JP2020176573A - 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高負荷域での異常燃焼の抑制とエミッション性能の向上とを両立する。【解決手段】本発明の制御装置は、インジェクタから噴射された燃料を空気と混合しつつ自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンに適用される。エンジンの高負荷域Dでは、混合気が予混合圧縮着火燃焼するように、バルブ可変機構を駆動して所定量以上のバルブオーバーラップ期間を形成しつつ、圧縮行程中に燃料を噴射する後段噴射と、吸気行程または圧縮行程前半に含まれかつ後段噴射よりも早い時期に燃料を噴射する前段噴射とをインジェクタに実行させる。高負荷域Dにおける低速側の一部を第1領域D11、高負荷域Dにおける高速側の一部を第2領域D12としたとき、後段噴射の開始時期は第2領域D12よりも第1領域D11で遅くされ、バルブオーバーラップ期間は第2領域D12よりも第1領域D11で長くされる。【選択図】図13

Description

本発明は、燃焼室に噴射された燃料を空気と混合しつつ自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンを制御する装置に関する。
近年、空気と混合されたガソリン燃料を燃焼室内で自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼(HCCI燃焼)が注目されている。予混合圧縮着火燃焼は、混合気が同時多発的に燃焼する形態であるため、通常のガソリンエンジンにおいて採用されるSI燃焼(火花点火燃焼)に比べて、混合気の燃焼速度が速く、燃費性能(熱効率)の面で非常に有利だと言われている。
上記予混合圧縮着火燃焼の一種として、混合気の自着火による燃焼と点火プラグを用いた強制燃焼とを組み合わせた燃焼形式が提案されている。すなわち、火花点火をきっかけに混合気の一部を火炎伝播により強制的に燃焼(SI燃焼)させ、その他の混合気を自着火により燃焼(CI燃焼)させるのである。以下では、このような燃焼のことを部分圧縮着火燃焼という。
上記部分圧縮着火燃焼を採用したエンジンの一例として、下記特許文献1のものが知られている。具体的に、この特許文献1のエンジンでは、部分圧縮着火燃焼(同文献中ではSI−CI燃焼と称されている)の実行時に、1サイクル中の全熱発生量に対するSI燃焼による熱発生量の割合であるSI率が、エンジン負荷(目標トルク)に応じて定まる目標値(目標SI率)に一致するように、燃焼室内のEGR率や点火プラグによる火花点火の時期等が制御される。
特開2018−084183号公報
ここで、上記特許文献1のエンジンでは、混合気の部分圧縮着火燃焼を可能とするために、幾何学的圧縮比が比較的高い値(例えば17以上20以下)に設定されている。このような高い圧縮比は、特にエンジンの高負荷域においてプリイグニッションやノッキング等の異常燃焼を誘発し易い。この点、上記特許文献1では、高負荷域での燃焼形式を部分圧縮着火燃焼からSI燃焼に切り替える、つまり混合気の全てを火花点火により強制燃焼させる燃焼形式に切り替えるようにしている。しかしながら、このようにエンジンの高負荷域において部分圧縮着火燃焼を禁止する(全ての混合気をSI燃焼させる)ようにした場合には、異常燃焼を回避することはできても、十分な燃費向上効果は得られなくなる。
これに対し、高負荷域での部分圧縮着火燃焼を可能にするべく、吸気行程だけでなく圧縮行程でも燃料を噴射することが提案される。圧縮行程中の燃料噴射によって燃焼室の温度上昇が抑制され、このことが異常燃焼の抑制に働くと考えられるからである。しかしながら、異常燃焼抑制のために圧縮行程中の燃料噴射量をみやみに増やした場合には、スモークの発生やNOxの増大につながる局所リッチな混合気が燃焼室に形成され易くなり、エンジンのエミッション性能が悪化するおそれがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高負荷域での異常燃焼の抑制とエミッション性能の向上とを両立することが可能な予混合圧縮着火式エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本願発明者等は、燃焼室の掃気作用(高温の既燃ガスを燃焼室から排出する作用)を高負荷域で十分に高めることにより、当該高負荷域での部分圧縮着火燃焼の正常化のために必要とされる圧縮行程中の燃料噴射(以下、後段噴射という)への依存度を下げることを検討した。そして、検討の結果、吸・排気弁の双方が開弁するバルブオーバーラップ期間を適切に設定すれば、十分な掃気作用が発揮されて高負荷域での後段噴射への依存度が下がり、過度な後段噴射が不要になって良好なエミッション性能が確保されることが分かった。このことは、部分圧縮着火燃焼(つまり混合気の一部を予混合圧縮着火燃焼させる燃焼形態)を採用した場合に限らず、混合気の全てを予混合圧縮着火燃焼させる燃焼形態を採用した場合でも同様である。
本発明は、前記のような知見に基づきなされたものである。すなわち、本発明は、燃焼室と、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、燃焼室に吸気を導入するための吸気ポートを開閉する吸気弁と、燃焼室から排気ガスを排出するための排気ポートを開閉する排気弁とを備え、前記インジェクタから噴射された燃料を空気と混合しつつ自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンを制御する装置であって、前記吸気弁の開弁期間と前記排気弁の開弁期間とが重複するバルブオーバーラップ期間を変更可能なバルブ可変機構と、エンジン負荷が高い高負荷域において、前記インジェクタから噴射された燃料と空気との混合気が予混合圧縮着火燃焼するように、前記バルブ可変機構を駆動して所定量以上の前記バルブオーバーラップ期間を形成しつつ、圧縮行程中に燃料を噴射する後段噴射と、吸気行程または圧縮行程前半に含まれかつ後段噴射よりも早い時期に燃料を噴射する前段噴射とを前記インジェクタに実行させる燃焼制御部とを備え、前記高負荷域における低速側の一部を第1領域、前記高負荷域における高速側の一部を第2領域としたとき、前記燃焼制御部は、前記後段噴射の開始時期が前記第2領域よりも前記第1領域で遅くなるように前記インジェクタを制御するとともに、前記バルブオーバーラップ期間が前記第2領域よりも前記第1領域で長くなるように前記バルブ可変機構を制御する、ことを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、熱発生量が多くなるエンジンの高負荷域において、吸気行程等の比較的早い時期に燃料を噴射する前段噴射に加えて、圧縮行程中に燃料を噴射する後段噴射が実行されるので、圧縮行程中の燃焼室の温度上昇を後段噴射の気化潜熱により低下させることができ、前記高負荷域において懸念される異常燃焼の発生を効果的に抑制することができる。
特に、高負荷域における低速側の一部である第1領域では、高速側の第2領域に比べて、後段噴射の開始時期が遅くされかつバルブオーバーラップ期間が拡大されるので、異常燃焼のリスクに見合った十分な温度抑制効果を得ることができる。
すなわち、第1領域での後段噴射の開始時期が圧縮行程の中でもより遅角側のタイミングに設定されることにより、燃焼室が圧縮により温度上昇したタイミングで後段噴射による燃料の気化潜熱を作用させることができ、当該気化潜熱による燃焼室の冷却効果を高めることができる。また、同じく第1領域においてバルブオーバーラップ期間が拡大されることにより、このバルブオーバーラップ期間中に吸気ポートから排気ポートへと吹き抜ける吸気の流れが形成される結果、燃焼室内に残留する既燃ガスの排気ポートへの排出が促進され、掃気作用を高めることができる。このことは、上述した後段噴射による燃料の気化潜熱の効果と相俟って、圧縮行程中の燃焼室の温度上昇を十分に抑制することにつながるので、圧縮行程の途中で生じ得る燃料の低温酸化反応を抑制することができ、混合気が過早に着火する異常燃焼であるプリイグニッションを抑制することができる。
低温酸化反応とは、火炎を伴いながら高い熱エネルギーを発生させる高温酸化反応(実質的な燃焼反応)よりも前に生じる緩慢な酸化反応のことであり、燃焼室が高温になる圧縮行程の後期に生じ得ることが知られている。本願発明者等の知見によれば、この低温酸化反応は、前記第1領域のような運転条件、つまり回転速度が低くかつ負荷が高い条件下で顕著に出現し易い。しかも、低温酸化反応が顕著に出現すると、その反応熱によって燃焼室内の混合気(燃焼前の混合気)の温度が上昇するので、正規の燃焼開始時期よりも早くに混合気が自着火する現象であるプリイグニッションの発生確率が高くなる。これに対し、本発明では、第1領域での運転時に、バルブオーバーラップ期間が拡大されかつ後段噴射の開始時期が遅角されるので、掃気作用による冷却効果と燃料の気化潜熱による冷却効果との相乗効果により、低温酸化反応の反応レベルが十分に低下する程度に燃焼室を冷却することができ、当該低温酸化反応に起因してプリイグニッション等の異常燃焼が誘発されるのを効果的に抑制することができる。
しかも、高い掃気作用が期待できる本発明の構成によれば、プリイグニッション抑制のために後段噴射を過度に増量または遅角化する必要がなくなるので、当該後段噴射に起因したエミッション性能の悪化を最小限に抑えることができる。すなわち、第1領域において仮に上述したバルブオーバーラップ期間の拡大制御を実行しなかった場合には、プリイグニッション抑制のために後段噴射を大幅に増量するか、その噴射時期を圧縮行程内で大幅に遅角させる(圧縮上死点に近づける)ことが必要になる可能性がある。しかしながら、このようにすると、燃焼室内に局所リッチな混合気が形成され易くなり、スモークが発生したりNOxの発生量が増大するおそれがある。これに対し、前記第1領域でバルブオーバーラップ期間が拡大される本発明によれば、バルブオーバーラップ期間中に十分な掃気作用が発揮されるので、後段噴射の過度な増量または遅角化が不要になり、上記のような不具合(スモークの発生等)を回避して比較的良好なエミッション性能を確保することができる。
一方、前記第1領域よりも高速側の第2領域では、燃焼室内の流動性が比較的高くなるので、バルブオーバーラップ期間が縮小されても十分な掃気作用が得られる可能性がある。また、ピストンによる混合気の圧縮開始から圧縮終了までの実時間(混合気の受熱時間)が短くなり、低温酸化反応の反応レベルが自ずと低下するため、プリイグニッションのような重大な異常燃焼が起きるリスクは低くなる。これに対し、本発明では、前記第2領域においてバルブオーバーラップ期間が縮小されかつ後段噴射の開始時期が進角されるので、当該領域でのリスク状況に応じた必要レベルの冷却効果を確保して異常燃焼を抑制しつつ、局所リッチな混合気の形成を回避してエミッション性能を向上させることができる。
好ましくは、前記バルブ可変機構は、吸気弁の開時期および閉時期を同時にかつ同量ずつ変更する位相式の吸気弁可変機構を含み、前記燃焼制御部は、前記第1領域および前記第2領域の双方において排気上死点よりも前に吸気弁が開弁しかつ吸気下死点よりも後に吸気弁が閉弁するとともに、前記第2領域での吸気弁の作動位相が前記第1領域での作動位相よりも遅角側にシフトされるように、前記吸気弁可変機構を制御する(請求項2)。
