニット100側の重要な制御手段である統合制御装置MCを構成するマイクロコンピューターや、入力操作部40を構成するタッチスイッチの検知回路等が、漏洩したマイクロ波によって動作不良や検知不良を起こしたり、動作が不安定化したりりすることが避けられる。
更に、実施の形態1では、本体ケースHCは、仕切り壁16Sによって上部空間300Aと下部空間300Bとに区画され、
前記上部空間300Aには、加熱源を選択する入力操作部40と、この入力操作部からの入力信号を受ける統合制御装置MCとを、更に有し、
前記入力操作部40は、前記右加熱部17HRの動作条件を指定する右操作部40Rと、前記左加熱部17HLの動作条件を指定する左操作部40Lと、前記オーブン加熱源188及び前記マイクロ波加熱源189の双方の動作条件を指定する中央操作部40Mと、を備えており、
前記入力操作部40の下方には、第2冷却ファン61によって前記第1の吸気口164から(第2)冷却ファン61によって前記上部空間300Aの内部に導入された外気が通過する構成である。
この構成によれば、前記オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の双方で、中央操作部40Mを利用するため、狭い設置空間であっても中央操作部40Mにおける入力キー等の操作面積を確保できる。
更に、その入力操作部40の下方に外気が通過するので、入力操作部40を構成する電気部品類の過熱や、それに起因する故障や損傷等が防止できる。
なお、仕切り壁16Sは、実施の形態1では金属製であるため、下部空間でマイクロ波の漏洩や電磁ノイズの発生があった場合でも、下部空間300B側への伝搬を抑制でき、上部空間300Aの制御部分、例えば統合制御装置MCへの悪影響を防止できるなどのメリットがある。
また、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第2の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記トッププレート15の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記本体ケースHCの内部は、上部ケース16の底壁面16Sによって上下2つに区画されていた。つまり、金属製の上部ケース16の(仕切り壁となる)底面16Sが、上部空間300Aと、下部空間300Bとを区画していた。
更に、前記上部空間300Aには、前記誘導加熱源9のIHコイル17L、17Rと、当該IHコイル17L、17R用のインバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱装置120を収容し、
前記誘導加熱源9用の冷却用空気を導く上部風路AHは、前記仕切り壁となる底面16Sを貫通して(通気孔64を介して)前記下部空間300Bの外側から前記冷却用の外気が導入され、
前記マイクロ波加熱源120用の冷却用空気を導く下部風路UHは、前記下部空間300Bに形成され、
前記マイクロ波加熱源189の放熱部122Hは、前記下部風路UHに配置された構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9は、金属製の仕切り壁(上部ケース16の底面16S)によって上下に区画されているので、専用な仕切り板を設けることが不要であり、しかも、当該仕切り壁の存在によって、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9の間では、その一方から他方に対して不要なノイズや電波で悪影響を及ぼす懸念がなくなる。更に、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9においては、お互いに外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。
更に、上部空間300Aと下部空間300Bの双方に個別に上部風路と下部風路を確保しているので、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9双方の電気回路部品や発熱部等の過熱を防止でき、長寿命化が期待できる。
更に、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第3の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源120と、前記トッププレート15の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記本体ケースHCの内部は、金属製の仕切り壁(上部ケース16の底面16S)によって上部空間300Aと、前記仕切り壁16Sの下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画され、
前記上部空間300Aには、前記誘導加熱源9の加熱コイル17L、17Rと、当該加熱コイル用のインバーター回路を実装したインバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱源120を収容し、
前記上部空間300Aに冷却用空気を導く上部風路AHは、前記仕切り壁(通気孔64)を貫通して前記下部空間の外側から外気を導入するものであり、
前記下部空間300Bに冷却用空気を導く下部風路UHは、前記下部空間300Bに形成され、前記上部風路AHと異なる位置から外気を導入するものであり、
前記下部風路UHは、外気の導入口(第2の吸気口152F、152B)の下流側に前記マイクロ波加熱源120の放熱部122Hを配置し、かつ前記放熱部122Hを冷却した後の冷却風を、前記上部風路AHと隔離された排気ダクト102を介して外部に放出する構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9は、金属製の仕切り壁(上部ケース16の底面16S)によって上下に区画されているので、専用の仕切り板を設けることが不要であり、しかも、当該仕切り壁の存在によって、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9の間では、その一方から他方に対して不要なノイズや電波で悪影響を及ぼす懸念がなくなる。更に、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9においては、お互いに外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。
更に、マイクロ波加熱源120の放熱部122Hを冷却した後の空気は、上部空間300Aの(冷却空間)内部を流通することと下部空間300Bの双方に個別に上部風路と下部風路を確保しているので、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9双方の電気回路部品や発熱部等の過熱を防止でき、長寿命化が期待できる。
実施の形態1では、排気ダクト102が1つであったが、図23で説明した内部経路の冷却風と、外部経路の冷却風を、それぞれ別の位置に設けた個々の排気ダクトを介して放出するように構成しても良い。また、排気ダクトとは、必ずしも専用の筒状部材で形成したものに限定されることはなく、隣接する2つの部材(例えば金属板の側面と、金属ケースの表面)の間の空間を利用した通路であっても良い。
更に、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第4の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部114Aが開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記トッププレート115の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記本体ケースHCの内部は、金属製の仕切り壁16Sによって上部空間300Aと、下部空間300Bと、の2つの空間に区画され、
前記上部空間300Aには、IHコイル17L、17Rと、当該IHコイル用のインバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱装置120を収容し、
前記上部空間300Aには、前記下部空間300Bの外側から前記誘導加熱源9冷却用の外気を導入する上部第1冷却ファン60を有し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱装置120冷却用の外気を導入する下部冷却ファン128,129を有し、
前記下部冷却ファン128,129の運転は、前記誘導加熱装置120による加熱動作と無関係に独立して行われることを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
本体ケースHCの内部には、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188を更に備え、前記オーブン加熱源188の加熱動作時に、前記下部空間300Bを冷却するために、前記下部冷却ファン128、129を運転する構成であった。
このため、オーブン調理もでき、しかも、下部ユニット200の冷却構成を共用化できるため、設置する空間に制約がある厨房家具に対しても利便性の高い複合型加熱調理器を提供できる。
さらにIH制御部90と、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発振部122Aを制御するマイクロ波加熱制御部130とを、更に備え、
前記マイクロ波加熱装置120による加熱動作のみを実行している期間中は、前記マイクロ波加熱制御部130は、前記下部冷却ファン128、129を運転し、かつ前記IH制御部90は、前記上部冷却ファン60と、第2冷却ファン61を運転せず、
前記誘導加熱源9による加熱動作を実行している期間中、前記IH制御部90は、前記(上部)第1冷却ファン60を運転し、かつ前記マイクロ波加熱制御部130は、前記下部冷却ファン128、129を運転しない。
このため、加熱調理器1全体の消費電力を最小限度に抑制でき、また加熱調理器の運転音も静かなものにすることができる。
更に、マイクロ波加熱調理を行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、「平常時」は全く運転がされない。但し、「非平常時」では、運転がされる場合がある。ここでいう「非平常時」とは、例えば1つの誘導加熱調理を終え、次にマイクロ波調理を開始した場合で、前記誘導加熱時の熱気がまだ残存し、例えばトッププレート15が、高温になっている場合である。この場合は、前記IH制御部90は、温度検出回路93の温度検知データに基づいて、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転を継続し、外気によって冷却する。このため、この第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転と、下部ユニット200の下部冷却ファン128、129の運転時期が、ある時間は重なる場合がある。
また、逆にオーブン加熱調理を加熱室113で行った後で、誘導加熱調理を開始した場合にも、今度は加熱室113の温度を下げて、次の加熱調理(特に、マイクロ波加熱調理で、制御メニューで「あたため」を実行する場合)に支障が無いように、下部冷却ファン128、129の運転を継続する。このため、下部冷却ファン128、129の運転時間と、上部ユニット100の第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の運転時間とが、一部重複する場合もある。
更に、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第5の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
厨房家具2の内部に設置される本体ケースHC内部に、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記本体ケースHCの内部は、金属製の仕切り壁16Sを境にして上部空間300Aと下部空間300Bとに区画され、
前記上部空間300Aには、IHコイル17と、誘導加熱用インバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、マイクロ波発生源122と、マイクロ波加熱用インバーター回路基板121と、を収容し、
前記上部空間300Aには、前記下部空間300Bの外側に連通している通気孔64、164から上部冷却ファン60、61によって、前記下部空間300Bを経由せずに外気が導入される上部風路AHを有し、
前記下部空間300Bには、前記本体ケースHCの下部にある吸気口152F、152Bから下部冷却ファン128、129によって外気が導入される下部風路UHを有し、
前記下部風路UHには、前記マイクロ波加熱源189用のインバーター回路基板121を収容した第1の下部風路と、前記マイクロ波発生源122の放熱部122Hを配置した第2の下部風路と、を備えたことを特徴とする構成である。
更に、この実施の形態1の厨房家具は、第6の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
上面に設置口2Aを有し、当該設置口2Aの中に前記第1の発明、第2の発明、第3の発明、第4の発明及び第5の発明の、何れか1つに係る複合型加熱調理器1を設置しており、
前記本体ケースHCの2つの外側壁面(下部ケース101の側方垂直壁101L及び側方垂直壁101R)と、底板101Uとの間に、それぞれ空隙(下部空隙311、左側空隙301L、右側空隙301R)を形成し、これらの空隙は、前記ドア114の下方に形成された空隙(前方空隙302)を介して外部に連通している構成である。
この構成によれば、加熱調理器1が外気を吸引して、その内部空間を冷却する場合にも、前記ドア114の下方の前方空隙302を介して、加熱調理器1の本体ケースHCの周囲に外気を常に供給でき、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9の両方の過熱を防止できる。そして異なる種類の少なくとも2つの加熱源が利用できるので、幅広い調理に対応でき、利便性が高い加熱調理器となる。
以上の各発明の他、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、次のような特徴的な形態を備えていた。
特徴1.
加熱室113内で被調理物を加熱するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113内を加熱するオーブン加熱源188と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188に共用され、表示画面30Dを有する統合表示部30と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188を制御する制御部(IH制御部90、統合制御装置MC)と、を備え、
前記入力操作部40には、制御メニュー群の中から特定の制御メニュー(例えば、「あたため」)を選択するための入力キー43M1と、前記第マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の加熱動作指令できるスタート用の入力キー43MSと、を有し、
前記制御部は、前記入力キー43M1が押下されたと判断すると、1つの制御メニュー(例えば、「あたため」)と、当該制御メニューに適用される1つ以上の「制御条件」情報(これは、加熱強度情報(火力値を含む)又は目標温度情報30T(例えば、80℃)の両者又は何れか一方との組み合わせを示す情報を含む)を、前記表示画面30D(第1エリア30L、第2エリア30M)に表示させ、
前記制御部は、前記制御メニュー又は前記制御条件に対応した加熱調理の参考情報30P(推奨文)を表示させ、この状態で前記スタート用入力43MSキーが押された場合、当該制御メニュー(例えば、「あたため」)の実行を開始することを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188に共用される統合表示部30の表示画面30Dにおいて、マイクロ波加熱を行う場合の1つの制御メニューの選定において、その特定の制御メニュー(例えば、「あたため」)を選択して調理開始をスタートさせる前に、その制御メニューと1つ以上の「制御条件」との組み合せに対応した、参考情報30P(推奨文)が表示されるので、ユーザーによる制御メニューの確定作業を支援できる。このため、複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
特徴2.
