JP2020176233A - 樹脂組成物、太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

樹脂組成物、太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、近赤外線を透過し、経時安定性に優れ、初期及び耐湿熱試験後においても優れた接着強度を発現し、反射率、黒色外観に優れる黒色接着剤層を形成可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュールを提供することにある。【解決手段】前記課題は、光反射性フィルム、及びウレタン樹脂層を備える太陽電池用裏面保護シートのウレタン樹脂層形成に使用する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び着色剤を含み、前記樹脂組成物の不揮発分100質量%中に前記着色剤を10〜40質量%含み、前記着色剤100質量%中に、キナクリドン系紫色顔料(A1)10〜50質量%、フタロシアニン系青色顔料(B)20〜50質量%、イソインドリン系黄色顔料(C1)30〜60質量%含む、樹脂組成物によって解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、太陽電池裏面保護シート等のウレタン樹脂層形成に使用する樹脂組成物、太陽電池裏面保護用シート及び太陽電池モジュールに関する。
クリーンなエネルギー源として使用されている太陽電池は、例えば、表面保護シート/表面封止材/太陽電池素子/裏面封止材/裏面保護シートの積層体である太陽電池モジュールを複数使用する実施態様が一般的であり、裏面保護シートは、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、オレフィン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂等の樹脂フィルムを層間接着剤で貼り合わせた構成を有していることが多い。
また、太陽電池は、住宅の屋上に設置する場合があり、多用される暗色系の屋根材との統一感を生み出す意匠性の観点から、裏面保護シートの受光面側から見た外観を黒色に着色していることが多い。さらに、太陽電池素子の吸収する波長領域は、一般的に非晶質シリコン太陽電池素子は300〜800nm、結晶シリコン太陽電池素子は400〜1200nmであるが、太陽電池素子が吸収できず透過した光を裏面保護シートの反射層で反射できれば、反射光は再び太陽電池素子に入射して、光電変換効率が向上する。
そこで、近赤外線透過性を有し、かつ意匠性の為に暗色の外観を有する近赤外線透過性暗色インキとして、特許文献1には、ポリオール主剤/ポリイソシアネート硬化剤に、オキサジン系顔料/フタロシアニン系顔料/イソインドリン系顔料/キナクリドン系顔料を特定比率で含む暗色接着剤、並びに該接着剤から形成される暗色接着剤層を有することを特徴とする太陽電池用裏面保護シートが開示されている。
また、特許文献2には、フタロシアニン系顔料とジオキサジン系顔料とからなる群より選ばれる一種、及びジケトピロロピロール系顔料を特定比率で含み、黒色外観と遮熱性に優れ、低コスト化可能な太陽電池用裏面保護シートの黒色接着剤層を形成可能な接着剤組成物が開示されている。
特開2016−069586号公報 特開2015−015414号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、キナクリドン系赤色顔料を含むものの、本願特定の紫色顔料を含まず、さらに黄色顔料の含有量が少ないため、60℃2か月後の接着剤の経時安定性が低く、120℃100%RHという高温高湿環境下耐湿熱試験後の剥離強度が低下する課題がある。
また、特許文献2に記載の発明は、本願特定の紫色顔料を含んでおらず、また、本願とは使用時の構成が大きく異なり、白色PETとLLDPEとの間の接着剤層として用いられるものではないため、初期及び耐湿熱後の剥離強度が劣る課題がある。
そこで本発明の課題は、近赤外線を透過し、経時安定性に優れ、初期及び耐湿熱試験後においても優れた接着強度を発現し、反射率、黒色外観に優れる黒色接着剤層を形成可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために以下の発明〔1〕〜〔5〕を提案する。
〔1〕光反射性フィルム、及びウレタン樹脂層を備える太陽電池用裏面保護シートのウレタン樹脂層形成に使用する樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び着色剤を含み、
前記樹脂組成物の不揮発分100質量%中に前記着色剤を10〜40質量%含み、
前記着色剤100質量%中に、
キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫色顔料(A)を合計で10〜50質量%、
フタロシアニン系青色顔料(B)を20〜50質量%、並びに
イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色顔料(C)を合計で30〜60質量%含む、樹脂組成物。
〔2〕前記ポリオール成分がポリエーテルウレタンポリオールを含む、〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕光反射性フィルム、ウレタン樹脂層及びプラスチックフィルムを備える太陽電池裏面保護用シートであって、
前記ウレタン樹脂層は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び着色剤を含み、
前記ウレタン樹脂層中に前記着色剤を10〜40質量%含み、
前記着色剤100質量%中に、
キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫色顔料(A)を合計で10〜50質量%、
フタロシアニン系青色顔料(B)を20〜50質量%、並びに
イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色顔料(C)を合計で30〜60質量%含む、
太陽電池裏面保護用シート。
〔5〕表面保護部材、表面側封止剤、発電セル、裏面側封止剤、及び〔4〕に記載の太陽電池裏面保護用シートから形成される裏面保護部材を具備する太陽電池モジュール。
本発明により、近赤外線を透過し、60℃2か月後の経時安定性に優れ、初期だけでなく、120℃100%RHという耐湿熱試験後においても優れた接着強度を発現し、反射率、黒色外観に優れる黒色接着剤層を形成可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明は、光反射性フィルム及びウレタン樹脂層を備える太陽電池用裏面保護シートのウレタン樹脂層形成に使用する、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び着色剤を含む樹脂組成物に関し、樹脂組成物の不揮発分成分中に着色剤を10〜40質量%含み、着色剤全量中に、キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる紫色顔料(A)を合計で10〜50質量%、フタロシアニン系青色顔料(B)を20〜50質量%、並びにイソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる黄色顔料(C)を合計で30〜60質量%含むことを特徴とする。