この構成によれば、第2領域にてバルブオーバーラップ期間が縮小される際に、位相式の吸気弁可変機構が駆動されて吸気弁の閉時期が吸気下死点に対しより遅角側にシフトされるので、エンジンの有効圧縮比、つまりピストンが上死点にあるときの燃焼室の容積と吸気弁の閉時期(換言すればピストンによる実質的な圧縮開始時期)における燃焼室の容積との比が相対的に低下する結果、前記第2領域で懸念されるノッキングを抑制しつつポンピングロスを低下させることができる。
すなわち、回転速度が相対的に高く低温酸化反応が起き難くなる第2領域では、既述のとおりプリイグニッションの発生リスクは低下するが、混合気の燃焼途中にその燃焼領域の外側に位置する未燃ガスが局所自着火により急速燃焼する異常燃焼であるノッキングが起き易くなる。ノッキングは、混合気の燃焼が開始される時点での燃焼室の環境に主に依存するので、燃焼開始時点での燃焼室の温度が高いほど起き易くなると考えられる。これに対し、前記構成では、第2領域で吸気弁の作動位相が遅角側にシフトされて有効圧縮比が低くされるので、燃焼が開始される圧縮上死点近傍での燃焼室の温度を低下させることができ、ノッキングの発生を効果的に抑制することができる。また、回転速度が相対的に高いために吸気慣性効果が高い前記第2領域において有効圧縮比が低くされるので、ピストンによる実質的な圧縮代の低下によるポンピングロスの低下を享受しつつ必要十分な充填空気量を得ることができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
好ましくは、前記燃焼制御部は、前記第1領域での前記後段噴射の開始時期が回転速度に拠らず圧縮行程中期の所定時期に保持されるように前記インジェクタを制御する(請求項3)。
この構成によれば、回転速度に応じた燃料噴射制御を簡素化しつつ、第1領域でのプリイグニッション等の異常燃焼が抑制されるレベルで燃焼室を冷却することができる。また、プリイグニッションの発生リスクが最も高い条件でも後段噴射の開始時期を圧縮行程の中期に設定できる(言い換えると圧縮行程後期まで遅角させる必要がない)ので、混合気の過度な局所リッチ化を回避でき、エミッション性能の悪化を効果的に抑制することができる。
前記構成において、より好ましくは、前記燃焼制御部は、前記第2領域内の低速側の一部において回転速度が高くなるほど前記後段噴射の開始時期が進角され、かつ前記第2領域内の高速側の一部において前記後段噴射の開始時期が回転速度に拠らず圧縮行程初期の所定時期に保持されるように、前記インジェクタを制御する(請求項4)。
このように、第2領域内の低速側の一部において回転速度が高くなるほど後段噴射の開始時期を進角させるようにした場合には、第2領域の下限速度からの回転上昇に伴いプリイグニッションの発生リスクが急減するのに合わせて後段噴射の開始時期を適切な時期(より進角側の時期)に設定することができ、エミッション性能の向上を図ることができる。また、第2領域内の高速側の一部では、後段噴射の開始時期が圧縮行程初期の所定時期に保持されるので、エミッション性能を向上させつつ、高回転側で懸念されるノッキングを抑制し得るレベルで燃焼室を冷却することができる。
前記構成において、より好ましくは、前記燃焼制御部は、前記第1領域および前記第2領域における前記後段噴射の噴射量割合が回転速度に拠らず一定になるように前記インジェクタを制御する(請求項5)。
この構成によれば、回転速度に応じた燃料噴射制御を簡素化しつつ所要レベルの冷却効果を得ることができる。
好ましくは、前記燃焼制御部は、前記第1領域内の低速側の一部において前記バルブオーバーラップ期間が回転速度に拠らず第1の期間に保持され、かつ前記第1領域内の高速側の一部において回転速度が高くなるほど前記バルブオーバーラップ期間が前記第1の期間に対し短くなるように、前記バルブ可変機構を制御する(請求項6)。
この構成によれば、第1領域内の低速側の一部においてバルブオーバーラップ期間が一律に大きな値に設定されるので、プリイグニッションの発生リスクが最も高い条件で十分な掃気作用を発揮させることができ、プリイグニッションを効果的に抑制することができる。また、第1領域内の高速側の一部では、回転速度が高くなるほどバルブオーバーラップ期間が縮小されるので、燃焼室内が高流動化して掃気作用が得られ易くなるのに合わせた適切なバルブオーバーラップ期間を確保でき、高回転側ほど発生リスクが低くなるプリイグニッションを当該バルブオーバーラップ期間中の掃気作用により必要なレベルで抑制することができる。
前記燃焼制御部は、前記第1領域での運転時に、回転速度が高くなるほど前記後段噴射の開始時期が進角されかつ前記後段噴射の噴射量割合が増えるように前記インジェクタを制御するものであってもよい(請求項7)。
この構成によれば、回転速度の変化に伴うプリイグニッションの発生リスクの増減に応じた適切な後段噴射の開始時期および噴射量割合を設定することが可能になり、プリイグニッションの抑制効果をより高めることができる。
好ましくは、前記エンジンは、前記燃焼室に連通する吸気通路および排気通路と、排気通路に排出された排気ガスを吸気通路に還流するEGR装置とを備え、前記燃焼制御部は、前記高負荷域よりも負荷が低い中負荷域において混合気を予混合圧縮着火燃焼により燃焼させるとともに、前記EGR装置を通じて前記燃焼室に還流される排気ガスの割合である外部EGR率が前記中負荷域よりも前記高負荷域で低くなるように前記EGR装置を制御する(請求項8)。
このように、エンジンの高負荷域で外部EGR率を相対的に低くするようにした場合には、高負荷域において燃焼室に十分な量の空気を導入することができ、負荷に見合った十分に高いトルクを発生させることができる。一方、高負荷域で外部EGR率が低くされると異常燃焼(プリイグニッションまたはノッキング)の発生リスクが高まるが、この異常燃焼は上述したバルブオーバーラップ期間の拡大と後段噴射との効果によって十分に抑制される。すなわち、前記構成によれば、高い出力トルクを確保しつつ異常燃焼を抑制することができる。
好ましくは、前記エンジンは、前記燃焼室内の混合気に点火する点火プラグを備え、前記燃焼制御部は、前記高負荷域での運転時に、前記混合気の一部が前記点火プラグの点火点からの火炎伝播により燃焼しかつその他の混合気が自着火により燃焼する部分圧縮着火燃焼が行われるように、圧縮上死点の近傍の所定のタイミングで前記点火プラグに火花点火を行わせる(請求項9)。
このように、点火プラグによる火花点火をきっかけに混合気の一部を火炎伝播により燃焼させるようにした場合には、火花点火の時期に応じて混合気の着火時期を的確に調整することができ、外部環境や負荷等の変動にかかわらず安定した出力を発揮する実用性に優れたエンジンを実現することができる。
以上説明したように、本発明の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置によれば、高負荷域での異常燃焼の抑制とエミッション性能の向上とを両立することができる。
本発明の一実施形態にかかる圧縮着火式エンジンの全体構成を概略的に示すシステム図である。 エンジン本体の断面図とピストンの平面図とを併せて示した図である。 吸気弁および排気弁のリフトカーブを示す図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの運転領域を燃焼形態の相違により区分けした運転マップである。 SPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)時の熱発生率の波形を示すグラフである。 図5のマップ中の第1運転領域(A1)を燃料噴射制御等の相違により区分けした拡大運転マップである。 エンジンの運転中に実行される制御動作を説明するためのフローチャートである。 図7のマップ中の高負荷域(D1)において実行される燃料の噴射パターンを示すタイムチャートであり、(a)〜(c)はエンジン回転速度が異なる各条件での噴射パターンを示している。 図7のマップ中の中負荷域(D2)において実行される燃料の噴射パターンを示すタイムチャートである。 上記高負荷域および中負荷域において設定される外部EGR率のエンジン負荷に応じた変化を示すグラフである。 上記高負荷域において実行される前段噴射および後段噴射の噴射量/噴射時期を説明するための図であり、(a)は前段・後段噴射の各開始時期とエンジン回転速度との関係を示すグラフ、(b)は前段・後段噴射の各噴射量割合とエンジン回転速度との関係を示すグラフである。 上記高負荷域でのバルブタイミングを説明するための図であり、(a)はバルブオーバーラップ期間とエンジン回転速度との関係を示すグラフ、(b)は吸・排気弁の開閉時期とエンジン回転速度との関係を示すグラフである。 上記実施形態の変形例を説明するための図であり、(a)は後段噴射の開始時期とエンジン回転速度との関係を示すグラフ、(b)は後段噴射の噴射量割合とエンジン回転速度との関係を示すグラフである。
(1)エンジンの全体構成
図1および図2は、本発明の制御装置が適用された圧縮着火式エンジン(以下、単にエンジンともいう)の好ましい実施形態を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルのガソリン直噴エンジンであり、エンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路30と、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路40と、排気通路40を流通する排気ガスの一部を吸気通路30に還流する外部EGR装置50を備えている。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。エンジン本体1は、典型的には複数の(例えば4つの)気筒を有する多気筒型のものであるが、ここでは簡略化のため、1つの気筒2のみに着目して説明を進める。
ピストン5の上方には燃焼室6が画成されており、この燃焼室6には、ガソリンを主成分とする燃料が、後述するインジェクタ15からの噴射によって供給される。そして、供給された燃料が燃焼室6で空気と混合されつつ燃焼し、その燃焼による膨張力を受けてピストン5が上下方向に往復運動する。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて中心軸回りに回転駆動される。
気筒2の幾何学的圧縮比、つまりピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が下死点にあるときの燃焼室6の容積との比は、後述するSPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)に好適な値として、14以上20以下、好ましくは16以上18以下に設定される。
シリンダブロック3には、クランク軸7の回転角度(クランク角)およびクランク軸7の回転速度(エンジン回転速度)を検出するクランク角センサSN1と、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4の内部を流通する冷却水の温度(エンジン水温)を検出する水温センサSN2とが設けられている。
