JP2020172910A - シリンダヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】排気ポート内に突出する突条のフィンを有するシリンダヘッドに関して、排気ポートを流れる排気が高温である場合に、排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制する。【解決手段】シリンダヘッドには、内燃機関の燃焼室から排出された排気が通過する排気ポート12が形成されている。シリンダヘッドは、排気ポート12の内壁から排気ポート12内に突出しており排気ポート12が延びる方向に延びている突条として、第1フィン21、第2フィン22を有している。さらに、シリンダヘッドは、排気ポート12の内壁から排気ポート12内に突出して第1フィン21と交差する方向に延びる突起部として第1突起部31を備えている。シリンダヘッドは、排気ポート12の内壁から排気ポート12内に突出して第2フィン22と交差する方向に延びる突起部として第2突起部36を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関のシリンダヘッドに関する。
特許文献1に開示されているシリンダヘッドは、排気ポートの内壁から突出する突条部(以下、「フィン」と記載。)を備えている。特許文献1には、排気ポートを流れる排気の熱がフィンに伝達され、排気の熱回収効率を高めることができると記載されている。
特開2014−137026号公報
排気ポートを流れる排気の温度は、内燃機関の機関回転数が高いほど高温になる。特許文献1に開示されているシリンダヘッドのように排気ポートにフィンを設けている場合、排気ポートを流れる排気が高温であると、排気からフィンに伝達される熱量が過剰になる虞がある。過剰な熱量が排気からフィンに伝達されると、たとえばシリンダヘッドのウォータージャケットを循環する冷却水が過度に高温になるといった問題が生じる虞がある。特許文献1に開示されているシリンダヘッドでは、排気からフィンに伝達される熱量が過剰になる場合について考慮されていない。
上記課題を解決するためのシリンダヘッドは、内燃機関の燃焼室から排出された排気が通過する排気ポートと、前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出しており該排気ポートにおける排気上流から排気下流に向けて延びている突条であるフィンと、を有するシリンダヘッドであり、前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出して前記フィンと交差する方向に延びている突起部を備えることをその要旨とする。
上記構成では、排気ポートの内壁から突出する突起部が設けられているため、内壁に沿った排気の流れは、突起部を越えると内壁から剥離しやすい。
たとえば内燃機関の機関回転数が高いときのように排気ポートを流れる排気の流速が比較的速いとき、突起部を越えた排気は、排気ポートの内壁から離れて排気ポートが延びる方向に沿って下流側に流れやすい。このため、突起部を越えた排気は、排気ポートの内壁の近くを流れにくく、内壁から突出しているフィンに衝突しにくくなる。これによって、排気からフィンに伝達される熱量を軽減することができる。
一方で、たとえば内燃機関がアイドル運転のときのように排気ポートを流れる排気の流速が比較的遅いとき、排気の流速が速いときと比較して、突起部によって剥離した流れは、突起部よりも下流側であり突起部の頂点よりも内壁側に流れやすい。そして、内壁側に流れる排気によって渦が形成される。このため、排気ポート内を排気が流れることによって内壁側に形成される境界層は、突起部よりも下流側において、渦によって剥離されやすくなる。これによって、内壁の近くでは熱伝達率が大きくなる。すなわち、突起部よりも下流側では、排気からフィンまたは内壁への熱量の伝達を促進することができる。
以上のように上記構成によれば、排気ポートの内壁に設けている突起部によって、排気の流速に応じて熱回収の効率を変更することができる。そして、内燃機関では、排気の流速が速いとき、すなわち機関回転数が高いときには排気の温度が高い。一方、排気の流速が遅いとき、すなわちアイドル運転のときのように機関回転数が低いときには排気の温度が低い。すなわち、上記構成によれば、突起部によって、排気の温度が低いときには排気からフィンへの熱量の伝達が抑制されないようにしつつ、排気の温度が高いときには排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
上記シリンダヘッドの一例では、前記突起部は、前記内壁から突出する高さが前記排気ポートの上流側よりも前記排気ポートの下流側ほど大きい前段部を備え、前記前段部は、前記排気ポートの上流側における当該突起部の端を基点として、前記排気ポートの上流側よりも前記排気ポートの下流側ほど前記内壁から離間するように傾斜した案内面を有する。
上記構成によれば、内壁に沿って流れる排気は、突起部の前段部が有する案内面に衝突する。案内面が傾斜しているため、突起部と衝突する排気は、排気ポートの下流側に流れることが阻害されにくく、且つ、突起部を越える排気の流れは、排気ポートの内壁から剥離しやすい。すなわち、突起部によって、排気の温度が低いときには排気からフィンへの熱量の伝達が抑制されないようにしつつ、排気の温度が高いときには排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
上記シリンダヘッドの一例では、前記フィンにおける前記排気ポートの上流側の端部を先端部とすると、前記突起部は、前記先端部よりも前記排気ポートにおける上流側に位置している。
フィンの先端部は、排気ポートを流れる排気が衝突しやすく過度に温度が高くなりやすい。上記構成によれば、突起部を越えた排気は、排気ポートの内壁の近くを流れにくく、フィンの先端部に衝突しにくくなる。これによって、フィンの先端部が過度に昇温することを抑制できる。すなわち、排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
上記シリンダヘッドの一例では、前記フィンを第1フィンとすると、前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出しており該排気ポートにおける排気上流から排気下流に向けて延びている突条であり、前記第1フィンに対して前記排気ポートの周方向に並んで配置されている第2フィンを備え、前記突起部は、前記第1フィンと前記第2フィンとに挟まれた間隙に配置されている。
上記構成によれば、第1フィンと第2フィンとに挟まれた間隙を流れる排気を排気ポートの内壁から剥離させやすくなる。これによって、排気の温度が高いときに排気から第1フィンおよび第2フィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
上記シリンダヘッドの一例では、前記第1フィンおよび前記第2フィンは、前記第1フィンと前記第2フィンとに挟まれた前記間隙によって形成されている通路が蛇行するように波形状をなす波部を有しており、前記突起部は、前記波部に挟まれた前記間隙に配置されている。
