JP2020169623A - 圧縮着火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制する。【解決手段】圧縮着火式エンジンの制御装置はECU100(燃焼制御部)を備える。ECU100は、燃焼形態の変曲時期(θci)が目標時期となるように点火プラグ16の点火時期(θig)を制御するとともに、点火時期(θig)から質量割合50%の燃料が燃焼する時期である燃焼重心時期θmfb50までの期間(50%燃焼期間θt)が各気筒2a〜2dで揃うように、予測燃焼重心時期θmfb50と実際の燃焼重心時期θmfb50との偏差に応じて、燃料噴射量の補正量に対する当該偏差の反映度合を決定し、当該反映度合に基づきインジェクタ15による各気筒2a〜2dの燃料噴射量を補正する。【選択図】図3

Description

本発明は、混合気の少なくとも一部を自着火により燃焼させる圧縮着火燃焼が可能な圧縮着火式エンジンの制御装置に関する。
近年、空気と混合されたガソリン燃料を十分に圧縮された燃焼室内で自着火により燃焼させるHCCI燃焼が注目されている。HCCI燃焼は、混合気が同時多発的に燃焼する形態であるため、通常のガソリンエンジンにおいて採用されるSI燃焼(火花点火燃焼)に比べて、混合気の燃焼速度が速く、熱効率の面で非常に有利だと言われている。しかしながら、HCCI燃焼は、気温などの外部因子により混合気の燃焼開始時期(混合気が自着火する時期)が大きく変動するなどの問題があり、また、負荷が急変するような過渡運転時の制御が難しいという問題もあった。
そこで、混合気の全てを自着火により燃焼させるのではなく、混合気の一部については点火プラグを用いた火花点火により燃焼させることが提案されている。すなわち、火花点火をきっかけに混合気の一部を火炎伝播により強制的に燃焼(SI燃焼)させ、その他の混合気を自着火により燃焼(CI燃焼)させるのである。以下では、このような燃焼のことを部分圧縮着火燃焼という。
この種のエンジンでは、部分圧縮着火燃焼における着火性や燃費確保のために、空燃比(A/F)が理論空燃比又はそれよりも大きくなる(λ≧1)ように吸気量が制御されるとともにシビアな点火時期制御が実行される。例えば特許文献1には、部分圧縮着火燃焼が行われるエンジンにおいて、運転状況に応じた主たる燃焼時期、例えば燃焼質量割合が50%となる時期(燃焼室内に噴射された燃料の50%が燃焼する時期)の最適時期を目標値として定め、主たる燃焼時期がこの目標値となるように点火時期を制御することにより、運転状態が変化しても圧縮自己着火燃焼を安定的に実現することができるとある。
特許第3873580号公報
ところで、多気筒エンジンでは、気筒間のトルクのばらつきを抑制するために、気筒毎に燃料噴射制御が行われる。通常は、各気筒の空燃比(A/F)を揃えるように燃料噴射量が制御される(A/F合わせ制御という)。しかし、当該A/F合わせ制御では、気筒間トルクのばらつきの改善は見込めるものの、エンジンの運転状態によっては、燃費性の悪化やNOxの増加を招来する場合がある。特に、部分圧縮着火燃焼を行うエンジンにおいて、空燃比が理論空燃比よりも大きくなる(λ>1)運転域においてその傾向が見られる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、部分圧縮着火燃焼が可能なエンジンにおいて、燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制できる技術を提供することを目的とする。
上記の課題に鑑み、本願発明者らは、部分圧縮着火燃焼を行うエンジンにおいて、特に空燃比が理論空燃比よりも大きくなる運転域では、A/F合わせ制御よりも、各気筒のガス空燃比(G/F)が揃うように燃料噴射量を制御する(G/F合わせ制御という)のが、燃費性の向上及びNOx低減の観点から有効と考えた。これは、λ>1の運転域では、気筒毎の内部EGR量のばらつきなどが燃焼性へ影響していると考えられるためであり、実際にG/F合わせ制御の試験を繰り返す中で良好な結果を得ることに成功した。ところが、センサ出力に基づき比較的正確に推定できる各気筒のA/Fとは違い、各気筒のG/Fを正確に把握することは困難であり、実際のエンジンにおいてG/F合わせ制御を行うことは容易ではないと考えた。そのため、この点が新たな課題となった。そこで、本願発明者らはさらに鋭意研究を重ねた結果、点火プラグによる点火時期(点火開始の時期)から燃焼重心の時期(1燃焼サイクル中に各気筒に供給された燃料のうち質量割合50%の燃料が燃焼する時期)までの期間とG/Fとに相関関係があるとの知見を得た。すなわち、各気筒における、点火プラグによる点火開始から、1燃焼サイクル中に各気筒に供給された燃料のうち所定の質量割合の燃料が燃焼するまでの燃焼期間を揃えれば、各気筒のG/Fを実質的に揃えることに等しく、これによって、燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制することが可能になるとの知見を得た。本発明はこのような知見に基づくものであり、以下の構成を備えることを特徴とする。
すなわち、本発明の一局面に係る圧縮着火式エンジンの制御装置は、複数の気筒と、気筒に燃料を噴射するインジェクタと、前記気筒内で火花を発生する点火プラグとを備え、気筒内の燃料と空気の混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させた後に気筒内の残りの混合気を自着火によりCI燃焼させる圧縮着火式エンジンの制御装置であって、予め定められた所定の燃焼時期が目標時期となるように前記点火プラグの点火時期を制御するとともに、点火プラグによる前記点火時期から所定の質量割合の燃料が燃焼する時期である所定質量燃焼時期までの期間が各気筒で揃うように、当該所定質量燃焼時期の予測値である予測燃焼時期と実際の燃焼時期である実燃焼時期との偏差に応じて、燃料噴射量の補正量に対する当該偏差の反映度合を決定し、当該反映度合に基づき前記インジェクタによる各気筒の燃料噴射量を補正する、燃焼制御部を備えているものである。
このような制御装置によれば、点火プラグによる点火時期から所定の質量割合の燃料が燃焼するまでの期間を各気筒で揃えること、すなわち、各気筒のG/Fを実質的に揃えることが可能となる。よって、上述したG/F合わせ制御を実行することが可能となり、部分圧縮着火燃焼を行うエンジンにおいて、燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制することが可能となる。特に、予測燃焼時期と実際の燃焼時期である実燃焼時期との偏差に応じた反映度合が決定され、この反映度合に基づき各気筒の燃料噴射量が補正されるため、各気筒の点火時期から所定質量燃焼時期までの期間を応答性よく揃えることが可能となる。
上記の制御装置においては、各気筒内の圧力を各々検出する複数の筒内圧センサを備え、前記燃焼制御部は、点火プラグによる点火時期から前記予測燃焼時期までの期間であって予め設定された燃焼モデルに基づき求められる予測燃焼期間と、前記筒内圧センサが検出する筒内圧力に基づき求められる、点火プラグによる点火時期から前記実燃焼時期までの期間である実燃焼期間との偏差に応じた前記反映度合を決定し、当該反映度合に基づき各気筒の燃料噴射量を補正するものであるのが好適である。
この構成によれば、点火時期から所定質量燃焼時期までの期間を、当該期間のフィードバック制御により応答性よく揃えることが可能となる。
この場合、前記反映度合は、例えば、前記予測燃焼期間と前記実燃焼期間との偏差が相対的に大きいほど燃料噴射量の補正量が多くなるように設定することができる。
この構成によれば、燃料噴射量に対する補正量が、前記予測燃焼期間と前記実燃焼期間との偏差の大きさに応じた合理的な値に設定される。そのため、点火時期から所定質量燃焼時期までの期間を応答性よく揃えることが可能となる。