シリンダヘッド4には、吸気通路30から供給される空気を燃焼室6に導入するための吸気ポート9と、燃焼室6で生成された排気ガスを排気通路40に導出するための排気ポート10と、吸気ポート9の燃焼室6側の開口を開閉する吸気弁11と、排気ポート10の燃焼室6側の開口を開閉する排気弁12とが設けられている。なお、当実施形態のエンジンのバルブ形式は、図2に示すように、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式である。すなわち、当実施形態では、1つの気筒2の燃焼室6に対し吸気ポート9および排気ポート10が2つずつ開口するとともに、各ポート9,10の数に対応して吸気弁11および排気弁12が1つの気筒2につき2つずつ設けられている。
吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカム軸等を含む動弁機構により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。
吸気弁11用の動弁機構には、吸気弁11の開閉時期を変更可能な吸気VVT13が内蔵されている。同様に、排気弁12用の動弁機構には、排気弁12の開閉時期を変更可能な排気VVT14が内蔵されている。吸気VVT13(排気VVT14)は、いわゆる位相式の可変機構であり、吸気弁11(排気弁12)の開時期および閉時期を同時にかつ同量だけ変更する。なお、吸気VVT13および排気VVT14の組合せは本発明における「バルブ可変機構」に相当し、吸気VVT13は本発明における「吸気弁可変機構」に相当する。
図3は、吸気弁11および排気弁12のリフトカーブを示す図である(INは吸気弁11のリフトカーブを、EXは排気弁12のリフトカーブをそれぞれ示している)。本図に示すように、吸気弁11および排気弁12は、排気上死点(図3中のTDC)を跨いで開弁期間が重複するように駆動されることがある。この重複期間、つまり吸気弁11および排気弁12の双方が開弁する期間は、バルブオーバーラップ期間と呼ばれる。バルブオーバーラップ期間は、上述した吸気VVT13および排気VVT14の制御により調整することが可能である。
図3では、バルブオーバーラップ期間が比較的長く設定された場合のリフトカーブを実線の波形で示し、バルブオーバーラップ期間が比較的短く設定された場合のリフトカーブを破線の波形で示している。例えば、後述する過給機33により加圧された吸気の圧力(過給圧)が高くなる高負荷域において、実線の波形のようにバルブオーバーラップ期間が拡大された場合には、当該オーバーラップ期間の間、吸気ポート9から排気ポート10へと吹き抜ける吸気の流れが形成される結果、燃焼室6内に残留する既燃ガスの排気ポート10への排出が促進され、いわゆる掃気性能が向上する。一方、吸気の圧力が低い低負荷域においてバルブオーバーラップ期間が拡大された場合には、吸気行程の前期に未だ開放状態にある排気ポート10から燃焼室6へと既燃ガス(排気ガス)が引き戻される結果、燃焼室6に残留する排気ガスの割合である内部EGR率が高くなる。このように、吸気VVT13および排気VVT14を備えた当実施形態のエンジンでは、エンジンの高負荷域または低負荷域でのバルブオーバーラップ期間の拡大または縮小により、掃気性能や内部EGR率を調整できるようになっている。
図1および図2に示すように、シリンダヘッド4には、燃焼室6に燃料(ガソリン)を噴射するインジェクタ15と、インジェクタ15から燃焼室6に噴射された燃料と吸入空気とが混合された混合気に点火する点火プラグ16とが設けられている。
図2に示すように、ピストン5の冠面には、その中央部を含む比較的広い領域をシリンダヘッド4とは反対側(下方)に凹陥させたキャビティ20が形成されている。また、ピストン5の冠面におけるキャビティ20よりも径方向外側には、円環状の平坦面からなるスキッシュ部21が形成されている。
インジェクタ15は、その先端部に複数の噴孔を有した多噴孔型のインジェクタであり、当該複数の噴孔から放射状に燃料を噴射することが可能である(図2中のFは各噴孔から噴射された燃料の噴霧を表している)。インジェクタ15は、その先端部がピストン5の冠面の中心部(キャビティ20の底部中央)と対向するように、燃焼室6の天井面の中心部に配置されている。
点火プラグ16は、インジェクタ15に対し吸気側に幾分ずれた位置に配置されている。点火プラグ16の先端部(電極部)の位置は、キャビティ20と平面視で重複するように設定されている。
図1に示すように、吸気通路30は、吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路30および吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。
吸気通路30には、その上流側から順に、吸気中の異物を除去するエアクリーナ31と、吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁32と、吸気を圧縮しつつ送り出す過給機33と、過給機33により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ35と、サージタンク36とが設けられている。
吸気通路30の各部には、吸気の流量を検出するエアフローセンサSN3と、吸気の温度を検出する吸気温センサSN4と、吸気の圧力を検出する吸気圧センサSN5とが設けられている。エアフローセンサSN3および吸気温センサSN4は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とスロットル弁32との間の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の流量および温度を検出する。吸気圧センサSN5は、サージタンク36に設けられ、当該サージタンク36内の吸気の圧力を検出する。
過給機33は、エンジン本体1と機械的に連係された機械式の過給機(スーパーチャージャ)である。過給機33の具体的な形式は特に問わないが、例えばリショルム式、ルーツ式、または遠心式といった公知の過給機のいずれかを過給機33として用いることができる。
過給機33とエンジン本体1との間には、締結/解放を電気的に切り替えることが可能な電磁クラッチ34が介設されている。電磁クラッチ34が締結されると、エンジン本体1から過給機33に駆動力が伝達されて、過給機33による過給が行われる。一方、電磁クラッチ34が解放されると、上記駆動力の伝達が遮断されて、過給機33による過給が停止される。
吸気通路30には、過給機33をバイパスするためのバイパス通路38が設けられている。バイパス通路38は、サージタンク36と後述するEGR通路51とを互いに接続している。バイパス通路38には開閉可能なバイパス弁39が設けられている。
排気通路40は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面(吸気通路30とは反対側の面)に接続されている。燃焼室6で生成された既燃ガスは、排気ポート10および排気通路40を通じて外部に排出される。
排気通路40には触媒コンバータ41が設けられている。触媒コンバータ41には、排気通路40を流通する排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒41aと、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)41bとが内蔵されている。
排気通路40における触媒コンバータ41よりも上流側には、排気ガス中の酸素濃度を検出するA/FセンサSN6が設けられている。
外部EGR装置50は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路51と、EGR通路51に設けられたEGRクーラ52およびEGR弁53とを有している。EGR通路51は、排気通路40における触媒コンバータ41よりも下流側の部位と、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間の部位とを互いに接続している。EGRクーラ52は、EGR通路51を通じて排気通路40から吸気通路30に還流される排気ガス(外部EGRガス)を熱交換により冷却する。EGR弁53は、EGRクーラ52よりも下流側(吸気通路30に近い側)のEGR通路51に開閉可能に設けられ、EGR通路51を流通する排気ガスの流量を調整する。
(2)制御系統
図4は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるPCM100は、エンジン等を統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
PCM100には各種センサによる検出信号が入力される。例えば、PCM100は、上述したクランク角センサSN1、水温センサSN2、エアフローセンサSN3、吸気温センサSN4、吸気圧センサSN5、A/FセンサSN6と電気的に接続されており、これらのセンサによって検出された情報(つまりクランク角、エンジン回転速度、エンジン水温、吸気流量、吸気温、吸気圧、排気酸素濃度)がPCM100に逐次入力されるようになっている。
また、車両には、当該車両を運転するドライバーにより操作されるアクセルペダルの開度(以下、アクセル開度という)を検出するアクセルセンサSN7と、車両の走行速度(以下、車速という)を検出する車速センサSN8とが設けられており、これらのセンサSN7,SN8による検出信号もPCM100に逐次入力される。
PCM100は、上記各センサからの入力情報に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、PCM100は、吸・排気VVT13,14、インジェクタ15、点火プラグ16、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁39、およびEGR弁53等と電気的に接続されており、上記演算等の結果に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
具体的に、PCM100は、判定部101、燃焼制御部102、および記憶部103を機能的に有している。
燃焼制御部102は、燃焼室6での混合気の燃焼を制御する制御モジュールであり、エンジンの出力トルク等がドライバーの要求に応じた適切な値となるようにエンジンの各部を制御する。判定部101は、燃焼制御部102による制御の内容を決定するのに必要な種々の判定を行うための制御モジュールである。記憶部103は、判定部101および燃焼制御部102での処理に必要な各種データを記憶するものである。
(3)運転状態に応じた制御
図5は、エンジンの回転速度/負荷に応じた制御の相違を説明するための運転マップである。本図に示すように、エンジンの運転領域は、燃焼形態の相違によって4つの運転領域A1〜A4に大別される。それぞれ第1運転領域A1、第2運転領域A2、第3運転領域A3、第4運転領域A4とすると、第3運転領域A3は、エンジン回転速度が第1速度N1未満となる極低速域であり、第4運転領域A4は、エンジン回転速度が第2速度N2以上となる高速域であり、第1運転領域A1は、第3・第4運転領域A3,A4以外の速度域(低・中速領域)のうち負荷が基準負荷L1以上となる低中速・高負荷の領域であり、第2運転領域A2は、第1、第3、第4運転領域A1,A3,A4以外の残余の領域(低中速・低負荷の領域)である。第1運転領域A1と第2運転領域A2との境界に位置する基準負荷L1は、過給機33が駆動される下限の負荷(過給ライン)に相当している。
