以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の電子時計1の外観を示す正面図である。
この電子時計1は、筐体2内に設けられた文字盤3及びその表面側周縁部上方に設けられたベゼル4(標識部)と、文字盤3とその表面側上方を覆う図示略の風防ガラスとの間に設けられた秒針11(指示部、指針)、分針12、時針13、及びモード指針14(位置取得表示部)と、文字盤3の裏面側に当該文字盤3と平行に設けられた日車15と、筐体2の側面に設けられた押しボタンスイッチB1〜B4及びりゅうずC1などを備える。
以降では、秒針11、分針12、時針13、モード指針14及び日車15のうち一部又は全部をまとめて指針11〜15などとも記す。また、特に、分針12及び時針13をまとめて時分針12、13とも記す。
文字盤3の表面には、周縁付近に環状に時刻を示す標識及び目盛が設けられており、秒針11、分針12、及び時針13により指し示されることで時刻を表示する。また、文字盤3の周縁部には、これらに加えて標識「Y」、「N」などが設けられている。また、文字盤3には、3時方向に開口部3aが設けられており、日車15上に設けられた標識が当該開口部3aから選択的に露出される。また、文字盤3の9時方向には、小窓3bが設けられ、当該小窓3b内でモード指針14が回転可能に設けられている。小窓3bの周縁部には、標識「P」、「N」、日曜日から土曜日までの各曜日を示す標識、電子時計1で実行可能な機能種別であるストップウォッチ機能、タイマ機能及びアラーム報知機能を各々示す標識「ST」、「TR」、「AL」、夏時間の実施設定に係る各標識、並びに各標識に対応する目盛が設けられており、通常の日時の表示を行う場合には、モード指針14により何れかの曜日を示す標識が指し示される。
小窓3b内の標識「P」、「N」は、それぞれ、タイムゾーンや夏時間実施ルールを定めるための現在位置情報が測位衛星の電波受信により取得、保持されているか否かを示すためのものである。現在位置情報の有無については、後に詳述する。
ベゼル4には、環状に世界の複数のタイムゾーンにそれぞれ対応する都市や地域名の略称を示す標識(位置標識)を含む地方時標識が設けられている。電子時計1において指針11〜15を用いてローカルな日時(地方時)を表示させる都市地域の設定を行う場合、及び設定されているタイムゾーンを表示する場合には、所定の指針、ここでは秒針11を回転動作(相対移動)させてこれら地方時標識の何れかが指し示される(ベゼル4の地方時標識と秒針11とが所定の位置関係とされる)ことで、当該都市地域に対応するタイムゾーンに設定される状態である/設定されていることが示される。この地方時標識には、上述の都市や地域名の略称を示す標識に加えて、所定の記号の標識、ここでは内部が塗りつぶされた円形の標識「●」(例外標識、所定の標識)が含まれる。ベゼル4には、28の都市地域を示す位置標識と当該28の位置標識の間の所定の位置(例外指示位置)に設けられた例外標識と協定世界時(UTC)を示す基準標識「UTC」とからなる合計30個の地方時標識が等間隔、即ち、秒針11の位置として2秒間隔(時針13の位置としては、24分間隔)で設けられている。現在世界各地で設定されているタイムゾーンの数はこれより多く、従って、ベゼル4には、全てのタイムゾーンに対する都市地域を示す地方時標識が設けられている訳ではない。即ち、居住者数や訪問者数の少ないタイムゾーンなどについては一部省略されている。また、現在、タイムゾーンは15分単位で設定可能となっているが、タイムゾーンが設定されていない時差のものもあり、これらについても省略されている。
なお、ベゼル4は、筐体2と一体的に形成された枠部材であっても良い。
秒針11、分針12、時針13、及び日車15は、文字盤3の略中心の同一位置を回転軸として回転可能に設けられている。これらの指針11〜13、15は、通常の日時の表示を行う場合には、それぞれ表示対象の地方時における現在時刻の秒、分、時、及び日付を示す。
押しボタンスイッチB1〜B4及びりゅうずC1は、ユーザの操作を受け付けて操作受付信号として電気信号をCPU41(図2参照)に出力する。押しボタンスイッチB1〜B4は、ユーザ操作などに基づく押下動作に応じて操作受付信号を出力する。また、りゅうずC1は、引き出され、また、引き出された状態で回転可能に設けられている。りゅうずC1は、2段階の引き出し動作が可能であり、ユーザ操作などに基づく引き出し動作及び押し戻し動作、並びに回転動作にそれぞれ応じた操作受付信号をCPU41に出力する。
図2は、本実施形態の電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
電子時計1は、CPU41(制御部)と、ROM42(標識情報記憶部)と、RAM43と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46(計時部)と、操作受付部47と、通信部48と、衛星電波受信処理部49(位置取得部、測位動作部)及びアンテナANと、駆動回路50と、電力供給部70と、輪列機構61〜64と、ステッピングモータ51〜54と、上述の指針11〜15などを備える。
CPU41は、各種演算処理を行い、また、電子時計1の全体動作を統括制御するプロセッサである。CPU41は、日時の表示に係る指針動作を制御する。CPU41は、タイムゾーン及び夏時間実施情報からなる地方時設定に基づいて計時回路46の計数する日時を適切な地方時に換算し、通常の時刻表示モードにおいて、換算された地方時を指針11〜15により表示させる。
また、CPU41は、通信部48や衛星電波受信処理部49を動作させて日時、位置情報や各種設定データなどを取得する。CPU41は、得られた日時のデータに基づいて計時回路46の計数する日時を修正する。
ROM42は、CPU41により実行される各種制御用のプログラム42aや設定データを格納する。プログラム42aには、例えば、各種機能モードの動作制御に係るプログラムが含まれている。また、設定データには、都市時差情報42b及び更新都市時差情報42c(これら両方まとめて時差情報)が含まれる。ROM42は、一部に書き換え可能(時差情報を初期設定から更新記憶可能)なフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)といった不揮発性メモリを含み、設定データなどが更新可能となっている。
都市時差情報42bには、ベゼル4の外縁に設けられた地方時標識のID、当該地方時標識の位置(例えば、12時方向からの秒針11によるステップ数)、及びUTC時刻からの時差(タイムゾーンに係る情報、以降、時差とは、UTC時刻からの時差を表す)が対応付けられてタイムゾーン設定情報として記憶されている。また、都市時差情報42bには、これらに併せて、設定されている都市における夏時間の実施有無、夏時間実施期間及び実施中のシフト時間といった夏時間実施情報が記憶されていても良い。或いは、夏時間実施情報は、別個のテーブルデータとして保持されていても良い。地方時標識のIDに用いられるビット数及び設定され得る最大のタイムゾーン数は、新たに設定されて追加されるタイムゾーンのために余裕を持って設けられていることが望ましい。
更新都市時差情報42cには、都市時差情報42bの最新更新データが記憶されている。更新都市時差情報42cのフォーマットは、都市時差情報42bと同一である。
図3は、都市時差情報42b及び更新都市時差情報42cの例を示す図表である。例えば、図3(a)に示すように、都市時差情報42bにおいて、東京に係るID「14」に対し、28秒の位置に設けられた東京を示す地方時標識「TYO」の位置「28(秒)」、及び時差である「+9:00(時間)」が対応付けられて記憶されている。また、香港に係るID「13」に対し、26秒の位置に設けられた香港を示す地方時標識「HKG」の位置「26(秒)」、及び時差である「+8:00(時間)」が対応付けられて記憶されている。
この後、例えば、東京の時差が「+8:00(時間)」に変更されて、更新都市時差情報42cが取得された場合、図3(b)に示すように、東京に係るID「14」に対応付けられて記憶される時差が「+8:00(時間)」に変更されて保持される。即ち、この場合には、香港と東京では、何れも時差が+8時間となり、時差が+9時間のタイムゾーンに対応する地方時標識がベゼル4上に存在しないことになる。
なお、都市時差情報42bの記憶領域と更新都市時差情報42cの記憶領域とは、交互に定められる構成とすることが出来る。即ち、2回前に更新された内容が都市時差情報42bとして保持され、直近に更新された内容が更新都市時差情報42cとして保持されて、次回更新時には、都市時差情報42bのデータが上書き更新されて新たな更新都市時差情報42cとされ、従来の更新都市時差情報42cがそのまま都市時差情報42bに変更される。