上記特定の着色剤を特定の比率で含有することにより、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分といった樹脂組成物を構成する成分に対して優れた分散性を発揮し、それにより良好な経時安定性を発揮する。また、高湿度条件下においても分散性が維持され、経時での顔料濃度ムラが抑制されることにより、耐湿熱試験後においても優れた接着強度を発揮する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて特定される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
また、本明細書において「フィルム」や「シート」は、厚みによって区別されないものとする。換言すると、本明細書の「シート」は、厚みの薄いフィルム状のものも含まれ、本明細書の「フィルム」は、厚みのあるシート状のものも含まれるものとする。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル系共重合体」は、「アクリル系共重合体」、「メタクリル系共重合体」、「アクリル系−メタクリル系共重合体」を包含する意であり、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」、「メタクリロイル」を包含し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」、「メタクリル」を包含する。
黒色度とは、ウレタン樹脂層の外観がカーボンブラックと同程度の黒色ではなく、黒く視認できる程度の黒色をいう。太陽電池は、太陽光発電ともいう。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び着色剤を含み、前記樹脂組成物の不揮発分100質量%中に前記着色剤を10〜40質量%含み、前記着色剤100質量%中に、
キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる紫色顔料(A)を合計で10〜50質量%、
フタロシアニン系青色顔料(B)を20〜50質量%、並びに
イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる黄色顔料(C)を合計で30〜60質量%含む。
<ポリオール成分>
ポリオール成分は水酸基を有していればよく、2種以上を併用してもよい。ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油、又はそれらの混合物等が挙げられ、初期及び耐湿熱試験後の剥離強度の観点から、ポリウレタンポリオールが好適に用いられる。ポリウレタンポリオールとしては、例えば、ポリアルキレングリコールと有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリオールを用いることができる。
[ポリエーテルポリウレタンポリオール]
(ポリアルキレングリコール)
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。好ましくは、炭素数が3又は4の繰り返し単位を有するポリアルキレングリコールである。炭素数が3又は4であることで親水性と結晶性とのバランスに優れ、耐水耐湿性が向上し、接着剤が調整し易いという利点を有するため好ましい。
炭素数が3又は4の繰り返し単位を有するポリアルキレングリコールとしては、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコールが好適に用いられ、特に好ましくはポリテトラメチレングリコールである。
ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、好ましくは600〜3,500の範囲であり、より好ましくは1,000〜3,000の範囲である。数平均分子量を上記範囲とすることにより、後述する有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリエーテルポリウレタンポリオールに、十分な柔軟性を付与することができる。これにより、基材に対する接着剤組成物の接着力を向上することができる。また、ポリアルキレングリコールの数平均分子量を上記範囲とすることにより、各種溶剤への溶解性やその他樹脂成分等との相溶性が向上し、良好な低温安定性を発現するため、実用に適した樹脂組成物を得ることができる。
ポリアルキレングリコールには、直鎖型又は分岐型のいずれを用いてもよいが、好ましくは直鎖型である。直鎖型のポリアルキレングリコールは、適度な結晶性を有し、得られるポリエーテルポリウレタンポリオールも適度な結晶性を有するため、かかるポリエーテルポリウレタンポリオールをポリオール成分として含む樹脂組成物から得られる黒色接着剤層は、比較的高い密度を有し、長期にわたる耐湿熱性が求められる部材として好適である。
(アルカンジオール)
また、ポリアルキレングリコールと有機ジイソシアネートとを反応させてポリエーテルポリウレタンポリオールを得る際に、アルコール成分としてアルカンジオールを併用してもよい。アルカンジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられ。これらのうちの1種又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカンジオールの炭素数は、好ましくは2〜9の範囲であり、特に好ましくは2〜6の範囲である。上記範囲であると、得られるポリエーテルポリウレタンポリオールにおいてハードセグメントを形成するウレタン結合密度を高くでき、樹脂組成物の凝集力を高めることができる。特に、炭素数が2〜6の範囲のアルカンジオールを用いることにより、ポリエーテルポリウレタンポリオールのウレタン結合当量を、後述するような600g/eq以下に調整し易くなり好ましい。したがって、アルカンジオールとして、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
(有機ジイソシアネート)
有機ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
誘導体としては、上記の有機ジイソシアネートと多価アルコールとを反応させて得られるポリウレタンジイソシアネートが挙げられる。また、この多価アルコールには、上記ポリエーテルポリウレタンポリオールを合成する際の原料として挙げたアルカンジオール等を用いることができる。
有機ジイソシアネートとして好ましくは、イソシアネート基が芳香環に直接結合していない脂肪族若しくは脂環族ジイソシアネート、又はこれらの誘導体である。脂肪族若しくは脂環族ジイソシアネートは、紫外線等照射による多量体化が起こり難く、黒色接着剤層の経時変色を抑制することができるため好ましい。
ポリアルキレングリコール及びアルカンジオールと、有機ジイソシアネートとの反応比率は、好ましくは当量比(NCO/OH)で0.7以上1未満であり、より好ましくは0.7〜0.99の範囲であり、特に好ましくは0.8〜0.95の範囲である。
上記範囲であると、基材密着性を発現するのに最適な分子量を有し、ゲル化が好適に防止され、且つ主鎖の末端に水酸基を有するポリエーテルポリウレタンポリオールを得ることができる。