以下、上記第1〜第4運転領域A1〜A4における燃焼制御の概要について説明する。
(3−1)第1運転領域
低中速かつ高負荷の第1運転領域A1では、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせた部分圧縮着火燃焼(以下、これをSPCCI燃焼という)が実行される。SI燃焼とは、点火プラグ16から発生する火花により混合気に点火し、その点火点から周囲へと燃焼領域を拡げていく火炎伝播により混合気を強制的に燃焼させる燃焼形態のことであり、CI燃焼とは、ピストン5の圧縮等により十分に高温・高圧化された環境下で混合気を自着火により燃焼させる燃焼形態のことである。そして、これらSI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼とは、混合気が自着火する寸前の環境下で行われる火花点火により燃焼室6内の混合気の一部をSI燃焼させ、当該SI燃焼の後に(SI燃焼に伴うさらなる高温・高圧化により)燃焼室6内の他の混合気を自着火によりCI燃焼させる、という燃焼形態のことである。なお、「SPCCI」は「Spark Controlled Compression Ignition」の略である。
図6は、上記のようなSPCCI燃焼が行われた場合の燃焼波形、つまりクランク角による熱発生率(J/deg)の変化を示したグラフである。本図に示すように、SPCCI燃焼では、SI燃焼による熱発生とCI燃焼による熱発生とがこの順に連続して発生する。このとき、CI燃焼の方が燃焼速度が速いという性質上、SI燃焼時よりもCI燃焼時の方が熱発生の立ち上がりが急峻になる。このため、SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、SI燃焼からCI燃焼に切り替わるタイミング(後述するθci)で現れる変曲点Xを有している。
上記のようなSPCCI燃焼の具体的形態として、第1運転領域A1では、過給機33による過給を行いつつ混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される。このような過給を伴ったSPCCI燃焼を実現するため、第1運転領域A1では、PCM100によってエンジンの各部が次のように制御される。
スロットル弁32の開度は、理論空燃比相当の空気量が吸気通路30を通じて燃焼室6に導入されるような値に調整される。すなわち、第1運転領域A1では、吸気通路30を通じて燃焼室6に導入される空気(新気)と、インジェクタ15から燃焼室6に噴射される燃料との重量比である空燃比(A/F)の目標値が、理論空燃比(14.7)の近傍、詳しくは理論空燃比もしくはこれよりもややリッチな値(例えば約12〜14)に設定される。そして、この空燃比の目標値(目標空燃比)と、A/FセンサSN6により検出される排気ガス中の酸素濃度等に基づいて、燃焼室6内の空燃比を上記目標空燃比に一致させ得るスロットル弁32の開度が決定され、この決定に従ってスロットル弁32が制御される。
過給機33はON状態とされる。すなわち、第1運転領域A1は、過給領域の下限である基準負荷L1以上の領域に属しており、過給機33による過給が必要である。そこで、第1運転領域A1では、電磁クラッチ34が締結されて過給機33とエンジン本体1とが連結されることにより、過給機33による過給が行われる。このとき、吸気圧センサSN5により検出されるサージタンク36内の圧力(過給圧)が、エンジン負荷/回転速度の条件ごとに予め定められた目標圧力に一致するように、バイパス弁39の開度が制御される。
ここで、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼では、SI燃焼とCI燃焼との比率を運転条件に応じてコントロールすることが重要である。そこで、当実施形態では、SPCCI燃焼(SI燃焼およびCI燃焼)による全熱発生量に対するSI燃焼による熱発生量の割合であるSI率に着目し、このSI率が適正な値になるようにエンジンの各部を制御する。
上記SI率を図6を用いて説明する。図6において、燃焼形態がSI燃焼からCI燃焼に切り替わる変曲点Xに対応するクランク角θciをCI燃焼の開始時期とする。この場合、SI燃焼による熱発生量は、当該θci(CI燃焼の開始時期)よりも進角側の熱発生率の波形の面積R1に相当し、CI燃焼による熱発生量は、当該θciよりも遅角側に位置する熱発生率の波形の面積R2に相当するとみなすことができる。そして、上記SI率は、これら各面積R1,R2を用いて、R1/(R1+R2)と定義することができる。
SPCCI燃焼が行われる第1運転領域A1では、上述したSI率およびθciが予め定められた目標値に一致するように、エンジンの各部が制御される。すなわち、第1運転領域A1では、エンジン負荷/回転速度が異なる種々の条件ごとに、SI率の目標値である目標SI率とθciの目標値である目標θciとがそれぞれ定められている。そして、インジェクタ15からの燃料の噴射量/噴射時期、点火プラグ16による火花点火の時期(点火時期)、およびEGR率(外部EGR率および内部EGR率)といった複数の制御量が、上記目標SI率および目標θciを実現可能な組合せとなるように制御される。なお、外部EGR率とは、燃焼室6内の全ガスのうち外部EGRガス(EGR通路51を通じて燃焼室6に還流される排気ガス)が占める重量割合のことであり、内部EGR率とは、燃焼室6内の全ガスのうち内部EGRガス(内部EGRにより燃焼室6に残留する既燃ガス)が占める重量割合のことである。
例えば、燃料の噴射量/噴射時期は、上記目標SI率および目標θciを考慮して予め定められたマップにより決定される。また、外部EGR率および内部EGR率については、両EGR率の主な影響因子である吸・排気弁11,12の開閉タイミングと、EGR弁53の開度とが、やはり上記目標SI率および目標θciを考慮して定められたマップにより決定される。
一方、点火プラグ16による火花点火の時期(点火時期)は、所定のモデル式を用いた演算により、上記目標SI率および目標θciが得られるような時期に決定される。
以上のように、第1運転領域A1では、予め定められたマップとモデル式を用いた演算とを組み合わせた方法により、点火時期、燃料の噴射量/噴射時期、吸・排気弁11,12の開閉タイミング、およびEGR弁53の開度が、運転条件ごとに予め定められた適正なSI率およびθci(目標SI率および目標θci)が得られる組合せとなるように制御される。
(3−2)第2運転領域
低中速かつ低負荷の第2運転領域A2では、過給機33による過給が停止された状態(自然吸気の状態)で混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される。このような自然吸気下でのSPCCI燃焼を実現するため、第1運転領域A1では、PCM100によってエンジンの各部が次のように制御される。
スロットル弁32の開度は、第2運転領域A2内に設定された略矩形状の境界Qの内側か外側かによって空燃比が可変となるように制御される。すなわち、第2運転領域A2における境界Qの外側領域では、燃焼室6内の混合気の空燃比(A/F)が理論空燃比(14.7)に略一致するように、スロットル弁32の開度が調整される。これに対し、第2運転領域A2における境界Qの内側領域では、空燃比が理論空燃比よりも大きい値、例えば20〜35程度になるように、スロットル弁32の開度が調整される。言い換えると、境界Qの内側領域では、理論空燃比よりも大きい空燃比を有するA/Fリーンの混合気を燃焼室6内に形成しつつ当該混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行され、境界Qの外側領域では、理論空燃比に近いストイキ混合気を燃焼室6内に形成しつつ当該混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される。境界Qは、A/FリーンのSPCCI燃焼の実行領域を第2運転領域A2における低速側の一部分に限定するべく、第2運転領域A2の上限速度(第2速度N2)、上限負荷(基準負荷L1)、および下限負荷(エンジンの最低負荷)のいずれからも離れるように設定されている。
過給機33はOFF状態とされる。すなわち、電磁クラッチ34が解放されて過給機33とエンジン本体1との連結が解除されるとともに、バイパス弁39が全開とされることにより、過給機33による過給が停止される。
第2運転領域A2においても、上述した第1運転領域A1のときと同様に、目標SI率および目標θciが負荷/回転速度の条件ごとに定められている。燃料の噴射量/噴射時期、吸・排気弁11,12の開閉タイミング、およびEGR弁53の開度は、予め定められたマップを用いて、上記目標SI率および目標θciを実現するのに適した値となるように決定される。また、点火プラグ16による点火時期については、上記目標SI率および目標θciを実現可能な点火時期が所定のモデル式を用いた演算により決定される。
(3−3)第3運転領域および第4運転領域
エンジン回転速度が第1速度N1よりも低い第3運転領域A1(極低速域)、およびエンジン回転速度が第2速度N2以上の第4運転領域A4(高速域)では、混合気をSI燃焼により燃焼させる制御が実行される。例えば、1サイクル中に噴射すべき燃料の全量がインジェクタ15から吸気行程中に噴射されるとともに、圧縮上死点の近傍で点火プラグ16による火花点火が実行される。そして、この火花点火をきっかけにSI燃焼が開始され、燃焼室6内の混合気の全てが火炎伝播により燃焼する。
(4)第1運転領域での噴射制御
次に、第1運転領域A1でのより具体的な制御例、特に運転ポイントに応じた燃料噴射パターンの相違について説明する。SPCCI燃焼の実行領域のうち比較的負荷が高い第1運転領域A1における燃料の噴射パターンは、大きく分けて、図7に示す2つの分割領域D1,D2のいずれでエンジンが運転されているかによって異なる。また、分割領域D1の中でも、低速側の分割領域D11と高速側の分割領域D12とでは、回転速度に応じた燃料噴射時期の変化の傾向が異なる。以下では、第1運転領域A1における分割領域D1を高負荷域、分割領域D2を中負荷域と称し、高負荷域D1における低速側の分割領域D11を低速・高負荷域、高速側の分割領域D12を中速・高負荷域と称する。図7の例では、中負荷域D2は、第1運転領域A1の下限負荷である基準負荷L1(過給ライン)からこれより高い負荷L2までの負荷域を占め、高負荷域D1(低速・高負荷域D11および中速・高負荷域D12)は、第1運転領域A1のうち負荷L2から最大負荷L3までの負荷域を占めている。また、低速・高負荷域D11と中速・高負荷域D12とは、境界速度Nxを境に隣接している。なお、低速・高負荷域D11は本発明における「第1領域」に相当し、中速・高負荷域D12は本発明における「第2領域」に相当する。