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。また、RAM43には、日時情報及び位置情報取得の履歴、更新都市時差情報42cの更新履歴、通常の基本時計表示及び世界時計表示に係る地方時設定情報を含む時計設定情報43aや、指針位置を示すデータなどが記憶されている。
時計設定情報43aには、現在設定されているホーム位置(即ち、通常では現在位置)及び世界時計位置におけるタイムゾーンや夏時間実施ルールといった、UTC日時から地方時を算出するための設定情報が地方時設定のデータとして記憶されている。また、衛星電波受信処理部49により現在位置情報が取得されてホーム位置設定に用いられている場合には、当該現在位置情報が時計設定情報43aに含まれる。
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して出力する。発振回路44は、例えば、水晶発振器を発振子として備える。
分周回路45は、発振回路44から出力された周波数信号をCPU41や計時回路46により利用される周波数の信号に分周して出力する。出力される周波数は、CPU41からの制御信号により変更設定されても良い。
計時回路46は、所定の日時を示す初期値に対し、分周回路45から入力される分周信号の回数を計数して加算していくことにより現在の日時を計数する。この計時回路46により計数される日時には、発振回路44の精度に応じた誤差(歩度)、例えば、一日に0.5秒程度、を含み得る。計時回路46の計数する日時は、CPU41からの制御信号により修正されることが可能となっている。計時回路46が計数する日時は、UTC日時などの基準となる日時に換算可能な独自のカウント値であっても良いし、UTC日時自体が計数されても良い。或いは、ホーム位置の設定がなされるごとに当該ホーム位置における地方時に修正されて計数を行っても良い。計時回路46は、ハードウェア構成としてのカウンタ回路を有していても良いし、ソフトウェア的にカウントされた値をRAMなどに記憶する態様であっても良い。また、ソフトウェア的な計数は、CPU41が制御しても良いし、別個に制御されても良い。
操作受付部47は、ユーザからの入力操作を受け付ける。操作受付部47には、上述の押しボタンスイッチB1〜B4やりゅうずC1が含まれる。押しボタンスイッチB1〜B4がそれぞれ押下されたり、りゅうずC1が引き出され、押し戻され、また、回転動作がなされたりした場合には、動作種別に応じた電気信号がCPU41に出力される。本実施形態の電子時計1では、ユーザからの入力操作に基づいてホーム位置の設定及び世界時計位置の設定の変更や、両設定の入れ替えを行ったり、設定されたタイムゾーンの日時に対する夏時間の適用有無に係る設定の切り替えを行ったりすることが出来る。
通信部48は、外部の電子機器(外部機器)と通信を行うためのインターフェイスを有する。通信部48は、例えば、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)といった無線通信の通信規格に従って外部機器と通信接続を行って、通信データの送受信を行う。更新都市時差情報42cとして保持される新しい情報は、例えば、所定のデータサーバからスマートフォンなどの外部機器を経由して通信部48により取得可能となっている。
衛星電波受信処理部49は、アンテナANを用いて少なくともGPS(Global Positioning System)に係る測位衛星(GPS衛星)を含む測位衛星からの電波を受信し、これら測位衛星からのスペクトラム拡散された送信電波を復調して信号(航法メッセージデータ)を復号、解読する。衛星電波受信処理部49では、必要に応じて解読された航法メッセージデータの内容に対する各種演算処理が行われ、CPU41からの要求に応じて日時や現在位置のデータ、及び現在位置に応じた地方時設定情報を取得して、それらのうち少なくとも一部を予め設定されたフォーマットでCPU41に出力する。
衛星電波受信処理部49は、受信部49aと、制御部49bと、記憶部49cなどを備える。受信部49aは、測位衛星からの受信電波の増幅、同調や復調などに係る受信回路を有する。制御部49bは、CPUやRAMなどを備え、受信、解読、演算及び出力に係る動作制御を行う。制御部49bの演算処理には、日時データの取得処理や測位演算が含まれる。制御部49bによる測位演算は、CPUによりソフトウェア的に実行される場合に限られず、専用のハードウェア回路などによる処理が少なくとも一部含まれていても良い。
記憶部49cには、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)といった不揮発性メモリが用いられ、衛星電波受信処理部49への電力供給状態に依らず記憶された内容が保持される。記憶部49cには、各種動作制御プログラム、測位衛星から取得される各測位衛星の予測軌道情報やうるう秒補正値などの設定データに加えて、測位により得られた現在位置に応じた地方時設定情報を得るための時差マップ491c、時差情報492c及び夏時間情報493cなどのデータテーブルが記憶される。なお、これらのデータテーブルを電子時計1のRAM43に記憶させ、必要に応じて制御部49bがCPU41からその一部を受け取ったり、必要な処理をCPU41に行わせたりする構成であっても良い。また、動作制御プログラムは、専用のROMに格納され、起動時に読み出されて制御部49bのRAMにロードされても良い。
時差マップ491cは、世界地図を適宜な地理ブロックに分割して、当該地理ブロックがそれぞれ属するタイムゾーンに係るパラメータと、当該地理ブロックにおける夏時間実施ルールに係るパラメータなどを記憶するマップデータである。時差マップ491cの地図は、特には限られないが、緯度線と経度線がそれぞれ直線で表され且つ直交するように描かれたものが好ましく用いられ、各地理ブロックは、所定の緯度間隔及び経度間隔で二次元マトリクス状に配置されるのが好ましい。これにより、得られた現在位置が属する地理ブロックを容易に同定することが出来る。また、地理ブロックは、高緯度地域と低緯度地域で経度幅を異ならせることで、実際のサイズが地理ブロック間で大きく異ならないように定められても良い。
時差情報492cは、時差マップ491cで用いられているタイムゾーンに係るパラメータと、当該タイムゾーンにおける時差とを対応付けるテーブルデータである。このテーブルデータでは、パラメータは、例えば、パラメータ「0」に対応する時差が「+0時間」、パラメータ「1」に対応する時差が「+15分」というように一意に対応させて設定されている。
また、夏時間情報493cは、時差マップ491cで用いられている夏時間実施ルールに係るパラメータと、当該夏時間実施ルールの内容(実施有無、実施期間、実施時のシフト時間)とを対応付けるテーブルデータである。例えば、パラメータ「0」は、夏時間の実施なしと対応付けられ、パラメータ「1」は、夏時間がUTCにおける3月の最終日曜日午前1時から10月の最終日曜日午前1時まで+1時間されることで実施されるケースと対応付けられて設定される。
このように、タイムゾーンに係るパラメータと夏時間実施ルールに係るパラメータとの組み合わせが各地理ブロックごとに定められる。
或いは、時差マップ491cでは、単純に行政区画などに応じて地域番号のみが設定され、時差情報492c及び夏時間情報493cにおいて、当該地域番号と、この地域番号に応じた行政区画が属するタイムゾーンや夏時間実施ルールを示す内容とが各々対応付けられ、又は更に当該内容に対応する番号との対応付けがなされていても良い。
これらの時差マップ491c上で定められている地理ブロックや地域番号は、都市時差情報42bや更新都市時差情報42cで定められている都市や地域に対して対応付けることが出来る。ここでは、単純に同定された地理ブロックや地域番号と同一のタイムゾーンの都市や地域に対応付けられる。
時差マップ491c、時差情報492c及び夏時間情報493cは、更新されることが可能となっている。電子時計1では、通信部48による外部機器との通信によりこれらの更新データが取得されて上書き更新される。また、上述の更新都市時差情報42cと同様に、これらのデータを記憶する領域を二つずつ備え、最新のデータを交互に書き込んでいくことで、最新のデータと一回前のデータとを並列保持させることとしても良い。
これら衛星電波受信処理部49の各構成は、まとめて一つのモジュールとしてチップ上に形成され、CPU41と接続される。衛星電波受信処理部49の動作は、CPU41により、電子時計1の他の各部の動作とは独立にオンオフの制御がなされる。電子時計1では、衛星電波受信処理部49を動作させる必要が無い場合には、衛星電波受信処理部49への電力供給を中断することで省電力化が図られている。