上記の制御装置において、前記燃焼制御部は、気筒毎の前記予測燃焼期間と前記実燃焼期間との偏差である個別差の平均値を目標値として設定し、この目標値と前記個別差との偏差がゼロに向かうように各気筒の燃料噴射量を補正するものであるのが好適である。
この構成によれば、燃焼モデルに基づく予測燃焼期間に拘束されることなく各気筒の実燃焼期間を揃えることが可能となる。換言すれば、実燃焼期間そのものについての自由度は保ちながら、各気筒の実燃焼期間を揃えることが可能となる。
なお、気筒間のトルクのばらつきを抑制するためにA/F合わせ制御を行う場合には、上述した通り、空燃比が理論空燃比よりも大きくなる(λ>1)運転域において燃費性の悪化やNOxの増加の傾向が見られる場合がある。
従って、上記各態様の制御装置において、前記エンジンが、少なくとも一部の運転領域で、気筒内の空気と燃料との割合である空燃比が理論空燃比よりも高いリーン運転が実行されるものである場合、前記燃焼制御部は、前記一部の運転領域において、点火プラグによる点火時期から前記所定質量燃焼時期までの期間が各気筒で揃うように、前記予測燃焼時期と前記実燃焼時期との偏差に応じた前記反映度合を決定し、当該反映度合に基づき各気筒の燃料噴射量を補正するものであるのが好適である。
この構成によれば、λ>1の運転域において、燃費性の悪化やNOxの増加を効果的に抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制することが可能となる。
また、上記各態様の制御装置において、前記燃焼制御部は、前記リーン運転時、点火プラグによる点火時期から前記所定質量燃焼時期までの期間の気筒間でのばらつきに影響を与える所定要素の大きさに応じて気筒毎に予め設定された燃料補正量に基づいて各気筒の燃料噴射量を補正するものであるのが好適である。
この構成によれば、気筒間における点火時期から所定質量燃焼時期までの期間のばらつき自体を、リーン運転時の早期段階から小さく抑えることが可能となる。
この場合、より具体的な構成として、例えば、前記エンジンが、前記複数の気筒から排出される排気ガスを案内する排気マニホールドを備え、当該排気マニホールドが、前記複数の気筒の配列方向における特定の気筒に最も近い位置に各気筒からの排気ガスが集合する集合部を備えるものである場合には、前記所定要素は内部EGR率であり、前記複数の気筒のうち前記特定の気筒についての前記燃料補正量は、それ以外の気筒の前記燃料補正量に比して相対的に補正の割合が大きくなるように設定されている。
内部EGRが実行される場合、上記のような排気マニホールドを備えるエンジンでは、給排気行程のオーバラップ期間が同じでも、前記特定気筒のEGRガス量が他の気筒に比べて多くなって燃焼速度が遅くなる傾向がある。つまり、前記特定気筒における点火プラグによる点火時期から所定の質量割合の燃料が燃焼するまでの期間が他の気筒の同期間よりも長くなる傾向がある。しかし、上記構成によれば、特定気筒の燃料補正量が他の気筒の燃料補正量に比して補正の割合が大きくなるように設定されるため、点火時期から所定質量燃焼時期までの期間の気筒間におけるばらつき自体を小さく抑えることが可能となる。
上記の各態様に係るエンジンの制御装置によれば、部分圧縮着火燃焼が可能なエンジンにおいて、燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制することが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる圧縮着火式エンジンの全体構成を概略的に示すシステム図である。 エンジン本体と排気通路の一部を示すエンジンの要部平面図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの運転領域を燃焼形態の制御の相違により区分けした運転マップである。 SPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)時の熱発生率の波形を示すグラフである。 SPCCI燃焼による運転時におけるECUによる制御を示すフローチャートである。 図6のフローチャートのステップS17の処理を示すフローチャート(サブルーチン)である。 燃料の目標噴射量を補正するための第1燃料補正データ(λ>1)の一例を示す図であり、(a)は#1番気筒、(b)は#2番気筒、(c)は#3番気筒、(d)は#4番気筒2dの各々補正データを示す。 燃料の目標噴射量を補正するための第2燃料補正データの一例を示す図である。 (a)は、フィードバック補正量の経時的な変化を、(b)は、予測50%燃焼期間と実50%燃焼期間との偏差(個別差)の経時的な変化を示す図(グラフ)である。 G/F合わせ制御と、A/F合わせ制御との燃焼性能の比較試験結果を示す図である。 G/F合わせ制御と、A/F合わせ制御との燃焼性能の比較試験結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
[1.エンジンの全体構成]
図1は、本発明の制御装置が適用された圧縮着火式エンジン(以下、単にエンジンという)の好ましい実施形態を示す図である。図1に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルのガソリン直噴エンジンであり、エンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路30と、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路40と、排気通路40を流通する排気ガスの一部を吸気通路30に還流する外部EGR装置50と、を備えている。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。エンジン本体1は、4つの気筒2(#1〜#4番気筒2a〜2d)を有する多気筒型のものであるが(図2参照)、図1では簡略化のため、1つの気筒2のみに着目して説明を進める。
ピストン5の上方には燃焼室6が区画されている。燃焼室6には、ガソリンを主成分とする燃料が、後述するインジェクタ15からの噴射によって供給される。供給された燃料が燃焼室6で空気と混合されつつ燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。なお、燃焼室6に噴射される燃料は、主成分としてガソリンを含有していればよく、例えばガソリンに加えてバイオエタノール等の副成分を含んでいてもよい。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて中心軸回りに回転駆動される。
気筒2の幾何学的圧縮比、つまりピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が下死点にあるときの燃焼室の容積との比は、後述するSPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)に好適な値として、13以上30以下、好ましくは14以上18以下に設定される。より詳しくは、気筒2の幾何学的圧縮比は、オクタン価が91程度のガソリン燃料を使用するレギュラー仕様の場合には14以上17以下に設定し、オクタン価が96程度のガソリン燃料を使用するハイオク仕様の場合には15以上18以下に設定することが好ましい。
シリンダブロック3には、クランク軸7の回転角度(クランク角)およびクランク軸7の回転速度(エンジン回転速度)を検出するクランク角センサSN1と、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4の内部を流通する冷却水の温度(エンジン水温)を検出する水温センサSN2とが設けられている。