上記構成によれば、波部によって、第1フィンと第2フィンとに挟まれた間隙を流れる排気の流れを第1フィンおよび第2フィンの側壁から剥離させることができる。さらに、波部に挟まれた間隙に突起部が配置されているため、第1フィンまたは第2フィンの側壁から剥離した排気が突起部を越える場合には、排気の流れを排気ポートの内壁から剥離させることができる。このため、排気の流速が速いときには、排気が波部を通過する際に第1フィンおよび第2フィンの近くを流れにくく、さらに排気が内壁の近くを流れにくい。これによって、排気の温度が高いときに第1フィンおよび第2フィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
上記シリンダヘッドの一例では、前記突起部を上流突起部とすると、前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出して前記フィンと交差する方向に延びている下流突起部を前記上流突起部よりも前記排気ポートにおける下流側に備える。
上記構成によれば、機関回転数が高いとき、上流突起部と下流突起部とを備えていることによって、下流突起部よりも下流側においても排気の流れが内壁から離れやすくなる。すなわち、上流突起部を越えた排気の流れが排気ポートの内壁側に戻ったとしても、下流突起部よりも下流側において排気の流れを再び内壁から離すことができる。このため、上流突起部のみを備える場合と比較して排気が排気ポートの内壁に沿って流れにくくなる区間を長くすることができ、内壁から突出しているフィンに排気の流れが衝突しにくくなる。これによって、排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
また、機関回転数が低いときには、上流突起部と下流突起部とを備えていることによって、下流突起部よりも下流側においても境界層を剥離することができる。このため、上流突起部のみを備える場合と比較して内壁の近くにおいて熱伝達率が大きくなる区間を長くすることができる。これによって、排気からフィンまたは内壁への熱量の伝達を促進することができる。
上記シリンダヘッドの一例では、前記上流突起部は、前記内壁から突出する部分のうち前記排気ポートの周方向における一部分が切り欠かれた形状であり、前記下流突起部は、前記上流突起部が切り欠かれている部分に対して前記排気ポートにおける排気下流に配置されている。
排気ポートが内壁から突出する突起部を備えている場合、突起部が設けられている部分において排気ポートの流路断面積が縮小する。このため、排気が突起部を通過する際に圧力損失が発生する。
上記構成では、上流突起部は、排気ポートの周方向における一部が欠けている。このため、排気ポートの周方向における全周に亘って上流突起部が設けられている場合と比較して、流路断面積の縮小幅を小さくすることができ、排気が上流突起部を通過する際に発生する圧力損失を小さく抑えることができる。さらに、上流突起部が切り欠かれている部分の下流側に下流突起部が配置されているため、上流突起部が設けられている箇所を通過した際に内壁から剥離されることなく通過した排気を、下流突起部によって内壁から剥離させることができる。すなわち、圧力損失を小さくしつつも、排気の温度が高いときには排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
第1実施形態のシリンダヘッドを備える内燃機関を示す断面図。 同実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポートを示す模式図。 同実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポートの断面図。 同実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポートの断面図。 同実施形態のシリンダヘッドが有する突起部を示す模式図。 シリンダヘッドの変更例における排気ポート内の形状を示す模式図。 第2実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポートを示す模式図。 シリンダヘッドの変更例が有する排気ポートを示す模式図。 シリンダヘッドの変更例における排気ポート内の形状を示す模式図。 シリンダヘッドと排気マニホールドとを示す模式図。 同変更例が有する突起部を示す断面図。 シリンダヘッドの変更例が有する排気ポートを示す模式図。 第3実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポートを示す模式図。 排気ポート内における排気の流れを示す模式図。 同実施形態のシリンダヘッドが有する突起部の断面図。 第4実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポートを示す模式図。 同変更例が有するフィンを示す模式図。 同変更例が有するフィンと突起部とを示す模式図。 シリンダヘッドの変更例が有する突起部の模式図。
(第1実施形態)
以下、シリンダヘッドの第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1は、シリンダヘッド10を備える内燃機関90を示している。内燃機関90は、内燃機関90の出力軸であるクランクシャフトの回転と連動して往復動可能なピストン94を備えている。内燃機関90は、ピストン94を収容するシリンダブロック91を備えている。ピストン94は、シリンダブロック91に形成されている気筒92に収容されている。内燃機関90では、気筒92とピストン94とシリンダヘッド10とによって燃焼室93が区画されている。なお、内燃機関90は、多気筒の内燃機関である。図1には、一つの気筒92を示している。
シリンダヘッド10には、燃焼室93に吸気を導入する吸気ポート11が形成されている。シリンダヘッド10には、燃焼室93において燃焼された混合気を排気として排出する排気ポート12が形成されている。シリンダヘッド10には、吸気ポート11と燃焼室93との連通を開閉する吸気バルブ18が設けられている。吸気バルブ18は、シリンダヘッド10が有するバルブガイド29に支持されている。シリンダヘッド10には、燃焼室93と排気ポート12との連通を開閉する排気バルブ19が設けられている。排気バルブ19は、シリンダヘッド10が有するバルブガイド29に支持されている。内燃機関90は、一つの気筒92毎に、二つの吸気バルブ18と二つの排気バルブ19とを備えている。図1には、一方の吸気バルブ18と一方の排気バルブ19とを示している。
内燃機関90は、燃焼室93に電極を露出させた点火プラグ81を備えている。点火プラグ81は、シリンダヘッド10に取り付けられている。シリンダヘッド10には、冷却水が循環する通路としてウォータージャケット17が形成されている。
内燃機関90は、排気マニホールド95を備えている。排気マニホールド95は、シリンダヘッド10に取り付けられている。排気マニホールド95には、燃焼室93から排気ポート12に排出された排気が流入する。