ステッピングモータ51は、複数の歯車の配列である輪列機構61を介して秒針11を回転動作させる。ステッピングモータ51が一回駆動されると、秒針11は、1ステップ6度回転し、ステッピングモータ51の60回の動作により文字盤3上で一周する。
ステッピングモータ52は、輪列機構62を介して分針12を回転動作させる。ステッピングモータ52が一回駆動されると、分針12は、1ステップ1度回転し、ステッピングモータ52の360回の動作により文字盤3上で一周する。
ステッピングモータ53は、輪列機構63を介して時針13を回転動作させる。ステッピングモータ53が一回駆動されると、時針13は、1ステップ1度回転し、ステッピングモータ53の360回の動作により文字盤3上で一周する。
ステッピングモータ54は、輪列機構64を介してモード指針14と日車15とを連動して回転動作させる。ステッピングモータ54が一回駆動されると、モード指針14が1ステップ6度回転される。日車15は、例えば、180ステップの回転動作により360/31度の回転が生じて、開口部3aから露出される日付標識が1日分変化する。そして、日車15が31日分回転動作すると、再び最初の日付を示す日付標識が開口部3aから露出される。モード指針14と日車15の1ステップあたりの回転角度比は非常に大きいので、モード指針14が多少回転動作しても日車15は大きく回転しない。日車15により表示させる日付を変化させる場合には、モード指針14が複数回周回動作されれば良い。
指針11〜15は、特には限られないが、正転方向(時刻が進む方向)に90pps(pulse per second)で回転動作可能であり、また、逆転方向に32ppsで回転動作可能となっている。
駆動回路50は、CPU41からの制御信号に従ってステッピングモータ51〜54に所定電圧の駆動パルスを出力してステッピングモータ51〜54を所定角度(例えば、180度)ステップで回転動作させる。駆動回路50は、電子時計1の状態などに応じて駆動パルスの長さ(パルス幅)を変更させることが出来る。また、複数の指針を同時に駆動させる制御信号が入力された場合に、負荷を低減させるために僅かに駆動パルスの出力タイミングをずらしたりすることが出来る。
電力供給部70は、バッテリから各部の動作に係る所定電圧で電力を供給する。電力供給部70は、バッテリとして、例えば、ソーラパネルと二次電池とを備える。或いは、電力供給部70は、交換可能なボタン型の乾電池から電力を得て各部に電力供給を行っても良い。電力供給部70から複数の異なる電圧が出力される場合には、例えば、スイッチング電源などを用いて所望の電圧に変換して出力可能な構成とすることが出来る。
次に、本実施形態の電子時計1における地方時設定動作について説明する。
電子時計1では、現在位置(ホーム位置)における地方時を表示する基本時計と、指定した世界の所定の地点(世界時計位置)における地方時を表示する世界時計とを表示対象の日時として切り替えることが可能であり、これらホーム位置及び世界時計位置をそれぞれ独立に設定可能である。これらのうち、ホーム位置は、衛星電波受信処理部49の動作により所得される現在位置情報に応じて自動的に設定され得る。
また、ホーム位置及び世界時計位置は、現在位置情報を取得せず、それぞれユーザの操作により手動設定されることが可能である。本実施形態の電子時計1では、上述の都市時差情報42bや更新都市時差情報42cに記憶されている都市地域、即ち、ベゼル4に設けられている地方時標識に対応する都市地域をこれらの位置として選択可能であり、また、これら以外の位置については、直接地方時、即ち、時差を設定することで基本時計及び世界時計の計数、表示が可能である。
また、電子時計1では、基本時計機能に係る時計設定情報と世界時計機能に係る時計設定情報との入れ替え、即ち、ホーム位置と世界時計位置との間で入れ替えを行う操作が可能となっている。
先ず、測位衛星の電波受信によるホーム位置の自動設定について説明する。
図4は、現在位置取得設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この現在位置取得設定処理は、ユーザによる特定の入力操作、ここでは、押しボタンスイッチB4を3秒間以上押下状態が継続されることで開始される。或いは、所定の条件、例えば、一日に一回所定のタイミングなどで自動的に起動されても良い。
現在位置取得設定処理が開始されると、CPU41は、衛星電波受信処理部49に対して日時情報及び基本時計に係る時計設定情報(現在位置情報及び地方時設定情報)を要求する(ステップS601)。CPU41は、それから、衛星電波受信処理部49からの入力を待ち受け、測位衛星からの電波受信に基づいて取得された日時、測位結果(得られた現在位置情報)、及び現在位置情報に基づいて時差マップ491c、時差情報492c及び夏時間情報493cから得られる地方時設定情報を衛星電波受信処理部49から取得し、基本時計に係る時計設定として時計設定情報43aに記憶させる(ステップS602)。CPU41は、計時回路46の計数する日時を修正する(ステップS603)。
CPU41は、衛星電波受信処理部49により正常に時計設定情報が取得されたか否かを判別する(ステップS604)。取得されたと判別された場合には(ステップS604で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、秒針11に標識「Y」を指示させ、モード指針14に標識「P」を指示させる(ステップS605)。それから、CPU41の処理は、ステップS606に移行する。
時計設定情報が正常に取得されていないと判別された場合には(ステップS604で“NO”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して秒針11に文字盤3の周縁に設けられた標識「N」を指示させる(ステップS611)。CPU41は、現在位置取得設定処理の開始前から現在位置情報が保持されていたか否かを判別する(ステップS612)。保持されていたと判別された場合には(ステップS612で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14に標識「P」を指示させ(ステップS613)、処理をステップS606に移行させる。保持されていないと判別された場合には(ステップS612で“NO”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14に小窓3b内の標識「N」を指示させ(ステップS614)、処理をステップS606に移行させる。
ステップS606の処理に移行すると、CPU41は、所定時間、例えば、2秒間待機する(ステップS606)。CPU41は、取得された地方時設定情報(タイムゾーン)に対応する都市地域の地方時標識を同定する(ステップS607)。対応する都市地域がない場合には、CPU41は、対応する地方時標識として例外標識を選択する。CPU41は、このステップS607の処理をステップS606の待機時間中に行うことが出来る。
CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、同定された(ステップS604で“NO”に分岐した場合には、従来の地方時設定情報に対応付けられていた)地方時標識を秒針11に指示させる(ステップS608)。CPU41は、新たに同定された地方時標識(ID)を時計設定情報43aに追加記憶させることが出来る。
CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、時分針12、13に現在の地方時を表示させる(ステップS609)。また、この地方時の表示の際に日付が変化する場合には、CPU41は、日車15を周回移動させて、日付とモード指針14の指示する位置とをともに正しい位置にあわせる。CPU41は、所定時間待機し(ステップS610)、それから、現在位置取得設定処理を終了する。
次に、ホーム位置及び世界時計位置の手動設定について説明する。電子時計1では、りゅうずC1を1段階又は2段階引き出すことでそれぞれホーム位置、世界時計位置の手動設定状態に移行する。そして、りゅうずC1の回転動作に応じて秒針11を移動させて、所望の都市地域の地方時標識を指し示させることでタイムゾーンの設定を行う。
図5は、地方時手動設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この地方時手動設定処理は、りゅうずC1の引き出し動作が検出されることで開始される。