シリンダヘッド4には、吸気通路30から供給される空気を燃焼室6に導入するための吸気ポート9と、燃焼室6で生成された排気ガスを排気通路40に導出するための排気ポート10と、吸気ポート9の燃焼室6側の開口を開閉する吸気弁11と、排気ポート10の燃焼室6側の開口を開閉する排気弁12とが設けられている。本実施形態のバルブ形式は、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式である。すなわち、シリンダヘッド4には、2つの吸気ポート9と、これらの開口を各々開閉する2つの吸気弁11と、2つの排気ポート10と、これらの開口を各々開閉する2つの排気弁12とが設けられている。
2つの吸気ポート9のうちの一つには、開閉可能なスワール弁18が設けられている。スワール弁18が閉方向に駆動されると、スワール弁18が設けられていない吸気ポート9から燃焼室6に流入する吸気の割合が増大する。このため、気筒軸線(燃焼室6の中心軸)の回りを旋回する旋回流、つまりスワール流を強化することができる。逆に、スワール弁18を開方向に駆動すればスワール流を弱めることができる。なお、当実施形態の吸気ポート9はタンブル流(縦渦)を形成可能なタンブルポートである。このため、スワール弁18の閉時に形成されるスワール流は、タンブル流とミックスされた斜めスワール流となる。
吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカム軸等を含む動弁機構13,14により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。吸気弁11用の動弁機構13には、吸気弁11の開閉時期を変更可能な吸気VVT13aが内蔵されている。同様に、排気弁12用の動弁機構14には、排気弁12の開閉時期を変更可能な排気VVT14aが内蔵されている。吸気、排気VVT13a(排気VVT14a)は、いわゆる位相式の可変機構であり、吸気弁11(排気弁12)の開時期および閉時期を同時にかつ同量だけ変更する。これら吸気VVT13aおよび排気VVT14aの制御により、当実施形態では、吸気弁11および排気弁12の双方が排気上死点を跨いで開弁するバルブオーバーラップ期間を調整することが可能である。このバルブオーバーラップ期間の調整により、燃焼室6に残留する既燃ガス(内部EGRガス)の量を調整することが可能である。
シリンダヘッド4には、気筒2内の燃焼室6に燃料(主にガソリン)を噴射するインジェクタ15と、インジェクタ15から燃焼室6に噴射された燃料と燃焼室6に導入された空気とが混合された混合気に点火する点火プラグ16とが設けられている。シリンダヘッド4には、さらに、燃焼室6の圧力(筒内圧力)を検出する筒内圧センサSN3が設けられている。
吸気通路30は、吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路30および吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。
吸気通路30には、その上流側から順に、吸気中の異物を除去するエアクリーナ31と、吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁32と、吸気を圧縮しつつ送り出す過給機33と、過給機33により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ35と、サージタンク36とが設けられている。
吸気通路30の各部には、吸気の流量を検出するエアフローセンサSN4と、吸気の温度を検出する第1・第2吸気温センサSN5,SN7と、吸気の圧力を検出する第1・第2吸気圧センサSN6,SN8とが設けられている。エアフローセンサSN4および第1吸気温センサSN5は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とスロットル弁32との間の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の流量および温度を検出する。第1吸気圧センサSN6は、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間(後述するEGR通路51の接続口よりも下流側)の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の圧力を検出する。第2吸気温センサSN7は、吸気通路30における過給機33とインタークーラ35との間の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の温度を検出する。第2吸気圧センサSN8は、サージタンク36に設けられ、当該サージタンク36内の吸気の圧力を検出する。
過給機33は、エンジン本体1と機械的に連係された機械式の過給機(スーパーチャージャ)である。過給機33の具体的な形式は特に問わないが、例えばリショルム式、ルーツ式、または遠心式といった公知の過給機のいずれかを過給機33として用いることができる。
過給機33とエンジン本体1との間には、締結と解放を電気的に切り替えることが可能な電磁クラッチ34が介設されている。電磁クラッチ34が締結されると、エンジン本体1から過給機33に駆動力が伝達されて、過給機33による過給が行われる。一方、電磁クラッチ34が解放されると、上記駆動力の伝達が遮断されて、過給機33による過給が停止される。
吸気通路30には、過給機33をバイパスするためのバイパス通路38が設けられている。バイパス通路38は、サージタンク36と後述するEGR通路51とを互いに接続している。バイパス通路38には開閉可能なバイパス弁39が設けられている。
排気通路40は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面に接続されている。燃焼室6で生成された既燃ガスは、排気ポート10および排気通路40を通じて外部に排出される。排気通路40には触媒コンバータ41が設けられている。触媒コンバータ41には、排気通路40を流通する排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒41aと、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)41bとが内蔵されている。
排気通路40における触媒コンバータ41よりも上流側の部位には、排気ガス中に含まれる酸素の濃度を検出するリニアOセンサSN10が設けられている。リニアOセンサSN10は、酸素濃度の濃淡に応じて出力値がリニアに変化するタイプのセンサである。リニアOセンサSN10の出力値に基づいて、混合気の空燃比を推定することが可能である。
外部EGR装置50は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路51と、EGR通路51に設けられたEGRクーラ52およびEGR弁53とを有している。EGR通路51は、排気通路40における触媒コンバータ41よりも下流側の部位と、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間の部位とを互いに接続している。EGRクーラ52は、EGR通路51を通して排気通路40から吸気通路30に還流される排気ガス(外部EGRガス)を熱交換により冷却する。EGR弁53は、EGRクーラ52よりも下流側(吸気通路30に近い側)のEGR通路51に開閉可能に設けられ、EGR通路51を流通する排気ガスの流量を調整する。EGR通路51には、EGR弁53の上流側の圧力と下流側の圧力との差を検出するための差圧センサSN9が設けられている。
図2は、エンジン本体1と排気通路40の一部を示すエンジンの要部平面図である。同図に示すように、エンジン本体1には前記4つの気筒2(#1〜#4番気筒2a〜2d)が一列に配列されている。エンジン本体1の排気側には、排気通路40の一部を構成する排気マニホールド42が接続されている。