ポリアルキレングリコール及びアルカンジオールと、有機ジイソシアネートとの反応には、溶液重合法及び塊状重合法のいずれを用いてもよい。溶液重合法では、各成分を酢酸エチル等の有機溶剤に溶解した状態で反応を行う。反応温度は有機溶剤の沸点以下に設定する。またこの場合、反応基の濃度が低くなるため、一般的には有機錫化合物等の触媒を使用する。一方、塊状重合法では、各成分を溶剤に溶解することなく反応を行う。この場合、反応温度を比較的高く設定することができるため、触媒を用いなくても反応を短時間で行うことができる。
ポリエーテルポリウレタンポリオールの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000〜70,000の範囲であり、より好ましくは30,000〜60,000の範囲である。20,000以上であると初期凝集力が十分となり好ましい。70,000を以下であると、初期凝集力が十分であるだけでなく、粘度を好適な範囲に設定することができるため好ましい。また、ポリエーテルポリウレタンポリオールの数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜35,000の範囲である。これにより、樹脂組成物の粘度及び初期凝集力をより好適な範囲に設定することができる。
さらに、ポリエーテルポリウレタンポリオールの質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)は、1.5〜4の範囲であることが好ましい。
ポリエーテルポリウレタンポリオールのウレタン結合当量は、好ましくは320〜600g/eqであり、より好ましくは350〜500g/eqの範囲である。上記範囲であると、樹脂組成物の初期凝集力を十分に確保するとともに、基材に対しても十分な接着力を発揮する。
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂]
ポリオール成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有してもよい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂として好ましくは、常温で固形状又は半固形状である樹脂である。該樹脂は、ポリエーテルポリウレタンポリオールとの相溶性が高いだけでなく、疎水性の高い化学構造を有しているため、耐性水が向上し、黒色接着剤層に高い長期耐久性を付与することができる。
本明細書において「常温」とは、特に断りのない限り「23℃」を指し、「常温で固形状又は半固形状」とは、「23℃で粘度が25Pa・s以上」を意味する。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは400〜5,000の範囲であり、より好ましくは800〜3,000の範囲である。数平均分子量が400以上であると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温で固形状又は半固形状となり、黒色接着剤層の耐水性及び耐湿熱性を十分に向上することができる。数平均分子量が5,000以下であると、樹脂組成物が適度な柔軟性及び粘度を有する。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有量は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むポリオール成分の全不揮発分に対して、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは10〜40質量%であり、特に好ましくは20〜35質量%である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の配合量を60質量%以下とすることにより、樹脂組成物の柔軟性をより好適に調整することができ、10〜40質量%とすることにより、樹脂組成物の接着力をより高めることができる。
[その他成分]
ポリオール成分は、さらに公知の接着剤用の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、反応促進剤等が挙げられる。ポリオール成分がシランカップリング剤を含むと、金属材料で構成される基材(例えば金属箔)に対する接着力が向上する。また、ポリオール成分が反応促進剤を含有すると、樹脂組成物の硬化に要する時間(エージング時間)を短縮することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン;等が挙げられ、1種又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤の含有量は、ポリオール成分の全不揮発分に対して、好ましくは0.5〜5質量%であり、より好ましくは1〜3質量%である。上記範囲であると、金属材料で構成される基材(例えば、金属箔)に対する接着力をより高めることができる。
反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等の金属系触媒;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7党の3級アミン;トリエタノールアミン等の反応性3級アミン;等が挙げられ、これらのうちの1種又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリエーテルポリウレタンは、一般的に150℃以上の高温において変色(黄変)することが知られているため、ポリエーテルポリウレタンの変色を防止するために、樹脂組成物がさらに熱安定剤を含んでもよい。熱安定剤としては例えば、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤、リン系やヒドロキシルアミン系の加工熱安定剤等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸のジエチルエステル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタン、α−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンホスホン酸のジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
これらの中でも、特に、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等の、分子量が500以上のヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好適に用いられる。
また、熱安定剤の含有量は、ポリオール成分の全不揮発分100質量部に対して1〜5質量部程度であることが好ましい。これにより、ポリエーテルポリウレタンポリオールの加熱による変色を防止する効果がより向上する。
さらに、ポリオール成分は、公知の濡れ剤又は消泡剤を含有してもよい。これにより、ポリオール成分を含む樹脂組成物を用いて製造された積層体のラミネート外観を向上させることができる。
濡れ剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリルアルキルエステル共重合物、レシチン等が挙げられる。
また、消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物のような公知の化合物が挙げられる。
<ポリイソシアネート成分>
ポリイソシアネート成分は、2つ以上のイソシアネート基を有していればよく、特に多官能ポリイソシアネートが好ましい。