加熱室113と、
マイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113内を加熱するオーブン加熱源188と、
入力操作部40と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188に共用され、表示画面30Dを有する統合表示部30と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188及び前記統合表示部30を制御する制御部(統合制御装置MC、加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130)と、を備え、
前記入力操作部40には、制御メニュー群の中からマイクロ波加熱源を使用する第1の(特定の)制御メニュー(例えば、「あたため」)と、オーブン加熱源を使用する第2の(特定の)制御メニュー(例えば、「オーブン」)を選択するためのメニュー選択手段(入力キー43M1)を有し、
前記制御部は、前記表示画面30Dにおいて、前記第1の制御メニュー(例えば、「あたため」)を前記表示画面30Dに表示させた場合、前記マイクロ波加熱源を識別できる表示30Kと、当該制御メニュー(例えば、「あたため」)に適用される加熱強度情報又は目標温度情報30T(例えば、80℃)の両者又は何れか一方との組み合わせ(1つ以上の「制御条件」)を示す情報を、対応させて表示(例えば、図37の表示画面4ST)させることを特徴とする構成である。
この特徴2の構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の2種類が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、2種類の加熱源に共用される統合表示部では、前記表示画面30Dにおいて、前記制御メニュー群の中から前記第1の制御メニュー(例えば、「あたため」)を前記表示画面30Dに表示させた場合、マイクロ波加熱源189を識別できる表示30Kと、当該第1の制御メニュー(例えば、「あたため」)に適用される目標温度情報30T(例えば、80℃)の組み合わせ示す情報を表示させるので、ユーザーによる加熱源の動作開始前に、制御メニューに関係する加熱源と目標温度等の制御条件を確認でき、ユーザーの入力操作の負担を軽減できる。このため、複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
特徴3.
被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱装置120及び前記オーブン加熱装置140の3者を集中して制御する統合制御装置MCを備え、
前記上部ユニット100には、前記統合制御装置MCによって制御される誘導加熱回路94L、94Rと、商用電源99からの電力を受けるフィルター回路を実装したフィルター回路基板54と、このフィルター回路基板54からの電力を受ける(第1の)インバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を有し、
前記下部ユニット200には、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱制御部130と、前記オーブン加熱装置140の加熱室制御部159と、前記フィルター回路基板54からの電力を受ける(第2の)インバーター回路基板121Aとを配置し、
前記上部ユニット100のフィルター回路から、前記マイクロ波加熱装置の制御部130と、前記オーブン加熱装置140の、それぞれの加熱源用電力を供給する構成である。
従ってこの特徴3の構成によれば、上部ユニット100と下部ユニット200に、3種類の加熱源を備えていることにより、従来よりも幅広い複合調理を行うことができる。
また、統合制御装置MCのよる集中制御により、上部ユニット100と下部ユニット200にそれぞれ配置したインバーター回路基板を連携させることができ、また上部ユニットのフィルター回路から加熱用電力を3つの加熱源に分配し、商用電源側にノイズの還流も低減できるビルトイン式複合型加熱調理器を提供できる。
特徴4.
被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源17、前記マイクロ波加熱装置120及び前記オーブン加熱装置140の3者を集中して制御する統合制御装置MCを備え、
前記上部ユニット100には、前記統合制御装置MCによって制御される誘導加熱回路94L、94Rと、商用電源99からの電力を受ける電源回路基板55と、(第1の)インバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を有し、
前記下部ユニット200には、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱制御部130と、前記オーブン加熱装置140の加熱室制御部159と、(第2の)インバーター回路基板121とを配置し、
前記電源回路基板55は、前記(第1の)インバーター回路81を冷却する冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に配置されており、
前記マイクロ波加熱装置の制御部130と、前記オーブン加熱装置140は、前記上部ユニット100のフィルター回路基板54から、それぞれの加熱源用電力を供給する構成である。
従ってこの特徴4の構成によれば、上部ユニット100と下部ユニット200に、3種類の加熱源を備えていることにより、従来よりも幅広い複合調理を行うことができる。
また、統合制御装置MCによる集中制御により、上部ユニット100と下部ユニット200にそれぞれ配置したインバーター回路基板80、121を連携させることができる。
更に、フィルター回路基板54から分岐させて3つの加熱源に加熱用の電力を分配する構成とし、かつ第1冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側にフィルター回路基板54が配置されているため、フィルター回路基板54の過熱も防止できる。
特徴5.
被加熱物を加熱する誘導加熱源17を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源17、前記マイクロ波加熱装置120及び前記オーブン加熱装置140の3者を集中して制御する統合制御装置MCを備え、
前記上部ユニット100には、前記統合制御装置MCによって制御される誘導加熱回路94L、94Rと、商用電源99からの電力を受ける電源回路基板55と、(第1の)インバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を有し、
前記下部ユニット200には、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱制御部130と、前記オーブン加熱装置140の加熱室制御部159と、(第2の)インバーター回路基板121とを配置し、
前記電源回路基板55は、前記(第1の)インバーター回路81を冷却する冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に配置されており、
前記マイクロ波加熱装置の制御部130と、前記オーブン加熱装置140は、前記上部ユニット100のフィルター回路基板54の下流側(非商用電源側)に設けた電源回路基板55から、それぞれの制御用の低電圧の電力を供給する構成である。
従ってこの特徴5の構成によれば、上部ユニット100と下部ユニット200に、3種類の加熱源を備えていることにより、従来よりも幅広い複合調理を行うことができる。
また、総合制御装置MCによる集中制御により、上部ユニット100と下部ユニット200にそれぞれ配置したインバーター回路基板80、121を連携させることができる。
更に、電源回路基板55からIH制御部90、制御部130、制御部159に対して、規定の低電圧の電力を分配する構成とし、かつ第1冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に電源回路基板55が配置されているため、電源回路基板55の過熱も防止でき、制御装置90等に安定した電源を供給できる。
特徴6.
被加熱物が載置されるトッププレート15を介して前記被加熱物を加熱する第1の加熱源(誘導加熱源)9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100の下方に設置され、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113を備えた下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室を加熱するオーブン加熱装置140と、前記マイクロ波加熱装置を冷却するための冷却ファン128、129と、を備え、
前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122は、前記加熱室113の、左右何れか1つの側壁面に沿って配置され、かつマイクロ波発生源122の発振部122Aが当該加熱室113の背面側に突出するように横向きに設置され、
前記加熱室113の背面側には、当該加熱室113の内部に通ずる給電口180と、前記マイクロ波発生源122からのマイクロ波が導入されるアンテナケース124と、を設け、
前記アンテナケース124内には、前記マイクロ波発生源122から発振されたマイクロ波を、前記給電口180を介して前記加熱室113内の空間へ伝搬させるための、回動されるアンテナ125を配置した構成である。
この特徴6の構成のため、加熱室113の1つの側壁面(右側面)から背面側の空間に、マイクロ波加熱装置120のマグネトロン122とアンテナケース124と、を一連にした形態で設置でき、狭い内部空間の下部ユニット200の中にこれら装置を内蔵させることができる。
特徴7.
被加熱物が載置されるトッププレート15を介して前記被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100の下方に設置され、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113を備えた下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記上部ユニット100から電力の供給を受け、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、前記マイクロ波加熱装置120を冷却するため冷却ファン128、129と、を備え、
前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122は、前記加熱室113の1つの右側壁面又は左側壁面に沿って配置され、かつマイクロ波発生源122の発振部122Aが当該加熱室113の背面側に突出するように横向きに設置され、
前記加熱室113の背面側には、前記マイクロ波発生源122からのマイクロ波が導入されるアンテナケース124を設け、
前記アンテナケース124内には、前記マイクロ波発生源122から発振されたマイクロ波を、前記加熱室113の背面に設けた給電口180を介して当該加熱室113内の空間へ伝搬させるための、回動されるアンテナ125を配置し、
前記誘導加熱源17、前記マイクロ波加熱装120、前記オーブン加熱装置140及び前記冷却ファン128、129は、前記上部ユニット100側にある統合制御装置MCによって運転が制御されることを特徴とする構成である。
この特徴7の構成のため、加熱室113の1つの側壁面(右側面)から背面側の空間に、マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発振器(マグネトロン122)とアンテナケース124と、を一連にした形態で設置でき、狭い内部空間の下部ユニット200の中にこれら装置を内蔵させることができる。
さらに前記誘導加熱源17を制御する統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱装置120、オーブン加熱装置140、第3冷却ファン128及び第4冷却ファン129も、集中して制御しているので、各加熱源の連携が確実に実行されるビルトイン式複合型加熱調理器1を提供できる。
特徴8.
被加熱物が載置されるトッププレート15を介して前記被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100の下方に設置され、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113を備えた下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記上部ユニット100から電力の供給を受け、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を備え、
前記マイクロ波加熱装置120は、マイクロ波加熱制御部130と、マイクロ波発生源122と、前記マイクロ波発生源122に高周波電力を供給するインバーター回路基板121と、を備え、
前記オーブン加熱装置140は、加熱室制御部159を備え、
前記マイクロ波発生源122と前記第1のインバーター回路基板121とは、前記加熱室113の1つの側壁面に沿って、かつ前後方向に離れて配置され、
前記第1のインバーター回路基板121の下方と、前記マイクロ波発生源122の放熱部122Hの下方には、前記下部ユニット200の外部から、それぞれ外気を吸引し、当該空気を前記インバーター回路基板121と前記放熱部122Hに個別に供給する冷却ファン(冷却ファンA)128と、冷却ファン(冷却ファンB)129とを、それぞれ配置した構成である。
この特徴8の構成のため、加熱室113の1つの側壁面(右側面)にマイクロ波加熱装置120のマイクロ波発振器(マグネトロン122)とインバーター回路基板121と、を集約させて、狭い内部空間の下部ユニット200の中に内蔵させることができる。
特徴9.
本体ケースHCは、仕切り壁16Sによって上部空間300Aと下部空間300Bとに区画され、
前記上部空間300Aには、加熱源を選択する入力操作部40と、この入力操作部からの入力信号を受ける統合制御装置MCとを、更に有し、
前記入力操作部40は、前記右加熱部17HRの動作条件を指定する右操作部40Rと、前記左加熱部17HLの動作条件を指定する左操作部40Lと、前記オーブン加熱源及び前記マイクロ波加熱源の双方の動作条件を指定する中央操作部40Mと、を備えており、
前記入力操作部40の下方には、第2冷却ファン61によって前記第1の吸気口164(通気孔64)から第1冷却ファン61によって前記上部空間300Aの内部に導入された外気が通過する構成のビルトイン式複合型加熱調理器である。
この構成によれば、前記オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の双方に中央操作部40Mを利用するため、狭い設置空間であっても中央操作部40Mにおける入力キー等の操作面積を確保できる。
更に、その入力操作部40の下方に外気が通過するので、入力操作部40を構成する電気部品類の過熱や、それに起因する故障や損傷等が防止できる。
なお、仕切り壁16Sを金属製にすれば、下部空間300Bでマイクロ波の漏洩や電磁ノイズの発生があった場合でも、上部空間300A側への伝搬を抑制でき、上部空間300Aの制御部分、例えば統合制御装置MCへの悪影響を防止できるなどのメリットがある。
その他特徴点.
実施の形態1の構成においては、以下の通り各種の実用的効果、メリットが期待できる。
(1)マイクロ波加熱装置120を構成するケースA150とケースB151を、図8に示しているように前後方向に一直線上に並べ、かつ互いに接触するように隣接すると、2つの独立した冷却風RF5、RF6を案内する構造が簡単に、かつコンパクトに実現できる。
(2)第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、図8に示しているように前後方向に一直線上に並べ、かつ隣接させると、2つの独立した冷却風RF5、RF6を案内する構造が簡単に、かつコンパクトに実現できる。
(3)マイクロ波加熱装置120を構成するケースA150とケースB151、マグネトロン122、ドア114の閉鎖検知部139のラッチスイッチ132A、ドアスイッチ132B等の重要な部品を、加熱室113の右側側方に集約させているので、これら部品の点検や修理が必要になった場合、下部ケース101の右側だけで対応でき、便利である。例えば、下部ケース101の右側外殻を構成している側方垂直壁101Rを取り外せば、上記各部品の全体が露出し、保守点検等の作業性を容易に行える。
(4)前記本体ケースHCの内部には、加熱室113よりも上部に、当該加熱室113を加熱するオーブン加熱源188を、更に備え、前記下部ユニット200の内部に形成された(マイクロ波加熱源189用の)下部風路は、途中で分岐して前記加熱室113の内部を経由する内部経路と、前記加熱室113の外部を通過する外部経路とを、それぞれ有し、前記外部経路は、前記オーブン加熱源113よりも上方で、かつ前記仕切り壁16Sの下方に配置されている。このため、加熱室113がオーブン加熱調理時に高熱になっても、その熱が仕切り壁16Sに伝わることを抑制できる。これによって上部ユニット100に内蔵されたインバーター回路基板80等の温度上昇を招く不安もない。
実施の形態2.