排気マニホールド42は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の側面に接続されている。排気マニホールド42は、#1番気筒2aの排気ポート10に連通する第1排気管部43aと、#2番気筒2bの排気ポート10に連通する第2排気管部43bと、#3番気筒2cの排気ポート10に連通する第3排気管部43cと、#4番気筒2dの排気ポート10に連通する第4排気管部43dと、これら第1〜第4排気管部43a〜43dの端部(下流側の端部)が集合する集合部44とを備えており、この集合部44に前記触媒コンバータ41が接続されている。つまり、各気筒2a〜2dの燃焼室6で生成された既燃ガスは、排気マニホールド42の各排気管部43a〜43dを通じて集合部44に集まり、当該集合部44を通じて触媒コンバータ41に導入される。なお、排気マニホールド42の前記集合部44は、#1番〜#4番気筒2a〜2dの並び方向において#1番気筒2aに最も近い位置に設けられている。換言すると、排気ポート10から集合部44までの各排気管部43a〜43bの長さは、#1番気筒2aに対応する第1排気管部43aの長さが最も短い。すなわち、当実施形態では、#1番気筒2aが本発明の「特定の気筒」に相当する。
[2.制御系統]
図3は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるECU100(コントローラ)は、エンジンを統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
ECU100には各種センサによる検出信号が入力される。例えばECU100は、上述したクランク角センサSN1、水温センサSN2、筒内圧センサSN3、エアフローセンサSN4、第1・第2吸気温センサSN5,SN7、第1・第2吸気圧センサSN6,SN8、差圧センサSN9、およびリニアOセンサSN10と電気的に接続されており、これらのセンサによって検出された情報(つまりクランク角、エンジン回転速度、エンジン水温、筒内圧力、吸気流量、吸気温、吸気圧、EGR弁53の前後差圧、排気ガスの酸素濃度等)がECU100に逐次入力される。
また、車両には、当該車両を運転するドライバーにより操作されるアクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサSN11が設けられており、このアクセルセンサSN11による検出信号も、ECU100に入力される。
ECU100は、上記各センサからの入力情報に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、ECU100は、吸気VVT13a、排気VVT14a、インジェクタ15、点火プラグ16、スワール弁18、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁39、およびEGR弁53等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
なお、上記のようなECUは、本発明の「燃焼制御部」に相当する。
[3.運転状態に応じた制御]
図4は、エンジンの温間時に使用される運転マップであり、エンジンの運転領域を燃焼形態の制御の相違により区分けした図である。以下の説明において、エンジンの負荷が高い(低い)とは、エンジンの要求トルクが高い(低い)ことと等価である。
図4に示すように、エンジンが温間状態にあるとき、エンジンの運転領域は、燃焼形態の相違によって3つの運転領域A1〜A3に大別される。これら運転領域A1〜A3を、それぞれ第1運転領域A1、第2運転領域A2、第3運転領域A3と呼ぶ。
第3運転領域A3は、回転速度が高い高速領域である。第1運転領域A1は、第3運転領域A3よりも低速側の領域から高負荷側の一部を除いた低・中速/低負荷の領域である。第2運転領域A2は、第1、第3運転領域A1,A3以外の残余の領域、つまり低・中速/高負荷の領域である。以下、各運転領域で選択される燃焼形態等について順に説明する。
(第1、第2運転領域)
低・中速/低負荷の第1運転領域A1および低・中速/高負荷の第2運転領域A2では、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせた部分圧縮着火燃焼(以下、これをSPCCI燃焼という)が実行される。SI燃焼とは、点火プラグ16から発生する火花により混合気に点火し、その点火点から周囲へと燃焼領域を拡げていく火炎伝播により混合気を強制的に燃焼させる燃焼形態のことである。CI燃焼とは、ピストン5の圧縮等により十分に高温・高圧化された環境下で混合気を自着火により燃焼させる燃焼形態のことである。これらSI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼とは、混合気が自着火する寸前の環境下で行われる火花点火により燃焼室6内の混合気の一部をSI燃焼させ、このSI燃焼の後に(SI燃焼に伴うさらなる高温・高圧化により)燃焼室6内の他の混合気を自着火によりCI燃焼させる燃焼形態である。なお、「SPCCI」は「Spark Controlled Compression Ignition」の略である。
図5は、上記のようなSPCCI燃焼が行われた場合の燃焼波形、つまりクランク角による熱発生率(J/deg)の変化を示したグラフである。同図に示すように、SPCCI燃焼では、SI燃焼による熱発生とCI燃焼による熱発生とがこの順に連続して発生する。このとき、CI燃焼の燃焼速度の方が速いという性質上、SI燃焼時よりもCI燃焼時の方が熱発生の立ち上がりが急峻になる。このため、SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、SI燃焼からCI燃焼に切り替わるタイミング(後述するθci)で現れる変曲点Xを有している。
ここで、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼では、SI燃焼とCI燃焼との比率が運転条件に応じてコントロールされる。当実施形態では、SPCCI燃焼(SI燃焼およびCI燃焼)による全熱発生量に対するSI燃焼による熱発生量の割合であるSI率が適正な値になるようにエンジンの各部が制御される。
SI率は、次の通り定義することができる。図5において、燃焼形態がSI燃焼からCI燃焼に切り替わる変曲点Xに対応するクランク角θciをCI燃焼の開始時期とする。この場合、SI燃焼による熱発生量は、当該θci(CI燃焼の開始時期)よりも進角側の熱発生率の波形の面積R1に相当し、CI燃焼による熱発生量は、当該θciよりも遅角側に位置する熱発生率の波形の面積R2に相当するとみなすことができる。そして、上記SI率は、これら各面積R1,R2を用いて、R1/(R1+R2)と定義することができる。
SPCCI燃焼が行われる第1、第2運転領域A1、A2では、上述したSI率およびθciが予め定められた目標値(クランク角)に一致するように、エンジンの各部が制御される。すなわち、第1、第2運転領域A1、A2では、エンジン負荷・回転数が異なる種々の条件ごとに、SI率の目標値である目標SI率とθciの目標値である目標θciとがそれぞれ定められている。そして、点火プラグ16による火花点火の時期(点火時期、インジェクタ15からの燃料の噴射量/噴射時期、およびEGR率(外部EGR率および内部EGR率)といった複数の制御量が、上記目標SI率および目標θciを実現可能な組合せとなるように制御される。なお、外部EGR率とは、燃焼室6内の全ガスのうち外部EGRガス(EGR通路51を通じて燃焼室6に還流される排気ガス)が占める重量割合のことであり、内部EGR率とは、燃焼室6内の全ガスのうち内部EGRガス(内部EGRにより燃焼室6に残留する既燃ガス)が占める重量割合のことである。
例えば、点火時期および燃料の噴射量/噴射時期は、上記目標SI率および目標θciを考慮して予め定められたマップにより決定される。すなわち、マップには、エンジン負荷・回転数の条件ごとに、上記目標SI率および目標θciを実現するのに適した点火時期および燃料の噴射量/噴射時期がそれぞれ記憶されている。ECU100は、このマップに記憶された点火時期および燃料の噴射量/噴射時期に従って、インジェクタ15および点火プラグ16を制御する。