地方時手動設定処理が開始されると、CPU41は、りゅうずC1が一段階の引き出し状態であるか否かを判別する(ステップS501)。一段階の引き出し状態であると判別された場合には(ステップS501で“YES”)、CPU41は、世界時計に係る時計設定情報を読み出して取得し、駆動回路50に制御信号を出力して、世界時計に係る地方時設定情報に応じた現在の時刻(地方時)を時分針12、13により指示させる。また、CPU41は、世界時計位置のタイムゾーンに応じた都市地域の地方時標識(対応する地方時標識が無い場合には例外標識)を秒針11に指示させる(ステップS502)。このとき、CPU41は、併せて日車15を回転動作させて正しい日付を表示させることが出来る。
CPU41は、世界時計に係る時計設定情報に現在位置情報が含まれているか否かを判別する(ステップS503)。含まれていると判別された場合には(ステップS503で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14に標識「P」を指示させ(ステップS506)、それから、処理をステップS508に移行させる。含まれていないと判別された場合には(ステップS503で“NO”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14に標識「N」を指示させ(ステップS507)、それから、処理をステップS508に移行させる。
りゅうずC1が一段階の引き出し状態ではない、即ち、二段階の引き出し状態であると判別された場合には(ステップS501で“NO”)、CPU41は、基本時計に係る時計設定情報を読み出し、駆動回路50に制御信号を出力して、基本時計に係る地方時設定情報に応じた現在の地方時を時分針12、13により指示させる。また、CPU41は、ホーム位置のタイムゾーンに応じた都市地域の地方時標識(対応する地方時標識が無い場合には例外標識)を秒針11に指示させる(ステップS504)。
CPU41は、基本時計に係る時計設定情報に現在位置情報が含まれているか否かを判別する(ステップS505)。含まれていると判別された場合には(ステップS505で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14に標識「P」を指示させ(ステップS506)、それから、処理をステップS508に移行させる。含まれていないと判別された場合には(ステップS505で“NO”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14に標識「N」を指示させ(ステップS507)、それから、処理をステップS508に移行させる。
ステップS506、S507の処理からステップS508の処理に移行すると、CPU41は、りゅうずC1の引き出し又は押し戻しの動作が検出されたか否かを判別する(ステップS508)。検出されていないと判別された場合には(ステップS508で“NO”)、CPU41は、押しボタンスイッチB3が1秒以上継続して押下されているか否かを判別する(ステップS509)。1秒以上継続して押下されたと判別された場合には(ステップS509で“YES”)、CPU41は、後述の時差手動設定処理を実行し(ステップS520)、それから、処理をステップS524に移行する。
押しボタンスイッチB3が1秒以上継続して押下されていないと判別された場合には(ステップS509で“NO”)、CPU41は、りゅうずC1の回転動作(第1の入力操作)が検出されたか否かを判別する(ステップS510)。検出されていないと判別された場合には(ステップS510で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS508に戻る。
りゅうずC1の回転動作が検出されたと判別された場合には(ステップS510で“YES”)、CPU41は、表示、設定中の時計機能(基本時計/世界時計)についての時計設定情報に現在位置情報が含まれているか否かを判別する(ステップS511)。含まれていると判別された場合には(ステップS511で“YES”)、当該現在位置情報を削除し、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14を小窓3b内の標識「N」の位置に移動させる(ステップS512)。それから、CPU41の処理は、ステップS513に移行する。現在位置情報が含まれていないと判別された場合には(ステップS511で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS513に移行する。
ステップS513の処理に移行すると、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力し、検出されたりゅうずC1の回転方向について、現在選択されている地方時標識の隣に設けられている地方時標識の位置へ秒針11を移動させる。即ち、回転方向について隣の地方時標識が例外標識の場合には、CPU41は、この例外標識をスキップして秒針11を4ステップ移動させ、通常の都市地域を示す位置標識又はUTCを示す基準標識の場合には、秒針11を2ステップ移動させる。また、CPU41は、当該地方時標識に対応する都市(地域)の時差を取得して、計時回路46の計数する日時に基づいて当該都市の地方時を算出し、駆動回路50に制御信号を出力して時分針12、13に当該地方時を示させる(ステップS513)。また、日付が変化する場合には、CPU41は、日車15を回転させて正しい日付とし、この状態で、モード指針14を標識「N」の位置とする。それから、CPU41の処理は、ステップS508に戻る。
ステップS508の判別処理で、りゅうずC1の引き出し動作又は押し戻し動作が検出されたと判別された場合には(ステップS508で“YES”)、CPU41は、検出された動作前において、りゅうずC1は一段階の引き出し状態であったか否かを判別する(ステップS521)。一段階の引き出し状態であったと判別された場合には(ステップS521で“YES”)、CPU41は、現在秒針11により指示されている地方時標識、及び分針12、時針13により指示されている地方時に係る地方時設定を世界時計に係る地方時設定として確定し、時計設定情報43aに保持記憶する(ステップS522)。それから、CPU41の処理は、ステップS524に移行する。
りゅうずC1が一段階の引き出し状態ではなかった、即ち、りゅうずC1が二段階の引き出し状態であったと判別された場合には(ステップS521で“NO”)、CPU41は、現在秒針11により指示されている地方時標識、及び分針12、時針13により指示されている地方時に係る地方時設定を基本時計に係る地方時設定として確定し、時計設定情報43aに記憶保持する(ステップS523)。それから、CPU41の処理は、ステップS524に移行する。
ステップS520、S522、S523の処理からステップS524の処理に移行すると、CPU41は、検出されたりゅうずC1の動作後における当該りゅうずC1は、引き出されていない状態であるか否かを判別する(ステップS524)。引き出されていないと判別された場合には(ステップS524で“YES”)、CPU41は、地方時手動設定処理を終了する。引き出されていると判別された場合には(ステップS524で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS501に戻る。
図6は、地方時手動設定処理のステップS520で呼び出される時差手動設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
時差手動設定処理が呼び出されると、CPU41は、設定表示中の時計機能(基本時計/世界時計)に係る時計設定情報として現在位置情報が保持されている状態であるか否かを判別する(ステップS561)。現在位置情報が保持されている状態であると判別された場合には(ステップS561で“YES”)、CPU41は、当該現在位置情報を消去し、また、駆動回路50に制御信号を出力してモード指針14に小窓3b内の標識「N」を指示させる(ステップS562)。それから、CPU41の処理は、ステップS563に移行する。
現在位置情報が保持されていない状態であると判別された場合には(ステップS561で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS563に移行する。
ステップS561、S562の処理からステップS563の処理に移行すると、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力し、秒針11に例外標識を指示させる(ステップS563)。CPU41は、りゅうずC1の引き出し動作又は押し戻し動作が検出されたか否かを判別する(ステップS564)。