図42は、実施の形態2に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すもので、加熱調理器が厨房家具に支持されている部分の一部を示す縦断面図である。この図では、2つの構造を示している。なお、図1〜図41に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態2では、加熱調理器1の支持構造を変更した点に特徴がある。
図42(A)の構造について説明する。
304は、支持金具である。この支持金具304は、例えば金属製の板をプレス成形して、垂直部304Vと、この垂直部304Vの上端部から直角に曲がって水平方向に伸びる水平部(フランジ部)304Hと、を一体に形成している。
加熱調理器1の下部ケース101の少なくとも左右両側面と、背面側の3個所には前記支持金具304の垂直部がネジ(図示せず)やスポット溶接によって固定されている。なお、支持金具304は、厨房家具2に設置する前に、下部ケース101に固定しておく。
図42(A)は、下部ケース101の後壁面(後方垂直壁)101Bと、上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に、前記支持金具304を介在させた例である。
以上の構成であるため、厨房家具2の設置口2に加熱調理器1を挿入すると、最終的には図42(A)に示しているように支持金具304の水平部304Hが厨房家具2の口縁部上面に載った状態になり、厨房家具2に支持される。
また、上部ユニット100側のトッププレート15についても、補強板22によって下方から支持されており、その補強板22が前記支持金具304の上面に載った形になる。なお、上部ケース16は、下部ケース101とネジ等で固定されて一体化されているので、前記支持金具304によって重量が支えられる。
次に図42(B)の構造について説明する。
この図42(B)の構造では、前記支持金具304を設置する箇所の下部ケース101の後壁面(後方垂直壁)101Bと、上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に、スペーサー310を設置している。その他の構成は、図42(A)と同じである。
前記スペーサー310は、例えば弾力性のあるシリコンゴムの板(厚さ1mm)等が用いられている。このスペーサー310は、例えば、事前に後方垂直壁16Bの外側面に接着によって固定してある。なお、シリコンゴム製ではなく、プラスッチック性の薄板でも良い。
以上の構成であるため、この図42(B)の構造においても、厨房家具2の設置口2に加熱調理器1を挿入すると、最終的には図42(B)に示しているように支持金具304の水平部304Hが厨房家具2の口縁部上面に載った状態になり、厨房家具2に支持される。また、上部ケース16と下部ケース101の両者を、前記スペーサー310を介在させた状態で、ネジ等によって締結するため、その締結によって上部ケース16、下部ケース101及びスペーサー310の3者が、重なり合った状態で一体化される。そのため、箱型の本体ケースHCの強度が向上する。
以上のように、この実施の形態2では、実施の形態1と異なり、下部ケース101が上部ケース16を支えて厨房家具2の上面に載置している。
この実施の形態2の構成によれば、例えば下部ケース101よりも板厚の厚い金属板を用いて機械的強度の高い支持金具304を用意すれば、上部ケース16と下部ケース101を一括して支持金具で直接厨房家具2に載置でき、堅固な設置状態となる。
なお、実施の形態1で説明したような効果を奏することができる。
実施の形態3.
図43〜図50は、本発明の実施の形態3に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すものである。図43は、ドアを閉じた状態で示す加熱調理器の斜視図である。図44は、図43に示す加熱調理器において、ドアを開放した状態を示す斜視図である。図45は、図43の加熱調理器において、トッププレートを取り外した状態の上部ユニットの斜視図である。図46は、図43の加熱調理器において、トッププレート15とIHコイルを取り外した状態の上部ユニット100の斜視図である。図47は、図43に示す加熱調理器において、トッププレート15、IHコイル及びカバー70を取り外した状態の上部ユニット100の斜視図である。図48は、図43の加熱調理器において、冷却風の流れを示した参考斜視図である。図49は、図43に示した加熱調理器の、上部ユニットの底面(下面)図である。図50は、図43に示す加熱調理器の全体の機能を説明するブロック図である。なお、図1〜図41に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態3では、加熱調理器1の外気の吸入口を増設(変更)し、また制御関係の構成も変更した点が、実施の形態1と大きく異なる。
実施の形態1と特に異なる点を中心に、各図面を参照しながら説明する。まず、図43について説明する。
図43において、118は、上部ユニット100と下部ユニット200を一体化するための連結部材であり、補強の目的もあるので、「補強部材」とも呼ぶ場合がある。
連結部材118は、下部ユニット200の右側面から下面、更に左側面を一連に覆う形状を有している。すなわち、118Rは、下部ユニット200の前方部の右側面に密着状態に重なり、かつ、その右側面に固定される右垂直部である。
連結部材118には、図示していないが、下部ユニット200の前方部の左側面に密着状態に重なり、固定される左垂直部118Lと、前記右垂直部118Rと左垂直部118Lに一連に形成されている中央平坦部118Mとを、更に有している。その中央平坦部118Mは、下部ケース101の前方部の底板101Uの下面に密着状態に重なって固定されている。そのため、ヒンジ部176の取付部分は、ドア114の開閉時の荷重等を受けても、湾曲等の変形を生じない堅牢な構造になっている。そして、結果的にドア114の開閉時の支持が確実にできる。このため、長期間使用しても、加熱室114の開口部114Aの前面周囲部分に密着して、開口部114Aを確実に閉鎖でき、電波漏れのない安全性の高い加熱調理器を実現している。
前記連結部材118は、1枚の金属製薄板(例えば、板厚1mm)をプレス加工して、前記右垂直部118R(図示せず)、中央平坦部118M(図示せず)及び右垂直部118Lを一体に形成している。
図43、図44において、101RPは、下部ケース101の側方垂直壁101Rに一体に形成した凸部である。この凸部は、下部ケース101の内側から外側方向へ側方垂直壁101Rをプレス加工することによって形成されており、側方垂直壁101Rの機械的強度アップを目的にしたものである。同様に下部ケース101の左側にある側方垂直壁101Lも、一定の面積を外側に突出させて凸部101LP(図示せず)を形成している。
116は、ドア114を水平状態に支えるとともに、ドア114を閉じる際にドア閉鎖方向に引っ張る金属製のアームである。このアーム116は、下ケース101の前板101Fに形成された透孔(ガイド孔)117に案内されて、その透孔117を前後方向に移動する。なお、アーム116を利用した高周波加熱装置のドア構造は、例えば、特開2002−39541号公報、特開2010−181106号公報及び特開2007−218544号公報等で紹介されているので、詳しい説明は省略する。
図44において、176は、左右に1対設けたヒンジであり、前記ドア114と下部ケース101の底板101Uとの双方に固定されている。これにより、ドア114を下部ケース101に回動自在に支持している。なお、ヒンジ176は、前記連結部材(補強部材)118と底板101Uとの間にサンドイッチ状態で、複数個所の固定具(ボルトとナットの組合せ、またはネジ等)により固定されている。
以上の構造により、ドア114はヒンジ176を支点として開閉する。なお、前記した左右一対のアーム116は、前記透孔117の裏側下方に回転自在に設けたローラー(図示せず)又は滑動部材(図示せず)によって下方から支持されており、ドア114の開閉時には、アーム116は当該ローラー又は滑動部材の上面に接しながら前後に移動する。
112は、下部ユニット200の前面の左右両側に設けた前カバーであり、プレスチック製又は金属製である。
前記前カバー112は、左右対称形状であり、それぞれが下部ケース101の横幅よりも左右に大きく張り出して下部ケース101に固定されている。この前カバー112は、加熱調理器1を厨房家具2に設置した場合、その厨房家具2との隙間(右側空隙301Rと、左側空隙301L)の前方全体を、可能な限り覆うことで、前方から目視した場合、それら空隙301R、301Lが目立たないようにする役目を果たすものである。
198は、金属製の支持金具であり、下部ケース101の横幅全体に及ぶ長さを有している。そしてこの支持金具198は、下部ケース101の前方水平壁101Tにネジ186で固定されている。
図44において、145は、前記加熱室113の内部において使用される専用の受け皿であり、耐熱性の高いプラスチックや磁器、ガラス等で形成されている。この受け皿145は、加熱室113の開口113Aから出し入れ自在となるような外形寸法を有している。
前記受け皿145の上には、通常は磁器や耐熱性の高い材料で形成された食器を置いて、その食器の中に入れた食材をマイクロ波で加熱調理する。しかし、マイクロ波加熱を使用しない場合には、前記食器は、金属製でも良い。例えば、トッププレート15の上で、フライパン(図示せず)等の磁性金属製の調理器具を置き、この調理器具の上で食品(例えば、ハンバーグ)をある程度だけ誘導加熱し、その後その調理器具を加熱室113の中に移動させ、上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bによって、更に加熱を加えて調理を完成させても良い(これは、連携調理の1種である)。
図43と図44において、152S1と152S2は、多数の小孔から構成される補助吸気口であり、前記下部ケース101の右側面を構成している側方垂直壁101Rの下端部に設けてある。
前記補助吸気口152S1は、インバーター回路基板121を外気で冷却するための吸気口(第2の吸気口)152Fの補助吸気口である。
同じく補助吸気口152S2は、マグネトロン122の放熱部122Hを外気で冷却するための吸気口(第2の吸気口)152Bの補助吸気口である。なお、これら補助吸気口152S1、152S2の最大口径は、マイクロ波の漏洩防止効果も考慮して、3mm程度である。
マイクロ波加熱源189のインバーター回路基板121を外気で冷却するため第3冷却ファン(冷却ファンA)128の吸込口は、図示していないが、前記補助吸気口152S1の近傍に位置している。同様に、マグネトロン122の放熱部122Hを外気で冷却するための第4冷却ファン(冷却ファンB)129の吸込口も、補助吸気口152S2の近傍に配置してある。
図45は、トッププレート15を外した状態を示している。この図45において、30Wは、表示窓であり、ホルダー50において前記統合表示部30に対応した位置に形成している。
31LW、31RWは、それぞれ表示窓である。この表示窓は、ホルダー50において前記左側表示部31Lと右側表示部31Rに、それぞれ対応した位置に形成している。
56は、チョークコイルであり、フィルター回路基板54の中の重要な電気部品の1つである。17Cは、コイルベース(コイル支持枠)であり、2つのIHコイル17L、17Rを上面に載置している。
左側のIHコイル17Lは、最大外形寸法(直径)が236mmである。これにより、大きな鍋やフライパン等の被加熱物にも対応できる。なお、右側のIHコイル17Rは、実施の形態1と同じで、直径168mmである。
コイルベース17Cは、耐熱性の高いプラスチック材料で一体に形成されている。またコイルベース17Cは、IHコイル17L、17Rの形状に合わせて、全体が円形であるが、中心部から放射状に伸びる腕17CHを複数本備えている。この実施の形態3では、腕17CHは8本である。各腕17CHの間には大きな通風空間となる空隙が形成されている。
17Fは、隣り合う2つの腕17CHの間に、1本ずつ設置されたフェライト板である。左側のIHコイル17Lにおいて、TS3は、サーミスタのような接触型の温度センサーである。
1つの温度センサーTS3は、IHコイル17Lの中心部に設置されている。他の2つの温度センサーTS3は、IHコイル17Lの中心部から少し離れて、その外側位置にそれぞれ設置してある。
TS5は、赤外線センサーのような非接触型温度センサーである。右側のIHコイル17Rにおいて、TS4は、サーミスタのような接触型の温度センサーである。1つの温度センサーTS4は、IHコイル17Rの中心部に設置されている。他の2つの温度センサーTS4は、IHコイル17Rの中心部から少し離れて、その外側位置にそれぞれ設置してある。
TS6は、赤外線センサーのような非接触型の温度センサーである。これら各温度センサーTS3〜TS6からの計測データは、温度検出回路(温度検出処理部)93に入力される。
図45において、66は、アルミニウム等の金属製の防磁リングであり、前記コイルベース(コイル支持枠)17Cを囲むように、当該コイルベース17Cに固定されている。
41Rは、実施の形態1の操作基板41に相当する右側タッチキー基板である。41Lは、同じく操作基板41に相当する右側操作基板である。これら2つのタッチキー基板41L、41Rも前記ホルダー50の上面部に支持されている。
図46において、57は、トランスであり、電源回路基板55の中の重要な電気部品の1つである。この図46では、カバー70の左側端部を横幅寸法W11の範囲で切欠いている。この切欠いている部分には、IHコイル17L側のコイルベース17Cに支持された温度センサーTS5が配置される。つまり、当該温度センサーTS5とカバー70が接触しないように切欠いている。
次に図47について説明する。58は、コンデンサーであり、インバーター回路基板80の中の重要な電気部品の1つである。