一方、外部EGR率および内部EGR率は、所定のモデル式を用いた演算により決定される。すなわち、ECU100は、燃焼サイクルごとに、上記目標SI率および目標θciを実現するために火花点火の時点で必要とされる筒内温度(目標筒内温度)を所定のモデル式を用いて算出するとともに、この算出した目標筒内温度に基づいて、EGR弁53の開度および吸・排気弁11,12のバルブタイミングを決定する。より具体的に、ECU100は、第1、第2吸気温センサSN5、SN7により検出される吸入空気(新気)の温度と、燃焼室6の圧縮が実質的に開始される時点である吸気弁11の閉弁時期(IVC)とを含む各種パラメータを、当該パラメータを入力要素とする上記モデル式に代入することにより、上記目標筒内温度を実現するのに必要な外部EGR率および内部EGR率を算出する。そして、算出された外部EGR率を実現するのに必要なEGR弁53の開度を目標開度として算出し、この目標開度が実現されるようにEGR弁53を制御する。
なお、第1、第2運転領域A1、A2では、上記のような点火時期および噴射量/噴射時期の制御と併せて、スロットル弁32が次のように制御される。すなわち、第1運転領域A1では、基本的に、理論空燃比相当の空気量よりも多くの空気が吸気通路30を通じて燃焼室6に導入されるように、つまり、燃焼室6内の空気(新気)と燃料との重量比である空燃比(A/F)が、理論空燃比(14.7)よりも大きくなるように(空気過剰率λ>1となる)、スロットル弁32の開度が設定される。一方、第2運転領域A2では、理論空燃比相当の空気量が燃焼室6に導入されるような開度、つまり、空燃比が理論空燃比に略一致するように(λ≒1となる)、スロットル弁32の開度が設定される。
(第3運転領域)
第1、第2運転領域A1、A2よりも回転数が高い第3運転領域A3では、通常のSI燃焼が実行される。例えば、少なくとも吸気行程の一部と重複する所定期間にわたりインジェクタ15から燃料が噴射されるとともに、圧縮行程後期に点火プラグ16による火花点火が実行される。そして、この火花点火をきっかけにSI燃焼が開始され、燃焼室6内の混合気の全てが火炎伝播により燃焼する。
この第3運転領域A3では、スロットル弁32は、理論空燃比相当の空気量又はこれよりも少ない空気量が燃焼室6に導入されるような開度、つまり燃焼室6内の空燃比が、理論空燃比若しくはこれよりもややリッチな値(λ≦1)となるような開度に設定される。
なお、第1〜第3の運転領域A1〜A3では、図5に示される過給ラインTの内側領域で過給機33がOFF状態とされ、過給ラインTの外側領域で過給機33がON状態とされる。過給機33がOFF状態とされる過給ラインTの内側領域、つまり第1運転領域A1の低速側では、電磁クラッチ34が解放されて過給機33とエンジン本体1との連結が解除されるとともに、バイパス弁39が全開とされることにより、過給機33による過給が停止される。一方、過給機33がON状態とされる過給ラインTの外側領域、つまり第1運転領域A1の高速側では、電磁クラッチ34が締結されて過給機33とエンジン本体1とが連結されることにより、過給機33による過給が行われる。このとき、第2吸気圧センサSN8により検出されるサージタンク36内の圧力(過給圧)が、エンジンの運転条件(回転速度や負荷等の条件)ごとに予め定められた目標圧力に一致するように、バイパス弁39の開度が制御される。
[4.燃焼重心に基づいたSPCCI燃焼時の制御]
上記エンジンでは、気筒間のトルクのばらつきを抑制するために、エンジンの運転状態(回転速度/負荷)に応じて各気筒2a〜2dの燃焼制御を行う必要がある。この場合、各気筒2a〜2dの燃焼の条件が同じであれば、エンジンの各気筒2a〜2dの空燃比(A/F)が揃うように燃料の噴射量/噴射時期等を制御する(A/F合わせ制御)ことが考えられる。しかし、実際には各気筒2a〜2dの燃焼条件は必ずしも同一ではなく、A/F合わせ制御では、エンジンの運転状態によっては、燃費性の悪化やNOxの増加を招くおそれがある。特に、空燃比が理論空燃比よりも大きくなる(λ>1)前記第1運転領域A1においてその傾向が認められる。その要因の一つとして内部EGR率(内部EGRの量)のばらつき等の影響が考えられる。例えば上記エンジンの場合、各気筒2a〜2dの内部EGR率は、上記の通り所定のモデル式を用いた演算により一律に決定され、決定された内部EGR率を実現するように各気筒2a〜2dにおける吸気弁11および排気弁12のバルブオーバーラップ期間が制御される。しかし、モデル式に基づく内部EGR率と実際の内部EGR率とにはずれがあり、そのずれの程度は気筒2a〜2d間でもばらつきがある。具体的に、当実施形態では、#1番気筒2aのEGR率が他の各気筒2b〜2dのEGR率に比べて多くなる傾向がある。これは、図2に示したように、排気マニホールド42の#1番気筒2aが集合部44に最も近く、内部EGRが実行される際(前記バルブオーバーラップ期間中)に既燃ガスが#1番気筒2aに引き戻され易いことに起因するものと推測される。
そこで、本願発明者らは、各気筒2a〜2dのガス空燃比(G/F;空気及び既燃ガスを含むガスの質量と燃料の質量との割合)が揃うように燃料噴射量を制御する、G/F合わせ制御に着目した。そして、前記第1運転領域A1においては、このようなG/F合わせ制御を行うことにより、上述したような燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しながら気筒間のトルクのばらつきを抑制し得ることを試験的に確認した。
ところが、センサ出力により比較的正確に推定できる各気筒のA/Fとは違い、各気筒のG/Fをセンサ出力により正確に把握することは困難である。本願発明者らは、この点に関して鋭意研究を重ねた結果、図5に示すように、点火プラグ16による点火開始時期(点火時期θig)から燃焼重心時期(θmfb50:1燃焼サイクル中に気筒に供給された燃料のうち質量割合50%の燃料が燃焼する時期)までの期間θt(50%燃焼期間θtと称す)とG/Fとの間に相関関係があるとの知見を試験的に得た。つまり、各気筒2a〜2dにおける、50%燃焼期間θtを揃えれば、各気筒のG/Fを実質的に揃えることができ、これにより、燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制することが可能となるのである。以下に説明するSPCCI燃焼時の制御は、本発明者による上述した知見に基づくものである。
なお、図5では、便宜上、SI燃焼からCI燃焼に切り替わる変曲点Xに対応するθci(CI燃焼の開始時期)と燃焼重心時期θmfb50とが異なる時期(クランク角)に示されているが、θciとθmfb50との時期はほぼ同じ時期と言える。当例では、この燃焼重心時期θmfb50が本発明の「所定質量燃焼時期」に相当する。
図6は、SPCCI燃焼による運転時、すなわち図4の運転マップにおける第1、第2の運転領域A1、A2におけるECU100による制御を示すフローチャートであり、図7は、図6のフローチャートのステップS17の処理(サブルーチン)を示すフローチャートである。
このフローチャートに示す制御がスタートすると、ECU100は、各種センサからの情報を読み込み(ステップS1)、クランク角センサSN1により検出されるエンジン回転速度と、アクセルセンサN11の検出値(アクセル開度)やエアフローセンサSN4の検出値(吸気流量)等から特定されるエンジン負荷とに基づいて、θciの目標値である目標θciを決定するとともに(ステップS3)、この目標θciを実現するのに適した目標点火時期および目標燃料噴射量/目標噴射時期をそれぞれ決定する(ステップS5)。目標θciの決定、および、目標燃料噴射量/目標噴射時期、目標点火時期の決定は、予め定められたマップ等に基づき行われる。