多官能ポリイソシアネートとしては、例えば、低分子量ポリイソシアネート、低分子量ポリイソシアネートと、水又は多価アルコールとを反応させて得られるポリウレタンイソシアネート(アダクト体)、ポリウレタンイソシアネートのビウレット体又はアロファネート体、低分子量イソシアネートのウレトジオン体(二量体)又はイソシアヌレート体(三量体)等が挙げられ、これらのうちの1種又は任意の2種類以上を組み合わせて用いることができる。
低分子量ポリイソシアネートとしては、例えば、前述の有機ジイソシアネートとして記載したものと同様のものが挙げられ、これらのうちの1種又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリウレタンイソシアネート(アダクト体)を得る場合に、これらの低分子量ポリイソシアネートと反応させる多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパンやソルビトールのような3官能以上の多価アルコールや、上記ポリエーテルポリウレタンポリオールを合成する際の原料として挙げたアルカンジオール等が挙げられる。
多官能ポリイソシアネートは、芳香族多官能ポリイソシアネートと脂肪族又は脂環族多官能ポリイソシアネートとに大別され、脂肪族又は脂環族多官能ポリイソシアネートを用いることが好ましい。脂肪族又は脂環族多官能ポリイソシアネートは、その構造中に、芳香族環を有しないため、紫外線等の光が照射されたとしても、多量体化し難い。このため、樹脂組成物を用いて製造された積層体を屋外に長期間放置したとしても、樹脂組成物のポリイソシアネート成分が経時的に変色するのを好適に防止することができる。
また、多官能ポリイソシアネートは、少なくともイソシアヌレート構造を有する多官能ポリイソシアネートを含むことが好ましい。イソシアヌレート構造は、耐熱性、疎水性の高い構造であるため、ポリイソシアネート成分としてかかる多官能ポリイソシアネートを用いることにより、樹脂組成物の硬化物は、より長期間にわたる耐湿熱性を発揮することができる。
なお、イソシアヌレート構造を有する多官能ポリイソシアネートの含有量は、硬化剤中において50〜100質量%程度であることが好ましく、60〜100質量%程度であることがより好ましい。ポリイソシアネート成分中のイソシアヌレート構造を有する多官能ポリイソシアネートの配合量を前記範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐湿熱性をさらに向上することができる。
以上のようなことから、本発明においては、イソシアヌレート構造を有する脂肪族又は脂環族多官能ポリイソシアネートを、50〜100質量%で含有するポリイソシアネート成分が、特に好ましく用いられる。
なお、イソシアヌレート構造を有する多官能ポリイソシアネートの具体例としては、脂環族ジイソシアネートである3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル=イソシアネート(以下、「イソホロンジイソシアネート」と言う。)のイソシアヌレート、脂肪族ジイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート等が挙げられる。これらのイソシアヌレートは、ポリエーテルポリウレタンポリオールと混合した後のポットライフが長く、樹脂組成物の溶液安定性が良好であることから好ましい。
これらの中でも、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートがより好適に用いられる。かかるイソシアヌレートは、さらに高い耐熱性を有することから好ましい。
また、ポリイソシアネート成分の含有量は、ポリオール成分100質量部に対して、3〜20質量部程度であることが好ましく、7〜18質量部程度であることがより好ましい、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合量を前記範囲とすることにより、樹脂組成物の初期凝集力を向上することができるとともに、樹脂組成物を用いて製造した積層体を屋外に長期間放置した場合でも、樹脂組成物の硬化物の剥離強度が低下するのを好適に防止することができる。
<着色剤>
本発明では3種類の着色剤を使用して、カーボンブラックに代えて黒色の色調を得る。
着色剤は、キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる紫色顔料(A)と、フタロシアニン系青色顔料(B)と、イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる黄色顔料(C)と、を必須成分として含有する。
キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる紫色顔料(A)を含むと、着色剤全体の分散性が向上し、長期保存後に色別れが生じ難く、樹脂組成物の保存安定性が向上する。
イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる黄色顔料(C)を含むと、耐久試験後のウレタン樹脂層と基材との密着性の低下を抑制できるという驚くべき効果を示す。
その要因については明らかでないが、(C1)又は(C2)に含まれるイソインドール骨格部位が、周囲に存在する顔料、樹脂及び基材との間の分子間力を強めることで密着性に寄与すると推測している。また、上記イソインドール骨格部位が、フタロシアニン系青色顔料(B)、キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)の芳香環骨格部位と親和し分子間力を強めることで、密着性をより強化すると推測している。
さらに、本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中に着色剤を10〜40質量%含む。着色剤の含有量を40質量%以下とすることで基材への密着性がより向上し、10%質量以上とする事で外観の黒色度がより向上する。より好ましくは15〜35質量%である。
また、着色剤は、キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる紫色顔料(A)を合計で10〜50質量%、
フタロシアニン系青色顔料(B)を20〜50質量%、並びに
イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる黄色顔料(C)を合計で30〜60質量%含む。
上記特定の着色剤をこの割合で含むことで適度な黒色度が得られ、樹脂組成物の保存安定性が向上し、耐久性試験後の基材との密着性が良好で、耐湿熱試験後の剥離強度に優れるウレタン樹脂層が得られる。
(キナクリドン系紫色顔料(A1))
キナクリドン系紫色顔料(A1)は、キナクリドン骨格を有する紫色顔料であり、例えば、Pigment Violet 19が挙げられる。なお、ここでいう紫色系顔料とは、C.I.Pigment Violetに分類される顔料である。
(ペリレン系紫色顔料(A2))
ペリレン系紫色顔料(A2)は、ペリレン骨格を有する紫色顔料であり、例えば、Pigment Violet 29、Pigment Violet 31、Pigment Violet 33が挙げられる。なお、ここでいう紫色系顔料とは、C.I.Pigment Violetに分類される顔料である。
(フタロシアニン系青色顔料(B))