この図47から明らかなように、アルミ製のヒートシンク82は、左右に2個(2列)で、前後に2つあるため、合計で4つある。4つのヒートシンク82は、前後で2個ずつが近接して向かい合うように設置してある。59は、1つのヒートシンク82に取り付けたダイオードブリッジ回路(ダイオードモジュール)である。ダイオードブリッジ回路(ダイオードモジュール)59は、動作時に発生する熱が、ヒートシンク82によって放熱され、過熱状態にならない。
図47から明らかなように、第1冷却ファン60の吹出口60Aと、前記ヒートシンク82との間は、50〜100mm程度の距離LDだけ離れている。
次に図49は、上部ユニット100の底面(下面)図である。D5は、上部ユニット100の前後方向最大幅寸法であり、432mmである。W4は、上部ユニット100の左右方向最大幅寸法であり、544mmである。
前記下部ケース101の上部開口の縦横寸法(内側最大縦横寸法)は、上記した上部ケース16の前後方向最大幅寸法D5と、左右方向最大幅寸法W4とを考慮し、この上部ケース16が内側に嵌るような大きさに設定されている。
以上の構成であるから、上部ユニット100において誘導加熱調理を行った場合には、図48に太い矢印で示すように、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61から吹き出された冷却風RF1、RF2、RF3、RF4によって、インバーター回路基板80、入力操作部40、電源回路基板55、及びフィルター回路基板54が、それぞれ冷却される。
次に図50について説明する。
図50において、破線で示す矢印は、制御用の指令信号を示している。
この本発明の実施の形態3を示す加熱調理器1では、マイクロコンピューターを主体にした制御装置が、合計6つある。この点が実施の形態1と大きく異なる個所である。
前記した6つの制御装置の中で、加熱調理器1の全体の制御を司るものが統合制御装置MCである。この統合制御装置MCからの指令を受けて、誘導加熱調理を制御するのは、IH制御部90である。またマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の双方を制御するのが、制御装置105である。この制御装置105は、実施の形態1で説明した加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130を集合させたものである。
前記した2つの制御装置90、105は、統合制御装置MCに指令に従って規定の制御を行い、処理結果を統合制御装置MCへ返信するため、スレーブ(SLAVE)マイコンと呼ばれる場合がある。この場合、前記統合制御装置MCは、マスターマイコンと呼ばれる。
前記した6つの制御装置の中の、残りの3つについて以下説明する。
まず1つ目は、入力操作部40において、右操作部40Rに配置された右側のタッチキー群の入力と、表示部31Rの表示を処理する右側入力制御装置23である。この右側入力制御装置23は、更に中央操作部40Mのタッチキー群の入力と統合表示部30の表示を処理する。
2つ目は、左操作部40Lに配置された、左側のタッチキー群の入力と表示部31Lの表示を処理する左側入力制御装置24である。
3つ目は、電源スイッチ制御装置28である。
電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40に配置された主電源スイッチ97の操作ボタン(操作部)98の操作を検知して電源のON−OFFを決めるものである。
図50において、106Aは、商用(交流)電源99に接続されたプラグである。電圧200V、50Hz又は60Hzの電力は、電源コード106を介してフィルター回路基板54まで導かれる。なお、フィルター回路基板54は、上部ユニット100に内蔵されている。
フィルター回路基板54には、加熱調理器1の主電源をON−OFFするメインリレー107と、サブリレー(図示せず)を有している。図50には、メインリレーだけを模式的に記載している。
前記メインリレー107は、加熱調理器1の全体の制御を司る統合制御装置MCから、所定のリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。なお、サブリレーは、後述するように、電源スイッチ制御装置28からのリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。電源スイッチ制御装置28は、主電源スイッチ97の操作ボタン98の操作を検知して電源のON−OFFを決める機能を有している。これらメインリレー107とサブリレーによって主電源スイッチ97が構成されている。
前記統合制御装置MCは、前記IH制御部90と、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28からの動作情報を常に取得し、それらを統合して処理を決定し、制御する。
前記統合制御装置MCは、前記中央操作部40Mと、統合表示部30の表示動作と、音声合成装置95及び無線通信部49を制御するものである。この統合制御装置MCと、右側入力制御装置23及び電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40を構成する中央操作基板32に取り付けられている。
前記中央操作基板32は、右側操作基板32Rと左側操作基板32Lから構成されており、右側操作基板32Rに、統合制御装置MCと、右側入力制御装置23及び右側表示部31Rを実装している。2つの操作基板32L、32Lは、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。左側操作基板32Lには、左側入力制御装置24と左側表示部31Lを実装している(図50参照)。なお、右側操作基板32Rと左側操作基板32Lは、前記ホルダー50の下面側に装着されているので、図45〜図48では表示さていない。
前記中央操作基板32の上方で、前記ホルダー50前方位置には、各種のタッチ式入力キーを実装したタッチキー基板(操作基板)41L、41Rが設置されている。
55は、フィルター回路54から、商用電源の電力が供給される電源回路基板であり、図50に示すように、整流回路33を経由して電力が印加される電源回路A34と、整流回路35を経由して電力が印加される電源回路B36、とを備えている。この2つの電源回路A34と電源回路B36により、電圧200Vの電力は、例えば24V、18V、6V、5V等のような、低い電圧の直流に変換される。
前記した5Vの電力は、前記統合制御装置MC、前記IH制御部90、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28の電源として供給される。
また、6Vの電力は、統合表示部30、右表示部31R、左表示部31Rの電源(バックライト電源含む)として使用される。
電源回路基板55は、上部ユニット100に設置されており、上記したように、その電源回路A34と、電源回路B36で生成された電力は、上部ユニット100の中の制御や表示部の電源として使用されている。
80は、上部ユニット100の内部に設置されている誘導加熱源9のインバーター回路基板である。
このインバーター回路基板80には、直流電源部75Rを備えた右側のインバーター回路81Rと、別の直流電源部75Lを備えた左側のインバーター回路81L、を備えている。
前記フィルター回路54から、インバーター回路基板80には200Vの電圧の交流電力が印加される。90は、誘導加熱の制御全般を司るIH制御部であり、マイクロコンピューターを主体にして構成されている。
前記IH制御部90は、インバーター回路81L、81Rの中のIGBT79a、79bを駆動する駆動回路37L、37Rに駆動信号を発信する。2つの駆動回路37L、37Rは、前記電源回路A34、電源回路B36から供給された18Vの電力で動作し、IGBT79a、79を制御する。これによりインバーター回路81L、81Rの駆動周波数が制御される。
例えば、駆動回路A37Rは、電力用スイッチング素子83(半導体スイッチング素子)(IGBT79a、79b)の導通時間を検知し、導通時間を切り替えることにより、インバーター回路81Rの駆動周波数を低下させて火力を低下させ、又は逆に駆動周波数を上げて火力を上げる制御をする。これら駆動周波数の指令は、IH制御部90から出される。
77aは、インバーター回路81L、81Rの商用電源側に設置した入力電流検出部、77bは、インバーター回路81L、81Rの出力側の電力を検出する出力電流検出部である。
これら入力電流検出部77aと出力電流検出器77bの検出値は、前記IH制御部90に入力される。
誘導加熱調理時の初期段階では、IH制御部90が被加熱物の材質判定を行う。
例えば、ある駆動周波数から別の駆動周波数まで変更させた時に、前記入力電流値の変化を見て、鍋等の被加熱物の材質が、磁性金属であるか、非磁性ステンレス、アルミニウム等と判別し、前記スイッチング素子(IGBT)79a、79bの駆動周波数を適正な値に自動調整する。そして、被加熱物の材質を非磁性ステンレスと判別した場合は、鉄と判別した場合の駆動周波数(例えば、23KHz)よりも高い駆動周波数(例えば31kHz)で駆動させる。
TS5、TS6は、IHコイル17L、17Rの空隙部に設置した非接触形温度センサー、TS3、TS4は、IHコイル17L、17Rの中心部に設置した接触形温度センサーである。また、TS8、TS9は、インバーター回路基板80のヒートシンク82に設置した接触形温度センサーである。これら各温度センサーの温度検出データは、統合制御装置MCに入力される。
実施の形態1では、温度検出回路93を備えていたが、この実施の形態3では、そのようなハードウエア形式での温度検出回路93を備えていない。統合制御装置MCの中のソフトウエア(温度検出処理部)によって温度検知や温度比較、異常有無等の処理が実行される。
131は、ドア開閉検知機構である。このドア開閉検知機構131は、ドア114の開閉動作に応じて開閉される1つのスイッチと、そのスイッチが正しく開閉していることを検知するモニタースイッチとを備えている。この点は、実施の形態1で説明したものと同じである。
120Pは、マイクロ波加熱装置120の電源回路部であり、フィルター回路54から供給される商用電圧(200V)の電力から、低電圧(例えば24Vと5V)の電源となる交流電力を生成する。
電圧5Vの電力は、前記制御装置105の電源として供給され、また24Vの電力は、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の駆動回路177に対して、それぞれ供給される。なお、図50には示していないが、アンテナ駆動用モータ126の駆動電源には、200Vの電力が供給される。
加熱室113を加熱する上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、前記制御装置105によってリレー178A、178Bが開閉されることで通電が制御される。なお、前記リレー178A、178Bは、細かい通電率制御ができるような半導体スイッチング素子を使用しても良いが、この実施の形態2では、ON−OFF制御するだけであるので、リレーを採用している。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bには、商用電源と同じ200Vの電圧が加わり、動作する。
132Mは、ドア開閉検知機構131の一部を構成するドア開放検知スイッチである。このスイッチ自体は、前記ドア開閉検知機構131の内部に設置してあるが、この図50では、開閉信号が制御装置105に入力されることを示すために、別の位置に描いている。
160は、加熱室113の中の食品等の温度を計測する赤外線センサー、TS1は、前記マイクロ波加熱装置120のマグネトロン122の温度を計測する接触式センサーである。これらセンサー160、TS1の温度検出データは、全て制御装置105に入力される。
121Aは、マグネトロン122に高周波電力を供給するインバーター回路であり、電源側回路に挿入されたリレー182によって発振が制御される。前記リレー182の開閉は、前記制御装置105によって行う。
60P、61Pは、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61をそれぞれ駆動する駆動回路である。この駆動回路60P、61Pは、前記IH制御部90の指令を受けて動作する。
この図50では、統合表示部30や入力操作部40の温度を監視する温度センサーを図示していないが、実際にはそのような温度センサーを設置し、加熱調理中において、常に(一定時間毎に)温度計測データを統合制御装置MCが取得して、異常な温度にならないように監視している。
以上のようにこの実施の形態3の加熱調理器1は構成されているので、加熱調理を開始する場合には、最初に主電源スイッチ97を入れるために、入力操作部40の操作キー98を例えば数秒間押し続けると、この操作を電源スイッチ制御装置28が検知し、フィルター回路基板54の中にあるメインリレー107を閉じる。
このため、フィルター回路基板54から電源回路基板55に商用電源の電力が供給される。そして電源回路基板55の電源回路A34と電源回路B36によって、所定の電圧の電源が生成され、統合制御装置MCに印加される。
統合制御装置MCは、起動されると最初に加熱動作開始前の初期の自己診断を行い、異常が発生していないことを確認する。また、統合表示部30を起動し、初期情報を表示する。
この状態で、マイクロ波加熱装置120を使用するために、ユーザーが加熱室113のドア114を開けると、ドア開閉検知機構131がドア114の開放を示す信号を、制御装置105に送信する。このため、制御装置105は、ドア114の開放を示す信号を統合制御装置MCへ送信する。統合制御装置MCは、ユーザーがマイクロ波加熱調理を行うものと推定して、統合表示部30にマイクロ波加熱を開始するための必要な情報を表示し、加熱開始のための入力を促す。