図1および図2を用いて、シリンダヘッド10に形成されている排気ポート12について説明する。図2は、バルブガイド29側から見た排気ポート12を模式的に示している。
図2に示すように、一つの気筒92に接続されている排気ポート12は、第1上流部13および第2上流部14と、第1上流部13および第2上流部14よりも排気の流れ方向下流側に位置する下流部15と、によって構成されている。
第1上流部13および第2上流部14は、それぞれ燃焼室93と接続されている。第1上流部13は、燃焼室93と接続されている第1流入端13aから排気下流側に延びており、第2上流部14と合流して下流部15に接続されている。第2上流部14は、燃焼室93と接続されている第2流入端14aから排気下流側に延びており、第1上流部13と合流して下流部15に接続されている。燃焼室93から排出されて第1上流部13と第2上流部14とに流入する排気は、下流部15において合流する。
シリンダヘッド10は、排気ポート12の内壁16から排気ポート12内に突出しており排気ポート12における排気上流から排気下流に向けて延びている突条を備えている。図2に示すように、シリンダヘッド10には、上記突条として、第1フィン21と、第2フィン22と、第3フィン23と、第4フィン24と、が設けられている。図1には、四つの突条のうち第1フィン21と第3フィン23とを示している。
図2に示すように、第1フィン21は、排気ポート12の上流側の端部である第1先端部21aが第1上流部13に位置している。第1フィン21は、第1先端部21aから排気下流側に延びており、第1上流部13および下流部15に設けられている。図1に示すように、第1フィン21は、排気ポート12においてバルブガイド29が設けられている側に位置している。
図2に示すように、第3フィン23は、排気ポート12の上流側の端部である第3先端部23aが第1上流部13に位置している。第3フィン23は、第3先端部23aから排気下流側に延びており、第1上流部13および下流部15に設けられている。図1に示すように、第3フィン23は、排気ポート12における燃焼室93と接続されている第1流入端13a側に位置している。
以下では、排気ポート12について、バルブガイド29が設けられている側を排気ポート12の上側として、燃焼室93と接続されている第1流入端13a側を排気ポート12の下側とする。すなわち、第1フィン21は、排気ポート12の上側に設けられている。第3フィン23は、排気ポート12の下側に設けられている。
図2に示すように、第2フィン22は、排気ポート12の上流側の端部である第2先端部22aが第2上流部14に位置している。第2フィン22は、第2先端部22aから排気下流側に延びており、第2上流部14および下流部15に設けられている。第2フィン22は、第1フィン21と同様に、排気ポート12の上側に設けられている。
図2に示すように、第4フィン24は、排気ポート12の上流側の端部である第4先端部24aが第2上流部14に位置している。第4フィン24は、第4先端部24aから排気下流側に延びており、第2上流部14および下流部15に設けられている。第4フィン24は、第3フィン23と同様に、排気ポート12の下側に設けられている。
すなわち、第1上流部13では、内壁16から第1フィン21および第3フィン23が突出している。第2上流部14では、内壁16から第2フィン22および第4フィン24が突出している。そして、下流部15では、内壁16から第1フィン21〜第4フィン24が突出している。
下流部15において排気ポート12の上側に設けられている第1フィン21と第2フィン22は、排気ポート12の周方向に並んで配置されている。排気ポート12の下側に設けられている第3フィン23と第4フィン24は、排気ポート12の周方向に並んで配置されている。
シリンダヘッド10は、排気ポート12の内壁16から排気ポート12内に突出して第1フィン21〜第4フィン24と交差する方向に延びている突起部を備えている。
シリンダヘッド10は、突起部として第1突起部31を備えている。図2に示すように、第1突起部31は、第1上流部13に位置している。第1突起部31は、第1上流部13における第1先端部21aおよび第3先端部23aよりも上流側に位置している。図1には、第1突起部31を示している。
シリンダヘッド10は、突起部として第2突起部36を備えている。図2に示すように、第2突起部36は、第2上流部14に位置している。第2突起部36は、第2上流部14における第2先端部22aおよび第4先端部24aよりも上流側に位置している。
図3〜図5を用いて第1突起部31について詳細に説明する。なお、第1実施形態では、第2上流部14に位置している第2突起部36は、第1上流部13に位置している第1突起部31と同様の構成を備えているため、詳細な説明を省略する。
図3は、第1突起部31側から第1フィン21および第3フィン23側を見たシリンダヘッド10の断面図である。図3に示すように、第1突起部31は、排気ポート12の内壁16から突出している。第1突起部31は、内壁16からの突出高さが、第1フィン21および第3フィン23よりも小さくなっている。なお、各図に示す第1突起部31、および第1フィン21〜第4フィン24は、説明の便宜上、内壁16からの突出高さを誇張している。
図3に示すように、内壁16から突出している第1突起部31は、第1上流部13の周方向において全周に亘って延びている。第1突起部31によって、排気ポート12の流路断面積が絞られている。
図4は、排気ポート12が延びる方向に対して直交する方向から排気ポート12を見たシリンダヘッド10の断面図である。排気ポート12の周囲には、ウォータージャケット17が設けられている。第1突起部31は、図4に示す断面形状において、排気ポート12の上流側から下流側に向かって内壁16からの突出高さが大きくなっている部分と、排気ポート12の上流側から下流側に向かって内壁16からの突出高さが小さくなっている部分と、を有している。すなわち、第1突起部31は、排気ポート12の流路断面積を一旦絞ってから流路断面積を元に戻す形状を有している。
図5は、図4に示す第1突起部31の断面形状を模式的に示している。図5に示すように、第1突起部31は、内壁16から突出する高さが排気ポート12の上流側よりも下流側ほど大きい前段部32を備えている。前段部32は、排気ポート12の上流側における第1突起部31の端を基点として、排気ポート12の上流側よりも下流側ほど内壁16から離間するように傾斜した案内面32aを有している。案内面32aの傾斜角θ1は、鋭角である。図5に示すように、第1突起部31は、内壁16から突出する高さが最も大きい頂部33を基点として、内壁16から突出する高さが排気ポート12の上流側よりも下流側ほど小さい後段部34を備えている。第1突起部31における後段部34は、第1突起部31における前段部32よりも排気流れ方向の長さが短い。すなわち、頂部33は、第1突起部31において、第1突起部31における上流側の端から下流側の端までの中央よりも下流側に位置している。また、第1突起部31は、前段部32から頂部33にかけて、図5に示す断面形状において内壁16に対する傾斜角が緩やかになり、内壁16に対する傾斜角が「0°」になる部分を有している。