フタロシアニン系青色顔料(B)は、フタロシアニン骨格を有する顔料であり、例えば、Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 17:1、Pigment Blue 75、Pigment Blue 79が挙げられる。これらの中で、耐候性、及び色調の面でPigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 75が好ましい。
(イソインドリノン系黄色顔料(C2))
イソインドリノン系黄色顔料(C2)は、イソインドリノン骨格を有する黄色顔料であり、例えば、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 173が挙げられる。なお、ここでいう黄色系顔料とは、C.I.Pigment Yellowに分類される顔料である。
(イソインドリン系黄色顔料(C1))
イソインドリン系黄色顔料(C1)は、イソインドリン骨格を有する黄色顔料であり、例えば、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 185が挙げられる。なお、ここでいう黄色系顔料とは、C.I.Pigment Yellowに分類される顔料である。これらの中でも色調の面でPigment Yellow 139が特に好ましい。
また、イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン系黄色顔料(C2)の含有量の合計量は、フタロシアニン系青色顔料(B)より多いことが好ましい。このような配合比率とすることによって、基材に対する密着性の向上効果をより高めることができる。
樹脂組成物は、課題を解決できる範囲内であれば、他の着色剤を含んでもよい。他の着色剤を含むことで黒色度等を調整することができる。他の着色剤としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料に加え、染料も挙げられる。他の着色剤の含有量は、着色剤100質量%のうち10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
[分散剤]
着色剤は、前述のポリオール成分や後述の溶剤と同時、又はその一部と共に分散処理を行うことが好ましい。これにより着色剤は、樹脂組成物中での分散安定性がより向上する。また、分散処理の際には分散剤を使用してもよい。分散剤としては、塩基性分散剤、酸性分散剤又は両性分散剤が挙げられる。顔料表面はやや酸性である場合が多いため、酸塩基親和性の観点から塩基性分散剤が好ましい。分散剤が樹脂型分散剤である場合、主骨格としては、例えば、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格又はポリウレア骨格等が挙げられ、保存安定性の点で、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格又はポリエステル骨格が好ましい。また、樹脂型分散剤の構造に制限は無く、ランダム構造、ブロック構造、くし型構造又は星型構造等が挙げられるが、保存安定性の点で、ブロック構造又はくし型構造が好適に用いられる。本発明で使用される分散剤の質量平均分子量は、1,000以上70,000以下が好ましく、2,000以上60,000以下がより好ましく、3,000以上50,000以下が特に好ましい。分子量を前記範囲に収めることで、分散性と耐湿熱試験前後の剥離強度を両立することが出来る。
塩基性分散剤としては、例えば、ビックケミー社より市販されている湿潤分散剤DISPER BYKシリーズの101、102、103、106、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、161、162、163、164、166、167、168、170、171、174、180、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2096、2150、BYKJETシリーズの9130、9131、9132、9133、9150、LP−N−22252、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より市販されているEFKAシリーズの4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4340、4400、4401、4402、4403、4406、4800、5010、5044、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、5244、ルーブリゾール社より市販されているSolsperseシリーズの3000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、36000、36600、37500、38500、39000、41000、53000、53095、54000、55000、56000、71000、76400、76500、J100、J200、楠本化成(株)より市販されているDISPARLONシリーズの1210、1220、1831、1850、1860、2100、2150、2200、7004、KS−260、KS−273N、KS−860、KS−873N、PW−36、DN−900、DA−234、DA−325、DA−375、DA−550、DA−1200、DA−1401、DA−7301、味の素ファインテクノ(株)より市販されているアジスパーシリーズのPB−711、PB−821、PB−822、PB−824、PB−827、PB−711、PN−411、PA−111等が挙げられる。
本発明では、塩基性樹脂型分散剤であるDISPER−BYK162、167、168、LP−N−22252、Solsperse24000SC、24000GR、32000、33000、35000、39000、76400、76500、J100、J200、アジスパーPB−821、822、824、827が好ましい。
分散処理は、特に制限されず、例えば、ガラスビーズやジルコニアビーズのようなメディアを使用して、メディア間の衝突やせん断のエネルギーを利用するビーズミルや、撹拌のせん断力や圧力変化によるキャビテーション又は超音波振動によるキャビテーションを利用するメディアレス分散機など、公知の分散装置を用いることができる。
樹脂組成物はさらに有機系又は無機系の微粒子を含んでもよい。微粒子は、単独又は2種以上を併用することができる。微粒子を含むと、ウレタン樹脂層表面のタックを低減することができる。微粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状、樹枝状等が挙げられ、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。
有機系粒子は、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂等のポリマー粒子、あるいは、セルロースパウダー、ニトロセルロースパウダー、木粉、古紙粉、籾殻粉、澱粉などが挙げられる。ポリマー粒子は、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、シード重合法、マイクロサスペンジョン重合法等の公知に重合法で合成できる。
有機系粒子は、融点若しくは軟化点が150℃以上の粒子が好ましい。融点若しくは軟化点が150℃以上のものを使用すると、溶剤乾燥時の熱で軟化しにくく、耐ブロッキング性が低下し難い。