ユーザーが、食品等を加熱室113に入れてドア114を閉めると、再びドア開閉検知機構131がドア114の閉鎖を示す検知信号を、前記制御装置105を経由して統合制御装置MCに送信する。そのため、この状態で入力操作部40から加熱開始の指令が行われると、右側入力制御装置23は、マイクロ波加熱用の入力キーのタッチ入力有無を検知する。このため、右側入力制御装置23から統合制御装置MCに加熱開始指令を示す信号が送信される。
実施の形態1で説明したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する制御メニューを「レンジグリル調理」と呼んでいた。この実施の形態3においても、レンジグリル調理では、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
一般に、耐熱性のプラスッチック容器や食器類に被調理物を入れてマイクロ波加熱を行うことが良く行われるが、このままの状態で、次に上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bを発熱させた場合、上記した容器等が高熱で焼損するおそれがある。
そこで、統合表示部30では、制御メニューの「レンジグリル(RG)」では、加熱室113の内部にプラスチック容器を入れて加熱しないよう警告した注意表示文を表示させた例である。つまり、「レンジグリル」という制御メニューの実行にあたり、この注意表示文は、実施の形態1で説明した「待機時共通情報」30Nの1種である
「あたため」(レンジ自動)の制御メニューでは、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度を検知して、目標温度に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、以前行った調理時の熱が残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことを統合制御装置MCで禁止している。
そこで、この実施の形態3では、「レンジ手動」の制御メニューを選ぶようにユーザーに報知している。「レンジ手動」は、マイクロ波加熱時間を設定して行うものであるので、加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度が高くても、何ら支障なく調理できる。そのような統合表示部30に表示した表示文も、実施の形態1で説明した「待機時共通情報」30Nの1種である。
ユーザーから加熱開始指令が入力操作部40を通じて行われると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱動作を制御する制御装置105に駆動指令を発信し、リレー182を閉じ、インバーター回路121Aを駆動してマイクロ波加熱を開始する。また同時に第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の駆動回路177A、177Bに運転指令信号を出して、それら2つの冷却ファン128、129の運転を開始する。さらに、図50には示していないが、アンテナ駆動用モータ126を駆動してアンテナ125を回動させる。これにより加熱室113の内部にはマイクロ波が導入され、食品を加熱調理する。
以上の説明から明らかなように、マイクロ波加熱調理を行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、「非平常時」でない限り、全く運転はされない。そのため、加熱調理器1全体の消費電力を少なく抑えることができる。
この実施の形態3の加熱調理器1は、
被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源9を制御する制御装置90と、前記マイクロ波加熱装置120とオーブン加熱装置140の両者を制御する制御装置105と、これら2つの制御装置(スレーブマイコン)90、105を統合制御する統合制御装置MC(マスターマイコン)MCと、を備え、
前記上部ユニット100には、商用電源99からの電力を受けるフィルター回路基板54と、前記フィルター回路基板54からの電力を規定の電源電圧に変換する電源回路(34,36)と、を備え、
前記制御装置105と制御装置90及び前記統合制御装置MCは、前記電源回路34、36で生成した低い電圧の電力が電源として供給され、
前記誘導加熱源17のインバーター回路81と、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122と、前記オーブン加熱装置140の上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bは、前記フィルター回路54と前記電源回路34、36との間から分配された電力(200V電源)が印加される構成である。
この構成により、加熱調理器1の全体の電源構成が簡略化され、また不要なノイズの伝搬等を抑制して確実な動作が期待できる。
また、この構成によれば、1つの加熱調理器において、誘導加熱と、マイクロ波加熱及びオーブン加熱の3種類の加熱が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
実施の形態3の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態3のビルトイン式複合型加熱調理器は、第1の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記トッププレート15の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記誘導加熱源9の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第1の吸気口164と、前記マイクロ波加熱源189の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第2の吸気口152及び補助吸気補助吸気口152S1、152S2とを、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置していた。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9を加熱する外気を導入する位置は、互いに離れた個所であるので、お互いの外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。また送風ファンの回転数が仮に同じとなった場合でも唸り音の発生も回避でき、運転音が静かな加熱調理器を提供できる。
また、この実施の形態3は、実施の形態1で実施していた第2の発明〜第5の発明と同等な効果を期待できる。
実施の形態4.
図51は、本発明の実施の形態4に係るビルトイン式複合型加熱調理器において、ドアを閉じた状態を示す斜視図であり、実施の形態1の図10に対応する図である。図52は、第1〜第4の冷却ファンの運転開始と終了の時間を示すタイムチャートである。なお、図1〜図41に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この図51に示した加熱調理器1では、下部ケース101の側方垂直壁101L、101Rの上端部には、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジ101Aを備えている。
そして、下部ケース101は、前記フランジ101Aを、厨房家具2の設置口2Aの口縁に載せている。326は、そのフランジ101Aの下方に介在させたゴム製のクッション材である。
この図51に示した加熱調理器1では、上部ユニット100の補強板22と飾り枠25の部分も、クッション材26を介して厨房家具2の上面に支持させている。つまり、この実施の形態4では、下部ケース101と上部ケース16の双方で、加熱調理器1の総重量を支える構造である。なお、下部ケース101と上部ケース16とは、ネジ等によって相互に連結されている。
上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の真上の位置まで、プラスチック又は金属製のカバー70を配置している。
上部ケース16には、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の直ぐ左側位置に、補助通気孔64Sを形成している。この補助通気孔64Sは、数mm程度の口径の小さな孔の集合体である。
一方、下部ケース101の上端部には、前記補助通気孔64Sと対応する位置に、その補助通気孔64Sと同等な大きさ(口径)の通気孔305を、同じ数だけ形成している。
図51では、前記第1冷却ファン60だけしか図示していないが、この第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、実施の形態1と同様に、全く同じ構造、同じ形状、同じ「定格仕様」である。そして、これら2つのファン60、61の回転翼(図示せず)の中心部にある回転軸60Tは、鉛直(垂直)方向に伸びている。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の回転翼(図示せず)を収容したファンケースの下方に、モータ60M(61M)を配置している。また、ファンケースの下面側の吸込口が形成されている。このため、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61が運転された際には、上部ケース16の底壁面に形成した通気孔64から外気が吸引されるとともに、前記前記補助通気孔64Sからも外気が直接上部ユニット100の内部へ導入される。
図52について説明する。図52に示すように、第1〜第4の冷却ファン60、61、128、129の運転開始は、基本的には加熱調理の開始時と同じタイミングである。
図52に示す実線の矢印は、運転開始から終了までの期間を示し、その実線に続いている破線の矢印は、以下説明する放熱のための追加運転時間を示すものである。なお、各冷却ファン60、61、128,129は、実際には、実線矢印の終わりで、一旦運転を停止することはなく、そのまま追加運転時間だけ運転が継続される。
この実施の形態4では、各冷却ファン60、61、128,129について、運転の開始から終了までの時間を次のように規定している。
第1冷却ファン60:誘導加熱動作が開始されたタイミングで運転開始され、終了した時刻を基準として最長10分間だけ「放熱運転」する。これはトッププレート15等の高熱部を冷却するためのである。誘導加熱時間の長さと、使用された最大火力(インバーター回路の消費電力)の大きさの「積」で決まる数値の大きさに応じて、「放熱運転の時間Th1」が、3分間、5分間、10分間の3段階の何れか1つが選定される。これはIH制御部90によって行われる。
第2冷却ファン61:第1冷却ファン60の運転に同期して「放熱運転の時間Th2」が決定される。これはIH制御部90からの運転開始指令と運転終了指令によって行われる。なお、運転開始は、第1冷却ファン60と同じタイミングである。
第4冷却ファン129:
(1)マイクロ波加熱調理の場合:マイクロ波加熱動作が終了した時刻を基準として3分間だけ「放熱運転」する。つまり、この「放熱運転の時間Tm2」は、3分間で固定されている。これはマイクロ波加熱制御部130によって行われる。
(2)オーブン加熱調理の場合:上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの何れか一方又は両方による動作が終了した直後から、10秒置きに加熱室113の温度を計測し、加熱室113の壁面温度が一定温度以下に下がるまで運転される。つまり、「放熱運転の時間To2」は、その時々に変化する。
加熱室113の温度の計測は、温度センサーTS2と、温度センサー160の、少なくとも何れか一方によって一定時間毎に繰り返し行われるが、加熱室113の壁面の外側温度を、接触によって計測するサーミスタ式温度センサー等を追加しても良い。全ての温度計測データは加熱室制御部159に送信される。最終的には、マイクロ波加熱制御部130まで温度計測データは送信され、第4冷却ファン129への運転終了指令が出るまで、当該第4の冷却ファン129は運転を継続する。
第3冷却ファン128:
(1)マイクロ波加熱調理の場合:「放熱運転の時間To1」は、第4冷却ファン129と同じである。また、運転開始と終了の制御は、第4冷却ファン129と同じく、マイクロ波加熱制御部130によって行われる。
(2)オーブン加熱調理の場合:上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの何れか一方又は両方による動作が終了した直後から、10秒置きに加熱室113の温度を計測し、加熱室113の壁面温度が一定温度以下に下がるまで運転される。
温度の計測は、赤外線を利用して非接触で計測する温度センサー160によって行われる。温度計測データは加熱室制御部159に送信される。最終的には、マイクロ波加熱制御部130まで温度計測データは送信され、第3冷却ファン128への運転終了指令が出るまで、当該第3の冷却ファン128は運転を継続する。
図52から分かるように、オーブン加熱調理の場合には、第3冷却ファン128の「放熱運転の時間To1」よりも第4冷却ファン129の「放熱運転の時間To2」が長い場合がある。これは、第4冷却ファン129が実施の形態1(図23)で説明したように、加熱室113の内部に直接冷却風を供給するファンであるからである。つまり、1回オーブン調理をした場合、実施の形態1(図25)で説明した制御メニューの「オーブン」では、最長で60分間、加熱室113が連続加熱される。
そのため、加熱室113全体は高温(例えば200℃)になる。従って、このような加熱室113を冷却するには時間を要するからである。
仮に、加熱室113の温度を下げておかないと、次に直ぐにマイクロ波加熱調理をする場合、最初から加熱室113が高い場面が想定される。