次に、ECU100は、エンジン回転速度とエンジン負荷とに基づき、現運転ポイントが第1運転領域A1にあるか、すなわち、空燃比が理論空燃比よりも大きいリーンな状態でSPCCI燃焼が実行される運転領域にあるかを判定する(ステップS7)。ここで、Yesと判定した場合には、ECU100は、予め記憶されているλ>1用の第1燃料補正データに基づいて、ステップS5で決定した目標燃料噴射量を補正する(ステップS9)。
λ>1用の第1燃料補正データは、モデル式に基づいて求められる各気筒2a〜2dの内部EGR率と、実際の内部EGR率とのずれの傾向、及び気筒間の実際の内部EGR率のばらつきの傾向に基づき、当該ずれやばらつきが是正されるように燃料補正量を定めたデータである。具体的には、モデル式に基づく内部EGR率(理論値)と燃料補正量との関係が定められている。なお、この第1燃料補正データは、第1運転領域A1用のデータ、すなわち上記λ>1用のデータの他、第2運転領域A2用のデータ、すなわちλ=1用のデータが設定されており、後述するステップS21では、λ=1用の第1燃料補正データに基づき各々目標燃料噴射量が補正される。
図8は、λ>1用の第1燃料補正データの一例を示しており、(a)は、#1番気筒2a、(b)は#2番気筒2b、(c)は#3番気筒2c、(d)は#4番気筒2dのデータを各々示している。図8に示す例では、#2番〜#4番の各気筒2b〜2dのデータはほぼ近似しており、いずれも目標燃料噴射量を維持又は微減させる程度に燃料補正量が設定されており、内部EGR率が相対的に多くなるほどマイナス(−)の燃料補正量が相対的に多くなるように、内部EGR率と燃料補正量との関係が設定されている。これに対して、#1番気筒2aのデータは目標燃料噴射量を増やすように燃料補正量が設定されており、内部EGR率が相対的に多くなるほどプラス(+)の燃料補正量が相対的に多くなるように、内部EGR率と燃料補正量との関係が設定されている。そして、#1番気筒2a〜#4番気筒2dのうち、#1番気筒2aについては、他の気筒2b〜2dに比して相対的に補正の割合が大きくなるようにその燃料補正量が設定されている。これは、実際のEGR率(量)が排気マニホールド42の構造的影響を受けることにより、#1番気筒2aの実際のEGR率がモデル式によるEGR率よりも多くなる傾向があるのに対して、他の気筒2b〜2dの実際のEGR率はモデル式によるEGR率よりも若干少なくなる傾向があるためである。
ステップS9において具体的には、ECU100は、モデル式を用いて各気筒2a〜2dの内部EGR率を演算し、この演算結果と第1燃料補正データ(図8)とに基づき各気筒2a〜2dの燃料補正量を決定し、当該燃料補正量に基づき各気筒2a〜2dの目標燃料噴射量を補正する。
次いで、ECU100は、ステップS9における補正後の目標燃料噴射量を、さらに前回の燃焼サイクルで求められたフィードバック補正量に基づき補正する(ステップS11)。これにより、最終的な目標燃料噴射量を決定する(ステップS11)。
最終的な目標燃料噴射量を決定すると、ECU100は、当該目標燃料噴射量と現在の運転状態(回転速度/負荷)に基づき、予め設定された燃焼モデルから燃焼重心時期θmfb50を特定し、当該燃焼モデルにおける点火時期θigから燃焼重心時期θmfb50までの期間である予測50%燃焼期間θt0(本発明の「予測燃焼期間」に相当する)を気筒2a〜2d毎に演算する(ステップS13)。なお、燃焼モデルとは、所定条件下での運転状態毎の理想的な燃焼形態を予め定めたモデルである。
次いで、ECU100は、ステップS15に移行して、ステップS11で決定した最終的な目標燃料噴射量の燃料を、ステップS5で決定された目標噴射時期にインジェクタ15により噴射させるとともに、ステップS5で決定された点火時期にて点火プラグ16に点火を行わせて、この点火をきっかけに混合気をSPCCI燃焼させる。
次いで、ECU100は、ステップS17に移行し、気筒間の50%燃焼期間θtを揃える(すなわち、ばらつきを無くす)ためのフィードバック補正量を演算する(ステップS17)。
図7は、ステップS17の処理の詳細を示すフローチャート(サブルーチン)である。このフローチャートに示す制御がスタートすると、ECU100は、ステップS15でのSPCCI燃焼における燃焼重心時期θmfb50(本発明の「実燃焼時期」に相当する)を求め、点火時期θigからこの燃焼重心時期θmfb50までの実際の期間である実50%燃焼期間θt1(本発明の「実燃焼期間」に相当する)を演算する(ステップS31)。
具体的には、ECU100は、SPCCI燃焼の燃焼期間(燃焼開始から終了までの期間)と重複する所定期間内に筒内圧センサSN3により検出された筒内圧力の波形に基づき、燃焼に伴う熱発生量をクランク角毎に算出するとともに、クランク角毎の熱発生量データに基づいて、燃料の50%質量分が燃焼した燃焼重心時期θmfb50を演算し、実際の点火時期θig(ステップS5で決定した目標点火時期)からこの燃焼重心時期θmfb50までの期間、すなわち実50%燃焼期間θt1を演算する。
次いで、ECU100は、図6のステップS13で求めた予測50%燃焼期間θt0と、ステップS31で算出した実50%燃焼期間θt1との偏差を気筒2a〜2d毎に演算し(ステップS33)、さらに、各気筒2a〜2dの当該偏差(個別差Δθと称す)の平均値を演算し、この平均値を目標値θtvとして設定する(ステップS35)。
次いで、ECU100は、目標値θtvと各気筒2a〜2dの個別差Δθとの偏差を各々演算し(ステップS37)、その結果と、予め定められている第2燃料補正データとに基づき、目標燃料噴射量に対する個別差Δθの反映度合を決定する(ステップS39)。反映度合とは、目標燃料噴射量の補正の要否及び補正する場合にはどの程度補正するのかを示すパラメータであり、補正係数などは反映度合の一例である。従って、反映度合は、補正度合と称することもできる。
図9は、第2燃料補正データの一例を示している。第2燃料補正データは、同図に示すように、目標値θtvと個別差Δθとの偏差(ステップS37での算出値)と前記反映度合との関係を定めたものである。当実施形態では、概略的には、目標値θtvと個別差Δθとの偏差が相対的に大きくなるほど反映度合が相対的に大きくなるように上記関係が設定されている。但し、目標値θtvと個別差Δθとの偏差が特定の値を超えると、反映度合は一定値(最大値)に維持される。
気筒毎の前記反映度合が決定すると、ECU100は、この反映度合に基づき、気筒毎の目標燃料噴射量に対する具体的な燃料補正量(フィードバック補正量)を演算する(ステップS41)。このフィードバック補正量は、例えば予め定められているモデル式に、ステップS39で求めた前記反映度合を示す数値を代入することにより算出される。
各気筒2a〜2dのフィードバック補正量が算出されると、ECU100は、図7のフローチャートを終了し、図6のステップS19に処理を移行する。ステップS19では、ECU100は、図7のステップS41で算出したフィードバック補正量を更新的に記憶し(ステップS19)、その後、ステップS1にリターンする。
なお、図6のフローチャートのステップS7において、現運転ポイントが第1運転領域A1でないと判定した場合(ステップS7でNo)、すなわち、第2運転領域A2であると判定した場合には、ECU100は、処理をステップS21に移行する。ステップS21では、ECU100は、予め記憶されているλ=1用の第1燃料補正データに基づいて、ステップS5で決定した目標燃料噴射量を補正する(ステップS21)。
なお、λ=1用の第1燃料補正データも、λ>1用の第1燃料補正データと同様に、モデル式に基づく内部EGR率(理論値)と燃焼補正量との関係が定められたものである。このλ=1用の第1燃料補正データは、専ら、モデル式に基づく各気筒2a〜2dの内部EGR率と実際の内部EGR率とのずれを是正し得るように、内部EGR率と燃焼補正量との関係が定められている。