りゅうずC1の引き出し動作又は押し戻し動作が検出されていないと判別された場合には(ステップS564で“NO”)、CPU41は、りゅうずC1の回転動作(第2の入力操作)が検出されたか否かを判別する(ステップS565)。検出されていないと判別された場合には(ステップS565で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS564に戻る。検出されたと判別された場合には(ステップS565で“YES”)、CPU41は、現在設定対象の時計機能(世界時計/基本時計)について、りゅうずC1の回転方向に応じて地方時を15分増加又は減少させ、駆動回路50に制御信号を出力して時分針12、13を早送り移動させ、当該時分針12、13により表示している地方時を15分変化させる(ステップS566)。地方時の変化に伴って日時が変化する場合には、CPU41は、日車15を回転動作させて日付を変化させ、また、この状態でモード指針14に標識「N」を指示させる。それから、CPU41の処理は、ステップS564に戻る。
ステップS564の判別処理で、りゅうずC1の引き出し又は押し戻し動作が検出されたと判別された場合には(ステップS564で“YES”)、CPU41は、当該検出された動作の前には、りゅうずC1が一段階引き出された状態であったか否かを判別する(ステップS571)。一段階引き出された状態であったと判別された場合には(ステップS571で“YES”)、CPU41は、時分針12、13及び日車15により指示されている日時を世界時計位置における現在の地方時として設定し、計時回路46の計数する日時との差分から時差情報を取得してタイムゾーンを定め、世界時計に係る地方時設定情報として時計設定情報43aに記憶、保持させる(ステップS572)。そして、CPU41は、時差手動設定処理を終了して処理を地方時手動設定処理に戻す。
一段階引き出された状態ではなかった、即ち、二段階引き出された状態であったと判別された場合には(ステップS571で“NO”)、CPU41は、時分針12、13及び日車15により指示されている日時をホーム位置における現在の地方時として設定し、計時回路46の計数する日時との差分から時差情報を取得してタイムゾーンを定め、基本時計に係る地方時設定情報として時計設定情報43aに記憶、保持させる(ステップS573)。そして、CPU41は、時差手動設定処理を終了して処理を地方時手動設定処理に戻す。
図7は、本実施形態の電子時計1が実行する時計設定入替処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この時計設定入替処理は、所定の入力動作、例えば、ユーザが押しボタンスイッチB4を3秒以上継続して押下した状態に応じて開始される。
時計設定入替処理が開始されると、CPU41は、時計設定情報43aにおける基本時計に係る時計設定と世界時計に係る時計設定とを入れ替える(ステップS701)。CPU41は、基本時計に係る時計設定により定められるホーム位置の地方時設定に従って当該ホーム位置の地方時を算出し、駆動回路50に制御信号を出力して時分針12、13による時刻表示を当該地方時に変更させる(ステップS702)。
CPU41は、入れ替えられたホーム位置のタイムゾーンに対応する都市地域の地方時標識があるか否かを判別する(ステップS703)。あると判別された場合には(ステップS703で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、秒針11に当該地方時標識を指示させる(ステップS704)。それから、CPU41の処理は、ステップS706に移行する。入れ替えられたホーム位置のタイムゾーンに対応する都市地域の地方時標識がないと判別された場合には(ステップS703で“NO”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、秒針11に例外標識を指示させる(ステップS705)。それから、CPU41の処理は、ステップS706に移行する。
ステップS706の処理に移行すると、CPU41は、入れ替え後の基本時計に係る時計設定情報に現在位置情報が含まれているか否かを判別する(ステップS706)。含まれていると判別された場合には(ステップS706で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、モード指針14に標識「P」を指示させる(ステップS707)。それから、CPU41の処理は、ステップS709に移行する。含まれていないと判別された場合には(ステップS706で“NO”)CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、モード指針14に小窓3b内の標識「N」を指示させる(ステップS708)。それから、CPU41の処理は、ステップS709に移行する。
ステップS709の処理に移行すると、CPU41は、表示を維持して所定時間、例えば、2秒間待機する(ステップS709)。それから、CPU41は、時計設定入替処理を終了する。
図8及び図9は、本実施形態の電子時計1による位置設定の表示例を示す図である。
UTC時刻で10時10分にユーザ操作や測位衛星の電波受信により、図3(a)に示した都市時差情報42bに基づいて東京やインドネシアのジャヤプラといったUTC+9時間のタイムゾーンに設定される場合、地方時は19時10分であり、図8(a)に示すように、時分針12、13は、7時10分を指示する。また、モード指針14が標識「P」を指示し、秒針11がUTC+9に対応する地方時標識「TYO」を指示する。
図3(b)に示した更新都市時差情報42c及び時差マップ491cの更新データなどが取得された後に、UTC時刻で10時10分に測位衛星からの電波受信により現在位置が東京であると同定された場合、基本時計表示は、当該更新都市時差情報42c及び更新された時差マップ491cに基づいて、地方時である18時10分が算出され、図8(b)に示すように、時分針12、13により6時10分が指示される。このとき、モード指針14が標識「P」を指示し、秒針11がUTC+8として当初から設定されている地方時標識「HKG」を指示するように制御される。
一方、更新都市時差情報42c及び時差マップ491cの更新データが取得された後に、UTC時刻で10時10分に測位衛星からの電波受信により現在位置がインドネシアのジャヤプラであると同定された場合、基本時計表示は、地方時である19時10分が算出され、図8(c)に示すように、時分針12、13により7時10分が指示される。このとき、モード指針14が標識「P」を指示し、秒針11は、例外標識を指示することで、ベゼル4上に存在しないUTC+9の時差であることを示す。
更新都市時差情報42cが取得された後に、UTC時刻で10時10分にユーザ操作により東京にホーム位置が設定された場合、この設定に伴い、図9(a)に示すように、秒針11が地方時標識「TYO」を指示し、モード指針14が標識「N」を指示する。このとき、時分針12、13による時刻の表示は、UTC+8時間である18時10分に対応して6時10分となる。
この状況で、ユーザがインドネシアのジャヤプラなどUTC+9時間の時刻表示に設定したい場合、時差手動設定処理に基づき、図9(b)に示すように、ユーザが表示時刻をUTC+9時間である19時10分に対応した7時10分とすることが出来る。このとき、モード指針14の指示位置は、標識「N」であり、秒針11により指示される地方時標識は、例外標識となる。
以上のように、本実施形態の電子時計1は、世界各地の位置を示す複数の地方時標識が設けられたベゼル4と、ベゼル4と相対移動する秒針11と、地方時標識と、当該地方時標識により示される位置が属するタイムゾーンに係る情報とを対応付けた都市時差情報42bを記憶するROM42と、秒針11をベゼル4に対して相対移動させる動作制御を行うCPU41と、を備え、ベゼル4には、秒針11により指示される(所定の位置関係)ことで地方時標識に対応付けられたタイムゾーンのうち何れにも該当しないことを表す例外標識が設けられており、CPU41は、表示対象の日時について設定されているタイムゾーンに係る表示を行う場合に、当該設定されているタイムゾーンと対応付けられた地方時標識がない場合には、秒針11に例外標識を指示させる。
これにより、全てのタイムゾーンに対応する標識を詰め込んだり、標識を時差に応じた間隔で配置したりする必要がなくなり、特に、設定に用いられる頻度が低いと想定される都市地域などの標識やスペースを省略することが出来るので、より柔軟且つ適切にタイムゾーンの設定表示を行うことが出来る。
また、ROM42は、都市時差情報42bを更新する更新都市時差情報42cを記憶可能である。これにより、ベゼルに設定されている都市地域が属するタイムゾーンが変更された場合でも、時計全体を交換せずとも通常通りの動作で適切な地方時の表示を行わせることが出来る。また、このようにタイムゾーンが変更されて設定対象のタイムゾーンに対応する都市地域がなくなった場合や新設された場合などに当該タイムゾーンを示すための位置がなかったりユーザに誤解を生じさせたりといった問題の発生を防ぐことが出来る。