加熱室113の温度が高すぎると、マイクロ波加熱源189を使用して、実施の形態1で説明したような「あたため」の調理はできないことになる。なぜならば、当該「あたため」の制御メニューは、食品が加熱されて、例えば80℃(デフォルト値)になった時点で自動的にマイクロ波の照射が停止する制御を採用しているからである。そのため、ユーザーの混乱を招かないようにするためには、例えば最初から加熱室113が80℃以上の温度になっている場合、エラー処理にして、加熱調理を受け付けないようにする必要がある。
この実施の形態4では、実施の形態1の制御メニューと、前記第1〜第4の冷却ファン60、61、128、129の運転時間(期間)との関係を、以下のように設定している。
すなわち、1つの制御メニューの中には、上述したような「放熱運転の時間Th1」、「放熱運転の時間Th2」、「放熱運転の時間To1」等の時間も、制御プログラムの中に含まれる。つまり、第1冷却ファン60〜第4冷却ファン129までの運転時間も、IH制御部90や制御装置105によって制御されるようにしている。
このため、1つの制御メニューを設定すると、その制御メニューに応じて、加熱動作終了後の放熱運転が終わるまでの一連の制御動作が確定する。逆に言えば、1つの制御メニューが終了するのは、関係する第1冷却ファン60〜第4冷却ファン129の運転終了した時点である。
以上の説明では、加熱調理時の冷却ファン60、61、128,129の送風量(送風能力)が一定であるとの前提で説明したが、加熱調理時は送風量を大きくし、放熱運転の際には送風量を小さくすること等の変更を行っても良い。また、下部ユニット200や上部ユニット100の内部の温度が高い時よりも、低い場合には送風量を小さくするような能力可変運転をしても良い。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4のビルトイン式複合型加熱調理器でも、第1の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記トッププレート15の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記誘導加熱源9の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第1の吸気口164及び補助通気孔64Sと、前記マイクロ波加熱源189の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第2の吸気口152とを、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置していた。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9を加熱する外気を導入する位置は、互いに離れた個所であるので、お互いの外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。また送風ファンの回転数が仮に同じとなった場合でも唸り音の発生も回避でき、運転音が静かな加熱調理器を提供できる。補助通気孔64Sを設けたことにより、外気を広い面積から吸引できるので、吸気口を通過する外気の速度を落とすことができ、風切り音を低くできるという副次的効果も期待できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4のビルトイン式複合型加熱調理器でも、第5の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
厨房家具2の内部に設置される本体ケースHC内部に、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記本体ケースの内部は、金属製の仕切り壁16Sを境にして上部空間300Aと下部空間300Bとに区画され、
前記上部空間300Aには、IHコイル17と、誘導加熱用インバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、マイクロ波発生源122と、マイクロ波加熱用インバーター回路基板121と、を収容し、
前記上部空間300Aには、前記下部空間300Bの外側に連通している通気孔64、164から上部冷却ファン60、61によって、前記下部空間300Bを経由せずに外気が導入される上部風路AHを有し、
前記下部空間300Bには、前記本体ケースHCの下部にある吸気口152F、152Bから下部冷却ファン128、129によって外気が導入される下部風路UHを有し、
前記下部風路UHには、前記マイクロ波加熱源189用のインバーター回路基板121を収容した第1の下部風路と、前記マイクロ波発生源122の放熱部122Hを配置した第2の下部風路と、を備えたことを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、上部空間300Aに収容されたIHコイル17や、インバーター回路基板80を冷却する動作と、下部空間300Bに収容されたマイクロ波発生源122や、マイクロ波加熱用インバーター回路基板121を冷却する動作とは、お互いに影響を受けず実行できるので、本体ケースHCの内部に過熱状態が発生する懸念もなく、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の両方を安定的に実施できる加熱調理器を提供できる。
またこの実施の形態4のビルトイン式複合型加熱調理器は、以下の特徴的な構成も備えていた。すなわち、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、前記IHコイル17、前記マイクロ波発生源122及び前記オーブン加熱源188のそれぞれの通電を制御する統合制御装置MCと、を更に備え
前記入力操作部40には、前記オーブン加熱源と前記マイクロ波加熱源を組み合わせて動作させるメニュー選択部を有し、
前記統合制御装置は、
(1)前記メニュー選択部によって、前記マイクロ波発生源122による加熱動作のみと前記オーブン加熱源のみの単独加熱動作の何れか1つを指定して、1つの制御メニューを実行している期間中、前記下部冷却ファンを運転し、かつ、前記上部冷却ファン60、61は運転せず、
(2)前記メニュー選択部によって、前記マイクロ波発生源122による加熱動作のみと前記オーブン加熱源による加熱動作のみを、順次自動的に実行させる動作を指定して、1つの制御メニュー(RG連続調理)を実行している期間中は、前記下部冷却ファンを運転し、かつ、前記上部冷却ファン60、61は運転せず、
(3)前記入力操作部40によって、前記IHコイル17による加熱動作のみを指定して、1つの制御メニューを実行している期間中、前記上部第1冷却ファン60、61を運転し、かつ、前記下部冷却ファン128、129は運転しない、ことを特徴とする構成である。
この構成によれば、ユーザーが1つの制御メニューを選定によって加熱調理を開始した場合、誘導加熱やマイクロ波加熱が終了した時点で、各種冷却ファン60、61、128、129の運転が一旦停止し、再度運転が開始されるというような事態を招くことなく、加熱調理から放熱運転のモードに円滑に移行する。
実施の形態5.
図53は、本発明の実施の形態5に係るビルトイン式複合型加熱調理器の簡略平面図である。図54は、図53に示す加熱調理器の要部簡略斜視図である。図55は、図53の加熱調理器の主要な冷却風路を示す説明図である。図56は、図53の加熱調理器における、第1〜第4の冷却ファンの運転開始と終了の時間を示すタイムチャートである。図57は、図53の加熱調理器で連携調理した場合における、第1〜第4の冷却ファンの運転開始と終了の時間を示すタイムチャートである。なお、図1〜図41に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
図53に示す加熱調理器1は、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあとの冷却風の全部又は一部分を、そのまま加熱室113の内部を経由せずに、加熱調理器1の外部へ放出するという構成にした点が、実施の形態1と大きく異なる。
図53の加熱調理器1は、誘導加熱部17Hが、左加熱部17HLと右加熱部17HRに加えて、中央加熱部17HMを備えている点が、実施の形態1と大きく異なる。なお、この中央加熱部17HMを設けたため、左加熱部17HLと右加熱部17HRの位置は、実施の形態1の場合よりも前方に少し移動している。
TS10は、接触型の温度センサーとしてサーミスタであり、前記中央IHコイル17Mの中心部の空洞の中に配置されている。この温度センサーTS10は、実施の形態1の温度センサーTS4と同じように、トッププレート15の下面に直接接触し、又は熱伝導性のある介在物を介してトッププレート15の下面に接触している。これにより、トッププレート15の温度を計測する。そして温度計測結果を示す信号を、前記IH制御部90に送信するようになっている。
17MSは、金属製の鍋などの被加熱物Nを載置する望ましい位置を示すためにトッププレート15の上面に印刷等で表示している円形の位置マークである。
中央加熱部17Mを構成する中央IHコイル17Mは、右加熱部17HRのインバーター回路81Rで駆動される。つまり、右側IHコイル17Rと中央IHコイル17Mは、IH制御部90によって制御される切替部(図示せず)によって、択一的に駆動されるようになっている。
中央操作部40Mには、中央加熱部17HMを選択できる入力キー(図示せず)を備えている。当該入力キーを操作すると、実施の形態1の図25で説明したように、統合表示部30にて制御メニューの1つである「中央ヒータ」を選択できる。これにより、中央加熱部17HMでの加熱動作を指定できる。
次に図54において、129は、第4冷却ファン(下部冷却ファンの1つ)であり、下部ケース101の底板101Uに形成された吸気口(第2の吸気口)152B(図示せず)の真上に設置されている。
前記吸気口152Bの真上には、前記マグネトロン122の放熱部122Hを収容した箱形形状のケースA151が設置されている。ケースA150の底面には、前記吸気口152Bよりも大きな開口150Hを形成している。
前記ケースAは、プラスッチック材料で全体が形成されている。
この実施の形態5では、下部ユニット200内部において、下部経路が以下のように構成されている。
内部経路1:第2の吸気口152Fから第3冷却ファン128で吸引された外気によってインバーター回路基板121を冷却する。その他は、実施の形態1と同じである。
内部経路2:第2の吸気口152Bから第4冷却ファン129で吸引された外気によって放熱部122Hを冷却する。
放熱部122Hを収容したケースB151の左側壁面で、かつ天井部に近い位置には、連通窓309を開口している。この連通窓309は、前記空隙GP5に連通しており、最終的には加熱室113の内部に連通している。
一方、ケースB151の後壁面で、かつ天井部に近い位置には、連通窓306を開口している。この連通窓306の外側には、後方に伸びる排気ダクト307が接続されている。なお、図54に示した排気ダクト307は、終端部307側に近づくに従って高くなるように全体が傾斜しているが、水平方向に伸びる形態でも良い。
この排気ダクト307の終端部307Eは、上部ユニット100の後部にある空隙GP1の右側端部まで伸びている。そしてその排気ダクト307の排気(出口)側終端部は、上部ユニット100側の上部空間300Aの中を貫通することなく、前記空隙GP1の中を貫通するように垂直方向に伸び、上面は開口している。
図54において、320は、実施の形態1の排気口20に対応した排気口であり、加熱調理器1から冷却風RF7を排出するものである。上部ユニット100の後部右側位置に配置されており、上部ユニット100の後部左側位置に配置されている排気口20(図示せず)とは、大きく離れている(図53参照)。
このように構成しているので、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した冷却風RF6は、その一部が実施の形態1のように加熱室113の中を経由して排気ダクト102に至る。
一方、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した冷却風の一部RF7は、加熱室113や前記排気ダクト102には至らず、放熱部122Hを冷却した直後に、ダクト307によって、直接加熱調理器1の外部へ放出することができる。つまり、外部に放出される過程では、上部ユニット100の上部風路AHの中の冷却風とは混合していない。
この実施の形態5では、上部ユニット100内部において、上部経路が以下のように構成されている。
通気孔64から第1冷却ファン60で吸引された外気によってインバーター回路基板80を冷却する。
同時に、第1冷却ファン60の吹出口60Aから出た冷却風RF1の一部は、副冷却風RF1Aとなって左側のIHコイル17Lを冷却する(図55参照)。
通気孔64から第2冷却ファン61で吸引された外気の一部は、吹出口61Aから、直ぐ上方にある左側IHコイル17Lに向かって移動し、副冷却風RF1Aとなって左側のIHコイル17Lを冷却する(図55参照)。
以上のように、この実施の形態5の構造では、放熱部122H以降の風路を2つに分岐しており、加熱室ダクト307を経由する風路とは別に、終端部307Eまでの長さを短縮化した風路を形成している。このため、放熱部122Hを冷却した後の冷却風RF7を、短い風路を経由して放出でき、風路抵抗を小さくできる。
実施の形態1との相違点は以上の通りである。このような変更にあたり、第3冷却ファン128と、第4冷却ファン129の送風能力を変更しても良い。具体的には、風路抵抗の大きさを考慮して、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却する第4冷却ファン129の送風能力を(第3冷却ファン128に比較して)小さなものに設定して、第4冷却ファン129の省電力化や、安価な冷却ファンへの切り替えができるようにしても良い。
なお、図示していないが、この実施の形態5においても、ケースA150には、実施の形態1で説明したような垂直部308を備えている。その垂直部に対応して、前記インバーター回路基板121が縦方向に設置されている。