本実施形態の作用について説明する。
図4には、排気ポート12を通過する排気の流れを模式的に示す矢印を表示している。実線の矢印は、内燃機関90の機関回転数が高い場合の排気の流れを例示している。破線の矢印は、内燃機関90がアイドル運転である場合の排気の流れを例示している。
図4に示すように、第1突起部31は、内壁16から突出している。このため、内壁16に沿って流れる排気は、第1突起部31に衝突する。より詳しくは、内壁16に沿って流れる排気は、図5に示す第1突起部31の前段部32が有する案内面32aに衝突する。案内面32aに衝突した排気は、案内面32aの傾斜に沿って流れて、第1突起部31の頂部33を越えると内壁16から剥離する。
ここで、たとえば内燃機関90の機関回転数が高い場合には、排気ポート12を流れる排気の流速が比較的速い。このとき、図4に実線の矢印で示すように、第1突起部31を越えた排気は、排気ポート12の内壁16から離れて排気ポート12が延びる方向に沿って下流側に流れやすい。このため、第1突起部31を越えた排気は、排気ポート12の内壁16の近くを流れにくい。したがって、第1突起部31を越えた排気は、第1上流部13において内壁16から突出している第1フィン21または第3フィン23に衝突しにくくなる。同様に、第2突起部36を越えた排気は、第2フィン22または第4フィン24に衝突しにくくなる。
さらに、第1実施形態のシリンダヘッド10では、第1突起部31は、図2に示すように第1フィン21の第1先端部21aおよび第3フィン23の第3先端部23aよりも排気上流に位置している。このため、第1突起部31を越えて内壁16から剥離する排気の流れは、第1先端部21aおよび第3先端部23aに衝突しにくい。同様に、第2突起部36を越えて内壁16から剥離する排気の流れは、第2先端部22aおよび第4先端部24aに衝突しにくい。
一方で、たとえば内燃機関90がアイドル運転である場合には、排気ポート12を流れる排気の流速が比較的遅い。このとき、排気の流速が速いときと比較して、第1突起部31によって剥離した流れは、図4に破線の矢印で示すように、第1突起部31よりも下流側であり第1突起部31の頂部33よりも内壁16側に流れやすい。そして、内壁16側に流れる排気によって渦が形成される。このため、排気ポート12内を排気が流れることによって内壁16側に形成される境界層は、第1突起部31よりも下流側において、渦によって剥離されやすくなる。これによって、内壁16の近くでは熱伝達率が大きくなる。
本実施形態の効果について説明する。
(1−1)シリンダヘッド10では、排気の流速が速いとき、第1突起部31または第2突起部36を越えた排気は、排気ポート12の内壁16の近くを流れにくく、内壁16から突出している第1フィン21〜第4フィン24に衝突しにくくなる。これによって、排気から第1フィン21〜第4フィン24に伝達される熱量を軽減することができる。
一方、排気の流速が遅いとき、第1突起部31または第2突起部36を排気が越えると、当該突起部よりも下流側において、境界層が剥離される。これによって、内壁16の近くでは熱伝達率が大きくなる。すなわち、第1突起部31または第2突起部36よりも下流側では、排気から第1フィン21〜第4フィン24または内壁16への熱量の伝達を促進することができる。
すなわち、シリンダヘッド10によれば、排気ポート12の内壁16に設けている第1突起部31および第2突起部36によって、排気の流速に応じて熱回収の効率を変更することができる。そして、内燃機関90では、排気の流速が速いとき、すなわち機関回転数が高いときには排気の温度が高い。一方、排気の流速が遅いとき、すなわちアイドル運転のときのように機関回転数が低いときには排気の温度が低い。このため、第1突起部31および第2突起部36によって、排気の温度が低いときには排気から第1フィン21〜第4フィン24への熱量の伝達が抑制されないようにしつつ、排気の温度が高いときには排気から第1フィン21〜第4フィン24に伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
(1−2)シリンダヘッド10では、排気ポート12の内壁16から突出する第1突起部31が案内面32aを有しているため、内壁16に沿って流れる排気は、案内面32aに衝突する。案内面32aが傾斜していることによって、第1突起部31の案内面32aと衝突する排気は、排気ポート12の下流側に流れることが阻害されにくい。また、案内面32aを有する前段部32は、排気ポート12の上流側より下流側ほど内壁16から突出する高さが大きくなっている。これによって、第1突起部31を越える排気の流れは、排気ポート12の内壁16から剥離しやすい。すなわち、第1突起部31によって、排気の温度が低いときには排気から第1フィン21〜第4フィン24への熱量の伝達が抑制されないようにしつつ、排気の温度が高いときには排気から第1フィン21〜第4フィン24に伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
(1−3)第1フィン21の第1先端部21aや第3フィン23の第3先端部23aのようなフィンの先端部は、排気ポート12を流れる排気が衝突しやすく過度に温度が高くなりやすい。この点、第1突起部31が第1先端部21aおよび第3先端部23aよりも排気上流に位置しているシリンダヘッド10によれば、第1突起部31を越えた排気は、排気ポート12の内壁16の近くを流れにくく、第1先端部21aおよび第3先端部23aに衝突しにくくなる。これによって、フィンの先端部が過度に昇温することを抑制できる。すなわち、排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第1実施形態では、排気ポート12の内壁16から突出しており、排気ポート12の周方向において全周に亘って延びている第1突起部31を例示している。この例示に対して、シリンダヘッド10が備える突起部は、排気ポート12の内壁16から突出する部分のうち排気ポート12の周方向における一部分が切り欠かれた形状でもよい。たとえば、図6に例示する形状の突起部を採用することもできる。
図6は、シリンダヘッドに形成されている排気ポート112について、排気ポート112の内壁を示す模式図である。排気ポート112内には、排気ポート112の上側に設けられている第1フィン121と、排気ポート112の下側に設けられている第3フィン123と、が突出している。
排気ポート112内には、第1フィン121の第1先端部121aおよび第3フィン123の第3先端部123aよりも上流側に、突起部として、上流突起部141と下流突起部146とが突出している。
上流突起部141は、排気ポート112の周方向において半周に亘って延びている。上流突起部141は、排気ポート112の上側から排気ポート112内に突出している。すなわち、上流突起部141は、排気ポート112の周方向において排気ポート112の下側の半周が切り欠かれた形状を有している。