図8は、第1運転領域A1での運転時に行われる具体的な制御手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートが適用される前提として、エンジンは準温間状態または温間状態にあるものとする。エンジンが準温間/温間状態にあることは、水温センサSN2により検出されるエンジン水温に基づき判定される。例えば、検出されたエンジン水温が70℃以上である場合に、エンジンが準温間/温間状態にあると判定されて、図8のフローチャートが適用される。
このフローチャートに示す制御がスタートすると、PCM100の判定部101は、ステップS1において、エンジンの現運転ポイントが図7に示した高負荷域D1に含まれるか否かを判定する。すなわち、判定部101は、クランク角センサSN1により検出されるエンジン回転速度と、アクセルセンサSN7の検出値(アクセル開度)や車速センサSN8の検出値(車速)等から特定されるエンジン負荷とに基づいて、現時点のエンジンの運転ポイントを図7の運転マップ上で特定し、当該マップ中の高負荷域D1に現運転ポイントが含まれるか否かを判定する。
上記ステップS1でYESと判定されてエンジンの現運転ポイントが高負荷域D1に含まれることが確認された場合、PCM100の燃焼制御部102は、ステップS2に移行し、過給機33を駆動して吸気を過給する。すなわち、燃焼制御部102は、電磁クラッチ34を締結して過給機33とエンジン本体1とを連結するようにとともに、バイパス弁39の開度を調整して過給圧を制御する。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS3に移行し、インジェクタ15による燃料の噴射パターンとして、図9に示す第1噴射パターンを選択する。図9(a)〜(c)は、高負荷域D1での噴射パターンを代表して、回転速度の異なる複数の運転ポイントP1〜P3(図7)における各噴射パターンを示している。本図に示すように、第1噴射パターンが選択されると、吸気行程中に1回の燃料噴射Faが実行されるとともに、圧縮行程中に1回の燃料噴射Fbが実行される。以下では、Faを前段噴射、Fbを後段噴射と称する。
より具体的に、第1噴射パターンでは、前段噴射Faの開始時期は吸気行程中のいずれか(より詳しくは吸気行程の中期)に設定され、後段噴射Fbの開始時期は圧縮行程の前期または中期のいずれかに設定される。詳細は次項(5)にて後述するが、前段噴射Faおよび後段噴射Fbの各開始時期は、主にエンジン回転速度に応じて変更される。言い換えると、第1噴射パターンが選択されたとき、燃焼制御部102は、吸気行程中に前段噴射Faが、圧縮行程の前期または中期に後段噴射Fbがそれぞれ開始され、かつ各噴射Fa,Fbの開始時期がエンジン回転速度に応じて変化するように、インジェクタ15を制御する。例えば、後段噴射Fbの開始時期は、高速側(中速・高負荷域D12)よりも低速側(低速・高負荷域D11)で遅くなるように設定される(後述する図12(a)参照)。
なお、本明細書において、ある行程の前期、中期、後期とは次のことを意味するものとする。すなわち、本明細書では、吸気行程や圧縮行程等の任意の行程を3等分した場合の各期間を前から順に「前期」「中期」「後期」と定義する。このため、例えば圧縮行程の(i)前期、(ii)中期、(iii)後期とは、それぞれ、(i)圧縮上死点前(BTDC)180〜120°CA、(ii)BTDC120〜60°CA、(iii)BTDC60〜0°CAの各範囲のことを指す。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS4に移行して、上記第1噴射パターンにおける各燃料噴射(前段噴射Faおよび後段噴射Fb)の噴射量および噴射時期を、エンジン負荷(要求トルク)および回転速度に基づき決定する。この噴射量/噴射時期の決定にはマップM1が参照される。マップM1は、第1噴射パターンにおける各噴射Fa,Fbの噴射量/噴射時期をエンジン負荷/回転速度の条件ごとに定めたものであり、記憶部103に予め格納されている。このマップM1による噴射量/噴射時期は、上記(3−1)で説明した目標SI率および目標θciを考慮して定められている。言い換えると、上記ステップS4では、第1噴射パターンにおける各噴射Fa,Fbの噴射量および噴射時期が、上記目標SI率および目標θciを実現するのに適した値となるように決定される。なお、このようにして決定される前段噴射Faおよび後段噴射Fbの噴射量/噴射時期の各詳細は、後述する(5)のとおりである。
次に、上記ステップS1でNOと判定された場合、つまりエンジンの現運転ポイントが高負荷域D1に含まれないことが確認された場合の制御について説明する。この場合、判定部101は、ステップS5に移行して、エンジンの現運転ポイントが中負荷域D2に含まれるか否かを判定する。
上記ステップS4でNOと判定されてエンジンの現運転ポイントが中負荷域D2に含まれないことが確認された場合、つまりエンジンが高負荷域D1および中負荷域D2を除く運転領域(第2、第3、第4運転領域A2,A3,A4のいずれか)で運転されていることが確認された場合、燃焼制御部102は、ステップS9に移行して、A2,A3,A4のいずれの運転領域に運転ポイントが含まれるかを確認し、その結果に応じた燃焼制御を実行する。例えば、運転ポイントが第2運転領域A2に含まれることが確認された場合、燃焼制御部102は、第1運転領域A1での運転時と同様、混合気をSPCCI燃焼により燃焼させる制御を実行する。ただし、第2運転領域A2では、第1運転領域A1のときと異なり、過給機33が停止される(電磁クラッチ34の締結が解除される)。また、運転ポイントが第3運転領域A3または第4運転領域A4に含まれることが確認された場合、燃焼制御部102は、SPCCI燃焼ではなくSI燃焼によって混合気を燃焼させる制御を実行する。
一方、上記ステップS5でYESと判定されてエンジンの現運転ポイントが中負荷域D2に含まれることが確認された場合、燃焼制御部102は、ステップS6に移行し、過給機33を駆動して吸気を過給する。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS7に移行し、インジェクタ15による燃料の噴射パターンとして、図10に示す第2噴射パターンを選択する。図10は、中負荷域D2における代表的な運転ポイントP4(図7)での噴射パターンを示している。本図に示すように、第2噴射パターンが選択されると、吸気行程中に1回の燃料噴射Fcが実行される。この燃料噴射Fcの開始時期は、例えば吸気行程の前期に設定される。なお、上述した第1噴射パターン(図9)のときと異なり、圧縮行程中の燃料噴射(後段噴射Fbに相当する噴射)は実行されない。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS8に移行して、上記第2噴射パターンにおける燃料噴射Fcの噴射量および噴射時期を、エンジンの負荷および回転速度に基づき決定する。この噴射量/噴射時期の決定にはマップM2が参照される。マップM2は、第2噴射パターンにおける燃料噴射Fcの噴射量/噴射時期をエンジン負荷/回転速度の条件ごとに定めたものであり、記憶部103に予め格納されている。このマップM2による噴射量/噴射時期は、上述した目標SI率および目標θciを考慮して定められている。言い換えると、上記ステップS8では、第2噴射パターンにおける燃料噴射Fcの噴射量および噴射時期が、上記目標SI率および目標θciを実現するのに適した値となるように決定される。
以上のようにして燃料の噴射パターン(噴射量/噴射時期)および噴射圧力の設定が終了すると、燃焼制御部102は、ステップS10に移行して、エンジンの負荷および回転速度に基づき吸・排気弁11,12の開閉タイミング(バルブタイミング)を決定し、決定したバルブタイミングを目標に吸・排気VVT13,14を制御する。ここでのバルブタイミングの決定にはマップM3が参照される。マップM3は、バルブタイミングをエンジン負荷/回転速度の条件ごとに定めたものであり、記憶部103に予め格納されている。このマップM3が用いられることにより、バルブタイミングおよびオーバーラップ期間(図3)は、上記目標SI率および目標θciを実現するのに適した値に設定される。
例えば、高負荷域D1におけるバルブオーバーラップ期間は、主に回転速度に応じて変更され、その値はいずれもゼロより大きい所定値(例えばクランク角で約35°CA)以上に設定される。詳細は次項(6)にて説明するが、高負荷域D1におけるバルブオーバーラップ期間は、高速側(中速・高負荷域D12)よりも低速側(低速・高負荷域D11)で長くなるように設定される。また、中負荷域D2でのバルブオーバーラップ期間も回転速度に応じて変更されるが、その値は総じて高負荷域D1でのバルブオーバーラップ期間よりも短くされる。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS11に移行して、エンジンの負荷および回転速度に基づきEGR弁53の開度(EGR開度)を決定し、決定したEGR開度を目標にEGR弁53を制御する。このEGR開度の決定にはマップM4が参照される。マップM4は、EGR開度をエンジン負荷/回転速度の条件ごとに定めたものであり、記憶部103に予め格納されている。このマップM4が用いられることにより、EGR開度は、上記目標SI率および目標θciを実現するのに適した値に設定される。
上記ステップS11においてマップM4を通じて決定されるEGR開度は、総じて、第1運転領域A1内の高負荷側ほど低くされる。図11は、このようなEGR弁53の開度制御によって実現される外部EGR率(EGR通路51を通じて燃焼室6に還流される排気ガスの割合)のエンジン負荷に応じた変化を示すグラフである。本図に示すように、第1運転領域A1では、負荷が高くなるほど外部EGR率が減少するようにEGR弁53の開度が制御される。言い換えると、第1運転領域A1での運転時、EGR弁53の開度は、中負荷域D2(負荷L1〜L2)での外部EGR率よりも高負荷域D1(負荷L2〜L3)での外部EGR率が低くなるように制御される。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS12に移行して、燃焼室6内の実際のEGR率(外部EGR率および内部EGR率)と、圧縮上死点の近傍での燃焼室6内の温度(筒内温度)とを推定する。上述したように、当実施形態では、吸・排気弁11,12の開閉タイミング(バルブタイミング)およびEGR弁53の開度(EGR開度)がマップにより定められるが、マップの設定値通りにバルブタイミングおよびEGR開度を制御しても、応答遅れなどの種々の要因によってEGR率は変動し得る。また、EGR率の変動は、外気温等の他の要因と併せて、圧縮上死点近傍での筒内温度の変動につながる。そこで、燃焼制御部102は、エアフローセンサSN3、吸気温センサSN4、および吸気圧センサSN5等の各種センサによる検出値(吸気流量、吸気温、吸気圧等)と、バルブタイミングおよびEGR開度の各設定値と、予め定められた所定のモデル式とに基づいて、吸気弁11の閉時期(IVC時点)における燃焼室6内の実際のEGR率(外部EGR率および内部EGR率)と、当該IVCの直後に到来する圧縮上死点の近傍(圧縮上死点もしくはその近傍)における筒内温度とを推定する。上記モデル式は、例えば、吸気流量、吸気温、吸気圧、バルブタイミング、EGR開度等の各パラメータの直近の履歴を入力要素とするモデル式であり、応答遅れを反映したIVC時点での実際の外部EGR率および内部EGR率と、圧縮上死点近傍における筒内温度とをそれぞれ推定できるように設定されている。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS13に移行して、上記ステップS12で推定されたEGR率および筒内温度に基づいて、点火プラグ16による火花点火の時期(点火時期)を決定する。具体的に、燃焼制御部102は、予め定められたモデル式を用いて、点火プラグ16による点火時期を、上述した目標SI率および目標θciが実現されるような時期に決定する。モデル式は、推定されたEGR率(外部EGR率および内部EGR率)と筒内温度とを含む複数のパラメータを入力要素とするモデル式であり、混合気をSPCCI燃焼させた場合のSI率およびθciが上記目標SI率および目標θciにできるだけ一致する点火時期を求め得るように設定されている。このモデル式によれば、点火時期は、圧縮上死点の近傍の所定のクランク角範囲内において、推定されたEGR率および筒内温度の組合せにより定まる条件が混合気が着火し易い条件であるほど遅角側の時期に算出され、逆に、混合気が着火し難い条件であるほど進角側の時期に算出される。