無機系粒子は、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン、チタン等の金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。無機系粒子は、具体的な化合物でいうと、例えば、シリカゲル、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、鉛酸化物、珪藻土、ゼオライト、アルミノシリケート、タルク、ホワイトカーボン、マイカ、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレー、ワラスナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、炭酸バリウム、ドロマイト、二硫化モリブデン、砂鉄、カーボンブラックなどを含有する無機系粒子が挙げられる。
微粒子の中でも無機系粒子は、基材への密着性がより向上するため好ましく、タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、カオリンがより好ましい。
[溶剤]
樹脂組成物はさらに溶剤を含有してもよい。溶剤は、単独又は2種以上を併用することができる。溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;等が挙げられる。
溶剤は、沸点が50℃〜200℃であることが好ましい。沸点が適度な範囲にあると塗工時の乾燥性とウレタン樹脂層の表面平滑性を両立し易い。
本発明の樹脂組成物は、課題を解決できる範囲内であれば、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
<太陽電池裏面保護シート>
本発明の太陽電池裏面保護シートは、光反射性フィルム、ウレタン樹脂層及びプラスチックフィルムを備える。光反射性フィルムは、太陽電池モジュールが受け、かつ太陽電池素子が利用しきれなかった光でウレタン樹脂層を通過する光を反射する。前記反射光は、ウレタン樹脂層を通過し再び太陽電池素子に入光することで、太陽電池素子の発電効率が向上する。
光反射性フィルムは、太陽電池素子が発電に利用可能な波長400〜1200nmの光を反射可能であることが好ましい。光を反射するには、例えば、所定の平均粒子径を有する二酸化チタンを配合することが好ましいが、平均粒子径が1種類の二酸化チタンでは前記波長領域の全て反射することが難しいため、平均粒子径が異なる2種類以上の二酸化チタンを配合することが好ましい。また、光反射フィルムは、平均粒子径が異なる2種類の二酸化チタンの内、一方を第一の光反射フィルム、他方を第二の光反射フィルムとする多層構成を有していてもよい。また、二酸化チタンの配合に代えて又は併用して、フィルムを発泡させて光反射機能を付与した発泡フィルムを使用することもできる。
二酸化チタンの含有量は、光反射性フィルム100質量%中に5〜40質量%であることが好ましい。
光反射性フィルムの基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタジエン等のオレフィンフィルム;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルム等のフッ素系フィルム;アクリルフィルム;トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルムが挙げられる。これらの中でもフィルム剛性、コストの観点からポリエステル系樹脂フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
プラスチックフィルムは、上述の光反射性フィルムの基材から要求物性に応じて適宜選択することができ、太陽電池素子が発電に利用可能な波長400〜1200nmの光を透過可能であることが好ましい。
基材は、単層又は2層以上の積層体を使用できる。また、基材は、金属酸化物や非金属無機酸化物を蒸着ないしスパッタリングされた無機層を備える構成であっても良い。また、基材の厚みは、25〜300μmが好ましい。
ウレタン樹脂層は、本発明の樹脂組成物を光反射性フィルム上に塗工、乾燥して形成することが好ましい。塗工は、例えば、コンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティング等の塗工装置を用いて行うことができる。乾燥は、例えば、熱風乾燥、赤外線ヒーター等を用いることができる。乾燥温度は、通常80〜200℃であることが好ましく、ウレタン樹脂層の厚みは、0.1〜30μmが好ましい。
また、太陽電池裏面保護シートは、本発明の樹脂組成物を光反射性フィルムに代えて他の基材上に塗工、乾燥した後、当該基材を、接着剤を介して光反射性フィルムと貼り合わせて製造することもできる。
太陽電池裏面保護シートは、結晶シリコン太陽電池素子又は銅インジウムセレナイドに代表される化合物半導体やアモルファスシリコンのような光電変換層に電極を設けた素子等から形成された太陽電池モジュールの保護に使用することができる。本発明の樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂層は、表面保護シート、表面封止材、太陽電池素子、裏面封止材を使用した太陽電池モジュールを作製するための加熱圧着工程で、裏面封止材と接するように重ね、圧着されることで裏面封止材と密着することが好ましい。
太陽電池モジュールを構成する裏面封止材としてはEVAやオレフィンフィルム等が挙げられ、これらの充填材には耐候性向上のための紫外線吸収剤、光安定剤や封止材自身を架橋させるため過酸化物等が含まれていても良い。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」はそれぞれ、「質量部」及び「質量%」を表す。また、ガラス転移温度、水酸基価は下記に記述するようにして測定した。また、表中の配合量は、質量部である。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量測定(DSC)法により求めた。測定用の試料は、測定する樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し乾固させたものを用いた。
<質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定>
ポリエステルポリオールの質量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値であり、機種:ショウデックス(昭和電工(株)製)、カラム:KF−805L、KF−803L、及びKF−802(昭和電工(株)製)、にてカラムの温度を40℃、溶離液としてTHFを用い、流速を0.2ml/min、検出をRI、試料濃度を0.02%、標準試料としてポリスチレンを用いて測定した。
<水酸基価(OHV)の測定>
水酸基価(OHV)の測定は、まず、共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b−a)×F×28.05}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<ポリオール成分の製造>
[合成例1]ウレタン系ポリオール(U1)