下流突起部146は、上流突起部141よりも下流側であり第1先端部121aよりも上流側に位置している。下流突起部146は、排気ポート112の周方向において半周に亘って延びている。下流突起部146は、排気ポート112の下側から排気ポート112内に突出している。すなわち、下流突起部146は、排気ポート112の周方向において排気ポート112の上側の半周が切り欠かれた形状を有している。また、下流突起部146は、上流突起部141が切り欠かれている部分に対して排気ポート112における排気下流に配置されている。
排気ポートの内壁から突出する突起部をシリンダヘッドが備えている場合、突起部が設けられている部分において排気ポートの流路断面積が縮小する。このため、排気が突起部を通過する際に圧力損失が発生する。この点、図6に示す排気ポート112では、上流突起部141は、排気ポート112の周方向において排気ポート112の下側の半周が欠けている。このように排気ポートの周方向における一部が欠けている場合、排気ポート112の周方向における全周に亘って上流突起部141が設けられている場合と比較して、流路断面積の縮小幅を小さくすることができ、排気が上流突起部141を通過する際に発生する圧力損失を小さく抑えることができる。
さらに、図6に示す排気ポート112では、上流突起部141が切り欠かれている部分の下流側に下流突起部146が配置されている。このため、上流突起部141が設けられている箇所を通過した際に内壁から剥離されることなく通過した排気を、下流突起部146によって内壁から剥離させることができる。すなわち、圧力損失を小さくしつつも、排気の温度が高いときには排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
なお、上流突起部141および下流突起部146は、上記第1実施形態における第1上流部13や第2上流部14のように排気ポート112における燃焼室側に配置してもよいし、下流部15のように排気ポート112における排気マニホールド側に配置してもよい。
また、上流突起部141および下流突起部146は、排気ポート112の周方向における一部が欠けている形状であれば、圧力損失を小さく抑える効果を奏することができる。
また、上流突起部141または下流突起部146のいずれか一方のみを排気ポート112に配置してもよい。この場合、排気ポート112の上側に位置する上流突起部141を配置すると、排気の流れを剥離させる効果を奏しやすい。これは、図1を用いて説明すると、内燃機関90の燃焼室93から排出される排気が、排気ポート12のバルブガイド29付近に吹き付けられるためである。すなわち、燃焼室から排気ポートに排出される排気は、排気ポートの上側に向かうため、排気ポートの上側から突出させた突起部を可能な限り上流側に配置してバルブガイドに近づけるほど、高温の排気が排気ポートの内壁の近くを流れることを抑制する効果を高くすることができる。
(第2実施形態)
図7には、第2実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポート212を示している。
上記第1実施形態では、第1突起部31は、第1上流部13における第1先端部21aおよび第3先端部23aよりも上流側に位置している。第2突起部36は、第2上流部14における第2先端部22aおよび第4先端部24aよりも上流側に位置している。
これに対して、図7に示す排気ポート212では、第1突起部231は、第1上流部213における第1先端部221aおよび第3先端部223aよりも下流側に位置している。同様に、第2突起部236は、第2上流部214における第2先端部222aおよび第4先端部224aよりも下流側に位置している。その他の構成については、第1実施形態と同様であるため、説明を適宜省略する。
図7に示すように、第1突起部231は、燃焼室93と接続されている第1流入端213aから排気下流側に延びている第1上流部213に位置している。第1突起部231は、第1上流部213の周方向において全周に亘って延びている。第1上流部213において、第1突起部231は、第1フィン221および第3フィン223と交差している。
第2突起部236は、燃焼室93と接続されている第2流入端214aから排気下流側に延びている第2上流部214に位置している。第2突起部236は、第2上流部214の周方向において全周に亘って延びている。第2上流部214において、第2突起部236は、第2フィン222および第4フィン224と交差している。
本実施形態の作用について説明する。
第2実施形態のシリンダヘッドが備える排気ポート212によれば、上記第1実施形態と同様に、第1突起部231および第2突起部236によって、排気の流れを排気ポート212の内壁から剥離させることができる。
すなわち、内燃機関の機関回転数が高く排気の流速が比較的速い場合には、第1突起部231を越えた排気は、第1上流部213において内壁から突出している第1フィン221または第3フィン223に衝突しにくくなる。同様に、第2突起部236を越えた排気は、第2フィン222または第4フィン224に衝突しにくくなる。また、第1上流部213および第2上流部214から排気が流入する下流部215においても、第1突起部231および第2突起部236によって排気ポート212の内壁の近くを排気が流れにくいため、第1フィン221〜第4フィン224に排気が衝突しにくくなる。
一方で、たとえば内燃機関がアイドル運転である場合のように排気の流速が比較的遅い場合には、第1突起部231よりも下流側において、境界層が剥離する。これによって、内壁の近くでは熱伝達率が大きくなる。同様に、第2突起部236よりも下流側においても内壁の近くでは熱伝達率が大きくなる。
本実施形態の効果について説明する。
(2−1)排気の流速が速いとき、排気から第1フィン221〜第4フィン224に伝達される熱量を軽減することができる。排気の流速が遅いとき、第1突起部231または第2突起部236よりも下流側では、排気から第1フィン221〜第4フィン224または内壁への熱量の伝達を促進することができる。
すなわち、第1突起部231および第2突起部236によって、排気の温度が低いときには排気から第1フィン221〜第4フィン224への熱量の伝達が抑制されないようにしつつ、排気の温度が高いときには排気から第1フィン221〜第4フィン224に伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第2実施形態では、突起部として、第1上流部213に位置している第1突起部231と、第2上流部214に位置している第2突起部236と、を設けている。突起部は、図8に示すように、排気ポート212の下流部215に配置してもよい。
図8には、排気ポート212の下流部215に位置している下流突起部241を示している。下流突起部241は、第1フィン221〜第4フィン224と交差している。こうした下流部215に位置している下流突起部241によっても、排気が下流突起部241を通過する際に、上記第2実施形態と同様に、排気の流れを剥離させることができる。すなわち、上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