この図53に示した実施の形態5の加熱調理器1では、実施の形態1の制御メニューの1つであった「RG調理」を、以下のように変更している。
すなわち、加熱室113を使用した調理に適する制御メニューの1つとして「RG連続調理」が設定されている。
また、1つの制御メニューの中には、実施の形態4で説明したように、「放熱運転の時間Th1」、「放熱運転の時間Th2」、「放熱運転の時間To1」等の時間も、制御プログラムの中に含まれる。つまり、第1冷却ファン60〜第4冷却ファン129までの運転時間も、制御されるようにしている。
前記「RG連続調理」は、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。次の2種類がある。
(1)マイクロ波加熱を先に一定時間だけ行い、その時間経過後、自動的に上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターン。
(2)80℃又はユーザーが設定した温度(但し、80℃〜100℃以下の中で、任意の1つの温度を設定可能)になるまでマイクロ波加熱を行い、その後、使用が予約されているオーブン加熱に自動的に切り替わり、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで設定された時間又はユーザーが設定した温度に至るまでの期間だけ加熱するパターン。
以上のように、「RG連続調理」はユーザーが途中で再度加熱調理開始の指令を与えなくとも、調理が進行するものであり、ユーザーが加熱調理器1の傍に常に居なくとも良いので、ユーザーの負担軽減になる。
RG連続調理の制御メニューでは、マイクロ波加熱時の火力値(ワット)は、ユーザーは選択できず、「弱め」、「強め」等の何れか1つを選択して加熱強度を選択できる。
このような「RG連続調理」は、入力操作部40の中央操作部40Mによって選択できる。
また、この「RG連続調理」において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の何れを先に行うかどうかをユーザーが選択できるように、前記中央操作部40Mには順番の選択キー(図示せず)を備えている。
図55に示すように、制御メニューとして、マイクロ波加熱を先に行う「RG連続調理」を選択した場合には、太い矢印で示す「1つの制御メニューの実行期間」のように、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、マイクロ波加熱動作を終えた後も、制御メニューの実行期間中は、運転が継続される。
一方、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転は、誘導加熱動作中は行われない。
このように、マイクロ波加熱を先に行う「RG連続調理」の場合には、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、一旦運転を停止することはなく、そのまま運転が継続される。
逆に、オーブン加熱を先に行う「RG連続調理」の場合には、オーブン加熱動作時に運転されていた第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、一旦運転を停止することはなく、そのまま運転が継続される。
このように、全ての冷却ファン60、61、128、129の運転が連携するのは、統合制御装置MCによって全体が制御されているからである。
次に図56に示したものは、実施の形態1でも説明した「連携調理」という制御メニューの1例を示すものである。
この「連携調理」では、1つの種類の加熱調理を終えた段階で、ユーザーが被調理物を移動させ、別の場所(例えば、加熱室113やトッププレート15の上)で、別の種類の加熱源で加熱するものである。途中で再度加熱調理開始の指令を与える必要があるが、少なくとも2つの加熱源を使用することが、制御メニューの選択段階で確定するものである。
図56に示す「連携調理」の制御メニューは、誘導加熱とマイクロ波加熱を利用する例である。
図56に示すように、誘導加熱調理をトッププレート15の上で行ったあと、マイクロ波加熱に移行するが、加熱室113の中に、トッププレート15の上で行った被調理物を移動させる必要がある。例えば、誘導加熱時は、フライパンや金属鍋等の被加熱物を使用しているが、そのまま加熱室113に移動すると、マイクロ波加熱には適さない。
そこで、「移行期間」TRという時間的猶予を与えるような形になっており、この移行期間は最大時間が統合制御装置MCによって事前に決定されている。
実施に形態1で説明したように、この実施の形態5においても、中央操作部40Mには、入力キー43KPを設けてある。このためこの入力キー43KPを押すと、統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dに、前記移行期間TRのデフォルト値が表示され、その後、その移行期間TRを、ユーザーが変更できる。なお、移行期間TRのデフォルト値は、例えば5分間が設定されている。ユーザーは、これを3分間〜15分間に変更できる。
移行期間TRを長く設定した場合、その期間中に、トッププレート15やインバーター回路基板80の温度が規定値(例えば、60℃)以下に低下した場合、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61が停止する場合もある。また、同様に、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129も停止する場合がある。
図56に示しているように、移行期間TR中に、準備が整った場合には、ユーザーが再度中央操作部40Mの入力キー43MSを操作すれば、後段の「マイクロ波加熱調理」を開始できる。
この図56で明らかなように、1つの制御メニュー(この場合は、「誘導加熱とマイクロ波加熱」の2つの連携)を行うと、その制御メニューの実行期間の終わりは、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の、何れかが運転停止するまでの遅い方の時点である。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態5のビルトイン式複合型加熱調理器でも、第5の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
厨房家具2の内部に設置される本体ケースHC内部に、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記本体ケースの内部は、金属製の仕切り壁16Sを境にして上部空間300Aと下部空間300Bとに区画され、
前記上部空間300Aには、IHコイル17と、誘導加熱用インバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、マイクロ波発生源122と、マイクロ波加熱用インバーター回路基板121と、を収容し、
前記上部空間300Aには、前記下部空間300Bの外側に連通している通気孔64、164から上部冷却ファン60、61によって、前記下部空間300Bを経由せずに外気が導入される上部風路AHを有し、
前記下部空間300Bには、前記本体ケースの下部にある吸気口152F、152Bから下部冷却ファン128、129によって外気が導入される下部風路UHを有し、
前記下部風路UHには、前記マイクロ波加熱源189用のインバーター回路基板121を収容した第1の下部風路と、前記マイクロ波発生源122の放熱部122Hを配置した第2の下部風路と、を備えたことを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、上部空間300Aに収容されたIHコイル17や、インバーター回路基板80を冷却する動作と、下部空間300Bに収容されたマイクロ波発生源122や、マイクロ波加熱用インバーター回路基板121を冷却する動作とは、お互いに影響を受けず実行できるので、本体ケースHCの内部に過熱状態が発生する懸念もなく、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の両方を安定的に実施できる加熱調理器を提供できる。
更に実施の形態5では、前記下部風路は、前記吸気口152Fの真上の位置で前記加熱室113の側壁面から離れて上下方向に伸びている垂直部308があり、前記マイクロ波加熱源188用のインバーター回路基板121は、前記垂直部308の中に、縦方向に収容されている構成である。
このような構成によれば、加熱されて高温になる加熱室113からインバーター回路基板121を遠くに離すことができ、狭い空間の本体ケースHCであっても、インバーター回路基板121の加熱を防止できる効果が高い。
更に、前記マイクロ波加熱用インバーター回路基板121は、前記垂直部308の中で、前記本体ケースHCの側壁面に近い側に設置してある。つまり、下部ケース101の右側の側方垂直壁101Rに近い側にある。
このため、高温になる加熱室113からインバーター回路基板121を最も遠くに離すことができ、狭い空間の本体ケースHCであっても、インバーター回路基板121の加熱を防止できる効果が高い。
なお、この実施の形態5においても、第1の発明を実施しており、実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
更に、この実施の形態5においては、
本体ケースHCは、仕切り壁16Sによって上部空間300Aと下部空間300Bに区画され、
前記上部空間300Aには、加熱源を選択する入力操作部40と、この入力操作部からの入力信号を受ける統合制御装置MCとを、更に有し、
前記入力操作部40は、前記右加熱部17HRの動作条件を指定する右操作部40Rと、前記左加熱部17HLの動作条件を指定する左操作部40Lと、前記オーブン加熱源188、前記マイクロ波加熱源189及び前記中央加熱部17HMの3者の動作条件を指定する中央操作部40Mと、を備えており、
前記入力操作部の下方には、冷却ファン61によって前記第1の吸気口(通気孔164)から前記上部空間の内部に導入された外気が通過する構成のビルトイン式複合型加熱調理器である。
この構成によれば、前記オーブン加熱源188、マイクロ波加熱源189及び前記中央加熱部17HMの3者で、中央操作部40Mを利用するため、狭い設置空間のため前記本体ケースHCの大きさに制約があっても、中央操作部40Mにおける入力キー等の操作面積を確保できる。
更に、その入力操作部40Mの下方に外気が通過するので、入力操作部を構成する電気・電子部品類の過熱や、それに起因する故障や損傷等が防止できる。
なお、仕切り壁16Sを金属製にすれば、下部空間300Bでマイクロ波の漏洩や電磁ノイズの発生があった場合でも、上部空間300A側への伝搬を抑制でき、上部空間300Aの制御部分、例えば統合制御装置MCへの悪影響を防止できるなどのメリットがある。
更に実施の形態5において、前記本体ケースは、仕切り壁によって上部空間と下部空間に区画され、
前記上部空間300Aには、加熱源を選択する入力操作部40と、統合表示部30と、前記入力操作部40からの入力信号を受ける統合制御装置MCとを、更に有し、
前記入力操作部40は、前記右加熱部17HRの動作条件を指定する右操作部40Rと、前記左加熱部17HLの動作条件を指定する左操作部40Lと、前記オーブン加熱源、前記マイクロ波加熱源及び前記中央加熱部17HMの3者の動作条件を指定する中央操作部40Mと、を備えており、
前記オーブン加熱源188又は前記マイクロ波加熱源189を動作させる場合、前記中央操作部40Mを操作すると、前記統合表示部30には、制御モードと制御条件とを、表示することを特徴とする構成のビルトイン式複合型加熱調理器である。
この構成によれば、前記オーブン加熱源188、マイクロ波加熱源189及び前記中央加熱部17HMの3者で、中央操作部40Mを利用するため、狭い設置空間のため前記本体ケースHCの大きさに制約があっても、中央操作部40Mにおける入力キー等の操作面積を確保できる。
更に、前記中央操作部40Mを操作すると、前記統合表示部30において、制御モードと制御条件とを表示することができるため、ユーザーは1つの統合表示部30で制御モードと制御条件を確認して調理の指令を与えることができ、操作性が向上する。
なお、仕切り壁16Sを金属製にすれば、下部空間300Bでマイクロ波の漏洩や電磁ノイズの発生があった場合でも、上部空間300A側への伝搬を抑制でき、上部空間300Aの制御部分、例えば統合制御装置MCへの悪影響を防止できるなどのメリットがある。
更に、統合表示部30と前記入力操作部40は、第2冷却ファン61によって前記第1の吸気口164(吸気孔64)から前記上部空間300Aに導入された外気が通過する風路に配置されている構成である。
この構成によれば、入力操作部40と統合表示部30の下方に外気が通過するので、入力操作部40と統合表示部30を構成する電気・電子部品類の過熱や、それに起因する故障や損傷等が防止できる。
また、前記統合表示部30と前記入力操作部40は、第2冷却ファン61によって前記第1の吸気口164(吸気孔64)から前記上部空間300Aに導入された外気が通過する風路に配置されており、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9を加熱動作させる場合に前記第2冷却ファンを運転し、前記オーブン加熱源188と前記マイクロ波加熱源189を加熱動作させる場合には、運転しないことを特徴とする構成である。
この構成によれば、入力操作部40と統合表示部30の下方に外気が通過するので、入力操作部40と統合表示部30を構成する電気・電子部品類の過熱や、それに起因する故障や損傷等が防止できる。
また、前記オーブン加熱源188と前記マイクロ波加熱源189を加熱動作させる場合には、前記第2冷却ファン61を運転しないので、オーブン加熱調理188とマイクロ波加熱調理189の際の、消費電力を低く抑えることができる。
その他の実施の形態.