また、CPU41は、対応付けられたタイムゾーンが初期設定から変更されている地方時標識を設定されているタイムゾーンに係る表示に用いない。
これにより指示されている地方時標識に対応するタイムゾーンがどの時点によるものであるかユーザに混乱を生じさせない。
また、更新記憶される更新都市時差情報42cを外部機器から取得する通信部48を備える。これにより、電子時計の内部設定、特に、しばしば変更されるタイムゾーンの設定データなどを容易に変更可能になるので、より柔軟且つ適切に正しい地方時を表示させることが出来る。
また、例外標識は、所定の標識により示されているので、地方時標識に示された都市に対応するタイムゾーン以外の領域にいることが容易に示される。
また、入力操作を受け付ける操作受付部47を備え、CPU41は、押しボタンスイッチB1〜B4やりゅうずC1に対する所定の入力操作に基づいて、表示対象の日時についてのタイムゾーンの設定を行い、設定されたタイムゾーンが地方時標識の何れにも対応していない場合には、秒針11に例外標識を指示させて、当該設定されたタイムゾーンに係る表示を行う。
これにより、表示させる地方時の設定を行う際に当該地方時のタイムゾーンの表示を適切且つ柔軟に行うことが出来る。
また、基準となる日時、ここでは、UTC日時を計数する計時回路46を備え、CPU41は、所定の入力操作により受け付けられた現在の日時と基準となる日時との差分に基づいてタイムゾーンの設定を行う。このように、都市の選択によるタイムゾーンの設定だけでなく、具体的な日時を入力してその時差により地方時の設定を行っても良い。この場合でも、設定されたタイムゾーンを同様に表示させることが出来、このタイムゾーンがベゼル4に設けられた都市と対応しない場合や、当初対応していたが変更されて対応しなくなった場合などにも柔軟に対応することが出来る。
また、CPU41は、りゅうずC1の回転動作(第1の入力操作)により、秒針11に所定の地方時標識を指示させ、当該変更された秒針11の位置により指示されている地方時標識と対応付けられているタイムゾーンにおける日時を時分針12、13により表示対象の日時として表示させ、押しボタンスイッチB3を1秒以上継続して押下した後に、更にりゅうずC1を回転動作させる(第2の入力操作)ことで、時分針12、13により表示させた日時を変化させ、当該変化された日時と計時回路46が計数する基準となる日時との差分に基づいてタイムゾーンを設定する。従って、ベゼル4に地方時標識が設けられた都市に対応するタイムゾーン以外にタイムゾーンを設定する場合や、ユーザが対応すると思っていたものの、当該地方時標識が示す都市地域のタイムゾーンが変更されていた場合などでも適切にタイムゾーンの設定を行うことが出来、また、この設定に応じて定められたタイムゾーンを無理なく表示させることが出来る。
また、現在位置に係る情報を取得する衛星電波受信処理部49と、衛星電波受信処理部49により取得される現在位置とタイムゾーンとの対応関係を時差マップ491cとして記憶する記憶部49cと、を備え、制御部には、衛星電波受信処理部49の制御部49bが含まれ、当該制御部49bは、前記時差マップ491cに基づいて衛星電波受信処理部49により取得された現在位置が属するタイムゾーンを同定する。このように、ユーザが手動で設定する場合だけではなく、測位データに基づいて現在位置が取得された場合でも当該現在位置に応じて適切にタイムゾーンの設定を行い、また、設定されたタイムゾーンの表示を柔軟且つ適切に行うことが出来る。
また、記憶部49cは、この対応関係を更新記憶可能である。従って、上述の更新都市時差情報42cと同様に、世界各地のタイムゾーン設定の変更に柔軟に対応することが出来、また、このように対応して正しく定められたタイムゾーンの表示を柔軟且つ適切に行うことが出来る。
また、衛星電波受信処理部49により現在位置に係る情報が取得され、当該現在位置に応じたタイムゾーンが表示対象の日時の設定に用いられているか否かを示すモード指針14を備える。
これにより、タイムゾーンの設定をユーザが手動で行ったか測位結果に基づいて自動で行われたかを容易に判別することが出来る。
また、衛星電波受信処理部49は、測位衛星からの電波を受信して測位を行う測位動作部として動作する。従って、世界の各地で容易且つ確実に現在位置の情報を取得することが出来る。また、緯度経度の情報に基づいて、ベゼル4に設けられた地方時標識に係る都市地域とは異なる地域でも確実にタイムゾーンの設定を行うことが出来る。また、秒針11による地方時標識の指示と、モード指針14による標識「P」、「N」の指示との組み合わせにより、このように適切なタイムゾーンの設定が自動でなされているか否かをユーザが判断することが出来、タイムゾーン設定に係るユーザの手間を低減しつつ、より容易且つ適切に所望の地方時の表示を行わせるように設定することが出来る。
また、指示部は、回転動作可能に設けられた秒針11であり、CPU41は、秒針11を回転動作させてベゼル4に設けられた一の地方時標識を秒針11により指し示させるので、時計本来の動作を利用して容易にタイムゾーンの設定を可能としつつ、より多様にデザインの幅を広げることが出来る。
また、本発明の実施形態の電子時計1における設定表示方法は、秒針11に指示されることで地方時標識に対応付けられたタイムゾーンのうち何れにも該当しないことを表す例外指示位置(例外標識)をベゼル4に設定する例外位置設定ステップ、表示対象の日時について設定されているタイムゾーンに係る表示を行う場合に、秒針11とベゼル4とを相対移動させ、設定されているタイムゾーンと対応付けられた地方時標識がない場合には、秒針11に例外指示位置を指示させる設定表示ステップを含む。このように、通常の位置標識で示せない部分をまとめて示す例外指示位置により、より柔軟且つ適切にタイムゾーンの設定表示を行わせることが出来る。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電子時計について説明する。
図10は、本実施形態の電子時計1aの外観を示す正面図である。
第2実施形態の電子時計1aは、第1実施形態の電子時計1の文字盤3に更に開口部3cが設けられて、固定盤である文字盤3の裏面側で回転可能に設けられた位置表示盤16の表面に設けられた地方時標識が選択的に露出可能となっている。開口部3aは、第1実施形態の電子時計1よりも指針11〜13、15の回転軸寄りに設けられ、これに伴って日車15が開口部3cから露出されないように小さく形成される。また、文字盤3の標識「Y」、「N」の代わりに標識「TIME」、「T+P」が設けられている。また、ベゼル4がベゼル4aに置き換えられている。その他の構成については電子時計1と電子時計1aとで同一であり、同一の構成要素については同一の符号を用いることとして説明を省略する。
開口部3cは、位置表示盤16上に設けられた地方時標識の角度間隔より広い角度範囲を露出し、これにより、複数の地方時標識が同時に開口部3cから露出される。開口部3cよりも指針11〜13などの回転軸側には、一つの地方時標識を指示する(所定の位置で露出させる)ための指示部3d、ここでは内部が塗りつぶされた横向きの三角形が設けられており、一の地方時標識がこの指示部と一致する位置にある場合、開口部3cからは、その上下(前後)にそれぞれ2個程度の地方時標識が露出される。
標識「TIME」、「T+P」は、それぞれ、衛星電波受信処理部49により測位衛星からの電波を受信した際に、日時情報のみを取得した、及び、日時と現在位置の両方を取得したことを示す。
ベゼル4aには、地方時標識の代わりに時差(+14〜−12)を示す時差標識が設けられている。
図11は、位置表示盤16の正面図である。
地方時標識は、ここでは、第1実施形態の電子時計1と同様に28の都市地域を示す位置標識、UTCを示す基準標識と、例外標識の合計30個が4度間隔で120度の範囲内に均等間隔で配置されているが、これに限られず、より多くのタイムゾーン(都市地域)を示す地方時標識が設けられていても良い。
また、位置表示盤16上には、地方時標識と離れて標識「YES」、「NO」が設けられている。これら2つの標識は、衛星電波受信処理部49による位置情報の取得成否を示すものである。
これらの構成により、本実施形態の電子時計1aでは、位置表示盤16が標識部を構成し、文字盤3(指示部3d)が指示部を構成する。
図12は、本実施形態の電子時計1aの機能構成を示すブロック図である。
この機能構成は、第1実施形態の電子時計1に対し、位置表示盤16と、ステッピングモータ56と、輪列機構66などが追加されている点を除き同一であり、同一の構成要素については説明を省略する。