次いで、燃焼制御部102は、ステップS14に移行して、インジェクタ15に燃料を噴射させるとともに、点火プラグ16に火花点火を実行させる。すなわち、燃焼制御部102は、上記ステップS3,S7のいずれかで決定された燃料の噴射パターンに従って燃料が噴射され、かつ同噴射パターンに含まれる燃料噴射(Fa,Fb,Fc等)の噴射量/噴射時期が上記ステップS4,S8のいずれかで決定された噴射量/噴射時期と一致するように、インジェクタ15を制御する。また、上記ステップS13で決定された時期に火花点火が実行されるように点火プラグ16を制御する。
(5)前段噴射および後段噴射の噴射量/噴射時期の設定例
次に、第1運転領域A1の高負荷域D1において実行される前段噴射Faおよび後段噴射Fbの詳細な設定例について説明する。既に説明したとおり、高負荷域D1では、図9に示す第1噴射パターンが選択されることにより、吸気行程中に前段噴射Faが開始され、かつ圧縮行程の前期または中期に後段噴射Fbが開始される。図9(a)〜(c)は、回転速度が異なる各条件での噴射パターンを示しており、それぞれ図7に示す運転ポイントP1〜P3に対応している。
ここで、図9(a)〜(c)において燃料噴射Fa,Fbをそれぞれ表すパルス形状は、各パルス形状における最も左側(進角側)の位置が噴射開始時期を表し、各パルス形状の幅寸法(横軸方向の長さ)が噴射量を表すものとする。言い換えると、各パルス形状の幅寸法に対応するクランク角期間は、必ずしも燃料の噴射期間(インジェクタ15を開弁する期間)と一致するわけではない。すなわち、エンジン回転速度が高くなるほど同一の噴射量を得るための噴射期間は長くなるので、仮にパルス形状が噴射期間を表すものとした場合には、パルス形状の幅寸法が同一であっても噴射量が同一になるとは限らない。これに対し、図9(a)〜(c)において燃料噴射Fa,Fbを表すパルス形状は、あくまでその幅寸法によって噴射量を規定しているので、回転速度の高低に拠らず、噴射量はパルス形状の幅寸法に比例するものとして扱うことができる。
図7に示すように、上記各噴射パターン(図9(a)〜(c))に対応する3つの運転ポイントP1〜P3のうち、低速側の運転ポイントP1は、高負荷域D1の中でも低速側の領域つまり低速・高負荷域D11に属しており、高速側の2つの運転ポイントP2,P3は、高負荷域D1の中でも高速側の領域つまり中速・高負荷域D12に属している。運転ポイントP1,P2,P3は、負荷が同一の等負荷ライン上でこの順に回転速度が高くなるように設定されている。
例えば、低速・高負荷域D11(高負荷域D1)の下限速度である第1速度N1が1000rpm、低速・高負荷域D11と中速・高負荷域D12との境界速度である境界速度Nxが2000rpm、中速・高負荷域D12(高負荷域D1)の上限速度である第2速度N2が4000rpmである場合、運転ポイントP1,P2,P3の回転速度は、それぞれ1500rpm、2250rpm、3000rpmとすることができる。
図9(a)〜(c)に示すように、前段噴射Faの開始時期は、運転ポイントP1〜P3の間で大差なく、いずれも吸気行程の中期に設定される。
後段噴射Fbの開始時期は、低速・高負荷域D11に属する運転ポイントP1において圧縮行程の中期に設定される(図9(a))。一方、中速・高負荷域D12に属する2つの運転ポイントP2,P3では、運転ポイントP1のときよりも後段噴射Fbの開始時期が進角側に設定される(図9(b)(c))。なお、図例では、運転ポイントP2,P3のいずれにおいても後段噴射Fbの開始時期が圧縮行程の前期に設定されるが、高速側の運転ポイントP3での噴射開始時期の方が低速側の運転ポイントP2でのそれに比べてより進角側の時期(吸気下死点の近傍)に設定される。
後段噴射Fb(前段噴射Fa)の噴射量割合は、運転ポイントP1〜P3のいずれの場合でも同一であり、回転速度に拠らず一定の値に維持される。後段噴射Fbの噴射量割合は、前段噴射Faの噴射量割合よりも大幅に小さい値に設定される。
図12は、前段噴射Faおよび後段噴射Fbの噴射量/噴射時期のエンジン回転速度に応じた変化をより詳しく説明するための図である。具体的に、図12(a)は、エンジン回転速度と噴射開始時期との関係を示すグラフであり、その縦軸の数値は圧縮上死点を基準とした上死点前クランク角(deg.BTDC)を表している。図12(b)は、エンジン回転速度と噴射量割合(分割比)との関係を示すグラフである。なお、各グラフに示される噴射開始時期および噴射量割合は、それぞれ、上述した運転ポイントP1〜P3(図7)を結ぶ等負荷ラインに沿って(つまり負荷を固定しつつ)回転速度のみを変化させた場合のものである。このため、各グラフにおいて噴射開始時期/噴射量割合の変化を示す折れ線の波形上には、運転ポイントP1〜P3に対応するプロットが図示されている。
図12(a)に示すように、後段噴射Fbの開始時期は、低速・高負荷域D11に属する速度範囲(第1速度N1から境界速度Nxまで)において、いずれも圧縮行程中期の所定時期(ここではBTDC90°CA)に設定される。また、中速・高負荷域D12に属する速度範囲(境界速度Nxから第2速度N2まで)では、回転速度が高くなるほど後段噴射Fbの開始時期が早くなるように設定される。より具体的に、後段噴射Fbの開始時期は、中速・高負荷域D12内の低速側の一部(境界速度Nxから運転ポイントP3に対応する速度までの範囲)において、圧縮行程の中期から前期にかけて可変となるように、回転速度が高くなるほど進角側にシフトされる。一方、中速・高負荷域D12内の高速側の一部(運転ポイントP3に対応する速度から第2速度N2までの範囲)では、後段噴射Fbの開始時期が吸気下死点に近い圧縮行程のごく初期(ここではBTDC170°CA)に固定的に設定される。
前段噴射Faの開始時期は、高負荷域D1に属する速度範囲(第1速度N1から第2速度N2まで)のいずれにおいても、吸気行程の中期に設定される。具体的に、前段噴射Faの開始時期は、高負荷域D1内での回転速度の変化に応じて適宜遅角または進角されるが、その値はいずれも吸気行程の中期(BTDC240〜300°CA)に含まれるように設定される。
なお、図12(a)では、高負荷域D1の上限速度である第2速度N2において後段噴射Fbを表す波形が途切れているが、これは、第2速度N2よりも高速側に位置する第4運転領域A4では圧縮行程中に燃料噴射(後段噴射Fbに相当する噴射)が実行されないことを表している。一方、図12(a)では、前段噴射Faの波形と連続する細い二点鎖線の波形が第4運転領域A4に対応する速度域に図示されているが、この二点鎖線の波形は、第4運転領域A4において吸気行程中に実行される燃料噴射の開始時期を表している。
図12(b)に示すように、後段噴射Fb(前段噴射Fa)の噴射量割合は、高負荷域D1(低速・高負荷域D11および中速・高負荷域D12)において、回転速度に拠らず一定の値をとるように設定される。ここで、後段噴射Fb(前段噴射Fa)の噴射量割合とは、1サイクル中に噴射される総燃料のうち後段噴射Fb(前段噴射Fa)による噴射燃料が占める重量割合のことである。当実施形態の場合、前段噴射Faおよび後段噴射Fbによって1サイクル中の所要燃料が全て噴射されるので、前段噴射Faおよび後段噴射Fbの噴射量割合は、合計すると常に1になるように設定される。具体的に、高負荷域D1では、前段噴射Faの噴射量割合が一律に0.9に、後段噴射Fbの噴射量割合が一律に0.1に、それぞれ設定される。
なお、上述したとおり、高負荷域D1よりも高速側の第4運転領域A4では、圧縮行程中の燃料噴射(後段噴射Fbに相当する噴射)が禁止され、吸気行程中の燃料噴射のみが許可される。図12(b)中で第4運転領域A4に対応する速度域(第2速度N2〜)において、後段噴射Fbに連続する細い二点鎖線の波形が縦軸0の位置に、前段噴射Faに連続する細い二点鎖線の波形が縦軸1の位置に図示されているのは、このことを表している。
(6)バルブタイミングの設定例
次に、高負荷域D1でのバルブタイミングの具体的な設定例について説明する。図13は、バルブタイミングの回転速度に応じた変化を説明するための図であり、(a)は吸・排気弁11,12の双方が開弁するバルブオーバーラップ期間を、(b)は吸気弁11および排気弁12の各開閉時期をそれぞれ示している。具体的に、図13(b)のグラフでは、EVOと表記された一点鎖線の線図が排気弁12の開時期を、EVCと表記された一点鎖線の線図が排気弁12の閉時期を、IVOと表記された実線の線図が吸気弁11の開時期を、IVCと表記された実線の線図が吸気弁11の閉時期を、それぞれ示している。また、図13(b)のグラフにおける縦軸の数値は、排気上死点を基準とした上死点後クランク角(deg.ATDC)を表している。なお、図13(a)(b)の各グラフでは、高負荷域D1よりも高速側(第4運転領域A4に対応する速度域)にて設定される開閉時期およびバルブオーバーラップ期間を、細い二点鎖線の波形で示している。
図13(b)に示すように、排気弁12の開時期(以下、単にEVOと称することがある)は、膨張下死点(ATDC−180°CA)よりもやや進角側の膨張行程の後期において回転速度に応じ可変的に設定される。具体的に、EVOは、低速・高負荷域D11に属する速度範囲(第1速度N1から境界速度Nxまで)において、回転速度に拠らず膨張行程後期の所定時期に保持される。一方、中速・高負荷域D12に属する速度範囲(境界速度Nxから第2速度N2まで)では、低速・高負荷域D11のときよりもEVOが進角側にシフトされる。より詳しくは、中速・高負荷域D12でのEVOは、低速側のごく一部(境界速度Nxの近傍)で回転速度が高くなるほど進角しかつそれ以外の速度域では一定値をとるように設定される。