・図9は、排気ポート312の下流部315に配置した下流突起部346を、排気ポート312の下流端315bに近づけた例を示している。排気ポート312の下流端315bは、排気ポート312における排気が排出される端部であり、排気マニホールド95と接続される端部である。下流突起部346は、排気ポート312が有するフィンと交差している。図9には、フィンとして、第1フィン321と第2フィン322とを示している。
図10および図11を用いて、下流突起部346による作用および効果について説明する。
図10は、シリンダヘッド10と、シリンダヘッド10に接続されている排気マニホールド95とを示している。排気マニホールド95は、シリンダヘッド10に形成されている各排気ポート312から排出された排気が流入する枝部96を備えている。排気マニホールド95は、各枝部96が集合する集合部97を備えている。
燃焼室において燃焼されて排気ポート312に排出され、排気ポート312を通過する排気は、排気マニホールド95の枝部96に流入する。このとき、枝部96に流入した排気の一部は、燃焼が行われていない気筒に接続されている他の排気ポート312に逆流することがある。
図11は、排気ポート312における下流端315bの断面構造を示している。上記説明したように、排気マニホールド95の枝部96に流入した排気の一部は、排気マニホールド95から排気ポート312に逆流することがある。ここで、排気ポート312では、下流突起部346が下流部315に配置されていることによって、逆流しようとする排気が下流突起部346に衝突する。これによって、逆流しようとする排気の流れを、排気ポート312の内壁316から剥離させることができる。すなわち、逆流しようとする排気が内壁316の近くを流れることを抑制でき、逆流しようとする排気から内壁316やフィンに伝達される熱量を軽減することができる。
なお、排気マニホールド95から排気ポート312に逆流する排気は、排気ポート312の下側に向けて流れやすい。このため、排気ポート312の周方向における一部に下流突起部346を設ける場合には、排気ポート312の下側に下流突起部346を配置するとよい。
・上記第2実施形態では、第1突起部231や第2突起部236は、排気ポート212の周方向において全周に亘って延びている。フィンと交差する突起部は、排気ポートの周方向における一部から突出するように配置してもよい。
たとえば、図12に示すように、第1フィン421と第2フィン422とに挟まれた間隙425にフィン間突起部431を配置してもよい。なお、排気ポート412が有する第2フィン422は、第1フィン421に対して排気ポート412の周方向に並んで配置されている。
第1フィン421と第2フィン422のように排気ポート412の周方向に並んでフィンが配置されている場合、第1フィン421および第2フィン422では、フィンに挟まれた間隙425を通過する排気から伝達される熱量が大きくなりやすい。この点、間隙425にフィン間突起部431を配置することによって、間隙425を通過する排気の流れを排気ポート412の内壁から剥離させることができる。これによって、第1フィン421および第2フィン422に伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。このように、フィンと交差する突起部を排気ポートの周方向における一部から突出するように配置する場合には、間隙425に配置したフィン間突起部431のように、フィンに挟まれた間隙に突起部を配置するとよい。
なお、図12に示す例では、第1フィン421と第2フィン422とに挟まれた間隙425にフィン間突起部431を配置しているが、第3フィンと第4フィンとに挟まれた間隙にフィン間突起部を配置してもよい。すなわち、フィン間突起部は、排気ポートの周方向に並んで配置されているフィンの間に配置されていればよく、排気ポートの上側または下側のどちらに配置されていてもよい。
また、図12に示す例では、第1フィン421と第2フィン422とに挟まれた間隙425のみにフィン間突起部431を配置しているが、間隙425を含む範囲に第1フィン421および第2フィン422と交差する突起部を配置することもできる。
(第3実施形態)
図13には、第3実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポート512を示している。
図13に示すように、排気ポート512は、排気ポート512の周方向において全周に亘って延びている上流突起部541を有している。さらに、排気ポート512は、排気ポート512の周方向において全周に亘って延びている下流突起部546を、上流突起部541よりも下流側に有している。
上流突起部541および下流突起部546は、排気ポート512が有するフィンと交差している。図13には、フィンとして、第1フィン521と第2フィン522とを示している。
本実施形態の作用について説明する。
図14および図15には、排気ポート512を流れる排気が上流突起部541を越えるときの排気の流れを模式的に示している。実線の矢印は、内燃機関の機関回転数が高い場合の排気の流れを例示している。破線の矢印は、内燃機関がアイドル運転である場合の排気の流れを例示している。
図14に示すように、第3実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポート512によれば、上記第1実施形態および第2実施形態と同様に、上流突起部541によって、排気の流れを排気ポート512の内壁516から剥離させることができる。
ところで、図14に実線の矢印で示すように、機関回転数が高い場合の排気の流れは、上流突起部541を越えて排気ポート512の下流側に流れるほど、内壁516側に戻りやすい。また、図14に破線の矢印で示すように、機関回転数が低い場合の排気の流れは、上流突起部541を越えて排気ポート512の下流側に流れるほど、渦が小さくなりやすい。
この点、図15に示すように、第3実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポート512では、上流突起部541よりも下流側に下流突起部546を有している。このため、機関回転数が高いときには、下流突起部546よりも下流側においても排気の流れが内壁516から離れやすくなる。すなわち、上流突起部541を越えた排気の流れが排気ポート512の内壁516側に戻ったとしても、下流突起部546よりも下流側において排気の流れを再び内壁516から離すことができる。また、機関回転数が低いときには、下流突起部546よりも下流側においても境界層を剥離することができる。
本実施形態の効果について説明する。
(3−1)第3実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポート512によれば、機関回転数が高いときには、上流突起部541のみを備える場合と比較して排気が排気ポート512の内壁516に沿って流れにくくなる区間を長くすることができ、内壁516から突出しているフィンに排気の流れが衝突しにくくなる。これによって、排気からフィンに伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