数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学(株)社製「PTG2000SN」、以下「PTMG2000」と略する)73部と、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下、「MPD」と略する)7部と、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略する)20部とを、攪拌機付きの合成容器に仕込んだ後、170℃で2時間反応を行うことにより、ガラス転移温度−35℃、質量平均分子量40,000、水酸基価8.0mgKOH/gのポリウレタンポリオールU1を合成した。 当量比(NCO/OH)は0.85である。
[合成例2]ウレタン系ポリオール(U2)
数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学(株)社製「PTG2000SN」、以下「PTMG2000」と略する)67部と、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下、「MPD」と略する)7部と、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略する)23部とを攪拌機付きの合成容器に仕込んだ後、170℃で2時間反応を行うことにより、ガラス転移温度−30℃、質量平均分子量45,000、水酸基価7.2mgKOH/gのポリウレタンポリオールU2を合成した。当量比(NCO/OH)は0.92である。
[合成例3]ポリエステル系ポリオール(P1)
イソフタル酸15部、テレフタル酸15部、アジピン酸28部、エチレングリコール6部、ネオペンチルグリコール17部、1,6−ヘキサンジオール17部、トリメチロールプロパン2部、テトライソブチルチタネート0.13部を仕込み、170〜250℃で15時間エステル化反応を行い、酸価10mgKOH/g以下で減圧を開始し、250℃、100Torrで、更に1時間エステル化反応を行った。その後、徐々に減圧し、1〜4Torr、230〜250℃で4時間エステル交換反応を行い、ガラス転移温度−25℃、質量平均分子量45,000、水酸基価7.5mgKOH/gのポリエステルポリオールP1を得た。
[合成例4](メタ)アクリル系ポリオール(R1)
コンデンサー、窒素導入管、滴下ロート及び温度計を備えた4口フラスコに、酢酸エチル100部を仕込み、80℃に昇温した。次いで、ブチルメタクリレート68部、ブチルアクリレー ト30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部及びアゾビスイソブチルニトリル0.8部を予め混合したモノマー液を、滴下ロートより2時間かけて滴下した。
その後、1時間反応させ、次いで、アゾビスイソブチルニトリル0.2部を加えて1時間反応させる工程を、モノマーの転化率が98%以上になるまで行った後冷却し、ガラス転移温度−3℃、質量平均分子量70,000、水酸基価8.6mgKOH/gの(メタ)アクリル系ポリオールR1を得た。
[合成例5](メタ)アクリル系ポリオール(R2)
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、トルエン100部を仕込み、80℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート78部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、アゾビスイソブチロニトリル0.075部を予め混合したモノマー液を、滴下ロートより2時間かけて滴下した。次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部(前記、グリシジルメタクリレート:2部の変性に要する量)添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量75,000、水酸基価18.0mgKOH/g、ガラス転移温度30℃、固形分濃度50%の(メタ)アクリル系ポリオールR2を得た。
得られたポリオール成分のガラス転移温度、質量平均分子量、数平均分子量、水酸基価を一覧にして表1に示す。
表1中の略称を以下に示す。
・PTMG2000:数平均分子量2,000 のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学(株)社製「PTG2000SN」)
・MPD:3−メチル−1 ,5−ペンタンジオール
・MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
・IPA:イソフタル酸
・TPA:テレフタル酸
・AdA:アジピン酸
・EG:エチレングリコール
・NPG:ネオペンチルグリコール
・1,6− HD:1,6−ヘキサンジオール
・BMA:ブチルメタクリレート
・BA:ブチルアクリレート
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・GMA:グリシジルメタクリレート
<ポリイソシアネート成分の製造>
(ポリイソシアネート硬化剤N1)
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体の不揮発分85%溶液をポリイソシアネート硬化剤N1とした。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体は、イソシアヌレート構造を有する脂肪族多官能ポリイソシアネートに該当する。
(ポリイソシアネート硬化剤N2)
3,5−ジメチルピラゾールでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体の不揮発分75%溶液をポリイソシアネート硬化剤N2とした。
<樹脂組成物の製造>
[実施例1〜15、比較例1〜16]
着色剤、ポリオール成分、塩基性樹脂型分散剤、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を表2に示す不揮発分比率となるように配合し、ガラスビーズを用いてビーズ分散することによって着色剤を均一に分散した。次いで、ポリイソシアネート成分を添加し、酢酸エチルで不揮発分を30%に調整し、各樹脂組成物を得た。
<樹脂組成物の評価>
得られた樹脂組成物について、溶液安定性を評価した。また樹脂溶液を用い、後述する方法で積層体を作製し、初期及び耐湿熱性試験後の剥離強度、反射率、外観黒味を評価した。結果を表2に示す。
<溶液安定性評価>
樹脂溶液の初期及び60℃2か月経時後において、(株)トキメック製ブルックフィールド式回転粘度計BH型を使用して、回転粘度を測定した。初期と経時後の回転粘度から溶液安定性を以下の様に判定した。
A:経時後の回転粘度変化率 20%未満(良好)
B:経時後の回転粘度変化率 20%以上〜30%未満(実用域)
C:経時後の回転粘度変化率 30%以上(実用不可)
<積層体の作製方法>
厚さ50μmの白色PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのコロナ処理面に、5g/m・dryの塗布量で樹脂組成物を塗工した後、乾燥して溶剤を除去して接着剤層を形成した。次いで、60℃、0.5MPaのラミネート条件にて、接着剤層上に、厚さ100μmのLLDPEフィルムのコロナ処理面を貼り合わせた。次いで、60℃、48時間でエージング処理を行い、積層体を得た。
<初期の剥離強度>
積層体を200mm×15mmの大きさに切断して試験片とした。各試験片について、ASTMD1876−61の試験法に準じ、引張り試験機を用いて、23℃の雰囲気下において、荷重速度300mm/分でT型剥離試験を行い、白色PETフィルムとLLDPEフィルム間の剥離強度(N/15mm幅)を測定した。5個の試験片の平均値を初期の剥離強度とした。