位置表示盤16は、例えば、60ステップの回転動作により4度の回転が生じて、開口部3aから露出される地方時標識が1都市分変化する。即ち、ステッピングモータ56のステップ回転動作(180度回転)に応じて、輪列機構66は、位置表示盤16を1/15度回転させる。
図13は、本実施形態の電子時計1aで実行される現在位置取得設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この現在位置取得設定処理は、第1実施形態の現在位置取得設定処理と比較して、ステップS605、S608、S611の処理がそれぞれステップS605a、S608a、S6011aの処理に置き換えられた点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
ステップS604の判別処理で、時計設定情報が正常に取得されたと判別された場合には(ステップS604で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、位置表示盤16の標識「YES」を指示部3dの位置に合わせて表示させ、秒針11に標識「T+P」を指示させ、また、モード指針14に標識「P」を指示させる(ステップS605a)。それから、CPU41の処理は、ステップS606に移行する。
また、ステップS604の判別処理で、時計設定情報が正常に取得されていないと判別された場合には(ステップS604で“NO”)、駆動回路50に制御信号を出力して、位置表示盤16の標識「NO」を指示部3dの位置に合わせて表示させる(ステップS611a)。このとき、時計設定情報が取得されなかったものの、日時情報のみ取得された場合には、CPU41は、秒針11に標識「TIME」を指示させる。日時情報の取得もなされなかった場合には、CPU41は、秒針11を基準位置、例えば、0秒の位置に移動させる。それから、CPU41の処理は、ステップS612に移行する。
ステップS607の処理で地方時設定情報に対応する地方時標識が同定されると、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、秒針11に当該地方時設定情報で定められている時差を指示させ、同定された地方時標識が指示部3dの位置と合うように位置表示盤16を回転動作させる(ステップS608a)。それから、CPU41の処理は、ステップS609に移行する。
図14は、本実施形態の電子時計1aで実行される地方時手動設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この地方時手動設定処理は、第1実施形態の電子時計1による地方時手動設定処理と比較して、ステップS502、S504、S513の処理がそれぞれステップS502a、S504a、S513aに置き換えられた点を除き同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
ステップS501の判別処理でりゅうずC1が一段階の引き出し状態であると判別された場合には(ステップS501で“YES”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力し、世界時計に係る時計設定情報に基づいて、地方時を時分針12、13により表示させ、タイムゾーンに対応する地方時標識が指示部3dと合うように位置表示盤16を回転動作させ、また、時差を秒針11により指示させる(ステップS502a)。それから、CPU41の処理は、ステップS503に移行する。
ステップS501の判別処理でりゅうずC1が一段階の引き出し状態ではない(二段階の引き出し状態である)と判別された場合には(ステップS501で“NO”)、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力し、基本時計に係る時計設定情報に基づいて、地方時を時分針12、13により表示させ、タイムゾーンに対応する地方時標識が指示部3dと合うように位置表示盤16を回転動作させ、また、時差を秒針11により指示させる(ステップS504a)。それから、CPU41の処理は、ステップS505に移行する。
また、ステップS511またはステップS512の処理からステップS513aの処理に移行すると、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力し、検出されたりゅうずC1の回転動作の方向に応じた方向について隣の地方時標識が指示部3dと合うように位置表示盤16を回転動作させる。また、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して指示部3dの位置と合わせる地方時標識に対応する時差を秒針11に指示させ、当該時差を反映した地方時を時分針12、13により表示させる(ステップS513a)。それから、CPU41の処理は、ステップS508に戻る。
図15は、本実施形態の電子時計1aの地方時手動設定処理で呼び出される時差手動設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この時差手動設定処理は、第1実施形態の電子時計1の地方時手動設定処理で呼び出される時差手動設定処理と比較して、ステップS563、S566の処理がそれぞれステップS563a、S566aの処理に置き換えられた点を除き同一であり、同一の処理内容については同一の符号を付して説明を省略する。
ステップS561又はステップS562の処理からステップS563aの処理に移行すると、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して位置表示盤16を回転動作させ、例外標識を指示部3dの位置に合わせる(ステップS563a)。それから、CPU41の処理は、ステップS564に移行する。
ステップS565の判別処理でりゅうずC1の回転動作が検出されたと判別された場合には(ステップS565で“YES”)、CPU41は、検出されたりゅうずC1の回転方向に応じた向きに地方時を15分変化させ、また、これに応じて時差を15分変化させる。そして、CPU41は、駆動回路50に制御信号を出力して、時分針12、13に変化した地方時を表示させ、秒針11に変化した時差を表示させる(ステップS566a)。それから、CPU41の処理は、ステップS564に戻る。
図16は、本実施形態の電子時計1aにおける地方時の設定時の表示例を示す図である。
UTC時刻で10時10分に測位衛星からの電波受信により、図3(a)に示した都市時差情報42bに基づいて東京やインドネシアのジャヤプラといったUTC+9時間のタイムゾーンに設定される場合、地方時は19時10分であり、図16(a)に示すように、時分針12、13は、7時10分を指示する。また、モード指針14が標識「P」を指示し、秒針11がUTC+9に対応する標識「+9」を指示し、位置表示盤16上の地方時標識「TYO」が指示部3dと合うように回転動作される。
図3(b)に示した更新都市時差情報42cが取得された後に東京で電波受信を行うと、東京の時差が+8時間に変更されているので、地方時は18時10分であり、図16(b)に示すように、時分針12、13は6時10分を指示する。また、モード指針14は、標識「P」を指示し、秒針11がUTC+8に対応する標識「+8」を指示し、位置表示盤16上の地方時標識「HKG」が指示部3dと合うように回転動作される。
図3(b)に示した更新都市時差情報42cが取得された後、時差がUTC+9時間のジャヤプラにおいてユーザが手動で時差を設定する場合、位置表示盤16上にUTC+9に対応する地方時標識がない。そこで、時差手動設定処理によりUTC+8から1時間日時を進めるなどにより設定を行う。この結果、図16(c)に示すように、時分針12、13は、19時10分に対応して7時10分を指示する。また、モード指針14は、標識「N」を指示し、秒針11がUTC+9に対応する標識「+9」を指示し、位置表示盤16は、例外標識が指示部3dと合うように回転動作される。
以上のように、第2実施形態の電子時計1aでは、指示部は、位置表示盤16上に設けられた開口部3cを有する文字盤3(特に、指示部3d)であり、位置表示盤16は、回転可能に設けられて、当該位置表示盤16に設けられた一の地方時標識が開口部3cの所定位置から選択的に露出可能とされ、CPU41は、位置表示盤16を回転動作させて一の地方時標識を開口部3cの所定位置から露出させることで、当該一の地方時標識が選択されていることを示す。