(3−2)排気ポート512によれば、機関回転数が低いときには、上流突起部541のみを備える場合と比較して内壁516の近くにおいて熱伝達率が大きくなる区間を長くすることができる。これによって、排気からフィンまたは内壁516への熱量の伝達を促進することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第3実施形態では、上流突起部541と、上流突起部541よりも下流側に配置する下流突起部546と、を示している。下流突起部546よりも下流側に、さらに突起部を配置することもできる。すなわち、突起部の数は、二つに限られるものではない。
・上記第3実施形態では、図13や図15に示すように、下流突起部546は、上流突起部541と同様の形状である。上流突起部541と下流突起部546とは、異なる形状や異なる大きさの突起部を採用してもよい。
たとえば、下流突起部546における内壁516からの突出高さが、上流突起部541における内壁516からの突出高さよりも大きくなるように下流突起部546を形成してもよい。排気ポート512を流れる排気は、下流側に行くほど流速が低下する。このため、排気が突起部を通過しても排気の流れが内壁から剥離しにくいことがある。この点、上記構成の場合、突出高さが大きい下流突起部546によって、排気の流速が低下する排気ポート512の下流側においても、排気の流れを内壁から剥離しやすくすることができる。
・上記第3実施形態では、上流突起部541および下流突起部546を、排気ポート512の内壁から突出するフィンと交差するように配置している。たとえば、上流突起部541をフィンよりも上流側に設けることによって、上流突起部541がフィンと交差しないように配置してもよい。また、上流突起部541および下流突起部546の双方をフィンよりも上流側に設けることによって、上流突起部541および下流突起部546がフィンと交差しないように配置してもよい。
(第4実施形態)
図16には、第4実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポート612を示している。
上記第1〜第3実施形態では、シリンダヘッドは、排気ポートの内壁から排気ポート内に突出しており排気ポートにおける排気上流から排気下流に向けて延びている突条であるフィンを備えている。これに対して、第4実施形態では、図16に示すように、排気上流から排気下流に向けて延びている突条である第1フィン621および第2フィン622が、波部621c,622cを有している。
図16に示すように、第1フィン621は、第1フィン621と第2フィン622とに挟まれた間隙625が蛇行するように湾曲した波形状をなす波部621cを有している。第2フィン622は、第1フィン621と第2フィン622とに挟まれた間隙625が蛇行するように湾曲した波形状をなす波部622cを有している。
図16には、排気ポート612の排気上流から排気下流に向けて延びる直線をポート延伸線C1として表示している。波部621c,622cに挟まれている間隙625の蛇行部625aは、図16に示すように、ポート延伸線C1に対して蛇行している。
排気ポート612では、間隙625の蛇行部625aに、第1フィン621と第2フィン622との間に配置する突起部としてフィン間突起部631を配置している。図18には、蛇行部625aを通過する排気の流れを実線で示している。後述するように蛇行部625aを通過する排気は、第1フィン621および第2フィン622の側壁から剥離される。図18には、こうした排気の流れに対して直交する補助線L1を表示している。フィン間突起部631は、補助線L1に沿って延びるように第1フィン621と第2フィン622との間に配置されている。
本実施形態の作用について説明する。
図17に示すように、第4実施形態のシリンダヘッドが有する排気ポート612によれば、蛇行部625aを流れる排気は、ポート延伸線C1に沿って流れるのではなく、第1フィン621および第2フィン622の側壁から剥離する。図17には、第1フィン621および第2フィン622の側壁から剥離した排気の流れを実線で示している。すなわち、波部621c,622cによって、第1フィン621と第2フィン622とに挟まれた間隙625の蛇行部625aを流れる排気の流れを第1フィン621および第2フィン622の側壁から剥離させることができる。すなわち、排気の流速が速いときには、第1フィン621および第2フィン622の側壁の近くを排気が流れにくくなる。このとき、図17に破線で示すように蛇行部625aに渦が形成されれば、第1フィン621および第2フィン622の側壁の近くでは熱伝達率が大きくなる。すなわち、排気の流速が遅いときには、第1フィン621および第2フィン622の側壁の近くでは熱伝達率が大きくなる。
図18に示すように、排気ポート612では、波部621c,622cに挟まれた間隙625の蛇行部625aにフィン間突起部631を配置していることによって、第1フィン621または第2フィン622の側壁から剥離した排気がフィン間突起部631を越える場合には、排気の流れを排気ポート612の内壁からさらに剥離させることができる。すなわち、排気の流速が速いときには、内壁の近くを排気が流れにくくなる。排気の流速が遅いときには、熱伝達率が大きくなる。
本実施形態の効果について説明する。
(4−1)排気の流速が速いときには、排気が波部621c,622cを通過する際に第1フィン621および第2フィン622の近くを流れにくく、さらに排気が内壁の近くを流れにくい。これによって、排気の温度が高いときには、第1フィン621および第2フィン622に伝達される熱量が過剰になることを抑制できる。
(4−2)排気の流速が遅いときには、排気が波部621c,622cを通過する際に第1フィン621および第2フィン622の側壁の近くでは熱伝達率が大きくなりやすい。さらに、排気がフィン間突起部631を通過するときにも境界層が剥離しやすいことによって、熱伝達率が大きくなりやすい。これによって、排気の温度が低いときには排気から第1フィン621および第2フィン622への熱量の伝達が抑制されないようにすることができる。
(4−3)排気ポート612では、蛇行部625aを通過する排気の流れに直交するようにフィン間突起部631が延びている。このため、フィン間突起部631を通過する排気が排気ポート612の内壁から剥離しやすくなっている。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第4実施形態では、フィン間突起部631が延びる方向を蛇行部625aを通過する排気の流れに直交する方向としている。フィン間突起部631が延びる方向は、これに限定されるものではない。たとえば、蛇行部625aを通過する排気の流れに対して規定の角度で交差する方向としてもよいし、ポート延伸線C1と直交する方向とすることもできる。