S:20N/15mm以上(優れる)
A:15N/15mm以上〜20N/15mm未満(良好)
B:10N/15mm以上〜15N/15mm未満(実用域)
C:10N/15mm未満(実用不可)
<耐湿熱試験後の剥離強度>
積層体を、エスペック社製高度加速寿命試験装置(EMD−211MD)を用いて、温度120℃相対湿度100%雰囲気中に曝すプレッシャークッカー試験を72時間実施した。その後、初期の剥離強度評価と同様にして、白色PETフィルムとLLDPEフィルムとの剥離強度(5個の試験片の平均値)を求めた。
S:20N/15mm以上(優れる)
A:15N/15mm以上〜20N/15mm未満(良好)
B:10N/15mm以上〜15N/15mm未満(実用域)
C:10N/15mm未満(実用不可)
<反射率(黒色度)>
積層体の反射率を、LLDPEフィルム側から、日本分光(株)製紫外可視分光光度計V−570を用いて測定した。380nmから780nmの範囲で平均反射率を算出し、その値によって黒色度を以下のように判定した。
A:平均反射率 15%未満(良好)
B:平均反射率 15%以上〜30%未満(実用域)
C:平均反射率 30%以上(実用不可)
<外観の黒味(色相)>
積層体について、LLDPEフィルム側から、コニカミノルタ(株)製蛍光分光濃度計FD−5を使用してLを測定し、a値から色相を評価した。
A:a値が共に±5未満(良好)
B:a値のどちらか一方が±5以上〜±10未満(実用域)
C:a値のどちらか一方が±10以上(実用不可)
表2中の略称を以下に示す。
PB−822:味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB−822
JER1002:三菱ケミカル(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂
本発明の樹脂組成物を使用した実施例1〜15は、溶液安定性に優れ、樹脂組成物を用いて形成した積層体は、初期及び耐湿熱後試験後の剥離強度、反射率及び外観の黒味に優れていた。特に、実施例5、7及び14は、ポリオール成分が室温で柔軟性の高いウレタン系樹脂であり、樹脂組成物と着色剤の最適比率により、イソシアネート架橋後の接着剤塗膜は、フィルム界面における接着性と耐湿熱性を両立した強靭な塗膜となり、耐湿熱前後の剥離強度と反射率に優れる。更に、着色剤中における紫色顔料と青色顔料と黄色顔料の最適比率により、外観の黒味に優れている。
比較例1及び12は、接着剤層の着色剤100質量%中の紫色顔料(A)の含有量が10%未満であるため外観の黒味が劣っていた。一方、比較例5及び13は紫色顔料(A)の含有量が50%を超えるため耐湿熱試験後の剥離強度が劣る。
比較例3及び8は、黄色顔料(C)の含有量が60%を超えるため、外観の黒味が劣る。一方、比較例5、6、9及び13は、黄色顔料(C)の含有量が30%未満であるため、耐湿熱試験後の剥離強度が劣る。また、比較例4は、ベンズイミダゾロン系黄色顔料を含有するため、溶液安定性と耐湿熱試験後の剥離強度が劣る。
比較例7は、フタロシアニン系青色顔料(B)が20%未満であるため、外観の黒味が劣る。一方、比較例2は、フタロシアニン系青色顔料(B)が60%を超えるため、溶液安定性が劣る。
比較例10は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中の着色剤の含有量が40%を超えるため、溶液安定性、初期及び耐湿熱後の剥離強度が劣る。一方、比較例11は、着色剤の含有量が10%未満であるため、反射率が劣る。
比較例14〜16は、いずれも本願の特定顔料を特定比率で含まないため、顔料と樹脂の親和性が低下し、界面相互間力が低下するため、特に、耐湿熱試験後の剥離強度が劣る。
<太陽電池裏面保護用シートの製造>
[実施例16]
実施例5で得られた樹脂組成物を用いて、樹脂組成物の評価で作製した積層体と同様にして、白色PET/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
得られた積層体のLLDPE上に、EVAフィルム(Ultra Pearl PV−45FR00S、サンビック社製)、及び白板ガラス板をこの順で重ね、140℃に加熱したモジュールラミネータPVL0505S(日清紡メカトロニクス社製)の熱板の上に、白板ガラス板が下になるように置き、1Torr程度に真空排気して5分間放置した。次いで、140℃を維持したまま大気圧でプレスし、15分間放置して太陽電池裏面保護シートを得た。
[実施例17]
実施例5で得られた樹脂組成物の代わりに、実施例14の樹脂組成物を用いた以外は、実施例16と同様にして、太陽電池裏面保護シートを得た。
<太陽電池裏面保護用シートの評価>
得られた太陽電池裏面保護シートについて、積層体の評価と同様に、耐湿熱前後の剥離強度評価、反射率評価、外観の黒味評価を実施したところ、本発明の樹脂組成物を用いた実施例16及び17の太陽電池裏面保護シートは、初期及び耐湿熱後試験後の剥離強度、反射率及び外観の黒味に優れており、太陽電池モジュールとして好適に用いられ得ることを確認した。

Claims (5)

  1. 光反射性フィルム、及びウレタン樹脂層を備える太陽電池用裏面保護シートのウレタン樹脂層形成に使用する樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び着色剤を含み、
    前記樹脂組成物の不揮発分100質量%中に前記着色剤を10〜40質量%含み、
    前記着色剤100質量%中に、
    キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫色顔料(A)を合計で10〜50質量%、
    フタロシアニン系青色顔料(B)を20〜50質量%、並びに
    イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色顔料(C)を合計で30〜60質量%含む、樹脂組成物。
  2. 前記ポリオール成分がポリエーテルウレタンポリオールを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 光反射性フィルム、ウレタン樹脂層及びプラスチックフィルムを備える太陽電池裏面保護用シートであって、
    前記ウレタン樹脂層は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び着色剤を含み、
    前記ウレタン樹脂層中に前記着色剤を10〜40質量%含み、
    前記着色剤100質量%中に、
    キナクリドン系紫色顔料(A1)及びペリレン系紫色顔料(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫色顔料(A)を合計で10〜50質量%、
    フタロシアニン系青色顔料(B)を20〜50質量%、並びに
    イソインドリン系黄色顔料(C1)及びイソインドリノン顔料(C2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色顔料(C)を合計で30〜60質量%含む、
    太陽電池裏面保護用シート。
  5. 表面保護部材、表面側封止剤、発電セル、裏面側封止剤、及び請求項4に記載の太陽電池裏面保護用シートから形成される裏面保護部材を具備する太陽電池モジュール。
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