このように、地方時標識が移動される構成であっても、電子時計1aにおいて、上記第1実施形態の電子時計1と同様に柔軟且つ適切にタイムゾーンに係る表示を行うことが出来る。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、例外標識が1つ設けられることとしたが、複数個配置される場合を除外するものではない。但し、複数設けられる例外標識は、特定のタイムゾーンと対応付けられて設けられるものではない。また、例外指示位置に設けられる例外標識は、上記実施の形態で示した形状などに限られない。文字標識であっても良いし、或いは、単純にスペースのみが設けられて標識が設けられていなくても良い。
また、上記実施の形態では、初期状態では、地方時標識が各々異なるタイムゾーンに対応付けられて設けられることとしたが、これに限られるものではない。夏時間の実施ルールの違いなどに応じて同一タイムゾーン内の複数都市地域にそれぞれ対応する地方時標識が設けられていても良い。
また、上記実施の形態では、地方時(タイムゾーン)の設定時に、夏時間を考慮しないこととして説明したが、夏時間が実施されている地方時に基づいて同様にタイムゾーンの設定がなされても良い。特に、現在時刻を指定してUTC日時との差異に基づいてタイムゾーンを定める場合には、モード指針14による夏時間の実施有無の表示を切り替えて当該夏時間の実施有無を反映させた時差を考慮することとしても良い。
また、上記実施の形態では、ブルートゥースを用いて外部機器と通信接続を行い、更新データを取得することとしたが、USBケーブルなどを用いた有線接続でも良いし、microSDカードなど着脱可能な記憶媒体を介してデータの取得が行われても良い。また、このようなデータのやり取りを行うことの出来ない電子時計についても、本発明を適用することが出来る。
また、上記実施の形態では、測位衛星からの電波を受信することで現在位置の取得を行ったが、他の通信電波などを介して現在位置情報が取得されても良いし、ユーザが手動で現在位置を設定することのみが可能な電子時計であっても良い。また、取得された現在位置をより具体的に緯度経度などで表示可能な構成を備える電子時計であっても良い。
また、上記実施の形態では、全て指針と回転円盤とを用いたアナログ式の電子時計を例に挙げて説明したが、地方時標識を含む標識部と、地方時標識の何れかを選択的に示す指示部とが相対移動するアナログ構成を有する電子時計であれば、表示の一部がデジタル表示画面や照明動作などの可動部を有さない構成により行われるものであっても良い。また、標識部と指示部とが何れも移動可能であっても良い。
また、制御部としての制御動作は、CPU41により全てソフトウェア的に行われることとしたが、その一部が専用のハードウェア回路などにより行われても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
世界各地の位置を示す複数の位置標識が設けられた標識部と、
前記標識部と相対移動する指示部と、
前記位置標識と、当該位置標識により示される位置が属するタイムゾーンに係る情報とを対応付けた時差情報を記憶する標識情報記憶部と、
前記指示部と前記標識部とを相対移動させる動作制御を行う制御部と、
を備え、
前記標識部には、前記指示部と所定の位置関係とされることで前記位置標識に対応付けられたタイムゾーンのうち何れにも該当しないことを表す例外指示位置が設定されており、
前記制御部は、表示対象の日時について設定されているタイムゾーンに係る表示を行う
場合に、当該設定されているタイムゾーンと対応付けられた前記位置標識がない場合には、前記指示部と前記例外指示位置とを前記所定の位置関係とさせる
ことを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記標識情報記憶部は、前記時差情報を更新記憶可能であることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項3>
前記制御部は、前記設定されているタイムゾーンに係る表示を行う場合に、対応付けられたタイムゾーンが初期設定から変更されている前記位置標識と前記指示部とを前記所定の位置関係とさせる動作制御を行わないことを特徴とする請求項2記載の電子時計。
<請求項4>
更新記憶される前記時差情報を外部機器から取得する通信部を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の電子時計。
<請求項5>
前記例外指示位置には、所定の標識が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項6>
入力操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記制御部は、所定の入力操作に基づいて、表示対象の日時についてのタイムゾーンの設定を行い、設定されたタイムゾーンが前記位置標識の何れにも対応していない場合には、前記指示部と前記例外指示位置とを前記所定の位置関係とさせて、前記タイムゾーンに係る表示を行う
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項7>
基準となる日時を計数する計時部を備え、
前記制御部は、前記所定の入力操作により受け付けられた現在の日時と前記基準となる日時との差分に基づいて前記タイムゾーンの設定を行う
ことを特徴とする請求項6記載の電子時計。
<請求項8>
前記制御部は、
第1の入力操作に基づいて前記位置標識と前記指示部との相対位置関係を変更させ、当該変更された相対位置関係により前記指示部と前記所定の位置関係となった前記位置標識と対応付けられているタイムゾーンにおける日時を前記表示対象の日時として表示させ、
第2の入力操作に基づいて表示させた日時を変化させ、当該変化された日時と前記基準となる日時との差分に基づいて前記タイムゾーンを設定する
ことを特徴とする請求項7記載の電子時計。
<請求項9>
現在位置に係る情報を取得する位置取得部と、
前記位置取得部により取得される現在位置と前記タイムゾーンとの対応関係を記憶する時差情報記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記対応関係に基づいて、前記位置取得部により取得された現在位置が属するタイムゾーンを同定する
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項10>
前記時差情報記憶部は、前記対応関係を更新記憶可能であることを特徴とする請求項9記載の電子時計。
<請求項11>
前記位置取得部により前記現在位置に係る情報が取得され、当該現在位置に応じたタイムゾーンが前記表示対象の日時の設定に用いられているか否かを示す位置取得表示部を備えることを特徴とする請求項9又は10記載の電子時計。
<請求項12>
前記位置取得部は、測位衛星からの電波を受信して測位を行う測位動作部を備えることを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項13>
前記指示部は、回転動作可能に設けられた指針であり、
前記制御部は、前記指示部を回転動作させて前記標識部に設けられた一の前記位置標識を当該指示部により指し示させることで、当該一の位置標識と前記指示部とを前記所定の位置関係とする
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項14>
前記指示部は、前記標識部上に設けられた開口部を有する固定盤であり、
前記標識部は、回転可能に設けられて、当該標識部に設けられた一の前記位置標識が前記開口部の所定位置から選択的に露出可能とされ、
前記制御部は、前記標識部を回転動作させて一の前記位置標識を前記開口部の前記所定位置から露出させることで、当該一の位置標識と前記指示部とを前記所定の位置関係とする
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項15>
世界各地の位置を示す複数の位置標識が設けられた標識部と、前記標識部と相対移動して前記位置標識との位置関係により所定の情報を示す指示部と、前記位置標識と当該位置標識により示される位置が属するタイムゾーンに係る情報とを対応付けた時差情報を記憶する標識情報記憶部と、を備えた電子時計における表示対象の日時の設定表示方法であって、
前記指示部と所定の位置関係とされることで前記位置標識に対応付けられたタイムゾーンのうち何れにも該当しないことを表す例外指示位置を前記標識部に設定する例外位置設定ステップ、
表示対象の日時について設定されているタイムゾーンに係る表示を行う場合に、前記指示部と前記標識部とを相対移動させ、当該設定されているタイムゾーンと対応付けられた前記位置標識がない場合には、前記指示部と前記例外指示位置とを前記所定の位置関係とさせる設定表示ステップ
を含むことを特徴とする設定表示方法。