・上記第4実施形態では、第1フィン621と第2フィン622とに挟まれた間隙625における蛇行部625aにフィン間突起部631を配置している。蛇行部625aに突起部が設けられていれば、上記第4実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、第1フィン621と第2フィン622とに交差し、排気ポート612の周方向における蛇行部625aを含む範囲の内壁から突出する突起部を設ければよい。
その他、上記各実施形態に共通して変更可能な要素としては次のようなものがある。
・上記各実施形態における突起部は、図5に示した断面形状を有している。突起部としては、図5に示した断面形状と異なる断面形状を有するように排気ポートの内壁から突出していてもよい。
たとえば、突起部が内壁から突出する高さは、変更が可能である。上記各実施形態では、突起部が内壁から突出する高さを突条としてのフィンが内壁から突出する高さよりも小さくしているが、突起部が排気ポートの内壁から突出する高さは、突条としてのフィンが内壁から突出する高さとの相対関係に基づいて設定するとよい。たとえば、フィンの突出高さを「1」としたとき、突起部の突出高さを「0.8」とすることができる。突起部の突出高さは、「1」よりも小さい範囲で設定が可能であるため、たとえば、「0.9」、「0.5」、「0.3」等を適宜採用することができる。
また、たとえば、突起部の前段部が有する案内面の傾斜角は、図5に示した傾斜角θ1から変更が可能である。なお、案内面の傾斜角は、鋭角であることが好ましい。
また、排気の流れ方向における突起部の長さを変更してもよい。たとえば、図19に示すような突起部731を設けることもできる。
図19に示す突起部731は、図5に示した第1突起部31に対して、後段部34を省略した形状を有している。すなわち、突起部731は、排気の流れ方向において上流側よりも下流側ほど内壁から突出している前段部732と、頂部733とによって構成されている。このように、内壁から突出しており排気の流れを剥離させる突起部としては、頂部よりも下流側において突出高さが小さくなる後段部は、必須の構成ではない。
突起部の形状を変更することによって、突起部の形状に応じて、排気の流れが突起部を越える際に内壁から剥離する剥離点の位置を変更することが可能である。剥離点の位置が変更されることによって、排気が内壁に沿って流れにくくなる区間や、内壁側において熱伝達率が大きくなりやすい区間の長さを変更することができる。
・上記各実施形態における突起部は、適宜組み合わせて配置することもできる。たとえば、排気ポートの周方向における一部から突出している突起部と、排気ポートの周方向における全周に亘って設けられている突起部と、を組み合わせて配置してもよい。また、たとえば、フィンの先端部よりも上流側に配置する突起部と、フィンと交差する突起部と、を組み合わせてもよい。
・上記各実施形態において、燃焼室と接続されている第1上流部や第2上流部に配置している突起部は、第1上流部と第2上流部とが合流している下流部に配置してもよい。
・上記各実施形態では、たとえば図2に示すように第1上流部13と第2上流部14とは、左右対称ではなく、長さが異なっている。これに対して、燃焼室と接続されている第1上流部および第2上流部は、左右対称となるように形成されていてもよい。
10…シリンダヘッド、12…排気ポート、13…第1上流部、13a…第1流入端、14…第2上流部、14a…第2流入端、15…下流部、16…内壁、17…ウォータージャケット、19…排気バルブ、21…第1フィン、21a…第1先端部、22…第2フィン、22a…第2先端部、23…第3フィン、23a…第3先端部、24…第4フィン、24a…第4先端部、29…バルブガイド、31…第1突起部、32…前段部、32a…案内面、33…頂部、34…後段部、36…第2突起部、90…内燃機関、91…シリンダブロック、92…気筒、93…燃焼室、95…排気マニホールド、141…上流突起部、146…下流突起部、421…第1フィン、422…第2フィン、425…間隙、431…フィン間突起部、541…上流突起部、546…下流突起部、621…第1フィン、621c…波部、622…第2フィン、622c…波部、625…間隙、625a…蛇行部、631…フィン間突起部。

Claims (7)

  1. 内燃機関の燃焼室から排出された排気が通過する排気ポートと、前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出しており該排気ポートにおける排気上流から排気下流に向けて延びている突条であるフィンと、を有するシリンダヘッドであり、
    前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出して前記フィンと交差する方向に延びている突起部を備える
    シリンダヘッド。
  2. 前記突起部は、前記内壁から突出する高さが前記排気ポートの上流側よりも前記排気ポートの下流側ほど大きい前段部を備え、
    前記前段部は、前記排気ポートの上流側における当該突起部の端を基点として、前記排気ポートの上流側よりも前記排気ポートの下流側ほど前記内壁から離間するように傾斜した案内面を有する
    請求項1に記載のシリンダヘッド。
  3. 前記フィンにおける前記排気ポートの上流側の端部を先端部とすると、
    前記突起部は、前記先端部よりも前記排気ポートにおける上流側に位置している
    請求項1または2に記載のシリンダヘッド。
  4. 前記フィンを第1フィンとすると、
    前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出しており該排気ポートにおける排気上流から排気下流に向けて延びている突条であり、前記第1フィンに対して前記排気ポートの周方向に並んで配置されている第2フィンを備え、
    前記突起部は、前記第1フィンと前記第2フィンとに挟まれた間隙に配置されている
    請求項1または2に記載のシリンダヘッド。
  5. 前記第1フィンおよび前記第2フィンは、前記第1フィンと前記第2フィンとに挟まれた前記間隙によって形成されている通路が蛇行するように波形状をなす波部を有しており、
    前記突起部は、前記波部に挟まれた前記間隙に配置されている
    請求項4に記載のシリンダヘッド。
  6. 前記突起部を上流突起部とすると、
    前記排気ポートの内壁から該排気ポート内に突出して前記フィンと交差する方向に延びている下流突起部を前記上流突起部よりも前記排気ポートにおける下流側に備える
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
  7. 前記上流突起部は、前記内壁から突出する部分のうち前記排気ポートの周方向における一部分が切り欠かれた形状であり、
    前記下流突起部は、前記上流突起部が切り欠かれている部分に対して前記排気ポートにおける排気下流に配置されている
    請求項6に記載のシリンダヘッド。
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