次いで、ECU100は、ステップS23に移行して、ステップS21で決定した最終的な目標燃料噴射量の燃料を、ステップS5で決定された目標噴射時期にインジェクタ15により噴射させるとともに、ステップS5で決定された点火時期にて点火プラグ16に点火を行わせて、この点火をきっかけに混合気をSPCCI燃焼させる。その後、ECU100は、処理をステップS1にリターンする。
図10(a)は、ECU100による上記のような制御に基づく目標燃料噴射のフィードバック補正量の計時的な変化を示したグラフであり、図10(b)は、各気筒2a〜2bの前記個別差Δθ、すなわち燃焼モデルに基づく予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差の計時的な変化とを示したグラフである。
図10(b)に示すように、上記の制御によると、時間経過と共に各気筒の個別差Δθの値が一定値に収束していること、すなわち各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtのばらつきが是正され、各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtが時間経過と共に揃ってきていることが考察できる。
[5.作用効果]
以上説明した通り、上記実施形態では、SPCCI燃焼が実行される運転領域のうち、A/Fが理論空燃比よりも大きくなる(λ>1)第1運転領域A1においては、点火プラグ16による点火開始θigから燃焼重心時期θmfb50までの期間(50%燃焼期間θt)が揃うように各気筒2a〜2dの目標燃料噴射量が制御される。50%燃焼期間θtとG/Fとの間には相関関係があることは上述した通りであり、よって、上記実施形態によれば、各気筒2a〜2dのG/Fを実質的に揃えることが可能と言える。
従って、上記実施形態によれば、λ>1の運転領域(第1運転領域A1)において、燃費性の悪化やNOxの増加を抑制しつつ気筒間のトルクのばらつきを抑制することが可能になる。
図11は、上記実施形態の制御、すなわち各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtを揃えることによるG/F合わせ制御と、A/F合わせ制御とについて、燃費性、NOx排出量及びSDIを比較した試験結果を示しており、図12は、G/F合わせ制御とA/F合わせ制御とについて、燃費性、NOx排出量及びLNVを比較した試験結果を示している。
図11中のバブルの数値はSDIの値を示している。SDIとは、各気筒2a〜2dの燃焼圧変動のばらつき度合を示す数値であり、その値が相対的に小さいほど気筒間の燃焼圧変動のばらつきが小さいこと、すなわち、各気筒2a〜2dのトルクのばらつきが小さいことを示している。また、図12中のバブルの数値はLNVの値を示している。LNV(%)とは、燃焼状態を示す指標の一つであり、所定サイクル数(例えば少なくとも300サイクル)における[燃焼時の図示有効圧力(最小値)/燃焼時の図示有効圧力(平均値)]×100で定義され、その値が相対的に大きいほど燃焼安定性が良好であることを示している。
これら図11、図12に示す結果からも、各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtを揃えることによるG/F合わせ制御によれば、A/F合わせ制御の場合に比べて燃費性が相対的に良好で、NOx排出量の著しい低下もなく、また、A/F合わせ制御の場合に比べて燃焼安定性(LNV)が良好で、各気筒2a〜2bのトルクのばらつきも少ないことが考察できる。
また、上記実施形態によれば、このようなG/F合わせ制御において、燃焼モデルに基づき求められる予測50%燃焼期間θt0と、筒内圧センサSN3が検出する筒内圧力から算出される実50%燃焼期間θt1との偏差(個別差Δθ)に基づき、各気筒2a〜2dの目標燃料噴射量がフィードバック補正される。そのため、気筒間の50%燃焼期間θtのばらつきを時間経過と共に速やかにかつより安定的に縮小させることができる。
特に、上記実施形態では、前記個別差Δθの平均値が目標値θtvとして設定され、この目標値θtvと各気筒2a〜2dの個別差Δθとの偏差に基づいてフィードバック補正量が決定される。すなわち、各気筒2a〜2dの個別差Δθが目標値θtvに近づくようにフィードバック補正量が求められるので、燃焼モデルに基づく予測50%燃焼期間θt1に拘束されることなく、各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtを揃えることができる。換言すれば、50%燃焼期間θt自体についての自由度は保ちながら、各気筒の実燃焼期間を揃えることが可能となる。例えば燃焼モデルの予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差(個別差Δθ)がゼロに近づくようにフィードバック補正量を決定するようにしても良いが、この場合には、各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtを燃焼モデルに基づく予測50%燃焼期間θt0に強制的に合わせ込むこととなり、例えば使用燃料の種類等によっては燃焼安定性を阻害することが考えられる。その点、予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差である個別差Δθの平均値を目標値θvtとして設定し、この目標値θvtと個別差Δθとの偏差に基づいてフィードバック補正量を決定する上記実施形態によれば、燃焼モデルの予測50%燃焼期間θt0に合わせ込むことなく、各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtを互いに揃えることが可能となる。そのため、上記のように燃焼安定性を阻害するなどの不都合を伴うことなく、各気筒2a〜2dの50%燃焼期間θtを揃えること、ひいては各気筒2a〜2dのG/Fを揃えることが可能になるという利点がある。
また、上記実施形態では、フィードバック補正量の算出に際しては、目標値θvtと個別差Δθとの偏差の大きさに応じて反映度合を定めた第2燃料補正データ(図9参照)に基づいて当該フィードバック補正量が求められる。そのため、目標値θvtと個別差Δθとの偏差がより小さくなるように、目標値θvtと個別差Δθとの偏差の大きさに応じた合理的な値がフィードバック補正量として算出される。よって、各気筒2a〜2dにおける個別差Δθを応答性よく目標値θvtに近づけること、すなわち、気筒間の50%燃焼期間θtを応答性よく揃えることが可能となる。
さらに、上記実施形態では、モデル式に基づく内部EGR率と実際の内部EGR率とのずれの傾向、及び気筒間の実際の内部EGR率のばらつきの傾向に基づき、当該ずれやばらつきを是正するように予め気筒毎に設定された第1燃料補正データ(図8参照)に基づき先ず目標燃料噴射量を補正し(図6のステップS9)、この補正後の目標燃料噴射量に対してフィードバック補正が行われる(図6のステップS11)。つまり、気筒毎の50%燃焼期間θtのばらつきへの影響度合いの大きい気筒間の内部EGR率のばらつき等が是正されるように目標燃料噴射量がフィードフォワード補正され、当該補正後の目標燃料噴射量をベースとして上記フィードバック補正が行われる。そのため、上記実施形態によれば、この点でも気筒間の50%燃焼期間θtを応答性よく揃えることができるという利点がある。具体的に、上記実施形態では、実際のEGR率(量)が排気マニホールド42の構造的影響を受け、#1番気筒2aの実際のEGR率が他の気筒2b〜2dの実際のEGR率より大きくなる傾向があるが、上記実施形態によれば、#1番気筒2aの燃料補正量が他の気筒2b〜2dの燃料補正量に比して相対的に補正の割合が大きくなるように設定された上記第1燃料補正データに基づき目標燃料噴射量が補正されるため、実際のEGR率の偏りによる気筒間の50%燃焼期間θtのばらつきを速やかに是正して、気筒間の50%燃焼期間θtを揃えることが可能になる。
[6.変形例等]