排気弁12の閉時期(以下、単にEVCと称することがある)は、排気上死点(ATDC0°CA)よりもやや遅角側の吸気行程の前期において回転速度に応じ可変的に設定される。具体的に、EVCは、低速・高負荷域D11に属する速度範囲(第1速度N1から境界速度Nxまで)において、回転速度に拠らず吸気行程前期の所定時期に保持される。一方、中速・高負荷域D12に属する速度範囲(境界速度Nxから第2速度N2まで)では、低速・高負荷域D11のときよりもEVCが進角側にシフトされる。より詳しくは、中速・高負荷域D12でのEVOは、低速側のごく一部(境界速度Nxの近傍)で回転速度が高くなるほど進角しかつそれ以外の速度域では一定値をとるように設定される。
上記のようなEVOおよびEVCの変化傾向から言い換えると、排気弁12は、高負荷域D1(低速・高負荷域D11および中速・高負荷域D12)での運転時に、膨張下死点よりも前に開弁しかつ排気上死点よりも後に閉弁するとともに、中速・高負荷域D12での作動位相が低速・高負荷域D11での作動位相よりも進角側にシフトするように駆動される。
吸気弁11の開時期(以下、単にIVOと称することがある)は、排気上死点(ATDC0°CA)よりもやや進角側の排気行程の後期において回転速度に応じ可変的に設定される。具体的に、IVOは、中速・高負荷域D12に属する速度範囲(境界速度Nxから第2速度N2まで)において、回転速度に拠らず排気行程後期の所定時期に保持される。一方、低速・高負荷域D11に属する速度範囲(第1速度N1から境界速度Nxまで)では、中速・高負荷域D12のときよりもIVOが進角側にシフトされる。より詳しくは、低速・高負荷域D11でのIVOは、その高速側の一部で回転速度が低くなるほど進角しかつ低速側の一部では一定値をとるように設定される。
吸気弁11の閉時期(以下、単にIVCと称することがある)は、吸気下死点(ATDC180°CA)よりもやや遅角側の圧縮行程の前期において回転速度に応じ可変的に設定される。具体的に、IVCは、中速・高負荷域D12に属する速度範囲(境界速度Nxから第2速度N2まで)において、回転速度に拠らず圧縮行程前期の所定時期に保持される。一方、低速・高負荷域D11に属する速度範囲(第1速度N1から境界速度Nxまで)では、中速・高負荷域D12のときよりもIVCが進角側にシフトされる。より詳しくは、低速・高負荷域D11でのIVCは、その高速側の一部で回転速度が低くなるほど進角しかつ低速側の一部では一定値をとるように設定される。
上記のようなIVOおよびIVCの変化傾向から言い換えると、吸気弁11は、高負荷域D1(低速・高負荷域D11および中速・高負荷域D12)での運転時に、排気上死点よりも前に開弁しかつ吸気下死点よりも後に閉弁するとともに、中速・高負荷域D12での作動位相が低速・高負荷域D11での作動位相よりも遅角側にシフトするように駆動される。
上述した図13(b)によるバルブタイミングの設定から、吸・排気弁11,12の双方が開弁するバルブオーバーラップ期間は、高負荷域D1において図13(a)のような傾向で変化する。図13(a)によれば、低速・高負荷域D11でのバルブオーバーラップ期間は、中速・高負荷域D12でのバルブオーバーラップ期間よりも長い。
具体的に、バルブオーバーラップ期間は、低速・高負荷域D11内の低速側の一部(第1速度N1から運転ポイントP1に対応する速度までの範囲)において、回転速度に拠らず一定の期間(ここでは70°CA)に保持され、その値は高負荷域D1内で最大とされる。ここで設定されるバルブオーバーラップ期間の最大値は、本発明における「第1の期間」に相当する。一方、低速・高負荷域D11内の高速側の一部(運転ポイントP1に対応する速度から境界速度Nxまでの範囲)と、中速・高負荷域D12内の低速側の一部(境界速度Nxからこれよりやや高速側までの範囲)とにかけては、回転速度が高くなるほどバルブオーバーラップ期間が短くされる。さらに、中速・高負荷域D12内の残余の速度域(同領域D12内の高速側の一部)では、バルブオーバーラップ期間が回転速度に拠らず一定の期間(ここでは37°CA)に保持され、その値は高負荷域D1内で最低とされる。
(7)作用効果
以上説明したように、当実施形態では、SPCCI燃焼の実行領域の中でもエンジン負荷が高い第1運転領域A1の高負荷域D1での運転時に、吸・排気弁11,12の双方が開弁するバルブオーバーラップ期間が形成されるように吸・排気VVT13,14が制御されるとともに、吸気行程中に燃料を噴射する前段噴射Faと圧縮行程中に燃料を噴射する後段噴射Fbとが実行されるようにインジェクタ15が制御される。具体的に、高負荷域D1において、後段噴射Fbの開始時期は、回転速度が高い中速・高負荷域D12よりも回転速度が低い低速・高負荷域D11で遅くなるように設定され(図12(a)参照)、かつバルブオーバーラップ期間は、中速・高負荷域D12よりも低速・高負荷域D11で長くなるように設定される(図13(a)参照)。このような構成によれば、高負荷域D1での異常燃焼の抑制とエミッション性能の向上とを両立できるという利点がある。
すなわち、上記実施形態では、熱発生量が多くなるエンジンの高負荷域D1において、吸気行程中の前段噴射Faに加えて、圧縮行程中に燃料を噴射する後段噴射Fbが実行されるので、圧縮行程中の燃焼室6の温度上昇を後段噴射Fbの気化潜熱により低下させることができ、高負荷域D1において懸念される異常燃焼の発生を効果的に抑制することができる。
特に、高負荷域D1における低速側の一部である低速・高負荷域D11では、高速側の中速・高負荷域D12に比べて、後段噴射Fbの開始時期が遅くされかつバルブオーバーラップ期間が拡大されるので、異常燃焼のリスクに見合った十分な温度抑制効果を得ることができる。
すなわち、低速・高負荷域D11での後段噴射Fbの開始時期が圧縮行程の中でもより遅角側のタイミングに設定されることにより、燃焼室6が圧縮により温度上昇したタイミングで後段噴射Fbによる燃料の気化潜熱を作用させることができ、当該気化潜熱による燃焼室6の冷却効果を高めることができる。また、同じく低速・高負荷域D11においてバルブオーバーラップ期間が拡大されることにより、このバルブオーバーラップ期間中に吸気ポート9から排気ポート10へと吹き抜ける吸気の流れが形成される結果、燃焼室6内に残留する既燃ガスの排気ポート10への排出が促進され、掃気作用を高めることができる。このことは、上述した後段噴射Fbによる燃料の気化潜熱の効果と相俟って、圧縮行程中の燃焼室6の温度上昇を十分に抑制することにつながるので、圧縮行程の途中で生じ得る燃料の低温酸化反応を抑制することができ、混合気が過早に着火する異常燃焼であるプリイグニッションを抑制することができる。
低温酸化反応とは、火炎を伴いながら高い熱エネルギーを発生させる高温酸化反応(実質的な燃焼反応)よりも前に生じる緩慢な酸化反応のことであり、燃焼室6が高温(例えば約500℃以上650℃以下)になる圧縮行程の後期に生じ得ることが知られている。本願発明者等の知見によれば、この低温酸化反応は、上記低速・高負荷域D11のような運転条件、つまり回転速度が低くかつ負荷が高い条件下で顕著に出現し易い。しかも、低温酸化反応が顕著に出現すると、その反応熱によって燃焼室6内の混合気(燃焼前の混合気)の温度が上昇するので、点火プラグ16の火花点火による正規の燃焼開始時期よりも早くに混合気が自着火する現象であるプリイグニッションの発生確率が高くなる。これに対し、上記実施形態では、低速・高負荷域D11での運転時に、バルブオーバーラップ期間が拡大されかつ後段噴射Fbの開始時期が遅角されるので、掃気作用による冷却効果と燃料の気化潜熱による冷却効果との相乗効果により、低温酸化反応の反応レベルが十分に低下する程度に燃焼室6を冷却することができ、当該低温酸化反応に起因してプリイグニッション等の異常燃焼が誘発されるのを効果的に抑制することができる。
しかも、高い掃気作用が期待できる上記実施形態によれば、プリイグニッション抑制のために後段噴射Fbを過度に増量または遅角化する必要がなくなるので、当該後段噴射Fbに起因したエミッション性能の悪化を最小限に抑えることができる。すなわち、低速・高負荷域D11において仮に上述したバルブオーバーラップ期間の拡大制御を実行しなかった場合には、プリイグニッション抑制のために後段噴射Fbを大幅に増量するか、その噴射時期を圧縮行程内で大幅に遅角させる(圧縮上死点に近づける)ことが必要になる可能性がある。しかしながら、このようにすると、燃焼室6内に局所リッチな混合気が形成され易くなり、スモークが発生したりNOxの発生量が増大するおそれがある。これに対し、低速・高負荷域D11でバルブオーバーラップ期間が拡大される上記実施形態によれば、バルブオーバーラップ期間中に十分な掃気作用が発揮されるので、後段噴射Fbの過度な増量または遅角化が不要になり、上記のような不具合(スモークの発生等)を回避して比較的良好なエミッション性能を確保することができる。
一方、上記低速・高負荷域D11よりも高速側の中速・高負荷域D12では、燃焼室6内の流動性が比較的高くなるので、バルブオーバーラップ期間が縮小されても十分な掃気作用が得られる可能性がある。また、ピストン5による混合気の圧縮開始から圧縮終了までの実時間(混合気の受熱時間)が短くなり、低温酸化反応の反応レベルが自ずと低下するため、プリイグニッションのような重大な異常燃焼が起きるリスクは低くなる。これに対し、上記実施形態では、中速・高負荷域D12においてバルブオーバーラップ期間が縮小されかつ後段噴射Fbの開始時期が進角されるので、当該領域D12でのリスク状況に応じた必要レベルの冷却効果を確保して異常燃焼を抑制しつつ、局所リッチな混合気の形成を回避してエミッション性能を向上させることができる。
また、上記実施形態では、中速・高負荷域D12にてバルブオーバーラップ期間が縮小される際に、位相式の吸気VVT14が駆動されて吸気弁12の閉時期が吸気下死点に対しより遅角側にシフトされるので(図13(b)参照)、エンジンの有効圧縮比、つまりピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積と吸気弁12の閉時期(換言すればピストン5による実質的な圧縮開始時期)における燃焼室6の容積との比が相対的に低下する結果、中速・高負荷域D12で懸念されるノッキングを抑制しつつポンピングロスを低下させることができる。
すなわち、回転速度が相対的に高く低温酸化反応が起き難くなる中速・高負荷域D12では、既述のとおりプリイグニッションの発生リスクは低下するが、混合気の燃焼途中にその燃焼領域の外側に位置する未燃ガスが局所自着火により急速燃焼する異常燃焼であるノッキングが起き易くなる。ノッキングは、混合気の燃焼が開始される時点での燃焼室6の環境に主に依存するので、燃焼開始時点での燃焼室6の温度が高いほど起き易くなると考えられる。これに対し、上記実施形態では、中速・高負荷域D12で吸気弁12の作動位相が遅角側にシフトされて有効圧縮比が低くされるので、燃焼が開始される圧縮上死点近傍での燃焼室6の温度を低下させることができ、ノッキングの発生を効果的に抑制することができる。また、回転速度が相対的に高いために吸気慣性効果が高い中速・高負荷域D12において有効圧縮比が低くされるので、ピストン5による実質的な圧縮代の低下によるポンピングロスの低下を享受しつつ必要十分な充填空気量を得ることができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