実施の形態1では、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあと、加熱室113の内部を経由する内部経路と、インバーター回路基板121を冷却したあと加熱室113の外部を通る外部経路と、の2つがあったが、この経路を入れ替えて、以下のように変更しても良い。
(1)内部経路:第2の吸気口152Fから第3冷却ファン128で吸引された外気によってインバーター回路基板121を冷却し、その冷却風を加熱室113に導入し、排気ダクト102に至る経路。
(2)外部経路:第2の吸気口152Bから第4冷却ファン129で吸引された外気によって、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却し、その冷却風を加熱室113の外側に案内し、最終的に排気ダクト102に至る経路。
一般的に、マグネトロン122の放熱部122Hは、複数の放熱板(放熱フィン)が積層されて、その放熱板相互の狭い空間を冷却風が通過して熱交換(放熱)する構造になっているため、冷却風の圧力損失が大きい。言い換えると風路抵抗が大きい。
そのため、マグネトロン122の放熱部122Hを経由する冷却風を、加熱室113の中に入れずに(風路の長さも短くして)排気することで、内部経路と外部経路のバランスを取るという改善である。これは、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129が同等の性能である場合に有効である。つまり、実施の形態1で説明したように、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えて、製造時の調達コストを安価に実現するために有望な1つの案である。
また、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあと、加熱室113の内部を経由する冷却風RF6のための内部経路を廃止し、実施の形態5で説明したように、インバーター回路基板121を冷却したあとの冷却風RF7を、そのまま全量、ダクト307を介して加熱調理器1の外部へ放出し、下部ユニット200内部の冷却風路を簡略化しても良い。風路抵抗を減らすことで、第4の冷却ファン129の定格送風能力を、より低レベルのものに変更できる。これによってコスト的にも有利になる等の利点がある。
実施の形態1〜5で示したような上部ユニット100と下部ユニット200の双方を同時に必要でないユーザー(使用者)の場合には、上部ユニット100と下部ユニット200の販売や厨房家具2への設置作業は別個になる。そして、下部ユニット200は例えばオプション品で設定される。このような場合には、例えば、上部ユニット100と下部ユニット200のセット販売の梱包形態と、上部ユニット100だけの販売に備えた梱包形態を別に設定しておけば、販売時の利便性を損なうことがない。
本発明に実施にあたり、実施形態1〜5で示したように、上部ユニット100と下部ユニット200を、別々の筐体で構成することは必須ではない。そのため、上部ユニット100と下部ユニット200を最初から1つの筐体(本体ケースHC)で構成しても良い。
実施形態1〜5では、上部ケース16と、下部ケース(下筐体)101が、金属製薄板で形成されていた。しかし、上部ケース16や下部ケース101の何れか一方、又は双方をプラスチック材料で形成しても良い。例えば、熱可塑性のプラスチック材料で形成しても良い。1つの材料例として、PET又はPA、PP又はABSなどである。「PET」とは、ポリエチレンテレフタレートのことをいう。また「PA」はポリアミド、「PP」は、ポリプロピレンのことを意味する。耐熱温度や構造物としての耐久性等を考慮して決めれば良い。また、上部ケース16と、下部ケース(下筐体)101の、一部分だけをプラスチックで形成し、残りの部分を金属製板材で形成しても良い。
誘導加熱回路は、IHコイル17L、17Rの形態や数等に応じて、ハーフブリッジ回路、フルブリッジ回路等、色々な駆動方式を採用しても良い。例えば、フルブリッジ回路では、日本特許第6130411号特許公報や、日本特許第6173623号公報で提案されている。
また、IHコイルについては、ドーナッツ状の形態だけではなく、例えば日本特許第5538546号公報に示されているように、円環状の主加熱コイルと、この主加熱コイルの両側に近接して配置され、主加熱コイルの半径より小さな横幅寸法を有する扁平形状の第1副加熱コイル及び第2副加熱コイルと、を備えた誘導加熱部でも良い。
更に、実施の形態1では、誘導加熱を開始する際に、火力を設定しなくともデフォルト条件(火力値や火力レベル)で誘導加熱動作に入り、その後に希望する火力をユーザーが決めるという加熱開始操作方法を採用していた。しかしながら、この方法以外でも良い。例えば、主電源投入後に必ず、目的の誘導加熱源と、火力値(ワット)や火力レベル(火力「大」〜「小」のような段階の1つ)とを決めて、スタート指令を行う必要がある操作方法を採用しても良く、そのような方法でも本発明の本質的な効果には影響がない。
実施の形態1では、マイクロ波加熱調理だけを行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の双方とも運転をしなかったが、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の双方又は何れか一方を運転しても良い。第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の少なくとも何れか一方を運転すると、上部ユニット100の内部空間に外気が連続して導入され、上部ユニット100の温度を低く抑制できる利点がある。
実施の形態1では、図23に示したように、マイクロ波加熱時の下部風路は、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した冷却風の風路(内部経路)と、インバーター回路基板121を冷却した冷却風の風路(外部経路)との、2つあり、この2つの風路は、最後に1つの排気ダクト102の中に集合してから、共通の排気口20を経由して、加熱調理器1の外部へ放出されていた。
しかしながら、必ずしもそのように1つ(共通)の排気ダクトを経由する必要もなく、また1つの排気口20に集まる必要もない。例えば排気口20と別の第2の排気口を別の位置(排気カバー19の真下の位置)に設けて、その第2の排気口から、内部経路又は外部経路の何れか一方の冷却風を排気するようにしても良い。特に仕切り板52によって上部ユニット100の後部を前後に仕切っている形態(実施の形態1)では、その仕切り板52の背後側に形成された空隙GP1の中に排気口を臨ませると良い。
実施の形態1で説明したように、例えば1つの誘導加熱調理が終了した直後、マイクロ波加熱調理を開始した場合には、まだトッププレート15の温度が高温であった場合(非平常時)には、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を、マイクロ波加熱調理時にも同時に運転することがある。このような形態でも本発明の基本的な目的と趣旨に合致している。
実施の形態1〜5では、主電源スイッチ97の操作ボタン又は操作キー98は、前記本体ケースHCの上面に露出している入力操作部40に配置し、本体ケースHCの上方方向から操作する形態であった。
しかしながら、本発明はこの入力操作部40の形態には何ら限定されない。例えば、入力操作部40は、本体ケースHCの上方から見て常時露出している必要はなく、使用しない場合は、本体ケースHCの内部へ格納する形態でも良い。格納する形態には、引き出しのように水平方向に移動するものと、1つの支点を中心に回動する方式が従前から知られている。
回動して格納する方式は、カンガルーポケット機構の操作部と呼ばれており、例えば、特開2004−28569号公報、特開2004−3845号公報、又は特開平3−233226号公報にて提案されている。また、主電源スイッチ97は、特開2004−3845号に示されたような、シーソー式のスイッチを用いても良い。
このような回動して格納される入力操作部40であっても、使用時には、本体ケースHCの上方(方向)から操作できる。つまり、ユーザーが加熱調理器1の主電源を、その加熱調理器1の前方近傍に立ったまま行えるので、本発明を実施する上で、何ら支障はない。また、ユーザーに無理な姿勢を強いることもなく、操作性が良い。
このような回動して格納される入力操作部40は、例えば実施の形態1で説明した右側の前カバー112に設けると良い。
実施の形態1〜5では、マイクロ波発生源122としてマグネトロンを使用した例で説明したが、他の手段でマイクロ波を発生させても良い。例えば、半導体発振器を用いた加熱調理器としては、特表2019−509587や特開昭51−9562号公報等で提案されている。
特表2019−509587号公報では、マイクロ波発生器は、第1の電力レベルで高周波信号を生成するように構成された小信号発生器(1つ又は複数個)と、この小信号発生器からの高周波信号を増幅する固体高周波信号増幅器(固体増幅器。1つ又は複数個)と、を含んでいる。そして、その固体増幅器は、第1低電力レベルを有する第1高周波信号を、第2高電力レベルを有する第2高周波信号に増幅して、被調理物(食品)を収容した加熱室内へ供給していた。
本発明の実現の際には、このような半導体素子で構成されたマイクロ波発生源を使用しても良い。
実施の形態1においては、第4の発明について、前記下部(第3、第4)冷却ファン128,129の運転は、前記上部ユニット100の誘導加熱源9による加熱動作と独立して行われる旨説明した。つまり、誘導加熱源9を使用する場合、その冷却用の上部(第1)冷却ファン60の運転の際に、下部(第3、第4)冷却ファン128、129の運転はされないことを説明したが、(第1)冷却ファン60と、下部(第3、第4)冷却ファン128、129が同時に運転されることが無いという意味ではない。
例えば、実施の形態1の図26で説明したように、使用する加熱源の選択の前の、起動時の異常有無チェックの段階(図26のステップST2参照)で、全ての冷却ファンを短時間だけ試運転し、回路上に異常電流や電圧等が発生しないかどうかを統合制御装置MCがチェックする方法を採用しても良く、その場合には、一定の短い時間帯は、各冷却ファン60、61、128、129が一斉に起動される場合も有り得るし、順次1つずつ短時間起動する場合も有り得る。このようにしても、本発明の本質的効果を何ら損なうことはない。
実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。また手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
実施の形態1〜5では、誘導加熱部17Hが、左加熱部17HLと右加熱部17HRの2つあり、インバーター回路81L、81Rも、それら2つの加熱部に対応して1つずつ配置していた構成であったが、これを以下のような形態に変更しても良い。
(1)隣り合う2つの加熱部の上に跨るような大きな被加熱物を加熱する場合に、それら隣接する2個所の加熱部のIHコイルを協調させて駆動する方式(代表例として、日本特許第5188215号参照)。
(2)トッププレート15の下方に、略同一の形状およびサイズを有し同一方向に巻かれ、前記トッププレートの下方に略同一平面に近接して配置された4つのIHコイルと、前記4つのIHコイルに電力を供給する2つのインバーター回路と、を具備し、前記4つのIHコイルを、2つのコイル群(グループ)に分け、前記2つのインバーター回路から、前記2つのIHコイル群の各々にそれぞれ電力を供給する方式(代表例として、日本特許第5299590号公報参照)。
(3)トッププレート15の下方に配置された円形状のIHコイル(中央IHコイル)と、前記円形状のIHコイルの周囲を取り囲むように配置された(複数個の)補助IHコイルと、を有し、中央IHコイルに電力を供給する第1のインバーター回路と、前記補助コイル群に電力を供給する第2のインバーター回路と、を具備した方式(代表として、日本特許第5257542号公報参照)。
(4)トッププレート上に載置された被加熱物を加熱する主IHコイルと、この主IHコイルの外側にそれぞれ隣接して設置された複数個の副IHコイルからなる副IHコイル群と、前記主IHコイルに高周波電流を供給する主インバーター回路と、前記副IHコイル群に対し、その副IHコイル毎に高周波電流を独立して供給する副インバーター回路群と、前記主IHコイルと前記複数の副IHコイルの内の少なくとも1つの上に同じ被加熱物が載置されているか否かを判断する被加熱物載置判断部と、前記主インバーター回路と副インバーター回路群の出力を制御する通電制御回路と、を備え、前記副IHコイルは、前記主IHコイルの周囲に所定の絶縁用空間を置いて互いに所定の間隔を保って複数設けられ、前記副IHコイルの外径形状は、前記主IHコイルの外周縁に隣接する側縁部が前記主IHコイルの外周縁に沿って湾曲した形状であり、前記通電制御回路は、使用者の設定した火力値となるように、前記主インバーター回路の出力と前記副インバーター回路群の出力とを所定の配分に制御して協同加熱動作を行わせ、その後協同加熱動作する副IHコイルの数が増加、減少、又は他の副IHコイルに切り替わった場合には、変化前の出力配分を維持する方式(代表として、日本特許第特許5642168号公報参照)。
また図示した各回路、部品、装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくとも良い。さらに特に図21で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63は、これら各装置・回路の機能の分散・統合が可能であり、具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、機能や動作状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、図21に示した記憶装置MMと記憶装置90Rのデータやプログラムの一部は、加熱調理器1が保持せずに、外部の記録媒体(ストレージサーバ等)に保持されてもよい。この場合、加熱調理器1は、外部の記録媒体(ストレージサーバ)にアクセスすることで、必要なデータやプログラムの情報を取得する。
さらに特に図21で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63の動作プログラムは、ユーザーの希望により、又は加熱調理器1の製造業者等の希望によって、適宜改善されたものに更新できるようにしても良い。この場合、例えば、無線通信部49を通じて修正プログラムを入手するようにしても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。