なお、上述した実施形態のエンジン及びECU100は、本発明に係る圧縮着火式エンジン及びその制御装置の好ましい実施形態の一例であって、圧縮着火式エンジン及びその制御装置の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば以下のような構成を採用してもよい。
(1)上記実施形態では、点火時期θigから燃焼重心時期θmfb50、すなわち燃料のうち質量割合50%の燃料が燃焼する時期までの期間θt(50%燃焼期間θt)を揃えるように目標燃料噴射量が補正される。しかし、燃料の燃焼質量割合は50%以外の値(例えば40%や60%)であってもよい。要は、点火時期θigから所定の質量割合の燃料が燃焼する時期(所定質量燃料時期)までの期間が各気筒2a〜2dで揃うようにすれば、G/F合わせ制御を実質的に行うことができる。
(2)上記実施形態における第1燃料補正データ(図8)や第2燃料補正データ(図9)は、実施形態の一例、すなわち図2に示すような排気マニホールド42を備えたエンジンについて気筒間の50%燃焼期間θtをより応答性よく揃えるために設定されたデータであって、第1燃料補正データにおける内部EGR率と燃料補正量の関係や、第2燃料補正データにおける目標値θvtと個別差Δθとの偏差の大きさと反映度合との関係は、実施形態に限定されるもではなく、具体的なエンジン構造等に基づき適宜変更可能である。
(3)上記実施形態では、燃焼モデルの予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差(個別差Δθ)の平均値を目標値θvtとして、当該目標値θvtに個別差Δθが近づくようにフィードバック補正量が算出される。しかし、燃焼安定性を阻害するなどの不都合を伴わない場合には、例えば燃焼モデルの予測50%燃焼期間θt0を目標値として各気筒2a〜2dの実50%燃焼期間θt1が近づくように、予測50%燃焼期間θt0と各気筒の実50%燃焼期間θt1との偏差に基づきフィードバック補正量を算出するようにしてもよい。この場合の前記第2燃料補正データは、予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差と、反映度合との関係を定めたものとすればよく、例えば、予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差が相対的に大きくなるほど反映度合が相対的に大きくなるように、予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差と、反映度合との関係を定めたものとすることができる。このような第2燃料補正データを用いた前記ECU100による制御によれば、燃料噴射量に対する補正量が、予測50%燃焼期間θt0と実50%燃焼期間θt1との偏差の大きさに応じた合理的な値に設定されるため、各気筒20a〜20dの点火時期θigから50%燃焼期間θt(所定質量燃焼時期)までの期間を応答性よく揃えることが可能となる。
(4)上記実施形態では、λ>1の運転領域(第1運転領域A1)でG/F合わせ制御を行っているが、例えば燃費性の著しい悪化やNOxの著しい増加を招かないような場合には、λ=1の運転領域(第2運転領域A2)又はその一部分の領域においてもG/F合わせ制御を行うようにしてもよい。
1 エンジン本体
2 気筒
2a #1番気筒
2b #2番気筒
2c #3番気筒
2d #4番気筒
100 ECU

Claims (7)

  1. 複数の気筒と、気筒に燃料を噴射するインジェクタと、前記気筒内で火花を発生する点火プラグとを備え、気筒内の燃料と空気の混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させた後に気筒内の残りの混合気を自着火によりCI燃焼させる圧縮着火式エンジンの制御装置であって、
    予め定められた所定の燃焼時期が目標時期となるように前記点火プラグの点火時期を制御するとともに、点火プラグによる前記点火時期から所定の質量割合の燃料が燃焼する時期である所定質量燃焼時期までの期間が各気筒で揃うように、当該所定質量燃焼時期の予測値である予測燃焼時期と実際の燃焼時期である実燃焼時期との偏差に応じて、燃料噴射量の補正量に対する当該偏差の反映度合を決定し、当該反映度合に基づき前記インジェクタによる各気筒の燃料噴射量を補正する、燃焼制御部を備えている、ことを特徴とする圧縮着火式エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載の圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    各気筒内の圧力を各々検出する複数の筒内圧センサを備え、
    前記燃焼制御部は、点火プラグによる点火時期から前記予測燃焼時期までの期間であって予め設定された燃焼モデルに基づき求められる予測燃焼期間と、前記筒内圧センサが検出する筒内圧力に基づき求められる、点火プラグによる点火時期から前記実燃焼時期までの期間である実燃焼期間との偏差に応じた前記反映度合を決定し、当該反映度合に基づき各気筒の燃料噴射量を補正する、ことを特徴とする圧縮着火式エンジンの制御装置。
  3. 請求項2に記載の圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記反映度合は、前記予測燃焼期間と前記実燃焼期間との偏差が相対的に大きいほど燃料噴射量の補正量が多くなるように設定されている、ことを特徴とする圧縮着火エンジンの制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載の圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記燃焼制御部は、気筒毎の前記予測燃焼期間と前記実燃焼期間との偏差である個別差の平均値を目標値として設定し、この目標値と前記個別差との偏差がゼロに向かうように各気筒の燃料噴射量を補正する、ことを特徴とする圧縮着火式エンジンの制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記エンジンは、少なくとも一部の運転領域で、気筒内の空気と燃料との割合である空燃比が理論空燃比よりも高いリーン運転が実行されるものであり、
    前記燃焼制御部は、前記一部の運転領域において、点火プラグによる点火時期から前記所定質量燃焼時期までの期間が各気筒で揃うように、前記予測燃焼時期と前記実燃焼時期との偏差に応じた前記反映度合を決定し、当該反映度合に基づき各気筒の燃料噴射量を補正する、ことを特徴とする圧縮着火式エンジンの制御装置。
  6. 請求項5に記載の圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記燃焼制御部は、前記リーン運転時、点火プラグによる点火時期から前記所定質量燃焼時期までの期間の気筒間でのばらつきに影響を与える所定要素の大きさに応じて気筒毎に予め設定された燃料補正量に基づいて各気筒の燃料噴射量を補正する、ことを特徴とする圧縮着火式エンジンの制御装置。
  7. 請求項6に記載の圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記エンジンは、前記複数の気筒から排出される排気ガスを案内する排気マニホールドを備え、
    前記排気マニホールドは、前記複数の気筒の配列方向における特定の気筒に最も近い位置に各気筒からの排気ガスが集合する集合部を備えるものであり、
    前記所定要素は内部EGR率であり、
    前記複数の気筒のうち前記特定の気筒についての前記燃料補正量は、それ以外の気筒の前記燃料補正量に比して相対的に補正の割合が大きくなるように設定されている、ことを特徴とする圧縮着火式エンジンの制御装置。
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