また、上記実施形態では、低速・高負荷域D11での後段噴射Fbの開始時期が回転速度に拠らず圧縮行程中期の所定時期に保持されるので、回転速度に応じた燃料噴射制御を簡素化しつつ、低速・高負荷域D11でのプリイグニッション等の異常燃焼が抑制されるレベルで燃焼室6を冷却することができる。また、プリイグニッションの発生リスクが最も高い条件でも後段噴射Fbの開始時期を圧縮行程の中期に設定できる(言い換えると圧縮行程後期まで遅角させる必要がない)ので、混合気の過度な局所リッチ化を回避でき、エミッション性能の悪化を効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、中速・高負荷域D12内の低速側の一部(境界速度Nxから運転ポイントP3に対応する速度までの範囲)において回転速度が高くなるほど後段噴射Fbの開始時期が進角されるので、中速・高負荷域D12の下限速度(境界速度Nx)からの回転上昇に伴いプリイグニッションの発生リスクが急減するのに合わせて後段噴射Fbの開始時期を適切な時期(より進角側の時期)に設定することができ、エミッション性能の向上を図ることができる。また、中速・高負荷域D12内の高速側の一部(運転ポイントP3に対応する速度から第2速度N2までの範囲)では、後段噴射Fbの開始時期が圧縮行程初期の所定時期に保持されるので、エミッション性能を向上させつつ、高回転側で懸念されるノッキングを抑制し得るレベルで燃焼室6を冷却することができる。
また、上記実施形態では、高負荷域D1(低速・高負荷域D11および中速・高負荷域D12)における後段噴射Fbの噴射量割合が回転速度に拠らず一定とされるので(図12(b)参照)、回転速度に応じた燃料噴射制御を簡素化しつつ所要レベルの冷却効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、低速・高負荷域D11内の低速側の一部(第1速度N1から運転ポイントP1に対応する速度までの範囲)においてバルブオーバーラップ期間が一律に最大値に設定されるので、プリイグニッションの発生リスクが最も高い条件で十分な掃気作用を発揮させることができ、プリイグニッションを効果的に抑制することができる。また、低速・高負荷域D11内の高速側の一部(運転ポイントP1に対応する速度から境界速度Nxまでの範囲)では、回転速度が高くなるほどバルブオーバーラップ期間が縮小されるので、燃焼室6内が高流動化して掃気作用が得られ易くなるのに合わせた適切なバルブオーバーラップ期間を確保でき、高回転側ほど発生リスクが低くなるプリイグニッションを当該バルブオーバーラップ期間中の掃気作用により必要なレベルで抑制することができる。
また、上記実施形態では、高負荷域D1での外部EGR率が中負荷域D2での外部EGR率よりも低くなるようにEGR弁53の開度が制御されるので(図11参照)、高負荷域D1において燃焼室6に十分な量の空気を導入することができ、負荷に見合った十分に高いトルクを発生させることができる。一方、高負荷域D1で外部EGR率が低くされると異常燃焼(プリイグニッションまたはノッキング)の発生リスクが高まるが、この異常燃焼は上述したバルブオーバーラップ期間の拡大と後段噴射Fbとの効果によって十分に抑制される。すなわち、上記実施形態によれば、高い出力トルクを確保しつつ異常燃焼を抑制することができる。
(8)変形例
上記実施形態では、低速・高負荷域D11での運転時に、後段噴射Fbの開始時期を圧縮行程中期の所定時期(BTDC90°CA)に保持するとともに、後段噴射Fbの噴射量割合を一定値(0.1)に保持したが、同領域D11においてこれら要素の少なくとも一方を回転速度に応じて可変的に設定してもよい。例えば、図14に示すように、低速・高負荷域D11内で回転速度が高くなるほど、後段噴射Fbの開始時期を遅角させかつ後段噴射Fbの噴射量割合を増大させるようにしてもよい。この構成によれば、回転速度の変化に伴うプリイグニッションの発生リスクの増減に応じた適切な後段噴射Fbの開始時期および噴射量割合を設定することが可能になり、プリイグニッションの抑制効果をより高めることができる。
上記実施形態では、エンジンが高負荷域D1で運転されているときに、吸気行程中に1回の前段噴射Faを実行しかつ圧縮行程中に1回の後段噴射Fbを実行したが、前段噴射Faおよび後段噴射Fbをそれぞれ複数回に分けて実行することも可能である。
上記実施形態では、前段噴射Faを吸気行程中に実行したが、前段噴射Faは、後段噴射Fbの開始時期よりも進角側の範囲において遅くとも圧縮行程の中央時期(BTDC90°CA)までに終了すればよい。言い換えると、前段噴射は、吸気行程または圧縮行程前半に含まれかつ後段噴射よりも早い時期に燃料を噴射する限りにおいて、適宜その噴射時期を変更することが可能である。なお、圧縮行程の前半とは、圧縮行程を前半と後半とに2等分した場合の前半であり、圧縮上死点前(BTDC)180〜90°CAのことである。
上記実施形態では、混合気の一部が点火プラグ16の点火点からの火炎伝播により燃焼(SI燃焼)しかつその他の混合気が自着火により燃焼(CI燃焼)する部分圧縮着火燃焼(SPCCI燃焼)を実行可能なエンジンに本発明を適用した例について説明したが、本発明が適用され得るエンジンは、混合気の少なくとも一部が予混合圧縮着火燃焼(HCCI燃焼)するエンジンであればよく、例えば燃焼室内の全ての混合気が予混合圧縮着火燃焼するエンジン(点火プラグによる火花点火が不要なエンジン)にも本発明を適用することが可能である。
6 燃焼室
11 吸気弁
12 排気弁
13 吸気VVT(バルブ可変機構、吸気弁可変機構)
14 排気VVT(バルブ可変機構)
15 インジェクタ
16 点火プラグ
50 EGR装置
102 燃焼制御部
D1 高負荷域
D11 低速・高負荷域(第1領域)
D12 中速・高負荷域(第2領域)
D2 中負荷域
Fa 前段噴射
Fb 後段噴射

Claims (9)

  1. 燃焼室と、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、燃焼室に吸気を導入するための吸気ポートを開閉する吸気弁と、燃焼室から排気ガスを排出するための排気ポートを開閉する排気弁とを備え、前記インジェクタから噴射された燃料を空気と混合しつつ自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンを制御する装置であって、
    前記吸気弁の開弁期間と前記排気弁の開弁期間とが重複するバルブオーバーラップ期間を変更可能なバルブ可変機構と、
    エンジン負荷が高い高負荷域において、前記インジェクタから噴射された燃料と空気との混合気が予混合圧縮着火燃焼するように、前記バルブ可変機構を駆動して所定量以上の前記バルブオーバーラップ期間を形成しつつ、圧縮行程中に燃料を噴射する後段噴射と、吸気行程または圧縮行程前半に含まれかつ後段噴射よりも早い時期に燃料を噴射する前段噴射とを前記インジェクタに実行させる燃焼制御部とを備え、
    前記高負荷域における低速側の一部を第1領域、前記高負荷域における高速側の一部を第2領域としたとき、前記燃焼制御部は、前記後段噴射の開始時期が前記第2領域よりも前記第1領域で遅くなるように前記インジェクタを制御するとともに、前記バルブオーバーラップ期間が前記第2領域よりも前記第1領域で長くなるように前記バルブ可変機構を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記バルブ可変機構は、吸気弁の開時期および閉時期を同時にかつ同量ずつ変更する位相式の吸気弁可変機構を含み、
    前記燃焼制御部は、前記第1領域および前記第2領域の双方において排気上死点よりも前に吸気弁が開弁しかつ吸気下死点よりも後に吸気弁が閉弁するとともに、前記第2領域での吸気弁の作動位相が前記第1領域での作動位相よりも遅角側にシフトされるように、前記吸気弁可変機構を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記燃焼制御部は、前記第1領域での前記後段噴射の開始時期が回転速度に拠らず圧縮行程中期の所定時期に保持されるように前記インジェクタを制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  4. 請求項3に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記燃焼制御部は、前記第2領域内の低速側の一部において回転速度が高くなるほど前記後段噴射の開始時期が進角され、かつ前記第2領域内の高速側の一部において前記後段噴射の開始時期が回転速度に拠らず圧縮行程初期の所定時期に保持されるように、前記インジェクタを制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  5. 請求項4に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記燃焼制御部は、前記第1領域および前記第2領域における前記後段噴射の噴射量割合が回転速度に拠らず一定になるように前記インジェクタを制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記燃焼制御部は、前記第1領域内の低速側の一部において前記バルブオーバーラップ期間が回転速度に拠らず第1の期間に保持され、かつ前記第1領域内の高速側の一部において回転速度が高くなるほど前記バルブオーバーラップ期間が前記第1の期間に対し短くなるように、前記バルブ可変機構を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  7. 請求項1または2に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記燃焼制御部は、前記第1領域での運転時に、回転速度が高くなるほど前記後段噴射の開始時期が進角されかつ前記後段噴射の噴射量割合が増えるように前記インジェクタを制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記エンジンは、前記燃焼室に連通する吸気通路および排気通路と、排気通路に排出された排気ガスを吸気通路に還流するEGR装置とを備え、
    前記燃焼制御部は、前記高負荷域よりも負荷が低い中負荷域において混合気を予混合圧縮着火燃焼により燃焼させるとともに、前記EGR装置を通じて前記燃焼室に還流される排気ガスの割合である外部EGR率が前記中負荷域よりも前記高負荷域で低くなるように前記EGR装置を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記エンジンは、前記燃焼室内の混合気に点火する点火プラグを備え、
    前記燃焼制御部は、前記高負荷域での運転時に、前記混合気の一部が前記点火プラグの点火点からの火炎伝播により燃焼しかつその他の混合気が自着火により燃焼する部分圧縮着火燃焼が行われるように、圧縮上死点の近傍の所定のタイミングで前記点火プラグに火花点火を行わせる、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
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